(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-11
(54)【発明の名称】医療用体外血液処置デバイスの低圧源のための摩耗モニタリングを有する医療用体外血液処置デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 1/16 20060101AFI20240304BHJP
A61M 1/36 20060101ALI20240304BHJP
A61M 1/34 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
A61M1/16 115
A61M1/36 105
A61M1/34 123
A61M1/34 125
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558557
(86)(22)【出願日】2022-03-23
(85)【翻訳文提出日】2023-10-05
(86)【国際出願番号】 EP2022057609
(87)【国際公開番号】W WO2022200414
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】102021107396.0
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501276371
【氏名又は名称】フレセニウス・メディカル・ケア・ドイチュラント・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー、マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ゲッツ、レナ
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー、シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ティス、マルティン
(72)【発明者】
【氏名】バルムート、エバ
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077BB02
4C077EE01
4C077EE06
4C077HH02
4C077HH13
4C077JJ02
4C077JJ13
4C077JJ27
4C077JJ28
4C077KK25
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの低圧空気ライン(3)と、低圧源(1)と、圧力計(DS)と、検出デバイス(9)と、出力デバイス(55)と、記憶デバイス(5)と、読取り器(7)と、少なくとも1つの開ループまたは閉ループコントローラ(50)とを備えるか、またはそれらに接続された医療用処置デバイス(100)に関する。上述のデバイスは、測定された圧力値曲線(P1、P2)に基づいて低圧源(1)の状態を検出するように意図される。本発明はまた、開ループまたは閉ループコントローラ(50)、ならびにデジタル記憶媒体、コンピュータプログラム製品、およびコンピュータプログラムに関する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用処置装置であって、少なくとも、
- 真空ラインと、
- 前記真空ライン内の陰圧を増大させるために、前記真空ラインと流体連通または搬送連通している陰圧源と、
- 測定された圧力値プロファイルを取得しながら、前記陰圧源を使用することによって前記真空ライン内に生成された前記陰圧の圧力値を測定するための圧力測定デバイスと、
- 前記圧力測定デバイスを使用して測定された前記測定された圧力値プロファイルから少なくとも1つの評価される値を決定するように構成された決定デバイスと、
- 出力デバイスと、
- 記憶デバイスと、ここにおいて、前記記憶デバイスには、
- 前記評価される値のための、少なくとも1つの基準圧力プロファイルもしくは基準圧力プロファイルに関連付けられている少なくとも1つの基準値、および/または、
- 前記測定された圧力値プロファイルの前記評価される値に割り当てられた少なくとも1つの度合いであって陰圧源の現在のまたは存在する摩耗を示す度合い、が記憶されており、
- 前記記憶デバイスから、前記記憶された基準圧力プロファイル、前記記憶された基準圧力プロファイルからの前記少なくとも1つの基準値、または前記割り当てられた度合いを読み出すように構成された読取りデバイスと、
- 制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスと、
のそれぞれを備え、またはそれらに接続されており、
前記制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスは、
- 前記陰圧源を使用することによって前記真空ライン内の前記陰圧を増大させるまたは修正することと、
- 測定された圧力値プロファイルを取得しながら、前記圧力測定デバイスを使用することによって前記真空ライン内に生じる陰圧を測定することと、
- 前記決定デバイスを使用することによって、前記圧力測定デバイスを使用して測定された前記圧力値プロファイルから前記評価される値を決定することと、
- 前記読取りデバイスを使用して前記記憶デバイスから、
- 少なくとも1つの前記記憶された基準圧力プロファイル、もしくは前記記憶された基準圧力プロファイルからの前記評価される値に対応する前記少なくとも1つの基準値、または、
- 前記評価される値に割り当てられた前記度合い、を読み出すことと、
- 前記出力デバイスを使用して、前記制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスによって決定された、一方の前記読み出された基準値と、他方の前記評価される値または前記割り当てられた度合いとの比較の結果を出力することと、
