(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-11
(54)【発明の名称】パズル型格納システムを提供する搬送アセンブリ
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20240304BHJP
【FI】
B65G1/04 565
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550574
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 EP2022053972
(87)【国際公開番号】W WO2022179933
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516231257
【氏名又は名称】ウィール.ミー アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【氏名又は名称】佐々木 敬
(72)【発明者】
【氏名】ティメネス,アットレ
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022FF29
3F022MM01
3F022MM05
3F022MM08
3F022MM21
3F022MM57
3F022PP04
3F022PP06
3F022QQ17
(57)【要約】
床領域上で動作されるパズル型格納システム(10)と、それを提供するための方法であって、最小限の床面積を占有する二次元パズル型構成において一緒に配置された個別の搬送アセンブリ(20)のセット(25)を含んでいる。各搬送アセンブリ(20)は、搬送体(30)に接続されて搬送アセンブリ(20)を床領域上で移動させる転動構造を含み、各搬送アセンブリ(20)は、格納装置(15)を担持および搬送する。各搬送体(30)に接続された転動構造は、少なくとも4つの交換可能な自律転動装置(40)を備え、各転動装置(40)は、転動要素(60)と、駆動手段と、センサと、制御部と、通信手段と、充電式電源と、を備えている。パズル型格納システム(10)が動作している床領域には、充電式電源に電力を供給する充電手段が設けられている。各搬送アセンブリ(20)の位置は、送受信手段を備え、各搬送アセンブリ(20)の交換可能な自律転動装置(40)のうちの少なくとも1つに無線接続された中央制御ユニット(50)によって制御される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最小限の床面積を占有する二次元パズル型構成において一緒に配置された個別の搬送アセンブリ(20)のセット(25)を含む、床領域上で動作されるパズル型格納システム(10)であって、
各搬送アセンブリ(20)は、搬送体(30)に接続されて前記搬送アセンブリ(20)を前記床領域上で移動させる転動構造を含み、各搬送アセンブリ(20)は、格納装置(15)を担持および搬送し、
各搬送体(30)に接続された前記転動構造は、少なくとも4つの交換可能な自律転動装置(40)を備え、各転動装置(40)は、転動要素(60)と、駆動手段と、センサと、制御部と、通信手段と、充電式電源とを備え、
前記パズル型格納システム(10)が動作している前記床領域に、前記充電式電源に電力を供給する充電手段が設けられ、
パズル型格納システム(10)が動作している前記床領域内の各搬送アセンブリ(20)の位置は、送受信手段を備える中央制御ユニット(50)によって制御され、前記中央制御ユニットは、各搬送アセンブリ(20)の前記交換可能な自律転動装置(40)のうちの少なくとも1つに無線接続される、パズル型格納システム(10)。
【請求項2】
各搬送体(30)に搭載されたインターフェース要素(45)をさらに備え、前記インターフェース要素(45)は、各転動装置(40)を前記搬送体(30)に受け入れて接続するように適合されている、請求項1に記載のパズル型格納システム(10)。
【請求項3】
格納装置(15)が、1つ以上の容器、棚システム、またはこれらの組み合わせである、請求項1または2に記載のパズル型格納システム(10)。
【請求項4】
前記格納装置(15)は、回転式棚システムである、請求項3に記載のパズル型格納システム(10)。
【請求項5】
前記搬送体(30)は、前記格納装置(15)を前記搬送体(30)に固定するための接続手段(55a、55b、55c)を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のパズル型格納システム(10)。
【請求項6】
前記中央制御ユニット(50)に接続された制御装置(80)をさらに備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のパズル型格納システム(10)。
【請求項7】
前記搬送体(30)に接続された前記自律転動装置(40)のうちの1つはマスタ装置として動作し、同一の搬送体(30)に接続された他の前記自律転動装置(40)に無線接続される、請求項1~6のいずれか一項に記載のパズル型格納システム(10)。
【請求項8】
前記充電手段は、前記自律転動装置(40)の設置面積に応じた領域において前記床に配置された充電軌道(34)である、請求項1~7のいずれか一項に記載のパズル型格納システム(10)。
【請求項9】
前記充電手段は、1つ以上の搬送アセンブリ(20)の各自律転動装置(40)の設置面積に応じた領域に配置された電磁誘導充電装置である、請求項1~8のいずれか一項に記載のパズル型格納システム(10)。
【請求項10】
前記電磁誘導充電装置は、1つ以上の搬送アセンブリ(20)の各自律転動装置(40)に対して個別に制御可能な電磁誘導充電ゾーンを有する充電マット(38)である、請求項9に記載のパズル型格納システム(10)。
【請求項11】
各電磁誘導充電ゾーンは、NFC装置を含む、請求項10に記載のパズル型格納システム(10)。
【請求項12】
要求された格納装置(15)から物品をピッキングするための自動ピッキングシステム(90)をさらに備える、請求項1~11のいずれか一項に記載のパズル型格納システム(10)。
【請求項13】
前記自動ピッキングシステム(90)は、前記パズル型格納システム(10)が動作している前記床領域内に配置されている、請求項12に記載のパズル型格納システム(10)。
【請求項14】
前記自動ピッキングシステム(90)は、前記パズル型格納システム(10)が動作している前記床領域の外側に配置されている、請求項12に記載のパズル型格納システム(10)。
【請求項15】
前記自動ピッキングシステム(90)は、前記搬送アセンブリ(20)のうちの1つに配置される、請求項13または14に記載のパズル型格納システム(10)。
【請求項16】
