(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-11
(54)【発明の名称】入力を、負荷を駆動するための出力に変換するための電力変換器、並びに対応するLEDベースの照明デバイス及び対応する方法
(51)【国際特許分類】
H05B 45/36 20200101AFI20240304BHJP
H05B 45/375 20200101ALI20240304BHJP
【FI】
H05B45/36
H05B45/375
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555569
(86)(22)【出願日】2022-03-04
(85)【翻訳文提出日】2023-11-07
(86)【国際出願番号】 EP2022055509
(87)【国際公開番号】W WO2022189273
(87)【国際公開日】2022-09-15
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】デ ボンド ガイ ルイス パウル
(72)【発明者】
【氏名】デ ヨング フリッツ トビー
(72)【発明者】
【氏名】チヴォリック ダリボール
(72)【発明者】
【氏名】ヴォス ヘルマヌス ヨハンネス マリア
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273AA10
3K273BA20
3K273BA22
3K273BA24
3K273BA26
3K273CA02
3K273CA12
3K273EA06
3K273EA23
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3K273FA11
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3K273GA03
3K273GA10
3K273GA12
3K273GA14
3K273GA27
3K273GA29
(57)【要約】
本開示は、入力を、負荷を駆動するための出力に変換するための電力変換器であって、入力を受け取り、前記入力を、前記負荷を駆動するための出力に変換するよう構成されるスイッチモード電源(SMPS)と、前記負荷にわたる並列ブランチ内に接続されるバッファコンデンサであって、前記SMPSからの前記出力をバッファするよう構成されるバッファコンデンサと、前記SMPSとは別の充電回路であって、前記バッファコンデンサにわたる電圧が電圧閾値を超えるまで前記バッファコンデンサに充電電流を供給するよう構成される充電回路とを有する電力変換器を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力を、LEDベースの負荷を駆動するための出力に変換するための電力変換器であり、
入力を受け取り、前記入力を、前記LEDベースの負荷を駆動するための出力に変換するよう構成されるSMPSと、
前記LEDベースの負荷にわたる並列ブランチ内に接続されるバッファコンデンサであって、前記SMPSからの前記出力をバッファするよう構成されるバッファコンデンサと、
前記SMPSとは別の充電回路であって、前記バッファコンデンサにわたる電圧が電圧閾値を超えるまで前記バッファコンデンサに充電電流を供給するよう構成される充電回路とを有する電力変換器であって、
前記充電回路が、前記充電回路を有効及び無効にするための出力スイッチを有し、前記出力スイッチが、前記LEDベースの負荷の一部にわたる電圧に基づいて制御される電力変換器。
【請求項2】
前記負荷が、複数の直列に接続されるLEDを有するLEDベースの負荷であり、前記出力スイッチが、前記複数の直列に接続されるLEDのうちの少なくとも1つにわたる電圧に基づいて制御される請求項1に記載の電力変換器。
【請求項3】
前記充電回路が、前記バッファコンデンサにわたる前記電圧が前記LEDベースの負荷の順方向電圧を超えるまで前記バッファコンデンサに前記充電電流を供給するよう構成される請求項1又は2に記載の電力変換器。
【請求項4】
前記バッファコンデンサの静電容量が、500μFと1500μFとの間である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電力変換器。
【請求項5】