を行うステップを促すように構成されている、医療用処置装置。
【請求項2】
- 一方の前記読み出された基準値と他方の前記評価される値との前記比較の結果に摩耗の度合いを割り当てるように構成された判定デバイスをさらに備え、またはそれに接続されており、
前記制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスは、
- 前記判定デバイスを使用して、一方の前記読み出された基準値と他方の前記評価される値との前記比較の結果に摩耗の度合いを割り当てるようにさらに構成され、前記出力デバイスを使用して前記割り当てられた度合いを出力するように構成されている、
請求項1に記載の医療用処置装置。
【請求項3】
- 前記少なくとも1つの基準値および/または前記評価される値は、時間値または数学的パラメータ、特に角度である、
請求項1または2に記載の医療用処置装置。
【請求項4】
前記制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスは、
- 前記測定された圧力値プロファイルの前記評価される値、前記比較の結果、および/または前記摩耗の度合いが、所定の限界内にあるかどうか、限界値もしくは閾値を超えるもしくは下回るかどうか、最小値を超えるかどうか、および/または最大値を超えないかどうかを決定するようにさらに構成されている、
請求項1~3のいずれか一項に記載の医療用処置装置。
【請求項5】
- 前記制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスは、前記結果または前記度合いが、特に所定の限界から出たとき、特に下限値を下回るまたは上限値を超えたとき、許容値範囲から出たとき、所定の量を超えたときに許容されないものとして事前に定義された値または特性をとる場合に、前記出力デバイスを使用して、音響および/または光学アラームの出力を促すように構成される、
請求項1~4のいずれか一項に記載の医療用処置装置。
【請求項6】
- 前記医療用処置装置は、記憶デバイスを備えるか、またはそれに接続されており、
- 前記制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスは、前記記憶デバイスを使用することによって、前記結果または前記割り当てられた度合いの記憶を引き起こすように構成されている、
請求項1~5のいずれか一項に記載の医療用処置装置。
【請求項7】
前記制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスは、
- 前記記憶された結果または度合いから、前記陰圧源のための摩耗プロファイルの決定、例えば計算を実施または促すように構成されている、
請求項6に記載の医療用処置装置。
【請求項8】
血液処置装置として、特に、血液透析装置、血液濾過装置、血液透析濾過装置として、または分離手順を実行するための装置として具現化される、請求項1~7のいずれか一項に記載の医療用処置装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項で定義された制御デバイスまたは閉ループ制御デバイス。
【請求項10】
医療用血液処置装置を請求項1~8のいずれか一項に記載の医療用血液処置装置へと構成するように、および/または制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスを請求項9に記載の制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスへと構成するように構成された、電子的に読み取り可能な制御信号を有する、特にフロッピー(登録商標)ディスク、CDもしくはDVD、またはEPROMの形態のデジタル記憶媒体。
【請求項11】
医療用処置装置を請求項1~8のいずれか一項に記載の医療用処置装置へと構成し、および/または制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスを請求項9に記載の制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスへと構成するための、機械読取り可能キャリア上に記憶されたプログラムコードを有するコンピュータプログラム製品。
【請求項12】
医療用処置装置を請求項1~8のいずれか一項に記載の医療用処置装置へと構成し、および/または制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスを請求項9に記載の制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスへと構成するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の医療用処置装置、請求項9に記載の制御デバイスまたは閉ループ制御デバイス、さらに請求項10に記載のデジタル記憶媒体、請求項11に記載のコンピュータプログラム製品、および請求項12に記載のコンピュータプログラム、またはそれらの請求項のプリアンブルまたは一般的用語に記載のものそれぞれに関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも時として大気圧未満の圧縮空気の使用が動作に必要である医療用処置装置が知られている。そのような医療用処置装置の中には、例えば、特に血液透析、血液濾過、および血液透析濾過のために使用されるいくつかの血液処置装置がある。それらは、それらを使用することによって実行される体外血液処置中に、処置される血液が体外血液回路に沿って血液処置ユニットを通って流れるという1つの共通点を有する。血液透析、血液濾過、および血液透析濾過のための装置において、血液処置ユニットとは、簡単にいえば、半透膜によって血液チャンバと透析液体チャンバとに分離されている透析器またはフィルタである。血液透析または血液透析濾過による血液処置中、血液が血液チャンバを流れ、透析液体が透析液体チャンバを流れる。
