(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-11
(54)【発明の名称】床領域上の格納装置を取り扱う移動式格納システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20240304BHJP
【FI】
B65G1/04 565
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550573
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 EP2022053963
(87)【国際公開番号】W WO2022179932
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516231257
【氏名又は名称】ウィール.ミー アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【氏名又は名称】佐々木 敬
(72)【発明者】
【氏名】ティメネス,アットレ
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022EE02
3F022FF24
3F022JJ11
3F022LL07
3F022MM01
3F022MM11
3F022MM24
3F022PP06
3F022QQ03
3F022QQ17
(57)【要約】
最小限の床スペースを占有しながら、床領域上の格納装置(15)を取り扱う格納システム(10)は、各々が1つ以上の格納装置(15)を搬送するように適合され、二次元のコンパクトなパズル型構成において一緒に配置された搬送アセンブリ(20)のセットを含んでいる。各搬送アセンブリ(20)は、搬送体(30)と、搬送体(30)に接続された少なくとも4つの自律転動装置(40)を含み、各転動装置(40)は、駆動手段と、通信手段と、センサとを含み、前記格納システム(10)に含まれる中央制御ユニット(50)によって制御されたときに自律動作を行い、中央制御ユニット(50)は、中央制御ユニット(50)に接続されたデータベース(70)に格納された各搬送体(30)の位置情報と転動装置(40)に送信される制御コマンドに従って、二次元のコンパクトなパズル型構成において、搬送アセンブリ(20)のセットを配置し再配置するためのコンピュータプログラム製品を含んでいる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最小限の床スペースを占有しながら、床領域上の格納装置(15)を取り扱う格納システム(10)であって、各々が1つ以上の格納装置(15)を搬送するように適合され、二次元のコンパクトなパズル型構成において一緒に配置された搬送アセンブリ(20)のセット(25)を含み、
各搬送アセンブリ(20)は、搬送体(30)と、前記搬送体(30)上に搭載されたインターフェース要素(45)とを備え、各インターフェース要素(45)は、自律転動装置(40)を受け入れて接続するように適合され、
少なくとも4つの自律転動装置(40)が前記搬送体(30)に接続され、各転動装置(40)は、駆動手段と、通信手段と、センサとを含み、前記格納システム(10)に含まれる中央制御ユニット(50)によって制御されたときに自律動作を行い、
前記中央制御ユニット(50)は、前記中央制御ユニット(50)に接続されたデータベース(70)に格納された各搬送体(30)の位置情報と前記転動装置(40)に送信される制御コマンドに従って、前記二次元のコンパクトなパズル型構成において、前記搬送アセンブリ(20)のセット(25)の各搬送アセンブリ(20)を配置および再配置するためのコンピュータプログラム製品を含む、格納システム。
【請求項2】
格納装置(15)が、1つ以上の容器、棚システム、またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載の格納システム(10)。
【請求項3】
前記搬送体(30)は、前記格納装置(15)を前記搬送体(30)に固定するための接続手段(55a、55b、55c)を備える、請求項1に記載の格納システム(10)。
【請求項4】
前記中央制御ユニット(50)に接続された制御装置(80)をさらに備える、請求項1に記載の格納システム(10)。
【請求項5】
各々が格納装置(15)を搬送するように適合された搬送アセンブリ(20)のセット(25)を設け、前記搬送アセンブリ(20)を二次元のコンパクトなパズル型構成において一緒に配置することにより、最小限の床スペースを占有しながら、床領域上の格納装置(15)を取り扱う格納システム(10)を提供する方法であって、
