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特表2024-510738電気ビークルとの間で電力を伝送するための装置、およびその制御方法
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  • 特表-電気ビークルとの間で電力を伝送するための装置、およびその制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-11
(54)【発明の名称】電気ビークルとの間で電力を伝送するための装置、およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240304BHJP
   B60L 53/10 20190101ALI20240304BHJP
   B60L 53/35 20190101ALI20240304BHJP
   B60L 53/66 20190101ALI20240304BHJP
   B60L 53/67 20190101ALI20240304BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H02J7/00 B
B60L53/10
B60L53/35
B60L53/66
B60L53/67
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555539
(86)(22)【出願日】2022-03-11
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 GB2022050634
(87)【国際公開番号】W WO2022189803
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】2103386.5
(32)【優先日】2021-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523345046
【氏名又は名称】アイピーエフティー フューエルズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴェパリ、アウロスカンダ
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503AA06
5G503AA07
5G503BA01
5G503BB01
5G503BB03
5G503CA01
5G503FA03
5G503FA06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC22
5H125BC21
5H125DD02
5H125EE61
5H125EE62
5H125FF11
5H125FF12
(57)【要約】
電気ビークルとの間で電力を伝送する装置、およびその制御方法。電気ビークルとの間で電力を伝送するための装置が開示される。本装置は、電気ビークルが駐車できるスペースの地表面にまたはその上方に設置されるように構成されたハウジング、駐車したときに電気ビークルがハウジング上にまたはその上に位置するようになる、電気ビークルに付いている第2のコネクタと係合可能な第1のコネクタ、電気ビークルとの間で電力を伝送するように構成された電力回路、第1のコネクタに対する第2のコネクタの現在位置を検出するように構成された1つまたは複数のセンサ、第1のコネクタの位置を調整するように構成された調整機構、1つまたは複数のセンサから受信した情報に応じて第1のコネクタを第2のコネクタと位置合わせするのに必要な調整を決定し、調整機構を制御して第1および第2のコネクタを位置合わせし、位置合わせが済むと、第1のコネクタを第2のコネクタと係合させるように構成されたコントローラを備える。第1のコネクタがハウジングの中に配置されていることにより、小型で目立たないビークル充電装置が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気ビークルとの間で電力を伝送するための装置であって、
電気ビークルが駐車できるスペースの地表面にまたはその上方に設置されるように構成されたハウジング、駐車したときに前記電気ビークルが前記ハウジング上にまたはその上に位置するようになる;
前記電気ビークルに付いている第2のコネクタと係合可能な第1のコネクタ、前記第1のコネクタが前記ハウジングの中に配置されている;
前記第1のコネクタに対する前記第2のコネクタの現在位置を検出するように構成された1つまたは複数のセンサ;
前記第1のコネクタの位置を調整するように構成された調整機構;
前記第2のコネクタに対する前記第1のコネクタの前記現在位置を示す情報を前記1つまたは複数のセンサから受信し、前記1つまたは複数のセンサから受信した前記情報に応じて前記第1のコネクタを前記第2のコネクタと位置合わせするのに必要な調整を決定し、前記決定した調整に従って前記調整機構を制御して前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタを位置合わせし、位置合わせが済むと、前記第1のコネクタを前記第2のコネクタと係合させることにより、前記電気ビークルとの間で電力を伝送するための電気的接続を行うように構成されたコントローラ;および
前記電気的接続を介して前記電気ビークルとの間で電力を伝送するように構成された電力回路
を備える装置。
【請求項2】
前記コントローラ、前記電力回路、前記調整機構、および前記1つまたは複数のセンサのうち1つまたは複数が前記ハウジングの中に配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コントローラ、前記電力回路、前記調整機構、および前記1つまたは複数のセンサが、前記装置を単一のユニットとして前記スペースに設置すること、および/またはそこから撤去することが可能になるように、前記ハウジングの中に配置されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ハウジングの1つまたは複数の側面に少なくとも1つの傾斜路を備え、前記電気ビークルが前記スペースに駐車するときに、前記少なくとも1つの傾斜路を上り、前記ハウジングに乗り上がることが可能になるようにする、請求項1、2、または3に記載の装置。
【請求項5】
電力を貯蔵するための1つまたは複数の電力貯蔵ユニットを備え、前記電力回路が、前記電気的接続を介して前記1つまたは複数の電力貯蔵ユニットおよび前記電気ビークルの間で電力を伝送するように構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記1つまたは複数の電力貯蔵ユニットが、電源から受信した電力を用いて充電され、その後に前記電力を前記電気ビークルに供給するように設けられており、
前記1つまたは複数の電力貯蔵ユニットが、前記1つまたは複数の電力貯蔵ユニットから前記電気ビークルを充電するのに必要な時間が前記電源から同じ量だけ前記電気ビークルを充電するならば必要となる対応する時間より短くなるように、前記電源から供給される最大電流より高い電流で前記電力を前記電気ビークルに供給するように構成されている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記1つまたは複数の電力貯蔵ユニットが前記ハウジングの中に配置されている、請求項5または6に記載の装置。
【請求項8】
前記1つまたは複数のセンサが、前記電気ビークルが前記第1のコネクタの上方にある前記スペースに位置しているときに、前記電気ビークルの下側の画像を捕捉するように配置されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記コントローラが、機械学習アルゴリズムを用いて、前記捕捉された画像における前記第2のコネクタの異なる位置にそれぞれ対応する複数の画像クラスのうちの1つに、前記捕捉された画像を割り当てるように構成されており、かつ前記割り当てた画像クラスと関連付けられた格納済みの予め決められた調整を取り出すことにより、前記必要な調整を決定するように構成されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記装置が、前記第2のコネクタを前記第1のコネクタとおおよそ位置合わせする際に前記電気ビークルのユーザを支援するために、前記第1のコネクタの上方にある前記スペースに前記電気ビークルが駐車している前記捕捉された画像を前記電気ビークルへ送信するように構成されている、請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
前記捕捉された画像には、可視波長で捕捉された画像、または赤外線画像、または超音波画像が含まれる、請求項8、9、または10に記載の装置。
【請求項12】
