(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-11
(54)【発明の名称】液体で満たされている試験体のリーク検査を行うリーク検知装置の機能性試験
(51)【国際特許分類】
G01M 3/02 20060101AFI20240304BHJP
G01M 3/00 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
G01M3/02 A
G01M3/00 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023554803
(86)(22)【出願日】2022-02-03
(85)【翻訳文提出日】2023-11-02
(86)【国際出願番号】 EP2022052537
(87)【国際公開番号】W WO2022199917
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】102021107055.4
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500469855
【氏名又は名称】インフィコン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Inficon GmbH
【住所又は居所原語表記】Bonner Strasse 498, D-50968 Koeln, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【氏名又は名称】笹沼 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100225026
【氏名又は名称】古後 亜紀
(74)【代理人】
【識別番号】100230248
【氏名又は名称】杉本 圭二
(72)【発明者】
【氏名】ヒルゲルス・ハイケ
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA48
2G067BB02
2G067BB04
2G067BB12
2G067BB25
2G067CC18
2G067DD17
2G067DD18
(57)【要約】
【課題】液体で満たされている試験体のリーク検査を行うリーク検知装置の機能性試験に用いられる試験リーク装置の改良および方法の改良を提供する。
【解決手段】液体12で満たされていて大気圧よりも低い内圧を有する試験体14のリーク検査を行うリーク検知装置の機能性試験に用いられる本発明の試験リーク装置は、出口部106を有して室温で500mbar未満の蒸気圧の試験液104が充填されているリザーバ102と、リザーバ102と協働してリザーバ102の試験液104をリザーバ102の出口部106を通じて液体状態で排出されるように送出する構成であるポンプ100と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体(12)で満たされていて大気圧よりも低い内圧を有する試験体(14)のリーク検査を行うリーク検知装置の機能性試験に用いられる試験リーク装置であって、
出口部(106)を有し、室温で500mbar未満の蒸気圧の試験液(104)が充填されているリザーバ(102)と、
前記リザーバ(102)と協働するポンプ(100)であって、前記リザーバ(102)の前記試験液(104)を、前記リザーバ(102)の前記出口部(106)を通じて液体状態で排出されるように送出する構成である、ポンプ(100)と、
を備える、試験リーク装置。
【請求項2】
請求項1に記載の試験リーク装置において、前記ポンプ(100)が、送出操作毎に前記出口部(106)から100μl未満、好ましくは100nl未満の流量の前記試験液(104)を送液するように構成されたマイクロ定量ポンプであることを特徴とする、試験リーク装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の試験リーク装置において、当該試験リーク装置および/または前記ポンプ(100)および/または前記出口部(106)が、前記出口部(106)から前記試験液(104)を噴霧ミストとして送出するように構成されていることを特徴とする、試験リーク装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の試験リーク装置において、前記ポンプ(100)が、前記ポンプ(100)で送出操作毎に送液される流量を定量するピエゾ式液体定量装置を具備していることを特徴とする、試験リーク装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の試験リーク装置において、前記試験体(14)が電池であり、および/または、前記液体(12)が電解質または溶媒であり、および/または、前記試験液(104)が電解質または溶媒であることを特徴とする、試験リーク装置。
