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特表2024-510714リチウムイオン電池セパレータ用ディスペンス塗布装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-11
(54)【発明の名称】リチウムイオン電池セパレータ用ディスペンス塗布装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/403 20210101AFI20240304BHJP
   B05C 1/08 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
H01M50/403 F
B05C1/08
H01M50/403 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548571
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 CN2022126345
(87)【国際公開番号】W WO2023159982
(87)【国際公開日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】202210192239.8
(32)【優先日】2022-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523302197
【氏名又は名称】上海福賽特智能設備有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 賢司
(72)【発明者】
【氏名】張 年福
【テーマコード(参考)】
4F040
5H021
【Fターム(参考)】
4F040AA22
4F040AB20
4F040AC01
4F040BA25
4F040CB06
4F040CB16
4F040CB22
5H021BB02
5H021BB12
5H021BB13
5H021BB19
5H021BB20
5H021HH03
5H021HH10
(57)【要約】
本発明は、リチウムイオン電池セパレータ製造技術分野に関し、特にリチウムイオン電池セパレータ用ディスペンス塗布装置に関する。本発明のディスペンス塗布装置は、塗布剤転移手段と、進入供給量コントローラーと、ボトムロールとを備え、ここで、塗布剤転移手段は接着剤収容手段と凸版ロールとを含み、接着剤収容手段には接着剤を収容するための収容凹槽が設けられており、凸版ロールのロール面には転移凸点が設けられており、凸版ロールは接着剤収容手段とボトムロールとの間に位置しており、転移凸点は凸版ロールと接着剤収容手段との接触位置で収容凹槽内に挿入され、進入供給量コントローラーは転移凸点が収容凹槽に挿入される進入供給量を検出し調整制御し、前記ボトムロールは前記凸版ロールの下測に位置しており、ボトムロールと凸版ロールとの間には塗布膜が貫通する通膜間隙が設けられている。この装置を使用して塗布形成された塗布層の厚さは大きく、接着剤スポットと被覆率の制御は簡単で便利である。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムイオン電池セパレータ用ディスペンス塗布装置であって、
接着剤収容手段と凸版ロール(2)とを含む、塗布剤転移手段を備え、
前記接着剤収容手段には、接着剤を収容する収容凹槽(11)が設けられており、
前記凸版ロール(2)のロール面には、前記接着剤収容手段上の対応する位置の収容凹槽(11)に挿入されセパレータ塗布剤を転移することに適した転移凸点(21)が設けられており、前記セパレータ塗布剤が前記転移凸点(21)の転移端面(211)を包覆する塗布接着剤液滴を形成し、
前記転移凸点(21)上の前記塗布接着剤液滴が塗布膜(4)に滴下塗布し、前記塗布膜(4)上に非全面被覆塗布層を形成するように、ボトムロール(3)が前記接着剤収容手段に対して逆回転することで前記塗布膜(4)を移動させる、
リチウムイオン電池セパレータ用ディスペンス塗布装置。
【請求項2】
前記リチウムイオン電池セパレータ用ディスペンス塗布装置は、
凸版ロール(2)上の転移凸点(21)が接着剤収容手段の収容凹槽(11)に挿入される進入供給量を検出し調整制御するための進入供給量コントローラーと、
前記塗布剤転移手段の下側に位置する前記ボトムロール(3)と、をさらに備え、
前記ボトムロール(3)と前記塗布剤転移手段との間には、塗布膜(4)が貫通するための通膜間隙(31)が設けられている、
請求項1に記載のリチウムイオン電池セパレータ用ディスペンス塗布装置。
【請求項3】
前記リチウムイオン電池セパレータ用ディスペンス塗布装置は、
塗布剤が前記接着剤収容手段の表面において均一な厚さの液膜層を形成するように、前記接着剤収容手段と当接する塗抹手段をさらに備える、
請求項2に記載のリチウムイオン電池セパレータ用ディスペンス塗布装置。
【請求項4】
前記塗抹手段は、ローラーまたはブレードを含み、
前記ローラーまたはブレードはそれぞれ、接着剤収容手段を押し付けるまたは擦り取る、
請求項3に記載のリチウムイオン電池セパレータ用ディスペンス塗布装置。
【請求項5】
前記接着剤収容手段は、アニロックスロール(1)、テクスチャードロール、またはスムースロールを含む、
請求項1に記載のリチウムイオン電池セパレータ用ディスペンス塗布装置。