【0003】
陰圧を生成するために使用される陰圧源、通常は圧縮器の搬送精度は、経時的におよびその使用の持続期間にわたって変化する場合があり、陰圧源は、最終的に故障または誤動作または機能停止さえする場合がある。観察される変化の背後にある原因または理由には、漏れ、材料の膨張、搬送デバイスおよび/またはラインの内側の堆積物、ならびに摩耗が含まれ得る。漏れは、自動完全性試験、例えば圧力保持試験を行う簡単な方法で確実に検出することができるが、経時的に生じる摩耗の大きさは、漏れに対する既知の試験では容易に認識可能でも検出可能でもない。
【0004】
患者の処置およびその安全性を危険にさらさないようにするために、この目的のために設けられた陰圧源は、その耐用年数の間の動作摩耗が可能な限り小さくなるようにロバストに設計される。しかしながら、陰圧を増大させる陰圧源の性能または能力は、経時的に変化する場合がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、陰圧源を有するさらなる医療用処置装置(略称:処置装置)を提案することである。さらに、陰圧源をチェックするためのステップを促すことができる制御デバイスまたは閉ループ制御デバイス(略称:制御デバイス、任意選択的に調節することもできる)が提供されるべきである。さらに、デジタル記憶媒体、コンピュータプログラム製品、およびコンピュータプログラムが指定される。
【0006】
本発明に係る目的は、請求項1の特徴を有する医療用処置装置によって達成される。さらに、請求項9の特徴を有する制御デバイスまたは閉ループ制御デバイス、請求項10の特徴を有するデジタル記憶媒体、請求項11の特徴を有するコンピュータプログラム製品、および請求項12の特徴を有するコンピュータプログラムによって達成される。
【0007】
したがって、本発明によれば、少なくとも1つの真空ラインと、陰圧源と、圧力測定デバイスと、決定デバイスと、出力デバイスと、記憶デバイスと、読取りデバイスと、少なくとも1つの制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスとのそれぞれを備えるか、またはそれらそれぞれに接続された医療用処置装置が提案される。
【0008】
例えば圧縮器である陰圧源は、真空ラインと流体連通または搬送連通しており、そこの陰圧を増大または変化させることができる。
【0009】
圧力測定デバイスを使用することによって、真空ラインにおいて圧力値が測定され、この圧力値は、経時的な圧力値プロファイルを達成する働きをする。圧力値プロファイルは、本明細書では、少なくとも第1の圧力値および第2の圧力値(または2つより多くの圧力値)であり、これらは、それぞれ第1の時点および第1の時点とは異なる第2の時点で真空ライン内に生じ、個別に、グループで、またはすべてまとめて測定されるか、または測定され得る。
【0010】
決定デバイスは、圧力測定デバイスによって測定された圧力値プロファイルから、または陰圧源によって生成された圧力値プロファイルから、少なくとも1つの評価される値を決定するように構成される。
【0011】
出力デバイスは、値および/または信号、例えばアラームを出力するように構成される。
【0012】
少なくとも1つの基準圧力プロファイル、または基準圧力プロファイルに関連付けられるもしくはそれから取得される少なくとも1つの基準値が、記憶デバイスに記憶または保持されている。
【0013】
代替的または追加的に、圧力値プロファイルの評価される値に割り当てられ、陰圧源の現在/実際の摩耗を示す少なくとも1つの測定値が記憶デバイスに記憶されている。
【0014】
読取りデバイスは、少なくとも1つの記憶された基準圧力プロファイル、少なくとも1つの基準値、または割り当てられた測定値を記憶デバイスから読み出すように構成される。
【0015】
制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスは、陰圧源を使用して真空ライン内の陰圧を生成、増大、または変化させるように構成される。それはさらに、測定された圧力値プロファイルを決定するために、圧力測定デバイスを使用することによって真空ライン内に生じる陰圧を測定するように構成される。
【0016】
さらに、制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスは、決定デバイスを使用して、圧力測定デバイスによって測定された圧力値プロファイルから、評価される値を決定するように構成される。制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスはまた、いくつかの実施形態では、この値を出力するように構成され得る。
【0017】
制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスはさらに、読取りデバイスを使用して、少なくとも1つの記憶された基準圧力プロファイル、この基準圧力プロファイルからの少なくとも1つの基準値(評価される値に対応する)、または評価される値に割り当てられる測定値を記憶デバイスから読み出すように構成される。
【0018】
さらに、制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスは、制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスによって決定された、一方の読み取られた基準値と他方の評価される値または割り当てられた測定値との比較の結果を出力するように構成され、該出力は、出力デバイスによって実施される。
