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特表2024-510785流体容器を処理するためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-11
(54)【発明の名称】流体容器を処理するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20240304BHJP
   G01N 35/10 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
G01N35/04 H
G01N35/10 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558453
(86)(22)【出願日】2022-03-23
(85)【翻訳文提出日】2023-10-25
(86)【国際出願番号】 IB2022052678
(87)【国際公開番号】W WO2022201075
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】63/164,676
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510075457
【氏名又は名称】ディーエイチ テクノロジーズ デベロップメント プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ディマウロ, ガイ
(72)【発明者】
【氏名】フランク, ロナルド
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CA01
2G058CB08
(57)【要約】
流体容器を処理するためのシステムおよび方法であって、システムは、第1の入口トレイおよび第1の出口トレイを保持する第1のトレイホルダであって、第1の入口トレイが1つ以上のリザーバを備え、第1の出口トレイが1つ以上の空洞を備える、第1のトレイホルダと、封止面を含む結合可能な上部部材と、第1の入口トレイおよび第1の出口トレイのうちの少なくとも一方を結合可能な上部部材の封止面に接触させるために第1の方向に第1のトレイホルダを移動させる移動機構と、第1の出口トレイと移動機構の上面との間、および第1の入口トレイと移動機構の上面との間のうちの少なくとも一方のフローティングプレートとを備え、移動機構が、第1の入口トレイおよび第1の出口トレイを第1の方向に独立して移動させるように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体容器を処理するためのシステムであって、前記システムは、
第1の入口トレイおよび第1の出口トレイを保持するように構成された第1のトレイホルダであって、前記第1の入口トレイが1つ以上のリザーバを備え、前記第1の出口トレイが1つ以上の空洞を備える、第1のトレイホルダと、
封止面を備える結合可能な上部部材と、
前記第1の入口トレイおよび前記第1の出口トレイのうちの少なくとも一方を前記結合可能な上部部材の前記封止面に接触させるように第1の方向に前記第1のトレイホルダを移動させるように構成された移動機構と、
前記第1の出口トレイと前記移動機構の上面との間、および前記第1の入口トレイと前記移動機構の前記上面との間のうちの少なくとも一方のフローティングプレートと
を備え、
前記移動機構が、前記第1の入口トレイおよび前記第1の出口トレイを前記第1の方向に独立して移動させるように構成される、システム。
【請求項2】
前記第1のトレイホルダが可動トレイホルダである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記結合可能な上部部材が、複数の毛細管を備えるカートリッジを備える、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の方向が、前記結合可能な上部部材の軸に沿った垂直方向である、請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の入口トレイおよび前記第1の出口トレイのうちの少なくとも一方が、前記第1のトレイホルダ内の所定の位置にロック可能である、請求項1~4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の出口トレイおよび前記第1の入口トレイのうちの一方を介して前記移動機構によって前記結合可能な上部部材に印加される圧力が、前記第1の出口トレイおよび前記第1の入口トレイのうちの他方を介して前記移動機構によって前記結合可能な上部部材に印加される別の圧力から独立している、請求項1~5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の出口トレイおよび前記第1の入口トレイのうちの少なくとも一方の下方にある前記第1のトレイホルダの一部が、その底部を露出させるように切り欠きを備える、請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記移動機構が、前記第1のトレイホルダを水平方向に移動させるようにさらに構成される、請求項1~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記移動機構が、少なくとも2つの独立した移動プラットフォームであって、前記第1の入口トレイを前記結合可能な上部部材の底面に対して移動させるように構成された第1の移動プラットフォームと、前記第1の出口トレイを前記結合可能な上部部材の前記底面に対して前記第1の移動プラットフォームとは独立して移動させるように構成された第2の移動プラットフォームとを備える、請求項1~8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
第2の入口トレイおよび第2の出口トレイを保持するように構成された第2のトレイホルダをさらに備え、
前記第2の入口トレイが、1つ以上の流体リザーバを収容するように構成され、
前記第2の出口トレイが、1つ以上の空洞を備え、
前記移動機構が、前記第2のトレイホルダを前記第1の方向に移動させるように構成される、請求項1~9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2のトレイホルダが可動第2のトレイホルダである、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第2の入口トレイおよび前記第2の出口トレイのうちの少なくとも一方が、前記第2のトレイホルダ内の所定の位置にロック可能である、請求項10または11に記載のシステム。
【請求項13】
前記移動機構が、前記第1のトレイホルダおよび前記第2のトレイホルダのうちの少なくとも一方を互いに独立して水平方向および垂直方向に移動させるように構成される、請求項10~12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1のトレイホルダが試料プレートを備え、
前記第2のトレイホルダが試薬プレートを備える、請求項10~13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記移動機構が、少なくとも2つの独立した移動プラットフォームであって、前記第1の入口トレイおよび前記第2の入口トレイのうちの一方を前記結合可能な上部部材の底面に対して移動させるように構成された第1の移動プラットフォームと、前記第1の出口トレイおよび前記第2の出口トレイのうちの一方を前記結合可能な上部部材の前記底面に対して前記第1の移動プラットフォームとは独立して移動させるように構成された第2の移動プラットフォームとを備える、請求項1~14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記結合可能な上部部材が、複数の毛細管を備えるカートリッジを備え、前記毛細管が、前記第1の入口トレイまたは前記第2の入口トレイの前記リザーバおよび前記第1の出口トレイまたは前記第2の出口トレイの前記空洞と流体接触している、請求項1~15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
流体容器を処理するための方法であって、前記方法は、
結合可能な上部部材の底面に対して第1のトレイホルダを配置することであって、前記第1のトレイホルダが第1の入口トレイおよび第1の出口トレイを保持し、前記第1の入口トレイが1つ以上の第1のリザーバ内に第1の流体を含み、前記第1の出口トレイが複数の第1の空洞を備え、前記結合可能な上部部材が複数の毛細管を備える、ことと、
前記1つ以上の第1のリザーバが前記毛細管の第1の端部と流体連通し、前記第1の空洞が前記毛細管の第2の端部と流体連通するように、前記第1の入口トレイおよび前記第1の出口トレイを前記結合可能な上部部材の前記底面に独立して押圧することと、
前記第1の流体の少なくとも一部を前記第1のリザーバから前記毛細管に移送するように付勢するために、前記第1のリザーバと前記第1の空洞との間に第1の力を印加することと
