(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-11
(54)【発明の名称】ダブルファイアリングモードセミオートマチックハンドガン
(51)【国際特許分類】
F41A 3/18 20060101AFI20240304BHJP
F41A 3/20 20060101ALI20240304BHJP
F41A 3/22 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
F41A3/18
F41A3/20
F41A3/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557106
(86)(22)【出願日】2022-02-25
(85)【翻訳文提出日】2023-11-07
(86)【国際出願番号】 HU2022050017
(87)【国際公開番号】W WO2022195309
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】HU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523351988
【氏名又は名称】ゲスタメン クタタス フェイェレツテス ザートケルエン ムケド レースベニュタールシャシャーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ガーボル ボゾー
(57)【要約】
ハンマモード又はストライカモードのいずれかで使用可能なダブルファイアリングモードセミオートマチックハンドガンであって、フレーム(1)と、バレル(2)と、バネ付勢されたスライド(3)と、トリガ(4)によって操作されるファイアリングロッド(14)を有するファイアリングアセンブリと、を備えたハンドガン。ハンドガンは更に、フレーム(1)の後部に設けられたフレームポケット(11)であって上方から開放されたフレームポケット(11)を備え、フレームポケット(11)内に、ハンマモードでは関連するフレームインセット(5)を、ストライカモードでは関連する他のフレームインセット(7)を、挿入可能であり、スライド(3)の後部がスライドポケット(12)を備え、スライドポケット(12)内に、ハンマモードでは関連するスライドインセット(6)を、ストライカモードでは関連する他のスライドインセット(8)を、挿入可能であり、スライドポケット(12)の接続部位の前方であってバレル(2)の後方に、カートリッジ収容室(21)に延在するファイアリングピン(9)が配置され、両ファイアリングモードにおいて、フレームインセット(5又は7)とスライドインセット(6又は8)とが協働し、ファイアリングロッド(14)の後向き移動によって表面がフレームインセット(5又は7)上に押され、この押し移動は、バネ付勢によって又はロックの解除によって、ファイアリングピン(9)への軸線方向ヒットに変換される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダブルファイアリングモードセミオートマチックハンドガンであって、フレーム(1)と、バレル(2)と、バネ付勢されたスライド(3)と、トリガ(4)と、前記トリガ(4)によって操作されるファイアリングロッド(14)を有するファイアリングアセンブリと、を備えたハンドガンにおいて、前記フレーム(1)の後部に設けられかつ上方から開放されたフレームポケット(11)を備え、前記フレームポケット(11)内に、ハンマモードでは関連するフレームインセット(5)を、ストライカモードでは関連する他のフレームインセット(7)を、挿入可能であり、前記スライド(3)の後部がスライドポケット(12)を備え、前記スライドポケット(12)内に、ハンマモードでは関連するスライドインセット(6)を、ストライカモードでは関連する他のスライドインセット(8)を、挿入可能であり、前記スライドポケット(12)の接続部位の前方であって前記バレル(2)の後方に、カートリッジ収容室(21)に延在するファイアリングピン(9)が配置され、両ファイアリングモードにおいて、前記フレームインセット(5又は7)と前記スライドインセット(6又は8)とが協働し、前記ファイアリングロッド(14)の後向き移動によって表面、すなわち、ハンマモードでは解除ボルト(55)の表面、ストライカモードではバッファ面(75)、が前記フレームインセット(5又は7)上に押され、この押し移動は、バネ付勢によって又はロックの解除によって、前記ファイアリングピン(9)への軸線方向ヒットに変換される、ことを特徴とするハンドガン。
【請求項2】
