(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-11
(54)【発明の名称】外来性の活性化ループを含むクロストリジウム神経毒素
(51)【国際特許分類】
C12N 15/31 20060101AFI20240304BHJP
C07K 14/33 20060101ALI20240304BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240304BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20240304BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240304BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240304BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240304BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240304BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20240304BHJP
A61K 38/02 20060101ALI20240304BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20240304BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240304BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20240304BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240304BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20240304BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20240304BHJP
A61P 13/00 20060101ALI20240304BHJP
A61P 13/10 20060101ALI20240304BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240304BHJP
A61P 25/06 20060101ALI20240304BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240304BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240304BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240304BHJP
A61P 21/02 20060101ALI20240304BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240304BHJP
A61Q 15/00 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
C12N15/31
C07K14/33 ZNA
C12N15/63 Z
C12P21/02 C
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C07K19/00
A61K38/02
A61K8/64
A61P37/02
A61P25/08
A61P25/00
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A61P1/00
A61P13/00
A61P13/10
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A61P25/06
A61P29/00
A61P35/00
A61P15/00
A61P21/02
A61Q19/00
A61Q15/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558454
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(85)【翻訳文提出日】2023-10-16
(86)【国際出願番号】 GB2022050756
(87)【国際公開番号】W WO2022200809
(87)【国際公開日】2022-09-29
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517340507
【氏名又は名称】イプセン バイオファーム リミテッド
【氏名又は名称原語表記】IPSEN BIOPHARM LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110000774
【氏名又は名称】弁理士法人 もえぎ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ,サイ マン
(72)【発明者】
【氏名】トリパティ,ビニータ
(72)【発明者】
【氏名】パラン,シルパ
(72)【発明者】
【氏名】ムーア,ケビン
(72)【発明者】
【氏名】デラヘイ,カレン アン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C083
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG30
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4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、単鎖クロストリジウム神経毒素を対応する二鎖クロストリジウム神経毒素へとタンパク分解性にプロセシングするための方法に関し、方法は:単鎖クロストリジウム神経毒素を提供すること;及び単鎖クロストリジウム神経毒素をフューリンと接触させること;を含み、ここで、単鎖クロストリジウム神経毒素は、ポリペプチド配列Arg-Xaa-Xaa-Argを含むか又はそれからなる活性化ループを有し;ここで、フューリンは活性化ループのペプチド結合を加水分解し、それによって二鎖クロストリジウム神経毒素を生産する。本発明は、改変クロストリジウム神経毒素並びにそれを製造するための方法と、関係する医薬組成物、ヌクレオチド配列、並びに治療上の及び美容上の使用とにもまた関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フューリン切断部位を含む改変クロストリジウム神経毒素:
ここで、前記のフューリン切断部位における切断は、当該改変クロストリジウム神経毒素の二鎖形態の生産をもたらす。
【請求項2】
当該フューリン切断部位は、アミノ酸配列Arg-Xaa-Xaa-Arg(配列番号1)、好ましくはArg-Xaa-Lys/Arg-Arg(配列番号2及び3)、更により好ましくはArg-Lys-Lys-Arg(配列番号4)、更により好ましくはKQKSSNSRKKR(配列番号5)を含む、請求項1に記載の改変クロストリジウム神経毒素。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の改変クロストリジウム神経毒素:
ここで、当該改変クロストリジウム神経毒素は外来性の活性化ループを含み、これは、配列番号14から22のいずれか1つ、好ましくは配列番号22を含むか又はそれからなる。
【請求項4】
クロストリジウム神経毒素の内在性の活性化ループ又はその一部はフューリン切断部位によって置き換えられている、請求項1~3のいずれか1項に記載の改変クロストリジウム神経毒素。
【請求項5】
当該内在性の神経毒素活性化ループは、配列番号34から57から選択される1つ以上である、請求項4に記載の改変クロストリジウム神経毒素。
【請求項6】
当該クロストリジウム神経毒素は以下である、先行請求項のいずれか1項に記載の改変クロストリジウム神経毒素:
(a)ボツリヌス神経毒素(BoNT)血清型A、血清型B、血清型C、血清型D、血清型E、血清型F、血清型G、若しくは血清型X、又は破傷風神経毒素(TeNT);或いは
(b)キメラBoNT又はハイブリッドBoNT。
【請求項7】
BoNT/A、随意によりBoNT/A1である、請求項6に記載の改変クロストリジウム神経毒素。
【請求項8】
以下の条件を満たす単鎖クロストリジウム神経毒素である、先行請求項のいずれか1項に記載の改変クロストリジウム神経毒素:
(a)配列番号23に対して少なくとも70%の配列同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる;及び/又は
(b)配列番号24若しくは70から78の1つ以上に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む。
【請求項9】
クロストリジウム神経毒素の内在性のH
C又はH
CCが外来性の標的化部分(TM)によって置き換えられている再標的化クロストリジウム神経毒素である、先行請求項のいずれか1項に記載の改変クロストリジウム神経毒素。
【請求項10】
配列番号24に対して少なくとも70%の配列同一性、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む、フューリン切断部位を含む改変BoNT/A。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか1項に記載の改変クロストリジウム神経毒素又は請求項10に記載の改変BoNT/Aを、対応する二鎖クロストリジウム神経毒素又はBoNT/Aへとタンパク分解性にプロセシングするための方法: 当該方法は、当該改変クロストリジウム神経毒素又は改変BoNT/Aをフューリンと接触させ、それによって二鎖クロストリジウム神経毒素又はBoNT/Aを生産することを含む。
【請求項12】
請求項11に記載の方法によって得られ得る、二鎖クロストリジウム神経毒素又はBoNT/A。
【請求項13】
請求項1~9のいずれか1項に記載の改変クロストリジウム神経毒素又は請求項10に記載の改変BoNT/Aをコードする、ポリヌクレオチド。
【請求項14】
プロモーターに作動可能に連結されている請求項13に記載のポリヌクレオチドを含む、発現ベクター。
【請求項15】
以下の条件を満たす、請求項13に記載のポリヌクレオチド又は請求項14に記載の発現ベクター:
前記のポリヌクレオチド又は発現ベクターは、
(a)配列番号23に対して少なくとも70%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む;及び/又は
(b)配列番号24若しくは70から78の1つ以上に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列をコードする。
【請求項16】
請求項13若しくは15に記載のポリヌクレオチド又は請求項14若しくは15に記載の発現ベクターを細胞において発現し、当該発現された改変クロストリジウム神経毒素又は改変BoNT/Aを回収するステップを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の改変クロストリジウム神経毒素又は請求項10に記載の改変BoNT/Aを生産する方法。
【請求項17】
更に、請求項13若しくは15に記載のポリヌクレオチド又は請求項14若しくは15に記載の発現ベクターを当該細胞に導入するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
請求項1~9のいずれか1項に記載の改変クロストリジウム神経毒素又は請求項10に記載の改変BoNT/Aを発現する細胞。
【請求項19】
請求項13若しくは15に記載のポリヌクレオチド又は請求項14若しくは15に記載の発現ベクターを含む、請求項18に記載の細胞。
【請求項20】
請求項1~9のいずれか1項に記載の改変クロストリジウム神経毒素、請求項10に記載の改変BoNT/A、又は請求項12に記載の二鎖クロストリジウム神経毒素若しくは二鎖BoNT/Aと、薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤、アジュバント、噴霧剤、及び/又は塩とを含む、医薬組成物。
【請求項21】
ボツリヌス神経毒素による治療の必要性が示される疾患又は障害を予防又は処置する方法における使用のための、請求項1~9のいずれか1項に記載の改変クロストリジウム神経毒素、請求項10に記載の改変BoNT/A、請求項12に記載の二鎖クロストリジウム神経毒素若しくは二鎖BoNT/A、又は請求項20に記載の医薬組成物、
ここで、随意により、前記の疾患又は障害は以下から選択される:不必要な免疫分泌に関連する状態、斜視、眼瞼痙攣、横目、ジストニア(例えば痙攣性ジストニア、顎口腔ジストニア、局所性ジストニア、遅発性ジストニア、喉頭ジストニア、四肢ジストニア、頸部ジストニア)、斜頸(例えば痙性斜頸)、細胞/筋肉の能力喪失から益する美容療法(美容)適用(SNARE下方制御又は不活性化を介する)、眼球運動の神経筋障害又は状態(例えば共同性斜視、上下斜視、外直筋麻痺、眼振、甲状腺性ミオパチー)、書痙、ブラキシズム、ウィルソン病、振戦、チック、髄節性ミオクローヌス、スパスム、慢性の多発性硬化症を原因とする痙縮、異常な膀胱の制御をもたらす痙縮、アニスムス(animus)、背部痙攣、こむら返り、骨盤挙筋症候群、二分脊椎、遅発性ジスキネジア、パーキンソン病、吃音、片側顔面痙攣、眼瞼障害、脳性麻痺、局所痙縮、痙攣性大腸炎、神経因性膀胱、アニスムス、四肢痙縮、チック、振戦、ブラキシズム、裂肛、アカラシア、摂食嚥下障害、流涙、多汗症、唾液分泌過剰、胃腸分泌過剰、筋痛(例えば、筋攣縮からの痛み)、頭痛の痛み(例えば緊張性頭痛又は偏頭痛)、ファントムペイン(例えば幻肢痛)、眉間の深皺、皮膚の皺、癌、子宮の障害、泌尿生殖器系障害、泌尿生殖器系-神経系障害、膀胱痛症候群、間質性膀胱炎、慢性の神経原性炎症、及び平滑筋障害。
【請求項22】
ボツリヌス神経毒素による治療の必要性が示される疾患又は障害を予防又は処置するための医薬の製造における、請求項1~9のいずれか1項に記載の改変クロストリジウム神経毒素、請求項10に記載の改変BoNT/A、請求項12に記載の二鎖クロストリジウム神経毒素若しくは二鎖BoNT/A、又は請求項20に記載の医薬組成物の使用、
ここで、随意により、前記の疾患又は障害は以下から選択される:不必要な免疫分泌に関連する状態、斜視、眼瞼痙攣、横目、ジストニア(例えば痙攣性ジストニア、顎口腔ジストニア、局所性ジストニア、遅発性ジストニア、喉頭ジストニア、四肢ジストニア、頸部ジストニア)、斜頸(例えば痙性斜頸)、細胞/筋肉の能力喪失から益する美容療法(美容)適用(SNARE下方制御又は不活性化を介する)、眼球運動の神経筋障害又は状態(例えば共同性斜視、上下斜視、外直筋麻痺、眼振、甲状腺性ミオパチー)、書痙、ブラキシズム、ウィルソン病、振戦、チック、髄節性ミオクローヌス、スパスム、慢性の多発性硬化症を原因とする痙縮、異常な膀胱の制御をもたらす痙縮、アニスムス(animus)、背部痙攣、こむら返り、骨盤挙筋症候群、二分脊椎、遅発性ジスキネジア、パーキンソン病、吃音、片側顔面痙攣、眼瞼障害、脳性麻痺、局所痙縮、痙攣性大腸炎、神経因性膀胱、アニスムス、四肢痙縮、チック、振戦、ブラキシズム、裂肛、アカラシア、摂食嚥下障害、流涙、多汗症、唾液分泌過剰、胃腸分泌過剰、筋痛(例えば、筋攣縮からの痛み)、頭痛の痛み(例えば緊張性頭痛又は偏頭痛)、ファントムペイン(例えば幻肢痛)、眉間の深皺、皮膚の皺、癌、子宮の障害、泌尿生殖器系障害、泌尿生殖器系-神経系障害、膀胱痛症候群、間質性膀胱炎、慢性の神経原性炎症、及び平滑筋障害。
【請求項23】
請求項1~9のいずれか1項に記載の改変クロストリジウム神経毒素、請求項10に記載の改変BoNT/A、又は請求項12に記載の二鎖クロストリジウム神経毒素若しくは二鎖BoNT/Aと、美容上許容される担体、賦形剤、希釈剤、アジュバント、噴霧剤、及び/又は塩とを含む、美容組成物。
【請求項24】
ボツリヌス神経毒素の適用が指示される美容上の適応症を防止又は緩和するための、請求項23に記載の美容組成物の使用。
【請求項25】
以下を含む、単鎖クロストリジウム神経毒素を対応する二鎖クロストリジウム神経毒素へとタンパク分解性にプロセシングするための方法:
(a)単鎖クロストリジウム神経毒素を提供すること;及び
(b)当該単鎖クロストリジウム神経毒素をフューリンと接触させること;
ここで、当該単鎖クロストリジウム神経毒素は、ポリペプチド配列Arg-Xaa-Xaa-Arg(配列番号1)を含むか又はそれからなる活性化ループを有する;かつ
フューリンは当該活性化ループのペプチド結合を加水分解し、それによって二鎖クロストリジウム神経毒素を生産する。
【請求項26】
当該活性化ループは以下を含むか又はそれからなる、請求項25に記載の方法:
(a)Arg-Xaa-Lys/Arg-Arg(配列番号2若しくは3);
(b)Arg-Lys-Lys-Arg(配列番号4);及び/又は
(c)KQKSSNSRKKR(配列番号5)。
【請求項27】
当該単鎖クロストリジウム神経毒素は以下の条件を満たす、請求項25又は26に記載の方法:
(a)請求項1~9のいずれか1項に記載の改変クロストリジウム神経毒素である;
(b)配列番号23に対して少なくとも70%の配列同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる;又は
(c)配列番号24又は70から78の1つ以上に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む。
【請求項28】
当該クロストリジウム神経毒素は単鎖形態で対象に投与される、ボツリヌス神経毒素による治療の必要性が示される疾患又は障害を予防又は処置する方法における使用のための、クロストリジウム神経毒素、又は前記のクロストリジウム神経毒素を含む医薬組成物。
【請求項29】
当該クロストリジウム神経毒素又は医薬組成物は当該クロストリジウム神経毒素の二鎖形態を実質的に含まない、請求項28に記載の使用のためのクロストリジウム神経毒素又は医薬組成物。
【請求項30】
以下を含む、請求項29に記載の使用のためのクロストリジウム神経毒素又は医薬組成物:
100ngの単鎖クロストリジウム神経毒素あたり400pg未満の二鎖クロストリジウム神経毒素、又は100ngの単鎖クロストリジウム神経毒素あたり300pg未満の二鎖クロストリジウム神経毒素、又は100ngの単鎖クロストリジウム神経毒素あたり200pg未満の二鎖クロストリジウム神経毒素、又は100ngの単鎖クロストリジウム神経毒素あたり100pg未満の二鎖クロストリジウム神経毒素、又は100ngの単鎖クロストリジウム神経毒素あたり50pg未満の二鎖クロストリジウム神経毒素。
【請求項31】
請求項28~30のいずれか1項に記載の使用のためのクロストリジウム神経毒素又は医薬組成物:
ここで、前記の疾患又は障害は以下から選択される:不必要な免疫分泌に関連する状態、斜視、眼瞼痙攣、横目、ジストニア(例えば痙攣性ジストニア、顎口腔ジストニア、局所性ジストニア、遅発性ジストニア、喉頭ジストニア、四肢ジストニア、頸部ジストニア)、斜頸(例えば痙性斜頸)、細胞/筋肉の能力喪失から益する美容療法(美容)適用(SNARE下方制御又は不活性化を介する)、眼球運動の神経筋障害又は状態(例えば共同性斜視、上下斜視、外直筋麻痺、眼振、甲状腺性ミオパチー)、書痙、ブラキシズム、ウィルソン病、振戦、チック、髄節性ミオクローヌス、スパスム、慢性の多発性硬化症を原因とする痙縮、異常な膀胱の制御をもたらす痙縮、アニスムス(animus)、背部痙攣、こむら返り、骨盤挙筋症候群、二分脊椎、遅発性ジスキネジア、パーキンソン病、吃音、片側顔面痙攣、眼瞼障害、脳性麻痺、局所痙縮、痙攣性大腸炎、神経因性膀胱、アニスムス、四肢痙縮、チック、振戦、ブラキシズム、裂肛、アカラシア、摂食嚥下障害、流涙、多汗症、唾液分泌過剰、胃腸分泌過剰、筋痛(例えば、筋攣縮からの痛み)、頭痛の痛み(例えば緊張性頭痛又は偏頭痛)、ファントムペイン(例えば幻肢痛)、眉間の深皺、皮膚の皺、癌、子宮の障害、泌尿生殖器系障害、泌尿生殖器系-神経系障害、膀胱痛症候群、間質性膀胱炎、慢性の神経原性炎症、及び平滑筋障害。
【請求項32】
ボツリヌス神経毒素の適用が指示される美容上の適応症を防止又は緩和するための、単鎖クロストリジウム神経毒素と美容上許容される担体、賦形剤、希釈剤、アジュバント、噴霧剤、及び/又は塩とを含む美容組成物の使用、
ここで、当該単鎖クロストリジウム神経毒素は単鎖形態で対象に投与される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロストリジウム神経毒素、並びにそれを活性化及び使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クロストリジウム綱の属の細菌は高度に強力かつ特異的なタンパク質毒素を生産し、これらはそれらが送達されるニューロン及び他の細胞を毒し得る。かかるクロストリジウム神経毒素の例は、C.テタニ(TeNT)並びにC.ボツリヌム(BoNT)血清型A~G及びXによって生産される神経毒素(WO 2018/009903 A2参照)、並びにC.バラティ及びC.ブチリカムによって生産されるものを包含する。
【0003】
公知の最も強力な毒素のいくつかはクロストリジウム神経毒素の仲間である。例として、ボツリヌス神経毒素は、血清型に依存して、0.5から5ng/kgの範囲であるマウスの半数致死量(LD50)値を有する。破傷風及びボツリヌス毒素両方は、冒されたニューロンの機能、具体的には神経伝達物質の放出を阻害することによって作用する。ボツリヌス毒素は神経筋接合部において作用し、末梢神経系におけるコリン作動性の伝達を阻害するが、破傷風毒素は中枢神経系において作用する。
【0004】
クロストリジウム神経毒素はクロストリジウムにおいて単鎖ポリペプチドとして発現される。各クロストリジウム神経毒素は、活性化ループと呼ばれる露出領域によって重鎖(N末端転位置ドメイン及びC末端受容体結合ドメインを包含する)から分離された触媒軽鎖を有する。タンパク質成熟の間に、活性化ループのプロテオリシス的切断はクロストリジウム神経毒素の軽及び重鎖を分離し、これらはジスルフィド架橋によって一緒に固定されて、完全に活性な二鎖毒素を作り出す。
【0005】
この活性化プロセスは組み換え毒素生産の標準生産の間に再現されなければならない。良く定められた切断モチーフを有するトリプシン又はLys-Cなどの外来性のプロテアーゼが、従来の生産方法において単鎖クロストリジウム神経毒素をタンパク分解性に活性化するために使用される。しかしながら、いくつかのクロストリジウム神経毒素では、Lys-C又はトリプシンとのインキュベーションは単鎖ポリペプチドの部分的な又は不適切な切断をもたらし、コンタミネーションする単鎖及び/又は不活性な切断/分解産物の生産をもたらす(例えばBoNT/Eのケースにおいて)。例えば、ボツリヌス神経毒素血清型X(BoNT/X、WO 2018/009903 A2参照)では、活性化は問題があり、トリプシン又はLys-Cを使用する切断はポリペプチドを完全に分解する。それゆえに、現在のところ、クロストリジウム神経毒素の活性化のための普遍的な外来性のプロテアーゼはない。これは新たなクロストリジウム神経毒素の同定又は改変された(例えばキメラ又はハイブリッド)神経毒素の生産では特に問題があり、これは正しい活性化を決定するために複数のプロテアーゼのスクリーニングを要求する。再標的化クロストリジウム神経毒素では、活性化のために使用されるいくつかの標準的なプロテアーゼは外来性の標的化部分においてもまた切断し、所望の細胞型への縮減された標的化を有する正しくなくプロセシングされたタンパク質をもたらし得る。かかるオフターゲット切断を回避するためには、代替的な標的化部分が同定されなければならないか(これは常に可能なわけではなくあり得る)、又は標的化部分は標準的なプロテアーゼの切断部位を除去するように設計されなければならないかどちらかである。これは、標的化部分の構造に負のインパクトを及ぼし、及び/又は設計及び生産コストを増やし得る。
【0006】
更にその上、クロストリジウム神経毒素のインビトロ活性化は数々の不利を伴う。外来性のプロテアーゼ(特にGMPグレードプロテアーゼ)の使用及びクロストリジウム神経毒素の活性化後のその除去に伴うコストがある。GMPグレードプロテアーゼの単一の又は限られた数の供給者に対する依存もまた、供給/生産連鎖の弱みを作り出し得る。外来性の活性化プロテアーゼからの活性化されたクロストリジウム神経毒素の精製もまた、生産効率及び収量に影響し得る。加えて、従来の生産方法に従う活性な二鎖クロストリジウム神経毒素の生産もまた、厳しい安全性及び管理手続きをやむなくさせ、生産コスト及び時間を増やす。活性な二鎖クロストリジウム神経毒素を扱う従事者のための厳しい安全性対策もまた要求される。
【0007】
本発明は上で言及されている問題の1つ以上を克服する。
【発明の概要】
【0008】
プロテアーゼのフューリンは、インビボでは、脳、内分泌組織、肺、肝臓、胃腸管、肝臓、腎臓、及び膀胱を包含する広い範囲の組織において、かつ広い範囲の細胞型によって発現される。フューリン発現は主に細胞のゴルジ装置及び核質に局在する。フューリンプロテアーゼは、Arg-Xaa-Yaa-Arg(ここで、Xaa及びYaaはいずれかのアミノ酸である)ペプチド配列(配列番号1)、特にArg-Xaa-Lys-Arg(配列番号2)、Arg-Xaa-Arg-Arg(配列番号3)、又はArg-Lys-Lys-Arg(配列番号4)の直ちにC末端を認識及び切断する。特に、かかるフューリン切断部位はクロストリジウム神経毒素活性化ループの全てにおいて不在である(
図1参照)。それゆえに、フューリンは、クロストリジウム神経毒素を活性化することにおける使用のためのプロテアーゼとしては先に除外されている。
【0009】
本発明者は、クロストリジウム神経毒素上へのフューリン切断部位の挿入がクロストリジウム神経毒素のインビボ活性化を可能にするということを実証する最初の者である。これは、クロストリジウム神経毒素生産、プロセシング、及び活性化、並びに実に治療上の使用の観点からのパラダイムシフトである。特に、外来性の切断部位をクロストリジウム神経毒素上に導入するための当分野における試みが先になされた程度では、ゴールは、常に、クロストリジウム神経毒素のインビトロ生産及びプロセシングを促進することであった。それから、これらは二鎖形態で投与される。本発明者は、クロストリジウム神経毒素のインビボ活性化のポテンシャルを認めて、クロストリジウム神経毒素のインビボ活性化が可能であるということと、これはフューリン切断部位の挿入によって達成され得るということとを実証する最初の者である。当分野におけるコンセンサス(例えば、参照によって本明細書に組み込まれるWO 2020/065336)は、外来性の切断部位の挿入が、インビトロ活性化の文脈においてさえも、切断効率に対する負の効果を有し得る立体配座変化を生じさせ得るということであり、その結果、外来性の活性化部位の挿入よりもむしろ活性化ループの完全な置き換えが従来好ましいということからは、これは特に驚くべきであった。
【0010】
更にその上、本発明者は、フューリン切断部位の挿入が可能であるということと、これはインビボでクロストリジウム神経毒素を活性化するために使用され得るということとを示したのみならず、それらは、驚くべきことに、クロストリジウム神経毒素のフューリン活性化が、従来の方法で活性化されたクロストリジウム神経毒素に匹敵する力価を達成し得るということをもまた示した。
【0011】
加えて、本発明のフューリンによって活性化される改変クロストリジウム神経毒素は、従来活性化されたクロストリジウム神経毒素と比較して、いろいろな可能性としての利益、例えば、作業者(例えば、患者に投与するために本発明のフューリンによって活性化される改変神経毒素を取り扱う臨床医又は他、及びフューリンによって活性化される改変神経毒素の生産に関わる労働者)の安全性を改善すること及び/又は製造負荷/コストを縮減することを提供する。本発明のフューリンによって活性化される改変神経毒素は、患者にとって、可能性として増大した安全性プロファイルをもまた有する。特に、本発明者は、フューリン切断部位によるボツリヌス神経毒素血清型A(BoNT/A)の内在性の(ネイティブな)活性化ループの部分的置き換えが、改変BoNT/Aを生産し、これはマウスにおいてインビボで単鎖から二鎖形態へと活性化され、かつこれはマウスモデルにおいてネイティブなBoNT/A(クロストリジウム細菌によって生産され、細菌内のネイティブなプロテアーゼによって活性化される)及び投与に先立ってインビトロで活性化された組み換えBoNT/Aに匹敵する力価を有するということを実証した。加えて、本発明者は、フューリン切断部位を有する改変BoNT/Aが、可能性として、組み換えBoNT/Aの活性な二鎖と比較してマウスにおける速い作用発現を有するということを実証した(本明細書の実施例において例解される通り)。他の例示される特性と組み合わせられた同等の力価は、フューリンによって活性化される改変BoNT/Aについて、可能性として改善された安全性プロファイル及び治療ウインドウを示唆する。加えて、本発明者は、単鎖BoNT/A1が治療上の効果を引き出すことができるということをもまた示した(本明細書の実施例において単鎖BoNT/A1を使用して引き出されるDASスコアによる証明の通り)。それゆえに、本発明者は、単鎖クロストリジウム神経毒素、例えばフューリン切断部位及び単鎖BoNT/A1を有する改変BoNT/A1が、投与に先立つ二鎖形態への活性化を要求することなしに治療上のポテンシャルを有するということを初めて実証した。
【0012】
従って、本発明は、フューリン切断部位を含む改変クロストリジウム神経毒素を提供し、ここで、前記のフューリン切断部位における切断は、改変クロストリジウム神経毒素の二鎖形態の生産をもたらす。
【0013】
フューリン切断部位は、アミノ酸配列Arg-Xaa-Xaa-Arg(配列番号1)、好ましくはArg-Xaa-Lys/Arg-Arg(配列番号2及び3)、更により好ましくはArg-Lys-Lys-Arg(配列番号4)、更により好ましくはKQKSSNSRKKR(配列番号5)を含み得る。改変クロストリジウム神経毒素は、配列番号14から22)のいずれか1つ、好ましくは配列番号22を含むか又はそれからなる外来性の活性化ループを含み得る。クロストリジウム神経毒素の内在性の活性化ループ又はその一部はフューリン切断部位によって置き換えられ得る。内在性の神経毒素活性化ループは、配列番号34から57から選択される1つ以上であり得る。
【0014】