搬送体(30)上にインターフェース要素(45)を搭載することにより各搬送アセンブリ(20)を提供し、各インターフェース要素(45)は、自律転動装置(40)を受け入れて接続するように適合され、少なくとも4つの自律転動装置(40)を各搬送体(30)に接続し、各転動装置(40)は、駆動手段と、通信手段と、センサとを備えて自律的に駆動および制御され、
受信された入力命令に従って制御コマンドを送信することによって各搬送アセンブリ(20)の移動を制御するためのコンピュータプログラム製品を中央制御ユニット(50)に備え、
前記中央制御ユニット(50)に接続されたデータベース(70)に格納された各搬送体(30)の位置情報と前記転動装置(40)に送信された制御コマンドに従って、前記二次元のコンパクトなパズル型構成における前記搬送アセンブリ(20)のセット(25)の各搬送アセンブリ(20)を配置および再配置する方法。
【請求項6】
前記搬送アセンブリ(20)によって搬送される前記格納装置として、1つ以上の容器、棚システム、またはこれらの組み合わせを提供する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記搬送体(30)上に設けられた接続手段(55a、55b、55c)により、格納装置を搬送アセンブリ(20)に固定する請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記中央制御ユニット(50)に接続された制御装置(80)から前記中央制御ユニット(50)に命令を送信する請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
中央制御ユニット(50)上で実行されると、搬送体(30)に接続されてともに格納システムの搬送アセンブリ(20)を構成する、自律動作転動装置(40)の移動を制御するコンピュータプログラム製品であって、前記搬送アセンブリ(20)は、二次元のコンパクトなパズル型構成において搬送アセンブリ(20)のセット(25)として配置され、前記自律動作転動装置(40)の移動は、データベース(70)に格納された位置情報と制御装置(80)から受信した入力コマンドに従って制御される、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を格納するための格納システムおよび方法に関し、特に、最小限の床スペースを占有しながら床領域上の格納装置を取り扱うための移動式格納システムに関する。
【背景技術】
【0002】
物品を格納することは、スペースの割り当てを必要とする。不動産は有限であり、不動産価格は、人が生活する都市に近い地域で高騰している。同時に企業は、特にオンライン販売において、リードタイムを短縮することを望む。格納のために必要な領域は迅速な取り出しと相俟って高いコストを伴い、これは、特に小中規模の店舗にとって難題をもたらす。通常、在庫管理は、コンパクトな格納と物品のアクセスし易さとのトレードオフである。
【0003】
別の観点は、オーダーピッキング(注文品摘取)作業が労働集約的であることである。一般に、オーダーピッキングは、典型的な倉庫における全ての運転コストの55%を示す。このことは、棚間での搬送に多くの時間を使って在庫をピッキングするピッカー(摘取者)の代わりに、ピッキングステーションにおいてロボットによってピッカーに在庫品が運ばれるピッキングシステムの動機付けとなった。
【0004】
近年、格納容器が積み重ねられて格子構造に列をなして格納される、様々な大規模格納システムが存在する。格納容器は、ロボットによってピッキングされると共に取り扱われ、格子構造の上を走行し、ピッキングステーションに配送される。このようなシステムは高価であり大規模格納に適している。
【0005】
また、より小規模な格納を目的とする格納システムも存在し、これは一般的に格納領域が限られている。そのようなシステムの例としては、荷物を搬送する移動プラットフォームに基づくロボット式移動フルフィルメントシステムおよびパズル型格納システムが挙げられる。パズル型格納システムは、有名なゲームである15パズルから着想されたものであり、4×4格子内の15個の番号付けされたタイルを順番に配列し、1つだけ空いているスロットに隣接するタイルをスライドさせることができるようにすることを目的としている。
【0006】
特許文献1には、パレットに載置されたり、容器に収納された物品などの荷物を取り扱うためにホイール上を走行する移動プラットフォームに基づくパズル型格納システムの一例が記載されている。各プラットフォームは、幾つかの複雑な機械部品を含んでいる。