を含み、
前記第1の出口トレイおよび前記第1の入口トレイのうちの少なくとも一方が、その下方に第1のフローティングプレートを備え、それにより、前記第1の出口トレイおよび前記第1の入口トレイを独立して押圧することが、前記第1のフローティングプレートをその底面に押圧して、前記第1の出口トレイおよび前記第1の入口トレイのうちの前記一方と、前記結合可能な上部部材の前記底面との間の界面の封止を保証することを含む、方法。
【請求項18】
前記第1のトレイホルダを移動させることが、前記第1のトレイホルダを水平方向および垂直方向のうちの少なくとも一方に移動させることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のトレイホルダが、前記第1の入口トレイおよび前記第1の出口トレイをロック位置に保持する、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記毛細管と前記第1の空洞との間に第2の力を印加することによって、前記第1の流体を前記毛細管から前記第1の空洞に移送することをさらに含む、請求項17~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記結合可能な上部部材の前記底面に対して第2のトレイホルダを配置することであって、前記第2のトレイホルダが第2の入口トレイおよび第2の出口トレイを保持し、前記第2の入口トレイが1つ以上の第2のリザーバ内に第2の流体を備え、前記第2の出口トレイが複数の第2の空洞を備える、ことと、
前記第2のリザーバが前記毛細管の第1の端部と流体連通し、前記第2の空洞が前記毛細管の第2の端部と流体連通するように、前記第2の入口トレイおよび前記第2の出口トレイを前記結合可能な上部部材の前記底面に独立して押圧することと、
前記第2の流体の少なくとも一部が前記第2のリザーバから前記毛細管に移送するように、前記第2のリザーバと前記第2の空洞との間に第3の力を印加することと
をさらに含み、
前記第2の出口トレイおよび前記第2の入口トレイのうちの少なくとも一方が、その下方に第2のフローティングプレートを備え、それにより、前記第2の出口トレイおよび前記第2の入口トレイを独立して押圧することが、前記第2の流通プレートをその底面に押圧して、前記第2の出口トレイおよび前記第2の入口トレイのうちの前記一方と、前記結合可能な上部部材の前記底面との間の界面の封止を保証することを含み、
前記第1のトレイホルダおよび前記第2のトレイホルダが、互いに対して同時に且つ独立して移動可能である、請求項17~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記毛細管と前記第2の空洞との間に第4の力を印加することによって、前記第2の流体を前記毛細管から前記第2の空洞に移送することをさらに含む、請求項17~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の出口トレイおよび前記第1の入口トレイのうちの少なくとも一方の下方にある前記第1のトレイホルダの一部が、その底部を露出させるように切り欠きを備え、
前記第1の流体が、前記切り欠きを介して熱制御下に維持される、請求項17~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記熱制御が、前記第1の流体の冷凍を含む、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、PCT国際特許出願として2022年3月23日に出願されており、2021年3月23日に出願された米国仮出願第63/164,676号の利益および優先権を主張し、この出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
背景
流体容器間の流体の移送は、移送プロセス中に伴う漏れリスクのために困難である。したがって、この課題を軽減するために、例えば、費用がかかり、面倒であり、および/または非効率的であり得て、流体移送中に最終的に不十分な封止特性を呈し得る、試料チャンバを封止するなどの様々な技術が使用される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
一態様では、本技術は、流体容器を処理するためのシステムに関し、システムは、第1の入口トレイおよび第1の出口トレイを保持するように構成された第1のトレイホルダであって、第1の入口トレイが1つ以上のリザーバを備え、第1の出口トレイが1つ以上の空洞を備える、第1のトレイホルダと、封止面を備える結合可能な上部部材と、第1の入口トレイおよび第1の出口トレイのうちの少なくとも一方を結合可能な上部部材の封止面に接触させるように第1の方向に第1のトレイホルダを移動させるように構成された移動機構と、第1の出口トレイと移動機構の上面との間、および第1の入口トレイと移動機構の上面との間のうちの少なくとも一方のフローティングプレートとを備え、移動機構が、第1の入口トレイおよび第1の出口トレイを第1の方向に独立して移動させるように構成される。
【0004】
上記態様の例では、第1のトレイホルダは、可動トレイホルダであり、結合可能な上部部材は、複数の毛細管を含むカートリッジを備える。他の例では、第1の方向は、結合可能な上部部材の軸に沿った垂直方向であり、第1の入口トレイおよび第1の出口トレイのうちの少なくとも一方は、第1のトレイホルダ内の所定の位置にロック可能であり、第1の出口トレイおよび第1の入口トレイのうちの少なくとも一方ならびにその下方に位置するフローティングプレートを介して移動機構によって結合可能な上部部材に印加される圧力は、第1の出口トレイおよび第1の入口トレイのうちの他方を介して移動機構によって結合可能な上部部材に印加される別の圧力から独立しており、第1の出口トレイおよび第1の入口トレイのうちの少なくとも一方の下方にある第1のトレイホルダの一部は、その底部を露出させるように切り欠きを備え、移動機構は、第1のトレイホルダを水平方向に移動させるようにさらに構成され、移動機構は、少なくとも2つの独立した移動プラットフォームであって、第1の入口トレイを結合可能な上部部材の底面に対して移動させるように構成された第1の移動プラットフォームと、第1の出口トレイを結合可能な上部部材の底面に対して第1の移動プラットフォームとは独立して移動させるように構成された第2の移動プラットフォームとを備える。
【0005】
上記態様の他の例では、システムは、第2の入口トレイおよび第2の出口トレイを保持するように構成された第2のトレイホルダをさらに備え、第2の入口トレイは、1つ以上の流体リザーバを収容するように構成され、第2の出口トレイは、1つ以上の空洞を備え、移動機構は、第2のトレイホルダを第1の方向に移動させるように構成される。別の例では、第2のトレイホルダは、可動第2のトレイホルダであり、第2の入口トレイおよび第2の出口トレイのうちの少なくとも一方は、第2のトレイホルダ内の所定の位置にロック可能であり、移動機構は、第1のトレイホルダおよび第2のトレイホルダのうちの少なくとも一方を互いに独立して水平方向および垂直方向に移動させるように構成され、第1のトレイホルダは、試料プレートを備え、第2のトレイホルダは、試薬プレートを備える。別の例では、移動機構は、少なくとも2つの独立した移動プラットフォームであって、第1の入口トレイおよび第2の入口トレイのうちの一方を結合可能な上部部材の底面に対して移動させるように構成された第1の移動プラットフォームと、第1の出口トレイおよび第2の出口トレイのうちの一方を結合可能な上部部材の底面に対して第1の移動プラットフォームとは独立して移動させるように構成された第2の移動プラットフォームとを備え、結合可能な上部部材は、複数の毛細管を備えるカートリッジを備え、毛細管は、第1の入口トレイまたは第2の入口トレイのリザーバおよび第1の出口トレイまたは第2の出口トレイの空洞と流体接触している。
【0006】
別の態様では、本技術は、流体容器を処理するための方法に関し、方法は、結合可能な上部部材の底面に対して第1のトレイホルダを配置することであって、第1のトレイホルダが第1の入口トレイおよび第1の出口トレイを保持し、第1の入口トレイが1つ以上の第1のリザーバ内に第1の流体を含み、第1の出口トレイが複数の第1の空洞を備え、結合可能な上部部材が複数の毛細管を備える、ことと、1つ以上の第1のリザーバが毛細管の第1の端部と流体連通し、第1の空洞が毛細管の第2の端部と流体連通するように、第1の入口トレイおよび第1の出口トレイを結合可能な上部部材の底面に独立して押圧することと、第1の流体の少なくとも一部を第1のリザーバから毛細管へと移送するように付勢するために、第1のリザーバと第1の空洞との間に第1の力を印加することとを含み、第1の出口トレイおよび第1の入口トレイのうちの少なくとも一方が、その下方に第1のフローティングプレートを備え、それにより、第1の出口トレイおよび第1の入口トレイを独立して押圧することが、第1のフローティングプレートをその底面に押圧して、第1の出口トレイおよび第1の入口トレイのうちの一方と、結合可能な上部部材の底面との間の界面の封止を保証することを含む。
