(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-11
(54)【発明の名称】針誘導手段
(51)【国際特許分類】
A61B 17/34 20060101AFI20240304BHJP
【FI】
A61B17/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550193
(86)(22)【出願日】2022-02-11
(85)【翻訳文提出日】2023-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2022053321
(87)【国際公開番号】W WO2022179859
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】102021104222.4
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518414513
【氏名又は名称】メディカル テンプレイツ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェッツェル,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】モクリー-ホステットラー,ラファエル
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF42
4C160FF60
(57)【要約】
本発明は、患者に経皮的に導入される穿刺針を体内で位置決めするための針誘導手段に関し、患者とは反対側に配置可能な上側プレート要素と、患者に面して配置可能な下側プレート要素とを備え、これらのプレート要素は、互いに堅固に離隔され、穿刺針が誘導される複数の貫通穴をそれぞれに備える。
本発明は、上側および下側プレート要素がそれぞれ少なくとも2つのプレート要素部品に分離可能であり、少なくとも2つのプレート要素部品は、互いに接合されると、各プレート要素の貫通穴の全てを共同で画定することを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に経皮的に導入される穿刺針を体内で位置決めするための針誘導手段であって、
前記患者とは反対側に配置可能な上側プレート要素と、前記患者に面して配置可能な下側プレート要素とを備え、前記上側プレート要素および前記下側プレート要素は、互いに堅固に離隔され、前記穿刺針が誘導される複数の貫通穴をそれぞれに備え、
前記上側プレート要素および前記下側プレート要素は、それぞれ、少なくとも2つのプレート要素部品に分離可能であり、
前記少なくとも2つのプレート要素部品は、互いに接合されると、各プレート要素の前記貫通穴の全てを共同で画定する、針誘導手段。
【請求項2】
前記上側プレート要素の前記少なくとも2つのプレート要素部品は、前記上側プレート要素を囲む上側フレームに接続され、
前記下側プレート要素の前記少なくとも2つのプレート要素部品は、前記下側プレート要素を囲む下側フレームに接続され、
前記上側フレームおよび前記下側フレームは、連結構造を介して互いに堅固に接続されている、請求項1に記載の針誘導手段。
【請求項3】
前記少なくとも2つのプレート要素部品は、インターデジタルフィンガー構造に形成されている、請求項1または2に記載の針誘導手段。
【請求項4】
各プレート要素部品は、櫛状に形成されたフィンガー要素を有し、フィンガーの長手方向延長部はそれぞれ互いに平行に配向され、
前記フィンガー要素にそれぞれ沿って複数の半割貫通穴輪郭が配置され、前記少なくとも2つのプレート要素部品が互いに接合されると、それぞれ対になった2つの直接隣接するフィンガー要素の前記半割貫通穴輪郭のそれぞれが前記貫通穴を完全に画定する、請求項3に記載の針誘導手段。
【請求項5】
前記上側フレームおよび前記下側フレームは、少なくとも2つのフレーム部品に分離することができる、請求項2から4のいずれか一項に記載の針誘導手段。
【請求項6】
前記上側プレート要素の前記少なくとも2つのプレート要素部品は、前記上側フレームに取り外し可能に固定して接続することができ、前記下側プレート要素の前記少なくとも2つのプレート要素部品は、前記下側フレームに取り外し可能に固定して接続することができる、請求項2から5のいずれか一項に記載の針誘導手段。