クロストリジウム神経毒素は以下から選択され得る:(a)ボツリヌス神経毒素(BoNT)血清型A、血清型B、血清型C、血清型D、血清型E、血清型F、血清型G、若しくは血清型X、又は破傷風神経毒素(TeNT);或いは(b)キメラBoNT又はハイブリッドBoNT。改変クロストリジウム神経毒素は、BoNT/A、随意によりBoNT/A1であり得る。改変クロストリジウム神経毒素は以下の単鎖クロストリジウム神経毒素であり得る:(a)配列番号23に対して少なくとも70%の配列同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる;及び/又は(b)配列番号24若しくは配列番号70から78の1つ以上に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む。
【0015】
改変クロストリジウム神経毒素は、クロストリジウム神経毒素の内在性のHC又はHCCが外来性の標的化部分(TM)によって置き換えられている再標的化クロストリジウム神経毒素であり得る。
【0016】
本発明は、フューリン切断部位を含む改変BoNT/Aをもまた提供し、これが、配列番号24の1つ以上に対して少なくとも70%の配列同一性、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む。
【0017】
本発明は、更に、本発明の改変クロストリジウム神経毒素(例えば、改変BoNT/A)を対応する二鎖クロストリジウム神経毒素(例えば、改変BoNT/A)へとタンパク分解性にプロセシングするための方法を提供し、方法は、改変クロストリジウム神経毒素(例えば、改変BoNT/A)をフューリンと接触させ、それによって二鎖クロストリジウム神経毒素(例えばBoNT/A)を生産することを含む。本発明は、更に、前記の方法によって得られ得る二鎖クロストリジウム神経毒素又はBoNT/Aを提供する。
【0018】
本発明は、本発明の改変クロストリジウム神経毒素又は改変BoNT/Aをコードするポリヌクレオチドをもまた提供する。本発明は、更に、プロモーターに作動可能に連結されている本発明のポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。前記のポリヌクレオチド又は発現ベクターは:(a)配列番号23に対して少なくとも70%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含み得る;及び/又は(b)配列番号24若しくは70から78の1つ以上に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列をコードし得る。
【0019】
本発明は、更に、本発明の改変クロストリジウム神経毒素又は改変BoNT/Aを生産する方法を提供し、前記の方法は、本発明のポリヌクレオチド又は発現ベクターを細胞において発現し、発現された改変クロストリジウム神経毒素又は改変BoNT/Aを回収するステップを含む。前記の方法は、更に、ポリヌクレオチド又は発現ベクターを細胞に導入するステップを含み得る。
【0020】
本発明は、本発明の改変クロストリジウム神経毒素又は改変BoNT/Aを発現する細胞をもまた提供する。前記の細胞は本発明のポリヌクレオチド又は発現ベクターを含み得る。
【0021】
本発明は、本発明の改変クロストリジウム神経毒素、改変BoNT/A、二鎖クロストリジウム神経毒素、又は二鎖BoNT/Aと、薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤、アジュバント、噴霧剤、及び/又は塩とを含む医薬組成物をもまた提供する。
【0022】
本発明は、更に、ボツリヌス神経毒素による治療の必要性が示される疾患又は障害を予防又は処置する方法における使用のための、本発明の改変クロストリジウム神経毒素、改変BoNT/A、二鎖クロストリジウム神経毒素、若しくは二鎖BoNT/A、又は本発明の医薬組成物を提供し、ここで、随意により、前記の疾患又は障害は以下から選択される:不必要な免疫分泌に関連する状態、斜視、眼瞼痙攣、横目、ジストニア(例えば痙攣性ジストニア、顎口腔ジストニア、局所性ジストニア、遅発性ジストニア、喉頭ジストニア、四肢ジストニア、頸部ジストニア)、斜頸(例えば痙性斜頸)、細胞/筋肉の能力喪失から益する美容療法(美容)適用(SNARE下方制御又は不活性化を介する)、眼球運動の神経筋障害又は状態(例えば共同性斜視、上下斜視、外直筋麻痺、眼振、甲状腺性ミオパチー)、書痙、ブラキシズム、ウィルソン病、振戦、チック、髄節性ミオクローヌス、スパスム、慢性の多発性硬化症を原因とする痙縮、異常な膀胱の制御をもたらす痙縮、アニスムス(animus)、背部痙攣、こむら返り、骨盤挙筋症候群、二分脊椎、遅発性ジスキネジア、パーキンソン病、吃音、片側顔面痙攣、眼瞼障害、脳性麻痺、局所痙縮、痙攣性大腸炎、神経因性膀胱、アニスムス、四肢痙縮、チック、振戦、ブラキシズム、裂肛、アカラシア、摂食嚥下障害、流涙、多汗症、唾液分泌過剰、胃腸分泌過剰、筋痛(例えば、筋攣縮からの痛み)、頭痛の痛み(例えば緊張性頭痛又は偏頭痛)、ファントムペイン(例えば幻肢痛)、眉間の深皺、皮膚の皺、癌、子宮の障害、泌尿生殖器系障害、泌尿生殖器系-神経系障害、膀胱痛症候群、間質性膀胱炎、慢性の神経原性炎症、及び平滑筋障害。
【0023】
本発明は、更に、ボツリヌス神経毒素による治療の必要性が示される疾患又は障害を予防又は処置するための医薬の製造における、本発明の改変クロストリジウム神経毒素、改変BoNT/A、二鎖クロストリジウム神経毒素、若しくは二鎖BoNT/A、又は本発明の医薬組成物の使用を提供し、ここで、随意により、前記の疾患又は障害は以下から選択される:不必要な免疫分泌に関連する状態、斜視、眼瞼痙攣、横目、ジストニア(例えば痙攣性ジストニア、顎口腔ジストニア、局所性ジストニア、遅発性ジストニア、喉頭ジストニア、四肢ジストニア、頸部ジストニア)、斜頸(例えば痙性斜頸)、細胞/筋肉の能力喪失から益する美容療法(美容)適用(SNARE下方制御又は不活性化を介する)、眼球運動の神経筋障害又は状態(例えば共同性斜視、上下斜視、外直筋麻痺、眼振、甲状腺性ミオパチー)、書痙、ブラキシズム、ウィルソン病、振戦、チック、髄節性ミオクローヌス、スパスム、慢性の多発性硬化症を原因とする痙縮、異常な膀胱の制御をもたらす痙縮、アニスムス(animus)、背部痙攣、こむら返り、骨盤挙筋症候群、二分脊椎、遅発性ジスキネジア、パーキンソン病、吃音、片側顔面痙攣、眼瞼障害、脳性麻痺、局所痙縮、痙攣性大腸炎、神経因性膀胱、アニスムス、四肢痙縮、チック、振戦、ブラキシズム、裂肛、アカラシア、摂食嚥下障害、流涙、多汗症、唾液分泌過剰、胃腸分泌過剰、筋痛(例えば、筋攣縮からの痛み)、頭痛の痛み(例えば緊張性頭痛又は偏頭痛)、ファントムペイン(例えば幻肢痛)、眉間の深皺、皮膚の皺、癌、子宮の障害、泌尿生殖器系障害、泌尿生殖器系-神経系障害、膀胱痛症候群、間質性膀胱炎、慢性の神経原性炎症、及び平滑筋障害。
【0024】
本発明は、更に、本発明の改変クロストリジウム神経毒素、改変BoNT/A、二鎖クロストリジウム神経毒素、又は二鎖BoNT/Aと、美容上許容される担体、賦形剤、希釈剤、アジュバント、噴霧剤、及び/又は塩とを含む美容組成物を提供する。
【0025】
本発明は、ボツリヌス神経毒素の適用が指示される美容上の適応症を防止又は緩和するための、本発明の美容組成物の使用をもまた提供する。
【0026】
本発明は、更に、単鎖クロストリジウム神経毒素を対応する二鎖クロストリジウム神経毒素へとタンパク分解性にプロセシングするための方法を提供し、方法は以下を含む:(a)単鎖クロストリジウム神経毒素を提供すること;及び(b)単鎖クロストリジウム神経毒素をフューリンと接触させること;ここで、単鎖クロストリジウム神経毒素は、ポリペプチド配列Arg-Xaa-Xaa-Arg(配列番号1)を含むか又はそれからなる活性化ループを有し;かつここで、フューリンは活性化ループのペプチド結合を加水分解し、それによって二鎖クロストリジウム神経毒素を生産する。活性化ループは以下を含み得るか又は以下からなり得る:(a)Arg-Xaa-Lys/Arg-Arg(配列番号2又は3);(b)Arg-Lys-Lys-Arg(配列番号4);及び/又は(c)KQKSSNSRKKR(配列番号5)。単鎖クロストリジウム神経毒素は:(a)本発明の改変クロストリジウム神経毒素であり得る;(b)配列番号23に対して少なくとも70%の配列同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされ得る;及び/又は(c)配列番号24若しくは70から78の1つ以上に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み得る。
【0027】
本発明は、ボツリヌス神経毒素による治療の必要性が示される疾患又は障害を予防又は処置する方法における使用のための、クロストリジウム神経毒素又は前記のクロストリジウム神経毒素を含む医薬組成物をもまた提供し、ここで、クロストリジウム神経毒素は単鎖形態で対象に投与される。前記のクロストリジウム神経毒素又は医薬組成物はクロストリジウム神経毒素の二鎖形態を実質的に不含であり得る。クロストリジウム神経毒素又は医薬組成物は以下を含み得る:100ngの単鎖クロストリジウム神経毒素あたり400pg未満の二鎖クロストリジウム神経毒素、又は100ngの単鎖クロストリジウム神経毒素あたり300pg未満の二鎖クロストリジウム神経毒素、又は100ngの単鎖クロストリジウム神経毒素あたり200pg未満の二鎖クロストリジウム神経毒素、又は100ngの単鎖クロストリジウム神経毒素あたり100pg未満の二鎖クロストリジウム神経毒素、又は100ngの単鎖クロストリジウム神経毒素あたり50pg未満の二鎖クロストリジウム神経毒素。前記の疾患又は障害は以下から選択され得る:不必要な免疫分泌に関連する状態、斜視、眼瞼痙攣、横目、ジストニア(例えば痙攣性ジストニア、顎口腔ジストニア、局所性ジストニア、遅発性ジストニア、喉頭ジストニア、四肢ジストニア、頸部ジストニア)、斜頸(例えば痙性斜頸)、細胞/筋肉の能力喪失から益する美容療法(美容)適用(SNARE下方制御又は不活性化を介する)、眼球運動の神経筋障害又は状態(例えば共同性斜視、上下斜視、外直筋麻痺、眼振、甲状腺性ミオパチー)、書痙、ブラキシズム、ウィルソン病、振戦、チック、髄節性ミオクローヌス、スパスム、慢性の多発性硬化症を原因とする痙縮、異常な膀胱の制御をもたらす痙縮、アニスムス(animus)、背部痙攣、こむら返り、骨盤挙筋症候群、二分脊椎、遅発性ジスキネジア、パーキンソン病、吃音、片側顔面痙攣、眼瞼障害、脳性麻痺、局所痙縮、痙攣性大腸炎、神経因性膀胱、アニスムス、四肢痙縮、チック、振戦、ブラキシズム、裂肛、アカラシア、摂食嚥下障害、流涙、多汗症、唾液分泌過剰、胃腸分泌過剰、筋痛(例えば、筋攣縮からの痛み)、頭痛の痛み(例えば緊張性頭痛又は偏頭痛)、ファントムペイン(例えば幻肢痛)、眉間の深皺、皮膚の皺、癌、子宮の障害、泌尿生殖器系障害、泌尿生殖器系-神経系障害、膀胱痛症候群、間質性膀胱炎、慢性の神経原性炎症、及び平滑筋障害。
【0028】
本発明は、更に、ボツリヌス神経毒素の適用が指示される美容上の適応症を防止又は緩和するための、単鎖クロストリジウム神経毒素と、美容上許容される担体、賦形剤、希釈剤、アジュバント、噴霧剤、及び/又は塩とを含む美容組成物の使用を提供し、ここで、単鎖クロストリジウム神経毒素は単鎖形態で対象に投与される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】全てのBoNT血清型及び破傷風毒素について活性化ループのタンパク質配列の比較を示す。両側の2つのシステインはジスルフィド架橋を形成し、毒素分子の軽及び重鎖を接続する。BoNT/C1及びBoNT/CD上の第Xa因子切断部位(IDGR)は下線付きである。
【
図2】フューリンによるBoNT/A
1-フューリンタンパク質配列番号24(SXN104539)の首尾良い切断を確認するタンパク質ゲル及びウエスタンブロット。
【
図3】ネイティブなBoNT/A1(四角形)、野生型単鎖rBoNT/A1(菱形)、及びフューリンループを有する単鎖rBoNT/A1(丸)についての、ラット胚性脊髄ニューロン(eSCN)におけるパーセンテージのSNAP-25切断。ラット胚性脊髄ニューロンが3週に渡って培養され、SNAP-25特異的抗体によるウエスタンブロッティングの前に、24hに渡って各BoNT分子によって別々に処置された。データは三重の3つの独立した実験からの平均±SEMである。
【
図4】マウス横隔神経半横隔膜アッセイ(mPNHD)における、野生型二鎖rBoNT/A1(三角形)、野生型単鎖rBoNT/A1(プラス)、及びフューリンループを有する単鎖rBoNT/A1(丸)の力価(t
50)。(A)マウス横隔神経半横隔膜組織が示されているBoNT分子とインキュベーションされた。収縮がもはや検出可能でなくなるか又は140分後まで、横隔膜収縮力が記録された。各点は独立した決定に対応する。(B)t
50値は、マウス半横隔膜の収縮力を50%だけ阻害するために要求される時間である。
【
図5】腓骨筋又は腓腹筋外側頭への注射後の体重に対する、野生型二鎖rBoNT/A1(四角形)、野生型単鎖rBoNT/A1(菱形)、及びフューリンループを有する単鎖rBoNT/A1(丸)の効果。(A)曲線は投与の1、2、3、又は4日後に観察された平均体重に対応する。(B)曲線は、投与の最高で25日後までに観察された平均体重に対応する。全ての値は平均±平均の標準誤差である。
【
図6】腓骨筋又は腓腹筋外側頭への注射後の平均のピーク指外転スコア(DAS)における、野生型二鎖rBoNT/A1(四角形)、野生型単鎖rBoNT/A1(菱形)、及びフューリンループを有する単鎖rBoNT/A1(丸)の有効性。曲線は、投与の1、2、3、又は4日後に観察された平均のピークDAS応答に対応する。全ての値は平均±平均の標準誤差である。
【
図7】腓骨筋又は腓腹筋外側頭への注射後の体重に対する、野生型二鎖rBoNT/A1(四角形)、野生型単鎖rBoNT/A1(菱形)、及びフューリンループを有する単鎖rBoNT/A1(丸)の持続時間。曲線は、投与の最高で600時間後までに観察された平均のピークDAS応答に対応する。全ての値は平均±平均の標準誤差である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
定義
【0031】
別様に定められない限り、本明細書において使用される全ての技術及び科学用語は、本開示が属する分野の業者に普通に理解される同じ意味を有する。Singleton, et al., DICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY, 20 ED., John Wiley and Sons, New York (1994)及びHale & Marham, THE HARPER COLLINS DICTIONARY OF BIOLOGY, Harper Perennial, NY (1991)は、本開示において使用される用語の多くの総合辞書を当業者に提供する。用語の意味及び範囲は明瞭であるはずである;しかしながら、いずれかの潜在的な多義性の場合には、本明細書において提供される定義がいずれかの辞書の又は外部の定義よりも優先される。
【0032】
本発明は本明細書に記載される特定の方法論、プロトコール、及び試薬などには限定されず、そのため、変形し得るということは理解されるべきである。特に、本明細書に記載されるものと類似の又は同等のいずれかの方法及び材料は本開示の実施形態の実施又は試験に使用され得る。
【0033】
本開示の実施形態の記載は、網羅的であること又は本開示を開示される正確な形態に限定することを意図されない。本開示の具体的な実施形態及び例が例解的な目的で本明細書に記載されるが、当業者は認識するであろう通り、種々の同等の改変が本開示の範囲内で可能である。例えば、方法のステップ又は機能が所与の順序で提示されるが、代替的な実施形態は異なる順序で複数の機能を果たし得るか、又は複数の機能は実質的に同時に果たされ得る。本明細書において提供される開示の教示は、適宜、他の手続き又は方法に適用され得る。本明細書に記載される種々の実施形態は、さらなる実施形態を提供するように組み合わせられ得る。本開示の態様は、必要な場合には、上の参照及び出願の組成物、機能、及び概念を採用して本開示の尚さらなる実施形態を提供するように改変され得る。その上、生物学的な機能的同等性の事情を原因として、タンパク質構造上のいくつかの変更が、種類又は量において生物学的又は化学的作用に影響することなしになされ得る。本開示へのこれらの及び他の変更は、詳細な記載に照らしてなされ得る。全てのかかる改変は添付の請求項の範囲内に包含されることを意図される。
【0034】
別様に指示されない限り、それぞれ、いずれかの核酸配列は左から右に5'から3'の向きで書かれる;アミノ酸配列は左から右にアミノからカルボキシの向きで書かれる。
【0035】
本明細書において提供される見出しは本開示の種々の態様又は実施形態の限定ではない。
【0036】
本明細書において使用される用語「できる」は、動詞に使用されるときには、対応する動詞の作用を包含又は意味する。例えば、「相互作用することができる」は相互作用することをもまた意味し、「切断することができる」は切断するをもまた意味し、「結合することができる」は結合するをもまた意味し、「...を特異的に標的化することができる」は特異的に標的化するをもまた意味する。
【0037】
数的範囲は、範囲を画定する数を包含する。値の範囲が提供される場合には、その範囲の上及び下限の間の各介在値もまた、文脈が明瞭に別様に述べない限り下限の単位の十分の一まで具体的に開示されるということが理解される。申し立てられている範囲内のいずれかの申し立てられている値又は介在する値とその申し立てられている範囲内のいずれかの他の申し立てられている又は介在する値との間のより小さい各範囲は本開示に包含される。これらのより小さい範囲の上及び下限は独立して範囲に包含又は除外され得る。申し立てられている範囲内のいずれかの具体的に除外される限度を条件として、どちらか若しくは両方の限度がより小さい範囲に包含されるか又はどちらも包含されない各範囲もまた本開示に包含される。申し立てられている範囲が限度の1つ又は両方を包含する場合には、それらの包含される限度のどちらか又は両方を除外する範囲もまた本開示に包含される。
【0038】
アミノ酸は本明細書においてはアミノ酸の名称、3文字略称、又は1文字略称を使用して言われる。本明細書において使用される用語「タンパク質」は、タンパク質、ポリペプチド、及びペプチドを包含する。本明細書において使用される用語「アミノ酸配列」は用語「ポリペプチド」及び/又は用語「タンパク質」と同義である。いくつかの場合には、用語「アミノ酸配列」は用語「ペプチド」と同義である。いくつかの場合には、用語「アミノ酸配列」は用語「酵素」と同義である。用語「タンパク質」及び「ポリペプチド」は本明細書においては交換可能に使用される。本開示及び請求項においては、アミノ酸残基の従来の1文字及び3文字コードが使用され得る。アミノ酸の3文字コードは、生化学の命名法に関するIUPACIUB合同委員会(IUPACIUB Joint Commission on Biochemical Nomenclature)(JCBN)に従って定められる通りである。ポリペプチドは遺伝暗号の縮重を原因として1つよりも多くのヌクレオチド配列によってコードされ得るということもまた理解される。
【0039】
ポリペプチドの「断片」は、典型的には、元のポリペプチドの少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又はより多くを含む。
【0040】
本明細書において使用される用語「ポリヌクレオチド」、「核酸」、及び「核酸配列」は、リボ核酸、デオキシリボ核酸、又はそのアナログの単位を組み込むいずれかの分子、好ましくはポリマー分子を言う。核酸は一重鎖又は二重鎖どちらかであり得る。一重鎖核酸は変性した二重鎖DNAの1つの核酸ストランドであり得る。代替的には、それはいずれかの二重鎖DNAに由来しない一重鎖核酸であり得る。1つの態様において、核酸はDNAであり得る。別の態様において、核酸はRNAであり得る。好適な核酸分子はDNAであり、ゲノムDNA又はcDNAを包含する。他の好適な核酸分子はRNAであり、siRNA、shRNA、及びアンチセンスオリゴヌクレオチドを包含する。
【0041】
用語「増大した」、「増大させる」、「増強する」、又は「活性化する」は、全て、本明細書においては、統計的に有意な量による増大を意味するために使用される。用語「増大した」、「増大させる」、「増強する」、又は「活性化する」は、以下を意味し得る:参照レベルと比較して少なくとも10%の増大、例えば、少なくとも約20%、又は少なくとも約30%、又は少なくとも約40%、又は少なくとも約50%、又は少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約90%、又は最高で100%までの増大及びそれを包含する増大、或いは参照レベルと比較して10~100%の間のいずれかの増大、或いは少なくとも約2倍、又は少なくとも約3倍、又は少なくとも約4倍、又は少なくとも約5倍、又は少なくとも約10倍の増大、或いは参照レベルと比較して2倍及び10倍の間の又はより多大ないずれかの増大。
【0042】
用語「減少」、「縮減される」、「縮減」、又は「阻害する」は、全て、本明細書においては、統計的に有意な量による減少を意味するために使用される。用語「縮減する」、「縮減」、又は「減少」、又は「阻害する」は、典型的には、参照レベル(例えば、所与の処置の不在)と比較して少なくとも10%の減少を意味し、例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又はより多くの減少を包含し得る。本明細書において使用される「縮減」又は「阻害」は、参照レベルと比較して完全な阻害又は縮減を包含する。「完全な阻害」は参照レベルと比較して100%阻害(すなわち廃絶)である。
【0043】
用語の他の定義が本明細書において現れ得る。例示的な実施形態がより詳細に記載される前に、本開示は記載される特定の実施形態には限定されず、そのため、変形し得るということは理解されるべきである。本開示の範囲は添付の請求項のみによって定められるので、本明細書において使用される術語は特定の実施形態を記載する目的のためのみであり、限定していることを意図されないということもまた理解されるべきである。
【0044】
本明細書及び添付の請求項において使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明瞭に別様に述べない限り、複数のリファレントを包含するということが指摘されなければならない。それゆえに、例えば、「クロストリジウム神経毒素(a clostridial neurotoxin)」と言うことは複数のかかる候補薬剤を包含し、「クロストリジウム神経毒素(the clostridial neurotoxin)」と言うことは、当業者に公知の1つ以上のクロストリジウム神経毒素及びそれらの同等物と言うことを包含するなどである。更にその上、用語「包含すること」並びに他の形態、例えば「包含する」及び「包含される」の使用は、限定していない。
【0045】
「約」は、一般的に、測定の性質又は精度から、測定される数量について許容される誤差の度合いを意味し得る。例示的な誤差の度合いは、所与の値又は値の範囲の20パーセント(%)以内、典型的には10%以内、より典型的には5%以内である。好ましくは、用語「約」は、本明細書においては、それが使用されている数の数値のプラス又はマイナス(±)5%、好ましくは±4%、±3%、±2%、±1%、±0.5%、±0.1%と理解される。
【0046】
用語「~からなる」は、本発明のその記載において記載されていないいずれかの要素を除外する本明細書に記載される組成物、方法、及びそれらのそれぞれのコンポーネントを言う。
【0047】
本明細書において使用される用語「本質的に~からなる」は、所与の発明にとって要求される要素を言う。用語は、その発明の基本的なかつ新規の又は機能的な特徴(単数又は複数)に実質的に影響しない要素(すなわち、不活性な又は非免疫原性の成分)の存在を許す。
【0048】
本明細書において1つ以上の特徴を「含む」と記載される実施形態は、かかる特徴「からなる」及び/又は「から本質的になる」対応する実施形態の開示ともまた考えられ得る。
【0049】
濃度、量、体積、パーセンテージ、及び他の数値は、本明細書においては範囲のフォーマットで提示され得る。かかる範囲のフォーマットは単に便宜及び簡潔のために使用され、範囲の限度として明示的に記載されている数値を包含するのみならず、各数値及び部分範囲が明示的に記載される場合のように、その範囲内に包含される全ての個々の数値又は部分範囲をもまた包含すると柔軟に解釈されるべきであるということもまた理解されるべきである。
【0050】
個体は、処置の必要がある状態又はかかる状態に関係する1つ以上の合併症を患うか又は有すると先に診断又は同定され、随意により、本明細書において定められる状態又は前記の状態に関係する1つ以上の合併症の処置を既に経過したものであり得る。代替的には、個体は、本明細書において定められる状態又は前記の状態に関係する1つ以上の合併症を有すると先に診断されてはいないものでもまたあり得る。例えば、個体は、状態若しくは前記の状態に関係する1つ以上の合併症の1つ以上のリスク因子を見せるもの、又はリスク因子を見せない対象であり得る。
【0051】
特定の状態のための処置の「必要がある個体」は、その状態を有するか、その状態を有すると診断されたか、又はその状態を発生するリスクがある個体であり得る。
【0052】
用語「対象」、「個体」、及び「患者」は、本明細書においては、哺乳類の個体を言うために交換可能に使用される。「個体」はいずれかの哺乳動物であり得る。一般的には、個体はヒトであり得る;換言すると、1つの実施形態において、「個体」はヒトである。「個体」は成体、未成体、又は幼体であり得る。「個体」は男性又は女性であり得る。
【0053】
本明細書において使用される用語「薬学的に許容される」は、連邦若しくは州政府の規制当局によって認可されているか又はU.S.薬局方、欧州薬局方、若しくは他の一般的に認識されている薬局方に挙げられているを意味する。
【0054】
本明細書において論じられる公開は、専ら本願の出願日に先立つそれらの開示から提供されている。本明細書のいかなることも、かかる公開が本明細書に添付される請求項に対して先行技術を構成するという承認として解釈されるべきではない。
【0055】
改変クロストリジウム神経毒素
【0056】
本発明は、フューリン切断部位を含む改変クロストリジウム神経毒素を提供する。典型的には、前記のフューリン切断部位における切断は、改変クロストリジウム神経毒素の二鎖形態の生産をもたらす。換言すると、フューリン切断部位における切断は、改変クロストリジウム神経毒素の活性化をもたらす。クロストリジウム神経毒素の内在性の(ネイティブな)活性化ループは、フューリン切断部位によって置き換えられ(又は部分的に置き換えられ)得る。そのため、用語「フューリン切断部位」は用語「フューリン活性化部位」と交換可能に使用され得て、本明細書において定められる外来性の活性化ループは典型的にはフューリン切断部位を含むか又はそれからなるであろう。本発明の改変クロストリジウム神経毒素はインビボで活性化され得る。それゆえに、改変クロストリジウム神経毒素は、クロストリジウム神経毒素のプロセシング及び治療上の使用の新たな分野を開き、毒素が単鎖クロストリジウム神経毒素として生産及び投与されることを可能化し、これらはそれからインビボで切断されて活性な二鎖形態を生産する。本明細書に記載される通り、これはクロストリジウム神経毒素の分野におけるパラダイムシフトを表す。
【0057】
クロストリジウム神経毒素(操作前)は、典型的には、内在性の活性化ループがフューリンによって非効率的にタンパク分解性にプロセシングされるということを特徴とする。クロストリジウム神経毒素(操作前)とは対照的に、本発明の改変クロストリジウム神経毒素はフューリンによって非効率的にはタンパク分解性にプロセシングされず、及び/又は改変クロストリジウム神経毒素の外来性の活性化ループよりも外側のペプチド結合はフューリンによって加水分解されない。それゆえに、クロストリジウム神経毒素(操作前)は、典型的には、フューリンによるプロテオリシス的なプロセシングに耐性である。用語「フューリンによって非効率的にタンパク分解性にプロセシングされる」、「フューリンによるプロテオリシス的なプロセシングに耐性」、「フューリンによって実質的に加水分解されない」、「フューリンによって非効率的に活性化される」、「フューリンによる活性化に耐性」、及び「フューリンによって実質的に活性化されない」は、本明細書においては交換可能に使用される。
【0058】
クロストリジウム神経毒素(操作前)は、典型的には、(活性化ループ上の又はそれよりも外側のどちらかの)ペプチド結合がフューリンによって加水分解されないか又は実質的にされないものである。用語「実質的に加水分解されない」は、反応中に存在するクロストリジウム神経毒素の10%、5%、4%、3%、2%、又は1%未満が、本発明の方法においてフューリンによって加水分解されたペプチド結合を含有するということを意味する。
【0059】
従って、クロストリジウム神経毒素(操作前)は、典型的には、その内在性の活性化ループ上にフューリン切断部位(例えば、本明細書において定められる通り)を含有しない。よって、いくつかの実施形態において、本発明は以下ではないクロストリジウム神経毒素(操作前)に関する:UniProtアクセッションNo.AB745660のBoNT/DC(配列のバージョン1、2022年1月19日にアクセス)、UniProtアクセッションNo.P18640のBoNT/C1(配列のバージョン3、2022年3月23日にアクセス)、UniProtアクセッションNo.Q5DW55のBoNT/CD(配列のバージョン1、2022年3月23日にアクセス)、NCBIアクセッションNo.AB012112のBoNT/D(配列のバージョン1、2022年3月23日にアクセス)、及び/又はUniProtアクセッションNo.D2KHQ9のBoNT/F5(配列のバージョン1、2022年3月23日にアクセス)。
【0060】
本発明は、いずれかのクロストリジウム神経毒素の内在性の活性化ループ(又はその一部)を、(外来性の)フューリン切断部位又はフューリン切断部位を含む外来性の活性化ループによって本明細書に記載される通り置き換えることを含み得る。クロストリジウム神経毒素はボツリヌス神経毒素(BoNT)又は破傷風神経毒素(TeNT)であり得る。好ましくは、クロストリジウム神経毒素は、ボツリヌス神経毒素、例えばBoNT/A、BoNT/B、BoNT/C1、BoNT/D、BoNT/E、BoNT/F、BoNT/G、若しくはBoNT/X、又はそのキメラ若しくはハイブリッドである。