前記充電回路が、前記充電回路の出力にサーミスタを有する請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電力変換器。
【請求項6】
前記SMPSが、バックコンバータを有する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電力変換器。
【請求項7】
前記充電回路が、前記バッファコンデンサにわたる前記電圧を測定し、測定された前記電圧に従って前記充電回路を作動及び停止させるよう構成されるコントローラを有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電力変換器。
【請求項8】
前記充電回路が、AC主電源入力を整流するための整流器を有する請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電力変換器。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電力変換器と、前記LEDベースの負荷とを有するLEDベースの照明デバイス。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電力変換器を使用することによって、入力を、LEDベースの負荷を駆動するための出力に変換する方法であり、
前記SMPSによって、前記LEDベースの負荷を駆動するための前記出力を供給するステップと、
前記充電回路によって、前記バッファコンデンサにわたる電圧が電圧閾値を超えるまで前記バッファコンデンサに前記充電電流を供給するステップとを有する方法であって、
前記充電回路が、前記充電回路を有効及び無効にするための出力スイッチを有し、前記出力スイッチが、前記LEDベースの負荷の一部にわたる電圧に基づいて制御される方法。
【請求項11】
前記充電電流を供給する前記ステップが、前記充電回路によって、前記バッファコンデンサにわたる前記電圧が前記LEDベースの負荷の順方向電圧を超えるまで前記バッファコンデンサに前記充電電流を供給するステップを有する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記充電回路が、前記充電回路を有効及び無効にするための出力スイッチを有し、前記方法が、前記充電回路によって、前記バッファコンデンサにわたる前記電圧に基づいて前記出力スイッチを制御するステップを有する請求項10乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、入力を、負荷を駆動するための出力に変換するための電力変換器に関し、より具体的には、電力変換器の起動時間を最小限に抑えながら、負荷を流れる電流において生じるリップル現象(ripple effect)を低減させるよう構成される電力変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
電力変換のための従来のスイッチモード電源(SMPS)トポロジは、これまで数十年にわたって適用されている。コスト及び効率の観点から、バックコンバータのような既存のトポロジは非常に効果的であることが証明されている。それ故、従来のトポロジは、あらゆるタイプの電力変換器の基本的なビルディングブロックになっている。通常、これらのトポロジは、総負荷電力を変換するために使用され、コスト及び効率の観点からこれを効果的に行うことが証明されている。
【0003】
これらの従来のSMPSは、様々な異なる種類の負荷のために使用され得る。或る典型的なタイプの負荷は、発光ダイオード(LED)ベースの負荷である。LEDベースの照明デバイスにおいては、一般的に、又は従来、LEDのコストが、LEDベースの照明デバイス全体のコスト内訳において支配的であった。しかしながら、LEDにおける価格崩壊は、LEDに給電するためのコスト、即ち、電力変換器のためのコストがより支配的になりつつあるようなレベルまで低下してきている。
【0004】
上記のことは、エンジニアを、よりコスト効率の良い電力変換器であって、それでもLED又は任意の他のタイプの負荷に適切に給電することができる電力変換器を開発するように導いている。
【0005】