【請求項6】
前記収容凹槽(11)の内径d1と前記転移凸点(21)の転移端面(211)の直径d2との比はQ≧1.5である、
請求項1に記載のリチウムイオン電池セパレータ用ディスペンス塗布装置。
【請求項7】
前記転移凸点(21)の転移端面(211)は円形面であり、該転移端面(211)の直径d2の値は20μm~1mmの範囲であり、且つ該転移凸点(21)が前記収容凹槽(11)に挿入されたときに、前記転移端面(211)と前記収容凹槽(11)の槽底との間隔Lの値は20μm~250μmの範囲である、
請求項6に記載のリチウムイオン電池セパレータ用ディスペンス塗布装置。
【請求項8】
前記転移凸点(21)は、母線が凹な錐台構造、母線が凸な錐台構造、錐台構造、または階段台構造である、
請求項7に記載のリチウムイオン電池セパレータ用ディスペンス塗布装置。
【請求項9】
前記階段台構造は、連結ベース(2101)と、横断面積が前記連結ベース(2101)の横断面積よりも小さい転移ボス(2102)とを含み、
前記転移ボス(2102)は円筒状構造であり、
前記連結ベース(2101)は錐台状構造であり、
前記円筒状構造の高さはh1≦200μmであり、且つ前記円筒状構造の高さh1と前記転移端面の直径d2との比はN≦2.5である、
請求項8に記載のリチウムイオン電池セパレータ用ディスペンス塗布装置。
【請求項10】
塗布接着剤液滴は異なる材料による張力差によって塗布膜に滴下塗布する、
請求項1に記載のリチウムイオン電池セパレータ用ディスペンス塗布装置。
【請求項11】
前記異なる材料はそれぞれ凸版ロールと塗布膜とである、
請求項10に記載のリチウムイオン電池セパレータ用ディスペンス塗布装置。
【請求項12】
前記塗布接着剤液滴はさらに、重力と遠心力の作用によって塗布膜に滴下塗布する、
請求項10に記載のリチウムイオン電池セパレータ用ディスペンス塗布装置。
【請求項13】
前記進入供給量コントローラーは、グレーティング定規または他の高精度繰り返し測位可能な手段を含む、
請求項2から請求項4のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池セパレータ用ディスペンス塗布装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン電池セパレータ製造技術分野に関し、特にリチウムイオン電池セパレータ用ディスペンス塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電池業界ではセパレータや極板、衛生包装業界では通気性フィルムや不織布、電子業界では保護フィルムの製造分野において、いずれも塗布技術を利用して非全面被覆塗布層を塗布形成する必要がある。
【0003】
電池業界におけるセパレータの製造を例にとると、現在のリチウムイオン電池は、セパレータと電極間の良好な熱安定性と接着力が必要とされるだけでなく、急速な充電性能も必要とされるため、不完全被覆塗布接着剤層により、ポリマーのない塗布ドット凹部領域はリチウムイオンの有効な輸送を実現することができ、セパレータのリチウムイオン伝導能力を高めることができ、それによってリチウムイオン電池の充放電性能を高め、リチウムイオン電池のサイクル寿命を延ばすことができる。
【0004】
既存の技術におけるリチウムイオン電池セパレータの製造に通常採用されている不完全被覆塗布接着剤層の技術には、一般的にPVDF(ポリフッ化ビニリデン、非反応性の高い熱可塑性含フッ素重合体)凝集収縮塗布膜とPVDF「島状」スプレー塗布膜との2種類が含まれる。前者の場合、形成されたセパレータ表面では、PVDFの疎水性を利用して、スラリーの張力調整によりPVDFを凝集体とし、スラリーがセパレータ表面に接触すると急速に収縮することで、連続的に形成することがないが、スラリーを介して調整されるため、安定性は非常に悪い。また、後者の場合、PVDFを高速回転でセパレータに振りかけ、セパレータ表面では島状の構造を形成して極板へとリベット接合するが、その形状は不規則である。そのため、既存のリチウムイオン電池セパレータの製造における不完全被覆塗布接着剤層の技術には様々な問題が存在している。
【0005】
上述したように、既存のリチウムイオン電池セパレータの製造に採用されている不完全被覆塗布接着剤層について、個々の塗布スポットの寸法、塗布スポットの距離及び凝集の状態を正確に制御することができないため、形成された離散型の接着剤膜層は、生産品質の制御乃至後続の巻き取りの品質に影響を及ぼす。したがって、本出願の発明者は、平坦で寸法が一致した局所塗布構造を形成することができ、それによってPVDFの均一な「点状」塗布膜を達成することができる、不完全被覆塗布セパレータの製造方法を研究した。
【0006】
図1では、アニロックスロール01のロール面上の凹孔または槽011内において全体に塗布用接着剤を塗り、均一な厚さの液膜層を形成し、その後、凸版ロール02上の凸点021を利用して、アニロックスロール01と接触する過程において、液膜層を凸点021の転移面上に転移し、且つ転移中に凸点021の転移面がアニロックスロール01のロール面と接線接触し、最後に、ボトムロール03を利用して凸版ロール02上の凸点021の転移面を押し付け、凸点021の転移面上の液膜層を、ボトムロール03と凸版ロール02との間を貫通してj方向に移動するセパレータ04上に転移し、このようにしてセパレータ04の凸版ロール02に向く側において、均一な「点状」の塗布層を形成する。
