IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツドの特許一覧

特表2024-510744抗IL23特異的抗体で乾癬性関節炎を治療する安全かつ有効な方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-11
(54)【発明の名称】抗IL23特異的抗体で乾癬性関節炎を治療する安全かつ有効な方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20240304BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240304BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20240304BHJP
   C07K 16/24 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
A61K39/395 D
A61K39/395 U ZNA
A61P19/02
A61P17/06
C07K16/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555570
(86)(22)【出願日】2022-03-10
(85)【翻訳文提出日】2023-11-09
(86)【国際出願番号】 IB2022052161
(87)【国際公開番号】W WO2022190033
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】63/160,272
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】509087759
【氏名又は名称】ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【弁理士】
【氏名又は名称】星川 亮
(72)【発明者】
【氏名】シア,エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】コルマイアー,アレクサ
(72)【発明者】
【氏名】シュー,シエ
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA13
4C085BB11
4C085BB18
4C085EE01
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
IL-23特異的抗体、例えばグセルクマブを、安全であることが臨床的に証明され、有効であることが臨床的に証明された量で投与することにより、患者の乾癬性関節炎を治療する方法であり、患者は、初期治療の16、24、52、及び/又は100週後に測定して、顕著なACR20/50/70、IGA、HAQ-DI、CRP、SF-36 PCS/MCS、MDA、VLDA、腱付着部炎、指炎、及びLEI/指炎の改善を達成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾癬性関節炎の治療を、それを必要とする対象において行うための方法であって、前記対象に、約50mg~約150mgの抗IL-23抗体を、4週毎に1回(q4w)又は8週毎に1回(q8w)皮下投与することを含み、前記抗体が、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2、及び配列番号3のCDRH3を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2、及び配列番号6のCDRL3を含み、前記対象が、治療後に、米国リウマチ学会コアセット疾患指数の少なくとも20%の改善(ACR20)を達成し、かつ/又は前記治療により、少なくとも約100週の治療期間中に維持される乾癬性関節炎のX線写真上の進行が阻害若しくは低減される、方法。
【請求項2】
前記抗体が、配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域と、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抗体が、配列番号9の重鎖アミノ酸配列と、配列番号10の軽鎖アミノ酸配列と、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記抗体が、投与当たり約100mgの用量で投与される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ACR20が達成され、約100週の治療期間の後に維持される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記治療後に、前記対象が、米国リウマチ学会コアセット疾患指数の50%の改善(ACR50)、米国リウマチ学会コアセット疾患指数の70%の改善(ACR70)、健康評価質問票障害指数(HAQ-DI)、治験責任医師によるグローバル評価(IGA)、疾病活動性スコア28(DAS28)C反応性タンパク質(CRP)、腱付着部炎の消散、指炎の消散、リーズ腱付着部炎指数(LEI)、指炎評価スコア、精神的及び身体的コンポーネントサマリー(MCS及びPCS)におけるショートフォーム健康調査(SF-36)、最小疾患活動性(MDA)の達成、非常に低い疾患活動性(VLDA)、バス強直性脊椎炎活動性指数(BASDAI)、GRAppa複合スコア(GRACE)、乾癬性関節炎疾患活動性スコア(PASDAS)、修正複合乾癬疾患活動性指数(mCPDAI)、乾癬の面積及び重症度指数(PASI)、皮膚疾患のライフクオリティ指数(DLQI)、慢性疾病治療の機能評価(FACIT)、並びに患者報告アウトカム測定情報システム-29(PROMIS-29)からなる群から選択される少なくとも1つの基準によって決定した疾患活動性の改善を更に達成し、約100週の治療期間の後に維持する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記対象が、前記治療後の米国リウマチ学会コアセット疾患指数の少なくとも50%の改善(ACR50)を更に達成し、約100週の治療期間の後に維持する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記対象が、少なくとも約100週の治療期間後の健康評価質問票障害指数(HAQ-DI)の改善を更に達成し、約100週の治療期間の後に維持する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記対象が、少なくとも約100週の治療期間後の疾患活動性スコア28(DAS28)C反応性タンパク質(CRP)の改善を更に達成し、約100週の治療期間の後に維持する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記対象が、少なくとも約100週の治療期間の後の、0(クリア)若しくは1(最小)の治験責任医師によるグローバル評価(IGA)、又は前記IGAの2グレード以上の低減を更に達成し、維持し、前記対象が、治療前のベースライン時に、3%以上の体表面積(BSA)の乾癬性病変及び2以上のIGAスコアを有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記対象が、PsAの標準治療に対して不十分な応答を有してきており、任意選択で、前記対象が、前記治療中に前記標準治療も受ける、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
乾癬性関節炎の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、前記対象に、約50mg~約150mgの抗IL-23抗体を、0週目に1回、4週目に1回、及びその後4週毎に1回(q4w)又は8週毎に1回(q8w)皮下投与することを含み、前記抗体が、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2、及び配列番号3のCDRH3を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2、及び配列番号6のCDRL3を含み、前記対象が、治療前に、直径2cm以上の少なくとも1つの乾癬プラーク、又は乾癬と一致する爪の変化、又は尋常性乾癬の裏付けられた病歴を有し、前記対象が、約100週の治療期間中、米国リウマチ学会コアセット疾患指数の少なくとも20%の改善(ACR20)を達成し、維持する、方法。
【請求項13】
前記抗体が、配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域と、を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記抗体が、配列番号9の重鎖アミノ酸配列と、配列番号10の軽鎖アミノ酸配列と、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記抗体が、投与当たり約100mgの用量で投与される、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ACR20が達成され、約100週の治療期間の後に維持される、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記治療後に、前記対象が、米国リウマチ学会コアセット疾患指数の50%の改善(ACR50)、米国リウマチ学会コアセット疾患指数の70%の改善(ACR70)、健康評価質問票障害指数(HAQ-DI)、治験責任医師によるグローバル評価(IGA)、疾病活動性スコア28(DAS28)C反応性タンパク質(CRP)、腱付着部炎の消散、指炎の消散、リーズ腱付着部炎指数(LEI)、指炎評価スコア、精神的及び身体的コンポーネントサマリー(MCS及びPCS)におけるショートフォーム健康調査(SF-36)、最小疾患活動性(MDA)の達成、非常に低い疾患活動性(VLDA)、バス強直性脊椎炎活動性指数(BASDAI)、GRAppa複合スコア(GRACE)、乾癬性関節炎疾患活動性スコア(PASDAS)、修正複合乾癬疾患活動性指数(mCPDAI)、乾癬の面積及び重症度指数(PASI)、皮膚疾患のライフクオリティ指数(DLQI)、慢性疾病治療の機能評価(FACIT)、並びに患者報告アウトカム測定情報システム-29(PROMIS-29)からなる群から選択される少なくとも1つの基準によって決定した疾患活動性の改善を更に達成し、約100週の治療期間の後に維持する、請求項12~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記対象が、前記治療後の米国リウマチ学会コアセット疾患指数の少なくとも50%の改善(ACR50)を更に達成し、約100週の治療期間の後に維持する、請求項12~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記対象が、少なくとも約24週の治療期間後の健康評価質問票障害指数(HAQ-DI)の改善を更に達成し、約100週の治療期間の後に維持する、請求項12~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記対象が、少なくとも約100週の治療期間後の疾患活動性スコア28(DAS28)C反応性タンパク質(CRP)の改善を、更に達成し、維持する、請求項12~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記対象が、少なくとも約24週の治療期間の後の、0(クリア)若しくは1(最小)の治験責任医師によるグローバル評価(IGA)、又は前記IGAの2グレード以上の低減を更に達成し、約100週の治療期間の後に維持し、前記対象が、治療前のベースライン時に、3%以上の体表面積(BSA)の乾癬性病変及び2以上のIGAスコアを有する、請求項12~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記対象が、PsAの標準治療に対して不十分な応答を有してきており、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記対象が、前記治療中に前記標準治療も受ける、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記治療により、少なくとも112週の治療期間中に、乾癬性関節炎のX線写真上の進行が阻害又は低減される、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
抗IL-23抗体の医薬組成物であって、
a.(i)重鎖可変領域及び軽鎖可変領域であって、前記重鎖可変領域が、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含む、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、(ii)配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域、又は(iii)配列番号9のアミノ酸配列の重鎖及び配列番号10のアミノ酸配列の軽鎖、を含む抗体、を含み、
b.前記抗体が、中等度から重度の活動性乾癬性関節炎を有する成人男性及び女性を治療するのに有用であり、少なくとも112週の治療期間中に、安全であることが臨床的に証明され、有効であることが臨床的に証明される、医薬組成物。
【請求項26】
グセルクマブを含む薬物製品を販売する方法であって、グセルクマブを製造することと、グセルクマブを含む療法が、初期治療後少なくとも100週での乾癬性関節炎測定を有する対象の治療に安全かつ有効であることを宣伝することであって、工程a)及びb)を実施することで、医療専門家(HCP)に前記薬物製品を購入させる、宣伝することと、これにより、前記薬物製品を販売することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、ヒトIL-23タンパク質に結合する抗体で乾癬性関節炎を治療するための方法に関する。具体的には、本発明は、乾癬性関節炎に罹患している患者にとって安全かつ有効である、抗IL-23特異性抗体、例えば、グセルクマブを投与する方法に関する。
【0002】
(電子的に提出された配列表の参照)
本出願は、2022年3月01日付で作成された「JBI6508WOPCT1SEQLIST.txt」というファイル名のASCII形式の配列表としてEFS-Webを介して電子的に提出され、9kbのサイズを有する配列表を含む。EFS-Webを介して提出された配列表は、本明細書の一部であり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
(発明の背景)
インターロイキン(Interleukin、IL)-12は、2つのジスルフィド結合グリコシル化タンパク質サブユニット(それらのおおよその分子量のためにp35及びp40と表記される)で構成される、分泌されるヘテロ二量体サイトカインである。IL-12は主に抗原提示細胞によって産生され、T細胞又はナチュラルキラー(natural killer、NK)細胞の表面上に発現される2鎖受容体複合体に結合することによって細胞性免疫を促進する。IL-12受容体ベータ-1(IL-12Rβ1)鎖は、IL-12のp40サブユニットに結合し、IL-12とその受容体との間の一次相互作用をもたらす。しかしながら、細胞内シグナル伝達(例えば、STAT4リン酸化)及び受容体保有細胞の活性化を付与するのは、第2のレセプター鎖IL-12Rβ2のIL-12p35ライゲーションである。抗原提示と並行するIL-12シグナル伝達は、インターフェロンガンマ(IFNγ)産生を特徴とするTヘルパー1(T helper 1、Th1)表現型に向けてT細胞分化を引き起こすと考えられる。Th1細胞は、いくつかの細胞内病原体に対する免疫を促進し、補結抗体アイソタイプを生成し、腫瘍免疫監視に寄与すると考えられる。これにより、IL-12は、宿主防御免疫機構にとって重要な構成要素であると考えられる。
【0004】
IL-12のp40タンパク質サブユニットはまた、p19と表記される別個のタンパク質サブユニットと会合して、新たなサイトカインIL-23を形成し得ることが発見された。IL-23も2鎖受容体複合体を通してシグナル伝達する。p40サブユニットは、IL-12とIL-23との間で共有されるため、IL-12Rβ1鎖はIL-12とIL-23との間でも共有されることになる。しかしながら、IL-23特異的細胞内シグナル伝達(例えば、STAT3リン酸化)及びその後のT細胞によるIL-17産生を付与するのは、IL-23受容体複合体IL-23Rの第2の構成要素のIL-23p19ライゲーションである。最近の研究は、IL-23の生物学的機能とIL-12の生物学的機能は、これら2つのサイトカイン間の構造的類似性にもかかわらず、異なることを示した。
【0005】
抗体によるIL-12の中和が、乾癬、多発性硬化症(multiple sclerosis、MS)、関節リウマチ、炎症性腸疾患、インスリン依存性(1型)真性糖尿病、及びブドウ膜炎の動物モデルの処置において有効であるため、IL-12及びTh1細胞集団の異常な制御は、多くの免疫媒介性疾患に関連付けられている。しかしながら、これらの研究は共通のp40サブユニットを標的化しているため、IL-12及びIL-23の両方をインビボで中和した。したがって、IL-12又はIL-23が疾患を媒介していたかどうか、あるいは疾患の抑制を達成するために両サイトカインが阻害される必要があるかは明らかではない。研究は、IL-23阻害が抗IL-12p40戦略と同等の利益を提供し得ることを、IL-23p19欠損マウス又はIL-23の特異的抗体中和により確認した。したがって、免疫介在性疾患におけるIL-23の特異的な役割に関する証拠が増加している。IL-12経路を阻害することなくIL-23を中和することは、重要な宿主防御免疫機構に対する影響が限定的である、免疫媒介疾患の有効な治療を提供することができる。これは、現在の治療選択肢に対して著しい改善をもたらし得る。
【0006】
乾癬は、乾癬性関節炎(psoriatic arthritis、PsA)、抑うつ、心血管疾患、高血圧、肥満、糖尿病、代謝症候群、及びクローン病などの重大な共存症を伴う一般的な慢性免疫媒介性皮膚疾患である。尋常性(プラーク)乾癬は、この疾患の最も一般的な形態であり、白銀色の鱗屑で覆われた境界が明確な紅斑性病変を示す。斑は、掻痒性、有痛であり、外観を損ないかつ不具にすることが多く、かなりの割合の乾癬患者が手/爪、顔、足、及び生殖器上に斑を有する。したがって、乾癬は、健康関連の生活の質(health-related quality of life、HRQoL)にかなりの程度まで悪影響を及ぼす。その悪影響の例としては、身体的な皮膚症状を越え、日常活動にさえ干渉する、物理的及び心理社会的負担を強いることが挙げられる。例えば、乾癬は、家族との関係、配偶者との関係、社会的関係、及び仕事上の関係に悪影響を及ぼし、高い抑うつの発生率及び自殺傾向の増加に関連があるとされている。
【0007】
乾癬性関節炎(PsA)は、指炎、腱付着部炎、仙腸骨炎、及び/又は関節変形を含む様々な臨床的及び放射線学的症状を有する関節炎及び乾癬を特徴とする多系統疾患である。良好にコントロールされていないPsAに関連する、機能障害、生活の質の低下、及び健康管理資源利用の増加は、顕著な経済的負担を生む。生物製剤(例えば、腫瘍壊死因子[tumor-necrosis-factor、TNF]α阻害剤、ウステキヌマブ、セクキヌマブ)、及び他の薬剤(例えば、アプレミラスト)の利用にもかかわらず、異質性疾患成分を治療する際に高レベルの有効性及び安全性を提供することができる新たなPsA治療のためのまだ対処されていない大きなニーズが存在する。
【0008】
乾癬病変の組織学的特徴付けにより、異常なケラチノサイト増殖及び分化に起因する表皮の肥厚、並びにCD3+Tリンパ球及び樹状細胞の皮膚浸潤及び共局在化が明らかにされている。乾癬の病因は十分に明らかにされたとは言い難いが、遺伝子及びタンパク質分析によって、IL-12、IL-23、及びそれらの下流分子が乾癬病変において過剰発現され、一部は乾癬疾患の重症度と相関し得ることが示されている。乾癬の治療に使用されるいくつかの治療は、それらの有効性に寄与すると推測されるIL-12及びIL-23のレベルを調節するものである。Th1及びTh17細胞は、血管拡張因子、化学誘因物質の産生、及び内皮細胞上の接着分子の発現を誘導するエフェクターサイトカインを産生することができ、これらは、順に、単球及び好中球の動員、T細胞浸潤、血管新生、並びにケラチノサイトの活性化及び過形成を促進する。活性化ケラチノサイトは、好中球、単球、T細胞、及び樹状細胞輸送を促進する化学誘引物質因子を産生することができ、したがって、炎症及びケラチノサイト過剰増殖の周期が確立される。
【0009】
乾癬の病因の解明により、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、インターロイキン(IL)-12及びIL-23の両方、並びに直近ではIL-17及びIL-23単独を標的とする、有効な生物学的治療が得られた(グセルクマブを使用する第1相及び第2相臨床試験を含む)。グセルクマブ(CNTO1959としても知られ、Tremfaya(登録商標)として販売)は、IL-23のp19サブユニットに結合し、Tヘルパー(T helper、Th)17細胞の末端分化に必要とされるIL-23の細胞内及び下流シグナル伝達を阻害する、完全ヒトIgG1ラムダモノクローナル抗体である。グセルクマブは、中程度から重度までの尋常性乾癬の治療について、米国、欧州連合、及び他の国で現在承認されている。更に、グセルクマブは、汎発性膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、掌蹠膿疱症、化膿性汗腺炎、乾癬性関節炎(PsA)、及びクローン病をはじめとする、いくつかの他の免疫媒介性疾患において評価されている。
【0010】
(発明の概要)
本発明は、乾癬性関節炎(PsA)の治療に関する。具体的には、本発明は、対象に抗IL-23特異性抗体を投与することによりPsAを治療する、臨床的に証明された安全かつ有効な方法に関する。
【0011】
1つの全般的な態様では、本発明は、乾癬性関節炎(PsA)の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、有効量のグセルクマブなどの抗IL-23抗体(IL-23p19抗体とも呼ばれる)を対象に皮下投与することを含み、抗IL-23抗体が、4週毎に1回(q4w)又は8週毎に1回(q8w)投与される、方法に関する。好ましくは、対象は、臨床的に明らかな有害事象を有することなく、治療後に米国リウマチ学会コアセット疾患指数(ACR20)の少なくとも20%の改善を達成する。
【0012】
ある特定の実施形態では、抗IL-23抗体は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含む。
【0013】
ある特定の実施形態では、抗IL-23抗体は、配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域と、を含む。
【0014】
ある特定の実施形態では、抗IL-23抗体は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列と、配列番号10の軽鎖アミノ酸配列と、を含む。
【0015】
ある特定の実施形態では、抗IL-23抗体は、投与当たり、25mg~200mg、好ましくは約50mg~約150mg、より好ましくは約100mgの総用量で投与される。
【0016】
ある特定の実施形態では、対象は、抗IL-23抗体による治療に対する応答者であり、疾患活動性の統計的に有意な改善を有すると識別され、疾患活動性は、米国リウマチ学会コアセット疾患指数の20%の改善(20% improvement in the American College of Rheumatology core set disease index、ACR20)、米国リウマチ学会コアセット疾患指数の50%の改善(50% improvement in the American College of Rheumatology core set disease index、ACR50)、米国リウマチ学会コアセット疾患指数の70%の改善(70% improvement in the American College of Rheumatology core set disease index、ACR70)、健康評価質問票障害指数(Health Assessment Questionnaire Disability Index、HAQ-DI)、治験責任医師によるグローバル評価(Investigator’s Global Assessment、IGA)、疾病活動性スコア28(Disease Activity Score 28、DAS28)C反応性タンパク質(C-reactive protein、CRP)、腱付着部炎の消散、指炎の消散、リーズ腱付着部炎指数(Leeds enthesitis index、LEI)、指炎評価スコア、精神的及び身体的コンポーネントサマリー(mental and physical component summary、MCS及びPCS)におけるショートフォーム健康調査(Short Form Health survey、SF-36)、最小疾患活動性(minimal disease activity、MDA)の達成、及び非常に低い疾患活動性(very low disease activity、VLDA)の達成からなる群から選択される1つ又は2つ以上の基準によって決定される。
【0017】
特定の実施形態では、対象は治療の24週目までに、グセルクマブ対プラセボでACR20応答の有意な改善を達成する(例えば、62.9%対32.9%)。
【0018】
別の全般的態様では、本発明は、乾癬性関節炎の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、抗IL-23抗体を対象に皮下投与することを含み、抗IL-23抗体が、初期用量、4週間後の用量、及びその後4週毎に1回(q4w)又は8週毎に1回(q8w)の投与間隔で投与され、対象は、直径2cm以上の少なくとも1つの乾癬プラーク、又は乾癬と一致する爪の変化、又は尋常性乾癬の裏付けられた病歴を有する、方法に関する。好ましくは、対象は、臨床的に明らかな有害事象を有することなく、治療後に米国リウマチ学会コアセット疾患指数(ACR20)の少なくとも20%の改善を達成する。
【0019】
ある特定の実施形態では、抗IL-23抗体は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(complementarity determining region heavy chain 1、CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(complementarity determining region light chain 1、CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含む。
【0020】
ある特定の実施形態では、抗IL-23抗体は、配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域とを含み、又は抗IL-23抗体は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列と、配列番号10の軽鎖アミノ酸配列と、を含む。
【0021】
ある特定の実施形態では、抗IL-23抗体は、投与当たり、25mg~200mg、好ましくは約50mg~約150mg、より好ましくは約100mgの総用量で投与される。
【0022】
ある特定の実施形態では、対象は、PsAの標準治療に対して不十分な応答を有してきた。任意選択で、対象は、本発明の実施形態による治療中に標準治療も行われる。
【0023】
ある特定の実施形態では、本出願の方法による治療は、少なくとも24週、52週、又は112週の治療期間中、安全であることが臨床的に証明され、有効であることが臨床的に証明されている。
【0024】
ある特定の実施形態では、本出願の方法による治療は、少なくとも24週、52週、又は112週の治療期間中に乾癬性関節炎のX線写真上の進行を阻害又は低減する。
【0025】
本発明の1つ又は2つ以上の実施形態の詳細は、下記の説明に述べられている。他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明、図面、及び添付の特許請求の範囲から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
上記の概要、及び本出願の好ましい実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むことでより良く理解される。しかしながら、本出願は、図面に示される実施形態そのものに限定されないことを理解するべきである。
【0027】
本特許又は出願書類は、カラーで作成した少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を備える、本特許又は特許出願公開の複製は、要請があれば、必要なフェスを支払うことにより、特許庁によって提供されることになる。
図1】本出願の実施形態による臨床試験の概略的総括を示す。
図2】試験CNTO1959PSA3002の24週目までの血清グセルクマブ濃度(μg/mL)の中央値及びIQ範囲を示す。
図3】試験CNTO1959PSA3002の24週目までの血清グセルクマブ濃度(μg/mL)の中央値及びIQ範囲を示す。
図4】試験CNTO1959PSA3002の複合推定値に基づいて、24週目までの来院による、ACR20応答を達成した対象数の折れ線グラフを示す。
図5】試験CNTO1959PSA3002の複合推定値に基づいて、24週目までの来院による、ACR50応答を達成した対象数の折れ線グラフを示す。
図6】試験CNTO1959PSA3002の複合推定値に基づいて、24週目までの来院による、ACR70応答を達成した対象数の折れ線グラフを示す。
図7】試験CNTO1959PSA3002の20週目のトラフ血清グセルクマブ(複合)濃度(四分位数)による、24週目にACR20応答(複合推定値)を達成した対象の割合を示す。
図8】試験CNTO1959PSA3002の20週目のトラフ血清グセルクマブ(複合)濃度(四分位数)による、24週目にACR50応答(複合推定値)を達成した対象の割合を示す。
図9】20週目のトラフ血清グセルクマブ(複合)濃度(四分位数)による、24週目にIGA応答(複合推定値)を達成した対象の割合;ベースラインで3%以上の体表面積(Body Surface Area、BSA)の乾癬性病変及び2(軽度)以上のIGAスコアを有する対象のPK分析セット(試験CNTO1959PSA3002)を示す。
図10】本発明の実施形態による別の臨床試験の概略的総括を示す。
図11】試験CNTO1959PSA3001の24週目までの血清グセルクマブ濃度(μg/mL)の中央値及びIQ範囲を示す。
図12】試験CNTO1959PSA3001の24週目までの血清グセルクマブ濃度(μg/mL)の中央値及びIQ範囲を示す。
図13】試験CNTO1959PSA3001の複合推定値に基づいて、24週目までの来院による、ACR20応答を達成した対象数の折れ線グラフを示す。
図14】試験CNTO1959PSA3001の複合推定値に基づいて、24週目までの来院による、ACR50応答を達成した対象数の折れ線グラフを示す。
図15】試験CNTO1959PSA3001の複合推定値に基づいて、24週目までの来院による、ACR70応答を達成した対象数の折れ線グラフを示す。
図16】試験CNTO1959PSA3001の20週目のトラフ血清グセルクマブ(複合)濃度(四分位数)による、24週目にACR20応答(複合推定値)を達成した対象の割合を示す。
図17】試験CNTO1959PSA3001の20週目のトラフ血清グセルクマブ(複合)濃度(四分位数)による、24週目にACR50応答(複合推定値)を達成した対象の割合を示す。
図18】20週目のトラフ血清グセルクマブ(複合)濃度(四分位数)による、24週目にIGA応答(複合推定値)を達成した対象の割合;ベースラインで3%以上の体表面積(Body Surface Area、BSA)の乾癬性病変及び2(軽度)以上のIGAスコアを有する対象のPK分析セット(試験CNTO1959PSA3001)を示す。
図19】ベースライン(破線)及び24週(実線)における平均PROMIS-29 Tスコアを示す。
図20】24週目のPROMIS-29 Tスコアの臨床的に意味のある改善(≧5ポイント以上)を示す。
図21A】発見1(A)及び発見2(B)の試験において、乾癬性関節炎患者のFACIT-倦怠感のベースラインからの24週目の変化を示す。
図21B】発見1(A)及び発見2(B)の試験において、乾癬性関節炎患者のFACIT-倦怠感のベースラインからの24週目の変化を示す。
図22A】52週目までの(A)NRI及び(B)観察されたACR20応答を示す。PBOにランダム化された患者は、25週目にGUSq4wにクロスオーバーした。
図22B】52週目までの(A)NRI及び(B)観察されたACR20応答を示す。PBOにランダム化された患者は、25週目にGUSq4wにクロスオーバーした。
図23A】52週目までの(A)NRI及び(B)観察されたACR50応答を示す。PBOにランダム化された患者は、25週目にGUSq4wにクロスオーバーした。
図23B】52週目までの(A)NRI及び(B)観察されたACR50応答を示す。PBOにランダム化された患者は、25週目にGUSq4wにクロスオーバーした。
図24A】52週目までの(A)NRI及び(B)観察されたACR70応答を示す。PBOにランダム化された患者は、25週目にGUSq4wにクロスオーバーした。
図24B】52週目までの(A)NRI及び(B)観察されたACR70応答を示す。PBOにランダム化された患者は、25週目にGUSq4wにクロスオーバーした。
図25A】(A)以前のTNFi使用及び(B)TNFiナイーブの患者による24週目から52週目の観察されたACR20応答率を示す。
図25B】(A)以前のTNFi使用及び(B)TNFiナイーブの患者による24週目から52週目の観察されたACR20応答率を示す。
図26A】(A)以前のTNFi使用及び(B)TNFiナイーブの患者による24週目から52週目の観察されたACR50応答率を示す。
図26B】(A)以前のTNFi使用及び(B)TNFiナイーブの患者による24週目から52週目の観察されたACR50応答率を示す。
図27A】(A)以前のTNFi使用及び(B)TNFiナイーブの患者による24週目から52週目の観察されたACR70応答率を示す。
図27B】(A)以前のTNFi使用及び(B)TNFiナイーブの患者による24週目から52週目の観察されたACR70応答率を示す。
図28】観察されたデータに基づいて、24週目から52週目までの来院による、治験責任医師によるグローバル評価(IGA)応答を達成した対象の数を示す。
図29】観察されたデータに基づいて、24週目から52週目までの来院による、PASI90応答を達成した対象の数を示す。
図30】観察されたデータに基づいて、24週目から52週目までの来院によるHAQ-DIスコアのベースラインからの変化の要約を示す。
図31】観察されたデータに基づいて、24週目から52週目の来院による、指炎の消散を達成した対象の数を示す。
図32】観察されたデータに基づいて、24週目から52週目の来院による、腱付着部炎の消散を達成した対象の数を示す。
図33】観察されたデータに基づいて、24週目から52週目までの来院によるSF-36 PCSスコアのベースラインからの変化の要約を示す。
図34】観察されたデータに基づいて、24週目から52週目までの来院によるSF-36 MCSスコアのベースラインからの変化の要約を示す。
図35】A~Cは、52週目から100週目までの経時的なACR20(A)、ACR50(B)、及びACR70(C)応答を達成する対象の割合を示す。
図36】52週目から100週目までの経時的なベースラインからの平均HAQ-DIスコア変化を示す。
図37】A~Bは、52週目から100週目までの経時的なIGA応答(A)及びPASI90応答(B)を達成する対象の割合を示す。
図38】A~Bは、52週目から100週目までの経時的な腱付着部炎消散(LEIに基づく)(A)及び腱付着部炎スコアにおけるベースラインからの平均変化(LEIに基づく)(B)を達成した対象の割合を示す。
図39】A~Bは、52週目から100週目までの経時的な指炎消散(A)及び指炎スコアにおけるベースラインからの平均変化(B)を達成する対象の割合を示す。
図40】A~Bは、52週目から100週目までの経時的なSF-36 MCS(A)及びSF-36 PCS(B)におけるベースラインからの平均変化を示す。
図41】A~Cは、52週目から100週目までの経時的な修正vdH-Sスコア(A)、びらん(erosion、ERN)スコア(B)、及びJSNスコア(C)におけるベースラインからの平均変化を示す。
図42】ベースラインから52週目までと比べた、52週目から100週目までの修正vdH-Sスコア、びらんスコア、及びJSNスコア(スコア変化≦0、≦0.5、又は≦最小検出可能変化[smallest detectable change、SDC]として定義される)におけるX線写真上の進行がない対象の割合を示す。
図43】A~Bは、グセルクマブ100mg q4w群(A)及びq8w群(B)について、ベースラインから52週目までと比べた、52週目から100週目までの修正vdH-Sスコアの変化の確率プロットを示す。
図44】A~Cは、ベースラインから100週目までの経時的な修正vdH-Sスコア(A)、びらん(ERN)スコア(B)、及びJSNスコア(C)におけるベースラインからの平均変化を示す。
図45】100週目でのベースラインからの修正vdH-Sスコア、びらんスコア、及びJSNスコア(スコア変化≦0、≦0.5、又は≦最小検出可能変化[SDC]として定義される)におけるX線写真上の進行がない対象の割合を示す。
図46】A~Cは、グセルクマブ100mg q4w群及びq8w群についての修正vdH-Sスコア(A)、びらんスコア(B)、及びJSNスコア(C)における100週目でのベースラインからの変化の確率プロットを示す。
【0028】
(発明の詳細な記述)
本明細書で使用する場合、乾癬性関節炎の治療の方法には、単離された、組換えの、及び/又は合成の抗IL-23特異的ヒト抗体を投与すること、診断用及び治療用組成物、方法、並びにデバイスが含まれる。
【0029】
本明細書で使用する場合、「抗IL-23特異的抗体」、「抗IL-23抗体」、「抗体部分」、又は「抗体断片」、及び/若しくは「抗体変異体」などは、本発明の抗体に組み込むことができる、重鎖若しくは軽鎖の少なくとも1つの相補性決定領域(complementarity determining region、CDR)若しくはそのリガンド結合部分、重鎖若しくは軽鎖可変領域、重鎖若しくは軽鎖定常領域、フレームワーク領域、又はこれらの任意の部分、あるいはIL-23受容体又は結合タンパク質の少なくとも一部分などであるが、これらに限定されない、免疫グロブリン分子の少なくとも一部を含む、任意のタンパク質又はペプチド含有分子を含む。このような抗体は、任意選択で、更に特異的なリガンドに影響を及ぼし、限定するものではないが、例えばこのような抗体は、インビトロ、インサイチュ、及び/又はインビボで、少なくとも1つのIL-23活性若しくは結合、又はIL-23受容体活性若しくは結合を、調節、低減、増大、拮抗、刺激、軽減、緩和、遮断、阻害、抑止する及び/又は妨げる。非限定的な例として、本発明の好適な抗IL-23抗体、特定の部分、又は変異体は、少なくとも1つのIL-23分子又はその特定の部分、変異体若しくはドメインに結合することができる。好適な抗IL-23抗体、特定の部分、又は変異体はまた、任意選択で、少なくとも1つのIL-23活性又は機能にも影響を及ぼすことができ、そのような活性又は機能としては、RNA、DNA、若しくはタンパク質合成、IL-23の放出、IL-23受容体のシグナル伝達、膜IL-23の切断、IL-23活性、IL-23の産生及び/又は合成などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0030】
「抗体(antibody)」という用語は、抗体模倣薬を含む、あるいは単鎖抗体及びその断片などといった抗体の構造及び/若しくは機能を模倣する抗体の部分又はその特定された断片若しくは一部分を含む、抗体、その消化断片、特定された部分、及び変異体を包含することを更に意図する。機能断片として、哺乳動物のIL-23に結合する抗原結合断片が挙げられる。例えば、Fab(例えば、パパイン消化による)、Fab’(例えば、ペプシン消化及び部分的還元による)及びF(ab’)(例えば、ペプシン消化による)、facb(例えば、プラスミン消化による)、pFc’(例えば、ペプシン又はプラスミン消化による)、Fd(例えば、ペプシン消化、部分的還元及び再集合による)、Fv又はscFv(例えば、分子生物学的技術による)断片が挙げられるがこれらに限定されない、IL-23又は一部分に結合することができる抗体断片が、本発明に包含される(例えば、上記のColligan,Immunologyを参照)。
【0031】
このような断片は、当該技術分野において周知であるような、及び/又は本明細書に記載のような、酵素による切断、合成又は組換え技術により生成することができる。抗体はまた、1つ又は2つ以上の終止コドンが天然の終止部位の上流に導入されている抗体遺伝子を使用して、種々の切断型で生成することもできる。例えば、F(ab’)重鎖部をコード化する遺伝子の組み合わせは、重鎖のC1ドメイン及び/又はヒンジ領域をコード化するDNA配列を含むよう設計することができる。抗体の様々な部分を従来の技術により化学的に結合でき、又は遺伝子工学技術を用いて隣接タンパク質(contiguous protein)として調製できる。
【0032】
本明細書で使用する場合、「ヒト抗体」という用語は、実質的にタンパク質の全ての部分(例えば、CDR、フレームワーク、C、Cドメイン(例えば、C1、C2、C3)、ヒンジ(VL、V))が軽微な配列の変化又は変異を有するだけで実質的にヒトにおいて非免疫原性である抗体を指す。「ヒト抗体」はまた、ヒト生殖細胞系列型免疫グロブリン配列に由来する抗体でも、又はそれに厳密に一致する抗体であってもよい。ヒト抗体は、生殖細胞系列型免疫グロブリン配列にコードされていないアミノ酸残基(例えば、インビトロにおけるランダムな若しくは部位特異的な変異の導入により、又はインビボにおける体細胞突然変異により導入された変異)を含んでもよい。多くの場合、これは、ヒト抗体がヒトにおいて実質的に非免疫原性であることを意味する。ヒト抗体は、それらのアミノ酸配列の類似性に基づいて群に分類されている。したがって、配列類似性検索を使用して、類似の直鎖配列を有する抗体を、ヒト抗体を作り出すためのテンプレートとして選択することができる。同様に、名称に霊長類(サル、ヒヒ、チンパンジーなど)、げっ歯類(マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ハムスターなど)及びその他の哺乳動物を含む抗体は、このような種、亜属、属、亜科、及び科に特異的な抗体を指定する。更に、キメラ抗体は、上記の任意の組み合わせを含むことができる。このような変化又は変異は、場合によりかつ好ましくは、修飾していない抗体に比べて、ヒト又はその他の種における免疫原性を保持するか、又は低減させる。したがって、ヒト抗体は、キメラ抗体又はヒト化抗体とは異なる。
【0033】
ヒト抗体は、機能的に再構成されたヒト免疫グロブリン(例えば、重鎖及び/又は軽鎖)遺伝子を発現することができる、ヒト以外の動物、又は原核若しくは真核細胞により産生され得ることが指摘される。更に、ヒト抗体が単鎖抗体である場合、天然のヒト抗体では見られないリンカペプチドを含むことができる。例えば、Fvは、重鎖の可変領域と軽鎖の可変領域とを接続する2~約8個のグリシン又はその他のアミノ酸残基などのリンカペプチドを含むことができる。このようなリンカペプチドは、ヒト由来のものとみなされる。
【0034】
また、少なくとも2つの異なる抗原に対して結合特異性を有するモノクローナルの、好ましくはヒト抗体又はヒト化抗体である、二重特異的抗体、異種特異的抗体、異種結合性抗体、又は類似の抗体を使用してもよい。この場合、結合特異性のうち一方は少なくとも1つのIL-23タンパク質に対するものであり、他方は任意の他の抗原に対するものである。二重特異的抗体の製造方法は、技術分野において既知である。従来、二重特異的抗体の組換え体生成は、2種の免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の共発現に基づくが、ここで2本の重鎖は異なる特異性を有する(Milstein and Cuello,Nature 305:537(1983))。免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の無作為な組み合わせのために、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は10種の異なる抗体分子の可能な混合物を産生し、これらのうち1種のみが正しい二重特異的構造を有する。正確な分子の精製(通常アフィニティクロマトグラフィー工程により行われる)はかなり面倒であり、生成物の収率は低い。類似する手順が、例えば、国際公開第93/08829号、米国特許第6,210,668号、同第6,193,967号、同第6,132,992号、同第6,106,833号、同第6,060,285号、同第6,037,453号、同第6,010,902号、同第5,989,530号、同第5,959,084号、同第5,959,083号、同第5,932,448号、同第5,833,985号、同第5,821,333号、同第5,807,706号、同第5,643,759号、同第5,601,819号、同第5,582,996号、同第5,496,549号、同第4,676,980号、国際公開第91/00360号、同第92/00373号、欧州特許第03089号、Traunecker et al.,EMBO J.10:3655(1991)、Suresh et al.,Methods in Enzymology 121:210(1986)に開示されており、これらの各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0035】
本発明の方法及び組成物において有用である抗IL-23特異的抗体(IL-23特異的抗体とも称される)(又はIL-23に対する抗体)は、IL-23への高親和性結合、並びに任意選択でかつ好ましくは、低毒性を有することを、任意選択で特徴とし得る。具体的には、可変領域、定常領域、及びフレームワークなどの個々の構成要素が、個々に及び/又は集合的に、任意選択でかつ好ましくは、低い免疫原性を有する、本発明の抗体、その特定の断片、又は変異体が本発明において有用である。本発明で使用することができる抗体は、任意選択で、症状の測定可能な緩和並びに低い及び/又は許容できる毒性で、長期間患者を処置する能力を特徴とする。低い若しくは許容できる免疫原性、及び/又は高い親和性、並びに他の好適な特性が、得られる治療結果に寄与することができる。「低い免疫原性」は、本明細書では、処置される患者の約75%未満、若しくは好ましくは約50%未満で有意にHAHA、HACA、若しくはHAMA応答が増加する、及び/又は、処置される患者において低い力価(二重抗原酵素免疫アッセイで測定したとき約300未満、好ましくは約100未満)が増加することとして定義される(Elliott et al.,Lancet 344:1125-1127(1994)、これは参照により全体が本明細書に組み込まれる)。「低い免疫原性」は、治療期間中の推奨治療経過の間、推奨用量で治療される患者の25%未満、好ましくは治療される患者の10%未満で発生するとき、抗IL-23抗体で治療される患者における抗IL-23抗体に対する漸増可能なレベルの抗体の発生率としても定義することができる。
【0036】
「臨床的に証明された有効性」及び「有効であることが臨床的に証明された」という用語は、用量、投与レジメン、治療又は方法の文脈において本明細書で使用するとき、特定の用量、投与、又は治療レジメンの臨床的に証明された有効性を意味する。有効性は、実施される臨床試験、例えば、第3相及びそれ以前の臨床試験に基づいて、本発明の薬剤に応答した、疾患の経過中の変化に基づいて測定され得る。例えば、本発明の抗IL-23抗体(例えば、抗IL-23抗体グセルクマブ)は、治療される障害の重篤度を反映する少なくとも1つの指標において改善、好ましくは持続的な改善を引き起こすのに十分な量及び時間で、対象に対して投与される。その治療の量及び時間が充分であるかどうかを判定するために、対象の疾病、疾患、又は状態の程度を反映する様々な指標が評価され得る。このような指標には、例えば、疾患重篤度、症状、又は問題となっている障害の発現についての、臨床的に認識されている指標が含まれる。改善度は全体的に医師により決定され、医師はこの決定を、兆候、症状、生検、又は他の検査結果に基づいて行うことができ、また対象に対して行う質問票、例えば所与の疾患に関して開発された生活の質に関する質問票などを採用することもできる。例えば、本発明の抗IL-23抗体は、乾癬性関節炎に関連する患者の状態の改善を達成するために投与され得る。この改善は、疾患活動性指数の改善、臨床症状の寛解、又は疾患活動性の任意の他の測定によって示すことができる。
【0037】
一実施形態では、対象における乾癬性関節炎の治療の有効性は、関節リウマチの改善について米国リウマチ学会(ACR)の予備的基準を使用して決定することができる。ACR基準は、圧痛又は腫脹関節数の改善、及び次の5つのパラメーターのうちの3つの改善を測定する:急性期反応物(沈降速度など);患者の評価;医師の評価;痛みの尺度;及び障害/機能に関する質問票。ACR基準は、ACR20(圧痛又は膨脹関節数の20パーセントの改善、及び他の5つの基準のうちの3つの20パーセントの改善)、ACR50(圧痛又は膨脹関節数の50パーセントの改善、及び他の5つの基準のうちの3つの50パーセントの改善)、及びACR70(圧痛又は膨脹関節数の70パーセントの改善、及び他の5つの基準のうちの3つの70パーセントの改善)として示される(Felson D T,et al.Arthritis Rheum 1995;38:727-35参照)。
【0038】
別の実施形態では、対象における乾癬性関節炎の治療の有効性は、皮膚疾患の重症度/程度を評価するために使用される疾患の指数である乾癬の面積及び重症度指数(Psoriasis Area and Severity Index、PASI)によって決定され、例えば、PASI75=75%の改善、PASI90=90%の改善、PASI100=プラークが実質的に除去されている。有効性の尺度には、健康評価質問票障害指数(HAQ-DI)、ベースライン腱付着部炎/指炎患者の腱付着部炎/指炎の改善、SF-36の精神的及び身体的コンポーネントサマリー(MCS及びPCS)スコアの変化、及び最小疾患活動性(minimal disease activity、MDA)基準スコアの達成のうちの1つ又は2つ以上も含まれ得る。
【0039】
「臨床的に証明された安全」という用語は、本発明の抗IL-23抗体(例えば、抗IL-23抗体グセルクマブ)による用量、投与レジメン、治療又は方法に関するとき、標準治療又は別の比較基準と比較して、例えば、実施される臨床試験、例えば、第2相臨床試験、及びそれ以前の臨床試験からの、治療中に発生した有害事象(AE又はTEAEと称される)の比較的低い若しくは低減された頻度及び/又は低い若しくは低減された重症度を指す。有害事象は、医薬品を投与された患者における好ましくない医療上の出来事である。特に、本発明の抗IL-23抗体による用量、投与レジメン又は治療に関連するとき、臨床的に証明された安全は、原因が抗IL-23抗体の使用による可能性がある、確率が高い、又は非常に可能性が高いと考えられる場合、抗体の投与に関連する有害事象の比較的低い若しくは低減された頻度及び/又は低い若しくは低減された重症度を指す。
【0040】
本明細書で使用する場合、別途注記のない限り、「臨床的に証明された(clinically proven)」という用語(独立して、又は「安全(性)」及び/又は「有効(性)」という用語を修飾するために使用される)は、米国食品医薬品局、EMEA、又は対応する国家規制機関の承認基準を満たしている臨床試験によって証明されていることを意味するものとする。例えば、臨床試験は、薬剤の効果を臨床的に証明するために使用される、適切なサイズのランダム化二重盲検試験であってもよい。
【0041】
有用性
本発明の単離された核酸は、少なくとも1つの抗IL-23抗体又はその特定の変異体の産生に使用することができ、本抗体又は変異体は、乾癬の症状を診断、観察、調節、治療、緩和し、その発生の防止を支援、又はその症状を低減するために、細胞、組織、器官、又は動物(哺乳動物及びヒトを含む)を測定するために又はそれらに作用させるために使用することができる。
【0042】
このような方法は、症状、効果、又は機序を調節、治療、軽減、予防、若しくは軽減することを必要としている細胞、組織、器官、動物、又は患者に、少なくとも1つの抗IL-23抗体を含む組成物又は医薬組成物を有効量投与することを含んでもよい。有効量は、本明細書に記載のように、又は関連分野で既知のように、既知の方法を使用して行い決定するとき、単回(例えば、ボーラス)、複数回、若しくは持続投与当たり約0.001~500mg/kgの量、又は単回、複数回、若しくは持続投与当たり0.01~5000μg/mlの血清中濃度を達成する量、又はこの中の任意の有効範囲若しくは値を含んでもよい。
【0043】
引用文献
本明細書で引用する全ての刊行物又は特許は、具体的な指定の有無にかかわらず、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、本発明の時点での先行技術を示し、かつ/又は本発明の説明及び実施可能性を提供する。刊行物は、電子形式若しくは印刷形式で記録されたものを全て含む任意のメディア形式で利用可能な、任意の科学刊行物若しくは特許公報又は任意の他の情報を指す。以下の文献は、参照により全体が本明細書に組み込まれる:Ausubel,et al.,ed.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,NY,NY(1987-2001)、Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor,NY(1989)、Harlow and Lane,antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,NY(1989)、Colligan,et al.,eds.,Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,Inc.,NY(1994-2001);Colligan et al.,Current Protocols in Protein Science,John Wiley & Sons,NY,NY,(1997-2001)。