LEDを通る相対的に大きなリップル電流を有する可能性があるほとんどの回路においては、一段バックコンバータ(single stage buck converter)が使用されている。従来のやり方においては、これらのドライバは、LEDリップル電流を許容可能な低さにするために、バックコンバータの後ろに配置されるリップル除去回路を使用している。
【0006】
リップル除去回路の電力は、一般に、熱で浪費されます。効率的なドライバを作成するためには、これらの損失は望ましくない。現在、能動回路でリップル電流を除去するための幾つかのアイデアがあり、前記能動回路は、より少ない損失でリップル電流エネルギを回収しているが、これらも、回収回路の自身の回路消費により消散する。リップル電流を許容可能なものにするための別のやり方は、出力コンデンサの静電容量を大幅に増加させるものである。
【0007】
出力コンデンサの増大の不利な点のうちの1つは、起動時間も増加していることである。即ち、出力コンデンサにわたる電圧が、負荷、特にLEDベースの負荷にとって十分なものになる前に、出力コンデンサが、或る特定のレベルまで充電される必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は、低減されたリップル電流を有し、同時に、許容可能な起動時間を有する電力変換器を対象とする。これは、以下でより詳細に説明する充電回路を導入することによって達成される。
【0009】
それ故、リップル現象及び起動時間を考慮に入れて、入力を、負荷を駆動するための出力に効率的に変換するための電力変換器を提供することが、本開示の目的である。このような電力変換器の動作を対象とするLEDベースの照明デバイス及び方法を提供することが、本開示の更なる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の第1態様においては、入力を、負荷を駆動するための出力に変換するための電力変換器であって、
- 入力を受け取り、前記入力を、前記負荷を駆動するための出力に変換するよう構成されるスイッチモード電源(SMPS)と、
- 前記負荷にわたる並列ブランチ(parallel branch)内に接続されるバッファコンデンサであって、前記SMPSからの前記出力をバッファする(buffer)よう構成されるバッファコンデンサと、
- 前記SMPSとは別の充電回路であって、前記バッファコンデンサにわたる電圧が電圧閾値を超えるまで前記バッファコンデンサに充電電流を供給するよう構成される充電回路とを有する電力変換器が提供される。
【0011】
発明者は、リップル現象に対処するために相対的に大きなバッファコンデンサを使用することは有益である可能性があることに気付いた。相対的に大きな出力コンデンサの不利な面は、起動時間が増加することである。前記起動時間は、前記電力変換器を実際にオンにしてから、前記バッファコンデンサにわたる電圧が前記負荷に適切に給電するのに十分になるまでの時間として定義され得る。
【0012】
前記バッファコンデンサは、前記負荷が実質的な電圧を受ける前に、或る特定の充電レベルまで充電される必要がある。即ち、前記バッファコンデンサにわたる電圧は、前記負荷にとって許容可能である或る特定のレベルまで上昇する必要がある。これは、前記バッファコンデンサにわたる電圧が前記LEDベースの負荷の順方向電圧を超える必要がある発光ダイオード(LED)ベースの負荷に特に当てはまる。
【0013】
上記の不利な面は、本開示では、前記充電回路を導入することによって対処されている。前記充電回路は、前記バッファコンデンサにわたる電圧が或る特定の電圧閾値を超えるまで前記バッファコンデンサに充電電流を供給するよう構成される。これは、前記電力変換器がオンにされているときに特に当てはまる。その場合には、前記バッファコンデンサは、前記バッファコンデンサが空乏段階(depletion stage)から充電される必要があるように、完全に空乏化されている可能性がある。
【0014】
従って、本開示によれば、前記バッファコンデンサは、前記バッファコンデンサにわたる電圧が電圧閾値を超えるまで、前記充電回路の前記充電電流によって、及び前記SMPS自体によって、充電され得る。この時点以降は、前記充電回路は、前記SMPSのみが、前記バッファコンデンサの充電を担い、従って、前記負荷を通る電流の供給も担うように、無効にされてもよい。
【0015】
