(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-11
(54)【発明の名称】駆動装置を有する飲料調製機械と飲料調製システム
(51)【国際特許分類】
A47J 31/36 20060101AFI20240304BHJP
A47J 31/06 20060101ALI20240304BHJP
B67D 1/08 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
A47J31/36 120
A47J31/06 210
B67D1/08 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023555602
(86)(22)【出願日】2022-03-11
(85)【翻訳文提出日】2023-11-09
(86)【国際出願番号】 EP2022056327
(87)【国際公開番号】W WO2022189622
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】102021202399.1
(32)【優先日】2021-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521365451
【氏名又は名称】フリーツィオ、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】FREEZIO AG
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】シュトッサー,ガブリエル
【テーマコード(参考)】
3E082
4B104
【Fターム(参考)】
3E082AA04
3E082CC03
3E082CC05
3E082CC10
3E082DD01
3E082EE01
3E082EE02
3E082FF05
4B104AA20
4B104BA35
4B104DA09
4B104DA33
4B104EA06
4B104EA19
(57)【要約】
本発明は、リザーバ(8)の中に飲料物質を有するカートリッジ(7)と、カートリッジ(7)に接続されており、混合チャンバと、少なくとも1つの流体源と、飲料出口とを有するカートリッジ受取部(11)とから構成されるカートリッジシステムにより、飲料を調製するための飲料調製機械(1)であって、飲料調製機械(1)は、メインユニット(2)と、メインユニット(2)から突き出ており、特にバルコニ状に設計されたカートリッジホルダ(3)とを備え、カートリッジホルダ(3)は、カートリッジシステムがカートリッジホルダ(3)の中に挿入されることが可能であるように設計され、カートリッジホルダ(3)は、カートリッジシステムのカートリッジ放出デバイスを作動させるアクチュエータ要素(14)を備え、メインユニット(2)は、液体リザーバ(4)と、液体リザーバ(4)からの液体を調節するための液体調節システムであって、特に液体の温度を制御するためのおよび/または液体に炭酸ガスを加えるための液体調節システムと、調節された液体および/または圧縮された空気をカートリッジシステムの中に導入するための流体供給システムと、液体調節システムおよび/または流体供給システムを制御するための制御デバイスとを備え、メインユニット(2)および/またはカートリッジホルダ(3)は、アクチュエータ要素(14)のための駆動装置を備える飲料調製機械(1)に関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リザーバ(8)の中に飲料物質を有するカートリッジ(7)と、前記カートリッジ(7)に接続されており、混合チャンバと、少なくとも1つの流体源と、1つの飲料出口とを有するカートリッジ受取部(11)とから構成されるカートリッジシステムにより、飲料を調製するための、特にディスペンサである飲料調製機械(1)であって、
前記飲料調製機械(1)は、メインユニット(2)と、前記メインユニット(2)から突き出ており、特にバルコニ状の設計を有するカートリッジホルダ(3)とを備え、
前記カートリッジホルダ(3)は、前記カートリッジシステムが前記カートリッジホルダの中に挿入されることが可能であるように設計され、
前記カートリッジホルダ(3)は、前記カートリッジシステムのカートリッジ放出デバイスを作動させるアクチュエータ要素(14)を備え、
前記メインユニット(2)は、液体リザーバ(4)と、前記液体リザーバ(4)からの液体を調節するための液体調節システムであって、特に、前記液体の温度を制御するための、および/または前記液体に炭酸ガスを加えるための液体調節システムと、前記調節された液体および/または圧縮された空気を前記カートリッジシステムの中に導入するための流体供給システムと、前記液体調節システムおよび/または前記流体供給システムを制御するための制御デバイスとを備える飲料調製機械(1)において、
前記メインユニット(2)および/または前記カートリッジホルダ(3)が、前記アクチュエータ要素(14)のための駆動装置(12)を備えることを特徴とする、飲料調製機械(1)。
【請求項2】
前記駆動装置(12)が、手動駆動装置および/またはモータであり、前記駆動装置(12)が、特に、リニア駆動装置、ロータリ駆動装置および/または振動駆動装置であることを特徴とする、請求項1に記載の飲料調製機械(1)。
【請求項3】
前記モータが、電気モータ、油圧モータまたは空気圧モータであることを特徴とする、請求項2に記載の飲料調製機械(1)。
【請求項4】
前記カートリッジホルダ(3)が、実質的にディスク状の設計を有し、好ましくは、前記メインユニット(2)から実質的に水平方向に突き出しており、特に好ましくは、前記カートリッジホルダ(3)が、前記カートリッジシステムがその中に挿入されることが可能なアパーチャ、特に実質的に円形であるアパーチャを有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の飲料調製機械(1)。
【請求項5】
前記飲料調製機械(1)、特に前記カートリッジホルダ(3)および/または前記メインユニット(2)が、ユーザによって作動させられることが可能であり、特に前記制御デバイスを介して、前記駆動装置(12)に結合されている少なくとも1つの操作要素(6、6’)を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の飲料調製機械(1)。
【請求項6】
前記操作要素(6)が、レバーであり、前記レバーは、特に水平方向にまたは垂直方向に向けられた軸の周りを回転することが可能であることを特徴とする、請求項5に記載の飲料調製機械。
【請求項7】
前記カートリッジホルダ(3)が、前記カートリッジシステムを前記カートリッジホルダ(3)に可逆的にロックするために提供される少なくとも1つのロック手段(13)を有し、前記ロック手段(13)は、ロックされていない位置からロックされている位置に、およびその逆に移動されることが可能であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の飲料調製機械(1)。
【請求項8】
前記ロック手段(13)が、前記ロックされていない位置から前記ロックされている位置に、前記操作要素(6、6’)によって移動されることが可能であることを特徴とする、少なくとも請求項5および7に記載の飲料調製機械(1)。
【請求項9】
前記飲料調製機械(1)、特に前記制御デバイスは、前記ロック要素(14)が前記ロックされた位置にあるときにのみ、前記アクチュエータ要素(14)および/または前記駆動装置(12)が起動可能であるように構成されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の飲料調製機械(1)。
【請求項10】
前記駆動装置(12)が、偏向機構(15)を介して前記アクチュエータ要素(14)に接続されており、前記偏向機構(15)は、好ましくは、伝動ギアおよび/または伝動レバーを備えていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の飲料調製機械(1)。
【請求項11】
前記アクチュエータ要素(14)が、少なくとも1つの、特に水平方向に配置された軸(A)周りを回転可能であるように設けられていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の飲料調製機械(1)。
【請求項12】
前記アクチュエータ要素(14)が、少なくとも部分的に前記カートリッジホルダ(3)の下に配置されていることを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の飲料調製機械(1)。
【請求項13】
前記アクチュエータ要素(4)は、ロッカレバーであり、前記ロッカレバーは、前記カートリッジシステムの前記カートリッジ放出デバイスとのポジティブおよび/または非ポジティブな相互作用のための上部接触面を有していることを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項に記載の飲料調製機械(1)。
【請求項14】
前記飲料調製機械(1)が、圧縮空気源を備えており、前記圧縮空気源は、前記流体供給システムとの相互作用で前記カートリッジシステムの中に圧縮空気を導入するために設けられていることを特徴とする、請求項1から13のいずれか1項に記載の飲料調製機械(1)。
【請求項15】