【0007】
上記態様の例では、第1のトレイホルダを移動させることは、第1のトレイホルダを水平方向および垂直方向のうちの少なくとも一方に移動させることを含み、第1のトレイホルダは、第1の入口トレイおよび第1の出口トレイをロック位置に保持し、本方法は、毛細管と第1の空洞との間に第2の力を印加することによって、第1の流体を毛細管から第1の空洞に移送することをさらに含む。他の例では、本方法は、結合可能な上部部材の底面に対して第2のトレイホルダを配置することであって、第2のトレイホルダが第2の入口トレイおよび第2の出口トレイを保持し、第2の入口トレイが1つ以上の第2のリザーバ内の第2の流体を備え、第2の出口トレイが複数の第2の空洞を備える、ことと、第2のリザーバが毛細管の第1の端部と流体連通し、第2の空洞が毛細管の第2の端部と流体連通するように、第2の入口トレイおよび第2の出口トレイを結合可能な上部部材の底面に独立して押圧することと、第2の流体の少なくとも一部が第2のリザーバから毛細管に移送するように、第2のリザーバと第2の空洞との間に第3の力を印加することとをさらに含み、第2の出口トレイおよび第2の入口トレイのうちの少なくとも一方が、その下方に第2のフローティングプレートを含み、それにより、第2の出口トレイおよび第2の入口トレイを独立して押圧することは、第2の流通プレートをその底面に押圧して、第2の出口トレイおよび第2の入口トレイのうちの一方と、結合可能な上部部材の底面との間の界面の封止を保証することを含み、第1のトレイホルダおよび第2のトレイホルダは、互いに対して同時に且つ独立して移動可能である。
【0008】
上記態様の例では、本方法は、毛細管と第2の空洞との間に第4の力を印加することによって、第2の流体を毛細管から第2の空洞に移送することをさらに含み、第1の出口トレイおよび第1の入口トレイのうちの少なくとも一方の下方にある第1のトレイホルダの一部は、その底部を露出させるように切り欠きを含み、第1の流体は、切り欠きを介して熱制御下に維持され、熱制御は、第1の流体の冷凍を含む。
【0009】
本開示のこれらおよび他の利点、態様および新規な特徴、ならびにその例示された実施形態の詳細は、以下の説明および図面からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の例にかかる、容器処理システムを示すブロック図である。
【0011】
図2図2は、本開示の例にかかる、容器処理システムの側面図を示している。
【0012】
図3A図3Aは、本開示の例にかかるリフト、入口トレイおよび出口トレイ、ならびにトレイホルダの反対側の斜視図を示している。
図3B図3Bは、本開示の例にかかるリフト、入口トレイおよび出口トレイ、ならびにトレイホルダの反対側の斜視図を示している。
【0013】
図4図4は、本開示の例にかかる、別々に圧力封止されたトレイを使用して容器を充填するためのフロー図である。
【0014】
図5A図5Aは、本開示の例にかかる流体移送システムの斜視図である。
図5B図5Bは、本開示の例にかかる流体移送システムの斜視図である。
図5C図5Cは、本開示の例にかかる流体移送システムの斜視図である。
【0015】
図6A図6Aは、本開示の例にかかる流体移送システムのより詳細な図である。
図6B図6Bは、本開示の例にかかる流体移送システムのより詳細な図である。
【0016】
図7A図7Aは、本開示の例にかかるトレイホルダの平面図である。
図7B図7Bは、本開示の例にかかるトレイホルダの平面図である。
【0017】
図8A図8Aは、本開示の様々な例にかかるトレイロック機構を示している。
図8B図8Bは、本開示の様々な例にかかるトレイロック機構を示している。
図8C図8Cは、本開示の様々な例にかかるトレイロック機構を示している。
図8D図8Dは、本開示の様々な例にかかるトレイロック機構を示している。
【0018】
図9図9は、本開示の例にかかる流体移送カートリッジの斜視図である。
【0019】
図10図10は、本開示の例にかかる流体移送の方法を示すフローチャートである。
【0020】
図11図11は、本開示の例のコンピューティングデバイスのブロック図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
製品開発の現在の状態、および例えばライフサイエンスにおける一般的な科学的進歩は、製品および/または科学的開発サイクルを遅延させる既存のシステムおよび方法によって課題を抱えている。例えば、流体移送中の容器間の封止は、封止が不十分である場合に移送中に流体が失われる可能性があるという事実によって課題がある。さらに、流体移送の効率は、各流体移送サイクルの間に容器を洗浄する必要性によって遅延され得る。
【0022】
したがって、存在する技術的課題は、各流体移送サイクル間で流体容器を洗浄することができる一方で、容器間で流体を効率的に移送する能力である。この技術的課題に対する1つの解決策は、効率的な流体移送の機構および方法、ならびに流体移送のサイクル間の流体容器の洗浄の機構および方法を提供することを含み得る。
【0023】
本明細書では、第1、第2などの用語が使用されて様々な要素を説明し得るが、これらの要素は、これらの用語によって限定されるべきではないことが理解されよう。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。したがって、例えば、以下に説明する第1の要素、第1の構成要素、または第1の部分は、本開示の教示から逸脱することなく、第2の要素、第2の構成要素、または第2の部分と呼ぶことができる。同様に、「上部」、「下部」、「側面」などの様々な空間的用語は、ある要素を別の要素から相対的に区別する際に使用され得る。しかしながら、本開示の教示から逸脱することなく、構成要素は、異なる方法で配向されてもよく、例えば、昇降デバイスは、その「上」面が水平を向き、その「側」面が垂直を向くように横方向に回転されてもよいことを理解されたい。
【0024】
図1は、本開示の例示的な実施形態にかかる、容器処理システムを示すブロック図である。図1を参照すると、リフト101、トレイホルダ103、入口トレイ105A、出口トレイ105B、および試料カートリッジ107を備える容器処理システム100が示されている。封止界面109Aおよび109Bはまた、入口トレイ103および出口トレイ105と試料カートリッジ107との間に示されている。入口トレイ103および出口トレイ105は、例えば入口トレイ103および出口トレイ105が共通の封止面を有する場合、一辺の長さが数インチであってもよいため、封止長は、適切な封止を確保するには過度に長くなり、必要な公差を満たすことは極めて困難である。
【0025】
入口トレイ105Aは、流体試料を試料カートリッジ107内の容器に提供するための1つ以上の試料リザーバを備えてもよい。一例では、容器は、毛細管などの容器を含み、本開示は、そのような用途に限定されず、医療用容器を含むことができる試料を受け入れる任意の容器に限定される。同様に、出口トレイ105Bは、流体を容器に押し込むために、力、圧力差、または真空を試料カートリッジ107内の容器に提供するための複数の空洞を備え得る。
【0026】
本開示の例示的な実施形態では、封止面109Aおよび109Bは、入口トレイ105Aおよび出口トレイ105Bに対して別々であってもよく、トレイは、単一のトレイホルダ103に保持され、両方とも同じ試料カートリッジ107に対して作製される。この実施形態では、同時に加圧される2つの個々のトレイは、共通の平面に押圧され得る。確実な封止を保証する許容範囲内で両方のトレイを互いに平行に保つことは非常に困難であるため、2つのトレイは、平行度への依存を減少させる個々のプラットフォームであり得るが、両方のトレイは、封止面に押圧されたときに依然として大部分が1つのアセンブリとして移動する。例えば、入口トレイ105Aは、トレイホルダ103にしっかりと取り付けられ得るが、出口トレイ105Bは、トレイホルダ103から持ち上げられ、トレイホルダ103および入口トレイ105Aとは独立して浮動し得るトレイホルダ103内のサブプレート上に位置する。出口トレイ105Bの上面はまた、両方のトレイがカートリッジ107に押圧されたときに浮動する余地があるように、入口トレイ105Aの上面よりも僅かに下方に位置してもよい。リフト101内の2つの異なる機構が、トレイホルダ103内のトレイをカートリッジ107に押圧する。図示されているように、一方の機構は、入口トレイ105Aの下方にセンタリングされ、他方の機構は、出口トレイ105Bの下方にセンタリングされ得る。
【0027】
この構造は、共通の表面と接触する複数の圧力チャンバ間の圧力差を維持しなければならない場合、および複数の圧力チャンバが単一のアセンブリ内にある場合に、圧力封止をより容易にする。圧力チャンバの数が増加するにつれて、封止の長さも増加する。封止が長いほど、封止面間の平行度はより重要になる。平行度がより重要になると、部品およびアセンブリを必要な公差内に維持することがより困難になる。本開示は、そのような正確な平行度の必要性を排除するための解決策を提供する。
【0028】
