(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-11
(54)【発明の名称】酵素固定化担体及びその製造方法、固定化酵素及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C12N 11/084 20200101AFI20240304BHJP
C12N 11/06 20060101ALI20240304BHJP
C12N 9/02 20060101ALN20240304BHJP
C12N 9/10 20060101ALN20240304BHJP
【FI】
C12N11/084
C12N11/06
C12N9/02
C12N9/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557039
(86)(22)【出願日】2021-04-12
(85)【翻訳文提出日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 CN2021086365
(87)【国際公開番号】W WO2022193381
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】202110288881.1
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516336828
【氏名又は名称】凱菜英医藥集團(天津)股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ASYMCHEM LABORATORIES (TIANJIN) CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100158920
【氏名又は名称】上野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】洪 浩
(72)【発明者】
【氏名】肖 毅
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 娜
(72)【発明者】
【氏名】林 ▲漢▼
(72)【発明者】
【氏名】潘 ▲竜▼
(72)【発明者】
【氏名】ヴィヤーサ,ウィリアムズ
(72)【発明者】
【氏名】▲馬▼ 利▲騰▼
(72)【発明者】
【氏名】崔 瑜霞
(72)【発明者】
【氏名】高 妍妍
【テーマコード(参考)】
4B033
【Fターム(参考)】
4B033NA23
4B033NA25
4B033NB02
4B033NB03
4B033NB04
4B033NB35
4B033NB62
4B033NB68
4B033NC03
4B033ND02
(57)【要約】
酵素固定化担体、固定化酵素及びその製造方法を提供する。酵素固定化担体は、超架橋ポリビニルアルコールをアミノ基又は塩化シアヌルで修飾したものである。本発明による酵素固定化担体によれば、固定化酵素の安定性及び再利用性を効果的に向上させることができる。酵素を共有結合により連結する形態が使用されるため、包埋法に比べて、化学試薬による浸漬を行う必要がなく、酵素自体の活性を保持することに有利であり、固定化酵素を安定的かつ再利用可能としつつ、より良い活性を持たせる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超架橋ポリビニルアルコールをアミノ基又は塩化シアヌルで修飾したものである、ことを特徴とする酵素固定化担体。
【請求項2】
前記超架橋ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールに酸化、自己架橋、架橋剤による架橋を順次行って得たものである、ことを特徴とする請求項1に記載の酵素固定化担体。
【請求項3】
前記アミノ基による修飾には、3-アミノプロピルトリエトキシシランがアミノ基修飾試薬として使用される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の酵素固定化担体。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の酵素固定化担体と酵素とを共有結合により連結したものである、ことを特徴とする固定化酵素。
【請求項5】
前記酵素は、トランスアミナーゼ、モノオキシゲナーゼ、ケトレダクターゼ、エンレダクターゼ、アミノ酸デヒドロゲナーゼから選択されるいずれか1種又は複数種であり、
前記トランスアミナーゼは、Chromobacterium violaceum DSM30191に由来のトランスアミナーゼ、Arthrobacter citreusに由来のトランスアミナーゼ、又はB.thuringiensisに由来のトランスアミナーゼであり、
前記モノオキシゲナーゼは、Brachymonas petroleovoransに由来のシクロヘキサノンモノオキシゲナーゼ、又はRhodococcus ruber-SD1に由来のシクロヘキサノンモノオキシゲナーゼであり、
前記ケトレダクターゼは、Acetobacter sp. CCTCC M209061に由来のケトレダクターゼ、又はCandida macedoniensis AKU4588に由来のケトレダクターゼであり、
前記エンレダクターゼは、Saccharomyces cerevisiaeに由来のエンレダクターゼ、及びChryseobacterium sp. CA49に由来のエンレダクターゼであり、
前記アミノ酸デヒドロゲナーゼは、Bacillus cereusに由来のロイシンデヒドロゲナーゼ、及びBacillus sphaericusに由来のフェニルアラニンデヒドロゲナーゼである、ことを特徴とする請求項4に記載の固定化酵素。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか1項に記載の酵素固定化担体の製造方法であって、
超架橋ポリビニルアルコールを提供するステップと、
前記超架橋ポリビニルアルコールをアミノ基又は塩化シアヌルで修飾して、前記酵素固定化担体を得るステップと、を含む、ことを特徴とする製造方法。
【請求項7】
前記超架橋ポリビニルアルコールは、
ポリビニルアルコールを水中に溶解して、酸化剤を加えて酸化反応を行い、酸化生成物系を得る酸化ステップと、
前記酸化生成物系の塩化水素の濃度を塩酸で0.1mol/L~1mol/Lに調節し、その後、70℃~90℃の温度で自己架橋反応を行い、ポリビニルアルコールゲル粒子を得る自己架橋ステップと、
前記ポリエチレンゲル粒子を水中に分散させた後、架橋剤を加えて反応させ、前記超架橋ポリビニルアルコールを得る、架橋剤による架橋ステップと、を含む方法によって製造される、ことを特徴とする請求項6に記載の酵素固定化担体の製造方法。
【請求項8】
前記酸化剤は過ヨウ素酸ナトリウムであり、前記酸化反応温度は20℃~30℃である、ことを特徴とする請求項7に記載の酵素固定化担体の製造方法。
【請求項9】
前記架橋剤は、濃度が2wt%~10wt%のグルタルアルデヒド溶液であり、前記架橋剤による架橋ステップの反応温度は40℃~60℃であり、且つ反応中に塩酸が系に加えられて系の塩化水素の濃度を0.1mol/L~1mol/Lにする、ことを特徴とする請求項7に記載の酵素固定化担体の製造方法。
【請求項10】
前記超架橋ポリビニルアルコールを前記アミノ基で修飾するステップは、
前記超架橋ポリビニルアルコール、第1溶媒、アミノ基修飾試薬を混合して反応させ、前記酵素固定化担体を得るステップを含む、ことを特徴とする請求項6~9のいずれか1項に記載の酵素固定化担体の製造方法。
【請求項11】