【0044】
本発明に有用な抗体-産生及び生成
本発明の方法に使用される少なくとも1つの抗IL-23は、任意選択で、当該技術分野において周知の細胞株、混合細胞株、不死化細胞、又は不死化細胞のクローン集団によって産生することができる。例えば、各々全体が参照により本明細書に組み込まれる、Ausubel,et al.,ed.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,NY,NY(1987-2001)、Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor,NY(1989)、Harlow and Lane,antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,NY(1989)、Colligan,et al.,eds.,Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,Inc.,NY(1994-2001)、Colligan et al.,Current Protocols in Protein Science,John Wiley & Sons,NY,NY,(1997-2001)を参照されたい。
【0045】
ヒトIL-23タンパク質又はその断片に特異的なヒト抗体は、単離されたIL-23タンパク質及び/又はそれらの一部(合成ペプチドなどの合成分子を含む)などの適切な免疫原性抗原に対して生じ得る。その他の特異的な又は一般的な哺乳動物の抗体もまた、同様に生じることができる。免疫原性をもつ抗原の調製及びモノクローナル抗体の生成は、任意の好適な技術を使用して行うことができる。
【0046】
1つのアプローチでは、適切な不死細胞株(例えば、限定されるものではないが、Sp2/0、Sp2/0-AG14、NSO、NS1、NS2、AE-1、L.5、L243、P3X63Ag8.653、Sp2 SA3、Sp2 MAI、Sp2 SS1、Sp2 SA5、U937、MLA 144、ACT IV、MOLT4、DA-1、JURKAT、WEHI、K-562、COS、RAJI、NIH 3T3、HL-60、MLA 144、NAMALWA、NEURO 2Aなどの骨髄腫細胞株、又はヘテロミローマス、その融合産物、又はそれに由来する任意の細胞若しくは融合細胞、又は当該技術分野において周知の任意のその他の好適な細胞株)(例えば、www.atcc.org、www.lifetech.com.などを参照されたい)を、限定されるものではないが、単離された又はクローン化された脾臓、末梢血、リンパ、扁桃腺、又はその他の免疫若しくはB細胞含有細胞などの抗体産生細胞、あるいは内因性又は異種核酸として、組換え若しくは内因性、ウイルス、細菌、藻、原核生物、両生類、昆虫、爬虫類、魚、哺乳動物、げっ歯類、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ヒツジ、霊長類、真核生物、ゲノムDNA、cDNA、rDNA、ミトコンドリアDNA若しくはRNA、葉緑体DNA若しくはRNA、hnRNA、mRNA、tRNA、単一、二重若しくは三重鎖、ハイブリダイズなど、又はそれらの任意の組み合わせとしてのいずれかで、重鎖又は軽鎖の定常若しくは可変、又はフレームワーク若しくはCDR配列を発現する任意のその他の細胞と融合することにより、ハイブリドーマを産生する。例えば、参照により全体が本明細書に組み込まれる、上記のAusubel、及び上記のColligan,Immunologyの第2章を参照されたい。
【0047】
抗体産生細胞はまた、目的の抗原で免疫化されたヒト又はその他の好適な動物の末梢血、又は好ましくは脾臓若しくはリンパ節から得ることもできる。任意のその他の好適な宿主細胞を使用して、本発明の抗体、特定の断片又はその変異体をコードする異種核酸若しくは内在核酸を発現させることもできる。融合細胞(ハイブリドーマ)又は組換え細胞は、選択的培養条件又はその他の好適な周知の方法を使用して単離し、限界希釈若しくは細胞選別又はその他の周知の方法によってクローニングすることができる。所望の特異性を有する抗体を産生する細胞は、好適なアッセイ(例えば、ELISA)によって選択することができる。
【0048】
ペプチド又はタンパク質ライブラリから組換え抗体を選択する方法が挙げられるがこれらに限定されない、必要とされる特異性を有する抗体を産生又は単離するのに好適なその他の方法を使用することができる(例えば、バクテリオファージ、リボソーム、オリゴヌクレオチド、RNA、cDNAなどのディスプレイライブラリであるがこれらに限定されるものではなく、例えば、Cambridge antibody Technologies,Cambridgeshire,UK、MorphoSys,Martinsreid/Planegg,DE、Biovation,Aberdeen,Scotland,UK、BioInvent,Lund,Sweden、Dyax Corp.,Enzon,Affymax/Biosite、Xoma,Berkeley,CA、Ixsys.から入手可能である)。例えば、欧州特許第368,684号、国際出願第GB91/01134号、国際出願第GB92/01755号、国際出願第GB92/002240号、国際出願第GB92/00883号、国際出願第GB93/00605号、米国特許出願第08/350260号(5/12/94)、国際出願第GB94/01422号、国際出願第GB94/02662号、国際出願第GB97/01835号、(CAT/MRC)、国際公開第90/14443号、国際公開第90/14424号、国際公開第90/14430号、国際出願第US94/1234号、国際公開第92/18619号、同第96/07754号(Scripps)、国際公開第96/13583号、国際公開第97/08320号(MorphoSys)、国際公開第95/16027号(BioInvent)、国際公開第88/06630号、国際公開第90/3809号(Dyax)、米国特許第4,704,692号(Enzon)、国際出願第US91/02989号(Affymax)、国際公開第89/06283号、欧州特許第371998号、欧州特許第550400号、(Xoma)、欧州特許第229046号、国際出願第US91/07149号(Ixsys)、又は確率論的に生成されるペプチド若しくはタンパク質-米国特許第5723323号、同第5763192号、同第5814476号、同第5817483号、同第5824514号、同第5976862号、国際公開第86/05803号、欧州特許第590689号(Ixsys、適用された分子進化(Applied Molecular Evolution、AME)の前身、各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)か、又は当該技術分野において周知であり、かつ/若しくは本明細書に記載される、ヒト抗体のレパートリーを産生することができるトランスジェニック動物の免疫化に依存する(例えば、SCIDマウス、Nguyen et al.,Microbiol.Immunol.41:901-907(1997);Sandhu et al.,Crit.Rev.Biotechnol.16:95-118(1996);Eren et al.,Immunol.93:154-161(1998)、各々が参照によりその全体が組み込まれる)。このような技術には、リボソームディスプレイ(Hanes et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94:4937-4942(May 1997)、Hanes et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95:14130-14135(Nov.1998))、単一細胞抗体産生技術(例えば、選択リンパ球抗体方法(selected lymphocyte antibody method、「SLAM」)(米国特許第5,627,052号、Wen et al.,J.Immunol.17:887-892(1987)、Babcook et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:7843-7848(1996))、ゲルマイクロドロップレット及びフローサイトメトリー(Powell et al.,Biotechnol.8:333-337(1990);One Cell Systems,Cambridge,MA、Gray et al.,J.Imm.Meth.182:155-163(1995)、Kenny et al.,Bio/Technol.13:787-790(1995))、B細胞選択物(Steenbakkers et al.,Molec.Biol.Reports 19:125-134(1994)、Jonak et al.,Progress Biotech,Vol.5,In Vitro Immunization in Hybridoma Technology,Borrebaeck,ed.,Elsevier Science Publishers B.V.,Amsterdam,Netherlands(1988))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
ヒト以外の抗体又はヒト抗体を操作又はヒト化する方法も同様に使用でき、当該技術分野において周知である。概して、ヒト化抗体又は修飾抗体は、ヒト以外、例えば、限定されるものではないが、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、又はその他の哺乳動物の供給源からの1つ又は2つ以上のアミノ酸残基を有する。これらのヒト以外のアミノ酸残基は、しばしば「インポート」残基と呼ばれる残基により置き換えられるが、この「インポート」残基は、典型的には周知のヒト配列の「インポート」可変ドメイン、定常ドメイン、又はその他のドメインから得られる。
【0050】
周知のヒトIg配列が、例えば以下に開示されており、これらは各々全体が参照により本明細書に組み込まれる:www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi、www.ncbi.nih.gov/igblast、www.atcc.org/phage/hdb.html、www.mrc-cpe.cam.ac.uk/ALIGNMENTS.php、www.kabatdatabase.com/top.html、ftp.ncbi.nih.gov/repository/kabat;www.sciquest.com、www.abcam.com、www.antibodyresource.com/onlinecomp.html、www.public.iastate.edu/~pedro/research_tools.html、www.whfreeman.com/immunology/CH05/kuby05.htm、www.hhmi.org/grants/lectures/1996/vlab、www.path.cam.ac.uk/~mrc7/mikeimages.html、mcb.harvard.edu/BioLinks/Immunology.html;www.immunologylink.com、pathbox.wustl.edu/~hcenter/index.html;www.appliedbiosystems.com、www.nal.usda.gov/awic/pubs/antibody、www.m.ehime-u.ac.jp/~yasuhito/Elisa.html、www.biodesign.com、www.cancerresearchuk.org、www.biotech.ufl.edu、www.isac-net.org、baserv.uci.kun.nl/~jraats/links1.html;www.recab.uni-hd.de/immuno.bme.nwu.edu、www.mrc-cpe.cam.ac.uk、www.ibt.unam.mx/vir/V_mice.html、http://www.bioinf.org.uk/abs、antibody.bath.ac.uk;www.unizh.ch、www.cryst.bbk.ac.uk/~ubcg07s、www.nimr.mrc.ac.uk/CC/ccaewg/ccaewg.html、www.path.cam.ac.uk/~mrc7/humanisation/TAHHP.html、www.ibt.unam.mx/vir/structure/stat_aim.html、www.biosci.missouri.edu/smithgp/index.html、www.jerini.de、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Dept.Health(1983)。
【0051】
このようなインポートされた配列は、免疫原性を低減させるため、あるいは、当該技術分野において周知のように、結合、親和性、結合速度定数、解離速度定数、結合活性、特異性、半減期、又は任意のその他の好適な特性を低減、増強又は改変するために使用することができる。概して、CDR残基は、抗原結合に直接的にかつほとんど実質的に影響する。したがって、ヒト以外のCDR配列又はヒトCDR配列の一部又は全てを維持しつつ、可変領域及び定常領域のヒト以外の配列を、ヒトのアミノ酸又は他のアミノ酸に置き換えることもできる。
【0052】
抗体は、任意選択で、ヒト化されてもよい、又はヒト抗体は、抗原に対する高い親和性及び他の有利な生物学的特性を保持させたまま修飾させることができる。本目的を達成するためには、任意選択で、親配列及びヒト化配列の三次元モデルを使用して親配列及び種々の理論上のヒト化産物を解析するプロセスによって、ヒト化(又はヒト)抗体を調製することができる。三次元の免疫グロブリンモデルが一般的に利用可能であり、当業者に周知である。選択された免疫グロブリン配列候補について確率の高い三次元立体構造を図示及び表示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらの表示を調べることにより、免疫グロブリン配列候補の機能において残基が示す可能性の高い働きの解析、すなわち免疫グロブリン候補の抗原結合能に影響する残基の解析が可能となる。このようにして、標的抗原に対する親和性の増強などといった望ましい抗体特性が達成されるように、コンセンサス配列及びインポート配列からフレームワーク(FR)残基を選択し組み合わせることができる。
【0053】
加えて、本発明の方法に使用されるヒトIL-23特異的抗体は、ヒト生殖系列軽鎖フレームワークを含み得る。特定の実施形態では、軽鎖生殖系列配列は、A1、A10、A11、A14、A17、A18、A19、A2、A20、A23、A26、A27、A3、A30、A5、A7、B2、B3、L1、L10、L11、L12、L14、L15、L16、L18、L19、L2、L20、L22、L23、L24、L25、L4/18a、L5、L6、L8、L9、O1、O11、O12、O14、O18、O2、O4、及びO8を含むが、これらに限定されない、ヒトVK配列から選択される。ある特定の実施形態では、本軽鎖ヒト生殖系列フレームワークは、V1-11、V1-13、V1-16、V1-17、V1-18、V1-19、V1-2、V1-20、V1-22、V1-3、V1-4、V1-5、V1-7、V1-9、V2-1、V2-11、V2-13、V2-14、V2-15、V2-17、V2-19、V2-6、V2-7、V2-8、V3-2、V3-3、V3-4、V4-1、V4-2、V4-3、V4-4、V4-6、V5-1、V5-2、V5-4、及びV5-6から選択される。
【0054】
他の実施形態では、本発明の方法に使用されるヒトIL-23特異的抗体は、ヒト生殖細胞系列重鎖フレームワークを含み得る。特定の実施形態では、本重鎖ヒト生殖系列フレームワークは、VH1-18、VH1-2、VH1-24、VH1-3、VH1-45、VH1-46、VH1-58、VH1-69、VH1-8、VH2-26、VH2-5、VH2-70、VH3-11、VH3-13、VH3-15、VH3-16、VH3-20、VH3-21、VH3-23、VH3-30、VH3-33、VH3-35、VH3-38、VH3-43、VH3-48、VH3-49、VH3-53、VH3-64、VH3-66、VH3-7、VH3-72、VH3-73、VH3-74、VH3-9、VH4-28、VH4-31、VH4-34、VH4-39、VH4-4、VH4-59、VH4-61、VH5-51、VH6-1、及びVH7-81から選択される。
【0055】
特定の実施形態では、軽鎖可変領域及び/又は重鎖可変領域は、フレームワーク領域、又はフレームワーク領域の少なくとも一部分(例えば、FR2及びFR3などの2又は3つの小領域を含む)を含む。ある特定の実施形態では、少なくともFRL1、FRL2、FRL3、又はFRL4は、完全ヒトである。その他の実施形態では、少なくともFRH1、FRH2、FRH3、又はFRH4は、完全ヒトである。いくつかの実施形態では、少なくともFRL1、FRL2、FRL3、又はFRL4は、生殖系列配列(例えば、ヒト生殖系列)であるか、又は特定のフレームワークのためのヒトコンセンサス配列(上述の周知のヒトIg配列の供給源で容易に入手可能である)を含む。その他の実施形態では、少なくともFRH1、FRH2、FRH3、又はFRH4は、生殖系列配列(例えば、ヒト生殖系列)であるか、又は特定のフレームワークのためのヒトコンセンサス配列を含む。好ましい実施形態では、フレームワーク領域は、完全なヒトフレームワーク領域である。
【0056】
本発明の抗体のヒト化又は操作は、Winter(Jones et al.,Nature 321:522(1986)、Riechmann et al.,Nature 332:323(1988)、Verhoeyen et al.,Science 239:1534(1988))、Sims et al.,J.Immunol.151:2296(1993)、Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901(1987),Carter et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:4285(1992);Presta et al.,J.Immunol.151:2623(1993)、米国特許第5723323号、同第5976862号、同第5824514号、同第5817483号、同第5814476号、同第5763192号、同第5723323号、同第5,766886号、同第5714352号、同第6204023号、同第6180370号、同第5693762号、同第5530101号、同第5585089号、同第5225539号、同第4816567号、国際出願第US98/16280号、同第US96/18978号、同第US91/09630号、同第US91/05939号、同第US94/01234号、国際出願第GB89/01334号、同第GB91/01134号、同第GB92/01755号、国際公開第90/14443号、同第90/14424号、同第90/14430号、欧州特許第229246号(各々、参照によりその全体が明細書に組み込まれ、その中に引用される文献を含む)に記載されるものなどであるがこれらに限定されない、任意の周知の方法を使用して行うことができる。
【0057】
ある特定の実施形態では、抗体は、変更された(例えば、変異を導入された)Fc領域を含む。例えば、いくつかの実施形態では、Fc領域は、抗体のエフェクター機能を低減又は増強するために変更されている。いくつかの実施形態では、Fc領域は、IgM、IgA、IgG、IgE、又は他のアイソタイプから選択されるアイソタイプである。あるいは、又は加えて、アミノ酸修飾と、IL-23結合分子のFc領域のC1q結合及び/又は補体依存性細胞傷害性機能を変更する1つ又は2つ以上の更なるアミノ酸修飾とを組み合わせることが有用であり得る。特に注目の出発ポリペプチドは、C1qに結合するものであってもよく、補体依存性細胞毒性(complement dependent cytotoxicity、CDC)を示すものである。既存のC1q結合活性を有し、任意選択で、CDCを介在する能力を更に有するポリペプチドは、これらの活性のうちの1つ又は両方が増進するように、修飾されてもよい。C1qを変更する、かつ/又はその補体依存性細胞傷害機能を修飾するアミノ酸修飾は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第0042072号に記載されている。
【0058】
上記に開示されるように、例えば、C1q結合及び/又はFcγR結合を修飾し、それにより、補体依存性細胞毒性(CDC)活性及び/又は抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity、ADCC)活性を変化させることによって、変更されたエフェクター機能を有する本発明のヒトIL-23特異的抗体のFc領域を設計することができる。「エフェクター機能」は、(例えば、対象における)生物学的活性を活性化又は低減させる役割を果たす。エフェクター機能の例としては、これらに限定されるものではないが、C1q結合、CDC、Fc受容体結合、ADCC、貪食作用、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体、BCR)のダウンレギュレーションなどが挙げられる。かかるエフェクター機能は、Fc領域が、結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と結合することを必要とする場合があり、多種多用な試験法(例えば、Fc結合アッセイ、ADCCアッセイ、CDCアッセイなど)を使用して評価することができる。
【0059】
例えば、改善されたC1q結合及び改善されたFcγRIII結合を有する(例えば、改善されたADCC活性及び改善されたCDC活性の両方を有する)ヒトIL-23(又は抗IL-23)抗体の変異体Fc領域を生成することができる。あるいは、エフェクター機能を低減又は除去することが所望される場合、変異体Fc領域は、CDC活性を低減させるよう及び/又はADCC活性を低減させるよう修飾することができる。他の実施形態において、これらの活性の1つだけが増強されてもよく、任意選択で、同時に他の活性が低減されてもよい(例えば、改善されたADCC活性と低減されたCDC活性を有するFc領域変異体、及びこの逆のFc領域変異体を生成するため)。
【0060】
Fc変異は、胎児性Fc受容体(Fc receptor、FcRn)との相互作用を変更し、それらの薬物動態特性を改善するように遺伝子を操作して、導入することもできる。FcRnへの結合を改善したヒトFc変異体の収集は、説明されている(Shields et al.,(2001).High resolution mapping of the binding site on human IgG1 for FcγRI,FcγRII、FcγRIII,and FcRn and design of IgG1 variants with improved binding to the FCγR、J.Biol.Chem.276:6591-6604)。
【0061】
別のタイプのアミノ酸置換は、ヒトIL-23特異的抗体のFc領域のグリコシル化パターンを改変するように働く。Fc領域のグリコシル化は、典型的に、N結合型又はO結合型のいずれかである。N結合型は、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の付加を指す。O結合型グリコシル化は、5-ヒドロキシプロリン又は5-ヒドロキシリジンも使用される可能性があるが、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリン又はスレオニンへの糖類、N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロースのうちの1つの付着を指す。アスパラギン側鎖ペプチド配列への炭水化物部分の酵素的付着のための認識配列は、アスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-スレオニンであり、Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸である。このため、ポリペプチド中にこれらのいずれかのペプチド配列が存在すると、潜在的なグリコシル化部位がもたらされる。
【0062】
グリコシル化パターンは、例えば、ポリペプチドに見出される1つ又は2つ以上のグリコシル化部位を欠失させること、及び/又はポリペプチド中に存在しない1つ又は2つ以上のグリコシル化部位を付加することによって変更され得る。ヒトIL-23特異的抗体のFc領域へのグリコシル化部位の付加は、上記のトリペプチド配列の1つ又は2つ以上を含むようにアミノ酸配列を変更することによって首尾よく達成される(N結合型グリコシル化部位の場合)。代表的なグリコシル化変異体は、重鎖の残基Asn297のアミノ酸置換を有する。この変更は、元のポリペプチド配列への1つ又は2つ以上のセリン又はスレオニン残基の付加、又はこれらによる置換によって行われてもよい(O結合型グリコシル化部位の場合)。加えて、Asn 297をAlaに変更すると、グリコシル化部位の1つを除去することができる。
【0063】
ある特定の実施形態では、本発明のヒトIL-23特異的抗体は、GnT IIIがGlcNAcをヒトIL-23抗体に付加するように、ベータ(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnT III)を発現する細胞において発現される。このような様式で抗体を産生するための方法は、国際公開第9954342号、同第03011878号、特許公報第2003/0003097(A1)号、及びUmana et al.,Nature Biotechnology,17:176-180,Feb.1999に提供されており、これらの全ては、参照によりその全体が本明細書に具体的に組み込まれる。
【0064】
抗IL-23抗体はまた、任意選択で、本明細書に記載及び/又は当該技術分野において既知であるように、ヒト抗体のレパートリーを生成することができるトランスジェニック動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、非ヒト霊長類など)の免疫化により生じる場合もある。ヒト抗IL-23抗体を産生する細胞は、本明細書に記載の方法のような好適な方法を使用して、かかる動物から単離し、不死化してもよい。
【0065】
ヒト抗原に結合するヒト抗体のレパートリーを産生することができるトランスジェニックマウスは、既知の方法(例えば、これらに限定されないが、各々全体が参照により本明細書に組み込まれる、Lonbergらに発行された米国特許第5,770,428号、同第5,569,825号、同第5,545,806号、同第5,625,126号、同第5,625,825号、同第5,633,425号、同第5,661,016号、及び同第5,789,650号、Jakobovitsらの国際公開第98/50433号、Jakobovitsらの国際公開第98/24893号、Lonbergらの国際公開第98/24884号、Lonbergらの国際公開第97/13852号、Lonbergらの国際公開第94/25585号、Kucherlapateらの国際公開第96/34096号、Kucherlapateらの欧州特許第0463151(B1)号、Kucherlapateらの欧州特許0710719(A1)号、Suraniらの欧州特許第5,545,807号、Bruggemannらの国際公開第90/04036号、Bruggemannらの欧州特許第0438474(B1)号、Lonbergらの欧州特許第0814259(A2)号、Lonbergらの英国特許第2272440(A)号、Lonberg et al.Nature 368:856-859(1994),Taylor et al.,Int.Immunol.6(4)579-591(1994),Green et al,Nature Genetics 7:13-21(1994),Mendez et al.,Nature Genetics 15:146-156(1997),Taylor et al.,Nucleic Acids Research 20(23):6287-6295(1992),Tuaillon et al.,Proc Natl Acad Sci USA 90(8)3720-3724(1993)、Lonberg et al.,Int Rev Immunol 13(1):65-93(1995)、及びFishwald et al.,Nat Biotechnol 14(7):845-851(1996))によって生成することができる。概して、これらのマウスは、機能的に再構成された、又は機能的な再構成を受けることができる少なくとも1つのヒト免疫グロブリン遺伝子座に由来するDNAを含む、少なくとも1つの導入遺伝子を含む。このようなマウスの内因性免疫グロブリン遺伝子座を破壊又は欠失させて、マウスの、内因性遺伝子によりコードされている抗体の産生能を除去することができる。
【0066】
類似のタンパク質又は断片への特異的結合についての抗体のスクリーニングは、ペプチドディスプレイライブラリを使用して首尾よく達成することができる。本方法は、望ましい機能又は構造をもつ個々のメンバーについてペプチドの大規模コレクションをスクリーニングすることを含む。ペプチドディスプレイライブラリの抗体スクリーニングは当該技術分野において周知である。ディスプレイされたペプチド配列の長さは、3~5000個又はそれ以上のアミノ酸であり、頻繁には5~100個のアミノ酸長、多くは約8~25個のアミノ酸長であることができる。ペプチドライブラリを作成する直接化学合成法に加えて、いくつかの組換えDNA方法も記述されている。1つのタイプは、バクテリオファージ又は細胞の表面上でのペプチド配列のディスプレイを含む。各バクテリオファージ又は細胞は、特定のディスプレイされたペプチド配列をコードするヌクレオチド配列を含有する。このような方法は、国際出願第91/17271号、同第91/18980号、同第91/19818号、及び同第93/08278号に記載されている。
【0067】
ペプチドライブラリを作成するためのその他のシステムは、インビトロでの化学合成法及び組換え法の両方の態様を有する。国際出願第92/05258号、同第92/14843号、及び同第96/19256号を参照されたい。米国特許第5,658,754号及び同第5,643,768号も参照されたい。ペプチドディスプレイライブラリ、ベクター、及びスクリーニングキットは、Invitrogen(Carlsbad,CA)及びCambridge antibody Technologies(Cambridgeshire,UK)のような供給元から市販されている。例えば、Enzonに譲渡された米国特許第4704692号、同第4939666号、同第4946778号、同第5260203号、同第5455030号、同第5518889号、同第5534621号、同第5656730号、同第5763733号、同第5767260号、同第5856456号、Dyaxに譲渡された米国特許第5223409号、同第5403484号、同第5571698号、同第5837500号、Affymaxに譲渡された米国特許第5427908号、同第5580717号、Cambridge antibody Technologiesに譲渡された米国特許第5885793号、Genentechに譲渡された米国特許第5750373号、Xomaに譲渡された米国特許第5618920号、同第5595898号、同第5576195号、同第5698435号、同第5693493号、同第5698417号、上記のColligan、上記のAusubel、又は上記のSambrookを参照されたい。上記特許及び刊行物の各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0068】
本発明の方法に使用される抗体は、このような抗体を乳中に産生するヤギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ウサギなどのトランスジェニック動物又は哺乳動物を提供するために、核酸をコードする少なくとも1つの抗IL23抗体を使用して調製することもできる。このような動物は、周知の方法を使用して準備することができる。例えば、限定されるものではないが、米国特許第5,827,690号、同第5,849,992号、同第4,873,316号、同第5,849,992号、同第5,994,616号、同第5,565,362号、同第5,304,489号などを参照されたい(それらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0069】
本発明の方法に使用される抗体は、植物部分又はそれから培養された細胞において、そのような抗体、特定の部分、又は変異体を産生するトランスジェニック植物及び培養された植物細胞(例えば、タバコ及びトウモロコシであるが、これらに限定されない)を提供するために、核酸をコード化する少なくとも1つの抗IL23抗体を使用して更に調製することができる。非限定的な例として、例えば、誘導プロモータを用い、組換えタンパク質を発現するトランスジェニックタバコ葉をうまく使用して、大量の組換えタンパク質が提供されてきた。例えば、Cramer et al.,Curr.Top.Microbol.Immunol.240:95~118(1999)及びその中で引用される文献を参照されたい。また、トランスジェニックトウモロコシは、他の組換え系において生成されるタンパク質又は天然資源から精製されるタンパク質に等しい生物学的活性を有する哺乳動物タンパク質を、商業生成レベルで発現するために使用されてきた。例えば、Hood et al.,Adv.Exp.Med.Biol.464:127-147(1999)及びその中で引用される文献を参照されたい。抗体は、単鎖抗体(scFv)などの抗体断片を含む、タバコ種子及びポテト塊茎などといったトランスジェニック植物の種子からも、大量に産生されてきた。例えば、Conrad et al.,Plant Mol.Biol.38:101-109(1998)及びその中で引用される文献を参照されたい。したがって、本発明の抗体はまた、周知の方法に従って、トランスジェニック植物を使用して産生することもできる。例えば、Fischer et al.,Biotechnol.Appl.Biochem.30:99-108(Oct.,1999)、Ma et al.,Trends Biotechnol.13:522-7(1995)、Ma et al.,Plant Physiol.109:341-6(1995)、Whitelam et al.,Biochem.Soc.Trans.22:940-944(1994)、及びこれらの中で引用される文献も参照されたい。上記文献の各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0070】
本発明の方法に使用される抗体は、広範囲にわたる親和性(K)でヒトIL-23に結合することができる。好ましい実施形態では、ヒトmAbは、任意選択で、高い親和性でヒトIL-23に結合することができる。例えば、ヒトmAbは、ヒトIL-23を約10-7M以下、例えば、限定されないが、0.1~9.9(又はその中の任意の範囲若しくは値)×10-7、10-8、10-9、10-10、10-11、10-12、10-13、又はその中の任意の範囲若しくは値などのKで結合することができる。
【0071】
抗原に対する抗体の親和性又は結合活性は、任意の好適な方法を用いて実験により求めることができる。(例えば、Berzofsky,et al.,「Antibody-Antigen Interactions,」Fundamental Immunology,Paul,W.E.,Ed.,Raven Press:New York,NY(1984)、Kuby,Janis Immunology,W.H.Freeman and Company:New York,NY(1992)、及び本明細書に記載される方法を参照されたい)。特定の抗体抗原相互作用について測定される親和性は、異なる条件(例えば、塩濃度、pH)下で測定された場合に異なることができる。したがって、親和性及び他の抗原結合パラメータ(例えば、K、K、K)の測定は、好ましくは、抗体及び抗原の標準化溶液、及び本明細書で記載される緩衝剤などの標準化緩衝剤を用いて行われる。
【0072】
核酸分子
本明細書に開示される他の配列の中でも、例えば、本明細書に記載される軽鎖若しくは重鎖可変又はCDR領域のうちの少なくとも1つの隣接アミノ酸の少なくとも70~100%をコードするヌクレオチド配列、特定の断片、変異体、若しくはそれらのコンセンサス配列、又はこれらの配列のうちの少なくとも1つを含む寄託ベクターなどの本明細書に提供される情報を使用して、少なくとも1つの抗IL-23抗体をコードする本発明の核酸分子は、本明細書に記載されるか又は当該技術において既知の方法を使用して得ることができる。
【0073】
本発明の核酸分子は、mRNA、hnRNA、tRNA若しくは任意の他の形態のようなRNAの形態、又はクローニングにより得られる若しくは合成的に産生されるcDNA及びゲノムDNAが挙げられるがこれらに限定されないDNAの形態、又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。DNAは、3本鎖、2本鎖若しくは1本鎖、又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。DNA又はRNAの少なくとも1本の鎖の任意の部分は、センス鎖としても知られるコード鎖であってもよいし、又はアンチセンス鎖と呼ばれる、非コード鎖であってもよい。
【0074】
本発明の方法に使用される単離された核酸分子には、任意選択で1つ又は2つ以上のイントロン、例えば、限定されないが、少なくとも1つの重鎖若しくは軽鎖のCDR1、CDR2、及び/又はCDR3などの少なくとも1つのCDRの少なくとも1つの特定の部分を有するオープンリーディングフレーム(open reading frame、ORF)を含む核酸分子、抗IL-23抗体又は可変領域のコード配列を含む核酸分子、並びに前述のものと実質的に異なるヌクレオチド配列を含むが、遺伝子コードの縮重のために、本明細書に記載される及び/又は当該技術分野で既知である少なくとも1つの抗IL-23抗体を依然としてコードする核酸分子が含まれる。当然のことながら、遺伝子コードは、技術分野において周知である。したがって、本発明の方法で使用される特異的な抗IL-23抗体をコードするそのような変性核酸変異体を作製することは、当業者には日常的であるだろう。例えば、上記のAusubelらを参照されたい。このような核酸変異体は、本発明に含まれる。単離された核酸分子の非限定的な例としては、それぞれ、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2、及びLC CDR3をコードする核酸が挙げられる。
【0075】
本明細書に記載されるように、抗IL-23抗体をコードする核酸を含む核酸分子としては、それ自体で抗体断片のアミノ酸配列をコードするもの、抗体の全長若しくは抗体の一部をコードする配列、抗体、断片若しくは部分のコード配列、並びに追加の配列、例えば、少なくとも1つのイントロンなど、前述の追加のコード配列を伴って、又は伴わずに、非コード5’及び3’配列、例えば、スプライシング及びポリアデニル化シグナル(例えば、mRNAのリボソーム結合及び安定性)を含む、転写、mRNAプロセシングにおいて役割を果たす転写された非翻訳配列を含むがこれに限定されない、追加の非コード配列とともに、少なくとも1つのシグナルリーダー若しくは融合ペプチドのコード配列、追加のアミノ酸、例えば、追加の機能を提供するアミノ酸をコードする追加のコード配列を挙げることができるが、これらに限定されない。したがって、抗体をコードする配列はマーカー配列に融合させることができ、例えば、マーカー配列は、これを融合させた抗体断片又は部分を含む抗体の精製を促進するペプチドをコードする配列である。
【0076】
本明細書に記載のポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチド
本発明の方法は、本明細書に開示されるポリヌクレオチドに対して、選択的なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする単離された核酸を使用する。したがって、本実施形態のポリヌクレオチドは、かかるポリヌクレオチドを含む核酸を単離、検出、及び/又は定量するために使用することができる。例えば、本発明のポリヌクレオチドを使用して、寄託されたライブラリにおける部分長又は完全長クローンを同定、単離、又は増幅することができる。いくつかの実施形態においては、ポリヌクレオチドは、単離された、又はそうでなければヒト若しくは哺乳動物の核酸ライブラリのcDNAに相補的な、ゲノム配列又はcDNA配列である。
【0077】
好ましくは、cDNAライブラリは完全長配列の少なくとも80%、好ましくは完全長配列の少なくとも85%又は90%、より好ましくは完全長配列の少なくとも95%を含む。このcDNAライブラリは、稀な配列の発現量を増大させるよう正規化することができる。相補配列に対する配列同一性が低い配列を使用する、低又は中ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件が典型的なものであるが、これに限定されない。同一性がより高い配列には、任意選択で、中及び高ストリンジェンシーの条件を使用することができる。低ストリンジェンシー条件は、約70%の配列同一性をもつ配列の選択的ハイブリダイゼーションを可能にし、オーソロガス又はパラロガス配列を特定同定するために利用できる。
【0078】
任意選択で、ポリヌクレオチドは、抗体の少なくとも一部分をコードする。ポリヌクレオチドは、本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドに対する選択的ハイブリダイゼーションに利用することができる核酸配列を包含する。例えば、各々全体が参照により本明細書に組み込まれる、上記のAusubel、上記のColliganを参照されたい。
【0079】
核酸の構築
単離された核酸は、当該技術分野において周知のように、(a)組換え方法、(b)合成技術、(c)精製技術、及び/又は(d)これらの組み合わせを使用して作製することができる。
【0080】
核酸には、本発明のポリヌクレオチドに加えて、都合よく配列を含ませることができる。例えば、1つ又は2つ以上のエンドヌクレアーゼ制限部位を含むマルチクローニングサイトを核酸に挿入して、ポリヌクレオチドの単離に役立てることができる。また、翻訳可能な配列を挿入して、本発明の翻訳されたポリヌクレオチドの単離に役立てることができる。例えば、ヘキサヒスチジンマーカー配列は、本発明のタンパク質を精製するのに便利な手段を提供する。本発明の核酸(コード配列を除く)は、任意選択で、本発明のポリヌクレオチドのクローニング及び/又は発現のためのベクター、アダプター、又はリンカーである。
【0081】
かかるクローニング配列及び/又は発現配列に追加の配列を付加して、クローニング及び/又は発現におけるそれらの機能を最適化すること、ポリヌクレオチドの単離に役立てること、又は細胞へのポリヌクレオチドの導入を改善することができる。クローン化ベクター、発現ベクター、アダプター、及びリンカーの使用は、当該技術分野において周知である。(例えば、上記のAusubel、又は上記のSambrookを参照されたい)
【0082】
核酸を構築するための組換え方法
RNA、cDNA、ゲノムDNA、又はこれらの任意の組み合わせなどの単離された核酸組成物は、当業者に既知の任意の数のクローニング方法を用いて生物源から得ることができる。いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下で選択的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブが、cDNA又はゲノムDNAライブラリ内の望ましい配列の同定に使用される。RNAの単離、並びにcDNA及びゲノムライブラリの構築は、当業者には周知である。(例えば、上記のAusubel、又は上記のSambrookを参照されたい)
【0083】
核酸のスクリーニング及び単離方法
本明細書に開示されているものなど、本発明の方法に使用されるポリヌクレオチドの配列に基づいたプローブを使用して、cDNA又はゲノムライブラリをスクリーニングすることができる。プローブを使用して、ゲノムDNA又はcDNA配列にハイブリダイズさせて、同じ又は異なる生体の相同遺伝子を単離することができる。当業者であれば、アッセイに様々な度合のハイブリダイゼーションストリンジェンシーを用いることができ、ハイブリダイゼーション又は洗浄媒質のいずれかをストリンジェントなものにできることを理解する。ハイブリダイゼーション条件がストリンジェントになるほど、二重鎖の形成が生じる際のプローブと標的との間の相補性の度合が大きくなるはずである。ストリンジェンシーの程度は、温度、イオン強度、pH、及びホルムアミドのような部分的に変性する溶媒の存在のうちの1つ又は2つ以上によって制御され得る。例えば、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、例えば、0%~50%の範囲内でのホルムアミド濃度の操作により反応溶液の極性を変えることにより首尾よく変更される。検出可能な結合に必要とされる相補性(配列同一性)の程度は、ハイブリダイゼーション媒質及び/又は洗浄媒質のストリンジェンシーによって異なる。相補性の程度は、最適には100%、又は70~100%、又はその中の任意の範囲若しくは値である。しかしながら、プローブ及びプライマ中の配列のわずかな違いは、ハイブリダイゼーション及び/又は洗浄媒質のストリンジェンシーを低減させることで埋め合わせることができることを理解すべきである。
【0084】
RNA又はDNAの増幅方法は技術分野において周知であり、本明細書で紹介する教示及び指針に基づいて、過度の実験なしに、本発明に従って使用可能である。
【0085】
DNA又はRNA増幅の既知の方法としては、ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction、PCR)及び関連する増幅プロセス(例えば、Mullisらの米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号、同第4,800,159号、同第4,965,188号、Taborらの米国特許第4,795,699号及び同第4,921,794号、Innisの米国特許第5,142,033号、Wilsonらの米国特許第5,122,464号、Innisの米国特許第5,091,310号、Gyllenstenらの米国特許第5,066,584号、Gelfandらの米国特許第4,889,818号、Silverらの米国特許第4,994,370号、Biswasの米国特許第4,766,067号、Ringoldの米国特許第4,656,134号を参照されたい)、及び二本鎖DNA合成のためのテンプレートとして標的配列に対してアンチセンスRNAを使用するRNA媒介増幅(Malekらの米国特許第5,130,238号、商標名NASBA)が挙げられるが、これらに限定されない(これらの文献の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる)。(例えば、上記のAusubel、又は上記のSambrookを参照されたい。)
【0086】
例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を使用して、ゲノムDNA又はcDNAライブラリから直接、本発明の方法に使用されるポリヌクレオチド及び関連する遺伝子の配列を増幅することができる。PCR及び他のインビトロ増幅方法はまた、例えば、発現すべきタンパク質をコードする核酸配列をクローニングすること、サンプル中の所望のmRNAの存在を検出するため、核酸の配列決定のため、又は他の目的のためのプローブとして用いる核酸を作製することに関し有用であり得る。インビトロでの増幅方法によって当業者を導くのに充分な技術の例は、上記のBerger、上記のSambrook、及び上記のAusubel、並びにMullisらの米国特許第4,683,202号(1987)、及びInnis,et al.,PCR Protocols A Guide to Methods and Applications,Eds.,Academic Press Inc.,San Diego,CA(1990)に見られる。ゲノムPCR増幅用の市販キットは技術分野において既知である。例えば、Advantage-GC Genomic PCR Kit(Clontech)を参照されたい。加えて、例えば、T4遺伝子32タンパク質(Boehringer Mannheim)を用いて、長いPCR産物の収率を改善することができる。
【0087】
核酸を構築するための合成方法
本発明の方法に使用される単離された核酸はまた、既知の方法による直接化学合成によっても調製可能である(例えば、上記のAusubelらを参照されたい)。化学合成は、概して、相補的配列とのハイブリダイゼーションによって、又は1本鎖をテンプレートとして使用するDNAポリメラーゼとの重合によって、2本鎖DNAに変換可能な1本鎖オリゴヌクレオチドを産生する。当業者であれば、DNAの化学合成は約100又はそれ以上の塩基の配列に限定され得るが、より長い配列は、より短い配列のライゲーションによって得ることができることを認識する。
【0088】
組換え発現カセット
本発明は核酸を含む組換え発現カセットを使用する。核酸配列、例えば本発明の方法に使用される抗体をコードするcDNA又はゲノム配列を使用して、少なくとも1つの所望の宿主細胞に導入することができる組換え発現カセットを構築することができる。組換え発現カセットは、典型的には、意図される宿主細胞においてポリヌクレオチドの転写を導く、転写開始調節配列に操作可能に連結される、ポリヌクレオチドを含む。異種及び非異種(すなわち、内因性)プロモータの両方を利用して、核酸の発現を導くことができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、プロモータ、エンハンサ、又は他の要素として機能する単離された核酸を、ポリヌクレオチドの発現を上方又は下方調節するために、本発明のポリヌクレオチドの非異種形の適切な位置(上流、下流、又はイントロン内)に導入することができる。例えば、変異、欠失、及び/又は置換により、インビボ又はインビトロで内因性プロモータを変化させることができる。
【0090】
ベクター及び宿主細胞
本発明はまた、単離された核酸分子を含むベクター、組換えベクターを用いて遺伝子工学処理された宿主細胞、及び当該技術分野において周知である組換え技術による少なくとも1つの抗IL-23抗体の産生に関する。例えば、各々参照により全体が本明細書に組み込まれる、上記のSambrookら、上記のAusubelらを参照されたい。
【0091】
ポリヌクレオチドは、任意選択で、宿主の増殖についての選択マーカーを含有するベクターに結合することができる。概して、プラスミドベクターは、リン酸カルシウム沈殿物のような沈殿物内、又は荷電脂質との複合体内に導入される。ベクターがウイルスである場合は、適切なパッケージング細胞株を用いてインビトロでこれをパッケージングし、その後、宿主細胞内に形質導入することができる。
【0092】
DNA挿入物は、適切なプロモータに機能的に連結されるべきである。発現コンストラクトは、転写開始部位、転写終結部位、及び転写された領域内では翻訳のためのリボソーム結合部位を更に含む。コンストラクトにより発現した成熟した転写産物のコード部分は、好ましくは、翻訳されるべきmRNAの最後に適切に位置する開始及び終止コドン(例えば、UAA、UGA、又はUAG)で始まる翻訳を含み、哺乳動物又は真核生物細胞の発現ではUAA及びUAGが好ましい。
【0093】
発現ベクターは、好ましくは少なくとも1つの選択マーカーを含むが、これは任意選択である。このようなマーカーは、例えば、真核細胞培養のためのメトトレキサート(methotrexate、MTX)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(dihydrofolate reductase(DHFR、米国特許第4,399,216号、同第4,634,665号、同第4,656,134号、同第4,956,288号、同第5,149,636号、同第5,179,017号、アンピシリン、ネオマイシン(G418)、ミコフェノール酸、又はグルタミンシンセターゼ(glutamine synthetase、GS、米国特許第5,122,464号、同第5,770,359号、同第5,827,739号)抵抗性遺伝子、並びにE.coli及び他の細菌又は原核生物における培養のためのテトラサイクリン又はアンピシリン抵抗性遺伝子を含むが、これらに限定されない(上記特許は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。上記の宿主細胞に対して適切な培養培地及び条件は、技術分野において周知である。好適なベクターは、当業者にとって容易に明白となる。宿主細胞へのベクターコンストラクトの導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストランを介在させたトランスフェクション、カチオン性脂質を介在させたトランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、感染又は他の周知の方法により達成することができる。このような方法については、上記のSambrook、第1~4章及び第16~18章、上記のAusubel、第1、9、13、15、16章などの技術分野に記載されている。
【0094】
本発明の方法に使用される少なくとも1つの抗体は、融合タンパク質などの修飾された形態で発現され得、分泌シグナルだけでなく、追加の異種機能領域も含むことができる。例えば、追加アミノ酸の領域、特に荷電アミノ酸を抗体のN末端に追加して、精製中又は後続の処理及び保存中に、宿主細胞における安定性及び持続性を改善することができる。また、ペプチド部分を本発明の抗体に追加して、精製を促進することもできる。抗体又は少なくとも1つのその断片の最終調製前に、このような領域を除去することができる。このような方法は、上記のSambrook、第17.29~17.42章及び第18.1~18.74章、上記のAusubel、第16、17、及び18章などの多くの標準的な実験室マニュアルに記載されている。