圧力封止を形成するために一緒に押圧される部品間の平行度が重要である。部品が十分に平行でない場合、隙間があり、圧力が漏れる。平行度の問題は、封止のサイズが大きくなるにつれて増幅される。本開示は、このような正確な平行度を必要としない複数のより小さい封止に封止を分割することによって圧力封止の有効長を減少させることによってこの問題を軽減する。
【0029】
従来の封止は、部品に対して非常に正確な公差を必要とする。そのような公差は、部品を高価にし、扱いにくくする。本開示の構造は、これらの公差を大幅に緩和し、製造および組み立てを非常に簡単且つ比較的安価にする。
【0030】
圧力封止は、8つの毛細管を有するカートリッジに必要な封止の長さが非常に長くなるため、独特の問題となる。封止が長いほど、カートリッジとトレイとの間の平行公差は低くなる。位置合わせを支援するための設備がなければ、圧力封止は信頼できない。
【0031】
図1の例では、出口トレイ105Bは、入口トレイ105Aとは別個のトレイホルダ103の表面上に載置され、これは、2つのトレイが互いに独立して関節運動することを可能にする。これは、1つの大きな封止の代わりに2つの中サイズの封止を形成し、トレイ105A/105Bとカートリッジ107との間の平行度公差を増加させる。リフト101は、入口トレイ105Aおよび出口トレイ105Bを試料カートリッジ107に押圧して封止面109Aおよび109Bを形成するための、入口トレイ105Aおよび出口トレイ105B用の2つの独立したリフト構造を備え、これは、トレイホルダ103の機能を適切に機能させることを可能にする。
【0032】
動作中、容器処理システム100は、試料カートリッジ107内の容器に試料材料を供給し得る。例示的な状況では、試料カートリッジ107内の容器は、ノズルまたは同様の管を介して入口トレイ105Aおよび出口トレイ105Bに結合された毛細管を備え得る。リフト101は、入口トレイ105Aおよび出口トレイ105Bに独立して圧力を印加してもよく、その結果、それぞれが封止面109Aおよび109Bにおいて試料カートリッジ107に対して封止されてもよい。入口側は、より高い圧力であってもよく、出口側は、例えば、力、圧力差、または真空の作用下にあり、入口トレイ105Aから毛細管に液体を引き込む力を生成する。入口トレイおよび出口トレイ、トレイホルダ、リフト、および試料カートリッジのさらなる詳細は、図2図4に関して示されている。
【0033】
図2は、本開示の例示的な実施形態にかかる、容器処理システムの側面図を示している。図2を参照すると、リフト201と、トレイホルダ203と、入口トレイ205Aおよび出口トレイ205Bと、試料カートリッジ207とを備える容器処理システム200が示されている。リフト201は、独立した昇降プラットフォーム205Aおよび201Bを備え、各昇降プラットフォームは、封止面に対する異なる圧力、高さ、および向きを入口トレイ205Aおよび出口トレイ205Bに提供するために個別に制御可能である。例えば、各昇降プラットフォーム205Aおよび201Bは、対応する入口/出口トレイを押圧する上面の角度を調整して圧力封止を最適化する能力を有し得る。圧力は、リフト圧力、高さ、および向きを調整しながら、結合プロセス中に入口/出口トレイ205A/205Bの1つ以上の付属品ポートにおいて監視され得る。
【0034】
図2はまた、この場合は毛細管211である試料カートリッジ207内の例示的なデバイスを示している。入口トレイ205Aおよび出口トレイ205Bが試料カートリッジ207に押圧されると、毛細管211は、一端において入口トレイ205Aの流体リザーバに、他端において出口トレイ205Bの出口空洞に結合され得る。図示の例では、カートリッジ207内に8つの毛細管が配置されているが、本開示は、そのように限定されず、任意の数が利用され得る。毛細管の数が増加すると、封止面が大きくなり、これは、独立した昇降プラットフォーム205Aおよび201Bを有する2つの独立した封止面209Aおよび209Bの利点を示している。封止面209Aおよび209Bは、入口および出口トレイ205Aおよび205Bと試料カートリッジ207との間で接触する共通の表面を含み得る。
【0035】
トレイホルダ203は、入口トレイ205Aおよび出口トレイ205Bが位置し得る構造フレームを備え、出口トレイ205Bは、図3に関してさらに示すように、トレイホルダ203内のフローティング独立プレートなどの別個の表面に載置される。
【0036】
動作中、複数の毛細管211を有する試料カートリッジ207は、入口トレイ205Aおよび出口トレイ205Bの近くに配置され得る。昇降プラットフォーム205Aおよび201Bは、入口トレイ205Aおよび出口トレイ205Bをそれぞれ試料カートリッジ207に押圧するように独立して構成されてもよく、その結果、封止面209Aおよび209Bは、毛細管内の安定した圧力差または安定した真空などの安定した力をもたらす。毛細管211に対応する流体をそれぞれ含む入口トレイ205Aの1つ以上のリザーバと、流体を毛細管211に導入するための出口トレイ205Bの空洞との間に圧力差が印加され得る。入口トレイ205Aと出口トレイ205Bとの間の圧力差は、流体を毛細管に進入させる力を引き起こす。この力は、入口トレイ205において印加され得る圧力差によって引き起こされ得るか、または入口トレイ205Aにおける正圧と出口トレイ205Bにおける負圧または真空との組み合わせであり得る。圧力差は、例えば、数ポンド/平方インチ(PSI)、10PSI超、または20PSI超であり得る。これは、毛細管211が適切な点まで、典型的には出口トレイ205Bの毛細管の端部まで充填されるまで継続し得る。カートリッジ207は、入口トレイ205Aおよび出口トレイ205Bから取り外されてもよく、充填された毛細管が得られる。
【0037】
図3Aおよび図3Bは、本開示の例示的な実施形態にかかるリフト、入口トレイおよび出口トレイ、ならびにトレイホルダの反対側の斜視図を示している。図3Aを参照すると、リフト301、トレイホルダ部307Aおよび307A、ならびにサブプレート313が示されている。トレイホルダ部307A、307Bおよびサブプレート313は、図1および図2を参照して説明したトレイホルダ103および203を表す。サブプレート313は、入口および出口トレイの圧力を独立して構成するために出口トレイ305Bが載置され得るトレイホルダ内の別個に構成可能なプレートを備える。図3Aはまた、入口トレイおよび出口トレイの押圧の別個の構成を可能にする独立したリフト昇降プラットフォーム305Aおよび301Bを示している。昇降プラットフォーム305Aおよび301Bは、異なる高さ、圧力(力)、および向きで独立して構成され得る。
【0038】
図3Bは、トレイホルダおよび入口/出口トレイの反対の角度図を示しており、入口トレイ305Aがトレイホルダ部307A上に直接載置され得る一方で、出口トレイ305Bがサブプレート313上に載置され得る方法を示しており、図2に関して示されるように、試料カートリッジに対する入口トレイおよび出口トレイの圧力の独立した制御を可能にする。トレイホルダ部307Bにおける開口部は、入口トレイおよび出口トレイがトレイホルダ部307A、入口トレイ305A、および出口トレイ305Bのサブプレート313に嵌合して載置されるのに十分な大きさである。例示的な状況では、トレイホルダ部307Bは、入口トレイ305Aおよび出口トレイ305Bを所定位置にロックするようにスライドし得る。
【0039】
入口トレイ305Aは、8つの容器(例えば、毛細管)を有するカートリッジに対応する、12列の8つのリザーバを有する流体リザーバ315のうちの1つ以上を有し、その結果、他の数も可能であるが、この例では、8つの毛細管のそれぞれが12個の試料を処理することによって、カートリッジ当たり96個の異なる試料が処理され得る。同様に、出口トレイ305Bは、充填中に容器の出口端部においてより低い圧力を提供し、また充填中に過剰な流体を毛細管から排出するために利用され得る12個の空洞317を備える。代わりに、出口トレイ305Bは、異なる容器に対して異なる圧力が望まれ得る場合、8つ全ての容器の1つとは対照的に、個々の空洞を備えてもよい。ここでも、流体リザーバ315および空洞317の数、ならびにリザーバ/空洞の列の数は単なる例であり、機器のサイズおよび医療用容器/カートリッジのサイズに応じて任意の数が利用され得る。いくつかの用途では、空洞317はまた、流体を含んでもよい。
【0040】
図4は、本開示の例示的な実施形態にかかる、別々に圧力封止されたトレイを使用して容器を充填するためのフロー図である。図4を参照すると、プロセスは、ステップ401において始まり、各リザーバ内の所望の流体を有する入口トレイが、トレイホルダ内に配置されるとともに、トレイホルダ内の出口トレイがサブプレート313上に配置される。
【0041】
ステップ403において、入口トレイと試料カートリッジとの間および出口トレイと試料カートリッジとの間のそれぞれにおいてトレイごとに異なる圧力封止が形成されるように、入口トレイおよび出口トレイが、独立したリフトプラットフォームを使用して試料カートリッジに対して独立して押圧され得る。試料カートリッジは、例えば、複数の毛細管を備え得て、毛細管の入口側は、入口トレイに結合され、毛細管の出口側は、出口トレイに結合される。
