(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-11
(54)【発明の名称】腸内細菌叢におけるフソバクテリウム(Fusobacteria)の菌数を減少させる方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/375 20060101AFI20240304BHJP
A61K 31/355 20060101ALI20240304BHJP
A61K 31/525 20060101ALI20240304BHJP
A61K 31/015 20060101ALI20240304BHJP
A61P 39/06 20060101ALI20240304BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240304BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240304BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240304BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240304BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240304BHJP
A61P 25/32 20060101ALI20240304BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240304BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240304BHJP
A61P 15/06 20060101ALI20240304BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20240304BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240304BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
A61K31/375
A61K31/355
A61K31/525
A61K31/015
A61P39/06
A61P35/00
A61P25/28
A61P11/00
A61P3/10
A61P9/00
A61P25/32
A61P1/04
A61P25/00
A61P15/06
A61P31/00
A61P31/04
A61P31/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551181
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(85)【翻訳文提出日】2023-10-03
(86)【国際出願番号】 EP2022056947
(87)【国際公開番号】W WO2022194997
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ファム, タン‐ヴァン
(72)【発明者】
【氏名】レーマン, アティークル
(72)【発明者】
【氏名】サイフェルト, ニコール
(72)【発明者】
【氏名】シュタイネール, ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】シベスマ, ウィルバート
【テーマコード(参考)】
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA09
4C086BA18
4C086CB09
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA70
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA15
4C086ZA36
4C086ZA59
4C086ZA68
4C086ZA81
4C086ZB26
4C086ZB31
4C086ZB35
4C086ZC35
4C086ZC37
4C086ZC39
4C086ZC52
4C086ZC55
4C206AA01
4C206AA02
4C206BA04
4C206MA13
4C206MA90
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZA01
4C206ZA15
4C206ZA36
4C206ZA59
4C206ZA68
4C206ZA81
4C206ZB26
4C206ZB31
4C206ZB35
4C206ZC35
4C206ZC37
4C206ZC39
4C206ZC52
4C206ZC55
(57)【要約】