【0095】
当業者であれば、本発明の方法に使用されるタンパク質をコードする核酸の発現に利用可能な多数の発現系について精通している。あるいは、核酸は、抗体をコードする内因性DNAを含有する宿主細胞内で、(操作により)オンに切り替えることにより、宿主細胞中で発現させることができる。このような方法は、米国特許第5,580,734号、同第5,641,670号、同第5,733,746号、及び同第5,733,761号に記載されているように、当該技術分野において周知であり、上記特許は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0096】
抗体、その特定の部分又は変異体の産生に有用な細胞培養物の一例は、哺乳動物細胞である。哺乳動物細胞系は、しばしば細胞からなる単層形態を取るが、哺乳動物細胞の懸濁液又はバイオリアクタも使用可能である。無傷なグリコシル化タンパク質を発現可能ないくつかの好適な宿主細胞株が当該技術分野において開発されており、これにはCOS-1(例えばATCC CRL 1650)、COS-7(例えばATCC CRL-1651)、HEK293、BHK21(例えばATCC CRL-10)、CHO(例えばATCC CRL1610)及びBSC-1(例えばATCC CRL-26)細胞株、Cos-7細胞、CHO細胞、hep G2細胞、P3X63Ag8.653、SP2/0-Ag14、293細胞、HeLa細胞などが挙げられ、これらは例えば、American Type Culture Collection(Manassas,Va)(www.atcc.org)から容易に入手できる。好ましい宿主細胞としては、骨髄腫及びリンパ腫細胞などのリンパ系に由来する細胞が挙げられる。特に好ましい宿主細胞は、P3X63Ag8.653細胞(ATCC寄託番号CRL-1580)及びSP2/0-Ag14細胞(ATCC寄託番号CRL-1851)である。特に好ましい実施形態では、組換え細胞は、P3X63Ab8.653又はSP2/0-Ag14細胞である。
【0097】
これらの細胞の発現ベクターは、複製起点、プロモータ(例えば、後期又は初期SV40プロモータ、CMVプロモータ(米国特許第5,168,062号、同第5,385,839号)、HSV tkプロモータ、pgk(ホスホグリセレートキナーゼ)プロモータ、EF-1アルファプロモータ(米国特許第5,266,491号)、少なくとも1つのヒト免疫グロブリンプロモータ、エンハンサ、及び/又はリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位(例えば、SV40ラージT Agポリ付加部位)、並びに転写終結配列などのプロセシング情報部位などであるがこれらに限定されるものではない、発現制御配列のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。例えば、上記のAusubelら、上記のSambrookらを参照されたい。本発明の核酸又はタンパク質の生成に有用なその他の細胞は周知である、並びに/あるいは例えば、American Type Culture Collection Catalogue of Cell Lines and Hybridomas(www.atcc.org)又はその他の周知の供給源若しくは商業的供給源から入手可能である。
【0098】
真核宿主細胞が利用される場合、典型的には、ベクター内にポリアデニル化又は転写終結配列が組み込まれる。終結配列の一例は、ウシ成長ホルモン遺伝子からのポリアデニル化配列である。転写の正確なスプライシングのための配列も、同様に含むことができる。スプライシング配列の一例は、SV40由来のVP1イントロンである(Sprague,et al.,J.Virol.45:773-781(1983))。加えて、当該技術分野において周知であるように、宿主細胞内の複製を制御するための遺伝子配列をベクター内に組み込むことができる。
【0099】
抗体の精製
抗IL-23抗体は、プロテインA精製、硫酸アンモニウム又はエタノール沈殿、酸抽出、アニオン又はカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、及びレクチンクロマトグラフィーが挙げられるがこれらに限定されない、周知の方法により、組換え細胞培養物から回収し、精製することができる。高速液体クロマトグラフィー(high performance liquid chromatography、「HPLC」)を精製に利用することもできる。例えば、各々参照により全体が本明細書に組み込まれる、Colligan,Current Protocols in Immunology又はCurrent Protocols in Protein Science,John Wiley & Sons,NY,NY(1997-2001)の、例えば、第1、4、6、8、9、10章を参照されたい。
【0100】
本発明の方法に使用される抗体には、天然に精製された生産物、化学合成工程の生産物、並びに例えば、酵母、高等植物、昆虫、及び哺乳動物細胞を含む、真核宿主から組換え技術により生産された生産物が含まれる。組換え生産工程において利用される宿主に応じて、抗体は、グリコシル化されてもグリコシル化されなくてもよいが、グリコシル化されるのが好ましい。このような方法は、上記のSambrook、セクション17.37-17.42、上記のAusubel、第10、12、13、16、18、及び20章、上記のColligan,Protein Science、第12~14章などの多くの標準的な実験室マニュアルに記載されており、全て参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0101】
抗IL-23抗体。
本発明の実施形態に従う方法に有用であり、本明細書では「抗IL-23特異的抗体」とも呼ばれる抗IL-23抗体は、抗体に組み込むことができる、免疫グロブリン分子の少なくとも一部、例えば、限定されないが、少なくとも1つのリガンド結合部分(ligand binding portion、LBP)、例えば、限定されないが、重鎖若しくは軽鎖の相補性決定領域(CDR)又はそのリガンド結合部分、重鎖又は軽鎖可変領域、フレームワーク領域(例えば、FR1、FR2、FR3、FR4、又はそれらの断片、更に任意選択で、少なくとも1つの置換、挿入、又は欠失を含む)、重鎖若しくは軽鎖定常領域(例えば、少なくとも1つのC1、ヒンジ1、ヒンジ2、ヒンジ3、ヒンジ4、C2、若しくはC3、又はそれらの断片、更に任意選択で、少なくとも1つの置換、挿入、又は欠失を含む)、又はそれらの任意の部分を含む、任意のタンパク質又はペプチド含有分子を含む。抗体は、ヒト、マウス、ウサギ、ラット、げっ歯類、霊長類、又はこれらの任意の組み合わせなどであるがこれらに限定されるものではない、任意の哺乳動物を含むか、又はそれに由来することができる。
【0102】
本発明の方法に使用される単離された抗体は、任意の好適なポリヌクレオチドによってコードされた、本明細書に開示される抗体のアミノ酸配列、又は任意の単離又は調製された抗体を含む。好ましくは、ヒト抗体又は抗原結合断片は、ヒトIL-23に結合し、それにより、タンパク質の少なくとも1つの生物学的活性を部分的又は実質的に中和する。少なくとも1つのIL-23タンパク質又は断片の少なくとも1つの生物学的活性を部分的に又は好ましくは実質的に中和する、抗体、又はその特定の部分若しくは変異体は、タンパク質又は断片に結合し、それによりIL-23受容体へのIL-23の結合を介して、又は他のIL-23依存性若しくは媒介型機序を介して、媒介される活性を阻害することができる。本明細書で使用する場合、「中和抗体」という用語は、アッセイに応じて、約20~120%、好ましくは少なくとも約10、20、30、40、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%又はそれ以上、IL-23依存性活性を阻害できる抗体を指す。IL-23依存性活性を阻害する抗IL-23抗体の能力は、好ましくは、本明細書に記載され、かつ/又は当該技術分野において既知の、少なくとも1つの好適なIL-23タンパク質又は受容体アッセイによって評価される。ヒト抗体は、任意のクラス(IgG、IgA、IgM、IgE、IgDなど)又はアイソタイプのものであってもよく、カッパ又はラムダ軽鎖を含むことができる。一実施形態では、ヒト抗体は、IgG重鎖又は規定された断片、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4(例えば、γ1、γ2、γ3、γ4)のうちの少なくとも1つのアイソタイプを含む。このタイプの抗体は、本明細書に記載されかつ/又は当該技術分野において既知の、少なくとも1つのヒト軽鎖(例えば、IgG、IgA、及びIgM)導入遺伝子を含む、トランスジェニックマウス又は他のヒト以外のトランスジェニック哺乳動物を利用することによって調製することができる。別の実施形態において、抗IL-23ヒト抗体は、IgG1重鎖と、IgG1軽鎖とを含む。
【0103】
抗体は、少なくとも1つのIL-23タンパク質、サブユニット、断片、部分、又はそれらの任意の組み合わせに特異的な少なくとも1つの特定のエピトープに結合する。本少なくとも1つのエピトープは、タンパク質の少なくとも一部分を含む少なくとも1つの抗体結合領域を含むことが可能であり、このエピトープは好ましくは、タンパク質の少なくとも1つの細胞外部分、可溶性部分、親水性部分、外側部分、又は細胞質部分で構成されている。
【0104】
概して、ヒト抗体又は抗原結合断片は、少なくとも1つのヒト相補性決定領域(CDR1、CDR2、及びCDR3)又は少なくとも1つの重鎖可変領域の変異体、及び少なくとも1つのヒト相補性決定領域(CDR1、CDR2、及びCDR3)又は少なくとも1つの軽鎖可変領域の変異体を含む抗原結合領域を含む。CDR配列は、ヒト生殖細胞系列型配列に由来するものでも、生殖細胞系列型配列に厳密に一致するものでもよい。例えば、元の非ヒトCDRに由来する合成ライブラリからのCDRを使用することができる。これらのCDRは、元のヒト以外の配列に由来する保存的置換の組込みによって形成され得る。別の特定の実施形態では、抗体又は抗原結合部分又は変異体は、対応するCDR1、2、及び/又は3のアミノ酸配列を有する少なくとも1つの軽鎖CDR(すなわち、CDR1、CDR2、及び/又はCDR3)の少なくとも一部分を含む抗原結合領域を有することができる。
【0105】
このような抗体は、組換えDNA技術に関する従来技術を使用して抗体をコードする(すなわち、1つ又は2つ以上の)核酸分子を調製して発現させることによって、又は任意のその他の好適な方法を使用することによって、従来技術を使用して抗体の種々の部分(例えば、CDR、フレームワーク)を一緒に化学的に結合させることにより調製できる。
【0106】
一実施形態では、本発明に有用な抗IL-23抗体は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2、及び配列番号3のCDRH3を含み、軽鎖可変領域は、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2、及び配列番号6のCDRL3を含む。
【0107】
本発明に有用な好ましい抗IL-23抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。
【0108】
本発明に有用なより好ましい抗IL-23抗体は、グセルクマブ(CNTO1959とも呼ばれ、Tremfaya(登録商標)として販売されている)である。
【0109】
本発明に有用な他の抗IL-23抗体としては、米国特許第7,935,344号に記載されている配列を有するものが挙げられるが、これらに限定されず、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0110】
更なる治療活性成分を含む抗体組成物
本発明の方法に使用される抗体組成物は、任意選択で更に、抗感染症薬、心血管(cardiovascular、CV)系作用薬、中枢神経系(central nervous system、CNS)薬、自律神経系(autonomic nervous system、ANS)薬、呼吸器薬、消化(gastrointestinal、GI)管作用薬、ホルモン薬、体液又は電解質平衡薬、血液作用薬、抗腫瘍薬、免疫調節薬、眼、耳又は鼻用薬、局所作用薬、栄養薬などのうち、少なくとも1つから選択される、有効量の少なくとも1つの化合物又はタンパク質を含むことができる。かかる薬物は、本明細書に示される各々の製剤、適応症、投与量、及び投与を含めて、当該技術分野では周知である(例えば、各々全体が参照により本明細書に組み込まれる、Nursing 2001 Handbook of Drugs,21st edition,Springhouse Corp.,Springhouse,PA,2001、Health Professional’s Drug Guide 2001,ed.,Shannon,Wilson,Stang,Prentice-Hall,Inc,Upper Saddle River,NJ、Pharmcotherapy Handbook,Wells et al.,Appleton & Lange,Stamford,CTを参照されたい)。
【0111】
本発明の方法の抗体と組み合わせることができる薬剤の例として、抗感染薬は、殺アメーバ薬又は少なくとも1種の抗原虫薬、駆虫薬、抗真菌薬、抗マラリア薬、抗結核薬又は少なくとも1種の抗らい菌薬、アミノグリコシド、ペニシリン、セファロスポリン、テトラサイクリン、スルホンアミド、フルオロキノロン、抗ウイルス薬、マクロライド抗感染薬、及び種々の抗感染薬から選択される少なくとも1種であることができる。ホルモン薬は、コルチコステロイド、アンドロゲン、又は少なくとも1種のアナボリックステロイド、エストロゲン、又は少なくとも1種のプロゲスチン、ゴナドトロピン、抗糖尿病薬、又は少なくとも1種のグルカゴン、甲状腺ホルモン、甲状腺ホルモン拮抗薬、下垂体ホルモン、及び副甲状腺様薬から選択される少なくとも1種であり得る。少なくとも1種のセファロスポリンは、セファクロル、セファドロキシル、セファゾリンナトリウム、セフジニル、塩酸セフェピム、セフィキシム、セフメタゾールナトリウム、セフォニシドナトリウム、セフォペラゾンナトリウム、セフォタキシムナトリウム、セフォテタン二ナトリウム、セフォキシチンナトリウム、セフポドキシムプロキセチル、セフプロジル、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシムナトリウム、セフトリアキソンナトリウム、セフロキシムアキセチル、セフロキシムナトリウム、塩酸セファレキシン、セファレキシン一水和物、セフラジン、及びロラカルベフから選択される少なくとも1種であることができる。
【0112】
少なくとも1種のコルチコステロイド(coricosteroid)は、ベタメタゾン、酢酸ベタメタゾン又はリン酸ベタメタゾンナトリウム、リン酸ベタメタゾンナトリウム、酢酸コルチゾン、デキサメサゾン、酢酸デキサメサゾン、リン酸デキサメサゾンナトリウム、酢酸フルドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、シピオン酸ヒドロコルチゾン、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、テブト酸プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、及び二酢酸トリアムシノロンから選択される少なくとも1種であることができる。少なくとも1種のアンドロゲン又はタンパク質同化ステロイドは、ダナゾール、フルオキシメステロン、メチルテストステロン、デカン酸ナンドロロン、フェンプロピオン酸ナンドロロン、テストステロン、シピオン酸テストステロン、エナント酸テストステロン、プロピオン酸テストステロン、及びテストステロン経皮系から選択される少なくとも1種であることができる。
【0113】
少なくとも1種の免疫抑制剤は、アザチオプリン、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ、リンパ球免疫グロブリン、ムロモナブ-CD3、ミコフェノール酸モフェチル、塩酸ミコフェノール酸モフェチル、シロリムス、及びタクロリムスから選択される少なくとも1種であり得る。
【0114】
少なくとも1種の局所抗感染薬は、アシクロビル、アンホテリシンB、アゼライン酸クリーム、バシトラシン、硝酸ブトコナゾール、リン酸クリンダマイシン、クロトリマゾール、硝酸エコナゾール、エリスロマイシン、硫酸ゲンタマイシン、ケトコナゾール、酢酸マフェニド、メトロニダゾール(局所)、硝酸ミコナゾール、ムピロシン、塩酸ナフチフィン、硫酸ネオマイシン、ニトロフラゾン、ナイスタチン、スルファジアジン銀、塩酸テルビナフィン、テルコナゾール、塩酸テトラサイクリン、チオコナゾール、及びトルナフテートから選択される少なくとも1種であることができる。少なくとも1種の疥癬殺虫剤若しくは殺シラミ薬は、クロタミトン、リンデン、ペルメトリン、及びピレトリンから選択される少なくとも1種であることができる。少なくとも1種の局所コルチコステロイドは、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、プロピオン酸クロベタゾール、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメサゾン、リン酸デキサメサゾンナトリウム、二酢酸ジフロラゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、ハルシノニド(halcionide)、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、吉草酸ヒドロコルチゾン、フロ酸モメタゾン、及びトリアムシノロンアセトニドから選択される少なくとも1種であることができる。(例えば、Nursing 2001 Drug Handbookの1098~1136ページを参照されたい。)
【0115】
抗IL-23抗体組成物は、かかる調節、治療、又は療法を必要とする細胞、組織、器官、動物、又は対象に接触されるか又は投与される少なくとも1つの抗IL-23抗体を含み、任意選択で更に、少なくとも1つのTNF拮抗薬(例えば、限定されないが、TNF化学若しくはタンパク質拮抗薬、TNFモノクローナル若しくはポリクローナル抗体又は断片、可溶性TNF受容体(例えば、p55、p70、又はp85)又は断片、その融合ポリペプチド、又は小分子TNF拮抗薬、例えば、TNF結合タンパク質I若しくはII(TBP-1又はTBP-II)、ネレリモンマブ(nerelimonmab)、インフリキシマブ、エタナセプト(eternacept)、CDP-571、CDP-870、アフェリモマブ、レネルセプトなど)、抗リウマチ薬(例えば、メトトレキサート、オーラノフィン、アウロチオグルコース、アザチオプリン、エタネルセプト、金チオリンゴ酸ナトリウム、ヒドロキシクロロキン硫酸塩、レフルノミド、スルファサラジン)、免疫化物質、免疫グロブリン、免疫抑制薬(例えば、アザチオプリン、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ)、サイトカイン又はサイトカイン拮抗薬から選択される少なくとも1種を含む、任意の好適かつ有効な量の組成物又は医薬組成物のうちの少なくとも1つを更に含むことができる。このようなサイトカインの非限定的な実施例としては、IL-1~IL-23など(例えば、IL-1、IL-2など)のいずれかが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好適な投与量は、技術分野において周知である。例えば、各々全体が参照により本明細書に組み込まれる、Wells et al.,eds.,Pharmacotherapy Handbook,2nd Edition,Appleton and Lange,Stamford,CT(2000)、PDR Pharmacopoeia,Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000,Deluxe Edition,Tarascon Publishing,Loma Linda,CA(2000)を参照されたい。
【0116】
本発明の方法に使用される抗IL-23抗体化合物、組成物、又は混合物は更に、希釈剤、結合剤、安定剤、緩衝剤、塩、親油性溶媒、保存剤、アジュバントなどであるがこれらに限定されない、任意の好適な助剤のうちの少なくとも1つを含み得る。医薬的に許容される助剤が好ましい。かかる滅菌溶液を調製する方法及びその非限定例は、当該技術分野において周知であり、例えば、Gennaro,Ed.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,Mack Publishing Co.(Easton,PA)1990が挙げられるが、これに限定されない。当該技術分野において周知である、又は本明細書に記載されるように、抗IL-23抗体、断片、又は変異体組成物の投与方式、溶解度、及び/又は安定性に好適な医薬的に許容される担体は、日常的に選択することができる。
【0117】
本組成物において有用な医薬賦形剤及び添加剤は、これらに限定されるものではないが、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質及び炭水化物(例えば、単糖類、二糖、三糖、四糖、及びオリゴ糖を含む糖類、アルジトール、アルドン酸、エステル化糖などの誘導体化糖、並びに多糖類又は糖ポリマー)を含み、これらは、単独で又は組み合わせて存在してもよく、単独で又は組み合わせて1~99.99重量%又は容量%含まれる。代表的なタンパク質賦形剤としては、ヒト血清アルブミン(human serum albumin、HSA)などの血清アルブミン、組換えヒトアルブミン(recombinant human albumin、rHA)、ゼラチン、カゼインなどが挙げられる。緩衝能においても機能し得る代表的なアミノ酸/抗体構成要素としては、アラニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルテームなどが挙げられる。好ましいアミノ酸の1つはグリシンである。
【0118】
本発明で使用するのに好適な炭水化物賦形剤としては、例えば、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D-マンノース、ソルボースなどの単糖類、ラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオースなどの二糖類、ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、デンプン類などの多糖類、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトールソルビトール(グルシトール)、ミオイノシトールなどのアルジトールが挙げられる。本発明で使用するのに好ましい炭水化物添加物は、マンニトール、トレハロース、及びラフィノースである。
【0119】
抗IL-23抗体組成物はまた、緩衝剤又はpH調整剤を含むことができ、典型的には、緩衝剤は、有機酸又は塩基から調製される塩である。代表的な緩衝剤としては、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸、又はフタル酸の塩などの有機酸塩、トリス、トロメタミン塩酸塩、又はリン酸緩衝剤が挙げられる。本組成物で使用するのに好ましい緩衝剤は、クエン酸などの有機酸塩である。
【0120】
更に、抗IL-23抗体組成物は、ポリビニルピロリドン、フィコール(ポリマー糖)、デキストレート(例えば、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンなどのシクロデキストリン)、ポリエチレングリコール、着香剤、抗菌剤、甘味料、抗酸化剤、帯電防止剤、界面活性剤(例えば、「TWEEN20」及び「TWEEN80」などのポリソルベート)、脂質(例えば、リン脂質、脂肪酸)、ステロイド(例えば、コレステロール)、及びキレート剤(例えば、EDTA)などのポリマー賦形剤/添加剤を含み得る。
【0121】
本発明による抗IL-23抗体、部分又は変異体組成物における使用に好適なこれら及び追加の既知の医薬賦形剤及び/又は添加剤は、当該技術分野において既知であり、例えば、「Remington:The Science & Practice of Pharmacy,」19th ed.,Williams & Williams,(1995)、及び「Physician’s Desk Reference,」52nd ed.,Medical Economics,Montvale,NJ(1998)に記載され、これらの開示は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。好ましい担体又は添加物材料は、炭水化物(例えば、単糖類及びアルジトール)及び緩衝剤(例えば、クエン酸)又はポリマー剤である。例示的な担体分子はムコ多糖、ヒアルロン酸であり、これらは関節内送達に有用であり得る。
【0122】
製剤
上述したとおり、本発明は、好ましくは、生理食塩水又は選択された塩を含むリン酸緩衝剤である安定した製剤、並びに保存剤を含有する保存溶液及び製剤、並びに医薬的に許容される製剤中に少なくとも1つの抗IL-23抗体を含む薬剤学的又は獣医学的用途に好適な多用途保存製剤を提供する。保存製剤は、水性希釈剤中に、少なくとも1つのフェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、硝酸フェニル水銀、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド、クロロブタノール、塩化マグネシウム(例えば、六水和物)、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及びチメロサール、又はそれらの混合物からなる群から任意選択で選択される、少なくとも1つの既知の保存剤を含む。当該技術分野において周知であるように、0.001~5%、又はその中の任意の範囲若しくは値、例えば、0.001、0.003、0.005、0.009、0.01、0.02、0.03、0.05、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.3、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9など、又はその中の任意の範囲若しくは値の、任意の好適な濃度又は混合物を使用することができる。非限定的な実施例としては、保存剤無添加、0.1~2%のm-クレゾール(例えば、0.2、0.3.0.4、0.5、0.9、1.0%)、0.1~3%のベンジルアルコール(例えば、0.5、0.9、1.1、1.5、1.9、2.0、2.5%)、0.001~0.5%のチメロサール(例えば、0.005、0.01)、0.001~2.0%のフェノール(例えば、0.05、0.25、0.28、0.5、0.9、1.0%)、0.0005~1.0%のアルキルパラベン(例えば、0.00075、0.0009、0.001、0.002、0.005、0.0075、0.009、0.01、0.02、0.05、0.075、0.09、0.1、0.2、0.3、0.5、0.75、0.9、1.0%)などが挙げられる。
【0123】
上述のとおり、本発明の方法は、包装材と、任意選択で水性希釈剤中に処方された緩衝剤及び/又は保存剤を伴う少なくとも1つの抗IL-23特異的抗体の溶液を含む少なくとも1つのバイアルと、を含む製品を使用し、この包装材は、かかる溶液を1、2、3、4、5、6、9、12、18、20、24、30、36、40、48、54、60、66、72時間以上にわたり保持することができることを記したラベルを含む。本発明は、包装材と、凍結乾燥された抗IL-23特異的抗体を含む第1のバイアルと、処方された緩衝剤又は保存剤の水性希釈剤を含む第2のバイアルと、を含む製品を更に使用し、この包装材は、抗IL-23特異的抗体を水性希釈剤でもどして、24時間以上にわたって保持することができる溶液を形成するように患者に指示するラベルを含む。
【0124】
本発明により使用される抗IL-23特異的抗体は、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において既知の、哺乳動物細胞又はトランスジェニック調製物から産生することを含む組換え手段により産生され得るか、又は他の生物源から精製され得る。
【0125】
抗IL-23特異的抗体の範囲は、湿式/乾式系の場合、もどすときに約1.0μg/ml~約1000mg/mlの濃度が得られる量で含まれるが、より低い濃度及び高い濃度でも作業可能であり、意図される送達ビヒクルに依存し、例えば溶液製剤では、経皮パッチ、肺、経粘膜、又は浸透圧性若しくはマイクロポンプ方法とは異なる。
【0126】
好ましくは、水性希釈剤は、任意選択で、医薬的に許容される保存剤を更に含む。好ましい保存剤には、フェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及びチメロサール、又はそれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。製剤中で使用される保存剤の濃度は、抗菌効果を生み出すのに充分な濃度である。このような濃度は選択された保存剤によって異なり、当業者により容易に決定される。
【0127】
その他の賦形剤、例えば、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、及び保存剤エンハンサは、任意選択でかつ好ましくは希釈剤に添加することができる。グリセリンなどの等張剤が、既知の濃度で概して使用される。好ましくは、生理学的に耐性の緩衝剤を添加して、改善されたpH制御を提供する。製剤は、約pH4~約pH10、及び好ましくは約pH5~約pH9の範囲、及び最も好ましくは約6.0~約8.0の範囲などの、広範囲のpH範囲を網羅とすることができる。好ましくは、本発明の製剤は、約6.8~約7.8のpHを有する。好適な緩衝剤には、リン酸緩衝剤、最も好ましくは、リン酸ナトリウム、特にリン酸緩衝生理食塩水(phosphate buffered saline、PBS)が含まれる。
【0128】
その他の添加剤、例えばTween20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)、Tween40(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート)、Tween80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)、Pluronic F68(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー)、及びPEG(ポリエチレングリコール)などの、医薬的に許容される可溶化剤、又はポリソルベート20若しくは80又はポロキサマー184若しくは188、Pluronic(登録商標)ポリル(polyl)などの非イオン性界面活性剤、その他のブロックコポリマー、並びにEDTA及びEGTAなどのキレート剤を、任意に製剤又は組成物に添加して、凝集を低減させることができる。これらの添加物は、製剤を投与するためにポンプ又はプラスチック容器が使用される場合に特に有用である。医薬的に許容される界面活性剤の存在により、タンパク質が凝集する傾向が軽減される。
【0129】
製剤は、少なくとも1つの抗IL-23抗体と、フェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及びチメロサール、又はこれらの混合物からなる群から選択される保存剤と、を水性希釈剤中で混合することを含むプロセスにより調製することができる。少なくとも1つの抗IL-23特異的抗体と保存剤との水性希釈剤中での混合は、従来の溶解及び混合手順を使用して実施される。好適な製剤を調製するために、例えば、緩衝溶液中の一定量の少なくとも1つの抗IL-23特異的抗体を、所望の濃度のタンパク質及び保存剤を提供するために十分な量の緩衝溶液中で所望の保存剤と組み合わせる。本プロセスの変化形態は、当業者によって認識される。例えば、構成成分の添加順序、追加の添加剤の使用の有無、製剤調製時の温度及びpHは全て、使用する投与濃度及び投与手段に関して最適化することのできる因子である。
【0130】
製剤は、透明な溶液として、又は水、保存剤及び/若しくは賦形剤、好ましくはリン酸塩緩衝剤及び/若しくは生理食塩水、並びに選択された塩を水性希釈剤中に含有する第2のバイアルでもどされる、凍結乾燥された抗IL-23特異的抗体のバイアルを含む併用バイアル(dual vial)として、患者に提供することができる。単一溶液バイアル又は再構成を必要とするデュアルバイアルはいずれも複数回再利用することができ、単一又は複数の患者処置サイクルを満たすことができ、したがって、現在使用できるよりも便利な処置レジメンを提供することができる。
【0131】
本製品は、即時から24時間以上の範囲の期間にわたる投与に有用である。したがって、本発明により特許請求される製品は、患者に大きな利益を提供する。本発明の製剤は、任意選択で、約2℃~約40℃の温度で安全に保存し、タンパク質の生物学的活性を長期間保持することができ、したがって、包装ラベルにより、溶液を6、12、18、24、36、48、72、又は96時間以上にわたって保持及び/又は使用し得ることを示すことができる。保存されている希釈剤を使用する場合には、このようなラベルは、最高1~12か月、半年、1年半、及び/又は2年までの使用を含むことができる。
【0132】
抗IL-23特異的抗体の溶液は、少なくとも1つの抗体を水性希釈剤中で混合することを含むプロセスにより調製することができる。混合は、従来の溶解及び混合手順を使用して実施される。好適な希釈剤を調製するために、例えば、水又は緩衝剤中の一定量の少なくとも1つの抗体を、所望の濃度のタンパク質、及び任意選択で保存剤又は緩衝剤を提供するのに十分な量で組み合わせる。本プロセスの変化形態は、当業者によって認識される。例えば、構成成分の添加順序、追加の添加剤の使用の有無、製剤調製時の温度及びpHは全て、使用する投与濃度及び投与手段に関して最適化することのできる因子である。
【0133】
特許請求される製品は、透明な溶液として、又は水性希釈剤を含有する第2のバイアルでもどされる、凍結乾燥された少なくとも1つの抗IL-23特異的抗体のバイアルを含む併用バイアルとして、患者に提供することができる。単一溶液バイアル又は再構成を必要とするデュアルバイアルはいずれも複数回再利用することができ、単一又は複数の患者処置サイクルを満たすことができ、したがって、現在使用できるよりも便利な処置レジメンを提供する。
【0134】
特許請求される製品は、透明な溶液、又は水性希釈剤を含有する第2のバイアルでもどされる、凍結乾燥された少なくとも1つの抗IL-23特異的抗体のバイアルを含む併用バイアルを、薬局、診療所、又はその他のかかる機関及び施設に提供することによって、患者に対し間接的に提供することができる。この場合の透明溶液は最高1リットル又は更にはそれ以上の容量であってもよく、この大きな容器からより少量の少なくとも1つの抗体溶液を1回又は複数回取り出してより小さなバイアルに移し、かつ薬局又は診療所により顧客及び/又は患者に提供できる。
【0135】
単一バイアルシステムを含む認識されているデバイスとしては、溶液の送達のためのペン型注射器デバイス、例えば、BD Pen、BD Autojector(登録商標)、Humaject(登録商標)、NovoPen(登録商標)、B-D(登録商標)Pen、AutoPen(登録商標)、及びOptiPen(登録商標)、GenotropinPen(登録商標)、Genotronorm Pen(登録商標)、Humatro Pen(登録商標)、Reco-Pen(登録商標)、Roferon Pen(登録商標)、Biojector(登録商標)、Iject(登録商標)、J-tip Needle-Free Injector(登録商標)、Intraject(登録商標)、Medi-Ject(登録商標)、Smartject(登録商標)、例えば、Becton Dickensen(Franklin Lakes,NJ、www.bectondickenson.com)、Disetronic(Burgdorf,Switzerland、www.disetronic.com、Bioject(Portland,Oregon(www.bioject.com)、National Medical Products,Weston Medical(Peterborough,UK,www.weston-medical.com)、Medi-Ject Corp(Minneapolis,MN,www.mediject.com)によって製造又は開発されているもの)、及び類似の好適なデバイスが挙げられる。デュアルバイアルシステムを含む認知されたデバイスとしては、もどした溶液を送達するために、凍結乾燥された薬品をカートリッジ内でもどすためのペン型注射器システム、例えばHumatroPen(登録商標)などが挙げられる。好適なその他のデバイスの実施例としては、予め充填された注射器、自動注射器、針なし注射器、及び針なしIV注入セットが挙げられる。
【0136】
製品は、包装材を含み得る。包装材は、規制当局によって必要とされる情報に加えて、製品を使用することができる条件を提供する。本発明の包装材は、適用できる場合、少なくとも1つの抗IL-23抗体を水性希釈剤でもどして溶液を形成し、2~24時間以上の期間にわたって、この溶液を湿式/乾式の2つのバイアル製品に使用する、という指示を患者に提供する。シングルバイアルの溶液製品、予め充填された注射器、又は自動注射器の場合、ラベルは、このような溶液を2~24時間以上の期間にわたって使用することができることを示す。製品は、ヒト用医薬製品用途に有用である。
【0137】
本発明の方法に使用される製剤は、抗IL-23抗体及び選択された緩衝剤、好ましくは生理食塩水又は選択された塩を含有するリン酸塩緩衝剤を混合することを含むプロセスにより調製することができる。抗IL-23抗体と緩衝剤との水性希釈剤中での混合は、従来の溶解及び混合手順を使用して実施される。好適な製剤を調製するために、例えば、水又は緩衝剤中の一定量の少なくとも1つの抗体を、所望の濃度のタンパク質及び緩衝剤を提供するのに充分な量の水中で所望の緩衝剤と組み合わせる。本プロセスの変化形態は、当業者によって認識される。例えば、構成成分の添加順序、追加の添加剤の使用の有無、製剤調製時の温度及びpHは全て、使用する投与濃度及び投与手段に関して最適化することのできる因子である。
【0138】
本発明の方法は、ヒト又は動物患者に投与するのに有用かつ許容できる様々な製剤を含む医薬組成物を提供する。このような医薬組成物は、希釈剤として「標準状態」の水、及び当業者に周知の日常的な方法を使用して調製される。例えば、ヒスチジン及びヒスチジン一塩酸塩水和物などの緩衝構成要素が最初に提供され、続いて適切な非最終容量の「標準状態」の水希釈剤、スクロース、及びポリソルベート80が添加され得る。次いで、単離された抗体を添加することができる。最後に、水を希釈剤として使用して「標準状態」条件の下で、医薬組成物の容量を所望の最終容量に調整する。当業者は、医薬組成物の調製に好適ないくつかのその他の方法を認識する。
【0139】
医薬組成物は、水の容量単位当たりの示される質量の各構成成分を含むか、又は「標準状態」の示されるpHを有する水溶液又は懸濁液であってもよい。本明細書で使用する場合、「標準状態」という用語は、25℃±2℃の温度及び1気圧の圧力を意味する。「標準状態」という用語は、当該技術分野では、当該技術分野が認識する単一の温度又は圧力のセットを指すように使用されないが、代わりに参照「標準状態」条件下の特定の組成物を含む溶液又は懸濁液を説明するために使用される温度及び圧力を特定する参照状態である。これは、溶液の容量が一つには温度及び圧力の関数であるためである。当業者は、本明細書に開示されるものと同等の医薬組成物がその他の温度及び圧力で製造され得ることを認識する。かかる医薬組成物が本明細書に開示されるものと同等であるかは、上記に定義された「標準状態」条件下(例えば、25℃±2℃及び1気圧の圧力)で決定されるべきである。
【0140】
重要なことに、かかる医薬組成物は、医薬組成物の単位容積当たり「約」ある特定の値の構成要素の質量(例えば、「約0.53mgのL-ヒスチジン」)を含有するか、又は約ある特定の値のpH値を有し得る。医薬組成物中に存在する構成要素の質量又はpH値は、単離された抗体が医薬組成物に存在するか、又は単離された抗体が医薬組成物から除去された後(例えば、希釈により)に、医薬組成物中に存在する単離された抗体がペプチド鎖に結合することができる場合の、「約」所与の数値である。つまり、構成要素の質量値又はpH値などの値は、単離された抗体を医薬組成物中に入れた後に単離された抗体の結合活性が維持され、検出可能である場合の、「約」所与の数値である。
【0141】
競合結合分析を行って、IL-23特異的mAbが類似の若しくは異なるエピトープに結合し、かつ/又は互いに競合するかを決定する。ELISAプレート上にAbを個々にコーティングする。競合するmAbを添加し、続いてビオチン化hrIL-23を添加する。陽性対照には、コーティングに同じmAbを競合mAb(「自己競合」)として使用してもよい。IL-23結合は、ストレプトアビジンを使用して検出される。これらの結果は、mAbがIL-23上の類似の又は部分的に重複するエピトープを認識するかどうかを示す。
【0142】
医薬組成物の一実施形態では、単離された抗体濃度は、1mLの医薬組成物当たり約77~約104mgである。医薬組成物の別の実施形態では、pHは約5.5~約6.5である。
【0143】
安定又は保存製剤は、透明な溶液として、又は水性希釈剤中に保存剤若しくは緩衝剤及び添加物を含有する第2のバイアルでもどされる、凍結乾燥された少なくとも1つの抗IL-23抗体のバイアルを含むデュアルバイアルとして、患者に提供することができる。単一溶液バイアル又は再構成を必要とするデュアルバイアルはいずれも複数回再利用することができ、単一又は複数の患者処置サイクルを満たすことができ、したがって、現在使用できるよりも便利な処置レジメンを提供する。
【0144】
抗IL-23抗体を安定化する他の製剤又は方法は、抗体を含む凍結乾燥粉末の透明溶液以外のものであってよい。非透明溶液としては、微粒子懸濁液を含む製剤があり、このような微粒子は、ミクロスフェア、微小粒子、ナノ粒子、ナノスフェア、又はリポソームとして様々に知られる種々の大きさの構造内に、抗IL-23抗体を含有する組成物である。活性薬剤を含有するこのような比較的均質な本質的に球状の微粒子製剤は、米国特許第4,589,330号に教示されるとおり、活性薬剤及びポリマーを含有する水相と非水相とを接触させ、次に、非水相を蒸発させて水相からの粒子の合体を引き起こすことにより、形成することができる。多孔性微小粒子は、米国特許第4,818,542号に教示されるとおり、連続溶媒中に分散された活性薬剤とポリマーとを含有する第1相を使用し、凍結乾燥又は希釈-抽出-沈殿により懸濁液からこの溶媒を除去することで調製することができる。こうした調製に好ましいポリマーは、ゼラチン寒天、デンプン、アラビノガラクタン、アルブミン、コラーゲン、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、グリコリド-L(-)ラクチドポリ(エプシロン-カプロラクトン、ポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-乳酸)、ポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-グリコール酸)、ポリ(β-ヒドロキシ酪酸)、ポリエチレンオキシド、ポリエチレン、ポリ(アルキル-2-シアノアクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリアミド、ポリ(アミノ酸)、ポリ(2-ヒドロキシエチルDL-アスパルトアミド)、ポリ(エステル尿素)、ポリ(L-フェニルアラニン/エチレングリコール/1,6-ジイソシアナトヘキサン)及びポリ(メチルメタクリレート)からなる群から選択される、天然又は合成のコポリマー又はポリマーである。特に好ましいポリマーは、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、グリコリド-L(-)ラクチドポリ(エプシロン-カプロラクトン、ポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-乳酸)、及びポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-グリコール酸)などのポリエステルである。ポリマー及び/又は活性物質を溶解させるのに有用な溶媒としては、水、ヘキサフルオロイソプロパノール、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、ベンゼン、又はヘキサフルオロアセトンセスキ水和物が挙げられる。活性物質含有相を第2相に分散させるプロセスは、ノズル内のオリフィスに当該第1相を圧力で強制的に通して液滴形成に作用させることを含むことができる。
【0145】
乾燥粉末製剤は、例えば、噴霧乾燥法、又は蒸発による溶媒抽出法、若しくは水性若しくは非水性溶媒を除去するための1つ又は2つ以上の工程が後続する結晶性組成物の沈殿による溶媒抽出法などの、凍結乾燥以外のプロセスの結果として得てもよい。噴霧乾燥抗体製剤の調製は、米国特許第6,019,968号に教示されている。抗体ベースの乾燥粉末組成物は、抗体の溶液又はスラリーを、及び任意選択で、呼吸用乾燥粉末を提供するための条件下で溶媒中の、賦形剤を、噴霧乾燥させることによって生産できる。溶媒としては、容易に乾燥可能な、例えば水及びエタノールなどの極性化合物が挙げられる。抗体の安定性は、酸素不在下、例えば窒素ブランケット下において噴霧乾燥手順を実施すること、又は乾燥用気体として窒素を使用することにより増強させることができる。別の比較的乾燥した製剤は、国際公開第9916419号に教示されているような、典型的にはヒドロフルオロアルカン噴射剤を含む懸濁培地中に分散した、複数の有孔微細構造の分散物である。安定化された分散物は、定量吸入器を用いて患者の肺に投与できる。噴霧乾燥された薬物の商業的製造において有用な機器は、Buchi Ltd.又はNiro Corp.により製造されている。
【0146】
本明細書に記載される安定若しくは保存製剤又は溶液中のいずれかで抗IL-23抗体は、技術分野において周知のように、SC若しくはIM注射、経皮、経肺、経粘膜、埋め込み、浸透圧ポンプ、カートリッジ、マイクロポンプ、又は当業者により理解されるその他の手段などの種々の送達方法を介して、本発明に従って患者に投与することができる。
【0147】
治療への応用
1つの全般的な態様では、本発明は、当該技術分野において既知又は本明細書に記載のように、少なくとも1つの本発明のIL-23抗体を用いて、例えば、細胞、組織、器官、動物、又は患者に、治療有効量のIL-23特異的抗体を投与又は接触させて、細胞、組織、器官、動物、又は患者における乾癬を調節又は治療するための方法を提供する。
【0148】
本発明のいずれの方法も、かかる調節、治療、又は療法を必要としている細胞、組織、器官、動物又は患者に、抗IL-23抗体を含む有効量の組成物又は医薬組成物を投与することを含み得る。かかる方法は、任意選択で、かかる疾患又は障害の治療のための同時投与又は併用療法を更に含むことができ、ここで、この少なくとも1つの抗IL-23抗体、その特定の部分、又は変異体を投与することは、少なくとも1つのTNF拮抗薬(例えば、限定されないが、化学物質性若しくはタンパク質性TNF拮抗薬、TNFモノクローナル若しくはポリクローナル抗体若しくは断片、可溶性TNF受容体(例えば、p55、p70、又はp85)若しくは断片、その融合ポリペプチド、又は低分子TNF拮抗薬、例えば、TNF結合タンパク質I又はII(TBP-1又はTBP-II)、ネレリモンマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト(eternacept)(Enbrel(商標))、アダリムマブ(Humira(商標))、CDP-571、CDP-870、アフェリモマブ、レネルセプトなど)、抗リウマチ薬(例えば、メトトレキサート、オーラノフィン、アウロチオグルコース、アザチオプリン、金チオリンゴ酸ナトリウム、硫酸ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、スルファサラジン)、筋弛緩薬、麻薬、非ステロイド性抗炎症薬(non-steroid anti-inflammatory drug、NSAID)、鎮痛薬、麻酔薬、鎮静薬、局所麻酔薬、神経筋遮断薬、抗菌薬(例えば、アミノグリコシド、抗真菌薬、抗寄生虫薬、抗ウイルス薬、カルバペナム、セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライド、ペニシリン、スルホンアミド、テトラサイクリン、その他抗菌薬)、乾癬治療薬、コルチコステロイド、アナボリックステロイド、糖尿病関連薬、ミネラル、栄養薬、甲状腺剤、ビタミン、カルシウム関連ホルモン、止瀉薬、鎮咳薬、制吐剤、抗腫瘍薬、緩下剤、抗凝固薬、エリスロポエチン(例えば、エポエチンアルファ)、フィルグラスチム(例えば、G-CSF、Neupogen)、サルグラモスチム(GM-CSF、Leukine)、免疫付与剤、免疫グロブリン、免疫抑制剤(例えば、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ)、成長ホルモン、ホルモン補充薬、エストロゲン受容体調節薬、散瞳剤、毛様体筋麻痺薬、アルキル化剤、代謝拮抗薬、分裂阻害剤、放射性医薬品、抗うつ薬、抗躁薬、抗精神病薬、抗不安薬、睡眠薬、交感神経刺激薬、刺激薬、ドネペジル、タクリン、ぜんそく治療薬、ベータ作用薬、吸入ステロイド、ロイコトリエン阻害剤、メチルキサンチン、クロモリン、エピネフリン若しくは類似体、ドルナーゼアルファ(Pulmozyme)、サイトカイン若しくはサイトカイン拮抗薬から選択される少なくとも1つを、前に、同時に、及び/又は後に投与することを更に含む。好適な投与量は、技術分野において周知である。例えば、Wells et al.,eds.,Pharmacotherapy Handbook,2nd Edition,Appleton and Lange,Stamford,CT(2000)、PDR Pharmacopoeia,Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000,Deluxe Edition,Tarascon Publishing,Loma Linda,CA(2000)、Nursing 2001 Handbook of Drugs,21st edition,Springhouse Corp.,Springhouse,PA,2001、Health Professional’s Drug Guide 2001,ed.,Shannon,Wilson,Stang,Prentice-Hall,Inc,Upper Saddle River,NJを参照されたい。これらの参照文献の各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0149】
治療処置
典型的には、乾癬の治療は、有効量又は有効用量の抗IL-23抗体組成物を投与することによって影響を受け、これは、組成物に含まれる活性剤の特異的活性に応じて、合計で、平均して、1用量当たり、患者1キログラム当たり少なくとも約0.01~500ミリグラムの範囲の抗IL-23抗体であり、好ましくは、単回又は複数回投与当たり、1用量当たり、患者1キログラム当たり少なくとも約0.1~100ミリグラムの抗体である。あるいは、有効な血清濃度は、単回又は複数回投与当たり0.1~5000μg/mlの血清濃度を含んでもよい。好適な投与量は、医療従事者には既知であり、当然のことながら、具体的な疾患状態、投与される組成物の比活性、及び処置を受けている具体的な患者に依存する。いくつかの場合では、望ましい治療量を達成するために、反復投与、すなわち特定の監視された用量又は計量された用量の反復個別投与を提供することが必要となる場合があり、この場合、個別投与は、所望の1日の投与量又は効果が得られるまで繰り返される。
【0150】
好ましい用量には、任意選択で、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、及び/若しくは100~500mg/kg/投与、又はその任意の範囲、値若しくは分画が含まれるか、あるいは単回若しくは複数回投与当たり0.1、0.5、0.9、1.0、1.1、1.2、1.5、1.9、2.0、2.5、2.9、3.0、3.5、3.9、4.0、4.5、4.9、5.0、5.5、5.9、6.0、6.5、6.9、7.0、7.5、7.9、8.0、8.5、8.9、9.0、9.5、9.9、10、10.5、10.9、11、11.5、11.9、20、12.5、12.9、13.0、13.5、13.9、14.0、14.5、4.9、5.0、5.5.、5.9、6.0、6.5、6.9、7.0、7.5、7.9、8.0、8.5、8.9、9.0、9.5、9.9、10、10.5、10.9、11、11.5、11.9、12、12.5、12.9、13.0、13.5、13.9、14、14.5、15、15.5、15.9、16、16.5、16.9、17、17.5、17.9、18、18.5、18.9、19、19.5、19.9、20、20.5、20.9、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、96、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、及び/若しくは5000μg/ml、又はその任意の範囲、値若しくは分画の血清濃度を達成するものが含まれ得る。
【0151】
あるいは、投与される用量は、特定の薬剤の薬力学的特徴並びにその投与方法及び経路、受容者の年齢、健康状態及び体重、症状の性質及び程度、同時治療の種類、処置頻度、並びに所望の作用などの周知の因子に応じて異なり得る。活性成分の投与量は、通常、体重1キログラム当たり約0.1~100ミリグラムであり得る。通常、0.1~50、好ましくは0.1~10ミリグラム/キログラム/投与、又は徐放性形態が、望ましい結果を得るために有効である。
【0152】