ハンマモードにおいて、前記フレームインセット(5)の前記後部にヒンジ(56)が設けられ、前記ヒンジ(56)の回りをプリングハンマ(53)が回動可能であり、ロックされた付勢要素と、ロック機構とが、解除ボルト(55)によって解除可能な前記プリングハンマ(53)に連結されており、ボア(64)が前記スライドインセット(6)を通って延びており、前記ボア(64)内をピン(65)が、制限された軸線方向移動のために案内され、前記ピン(65)は、前記スライドインセット(6)の後面から延出する後端を有し、前記ロックが解除されると、前記ピン(65)の前記後端が前記プリングハンマ(53)の上面によりヒットされ、次いで、前記ピン(65)の他端が、前記スライドインセット(6)の前方から延出し、前記ファイアリングピン(9)の後端面にヒットしてこれを押す、請求項1に記載のハンドガン。
【請求項3】
ストライカモードにおいて、前記他のフレームインセット(7)に、前記他のスライドインセット(8)の底部まで延出するロックノーズ(76)が設けられ、前記ロックノーズ(76)は、前記バッファ面(75)が後向きに押されたときに下向き方向に移動するヒンジ式マルチレバーアセンブリによって前記バッファ面(75)に接続され、前記他のスライドインセット(8)に軸線方向段付きボア(4)が設けられ、前記段付きボア内を打撃ピン(80)が案内され、前記段付きボア(84)の前部にバッファインサート(86)が設けられ、前記バッファインサート(86)は、前記打撃ピン(80)を囲むバネ(87)の前端に当接し、前記打撃ピン(80)は、前記バッファインサート(86)を支持する前方ショルダを有し、前記段付きボア(84)の後部にスリーブ(88)が配置され、前記バネ(87)は前記スリーブ(88)の前端に接触し、前記打撃ピン(80)の後端部の周囲にロックフォーク(85)の上部が配置され、前記ロックフォーク(85)の前面と前記スリーブ(88)のショルダとの間に、前記バネ(87)よりも弱い第2のバネ(89)が配置され、前記スライド(3)が後向き移動に続いて前向き方向に移動したときに、前記ロックフォーク(85)が、前記フレームインセット(7)内に配置された前記ロックノーズ(76)によってロックされ、それにより、前記バネ(87)がこのロック位置において付勢される、請求項1に記載のハンドガン。
【請求項4】
前記フレームインセット(5及び7)は、その上部において側方膨出部(51又は71)を備え、前記膨出部(51、71)に向かい合う前記フレームポケット(11)に、対応するキャビティ(15)が配置され、前記キャビティ(15)内に前記膨出部(51又は71)を嵌合することができる、請求項1から3までのいずれか1に記載のハンドガン。
【請求項5】
前記スライドインセット(6又は8)の中央上部領域に、上向きに延びる部分(61又は81)が、横断方向ボア(62又は82)を備えつつ、設けられ、前記スライド(3)が、前記スライド部材(6又は8)を前記スライド(3)に固定可能な、対応する開口(32)と横断方向ボア(33)とを備える、請求項1から3までのいずれか1に記載のハンドガン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダブルファイアリング(発砲)モードセミオートマチック(半自動)ハンドガンであって、フレームと、バレルと、バネ付勢されるスライドと、トリガによって作動されるファイアリングロッドを有するファイアリングアセンブリとを備える、ダブルファイアリングモードセミオートマチックハンドガンに関する。
【背景技術】
【0002】
ハンドガンには種々のタイプ及び作動システムがあり、それらのうち、回転可能なシリンダを使用するものはレボルバと称され、フレーム内のチャンバに挿入可能な取外可能マガジンを有するものは、しばしばピストルと称される。また、ファイアリングがどのように行われるかに基づいて、種々のシステムが存在し、それらのうち、最も頻繁に使用されるのは、ハンマシステム及びストライカシステムである。
【0003】
ハンマファイアリングシステムの典型的な例は、Colt1911または別名M1911ピストルであり、これはWikipediaにも詳細に説明されている。フレームの後部に配置されたハンマが下方へ回動されることによりバネが付勢され、ハンマがコック位置となる。トリガが引かれることによりロックが解除され、ハンマが高速で上向き位置に回動し、その前部がスライドの後面にヒット(衝突)し、これにより、カートリッジのプライマにヒットするファイアリングピンが前進される。
【0004】
典型的なタイプのストライカシステムピストルは、Glock17モデルによって構成され、これもWikipediaに記載されている。このモデルでは、スライドの内部に、バネ付勢されたヒットピンが配置されており、このスライドは、スライドが引き戻されるとロックされる。トリガが引かれると、ロックが解除され、付勢されたバネによってピンが前方に押され、これがカートリッジのプライマにヒットしショット(発射)をトリガする。