【0007】
本出願の発明者は、上述の均一な「点状」塗布セパレータ制造方案を採用することで、セパレータ上平坦で寸法が一致した局所塗布構造を形成することができるものの、薄い厚さ(例えば塗布膜の厚さは5μm以下)の液膜層しか形成することができず、厚い厚さの塗布膜の要求(例えば塗布膜の厚さは10μm以上)を達成することができないことに気づき、さらに、異なるタイプのセパレータが異なる液膜厚さを要求するのに対して、既存の方案では通常、異なるバージョンの凹版ロールを交換することでのみディスペンス塗布の厚さを調整できるものの、この方法はコストが高く、操作が煩雑で、時間がかかることに気づいた。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、電池業界や、衛生包装業界、電子業界における、塗布膜上厚い厚さの塗布層の製造ニーズを満たすために、リチウムイオン電池セパレータ用ディスペンス塗布装置を提供し、該リチウムイオン電池セパレータ用ディスペンス塗布装置は、塗布剤転移手段と、進入供給量コントローラーと、ボトムロールとを備え、前記塗布剤転移手段は、接着剤収容手段と凸版ロールとを含み、前記接着剤収容手段には、接着剤を収容するための収容凹槽が設けられており、前記凸版ロールのロール面には、転移凸点が設けられており、前記転移凸点は前記接着剤収容手段上の対応する位置の収容凹槽に挿入されセパレータ塗布剤を転移することに適しており、前記セパレータ塗布剤は前記転移凸点の転移端面を包覆する塗布接着剤液滴を形成し、ボトムロールは、前記転移凸点上の前記塗布接着剤液滴が前記塗布膜に滴下塗布し、前記塗布膜上に非全面被覆塗布層を形成するように、前記接着剤収容手段に対して逆回転して塗布膜を移動させ、好ましくは、前記接着剤収容手段は、アニロックスロール、テクスチャードロール、またはスムースロールである。
【0009】
さらに、このリチウムイオン電池セパレータ用ディスペンス塗布装置を使用して、塗布用接着剤を塗布膜上に塗布して塗布層を形成する際に、ホッパー内の塗布用接着剤を、アニロックスロールを用いてアニロックスロール上の収容凹槽に転移し、アニロックスロールのロール面上の収容凹槽において均一な厚さの液膜層を形成する。そして、凸版ロールとアニロックスロールとを回転することによって、凸版ロール上の転移凸点をアニロックスロール上の収容凹槽に挿入させ、且つ、凸版ロール上の転移凸点が凸版ロールとアニロックスロールの回転に伴って収容凹槽から離れると共に、塗布用接着剤が塗布用接着剤自体の張力によって収容凹槽から引き抜かれて、転移凸点の転移端にほぼ球形または楕円体の塗布接着剤液滴を形成する。最後に、塗布接着剤液滴を持つ転移凸点は表面が通膜間隙を貫通する塗布膜に向くまで転置すると、塗布接着剤液滴は主に張力差の作用により塗布膜に滴下塗布し、このようにして、塗布膜上に非全面被覆塗布層を形成する。なお、塗布接着剤液滴は主に凸版ロールと塗布膜とによる張力差を利用して転移・滴下塗布し、張力差の値が大きいほど滴下塗布・転移の効果が良く、当業者であれば、塗布接着剤液滴の自体の重力と凸版ロールの回転に伴って形成される遠心力も、塗布接着剤液滴の塗布膜への転移・滴下塗布に一定の役割を果たすことを知りうる。
【0010】
さらに、本装置は、進入供給量コントローラーとボトムロールとをさらに含み、前記進入供給量コントローラーは、前記凸版ロール上の前記転移凸点が収容凹槽に挿入される進入供給量を検出し調整制御するために用いられ、前記ボトムロールは前記凸版ロールの下測に位置し、前記ボトムロールと前記凸版ロールとの間には塗布膜が貫通する通膜間隙が設けられている。このディスペンス塗布装置を使用して塗布用接着剤を塗布膜上に塗布して塗布層を形成する際に、ホッパー内の塗布用接着剤を、アニロックスロールを用いてアニロックスロール上の収容凹槽に転移し、アニロックスロールのロール面上の収容凹槽において均一な厚さの液膜層を形成する。さらに、凸版ロールとアニロックスロールとを回転することによって、凸版ロール上の転移凸点をアニロックスロール上の収容凹槽に挿入させ、且つ、凸版ロール上の転移凸点が凸版ロールとアニロックスロールとの回転に伴って収容凹槽から離れると共に、塗布用接着剤が塗布用接着剤自体の張力によって収容凹槽から引き抜かれて転移凸点の転移端にほぼ球形または楕円体の塗布接着剤液滴を形成する。最後に、塗布接着剤液滴を持つ転移凸点は表面が通膜間隙を貫通する塗布膜に向くまで転置すると、塗布接着剤液滴は主に張力差の作用によって塗布膜に滴下塗布し、このようにして、塗布膜上に非全面被覆塗布層を形成する。なお、製造工程において、凸版ロール上の転移凸点がアニロックスロール上の収容凹槽内に挿入される進入供給量を、進入供給量コントローラーにより調整制御することにより、製造して得られた塗布層の厚さを調整制御する。実験により、本発明のリチウムイオン電池セパレータ用ディスペンス塗布装置を使用して塗布膜上に塗布形成された塗布層の厚さの値は2μm~30μmの範囲であり、既存の技術により塗布形成された厚さが5μm以下の塗布層に比べて、塗布形成された塗布層の厚さは比較的に大きく、しかも厚さの制御が簡単で便利であることが分かる。
【0011】
