(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-11
(54)【発明の名称】論理的パズルに基づいて新たなゲームおよびアクティビティを強化および開発するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G06N 99/00 20190101AFI20240304BHJP
A63F 13/80 20140101ALI20240304BHJP
A63F 13/53 20140101ALI20240304BHJP
【FI】
G06N99/00 180
A63F13/80 E
A63F13/53
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023547371
(86)(22)【出願日】2022-02-03
(85)【翻訳文提出日】2023-09-25
(86)【国際出願番号】 US2022015120
(87)【国際公開番号】W WO2022169978
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508235391
【氏名又は名称】アナン,インデュー,エム.
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【氏名又は名称】阪本 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119688
【氏名又は名称】田邉 壽二
(72)【発明者】
【氏名】アナン,インデュー エム.
(72)【発明者】
【氏名】アナン,イーシャン
(72)【発明者】
【氏名】アナン,プラナブ
(57)【要約】
【課題】コンピュータシステムにより、パズル、ゲーム、またはアクティビティの1つまたは複数の解経路の1つまたは複数の部分について、パズル、ゲーム、またはアクティビティを解くステップの実行順序とラベルを関連付ける方法および装置を得る。
【解決手段】パズル、ゲーム、またはアクティビティを解くステップの実行順序とラベルを関連付けるに際し、一方の一連のステップに対する他方の相対的な効率の評価には、パズルの解答の実行のほか、解経路における特定のステップ順序が使用される。解経路の効率を定量化することによって、パズル、ゲーム、またはアクティビティの2つ以上の解答または完了の効率を論理的かつ客観的に比較することが可能になる。
【選択図】
図27
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パズルの1つまたは複数の解経路の1つまたは複数の部分について、コンピュータシステムにより、前記パズルを解くためのステップの実行順序とラベルを関連付ける方法であって、
前記コンピュータシステムが、少なくとも1つのコンピュータ機器またはコンピュータ機器のネットワークを含み、
前記パズルが、一組のスペース、所与の一組の異なる文字、および所与の一組のルールから成る所与の構成を有し、
前記一組のスペースが、文字が埋められた場合には非空の1つまたは複数の空スペースを含み、
前記パズルを解くステップが、前記所与の一組の異なる文字から選択され、前記所与の一組のルールならびに前記一組のスペースが1つまたは複数の非空スペースを含む場合の前記一組のスペースにおける前記所与の1つまたは複数の非空スペースと整合する文字で前記1つまたは複数の空スペースのうちの1つを埋めることを備え、
前記パズルが、前記一組のスペースにおける前記1つまたは複数の空スペースを埋める1つまたは複数のステップによって解かれ、
前記パズルを解くステップによって、前記一組のスペースにおける前記1つまたは複数の空スペースのすべてが埋められた場合に、前記パズルの解答が完了となり、
前記解答への経路すなわち解経路が、前記1つまたは複数の空スペースのうちの対応する2つ以上の空スペースが満たされる同じ順序でリンクされた前記パズルを解く一連の2つ以上のステップであり、
解経路の第1のステップが、先行ステップを有さず、前記解経路の前記第1のステップにおいて、前記1つまたは複数の空スペースのうちの1つが、前記所与の一組のルールならびに前記一組のスペースにおける前記所与の1つまたは複数の非空スペースに基づいて、前記所与の一組の異なる文字のうちの1つで埋められ、
前記解経路の第2または後続のステップが、前記所与のルール、前記一組のスペースにおける前記所与の1つまたは複数の非空スペース、ならびに前記解経路の1つまたは複数の先行ステップ中に前記1つまたは複数の空スペースのうちの1つに埋められた文字に基づいて、前記1つまたは複数の空スペースのうちの1つを前記所与の一組の異なる文字のうちの1つで埋めることを備え、
1つまたは複数の解経路の部分について前記ラベルを関連付ける当該方法が、
(a)順序が既知の一連のラベル{Label(1),Label(2),・・・,Label(I),・・・}を提供する動作と、
(b)解経路における空きスペースの埋充とラベルを関連付けるラベリングアルゴリズムを受信する動作であり、Label(1)が、前記解経路の前記第1のステップと関連付けられ、前記解経路の第2または後続のステップで埋められた各空スペースが、前記一連のラベルにおける前記既知のラベル順序に基づいてラベルと関連付けられる、動作と、
(c)第1の解経路の第1のステップを前記コンピュータシステムに受信する動作と、
(d)前記第1の解経路の前記第1のステップで埋められた前記空スペースとのLabel(1)の関連付けを前記コンピュータシステムに受信する動作と、
(e)前記第1の解経路の前記第1のステップで埋められた前記空スペースとのLabel(1)の前記関連付けを記録する動作と、
(f)前記第1の解経路に次ステップが存在する場合、前記次ステップを前記コンピュータシステムに受信する動作と、
(g)前記次ステップで埋められた前記空スペースとのラベルの前記ラベリングアルゴリズムによる関連付けを受信する動作と、
(h)前記次ステップで埋められた前記空スペースと関連付けられた前記ラベルを前記コンピュータシステムに記録する動作と、
(i)次の解経路が存在する場合、前記次の解経路の第1のステップを前記コンピュータシステムに受信する動作と、
(j)前記次の解経路の前記第1のステップで満たされた前記空スペースとのLabel(1)の関連付けを前記コンピュータシステムに受信する動作と、
(k)前記次の解経路に次ステップが存在する場合、前記次ステップを前記コンピュータシステムに受信する動作と、
(l)前記次の解経路における前記次ステップで埋められた前記空スペースとのラベルの前記ラベリングアルゴリズムによる関連付けを受信する動作と、
(m)前記次の解経路における前記次ステップで埋められた前記空スペースと関連付けられた前記ラベルを前記コンピュータシステムに記録する動作と、
(n)前記コンピュータシステムによって、前記1つまたは複数の解経路のいずれかについて所与の空スペースの埋充と関連付けられたラベルが、前記所与の一組のルール、前記一組のスペースにおける所与の非空スペース、または前記解経路の任意の先行ステップで埋められた空スペースと整合しないかを判定する動作と、
(o)前記コンピュータシステムによって、前記1つまたは複数の解経路から、空スペースの埋充と関連付けられたラベルのうち、前記所与の一組のルールのうちの1つ、前記一組のスペースにおける所与の非空スペース、または前記解経路の先行ステップで埋められた空スペースと整合しないラベルが存在しない前記一組の解経路の第1の部分集合を識別する動作と、
(p)前記コンピュータシステムによって、前記1つまたは複数の解経路から、空スペースの埋充と関連付けられた少なくとも1つのラベルが、前記所与の一組のルールのうちの1つ、前記一組のスペースのうちの所与の非空スペース、または前記解経路の先行ステップで埋められた空スペースと整合しない前記一組の解経路の第2の部分集合を識別する動作と、
(q)前記第1の部分集合における各解経路および前記空スペースの埋充と関連付けられた前記ラベルを第1のデータベースに記録する動作と、
(r)前記第2の部分集合における各解経路をその空スペースの埋充と関連付けられた前記ラベルとともに第2のデータベースに記録する動作と、
を備える、方法。
【請求項2】
前記所与の一組の異なる文字が、{Char(1),Char(2),・・・,Char(I),・・・Char(λ)}であり、{CHARS}と一括して識別され、
前記一組のスペースが、{Space(1),Space(2),・・・,Space(I),・・・Space(σ)}であり、{SPACES}と一括して識別され、
前記所与の一組のルールおよび前記パズルの空スペースの埋充とラベルを関連付けるための論理的制約を含む前記一組のルールが、{Rule(1),Rule(2),・・・,Rule(I),・・・Rule(ρ)}であり、{RULES}と一括して識別され、
整数JおよびK(1≦J≦λかつ1≦K≦σ)について、Space(K)を文字Char(J)で埋めることが、前記一連のラベルと関連付けられることにより、
前記埋充が{RULES}または{SPACES}における任意所与の非空スペースと整合する場合、Label(1)が、Space(K)の文字Char(J)による埋充と関連付けられ、
前記埋充が前記集合{RULES}におけるRuleまたは{SPACES}における所与の非空スペースと整合する場合、Label(1)が、Space(K)の文字Char(J)による埋充と関連付けられるか、または、ラベルLabel(1)、Label(2)、・・・、Label(I-1)が、Space(K)以外のスペースへの{CHARS}の文字の埋充と関連付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(s)前記第2のデータベースにおける解経路について、前記所与の一組のルールのうちの1つ、前記一組のスペースにおける所与の非空スペース、または前記解経路の任意の先行ステップで埋められた空スペースと整合しないものと判定された前記第1のラベルから順次、前記パズルを解く前記ステップと関連付けられた前記ラベルを精査するステップと、
(t)前記第1の不整合ラベルを交換して、前記不整合を取り除くステップと、
(u)前記不整合ラベルの交換の結果として、前記パズルを解く後続ステップのラベルを交換するステップと、
(v)前記コンピュータシステムによって、前記交換の結果として前記解経路の所与の空スペースの埋充と関連付けられた新たなラベルが、前記所与の一組のルールのうちの1つ、前記一組のスペースにおける所与の非空スペース、または前記解経路の任意の先行ステップで埋められた空スペースと整合しないかを判定するステップと、
(w)前記交換の後、前記解経路における後続のスペースの埋充と関連付けられたラベルが、前記所与の一組のルールのうちの1つ、前記一組のスペースにおける所与の非空スペース、または前記解経路の任意の先行ステップで埋められた空スペースと整合しない場合、ステップ(s)、(t)、(u)、および(v)を繰り返すステップと、
(x)前記解経路を前記第2のデータベースから前記第1のデータベースに移動させるステップと、
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記次ステップで埋められた前記空スペースとのラベルの前記ラベリングアルゴリズムによる関連付けを受信する前記動作が、
(g1)前記コンピュータシステムによって、前記空スペースが前記解経路の提供者により埋められた前記順序中の場所を探索する動作と、
(g2)前記コンピュータシステムによって、前記解経路における前記空スペースが埋められた順序を前記提供者に供給する動作と、
(g3)前記コンピュータシステムによって、前記解経路における前記空スペースが埋められた順序を記録する動作と、
を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記コンピュータシステムによって、前記記録を保持する前記動作が、
(g31)前記コンピュータシステムによって、所与の一組の情報から付与または論理的に導出された前記ルール、制約、およびデータに根差し、前記空スペースを特定の文字で埋め、前記空スペースの埋充と前記ラベルを関連付ける1つまたは複数の論理的理由の伝達を前記解経路の前記提供者に促す動作と、
(g32)前記コンピュータシステムによって、前記1つまたは複数の論理的理由を受信する動作と、
(g33)前記コンピュータシステムによって、前記埋められた特定の文字、前記経路において前記空スペースが埋められた順序における位置の識別、前記埋充と関連付けられた前記ラベル、ならびに前記1つまたは複数の論理的理由を含む前記空スペースの一意識別および埋充のためのデータを記録する動作と、
を備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
コンピュータによって、所与の空スペースと関連付けられたラベルが、前記所与の一組のルールのうちの1つ、前記一組のスペースにおける所与の非空スペース、または前記解経路の任意の先行ステップで埋められた空スペースと整合しないかを判定する前記動作が、
(n1)前記パズルを解く試行として、前記空スペースを前記所与の一組の異なる文字のうちのそれぞれで1つずつ暫定的に埋める動作と、
(n2)前記パズルの解答が完了とならない試行ミスとなった前記パズルを解く試行ごとに、前記空スペースの前記文字による埋充から論理的エラーまでのステップ数をカウントする動作と、
(n3)前記試行ミスごとに、前記論理的エラーまでの最小ステップ数を保存する動作と、
(n4)論理的エラーで終わらない前記所与の一組の異なる文字のうちの1つのみで前記空スペースが埋められたことを確認する動作と、
(n5)前記空スペースを埋めるステップと関連付けられた前記ラベルが、前記試行ミスすべてについて、前記最小ステップ数よりも遠くで前記一連のラベルに続くことを確認する動作と、
を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
解経路における所与の空スペースの埋充と関連付けられた一組のラベルの数値を計算する場合に、
(s)一連の順序付き数値を提供するステップと、
(t)前記一連の数値と前記一連のラベルとの間の順序の対応を維持しつつ、前記一連の数値のうちの1つを前記一連のラベルそれぞれに割り当てるステップと、
(u)前記一組のラベルのうちの複数のラベルに割り当てられた前記数値から合計値を演算する式を受信するステップと、
(v)前記式によって、前記一組のラベルの合計値を演算するステップと、
を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
1つまたは複数の解経路における所与の空スペースの埋充と関連付けられた二組以上のラベルを数値によってランク付けする場合に、
(w)前記1つまたは複数の解経路それぞれにおける前記空スペースの埋充と関連付けられた前記二組以上のラベルそれぞれに割り当てられた前記数値を受信するステップと、
(x)前記式によって、前記二組以上のラベルそれぞれの前記合計値を演算するステップと、
(y)前記複数組のラベルの前記合計値の比較により誘導された順序で前記二組以上のラベルをランク付けするステップと、
をさらに備える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のデータベースにおける1つまたは複数の解経路の2つ以上の部分の比較によってランク付けを行う場合に、
(w)前記解経路の前記2つ以上の部分それぞれにおける前記スペースと関連付けられたラベルを受信する動作と、
(x)前記解経路の前記2つ以上の部分それぞれにおける前記スペースと関連付けられた前記ラベルに割り当てられた前記数値を受信する動作と、
(y)前記式によって、前記2つ以上の部分それぞれのラベルの前記合計値を演算する動作と、
(z)前記2つ以上の部分それぞれの前記合計値の比較により誘導された順序で前記1つまたは複数の解経路の前記2つ以上の部分をランク付けする動作と、
をさらに備える、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記所与の一組のスペースの2つ以上のセグメントにわたって、前記第1のデータベースにおける前記解経路のうちの1つまたは複数の比較により数値的なランク付けを行う場合に、
(w)前記第1のデータベースにおける前記解経路のうちの1つまたは複数について、前記所与の一組のスペースの2つ以上のセグメントそれぞれと関連付けられたラベルを受信する動作と、
(x)前記所与の一組のスペースの前記2つ以上のセグメントそれぞれにおいて前記スペースと関連付けられた前記ラベルに割り当てられた前記数値を受信する動作と、
(y)前記式によって、前記2つ以上のセグメントそれぞれの合計値を演算する動作と、
(z)前記2つ以上のセグメントそれぞれの前記合計値の比較により誘導された順序で前記1つまたは複数の解経路の前記2つ以上の部分をランク付けする動作と、
をさらに備える、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のデータベースにおいて利用可能な過去の解答に基づいて、プレイヤに対する動的なヒントを生成するため、
(s)前記プレイヤから、現在のスペースまたは埋充対象の空スペースの位置を受け付けるステップと、
(t)前記プレイヤから、次のヒントを配置する前記所与の集合中のスペースの範囲を規定する1つまたは複数のパラメータを受け付けるステップと、
(u)過去の解答に基づいて、前記プレイヤにより規定された前記範囲内の埋充対象のスペースの位置または埋められた場合に前記範囲内の空間に対して解経路を与えることになる少なくとも1つの空スペースの位置を次のヒントとして前記プレイヤに提供するステップと、
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のデータベースにおいて利用可能な1つまたは複数の解答に基づいて、新たなプレイヤに対する動的なヒントを生成するため、
(s)前記新たなプレイヤから、ヒントを受けるペースの選好を受け付けるステップと、
(t)前記新たなプレイヤから、前記スペースすべてを埋めるためのヒントを受ける前記パズル内の定位範囲の選好を受け付けるステップと、
(u)前記新たなプレイヤから、埋充対象の前記空スペースの位置を受け付けるステップと、
(v)新たなプレイヤに対して、前記新たなプレイヤにより設定された前記選好によって合成統合されたラベルを用いることにより、前記パズルを解くためのヒントまたは新たな解経路を進むためのヒントを生成するステップと、
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
解経路が、前記パズルの解答が完了となる経路である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
(z)前記ランク付けの順序に基づいて、一組または複数組のラベルを勝利集合として選択するステップをさらに備える、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
(aa)前記ランク付けの順序に基づいて、一組または複数組のラベルを前記1つまたは複数の解経路の勝利部分として選択するステップをさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
(aa)前記ランク付けの順序に基づいて、一組または複数組のラベルを勝利セグメントとして選択するステップをさらに備える、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記一組のラベルの合計値を演算する目的が、一組または複数組の勝利ラベル、前記1つまたは複数の解経路の1つまたは複数の勝利部分、あるいは前記1つまたは複数の解経路の1つまたは複数の勝利セグメントに報酬を与えることである、請求項7に記載の方法。
【請求項18】
前記勝利が、所定の複数のユーザグループへの参加に基づく選択である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記勝利が、1つまたは複数の所定のユーザグループが出した賭け金に基づく選択である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記コンピュータシステムによって受信する前記ステップのうちの1つまたは複数が、2人以上の人間のプレイヤによって協調的に促される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条(e)の下、2013年3月15日に出願された米国特許仮出願第61/794,208号「ENHANCING TECHNIQUES AND SYSTEMS FOR LOGICAL GAMES, ACTIVITIES AND PUZZLES」および2013年3月15日に出願された米国特許仮出願第61/799,975号「NOVEL APPLICATIONS OF LOGICAL GAMES, ACTIVITIES AND PUZZLES」の優先権を主張する2013年3月15日に出願された米国特許出願第13/843,844号「ENHANCING TECHNIQUES AND SYSTEMS FOR LOGICAL GAMES, ACTIVITIES AND PUZZLES」の一部継続である2016年8月10日に出願された米国特許出願第15/233,798号「ENHANCING TECHNIQUES AND SYSTEMS FOR LOGICAL GAMES, ACTIVITIES AND PUZZLES」の一部継続である2018年5月22日に出願された米国特許出願第15/985,723号(現、米国特許第10,933,323号)「SYSTEMS AND METHODS TO ENHANCE AND DEVELOP NEW GAMES AND ACTIVITIES BASED ON LOGIC PUZZLES」の一部継続である2021年2月4日に出願された米国特許出願第17/168,139号「SYSTEMS AND METHODS TO ENHANCE AND DEVELOP NEW GAMES AND ACTIVITIES BASED ON LOGIC PUZZLES」の利益を主張するものであって、それぞれのすべての内容を本明細書に援用する。
【0002】
本開示は、論理的パズルの特定の分野のほか、論理的パズルによりモデル化され得るスキルおよびロジックを伴うゲームおよびアクティビティに関するものであって、これが本願の特別な焦点である。
【背景技術】
【0003】
論理的ゲーム、スキルおよび戦略のゲーム、パズル、ならびに類似のアクティビティは、何千年もの間、社会的および教育的な目的ならびに娯楽のために多くの文化で使用されている。特に関心が持たれるパズルのほか、多くのゲームおよびアクティビティは、本発明が開示する方法およびシステムの適用が想定されるクラスに属するものであり、本明細書における「アクティビティ」の言及は、別段の除外のない限り、ゲームおよびパズルを包含する。身体活動およびチームスポーツの特定の変形についても、対象とするクラスに属するものと考えられる。
【0004】
対象とするクラスにおけるゲームおよびアクティビティは、協力的であってもよいし、競争的であってもよく、下位のアクティビティすなわち「ステップ」によって特徴付けられる。参加者またはプレイヤは、アクティビティに関する知識、ステップを踏む瞬間までのアクティビティの状態、他のプレイヤおよび環境に関する一般知識、プレイヤのスキル、次の1つもしくは複数のステップの論理的な「妥当性」、ならびにこのような他の因子に基づいて決定を下すことにより、「次ステップ」または複数の考え得る「次ステップ」のうちの1つへと進むことができる。スキルおよび論理的な妥当性の因子は、このクラスの問題を純粋な偶然性のゲームおよびアクティビティから区別するものであるが、偶然性の要素についても、対象とするアクティビティのクラスに対する付加的な決定因子として含まれる可能性がある。
【0005】
スキルおよびロジックを伴うゲームおよびパズルは、対象とするサブクラスである。さまざまな種類のクロスワード、ワードスクランブル、および数字パズルは、特に関心が持たれるカテゴリである。このような多くのアクティビティは人気が高く、印刷物およびインターネットを含むさまざまな媒体で日常的に発表されている。数字/論理的パズル「数独」は、本発明の方法が当てはまる論理的パズルのクラスの最もよく知られた例である。ただし、これらの方法は、好適な適応によって、はるかに広範なクラスの論理的パズルおよび他のアクティビティに適用可能である。
【0006】
2004年にイギリスの新聞「タイムズ」が「数独」と称する数字/論理的パズルを発表して以来、このパズルは、絶大な人気を博している。クロスワードおよびワードスクランブル等の定番と並んで、今や世界中の新聞および雑誌で取り上げられ、それ専門の書籍もたくさん出ている。数独の変形および数独に着想を得た他のパズルも同様に人気を集めている。数独の人気によって、出場者にライブでパズルを解いてもらうアイデアに基づいたテレビ番組も開発された。そして、在宅の視聴者も参戦を促されることとなった。数年前から、数独の最も優れたプレイヤを決める数独選手権のイベントが世界中で開催されてはいるものの、その人気および視聴率は比較的限られている。本明細書に開示の方法およびシステムは、テレビおよびインターネットの観衆による参加の新規方法をもたらし得るため、これらのイベントの商業的および教育的価値を高める可能性がある。
【0007】
数独は、本発明の方法が当てはまる論理的パズルのクラスの最もよく知られた例である。ただし、この方法は、はるかに広範なクラスの論理的パズルに適用可能である。
【0008】
一般的に、このクラスのパズルまたは問題においては、多くのセルまたはスペースを包含する構造と、英数字であることが多い文字の集まりと、が1人または複数人のプレイヤに与えられ、セルを埋めるように求められる。通常は、一組のルールに従って、1つの文字をスペースまたはセルに埋める。一部のセルには、パズルの開始時に、出題者によってすでに文字が埋められている場合もある。文字が数字である場合、ルールは数学的根拠に基づき得るとは言え、必ずしもそうではない。同様に、他の場合には、セルを文字で埋めることが意味的に重要と考えられるものの、必ずしもルールにより求められるわけではない。以下、単語「セル」、「スクエア」、および「スペース」は、別段の指定のない限り、同義で使用する。
【0009】
数独パズルの最も一般的な形式は、9行9列の81セルから成る格子に9つのブロックを重ねたもので、各ブロックは3×3の格子状に配置された9つの隣接セル(スクエア)から成り、一部のセルには数字が埋められているものの、ほとんどのセルは空白となっている。この通常の場合の目標は、どの1行もしくは1列、またはセルを包含する3×3のブロック内でも数字が繰り返すことのないように、空白または空のスクエア/スペースまたはセルを1から9までの数字で埋めることである。
【0010】
数独の人気によって、異なる複数組の文字(たとえば、数字の代わりの文字)の使用、異なるサイズの格子の使用、スペースのレイアウトの変更、または不規則な格子の使用等、多種多様な新しいパズルが生み出されてきた。KenKenと称するパズルは、数独といくつかのルールを共有しているものの、数独が数学的演算の知識を必要としないのに対して、KenKenのルールは、空白のセルを埋めるための算術計算に依拠する。
【0011】
上記および他の変形は、本発明のいくつかの実施形態の方法に適するとともにその中で想定されるパズルのクラスに含まれる。これらの方法は、数独に関して本明細書に記載の詳細を使用することにより、上記およびこのような他の変形に適応され得る。
【0012】
本明細書の議論および説明は、特に、一意の解答またはゴールで終わる論理的パズル、ゲーム、およびアクティビティに焦点を当て、そのようなアクティビティで異なるプレイヤによる解答を区別する新規方法を提案する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、現実の世界でよく起こる上記のようなアクティビティと関連する以下のような2つの問題を提起し、例示的な実施形態を提示することによってそれに答えるものである。
(1)結末または最終的解答が一意である場合に、アクティビティ、ゲーム、またはパズルの2つ以上の完了または完了の試行をどのように区別できるのか?