非限定的な例として、ヒト又は動物の処置は、単回、注入又は反復投与を使用して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39若しくは40日目のうちの少なくとも1日に、あるいは又は追加的に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51若しくは52週目のうちの少なくとも1週に、あるいは又は追加的に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19若しくは20年目のうちの少なくとも1年に、又はこれらの任意の組み合わせで、1日当たり0.1~100mg/kg、例えば、0.5、0.9、1.0、1.1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、45、50、60、70、80、90、又は100mg/kgの、本発明の少なくとも1つの抗体の1回又は周期的な投与量として提供され得る。
【0153】
体内投与に好適な剤形(組成物)は、概して、ユニット又は容器当たり約0.001ミリグラム~約500ミリグラムの活性成分を含む。これらの医薬組成物において、活性成分は、組成物の総重量に基づいて、通常、約0.5~99.999重量%の量で存在する。
【0154】
非経口投与に関して、抗体は、医薬的に許容される非経口溶剤と合わせて、又は別個に提供される、溶液、懸濁液、エマルション、粒子、粉末、若しくは凍結乾燥粉末として製剤化され得る。このような溶剤の実施例は、水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、及び1~10%ヒト血清アルブミンである。リポソーム及び不揮発性油などの非水性溶剤を使用することもできる。溶剤又は凍結乾燥粉末は、等張性及び化学安定性を維持する添加剤(例えば、等張性に関しては塩化ナトリウム、マンニトール、化学安定性に関しては緩衝剤及び保存剤)を含有することができる。製剤は、周知の又は好適な技術によって滅菌される。
【0155】
好適な医薬担体は、本分野での標準的参考書であるRemington’s Pharmaceutical Sciences,A.Osolの最新版に記載されている。
【0156】
代替的投与
医薬有効量の抗IL-23抗体を投与するために、本発明に従って、多くの既知の及び開発された方式を使用することができる。以下の記述では経肺投与が使用されているが、本発明に従って他の投与方式を使用して、好適な結果を得てもよい。本発明のIL-23特異的抗体は、担体中で、溶液、エマルション、コロイド若しくは懸濁液として、又は乾燥粉末として、吸入によるか、又は本明細書に記載される若しくは当該技術分野において既知である他の方法による投与に適した様々なデバイス及び方法のいずれかを使用して、送達することができる。
【0157】
非経口製剤及び投与
非経口投与用製剤は、一般的な賦形剤として滅菌水又は生理食塩水、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、植物性油、水素化ナフタレンなどを含有してもよい。注射用の水性又は油性懸濁液は、周知の方法に従って、適切な乳化剤又は加湿剤及び懸濁剤を使用することによって調製可能である。注射剤は、例えば水溶液、無菌注射液又は溶媒中懸濁液などの非毒性の非経口投与可能な希釈剤であることができる。使用可能な溶剤又は溶媒としては、水、リンゲル液、等張生理食塩水などが許容され、通常の溶媒又は懸濁溶媒としては、無菌の不揮発性油を使用することができる。これらの目的では、天然又は合成若しくは半合成の、脂肪油又は脂肪酸、天然又は合成若しくは半合成の、モノグリセリド又はジグリセリド又はトリグリセリドを含む、あらゆる種類の不揮発性油及び脂肪酸を使用することができる。非経口投与は技術分野において周知であり、従来の注射手段、米国特許第5,851,198号に記載されているようなガス加圧式無針注射デバイス、及び米国特許第5,839,446号に記載されているようなレーザ穿孔機デバイスが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、これらは参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0158】
代替的送達
本発明は更に、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹部内、嚢内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、子宮頸部内、胃内、肝内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎内、網膜内、脊髄内、滑液嚢内、胸腔内、子宮内、膀胱内、病巣内、ボーラス、膣内、直腸、口腔内、舌下、鼻腔内、又は経皮手段による抗IL-23抗体の投与に関する。IL-23抗体組成物は、特に液体溶液若しくは懸濁液の形態で、非経口(皮下、筋肉内、又は静脈内)又は任意の他の投与用に使用するために、特に、クリーム及び座薬などであるがこれらに限定されるものではない半固体形態で、膣若しくは直腸の投与における使用のために、錠剤若しくはカプセルなどであるがこれらに限定されるものではない形態で、口腔若しくは舌下投与用に、あるいは粉末、点鼻薬若しくはエアロゾル、又はある特定の薬剤などであるがこれらに限定されるものではない形態で、鼻腔内用に、あるいは、皮膚構造を改変するか又は経皮パッチ中の薬剤濃度を増加させるかのいずれかのために、ジメチルスルホキシドなどの化学的促進剤を用いて(参照により全体が本明細書に組み込まれるJunginger,et al.In「Drug Permeation Enhancement;」Hsieh,D.S.,Eds.,pp.59-90(Marcel Dekker,Inc.New York 1994)、又はタンパク質及びペプチドを含有する製剤の皮膚への適用(国際公開第98/53847号)、又は電気穿孔法などの一過性の輸送経路を作り出すための、若しくはイオントフォレシスなどの皮膚を通して荷電薬剤の移動度を増加させるための電界の適用、又は超音波導入などの超音波の適用(米国特許第4,309,989号及び同第4,767,402号)を可能にする酸化剤を用いて、限定されるものではないが、ゲル、軟膏、ローション、懸濁液若しくはパッチ送達系システムなどで、経皮用に、調製することができる(上記の刊行物及び特許は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0159】
本発明を全般的に記述してきたが、上記と同様のことは、実例として提供されるが制限することを意図していない以下の実施例を参照することにより、より容易に理解される。更に、本発明の詳細は、以下の非限定的実施例によって例示される。本明細書の全ての引用の開示は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0160】
実施形態
実施形態1は、乾癬性関節炎(PsA)の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、対象に安全かつ有効な量の抗IL-23抗体及び医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を皮下投与することを含み、医薬組成物が、4週毎に1回(q4w)又は8週毎に1回(q8w)投与される、方法である。
【0161】
実施形態1aは、抗IL-23抗体が、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含む、実施形態1の方法である。
【0162】
実施形態1bは、抗体が、配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域とを含む、実施形態1に記載の方法である。
【0163】
実施形態2は、実施形態1~1cのいずれか1つに記載の方法であり、抗体は、投与当たり25mg~200mgの総投与量、例えば、投与あたり25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、及び200mg、又はその間の任意の投与量で投与される。
【0164】
実施形態2aは、総投与量が投与当たり約50~約150mgである、実施形2に記載の方法である。
【0165】
実施形態2bは、総投与量が投与当たり約100mgである、実施形態2に記載の方法である。
【0166】
実施形態3は、対象が、PsAの標準治療に対して不十分な応答を有する、実施形態1~2bのいずれか1つに記載の方法である。
【0167】
実施形態3aは、標準治療が、非生物学的疾患修飾抗リウマチ薬(disease-modifying antirheumatic drug、DMARD)、経口コルチコステロイド、アプレミラスト、非ステロイド性抗炎症薬(nonsteroidal anti-inflammatory drug、NSAID)からなる群から選択される少なくとも1つである、実施形態3に記載の方法である。
【0168】
実施形態3bは、標準治療が、対象に25mg/週以下で投与されるメトトレキサート(MTX)、対象に3g/日以下で投与されるスルファサラジン(SSZ)、対象に400mg/日以下で投与されるヒドロキシクロロキン(HCQ)、又は対象に20mg/日以下で投与されるレフルノミド(LEF)からなる群から選択されるDMARDである、実施形態3に記載の方法である。
【0169】
実施形態3cは、標準治療が、10mg/日以下のプレドニゾンに相当する量で対象に投与される経口コルチコステロイドである、実施形態3に記載の方法である。
【0170】
実施形態3dは、標準治療が、規制当局によって承認された販売用量で対象に投与されるNSAID又は他の鎮痛剤である、実施形態3に記載の方法である。
【0171】
実施形態3eは、標準治療が、規制当局によって承認された販売用量で対象に投与されるアプレミラストである、実施形態3に記載の方法である。
【0172】
実施形態3fは、対象が生物学的治療ナイーブである、実施形態3~3eのいずれか1つに記載の方法である。
【0173】
実施形態3gは、対象が、PsAに対する少なくとも1つの生物学的治療を以前に受けている、実施形態3~3eのいずれか1つに記載の方法である。
【0174】
実施形態3hは、対象が、少なくとも1つの生物学的治療に対して不十分な応答を有する、実施形態3gに記載の方法である。
【0175】
実施形態3iは、生物学的治療が、グセルクマブ、ウステキヌマブ、セクキヌマブ(AIN457)、抗腫瘍壊死因子α(TNFα)剤(例えば、アダリムマブ、エタネルセプト、インフリキシマブ、ゴリムマブ皮下[SC]又は静脈内[IV]、セルトリズマブペゴル、又はそれらのそれぞれのバイオシミラー)、チルドラキズマブ(MK3222)、イクセキズマブ(LY2439821)、ブロダルマブ(AMG827)、リサンキズマブ(BI-655066)、又はPsA若しくは乾癬のための他の治験用生物学的治療からなる群から選択される、実施形態3g又は3hに記載の方法である。
【0176】
実施形態3jは、対象が、抗腫瘍壊死因子α(TNFα)治療に対する非応答者である、実施形態3iに記載の方法である。
【0177】
実施形態3kは、対象が、治療前に少なくとも3%の体表面積(BSA)の尋常性乾癬を有する、実施形態1~3jのいずれか1つに記載の方法である。
【0178】
実施形態3lは、対象が、治療前に、直径2cm以上の少なくとも1つの乾癬プラーク、又は乾癬と一致する爪の変化、又は尋常性乾癬の裏付けられた病歴を有する、実施形態1~3jのいずれか1つに記載の方法である。
【0179】
実施形態3mは、任意選択で、対象にPsAの標準治療を投与することを更に含む、実施形態1~3lのいずれか1つに記載の方法である。
【0180】
実施形態3nは、任意選択で、対象にPsAのための生物学的治療を投与することを更に含む、実施形態1~3lのいずれか1つに記載の方法である。
【0181】
実施形態4は、対象が、抗体による治療に対する応答者であり、疾患活動性の統計的に有意な改善を有すると識別され、疾患活動性が、米国リウマチ会コアセット疾患指数の20%改善(ACR20)、米国リウマチ会コアセット疾患指数の50%改善(ACR50)、米国リウマチ会コアセット疾患指数の70%改善(ACR70)、健康評価質問票障害指数(HAQ-DI)、治験責任医師によるグローバル評価(IGA)、疾患活動性スコア28(DAS28)C反応性タンパク質(CRP)、腱付着部炎の消散、指炎の消散、リーズ腱付着部炎指数(LEI)、指炎評価スコア、精神的及び身体的コンポーネントサマリー(MCS及びPCS)におけるショートフォーム健康調査(SF-36)、最小疾患活動性の達成(MDA)、及び非常に低い疾患活動性の達成(VLDA)からなる群から選択される1つ又は2つ以上の基準によって決定される、実施形態1~3nのいずれか1つに記載の方法である。
【0182】
実施形態4aは、改善が、初期治療の16、20、24、28、52、100、若しくは112週後、又はその間の任意の時間に測定される、実施形態4に記載の方法である。
【0183】
実施形態4bは、改善が、初期治療の16週後に測定される、実施形態4、4aのいずれか1つに記載の方法である。
【0184】
実施形態4cは、改善が、初期治療の24週後に測定される、実施形態4、4aのいずれか1つに記載の方法である。
【0185】
実施形態4dは、改善が、初期治療の52週後に測定される、実施形態4、4aのいずれか1つに記載の方法である。
【0186】
実施形態4eは、改善が、初期治療の100週後に測定される、実施形態4、4aのいずれか1つに記載の方法である。
【0187】
実施形態5は、対象が、抗体による治療に対する応答者であり、抗体を用いた治療の24週目までに、米国リウマチ学会コアセット疾患指数(ACR20)の20%の改善によって決定される疾患活動性の統計的に有意な改善を有すると識別される、実施形態4~4eのいずれか1つに記載の方法である。
【0188】
実施形態5aは、対象が、抗体による治療に対する応答者であり、抗体を用いた治療の16週目までに、米国リウマチ学会コアセット疾患指数(ACR20)の20%の改善によって決定される疾患活動性の統計的に有意な改善を有すると識別される、実施形態4~4eのいずれか1つに記載の方法である。
【0189】
実施形態5bは、対象が、抗体による治療に対する応答者であり、抗体による治療の24週目までに米国リウマチ学会コアセット疾患指数(ACR50)の50%の改善によって決定される疾患活動性の統計的に有意な改善を有すると識別される、実施形態4~4eのいずれか1つに記載の方法である。
【0190】
実施形態5cは、対象が、抗体による治療に対する応答者であり、抗体による治療の16週目までに米国リウマチ学会コアセット疾患指数(ACR50)の50%の改善によって決定される疾患活動性の統計的に有意な改善を有すると識別される、実施形態4~4eのいずれか1つに記載の方法である。
【0191】
実施形態5dは、対象が、抗体による治療に対する応答者であり、抗体による治療の24週目までに米国リウマチ学会コアセット疾患指数(ACR70)の70%の改善によって決定される疾患活動性の統計的に有意な改善を有すると識別される、実施形態4~4eのいずれか1つに記載の方法である。
【0192】
実施形態5eは、対象が、抗体を用いた治療に対する応答者であり、抗体を用いた治療の24週目までに健康評価質問票障害指数(HAQ-DI)によって決定される疾患活動性の統計的に有意な改善を有すると識別される、実施形態4~4eのいずれか1つに記載の方法である。
【0193】
対象が、抗体による治療に対する応答者であり、抗体による治療の24週目までに、疾患活動性スコア28(DAS28)C反応性タンパク質(CRP)によって決定される疾患活動性の統計的に有意な改善を有すると識別される、実施形態4~4eのいずれか1つに記載の方法における、実施形態5f。
【0194】
対象が、抗体による治療に対する応答者であり、抗体による治療の24週目までに、治験責任医師によるグローバル評価(IGA)が0(クリア)若しくは1(最小)及び/又はIGAのベースラインからの2以上のグレード低下を達成したと識別され、対象は、ベースラインで3%以上のBSAの乾癬性病変及び2以上のIGAスコアを有する、実施形態4~4eのいずれか1つに記載の方法における、実施形態5g。
【0195】
対象が、抗体による治療に対する応答者であり、抗体による治療の24週目までに腱付着部炎の消散によって決定される疾患活動性の統計的に有意な改善を有すると識別される、実施形態4~4eのいずれか1つに記載の方法における、実施形態5h。
【0196】
対象が、抗体による治療に対する応答者であり、抗体を用いた治療の24週目までに指炎の消散によって決定される疾患活動性の統計的に有意な改善を有すると識別される、実施形態4~4eのいずれか1つに記載の方法における、実施形態5i。
【0197】
対象が、抗体による治療に対する応答者であり、抗体による治療の24週目までにリーズ腱付着部炎指数(LEI)によって決定される疾患活動性の統計的に有意な改善を有すると識別される、実施形態4~4eのいずれか1つに記載の方法における、実施形態5j。
【0198】
実施形態5kは、対象が、抗体による治療に対する応答者であり、抗体による治療の24週目までに、0~3((0=なし、1=軽度、2=中程度、3=重度)の指炎評価スコアによって決定される疾患活動性の統計的に有意な改善を有すると識別される、実施形態4~4eのいずれか1つに記載の方法である。
【0199】
実施形態5lは、対象が、抗体を用いた治療に対する応答者であり、抗体を用いた治療の24週目までにショートフォーム36(SF-36)健康調査によって決定される疾患活動性の統計的に有意な改善を有すると識別される、実施形態4~4eのいずれか1つに記載の方法である。
【0200】
実施形態5mは、対象が、抗体による治療に対する応答者であり、抗体による治療の24週目までに、精神的及び身体的コンポーネントサマリー(MCS及びPCS)スコアによって決定される疾患活動性の統計的に有意な改善を有すると識別される、実施形態4~4eのいずれか1つに記載の方法である。
【0201】
実施形態5nは、対象が、
抗体による治療に対する応答者であり、抗体による治療の24週目までに最小疾患活動性(MDA)基準によって決定される疾患活動性の統計的に有意な改善を有すると識別される、実施形態4~4eのいずれか1つに記載の方法である。
【0202】
実施形態5oは、対象が、抗体による治療に対する応答者であり、非常に低い疾患活動性(VLDA)の達成によって決定される疾患活動性の統計的に有意な改善を有すると識別される、実施形態4~4eのいずれか1つに記載の方法である。
【0203】
実施形態6は、改善が、少なくとも12週間、24週間、36週間、48週間、60週間、72週間、84週間、100週間、若しくは112週間、又はその間の任意の時間維持される、実施形態4~5oのいずれか1つに記載の方法である。
【0204】
実施形態7は、抗IL-23抗体がグセルクマブである、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法である。
【0205】
実施形態8は、乾癬性関節炎の治療に使用される1つ又は2つ以上の追加の薬物を対象に投与することを更に含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法である。
【0206】
実施形態8aは、追加の薬物が、免疫抑制剤、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、メトトレキサート(MTX)、抗B細胞表面マーカー抗体、抗CD20抗体、リツキシマブ、TNF-阻害剤、コルチコステロイド、及び共刺激修飾剤からなる群から選択される、実施形態8に記載の方法である。
【0207】
実施形態9は、対象における乾癬性関節炎(PsA)を治療する方法であって、安全かつ有効な量の抗IL-23抗体及び医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を対象に皮下投与することを含み、医薬組成物が、初回投与、4週間後の投与、及びその後4週毎に1回(q4w)又は8週毎に1回(q8w)の投与間隔で投与され、対象が、治療前に少なくとも1つの直径2cm以上の乾癬プラーク、又は乾癬と一致する爪の変化、又は尋常性乾癬の裏付けられた病歴を有する、方法である。
【0208】
実施形態9aは、抗IL-23抗体が、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2、及び配列番号3のCDRH3を含み、軽鎖可変領域が、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2、及び配列番号6のCDRL3を含む、実施形態9に記載の方法である。
【0209】
実施形態9bは、抗体が、配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域とを含む、実施形態9に記載の方法である。
【0210】
実施形態9cは、抗IL-23抗体が、配列番号9の重鎖アミノ酸配列と、配列番号10の軽鎖アミノ酸配列と、を含む、実施形態9に記載の方法である。
【0211】
実施形態10は、抗体が、投与当たり25mg~200mgの総投与量、例えば、投与当たり25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、及び200mg、又はその間の任意の投与量で投与される、実施形態9~9cのいずれか1つに記載の方法である。
【0212】
実施形態10aは、実施形10に記載の方法であり、総投与量は投与当たり約50~約150mgである。
【0213】
実施形態10bは、実施形態10に記載の方法であり、総投与量は投与当たり約100mgである。
【0214】
実施形態11は、実施形態9~10bのいずれか1つに記載の方法であり、対象は、PsAに対する標準治療に対して不十分な応答を有する。
【0215】
実施形態11aは、実施形態11に記載の方法であり、標準治療は、非生物学的疾患修飾抗リウマチ薬(DMARD)、経口コルチコステロイド、アプレミラスト、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0216】
実施形態11bは、標準治療が、対象に25mg/週以下で投与されるメトトレキサート(MTX)、対象に3g/日以下で投与されるスルファサラジン(SSZ)、対象に400mg/日以下で投与されるヒドロキシクロロキン(HCQ)、又は対象に20mg/日以下で投与されるレフルノミド(LEF)からなる群から選択されるDMARDである、実施形態11に記載の方法である。
【0217】
実施形態11cは、標準治療が、10mg/日以下のプレドニゾンに相当する量で対象に投与される経口コルチコステロイドである、実施形態11に記載の方法である。
【0218】
実施形態11dは、標準治療が、規制当局によって承認された販売用量で対象に投与されるNSAID又は他の鎮痛剤である、実施形態11に記載の方法である。
【0219】
実施形態11eは、標準治療が、規制当局によって承認された販売用量で対象に投与されるアプレミラストである、実施形態11に記載の方法である。
【0220】
実施形態11fは、対象が生物学的治療ナイーブである、実施形態11~11eのいずれか1つに記載の方法である。
【0221】
実施形態11gは、対象が、PsAに対する少なくとも1つの生物学的治療を以前に受けている、実施形態11~11eのいずれか1つに記載の方法である。
【0222】
実施形態11hは、対象が、少なくとも1つの生物学的治療に対して不十分な応答を有する、実施形態11gに記載の方法である。
【0223】
実施形態11iは、生物学的治療が、グセルクマブ、ウステキヌマブ、セクキヌマブ(AIN457)、抗腫瘍壊死因子α(TNFα)剤(例えば、アダリムマブ、エタネルセプト、インフリキシマブ、ゴリムマブ皮下[SC]又は静脈内[IV]、セルトリズマブペゴル、又はそれらのそれぞれのバイオシミラー)、チルドラキズマブ(MK3222)、イクセキズマブ(LY2439821)、ブロダルマブ(AMG827)、リサンキズマブ(BI-655066)、又はPsA若しくは乾癬のための他の治験用生物学的治療である、実施形態11g又は11hに記載の方法である。
【0224】
実施形態11jは、対象が、抗腫瘍壊死因子α(TNFα)治療に対して非応答者である、実施形態11iに記載の方法である。
【0225】
実施形態11kは、対象が、治療前に少なくとも3%の体表面積(BSA)の尋常性乾癬を有する、実施形態9~11jのいずれか1つに記載の方法である。
【0226】
実施形態11lは、対象が、治療前に、直径2cm以上の少なくとも1つの乾癬プラーク、又は乾癬と一致する爪の変化、又は尋常性乾癬の裏付けられた病歴を有する、実施形態9~11jのいずれか1つに記載の方法である。
【0227】
実施形態11mは、任意選択で、対象にPsAの標準治療を投与することを更に含む、実施形態9~11lのいずれか1つに記載の方法である。
【0228】
実施形態11nは、任意選択で、対象にPsAのための生物学的治療を投与することを更に含む、実施形態9~11lのいずれか1つに記載の方法である。
【0229】
実施形態12は、対象が、抗体による治療に対する応答者であり、疾患活動性の統計的に有意な改善を有すると識別され、疾患活動性が、米国リウマチ会コアセット疾患指数の20%改善(ACR20)、米国リウマチ会コアセット疾患指数の50%改善(ACR50)、米国リウマチ会コアセット疾患指数の70%改善(ACR70)、健康評価質問票障害指数(HAQ-DI)、治験責任医師によるグローバル評価(IGA)、疾患活動性スコア28(DAS28)C反応性タンパク質(CRP)、腱付着部炎の消散、指炎の消散、リーズ腱付着部炎指数(LEI)、指炎評価スコア、精神的及び身体的コンポーネントサマリー(MCS及びPCS)におけるショートフォーム健康調査(SF-36)、最小疾患活動性の達成(MDA)、及び非常に低い疾患活動性の達成(VLDA)からなる群から選択される1つ又は2つ以上の基準によって決定される、実施形態9~11nのいずれか1つに記載の方法である。
【0230】
実施形態12aは、改善が、初期治療の16、20、24、28、52、100、若しくは112週後、又はその間の任意の時間に測定される、実施形態12に記載の方法である。
【0231】
実施形態12bは、改善が、初期治療の16週後に測定される、実施形態12、12aのいずれか1つに記載の方法である。
【0232】
実施形態12cは、実施形態12、12aのいずれか1つに記載の方法であり、改善は初期治療の24週後に測定される。
【0233】
実施形態12dは、改善が、初期治療の52週後に測定される、実施形態12、12aのいずれか1つに記載の方法である。
【0234】
実施形態12eは、改善が、初期治療の100週後に測定される、実施形態12、12aのいずれか1つに記載の方法である。
【0235】
実施形態13は、対象が、抗体による治療に対する応答者であり、抗体を用いた治療の24週目までに、米国リウマチ学会コアセット疾患指数(ACR20)の20%の改善によって決定される疾患活動性の統計的に有意な改善を有すると識別される、実施形態12~12eのいずれか1つに記載の方法である。
【0236】
実施形態13aは、対象が、抗体による治療に対する応答者であり、抗体を用いた治療の16週目までに、米国リウマチ学会コアセット疾患指数(ACR20)の20%の改善によって決定される疾患活動性の統計的に有意な改善を有すると識別される、実施形態12~12eのいずれか1つに記載の方法である。
【0237】
実施形態13bは、対象が、抗体による治療に対する応答者であり、抗体による治療の24週目までに、米国リウマチ学会50%改善基準(ACR50)によって決定される疾患活動性の統計的に有意な改善を有すると識別される、実施形態12~12eのいずれか1つに記載の方法である。
【0238】
実施形態13cは、対象が、抗体による治療に対する応答者であり、抗体による治療の16週目までに、米国リウマチ学会50%改善基準(ACR50)によって決定される疾患活動性の統計的に有意な改善を有すると識別される、実施形態12~12eのいずれか1つに記載の方法である。
【0239】
実施形態13dは、対象が、抗体による治療に対する応答者であり、抗体による治療の24週目までに、米国リウマチ学会コアセット疾患指数(ACR70)の70%改善によって決定される疾患活動性の統計的に有意な改善を有すると識別される、実施形態12~12eのいずれか1つに記載の方法である。
【0240】
実施形態13eは、対象が、抗体を用いた治療に対する応答者であり、抗体を用いた治療の24週目までに健康評価質問票障害指数(HAQ-DI)によって決定される疾患活動性の統計的に有意な改善を有すると識別される、実施形態12~12eのいずれか1つに記載の方法である。
【0241】
対象が、抗体による治療に対する応答者であり、抗体による治療の24週目までに、疾患活動性スコア28(DAS28)C反応性タンパク質(CRP)によって決定される疾患活動性の統計的に有意な改善を有すると識別される、実施形態12~12eのいずれか1つに記載の方法における、実施形態13f。
【0242】
対象が、抗体による治療に対する応答者であり、抗体による治療の24週目までに、治験責任医師によるグローバル評価(IGA)が0(クリア)若しくは1(最小)及び/又はベースラインからの2以上のグレード低下を達成したと識別され、対象が、ベースラインで3%以上のBSAの乾癬性病変及び2以上のIGAスコアを有する、実施形態12~12eのいずれか1つに記載の方法における、実施形態13g。
【0243】
対象が、抗体による治療に対する応答者であり、抗体による治療の24週目までに腱付着部炎の消散によって決定される疾患活動性の統計的に有意な改善を有すると識別される、実施形態12~12eのいずれか1つに記載の方法における、実施形態13h。
【0244】
対象が、抗体による治療に対する応答者であり、抗体を用いた治療の24週目までに指炎の消散によって決定される疾患活動性の統計的に有意な改善を有すると識別される、実施形態12~12eのいずれか1つに記載の方法における、実施形態13i。
【0245】
対象が、抗体による治療に対する応答者であり、抗体による治療の24週目までにリーズ腱付着部炎指数(LEI)によって決定される疾患活動性の統計的に有意な改善を有すると識別される、実施形態12~12eのいずれか1つに記載の方法における、実施形態13j。
【0246】
実施形態13kは、対象が、抗体による治療に対する応答者であり、抗体による治療の24週目までに、0~3((0=なし、1=軽度、2=中程度、3=重度)の指炎評価スコアによって決定される疾患活動性の統計的に有意な改善を有すると識別される、実施形態12~12eのいずれか1つに記載の方法である。
【0247】
実施形態13lは、対象が、抗体を用いた治療に対する応答者であり、抗体を用いた治療の24週目までにショートフォーム36(SF-36)健康調査によって決定される疾患活動性の統計的に有意な改善を有すると識別される、実施形態12~12eのいずれか1つに記載の方法である。
【0248】
実施形態13mは、対象が、抗体による治療に対する応答者であり、抗体による治療の24週目までに、精神的及び身体的コンポーネントサマリー(MCS及びPCS)スコアによって決定される疾患活動性の統計的に有意な改善を有すると識別される、実施形態12~12eのいずれか1つに記載の方法である。
【0249】
実施形態13nは、対象が、
抗体による治療に対する応答者であり、抗体による治療の24週目までに最小疾患活動性(MDA)基準によって決定される疾患活動性の統計的に有意な改善を有すると識別される、実施形態12~12eのいずれか1つに記載の方法である。
【0250】
実施形態13oは、対象が、抗体による治療に対する応答者であり、非常に低い疾患活動性(VLDA)の達成によって決定される疾患活動性の統計的に有意な改善を有すると識別される、実施形態12~12eのいずれか1つに記載の方法である。
【0251】
実施形態14は、改善が、少なくとも12週間、24週間、36週間、48週間、60週間、72週間、84週間、100週間、112週間、又はその間の任意の時間維持される、実施形態12~13oのいずれか1つに記載の方法である。
【0252】
実施形態15は、抗IL-23抗体がグセルクマブである、実施形態9~14のいずれか1つに記載の方法である。
【0253】
実施形態16は、乾癬性関節炎の治療に使用される1つ又は2つ以上の追加の薬物を対象に投与することを更に含む、実施形態9~15のいずれか1つに記載の方法である。
【0254】
実施形態16aは、追加の薬物が、免疫抑制剤、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、メトトレキサート(MTX)、抗B細胞表面マーカー抗体、抗CD20抗体、リツキシマブ、TNF-阻害剤、コルチコステロイド、及び共刺激修飾剤からなる群から選択される、実施形態16に記載の方法である。
【0255】
実施形態17は、治療が、少なくとも24週、52週、又は112週の治療期間中、安全であることが臨床的に証明され、有効であることが臨床的に証明されている、実施形態1~16aのいずれか1つに記載の方法である。
【0256】
実施形態18は、治療により、少なくとも24週、52週、又は112週の治療期間中に乾癬性関節炎のX線写真上の進行が阻害又は低減される、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法である。
【0257】
実施形態19は、抗IL-23抗体の医薬組成物であって、
a.(i)重鎖可変領域及び軽鎖可変領域であって、重鎖可変領域が、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含む、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、(ii)配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域、又は(iii)配列番号9のアミノ酸配列の重鎖及び配列番号10のアミノ酸配列の軽鎖、を含む抗体、を含み、
b.抗体が、中等度から重度の活動性乾癬性関節炎を有する成人男性及び女性を治療するのに有用であり、少なくとも112週の治療期間中に、安全であることが臨床的に証明され、有効であることが臨床的に証明される、医薬組成物である。
【0258】
実施形態20は、グセルクマブを含む薬物製品を販売する方法であって、グセルクマブを製造することと、グセルクマブを含む療法が、約100週の治療期間の後で、乾癬性関節炎を有する対象の治療に安全かつ有効であることを宣伝することであって、工程a)及びb)を実施することで、医療専門家(HCP)に薬物製品を購入させる、宣伝することと、それにより、薬物製品を販売することと、を含む、方法である。
【実施例
【0259】
略語及び頭字語
ACR 米国リウマチ学会基準
AMDF 満足度関数の算術平均
AE 有害事象
ALT アラニンアミノトランスフェラーゼ
ANOVA 分散分析
ARC 予測事象審査委員会
AST アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
BASDAI Bath強直性脊椎炎疾患活動性指数
BCG カルメットゲラン桿菌
BQL アッセイの定量可能な最低試料濃度未満
BSA 身体表面積
CASPAR 乾癬性関節炎の分類基準
CRF 症例報告書(本試験に適した紙又は電子形態)
CRP C反応性タンパク質
DAS28 疾患活動性スコア28
DBL データベースロック
DLQI 皮膚疾患のライフクオリティ指数
DMARD 疾患修飾性抗リウマチ薬
DMC データ監視委員会
DNA デオキシリボ核酸
ECG 心電図
eC-SSRS 電子的コロンビア-自殺重症度評価尺度
eDC 電子データキャプチャ
EDTA エチレンジアミン四酢酸
EQ-5D EuroQol 5次元質問票
FACIT 慢性疾患治療の機能評価
FAS 完全分析セット
FSH 卵胞刺激ホルモン
GCP 良好な臨床実践
GRACE GRAPPA複合スコア
GRAppa 乾癬及び乾癬性関節炎の研究及び評価のための群
HAQ 健康評価質問票
HAQ-DI 健康評価質問票の障害指数
HBV B型肝炎ウイルス
HCP 健康管理専門家
HCQ ヒドロキシクロロキン
HCV C型肝炎ウイルス
HIV ヒト免疫不全ウイルス
ICF インフォームドコンセントフォーム
ICH 医薬品規制調和国際会議
IEC 独立倫理委員会
IGA 治験責任医師によるグローバル評価
IJA 独立関節評価者
IL インターロイキン
IRB 治験審査委員会
IV 静脈内
IWRS 相互作用ウェブ応答システム
JAK ヤヌスキナーゼ
JSN 関節裂隙狭小化
LEF レフルノミド
LEI リーズ腱付着部炎指数
mAb モノクローナル抗体
MCP 中手指節関節
mCPDAI 修正複合乾癬疾患活動性指数
MCS 精神的コンポーネントサマリー
MDA 最小疾患活動性
MI 多重代入法
MRI 磁気共鳴撮像
MTX メトトレキサート
NAb 中和抗体
NSAID 非ステロイド性抗炎症薬
PASDAS 乾癬性関節炎疾患活動性スコア
PASI 乾癬の面積及び重症度指数
PCS 身体的コンポーネントサマリー
PD 薬力学
PFS プレフィルドシリンジ
PFS-U UltraSafe PLUS(商標)Passive Needle Guard付きプレフィルドシリンジ
PGA 医師によるグローバル評価
PIP 近位指節間関節
PK 薬物動態
PQC 製品品質に対する苦情
PRO 患者報告アウトカム(本試験には適宜紙又は電子形式)
PROMIS-29 患者報告アウトカム測定情報システム-29
PsA 乾癬性関節炎
PsARC 乾癬性関節炎の応答基準
q4w 4週毎
q8w 8週毎
RA 関節リウマチ
RNA リボ核酸
SAE 重篤な有害事象
SAP 統計分析計画
SC 皮下
SD 標準偏差
SDC 最小検出可能変化
SF-36 36項目ショートフォーム健康調査
SSZ スルファサラジン
SUSAR 予期せぬ重篤な有害反応の疑い
TB 結核
Th17 Tヘルパー17
TNFα 腫瘍壊死因子α
UV 紫外線
VAS ビジュアルアナログスケール
vdH-S ファンデルハイデ-シャープ(スコア)
WPAI 作業の生産性と活動の障害に関する質問票
【0260】
実施例1:活動性の乾癬性関節炎を有する対象における皮下投与されたグセルクマブの有効性及び安全性を評価する第3相多施設ランダム化二重盲検プラセボ対照試験(CNTO1959PSA3002)
CNTO1959PSA3002は、生物学的ナイーブであり、標準治療(例えば、非生物学的DMARD、アプレミラスト、NSAID)に対して不十分な応答を有した活動性PsA患者における、グセルクマブの第3相ランダム化二重盲検プラセボ対照多施設3アーム試験であった。本試験は、最長6週間のスクリーニング期間、0週目~24週目のプラセボ対照期間及び24週目~100週目の実薬処置期間を含む約2年間(すなわち100週間)の盲検治療期間、並びに試験薬の最終投与後12週間の安全性追跡期間で構成される。試験は、約684人の対象を登録することとした。NSAID、経口コルチコステロイド、及び選択された非生物学的DMARD(MTX、SSZ、ヒドロキシクロロキン(HCQ)、LEFに限定)の安定した用量の併用は許可されたが、必須ではなかった。
【0261】
この第3相試験の目的は、症状の軽減、身体機能の改善、構造的損傷の進行抑制におけるグセルクマブの臨床有効性を特定すること、並びにPsA治療におけるグセルクマブの安全性プロファイルを評価することであった。
【0262】
方法
試験設計
図1に試験設計の図表示を示す。0週目に、全ての組み入れ基準及び除外基準を満たした約684人の対象を、ベースライン時の非生物学的DMARDの使用状況(あり、なし)、及びランダム化前の直近の入手可能なCRP値(2.0mg/dL未満 対2.0mg/dL以上)で層別化した順列ブロックランダム化法により、1:1:1の比で以下の3つの治療群の1つにランダムに割り付けた。
●群I(n=228):グセルクバブ100mg SCを4週毎に(q4w)、0週目から100週目まで投与。
●群II(n=228):0週目及び4週目にグセルクマブ100mgSCを投与した後、q8w(12週目、20週目、28週目、36週目、44週目、52週目、60週目、68週目、76週目、84週目、92週目、100週目)で投与し、他の来院時(8週目、16週目、24週目、32週目、40週目、48週目、56週目、64週目、72週目、80週目、88週目、96週目)にプラセボ注射を行い、盲検化を維持した。
●群III(n=228):0週目~20週目にプラセボSC q4wを投与し、24週目でクロスオーバーして、24週目~100週目にグセルクマブ100mg SC q4wを投与する。
【0263】
16週目に、圧痛及び腫脹関節数がベースラインから5%未満の改善を示した群I、II、及びIIIにおける全ての対象を、早期離脱(EE)基準を満たしているとみなした。これらの対象は、0週目にランダム化された投与計画を継続したが、許容される併用薬の1つの投与量を、24週目の来院によって完了される薬剤の安定投与量への漸増により、プロトコルに規定される最大許容投与量まで開始又は増加させた。
【0264】
有効性評価には、関節評価(膨脹関節数及び圧痛関節数)、患者による疼痛評価、患者による疾病活動性のグローバル評価(関節炎及び乾癬)、患者による疾病活動性のグローバル評価(関節炎)、疾患活動性の医師によるグローバル評価、健康評価質問票-障害指数(HAQ-DI)、CRP、患者による皮膚疾患活動性の評価、乾癬の体表面積(BSA)、乾癬の面積及び重症度指数(PASI)、治験責任医師による感染症のグローバル評価(IGA)、皮膚疾患のライフクオリティ指数(DLQI)、指炎評価、腱付着部炎評価、バス強直性脊椎炎疾患活動性指数(BASDAI;末梢関節炎を伴う脊椎炎の主要なPsAサブタイプを有する対象の場合)、撮像評価(van der Heijde Sharp[vdH-S]スコア)、米国リウマチ学会(ACR)応答、最小限の疾患活動性(MDA)及び非常に低い疾患活動性(VLDA)、乾癬性関節炎の疾患活動性スコア(Psoriatic Arthritis Disease Activity Score、PASDAS)、乾癬及び乾癬性関節炎(Psoriasis and Psoriatic Arthritis、GRAPPA)複合スコア(Group Research and Assessment of Psoriasis and Psoriatic Arthritis Composite Score、GRACE)指数のグループ研究及び評価、CRPを使用した疾患活動性指数スコア28(DAS28)、修正複合乾癬疾患活動性指数(mCPDAI)、乾癬性関節炎の疾患活動性指数(Disease Activity Index for Psoriatic Arthritis、DAPSA)、修正乾癬性関節炎応答者基準(Psoriatic Arthritis Responder Criteria、PsARC)、36項目ショートフォーム健康調査(SF-36)、EuroQol五次元質問票(EQ 5D質問票)、並びに慢性疾患治療の機能評価(Functional Assessment of Chronic Illness Therapy、FACIT)-倦怠感が含まれた。
【0265】
試験母集団
標的集団は、生物学的ナイーブであった活動性PsAを有する、標準治療(例えば、非生物学的DMARD、アプレミラスト、及び/又はNSAID)に対する不十分な応答を有した成人男性又は女性で構成された。更に、0.6mg/dL以上のCRPを有する生物学的ナイーブ集団は、X線写真上の進行のために集団を豊富にし、X線エンドポイントでの治療効果の検出力を高めることを必須とした。
【0266】
組み入れ基準
この試験に適格であるには、対象は、インフォームドコンセントの時点で18歳以上であり、試験薬の初回投与前少なくとも6か月間にPsAと診断され、スクリーニング時に乾癬性関節炎のClA分類基準(CASPAR)48を満たしている必要があった。対象は、スクリーニング時及びベースライン時の両方において、5以上の圧痛及び5以上の膨脹関節によって定義される活動性PsA、並びにスクリーニング時に0.6mg/dL以上のCRPを有する必要があった。対象は、非生物学的DMARD(3か月以上)、アプレミラスト(4か月以上)、及び/又はNSAID(4週間以上)を含む標準的なPsA治療に対する不十分な応答又は不耐性の裏付けられた証拠を有する必要があった。
【0267】
対象は、以下のPsAのサブセットのうち、少なくとも1つを有する必要があった:遠位指節間(DIP)関節病変、リウマチ性結節のない多関節性関節炎、破壊性関節炎、非対称性末梢関節炎、又は末梢関節炎を伴う脊椎炎。更に、対象は、少なくとも1つの直径2cm以上の乾癬プラーク、又は乾癬に一致する爪の変化、又は裏付けられた尋常性乾癬の病歴を有する、活動性尋常性乾癬に罹患している必要があった。
【0268】
対象は、試験中に、安定投与量の非生物学的DMARD(MTX[25mg/週以下]、SSZ[3g/日以下]、HCQ[400mg/日以下]、又はLEF[20mg/日以下]に限定される)、低用量経口コルチコステロイド(1日当たり10mg以下のプレドニゾン又は均等物)、又はNSAID及び他の鎮痛剤治療を継続することが許可された。対象がベースライン時にこれらの薬剤を使用していなかった場合、試験薬の初回投与の4週以上前(MTX、SSZ、又はHCQの場合)、12週以上前(LEFの場合)、又は2週以上前(NSAID及びその他の鎮痛剤、経口コルチコステロイドの場合)に、これらの薬剤を中止する必要があった。更に、対象は、試験室試験結果及びTB履歴及び試験結果をスクリーニングするための基準を満たし、適切な出生制御手段を使用することに同意し、長期間の日光曝露を回避し、試験中の日焼けブース又は他の紫外線源の使用を回避する必要があった。
【0269】
用量及び投与
全ての試験薬剤(グセルクマブ及びプラセボ)をSC注射により投与した。PsAを有する対象におけるグセルクマブの臨床有効性、安全性、PKデータ、及び第2相試験(CNTO1959PSA2001)のデータを用いた曝露応答モデル分析に基づき、グセルクマブの第3相PsAプログラムで評価するために2つの用量レジメンを選択し、適格な対象をランダムに割り付け、0週目に以下の3つの治療の1つを投与した:
●グセルクマブ100mg q4w:0週目~100週目のグセルクマブ100mg SCq4w。
●0週目及び4週目にグセルクマブ100mg、次いでq8w(以下、グセルクマブ100mg q8w群と呼ぶ):グセルクマブ100mg SC(0週目及び4週目)、次いでq8w(12、20、28、36、44、52、60、68、76、84、92週目及び100週目)、及び他の来院(8、16、24、32、40、48、56、64、72、80、88週目及び96週目)でのプラセボ注射により、盲検化を維持。
●プラセボ:0週目~20週目のプラセボSC q4w、及び24週目でクロスオーバーして24週目~100週目にグセルクマブ100mg SC q4w。
【0270】
0週目及び4週目に、次いで8週毎にグセルクマブ100mgの用量レジメンの根拠
●この用量レジメンを、PsAの第2相試験(CNTO1959PSA2001)及び乾癬の3つのグローバル第3相試験において評価した。CNTO1959PSA2001試験では、活動性のPsAを有し、体表面積の3%以上が乾癬である患者において、関節の兆候及び症状、身体機能、乾癬、腱付着部炎、指炎、及び生活の質など、PsAの全ての重要な領域において、この用量レジメンで、強固な有効性及び臨床的に意味のある改善が観察された。更に、第3相乾癬試験では、中等度から重度の乾癬を有する患者の尋常性乾癬に対しても、この用量レジメンで有意な利益が観察された。
●更なる用量を4週目に含めて、トラフグセルクマブレベルが定常状態レベルで得られたものよりも低下しないことを確実にした。4週目の追加投与により、最初の12週間のCmax及びCtroughが定常状態での値(それぞれ、約21%及び約18%)よりもわずかに高くなり、その結果、応答がより早く発現する可能性がある。しかしながら、この用量レジメンは、維持中のq8w投与、すなわち、24週目以降からのq8w投与によって達成されるよりも、24週において実質的に高いレベルの有効性をもたらすとは予想されない。
●この用量レジメンの安全性は、大規模な乾癬開発プログラムで確立されている。更に、PsA及びRAを有する患者における第2相試験における安全性プロファイルは、乾癬プログラムにおいて見られるものと一致する。
【0271】
4週毎のグセルクマブ100mgの用量レジメンの根拠
●100mg q4wの用量レジメンを含めて、より高頻度の投与が、構造的損傷の阻害を含む、PsAにおけるより高い有効性を達成し得るかどうかを判定した。
●CNTO1959PSA2001からのデータに基づくモデル分析は、より高い又はより高頻度の用量レジメンが、PsAにおいてより良好な有効性を達成し得ることを示唆した。
●100mgのq4w用量レジメンによる治療は、第3相乾癬プログラムにおける曝露安全性分析に基づいて許容可能な安全性をもたらすことが予想された。
●グセルクマブは、第2相関節リウマチ試験(200mg q8w)で試験された、より高い用量レジメンを含む、複数の患者集団において許容可能な安全プロファイルを有することが示されている。
【0272】
全体として、本試験のために選択されたグセルクマブ(100mg q4w及び100mg q8w)の2回用量レジメンは、PsAにおけるグセルクマブの最適な利益/リスクプロファイルの適切な評価を提供することが予想された(用量の根拠についての更なる詳細は、プロトコルの1.2.3.節を参照)。
【0273】
試験薬剤は、0週目及び4週目に、健康管理専門家(HCP)によって、施設で投与された。8週目に開始して、治験責任医師及び対象の裁量において、及び適切かつ裏付けられたトレーニングの後、対象は、HCPの監督下の治験施設での自己投与試験薬剤の選択肢を有し、又はHCPによって行われる試験薬剤注射を継続した。
【0274】
施設における24週目までの試験薬剤投与は、予定された試験薬剤投与日から±4日に行うこととした。試験薬剤投与は、少なくとも14日間離すこととした。
【0275】
有効性評価
主要エンドポイント
腫瘍エンドポイントは、24週目にACR20応答を達成する対象の割合である。
【0276】
主な副次的エンドポイント
1.24週目のHAQ-DIスコアのベースラインからの変化。
2.24週目にACR50応答を達成する患者の割合。
3.ベースラインで3%以上のBSAの乾癬性病変及び2(軽度)以上のIGAスコアを有する対象のうち、24週目のIGA(すなわち、ベースラインから0[クリア]又は1[最小]及び2以上のグレード低下)の乾癬応答を有する対象の割合。
4.16週目にACR20応答を達成する患者の割合。
5.24週目の修正vdH-Sスコアのベースラインからの変化。
6.ベースラインにおける腱付着部炎を有する対象の中の24週目に腱付着部炎の消散を有する対象の割合。
7.ベースラインにおいて指炎を有する対象の中の24週目に指炎の消散を有する対象の割合。
8.ベースラインにおいて腱付着部炎を有する対象における、24週目の(LEIに基づく)腱付着部炎スコアのベースラインからの変化。
9.ベースラインにおいて指炎を有する対象における、24週目の指炎スコアのベースラインからの変化。
10.24週目のSF-36 PCSのベースラインからの変化。
11.24週目のDAS28 MCSのベースラインからの変化。
12.24週目のSF-36 MCSのベースラインからの変化。
13.16週目にACR50応答を達成する患者の割合。
14.24週目にACR70応答を達成する患者の割合。
【0277】
他の副次的エンドポイント
徴候及び症状の低減並びに身体機能に関連したエンドポイント
1.24週目までの経時的な来院による、ACR20、ACR50、及びACR70応答を達成した対象の割合。
2.24週目までの経時的な来院によるACRコンポーネント中のベースラインからの変化率。
3.24週目までの経時的な来院によるHAQ-DIスコアのベースラインからの変化。
4.ベースラインでHAQ-DIスコアが0.35以上である対象のうち、24週目までの経時的な来院によってHAQ-DIスコアの臨床的に意味のある改善(ベースラインから0.35以上の改善)を達成した対象の割合。
5.24週目までの経時的な来院による、DAS28(CRP)応答を達成した対象の割合。
6.24週目までの経時的な来院による、DAS28(CRP)寛解を達成した対象の割合。
7.24週目までの経時的な来院によるDAS28(CRP)のベースラインからの変化。
8.24週目までの経時的な来院による、修正PsARCに基づいて応答を達成した対象の割合。
9.ベースラインで腱付着部炎を有する対象のうち、24週目までの来院による、腱付着部炎の消散を有する対象の割合。
10.ベースラインで指炎を有する対象のうち、24週目までの経時的な来院による、指炎の消散を有する対象の割合。
11.ベースライン時に腱付着部炎を有する対象における、24週目までの経時的な来院による腱付着部炎スコア(LEIに基づく)のベースラインからの変化。
12.ベースライン時に指炎を有する対象における、24週目までの経時的な来院による指炎スコアのベースラインからの変化。
13.24週目までの経時的な来院によるPASDASのベースラインからの変化。
14.24週目までの経時的な来院によるGRACE指数のベースラインからの変化。
15.24週目までの経時的な来院によるWPAIスコアのベースラインからの変化。
16.24週目までの経時的な来院によるmCPDAIスコアのベースラインからの変化。
17.24週目までの経時的な来院によるDAPSAスコアのベースラインからの変化。
18.24週目までの経時的な来院による、MDAを達成した対象の割合。
19.PsAの主要な関節炎の症状として脊椎炎及び末梢関節病変を有する対象のうち、24週目までの経時的な来院による、BASDAIスコアでベースラインから20%以上、50%以上、70%以上、及び90%以上の改善を達成した対象の割合。
【0278】
皮膚疾患に関連したエンドポイント
1.ベースライン時に3%以上のBSAの乾癬性病変及び2(軽度)以上のIGAスコアを有する対象のうち、24週目までの経時的な来院による、PASIスコアがベースラインから75%以上、90%以上、及び100%改善を達成した対象の割合。
2.ベースライン時に3%以上のBSAの乾癬性病変及び2(軽度)以上のIGAスコアを有する対象のうち、24週目までの経時的な来院による、0(クリア)のIGAスコアを有する対象の割合。
3.ベースライン時に3%以上のBSAの乾癬性病変及び2(軽度)以上のIGAスコアを有する対象における、24週目までの経時的な来院によるPASIスコアのベースラインからの変化。
4.ベースライン時に1超のベースラインDLQIスコアを有し、3%以上のBSAの乾癬性病変及び2(軽度)以上のIGAスコアを有する対象のうち、24週目までの経時的な来院による、0又は1のDLQIスコアを達成した対象の割合。
5.ベースライン時に5以上のベースラインDLQIスコアを有し、3%以上のBSAの乾癬性病変及び2(軽度)以上のIGAスコアを有する対象のうち、24週目までの経時的な来院による、5ポイント以上のDLQIスコアの改善を達成した対象の割合。
6.ベースライン時に3%以上のBSAの乾癬性病変及び2(軽度)以上のIGAスコアを有する対象における、24週目までの経時的な来院によるDLQIスコアのベースラインからの変化。
