(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-11
(54)【発明の名称】ハイドレート生産のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
E21B 43/00 20060101AFI20240304BHJP
【FI】
E21B43/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549984
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-16
(86)【国際出願番号】 EP2022025056
(87)【国際公開番号】W WO2022179751
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523312141
【氏名又は名称】ベーカー ヒューズ エナジー テクノロジー ユナイテッド・キングダム リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Baker Hughes Energy Technology UK Limited
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルイス,カスパー
(72)【発明者】
【氏名】グロムサーケル,テルエ
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス,イグナシオ
(72)【発明者】
【氏名】ホージー,スタンレー
(57)【要約】
【解決手段】 ハイドレート生産のためのシステム(10)は、坑井孔(12)内に存在するガスと水との多相混合物(M)から水成分(W)を分離するように構成されており、システム(10)は、該分離が坑井孔(12)内で生じるように構成されている。システム(10)は、第1のフローライン(14)を備え、第1のフローライン(14)は、坑井孔(12)内に配設され、該ガスと水との多相混合物から水成分(W)を分離するために、第1のフローライン(14)の入口(16)が水成分(W)中に配設されて水成分(W)を受け取るように配置されている。制御システム(50)は、システム(10)のセンサ構成から水位を示す出力信号を受信し、水位に基づいて流量制御デバイス(18)を制御して、第1のフローライン(14)を通る水成分(W)の流量を制御するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイドレート生産のためのシステムであって、前記システムは、坑井孔内に存在するガスと水との多相混合物から水成分を分離するように構成されており、前記システムは、前記分離が前記坑井孔内で行われるように構成されており、前記システムは、
前記坑井孔内に配設された第1のフローラインであって、前記フローラインは、前記ガスと水との多相混合物から前記水成分を分離するために、前記第1のフローラインの入口が前記ガスと水との多相混合物の前記水成分中に配設されて前記水成分を受け取るように配置されている、第1のフローラインと、
前記第1のフローライン上に設けられた又は前記第1のフローラインと動作可能に関連付けられた流量制御デバイスと、
前記坑井孔内の前記水成分の水位を検出し、前記水位を示す出力信号を出力するように構成された1つ以上のセンサを含むセンサ構成と、
前記センサ構成から前記水位を示す前記出力信号を受信し、前記水位に基づいて前記流量制御デバイスを制御して、前記第1のフローラインを通る前記水成分の流量を制御するように構成された制御システムと、を備える、システム。
【請求項2】
前記流量制御デバイスは、可変流量制御デバイスを含むか、又は可変流量制御デバイスの形態をとる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記流量制御デバイスは、チョークを含むか、又はチョークの形態をとる、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のフローラインに結合されるか又は前記第1のフローラインと動作可能に関連付けられたポンプを備え、前記ポンプは、前記第1のフローラインを通して前記坑井孔内に存在する前記ガスと水との多相混合物の前記水成分を引き出すように構成されている、請求項1、2、又は3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ポンプは、
単相ポンプ若しくは
多相ポンプのうちの一方を含むか、又は一方の形態をとる、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記制御システムは、前記ポンプを制御するように構成されている、請求項4又は5に記載のシステム。
【請求項7】
前記坑井孔内に配設された第2のフローラインを備え、前記第2のフローラインは、前記第2のフローラインの入口が前記ガスと水との多相混合物の前記ガス成分中に配設されて前記ガス成分を受け取るように配置される、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2のフローライン上に設けられた又は前記第2のフローラインと動作可能に関連付けられた流量制御デバイスを備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記流量制御デバイスは、可変流量制御デバイスを含むか、又は可変流量制御デバイスの形態をとる、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記流量制御デバイスは、チョークを含むか、又はチョークの形態をとる、請求項8又は9に記載のシステム。
【請求項11】
前記センサ構成は、
1つ以上の浸食センサと、
1つ以上の流量センサと、
前記第1のフローライン上に設けられた又は前記第1のフローラインと動作可能に関連付けられた前記流量制御デバイスの1つ以上の位置センサと、
1つ以上の圧力及び/又は温度センサと、のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記制御システムは制御モジュールを備え、前記制御モジュールは、
前記センサ構成の前記センサのうちの前記少なくとも1つから受信されたセンサデータを処理し、
前記第1のフローライン上に設けられた若しくは前記第1のフローラインと動作可能に関連付けられた前記流量制御デバイスの位置を制御するための、前記流量制御デバイスの位置コントローラ及び/若しくは作動機構への1つ以上のコマンド信号の出力、及び/又は