(2)結末または最終的解答が区別されない場合に、競争的または協調的なアクティビティ、ゲーム、またはパズルの参加者をどのように選んでランク付けまたは報酬付与を行うことができるのか?
【0014】
現在、数独等の論理的パズルを解く競技会では、最短時間でパズルを解いた参加者に報酬を与えることで2番目の問題に対処しているが、これは多くの点で限界のある手法であり、必ずしも論理的パズルの最も論理的かつ洞察に満ちた解答に報酬を与えるものではない。
【0015】
従来の技術において、たとえば数独またはKenKenのように、論理的パズルが一意の正解を有する場合、(たとえば、コンテストにおいて)ある解答を別の解答よりも優先的に選択する方法では通常、2人以上の参加者の解答を計時し、最速の解経路を「勝者」として選択する。ただし、このようにコンテストの勝者を選ぶレースのような方法では、出場者による解答への経路間の他の考え得る差異を無視することになる。
【0016】
数独またはKenKen等のパズルを解くステップの実行順序は、複数の解経路間を区別する非常に有用なパラメータとして機能し得るものであり、本明細書に開示の方法は、「勝利」の解経路を選択するための従来の時間ベースの基準の代替または追加として使用され得ることを実証する。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態が提示する答えは、アクティビティの完了に至るステップの実行順序によって、関心のあるクラスのパズル、ゲーム、およびアクティビティの解答を論理的に区別することである。説明を簡単にするため、本明細書では、一意の解答を有するパズルの具体例を使用する。このようなパズルによりモデル化され得るアクティビティに対しても、同様の手法が適応され得る。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態に係る方法は、アクティビティまたは問題の各ステップの実行のみならず、アクティビティの解答または完了における厳密なステップ順序も考慮することにより機能する。アクティビティは、2つの異なる一連のステップを経て2つの同様なゴールに達する場合があるものの、一方の一連のステップに対する他方の相対的な効率に部分的に基づいて、一方よりも他方が「好ましい」と考えられる。このため、本開示は、パズル、ゲーム、またはアクティビティの厳密な解法または実行順序の「効率」を定量化可能である場合に、パズル、ゲーム、またはアクティビティの2つ以上の解答または完了の効率を論理的かつ客観的に比較可能であるという見解に依拠する。
【0019】
本特許出願およびその先行出願は、パズルを解くステップの実行の論理的順序の差異を「定量化」する方法と併せて、順序が既知のラベルを関連付けることによりステップの実行順序を追跡する装置を採用する方法を示す。したがって、2つ以上の一連の解答ステップ間の測定可能な論理的差異は、以下の仮定の成文化により、実用的かつ有意義で時間に依存しない方法にて捉えられる。すなわち、パズルを解くための「全体的により短い一連」のステップは、より長い一連のステップを必要とする解答よりも効率的である。ここで、表現「全体的により短い一連(over-all shorter sequence)」については、以下の説明において明らかにされる。
【0020】
本願および関連出願においては、ラベルを解答ステップと関連付けることによって、解答ステップの実行順序を追跡および使用する。過去の出願では、2つ以上の解経路の解答ステップの実行順序(たとえば、「コンテスト勝者」の順序)に基づくヒントを間接的に提供していたが、本願では、ヒント(すべての利用し得る妥当な解経路のラベルの関連付けの合成に基づくヒントを含む)を生成する特定の様態を開示する。
【0021】
本発明の手法には、現実世界の多くの用途がある。たとえば、その種々実施形態はとりわけ、解答全体を示さずにパズルを解くためのヒントを初心者プレイヤに提供すること、教育において特定の有用性を持つヒント付きパズルを作成し得ること、パズルの構造を捕捉および表現するための創造的な新しい方法をアーティストに提供すること、既知のパズルから他のパズルおよびアクティビティを生成すること、ならびに報酬が得られる娯楽用のスキルベースのオンライン賭けゲームおよびアクティビティの機会と、数字および数学的関係に関心を持たせる機会と、を提供することを可能にする。
【0022】
いくつかの実施形態(たとえば、新たなプレイヤに対してパズルを解くヒントを生成する問題に対する特定の答え)の場合、この手法は、それぞれの解答ステップが実行された順序の追跡により、パズルの(通常は、他のプレイヤによる)完了した他の解答のデータに基づくものとなる。この手法は、過去の解答の合成によって、提供された妥当な解答を一切破棄しないようにすることで(ヒントを与える)方法を改善する。
【0023】
この手法には、実際に関心が持たれるパズルにとって、(i)すべてのコンテスト参加者のラベリングおよび洞察がヒントに組み込まれる、(ii)ヒントがより高速に安定し得る、(iii)ステップの「客観的」ラベリングの合成によって、さまざまな経路からのラベルにある種の「スムージング」が組み込まれる、(iv)パズルを初めて解く人にとっては、「最も賢い」経路からのラベルに基づくヒントよりも、解答ステップに対する「客観的」ラベリングの合成に基づくヒントの方が有用である、(v)本発明が想定される実際のシナリオに対して、より明確に適用可能である(すなわち、さまざまな解答がネットワーク化されたコンピュータ機器を介して提供される場合、ステップの実行順序を示す(たとえば、空スペースを埋める)ラベルは、コンピュータシステムにより生成される必要がある)、といった複数の利点がある。
【0024】
想定される実際のシナリオの実施形態のうちのいくつかにおいては、パズルをある期間(数日または数週間)にわたってウェブサイト上で提供することにより、所与の空スペースを埋める順序の記録および他の関連データと併せて、完全な解答を集めることができる。また、パズルごとに、複数の参加者によって、多くの解経路が提供されることが予想される。期間終了後、本発明のシステムは、多くの参加者により提供されたすべての解答を処理するが、その際、空スペースを埋める順序の指定誤り等、1つまたは複数の誤りを包含する解答を取り除くことになる。このため、論理的誤りのない解答の部分集合を保持することになる。
【0025】
そして、このシステムは、論理的に正しいすべての解答からのスペース埋充順序を「合成」した後、合成したスペース埋充順序を用いてヒントを生成する。
【0026】
関心が持たれるパズルの場合、埋充対象の空スペースの数は、ヒントの数をはるかに上回ることが多いと予想される。ヒントの特異的な表示によって、新たなプレイヤ(人間)がパズルを解く際の補助ならびに人間の感覚(たとえば、視覚および聴覚)に対する過負荷の回避を図る必要があることから、ヒントとして採用する色または音等の差異は限定的にすべきである。一方、関心が持たれるパズルの埋充対象のスペースの数は通常、限定的では収まらない。また、人間のプレイヤが実際に使用できるヒントを提供することも重要である。
【0027】
したがって、この演算システムは、パズルの複雑性との人間の心理的境界に対応するため、適当な決定を下すようにプログラムされる必要がある。
【0028】
本開示は、パズルの構造(たとえば、文字またはピースの数および種類、ならびにそれぞれのパズル行列中の分布)に基づくアクティビティの2つ以上の完了の時間に依存しない論理的な比較に使用され得る定量的な尺度を含む新たな論理的構成および構造を導入する。したがって、たとえば、数独パズルの空セルを埋めるのに、すべての空セルにあらゆる数字を試行して当該セルに正しく入る数字を1つ見つけるという「総当たり」の試行錯誤手法よりも、論理的に推論された解答の方が効率的(すなわち、好ましい)と考えられる。
【0029】
本発明の方法を適用可能な多くのシナリオには、アクティビティの完了またはパズルの解答のための異なる試行の比較を伴うが、これらの試行の部分もしくはセグメント、または他の類似する記述子の比較を伴う場合もある。このような比較を容易化するため、先行関連出願に開示の定量的な構成は、(特定の)解答または遂行について、スタートとゴールとの間に実行された実際のステップの順序の情報と併せて、所与のゲーム、パズル、またはアクティビティのスタートからゴールまでのプロセスの実行を考慮に入れた解答または遂行のアルゴリズム的に演算される「効率の尺度」である。
【0030】
「効率の尺度」は、関心が持たれるアクティビティ、ゲーム、またはパズルの一連のステップの定量的な記述子であって、一連のステップの進行の計算に使用される。したがって、その演算には、(1)アクティビティのステップが(通常は)アクティビティを完了する目標に向かって実行される順序を追跡するためのアルゴリズムまたはメカニズムを提供すること、(2)ステップが実行される順序の点に注釈を付けるためのインジケータをアクティビティの各ステップと関連付けること、(3)インジケータの使用によって、ある量(たとえば、実数)をアクティビティの各ステップと関連付けること、および(4)好適な式により、当該順序の各ステップと関連付けられた量の組み合わせによって、1つの数値尺度を得ること、といった動作の何らかの変形を含む。
【0031】
2つ以上の一連のステップの比較には、(5)2つ以上の一連のステップごとに効率の尺度を与えること、および(6)それぞれ演算された効率の数値尺度によって、異なる一連のステップを比較すること、といった2つの付加的なステップを備える。
【0032】
そして、このように演算された数値尺度の比較により誘導された順序によって、2つ以上の順序から任意優先的な選択が可能である。
【0033】
本発明は、(1)結末または最終的解答が一意である場合に、アクティビティ、ゲーム、またはパズルの2つ以上の完了または完了の試行をどのように区別できるのか?(2)結末または最終的解答が一意である場合に、競争的または協調的なアクティビティ、ゲーム、またはパズルに対する報酬付与をどのように設定できるのか?といった2つの問題に対処する新規の試行を表す。
【0034】
これらの問題に対処するため、本開示は、アクティビティの2つ以上の完了の論理的比較に使用され得る定量的尺度を含む新たな論理的構成および構造を導入する。このようなアクティビティは、それぞれの人気を利用するため、テレビでの実施または実演が可能であり、インターネットでも同様に多くなっている。また、本明細書において後述する通り、これらのアクティビティは、教育から暗号に至るまで、さまざまな分野で他の多くの利点を一般的にもたらす可能性がある。
【0035】
たとえば、数独は非常に人気が高く、BBCおよびニューヨークタイムズ等の支持者の後ろ盾があるにも関わらず、数独競技会のテレビ放映の試みの浸透は比較的低いままである。これは、観衆の積極的な参加またはインターネットを介した参加の興味深いモデルが少ないことが一因とも考えられる。
【0036】
本発明が提供する構造および基準は、とりわけ、多種多様なアクティビティのための特別なデジタル装置および/またはインターネットを介した新規のゲーム、パズル、およびアクティビティのほか、観衆参加のための興味深いモデルの生成に利用され得る。この取り組みは、まったく新しい産業分野を生み出す可能性を秘めている。
【0037】
現在、数独を解く競技会は、リアルタイムで行われ、ライブ観衆も存在している場合が多い。観衆は各競技者が解答にたどり着くまでの過程を見ることができるものの、競技中のプレイヤは、進行中の互いの作業を見られない。勝者は、運動競技のように、一意の正しい解答に到達するまでの時間に基づいて選ばれる。このように、時間を争うようにアクティビティを取り扱うことは、多くの理由から満足を得られない。
【0038】
この手法は、「論理的」パズルを解くためのある競技者の解法の論理的推論が別の競技者より優れていることに報酬を与え得るものでもなければ、競技者が採用した論理的推論を観衆に示すこともない。観衆は、数独または類似の論理的パズルを解く際に採用し得る「論理的な芸術性」のシンフォニーを鑑賞する機会を逸している。
【0039】
時間は、測定可能な量であるため、勝者を選択するための決定因子として採用するのが容易である。現時点では、ある解答が別の解答よりも論理的に優れていることを捕捉し得る定量的/数値的尺度がない以上、これが唯一の決定因子である。本発明は、このように測定可能な量を提示する。本明細書に開示の方法およびシステムは、論理的な「優位性」に関する時間に依存しない定量的な尺度に基づくとともにこのような尺度によって、数独等の論理的アクティビティまたはパズルを解く競技会の勝者の選定に使用可能である。ただし、競技会の主催者が望む場合は、勝者を選択するための付加的なパラメータとして時間も使用される場合がある。
【0040】
パズルの難易度に関する確実な尺度は、パズルの構造、すなわち、文字またはピースの数および種類、ならびにそれぞれのパズル行列中の分布に基づくべきとの見解を起点とする。
【0041】
また、パズルのある解答に対する別の解答の論理的優位性を規定する妥当な方法は、解答の「スタート」からどれだけ容易にスペースが埋められるかの計算に基づき得るという見解も考えられる。これは、同じ目標を達成するのにより多くのステップを踏む「蛇行」解答よりも、推論が十分で、より直接的な解答の方が望ましく、勝利に値することを意味する。したがって、たとえば、数独パズルの空セルを埋めるのに、失敗するまですべての空セルにあらゆる数字を試行して当該セルに入る数字を1つ見つけるという「総当たり」の試行錯誤手法よりも、論理的に推論された解答の方が好ましいと考えられる。
【0042】
ゲームの勝者を選ぶ先行手法は、数独等の論理的ゲームおよびパズルを含む論理的アクティビティにおいて、「ゴールラインまでのレース」を比較する以外に、参加者の習熟度の比較を可能にする定量的な尺度を提供しない。ただし、「ゴールまでの時間」に基づくレースは、論理的な推論能力に部分的に基づいて勝者を選ぶことを目的とし得るアクティビティのクラスには不適切な尺度かつ不十分な決定因子である。
【0043】
この意味での解答の「効率」は、パズルの「複雑性」に相関する。複雑ではないパズルの解答は一般的に、より少ない全体ステップで明らかとなる一方、複雑なパズルの解答は、形になるまでに多くのステップを必要とし、これは、如何なるスキルレベルのプレイヤにも当てはまる事実である。したがって、ある意味で、人間またはコンピュータがパズルを解くのに要する時間は、パズルの複雑性または難易度に相関することになる。ただし、「解答までの時間」だけでは、論理的パズルの複雑性または難易度を捕捉することができない。論理的な論拠と関連しない外的因子による変動は、人間であれコンピュータであれ、パズルを解こうとする際に完全には制御できないためである。
【0044】
一方、本発明は、対象とするクラスにおけるパズルの解答またはアクティビティの達成のための定量的尺度を生成するための新規のアルゴリズム的プロセスおよび構成を導入することにより、時間に依存しない遂行の有意義な比較を可能にする。
【0045】
また、本発明の方法は、論理的問題の解答の「効率」に関して、パズルまたはアクティビティの分析を可能にし得る。本発明の方法は、解答の効率に基づいて、パズルの複雑性に関する少なくとも1つの定量的な推定値を与える。このような推定値は、複数の「プレイヤ」が提示した解答から最良の推定値を選び取り、最良の推定値に近いと考えられる平均的な数値に到達することによって、さらに改善される可能性がある。
【0046】
数独のようなパズルの場合、本明細書に開示のような効率の尺度を演算するアルゴリズムでは、パズルのセルまたはスペースの総数、埋充対象の「空」セルの数のほか、パズルの構造(スペースを埋めるために用いられる一組の文字ならびに開始時に空白または空ではないスペースに予め埋められた文字の分布を含む)を考慮に入れる。さらに、このような効率の尺度に関する演算アルゴリズムは、論理的パズルによりモデル化可能なアクティビティに適応され得る。
【0047】
解の効率を演算する開示の方法は、逆に、パズルまたはアクティビティの構造を明らかにするために使用可能であることから、さらに有用である。本発明は、パズル、ゲーム、またはアクティビティ等、あるクラスの論理、スキル、または理由ベースのアクティビティを解決または完了する方法およびシステムを提供する。また、2つ以上のアクティビティ完了例を比較し、選好順にランク付けする方法も提供するが、これは、問題の解答の探索もしくはアクティビティの完了、ならびに他のパズルもしくはアクティビティの作成を協調的または競争的に行う場合にも使用され得る。
【0048】
本明細書に提示の中心的方法を利用することによって、他の多くの用途も考えられる。たとえば、この方法は、2人以上のプレイヤがパズルを解く際の効率および相対的な習熟度の決定、パズルまたはアクティビティの完了を試みるプレイヤを補助するためのさまざまな形態の先験的または動的なヒントの提供、パズルの解決または類似の論理ベースのアクティビティの実行のためのインターネットベースの協調または競争の実行に使用可能である。考えられる他の用途は、パズルの解答の創造的な表現を提供すること、視聴者または観客(コンピュータネットワーク上の視聴者もしくは観客、またはテレビもしくはライブショーの観衆を含む)の教育または娯楽のために1つまたは複数の解答を表示すること、映画、動画、CD、DVD、ならびに現存する他の類似媒体もしくは将来利用可能となる他の類似媒体等、大量配布に適したさまざまな形態の媒体にてゲーム、アクティビティ、およびパズルを公開することである。
【0049】
さらに、本開示は、アクティビティの解答または完了の新規の創造的な表現のための方法を想定し、これを提供するものである。また、アクティビティまたは問題の創造的な表現のいくつかの形態は、協調的または競争的な参加のための他のパズル、ゲーム、またはアクティビティの構築のきっかけとなり得る。
【0050】
アクティビティのゴールまたは結末に向かう解答または遂行に関して、効率の尺度を演算可能である。ただし、解答または遂行のセグメント、すなわち、アクティビティのある点から別の点までの一連のステップに関して効率の尺度を演算することも有意義である。したがって、たとえば数独パズルの行、列、またはブロックの効率を演算することが有意義である。
【0051】
また、パズル/アクティビティの解答に至る如何なる経路(一連のステップ)も超えられないパズルの属性として規定され得る解答の「最適」効率を想像することも可能である。ただし、最適効率が決定されない場合であれ決定不可能な場合であれ、ある実際の解答(への経路)の効率を別の実際の解答(への経路)と比較して語るのが妥当と考えられる。ある解答は、効率の尺度がより優れている場合に、別の解答と比較して高効率と考えられる。
【0052】
数独と同様の考察は、先行ステップに続くステップのすべての可能性の列挙が実現可能である場合、他のゲームおよびアクティビティ(いくつかの偶然性のゲームを含む)にも当てはまり得る。したがって、一連のステップが無限に存在し得る場合またはステップからの連続の可能性が無限に存在し得る場合、これらのゲームまたはアクティビティは除外される。
【0053】
特に論理的パズルの場合、後続のステップの可能性は通常、有限であるため、結論に至るステップの順序も限られる。したがって、本明細書に開示の方法は、とりわけ、パズルを解いて異なる解答を識別し、これによって、新たなパズルを系統的に生成する場合等、多くの方法で有益に利用され得る。
【0054】
アクティビティのステップを特定の順序で遂行する定量的な尺度を探索し、これらの目標のうちのいくつかを実現する他の好適な新規の構成およびアルゴリズムについては、以下の詳細な説明において記載する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図2】
図2は、いくつかの実施形態に係る方法を用いた、
図1に示す数独パズルの解答の一例である。
【
図4】
図4は、いくつかの実施形態に係る方法を用いた、
図3に示す数独パズルの解答の一例である。
【
図5】
図5は、いくつかの実施形態に係る、アクティビティの遂行の複数の一連のステップをランク付けする方法のフローチャートである。
【
図6】
図6は、本発明のいくつかの実施形態が採用され得る例示的なコンピュータシステムを示した図である。
【
図7】
図7は、本発明のいくつかの実施形態に係る、マサチューセッツ州の地域広告主の出版物であるAction Unlimitedのクロスワードパズルに適用された方法の一変形例である。
【
図8】
図8は、本発明のいくつかの実施形態に係る、「Numbrix」として知られる数字パズルの一例に適用された方法の一変形例である。
【
図9】
図9は、
図2の解答の部分的構造を視覚的に示しており、文字A、B、およびCは、異なるグラフィックパターンに対応する。この図は、網掛けの埋充セルをラベルCで示している。他のセルも同様に、色、パターン、またはアニメーショングラフィックス等で埋められる。
【
図11】
図11は、いくつかの実施形態に係る方法を用いた、
図10に示すKenKenパズルの解答の第1の例であって、アルファベット文字のヒントを伴う。
【
図12】
図12は、いくつかの実施形態に係る方法を用いた、
図10に示すKenKenパズルの解答の第2の例であって、異なるアルファベット文字のヒントを伴う。
【
図13】
図13は、いくつかの実施形態に係る方法を用いた、
図10のKenKenパズルの解答の第3の例であって、さらに別の異なる一組のアルファベット文字のヒントを伴う。
【
図22】
図22は、
図11の解答中のセルの部分的埋充とラベルを関連付けるためのロジックの図である。
【
図23】
図23は、
図12の解答中のセルの部分的埋充とラベルを関連付けるためのロジックの図である。
【
図24】
図24は、複数の解経路におけるステップの実行順序からのヒント生成の一実施形態の基準フローの図である。
【
図25】
図25は、パズルを解くステップとラベルを関連付けるシステムによる確認のフロー図である。
【
図26】
図26は、パズルを解くステップのラベルを統合ラベルとして組み合わせるプロセスの図である。
【
図27】
図27は、いくつかの実施形態に係る、解答のステップとラベルを関連付けるためのプロセスのフローチャートである。
【
図28】
図28は、いくつかの実施形態に係る、解経路およびラベル割り当てのコンピュータ化確認を例示している。
【
図30】
図30は、いくつかの実施形態に係る、
図4のパズルの部分的解答であって、Aまでのラベル関連付けと、試行錯誤によってスペースを埋めるための文字およびラベルの決定の(ある特定のスペースを埋める)一例と、を表示している。
【
図31】
図31は、
図4のパズルの完了した解答であって、ラベルと、文字およびラベルの決定のための論理的理由と、を表示する一例である。
