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特表2024-510720安定なオイルボディ溶液を調製する低pH共抽出方法
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  • 特表-安定なオイルボディ溶液を調製する低pH共抽出方法 図1
  • 特表-安定なオイルボディ溶液を調製する低pH共抽出方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-11
(54)【発明の名称】安定なオイルボディ溶液を調製する低pH共抽出方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 25/00 20160101AFI20240304BHJP
   A23C 11/10 20210101ALI20240304BHJP
   A23L 23/00 20160101ALI20240304BHJP
【FI】
A23L25/00
A23C11/10
A23L23/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550229
(86)(22)【出願日】2022-02-25
(85)【翻訳文提出日】2023-10-05
(86)【国際出願番号】 EP2022054793
(87)【国際公開番号】W WO2022180211
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】21159743.0
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】サガロヴィツ, ローラン
(72)【発明者】
【氏名】シャファー, オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ハッソン, ジュワンロ
(72)【発明者】
【氏名】バロ, リリアン
(72)【発明者】
【氏名】ディオニシ, ファオビラ
(72)【発明者】
【氏名】ステューダー, マリアンヌ
【テーマコード(参考)】
4B001
4B036
【Fターム(参考)】
4B001AC01
4B001AC05
4B001AC20
4B001AC22
4B001BC03
4B001BC04
4B001BC07
4B001BC08
4B001BC12
4B001BC13
4B001DC50
4B001EC53
4B001EC99
4B036LE01
4B036LH09
4B036LH13
4B036LH15
4B036LH27
4B036LH29
4B036LP01
4B036LP05
4B036LP06
4B036LP07
4B036LP09
4B036LP17
4B036LP22
(57)【要約】
本発明は、オイルボディクリームの調製方法であって、a)i)種子材料とii)非種子植物材料又は種子抽出物材料との懸濁液を調製するステップと、b)懸濁液のpHを6.5~10に調整するステップと、c)懸濁液を機械的に破壊してスラリーを形成するステップと、d)スラリーを、6.5~10のpHを有する緩衝液で希釈するステップと、e)スラリーを濾過して、オイルボディ溶液を形成するステップと、f)pHを1.5~4、好ましくはpH2.7に調整するステップと、g)上部のオイルボディクリーム層を分離するステップと、h)任意選択で、オイルボディクリームを凍結乾燥させてオイルボディ粉末を形成するステップと、を含む、方法に関する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルボディクリームの調製方法であって、
a.i)種子材料とii)非種子植物材料又は種子抽出物材料との水相中懸濁液を調製するステップであって、前記種子材料と非種子植物材料又は種子抽出物材料とが50:50~95:5の乾燥重量比で存在する、ステップと、
b.前記懸濁液のpHを6より大きく、好ましくは6.5~10に調整するステップと、
c.前記懸濁液を機械的に破壊してスラリーを形成するステップと、
d.前記スラリーを、6.5~10のpHを有する緩衝液で希釈するステップと、
e.前記スラリーを濾過又は遠心分離して、オイルボディ溶液を形成するステップと、
f.pHを1.5~4、好ましくはpH2.7に調整し、例えば、溶液を沈降させるか又は遠心分離することによって、前記溶液に層を形成させるステップと、
g.オイルボディクリームを含む上層を分離するステップと、
h.任意選択で、前記オイルボディクリームを凍結乾燥させて、オイルボディ粉末を形成するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記種子材料が、13%~30%のタンパク質含有量及び8%~27%の炭水化物含有量を有し、前記非種子材料が、4%~25%のタンパク質含有量及び16%~35%の炭水化物含有量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記種子材料のオメガ3含有量が、前記種子材料の油含有量の10%~60%である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記種子材料及び前記非種子材料が、以下の植物源の組み合わせ:
a.チア及びチア種子粘質物、
b.ヘンプ及びカボチャ、又は
c.ヘンプ及びナツメヤシ、に由来する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップa)が、前記種子材料及び前記非種子材料を約pH6.5~pH10の緩衝液に別々に懸濁し、続いて混合して懸濁液を形成することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップa)における前記懸濁緩衝液が、90~120℃に加熱され、続いて4~30℃に冷却される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記懸濁緩衝液が、少なくとも1時間、4~30℃に冷却される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記懸濁緩衝液が、粉砕によって機械的に破壊されてスラリーを形成する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
(i)前記スラリーを、200μm以下の孔径を有するフィルターを使用して濾過し、第1の濾液から分離された第1のリテンテートを得る、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
(i)前記第1のリテンテートをpH6.5~10の緩衝液に添加し、200μm以下の孔径を有するフィルターを使用して濾過して、第2の濾液から分離された第2のリテンテートを得て、(ii)前記第1の濾液と第2の濾液とを合わせてオイルボディ溶液を形成する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ステップf)における前記溶液中のオイルボディの、静的光散乱を使用して測定された平均D[3;2]粒径が、4μm~26μmである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記オイルボディ溶液の総固形分%が、1%~15%である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の方法により得られた、オイルボディクリーム又はその粉末。
【請求項14】
オイルボディクリームであって、前記クリームが、静的光散乱を使用して測定される4μm~26μmの平均D[3;2]粒径を有するオイルボディを含み、前記溶液が1.5~4のpHを有する、オイルボディクリーム。
【請求項15】
請求項13又は14に記載のオイルボディクリーム又は粉末を含む食品製品であって、前記食品製品が、植物性ミルク、冷蔵代替乳製品、ソース、又はディップであり、前記冷蔵代替乳製品がヨーグルト類似物である、食品製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
序論
異味及び異臭を生じる脂質酸化は食品製品において強い制約となる。オイルボディは、植物において、主に種子及び堅果から生じる、天然の脂質貯蔵形態である。オイルボディは、球状の構造、並びにタンパク質、脂質及びリン脂質の固有の組み合わせを有する。この固有の構造は、脂質を酸化から保護し、また安定なエマルジョン特性を有する。
【0002】
オイルボディは、オメガ3脂肪酸などの多価不飽和脂肪酸(PUFA)を保護するために使用することができる。抽出された植物オイルボディ同士は比較的弱い静電反発力を有しており、この静電反発力により物理的に不安定となり、多くの食品において適用が制限される。
【0003】
オイルボディ調製物の安定性を改善するために、様々なタイプの成分がオイルボディ調製物に添加されてきた。Iwanaga et al,J.Agric.Food Chem.56:2240-2245(2008)は、ペクチンでコーティングされたオイルボディが、コーティングされていないオイルボディと比較して同様の又は改善された安定性を有することを報告している。国際公開第2017/066569号は、2つの異なる供給源からの異なるD50サイズ分布のオイルボディを含有するオイルボディ組成物に関する。オイルボディは別々に調製され、次いで、異なるサイズ分布のオイルボディを含有するオイルボディ調製物を有するように組み合わされる。オレオソーム調製物を安定化するために保存剤を使用することが提案されている。
【0004】
食品用途のためにオイルボディの完全性を維持する天然のクリーンラベルの安定化系を開発することに対する明確なニーズが存在する。
【0005】
[発明の概要]