【0042】
ステップ405において、入口トレイ内の流体リザーバと出口トレイ内の空洞との間に圧力差が印加され得る。ステップ407において、流体は、所望のレベルまで充填されるまで毛細管内に押し込まれ、力、圧力差、または真空が停止され、続いてステップ409が行われ、カートリッジが入口トレイおよび出口トレイから取り外され得る前に試料が分析され得る。別の例示的なシナリオでは、流体が利用されて、充填前および分析後に毛細管を洗い流して、第2の試料による充填を可能にしてもよい。
【0043】
別の例示的なシナリオでは、入口トレイおよび出口トレイは、それらの両方が周囲圧力であるかまたは他の何らかの圧力であるかにかかわらず、等しく加圧されてもよい。このシナリオでは、流体移動はないが、イオン移動があり得る。イオン移動の場合、電圧差を使用してイオンが界面動電的に注入され得て、電圧印加のために出口トレイ内に流体が存在し得る。緩衝流体は、毛細管間に印加される電圧のための導体を提供する。各トレイでは、少なくとも1つの毛細管および電極の両方の端部が緩衝液に浸漬されてもよく、電流は、電極から緩衝液を通って毛細管を通り、次に対向するトレイの整合毛細管を有する緩衝液に浸漬された電極に流れる。他の場合には、試料を処理している間に、両方のトレイが20PSIに加圧され、そうでなければ電流誘起熱から発生し得る気泡を抑制してもよい。
【0044】
本開示の様々な態様にしたがって実装されるシステムおよび/または方法は、例えば、容器を処理するためのアセンブリを提供する。容器は、毛細管などの内部容器を備え得る。アセンブリは、1つ以上の流体リザーバを備える入口トレイと、1つ以上の空洞を備える出口トレイと、昇降機構と、入口トレイおよび出口トレイを受け入れるように動作可能であり得るトレイホルダと、を備え得る。容器は、入口トレイおよび出口トレイがカートリッジとの別個の封止面を有するように、入口トレイおよび出口トレイを、容器を含むカートリッジに対して独立して押圧し、入口トレイ内の流体リザーバと出口トレイ内の空洞との間に圧力差を提供することによって流体によって充填され得る。
【0045】
容器は、内部容器を含んでもよく、一例では、毛細管を含んでもよい。入口トレイおよび出口トレイは、互いに独立して移動するように動作可能であってもよい。入口トレイは、トレイホルダの底面に載置される。出口トレイは、トレイホルダ内のサブプレート上に載置され得る。第1のトレイの上面は、第2のトレイの上面よりも下方にあってもよい。入口トレイは、流体リザーバの1つ以上の列を備え得る。出口トレイは、各列に1つ以上の空洞の列を備え得る。2つの独立した昇降プラットフォームを有するリフトは、入口トレイおよび出口トレイをカートリッジに押圧し得る。各昇降プラットフォームは、他の昇降プラットフォームとは独立して調整可能な向きおよび高さを有し得る。
【0046】
前述のシステムおよび方法の特定の商業的実装は、以下の図の文脈において以下に説明される。以下の図は、後続の試料の移送および分析が効率的且つ適時に行われることを可能にするように、各試料の移送および分析サイクルの後にカートリッジの毛細管を効率的に洗浄する能力を提供する追加の特徴を有する上述した技術を利用する。さらに、出口トレイの下方に配置された追加のフローティングプレートは、入口トレイとは独立して出口トレイに圧力を印加する能力を提供し、したがって、カートリッジと入口トレイおよび出口トレイの両方との間の界面の効率的な封止を達成するために印加される圧力をカスタマイズする能力を提供する。
【0047】
図5A図5Cは、本開示の例にかかる流体移送システムの斜視図である。図5Aでは、流体移送システム500は、入口トレイ510および出口トレイ520が配置されたトレイホルダ530を含み、入口トレイ510および出口トレイ520の両方がトレイロック540上に位置決めされている。例では、トレイホルダ530は、試料プレートである。トレイロック540は、例えば、入口トレイ510および出口トレイ520の両方をトレイホルダ530上の固定位置にロックするように構成される。例として、入口トレイ510および出口トレイ520は、トレイホルダ530内の所定の位置にロック可能である。図5Aでは、システム500は、入口トレイ515および出口トレイ525が位置する(図5Bに示す)別のトレイホルダ535を含み、入口トレイ515および出口トレイ525の両方がトレイロック545上に位置決めされている。例では、トレイホルダ535は、試薬プレートである。トレイロック545は、例えば、入口トレイ515および出口トレイ525の両方をトレイホルダ535上の固定位置にロックするように構成される。例として、入口トレイ515および出口トレイ525は、トレイホルダ535内の所定の位置にロック可能である。したがって、移送システム500は、2つのトレイホルダ530および535を含み、トレイホルダ530/535のそれぞれは、入口トレイ510/515および出口トレイ520/525を含む。様々な態様では、トレイホルダ530および535の両方は、入口トレイ510/515および出口トレイ520/525を上部560の表面と直接接触させるように移動可能である。例えば、結合可能な上部部材560は、入口トレイ510/515から出口トレイ520/525に流体を移送するように構成されたカートリッジであってもよい。例では、結合可能な上部部材560は、封止面を有する。例えば、カートリッジ560は、例えば、毛細管の入口端部と出口端部との間に圧力差を印加することによって流体がその中を移動することを可能にするように構成された複数の容器、器、または毛細管(図示せず)を含み得る。例として、毛細管は、第1の入口トレイ510または第2の入口トレイ515のリザーバおよび第1の出口トレイ520または第2の出口トレイ525の空洞と流体接触している。例えば、入口トレイ510/515のリザーバから毛細管に流体を移送することは、リザーバと毛細管との間に力、真空または圧力差を印加することを含む。また、流体を毛細管から出口トレイ520/525の空洞に移送することは、毛細管と空洞との間に力、真空または圧力差を印加することを含む。図5Aでは、システム500はまた、移動プラットフォームまたはリフト550および555、すなわち、入口トレイ510/515をカートリッジ560に向かって持ち上げるように構成された移動プラットフォームまたはリフト550と、出口トレイ520/525をカートリッジ560に向かって持ち上げるように構成された移動プラットフォームまたはリフト555とを含む移動機構を含む。
【0048】
システム500の例示的な動作では、移動プラットフォームまたはリフト550および555は、独立して制御され、入口トレイ510/515および出口トレイ520/525にそれぞれ異なる独立した圧力を印加するように構成される。例えば、移動プラットフォームまたはリフト550は、入口トレイ510/515(図5Bを参照)の下方にセンタリングされてもよく、移動プラットフォームまたはリフト555は、出口トレイ520/525の下方にセンタリングされてもよい。
【0049】
様々な例では、例えば、結合可能な上部部材またはカートリッジ560の底面に押圧される入口トレイ510/515および出口トレイ520/525などの圧力封止を形成するために互いに押圧される部品間の平行度が有利である。特に、結合可能な上部部材またはカートリッジ560に押圧されたときに入口トレイ510/515および出口トレイ520/525が十分に平行でない場合、それらの間に隙間が存在することがあり、入口トレイ510/515と出口トレイ520/525との間で移送される流体および結合可能な上部部材またはカートリッジ560内の毛細管が漏れることがある。
【0050】
図5A図5Cの例では、入口トレイ510/515は、出口トレイ520/525からトレイホルダ530/535の別個の表面上に載置されてもよく、これは、2つのトレイが互いに独立して関節運動することを可能にする。昇降機構は、入口トレイ510/515および出口トレイ520/525をカートリッジ560に押圧して封止面を形成するように構成された2つの独立した移動プラットフォーム550および555からなる。例では、結合可能な上部部材またはカートリッジ560は、ノズルまたは同様の結合部(図示せず)を介して入口トレイ510/515および出口トレイ520/525に結合された複数の毛細管を含み得る。移動プラットフォームまたはリフト550および555は、入口トレイ510/515および出口トレイ520/525に独立して圧力を印加し得て、その結果、それぞれが結合可能な上部部材またはカートリッジ560の底面に対して封止され得る。例では、結合可能な上部部材またはカートリッジ560の毛細管の入口側は、例えば、入口トレイ510/515から毛細管内および出口トレイ520/525上に流体を引き込む圧力差または相対真空の形態の力を生成するために、その出口側よりも高い圧力にさらされてもよい。
【0051】