前記ピッキングシステムは、前記パズル型格納システム(10)の境界に沿って移動可能であり、前記格納装置(15)から対象物をピッキングするように適合されている、請求項14または15に記載のパズル型格納システム(10)。
【請求項17】
1つ以上のカメラ(95)が、各搬送アセンブリ(20)の位置を決定する中央制御部(50)に接続されている、請求項1~16のいずれか一項に記載のパズル型格納システム(10)。
【請求項18】
前記1つ以上のカメラ(95)が、前記天井に接続され、前記格納装置(15)に与えられた識別を検出するために前記格納装置(15)に向けられている、請求項17に記載のパズル型格納システム(10)。
【請求項19】
搬送アセンブリ(20)のセット(25)を提供し、前記搬送アセンブリ(20)を二次元パズル型構成において最小限の床面積を占めるように一緒に配置することにより、床領域上で動作されるパズル型格納システム(10)を提供する方法であって、
各搬送アセンブリ(20)は、前記床領域上で前記搬送アセンブリ(20)を移動させることを可能にするために前記搬送アセンブリ(20)の搬送体(30)に転動構造を接続し、各搬送アセンブリ(20)上に格納装置(15)を設置することにより提供され、前記方法は、さらに、
少なくとも4つの交換可能な自律転動装置(40)であって、各交換可能な前記自律転動装置(40)は、転動要素(60)と、駆動手段と、センサと、制御部と、通信手段と、充電式電源とを備える前記自律転動装置(40)を前記転動構造として使用して用いることにより各搬送アセンブリ(20)に自律性を提供し、
前記パズル型格納システム(10)が動作している前記床領域上に充電手段を設けて充電式電源に充電電力を供給し、
送受信手段とコンピュータプログラム製品とを備え、受信した入力命令にしたがって前記交換可能な自律転動装置(40)のうちの少なくとも1つに制御コマンドを送信することにより各搬送アセンブリ(20)の移動を制御する中央制御ユニット(50)を設け、
前記中央制御ユニット(50)に接続されたデータベース(70)に格納された各搬送体(30)の位置情報と前記転動装置(40)に送信された制御コマンドに基づいて、搬送アセンブリ(20)のセット(25)内の各搬送アセンブリ(20)を配置および再配置することを含む、方法。
【請求項20】
中央制御ユニット(50)上で実行されると、搬送体(30)に接続されてともにパズル型格納システム(10)の搬送アセンブリ(20)を構成する、自律動作転動装置(40)の移動を制御するコンピュータプログラム製品であって、前記搬送アセンブリ(20)は、二次元のコンパクトなパズル型構成において搬送アセンブリ(20)のセット(25)として配置され、
前記転動装置(40)の移動は、データベース(70)に格納された位置情報と、制御装置(80)から受信した入力コマンドとに基づいて、前記コンピュータプログラムによって制御される、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送システムおよび方法に関し、特に、最小限の床スペースを占有しながら床領域上の所望の位置に物体を支持し移動させるのに適した移動パズル型システムに関する。
【背景技術】
【0002】
物品を格納することは、スペースの割り当てを必要とする。不動産は有限であり、不動産価格は、人が生活する都市に近い地域で高騰している。同時に企業は、特にオンライン販売において、リードタイムを短縮することを望む。格納のために必要な領域は迅速な取り出しと相俟って高いコストを伴い、これは、特に小中規模の店舗にとって難題をもたらす。通常、在庫管理は、コンパクトな格納と、物品のアクセスし易さとのトレードオフである。
【0003】
別の観点は、オーダーピッキング(注文品摘取)作業が労働集約的であることである。一般に、オーダーピッキングは、典型的な倉庫における全ての運転コストの55%を示す。このことは、様々な種類の自動ピッキングシステムの使用の動機付けとなった。この一例は、より時間のかかる棚間の搬送に多くの時間を使って在庫をピッキングするピッカー(摘取者)の代わりに、在庫品がロボットにより取り扱われ、ピッキングステーションのピッカーに渡されるピッキングシステムである。
【0004】
近年、格納容器が積み重ねられて格子構造に列をなして格納される、様々な大規模格納システムが存在する。格納容器は、ロボットによってピッキングされると共に取り扱われ、格子構造の上を走行し、ピッキングステーションに配送される。このようなシステムは高価であり大規模格納に適している。
【0005】
また、より小規模な格納を目的とする格納システムも存在し、これは一般的に格納領域が限られている。そのようなシステムの例としては、荷物を搬送する移動プラットフォームに基づくロボット式移動フルフィルメントシステムおよびパズル型格納システムが挙げられる。パズル型格納システムは、有名なゲームである15パズルから着想されたものであり、4×4格子内の15個の番号付けされたタイルを順番に配列し、1つだけ空いているスロットに隣接するタイルをスライドさせることができるようにすることを目的としている。
【0006】
特許文献1には、パレットに載置されたり、容器に収納された物品などの荷物を取り扱うための移動プラットフォームに基づくパズル型格納システムの一例が記載されている。各プラットフォームは、幾つかの複雑な機械部品を含んでいる。各プラットフォームは、プラットフォームまたは床に取り付けられたローラーガイドによって床上で案内される。プラットフォームの移動および案内は、2つの縁部に取り付けられた案内ローラーおよび駆動ギアのセットと、他の縁部上の案内路およびラックのセットとによって可能とされる。各プラットフォームは、幾つかの複雑な機械部品を含んでいる。
【0007】
特許文献2は、軌道上を走行する移動プラットフォームを備えたロボットシステムの一例を説明する。パレットと呼ばれる各プラットフォームは、第1の方向に移動するように適合された第1のホイールセットと、第1の方向に直交する第2の方向に走行するように適合された第2のホイールセットのホイールとを備えている。この解決策において、軌道は、パレットが作動する領域に設置され、パレットは軌道の外側を移動することができない。
【0008】
床領域上の格納装置を搬送するための先行技術のパズル型格納システムは、複雑であり、一般に、容器などを搬送する移動プラットフォームを案内するために固定フレームワーク設備を設置することが必要である。移動プラットフォームが破損した場合には、プラットフォーム全体を交換しなければならない。より多くの移動プラットフォームを用いてシステムを拡張することにより、システムを再構成することはさらに煩雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2003/068657号