本願発明者らは、先行技術の方法よりも長期間にわたってオイルボディの完全性を維持する天然の安定化系を開発した。この系は、最小限の処理で、食品用途のためPUFA酸化からの保護をもたらす。この系は、クリーンラベルである原材料リストという消費者による要求を満たし、レシチン及びマルトデキストリンなどの添加剤の使用を回避する。本発明は、種子と、タンパク質、多糖類及び抗酸化物質を豊富に含む植物原料との特定の組み合わせを使用して、物理的安定性及び化学的安定性の両方をもたらす。特に安定なオイルボディ溶液は、i)種子材料とii)非種子植物材料又は種子抽出物材料と、の以下の組み合わせ:チア及びチア種子粘質物、ヘンプ(hemp)及びカボチャ、並びにヘンプ及びナツメヤシ、を本発明の方法において使用した場合に得られた。
【0006】
第1の態様では、本発明は、オイルボディクリームの調製方法であって、
a.i)種子材料とii)非種子植物材料又は種子抽出物材料とを含む懸濁液を調製するステップと、
b.必要に応じて、懸濁液のpHを6より大きく、好ましくは6.5~10に調整するステップと、
c.懸濁液を機械的に破壊してスラリーを形成するステップと、
d.スラリーを、6.5~10のpHを有する緩衝液で希釈するステップと、
e.スラリーを濾過又は遠心分離して、オイルボディ溶液を形成するステップと、
f.pHを1.5~4、好ましくはpH2.7に調整するステップと、
g.上部のオイルボディクリーム層を分離するステップと、
h.任意選択で、オイルボディクリームを凍結乾燥させて、オイルボディ粉末を形成するステップと、を含む、方法に関する。
【0007】
第2の態様では、本発明は、本明細書に記載の方法によって得られた、オイルボディクリーム又はその粉末に関する。
【0008】
第3の態様では、本発明は、本明細書に記載されるオイルボディクリーム又はその粉末を含む、食品製品に関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】植物材料中に蓄積されたチアオイルボディである。
図2】ヘンプ-カボチャクリーム中のヘンプオイルボディである。
【0010】
[発明の態様]
本発明の方法は、液体処方物及び粉末処方物中で安定な植物抽出物の形成を可能にする。
【0011】
第1の態様では、本発明は、オイルボディクリームの調製方法であって、
i)種子材料とii)非種子植物材料又は種子抽出物材料とを含むスラリーを調製するステップであって、スラリーのpHが6より大きく、好ましくは6.5~10である、ステップと、スラリーを濾過又は遠心分離して、オイルボディ溶液を形成するステップと、pHを1.5~4、好ましくはpH2.7に調整し、例えば、溶液を沈降させるか又は遠心分離することによって、溶液に層を形成させるステップと、オイルボディクリームを含む上層を分離するステップと、任意選択で、オイルボディクリームを凍結乾燥させて、オイルボディ粉末を形成するステップと、を含む、方法に関する。
【0012】
更なる態様では、本発明は、オイルボディクリームの調製方法であって、
i)種子材料とii)非種子植物材料又は種子抽出物材料とを含む懸濁液を調製するステップであって、懸濁液のpHが6より大きく、好ましくは6.5~10である、ステップと、懸濁液を機械的に破壊してスラリーを形成するステップと、スラリーを濾過又は遠心分離して、オイルボディ溶液を形成するステップと、pHを1.5~4、好ましくはpH2.7に調整し、例えば、溶液を沈降させるか又は遠心分離することによって、溶液に層を形成させるステップと、オイルボディクリームを含む上層を分離するステップと、任意選択で、オイルボディクリームを凍結乾燥させて、オイルボディ粉末を形成するステップと、を含む、方法に関する。
【0013】
更なる態様では、本発明は、オイルボディクリームの調製方法であって、
i)種子材料とii)非種子植物材料又は種子抽出物材料とを含む懸濁液を調製するステップと、懸濁液のpHを6より大きく、好ましくは6.5~10に調整するステップと、懸濁液を機械的に破壊してスラリーを形成するステップと、スラリーを濾過又は遠心分離して、オイルボディ溶液を形成するステップと、pHを1.5~4、好ましくはpH2.7に調整し、例えば、溶液を沈降させるか又は遠心分離することによって、溶液に層を形成させるステップと、オイルボディクリームを含む上層を分離するステップと、任意選択で、オイルボディクリームを凍結乾燥させて、オイルボディ粉末を形成するステップと、を含む、方法に関する。
【0014】
更なる態様では、本発明は、オイルボディクリームの調製方法であって、
a.i)種子材料とii)非種子植物材料又は種子抽出物材料との水相中懸濁液を調製するステップであって、種子材料と非種子植物材料又は種子抽出物材料とが50:50~95:5の乾燥重量比で存在する、調製するステップと、
b.懸濁液のpHを6より大きく、好ましくは6.5~10に調整するステップと、
c.懸濁液を機械的に破壊してスラリーを形成するステップと、
d.スラリーを6.5~10のpHを有する緩衝液で希釈するステップと、
e.スラリーを濾過又は遠心分離して、オイルボディ溶液を形成するステップと、
f.pHを1.5~4、好ましくは約pH2.7に調整し、例えば溶液を沈降させるか又は遠心分離することによって、溶液に層を形成させるステップと、
g.オイルボディクリームを含む上層を分離するステップと、
h.任意選択で、オイルボディクリームを凍結乾燥させてオイルボディ粉末を形成するステップと、を含む、方法に関する。