【0007】
特許文献2は、軌道上を走行する自動パレットを備えたロボットシステムの一例を説明する。この解決策において、軌道は、パレットが作動する領域に設置されなければならず、パレットは軌道の外側を移動することができない。
【0008】
床領域上の格納装置を搬送する先行技術のシステムは、比較的複雑かつ高価である。移動プラットフォームが破損した場合には、プラットフォーム全体を交換しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2003/068657号
【特許文献2】国際公開第1998/31579号
【特許文献3】ノルウェー特許出願第20201025号明細書
【特許文献4】欧州特許第3355148号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、より順応性に富み費用効果が高い解決策を提供することにより、先行技術のシステムの欠点を軽減するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本出願人は、自律的に駆動されるホイールを可能にするロボット技術を最近開発した。本発明は、自律ホイールによって可能とされたパズル型移動プラットフォームを組み合わせ、コンパクトで、順応性に富み、費用効果の高い格納システムを構成する。
【0012】
本発明は、最小限の床スペースを占有しながら、床領域上の格納装置を取り扱うように適合された格納システムによって定義される。格納システムは、搬送アセンブリのセットを含み、各搬送アセンブリは、1つ以上の格納装置を搬送するように適合され、搬送アセンブリのセットは、二次元のコンパクトなパズル型構成において一緒に配置される。
【0013】
各搬送アセンブリは、搬送体と、搬送体上に搭載されたインターフェース要素とを備え、各インターフェース要素は、自律転動装置を受け入れて接続するように適合されている。
少なくとも4つの自律転動装置が各搬送体に接続されている。各転動装置は、駆動手段と、通信手段と、センサとを含み、格納システムに含まれる中央制御ユニットによって制御されたときに、自律動作を行う。
【0014】
中央制御ユニットは、中央制御ユニットに接続されたデータベースに格納された各搬送体の位置情報および転動装置に送信される制御コマンドに従って、二次元のコンパクトなパズル型構成において、搬送アセンブリのセットの各搬送アセンブリを配置および再配置するためのコンピュータプログラム製品を含んでいる。
【0015】
格納システムのさらなる特徴は、特許請求の範囲に記載されている。
【0016】
本発明は、さらに、最小限の床スペースを占有しながら、床領域上で格納装置を取り扱う格納システムを提供するための方法によって定義される。この方法は、各々が格納装置を搬送するように適合された搬送アセンブリのセットを提供することと、これら搬送アセンブリを二次元のコンパクトなパズル型構成において一緒に配置することを含んでいる。
【0017】
この方法は、さらに、インターフェース要素を搬送体上に搭載することによって各搬送アセンブリを提供すること、各インターフェース要素は、自律転動装置を受け入れて接続するように適合され、各搬送体に少なくとも4つの自律転動装置を接続すること、各転動装置は、駆動手段と、通信手段と、センサとを備えて自律的に駆動および制御され、受信した入力命令に従って制御コマンドを送信することによって各搬送アセンブリの移動を制御するためのコンピュータプログラム製品を中央制御ユニットに設けること、中央制御ユニットに接続されたデータベースに格納された各搬送体の位置情報および転動装置に送信された制御コマンドに従って、二次元のコンパクトなパズル型構成において、搬送アセンブリのセットの各搬送アセンブリを配置および再配置することにより、定義される。
【0018】
本方法のさらなる特徴は、特許請求の範囲に記載されている。
【0019】
本発明はまた、中央制御ユニット上で実行されると、搬送体に接続されてともに格納システムの搬送アセンブリを構成する、自律動作転動装置の移動を制御するコンピュータプログラム製品によって定義される、搬送アセンブリは、二次元のコンパクトなパズル型構成において搬送アセンブリのセットとして配置され、自律動作転動装置の移動が、データベースに格納された位置情報と、制御装置から受信した入力コマンドに従って、コンピュータプログラムによって制御される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】搬送アセンブリ上に載置された格納装置を備えた格納システムの一例を示す図である。