図5Bは、様々な態様にかかる、流体移送システム500の異なる斜視図を示している。図5Bでは、トレイホルダ530は、レール505bに沿って移動可能に構成されており、トレイホルダ535は、レール505aに沿って移動可能に構成されている。例では、レール505aおよび505bは互いに平行であり、レール505bは、レール505aよりも低い平面上にある。したがって、図5Bでは、移動レール505a/505bは、図5Aおよび図5Bに示すように互いに離れて位置決めされることができるように、または図5Cに示すように互いに真上に位置決めされることができるように、平行な長手方向に沿ったトレイホルダ530および535の移動を可能にするように構成される。
【0052】
図5Cは、様々な態様にかかる、流体移送システム500の別の斜視図を示している。図5Cは、貯蔵または休止構成のトレイホルダ530および535の両方を示している。図5Cでは、トレイホルダ530および535は、その表面に垂直な方向に互いに積み重ねられ、トレイホルダ530および535は、それぞれレール505bおよび505aに移動構成で結合される。図5Cに示す構成は、典型的には、システム500が静止しており、流体移送動作が行われていないときに達成される。
【0053】
図6A図6Bは、本開示の例にかかる流体移送システムのより詳細な図である。図6Aでは、流体移送システム600は、トレイロック640が位置決めされるトレイホルダ630を含み、トレイロック640は、結合可能な上部部材またはカートリッジ660の底面に対して位置決めされるように構成されたトレイホルダを含む。様々な態様では、出口トレイ625の上面は、カートリッジ660の結合可能な上部部材に十分な封止効率を提供するために、両方のトレイが結合可能な上部部材またはカートリッジ660に押圧されたときに浮動するのに十分な空間を有するように、入口トレイ615の上面の僅かに下方に位置し得る。例えば、出口トレイ625を支持するトレイホルダ630の下方にフローティングプレート670が配置されてもよい。様々な態様では、フローティングプレートの存在は、入口トレイ615/出口トレイ625と結合可能な上部部材またはカートリッジ660の底面との間の界面の効率的な封止を保証するように、結合可能な上部部材またはカートリッジ660の下方の入口トレイ615および出口トレイ625の位置を別個に独立して調整することを可能にし得る。上記の例は、出口トレイ625を支持するフローティングプレート670について説明したが、本開示の例は、入口トレイ615を支持するフローティングプレートを含んでもよい。例では、第1の出口トレイ625および第1の入口トレイ615のうちの一方を介して、ならびに第1の出口トレイ625および第1の入口トレイ615のうちの一方の下方に位置するフローティングプレート670を介して移動機構によって結合可能な上部部材またはカートリッジ660に印加される圧力は、第1の出口トレイ625および第1の入口トレイ615のうちの他方を介して結合可能な上部部材またはカートリッジ660に移動機構によって印加される別の圧力から独立している。
【0054】
図5Aに戻って参照すると、動作中、流体試料が入口トレイ510からカートリッジ560の毛細管に移送され、出口トレイ520に出ることができるように、入口および出口トレイ510/520が結合可能な上部部材またはカートリッジ560と接触するように移動されると、入口トレイ510および出口トレイ520がカートリッジ560の底面に独立して押圧されることから、流体移送の漏れが発生しないか、または実質的に発生しない。図6Aに示すように、フローティングプレート670は、結合可能な上部部材またはカートリッジ660との十分な封止嵌合を保証するように、出口トレイ625をより良好に位置合わせすることを可能にする。図5Aに戻って参照すると、試薬を含み得るトレイホルダ535が、カートリッジ560の毛細管内で試薬を循環させるようにカートリッジ560の底面と接触するように移動されると、試薬は、トレイホルダ535の入口および出口トレイからカートリッジ560の毛細管内に移送し、カートリッジ560の毛細管から戻ることができ、その結果、試薬は、例えば、トレイホルダ530からカートリッジ560内への流体試料の移動のサイクルの後に毛細管を洗浄し得る。
【0055】
図6Bは、トレイホルダ630および635用のフローティングプレート670および675をそれぞれ示す、流体移送システム600の底面図である。様々な態様では、流体試料を保持するように構成された流体トレイホルダ630の入口トレイ610は、その底部に切り欠き680を含む。例えば、切り欠き680は、入口トレイ610およびその中に保持された流体試料を熱処理することを可能にし得る。一態様では、切り欠き680は、入口トレイ610内に保持された流体試料を所望の温度で冷凍し続けることを可能にする。別の例として、試薬を保持するように構成されたトレイホルダ635は、切り欠きを含まなくてもよい。さらに別の例として、入口トレイ610の代わりに、流体トレイホルダ630の出口トレイは、図示されていないが、その底部に切り欠きを含んでもよい。
【0056】
図7A図7Bは、本開示の例にかかるトレイホルダの平面図である。図7Aは、入口トレイ710および出口トレイ720が配置されたトレイホルダ730の平面図であり、入口トレイ710および出口トレイ720の両方がトレイロック740上に位置決めされている。例では、トレイロック740は、図8A図8Bに関して以下にさらに説明するように、ロック位置に出入りするように構成されたロックタブ780を含む。図7Bは、様々な態様にかかる流体移送システム700を示している。例えば、流体移送システム700は、入口トレイ710および出口トレイ720が配置されたトレイホルダ730を含み、入口トレイ710および出口トレイ720の両方がトレイロック740上に位置決めされる。流体移送システム700はまた、入口トレイ715および出口トレイ725が配置された別のトレイホルダ735を含み、入口トレイ715および出口トレイ725の両方がトレイロック745上に位置決めされる。トレイホルダ730および735の両方は、同じ流体移送システム700上に配置されてもよく、両方とも、図5Aに示すカートリッジ560などのカートリッジ(図示せず)を用いて流体を移送するように構成されてもよい。例では、トレイホルダ730および735のうちの一方は、流体試料を保持するように構成されてもよく、トレイホルダ730および735のうちの他方は、例えば図5Aに示すカートリッジ560などのカートリッジの毛細管を洗浄するように設計された試薬を保持するように構成されてもよい。
【0057】
図7A図7Bに示す例では、入口トレイ710/715は、12列の8つのリザーバを有する1つ以上の流体リザーバ712を有する。したがって、入口トレイ710/715から流体を移送するように構成された任意の上部またはカートリッジ(図示せず)は、8つの容器(例えば、毛細管)を有することができ、8つの毛細管のそれぞれが12個の試料を処理することによって、カートリッジ当たり96個の異なる試料が処理され得る。他の入口トレイおよびカートリッジは、異なる数のリザーバおよび毛細管を有してもよい。同様に、図7A図7Bに示す例示的な出口トレイ720/725は、毛細管を充填し、毛細管から流体を排出するために、毛細管の出口端部に力、圧力差、または真空効果を提供するために利用され得る12個の空洞722を含む。他の例では、図7Bに示す出口トレイ720/725は、異なる毛細管に異なる圧力を印加するために各毛細管に個別に結合された空洞を含んでもよい。別の例では、流体リザーバ712および空洞722の数は単なる例であり、機器のサイズおよび医療用容器/カートリッジのサイズに応じて任意の数が利用され得る。いくつかの用途では、空洞722はまた、流体試料を含んでもよい。他の例では、流体リザーバ712は、リザーバ712内に以前に保持された流体試料を洗浄するか、またはその任意のトレースを除去するように構成された試薬を含んでもよい。したがって、試薬を入口トレイ710/715の流体リザーバ712からカートリッジ内に移送し、出口トレイ720/725の空洞722に戻すことによって、以前に移送された液体試料のシステム全体を洗浄することが可能であり得る。
【0058】
図8A図8Dは、本開示の様々な例にかかるトレイロック機構を示している。図8Aは、入口トレイ810が位置するトレイホルダ830を含む流体移送システム800を示し、入口トレイ810は、トレイロック840上に配置されている。例では、トレイロック840は、トレイロック840上に入口トレイ810を配置するのを助けるように構成された配置タブ845を含む。例として、配置タブ845の形状およびサイズは、第三者の入口トレイまたは他の方法では承認されていない入口トレイがトレイホルダ830上に効果的に配置されることができないように構成され得る。別の例では、図8A図8Bに示すトレイロック840は、ロック解除位置にある。例えば、図8Aでは、ロックタブ880は、矢印によって示されるように、後退位置にある。その結果、図8Bに示すように、入口トレイ810は、例えばカムローラ(図示せず)を介してトレイホルダ830のリップ890から離れるように移動され、したがってトレイホルダ830のトレイリップ890と入口トレイ810との間に間隙を形成する。ロックタブ880が後退位置にあることから、入口トレイ810およびトレイロック840は係合されず、トレイロック機構は、ロック解除構成にある。ロック解除構成では、トレイホルダ830は、流体移送システム800から容易に取り外されることができる。上記の説明は、ロック解除構成にある入口トレイ810を説明しており、同じことが出口トレイ(図示せず)のロック構成にも適用され得る。