【0015】
好ましくは、種子材料及び非種子植物材料は、異なる植物源に由来する。
【0016】
本方法で使用される種子及び非種子植物材料又は植物抽出物材料の特定の範囲のタンパク及び糖質の含有量は、オイルボディの安定化を改善する。いくつかの実施形態では、種子材料は、13%~30%のタンパク質含有量を有する。いくつかの実施形態では、種子材料は、8%~27%の炭水化物含有量を有する。いくつかの実施形態では、非種子植物材料又は植物抽出物材料は、4%~25%のタンパク質含有量を有する。いくつかの実施形態では、非種子植物材料又は植物抽出物材料は、16%~35%のタンパク質含有量を有する。
【0017】
いくつかの実施形態では、種子材料のオメガ3及びオメガ6の総含有量は、種子材料の総油含有量の10%~60%である。
【0018】
種子材料及び非種子又は原料の特定の組み合わせが、オイルボディ安定化の改善をもたらすことが見出された。
【0019】
好ましくは、種子材料は、植物源のヘンプ、チア、亜麻、ヒマワリ、ゴマ、スイカ、エグシ、菜種及びクルミに由来する。
【0020】
より好ましくは、種子材料は、ヘンプ、亜麻、及びチアに由来する。
【0021】
いくつかの実施形態では、非種子植物材料又は植物抽出物材料は、植物源のチア種子粘質物、カボチャ、プラム、クコ、ナツメ、アロエベラ、リンゴ、クリ、レンズマメ、フラジョレ、ヒヨコマメ、ムング豆、キノア、エンドウマメ、ソラマメ、インゲンマメ、黒豆及び白豆、ジャガイモの皮、オクラ、長芋(ignames)、タロイモ、ウスベニタチアオイ、並びにフェヌグリーク、イエローマスタード、バジル、タマリン、及びクレソン由来の粘質物から選択される。
【0022】
好ましくは、非種子植物材料又は植物抽出物材料は、植物原材料のチア種子粘質物、カボチャ、プラム、クリ、レンズマメ、フラジョレ、ムング豆、キノア、ソラマメ、インゲンマメ、黒豆及び白豆、オクラ、タロイモ、ウスベニタチアオイ、並びにフェヌグリーク、イエローマスタード、バジル、タマリン、及びクレソン由来の粘質物由来である。
【0023】
好ましくは、非種子材料又は種子抽出材料は、果実、例えば、プラム、ナツメヤシ、クコ、ナツメ、アロエベラ、及び/又はクリ由来である。プラムは、好ましくは新鮮なプラムである。ナツメヤシは、好ましくは新鮮なナツメヤシである。
【0024】
好ましくは、非種子材料は、豆果、例えば、カボチャ、オクラ、長芋、タロイモ、及び/又はウスベニタチアオイ由来である。カボチャは、好ましくは新鮮なカボチャである。
【0025】
好ましくは、非種子材料は、粘質物、例えばフェヌグリーク、イエローマスタード、バジル、タマリン、及び/又はクレソン由来の粘質物である。
【0026】
より好ましくは、非種子材料又は種子抽出材料は、植物源のチア種子粘質物、ナツメヤシ及びカボチャ由来である。好ましくは、チア種子粘質物は水抽出によって作製される。
特定の種子材料と非種子材料又は種子抽出物材料との組み合わせは、特に安定なオイルボディクリームを提供することが見出された。より好ましくは、種子材料と非種子材料又は種子抽出物材料とは、以下の植物源の組み合わせ:
i.チア及びチア種子粘質物、
ii.ヘンプ及びカボチャ、並びに
iii.ヘンプ及びナツメヤシ、に由来する。
【0027】
一実施形態では、種子材料と非種子材料又は種子抽出物材料とは、それぞれ、チア及びチア種子粘質物に由来する。一実施形態では、種子材料と非種子材料又は種子抽出物材料とは、それぞれ、ヘンプ及びカボチャに由来する。一実施形態では、種子材料と非種子材料又は種子抽出物材料とは、それぞれ、ヘンプ及びナツメヤシに由来する。
【0028】
いくつかの実施形態では、非種子材料は、カカオ粉末を更に含む。いくつかの実施形態では、非種子材料は、コーヒー粉末を更に含む。
【0029】
好ましくは、種子材料と非種子材料又は種子抽出物材料とは、約80:20の乾燥重量比で懸濁液中に存在する。好ましくは、種子材料と非種子材料又は種子抽出物材料との、緩衝液に対する比は、約1:6(w/v)である。
【0030】
いくつかの実施形態では、コーヒー粉末又はカカオ粉末は、機械的破壊の前に懸濁液に添加される。
【0031】
水相は、好ましくは緩衝液である。緩衝液は、任意のアルカリ性緩衝液、例えば、リン酸緩衝液又はNaCO緩衝液、例えば、約0.05MのNaCO緩衝液であり得る。好ましくは、緩衝液は約pH9.5である。
【0032】
ステップa)において、懸濁緩衝液は、例えば85℃~105℃で、例えば約95℃で、例えば約15分間熱処理され得る。
【0033】
好ましくは、種子材料と非種子材料又は種子抽出物材料とは、好ましくは約1時間、好ましくは室温で浸漬される。
【0034】
本発明の方法は、ブレンドステップ、熱処理ステップ、及び濾過ステップの組み合わせを用いる。先行技術の方法に対する利点は、オイルボディの完全性が維持され、熱処理がオイルボディ-タンパク質-多糖複合体を強化すると見られることである。
【0035】