前記アミノ基修飾試薬は3-アミノプロピルトリエトキシシランであり、
前記アミノ基修飾の反応において、前記超架橋ポリビニルアルコール1gあたり、前記アミノ基修飾試薬の添加量が0.3mL~1mLである、ことを特徴とする請求項10に記載の酵素固定化担体の製造方法。
【請求項12】
前記アミノ基修飾の反応において、反応のpH値は2~3で、反応温度は60℃~90℃である、ことを特徴とする請求項11に記載の酵素固定化担体の製造方法。
【請求項13】
前記超架橋ポリビニルアルコールを前記塩化シアヌルで修飾するステップは、
前記超架橋ポリビニルアルコールを第2溶媒に分散させた後、塩化シアヌルを加えて反応させ、前記酵素固定化担体を得るステップを含む、ことを特徴とする請求項6~9のいずれか1項に記載の酵素固定化担体の製造方法。
【請求項14】
前記超架橋ポリビニルアルコール1gあたり、前記塩化シアヌルの添加量が0.25g~1gである、ことを特徴とする請求項13に記載の酵素固定化担体の製造方法。
【請求項15】
前記塩化シアヌル修飾の反応において、反応温度は0℃~10℃である、ことを特徴とする請求項13に記載の酵素固定化担体の製造方法。
【請求項16】
請求項1~3のいずれか1項に記載の酵素固定化担体と酵素を共有結合により連結して、前記固定化酵素を得るステップを含む、ことを特徴とする請求項4又は5に記載の固定化酵素の製造方法。
【請求項17】
前記酵素固定化担体が超架橋ポリビニルアルコールをアミノ基で修飾したものである場合、前記固定化酵素の製造方法は、
前記酵素固定化担体をグルタルアルデヒド溶液に分散させて活性化させ、活性化担体を得るステップと、
記活性化担体と酵素を含む酵素液とを反応させ、前記酵素と前記酵素固定化担体とを共有結合により連結し、前記固定化酵素を得るステップと、を含む、ことを特徴とする請求項16に記載の固定化酵素の製造方法。
【請求項18】
前記グルタルアルデヒド溶液は、濃度が1質量%~2質量%である、ことを特徴とする請求項17に記載の固定化酵素の製造方法。
【請求項19】
前記活性化ステップでは、活性化の温度は20℃~30℃であり、活性化の時間は1h~3hであり、前記活性化担体と前記酵素液を反応させる過程において、反応温度は20℃~30℃であり、前記活性化担体1gあたりは前記酵素液2mL~6mLに対応し、前記酵素液中のタンパク質含有量が30mg/mL~40mg/mLである、ことを特徴とする請求項18に記載の固定化酵素の製造方法。
【請求項20】
前記酵素固定化担体が超架橋ポリビニルアルコールを塩化シアヌルで修飾したものである場合、前記固定化酵素の製造方法は、
前記酵素固定化担体をリン酸塩緩衝液で濡らすステップと、
濡らした前記酵素固定化担体と酵素を含む酵素液とを反応させ、前記酵素と前記酵素固定化担体とを共有結合により連結し、前記固定化酵素を得るステップと、を含む、ことを特徴とする請求項16に記載の固定化酵素の製造方法。
【請求項21】
濡らした前記酵素固定化担体と前記酵素液とを反応させる過程において、反応温度は20℃~30℃であり、前記酵素固定化担体1gあたりは前記酵素液2mL~6mLに対応し、前記酵素液中のタンパク質の含有量が30mg/mL~40mg/mLである、ことを特徴とする請求項20に記載の固定化酵素の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物触媒の技術分野に関し、具体的には、酵素固定化担体及びその製造方法、固定化酵素及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学触媒と比較して、生物触媒である酵素は、その高活性、選択性及び基質の特異性が良いため、工業的生産に広く応用されている。生物触媒は、化学品、中間体、精密化学品、及び最終的な薬物分子の製造計画における重要な構成要素となりつつある。酵素は、高い領域選択性、高い触媒効率、及び温和な反応条件を有するが、遊離酵素は、触媒活性が温度、pH、溶媒などの影響を受けるため、不活性化しやすい。プロセスの需要が絶えず拡張することに従って、酵素の使用効率や経済性に対する要求もますます高くなってきた。そのため、酵素活性、特異性及び生産性を高めるだけでなく、酵素の回収可能性、再利用性を高める必要がある。
【0003】
酵素を固体担体に固定することにより固定化を行い、不均一系固定化酵素系を得ることにより、上記課題を解決するための一つの非常に良い方法が提供される。固定化酵素は、酵素特有の触媒性能を維持しつつ、安定性が高く、分離回収が容易であり、繰り返し使用が可能で、プロセスが簡便であるなどの一連の利点を有する。固定化酵素の性能は主に固定化方法と使用する担体材料に依存する。現在、酵素の固定化方法は、酵素と担体との結合方式によって、吸着法、共有結合法、架橋法や包埋法などに分類される。その中で、吸着法は酵素と担体との物理吸着作用、ファンデルワールス力、疎水作用などによる結合であり、操作が簡単で便利であり、吸着容量が大きく、工業コストが低いなどの利点があるため、酵素固定化に最もよく使われる方法である。しかし、このような方法は、担体と酵素は物理的吸着作用で結合しているため結合力が弱く、繰り返し使用中に酵素が担体から脱落しやすく転化率が低下するという問題がある。共有結合法は、酵素と担体とを共有結合により連結するものである。そのため、酵素と反応して共有結合を生成できる相応する官能基を担体に持たなければならない。吸着法と比較して、酵素と担体の連結がより強固で、使用中に酵素が脱落するような問題がなく、安定性と循環性がより良い。
【0004】
ポリビニルアルコール(PVA)は高分子有機化合物であり、人体に対して毒性や副作用がなく、良好な生体適合性を有する。ポリビニルアルコールは医療分野で広く使用されていて、ソフトコンタクト眼鏡の製造に用いるヒドロゲル、患部に貼り付けて細菌感染症を治療する口腔パッチ、手術中の吸液や吸血に使う医療用スポンジの製造に用いることができる。ポリビニルアルコールは、石油エチレン法、天然ガスアセチレン法、カーバイドアセチレン法などの成熟している方法により製造することができ、生産されやすく、容易に入手することができ、安価である。また、ポリビニルアルコールは他のビニルポリマー(例えばポリスチレン)と異なり、細菌に炭素源として利用され、分解可能であり、環境に優しい材料である。
【0005】
近年、中国国内外でPVAを担体として生物活性物質を固定することに対する大量の研究が行われ、PVAの製造方法は、主にPVA-ホウ酸法と冷凍解凍法がある。ホウ酸法により包埋された生物活性物質は、機械的強度が高く、使用寿命が長く、弾性が良い。欠点は、ホウ酸は包埋された生物(酵素)に対して毒作用があり、生物残留活性が低く、固定化粒子が凝着現象を起こしやすいということである。凍結解凍法は、物理架橋を利用してゲルを形成することであり、この方法で製造されたゲルの含水率は大きいが、担体の安定性は化学架橋法で得たゲルに及ばず、一部のバイオリアクター、特に流動床リアクターの要求を満たすことが難しい。また、固定化担体としては、無毒性や安定性に加えて、物質移動性、担持性も重要であるが、現在の固定化微生物研究における包埋法は固定化微生物を化学試薬に浸漬又は凍結する必要があり、微生物の活性や応用効率に影響を及ぼす上、また包埋担体の空隙度が小さく、物質移動性や担持性が制限されている。
【0006】
そのため、どのようにPVAにより効率的に酵素を固定化し、固定化酵素が高い活性、より良い安定性、及び再利用性を併せ持つようにするかは、当分野において早急に解決すべき課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の主な目的は、ポリビニルアルコール固定化酵素が、高い活性、良い安定性、及び再利用性を兼ね備えることができない従来の技術の課題を解決するために、酵素固定化担体及びその製造方法、固定化酵素及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成させるために、本発明の一態様によれば、超架橋ポリビニルアルコールをアミノ基又は塩化シアヌルで修飾したものである酵素固定化担体が提供される。