【特許文献2】国際公開第1998/31579号
【特許文献3】ノルウェー特許出願第20201025号明細書
【特許文献4】欧州特許第3355148号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、対象物および搬送アセンブリを担持、格納、および搬送するためのより順応性に富み費用効果が高い解決策を提供することにより、先行技術のシステムの欠点を軽減するものである。本システムは、移動プラットフォームが動作を制限されるフレーム構造、グリッド、またはマーキングを事前に設置する必要なしに動作させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
各搬送アセンブリは、必要に応じ、例えば、故障した転動装置や新しい特徴を有する新しいバージョンにアップグレードする場合など、必要に応じて容易に交換することができる自律転動装置を含んでいる。特定のパズル型構成を再構成することは、即ち、物理トラックやマーキングなどの他の対応するインフラストラクチャを追加または除去する必要なしに、個別の搬送アセンブリを追加または除去することにより、より容易である。これにより、システムは費用効果が高く順応性に富み、小中規模の格納設備に適したものとなる。
【0012】
本発明は、最小限の床面積を占有する二次元パズル型構成において一緒に配置された個別の搬送アセンブリのセットを含む、床領域上で動作されるパズル型格納システムによって定義される。
【0013】
各搬送アセンブリは、搬送体に接続されて搬送アセンブリを床領域上で移動させる転動構造を含み、各搬送アセンブリは、格納装置を担持および搬送する。
【0014】
転動構造は、少なくとも4つの交換可能な自律転動装置を備えている。各転動装置は、転動要素と、駆動手段と、センサと、制御部と、通信手段と、充電式電源とを備えている。
【0015】
パズル型格納システムが動作する床領域には、充電式電源に電力を供給するための充電手段が設けられている。
【0016】
パズル型格納システムが動作している床領域内の各搬送アセンブリの位置は、送受信手段を備える中央制御ユニットによって制御される。中央制御部は、交換可能な自律転動装置の少なくとも1つに無線接続される。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、インターフェース要素は、各搬送体に搭載され、各転動装置を搬送体に受け入れて接続するように適合されている。インターフェース要素は、転動装置を搬送アセンブリに固定する一方で転動装置を交換することが容易であるクリックオンプルアウト機構を含んでもよい。
【0018】
一実施形態によれば、各搬送アセンブリによって運ばれる格納装置は、1つ以上の容器、棚システム、またはこれらの組み合わせである。様々な格納装置の高さは異なってもよく、必要に応じて変更することができる。
【0019】
一実施形態によれば、格納装置は、床レベルで全ての棚へのアクセスを可能にする回転式棚システムである。
【0020】
一実施形態によれば、搬送アセンブリは、格納装置を搬送体に固定するための接続手段を備えている。これは、搬送アセンブリに固定された格納装置を位置決めして保持する。
【0021】
一実施形態によれば、制御装置は、中央制御部に接続される。制御装置は、オペレータからの入力を受け付けることができる装置である。オペレータは、例えば、特定の製品を要求することができ、その製品を含む格納装置を有する搬送アセンブリは、パズル型格納システム内の搬送アセンブリを再配置することによってアクセス可能となる。再配置動作は、中央制御部によって制御される。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、搬送アセンブリの搬送体に接続された自律転動装置のうちの1つはマスタ装置として動作し、同じ搬送体に接続された他の自律転動装置に無線接続される。本実施形態において、中央制御部は、マスタ装置に制御命令を送信し、同一の搬送体に接続された他の自律転動装置は、マスタ装置からの制御命令を受信する。
【0023】
一実施形態によれば、パズル型格納システムが動作している床領域上の充電手段は、自律転動装置の設置面積の下方の位置に配置された充電軌道である。
【0024】
一実施形態によれば、パズル型格納システムが動作している床領域上の充電手段は、搬送アセンブリのセットのうちの1つ以上の搬送アセンブリの各自律転動装置の設置面積の下方に配置された電磁誘導充電装置である。
【0025】
別の実施形態によれば、電磁誘導充電装置は、搬送アセンブリのセットのうちの2つ以上の搬送アセンブリの各自律転動装置の設置面積の下方に配置される。
【0026】
一実施形態によれば、電磁誘導充電装置は、1つ以上の搬送アセンブリの各自律転動装置のための個別に制御可能な電磁誘導充電ゾーンを有する充電マットである。この実施形態において、マスタ装置として動作する自律転動装置は、他のものよりも多くの充電電力を受け取ってもよい。また、各自律転動装置の現在の充電レベルに応じて充電電力を調整することもできる。
【0027】
一実施形態によれば、各電磁誘導充電ゾーンは、NFC装置を含んでいる。これは、自律転動装置の容易な検出および位置決めを提供するのに役立つであろう。
【0028】
物品を格納装置に配置し、物品を格納装置からピッキングするために、システムは、一実施形態によれば、自動ピッキングシステムをさらに備えることができる。
【0029】
一実施形態において、自動ピッキングシステムは、パズル型格納システムが動作しているのと同じ領域内に配置される。例えば、格納装置がロボットなどのピッキングシステムに交換された搬送アセンブリであってもよい。本実施形態において、ピッキングシステムを有する搬送アセンブリは、指定された物品をピッキングし、パズル型構成を出発して、ピッキングされたアイテムを指定された目的地に搬送することができる。
【0030】
別の実施形態によれば、自動ピッキングシステムは、パズル型格納システムが動作している床領域の外側に配置される。これは、例えば、パズル型構成に隣接して位置する搬送アセンブリによって搬送される格納装置の届く範囲内で動作する自動ピッキングシステムであってもよい。
【0031】
各搬送アセンブリの現在位置の追跡を続けるために、パズル型格納システムの一実施形態は、視覚入力に基づいて各搬送アセンブリの位置を決定するために中央制御部に接続された1つ以上のカメラを含んでいる。
【0032】
一実施形態において、1つ以上のカメラは、各格納装置の上部に接続され、天井のパターンを検出するために、パズル型格納システムの上方の天井に向けられている。天井は、位置の案内のために用いられる特定の認識可能なパターンで塗装または被覆されてもよい。特定のパターンは、パズル型格納システムの上方の天井に投影されてもよい。