7.ベースライン時に3%以上のBSAの乾癬性病変及び2(軽度)以上のIGAスコアを有する対象のうち、24週目までの経時的な来院による、PASI75応答及びACR20応答の両方を達成した対象の割合。
8.ベースライン時に3%以上のBSAの乾癬性病変及び2(軽度)以上のIGAスコアを有する対象のうち、24週目までの経時的な来院による、PASI75応答及びPsARC応答の両方を達成した対象の割合。
【0279】
関節構造損傷に関連するエンドポイント
1.24週目の修正vdH-Sスコアのベースラインからの変化。
2.24週目の修正vdH-Sびらんスコアのベースラインからの変化。
3.24週目の修正vdH-S JSNスコアのベースラインからの変化。
4.24週目の領域及び損傷(すなわち、手びらん、手JSN、足びらん、足JSNサブスコア)のタイプによる修正vdH-Sスコアのベースラインからの変化。
5.24週目の修正vdH-Sスコアの、ベースラインから0以下の変化を有する対象の割合、及びベースラインから0.5以下の変化を有する対象の割合。
6.24週目の修正vdH-Sびらんスコアの、ベースラインから0以下の変化を有する対象の割合、及びベースラインから0.5以下の変化を有する対象の割合。
7.24週目の修正vdH-S JSNスコアの、ベースラインから0以下の変化を有する対象の割合、及びベースラインから0.5以下の変化を有する対象の割合。
8.24週目のベースラインからのX線写真上の進行(SDCに基づく)のある対象の割合。
9.24週目のベースラインからのX線写真上の関節のびらんの進行(SDCに基づく)のある対象の割合。
10.24週目のベースラインからのX線写真上のJSNのびらんの進行(SDCに基づく)のある対象の割合。
11.24週目にペンシルインカップ(pencil in cup)変形又は全体的骨溶解変形のある対象の割合。
【0280】
健康関連の生活の質に関連したエンドポイント
1.24週目までの経時的な来院によるSF-36のPCSスコアのベースラインからの変化。
2.24週目までの経時的な来院によるSF-36のMCSスコアのベースラインからの変化。
3.24週目までの経時的な来院によるSF-36のドメインスケールスコアのベースラインからの変化。
4.24週目までの経時的な来院による、SF-36 MCSスコアのベースラインからの5ポイント以上の改善を達成した対象の割合。
5.24週目までの経時的な来院による、SF-36 PCSスコアのベースラインからの5ポイント以上の改善を達成した対象の割合。
6.24週目までの経時的な来院によるFACIT倦怠感のベースラインからの変化。
7.24週目までの経時的な来院による、FACIT倦怠感スコアの改善においてベースラインから4ポイント以上の改善を達成した対象の割合。
8.24週目までの経時的な来院によるEQ-5D VAS及びEQ-5D指数スコアのベースラインからの変化。
【0281】
測定値のACRコアセットに対するPsAのベースライン疾患特性
アウトカム測定のACRコアセットからのPsAのベースライン臨床特性は、中程度~重度の活動性PsAを有する対象を示し、治療群にわたって同等であったことを示した。しかしながら、CRP中央値は、グセルクマブ100mg q8w群(1.310mg/dL)では、グセルクマブ100mg q4w群(1.160mg/dL)及びプラセボ群(1.155mg/dL;表1)と比較してわずかに高かった。
【0282】
【表1-1】
【0283】
【表1-2】
【0284】
結果
薬物動態、免疫原性、薬力学、及び薬理学的結果
少なくとも1回のグセルクマブ投与を受け、グセルクマブ投与後に採取された少なくとも1つの有効試料を有する全492人の対象を、PK評価に含めた。プラセボのみを受けた対象は、PK評価から除外された。
【0285】
図2には、グセルクマブ治療群及び24週目までの来院によるトラフ血清グセルクマブ濃度の中央値及びIQ値の範囲がグラフで示されている。グセルクマブのSC投与後、トラフ血清グセルクマブ濃度は、グセルクマブ100mg q8w群では20週目までに、グセルクマブ100mg q4w群では12週目までに、概ね定常状態に達した(図2)。グセルクマブ100mg q8w群では、20週目の定常状態トラフ血清グセルクマブ濃度の中央値は1.05μg/mLであった。グセルクマブ100mg q4w群では、12週目の血清グセルクマブの定常状態トラフ血清グセルクマブ濃度の中央値は3.35μg/mLであり、24週目まで維持された(3.98μg/mL)。グセルクマブ100mg q4w群の定常状態トラフ血清グセルクマブ濃度は、グセルクマブ100mg q8w群に比べて約3~4倍高かった(図2)。
【0286】
グセルクマブ100mg q8w群では、EE基準を満たした対象と満たさなかった対象との20週目の定常状態トラフグセルクマブ濃度の中央値は、それぞれ0.58及び1.06μg/mLであった。グセルクマブ100mg q4w群では、EE基準を満たした対象と満たさなかった対象との12週目の定常状態トラフグセルクマブ濃度の中央値は、2.86及び3.43μg/mLであった。EE基準を満たした対象では、中央値定常状態トラフグセルクマブ濃度が低くなっているようであった。しかし、EE基準を満たした対象の数は各治療群で少なかった(n≦13)ことに留意されたい。
【0287】
グセルクマブに対する抗体の発生率
グセルクマブに対する抗体評価には、グセルクマブの投与を少なくとも1回以上受け、グセルクマブに対する抗体を検出するための適切な試料を有する対象合計490人が含まれた。
【0288】
24週目までのグセルクマブに対する抗体の全体的な発生率は、PsAを有する対象において低かった(2.0%、10/490)(表2)。グセルクマブ100mg q8w群では、24週目までのグセルクマブに対する抗体の発生率は2.0%(5/247)であった。グセルクマブ100mg q4w群では、24週目までのグセルクマブに対する抗体の発生率は2.1%(5/243)であった。観察されたグセルクマブに対する抗体の最高力価は、グセルクマブ100mg q4w群において、1:640であった。
【0289】
ベースラインにおいてMTXを使用した場合と使用しない場合とのグセルクマブに対する抗体の発生率は、それぞれ1.4%(4/284)、2.9%(6/206)であった(添付資料TIR03)。ベースラインでDMARDを使用した場合としなかった場合とのグセルクマブに対する抗体の発生率は、それぞれ1.8%(6/337)及び2.6%(4/153)であった(添付資料TIR04)。全体として、MTX又はDMARDを併用している対象は、MTX又はDMARDを併用していない対象と比較して、24週目までのグセルクマブに対する抗体の発生率は低いようであった。しかし、グセルクマブに対する抗体が陽性となった対象の数は少なく、MTXやDMARDの併用にかかわらず、グセルクマブに対する抗体の発生率は低かったことに留意されたい。
【0290】
【表2】
【0291】
グセルクマブに対する抗体及び薬物動態
グセルクマブで治療を受けた対象の24週目までの血清グセルクマブ濃度を、治療群及びグセルクマブに対する抗体の状態によりまとめた(添付資料TPKIR01)。24週目までの血清グセルクマブ濃度の中央値及びIQ範囲を、24週目までのグセルクマブに対する抗体の状態により、図3にグラフで示した。グセルクマブに対する抗体が陽性であった対象の24週目までの個々の血清グセルクマブ濃度も記載した。
【0292】
血清グセルクマブ濃度の中央値は、グセルクマブ100mg q8w群において、グセルクマブに対する抗体が陽性の対象は、グセルクマブに対する抗体が陰性の対象に比べて低いようであった(図3)。しかし、グセルクマブに対する抗体が陽性であった対象の数は非常に少なく(n=10)、グセルクマブのPKに対する免疫原性の影響について明確に結論付けるには限界があることに留意されたい。
【0293】
有効性の結果
主要有効性エンドポイント分析
24週におけるACR20応答
グローバル(米国外)及び米国固有の多重度試験手順に基づくと、24週目にACR20応答が得られた対象の割合は、グセルクマブ100mg q4w及びグセルクマブ100mg q8wの両群(それぞれ63.7%及び64.1%)で、プラセボ群(32.9%)と比較して有意に高かった(両方ともグローバル及び米国固有調整後p<0.001)(表3)。
【0294】
【表3】
【0295】
主な副次的エンドポイント分析
24週目までのHAQ-DIスコアのベースラインからの変化
24週目には、HAQ-DIスコアのベースラインからの低下が、複合推定値に基づき、グセルクマブ100mg q4w群及びグセルクマブ100mg q8w群の両方で、プラセボ群と比較して有意に大きいことが観察された(両方ともグローバル及び米国固有調整後p<0.001;表4)。
【0296】
【表4】
【0297】
24週目における乾癬IGA応答
3%以上のBSAの乾癬性病変及び2以上のIGAスコアを有する対象543人(73.5%)のうち、グセルクマブ100mg q4w及びグセルクマブ100mg q8wの両群では、複合推定値に基づき、プラセボ群と比較して、24週目に乾癬IGAスコアが0(クリア)又は1(最小)となり、ベースラインから2グレード以上低下した対象の割合が有意に高かった(両方ともグローバル及び米国固有調整後p<0.001;表5)。
【0298】
【表5】
【0299】
24週目の修正vdH-Sスコアのベースラインからの変化
24週目には、治療方針推定値に基づき、プラセボ群と比較して、グセルクマブ100mg q4w群とグセルクマブ100mg q8w群のいずれにおいても、修正vdH-Sスコアのベースラインからの変化が数値的に小さい(進行が少ない)ことが確認された(表6)。
【0300】
【表6】
【0301】
24週目におけるSF-36 PCSのベースラインからの変化
24週目には、SF-36 PCSスコアのベースラインからの改善が、複合推定値に基づいて、グセルクマブ100mg q4wとグセルクマブ100mg q8wの両群で、プラセボ群に比べて数値的に大きいことが確認された(表7)。
【0302】
【表7】
【0303】
24週目におけるSF-36 MCSのベースラインからの変化
24週目には、SF-36 MCSスコアのベースラインからの改善が、複合推定値に基づいて、グセルクマブ100mg q4wとグセルクマブ100mg q8wの両群で、プラセボ群に比べて数値的に大きいことが確認された(表8)。
【0304】
【表8】
【0305】
24週目の腱付着部炎の消散
ベースライン時に腱付着部炎を有した対象506名(68.5%)のうち、24週目に腱付着部炎が消散した対象の割合は、プラセボ群(30.3%;(それぞれ、名目p=0.017及びp<0.001;表9)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群とグセルクマブ100mg q8w群(それぞれ43.5%及び53.8%)で数値的に大きかった。CNTO1959PSA3001のデータのみに基づくと、LEIに基づいてベースライン時に腱付着部炎を有していた222名(58.3%)のうち、24週目に腱付着部炎が消散した対象の割合は、プラセボ群(27.3%、それぞれ、名目p=0.013及びp=0.094;表9)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群(47.9%)及びグセルクマブ100mg q8w群(40.3%)で数値的に大きかった。両試験ともに、治療効果はプラセボ群に比べて両グセルクマブ群の方が数値的に大きく、このエンドポイントについては両用量でプール分析を行うことができた。
【0306】
【表9】
【0307】
24週目の指炎の消散
CNTO1959PSA3002のデータのみに基づくと、ベースライン時に指炎を有した対象331名(44.8%)のうち、24週目に指炎が消散した対象の割合は、プラセボ群(38.4%(それぞれ、名目p<0.001及びp=0.007;表10及び11)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群及びグセルクマブ100mg q8w群(それぞれ63.6%及び56.8%)で数値的に大きかった。CNTO1959PSA3001のデータのみに基づくと、ベースライン時に指炎を有した対象142名(37.3%)のうち、24週目に指炎が消散した対象の割合は、プラセボ群(49.1%;(それぞれ、名目p=0.212及びp=0.088;表10及び11)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群(63.2%)及びグセルクマブ100mg q8w群(65.3%)で数値的に大きかった。両試験ともに、治療効果はプラセボ群に比べて両グセルクマブ群の方が数値的に大きく、このエンドポイントについては両用量でプール分析を行うことができた。
【0308】
【表10】
【0309】
【表11】
【0310】
グローバル(米国外)の試験手順において多重性について制御し、米国固有の試験手順において条件を制御した主な副次的エンドポイント
24週目のDAS28(CRP)のベースラインからの変化
24週目のDAS28(CRP)スコアのベースラインからの低下は、複合推定値に基づいて、プラセボ群と比較して、グセルクマブ100mg q4w群及びグセルクマブ100mg q8w群の両方で有意に大きいことが観察された(いずれもグローバル調整後p<0.001;)(表12)。
【0311】
【表12】
【0312】
16週におけるACR20応答
16週目にACR20応答を達成した対象の割合は、複合推定値に基づき、プラセボ群と比較して、グセルクマブ100mg q4w及びグセルクマブ100mg q8wの両群で数値的に高かった(表13)。
【0313】
【表13】
【0314】
24週におけるACR50応答
24週目にACR50応答を達成した対象の割合は、複合推定値に基づき、プラセボ群と比較して、グセルクマブ100mg q4w及びグセルクマブ100mg q8wの両群で数値的に高かった(表14)。
【0315】
【表14】
【0316】
16週におけるACR50応答
16週目にACR50応答を達成した対象の割合は、複合推定値に基づき、プラセボ群と比較して、グセルクマブ100mg q4w及びグセルクマブ100mg q8wの両群で数値的に高かった(表15)。
【0317】
【表15】
【0318】
24週におけるACR70応答
24週目にACR70応答を達成した対象の割合は、複合推定値に基づき、プラセボ群と比較して、グセルクマブ100mg q4w及びグセルクマブ100mg q8wの両群で数値的に高かった(表16)。
【0319】
【表16】
【0320】
24週目における腱付着部炎スコアのベースラインからの変化
CNTO1959PSA3002データのみに基づいて、ベースラインで腱付着部炎を有する506名(68.5%)の対象のうち、プラセボ群と比較して、グセルクマブ100mg q4w及びグセルクマブ100mg q8w群の両方において、24週目でのLEIスコアのベースラインからの数値的により大きな低下が観察された(それぞれ、名目P=0.002及びp<0.001;表17)。CNTO1959PSA3001データのみに基づいて、ベースラインで腱付着部炎を有する222名(58.3%)の対象のうち、プラセボ群と比較して、グセルクマブ100mg q4w及びグセルクマブ100mg q8w群の両方において、24週目でのLEIスコアのベースラインからの数値的により大きな低下が観察された(それぞれ、名目P=0.004及びp=0.185;表17)。両試験ともに、治療効果はプラセボ群に比べて両グセルクマブ群の方が数値的に大きく、このエンドポイントについては両用量でプール分析を行うことができた。
【0321】
【表17】
【0322】
24週目における指炎スコアのベースラインからの変化
CNTO1959PSA3002のデータのみに基づくと、ベースラインで指炎を有した対象331名(44.8%)のうち、24週目の指炎スコアのベースラインからの低下は、グセルクマブ100mg q4w群及びグセルクマブ100mg q8w群の両方で、プラセボ群に比べて数値的に大きいことが確認された(両方とも名目p=0.002;表18)。CNTO1959PSA3001データのみに基づいて、ベースラインで指炎を有する142名(37.3%)の対象のうち、プラセボ群と比較して、グセルクマブ100mg q4w及びグセルクマブ100mg q8w群の両方において、24週目での指炎スコアのベースラインからの数値的により大きな低下が観察された(それぞれ、名目P=0.225及びp=0.121;表18)。両試験ともに、治療効果はプラセボ群に比べて両グセルクマブ群の方が数値的に大きく、このエンドポイントについては両用量でプール分析を行うことができた。
【0323】
【表18】
【0324】
関節の兆候及び症状の低減に関連した他の有効性エンドポイント
24週目までのACR20、ACR50、ACR70応答
24週目には、ACR20、ACR50、ACR70の応答を有する対象の割合が、複合推定値に基づいて、プラセボ群と比較してグセルクマブ治療の両方の群で数値的に増加した(いずれも名目p<0.001)(図4図5図6)。
【0325】
24週目までのACRコンポーネント測定
ACR応答の7つのコンポーネントとは、腫脹及び圧痛関節数、患者による疼痛評価(VAS)、患者と医師による疾患活動性のグローバル評価(VAS)、HAQ DI、並びにCRPである。24週目までの治療方針推定値に基づく評価可能な対象における来院ごとのACRコンポーネントの概要は、添付資料TEFACR12に提供されている。腫脹関節数を除いて、ACRの全ての項目で、プラセボ群に比べてグセルクマブ両群で数値的に大きな改善が4週目に早くも見られ、8週目にはプラセボ群に比べてグセルクマブ両群で数値的に大きな改善が見られた。ACRの各項目の改善は、プラセボ群と比較して、グセルクマブ両群で24週目まで継続して増加した。
【0326】
24週目において、プラセボ群と比較したグセルクマブ100mg q4w群及びグセルクマブ100mg q8w群のACRコンポーネントのベースラインからの変化率(中央値)は以下のとおりであった:
●膨脹関節数:それぞれ、-65.5%と比較して-81.5%及び-85.7%
●圧痛関節数:それぞれ、-33.3%比較して-66.7%及び-60.0%
●患者による疼痛評価:それぞれ、-11.59%と比較して-38.45%及び-37.21%
●患者による疾患活動性のグローバル評価:それぞれ、-13.33%と比較して-37.09%及び-34.04%
●医師による疾患活動性のグローバル評価:それぞれ、-34.57%比較して-63.86%及び-62.87%
●HAQ-DI:それぞれ、-8.3333%と比較して-33.3333%及び-27.2727%
●CRP:それぞれ、-17.494%比較して-48.218%及び-53.175%
【0327】
24週目までのPASI50、PASI75、PASI90、及びPASI100応答
24週目に、グセルクマブ100mg q4w及びグセルクマブ100mg q8w群でPASI 50、PASI 75、PASI 90、PASI 100の応答を有した対象の割合は、プラセボ群と比較して以下のとおりであった(いずれも名目p<0.001):
●PASI 50:それぞれ37.7%と比較して90.2%及び92.6%
●PASI 75:それぞれ23.0%と比較して78.3%及び79.0%
●PASI 90:それぞれ9.8%と比較して60.9%及び68.8%
●PASI 100:それぞれ2.7%と比較して44.6%及び45.5%
【0328】
24週目までのPASI 75及びACR20応答
ベースラインでBSAの≧3% の乾癬性皮膚病変及び2以上のIGAスコアを有した対象543名(73.5%)のうち、PASI 75応答とACR20応答との両方を達成した対象の割合は、16週目及び24週目において、両グセルクマブ群でプラセボ投与群に比べて数値的に大きかった(いずれも名目p<0.001;表19)。PASI応答及びACR応答と経時的に一致し、PASI75及びACR20の両方が16週目から24週目まで増加し、グセルクマブ100mg q4w群とグセルクマブ100mg q8w群との間で概ね類似していた。
【0329】
24週目には、複合推定値に基づき、PASI 75及びACR 20応答を達成した対象の割合は、プラセボ群に比べてグセルクマブの両群で数値的に高くなった(両方とも名目p<0.001)。
【0330】
【表19】
【0331】
24週目までのPASI75及び修正PsARC応答
ベースラインで3%以上のBSAの乾癬性皮膚病変及び2以上のIGAスコアを有した対象543名(73.5%)のうち、PASI 75応答と修正PsARC応答の両方を達成した対象の割合は、16週目及び24週目において、両グセルクマブ治療群でプラセボ投与群に比べて数値的に大きかった(いずれも名目p<0.001;添付資料TEFPASI08)。その割合は、16週目~24週目に増加し、グセルクマブ100mg q4w群とグセルクマブ100mg q8w群とで概ね同様であった。
【0332】
24週目に、PASI75及び修正PsARC応答を達成した対象の割合は、グセルクマブ100mg q4w及びグセルクマブ100mg q8w群でそれぞれ60.9%と65.3%であったのに対し、プラセボ群では15.3%であった(両方とも名目p<0.001)。
【0333】
24週目までの乾癬IGA応答
ベースラインで3%以上のBSAの乾癬性皮膚病変及び2以上のIGAスコアを有した対象543名(73.5%)のうち、16週目及び24週目に、グセルクマブ投与群では、プラセボ投与群と比較して、乾癬のIGA応答が0(クリア)又は1(最小)となり、ベースラインからグレードが2以上低下した対象の割合が増加した。
【0334】
16週目に、グセルクマブ100mg q4w群とグセルクマブ100mg q8w群との両方で、数値的に大きい割合の対象(それぞれ65.8%及び62.5%)が、プラセボ群と比較して乾癬IGA応答を達成した(15.3%;両方とも名目p<0.001)。その割合は、16週目~24週目に増加し、グセルクマブ100mg q4w群とグセルクマブ100mg q8w群とで概ね同様であった。
【0335】
24週目までの乾癬IGAスコア0(クリア)
ベースラインで3%以上のBSAの乾癬性皮膚病変及び2以上のIGAスコアを有した対象543名(73.5%)のうち、プラセボ群と比較して、数値的により大きい割合の対象が、16週目及び24週目に両方のグセルクマブ群でIGAスコア0(クリア)を達成した(表20)。割合は、16週から24週に増加し、グセルクマブ100mg q4w群とグセルクマブ100mg q8w群とで同様であった。
【0336】
24週目にIGAスコア0(クリア)を達成した対象の割合は、プラセボの7.7%に対し、グセルクマブ100mg q4wで50.5%、グセルクマブ100mg q8wでは50.0%であった(両方とも名目p<0.001)。
【0337】
【表20】
【0338】
腱付着部炎に関連した他の有効性エンドポイント
24週目までの経時的な腱付着部炎の消散
16週目には、複合推定値に基づいて腱付着部炎の消散を達成した対象は、プラセボ群の30.9%に対し、グセルクマブ100mg q4w群では40.6%、グセルクマブ100mg q8w群では47.5%であった(それぞれ、名目p=0.070、p=0.002)。応答率は、両群とも16週目~24週目に上昇した。応答率は、8週目~24週目において、グセルクマブ100mg q8w群がグセルクマブ100mg q4w群に比べて数値的に高かった。
【0339】
16週目には、CNTO1959PSA3001のデータのみに基づいて、ベースラインで腱付着部炎を有していた対象222名(58.3%)のうち、腱付着部炎が消散した対象の割合は、プラセボ群と比較してグセルクマブq8w群で数値的に小さかった。したがって、これらの試験の16週目のデータをプールすることは、グセルクマブ100mg q8w群には正当化されなかった。しかし、両試験とも治療効果はプラセボ群に比べてグセルクマブ100mg q4w群で数値的に大きく、このエンドポイントについてはグセルクマブ100mg q4w群でプール分析を行うことができた。
【0340】
CNTO1959PSA3001及びCNTO1959PSA3002のプールデータに基づくベースライン時に腱付着部炎を有した対象728名(65.0%)のうち、複合推定値に基づき、16週目に腱付着部炎が消散した対象の割合は、プラセボ群と比較して、グセルクマブ100mg q4w群で42.0%と高かった。
【0341】
エンドポイントに対して収集された全ての観察データを使用し、治療失敗ルールを適用しなかったプールデータに基づく16週目の治療方針推定値に基づく分析は、主要分析の結果を裏付けるものであった。
【0342】
経時的腱付着部炎スコアのベースラインからの変化
経時的に腱付着部炎の消散を達成した対象の割合に関するデータと一致して、CNTO1959PSA3002のみのデータに基づいて、24週目まで腱付着部炎を評価すると、各来院時にプラセボ群と比較して、両グセルクマブ群でLEIスコアのベースラインからの数値的に大きな低下が観察された。
【0343】
16週目には、LEIスコアのベースラインからの低下が、複合推定値に基づいて、プラセボ群に比べてグセルクマブ両群で数値的に大きくなった。LEIスコアの低下は、両グセルクマブ群とも16週目から24週目まで増加し続けた。その効果は、グセルクマブ100mg q4w群がグセルクマブ100mg q8w群と比較して概して大きかった。
【0344】
16週目の、CNTO1959PSA3001のデータのみに基づくと、ベースラインで腱付着部炎を有した222名(58.3%)の対象において、LEIスコアのベースラインからの変化の低下は、複合推定値に基づいて、プラセボ群と比較してグセルクマブ群の両方で数値的に大きかった。両試験ともに、治療効果はプラセボ群に比べて両グセルクマブ群の方が数値的に大きく、このエンドポイントについては両用量でプール分析を行うことができた。
【0345】
CNTO1959PSA3001及びCNTO1959PSA3002のプールデータに基づくベースラインで腱付着部炎を有する対象728人(65.0%)のうち、16週目のLEIスコアのベースラインからの低下は、複合推定値に基づいて、プラセボ群(-0.93;それぞれ、名目p<0.001及びp=0.038)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群(-1.42)とグセルクマブ100mg q8w群(-1.23)との両方で数値的に大きく観察された。
【0346】
指炎に関連した他の有効性エンドポイント
24週目までの経時的な指炎の消散
CNTO1959PSA3002データのみに基づくと、ベースラインで指炎を有した331人(44.8%)の対象のうち、指炎の消散を達成した対象の数は、2週目~24週目の各来院で、プラセボ群と比較して両グセルクマブ
群で数値的に高かった。
【0347】
16週目には、複合推定値に基づいて指炎の消散を達成した対象は、プラセボ群の36.4%に対し、グセルクマブ100mg q4w群では52.1%、グセルクマブ100mg q8w群では45.0%であった(それぞれ、名目p=0.024、p=0.192)。応答率は、両群とも16週目~24週目に上昇した。応答率は、4週目~24週目において、グセルクマブ100mg q4w群がグセルクマブ100mg q8w群と比較して数値的に高かった。
【0348】
16週目において、CNTO1959PSA3001のデータのみに基づくと、ベースラインで指炎を有した142名(37.3%)の対象のうち、プラセボ群(43.6%)と比較して、グセルクマブ100mg q4wとグセルクマブ100mg q8wの両群(それぞれ57.9%及び59.2%)では、複合推定値に基づき、16週目に指炎が消散した対象の割合が数値的に高かった(それぞれ、名目p=0.169及びp=0.124)。両試験ともに、治療効果はプラセボ群に比べて両グセルクマブ群の方が数値的に大きく、このエンドポイントについては両用量でプール分析を行うことができた。
【0349】
CNTO1959PSA3001及びCNTO1959PSA3002のプールデータに基づくベースラインで指炎を有した473名(42.2%)のうち、16週目に指炎が消散した対象の割合は、複合推定値に基づき、プラセボ群(39.0%)と比較して、グセルクマブ100mg q4wとグセルクマブ100mg q8wとの両群(それぞれ53.5%及び49.4%)で数値的に大きかったそれぞれ、名目p=0.008及びp=0.053)(添付資料TEFDAC01S12)。
【0350】
24週目までの指炎スコアのベースラインからの変化
24週目における指炎スコアのベースラインからの変化についてのデータは、6.3.4.2節に記載されている。
【0351】
経時的に指炎の消散を達成した対象の割合に関するデータと一致して、CNTO1959PSA3002のみのデータに基づいて、指炎を2週目~24週目に評価すると、各来院時のプラセボ群と比較して、両グセルクマブ群で指炎スコアのベースラインからの数値的に大きな低下が観察された。効果は、16週目及び24週目でグセルクマブ100mg q8w群と比較してグセルクマブ100mg q4w群で大きかった。
【0352】
BASDAIに関連した他の有効性エンドポイント
PsAの主要な関節症状として末梢性関節炎を伴う脊椎炎の対象のみがBASDAIを完了した。ベースラインで脊椎炎と末梢関節炎を有する対象には、グセルクマブ100mg q4w、グセルクマブ100mg q8w、及びプラセボに、86人、73人、及び99人を含めた。ベースラインで脊椎炎と末梢性関節炎を有し、ベースラインでBASDAIスコア0超の対象は、グセルクマブ100mg q4w、グセルクマブ100mg q8w、及びプラセボ群で、それぞれ、83人、67人、及び92人であった。
【0353】
ベースラインで脊椎炎及び末梢関節炎を有した対象258名(34.9%)のうち、BASDAIを8週目~24週目に評価した各来院において、プラセボ群と比較して両グセルクマブ群でベースラインからの数値的に大きな低下が観察された(表21)。BASDAIスコアの低下は、グセルクマブ治療群間で概ね同様であった。
【0354】
24週目には、複合推定値に基づき、BASDAIのベースラインからの低下は、グセルクマブ100mg q4w群とグセルクマブ100mg q8w群の両方で、プラセボ群と比較して数値的に大きいことが確認された(両方とも名目p<0.001)。
【0355】
【表21-1】
【0356】
【表21-2】
【0357】
24週目までのSF36 MCSスコアのベースラインからの5ポイント改善を達成した対象
SF-36 MCSスコアのベースラインからの臨床的に意味のある5ポイント以上の改善を達成した対象の割合は、8週目~24週のプラセボ群と比較して、両グセルクマブ群において数値的に大きかった(添付資料TEFMCS06)。この割合は、グセルクマブ100mg q4w群において、24週目まで経時的に増加した。ベースラインからの5ポイント以上の改善を達成した対象の割合は、グセルクマブ100mg q8w群(42.3%)について16週目で最も高かった。応答率は、グセルクマブ100mg q8w群では、8週目~24週目にグセルクマブ100mg q4w群と比較して、数値的に高かった。
【0358】
24週目に、SF-36 MCSスコアがベースラインから5ポイント以上改善した対象の割合は、複合推定値に基づき、グセルクマブ100mg q4wとグセルクマブ100mg q8w群とでそれぞれ34.3%及び37.5%であったのに対し、プラセボ群では30.9%であった(それぞれ名目p=0.424及びp=0.124)。
【0359】
評価された各SF-36スケールについて、規範スコアのベースラインからの数値的に大きな増加が、8週目から24週目までのプラセボ群と比較して、両グセルクマブ群において観察された。規範スコアのベースラインからの増加は、グセルクマブ100mg q8w群において、グセルクマブ100mg q4w群と比較して、概して高かった。
【0360】
24週目において、グセルクマブ100mg q4w群及び100mg q8w群での、プラセボ群と比較した、規範SF-36サブスケールのベースラインからの変化の推定LS平均は以下のとおりであった:
●身体的機能:それぞれ、3.254と比較して6.624及び6.703
●身体的役割:それぞれ、3.365と比較して6.241及び6.549
●身体疼痛:それぞれ、3.482と比較して7.739及び7.811
●全般的な健康:それぞれ、2.290と比較して5.269及び5.794
●活力:それぞれ、3.835と比較して7.009及び7.373
●社会的機能:それぞれ、2.978と比較して5.922及び5.806
●役割-情緒的:それぞれ、1.813と比較して4.255及び4.382
●精神的健康:それぞれ、2.335と比較して4.767及び4.490
FACIT-倦怠感スコア
【0361】
24週目までのFACIT-倦怠感スコアのベースラインからの変化
FACIT-倦怠感スコアのベースラインからの数値的により大きな増加(改善)が、FACIT倦怠感を評価した各来院において、プラセボ群と比較して、両グセルクマブ群で観察された(8週目、16週目、及び24週目;いずれも名目p<0.001;表22)。スコアは、24週目まで経時的に、グセルクマブ群で上昇を続け、各来院において、グセルクマブ100mg q8w群はグセルクマブ100mg q4w群に比べて数値が高かった。
【0362】
【表22-1】
【0363】
【表22-2】
【0364】
EQ-5D-5Lアンケート
24週目に、グセルクマブ100mg q4w群(LS平均:0.116)とグセルクマブ100mg q8w群(LS平均:0.115)との両方において、プラセボ群(LS平均:0.053、両方とも名目p<0.001)と比較して、複合推定値に基づき、EQ-5D指数スコアのベースラインからの数値的に大きな増加が観察された。
【0365】
24週目には、グセルクマブ100mg q4w群(LS平均:18.089)とグセルクマブ100mg q8w群(LS平均:18.371)との両方において、プラセボ群(LS平均:6.796;両方とも名目p<0.001)と比較して、複合推定値に基づき、EQ-5D健康状態VASスコアのベースラインからの数値的に大きな増加が観察された。
【0366】
24週目までのPASDASのベースラインからの変化
PASDASスコアのベースラインからの数値的に大きな低下(改善)が、PASDASを評価した各来院(8週目、16週目、及び24週目;いずれも名目p<0.001)において、プラセボ群と比較して、両方のグセルクマブ群で観察された。
【0367】
24週目に、PASDASスコアのベースラインからの数値的に大きな低下が、複合推定値に基づき、プラセボ群(LS平均:-1.336、両方とも名目p<0.001)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群(LS平均:-2.399)とグセルクマブ100mg q8w群(LS平均:-2.403)との両方において観察された。
【0368】
24週目までのGRACE指数のベースラインからの変化
GRACE指数のベースラインからの数値的に大きな低下(改善)が、GRACE指数を評価した各来院(16週目及び24週目;いずれも名目p<0.001;添付資料TEFGRACE01)において、プラセボ群と比較して、両方のグセルクマブ群で観察された。GRACE指数の低下は、各来院時のグセルクマブ間で類似していた。
【0369】
24週目に、GRACE指数のベースラインからの数値的に大きな低下が、複合推定値に基づき、プラセボ群(LS平均:-1.197、両方とも名目p<0.001)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群(LS平均:-2.589)とグセルクマブ100mg q8w群(LS平均:-2.592)との両方において観察された。
【0370】
24週目までのmCPDAIのベースラインからの変化
mCPDAIスコアのベースラインからの数値的に大きな低下(改善)が、mCPDAIスコアを評価した各来院(16週目及び24週目、いずれも名目p<0.001)において、プラセボ群と比較して、両グセルクマブ投与群で観察された。mCPDAIスコアの低下は、両方の来院においてグセルクマブ100mg q8w群と比較して、グセルクマブ100mg q4w群においてわずかに高かった。
【0371】
24週目に、mCPDAIスコアのベースラインからの数値的に大きな低下が、複合推定値に基づき、プラセボ群(LS平均:-1.30、両方とも名目p<0.001)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群(LS平均:-3.09)とグセルクマブ100mg q8w群(LS平均:-2.94)との両方において観察された。
【0372】
24週目までのmCPDAIに基づく低い疾患活動性
ベースラインで、mCPDAI指数に基づく疾患活動性が低い対象の割合は、グセルクマブ100mg q4w群、グセルクマブ100mg q8w群、プラセボ群でそれぞれ1.6%、6.5%、1.6%であった。
【0373】
経時的なmCPDAIスコアのベースラインからの変化と一致して、mCPDAIスコアに基づいて低い疾患活動性を達成した対象の割合は、16週目でプラセボ群と比較して、グセルクマブ100mg q4w群及びグセルクマブ100mg q8w群で高かった(それぞれ34.4%及び34.7%)(12.6%;両方とも名目p<0.001)。割合は、16週目~24週目にグセルクマブ群で増加し、グセルクマブ100mg q4群に比べてグセルクマブ100mg q8w群で数値的に高かった。
【0374】
24週目、mCPDAIスコアに基づいて低疾患活動性を達成した対象の割合は、複合推定値に基づいて、プラセボ群の14.2%と比較して、グセルクマブ100mg q4w群で41.2%、グセルクマブ100mg q8w群で46.4%であった(両方とも名目p<0.001)。
【0375】
24週目までのMDA基準
ベースラインにおいて、グセルクマブ100mg q4w群中の1名(0.4%)の対象がMDA基準を満たした(表23)。
【0376】
16週目及び24週目にMDA基準を満たした対象の割合は、プラセボ群(いずれも名目p<0.001)と比較して、両グセルクマブ群において数値的に大きかった。MDA基準を満たした者の割合は、両方の来院においてグセルクマブ100mg q4w群と比較して、グセルクマブ100mg q8w群において、数値的に高かった。
【0377】
【表23】
【0378】
24週目までのVLDA基準
ベースラインでは、グセルクマブ群又はプラセボ群の対象は、VLDA基準を満たさなかった。16週目及び24週目にVLDA基準を満たした対象の割合は低いが、プラセボ群と比較して両グセルクマブ群において数値的に大きかった。両方の来院において、グセルクマブ100mg q8w群と比較して、グセルクマブ100mg q4w群では、割合がわずかに高かった。
【0379】
24週目に、複合値に基づいて、VLDA基準を満たした対象の割合は、グセルクマブ100mg q4w群とグセルクマブ100mg q8w群でそれぞれ4.9%及び4.4%であったのに対し、プラセボ群では1.2%であった(それぞれ名目p=0.018及びp=0.032、)。
【0380】
有効性及び薬物動態
選択された有効性エンドポイントとトラフ血清グセルクマブ濃度との間の関係をPK分析セットに基づいて評価した(5.1節参照)。以下の分析では、欠落データの代入がない臨床有効性データ(複合推定値)とそれぞれのトラフ血清グセルクマブ濃度を使用した:
●12週目の定常トラフ血清グセルクマブ濃度による、12週目のACR 20若しくはACR 50の応答、又はDAS28(CRP)のベースラインからの変化。
●20週目の血清グセルクマブの定常状態トラフ血清グセルクマブ濃度による、20週目又は24週目のACR 20若しくはACR 50の応答、又はDAS28(CRP)のベースラインからの変化。
●20週目の定常状態トラフ血清グセルクマブ濃度による24週目のIGA応答(ベースラインでBSAの≧3%の乾癬性病変及び≧2のIGAスコアを有する対象)。
【0381】
ACR 20及びACR 50応答並びにトラフ血清グセルクマブ濃度
12週目のトラフ血清中グセルクマブ濃度四分位数による12週目にACR20又はACR50応答を達成した対象の割合を添付資料TPKACR02に示す。
【0382】
12週目のトラフグセルクマブ濃度四分位数による12週目のACR20及びACR50応答率については、明らかな曝露-応答関係は見られなかった。
【0383】
20週目のトラフグセルクマブ濃度四分位数による20週目又は24週目のACR20応答率については、一貫した曝露-応答関係は見られなかった(図7)。20週目のトラフグセルクマブ濃度四分位数による20週目又は24週目のACR50応答率については、曝露-応答関係が弱いようであった(図8)。
【0384】
トラフ血清グセルクマブ濃度によるDAS28(CRP)のベースラインからの変化
12週目のトラフグセルクマブ濃度四分位数による12週目のDAS28(CRP)のベースラインからの平均変化については、明らかな曝露応答関係は見られなかった(20週目のトラフグセルクマブ濃度四分位数による20週目又は24週目のDAS28(CRP)のベースラインからの平均変化についても明らかな曝露応答関係は見られなかった。
【0385】
IGA応答及びトラフ血清グセルクマブ濃度
ベースラインで3%以上のBSAの乾癬性病変及び2以上のIGAスコアを有する対象において、20週目のトラフグセルクマブ濃度四分位数による24週目のIGA応答には、明らかな曝露応答関係は見られなかった(図9)。
【0386】
有効性の要約
主要エンドポイント
●グローバル(米国外)及び米国固有の多重度試験手順に基づき(両方ともp<0.001に調整)、プラセボ群の対象(32.9%)と比較して、グセルクマブ100mg q4w及びグセルクマブ100mg q8wの両方において有意に大きい割合(それぞれ63.7%及び64.1%)の対象が、24週でACR20応答を達成した。
【0387】
主な副次的エンドポイント
グローバル(米国外)及び米国固有の試験手順の両方における多重度を制御した主な副次的エンドポイント
●24週目のHAQ-DIスコアは、プラセボ群(LS平均:-0.1300;グローバル及び米国固有両方の調整後p<0.001)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群(LS平均:-0.4004)とグセルクマブ100mg q8w群(LS平均:-0.3672)との両方において、ベースラインからの有意に大きな低下が観察された。
●ベースラインで3%以上のBSAの乾癬性病変及び2以上(軽症)のIGAスコアを有する543人(73.5%)の対象のうち、プラセボ群(19.1%;グローバル及び米国固有両方の調整後p<0.001)と比較して、グセルクマブ100mg q4wとグセルクマブ100mg q8wとの両方において(それぞれ68.5%及び70.5%)、24週目に0(クリア)又は1(最小)のIGA乾癬応答、及びベースラインから2グレード以上のIGA乾癬スコアの低下を達成した。
●24週目の修正vdH-Sスコアのベースラインからの変化は、プラセボ群(LS平均:0.95)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群(LS平均:0.29)及びグセルクマブ100mg q8w群LS平均:0.52)の両方において、数値的に小さい(進行が少ない)ことが観察された。グローバル(米国外)及び米国固有の多重度試験の手順に基づき、LS平均変化の差は、プラセボ群と比較してグセルクマブ100mg q4w群において統計的に有意であったが(それぞれ、調整後グローバルp=0.006及び調整後米国固有p=0.011)、グセルクマブ100mg q8w群では有意ではなかった(それぞれ、調整後グローバルp=0.068及び調整後米国固有p=0.072)。24週目の修正vdH-Sスコアのベースラインからの変化がこの群では有意ではなかったため(調整後p=0.068)、残りの主な副次的エンドポイントについて、グセルクマブ100mg q8w群のグローバル(米国外)固有試験手順では、統計的有意性は正式には試験しなかった。
●24週目のSF-36 PCSスコアは、プラセボ群(LS平均:3.42)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群(LS平均:7.04)及びグセルクマブ100mg q8w群(LS平均:7.39)の両方において、ベースラインからの数値的に大きな改善が観察された。グローバル(米国外)固有の多重度試験の手順に基づき、プラセボ群と比較して、グセルクマブ100mg q4w群において、平均変化は統計的に有意であり(調整後p=0.006)、グセルクマブ100mg q8w群では正式には試験しなかった。米国固有の試験手順に基づき、プラセボ群と比較して、グセルクマブ100mg q4w群及びグセルクマブ100mg q8w群の両方において、平均変化は統計的に有意であった(両方とも調整後p=0.011)。
●24週目のSF-36 MCSスコアは、プラセボ群(LS平均:2.14)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群(LS平均:4.22)及びグセルクマブ100mg q8w群(LS平均:4.17)の両方において、ベースラインからの数値的に大きな改善が観察された。グローバル(米国外)固有の多重度試験の手順に基づき、プラセボ群と比較して、グセルクマブ100mg q4w群において、平均変化は統計的に有意であり(調整後p=0.006)、グセルクマブ100mg q8w群では正式には試験しなかった。米国固有の多重度試験の手順に基づき、プラセボ群と比較して、グセルクマブ100mg q4w群又はグセルクマブ100mg q8w群において、平均変化は統計的に有意ではなかった(両方とも調整後p=0.072)。
●CNTO1959PSA3001及びCNTO1959PSA3002のプールデータに基づいてベースライン時に腱付着部炎を有した対象728人(65.0%)のうち、24週目に腱付着部炎が消散した対象の割合は、プラセボ群(29.4%)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群及びグセルクマブ100mg q8w群(それぞれ44.9%及び49.6%)で数値的に高かった。グローバル(米国外)固有の多重度試験の手順に基づき、プラセボ群と比較して、グセルクマブ100mg q4w群において、腱付着部炎が消散した対象の割合は有意に高く(調整後p=0.006)、グセルクマブ100mg q8w群では正式には試験しなかった。米国固有の多重度試験の手順に基づき、プラセボ群と比較して、グセルクマブ100mg q4w群及びグセルクマブ100mg q8w群の両方において、腱付着部炎が消散した対象の割合が有意に大きかった(両方とも調整後p=0.030)。
●CNTO1959PSA3001及びCNTO1959PSA3002のプールデータに基づいてベースライン時に指炎を有した対象473人(42.2%)のうち、24週目に指炎が消散した対象の割合は、プラセボ群(42.2%)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群及びグセルクマブ100mg q8w群の両方において(それぞれ63.5%及び59.4%)で数値的に大きかった。グローバル(米国外)固有の多重度試験手順に基づき、指炎が消散した対象の割合は、プラセボ群と比較して、グセルクマブ100mg q4w群において有意に高く(調整後p=0.006)、グセルクマブ100mg q8w群では正式には試験しなかった。米国固有の多重度試験手順に基づき、指炎が消散した対象の割合は、プラセボ群と比較して、グセルクマブ100mg q4w群及びグセルクマブ100mg q8w群の両方において有意に高かった(それぞれ調整後p=0.011及びp=0.030)。
●グローバル(米国外)試験手順において多重度について制御し、米国固有の試験手順において条件を制御した、主な副次的エンドポイント
●以下の主な副次的エンドポイントは、グローバル(米国外)試験手順において多重度について制御した。更に、これらのエンドポイントは主要エンドポイントとの相関性が高く、24週目のACR 20応答について、プラセボ群と比較して、グセルクマブ100mg q4w群及びグセルクマブ100mg q8w群の両方で統計学的有意性が得られたことから、これらのエンドポイントを、米国固有の試験手順に基づき、グセルクマブの両用量についても試験した(いずれも名目p<0.001)。
●24週目のDAS28(CRP)スコアのベースラインからの低下は、プラセボ群(LS平均:-0.97;両方ともグローバル調整後p<0.001)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群(LS平均:-1.62)及びグセルクマブ100mg q8w群(LS平均:-1.59)の両方において、有意に大きいことが観察された。
●以下の主な副次的エンドポイントについては、グローバル(米国外)多重度試験手順に基づいて、グセルクマブ100mg q4w群がプラセボ群と比較して統計的有意性を示した(調整後p=0.006)。プラセボ群と比較したグセルクマブ100mg q8w群の統計的有意性は、グセルクマブ100mg q8w群における24週目の修正vdH-Sスコアのベースラインからの変化のエンドポイントが有意ではなかったため、評価できなかった。
●16週目にACR20応答を達成した対象の割合は、プラセボ群(33.7%;名目p<0.001)と比較して、グセルクマブ100mg q4w及びグセルクマブ100mg q8wの両方で数値的に高かった(それぞれ55.9%及び55.2%)。
●24週目にACR50応答を達成した対象の割合は、プラセボ群(14.2%;名目p<0.001)と比較して、グセルクマブ100mg q4w及びグセルクマブ100mg q8w群の両方(それぞれ33.1%及び31.5%)で数値的に高かった。
●16週目にACR50応答を達成した対象の割合は、プラセボ群(9.3%;名目p<0.001)と比較して、グセルクマブ100mg q4w及びグセルクマブ100mg q8wの両方(それぞれ20.8%及び28.6%)で数値的に高かった。
●24週目にACR70応答を達成した対象の割合は、プラセボ群(4.1%;名目p<0.001)と比較して、グセルクマブ100mg q4w及びグセルクマブ100mg q8w群の両方(それぞれ13.1%及び18.5%)で数値的に高かった。
●米国固有の試験手順においてのみ条件を制御した主な副次的エンドポイント
●グセルクマブ100mg q4w群及びグセルクマブ100mg q8w群の両方において、プラセボ群と比較して、24週目での腱付着部炎の消散及び24週目での指炎の消散がそれぞれ統計的有意性を達成したため、CNTO1959PSA3001及びCNTO1959PSA3002のプールデータに基づいて、グセルクマブの両用量について、24週目での腱付着部炎スコアのベースラインからの変化及び24週目での指炎スコアのベースラインからの変化を、米国固有の試験手順において正式に検定した。
●CNTO1959PSA3001及びCNTO1959PSA3002のプールデータに基づいてベースライン時に腱付着部炎を有した対象728人(65.0%)のうち、プラセボ群(LS平均:-1.02;両方とも名目p<0.001)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群(LS平均:-1.59)及びグセルクマブ100mg q8w群(LS平均:-1.52)の両方において、24週目のLEIスコアのベースラインからの数値的により大きな低下が観察された。
●CNTO1959PSA3001及びCNTO1959PSA3002のプールデータに基づいてベースライン時に指炎を有した473人(42.2%)のうち、プラセボ群(LS平均:-4.21;それぞれ名目p=0.002及びp<0.001)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群(LS平均:-5.97)及びグセルクマブ100mg q8w群(LS平均:-6.10)の両方において、24週目の指炎スコアのベースラインからの数値的により大きな低下が観察された。
●他の二次有効性分析
●関節の兆候及び症状の低減に関連した他の有効性エンドポイント
●2週目の腫脹関節数を除き、2週目~24週目の各ACRコンポーネントについて、両グセルクマブ群は、プラセボ群と比較して、ベースラインからの改善率の中央値が数値的に大きかった。
●24週目に、修正PsARC応答を達成した対象の割合は、プラセボ群の44.7%と比較して、グセルクマブ100mg q4w群及びグセルクマブ100mg q8w群では、それぞれ68.6%及び72.6%であった(両方とも名目p<0.001)。
●24週目に、DAPSA指数に基づいて低疾患活動性又は寛解を達成した対象の割合は、プラセボ群の18.3%と比較して、グセルクマブ100mg q4w群及びグセルクマブ100mg q8w群でそれぞれ35.5%及び38.7%であった(両方とも名目p<0.001)。
【0388】
身体的機能に関連した他の有効性エンドポイント
●24週目のHAQ-DI応答率(ベースライン時にHAQ-DIスコアが0.35以上であった対象のうち、ベースラインから0.35以上改善したものと定義)は、プラセボ群の31.4%と比較して、グセルクマブ100mg q4w群で56.1%、グセルクマブ100mg q8w群で50.0%であった(両方とも名目p<0.001)。
●皮膚疾患に関連した他の有効性エンドポイント
●ベースライン時に3%以上のBSAの乾癬性病変及び2(軽度)以上のIGAスコアを有した543人(73.5%)の対象のうち、
●両グセルクマブ群ともに、16週目及び24週目に、PASI50、PASI75、PASI90、及びPASI100の応答を有した対象の割合は、プラセボ群と比較して数値的に大きかった(いずれも名目p<0.001)。
●24週目に、PASI75及びACR20の両方の応答を有した対象の割合は、プラセボ群の11.5%と比較して、グセルクマブ100mg q4w群及びグセルクマブ100mg q8w群でそれぞれ57.1%及び56.8%であった(両方とも名目p<0.001)。
●24週目に、PASI75及び修正PsARC応答の両方を達成した対象の割合は、プラセボ群の15.3%と比較して、グセルクマブ100mg q4w群及びグセルクマブ100mg q8w群でそれぞれ60.9%及び65.3%であった(両方とも名目p<0.001)。
●24週目に、IGAスコア0(クリア)を達成した対象の割合は、プラセボ群の7.7%と比較して、グセルクマブ100mg q4w群及びグセルクマブ100mg q8w群でそれぞれ50.5%及び50.0%であった(両方とも名目p<0.001)。
●24週目に、DLQIスコアの臨床的に意味のあるベースラインからの5ポイント以上の改善を達成した対象の割合は、プラセボ群(37.8%;両方とも名目p<0.001)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群(86.8%)及びグセルクマブ100mg q8w群(83.3%)で数値的に大きかった(両方とも名目p<0.001)。
●腱付着部炎及び指炎に関連した他の有効性エンドポイント