前記第1のフローライン上に設けられた若しくは前記第1のフローラインと動作可能に関連付けられた隔離弁の位置を制御するための、少なくとも1つの前記隔離弁の位置コントローラ及び/若しくは作動機構への1つ以上のコマンド信号の出力、のうちの少なくとも1つを行うように構成されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記制御システムは、マスタ制御局若しくはモジュールを備えるか、マスタ制御局若しくはモジュールに結合されるか、又はマスタ制御局若しくはモジュールと通信する、請求項1~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
請求項4に依存する場合、前記マスタ制御局又はモジュールは、
少なくとも1つのトップサイドシステム又はモジュールからの情報を処理し、
前記ポンプのコントローラに1つ以上のコマンド信号を出力するように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記制御システムは、ポンプ制御システムを備えるか、ポンプ制御システムに結合されるか、又はポンプ制御システムと通信する、請求項1~14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記システムは、天然ガスハイドレート生産のためのシステムを備えるか、又は天然ガスハイドレート生産のためのシステムの形態をとり、前記システムは、坑井孔内に存在する天然ガスと水との多相混合物から水成分を分離するように構成されている、請求項1~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記システムは、メタンハイドレート生産のためのシステムを備えるか、又はメタンハイドレート生産のためのシステムの形態をとり、前記システムは、坑井孔内に存在するメタンガスと水との多相混合物から水成分を分離するように構成されている、請求項1~16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載のハイドレート生産のためのシステムを備える坑井システム。
【請求項19】
複数の坑井孔を備える、請求項18に記載の坑井システム。
【請求項20】
坑井孔内に存在するガスと水との多相混合物から水成分を分離するための、請求項1~17のいずれか一項に記載のハイドレート生産のためのシステム又は請求項18若しくは19に記載の坑井システムの使用であって、前記システムは、前記分離が前記坑井孔内で行われるように構成されている、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイドレート生産、例えばメタンハイドレート生産のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メタンハイドレートは、氷相中にメタンガス及び水を含む氷様固体である。メタンハイドレート層は、かなりの量のメタンを含むことが知られており、天然ガスの重要な供給源となっている。
【0003】
メタンハイドレート生産は、地表から坑井ボアホール(「坑井孔」)を掘削することを伴い、次いで、坑井孔は、一般にケーシングとして知られている金属製のボアライニング管の断片で裏打ちされる。坑井孔の完成に続いて、生産流体(メタン生産の場合には、とりわけメタンガス、水、及び砂などの同伴固体を含む)は、坑井孔に入ることが可能になり、そこで地表に輸送される。
【0004】
所与の坑井孔からの生産を制御するために、ツリーとして知られる弁構成を含む流量制御構成が、通常、坑口に配置される。弁構成は、生産流体の流量を制御し、かつ/又は坑井隔離を容易にするように構成された、いくつかの流量制御弁及び安全弁を含む。弁構成はまた、ツール、設備、及び流体のための坑井内へのアクセスを制御する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
メタンハイドレート生産に関与するいくつかの重要な課題がある。
【0006】
例えば、メタンハイドレートの抽出は、メタンハイドレート層の局所的減圧を必要とする。生産速度が高すぎる場合、過剰な水分及び砂が、多くの場合は急に発生し得る。これは、生産坑井の下流の配管、ポンプ、分離器及び他の生産設備のスラッギング及び摩耗の問題を引き起こす。更に、流量が坑井を崩壊させるほど多くないことを確実にするために、流速及び坑井圧力の注意深い制御及び監視が必要である。
【0007】
メタンハイドレートは、海中坑井システムにおいて典型的な水深で見出される周囲圧力及び温度で容易に再形成される。圧力及び温度が、例えば何らかの流れの乱れのためにハイドレート形成圧力及び温度に戻る場合、固体メタンハイドレートは生産設備内で再形成される。化学物質及び/又は加熱システムが、メタンハイドレートの形成を防止するために提案されてきたが、そのような化学物質及びシステムの使用は、坑井が経済的に成り立たなくなり得るほど、運営者にとって多大なコストとなる。
【0008】
複数の坑井を同時にドローダウンするための大規模なフルフィールドシステムを設計することは、分離器が可能な限り層流で動作することを確実にする必要がある。流体速度の高い小型システムは、乱流を有し、ガスとともに水を引き込む。流体速度を低く維持することは、非常に大容量の分離器又は複数の分離器のいずれかを必要とし、その結果、複雑さ及びコストが追加される。
【0009】
複数の坑井からの広範囲のガス対水比に対応し、それらを最適流速で生産し続けるようにシステムを設計することは、特に困難である。
【0010】
第1の態様によれば、ハイドレート生産のためのシステムが提供され、システムは、坑井孔内に存在するガスと水との多相混合物から水成分を分離するように構成されており、システムは、該分離が坑井孔内で行われるように構成されており、システムは、
坑井孔内に配設された第1のフローラインであって、フローラインは、該ガスと水との多相混合物から水成分を分離するために、第1のフローラインの入口が該ガスと水との多相混合物の水成分中に配設されて水成分を受け取るように配置されている、第1のフローラインと、
第1のフローライン上に設けられた又は第1のフローラインと動作可能に関連付けられた流量制御デバイスと、
坑井孔内の該水成分の水位を検出し、該水位を示す出力信号を出力するように構成された1つ以上のセンサを含むセンサ構成と、
センサ構成から該水位を示す出力信号を受信し、該水位に基づいて流量制御デバイスを制御して、第1のフローラインを通る水成分の流量を制御するように構成された制御システムと、を備える。
【0011】
本システムは、従来の設備及び方法論に勝るいくつかの重要な利点を提供する。
【0012】
例えば、システムは、ハイドレート生産坑井孔自体を利用して、液体成分(特に、水)をガス及び固体から分離し、それによって、坑井孔(又は複数の坑井孔を備える坑井システムの場合は複数の坑井孔)の下流の相の更なる分離の必要性を排除又は少なくとも低減する。
【0013】