本発明者は、前記バッファコンデンサを前記電圧閾値に達するまで充電する間は、前記リップル現象は問題にならない可能性があることに気付いた。従って、このような段階の間は、前記充電回路によって引き起こされる可能性があるより高いリップル電流を受け入れることが可能である可能性がある。前記電力変換器の起動フェーズが完了すると、前記充電回路は、無効にされ、このことは、前記リップル電流が低減される効果を有する。前記電力変換器の定常状態動作の間は、電力は、リップル電流の低減をもたらすように設計され得る前記SMPSによって供給される。
【0016】
上記との関連においては、リップルは、交流(AC)入力から変換された前記SMPSの前記出力におけるDC電力の、時として周期的な、残留変動とみなされ得ることに留意されたい。このリップルは、例えば、整流後の交互波形(alternating waveform)の不十分な抑制に起因する。
【0017】
例においては、前記負荷は、発光ダイオード(LED)ベースの負荷である。
【0018】
前記負荷は、直列にカスケード接続される複数のLEDから成ってもよい。あらゆるタイプのLED、例えば、クールホワイト(Cool White)LED、ウォームホワイト(Warm White)LED、又は同様のものが使用され得る。前記LEDはまた、並列にカスケード接続されてもよい。
【0019】
対応するLEDブランチは、所謂順方向電圧を有することができ、前記順方向電圧は、LEDが導通モードにあることを確実にするための前記LEDブランチにわたる所要電圧を規定する。一般的には、LEDの順方向電圧は、1.8ボルトと3.3ボルトとの間である。前記順方向電圧は、前記LEDの色によって異なる場合がある。赤色LEDは、一般的には、約1.7乃至2.0ボルト降下するが、青色LEDは、バンドギャップによって電圧降下及び光周波数の両方が増加することから、約3乃至3.3ボルト降下する場合がある。
【0020】
前記電圧閾値は、前記電圧閾値が、前記LEDブランチの前記順方向電圧と等しいように、又は少なくとも前記LEDブランチの前記順方向電圧に関連付けられる、若しくは関連するように、設定され得る。本発明者は、前記LEDが導通していない限り、即ち、前記順方向電圧にまだ達していない限り、前記リップル現象は問題にならない可能性があることに気付いた。
【0021】
従って、更なる例においては、前記充電回路は、前記バッファコンデンサにわたる前記電圧が前記LEDベースの負荷の順方向電圧を超えるまで前記バッファコンデンサに前記充電電流を供給するよう構成される。
【0022】
前記LEDは、前記電圧が、前記LEDベースの負荷の前記順方向電圧を超えると、導通し始め、従って、光を供給し始める。本発明者は、その場合にだけ、前記リップル現象が作用し始め、前記リップル現象が可能な限り低減される必要があることに気付いた。だから、前記充電回路は無効にされ、即ち、前記充電回路は、もはや前記バッファコンデンサに前記充電電流を供給しない。
【0023】
前記バッファコンデンサが、特定の電圧、例えば、前記LEDベースの負荷の前記順方向電圧に達すると、前記充電回路は、前記充電電流の供給を停止し得る。 更なる例においては、前記充電回路は、前記充電回路を有効及び無効にするための出力スイッチを有し、前記出力スイッチは、前記バッファコンデンサにわたる前記電圧に基づいて制御される。
【0024】
前記スイッチは、例えば、電界効果トランジスタ(FET)ベースのスイッチ又は同様のものであってもよい。
【0025】
更なる例においては、前記充電回路は、前記充電回路を有効及び無効にするための出力スイッチを有し、前記出力スイッチは、前記負荷の少なくとも一部にわたる電圧に基づいて制御される。
【0026】
前記バッファコンデンサは、前記負荷にわたる並列ブランチ内に接続され、前記SMPSからの前記出力をバッファするよう構成される。このことは、前記バッファコンデンサにわたる電圧が、前記負荷にわたる電圧と結びつけられる、又は関連付けられることを意味する。事実上、前記負荷にわたる電圧が、測定され得る、又は前記充電回路にフィードバックされ得る。本開示によれば、前記負荷にわたる電圧は、前記バッファコンデンサにわたる電圧も反映するので、入力パラメータとして使用され得る。
【0027】
前記出力スイッチは、例えば、電界効果トランジスタ(FET)、又は同様のものであってもよい。前記FETのゲートは、前記バッファコンデンサにわたる電圧又は前記負荷の少なくとも一部にわたる電圧に基づいて制御され得る。