【請求項6】
液体(12)で満たされていて大気圧よりも低い内圧を有する試験体(14)のリーク検査を行うリーク検知装置の機能性試験方法であって、
前記リーク検知装置の試験チャンバ(16)を大気圧よりも低い圧力に排気する過程と、
室温で500mbar未満の蒸気圧の試験液(104)を、所定量、前記試験チャンバ(16)に送液する過程と、
送液量の前記試験液(104)を、前記リーク検知装置の検出器(28)に輸送する過程と、
輸送量の前記試験液(104)を、前記検出器(28)で検出する過程と、
を備える、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、前記試験液(104)が、請求項1から5のいずれか一項に記載の試験リーク装置によって送液されることを特徴とする、方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載の方法において、送出操作毎に、前記出口部(106)から100μl未満、好ましくは100nl未満の流量の前記試験液(104)が送出されることを特徴とする、方法。
【請求項9】
請求項6から8のいずれか一項に記載の方法において、前記試験液(104)が、前記出口部(106)から噴霧ミストとして送出されることを特徴とする、方法。
【請求項10】
請求項6から9のいずれか一項に記載の方法において、外部から前記試験チャンバ(16)にキャリアガスを別に供給することなく、前記試験液(104)が、前記試験チャンバ(16)から残留ガス成分と共に、および/または、前記試験チャンバ(16)の壁から脱離したガス成分と共に吸い出されて前記検出器(28)に供給されることを特徴とする、方法。
【請求項11】
請求項6から10のいずれか一項に記載の方法において、前記検出器(28)が、ガス検出器、例えば、質量分析計、ガスクロマトグラフ、赤外線吸光式の検出器、化学式または半導体式のセンサを有する検出器等であることを特徴とする、方法。
【請求項12】
請求項6から11のいずれか一項に記載の方法において、前記検出器(28)が、前記試験チャンバ(16)内の圧力よりも低い圧力の真空系内で動作させられることを特徴とする、方法。
【請求項13】
請求項6から12のいずれか一項に記載の方法において、前記試験チャンバ(16)内または前記接続ライン内に前記試験液(104)が所定期間蓄積されてから、当該試験液(104)が前記検出器(28)で検出されることを特徴とする、方法。
【請求項14】
請求項6から13のいずれか一項に記載の方法において、前記試験チャンバ(16)内が所定の圧力限界値に達するまで前記検出器(28)への前記試験液(104)の供給が行われず、好ましくは、前記圧力限界値は、2~100mbarの範囲内または20mbar未満であることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体で満たされている試験体のリーク検査を行うリーク検知装置の機能性試験装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電池のように液体で満たされている試験体について、該試験体の密閉性を確かめるためにリーク検査を行うことが知られている。一般的に、このような試験体では、検査ガスに利用可能な気体が該試験体内に存在しておらず、積極的に別の検査ガスを充填するということも可能でなかったり望ましくなかったりする。例えば、炭酸ジメチル溶媒を必須成分として含む電解質で満たされているリチウムイオン電池のように、電解液で満たされている電池等がそれに該当する。
【0003】
このような試験体のリーク検知は、該試験内の液体のうちの、該試験体の内側から漏洩箇所を通じて流出した部分を検出器で検出するという原理に基づくことになる。リーク検査では、該試験体が真空チャンバ内に導入される。上記液体のうちの、該試験体から漏出した部分が、真空ポンプの真空系によって真空チャンバ外へと連続的に送り出されて適切なセンサに供給される。
【0004】