更に、従来の設備及び方法論は、上述したように、海中で典型的に見られる圧力及び温度条件でハイドレートに再形成し得る多相混合物を地表に輸送することを伴う。対照的に、本システムでは、分離は坑井孔内で起こり、そのため、ハイドレート再形成のリスクが排除されるか、又は少なくとも大幅に低減される。これにより、ハイドレート生産システムの利用可能性及び/又は効率が改善されるとともに、改修作業などに関連付けられたダウンタイムが低減され、かつ/又は化学的ハイドレート阻害物質、加熱設備若しくは他のハイドレート緩和物を使用する必要性が低減又は排除される。
【0014】
分離が坑井孔内で生じるシステムの提供は、現在の多相流量と比較して単相流量を取り扱うときにより大きな制御が達成され得るので、そうでなければ過剰な水及び/又は砂の生産から生じ得る、配管、ポンプ、分離器などの生産設備におけるスラッギング及び摩耗の問題を排除又は少なくとも軽減する。更に、従来のシステムは多相流体を取り扱うことができる設備を必要とするが、本システムは単相流体を取り扱うために設計された設備を利用することができる。このような単相設備は、実施するのがより単純で一般的により安価であることに加えて、坑井での液体流速のより高度な制御を提供し、坑井孔崩壊のリスクを低減する。
【0015】
更に、ハイドレート坑井は、高流速に敏感であり、したがって、本システムは、有利には、第1のフローライン上の流量制御デバイスを使用して流速が制御されることを容易にする。
【0016】
システムは、天然ガスハイドレート生産のためのシステムを備えてもよく、又は天然ガスハイドレート生産のためのシステムの形態をとってもよく、システムは、坑井孔内に存在する天然ガスと水との多相混合物から水成分を分離するように構成されている。特に、システムは、メタンハイドレート生産のためのシステムを備えてもよく、又はメタンハイドレート生産のためのシステムの形態をとってもよく、システムは、坑井孔内に存在するメタンガスと水との多相混合物から水成分を分離するように構成されている。
【0017】
上述したように、システムは、坑井孔内に配設された第1のフローラインを備え、フローラインは、第1のフローラインの入口が該ガスと水との多相混合物の水成分中に配設されて水成分を受け取るように配置される。
【0018】
第1のフローラインの入口は、第1のフローラインの遠位端を形成してもよい。
【0019】
あるいは、入口は、第1のフローラインに1つ以上の側方フローポートを含んでもよい。
【0020】
システムは、第1のフローラインの入口がハイドレート層の下に配設されるように構成されてもよい。有利には、これは、ガスと水との多相混合物ではなく水の進入を容易にする。
【0021】
第1のフローラインは、水流ラインとして定義され得る。
【0022】
システムは、単一の第1のフローラインを備えてもよい。
【0023】
あるいは、システムは、複数の第1のフローラインを備えてもよい。
【0024】
上述したように、システムは、第1のフローライン上に設けられた又は第1のフローラインと動作可能に関連付けられた流量制御デバイスを備える。
【0025】
流量制御デバイスは、可変流量制御デバイスを含んでもよく、又は可変流量制御デバイスの形態をとってもよい。
【0026】
流量制御デバイスは、チョークを含んでもよく、又はチョークの形態をとってもよい。
【0027】
流量制御デバイスは、可変チョークを含んでもよく、又は可変チョークの形態をとってもよい。
【0028】
システムはポンプを備えてもよい。
【0029】
ポンプは、第1のフローラインに結合されてもよく、又は第1のフローラインと動作可能に関連付けられてもよい。
【0030】
ポンプは、第1のフローラインを通して、坑井孔内に存在するガスと水との多相混合物の水成分を引き出すように構成されてもよい。
【0031】
ポンプは、ガスと水との多相混合物の水成分を地表に向かって圧送するように構成されてもよい。
【0032】
場合によっては、システムは、ポンプがガスと水との多相混合物の水成分を地表に方向付けるように構成されてもよい。
【0033】
他の例では、システムは、ポンプがガスと水との多相混合物の水成分を海底又は他の場所に方向付けるように構成されてもよい。
【0034】
ポンプは、単相ポンプ、すなわち単相流体を取り扱うように構成されたポンプを含んでもよく、又は単相ポンプの形態をとってもよい。ポンプは、液体を取り扱うように構成されたポンプを含んでもよく、又はそのようなポンプの形態をとってもよい。
【0035】
有利には、システムは、坑井孔内のガスと水との多相混合物の水成分を分離するように構成されており、したがって、第1のフローラインを通る流量に対してより優れた制御を提供する単相ポンプを利用することができる。
【0036】
しかしながら、ポンプは、代替的に、多相ポンプ、すなわち、多相流体を取り扱うように構成されたポンプを含んでもよく、又は多相ポンプの形態をとってもよいことが理解されるであろう。
【0037】
ポンプは、遠心ポンプを含んでもよく、又は遠心ポンプの形態をとってもよい。
【0038】
ポンプは、ハイブリッドポンプを含んでもよく、又はハイブリッドポンプの形態をとってもよい。
【0039】
ポンプは、縦型ポンプを含んでもよく、又は縦型ポンプの形態をとってもよい。
【0040】
ポンプは、電気水中ポンプ(electric submersible pump、ESP)を含んでもよく、又はESPの形態をとってもよい。
【0041】
制御システムは、ポンプを制御するように構成されてもよい。制御システムは、ポンプ制御システムと通信するように構成されてもよい。
【0042】
流量制御デバイス、例えばチョークは、ポンプの吸入口に提供されてもよい。流量制御デバイス、例えばチョークは、ポンプの排出口に提供されてもよい。
【0043】
ポンプは海底に配置されてもよい。ポンプは海底の下に配置されてもよい。ポンプは、プラットフォーム、船舶のうちの少なくとも1つに配置されてもよく、かつ/又は、ライザー内など海底と地表との間の中間位置に配置されてもよい。
【0044】
ポンプは、流量制御デバイスを形成してもよく、又は流量制御デバイスの一部を形成してもよい。ポンプはモータを含んでもよい。モータ速度は、第1のフローラインを通る水成分の流量を制御するように、水位、及び/又は第1のフローライン上に設けられた若しくは第1のフローラインと動作可能に関連付けられた流量制御デバイスの位置に基づいて可変であってもよい。
【0045】
システムは、第1のフローライン上に設けられた又は第1のフローランと動作可能に関連付けられた1つ以上の隔離弁を備えてもよい。隔離弁のうちの少なくとも1つは、ゲート弁を含んでもよく、又はゲート弁の形態をとってもよい。隔離弁のうちの少なくとも1つは、ROVによる動作のために構成されてもよい。
【0046】
システムは、第2のフローラインを備えてもよい。第2のフローラインは、坑井孔内に配設されてもよく、第2のフローラインは、第2のフローラインの入口が該ガスと水との多相混合物のガス成分中に配設されてガス成分を受け取るように配置される。
【0047】