【0009】
さらに、超架橋ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールに酸化、自己架橋、架橋剤による架橋を順次行って得たものである。
【0010】
さらに、アミノ基修飾には、3-アミノプロピルトリエトキシシランがアミノ基修飾試薬として使用される。
【0011】
本発明の別の態様によれば、上記の酵素固定化担体と酵素とを共有結合により連結したものである固定化酵素が提供される。
【0012】
さらに、酵素は、トランスアミナーゼ、モノオキシゲナーゼ、ケトレダクターゼ、エンレダクターゼ、アミノ酸デヒドロゲナーゼから選択されるいずれか1種又は複数種であり、好ましくは、トランスアミナーゼは、Chromobacterium violaceum DSM30191に由来のトランスアミナーゼ、Arthrobacter citreusに由来のトランスアミナーゼ、又はB.thuringiensisに由来のトランスアミナーゼであり、好ましくは、モノオキシゲナーゼは、Brachymonas petroleovoransに由来のシクロヘキサノンモノオキシゲナーゼ、又はRhodococcus ruber-SD1に由来のシクロヘキサノンモノオキシゲナーゼであり、好ましくは、ケトレダクターゼは、Acetobacter sp. CCTCC M209061に由来のケトレダクターゼ、又はCandida macedoniensis AKU4588に由来のケトレダクターゼであり、好ましくは、エンレダクターゼは、Saccharomyces cerevisiaeに由来のエンレダクターゼ、及びChryseobacterium sp. CA49に由来のエンレダクターゼであり、好ましくは、アミノ酸デヒドロゲナーゼは、Bacillus cereusに由来のロイシンデヒドロゲナーゼ、及びBacillus sphaericusに由来のフェニルアラニンデヒドロゲナーゼである。
【0013】
本発明の別の態様によれば、超架橋ポリビニルアルコールを提供するステップと、超架橋ポリビニルアルコールをアミノ基又は塩化シアヌルで修飾して、酵素固定化担体を得るステップと、を含む、上記の酵素固定化担体の製造方法がさらに提供される。
【0014】
さらに、超架橋ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールを水中に溶解して、酸化剤を加えて酸化反応を行い、酸化生成物系を得るステップであって、好ましくは、酸化剤は過ヨウ素酸ナトリウムであり、好ましくは、酸化反応温度は20~30℃である酸化ステップと、酸化生成物系の塩化水素の濃度を塩酸で0.1~1mol/Lに調節し、その後、70~90℃の温度で自己架橋反応を行い、ポリビニルアルコールゲル粒子を得る自己架橋ステップと、ポリエチレンゲル粒子を水中に分散させた後、架橋剤を加えて反応させ、超架橋ポリビニルアルコールを得るステップであって、好ましくは、架橋剤は、濃度が2~10wt%のグルタルアルデヒド溶液であり、好ましくは、架橋剤による架橋ステップの反応温度は40~60℃であり、且つ反応中に塩酸が系に加えられて系の塩化水素の濃度を0.1~1mol/Lにする架橋剤による架橋ステップと、を含む方法によって製造される。
【0015】
さらに、超架橋ポリビニルアルコールをアミノ基で修飾するステップは、超架橋ポリビニルアルコール、第1溶媒、アミノ基修飾試薬を混合して反応させ、酵素固定化担体を得るステップであって、好ましくは、アミノ基修飾試薬は3-アミノプロピルトリエトキシシランであり、好ましくは、アミノ基修飾の反応において、超架橋ポリビニルアルコール1gあたり、アミノ基修飾試薬の添加量が0.3~1mLであり、好ましくは、アミノ基修飾の反応において、反応のpH値は2~3で、反応温度は60~90℃であり、好ましくは、第1溶媒は水であるステップを含む。
【0016】
さらに、超架橋ポリビニルアルコールを塩化シアヌルで修飾するステップは、超架橋ポリビニルアルコールを第2溶媒に分散させた後、塩化シアヌルを加えて反応させ、酵素固定化担体を得るステップであって、好ましくは、超架橋ポリビニルアルコール1gあたり、塩化シアヌルの添加量が0.25~1gであり、好ましくは、塩化シアヌル修飾の反応において、反応温度は0~10℃であり、好ましくは、第2溶媒はアセトンであるステップを含む。
【0017】
本発明の別の態様によれば、上記の酵素固定化担体と酵素とを共有結合により連結して、固定化酵素を得るステップを含む固定化酵素の製造方法がさらに提供される。
【0018】
さらに、酵素固定化担体が超架橋ポリビニルアルコールをアミノ基で修飾したものである場合、固定化酵素の製造方法は、酵素固定化担体をグルタルアルデヒド溶液に分散させて活性化させ、活性化担体を得るステップと、活性化担体と酵素を含む酵素液とを反応させ、酵素と酵素固定化担体とを共有結合により連結し、固定化酵素を得るステップと、を含み、好ましくは、グルタルアルデヒド溶液は、濃度が1~2質量%であり、より好ましくは、グルタルアルデヒド溶液はグルタルアルデヒドとリン酸塩緩衝液の混合溶液であり、好ましくは、活性化ステップでは、活性化の温度は20~30℃であり、活性化の時間は1~3hであり、好ましくは、活性化担体と酵素液を反応させる過程において、反応温度は20~30℃であり、好ましくは、活性化担体1gは酵素液2~6mLに対応し、酵素液中のタンパク質含有量が30~40mg/mLである。
【0019】
さらに、酵素固定化担体が超架橋ポリビニルアルコールを塩化シアヌルで修飾したものである場合、固定化酵素の製造方法は、酵素固定化担体をリン酸塩緩衝液で濡らすステップと、濡らした酵素固定化担体と酵素を含む酵素液とを反応させて、酵素と酵素固定化担体とを共有結合により連結し、固定化酵素を得るステップと、を含み、好ましくは、濡らした酵素固定化担体と酵素液とを反応させる過程において、反応温度は20~30℃であり、好ましくは、酵素固定化担体1gあたりは酵素液2~6mLに対応し、酵素液中のタンパク質含有量が30~40mg/mLである。
【0020】
本発明は、超架橋ポリビニルアルコールをアミノ基又は塩化シアヌルで修飾したものである酵素固定化担体がさらに提供される。超架橋ポリビニルアルコールをアミノ基又は塩化シアヌルで修飾することにより、ポリビニルアルコール分子鎖がアミノ基又は
【化1】
を持ち、これらの修飾基が酵素と反応して、両方が共有結合により連結される効果が得られる。このため、本発明による酵素固定化担体を用いると、固定化酵素の安定性及び再利用性が効果的に向上する。さらに、酵素を共有結合により連結する形態が使用されるため、包埋法に比べて、化学試薬による浸漬を行う等の必要がなく、酵素自体の活性を保持することに有利であり、固定化酵素を安定的かつ再利用可能としつつ、より良い活性を持たせる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
なお、矛盾しない限り、本願の実施例及び実施例の特徴は互いに組み合わせられてもよい。以下では、実施例を参照して本発明について詳細に説明する。
【0022】
背景技術の部分に記載される通り、従来技術では、ポリビニルアルコール固定化酵素は高い活性、良好な安定性、及び再利用性を兼ね備えるのが困難である。
【0023】