【
図2】搬送アセンブリのセットを備えた二次元のパズル型構成を示す図である。
【
図3】搬送アセンブリに含まれる搬送体の一例を示す図である。
【
図4】搬送アセンブリに含まれる搬送体の別の例を示す図である。
【
図5】搬送アセンブリの転動装置と中央制御ユニットとの間の通信構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して本発明をより詳細に説明する。本発明は、最小限の床スペースを占める格納装置を取り扱う格納システムに関する。
【0022】
格納システムは、搬送アセンブリのセット(または一式または群)を提供することによって構成され、各搬送アセンブリは、格納装置を搬送するように適合されている。搬送アセンブリは、二次元のコンパクトなパズル型構成において一緒に配置され、搬送体に接続された少なくとも4つの自律駆動転動装置を備えている。各転動装置には固有のIDが付与されている。このようにして、全ての転動装置は固有の移動命令を受信し、個々の状態情報を送信することができる。
【0023】
中央制御ユニットは、搬送アセンブリのセットの各搬送アセンブリを移動および再配置するために、制御コマンドを転動装置に送信する。
【0024】
搬送アセンブリの再配置は、特定の格納装置を配送ポイントに要求することによって開始される。中央制御ユニット内のアルゴリズムは、要求された格納装置を搬送する搬送アセンブリがパズル型構成を介して配送ポイントに到達する最適なルートを提供するように構成されている。配送ポイントは、パズル型構成の境界におけるアクセス可能な位置であってもよく、または、パズル型構成の外側の設定位置であってもよい。この場合は、要求された格納装置を有する搬送アセンブリは、パズル型構成を出発して、設定位置に向かうことになる。
【0025】
図1は、二次元のコンパクトなパズル型構成において搬送アセンブリ20のセットとして配置された搬送アセンブリ20上に載置された格納装置15を有する格納システム10の一例を示している。この例に示されるように、搬送アセンブリ20を互いに密接して載置し維持することにより、最小限の床スペースが占有される。
【0026】
搬送アセンブリ20に載置された搬送装置15は、物品を保持して格納するための任意の装置とすることができる。そのような例には、箱、抽斗システム、棚システムなどがある。これらを組み合わせ、例えば、搬送アセンブリ20上に載置された格納装置15を、棚システムと抽斗システムとの組み合わせとすることができる。
【0027】
図2は、搬送アセンブリ20が二次元構成においてどのように載置されるかをより明確に示している。図から分かるように、1つの搬送アセンブリ20が欠落している。これにより、搬送アセンブリのセット25の各搬送アセンブリ20を二次元構成内の全ての位置に再配置することが可能となる。これはパズル型構成として知られている。
【0028】
図は、4×4格子内の15個の番号付けされた搬送アセンブリを備えたパズル型構成を示し、1つのスロットだけが空であり、その空のスロットに隣接する搬送アセンブリをスライドさせることができる。目的は、タイルを空のスロットに移動させることにより、番号付けされた搬送アセンブリを順番に配置することである。この順番がどのように確立されるかは、先行技術のパズル型システムから周知であり、ここではさらに説明しない。
【0029】
パズル型構成から1つよりも多くの搬送アセンブリ20を除去することは、一度に1つよりも多くの搬送アセンブリ20を移動および再配置することを可能にし、これにより、搬送アセンブリ20の再配置工程が少なくて済み、結果として、要求された格納装置15へのアクセスがより速くなる。これは、自律搬送アセンブリ20を含むより大きなパズル型構成にとって有利である。
【0030】
格納装置15は、好ましくは、接続手段によって搬送アセンブリ20に固定される。接続手段は、格納装置15を搬送アセンブリ20上の固定位置に固定する任意のタイプの機構とすることができる。一例として、搬送アセンブリ20への確実な接続のために、および搬送アセンブリ20上の固定位置に格納装置15を保持するために、グリッパ55aが搬送アセンブリ20に取り付けられる。接続手段の他の例は、格納装置15を適所に保持するために搬送アセンブリ20に取り付けられたねじ、磁石55b、またはフレーム55cである。
【0031】
本発明によれば、搬送アセンブリ20は、搬送体30と、搬送体30に接続された少なくとも4つの自律転動装置40とを備えている。各転動装置40は自律的に制御される。
【0032】