さらに、リチウムイオン電池セパレータ用ディスペンス塗布装置は塗抹手段を設けてもよく、前記塗抹手段は、塗布剤が前記接着剤収容手段の表面において均一な厚さの液膜層を形成するように、前記接着剤収容手段と当接する。好ましくは、前記塗抹手段は、ローラーまたはブレードを含む。ローラーを使用する場合には、ローラーはアニロックスロールのロール面に接近し、アニロックスロールのロール面上の塗布用接着剤と接触して押し付けることで余剰の塗布用接着剤を除去し、アニロックスロールの回転中にアニロックスロールのセル内に均一な厚さの液膜層を形成する。ブレードを使用する場合には、ブレードはアニロックスロールのロール面に接近し、アニロックスロールの回転中に、ブレードはアニロックスロールのロール面上の余剰の塗布用接着剤を擦り取ることで除去し、アニロックスロールのセル内に均一な厚さの液膜層を形成する。
【0012】
好ましくは、前記収容凹槽の内径d1と前記転移凸点の転移端面の直径d2との比はQ≧1.5である。このように、転移凸点の転移端面の面積は収容凹槽の横断面積よりもはるかに小さいので、転移凸点の転移端面をアニロックスロールの収容凹槽内に挿入しやすく、それにより、塗布接着剤の張力を利用して塗布接着剤を転移凸点の転移端面に付着させて球形または楕円体の塗布接着剤液滴を形成し、且つこの塗布接着剤液滴が転移中に塗布膜を押し付けることなく、主に塗布接着剤液滴が異なる材料から構成された凸版ロールと塗布膜とで形成された張力差の作用によって塗布膜に滴下塗布する。さらに、前記転移凸点の転移端面は円形面であり、該転移端面の直径d2の値は20μm~1mmの範囲であり、該転移凸点が前記収容凹槽に挿入されたときに、前記転移端面と前記収容凹槽の槽底との間隔Lの値は20μm~250μmの範囲である。このようにして、本発明のリチウムイオン電池セパレータ用ディスペンス塗布装置を使用して塗布膜上に非全面被覆塗布層を塗布形成する際に、転移凸点の転移端面が小さすぎたり大きすぎたりして塗布用接着剤の転移に影響を及ぼすことを回避することができるとともに、転移凸点が収容凹槽に挿入される深さ、すなわち転移端面と収容凹槽の溝底との間隔Lの値を調整することにより、転移凸点上に形成される塗布接着剤液滴の高さを調整することができ、ひいては塗布接着剤液滴の高さに応じて塗布形成される塗布層の厚さを調整することができる。このように、本発明のディスペンス塗布装置を使用して塗布膜上に非全面被覆塗布層を形成する際に、アニロックスロール上の塗布用接着剤を転移しやすく、塗布作業者が塗布により形成された塗布層の厚さを容易に制御することができる。
【0013】
好ましくは、前記転移凸点は、母線が凹な錐台構造、母線が凸な錐台構造、錐台構造、または階段台構造であり、前記階段台構造は、連結ベースと、前記連結ベースの横断面積よりも横断面積が小さい転移ボスとを含む。さらに、前記転移ボスは円筒状構造であり、前記連結ベースは錐台状構造であり、前記円筒状構造の高さh1はh1≦200μmであり、且つ前記円筒状構造の高さh1と前記転移端面の直径d2との比NはN≦2.5である。これにより、転移凸点が接着剤を転移する過程において転移ボスが細長すぎて転移効果に影響を及ぼし、ひいては後続の塗布効果に影響を及ぼすことを回避することができる。
【0014】
好ましくは、前記進入供給量コントローラーは、グレーティング定規または他の高精度測定手段を選択して使用することができる。このように、グレーティング定規を進入供給量コントローラーとして選択して使用することにより、取り付け及び操作が簡単で便利であり、しかも検出制御精度が高く、塗布作業者が塗布により形成された塗装層の厚さを容易に制御することができる。
【0015】
本発明は、以下の利点を有する。
【0016】
本発明を用いて塗布膜上に非全面被覆塗布層を塗布形成する際に、塗布用接着剤がアニロックスロール上の収容凹槽内に形成された液膜層の厚さが均一であるため、塗布形成された塗布層の厚さは安定で均一であり、塗布用接着剤を転移する際に、凸版ロール上の転移凸点をアニロックスロール上の収容凹槽に挿入させ、塗布用接着剤の張力の作用によって塗布用接着剤が収容凹槽から引き抜かれて転移凸点の転移端上に塗布接着剤液滴を形成することで、塗布用接着剤を転移しやすくなると共に、塗布要求に応じて転移凸点が収容凹槽内に挿入される進入供給量を進入供給量コントローラーによって調整することで、形成された塗布接着剤液滴の高さを制御しやすくなり、ひいては塗布形成された塗布層の厚さを制御しやすくなる。また、塗布膜の移動中に、転移凸点上の塗布接着剤料滴が塗布膜上に滴下塗布し、主に塗布用接着剤が異なる材料から構成された凸版ロールと塗布膜とでの張力差の作用によって塗布膜に塗布膜を構成する塗布スポットを形成するため、塗布接着剤液滴が塗布中に押圧されることで塗布層の厚さが小さくなることを回避することができ、塗布層の厚さを保証することができ、また、転移凸点側面にある塗布用接着剤を利用して塗布スポットの面積を適切に増大させ、塗布膜上の塗布層の被覆率を増大させることができ、リチウムイオン電池セパレータの製造分野において、このような塗布方法をリチウムイオン電池セパレータの製造に応用することは現在発見されていない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】既存の技術における非全面被覆塗布層の製造方法に用いられる製造装置を示す概略図である。
図2】比較的薄い非全面被覆塗布層の製造を示す概略図である。
図3】比較的厚い非全面被覆塗布層の製造を示す概略図である。