いくつかの実施形態では、ステップa)は、種子材料と非種子材料又は種子抽出物材料とを約pH6.5~pH10の緩衝液に別々に懸濁させ、続いて混合して懸濁液を形成することを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、ステップa)の懸濁緩衝液は、90℃~120℃に加熱され、続いて4℃~30℃に冷却される。
【0037】
いくつかの実施形態では、懸濁緩衝液は、例えば、機械的に破壊してスラリーを形成する前に、少なくとも1時間、4℃~30℃に冷却される。
【0038】
いくつかの実施形態では、懸濁緩衝液は、粉砕によって機械的に破壊されてスラリーを形成する。
【0039】
いくつかの実施形態では、ステップe)において、スラリーを、200μm以下の孔径を有するフィルターを使用して濾過し、第1の濾液から分離された第1のリテンテートを得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、i)第1のリテンテートをpH1.5~4の緩衝液に添加し、200μm以下の孔径を有するフィルターを使用して濾過して、第2の濾液から分離された第2のリテンテートを得て、(ii)第1の濾液と第2の濾液とを合わせてオイルボディ溶液を形成する。
【0041】
本発明は更に、オイルボディクリーム又はその粉末、例えば、本明細書に記載の方法によって得られた、オイルボディクリーム又はその粉末に関する。好ましくは、オイルボディクリームは、10重量%~60重量%の油、好ましくは15重量%~60重量%の油を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、オイルボディクリームは、静的光散乱を使用して測定される4μm~26μmの平均D[3:2]粒径を有するオイルボディを含む。
【0043】
Dx(90)μm、Dx(50)μm、Dx(10)μmの平均粒径も静的光散乱を使用して測定した。一実施形態では、Dx(90)μmは50~500μmである。一実施形態では、Dx(50)μmは5~250mμである。一実施形態では、Dx(10)μmはμm1~55である。一実施形態では、スパンは1~10である。スパンは、本明細書に記載されるように定義される。好ましい粒径は、実施例に示される粒径からの変動が30%を超えない。
【0044】
好ましくは、静的光散乱は、Mastersizer 3000を使用して測定される。溶液中の全ての粒子のサイズを測定する。
【0045】
オイルボディクリームの%TS(総固形分)含有量を測定した。一実施形態では、オイルボディクリームの総固形分%は、25%未満、好ましくは1%~25%、好ましくは1%~20%、好ましくは1%~15%である。
【0046】
好ましくは、溶液は1.5~4のpHを有する。
【0047】
一実施形態では、オイルボディクリームは、発酵した植物ベースの製品、例えばヨーグルト代替物に変換される。一実施形態では、オイルボディクリームを含む植物組成物又はオイルボディクリームそのものが、少なくとも1つの細菌培養物と共に添加されて、発酵性混合物を形成する。細菌培養物は、1種又は複数種の乳酸産生細菌を含み得る。発酵性混合物は、例えば45℃で、例えば4時間~6時間維持される。
【0048】
本発明は更に、本明細書に記載のオイルボディクリーム又は粉末を含む、食品製品に関する。
【0049】
好ましくは、食品製品は、植物性ミルク、ソース、ディップ、アイスクリーム、菓子、冷蔵代替乳製品、及びベビーフード、好ましくは植物性ミルク、冷蔵代替乳製品、ソース、又はディップから選択される。冷蔵代替乳製品は、好ましくはヨーグルト類似物である。食品製品は、液体形態であっても粉末形態であってもよい。
【0050】
好ましくは、食品製品はベジタリアン食品製品又はビーガン食品製品である。
【0051】
[発明の詳細な説明]
組成が重量%(重量パーセント)を単位として本明細書に記載される場合、これは、別途記載のない限り、レシピ合計の重量%を意味する。
【0052】
本明細書で使用する場合、「約」は、数値範囲に含まれる複数の数を指すものと理解される。一実施形態では、「約」は、言及された数の-30%~+30%の範囲を指す。一実施形態では、「約」は、言及された数の-20%~+20%の範囲を指す。一実施形態では、「約」は、言及された数の-10%~+10%の範囲を指す。一実施形態では、「約」は、言及された数の-5%~+5%の範囲を指す。一実施形態では、「約」は、言及された数の-1%~+1%の範囲を指す。本明細書における全ての数値範囲は、その範囲内の全ての整数又は分数を含むと理解されるべきである。
【0053】
本明細書に記載される「機械的破壊」は、例えば、粉砕、微粉化、ハンマーミル粉砕、又はコロイドミル粉砕であり得る。
【0054】
体積基準のサイズ分布の「スパン」は、スパン=(D90-D10)/D50として定義される。スパン値は、10パーセント点と90パーセント点とがどの程度離れているかの指標を与え、中点で正規化される。
【0055】
用語「ビーガン」は、動物製品又は動物由来の製品を全く含まない食用組成物を指す。
【0056】
用語「ベジタリアン」は、魚などの食肉を含まない食用組成物を指す。
【0057】