【請求項7】
前記連結構造は、分離可能に形成されている、請求項2から6のいずれか一項に記載の針誘導手段。
【請求項8】
前記上側フレームおよび前記下側フレームは、それぞれ、互いに平行に配向されたフレーム平面にまたがり、
前記連結構造は、前記フレーム平面に直交するように配向された少なくとも2つの連結支柱を備える、請求項2から7のいずれか一項に記載の針誘導手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者に経皮的に導入される穿刺針を体内で位置決めするための針誘導手段に関し、患者とは反対側に配置可能な上側プレート要素と、患者に面して配置可能な下側プレート要素とを備え、これらのプレート要素は、互いに堅固に離隔され、穿刺針が誘導される複数の貫通穴をそれぞれに備える。
【背景技術】
【0002】
患者の身体の特定の部位に穿刺針を管理下で導入および位置決めする必要がある様々な医療状況が存在する。穿刺針としては、特に組織標本採取用の生検針が使用されている。これに加えて、身体内部の特定領域へ物質を管理下で投与するための注射針や、手術用スクリュまたは手術用ドリルのための誘導針が考慮されるようになってきた。同様に、穿刺針は、標的刺激のために内科的治療の範囲内で使用されている。これら全ての用途において、穿刺針の輪郭部分、主にその先端は、身体内部の所望の場所に配置する必要がある。さらに、穿刺針は管理下で導入される必要があり、すなわち、身体表面の穿刺部位および穿刺チャネルも、様々な基準に基づいて選択される。
【0003】
可能な限り正確な穿刺針の導入および/または位置決めが必要な場合、画像検査法の支援を借りて処置が行われる。このために、様々な導入および位置決め装置が既に提案されている。画像検査法としては、主として、X線断層撮影(CT)、蛍光透視法、3次元X線および磁気共鳴断層撮影(MRT)が利用されている。
【0004】
穿刺針の正確な位置決めおよび体内導入のための好ましい針誘導手段は、国際公開第2017/202590号に記載されている。公知の針誘導手段は針位置決めのために患者の皮膚面上に配置することができ、患者とは反対側に配置された上側プレート要素と、患者に面して配置された下側プレート要素とを有する。両方のプレート要素は、互いに堅固に離隔され、穿刺針が誘導される複数の貫通穴をそれぞれに備える。穿刺針の位置決め精度を向上させるために、プレート要素に存在する個々の貫通穴は、星形または枕形に形成された貫通穴輪郭を備え、角部にそれぞれ4つの支持部領域が配置され、その形状は、穿刺針が常に2つの対向する側面によって誘導され、各支持部領域内の中央に位置するように選択される。このようにして、一般に穿刺針の外径よりも著しく大きい寸法の貫通穴内で穿刺針が不用意に滑動することをできるだけ防止する。当然、貫通穴の構成に応じて、代替的な形状も考えられる。貫通穴内の潜在的な支持部領域の数を増やすために、例えば、星形の角部の数を増やすことにより、例えば、4つを超える配置可能性を穿刺針に提供することができる。
【0005】
上記で説明した針誘導手段は患者への穿刺針の正確な位置決めおよび導入に著しく寄与するが、体内における位置決めが行われた後の針誘導手段は、患者に対する特定のさらなる診断または治療処置にとって機械的障害物となり、これは、体外穿刺針部分の空間的範囲に沿って極めて注意深く引き抜くことによって患者から除去することができる。しかしながら、この処置は実施するのが極めて困難な摘出プロセスを必要とし、これは、各医師によって手作業で実施される。ただでさえ体外穿刺針領域の長手方向延長部における針誘導手段の不適切な引き抜きにより、穿刺針に対して横方向に向けられたわずかな力の影響は、最終的に体内穿刺針領域のずれを引き起こす可能性がある。さらに、例えば呼吸運動による対象の変位または移動によって、針が推奨された対象を外したことが制御画像で判明した場合などに、体内に導入された針を調整または修正することが必要であり得る。この場合も、針誘導手段の取り外しが有益であり、処置の安全性を高めることができる。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、患者に経皮的に導入される穿刺針を体内で位置決めするための針誘導手段をさらに発展させるという課題に基づくものであり、患者とは反対側に配置可能な上側プレート要素と、患者に面して配置可能な下側プレート要素とを備え、これらのプレート要素は、互いに堅固に離隔され、穿刺針が誘導される複数の貫通穴をそれぞれに備え、その結果、体内に配置されて位置決めされた穿刺針からの針誘導手段の引き抜きまたは取り外しを、患者にとって穏やかに、体内で位置決めされた穿刺針領域のずれの危険性を伴わずに行うことができる。