上記の問題を解決するために、本発明は、超架橋ポリビニルアルコールをアミノ基又は塩化シアヌルで修飾したものである酵素固定化担体を提供する。超架橋ポリビニルアルコールをアミノ基又は塩化シアヌルで修飾することにより、ポリビニルアルコール分子鎖がアミノ基又は
【化2】
を持ち、これらの修飾基が酵素と反応して、両方が共有結合により連結される効果が得られる。このため、本発明による酵素固定化担体を用いると、固定化酵素の安定性及び再利用性が効果的に向上する。さらに、酵素を共有結合により連結する形態が使用されるため、包埋法に比べて、化学試薬による浸漬を行う等の必要がなく、酵素自体の活性を保持することに有利であり、固定化酵素を安定的かつ再利用可能としつつ、より良い活性を持たせる。
【0024】
本発明では、超架橋ポリビニルアルコールにおける超架橋とは、重合体が水、有機溶媒などのポリビニルアルコールの良溶媒に不溶となるほど架橋度が高いことを意味する。
【0025】
好ましい実施形態では、超架橋ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールに酸化、自己架橋、架橋剤による架橋を順次行って得たものである。酸化においては、PVAセグメントのうちエンドツーエンドで連結されたo-ジオール構造の炭素炭素結合が破断して、2つのアルデヒド基が形成され、自己架橋においては、酸化により得られたアルデヒド基がPVA鎖上のヒドロキシ基と反応して、対応するアセタール構造が得られる(酸化、自己架橋過程における反応は、下記の通りである)。グルタルアルデヒド架橋剤が加えられると、PVA鎖上のヒドロキシ基とさらに反応して、超架橋PVA樹脂が得られる。
【化3】
【0026】
アミノ基の修飾効率を高める目的で、好ましい実施形態では、アミノ基修飾には、3-アミノプロピルトリエトキシシランがアミノ基修飾試薬として使用される。この3-アミノプロピルトリエトキシシランは超架橋ポリビニルアルコールの分子鎖上のヒドロキシ基と反応して、分子鎖上に
【化4】
基を修飾することができる。より重要なことに、この基を用いてアミノ基修飾を行うと、基のサイズがより適切で、分子主鎖から離れた方向において徐々に剛性から可撓性にあり、酵素との後続の固定化反応に有利であり、酵素をよりよく固定化し、固定化酵素の安定性及び再利用性をさらに向上させ、且つ固定化酵素により高い活性を付与する。
【0027】
本発明の別の態様によれば、上記の酵素固定化担体と酵素とを共有結合により連結したものである固定化酵素がさらに提供される。前記の通り、本発明の酵素固定化担体は、超架橋ポリビニルアルコールをアミノ基又は塩化シアヌルで修飾したものであり、これにより、ポリビニルアルコールの分子鎖がアミノ基又は
【化5】
を持ち、これらの修飾基が酵素と反応して、両方が共有結合により連結される効果が得られる。このため、この酵素固定化担体を用いると、固定化酵素の安定性及び再利用性が効果的に向上する。さらに、酵素を共有結合により連結する形態が使用されるため、包埋法に比べて、化学試薬による浸漬を行う等の必要がなく、酵素自体の活性を保持することに有利であり、固定化酵素を安定的かつ再利用可能としつつ、より良い活性を持たせる。
【0028】
本発明の固定化酵素は、酵素に対して広い適用性を有し、例えば、酵素は、トランスアミナーゼ、モノオキシゲナーゼ、ケトレダクターゼ、エンレダクターゼ、アミノ酸デヒドロゲナーゼのうちのいずれか1種又は複数種を含むが、これらに限定されない。但し、以下の酵素類にはより適用する。トランスアミナーゼは、Chromobacterium violaceum DSM30191に由来のトランスアミナーゼ、Arthrobacter citreusに由来のトランスアミナーゼ、又はB.thuringiensisに由来のトランスアミナーゼであり、モノオキシゲナーゼは、Brachymonas petroleovoransに由来のシクロヘキサノンモノオキシゲナーゼ、又はRhodococcus ruber-SD1に由来のシクロヘキサノンモノオキシゲナーゼであり、ケトレダクターゼは、Acetobacter sp. CCTCC M209061に由来のケトレダクターゼ、又はCandida macedoniensis AKU4588に由来のケトレダクターゼであり、アミノ酸デヒドロゲナーゼは、Bacillus cereusに由来のロイシンデヒドロゲナーゼ、及びBacillus sphaericusに由来のフェニルアラニンデヒドロゲナーゼである。
【0029】
本発明の別の態様によれば、超架橋ポリビニルアルコールを提供するステップと、超架橋ポリビニルアルコールをアミノ基又は塩化シアヌルで修飾して、酵素固定化担体を得るステップと、を含む上記の酵素固定化担体の製造方法が提供される。この方法で製造される酵素固定化担体は、超架橋ポリビニルアルコールを担体本体として、その分子鎖上にアミノ基又は
【化6】
を修飾したものであり、これらの修飾基は酵素と反応してこれを固定化し、固定化酵素を形成することができ、このため、固定化酵素の安定性及び再利用性が効果的に向上する。さらに、酵素を共有結合により連結する形態が使用されるため、包埋法に比べて、化学試薬による浸漬を行う等の必要がなく、酵素自体の活性を保持することに有利であり、固定化酵素を安定的かつ再利用可能としつつ、より良い活性を持たせる。
【0030】
好ましい実施形態では、超架橋ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールを水中に溶解して、酸化剤を加えて酸化反応を行い、酸化生成物系を得る酸化ステップと、酸化生成物系の塩化水素の濃度を塩酸で0.1~1mol/Lに調節し、70~90℃の温度で自己架橋反応を行い、ポリビニルアルコールゲル粒子を得る自己架橋ステップと、ポリエチレンゲル粒子を水中に分散させた後、架橋剤を加えて反応させ、超架橋ポリビニルアルコールを得る架橋剤による架橋ステップと、を含む方法によって製造される。酸化においては、PVAセグメントのうちエンドツーエンドで連結されたo-ジオール構造の炭素炭素結合が破断して、2つのアルデヒド基が形成され、自己架橋においては、酸化により得られたアルデヒド基がPVA鎖上のヒドロキシ基と反応して、対応するアセタール構造が得られる。グルタルアルデヒド架橋剤が加えられると、PVA鎖上のヒドロキシ基とさらに反応して、超架橋PVA樹脂が得られる。好ましくは、酸化剤は過ヨウ素酸ナトリウムである。過ヨウ素酸ナトリウムにより酸化反応がより十分に行われる。好ましくは、酸化反応温度は20~30℃である。好ましくは、架橋剤はグルタルアルデヒドであり、好ましくは、架橋剤による架橋ステップの反応温度は40~60℃であり、且つ反応中に塩酸が加えられて、系中の塩化水素の濃度を0.1~1mol/Lにする。以上の架橋剤及び架橋条件により、PVA鎖上のヒドロキシ基との反応がより十分に行われ、構造がより安定的な超架橋形態のポリビニルアルコールが得られる。
【0031】
ポリビニルアルコールの溶解を促進するために、実際の操作においては、ポリビニルアルコールを第1溶媒に加えた後、約90℃で溶解するまで溶解してもよい。酸化は室温で行わればよく、好ましくは反応時間は1~3hである。自己架橋反応工程においては、好ましくは、反応時間は3~6hである。架橋剤による架橋工程においては、好ましくは、反応時間は5~8hである。
【0032】
好ましい実施形態では、超架橋ポリビニルアルコールをアミノ基で修飾するステップは、超架橋ポリビニルアルコール、第1溶媒、アミノ基修飾試薬を混合して反応させ、酵素固定化担体を得るステップを含み、好ましくは、アミノ基修飾試薬は3-アミノプロピルトリエトキシシランである。この3-アミノプロピルトリエトキシシランは超架橋ポリビニルアルコールの分子鎖上のヒドロキシ基と反応して、分子鎖上に