典型的には、種子材料は13%~30%のタンパク質含有量を有する。例えば、チアは15%~24%のタンパク質含量を有し得、ヘンプは25%~30%のタンパク質含量を有し得る。
【0058】
典型的には、種子材料は8%~27%の炭水化物含有量を有する。例えば、チアは25%~41%の炭水化物含量を有し得、ヘンプは25%~27%の炭水化物含量を有し得る。
【0059】
チア、すなわちSalvia hispanica L.は、オメガ3脂肪酸が豊富な食物であるその種子のために商用栽培されている一年生植物である。チアの遺伝子型は多数あるが、主に2種類、すなわち黒チア及び白チアが存在する。黒チア及び白チアの組成は異なり得る(Tzotzol(黒チア)では油分32%、Iztac II(白チア)では油分27%)。脂肪含有量は、30g~34g/100gであり得る。オメガ3含有量は、約17%であり得る。オメガ6含有量は、約5%であり得る。飽和脂肪含有量は、約3.3g/100gであり得る。
【0060】
典型的には、非種子植物材料又は植物抽出物材料は、4%~25%のタンパク質含有量を有する。カボチャは、約10%のタンパク質含有量を有し得る。
【0061】
典型的には、非種子植物材料又は植物抽出物材料は、16%~35%のタンパク質含有量を有する。カボチャは、約25%の炭水化物含有量を有し得る。
【0062】
以下の原料:豆類(レンズマメ、フラジョレ、ヒヨコマメ、ムング豆、キノア、エンドウマメ、ソラマメ、インゲンマメ、黒豆及び白豆)、豆果(ジャガイモの皮)、及び種子(モリンガ、オート麦)、より好ましくは、豆類(レンズマメ、フラジョレ、ムング豆、キノア、ソラマメ)、豆果(オクラ)、及び種子(モリンガ、オート麦)は、チアオイルボディを安定化するのに適し得る。例えば、レンズマメが特に適している。
【0063】
以下の原料:果実(プラム、クコ、ナツメ、アロエベラ、リンゴ、クリ、豆果(カボチャ、オクラ、長芋、タロイモ、ウスベニタチアオイ)、及び種子(フェヌグリーク、イエローマスタード、バジル、タマリン、クレソン)、より好ましくは果実(プラム、クリ、豆果(カボチャ、オクラ、タロイモ、ウスベニタチアオイ)、及び種子(フェヌグリーク、イエローマスタード、バジル、タマリン、クレソン)は、ヘンプオイルボディの安定化に適し得る。例えば、カボチャが特に適している。
【0064】
種子材料のオメガ3含有量は、好ましくは種子材料の油含有量の10%~60%である。非種子植物材料又は植物抽出物材料のオメガ3含有量は、好ましくは非種子植物材料又は植物抽出物材料の油含有量の10%~60%である。
【0065】
典型的には、種子材料のオメガ6含有量は、種子材料の油含有量の15%~65%である。
【0066】
本発明は、オイルボディクリームの調製方法であって、a)チア材料とチア種子粘質物材料との懸濁緩衝液を調製するステップであって、チア材料及びチア種子粘質物材料が、50:50~95:5、好ましくは約80:20の乾燥重量比で緩衝液中に存在する、ステップと、b)懸濁液のpHを6.5~10、好ましくは約9.5に調整するステップと、c)懸濁液を機械的に破壊してスラリーを形成するステップと、d)スラリーを、6.5~10、好ましくは約9.5のpHを有する緩衝液で希釈するステップと、e)スラリーを濾過又は遠心分離して、オイルボディ溶液を形成するステップと、f)pHを1.5~4、好ましくは約pH2.7に調整し、例えば溶液を沈降させるか又は遠心分離することによって、溶液に層を形成させるステップと、g)オイルボディクリームを含む上層を分離するステップと、h)任意選択で、オイルボディクリームを凍結乾燥させてオイルボディ粉末を形成するステップと、を含む、方法に関する。
【0067】
本発明は、オイルボディクリームの調製方法であって、a)ヘンプ材料とカボチャ材料との懸濁緩衝液を調製するステップであって、ヘンプ材料及びカボチャ材料が、50:50~95:5、好ましくは約80:20の乾燥重量比で緩衝液中に存在する、ステップと、b)懸濁液のpHを6.5~10、好ましくは約9.5に調整するステップと、c)懸濁液を機械的に破壊してスラリーを形成するステップと、d)スラリーを、6.5~10、好ましくは約9.5のpHを有する緩衝液で希釈するステップと、e)スラリーを濾過又は遠心分離してオイルボディ溶液を形成するステップと、f)pHを1.5~4、好ましくは約pH2.7に調整し、溶液を例えば沈降させるか又は遠心分離することによって、層を形成させるステップと、g)オイルボディクリームを含む上層を分離するステップと、h)任意選択で、オイルボディクリームを凍結乾燥させてオイルボディ粉末を形成するステップと、を含む、方法に関する。
【0068】