【0019】
「プログラムされた」または「構成された」が本明細書に記載されているとき、これらの用語を互いに交換してよいことも開示される。
【0020】
特にデータまたは値を決定することは、本明細書では、存在もしくは非存在を検査すること、取得すること、検出すること/捕捉すること、測定すること、判定すること、処理すること、比較すること、評価すること/鑑定すること、推定すること、結論付けること、計算すること、達成すること、獲得すること、到達すること、および/または認識することであってもよいし、またはそれらを包含してもよい。
【0021】
本発明によれば、本明細書で定義される制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスがさらに提案される。
【0022】
本明細書で開示されるステップの全部、いくつか、または一部は、医療用処置装置の制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスによって促されまたは実行され得る。
【0023】
制御デバイスまたは閉ループ制御デバイス、特に本発明に係る制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスは、本発明に係る医療用処置装置に含まれていてもよいし、またはそれに接続されていてもよい。制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスは、特に本明細書で開示される医療用処置装置のさらなるデバイスまたは装置と相互作用することによって、特に自動的に、本明細書で開示されるステップを促し、実行し、制御し、および/または調節するように構成される。
【0024】
相互作用とは、作動、制御、または調節であってもよいし、またはそれを包含してもよい。相互作用は、信号通信であってもよいし、またはそれを必要としてもよい。
【0025】
本発明に係る医療用処置装置は、本明細書に記載のステップの各々のために、対応して好適なおよび/または構成されたデバイスもしくは装置、例えば、判定のための判定ユニット、圧力測定のための圧力測定デバイスなどを有してもよいし、またはそれに接続されてもよい。
【0026】
本発明に係る記憶媒体(ここではキャリアとも呼ぶ)は、特にデジタル、特に不揮発性であり、特に電子的または光学的に読み取り可能な制御信号を有する、特にディスケット、RAM、ROM、CD、ハードディスク、DVD、USBスティック、フラッシュカード、SDカード、EPROM、またはNOVRAMの形態であり、制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスを本発明に係る制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスへと構成するように構成され得る。
【0027】
代替的または追加的に、デジタル記憶媒体は、医療用処置装置を本発明に係る医療用処置装置へと構成するために構成され得る。
【0028】
本発明に係るコンピュータプログラム製品は、揮発性の一時的プログラムコードまたは機械読取り可能キャリア上に記憶されたものを備える。このコンピュータによって、制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスは、本発明に係る制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスへと構成される。
【0029】
代替的または追加的に、医療用処置装置は、コンピュータプログラム製品によって本発明に係る医療用処置装置へと構成され得る。
【0030】
本明細書で使用される「機械読取り可能キャリア」という用語は、本発明の特定の実施形態では、ソフトウェアおよび/またはハードウェアによって解釈可能なデータまたは情報を含むキャリアを指す。キャリアは、例えば、ディスケット、CD、DVD、USBスティック、フラッシュカード、SDカード、またはEPROMなどのデータキャリアであり得る。
【0031】
本発明に係るコンピュータプログラムは、制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスが本発明に係る制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスへと構成され、または医療用処置装置が本発明に係る医療用処置装置へと構成されるプログラムコードを備える。
【0032】
本発明によれば、コンピュータプログラム製品は、例えばキャリア上に記憶されたコンピュータプログラム、コンピュータプログラムを有する包括的システムである組込みシステム(例えばコンピュータプログラムを有する電子デバイス)、コンピュータにより実装されるコンピュータプログラムのネットワーク(例えば、クライアント/サーバシステム、クラウドコンピューティングシステムなど)、またはコンピュータプログラムがロード、動作、記憶、実行、または展開されるコンピュータとして理解され得る。
【0033】
本発明によれば、コンピュータプログラムは、例えば、プログラムを備える物理的な市場向けソフトウェア製品を意味すると理解され得る。
【0034】
上記および下記のすべてにおいて、「~であり得る」または「~を有し得る」などの表現の使用は、それぞれ「好ましくは~である」または「好ましくは~を有する」などの表現と同義に理解するべきであり、本発明に係る一実施形態の例示を意図している。
【0035】