【0061】
本明細書において使用される用語「内在性の活性化ループ」は、対象のクロストリジウム神経毒素、例えば、示されている血清型の対象のクロストリジウム神経毒素に存在する活性化ループを意味する。例えば、BoNT/A1はBoNT/A1重鎖及び軽鎖を包含し、それゆえに、BoNT/A1の内在性の活性化ループはA1活性化ループである。クロストリジウム神経毒素キメラ又はハイブリッドのために、当業者は、例えばL鎖及びH
Nドメインが由来する血清型(単数又は複数)を決定することによって、「内在性の活性化ループ」を同定し得る。いくつかの実施形態において、キメラ又はハイブリッドクロストリジウム神経毒素は、2つの異なる血清型からの活性化ループの融合体である内在性の活性化ループを有し得る。例として、BoNT/A1C
1などのキメラクロストリジウム神経毒素はBoNT/A
1軽鎖及び転位置ドメインを有し、それゆえに、内在性のBoNT/A1C1活性化ループはA1活性化ループである。活性化ループの例は
図1で提供されている。内在性の活性化ループは典型的にはシステイン残基を境界とし、これらはジスルフィド架橋を形成し、(操作前)クロストリジウム神経毒素の軽及び重鎖を共有結合的に連結する。それゆえに、(本明細書に記載される通り)境界となるシステイン残基を包含するか又は境界となるシステイン残基なしの内在性の活性化ループ配列が記載され得る。当業者は、複数の定義が交換可能に使用され得るということを理解し、境界となるシステイン残基を包含又は除外するどちらかの内在性の活性化ループを難なく同定する能力があるであろう。
【0062】
典型的には、「内在性の活性化ループ」は、配列番号1を含まないか又はそれからならないいずれかの活性化ループである。好ましくは「内在性の活性化ループ」は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、及び/又は配列番号5ではないいずれかの活性化ループである。
【0063】
対照的に、本明細書において使用される「外来性の活性化ループ」は、対象のクロストリジウム神経毒素、例えば示されている血清型の対象のクロストリジウム神経毒素に存在する内在性の活性化ループとは異なり、かつ外来性の活性化ループがフューリン切断部位を含む活性化ループを意味する。例えば、BoNT/C1活性化ループは野生型BoNT/A1活性化ループとは異なるポリペプチド配列を有し、よって、BoNT/C1活性化ループはBoNT/A1にとって外来性である。クロストリジウム神経毒素キメラ又はハイブリッドについては、当業者は、例えばL鎖及びHNドメインが由来する血清型(単数又は複数)を決定することによって、活性化ループが「外来性の活性化ループ」であるかどうかを決定し得る。例えば、L鎖がBoNT/BのL鎖でありかつHNドメインがBoNT/D由来の場合には、内在性の活性化ループはBoNT/B配列の部分及びBoNT/D配列の部分を有し得る。活性化ループ(例えばC1活性化ループ)がそれとは異なりかつフューリン切断部位を含む場合には、それは「外来性の活性化ループ」と考えられる。
【0064】
活性化ループが「内在性の活性化ループ」であるかどうかの決定は、対象のクロストリジウム神経毒素の配列を活性化ループとアライメントすることと、活性化ループが対象のクロストリジウム神経毒素配列上に存在するかどうかを見ることとによってなされ得る。それが存在する場合には、活性化ループは内在性の活性化ループとして同定され得る。本明細書に記載される通り、クロストリジウム神経毒素の内在性の活性化ループは、フューリン切断部位である外来性の切断部位によって又はフューリン切断部位を含む外来性の活性化ループによって置き換えられる。
【0065】
典型的には、本発明に従うと、フューリン切断部位が、操作前のクロストリジウム神経毒素の内在性の活性化ループの境界となる2つのシステイン残基間に挿入されるが、内在性の活性化ループ上のフューリン切断部位の正確な位置は限定されない。ただし、もたらされる改変クロストリジウム神経毒素の立体配座は遮断されず、及び/又は改変クロストリジウム神経毒素は非機能的にされるものとする。
【0066】
内在性の活性化ループ全体は、フューリン切断部位又はフューリン切断部位を含む外来性の活性化ループによって本明細書に記載される通り置き換えられる。代替的には、内在性の活性化ループの一部又は部分が置き換えられ得る(本明細書においては、内在性の活性化ループの部分的置き換えともまた言われる)。例えば、内在性の活性化ループの少なくとも5、10、15、20、25、30、35、又は40アミノ酸残基が置き換えられる。内在性の活性化ループの好ましくは5から20、より好ましくは5から15アミノ酸残基が置き換えられる。典型的には、部分的置き換えには、内在性の活性化ループ上の一続きのアミノ酸の置き換えが関わる。
【0067】
内在性の活性化ループの置き換えは、当分野において公知のいずれかの方法によって達成され得る。例えば、置き換えはアミノ酸改変によって達成され得る。内在性の活性化ループは、内在性の活性化ループの1つ以上のアミノ酸残基を欠失させることによって置き換えられ得る。内在性の活性化ループは、内在性の活性化ループの1つ以上のアミノ酸残基を外来性の活性化ループのアミノ酸残基によって置換することによって置き換えられ得る。内在性の活性化ループ(又はその部分)が欠失させられ、フューリン切断部位又はフューリン切断部位を含む外来性の活性化ループが、好ましくは以前には内在性の活性化ループによって占められた位置に挿入され得る。代替的には、内在性の活性化ループは、本発明の改変クロストリジウム神経毒素上に保持され及び好ましくは(例えば変異によって)不活性化され得る。内在性の活性化ループ(その部分、又は内在性の活性化ループ全体)は本発明の改変クロストリジウム神経毒素には存在しないということが好ましい。フューリン切断部位又はフューリン切断部位を含む外来性の活性化ループは、以前には内在性の活性化ループによって占められたクロストリジウム神経毒素上の位置を占めるということが好ましい。疑義の回避のために、内在性の活性化ループがフューリン切断部位を含むように改変されるときには(例えば、内在性の活性化ループ上の残基の置換によるか、又は内在性の活性化ループ上にフューリン切断部位を形成するための1つ以上のアミノ酸の追加による)、改変された活性化ループは本発明に従う外来性の活性化ループである。よって、可能性として、改変クロストリジウム神経毒素はその内在性の活性化/切断部位及びフューリン切断部位両方を含み得て、そのため、ネイティブな活性化プロテアーゼ(若しくは組み換えBoNT生産に使用される同等物、例えばトリプシン若しくはLys-C)によって又はフューリンによってどちらかで活性化され得る。
【0068】
アミノ酸残基の置換、挿入、又は欠失によってタンパク質を改変するための方法は当分野において公知であり、本発明の実施に採用され得る。例として、アミノ酸改変は、クロストリジウム神経毒素をコードするDNA配列の改変によって導入され得る。これは、標準的な分子クローニング技術を使用して達成され得る。例えば、所望のアミノ酸(単数又は複数)をコードするDNA(オリゴヌクレオチド)の短いストランドが使用されてポリメラーゼ酵素を使用して元のコード配列を置き換える部位特異的変異導入によるか、又は種々の酵素(例えばリガーゼ及び制限エンドヌクレアーゼ)によって遺伝子の一部を挿入/欠失することによる。代替的には、改変された遺伝子配列が化学合成され得る。
【0069】
本発明に従って置き換えられる内在性の活性化ループは、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、又は配列番号57に対して少なくとも70%(例えば少なくとも80%又は90%)の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み得るか、又はそれからなり得る。特に、内在性の活性化ループは、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、又は配列番号57に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み得るか、又はそれからなり得る。好ましくは、内在性の活性化ループは、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、又は配列番号57として示されるポリペプチド配列を含むか、又はそれからなる。
【0070】
本発明に従って置き換えられる内在性の活性化ループは、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、又は配列番号41に対して少なくとも70%(例えば少なくとも80%又は90%)の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み得るか、又はそれからなり得る。内在性の活性化ループは、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、又は配列番号41に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み得るか、又はそれからなり得る。好ましくは、内在性の活性化ループは、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、又は配列番号41として示されるポリペプチド配列を含むか、又はそれからなる。
【0071】
好ましくは、本発明に従って置き換えられる内在性の活性化ループは、配列番号39に対して少なくとも70%(例えば少なくとも80%又は90%)の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むか又はそれからなる。内在性の活性化ループは、配列番号39に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み得るか又はそれからなり得る。より好ましくは、内在性の活性化ループは、配列番号39として示されるポリペプチド配列を含むか又はそれからなる。
【0072】
本発明は、内在性の活性化ループが、フューリン切断部位である外来性の切断部位、又はフューリン切断部位を含む外来性の活性化ループによって置き換えられている方法及びクロストリジウム神経毒素を包含する。典型的には、フューリン切断部位はアミノ酸配列Arg-Xaa-Yaa-Arg(配列番号1)を含むか又はそれからなり、ここで、Xaa及びYaaはそれぞれが独立していずれかのアミノ酸から選択され得る。
【0073】
Xaa又はYaaどちらかが1つの型のアミノ酸のみに限定されるということは意図されない。それゆえに、Xaa及びYaaに存在する1つ以上の残基は、独立して以下の標準アミノ酸から選択され得る:アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、ヒスチジン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、メチオニン、トリプトファン、システイン、アラニン、グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、及びフェニルアラニン。位置Yaaに存在する1つ以上の残基は、独立して以下の標準アミノ酸から選択され得る:アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、ヒスチジン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、メチオニン、トリプトファン、システイン、アラニン、グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、及びフェニルアラニン。
【0074】
代替的には/加えて、Xaa及びYaaに存在する1つ以上の残基は、独立して、非標準アミノ酸(上に記載されている20個の標準的なセットの一部ではないアミノ酸)から選択され得る。例として、非標準アミノ酸は以下を包含し得る:4-ヒドロキシプロリン、6-N-メチルリジン、2-アミノイソ酪酸、イソバリン、α-メチルセリン、トランス-3-メチルプロリン、2,4-メタノプロリン、シス-4-ヒドロキシプロリン、トランス-4-ヒドロキシプロリン、N-メチルグリシン、アロスレオニン、メチルスレオニン、ヒドロキシエチルシステイン、ヒドロキシエチルホモシステイン、ニトログルタミン、ホモグルタミン、ピペコリン酸、tert-ロイシン、ノルバリン、2-アザフェニルアラニン、3-アザフェニルアラニン、4-アザフェニルアラニン、L-オルニチン、L-2-アミノ-3-グアニジノプロピオン酸、又はリジン、アルギニン、及び/又はオルニチンのD-異性体、並びに4-フルオロフェニルアラニン。非標準アミノ酸をタンパク質上に導入するための方法は当分野において公知であり、E.コリ栄養要求性発現ホストを使用する組み換えタンパク質合成を包含する。
【0075】
標準アミノ酸の特性が下の表において示されている:
【表A】
【0076】
次のアミノ酸は荷電アミノ酸と考えられる:アスパラギン酸(負)、グルタミン酸(負)、アルギニン(正)、及びリジン(正)。
【0077】
典型的には、Xaaは小さい及び/若しくは親水性のアミノ酸であり、並びに/又はYaaは正荷電アミノ酸である。本発明のフューリン切断部位の好ましい例は、Arg-Xaa-Lys-Arg(配列番号2)、Arg-Xaa-Arg-Arg(配列番号3)、及びArg-Lys-Lys-Arg(配列番号4)を含むか又はそれからなるアミノ酸配列を包含する。
【0078】
本発明のフューリン切断部位は、コア又は最小フューリン切断部位、例えば配列番号1、配列番号2、配列番号3、又は配列番号4のいずれか1つ、及び1つ以上の追加のアミノ酸を含み得るか、又はそれからなり得る。好ましくは、本発明のフューリン切断部位は、コア又は最小フューリン切断部位、例えば配列番号2、配列番号3、又は配列番号4のいずれか1つ、及び1つ以上の追加のアミノ酸を含み得るか、又はそれからなり得る。1つ以上の追加のアミノ酸は、コアフューリン切断部位のN末端及び/又はC末端どちらかであり得る。1つ以上の追加のアミノ酸は、好ましくは、小さい及び/又は親水性のアミノ酸(例えばセリン及び/又はリジン)から選択され得る。
【0079】
コアフューリン切断部位(例えば配列番号1、配列番号2、配列番号3、又は配列番号4)のN末端Argの直ちにN末端の1つ以上のアミノ酸残基(例えば2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸)は、極性(親水性)アミノ酸(例えばセリン又はスレオニン)又は正荷電アミノ酸(例えばリジン又はアルギニン)であり得る。
【0080】
代替的に又は加えて、コアフューリン切断部位(例えば配列番号1、配列番号2、配列番号3、又は配列番号4)のC末端Argの直ちにC末端の1つ以上のアミノ酸残基(例えば2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸)は、極性(親水性)アミノ酸(例えばセリン又はスレオニン)又は正荷電アミノ酸(例えばリジン又はアルギニン)であり得る。
【0081】
好ましくは、コアフューリン切断部位(例えば配列番号1、配列番号2、配列番号3、又は配列番号4)のN末端Argの直ちにN末端の1つ以上のアミノ酸残基(例えば2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸)は、極性(親水性)アミノ酸(例えばセリン若しくはスレオニン)又は正荷電アミノ酸(例えばリジン若しくはアルギニン)であり、コアフューリン切断部位(例えば配列番号1、配列番号2、配列番号3、又は配列番号4)のC末端Argの直ちにC末端の1つ以上のアミノ酸残基(例えば2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸)は、極性(親水性)アミノ酸(例えばセリン又はスレオニン)又は正荷電アミノ酸(例えばリジン又はアルギニン)であり得る。
【0082】
1つ以上の追加のアミノ酸を含むフューリン切断部位の限定しない例は、以下を包含する:KQKSSNSRKKR(配列番号5)、SRKKRS(配列番号6)、SRKRRS(配列番号7)、SKRKKRS(配列番号8)、SKRKRRS(配列番号9)、TSSKSRRRKKRSTS(配列番号10)、AGLITGGRRTRRSI(配列番号11)、KVADSLSTRKQKR(配列番号12)、及びLATGLRNTSQRSRRRKKRGL(配列番号13)。
【0083】
いくつかの実施形態において、本発明のフューリン切断部位は配列番号5に対して少なくとも70%の配列同一性を有する。フューリン切断部位は配列番号5に対して少なくとも80%、85%、又は90%の配列同一性を有し得る。好ましくは、フューリン切断部位は配列番号5に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。より好ましくは、フューリン切断部位は配列番号5に対して少なくとも99%の配列同一性を有する。配列番号5を含むか又はそれからなるフューリン切断部位が特に好ましい。
【0084】
本発明の改変クロストリジウム神経毒素は、本明細書に記載されるいずれかのフューリン切断部位を含む外来性の活性化ループを含み得る。外来性の活性化ループは、本明細書に記載される通り、クロストリジウム神経毒素の内在性の活性化ループの1つ以上のアミノ酸を置き換えることによって生産され得る。いくつかの好ましい実施形態において、内在性の活性化ループの置き換えられるアミノ酸は、同じ数のアミノ酸を有するフューリン切断部位又は外来性の活性化ループによって置き換えられる。換言すると、例解として、内在性の活性化ループ上の5つのアミノ酸が置き換えられる場合には、置き換えフューリン切断部位又は前記のフューリン切断部位を含む外来性の活性化ループは5つのアミノ酸を有する。内在性の活性化ループ上の10個のアミノ酸が置き換えられる場合には、置き換えフューリン切断部位又は前記のフューリン切断部位を含む外来性の活性化ループは10個のアミノ酸を有する。
【0085】
かかる外来性の活性化ループの限定しない例は、CVRGIITSKTKSLSRKKRSALNDLC(配列番号14)、CVRGIITSKTKSLSRKRRSALNDLC(配列番号15)、CVRGIITSKTKSSKRKKRSALNDLC(配列番号16)、CVRGIITSKTKSSKRKRRSALNDLC(配列番号17)、CVRGITSSKSRRRKKRSTSALNDLC(配列番号18)、CVRGIAGLITGGRRTRRSIALNDLC(配列番号19)、CVRGIIKVADSLSTRKQKRALNDLC(配列番号20)、CVRGILATGLRNTSQRSRRRKKRGLALNDLC(配列番号21)、及びCVRGIKQKSSNSRKKRSTSALNDLC(配列番号22)を包含する。これらの全てはBoNT/A1活性化ループに由来する。配列番号22は外来性の活性化ループの好ましい例である。
【0086】
本発明は、本発明に従う改変クロストリジウム神経毒素を製造するための方法を提供し、クロストリジウム神経毒素の内在性の活性化ループ(又はその一部)を外来性の活性化ループ又は外来性の切断部位によって置き換えることを含み、それによって、改変クロストリジウム神経毒素を提供し、ここで、外来性の切断部位は本明細書に記載されるフューリン切断部位であるか、又は外来性の活性化ループは前記のフューリン切断部位を含む。典型的には、前記のフューリン切断部位は配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、若しくは配列番号5のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなるか、又は外来性の活性化ループは前記のフューリン切断部位を含む。
【0087】
本発明は改変クロストリジウム神経毒素(例えば、本発明の方法によって得られ得る)を提供し、ここで、クロストリジウム神経毒素の内在性の活性化ループ(又はその一部)は外来性の活性化ループ又は外来性の切断部位によって置き換えられており、それによって、改変クロストリジウム神経毒素を提供し、ここで、外来性の切断部位は本明細書に記載されるフューリン切断部位であるか又は外来性の活性化ループは前記のフューリン切断部位を含む。典型的には、前記のフューリン切断部位は配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、若しくは配列番号5のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなるか、又は外来性の活性化ループは前記のフューリン切断部位を含む。
【0088】
本発明のクロストリジウム神経毒素(例えば、改変クロストリジウム神経毒素)は、配列番号23に対して少なくとも70%の配列同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされ得る。本発明のクロストリジウム神経毒素は、配列番号23に対して少なくとも80%又は90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされ得る。好ましくは、本発明のクロストリジウム神経毒素は、配列番号23を含む(より好ましくはそれからなる)ヌクレオチド配列によってコードされ得る。
【0089】
本発明のクロストリジウム神経毒素(例えば、改変クロストリジウム神経毒素)は、配列番号24又は70から78の1つ以上に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み得る。本発明のクロストリジウム神経毒素は、配列番号24又は70から78の1つ以上に対して少なくとも80%又は90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み得る。好ましくは、本発明のクロストリジウム神経毒素は、配列番号24又は70から78のいずれか1つとして示されるポリペプチド配列を含み(より好ましくはそれからなり)得る。
【0090】
本発明のクロストリジウム神経毒素(例えば、改変クロストリジウム神経毒素)は好ましくはBoNT/A、更により好ましくはBoNT/A1であり、ここで、クロストリジウム神経毒素は、配列番号23に対して少なくとも70%の配列同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる。クロストリジウム神経毒素は、配列番号23に対して少なくとも80%又は90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされ得る。好ましくは、クロストリジウム神経毒素は、配列番号23を含む(又はからなる)ヌクレオチド配列によってコードされる。本発明のクロストリジウム神経毒素は好ましくはBoNT/A、更により好ましくはBoNT/A1であり、ここで、クロストリジウム神経毒素は、配列番号24に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む。クロストリジウム神経毒素は、配列番号24に対して少なくとも80%又は90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み得る。好ましくは、クロストリジウム神経毒素は、配列番号24として示されるポリペプチド配列を含む(又はからなる)。
【0091】
本発明のポリペプチド配列(又はそれをコードするヌクレオチド配列)は、Hisタグなどの精製タグを包含し得る。本発明は、精製タグが除去されているポリペプチド配列(及びそれをコードするヌクレオチド配列)をもまた包含するということが意図される。
【0092】
クロストリジウム神経毒素
【0093】
クロストリジウム神経毒素(例えば操作前)はBoNT/Aであり得る。例示的な参照BoNT/A配列は配列番号25として示される。
【0094】
クロストリジウム神経毒素(例えば操作前)はBoNT/Bであり得る。例示的な参照BoNT/B配列は配列番号26として示される。
【0095】
クロストリジウム神経毒素(例えば操作前)はBoNT/Cであり得る。例示的な参照BoNT/C1配列は配列番号27として示される。
【0096】
クロストリジウム神経毒素(例えば操作前)はBoNT/Dであり得る。例示的な参照BoNT/D配列は配列番号28として示される。
【0097】
クロストリジウム神経毒素(例えば操作前)はBoNT/Eであり得る。例示的な参照BoNT/E配列は配列番号29として示される。
【0098】
クロストリジウム神経毒素(例えば操作前)はBoNT/Fであり得る。例示的な参照BoNT/F配列は配列番号30として示される。
【0099】
クロストリジウム神経毒素(例えば操作前)はBoNT/Gであり得る。例示的な参照BoNT/G配列は配列番号31として示される。
【0100】
クロストリジウム神経毒素(例えば操作前)はBoNT/Xであり得る。例示的な参照BoNT/X配列は配列番号32として示される。
【0101】
クロストリジウム神経毒素(例えば操作前)はTeNTであり得る。例示的な参照TeNT配列は配列番号33として示される。
【0102】
上で論じられている通り、活性化されたクロストリジウム神経毒素は、2つのポリペプチド鎖、およそ100kDaの分子質量を有する重鎖(H鎖)及びおよそ50kDaの分子質量を有する軽鎖(L鎖)から形成される。H鎖はC末端標的化コンポーネント(受容体結合ドメイン又はHCドメイン)及びN末端転位置コンポーネント(HNドメイン)を含む。
【0103】
軽鎖参照配列の例は以下を包含する:
ボツリヌスA型神経毒素:アミノ酸残基1-448
ボツリヌスB型神経毒素:アミノ酸残基1-440
ボツリヌスC1型神経毒素:アミノ酸残基1-441
ボツリヌスD型神経毒素:アミノ酸残基1-445
ボツリヌスE型神経毒素:アミノ酸残基1-422
ボツリヌスF型神経毒素:アミノ酸残基1-439
ボツリヌスG型神経毒素:アミノ酸残基1-441
破傷風神経毒素:アミノ酸残基1-457
【0104】
最近同定されたBoNT/Xでは、L鎖はそのアミノ酸1~439に対応すると報告されており、L鎖の境界は可能性としておよそ25アミノ酸だけ変動する(例えば1~414又は1~464)。
【0105】
軽微な変動が血清型サブタイプに従って生起し得るので、上で同定されている参照配列はガイドと考えられるべきである。例として、US 2007/0166332(その全体が参照によってここに組み込まれる)は軽微に異なるクロストリジウム配列を引用している:
ボツリヌスA型神経毒素:アミノ酸残基M1-K448
ボツリヌスB型神経毒素:アミノ酸残基M1-K441
ボツリヌスC1型神経毒素:アミノ酸残基M1-K449
ボツリヌスD型神経毒素:アミノ酸残基M1-R445
ボツリヌスE型神経毒素:アミノ酸残基M1-R422
ボツリヌスF型神経毒素:アミノ酸残基M1-K439
ボツリヌスG型神経毒素:アミノ酸残基M1-K446
破傷風神経毒素:アミノ酸残基M1-A457
【0106】
代替的には、クロストリジウム神経毒素L鎖は、最初のアミノ酸(開始メチオニン残基を包含又は除外する)から内在性の活性化ループの最初のシステイン残基までとして定められ得る。加えて又は代替的に、クロストリジウム神経毒素L鎖は、内在性の活性化ループ上の切断部位のN末端のアミノ酸配列として定められ得る。
【0107】
クロストリジウム神経毒素L鎖は、金属配位HExxHモチーフを含むクロストリジウム神経毒素ドメインとして定められ得る(配列番号58)。これは典型的にはSNAREタンパク質基質を切断するように機能する。
【0108】
用語「軽鎖」(又は「L鎖」)はそれらのバリアント及び断片を包含するが、ただし、前記のバリアント及び断片は依然として非細胞毒性プロテアーゼ活性を実証するものとする(これは当分野において公知の標準的なアッセイを使用して決定され得る。これらの例は本明細書に記載される)。例として、バリアントは、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、又は少なくとも98%のアミノ酸配列相同性を参照L鎖に対して有し得る。用語の断片は、L鎖に関係して使用されるときには、参照L鎖の少なくとも200、好ましくは少なくとも250、より好ましくは少なくとも300、更により好ましくは少なくとも350、最も好ましくは少なくとも400アミノ酸残基を有するペプチドを意味する。クロストリジウムL鎖のケースにおいては、断片は参照L鎖の好ましくは少なくとも300、より好ましくは少なくとも350、最も好ましくは少なくとも400アミノ酸残基である。本発明のL鎖「断片」は、参照配列に基づくバリアントL鎖の断片を包摂する。
【0109】
クロストリジウム神経毒素H鎖は、内在性の活性化ループの第2のシステインから最後のアミノ酸までとして定められ得る。加えて又は代替的に、クロストリジウム神経毒素H鎖は、内在性の活性化ループ上の切断部位のC末端のアミノ酸配列から始まると定められ得る。加えて又は代替的に、クロストリジウム神経毒素H鎖は、L及びH鎖の間のジスルフィド結合を形成し、そのため、内在性の活性化ループのC末端を画定するシステイン残基(典型的には、第2のシステイン残基)のC末端のアミノ酸から始まると定められ得る。
【0110】
転位置ドメインは、標的細胞内へのプロテアーゼの転位置を可能化する分子である。その結果、プロテアーゼ活性の機能的な発現が標的細胞のサイトゾル内で生起する。いずれかの分子(例えばタンパク質又はペプチド)が本発明の要求される転位置機能を備えるかどうかは、いくつもの従来のアッセイのいずれか1つによって確認され得る。
【0111】
例えば、Shone C. (1987)は、試験分子によって攻撃されるリポソームを採用するインビトロアッセイを記載している。要求される転位置機能の存在は、難なくモニタリングされ得るK+及び/又は標識NADのリポソームからの放出によって確認される(Shone C. (1987) Eur. J. Biochem; vol. 167(1): pp. 175-180参照)。
【0112】
さらなる例はBlaustein R. (1987)によって提供され、これは平面状のリン脂質二重膜を採用する単純なインビトロアッセイを記載している。膜は試験分子によって攻撃され、要求される転位置機能が前記の膜のコンダクタンスの増大によって確認される(Blaustein (1987) FEBS Letts; vol. 226, no. 1: pp. 115-120参照)。
【0113】
膜融合の評価及びそれゆえに本発明における使用にとって好適な転位置ドメインの同定を可能化するための追加の方法論は、Methods in Enzymology Vol 220及び221, Membrane Fusion Techniques, Parts A及びB, Academic Press 1993によって提供される。
【0114】