図4】本発明によるリチウムイオン電池セパレータ用ディスペンス塗布装置の構造を示す概略図である。
図5】ディスペンス制御手段を含むディスペンス塗布装置によるディスペンス塗布を示す概略図である。
図6図4に示すリチウムイオン電池セパレータ用ディスペンス塗布装置における転移凸点の構造を示す概略図である。
図6(a)】母線が凹な錐台構造の転移凸点の構造を示す概略図である。
図6(b)】階段台構造の転移凸点の構造を示す概略図である。
図6(c)】母線が凸な錐台構造の転移凸点の構造を示す概略図である。
図6(d)】錐台構造の転移凸点の構造を示す概略図である。
図7図6に示す転移凸点の正面概略図である。
図7(a)】母線が凹な錐台構造の転移凸点の正面概略図である。
図7(b)】階段台構造の転移凸点の正面概略図である。
図7(c)】母線が凸な錐台構造の転移凸点の正面概略図である。
図7(d)】錐台構造の転移凸点の正面概略図である。
図8図6に示す転移凸点が塗布接着剤液滴を持つ場合の正面概略図である。
図8(a)】母線が凹な錐台構造の転移凸点が塗布接着剤液滴を持つ場合の正面概略図である。
図8(b)】階段台構造の転移凸点が塗布接着剤液滴を持つ場合の正面概略図である。
図8(c)】母線が凸な錐台構造の転移凸点が塗布接着剤液滴を持つ場合の正面概略図である。
図8(d)】錐台構造の転移凸点が塗布接着剤液滴を持つ場合の正面概略図である。
図9】本発明によるディスペンス塗布装置を採用し、母線が凹な錐台構造の転移凸点とした場合に製造して得られた塗布層を示す概略図である。
【符号の説明】
【0018】
01 アニロックスロール 011 溝
02 凸版ロール 021 凸点
03 ボトムロール 04 セパレータ
05 塗布層
1 アニロックスロール 11 収容凹槽
2 凸版ロール 3 ボトムロール
31 通膜間隙 4 塗布膜
5 第2微調整台 6 第2進入供給量コントローラー
7 第1微調整台 8 第1進入供給量コントローラー
09 塗布接着剤液滴 9 塗布スポット
21 転移凸点 211 転移端面
2101 連結ベース 2102 転移ボス
【発明を実施するための形態】
【0019】
背景技術に記載されているように、本出願の発明者が当初研究した不完全被覆塗布セパレータの製造方案によれば、セパレータ上に平坦で寸法が一致する局所的塗布構造を形成することができるが、比較的薄い厚さ(例えば、塗布膜の厚さが5μm以下)の塗布膜しか形成することができず、比較的厚い厚さ(例えば、塗布膜の厚さが10μm以上)の塗布膜の製造のニーズを満たすことができない。
【0020】
このため、本出願の発明者は度重なる実験と綿密な研究により、当初研究した不完全被覆塗布セパレータの製造方案が主に印刷技術における技術思想を参考にしたものであり、転移中に凸版ロール02上の凸点021の転移面において寸法が制御可能な液膜層を形成することを保証するために、凸部021の転移面の面積がアニロックスロール01上の凹孔又は溝011の面積よりもはるかに大きく、すなわち凸点021の転移面の面積がアニロックスロール01上の凹孔又は溝011内に形成される液膜層の面積よりもはるかに大きいことを判明した。しかし、本出願の発明者は、以下に具体的に説明するように、これはこの製造方案が比較的厚い塗布膜を形成することが困難となる重要な原因であることを認識している。
【0021】
図2及び図3は、研究開発中に比較的薄い厚さの塗布層と比較的厚い厚さの塗布層の製造を示す概略図である。図2に示すように、凸点021を用いて塗布剤液滴の塗布を行う際に、凸点021を介して少量の塗布剤しか得られず、塗布剤液滴の面積が凸点021の転移面の大きさと一致するため、セパレータ04上に厚さが10μm未満の塗布層05しか形成することができない。また、図3に示すように、液膜層がプレスにより凸版ロール02からセパレータ04に転移されるため、転移中に液膜層が平らになってしまい、特に液膜層の厚さが5μmを超えるような比較的大きい場合には、セパレータ04に図3に示すような中央部に窪みのある塗布層05が形成され、厚さの制御が極めて困難であるか、あるいは塗布層を形成することができない。
【0022】
なお、上記のディスペンス塗布方案は既存の技術ではなく、本出願の発明者による研究開発中のある具体的な実施形態に過ぎないため、当業者が上記の技術的課題の存在に気付く可能性は低く、すなわち、上記の技術的課題の発見は当業者にとって非自明であると考えられる。
【0023】
先に分析したように、当初研究された不完全被覆塗布セパレータの製造方案では、塗布工程中、凸版ロール上の凸点面積がアニロックスロール上の凹孔或いは溝の面積よりはるかに大きいため、凸点はアニロックスロールと接触することによってのみアニロックスロール上の塗布剤を得ることができ、凸点は体積の比較的大きい塗布剤液滴を拾い取ることができず、それによってディスペンス塗布の際に比較的薄い厚さの液膜層を形成することしかできない。一方、塗布剤量をより多く得られるように凹版ロール(アニロックスロール)を交換することで調整しても、プレスにより凸版ロールからセパレータに転移されて形成される塗布剤スポット(あるいは「塗布スポット」と呼ぶ)を一定の厚さにすることは依然として困難である。
【0024】