冷凍/空調業界では、例えば熱交換器等の液冷媒で満たされている試験体のリーク検査を行うことがよく知られている。このような試験体の特徴は、該試験体内に液冷媒を過圧下で収容することで該冷媒を液体状態にしているという点である。液冷媒で満たされているこのような試験体のリーク検査では、スニッファープローブを該試験体のうちの漏洩箇所を調べる対象の部分に沿って案内させて、漏洩箇所から外気に漏出して気化した冷媒を吸引し、該冷媒をガス検出器に供給する。スニッファープローブは、試験体の外部から空気を吸引することで、漏出した漏洩ガスを取り込むものであり、対応するセンサによって同ガスが選択的に検出されることで、吸引した空気成分との区別が行われるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液体で満たされていて試験体外部の大気圧よりも低い内圧を有する試験体の場合(例えば、内圧が50~500mbar程度の範囲の場合)、リーク発生時でも漏洩ガスが外部に漏出しないため、吸込みによるリーク検知手法を適用できない。例えば、蒸気圧の低い電解液で満たされていて負圧が生じる電池の場合、リーク発生時に試験体外部から試験体内部へと空気が入り込む。この漏洩は、スニッファープローブで検出できない。
【0006】
一般的な校正装置や試験リーク装置は、上記の種類のリーク検知装置の機能性確認に使用することができない。というのも、一般的な試験リークは、試験液をリザーバ内に貯蔵しておきキャピラリーやメンブレンを通じて該リザーバ外に送り出すという原理に基づいたものだからである。これに対し、本リーク検知装置では、室温で500mbar未満の低い蒸気圧の試験液が使われる。例えば、酢酸エチル溶媒の蒸気圧は20℃で103mbarである。このような試験液は、キャピラリーや圧力差によるメンブレンで十分な量を検出系に届けることができない。
【0007】
この背景に対し、本発明の目的は、液体で満たされている試験体のリーク検査を行うリーク検知装置の機能性試験に用いられる試験リーク装置の改良および方法の改良を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る試験リーク装置は、請求項1の構成で定まるものである。
【0009】
つまり、室温で500mbar未満の蒸気圧の試験液が、リザーバに充填されている。前記リザーバは、前記試験液の出口部を有する。本発明に係る装置の特徴は、前記リザーバの前記試験液を送出するように構成されたポンプが、前記リザーバと協働して前記試験液を前記リザーバの前記出口部を通じて液体状態で排出させるという点である。前記ポンプにより、蒸気圧の低い液体であっても、送出操作毎に十分な量をリーク検知装置に送り込むことができる。
【0010】
前記ポンプは、例えば、送出操作毎に前記出口部から100μl未満、好ましくは100nl未満の流量の前記試験液を送液するように構成されたマイクロ定量ポンプとされ得る。本試験リーク装置および/または前記ポンプおよび/または前記出口部は、前記出口部から前記試験液を噴霧ミストとして送出するように構成されてもよい。前記ポンプは、前記ポンプで送出操作毎に送液される流量を定量するピエゾ式液体定量装置を具備していてもよい。
【0011】
試験体は、例えば電池等である。前記試験体内の液体および/または前記試験液は、電解質または電解質中の個々の成分であり得る。
【0012】
本発明に係る方法は、請求項6の構成で定まるものである。つまり、初めに、リーク検知装置の試験チャンバが、大気圧よりも低い圧力に設定される。次に、室温で500mbar未満の蒸気圧の試験液が、所定量、前記試験チャンバに送液される。そして、送液量の前記試験液が、前記リーク検知装置の検出器に輸送されて当該検出器で検出される。この際の試験液は、気化状態の分子粒子の形態で前記検出器に供給され得る。典型的に、前記試験液は、前記試験リーク装置の出口部から排出されてから気化する。典型的に、このときの試験液は、前記リザーバの前記出口部を形成する、リークチャネルの出口部または出口流路にて気化する。
【0013】
好ましくは、前記ポンプは、送出操作毎に前記出口部から前記試験液を所定量、例えばポンプストロークの形態で送出するように構成されている。この際、送出操作毎に前記出口部から100μl未満、好ましくは100nl未満の前記試験液が送出されるのが望ましい。前記試験液は、希釈状態であってもよい。
【0014】
前記試験液は、前記出口部から噴霧ミストとして送出されてもよい。あるいは、前記試験液が前記リザーバを出た後に前記出口部を通じて気化することで前記リザーバ外では気体状態で存在するという場合も考えられる。
【0015】
前記ポンプは、前記リザーバと前記試験リーク装置の出口部との間に配置されて前記リザーバと当該出口部の双方に流体連通していてもよい。
【0016】
例えば前記試験チャンバに接続されたキャリアガス源等の外部から前記試験チャンバへとキャリアガスを供給したり、前記試験チャンバの外部からキャリアガスを取り込んだりしないことを想定している。このため、具体的には、前記試験体の表面に沿って案内されるガス流が発生しない。むしろ、前記試験チャンバから前記試験液の一部または粒子が残留ガス成分と共に吸い出されることによって前記検出器に供給される。この際、キャリアガスは必要でない。