【0059】
図8C図8Dは、ロック構成におけるトレイロック機構を示している。図8Cでは、ロックタブ880は、矢印によって示されるように、拡張位置にある。図8Dでは、入口トレイ810は、トレイホルダ830のリップ895と係合している。ロックタブ880が拡張位置にあるとき、入口トレイ810から離れる方向に向けられた矢印によって示されるように、可動トレイロック840は、トレイホルダ830のリップ895が入口トレイ810の縁部に係合するように係止フランジ(図示せず)の下方で入口トレイ810を押し、その結果、入口トレイ810およびトレイロック840が係合されてロックされる。入口トレイ810とトレイロック840との係合の結果として、トレイロック機構は、ロック構成にある。上記の説明は、入口トレイ810がロック構成にあることを説明しており、同じことが出口トレイ(図示せず)のロック構成にも適用され得る。
【0060】
図9は、例示的な態様にかかる流体移送カートリッジの斜視図である。様々な態様では、カートリッジ960は、入口毛細管975および出口毛細管965の形態でカートリッジの外側に延在する複数の毛細管(図示せず)を含む。例では、入口毛細管975は、例えば上述した入口トレイ710などの入口トレイに結合されるように構成され、出口毛細管965は、例えば上述した出口トレイ720などの出口トレイに結合されるように構成される。別の例では、カートリッジ960に対して入口トレイおよび出口トレイに印加される圧力は独立して制御され、例えば、入口トレイおよび出口トレイとカートリッジとの間の効率的な封止を保証し、そこからの流体漏れを低減または回避するために、入口トレイに印加される圧力は、出口トレイに印加される圧力とは異なり得る。他の例では、カートリッジ960はまた、カートリッジ960と入口トレイまたは出口トレイとの間の流体移送中の流体損失を回避または低減するために、毛細管975および965の周りに封止を含んでもよい。
【0061】
図10は、例示的な態様にかかる流体移送の方法を示すフローチャートである。図10では、方法1000は、以下にさらに説明される複数の動作1010~1050を含む。便宜上、方法1000は、上述した流体移送システムと組み合わせて、少なくとも以下に説明する例示的なシステム1100を使用して説明される。しかしながら、方法1000は、任意の適切なシステムによって実行されてもよいことが理解される。図10では、動作1010は、入口トレイおよび出口トレイをトレイホルダ内に配置することを含む。上述した図5A図5Cを参照すると、入口トレイは、入口トレイ510であってもよく、出口トレイは、出口トレイ520であってもよく、トレイホルダは、トレイホルダ530であってもよい。例えば、入口トレイは、1つ以上のリザーバ内に流体を保持してもよく、出口トレイは、複数の空洞内に流体を保持してもよい。入口トレイおよび出口トレイは、トレイホルダ内にロック位置またはロック解除位置に配置されてもよい。ロック解除位置では、入口トレイおよび出口トレイは、多大な労力なしにトレイホルダから取り外され得て、ロック位置では、入口トレイおよび出口トレイは、トレイホルダ内の所定の位置に固定され得る。
【0062】
動作1020の間、トレイホルダ内のロック位置に配置された入口トレイおよび出口トレイは、結合可能な上部部材またはカートリッジの底面に向けられた圧力を印加することによって、結合可能な上部部材またはカートリッジの底面に当接される。例えば、結合可能な上部部材またはカートリッジは、上述したカートリッジ960と同様であってもよい。様々な態様では、入口トレイおよび出口トレイは、垂直方向、例えばトレイホルダの長手方向に垂直な方向に沿ってカートリッジの底部に当接されてもよい。例では、入口トレイおよび出口トレイはまた、水平方向、例えばトレイホルダの長手方向に平行な方向に移動されてもよい。
【0063】
動作1030の間、入口トレイおよび出口トレイは、結合可能な上部部材またはカートリッジの底面に押圧される。例えば、入口トレイおよび出口トレイのそれぞれとカートリッジとの間の流体の移動が、入口トレイおよび出口トレイから漏れ出る、またはカートリッジから漏れ出る流体のいかなる量もなしに、またはいかなる有意な量もなしに起こり得ることを保証するように、入口トレイおよび出口トレイは、結合可能な上部部材またはカートリッジの底面に押圧される。例えば、入口トレイおよび出口トレイのそれぞれは、結合可能な上部部材またはカートリッジの底面に当接されたときに独立して制御された圧力を受けてもよい。例えば、入口トレイが受ける圧力は、出口トレイが受ける圧力よりも小さくてもよく、または大きくてもよい。印加される各圧力は、トレイと、例えば上述した毛細管965および975などのカートリッジの毛細管との間の実質的な気密嵌合を保証するように調整され得る。出口トレイの場合、カートリッジから出口トレイへの流体の効率的な移送を保証するために、カートリッジまたはカートリッジの毛細管に十分な圧力が印加されることも保証するように、例えば図6Aに関して上述したフローティングプレート670などのフローティングプレートが出口トレイの下方に設けられ得る。したがって、動作1030の間、入口トレイおよび出口トレイは、独立したリフトプラットフォームを使用して結合可能な上部部材またはカートリッジに独立して押圧されてもよく、それにより、各トレイに対して異なる圧力封止、すなわち、入口トレイと試料カートリッジとの間の一方の圧力封止、および出口トレイと試料カートリッジとの間の他方の圧力封止が形成される。
【0064】
動作1040の間、入口トレイと出口トレイの両方がカートリッジの底面に押圧されてそれらの間の効率的な流体の移動を保証すると、入口トレイ内に存在する流体がカートリッジに効率的に移送され得て、カートリッジからの流体が出口トレイに効率的に移送され得る。例えば、入口トレイ内の流体リザーバと出口トレイ内の空洞との間に力、圧力差、または真空が生成され得る。したがって、毛細管が所望のレベルまで充填されるまで、流体は、入口トレイからカートリッジの毛細管に押し込まれ得る。毛細管が充填されると、力、圧力差、または真空が除去され得て、例えばカートリッジ内で流体が分析され得る。例では、分析を実行するために、カートリッジが入口トレイから取り外されてもよい。分析が実行されるとき、出口トレイは、カートリッジと接触させられてもよく、流体はまた、力、圧力差、または真空の印加を介して出口トレイに移送されてもよい。
【0065】
動作1040の別の例では、入口トレイおよび出口トレイは、それらの両方が周囲圧力または別の圧力にあるかどうかにかかわらず、等しく加圧されてもよい。この場合、流体の移送は行われなくてもよいが、入口トレイとカートリッジの毛細管との間でイオン移動が行われてもよい。イオン移動の場合、電圧差を使用してイオンが界面動電的に注入され得る。緩衝流体が追加されて、入口トレイと出口トレイとの間の毛細管に印加される電圧のための導体を提供し得る。各トレイでは、少なくとも1つの毛細管の両端および電極が緩衝液に浸漬されてもよく、電流は、電極から、緩衝液を通って、毛細管を通って、次に対向するトレイの整合毛細管を有する緩衝液に浸漬された電極まで流れてもよい。他の場合には、そうでなければ電流誘起熱から発生し得る気泡を抑制するために、入口トレイと出口トレイの両方が、例えば20PSIなどの所望の圧力に加圧されてもよい。
【0066】
様々な態様では、所与の流体試料の分析のサイクルが完了した後、および異なる流体試料の別の分析が開始される前に、カートリッジの毛細管は、流体試料の任意のトレースを除去するために洗浄されなければならない場合がある。したがって、動作1050の間、毛細管から流体試料を洗い流すために液体試薬が利用される別の流体移送が実行されるべきであると決定され得る。別の例では、動作1050の間、毛細管の洗浄後に別の流体試料をカートリッジ内に移送して分析することが決定されてもよい。図5A図5Bを参照すると、試料流体がトレイホルダ530および入口/出口トレイ510/520を介してカートリッジに移送され、分析されると、上述した動作1010~1040に関して説明したように、トレイホルダ530は、レール505bを介してカートリッジから離れるように移動されてもよく、別のトレイホルダ、例えばトレイホルダ535は、動作1010~1040が新たに開始されるカートリッジに当接されてもよい。具体的には、図5Bを参照すると、トレイホルダ535は、入口トレイ515の空洞内に洗浄試薬を保持してもよく、レール505aを介してカートリッジに対してもたらされてもよい。したがって、入口トレイがカートリッジに結合されると、試薬は、力、圧力差、または真空を印加することによって、入口トレイからカートリッジの毛細管に移送し、次いで出口トレイに戻り得る。様々な態様では、試薬をカートリッジ内に移送し、カートリッジから戻すことは、毛細管に流体試料がないことを保証し得て、システムが別の試料を受け取って分析し、動作1010~1040を新たに開始することを可能にするために、以前に毛細管内に存在していた試料の任意のトレースが除去され得る。動作1050の間、他のトレイ流体がカートリッジに移送されるべきではないと決定されると、動作は終了する。