本発明は、バリアントドメインが依然として要求される転位置活性を実証する限りは、転位置ドメインのバリアント及び/又は断片をもまた包摂する。例として、バリアントは、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、又は少なくとも98%のアミノ酸配列相同性を参照転位置ドメインに対して有し得る。用語の断片は、転位置ドメインに関係して使用されるときには、参照転位置ドメインの少なくとも20、好ましくは少なくとも40、より好ましくは少なくとも80、最も好ましくは少なくとも100アミノ酸残基を有するペプチドを意味する。クロストリジウム転位置ドメインのケースにおいて、断片は、好ましくは、参照転位置ドメイン(例えば、HNドメイン)の少なくとも100、好ましくは少なくとも150、より好ましくは少なくとも200、最も好ましくは少なくとも250アミノ酸残基を有する。本発明の転位置「断片」は、参照配列に基づくバリアント転位置ドメインの断片を包摂する。
【0115】
転位置ドメインは、好ましくは、低いpHの条件下において脂質膜中のイオン透過性のポアの形成ができる。好ましくは、エンドソーム膜中のポア形成ができるタンパク質分子の部分のみを使用することが見出されている。
【0116】
転位置ドメインは、微生物のタンパク質供給源から、特に細菌の又はウイルスのタンパク質供給源から得られ得る。ゆえに、転位置ドメインは細菌毒素又はウイルスタンパク質などの酵素の転位置ドメインであり得る。
【0117】
細菌の毒素分子のある種のドメインはかかるポアを形成することができるということが良く立証されている。ウイルスによって発現される膜融合タンパク質のある種の転位置ドメインはかかるポアを形成することができるということもまた公知である。かかるドメインは本発明において採用され得る。
【0118】
転位置ドメインは、HNドメイン(又はその機能的コンポーネント)などのクロストリジウム起源であり得る。HNは、H鎖のアミノ末端半分とおよそ同等のクロストリジウム神経毒素のH鎖の部分若しくは断片、又はインタクトなH鎖上のその断片に対応するドメインを意味する。H鎖のHC機能はHCアミノ酸配列の欠失によって除去され得る(DNA合成レベルで又は合成後レベルでどちらかで、ヌクレアーゼ若しくはプロテアーゼ処置による)。代替的には、HC機能は化学的又は生物学的処置によって不活性化され得る。それゆえに、H鎖は、ネイティブなクロストリジウム神経毒素(すなわちホロ毒素)が結合する標的細胞上の結合部位には結合することができずにあり得る。
【0119】
好適な(参照)転位置ドメインの例は以下を包含する:
ボツリヌスA型神経毒素 - アミノ酸残基(449-871)
ボツリヌスB型神経毒素 - アミノ酸残基(441-858)
ボツリヌスC型神経毒素 - アミノ酸残基(442-866)
ボツリヌスD型神経毒素 - アミノ酸残基(446-862)
ボツリヌスE型神経毒素 - アミノ酸残基(423-845)
ボツリヌスF型神経毒素 - アミノ酸残基(440-864)
ボツリヌスG型神経毒素 - アミノ酸残基(442-863)
ボツリヌスX型神経毒素 - アミノ酸残基(461-890)
破傷風神経毒素 - アミノ酸残基(458-879)
【0120】
最近同定されたBoNT/Xでは、転位置ドメインはそのアミノ酸460~890に対応すると報告されており、L鎖及びHCの境界は可能性としておよそ10アミノ酸だけ変動する(例えば461~889又は454~891)。
【0121】
軽微な変動が血清型サブタイプに従って生起し得るので、上で同定されている参照配列はガイドと考えられるべきである。例として、US 2007/0166332(その参照によってここに組み込まれる)は軽微に異なるクロストリジウム配列を引用している:
ボツリヌスA型神経毒素 - アミノ酸残基(A449-K871)
ボツリヌスB型神経毒素 - アミノ酸残基(A442-S858)
ボツリヌスC型神経毒素 - アミノ酸残基(T450-N866)
ボツリヌスD型神経毒素 - アミノ酸残基(D446-N862)
ボツリヌスE型神経毒素 - アミノ酸残基(K423-K845)
ボツリヌスF型神経毒素 - アミノ酸残基(A440-K864)
ボツリヌスG型神経毒素 - アミノ酸残基(S447-S863)
破傷風神経毒素 - アミノ酸残基(S458-V879)
【0122】
本発明の文脈においては、転位置ドメインを含む種々のクロストリジウム神経毒素HN領域が本発明の態様において有用であり得るが、ただし、これらの活性断片は、細胞内小胞から標的細胞の細胞質中への非細胞毒性プロテアーゼ(例えばクロストリジウムL鎖)の放出を促進し、それゆえに、クロストリジウム神経毒素が基質をタンパク分解性に切断する総体的な細胞メカニズムを行使することに関与し得る。クロストリジウム神経毒素の重鎖からのHN領域は長さがおよそ410~430アミノ酸であり、転位置ドメインを含む。研究は、クロストリジウム神経毒素重鎖からのHN領域の長さ全体は転位置ドメインの転位置活性に必要ではないということを示している。それゆえに、本発明の文脈において、転位置ドメインは、例えば少なくとも350アミノ酸、少なくとも375アミノ酸、少なくとも400アミノ酸、及び少なくとも425アミノ酸の長さを有する転位置ドメインを含むクロストリジウム神経毒素HN領域を包含し得る。例えば、せいぜい350アミノ酸、せいぜい375アミノ酸、せいぜい400アミノ酸、せいぜい425アミノ酸の長さを有する転位置ドメインを含むクロストリジウム神経毒素HN領域もまた包含される。
【0123】
クロストリジウム・ボツリヌム及びC.テタニにおける毒素生産の遺伝学的な基礎についてのさらなる詳細については、我々はThe Clostridia: Molecular Biology and Pathogenesis, Academic press中のHenderson et al (1997)を参照する。
【0124】
用語のHNは、改変されたHN部分が上で言及されている転位置機能を依然として実証する限りは、天然に生起する神経毒素HN部分、並びに天然には生起しないアミノ酸配列及び/又は合成アミノ酸残基を有する改変されたHN部分を包摂する。
【0125】
代替的には、転位置ドメインは非クロストリジウムの起源であり得る。非クロストリジウム(参照)転位置ドメイン起源の例は以下を包含するが、これらに制限されない:ジフテリア毒素の転位置ドメイン(O’Keefe et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1992) 89, 6202-6206;Silverman et al., J. Biol. Chem. (1993) 269, 22524-22532;及びLondon, E. (1992) Biochem. Biophys. Acta., 1112, pp.25-51)、シュードモナス外毒素A型の転位置ドメイン(Prior et al. Biochemistry (1992) 31, 3555-3559)、炭疽毒素の転位置ドメイン(Blanke et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1996) 93, 8437-8442)、転位置機能の種々の膜融合性又は疎水性ペプチド(Plank et al. J. Biol. Chem. (1994) 269, 12918-12924;及びWagner et al (1992) PNAS, 89, pp.7934-7938)、及び両親媒性ペプチド(Murata et al (1992) Biochem., 31, pp.1986-1992)。転位置ドメインは、天然に生起するタンパク質に存在する転位置ドメインを反映し得るか、又はバリエーションが転位置ドメインの転位置能力を壊さない限りはアミノ酸のバリエーションを包含し得る。
【0126】
本発明における使用にとって好適なウイルス(参照)転位置ドメインの特定の例は、ウイルスによって発現される膜融合タンパク質のある種の転位置ドメインを包含する。例えば、Wagner et al. (1992)及びMurata et al. (1992)は、インフルエンザウイルスヘマグルチニンのN末端領域に由来するいくつもの膜融合性及び両親媒性ペプチドの転位置(すなわち、膜融合及び膜小胞形成)機能を記載している。所望の転位置活性を有することが公知の他のウイルスによって発現される膜融合タンパク質は、セムリキ森林ウイルス(SFV)の膜融合性ペプチドの転位置ドメイン、水疱性口内炎ウイルス(VSV)糖タンパク質Gの転位置ドメイン、SERウイルスFタンパク質の転位置ドメイン、及び泡沫状ウイルスエンベロープ糖タンパク質の転位置ドメインである。ウイルスによってコードされるAスパイクタンパク質、例えばSFVのE1タンパク質及びVSVのGタンパク質のGタンパク質は、本発明の文脈において特定の適用を有する。
【0127】
表(下)に挙げられている(参照)転位置ドメインの使用は、それらの配列バリアントの使用を包含する。バリアントは1つ以上の保存的な核酸置換及び/又は核酸欠失若しくは挿入を含み得るが、ただし、バリアントは要求される転位置機能を備えるものとする。バリアントが要求される転位置機能を備える限りは、バリアントは1つ以上のアミノ酸置換及び/又はアミノ酸欠失若しくは挿入をもまた含み得る。
【表B】
【0128】
クロストリジウム神経毒素HCドメイン参照配列の例は以下を包含する:
BoNT/A - N872-L1296
BoNT/B - E859-E1291
BoNT/C1 - N867-E1291
BoNT/D - S863-E1276
BoNT/E - R846-K1252
BoNT/F - K865-E1274
BoNT/G - N864-E1297
TeNT - I880-D1315
【0129】
最近同定されたBoNT/Xでは、HCドメインはそのアミノ酸893~1306に対応すると報告されており、ドメインの境界は可能性としておよそ25アミノ酸だけ変動する(例えば868~1306又は918~1306)。
【0130】
本明細書に記載されるクロストリジウム神経毒素は更に転位置促進ドメインを含み得る。前記のドメインは、標的細胞のサイトゾルへの非細胞毒性プロテアーゼの送達を促進し、例えばWO 08/008803及びWO 08/008805に記載されている。これらのそれぞれはその参照によって本明細書に組み込まれる。
【0131】
例として、好適な転位置促進ドメインは、エンベロープウイルス膜融合性ペプチドドメインを包含する。例えば、好適な膜融合性ペプチドドメインは以下を包含する:インフルエンザウイルス膜融合性ペプチドドメイン(例えば、23アミノ酸のインフルエンザAウイルス膜融合性ペプチドドメイン)、アルファウイルス膜融合性ペプチドドメイン(例えば、26アミノ酸のセムリキ森林ウイルス膜融合性ペプチドドメイン)、ベシキュロウイルス膜融合性ペプチドドメイン(例えば、21アミノ酸の水疱性口内炎ウイルス膜融合性ペプチドドメイン)、レスピロウイルス膜融合性ペプチドドメイン(例えば、25アミノ酸のセンダイウイルス膜融合性ペプチドドメイン)、モルビリウイルス膜融合性ペプチドドメイン(例えば、25アミノ酸の犬ジステンパーウイルス膜融合性ペプチドドメイン)、アブラウイルス膜融合性ペプチドドメイン(例えば、25アミノ酸のニューカッスル病ウイルス膜融合性ペプチドドメイン)、ヘニパウイルス膜融合性ペプチドドメイン(例えば、25アミノ酸のヘンドラウイルス膜融合性ペプチドドメイン)、メタニューモウイルス膜融合性ペプチドドメイン(例えば、25アミノ酸のヒトメタニューモウイルス膜融合性ペプチドドメイン)、又はスプマウイルス膜融合性ペプチドドメイン、例えばサル泡沫状ウイルス膜融合性ペプチドドメイン;或いはその断片又はバリアント。
【0132】
さらなる例として、転位置促進ドメインはクロストリジウム神経毒素HCNドメイン又はその断片若しくはバリアントを含み得る。より詳細には、クロストリジウム神経毒素HCNの転位置促進ドメインは、少なくとも200アミノ酸、少なくとも225アミノ酸、少なくとも250アミノ酸、少なくとも275アミノ酸の長さを有し得る。これについて、クロストリジウム神経毒素HCNの転位置促進ドメインは、好ましくは、せいぜい200アミノ酸、せいぜい225アミノ酸、せいぜい250アミノ酸、又はせいぜい275アミノ酸の長さを有する。具体(参照)例は以下を包含する:
ボツリヌスA型神経毒素 - アミノ酸残基(872-1110)
ボツリヌスB型神経毒素 - アミノ酸残基(859-1097)
ボツリヌスC型神経毒素 - アミノ酸残基(867-1111)
ボツリヌスD型神経毒素 - アミノ酸残基(863-1098)
ボツリヌスE型神経毒素 - アミノ酸残基(846-1085)
ボツリヌスF型神経毒素 - アミノ酸残基(865-1105)
ボツリヌスG型神経毒素 - アミノ酸残基(864-1105)
ボツリヌスX型神経毒素 - アミノ酸残基(890-1121)
破傷風神経毒素 - アミノ酸残基(880-1127)
【0133】
上の配列位置は血清型/サブタイプに従って少し変動し得る。好適な(参照)クロストリジウム神経毒素HCNドメインのさらなる例は以下を包含する:
ボツリヌスA型神経毒素 - アミノ酸残基(874-1110)
ボツリヌスB型神経毒素 - アミノ酸残基(861-1097)
ボツリヌスC型神経毒素 - アミノ酸残基(869-1111)
ボツリヌスD型神経毒素 - アミノ酸残基(865-1098)
ボツリヌスE型神経毒素 - アミノ酸残基(848-1085)
ボツリヌスF型神経毒素 - アミノ酸残基(867-1105)
ボツリヌスG型神経毒素 - アミノ酸残基(866-1105)
破傷風神経毒素 - アミノ酸残基(882-1127)
【0134】
上に記載されている促進ドメインのいずれかは、本発明における使用にとって好適である先に記載されている転位置ドメインペプチドのいずれかと組み合わせられ得る。それゆえに、例として、非クロストリジウムの促進ドメインは、非クロストリジウム転位置ドメインペプチドと又はクロストリジウム転位置ドメインペプチドと組み合わせられ得る。代替的には、クロストリジウム神経毒素HCNの転位置促進ドメインは、非クロストリジウム転位置ドメインペプチドと組み合わせられ得る。代替的には、クロストリジウム神経毒素HCNの促進ドメインは、クロストリジウム転位置ドメインペプチドと組み合わせられ得る。これらの例は以下を包含する:
ボツリヌスA型神経毒素 - アミノ酸残基(449-1110)
ボツリヌスB型神経毒素 - アミノ酸残基(442-1097)
ボツリヌスC型神経毒素 - アミノ酸残基(450-1111)
ボツリヌスD型神経毒素 - アミノ酸残基(446-1098)
ボツリヌスE型神経毒素 - アミノ酸残基(423-1085)
ボツリヌスF型神経毒素 - アミノ酸残基(440-1105)
ボツリヌスG型神経毒素 - アミノ酸残基(447-1105)
破傷風神経毒素 - アミノ酸残基(458-1127)
【0135】
いくつかの実施形態において、本発明のクロストリジウム神経毒素はクロストリジウム神経毒素の機能的なHCドメインを欠き得る。従って、前記のクロストリジウム神経毒素は、Shone et al. (1985) Eur. J. Biochem. 151, 75-82に記載されている結合アッセイにおいて、(クロストリジウムHCコンポーネントを介して)ラットシナプトソーム膜に結合する能力がない。クロストリジウム神経毒素は、好ましくは、クロストリジウム神経毒素ホロ毒素の最後の50個のC末端アミノ酸を欠き得る。クロストリジウム神経毒素は、好ましくは、クロストリジウム神経毒素ホロ毒素の最後の100、好ましくは最後の150、より好ましくは最後の200、特に好ましくは最後の250、最も好ましくは最後の300個のC末端アミノ酸残基を欠き得る。代替的には、HC結合活性は変異導入によって無効化/縮減され得る-例として、便宜のためにBoNT/Aを参照すると、ガングリオシド結合ポケット上の1つ又は2つのアミノ酸残基変異(W1266からL及びY1267からF)の改変は、HC領域がその受容体結合機能を失うことを引き起こす。相似の変異が非血清型Aクロストリジウムペプチドコンポーネントになされ得る。例えば、変異を有するボツリヌスB(W1262からL及びY1263からF)又はボツリヌスE(W1224からL及びY1225からF)に基づくコンストラクトである。活性部位の他の変異、例えばボツリヌスA型毒素のY1267S及び他のクロストリジウム神経毒素の対応する高度に保存された残基は、HC受容体結合活性の同じ削減を達成する。これ及び他の変異の詳細はRummel et al (2004) (Molecular Microbiol. 51: 631-634)に記載され、これはその参照によってここに組み込まれる。
【0136】
ネイティブなクロストリジウム神経毒素のHCペプチドはおよそ400~440アミノ酸残基を含み、各およそ25kDaの2つの機能的に別個のドメイン、つまりN末端領域(普通にはHCNペプチド又はドメインと言われる)及びC末端領域(普通にはHCCペプチド又はドメインと言われる)からなる。この事実は次の公開によって確認され、これらのそれぞれはその参照によってその全体が本明細書に組み込まれる:Umland TC (1997) Nat. Struct. Biol. 4: 788-792;Herreros J (2000) Biochem. J. 347: 199-204;Halpern J (1993) J. Biol. Chem. 268: 15, pp. 11188-11192;Rummel A (2007) PNAS 104: 359-364;Lacey DB (1998) Nat. Struct. Biol. 5: 898-902;Knapp (1998) Am. Cryst. Assoc. Abstract Papers 25: 90;Swaminathan and Eswaramoorthy (2000) Nat. Struct. Biol. 7: 1751-1759;及びRummel A (2004) Mol. Microbiol. 51(3), 631-643。その上、C末端160~200アミノ酸残基を構成するC末端領域(HCC)は、その天然の細胞受容体に対する、つまり神経筋接合部の神経終末に対するクロストリジウム神経毒素の結合を担うということが良く立証されている-この事実もまた上の公開によって確認される。それゆえに、本明細書において、クロストリジウム重鎖が機能的な重鎖HCペプチド(又はドメイン)を欠き、その結果、重鎖が、ネイティブなクロストリジウム神経毒素が結合する細胞表面受容体に結合することができないと言うことは、クロストリジウム重鎖が機能的なHCCペプチドを単純に欠くということを意味する。換言すると、神経筋接合部の神経終末に対するそのネイティブな結合能力を不活性化するために、HCCペプチド領域は、部分的に若しくは丸ごとどちらかで欠失又は別様に(例えば、従来の化学的な又はプロテオリシス的な処置によって)改変され得る。
【0137】
それゆえに、本発明のクロストリジウム神経毒素HNペプチドはC末端延長され得る。すなわち、それは、クロストリジウム神経毒素HCドメインの全て又は一部、例えばHCN、HCC、又はHCドメインを伴い得る。本明細書において本発明のクロストリジウム神経毒素HNペプチドと言うことは、かかるC末端延長したHNペプチドを包含し、これらはクロストリジウム神経毒素HCドメインからの1つ以上のアミノ酸残基を含む。代替的には、本発明のクロストリジウム神経毒素HNペプチドは、クロストリジウム神経毒素HCドメインの全て又は一部、例えばHCN、HCC、又はHCドメインを伴わずにあり(又は欠き)得る。
【0138】
典型的には、本発明のクロストリジウム神経毒素又は本発明のクロストリジウム神経毒素HNペプチドがクロストリジウム神経毒素のC末端ペプチド部分(HCC)の全て又は一部を欠く場合には、それゆえに、それはネイティブなクロストリジウム神経毒素のHC結合機能を欠く。例として、C末端延長したクロストリジウムHNペプチドは、クロストリジウム神経毒素重鎖のC末端の40アミノ酸残基、又はC末端の60アミノ酸残基、又はC末端の80アミノ酸残基、又はC末端の100アミノ酸残基、又はC末端の120アミノ酸残基、又はC末端の140アミノ酸残基、又はC末端の150アミノ酸残基、又はC末端の160アミノ酸残基を欠き得る。代替的には、本発明のクロストリジウムHNペプチドはクロストリジウム神経毒素のC末端ペプチド部分(HCC)全体を欠き得て、それゆえに、ネイティブなクロストリジウム神経毒素のHC結合機能を欠く。例として、クロストリジウムHNペプチドは、クロストリジウム神経毒素重鎖のC末端の165アミノ酸残基、又はC末端の170アミノ酸残基、又はC末端の175アミノ酸残基、又はC末端の180アミノ酸残基、又はC末端の185アミノ酸残基、又はC末端の190アミノ酸残基、又はC末端の195アミノ酸残基を欠き得る。さらなる例として、本発明のクロストリジウムHNペプチドは、以下からなる群から選択されるクロストリジウムHCC参照配列を欠く:
ボツリヌスA型神経毒素 - アミノ酸残基(Y1111-L1296)
ボツリヌスB型神経毒素 - アミノ酸残基(Y1098-E1291)
ボツリヌスC型神経毒素 - アミノ酸残基(Y1112-E1291)
ボツリヌスD型神経毒素 - アミノ酸残基(Y1099-E1276)
ボツリヌスE型神経毒素 - アミノ酸残基(Y1086-K1252)
ボツリヌスF型神経毒素 - アミノ酸残基(Y1106-E1274)
ボツリヌスG型神経毒素 - アミノ酸残基(Y1106-E1297)
ボツリヌスX型神経毒素 - アミノ酸残基(Y1122-D1306)
破傷風神経毒素 - アミノ酸残基(Y1128-D1315)。
【0139】
軽微な変動が血清型サブタイプに従って生起し得るので、上で同定されている参照配列はガイドと考えられるべきである。
【0140】
本発明は、多くの異なる種々のクロストリジウム神経毒素への適用にとって好適である。それゆえに、本発明の文脈において、用語「クロストリジウム神経毒素」は、C.ボツリヌム(ボツリヌス神経毒素血清型A、B、C1、D、E、F、G、H、及びX)、C.テタニ(破傷風神経毒素)、C.ブチリカム(ボツリヌス神経毒素血清型E)、及びC.バラティ(ボツリヌス神経毒素血清型F)によって生産される毒素、並びに前述のいずれかに由来する修飾クロストリジウム神経毒素又は誘導体を包摂する。用語「クロストリジウム神経毒素」はボツリヌス神経毒素血清型Hをもまた包摂する。好ましくは、クロストリジウム神経毒素はBoNT/A、より好ましくはBoNT/A1である。
【0141】
ボツリヌス神経毒素(BoNT)は、いくつものアクセサリータンパク質と複合体化したBoNTそれ自体からなる大きいタンパク質複合体の形態で、C.ボツリヌムによって生産される。現在のところ、ボツリヌス神経毒素の9つの異なるクラス、つまり:ボツリヌス神経毒素血清型A、B、C1、D、E、F、G、H、及びXがあり、これらの全ては類似の構造及び作用モードを共有する。異なるBoNT血清型は、特異的な中和抗血清による不活性化に基づいて区別され得る。血清型によるかかる分類はアミノ酸レベルでのパーセンテージの配列同一性と相関する。アミノ酸のパーセンテージの配列同一性に基づいて、所与の血清型のBoNTタンパク質は更に異なるサブタイプに分けられる。
【0142】
BoNTは胃腸管において吸収され、全身循環に入った後に、コリン作動性神経終末のシナプス前膜に結合し、それらの神経伝達物質アセチルコリンの放出を防止する。BoNT/B、BoNT/D、BoNT/F、及びBoNT/Gは、シナプトブレビン/小胞関連膜タンパク質(VAMP)を切断し;BoNT/C1、BoNT/A、及びBoNT/Eは25kDaのシナプトソーム関連タンパク質(SNAP-25)を切断し;BoNT/C1はシンタキシンを切断する。BoNT/XはSNAP-25、VAMP1、VAMP2、VAMP3、VAMP4、VAMP5、Ykt6、及びシンタキシン1を切断することが見出されている。
【0143】
破傷風毒素はC.テタニによって単一の血清型で生産される。C.ブチリカムはBoNT/Eを生産し、C.バラティはBoNT/Fを生産する。
【0144】
用語「クロストリジウム神経毒素」は、修飾クロストリジウム神経毒素及びそれらの誘導体を包摂することをもまた意図され、下で記載されるものを包含するが、これらに限定されない。修飾クロストリジウム神経毒素又は誘導体は、クロストリジウム神経毒素のネイティブな(未改変の)形態と比較して改変されている1つ以上のアミノ酸を含有し得るか、又はクロストリジウム神経毒素のネイティブな(未改変の)形態には存在しない1つ以上の挿入されたアミノ酸を含有し得る。例として、修飾クロストリジウム神経毒素は、ネイティブな(未改変の)クロストリジウム神経毒素配列に対して相対的に、改変されたアミノ酸配列を1つ以上のドメイン上に有し得る。かかる改変は、毒素の機能的な側面、例えば生物学的活性又は残存性を改変し得る。それゆえに、本発明のクロストリジウム神経毒素は、修飾クロストリジウム神経毒素、又は修飾クロストリジウム神経毒素誘導体、又はクロストリジウム神経毒素誘導体であり得る。特に、本発明の改変クロストリジウム神経毒素は、改変修飾クロストリジウム神経毒素、又は改変修飾クロストリジウム神経毒素誘導体、又は改変クロストリジウム神経毒素誘導体であり得る。
【0145】
修飾クロストリジウム神経毒素は1つ以上の改変を重鎖のアミノ酸配列上に有し得て(例えば、改変されたHCドメイン)、ここで、前記の改変された重鎖は、ネイティブな(未改変の)クロストリジウム神経毒素よりも高いか又は低い親和性で標的神経細胞に結合する。HCドメインのかかる改変は、標的神経細胞のガングリオシド受容体及び/又はタンパク質受容体に対する結合を変調させるHCドメインのガングリオシド結合部位上の又はタンパク質(SV2又はシナプトタグミン)結合部位上の残基を改変することを包含し得る。かかる修飾クロストリジウム神経毒素の例はWO 2006/027207及びWO 2006/114308に記載されている。これらの両方はそれらの全体が参照によってここに組み込まれる。
【0146】
修飾クロストリジウム神経毒素は、軽鎖のアミノ酸配列上の1つ以上の改変、例えば、改変されたL鎖のSNAREタンパク質特異性を変調又は改変し得る基質結合又は触媒ドメイン上の改変を有し得る。かかる修飾クロストリジウム神経毒素の例はWO 2010/120766及びUS 2011/0318385に記載されている。これらの両方はそれらの全体が参照によってここに組み込まれる。
【0147】
修飾クロストリジウム神経毒素は、修飾クロストリジウム神経毒素の生物学的な活性及び/又は生物学的な残存性を増大又は減少させる1つ以上の改変を含み得る。例えば、修飾クロストリジウム神経毒素は、ロイシン又はチロシンに基づくモチーフを含み得て、ここで、前記のモチーフは、修飾クロストリジウム神経毒素の生物学的な活性及び/又は生物学的な残存性を増大又は減少させる。好適なロイシンに基づくモチーフはxDxxxLL(配列番号60)、xExxxLL(配列番号61)、xExxxIL(配列番号62)、及びxExxxLM(配列番号63)を包含する(式中、xはいずれかのアミノ酸である)。好適なチロシンに基づくモチーフはY-x-x-Hy(配列番号64)を包含する(式中、Hyは疎水性アミノ酸である)。ロイシン及びチロシンに基づくモチーフを含む修飾クロストリジウム神経毒素の例はWO 2002/008268に記載されている。これはその全体が参照によってここに組み込まれる。
【0148】
用語「クロストリジウム神経毒素」はハイブリッド及びキメラクロストリジウム神経毒素を包摂することを意図される。ハイブリッドクロストリジウム神経毒素は、1つのクロストリジウム神経毒素又はそのサブタイプからの軽鎖の少なくともある部分と、別のクロストリジウム神経毒素又はクロストリジウム神経毒素サブタイプからの重鎖の少なくともある部分とを含む。ハイブリッドクロストリジウム神経毒素は、1つのクロストリジウム神経毒素サブタイプからの軽鎖全体と別のクロストリジウム神経毒素サブタイプからの重鎖とを含有し得る。キメラクロストリジウム神経毒素は、1つのクロストリジウム神経毒素サブタイプの重鎖のある部分(例えば結合ドメイン)を含有し、重鎖の別の部分は別のクロストリジウム神経毒素サブタイプからであり得る。キメラクロストリジウム神経毒素、特にキメラBoNTは、神経毒素の4つの主なドメイン:L鎖、HN、HCN、及びHCCの血清型又は血清型サブタイプの観点から定められ得る(本明細書において定められる通り)。例えば、配列番号69の(操作前)LHN/A1-HCB1キメラは、AABBキメラと記載され得る。類似に又は代替的に、治療用の要素は異なるクロストリジウム神経毒素からの軽鎖部分を含み得る。かかるハイブリッド又はキメラクロストリジウム神経毒素は、例えば、かかるクロストリジウム神経毒素の治療上の利益を、所与のクロストリジウム神経毒素サブタイプに対して免疫学的に耐性である患者に、所与のクロストリジウム神経毒素重鎖結合ドメインの受容体の平均よりも低い濃度を有し得る患者に、又は膜若しくは小胞毒素基質(例えばSNAP-25、VAMP、及びシンタキシン)のプロテアーゼ耐性バリアントを有し得る患者に送達する手段として、有用である。ハイブリッド及びキメラクロストリジウム神経毒素はUS 8,071,110に記載されている。この公開はその全体が参照によってここに組み込まれる。それゆえに、本発明のクロストリジウム神経毒素は、ハイブリッドクロストリジウム神経毒素、又はキメラクロストリジウム神経毒素であり得る。特に、本発明の改変クロストリジウム神経毒素は、改変ハイブリッドクロストリジウム神経毒素、又は改変キメラクロストリジウム神経毒素であり得る。
【0149】
いくつかの好ましい実施形態において、クロストリジウム神経毒素は、非BoNT/Aクロストリジウム神経毒素からの少なくとも1つのドメインを含むBoNT/Aである(例えば、BoNT/Aハイブリッド又はキメラ)。例えば、本発明のクロストリジウム神経毒素(フューリン切断部位を含む)は以下を含み得る:
i. BoNT/AのL鎖並びに非BoNT/AのHN及びHCドメイン;
ii. BoNT/AのHNドメイン並びに非BoNT/AのL鎖及びHCドメイン
iii. BoNT/AのHCドメイン並びに非BoNT/AのL鎖及びHNドメイン;
iv. BoNT/AのL鎖及びHNドメイン並びに非BoNT/AのHCドメイン
v. BoNT/AのL鎖及びHCドメイン並びに非BoNT/AのHNドメイン;又は
vi. BoNT/AのHNドメイン及びHCドメイン並びに非BoNT/AのL鎖。
【0150】