【0028】
例においては、前記負荷は、複数の直列に接続されるLEDを有するLEDベースの負荷であり、前記出力スイッチは、前記複数の直列に接続されるLEDのうちの少なくとも1つにわたる電圧に基づいて制御される。
【0029】
前記LEDベースの負荷は、複数の並列に接続されるブランチを有してもよく、各ブランチは、複数の直列に接続されるLEDを有してもよい。前記LEDは、白色LED、青色LED、赤色LED、緑色若しくは黄色LED、又はそれらの組み合わせであってもよい。並列ブランチは、特定のブランチを流れる電流を検知するための検出抵抗器を有することもある。前記検出抵抗器にわたる電圧は、前記充電回路の前記出力スイッチを制御するために使用され得る。
【0030】
例においては、前記バッファコンデンサの静電容量は、500μFと1500μFとの間である。
【0031】
コンデンサの静電容量の公称値は、最も重要な特性であり得る。この値は、一般的に、ピコファラッド(pF)、ナノファラッド(nF)、又はマイクロファラッド(μF)単位で測定され、一般的に、数字、文字、又は色付き帯のマークもコンデンサの本体に付けられる。
【0032】
この場合には、前記コンデンサは、所謂電解コンデンサであってもよい。電解コンデンサの相対的に大きな静電容量が、前記電解コンデンサを、バッファ(buffering)のようなエネルギ蓄積目的にとりわけ適したものにしている。
【0033】
更なる例においては、前記充電回路は、前記充電回路の出力にサーミスタを有する。
【0034】
前記サーミスタは、抵抗が、通常の抵抗器又は標準的な抵抗器に比べてより大きく実際の温度に依存する抵抗器の一種である。サーミスタという表現は、熱と抵抗器とを組み合わせたものである。2つの異なるタイプのサーミスタ、負温度係数(NTC)サーミスタ及び正温度係数(PTC)サーミスタが存在する。本シナリオにおいては、安全上の理由でPTCサーミスタが使用され得る。前記充電回路の出力電流は、何らかの理由で、許容可能なレベルを超えることがある。前記出力電流は、前記PTCサーミスタを通過し、これは、本質的に前記PTCサーミスタも加熱する。前記PTCサーミスタの温度上昇は、前記PTCサーミスタがより高い抵抗を有するようにさせ、それによって、前記出力電流を低減させる。従って、前記PTCサーミスタは、前記出力電流が特定の安全レベルを超えないことを確実にするための一種のセーフティネットを形成する。
【0035】
更なる例においては、前記スイッチモード電源は、バックコンバータを有する。
【0036】
降圧コンバータ(step-down converter)とも呼ばれるバックコンバータは、その入力からその出力まで電圧を降圧する電力変換器である。バックコンバータは、一般的にダイオード及びトランジスタのような少なくとも2つの半導体を含むスイッチモード電源(SMPS)の一種であるが、最新のバックコンバータは、しばしば、前記ダイオードを、同期整流のために使用されるもう1つのトランジスタ、及び少なくとも1つのエネルギ蓄積要素、即ち、バッファコンデンサに置き換える。
【0037】
更なる例においては、前記充電回路は、
- 前記バッファコンデンサにわたる前記電圧を測定し、測定された前記電圧に従って前記充電回路を作動及び停止させるよう構成されるコントローラを有する。
【0038】
前記コントローラは、例えば、集積回路、マイクロコントローラ又は同様のもののような半導体デバイスであってもよい。
【0039】
別の例においては、前記充電回路は、交流(AC)主電源入力を整流するための整流器を有する。
【0040】
本開示の第2態様においては、先の例のいずれかによる電力変換器を有する発光ダイオード(LED)ベースの照明デバイスが提供される。
【0041】
入力を出力に変換するための前記電力変換器である、本開示の第1態様に関して説明したような利点は、前記LEDベースの照明デバイスである、本発明の第2態様にも当てはまることに留意されたい。
【0042】
本開示の第3態様においては、上記で提供した例のいずれかによる電力変換器を使用することによって、入力を、負荷を駆動するための出力に変換する方法であって、
- 前記SMPSによって、前記負荷を駆動するための前記出力を供給するステップと、
- 前記充電回路によって、前記バッファコンデンサにわたる電圧が電圧閾値を超えるまで前記バッファコンデンサに前記充電電流を供給するステップとを有する方法が提供される。