前記飲料調製機械(1)、特に前記メインユニット(2)が、前記カートリッジシステムの識別子を検出するための識別子検出器(18)を有することを特徴とする、請求項1から14のいずれか1項に記載の飲料調製機械(1)。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項に記載の飲料調製機械(1)と、カートリッジシステムとを有する飲料調製システムであって、
前記カートリッジシステムは、飲料調製のために、前記飲料調製機械(1)の前記カートリッジホルダ(3)の中に挿入されることが可能であり、
前記カートリッジシステムは、飲料物質が充填されたリザーバ(8)を備えたカートリッジ(7)と、接続領域において前記カートリッジ(7)に接続されることが可能なカートリッジ受取部(11)とを備え、
前記カートリッジ(7)は、カートリッジ開口を有し、
前記カートリッジ開口は、密封要素、特に密封フィルム(10)によって閉鎖されており、
前記密封要素は、前記カートリッジ受取部(11)に対して液密な様態で、前記リザーバ(8)を閉鎖し、
前記カートリッジ受取部(11)は、前記リザーバ(8)と流体連通させることが可能な混合チャンバと、前記混合チャンバ内中に開放し、前記飲料調製機械(1)の前記流体供給システムに結合することにより、調節された液体が前記混合チャンバの中に導入されることを可能にする流体源とを有し、
前記カートリッジ受取部(11)は、前記飲料物質を前記リザーバ(8)から前記混合チャンバの中へ移動させるためのカートリッジ放出デバイスを有し、
前記カートリッジ受取部(11)は、前記液体と前記飲料物質とを混合することによって形成された飲料を前記混合チャンバから分配するための飲料出口を有する、飲料調製システム。
【請求項17】
前記カートリッジ放出デバイスが、スパイクガイドと、前記スパイクガイドの内部で特に一方向に変位可能であるように取り付けられている穿刺スパイク(17)とを備えており、前記穿刺スパイク(17)は、前記飲料調製機械の前記アクチュエータ要素(14)によって、前記穿刺スパイク(17)が前記密封要素から離間して存在する後退位置と、前記穿刺スパイクが前記密封要素を貫通して前記リザーバ(8)の中に突出する伸長位置との間で変位可能であることを特徴とする、請求項16に記載の飲料調製システム。
【請求項18】
前記カートリッジ放出デバイスが、圧縮空気接続部と、前記圧縮空気接続部から圧縮空気出口まで伸長する圧縮空気ラインとを備えており、前記圧縮空気出口は、特に前記カートリッジ(7)の前記リザーバ(8)の方向に突き出し、前記圧縮空気接続部は、圧縮空気を前記圧縮空気ラインの中に導入するように設計され、前記圧縮空気ラインは、前記穿刺スパイク(17)の中に一体化され、前記カートリッジ放出デバイスは、前記穿刺スパイク(17)の前記伸長位置において、前記飲料物質が前記リザーバ(8)から前記混合チャンバの中へ前記圧縮空気によって移動されることが可能であるように設計されていることを特徴とする、請求項16または17のいずれかに記載の飲料調製システム。
【請求項19】
請求項16から18のいずれか1項に記載の飲料調製システムを用いて飲料を調製する方法であって、
カートリッジ(7)とカートリッジ受取部(11)とから構成されるカートリッジシステムを前記カートリッジホルダ(3)の中に挿入するステップと、
前記流体供給システムと前記カートリッジ受取部(11)との間に流体接続部を確立するステップと、
特に、前記穿刺スパイク(17)を前記後退位置から前記伸長位置に移動させることにより、前記密封要素の穿孔を生じさせることによって、前記カートリッジ放出デバイスを作動させるように、前記アクチュエータ要素(14)を起動するステップと、
特に、圧縮空気を前記リザーバ(8)の中に与えることにより、前記飲料物質を、前記カートリッジ(7)の前記リザーバ(8)から前記カートリッジ受取部(11)の前記混合チャンバの中へ移動させるステップと、
調節された液体を、前記流体供給システムを通じて、前記カートリッジ受取部(11)の前記混合チャンバの中に導入するステップと、
前記飲料物質と前記調節された液体とを混合することにより前記混合チャンバにおいて製造された前記飲料を、前記飲料出口を通じて放出するステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項20】
前記アクチュエータ要素(14)を起動するステップは、前記カートリッジ受取部(11)と、特に前記穿刺スパイク(17)に接触している前記アクチュエータ要素(14)との間に相対運動を生成するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料調製機械に関し、特に、リザーバの中に飲料物質を有するカートリッジと、カートリッジに接続されており、混合チャンバと、少なくとも1つの流体源と、飲料出口とを有するカートリッジ受取部とから構成されるカートリッジシステムによって、飲料を調製するためのディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
この種類のディスペンサは、たとえば、EP2017221A1およびWO96/36556A1といった従来技術から原理的に知られており、予め分包されたカートリッジからの飲料の製造に用いられている。そのようなカートリッジシステムを用いた飲料の製造は、ユーザにとって極めて便利であり、その理由は、ユーザが、カートリッジをディスペンサの中に挿入し、開始手順を始動するだけでよいからである。このディスペンサは、次いで、飲料の製造を完全に自動化された様態で引き継ぎ、すなわち、特に、食料または飲料物質と、所定の量の液体、特に、冷たい炭酸水とが混合され、飲用容器へ送られる。このようにして、特に、混合された飲料を、著しくより容易に、より迅速に、かつ、ユーザのより少ない労力で作ることが、可能である。ユーザは、希望に応じてユーザが異なる飲料を作ることを可能にする複数の異なるカートリッジから選択することが可能である。
【0003】
この場合に、飲料調製機械またはディスペンサは、メインユニットと、メインユニットから突き出ているカートリッジホルダとを備え、カートリッジホルダは、カートリッジシステムをその中に挿入可能に設計されており、カートリッジホルダは、カートリッジシステムのカートリッジ放出デバイスを作動させるためのアクチュエータ要素を備えている。突出したカートリッジホルダのために、アクチュエータ要素の作動は、実現させるのが機械的に困難であり、その理由は、カートリッジホルダが、一般的には、特に可動要素のために、ほんの僅かな設置空間だけしか有していないからである。アクチュエータ要素を作動させるための機構は、単純な構成でなければならず、カートリッジシステムの変化するカートリッジ受取部との間で、信頼性の高い様態で相互作用しなければならない。しかし、この目的のための適切な解決策は、従来技術からは、今日まで知られていない。
【発明の概要】
【0004】
したがって、これらの要件を満足させる飲料調製機械を入手可能にすることが本発明の目的である。特に、アクチュエータ要素の単純で信頼性の高い作動が、可能にされるべきである。同時に、このディスペンサは、操作が非常に便利であるべきであって、低コストで実現されることが可能であるべきである。
【0005】
この目的は、とりわけ、請求項1による飲料調製機械により、達成される。
【0006】
本発明のこの主題に関する言及は、本発明の他の主題にも等しく適用され、およびその逆にも適用される。
【0007】
本発明は、飲料調製機械に関し、特に、カートリッジシステムにより飲料を調製するためのディスペンサに関する。この種類のカートリッジシステムは、本発明による飲料調製機械において用いられるために提供されるのであるが、リザーバの中に飲料物質を有するカートリッジと、カートリッジに接続されており、混合チャンバと、少なくとも1つの流体源と、飲料出口とを有するカートリッジ受取部とから構成される。カートリッジ受取部は、好ましくは、固定され特に回転不可能な様態で、接続領域においてカートリッジに接続される。カートリッジは、たとえば密封フィルムである密封要素によって、特に好ましくは閉鎖されており、それにより、混合チャンバから流体的に分離されている。飲料の調製のために飲料物質を混合チャンバの中に移動させるため、カートリッジ受取部は、カートリッジ放出デバイスを備え、カートリッジ放出デバイスは、好ましくは変位可能な穿刺スパイクを備えており、穿刺スパイクは、密封フィルムを貫通することによって、リザーバと混合チャンバとの間に流体接続部を確立する。
【0008】
この飲料調製機械は、好ましくはハウジングを備えたメインユニットと、メインユニットから突き出ており、特にバルコニ状の設計を有するカートリッジホルダとを備えている。この場合、バルコニ状とは、好ましくは、カートリッジホルダがハウジングから横方向に突出していることを意味し、すなわち、特に、メインユニットのハウジングに配置されているが、ハウジングから別個に形成されていることを意味する。メインユニットは、さらに、少なくとも1つの液体リザーバと、液体リザーバからの液体を調節(conditioning)するための液体調節システムであって、特に液体の温度を制御するためのおよび/または液体に炭酸ガスを加えるための液体調節システムと、調節された液体および/または圧縮された空気をカートリッジシステムの中に導入するための流体供給システムと、液体調節システムおよび/または流体供給システムを制御するための制御デバイスとを備えている。特に好適には、液体調節システムおよび流体供給システムは、特に、少なくとも部分的にはメインユニットのハウジングの中に配置されている。特に好適には、メインユニットおよび/またはカートリッジホルダは、少なくとも1つの操作ユニットを有し、その操作ユニットにより、ユーザは、飲料調製プロセスを開始することができる。