【
図32】
図32は、パズルの例示的な空白レイアウトであって、考え得る文字を空セルに埋める段階(セルを埋める順序を示す序数、埋充と関連付けられたラベル、ラベル関連付けの論理的理由、および試行錯誤法を用いてセルを埋める必要がある場合の計算)と併せて一覧化するための規定エリアが設けられている。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本発明者らは、パズルが一意の最終解答を有する場合であっても、パズルの解答のステップの実行順序を追跡することによって、解答に至る2つ以上の経路を測定可能に区別し得ることを認識した。
【0057】
このクラスのパズルは、数独が代表例であるが、より一般的な制約充足問題(CSP)に含まれる。さらに、関心が持たれるクラスのパズルによりモデル化され得るアクティビティについても同様に、ステップの実行順序に基づいて、遂行の差異に従い得ることに留意する。
【0058】
本発明の複数の実施形態の方法が当てはまるクラスの論理的パズルまたは問題においては、多くのセルまたはスペースを包含する構造と、英数字であることが多い文字の集まりと、が1人または複数人のプレイヤに与えられ、セルを埋めるように求められる。通常は、一組の制約およびルールに従って、1つの文字がスペースまたはセルに埋められる。
【0059】
そこで、対象とするクラスにおけるパズル、ゲーム、およびアクティビティについて、(i)解答のステップの実行順序を追跡するメカニズムの形成および(ii)このような追跡による測定可能な量の取得が実際に可能であることを示すことから始める。
【0060】
パズルを解くステップの実行順序は、順序が既知の一連のラベルのうちの複数をステップと関連付けることによって効果的に追跡可能であることを実証する。一連のラベルが利用可能になると、一連の各ラベルに対して数値が割り当てられ得ることにより、数値の順序が一連のラベルのラベル順序に対応して、一連のラベルと数値との間で厳密な1対1の対応が維持されるようになる。
【0061】
このようなラベルがパズルの解答に至る経路のステップと関連付けられた場合には、ラベルを介して、数値が実行ステップに割り当てられることになる。そして、解答に至る経路のステップに割り当てられた値を用いることにより、定量的な集計尺度を演算して、解経路を表すことができるようになる。また、解経路間の論理的差異を捕捉するようにラベルが規定されている場合は、2つの異なる経路を表す集計尺度を比較することによって、論理的パズルの解答に至る2つの異なる経路間の論理的差異を測定可能に区別することができる。さらに、このようにラベルを介して解答に至る経路を区別する方法の実際の採用によって、経路が関連しない場合または経路が異なるパズルを表す場合であっても、論理的差異を測定可能に区別することができる。
【0062】
パズルを解くステップの実行順序は、所与の一連のラベルのうちの複数を関連付けることによって効果的に追跡可能である。そして、これらのラベルの使用により、論理的パズルの解答に至る経路間または異種パズル間の論理的差異の定量的尺度を提供可能である。また、これらの使用により、教育および娯楽のため、パズルを解くヒントを与えることも可能であるし、パズルの解答の「セグメント」を測定して比較する定量的な方法を提供することも可能である。
【0063】
たとえば、インターネット上のスキルベースの賭けアクティビティとして、数独ゲームを使用可能である。ラベルは、たとえばどの行、列、または3×3ボックスが最初に埋められ、2番目に埋められるか等の測定、すべての行、列、またはボックスにどの数字が最初に埋められる等の測定、あるいは、どのセルがどの順序で埋められるか等の測定を可能にする。
【0064】
このアクティビティは、実践的なステップとしての使用により、ロジックに関心を持たせることができる。
【0065】
同様に、KenKenパズルの使用によって、子ども向けの興味深い教育的/数学的アクティビティを作成することができる。
【0066】
解答の実行ステップとラベルを関連付ける方法
ラベルを起点として、この方法を使用することで解答の各ステップの実行順序を追跡するために必要なものは、ラベルとして使用可能な集合であり、ステップの実行順序のような進行または「順序」を有意義に記述するための所定または「自然」の順序を有する。
【0067】
ローマ字の文字A、B、C、・・・または整数の集合1、2、3、・・・は、用語「順序(order)」、「先行(preceding)」、または「後続(succeeding)」等が意味をなす容易に利用可能な集合であり、ラベルとして使用可能なはずである。したがって、文字は、たとえば数字ベースの数独等のアクティビティのステップのラベルとして使用可能であり、整数の集合は、パズルのセルがアルファベットの文字で埋められる「ワード」数独のラベルとして使用可能である。
【0068】
次に、実行ステップをラベリングしてローマ字の文字による順序を誘導するためのアルゴリズムが以下のように設定され得る。
【0069】
一連のラベルを所与として、所与のルール/制約のみに基づいて埋められるパズルの任意のセルおよび任意所与の非空(予め埋められた)セルの埋充と最初のラベルを関連付ける。次に、所与のルール、予め埋められたセル、および最初のラベルと関連付けて埋められたセル等に基づいて埋められたセルを2つ目のラベルと関連付け、以下も同様に誘導される。
【0070】
したがって、たとえば数独の場合、基本的ルールもしくは制約ならびにパズルの開始時に与えられた数字のみに基づいてセルの数字が直接決定される場合は、文字Aをセルと関連付ける。そして、その埋充が、基本的ルール、パズルの開始時に与えられた情報、ならびに場合によってはAと関連付けられた1つもしくは複数のセルに基づく一方、Aまたはローマ字でAに後続する文字と関連付けられた如何なるセルにも基づかない場合は、文字Bをセルと関連付ける。その埋充が、所与の情報ならびに場合によってはBと関連付けられた1つもしくは複数のセルに基づく一方、文字C「以上」と関連付けられた如何なるセルにも基づかない場合は、文字ラベルCをセルと関連付け、以下同様である。このアルゴリズムは、「循環論法」を回避するために、ラベリングのルールとして以下のように記述することができる。
【0071】
Rule:セルの埋充がアルファベットの文字に先行する文字と関連付けられた1つまたは複数のセルに部分的に基づく一方、当該(選定)文字に先行しない文字と関連付けられた如何なるセルにも基づかない場合は、アルファベットの当該文字をラベルとして埋充と関連付ける。
【0072】
このラベリングルールは、n×nの数独に関する通常の基本的ルールへの追加であって、以下のように記述され得る。
【0073】
Rule 1:行中で繰り返される数字ではセルが埋められない。
【0074】
Rule 2:列中で繰り返される数字ではセルが埋められない。
【0075】
Rule 3:n×n格子の特定のセルについて、1~nの集合から、1つの数字を除くすべての数字がRule 1または2によって取り除かれ得る場合、当該セルは、取り除かれない1つの数字で埋められ得る。
【0076】
Rule 1、2、および3は、多くの論理的パズル(数独およびKenKenを含む)に当てはまる。
【0077】
Rule 3は、関心が持たれるパズルについて、以下の重要な実用的観点を記述する。すなわち、スペースまたはセルの埋充は断定的な動作であるが、セルの埋充に使用できない数字の決定に際しては、真に調査的な行為である。
【0078】
試行錯誤により解くステップとのラベルの関連付け
ただし、上記ルールは、スペースを埋める文字が容易に決定されない場合には、適切な指針を与えるものではない。多くのシナリオにおいて、パズルのスペース/セルは、試行錯誤または試行錯誤を使用するプレイヤによる埋充を必要とし、スペースにおける正しい文字の配置の決定に先立って、複数の候補文字が試される可能性がある(たとえば、数独の場合は、1~9の整数がすべて試される)。このシナリオは、ラベリング方式によって適当に取り扱う必要がある。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態は、パズルの通常の目標がスペースを効率的に埋めることであり、試行錯誤が通常は非効率であるとの見解により、上記シナリオについて、ラベルの生成に対処することを提案する。試行錯誤の影響によって、文字ラベルの決定のプロセスが長引くことが多く、その結果、たとえばセルを埋めるステップについて、失敗となる候補を取り除くことによりラベルがより直接的に見つけられる場合よりも「高い」アルファベットの文字または「遠い」ラベルとなる。
【0080】
埋充のための明白ではない候補文字が複数あるセルとラベルを関連付ける有意義な方法は複数存在し得る。ここで一例として選択するプロセスでは、失敗する文字すなわちルール、所与の予め埋められたスペース、または解答プロセスの先行ステップにおいて(正しく)埋められたスペースに矛盾する結末となる文字での試行を考慮したラベリングメカニズムを介する。
【0081】
したがって、セルを埋められる文字が2つしか考えられない場合は、その一方が矛盾し、他方がスペースを正しく埋められる。たとえば、(ラベルにローマ字が用いられると仮定して)Xとラベリングされたステップにおいて、2つの文字の1つ目を埋めることにより矛盾が生じた場合は、スペースを他方の(2つ目の)文字で埋め、ラベルY(一連のラベルにおけるXの直後の後続ラベル)を埋充と関連付ける。このようなラベルの関連付け方は、所与のルールおよび予め埋められたセルのみに基づいて1つ目のラベルをセルの埋充と関連付けることと整合しており、互換性がある。
【0082】
この方式は、スペースへの配置が最終的に矛盾する他方の文字によって決まるラベルに対して、スペースへの正しい文字の埋充が関連付けられることを意味する。この方式は、パズル(たとえば、数独)、より一般的には制約充足問題について、制約を満たす第一の手段が機能し得ない選択肢を取り除くことである、という属性を表現する。
【0083】
このように矛盾を用いて適当なラベルを探索する方式は、セルを埋められる文字の選択肢が3つ以上存在する場合に拡張可能である。この拡張は、セルを埋められる文字を対にして、埋充および関連するラベルに対して文字を分解し、すべての選択肢を順序に検討し、最後に、先行する如何なる埋充とも矛盾しない文字でセルを埋めるための上述のような一連のラベルのうちの1つを見つけることによって可能である。
【0084】
ただし、次の数段落に記載の通り、セルを埋められる選択肢が3つ以上存在する場合は、矛盾を用いて適当なラベルを探索する方式を簡素化することができる。
【0085】
解答ステップにおいて、スペースを埋められると考えられる文字が3つ以上存在する場合は、試行錯誤によって、矛盾を引き起こさない唯一の数字でセルを埋める必要がある。
【0086】
セルを埋められるすべての数字がListに置かれ、一連のラベルがローマ字{A,B,C,・・・}であるものとする。また、ルールに矛盾することが容易に分かる数字を検討から除外することによってListが構成され、別のセルはすでに埋められているか、現行ステップまでのプロセスにおいて付与または埋充されているものとする。
【0087】
仮定により、1つの数字のみがセルに正しく配置され得ることから、最終的には、Listの数字が1つを除いてすべて矛盾することになり、取り除かれる。残った1つの数字がセルを正しく埋めることになる。埋充のためのラベルは、実際にはそれぞれが矛盾となるList上のその他の文字に基づいて探索される。
【0088】
このため、ラベルを探索するには、(i)埋充対象のスペースにList上の候補文字を暫定的に配置し、(ii)セルが埋められる解答プロセスにおける点に基づいて、配置を暫定ラベルと関連付け、(iii)このスペースから先は、矛盾が生じるまで、空スペースを埋め、ラベリングのRuleによってラベルを関連付けるステップを続け、(iv)矛盾が発生したラベルをメモし、(v)埋充対象のセルから異なる経路に沿って複数の矛盾が存在する場合は、暫定ラベルに最も近いラベルをメモし、(vi)メモしたラベルを矛盾と関連付けられた「最初」のラベルと称し、(vii)List上の文字ごとに、文字の暫定配置のプロセスを繰り返し、(viii)(複数の候補文字について)矛盾と関連付けられた「最初」のラベルすべてのうち、暫定ラベルから最も離れたラベルを探索し、(ix)矛盾が見られない1文字でスペースを埋め、(x)一連のラベルにおける少なくとも1つの場所により見つかった最も離れたラベルに続くラベルを埋充と関連付ける。
【0089】
一例として、経路中の最後のラベルがBであるセルを埋める段階にあるものとする。Listから数字を選んで、ラベルCと関連付けられたセルへ暫定的にリンクさせ、他のセルの埋充へと進む。たとえば、ラベルEの段階で矛盾が発生した場合は、この事実を記録した後、List中の次の数字の配置を試みる。ラベルFと関連付けられた文字(数字)をリンクさせる段階において、List上の次の数字も矛盾するものとして、この事実を再度記録する。同様に、List中のすべての数字について進める。Lは、矛盾のあるList中の数字に対して、「最も高い」ラベルとなる(すなわち、一連のラベルにおいて最も高い序数を有する)ものとする。その後、このセルの埋充とMを関連付ける。
【0090】
なお、「最も離れた」ラベルは一般的に、一連のラベルにおける「暫定」ラベルから計算して最も「遠い」ラベルであり、最適な場合には、矛盾のいずれかと関連付けられたラベルを「ちょうど」超えるセル埋充ラベルとなる。上記例においては、EおよびF等が矛盾にリンクされた「最初」のラベルであるものと暗に仮定した。これらが「最初」のラベルではない限り、セルの埋充とのラベルの関連付けは最適とは言えないが、不正確ではない。たとえば競技会において、プレイヤは、ラベリングを最適化するため、空スペースを埋める経路を選定しようと努力する。
【0091】
このアルゴリズムを体系化するため(また、記録を残すため)、大文字のアルファベットがラベルに用いられる場合は、(考え得る文字の)Listと関連付ける一組のラベルに対してマッピングし得る別の二次的な集合を導入するのが有用である。大文字のローマ字であるラベルA、B、C等の場合、上記のような容易に利用できる二次的な文字集合は、小文字のローマ字a、b、c等であり、以下のように(たとえば、数独に対して)使用され得る。すなわち、特定のセルに考えられる数字のListにおいて、ラベルがAより高いセルで埋充に影響するものがない場合は、文字「a」をListと関連付け、ラベルがBより高いセルで埋充に影響するものがない場合は、文字「b」をListと関連付け、以下同様である。そして、予め埋められたセルのみに基づいてListが引用される場合は、如何なる小文字もListと関連付けない。
【0092】
概念上、この方式において、小文字は、対応する大文字A、B、C等のラベルとしてのセルとの関連付けの最後に、パズルの解答途中の状態を捕捉するものと考えられる。考え得る文字および二次的なラベルのListは、A、B、C等との実際のラベルの関連付けを決定するための暫定的な手段に過ぎない。
【0093】
ここで、
図29の数独パズルの一例(一部が埋められた状態を
図30に示す)により、大文字および小文字を用いてパズルのセルを試行錯誤で埋めるためのラベルを決定するプロセスを説明する。図を見易くするため、
図30はラベルAのみを示しており、セル位置(1,2)、(1,4)、(3,1)、(5,6)、(7,8)、(8,5)、(9,2)、および(9,3)と関連付けられている。これらはすべて、埋められたセルおよび数独のルールによって容易に決定される。また、セルの一部に「List」文字を示すが、セルは、3つ以下の考え得る数字によって埋められる。
図30においては、図を明瞭化するため、セルを埋めるListが4つ以上の考え得る数字を有する場合は、これを空白としている。
【0094】
実際には、試行および矛盾を通じて、一度に1セルずつ最初のListで作業するよりも、埋められるセルが増え、割り当てられるラベルが増えるにつれ、セル埋充のListを継続的に更新するのが良い。Listと関連付けられた小文字は、解答プロセス中により多くの情報でListが更新された場合に変化し得る。
【0095】
次に、セル(1,5)を考慮して、Listの使用を説明する。
【0096】
1行5列の(1,5)位置のセルを埋められる数字のListは、4、7、および8である。
・数字4をセル(1,5)に配置した場合は、5をセル(2,5)に配置する必要がある。1~9の他の数字では、すでに第2行または第5列にある数字との矛盾が避けられないためである。ただし、5が(2,5)の場合は、(8,5)位置を埋められる1~9の数字が存在せず、数独ルールと矛盾することになる。
・したがって、4を(1,5)に埋めることはできない。また、5を(2,5)に配置できるとすれば、ラベルAの関連付けの後(すなわち、その結果として)すなわちB(の始め)において、(8,5)で矛盾が生じることになる。
・数字7をセル(1,5)に配置した場合は、(1,8)にも(1,9)にも7を配置できなくなる。ただし、(2,2)に7があることと矛盾するため、7を(2,9)には配置できない。したがって、右上ボックスには、7を配置できるセルが存在しなくなり、数独のルールに矛盾する。この矛盾は、ラベルAを関連付ける段階に発生することになる。
・したがって、Listに残った唯一の数字である8でセル(1,5)を埋める必要がある。
・この埋充とのラベルの関連付けについては、すべての考え得る数字のListと、矛盾が発生した関連ラベルを確認する。この場合のラベルは、BおよびAである。一連のラベルにおいて、このリスト中の最も離れたラベルは、Bである。
・したがって、セル(1,5)は数字8で埋められ、ラベルC(一連のラベルにおいてBに後続するラベル)と関連付けられる。
・プレイヤがラベルBを埋充と関連付けることを選んだ場合、これは(Bに基づくラベルBの関連付けという)「循環論法」を使っているようなもので、ラベルの関連付けのルールに従えば正しくないことになる。
・ただし、その一方で、たとえば計算の安全のため、プレイヤがラベルDをこの埋充と関連付けることを選んだ場合、それは受け入れ可能となる。セル(1,5)を埋めるためのラベルDはラベリングルールに違反しないが、ラベルCが適切であることから、プレイヤの解経路の効率の尺度に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0097】
同じセルが同じ文字で埋められていても、異なるラベルは異なる解経路の一部と考えられることに留意するのが重要である。これらは、スペースの異なる埋充のプロセスにおいて、さらに下のラベルの関連付けに影響を及ぼし得るためである。
【0098】
実際のところ、試行錯誤によってすべてのラベルの関連付けを探索するのは非常に困難である。一般的には、可能な限り制約および/または観察によって直接、セルを適当なラベルで埋めて関連付けた後、試行錯誤によって残りの少数の空セルをラベルで埋めて関連付けるのがより現実的である。ただし、熟練プレイヤであれば、Listから文字を取り除くための巧妙かつ迅速な方法を見抜いて、論理的に説明することができる可能性もある。
【0099】
図31は、
図29のパズルの解答を示しており、空白セルには、1~9の数字が埋められている。また、セル埋充と関連付けられたラベルが大文字である場合に小文字を用いた解答プロセスにおける異なる点でのいくつかのセルのListを示している。また、
図31は、本明細書の以下に示す例示的なアイコンを使用した論理的理由も示している。これらのアイコンは、解答プロセスにおいてセルが埋められる順序と併せて、セルを埋めるためにプレイヤが行ったロジックを伝えるのに役立ち得る。このロジックは、セル埋充および関連するラベルの確認のため、コンピュータシステムにより用いられるようになっていてもよく、また、解経路の受理または分離のため、たとえば競技会の管理者により用いられるようになっていてもよい。
【0100】
この簡単なパズルの場合は、
図31に示すラベルが必ずしもすべてのセルに対して可能な限り「最も低い」文字ではないことが確認できる。たとえば、セル(7,4)のラベルは「D」と入力されているが、より注意深いプレイヤであれば、「C」も可能であることに気づく。Dが正しくないと言えないのは、ラベル関連付けのルールに違反していないからではあるが、最適ではない。理想的な場合は、効率の尺度が最適化されるように各セルが埋められることになる。
【0101】
パズルの効率の尺度の最適化は一般的に、考え得る解答の少なくとも一部を把握することなく、最初のデータからは決定され得ない。このことは一般的に,パズルまたは制約充足問題の「難易」度および類似の記述子を評価するすべての方法に当てはまる。ラベル関連付けおよび効率の尺度の演算は、パズルの難度を推定するための付加的な手段である。
【0102】
解くステップと関連付けられたラベルの確認
パズルのセルを埋めるためのラベルの関連付けは、ラベルの探索方法に関わらず、現実世界の実用性に影響を及ぼすため、確認の必要がある。
【0103】
ラベルの関連付けの確認は、コンピュータシステムによって最も良く実行される。そのプロセスは、手作業では手間が掛かりすぎ、ミスが起こりやすい。より重要なこととして、複数の現実世界のシナリオ(たとえば、競技会における勝者の選択)の場合、確認プロセスのプライバシ、独立性、セキュリティ、および完全性を保証するには、適当な機能および保護措置を備えたコンピュータによる実行が望ましい。
【0104】
ラベルの関連付けを確認するには、ラベル関連付けのRuleに従うことが求められる。たとえば、(ローマ字の大文字がラベルとして用いられる場合の)ラベル「C」と関連付けられたセルは埋められず、C以降の文字と関連付けられた別のセルに基づいてラベリングされるようにする。プレイヤにより提供された経路または解答セグメントに正しくないラベルが関連付けられている場合、当該経路は、意図した用途への使用に先立って、アクティビティまたは競技会を招集する組織の管理者により除去されるようになっていてもよいし、分離されるようになっていてもよいし、別途処理のため除外されるようになっていてもよい。
【0105】
図10により示されるパズルならびに
図11、
図12、および
図13により示される解答は、異なる順序で埋められるパズルのセルが小学生に対して、数字の事実およびそれぞれの数学的関係に興味を持たせ得る様子を示している。
【0106】
図10のパズルを用いて、現行の一部継続出願に提示のヒントを生成する新たな方法を例示する。
【0107】
パズルを解くためのヒントの生成に1つまたは複数の既知の解答を選択する代わりに、システムによって、提示のすべての解答の組み合わせが生成されるようになっていてもよい。たとえば、