●CNTO1959PSA3002のデータのみに基づくベースラインで腱付着部炎を有した506人(68.5%)のうち、腱付着部炎の消散を達成した対象の数は、2週目~24週目の各来院時に、プラセボ群と比較して、両グセルクマブ投与群で数値的に高かった。
●CNTO1959PSA3002のデータのみに基づいてベースライン時に指炎を有した331人(44.8%)のうち、指炎の消散を達成した対象数は、2週目~24週目の各来院時に、プラセボ群と比較して、両グセルクマブ群で数値的に高かった。
●BASDAIに関連した他の有効性エンドポイント
●ベースライン時に脊椎炎及び末梢関節炎を有した対象258人(34.9%)のうち、BASDAIを8週目~24週目で評価した各来院時に、プラセボ群と比較して、両グセルクマブ群でベースラインからの数値的に大きな低下が観察された。
●20%以上、50%以上、及び70%以上の改善を達成した対象の割合は、8週目~24週目において、プラセボ群と比較して両グセルクマブ群で数値的に大きかった。
【0389】
関節の構造的損傷に関連した他の有効性エンドポイント
●修正vdH-Sスコアのベースラインからの変化が0以下であった対象の割合は、プラセボ群の64.7%と比較して、グセルクマブ100mg q4w群で67.3%、グセルクマブ100mg q8w群で63.4%であった(それぞれ名目p=0.555及びp=0.751)。
●修正vdH-Sびらんスコアのベースラインからの変化が0以下であった対象の割合は、プラセボ群の66.8%と比較して、グセルクマブ100mg q4w群で71.4%、グセルクマブ100mg q8w群で66.3%であった(それぞれ名目p=0.268及びp=0.867)。
●24週目での修正vdH-S JSNスコアのベースラインからの変化が0以下であった対象の割合は、プラセボ群の78.6%と比較して、グセルクマブ100mg q4w群で80.2%、グセルクマブ100mg q8w群で78.8%であった(それぞれ名目p=0.669及びp=0.903)。
【0390】
健康関連の生活の質及び他の患者報告によるアウトカムに関するの他の有効性エンドポイント
●24週目に、SF-36 PCSスコアがベースラインからの臨床的に意味のある5ポイント以上の改善を達成した対象の割合は、プラセボ群の40.2%と比較して、グセルクマブ100mg 4w群及びグセルクマブ100mg q8w群でそれぞれ55.9%及び60.1%であった(両方とも名目p<0.001)。
●24週目に、SF-36 MCSスコアがベースラインからの臨床的に意味のある5ポイント以上の改善を達成した対象の割合は、プラセボ群の30.9%と比較して、グセルクマブ100mg q4w群及びグセルクマブ100mg q8w群でそれぞれ34.3%及び37.5%であった(それぞれ名目p=0.424及びp=0.124)。
●24週目に、FACIT-倦怠感スコアがベースラインからの4ポイント以上の改善を達成した対象の割合は、プラセボ群の45.5%と比較して、グセルクマブ100mg q4w群で59.6%、グセルクマブ100mg q8w群で60.5%であった(それぞれ、名目p=0.002及びp<0.001)。
●24週目に、プラセボ群(LS平均:0.053;両方とも名目p<0.001)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群(LS平均:0.116)及びグセルクマブ100mg q8w群(LS平均:0.115)の両方において、EQ-5D指数スコアのベースラインからの数値的に大きな増加が観察された。
●24週目に、プラセボ群(LS平均:6.796;両方とも名目p<0.001)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群(LS平均:18.089)及びグセルクマブ100mg q8w群(LS平均:18.371)の両方において、EQ-5D健康状態VASスコアのベースラインからの数値的に大きな増加が観察された。
【0391】
複合疾患活動性スコアの改善
●24週目に、MDA基準を満たした対象の割合は、プラセボ群の6.1%と比較して、グセルクマブ100mg q4w群で18.8%、グセルクマブ100mg q8w群で25.0%であった(いずれも名目p<0.001)。PASDAS、GRACE指数、及びmCPDAIスコアを含む他のPsA複合疾患活動性スコアにおいても、24週目にプラセボ群と比較して両群でより大きな改善が観察された(いずれも名目p<0.001)。
【0392】
有効性及び薬物動態
●20週目の定常状態トラフグセルクマブ濃度四分位数による24週目のACR50応答率の曝露応答関係は弱いようであったが、24週目のACR20応答率についての一貫した曝露応答関係は観察されなかった。
●20週目の定常状態トラフグセルクマブ濃度四分位数による20週目又は24週目のDAS28(CRP)のベースラインからの平均変化について、明らかな曝露応答関係はなかった。
●ベースラインで3%以上のBSAの乾癬性病変及び2以上のIGAスコアを有した対象における20週目の定常状態トラフグセルクマブ濃度四分位数による24週目のIGA応答について、明らかな曝露応答関係はなかった。
【0393】
有効性及びグセルクマブに対する抗体
●24週目までにグセルクマブに対する抗体について陽性であった対象では、グセルクマブに対する抗体の存在はACR応答を排除しなかった。しかし、グセルクマブに対する抗体について陽性であった対象の数が少なく(n=10)、グセルクマブに対する抗体が臨床有効性に及ぼす影響について明確に結論付けるには限界がある。
【0394】
安全性の結果
有害事象
24週目までに報告されたAEの全体概要を表24に提供する。試験薬剤投与の平均数は、治療群にわたって一貫していた。
【0395】
【表24】
【0396】
24週目に1つ又は2つ以上のAEを経験した対象の割合は、プラセボ群と比較して、グセルクマブ治療群においてわずかに高かった:グセルクマブ100mg q4w群で46.1%、グセルクマブ100mg q8w群で46.0%、及びプラセボ群で40.7%(添付資料TSFAE02)。
【0397】
報告されたAEの最も高頻度のSOCは感染症及び侵襲であり、このSOCの事象の全体的な頻度は、治療群間で同等であった(グセルクマブ100mg q4w群で17.6%、グセルクマブ100mg q8w群で15.7%、及びプラセボ群で17.1%)。2番目に多かったSOCは治験であり、このうち、グセルクマブ治療群はプラセボ群よりもAEの発生頻度が高かった(グセルクマブ100mg q4w投与群で14.3%、グセルクマブ100mg q8w投与群で14.5%、及びプラセボ投与群で7.7%)。
【0398】
24週目までの重度のAEを除くいずれかの治療群における頻度5%以上の最も一般的なPTを表25に示す。最も一般的な報告されたPTはALT増加(グセルクマブ100mg q4w群で10.2%、グセルクマブ100mg q8w群で6.0%、及びプラセボ群で4.5%)であり、次いでAST増加(グセルクマブ100mg q4w群で4.5%、グセルクマブ100mg q8w群で5.6%、及びプラセボ群で2.4%)であった。ALTのAESは、プラセボ群と比較して、グセルクマブ治療群においてより高頻度で報告され、グセルクマブ100mg q4w群ではグセルクマブ100mg q8w群と比較してより高かった。24週目までのいずれかの治療群における頻度1%以上の最も一般的なPTを添付資料TSFAE10に示す。
【0399】
【表25】
【0400】
ベースライン年齢群による24週目までの有害事象
24週目までのベースライン時の年齢による1つ又は2つ以上のAEを有する対象の数の概要を、添付資料TSFAE02Aに提供する。年齢を以下の群に分けた:45歳未満(n=340)、45歳以上~65歳未満(n=366)、65歳以上(n=33)、及び75歳以上(n=1)。
【0401】
グセルクマブ治療群でAEを報告した対象の割合は、プラセボ群と比較して、45歳未満の年齢層で高く、45歳以上~65歳未満の年齢層では同程度であった。65歳以上の年齢層では、AEを報告した対象の割合は、グセルクマブ100mg q4w群がグセルクマブ100mg q8w群及びプラセボ群よりも高かったが、しかし、この年齢層の対象数は少なかった:
●45歳未満(n=340):グセルクマブ100mg q4w、グセルクマブ100mg q8w、及びプラセボ群でそれぞれ47.2%、47.7%、及び33.7%。
●45以上~65歳未満(n=366):グセルクマブ100mg q4w、グセルクマブ100mg q8w、及びプラセボ群でそれぞれ44.4%、45.9%、及び46.6%。
●65歳以上(n=33):グセルクマブ100mg q4w、グセルクマブ100mg q8w、及びプラセボ群でそれぞれ54.5%、27.3%、及び36.4%。
【0402】
非生物学的DMARDのベースライン使用による24週目までの有害事象
24週目までの非生物学的DMARDのベースライン使用による1つ又は2つ以上のAEを有する対象の数の概要を、添付資料TSFAE02Bに提供する。対象を以下の群に分けた:なし(n=227)、MTX(n=443)、いずれかの非MTX DMARD(n=69)、SSZ(n=31)、HCQ(n=3)、LEF(n=35)、及びいずれかのDMARD(n=512)。
【0403】
24週目までに報告されたAEを有する対象の割合は、各下位群のプラセボ群と比較して、グセルクマブ治療群においてわずかに高かった。全体的に、ベースラインで何もなかった下位群と比較して、MTX及び任意のDMARDの下位群でAEを報告した対象の割合が概して高かった:
●なし(n=227):グセルクマブ100mg q4w、グセルクマブ100mg q8w、及びプラセボ群でそれぞれ46.7%、34.6%、及び29.7%。
●メトトレキサート(n=443):グセルクマブ100mg q4w、グセルクマブ100mg q8、及びプラセボ群において、それぞれプ46.6%、52.5%、及び45.5%。
●いずれかのDMARD(n=512):グセルクマブ100mg q4w、グセルクマブ100mg q8w、及びプラセボ群でそれぞれ45.9%、51.2%、45.3%。
【0404】
残りの下位群の対象の数は非常に少なかった。これらの対象におけるAEプロファイルは、全般的に全体集団と一致し、これらの対象において特定のパターンは特定されなかった。
【0405】
全体集団と一致して、報告されたAEの最も高頻度のSOCは、治験が最も高頻度であった非生物学的DMARD下位群が無効であるのを除いて、全ての下位群での感染症及び侵襲であった。
【0406】
重症度の高い有害事象
重症度の高い1つ又は2つ以上のAEを報告した対象の割合は低く、グセルクマブ100mg q4w群で0.8%、グセルクマブ100mg q8w群で0.4%、及びプラセボ群でる0.8%であった(添付資料TSFAE05)。全ての事象は単発的に発生した。
【0407】
免疫関連有害事象
治験責任医師によって試験薬投与に合理的に関連すると考えられた24週目までの有害事象を、添付資料TSFAE06に提供する。24週目までに、少なくとも1つの合理的に関連するAEを経験した対象の割合は、治療群にわたって類似していた(グセルクマブ100mg q4w群で16.3%、グセルクマブ100mg q8w群で16.9%、及びプラセボ群で14.2%)。
【0408】
死亡
24週目まで、この試験において、死亡は報告されなかった。
【0409】
重篤な有害事象
24週目に1つ又は2つ以上のSAEを経験した対象の割合は、グセルクマブ100mg q4w群で3.3%、グセルクマブ100mg q8w群で1.2%、及びプラセボ群で2.8%であった(表26)。全ての事象は、発生が単発的であり、特定のパターンのSAEは特定されなかった。
【0410】
【表26】
【0411】
ベースライン年齢群による24週目までの重篤な有害事象
ベースラインでのSAEと年齢との間に特定の関連パターンは存在しなかった。
●45歳未満(n=340):グセルクマブ100mg q4w、グセルクマブ100mg q8w、及びプラセボ群でそれぞれ4.6%、0%、及び1.0%。
●45以上~65歳未満(n=366):グセルクマブ100mg q4w、グセルクマブ100mg q8w、及びプラセボ群でそれぞれ2.4%、2.8%、及び4.6%。
●65歳以上(n=33):事象は報告されなかった。
【0412】
非生物学的DMARDのベースライン使用による24週目までの重篤な有害事象
SAEを有する対象の割合は、SAEが報告された各下位群の治療群にわたって概ね同等であった。
●なし(n=227):グセルクマブ100mg q4w、グセルクマブ100mg q8、及びプラセボ群でそれぞれ4.0%、0、及び2.7%。
●メトトレキサート(n=443):グセルクマブ100mg q4w、グセルクマブ100mg q8、及びプラセボ群でそれぞれプ3.4%、2.1%、及び3.2%。
●いずれかのDMARD(n=512):グセルクマブ100mg q4w、グセルクマブ100mg q8、及びプラセボ群でそれぞれ2.9%、1.8%、及び2.9%。
残りの下位群では、SAEは報告されなかった。
【0413】
合理的に関連する重篤な有害事象
24週目までに、少なくとも1つの合理的に関連するSAEを経験した対象の割合は低かった(グセルクマブ100mg q4w群で0.4%、グセルクマブ100mg q8w群で0.4%、及びプラセボ群で1.2%)。
【0414】
実施例2:生物学的抗TNFα薬剤の前治療歴のある対象を含む活動性乾癬性関節炎を有する対象におけるグセルクマブの皮下投与の有効性及び安全性を評価する第3相多施設ランダム化二重盲検プラセボ対照試験(CNTO1959PSA3001)
試験(CNTO1959PSA3001)は、標準治療(例えば、非生物学的DMARD、アプレミラスト、NSAID)の応答が不十分な活動性PsAを有する対象におけるグセルクマブの第3相多施設ランダム化二重盲検プラセボ対照3アーム試験である。更に、対象(約30%)は、最大2つの抗TNFα薬剤で以前に治療されていてもよい。この試験は、6週間までのスクリーニング期、約1年(すなわち、52週)の盲検治療期からなり、0週から24週までのプラセボ制御期間及び24週から52週までの実薬処置期間、及び52週後8週間の安全性追跡期間を含む。試験は、約360人の対象を登録することとした。試験は、活動性乾癬性関節炎(PsA)を有する対象におけるグセルクマブの臨床有効性、安全性、及び薬物動態(PK)を評価するために実施した。二次的目的は、以下のグセルクマブ治療について評価することであった:
●乾癬皮膚病変の改善における有効性
●身体的機能の改善
【0415】
方法
試験設計の概要
図10に試験設計の図表示を示す。
【0416】
0週目に、全ての組み入れ及び除外基準を満たした約360人の対象を、ベースライン非生物学的DMARD使用(あり、なし)、及び以前の抗TNFα薬剤への曝露(あり、なし)によって層別化された順列ブロックランダム化を使用して、1:1:1の比で以下の3つの治療群の1つにランダムに割り付けた。
●群I(n=120):グセルクマブSC 100mgを4週毎(q4w)に、0週目~48週目に投与。
●群II(n=120):グセルクマブSC 100mgを0週目及び4週目に投与し、次いでq8w(12週目、20週目、28週目、36週目、44週目)、及び他の来院時(8週目、16週目、24週目、32週目、40週目、48週目)にプラセボ注射を行って、盲検化を維持した。
●群III(n=120):0週目~20週目にプラセボSC q4wを投与し、24週目にクロスオーバーして48週目までグセルクマブ100mg q4wを投与した。
【0417】
16週目に、腫脹関節数及び圧痛関節数の両方のベースラインからの<5%の改善を有する群I、II、及びIIにおける全ての対象が、早期離脱(early escape、EE)基準を満たしているとみなされた。これらの対象は、0週目にランダム化した用量レジメンに留まったが、許容されている併用薬のうちの1つの投与量を開始する又はプロトコルで規定された最大許容投与量まで増加することが許可され、安定投与量まで漸増は、24週目の来院によって完了した。
【0418】
有効性評価には、関節評価(膨脹関節数及び圧痛関節数)、患者による疼痛評価、患者による疾病活動性のグローバル評価(関節炎及び乾癬)、患者による疾病活動性のグローバル評価(関節炎)、疾患活動性の医師によるグローバル評価、健康評価質問票-障害指数CRP)、患者による皮膚疾患活動性の評価、乾癬の体表面積(BSA)、乾癬の面積及び重症度指数(PASI)、治験責任医師による感染症のグローバル評価(IGA)、指炎評価、リーズ腱付着部炎指数に基づく腱付着部炎評価、及びカナダ脊椎関節炎研究コンソーシアム(Spondyloarthritis Research Consortium of Canada、SPARCC)基準、バス強直性脊椎炎疾患活動性指数(BASDAI;末梢関節炎を伴う脊椎炎の主要なPsAサブタイプを有する対象の場合)、米国リウマチ学会(ACR)応答、最小限の疾患活動性(MDA)及び非常に低い疾患活動性(VLDA)、乾癬性関節炎の疾患活動性スコア(PASDAS)、乾癬及び乾癬性関節炎(GRAPPA)複合スコア(GRACE)指数のグループ研究及び評価、CRPを使用した疾患活動性スコア28(DAS28)、乾癬性関節炎の疾患活動性指数(DAPSA)、及び乾癬性関節炎応答基準(PsARC)、36項目ショートフォーム健康調査(SF-36)、慢性疾患治療の機能評価(FACIT)-倦怠感、患者報告アウトカム測定情報システム(Patient Reported Outcomes Measurement Information System、PROMIS)-29。
【0419】
安全性評価は、有害事象(AE)、重篤な有害事象(SAE)、注射部位及びアレルギー反応、臨床検査パラメータ(血液学及び化学;尿妊娠検査)、電子コロンビア自殺重症度評価尺度(electronic Columbia-Suicide Severity Rating Scale、eC-SSRS)、身体検査、バイタルサイン、心電図(ECG;0週目のみ)、並びに結核(tuberculosis、TB)の早期検出)を含んだ。
【0420】
薬力学バイオマーカーの分析のための試料を全ての対象から採取した。
【0421】
試験母集団
標的集団は、標準治療(非生物学的DMARD、アプレミラスト、NSAIDなど)の応答が不十分な、活動性PsAを有する成人男性又は女性で構成された。更に、試験集団の約30%は、最大2つの抗TNFα薬剤を以前に投与された可能性がある。
【0422】
この試験に適格であるために、対象は、インフォームドコンセントの時点で18歳以上であり、試験薬の初回投与前少なくとも6か月間にPsAと診断され、スクリーニング時に乾癬性関節炎の分類基準(CASPAR)42を満たしている必要があった。対象は、スクリーニング時及びベースラインの両方において、3以上の圧痛及び3以上の膨脹関節によって定義される活動性PsA、並びにスクリーニング時に0.3mg/dL以上のCRPを有する必要があった。対象は、非生物学的DMARD(3か月以上)、アプレミラスト(4か月以上)、及び/又はNSAID(4週間以上)を含む標準的なPsA治療に対する不十分な応答又は不耐性の裏付けられた証拠を有する必要があった。最大で2つの抗TNFα薬剤への以前の曝露を有する対象は許容されたが、試験集団の約30%に限定された。
【0423】
対象は、以下のPsAのサブセットのうち、少なくとも1つを有する必要があった:遠位指節間(DIP)関節病変、リウマチ性結節のない多関節性関節炎、破壊性関節炎、非対称性末梢関節炎、末梢関節炎を伴う脊椎炎。更に、対象は、少なくとも1つの直径2cm以上の乾癬プラーク、又は乾癬に一致する爪の変化、又は裏付けられた尋常性乾癬の病歴を有する、活動性尋常性乾癬を有している必要があった。
【0424】
対象は、試験中に、安定投与量の非生物学的DMARD(MTX[25mg/週以下]、SSZ[3g/日以下]、HCQ[400mg/日以下]、又はLEF[20mg/日以下]に限定される)、低用量経口コルチコステロイド(1日当たり10mg以下のプレドニゾン又は均等物)、又はNSAID及び他の鎮痛剤治療を継続させることが可能であった。ベースラインでこれらの薬剤を使用していなかった対象は、試験薬の初回投与の4週間以上(MTX、SSZ、HCQの場合)、12週間以上(LEFの場合)、又は2週間以上(NSAID及びその他の鎮痛剤、経口コルチコステロイドの場合)前にこれらの薬剤を中止する必要があった。更に、対象は、試験室試験結果及びTB履歴及び試験結果をスクリーニングするための基準を満たし、適切な出生制御手段を使用することに同意し、長期間の日光曝露を回避し、試験中の日焼けブース又は他の紫外線源の使用を回避する必要があった。
【0425】
投与量及び投与
全ての試験薬剤(グセルクマブ及びプラセボ)をSC注射により投与した。PsAを有する対象におけるグセルクマブの臨床有効性、安全性、PKデータ、及び第2相試験(CNTO1959PSA2001)のデータを用いた曝露応答モデル分析に基づき、グセルクマブの第3相PsAプログラムで評価するために2つの用量レジメンを選択し、適格な対象をランダムに割り付け、0週目に以下の3つの治療の1つを投与した:
●グセルクマブ100mg q4w:0週目~48週目にSCグセルクマブ100mg q4wを受けた。
●0週目及び4週目にグセルクマブ100mg、次いでq8w(以下、グセルクマブ100mg q8w群と呼ぶ):対象は、0週目及び4週目でSCグセルクマブ100mgを、次いでq8w(12、20、28、36、44週目)、及び他の来院(8、16、24、32、40、48週目)でのプラセボ注射を受けて、盲検化を維持した。
●プラセボ:0週目~20週目のSCプラセボq4w、及び24週目でクロスオーバーして24週目~48週目にSCグセルクマブ100mg q4wを受けた。
【0426】
0週目及び4週目に、次いで8週毎にグセルクマブ100mgの用量レジメンの根拠
●この用量レジメンを、PsAの第2相試験(CNTO1959PSA2001)及び乾癬の3つのグローバル第3相試験において評価した。CNTO1959PSA2001試験では、関節の兆候及び症状、身体的機能、乾癬、腱付着部炎、指炎、並びに活動性PsA及びBSAの≧3%の乾癬患者における生活の質を含むPsAの全ての重要なドメインにおいて、この用量レジメンにより、強固な有効性及び臨床的に意味のある改善が観察された。更に、第3相乾癬試験では、中等度から重度の乾癬を有する患者の尋常性乾癬に対しても、この用量レジメンで有意な利益が観察された。
●更なる用量を4週目に含めて、トラフグセルクマブレベルが定常状態レベルで得られたものよりも低下しないことを確実にした。4週目の追加投与により、最初の12週間のCmax及びCtroughが定常状態での値(それぞれ、約21%及び約18%)よりもわずかに高くなり、その結果、応答がより早く発現する可能性がある。しかしながら、この用量レジメンは、維持中のq8w投与、すなわち、24週目以降からのq8w投与によって達成されるよりも、24週において実質的に高いレベルの有効性をもたらすとは予想されない。
●この用量レジメンの安全性は、大規模な乾癬開発プログラムで確立されている。更に、PsA及びRAを有する患者における第2相試験における安全性プロファイルは、乾癬プログラムにおいて見られるものと一致する。
【0427】
4週毎のグセルクマブ100mgの用量レジメンの根拠
●100mg q4wの用量レジメンを含めて、より高頻度の投与がPsAにおいてより高い有効性を達成し得るかどうかを判定した。
●CNTO1959PSA2001からのデータに基づくモデル分析は、より高い又はより高頻度の用量レジメンが、PsAにおいてより良好な有効性を達成し得ることを示唆した。
●抗TNFα又は他の生物学的治療に対する不十分な応答を有する患者は、治療することがより困難であり、より高い投与量25から利益を受け得る。
●100mgのq4w用量レジメンによる治療は、第3相乾癬プログラムにおける曝露安全性分析に基づいて許容可能な安全性をもたらすことが予想された。
●グセルクマブは、第2相RA試験(200mg q8w)で試験された、より高い用量レジメンを含む、複数の患者集団において許容可能な安全性プロファイルを有することが示されている。
【0428】
全体として、本試験のために選択されたグセルクマブ(100mg q4w及び100mg q8w)の2回用量レジメンは、PsAにおけるグセルクマブの最適な利益/リスクプロファイルの適切な評価を提供することが予想された。
【0429】
試験薬剤は、0週及び4週で健康管理専門家(HCP)によって、施設で投与された。8週目で始めて、治験責任医師及び対象の裁量において、及び適切かつ裏付けられたトレーニングの後、対象は、HCPの監督下の治験施設で試験薬剤を自己投与するか、又はHCPによって行われる試験薬剤注射を継続するかの選択肢を与えられた。
【0430】
施設における24週目までの試験薬剤投与は、予定された試験薬剤投与日から±4日に行うこととした。試験薬剤投与は、少なくとも14日間離すこととした。
【0431】
有効性評価-エンドポイント
主要エンドポイント
主要エンドポイントは、24週目にACR 20応答を達成する対象の割合である。
【0432】
主な副次的エンドポイント
1.ベースラインで3%以上のBSAの乾癬性病変及び2(軽度)以上のIGAスコアを有する対象のうち、24週目でIGA(すなわち、ベースラインから0[クリア]又は1[最小]及び2以上のグレード低下)の乾癬応答を有する対象の割合。
2.24週目のHAQ DIスコアのベースラインからの変化。
3.24週目のSF-36 PCSのベースラインからの変化。
4.24週目のDAS28 MCSのベースラインからの変化。
5.16週目にACR20応答を達成する患者の割合。
6.24週目にACR50応答を達成する患者の割合。
7.24週目にACR70応答を達成する患者の割合。
8.16週目にACR50応答を達成する患者の割合。
9.ベースラインにおける腱付着部炎を有する対象の中の24週目に腱付着部炎の消散を有する対象の割合。
10.ベースラインにおいて腱付着部炎を有する対象における、24週目の(LEIに基づく)腱付着部炎スコアのベースラインからの変化。
11.ベースラインにおいて指炎を有する対象の中の24週目に指炎の消散を有する対象の割合。
12.ベースラインにおいて指炎を有する対象における、24週目の指炎スコアのベースラインからの変化。
13.24週目のSF-36 MCSのベースラインからの変化。
【0433】
他の副次的エンドポイント
徴候及び症状の低減並びに身体機能に関連したエンドポイント
1.24週目までの経時的な来院による、ACR20、ACR50、及びACR70応答を達成した対象の割合。
2.24週目までの来院によるACRコンポーネント。
3.24週目までの経時的な来院によるACRコンポーネント中のベースラインからの変化率。
4.24週目までの経時的な来院によるHAQ-DIスコアのベースラインからの変化。
5.ベースラインでHAQ-DIスコアが0.35以上である対象のうち、24週目までの経時的な来院によってHAQ-DIスコアの臨床的に意味のある改善(ベースラインから0.35以上の改善)を達成した対象の割合。
6.24週目までの経時的な来院による、DAS28(CRP)応答を達成した対象の割合。
7.24週目までの経時的な来院による、DAS28(CRP)寛解を達成した対象の割合。
8.24週目までの経時的な来院によるDAS28(CRP)のベースラインからの変化。
9.24週目までの経時的な来院による、修正PsARCに基づいて応答を達成した対象の割合。
10.ベースラインで建腱付着部炎を有する対象のうち、24週目までの経時的な来院による、腱付着部炎の消散を有する対象の割合。
11.ベースラインで腱付着部炎を有する対象における、24週目までの経時的な来院による腱付着部炎スコアのベースラインからの変化。
12.ベースラインで指炎を有する対象のうち、24週目までの経時的な来院による、指炎の消散を有する対象の割合。
13.ベースラインで指炎を有する対象における、24週目までの経時的な来院による指炎スコアのベースラインからの変化。
14.24週目までの経時的な来院スコアによるPASDASのベースラインからの変化。
15.24週目までの経時的な来院によるGRACE指数のベースラインからの変化。
16.24週目までの経時的な来院によるDAPSAスコアのベースラインからの変化。
17.24週目までの経時的な来院による、MDAを達成した対象の割合。
18.ベースライン時にPsAの主要な関節炎の症状の提示として脊椎炎及び末梢関節病変があり、BASDAIスコアが0超である対象のうち、24週目までの経時的な来院により、BASDAIスコアでベースラインから20%以上、50%以上、70%以上、及び90%以上の改善を達成した対象の割合。
19.ベースラインで脊椎炎及びPsAの末梢関節炎の症状を示しBASDAIが0超の対象における、24週目までの経時的な来院によるBASDAIスコアのベースラインからの変化。
20.24週目までの経時的な来院による、PASDASに基づく疾患活動性が低い又は非常に低い対象の割合。
21.24週までの経時的な来院による、GRACEスコアに基づく疾患活動性が低い又は非常に低い対象の割合。
22.24週目までの経時的な来院による、DAPSAに基づく低い疾患活動性又は寛解を有する対象の割合。
23.24週目までの経時的な来院による、疾患活動性が非常に低い対象の割合。
【0434】
皮膚疾患に関連したエンドポイント
1.ベースライン時に3%以上のBSAの乾癬性病変及び2(軽度)以上のIGAスコアを有する対象のうち、24週目までの経時的な来院による、PASIスコアがベースラインから75%以上、90%以上、及び100%改善を達成した対象の割合。
2.ベースライン時に3%以上のBSAの乾癬性病変及び2(軽度)以上のIGAスコアを有する対象のうち、24週目までの経時的な来院による、PASI75応答及びACR20応答の両方を達成した対象の割合。
3.ベースライン時に3%以上のBSAの乾癬性病変及び2(軽度)以上のIGAスコアを有する対象のうち、24週目までの経時的な来院による、PASI75応答及びPsARC応答の両方を達成した対象の割合。
4.ベースライン時に3%以上のBSAの乾癬性病変及び2(軽度)以上のIGAスコアを有する対象のうち、24週目までの経時的な来院による、0(クリア)のIGAスコアを有する対象の割合。
5.ベースライン時に3%以上のBSAの乾癬性病変及び2(軽度)以上のIGAスコアを有する対象における、24週目までの経時的な来院によるPASIスコアのベースラインからの変化。
【0435】
健康関連の生活の質に関連したエンドポイント
1.24週目までの経時的な来院によるSF-36 PCSスコアのベースラインからの変化。
2.24週目までの経時的な来院によるSF-36 MCSスコアのベースラインからの変化。
3.24週目までの経時的な来院によるSF-36のドメインスケールスコアのベースラインからの変化。
4.24週目までの経時的な来院による、SF-36 MCSスコアのベースラインからの5ポイント以上の改善を達成した対象の割合。
5.24週目までの経時的な来院による、SF-36 PCSスコアのベースラインからの5ポイント以上の改善を達成した対象の割合。
6.24週目までの経時的な来院によるFACIT倦怠感のベースラインからの変化。
7.24週目までの経時的な来院による、FACIT倦怠感スコアの改善においてベースラインから4ポイント以上の改善を達成した対象の割合。
8.24週目までの経時的な来院によるPROMIS 29スコアのベースラインからの変化。
9.24週目のACR20応答(主要エンドポイント)による24週目のFACIT-倦怠感スコアのベースラインからの変化。
10.24週目のACR20応答(主要エンドポイント)による、24週目にFACIT-倦怠感スコアのベースラインから4ポイント以上の改善を達成した対象の割合。
11.24週目までの来院による、PROMIS-29ドメインスコアの3ポイント以上の改善を達成した対象の割合。
12.24週目までの来院による、PROMIS-29ドメインスコアの5ポイント以上の改善を達成した対象の割合。
【0436】
結果
薬物動態、免疫原性、薬力学、及び薬理学的結果
少なくとも1回のグセルクマブ投与を受け、グセルクマブ投与後に少なくとも1つの有効試料の採取を受けた全254人の対象を、PK評価に含めた。プラセボのみを受けた対象は、PK評価から除外された。
【0437】
経時的血清グセルクマブ濃度
24週目までのグセルクマブ治療群及び受診別のトラフ血清グセルクマブ濃度の中央値及びIQ値の範囲を図11にグラフで示した。
【0438】
グセルクマブのSC投与後、トラフ血清グセルクマブ濃度は、グセルクマブ100mg q4w群では12週目までに、100mg q8w群では20週目までに、概ね定常状態に達した(図11)。グセルクマブ100mg q4w群では、12週目の定常状態トラフ血清グセルクマブ濃度の中央値は3.90μg/mLであり、24週目まで維持された(4.34μg/mL)。グセルクマブ100mg q8w群では、20週目の定常状態トラフ血清グセルクマブ濃度の中央値は0.95μg/mLであった。グセルクマブ100mg q4w群の定常状態トラフ血清グセルクマブ濃度の中央値は、グセルクマブ100mg q8w群と比較して約4~5倍高かった(図11)。
【0439】
グセルクマブ100mg q4w群では、EE基準を満たした対象と満たさなかった対象の12週目の定常状態トラフ血清グセルクマブ濃度の中央値は、それぞれ1.41及び3.99μg/mLであった。グセルクマブ100mg q8w群では、EE基準を満たした対象と満たさなかった対象の20週目の定常状態トラフ血清グセルクマブ濃度の中央値は、それぞれ0.89及び0.96μg/mLであった。EE基準を満たした対象では、中央値定常状態トラフグセルクマブ濃度が低くなっているようであった。しかし、EE基準を満たした対象の数は各治療群で少なかった(n≦4)ことに留意されたい。
【0440】
グセルクマブに対する抗体の発生率
グセルクマブに対する抗体評価には、グセルクマブの投与を少なくとも1回以上受け、グセルクマブに対する抗体を検出するための適切な試料を有する対象合計254名が含まれた。
【0441】
24週目までのグセルクマブに対する抗体の全体的な発生率は、PsAを有する対象において低かった(2.0%、5/254)(表27)。グセルクマブ100mg q4w群では、24週目までのグセルクマブに対する抗体の発生率は3.1%(4/128)であった。グセルクマブ100mg q8w群では、24週目までのグセルクマブに対する抗体の発生率は0.8%(1/126)であった。グセルクマブ100mg q4w群で、観察されたグセルクマブに対する抗体の最高力価は1:5120であった。
【0442】
グセルクマブ状況に対する抗体が陽性の状態であった5名の対象のうち、グセルクマブ100mg q4w群の1名(20%)の対象は、グセルクマブに対するNAbsが陽性であった(添付資料TIR02)。
【0443】
ベースラインにおいてMTXを使用した場合と使用しない場合とのグセルクマブに対する抗体の発生率は、それぞれ1.4%(2/139)、2.6%(3/115)であった(添付資料TIR03)。ベースラインでDMARDを使用した場合としなかった場合とのグセルクマブに対する抗体の発生率は、それぞれ1.2%(2/164)と3.3%(3/90)であった(添付資料TIR04)。全体として、MTX又はDMARDを併用している対象では、DMARDのMTXを併用していない対象と比較して、24週目までのグセルクマブに対する抗体の発生率は低いようであった。しかし、グセルクマブに対する抗体が陽性の状態となった対象の数は少なく、MTX又はDMARDの併用にかかわらず、グセルクマブ状況に対する抗体の発生率は低かったことに留意されたい。
【0444】
更に、以前の抗TNFαの使用は、グセルクマブに対する抗体の発生率に明らかな影響を及ぼさなかった。以前の抗TNFαの使用がある場合とない場合とのグセルクマブに対する抗体の発生率は、それぞれ2.5%(2/79)及び1.7%(3/175)であった(添付資料TIR05)。
【0445】
24週目までグセルクマブに対する抗体について陽性であった対象のリストを添付資料LIR01に提供する。試験薬剤を早期に中止し、最後の安全性追跡調査来院時に適切な試料を有した対象における24週目までの抗グセルクマブ状態のリストを添付資料LIR02に提供する。
【0446】
【表27】
【0447】
グセルクマブに対する抗体及び薬物動態
グセルクマブで治療を受けた対象の24週目までの血清グセルクマブ濃度を、治療群及びグセルクマブに対する抗体の状態によりまとめた(添付資料TPKIR01)。24週目までの血清グセルクマブ濃度の中央値及びIQ範囲を、24週目までのグセルクマブに対する抗体の状態により、図12にグラフ化した。グセルクマブに対する抗体が陽性であった対象の24週目までの個々の血清グセルクマブ濃度も記載した。
【0448】
グセルクマブ100mg q4w群では、グセルクマブに対する抗体が陽性の状態であった4名の対象において、血清グセルクマブ濃度の中央値が、グセルクマブに対する抗体が陰性であった対象と比較して低くなっていた。グセルクマブ100mg q8w群では、グセルクマブに対する抗体が陽性であった対象は1名のみであり、この対象は12週目までのみ血清濃度を測定した。グセルクマブに対する抗体が陽性であった対象の数は非常に少なく(5)、グセルクマブのPKに対する免疫原性の影響に対する明確な結論には限界があることに留意されたい(図12)。
【0449】
有効性の結果
主要有効性エンドポイント分析
24週におけるACR20応答
24週目には、グローバル(米国外)及び米国固有の多重度試験手順の両方に基づき、ACR20応答を達成した対象の割合が、プラセボ群(22.2%)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群(59.4%)及びグセルクマブ100mg q8w群(52.0%)の両方において有意に高かった(いずれも調整後p<0.001;表28)。ACR20応答率は、グセルクマブ100mg q4w群がグセルクマブ100mg q8w群と比較してわずかに高かった。
【0450】
【表28】
【0451】
24週目のACR20応答については、グセルクマブの両用量群において、全ての人口統計学的下位群でプラセボに対する改善が一貫して観察された。性別、人種、年齢、体重又はBMI、及び参加国によって定義された下位群の大部分において、プラセボと比較した各グセルクマブ治療群のオッズ比の95%CIの下限は1を超え、ACR20応答者の割合の差の95%CIの下限は0を超え、グセルクマブ投与群に有利であった。
【0452】
プラセボに対する改善は、以前の非生物学的DMARD若しくは抗TNFα薬剤の使用、又はNSAID、経口コルチコステロイド、若しくは非生物学的DMARDのベースライン使用によって定義された下位群の大部分の2つのグセルクマブ用量群の各々で24週目のACR20応答で一貫して観察された。これらの下位群の大部分において、プラセボと比較した各グセルクマブ投与群のオッズ比の95%CIの下限は1を超え、ACR20応答者の割合の差の95%CIの下限は0を超え、グセルクマブ投与群が有利であった。非生物学的DMARD又は抗TNFα薬剤への応答が不十分であった対象においても、プラセボに対する改善が観察された。
【0453】
主な副次的有効性エンドポイント分析
グローバル(米国外)及び米国固有の試験手順の両方で多重度が制御された主な副次的エンドポイント
24週目における乾癬IGA応答
ベースライン時、グセルクマブ100mg q4w群89人、グセルクマブ100mg q8w群82人、プラセボ群78人の対象は、ベースライン時の3%以上のBSAの乾癬性病変及び2以上のIGAスコアを有した。これらの対象のうち、両グセルクマブ群で、プラセボ群と比較して、24週目にIGAスコアが0(クリア)又は1(最小)となり、ベースラインから2グレード以上低下した対象の割合が有意に高かった(グローバル及び米国固有の調整後p<0.001;表29)。
【0454】
【表29】
【0455】
24週目までのHAQ-DIスコアのベースラインからの変化
HAQ-DIにより身体的機能を評価した。24週目には、HAQ-DIスコアのベースラインからの低下が、複合推定値に基づき、両方のグセルクマブ群で、プラセボ群と比較して有意に大きいことが観察された(両方ともグローバル及び米国固有の調整後p<0.001;表30。
【0456】
【表30】
【0457】
24週目におけるSF-36 PCSのベースラインからの変化
健康関連の生活の質を、SF-36を使用して評価した。24週目には、SF-36 PCSスコアのベースラインからの改善が、複合推定値に基づいて、両方のグセルクマブ群で、プラセボ群と比較して有意に大きいことが観察された(両方ともグローバル及び米国固有の調整済みp<0.001;表31)。
【0458】
【表31】
【0459】
24週目のDAS28(CRP)のベースラインからの変化
24週目には、DAS28(CRP)スコアのベースラインからの低下が、両方のグセルクマブ群で、プラセボと比較して有意に大きいことが観察された(両方ともグローバル調整後p<0.001;表32)。
【0460】
【表32】
【0461】
16週目のACR20応答
16週目に、プラセボ群の対象と比較して、両方のグセルクマブ群の対象の有意に高い割合が、ACR20応答を達成した(両方ともグローバル調整後p<0.001;表33)。
【0462】
【表33】
【0463】
24週目のACR50応答
24週目に、両方のグセルクマブ群の対象の有意に大きな割合が、プラセボ群の対象と比較して、ACR50応答を達成した(両方ともグローバル調整後p<0.001;表34)。
【0464】
【表34】
【0465】
24週目のACR70応答
グセルクマブ100mg q4w用量レジメン。24週目に、プラセボ群の対象と比較して、グセルクマブ100mg q4w群の対象の有意に大きな割合が、ACR70応答を達成した(グローバル調整後p<0.001;表35)。
【0466】
グセルクマブ100mg q8w用量レジメン。プラセボ群の対象と比較して、グセルクマブ100mgのq8w群における数値的により大きな割合の対象が、24週目にACR70応答を達成した。しかしながら、統計的有意性は達成されなかった(グローバル調整後p=0.086;表35)。
【0467】
【表35】
【0468】
16週目のACR 50応答
グセルクマブ100mg q4w用量レジメン。16週目に、プラセボ群の対象と比較して、グセルクマブ100mg q4w群における有意に大きな割合の対象が、ACR50応答を達成した(グローバル調整後p=0.006;表36)。
【0469】
グセルクマブ100mg q8w用量レジメン。プラセボ群の対象と比較して、グセルクマブ100mgのq8w群における数値的により大きな割合の対象が、16週目にACR50応答を達成した。しかしながら、多重度調整の後、統計的有意性は達成されなかった(グローバル調整後p=0.086;表36)。
【0470】
【表36】
【0471】
多重度について制御されていない主な副次的エンドポイント
LEIを使用して評価された腱付着部炎
腱付着部炎に関連するエンドポイントを、腱付着部炎がベースライン時にLEIによって評価された対象で評価した:グセルクマブ100mg q4w群の73人の対象、グセルクマブ100mg q8w群の72人の対象、及びプラセボ群の77人の対象。
【0472】
グセルクマブの腱付着部炎への影響を、2つのアプローチを使用して評価した:24週目に腱付着部炎(LEI)の消散を達成した対象の数と、複合推定値に基づく24週目の腱付着部炎スコア(LEI)のベースラインからの変化。腱付着部炎の消散が見られない場合、非応答者の代入が使用され、LEIのベースラインからの変化が欠落している場合はMIが使用された。
【0473】
24週目の腱付着部炎の消散
24週目には、ベースライン時に腱付着部炎を有していた222名(58.3%)の対象のうち、プラセボ群では27.3%と比較して、グセルクマブ100mg q4w群で47.9%及びグセルクマブ100mg q8w群で40.3%が腱付着部炎の消散を達成した(それぞれ、名目p=0.013、p=0.094)。
【0474】
24週目における腱付着部炎スコアのベースラインからの変化
24週目には、ベースライン時に腱付着部炎を有していた222名(58.3%)の対象のうち、LEIスコアのベースラインからのLS平均変化は、プラセボ群の-1.01と比較して、グセルクマブ100mg q4w群で-1.75、グセルクマブ100mg q8w群で-1.35であった(それぞれ、名目p=0.004及び名目p=0.185)。
【0475】
指炎
指炎に関連するエンドポイントは、ベースラインで指炎を有していた対象:グセルクマブ100mg q4w群の38人の対象、グセルクマブ100mg q8w群の49人の対象、及びプラセボ群の55人の対象において評価した。
【0476】
グセルクマブの指炎への影響を、2つのアプローチを使用して評価した:24週目に指炎の消散を達成した対象の数、及び複合推定値に基づく24週目の指炎スコアのベースラインからの変化。指炎の消散が欠落している場合は非応答者の代入を使用し、指炎のベースラインからの変化が欠落している場合はMIを使用した。
【0477】
24週目の指炎の消散
24週目には、ベースライン時に指炎を有していた142名(37.3%)のうち、グセルクマブ100mg q4w群(63.2%、名目p=0.212)及びグセルクマブ100mg q8w群(65.3%、名目p=0.088)で、プラセボ群(49.1%)と比較して、指炎が消散した対象の割合が数値的に大きかった。
【0478】
24週目における指炎スコアのベースラインからの変化
24週目には、ベースラインで指炎を有していた142名(37.3%)のうち、グセルクマブ100mg q4w群(ベースラインからのLS平均変化:-5.82、名目p=0.225)及びグセルクマブ100mg q8w群(ベースラインからのLS平均変化:-6.11、名目p=0.121)で、プラセボ群(ベースラインからのLS平均変化:-4.30)と比較して、指炎スコアのベースラインからの数値的により大きい低下が観察された。
【0479】
24週目におけるSF-36 MCSのベースラインからの変化
24週目に、グセルクマブ100mg q4w群(LS平均:3.60、名目p=0.214)及びグセルクマブ100mg q8w群(LS平均:3.20、名目p=0.398)で、プラセボ群(LS平均:2.37)と比較して、SF-36 MCSスコアのベースラインからの数値的により大きい改善が観察された。
【0480】
関節の兆候及び症状の低減に関連した他の有効性エンドポイント
24週目までのACR20、ACR50、ACR70応答
24週目までのACR20、ACR50、ACR70応答は、グセルクマブの2群で、プラセボ群のものよりも一貫して高かった。
【0481】
グセルクマブ100mg q4w群については、ACR20、ACR50、ACR70の応答率のプラセボ群からの分離が、それぞれ4週目、12週目、及び20週目に初めて観察された(名目p≦0.05と定義)。グセルクマブ100mg q8w群については、ACR20及びACR50の応答率のプラセボからの分離は、それぞれ8週目及び12週目に初めて観察された。ACR20の最大の応答は、グセルクマブ100mg q4wでは20週目、グセルクマブ100mg q8wでは16週目に観察された。
【0482】
ACR20、ACR50、ACR70の応答率は、24週目まで経時的に、グセルクマブ100mg q4w群の方がグセルクマブ100mg q8w群よりも数値的に高く、24週目のACR70の応答率で最大の差が観察された(図13図14図15)。
【0483】
ACRコンポーネント
ACR応答の7つのコンポーネントは、膨脹関節数及び圧痛関節数、患者による疼痛の評価(VASによる)、患者及び医師による疾患活動性のグローバル評価(VASによる)、HAQ-DI、並びにCRPである。
【0484】
ACRの各コンポーネントのベースラインからの低下率の中央値は、24週目まではグセルクマブ治療の両群で概ね増加した。HAQ-DIを除くほとんどのACRコンポーネントでは、両グセルクマブ治療群とも4週目からプラセボと比較してベースラインからの低下率が数値的に大きくなった。HAQ-DIについては、グセルクマブ100mg q4w群では4週目から、グセルクマブ100mg q8w群では8週目からプラセボとの数値差が観察された。
【0485】
24週目に、プラセボ群と比較したグセルクマブ100mg q4w群及び100mg q8w群のACRコンポーネントのベースラインからの変化率(中央値)は以下のとおりであった。
●膨脹関節数:それぞれ、-60.0%と比較して、-87.5%及び83.3%
●圧痛関節数:それぞれ、-37.8%比較して、66.7%及び66.7%
●患者による疼痛評価:それぞれ、-8.20%と比較して、-39.33%及び37.50%
●患者による疾患活動性のグローバル評価:それぞれ、-10.23%と比較して、-44.00%及び42.86%
●医師による疾患活動性のグローバル評価:それぞれ、-32.43%と比較して、-70.21%及び58.31%
●HAQ-DIスコア:それぞれ-6.9048%と比較して、-33.3333%及び25.0000%
●CRP:それぞれ、-21.185%と比較して、-37.423%及び-24.423%
24週目までのACRコンポーネントに観察された、グセルクマブ治療2群間に一貫した差はなかった。
【0486】
DAS28(CRP)
早くも4週目における第1の評価で、DAS28(CRP)スコアのベースラインからの変化におけるプラセボからの分離が、両方のグセルクマブ治療群において観察された。治療効果は、プラセボと比較して、グセルクマブ100mg q4w及びq8w群の両方について、24週目まで経時的に増加した(両方とも名目P<0.001;表32)。治療効果は、グセルクマブ100mg q4w群が、グセルクマブ100mg q8w群と比較して数値的に大きく、特に16週目~24週目に最も顕著であった。
【0487】
16週目のDAS28(CRP)スコアのベースラインからの変化について、治療方針推定値に基づく転換点分析を、データ欠落に対するMIを用いて行った。
【0488】
24週目までのDAS28(CRP)応答
DAS28(CRP)の良好又は中等度の応答を達成した対象の割合は、両グセルクマブ治療群ともに時間の経過とともに増加し、12週目にピークに達した(プラセボからの分離は、グセルクマブ100mg q4w投与群では4週目から、グセルクマブ100mg q8w投与群では8週目から観察された)。
【0489】
24週目にDAS28(CRP)の良好又は中等度の応答を達成した対象の割合は、プラセボ群の44.4%(いずれも名目p<0.001)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群では76.6%、グセルクマブ100mg q8w群では70.9%であった。
【0490】
効果の大きさは、4週目及び12週目~24週目において、グセルクマブ100mg q8w群よりもグセルクマブ100mg q4w群のほうが数値的に大きかった。
【0491】
24週目までにDAS28(CRP)寛解(<2.6)を達成した対象の割合は、2つのグセルクマブ群でプラセボ群と比較して一貫して高かった。プラセボからの分離は、グセルクマブ100mg q4w群では12週目~24目、グセルクマブ100mg q8w群では12週目、16週目、24週目に観察されたが、20週では観察されなかった(プラセボの応答が高かったため)。ピーク応答は、両方のグセルクマブ治療群で20週目に観察され、治療効果は、16週目から24週目までに、グセルクマブ100mg q8w群よりもグセルクマブ100mg q4w群で数値的に大きかった。
【0492】
24週目に、DAS28(CRP)の寛解は、プラセボ群(12.7%)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群とグセルクマブ100mg q8w群で高い割合で達成された(それぞれ35.9%、23.6%)(それぞれ、名目p<0.001及びp=0.025)。
【0493】
24週目までの修正PsARCに基づく応答
グセルクマブ治療群の両方において修正PsARC応答を達成した対象の割合は、4週目~24週目に経時的に増加した。プラセボからの分離は、グセルクマブ100mg q4w群では4週目から、グセルクマブ100mg q8w群では8週目から観察された。ピーク応答は、グセルクマブ治療群の両方についての20週目で観察され、治療効果は、4週目及び12週目から24週目まで、グセルクマブ100mg q8w群における治療効果よりもグセルクマブ100mg q4w群における治療効果の方が数値的に大きかった。
【0494】
24週目に、修正PsARC応答を達成した対象の割合は、プラセボ群の31.0%と比較して、グセルクマブ100mg q4w群で72.7%、グセルクマブ100mg q8w群で59.8%であった(いずれも名目p<0.001)。
【0495】
DAPSA指数
24週目までのDAPSAのベースラインからの変化。グセルクマブ100mg q4w群及び100mg q8w群では、プラセボ群と比較して、4週目~24週目の経時的なDAPSA指数のベースラインからの変化の大きな改善が観察された(いずれも名目p<0.05)。両方のグセルクマブ治療群で16週目~24週目にピーク効果が観察され、効果の大きさは4週目~24週目の2つのグセルクマブ治療群間で同等であった。
【0496】
24週目に、DAPSA指数のベースラインからの低下は、プラセボ群(ベースラインからのLS平均変化:-10.749)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群(ベースラインからのLS平均変化:-20.621)及びグセルクマブ100mg q8w群(ベースラインからのLS平均変化:-21.332)で数値的により大きかった(いずれも名目p<0.001)。
【0497】
DAPSAに基づく低疾患活動性又は寛解
低い疾患活動性:24週目まで、DAPSA指数に基づく低疾患活動性を達成した対象の割合は、プラセボ群と比較して、2つのグセルクマブ群で一貫して高かった。プラセボからの分離は、グセルクマブ100mg q4w群では8週目~24週目に、グセルクマブ100mg q8w群では16週目~24週目に観察された。24週目に、DAPSA指数に基づいて低い疾患活動性を達成した対象の割合は、プラセボ群の16.7%と比較して、グセルクマブ100mg q4w群で49.2%、グセルクマブ100mg q8w群で40.9%であった(両方とも名目p<0.001)。
【0498】
寛解:24週目まで、DAPSA指数に基づいて寛解を達成した対象の割合は、プラセボ群と比較して2つのグセルクマブ群で数値的に高かった。プラセボからの分離は、グセルクマブ100mg q4w群では20週目及び24週目に観察され、グセルクマブ100mg q8w群では24週目まで観察されなかった。24週目に、DAPSA指数に基づいて寛解を達成した対象の割合は、プラセボ群の4.8%と比較してグセルクマブ100mg q4w群(名目p=0.017)で14.1%、グセルクマブ100mg q8w群(名目p=0.785)で6.3%であった。
【0499】
身体的機能に関連した他の有効性エンドポイント
24週目までのHAQ-DIスコアのベースラインからの変化