【0005】
列挙されたシステムはすべてセミオートマチック動作を提供する。
【0006】
両方のシステムは、それらの好ましい特性の故に、それぞれの大グループのユーザによってリンクされ、これに対し、従来のピストルは、これらの2つのモードのうちの一方のみでしか発砲できない。
【発明の概要】
【0007】
これらのモードの両方でファイアリングが可能なハンドガンであって、一方のモードから他方のモードへの変更を容易かつ迅速に行うことができ、ダブルモードに関連するコストが単一のファイアリングモードを有するハンドガンのコストよりもほとんど高くない、ハンドガンを提供する必要がある。
【0008】
本発明の課題は、交互にハンマファイアリングモードまたはストライカファイアリングモードで使用可能なセミオートマチックハンドガンを提供することである。
【0009】
この課題を解決するために、ダブルファイアリングシステムセミオートマチックハンドガンであって、フレームと、バレルと、バネ付勢されたスライドと、トリガによって操作されるファイアリングロッドを有するファイアリングアセンブリと、を備えたハンドガンにおいて、本発明によると、ハンドガンは、フレームの後部に設けられかつ上方から開放されたフレームポケットを備え、フレームポケット内に、ハンマシステムでは関連するフレームインセットを、ストライカシステムでは関連する他のフレームインセットを、挿入可能であり、スライドの後部がスライドポケットを備え、スライドポケット内に、ハンマシステムでは関連するスライドインセットを、ストライカシステムでは関連する他のスライドインセットを、挿入可能であり、スライドポケットの接続部位の前方であってバレルの後方に、カートリッジ収容室に延在するファイアリングピンが配置され、両ファイアリングモードにおいて、フレームインサートとスライドインサートとが協働し、ファイアリングロッドの後向き移動によって表面、すなわち、ハンマモードでは解除ボルトの表面、ストライカモードではバッファ面、がフレームインセット上に押され、この押し移動は、バネ付勢によって又はロックの解除によって、ファイアリングピンへの軸線方向ヒットに変換される、ハンドガンが提供される。
【0010】
ハンマファイアリングモードにおいて、フレームインセットの後部にヒンジが設けられ、ヒンジの回りをプリングハンマが回動可能であり、ロックされた付勢要素と、ロック機構とが、解除ボルトによって解除可能なプリングハンマに連結されており、ボアがスライドインセットを通って延びており、ボア内をピンが、制限された軸線方向移動のために案内され、ピンは、スライドインセットの後面から延出する後端を有し、ロックが解除されると、ピンの後端がプリングハンマの上面によりヒットされ、次いで、ピンの他端が、スライドインセットの前方から延出し、ファイアリングピンの後端面にヒットしてこれを押す。
【0011】
ストライカモードにおいて、他のフレームインセットに、他のスライドインセットの底部まで延出するロックノーズが設けられ、ロックノーズは、バッファ面が後向きに押されたときに下向き方向に移動するヒンジ式マルチレバーアセンブリによってバッファ面に接続され、他のスライドインセットに軸線方向段付きボアが設けられ、段付きボア内を打撃ピンが案内され、段付きボアの前部に当接部材が設けられ、当接部材は、打撃ピンを囲むバネの前端に当接し、打撃ピンは、当接部材を支持する前方ショルダを有し、段付きボアの後部にスリーブが配置され、バネはスリーブの前端に接触し、打撃ピンの後端部の周囲にロックフォークの上部が配置され、ロックフォークの前面とスリーブのショルダとの間に、バネよりも弱い第2のバネが配置され、スライドが後向き移動に続いて前向き方向に移動したときに、ロックフォークが、フレームインセット内に配置されたロックノーズによってロックされ、それにより、バネがこのロック位置において付勢される。
【0012】
好ましい実施形態では、フレームインセットは、その上部において側方膨出部を備え、膨出部に向かい合うフレームポケットに、対応するキャビティが配置され、キャビティ内に膨出部を嵌合することができる。
【0013】
スライドインセットの中央上部領域に、上向きに延びる部分が、横断方向ボアを備えつつ、設けられ、スライドが、スライド部材をスライドに固定可能な、対応する開口と横断方向ボアとを備えると、好ましい。
【0014】
したがって、本発明に係るハンドガンは、2つのフレームインセット及び2つのスライドセットであって、フレームと、実際に要求されるファイアリングのモードに対応するスライドと、に挿入されなければならない、2つのフレームインセット及び2つのスライドセットに関連付けられる。