第2のフローラインの入口は、第2のフローラインの遠位端を形成してもよい。
【0048】
あるいは、入口は、第2のフローラインに1つ以上の側方フローポートを含んでもよい。
【0049】
システムは、第2のフローライン上に設けられた又は第2のフローラインと動作可能に関連付けられた流量制御デバイスを備えてもよい。
【0050】
流量制御デバイスは、可変流量制御デバイスを含んでもよく、又は可変流量制御デバイスの形態をとってもよい。
【0051】
流量制御デバイスは、チョークを含んでもよく、又はチョークの形態をとってもよい。
【0052】
流量制御デバイスは、可変チョークを含んでもよく、又は可変チョークの形態をとってもよい。
【0053】
システムは、第2のフローライン上に設けられた又は第2のフローラインと動作可能に関連付けられた1つ以上の隔離弁を備えてもよい。隔離弁のうちの少なくとも1つは、環状隔離弁を含んでもよく、又は環状隔離弁の形態をとってもよい。
【0054】
上述したように、システムは、坑井孔内の該水成分の水位を検出し、該水位を示す出力信号を出力するように構成された1つ以上のセンサを含むセンサ構成を備える。
【0055】
センサ構成は、最小水位を検出するように構成された1つ以上のセンサを含んでもよい。センサ構成は、最大水位を検出するように構成された1つ以上のセンサを含んでもよい。
【0056】
センサ構成は、1つ以上のデジタルセンサを含んでもよい。1つ以上のデジタルセンサは、坑井孔内の該水成分の水位を検出するように構成されてもよい。センサ構成は、1つ以上のアナログセンサを含んでもよい。1つ以上のアナログセンサは、坑井孔内の該水成分の水位を検出するように構成されてもよい。センサ構成は、1つ以上の光センサ、例えば光ファイバセンサを含んでもよい。1つ以上の光センサは、坑井孔内の該水成分の水位を検出するように構成されてもよい。1つ以上の光ファイバセンサは、例えば、温度の変化を測定するように構成されてもよい。センサ配列は、分散型温度センシング(distributed temperature sensing、DTS)センサ構成を含んでもよい。DTSセンサ構成は、坑井孔内の該水成分の水位を検出するように構成されてもよい。
【0057】
センサ構成は、1つ以上の圧力及び/又は温度センサを含んでもよい。1つ以上の圧力及び/又は温度センサは、坑井孔内の該水成分の水位を検出するように構成されてもよい。特に、センサ構成は、複数の(すなわち、2つ以上の)圧力及び/又は温度センサを含んでもよい。圧力及び/又は温度センサは、ダウンホール圧力及び温度(downhole pressure and temperature、DHPT)ゲージを備えてもよく、又はDHPTゲージの形態をとってもよい。システムは、複数の圧力及び/又は温度センサのうちの2つ以上で圧力を測定するように構成されてもよい。センサ間の距離は既知であるので、水位は容易に決定され得る。
【0058】
センサ構成は、1つ以上の浸食センサを含んでもよい。
【0059】
センサ構成は、1つ以上の流量センサを含んでもよい。
【0060】
センサ構成は、第1のフローライン上に設けられた又は第1のフローラインと動作可能に関連付けられた流量制御デバイスの1つ以上の位置センサ、例えばチョーク位置センサを含んでもよい。
【0061】
システムは、1つ以上の逆止弁を含んでもよい。逆止弁のうちの少なくとも1つは、重力逆止弁を含んでもよく、又は重力逆止弁の形態をとってもよい。逆止弁のうちの少なくとも1つは、ボール弁を含んでもよく、又はボール弁の形態をとってもよい。
【0062】
逆止弁のうちの少なくとも1つは、第1のフローライン上に提供されてもよい。第1のフローライン上に提供された逆止弁は、第1のフローラインを通る水の逆流、すなわち入口に向かう逆流を防止又は制限するように構成されてもよい。
【0063】
逆止弁は、第1のフローラインの入口と、第1のフローライン上に設けられた又は第1のフローラインと動作可能に関連付けられた流量制御デバイスとの間に介在してもよい。
【0064】
逆止弁は、第1のフローライン上に設けられた又は第1のフローラインと動作可能に関連付けられた流量制御デバイスの下流に配設されてもよい。
【0065】
逆止弁のうちの少なくとも1つは、第2のフローライン上に提供されてもよい。第2のフローライン上に提供された逆止弁は、第2のフローラインを通るガスの逆流、すなわち入口に向かう逆流を防止又は制限するように構成されてもよい。逆止弁は、第2のフローラインの入口と、第2のフローライン上に設けられた又は第2のフローラインと動作可能に関連付けられた流量制御デバイスとの間に介在してもよい。
【0066】
逆止弁は、第2のフローライン上に設けられた又は第2のフローラインと動作可能に関連付けられた流量制御デバイスの下流に配設されてもよい。
【0067】
システムは、坑口を備えてもよい。第1のフローラインは、坑口を通して配設されてもよい。第2のフローラインは、坑口を通して配設されてもよい。
【0068】
システムは、チュービングハンガーを備えてもよい。チュービングハンガーは、坑口上に配設されてもよく、かつ/又は坑口によって支持されてもよい。第1のフローラインは、チュービングハンガーを通して配設されてもよい。第2のフローラインは、チュービングハンガーを通して配設されてもよい。
【0069】
システムは、キャップを備えてもよい。キャップは、例えばクリスマスツリーなどの木を含んでもよく、又は木の一部を形成してもよく、又は木の形態をとってもよい。キャップは、坑口に結合及び/又は装着されてもよい。第1のフローラインは、キャップを通して配設されてもよい。第2のフローラインは、キャップを通して配設されてもよい。
【0070】
システムは、1つ以上の制御ライン及び/又は通信ラインを備えてもよい。例えば、システムは、1つ以上の油圧ラインを備えてもよい。代替的に又は追加的に、システムは、1つ以上の電線を備えてもよい。代替的に又は追加的に、システムは、1つ以上の光ファイバラインを備えてもよい。制御ライン及び/又は通信ラインは、電力を供給するために、並びに/又は坑井孔内に配設された及び/若しくは坑井孔の一部を形成するツール及び設備と通信するために提供されてもよい。
【0071】
1つ以上の制御ライン及び/又は通信ラインは、チュービングハンガー、坑口、及び/又はキャップを通して配設されてもよい。
【0072】
1つ以上の制御ライン及び/又は通信ラインは、チュービングハンガーカプラを通して配設されてもよい。
【0073】
1つ以上の制御ライン及び/又は通信ラインは、垂直クランプ接続システム(vertical clamp connection system、VCCS)、例えばVCCSシールプレート、又は他の手段を通して配設されてもよい。
【0074】
システムは、マニホールドを備えてもよい。
【0075】
第1のフローライン(又は、システムが複数の第1のフローラインを備える場合、第1のフローラインのうちの少なくとも1つ)は、マニホールドに結合されてもよい。