限定しない例として、本発明のクロストリジウム神経毒素(例えば、改変クロストリジウム神経毒素)は、BoNT/AのL鎖及びHNドメイン並びにBoNT/BのHCドメインを含む(例えばLHN/A1-HC/B1)。本発明に従うフューリン切断部位を含むように改変され得る例示的な操作されていないLHN/A1-HCB1キメラは、配列番号69で与えられる。配列番号69のLHN/A1-HCB1キメラの例示的な改変形態は、配列番号70で与えられる。本発明のクロストリジウム神経毒素(例えば、改変クロストリジウム神経毒素)は、BoNT/AのL鎖及びHNドメイン並びにBoNT/C1のHCドメインを含み得る。本発明のクロストリジウム神経毒素(例えば、改変クロストリジウム神経毒素)は、BoNT/AのL鎖及びHNドメイン並びにBoNT/DのHCドメインを含み得る。本発明のクロストリジウム神経毒素(例えば、改変クロストリジウム神経毒素)は、BoNT/AのL鎖及びHNドメイン並びにBoNT/EのHCドメインを含み得る。本発明のクロストリジウム神経毒素(例えば、改変クロストリジウム神経毒素)は、BoNT/AのL鎖及びHNドメイン並びにBoNT/FのHCドメインを含み得る。本発明のクロストリジウム神経毒素(例えば、改変クロストリジウム神経毒素)は、BoNT/AのL鎖及びHNドメイン並びにBoNT/GのHCドメインを含み得る。本発明のクロストリジウム神経毒素(例えば、改変クロストリジウム神経毒素)は、BoNT/AのL鎖及びHNドメイン並びにBoNT/XのHCドメインを含み得る。本発明のクロストリジウム神経毒素(例えば、改変クロストリジウム神経毒素)は、BoNT/AのL鎖及びHNドメイン並びにTeNTのHCドメインを含み得る。
【0151】
例えば、本発明のクロストリジウム神経毒素(例えば、フューリン切断部位を含む改変クロストリジウム神経毒素)は以下を含み得る:
i. BoNT/BのL鎖並びに非BoNT/BのHN及びHCドメイン;
ii. BoNT/BのHNドメイン並びに非BoNT/BのL鎖及びHCドメイン
iii. BoNT/BのHCドメイン並びに非BoNT/BのL鎖及びHNドメイン;
iv. BoNT/BのL鎖及びHNドメイン並びに非BoNT/BのHCドメイン
v. BoNT/BのL鎖及びHCドメイン並びに非BoNT/BのHNドメイン;又は
vi. BoNT/BのHNドメイン及びHCドメイン並びに非BoNT/BのL鎖。
【0152】
例えば、本発明のクロストリジウム神経毒素(例えば、フューリン切断部位を含む改変クロストリジウム神経毒素)は以下を含み得る:
i. BoNT/C1のL鎖並びに非BoNT/C1のHN及びHCドメイン;
ii. BoNT/C1のHNドメイン並びに非BoNT/C1のL鎖及びHCドメイン
iii. BoNT/C1のHCドメイン並びに非BoNT/C1のL鎖及びHNドメイン;
iv. BoNT/C1のL鎖及びHNドメイン並びに非BoNT/C1のHCドメイン
v. BoNT/C1のL鎖及びHCドメイン並びに非BoNT/C1のHNドメイン;又は
vi. BoNT/C1のHNドメイン及びHCドメイン並びに非BoNT/C1のL鎖。
【0153】
限定しない例は、非BoNT/C1要素がBoNT/D由来であるBoNT/C1キメラを包含する(すなわちBoNT/CDキメラ)。
【0154】
例えば、本発明のクロストリジウム神経毒素(例えば、フューリン切断部位を含む改変クロストリジウム神経毒素)は以下を含み得る:
i. BoNT/DのL鎖並びに非BoNT/DのHN及びHCドメイン;
ii. BoNT/DのHNドメイン並びに非BoNT/DのL鎖及びHCドメイン
iii. BoNT/DのHCドメイン並びに非BoNT/DのL鎖及びHNドメイン;
iv. BoNT/DのL鎖及びHNドメイン並びに非BoNT/DのHCドメイン
v. BoNT/DのL鎖及びHCドメイン並びに非BoNT/DのHNドメイン;又は
vi. BoNT/DのHNドメイン及びHCドメイン並びに非BoNT/DのL鎖。
【0155】
限定しない例は、非BoNT/D要素がBoNT/C1由来であるBoNT/Dキメラを包含する(すなわちBoNT/DC1キメラ)。
【0156】
例えば、本発明のクロストリジウム神経毒素(例えば、フューリン切断部位を含む改変クロストリジウム神経毒素)は以下を含み得る:
i. BoNT/EのL鎖並びに非BoNT/EのHN及びHCドメイン;
ii. BoNT/EのHNドメイン並びに非BoNT/EのL鎖及びHCドメイン
iii. BoNT/EのHCドメイン並びに非BoNT/EのL鎖及びHNドメイン;
iv. BoNT/EのL鎖及びHNドメイン並びに非BoNT/EのHCドメイン
v. BoNT/EのL鎖及びHCドメイン並びに非BoNT/EのHNドメイン;又は
vi. BoNT/EのHNドメイン及びHCドメイン並びに非BoNT/EのL鎖。
【0157】
例えば、本発明のクロストリジウム神経毒素(例えば、フューリン切断部位を含む改変クロストリジウム神経毒素)は以下を含み得る:
i. BoNT/FのL鎖並びに非BoNT/FのHN及びHCドメイン;
ii. BoNT/FのHNドメイン並びに非BoNT/FのL鎖及びHCドメイン
iii. BoNT/FのHCドメイン並びに非BoNT/FのL鎖及びHNドメイン;
iv. BoNT/FのL鎖及びHNドメイン並びに非BoNT/FのHCドメイン
v. BoNT/FのL鎖及びHCドメイン並びに非BoNT/FのHNドメイン;又は
vi. BoNT/FのHNドメイン及びHCドメイン並びに非BoNT/FのL鎖。
【0158】
例えば、本発明のクロストリジウム神経毒素(例えば、フューリン切断部位を含む改変クロストリジウム神経毒素)は以下を含み得る:
i. BoNT/GのL鎖並びに非BoNT/GのHN及びHCドメイン;
ii. BoNT/GのHNドメイン並びに非BoNT/GのL鎖及びHCドメイン
iii. BoNT/GのHCドメイン並びに非BoNT/GのL鎖及びHNドメイン;
iv. BoNT/GのL鎖及びHNドメイン並びに非BoNT/GのHCドメイン
v. BoNT/GのL鎖及びHCドメイン並びに非BoNT/GのHNドメイン;又は
vi. BoNT/GのHNドメイン及びHCドメイン並びに非BoNT/GのL鎖。
【0159】
例えば、本発明のクロストリジウム神経毒素(例えば、フューリン切断部位を含む改変クロストリジウム神経毒素)は以下を含み得る:
i. BoNT/XのL鎖並びに非BoNT/XのHN及びHCドメイン;
ii. BoNT/XのHNドメイン並びに非BoNT/XのL鎖及びHCドメイン
iii. BoNT/XのHCドメイン並びに非BoNT/XのL鎖及びHNドメイン;
iv. BoNT/XのL鎖及びHNドメイン並びに非BoNT/XのHCドメイン
v. BoNT/XのL鎖及びHCドメイン並びに非BoNT/XのHNドメイン;又は
vi. BoNT/XのHNドメイン及びHCドメイン並びに非BoNT/XのL鎖。
【0160】
例えば、本発明のクロストリジウム神経毒素(例えば、フューリン切断部位を含む改変クロストリジウム神経毒素)は以下を含み得る:
i. TeNTのL鎖並びに非TeNTのHN及びHCドメイン;
ii. TeNTのHNドメイン並びに非TeNTのL鎖及びHCドメイン
iii. TeNTのHCドメイン並びに非TeNTのL鎖及びHNドメイン;
iv. TeNTのL鎖及びHNドメイン並びに非TeNTのHCドメイン
v. TeNTのL鎖及びHCドメイン並びに非TeNTのHNドメイン;又は
vi. TeNTのHNドメイン及びHCドメイン並びに非TeNTのL鎖。
【0161】
用語「クロストリジウム神経毒素」は、新たに発見されたボツリヌス神経毒素及び非クロストリジウム微生物によって発現されるボツリヌス神経毒素様タンパク質ファミリー構成員をもまた包摂し得る。例えば、最も近い配列同一性をBoNT/Xに対して有するエンテロコッカスによってコードされる毒素、VAMP2をW89-W90で切断するBoNT/Woと呼ばれるワイセラ・オリゼーによってコードされる毒素(NCBIのRefSeq:WP_027699549.1)、VAMP2及びSNAP25を切断するエンテロコッカス・フェシウムによってコードされる毒素(GenBank:OTO22244.1)、クリセオバクテリウム・ピペロによってコードされる毒素(NCBIのRef.Seq:WP_034687872.1)、並びに蚊のBoNT様タンパク質PMP1(NCBIのRef.Seq:QEZ70852.1)である。
【0162】
用語「クロストリジウム神経毒素」は、再標的化クロストリジウム神経毒素を包摂することを意図される。再標的化クロストリジウム神経毒素では、クロストリジウム神経毒素は、標的化部分(TM)として公知の外来性のリガンド(すなわち、クロストリジウム神経毒素に由来しない)を包含するように改変される。TMは所望の標的細胞に対する結合特異性を提供するように選択され、再標的化プロセスの一部として、クロストリジウム神経毒素のネイティブな結合部分(例えばHCドメイン又はHCCドメイン)が除去され得る。再標的化テクノロジーは例えば以下に記載されている:EP-B-0689459;WO 1994/021300;EP-B-0939818;US 6,461,617;US 7,192,596;WO 1998/007864;EP-B-0826051;US 5,989,545;US 6,395,513;US 6,962,703;WO 1996/033273;EP-B-0996468;US 7,052,702;WO 1999/017806;EP-B-1107794;US 6,632,440;WO 2000/010598;WO 2001/21213;WO 2006/059093;WO 2000/62814;WO 2000/04926;WO 1993/15766;WO 2000/61192;及びWO 1999/58571;これらの全てはそれらの全体が参照によってここに組み込まれる。それゆえに、本発明のクロストリジウム神経毒素は再標的化クロストリジウム神経毒素であり得る。特に、本発明の改変クロストリジウム神経毒素は、改変再標的化クロストリジウム神経毒素であり得る。本発明の改変再標的化クロストリジウム神経毒素は、単鎖神経毒素のN若しくはC末端に提示されるTMを含み得るか、又はTMは単鎖神経毒素上で中央に提示され得る。いくつかの好ましい実施形態において、本発明の改変再標的化クロストリジウム神経毒素は、単鎖神経毒素のN又はC末端に提示されるTMを含み得る。
【0163】
再標的化クロストリジウム神経毒素を操作することは、組み換え生産された再標的化クロストリジウム神経毒素を活性化するために従来使用されるプロテアーゼ、例えばトリプシン、Lys-C、及び/又はBoNTヒドロラーゼによる切断に対して感受性であるTMの使用を可能にし得る。それゆえに、本発明に従ってフューリン活性化部位を包含するように再標的化クロストリジウム神経毒素を操作することは、従来の活性化プロテアーゼ、例えばLys-C、トリプシン、及び/又はBoNTヒドロラーゼによって活性化される対応する再標的化クロストリジウム神経毒素と比較して、安定性の改善を可能にし得る。
【0164】
本発明のクロストリジウム神経毒素(例えば、改変クロストリジウム神経毒素)は、クロストリジウム神経毒素の機能的なHCドメインを欠き、かついずれかの機能的に同等のTMをもまた欠き得る。従って、前記のポリペプチドはクロストリジウム神経毒素の天然の結合機能を欠き、Shone et al. (1985) Eur. J. Biochem. 151, 75-82に記載されている結合アッセイにおいて、(クロストリジウムHCコンポーネントを介して又はいずれかの機能的に同等のTMを介して)ラットシナプトソーム膜に結合する能力がない。好ましくは、TMは小麦胚芽アグルチニン(WGA)ペプチドではない。それゆえに、いくつかの好ましい実施形態において、クロストリジウム神経毒素は、クロストリジウム神経毒素の内在性のHC又はHCCが外来性のTMによって置き換えられている再標的化クロストリジウム神経毒素である。改変クロストリジウム神経毒素が、クロストリジウム神経毒素の内在性のHC又はHCCが外来性のTMによって置き換えられている再標的化クロストリジウム神経毒素である実施形態が、特に好ましい。
【0165】
本発明のクロストリジウム神経毒素(例えば、改変クロストリジウム神経毒素)は、本明細書において定められる通り、LHNポリペプチド(例えば、改変LHNポリペプチド)、すなわちクロストリジウムL鎖とクロストリジウムHNドメインとを含むか又はそれらからなるポリペプチドを含み得る。
【0166】
クロストリジウム神経毒素(例えば、改変クロストリジウム神経毒素)は、LHNポリペプチド(例えば、改変LHNポリペプチド)及び標的化部分(TM)を含み得る。
【0167】
本発明は、追加の非ネイティブなプロテアーゼ切断部位を有するクロストリジウム神経毒素をもまた包摂する。かかる部位は切断のために外来性のプロテアーゼを要求するであろう。これは、切断イベントのタイミング及び場所の改善されたコントロールを可能にする。クロストリジウム神経毒素に採用され得る非ネイティブなプロテアーゼ切断部位は以下を包含する:
TEV(タバコエッチウイルス) (ENLYFQ↓G) (配列番号65)
トロンビン (LVPR↓GS) (配列番号66)
PreScission (LEVLFQ↓GP)(配列番号67)。
【0168】
追加のプロテアーゼ切断部位は、非細胞毒性プロテアーゼによって、例えばクロストリジウム神経毒素の軽鎖によって切断される認識配列を包含する。これらは、クロストリジウム神経毒素の軽鎖などの非細胞毒性プロテアーゼによって切断されるSNARE(例えばSNAP-25、シンタキシン、VAMP)タンパク質認識配列を包含する。非ネイティブなプロテアーゼ切断部位を含むクロストリジウム神経毒素はUS 7,132,259、EP 1206554-B2、及びUS 2007/0166332に記載されている。これらの全てはそれらの全体が参照によってここに組み込まれる。自己切断配列であるインテインもまた用語のプロテアーゼ切断部位によって包摂される。自己スプライシング反応は、例えば、存在する還元剤の濃度を変動させることによって制御可能である。
【0169】
本発明は、「破壊的な切断部位」を含むクロストリジウム神経毒素をもまた包摂する。前記のクロストリジウム神経毒素においては、非ネイティブなプロテアーゼ切断部位が、選ばれた場所においてクロストリジウム神経毒素上に組み込まれ、その結果、前記の部位における切断はクロストリジウム神経毒素の活性を減少させるか又はそれを不活性化するであろう。破壊的なプロテアーゼ切断部位は、クロストリジウム神経毒素が投与後に非標的の場所まで移動する場合に、局所的なプロテアーゼによる切断に対して感受性であり得る。好適な非ネイティブなプロテアーゼ切断部位は上に記載されているものを包含する。破壊的な切断部位を含むクロストリジウム神経毒素はWO 2010/094905及びWO 2002/044199に記載されている。これらの両方はそれらの全体が参照によってここに組み込まれる。
【0170】
本発明のクロストリジウム神経毒素(例えば、改変クロストリジウム神経毒素)、とりわけその軽鎖コンポーネントはPEG化され得る-これは、軽鎖コンポーネントの安定性、例えば作用の持続時間を増大させることを助け得る。PEG化は、軽鎖がBoNT/A、B、又はC1プロテアーゼを含むときに特に好ましい。PEG化は、好ましくは、軽鎖コンポーネントのN末端へのPEGの追加を包含する。例として、軽鎖のN末端は、同じであり得るか又は異なり得る1つ以上のアミノ酸(例えばシステイン)残基によって延長され得る。前記のアミノ酸残基の1つ以上は、それに取り付けられた(例えば共有結合的に取り付けられた)それ自身のPEG分子を有し得る。このテクノロジーの例はWO2007/104567に記載され、これはその全体が参照によってここに組み込まれる。
【0171】
本発明のクロストリジウム神経毒素(例えば、改変クロストリジウム神経毒素)は、天然に生起するクロストリジウム神経毒素複合体に存在する複合体化タンパク質を不含であり得る。
【0172】
本発明のクロストリジウム神経毒素(例えば、改変クロストリジウム神経毒素)は、組み換え核酸テクノロジーを使用して生産され得る。それゆえに、改変クロストリジウム神経毒素(上に記載されている通り)には、組み換えの改変クロストリジウム神経毒素があり得る。単鎖クロストリジウム神経毒素(本明細書に記載される通り)は組み換え単鎖神経毒素であり得る。
【0173】
本発明の改変クロストリジウム神経毒素に対する忍容性は、対応する(操作前)クロストリジウム神経毒素に対する忍容性と比較して増大し得る。特に、本発明の改変クロストリジウム神経毒素に対する忍容性は、操作前クロストリジウム神経毒素が(例えば二鎖形態で)投与されるときの対応する(操作前)クロストリジウム神経毒素に対する忍容性と比較して増大し得る。
【0174】
本発明の改変クロストリジウム神経毒素は、対応する(操作前)クロストリジウム神経毒素の力価と比較して同等の又は増大した力価を有し得る。特に、本発明の改変クロストリジウム神経毒素の力価は、操作前クロストリジウム神経毒素が二鎖形態で投与されるときの対応する(操作前)クロストリジウム神経毒素の力価と同等であり得るか、又はそれと比較して増大し得る。本明細書において使用される用語「同等の力価」は、改変クロストリジウム神経毒素が、対応する(操作前)クロストリジウム神経毒素の力価の少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、最高で約100%までの力価を有するということを意味する。好ましくは、本明細書において使用される「同等の力価」は、改変クロストリジウム神経毒素が、対応する(操作前)クロストリジウム神経毒素の力価の少なくとも約95%、少なくとも約99%、少なくとも約100%、少なくとも約101%、最高で約105%までの力価を有するということを意味する。本明細書において使用される用語「増大した力価」は、改変クロストリジウム神経毒素が、対応する(操作前)クロストリジウム神経毒素の力価と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%多大な力価という力価を有するということを意味する。力価はいずれかの適当なアッセイを使用して測定され得る。これらの従来の例は本明細書に記載される。
【0175】
本発明の改変クロストリジウム神経毒素は、典型的には、対応する(操作前)クロストリジウム神経毒素の安全性プロファイル及び/又は治療ウインドウと比較して、改善された安全性プロファイル及び/又は治療ウインドウを有する。理論によって拘束されることなしに、これはその改善された忍容性及び/又は同等の若しくは増大した力価のおかげであり得る。特に、本発明の改変クロストリジウム神経毒素は、操作前のクロストリジウム神経毒素が(例えば二鎖形態で)投与されるときの対応する(操作前)クロストリジウム神経毒素の安全性プロファイル及び/又は治療ウインドウと比較して、改善された安全性プロファイル及び/又は治療ウインドウを有し得る。
【0176】
これらの有利な特性(これらは治療指数の増大を表す)が定められ得る1つのやり方は、改変クロストリジウム毒素の安全率(臨床の適用について)又は忍容性指数(TI、動物モデルによる)の観点からである。これについて、クロストリジウム神経毒素の望まれない効果(例えば、投与部位からの神経毒素の拡散によって引き起こされるもの)は、妥当な動物モデル(例えば、体重の低下が投与の7日以内に検出されるマウス)におけるパーセンテージの体重低下を測定することによって実験的に評価され得る。クロストリジウム毒素の所望のオンターゲット効果は、目当ての標的細胞に依存していずれかの適当な技術によって実験的に評価され得る。好適なアッセイは当分野において公知であり、所与の標的細胞型のための適当なアッセイを選択することは当業者にとっては慣例であろう。運動ニューロンを標的化する本発明のクロストリジウム神経毒素では、筋肉麻痺の測定の指外転スコア(DAS)アッセイが使用され得る。DASアッセイは、マウス腓腹筋/ヒラメ筋複合体へのゼラチンリン酸緩衝液中に製剤された20μlの(改変)クロストリジウム毒素の注射、次にAoki (Aoki KR, Toxicon 39: 1815-1820; 2001)の方法を使用する指外転スコアの評価によって行われ得る。DASアッセイでは、マウスは特徴的な驚愕反応を引き出すために尾で手短にぶら下げられる。これにおいては、マウスはその後肢を伸展し、その後肢指を外転する。クロストリジウム神経毒素注射後に、指外転の様々な度合いが5点スケールでスコア付けされる(0=正常から4=指外転及び足伸展の最大の縮減)。ニューロンの他のサブタイプを標的化する本発明のクロストリジウム神経毒素については、当分野において公知のいずれかの適当なアッセイが使用され得る。SNARE切断アッセイもまた本発明の改変クロストリジウム神経毒素の活性を評価するために使用され得る。これの例は当分野において良く記載されている(例えばウエスタンブロット)。マーカーシグナル伝達分子の放出に対する改変クロストリジウム神経毒素の効果を検出及び/又は定量するためのアッセイもまた使用され得る。具体的なマーカーシグナル分子は、改変クロストリジウム神経毒素によって標的化される細胞型(単数又は複数)に依存して選択され得る。例えば、シグナル伝達分子は、ホルモン分泌に関わる細胞又は痛み感知ニューロンが標的化されるかどうかに依存して、ホルモン、サブスタンスP、CGRP、グルタミン酸、グリシンであり得る。痛みの処置については、侵害刺激に対するより多大な忍容性があるかどうかを評価するための動物研究が使用され得る。典型的なインビボアッセイは異なる型の痛み(例えば機械、冷温、熱)を測定し、リードアウトは行動であり得るか(例えば、処置された部位を舐めること/噛むこと、又は侵害刺激からの逃避)、又はフォンフライ試験の使用が関わり得る。いずれかの適当な痛覚試験が使用され得る。かかる試験の例は当分野において周知である。
【0177】
それから、クロストリジウム神経毒素の安全率又はTIは、体重の10%降下(マウスにおいて、投薬後の最初の7日以内のピークの効果において測定される)に要求される毒素の量と2のDASスコアに要求される毒素の量との間の比率として表現され得る。よって、高い安全率又はTIスコアが望まれ、望まれないオフターゲット効果ほとんどなしに標的筋肉を有効に麻痺させる能力がある毒素を指示する。本発明の改変毒素は、同等の未改変の(操作前)単鎖クロストリジウム神経毒素の安全率及び/又はTIよりも高い安全率及び/又はTIを有し得る。TIの計算は使用される実験モデルに依存して変動し得る。
【0178】
例えば、DASマウスモデルでは、本発明の改変クロストリジウム毒素は、少なくとも8(例えば、少なくとも8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、又は50)のTIを有し、ここで、TIは以下として計算される:DASのED50(pg/マウス)によって除算された-10%の体重変化に要求される毒素の用量(pg/マウス)[ED50=2のDASスコアを生ずるために要求される用量]。
【0179】
臨床使用では、安全率が計算され得る。
【0180】
本発明は、本明細書に記載されるクロストリジウム神経毒素(例えば、改変クロストリジウム神経毒素)をコードする核酸配列を含む核酸(例えばDNA又はRNA)を提供する。核酸配列は、核酸がプロモーターに作動可能に連結されている発現ベクターの一部として調製され得る。好ましくは、核酸は、プロモーター及びターミネーターを含むDNA発現ベクターの一部として調製され得る。
【0181】
好ましくは、ベクターは以下から選択され得るプロモーターを有する:
プロモーター / 誘導薬剤 / 典型的な誘導条件
Tac(ハイブリッド) / IPTG / 0.2mM(0.05~2.0mM)
AraBAD / L-アラビノース / 0.2%(0.002~0.4%)
T7-lacオペレーター / IPTG / 0.2mM(0.05~2.0mM)
【0182】
代替的には、プロモーターは好ましくは以下から選択され得る:
プロモーター / 誘導薬剤 / 典型的な誘導条件
Tac(ハイブリッド) / IPTG / 0.2mM(0.05~2.0mM)
AraBAD / L-アラビノース / 0.2%(0.002~0.4%)
T7-lacオペレーター / IPTG / 0.2mM(0.05~2.0mM)
T5-lacオペレーター / IPTG / 0.2mM(0.05~2.0mM)
【0183】
本発明の核酸分子は、当分野において公知のいずれかの好適なプロセスを使用して作られ得る。それゆえに、核酸分子は化学合成技術を使用して作られ得る。代替的には、本発明の核酸分子は分子生物学技術を使用して作られ得る。
【0184】
本発明の核酸分子及び発現ベクターは、好ましくはインシリコで設計され、それから、従来のDNA合成技術を包含する従来の合成技術によって合成され得る。
【0185】
上で言及されている核酸配列情報は、随意により、採用されるべきである最終的なホスト細胞(例えばE.コリ)発現系に従うコドンバイアスのために改変される。
【0186】
本発明は、本発明の改変クロストリジウム神経毒素をコードするヌクレオチド配列を提供する。本発明のヌクレオチド配列は、配列番号1のフューリン切断部位を含むポリペプチドをコードする。
【0187】
ヌクレオチド配列は、配列番号23に対して少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含み得る。ヌクレオチド配列は、配列番号23に対して少なくとも80%又は90%の配列同一性を有する配列を含み得る。好ましくは、ヌクレオチド配列は配列番号23を含む(より好ましくはそれからなる)。ヌクレオチド配列は、配列番号24又は70から78の1つ以上に対して少なくとも70%の配列同一性を有する改変クロストリジウム神経毒素をコードし得る。ヌクレオチド配列は、配列番号24又は70から78の1つ以上に対して少なくとも80%又は90%の配列同一性を有する改変クロストリジウム神経毒素をコードし得る。好ましくは、ヌクレオチド配列は、配列番号24又は70から78のいずれか1つを含む(より好ましくはそれからなる)改変クロストリジウム神経毒素をコードする。
【0188】
用語「ヌクレオチド配列」及び「核酸」及び「ポリヌクレオチド」は本明細書においては同義的に使用される。好ましくは、ヌクレオチド配列はDNA配列である。
【0189】
本発明は、軽鎖及び重鎖を有する単鎖(改変)クロストリジウム神経毒素タンパク質を生産する方法を提供し、方法は、本明細書に記載されるポリヌクレオチド又は発現ベクターを好適なホスト細胞ににおいて発現することと、発現された改変クロストリジウム神経毒素を回収することとを含む。発現された改変クロストリジウム神経毒素を回収することは、ホスト細胞をリシスして、単鎖(改変)クロストリジウム神経毒素タンパク質を含有するホスト細胞ホモジネートを提供すること、及び/又は単鎖(改変)クロストリジウム神経毒素タンパク質を単離することを含み得る。前記の方法は、更に、本明細書に記載されるポリヌクレオチド又は発現ベクターをホスト細胞に導入するステップを含み得る。好適なホスト細胞は、クロストリジウム神経毒素の組み換え生産に使用される細菌細胞株、特にエシェリヒア・コリ細胞を包含する。
【0190】
本発明は、本発明の(改変)クロストリジウム神経毒素を対応する二鎖クロストリジウム神経毒素へとタンパク分解性にプロセシングするための方法を提供し、方法は、(改変)クロストリジウム神経毒素をフューリンと接触させ、それによって二鎖クロストリジウム神経毒素を生産することを含む(例えば、ここで、軽鎖及び重鎖はジスルフィド結合によって一緒に繋がれる)。
【0191】
よって、本発明は、本発明の方法によって得られ得る二鎖クロストリジウム神経毒素を提供する。
【0192】
本明細書において使用される用語「得られ得る」は、用語「得られる」をもまた包含する。好ましくは用語「得られ得る」は得られるを意味する。
【0193】
改変クロストリジウム神経毒素の活性化
【0194】
本発明は、本発明の改変クロストリジウム神経毒素を対応する二鎖クロストリジウム神経毒素へとタンパク分解性にプロセシングするための方法を提供し、方法は、改変クロストリジウム神経毒素をフューリンと接触させ、それによって二鎖クロストリジウム神経毒素を生産することを含む。前記の接触は、インビトロ、エクスビボ、又はインビボ、好ましくはインビボであり得る。そのため、本発明の治療上の方法及び使用は、標的細胞における又はそれによるフューリン発現によるフューリン活性化部位における切断による、本発明の改変クロストリジウム神経毒素のインビボ活性化を含み得る。
【0195】
それゆえに、本発明の方法は、更に、改変クロストリジウム神経毒素をフューリンと接触させ、それによって対応する二鎖の改変クロストリジウム神経毒素を生産することを含み得る。好ましくは前記の接触はインビボで生起する。
【0196】
本発明は、単鎖クロストリジウム神経毒素を対応する二鎖クロストリジウム神経毒素へとタンパク分解性にプロセシングするための方法をもまた提供し、方法は以下を含む:(a)単鎖クロストリジウム神経毒素を提供すること;及び(b)単鎖クロストリジウム神経毒素をフューリンと接触させること;ここで、単鎖クロストリジウム神経毒素は、本明細書に記載されるフューリン切断部位(例えば配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、又は配列番号5)を含むか又はそれからなる活性化ループを有し;かつここで、フューリンは活性化ループのペプチド結合を加水分解し、それによって二鎖クロストリジウム神経毒素を生産する。好ましくは前記の接触はインビボで生起する。
【0197】
本発明は、単鎖クロストリジウム神経毒素(例えば、本発明の改変クロストリジウム神経毒素)をフューリンと接触させることを包含し、ここで、フューリンは単鎖クロストリジウム神経毒素の活性化ループ上のペプチド結合を加水分解することができ、それによって二鎖クロストリジウム神経毒素を生産する。好ましくは前記の接触はインビボで生起する。
【0198】
フューリンはある範囲のモチーフに対する特異性を有するプロタンパク質コンベルターゼであり、2つのアミノ酸によって分離された一対のアルギニン残基の近くで切断する。用語「フューリン」は、本明細書に記載されるフューリン、並びに配列番号1のペプチド結合を加水分解することができる構造的及び/又は機能的類似性(好ましくは構造的及び機能的類似性)を有するいずれかのプロテアーゼを包含する。好適なフューリンはヒトフューリンであり、これはUniProtアクセッションNo.P09958を有する(配列のバージョン2、1990年4月1日に寄託)。ヒトフューリンはメルクから市販である(#F2677及び#SRP6274)。インビトロの及びエクスビボの使用では、標準的な/所望の条件下において本発明の改変クロストリジウム神経毒素を活性化するためのフューリンの適当な濃度/単位量を決定することは、当業者の慣行の内である。
【0199】
本発明の文脈において、用語「フューリン」は、配列番号59に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を包含する。それゆえに、「フューリン」は、配列番号59に対して少なくとも80%又は90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み得る。好ましくは、フューリンは配列番号59を含む(より好ましくはそれからなる)。
【0200】