【0015】
以下、添付図面を参照する好適な実施形態に関連付けて本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に従って作られたハンドガンの、フレームインセット及びスライドインセットを省略した、断面立面図を示す。
【0017】
【
図2】フレームインセットのポケットを視認可能な、ケースの詳細斜視図を示す。
【0018】
【
図3】ハンマシステムで使用される場合にフレームインセット内に嵌合可能なポケットの斜視図である。
【0019】
【
図4】別の位置から投影した、
図4と同様の図である。
【0020】
【
図5】ハンマシステムの場合のスライドインセットの斜視図を示す。
【0021】
【
図6】
図4に示すフレームインセットの断面図を示す。
【0022】
【
図7】
図5に示すスライドインセットの断面図である。
【0023】
【
図8】ハンマシステムにおけるファイアリングアセンブリの詳細斜視図を示す。
【0024】
【
図9】ストライカシステムにおけるフレームインセットの斜視図を示す。
【0025】
【
図10】ストライカシステムにおけるスライドインセットの斜視図を示す。
【0026】
【
図11】フレームインセットを断面図で示す、
図9と同様の図である。
【0027】
【
図12】スライドインセットを断面図で示す、
図10と同様の図である。
【0028】
【
図13】ストライカシステムにおける配置を示す、
図8と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明によるハンドガン10であって、フレーム1、バレル2、スライド3及びトリガによって構成された主要部を有するハンドガン10の断面立面図を示す。本記述において特に言及されていない部分は、従来のハンドガンにおける通常通りの設計及び機能を有している。数十年あるいは数百年にわたり知られているハンドガンの詳細を説明し記述することは本記述の目的ではなく、したがって、各部分は、本発明の設計及び動作を理解するために必要とされる文脈だけに言及される。
【0030】
バレル2の後端部には、カートリッジ(図示せず)を収容するための筒状のカートリッジ収容室21が設けられている。カートリッジ収容室21は、スライド3の前面に当接しており、このスライド3には、バネ付勢されたファイアリングピン9を含む中央ボアが設けられている。ファイアリングピン9は、バネ付勢に抗し、周囲ボアにより案内されて軸線方向に前進することができる。そのような動きは、その後面に作用するヒットであってショットを起動するヒットによってトリガされる。というのは、それにより、ファイアリングピン9の前端がその前方に位置するカートリッジのプライマにヒットするからである。
【0031】
ファイアリングピン9の後端よりも後方のスライド3には、スライドポケット12が設けられており、スライドポケット12は、スライド3の後端まで延びるキャビティを有し、スライドポケット12のタスクは、ユーザにより選択されたシステムに従って設計されたスライドインセットを受け入れることにある。スライド3の上壁には矩形状の開口32が設けられており、スライド3の側壁を通ってボア33が形成されている。
【0032】
フレーム1の上部後端には、スライドポケット12と同様のタスクを有するフレームポケット11が設けられている。なぜなら、これが、選択されたシステムに従って作られたフレームインセットを受け取ることができるからである。
【0033】
フレームポケット11に挿入された部材の種類に応じて、スライドポケット12内において、ハンドガン10は、ユーザがファイアリングトリガ4を引くと、ハンマタイプシステムまたはストライカシステムに従ってショットをトリガする。
【0034】
まず、ハンマタイプシステムの設計及び動作について説明する。
図12は、頂部かつわずかに側部から見たフレームポケット11の詳細を示している。
図3に示されるフレームポケット11の側壁には、横方向に拡がる鉛直方向を有しかつ丸みを帯びた台形状のキャビティ15又は凹部があり、これは、
図2に示されないフレームポケット11の反対側の側壁にも設けられる。
図3には、ハンマタイプのフレームインセット5が斜視図で示されており、このフレームインセット5は、2つの側方キャビティ15に遊嵌状態で挿入可能な一対の側方膨出部51を有し、これにより、ダブル矢印で示されるように、フレームインセット5を鉛直方向上方からフレームポケット11に着脱することができる。ハンマタイプのフレームインセット5上の主要な細部は、プリング(引き)ヘッドまたはハンマ53、位置決め要素54、解除ボルト55、及びヒンジ56であり、プリングハンマ53はヒンジ56回りに回動可能である。