【0017】
前記試験チャンバは、剛質に形成された壁を有する剛質な試験チャンバとして構成され得る。変形例として、前記試験チャンバは、フィルムチャンバとして構成されてもよい。フィルムチャンバは、その特徴として、排気時に前記試験体に吸着して当該フィルムチャンバの容積を縮小させる少なくとも1つの可撓性壁領域を有している。また、フィルムチャンバ、特に、壁全体が可撓性のフィルムで構成されているフィルムチャンバには、壁が前記試験体に吸着して当該試験体を支持するという利点があり、これは、試験体が可撓体である場合に極めて有利である。
【0018】
前記検出器は、前記液体のうちの検出対象部分または粒子を選択的に検出することでそれ以外の部分またはガスとの区別が可能なセンサからなる。排出された前記液体の前記部分は、液体状態で前記検出器に供給され得る。この点に関しての前記検出器は、液体同士を分析して前記試験体に含まれる前記液体を選択的に検出することが可能なものである必要がある。漏出した前記液体や前記試験液は、例えばミストやエアロゾルの形態で前記検出器に供給され得る。
【0019】
あるいは、前記液体が前記試験体の漏洩箇所からの漏出時に気化し、前記液体のうちの漏出した気化部分が気化状態、すなわち、気体状態で前記検出器に供給されるという場合もあり得る。その場合の前記検出器は、ガス検出器として構成され、気体同士を分析して前記試験体内の前記液体が気体状態となったものをそれ以外のガスと選択的に区別することが可能なものである必要がある。ここで重要な要素となるのは、前記試験体に含まれる前記液体は、前記試験体を出るまで、すなわち、前記試験体外や漏洩箇所の開口または流路に達するまで液体状態から気体状態に変化しないという点である。つまり、前記液体は漏洩箇所からの漏出時に気化するとしても前記試験体内では液体状態なので、前記試験体内に存在している気体は検査ガスに用いない。
【0020】
前記液体のうちの検出対象部分の前記検出器は、ガス検出器、例えば、質量分析計、ガスクロマトグラフ、赤外線吸光式の検出器、化学式または半導体式のセンサを有する検出器等とされ得る。
【0021】
好ましくは、前記液体の前記部分を輸送するガス流は、前記試験チャンバ内または前記試験チャンバを排気する真空ポンプと前記試験チャンバとの間の接続ライン内が所定の圧力限界値に達するまで前記検出器に供給されない。この圧力限界値は、2~50mbar程度とされ得るが、20mbar未満であるのが好ましい。
【0022】
好ましくはメンブレンポンプである真空ポンプが、前記試験チャンバおよび/または前記試験チャンバと前述の真空ポンプとを接続するガスラインに対してバルブを介して接続したものとされ得る。前記試験チャンバの排気開始時には、前記バルブが閉じられている。前記圧力限界値に達すると、前記バルブが開けられて流れの一部が前記検出器に到達するとともにそれ以外の主なガス流は引き続きそのメンブレンポンプに吸い出される。このとき、漏洩箇所から漏出した液体部分の蓄積が、特に、メンブレンポンプの形態の真空ポンプと連携して行われるという点が、一般的なキャリアガス法と異なるところである。前記圧力限界値に達したときに、その時点までに蓄積した前記液体の前記部分が、前記検出器に向けて供給される。
【0023】
有利には、前記試験チャンバ内の前記試験体がパージガスでパージされて、前記試験体に付着したあらゆる前記液体の部分が除去されてから、機能性試験が実施される。好ましくは、前記試験体がパージガスでパージされてから、実際のリーク検査または機能性試験、例えば、前記試験チャンバの排気が行われる。
【0024】
前記試験チャンバ内または前記接続ライン内に前記試験液の前記部分が所定期間蓄積されてから、当該試験液が前記検出器に供給されて分析されるという構成が考えられる。
【0025】
以下では、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】リーク検知装置の例示的な一実施形態のブロック図である。
【
図2】試験リーク装置の例示的な一実施形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
例示的な本実施形態では、試験チャンバ16内に、液体12で満たされている試験体14が収容される。試験体14は、電解液で満たされている電池である。例示的な本実施形態では、試験チャンバ16を一般的な剛質の試験チャンバとする。
【0028】