前記装置が、前記調整機構の範囲を示す情報を前記電気ビークルへ送信するように構成されている、請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
前記調整機構の範囲を示す前記情報には、前記調整機構で前記第1のコネクタを位置決めできる領域を示すために、前記捕捉された画像に重ね合わせるバウンディングボックスが含まれる、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記コントローラが、前記第2のコネクタが前記調整機構の範囲外にあるように前記電気ビークルが位置しているか否かを判定するように構成されており、かつ前記第2のコネクタが前記調整機構の範囲外にあるという判定に応じて、前記電気ビークルに位置ずれ通知メッセージを送信するように構成されている、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
障害物を検出するおよび/またはこれを前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタの間のパスから取り除くための手段を備える、請求項1から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記第1のコネクタが、前記第1のコネクタを前記第2のコネクタと係合させるために、前記第2のコネクタへ向かう第1の方向に伸長可能であるように構成されており、
前記調整機構が、前記第1のコネクタの前記位置を調整するために、前記第1の方向に対して傾斜した平面において前記第1のコネクタを動かすように構成されている、請求項1から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記電気ビークルが自動車である、請求項1から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記コントローラが、前記第1のコネクタの上方にある前記スペースに駐車したビークルが前記第1のコネクタに適合しているか否かを判定し、かつ前記ビークルが前記第1のコネクタに不適合であるという判定に応答して自動的に行動を起こすように構成されている、請求項1から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記コントローラが、前記ビークルが内燃エンジンビークルであるか否かを判定するために、前記1つまたは複数のセンサによって捕捉された画像を解析するように構成されており、かつ前記ビークルが内燃エンジンビークルであるという判定に応じて、前記ビークルが前記第1のコネクタに不適合であると判定するように構成されている、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記コントローラが、内燃エンジンビークルを示す1つまたは複数の特徴を検出するために、前記1つまたは複数のセンサで捕捉された前記画像に画像認識アルゴリズムを適用するように構成されている、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記1つまたは複数のセンサが、空気の特性を検出するための空気センサを含み、前記コントローラが、前記空気センサが内燃エンジンビークルの排気ガスを示す特性を検出したことに応じて、前記ビークルが前記第1のコネクタに不適合であると判定するように構成されている、請求項18に記載の装置。
【請求項22】
前記行動には、
警報を作動させること;
駐車違反通知を自動的に発行すること;および
前記スペースにおける不適合ビークルの存在を関係機関に通報すること
のうち1つまたは複数が含まれる、請求項18から21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
電気ビークルが駐車できるスペースの地表面にまたはその上方に設置されるように構成されたハウジング、駐車したときに前記電気ビークルが前記ハウジング上にまたはその上に位置するようになる、前記電気ビークルに付いている第2のコネクタと係合可能な第1のコネクタ、前記第1のコネクタが前記ハウジングの中に配置されている、前記第1のコネクタに対する前記第2のコネクタの現在位置を検出するように構成された1つまたは複数のセンサ、前記第1のコネクタの位置を調整するように構成された調整機構、および前記電気ビークルとの間で電力を伝送するように構成された電力回路を備えた電気ビークル充電装置の制御方法であって、
前記第2のコネクタに対する前記第1のコネクタの前記現在位置を示す情報を前記1つまたは複数のセンサから受信する段階;
前記1つまたは複数のセンサから受信した前記情報に応じて、前記第1のコネクタを前記第2のコネクタと位置合わせするのに必要な調整を決定する段階;
前記決定した調整に従って前記調整機構を制御して前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタを位置合わせする段階;
位置合わせが済むと、前記第1のコネクタを前記第2のコネクタと係合させることにより、前記電気ビークルとの間で電力を伝送するための電気的接続を行う段階;および
前記電力回路を用いて、前記電気的接続を介して前記電気ビークルとの間で電力を伝送する段階
を備える方法。
【請求項24】
1つまたは複数のプロセッサにより実行されると、請求項23に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項25】
請求項24に記載のコンピュータプログラムを格納した不揮発性コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気ビークルとの間で電力を伝送するための装置、およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気ビークルは、ガソリンエンジンおよびディーゼルエンジンなどの他の推進方式に依拠するビークルに代わる、より環境に配慮した選択肢を提供できる。近年では、電気ビークルの人気が著しく高まっている。しかしながら、消費者の中には、電気ビークルのバッテリを再充電できる充電スタンドの可用性に対する懸念から、電気ビークルの採用を思いとどまるかもしれない人もいる。
【0003】
既存の充電スタンドに関する1つの欠点は、関連するハードウェアを収容するキャビネットであり、この大きさは、従来のガソリンまたはディーゼル油の給油機とほぼ同じであることが通例である。都市環境では、カーブサイドスペースが限られた場所、例えば、狭い住宅街に充電スタンドを設置するのが難しい場合がある。この欠点によって、住宅所有者および地方自治体が新たな充電スタンドの設置を思いとどまることになりかねず、さらには電気ビークルの普及が遅れる可能性がある。
【0004】
本発明は、こうした状況で行われたものである。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、電気ビークルとの間で電力を伝送するための装置が提供され、本装置は、電気ビークルが駐車できるスペースの地表面にまたはその上方に設置されるように構成されたハウジング、駐車したときに電気ビークルがハウジング上にまたはその上に位置するようになる;電気ビークルに付いている第2のコネクタと係合可能な第1のコネクタ、第1のコネクタはハウジングの中に配置されている;第1のコネクタに対する第2のコネクタの現在位置を検出するように構成された1つまたは複数のセンサ;第1のコネクタの位置を調整するように構成された調整機構;第2のコネクタに対する第1のコネクタの現在位置を示す情報を1つまたは複数のセンサから受信し、1つまたは複数のセンサから受信した情報に応じて第1のコネクタを第2のコネクタと位置合わせするのに必要な調整を決定し、決定した調整に従って調整機構を制御して第1および第2のコネクタを位置合わせし、位置合わせが済むと、第1のコネクタを第2のコネクタと係合させることにより、電気ビークルとの間で電力を伝送するための電気的接続を行うように構成されたコントローラ;および上記電気的接続を介して電気ビークルとの間で電力を伝送するように構成された電力回路を備える。
【0006】
第1の態様によるいくつかの実施形態では、コントローラ、電力回路、調整機構、および1つまたは複数のセンサのうち1つまたは複数がハウジングの中に配置されている。
【0007】
第1の態様によるいくつかの実施形態では、コントローラ、電力回路、調整機構、および1つまたは複数のセンサが、本装置を単一のユニットとして上記スペースに設置すること、および/またはそこから撤去することが可能になるように、ハウジングの中に配置されている。
【0008】
第1の態様によるいくつかの実施形態において、本装置はハウジングの1つまたは複数の側面に少なくとも1つの傾斜路を備え、電気ビークルがこのスペースに駐車するときに、少なくとも1つの傾斜路を上り、ハウジングに乗り上がることができるようにする。
【0009】