【0043】
入力を出力に変換するための前記電力変換器である、本開示の第1態様に関して説明したような利点は、前記電力変換器を動作させる方法である、本発明の第3態様にも当てはまることに留意されたい。
【0044】
例においては、前記充電電流を供給する前記ステップは、
- 前記充電回路によって、前記バッファコンデンサにわたる前記電圧が前記LEDベースの負荷の順方向電圧を超えるまで前記バッファコンデンサに前記充電電流を供給するステップを有する。
【0045】
更なる例においては、前記充電回路は、前記充電回路を有効及び無効にするための出力スイッチを有し、前記方法は、
- 前記充電回路によって、前記バッファコンデンサにわたる前記電圧に基づいて前記出力スイッチを制御するステップを有する。
【0046】
下記の実施形態を参照して、本発明のこれら及び他の態様を説明し、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図2】本開示による電力変換器の別の例を開示する。
【
図3】本開示による電力変換器の更なる例を開示する。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1は、本開示による電力変換器1の例を開示している。
【0049】
電力変換器1は、入力を、負荷4を駆動するための出力に変換するよう構成される。この特定のシナリオにおいては、負荷4は、発光ダイオード(LED)ベースの負荷である。
【0050】
入力端子9を介して入力を受け取り、入力を、負荷4を駆動するための出力に変換するよう構成されるスイッチモード電源(SMPS)2が設けられる。
【0051】
入力は、交流(AC)入力であってもよく、又は整流AC入力であってもよい。入力は、例えば、LED4に力を与えるために公称DC電圧にダウンコンバートされる230V AC入力であってもよい。
【0052】
負荷4にわたる並列ブランチ内に接続され、SMPS2からの出力をバッファするよう構成されるバッファコンデンサ3が設けられる。バッファコンデンサ3は、LED4にわたる電圧が、適度に一定である、即ち、ちらつきが軽減されるようなリップルが全くないものであることを確実にし得る。
【0053】
リップルは、電子工学においては、AC電源に由来している、電力変換器内の、DC電圧又はDC電流の、多くの場合周期的な、残留変動とみなされる。このリップルは、多くの場合、例えばSMPS2による、整流後の交互波形の不十分な抑制に起因し得る。リップル電圧は、整流器の出力として生じる、又はDC電力の生成及び転流(commutation)から生じる。
【0054】
発明者は、リップル現象に効果的に対抗するために相対的に大きなバッファコンデンサを有することが望ましい可能性があることに気付いた。大きなバッファコンデンサは、リップル電流が低減されるという有益な効果を有する。
【0055】
大きなバッファコンデンサ3の不利な面のうちの1つは、起動時間に関係する。バッファコンデンサ3は、電力変換器が起動されるたびに、負荷に適切に力を与えるのに十分になる前に、或る特定のレベルまで充電する必要がある。この特定のシナリオにおいては、バッファコンデンサ3にわたる電圧は、LEDが光を発し始めることを確実にするために、LED4の順方向電圧を超える必要がある場合がある。
【0056】
バッファコンデンサ3が大きければ大きいほど、バッファコンデンサ3にわたる電圧が十分になるまでにかかる時間が多くなる。これは、起動時間とも呼ばれる。従って、大きなバッファコンデンサ3は、リップル現象が効果的に対処されるという利点を有し得るが、大きなバッファコンデンサ3は、望ましくない長い起動時間につながる可能性がある。
【0057】
本発明者は、上記のことに気付き、依然として許容可能な起動時間を維持しながら大きなバッファコンデンサ3の使用を可能にする適切な解決策を見出した。これは、
図1において点線によって示されている充電回路を導入することによって達成される。
【0058】
充電回路は、SMPSから分離されており、バッファコンデンサにわたる電圧が、電圧閾値、例えば、LED4の順方向電圧を超えるまでバッファコンデンサ3に充電電流を供給するために使用される。
【0059】
分離は、バッファコンデンサを充電するために異なる電流経路が使用されることを伴う。従って、電流経路は SMPSから始まる電流経路と等しくない。