抗酸化剤(ビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、及びベータカロチン)の大腸への直接送達が、腸内細菌叢内のフソバクテリウム(Fusobacterium)の菌数を減少させることが認められた。これらの細菌の菌数増加は、悪性腫瘍、認知症、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病、心疾患、アルコール依存症、透析を必要とする疾患、及び脳卒中;結腸直腸癌;潰瘍性大腸炎を含む消化器疾患;クローン病;並びに/又は小児若しくは成人炎症性腸疾患;結腸直腸癌及び他の癌、炎症性腸疾患、妊娠に関連する有害状態、並びにHIVのいずれか1つとの併存症としてフソバクテリウム(Fusobacterium)菌血症に関連している。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の腸内のフソバクテリウム属種(Fusobacterium spp.)の菌数を減少させる方法であって、ビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、及びベータカロチン、並びにそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の抗酸化剤を、前記人の大腸に直接送達することを含む、方法。
【請求項2】
前記直接送達される抗酸化剤を与えられる前記人が、
- 40歳を超える人;
- 悪性腫瘍、認知症、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病、心疾患、アルコール依存症、透析を必要とする疾患、及び脳卒中のうちのいずれか1つとの併存症としてのフソバクテリウム(Fusobacterium)菌血症;
- 結腸直腸癌、膵癌、口腔扁平上皮癌、及び消化器癌からなる群から選択される癌;
- 潰瘍性大腸炎、クローン病(Chron’s disease)、並びに小児又は成人の炎症性腸疾患及び急性虫垂炎からなる群から選択される消化障害;
- 自閉症;
- 早産、羊膜内感染、死産、新生児敗血症、及び妊娠高血圧症候群からなる群から選択される有害な妊娠転帰;並びに
- HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染症
からなる群から選択されるフソバクテリウム(Fusobacterium)の菌数上昇に関連する状態を経験しているか又は経験するリスクのある人である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
大腸に直接送達される前記抗酸化剤が、ビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、及びベータカロチンを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
人の大腸内のフソバクテリウム属種(Fusobacterium spp.)の菌数を減少させるための、人の大腸内で放出されるように製剤化され、且つビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、及びベータカロチン、並びにそれらの混合物からなる群から選択される、抗酸化剤の使用。
【請求項5】
前記人が、
- 40歳を超える人;
- 悪性腫瘍、認知症、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病、心疾患、アルコール依存症、透析を必要とする疾患、及び脳卒中のうちのいずれか1つとの併存症としてのフソバクテリウム(Fusobacterium)菌血症;
- 結腸直腸癌、膵癌、口腔扁平上皮癌、及び消化器癌からなる群から選択される癌;
- 潰瘍性大腸炎、クローン病(Chron’s disease)、並びに小児又は成人の炎症性腸疾患及び急性虫垂炎からなる群から選択される消化障害;
自閉症;
- 早産、羊膜内感染、死産、新生児敗血症、及び妊娠高血圧症候群からなる群から選択される有害な妊娠転帰;並びに
- HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染症
からなる群から選択されるフソバクテリウム(Fusobacterium)の菌数上昇に関連する状態を経験しているか又は経験するリスクがある、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
大腸に直接送達される前記抗酸化剤が、ビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、及びベータカロチンを含む、請求項4又は5に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、大腸に直接送達された場合に、腸内細菌叢内のフソバクテリウム属種(Fusobacteria spp.)の菌数を減少させることができる、リボフラビン、ビタミンC、ベータカロチン、及びビタミンEの組み合わせの使用に関する。腸内のフソバクテリウム(Fusobacterium)の存在は、自閉症、結腸直腸癌及び他の癌、炎症性腸疾患、妊娠に関連する有害状態、並びにHIVなどの有害状態に関連しているため、本発明は、前述の組み合わせを一般集団及びフソバクテリウム属種(Fusobacterium spp.)菌血症(FB)発症のリスクが高い集団の両方に直接送達することによる、上記の症状及びFBの処置、予防、及び/又は改善の方法にも関する。
【0002】
[発明の背景]
菌血症とは、血流中に細菌が存在することである。通常は口内又は腸内に存在する種々の細菌が、様々な経路を介して血流に侵入し、場合によっては、脳、心膜、心臓、骨、及び関節における重篤な感染症を引き起こすことがある。
【0003】