接触は、前記のクロストリジウム神経毒素の活性化ループよりも外側のペプチド結合の加水分解なしに又は実質的な加水分解なしに、単鎖クロストリジウム神経毒素の30%、40%、50%、又は60%超(好ましくは70%超)が対応する二鎖クロストリジウム神経毒素へとタンパク分解性にプロセシングされるという生産をもたらすいずれかの好適な条件下において生起し得る。「実質的な加水分解なし」は、接触したクロストリジウム神経毒素の5%、4%、3%、2%、又は1%未満が、本発明の方法においてフューリンによって加水分解された活性化ループよりも外側のペプチド結合を含有するということを意味し得る。
【0201】
当業者は、上を達成するための適当な反応時間、温度、緩衝液、及びプロテアーゼ対単鎖クロストリジウム神経毒素のモル比を選択し得る。かかる条件の最適化は、慣例の技術、例えば前記の接触後の反応産物のSDS-PAGE(例えば、クマシー又は類似の感度の色素によって染色される)視覚分析又は分光技術(例えば質量分析)を使用して、経験的に決定され得る。
【0202】
SDS-PAGE(例えば、クマシー又は類似の感度の色素によって染色される)によって評価されるときに、本発明の方法は好ましくはクロストリジウム神経毒素L鎖及びH鎖のみの生産をもたらす。
【0203】
本発明の方法におけるフューリンによるプロテオリシス的なプロセシングは、典型的には、クロストリジウム神経毒素L鎖又はH鎖の5つ未満の分解産物、より好ましくは4、3、2、又は1つ未満の分解産物の生産をもたらす。好ましくは、本発明の方法によって生産されるL鎖及びH鎖は全長L鎖及びH鎖である。
【0204】
好ましくは、本発明の方法におけるフューリンによるプロセシングは、配列番号1のC末端Argの直ちにC末端のペプチド結合のみを加水分解する。
【0205】
本発明の改変クロストリジウム神経毒素のインビトロのフューリンによって媒介される活性化のためには、活性化のためのいずれかの適当な条件が使用され得る。好適な条件を決定することは当業者の慣行の内である。限定しない例として、15単位のフューリンが1mgの改変クロストリジウム神経毒素あたり使用され、活性化が約25℃の温度で一晩実施され得る。
【0206】
多くの細胞は、フューリンを内在的に、特にゴルジ装置及び核質において発現する。細胞によって発現されたフューリンは典型的には細胞表面にもまた存在する。よって、本発明に従ってクロストリジウム神経毒素をフューリンと接触させるステップは、クロストリジウム神経毒素によって処置される細胞の表面において又はその近傍において生起し得る。換言すると、本発明に従ってクロストリジウム神経毒素をフューリンと接触させることには、内在的に細胞表面に存在するフューリンが関わり得る。従って、本発明に従ってクロストリジウム神経毒素をフューリンと接触させることは、個体へのクロストリジウム神経毒素の投与後にインビボで生起し得る。接触ステップがインビボで生起するときには、それには、典型的には、本発明に従って処置されるべき組織又は臓器に存在する1つ以上の細胞の表面に内在的に存在するフューリンが関わる。
【0207】
本発明は、本発明の方法によって得られ得る二鎖クロストリジウム神経毒素をもまた提供する。二鎖形態への活性化は本明細書に記載される通りフューリン切断部位における切断によって生起するので、二鎖クロストリジウム神経毒素のもたらされるC及びN末端の切断された端は、対応する(操作前)クロストリジウム神経毒素と比較して配列が異なるであろう。限定しない例として、フューリンによる配列番号24の改変単鎖BoNT/A1のプロテオリシス的なプロセシングは、配列KKRで終わるC末端を有するLCとSTSで始まるN末端を有するHCとを有する二鎖をもたらすであろう。対照的に、(操作前)BoNT/Aの従来のトリプシン切断は、配列TSKで終わるC末端を有するLCとALNDLCで始まるN末端を有するHCとを有する二鎖をもたらすであろう。これらの二鎖クロストリジウム神経毒素は、本明細書に記載される治療に使用され得る。本発明の改変又は単鎖のクロストリジウム神経毒素の文脈における治療上の適応症及び製剤に関係する本明細書の全ての開示は、別様に申し立てられない限り、本発明の方法によって得られ得る二鎖クロストリジウム神経毒素に等しくかつ無条件に適用される。
【0208】
単鎖クロストリジウム神経毒素
【0209】
クロストリジウム神経毒素治療学の分野におけるコンセンサスは、クロストリジウム神経毒素は患者への投与に先立ってそれらの二鎖形態へと活性化されなければならないということである。活性化は、必要な切断特異性を有する従来の活性化プロテアーゼ、例えばLys-C、トリプシン、及び/又はBoNTヒドロラーゼを介してであり得る。当分野におけるこの確立された先入観と一致して、これまで、単鎖クロストリジウム神経毒素は治療に使用されていない。
【0210】
本発明者は、単鎖BoNT/A1はネイティブな二鎖BoNT/A1よりも低い活性をインビボで有するが、それは依然として治療上の効果を引き出すことができるということをもまた示した(本明細書の実施例において単鎖BoNT/A1を使用して引き出されるDASスコアによる証明の通り)。当分野における従来の常識は、クロストリジウム神経毒素は臨床的に有効性があるためには活性な二鎖形態で投与されることを必要とするということであるので、これは驚くべきことである。これらのデータに基づいて、本発明者は、単鎖BoNT/A1などの単鎖クロストリジウム神経毒素が、投与に先立つ二鎖形態への活性化を要求することなしに治療上のポテンシャルを有するということを認める最初の者である。
【0211】
従って、本発明は、ボツリヌス神経毒素による治療の必要性が示される疾患又は障害を予防又は処置する方法における使用のためのクロストリジウム神経毒素を提供し、ここで、クロストリジウム神経毒素は単鎖形態で対象に投与される。
【0212】
本発明は、ボツリヌス神経毒素による治療の必要性が示される疾患又は障害を予防又は処置する方法における使用のための、クロストリジウム神経毒素を含む医薬組成物をもまた提供し、ここで、対象に投与される医薬組成物中のクロストリジウム神経毒素は単鎖形態である。
【0213】
典型的には、かかる方法における使用のための単鎖クロストリジウム神経毒素、又はかかる方法における使用のための前記の単鎖クロストリジウム神経毒素を含む医薬組成物は、クロストリジウム神経毒素の二鎖形態を実質的に含まない。本明細書において使用される用語「実質的に含まない」は、以下を含むクロストリジウム神経毒素又は医薬組成物として定められ得る:100ngの単鎖クロストリジウム神経毒素あたり400pg未満の二鎖クロストリジウム神経毒素、又は100ngの単鎖クロストリジウム神経毒素あたり300pg未満の二鎖クロストリジウム神経毒素、又は100ngの単鎖クロストリジウム神経毒素あたり200pg未満の二鎖クロストリジウム神経毒素、又は100ngの単鎖クロストリジウム神経毒素あたり100pg未満の二鎖クロストリジウム神経毒素、又は100ngの単鎖クロストリジウム神経毒素あたり50pg未満の二鎖クロストリジウム神経毒素。二鎖クロストリジウム神経毒素を実質的に含まない本発明の医薬組成物は、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、又は0.05%未満の二鎖クロストリジウム神経毒素、好ましくは0.1%未満の二鎖クロストリジウム神経毒素を含み得る。
【0214】
本明細書の実施例において実証される通り、単鎖クロストリジウム神経毒素は、典型的には、対応するクロストリジウム神経毒素の二鎖形態よりも低力価である(二鎖は活性な形態であるので)。限定しない例として、単鎖形態のクロストリジウム神経毒素は、(特に、単鎖及び二鎖形態が同じ用量で投与されるときの)対応する二鎖クロストリジウム神経毒素と比較して、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又はより多くの力価を有し得る。さらなる限定しない例として、単鎖形態のクロストリジウム神経毒素は、(特に、単鎖及び二鎖形態が同じ用量で投与されるときの)対応する二鎖クロストリジウム神経毒素と比較して、5倍、10倍、又は20倍低力価であり得る。さらなる限定しない例として、単鎖形態のクロストリジウム神経毒素は、(特に、単鎖及び二鎖形態が同じ用量で投与されるときの)対応する二鎖クロストリジウム神経毒素と比較して、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%長いか、又はより多くの、半分の麻痺までの時間を有し得る。力価はいずれかの適当なアッセイを使用して測定され得る。これらの従来の例は本明細書に記載される。
【0215】
同じクロストリジウム神経毒素の単鎖及び二鎖形態の間の力価のいずれかの違いにかかわらず、同じ治療上の効果が、可能性として、同じクロストリジウム神経毒素の二鎖形態の治療用の用量に対して相対的に増大した用量で、単鎖クロストリジウム神経毒素を使用して達成され得る。単鎖クロストリジウム神経毒素は、対応する二鎖クロストリジウム神経毒素の用量の少なくとも2倍(2×)、少なくとも3×、少なくとも4×、少なくとも5×、少なくとも10×、少なくとも15×、少なくとも20×の用量で使用され得る。
【0216】
クロストリジウム神経毒素の単鎖形態の使用は、対応する二鎖クロストリジウム神経毒素の使用と比べて、いろいろな可能性としての利点を提供する。単鎖形態でのクロストリジウム神経毒素の投与は、特に同じ用量で投与される場合の対応する二鎖クロストリジウム神経毒素の投与と比較して、より少数の及び/又はより重症でない副作用を生じさせる。
【0217】
単鎖クロストリジウム神経毒素を使用することの別の可能性としての利点は、臨床的に許容される医薬/美容組成物を生産するための単鎖クロストリジウム神経毒素のGMP生産は、より容易かつ安価であろうということである。これは、生産プロセスの間に及び投与に先立って単鎖クロストリジウム神経毒素を活性な二鎖形態へと切断するために従来使用されるプロテアーゼが、有意な試薬コストであるからである。よって、前記のプロテアーゼの必要を除去することは製造コストを縮減するであろう。加えて、従来の製造プロトコールには、必然的に、活性化プロテアーゼから二鎖クロストリジウム神経毒素を精製するための1つ以上の追加の精製ステップが関わる。投与に先立つ活性化の必要がなく、ゆえに製造プロセスにおいてプロテアーゼを使用する必要がない場合には、これらの追加の精製ステップもまた省かれ、コスト、製造プロセスの複雑さ、及び生産時間を更に縮減し得る。
【0218】
本発明は、ボツリヌス神経毒素の適用が指示される美容上の適応症を防止又は緩和するための、単鎖クロストリジウム神経毒素と美容上許容される担体、賦形剤、希釈剤、アジュバント、噴霧剤、及び/又は塩とを含む美容組成物の使用をもまた提供し、ここで、単鎖クロストリジウム神経毒素は単鎖形態で対象に投与される。
【0219】
本発明に従う使用のための単鎖クロストリジウム神経毒素は、典型的には、対象内に存在する内在性のプロテアーゼ(単数又は複数)によって活性な二鎖クロストリジウム神経毒素を生産するように切断される。典型的には、対象の標的細胞は、単鎖クロストリジウム神経毒素を二鎖形態へと活性化する内在性のプロテアーゼ(単数又は複数)を発現する。従って、本発明に従って対象に投与された単鎖クロストリジウム神経毒素の活性化は、典型的には、対象への単鎖クロストリジウム神経毒素の投与後にインビボで生起する。プロテアーゼ(単数又は複数)は、典型的には、本発明に従って処置されるべき組織又は臓器に存在する1つ以上の細胞に内在的に存在する。
【0220】
クロストリジウム神経毒素に関係する本明細書のいずれかの及びすべての開示は、はっきりとそれとは反対に申し立てられない限り、単鎖クロストリジウム神経毒素による対象の処置に関係する本発明の態様に等しくかつ無条件で適用される。限定しない例として、本発明は、いずれかのBoNT血清型、特にBoNT/A、好ましくはBoNT/A1の単鎖形態である単鎖クロストリジウム神経毒素による対象の処置に関する。例示的なBoNT配列、特にBoNT/A、更により具体的にはBoNT/A1が本明細書に記載される。さらなる限定しない例として、本発明は、本明細書に記載される再標的化クロストリジウム神経毒素、キメラクロストリジウム神経毒素、ハイブリッドクロストリジウム神経毒素、又はそのいずれかの断片若しくはバリアントの単鎖形態である単鎖クロストリジウム神経毒素による対象の処置に関する。
【0221】
治療及び製剤
【0222】
本発明のクロストリジウム神経毒素は、好適には、医療及び/又は美容における有用性を見出す。使用中に、本発明の改変クロストリジウム神経毒素は本明細書に記載される通りフューリンによってインビボで切断され得るので、クロストリジウム神経毒素は好ましくは投与のためには単鎖形態である。代替的には、本発明の改変クロストリジウム神経毒素は投与のためには(例えば本発明の方法によって得られた)二鎖形態であり得る。
【0223】
本発明の(改変)クロストリジウム神経毒素は、ある種の医療上の又は美容上の疾患及び状態を予防又は処置するために使用され得る。それゆえに、さらなる態様において、本発明は、医療における使用のための上に記載されている(改変)クロストリジウム神経毒素を提供する。加えて、本明細書に記載される通り、本発明は、ある種の医療上の又は美容上の疾患及び状態を予防又は処置するための使用のための、単鎖クロストリジウム神経毒素に関し、ここで、単鎖クロストリジウム神経毒素は対象に投与される。加えて、本明細書に記載される通り、本発明は、ある種の医療上の又は美容上の疾患及び状態を予防又は処置するための使用のための、本発明の方法によって得られ得る二鎖クロストリジウム神経毒素に関し、ここで、本発明の方法によって得られ得る二鎖クロストリジウム神経毒素は対象に投与される。それゆえに、さらなる態様において、本発明は、医療における使用のための上に記載されている(改変)クロストリジウム神経毒素を提供する。
【0224】
従って、本発明は、以下から選択される疾患又は状態の予防又は処置における使用のための、上に記載されているクロストリジウム神経毒素(例えば改変クロストリジウム神経毒素)を提供する:不必要な免疫分泌に関連する状態、斜視、眼瞼痙攣、横目、ジストニア(例えば痙攣性ジストニア、顎口腔ジストニア、局所性ジストニア、遅発性ジストニア、喉頭ジストニア、四肢ジストニア、頸部ジストニア)、斜頸(例えば痙性斜頸)、細胞/筋肉の能力喪失から益する美容療法(美容)適用(SNARE下方制御又は不活性化を介する)、眼球運動の神経筋障害又は状態(例えば共同性斜視、上下斜視、外直筋麻痺、眼振、甲状腺性ミオパチー)、書痙、ブラキシズム、ウィルソン病、振戦、チック、髄節性ミオクローヌス、スパスム、慢性の多発性硬化症を原因とする痙縮、異常な膀胱の制御をもたらす痙縮、アニスムス(animus)、背部痙攣、こむら返り、骨盤挙筋症候群、二分脊椎、遅発性ジスキネジア、パーキンソン病、吃音、片側顔面痙攣、眼瞼障害、脳性麻痺、局所痙縮、痙攣性大腸炎、神経因性膀胱、アニスムス、四肢痙縮、チック、振戦、ブラキシズム、裂肛、アカラシア、摂食嚥下障害、流涙、多汗症、唾液分泌過剰、胃腸分泌過剰、筋痛(例えば、筋攣縮からの痛み)、頭痛の痛み(例えば緊張性頭痛又は偏頭痛)、ファントムペイン(例えば幻肢痛)、眉間の深皺、皮膚の皺、癌、子宮の障害、泌尿生殖器系障害、泌尿生殖器系-神経系障害、膀胱痛症候群、間質性膀胱炎、慢性の神経原性炎症、及び平滑筋障害。いくつかの場合には、状態はファントムペイン(例えば幻肢痛)及び膀胱痛症候群から選択され得る。類似に、本発明は、上で言及されている疾患又は状態の処置又は防止における使用のための、本発明の方法によって得られ得る単鎖クロストリジウム神経毒素及び二鎖クロストリジウム神経毒素にもまた関する。
【0225】
本発明のクロストリジウム神経毒素(例えば、改変クロストリジウム神経毒素)がBoNT/X配列(又はその部分)を含む場合には、前記のクロストリジウム神経毒素は、VAMP4、VAMP5、及び/又はYkt6を切断するその能力を原因として、ニューロン以外の他の型の分泌細胞を標的化する能力があり得る。いくつかの実施形態において、標的化される分泌細胞は分泌免疫細胞である。本明細書において使用される「分泌免疫細胞」は、サイトカイン、ケモカイン、又は抗体を分泌する免疫細胞を言う。かかる分泌免疫細胞は、限定なしに、ナチュラルキラー細胞、マスト細胞、好酸球、好塩基球、マクロファージ、好中球、及び樹状細胞を包含する自然免疫細胞であり得る。抗体を分泌する分泌免疫細胞(例えば白血球)もまた、本開示のクロストリジウム神経毒素によって標的化され得る。抗体分泌細胞の限定しない例は、限定なしに、プラズマB細胞、プラズモサイト、プラズマ細胞、及びエフェクターB細胞を包含する。いくつかの実施形態において、クロストリジウム神経毒素は免疫応答を調節し得る。それゆえに、更に、本明細書においては、不必要な分泌、好ましくは不必要な免疫分泌に関連する状態を処置するための、本発明のクロストリジウム神経毒素の治療上の使用が企図される。不必要な免疫分泌に関連する状態は、限定なしに以下を包含する:炎症、乾癬、アレルギー、血球貪食性リンパ組織球症、及びアルコール性膵臓疾患。
【0226】
本発明は、本明細書に記載される疾患又は障害を予防又は処置するための方法における使用のための医薬の製造における、上に記載されているクロストリジウム神経毒素(例えば、本発明の方法によって得られ得る改変クロストリジウム神経毒素、単鎖クロストリジウム神経毒素、又は二鎖クロストリジウム神経毒素)の使用をもまた提供する。
【0227】
本発明は、本明細書に記載される疾患又は障害を処置する方法をもまた提供し、前記の方法は、治療上有効量の上に記載されているクロストリジウム神経毒素(例えば、本発明の方法によって得られ得る改変クロストリジウム神経毒素、単鎖クロストリジウム神経毒素、又は二鎖クロストリジウム神経毒素)を、その必要がある対象に投与することを含む。
【0228】
本発明は、本発明の(改変)クロストリジウム神経毒素又は二鎖クロストリジウム神経毒素と、薬学的に許容される担体、賦形剤、アジュバント、噴霧剤、及び/又は塩とを含む医薬組成物を提供する。好ましくは、(改変)クロストリジウム神経毒素は単鎖形態である(例えば、フューリン切断部位を含むように改変された)。
【0229】
本発明は、本発明の(改変)クロストリジウム神経毒素又は本発明の二鎖クロストリジウム神経毒素と、美容上許容される担体、賦形剤、希釈剤、アジュバント、噴霧剤、及び/又は塩とを含む美容組成物をもまた提供する。本発明は、ボツリヌス神経毒素の適用が指示される美容上の適応症を防止又は緩和するための、クロストリジウム神経毒素(例えば、本発明の方法によって得られ得る改変クロストリジウム神経毒素、単鎖クロストリジウム神経毒素、又は二鎖クロストリジウム神経毒素)を含む美容組成物の使用をもまた提供する。本発明は、ボツリヌス神経毒素の適用が指示される美容上の適応症を防止又は緩和するための、クロストリジウム神経毒素(例えば、本発明の方法によって得られ得る改変クロストリジウム神経毒素、単鎖クロストリジウム神経毒素、又は二鎖クロストリジウム神経毒素)を含む美容組成物の使用をもまた提供する。好ましくは、(改変)クロストリジウム神経毒素は単鎖形態である(例えば、フューリン切断部位を含むように改変された)。
【0230】
本発明のクロストリジウム神経毒素(例えば、改変クロストリジウム神経毒素)は、経口、非経口、連続輸注、吸入、又は外用のために製剤され得る。注射にとって好適な組成物は、溶液、懸濁液、若しくはエマルション、又は使用に先立って好適な基剤中に溶解若しくは懸濁される乾燥粉末の形態であり得る。
【0231】
局所送達されるべきであるクロストリジウム神経毒素(例えば、改変クロストリジウム神経毒素)のケースにおいては、クロストリジウム神経毒素(例えば、改変クロストリジウム神経毒素)は、クリームとして(例えば外用のために)又は真皮下注射のために製剤され得る。
【0232】
局所送達手段は、エアロゾル又は他のスプレー(例えばネブライザー)を包含し得る。これについて、クロストリジウム神経毒素(例えば、改変クロストリジウム神経毒素)のエアロゾル製剤は肺並びに/或いは他の鼻腔及び/又は気管支若しくは気道への送達を可能化する。
【0233】
本発明のクロストリジウム神経毒素(例えば、改変クロストリジウム神経毒素)は、冒された臓器の神経支配に関わる脊髄分節のレベルで、脊柱における髄腔内又は硬膜外注射によって、患者に投与され得る。
【0234】
好ましい投与経路は、腹腔鏡下の及び/又は局在化した、特に筋肉内の注射を介する。
【0235】
本発明の(改変)クロストリジウム神経毒素の投与のための投与量範囲は、所望の治療上の効果を生ずるものである。要求される投与量範囲は、(改変)クロストリジウム神経毒素又は組成物の正確な性質、投与経路、製剤の性質、患者の年齢、患者の状態の性質、程度、又は重症度、何らかの禁忌、及び担当医の判断に依存するということは認められるであろう。これらの投与量レベルの変動は、最適化のための標準的な経験的な慣例を使用して調整され得る。
【0236】
好適な1日投与量(患者のkg重量あたり)は、0.0001~1ng/kg、好ましくは0.0001~0.5ng/kg、より好ましくは0.002~0.5ng/kg、特に好ましくは0.004~0.5ng/kgの範囲である。単位投与量は1ピコグラム未満から30ngまで変動し得るが、典型的には、用量あたり0.01から1ngの領域であろう。これは、毎日又は好ましくはより低頻度で、例えば毎週、毎月、若しくは6ヶ月毎に投与され得る。
【0237】
特に好ましい投薬レジメンは、1×用量として0.05ngの(改変)クロストリジウム神経毒素に基づく。これについて、好ましい投与量は1×~100×(すなわち0.05~5ng)の範囲である。
【0238】
流体剤形は、典型的には、クロストリジウム神経毒素(例えば、改変クロストリジウム神経毒素)及びパイロジェンフリーの無菌の基剤を用いて調製される。クロストリジウム神経毒素(例えば、改変クロストリジウム神経毒素)は、使用される基剤及び濃度に依存して、基剤中に溶解され得るか又は懸濁され得るかどちらかである。溶液を調製することにおいては、クロストリジウム神経毒素(例えば、改変クロストリジウム神経毒素)は基剤中に溶解され得る。溶液は、必要な場合には塩化ナトリウムの追加によって等張にされ、好適な無菌バイアル又はアンプルへの充填及び密封の前に、無菌技術を使用して無菌フィルターによる濾過によって滅菌される。代替的には、溶液の安定性が充分である場合には、その密封された容器中の溶液はオートクレーブによって滅菌され得る。有利には、添加剤、例えば緩衝剤、可溶化剤、安定化剤、保存料若しくは殺菌剤、懸濁剤若しくは乳化剤、及び/又は局所麻酔剤が基剤中に溶解され得る。
【0239】
使用に先立って好適な基剤中に溶解又は懸濁される乾燥粉末は、無菌エリアにおいて無菌技術を使用して無菌容器中に予め滅菌された成分を充填することによって調製され得る。代替的には、成分は、無菌エリアにおいて無菌技術を使用して好適な容器中に溶解され得る。それから、産物はフリーズドライされ、容器は無菌的に密封される。
【0240】
筋肉内、皮下、又は皮内注射にとって好適な非経口懸濁液は、無菌のコンポーネントが溶解される代わりに無菌基剤中に懸濁され、滅菌が濾過によって達成され得ないということを例外として、実質的に同じ様式で調製される。コンポーネントは無菌状態で単離され得るか、又は代替的にはそれは単離後に例えばガンマ線によって滅菌され得る。
【0241】
有利には、懸濁剤、例えばポリビニルピロリドンが組成物(単数又は複数)中に包含されて、コンポーネントの一様な分布を促進する。
【0242】
本発明に従う投与は、微粒子カプセル化、ウイルス送達系、又は高圧エアロゾル衝撃を包含する種々の送達テクノロジーを利用し得る。
【0243】
本発明の種々の方法に関係する開示は、他の方法、クロストリジウム神経毒素、例えば改変クロストリジウム神経毒素(単鎖又は二鎖形態かどうかにかかわらない)、使用又は医薬組成物、及び単鎖クロストリジウム神経毒素の医療上の使用に等しく適用されることを意図され、逆もまた同様である。
【0244】
配列相同性
【0245】
限定なしに以下を包含する種々の配列アライメント方法のいずれかが、パーセントの同一性を決定するために使用され得る:グローバル法、ローカル法、及びハイブリッド法、例えば、例えばセグメントアプローチ法。パーセントの同一性を決定するためのプロトコールは当業者の範囲内の慣例の手続きである。グローバル法は複数の配列を分子の始めから終わりまでアライメントし、個々の残基ペアのスコアを合計することによって及びギャップペナルティーを課すことによって最良のアライメントを決定する。限定しない方法は例えば以下を包含する:CLUSTAL-W、例えばJulie D. Thompson et al., CLUSTAL W: Improving the Sensitivity of Progressive Multiple Sequence Alignment Through Sequence Weighting, Position-Specific Gap Penalties and Weight Matrix Choice, 22(22) Nucleic Acids Research 4673-4680 (1994)参照;及び反復改善法、例えばOsamu Gotoh, Significant Improvement in Accuracy of Multiple Proteins. Sequence Alignments by Iterative Refinement as Assessed by Reference to Structural Alignments, 264(4) J. MoI. Biol. 823-838 (1996)参照。ローカル法は、入力配列の全てによって共有される1つ以上の保存されたモチーフを同定することによって複数の配列をアライメントする。限定しない方法は例えば以下を包含する:Match-box、例えばEric Depiereux and Ernest Feytmans, Match-Box: A Fundamentally New Algorithm for the Simultaneous Alignment of Several Protein Sequences, 8(5) CABIOS 501-509 (1992)参照;Gibbsサンプリング、例えばC. E. Lawrence et al., Detecting Subtle Sequence Signals: A Gibbs Sampling Strategy for Multiple Alignment, 262(5131) Science 208-214 (1993)参照;Align-M、例えばIvo Van WaIIe et al., Align-M - A New Algorithm for Multiple Alignment of Highly Divergent Sequences, 20(9) Bioinformatics:1428-1435 (2004)参照。
【0246】
それゆえに、パーセントの配列同一性は従来の方法によって決定される。例えば、Altschul et al., Bull. Math. Bio. 48: 603-16, 1986及びHenikoff and Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 10915-19, 1992参照。手短には、下に示される通り、2つのアミノ酸配列が、10のギャップオープンペナルティー、1のギャップ延長ペナルティー、及びHenikoff and Henikoff(同書)の「blosum62」スコア付け行列を使用してアライメントスコアを最適化するようにアライメントされる(アミノ酸は標準的な1文字コードによって指示される)。
【0247】
2つ以上の核酸又はアミノ酸配列の間の「パーセントの配列同一性」は、複数の配列によって共有される同一の位置の数の関数である。それゆえに、%の同一性は、ヌクレオチド/アミノ酸の総数によって除算される100によって乗算された同一のヌクレオチド/アミノ酸の数として計算され得る。%の配列同一性の計算は、2つ以上の配列のアライメントを最適化するために導入されることを必要とするギャップの数及び各ギャップの長さをもまた考慮に入れ得る。2つ以上の配列間の配列比較及びパーセントの同一性の決定は、BLASTなどの具体的な数理アルゴリズムを使用して実施され得る。当業者はこれを熟知するであろう。
【数1】
【0248】
それから、パーセントの同一性が以下として計算される:
[同一のマッチの総数×100] / [より長い配列の長さプラス2つの配列をアライメントするためにより長い配列上に導入されるギャップの数]
【0249】
実質的に相同なポリペプチドは、1つ以上のアミノ酸置換、欠失、又は追加を有するとしてキャラクタリゼーションされる。これらの変化は、好ましくは、小規模な性質、つまり、ポリペプチドの折りたたみ又は活性に有意には影響しない保存的アミノ酸置換(下参照)及び他の置換;典型的には1から約30アミノ酸の小さい欠失;並びに小さいアミノ又はカルボキシル末端延長、例えばアミノ末端メチオニン残基、最高で約20~25残基までの小さいリンカーペプチド、又はアフィニティータグである。
【0250】
保存的アミノ酸置換
塩基性:
アルギニン
リジン
ヒスチジン
酸性:
グルタミン酸
アスパラギン酸
極性:
グルタミン
アスパラギン
疎水性:
ロイシン
イソロイシン
バリン
芳香族性:
フェニルアラニン
トリプトファン
チロシン
小さい:
グリシン
アラニン
セリン
スレオニン
メチオニン
【0251】
20個の標準アミノ酸に加えて、非標準アミノ酸(例えば4-ヒドロキシプロリン、6-N-メチルリジン、2-アミノイソ酪酸、イソバリン、及びα-メチルセリン)が本発明のポリペプチドのアミノ酸残基と置換され得る。限定された数の非保存的なアミノ酸、遺伝暗号によってコードされないアミノ酸、及び非天然アミノ酸が、ポリペプチドアミノ酸残基と置換され得る。本発明のポリペプチドは天然には生起しないアミノ酸残基をもまた含み得る。
【0252】