図11、
図12、および
図13においては、セル(1,2)、(1,3)、(2,1)、(2,3)、(3,1)、(3,2)、および(3,3)それぞれに、ラベルC/C/D、D/D/E、E/D/E、E/E/E、D/C/D、B/B/C、およびC/A/Bが与えられている。
【0108】
ラベルA、B、C、D、およびEに値1、2、3、4、および5を与えることによって、これらのラベルを組み合わせることができる。たとえば、セルごとにラベルを平均値として組み合わせると、同じセルの値が2、2.33333、3.33333、3.66666、4.33333、4.66666、および5となる。値/ラベルを組み合わせるアルゴリズムはほかにも存在する。
【0109】
これらの演算に基づいて、新たな「統合ラベル」を見出すことができる。たとえば、上記平均値は、B、B、C、D、D、E、およびEとして、「最も近い」ラベルに変換することができる。これは、新たなプレイヤにとって、最初に挑むセル、2番目に挑むセル等の良いアイデアを与える。
【0110】
また、(この初歩的パズルを超える)より複雑なパズルにおいては、ラベルを組み合わせて統合ラベルを生成するためのより精緻な方式を使用可能である。演算された組み合わせ値の区画を生成することによって、対象とする観衆に最適なヒント数を割り当てることができる。たとえば、
図10のKenKenパズルに3つのヒントだけを与えたい場合がある。そこで、(人間のインストラクタまたはプログラムされたマシンにより)区画を決定するための決定がなされ得る。たとえば、最初の3つの平均値がAに対応し、次の2つの値がBに対応し、最後の2つの値がCに対応していてもよい。
【0111】
このような手法は、より「客観的」に決定されて安定し得るコンピュータ生成の合成値およびラベルにより、複雑な問題に対して効果的に使用可能である。
【0112】
統合ラベルを使用する手法は、パズルを解くためのヒントの生成に特に有用である。ヒントは人間のプレイヤの補助を対象とするため、このアプローチでは、複数の人間のプレイヤからの入力を組み合わせてコンピュータにより処理する。
【0113】
一実施形態について、ラベルおよびヒントの生成の基準フローを
図24に示す。このフローは、ラベルを組み合わせる他のアルゴリズムにも好適に適応され得る。
【0114】
ラベルおよびヒントの生成に用いられる場合のコンピュータは通常、セルが数字等の文字で正しく埋められていることのみならず、セルの埋充のラベリングが正しいことも確認することになる。このような確認のプロセスを
図25に示す。統合ラベルを生成するプロセスは
図26に示す。
【0115】
「正しい」ラベルの関連付けは、以下の段落に応じた意味またはそれに近い意味を有する。
【0116】
一連のラベルを所与として、所与のルールおよび任意所与の非空(予め埋められた)セルのみに基づいて埋められたパズルの任意のセルが最初のラベルと関連付けられ、所与のルール、予め埋められたセル、および最初のラベルと関連付けられたセルに基づいて埋められたセルが2つ目のラベルと関連付けられ、以下も同様に誘導される。
【0117】
コンピュータによる確認の実行によって、(たとえば)ラベル「C」と関連付けられたセルがC「以上」のラベルと関連付けられた別のセルを必要としないようにすることができる。プレイヤにより提供された経路または解答セグメントに正しくないラベルが埋められている場合、当該経路は、ラベルを組み合わせて統合ラベルまたはヒントを生成する前に除去されることになる。
【0118】
試行錯誤によってセルを埋める場合のラベルを生成する場合は、セルを埋める文字を簡単かつ明確に決定できない場合、スペースを埋めるための異なる文字の試行が必要であることを念頭に置くことにより対処可能である。パズルの目標が効率的にスペースを埋めることである場合(妥当な仮定)、試行錯誤の影響として文字の決定のプロセスが長引くと、結果としてのラベルは、セルを埋めるステップと関連付けられる一連のラベルのうちのより「遠い」ものになる。
【0119】
埋充のための候補文字が複数あるセルとラベルを関連付ける有意義な方法は複数存在し得る。本願において選択されるプロセスとして、失敗する文字すなわちルール、所与の予め埋められたスペース、またはパズルを解く先行ステップにおいて埋められたスペースに矛盾する結末となる文字での試行を考慮することによる決定の長期化を推定することが挙げられる。
【0120】
したがって、セルを埋められる文字が2つしか考えられない場合は、その一方が矛盾し、他方がスペースに正しく配置されることになる。(スペースには数字が埋められ、ラベルにはローマ字が用いられるものと仮定して)たとえばステップXにおいて矛盾が発生した場合は、正しく埋められた文字が(Xより上の)ラベルYと関連付けられることになる。このようなラベルの関連付け方は、所与のルールおよび予め埋められたセルのみに基づいて1つ目のラベルをセルの埋充と関連付けることと互換性がある。
【0121】
セルまたはスペースを埋められる文字が複数存在する場合、上記手順は、考え得る文字を対にして、セルの埋充および関連するラベルを分解することにより拡張され得る。
【0122】
図3および
図4は、試行錯誤法が必要となった場合のラベルの関連付けプロセスを示している。
【0123】
本発明が開示する重要なアイデアの構成およびアルゴリズムを説明するため、急速に人気を集めているパズルである「KenKen」の名称で知られる論理的パズルの簡単な例から始める。数独とは異なり、KenKenパズルを解くには、数字のみならず、簡単な算術演算も把握している必要がある。
【0124】
数独と同様に、KenKenは、以下に一覧化するルールに則って埋められる行列配置のセルの格子を有する。
【0125】
Rule 1、2、および3を併せて、行および列の数がnである場合は、格子を埋めるために1~nのすべての数を厳密に1回ずつ使用する。行または列の数が等しくなく、行インデックスiが1~mかつ列インデックスが1~n(n≠m)というパズルも考えられるが、本議論ではその可能性を無視する。
【0126】
上述のRule 1、2、および3は、多くの論理的パズル(数独およびKenKenを含む)に当てはまる。Rule 3は、関心が持たれるパズルについて、以下の重要な実用的観点を記述する。すなわち、スペースまたはセルの埋充は断定的な動作であるが、セルの埋充に使用できない数字の決定に際しては、真に調査的な行為である。
【0127】
さらに、Rule 1、2、および3は、文字によるスペースの埋充に関する以下の二元性を暗示する。すなわち、あるスペースに対して、1つを除くすべての文字が取り除かれた場合は、唯一残った文字がそのスペースに埋められ、特定の文字に対して、ある行または列における1つを除くすべてのスペースが取り除かれた場合は、当該文字が唯一残ったスペースに入る。
【0128】
ただし、通常はボックス(ブロック)の行および列の数が等しい数独とは異なり、ケージとも称するKenKenのボックスは、不均等または不規則な形状となる場合がある。また、数独とは異なり、数字によるセルの埋充には、算術演算を伴う。KenKenパズルのセルは、不規則な形状のケージ(ボックス)として編成されることにより、ケージ中の数字がケージごとに指定された所与の算術演算によって所与の結果を生成し得るようにする。このようなレイアウトの結果として、数独とは異なり、KenKenの数字は、行または列内で繰り返しが起こらない限り、ケージ/ボックス内では繰り返し可能である。
【0129】
関心が持たれるクラスのパズルは、一意の最終解答を有する、すなわち、正しく埋められた格子中のスペースが同一であるものと仮定する。
【0130】
一般的には、スタートからゴールまでのステップ順序が同じ一意の正しく埋められた格子になるとしても、プレイヤが提示した「解答」または同じプレイヤによる複数の試み等を区別することになる。概要の項で上述した通り、異なる順序で実行される解答プロセスの一連のステップは、それぞれの論理的な簡潔性および直接性に応じて、望ましい状態が異なり得る。たとえば、パズルを解くステップの順序を別の順序から区別する簡単な方法として、長く継続され得るパズル解答プロセスよりも直接的でコンパクトなプロセスを好むことが挙げられる。
実施例:KenKenパズル、セルを埋める順序の効果、効果の定量化
【0131】
パズル、ゲーム、またはアクティビティの解答の本質的な尺度を得るため、経路または一連のステップの「効率の尺度」を演算するが、これは、ステップが実行される順序またはパズルのスペースもしくはセルが埋められる順序によって決まる。これについては、ステップの実行順序による差異を規定して定量化し得る「簡単」なKenKenパズルの一例により説明する。
【0132】
この方法の要点を
図10のパズルならびに
図11、
図12、および
図13に提示の3つの解答によって例示する。
図10のパズルは、数独と一部が類似するものの、いくつかの重要な差異を有するKenKenパズルである。
【0133】
図10に示す簡単なKenKenパズルを詳しく検討することにより、パズルを解く順序によって、「解答」を区別するのみならず、差異を定量化し得る方法を示す。
【0134】
図10のKenKenパズルは非常に簡単で、3×3格子のセルおよび太い輪郭で示す5つのケージ(すなわち、ボックス)を有する。これに伴う唯一の算術演算は、和である。各ケージ/ボックスが数字またはプラス「+」符号の数字を有するためである。数字しかないケージは、格子の1つのセルから成るため、当該所与の数字で埋められることになる。数字とプラス符号を有するケージは、当該ケージ内のセルに埋められた数字が合計でその指定結果となることを示す。
【0135】
通常の行列表記に従えば、セルは、格子中のそれぞれの位置によって、(1,1)、(1,2)、(1,3)、(2,1)、(2,2)、(2,3)、(3,1)、(3,2)、(3,3)と表され、(i,j)は格子中のi行j列のセル位置を表す。パズルは、格子中の各セルがルールに準じた数字で埋められた場合に解答となる。
【0136】
図10は、9つのセルと、(1,1)、(2,2)、(1,2)(1,3)(2,3)、(2,1)(3,1)、および(3,2)(3,3)の5つのケージと、を有し、セル(1,1)=セル(2,2)=1、(2,1)+(3,1)=5、(3,2)+(3,3)=3、および(1,2)+(1,3)+(2,3)=8のように記述され得る解答が必要であることを示している(前提として、2つのセルの数字がスタートから既知であり、7つのセルがプレイヤにより埋められる必要がある)。
【0137】
さらに、このパズルが3×3格子であることから、Rule 1、2、および3は、一組の数字1、2、および3のうちの1つによって各セルが埋められることを暗示する。以下の解答の説明においては、セルに埋められる数字を記号「=」で示す。
【0138】
図10のパズルの第1の解答(
図11に示す)
このパズルを解くため、以下のように推論してセルを埋めていく。
【0139】
最初に、和を3にする必要があるケージを考えると、2および1の和しかあり得ない。したがって、セル(3,2)および(3,3)はそれぞれ、数字1または2で埋められる可能性がある。(2,1)=1のため、Rule 2により(3,2)≠1である。したがって、(3,2)=2であり、これは(3,3)=1を暗示する。
【0140】
その後、3行目で埋められていないセルは1つだけ残っており(すなわち、(3,1))、Rule 3によれば、唯一残っている未使用の数字(すなわち、3)で埋める必要がある。
【0141】
次に第1列に移って、唯一埋められずに残っているセルは(2,1)であり、Rule 3によれば、唯一残っている数字(すなわち、2)で埋める必要がある。
【0142】
次に、第2行および第2列を見ると、それぞれに1つだけ空セルが埋められずに残っている(すなわち、(2,3)および(1,2))。これらのセルはそれぞれ、唯一残っている数字である3で埋めることになる。
【0143】
最後に、第1行および第3列に依然として存在しない唯一の数字(すなわち、2)で最後の空セルを埋める。
【0144】
このように、解答のセルの埋充は、(3,2)、(3,3)、(3,1)、{(2,1)、(1,2)}、(2,3)、(1,3)の順序で進む。括弧{ }は、括弧{ }で囲まれたセルを埋める順序が重要ではないことを示す。
【0145】
このパズルを解くには、上述の基本的ルールRule 1、2、および3に依拠するが、これらは、如何なる数字も行または列で繰り返されず、1~3のすべての数字が各行または各列で厳密に1回ずつ使用されるようにする。
【0146】
解答の論理的進行の定量化
アクティビティ、ゲーム、またはパズルのステップを実行する論理的順序の定量化における次のステップは、これらのステップと数値を関連付けることである。ただし、論理的順序を定量化するには、アクティビティのステップの実行順序を追跡するための簡潔な論理的構造またはアルゴリズムを提供する必要がある。
【0147】
図10のパズルの場合、アクティビティのステップは、「『空』セルの埋充」である。
【0148】
セルを埋める各ステップとラベルを関連付けることによって、セルを埋める順序を追跡することができる。ラベルとして使用するのは、ステップの「順序」または実行順序を有意義に記述し得る所定または「自然」の部分的順序を有する集合の文字である。ローマ字の文字A、B、C、・・・または整数の集合1、2、3、・・・は、用語「順序(order)」、「先行(preceding)」、または「後続(succeeding)」等が意味をなす容易に利用可能な文字の集合である。このため、アクティビティのステップのラベルとして、これらの文字集合を使用可能となる。ただし、混乱を避けるため、セルが数字で埋められているパズル(たとえば、数独)には文字A、B、C、・・・を使い、セルが文字で埋められているワード数独等のパズルには整数の集合をラベルとして使うのが望ましいと考えられる。
【0149】
セルを埋めるステップと関連付けられるラベルが一意とはならないことに留意するのが重要である。実際、セルの埋充は、セルが埋められる順序によって決まるため、アクティビティのステップのラベルが一意になることを期待すべきではない。ラベリングアルゴリズムに求められるのは、セルを埋めるステップと少なくとも1つのラベルを関連付ける指示を与えることである。
【0150】
ラベリングを設定する1つのアルゴリズム
ラベリングを設定する1つのアルゴリズムは、以下のように設定され得る。
【0151】
まず、ローマ字の文字によって部分的順序が誘導され得ることに留意する。
【0152】
したがって、基本的ルールおよび(たとえば、KenKenの1セルのケージにおいて)パズルの開始時に与えられた数字のみに基づいてセルの数字が直接決定される場合は、文字Aがセルと関連付けられる。その埋充が、基本的ルール、パズルの開始時に与えられた情報、ならびにAと関連付けられた少なくとも1つのセルに基づく一方、Aよりも「高い」文字(すなわち、ローマ字のAに続く文字)と関連付けられた如何なるセルにも基づかない場合は、文字Bがセルと関連付けられる。その埋充が、Bと関連付けられた少なくとも1つのセルに基づく一方、文字C以上と関連付けられた如何なるセルにも基づかない場合は、文字ラベルCがセルと関連付けられ、以下同様である。
【0153】
一般的には同様に、アルファベットの文字の通例の順序を用いて、その埋充が、アルファベットにおける直前の文字と関連付けられた少なくとも1つのセルに基づく一方、それよりも「高い」文字と関連付けられたセルには基づかない場合、アルファベットの文字がセルの埋充と関連付けられる。したがって、A<B<C<・・・となり、後続文字が先行文字よりも「高い」と見なされ得る。
【0154】
ラベルA、B、C、・・・は、以下のように、この文字ラベルをセルと関連付ける方式によって、パズルを解くための基本的ルールを拡張することにより、パズルの如何なる解答においても、セルを埋める順序を正確に追跡するための実行可能なメカニズムを提供する。
【0155】
Rule 4:セルの埋充がアルファベットの直前の文字と関連付けられた1つまたは複数のセルに少なくとも部分的に基づく一方、当該選定文字に先行しない文字と関連付けられた如何なるセルにも基づかない場合は、アルファベットの当該文字をラベルとして埋充と関連付ける。
【0156】
上述の順序における
図10のKenKenパズルの格子の埋充を
図11に示す。ここではまず、(3,2)が1または2であり、(3,3)が1または2であるものと推論した。この推論では、これら2つのセルのいずれも埋められず、直接依存するのは所与の数字ならびにRule 1および2のみである。(3,2)および(3,3)に埋められる数字を決めるには、別の情報(たとえば、(3,2)は2で埋められない)を使う必要がある。したがって、Rule 3によれば、これら2つのセルはいずれも、Aとラベリングされ得ない。ただし、Rule 2およびセル(2,2)の数字1に矛盾することになるため、(3,2)は1で埋められない。したがって、「1ステップ」の論理的推論により、セル(3,2)を2で埋めることになる。また、Rule 3によって、セル(3,2)の埋充を次のラベルBと関連付ける。
【0157】
その後、次のセル(3,3)を1で埋め、ラベルCをセルの埋充と関連付ける。
【0158】
セル(3,2)および(3,3)の埋充およびラベリングを
図22に示す。
【0159】
同様の推論により、セル(3,1)の埋充がDと関連付けられ、(2,1)の埋充がEと関連付けられ、(1,2)、(1,3)、および(2,3)の埋充がそれぞれC、D、およびEと関連付けられる。
【0160】
次に、同じ問題の解答を考えるが、
図12に表示されるように、セルは少し異なる順序で埋められる。
【0161】
図12の解答
図12に示すセルを扱う順序として、(1,1)=1および(2,2)=1が与えられていることから、Rule 1によって、1行目でも2行目でも別のセルには数字1を埋められず、Rule 2によって、1列目でも2列目でも別のセルに1は入らない、という見解から始める。したがって、Rule 1、2、および3によれば、数字1を埋められるのは、第3行第3列すなわち(3,3)のみである。この埋充は、Rule 1、2、および3ならびに(1セルのケージに)与えられた数字を適用することより直接確定されるため、Aを(3,3)=1と関連付ける。
【0162】
ただし、(3,2)+(3,3)=3であることから、(3,2)=2となるため、文字Bがセル(3,2)の埋充と関連付けられることになる。
図23は、このラベリングのロジックを示している。
【0163】
その後、(3,1)=3がCと関連付けられる。これが(2,1)=5-3=2を暗示し、次の文字すなわちDと関連付けられることになる。この埋充は、Cと関連付けられた少なくとも1つのセルを用いることにより確定されるためである。
【0164】
そして、第2列のその他2つのセルすなわち(2,2)および(3,2)がそれぞれ1および2であることから、(1,2)=3であり、Cが割り当てられ、その結果、(1,3)=2でD、最後に(2,3)=3でEとなる。これが
図12に示す解答である。
【0165】
図13は、さらに別の解答、すなわち、セルを埋める別の順序を示している。
【0166】
本例は、異なる順序でステップを実行することにより得られるパズルまたはアクティビティの「解答」を比較する際の以下の重要な事実を実証する。
【0167】
アルファベットの文字または整数等のラベルは、この背景において使用される場合、解答の論理的な進行をカプセル化する装置および構成であり、慣れ親しんでいるにも関わらず、通常の言語的役割では使用されない。
【0168】
【0169】
仮定:パズルの解答に採用される一連のラベルA、B、C、・・・が短くなるほど、パズルの解答がより「効率的」になる。
【0170】
この仮定によれば、
図11がBを1つ、Cを2つ、Dを2つ、Eを2つ有する一方、
図12の解答順序がAを1つ、Bを1つ、Cを2つ、Dを2つ、Eを1つ有することから、
図11の解答順序よりも
図12の解答順序の方がわずかに効率的であると見なすことができる。
【0171】
また、比較の容易化のため、数値を文字ラベルと関連付けるようにしてもよい。すなわち、1を各Aに、2を各Bに、3を各Cに関連付け、以下同様である。
【0172】
数値をラベルに割り当てることにより、たとえば特定の順序で得られた解答のロジックを捕捉するための1つの数字を取得可能となる。パズルの解答に向かってこのプロセスで埋められたセル/スペースの数を使用するほか、ラベルA、B、C、等に対して数値1、2、3、・・・を与え、また、これらのラベルの出現頻度を重みとして与えることにより、解答またはそのセグメントと関連付けられた加重「平均」値を演算することができる。この加重平均は、解答プロセスにおけるパズルの「通常」の空セルの埋充と関連付けられた値としても解釈され得る正規化値である。この平均の値が大きい場合は、解答がより長く、値が小さい場合は、解答がより効率的であることを示す。
【0173】
図11の場合、この加重平均=(2*l+2*3+2*4+2*5)/7=3.7142である(小数第五位を四捨五入)。
【0174】
図12の場合、加重平均=(l* 1+2* l+2*3+2*4+l*5)/7=3.1428である。
【0175】
したがって、
図12がより「効率的な」解答を示していると結論付けられる。
【0176】
同じ問題の第3の解答を
図13に示すが、ここではBが1つ、Cが1つ、Dが2つ、Eが3つである。この解答の平均値は、その他の解答よりも低効率の4.0である。
アクティビティのステップを実行する論理的順序の定量化および比較
【0177】
本例は、(1)完了した解答が一意であっても、パズル格子のセルを埋める順序が重要であることと、(2)セルの埋充を論理的に定量化可能であるとともに、測定パラメータとしてのパズルを解く時間に依存しない実用的かつ有意義な様態で2つの異なるセル埋充順序間の論理的差異を捕捉可能であることと、を実証する。
【0178】
さらに、数値のラベルへの割り当てにより、対象とするクラスにおけるパズルの解答のセグメントに対して数値を与えることができる。このように、解答間または解答のセグメント間の比較は、実数の比較と同じ程度に簡単となる。本例の手法および構成は、広範なクラスのアクティビティ、ゲーム、およびパズルへと拡張可能である。このKenKenパズルに例示の方法および構成に基づく比較の可能性は、既知の実施アクティビティに基づいて新規の競争的ゲームおよびアクティビティをさらに創造する上で非常に貴重であることが分かる。ただし、この方法および構成をパズル以外のアクティビティへと拡張するには、次の複数段落に記載の説明および定義が必要である。
【0179】