フソバクテリウム(Fusobacterium)は、常在菌叢の一部として口腔、消化管、上気道、及び膣粘膜に生息可能な嫌気性グラム陰性長桿菌の属である。フソバクテリウム(Fusobacterium)菌血症(FB)感染症は、外傷、腫瘍、又は過去の感染による粘膜表面の破壊により生じる可能性があり、その後種々の疾患へと進行する可能性がある。複数の種が同定されており、最も多く疾患に関連する2種は、F.ネクロフォーラム(F.necrophorum)及びF.ヌクレアタム(F.nucleatum)である。F.ネクロフォーラム(F.necrophorum)は、歯周病、扁桃炎、扁桃周囲膿瘍、及び頸静脈の血栓性静脈炎(レミエール症候群)を引き起こし、一般に40歳未満の人に見られる。
【0004】
F.ヌクレアタム(F.nucleatum)もまた、歯肉及び歯周病の病原体であるが、これは更に体内の他の場所でも見られ、脳、肝臓、関節、及び心臓弁に及ぶ転移性感染症を含む重篤な疾患に関連することが多い。F.ヌクレアタム(F.nucleatum)と結腸直腸癌の進行及び重症度との間には関連がある。F.ネクロフォーラム(F.necrophorum)とは異なり、F.ヌクレアタム(F.nucleatum)菌血症は、一般に40歳を超える人々に関連する。また、それは子宮内感染、早産とも関連しており、炎症性腸疾患もまた侵襲性F.ヌクレアタム(F.nucleatum)感染症に関連している。以下の基礎疾患:悪性腫瘍、認知症、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病、心疾患、アルコール依存症、透析を必要とする疾患、及び脳卒中を有する人々は、FBの重大なリスクを有する。
【0005】
リスクのある人に加えて、通常FBに罹患しにくい人においても、フソバクテリウム(Fusobacterium)の菌数増加に関連する疾患及びFBを予防、処置、及び改善する手段を提供することが望ましいであろう。
【0006】
[発明の概要]
本発明によれば、抗酸化剤、例えば、ビタミンC、ビタミンB2、ビタミンE、及びベータカロチンの組み合わせが、大腸に直接送達された場合に、腸内に見られるフソバクテリウム属種(Fusobacterium spp.)の菌数を減少させることができ、それによりリスクのある人々のフソバクテリウム(Fusobacterium)菌血症(FB)エピソードのリスクを低減させ、且つ/又はフソバクテリウム属種(Fusobacterium spp.)の存在によって引き起こされる、若しくはそれに関連する他の有害状態の発生若しくは重症度を低減させることができることが見出された。好ましい実施形態では、フソバクテリウム属種(Fusobacterium spp.)は、F.ヌクレアタム(F.nucleatum)及び/又はF.ネクロフォーラム(F.necrophorum)であり、より好ましくはF.ヌクレアタム(F.nucleatum)である。
【0007】
好ましくは、抗酸化剤は、ビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、及びベータカロチン、並びにそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の抗酸化剤を含む。好ましくは、少なくとも2種が選択される。より好ましくは、少なくとも3種が選択され、最も好ましくは、また後述する各適応症に対しては、上述の全てが利用される。
【0008】
したがって、本発明の一実施形態は、人の腸内のフソバクテリウム属種(Fusobacterium spp.)の菌数を減少させる方法であって、ビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、及びベータカロチン、並びにそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の抗酸化剤を人の大腸に直接送達することを含む、方法である。本発明の別の実施形態は、人の大腸内のフソバクテリウム属種(Fusobacterium spp.)の菌数を減少させるための、人の大腸内で放出されるように製剤化され、且つビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、及びベータカロチン、並びにそれらの混合物からなる群から選択される、抗酸化剤の使用である。別の実施形態は、ビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、及びベータカロチン、並びにそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の抗酸化剤を含む抗酸化剤の使用であって、人の大腸内のフソバクテリウム属種(Fusobacterium spp.)の菌数を低減させる薬剤の製造において、前記抗酸化剤が人の大腸内で放出されるように製剤化されている、使用である。
【0009】
フソバクテリウム(Fusobacterium)の菌数増加に関連する多数の状態が存在するため、本発明の別の実施形態は、フソバクテリウム(Fusobacterium)の菌数が多い人のその菌数を低下させることである。したがって、別の実施形態では、直接送達される抗酸化剤を与えられる人は、フソバクテリウム(Fusobacterium)の菌数上昇に関連する状態を経験しているか又は経験するリスクのある人であり、その状態は、以下からなる群から選択される:
- 40歳を超える人;
- 悪性腫瘍、認知症、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病、心疾患、アルコール依存症、透析を必要とする疾患、及び脳卒中のうちのいずれか1つとの併存症としてのフソバクテリウム(Fusobacterium)菌血症;
- 結腸直腸癌、膵癌、口腔扁平上皮癌、及び消化器癌からなる群から選択される癌;