【0033】
一実施形態において、1つ以上のカメラは天井に接続され、格納装置に与えられた識別を検出するために格納装置に向けられている。
【0034】
本発明は、さらに、搬送アセンブリのセットを提供し、搬送アセンブリを二次元パズル型構成において最小限の床領域を占めるように一緒に配置することにより、床領域上で動作されるパズル型格納システムを提供する方法によって定義され、
各搬送アセンブリは、床領域上で搬送アセンブリを移動させることを可能にするために搬送アセンブリの搬送体に転動構造を接続し、各搬送アセンブリ上に格納装置を設置することにより提供される。
【0035】
この方法は、
少なくとも4つの交換可能な自律転動装置であって、各交換可能な自律転動装置は、転動要素と、駆動手段と、センサと、制御部と、通信手段と、充電式電源とを備える自律転動装置を転動構造として用いることにより各搬送アセンブリに自律性を提供するステップと、
パズル型格納システムが動作している床領域上に充電手段を設けて充電式電源に充電電力を供給するステップと、
送受信手段とコンピュータプログラム製品とを備え、受信した入力命令にしたがって交換可能な自律転動装置のうちの少なくとも1つに制御コマンドを送信することによって各搬送アセンブリの動作を制御する中央制御ユニットを設けるステップと、
中央制御ユニットに接続されたデータベースに記憶された各搬送体の位置情報と転動装置に送信された制御コマンドに基づいて、搬送アセンブリのセット内の各搬送アセンブリを配置および再配置するステップとをさらに含んでいる。
【0036】
本発明は、さらに、中央制御ユニット上で実行されると、搬送体に接続されてともに搬送システムの搬送アセンブリを構成する、自律動作転動装置の移動を制御するコンピュータプログラム製品によって定義され、搬送アセンブリは、二次元のコンパクトなパズル型構成において搬送アセンブリのセットとして配置され、ここで、転動装置の移動は、データベースに記憶された位置情報と、制御装置から受信した入力コマンドとに基づいて、コンピュータプログラムによって制御される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】搬送アセンブリ上に載置された格納装置を備えたパズル型格納システムの一例を示す図である。
【
図2】搬送アセンブリのセットを備えた二次元の4×4パズル型構成と格納装置を搬送体に固定するための接続手段とを示す図である。
【
図3】搬送アセンブリに含まれる搬送体の一例を示す図である。
【
図4】充電手段として充電軌道を用いた実施形態の一例を示す図である。
【
図5】自律転動装置40に対する充電軌道の配置の一例を示す図である。
【
図6】充電軌道に接触するように自律転動装置の本体から延在する充電ピンを示す図である。
【
図7】充電手段が、自律転動装置を充電するように適合された位置に電磁誘導充電ゾーンを有する充電マットである実施形態の例を示す図である。
【
図8】充電マット上で動作する搬送アセンブリのセットを備えた二次元の3×3パズル型構成を示す図である。
【
図9】ロボットが搬送アセンブリに接続されて格納装置内の物品をピッキングおよび配置する自動ピッキングシステムの一例を示す図である。
【
図10】搬送アセンブリの自律転動装置と中央制御ユニットとの間の通信構成を示す図である。
【
図11】搬送アセンブリのマスタ装置として動作する自律転動装置と、中央制御ユニットの間の通信ならびにマスタ装置と同じ搬送アセンブリに接続された他の自律転動装置との間の通信構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、特許請求の範囲内の実施形態の例を示す添付図面を参照して本発明をより詳細に説明する。本発明は、最小限の床領域を占有する格納装置を取り扱うパズル型格納システムに関する。
【0039】
格納システムは、搬送アセンブリのセットを提供することによって構成され、各搬送アセンブリは、格納装置を担持および搬送するように適合される。各搬送アセンブリには固有のIDが与えられ、搬送アセンブリのセットは、二次元のコンパクトなパズル型構成において一緒に配置され、搬送体に接続された少なくとも4つの自律駆動転動装置を備えている。各自律転動装置には固有のIDが付与され、接続先の搬送アセンブリにリンクされている。このようにして、全ての搬送アセンブリは、対応する自律転動装置に固有の移動命令を送信し、自律転動装置から個別の状態情報を送信することによって個別に制御される。
【0040】
自律転動装置の制御は、パズル型格納システム内の各搬送アセンブリを移動および再配置するために制御コマンドを自律転動装置に送信する中央制御ユニットによって実行される。
【0041】
搬送アセンブリの再配置は、搬送アセンブリによって運ばれる特定の格納装置が、特定の配送ポイントにおいてアクセス可能となることを要求することによって開始される。特定の格納装置は、格納装置に格納された要求された物体または物品にリンクされる。中央制御ユニット内のアルゴリズムは、要求された格納装置を搬送する搬送アセンブリがパズル型構成を介して配送ポイントに到達するための最適な経路を提供するように構成される。アルゴリズムは、要求された格納装置の現在位置にしたがって追従すべきパターンを定義することができる。
【0042】
配送ポイントは、ピッキングが可能である、パズル型構成の境界におけるアクセス可能な領域や位置であってもよいし、パズル型構成の外側の特定の位置であってもよい。この場合は、要求された格納装置を有する搬送アセンブリは、パズル型構成を出発して、要求された位置に向かうことになる。
【0043】
図1は、二次元のコンパクトなパズル型構成において一緒に配置されて搬送アセンブリ20のセットを構成する搬送アセンブリ20に接続された格納装置15を有するパズル型格納システム10の一例を示している。この例に示されるように、搬送アセンブリ20を互いに密接して載置し維持することにより、最小限の床スペースが占有される。
【0044】
搬送アセンブリ20上に載置された格納装置15は、物品を保持、格納するための任意のタイプの格納装置とすることができる。そのような格納装置の例は、容器、抽斗システム、および棚システムなどである。これらを組み合わせ、例えば、搬送アセンブリ20上に載置された格納装置15を、
図1に示すように、容器システムと抽斗システムとの組み合わせとすることができる。
【0045】
搬送アセンブリ内の格納装置が抽斗を有する場合は、要求された製品がどの抽斗に格納されているかをピッキングロボットが識別することができるように、各抽斗は、IDでタグ付けまたはマーキングされてもよい。
【0046】
各搬送アセンブリ20は、搬送体30に接続された転動装置を備えている。搬送体30の一例はフレーム構造を示す
図3に示され、ここで、交換可能な自律転動装置40がフレーム構造に接続されて転動構造を提供する。