第1の態様によるいくつかの実施形態において、本装置は電力を貯蔵するための1つまたは複数の電力貯蔵ユニットを備え、電力回路は、上記電気的接続を介して1つまたは複数の電力貯蔵ユニットおよび電気ビークルの間で電力を伝送するように構成されている。
【0010】
第1の態様によるいくつかの実施形態において、1つまたは複数の電力貯蔵ユニットは、電源から受信した電力を用いて充電され、その後に上記電力を電気ビークルに供給するように設けられており、1つまたは複数の電力貯蔵ユニットは、1つまたは複数の電力貯蔵ユニットから電気ビークルを充電するのに必要な時間が電源から同じ量だけ電気ビークルを充電するならば必要となる対応する時間より短くなるように、電源から供給される最大電流より高い電流で電力を電気ビークルに供給するように構成されている。
【0011】
第1の態様によるいくつかの実施形態において、1つまたは複数の電力貯蔵ユニットはハウジングの中に配置されている。
【0012】
第1の態様によるいくつかの実施形態において、1つまたは複数のセンサは、電気ビークルが第1のコネクタの上方にあるスペースに位置しているときに、電気ビークルの下側の画像を捕捉するように配置されている。
【0013】
第1の態様によるいくつかの実施形態において、コントローラは、機械学習アルゴリズムを用いて、捕捉された画像における第2のコネクタの異なる位置にそれぞれ対応する複数の画像クラスのうちの1つに、捕捉された画像を割り当てるように構成されており、かつ割り当てた画像クラスと関連付けられた格納済みの予め決められた調整を取り出すことにより、必要な調整を決定するように構成されている。
【0014】
第1の態様によるいくつかの実施形態において、本装置は、第2のコネクタを第1のコネクタとおおよそ位置合わせする際に電気ビークルのユーザを支援するために、第1のコネクタの上方にあるスペースに電気ビークルが駐車している捕捉された画像を電気ビークルへ送信するように構成されている。
【0015】
第1の態様によるいくつかの実施形態において、捕捉された画像には、可視波長で捕捉された画像、または赤外線画像、または超音波画像が含まれる。
【0016】
第1の態様によるいくつかの実施形態において、本装置は、調整機構の範囲を示す情報を電気ビークルへ送信するように構成されている。
【0017】
第1の態様によるいくつかの実施形態において、調整機構の範囲を示す情報には、調整機構で第1のコネクタを位置決めできる領域を示すために、捕捉された画像に重ね合わせるバウンディングボックスが含まれる。
【0018】
第1の態様によるいくつかの実施形態において、コントローラは、第2のコネクタが調整機構の範囲外にあるように電気ビークルが位置しているか否かを判定するように構成されており、かつ第2のコネクタが調整機構の範囲外にあるという判定に応じて、電気ビークルに位置ずれ通知メッセージを送信するように構成されている。
【0019】
第1の態様によるいくつかの実施形態において、本装置は、障害物を検出するおよび/またはこれを第1および第2のコネクタの間のパスから取り除くための手段を備える。
【0020】
第1の態様によるいくつかの実施形態において、第1のコネクタは、第1のコネクタを第2のコネクタと係合させるために、第2のコネクタへ向かう第1の方向に伸長可能であるように構成されており、調整機構は、第1のコネクタの位置を調整するために、第1の方向に対して傾斜した平面において第1のコネクタを動かすように構成されている。
【0021】
第1の態様によるいくつかの実施形態において、電気ビークルは自動車である。
【0022】
第1の態様によるいくつかの実施形態において、コントローラは、第1のコネクタの上方にあるスペースに駐車したビークルが第1のコネクタに適合しているか否かを判定し、かつビークルが第1のコネクタに不適合であるという判定に応答して自動的に行動を起こすように構成されている。
【0023】
第1の態様によるいくつかの実施形態において、コントローラは、ビークルが内燃エンジンビークルであるか否かを判定するために、1つまたは複数のセンサで捕捉された画像を解析するように構成されており、かつビークルが内燃エンジンビークルであるという判定に応じて、ビークルが第1のコネクタに不適合であると判定するように構成されている。
【0024】
第1の態様によるいくつかの実施形態において、コントローラは、内燃エンジンビークルを示す1つまたは複数の特徴を検出するために、1つまたは複数のセンサで捕捉された画像に画像認識アルゴリズムを適用するように構成されている。
【0025】
第1の態様によるいくつかの実施形態において、1つまたは複数のセンサは、空気の特性を検出するための空気センサを含み、コントローラは、空気センサが内燃エンジンビークルの排気ガスを示す特性を検出したことに応じて、このビークルが第1のコネクタに不適合であると判定するように構成されている。
【0026】
第1の態様によるいくつかの実施形態において、行動には、警報を作動させること;駐車違反通知を自動的に発行すること;およびスペースにおける不適合ビークルの存在を関係機関に通報すること、のうち1つまたは複数が含まれる。
【0027】
本発明の第2の態様によれば、電気ビークルとの間で電力を伝送するための装置が提供され、本装置は、コンピュータプログラム命令を格納するように設けられたメモリ;およびメモリに格納されたコンピュータプログラム命令を実行するように構成された1つまたは複数のプロセッサを備え、コンピュータプログラム命令は、1つまたは複数のプロセッサにより実行されると、装置に、電気ビークル上に配置された第2のコネクタに対する第1のコネクタの現在位置を示す情報を1つまたは複数のセンサから受信させ、第1のコネクタは第2のコネクタと係合可能である;1つまたは複数のセンサから受信した情報に応じて第1のコネクタを第2のコネクタと位置合わせするのに必要な調整を決定させ;第1および第2のコネクタを位置合わせするために決定した調整に従って、第1のコネクタの位置を調整するように構成された調整機構を制御させ;位置合わせが済むと、第1のコネクタを第2のコネクタと係合させ、これにより電気ビークルとの間で電力を伝送するための電気的接続を行わせ;電力回路を用いて、上記電気的接続を介して電気ビークルとの間で電力を伝送させるように適応されている。
【0028】
本発明の第3の態様によれば、電気ビークル充電装置の制御方法が提供される。本装置は、電気ビークルが駐車できるスペースの地表面にまたはその上方に設置されるように構成されたハウジング、駐車したときに電気ビークルがハウジング上にまたはその上に位置するようになる、電気ビークルに付いている第2のコネクタと係合可能な第1のコネクタ、第1のコネクタはハウジングの中に配置されている、第1のコネクタに対する第2のコネクタの現在位置を検出するように構成された1つまたは複数のセンサ、第1のコネクタの位置を調整するように構成された調整機構、および電気ビークルとの間で電力を伝送するように構成された電力回路を含む。本方法は、第2のコネクタに対する第1のコネクタの現在位置を示す情報を1つまたは複数のセンサから受信する段階;1つまたは複数のセンサから受信した情報に応じて、第1のコネクタを第2のコネクタと位置合わせするのに必要な調整を決定する段階;決定した調整に従って調整機構を制御して第1および第2のコネクタを位置合わせする段階;位置合わせが済むと、第1のコネクタを第2のコネクタと係合させることにより、電気ビークルとの間で電力を伝送するための電気的接続を行う段階;および電力回路を用いて、上記電気的接続を介して電気ビークルとの間で電力を伝送する段階を備える。
【0029】
本発明の第4の態様によれば、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、第2の態様による方法の実行を引き起こす命令を備えたコンピュータプログラムが提供される。
【0030】
本発明の第5の態様によれば、第4の態様によるコンピュータプログラムを格納した不揮発性コンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
これから、添付図面を参照して本発明の実施形態を単なる例として説明する。
【0032】
図1】本発明の一実施形態に従って、電気ビークルとの間で電力を伝送するための装置を図示した図である。
【0033】
図2】本発明の一実施形態に従って、図1に示す装置の制御方法を図示したフローチャートである。
【0034】
図3】本発明の一実施形態に従って、図1に示す装置の第1および第2のコネクタを位置合わせして係合させる方法を図示したフローチャートである。
【0035】
図4】本発明の一実施形態に従って、図1の電気ビークルおよび装置の間で無線通信を可能にするシステムを図示した図である。
【0036】
図5】本発明の一実施形態に従って、ビークルが第1のコネクタの上に不適切に駐車している場合に自動的に行動を起こす方法を図示したフローチャートである。
【0037】
図6】本発明の一実施形態に従って、ハウジングのどちらの端部にも傾斜路を備えた装置を図示した図である。