天然には生起しないアミノ酸は、限定なしに、トランス-3-メチルプロリン、2,4-メタノプロリン、シス-4-ヒドロキシプロリン、トランス-4-ヒドロキシプロリン、N-メチルグリシン、アロスレオニン、メチルスレオニン、ヒドロキシエチルシステイン、ヒドロキシエチルホモシステイン、ニトログルタミン、ホモグルタミン、ピペコリン酸、tert-ロイシン、ノルバリン、2-アザフェニルアラニン、3-アザフェニルアラニン、4-アザフェニルアラニン、及び4-フルオロフェニルアラニンを包含する。天然には生起しないアミノ酸残基をタンパク質上に組み込むためのいろいろな方法が当分野において公知である。例えば、化学的にアミノアシル化されたサプレッサーtRNAを使用してナンセンス変異が抑圧されるインビトロ系が採用され得る。アミノ酸を合成する及びtRNAをアミノアシル化するための方法は当分野において公知である。ナンセンス変異を含有するプラスミドの転写並びに翻訳は、E.コリS30抽出物並びに市販の酵素及び他の試薬を含む無細胞系において実施される。タンパク質はクロマトグラフィーによって精製される。例えば、Robertson et al., J. Am. Chem. Soc. 113: 2722, 1991;Ellman et al., Methods Enzymol. 202: 301, 1991;Chung et al., Science 259: 806-9, 1993;及びChung et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 10145-9, 1993参照)。第2の方法では、翻訳が、変異したmRNA及び化学的にアミノアシル化されたサプレッサーtRNAのマイクロインジェクションによってゼノパス卵母細胞において実施される(Turcatti et al., J. Biol. Chem. 271: 19991-8, 1996)。第3の方法においては、E.コリ細胞が、置き換えられるべきである天然アミノ酸(例えばフェニルアラニン)の不在下においてかつ所望の天然には生起しないアミノ酸(単数又は複数)(例えば、2-アザフェニルアラニン、3-アザフェニルアラニン、4-アザフェニルアラニン、又は4-フルオロフェニルアラニン)の存在下において培養される。天然には生起しないアミノ酸はその天然のカウンターパートの代わりにポリペプチド上に組み込まれる。Koide et al., Biochem. 33: 7470-6, 1994参照。天然に生起するアミノ酸残基は、インビトロの化学修飾によって天然には生起しない種に変換され得る。化学修飾は、置換の範囲を更に拡大するために部位特異的変異導入と組み合わせられ得る(Wynn and Richards, Protein Sci. 2: 395-403, 1993)。
【0253】
限定された数の非保存的なアミノ酸、遺伝暗号によってコードされないアミノ酸、天然に生起しないアミノ酸、及び非天然アミノ酸が、本発明のポリペプチドのアミノ酸残基と置換され得る。
【0254】
本発明のポリペプチド上の必須アミノ酸は、当分野において公知の手続き、例えば部位特異的変異導入又はアラニンスキャン変異導入に従って同定され得る(Cunningham and Wells, Science 244: 1081-5, 1989)。生物学的相互作用の部位もまた、推定上の接触部位アミノ酸の変異と共に、核磁気共鳴、結晶学、電子回折、又は光親和性標識などの技術によって決定される構造の物理的分析によって決定され得る。例えば、de Vos et al., Science 255: 306-12, 1992;Smith et al., J. Mol. Biol. 224: 899-904, 1992;Wlodaver et al., FEBS Lett. 309: 59-64, 1992参照。必須アミノ酸のアイデンティティは、本発明のポリペプチドの関係するコンポーネント(例えば、転位置又はプロテアーゼコンポーネント)との相同性の分析からもまた推量され得る。
【0255】
複数のアミノ酸置換が、変異導入及びスクリーニングの公知の方法、例えばReidhaar-Olson and Sauer(Science 241: 53-7, 1988)又はBowie and Sauer(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 2152-6, 1989)によって開示されているものを使用してなされ、試験され得る。手短には、これらの著者は、同時に、ポリペプチド上の2つ以上の位置をランダム化し、機能的なポリペプチドをセレクションし、それから変異導入されたポリペプチドをシーケンシングして各位置における許され得る置換のスペクトルを決定するための方法を開示している。使用され得る他の方法はファージディスプレイ(例えばLowman et al., Biochem. 30: 10832-7, 1991;Ladner et al., U.S.特許No. 5,223,409;Huse, WIPO公報WO 92/06204)及び領域特異的変異導入(Derbyshire et al., Gene 46: 145, 1986;Ner et al., DNA 7: 127, 1988)を包含する。
【0256】
配列情報
【0257】
開始Metアミノ酸残基又は対応する開始コドンが次の配列番号のいずれかにおいて示されている場合には、当該残基/コドンは任意である。
【0258】
配列番号1 (フューリン切断部位コンセンサス配列)
Arg-Xaa-Yaa-Arg
【0259】
配列番号2 (フューリン切断部位コンセンサス配列)
Arg-Xaa-Lys-Arg
【0260】
配列番号3 (フューリン切断部位コンセンサス配列)
Arg-Xaa-Arg-Arg
【0261】
配列番号4 (フューリン切断部位)
Arg-Lys-Lys-Arg
【0262】
配列番号5 (フューリン切断部位)
KQKSSNSRKKR
【0263】
配列番号6 (フューリン切断部位)
SRKKRS
【0264】
配列番号7 (フューリン切断部位)
SRKRRS
【0265】
配列番号8 (フューリン切断部位)
SKRKKRS
【0266】
配列番号9 (フューリン切断部位)
SKRKRRS
【0267】
配列番号10 (フューリン切断部位)
TSSKSRRRKKRSTS
【0268】
配列番号11 (フューリン切断部位)
AGLITGGRRTRRSI
【0269】
配列番号12 (フューリン切断部位)
KVADSLSTRKQKR
【0270】
配列番号13 (フューリン切断部位)
LATGLRNTSQRSRRRKKRGL
【0271】
配列番号14 (BoNT/A1活性化ループに基づく外来性活性化ループ, フューリン切断部位付き)
CVRGIITSKTKSLSRKKRSALNDLC
【0272】
配列番号15 (BoNT/A1活性化ループに基づく外来性活性化ループ, フューリン切断部位付き)
CVRGIITSKTKSLSRKRRSALNDLC
【0273】
配列番号16 (BoNT/A1活性化ループに基づく外来性活性化ループ, フューリン切断部位付き)
CVRGIITSKTKSSKRKKRSALNDLC
【0274】
配列番号17 (BoNT/A1活性化ループに基づく外来性活性化ループ, フューリン切断部位付き)
CVRGIITSKTKSSKRKRRSALNDLC
【0275】
配列番号18 (BoNT/A1活性化ループに基づく外来性活性化ループ, フューリン切断部位付き)
CVRGITSSKSRRRKKRSTSALNDLC
【0276】
配列番号19 (BoNT/A1活性化ループに基づく外来性活性化ループ, フューリン切断部位付き)
CVRGIAGLITGGRRTRRSIALNDLC
【0277】
配列番号20 (BoNT/A1活性化ループに基づく外来性活性化ループ, フューリン切断部位付き)
CVRGIIKVADSLSTRKQKRALNDLC
【0278】
配列番号21 (BoNT/A1活性化ループに基づく外来性活性化ループ, フューリン切断部位付き)
CVRGILATGLRNTSQRSRRRKKRGLALNDLC
【0279】
配列番号22 (BoNT/A1活性化ループに基づく外来性活性化ループ, フューリン切断部位付き)
CVRGIKQKSSNSRKKRSTSALNDLC
【0280】
配列番号23 (BoNT/A1の核酸配列, フューリン切断部位付き)
ATGCCGTTTGTGAACAAACAGTTCAACTATAAAGATCCGGTGAACGGTGTTGATATCGCCTATATCAAAATTCCGAATGCAGGTCAGATGCAGCCGGTTAAAGCCTTTAAAATCCATAACAAAATTTGGGTGATTCCGGAACGTGATACCTTTACCAATCCGGAAGAAGGTGATCTGAATCCGCCTCCGGAAGCAAAACAGGTTCCGGTTAGCTATTATGATAGCACCTATCTGAGCACCGATAACGAGAAAGATAACTATCTGAAAGGTGTGACCAAACTGTTTGAACGCATTTATAGTACCGATCTGGGTCGTATGCTGCTGACCAGCATTGTTCGTGGTATTCCGTTTTGGGGTGGTAGCACCATTGATACCGAACTGAAAGTTATTGACACCAACTGCATTAATGTGATTCAGCCGGATGGTAGCTATCGTAGCGAAGAACTGAATCTGGTTATTATTGGTCCGAGCGCAGATATCATTCAGTTTGAATGTAAATCCTTTGGCCACGAAGTTCTGAATCTGACCCGTAATGGTTATGGTAGTACCCAGTATATTCGTTTCAGTCCGGATTTTACCTTTGGCTTTGAAGAAAGCCTGGAAGTTGATACAAATCCGCTGTTAGGTGCAGGTAAATTTGCAACCGATCCGGCAGTTACCCTGGCACATGAACTGATTCATGCCGGTCATCGTCTGTATGGTATTGCAATTAATCCGAACCGTGTGTTCAAAGTGAATACCAACGCATATTATGAAATGAGCGGTCTGGAAGTGTCATTTGAAGAACTGCGTACCTTTGGTGGTCATGATGCCAAATTTATCGATAGCCTGCAAGAAAATGAATTTCGCCTGTACTACTATAACAAATTCAAGGATATTGCGAGCACCCTGAATAAAGCCAAAAGCATTGTTGGCACCACCGCAAGCCTGCAGTATATGAAAAATGTGTTTAAAGAAAAATATCTGCTGAGCGAAGATACCAGCGGTAAATTTAGCGTTGACAAACTGAAATTCGATAAACTGTACAAGATGCTGACCGAGATTTATACCGAAGATAACTTCGTGAAGTTTTTCAAAGTGCTGAACCGCAAAACCTACCTGAACTTTGATAAAGCCGTGTTCAAAATCAACATCGTGCCGAAAGTGAACTATACCATCTATGATGGTTTTAACCTGCGCAATACCAATCTGGCAGCAAACTTTAATGGTCAGAACACCGAAATCAACAACATGAACTTTACCAAACTGAAGAACTTCACCGGTCTGTTCGAATTTTACAAACTGCTGTGTGTTCGTGGCATTAAACAAAAATCTTCGAACTCAAGAAAAAAGCGAAGTACAAGTGCCCTGAATGACCTGTGCATTAAAGTGAATAATTGGGACCTGTTTTTTAGCCCGAGCGAAGATAACTTTACCAACGATCTGAATAAAGGCGAAGAAATTACCAGCGATACCAATATTGAAGCAGCCGAAGAAAACATTAGCCTGGATCTGATTCAGCAGTATTATCTGACCTTCAACTTTGATAACGAGCCGGAAAATATCAGCATTGAAAATCTGAGCAGCGATATTATTGGTCAGCTGGAACTGATGCCGAATATTGAACGTTTTCCGAACGGCAAAAAATACGAGCTGGATAAATACACCATGTTCCATTATCTGCGTGCCCAAGAATTTGAACATGGTAAAAGCCGTATTGCCCTGACCAATTCAGTTAATGAAGCACTGCTGAACCCGAGCCGTGTTTATACCTTTTTTAGCAGCGATTACGTGAAAAAGGTGAACAAAGCAACCGAAGCAGCAATGTTTTTAGGTTGGGTTGAACAGCTGGTGTATGATTTCACCGATGAAACCAGCGAAGTTAGCACCACCGATAAAATTGCAGATATCACCATTATCATCCCGTATATTGGTCCGGCACTGAATATTGGCAATATGCTGTATAAAGATGATTTCGTGGGTGCCCTGATTTTTAGCGGTGCAGTTATTCTGCTGGAATTTATTCCGGAAATTGCCATTCCGGTTCTGGGCACCTTTGCACTGGTTAGCTATATTGCAAATAAAGTTCTGACCGTGCAGACCATTGATAATGCACTGAGCAAACGTAACGAGAAATGGGATGAAGTGTACAAATATATCGTGACCAATTGGCTGGCCAAAGTTAATACCCAGATTGATCTGATCCGCAAAAAAATGAAAGAAGCCCTGGAAAATCAGGCAGAAGCAACCAAAGCCATTATCAACTATCAGTATAACCAGTACACCGAAGAAGAGAAAAACAACATCAACTTCAACATCGATGACCTGAGCAGCAAACTGAATGAAAGCATCAATAAGGCCATGATTAACATCAACAAATTTCTGAATCAGTGCAGCGTGAGCTATCTGATGAATAGCATGATTCCGTATGGTGTGAAACGCCTGGAAGATTTTGATGCAAGCCTGAAAGATGCGCTGCTGAAATATATCTATGATAATCGTGGCACCCTGATTGGCCAGGTTGATCGTCTGAAAGATAAAGTTAACAATACCCTGAGTACCGACATTCCGTTTCAGCTGAGCAAATATGTTGATAATCAGCGTCTGCTGAGCACCTTTACCGAATATATCAAGAACATCATCAACACCAGCATTCTGAATCTGCGCTATGAAAGCAATCATCTGATCGATCTGAGCCGTTATGCAAGCAAAATCAACATTGGTAGCAAAGTGAACTTCGACCCGATTGATAAAAACCAGATTCAGCTGTTTAATCTGGAAAGCAGCAAAATCGAAGTGATCCTGAAAAACGCCATTGTGTATAACAGCATGTATGAGAATTTCTCGACCAGCTTTTGGATTCGCATTCCGAAATACTTTAATAGCATCAGCCTGAACAACGAGTACACCATTATTAACTGCATGGAAAACAATAGCGGTTGGAAAGTGAGCCTGAATTATGGTGAAATTATCTGGACCCTGCAGGATACCCAAGAAATCAAACAGCGTGTTGTGTTCAAATACAGCCAGATGATTAATATCAGCGACTATATCAACCGCTGGATCTTTGTTACCATTACCAATAATCGCCTGAATAACAGCAAGATCTATATTAACGGTCGCCTGATTGATCAGAAACCGATTAGCAATCTGGGCAATATTCATGCGAGCAACAACATTATGTTTAAACTGGATGGTTGCCGTGATACCCATCGTTATATTTGGATCAAATACTTCAACCTGTTTGATAAAGAACTGAACGAAAAAGAAATTAAAGACCTGTACGACAACCAGAGCAATTCCGGTATTCTGAAAGACTTTTGGGGAGATTATCTGCAGTATGACAAACCGTATTATATGCTGAACCTGTATGACCCGAACAAATATGTGGATGTGAACAATGTTGGTATCCGTGGCTATATGTATCTGAAAGGTCCGCGTGGTAGCGTTATGACCACCAACATTTATCTGAATAGCAGCCTGTATCGCGGTACGAAATTTATCATTAAAAAGTATGCCAGCGGCAACAAGGATAATATTGTGCGTAATAATGATCGCGTGTACATTAACGTTGTGGTGAAGAATAAAGAATATCGCCTGGCAACCAATGCAAGCCAGGCAGGCGTTGAAAAAATTCTGAGCGCACTGGAAATTCCGGATGTTGGTAATCTGAGCCAGGTTGTTGTTATGAAAAGCAAAAATGATCAGGGCATCACCAACAAGTGCAAAATGAATCTGCAGGACAATAACGGCAACGATATTGGTTTTATTGGCTTCCACCAGTTCAACAATATTGCGAAACTGGTTGCAAGCAATTGGTATAATCGTCAGATTGAACGTAGCAGTCGTACCCTGGGTTGTAGCTGGGAATTTATCCCTGTGGATGATGGTTGGGGTGAACGTCCGCTG
【0281】
配列番号24 (BoNT/A1のアミノ酸配列, フューリン切断部位付き)
【化1】
外来性のフューリン切断部位(
下線付き)は内在性のBoNT/A1活性化ループ(太字)の一部を置き換える。
【0282】
配列番号25 (BoNT/A - UniProt P10845)
MPFVNKQFNYKDPVNGVDIAYIKIPNVGQMQPVKAFKIHNKIWVIPERDTFTNPEEGDLN
PPPEAKQVPVSYYDSTYLSTDNEKDNYLKGVTKLFERIYSTDLGRMLLTSIVRGIPFWGG
STIDTELKVIDTNCINVIQPDGSYRSEELNLVIIGPSADIIQFECKSFGHEVLNLTRNGY
GSTQYIRFSPDFTFGFEESLEVDTNPLLGAGKFATDPAVTLAHELIHAGHRLYGIAINPN
RVFKVNTNAYYEMSGLEVSFEELRTFGGHDAKFIDSLQENEFRLYYYNKFKDIASTLNKA
KSIVGTTASLQYMKNVFKEKYLLSEDTSGKFSVDKLKFDKLYKMLTEIYTEDNFVKFFKV
LNRKTYLNFDKAVFKINIVPKVNYTIYDGFNLRNTNLAANFNGQNTEINNMNFTKLKNFT
GLFEFYKLLCVRGIITSKTKSLDKGYNKALNDLCIKVNNWDLFFSPSEDNFTNDLNKGEE
ITSDTNIEAAEENISLDLIQQYYLTFNFDNEPENISIENLSSDIIGQLELMPNIERFPNG
KKYELDKYTMFHYLRAQEFEHGKSRIALTNSVNEALLNPSRVYTFFSSDYVKKVNKATEA
AMFLGWVEQLVYDFTDETSEVSTTDKIADITIIIPYIGPALNIGNMLYKDDFVGALIFSG
AVILLEFIPEIAIPVLGTFALVSYIANKVLTVQTIDNALSKRNEKWDEVYKYIVTNWLAK
VNTQIDLIRKKMKEALENQAEATKAIINYQYNQYTEEEKNNINFNIDDLSSKLNESINKA
MININKFLNQCSVSYLMNSMIPYGVKRLEDFDASLKDALLKYIYDNRGTLIGQVDRLKDK
VNNTLSTDIPFQLSKYVDNQRLLSTFTEYIKNIINTSILNLRYESNHLIDLSRYASKINI
GSKVNFDPIDKNQIQLFNLESSKIEVILKNAIVYNSMYENFSTSFWIRIPKYFNSISLNN
EYTIINCMENNSGWKVSLNYGEIIWTLQDTQEIKQRVVFKYSQMINISDYINRWIFVTIT
NNRLNNSKIYINGRLIDQKPISNLGNIHASNNIMFKLDGCRDTHRYIWIKYFNLFDKELN
EKEIKDLYDNQSNSGILKDFWGDYLQYDKPYYMLNLYDPNKYVDVNNVGIRGYMYLKGPR
GSVMTTNIYLNSSLYRGTKFIIKKYASGNKDNIVRNNDRVYINVVVKNKEYRLATNASQA
GVEKILSALEIPDVGNLSQVVVMKSKNDQGITNKCKMNLQDNNGNDIGFIGFHQFNNIAK
LVASNWYNRQIERSSRTLGCSWEFIPVDDGWGERPL
いくつかの実施形態において、バリン27は配列番号68に示される通りアラニンによって置換され得る。
【0283】
配列番号26 (BoNT/B - UniProt P10844)
MPVTINNFNYNDPIDNNNIIMMEPPFARGTGRYYKAFKITDRIWIIPERYTFGYKPEDFNKSSGIFNRDVCEYYDPDYLNTNDKKNIFLQTMIKLFNRIKSKPLGEKLLEMIINGIPYLGDRRVPLEEFNTNIASVTVNKLISNPGEVERKKGIFANLIIFGPGPVLNENETIDIGIQNHFASREGFGGIMQMKFCPEYVSVFNNVQENKGASIFNRRGYFSDPALILMHELIHVLHGLYGIKVDDLPIVPNEKKFFMQSTDAIQAEELYTFGGQDPSIITPSTDKSIYDKVLQNFRGIVDRLNKVLVCISDPNININIYKNKFKDKYKFVEDSEGKYSIDVESFDKLYKSLMFGFTETNIAENYKIKTRASYFSDSLPPVKIKNLLDNEIYTIEEGFNISDKDMEKEYRGQNKAINKQAYEEISKEHLAVYKIQMCKSVKAPGICIDVDNEDLFFIADKNSFSDDLSKNERIEYNTQSNYIENDFPINELILDTDLISKIELPSENTESLTDFNVDVPVYEKQPAIKKIFTDENTIFQYLYSQTFPLDIRDISLTSSFDDALLFSNKVYSFFSMDYIKTANKVVEAGLFAGWVKQIVNDFVIEANKSNTMDKIADISLIVPYIGLALNVGNETAKGNFENAFEIAGASILLEFIPELLIPVVGAFLLESYIDNKNKIIKTIDNALTKRNEKWSDMYGLIVAQWLSTVNTQFYTIKEGMYKALNYQAQALEEIIKYRYNIYSEKEKSNINIDFNDINSKLNEGINQAIDNINNFINGCSVSYLMKKMIPLAVEKLLDFDNTLKKNLLNYIDENKLYLIGSAEYEKSKVNKYLKTIMPFDLSIYTNDTILIEMFNKYNSEILNNIILNLRYKDNNLIDLSGYGAKVEVYDGVELNDKNQFKLTSSANSKIRVTQNQNIIFNSVFLDFSVSFWIRIPKYKNDGIQNYIHNEYTIINCMKNNSGWKISIRGNRIIWTLIDINGKTKSVFFEYNIREDISEYINRWFFVTITNNLNNAKIYINGKLESNTDIKDIREVIANGEIIFKLDGDIDRTQFIWMKYFSIFNTELSQSNIEERYKIQSYSEYLKDFWGNPLMYNKEYYMFNAGNKNSYIKLKKDSPVGEILTRSKYNQNSKYINYRDLYIGEKFIIRRKSNSQSINDDIVRKEDYIYLDFFNLNQEWRVYTYKYFKKEEEKLFLAPISDSDEFYNTIQIKEYDEQPTYSCQLLFKKDEESTDEIGLIGIHRFYESGIVFEEYKDYFCISKWYLKEVKRKPYNLKLGCNWQFIPKDEGWTE
【0284】
配列番号27 (BoNT/C - UniProt P18640)
MPITINNFNYSDPVDNKNILYLDTHLNTLANEPEKAFRITGNIWVIPDRFSRNSNPNLNKPPRVTSPKSGYYDPNYLSTDSDKDPFLKEIIKLFKRINSREIGEELIYRLSTDIPFPGNNNTPINTFDFDVDFNSVDVKTRQGNNWVKTGSINPSVIITGPRENIIDPETSTFKLTNNTFAAQEGFGALSIISISPRFMLTYSNATNDVGEGRFSKSEFCMDPILILMHELNHAMHNLYGIAIPNDQTISSVTSNIFYSQYNVKLEYAEIYAFGGPTIDLIPKSARKYFEEKALDYYRSIAKRLNSITTANPSSFNKYIGEYKQKLIRKYRFVVESSGEVTVNRNKFVELYNELTQIFTEFNYAKIYNVQNRKIYLSNVYTPVTANILDDNVYDIQNGFNIPKSNLNVLFMGQNLSRNPALRKVNPENMLYLFTKFCHKAIDGRSLYNKTLDCRELLVKNTDLPFIGDISDVKTDIFLRKDINEETEVIYYPDNVSVDQVILSKNTSEHGQLDLLYPSIDSESEILPGENQVFYDNRTQNVDYLNSYYYLESQKLSDNVEDFTFTRSIEEALDNSAKVYTYFPTLANKVNAGVQGGLFLMWANDVVEDFTTNILRKDTLDKISDVSAIIPYIGPALNISNSVRRGNFTEAFAVTGVTILLEAFPEFTIPALGAFVIYSKVQERNEIIKTIDNCLEQRIKRWKDSYEWMMGTWLSRIITQFNNISYQMYDSLNYQAGAIKAKIDLEYKKYSGSDKENIKSQVENLKNSLDVKISEAMNNINKFIRECSVTYLFKNMLPKVIDELNEFDRNTKAKLINLIDSHNIILVGEVDKLKAKVNNSFQNTIPFNIFSYTNNSLLKDIINEYFNNINDSKILSLQNRKNTLVDTSGYNAEVSEEGDVQLNPIFPFDFKLGSSGEDRGKVIVTQNENIVYNSMYESFSISFWIRINKWVSNLPGYTIIDSVKNNSGWSIGIISNFLVFTLKQNEDSEQSINFSYDISNNAPGYNKWFFVTVTNNMMGNMKIYINGKLIDTIKVKELTGINFSKTITFEINKIPDTGLITSDSDNINMWIRDFYIFAKELDGKDINILFNSLQYTNVVKDYWGNDLRYNKEYYMVNIDYLNRYMYANSRQIVFNTRRNNNDFNEGYKIIIKRIRGNTNDTRVRGGDILYFDMTINNKAYNLFMKNETMYADNHSTEDIYAIGLREQTKDINDNIIFQIQPMNNTYYYASQIFKSNFNGENISGICSIGTYRFRLGGDWYRHNYLVPTVKQGNYASLLESTSTHWGFVPVSE
【0285】
配列番号28 (BoNT/D - UniProt P19321)
MTWPVKDFNYSDPVNDNDILYLRIPQNKLITTPVKAFMITQNIWVIPERFSSDTNPSLSKPPRPTSKYQSYYDPSYLSTDEQKDTFLKGIIKLFKRINERDIGKKLINYLVVGSPFMGDSSTPEDTFDFTRHTTNIAVEKFENGSWKVTNIITPSVLIFGPLPNILDYTASLTLQGQQSNPSFEGFGTLSILKVAPEFLLTFSDVTSNQSSAVLGKSIFCMDPVIALMHELTHSLHQLYGINIPSDKRIRPQVSEGFFSQDGPNVQFEELYTFGGLDVEIIPQIERSQLREKALGHYKDIAKRLNNINKTIPSSWISNIDKYKKIFSEKYNFDKDNTGNFVVNIDKFNSLYSDLTNVMSEVVYSSQYNVKNRTHYFSRHYLPVFANILDDNIYTIRDGFNLTNKGFNIENSGQNIERNPALQKLSSESVVDLFTKVCLRLTKNSRDDSTCIKVKNNRLPYVADKDSISQEIFENKIITDETNVQNYSDKFSLDESILDGQVPINPEIVDPLLPNVNMEPLNLPGEEIVFYDDITKYVDYLNSYYYLESQKLSNNVENITLTTSVEEALGYSNKIYTFLPSLAEKVNKGVQAGLFLNWANEVVEDFTTNIMKKDTLDKISDVSVIIPYIGPALNIGNSALRGNFNQAFATAGVAFLLEGFPEFTIPALGVFTFYSSIQEREKIIKTIENCLEQRVKRWKDSYQWMVSNWLSRITTQFNHINYQMYDSLSYQADAIKAKIDLEYKKYSGSDKENIKSQVENLKNSLDVKISEAMNNINKFIRECSVTYLFKNMLPKVIDELNKFDLRTKTELINLIDSHNIILVGEVDRLKAKVNESFENTMPFNIFSYTNNSLLKDIINEYFNSINDSKILSLQNKKNALVDTSGYNAEVRVGDNVQLNTIYTNDFKLSSSGDKIIVNLNNNILYSAIYENSSVSFWIKISKDLTNSHNEYTIINSIEQNSGWKLCIRNGNIEWILQDVNRKYKSLIFDYSESLSHTGYTNKWFFVTITNNIMGYMKLYINGELKQSQKIEDLDEVKLDKTIVFGIDENIDENQMLWIRDFNIFSKELSNEDINIVYEGQILRNVIKDYWGNPLKFDTEYYIINDNYIDRYIAPESNVLVLVQYPDRSKLYTGNPITIKSVSDKNPYSRILNGDNIILHMLYNSRKYMIIRDTDTIYATQGGECSQNCVYALKLQSNLGNYGIGIFSIKNIVSKNKYCSQIFSSFRENTMLLADIYKPWRFSFKNAYTPVAVTNYETKLLSTSSFWKFISRDPGWVE
【0286】
配列番号29 (BoNT/E - UniProt Q00496)
MPKINSFNYNDPVNDRTILYIKPGGCQEFYKSFNIMKNIWIIPERNVIGTTPQDFHPPTSLKNGDSSYYDPNYLQSDEEKDRFLKIVTKIFNRINNNLSGGILLEELSKANPYLGNDNTPDNQFHIGDASAVEIKFSNGSQDILLPNVIIMGAEPDLFETNSSNISLRNNYMPSNHRFGSIAIVTFSPEYSFRFNDNCMNEFIQDPALTLMHELIHSLHGLYGAKGITTKYTITQKQNPLITNIRGTNIEEFLTFGGTDLNIITSAQSNDIYTNLLADYKKIASKLSKVQVSNPLLNPYKDVFEAKYGLDKDASGIYSVNINKFNDIFKKLYSFTEFDLRTKFQVKCRQTYIGQYKYFKLSNLLNDSIYNISEGYNINNLKVNFRGQNANLNPRIITPITGRGLVKKIIRFCKNIVSVKGIRKSICIEINNGELFFVASENSYNDDNINTPKEIDDTVTSNNNYENDLDQVILNFNSESAPGLSDEKLNLTIQNDAYIPKYDSNGTSDIEQHDVNELNVFFYLDAQKVPEGENNVNLTSSIDTALLEQPKIYTFFSSEFINNVNKPVQAALFVSWIQQVLVDFTTEANQKSTVDKIADISIVVPYIGLALNIGNEAQKGNFKDALELLGAGILLEFEPELLIPTILVFTIKSFLGSSDNKNKVIKAINNALKERDEKWKEVYSFIVSNWMTKINTQFNKRKEQMYQALQNQVNAIKTIIESKYNSYTLEEKNELTNKYDIKQIENELNQKVSIAMNNIDRFLTESSISYLMKIINEVKINKLREYDENVKTYLLNYIIQHGSILGESQQELNSMVTDTLNNSIPFKLSSYTDDKILISYFNKFFKRIKSSSVLNMRYKNDKYVDTSGYDSNININGDVYKYPTNKNQFGIYNDKLSEVNISQNDYIIYDNKYKNFSISFWVRIPNYDNKIVNVNNEYTIINCMRDNNSGWKVSLNHNEIIWTFEDNRGINQKLAFNYGNANGISDYINKWIFVTITNDRLGDSKLYINGNLIDQKSILNLGNIHVSDNILFKIVNCSYTRYIGIRYFNIFDKELDETEIQTLYSNEPNTNILKDFWGNYLLYDKEYYLLNVLKPNNFIDRRKDSTLSINNIRSTILLANRLYSGIKVKIQRVNNSSTNDNLVRKNDQVYINFVASKTHLFPLYADTATTNKEKTIKISSSGNRFNQVVVMNSVGNCTMNFKNNNGNNIGLLGFKADTVVASTWYYTHMRDHTNSNGCFWNFISEEHGWQEK