【0047】
図1は、さらに、格納装置15に向けられたカメラ95を示している。カメラは、パズル型格納システム内の格納装置15の位置を識別することができる。容易な識別のために、様々なマーキング17を格納装置15に付与することができ、様々なマーキングは格納装置のIDにリンクされる。
【0048】
図2は、搬送アセンブリ20のセット25を有する二次元パズル型構成を示している。この図は、どのように搬送アセンブリ20が二次元構成において密接して載置され得るかをより明確に示している。図から分かるように、1つの搬送アセンブリ20が欠落しており、即ち1つのスロットが空である。これにより、搬送アセンブリ20のセット25内の各搬送アセンブリ20を、二次元構成内の全ての位置に再配置することができる。これはパズル型構成として知られている。
【0049】
図に示すパズル型構成は、4×4格子内に15個の番号付けされた搬送アセンブリ20を有し、1つのスロットが空であり、空のスロットに隣接する搬送アセンブリ20を空のスロットにスライドさせることを可能とする。目的は、どの搬送アセンブリ20が空のスロットに移動するかどんな順序で移動するかを定義するシーケンスに従って、番号付けされた搬送アセンブリ20を配置することである。どのようにして様々なシーケンスが確立されるかは、先行技術のパズル型システムからよく知られており、ここではさらには説明しない。
【0050】
パズル型構成から1つ以上の搬送アセンブリ20を除去することは、一度に1つよりも多くの搬送アセンブリ20を移動および再配置することを可能にし、それにより、搬送アセンブリ20の再配置ステップが少なくて済み、その結果、要求された格納装置15へのアクセスがより速くなる。これは、自律搬送アセンブリ20を含むより大きなパズル型構成に有利であり得る。パズル型構成から格納装置を担持する2つ以上の搬送アセンブリ20を除去することは、専用のピッキングロボットを担持する搬送アセンブリ20のためのスペースを提供する。
【0051】
パズル型構成から2つ以上の搬送アセンブリ20を除去することは、要求された搬送アセンブリがその現在位置から要求された位置に行くための反復ステップを少なくする。
【0052】
パズル型ストレージシステム10を構成する個別の搬送アセンブリ20のセット15の設置面積より大きな床領域をパズル型格納システムに割り当てることにより、搬送アセンブリ20の他の移動パターンを実行することができ、例えば、2つ以上の搬送アセンブリ20を同時にグループとして移動させ、それにより、要求された搬送アセンブリ20のためのより短いルートを提供することができる。
【0053】
格納装置15、ならびにピッキングロボットなどの他の装置は、好ましくは、接続手段によって搬送アセンブリ20に固定される。接続手段は、格納装置15を搬送アセンブリ20上の固定位置に固定する任意のタイプの機構とすることができる。一例として、搬送アセンブリ20への格納装置15の確実な接続を提供するため、および、格納装置15を搬送アセンブリ上の固定位置に保持するためにグリッパ55aが搬送アセンブリ20に取り付けられる。接続および保持手段の他の例は、ねじ、磁石55b、フレーム55c、またはこれらの組み合わせである。
【0054】
本発明によれば、搬送アセンブリ20は、搬送体30と、搬送体30に接続された少なくとも4つの自律転動装置40とを備えている。各転動装置40は自律的に制御される。
【0055】
図3は、搬送アセンブリ20の搬送体30の一例を示し、自律転動装置40は、矩形状の搬送体30の各コーナーにおいてインターフェース要素45に接続されている。自律転動装置40を搬送体30の各コーナーに接続することにより、搬送アセンブリ20は、搬送アセンブリ20を搬送する外部手段とは独立して自力で自律的に移動することができ、複雑な機械部品および駆動手段を備える搬送アセンブリ20を有さない。インターフェース要素45は、各自律転動装置40を搬送体30に接続および接続解除するように適合されている。インターフェース要素45は、例えば、必要に応じて転動装置40を容易に交換するためのクリックオンプルアウトタイプとすることができる。
【0056】
この図は、搬送体に接続された4個の自律転動装置40を示している。しかし、異なる構成、例えば、6個または8個の接続された自律転動装置40が実現可能である。4個より多くの自律転動装置40は、より重い荷物およびより大きな搬送体30を取り扱うために用いることができる。
【0057】
搬送体30およびインターフェース要素45のさらなる詳細は、出願人自身による特許文献3に記載されており、ここに参照として組み込まれる。
【0058】
自律転動装置40の充電は、パズル型格納システム10の連続的動作のための重要な特徴である。
【0059】
図4は、自律転動装置40に含まれる充電式電源に電力を供給する実施形態の一例を示している。この実施形態において、軌道34は、充電手段に電力を供給するために用いられる。軌道34は、床36上に直接配置することができ、あるいは、互いに接続されたマット内に一体化することができる。図は、パズル型格納システムが動作される床領域上に配置される軌道34の対を示している。各軌道は電源に接続され、一対のトラックは、充電式電源のための直流(DC)充電電力を提供する。図は、搬送アセンブリ20が動作している床領域をカバーする軌道を示している。このようにして、全ての自律転動装置40は、同時に且つ動作している床領域内の全ての可能な位置において、充電することができる。しかしながら、1つの搬送アセンブリ20のみをカバーする床領域上に一対の軌道を有するだけで十分である。そのような解決策のために、全ての搬送アセンブリ20は、充電されるために、軌道が存在する位置に一度に一つずつ留まる必要がある。
【0060】
図5は、搬送アセンブリ20の自律転動装置40に対する充電軌道34の配置の一例を示している。本実施形態において、各自律転動装置40には、
図6に示すように、一対の充電ピン32が設けられている。
【0061】
図6は、充電ピン32が自律転動装置40の本体から延び、充電軌道に接触する例を示している。充電ピン32は、自律転動装置40に含まれる充電装置の正極および負極のそれぞれに接続され、充電式電源を充電する。充電ピン32は、自律転動装置40の転動要素の各側に配置され、自律転動装置40の充電時に正負の通電軌道に接触する。
【0062】
軌道34に供給される電力は、電源をオンまたはオフに切り替えることにより、または、各対の軌道が常時どれほどの電力を搬送しているかを制御することによって制御することができる。
【0063】
一実施形態において、充電電力を提供するために軌道が用いられる場合は、自律転動装置40は、転動要素60を昇降させる昇降機構を備え、これにより、軌道34に対して充電ピン32を接続し接続解除する。搬送体30の移動時には、全ての自律転動装置40が上方位置にあり、充電ピン34が軌道34から接続解除される。充電時には、自律転動装置40は下方位置にあって、充電ピン32が軌道34に接続される。