【化7】
基を修飾することができる。より重要なことに、この基を用いてアミノ基修飾を行うと、基のサイズがより適切で、分子主鎖から離れた方向において徐々に剛性から可撓性にあり、酵素との後続の固定化反応に有利であり、酵素をより良く固定化し、固定化酵素の安定性及び再利用性をさらに向上させ、且つより良い活性を有する。
【0033】
好ましくは、アミノ基修飾の反応工程において、超架橋ポリビニルアルコール1gあたり、アミノ基修飾試薬の添加量が1~3mlである。アミノ基修飾試薬の添加量を上記の範囲に制御することにより、超架橋ポリビニルアルコールの分子鎖上のヒドロキシ基との反応がより充分に行われ、これにより、後続の酵素固定化工程において酵素の担持量及び安定性が向上し得る。
【0034】
反応効率をさらに高める目的で、好ましい実施形態では、アミノ基修飾の反応工程においては、反応のpH値は2~3、反応温度は60~90℃とされる。具体的には、反応系のpH値はpH調節剤、例えば濃塩酸等で調節され得る。好ましくは、第1溶媒は水である。好ましくは、反応時間は5~24hである。
【0035】
好ましい実施形態では、超架橋ポリビニルアルコールを塩化シアヌルで修飾するステップは、超架橋ポリビニルアルコールを第2溶媒に分散させた後、塩化シアヌルを加えて反応させ、酵素固定化担体を得るステップを含む。アミノ基を修飾基とする場合と比べて、塩化シアヌルを用いて修飾すると、後続の酵素固定化工程においてグルタルアルデヒドなどの架橋剤を追加的に使用する必要がなく、酵素固定化担体と酵素液とを直接反応させればよい。好ましくは、超架橋ポリビニルアルコール1gあたり、塩化シアヌルの添加量が0.25~1gである。塩化シアヌルの使用量を上記の範囲に制御すると、分子鎖上のヒドロキシ基と塩化シアヌルとをさらに十分に反応させ、担体への酵素の担持量を向上させつつ、固定化酵素の安定性及び活性をさらに高めるのに有利である。
【0036】
反応の安定性及び効率をさらに高めるために、好ましい実施形態では、塩化シアヌル修飾の反応工程においては、反応温度は0~10℃である。好ましくは、前記第2溶媒はアセトンである。好ましくは、反応時間は2~6hである。
【0037】
本発明のさらに別の態様では、上記酵素固定化担体と酵素とを共有結合により連結して、固定化酵素を得るステップを含む固定化酵素の製造方法が提供される。上記担体によれば、アミノ基と塩化シアヌル修飾基を酵素と反応させることで、両方の間で共有結合による連結が生じる。物理吸着固定と比べて、共有結合により連結して形成される固定化酵素では、より良い安定性及び再利用可能性を有し、包埋法などに比べて、共有結合連結により、固定化酵素が高い酵素活性を維持することが促され、触媒活性を長期間にわたって安定して保持することに対して非常に良い改善作用を有する。
【0038】
好ましい実施形態では、酵素固定化担体が超架橋ポリビニルアルコールをアミノ基で修飾したものである場合、固定化酵素の製造方法は、酵素固定化担体をグルタルアルデヒド溶液に分散させて活性化させ、活性化担体を得るステップと、活性化担体と酵素を含む酵素液とを反応させ、酵素と酵素固定化担体とを共有結合により連結し、固定化酵素を得るステップとを含む。グルタルアルデヒドで活性化させ、活性化担体と酵素を含む酵素液とを反応させることにより、修飾アミノ基と酵素とが化学反応を完成することが促され、酵素を固定する作用を果たす。グルタルアルデヒドの1つのアルデヒド基と担体上のアミノ基が反応してイミン結合が形成され、もう1つのアルデヒド基が酵素上での遊離アミノ基と反応し、これにより、酵素と担体が一体に連結される。
【0039】
活性化をより充分に行うために、好ましくは、グルタルアルデヒド溶液の濃度は1~2質量%であり、より好ましくは、グルタルアルデヒド溶液はグルタルアルデヒドとリン酸塩緩衝液との混合溶液である。上記リン酸塩緩衝液は好ましくはpHが7.0のリン酸塩緩衝液である(リン酸水素二ナトリウム緩衝液又はリン酸二水素ナトリウム緩衝液であってもよい)。好ましくは、活性化ステップでは、活性化の温度は20~30℃、活性化の時間は1~3hである。上記温度でグルタルアルデヒドによる活性化を行うと、効果がより佳く、反応がより安定的である。好ましくは、活性化担体と酵素液とを反応させる過程において、反応温度は20~30℃である。上記温度で酵素の固定反応を行うと、より良い反応効率及び安定性を有する。好ましくは、活性化担体1gは酵素液2~6mLに対応し、酵素液中のタンパク質含有量が30~40mg/mLである。このようにして、酵素が担体上により充分に固定され、酵素の担持量が向上し、固定化酵素の活性が向上することが促されるのに有利である。好ましくは、上記活性化担体と酵素液との反応時間は15~25hである。
【0040】
好ましい実施形態では、酵素固定化担体が超架橋ポリビニルアルコールを塩化シアヌルで修飾したものである場合、固定化酵素の製造方法は、酵素固定化担体をリン酸塩緩衝液で濡らすステップと、濡らした酵素固定化担体と酵素を含む酵素液とを反応させ、酵素と酵素固定化担体とを共有結合により連結し、固定化酵素を得るステップと、を含む。上記リン酸塩緩衝液は、好ましくは、pHが7.0のリン酸塩緩衝液である。濡らすことさえにより、担体中の塩化シアヌル修飾基が酵素液中の酵素と固定化反応を行い、両方の間の共有結合による連結が行われる。
【0041】
反応工程中の安定性を高めつつ、反応効率を高めるために、好ましい実施形態では、濡らした酵素固定化担体と酵素液とを反応させる過程において、反応温度は20~30℃である。より好ましくは、酵素固定化担体1gは酵素液2~6mLに対応し、酵素液中のタンパク質含有量が30~40mg/mLである。これにより、酵素がより充分に固定され、担持量が向上し、固定化酵素がより高い触媒活性を有することが促されるのに有利である。好ましくは、上記酵素固定化担体と酵素液との反応時間は15~25hである。
【0042】
以下では、具体的な実施例を参照して本願についてさらに詳細に説明するが、これらの実施例は本願が請求する特許範囲を制限するものではない。
【0043】
以下の実施例で使用される酵素の由来は以下の表1に示される。
【表1】
【0044】
実施例1
固定化担体を製造する実施例
PVA酸化:PVA(10g)を純水100mLに加え、90℃で完全に溶解するまで撹拌した。その後、それを室温に冷却して、それに過ヨウ素酸ナトリウム(0.9g)を加えて、1時間撹拌して反応させた。
【0045】
PVA自己架橋:前のステップで酸化されたPVA溶液を36%の濃塩酸で塩化水素の濃度が0.1mol/Lとなるまで調節し、次に、70℃に昇温して3時間静置して反応させ、PVAゲルを形成した。得られた自己架橋PVAゲルを篩(20メッシュ)にかけて、ゲル粒子(SCL-PVA)を得て、純水で3回洗浄した。
【0046】
PVAコロイド粒子の更なる架橋:上記で得られたSCL-PVAコロイド粒子を純水100mLに分散させ、それに50wt%グルタルアルデヒド(20mL)及び36%の濃塩酸(25mL)を加え、均一に撹拌した後、50℃に昇温して6時間反応させた。次に、得られたコロイド粒子を純水で中性となるまで洗浄して、乾燥し、マクロ孔質超架橋PVA(MP-PVA)を得た。
【0047】
実施例2
アミノ基修飾で固定化担体を製造する実施例
MP-PVA 3gに脱イオン水100mL及びAPTES 2mLを加え、室温で30min撹拌した後、濃塩酸でpHを3.5に調節し、5min撹拌後、80℃に昇温し、N
2保護下で20h反応させた(反応スキームは以下のとおりである)。反応終了後、エタノール、脱イオン水の順で洗浄し、アミノ基修飾固定化担体MP-PVA-NH