【0007】
本発明の基礎を形成する課題の解決手段は、請求項1に記載されている。本発明の概念を有利な方法でさらに発展させる特徴は、サブクレームの主題であり、特に例示の実施形態を参照の上、さらなる説明により導き出される。
【0008】
本解決手段によれば、請求項1のプリアンブルの特徴を有し、患者に経皮的に導入される穿刺針を体内で位置決めするための針誘導手段は、上側および下側プレート要素が、それぞれ、少なくとも2つのプレート要素部品に分離可能であり、少なくとも2つのプレート要素部品は、互いに接合されると、各プレート要素の貫通穴の全てを共同で画定することを特徴とする。
【0009】
好ましい実施形態では、上側プレート要素の少なくとも2つのプレート要素部品は、上側プレート要素を囲む上側フレームに接続される。同様に、下側プレート要素の少なくとも2つのプレート要素部品は、下側プレート要素を囲む下側フレームに接続される。さらに、両方のフレーム、すなわち、上部および下側フレームは連結構造を介して互いに堅固に接続され、これは、上側フレームおよび下側フレームを互いから分離することができるように、例えば、取り外し可能に固定された差し込み式接続部によって任意選択的に分離することができる。
【0010】
少なくとも2つのプレート要素部品は、一種のインターデジタルフィンガー構造に形成されることが好ましく、すなわち、各プレート要素は、それぞれ互いに平行に配向されたフィンガーの長手方向延長部を有する櫛状に形成されたフィンガー要素を有する。複数の半割貫通穴輪郭がフィンガー要素にそれぞれ沿って配置され、少なくとも2つのプレート要素部品が互いに接合されると、それぞれ対になった2つの直接隣接するフィンガー要素のそれぞれの半割貫通穴輪郭が、貫通穴を完全に画定するようになっている。
【0011】
第1の好ましい実施形態では、上側プレート要素の少なくとも2つのプレート要素部品は、上側フレームに取り外し可能に固定して接続することができ、下側プレート要素の少なくとも2つのプレート要素部品は、下側フレームに取り外し可能に固定して接続することができる。このようにして、フレームが静止している状態で、プレート要素毎に2つのプレート要素部品をフレームからそれぞれ取り外し、穿刺針からこれらを互いに別々に、可能な限り非接触または殆ど接触せずに、それぞれの分離により取り外すことが可能である。連結構造を介して互いに堅固に接続された2つのフレームは、さらに、体内に配置された穿刺針から非接触で引き抜くことができる。
【0012】
さらに好ましい実施形態は、上側および下側フレームが少なくとも2つのフレーム部品に分離することができることを提供する。この場合、それぞれ、各プレート要素の少なくとも2つのプレート要素部品を、それぞれのフレーム部品に固定して接続することができる。当然、この場合、それぞれの上側および下側プレート要素の少なくとも2つのプレート要素部品を、それぞれの上側および下側フレーム部品に取り外し可能に固定するように構成することも示唆される。
【0013】
上側および下側フレームを分離または分割することができる能力により、ここで分離されるフレーム部品は、反対方向に横方向に穿刺針から取り外すことができる。特に、穿刺針の近位端が連続したカテーテルに接続されている場合、上側および下側フレームが分離可能であることにより、近位側につながるカテーテルに沿った残りのフレーム構造の面倒な解体作業を回避することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明は、図面を参照して例示的な実施形態を用いて、本発明の概要を制限することなく、下記に例として説明される。