- 潰瘍性大腸炎、クローン病、並びに小児又は成人の炎症性腸疾患及び急性虫垂炎からなる群から選択される消化障害;
- 自閉症;
- 早産、羊膜内感染、死産、新生児敗血症、及び妊娠高血圧症候群からなる群から選択される有害な妊娠転帰)、並びに
- HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染症。
【0010】
「処置」には、非治療的処置が含まれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本試験に使用した、(Prodigest,Technologiepark-Zwijnaarde 94,9052 Gent,Belgiumによって提供されるSHIME、又はTWINSHIME、又はQuadSHIMEなどの)連続バッチ発酵モデルの改訂版を示す。St:胃容器、SI:小腸容器、St/SI:胃及び小腸として機能する容器、PC:近位結腸、及びDC:遠位結腸。
【
図2】ドナーA(A)及びドナーB(B)の遠位結腸におけるフソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)の存在量に対する、ブランク対照(CTRL)と比較した抗酸化剤ブレンド(AOB)及びプレバイオティクス(FOS)処理の効果。*ブランク対照と比較した有意差(p<0.05)。
【0012】
[発明を実施するための形態]
[定義]
全体を通して使用される場合、以下の定義が適用される。
【0013】
「リボフラビン」という用語は、「ビタミンB2」と互換的に使用可能であり、これにはリボフラビン及びそのエステル、特にリボフラビン-5’-ホスフェートが含まれる。
【0014】
「ビタミンC」という用語は、「アスコルビン酸」と互換的に使用可能であり、これにはその薬学的に許容される塩(例えば、アスコルビン酸ナトリウム及びアスコルビン酸カルシウム)並びにその薬学的に許容されるエステル(特にパルミチン酸アスコルビル)も含まれる。
【0015】
「β-カロチン」という用語は、β-カロチン又はプロピタミンAを指す。
【0016】
「ビタミンE」という用語には、トコフェロールの4つの形態(アルファ-トコフェロール、ベータ-トコフェロール、ガンマ-トコフェロール、及びデルタ-トコフェロール)並びにトコトリエノールの4つの形態(アルファ-トコトリエノール、ベータ-トコトリエノール、ガンマ-トコトリエノール、及びデルタ-トコトリエノール)が含まれる。
【0017】
「直接送達」という用語は、抗酸化剤が胃を素通りするが大腸を含む下部腸管に存在しており、そこで腸内細菌叢にとって利用可能であるような形で抗酸化剤が投与されることを意味する。これを達成する製剤には、種々の遅延送達製剤及び/又は徐放製剤が含まれる。
【0018】
[フソバクテリウム(Fusobacterium)菌血症のリスクを伴う併存症]
F.ヌクレアタム(F.nucleatum)菌血症は、特定の併存症と関連しており、併存症のうちの1つに罹患している人はFBも経験するリスクがある。40歳を超える人はより若い人々よりもFBに罹患しやすい。また、リスクのある人には、悪性腫瘍、認知症、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病、心疾患、アルコール依存症、透析を必要とする疾患、及び脳卒中を経験している人も含まれる。したがって、本発明の一実施形態は、FB発症のリスクを低減させる方法であって、悪性腫瘍、認知症、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病、心疾患、アルコール依存症、透析を必要とする疾患、及び脳卒中を経験するリスクのある人又はそれらを経験している人に、ビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、及びベータカロチン、並びにそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む抗酸化剤を直接送達することを含む、方法である。別の実施形態は、FBを予防する、FBに罹患するリスクを軽減する、及び/又はFBを処置するための、悪性腫瘍、認知症、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病、心疾患、アルコール依存症、透析を必要とする疾患、及び脳卒中を経験している人又は経験するリスクのある人の大腸内で放出されるように製剤化されたビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、及びベータカロチン、並びにそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む抗酸化剤の使用である。別の実施形態は、FBを予防する、FBのリスクを低下させる、又はFBを処置するための薬剤の製造における、悪性腫瘍、認知症、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病、心疾患、アルコール依存症、透析を必要とする疾患、及び脳卒中を経験している人の大腸内で放出されるように製剤化されたビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、及びベータカロチン、並びにそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む抗酸化剤の使用である。
【0019】
[癌]