【0009】
カートリッジホルダは、ここで、カートリッジシステムがカートリッジホルダの中に挿入されることが可能であるように、特に、カートリッジシステムがカートリッジホルダによって可逆的に保持されるように、設計されており、カートリッジホルダは、カートリッジシステムのカートリッジ放出デバイスを作動させるアクチュエータ要素を備えている。アクチュエータ要素は、好ましくは、可動要素を備えており、この可動要素は、たとえば、起動されると、穿刺スパイクが密封要素を突き抜け、それにより飲料物質がリザーバから混合チャンバの中に移動されることを可能にするように、穿刺スパイクに接触し変位させる。
【0010】
本発明によると、次に、メインユニットおよび/またはカートリッジホルダは、アクチュエータ要素のための駆動装置を備えていることが想定される。駆動装置は、好ましくは、手動駆動装置および/またはモータであり、駆動装置は、特に、リニア駆動装置、ロータリ駆動装置および/または振動駆動装置である。駆動装置により、アクチュエータ要素の単純で信頼性の高い起動が、特に有利な様態で可能になる。加えて、特に手動での駆動の場合に、駆動装置により、カートリッジ放出デバイスを作動させるためにユーザによって適用される力を減少させることが可能になる。この文脈では、手動による駆動とは、ユーザがアクチュエータ要素を直接的にまたは間接的に移動させることを特に意味する、と理解されるべきである。ユーザが、アクチュエータ要素を直接に作動させない場合、ユーザは、特に純粋に機械的であるその動きがアクチュエータ要素の動きに至るように、少なくとも1つの操作要素を動かすことになる。駆動装置がモータである場合には、飲料調製機械の特に便利な操作が、特に有利な様態で可能になる。たとえば、ユーザは、カートリッジシステムをカートリッジホルダの中に挿入して操作要素を作動させるだけでよいのであって、それにより、飲料調製機械が、飲料調製のプロセスを完全に自動的に始動および/または実行する。制御デバイスも、好ましくは、特にモータである駆動装置を制御するために、提供される。この場合には、特に好ましくは、制御デバイスは、モータを起動することによりアクチュエータ要素を作動させるために、提供される。これは、有利に、プロセスをよりよく制御して、エラーフリーの飲料調製を可能にすることが可能になるのであるが、その理由は、制御デバイスが、特に液体の調節と導入とに関して、カートリッジ放出デバイスの起動時間を最適に決定することが可能であるからである。制御デバイスがカートリッジ放出デバイスの起動時間を決定できるという事実により、すべてのコンポーネントの最適な制御が可能になる。特に、飲料物質が飲料調製機械のライン(線路)に侵入して後者を汚染することを防止するおよび/または飲料物質が早すぎる時点で放出されてしまうこと、すなわち液体と混合することなくカートリッジシステムから出てしまうことを防止することが、特に有利な様態で可能になる。また、ユーザによってアクチュエータ要素が直接的に作動させられるときの力よりも強い力を生成することが可能になるのであって、特に、駆動装置によって30ニュートン(N)までの力を生成することが可能である。
【0011】
好適な実施形態によると、モータは、電気モータ、油圧モータまたは空気圧モータであることが想定される。この飲料調製機械は、好ましくは、外部エネルギ源および/またはたとえば蓄電池である内部エネルギ蓄積装置への接続部を備えている。したがって、有利には、電気モータに、飲料調製機械の他のコンポーネントと同じソースによって、エネルギが供給されることが可能である。空気圧モータの場合には、たとえば内部または外部の圧縮空気源からの空気が、動作媒体として用いられることが可能である。これにより、飲料調製機械は、その設計において、特に柔軟で効率的となる。
【0012】
好適な実施形態によると、カートリッジホルダは、実質的にディスク状の設計を有し、好ましくは、メインユニットから実質的に水平方向に突き出ていることが想定され、特に好適には、カートリッジホルダは、カートリッジシステムがその中に挿入されることが可能であるアパーチャ、特に実質的に円形であるアパーチャを有する。さらに特に好適には、飲用容器のための設置領域が、カートリッジホルダの下方に提供され、この設置領域は、特に、液体収集デバイスを備えている。カートリッジホルダのディスク状の設計により、光学的に目立つカートリッジホルダが提供され、それにより、僅かな設置空間だけが必要となる。カートリッジホルダと、特にアパーチャと、設置領域との相対的な向きにより、飲料が、カートリッジシステムのカートリッジ受取部から飲用容器の中に直接的に流れることが可能になる。特に好適には、飲料調製機械のサポート面からのカートリッジホルダの位置は、飲料調製機械の全体の高さの20~90%、さらに特に好適には40~80%、さらにまた好適には50~70%、特に実質的に60%に対応する高さに配置される。
【0013】
好適な実施形態によると、飲料調製機械、特にカートリッジホルダおよび/またはメインユニットが、ユーザによって作動させられることが可能であり、特に制御デバイスを介して、駆動装置に結合されている少なくとも1つの操作要素を有することが想定される。好適には、操作要素が、特に水平方向にまたは垂直方向に向けられた軸の周囲を回転させることが可能なレバーになっている。レバーは、ユーザによって直感的に操作されることが可能な特に単純で確認された変形例であり、適用可能な場合には、対応する機構を介して力を倍増させる効果を有し得るのであって、結果として、ユーザは、僅かな力を加えるだけで、アクチュエータ要素はカートリッジ放出デバイスを信頼できる様態で作動させる。
【0014】
好適な実施形態によると、カートリッジホルダが、カートリッジシステムをカートリッジホルダに可逆的にロックするために提供される少なくとも1つのロック手段を有することが想定され、ロック手段は、ロックされていない位置からロックされている位置におよびその逆に移動されることが可能である。ロック手段は、好ましくは、ロックされていない位置からロックされている位置に、操作要素によって移動されることが可能である。特に好適には、操作要素は、ハンドレバーを備えている。そのようなハンドレバーは、たとえばユーザによって、垂直軸の周囲を、好ましくは10~180度の角度範囲、特に好ましくは40~120度の角度範囲、特に約90度の角度範囲で、回転されることが可能である。ユーザが、カートリッジシステムをカートリッジホルダの中に挿入し、ハンドレバーを作動させることにより、ロック手段がロックされた位置に移動される。ハンドレバーの角度位置により、ロック手段がロックされた位置にあるのか、またはロックされていない位置にあるのかをユーザが見ることが、有利に容易になる。
【0015】
好適な実施形態によると、先行する請求項のいずれかに記載された飲料調製機械は以下の特徴を有し、すなわち、飲料調製機械が、特に制御デバイスが、ロック要素がロックされた位置にあるときにのみ、アクチュエータ要素および/または駆動装置が起動されることが可能であるように構成されていることが想定される。このようにして、飲料調製機械への損害が、有利に回避される。特に好適には、ロック要素は、カートリッジシステムが正しく挿入されている場合にのみ、ロック位置に移動させることが可能である。これにより、液体が、カートリッジ受取部の中へ正しく通過できることが防止され、アクチュエータ要素がカートリッジ放出デバイスに対して、後者の正しい作動が可能であるように配置される。
【0016】
好適な実施形態によると、駆動装置が偏向機構を介してアクチュエータ要素に接続されていることが想定され、偏向機構は、好ましくは、伝動ギアおよび/または伝動レバーを備えている。結果的に、一方では、駆動装置の動きの位置および方向がアクチュエータ要素の動きの位置および方向にほぼ依存しないことが有利に可能になり、よって、駆動装置のより柔軟な位置決めが可能になり、他方では、力の倍増を実現させることが可能になり、よって、駆動装置を、アクチュエータ要素および/またはカートリッジ放出デバイスの直接的な作動の場合に必要であるよりも、小型にすることが可能になる。偏向機構、特に伝動ギアは、好ましくは、垂直方向の回転軸の周囲のハンドレバーの回転運動が、アクチュエータ要素および/またはカートリッジ受取部の相対的な並進運動に変換されるように、提供される。
【0017】
好適な実施形態によると、アクチュエータ要素は、少なくとも1つの特に水平方向に配置された軸の周囲を回転可能であるように提供されることが想定される。この軸は、好ましくは、アクチュエータ要素が、カートリッジ放出デバイスを作動させるために実質的に円形の弧の形状の動きを実行し、この動きが特に実質的には垂直方向に生じるように、配置される。さらに特に好ましくは、この軸は、メインユニットとカートリッジホルダとの間の移動の近傍に配置される。これにより、有利に、カートリッジホルダにおいて利用可能な狭い設置空間にもかかわらず、アクチュエータ要素の起動が可能になる。
【0018】
好適な実施形態によると、アクチュエータ要素は、カートリッジホルダの少なくとも部分的に下に配置されていることが想定される。カートリッジ放出デバイスがカートリッジホルダの下側からアクセス可能であるように、カートリッジシステムがカートリッジホルダの中へ上側から挿入される場合に、これは、特に有利である。これに加えて、飲料調製機械が通常のように位置決めされるときには、カートリッジホルダの下側は、一般的にユーザには見えないのであって、したがって、アクチュエータ要素をカートリッジホルダの下側に配置することは、飲料調製機械の整然とした概観に寄与する。