【0038】
図7】本発明の一実施形態に従って、ハウジングの1つの端部に一対の傾斜路を備えた装置を図示した図である。
【0039】
図8】本発明の一実施形態に従って、高速充電用の電力貯蔵ユニットを備えた電気ビークル充電装置を図示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下の詳細な説明では、本発明の特定の例示的実施形態のみを単に実例として示し、かつ説明している。当業者であれば理解しているであろうが、説明されている実施形態はどれも本発明の範囲から逸脱することなく様々な異なる方法で変更されることがある。したがって、これらの図面および説明は例示的な性質のものとみなされるべきであり、限定的なものではない。本明細書の全体を通じて、同様の参照番号は同様の要素を指し示している。
【0041】
ここで図1を参照すると、本発明の一実施形態に従って、電気ビークルとの間で電力を伝送するための装置が図示されている。本装置は、「電気ビークル充電装置」、またはより簡潔に「充電装置」とも呼ばれることがある。装置100は、電気ビークル110に付いている第2のコネクタ111と係合可能であるように構成された第1のコネクタ101を備える。本実施形態において、電気ビークル110は自動車、例えば、電気自動車であるが、他の実施形態では、本装置は、航空機または海洋船舶などの他の種類のビークルで用いられるように構成されてもよい。装置100はさらに、第2のコネクタ111の位置を検出するための1つまたは複数のセンサ102、調整機構103、ハウジング104、ハウジングカバー105、コントローラ106、および電力回路107を備える。
【0042】
ハウジング104は、電気ビークル110が駐車できるスペースの地表面120にまたはその上方に設置されるように構成されており、駐車すると電気ビークル110がハウジング104上にまたはその上に位置するようになる。本実施形態において、ハウジング104は、電気ビークル110がハウジング104と接触することなくハウジング104の上に来ることができるように、電気ビークル110の車輪間の距離より幅が狭く、かつ電気ビークル110の最低地上高より低い高さを有する。これにより、駐車する際にビークル110のいかなる衝突または揺れも回避することによって、ビークル110の乗員に対して、より快適な体験をもたらすことができる。いくつかの実施形態において、ハウジング104の形状および大きさは、ハウジング104の最高部分が地表面の上方150ミリメートル(mm)以下、例えば、地表面の上方100、110、120、130、140、または150mmを超えないほどであってよいが、他の実施形態では、ハウジングの別の最大高さが用いられてよい。
【0043】
他の実施形態において、ハウジング104は、駐車するときに、ビークル110がハウジング104を上り、そこに乗り上がることが可能になるように構成されてよい。例えば、ハウジング104は、ビークル110の両側にある車輪間の距離より幅が広くてよく、その距離はビークル110の「トレッド」と呼ばれることがある。この配置は、ハウジング104の高さを電気ビークル110の最低地上高より高くできることにより、利点をもたらす可能性がある。その理由は、ハウジング104上に駐車すると、ビークル110を地表面120の上方に上昇させることができ、その結果、ハウジング104の中に、装置100の内蔵コンポーネントを収容するためのより広いスペースを設けることができるからである。
【0044】
図1に示すように、第1のコネクタ101はハウジング104の中に配置されている。本実施形態において、コントローラ106、電力回路107、調整機構103、および1つまたは複数のセンサ102も、本装置を単一のユニットとして上記スペースに設置すること、および/またはそこから撤去することが可能になるように、ハウジング104の中に配置されている。例えば、ハウジング104は、ボルトなどの任意の好適な形式の取り外し可能な固定具で地面120に固定されてよい。あるいは、ハウジング104は地面120に固定されていなくてよく、単に所定の位置に静止していてよい。
【0045】
いくつかの実施形態において、例えば、装置100が駐車場内または道路の横にある印が付いた駐車区画に設置される場合、スペースは地面上の好適な印で区切られてよい。ハウジング104および第1のコネクタ101は印で区切られたスペース内に配置されてよく、第1のコネクタ101の上方にビークル110を駐車する際に、この印が運転者を支援する目印として機能するようになる。他の実施形態において、例えば、装置100がユーザの自宅にある私有車道または私有ガレージ内に設置される場合、スペースには印が付いていなくてもよい。
【0046】
1つまたは複数のセンサ102は、第1のコネクタ101に対する第2のコネクタ111の現在位置を検出し、第2のコネクタ111に対する第1のコネクタ101の現在位置を示す情報を送信するように構成されている。1つまたは複数のセンサ102は、ビークル110が第1のコネクタ101の上方にあるスペースに駐車しようとしているとき、またはそこに駐車しているときを検出し、ビークル110の存在が検出されると、情報を自動的にコントローラ106へ送信するように構成されてよい。第2のコネクタ111の位置を検出できる任意の好適な種類のセンサ102が、実施形態に応じて用いられてよい。例えば、1つまたは複数のセンサ102は、可視波長で第2のコネクタ111の画像を捕捉するように構成されたカメラを含んでよく、および/または赤外線センサまたは超音波センサを含んでよい。本実施形態において、1つまたは複数のセンサ102は、電気ビークル110が第1のコネクタ101の上方にあるスペースに位置しているときに、電気ビークル110の下側の画像を捕捉するように配置されている。
【0047】
いくつかの実施形態において、ビークル110における第2のコネクタ111および/または第2のコネクタ111が収容されている筐体は、第2のコネクタ111および/または第2のコネクタ111の筐体に隣接したビークルの部分に対して高いコントラストをもたらすように構成されており、その結果、コントローラ106は、1つまたは複数のセンサ102で捕捉された画像において第2のコネクタ111をより容易に特定できる。例えば、1つまたは複数のセンサ102が可視波長で画像を捕捉するように構成されている場合、第2のコネクタ111および/または筐体は、ビークルの隣接部分の色に対して高いコントラストをもたらす色を有してよい。別の例として、異なる色を用いる代わりに、形状および/または表面反射率といった第2のコネクタ111および/またはその筐体の別の特性が、1つまたは複数のセンサ102で捕捉された画像において高いコントラストをもたらすように構成されてよい。
【0048】
コントローラ106は、第2のコネクタ111に対する第1のコネクタ101の現在位置を示す情報を1つまたは複数のセンサ102から受信し、1つまたは複数のセンサ102から受信した情報に応じて、第1のコネクタ101を第2のコネクタ111と位置合わせするのに必要な調整を決定するように構成されている。コントローラ106は、第1のコネクタ101を第2のコネクタ111と位置合わせして、第1のコネクタ101が第2のコネクタ111と係合できるようにするために、決定した調整に従って第1のコネクタ101の位置を調整するのに調整機構103を用いることができる。いくつかの実施形態において、調整機構103は、第1のコネクタ101を1つまたは複数の軸に沿って直線的に動かすように構成されてよく、および/または第1のコネクタ101を1つまたは複数の軸の周りを回転させるように構成されてよい。例えば1つの実施形態において、調整機構103は、第1のコネクタ101を取り付ける可動式プラットフォームを有し、このプラットフォームを1つまたは複数の軸に沿って動かすための作動手段を有する。好適な作動手段の例として、ラックアンドピニオン機構に接続された電気モータ、または油圧ラムが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、調整機構は、第1のコネクタ101を内蔵したハウジング104を上昇または下降させる、および/または回転させるように構成されてよい。例えば、調整機構は、ライジングボラードと同様な方式でハウジング104を上昇させても、または下降させてもよい。係合機構はその場合、ハウジング104が上昇位置にあるとハウジング104から伸び出るアームを含んでよい。
【0049】
充電スタンド装置100に調整機構103を提供することにより、あらゆる必要な調整を充電スタンド100で行うことができるので、ビークル110に付いている対応するコネクタ111のコストおよび複雑度が低減できる。さらに、第1のコネクタ101の位置をビークル110に付いている第2のコネクタ111の位置に一致するよう調整できるようにすることにより、装置100は、ある程度の第1および第2のコネクタ101、111の位置ずれを補償でき、ビークル110を駐車するときに第2のコネクタ111を第1のコネクタ101と正確に位置合わせすることが不要になる可能性があるので、運転者にとって駐車操作がより容易になる。