図3は、矩形状の搬送体30の各コーナー部において転動装置40が搬送アセンブリ20に接続された搬送体30の一例を示している。搬送体30等の対象物の各コーナーに自律転動装置40を接続することにより、搬送体30を搬送する外部ロボットからは独立して、搬送体30は自力で自律的に移動することができ、複雑な機械部品や駆動手段を備えた搬送体を有さない。
【0033】
図4には、搬送体30の別の例が示されている。本実施形態では、8個の転動装置40が搬送体30に接続されている。この構成は、より重い荷物を取り扱うのに適している。さらに重い荷物を取り扱うために、12個の転動装置40を備えたバージョンが実現可能である。
【0034】
4個、8個および12個の転動装置を備えた異なる構成の搬送体について、自律転動装置40は4個だけ必要であり、例えば、搬送体30の各コーナーにおいて、パズル型構成に設置されたときに各方向に駆動力を与える。さらなる転動装置は、自律的手段をもたない受動装置とすることができる。
【0035】
一実施形態において、搬送体30は、各転動装置40を搬送体30に接続および接続解除するように適合されたインターフェース要素45を備えている。インターフェース要素45は、例えば、必要に応じて転動装置40を容易に交換するためにクリックオン/プルアウトタイプとすることができる。
【0036】
搬送体30およびインターフェース要素45のさらなる詳細は、特許文献3に記載されており、これは参照としてここに組み込まれる。
【0037】
図5は、搬送アセンブリ20の自律転動装置40と、格納システム10に含まれて、各転動装置40ひいては接続された搬送アセンブリ20の移動を制御するための中央制御ユニット50との間の通信構成を示している。各転動装置40が、動力手段と、駆動手段と、通信手段と、センサを備え、中央制御ユニット50により自律的に制御されるため、各転動装置40の移動を制御することが可能である。転動装置40は、自身の軸を中心に360度回転可能であり、任意の方向に駆動することができる。さらに、環境を感知するために、センサからの入力および機械学習アルゴリズムを使用することができる。転動装置40の制御は、複数の転動装置40を連係させることができるクラウドコンピューティングシステムを介して行うことができる。
【0038】
駆動手段および通信手段ならびに動力供給手段を備える自律転動装置40の例は、本出願人の特許文献4に記載されており、これは参照としてここに組み込まれる。各転動装置40は、例えばホイールなどの転動要素60を備え、これは、移動対象の搬送体30に接続された設置位置にあるときに転動装置40のハウジングの端部、通常はハウジングの下端、に位置する固定位置にあり得る。別のバージョンにおいて、転動装置40は、上方位置と下方位置との間でハウジング内に移動可能に配置されてもよい。上方の退避位置は、転動要素60が転動装置40内に退避した受動静止位置であり、下方位置は、例えば床領域である表面に沿って転動要素60を移動させるための引き出された動作位置である。電源は、通常は充電式バッテリである。
【0039】
中央制御ユニット50は、コンピュータプログラム製品と通信手段とを備え、中央制御ユニット50に接続されたデータベース70に格納された各搬送体30の位置情報および転動装置40に送信された制御コマンドに応じて、各転動装置40の移動を制御し、二次元のコンパクトなパズル型構成において、搬送アセンブリ20のセットの各搬送アセンブリ20を配置および再配置する。中央制御ユニット50は、さらに、制御装置80に接続されている。
【0040】
無線受信機および制御電子機器を含む、転動要素60を制御するための様々な装置を、転動装置40のハウジング内に配置することができる。無線受信機と制御電子機器とは互いに信号接続されており、受信機は中央制御ユニット50からの無線制御信号を受信するように構成されている。
【0041】
搬送アセンブリ20を二次元のコンパクトなパズル型構成において移動させるためには、その現在位置が既知でなければならない、現在位置は、パズル型構成における他の搬送アセンブリ20に対する位置であってもよいし、動作中の床領域に対する位置であってもよい。
【0042】
転動装置40の位置を検出して取得する様々な方法がある。1つの方法は、転動装置40に設置された、動作検出センサ等の内部手段を用いることである。別の方法は、カメラなどの外部手段を用いること、または、基準点から転動装置40までの距離を測定するためのLidarを用いることである。別の例は、転動装置40または、移動される装置、即ち搬送アセンブリ30に接続されたRFIDチップを用いることである。さらに別の方法は、転動装置40の位置を決定するために転動装置40に接続された超音波送信機またはブルートゥース(登録商標)送信機を用いることである。次に、正確な位置は、三角測量によって求めることができる。