2を得た。
【化8】
【0048】
実施例3
塩化シアヌル修飾固定化担体の実施例
ベークしたMP-PVA 1gをアセトン40mLに加え、氷水浴(0℃)にて30min撹拌後、塩化シアヌル0.5gを加え、さらに氷水浴にて4h反応させた。反応終了後、アセトンで洗浄して乾燥まで吸引ろ過し、塩化シアヌル修飾酵素固定化担体MP-PVA-CCを得た。
【化9】
【0049】
実施例4 MP-PVA-NH2酵素固定化
20mM pH7.0のリン酸二水素ナトリウム緩衝液を用いて1wt%グルタルアルデヒド溶液を調製し、MP-PVA-NH2 1gを秤量して上記溶液に分散させた。30℃で1hインキュベートした後、脱イオン水で3回洗浄した。調製した所定量の酵素液(タンパク質含有量30~40mg/mL)をグルタルアルデヒドで活性化させたMP-PVA-NH2に加え(酵素液4mLは担体1gに対応する。)、20℃で20h固定化し、MP-PVA-NH2固定化酵素を得た。
【0050】
実施例5
MP-PVA-CC酵素固定化
20 mM pH7.0のリン酸二水素ナトリウム緩衝液でMP-PVA-CCを濡らして3回洗浄した。調製した所定量の酵素液(タンパク質含有量30~40mg/mL)をMP-PVA-CCに加え(酵素液4mLは担体1gに対応。)、20℃で20h固定化し、MP-PVA-CC固定化酵素を得た。
【0051】
適用実施例1
MP-PVA-NH
2とMP-PVA-CC固定トランスアミナーゼ(TA)の活性及び再利用性のテスト
酵素触媒反応スキームは以下のとおりである。
【化10】
【0052】
20mL反応フラスコにメタノール0.5mLを加え、カルボニル基質0.1gを溶解し、イソプロピルアミン塩酸塩15eqとPLP(ピリドキサール5’-リン酸)25.0mgを加え、0.1Mリン酸塩緩衝液(PB8.0)を反応液の終体積が5mLとなるまで加え、反応系を形成した。
【0053】
反応待ちの系にトランスアミナーゼ酵素粉末0.1g、又はトランスアミナーゼ酵素粉末0.1gに対応する酵素液で製造された固定化酵素をそれぞれ独立して加え、47℃で20h撹拌した。系についてHPLCにより転化率を検出し、毎回の反応が終了後、固定化酵素を分離して、次の反応に投入して再利用し、繰り返し使用回数を調べた。反応データは以下のとおりである。
【表2】
【0054】
トランスアミナーゼは、Aspergillus fumigatusに由来するトランスアミナーゼに由来し、以下の配列を持つ。
SEQ ID NO:1:
MQKQRTCSQWRELDAAHHLHPFTDTASLNQAGARVMTRGEGVYLWDCEGNKIIDGMAGLWCVNVGYGRKDFAEAARRQMEELPFYNTFFGTTHPPVVELSSLLAEVTPAGFDRVFYTNSGSESVDTMIRMVRRYWDVQGKPEKKTLIGRWNGYHGSTIGGASLGGMKYMHEQGDLPIPGMAHIEQPWWYKHGKDMTPDEFGVVAARWLEEKILEIGADKVAAFVGEPIQGAGGVIVPPATYWPEIERICRKYDVLLVADEVICGFGRTGEWFGHQHFGFQPDLFTAAKGLSSGYLPLGAVFVGDRVAEGLIAGGDFNHGFTYSGHPVCAAVAHANVAALRDEGIVQRVKDDIGPYMQKRWRETFSRFEHVDDVRGVGMMLAFTLVKNKAKRELFPDFGEIGTLCEDIFFRNNLIMTAQGDHIVSAPPLVMTRAEVDEMLAVAERCLEEFEQTLKARGLA
【0055】
適用実施例2
MP-PVA-NH
2とMP-PVA-CC固定アミノ酸デヒドロゲナーゼ(AADH)の活性及び再利用性のテスト
酵素触媒反応のスキームは以下のとおりである。
【化11】
【0056】
10mL応フラスコに、0.1M Tris-Cl(pH8.0)5mLを加えた後、主原料100mg、塩化アンモニウム108mgを加え、pH値を7.5に調節し、次に、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)10mg、グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH: Lysinibacillus sphaericus G10に由来するグルコース-1-デヒドロゲナーゼ、補酵素、NADPサイクル用)50mgを加え、反応待ちの系を形成した。
【0057】
反応待ちの系にAADH酵素(又は、遊離酵素100mgに対応する酵素液で製造された固定化AADH)100mgをそれぞれ独立して加えた。30℃で20h反応後、転化率をテストした。テスト結果を以下の表に示す。
【表3】
【0058】
アミノ酸デヒドロゲナーゼは、Bacillus cereusに由来するロイシンデヒドロゲナーゼに由来し、以下の配列を持つ。
SEQ ID NO:2:
MRDVFEMMDRYGHEQVIFCRHPQTGLKAIIALHNTTAGPALGGCRMIPYASTDEALEDVLRLSKGMTYKCSLADVDFGGGKMVIIGDPKKDKSPELFRVIGRFVGGLNGRFYTGTDMGTNPEDFVHAARESKSFAGLPKSYGGKGDTSIPTALGVFHGMRATARFLWGTDQLKGRVVAIQGVGKVGERLLQLLVEVGAYCKIADIDSVRCEQLKEKYGDKVQLVDVNRIHKESCDIFSPCAKGGVVNDDTIDEFRCLAIVGSANNQLVEDRHGALLQKRSICYAPDYLVNAGGLIQVADELEGFHEERVLAKTEAIYDMVLDIFHRAKNENITTCEAADRIVMERLKKLTDIRRILLEDPRNSARR
【0059】
適用実施例3
MP-PVA-NH
2とMP-PVA-CC固定ケトレダクターゼ(KRED)活性及び再利用性のテスト:
酵素触媒反応のスキームは以下のとおりである。
【化12】
【0060】
10mL反応フラスコに、イソプロパノール(IPA)0.5mLを加え、主原料0.1gを溶解し、0.1M PB 7.0 0.5mLとニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)10mgを加え、反応待ちの系を形成した。
【0061】
反応待ちの系にケトレダクターゼ酵素粉末0.05g又はケトレダクターゼ酵素粉末0.05gに対応する酵素液で製造された固定化酵素をそれぞれ独立して加え、30℃で20h撹拌した。系についてHPLCにより転化率を検出し、毎回の反応が終了後、固定化酵素を分離し、次の反応に投入して再利用し、繰り返し使用回数を調べた。反応データは以下のとおりである。
【表4】
【0062】
ケトレダクターゼは、Candida macedoniensis AKU4588に由来するケトレダクターゼに由来し、以下の配列を持つ。
SEQ ID NO:3:
MKAIQYTRIGAEPELTEIPKPEPGPGEVLLEVTAAGVCHSDDFIMSLPEEQYTYGLPLTLGHEGAGKVAAVGEGVEGLDIGTNVVVYGPWGCGNCWHCSQGLENYCSRAQELGINPPGLGAPGALAEFMIVDSPRHLVPIGDLDPVKTVPLTDAGLTPYHAIKRSLPKLRGGSYAVVIGTGGLGHVAIQLLRHLSAATVIALDVSADKLELATKVGAHEVVLSDKDAAENVRKITGSQGAALVLDFVGYQPTIDTAMAVAGVGSDVTIVGIGDGQAHAKVGFFQSPYEASVTVPYWGARNELIELIDLAHAGIFDIAVETFSLDNGAEAYRRLAAGTLSGRAVVVPGL
【0063】
適用実施例4