【0076】
第2のフローライン(又は、システムが複数の第1のフローラインを備える場合、第2のフローラインのうちの少なくとも1つ)は、マニホールドに結合されてもよい。
【0077】
制御システムは、海中坑井制御システムを形成してもよく、又は海中坑井制御システムの一部を形成してもよい。
【0078】
制御システムは、制御モジュール、特に、排他的ではないが海中制御モジュールを備えてもよい。
【0079】
制御システム、特に海中制御モジュールは、最適レベルを維持するように、水位を監視し、流量を制御するように構成され、かつ/又は動作可能であってもよい。
【0080】
制御システム、特に海中制御モジュールは、1つ以上の水位センサからセンサデータを受信するように構成されてもよい。
【0081】
制御システム、特に海中制御モジュールは、1つ以上の浸食センサからセンサデータを受信するように構成されてもよい。
【0082】
制御システム、特に海中制御モジュールは、1つ以上の流量センサからセンサデータを受信するように構成されてもよい。
【0083】
制御システム、特に海中制御モジュールは、1つ以上のチョーク位置センサからセンサデータを受信するように構成されてもよい。
【0084】
制御システム、特に海中制御モジュールは、1つ以上の圧力及び/又は温度センサからセンサデータを受信するように構成されてもよい。
【0085】
制御システム、特に海中制御モジュールは、
センサ構成の1つ以上のセンサから受信されたセンサデータを処理し、
第1のフローライン上に設けられた又は第1のフローラインと動作可能に関連付けられた流量制御デバイスの位置を制御するために、該流量調整デバイスの位置コントローラ及び/又は作動機構に1つ以上のコマンド信号を出力するように構成されてもよい。
【0086】
例えば、制御システム、特に海中制御モジュールは、
1つ以上の水位センサのうちの少なくとも1つと、1つ以上の浸食センサ、1つ以上の流量センサ、第1のフローライン上に設けられた若しくは第1のフローラインと動作可能に関連付けられた流量制御デバイスの1つ以上の位置センサ、並びに/又は1つ以上の圧力及び/若しくは温度センサのうちの少なくとも1つと、から受信されたセンサデータを処理し、
第1のフローライン上に設けられた又は第1のフローラインと動作可能に関連付けられた流量制御デバイスの位置を制御するために、該流量制御デバイスの位置コントローラ及び/又は作動機構に1つ以上のコマンド信号を出力するように構成されてもよい。
【0087】
代替的に又は追加的に、制御システム、特に海中制御モジュールは、
センサ構成の1つ以上のセンサから受信されたセンサデータを処理し、
第1のフローライン上に設けられた又は第1のフローラインと動作可能に関連付けられた隔離弁の位置を制御するために、該隔離弁のうちの少なくとも1つの位置コントローラ及び/又は作動機構に1つ以上のコマンド信号を出力するように構成されてもよい。
【0088】
例えば、制御システム、特に海中制御モジュールは、
1つ以上の水位センサのうちの少なくとも1つと、1つ以上の浸食センサ、1つ以上の流量センサ、第1のフローライン上に設けられた若しくは第1のフローラインと動作可能に関連付けられた流量制御デバイスの1つ以上の位置センサ、並びに/又は1つ以上の圧力及び/若しくは温度センサのうちの少なくとも1つと、から受信されたセンサデータを処理し、
第1のフローライン上に設けられた又は第1のフローラインと動作可能に関連付けられた隔離弁の位置を制御するために、該隔離弁のうちの少なくとも1つの位置コントローラ及び/又は作動機構に1つ以上のコマンド信号を出力するように構成されてもよい。
【0089】
システムは、マスタ制御局若しくはモジュールを備えてもよく、マスタ制御局若しくはモジュールに結合されてもよく、又はマスタ制御局若しくはモジュールと通信してもよい。
【0090】
マスタ制御局又はモジュールは、システムの制御システムの一部を形成してもよく、又は制御システムが通信する別個のシステムの形態をとってもよい。
【0091】
制御モジュールは、マスタ制御局又はモジュールと通信するように構成されてもよい。
【0092】
マスタ制御局は、1つ以上のトップサイドシステム又はモジュールから情報を受信するように構成されてもよい。
【0093】
例えば、マスタ制御局は、緊急停止(emergency shut down、ESD)システム又はモジュールから情報を受信するように構成されてもよい。
【0094】
例えば、マスタ制御局は、システム流量要求システム又はモジュールから情報を受信するように構成されてもよい。
【0095】
制御システム、特にマスタ制御局又はモジュールは、1つ以上のトップサイドシステム又はモジュール、例えば緊急停止モジュール及びシステム流量要求モジュールのうちの少なくとも1つからの情報を処理し、ポンプのコントローラ、特に速度コントローラに1つ以上のコマンド信号を出力するように構成されてもよい。
【0096】
システムは、ポンプ制御システム、特に海中ポンプ制御システムを備えてもよく、ポンプ制御システムに結合されてもよく、又はポンプ制御システムと通信してもよい。
【0097】
ポンプ制御システムは、ポンプ制御モジュールを備えてもよい。ポンプ制御システムは、プロセッサを備えてもよく、又はプロセッサの形態をとってもよい。
【0098】
ポンプ制御システムは、ポンプの制御に関連付けられた1つ以上のセンサを備えてもよい。
【0099】
ポンプ制御システムは、ポンプの制御に関連付けられた1つ以上のアクチュエータを備えてもよい。
【0100】
ポンプ制御モジュールは、ポンプの速度コントローラと通信してもよい。
【0101】
ポンプ制御モジュールは、ポンプの制御に関連付けられた1つ以上のセンサ及びポンプの制御に関連付けられた1つ以上のアクチュエータのうちの少なくとも1つと通信してもよい。
【0102】
上述したように、システムは、第1のフローライン上に設けられた又は第1のフローラインと動作可能に関連付けられた流量制御デバイスを備える。
【0103】
流量制御デバイスは、坑井孔内に配置されてもよい。流量制御デバイスは、海中に配置されてもよい。流量制御デバイスは、キャップに結合されてもよく、又はキャップの一部を形成してもよい。流量制御デバイスは、坑口に結合されてもよく、又は坑口の一部を形成してもよい。流量制御デバイスは、坑口の上流、例えば坑口と地表との間に配設されたフローライン上に配置されてもよい。
【0104】
上述したように、システムは、第2のフローライン上に設けられた又は第2のフローラインと動作可能に関連付けられた流量制御デバイスを備えてもよい。
【0105】
流量制御デバイスは、坑井孔内に配置されてもよい。流量制御デバイスは、海底に配置されてもよい。流量制御デバイスは、キャップに結合されてもよく、又はキャップの一部を形成してもよい。流量制御デバイスは、坑口に結合されてもよく、又は坑口の一部を形成してもよい。流量制御デバイスは、坑口の上流、例えば坑口と地表との間に配設されたフローライン上に配置されてもよい。