【0043】
内部センサおよび位置検出装置は、動作中の領域内の転動装置40の位置の追跡を続ける。ホイールエンコーダおよび慣性計測ユニット(IMU)を動作検出センサとして用いることができ、センサからの生成データに基づいて現在位置を決定するためにオドメトリを使用することができる。
【0044】
ホイールエンコーダは、転動要素60の回転を検出するために用いられ、出発位置から移動した距離の推定を可能にする。IMUは、転動装置要素の向きひいては方向/角度を推定するために用いられる。
【0045】
オドメトリは、ホイールエンコーダおよびIMUセンサから生成されたデータに基づいて経時的な位置の変化を推定するために用いられる。このようにして、出発地点に対する転動装置40の現在位置を推定することができる。転動装置の現在位置は、予め定められた位置、方向、および走行距離を用いて算出することができる。これはデッドレコニングとして知られている。
【0046】
転動装置40の位置を決定するためのより正確な方法は、上記の内部方法を外部方法と組み合わせて位置を決定することによって達成される。異なる物理的原理を有する様々なナビゲーションシステムからのデータを組み合わせることにより、全体的な解決策の精度およびロバスト性を高めることができる。物理的および数学的な方法を組み合わせることにより、ノイズおよびドリフトに関する問題を軽減することができる。例えば、慣性計測ユニット(IMUおよびホイールIMU)と単眼カメラによる位置特定およびマッピングの同時実行(SLAM)とを組み合わせることができる。
【0047】
転動装置40間の距離を決定するために、各転動装置40に一体化された超広帯域(UWB)チップを用いることができる。UWBは、近距離通信に用いられる、必要なエネルギーが非常に低い無線技術である。転動装置40からの信号は、例えば、互いから12cmになると検出することができる。検出の感度を設定でき、その結果として検出時の転動装置間の正確な距離を設定可能である。
【0048】
別々のソースから導出されたセンサデータを組み合わせることは、センサフュージョンとして知られており、得られるデータは、各ソースが個別に使用されたときに可能であるよりも不確実性が低い。
【0049】
全てのセンサが同一であるわけではなく、若干のノイズをさらに生成するため、ノイズおよび分散をモデル化することができ、ノイズをカルマンフィルタに合成してノイズを低減し、オドメトリの精度を高めることができる。まず、カメラオドメトリとIMUから導出された相対角度、即ち、転動装置40の走行方向が、カルマンフィルタを介して融合され最良の角度を得る。同時に、ホイールエンコーダは、ホイールIMUによって与えられるホイール回転と共に融合されて、最良の並進距離を駆動させる。その後、2つの方法からの出力が融合されて、最終的なフィルタ処理後の総合オドメトリが得られ、結果として、転動装置40の位置がより正確に決定される。
【0050】
中央制御サーバ50に接続されたデータベース70は、中央制御サーバ50に設置されたローカルデータベース70、または、インターネット即ちクラウドコンピューティングシステムを介して中央制御サーバ50に接続された遠隔設置データベース70であってもよい。データベースは、格納システムに含まれる各搬送アセンブリ20の位置情報を格納する。
【0051】
一例として、4×4のパズル型構成に設置された合計16個の搬送アセンブリ20を備える格納システムにおいて、4×4床領域内の搬送アセンブリ20によって占有される各位置には、x、y座標、即ち、1.1、1.2、...、4.3、4.4が与えられる。各搬送アセンブリ20には、固有のアイデンティティおよび位置が与えられる。このアイデンティティおよび位置情報は、データベース70に格納され、中央制御ユニット50から転動装置50に送信される命令に従って搬送アセンブリ20を再配置するために用いられる。命令は、異なる搬送アセンブリが移動する順序とどの方向かを示すシーケンスの形態であってもよい。このシーケンスは、要求された格納装置15およびその搬送アセンブリ20の現在位置ならびに設定された配送ポイントに依存する。この要求は、制御装置80から制御される。
【0052】
一実施形態において、選択された自律転動装置40は、移動対象の搬送アセンブリ20に接続された他の転動装置40の移動を制御するマスタ装置として動作するように設定される。このときに、他の転動装置40は、スレーブ装置として動作し、マスタ装置からの命令に応答する。次に、マスタ装置は、中央制御サーバ50からの受信制御信号に従って、スレーブ装置のための特定の移動パターンを設定し、制御信号をスレーブ装置に送信してマスタ装置の移動に追従するように指示している。