【
図2】個々の構成要素が互いに分離された針誘導手段の図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、穿刺針の位置決めおよび患者への導入を目的とする構造ユニットとして、本解決手段に従って構成された針誘導手段を示す。
図1には、患者も穿刺針も示されていない。図示の例示的な実施形態では、針誘導手段は、それぞれが正方形に構成された上側フレーム1と下側フレーム2とを有する。上側フレーム1および下側フレーム2は、上側および下側フレーム平面E1、E2にまたがっており、これらは空間的に平行かつ互いに直交方向に離隔して配置されている。上側および下側フレーム1、2は、4つのフレーム角部にそれぞれ堅固に形成された連結支柱3を有し、この連結支柱を介して、2つのフレーム1、2は、空間的に固定された所定の配置となる。4つ全てのフレーム支柱3が一緒になって、上側および下側フレーム1、2において堅固に接続する連結構造を形成する。上側フレーム1は、2つの接合領域5、6を介して上側フレーム1に接続された上側プレート要素4を囲んでいる。そうでない場合、上側プレート要素4は、フレーム1によって緩く囲まれている。上側プレート要素4は、格子状に配置された複数の個別の貫通穴7を有する。各貫通穴7は同一に構成され、それぞれ4つの角部領域を有する星形に形成された貫通穴輪郭を有する。貫通穴7の各角部領域は、穿刺針のための安定し、かつ空間的に画定された支持部領域を形成する。上側プレート要素は、上側プレート平面E1内で平行に延びている。
【0016】
同様に、下側プレート要素8は、2つの連結領域9、10を介して下側フレーム2に接続される。上側プレート要素4と同様に、下側プレート要素8は、格子状に配置された複数の貫通穴7を有する。
【0017】
本解決手段によれば、上側プレート要素4を少なくとも2つのプレート要素部品41、42に分離することができるとともに、下側プレート要素8を少なくとも2つのプレート要素部品81、82に分離することができる。
図2には、それぞれ上側プレート要素4および下側プレート要素8が分離された状態で示されている。上側プレート要素および下側プレート要素8は、それぞれ2つのプレート要素部品41、42または81、82から構成され、これらはインターデジタルフィンガー構造で形成されている。各プレート要素部品41、42、81、82は、櫛状に形成されたフィンガー要素Fを有し、フィンガーの長手方向延長部はそれぞれ互いに平行に配向され、複数の半割貫通穴輪郭71がフィンガー要素Fに沿って配置されている。フィンガー要素Fに沿ったそれぞれの半割貫通穴輪郭71が互いに接合されると、それぞれ2つの半割貫通穴輪郭が貫通穴7を完全に包囲する。
【0018】
各プレート要素部品41、42または81、82は、取り外し可能に固定された連結構造411、421、811、821を介して、上側フレーム1または下側フレーム2に接続することができる。
【0019】
必ずしもそうではないが、有利な形態では、上側フレーム1は、2つの差し込み式戻り止め接続部SRVを介して2つの上側フレーム部品11、12に分離することができる。
【0020】
同様の、必ずしもそうではないが有利な形態では、下側フレーム2もまた、2つの差し込み式戻り止め接続部SRVを介して2つの下側フレーム部品21、22に分離することができる。
【0021】
同様に、必ずしもそうではないが有利な形態では、全ての連結支柱3が分離可能に構成され、すなわち、各連結支柱3は、取り外し可能な差し込み機構を介して組み立てることができる2つの支柱セグメント31、32から構成される。
【符号の説明】
【0022】
1 上側フレーム
11、12 上側フレーム部品
2 下側フレーム
21、22 下側フレーム部品
3 連結支柱
31、32 支柱セグメント
4 上側プレート要素
41、42 上側プレート要素部品
411、421 連結構造
5 連結領域
6 連結領域
7 貫通穴
8 下側プレート要素
81、82 上側プレート要素部品
811、821 連結構造
9 連結領域
10 連結領域
71 半割貫通穴輪郭
E1 上側フレーム平面
E2 下側フレーム平面
F フィンガー要素
SRV 差し込み式戻り止め接続部
【国際調査報告】