以下の説明において、この方法は、数独、KenKen、クロスワード等を超えて、段階的に実行され得るアクティビティへと拡張される。これらのアクティビティの場合、格子のスペースまたはセルへの「文字の埋充」は、直接的には有意義と考えられないものの、ステップに対する「文字のリンク」は、数独等におけるセルの埋充と他の点で類似する意味を有し得る。
【0180】
本明細書に開示の方法は、アクティビティの実行中にアクティビティのステップに追従し得る1つまたは複数のステップを決定するための一組の命令に準じて、アクティビティのスタートとして規定された初期状態からアクティビティの結末として規定された最終状態まで一連のステップを実行することを備えるようなアクティビティに適用可能であり、アクティビティのステップは、演算された測定可能な量と関連付けられる。
【0181】
さらに、予め設定されたアルゴリズムを用いることにより、測定可能な量が演算され、アクティビティの1つまたは複数の一連のステップと関連付けられるようになっていてもよい。このため、測定可能な量を完了したアクティビティまたはそのセグメントと関連付けることができる。このように測定可能な量を可能な限りアクティビティのステップと関連付ける目的は、アクティビティのステップを実行する2つ以上の異なる順序を比較して、好ましい順序を選択することである。このように測定可能な量は、関連する一連のステップの実行の「効率の尺度」と称する場合がある。
【0182】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、(1)アクティビティのステップが通常はアクティビティを完了する目標に向かって実行される順序を追跡するためのアルゴリズムまたはメカニズムを提供する動作と、(2)ステップが実行される順序の点を考慮に入れた量(たとえば、実数)をアクティビティの各ステップと関連付ける動作と、(3)一連のステップと関連付けられた量を1つの尺度として組み合わせる動作と、(4)組み合わせステップで得られたそれぞれの尺度に基づいて、2つ以上の一連のステップを比較する動作と、(5)それぞれの数値尺度の比較により誘導された順序によって2つ以上の一連のステップをランク付けする動作と、を備える。
【0183】
当然のことながら、アクティビティは、2つ以上の異なる順序に従うステップで実行され得る任意の好適なアクティビティであってもよい。アクティビティのステップと関連付けられる量は、順序の単一の尺度を演算するための演算式で認められる好適な数値であってもよい。さらに、アクティビティのステップが実行される順序のすべてのステップと関連付けられた量が好適かつ実用的に組み合わされていてもよい。
【0184】
いくつかの実施形態においては、順序のランク付けの結果が好適な有形媒体上で提示されるようになっていてもよい。有形媒体は、たとえば印刷出版物、ゲームボード、コンピュータ機器、テレビ、タブレット、モバイル装置(たとえば、携帯電話、スマートフォン、PDA)、およびその他任意の好適な媒体を備え得る。ランク付けの結果は、コンピュータネットワーク、インターネット、またはその他任意の方法で好適な装置または他の手段に伝達された後、提示されるようになっていてもよい。
【0185】
関心が持たれるアクティビティの重要なサブクラスは、少なくとも一部が空の一組のスペースおよび一組の異なる文字を所与として、文字をスペースにリンクさせる所与の一組のルールにより一組の異なる文字のうちの1つを一組の異なるスペースにおける各空スペースにリンクさせるアクティビティを備える。
【0186】
このようなアクティビティのステップ順序は必ずしも、格子の行または列のような連続体を伴うものではない。文字にリンクされた場合のスペース間の「連続性」は、文字にリンクされたスペース間の論理的関係によって維持される。
【0187】
したがって、このようなアクティビティに対しては、一組のスペースのうちの1つまたは複数のスペースが、アクティビティの開始時にリンクされた1つまたは複数の文字を有し得ることと、アクティビティの終了時に、一組のスペースにおける一組の指定スペースそれぞれに文字がリンクされていることと、空スペースが、文字のリンクされていないスペースであり、文字のリンクされたスペースが空ではないことと、一組のスペースが、アクティビティの開始時に少なくとも1つの空スペースを備えることと、アクティビティのStepが、前記一組のルールのいずれとも矛盾せず、アクティビティの開始時に与えられたスペースとの文字の如何なるリンクとも矛盾しない空スペースに対する前記一組の文字のうちの1つのリンクを備えることと、因果的に接続された一対のステップが、前記一組のルールの実行により結果ステップが原因ステップに続く一対のステップであることと、接続された一連のステップが、一連の因果的に接続された複数対のステップであり、最初のステップが原因ステップで、接続の最後のステップを除く各後続ステップが結果ステップおよび原因ステップで、接続の最後のステップが結果ステップであり、少なくとも1つの接続を有する一連のステップが経路またはそのセグメントであることと、経路またはそのセグメントの効率の尺度と称する測定可能な量が演算され得ることと、を指定することができる。このようなアクティビティは、一組の異なる文字が{Char(1),Char(2),・・・,Char(I),・・・Char(λ)}({CHARS}と一括して識別される)であり、一組のスペースが{Space(1),Space(2),・・・,Space(I),・・・Space(σ)}({SPACES}と一括して識別される)であり、一組のルールが{Rule(1),Rule(2),・・・,Rule(I),・・・Rule(ρ)}({RULES}と一括して識別される)であるとの仮定によって簡潔に記述され、効率の尺度が演算され得る。
【0188】
経路または一連のステップの効率の尺度は、スペースに対する文字のリンクと関連付けられたラベルに対して数値を割り当てることにより演算され得る。整数JおよびK(1≦J≦λかつ1≦K≦σ)について、文字Char(J)のSpace(K)とのリンクには、Label(I)のリンクとの関連付けを含み、Label(I)が一連のラベルに属し({LABELS}={Label(l),Label(2),・・・,Label(I),・・・})、(a)リンクがアクティビティの開始時の{SPACES}に対する{CHARS}の所与のリンクと整合する場合は、Label(1)が、文字Char(J)と関連付けられ、スペースSpace(K)にリンクされ、(b)リンクが(i)集合{RULES}のうちの1つのRule、(ii)前記アクティビティの開始時の{SPACES}に対する{CHARS}の所与のリンク、または(iii)Space(K)以外のスペースに対する文字{CHARS}のリンクとのラベルLabel(1)、Label(2)、・・・、Label(L1)の関連付けと整合する場合は、Label(I)が、文字Char(J)と関連付けられ、スペースSpace(K)にリンクされる。
【0189】
上記説明およびラベルの装置によってステップの実行順序を追跡する方法に適合するアクティビティの場合、効率の尺度の演算は、(1)数値をラベルに割り当てるためのアルゴリズムおよび(2)数値を組み合わせるための式を提供することにより実現可能である。この方法については、以下で詳しく説明および例示する。
【0190】
方法の用途
基本的なパズルの変形、プレイヤを補助する新規方法、教育およびデータセキュリティにおける使用、さまざまな様式での芸術的表現、ならびにライブもしくはテレビ放映の競技会等、複数の興味深い実施形態が可能であって、本発明の思想に含まれる。
【0191】
基本的なパズルの変形
本発明の考え得る一実施形態では、複数のプレイヤを互いに競わせることも可能である。各プレイヤが解答に達するまでの経路をこの方法で使用することにより、「効率」スコアすなわち各プレイヤによる解答への経路の効率の尺度を生成する。そして、最高スコアのプレイヤが勝利となる。
【0192】
本実施形態の一変形例においては、単一のプレイヤが特定のパズルについて自身のスコアを計算し、考え得る最高スコアと比較することも可能である。これは、解答戦略の改善方法に対する洞察をプレイヤに与え得る。また、同じパズルでの複数の試行に対して、より高効率のスコアを試して実現することも可能となる。
偶然性を伴うアクティビティ
【0193】
上記の通り、本開示の方法は、偶然性の要素のほか、特定のクラスのゲームおよびアクティビティに使用可能である。数値が割り当てられたA、B、C、・・・等のラベルを使用する装置により、一連のステップおよび「解答」までの経路のセグメントの効率スコアを演算することができる。このため、ラベリングの使用によって、たとえば数独パズルで最も高効率の行、列、またはボックスを表すことができ、これらを埋充対象の最初の行、列、またはボックスと呼ぶことができる。
【0194】
これにより、数独パズル競技会のライブまたはリモートの観衆は、埋充対象の最初の行、列、またはボックスに賭けることが可能となり得る。観衆の参加には他の可能性もあって、たとえば、1人または複数人の勝者プレイヤ、最短の解答、難易度の最も優れた推定値、A、B、C等がラベリングされるセルの数に賭けることができる。これらの例と同様に、解答までの経路もしくはそのセグメント、または特定の一連のステップにラベリングする方法を使用することによって、上記使用の他の多くの変形例を生成可能となる。
【0195】
プレイヤを補助する新規方法
本発明の用途として、数独パズルまたは同様の問題を解くためのヒントを提供する方法が挙げられる。このような多くの問題に対して、ヒントは、進行中のパズルボードのリアルタイムの状態に左右されるため、その場限りのものとなりがちである。したがって、ヒントは制限されるのが普通で、通常は、電子媒体において提示されないような問題群には利用できない。
【0196】
このため、たとえばインターネット上でパズルを解こうとして、数独の問題の特定の段階でヒントを要求した場合、現在利用可能な他のシステムの中には、プレイヤが埋充済みのセルに基づいて、プレイヤが文字を埋められる次のセルをマークすることにより、ある形態のヒントを提示し得るものがある。ただし、このように実行時にヒントを動的に与える方法は、その場しのぎに過ぎず、先験的には利用できない。たとえば、パズルが書籍または新聞に印刷されている場合は、完全な解答が利用可能な場合に限り、それが唯一のヒントと考えられる。
【0197】
一方、本発明の実施形態によれば、各パズルのヒントを先験的に生成することができ、パズルを解くのにヒントを必要とする一方、解答全体を参照することなくパズルを解く楽しみを求めているプレイヤがこれを使用可能となる。これらのヒントは、書籍および新聞等の静的なメディアにおいて公開可能である。電子的な解答行動またはリアルタイムの解答行動に対しても同様に、さまざまな形態の体系的な動的ヒントを利用可能とし得る。
【0198】
特許請求の範囲に係る方法は、パズルを解くための広範なヒントをプレイヤに提供するためのシステムの開発に用いられるようになっていてもよい。このため、解答を試みているプレイヤは、行き詰まって進路を見失ったとしても、厄介なセルを埋めるために解答をすべて見たり、絶望して諦めたりする必要がない。
【0199】
本発明は、補助のための巧妙な方法を可能にする。プレイヤが行き詰まったら、この方法を使用して、たとえば埋められたスペースから1ステップ離れたスペースをすべて表示することも可能である。たとえば、パズルの開始時には、スペースのうちの複数がすでに埋められている。プレイヤがその時点でヒントを要求した場合、この方法では、所与の数字のみに基づいて決定し得るすべてのスペースを強調することも可能である。
【0200】
本実施形態の一変形例において、パズルのスペースには、最初からヒントとなるマークが付けられ、解答の進行のどの段階でプレイヤが各スペースを埋めると予想されるかを示すことも可能である。たとえば、色での区別によって、所与の段階で埋められ得るスペースは赤色でマークし、異なる段階で埋められ得るスペースは青色でマークすること等も可能である。本実施形態は、初心者プレイヤが遊び方を学ぶのにも、経験豊富なプレイヤがさらに上達しようとするのにも有用となり得る。
【0201】
本実施形態の別の変形例においては、パズルをあるページまたは画面に表示し、必要に応じてヒント付きのパズルを別のページまたは画面に表示し、最後に解答全体をさらに別のページまたは画面に表示することも可能である。解答の中間点で行き詰まっているプレイヤの場合は、ヒント(たとえば、色分けされたヒント)を見て、進路に注意を集中させれば十分と考えられる。この手法は、パズルアクティビティの挑戦、楽しみ、または娯楽価値を維持しつつ、プレイヤに進路を与える。
【0202】
別の変形例においては、パズルの難易度が示されるようになっていてもよく、これは、現在多くの新聞コラム、書籍、および他の出版物がパズルの難易度を示すために採用している通例の「星の数」よりも優れている可能性がある。比較的「効率的」な解答に基づいて、このような難易度の推定値を棒グラフで与えることにより、パズルの難易度のみならず、難しくなると予想され得る時点を示すようにしてもよい。
【0203】
図16、
図17、
図20、および
図21は、各数独パズルの解答15および19の棒グラフである。2つのパズルの効率の尺度の計算から浮かび上がる興味深い事実として、27個の数字が予め埋められたパズルの方が、24個の数字が与えられたパズルよりも難しい。さらに同様に、それぞれの効率の尺度を比較することによって、
図18の問題が
図14の問題よりもどれだけ難しいかを定量的に推定することができる。
【0204】
プレイヤを補助する非視覚的方法
潜在的な実施形態において強調されたスペースは、色分けあるいは視覚的ヒントへの限定の必要がない。適当な媒体において、音、アニメーション、または動画をヒントとして使用することも可能である。これにより、解答を明らかにし過ぎないヒントが可能となって、パズルを解く楽しみを損なうことがない。たとえば、プレイヤは、特定の点で行き詰まった場合、空(空白)スペースを選択することも可能である。特許請求の範囲に係る方法では、スペースを埋められるステップを決定した後、当該ステップレベルと明確に関連付けられた音を再生して、異なる音によって各数字を区別するが、これは、番号のダイヤル操作と関連付けられた電話機の音またはピッチに多少類似する。
【0205】
また、視覚的ヒントの色付けと同様に、音ヒントを先験的に決定して、パズルを解くプロセスの任意の点(開始時を含む)でプレイヤが特定のセルをクリックした場合に、プレイヤに伝達することができる。
【0206】
教育における使用
本発明は、パズルまたはルールの識別および強化が組み込まれたゲームを解くステップ間の論理的接続を伝える直感的かつ魅力的な方法を使用する。したがって、本発明の方法により実証されるような解答までの経路は、論理的分析および論拠の研究、教育、および伝達において価値あるものとなり得る。
【0207】
芸術的表現
特許請求の範囲に係る方法は、個々のパズル自体の構造に対する創造的な洞察の提供にも利用可能である。特許請求の範囲に係る方法は、プロセスの異なる段階で埋められるスペースを分割する場合、これらの異なるスペースが埋充され得る点に対してグループ化された層によってスペースを識別することができる。あるいは、鎖状または木構造にて関連付けられたスペースをプレイヤが埋充可能となる論理的接続によって接続された特定のスペースを順序または「経路」としてグループ化することも可能となり得る。
【0208】
このような特許請求の範囲に係る方法により生成される構造には、多くの潜在的用途がある。構造を視覚的に描写することによって、2つの別個のパズルを単純に並べて比較したり、組み合わせてオーバーレイを作成したりすることも可能となる。より創造的なこととして、絵画または他の芸術作品の基礎として構造の視覚的表現を使用することも可能である。
【0209】
パズルのラベルを使用することにより、一意の表現が生成され得る。ラベルは、数独のようなパズルの格子のセルを数字で埋めるという別の次元を数字に加える。この追加の次元は、解答の興味深い3Dモデルの生成に使用され得る。したがって、たとえば、ラベルを色で区別するようにしてもよく、また、解答の3Dモデルの格子に配置された数字を列の高さで区別するようにしてもよい。あるいは、格子中の数字を色で区別するようにしてもよく、また、列の高さがラベルと相関していてもよい(より高い列が「より高い」ラベルを表す)。
【0210】
当業者には当然のことながら、このようなモデルの生成方法の他の変形例が実現可能である。
【0211】
好適なパズルの視覚的表現は、個々のパズルの経路または段階に合わせてステップを創造的に調和させる振り付けダンスパフォーマンスの基礎として使用することも可能である。
【0212】
パズルの構造の別の創造的用途は、音楽の基礎として存在する。
【0213】
音楽は、芸術的な表現によって創造されるとは言え、多くの構造を有する。たとえば、書かれた曲のキー、その拍子記号、または歌曲中のさまざまなコードである。
【0214】
パズルの構造は、さらに別の構造の基礎としても使用可能であり、これによって、個々のパズルに固有の楽曲の生成または作曲も可能である。典型的な数独パズルのピースは、たとえば数字に対応する次元、ラベル、および両者で埋められたセルの相対的な配置の創造的な解釈によって決まることになる。
【0215】
これら記載の技術の考え得る用途の多くは、上述のすべての態様を特徴とするテレビ番組に組み込まれ得る。競技者はパズルの完了に挑戦し、それぞれの解答の効率性が審査される。これらの競技会の際中、間、または最後に、作曲家およびダンサーは、個々のパズルに基づく一意の歌曲およびダンスの創作に挑戦することも可能である。審査員は、パズルの構造に対する追従性および美的価値のほか、解答の相対的な効率性等の基準で参加者を評価することも可能である。
【0216】
上述の通り、記載の技術は、多くの用途において採用され得る。数独のゲームにこれらの技術を使用する一例については後述する。他のパズル、ゲーム、またはアクティビティのプロセスは、スタートおよびゴールを適当に規定し、アクティビティのあるステップから次のステップ(または、次の複数のステップのいずれか)に進むための指示を与え、アクティビティを実行する段階または段階の類似性を好適に規定することによって同様に記述され得る。
【0217】
アクティビティの解答または完了のプロセスの追跡
典型的な数独の場合、この方法は、たとえば(1)各セルが埋められた段階を文字A、B、C等と関連付けることで、数字1~9によりセルが埋められた順序を記録して、空セルを埋める段階および順序を表し、(2)数値を文字A、B、C等それぞれに割り当て、(3)ラベルA、B、C等それぞれを有するセルの数およびそれらに割り当てられた数値から、解答に至る具体的な経路の尺度として、セルを埋める厳密な順序で実行される場合の解答の加重平均を探索し、(4)2つ以上の解答(経路)をそれぞれの尺度によって比較し、(5)それぞれの尺度に応じた順序で解答をランク付けするように進み得る。
【0218】
このような方式では、見た目はよく似ているものの、選好または望ましい状態が異なり得る数独の2つの解答の順序を実数間の順序に結びつけることによって、解答を識別することができる。
【0219】
また、別の簡単な用途として、本発明の方法に基づく方式は、現在流行している「星」または類似のアイコンの数によって難易度を評価するのとは異なり、問題の難易度に関するより正確な尺度を提供し得る。たとえば、数独の熟練プレイヤが6.9という効率の尺度で最良の解答を導き出せるのであれば(効率の尺度が大きくなるにつれて難易度が上がるものと仮定)、尺度の上限を推定することによって、難易度を7と推定しても差し支えないと考えられる。
【0220】
方法の詳細な説明
この方法の説明を数独の具体例に関して以下により詳しく続けるが、さらに広い適用も可能である。
【0221】
たとえば、所与のパズルにおいて、その他任意の数字を配置することが少なくとも1つのルールまたは開始時に埋められている少なくとも1つの他のセルと整合しないため、数字1でしか埋められないセルは、Aとリンクされる。同様に、その他任意の数字を配置することがルールまたは文字Aとリンクされた別のセルと矛盾するため、数字3でしか埋められないセルは、3で埋められるとともにラベルBとリンクされ、以下同様である。
【0222】
ただし、文字のリンクを直ちに決定できないセルの場合は、Listing Stepを経るのが有用であり、ルールまたはすでに埋められ、集合A、B、C、・・・の文字とリンクされた別のセルと矛盾する数字を考慮から除外することによって、そのセルに考え得るすべての数字のListを構成可能である。通例の試行錯誤手法と同様に、List中の数字を1つずつ配置する試行が可能である。
【0223】
仮定により、1つの数字のみがセルに正しく配置され得ることから、最終的には、Listの数字が1つを除いてすべて矛盾することになる。したがって、Listの1つを除くすべての数字を取り除いて、残った1つの数字をセルに配置することができる。当該セルの埋充に対するラベルの決定については、明らかではない。
【0224】
このような場合、このセルとリンクする文字を有するラベルを決定する方法は、以下の例において説明する通り、アルゴリズム的に得られる。すなわち、(開始時に与えられた埋充セルのほか)対象とする空セルの文字を決定するための「プレイ中」のその他のセルがラベルBまたはAとしか関連付けられていない場合に、埋充対象の空セルに対してListが引用された場合は、Listから数字を選び、ラベルCと関連付けられたセルに対して暫定的にリンクさせ、他のセルの埋充へと進む。たとえば、ラベルEの段階で矛盾が発生した場合は、この事実を記録した後、List中の次の数字の配置を試みる。ラベルFと関連付けられた文字をリンクさせる段階において、List上の次の数字も矛盾するものとして、この事実を再度記録する。同様に、List中のすべての数字について進める。Lは、矛盾のあるList中の数字に対して、「最も高い」ラベルとなる(すなわち、一連のラベルにおいて最も高い序数を有する)ものとする。その後、このセルとMをリンクさせる。
【0225】
このアルゴリズムを記録し、体系化するためには、ラベルA、B、C等の集合にマッピング可能な別の一組の文字を導入し、これらをListと関連付けるのが有用である。このような一組の文字としては、小文字のローマ字a、b、c等が可能であり、以下のように使用され得る。すなわち、特定のセルに考えられる数字のListが引用され、ラベルがAより高いセルでプレイ中のものがない場合は、文字「a」をListと関連付け、ラベルがBより高いセルがない場合は、文字「b」をListと関連付け、以下同様である。そして、予め埋められたセルのみに基づいてListが引用される場合は、如何なる小文字もListと関連付けない。
【0226】