【0019】
好適な実施形態によると、アクチュエータ要素は、ロッカレバーであることが想定され、ロッカレバーは、カートリッジシステムのカートリッジ放出デバイスとのポジティブおよび/または非ポジティブな(positive and/or nonpositive)相互作用のための上部接触面を有していることが想定される。ロッカレバーは、好ましくは、実質的に長手方向に伸長し、特に、実質的にロッド状の設計を有する。特に、ロッカレバーの傾斜軸がカートリッジホルダの下側に提供されている場合には、アクチュエータ要素は、少なくとも部分的にはカートリッジホルダの下側に配置されることが可能であり、他方で、駆動装置は、メインユニットに配置されることが可能である。
【0020】
好適な実施形態によると、飲料調製機械は、圧縮空気源を備えていることが想定され、圧縮空気源は、流体供給システムとの相互作用でカートリッジシステムの中に圧縮空気を導入するために提供されている。飲料調製機械は、好ましくは、メインユニットの内部に配置された圧縮空気源を有する。代替として、またはそれに加えて、飲料調製機械は外部の圧縮空気源に接続されることも可能であることが想定される。特に好適には、飲料調製機械は結合要素を有しており、この結合要素は、圧縮空気ラインと液体ラインとを有し、この結合要素は、カートリッジ受取部の流体源に特に好ましくは可逆的に結合されることが可能である。これにより、有利には圧縮空気と液体とが、信頼性が高く再生可能な様態でカートリッジシステムの中へ同時に供給されることが可能になる。このプロセスの間、飲料物質を混合チャンバの中に移動させるために、圧縮空気が、好ましくは、リザーバの中に導入され、それが混合チャンバの中に導入された液体と混合し、特に調節され、そのようにして飲料が作られる。特に、結合要素が、圧縮空気と液体との並列的で流体的に分離されたカートリッジ受取部への供給を保証する。
【0021】
好適な実施形態によると、飲料調製機械、特にメインユニットが、カートリッジシステムの識別子を検出するための識別子検出器を有すると想定される。特に好適には、この識別子検出器は、カートリッジホルダの少なくとも部分的に上側におよび/または背後に配置される。さらに特に好適には、この識別子検出器は、メインユニットのハウジングの中に配置される。さらにまた好ましくは、この識別子検出器は、制御デバイスに接続されている。これにより、特にカートリッジホルダをロックした後でカートリッジシステムの識別子が読み出され、検出された情報に従って飲料調製機械の制御が生じることが、特に有利な様態で可能である。たとえば、確実な識別情報が読み出され制御デバイスに送信されるときにのみ、飲料調製プロセスが開始されることが可能になる。代替として、またはそれに加えて、識別子検出器が飲料調製のための少なくとも1つのパラメータを検出し、それを制御デバイスに送信することが考えられ、その場合に、制御デバイスが、検出されたパラメータに従って、飲料調製プロセス、特に飲料調節システムおよび/または流体供給システムを制御する。さらに特に好適には、識別子検出器が、CCDカメラなどの光学センサを有していて、この光学センサは、カートリッジシステムが飲料調製機械の中に挿入されると、識別子を、特に製品識別コードを自動的に読み出す。代替として、またはそれに加えて、識別子検出器は、磁気および/または電気センサを有する。飲料調製機械が、飲料調製および/またはカートリッジシステムに関する情報を受け取るために通信モジュールを備えていて、それを制御デバイスが利用できるようにすることも、さらに可能である。代替として、またはそれに加えて、識別子検出器は、たとえばRFIDコードを自動的に読み出すための送信および受信アンテナを備えている。
【0022】
本発明は、さらに、本発明による飲料調製機械およびカートリッジシステムを有する飲料調製システムに関しており、カートリッジシステムは、飲料調製のために、飲料調製機械のカートリッジホルダの中に挿入されることが可能であり、カートリッジシステムは、飲料物質が充填されたリザーバを備えたカートリッジと、接続領域においてカートリッジに接続されることが可能なカートリッジ受取部とを備え、カートリッジは、カートリッジ開口を有し、カートリッジ開口は、特に密封フィルムである密封要素によって閉鎖されており、密封要素は、カートリッジ受取部に対して液密な様態で、リザーバを閉鎖し、カートリッジ受取部は、リザーバと流体連通させることが可能な混合チャンバと、混合チャンバの中に開放しており、飲料調製機械の流体供給システムに結合することにより、調節された液体が混合チャンバの中に導入されることを可能にする流体源とを有し、カートリッジ受取部は、飲料物質をリザーバから混合チャンバの中へ移動させるためのカートリッジ放出デバイスを有し、カートリッジ受取部は、液体と飲料物質とを混合することによって形成された飲料を混合チャンバから分配するための飲料出口を有する。この場合に、特に好適には、飲料が、直接に飲用容器の中に分配される。カートリッジ放出デバイスは、好ましくは、さらに、圧縮空気源を備えているが、この圧縮空気源は、飲料調製機械の特に結合要素である流体供給システムとの相互作用のため、圧縮空気を、カートリッジ放出デバイスを介してリザーバの中に導入するように、提供される。
【0023】
本発明のこの主題に関する言及は、本発明の他の主題にも等しく、およびその逆にも適用される。
【0024】
そのような飲料調製システムは、特に有利なのであるが、その理由は、飲料調製機械と飲料物質との汚染が回避されるからである。調節された液体と好ましくは圧縮空気とだけが、カートリッジ受取部の混合チャンバの中に与えられ、飲料調製は、完全に混合チャンバの中で生じ、完成した飲料は、カートリッジシステムからその下にある飲用容器の中へ、飲料調製機械とは全く接触することなく、直接に分配される。したがって、そのような飲料調製システムは、最高の衛生的な要件を満足させる。さらに、駆動装置が、飲料調製が特に単純で信頼性の高い様態で達成されることを、意味する。
【0025】
好適な実施形態によると、カートリッジ放出デバイスは、スパイクガイドと、スパイクガイドの内部で特に一方向に変位可能であるように取り付けられている穿刺スパイクとを備えていることが想定され、穿刺スパイクは、飲料調製機械のアクチュエータ要素によって、穿刺スパイクが密封要素からある距離に存在する後退位置と、穿刺スパイクが密封要素を貫通してリザーバの中に突出する伸長位置との間で変位可能である。この場合、穿刺スパイクとアクチュエータ要素とは、好ましくは、アクチュエータ要素による穿刺スパイクの信頼性の高い変位が保証されるように、設計されている。これは、たとえば、穿刺スパイクがアクチュエータ要素に面している側で、アクチュエータ要素の凸型表面と係合する凹型表面を有している場合またはその逆である場合に、達成可能である。そのような穿刺スパイクは、カートリッジ放出デバイスの特に単純で信頼性の高い実施形態である。スパイクガイドは、穿刺スパイクの信頼性の高い動きを保証する。
【0026】
好適な実施形態によると、カートリッジ放出デバイスは、圧縮空気接続部と、圧縮空気接続部から圧縮空気出口まで伸長する圧縮空気ラインとを備えており、圧縮空気出口は、特にカートリッジのリザーバの方向に突き出ていて、圧縮空気接続部は、圧縮空気を圧縮空気ラインの中に導入するように設計され、圧縮空気ラインは、穿刺スパイクの中に一体化され、カートリッジ放出デバイスは、穿刺スパイクの伸長位置において、飲料物質がリザーバから混合チャンバの中へ圧縮空気によって移動されることが可能であるように設計されている、ということが想定される。よって、穿刺スパイクの伸長位置においてのみ、特に圧縮空気が、流体供給システムから圧縮空気ラインの中へ導入されることが可能である。これにより、圧縮空気の早すぎる導入が、有利に、防止される。さらに、伸長位置では、圧縮空気は、リザーバの中に選択的に導入されることが可能であり、よって、混合チャンバの中への飲料物質の移動の結果として圧力が低下することの防止、および/または、リザーバから飲料物質を積極的に追い出すことに寄与する。
【0027】
本発明は、さらに、本発明による飲料調製システムを用いて飲料を調製するための方法に関し、この方法は、
カートリッジとカートリッジ受取部とから構成されるカートリッジシステムをカートリッジホルダの中に挿入するステップと、
流体供給システムとカートリッジ受取部との間に流体接続部を確立するステップと、
特に、穿刺スパイクを後退位置から伸長位置に移動させることにより、密封要素の穿孔を生じさせることによって、カートリッジ放出デバイスを作動させるように、アクチュエータ要素を起動するステップと、
特に、圧縮空気をリザーバの中に与えることにより、飲料物質を、カートリッジのリザーバからカートリッジ受取部の混合チャンバの中へ移動させるステップと、
調節された液体を、流体供給システムを通じて、カートリッジ受取部の混合チャンバの中に導入するステップと、
飲料物質と調節された液体とを混合することにより混合チャンバにおいて製造された飲料を、飲料出口を通じて放出するステップと
を含むことを特徴とする。
【0028】
本発明のこの主題に関係する言及は、本発明の他の主題にも、およびその逆にも、等しく適用される。
【0029】
本発明による方法は、アクチュエータ要素を起動するステップが駆動装置を起動するステップを含む点で、知られている方法とは区別される。これにより、飲料調製プロセスが最適な様態で制御され、特に、カートリッジ放出デバイスの作動が、信頼性が高く単純な様態で生じることが、有利に保証される。
【0030】