【0060】
従って、SMPSは、バッファコンデンサだけでなく負荷にも電流を供給するよう構成される。充電回路は、別個の電流、即ち、SMPSによって供給される電流とは別の電流をバッファコンデンサに供給するよう構成される。
【0061】
従って、充電回路は、SMPSによって供給される電流に影響を及ぼさない。
【0062】
上記のものの厳密な実施例は異なる場合がある。充電回路は、停止される前に或る特定の期間にわたって作動される場合があることに留意されたい。この特定の実施形態も、バッファコンデンサにわたる電圧に合わせて調整される。従って、充電回路は、停止される前に、特定の期間にわたって、例えば、数十乃至数百ミリ秒間、作動されるように実施される場合がある。このことは、バッファコンデンサ3にわたる電圧が電圧閾値を超えるときに充電回路が無効にされることを効果的に達成する。
【0063】
従って、充電回路は、入力、例えば主電源入力を受け取り、入力を、バッファコンデンサ3に向かう充電電流に変換するよう構成される。入力は、必ずしもSMPS2の入力と同じ入力である必要はない。入力は、入力端子8を介して受け取られる。
【0064】
図1において示されているシナリオにおいては、入力は、交流(AC)ベースの入力である。ACベースの入力は、整流器の出力においてDC電圧が供給されるような整流器7によって整流される。DC電圧は、次いで、充電回路によって、バッファコンデンサ3を充電するために使用される。これは、スイッチ5を導入することによって効果的に達成され得る。スイッチ5は、バッファコンデンサ3を充電するために有効にされ、バッファコンデンサ3を充電することがもはや必要とされないときに無効にされる。
【0065】
バッファコンデンサ3は、抵抗器、例えばサーミスタ6を介して充電されてもよい。サーミスタは、バッファコンデンサ3に向かう充電電流を制御するための抵抗器として機能する可能性があり、同時に、電力変換器において危険な状況が起こらないことを確実にするための安全対策として機能する可能性がある。即ち、何らかの理由で、充電電流が高くなりすぎる場合に、サーミスタは、高い抵抗器として機能し、従って、それによって、充電電流が危険な電流レベルを超えないことを確実にする。抵抗器はまた、保護を強化するためにヒューズ抵抗器であってもよい。
【0066】
スイッチ5は、電界効果トランジスタ(FET)、通常のトランジスタ又は同様のものとして実施されてもよい。これについて、
図2及び3に関してより詳細に説明する。
【0067】
図2は、本開示による電力変換器11の特定の実施例を示している。ここでは、便宜上、
図1に関連して、同じ又は同様の機能又はブロックに対しては同じ参照符号が使用されている。
【0068】
この特定の場合においては、充電回路は、AC入力8を整流するためのダイオードベースの整流器13を有する。
【0069】
従って、整流器13は、交流(AC)入力の、直流(DC)出力への変換のために使用され、ブリッジ整流器としても知られている。ブリッジ整流器は、2端子ベースのAC入力8からの全波整流を提供する。
【0070】
スイッチ12は、空乏型(depletion)金属酸化膜半導体(MOS)電界効果トランジスタ(FET)である。MOSFETは、ゲート・ソース間電圧が正又はゼロボルトである場合に充電電流を伝導するように構成される。MOSFETは、ゲート・ソース間電圧が負の閾値に達すると、伝導を停止する。
【0071】
最初は、バッファコンデンサ3は空であり、従って、バッファコンデンサ3にわたる電圧はゼロである。このことは、LEDはオンにされていないことを意味する。従って、ゲート・ソース間電圧もゼロボルトであり、このことは、スイッチは有効にされることを意味する。充電電流が、充電回路からバッファコンデンサ3へ流れる。
【0072】
電流量は、サーミスタ6を選択することによって決定され得る。サーミスタ6の低い値は、相対的に高い充電電流をもたらし、サーミスタ6の高い値は、相対的に低い充電電流をもたらす。
【0073】
バッファコンデンサ3にわたる電圧が、或る特定の閾値、例えばLED4の順方向電圧閾値を超えると、LED4は、導通し始め、光の発し始める。その場合には、スイッチ12のゲート・ソース間電圧は、スイッチ12が無効にされるようになるような負の閾値未満に低下する。その時点から、SMPS2が、バッファコンデンサ3の充電を担う、従って、LED4に力を与えることも担う(唯一の)変換器である。