【0064】
別の実施形態において、充電ピン32は伸縮可能であり、転動要素60は固定位置にある。充電時には、充電ピン32が自律転動装置40から延在して軌道34に接続する。搬送体30の移動時には、それに接続された転動装置40の全ての充電ピン32が退避位置にあり、これにより充電ピン34を軌道34から接続解除する。
【0065】
図7は、充電手段の別の例を示している。この例では、例えば、自律転動装置40が静止しているときにその直下の位置に配置された電磁誘導充電ゾーン35を備えた充電マット38が、自律転動装置40のための充電電力を提供する。この例は、各自律転動装置40のための電磁誘導充電ゾーンを示している。しかしながら、これは必要ではない。なぜなら、搬送アセンブリ20の全ての自律転動装置40を充電するために電磁誘導充電ゾーン35を有するただ1つの充電マット38で十分であるからである。これは、一度に1つの搬送アセンブリ20のみが充電されるため、充電待ち行列を生じる可能性がある。より多くの充電マット38またはより多くの充電ゾーンを有するより大きな充電マットは、全ての搬送アセンブリ20のための充電時間を減少させる。
【0066】
自律転動装置の充電式電源に電力を供給するための幾つかの充電ゾーンを有する場合に、各電磁誘導充電ゾーン35は、各自律転動装置40の現在の充電レベルおよび要求に従って適合され調整された電力を提供するように個別に制御することができる。例えば、マスタ装置は、接続された電子機器およびセンサに十分な電力を提供するために、他の装置よりも大きな容量を有する充電式バッテリを備えることがあり、したがってより多くの充電電力を必要とする。
【0067】
図8は、充電マット38上で動作する搬送アセンブリのセットを備えた二次元3×3パズル型構成を示している。これは、
図1および
図2に示す例よりも小さい構成である。より小型のパズル型格納システムは、住宅および共同住宅における私的使用に適している。この図はさらに、充電手段が無線であり、ホイールがマーキングされた場所に位置付けられたときに充電が行われる例を示している。充電マット38は、パズル型格納システムが動作する床領域に配置されている。充電マット38には、自律転動装置40を充電するための充電手段35が設けられている。
【0068】
図9は、ロボット90が搬送アセンブリ20に接続され格納装置15内の物品をピッキングおよび配置する自動ピッキングシステムの一例を示している。ロボット90を有する搬送アセンブリ20は、パズル型格納システム10が動作している床領域内または床領域の外側で動作することができる。
【0069】
この図は、格納装置15から対象物をピッキングし格納装置に載置するために使用することができる典型的な産業用ロボットアームを示している。どのようにして対象物が格納装置15からピッキングされ格納装置15に載置されるかは、どのような解決策が好ましいか、および、パズル型格納システムのサイズに依存する。
【0070】
ピッキングシステムは、パズル型格納システム10に隣接する床領域上で動作する定置システムとして設置されてもよい。
【0071】
格納装置15から対象物をピッキングしたり格納装置15に対象物を載置する前に、格納装置15は、予め定められたまたは要求された位置に移動することによって相互作用のためにアクセス可能となる。開放容器内の内容物は上方からアクセス可能であるが、一方、抽斗システムでは、まず抽斗を開けなければならない。
【0072】
棚システム上に載置された格納装置15について、ピッキングシステムは、格納容器から要求された対象物をピッキングする前に、例えば格納容器などの格納装置15をまず棚から移動させるように適合されたものである。
【0073】
収納装置15が回転式棚システムである場合には、要求された対象物が最上部の棚位置に格納されていても、棚に載置された特定の収納容器や抽斗に床レベルからアクセスすることができる。この場合は、回転式棚システムを搬送する搬送アセンブリ20が要求された対象物をピッキングするための要求位置に移動する間、要求された対象物を有する棚を回転させることができる。この実施形態において、回転式棚システムは、回転命令を受信するための受信機、制御部、および回路を備えている。
【0074】
図10は、上述した搬送アセンブリ20の自律転動装置40と、パズル型格納システム10に含まれる中央制御ユニット50との間の通信構成を示している。
【0075】
図示の実施形態において、制御ユニット50は、各転動装置40に制御信号を送信することにより、搬送アセンブリ20の移動を制御する。各転動装置40は、動力手段と、駆動手段と、通信手段と、センサとを備え、中央制御ユニット50によって自律的に動作され制御されるため、各転動装置40の移動を制御することが可能である。転動装置40は、自身の軸を中心に360度回転可能であり、任意の方向に駆動することができる。さらに、環境を感知するために、センサからの入力および機械学習アルゴリズムを使用することができる。
【0076】
図11は、中央制御ユニット50と、搬送アセンブリ20の自律転動装置40のうちの1つのみとの間で通信が実行される別の実施形態を示している。
【0077】
本実施形態において、特定の自律転動装置40は、移動対象の搬送アセンブリ20に接続された他の転動装置40の移動を制御するマスタ装置である。このときに、他の転動装置40は、スレーブ装置として動作し、マスタ装置からの命令に応答する。次に、マスタ装置は、中央制御サーバ50からの受信制御信号に従って、スレーブ装置のための特定の移動パターンを設定し、同一の搬送アセンブリ20に含まれるスレーブ装置に制御信号を送信し、マスタ装置の移動に追従するよう指示している。このような構成により、転動装置40と中央制御ユニット50との間の信号活動を大幅に低減する。
【0078】
各転動装置40の移動を制御することは、搬送アセンブリ20に含まれる複数の転動装置40を連係させることができるクラウドコンピューティングシステムを介して行うことができる。動作している床領域内のパズル型格納システムの搬送アセンブリを再配置するために適切なアルゴリズムを使用することができる。搬送アセンブリ20の連係は、任意の適切なアルゴリズムにより、例えば、全ての搬送アセンブリ20が環境との集団行動を有するシステムとして扱われる群知能(Swarm intelligence)を使用することにより、実行することができ、搬送アセンブリ20の同じ搬送体30に接続された転動装置40間の相互作用が連係され制御される。
【0079】