別の実施形態では、人は、結腸直腸癌、膵癌、又は口腔扁平上皮癌を有するか又はそれを発症するリスクがある。宿主へのフソバクテリウム(Fusobacterium)の侵入は、結腸直腸癌の発癌に関連している。フソバクテリウム(Fusobacteria)はまた、病原性因子を発現することにより宿主と相互作用する。フソバクテリウム(Fusobacterium)は、上皮細胞、内皮細胞、線維芽細胞、ナチュラルキラー細胞などの多くの細胞タイプに付着する。したがって、抗酸化剤介入を用いてフソバクテリウム(Fusobacteria)の侵入を低減させ、病原性及び宿主細胞への付着を低減させることができる。
【0020】
フソバクテリウム(Fusobacterium)は、NF-κB、Il6、Il-10、及びIl-18などの炎症性サイトカインを刺激し、これらの炎症性サイトカインはCRCの増殖を促進する。したがって、抗酸化剤介入を用いて炎症性サイトカインの分泌を低減させることができる。
【0021】
例えば、結腸直腸癌の場合、これらのリスクには以下が含まれる:過体重又は肥満である(特に男性);身体的活動が活発でない;赤身肉の多い食事を摂食している;ビタミンDの血中レベルが低い;長期喫煙者である;結腸直腸ポリープ又は過去の結腸直腸癌の既往歴又は家族歴を有する、アルコールの大量使用;炎症性腸疾患の既往歴を有する;リンチ症候群又は家族性大腸腺種症などの結腸直腸癌に関連する遺伝性症候群を有する;民族性(アフリカ系アメリカ人及びアシュケナジム系ユダヤ人);並びに2型糖尿病を有する。F.ヌクレアタム(F.nucleatum)は結腸直腸癌の発症に関与しているため、腸内のF.ヌクレアタム(F.nucleatum)の菌数を減少させることで、一般集団及び上記で特定したリスクを有する人々の両方で結腸直腸癌の発症リスクを減少させることができる。
【0022】
したがって、別の実施形態は、結腸直腸癌膵癌、又は口腔扁平上皮癌を発症するリスクのある人のリスクを低減させる方法であって、ビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、及びベータカロチン、並びにそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む抗酸化剤を、リスクのある人の大腸に直接送達することを含む、方法である。別の実施形態は、結腸直腸癌、膵癌、又は口腔扁平上皮癌の発病時間を延長する方法であって、ビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、及びベータカロチン、並びにそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む抗酸化剤を、結腸直腸癌を発症するリスクのある人に直接送達することを含む、方法である。別の実施形態は、人の結腸直腸癌、膵癌、又は口腔扁平上皮癌の発生を処置する又はその発生を予防するためのビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、及びベータカロチン、並びに混合物からなる群から選択される少なくとも1種の抗酸化剤の使用であって、抗酸化剤が人の大腸に直接送達される、使用である。別の実施形態は、結腸直腸癌、膵癌、又は口腔扁平上皮癌を予防又は処置する薬剤の製造における、ビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、及びベータカロチン、並びに混合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む抗酸化剤の使用である。
【0023】
別の実施形態では、人は、早期の結腸直腸癌、膵癌、又は口腔扁平上皮癌を有しており、直接送達により、結腸直腸癌、膵癌、又は口腔扁平上皮癌の重症度及び進行に関連するフソバクテリウム属種(Fusobacterium spp.)が低減する。
【0024】
別の実施形態では、人は消化器癌を有しており、ビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、及びベータカロチン、並びにそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の抗酸化剤の直接送達により、消化器癌の化学療法抵抗性の一因となるフソバクテリウム属種(Fusobacterium spp.)が低減する。したがって、本発明の抗酸化剤の直接送達は、消化器癌を処置する又はその重症度を低減させるために使用することができる。
【0025】
[炎症性腸疾患及び関連する状態]
別の実施形態では、人は、潰瘍性大腸炎を有するか又はそれを発症するリスクがある。したがって、本発明の別の実施形態は、潰瘍性大腸炎を処置する、予防する、又はそれを発症する人のリスクを軽減する方法であって、ビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、及びベータカロチン、並びにそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む抗酸化剤を人の大腸に直接送達することを含む、方法である。別の実施形態は、人の潰瘍性大腸炎の発生を処置する又はその発生を予防するためのビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、及びベータカロチン、並びに混合物からなる群から選択される少なくとも1種の抗酸化剤の使用であって、抗酸化剤が人の大腸に直接送達される、使用である。別の実施形態は、潰瘍性大腸炎を予防又は処置する薬剤の製造における、ビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、及びベータカロチン、並びに混合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む抗酸化剤の使用である。