好適な実施形態によると、アクチュエータ要素を起動するステップは、カートリッジ受取部と特に穿刺スパイクに接触しているアクチュエータ要素との間に相対運動を生成するステップを含むことが想定される。カートリッジシステムは、好ましくは、穿刺スパイクとアクチュエータ要素との間に接触が存在するように、カートリッジホルダの中に挿入される。代替として、接触は、アクチュエータ要素を起動することによってのみ、生じる。さらに特に好適には、カートリッジ受取部は、飲料調製の間、静止したままであり、アクチュエータ要素は、所定の軌道に沿って移動される。しかし、代替として、またはそれに加えて、カートリッジ受取部と、特にカートリッジホルダとは、カートリッジシステムと共に、アクチュエータ要素の方向に移動されることもある。
【0031】
以下では、本発明は、
図1から11を参照して説明される。これらの説明は、単に、例によるものであり、本発明による一般的な概念を制約しない。これらの説明は、本発明による飲料調製機械と、本発明による飲料調製システムと、本発明による方法とに等しく適用される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の第1の例示的な実施形態による飲料調製機械を示す図である。
【
図2】本発明の例示的な一実施形態による飲料調製システムの断面図である。
【
図3】本発明の例示的な一実施形態によるカートリッジホルダの斜視図である。
【
図4】本発明の例示的な一実施形態によるカートリッジホルダの斜視断面図である。
【
図5】本発明の例示的な一実施形態による飲料調製方法における様々なステップの1つを示す図である。
【
図6】本発明の例示的な一実施形態による飲料調製方法における様々なステップの1つを示す図である。
【
図7】本発明の例示的な一実施形態による飲料調製方法における様々なステップの1つを示す図である。
【
図8】本発明の例示的な一実施形態によるカートリッジホルダとアクチュエータ要素との概略的な断面図である。
【
図9】本発明のさらなる例示的な実施形態によるアクチュエータ要素と駆動装置との斜視図である。
【
図10】本発明のさらに別の例示的な実施形態によるアクチュエータ要素と駆動装置との斜視図である。
【
図11a】本発明のさらなる例示的な実施形態によるアクチュエータ要素の斜視図である。
【
図11b】本発明のさらなる例示的な実施形態によるアクチュエータ要素の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、本発明の第1の例示的な実施形態による飲料調製機械1を図解している。飲料調製機械1は、ハウジングを有するメインユニット2を備えており、動作のために要求されるコンポーネントのほとんどはハウジングの中に収納されていて、この場合は水タンクである液体リザーバ4も同様である。ここに図解されている実施形態に対する代替案として、液体リザーバ4が少なくとも部分的にハウジングの中に配置されることも可能であり、および/または、飲料調製機械1が外部的な液体供給システムへの接続部を有する。追加的に、メインユニット2は、たとえば特に自動的な飲料調製手順またはプロセスを始動させることが可能であるなど、ユーザによって作動させられることが可能ないくつかの操作要素6’を有する。
【0034】
飲料調製機械1は、好ましくは可能な限り水平な表面上に底部が配置されるように立っていて、ある高さを全体として有する。この場合には、メインユニットは頂部が平坦であるが、たとえば丸みを帯びているまたはとがっているなど、他の形状も同様に可能である。ここに図解されている実施形態によると、カートリッジホルダ3が、メインユニット2から、高さ全体の60%~70%の位置において、横方向に突き出ている。
【0035】
ここでは、カートリッジホルダ3は、水平面において円形の断面を有していて、実質的にディスク状の設計を有する。カートリッジホルダ3の垂直方向の下方には、設置領域5が配置されており、そこには、少なくとも1つの飲用容器が設置されることが可能である。設置領域5は、ドリップグリッドおよび/または液体収集デバイスを備えている。カートリッジホルダ3は、好ましくは、中心にアパーチャを、すなわち、特に、その中にカートリッジシステムが上方向から挿入されることが可能な穴を、有する。そのようなカートリッジシステムについては、
図2との関係で、より詳細に説明される。カートリッジホルダ3は、少なくとも1つのロック手段13を有しており、ロック手段13は、ここでは、アパーチャの円周の周囲に実質的に一様に分配された3つの爪状要素の形状である。これらの要素は、
図2に図解されている。
【0036】
ユーザは、カートリッジシステムを、カートリッジ受取部(カートリッジリセプタクル)11を用いて最初は上側からカートリッジホルダ3に挿入した後で、ここではロータリレバーとして具体化されている操作要素6を作動させる。今回の場合、操作要素6は、カートリッジホルダ3の中心を垂直方向に通過するように延びる回転軸の周囲を、約180度の角度範囲で回転させることが可能である。その代わりとしては、この角度範囲は、30度、60度、90度、または120度のみである。カートリッジホルダ3上の標示および/または刻み文字により、好ましくは、ユーザは、操作要素6のどの位置が非ロック位置に対応し、どの位置がロック位置に対応するのかを見ることが可能である。操作要素6がロック位置にある、および/またはカートリッジシステムがカートリッジホルダ3に挿入されているときのみ飲料の調製が開始可能であるように、操作要素6が制御デバイスに結合されていることが好ましい。操作要素6がロック手段13をロック位置に移動させるとすぐに飲料の調製が自動的に開始する、と考えることも同様に可能である。
【0037】
図2は、本発明の例示的な一実施形態による飲料調製システムの断面を図解している。この場合、ここに図解されている飲料調製機械1の実施形態は、
図1との関係で説明された実施形態に実質的に対応しており、その理由のため、それと関係する説明への言及を行う。ここに図解されている場合では、カートリッジシステムはカートリッジホルダ3の中に挿入されており、たとえば、外部の上側に回転可能に取り付けられた操作要素6(そのレバー型の延長部は断面には位置していない)によって、爪型のロック手段13は既にロック位置にある。さらに、追加的な液体出口が、底部の左側に図解されている。そのような追加的な液体出口は、「液体出口と飲料調製システムとを備えた飲料調製機械」(Beverage preparation machine with a liquid outlet and beverage preparation system)という名称を有しており本出願人による本出願と出願日が同じ出願において、より詳細に説明されている。この点に関する言及、特にこの液体出口の厳密な構成に関する言及は、これにより、本開示に明示的に組み入れられる。
【0038】
カートリッジシステムは、カートリッジ7と、そのカートリッジにたとえば首部分である接続領域において接続されているカートリッジ受取部11とを備えている。カートリッジ7は、リザーバ8を備えており、リザーバ8の中には、好ましくは、液体の飲料物質が含まれている。カートリッジ7は、好ましくは、プラスチック材料から製造される。しかし、その代わりに、カートリッジ7が、少なくとも部分的にはガラスから製造されることも可能である。特に好ましくは、カートリッジ7は、少なくとも1つのフランジ9またはフランジ領域を有する。このフランジ9を介して、カートリッジ7は、カートリッジ受取部11に直接的に、およびたとえば中間的な部材を介して間接的に接続され、この中間的部材は、好ましくは、カートリッジ7と特にアダプタの形式を有するカートリッジ受取部11との間に、確実な接続を提供する。カートリッジ受取部11の方向に、カートリッジ7は、ここでは密封フィルム10である密封要素によって閉鎖される開口を有する。特に好ましくは、ロック手段13は、フランジ9にポジティブに(positively)および/または非ポジティブに(non-positively)係合することにより、カートリッジシステムがロック手段13のロック位置において引き出されることを防止する。
【0039】
カートリッジ受取部11は、開口を用いてカートリッジ7と固定され、その内部には混合チャンバを有しており、一方では、混合チャンバの中へ、飲料調製機械1から調節された液体が導入され、他方では、混合チャンバの中へ、後で説明されるカートリッジ放出デバイスの作動の後で、飲料物質がカートリッジ7のリザーバ8から移動されることが可能である。混合チャンバでは、液体と飲料物質とが、混合することにより飲料を形成し、形成された飲料は、最終的に、飲料出口を介して、その下に配置されることが可能な飲用容器の中に流れ込む。カートリッジ排出デバイスは、好ましくは、スパイクガイドと、その中で一方向に変位可能なように取り付けられた穿刺スパイク17とを備えている。
【0040】