【0074】
図2において示されている電気回路は、通常モードにおいては、即ち、スイッチ12が閉じられているときには、回路がほとんど全く電力を消費しないという利点を有する。更なる利点は、充電回路の実施するために少ない構成要素しか使用されず、それによって、充電回路の総コストを低く抑えることである。
【0075】
図3においては、
図2において示されている電気回路に対する変形例が示されている。この特定の場合においては、充電回路を実施するために2つのスイッチ23、33が使用されている。これらのスイッチは、
図2におけるような空乏型MOSFETではなく、通常のエンハンスメント型MOSFETとみなされる。
【0076】
SMPS22は、この場合も先と同様に、出力を、バッファコンデンサ27に供給するとともに、抵抗器28を介してLEDベースの負荷29、30、31、32にも供給するために設けられる。
【0077】
バッファコンデンサ27が放電される状況を考える。まず、コンデンサ34が、参照符号24からダイオード35を介してやって来る整流主電源まで充電される。スイッチ23のゲート・ソース間電圧は、ツェナーダイオード25、26によって制限され、例えば、+15Vである。このことは、スイッチ23が、整流主電源24が、バッファコンデンサ27に接続され、それによって、バッファコンデンサを充電するような導通状態にあることを確実にする。この場合も先と同様に、サーミスタ(図示せず)が、対応する充電電流を調整するために使用されてもよい。
【0078】
幾らかの時間の経過後に、例えば約100ミリ秒後に、バッファコンデンサにわたる電圧は、LED29、30、31、32の順方向電圧に達し得る。従って、LED29、30、31、32は導通し始めることができ、その場合、スイッチ33のゲート・ソース間電圧は、参照符号29を有するLEDの順方向電圧と等しくなり得る。次いで、スイッチ33がオンにされることができ、ツェナーダイオード25、26が、電流が流れないことを確実にする。このことは、整流主電源24からバッファコンデンサ27への充電電流がもはや存在しないように、スイッチ23がもはや導通モードにないように、スイッチ23のゲート・ソース間電圧が調整されるという効果を有する。
【0079】
ダイオード35及びコンデンサ34は、コスト効率を高める目的のために省かれ得ることに留意されたい。更に、ツェナーダイオード25は、機能を損なうことなく通常のダイオードに置き換えられ得る。
【0080】
上記に続いて、特定の例においては、500μFから1000μFまでの範囲内の高い値を有する大きな出力コンデンサが設けられる。このことは、追加回路なしでは、長い起動時間をもたらす。本開示は、バックコンバータ起動電流に加えて追加の充電電流を有することを目的とする。並列経路、即ち、充電回路は、スイッチ、及び抵抗器、例えばサーミスタで実現されることができる。バッファコンデンサは、LEDの順方向電圧に達するまで、より素早く充電される。バックコンバータの出力電圧が素早くLED電圧のレベルになることから、バックコンバータの起動時間は大幅に短縮されることができる。バッファコンデンサを素早く充電するための仕事をする、利用可能な回路が幾つかあり、前記回路の例は、
図2及び3において示されている。
【0081】
当業者は、請求項記載の発明の実施において、図面、明細及び添付の特許請求の範囲の研究から、開示されている実施形態に対する他の変形を、理解し、達成することができる。特許請求の範囲において、「有する」という単語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形表記は、複数性を除外しない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲において挙げられている複数のアイテムの機能を果たしてもよい。単に、或る特定の手段が、相互に異なる従属請求項において挙げられているという事実は、これらの手段の組み合わせは有利になるようには使用されることができないことを示すものではない。
【0082】
特許請求の範囲における如何なる参照符号も、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【国際調査報告】