【0035】
図4及び
図6では、ハンマタイプのフレームインセット5を、それぞれ
図3とは異なる方向から投影し、断面図で示す。これらの上方には、ハンマタイプのスライドインセット6が、
図5及び7に同様に斜視図及び断面図の形で示されている。
【0036】
ハンマタイプのスライドインセット6は略細長形状であり、その中央上部から、スライド3の上部に設けられた開口32に嵌合する上向き延長部61が膨出している。この延長部61には横断方向ボア62が設けられており、このボア62は、スライドインセット6がスライド3内に挿入されたときにボア33の延長部内に位置し、入れ子式スライドピンによってスライドインセット6がスライド3に対し挿入及び離脱されるのを可能にする。スライドインセット6の位置は、その底部において横方向に延びる爪63によって、固定され、これに対し、スライド3は爪63(図示せず)のための対応するポケットを備える。
【0037】
図7の断面図において、ハンマタイプのスライドインセット6を貫通して軸線方向ボア64が設けられており、ボア64内にヒット伝達ピン65及びバネ66が設けられていることが分かる。バネ66は、ピン65にわずかな後向き付勢力を提供する。バネ66のゾーンでは、ピン65は、位置を確保するために直径が減少しており、これにより形成された後方段差は、バネ66のための後方サポートを提供する。前方部分において、ボア64は、バネ66の前端に当接するためのわずかな段差を有する。
図5及び
図7は、ピン65がバネ66の付勢の下で後方位置にありかつその前面がスライドインセット6の前面から延出しないときの、初期基本位置にあるスライドインセット6を示す。ボア64軸線と、軸線方向変位においてボア64内を案内されるピン65の軸線とは、スライド内のファイアリングピン9の軸線の延長線に一致し、スライド部材6の前面67は、ファイアリングピン9の後端を画定するショルダ34(
図1)に当接する。
図7の断面図には、ピン65の頂部に、短い軸線方向の凹部68が設けられていることが示されており、凹部68内に、ピン65の軸線方向変位を制限する横断方向シャフト69が挿入されている。
図7において、バネ66の付勢は、ピン65をその最後方位置に維持し、このときピン65の前面はスライドインセット6の前面67から延出せず、その後端はスライドインセット6の本体からわずかに延出する。
【0038】
図4及び
図6に示されるハンマタイプのインサートは、従来の内部設計を有しており、それらのうち、図面では、プリングハンマ53がファイアリング位置にあり、このときそのファイアリング前面が鉛直であり、同時に、プリングハンマ53がその最前方位置にあることが記載されているだけである。ハンドガン10内に挿入されると、ハンマ53のファイアリング面は、スライドインセット6の中央後面に当接し、後向きに延びるピン65を前向き方向に、当接するまで押し、バネ66の弱い付勢力に抗して押し出し、ピン65はファイアリングピン9を前方に押してショットをトリガする。
【0039】
図6の断面図では、プリングハンマ53は、付勢バネ及びロックアセンブリによって下向き位置にあるときに付勢位置にロックされ、このロック状態は解除ボルト55の後向き移動及び圧力によって解除される。
【0040】
次に、ハンマタイプのフレームインセット5を動作させるファイアリングアセンブリの詳細の斜視図を示す
図8を参照する。シャフト41は、トリガ4を軸支し、そのプリングは、単一のアームレバーとして作用するファイアリングロッド14を矢印42の方向に後向きに押し、この後向き移動は、フレーム1の右側で生じ、その後端は、フレームインセット5内に存在する解除ボルト55を押す。この移動は、プリングハンマ53のロック状態を解除し、プリングハンマ53が高い力で前進方向に向かうのを可能にする。この移動の終わりに、プリングハンマ53の前面は、スライドインセット6内に存在するピン65の後端をバネ66の付勢に抗して前進方向に押し、ピンの前面はファイアリングピン9を前方に押してファイアリングをトリガする。
【0041】
この解決策は、それによって完全なハンマタイプの動作を提供する一方で、まずスライドインセット6を、次にその下方のフレームインセット5を、スライド3から及びフレーム1から取り外すことを可能にするとともに、ハンドガン10をストライカモード動作に調整するためのスペース又は余地を提供する。
【0042】
この第2の動作モードは、
図9から
図13を参照して説明される。
図9及び
図11は、ストライカモードで使用されるフレームインセット7をそれぞれ、斜視図及び断面図で示している。これらの上側には、
図10及び
図12において、スライドインセット8が同様に斜視図及び断面図で示されている。