MP-PVA-NH
2とMP-PVA-CC固定モノオキシゲナーゼ(CHMO)活性及び再利用性のテスト
酵素触媒反応のスキームは以下のとおりである。
【化13】
【0064】
10mL反応フラスコにイソプロパノール0.3mLを入れて、次に、主原料500mg、5mg NADP +を含む0.1M PB(pH8.0)3mLを加え、その後、(ADH-Tb:Thermoanaerobium brockiiに由来するアルコールデヒドロゲナーゼ、補酵素、NADPサイクル用)50mg及びモノオキシゲナーゼ酵素粉末(又は遊離酵素100mgに対応する酵素液で製造される固定化モノオキシゲナーゼ)100mgを加えた。30℃で20h反応させ、転化率をテストし、毎回の反応が終了後、固定化酵素を分離し、次の反応に投入して再利用し、繰り返し使用回数を調べた。結果を以下の表に示す。
【表5】
【0065】
モノオキシゲナーゼはBrachymonas petroleovoransに由来するシクロヘキサノンモノオキシゲナーゼに由来し、以下の配列を持つ。
SEQ ID NO:4:
MTTSIDREALRRKYAEERDKRIRPDGNDQYIRLDHVDGWSHDPYMPITPREPKLDHVTFAFIGGGFSGLVTAARLRESGVESVRIIDKAGDFGGVWYWNRYPGAMCDTAAMVYMPLLEETGYMPTEKYAHGPEILEHCQRIGKHYDLYDDALFHTEVTDLVWQEHDQRWRISTNRGDHFTAQFVGMGTGPLHVAQLPGIPGIESFRGKSFHTSRWDYDYTGGDALGAPMDKLADKRVAVIGTGATAVQCVPELAKYCRELYVVQRTPSAVDERGNHPIDEKWFAQIATPGWQKRWLDSFTAIWDGVLTDPSELAIEHEDLVQDGWTALGQRMRAAVGSVPIEQYSPENVQRALEEADDEQMERIRARVDEIVTDPATAAQLKAWFRQMCKRPCFHDDYLPAFNRPNTHLVDTGGKGVERITENGVVVAGVEYEVDCIVYASGFEFLGTGYTDRAGFDPTGRDGVKLSEHWAQGTRTLHGMHTYGFPNLFVLQLMQGAALGSNIPHNFVEAARVVAAIVDHVLSTGTSSVETTKEAEQAWVQLLLDHGRPLGNPECTPGYYNNEGKPAELKDRLNVGYPAGSAAFFRMMDHWLAAGSFDGLTFR
【0066】
適用実施例5
MP-PVA-NH
2とMP-PVA-CC固定エンレダクターゼ(ERED)活性及び再利用性のテスト
酵素触媒反応のスキームは以下のとおりである。
【化14】
【0067】
10mL反応フラスコに0.1Mリン酸二水素ナトリウム緩衝塩溶液(pH7.0)3mLを入れて、次に、基質100mgを加え、その後、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP+)10mg、ギ酸アンモニウム80mg、ギ酸デヒドロゲナーゼ(FDH:Candida Boidiniiに由来するギ酸デヒドロゲナーゼ、補酵素、NADPサイクル用)20mgを加え、反応待ちの系を形成した。
【0068】
反応待ちの系にERED酵素(又は遊離酵素100mgに対応する酵素液で製造された固定化ERED酵素)100mgを加えた。30℃で20h反応させ、転化率をテストし、毎回の反応が終了後、固定化酵素を分離し、次の反応に投入して再利用し、繰り返し使用回数を調べた。結果を以下の表に示す。
【表6】
【0069】
エンレダクターゼはSaccharomyces cerevisiaeに由来するエンレダクターゼに由来し、以下の配列を持つ。
SEQ ID NO:5:
MNTMLFSPYTIRGLTLKNRIVMSPMCMYSCDTKDGAVRTWHKIHYPARAVGQVGLIIVEATGVTPQGRISERDLGIWSDDHIAGLRELVGLVKEHGAAIGIQLAHAGRKSQVPGEIIAPSAVPFDDSSPTPKEMTKADIEETVQAFQNGARRAKEAGFDVIEIHAAHGYLINEFLSPLSNRRQDEYGGSPENRYRFLGEVIDAVREVWDGPLFVRISASDYHPDGLTAKDYVPYAKRMKEQGVDLVDVSSGAIVPARMNVYPGYQVPFAELIRREADIPTGAVGLITSGWQAEEILQNGRADLVFLGRELLRNPYWPYAAARELGAKISAPVQYERGWRF
【0070】
以上は本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を制限するものではなく、当業者であれば、本発明に各種の変更及び変化を加えることができる。本発明の趣旨及び原則を逸脱することなく行われるすべての修正、同等置換や改良などは本発明の特許範囲に含まれるものとする。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
さらに、超架橋ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールを水中に溶解して、酸化剤を加えて酸化反応を行い、酸化生成物系を得るステップであって、好ましくは、酸化剤は過ヨウ素酸ナトリウムであり、好ましくは、酸化反応温度は20~30℃である酸化ステップと、酸化生成物系の塩化水素の濃度を塩酸で0.1~1mol/Lに調節し、その後、70~90℃の温度で自己架橋反応を行い、ポリビニルアルコールゲル粒子を得る自己架橋ステップと、ポリビニルアルコールゲル粒子を水中に分散させた後、架橋剤を加えて反応させ、超架橋ポリビニルアルコールを得るステップであって、好ましくは、架橋剤は、濃度が2~10wt%のグルタルアルデヒド溶液であり、好ましくは、架橋剤による架橋ステップの反応温度は40~60℃であり、且つ反応中に塩酸が系に加えられて系の塩化水素の濃度を0.1~1mol/Lにする架橋剤による架橋ステップと、を含む方法によって製造される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
好ましい実施形態では、超架橋ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールを水中に溶解して、酸化剤を加えて酸化反応を行い、酸化生成物系を得る酸化ステップと、酸化生成物系の塩化水素の濃度を塩酸で0.1~1mol/Lに調節し、70~90℃の温度で自己架橋反応を行い、ポリビニルアルコールゲル粒子を得る自己架橋ステップと、ポリビニルアルコールゲル粒子を水中に分散させた後、架橋剤を加えて反応させ、超架橋ポリビニルアルコールを得る架橋剤による架橋ステップと、を含む方法によって製造される。酸化においては、PVAセグメントのうちエンドツーエンドで連結されたo-ジオール構造の炭素炭素結合が破断して、2つのアルデヒド基が形成され、自己架橋においては、酸化により得られたアルデヒド基がPVA鎖上のヒドロキシ基と反応して、対応するアセタール構造が得られる。グルタルアルデヒド架橋剤が加えられると、PVA鎖上のヒドロキシ基とさらに反応して、超架橋PVA樹脂が得られる。好ましくは、酸化剤は過ヨウ素酸ナトリウムである。過ヨウ素酸ナトリウムにより酸化反応がより十分に行われる。好ましくは、酸化反応温度は20~30℃である。好ましくは、架橋剤はグルタルアルデヒドであり、好ましくは、架橋剤による架橋ステップの反応温度は40~60℃であり、且つ反応中に塩酸が加えられて、系中の塩化水素の濃度を0.1~1mol/Lにする。以上の架橋剤及び架橋条件により、PVA鎖上のヒドロキシ基との反応がより十分に行われ、構造がより安定的な超架橋形態のポリビニルアルコールが得られる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超架橋ポリビニルアルコールをアミノ基又は塩化シアヌルで修飾したものである、ことを特徴とする酵素固定化担体。