本発明は、オイルボディクリームの調製方法であって、a)ヘンプ材料とナツメヤシ材料との懸濁緩衝液を調製するステップであって、ヘンプ材料及びナツメヤシ材料が、50:50~95:5、好ましくは約80:20の乾燥重量比で緩衝液中に存在する、ステップと、b)懸濁液のpHを6.5~10、好ましくは約9.5に調整するステップと、c)懸濁液を機械的に破壊してスラリーを形成するステップと、d)スラリーを、6.5~10、好ましくは約9.5のpHを有する緩衝液で希釈するステップと、e)スラリーを濾過又は遠心分離してオイルボディ溶液を形成するステップと、f)pHを1.5~4、好ましくは約pH2.7に調整し、溶液を例えば沈降させるか又は遠心分離することによって、層を形成させるステップと、g)オイルボディクリームを含む上層を分離するステップと、h)任意選択で、オイルボディクリームを凍結乾燥させてオイルボディ粉末を形成するステップと、を含む、方法に関する。
【0069】
ステップa)において使用される温度範囲は、90℃~100℃、又は92℃~98℃、又は94℃~96℃、又は約95℃である。抽出のために使用される温度範囲は4℃~30℃、好ましくは約20℃である。保存のために使用される温度範囲は4℃~12℃である。オイルボディクリームを凍結乾燥させて粉末を形成してもよい。
【0070】
本発明はまた、本明細書に記載の方法によって得られた、オイルボディクリーム又はその粉末に関する。オイルボディクリームは、植物源のヘンプ、チア、亜麻、ヒマワリ及びクルミ由来の種子材料と、植物源のカボチャ、プラム、クコ、ナツメ、アロエベラ、リンゴ、クリ、レンズマメ、フラジョレ、ヒヨコマメ、ムング豆、キノア、エンドウマメ、ソラマメ、インゲンマメ、黒豆及び白豆、ジャガイモの皮、オクラ、長芋、タロイモ、ウスベニタチアオイ由来の非種子原料又は種子抽出物材料、並びにフェヌグリーク、イエローマスタード、バジル、タマリン、及びクレソンからの粘質物由来の非種子原料又は種子抽出物材料とから製造される。
【0071】
好ましくは、種子材料と非種子植物材料又は種子抽出物材料とは、以下の植物源の組み合わせ:チア及びチア種子粘質物、ヘンプ及びカボチャ、並びにヘンプ及びナツメヤシ、に由来する。
【0072】
好ましくは、オイルボディクリームは、4μm~26μmの平均D[3:2]粒径を有するオイルボディを含む。好ましくは、クリームは1.5~4のoH、好ましくは約2.7のpHを有する。
【0073】
一実施形態では、Dx(90)μmは50μm~500μmである。一実施形態では、Dx(50)μmは5μm~250μmである。一実施形態では、Dx(10)μmは1μm~55μmである。一実施形態では、スパンは1~10である。スパンは、本明細書に記載されるように定義される。所与のオイルボディクリームに対する好ましい粒径は、実施例に示されるD[3:2]の粒径からの変動が30%を超えないものとすべきである。
【0074】
本発明はまた、本明細書に記載のオイルボディクリーム又は粉末を含む、食品製品に関する。好ましくは、食品製品は、スムージー、植物性ミルク、ソース、ディップ、アイスクリーム、菓子、冷蔵代替乳製品、及びベビーフードから選択される。
【0075】
食品製品は、スムージーと混合されたチア粘質物フレッシュクリームであってもよく、該スムージーは、リンゴ、パイナップル、キウイ、丸ごとのブドウ及びレモンジュースから作製される。
【0076】
食品製品は、液体形態であっても粉末形態であってもよい。
【0077】
[実施例]
実施例1:チア多糖類の製造
100gのチア種子を容器中の500mLの脱イオン水に添加した。チア多糖類を超音波によって抽出した(30分の間、超音波パルスを各回5秒間かけ、それぞれのパルス間には10秒間の中断をおく)。種子からの多糖類溶液を、ストレーナーを用いて分離した。多糖類溶液は、新鮮なもの、又は凍結し、凍結乾燥し、-20℃で保存したもの、のいずれかを使用した。
【0078】
実施例2:遠心分離を伴わない低pHでのチア種子及びチア種子粘質物からのオイルボディ溶液の製造
チア種子及びチア種子粘質物(比率80:20)を0.05MのNaCO緩衝液pH9.5(1M HClで調整)に懸濁し(比率1:6、w/v)、水浴にて95℃で15分間熱処理した。次いで、それらを室温で1時間浸漬した。Waringブレンダーを速度1(1800rpm)(Waring Blendor、米国)で使用して、得られたスラリーを30秒間粉砕した。pH9.5のNaCO緩衝液を添加して、1:10w/vに到達させる。Heidolphオーバーヘッドミキサー(RZR 2021、ドイツ)を使用して混合物を室温で1時間混合し、次いで、孔径200μmのチーズクロスを使用して濾過した。リテンテートを再び上記のように、すなわち、NaCO緩衝液と室温で30分間混合した後(比率1:4、w/v)濾過して抽出した。2つの濾液を一緒にまとめ、pHを2.7に調整して(1MのHClを使用)、最終的なオイルボディ溶液を得た。最終的なオイルボディ溶液を水浴にて95℃で10分間熱処理した後、室温で静置した。最終的なオイルボディ溶液を4℃で保存するか、又は凍結乾燥して得られた粉末を4℃で保存した。
【0079】
【表1】
【0080】
実施例3:低pHでのチア種子及びチア種子粘質物からのオイルボディクリームの製造