小文字a、b、c等は、大文字A、B、C、・・・に対して自然にマッピングされるため、空セルに考え得る数字のListと関連付けられた二次的な集合として有用である。この方式において、小文字は、対応する大文字A、B、C等のラベルとしてのセルとの関連付けの最後に、パズルの解答途中の状態(「スナップショット」)を捕捉可能である。この方式における文字A、B、C等の関連付けは、セルの埋充の関連段階(A、B、またはC等)の最初に行われるものと考えられる。
【0227】
図2、
図4、
図7~
図9、
図11~
図13、
図15、および
図19は、これらのアルゴリズムの例を提供するものであって、
図4は、文字のListの使用例を示している。これらは、セルに配置された数字の右隣にA、B、C等のラベルを示しおり、必要に応じて、セル内の他の場所に示された対応するListと併せて文字a、b、c等を示している。
【0228】
以下の説明は、具体例としてのこれらの図に関する。
【0229】
【0230】
図1のパズルは、開始時に36個のセルがすでに埋められ、45個の空セルをプレイヤが埋めることになることを示している。数独のルールによれば、最後に空白のまま残るセルがなく、埋充対象の空セルが存在する行、列、または実線により描かれた3×3ブロックの2つ以上のセルを占める数字が存在し得ないように、1~9の数字を1つだけ用いて45個の空セルそれぞれを埋める必要がある。
【0231】
パズルの解答を
図2に示すが、これは、本明細書に開示のアルゴリズムに応じたラベルを表示している。この簡単な問題の場合、表示の解答に使用する必要があったのは、ラベルA、B、およびCのみである。たとえば、第1行第6列のセルすなわちセル番号(1,6)は、ラベルAを伴う数字9で埋められている。他の数字1~8はいずれも、少なくとも1つの他の埋充済みのセルまたはルールに矛盾するためである。ここで、セル番号(1,6)は、他の数字で暫定的に埋めることも可能である。ただし、ボックスの別の空セルに9を配置すると、行または列で数字を繰り返すことができない、というルールと整合しないことになる。これは、3×3ブロックの他のすべての空セルが対応する行または列に9を有することから、ブロックのその他如何なる空セルにも数字9を配置できないためである。
【0232】
セル(4,8)の数字4は、少し異なる理由でラベルAを有する。4以外の数字は、開始時に埋められたセルと矛盾することになる。したがって、(4,8)の1は、同じ列での繰り返しのため(7,8)の1と矛盾し、2は、同じボックスでの繰り返しのため(6,6)と矛盾し、同じ行での繰り返しのため(4,6)と矛盾し、3は、同じ行での繰り返しのため(4,2)と矛盾し、5は、同じ行での繰り返しのため(4,3)と矛盾し、6は、同じボックスおよび同じ列での繰り返しのため(6,8)と矛盾し、同じ行での繰り返しのため(4.1)と矛盾し、7は、同じボックスでの繰り返しのため(6,9)と矛盾し、8は、同じボックスでの繰り返しのため(5,8)と矛盾し、9は、同じボックスおよび同じ行での繰り返しのため(4,9)と矛盾する。
【0233】
(4,5)の数字8がラベルBを有するのは、1~7および9の数字が1に関してセル(5,6)、(2,5)、および(4.7)と矛盾し、2に関して(4,6)、(3.5)と矛盾し、3に関して(4,2)と矛盾し、4に関して(4,8)と矛盾し、5に関して(4,3)と矛盾し、6に関して(5,4)および(4,1)と矛盾し、7に関して(8,5)および(4,4)と矛盾し、9に関して(6,4)および(4,9)と矛盾するためである。これらのセルのうちのいくつかは、ラベルAと関連付けられている。また、その他すべての矛盾は、予め埋められたセルまたはA以下のラベルを有するセルとのものである。特に、たとえば、数字4は、Aとラベリングされたセル番号(4,8)としか矛盾せず、この点で除外される。同様に、その他の数字は、Aとラベリングされた1つまたは複数のセルを理由として除外され、このため(4,5)の8はBとラベリングされる。
【0234】
セル(6,6)は、数字3で埋められ、Cとラベリングされている。4に関してはセル(5,5)が、5に関してはセル(7,6)(いずれも、ラベルBを伴う)が(6,6)と矛盾し、また、ラベルA以下の如何なるセルも、数字4および5を考慮から外すことができないためである。
【0235】
特定のラベルがセルの埋充と関連付けられ得る場合、一般的に、最適とは言えないまでも、より高いラベルが同じセルと関連付けられ得ることは注目に値する。この方式においては、矛盾を実証するため、あるセルとのリンクが考えられるラベルが「最も低い」矛盾セルを選ぶことが望ましい。「より低い」とは、ここで使用するアルファベットのようなラベルのリストにおいて先行するラベルを意味する。
【0236】
また、この方式において、目的が最も効率的な解答を見つけることである場合は、加重平均を演算する目的で、数字を昇順にラベルと関連付けることができ、加重平均が低いほど解答が効率的となるように順序の効率が規定される。
【0237】
また、このような方式においては、矛盾するセルに対して他の選択基準を導入することも可能である。たとえば、矛盾するセルが同じラベルを有する場合は、同じ行または列のセルよりも、埋充対象のセルと同じボックスのセルが選ばれる、との規定がなされていてもよい。
【0238】
効率の尺度の演算の他の例
図1のパズルは、45個の空セルを有する。
図2の解答のラベルは、16個のA、18個のB、および11個のCである。解答を定量化するため、Aを1、Bを2、Cを3とすると、この解答順序の加重平均は(16+36+33)/45=l.888・・・となり、この解答の「効率の尺度」として使用することができる。これは小さな数字であるため、対応する解答(セルを埋める順序)は「効率的」と見なされ得る。
【0239】
効率の尺度を最適化するには、さらなる思考を要する。この解答においては、矛盾するセルのうちの1つにラベルAが使用されているが、注意不足のプレイヤであれば、順序を選定する選択肢またはより低いラベルを確信するルールベースの論拠を認識できなかった場合、ラベルBを使ってしまう可能性もある。結果として、注意不足のプレイヤの効率の尺度(加重平均)は高くなる。たとえば、
図1のパズルのセル(6,6)を埋めている間、プレイヤは、セル(6,6)の5がセル(7,6)の5と矛盾することおよびラベルBを見落とし、ラベルCを有するセル(6,5)の5と矛盾するものと判断した場合、セル(6,6)にラベルDを配置するため、加重平均が大きくなる場合もある。
【0240】
このような注意不足のプレイヤによる誤りは、異なる一連のステップを経て数字5のセルへの配置に到達したと見なすことができ、当然のことながら、加重平均も解答の効率のレベルも異なる。
【0241】
この方法は、一連のステップがはるかに長い
図3のパズルに使用可能である。開始時の空セルの数は、49個である。
図4に与える解答のラベルの分布は、6個のA、6個のB、4個のC、1個のD、1個のE、2個のF、7個のG、7個のH、9個のI、および5個のJとなっており、これは、複数のセルに対する正しい数字の決定がはるかに遅く、5.8163というおおよその加重平均として反映されることを示している。
【0242】
図1のパズルと比較して、このパズルはより難しく、埋める対象のスペースが45個ではなく49個である。ただし、効率の尺度は、2つのパズルの難易度をはるかに正確に比較可能とするものであり、
図1のパズルの1.8に対して、約5.8である。この差異は明らかに、このパズルに4つの空スペースが追加となったことのみならず、予め埋められたセルの分布および数の結果でもあり、A~Cの3つのラベルとは対照的に、A~Jの10個のラベルとして反映されている。
【0243】
他のパズル種別の効率の演算
他のパズルの場合は、ステップの順序を維持するための代替命令、ステップまたはラベルに値を割り当てるための式、および効率の測定可能な量を演算するためのアルゴリズムが採用され得る。ただし、代替手段の目標も依然として、解答に向かう経路でのステップの数および順序に少なくとも部分的に基づいて解答の効率の尺度を演算することである。
【0244】
「Numbrix」と称するパズルの一部の解答を
図7に示す。セルは、水平または垂直の経路ではなく、数字順に1~81の数字で埋められる。
図7は、数字が決定された段階に応じてラベルA、B、C等を伴うセルの一部を示している。
【0245】
第6行第2列のセルは、81で埋められているが、以下の理由からラベルMを有する。(7,2)位置の80-Dは、81が(7,3)または(6,2)に入り得ることを意味する。ただし、56が(8,3)にあり、63が(1,3)にあることから、81を(7,3)で試行すると矛盾が生じる。(8,3)と(1,3)との間で利用可能な2つの経路は、(8,4)の57-Eを起点とするLで矛盾に終わる。したがって、81は、ラベルMでセル(6,2)に入る。
【0246】
この簡単なパズルの場合は、代替経路がそれほど多くないため、簡単な競技会に使用可能である。
【0247】
さらに、上記および他の簡単なパズルのようなスコアリング法は、プレイヤの知的能力の進歩または後退を評価または測定するための定量化された心理テストにおいて有用となり得る。実際のところ、このように簡単なパズルに対する本開示の方法は、従来の心理学実験の主流であった「迷路のネズミ」に相当するものを提供する。
【0248】
与えられた手掛かりを満たすためにセルを文字で埋める必要がある別の人気のパズル種別であるクロスワードパズルの場合は、たとえば、別のアルファベットの文字(たとえば、ギリシャ文字のα、β、γ、・・・)をラベルとして採用するほか、解答への2つの経路を識別するため、(1)セル中の文字から始める、(2)手掛かりに従って、このセルを包含するボックス中のセルを埋め、単語または成句を形成する、(3)手掛かりに従って、セルを埋め続けることにより、少なくとも1つのセルが埋められている一方、他のセルが埋められていないボックス中の単語または成句を形成する、(4)埋められたセルそれぞれを文字αにより識別する、(5)文字で埋められたセルのない新たな「空」ボックス中のセルを埋める、(6)このセルで次の順序を開始し、手掛かりに従って、セルを埋め続けることにより、少なくとも1つのセルが埋められている一方、他のセルが埋められていないボックス中の単語または成句を形成する、(7)埋められたセルそれぞれを文字βにより識別する、(8)すべてのボックスおよびセルが埋められるまで同様に、クロスワードパズルのセルを再帰的に埋め続ける、(9)識別子α、β、γ、・・・を有するセルの数をカウントする、(10)文字α、β、γ、・・・それぞれに数値を割り当てる、(11)文字α、β、γ、・・・に割り当てられた値に基づいて、解答の数値尺度を式により計算する、といった一組の命令および式を採用することが有意義と考えられる。
【0249】
図8は、セルの一部がラベルαおよびβで識別されたクロスワードパズルの一部の解答を示している。この解答は、ヨコ34番の手掛かりボックスの最初のセルでRから始め、EおよびBを埋めてボックスを完了するが、これら3つのセルはすべてαで識別される。次に、文字Rがすでに埋められていることから、手掛かり3のボックス中のセルが扱われ、ラベルαで識別される。解答では、パズル解答者が「αの連鎖で袋小路」となったため、ヨコにもタテにも文字が入っていない手掛かりボックス21から再開する必要があり、タテに文字F、R、O、ヨコにE、Dを入れることで対応するセルそれぞれが識別子βを有するものと推定する。
【0250】
この図は、番号34、21、31、54、および25のボックスで、それまでにプロセスを5回開始する必要があった部分的解答を示している。読み易くするため、他の識別子については示していないが、少なくともα、β、γ、δ、εのラベル識別子が使用される。
【0251】
この場合、ステップ順序の効率の数値尺度を演算するための複数の妥当な選択肢が存在する中で、最も簡単なのは加重和である。すなわち、各識別子について、当該識別子を有するセルの数とラベル識別子に割り当てられた値との積を加算する。また、数独の場合と同様に、効率の尺度の正規化値も演算され得る。
【0252】
パズルのさまざまな解答の視覚的描写
異なるラベルに異なる色を使用することにより、この差異を視覚的に表現して、2つのパズルの複雑性の差異を瞬時に伝えることができる。
【0253】
完了の順序がスコアリングと関係するように、クロスワードパズルのステップ順序の規定にも多くの代替手段が存在することが認識されよう。そして最後に、複数の数学的代替手段のいずれかがスコアリングの式に用いられるようになっていてもよい。
【0254】
異なるラベルに異なる色または他の異なる表現を使用することにより、この差異を視覚的に表現して、2つのパズルの複雑性の差異を瞬時に伝えることができる。また、効率の尺度の使用によって、同じパズルの解答のみならず、おおよその範囲において、2つの異なるパズルの解答および固有の難易度を比較することができる。
【0255】
図9は、
図2の解答の部分的構造を視覚的に示しており、文字A、B、およびCは、異なるグラフィックパターンに対応する。読み易くするため、この描写では、波状パターンのグラフィックがラベルCのセルを埋めているだけであるが、他のセルも同様に、色、パターン、またはアニメーショングラフィックで埋めることにより、パズルの構造を明らかにするコラージュを形成可能である。
【0256】
パズルを解くためのヒント
パズルの構造は、空セルの数では部分的にしか捉えられないことに留意するのが重要である。数独パズルの構造は、開始時にセルに設けられた数字の分布に大きく依存し、このようなパズルのグラフィック描写は、パズルの構造に関するはるかに多くの情報を提供可能である。
【0257】
本明細書に開示の方法に基づいて、非視覚的ヒントが提供され得る。上述の通り、ヒントは、音、アニメーション、または動画であってもよい。また、ヒントは、他種の入力(たとえば、嗅覚入力)または異なる種類の入力の組み合わせを備え得る。
【0258】
ヒントは、ある順序で編成可能であるとともに、アクティビティの離散的なステップと関連付け可能である必要がある。このような編成により、解答を明らかにし過ぎないヒントが可能となって、パズルを解く楽しみを損なうことがない。一方で、アクティビティの特定の点で行き詰まっているプレイヤの助けになる。
【0259】
また、視覚的ヒントの色付けと同様に、音ヒントまたは他種のヒントを先験的に決定して、パズルを解くプロセスの任意の点または開始点でプレイヤが特定のセルをクリックした場合に動的に、プレイヤに伝達することができる。
【0260】
上述の通り、典型的な数独の場合、この方法は、たとえば(1)各セルが埋められた段階を文字A、B、C等とリンクさせることで、数字1~9によりセルが埋められた順序を記録して、空セルを埋める段階および順序を表し、(2)数値を文字A、C等それぞれに割り当て、(3)ラベルA、B、C等それぞれを有するセルの数およびそれらに割り当てられた数値から、解答に至る具体的な経路の尺度として、セルを埋める厳密な順序で実行される場合の解答の加重平均を探索し、(4)2つ以上の解答(経路)をそれぞれの尺度によって比較し、(5)それぞれの尺度に応じた順序で解答をランク付けするように進み得る。
【0261】
ランク付けを得るのに用いられるラベルA、B、C等は、パズルボードまたはアクティビティのセグメント化をさらに提供し得る。そして、セグメント化の使用により、アクティビティの解答またはステップを創造的に表現可能であり、他の媒体において、新規のアート作品、音楽、および表現に組み合わせることができる。
【0262】
アクティビティのステップとのラベルの関連付けは、基礎となる論理的理由に密接に結び付けられているため、ゲームまたは競技会等の管理者は、たとえばパズルのセルを文字で埋める際の論理的理由のほか、ラベル選択の論理的理由を特定のプレイヤまたは参加者が伝えることを要求する場合もある。パズルを解くアクティビティを編成する方法として、たとえば部分的に、(i)埋める対象のスペースをプレイヤが識別し、所与の集合の文字で埋める、(ii)スペースが埋められたステップ番号をコンピュータが記録する、(iii)埋充のラベルをプレイヤが識別する、(iv)文字およびラベルの選択の論理的理由をプレイヤが提供する、(v)スペースを埋めるための他のデータと併せてプレイヤの理由をコンピュータが記録する、(vi)場合により必要に応じて、スペースを埋めるためのデータの記録をコンピュータが繰り返す、(vii)確認を目的として、セルの位置、ステップ番号、文字、ラベル、および論理的理由を含む記録をコンピュータが使用するか、または、文字の配置、ラベル、または理由の変更が許可されている場合はプレイヤが使用する、ことが考えられる。
【0263】
アクティビティの管理組織は、特定のルールがある特定の状況において、プレイヤによる文字の配置またはラベル等の精査および変更を許可する場合がある。競技会においては、たとえば、ステップ実行後の非常に短い時間内の変更を許可したり、時間が残っていれば最後に、すべてのプレイヤに解答の変更を許可したりする場合がある。あるいは、このような変更は、競技会、アクティビティ、参加者、および環境等の詳細に基づいて、特定のクラスのプレイヤまたは他のシナリオにおいても同様に許可され得る。当然のことながら、データが入力された後には如何なる解答ステップの調整も許可しない一発勝負の状況/競技会も存在し得る。
【0264】
好適な図像が考案され、ユーザ/コンピュータの動作に関する論理的理由の代弁または簡潔な伝達に用いられるようになっていてもよい。このような伝達は、プレイヤとコンピュータ(または、別の入出力装置)との間、プレイヤ/コンピュータ間、プレイヤと他のエンティティとの間、または複数のプレイヤ間であってもよい。また、アクティビティのライブまたはオンライン観衆に対する(2方向)伝達を伴っていてもよい。本明細書においては、数独用に編集された論理的ルールおよびアイコンの一例を以下に与える。これらのルールおよびアイコンは、網羅的なものではなく、特定のゲームおよびアクティビティ(数独を含む)に対して、付加的なルールおよびアイコンの追加または改良が予想される。
【0265】
図29のパズルのセルを埋めるための論理的理由を示すアイコンについては、本明細書の段落[0278]に付記する一組のアイコンに従って
図31に示す。
【0266】
本発明の実施では、アクティビティの各ステップが実行される際のデータを簡潔に取り込むため、特定のフォーマットおよびテンプレートの提供を想定する。たとえば、とりわけ各空スペースを一意に識別および埋充するためのデータが挙げられ、特定の埋充文字、経路中で空スペースが埋められる順序における位置の識別、埋充と関連付けられたラベル、ならびに埋充および対応するラベルに関する1つもしくは複数の論理的理由を含む。このようなフォーマットおよびテンプレートは、たとえばパズルを解く競技会がライブまたはリモートの観衆の前で開かれる場合の通信に特に有用となり得る。
【0267】
たとえば人気の高い数独の競技会において、各セルを埋めるためのデータおよび論理的理由を提示することは、解答プロセスへの観衆の関与、より一般的に、論理的論拠の技術において、大きな教育的価値となり得る。
【0268】
意図した用途のための解経路の選択
親出願の開示は、各パズルまたはアクティビティに対して複数のユーザ/プレイヤ/参加者により提示された多くの解経路の編集を想定しており、誤りを包含する任意の解答を除去した後、コンピュータシステムによって、パズルの空スペースを埋めるプロセスにおいて埋められたスペースと関連付けられた合成ラベルとして組み合わされる。このような組み合わせの背後にある推論では、複数の過去の解答の合成によって、パズルの後続のユーザ/プレイヤ/解答者へのヒントを生成するために提供された妥当な解答を破棄することはなく、単一の解答に基づくヒントよりも人間のユーザ/プレイヤ/解答者にとって有用である。
【0269】
ただし、ラベルの組み合わせは、他のいくつかの想定される実際のシナリオには適さない。たとえば、特にアクティビティの個々の試行に対するランク付けまたは報酬付与のために解経路が比較される場合、解経路の組み合わせは有意義ではない。
【0270】
他の状況において、たとえばチームまたはグループのメンバーが1人ずつ交代で、過去の解答からヒントを得て新たな解答を生成し、次のメンバーに伝える場合は、単一の解答に基づいてヒントを生成するのが望ましいと考えられる。
【0271】
単一の解答または解経路に基づいてラベルが決定される場合であっても、正しいラベリングに基づいてラベルを決定するとともに、論理的な誤りを包含する解経路の取り扱いの計画または手順を有することが必要である。本明細書に提示の実施形態では、一例として、論理的な誤りを包含する経路から、論理的な誤りを包含しない経路を分離する。論理的な誤りを含まない経路は、システムによって、First Subsetに入れられ、Firstデータベースに記録される。一方、少なくとも1つの論理的な誤りを包含する経路は、Second Subsetに入れられ、Secondデータベースに記録される。この分離は、解答が極小または軽微/容易に修正可能な誤りを包含する場合に、柔軟な管理を可能にする。
【0272】
パズルの解答、パズルの複雑性、およびラベルの解答ステップとの関連付け
パズルを解くステップの実行順序、ステップに対するラベルの関連付け、およびパズルの複雑性の間には複雑な関係がある。ラベルの関連付けに対して、パズルの空スペースが埋められる順序が支配的となる。ただし、各ステップにおいては、解経路の方向が複数存在し得ることから、一般的に、ステップと関連付けられた一連のラベルから、解答ステップが実際に実行された順序を遡って決定するのは不可能である。
【0273】
より複雑なパズルは一般的に、「より簡単な」パズルよりも、一連の関連するラベルが長く、実際のところ、一連の関連するラベルの長さは、複雑性とは無関係の他の因子の中でも、プレイヤのスキルおよび注意力によって決まる部分がある。したがって、たとえば、熟練プレイヤであれば、スキルの低いプレイヤよりも、最適またはより短い一連のステップおよびラベルを使用してパズルを解くことができる。
【0274】
異なるプレイヤが提示したパズルの解答(または、解答への経路)の比較を可能とするのは、まさしくこのスキルとラベルとの間の複雑な関係である。勝利の解答は、たとえばラベルとしてアルファベットの最初の文字の頻度が高く、下位にランク付けされた解答よりも後半の文字の頻度が低いと考えられる。
【0275】
ラベルの関連付けのルール
アクティビティの実行ステップを追跡する方法に関するラベルの関連付けについて、上述の基本的ルールの正確な記述を再掲する。Rule:セルの埋充がアルファベットの(ラベルとして選定された)文字に先行する文字と関連付けられた1つまたは複数のセルに少なくとも部分的に基づく一方、当該(選定)文字に先行しない文字と関連付けられた如何なるセルにも基づかない場合は、アルファベットの当該文字をラベルとして埋充と関連付ける。