そこで、本出願の発明者は、凹版ロール(アニロックスロール)の溝内に挿入してより多くの接着剤を得られるように、凸版ロール上の凸点の形態を変化させ、前記凸点上の塗布接着剤が塗布膜上に滴下塗布し、主に塗布接着剤の異なる材料で形成される張力差の作用によって塗布膜を構成する塗布スポットを塗布膜上に形成することにより、上記課題を解決する技術方案を提案した。
【0025】
また、「異なるタイプのセパレータが異なる液膜厚さを要求するのに対して、既存の技術では通常、異なるバージョンの凹版ロールを交換することでのみディスペンス塗布の厚さを調整できるものの、コストが高く、操作が煩雑で、時間がかかる」という問題に対して、本出願の発明者は、凸版ロール上の凸点が凹版ロール(アニロックスロール)の溝内に挿入される進入供給量を調整し、凸版ロールと塗布膜との間の距離を調整することで、前記塗布膜上に塗布接着剤液滴が滴下塗布することによって形成される接着剤スポットの厚さ及び形態の調整制御を実現することができることをさらに提案した。
【0026】
本発明の実施例は、リチウムイオン電池セパレータを製造するディスペンス塗布を例として説明するが、当業者は、本発明によるディスペンス塗布装置及びディスペンス塗布方法が、リチウムイオン電池セパレータの製造に適しているだけでなく、他の業界(例えば、衛生包装業界における通気性フィルムや不織布の製造分野及び電子業界における保護フィルムの製造分野)における関連膜層の製造にも同様に適用できることを理解されうる。
【0027】
図4に示すように、本発明の実施例により提供されるディスペンス塗布装置は、アニロックスロール1(接着剤収容手段)と、凸版ロール2と、進入供給量コントローラー(図示せず)と、ボトムロール3と、を備え、凸版ロール2はアニロックスロール1とボトムロール3との間に位置しており、ボトムロール3は凸版ロール2の下側に位置しており、ボトムロール3と凸版ロール2との間には、塗布膜4が貫通する通膜間隙31が設けられている。ここで、アニロックスロール1のロール面には、塗布用接着剤を収容する収容凹槽11が設けられている。収容凹槽11は円形凹槽であり、アニロックスロール1のロール面に均一に分布されている。塗布用接着剤をアニロックスロール1のロール面に塗布する際に、押し付けるまたは擦り取る方法で、アニロックスロール1のロール面上の余剰の塗布用接着剤を押し付けたりまたは擦り取ったりすることで除去し、セル内に均一な厚さの液膜層を形成する(図示せず)。凸版ロール2のロール面には転移凸点21が設けられており、凸版ロール2とアニロックスローラ1とが接触する位置において、転移凸点21がアニロックスローラ1の対応する位置の収容凹槽11に挿入される。このように、アニロックスロール1のロール面に塗布用接着剤が塗布されているとき、凸版ロール2はアニロックスロールと逆回転している際に、転移凸点21を収容凹槽11に挿入させることで、収容凹槽11内の塗布用接着剤を引き抜いて、転移凸点21の転移端面211において球形または楕円体の塗布接着剤液滴09を形成する。好ましくは、凸版ロール2の転移凸点21をアニロックスロール1の収容凹槽11に挿入して塗布用接着剤を転移する際に、転移凸点21の転移端面211と収容凹槽11の溝底との間隔Lの値は20μm~250μmの範囲である。このように、本発明のリチウムイオン電池セパレータ用ディスペンス塗布装置を使用して、塗布膜上に非全面被覆塗布層を塗布形成する際に、転移凸点21が収容凹槽11に挿入される深さである、転移凸点21の転移端面211と収容凹槽11の溝底との間隔Lの値を調整することにより、転移凸点21上に形成される塗布接着剤液滴09の高さを調整することができ、そして塗布接着剤液滴09の高さに応じて塗布形成される塗布層の厚さを調整することができ、塗布作業者が塗布により形成された塗装層の厚さを容易に制御することができる。ここで、該塗布接着剤液滴09の高さとは、塗布接着剤液滴09のうちの、転移凸点21の中心軸方向に沿って転移凸点21の転移端面211から最も離れた位置から、転移端面211までの垂直距離を指す。
【0028】
図5は、ディスペンス塗布装置に備えられたディスペンス塗布制御手段であり、主に、第1微調整台7、第1進入供給量コントローラー8、第2微調整台5、第2進入供給量コントローラー6、磨耗検出手段(図示せず)、及び第1及び第2駆動制御手段(図示せず)を備え、第2駆動制御手段は、凹版ロール1を凸版ロール2と逆回転駆動させ、転移凸点21を収容凹槽11内に順次挿入させ、収容凹槽11内の塗布用接着剤を引き抜いて、転移凸点の転移端面211を包覆する塗布接着剤液滴09を形成するように制御することに適している。第2進入供給量コントローラー6は、塗布用接着剤を収容することに適した収容凹槽11内に挿入された転移凸点21の進入供給量を検出し、塗布要求に応じて第2微調整台5を制御して進入供給量を調整することに適している。第2表示及び記憶手段(図示せず)は調整された進入供給量の数値を表示及び記憶する。塗布接着剤液滴09の形態は調整された進入供給量に対応しており、収容凹槽11はディスペンス塗布装置に備えられた凹版ロール1に設けられ、凹版ロール1は第2微調整台5に設けられ、上記進入供給量コントローラーは変位センサとグレーティング定規とを含む。ディスペンス塗布装置に備えられた凸版ロール2は第1微調整台7に設けられている。磨耗検出手段は転移凸点21の磨耗値を検出して磨耗値を第1進入供給量コントローラー8に送り、第1進入供給量コントローラー8は、凸版ロール2上の転移凸点21とボトムロール3との間隔を検出し、塗布要求と磨耗度合に基づいて第1微調整台7を移動制御して凸版ロール2上の転移凸点21とボトムロール3との間隔を調整することに適している。第1表示及び記憶手段(図示せず)は調整された間隔の数値を表示及び記憶する。第1駆動制御手段は、ボトムロール3を凸版ロール2に対して逆回転駆動させることで塗布膜4を移動させ、転移凸点21の転移端面211を包覆する塗布接着剤液滴09が張力差の作用によって塗布膜4上に滴下塗布し、塗布膜4上に塗布スポット9を形成するように制御することに適している。塗布スポット9の形態は調整された転移凸点21とボトムロール3との間隔に対応しており、塗布スポット9の形態には直径及び高さの少なくとも一方が含まれる。