【0050】
第1および第2のコネクタ101、111は係合すると電気的接続を行い、それを介して電力回路107はビークル110との間で電力を伝送できる。例えば、第1および第2のコネクタ101、111のうちの一方はプラグを有してよく、第1および第2のコネクタ101、111のうちの他方は、確実な接続を提供するためにプラグが摩擦または機械的手段を用いてソケット内に保持され得るように、プラグに対して相補的な形状を有するソケットを有してよい。第1のコネクタ101は「充電スタンドコネクタ」と呼ばれることがあり、第2のコネクタ111は「ビークルコネクタ」と呼ばれることがある。コントローラ106は、電力回路を制御して、電気ビークル110との間で電力を伝送する速度、時間、および期間を制御してよい。いくつかの実施形態において、コントローラ106は、電力回路107を制御して、1日の特定の時間帯、例えば、送電網の需要が低いとき、および/または電気のコストが低くなるときにだけ、ビークル110へ電力を供給してよい。反対に、電気のコストが高くなる時間帯には、いくつかの実施形態において、電力回路107はビークル110から送電網へ電力を伝送するように制御されてよい。
【0051】
第1のコネクタ101は、第1および第2のコネクタ101、111を係合させるために、第2のコネクタ111へ向かう方向に第1のコネクタ101を動かすように構成された係合機構108に取り付けられている。第1のコネクタ101を係合させるための好適な機構の例としては、x、y、およびzのデカルト軸上で独立した調整を行うことができる伸縮カラム、リニアアクチュエータ、またはロボットアームが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、調整機構103は、平面内で第1のコネクタ101を動かすように構成されており、係合機構108は、調整機構103の平面に対して傾斜した方向に第1のコネクタ101を動かすように構成されている。このようにして、調整機構103および係合機構108の動きを組み合わせることにより、スペース内で少なくとも3つの自由度を用いて、第1のコネクタ101を正確に位置決めできる。
【0052】
調整機構108を用いて第1のコネクタ101の位置を調整した後に、コントローラ106は、1つまたは複数のセンサ102から新たな情報を受信し、第1および第2のコネクタ101、111が正しく位置合わせされていることを確認してよい。次いで、第1および第2のコネクタ101、111が位置合わせされているという判定に応じて、コントローラ106は、係合機構108を制御して第1のコネクタ101を第2のコネクタ111と自動的に係合させてよい。
【0053】
コントローラ106は、充電が完了すると、係合機構108を制御して第1のコネクタ101を第2のコネクタ111から自動的に係合解除するように構成されてよい。例えば、電気ビークル110は、その内蔵バッテリの充電状態を監視し、バッテリが完全に充電されていることを示す信号をコントローラ106へ送信してよい。いくつかの実施形態において、電気ビークル110は、バッテリ充電が100%充電未満の特定の閾値レベルに達すると、信号をコントローラ106へ送信してよい。例えば、ユーザが高速充電モードを選択していた場合、電気ビークル110は、バッテリがある程度の充電レベル、例えば、総バッテリ容量の80%または90%に達すると、信号をコントローラ106へ送信して充電操作を終了させてよい。コントローラ106は、運転者が好きなときに充電プロセスを中断して走行を継続できるようにするために、ユーザコマンドに応答して第1のコネクタ101を第2のコネクタ111から係合解除するように構成されてよい。
【0054】
いくつかの実施形態において、充電操作は、ユーザ定義閾値と呼ばれることがあるユーザにより定められた閾値にバッテリ充電レベルが達すると終了してよい。例えば、ユーザは、今回の走行のうち残っている部分に対して十分な充電量を表すと考えるレベルにユーザ定義閾値を設定してよい。いくつかの実施形態において、充電操作は、今回の走行のうち残っている部分を完了するのに必要なバッテリ充電量を予測するように構成されたアルゴリズムによって決定された閾値にバッテリ充電レベルが達すると終了してよい。アルゴリズムは、予測を行うときに、ユーザの予想される運転パターンおよび/または最も可能性の高い目的地などの情報を考慮に入れるように構成されてよい。例えば、アルゴリズムには、ユーザにより実行された以前の走行を示す情報、および/またはユーザの運転スタイル(例えば、加速および/またはブレーキの割合、コーナリング速度、特定の速度における特定のギアの好みなど)について示す情報が提供されてよい。
【0055】
本実施形態において、第2のコネクタ111は、ビークルコネクタとも呼ばれることがあり、電気ビークル110の下側に配置されている。しかしながら、他の実施形態において、第2のコネクタ111は、ビークル110の別の部分、例えば、ビークル110の側部、前部、後部、または上部に配置されてよい。第2のコネクタ111がビークルの下側以外のビークルの一部に配置されている実施形態において、調整機構103および/または係合機構108は、それに応じて適応されてよい。例えば、第2のコネクタ111がビークル110の側部に配置されている一実施形態において、調整機構103は、第1のコネクタ101をビークル110の下から水平に動かし、第1のコネクタ101を第2のコネクタ111と同じ高さになるまでビークル110と平行して鉛直に上昇させるように構成されたロボットアームを有してよい。このアームは次いで、第1および第2のコネクタ101、111を係合させるために、第1のコネクタ101を第2のコネクタ111へ向かって水平に動かすように制御されてよい。本実施形態において、ロボットアームは調整機構103および係合機構108の両方の機能を行うので、別個の係合機構108は必要とされなくてもよい。
【0056】
図1に示すように、本実施形態において、コントローラ106、電力回路107、調整機構103、および1つまたは複数のセンサ102は、駐車スペース内の地表面120にある低背ハウジング104の中に配置されている。このようにして、歩行者または道路利用者に何も障害物をもたらさない小型で目立たない充電スタンド装置100を提供できる。これは、運動機能が低下または損なわれた歩行者、例えば、視力障害のある歩行者、高齢の歩行者、身体障害のある歩行者、または負傷しているかまたは医療的緊急事態にある他の歩道利用者にとって特に有利になり得る。こうした人たち全てが、駐車スペースに隣接して配置されるのが通例である従来の地上に置かれた電気ビークル充電スタンドによりもたらされる障害物を避けて進むことに困難を感じる場合がある。
【0057】
いくつかの実施形態において、ビークル110は、第1のコネクタ101、および/またはハウジング104、および/またはハウジングカバー105といった装置100の一部の、第2のコネクタ111に対する位置を検出するように構成された1つまたは複数のビークルセンサ112を備えてよい。1つまたは複数のビークルセンサ112からの情報は、第1および第2のコネクタ101、111の位置合わせを支援するのに用いられてよい。例えば、いくつかの実施形態において、ビークル110は、1つまたは複数のビークルセンサ112から得られた情報を充電スタンドコントローラ106へ送信してよい。いくつかの実施形態において、ビークル110に付いているコントローラは、1つまたは複数のビークルセンサ112から得られた情報を利用して、例えば、自動駐車操作時に第1および第2のコネクタ101、111の自動的な位置合わせを支援でき、および/または1つまたは複数のビークルセンサ112から得られた情報を表示して、手動駐車操作時にユーザが第1および第2のコネクタ101、111を位置合わせするのを支援できる。
【0058】
1つまたは複数のビークルセンサ112が設けられている実施形態において、1つまたは複数のビークルセンサ112によって検出される装置100の一部は、装置100の隣接部分に対して高いコントラストをもたらす、および/または路面120の隣接部分に対して高いコントラストをもたらすように構成されてよい。すなわち、1つまたは複数のビークルセンサ112によって検出された装置100の一部は、1つまたは複数のビークルセンサ112で捕捉された画像において高いコントラストをもたらすように構成されてよく、その結果、捕捉された画像において装置100の一部をより容易に特定できる。例えば、1つまたは複数のビークルセンサ112が可視波長で画像を捕捉するように構成されている場合、装置100の一部は、装置100の隣接部分および/または路面120の隣接部分の色に対して高いコントラストをもたらす色を有してよい。別の例として、異なる色を用いる代わりに、形状および/または表面反射率といった、装置100の一部に関する別の特性が、1つまたは複数のビークルセンサ112で捕捉された画像において高いコントラストをもたらすように構成されてよい。