【0043】
フレームインセット7を
図4及び
図6に示されるフレームインセット5と比較すると、それらの外形の類似性が明らかになるであろう。フレームインセット7の側方に設けられた膨出部71(
図9において、そのうちの左側の一つが隠されている)は、先の実施形態における膨出部51と同じ形状及び位置を有している。同様に、位置決め要素74は、先の実施形態の位置決め要素54と同じである。したがって、フレームインセット7を、フレームインセットの挿入のためにフレーム1に設けられたフレームポケット11内に挿入することができ(
図2)、フレームインセット5が可能であったように、一切の変更を必要としない。その差は、その内部設計にのみ存在し、それは、本実施形態では、ヒンジ式マルチレバー傾動アセンブリによって構成される。このアセンブリは、初期又は基本状態において、ロックノーズ76が、
図11に示すような高(上昇)位置をとり、その上方でスライドインセット8に設けられたロックフォーク85に結合されるのを確実にする。ヒンジ式傾動アセンブリの中央下方ゾーンに設けられたバッファ面75に後向きの力が作用すると、ロックノーズ76が下向き方向に傾斜し、それによりロックフォーク85を解除する。
【0044】
ストライカモードで使用されるスライドインセット8の外側設計は、
図5に示されるスライドインセット6とほぼ同じであり、違いはその後部にのみある。ここでは、プリングハンマ53を受け取るU字形状凹部が不要だからである。
図5に示される上向きに延びる部分61に、
図10に示される同様の部分81が対応し、位置決め爪63に対応する要素は爪83であり、ボア82はボア62に対応する。
【0045】
ここで、
図12を参照すると、スライドインセット8の内部を通って軸線方向段付きボア84が延びており、その中に打撃ピン80が配置されている。ボア84は、打撃ピン80を案内する。ボア82の前端には、バネ87の前部を支持するバッファインサート86が設けられる。バッファインサート86の直前でピン80の直径が増加しており、それにより、バッファインサート86は、前向きに移動したときに、打撃ピン80を引く。バネ87の後端は、段付きボア82の後部に挿入されたスリーブ88に当接する。スリーブ88の前方部分には第2のバネ89が配置されており、その前端はスリーブ88の前方ショルダに当接し、その後端は打撃ピン80によって支持されている。また、ロックフォークは、打撃ピン80に対し、後方のサポート及び案内を提供する。バネ87は、第2のバネ89よりもはるかに強い。
【0046】
図13は、
図8と同様の斜視図であって、トリガ4とフレームインセット7との間の接続を示している。4が引かれると、ファイアリングロッド14の後端は、
図9に示される
バッファ面75を押し、それによって、
図11に示されるロックノーズ76は、枢動アセンブリを介し、下向きに移動してロックフォーク85を解除する。
【0047】
ストライカタイプ動作の仕方は、
図12と、スライドインセット8が除去された状態を示す
図13とを参照して、理解可能である。スライド3が1回目のショットの後に(または、スライドが引き戻される1回目のショットにおいて)後向き方向に移動すると、スライド3は次いで、スライドインセット8をそれと一緒に、
図12及び
図13に示される位置に対し移動させる。次いで、ロックフォーク85が、ロックノーズ76(
図11に示されている)の後方に到達し、それをバネ(図示せず)に抗して下向き方向に傾斜させ、その通路を越えて後方に移動し、その後、バネが再びロックノーズ76を本来のロック位置に上昇させる。スライド3は、ハンドガン10(図示せず)内に配置された強力なリコイルバネによって前向きに、初期位置に移動される。しかしながら、この前向き移動の間、ロックノーズ76は、ロックフォーク85の底部に係合することになり、当接部材86は、その内部の打撃ピン80とともに、スライドインセット8の場合に対して、ロックされた後方位置に留まることになる。この位置は、トリガ4の次の引きまで維持され、これが引かれると、ロックノーズ76はロックフォーク85を解除し、以前にバイアスされたバネ87は高速で前向き移動して打撃ピン80をそれと共に移動させる。バネ87は、段付きボア84の前方ショルダに当接すると、バッファインサート86によって停止され、しかしながらその中の加速された打撃ピン80は、その衝撃の影響を受けてその移動を継続し、
図1に示されるファイアリングピン9は、カートリッジのプライマをヒットすることによってファイアリングを解除する。その後、スライド3が後向きに移動してロックフォーク85が再びロックされ、バネ89が打撃ピン80を図示の後方位置に引き、これにより、ハンドガン10は再びファイアリング可能な状態になる。
【国際調査報告】