【0029】
なお、凸版ロールの凸点が長期使用により凸点の直径が大きくなるとセパレータのディスペンス塗布後の効果に影響を及ぼし、磨耗がある程度になると凸版ロールの交換が必要となりコストが増加することは指摘されている。本実施例では、転移凸点の磨耗度合を検出し、塗布要求と磨耗度合に基づいて第1微調整台を移動制御することで、凸版ロール上の転移凸点とボトムロールとの間隔を調整することにより、塗布膜に転移されて形成された塗布スポットの形態を所期効果のままに維持することを達成し、既存の技術における、凸版ロール上の転移凸点の磨耗により偏りが生じるため、交換が必要となりコストが増加する問題を回避することができる。
【0030】
上記のディスペンス塗布制御手段を用いて塗布膜上に塗布層を塗布形成する具体的な工程は、以下の通りである。
【0031】
まず、凹版ロール1を凸版ロール2と逆回転駆動させ、転移凸点21を収容凹槽11内に順次挿入させ、収容凹槽11内の塗布用接着剤を引き抜いて、塗布用接着剤粘度や張力差の違いにより、転移凸点21の転移端面211を包覆する塗布接着剤液滴09を形成する。
【0032】
次に、塗布要求に応じて、ディスペンス塗布装置に備えられた凹版ロール1に設けられた、塗布用接着剤を収容することに適した収容凹槽11に挿入された転移凸点21の進入供給量を検出して調整し、調整された進入供給量の数値Aを表示及び記憶し、塗布接着剤液滴09の直径及び高さが調整された進入供給量に対応している。
【0033】
最後に、前記転移凸点21の磨耗値を検出し、塗布要求及び磨耗値に基づいて、ディスペンス塗布装置に備えられた凸版ロール2上の転移凸点21とボトムロール3との間隔を検出して調整し、調整された間隔の数値Bを表示及び記憶し、転移凸点21の転移端面211を包覆する塗布接着剤液滴09が張力差の作用により塗布膜4上に滴下塗布し、塗布膜4上に高さが1μm~50μm、直径が50μm~1000μmの第1塗布接着剤液滴を形成し、塗布スポット9の直径及び高さは、調整された転移凸点21とボトムロール3との間隔に対応している。
【0034】
図6図7及び図8に示すように、転移凸点21は、母線が凹な錐台構造、母線が凸な錐台構造、錐台構造、または階段台構造とすることができる。好ましくは、転移凸点21の転移端面211は円形面であり、この転移端面211の直径d2の値は20μm~1mmの範囲である。このようにして、本発明のリチウムイオン電池セパレータ用ディスペンス塗布装置を使用して塗布膜上に非全面被覆塗布層を塗布形成する際に、転移凸点21の転移端面211が小さすぎたり大きすぎたりすることで塗布用接着剤の転移に影響を及ぼすことを回避することができ、アニロックスロール1上の塗布用接着剤を転移しやすくなることができる。転移凸点21が階段台構造である場合に、該転移凸点21は、連結ベース2101と転移ボス2102とを含み、転移ボス2102の横断面積は、連結ベース2101の横断面積よりも小さい。これにより、転移凸点21は、転移端面211において横断面積が小さく、転移凸点21の転移端面211が転移凸点21上の他の部位に比べて横断面積が最も小さくなるので、アニロックスロール1と接触したときに、収容凹槽11に挿入されてアニロックスロール1上の塗布接着剤を転移することに有利である。好ましくは、転移ボス2102は円筒状構造であり、円筒状構造の高さh1はh1≦200μmであり、且つ円筒状構造の高さh1と直径d2との比NはN≦2.5であり、連結ベース2101は錐台状構造である。このようにして、円筒状構造にされた転移ボス2102の高さh1と直径d2との比NがN≦2.5であるため、転移凸点21が接着剤を転移する間に、転移ボス2102が細長すぎて転移効果に影響を及ぼし、ひいては後続の塗布効果に影響を及ぼすことを回避することができる。また、連結ベース2101を錐台状構造とすることで、転移ボス2102を効果的に支持することができ、製造も容易となる。進入供給量コントローラーは、凸版ロール2とアニロックスロール1との間隔を検出して調整制御し、ひいては凸版ロール2上の転移凸点21がアニロックスロール1上の収容凹槽11内に挿入される進入供給量を調整制御することに用いられる。好ましくは、進入供給量コントローラーは、グレーティング定規を選択して使用することができる。このようにして、グレーティング定規を進入供給量コントローラーとして選択して使用することにより、取り付け及び操作が簡単で便利であり、しかも検出制御の精度が高く、塗布作業者が塗布により形成された塗装層の厚さを容易に制御することができる。好ましくは、アニロックスロール1上の収容凹槽11の内径d1と、凸版ロール2上の転移凸点21の転移端の端面直径d2との比QはQ≧150%である。このようにして、転移凸点21の転移端の端面積が収容凹槽11の横断面積よりもはるかに小さくなることで、転移凸点21の転移端をアニロックスロール1の収容凹槽11内に挿入しやすくなり、そして塗布接着剤の張力を利用して塗布接着剤を転移凸点の転移端に付着させて球形または楕円体の塗布接着剤液滴09を形成し、しかもこの塗布接着剤液滴09は転移中に塗布膜を押し付けることなく、主に塗布接着剤液滴09が異なる材料での張力差の作用によって塗布膜に滴下塗布し、さらに塗布用接着剤の張力と塗布接着剤液滴09の寸法を調整することにより、塗布形成される塗布膜の厚さを調整することができ、且つ簡単で便利である。