【請求項2】
前記超架橋ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールに酸化、自己架橋、架橋剤による架橋を順次行って得たものである、ことを特徴とする請求項1に記載の酵素固定化担体。
【請求項3】
前記アミノ基による修飾には、3-アミノプロピルトリエトキシシランがアミノ基修飾試薬として使用される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の酵素固定化担体。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の酵素固定化担体と酵素とを共有結合により連結したものである、ことを特徴とする固定化酵素。
【請求項5】
前記酵素は、トランスアミナーゼ、モノオキシゲナーゼ、ケトレダクターゼ、エンレダクターゼ、アミノ酸デヒドロゲナーゼから選択されるいずれか1種又は複数種であり、
前記トランスアミナーゼは、Chromobacterium violaceum DSM30191に由来のトランスアミナーゼ、Arthrobacter citreusに由来のトランスアミナーゼ、又はB.thuringiensisに由来のトランスアミナーゼであり、
前記モノオキシゲナーゼは、Brachymonas petroleovoransに由来のシクロヘキサノンモノオキシゲナーゼ、又はRhodococcus ruber-SD1に由来のシクロヘキサノンモノオキシゲナーゼであり、
前記ケトレダクターゼは、Acetobacter sp. CCTCC M209061に由来のケトレダクターゼ、又はCandida macedoniensis AKU4588に由来のケトレダクターゼであり、
前記エンレダクターゼは、Saccharomyces cerevisiaeに由来のエンレダクターゼ、及びChryseobacterium sp. CA49に由来のエンレダクターゼであり、
前記アミノ酸デヒドロゲナーゼは、Bacillus cereusに由来のロイシンデヒドロゲナーゼ、及びBacillus sphaericusに由来のフェニルアラニンデヒドロゲナーゼである、ことを特徴とする請求項4に記載の固定化酵素。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか1項に記載の酵素固定化担体の製造方法であって、
超架橋ポリビニルアルコールを提供するステップと、
前記超架橋ポリビニルアルコールをアミノ基又は塩化シアヌルで修飾して、前記酵素固定化担体を得るステップと、を含む、ことを特徴とする製造方法。
【請求項7】
前記超架橋ポリビニルアルコールは、
ポリビニルアルコールを水中に溶解して、酸化剤を加えて酸化反応を行い、酸化生成物系を得る酸化ステップと、
前記酸化生成物系の塩化水素の濃度を塩酸で0.1mol/L~1mol/Lに調節し、その後、70℃~90℃の温度で自己架橋反応を行い、ポリビニルアルコールゲル粒子を得る自己架橋ステップと、
前記ポリ
ビニルアルコールゲル粒子を水中に分散させた後、架橋剤を加えて反応させ、前記超架橋ポリビニルアルコールを得る、架橋剤による架橋ステップと、を含む方法によって製造される、ことを特徴とする請求項6に記載の酵素固定化担体の製造方法。
【請求項8】
前記酸化剤は過ヨウ素酸ナトリウムであり、前記酸化反応温度は20℃~30℃である、ことを特徴とする請求項7に記載の酵素固定化担体の製造方法。
【請求項9】
前記架橋剤は、濃度が2wt%~10wt%のグルタルアルデヒド溶液であり、前記架橋剤による架橋ステップの反応温度は40℃~60℃であり、且つ反応中に塩酸が系に加えられて系の塩化水素の濃度を0.1mol/L~1mol/Lにする、ことを特徴とする請求項7に記載の酵素固定化担体の製造方法。
【請求項10】
前記超架橋ポリビニルアルコールを前記アミノ基で修飾するステップは、
前記超架橋ポリビニルアルコール、第1溶媒、アミノ基修飾試薬を混合して反応させ、前記酵素固定化担体を得るステップを含む、ことを特徴とする請求項6~9のいずれか1項に記載の酵素固定化担体の製造方法。
【請求項11】
前記アミノ基修飾試薬は3-アミノプロピルトリエトキシシランであり、
前記アミノ基修飾の反応において、前記超架橋ポリビニルアルコール1gあたり、前記アミノ基修飾試薬の添加量が0.3mL~1mLである、ことを特徴とする請求項10に記載の酵素固定化担体の製造方法。
【請求項12】
前記アミノ基修飾の反応において、反応のpH値は2~3で、反応温度は60℃~90℃である、ことを特徴とする請求項11に記載の酵素固定化担体の製造方法。
【請求項13】
前記超架橋ポリビニルアルコールを前記塩化シアヌルで修飾するステップは、
前記超架橋ポリビニルアルコールを第2溶媒に分散させた後、塩化シアヌルを加えて反応させ、前記酵素固定化担体を得るステップを含む、ことを特徴とする請求項6~9のいずれか1項に記載の酵素固定化担体の製造方法。
【請求項14】
前記超架橋ポリビニルアルコール1gあたり、前記塩化シアヌルの添加量が0.25g~1gである、ことを特徴とする請求項13に記載の酵素固定化担体の製造方法。
【請求項15】
前記塩化シアヌル修飾の反応において、反応温度は0℃~10℃である、ことを特徴とする請求項13に記載の酵素固定化担体の製造方法。
【請求項16】
請求項1~3のいずれか1項に記載の酵素固定化担体と酵素を共有結合により連結して、前記固定化酵素を得るステップを含む、ことを特徴とする請求項4又は5に記載の固定化酵素の製造方法。
【請求項17】
前記酵素固定化担体が超架橋ポリビニルアルコールをアミノ基で修飾したものである場合、前記固定化酵素の製造方法は、
前記酵素固定化担体をグルタルアルデヒド溶液に分散させて活性化させ、活性化担体を得るステップと、
記活性化担体と酵素を含む酵素液とを反応させ、前記酵素と前記酵素固定化担体とを共有結合により連結し、前記固定化酵素を得るステップと、を含む、ことを特徴とする請求項16に記載の固定化酵素の製造方法。
【請求項18】
前記グルタルアルデヒド溶液は、濃度が1質量%~2質量%である、ことを特徴とする請求項17に記載の固定化酵素の製造方法。
【請求項19】
前記活性化ステップでは、活性化の温度は20℃~30℃であり、活性化の時間は1h~3hであり、前記活性化担体と前記酵素液を反応させる過程において、反応温度は20℃~30℃であり、前記活性化担体1gあたりは前記酵素液2mL~6mLに対応し、前記酵素液中のタンパク質含有量が30mg/mL~40mg/mLである、ことを特徴とする請求項18に記載の固定化酵素の製造方法。
【請求項20】
前記酵素固定化担体が超架橋ポリビニルアルコールを塩化シアヌルで修飾したものである場合、前記固定化酵素の製造方法は、
前記酵素固定化担体をリン酸塩緩衝液で濡らすステップと、
濡らした前記酵素固定化担体と酵素を含む酵素液とを反応させ、前記酵素と前記酵素固定化担体とを共有結合により連結し、前記固定化酵素を得るステップと、を含む、ことを特徴とする請求項16に記載の固定化酵素の製造方法。
【請求項21】
濡らした前記酵素固定化担体と前記酵素液とを反応させる過程において、反応温度は20℃~30℃であり、前記酵素固定化担体1gあたりは前記酵素液2mL~6mLに対応し、前記酵素液中のタンパク質の含有量が30mg/mL~40mg/mLである、ことを特徴とする請求項20に記載の固定化酵素の製造方法。
【国際調査報告】