穿刺スパイク17は、ここでは、後退位置にあるものとして、すなわち、先端が密封フィルム10からある距離において存在するとして、または、少なくとも密封フィルム10がまだ貫通されていないとして、示されている。カートリッジホルダ3は、アクチュエータ要素14を備えており、アクチュエータ要素14は、起動の後に、穿刺スパイク17を、密封フィルム10が貫通される伸長位置に移動させる。この図から見ることが可能であるように、圧縮空気ラインが、穿刺スパイク17の中に一体化されている。穿刺スパイク17の後退位置では、後者は、接続されていない。伸長位置では、圧縮空気ラインは、カートリッジ受取部11の線上に、または、飲料調製機械1の圧縮空気ラインと直接的に、整列されている。ここで、飲料調製機械1は、結合要素16を有しており、結合要素16は、2つの一体化され相互に別々のラインを有するが、これらは、液体ラインおよび圧縮空気ラインである。結合要素16は、好ましくは、カートリッジホルダ3に挿入されたカートリッジ受取部11と選択的に流体連通させることが可能である。結合要素16とロック手段13との両方に関するさらなる詳細は、「ロック手段と結合要素とを備えた飲料調製機械および飲料調製システム」(Beverage preparation machine with a locking means and a coupling element, and beverage preparation system)という名称を有しており本出願人による本出願と出願日が同じ出願において、見出され得る。この点に関する言及、特にロック手段および/または結合要素(Koppelelements)(そこではカプラー要素(Kopplungselement)と称されている)に関する言及は、これにより、本開示に明示的に組み入れられる。
【0041】
たとえば本明細書では光センサを備えた識別子検出器18が、メインユニット2のハウジングの中のカートリッジホルダ3の上側に設けられる。この識別子検出器は、カートリッジおよび/またはカートリッジ受取部の識別子をそれ自体は知られている様態で検出し、検出された情報を制御デバイスに転送することができる。これにより、承認されていない識別子が検出される場合には、たとえば、飲料調製プロセスの開始を回避するということが想像される。
【0042】
たとえば、圧縮空気を結合要素16経由でカートリッジシステムの中に供給するために設けられる圧縮空気源、特に水である液体を調節する液体調節システムなど、飲料調製デバイスのさらなるコンポーネントは、ここには示されていない。これは、好ましくは、たとえば液体の冷却および/もしくは加熱などの温度制御、ならびに/または、炭酸化すなわち液体に炭酸ガスを加えることを含む。さらに、飲料調製機械1は、調節された液体および/または圧縮空気を、液体調節システムまたは圧縮空気源からカートリッジシステムの中に導入する流体供給システムを備えている。結合要素16は、特に、流体供給システムの一部である。
【0043】
図解されている実施形態によると、アクチュエータ要素14は、穿刺スパイク17と相互作用し傾斜軸Aの周囲で回転可能な突出部を有するロッカレバーとして設計されている。本発明によると、アクチュエータ要素14は、ここではメインユニット2に配置されている駆動装置12によって作動させられる。この場合に、駆動装置12は、たとえば、リニア駆動装置などの電気モータであり、すなわち、駆動装置12は、特に垂直方向の直線運動を生成する。
【0044】
当業者であれば、力の所望の向きが、駆動装置12の設計および選択に関して極めて重要だということを理解するだろう。本ケースにおいては、駆動装置12は、張力で動作する、すなわち、起動されると、アクチュエータ要素14に接続されている要素、この場合はロッカレバーが、その機械側の端部において垂直方向に下向きに移動される。したがって、アクチュエータ要素14のカートリッジホルダ側の端部の上向きの動きが、傾斜軸を介して生成され、その結果、穿刺スパイク17が伸長位置に転送される。穿刺スパイク17は、結果として、密封フィルム10を貫通する。伸長位置では、圧縮空気ラインが相互に整列し、したがって、圧縮空気が穿刺スパイク17を介してリザーバ8の中に導入される。そこで、圧縮空気が、飲料物質の混合チャンバの中への転送を補助する。同時に、調節された液体が、混合チャンバの中に導入される。
【0045】
図3は、本発明の例示的な一実施形態によるカートリッジホルダ3の斜視図を図解している。この場合、ここに図解されている実施形態は、上で説明された実施形態に実質的に対応しているので、先行の説明を参照されたい。ここでは、カートリッジホルダ3は、下側から斜めに示されている。特に、ここで明らかに見えているのは操作要素6であるが、この操作要素6は、現時点では、ロックされていない位置、すなわち中間的に位置にある。
【0046】
カートリッジホルダは、ガイドに沿って垂直方向に変位可能であるように配置されていることがわかる。特に好ましくは、カートリッジホルダは、異なる高さにラッチされることが可能である。これにより、高さの異なる飲用容器が使われることが可能になる。
【0047】
さらに、液体リザーバは、オプションとして、液体を調製するための、特に水を浄化するためのフィルタ手段を備えている。
【0048】
図4は、本発明の例示的な一実施形態によるカートリッジホルダ3の斜視断面図を図解している。この場合には、ここに図解されている実施形態は、上で説明された実施形態、特に
図2との関係で説明された実施形態と実質的に対応しているので、先行の説明を参照されたい。この図では、ロッカレバーとして設計されているアクチュエータ要素14を、明らかに見ることができる。ここで、穿刺スパイク17は、伸長位置にあるように示されており、密封フィルム10は貫通されている。この場合に、ロッカレバーは、部分的にカートリッジホルダよりも下に位置し、メインユニットのハウジングの中へ部分的に延在している。ここで、傾斜軸Aは、特にカートリッジホルダ3である飲料調製機械1の対応する軸受けに回転可能に取り付けられているピン型の伸長部を有するアクチュエータ要素14によって実装されている。しかし、その代わりに、逆の場合も考えることができるのであって、すなわち、少なくとも1つの軸がアクチュエータ要素14を少なくとも部分的に貫通していて(たとえば、2つの軸が提供されることが可能であり、それらの軸が両側でアクチュエータ要素と係合する)、オプションとして、アクチュエータ要素14が傾斜軸Aの周囲を回転可能だという場合も考えることができ、その場合、この軸は、回転可能に固定された様態で配置され、または、アクチュエータ要素14から分離して形成されている軸が、共同して回転するようにアクチュエータ要素14に接続され、メインユニット2に対して回転する。
【0049】
図5から7は、本発明の例示的な一実施形態による飲料調製方法を、様々なステップにおいて、図解している。この場合に、飲料調製機械1とカートリッジホルダ3とカートリッジシステムとの実施形態は、上で説明された実施形態と実質的に対応しているので、先行の説明を参照されたい。以下では、説明されるのは、特に、様々なステップの間の差異である。
【0050】
図5は、ユーザがカートリッジシステムをカートリッジホルダ3の中に挿入したが、ロック手段13がまだロック位置に移動されていない状態を図解している。ここでは、図解は、
図2の図解に非常に類似するように選択されているため、特に、それ以外のコンポーネントに関する言及に注意してほしい。図面から見ることができるように、カートリッジホルダ3のアパーチャは、下方向にテーパ状に設計されている。これにより、カートリッジシステムは、上方向からのみカートリッジホルダ3の中に挿入可能であり、カートリッジホルダ3において確実に保持されること、すなわち、特にカートリッジホルダ3から下方向に落下することはあり得ないことが保証される。カートリッジホルダ3のアパーチャの内側輪郭とカートリッジ受取部11の外側輪郭とは、好ましくは相補的であり、したがって確実な適合が容易になるように設計されている。加えて、カートリッジ受取部11およびカートリッジホルダ3のアパーチャは、完全に円形な断面からは逸脱していて、特に流体供給の領域または結合要素の領域には、平坦化された部分が好ましくは存在している。このように、一方では、特に、カートリッジ受取部への結合要素16の液密な結合が単純化されると共に、他方では、カートリッジシステムがカートリッジホルダ3の中に正しく挿入されることにより不正確な動作を防止することが、特に有利な様態で保証されている。
【0051】
カートリッジ放出デバイスの穿刺スパイク17は、依然として後退位置にあり、密封フィルム10は、依然として損傷されていない。
【0052】
図6は、次に、ロックされた位置を示している。たとえば、ユーザが、操作要素6を回転させ、したがって、少なくとも1つのロック手段13をロック位置に間接的に移動させることにより、ロック手段13は、カートリッジ7のフランジ9の背後に係合する。カートリッジシステムは、この時点では、もはやカートリッジホルダ3から取り外すことが可能ではなく、カートリッジ受取部11なしで飲料調製機械1から液体が誤って流出することが、このようにして防止される。制御デバイスは、ロック手段13がロック位置にあるおよび/またはカートリッジシステムがカートリッジホルダ3に正しく挿入されているという情報を受け取るとすぐに、さらなる操作要素6’を介しての飲料調製の開始を可能にする。その代わりに、飲料調製が、自動的に開始することも可能である。上述されたように、オプションである識別子検出器18が、たとえば、適切なカートリッジシステムの挿入を検出する、および/または調製パラメータを受け取り、それらを制御デバイスに転送することも可能である。
【0053】
この文脈において、調製パラメータは、たとえば、液体体積、液体温度、炭酸化の程度、液体の流速、圧縮空気の体積、および/または圧縮空気の流速である。
【0054】
結合要素16が、本明細書では詳細に説明されないが、カートリッジ受取部11の流体源に移動されることにより、カートリッジ受取部側における圧縮空気ラインと結合要素16の圧縮空気ラインとの液密接続、およびカートリッジ受取部側における流体源と結合要素16の流体ラインとの液密接続が確立される。
【0055】