【0067】
図11は、様々な態様にかかる、コンピューティングデバイスのブロック図を示している。図示の例では、コンピューティングデバイス1100は、情報を通信するための同様の機能のバス1102または他の通信機構と、情報を処理するためにバス1102に結合された少なくとも1つの処理要素1104(まとめて処理要素1104と呼ばれる)とを含み得る。当業者にとって理解されるように、処理要素1104は、単一のプロセッサまたは分散配置としてパッケージ化され得る複数の処理要素またはコアを含み得る。さらにまた、複数の仮想処理要素1104は、コンピューティングデバイス1100に含まれて、流体移送システム100~800または上述した方法1000のための制御または管理動作を提供し得る。
【0068】
コンピューティングデバイス1100はまた、少なくとも1つの処理要素1104による使用のために1つ以上のバス1102に結合された、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)または他の動的メモリ構成要素を含むことができる、1つ以上の揮発性メモリ1106を含み得る。コンピューティングデバイス1100は、少なくとも1つの処理要素1104によって使用するための情報および命令を記憶するためのバス1102に結合された、読み出し専用メモリ(ROM)または他の静的メモリ構成要素などの静的不揮発性メモリ1108をさらに含み得る。記憶ディスクまたは記憶メモリなどの記憶構成要素1110は、少なくとも1つの処理要素1104によって使用される情報および命令を記憶するために提供され得る。理解されるように、コンピューティングデバイス1100は、コンピューティングデバイス1100に利用可能なネットワークディスクまたは他の記憶リソースなどの分散記憶構成要素1112を含み得る。
【0069】
コンピューティングデバイス1100は、ユーザに情報を表示するための1つ以上のディスプレイ1114に結合され得る。キーボードおよび/またはタッチスクリーンなどの任意のユーザ入力デバイス1116は、少なくとも1つの処理要素1104に情報およびコマンド選択を通信するためにバス1102に結合され得る。マウス、トラックボール、またはカーソル方向キーなどの任意のカーソル制御またはグラフィカル入力デバイス1118は、グラフィカルユーザインターフェース情報およびコマンド選択を少なくとも1つの処理要素に通信する。コンピューティングデバイス1100は、シリアル接続、デジタル接続、ネットワーク接続、または他のコンピューティング構成要素および上述した流体移送システム100~800または方法1000の様々な構成要素との相互通信を可能にするための他の入力/出力構成要素などの入力/出力(I/O)構成要素をさらに含み得る。
【0070】
様々な実施形態では、コンピューティングデバイス1100は、ネットワークを介して1つ以上の他のコンピュータシステムに接続されて、ネットワークシステムを形成することができる。そのようなネットワークは、例えば、インターネットなどの1つ以上のプライベートネットワークまたはパブリックネットワークを含むことができる。ネットワーク化されたシステムでは、1つ以上のコンピュータシステムがデータを記憶し、他のコンピュータシステムに提供することができる。データを記憶して提供する1つ以上のコンピュータシステムは、クラウドコンピューティングシナリオではサーバまたはクラウドと呼ぶことができる。1つ以上のコンピュータシステムは、例えば、1つ以上のウェブサーバを含むことができる。サーバまたはクラウドとの間でデータを送受信する他のコンピュータシステムは、例えば、クライアントまたはクラウドデバイスと呼ぶことができる。上述した流体移送システム100~800または方法1000の様々な動作は、分散コンピューティングシステムの動作によってサポートされ得る。
【0071】
コンピューティングデバイス1100は、例えば通信デバイス1120などの通信デバイスを介して、流体移送システム100~800の構成要素または上述した方法1000の動作を制御し、流体移送システム100~800または方法1000に関して上述したようにデータソースから提供されるデータを処理するように動作し得る。いくつかの例では、分析結果は、少なくとも1つの処理要素1104がメモリ1106または1108に含まれる命令を実行し、受信したデータ項目に対して動作を実行することに応答して、コンピューティングデバイス1100によって提供される。少なくとも1つの処理要素1104によってメモリ1106および/または1108に含まれる命令を実行することは、流体移送システム100~800または方法1000を本明細書に記載の方法を実行するように動作させることができる。
【0072】
本明細書で使用される「コンピュータ可読媒体」という用語は、実行のために処理要素1104に命令を提供することに関与する任意の媒体を指す。そのような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、および伝送媒体を含むがこれらに限定されない多くの形態をとり得る。不揮発性媒体は、例えば、ディスク記憶装置1110などの光ディスクまたは磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メモリ1106などの動的メモリを含む。伝送媒体は、バス1102を含むワイヤを含む、同軸ケーブル、銅線、および光ファイバを含む。
【0073】
コンピュータ可読媒体またはコンピュータプログラム製品の一般的な形態は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、または任意の他の磁気媒体、CD-ROM、デジタルビデオディスク(DVD)、ブルーレイディスク、任意の他の光学媒体、サムドライブ、メモリカード、RAM、PROM、およびEPROM、FLASH-EPROM、任意の他のメモリチップまたはカートリッジ、またはコンピュータが読み取ることができる任意の他の有形媒体を含む。
【0074】
様々な形態のコンピュータ可読媒体は、実行のために処理要素1104に1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを担持することに関与し得る。例えば、命令は、最初にリモートコンピュータの磁気ディスク上で担持され得る。リモートコンピュータは、命令をその動的メモリにロードし、モデムを使用して電話回線を介して命令を送信することができる。コンピューティングデバイス1100にローカルなモデムは、電話回線上でデータを受信し、赤外線送信機を使用してデータを赤外線信号に変換することができる。バス1102に結合された赤外線検出器は、赤外線信号において搬送されたデータを受信し、そのデータをバス1102上に配置することができる。バス1102は、データをメモリ1106に運び、メモリから処理要素1104が命令を取り出して実行する。メモリ1106および/またはメモリ1108によって受信された命令は、必要に応じて、処理要素1104による実行の前または後のいずれかに記憶デバイス1110に記憶されてもよい。
【0075】
様々な実施形態によれば、方法を実行するために処理要素によって実行されるように動作する命令は、コンピュータ可読媒体に記憶される。コンピュータ可読媒体は、デジタル情報を記憶するデバイスとすることができる。例えば、コンピュータ可読媒体は、ソフトウェアを記憶するための当該技術分野において知られているようなコンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)を含む。コンピュータ可読媒体は、実行されるように構成された命令を実行するのに適したプロセッサによってアクセスされる。
【0076】
本開示は、添付の図面を参照して本技術のいくつかの例を説明したが、可能な例のいくつかのみが示された。しかしながら、他の態様は、多くの異なる形態で具現化されることができ、本明細書に記載の例に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの例は、本開示が徹底的且つ完全であり、可能な例の範囲を当業者に完全に伝えるように提供された。
【0077】
本明細書では具体例が記載されたが、本技術の範囲は、これらの具体例に限定されない。当業者は、本技術の範囲内にある他の例または改良を認識するであろう。したがって、特定の構造、動作、または媒体は、例示的な例としてのみ開示されている。本技術にかかる例はまた、本明細書で特に明記しない限り、一般的に開示されているが組み合わせて明示的に例示されていない要素または構成要素を組み合わせてもよい。本技術の範囲は、以下の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される。
【0078】
特許請求の範囲
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11
【国際調査報告】