【0287】
配列番号30 (BoNT/F - UniProt A7GBG3)
MPVVINSFNYNDPVNDDTILYMQIPYEEKSKKYYKAFEIMRNVWIIPERNTIGTDPSDFDPPASLENGSSAYYDPNYLTTDAEKDRYLKTTIKLFKRINSNPAGEVLLQEISYAKPYLGNEHTPINEFHPVTRTTSVNIKSSTNVKSSIILNLLVLGAGPDIFENSSYPVRKLMDSGGVYDPSNDGFGSINIVTFSPEYEYTFNDISGGYNSSTESFIADPAISLAHELIHALHGLYGARGVTYKETIKVKQAPLMIAEKPIRLEEFLTFGGQDLNIITSAMKEKIYNNLLANYEKIATRLSRVNSAPPEYDINEYKDYFQWKYGLDKNADGSYTVNENKFNEIYKKLYSFTEIDLANKFKVKCRNTYFIKYGFLKVPNLLDDDIYTVSEGFNIGNLAVNNRGQNIKLNPKIIDSIPDKGLVEKIVKFCKSVIPRKGTKAPPRLCIRVNNRELFFVASESSYNENDINTPKEIDDTTNLNNNYRNNLDEVILDYNSETIPQISNQTLNTLVQDDSYVPRYDSNGTSEIEEHNVVDLNVFFYLHAQKVPEGETNISLTSSIDTALSEESQVYTFFSSEFINTINKPVHAALFISWINQVIRDFTTEATQKSTFDKIADISLVVPYVGLALNIGNEVQKENFKEAFELLGAGILLEFVPELLIPTILVFTIKSFIGSSENKNKIIKAINNSLMERETKWKEIYSWIVSNWLTRINTQFNKRKEQMYQALQNQVDAIKTVIEYKYNNYTSDERNRLESEYNINNIREELNKKVSLAMENIERFITESSIFYLMKLINEAKVSKLREYDEGVKEYLLDYISEHRSILGNSVQELNDLVTSTLNNSIPFELSSYTNDKILILYFNKLYKKIKDNSILDMRYENNKFIDISGYGSNISINGDVYIYSTNRNQFGIYSSKPSEVNIAQNNDIIYNGRYQNFSISFWVRIPKYFNKVNLNNEYTIIDCIRNNNSGWKISLNYNKIIWTLQDTAGNNQKLVFNYTQMISISDYINKWIFVTITNNRLGNSRIYINGNLIDEKSISNLGDIHVSDNILFKIVGCNDTRYVGIRYFKVFDTELGKTEIETLYSDEPDPSILKDFWGNYLLYNKRYYLLNLLRTDKSITQNSNFLNINQQRGVYQKPNIFSNTRLYTGVEVIIRKNGSTDISNTDNFVRKNDLAYINVVDRDVEYRLYADISIAKPEKIIKLIRTSNSNNSLGQIIVMDSIGNNCTMNFQNNNGGNIGLLGFHSNNLVASSWYYNNIRKNTSSNGCFWSFISKEHGWQEN
【0288】
配列番号31 (BoNT/G - UniProt Q60393)
MPVNIKXFNYNDPINNDDIIMMEPFNDPGPGTYYKAFRIIDRIWIVPERFTYGFQPDQFNASTGVFSKDVYEYYDPTYLKTDAEKDKFLKTMIKLFNRINSKPSGQRLLDMIVDAIPYLGNASTPPDKFAANVANVSINKKIIQPGAEDQIKGLMTNLIIFGPGPVLSDNFTDSMIMNGHSPISEGFGARMMIRFCPSCLNVFNNVQENKDTSIFSRRAYFADPALTLMHELIHVLHGLYGIKISNLPITPNTKEFFMQHSDPVQAEELYTFGGHDPSVISPSTDMNIYNKALQNFQDIANRLNIVSSAQGSGIDISLYKQIYKNKYDFVEDPNGKYSVDKDKFDKLYKALMFGFTETNLAGEYGIKTRYSYFSEYLPPIKTEKLLDNTIYTQNEGFNIASKNLKTEFNGQNKAVNKEAYEEISLEHLVIYRIAMCKPVMYKNTGKSEQCIIVNNEDLFFIANKDSFSKDLAKAETIAYNTQNNTIENNFSIDQLILDNDLSSGIDLPNENTEPFTNFDDIDIPVYIKQSALKKIFVDGDSLFEYLHAQTFPSNIENLQLTNSLNDALRNNNKVYTFFSTNLVEKANTVVGASLFVNWVKGVIDDFTSESTQKSTIDKVSDVSIIIPYIGPALNVGNETAKENFKNAFEIGGAAILMEFIPELIVPIVGFFTLESYVGNKGHIIMTISNALKKRDQKWTDMYGLIVSQWLSTVNTQFYTIKERMYNALNNQSQAIEKIIEDQYNRYSEEDKMNINIDFNDIDFKLNQSINLAINNIDDFINQCSISYLMNRMIPLAVKKLKDFDDNLKRDLLEYIDTNELYLLDEVNILKSKVNRHLKDSIPFDLSLYTKDTILIQVFNNYISNISSNAILSLSYRGGRLIDSSGYGATMNVGSDVIFNDIGNGQFKLNNSENSNITAHQSKFVVYDSMFDNFSINFWVRTPKYNNNDIQTYLQNEYTIISCIKNDSGWKVSIKGNRIIWTLIDVNAKSKSIFFEYSIKDNISDYINKWFSITITNDRLGNANIYINGSLKKSEKILNLDRINSSNDIDFKLINCTDTTKFVWIKDFNIFGRELNATEVSSLYWIQSSTNTLKDFWGNPLRYDTQYYLFNQGMQNIYIKYFSKASMGETAPRTNFNNAAINYQNLYLGLRFIIKKASNSRNINNDNIVREGDYIYLNIDNISDESYRVYVLVNSKEIQTQLFLAPINDDPTFYDVLQIKKYYEKTTYNCQILCEKDTKTFGLFGIGKFVKDYGYVWDTYDNYFCISQWYLRRISENINKLRLGCNWQFIPVDEGWTE
【0289】
配列番号32 (ポリペプチド配列, BoNT/X)
MKLEINKFNYNDPIDGINVITMRPPRHSDKINKGKGPFKAFQVIKNIWIVPERYNFTNNT
NDLNIPSEPIMEADAIYNPNYLNTPSEKDEFLQGVIKVLERIKSKPEGEKLLELISSSIP
LPLVSNGALTLSDNETIAYQENNNIVSNLQANLVIYGPGPDIANNATYGLYSTPISNGEG
TLSEVSFSPFYLKPFDESYGNYRSLVNIVNKFVKREFAPDPASTLMHELVHVTHNLYGIS
NRNFYYNFDTGKIETSRQQNSLIFEELLTFGGIDSKAISSLIIKKIIETAKNNYTTLISE
RLNTVTVENDLLKYIKNKIPVQGRLGNFKLDTAEFEKKLNTILFVLNESNLAQRFSILVR
KHYLKERPIDPIYVNILDDNSYSTLEGFNISSQGSNDFQGQLLESSYFEKIESNALRAFI
KICPRNGLLYNAIYRNSKNYLNNIDLEDKKTTSKTNVSYPCSLLNGCIEVENKDLFLISN
KDSLNDINLSEEKIKPETTVFFKDKLPPQDITLSNYDFTEANSIPSISQQNILERNEELY
EPIRNSLFEIKTIYVDKLTTFHFLEAQNIDESIDSSKIRVELTDSVDEALSNPNKVYSPF
KNMSNTINSIETGITSTYIFYQWLRSIVKDFSDETGKIDVIDKSSDTLAIVPYIGPLLNI
GNDIRHGDFVGAIELAGITALLEYVPEFTIPILVGLEVIGGELAREQVEAIVNNALDKRD
QKWAEVYNITKAQWWGTIHLQINTRLAHTYKALSRQANAIKMNMEFQLANYKGNIDDKAK
IKNAISETEILLNKSVEQAMKNTEKFMIKLSNSYLTKEMIPKVQDNLKNFDLETKKTLDK
FIKEKEDILGTNLSSSLRRKVSIRLNKNIAFDINDIPFSEFDDLINQYKNEIEDYEVLNL
GAEDGKIKDLSGTTSDINIGSDIELADGRENKAIKIKGSENSTIKIAMNKYLRFSATDNF
SISFWIKHPKPTNLLNNGIEYTLVENFNQRGWKISIQDSKLIWYLRDHNNSIKIVTPDYI
AFNGWNLITITNNRSKGSIVYVNGSKIEEKDISSIWNTEVDDPIIFRLKNNRDTQAFTLL
DQFSIYRKELNQNEVVKLYNYYFNSNYIRDIWGNPLQYNKKYYLQTQDKPGKGLIREYWS
SFGYDYVILSDSKTITFPNNIRYGALYNGSKVLIKNSKKLDGLVRNKDFIQLEIDGYNMG
ISADRFNEDTNYIGTTYGTTHDLTTDFEIIQRQEKYRNYCQLKTPYNIFHKSGLMSTETS
KPTFHDYRDWVYSSAWYFQNYENLNLRKHTKTNWYFIPKDEGWDED
【0290】
配列番号33 (TeNT - UniProt P04958)
MPITINNFRYSDPVNNDTIIMMEPPYCKGLDIYYKAFKITDRIWIVPERYEFGTKPEDFNPPSSLIEGASEYYDPNYLRTDSDKDRFLQTMVKLFNRIKNNVAGEALLDKIINAIPYLGNSYSLLDKFDTNSNSVSFNLLEQDPSGATTKSAMLTNLIIFGPGPVLNKNEVRGIVLRVDNKNYFPCRDGFGSIMQMAFCPEYVPTFDNVIENITSLTIGKSKYFQDPALLLMHELIHVLHGLYGMQVSSHEIIPSKQEIYMQHTYPISAEELFTFGGQDANLISIDIKNDLYEKTLNDYKAIANKLSQVTSCNDPNIDIDSYKQIYQQKYQFDKDSNGQYIVNEDKFQILYNSIMYGFTEIELGKKFNIKTRLSYFSMNHDPVKIPNLLDDTIYNDTEGFNIESKDLKSEYKGQNMRVNTNAFRNVDGSGLVSKLIGLCKKIIPPTNIRENLYNRTASLTDLGGELCIKIKNEDLTFIAEKNSFSEEPFQDEIVSYNTKNKPLNFNYSLDKIIVDYNLQSKITLPNDRTTPVTKGIPYAPEYKSNAASTIEIHNIDDNTIYQYLYAQKSPTTLQRITMTNSVDDALINSTKIYSYFPSVISKVNQGAQGILFLQWVRDIIDDFTNESSQKTTIDKISDVSTIVPYIGPALNIVKQGYEGNFIGALETTGVVLLLEYIPEITLPVIAALSIAESSTQKEKIIKTIDNFLEKRYEKWIEVYKLVKAKWLGTVNTQFQKRSYQMYRSLEYQVDAIKKIIDYEYKIYSGPDKEQIADEINNLKNKLEEKANKAMININIFMRESSRSFLVNQMINEAKKQLLEFDTQSKNILMQYIKANSKFIGITELKKLESKINKVFSTPIPFSYSKNLDCWVDNEEDIDVILKKSTILNLDINNDIISDISGFNSSVITYPDAQLVPGINGKAIHLVNNESSEVIVHKAMDIEYNDMFNNFTVSFWLRVPKVSASHLEQYGTNEYSIISSMKKHSLSIGSGWSVSLKGNNLIWTLKDSAGEVRQITFRDLPDKFNAYLANKWVFITITNDRLSSANLYINGVLMGSAEITGLGAIREDNNITLKLDRCNNNNQYVSIDKFRIFCKALNPKEIEKLYTSYLSITFLRDFWGNPLRYDTEYYLIPVASSSKDVQLKNITDYMYLTNAPSYTNGKLNIYYRRLYNGLKFIIKRYTPNNEIDSFVKSGDFIKLYVSYNNNEHIVGYPKDGNAFNNLDRILRVGYNAPGIPLYKKMEAVKLRDLKTYSVQLKLYDDKNASLGLVGTHNGQIGNDPNRDILIASNWYFNHLKDKILGCDWYFVPTDEGWTND
【0291】
配列番号34 (BoNT/D 活性化ループ)
CLRLTKNSRDDSTC
【0292】
配列番号35 (BoNT/DC 活性化ループ)
CLRLTRNSRDDSTC
【0293】
配列番号36 (BoNT/C1 及び CD 活性化ループ)
CHKAIDGRSLYNKTLDC
【0294】
配列番号37 (BoNT/A4 活性化ループ)
CVRGIITSKTKSLDEGYNKALNELC
【0295】
配列番号38 (BoNT/A5 及び A7 活性化ループ)
CVRGIITSKTKSLDEGYNKALNDLC
【0296】
配列番号39 (BoNT/A1 及び A6 活性化ループ)
CVRGIITSKTKSLDKGYNKALNDLC
【0297】
配列番号40 (BoNT/A3 活性化ループ)
CVRGIIPFKTKSLDEGYNKALNYLC
【0298】
配列番号41 (BoNT/A2 及び A8 活性化ループ)
CVRGIIPFKTKSLDEGYNKALNDLC
【0299】
配列番号42 (BoNT/H 活性化ループ)
CSNSNTKNSLC
【0300】
配列番号43 (BoNT/E1 乃至 E5, E9 及び E12 活性化ループ)
CKNIVSVKGIRKSIC
【0301】
配列番号44 (BoNT/E11 活性化ループ)
CTNIFSPKGIRKSIC
【0302】
配列番号45 (BoNT/E7, E8 及び E10 活性化ループ)
CKNIVFSKGITKSIC
【0303】
配列番号46 (BoNT/E6 活性化ループ)
CKNIVFSKGIRKSIC
【0304】
配列番号47 (BoNT/F7 活性化ループ)
CKSIVSKKGTKNSLC
【0305】
配列番号48 (BoNT/F5 活性化ループ)
CLNSSFKKNTKKPLC
【0306】
配列番号49 (BoNT/F1 及び F6 活性化ループ)
CKSVIPRKGTKAPPRLC
【0307】
配列番号50 (BoNT/F4 活性化ループ)
CKSIIPRKGTKAPPRLC
【0308】
配列番号51 (BoNT/F2 及び F3 活性化ループ)
CKSIIPRKGTKQSPSLC
【0309】
配列番号52 (TeNT 活性化ループ)
CKKIIPPTNIRENLYNRTASLTDLGGELC
【0310】
配列番号53 (BoNT/G 活性化ループ)
CKPVMYKNTGKSEQC
【0311】
配列番号54 (BoNT/B4 活性化ループ)
CKSVKVPGIC
【0312】
配列番号55 (BoNT/B2, B3, B6 及び B8 活性化ループ)
CKSVRAPGIC
【0313】
配列番号56 (BoNT/B1, B5 及び B7 活性化ループ)
CKSVKAPGIC
【0314】
配列番号57 (BoNT/X 活性化ループ)
CPRNGLLYNAIYRNSKNYLNNIDLEDKKTTSKTNVSYPCSLLNGC
【0315】
配列番号58 金属配位 SNARE 切断モチーフ
HEXXH
【0316】
配列番号59 (アミノ酸配列, ヒトフューリン)
MELRPWLLWVVAATGTLVLLAADAQGQKVFTNTWAVRIPGGPAVANSVARKHGFLNLGQIFGDYYHFWHRGVTKRSLSPHRPRHSRLQREPQVQWLEQQVAKRRTKRDVYQEPTDPKFPQQWYLSGVTQRDLNVKAAWAQGYTGHGIVVSILDDGIEKNHPDLAGNYDPGASFDVNDQDPDPQPRYTQMNDNRHGTRCAGEVAAVANNGVCGVGVAYNARIGGVRMLDGEVTDAVEARSLGLNPNHIHIYSASWGPEDDGKTVDGPARLAEEAFFRGVSQGRGGLGSIFVWASGNGGREHDSCNCDGYTNSIYTLSISSATQFGNVPWYSEACSSTLATTYSSGNQNEKQIVTTDLRQKCTESHTGTSASAPLAAGIIALTLEANKNLTWRDMQHLVVQTSKPAHLNANDWATNGVGRKVSHSYGYGLLDAGAMVALAQNWTTVAPQRKCIIDILTEPKDIGKRLEVRKTVTACLGEPNHITRLEHAQARLTLSYNRRGDLAIHLVSPMGTRSTLLAARPHDYSADGFNDWAFMTTHSWDEDPSGEWVLEIENTSEANNYGTLTKFTLVLYGTAPEGLPVPPESSGCKTLTSSQACVVCEEGFSLHQKSCVQHCPPGFAPQVLDTHYSTENDVETIRASVCAPCHASCATCQGPALTDCLSCPSHASLDPVEQTCSRQSQSSRESPPQQQPPRLPPEVEAGQRLRAGLLPSHLPEVVAGLSCAFIVLVFVTVFLVLQLRSGFSFRGVKVYTMDRGLISYKGLPPEAWQEECPSDSEEDEGRGERTAFIKDQSAL
【0317】
配列番号60 (付加的プロテアーゼ切断部位)
xDxxxLL
xはいずれかのアミノ酸である。
【0318】
配列番号61 (付加的プロテアーゼ切断部位)
xExxxLL
xはいずれかのアミノ酸である。
【0319】
配列番号62 (付加的プロテアーゼ切断部位)
xExxxIL
xはいずれかのアミノ酸である。
【0320】
配列番号63 (付加的プロテアーゼ切断部位)
xExxxLM
xはいずれかのアミノ酸である。
【0321】
配列番号64 (付加的プロテアーゼ切断部位)
Y-x-x-Hy
xはいずれかのアミノ酸である;Hyは疎水性アミノ酸である。
【0322】
配列番号65 (TEV 切断部位)
ENLYFQG
【0323】
配列番号66 (Thrombin 切断部位)
LVPRGS
【0324】
配列番号67 (PreScission 切断部位)
LEVLFQGP
【0325】
配列番号68 (BoNT/A)
MPFVNKQFNYKDPVNGVDIAYIKIPNAGQMQPVKAFKIHNKIWVIPERDTFTNPEEGDLN
PPPEAKQVPVSYYDSTYLSTDNEKDNYLKGVTKLFERIYSTDLGRMLLTSIVRGIPFWGG
STIDTELKVIDTNCINVIQPDGSYRSEELNLVIIGPSADIIQFECKSFGHEVLNLTRNGY
GSTQYIRFSPDFTFGFEESLEVDTNPLLGAGKFATDPAVTLAHELIHAGHRLYGIAINPN
RVFKVNTNAYYEMSGLEVSFEELRTFGGHDAKFIDSLQENEFRLYYYNKFKDIASTLNKA
KSIVGTTASLQYMKNVFKEKYLLSEDTSGKFSVDKLKFDKLYKMLTEIYTEDNFVKFFKV
LNRKTYLNFDKAVFKINIVPKVNYTIYDGFNLRNTNLAANFNGQNTEINNMNFTKLKNFT
GLFEFYKLLCVRGIITSKTKSLDKGYNKALNDLCIKVNNWDLFFSPSEDNFTNDLNKGEE
ITSDTNIEAAEENISLDLIQQYYLTFNFDNEPENISIENLSSDIIGQLELMPNIERFPNG
KKYELDKYTMFHYLRAQEFEHGKSRIALTNSVNEALLNPSRVYTFFSSDYVKKVNKATEA
AMFLGWVEQLVYDFTDETSEVSTTDKIADITIIIPYIGPALNIGNMLYKDDFVGALIFSG
AVILLEFIPEIAIPVLGTFALVSYIANKVLTVQTIDNALSKRNEKWDEVYKYIVTNWLAK
VNTQIDLIRKKMKEALENQAEATKAIINYQYNQYTEEEKNNINFNIDDLSSKLNESINKA
MININKFLNQCSVSYLMNSMIPYGVKRLEDFDASLKDALLKYIYDNRGTLIGQVDRLKDK
VNNTLSTDIPFQLSKYVDNQRLLSTFTEYIKNIINTSILNLRYESNHLIDLSRYASKINI
GSKVNFDPIDKNQIQLFNLESSKIEVILKNAIVYNSMYENFSTSFWIRIPKYFNSISLNN
EYTIINCMENNSGWKVSLNYGEIIWTLQDTQEIKQRVVFKYSQMINISDYINRWIFVTIT
NNRLNNSKIYINGRLIDQKPISNLGNIHASNNIMFKLDGCRDTHRYIWIKYFNLFDKELN
EKEIKDLYDNQSNSGILKDFWGDYLQYDKPYYMLNLYDPNKYVDVNNVGIRGYMYLKGPR
GSVMTTNIYLNSSLYRGTKFIIKKYASGNKDNIVRNNDRVYINVVVKNKEYRLATNASQA
GVEKILSALEIPDVGNLSQVVVMKSKNDQGITNKCKMNLQDNNGNDIGFIGFHQFNNIAK
LVASNWYNRQIERSSRTLGCSWEFIPVDDGWGERPL
【0326】
配列番号69: 非改変 BoNT/AB キメラ
【化2】
SytII結合変異E1191M及びS1199Yは太字かつ下線付きである。
内在性の活性化ループは点線下線付きである。
【0327】
配列番号70: 改変 BoNT/AB キメラ
【化3】
SytII結合変異E1191M及びS1199Yは太字かつ下線付きである。
外来性のフューリン切断部位(
下線付き)は、内在性のBoNT/A1活性化ループ(太字)の一部を置き換える。
【0328】
配列番号71 改変 BoNT/B, 配列番号26由来
【化4】
外来性のフューリン切断部位(
下線付き)は、内在性のBoNT/B活性化ループ(太字)の一部を置き換える。
【0329】
配列番号72 改変 BoNT/C, 配列番号27由来
【化5】
外来性のフューリン切断部位(
下線付き)は、内在性のBoNT/C活性化ループ(太字)の一部を置き換える。
【0330】
配列番号73 改変 BoNT/D, 配列番号28由来
【化6】
外来性のフューリン切断部位(
下線付き)は、内在性のBoNT/D活性化ループ(太字)の一部を置き換える。
【0331】
配列番号74 改変 BoNT/E, 配列番号29由来
【化7】
外来性のフューリン切断部位(
下線付き)は、内在性のBoNT/E活性化ループ(太字)の一部を置き換える。
【0332】
配列番号75 改変 BoNT/F, 配列番号30由来
【化8】
外来性のフューリン切断部位(
下線付き)は、内在性のBoNT/F活性化ループ(太字)の一部を置き換える。
【0333】
配列番号76 改変 BoNT/G, 配列番号31由来
【化9】
外来性のフューリン切断部位(
下線付き)は、内在性のBoNT/G活性化ループ(太字)の一部を置き換える。
【0334】
配列番号77 改変 BoNT/X, 配列番号32由来
【化10】
外来性のフューリン切断部位(
下線付き)は、内在性のBoNT/X活性化ループ(太字)の一部を置き換える。
【0335】
配列番号78 改変 BoNT/X, 配列番号32由来
【化11】
外来性のフューリン切断部位(
下線付き)は、内在性のBoNT/X活性化ループ(太字)の一部を置き換える。
【実施例】
【0336】
本発明は次の例によって更に解明される。これらは純粋に本発明を例示することを意図され、決して限定していない。
【0337】
例1 - 内在性の活性化ループがフューリン切断部位によって置き換えられたBoNT/A1の設計及び生産
【0338】
配列番号68のBoNT/A1を改変して、活性化ループの部分(配列番号25のアミノ酸残基435-448)をフューリン切断部位(配列番号5)によって置き換え、改変BoNT/A1-フューリンタンパク質配列番号24(SXN104539)を作り出した。通常の置換変異導入によって所望のフューリン配列によって配列番号25をコードするプラスミド上の活性化ループ上のコドンを置き換えるためのオリゴヌクレオチドのペアを使用することによって、配列番号24をコードするDNAコンストラクトを作り出した。標的タンパク質(SXN104539)をE.コリのBL21-DE3細胞において発現し、リシス後に古典的なクロマトグラフィー技術を使用して精製した。これには、疎水性相互作用クロマトグラフィーによる始まりの捕捉ステップ、次にアニオン交換クロマトグラフィー及びPBS,pH7.2への緩衝液交換が関わった。
【0339】
1.2μgのSXN104539を1μgフューリンと24μLで48hに渡って25℃においてインキュベーションし、DTTの存在又は不在下のサンプル(それぞれ還元又は非還元)をSDS-PAGEによって解像した(
図2)。このゲルは、ジスルフィド結合によって連結された~50kDa及び~100kDa鎖の存在を確認し、還元されたヒトフューリンは~60kDaのバンドとして現れている。~50kDaバンドはウエスタンブロットによってLC/Aであることが確認された(
図2)。
【0340】
例2 - ネイティブなBoNT/A1及び組み換えBoNT/A1とのBoNT/A1-フューリンの力価の比較
【0341】
ニューロンに入りSNAP-25(BoNT/A
1の標的)を切断する改変BoNT/A
1-フューリン(SXN104539)の能力を、ラット胚性脊髄ニューロン(eSCN)を使用して評価した。
図3は、SXN104539がネイティブなBoNT/A
1(圧倒的に二鎖形態であるLIST)と比較して同じpEC
50を示したが、単鎖組み換えBoNT/A
1(scSXN104445)は1.3log単位(20×)低力価であったということを示している。
【0342】
【0343】
それゆえに、これらの結果は、SXN104539が、ニューロンに入りSNAP-25を切断するネイティブなBoNT/A1と同じ能力を保持し、単鎖BoNT/A1(scSXN104445)と比較して改善された力価を有したということを示している。
【0344】
SXN104539の力価を、マウス横隔神経半横隔膜アッセイ(mPNHD)を使用して更に評価した。
図4は、フューリンループを有する単鎖rBoNT/A(SXN104539)が組み換えBoNT/A二鎖(SXN102342)と等力価であったということを示す(p>0.05、1wANOVA)。
【0345】
【0346】
これらの力価結果は、フューリン切断部位によるクロストリジウム神経毒素の内在性の活性化ループの置き換えが、クロストリジウム神経毒素のインビボ活性化のための首尾良い戦略であるということを実証している。
【0347】
例3 - BoNT/A1-フューリン、ネイティブなBoNT/A1、組み換え二鎖BoNT/A1、及び組み換え単鎖BoNT/A1の忍容性の比較
【0348】
インビボのマウス指外転スコア(DAS)アッセイを使用して、ネイティブなBoNT/A1及びrBoNT/A1に対して相対的に力価及び安全性を評価した。
【0349】
5pg/マウスi.m.からは体重(BW)の観察可能な減少があった(
図5A)。試験された全ての分子では、5pg/マウスi.m.においてBW低下であって、nBoNT/A1及びscSXN104445では、最大のBW減少D1及びD3の回復を有した(MTDに達した)。SXN104539では、最大のBW減少はD3に観察されたが、良く忍容された(体重の10%未満の減少)。
【0350】
より長い期間の第2の実験では、フューリンループを有する単鎖rBoNT/A(SXN104539)は、組み換えBoNT/A1二鎖と比較してBWに対する小さい効果を引き出し(
図5B)、SXN104539が可能性として組み換えBoNT/A1二鎖よりも良く忍容されるということを示唆した。
【0351】
5pg/マウスにおいて、scSXN104445又はnBoNT/A1では、4日の時系列tの間にはDAS4には達しなかった(この用量のnBoNT/A1はBW低下を誘導した)。等級の順序によるDASスコアはSXN104539>nBoNT/A1>scSXN104445であった(
図6)。
【0352】
作用の持続時間をもまた評価した。より低い用量(4pg/マウス)を試験し、DASスコアを決定した。DAS4がdcrBoNT/A1及びSXN104539両方で達成された。
図7は、分子の試験の作用の持続時間はdcrBoNT/A1>SXN104539>scrBoNT/A1であったということを示す。
【0353】
上の明細書において言及された全ての公開は参照によって本明細書に組み込まれる。本発明の記載された方法及び系の種々の改変及び変形は、本発明の範囲及び趣旨から外れることなしに当業者には明らかであろう。本発明は具体的な好ましい実施形態とのつながりで記載されたが、請求される通りの本発明はかかる具体的な実施形態に不当に限定されるべきではないということは理解されるべきである。実に、生化学及びバイオテクノロジー又は関係する分野の業者には自明である本発明を実施するための記載されたモードの種々の改変は、次の請求項の範囲内であることを意図される。
【符号の説明】
【0354】
[
図1]
Protein: タンパク質
start: 始まり
Sequence: 配列
end: 終わり
SEQ ID NO: 配列番号
[
図2]
Benchmark: ベンチマーク
Coomassie: クマシー
[
図3]
cleavage: 切断
Single chain: 単鎖
basal: 基底
furin: フューリン
[
図4]
assay: アッセイ
Developed Force Post-Toxin: 毒素後の発生した力
Time: 時間
Dichain: 二鎖
Single chain: 単鎖
furin: フューリン
Time to half paralysis: 半分の麻痺までの時間
[
図5]
Body weight: 体重
Time: 時間
day: 日
Vehicle control: 基剤対照
mouse: マウス
Single chain: 単鎖
Body weight change: 体重変化
Mean body weight change: 平均体重変化
Time: 時間
days: 日
Dichain: 二鎖
Single chain: 単鎖
furin: フューリン
Vehicle: 基剤
[
図6]
Mean: 平均
Time: 時間
day: 日
Vehicle control: 基剤対照
mouse: マウス
Single chain: 単鎖
furin: フューリン
[
図7]
Duration of action: 作用の持続時間
mouse: マウス
Mean DAS score: 平均DASスコア
Time: 時間
hours: h
Dichain: 二鎖
Single chain: 単鎖
furin: フューリン
Vehicle: 基剤
【配列表】
【国際調査報告】