【0059】
本実施形態の装置100は、好適なヒンジの周りを旋回できる1つまたは複数の部品の形態でハウジングカバー105を備える。ハウジングカバー105の1つまたは複数の部品は、閉位置にある場合、塵埃、液体、または他の異物がハウジング104に入り込むのを防止するシールとして機能できる。さらに、図1に破線で示される開位置に持ち上げられると、そうしなければ第1のコネクタ101を妨げる可能性があるあらゆる塵埃またはゴミなどの物質をハウジングカバー105からチップオフ(tipped off)することができ、第1のコネクタ101を第2のコネクタ111と係合させるためのパスがクリーンになる。このようにして、ハウジングカバー105のヒンジ付きの1つまたは複数の部品は、第1および第2のコネクタ101、111の間のパスから障害物を取り除くための手段として機能できる。
【0060】
本実施形態ではハウジングカバー105がハウジング104を覆うヒンジ付きのふたという形態を取るが、他の実施形態では異なる形態のカバー105が設けられてよい。例えば、いくつかの実施形態では、堅いハウジングカバー105が、スライド機構または回転機構を用いて開閉してよく、またはシャッタの形態をした柔軟なまたは分割されたハウジングカバーが、ハウジング104の一方の側にあるドラムまたはスピンドルの周りにハウジングカバーを巻き取ることによって開いてよい。
【0061】
いくつかの実施形態において、ヒンジ付きのハウジングカバー105の代わりにまたはこれに加えて、障害物を取り除くための別の手段が設けられてよい。障害物を取り除くための手段は、パスクリアリング機構とも呼ばれることがある。例えば、いくつかの実施形態において、本装置は、ハウジング104の表面から物質を取り除いて第1のコネクタ101へのパスをクリーンにするために、ハウジング104の表面に気体または液体の噴流を向けるように構成されたノズルの形態のパスクリアリング機構を備えてよい。
【0062】
ここで図2を参照すると、本発明の一実施形態に従って、充電装置の制御方法を示すフローチャートが図示されている。図2に示すものなどの方法が、図1に示すものと同様の装置によって行われてよい。
【0063】
まず、段階S201においてコントローラ106は、第2のコネクタ111に対する第1のコネクタ101の現在位置を示す情報を、例えば、ビークル110の下側の、第2のコネクタ111の位置を示す画像の形態で、1つまたは複数のセンサ102から受信する。次いで、段階S202においてコントローラ106は、例えば、形状認識アルゴリズムを適用して画像内の第2のコネクタ111を特定した後に、第2のコネクタ111の現在位置および既知の基準点の間のオフセットを判定することにより、1つまたは複数のセンサ102から受信した情報に応じて第1のコネクタ101を第2のコネクタ111と位置合わせするのに必要な調整を決定する。
【0064】
必要な調整を決定すると、段階S203においてコントローラ106は、決定した調整に従って調整機構103を制御して、第1および第2のコネクタ101、111を位置合わせする。次いで、段階S204においてコントローラ106は、電気ビークル110との間で電力を伝送するための電気的接続を行うために、コネクタ101、111の位置合わせが済むと、係合機構108を制御して第1のコネクタ101を第2のコネクタ111と係合させる。次いで、段階S205において電力回路107は、第1および第2のコネクタ101、111の間の電気的接続を介して電気ビークル110との間で電力の伝送を始める。
【0065】
上述したように、装置100において第2のコネクタ111に対する第1のコネクタ101の位置を調整することにより、第1のコネクタ101に対してビークル110を高い精度で駐車することが不要になる可能性がある。さらに、ビークル110ではなく装置100で必要な調整を実行できるので、ビークル110に簡単な固定コネクタ111が設けられてよく、ビークル110の全体的なコストおよび複雑度が低減する。
【0066】
それにもかかわらず、いくつかの実施形態において、ビークル110は第2のコネクタ111の位置を調整するための自前の機構も備えてよい。装置100およびビークル110の両方がそれぞれ、第1および第2のコネクタ101、111の位置をそれぞれ調整するための機構を備える場合、より広範な調整が成し遂げられる可能性があり、それに応じて、システムは装置100およびビークル110の間のより大きな位置ずれを許容できる可能性がある。
【0067】
ここで図3を参照すると、本発明の一実施形態に従って、図1に示す装置の第1および第2のコネクタを位置合わせして係合させる方法を示すフローチャートが図示されている。以下の説明から明らかになるように、図3に図示した特定の段階が装置100で行われ、他の段階がビークル110で行われる。
【0068】
図3のフローチャートは、段階S301において運転状態にあるビークル110から始まる。ある時点においてビークル110は、段階S302において、例えば、ユーザが後進ギアを選択した、またはビークルの駐車センサを作動させることを選択した、および/または自動駐車機能を係合させたときに、駐車操作を検出する。ビークル110に搭載されたコントローラが、段階S303において、ビークル110のすぐ近くにある図1に示すものといった地上設置型充電装置を無線で探索し、これに接続しようと試みることによって応答する。明確にするために、ビークル110に搭載されたコントローラは、以下で「ビークルコントローラ」と呼ばれることになり、充電スタンド装置100のコントローラ106は、以下で充電スタンドコントローラ106と呼ばれることになる。実施形態に応じて、ビークルコントローラは、ビークル内に設置される電子制御ユニット(ECU)を有してもよく、または物理的に別個のデバイス、例えば、タブレットコンピュータまたはスマートフォンといったポータブルユーザデバイスを有してもよい。ビークルコントローラは、任意の好適な技術、例えば、WiFi、Long Range(LoRa)、またはBluetooth(登録商標)を用いて装置100への無線接続を確立しようと試みてよい。
【0069】
接続が確立されると、ビークルコントローラは、段階S304において地上設置型充電スタンド装置100の1つまたは複数のセンサ102から画像、例えば、可視波長で捕捉された画像、または赤外線画像、または超音波画像を受信する。段階S305において、ビークルコントローラは、充電スタンドコントローラ106から調整機構103の範囲を示す情報を取得する。例えば、段階S305において充電スタンドコントローラ106からビークルコントローラへ送信された情報は、第1のコネクタ101に対して事前に定められた1つまたは複数の軸に沿って可能な調整の最大範囲を規定してよい。
【0070】
次に、段階S306において、ビークルコントローラは、段階S304で受信した画像の全体または一部を、運転者に見えるディスプレイ、例えば、車載ディスプレイ画面、またはタブレットコンピュータまたはスマートフォンハンドセットなどのモバイルユーザデバイスのディスプレイ画面に表示する。本実施形態において、表示される画像には、第1のコネクタ101を調整機構103により位置決めできる領域を示すために、1つまたは複数のセンサ102で捕捉された画像に重ね合わせるバウンディングボックスが含まれる。実施形態に応じて、バウンディングボックスは、充電スタンドコントローラ106で捕捉された画像に追加され、次いでビークルコントローラへ送信されてもよく、または捕捉された画像を段階S304で受信した後に、バウンディングボックスを含む画像を運転者に見えるディスプレイに表示する前に、ビークルコントローラにより追加されてもよい。
【0071】
段階S307において、ビークルコントローラは、第2のコネクタ111が第1のコネクタ101の届く範囲にあるか否かをチェックする。すなわち、ビークルコントローラは、第2のコネクタ111が調整機構103により提供され得る可能な調整の範囲内にあるか否かをチェックしてよい。第2のコネクタ111が調整機構103および第1のコネクタ101の範囲外にあるとビークルコントローラが判定した場合、位置ずれ通知メッセージを表示して、ビークル110を別の位置に動かすよう運転者に促してよい。そうする場合、運転者は、第2のコネクタ111を第1のコネクタ101とおおよそ位置合わせする際に支援してくれる表示画像およびバウンディングボックスを用いてよい。いくつかの実施形態では、段階S307において、ビークルコントローラは、運転者が関与することなく、自動駐車モードを用いてビークルを自動的に再配置してよい。
【0072】