【0276】
このルールは、(たとえば、パズルボードの)空セルが所与の集合の文字で埋められるパズルについて述べたものであるが、このようなパズルによりモデル化され得る他のアクティビティに対しても同様に一般化可能である。
【0277】
このラベリングルールの記述は、ステップを追跡しつつ循環論法を回避するものだが、それ以外の規定はない。したがって、スペースのラベルは、必ずしも一意ではない(すなわち、大略一意というわけではない)。パズルにおいて埋められた空スペースは、解経路における埋充のステップに応じて、2つ以上の異なるラベルと関連付けられていてもよい。パズルの複雑性と併せて、本発明では、解経路を論理的に区別するため、(複数のステップであることが多い)この考え得るラベルの多重性を有利に採用する。
【0278】
パズルのラベルの関連付けの論理的ルールおよびアイコン
空セルを埋めるステップの論理的理由の伝達に有用な異なるアイコンによって、数独またはKenKen等のパズルのスペース/セルを埋めるためのルールを以下に編集する。
(1)所与の埋充セルに基づいて、唯一のCharacterをスペースに埋めることができる。
(2)所与の埋充セルに基づいて、特定のCharacterを唯一のCell in Rowに埋めることができる。
(3)所与の埋充セルに基づいて、特定のCharacterを唯一のCell in Columnに埋めることができる。
(4)所与の埋充セルに基づいて、特定のCharacterを唯一のCell in Boxに埋めることができる。
(5)(プレイヤにより)過去に埋められたセルに基づいて、唯一のCharacterをスペースに埋めることができる。
(6)過去に埋められたセルに基づいて、特定のCharacterを唯一のCell in Rowに埋めることができる。
(7)過去に埋められたセルに基づいて、特定のCharacterを唯一のCell in Columnに埋めることができる。
(8)過去に埋められたセルに基づいて、特定のCharacterを唯一のCell in Boxに埋めることができる。
(9)スペースを埋められる1つまたは複数のCharacterは、試行のListに基づき、埋める対象のスペースを包含するRow、Column、またはBoxにおいて、当該スペース以外のセルPairに同一の文字Pairを入れる。
(0)スペースを埋められる1つまたは複数のCharacterは、試行のListに基づき、埋める対象のスペースを包含するRow、Column、またはBoxにおいて、当該スペース以外のThreeセルに同一の文字Triadを入れる。
【0279】
理由(9)は、同じ行、列、またはボックスの厳密に2つのセルに入る可能性のある数字が同じ一対の数字だけである場合に適用可能であって、2つの数字のいずれも、行、列、またはボックスの第3のセルに矛盾なく埋められることはない、という結論になる。
【0280】
理由(0)についても同様に、埋める対象のセルと同じ行、列、またはボックスにおいて、3つのセルに考え得る数字のListに3つ組の数字が存在する場合に当てはまる。
【0281】
理由(9)は、一対のセルのいずれかを実際に埋めようとする前にも、埋める対象のセルに対して一対の数字を取り除くのに役立つ。理由(0)は、3つ組の数字を包含する3つのセル以外のセルに対して3つの数字を検討から除外するのに役立つ。
【0282】
論理的ルール(9)および(0)はいずれも、数独等のパズルを解くことによって、消去法でセルに埋められる数字(または、文字)のサイクルを「解く」練習になるパズルの特性を補強する。
【0283】
この一群のルールは、一例であって、何ら網羅的なものではない。81セルの数独の場合は、これらの論理的ルールでラベリングには十分と考えられる。その他のパズルには、その他のまたは付加的なルールが必要となる可能性がある。プロセスを別途補強するには、付加的なルールも必要となる可能性がある。これらのルールのほか、文字(数字)および/またはラベルの指定に用いられる予備埋充セルを伝えることも必要となり得る。
【0284】
好適な手段によるパズルのさまざまな解答の描写
本明細書においては明確に示していないものの、たとえば異なるラベルに異なる色を使用することにより、この差異を視覚的に表現して、2つのパズルの複雑性の差異を瞬時に伝え得ることが容易に理解される。聴覚の差異を使用する場合にも同様の検討が当てはまる。ラベルを使用することにより、1つまたは複数のパズルの解経路内または解経路間の伝達および/または理解のための他の好適な手段によっても差異を提示可能となる。
【0285】
また、ステップ順序を追跡するための規定に多くの代替手段が存在するとともに、完了の順序がスコアリングおよび効率基準の計算と関係することが認識されよう。そして、複数の数学的代替手段の多くがスコアリングの式に用いられるようになっていてもよい。また、解答または解経路の記述子の値の数学的計算にも多くの代替手段が存在し、上記概説と同様に用いられるようになっていてもよい。
【0286】
異なるラベルに異なる色または他の異なる表現を使用することにより、差異を視覚的に表現して、たとえば2つのパズルの複雑性の差異を瞬時に伝えることができる。また、効率の尺度の使用によって、同じパズルの解答のみならず、おおよその範囲において、2つの異なるパズルの解答および固有の難易度を比較することができる。
【0287】
パズルを解くためのヒントについて
パズルの構造は、空セルの数では部分的にしか捉えられないことに留意するのが重要である。複雑性等の特性について、数独パズルの構造は、開始時にセルに設けられた数字の分布に大きく依存し、ラベルに基づくパズルのグラフィック描写は、パズルの構造に関するはるかに多くの情報を提供可能である。
【0288】
また、本明細書に開示の方法に基づいて、非視覚的ヒントが提供され得る。上述の通り、ヒントは、音、アニメーション、または動画であってもよい。また、ヒントは、他種の入力(たとえば、嗅覚入力)または異なる種類の入力の組み合わせを備え得る。
【0289】
ヒントは、ある順序で編成可能であるとともに、アクティビティの離散的なステップと関連付け可能である必要がある。このような編成により、解答を明らかにし過ぎないヒントが可能となって、パズルを解く楽しみを損なうことがない。一方で、アクティビティの特定の点で行き詰まっているプレイヤの助けになる。
【0290】
また、視覚的ヒントの色付けと同様に、音ヒントまたは他種のヒントを先験的に決定して、パズルを解くプロセスの任意の点または開始点でプレイヤが特定のセルをクリックした場合に動的に、プレイヤに伝達することができる。
【0291】
特に、動的なヒントの場合、プレイヤには、ヒントが表示される様態のほか、ヒントが提供されるまでの時間経過、(所望の認知的負荷のレベルを維持するための)パズルボード上のヒントの位置、および/またはプレイヤが使用したヒントの履歴等の検討事項について、ある程度の決定権が与えられていてもよい。たとえば、競技会におけるチームのメンバーにヒントが提供された場合には、このようなカスタマイズによって、すべてのメンバーの関心を引き続けることがかなり望ましいと考えられる。
【0292】
上述の通り、典型的な数独の場合、この方法は、たとえば(1)各セルが埋められた段階を文字A、B、C等とリンクさせることで、数字1~9によりセルが埋められた順序を記録して、空セルを埋める順序および/またはセル埋充の「段階」を表し、(2)数値を文字A、B、C等それぞれに割り当て、(3)ラベルA、B、C等それぞれがタグ付けされたセルの数およびそれらに割り当てられた数値を使用することにより、解答に至る具体的な経路の尺度を得るため、セルを埋める厳密な順序で実行される場合の解答の加重平均を探索し、(4)2つ以上の解答(経路)をそれぞれの尺度によって比較し、(5)それぞれの尺度に応じた順序で解答をランク付けするように進み得る。
【0293】
特許請求の範囲に係る方法は、個々のパズル自体の構造に対する創造的な洞察の提供にも利用可能である。プロセスの異なる段階でスペースが埋められる場合、特許請求の範囲に係る方法は、これらのスペースが埋充され得る点によりグループ化された(たとえば、ラベルにより規定された)層によってスペースを識別することができる。あるいは、パズルボード上の位置ではなく、鎖状または木構造にて関連付けられたスペースをプレイヤが埋充可能となる論理的接続によって接続された特定のスペースを順序または「経路」によってグループ化することも可能となり得る。
【0294】
パズルの解答の創造的な表現について
このような特許請求の範囲に係る方法により生成される構造には、多くの潜在的用途がある。構造を視覚的に描写することによって、2つの別個のパズルを単純に並べて比較したり、組み合わせてオーバーレイを作成したりすることも可能となる。より創造的なこととして、絵画または他の芸術作品の基礎として構造の視覚的表現を使用することも可能である。
【0295】
パズルのラベルを使用することにより、一意の表現が生成され得る。ラベルは、数独のようなパズルの格子のセルを埋めるという別の次元を数字に加える。この追加の次元は、解答の興味深い3Dモデルの生成に使用され得る。したがって、たとえば、ラベルを色で区別するようにしてもよく、また、解答の3Dモデルの格子に配置された数字を列の高さで区別するようにしてもよい。あるいは、格子中の数字を色で区別するようにしてもよく、また、列の高さがラベルと相関していてもよい(より高い列が「より高い」ラベルを表す)。
【0296】
当業者には当然のことながら、このようなモデルの生成方法の他の変形例が実現可能である。たとえば、好適なパズルの視覚的表現は、美術品の創作またはパフォーマンスの描写の基礎として使用することも可能である。
【0297】
パズルの構造の別の創造的用途は、音楽の基礎として存在する。音楽は、芸術的な表現により創造されるものではあるが、パズルの構造と類似している部分が多い。たとえば、書かれた曲のキー、その拍子記号、または歌曲中のさまざまなコードである。したがって、パズルの構造は、さらに別の音楽的構造の基礎としても使用可能であり、これによって、個々のパズルに固有の楽曲の生成または作曲も可能である。典型的な数独パズルのピースは、たとえば数字に対応する次元、ラベル、および両者で埋められたセルの相対的な配置の創造的な解釈によって決まることになる。
【0298】
これら記載の技術の考え得る用途の多くまたはすべては、上述のすべての態様を特徴とするテレビ番組に組み込まれ得る。競技者はパズルの完了に挑戦し、それぞれの解答の効率性が審査される。これらの競技会の際中、間、または最後に、作曲家およびダンサーは、個々のパズルに基づく一意の歌曲およびダンスの創作に挑戦することも可能である。審査員は、パズルの構造に対する追従性および美的価値のほか、解答の相対的な効率性等の基準で参加者を評価することも可能である。
【0299】
パズルの解答に基づく賭けアクティビティについて
前述の通り、本発明の方法は、娯楽および教育的価値のため、報酬を得られるスキルベースの賭けゲームおよびアクティビティの機会を提供可能である。このようなアクティビティは、観衆の面前、オンライン、ストリーミング、または任意の好適な形態の配信媒体において可能である。これらは、論理的な論拠、数字、および数学的関係に関心を持たせる上で貴重となり得る。
【0300】
たとえば、前述の通り、インターネット上のスキルベースの賭けアクティビティとして、数独ゲームを使用可能である。ラベルは、たとえばどの行、列、または3×3ボックスが最初に埋められ、2番目に埋められるか等の測定、すべての行、列、またはボックスにどの数字が最初に埋められる等の測定、あるいは、どのセルがどの順序で埋められるか等の測定を可能にする。
【0301】
このシナリオにおいては、熟練プレイヤがパズルを解いて賞金を争うことを勧められる場合があり、それぞれの解答は、たとえば難易度の評価に役立つことになる。また、さまざまな中級レベルのプレイヤが解答に貢献することによって、現実的なレベルの集約を行うこともできる。初級レベルまたは初心者プレイヤ(もしくは、一般人)は、それぞれの解答の提供を望む場合もあるし望まない場合もあるが、解答を提供することなく、最初、2番目、その次等に埋められるパズルの行/列/ボックスまたは他の識別可能なセグメントに対して賭けを行うようにしてもよい。また、抽選に基づいて報酬が与えられる場合もある。
【0302】
また、前述のさまざまなカテゴリについて、競争的なパズルの場合の勝利セグメントおよび/または最良の解答に伴うセルは、たとえばスポンサーシップ/広告を通じた収益生成の機会を提供可能である。
【0303】
また、たとえば児童の創造的な取り組みにも同様の機会を利用可能である。
【0304】
埋充の順序およびラベルの関連付けについて
解答試行の詳細なロジックには、埋充の基礎となるセルの伝達を必要とする。これには、プレイヤのスキルレベル、年齢等に応じて、多くの代替手段が可能である。
【0305】
たとえば、Player(P)が現行セルの埋充に用いられるセルの埋充およびRule(R)のタップを行った後、Computer(C)が埋充を確認して記録する。あるいは、Pがセルの埋充およびタップを行い、CがRule選択の選択肢を与え、PがRuleを選ぶ。
【0306】
順序/埋充セルを所与として、一組(複数組)のラベルを遡及的に関連付け可能である。ロジックが利用可能な場合は、Pが順序を意図しなくても、順序および理由が一体となって、ラベルの関連付けが可能となる。また、順序およびラベルを所与として、ロジックを探索することも可能である。
【0307】
ただし、ラベルおよびロジックを所与としても、順序を探索することはできない。
【0308】
小文字の使用について
考え得る数字に対して小文字を使用することにより、推論の精度を追跡することができる。これは優れた暫定的な手段であり、指標にはなるが決定因子にはならない。
【0309】
この方法に基づいて考え得るアクティビティおよびゲームの例
パズルゲーム:順序および論理的推論を所与として、ラベルを割り当てる。
【0310】
パズルゲーム:ラベルおよび順序を所与として、ロジックを探索する。
【0311】
パズルゲーム:ラベルの関連付けを繰り返して順序を改善することにより、「効率」スコアを向上させる。
【0312】
パズルゲーム:埋充の順序の表示/マッピングによって、パズルのセル(ノード)間のリンク(依存関係)を洞察する。
【0313】
協調的ゲームまたはパズルを解く遊び
プレイヤがLogic Buddyを有し得るパズル解答アクティビティを構造化可能である。
【0314】
また、Teamのプレイヤ間で解答アクティビティを構造化することも可能である。たとえば、Player I~VIは、以下のように遊ぶことができる。Player Iは、埋める対象の次のセルを識別する。Player IIは、埋充セルの行、列、ブロックにおいて使用するセルをタップする。Player IIIは、論理的理由を識別する。Player IVは、グラフセグメントを入力して順序を示す。Player Vは、ラベルを割り当てる。Player VIは、解答をスコアリングする。
【0315】
解答を記録するテンプレートについて
図面から明らかなように、パズルの暫定的または最終的解答は、複数の方法で表示されるようになっていてもよい。さまざまなテンプレートによって、埋められたセルの多様な内容を表示する。
【0316】
図32は、例示的なテンプレートを示しており、空セルを埋められるエントリ(埋充の順序の数字、埋充と関連付けるラベルを探索するためのセル内計算、およびラベル)を表示することができる。
【0317】
この方法は、最終的解答および未完の中間的解答を表示するためにPlayerが選択するテンプレートの提供を想定する。また、解答の試行中にテンプレートを切り替える機能のユーザへの提供も想定する。
【0318】
行/列/ボックスにおいて、埋充対象のセルが2つまたは3つしか残っていない場合は、スクラッチテンプレートの使用によって見易くするとともに、すべての埋充セルまたは現行セルを埋めるステップまでに埋められたすべてのセルを表示することができる。
【0319】
数独の行、列、またはボックスの2つまたは3つのセルに対して、唯一考え得るエントリが2つまたは3つの数字のサイクルである場合、たとえば、ラベルの関連付けに至る計算は、
図22および
図23に示すような論拠に従う。
【0320】
方法の実施に関する別途注意点
本発明の上述の実施形態は、多くの方法のいずれかにおいて実現可能である。たとえば、実施形態のいくつかの態様は、ハードウェア、ソフトウェア、またはこれらの組み合わせを用いて実現されるようになっていてもよい。ソフトウェアでの実現の場合は、単一のコンピュータで提供されているか複数のコンピュータに分散しているかに関わらず、好適なプロセッサまたは一群のプロセッサ上でソフトウェアコードを実行可能である。当然のことながら、上述の機能を制御する1つまたは複数のコントローラとして、上述の機能を実行する任意のコンポーネントまたは一群のコンポーネントを考えることができる。1つまたは複数のコントローラは、上掲の機能を実行するマイクロコードまたはソフトウェアを用いてプログラムされた専用ハードウェアまたは汎用ハードウェア(たとえば、1つまたは複数のプロセッサ)等の多くの方法で実現可能である。
【0321】
この点、当然のことながら、本発明の実施形態の一実施態様は、プロセッサ上で実行された場合に、本発明の実施形態の上述の機能を実行するコンピュータプログラム(すなわち、複数の命令)が符号化された少なくとも1つの非一過性コンピュータ可読記憶媒体(たとえば、コンピュータメモリ、フロッピーディスク、コンパクトディスク、テープ等)を備える。コンピュータ可読記憶媒体は、格納されたプログラムの任意のコンピュータリソース上へのロードによって本明細書に記載の本発明の態様を実現できるように搬送可能なものとし得る。また、当然のことながら、実行された場合に上述の機能を実行するコンピュータプログラムの言及は、ホストコンピュータ上で動作するアプリケーションプログラムに限定されない。むしろ、本明細書においては、本発明の上述の態様を実現するようにプロセッサをプログラムするために採用可能な任意の種類のコンピュータコード(たとえば、ソフトウェアまたはマイクロコード)を表す一般的な意味でコンピュータプログラム(computer program)という用語を使用する。
【0322】
本発明の種々態様は、単独での使用、組み合わせでの使用、または上述の実施形態において具体的に論じていない多様な構成での使用が可能であるため、それぞれの用途において、上記説明または図面に記載のコンポーネントの詳細および構成に限定されない。たとえば、一実施形態に記載の態様は、他の実施形態に記載の態様と任意に組み合わせ可能である。
【0323】
また、本発明の実施形態は、一例を提供済みの1つまたは複数の方法として実現可能である。この方法の一部として実行される動作は、任意の好適な方法で順序付け可能である。したがって、例示と異なる順序で動作が実行される実施形態も構成可能であり、例示的な実施形態においては順次的動作として示している場合であっても、いくつかの動作を同時に実行することもできる。
【0324】
特許請求の範囲において、請求要素を修飾するために「第1(first)」、「第2(second)」、「第3(third)」等の序数用語を使用することは、それ自体として、ある請求要素に対する別の請求要素の如何なる優先、選好、順序も、方法の動作が実行される時間的順序も意味するものではない。このような用語は、特定の名称のある請求要素を記述するとともに、(序数用語の使用を除いて)同じ名称または記述子の別の要素から区別するために使用しているに過ぎない。
【0325】
本明細書に使用の表現および専門用語は、説明を目的としており、限定的なものと見なすべきではない。「含む(including)」、「備える(comprising)」、「有する(having)」、「包含する(containing)」、「伴う(involving)」、およびこれらの変形体の使用は、後掲の項目および付加的な項目を含むものである。
【0326】
最後に、多くの説明では、セルまたはスペースが実際に埋められる数独のようなパズルに適した表現を使用しているが、多くの方法、技術、および手順は、論理的パズルによりモデル化され得る場合、他のゲームおよびアクティビティにも適用可能である。
【0327】
また、本明細書に記載しているのは、さまざまなプロセスの実行を可能にするコンピュータマシンおよびネットワークの機能および要件である。これらのマシンは、上記概説の複数の用途を可能にする大型のエンジンまたはプラットフォーム内のサブシステムを構成可能である。これらのマシンは、大量のデータを保持するのみならず、たとえば解答ステップおよびラベルの関連付けの確認ならびに統合ラベルおよびヒントの生成を実行する。
【0328】
以上、本発明の複数の実施形態を詳細に説明したが、当業者であれば、種々変更および改良に容易に想到することが予想される。これらの変更および改良は、本発明の思想および範囲に含まれるものである。したがって、上記説明は一例に過ぎず、何ら限定を意図しない。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0091
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0091】
このアルゴリズムを体系化するため(また、記録を残すため)、大文字のアルファベットがラベルに用いられる場合は、(考え得る文字の)Listと関連付ける一組のラベルに対してマッピングし得る別の二次的な集合を導入するのが有用である。大文字のローマ字であるラベルA、B、C等の場合、上記のような容易に利用できる二次的な文字集合は、小文字のローマ字a、b、c等であり、以下のように(たとえば、数独に対して)使用され得る。すなわち、特定のセルに考えられる数字のListにおいて、ラベルがAより高いセルで埋充に影響するものがない場合は、文字「a」をListと関連付け、ラベルがBより高いセルで埋充に影響するものがない場合は、文字「b」をListと関連付け、以下同様である。そして、予め埋められたセルのみに基づいてListが引用される場合は、如何なる小文字もListと関連付けない。この方式において、大文字のラベルは、一次的なラベル集合と見なすことができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0154
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0154】