【0106】
第2の態様によれば、第1の態様のハイドレート生産のためのシステムを含む坑井システムが提供される。
【0107】
坑井システムは、海中坑井システムを備えてもよい。
【0108】
坑井システムは、複数の坑井孔を備えてもよい。
【0109】
第3の態様は、坑井孔内に存在するガスと水との多相混合物から水成分を分離するための、第1の態様によるハイドレート生産のためのシステム又は第2の態様による坑井システムの使用に関し、システムは、該分離が坑井孔内で行われるように構成されている。
【0110】
本方法は、ハイドレートを固体状態からガスと水との多相混合物に減圧するステップを含んでもよい。
【0111】
代替的に又は追加的に、本方法は、ガスを解離させる媒体を加熱及び/又は注入するステップを含んでもよい。
【0112】
本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される。しかしながら、本開示の目的のために、上で定義された又は以下で説明される特徴のいずれも、単独で又は組み合わせて利用され得ることが理解されるであろう。例えば、上記の態様のうちの1つに関連して上述された特徴、又は以下の詳細な説明に関連して後述される特徴は、任意の他の態様において利用されてもよく、又は一緒に新しい態様を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0113】
これら及び他の態様は、添付の図面を参照して、単なる例としてここで説明される。
【0114】
【
図1】
図1は、ハイドレート生産のためのシステムの概略図を示す。
【
図3】
図3は、
図1に示されるシステムのキャップアセンブリを示す。
【
図4】
図4は、
図1に示されるシステムのフローラインのためのマニホールドを示す。
【
図5】
図5は、
図1に示されるシステムの制御システムの概略図である。
【
図6】
図6は、複数の坑井孔を含むハイドレート生産のための代替システムを示す。
【
図7】
図7は、
図6のシステムがどのように動作するかを示す論理図を示す。
【
図8】
図8は、
図6に示すハイドレート生産のためのシステムを備える坑井システムを示す。
【0115】
図面の詳細な説明
最初に添付図面の
図1及び
図2を参照すると、ハイドレート生産のためのシステム10の概略図が示されている。例示のシステム10は、メタンハイドレート生産のためのものである。
【0116】
使用時には、以下で更に説明するように、システム10は、坑井孔12内に存在するメタンガスと水との多相混合物Mから水成分Wを分離するように構成されており、システム10は、坑井孔12内で分離が行われるように構成されている。
【0117】
図1に示されるように、システムは、坑井孔12内に配設された第1のフローライン14を備え、第1のフローライン14は、メタンガスと水との多相混合物Mから水成分Wを分離するために、第1のフローライン14の入口16が水成分W中に配設されて水成分Wを受け取るように配置される。
【0118】
図1に示される例示のシステム10では、第1のフローライン14の入口16は、第1のフローライン14の遠位端を形成する。
【0119】
しかしながら、入口は、例えば、代替的に又は追加的に、第1のフローライン14内に1つ以上の側方フローポートを含み得ることが理解されるであろう。また、システム10は単一のフローライン14を備えるが、システム10は、代替的に複数の第1のフローライン14を備えてもよい。
【0120】
図1に示されるように、システム10は、第1のフローライン14上に設けられた又は第1のフローライン14と動作可能に関連付けられた流量制御デバイス18を更に備える。
【0121】
例示のシステム10では、流量制御デバイス18は、可変流量制御デバイス、より具体的には可変チョークの形態をとる。
【0122】
システム10は、逆止弁20を更に備える。例示のシステム10では、逆止弁20は、ボール弁を備えるか、又はボール弁の形態をとる。
【0123】
逆止弁20は、第1のフローライン14上に提供され、第1のフローライン14を通る水成分Wの逆流、すなわち入口16に向かう逆流を防止又は制限するように構成されている。例示のシステム10では、逆止弁20は、第1のフローライン14の入口16と流量制御デバイス18との間に介在する。
【0124】
システム10は、坑井孔12内の水成分Wの水位を検出し、水位を示す出力信号を出力するように構成されたセンサ22、24を備えるセンサ構成を更に備える。
【0125】
例示のシステム10では、センサ22、24はそれぞれ、ダウンホール圧力及び温度(DHPT)ゲージの形態をとる。センサ22は、第1の坑井孔場所における圧力及び/又は温度を測定する。センサ24は、第2の坑井孔場所における圧力及び/又は温度を測定する。センサ22とセンサ24との間の距離は既知であるので、水位は容易に決定され得る。しかしながら、水位を測定するための他の好適なセンサが用いられてもよいことが理解されるであろう。
【0126】
図1に示されるように、システム10は、第1のフローライン14に結合された又は第1のフローライン14と動作可能に関連付けられたポンプ26を備える。
【0127】
ポンプ26は、第1のフローライン14を通して坑井孔12から水成分Wを引き込むように構成されている。
【0128】
例示のシステム10では、ポンプ26は、単相遠心ポンプ、すなわち単相流体を取り扱うように構成されたポンプを含むか、又は単相遠心ポンプの形態をとる。
【0129】
有利には、システム10は、坑井孔12内の水とメタンガスとの多相混合物Mの水成分Wを分離するように構成されており、したがって、第1のフローライン14を通る流量に対してより優れた制御を提供するポンプ26などの単相ポンプを利用することができる。
【0130】
図1に示されるように、システム10は第2のフローライン28を備える。第2のフローライン28は、坑井孔12内に配設され、かつ、第2のフローライン28の入口30がメタンガスと水との多相混合物Mのメタンガス成分G中に配設されてメタンガス成分Gを受け取るように配置される。
【0131】
例示のシステム10では、第2のフローライン28の入口30は、第2のフローライン28の遠位端を形成する。
【0132】
しかしながら、入口30は、例えば、代替的に又は追加的に、第2のフローライン28内に1つ以上の側方フローポートを含んでもよいことが理解されるであろう。また、システム10は単一のフローライン28を備えるが、システム10は、代替的に複数の第2のフローライン28を備えてもよい。
【0133】
図1に示されるように、システム10は、第2のフローライン28上に設けられた又は第2のフローライン28と動作可能に関連付けられた流量制御デバイス32を備える。例示のシステム10では、流量制御デバイス32は、可変流量制御デバイス、より具体的には可変チョークの形態をとる。