制御デバイスは、この時点で、飲料物質を混合チャンバの中へ移動させるための最適な時間を決定し、それに従って、たとえば電気モータである駆動装置を制御することができる。後者はアクチュエータ要素14を作動させ、次に、アクチュエータ要素14が穿刺スパイク17に接触してそれをスパイクガイドに沿って上方向に変位させ、その結果として、穿刺スパイク17の先端が密封フィルム10を貫通する。穿刺スパイクの中に一体化されている圧縮空気ラインは、この時点で、カートリッジ受取部の圧縮空気ラインおよび/または結合要素16の圧縮空気ラインと整列し、したがって、圧縮空気源によって提供される圧縮空気がリザーバの中に入ることができ、飲料物質が密封フィルム10における穴を通過して混合チャンバの中へ移動することを補助する。混合チャンバの中に導入された液体との混合の後で、飲料が、カートリッジ受取部の飲料出口を通過して、提供されている飲用容器(または、設置領域に提供されている飲料収集デバイス)の中に流れる。
【0056】
図7は、次に、飲料調製の終了後の状況を図解している。穿刺スパイク17は伸長位置にあり、ロック手段13は、非ロック位置に移動していて、特にユーザによって、操作要素6が非ロック位置に戻されている。
【0057】
図8から11は、駆動装置12および/またはアクチュエータ要素14の代替的な実施形態と、適用可能な場合の、これらの要素の間に位置している偏向機構15とを図解している。この場合に、先行する言及が、飲料調製システムの他のコンポーネントに適用される。
【0058】
図8は、本発明の例示的な一実施形態によるカートリッジホルダ3およびアクチュエータ要素14の概略的な断面を図解している。さらに、カートリッジホルダ3の中に挿入されたカートリッジ受取部11も見られるのであるが、明瞭にするために、関連するカートリッジ7の図解は省略されている。
【0059】
ここでは、アクチュエータ要素14は、長手方向に伸長したロッカレバーとして設計されるのではなく、角度付きのロッカレバーとして設計されている。アクチュエータ要素14は、その先端部にタペットを有していて、その丸められた表面が、穿刺スパイク17のそれに対応して凹型形状を有する下側と、好ましくは確実に相互作用する。他方で、角度付きの形状により、力の方向が変更されることが可能になる。カートリッジホルダの方向の推力、すなわち外向きの特に実質的に水平方向の推力が、アクチュエータ要素を作動させるために、この時点で要求される。したがって、メインユニット2における駆動装置12は、異なる位置決め、および/または異なる設計が可能である。たとえば、
図2に図解されている駆動装置12が用いられる場合には、偏向機構15(ここでは図解されていない)が必要となり、この偏向機構15が、駆動装置12によって提供される力をアクチュエータ要素14に対応するように出力として偏向させる。本ケースにおいては、推力によって動作し最も単純な場合にはメインユニット2において水平方向に配置されているリニア駆動装置が、特に適している。
【0060】
当業者であれば、アクチュエータ要素14の設計と適切な偏向機構15との組合せによって、複数の異なる駆動装置12を用いることが可能であるということを、理解するはずである。特に、それぞれの設置状況に対して適切な駆動装置12を選択することが可能である。
【0061】
図9は、本発明のさらなる例示的な実施形態によるアクチュエータ要素14および駆動装置12の斜視図を図解している。ここに図解されている実施形態によると、駆動装置は、たとえばやはり電気モータであるロータリ駆動装置であり、このロータリ駆動装置が、ここではたとえば伝動ギアである偏向機構15を介してアクチュエータ要素14を駆動する。結果的に、ほんの僅かな設置空間が要求されるだけであり、したがって、駆動装置12と偏向機構15とアクチュエータ要素14とが、一緒に、少なくとも部分的にはカートリッジホルダ3の下側に配置されることが可能になる。その代わりとして、駆動装置が、直接的に、カートリッジホルダ3とメインユニット2との間の移動領域に配置されることも可能である。明瞭にするために、カートリッジシステムの穿刺スパイク17だけが、図解されている。
【0062】
図10は、本発明のさらに別の例示的な実施形態によるアクチュエータ要素14および駆動装置12の斜視図を図解している。再び、駆動装置12は、ここでは、特に電気モータであるロータリ駆動装置として設計されることが可能である。ここでは、駆動装置12は、メインユニット2に配置されていて、図面には、駆動装置だけが示されている。駆動装置12は、シャフトを介して偏向機構15に接続されていて、偏向機構15は、ここでは、ウォームギアとして設計されている。この偏向機構15は、さらに、アクチュエータ要素14に接続されている。この場合、駆動装置12は、カートリッジホルダ3よりも概して大きな設置空間が利用可能であるメインユニット2に配置されているが、図解されている実施形態によれば駆動装置12は、メインユニットにおいて、僅かな設置空間しか必要としない。シャフトとウォームギアとの組合せの結果として、並進移動が生じることがなく、したがって、要素が動くことが可能な自由空間を提供する必要がなくなる。また、図解されている配置は、駆動装置12とアクチュエータ要素14とが異なる水平面に位置していても、可能である。水平方向かつ長手方向に配置された回転軸周りの一平面内における回転は、その回転軸の横方向であって同様に水平方向に向けられた傾斜軸周りのより低い位置での水平面における回転に、向きが変更される。
【0063】
図11aおよび11bは、本発明のさらなる例示的な実施形態によるアクチュエータ要素14の斜視図を図解している。明瞭にするために、カートリッジホルダ3だけが図解されている。今回の場合、駆動装置12は、たとえば
図2との関係で説明された駆動装置12、すなわち、メインユニット2において垂直方向に配置されリニア駆動装置として設計されている電気モータと同一の設計であり得る。この場合、偏向機構15は、傾斜軸Aの周囲を回転することが可能なレバーを備えており、駆動装置12は、レバーの機械側の端部に作用し、他方の端部は、カートリッジホルダ3の垂直方向に移動可能に配置されたプレート状の要素19のスロット付きガイドに長手方向に変位可能な様態で、取り付けられている。駆動装置12が起動されると、カートリッジホルダ3の下側の移動可能なプレート状の要素19が、偏向機構15のレバーを介して、移動方向100に沿って上向きに移動される。この場合、アクチュエータ要素14は、このプレート状の要素19に対して固定して取り付けられ、したがって、同様に上向きに移動され、それにより、穿刺スパイク17を起動し、それを後退位置から伸長位置に移動させる。
【0064】
換言すると、この場合には、カートリッジホルダ3の下側にある可動要素19がアクチュエータ要素14に対して固定して接続されていて、上述された別の例とは対照的に、トリガの動きが、この場合には、純粋に垂直方向の移動100である。これは、アクチュエータ要素14の回転運動と比較して有利であって、その理由は、この場合、アクチュエータ要素14と穿刺スパイク17との相対的な向きが、変化しないままであるからである。
【0065】
当業者であれば、特に、
図2および8から11で論じられた駆動装置12と偏向機構15とは相互に組み合わせることが可能であり、それにより、それぞれの設置状況において適切な偏向機構15と駆動装置12との組合せを当業者が選択することが可能であることを理解するであろう。
【符号の説明】
【0066】
1 飲料調製機械
2 メインユニット
3 カートリッジホルダ
4 液体リザーバ
5 設置領域
6、6’ 操作要素
7 カートリッジ
8 リザーバ
9 フランジ
10 密封フィルム
11 カートリッジ受取部(カートリッジリセプタクル)
12 駆動装置
13 ロック手段
14 アクチュエータ要素
15 偏向機構
16 結合要素
17 穿刺スパイク
18 識別子検出器
19 プレート状要素
100 移動方向
A 傾斜軸
【手続補正書】
【提出日】2023-11-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リザーバ(8)の中に飲料物質を有するカートリッジ(7)と、前記カートリッジ(7)に接続されており、混合チャンバと、少なくとも1つの流体源と、1つの飲料出口とを有するカートリッジ受取部(11)とから構成されるカートリッジシステムにより、飲料を調製するための、特にディスペンサである飲料調製機械(1)であって、
前記飲料調製機械(1)は、メインユニット(2)と、前記メインユニット(2)から突き出ており、特にバルコニ状の設計を有するカートリッジホルダ(3)とを備え、
前記カートリッジホルダ(3)は、前記カートリッジシステムが前記カートリッジホルダの中に挿入されることが可能であるように設計され、
前記カートリッジホルダ(3)は、前記カートリッジシステムのカートリッジ放出デバイスを作動させるアクチュエータ要素(14)を備え、
前記メインユニット(2)は、液体リザーバ(4)と、前記液体リザーバ(4)からの液体を調節するための液体調節システムであって、特に、前記液体の温度を制御するための、および/または前記液体に炭酸ガスを加えるための液体調節システムと、前記調節された液体および/または圧縮された空気を前記カートリッジシステムの中に導入するための流体供給システムと、前記液体調節システムおよび/または前記流体供給システムを制御するための制御デバイスとを備える飲料調製機械(1)において、
前記メインユニット(2)
、または
前記メインユニット(2)および前記カートリッジホルダ(3)が、前記アクチュエータ要素(14)のための駆動装置(12)を備えることを特徴とする、飲料調製機械(1)。
【請求項2】