24週目までに、プラセボと比較して、HAQ-DIのベースラインからの数値的により大きな低下が、2つのグセルクマブ群で経時的に一貫して観察された。プラセボからの分離は、グセルクマブ100mg q4w群では4週目~24週目に、グセルクマブ100mg q8w群では12週目~24週目に観察され、グセルクマブ100mg q4w群では24週目に、グセルクマブ100mg q8w群では20週目に最大の効果が観察された。効果の大きさは、4週目から24週目まで、グセルクマブ100mg q8w群よりもグセルクマブ100mg q4w群で数値的に大きかった。
【0500】
16週目のHAQ-DIスコアのベースラインでの変化について、MI及びANCOVAを使用した治療方針推定値に基づく転換点分析を行った。治療方針推定値に基づく結果は、主な分析のものと一致した。グセルクマブ100mg q4w群、グセルクマブ100mg q8w群、及びプラセボ群において、データが欠落している対象が、それぞれ、1、3、及び4人いた。転換点分析では、グセルクマブにペナルティを課し、及び/又はプラセボを有利にする非現実的仮定の下でのみ結果が転換することが示され、結果の堅牢性が示された。
【0501】
24週目までのHAQ DI応答
ベースラインでは、グセルクマブ100mg q4w群の110人の対象、グセルクマブ100mg q8w群の112人の対象、及びプラセボ群の110人の対象のHAQ-DIスコアは、0.35以上であった。24週目まで、2つのグセルクマブ群で、プラセボと比較して、より高いHAQ-DI応答率(ベースラインからの0.35以上の改善として定義)が経時的に一貫して観察された。プラセボからの分離は、両方のグセルクマブ治療群で8週目~24週目に観察された。ピーク効果は、グセルクマブ100mg q4w群では16週目に、グセルクマブ100mg q8w群では20週目に観察された。効果の大きさは、12週目~24週目においては、グセルクマブ100mg q8w群よりもグセルクマブq4w群の方が数値的に大きかった。24週目に、ベースラインでHAQが0.35以上であった対象のうち、HAQ-DI応答を達成した対象の割合は、プラセボ群の29.1%と比較して、グセルクマブ100mg q4w群で57.3%(名目p<0.001)、グセルクマブ100mg q8w群で50.9%(名目p=0.001)であった。
【0502】
皮膚疾患に関連した他の有効性エンドポイント
皮膚疾患に関連するエンドポイントを、ベースラインで3%以上のBSAの乾癬性病変及び2(軽度)以上のIGAスコアを有する対象で評価した:グセルクマブ100mg q4w群で89人の対象、グセルクマブ100mg q8w群で82人の対象、及びプラセボ群で78人の対象。0、16、及び24週目に、IGA及びPASIの評価を収集した。
【0503】
IGA
24週目までの乾癬IGA応答
ベースラインで3%以上のBSAの乾癬性病変及び2以上のIGAスコアを有する対象249人(65.4%)のうち、16週目に乾癬応答(IGAが0[クリア]又は1[ミニマム]、ベースラインからのグレード低下が2以上)を達成した対象の割合は、プラセボ群(16.7%;名目p<0.001)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群(64.0%)及び100mg q8w(62.2%)群で高かった。24週目に、IGA応答を達成した対象の割合は、グセルクマブ100mg q4w群で更に増加し、プラセボ群と比較してグセルクマブ100mg q8w群で高いままであった(両方とも名目p<0.001;表29)。効果の大きさは、16週目の2つのグセルクマブ治療群間で同等であり、24週目のq8w群と比較してグセルクマブ100mg q4w群で数値的に高かった。
【0504】
MIを使用した治療方針推定値に基づく転換点分析を、IGAスコアが0(クリア)又は1(最小)で、16週目にベースラインから2グレード以上低下した対象の数について実施した。
【0505】
24週目まで0(クリア)のIGAスコア
ベースラインで3%以上のBSAの乾癬性皮膚病変及び2以上のIGAスコアを有する249(65.4%)人の対象のうち、16週目にIGAスコア0(クリア)を達成した対象の割合は、プラセボ群と比較して、グセルクマブ100mg q4w群及び100mg q8w群で高かった(いずれも名目p<0.001;表37)。24週目に、0(クリア)のIGAスコアを達成した対象の割合は、プラセボ群の7.7%(名目p<0.001)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群及びグセルクマブ100mg q8w群において、それぞれ53.9%と38.3%に更に増加した。効果の大きさは、16週目にはグセルクマブ100mg q4w群がグセルクマブ100mg q8w群と比較して数値的に大きくなり、24週目には2つのグセルクマブ治療群間の差が更に増加した。3%以上のBSAの乾癬性病変を有する対象のうち、治療方針推定値に基づいて、24週目までに評価可能な対象でIGAスコア0(クリア)を達成した対象の数。
【0506】
【表37】
【0507】
PASI
24週目までのPASI応答
ベースラインで3%以上のBSAの乾癬性病変及び2(軽度)以上のIGAスコアを有する249人(65.4%)の対象のうち、24週目までにPASI50、PASI75、PASI90、及びPASI100応答を達成した対象の数を、表38及び表39に提供する。
【0508】
これらの対象のうち、16週目にPASI50、PASI75、PASI90、PASI100応答を有した対象の割合は、プラセボ群と比較して、グセルクマブ治療群の両方で高かった(全て名目p≦0.006)。応答率は、グセルクマブ治療群の両方で、24週目に増加した。
【0509】
24週目に、PASI 100応答を達成した対象の割合は、プラセボ群の6.4%に対し、グセルクマブ100mg q4w群で44.9%、グセルクマブ100mg q8w群で25.6%であった(両方とも名目p<0.001)。
【0510】
効果の大きさは、16週目にはグセルクマブ100mg q4w群がグセルクマブ100mg q8w群と比較して数値的に大きくなり、24週目には2つのグセルクマブ治療群間の差が更に増加した。
【0511】
【表38】
【0512】
【表39】
【0513】
24週目までのPASIのベースラインからの変化
経時的なPASI応答を達成した対象の割合に関するデータと一致して、16週目及び24週目に、プラセボ群と比較して、両グセルクマブ治療群でベースラインからのPASIスコアのより大きな低下が観察された(いずれも名目P<0.001)。
【0514】
24週目では、PASIスコアのベースラインからの低下は、グセルクマブ100mg q4w群(ベースラインからのLS平均の変化:-10.915)及びグセルクマブ100mg q8w群(ベースラインからのLS平均の変化:-9.974)で、プラセボ群(ベースラインからのLS平均の変化:-2.317;両方とも名目p<0.001)と比較して大きかった。注目すべきは、16週目の効果の大きさはグセルクマブの2つの用量間で数値的に同等であり、24週目の効果の大きさはグセルクマブ100mg q4w群がグセルクマブ100mg q8w群に比べてわずかに大きかったことである。
【0515】
24週目までのPASI75及びACR20応答
16週目に、ベースラインで3%以上のBSAの乾癬性皮膚病変及び2以上のIGAスコアを有する249名の対象(65.4%)のうち、グセルクマブ治療群では、プラセボ投与群と比較して、PASI75及びACR20の両方の応答を達成した対象の割合が高かった(両方とも名目p<0.001;表40)。PASI75及びACR20応答の両方を達成した対象の割合は、プラセボと比較して、グセルクマブの両群で24週目に増加した(両方とも名目p<0.001)。効果の大きさは、16週目と24週目との両方で、グセルクマブ100mg q8w群と比較して、グセルクマブ100mg q4w群で数値的に大きかった。
【0516】
【表40】
【0517】
24週目までのPASI 75及び修正PsARC応答
ベースラインで3%以上のBSAの乾癬性病変及び2以上のIGAスコアを有する249名(65.4%)の対象のうち、グセルクマブ100mg q4w群(55.1%)と100mg q8w群(48.8%)との両群において、16週目にPASI75応答及び修正PsARC応答の両方を達成した対象の割合は、プラセボ群(9.0%)と比較して高かった(いずれも名目p<0.001;添付資料TEFPASI08)。PASI75とPsARCとの両方の応答を達成した対象の割合は、24週目には、プラセボ群(5.1%;両方とも名目p<0.001)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群(62.9%)で増加し、グセルクマブ100mg q8w群(50.0%)では高い数値のままであった。効果の大きさは、16週目と24週目との両方で、グセルクマブ100mg q8w群と比較してグセルクマブ100mg q4w群で数値的に大きかった。
【0518】
腱付着部炎に関連した他の有効性エンドポイント
リーズ腱付着部炎指数
LEI(0~6)は、次の腱付着部の圧痛を評価する:左右の上腕骨外側上顆、左右の大腿骨内側顆、及び左右のアキレス腱付着部。0、4、8、16、及び24週目にLEIを収集した。ベースライン時、グセルクマブ100mg q4w群の73人の対象、グセルクマブ100mg q8w群の72人の対象、及びプラセボ群の77人の対象が、0超のLEIを有した(表41)。
【0519】
ベースライン時に腱付着部炎を有した222人(58.3%)の対象のうち、
●4週目から24週目まで、腱付着部炎の消散を達成した対象の数は、プラセボ群と比較して、グセルクマブ100mg q4w群において数値的に大きかったが、プラセボからの分離は、24週目でのみ観察された。
●8週目及び24週目に、腱付着部炎の消散を達成した対象の数は、プラセボ群と比較して、グセルクマブ100mg q8w群において数値的に多かった。
【0520】
【表41-1】
【0521】
【表41-2】
【0522】
腱付着部炎LEIスコアのベースラインからの経時変化
16週目のグセルクマブ100mg q8wを除いて、ベースラインで腱付着部炎(0超のLEI)の222人(58.3%)の対象のうち、LEIスコアのベースラインからの数値的に大きな低下が4週目~24週目の両方のグセルクマブ治療群で観測され、最大の効果は24週目に観察された。プラセボからの分離は、4週目及び24週目に、グセルクマブ100mg q4w群で観察されたが、グセルクマブ100mg q8w群では観察されなかった。
【0523】
SPARCC腱付着部炎指数
SPARCC腱付着部炎指数を、0、4、8、16、及び24週目に収集した。ベースライン時に、グセルクマブ100mg q4w群の84人の対象、グセルクマブ100mg q8w群の86人の対象、及びプラセボ群の84人の対象は、0超のSPARCC腱付着部炎指数スコアを有した。この下位集団において、SPARCC腱付着部炎指数に基づいて、腱付着部炎の消散及びベースラインからの変化を評価した。
【0524】
24週目までのSPARCC腱付着部炎指数に基づく腱付着部炎の消散。ベースライン時に0超のSPARCC腱付着部炎指数スコアを有した254人(66.7%)の対象のうち、腱付着部炎の消散を達成した対象の数は、8週目~24週目のプラセボ群と比較して、グセルクマブ治療群の両方において数値的に多かった。24週目で、腱付着部炎の消散を達成した対象の割合は、プラセボ群の25.0%と比較して、グセルクマブ100mg q4w群で42.9%、グセルクマブ100mg q8w群で37.2%であった(それぞれ、名目p=0.019及びp=0.106)。
【0525】
24週目までのSPARCC腱付着部炎指数に基づく腱付着部炎のベースラインからの変化。ベースラインで0超のSPARCC腱付着部炎指数スコアを有する254人(66.7%)の対象のうち、腱付着部炎指数のベースラインからの数値的に大きな低下が、4週目から24週目までの両方のグセルクマブ治療群において観察され、24週目で最大低下が観察された。プラセボからの分離は、グセルクマブ100mg q4w群では8週目及び24週目に、グセルクマブ100mg q8w群では24週目に観察された。24週目では、グセルクマブ100mg q4w群のSPARCC腱付着部炎指数のベースラインからの変化の推定LS平均は、プラセボ群の-1.66と比較して、グセルクマブ100mg q8w群では-2.94及び-2.61であった(それぞれ、名目p=0.008及びp=0.048)。
【0526】
指炎に関連した他の有効性エンドポイント
0、4、8、16、及び24週目に指炎を評価した。ベースライン時、グセルクマブ100mg q4w群の38人の対象、グセルクマブ100mg q8w群の49人の対象、及びプラセボ群の55人の対象が、指炎を有した。
【0527】
指炎が存在する場合には、圧痛も評価した。ベースライン時、グセルクマブ100mg q4w群の36人の対象、グセルクマブ100mg q8w群の49人の対象、及びプラセボ群の49人の対象は、圧痛指炎を有していた。
【0528】
24週目までの指炎の消散
ベースライン時に指炎を有した142人(37.3%)の対象のうち、指炎の消散を達成した対象の割合は、16週目及び24週目で、プラセボと比較して、グセルクマブ治療群の両方で数値的に大きく、効果の大きさは、2つのグセルクマブ用量群間で同等であった。
【0529】
治療方針推定値に基づく結果は、24週目に観察された高プラセボ応答を除いて、複合推定値に基づく結果と概ね一致した。
【0530】
24週目までの指炎スコアのベースラインからの変化
ベースライン時に指炎を有した142人(37.3%)の対象のうち、8週目~24週目でプラセボ群と比較して、両方のグセルクマブ治療群において、指炎スコアのベースラインからの数値的により大きな低下が観察され、効果の大きさは、2つのグセルクマブ用量群間で同等であった。
【0531】
治療方針推定値に基づく結果は、複合推定値に基づくものと一致した。
【0532】
圧痛性指炎
ベースライン時に圧痛性指炎を有した134人(35.2%)のうち、圧痛性指炎を有していなかった対象の割合は、プラセボ治療群と比較してグセルクマブ100mg q4w及び100mg q8w治療群のいずれも、16週目(それぞれ52.2%と比較して65.7%及び70.8%)及び24週目(それぞれ69.8%と比較して74.3%及び75.5%)で数値的に大きかった。
【0533】
24週目までの圧痛性指炎のベースラインからの変化
ベースライン時に圧痛性指炎を有した134名(35.2%)のうち、プラセボ群と比較して、グセルクマブ100mg q4w群では16週目から、グセルクマブ100mg q8w群では8週目~24週目において、圧痛性指炎スコアのベースラインからの数値的に大きな低下が観察された。
【0534】
24週目では、グセルクマブ100mg q4w群の圧痛性指炎スコアのベースラインからの変化の推定LS平均は、プラセボ群の-2.1と比較して、グセルクマブ100mg q8w群では-3.2及び-3.1であった(それぞれ、名目p=0.078及びp=0.080)。
【0535】
BASDAIに関連した他の有効性エンドポイント
末梢性関節炎を主な関節症状として伴う脊椎炎の対象において、0、8、16、及び24週目にBASDAIスコアを収集した。ベースラインでは、グセルクマブ100mg q4w群で20名、グセルクマブ100mg q8w群で24名、プラセボ群で23名の対象が、ベースラインでBASDAIスコアを有し、末梢性関節炎を伴う脊椎炎有した(表42)。これらの対象の全てのベースラインBASDAIスコアは0超であった。
【0536】
これらの対象のうち、グセルクマブ100mg q4wで16人、グセルクマブ100mg q8wで22人、プラセボ群で21人も、過去の脊椎炎の画像による確認があった。
【0537】
24週目までのBASDAIのベースラインからの変化
ベースライン時に脊椎炎及び末梢性関節炎を有し、BASDAIスコアが0超であった対象67人(17.6%)において、24週目のBASDAIのベースラインからのLS平均変化は、プラセボ群の-0.919と比較して、グセルクマブ100mg q4w群で-2.074、グセルクマブ100mg q8w群で-2.665であった(100mg q4w及び100mg q8wにおいて、それぞれ、名目p=0.067及びp=0.004;表42)。
【0538】
【表42-1】
【0539】
【表42-2】
【0540】
過去の脊椎炎の画像が確認された対象
24週目までのBASDAIのベースラインからの20%以上、50%以上、70%以上、及び90%以上の改善を達成した対象
ベースライン時に末梢関節炎を伴う脊椎炎を有し、0超のBASDAIスコアを有する67人(17.6%)の対象のうち、20%以上又は50%以上のBASDAI改善を達成した対象の割合は、8週から24週目までに、プラセボ群と比較して、グセルクマブ治療群の両方において数値的に大きかった。24週目に、プラセボ群と比較して、グセルクマブ100mg q4w及びグセルクマブ100mg q8w群における20%以上又は50%以上のBASDAIを達成した対象の割合は、以下のとおりであった:
●20%以上の改善:26.1%と比較した65.0%及び70.8%(それぞれ、名目p=0.044及びp=0.007)
●50%以上改善:13.0%と比較した35.0%及び41.7%(それぞれ、名目p=0.148及びp=0.082)
【0541】
24週目までに70%以上のBASDAIの改善を達成した対象はほとんどなく、そのうち大部分はグセルクマブ100mg q8w群(7名[29.2%])であったのに対し、グセルクマブ100mg q4w群では1名[5.0]、プラセボ群では2名(8.7%)であった。24週目までに90%以上のBASDAIの改善を達成した対象4名全員がグセルクマブ100mg q8w群(16.7%)であった。
【0542】
24週目までのBASDAIコンポーネントのベースラインからの変化
24週目まで、プラセボを超える経時的な数値的に大きな改善が、両方のグセルクマブ治療群の倦怠感と脊椎痛についてのみ一貫して観察された。
【0543】
24週目に、プラセボ群と比較したグセルクマブ100mg q4w群及び100mg q8w群のBASDAIコンポーネントのベースラインからの変化の中央値は以下のとおりであった:
●腱付着部炎:それぞれ、-1.350と比較して-1.700及び-2.250
●倦怠感:それぞれ、-0.650と比較して-1.250及び-3.250
●関節痛:それぞれ、-1.300と比較して-1.250及び-2.000
●定性的な朝のこわばり:それぞれ、-1.200と比較して-1.450及び-1.700
●定量的な朝のこわばり:それぞれ、-0.100と比較して-0.700及び-1.800
●脊椎痛:それぞれ、-0.750と比較して-1.750及び-2.550
【0544】
健康関連の生活の質及び他の患者報告アウトカムに関するの他の有効性エンドポイント
SF-36スコア
SF-36バージョン2を使用して、健康関連の生活の質を評価した。SF-36を、0、8、16、及び24週目に収集した。SF-36 PCS、MCS、及び8つの規範サブスケールスコアの結果を以下に説明する。
【0545】
SF-36 PCSスコア
24週目までのSF-36 PCSスコアのベースラインからの変化
SF-36 PCSスコアのベースラインからの改善は、8週目~24週目に、プラセボ群と比較して、グセルクマブの両治療群で数値的に大きいことが観察され、グセルクマブ100mg q4w群では8週目から、グセルクマブ100mg q8w群では16週目から、名目p≦0.05でプラセボからの分離が観察された(添付資料TEFPCS08)。最大の効果は、グセルクマブ100mg q4w及び100mg q8wの両群で24週目に観察され、効果の大きさはグセルクマブ100mg q4w群がグセルクマブ100mg q8w群よりも数値的に大きかった。治療方針推定値とMIに基づいて、16週目のSF-36 PCSスコアのベースラインからの変化について転換点分析を行った。
【0546】
24週目までのSF-36 PCSのベースラインからの5ポイントの改善
プラセボ群と比較して、グセルクマブ100mg q4w群では8週目~24週目において(名目p=0.013)、グセルクマブ100mg q8w群では16週目から(名目p=0.002)、SF-36 PCSスコアがベースラインから5ポイント以上改善した対象の割合が数値的に多かった(添付資料TEFPCS06)。24週目には、グセルクマブ100mg q4w(53.9%)及びq8w(51.2%)の両群で、プラセボ(28.6%、いずれも名目p<0.001)と比較して最大の効果が観察され、16週目及び24週目の2つのグセルクマブの用量間で効果の大きさは同等であった。
【0547】
SF-36 MCSスコア
24週目までのSF-36 MCSスコアのベースラインからの変化
プラセボ群と比較して、ベースラインからのSF-36 MCSスコアの数値的に大きな改善が、8週目~24週目のグセルクマブ治療群の両方において観察された。グセルクマブ100mg q4w及び100mg q8w群の両方について、24週目で最大効果が観察され、効果の大きさはグセルクマブ用量間で同等であった。
【0548】
24週目までのSF-36 MCSのベースラインからの5ポイントの改善
プラセボ群と比較して、グセルクマブ100mg q4w群では8週目~24週目、グセルクマブ100mg q8w群では8週目~24週目において、SF-36 MCSスコアがベースラインから5ポイント以上改善した対象の割合が数値的に多かった(添付資料TEFMCS06)。最大の効果は、プラセボ(25.4%)と比較して、グセルクマブ100mg q4w(43.0%)群及び100mg q8w(37.8%)群の両方について24週目に観察され(それぞれ、名目p=0.003及びp=0.036)、効果の大きさは、16週目から24週目まで、グセルクマブ100mg q8w群よりもグセルクマブ100mg q4w群で数値的に大きかった。
【0549】
SF-36スケールの規範スコアのベースラインからの変化
わずかな例外を除いて、規範SF-36サブスケールスコアの改善は、プラセボ群と比較して、8週目~24週目において、全般的にグセルクマブ治療群の方が数値的に大きく、24週目には各サブスケールで最大の効果が得られた。
【0550】
グセルクマブ100mg q4w群では、身体的機能、身体的役割、身体的疼痛、活力において、8週目からプラセボ群からの分離が観察され、全般的な健康及び社会的機能については16週目から、精神的健康については24週目から、プラセボからの分離が観察され、プラセボ(名目p=0.147及びp=0.187)と比較して、16週及び24週目に、役割-情緒的の数値的により大きな改善が観察された。
【0551】
グセルクマブ100mg q8w群では、身体機能、身体的役割、身体的疼痛、全般的な健康については16週目から、活力及び社会的機能については24週目から、プラセボからの分離が観察され、プラセボと比較して、16週目には役割-情緒的及び精神的健康(それぞれ、名目p=0.487、p=0.212)、24週目には精神的健康(名目p=0.074)で、数値的に大きな改善が観察された。
【0552】
24週目において、グセルクマブ100mg q4w群及び100mg q8w群におけるプラセボ群と比較した規範SF-36サブスケールのベースラインからの変化の推定LS平均は、以下のとおりであった:
●身体的機能:それぞれ、1.636と比較して6.952及び5.776、両方とも名目p<0.001
●身体的役割:それぞれ、2.319と比較して5.442及び4.878、名目p<0.001及びp=0.004
●身体疼痛:それぞれ、2.854と比較して、7.490及び6.840、両方とも名目p<0.001
●全般的な健康:それぞれ、1.690と比較して、5.174及び4.349、名目p<0.001及びp=0.001
●活力:それぞれそれぞれ、2.311と比較して6.426及び5.596、名目p<0.001及びp=0.001
●社会的機能:それぞれ、2.582と比較して、5.227及び5.426、名目p=0.005及びp=0.002
●役割-情緒的:それぞれ、2.201と比較して、3.531及び2.415、名目p=0.187及びp=0.832
●精神的健康:それぞれ、2.062と比較して4.356及び3.818、名目p=0.020及びp=0.074
【0553】
FACIT-倦怠感Score
0、8、16、及び24週目に、FACIT-倦怠感スケールを使用して倦怠感を評価した。
【0554】
24週目までのFACIT-倦怠感スコアのベースラインからの変化
8週~24週にプラセボと比較して、FACIT-倦怠感スコアのベースラインからの数値的に大きな改善が、グセルクマブ群の両方において観察された(表43)。グセルクマブ治療群の両方について、プラセボからの分離が、16週目から観察され(両方とも名目p<0.001)、最大効果は、24週目で観察され、効果の大きさは、2つのグセルクマブ用量間で同等であった。
【0555】
【表43-1】
【0556】
【表43-2】
【0557】
ACR20応答者のうち、ベースラインからの改善の中央値は、グセルクマブ100mg q4w、q8w、プラセボ群でそれぞれ7.0、8.0、5.5であった。ACR20非応答者のうち、ベースラインからの改善の中央値は、グセルクマブ100mg q4w、q8w、プラセボ群でそれぞれ2.0、1.0、0であった。
【0558】
24週目までのベースラインからの4以上のFACIT-倦怠感の改善
FACIT倦怠感スコアがベースラインから4ポイント以上改善した対象の割合は、8週目~24週目において、グセルクマブ100mg q4w群、100mg q8w群の両方で、プラセボ群と比較して数値的に大きく、16週目からはプラセボからの分離が観察され、24週目に最大の効果が見られた(それぞれ、34.9%と比較して63.3%及び53.5%、名目p<0.001及びp=0.003)。8週目及び16週目の効果の大きさは2つの用量間で同等であったが、24週目にはFACIT倦怠感スコアがベースラインから4ポイント以上改善した対象の割合は、グセルクマブ100mg q4w群がグセルクマブ100mg q8w群よりも数値的に高かった。
【0559】
24週目の累積分布関数曲線による追加分析では、2ポイント以上~10ポイントのカットオフ値の範囲で、グセルクマブ100mg q4w及び100mg q8wの両群がプラセボ群から分離することが観察された。確率密度プロットによる24週目のFACIT-倦怠感の変化の分布では、グセルクマブ100mg q4w及び100mg q8wの両群でプラセボからの分離が示された。24週目の項目レベル分析では、FACIT-倦怠感手段の13の項目にわたって、一貫して同様の改善が見られた。
【0560】
全ての治療群において、24週目にFACIT-倦怠感スコアが4ポイント以上改善した対象の割合は、ACR20応答者の方が非応答者よりもはるかに高かった。
【0561】
ACR20応答者のうち、24週目にFACIT-倦怠感スコアで4ポイント以上の改善を達成した対象の割合は、グセルクマブ100mg q4w群、グセルクマブ100mg q8w群、及び群プラセボ群で、それぞれ、73.7%、68.2%、67.9%であった。
【0562】
ACR20非応答者のうち、24週目にFACIT-倦怠感スコアが4ポイント以上改善した対象の割合は、グセルクマブ100mg q4w群、グセルクマブ100mg q8w群、及び群プラセボ群で、それぞれ、48.1%、37.7%、及び25.5%であった。
【0563】
FACIT-倦怠感に対する媒介及び傾向スコアの分析
24週目の倦怠感スコアのベースラインからの変化に対するグセルクマブの効果に対するACR20応答の媒介役割を調べるために、媒介分析を行った(添付資料TEFMD01A及び添付資料TEFMD01B)。その結果、FACIT-倦怠感に対する治療効果の28.9%及び83.4%が、グセルクマブ100mg q4w及びq8w群において、ACR20応答(自然間接効果)を介して媒介されることが示された(それぞれ名目p=0.032及びp<0.001)。自然直接効果の割合は、グセルクマブ100mg q4w群とq8w群とでそれぞれ71.1%(2.70/3.80、名目p=0.005)及び16.8%(0.52/3.10、名目p=0.619)であった。
【0564】
傾向スコア加重分析を用いたACR 20応答者と非応答者による下位群解析では、年齢、性別、BMI、ベースラインの倦怠感スコア、CRP(mg/dL)、PsA期間(年)、医師のグローバル評価、患者のグローバル評価、HAQ-DIスコア、疼痛の評価、並びに膨脹関節数及び圧痛関節数などの人口統計学的及びベースラインの臨床的特性を、傾向スコアの統計モデルの共変量として調整した。これらのベースラインパラメータの治療群間の加重標準化差は、これらのベースラインパラメータとの不均衡がほぼ調整されたことを示していた(大部分は0.02以上又は0.02に近づく)。結果から、FACIT-倦怠感に対するグセルクマブ100mg q4wの独立した治療効果は、ACR20非応答者では示されたが(名目p=0.002)、ACR20応答者では示されなかった。24週目のACR20応答に無関係に、FACIT-倦怠感に対するグセルクマブ100mg q8wの独立した治療効果は観察されなかった。
【0565】
PROMIS-29スコア
24週目までのPROMIS-29スコアのベースラインからの変化
PROMIS-29の各領域のベースラインからの改善は、24週目まで経時的に、プラセボ群と比較して両グセルクマブ治療群で数値的に大きいことが観察された。社会的役割及び活動への参加による満足度と疼痛の強さについては8週目から、抑うつ、倦怠感、身体的機能については16週目から、両グセルクマブ治療群でプラセボからの分離が観察された。不安については、24週目にグセルクマブ100mg q8w群でプラセボからの分離が観察されたが、グセルクマブ100mg q4w群では観察されなかった。疼痛障害では、プラセボからの分離は、グセルクマブ100mg q4w群では16週目から、グセルクマブ100mg q8w群では24週目から観察された。睡眠障害については、グセルクマブ100mg q4w群では16週目にプラセボからの分離が観察されたが24週目には観察されず、グセルクマブ100mg q8w群では16週目及び24週目に観察された。
【0566】
24週目までのPROMIS-29ドメインスコアの3以上及び5以上の改善
24週目までに、PROMIS-29で評価された8つのドメイン(不安、抑うつ、倦怠感、疼痛障害、身体的機能、睡眠障害、社会的役割及び活動への参加による満足度と、疼痛の強さ)のそれぞれについて、ベースラインから3ポイント以上の改善を達成した対象の割合は、プラセボ群に比べてグセルクマブ治療群の両方で数値的に多かった。24週目には、グセルクマブ100mg q4w及び100mg q8w群の対象のより多くは、疼痛障害、疼痛の強さ、倦怠感、身体的機能、社会的役割及び活動への参加能力など、PsAの症状又は影響に関するドメインのスコアが、プラセボ群と比較して3ポイント以上及び5ポイント以上改善した。更に、プラセボ群と比較して、グセルクマブ100mg q4w及び100mg q8w群では、24週目にPROMIS-29の不安、抑うつ、又は睡眠障害で3ポイント以上又は5ポイント以上の改善を達成した対象の割合が高かった。
【0567】
複合疾患活動性スコアの改善
PASDAS、GRACE指数、及びMDA/VLDAを含む複数のPsA複合疾患活動性スコアに対するグセルクマブの効果を評価した。
【0568】
PASDAS
PASDASを、0、8、16、及び24週目に評価し、これは、関節炎/乾癬、腱付着部炎、指炎、身体的コンポーネントの生活の質の評価で構成される。疾患活動性のカットオフ値:非常に低い(1.9以下)、低い(3.2以下)、中程度(3.2超及び5.4未満)、高い(5.4以上)。
【0569】
24週目までのPASDASのベースラインからの変化
PASDASスコアのベースラインからの低下は、8週目~24週目において、グセルクマブの両群でプラセボ群と比較してより大きく観察され(両方とも名目p<0.001)、24週目に最大の効果が見られ、その効果の大きさはグセルクマブ100mg q4w群がグセルクマブ100mg q8w群よりも数値的に大きかった。
【0570】
24週目のPASDASスコアのベースラインからの変化の推定LS平均は、プラセボ群の-0.959に対し、グセルクマブ100mg q4w群では-2.407、グセルクマブ100mg q8w群では-2.124であった(両方とも名目p<0.001)。
【0571】
24週目までのPASDASに基づく低い又は非常に低い疾患活動性
低い疾患活動性:8週目~24週目において、PASDASに基づく低疾患活動性を達成した対象の割合は、両グセルクマブ治療群で数値的に高かった。プラセボからの分離は、グセルクマブ100mg q4w群では8週目から、グセルクマブ100mg q8w群では16週目から観察された。24週目にPASDASに基づく低疾患活動性を達成した対象の割合は、プラセボ群の11.1%に対し、グセルクマブ100mg q4w群では36.7%、グセルクマブ100mg q8w群では30.7%であった(いずれも名目p<0.001)。
【0572】
非常に低い疾患活動性:プラセボ群と比較して、グセルクマブ治療群では、24週目まで経時的にPASDASによるVLDAを達成した対象が多かった。24週目にPASDASに基づいてVLDAを達成した対象の割合は、プラセボ群の1.6%に対し、グセルクマブ100mg q4w群で10.2%(名目p=0.006)、グセルクマブ100mg q8w群で5.5%(名目p=0.172)であった。
【0573】
GRACE指数
GRACE指数を、0、16、及び24週目に評価し、これは、関節炎、乾癬、身体機能、PsAの生活の質の評価で構成される。疾患活動性のカットオフ値:低い(2.3以下)、中程度(2.3超及び4.7未満)、高(4.7以上)。
【0574】
24週目までのGRACE指数のベースラインからの変化
GRACE指数のベースラインからの低下は、16週目及び24週目のいずれにおいても、プラセボ群と比較してグセルクマブの両群でより大きく観察され(いずれも名目p<0.001)、24週目に最大の効果が見られ、効果の大きさはグセルクマブ100mg q4w群がグセルクマブ100mg q8w群よりも数値的に大きかった。24週目のGRACE指数のベースラインからの変化の推定LS平均は、プラセボ群の-0.854に対して、グセルクマブ100mg q4w群で-2.735、グセルクマブ100mg q8w群で-2.368であった(いずれも名目p<0.001)。
【0575】
GRACE指数に基づく低疾患活動性
GRACE指数に基づいて低い疾患活動性を達成した対象の割合は、16週目及び24週目に、グセルクマブ100mg q4w(それぞれ、28.9%及び42.2%;いずれも名目p<0.001)群、及びグセルクマブ100mg q8w(それぞれ、22.0%及び30.7%;名目p=0.016及びp<0.001)群において、プラセボ群(それぞれ、10.3%及び11.9%)と比較して高かった。
【0576】
MDA及びVLDA
次の7つ基準のうち5つが満たされた場合には、最小疾患活動性(MDA)が達成されたとみなした:圧痛関節数1以下、腫脹関節数1以下、PASI 1以下、15以下の患者の疼痛VASスコア、20以下の患者のグローバル疾患活動性VAS(関節炎及び乾癬)スコア、0.5以下のHAQ、及び1以下のLEI。
【0577】
全ての7つの基準が満たされた場合、非常に低い疾病活動性(VLDA)達成されたとみなした。MDA及びVLDAの両方を、0、16、及び24週目に評価した。
【0578】
24週目までのMDA基準
MDAを達成した対象の割合は、16週目及び24週目の両方で、グセルクマブ100mg q4w(それぞれ、18.0%及び30.5%;名目p=0.010及びp<0.001)群、及びグセルクマブ100mg q8w群(それぞれ、15.7%及び22.8%;名目p=0.034及びp=0.012)群において、プラセボ群(それぞれ、7.1%及び11.1%;表44)と比較して、より高かった。
【0579】
【表44】
【0580】
24週目までのVLDA基準
16週目にVLDA基準を満たした対象の割合は、全ての治療群間で低く同等であった。24週目にVLDAを達成した対象は、プラセボ群の2人(1.6%)に対し、グセルクマブ100mg q4w群では12人(9.4%)、グセルクマブ100mg q8w群では5人(3.9%)であった(それぞれ名目p=0.007及びp=0.447)。
【0581】
有効性及び薬物動態
選択された有効性エンドポイントとトラフ血清グセルクマブ濃度との間の関係をPK分析セットに基づいて評価した(5.1節参照)。以下の分析では、欠落データの代入がない臨床有効性データ(複合推定値)及びそれぞれのトラフ血清グセルクマブ濃度を使用した:
●12週目の定常トラフ血清グセルクマブ濃度による、12週目のACR20/50応答又はDAS28(CRP)のベースラインからの変化
●20週目の定常状態トラフ血清グセルクマブ濃度による、ACR20/50応答又は20/24週目のDAS28(CRP)のベースラインからの変化
●20週目の定常状態トラフ血清グセルクマブ濃度による24週目のIGA応答(ベースラインで3%以上のBSAの乾癬性病変及び2以上のIGAスコアを有する対象において)
【0582】
ACR20/50応答及びトラフ血清グセルクマブ濃度
それぞれ12週目及び20週目のトラフグセルクマブ濃度四分位数による、12週目及び20週目のACR20応答率については、曝露-応答関係は弱いようであった(添付資料GPKACR02A及び添付資料GPKACR01A)。20週目のトラフグセルクマブ濃度の四分位数による24週目のACR20応答率についても、曝露-応答関係は観察されなかった(図16)。20週目のトラフグセルクマブ濃度の四分位数による24週目のACR50応答率についても、曝露-応答関係は弱いようであった(図17)。しかし、12週又は20週のトラフグセルクマブ濃度の四分位数による、12週又は20週のACR50応答率については、一貫した曝露-応答関係の傾向は観察されなかった。
【0583】
トラフ血清グセルクマブ濃度によるDAS28(CRP)のベースラインからの変化
12週目のトラフグセルクマブ濃度四分位数による12週目のDAS28(CRP)のベースラインからの変化の平均値について、明らかな曝露応答関係はなかった(添付資料GPKDAS02)。20週目のトラフグセルクマブ濃度四分位数による20週目及び24週目のDAS28(CRP)のベースラインからの変化の平均値についても、明らかな曝露応答関係はなかった。
【0584】
IGA応答及びトラフ血清グセルクマブ濃度
ベースライン時に3%以上のBSAの乾癬性病変及び2以上のIGAスコアを有する対象において、20週目のトラフグセルクマブ濃度四分位数による24週目のIGA応答率に、明らかな曝露応答関係があった(図18)。
【0585】
有効性の要約
この第3相試験において、グセルクマブ100mg q4w及び100mg q8wの両用量レジメンは、グローバル(米国外)及び米国固有の多重度調整手順に基づき、以下のエンドポイントでプラセボと比較して統計的に有意な優位性を示した:24週目にACR20応答を達成した対象の割合、24週目に乾癬IGA応答を達成した対象の割合(ベースラインで3%以上のBSAの乾癬性病変及び2(軽度)以上のIGAスコアの対象のうち)、24週目のHAQ-DIスコアのベースラインからの変化、及び24週目のSF-36 PCSスコアのベースラインからの変化。
【0586】
更に、グローバル(米国外)多重度調整手順に基づき、グセルクマブ100mg q4w及び100mg q8wの両用量レジメンは、以下のエンドポイントについてもプラセボと比較して統計的に有意な改善を示した:24週目のDAS28(CRP)スコアのベースラインからの変化、16週目にACR20応答を示した対象の割合、及び24週目にACR50応答を示した対象の割合。
【0587】
グセルクマブ100mg q4wは、グローバル(米国外)試験手順に基づいて、16週目のACR 50及び24週目のACR 70においても、プラセボと比較して統計的に有意な改善を示した。これらのエンドポイントの改善は、プラセボと比較してグセルクマブ100mg q8w群で数値的に高かったが、その差は統計的に有意ではなかった。
【0588】
主要エンドポイント
グローバル(米国外)及び米国固有の多重度試験手順に基づき、グセルクマブ100mg q4w群及びグセルクマブ100mg q8w群の両方(それぞれ、59.4%及び52.0%)の有意に大きな割合の対象が、プラセボ群(22.2%)の対象と比較して、24週目にACR20応答を達成した(いずれも調整後p<0.001)。
【0589】
主な副次的エンドポイント
グローバル(米国外)及び米国固有の試験手順の両方で多重度が制御された主な副次的エンドポイント
●ベースラインで3%以上のBSAの乾癬性病変及び2(軽度)以上のIGAスコアを有する249人(65.4%)の対象のうち、プラセボ群(15.4%;両方ともグローバル及び米国固有調整後p<0.001)と比較して、グセルクマブ100mg q4wとグセルクマブ100mg q8wとの両方(それぞれ75.3%及び57.3%)では、24週目に乾癬IGAスコアが0(クリア)又は1(最小)となり、ベースラインから2グレード以上低下した。
●24週目のHAQ-DI指数のベースラインからの低下は、プラセボ群(ベースラインからのLS平均変化:-0.0743;両方ともグローバル及び米国固有調整後p<0.001)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群(ベースラインからのLS平均変化:-0.3968)及びグセルクマブ100mg q8w群(ベースラインからのLS平均変化:-0.3225)の両方で有意に大きかった。
●24週目のSF-36 PCSスコアのベースラインからの改善は、プラセボ群(LS平均:1.96;両方ともグローバル及び米国固有調整後p<0.001)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群(LS平均:6.87)及びグセルクマブ100mg q8w群(LS平均:6.10)の両方で有意に大きかった。
【0590】
グローバル(米国外)試験手順で多重性を制御した主な副次的エンドポイント
●24週目のDAS28(CRP)スコアのベースラインからの低下は、プラセボ群(ベースラインからのLS平均変化:-0.70;両方ともグローバル調整後p<0.001)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群(ベースラインからのLS平均変化:-1.61)及びグセルクマブ100mg q8w群(ベースラインからのLS平均変化:-1.43)の両方で有意に大きかった。
●16週目にACR20応答を達成した対象の割合は、プラセボ群(25.4%;両方ともグローバル調整後p<0.001)と比較して、グセルクマブ100mg q4w及びグセルクマブ100mg q8w群の両方(それぞれ60.2%及び52.0%)で有意に大きかった。
●24週目にACR50応答を達成した対象の割合は、プラセボ群(8.7%;両方ともグローバル調整後p<0.001)と比較して、グセルクマブ100mg q4w及びグセルクマブ100mg q8w群(それぞれ35.9%及び29.9%)で有意に大きかった。
●16週目にACR50応答を達成した対象の割合は、プラセボ群(12.7;グローバル調整後p=0.006)の対象の割合よりも、グセルクマブ100mg q4w群(26.6%)で有意に大きかった。16週目にACR50応答を達成した対象の割合は、プラセボ群(12.7%)の対象の割合よりも、グセルクマブ100mg q8w群(22.8%)で数値的に大きかったが、多重度調整後も統計的有意性には達しなかった(グローバル調整後p=0.086)。
●24週目にACR70応答を達成した対象の割合は、プラセボ群(5.6%;グローバル調整後p<0.001)の対象の割合よりも、グセルクマブ100mg q4w群(20.3%)で有意に大きかった。24週目にACR70応答を達成した対象の割合は、プラセボ群(5.6%)の対象の割合よりも、グセルクマブ100mg q8w群(11.8%)で数値的により大きかったが、統計的有意性には達しなかった(グローバル調整後p=0.069)。
【0591】
多重度が制御されていない主な副次的エンドポイント
●ベースラインで腱付着部炎を有した222名(58.3%)の対象のうち、
●24週目に、グセルクマブ100mg q4w群の47.9%及びグセルクマブ100mg q8w群の40.3%の対象が、プラセボ群の27.3%の対象と比較して、腱付着部炎の消散を達成した(それぞれ、名目p=0.013及びp=0.094)。
●24週目で、LEIスコアのベースラインからのLS平均変化は、プラセボ群の-1.01と比較して、グセルクマブ100mg q4w群は-1.75、グセルクマブ100mg q8w群は-1.35であった(それぞれ、名目p=0.004及びp=0.185)。
●ベースラインで指炎を有した142名(37.3%)の対象のうち、
●24週目に指炎の消散を達成した対象の割合は、プラセボ群(49.1%;それぞれ、名目p=0.212及びp=0.088)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群及びグセルクマブ100mg q8w群(それぞれ63.2%及び65.3%)で数値的に大きかった。
●24週目の指炎スコアのベースラインからの低下は、プラセボ群(ベースラインからのLS平均変化:-4.30;それぞれ、名目p=0.225及びp=0.121)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群(ベースラインからのLS平均変化:-5.82)及びグセルクマブ100mg q8w群(ベースラインからのLS平均変化:-6.11)の両方で数値的に大きく観察された。
●24週目のSF-36 MCSスコアのベースラインからの改善は、プラセボ群(LS平均:2.37;それぞれ、名目p=0.214及びp=0.398)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群(LS平均:3.60)及びグセルクマブ100mg q8w群(LS平均:3.20)の両方で、数値的により大きかった。
【0592】
他の副次的有効性分析
関節の兆候及び症状の低減に関連した他の有効性エンドポイント
●24週目までのACR20、ACR50、及びACR70応答は、プラセボ群と比較して、2つのグセルクマブ群において一貫して高かった。
●24週目までの各ACRコンポーネントについても、プラセボ群と比較して、両方のグセルクマブ治療群について、数値的に大きな改善が一貫して観察された。
●ベースラインからのDAS28(CRP)の改善、DAS28(CRP)応答率、DAS28(CRP)寛解率は、経時的に、プラセボ群と比較して、2つのグセルクマブ群において一貫して高かった。24週目には、プラセボ群(12.7%;それぞれ、名目p<0.001及び名目p=0.025)と比較して、グセルクマブ100mg q4w群では35.9%の対象、グセルクマブ100mg q8w群では23.6%の対象が、DAS28(CRP)寛解を達成した。
●24週目までに、修正PsARC応答を達成した対象の割合は、プラセボと比較して、両方のグセルクマブ治療群で一貫して高かった。24週目に、修正PsARC応答を達成した対象の割合は、プラセボ群の31.0%と比較して、グセルクマブ100mg q4w群では72.7%、グセルクマブ100mg q8w群では59.8%であった(両方とも名目p<0.001)。
●ベースラインからのDAPSA変化の改善、及びDAPSA指数に基づく低疾患活動性又は寛解を達成した対象の割合は、経時的に、プラセボ群よりも、2つのグセルクマブ群で一貫して高かった。24週目で、DAPSA指数に基づいて低疾患活動性を達成した対象の割合は、プラセボ群の16.7%と比較して、グセルクマブ100mg q4w群では49.2%、グセルクマブ100mg q8w群では40.9%であった(それぞれ、両方とも名目p<0.001)。
【0593】
身体的機能に関連した他の有効性エンドポイント
HAQ-DIのベースラインからのより大きな低下及びより高いHAQ-DI応答率(ベースラインから0.35以上の改善と定義)が、プラセボと比較して、2つのグセルクマブ群で24週目まで経時的に一貫して観察された。24週目では、ベースラインでHAQ-DIスコアが0.35以上であった対象のHAQ-DI応答率は、プラセボの29.1%と比較して、グセルクマブ100mg q4wで57.3%、グセルクマブ100mg q8wで50.9%であった(それぞれ、名目p<0.001及びp=0.001)。
【0594】
皮膚疾患に関連した他の有効性エンドポイント
ベースラインで3%以上のBSAの乾癬性病変及び2(軽度)以上のIGAスコアを有する249人(65.4%)の対象のうち、
●24週目までに、プラセボと比較して、2つのグセルクマブ治療群において、IGAスコア0(クリア)又は1(最小)を達成し、ベースラインから2グレード以上低下した対象、又はIGAスコア0(クリア)を達成した対象は、一貫して多かった。24週目にIGAスコア0(クリア)を達成した対象の割合は、プラセボの7.7%と比較して、グセルクマブ100mg q4wで53.9%、グセルクマブ100mg q8wでは38.3%であった(両方とも名目p<0.001)。
●24週目までのPASI 50、PASI 75、PASI 90、PASI 100の応答率は、プラセボと比較して、両グセルクマブ治療群で一貫して高かった。24週目に、PASI75、PASI90、及びPASI100の応答率は、プラセボ群の20.0%、12.9%、及び7.1%と比較して、グセルクマブ100mg q4wは、87.6%、64.0%、及び44.9%、グセルクマブ100mg q8wは、76.5%、50.6%、及び25.9%であった(いずれも名目p<0.001)。
【0595】
腱付着部炎及び指炎に関連した他の有効性エンドポイント
●ベースライン時に腱付着部炎を有した222人(58.3%)のうち、24週目までに、腱付着部炎の消散を達成した対象の割合は、プラセボ群と比較して両グセルクマブ治療群において高く、24週目までのLEIスコアのベースラインからの低下も、グセルクマブ治療群において数値的に大きいことが一貫して観察された。同様の結果が、SPARCC腱付着部炎指数を用いて観察された。
●ベースラインで指炎を有した142人(37.3%)のうち、24週目までに指炎の消散を達成した対象の割合は、プラセボ群と比較して両グセルクマブ治療群の方が高く、24週目までの指炎スコアのベースラインからの低下も、両グセルクマブ治療群において数値的に大きいことが一貫して観察された。圧痛性指炎について同様の結果が得られた。
【0596】
BASDAIに関連した他の有効性エンドポイント
ベースライン時に脊椎炎及び末梢関節炎を有し、BASDAIスコアが0超であった67人(17.6%)の対象のうち、
●24週目のBASDAIのLS平均のベースラインからの変化は、プラセボ群の-0.919と比較して、グセルクマブ100mg q4w群で-2.074、グセルクマブ100mg q8w群で-2.665であった(それぞれ、名目p=0.067及びp=0.004)。
●24週目には、BASDAIが50%以上改善した対象は、プラセボ群の13.0%と比較して、グセルクマブ100mg q4w群では35.0%、グセルクマブ100mg q8w群では41.7%であった(それぞれ、名目p=0.148及びp=0.082)。
●投与24週目までに、BASDAIコンポーネントのうちプラセボを超えて数値的に大きな改善が一貫して観察されたのは、グセルクマブの両治療群において、倦怠感と脊椎痛についてのみであった。
【0597】
健康関連の生活の質及び他の患者報告アウトカムに関するの他の有効性エンドポイント
●24週目まで、プラセボ群と比較して、両グセルクマブ治療群では、SF-36 PCSスコアの改善が数値的に大きく、SF-36 PCSが5ポイント以上改善した対象の割合が多く観察された。24週目には、SF-36 PCSスコアのベースラインから5ポイント以上の改善を達成した対象の割合は、プラセボ群の28.6%と比較して、グセルクマブ100mg q4w群で53.9%、グセルクマブ100mg q8w群で51.2%であった(いずれも名目p<0.001)。
●24週目まで、プラセボ群と比較して、両グセルクマブ治療群で、SF-36 MCSスコアの改善が数値的により大きく、SF-36 MCSが5ポイント以上改善した対象の割合がより多く観察された。24週目の時点で、SF-36 MCSスコアがベースラインから5ポイント以上改善した対象の割合は、プラセボ群の25.4%と比較して、グセルクマブ100mg q4w群で43.0%、グセルクマブ100mg q8w群で37.8%であった(それぞれ名目p=0.003及びp=0.036)。
●FACIT-倦怠感スコアのベースラインからの改善は、24週目まで、プラセボと比較して、両方のグセルクマブ群で数値的により大きいことが観察された。24週目のFACIT-倦怠感スコアのベースラインからの変化の推定LS平均は、プラセボ群の2.206と比較して、グセルクマブ100mg q4w群は5.841、グセルクマブ100mg q8w群は5.609(いずれも名目p<0.001)であり、プラセボ群の34.9%と比較して、それぞれ、グセルクマブ100mg q4w群で63.3%、グセルクマブ100mg q8w群で53.5%が、FACIT-倦怠感スコアのベースラインからの4ポイント以上の改善を達成した(それぞれ、名目p<0.001及びp=0.003)。
●24週目までに、PROMIS29の7つのドメインTスコアの各々におけるベースラインからの改善は、プラセボ群と比較して、両方のグセルクマブ治療群で数値的により大きいことが観察された。24週目に、疼痛障害、疼痛の強度、倦怠感、身体機能、社会的役割及び活動への参加能力など、PsAの症状及び影響に直接関連するPROMIS-29ドメインのスコアにおいて、ベースラインから3ポイント以上又は5ポイント以上の改善を達成した対象の割合は、プラセボ群と比較して両方のグセルクマブ治療群で数値的に増加した。
【0598】
複合疾患活動性スコアの改善
●24週目までに、プラセボと比較して、2つのグセルクマブ治療群でより多くの対象がMDAを達成した。24週目にMDAを達成した対象の割合は、プラセボ群の11.1%と比較して、それぞれ、グセルクマブ100mg q4w群では30.5%、グセルクマブ100mg q8w群では22.8%であった(それぞれ、名目p<0.001及びp=0.012)。PASDAS及びGRACE指数のより大きな改善も、24週目に、プラセボ群と比較して、両方のグセルクマブ治療群で観察された(いずれも名目p<0.001)。
【0599】
有効性及び薬物動態
●20週目の定常状態トラフグセルクマブ濃度四分位数による24週目のACR50応答率の曝露応答関係は弱いようであったが、24週目のACR20応答率の明らかな曝露応答関係は観察されなかった。
●20週目の定常状態トラフグセルクマブ濃度四分位数による20週目及び24週目のDAS28(CRP)のベースラインからの平均変化について、明らかな曝露-応答関係は観察されなかった。