【0134】
システム10は、第2のフローライン28上に設けられた又は第2のフローライン28と動作可能に関連付けられた隔離弁34を更に備える。例示のシステム10では、隔離弁34は環状隔離弁の形態をとる。
【0135】
図1に示されるように、また、ここで添付図面の
図2及び
図3を参照すると、システム10はキャップ36を更に備える。キャップ36は、坑口38(
図2に示される)に結合及び/又は装着されており、
図2に示されるように、例示のシステム10では、第1のフローライン14及び第2のフローライン28が坑口38を通して配設されていることが見て取れる。
【0136】
図2に示されるように、システム10は、チュービングハンガー40を更に備える。チュービングハンガー40は、坑口38上に配設され、かつ/又は坑口38によって支持される。第1のフローライン14及び第2のフローライン28は、チュービングハンガー40を通して配設される。
【0137】
添付図面の
図3に示されるように、システム10は流量計42を備え、流量計42は、例示のシステム10では、単相流量計の形態をとる。
【0138】
図2及び
図3に示されるように、システム10は、第1のフローライン14を開閉するのに適した弁44を更に備え、弁44は、例示のシステム10では、ROV操作可能なゲート弁の形態をとる。
【0139】
添付図面の
図4に示されるように、システム10は、マニホールド48を更に備える。
図4に示されるように、第1のフローライン14は水生産ヘッダ47に供給し、第2のフローライン28はガス生産ヘッダ49に供給する。
【0140】
次に添付図面の
図5を参照すると、
図1に示されるシステム10の制御システム50の概略図が示されている。
【0141】
制御システム50は、センサ構成から該水位を示す出力信号を受信し、第1のフローライン14を通る水成分Wの流量を制御するために、水位に基づいて流量制御デバイス18を制御するように構成されている。例示のシステム10では、制御システム50は、海中坑井制御システムを形成するか、又は海中坑井制御システムの一部を形成する。
【0142】
図5に示されるように、制御システム50は制御モジュール52を備え、制御モジュール52は、例示の制御システム50では、海中制御モジュールの形態をとる。
【0143】
海中制御モジュール52は、センサ構成のセンサのうちの少なくとも1つから受信されたセンサデータ(及び/又は海中制御モジュール52への任意の他の入力)を処理し、チョーク18の位置を制御するためにチョーク18の位置コントローラ60に、及び隔離弁46の位置を制御するために隔離弁46の位置コントローラ62に、1つ以上のコマンド信号を出力するように構成されている。例示のシステム10では、海中制御モジュール52は、1つ以上の水位センサ22、24、1つ以上の浸食センサ54、1つ以上の流量センサ(流量計42など)、1つ以上のチョーク位置センサ56、1つ以上の圧力及び/又は温度センサ58から受信されるセンサデータを処理するように構成されている。
【0144】
図5に示されるように、制御システム50は、マスタ制御局又はモジュール64を備える。制御モジュール52は、マスタ制御局又はモジュール64と通信するように構成され、逆もまた同様である。
【0145】
マスタ制御局又はモジュール64は、1つ以上のトップサイドシステム又はモジュールから情報を受信するように構成されている。例示のシステム10では、マスタ制御局又はモジュール64は、緊急停止(ESD)システム又はモジュール66及びシステム流量要求システム又はモジュール68から情報を受信するように構成されている。しかしながら、マスタ制御局又はモジュール64は、緊急停止(ESD)システム若しくはモジュール66及びシステム流量要求システム若しくはモジュール68に加えて、又はそれらの代替として、種々の他のソースから1つ以上の入力を受信し得ることが理解されるであろう。
【0146】
マスタ制御局又はモジュール64は、1つ以上のトップサイドモジュール、例えば緊急停止モジュール66及びシステム流量要求モジュール68(及び/又はマスタ制御局又はモジュール64への任意の他の入力)からの情報を処理し、ポンプ28(
図1に示される)のコントローラ70、特に速度コントローラに1つ以上のコマンド信号を出力するように構成されている。
【0147】
制御システム50は、ポンプ制御システム72を備えるか、又はポンプ制御システム72に結合されるか、又はポンプ制御システム72と通信し、ポンプ制御システム72は、例示のシステム10では、海中ポンプ制御システムの形態をとる。
【0148】
ポンプ制御システム72は、ポンプ制御モジュールを備える。ポンプ制御システム72は、プロセッサを備えるか、又はプロセッサの形態をとる。
【0149】
ポンプ制御モジュール74は、ポンプの制御に関連付けられた1つ以上のセンサ及びポンプの制御に関連付けられた1つ以上のアクチュエータ(
図6において参照番号76として集合的に表されている)と通信する。
【0150】
システム10は、従来の設備及び方法論に勝るいくつかの重要な利点を提供する。
【0151】
例えば、システム10は、ガスから水成分Wを分離するためにメタンハイドレート生産坑井孔12自体を利用し、それによって坑井孔12の下流の相の更なる分離の必要性を排除するか、又は少なくとも低減する。
【0152】
更に、従来の設備及び方法論は、上述したように、海中で典型的に見られる圧力及び温度条件でハイドレートに再形成し得る多相混合物を地表に輸送することを伴う。対照的に、本システムでは、分離は坑井孔内で起こり、そのため、ハイドレート再形成のリスクが排除されるか、又は少なくとも大幅に低減される。これにより、メタンハイドレート生産システムの利用可能性及び/又は効率が改善されるとともに、改修作業などに関連付けられたダウンタイムが低減され、かつ/又は化学的ハイドレート阻害物質、加熱設備又は他のハイドレート緩和物を使用する必要性が低減又は排除される。
【0153】
分離が坑井孔内で生じるシステムの提供は、現在の多相流量と比較して単相流量を取り扱うときにより大きな制御が達成され得るので、そうでなければ過剰な水及び/又は砂の生産から生じ得る、配管、ポンプ、分離器などの生産設備におけるスラッギング及び摩耗の問題を排除又は少なくとも軽減する。更に、従来のシステムは多相流体を取り扱うことができる設備を必要とするが、本システムは単相流体を取り扱うために設計された設備を利用することができる。このような単相設備は、実施するのがより単純で一般的により安価であることに加えて、坑井での液体流速のより高度な制御を提供し、坑井孔崩壊のリスクを低減する。
【0154】
更に、メタンハイドレートは、高流量に敏感であり、したがって、本システムは、有利には、第1のフローライン上の流量制御デバイスを使用して流速が制御されることを容易にする。
【0155】