試験チャンバ16には、真空連結部22が設けられている。真空連結部22には、試験チャンバ16の排気に利用が可能な真空ポンプ24が連結されている。この目的のために、真空ポンプ24は、メンブレンポンプの形態の少なくとも1つの真空ポンプからなる。試験チャンバ16と真空ポンプ24は、接続ライン26で互いにガス導通可能に接続されており、接続ライン26を介して真空ポンプ24が試験チャンバ16からガスを吸い出すことができるようになっている。
【0029】
試験チャンバ16と真空ポンプ24とを接続する接続ライン26に対し、液体12の一部を分析して検出する検出器28が接続されている。例示的な各実施形態において、検出器28は、センサで液体12の分子粒子の選択的検出を行ってそれ以外のガスとの区別が可能な例えば質量分析計等の形態の選択的ガス検出器とする。検出器28は、質量分析真空系20の一部とされる。質量分析真空系20は、質量分析計28の排気を行うフォアポンプ19および高真空ポンプ18を具備する。
【0030】
検出器28は、ガス導通検出ライン21で接続ライン26にガス導通可能に接続している。検出ライン21には、接続ライン26から分かれたガス流の絞りを行う絞り部38、および当該検出ライン21を選択的に閉じるバルブV2が設けられている。接続ライン26には、当該接続ライン26内の圧力を測定するために、圧力センサ17がガス導通可能に接続している。
【0031】
液体12は、一部が試験体14の漏洩箇所から漏出して試験チャンバ16内に進入する。液体12は試験体14から漏出する際に気化する場合があるため、液体12のうちの漏出した部分は気体状態になっている可能性がある。
【0032】
検出器28は、試験チャンバ16内の圧力よりも低く且つ接続ライン26と検出ライン21との接続箇所40の圧力よりも低い圧力の真空系20内の質量分析計として動作させられる。ところで、本発明に従って試験チャンバ16の排気に用いられるメンブレンポンプ24は、試験チャンバ16内に高真空を形成するものでない。むしろ、メンブレンポンプ24は、数ミリバール(mbar)の範囲内の圧力を形成する。メンブレンポンプ24は、試験チャンバ16に未だ残っている残留ガス成分を吸い出す。また、試験チャンバ16内の圧力が約10mbarの範囲内に達すると当該試験チャンバの壁からガス成分が脱離するが、メンブレンポンプ24はこれらも吸い出す。上記ガス成分、すなわち、試験チャンバ16の残留ガス成分および試験チャンバ16の壁から脱離したガス成分は、液体12のうちの、試験体14の漏洩箇所から試験チャンバ16に進入した部分を吸収する。液体12の当該部分が、検出器28に供給される。
【0033】
排気後の試験チャンバ16内部の真空圧は、数ミリバール(mbar)になる。この圧力では、液体12のうちの、試験体14から漏出して気化した部分の拡散はまだまだ活発でない。液体12のうちの漏出した部分は、前記ガス成分によって検出器28への輸送が促されるのであって、キャリアガスの使用や外部から試験チャンバ16へのキャリアガスの供給は行われない。
【0034】
前記リーク検知装置の機能性試験は、
図2に示す試験リーク装置を用いて行われる。このとき、本試験リーク装置を使って前記リーク検知装置の校正も行ってよい。本試験リーク装置は、試験液104が充填されているリザーバ102を備える。例示的な本実施形態では、前記試験液を炭酸ジメチル溶媒とする。ポンプ100により、リザーバ102の試験液104が出口部106そして出口部106外へと圧送される。
【0035】
ポンプ100により、試験液104は出口部106外に液体状態で送出される。出口部106から排出される前記試験液は、試験チャンバ16内の圧力状況に応じて、噴霧ミストの形態のエアロゾルを形成したり、気化して気体状態に変化したりすることが考えられる。前記試験液のうちの、このようにして出口部106から排出された部分が、検出器28へと輸送されて分析される。この際に、検出器28を校正するという意味で、測定された検出信号が、既知の所定量の前記試験液に振り当てられる。
【0036】
試験液104のうちの、出口部106から排出された部分を、試験チャンバ16内または接続ライン26内に蓄積してから検出器20に供給するという構成が考えられる。この目的のために、
図1に不図示のバルブを接続箇所40とメンブレンポンプ24との間に設け、試験チャンバ16内が十分な真空圧に達した際に当該バルブを閉じることで、排出された液体部分を試験チャンバ16内または接続ライン26のうちの不図示の当該バルブと試験チャンバ16との間に蓄積させた後、検出を行うようにすることが考えられる。バルブV2を開くことで、検出が可能となる。蓄積中は、バルブV2は閉じられていても開かれていてもよい。
【国際調査報告】