【0053】
中央制御ユニット50から転動装置40に送信される命令は、上述したとおり、中央制御装置50と通信するPCまたはタブレットなどの制御装置80から制御されることができる。
【0054】
制御装置80はソフトウェアを実行して格納装置15の追跡を続け、入力コマンドにより、配送ポイントでどの格納装置15にアクセスするかを制御することができる。より複雑なシステムは、各格納装置15に格納されている物品の追跡を続け、ユーザが取り出し対象の物品を検索して選択することができる。これは、格納装置15に格納されている物品が格納装置15および/またはその搬送アセンブリ20にリンクされ、この情報がデータベースに登録されることを必要とする。
【0055】
例えば、メニューからあるいは制御装置80の視覚的表現から選択することにより、特定の格納装置15や格納されている物品が要求されると、定められた配送ポイント、例えば、格納システム10が設置されている部屋に隣接する部屋の壁の開口部において、要求された格納装置15が入手可能となるまで、全ての搬送アセンブリ20は、位置を再配置する。
【0056】
転動装置40の現在位置、ひいては、搬送アセンブリ20のx、y位置を決定することは、搬送アセンブリ20の位置の途切れのない再配置のために重要である。
【0057】
上述したように、転動装置40の位置を決定する様々な方法がある。1つの方法は、例えば、本発明に係る格納システム10の上方に設置されたカメラを用いることである。この場合は、各搬送アセンブリ20の移動および位置を記録することができ、x、y位置情報は、中央制御ユニット50内で走るビデオ追跡ソフトウェアによって推定することができる。
【0058】
上述したように、搬送アセンブリ20の位置情報を決定する別の方法は、転動装置40内の内部手段にその位置を決定させ、その固有の識別と一緒に中央制御サーバ50に送信させることである。この場合は、識別された各搬送アセンブリ20に接続された転動装置40のアイデンティティがデータベース70に登録される。転動装置40から送信された位置情報から、中央制御ユニット50は、x、y位置を算出することができる。
【0059】
格納システム10の中央制御ユニット50は、実行されると搬送体30に接続された自律動作転動装置40の移動を制御するコンピュータプログラム製品を動作させる。移動は、転動装置40の更新位置情報ならびに制御装置80、例えばタブレットから受信した入力コマンドに従って制御される。
【0060】
制御装置80から、格納システムの構成を設定して監視することができる。システムを設定する際には、動作中の搬送アセンブリ20の数ならびに格納システム10の構成、例えば、搬送アセンブリ20のセットの正方形または長方形フォーメーションのレイアウトが登録される。監視は、故障した転動装置40または低バッテリ表示の検出および警告を含んでいる。
【0061】
バッテリは、無線で、例えば、転動装置40が動作している床に設置された電磁誘導手段により、充電されてもよい。これにより、バッテリの連続充電が可能となる。この解決策はまた、バッテリなしで自律転動装置40に連続的な電力供給を提供することができる。本実施形態において、自律転動装置40に提供される電磁誘導電力供給は、自律転動装置のコンデンサを通過してもよく、これは、電力を緩衝して駆動手段および通信手段が連続的な電力供給を与えられることを確実にする。自律動作転動装置40のバッテリはまた、搬送アセンブリ20をパズル型構成から離れさせて検出時に近傍にある充電ステーションと相互作用させることにより、充電されてもよい。検出手段としては、近距離無線通信(NFC)を用いることができる。これは、自律転動装置40に取り付けられたNFCテープによって実現されてもよい。充電ステーションがNFCテープを検出すると、それは活性化され、自律転動装置40を充電するための電力を供給する。
【0062】
本明細書に記載されている格納システム10は、より小さい設備、例えば、小型の格納室、車庫内、トラックの内部等で用いるのに適している。比較的簡単な構成により、同様の先行技術のシステムに比べて費用効果が高い。さらに、必要に応じて転動装置40を交換することが非常に簡単である。格納システム10は、搬送アセンブリ20を追加または除去することによって容易に再構成することができる。搬送アセンブリ20上に載置される格納装置15の種類は、必要に応じてまた動作する部屋の物理的制約に応じて容易に変更および再構成することができる。
【国際調査報告】