「特許請求の範囲」に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正を行うことができることが理解されるであろう。
【0156】
例えば、
図6は、複数の坑井孔112a、bを備えるメタンハイドレート生産のための代替システム110を示す。例示のシステム110は、2つの坑井孔112a、bを示す。しかしながら、システム110は、任意の数の坑井孔112a、b、#を備えてもよいことが理解されるであろう。
【0157】
図6に示されるように、システム110は、それぞれの坑井孔112a、b内に配設された2つのフローライン114a、bを備え、フローライン114a、bは、メタンガスと水との多相混合物Ma、bから水成分Wa、bを分離するために、フローライン114a、bの入口116a、bが水成分Wa、b中に配設されて水成分Wa、bを受け取るように配置される。
【0158】
図6に示される例示のシステム110では、入口116a、bは、第1のフローライン114a、bの遠位端を形成する。
【0159】
しかしながら、入口116a、bは、例えば、代替的に又は追加的に、フローライン114a、b内に1つ以上の側方フローポートを含んでもよいことが理解されるであろう。また、システム110は、坑井孔112a、b毎に単一のフローライン114a、bを備えるが、システム110は、代替的に、坑井孔112a、b毎に複数のフローライン114a、bを備えてもよい。
【0160】
図6に示されるように、システム110は、フローライン114a、b上に設けられた又はフローライン114a、bと動作可能に関連付けられたフロー制御デバイス118a、bを更に備える。
【0161】
例示のシステム10では、流量制御デバイス118は、可変流量制御デバイス、より具体的には可変チョークの形態をとる。
【0162】
システム110は、逆止弁120a、bを更に備える。例示のシステム110では、逆止弁120a、bは、ボール弁を含むか、又はボール弁の形態をとる。
【0163】
逆止弁120a、bは、フローライン114a、b上に提供され、それぞれのフローライン114a、bを通る水成分Wa、Wbの逆流を防止又は制限するように構成されている。例示のシステム110では、逆止弁120a、bは、第1のフローライン114a、bの入口116a、bと流量制御デバイス118a、bとの間に介在する。
【0164】
システム110は、坑井孔112a、b内の水成分Wa、bの水位を検出し、水位を示す出力信号を出力するように構成されたセンサ122a、b、124a、bを含むセンサ構成を更に備える。
【0165】
例示のシステム110では、センサ122a、b、124a、bはそれぞれ、ダウンホール圧力及び温度(DHPT)ゲージの形態をとる。センサ122a、bは、坑井孔112a、b内のそれぞれの第1の坑井孔場所における圧力及び/又は温度を測定する。センサ124a、bは、坑井孔112a、b内のそれぞれの第2の坑井孔場所における圧力及び/又は温度を測定する。センサ122a、b間の距離は既知であり、センサ1224、b間の距離は既知であるので、水位は容易に決定され得る。しかしながら、水位を測定するための他の好適なセンサが用いられてもよいことが理解されるであろう。
【0166】
図6に示されるように、システム110は、フローライン114a、bに結合された又はフローライン114a、bと動作可能に関連付けられたポンプ126を備える。
【0167】
ポンプ126は、フローライン114a、bを通して坑井孔112a、bから水成分Wa、bを引き込むように構成されている。
【0168】
例示のシステム110では、ポンプ26は、単相垂直遠心ポンプ、すなわち単相流体を取り扱うように構成されたポンプを含むか、又は単相遠心ポンプの形態をとる。
【0169】
有利には、システム110は、坑井孔12a、b内の水とメタンガスとの多相混合物Ma、bの水成分Wa、bを分離するように構成されており、したがって、第1のフローライン114a、bを通る流量に対してより優れた制御を提供するポンプ126などの単相ポンプを利用することができる。
【0170】
図6に示されるように、システム110はフローライン128a、bを備える。フローライン128a、bは、坑井孔112a、b内に配設され、フローライン128a、bの入口130a、bがメタンガスと水との多相混合物Ma、bのメタンガス成分Ga、b中に配設されてメタンガス成分Ga、bを受け取るように配置される。
【0171】
例示のシステム110では、フローライン128a、bの入口130a、bは、第2のフローライン128a、bの遠位端を形成する。
【0172】
しかしながら、入口130a、bは、例えば、代替的に又は追加的に、フローライン128a、b内に1つ以上の側方フローポートを含んでもよいことが理解されるであろう。また、システム110は、坑井孔112a、b毎に単一のフローライン128a、bを備えるが、システム110は、代替的に、坑井孔112a、b毎に複数のフローライン128a、bを備えてもよい。
【0173】
図6に示されるように、システム10は、フローライン128a、b上に設けられた又はフローライン128a、bと動作可能に関連付けられたフロー制御デバイス132a、bを備える。
【0174】
例示のシステム10では、流量制御デバイス132a、bは、可変流量制御デバイス、より具体的には可変チョークの形態をとる。
【0175】
システム110は、フローライン128a、b上に設けられた又はフローライン128a、bと動作可能に関連付けられた隔離弁134a、bを更に備える。
【0176】
図7は、
図6のシステムがどのように動作し得るかの例示的な論理図を示す。上述したように、システム110は2つの坑井孔112a、bを備えるが、システム110は任意の数の坑井孔を備えてもよい。追加の坑井孔は、
図7において#で表されている。
【0177】
図8は、ライザーRを介して容器Vに結合された、
図6に示されるメタンハイドレート生産のためのシステム110を備える坑井システム1000を示す。
【0178】
本明細書では、例を使用して、好ましい実施形態を含む本発明を開示し、またいずれの当業者も、任意のデバイス又はシステムを作製及び使用することと、任意の組み込まれた方法を行うことと、を含む、本発明を実施することを可能にする。本発明の特許を受けることができる範囲は、「特許請求の範囲」によって定義され、当業者に考え付く他の例も含まれ得る。このような他の実施例は、それらが「特許請求の範囲」の文字どおりの文言と異ならない構造的要素を有する場合、又は、「特許請求の範囲」の文字どおりの文言とほとんど相違がない同等の構造的要素を有する場合、「特許請求の範囲」の範囲内にあると意図される。説明された様々な実施形態からの態様、並びにそのような態様のそれぞれについての他の既知の均等物は、本出願の原理に従って追加の実施形態及び技法を構築するために、当業者によって混合及び適合され得る。
【国際調査報告】