第2のコネクタ111が第1のコネクタ101の届く範囲にあると判定されると、段階S308において、ビークルコントローラは、ビークル110が正しく駐車されていることを充電スタンドコントローラ106へ伝える。次いで、段階S309において、充電スタンドコントローラ106は、1つまたは複数のセンサ102を用いて第2のコネクタ111の現在位置の画像を捕捉する。次に、本実施形態において、充電スタンドコントローラ106は、機械学習アルゴリズムを用いて、捕捉された画像を段階S310において解析する。ここで、「機械学習アルゴリズム」という用語は、機械学習を用いて訓練されているアルゴリズムを指すものと理解されたい。いくつかの実施形態において、アルゴリズムは開発段階の間に機械学習を用いて訓練されてよく、次いで結果としての訓練されたアルゴリズムは充電スタンドコントローラ106にインストールされてよい。いくつかの実施形態において、アルゴリズムは充電スタンドコントローラ106にインストールされると、変化しないままでよく、言い換えれば、アルゴリズムは充電スタンドコントローラ106にインストールされると、さらに訓練されなくてもよい。しかしながら、他の実施形態において、アルゴリズムは、アルゴリズムの精度を向上させるために、装置100の使用時に機械学習を用いて継続的に訓練されてもよい。
【0073】
機械学習アルゴリズムは、捕捉された画像を複数の画像クラスのうちの1つに割り当てるように構成されており、各クラスは、捕捉された画像における第2のコネクタ111の異なる位置に対応する。機械学習アルゴリズムが画像を複数のクラスのうちの1つに割り当てることに成功した場合、充電スタンドコントローラ106は、割り当てた画像クラスと関連付けられた格納済みの予め決められた調整を取り出すことにより、段階S311において必要な調整を決定することへ進む。異なるシナリオについて必要な調整を予め計算し、予め計算した調整をメモリに格納することにより、充電スタンドコントローラ106は、段階S311において必要な調整を迅速かつ効率的に決定できる。また、第1および第2のコネクタ101、111の相対位置合わせという観点から現在のシナリオに適切な格納済みの予め決められた調整を取り出すことにより、コントローラ106は、1つまたは複数のセンサ102からの情報に依拠してリアルタイムで調整を導く必要なしに、調整機構103を制御できる。
【0074】
次に、段階S312において、充電スタンドコントローラ106は、例えば、1つまたは複数のセンサから受信した情報に基づいて、第1および第2のコネクタ101、111の間のパスに何か障害物が存在しているか否かをチェックする。段階S312において障害物が検出された場合、または段階S311において機械学習が画像を分類できない場合、充電スタンドコントローラ106は、人間の操作者、例えば、運転者または同乗者が、段階S315において、調整機構103および/または係合機構108を手動で制御するためのユーザ入力を提供する手動モードに切り替えるようビークルコントローラへ伝える。例えば、調整機構103および/または係合機構108を制御するためのユーザインタフェースが、ビークル内のタッチスクリーンディスプレイに表示されてよく、ビークルコントローラは、ユーザインタフェースを通じて受信したユーザコマンドを充電スタンドコントローラ106へ送信してよく、充電スタンドコントローラは次に、ユーザコマンドに従って調整機構103および/または係合機構108を制御できる。
【0075】
充電スタンドコントローラ106が段階S311において機械学習アルゴリズムを用いて画像を複数のクラスのうちの1つに割り当てることに成功し、かつ段階S312においてコネクタ101、111の間のパスに障害物がないと判定すると、段階S313において充電スタンドコントローラ106は、実行可能な接続があり得ることをビークルコントローラへ伝える。例えば、ビークルコントローラは、ビークルが正しく位置していることを運転者へ伝えるメッセージまたは他の形態の通知を表示することによって応答してよい。
【0076】
次に、段階S316において、充電スタンドコントローラ106は、要求された調整を段階S317において行う調整機構103へ命令を送信する。調整が完了すると、段階S318において、充電スタンドコントローラ106は、係合機構108を制御して第1のコネクタ101を第2のコネクタ111と係合させる。充電スタンドコントローラ106は、例えば、電力回路107を用いて第1および第2のコネクタ101、111の間の接続の抵抗を診断することにより、好適な接続が確立されていることを確認するためのチェックを実行してよい。接続の確立に成功したことを充電スタンドコントローラ106が確認すると、段階S319において、充電スタンドコントローラ106は、接続に成功したことをビークルコントローラに伝える。次いで電力回路107は、充電または放電のいずれが必要とされるのかに従ってビークルとの間で電力の伝送を始める。例えば、いくつかの実施形態において、電力回路は、送電網に対する需要が高い時間帯にはビークル110から送電網へ電力を伝送してよく、需要が低い時間帯にはビークル110に電力を伝送してよい。所望の伝送が完了すると、ビークルコントローラは、段階S320においてビークル110を係合解除して運転する準備が整っていることを運転者へ通知してよい。
【0077】
ここで図4を参照すると、本発明の一実施形態に従って、図1の電気ビークルおよび装置の間で無線通信を可能にするシステムが図示されている。装置100およびビークル110はそれぞれ、装置100およびビークル110が互いに無線で通信できるようにするためのそれぞれの無線インタフェース401、411を備える。図3を参照して上述したように、任意の好適な無線通信技術が用いられてよい。ビークル110は、例えば、一体型の車載ディスプレイ画面の形態で、またはタブレットまたはスマートフォンなどのポータブルデバイスの形態でディスプレイ412も備える。ディスプレイ412は、図3を参照して上述したように、運転者へ情報を表示するのに用いられてよい。
【0078】
装置100は、センサ102および充電スタンドコントローラ106を備える。本装置は図1に示すような他の要素も備えてよいが、それらは明確にするために図4に示されていない。本実施形態において、装置100はさらにコンピュータ可読メモリ106aを備え、これは上述したように、それぞれ複数の画像クラスのうちの1つと関連付けられた複数の予め決められた調整を格納するように設けられている。いくつかの実施形態において、予め決められた調整をローカルメモリ106aに格納する代わりに、コントローラ106は、格納済みの予め決められた調整を取り出すために、リモートストレージ、例えば、クラウドベースのストレージにアクセスするように構成されてよい。さらに、いくつかの実施形態において、充電スタンド装置100内にあるローカルコントローラ106によって実行されると説明した操作のうちの一部または全部が、代わりに充電スタンド装置100から遠く離れたコントローラ、例えば、クラウドコンピューティングサーバで実行されてもよい。そのようなものとして、本明細書における「コントローラ」への言及は適宜に解釈されるべきであり、対応する処理段階が充電スタンド装置100でローカルに実行されなければならないということを示唆してはいない。
【0079】
コントローラ106は、1つまたは複数のプロセッサを有してよく、メモリ106aは、1つまたは複数のプロセッサにより実行されると、上述した方法のいずれかをコントローラ106に実行させる命令を含んだコンピュータプログラムを格納してよい。例えば、コンピュータプログラム命令は、充電スタンドコントローラ106に、機械学習アルゴリズムを用いて1つまたは複数のセンサ102で捕捉された画像を分類させ、関連する予め決められた調整をメモリ106aから取り出させ、調整機構103を用いて必要な調整を適用させ、第1のコネクタ101を第2のコネクタ111と係合させるように係合機構108を制御させてよい。
【0080】
ここで図5を参照すると、本発明の一実施形態に従って、ビークルが第1のコネクタの上に不適切に駐車している場合に自動的に行動を起こす方法を示すフローチャートが図示されている。本方法は、図1および図4で図示したような装置によって行われてよい。まず、段階S501において、コントローラ106は複数のセンサ102のうち1つまたは複数から情報を受信する。次いで段階S502において、コントローラ106は、段階S501で受信した情報に基づいて、ビークル110が第1のコネクタ101の上のスペースに駐車しているか否かを判定する。例えば、1つまたは複数のセンサ102が光センサを含む場合、コントローラ106は、光センサにより検出された光レベルが、物体が光センサの上に影を落としていることを示す特定の閾値未満になると、ビークルが第1のコネクタ101の上のスペースに駐車していると判定してよい。ビークルが検出されない場合、コントローラ106は、センサ情報を待ち、これを繰り返しチェックして、ビークルが第1のコネクタ101の上に駐車しているか否かを判定する。
【0081】