チア種子及びチア種子粘質物(比率80:20)を0.05MのNaCO緩衝液pH9.5(1M HClで調整)に懸濁し(比率1:6、w/v)、水浴にて95℃で15分間熱処理した。次いで、それらを室温で1時間浸漬した。Waringブレンダーを速度1(1800rpm)(Waring Blendor、米国)で使用して、得られたスラリーを30秒間粉砕した。pH9.5のNaCO緩衝液を添加して、1:10w/vに到達させた。Heidolphオーバーヘッドミキサー(RZR 2021、ドイツ)を使用して混合物を室温で1時間混合し、次いで、孔径200μmのチーズクロスを使用して濾過した。pHを、1MのHClで2.7に調整した。乳を遠心分離した(7000rpm、4℃で10分間)。ストレーナー(台所で一般的に使用されているストレーナー)を使用して、トップクリームを液体及び「ケーキ」から分離した。リテンテートをここでもまた上記のように抽出した。すなわち、NaCO緩衝液(比率1:4、w/v)と室温で30分間混合し、次いで濾過し、pHを2.7に調整し、同じパラメータに従って遠心分離した。2つのクリームを合わせ、最終的なオイルボディクリームを得た。最終的なオイルボディクリームを4℃で保存するか、又は凍結乾燥して得られた粉末を4℃で保存した。
【0081】
チア粘質物のフレッシュクリームを、例えば、リンゴ、パイナップル、キウイ、丸ごとのブドウ及びレモンジュースから作製したスムージーと混合した。スムージーのω-3供給源を得るために、1.1gのフレッシュクリーム(0.3gのα-リノレン酸を含有する)を100gのスムージーに添加する。ω-3を豊富に含むスムージーを得るために、2.2gのフレッシュクリーム(0.6gのα-リノレン酸を含有する)を100gのスムージーに添加する。次いで、混合溶液を90℃で2分間パスチャライズし、40℃で4週間保存した。
【0082】
【表2】
【0083】
実施例4:ヘンプ及びカボチャからのオイルボディクリームの製造
ヘンプ種子及び新鮮なカボチャ(比率80:20)を、0.05MのNaCO緩衝液pH9.5(1MのHClで調整)に懸濁し(比率1:6、w/v)、水浴にて95℃で15分間熱処理した。次いで、それらを室温で1時間浸漬した。Waringブレンダーを速度1(1800rpm)(Waring Blendor、米国)で使用して、得られたスラリーを30秒間粉砕した。pH9.5のNaCO緩衝液を添加して、1:10w/vに到達させる。Heidolphオーバーヘッドミキサー(RZR 2021、ドイツ)を使用して混合物を室温で1時間混合し、次いで、孔径200μmのチーズクロスを使用して濾過した。リテンテートをここでもまた上記のように、すなわち、NaCO緩衝液と室温で30分間混合し(比率1:4、w/v)、次いで濾過した。2つの濾液を一緒にまとめた。pHを2.7に調整する(1MのHClを使用)。溶液を遠心分離した(7000rpm、4℃で10分間)。最終的なオイルボディクリームを4℃で保存するか、又は凍結乾燥して得られた粉末を4℃で保存した。
【0084】
実際に使用したヘンプ種子及び新鮮なカボチャの量:200gの新鮮なカボチャと80gのヘンプ種子との組み合わせ(10%乾燥物質、200gの新鮮なカボチャからの総乾燥物質:20g)。
【0085】
【表3】
【0086】
ヘンプ-カボチャフレッシュクリームは、レッドペッパーソース又はグリーンペッパーソースと混合されてもよい。ソースは、所望の味が得られるまでヘンプ-カボチャクリームに一滴ずつ添加する。
【0087】
実施例5:ヘンプ種子、カカオ粉末及びナツメヤシからのオイルボディクリームの製造
ヘンプ種子、カカオパウダー及びナツメヤシ(比率80:10:10)をpH7.5の水(1M HCLで調整)(比率1:6、w/v)に懸濁し、水浴にて95℃で15分間熱処理した。Waringブレンダーを速度1(1800rpm)(Waring Blendor、米国)で使用して、得られたスラリーを30秒間粉砕した。Heidolphオーバーヘッドミキサー(RZR 2021、ドイツ)を使用して混合物を室温で1時間混合し、次いで、孔径200μmのチーズクロスを使用して濾過した。pHを2.7に調整した(1MのHClを使用)。溶液を遠心分離した(2000rpm、4℃で3分間)。オイルボディクリームは、ココア風味及びクリーミーなテクスチャーを有する。最終的なオイルボディクリームを4℃で保存するか、又は凍結乾燥して得られた粉末を4℃で保存する。
【0088】
実施例6:ヘンプ種子、コーヒー粉末及びナツメヤシからのオイルボディクリームの製造
ヘンプ種子、焙煎し挽いたコーヒー、及びナツメヤシ(比率85:5:10)をpH7.5の水(1M HCLで調整)(比率1:6、w/v)に懸濁し、水浴にて95℃で15分間熱処理した。Waringブレンダーを速度1(1800rpm)(Waring Blendor、米国)で使用して、得られたスラリーを30秒間粉砕した。Heidolphオーバーヘッドミキサー(RZR 2021、ドイツ)を使用して混合物を室温で1時間混合し、次いで、孔径200μmのチーズクロスを使用して濾過する。pHを2.7に調整した(1MのHClを使用)。溶液を遠心分離した(2000rpm、4℃で3分間)。オイルボディクリームはコーヒー風味とクリーミーなテクスチャーを有していた。最終的なオイルボディクリームを4℃で保存するか、又は凍結乾燥して得られた粉末を4℃で保存した。
図1
図2
【国際調査報告】