【0026】
フソバクテリウム(Fusobacterium)の菌数増加は、潰瘍性大腸炎に加えて、クローン病並びに小児及び成人の両方の炎症性腸疾患に関連している。したがって、本発明の別の実施形態は、クローン病、小児炎症性腸疾患、及び成人炎症性腸疾患からなる群から選択される状態の症状を処置する、予防する、その発病を遅延させる、又はその重症度を軽減する方法であって、ビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、及びベータカロチンからなる群から選択される少なくとも1種の抗酸化剤を、それを必要とする人に大腸へ直接投与することを含む、方法である。本発明の別の実施形態は、クローン病、小児炎症性腸疾患、及び成人炎症性腸疾患からなる群から選択される状態の症状を処置する、予防する、その発病を遅延させる、又はその重症度を軽減するための、大腸に直接送達される少なくとも1種の抗酸化剤の使用である。追加の実施形態は、クローン病、小児炎症性腸疾患、及び成人炎症性腸疾患からなる群から選択される状態の症状を処置する、予防する、その発病を遅延させる、又はその重症度を軽減する際に使用するための薬剤の製造における、大腸に送達されるように製剤化されたビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、及びベータカロチンのうちの少なくとも1種の使用である。
【0027】
本発明の抗酸化剤は、単独で投与することができるが、別の有害状態が存在する場合には他の療法と組み合わせて投与することもできる。
【0028】
フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)は、炎症を誘発し、宿主免疫を抑制する。したがって、ビタミンを大腸に送達することによりフソバクテリウム(Fusobacterium)の数を減少させることで、免疫機能が向上する。
【0029】
[自閉症]
フソバクテリウム(Fusobacterium)の増加は、自閉症にも関連している。したがって、本発明の別の実施形態は、自閉症の症状を処置する、予防する、その発病を遅延させる、又はその重症度を軽減する方法であって、ビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、及びベータカロチンからなる群から選択される少なくとも1種の抗酸化剤を、それを必要とする人に大腸へ直接投与することを含む、方法である。本発明の別の実施形態は、自閉症の症状を処置する、予防する、その発病を遅延させる、又はその重症度を軽減するための、大腸に直接送達されるビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、及びベータカロチンからなる群から選択される少なくとも1種の抗酸化剤の使用である。追加の実施形態は、自閉症の症状を処置する、予防する、その発病を遅延させる、又はその重症度を軽減する際に使用するための薬剤の製造における、大腸に送達されるように製剤化されたビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、及びベータカロチンのうちの少なくとも1種の使用である。
【0030】
[妊娠中の有害状態]
早産、羊膜内感染、死産、新生児敗血症、及び妊娠高血圧症候群を含む妊娠中の種々の有害状態は、フソバクテリウム(Fusobacterium)の菌数増加に関連している。したがって、本発明の別の実施形態は、早産、羊膜内感染、死産、新生児敗血症、及び妊娠高血圧症候群からなる群から選択される有害な妊娠状態を処置する、予防する、その発病を遅延させる、又はその重症度を軽減する方法であって、ビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、及びベータカロチンからなる群から選択される少なくとも1種の抗酸化剤を、それを必要とする人に大腸へ直接投与することを含む、方法である。本発明の別の実施形態は、早産、羊膜内感染、死産、新生児敗血症、及び妊娠高血圧症候群からなる群から選択される有害な妊娠状態の症状を処置する、予防する、その発病を遅延させる、又はその重症度を軽減するための、大腸に直接送達されるビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、及びベータカロチンからなる群から選択される少なくとも1種の抗酸化剤の使用である。追加の実施形態は、早産、羊膜内感染、死産、新生児敗血症、及び妊娠高血圧症候群からなる群から選択される有害な妊娠状態の症状を処置する、予防する、その発病を遅延させる、又はその重症度を軽減する際に使用するための薬剤の製造における、大腸に送達されるように製剤化されたビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、及びベータカロチンのうちの少なくとも1種の使用である。
【0031】
[ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症]