段階S502でビークルが検出されると、コントローラ106は段階S503へ進み、ビークル110が充電装置100に適合しているものであるか否かをチェックする。例えば、段階S502において、コントローラ106は、1つまたは複数のセンサ102で捕捉された画像に画像認識アルゴリズムを適用して、ビークル110に付いている第2のコネクタ111を検出しようと試みてよい。いくつかの実施形態において、コントローラ106は、1つまたは複数のセンサ102からの情報に基づいて、異なる種類のビークルを認識可能であってよい。
【0082】
例えば、コントローラ106は、1つまたは複数のセンサ102からの情報を解析して、電気ビークルおよび内燃エンジンビークルを区別するように構成されてよい。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のセンサ102は、空気の特性を検出するための空気センサを含み、コントローラ106は、空気センサ102が内燃エンジンビークルの排気ガスを示す特性を検出したことに応じて、ビークル110が第1のコネクタ101に不適合であると判定するように構成されている。いくつかの実施形態において、コントローラ106は、ビークルの下側の画像に画像認識を適用して、内燃エンジンビークルを示す特徴、例えば、燃料ポンプ、エキゾーストパイプ、および触媒コンバータなどを検出してよい。1つまたは複数のそのような特徴が検出されたことに応答して、コントローラ106は、ビークル110が内燃エンジンビークルであるため、段階S503において充電装置100に不適合であると判定してよい。
【0083】
いくつかの実施形態において、段階S503において、コントローラ106は、ビークル110が段階S502において検出された後に、1つまたは複数のセンサ102から受信した情報に基づいて判定を行ってよい。言い換えれば、コントローラ106は、第2のコネクタ111が期待される位置に存在しているか否かを判定するために、段階S502およびS503の間で新たなセンサ情報を受信してよい。他の実施形態において、コントローラは、段階S502およびS503の両方に同じセンサ情報を用いてよく、その場合、段階S502およびS503の間で新たなセンサ情報を受信することが不要になる可能性がある。
【0084】
段階S503において、第2のコネクタ111が存在しているとコントローラ106が判定した場合、コントローラ106は次いで段階S504へ進み、上述したように、調整機構を用いて第1および第2のコネクタ101、111を自動的に位置合わせして接続してよい。その一方で、段階S503において第2のコネクタ111が検出されていないのに、ビークルが第1のコネクタ101の上方にあるスペースに駐車している場合、コントローラ106は段階S505へ進み、ビークルが電気ビークル充電スペースに不適切に駐車していることに応答して自動的に行動を起こす。段階S505における行動は、実施形態に応じて異なる形式を取ることがある。例えば、1つの実施形態において、コントローラ106は、駐車違反などの執行通知を自動的に発行してもよく、または不適切に駐車しているビークルの存在を好適な機関に通報してよい。別の実施形態において、コントローラ106は、第1のコネクタ101の上方にある駐車スペースまたはその近くで可聴警報または視覚警報を作動させてよい。例えば、不適合ビークル110の運転者が、駐車しているスペースが電気ビークル充電スペースであることに気付いていない状況において、電気ビークル充電スペースの存在をビークル110の運転者に知らせるために警報を作動させることにより、ビークル110を駐車スペース外に動かすよう運転者を促して、適合した電気ビークルのユーザのためにスペースが解放され得る。
【0085】
いくつかの実施形態において、段階S505で起こされる行動が予め決められてよい。他の実施形態において、この行動は、例えば、1つまたは複数のセンサから受信した情報および/または他の要因に従って、予め決められた複数の行動のうちの1つを選択することによる状況依存型であってよい。1つのそのような実施形態において、コントローラ106は、例えば、日中には上述した警報を作動させることにより、夜間には近くの住民に迷惑をかけないように、執行機関に無音で通報するか、または駐車違反通知を発行するなどのあまり目立たない行動を起こすことにより、1日の異なる時間帯で様々な予め決められた行動を起こしてよい。
【0086】
ここで図6を参照すると、本発明の一実施形態に従って、ハウジングのどちらの端部にも傾斜路を備えた装置600が図示されている。本実施形態において、ハウジング604は、ハウジング604の1つの端部に第1の傾斜路604a、およびハウジング604のもう一方の端部に第2の傾斜路604bを有する。第1および第2の傾斜路604a、604bにより、電気ビークル110は、本装置が設置されているスペースに駐車するときに、傾斜路604a、604bのいずれかを上り、ハウジング604に乗り上がることが可能になる。本実施形態において、第1および第2の傾斜路604a、604bのそれぞれの幅wは、駐車の際に、両前輪(前進駐車の場合)または両後輪(後進駐車の場合)を操作して傾斜路604a、604bに乗り、そこを上ることができるように、電気ビークル110のトレッドと等しいまたはそれより大きくてよい。ハウジングカバー605は、ビークル110がハウジングカバー605の上に駐車するために傾斜路604a、604bのいずれかを上り、ハウジングの上面604cに乗り上がることができるように、傾斜路604a、604bの間の、ハウジング604の上面604cに配置されてよい。
【0087】
代替実施形態では、図7に示すように、装置700は、1つの傾斜路の代わりに、ハウジング704の1つまたは複数の端部に一対の傾斜路704a、704bを備えてよい。そのような実施形態において、一対の傾斜路704a、704bは、ビークル110の両側にある車輪間の間隔より小さいまたはそれに等しい距離wだけ分離されてよい。
【0088】
ここで図8を参照すると、本発明の一実施形態に従って、高速充電用の電力貯蔵ユニットを備えた電気ビークル充電装置800が図示されている。装置800は、電力を貯蔵するための1つまたは複数の電力貯蔵ユニット809を備えてよい。それぞれの電力貯蔵ユニット809は、任意の好適な形式のエネルギー貯蔵技術、例えば、バッテリセル、スーパーキャパシタ、およびフライホイールエネルギーストレージなどを用いてよい。電力回路807は、第1のコネクタ801および第2のコネクタ111の間に形成された電気的接続を介して、1つまたは複数の電力貯蔵ユニット809および電気ビークル110の間で電力を伝送するように構成されている。電力は、必要に応じて、どちらの方向にも伝送されてよい。例えば、商用電源が利用できない状況では、電気ビークル110から1つまたは複数の電力貯蔵ユニット809へ余剰エネルギーを伝送してよく、このエネルギーは後で同じビークルまたは別のビークルを再充電するのに用いられる。
【0089】
本実施形態において、1つまたは複数の電力貯蔵ユニット809は、商用電源830から受信した電力を用いて充電され、その後に上記電力を電気ビークル110に供給するように設けられている。1つまたは複数の電力貯蔵ユニット809は、1つまたは複数の電力貯蔵ユニット809から電気ビークル110を充電するのに必要な時間が商用電源から同じ量だけ電気ビークルを充電するならば必要となる対応する時間より短くなるように、商用電源830から供給され得る最大電流より高い電流で電力を電気ビークル110に供給するように構成されている。このようにして、1つまたは複数の電力貯蔵ユニット809は、「高速充電」機能を提供するのに用いることができ、商用電源830から直接的に電力を引く場合において可能となるよりも急速に電気ビークル110を充電できるようになる。充電が完了すると、1つまたは複数の電力貯蔵ユニット809は、より低速で商用電源830から再充電されてよい。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の貯蔵ユニット809は、商用電源以外の別の電源、例えば、太陽電池パネルまたは風力タービンといった、その土地の再生可能エネルギー源から再充電されてよい。
【0090】
1つまたは複数の電力貯蔵ユニット809は、単一のユニットとして容易に設置または撤去が可能な小型で自給式の装置を提供するために、ハウジング104、604、704の中に配置されてよい。あるいは、1つまたは複数の電力貯蔵ユニット809の一部または全部が、他の場所に、例えば、地下に、またはハウジング104、604、704が置かれている駐車スペースの横に配置されてもよい。この手法により、ハウジング104、604、704の限られた範囲内において可能となるよりも多くの電力貯蔵ユニット809を設けることが可能になり得る。
【0091】
本明細書では図面を参照しながら本発明の特定の実施形態について説明してきたが、添付した特許請求の範囲で定められる本発明の範囲から逸脱することなく、多くの変形例および変更例が可能になることが理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】