【0035】
また、本発明の実施例によるディスペンス塗布方法を用いて塗布膜上に塗布層を塗布形成する際の具体的な工程は、以下の通りである。
【0036】
まず、塗布用接着剤をアニロックスロール1のロール面上の収容凹槽11内に塗布し、アニロックスロール1上の収容凹槽11内に均一な厚さの液膜層を形成する。好ましくは、アニロックスロール1のロール面上の塗布用接着剤をローラー又はブレードで押出付ける又は擦り取ることで余剰の液膜を除去して、セル内に均一な液膜層を形成することができる。ローラーを使用する場合、ローラーはアニロックスロール1のロール面に接近し、アニロックスロール1のロール面上の塗布用接着剤と接触し押し付けることで余剰の塗布用接着剤を除去して、アニロックスロール1の回転中にアニロックスロール1のセル内に均一な厚さの液膜層を形成することができる。ブレードを使用する場合、ブレードはアニロックスロール1のロール面に接近し、アニロックスロール1の回転中に、ブレードはアニロックスロール1のロール面上の塗布用接着剤を擦り取ることで余剰の塗布用接着剤を除去して、アニロックスロール1のセル内に均一な厚さの液膜層を形成することができる。同様に、アニロックスロールを、表面付着力が大きいスムースロールまたはテクスチャードロールに変更し、必要に応じて、ローラー又はブレードと、表面付着力が大きいスムースロール又はテクスチャードロールのロール面との間隔を調整することにより、塗布形成される液膜層の厚さを調整することができ、操作が簡単で便利である。
【0037】
次に、塗布要求に応じて、進入供給量コントローラーにより、凸版ロール2上の転移凸点21がアニロックスロール1上の収容凹槽11内に挿入される進入供給量を調整し、すなわち、転移凸点21の転移端面211と収容凹槽11の溝底との間隔Lの値を調整するとともに、駆動モータ等の駆動手段により、アニロックスロール1を凸版ロール2と逆回転駆動させることで、凸版ロール2上の転移凸点21をアニロックスロール1上の収容凹槽11内に順次挿入させ、収容凹槽11内の塗布用接着剤を引き抜いて、転移凸点21の転移端面211を包覆する塗布接着剤液滴09を形成する。
【0038】
最後に、駆動手段によりボトムロール3を凸版ロール2に対して逆回転駆動させることで、通膜間隙31に位置する塗布膜4をk方向に移動させることにより、凸版ロール2上の転移凸点21上の塗布接着剤液滴09が塗布膜4上に滴下塗布し、非全面被覆塗布層を構成する塗布スポットを塗布膜4上に形成する。図8に示すように、凸版ロール2上の転移凸点21は母線が凹な錐台構造である場合に、塗布膜4上に半楕円体状の塗布スポット9を形成する。
【0039】
上記ディスペンス塗布装置を用いて塗布膜上に塗布層を塗布形成する際に、好ましくは、常温で粘度の値が300Pa・s~15000Pa・sの範囲の塗布用接着剤を選択する。このようにして、塗布用接着剤を転移する際に、転移凸点上に高さ範囲が1μm~50μm、直径範囲が50μm~1000μmの塗布接着剤液滴を形成することができるため、より大きい厚さの塗布層を塗布形成するニーズを満たすことができる。
【0040】
図9は、本発明の実施例によるディスペンス塗布装置を採用し、母線が凹な錐台構造の転移凸点とした場合に製造して得られた塗布層を示す概略図である。図9からわかるように、転移凸点はほとんどセパレータと接触することなく、主に張力差を利用して第2塗布接着剤液滴09の転移を実現することができ、セパレータ上に第1塗布接着剤液滴9を形成し、且つ形成された第1塗布接着剤液滴9の形態はほぼ球形または楕円体液滴を呈する。
【0041】
表1は既存のプロセスを用いて製造して得られたセパレータと本方法を用いて製造して得られたセパレータとの各パラメータの比較を示しており、島状スプレー塗布膜は4代目の旋回噴塗製造装置、ロール塗布シュリンク膜は3代目の完全塗布シュリンク製造装置によって製造して得られており、各パラメータによって表された意味は次の通りである。第1に、表面密度が低いほど、より多くの材料が節約されることを示す。第2に、穿刺強度が高いほど、強度が高く、電池がより安全であることを示す。第3に、導電率の値が大きいほど、充放電の速度が速いことを示す。第4に、表面抵抗の値が小さいほど、リチウムイオンの浸透がよりスムーズであることを示す。第5に、透気値とは単位体積の気体が単位面積のセパレータを通過するのに要する時間を指し、時間が短いほど、より順調であることを示す。
表2は、二種類のディスペンス塗布技術の対比を示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】

図1
図2
図3
図4
図5
図6(a)】
図6(b)】
図6(c)】
図6(d)】
図7(a)】
図7(b)】
図7(c)】
図7(d)】
図8
図9
【国際調査報告】