ラベルA、B、C、・・・は、以下のように、この文字ラベルをセルと関連付ける方式によって、パズルを解くための基本的ルールを拡張することにより、パズルの如何なる解答においても、セルを埋める順序を追跡するための実行可能なメカニズムを提供する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0184
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0184】
いくつかの実施形態においては、順序のランク付けの結果が好適な有形媒体上で提示されるようになっていてもよい。有形媒体は、たとえば印刷出版物、ゲームボード、コンピュータ機器、テレビ、タブレット、モバイル装置(たとえば、携帯電話、スマートフォン、PDA)、およびその他任意の好適な媒体を備え得る。ランク付けの結果は、コンピュータネットワーク、インターネット、またはその他任意の方法で好適な装置または他の手段に伝達された後、提示されるようになっていてもよい。有形のゲームボードは、一組の所与の文字のほか、一組のラベルならびに一組の論理的理由およびアルゴリズムを有形のゲームピースとして含み得る。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パズルの1つまたは複数の解経路の1つまたは複数の部分について、コンピュータシステムにより、前記パズルを解くためのステップの実行順序とラベルを関連付ける方法であって、
前記コンピュータシステムが、少なくとも1つのコンピュータ機器またはコンピュータ機器のネットワークを含み、
前記パズルが、一組のスペース、所与の一組の異なる文字、および所与の一組のルールから成る所与の構成を有し、
前記一組のスペースが、文字が埋められた場合には非空の1つまたは複数の空スペースを含み、
前記パズルを解くステップが、前記所与の一組の異なる文字から選択され、前記所与の一組のルールならびに前記一組のスペースが1つまたは複数の非空スペースを含む場合の前記一組のスペースにおける前記所与の1つまたは複数の非空スペースと整合する文字で前記1つまたは複数の空スペースのうちの1つを埋めることを備え、
前記パズルが、前記一組のスペースにおける前記1つまたは複数の空スペースを埋める1つまたは複数のステップによって解かれ、
前記パズルを解くステップによって、前記一組のスペースにおける前記1つまたは複数の空スペースのすべてが埋められた場合に、前記パズルの解答が完了となり、
前記解答への経路すなわち解経路が、前記1つまたは複数の空スペースのうちの対応する2つ以上の空スペースが満たされる同じ順序でリンクされた前記パズルを解く一連の2つ以上のステップであり、
解経路の第1のステップが、先行ステップを有さず、前記解経路の前記第1のステップにおいて、前記1つまたは複数の空スペースのうちの1つが、前記所与の一組のルールならびに前記一組のスペースにおける前記所与の1つまたは複数の非空スペースに基づいて、前記所与の一組の異なる文字のうちの1つで埋められ、
前記解経路の第2または後続のステップが、前記所与のルール、前記一組のスペースにおける前記所与の1つまたは複数の非空スペース、ならびに前記解経路の1つまたは複数の先行ステップ中に前記1つまたは複数の空スペースのうちの1つに埋められた文字に基づいて、前記1つまたは複数の空スペースのうちの1つを前記所与の一組の異なる文字のうちの1つで埋めることを備え、
1つまたは複数の解経路の部分について前記ラベルを関連付ける当該方法が、
(a)順序が既知の一連のラベル{Label(1),Label(2),・・・,Label(I),・・・}を提供する動作と、
(b)解経路における空きスペースの埋充とラベルを関連付けるラベリングアルゴリズムを受信する動作であり、Label(1)が、前記解経路の前記第1のステップと関連付けられ、前記解経路の第2または後続のステップで埋められた各空スペースが、前記一連のラベルにおける前記既知のラベル順序に基づいてラベルと関連付けられる、動作と、
(c)第1の解経路の第1のステップを前記コンピュータシステムに受信する動作と、
(d)前記第1の解経路の前記第1のステップで埋められた前記空スペースとのLabel(1)の関連付けを前記コンピュータシステムに受信する動作と、
(e)前記第1の解経路の前記第1のステップで埋められた前記空スペースとのLabel(1)の前記関連付けを記録する動作と、
(f)前記第1の解経路に次ステップが存在する場合、前記次ステップを前記コンピュータシステムに受信する動作と、
(g)前記次ステップで埋められた前記空スペースとのラベルの前記ラベリングアルゴリズムによる関連付けを受信する動作と、
(h)前記次ステップで埋められた前記空スペースと関連付けられた前記ラベルを前記コンピュータシステムに記録する動作と、
(i)次の解経路が存在する場合、前記次の解経路の第1のステップを前記コンピュータシステムに受信する動作と、
(j)前記次の解経路の前記第1のステップで満たされた前記空スペースとのLabel(1)の関連付けを前記コンピュータシステムに受信する動作と、
(k)前記次の解経路に次ステップが存在する場合、前記次ステップを前記コンピュータシステムに受信する動作と、
(l)前記次の解経路における前記次ステップで埋められた前記空スペースとのラベルの前記ラベリングアルゴリズムによる関連付けを受信する動作と、
(m)前記次の解経路における前記次ステップで埋められた前記空スペースと関連付けられた前記ラベルを前記コンピュータシステムに記録する動作と、
(n)前記コンピュータシステムによって、前記1つまたは複数の解経路のいずれかについて所与の空スペースの埋充と関連付けられたラベルが、前記所与の一組のルール、前記一組のスペースにおける所与の非空スペース、または前記解経路の任意の先行ステップで埋められた空スペースと整合しないかを判定する動作と、
(o)前記コンピュータシステムによって、前記1つまたは複数の解経路から、空スペースの埋充と関連付けられたラベルのうち、前記所与の一組のルールのうちの1つ、前記一組のスペースにおける所与の非空スペース、または前記解経路の先行ステップで埋められた空スペースと整合しないラベルが存在しない前記一組の解経路の第1の部分集合を識別する動作と、
(p)前記コンピュータシステムによって、前記1つまたは複数の解経路から、空スペースの埋充と関連付けられた少なくとも1つのラベルが、前記所与の一組のルールのうちの1つ、前記一組のスペースのうちの所与の非空スペース、または前記解経路の先行ステップで埋められた空スペースと整合しない前記一組の解経路の第2の部分集合を識別する動作と、
(q)前記第1の部分集合における各解経路および前記空スペースの埋充と関連付けられた前記ラベルを第1のデータベースに記録する動作と、
(r)前記第2の部分集合における各解経路をその空スペースの埋充と関連付けられた前記ラベルとともに第2のデータベースに記録する動作と、
を備える、方法。
【請求項2】
前記所与の一組の異なる文字が、{Char(1),Char(2),・・・,Char(I),・・・Char(λ)}であり、{CHARS}と一括して識別され、
前記一組のスペースが、{Space(1),Space(2),・・・,Space(I),・・・Space(σ)}であり、{SPACES}と一括して識別され、
前記所与の一組のルールおよび前記パズルの空スペースの埋充とラベルを関連付けるための論理的制約を含む前記一組のルールが、{Rule(1),Rule(2),・・・,Rule(I),・・・Rule(ρ)}であり、{RULES}と一括して識別され、
整数JおよびK(1≦J≦λかつ1≦K≦σ)について、Space(K)を文字Char(J)で埋めることが、前記一連のラベルと関連付けられることにより、
前記埋充が{RULES}または{SPACES}における任意所与の非空スペースと整合する場合、Label(1)が、Space(K)の文字Char(J)による埋充と関連付けられ、
前記埋充が前記集合{RULES}におけるRuleまたは{SPACES}における所与の非空スペースと整合する場合、Label(1)が、Space(K)の文字Char(J)による埋充と関連付けられるか、または、ラベルLabel(1)、Label(2)、・・・、Label(I-1)が、Space(K)以外のスペースへの{CHARS}の文字の埋充と関連付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(s)前記第2のデータベースにおける解経路について、前記所与の一組のルールのうちの1つ、前記一組のスペースにおける所与の非空スペース、または前記解経路の任意の先行ステップで埋められた空スペースと整合しないものと判定された前記第1のラベルから順次、前記パズルを解く前記ステップと関連付けられた前記ラベルを精査するステップと、
(t)前記第1の不整合ラベルを交換して、前記不整合を取り除くステップと、
(u)前記不整合ラベルの交換の結果として、前記パズルを解く後続ステップのラベルを交換するステップと、
(v)前記コンピュータシステムによって、前記交換の結果として前記解経路の所与の空スペースの埋充と関連付けられた新たなラベルが、前記所与の一組のルールのうちの1つ、前記一組のスペースにおける所与の非空スペース、または前記解経路の任意の先行ステップで埋められた空スペースと整合しないかを判定するステップと、
(w)前記交換の後、前記解経路における後続のスペースの埋充と関連付けられたラベルが、前記所与の一組のルールのうちの1つ、前記一組のスペースにおける所与の非空スペース、または前記解経路の任意の先行ステップで埋められた空スペースと整合しない場合、ステップ(s)、(t)、(u)、および(v)を繰り返すステップと、
(x)前記解経路を前記第2のデータベースから前記第1のデータベースに移動させるステップと、
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記次ステップで埋められた前記空スペースとのラベルの前記ラベリングアルゴリズムによる関連付けを受信する前記動作が、
(g1)前記コンピュータシステムによって、前記空スペースが前記解経路の提供者により埋められた前記順序中の場所を探索する動作と、
(g2)前記コンピュータシステムによって、前記解経路における前記空スペースが埋められた順序を前記提供者に供給する動作と、
(g3)前記コンピュータシステムによって、前記解経路における前記空スペースが埋められた順序を記録する動作と、
を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記コンピュータシステムによって、前記記録を保持する前記動作が、
(g31)前記コンピュータシステムによって、所与の一組の情報から付与または論理的に導出された前記ルール、制約、およびデータに根差し、前記空スペースを特定の文字で埋め、前記空スペースの埋充と前記ラベルを関連付ける1つまたは複数の論理的理由の伝達を前記解経路の前記提供者に促す動作と、
(g32)前記コンピュータシステムによって、前記1つまたは複数の論理的理由を受信する動作と、
(g33)前記コンピュータシステムによって、前記埋められた特定の文字、前記経路において前記空スペースが埋められた順序における位置の識別、前記埋充と関連付けられた前記ラベル、ならびに前記1つまたは複数の論理的理由を含む前記空スペースの一意識別および埋充のためのデータを記録する動作と、
を備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
コンピュータによって、所与の空スペースと関連付けられたラベルが、前記所与の一組のルールのうちの1つ、前記一組のスペースにおける所与の非空スペース、または前記解経路の任意の先行ステップで埋められた空スペースと整合しないかを判定する前記動作が、
(n1)前記パズルを解く試行として、前記空スペースを前記所与の一組の異なる文字のうちのそれぞれで1つずつ暫定的に埋める動作と、
(n2)前記パズルの解答が完了とならない試行ミスとなった前記パズルを解く試行ごとに、前記空スペースの前記文字による埋充から論理的エラーまでのステップ数をカウントする動作と、
(n3)前記試行ミスごとに、前記論理的エラーまでの最小ステップ数を保存する動作と、
(n4)論理的エラーで終わらない前記所与の一組の異なる文字のうちの1つのみで前記空スペースが埋められたことを確認する動作と、
(n5)前記空スペースを埋めるステップと関連付けられた前記ラベルが、前記試行ミスすべてについて、前記最小ステップ数よりも遠くで前記一連のラベルに続くことを確認する動作と、
を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
解経路における所与の空スペースの埋充と関連付けられた一組のラベルの数値を計算する場合に、
(s)一連の順序付き数値を提供するステップと、
(t)前記一連の数値と前記一連のラベルとの間の順序の対応を維持しつつ、前記一連の数値のうちの1つを前記一連のラベルそれぞれに割り当てるステップと、
(u)前記一組のラベルのうちの複数のラベルに割り当てられた前記数値から合計値を演算する式を受信するステップと、
(v)前記式によって、前記一組のラベルの合計値を演算するステップと、
を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
1つまたは複数の解経路における所与の空スペースの埋充と関連付けられた二組以上のラベルを数値によってランク付けする場合に、
(w)前記1つまたは複数の解経路それぞれにおける前記空スペースの埋充と関連付けられた前記二組以上のラベルそれぞれに割り当てられた前記数値を受信するステップと、
(x)前記式によって、前記二組以上のラベルそれぞれの前記合計値を演算するステップと、
(y)前記複数組のラベルの前記合計値の比較により誘導された順序で前記二組以上のラベルをランク付けするステップと、
をさらに備える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のデータベースにおける1つまたは複数の解経路の2つ以上の部分の比較によってランク付けを行う場合に、
(w)前記解経路の前記2つ以上の部分それぞれにおける前記スペースと関連付けられたラベルを受信する動作と、
(x)前記解経路の前記2つ以上の部分それぞれにおける前記スペースと関連付けられた前記ラベルに割り当てられた前記数値を受信する動作と、
(y)前記式によって、前記2つ以上の部分それぞれのラベルの前記合計値を演算する動作と、
(z)前記2つ以上の部分それぞれの前記合計値の比較により誘導された順序で前記1つまたは複数の解経路の前記2つ以上の部分をランク付けする動作と、
をさらに備える、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記所与の一組のスペースの2つ以上のセグメントにわたって、前記第1のデータベースにおける前記解経路のうちの1つまたは複数の比較により数値的なランク付けを行う場合に、
(w)前記第1のデータベースにおける前記解経路のうちの1つまたは複数について、前記所与の一組のスペースの2つ以上のセグメントそれぞれと関連付けられたラベルを受信する動作と、
(x)前記所与の一組のスペースの前記2つ以上のセグメントそれぞれにおいて前記スペースと関連付けられた前記ラベルに割り当てられた前記数値を受信する動作と、
(y)前記式によって、前記2つ以上のセグメントそれぞれの合計値を演算する動作と、
(z)前記2つ以上のセグメントそれぞれの前記合計値の比較により誘導された順序で前記1つまたは複数の解経路の前記2つ以上の部分をランク付けする動作と、
をさらに備える、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のデータベースにおいて利用可能な過去の解答に基づいて、プレイヤに対する動的なヒントを生成するため、
(s)前記プレイヤから、現在のスペースまたは埋充対象の空スペースの位置を受け付けるステップと、
(t)前記プレイヤから、次のヒントを配置する前記所与の集合中のスペースの範囲を規定する1つまたは複数のパラメータを受け付けるステップと、
(u)過去の解答に基づいて、前記プレイヤにより規定された前記範囲内の埋充対象のスペースの位置または埋められた場合に前記範囲内の空間に対して解経路を与えることになる少なくとも1つの空スペースの位置を次のヒントとして前記プレイヤに提供するステップと、
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のデータベースにおいて利用可能な1つまたは複数の解答に基づいて、新たなプレイヤに対する動的なヒントを生成するため、
(s)前記新たなプレイヤから、ヒントを受けるペースの選好を受け付けるステップと、
(t)前記新たなプレイヤから、前記スペースすべてを埋めるためのヒントを受ける前記パズル内の定位範囲の選好を受け付けるステップと、
(u)前記新たなプレイヤから、埋充対象の前記空スペースの位置を受け付けるステップと、
(v)新たなプレイヤに対して、前記新たなプレイヤにより設定された前記選好によって合成統合されたラベルを用いることにより、前記パズルを解くためのヒントまたは新たな解経路を進むためのヒントを生成するステップと、
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
解経路が、前記パズルの解答が完了となる経路である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
(z)前記ランク付けの順序に基づいて、一組または複数組のラベルを勝利集合として選択するステップをさらに備える、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
(aa)前記ランク付けの順序に基づいて、一組または複数組のラベルを前記1つまたは複数の解経路の勝利部分として選択するステップをさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
(aa)前記ランク付けの順序に基づいて、一組または複数組のラベルを勝利セグメントとして選択するステップをさらに備える、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記一組のラベルの合計値を演算する目的が、一組または複数組の勝利ラベル、前記1つまたは複数の解経路の1つまたは複数の勝利部分、あるいは前記1つまたは複数の解経路の1つまたは複数の勝利セグメントに報酬を与えることである、請求項7に記載の方法。
【請求項18】
前記勝利が、所定の複数のユーザグループへの参加に基づく選択である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記勝利が、1つまたは複数の所定のユーザグループが出した賭け金に基づく選択である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記コンピュータシステムによって受信する前記ステップのうちの1つまたは複数が、2人以上の人間のプレイヤによって協調的に促される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
(i)所与のパズルのセルの対応する構造および構成を表示し得る一組のスペースを有する有形媒体のゲームボードであり、
a.前記パズルの前記セルの前記スペースの埋充または関連付けによって前記パズルを解くことができる所与の一組の異なる文字で、当該文字のうちの唯一の文字が、正しく解かれた場合の前記パズルのスペースを埋めることができる、所与の一組の異なる文字と、
b.前記所与の一組の異なる文字のうちの1つによる当該ゲームボード上の空スペースの埋充または関連付けによって前記パズルを正しく解くことができる所与の一組のルールで、前記パズルのスペースが文字で埋められた場合に非空である、所与の一組のルールと、
を伴う、ゲームボードと、
(ii)前記所与の一組の異なる文字の一組または複数組の有形のディスプレイと、
(iii)前記ルールの一組または複数組の有形のディスプレイであり、コンピュータ機器上の有形または仮想のディスプレイが可能な、一組または複数組の有形のディスプレイと、
(iv)前記ルールまたはラベルの関連付け用に提供されたメカニズムにより前記パズルを解く試行において、前記パズルの前記空スペースが埋められる順序との関連付けまたは関連が可能な順序が既知の一次的なラベル集合を表す一組の有形のディスプレイと、
(v)前記一次的なラベル集合から区別可能でありながらマッピングが対応する二次的なラベル集合であり、前記セルの一次的なラベル関連付けの決定に使用可能であるとともに、コンピュータ機器上で有形または仮想的に表示し得る二次的なラベル集合と、
(vi)それぞれをコンピュータ機器上で有形または仮想的に表示し得る関連する一次的または二次的ラベルを前記パズルの空スペースの埋充と関連付けるための一組のルール、アルゴリズム、またはメカニズムと、
(vii)前記ゲームボードの所与の空スペースについて、前記埋充文字、前記スペースを埋める順序で前記空スペースが埋められるステップ番号、一次的ラベル、前記一次的ラベルの決定に利用される前記二次的ラベルのうちの1つまたは複数、ならびにラベルを関連付けるための前記所与のルールおよびアルゴリズムに基づいて前記ラベルを関連付けるための1つまたは複数の論理的理由といったデータを演算表現として有形または仮想的に表示するための手段と、
を備えたシステム。
【請求項22】
(viii)コンピュータネットワークへの接続ならびに前記コンピュータネットワークに対するデータのダウンロードおよびアップロードのための手段および機能を有するコンピュータ機器をさらに備えた、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
解経路において、順序が既知の{Label(1),Label(2),・・・,Label(I),・・・}等の前記一次的なラベル集合を空スペースの埋充と関連付けるための前記一組のルール、アルゴリズム、またはメカニズムが、前記解経路の第1のステップとのLabel(1)の関連付けと、前記解経路の後続ステップにおいて、空スペースを埋める先行ステップで用いられた前記ラベルの順序に基づくラベルの関連付けと、を含み、前記解経路が、対応する2つ以上の空スペースが埋められる同じ順序でリンクされた前記パズルを解く一連の2つ以上のステップである、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記二次的なラベル集合が、ローマ字の小文字a、b、c、・・・を含み、前記一次的なラベル集合{Label(1),Label(2),・・・,Label(I),・・・}が、ローマ字の大文字の集合A、B、C、・・・である、請求項23に記載のシステム。
【国際調査報告】