前記駆動装置(12)が、手動駆動装置および/またはモータであり、前記駆動装置(12)が、特に、リニア駆動装置、ロータリ駆動装置および/または振動駆動装置であることを特徴とする、請求項1に記載の飲料調製機械(1)。
【請求項3】
前記モータが、電気モータ、油圧モータまたは空気圧モータであることを特徴とする、請求項2に記載の飲料調製機械(1)。
【請求項4】
前記カートリッジホルダ(3)が、実質的にディスク状の設計を有し、好ましくは、前記メインユニット(2)から実質的に水平方向に突き出しており、特に好ましくは、前記カートリッジホルダ(3)が、前記カートリッジシステムがその中に挿入されることが可能なアパーチャ、特に実質的に円形であるアパーチャを有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の飲料調製機械(1)。
【請求項5】
前記飲料調製機械(1)、特に前記カートリッジホルダ(3)および/または前記メインユニット(2)が、ユーザによって作動させられることが可能であり、特に前記制御デバイスを介して、前記駆動装置(12)に結合されている少なくとも1つの操作要素(6、6’)を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の飲料調製機械(1)。
【請求項6】
前記操作要素(6)が、レバーであり、前記レバーは、特に水平方向にまたは垂直方向に向けられた軸の周りを回転することが可能であることを特徴とする、請求項5に記載の飲料調製機械。
【請求項7】
前記カートリッジホルダ(3)が、前記カートリッジシステムを前記カートリッジホルダ(3)に可逆的にロックするために提供される少なくとも1つのロック手段(13)を有し、前記ロック手段(13)は、ロックされていない位置からロックされている位置に、およびその逆に移動されることが可能であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の飲料調製機械(1)。
【請求項8】
前記ロック手段(13)が、前記ロックされていない位置から前記ロックされている位置に、前記操作要素(6、6’)によって移動されることが可能であることを特徴とする、少なくとも請求項5および7に記載の飲料調製機械(1)。
【請求項9】
前記飲料調製機械(1)、特に前記制御デバイスは、前記ロック要素(14)が前記ロックされた位置にあるときにのみ、前記アクチュエータ要素(14)および/または前記駆動装置(12)が起動可能であるように構成されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の飲料調製機械(1)。
【請求項10】
前記駆動装置(12)が、偏向機構(15)を介して前記アクチュエータ要素(14)に接続されており、前記偏向機構(15)は、好ましくは、伝動ギアおよび/または伝動レバーを備えていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の飲料調製機械(1)。
【請求項11】
前記アクチュエータ要素(14)が、少なくとも1つの、特に水平方向に配置された軸(A)周りを回転可能であるように設けられていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の飲料調製機械(1)。
【請求項12】
前記アクチュエータ要素(14)が、少なくとも部分的に前記カートリッジホルダ(3)の下に配置されていることを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の飲料調製機械(1)。
【請求項13】
前記アクチュエータ要素(4)は、ロッカレバーであり、前記ロッカレバーは、前記カートリッジシステムの前記カートリッジ放出デバイスとのポジティブおよび/または非ポジティブな相互作用のための上部接触面を有していることを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項に記載の飲料調製機械(1)。
【請求項14】
前記飲料調製機械(1)が、圧縮空気源を備えており、前記圧縮空気源は、前記流体供給システムとの相互作用で前記カートリッジシステムの中に圧縮空気を導入するために設けられていることを特徴とする、請求項1から13のいずれか1項に記載の飲料調製機械(1)。
【請求項15】
前記飲料調製機械(1)、特に前記メインユニット(2)が、前記カートリッジシステムの識別子を検出するための識別子検出器(18)を有することを特徴とする、請求項1から14のいずれか1項に記載の飲料調製機械(1)。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項に記載の飲料調製機械(1)と、カートリッジシステムとを有する飲料調製システムであって、
前記カートリッジシステムは、飲料調製のために、前記飲料調製機械(1)の前記カートリッジホルダ(3)の中に挿入されることが可能であり、
前記カートリッジシステムは、飲料物質が充填されたリザーバ(8)を備えたカートリッジ(7)と、接続領域において前記カートリッジ(7)に接続されることが可能なカートリッジ受取部(11)とを備え、
前記カートリッジ(7)は、カートリッジ開口を有し、
前記カートリッジ開口は、密封要素、特に密封フィルム(10)によって閉鎖されており、
前記密封要素は、前記カートリッジ受取部(11)に対して液密な様態で、前記リザーバ(8)を閉鎖し、
前記カートリッジ受取部(11)は、前記リザーバ(8)と流体連通させることが可能な混合チャンバと、前記混合チャンバ内中に開放し、前記飲料調製機械(1)の前記流体供給システムに結合することにより、調節された液体が前記混合チャンバの中に導入されることを可能にする流体源とを有し、
前記カートリッジ受取部(11)は、前記飲料物質を前記リザーバ(8)から前記混合チャンバの中へ移動させるためのカートリッジ放出デバイスを有し、
前記カートリッジ受取部(11)は、前記液体と前記飲料物質とを混合することによって形成された飲料を前記混合チャンバから分配するための飲料出口を有する、飲料調製システム。
【請求項17】
前記カートリッジ放出デバイスが、スパイクガイドと、前記スパイクガイドの内部で特に一方向に変位可能であるように取り付けられている穿刺スパイク(17)とを備えており、前記穿刺スパイク(17)は、前記飲料調製機械の前記アクチュエータ要素(14)によって、前記穿刺スパイク(17)が前記密封要素から離間して存在する後退位置と、前記穿刺スパイクが前記密封要素を貫通して前記リザーバ(8)の中に突出する伸長位置との間で変位可能であることを特徴とする、請求項16に記載の飲料調製システム。
【請求項18】
前記カートリッジ放出デバイスが、圧縮空気接続部と、前記圧縮空気接続部から圧縮空気出口まで伸長する圧縮空気ラインとを備えており、前記圧縮空気出口は、特に前記カートリッジ(7)の前記リザーバ(8)の方向に突き出し、前記圧縮空気接続部は、圧縮空気を前記圧縮空気ラインの中に導入するように設計され、前記圧縮空気ラインは、前記穿刺スパイク(17)の中に一体化され、前記カートリッジ放出デバイスは、前記穿刺スパイク(17)の前記伸長位置において、前記飲料物質が前記リザーバ(8)から前記混合チャンバの中へ前記圧縮空気によって移動されることが可能であるように設計されていることを特徴とする、請求項16または17のいずれかに記載の飲料調製システム。
【請求項19】
請求項16から18のいずれか1項に記載の飲料調製システムを用いて飲料を調製する方法であって、
カートリッジ(7)とカートリッジ受取部(11)とから構成されるカートリッジシステムを前記カートリッジホルダ(3)の中に挿入するステップと、
前記流体供給システムと前記カートリッジ受取部(11)との間に流体接続部を確立するステップと、
特に、前記穿刺スパイク(17)を前記後退位置から前記伸長位置に移動させることにより、前記密封要素の穿孔を生じさせることによって、前記カートリッジ放出デバイスを作動させるように、前記アクチュエータ要素(14)を起動するステップと、
特に、圧縮空気を前記リザーバ(8)の中に与えることにより、前記飲料物質を、前記カートリッジ(7)の前記リザーバ(8)から前記カートリッジ受取部(11)の前記混合チャンバの中へ移動させるステップと、
調節された液体を、前記流体供給システムを通じて、前記カートリッジ受取部(11)の前記混合チャンバの中に導入するステップと、
前記飲料物質と前記調節された液体とを混合することにより前記混合チャンバにおいて製造された前記飲料を、前記飲料出口を通じて放出するステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項20】
前記アクチュエータ要素(14)を起動するステップは、前記カートリッジ受取部(11)と、特に前記穿刺スパイク(17)に接触している前記アクチュエータ要素(14)との間に相対運動を生成するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
好適な実施形態によると、飲料調製機械が、特に制御デバイスが、ロック要素がロックされた位置にあるときにのみ、アクチュエータ要素および/または駆動装置が起動されることが可能であるように構成されていることが想定される。このようにして、飲料調製機械への損害が、有利に回避される。特に好適には、ロック要素は、カートリッジシステムが正しく挿入されている場合にのみ、ロック位置に移動させることが可能である。これにより、液体が、カートリッジ受取部の中へ正しく通過できることが保証され、アクチュエータ要素がカートリッジ放出デバイスに対して、後者の正しい作動が可能であるように配置される。
【国際調査報告】