駆動手段および通信手段ならびに動力供給手段を備える自律転動装置40の例は、本件出願人の特許文献4に記載されており、これは参照としてここに組み込まれる。各転動装置40は、例えばホイールなどの転動要素60を備え、これは、移動対象の搬送体30に接続された設置位置にあるときに転動装置40のハウジングの端部、通常はハウジングの下端部に位置する。
【0080】
中央制御ユニット50は、コンピュータプログラム製品と通信手段とを備え、中央制御ユニット50に接続されたデータベース70に格納された各搬送体30の位置情報および転動装置40に送信された制御コマンドに応じて、各転動装置40の移動を制御し、二次元のコンパクトなパズル型構成において、搬送アセンブリ20のセットの各搬送アセンブリ20を配置および再配置する。中央制御ユニット50は、さらに、制御装置80に接続されている。
【0081】
無線受信機および制御電子機器を含む、転動要素60を制御するための様々な装置を、転動装置40のハウジング内に配置することができる。無線受信機と制御電子機器とは互いに信号接続されており、受信機は中央制御ユニット50からの無線制御信号を受信するように構成されている。
【0082】
搬送アセンブリ20を二次元のコンパクトなパズル型構成において移動させる前に、その現在位置が既知でなければならない。現在位置は、パズル型構成における他の搬送アセンブリ20に対する位置であってもよいし、動作中の床領域に対する位置であってもよい。
【0083】
転動装置40、ひいては、それらが接続された搬送アセンブリ20の位置を検出して取得する様々な方法がある。1つの方法は、転動装置40に設置された、動作検出センサ等の内部手段を用いることである。別の方法は、カメラ95などの外部手段を用いること、または、基準点から転動装置40までの距離を測定するためのLidarを用いることである。別の例は、転動装置40または搬送アセンブリ20に接続されたRFIDチップを用いることである。さらに別の方法は、転動装置40の位置を決定するために転動装置40に接続された超音波送信機またはブルートゥース(登録商標)送信機を用いることである。次に、正確な位置は、三角測量によって求めることができる。
【0084】
内部センサおよび位置検出装置は、動作中の領域内の転動装置40の位置の追跡を続ける。ホイールエンコーダおよび慣性計測ユニット(IMU)を動作検出センサとして用いることができ、センサからの生成データに基づいて現在位置を決定するためにオドメトリを使用することができる。
【0085】
ホイールエンコーダは、転動要素60の回転を検出するために用いられ、出発位置から移動した距離の推定を可能にする。IMUは、転動装置要素の向きひいては方向/角度を推定するために用いられる。
【0086】
オドメトリは、ホイールエンコーダおよびIMUセンサから生成されたデータに基づいて経時的な位置の変化を推定するために用いられる。このようにして、出発地点に対する転動装置40の現在位置を推定することができる。転動装置の現在位置は、予め定められた位置、方向、および走行距離を用いて算出することができる。これはデッドレコニングとして知られている。
【0087】
転動装置40の位置を決定するためのより正確な方法は、上記の内部方法を外部方法と組み合わせて位置を決定することによって達成される。異なる物理的原理を有する様々なナビゲーションシステムからのデータを組み合わせることにより、全体的な解決策の精度およびロバスト性を高めることができる。物理的および数学的な方法を組み合わせることにより、ノイズおよびドリフトに関する問題を軽減することができる。例えば、慣性計測ユニット(IMUおよびホイールIMU)と単眼カメラによる位置特定およびマッピングの同時実行(SLAM)とを組み合わせることができる。
【0088】
異なる搬送アセンブリ20の転動装置40間の距離を決定するために、各転動装置40に一体化された超広帯域(UWB)チップを用いることができる。UWBは、通常は近距離通信に用いられる、必要なエネルギーが非常に低い無線技術である。転動装置40からの信号は、例えば、互いから12cmになると検出することができる。検出の感度を設定でき、その結果として、検出時の転動装置間の正確な距離を設定可能である。
【0089】
別々のソースから導出されたセンサデータを組み合わせることは、センサフュージョンとして知られており、得られるデータは、各ソースが個別に使用されたときに可能であるよりも不確実性が低い。
【0090】
全てのセンサが同一であるわけではなく、若干のノイズをさらに生成するため、ノイズおよび分散をモデル化することができ、ノイズをカルマンフィルタに合成してノイズを低減し、オドメトリの精度を高めることができる。第1のステップにおいて、カメラオドメトリと相対角度、即ち、転動装置40の走行方向が、IMUから導出されカルマンフィルタを介して融合され最良の角度を得る。同時に、ホイールエンコーダは、ホイールIMUによって与えられるホイール回転と共に融合されて、最良の並進距離を駆動させる。第2のステップにおいて、2つの方法からの出力が融合されて、最終的なフィルタ処理後の総合オドメトリが得られ、結果として、転動装置40の位置がより正確に決定される。
【0091】
中央制御サーバ50に接続されたデータベース70は、中央制御サーバ50に設置されたローカルデータベース70、または、インターネット即ちクラウドコンピューティングシステムを介して中央制御サーバ50に接続された遠隔設置データベース70であってもよい。データベースは、格納システムに含まれる各搬送アセンブリ20の位置情報ならびに接続された格納装置15のアイデンティティとを格納している。この情報は、制御サーバ50によってアクセスされる。
【0092】
一例として、4×4のパズル型構成に設置された合計15個の搬送アセンブリ20を備える格納システムにおいて、4×4床領域内の搬送アセンブリ20によって占有される各位置には、x、y座標、即ち、1.1、1.2、...、4.3、4.4が与えられる。各搬送アセンブリ20には、固有のアイデンティティおよび位置が与えられる。このアイデンティティおよび位置情報は、データベース70に格納され、中央制御装置50から転動装置40に送信される移動命令に従って搬送アセンブリ20を再配置するために用いられる。命令は、異なる搬送アセンブリが移動する順序とどの方向かを示すシーケンスの形態であってもよい。このシーケンスは、要求された格納装置15およびその搬送アセンブリ20の現在位置ならびに設定された配送ポイントに依存する。要求は、通常、制御装置50と通信する制御装置80を介してオペレータによって開始される。
【0093】
中央制御ユニット50から転動装置40に送信される命令は、前述したように、中央制御装置50と通信するPCまたはタブレットなどの制御装置80から制御されることができる。
【0094】