●ベースラインで3%以上のBSAの乾癬性病変及び2(軽度)以上のIGAスコアを有する対象において、20週目の定常状態トラフグセルクマブ濃度四分位数による24週目のIGA応答率については、明らかな曝露-応答関係が観察された。
【0600】
有効性及びグセルクマブに対する抗体
●24週目までグセルクマブに対する抗体が陽性であった対象では、グセルクマブに対する抗体の存在はACR20応答を妨げるものではないと考えられた(5人中3人が24週目にACR20応答者になった)。しかし、グセルクマブに対する抗体が陽性であった対象の数が少なく(n=5)、グセルクマブに対する抗体が臨床有効性に及ぼす影響について明確に結論付けるには限界がある。
【0601】
安全性の結果
24週目までに報告されたAEから得られた安全性に関する主要な知見の全体的な要約を表45に示す。追跡の平均継続時間及び試験薬剤投与回数は、治療群にわたって同等であった。
【0602】
【表45】
【0603】
24週目にAEを経験した対象の割合は、治療群にわたって概ね同等であった:グセルクマブ100mg q4w群で55.5%、グセルクマブ100mg q8w群で53.5%、及びプラセボ群で59.5%。
【0604】
報告されたAEのSOCで最も頻度が高かったのは、感染症及び侵襲(グセルクマブ100mg q4w群22.7%、グセルクマブ100mg q8w群26.8%、及びプラセボ群25.4%)であり、次いで筋骨格及び結合組織障害(グセルクマブ100mg q4w群17.2%、グセルクマブ100mg q8w群14.2%、及びプラセボ群19.0%)であった。
【0605】
24週目までにいずれかの治療群で頻度が5%以上であった最も一般的なPTを表46に示す。最も一般的に報告されたAEは、鼻咽頭炎(グセルクマブ100mg q4w群5.5%、グセルクマブ100mg q8w群12.6%、及びプラセボ群6.3%)であり、次いで上気道感染症(グセルクマブ100mg q4w群8.6%、グセルクマブ100mg q8w群5.5%、及びプラセボ群6.3%)であった。24週目までにいずれかの治療群で頻度が1%以上であった一般的なPTを添付資料TSFAE10に示す。全体として、グセルクマブ治療対象ではプラセボ治療対象に比べてトランスアミナーゼの上昇がより高頻度でAEとして報告されたが、これらのAEで用量に関連した傾向は観察されなかった。
【0606】
【表46】
【0607】
実施例3.グセルクマブは、生物学的にナイーブな乾癬性関節炎の患者及び以前に生物学的抗TNFα薬剤で治療された患者において、PROMIS-29の改善及び臨床応答の調整後の倦怠感に対する独立した治療効果(ACR20)を示した。
患者報告アウトカム測定情報システム-29-PROMIS-29(PROMIS-29)
24週目のPROMIS-29:乾癬性関節炎(PsA)を有する患者は、疼痛、倦怠感、抑うつ、睡眠障害、貧弱な身体的機能、及び社会的参加の低下を含む広範な全身症状を経験する。PROMIS-29(患者報告アウトカム測定情報システム-29)は、PsA.患者の症状に対するGUSの治療効果を確認するために使用される検証された全般的な健康についての手段である。PROMIS-29は、7つのドメイン(抑うつ、不安、身体的機能、疼痛障害、倦怠感、睡眠障害、及び社会参加)と、疼痛の強さを表す0~10の数値評価スケール(NRS)とで構成される。各ドメインの生のスコアは、平均値を50(全般集団の平均値)、標準偏差(SD)を10とする標準化されたTスコアに変換される。PROMISスコアが高いほど、測定対象となる概念をより多く表す。≧5ポイントの改善(Tスコアの1/2SD)が、臨床的に意味があると定義される。ベースラインでは、身体的機能、社会参加、睡眠障害、疼痛、及び倦怠感に関するPROMIS-29のTスコアの平均値は、米国の全般集団よりも悪かった。24週目で、GUS q8Wを投与された患者は、PBOに比べてPROMIS-29の全てのドメインで、ベースラインからの改善が大きかった(p<0.05)(表47及び図19)。結果は、不安及び睡眠障害を除いて、GUS q4W群において一貫していた。GUSを投与された多くの患者は、GUS q4W群では抑うつ及び不安を除いてPBOに対して臨床的に意味のある改善を達成し、数値的に改善された(図6)。p値は、csDMARDのベースライン使用(あり、なし)及び抗TNFα薬剤への曝露歴(あり、なし)により層別化したCochran-Mantel-Hanszel検定に基づいている。GUSを投与された活動性PsA患者は、24週目で、PBOと比較して、臨床的に意味のある症状の軽減、身体的機能及び社会参加の改善を達成した(図20)。
【0608】
【表47】
【0609】
FACIT-倦怠感
臨床試験における内容妥当性及び強力な心理測定特性を示した患者が報告したアウトカム(PRO)FACIT-倦怠感を使用して、上記の試験で使用された患者におけるGUSの倦怠感に対する効果を評価した。
【0610】
方法。DISC1及びDISC2は、1-2 TNFiを受容したDISC1の患者の約30%を除いて、主に生物学的ナイーブであった、非生物学的DMARD及び/又はNSAIDにもかかわらず有効なPsAを有する患者を登録した。患者を盲検様式でランダム化し(1:1)、W0及びW4で皮下GUS 100mgをした後、(q)8 Wごとに、GUS 100mg q4Wまでにし、又はPBOと一致させた。選択された非生物学的DMARD、経口コルチコステロイド、及びNSAIDによる併用治療を許可した。FACIT-倦怠感は、倦怠感並びに過去7日間にわたる日常活動及び機能に対するその影響を評価する13項目PROの手段であり、合計スコアは0~52、高いスコアでは倦怠感が少ない。4ポイント以上の変化は、臨床的に意味があると識別される(Cella et al.Journal of Patient-Reported Outcomes.2019;3:30)。FACIT-倦怠感のベースラインからの変化を、MMRMを使用して分析した(図19)。FACIT-倦怠感に対する治療効果がACR20に対する効果から独立していることを、仲介分析を使用して評価し(Valeri et al.Psychologic Meth.2013;18:137)(表48)、ACR20応答によって媒介される自然直接効果(natural direct effect、NDE)及び自然間接効果(natural indirect effect、NIE)を推定した。
【0611】
結果。DISC1及び2のベースラインにおいて、平均FACIT倦怠感スコア(SD)は、それぞれ30.4(10.4)及び29.7(9.7)であり、中等度から重度の倦怠感を示した。両方のDISCOVER1及び2試験では、GUSによる治療は、PBOと比較して、W8と比較して、FACIT-倦怠感スコアの有意な改善をもたらした(図21A~B)。PBO患者の35%~46%と比較してGUS患者の54%~63%が、FACIT-倦怠感において臨床的に意味のある改善(4ポイント以上)を達成した(P≦0.003)。媒介分析により、ACR20応答の調整後の倦怠感に対する独立した治療効果(自然直接効果[NDE]、表26)は、q8W GUS投与群において12~36%であり、q4W GUS群図21において69%~70%であったことが明らかになった(図21)。
【0612】
【表48】
【0613】
結論:第2相~第3相の試験では、活動性PsAを有する患者のGUSによる治療は、特にq4W投与群について、ACR20に対する効果と独立したFACIT-倦怠感に対する実質的な効果を含む、倦怠感におけるPBOと比較した有意な改善をもたらした。
【0614】
実施例4.活動性の乾癬性関節炎に対するグセルクマブによるIL-23の特異的阻害:生物学的ナイーブ又はTNFα阻害剤経験のある患者の第3相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験の1年の結果(CNTO1959PSA3002)。
24週目の分析では、治療群間の比較(グスレクマブとプラセボとの比較)を目的としていたが、52週目の試験では、関節及び皮膚の兆候、症状、身体的機能、健康関連の生活の質の改善について、24週目から52週目(有効性データの最終評価予定)まで有効性が維持されていることを示すデータを提示している。本試験では、0週目に試験薬を初めて投与してから60週目(試験終了時)までの累積的な安全性に関する知見もまとめている。52週目の分析集団には、24週目時点で更に試験に参加している全てのランダム化患者が含まれる。
【0615】
24週目にプラセボ投与された全ての患者がQ4w治療に移行(クロスオーバー)したため、52週目の分析は、プラセボ制御でも実薬制御でもない。そのため、非制御期間(24週目~52週目)については、正式な統計的検定を行うことができず、記述的統計のみを示した。本データは「観察された際の」集団に基づくものであり、正式な統計的検定は行われず、記述的なものである。
【0616】
方法
この試験には、治療の48週間にわたって、TNF経験患者(31%)を含む381人の患者が関与した。標準治療にもかかわらず活動性PsAを有する成人(3名以上が膨脹+3名以上が圧痛関節;0.3mg/dL以上のCRP)を適格とした。患者の約30%は、以前に2以下のTNFiを受けた可能性がある。患者を、W0 DMARD[Y/N]及び以前のTNFi(Y/N)使用により層別化し、GUS 100mg Q4W;W0、W4、及びQ8WでのGUS 100mg;又はPBOに、1:1:1でランダム化した。W24では、PBO患者を、GUS 100mg Q4W(PBO→Q4W)にクロスオーバーした。48週目が試験薬剤の最終投与となった。欠落データに対する非応答者代入法(NRI)に基づき、24週目で試験薬をなお投与されていた患者で観察された52週目でのACR応答率を示す。追加エンドポイントの観察データを示す。60週目までのAEを報告する。
【0617】
結果
ランダム化された患者381人中362人(95%)がW24時点で試験薬を継続し(Q4W 125人、Q8W 123人、PBO→Q4W 114人)、381人中347人(91%)が治療を完了し、381人中343人(90%)が試験を完了した。NRIのACR20応答率は52週目で維持された(Q4W 73%、Q8W 60%;図22A、B)。より厳格なACR50/70基準で、同様の応答パターンが見られた(図23A、B、図24A、B)。観察されたACR応答、すなわち全体的なACR応答(図25A、B、図26A、B、図27A、B)、並びにTNF使用歴のある患者(図25A図26A図27A)及びない患者(図25B図26B図27B)でのACR応答は、52週目においても維持された。他の臨床アウトカムの改善も52週目で維持され(図28図34)、24週目でのPBO→Q4Wからクロスオーバーした患者の応答は、52週目までに他のGUS治療を受けた患者と概ね一致した(表49)。24週目までに重度のAEが発生したのは、GUS投与群では4人(2%)、PBO投与群では5人(4%)であった。重度の感染症はGUS投与患者にはなく、PBO投与患者では2人(2%)であった。60週目までのGUS治療患者全369人のうち、重度のAEは4%、重度の感染症は1%にそれぞれ発生した。GUS治療群では、死亡も、IBD、日和見感染症/活動性結核、アナフィラキシー/血清病様応答の発生もなかった。
【0618】
【表49】
【0619】
上に示されるように、両方の用量のグセルクマブ(Q4w及びQ8w)の用量は、24週目~52週目を超えて全ての臨床エンドポイントを維持するか、又はその数値的改善を示した。データは、両方の用量のグセルクマブが、52週目まで安全であり忍容性良好であったことも示した。この乾癬性関節炎患者集団における52週目までのグセルクマブの安全性プロファイルは、乾癬の適応症で示されたものと概ね一致していた。24週目の一次分析結果と同様に、52週目の分析で、Q8w投与群とQ4w投与群の間で、有効性のドメイン(関節、腱付着部炎、指炎、身体的機能、QOL)における全体的な用量応答は観察されなかった。皮膚応答を示した対象の割合は、Q4w投与群とQ8w投与群で数値的な差が見られた(すなわち、IGA応答はQ4w投与群で83%、Q8w投与群で69%。この差は、24週の分析で見られたもの(q8wにおけるq4w及び57.3%におけるIGA応答75.3%)よりも小さい。
【0620】
24週目から52週目までの安全性
GUS 100mg q4w及びq8w用量レジメンの両方は、試験終了まで安全であり忍容性良好であった(表50)。試験終了までの乾癬性関節炎患者のこの集団におけるGUSの安全性プロファイルは、乾癬適応症において実証されたものと概ね一致していた。
【0621】
【表50】
【0622】
結論
このデータは、52週目までの生物学的ナイーブ及び抗TNF経験患者において維持され更に改善された、兆候及び症状に対する顕著な影響を示し、24週目に見られた堅牢かつ持続的な有効性及び安全性を確認するものである。
【0623】
52週目の結果は、以前に報告された24週目の結果から継続的な改善を示し、応答の持続性がIL-23阻害治療の重要な特徴であるという更なる証拠を提供した。両方の用量レジメンは、TNF経験患者である患者を含む、1年の曝露による、関節及び皮膚乾癬の兆候及び症状、身体的機能、腱付着部炎、指炎、並びに健康関連の生活の質の非常に臨床的に意味のある改善を示した。グセルクマブ100mg Q4W及びQ8W用量レジメンの両方は、52週目まで安全であり忍容性良好であった。
【0624】
実施例5.活動性の乾癬性関節炎に対するグセルクマブによるIL-23の特異的阻害:生物学的ナイーブ又はTNFα阻害剤経験のある患者の第3相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験の2年の結果(CNTO1959PSA3002)。
この112週(試験終了時)分析の焦点は、PsAの徴候及び症状、身体機能、健康に関連する生活の質、並びに構造的損傷進行のインビボーション(inbibotion)における改善に対する、52週から100週(有効性データの最後に計画された評価)までの有効性の維持に関するデータを提示することである。本試験では、0週目に試験薬を初めて投与してから112週目までの累積的な安全性に関する知見もまとめている。112週目の分析集団には、52週目時点で依然として試験治療中の全てのランダム化された患者が含まれる。これらのデータにより、グセルクマブは、X線写真上の進行に関する正の第3相データ及び長期2年データを有する唯一のIL23阻害剤となる。
【0625】
24週目以降の対照群がないため、全ての分析は記述統計のみであり、観察されたデータに基づいた。
【0626】
方法
有効性についての分析セットに関して、全ての臨床有効性エンドポイントに使用される完全分析セット3(52週目~100週目)には、52週目に依然として試験治療中の全てのランダム化対象(N=687)を含める。有効性分析において、対象は、実際に受けた治療にかかわらず、割り当てられたランダム化治療群ごとに分析される。X線写真エンドポイントに使用される構造損傷の完全解析セット3(読み取りキャンペーン3)は、同様に定義される(N=687)。
【0627】
安全性分析セット(0週~112週)に関して、この分析セットには、少なくとも1(完全又は部分)用量の試験薬剤を受けた全ての対象(N=739)を含める。安全性分析において、対象は、ランダム化された治療にかかわらず、受けた治療ごとに分析される。プラセボからグセルクマブ100mg q4wにクロスオーバーした対象を、グセルクマブ投与の最初の用量から開始してグセルクマブを受けているとして分析し、グセルクマブの最初の用量以前の対象の安全性データをプラセボ群の下で捕捉した。
【0628】
結果
対象及び治療情報
合計741人の対象を、13カ国(マレーシア、台湾、ブルガリア、チェコ共和国、エストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランド、ロシア、スペイン、トルコ、ウクライナ、及び米国)の119施設にわたって0週目にランダム化し、739人に少なくとも1用量の試験薬剤(グセルクマブ100mg q4w、q8w、及びプラセボ群において、それぞれ、245、248、及び246)を与えた。712人が継続し、グセルクマブ100mg q4w群、q8w群、及びグセルクマブ100mg q4w群にクロスオーバーしたプラセボにおいて、それぞれ、234、240、及び238を含む、24週目以降の試験治療を受けた。グセルクマブ100mg q4w群における227人、グセルクマブ100mg q8w群における232人、及びグセルクマブ100mg q4wにクロスオーバーしたプラセボ群における228人を含めて、687人が継続し、52週目以降に試験治療を受けた。
【0629】
全体として、739人のランダム化され治療された対象のうち87人(11.8%)が、100週目の前に試験薬剤を中止し、652人(88.2%)の対象が、100週目に試験治療を完了した。試験薬剤の中止の最も一般的な理由は有害事象であり、これは、33人(4.5%)の対象によって報告された。継続し、52週目以降に治療を受けた687人の対象のうち、35人(5.1%)、つまり、グセルクマブ100mg q4w群、q8w群、及びグセルクマブ100mg q4w群にクロスオーバーしたプラセボにおいて、それぞれ、3.5%(8/227)、3.9%(9/232)、及び7.9%(18/228)の対象が、100週目の試験薬剤投与の前に試験薬剤を中止した。52週後の試験薬剤の中止の最も一般的な理由は、有害事象であり、これは、2.2%(15/687)の対象、つまり、グセルクマブ100mg q4w群、q8w群、及びセルクマブ100mg q4w群にクロスオーバーしたプラセボにおいて、それぞれ、1.3%(3/227)、2.2%(5/232)、及び3.1%(7/228)の対象によって報告された。
【0630】
有効性
臨床有効性エンドポイント
52週目から100週目までの来院によって、関節及び皮膚の徴候及び症状、身体機能、腱付着部炎、指炎、並びに健康に関連する生活の質に関するエンドポイントを含む臨床有効性エンドポイントを分析した。応答エンドポイントの全ての図において、表示される信頼区間は、Wald統計に基づいた。
【0631】
ACR20/50/70応答:
52週目の後、ACR応答データを、68、76、84、及び100週目に収集した。52週目から100週目までに経時的にACR20、50、及び70応答を達成する対象の割合を、図35A~Cにプロットする。
【0632】
グセルクマブ100mg q4w及びq8w群の両方において、改善が維持され、ACR20、ACR50、及びACR70応答率は、52週目から100週目まで数値的に更に増加した。52週目から100週目まで、q4w群で観察されたACR20、50、70応答率は、それぞれ、77.0%(174/226)~84.9%(186/219)、49.6%(112/226)~62.3%(137/220)、及び28.3%(64/226)~38.6%(85/220)であり、q8w群では、それぞれ、78.9%(183/232)~82.1%(183/223)、50.9%(118/232)~60.7%(136/224)、及び29.7%(69/232)~39.3%(88/224)である。改善はまた、100週目まで全てのACRコンポーネントにおいて維持された。
【0633】
プラセボ→グセルクマブ100mg q4w群では、改善が同様に維持され、ACR20、ACR50、及びACR70応答率も、52週目から100週目まで数値的に更に増加した。52週目から100週目まで、観察されたACR20、ACR50、及びACR70応答率は、それぞれ、68.7%(156/227)~79.2%(168/212)、44.3%(101/228)~55.2%(117/212)、及び19.5%(44/226)~34.3%(73/213)である。改善はまた、100週目まで全てのACRコンポーネントにおいて観察された。
【0634】
HAQ-DIスコア(ベースラインからの変化):
52週目の後、HAQ-DIデータを、68、76、84、及び100週目に収集した。52週目から100週目までの経時的なベースラインからの平均HAQ-DIスコア変化を図36にプロットする。
【0635】
グセルクマブ100mg q4w及びq8w群の両方において、HAQ-DIスコアの減少(改善)が継続し、52週目から100週目まで良好に維持された。52週目から100週目まで、ベースラインからのHAQ-DIスコアの平均変化(SD)は、q4w群において-0.51(0.583)から-0.60(0.569)であり、q8w群において-0.48(0.562)から-0.59(0.582)である。
【0636】
プラセボ→グセルクマブ100mg q4w群では、HAQ-DIスコア減少(改善)が同様に継続し、52週目から100週目まで良好に維持された。52週目から100週目まで、ベースラインからのHAQ-DIスコアの平均変化(SD)は、-0.39(0.583)から-0.54(0.567)である。
【0637】
ベースラインで3%以上のBSAの乾癬病変及び2以上のIGAスコアを有する対象間の乾癬IGA/PASI90応答:
52週目の後、IGA及びPASI応答データを76週目及び100週目に収集した。52週目から100週目までにIGA応答又はPASI90応答を達成した対象の割合を、図37A及び37Bにプロットする。
【0638】
グセルクマブ100mg q4w及びq8w群の両方において、IGA及びPASI90応答率の両方が、52週目から100週目まで維持された。52週目から100週目まで、q4w群において観察されたIGA及びPASI90応答率は、それぞれ、84.4%(146/173)~82.4%(140/170)及び81.5%(141/173)~80.0%(136/170)であり、q8w群では、それぞれ、76.9%(130/169)~76.4%(126/165)及び76.9%(130/169)~75.0%(123/164)である。
【0639】
プラセボ→グセルクマブ100mg q4w群では、同様にIGA及びPASI90応答率の両方が、52週目から100週目まで維持された。52週目から100週目まで、観察されたIGA及びPASI90応答率は、それぞれ、84.2%(144/171)~88.1%(141/160)及び76.6%(131/171)~87.5%(140/160)である。
【0640】
ベースラインでの腱付着部炎を有する対象間の腱付着部炎の消散及び変化:
52週目以降、Leeds腱付着部炎指数(LEI)に基づく腱付着部炎を76週目及び100週目に評価した。52週目から100週目までの経時的な腱付着部炎スコア(LEIに基づく)における消散及びベースラインからの変化を達成する対象の割合を、図38A及び38Bにプロットする。
【0641】
グセルクマブ100mg q4w群及びq8w群の両方において、LEI消散率が、52週目から100週目まで維持され、q4w群では61.0%(97/159)~67.7%(105/155)、q8w群では66.0%(97/147)~77.5%(110/142)であった。平均LEIスコアは、ベースラインから減少し続け、52週目から100週目まで維持された。52週目から100週目まで、ベースラインからのLEIスコアの平均変化(SD)は、q4w群では-2.08(1.721)から-2.22(1.802)であり、q8w群では-1.90(1.658)から-2.15(1.652)である。
【0642】
プラセボ→グセルクマブ100mg q4w群では、同様にLEI消散率が52週目から100週目まで維持され、67.3%(111/165)~75.2%(115/153)であった。ベースラインからのLEIスコアの平均変化(SD)は、52週目で-2.09(1.594)であり、100週目で-2.38(1.697)である。
【0643】
ベースライン時に指炎を有する対象間の指炎消散:
52週目以降、指炎を76週目及び100週目に評価した。52週目から100週目までの経時的な指炎消散及び指炎スコアのベースラインからの変化を達成した対象の割合を、図39A及び39Bにプロットする。
【0644】
グセルクマブ100mg q4w及びq8w群の両方において、指炎消散率が52週目から100週目まで維持され、q4w群では80.7%(88/109)~82.9%(87/105)、q8w群では81.7%(85/104)~91.1%(92/101)であった。52週目から100週目まで、ベースラインからの指炎スコアの平均変化(SD)は、q4w群では-7.43(8.659)から-7.90(9.138)であり、q8w群では-7.29(9.783)から-7.94(10.118)である。
【0645】
プラセボ→グセルクマブ100mg q4w群では、同様に指炎消散率が52週目から100週目まで維持され、78.3%(72/92)~83.7%(72/86)であった。ベースラインからの指炎スコアの平均変化(SD)は、52週目で-7.45(9.221)であり、100週目で-8.07(9.629)である。
【0646】
SF-36 MCS/PCSスコア(ベースラインからの変化):
52週目の後、SF-36データを76週目及び100週目に収集した。52週目から100週目までの経時的なSF-36 MCS及びPCSスコアのベースラインからの変化を、図40A及び40Bにプロットする。
【0647】
グセルクマブ100mg q4w及びq8w群の両方において、SF-36 PCSの改善が52週目から100週目まで継続した。52週目から100週目まで、ベースラインからのSF-36 PCSスコアの平均変化(SD)は、q4w群では9.02(8.626)から10.56(8.745)であり、q8w群では9.44(8.285)~11.28(9.275)である。SF-36 MCSの改善は、概して、52週目から100週目まで維持された。52週目から100週目まで、ベースラインからのSF-36 MCSスコアの平均変化(SD)は、q4w群では4.13(9.137)から4.94(9.593)であり、q8w群では4.54(9.785)から4.72(9.901)である。
【0648】
プラセボ→グセルクマブ100mg q4w群では、同様にSF-36 PCSが52週目から100週目まで継続した。ベースラインからのSF-36 PCSスコアの平均変化(SD)は、52週目で8.17(8.219)であり、100週目で10.51(8.682)である。SF-36 MCSの改善は、概して、52週目から100週目まで維持された。ベースラインからのSF-36 MCSスコアの平均変化(SD)は、52週目で4.38(10.940)であり、100週目で4.61(11.253)である。
【0649】
X線写真エンドポイント
この112週目のTLRにおけるX線写真エンドポイントに関する分析は、52週目の後、100週目まで少なくとも1つのX線画像を撮影した対象を含む、読み取りキャンペーン3からのデータに基づいた。この読み取りキャンペーンでは、対象の全てのX線画像(ベースライン、24週目、52週目、100週目、及び/又は試験治療若しくは試験参加の早期中止時の画像を含む)を、対象の身元及び画像の時間的順序を知らされていない2人の主要読み取り者の各々が、一緒に、独立して、読み取った。分析は、観察されたデータに対する構造損傷の完全分析セット3(N=687)に基づいており、欠損データの補完はなかった。応答エンドポイントの全ての図において、表示される信頼区間は、Wald統計に基づいて計算した。
【0650】
ベースラインから52週目までに対する、52週目から100週目までの構造的損傷進行の阻害
修正vdH-Sスコア、びらん(ERN)スコア、及びJSNスコアの変化:
これらのスコアにおけるベースラインから52週目までに対する52週目から100週目までの平均変化を、グセルクマブ100mg q4w及びq8w群について図41 A~Cにプロットする。プラセボ→グセルクマブ100mg q4w群は、24週目にクロスオーバーを行ったので、この図に含まれていないことに注意されたい。
【0651】
グセルクマブ100mg q4w及びq8w群の両方において、X線写真上の進行の阻害は、概して、52週目から100週目まで維持された。ベースラインから52週目まで及び52週目から100週目までの修正vdH-Sスコアの平均変化(SD)は、q4w群では1.06(4.464)及び0.75(4.021)であり、q8w群では0.99(2.980)及び0.46(2.419)である。びらんスコア及びJSNスコアでも同様の結果が見られた。ベースラインから52週目まで及び52週目から100週目までのびらんスコアの平均変化(SD)は、q4w群では0.63(2.972)及び0.45(2.900)であり、q8w群では0.71(2.362)及び0.26(1.751)である。ベースラインから52週目まで及び52週目から100週目までのJSNスコアの平均変化(SD)は、q4w群では0.43(1.917)及び0.30(1.319)であり、q8w群では0.28(0.944)及び0.20(0.917)である。
【0652】
プラセボ→グセルクマブ100mg q4w群において、修正vdH-Sスコアの平均変化(SD)は、ベースラインから24週目まで(プラセボを受けている間)1.12(3.804)(n=215)、24週目から52週目まで(グセルクマブ100mg q4wを受けている間)0.34(2.786)(n=213)、及び52週目から100週目まで(グセルクマブ100mg q4wを受けている間)0.13(3.742)(n=202)であり、グセルクマブを受けた後1.5年では、プラセボを受けている間の最初の24週と比較して、X線写真上の進行がはるかに少ないことが示された。同様の効果が、ベースラインから24週目まで、24週目から52週目まで、及び52週目から100週目までの変化について、びらんスコア(0.73[2.203、n=215]、0.25[1.845、n=213]、及び0.09[1.978、n=202])とJSNスコア(0.39[1.717、n=215]、0.09[1.113、n=213]、及び0.04[1.904、n=202])との両方において見られた。
【0653】
修正vdH-Sスコア、びらんスコア、及びJSNスコアにおいてX線写真上の進行がない(変化が、0、0.5、最小検出可能変化[SDC]以下である)対象の割合:
ベースラインから52週目までに対する52週目から100週目までのX線写真上の進行(スコア変化が0以下、0.5以下、又はSDC以下であるとして定義される)がない対象の割合を、グセルクマブ100mg q4w及びq8w群について図42にプロットする。プラセボ→グセルクマブ100mg q4w群は、24週目にクロスオーバーを行ったので、この図に含まれていないことに注意されたい。
【0654】
グセルクマブ100mg q4w及びq8w群の両方において、ベースラインから52週目までに観察された修正vdH-Sスコア、びらんスコア、及びJSNスコアにおけるX線写真上の進行がない対象の割合は、52週目から100週目まで維持された。ベースラインから52週目まで、及び52週目から100週目まで、q4w群におけるスコア変化が0以下、0.以下5、及びSDC以下である対象の割合は、それぞれ、修正vdH-Sスコアにおいて64.3%/66.8%、75.1%/82.5%、及び90.0%/89.1%、びらんスコアにおいて67.4%/73.5%、77.4%/86.7%、及び90.5%/90.5%、並びにJSNスコアにおいて74.2%/79.1%、85.1%/87.7%、及び88.2%/92.4%であり、q8w群では、それぞれ、修正vdH-Sスコアにおいて54.4%/68.5%、65.4%/78.2%、及び88.2%/89.4%、びらんスコアにおいて61.0%/72.2%、71.5%/81.9%、及び87.7%/90.3%、並びにJSNスコアにおいて72.4%/77.3%、84.2%/88.4%、及び89.5%/93.1%である。
【0655】
プラセボ→グセルクマブ100mg q4w群において、ベースラインから24週目まで(プラセボを受けている間)、24週目から52週目まで(グセルクマブ100mg q4wを受けている間)、及び52週目から100週目まで(グセルクマブ100mg q4wを受けている間)、X線写真上の進行がない対象の割合は、修正vdH-Sスコアについて55.8%/71.8%/75.7%(変化0以下)、71.2%/81.7%/82.7%(変化0.5以下)、及び88.4%/92.0%/93.1%(変化SDC以下)、びらんスコアについて60.5%/74.2%/80.2%(変化0以下)、75.3%/84.5%/87.1%(変化0.5以下)、及び87.0%/91.1%/94.1%(変化SDC以下)、並びにJSNスコアについて81.4%/82.6%/83.7%(変化0以下)、87.4%/93.4%/90.6%(変化0.5以下)、及び90.2%/93.4%/93.1%(変化SDC以下)である。X線写真上の進行がない対象の割合は、ベースラインから24週目までの期間と比較して、24週目から100週目までで数値的に増加した。
【0656】
修正vdH-Sスコアの変化の確率プロット:
グセルクマブ100mg q4w及びq8w群について、ベースラインから52週目までに対する52週目から100週目までの修正vdH-Sスコアの変化の確率プロットを、図43A及び43Bに提供する。確率プロットは、対象の経験的累積率を示し(横軸;左から右へ)、修正vdH-Sスコア変化が変化カット値以下である(縦軸;下から上へ)。確率プロットは、グセルクマブ100mg q4w及びq8w群の両方において、2年目のX線写真上の進行が1年目よりも2年目において遅いことを示す。
【0657】
ベースラインから100週目までの構造的損傷進行の阻害
修正vdH-Sスコア、びらんスコア、及びJSNスコアにおけるベースラインから100週目までの変化:
これらのスコアにおける100週目までの来院によるベースラインからの変化を、図44A~Cにプロットする。グセルクマブ100mg q4w、q8w、及びプラセボ→グセルクマブ100mg q4w群における100週目でのベースラインからの平均変化(SD)は、それぞれ、修正vdH-Sスコアにおいて1.68(7.018)、1.50(4.393)、及び1.49(6.859)、びらんスコアにおいて1.02(4.676)、1.01(3.355)、及び1.01(4.034)、並びにJSNスコアにおいて0.66(2.722)、0.50(1.387)、及び0.49(2.984)である。
【0658】
修正vdH-Sスコア、びらんスコア、及びJSNスコアにおける100週目でのベースラインからのX線写真上の進行がない(変化が、0、0.5、SDC以下である)対象の割合:
100週目でのベースラインからのX線写真上の進行がない(スコア変化が、0以下、0.5以下、又はSDC以下であるとして定義される)対象の割合を、図45にプロットする。100週目までに、スコア変化が0以下、0.5以下、及びSDC以下であるとして定義される、ベースラインからのX線写真上の進行がない対象の割合は、修正vdH-Sスコア、びらんスコア、及びJSNスコアにおいて、グセルクマブ100mg q4w、q8w、及びプラセボ→グセルクマブ100mg q4w群にわたって同様である。3つの治療群の間に明らかな差はない。
【0659】
修正vdH-Sスコア、びらんスコア、及びJSNスコアにおける100週目でのベースラインからの変化の確率プロット:
100週目でのベースラインからのこれらのスコアの変化の確率プロットを、グセルクマブ100mg q4w及びq8w群について、図46A~Cに提供する。確率プロットは、治療群ごとの100週目でのベースラインからのスコア変化の経験的累積分布を示す。2つの治療群間に明らかな差はない。
【0660】
安全性
試験終了時(112週目)の安全分析の主な焦点は、2年の曝露後のグセルクマブ100mg q4w用量レジメンとq8w用量レジメンとの安全性プロファイルを比較し、プラセボ対照期間中に観察されたものからpSA対象におけるグセルクマブの安全性プロファイルに何らかの変化があるかどうかを調べることである。試験終了までの重要な安全性事象を表51に要約する。
【0661】
この表におけるプラセボ対照期間には、早期に中止し、24週目以降にいかなる試験薬も受けなかった対象に対して24週目の後で行われた追加の安全性追跡調査(最終用量投与後12週間まで)が含まれた。
【0662】
【表51】
【0663】
試験終了まで、グセルクマブ治療対象の間で、有害事象(AE)、重篤なAE(SAE)、中止につながるAE、感染症若しくは重篤な感染症、又は注射部位反応の頻度において、追跡調査期間を考慮し、プラセボ対照期間中のものと比較して、不均衡な増加はなかった。グセルクマブ100mg q4w、q8w、及びプラセボ→グセルクマブ100mg q4w群の対象のうち、それぞれ:
●70.2%(172/245)、71.8%(178/248)、及び52.9%(126/238)が、少なくとも1つのAEを有した。
●9.0%(n=22)、8.9%(n=22)、及び6.7%(n=16)が、少なくとも1つの重篤なAEを有した。
●5.3%(n=13)、3.2%(n=8)、及び4.2%(n=10)が、試験薬剤投与の中断をもたらしたAEを有した。
●4.1%(n=10)、3.6%(n=9)、及び4.2%(n=10)が、重症度の高い少なくとも1つのAEを有した。
●グセルクマブ100mg q4w群において、33.5%(n=82)、37.9%(n=94)、及び25.6%(n=61)が、covid-19肺炎(n=1)を含む少なくとも1つの感染症を有した。
●2.0%(n=5)、3.2%(n=8)、及び3.4%(n=8)が、少なくとも1つの重篤な感染症を有した。
●2.9%(n=7)、3.2%(n=8)、及び2.1%(n=5)が、少なくとも1つの注射部位反応を有した。
●1.2%(n=3)、0.0%(n=0)、及び0.0%(n=0)が、グセルクマブ100mg q4w群における急性心筋梗塞症(n=1)及びグセルクマブ100mg q4w群における虚血性脳卒中(n=2)を含む、主要な急性心臓血管事象(major acute cardiovascular event、MACE:心臓血管死、非致死性心筋梗塞症、及び非致死性脳卒中)を報告した。
●0.0%(n=0)、0.4%(n=1)、及び0.0%(n=0)が、グセルクマブ100mg q8w群において、悪性腫瘍:インサイチュでの悪性メラノーマ(n=1)を報告した。
●アナフィラキシー又は血清病反応は報告されなかった。
●活動性結核は報告されなかった。
●0.0%(n=0)、0.8%(n=2)、及び0.4%(n=1)は、グセルクマブ100mg q8w群における真菌性食道炎(n=1)、グセルクマブ100mg q8w群における播種性帯状疱疹(n=1)、及びプラセボからグセルクマブ100mg q4w群におけるリステリア髄膜炎(n=1)を含む、日和見感染症を有した。
●1人が、プラセボからグセルクマブ100mg q4w群において、致命的なアウトカムを伴う事象:道路交通事故(n=1)を報告した。
【0664】
最も一般的なAE System Organ Class(SOC)は、感染症及び侵襲(31.2%)であり、グセルクマブ100mg q4w群、グセルクマブ100mg q8w群、プラセボからグセルクマブ100mg q4w群の対象の、それぞれ、31.0%(76/245)、37.1%(92/248)、25.2%(60/238)で報告されている。グセルクマブ治療対象の少なくとも5%に生じる最も一般的なAEは、アラニンアミノトランスフェラーゼの増加(9.7%)、上気道感染症(8.5%)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの増加(7.7%)、上咽頭炎(7.5%)である。
【0665】
24週後に観察された自殺念慮、自殺行為、及び自殺意図のない自傷行為は、プラセボ対照期間中に観察されたものと同等であった。試験終了まで、これらの事象に不均衡な増加はなかった。
●自殺行為のある対象は報告されなかった。
●非自殺的自傷行為のある対象は報告されなかった。
●0.4%(3/731)の対象が、レベル1の自殺念慮(死にたいと願うこと)を有した:グセルクマブ100mg q4w群において1人(0.4%)及びグセルクマブ100mg q8w群において2人(0.8%)。
【0666】
24週目の後に観察された検査異常は、プラセボ対照期間中に観察されたものと同等であった。試験終了まで、検査異常の不均衡な増加はなかった。
●ベースライン後の最大CTCAEグレード2以上のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、及び血中ビリルビンの上昇:
○ALTの増加:グセルクマブ100mg q4w群において、グレード2で7.0%(17/243)(ベースラインが正常であった場合、ULNの3.0超~5.0倍;ベースラインが異常であった場合、ベースラインの3.0超~5.0倍)、及びグレード3で2.1%(5/243)(ベースラインが正常であった場合、ULNの5.0~20.0倍;ベースラインが異常であった場合、ベースラインの5.0超~20.0倍)、グセルクマブ100mg q8w群において、グレード2で2.4%(6/247)及びグレード3で1.6%(4/247)、並びにプラセボからグセルクマブ100mg q4w群において、グレード2で2.9%(7/238)及びグレード3で0.4%(1/238)。
○ASTの増加:グセルクマブ100mg q4w群において、グレード2で4.5%(11/243)及びグレード3で3.3%(8/243)、グセルクマブ100mg q8w群において、グレード2で3.6%(9/247)及びグレード3で1.2%(3/247)、並びにプラセボからグセルクマブ100mg q4w群においてグレード2で1.7%(4/238)及びグレード3で0.8%(2/238)。
○ビリルビンの増加:グセルクマブ100mg q4w群においてグレード2で1.6%(4/243)、グセルクマブ100mg q8w群においてグレード2で2.8%(7/247)、及びプラセボからグセルクマブ100mg q4w群においてグレード2で0.8%(2/238)。
●好中球、白血球(white blood cell、WBC)、及び血小板数における、ベースライン後の最大CTCAEグレード2以上の減少:
○好中球数の減少:グセルクマブ100mg q4w群においてグレード2で4.9%(12/243)(1.5未満~1.0×109/L)及びグレード3で0.8%(2/243)(1.0未満~0.5×109/L)及びグレード4で0.4%(1/243)(0.5未満×109/L)、グセルクマブ100mg q8w群においてグレード2で4.5%(11/247)及びグレード3で0.8%(2/247)、プラセボからグセルクマブ100mg q4w群においてグレード2で2.5%(6/238)及びグレード3で0.4%(1/238)。
○WBC数の減少:グセルクマブ100mg q4w群においてグレード2で2.5%(6/243)(3.0未満~2.0×109/L)、グセルクマブ100mg q8w群においてグレード2で3.2%(8/247)、及びプラセボからグセルクマブ100mg q4w群においてグレード2で1.3%(3/238)。
○血小板数の減少:グセルクマブ100mg q4w群においてはなし、グセルクマブ100mg q8w群においてグレード2で0.4%(1/247)(75.0未満~50.0×109/L)及びグレード3で0.4%(1/247)(50.0未満~25.0×109/L)、並びにプラセボからグセルクマブ100mg q4w群においてはなし。
【0667】
結論
グセルクマブ100mg q4w及びq8w用量レジメンは両方とも、2年間の曝露を通して、関節及び皮膚乾癬の徴候及び症状、身体機能、腱付着部炎、指炎、並びに健康関連の生活の質に対する臨床的効果を維持した。明確な用量応答は観察されない。
【0668】
X線写真上の進行の阻害も、グセルクマブ100mg q4w群において、ベースラインから52週目までと比較して、52週目から100週目まで維持された。加えて、グセルクマブ100mg q4w及びq8w群の両方において、1年目(ベースラインから52週目まで)と比較して、2年目(52週目から100週目まで)に観察されたX線写真上の進行は数値的により少なかった。100週目において、平均修正vdH-Sスコアは、グセルクマブ100mg q4w群とq8w群との間で類似していた。
【0669】
グセルクマブ100mg q4w及びq8w用量レジメンの両方が、試験終了まで安全であり忍容性良好であった。グセルクマブq8w群と比較して、グセルクマブq4w群において、肝酵素上昇の発生率の増加が観察された。試験終了までの乾癬性関節炎患者のこの集団におけるグセルクマブの安全性プロファイルは、乾癬適応症において実証されたものと概ね一致する。
【0670】
U.S.Food and Drug Administrationは、2020年7月13日現在、米国において活動性乾癬性関節炎(pSA)を有する成人患者の治療のためにTREMFYA(登録商標)(グセルクマブ)を承認している。
【0671】
本発明は、抗IL-23抗体の医薬組成物及び製品パッケージを更に含み、抗体は、(i)重鎖可変領域及び軽鎖可変領域であって、重鎖可変領域が、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含む、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、(ii)配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域、又は(iii)配列番号9のアミノ酸配列の重鎖及び配列番号10のアミノ酸配列の軽鎖、を含む。
【0672】
当業者は、広い発明概念から逸脱することなく、上で説明される実施形態に変更を行うことができることを理解する。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に制限されず、本説明によって定義される本出願の趣旨及び範囲内の修正を包含することを意図するものと理解される。
【0673】
本発明は、以下の番号付けされた実施形態を参照して説明することができる。
1.乾癬性関節炎の治療を、それを必要とする対象において行うための抗IL-23抗体の使用であって、約50mg~約150mgの抗体が、対象に、4週毎に1回(q4w)又は8週毎に1回(q8w)皮下投与され、抗体が、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2、及び配列番号3のCDRH3を含み、軽鎖可変領域が、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2、及び配列番号6のCDRL3を含み、対象が、治療後に、米国リウマチ学会コアセット疾患指数の少なくとも20%の改善(ACR20)を達成し、かつ/又は治療により、少なくとも約100週の治療期間中に維持される乾癬性関節炎のX線写真上の進行が阻害若しくは低減される、使用。
2.抗体が、配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域と、を含む、実施形態1に記載の使用。
3.抗体が、配列番号9の重鎖アミノ酸配列と、配列番号10の軽鎖アミノ酸配列と、を含む、実施形態1に記載の使用。
4.抗体が、投与当たり約100mgの用量で投与される、実施形態1~3に記載の使用。
5.ACR20が達成され、約100週の治療期間の後に維持される、実施形態1~4に記載の使用。
6.治療後に、対象が、米国リウマチ学会コアセット疾患指数の50%の改善(ACR50)、米国リウマチ学会コアセット疾患指数の70%の改善(ACR70)、健康評価質問票障害指数(HAQ-DI)、治験責任医師によるグローバル評価(IGA)、疾病活動性スコア28(DAS28)C反応性タンパク質(CRP)、腱付着部炎の消散、指炎の消散、リーズ腱付着部炎指数(LEI)、指炎評価スコア、精神的及び身体的コンポーネントサマリー(MCS及びPCS)におけるショートフォーム健康調査(SF-36)、最小疾患活動性(MDA)の達成、非常に低い疾患活動性(VLDA)、バス強直性脊椎炎活動性指数(BASDAI)、GRAppa複合スコア(GRACE)、乾癬性関節炎疾患活動性スコア(PASDAS)、修正複合乾癬疾患活動性指数(mCPDAI)、乾癬の面積及び重症度指数(PASI)、皮膚疾患のライフクオリティ指数(DLQI)、慢性疾病治療の機能評価(FACIT)、並びに患者報告アウトカム測定情報システム-29(PROMIS-29)からなる群から選択される少なくとも1つの基準によって決定した疾患活動性の改善を更に達成し、約100週の治療期間の後に維持する、実施形態1~5に記載の使用。
7.対象が、治療後の米国リウマチ学会コアセット疾患指数の少なくとも50%の改善(ACR50)を更に達成し、約100週の治療期間の後に維持する、実施形態1~6に記載の使用。
8.対象が、少なくとも約100週の治療期間後の健康評価質問票障害指数(HAQ-DI)の改善を更に達成し、約100週の治療期間の後に維持する、実施形態1~7に記載の使用。
9.対象が、少なくとも約100週の治療期間後の疾患活動性スコア28(DAS28)C反応性タンパク質(CRP)の改善を更に達成し、約100週の治療期間の後に維持する、実施形態1~8に記載の使用。
10.対象が、少なくとも約100週の治療期間の後の、0(クリア)若しくは1(最小)の治験責任医師によるグローバル評価(IGA)、又はIGAの2グレード以上の低減を更に達成し、維持し、対象が、治療前のベースライン時に、3%以上の体表面積(BSA)の乾癬性病変及び2以上のIGAスコアを有する、実施形態1~9に記載の使用。
11.対象が、PsAの標準治療に対して不十分な応答を有してきており、任意選択で、対象が、治療中に標準治療も受ける、実施形態1~10に記載の使用。
12.乾癬性関節炎の治療を、それを必要とする対象において行うための抗IL-23抗体の使用であって、約50mg~約150mgの抗IL-23抗体が、対象に、0週目に1回、4週目に1回、及びその後4週毎に1回(q4w)又は8週毎に1回(q8w)皮下投与され、抗体が、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2、及び配列番号3のCDRH3を含み、軽鎖可変領域が、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2、及び配列番号6のCDRL3を含み、対象が、治療前に、直径2cm以上の少なくとも1つの乾癬プラーク、又は乾癬と一致する爪の変化、又は尋常性乾癬の裏付けられた病歴を有し、対象が、約100週の治療期間中、米国リウマチ学会コアセット疾患指数の少なくとも20%の改善(ACR20)を達成し、維持する、使用。
13.抗体が、配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域と、を含む、実施形態12に記載の使用。
14.抗体が、配列番号9の重鎖アミノ酸配列と、配列番号10の軽鎖アミノ酸配列と、を含む、実施形態13に記載の使用。
15.抗体が、投与当たり約100mgの用量で投与される、実施形態12~14に記載の使用。
16.ACR20が達成され、約100週の治療期間の後に維持される、実施形態12~15に記載の使用。
17.治療後に、対象が、米国リウマチ学会コアセット疾患指数の50%の改善(ACR50)、米国リウマチ学会コアセット疾患指数の70%の改善(ACR70)、健康評価質問票障害指数(HAQ-DI)、治験責任医師によるグローバル評価(IGA)、疾病活動性スコア28(DAS28)C反応性タンパク質(CRP)、腱付着部炎の消散、指炎の消散、リーズ腱付着部炎指数(LEI)、指炎評価スコア、精神的及び身体的コンポーネントサマリー(MCS及びPCS)におけるショートフォーム健康調査(SF-36)、最小疾患活動性(MDA)の達成、非常に低い疾患活動性(VLDA)、バス強直性脊椎炎活動性指数(BASDAI)、GRAppa複合スコア(GRACE)、乾癬性関節炎疾患活動性スコア(PASDAS)、修正複合乾癬疾患活動性指数(mCPDAI)、乾癬の面積及び重症度指数(PASI)、皮膚疾患のライフクオリティ指数(DLQI)、慢性疾病治療の機能評価(FACIT)、並びに患者報告アウトカム測定情報システム-29(PROMIS-29)からなる群から選択される少なくとも1つの基準によって決定した疾患活動性の改善を更に達成し、約100週の治療期間の後に維持する、実施形態12~16に記載の使用。
18.対象が、治療後の米国リウマチ学会コアセット疾患指数の少なくとも50%の改善(ACR50)を更に達成し、約100週の治療期間の後に維持する、実施形態12~17に記載の使用。
19.対象が、少なくとも約24週の治療期間後の健康評価質問票障害指数(HAQ-DI)の改善を更に達成し、約100週の治療期間の後に維持する、実施形態12~18に記載の使用。
20.対象が、少なくとも約100週の治療期間後の疾患活動性スコア28(DAS28)C反応性タンパク質(CRP)の改善を、更に達成し、維持する、実施形態12~19に記載の使用。
21.対象が、少なくとも約24週の治療期間の後の、0(クリア)若しくは1(最小)の治験責任医師によるグローバル評価(IGA)、又はIGAの2グレード以上の低減を更に達成し、約100週の治療期間の後に維持し、対象が、治療前のベースライン時に、3%以上の体表面積(BSA)の乾癬性病変及び2以上のIGAスコアを有する、実施形態12~20に記載の使用。
22.対象が、PsAの標準治療に対して不十分な応答を有してきた、実施形態1~21に記載の使用。
23.対象が、治療中に標準治療も受ける、実施形態22に記載の使用。
24.治療により、少なくとも112週の治療期間中に、乾癬性関節炎のX線写真上の進行が阻害又は低減される、実施形態1~23に記載の使用。
25.抗IL-23抗体の医薬組成物であって、
a.(i)重鎖可変領域及び軽鎖可変領域であって、重鎖可変領域が、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含む、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、(ii)配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域、又は(iii)配列番号9のアミノ酸配列の重鎖及び配列番号10のアミノ酸配列の軽鎖、を含む抗体、を含み、
b.抗体が、中等度から重度の活動性乾癬性関節炎を有する成人男性及び女性を治療するのに有用であり、少なくとも112週の治療期間中に、安全であることが臨床的に証明され、有効であることが臨床的に証明される、医薬組成物。
26.グセルクマブを含む薬物製品を販売する方法であって、グセルクマブを製造することと、グセルクマブを含む療法が、初期治療後少なくとも100週での乾癬性関節炎測定を有する対象の治療に安全かつ有効であることを宣伝することであって、工程a)及びb)を実施することで、医療専門家(HCP)に薬物製品を購入させる、宣伝することと、それにより、薬物製品を販売することと、を含む、方法。
【0674】
【表52】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21A
図21B
図22A
図22B
図23A
図23B
図24A
図24B
図25A
図25B
図26A
図26B
図27A
図27B
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
【配列表】
2024510744000001.app
【国際調査報告】