HIVに関連する状態の1つは、フソバクテリウム(Fusobacterium)の菌数上昇である。したがって、本発明の別の態様は、HIVの症状を処置する、予防する、その発病を遅延させる、又はその重症度を軽減する方法であって、ビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、及びベータカロチンからなる群から選択される少なくとも1種の抗酸化剤を、それを必要とする人に大腸へ直接投与することを含む、方法である。本発明の別の実施形態は、HIVの症状を処置する、予防する、その発病を遅延させる、又はその重症度を軽減するための、大腸に直接送達されるビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、及びベータカロチンからなる群から選択される少なくとも1種の抗酸化剤の使用である。追加の実施形態は、HIVの症状を処置する、予防する、その発病を遅延させる、又はその重症度を軽減する際に使用するための薬剤の製造における、大腸に送達されるように製剤化されたビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、及びベータカロチンのうちの少なくとも1種の使用である。
【0032】
[用量]
好ましくは、ビタミンB2は、結腸内でのその局所濃度が少なくとも0.01g/L、好ましくは少なくとも0.1g/L、より好ましくは0.125g/Lとなるような量で投与され得る。結腸内での好ましい局所濃度は、約0.1g/L~約0.5g/L又は約0.1g/L~約0.2g/Lの範囲であり、好ましくは約0.125g/Lである。1日あたりの具体的な投与量は、最大200mg/日、好ましくは5~100mg/日、より好ましくは10~50mg/日の範囲にわたり得る。
【0033】
好ましくは、β-カロチンは、結腸内でのその局所濃度が少なくとも0.1g/L、好ましくは少なくとも0.15g/L、最も好ましくは少なくとも0.2g/Lとなるような量で投与される。結腸内での好ましい局所濃度は、約0.05g/L~約0.4g/L、より好ましくは約0.15g/L~約0.25g/Lの範囲である。1日あたりの好ましい投与量の1つは、最大150mgである。
【0034】
好ましくは、ビタミンE(50%)は、結腸内でのその局所濃度が少なくとも0.005g/L、好ましくは少なくとも0.05g/L、最も好ましくは少なくとも0.15g/Lとなるような量で投与される。結腸内での好ましい局所濃度は、約0.005g/L~約2.5g/L、より好ましくは約0.15g/L~約1.75g/Lの範囲である。1日あたりの好ましい投与量の1つは、最大1000mgである。
【0035】
好ましくは、アスコルビン酸は、結腸内でのその局所濃度が少なくとも0.05g/L、好ましくは少なくとも0.1g/L、最も好ましくは少なくとも2g/Lとなるような量で投与され得る。結腸内での好ましい局所濃度は、約0.05g/L~約1.5g/L、より好ましくは約0.5g/L~約1g/L、最も好ましくは約0.8g/L~約0.9g/Lの範囲である。1日あたりの具体的な投与量は、最大2000mg/日、好ましくは100~2000mg/日、より好ましくは200~1000mg/日の範囲にわたり得る。
【0036】
好ましくは、抗酸化剤は以下の比率で存在する。
リボフラビン 0.5~2
アスコルビン酸 4~15
ビタミンE 1~5
ベータカロチン 0.5~3
【0037】
より好ましくは、リボフラビン/アスコルビン酸/ビタミンE/β-カロチンの比率は、1.0/6.6/1.3/1.6である。
【0038】
好ましい実施形態では、組成物は長期間投与され、例えば、少なくとも3日間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、及び少なくとも4週間にわたり、1日あたり少なくとも1回投与される。
【0039】
抗酸化剤は、好ましくは抗酸化剤が大腸内で放出され得る製剤で投与される。そのような形態は当該技術分野において公知である。或いは、おそらく好ましくは、ヒト以外への投与の場合、動物には、抗酸化剤が大腸内に存在するように十分高い用量で投与される。
【0040】
本発明をよりよく説明するために、以下の非限定的な実施例を示す。
【0041】
[実施例]
[実施例1]
本試験の目的は、直接送達した抗酸化剤の効果をプレバイオティクスであるフラクトオリゴ糖(FOS)の効果と比較することであった。長期SHIME(登録商標)実験用にドナー2名を選択し、管腔腸内細菌叢の組成(16SrRNA遺伝子シーケンシングによって評価)に対する試験製品の反復摂取の影響を評価した。
【0042】
[SHIME(登録商標)実験の設計]
SHIME(登録商標)の典型的な反応器機構は、ヒト成人の消化管を表している。それは、ヒト消化管の様々な部分をシミュレートする5つの反応器の連続を有する。最初の2つの反応器は、食品摂取及び消化における様々な工程をシミュレートするためのフィル・アンド・ドロー原理のものであり、蠕動ポンプによって、規定量のSHIME供給物(140mL 3回/日)並びに膵液及び胆汁液(60mL 3回/日)を、それぞれ胃(V1)、及び小腸(V2)区画に加え、指定の間隔後にそれぞれの反応器を空にする。最後の3つの区画は、大腸をシミュレートする。これらの反応器は絶えず撹拌され、それらは一定の体積及びpH制御を有する。様々な容器の保持時間及びpHは、結腸の様々な部分における生体内状態に類似するように選択される。糞便微生物叢を接種すると、これらの反応器は、上行結腸(V3)、横行結腸(V4)及び下行結腸(V5)をシミュレートする。接種物調製、保持時間、pH、温度設定、及び反応器供給物組成は、他の箇所に記載されている。結腸の様々な領域の微生物群が安定化すると、代表的な微生物群が3つの結腸区画に定着する。この微生物群は、異なる結腸領域においては組成及び機能性の両方が異なる。