制御装置80はソフトウェアを実行して様々な格納装置15の追跡を続け、入力コマンドにより、例えば、特定の格納装置15へのアクセスを要求することにより、配送ポイントでどの格納装置15にアクセスするかを制御することができる。より複雑なシステムは、各格納装置15に格納されている物品の追跡を続け、ユーザが取り出し対象の物品を検索して選択することができる。これは、格納装置15に格納されている物品が格納装置15および/またはその搬送アセンブリ20にリンクされ、この情報がデータベースに登録されることを必要とする。
【0095】
例えば、メニューからあるいは制御装置80の視覚的表現から選択することにより、特定の格納装置15や格納されている物品が要求されると、定められた配送ポイント、例えば、格納システム10が設置されている部屋に隣接する部屋の壁の開口部において、要求された格納装置15が入手可能となるまで、全ての搬送アセンブリ20は、位置を再配置する。
【0096】
転動装置40の現在位置、ひいては、搬送アセンブリ20のx、y位置を決定することは、搬送アセンブリ20の位置の途切れのない再配置のために重要である。
【0097】
上述したように、転動装置40の位置を決定する様々な方法がある。1つの方法は、例えば、
図1に示す格納システム10の上方に設置されたカメラ95を用いることである。この場合は、各搬送アセンブリ20の移動および位置を記録することができ、x、y位置情報は、中央制御ユニット50内で走るビデオ追跡ソフトウェアによって推定することができる。
【0098】
上述したように、搬送アセンブリ20の位置情報を決定する別の方法は、転動装置40内の内部手段にその位置を決定させ、その固有の識別と一緒に中央制御サーバ50に送信させることである。この場合には、識別された各搬送アセンブリ20に接続された転動装置40のアイデンティティがデータベース70に登録される。転動装置40から送信された位置情報から、中央制御ユニット50は、x、y位置を算出することができる。
【0099】
前述したように、格納システム10の中央制御ユニット50は、実行されると搬送体30に接続された自律動作転動装置40の移動を制御するコンピュータプログラム製品を動作させる。移動は、転動装置40の更新位置情報ならびに制御装置80、例えばタブレットから受信した入力コマンドに従って制御される。
【0100】
制御装置80から、格納システムの構成を設定して監視することができる。システムを設定する際には、動作中の搬送アセンブリ20の数ならびに格納システム10の構成、例えば、搬送アセンブリ20のセットの正方形または長方形フォーメーションのレイアウトが登録される。
【0101】
走行中のパズル型格納システムの監視は、故障した転動装置40または低バッテリ表示の検出および警告を含んでいる。低バッテリの警告は、特定のバッテリ、即ち、転動装置40を交換しなければならないこと、または、バッテリが十分に充電されていないことを示してもよい。その理由は、搬送アセンブリに対して十分な充電手段35が設けられていないことや、パズル型格納システムが長い間活動していたため転動装置40が充電ゾーンに十分な時間静止していなかったことなどが挙げられる。
【0102】
転動装置30の充電式電源は、すでに述べたように転動装置40が動作している床に設置された電力軌道により、あるいは、例えば電磁誘導手段によって無線で充電されてもよい。転動装置40が電力軌道上または電磁誘導手段上に置かれると、バッテリの連続的な充電が提供される。
【0103】
大容量コンデンサは、自律転動装置40の充電式電源として動作することができる。この解決策は、電力を緩衝して、自律転動装置40を1つの充電ゾーンから別の充電ゾーンに移動させるのに十分な期間にわたり、駆動および通信手段が連続的な電力供給を与えられることを確実にする。また、バッテリと大容量コンデンサとの組み合わせも可能である。
【0104】
自律動作転動装置40のバッテリはまた、搬送アセンブリ20をパズル型構成から離れさせて検出時に近傍にある充電ステーションと相互作用させることにより、充電されてもよい。検出手段としては、近距離無線通信(NFC)を用いることができる。これは、自律転動装置40に取り付けられたNFCテープによって実現されてもよい。充電ステーションがNFCテープを検出すると、それは活性化され、自律転動装置40を充電するための電力を供給する。
【0105】
本明細書に記載のパズル型格納システム10を設定する際には、制御装置80を介して行うことができる。例えば、対応する格納装置15を有する15個の搬送アセンブリ20が、4×4パズル型格納システムにおいて用いられる場合には、各搬送アセンブリ20およびその初期x、y位置がデータベース70に登録される。予め設定された構成は、制御装置上のスクリーンを介して選択することができ、あるいは、搬送アセンブリの符号を特定の位置にドラッグ&ドロップすることにより、スクリーン上に特定の構成を描画することができる。
【0106】
登録ステップは、搬送アセンブリ20のIDと、対応する格納装置15のID、ならびに、各搬送アセンブリ20に接続された自律転動装置40のIDとを登録することを含んでいる。これらのパラメータが登録されている場合は、パズル型格納システムは動作の準備ができている。
【0107】
格納装置15に格納される対象物を登録し、制御装置80を介してそれが格納される格納装置15にリンクさせることができる。
【0108】
パズル型格納システムから特定の対象物を取り出す場合には、制御装置80を介して対象物を選択することができる。システムは、どの格納装置に物品が格納されているか、その格納装置を担持する対応する搬送アセンブリ、ならびに、どの自立転動装置40に命令を送信するかを知ることになる。要求された対象物が格納された、対応する格納容器と搬送アセンブリ20は、データベースから取り出され、パズル型格納システム10の特定のx、y位置に移動するように要求される。例えば、現在、要求された搬送アセンブリが4×4の設定におけるx、y位置3、3に位置し、対象物がx、y位置1、1においてピッキングされる場合には、搬送アセンブリ20は、要求された対象物が人手であるいはピッキングシステム90によりピッキングできる位置1,1に、要求された格納装置15が到着するまで、制御アルゴリズムに従ってシャッフルされ、再配置される。
【0109】
本明細書に記載されている格納システム10は、より小さい設備、例えば、小型の格納室、車庫内、トラックの内部等で用いるのに適している。比較的簡単な構成により、同様の先行技術のシステムに比べて費用効果が高い。さらに、必要に応じて個別の転動装置40を交換することが容易である。格納システム10は、搬送アセンブリ20を追加または除去することによって容易に別の位置に移動させたり再構成することができる。様々な種類や高さの格納装置を搬送アセンブリ20上に載置することができ、格納装置15は、要求および動作する部屋の物理的制約に応じて容易に変更および再構成することができる。
【国際調査報告】