【0043】
従来のSHIME機構を、TWINSHIME構成からQuadSHIME(登録商標)構成まで適応させ、同時に4つの異なる状態を比較することを可能にした(
図1)。この特定のプロジェクトの間、健康成人ヒトドナー2名の微生物叢を使用し、3つの異なる試験成分及びブランク対照の特性を並列TripleSHIME(登録商標)構成において評価した。追加的な試験条件に関する妥協点として、結腸領域を、TWINSHIMEでの3つの領域と比較して、2つの領域に限定した。保持時間及びpH範囲を、完全なGITシミュレーションを表す結果を得るために最適化した。実際には、QuadSHIME(登録商標)実験において、それぞれがAC-TC-DC構成(上行、横行及び下行結腸)から構成される2ユニットで作動させる代わりに、4PC-DCユニットを使用した。ヒト成人の糞便微生物叢を接種すると、これらの反応器は、近位結腸(PC;pH5.6~5.9;保持時間=20時間;体積500mL)及び遠位結腸(DC;pH6.6~6.9;保持時間=32時間;体積800mL)をシミュレートする。
【0044】
本試験のためのSHIME(登録商標)実験は、2つの段階からなった(以下の表1)。
【0045】
安定化期間:適切な糞便試料を結腸反応器に接種した後、2週間の安定化期間で、微生物群は局所的環境条件に応じて異なる反応器中で分化することができた。この期間中、基礎栄養マトリックスをSHIMEに供給し、糞便接種物中に最初から存在する腸内微生物叢の最大多様性を補助した。この期間の終了時の試料の分析によって、様々な反応器中のベースライン微生物群の組成及び活性を決定することが可能である。
【0046】
処置期間:この2週間は、SHIME反応器を基準条件で(但し、試験製品を補充した食物を用いて)動作させた。この期間に結腸反応器から採取した試料によって、在住する微生物群の組成及び活性に対する特定の効果を調査することが可能になる。ブランク対照条件については、14日間、モデルに標準SHIME栄養マトリックスを更に投与した。これらの反応器の試料の分析によって、様々な反応器中の基準微生物群の組成及び活性を決定することができ、これは、処置効果を評価するための参照として使用される。
【0047】
【0048】
以下の時点において試料を収集し、様々な試験製品への微生物叢の適応を追跡した:
- 安定化期間の最後の3日;
- 第1の処理週の最後の2日;
- 第2の処理週の最後の2日。
【0049】
[微生物群の組成及び活性の分析]
SHIMEの重要な特徴は、安定化した微生物叢群によって機能することができ、また更なる分析のために様々な腸内領域から定期的に試料を回収することができることである。結腸領域の体積が大きいことで、微生物群を妨害することなく、又は残りの実験を危うくすることなく、各日、十分な体積の液体を回収することが可能になる。SHIME実験の全体を通して、多数の微生物パラメータを監視する。これらの測定は、モデルの性能を評価するために必要であり、プレバイオティクス処理による微生物群の組成及び活性の基本的変化を監視することを可能にする。
【0050】
[微生物群組成]
16S rRNA遺伝子標的Illuminaシーケンシング用の試料を回収した。
【0051】
[微生物群組成の分析]
異なる処理によって誘導される群のシフトをマッピングするために2つの技術を組み合わせた。詳細は以下の通りである。
・16S rRNA遺伝子標的Illuminaシーケンシング、PCRベース法。これによって、微生物配列が飽和まで増幅され、したがって、異なる系統発生レベル(微生物門、科及びOTUレベル)における異なる分類群の比例存在量が得られる。ProDigestによって適用された手法は、16S rDNAの2つの超可変領域(V3-V4)に及ぶプライマーを含む。ペアシーケンスアプローチを使用し、2×250bpをシーケンシングすることによって、424bpのアンプリコンが得られる。そのようなフラグメントは、分類学上より有益ではない、より小さいフラグメントと比較して、分類学上より有用である。
・フローサイトメトリーによる試料中の全細菌細胞の正確な定量化。16S rRNA遺伝子を標的としたIlluminaの高解像度系統発生的情報を、フローサイトメトリーを介した細胞数の正確な計数と共に組み合わせて、反応器内の異なる分類学上の実体に関する高度に正確な定量的存在量を得ることができる。
【0052】
微生物代謝マーカー及び微生物群パラメータに関する異なる安定化週及び処理週の正規分布データの比較を、等分散を仮定するスチューデントのT検定で実施した。p<0.05である場合、差異は有意であると見なした。
【0053】
[試行]
このプロジェクトでは、ブランク対照と比較して3つの異なる試験製品を試験した。試験製品及びそれらを試験したインビトロ用量は、表2に見ることができる。
【0054】
【0055】
[結果]
[有害細菌フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)の存在量の減少(
図2)]
抗酸化剤による遠位結腸容器の処理により、ドナーA及びドナーBにおいて、対照及びプレバイオティクスFOSと比較して、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)の存在量が有意に低下した。
【国際調査報告】