本明細書で数値語が記載されている場合は常に、当業者はそれらを数値の下限値の指標として認識または理解するものとする。当業者を明らかな矛盾に導かない限り、当業者は、例えば「1つ」(同じく「ある(a/an)」も)という指定が「少なくとも1つ」を包含するものとして理解するものとする。この理解は、数値語、例えば「1つ」(同じく「ある(a/an)」も)が、当業者にとって明白に技術的に可能である場合は常に、代替的に「正確に1つ」を意味してもよいという解釈としても本発明に同等に包含される。両方の理解が本発明に包含され、本明細書では使用されるすべての数値語に適用される。
【0036】
本発明の有利な展開の各々は、従属請求項および実施形態の主題でもある。
【0037】
本明細書に一実施形態が記載されているとき、それは本発明に係る例示的な一実施形態である。
【0038】
本発明に係る主題が、特定の実施形態において1つまたはいくつかの特徴を備えることが本明細書において開示されるとき、例えば免責事項の意味で、本発明に係る主題が、同様に本発明に係る他の実施形態では、その1つまたはいくつかの特徴を明示的に備えないことも本明細書においてそれぞれ開示される。そのため、本明細書に記載のすべての実施形態について、例えば否定として策定される逆の実施形態も開示されることが適用される。
【0039】
本発明に係る実施形態は、上記または下記の特徴の1つまたはいくつかを任意の技術的に可能な組合せで備えることができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、本発明に係る医療用処置装置は、判定デバイスを備え、またはそれに接続される。判定デバイスは、一方の読み取られた基準値と他方の評価される値との比較の結果に摩耗の度合いを割り当てるように構成される。これらの実施形態では、制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスはさらに、判定デバイスを使用することによって、一方の読み取られた基準値と他方の評価される値との比較の結果に摩耗の度合いを割り当てることを判定デバイスに促すように構成される。このようにして決定された度合いは、次に出力デバイスによって出力され得る。
【0041】
本発明に係る医療用処置装置のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの基準値および/または評価される値は、圧力値プロファイルから読み取られたまたは測定された時間値であり、例えば、所定の陰圧値、例えばより低い陰圧閾値に達するまでに経過した時間である。また、代替的に、基準値は、圧力値プロファイルの数学的パラメータであり、例えば、圧力値プロファイルから決定されるまたは決定可能な角度、図におけるプロファイルの傾き/勾配などである。
【0042】
いくつかの実施形態では、制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスは、測定された圧力値プロファイルからの対応する値、比較の結果、および/または摩耗の度合いが、所定の限界内にあるかどうか、限界値を超えるもしくは下回るかどうか、最小値を超えるかどうか、および/または最大値を超えないかどうか、または判定または比較がそれらからなるかどうかを決定するように構成される。ここで、判定は、例えば尺度(criterion)(限界値、範囲、最大値など)に基づいて行われる。例えばアラームの出力のための尺度として、例えば、角度が所定の角度よりも小さいかどうか、および/または陰圧を増大させるのに要した時間が所定の持続時間を超えるかどうか、および/または同様のことが判定され得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、判定または比較の結果は、定量的ステートメントであり、例えば、基準値などに対するパーセントでのステートメントなどであるか、またはそれを包含する。
【0044】
いくつかの実施形態では、制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスは、出力デバイスを使用して音響および/または光学アラームを出力するように構成される。アラームは、例えば、判定が、認められないものとして事前に定義されている結果をもたらす場合、特に所定の限界を超えるとき、特に値が下限値を下回るもしくは上限値を超えるとき、値の許容範囲から出るとき、または所定の絶対値を超えるときに出力される。認められないものとして定義されたこれらの結果は、例えば、本明細書に記載の記憶デバイスに記憶され得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、医療用処置装置は、記憶デバイスを備えるか、またはそれに接続されており、制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスは、例として基準値についての判定または比較の結果を、すなわち本明細書で言及される記憶デバイスに記憶するか、または記憶するようにプログラムされる。
【0046】
いくつかの実施形態では、以前に測定された圧力値プロファイルもまた、判定デバイスによる判定中に考慮されること、またはそれらが摩耗の度合いの決定に含まれることが提供され得る。
【0047】
この記憶デバイスは、医療用処置デバイスの一部であり、例えば、メンテナンス活動中に定期的に読み出される部分内にあり得る。しかしながら、それはまた、医療用処置装置から離れて、例えば、処置装置のメンテナンスまたはモニタリングに割り当てられたまたはそれに含まれる場所に配置され得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、制御デバイスまたは閉ループ制御デバイスは、記憶された結果または測定値から陰圧源の時間に基づいて摩耗曲線を決定する、例えば計算するように構成される。代替的に、この決定を促すように構成される。
【0049】
この目的のために、例えば、早い段階で傾向を、すなわち、中期または長期で明らかになる進展を、例えば、それらの傾き/勾配または他の特性に基づいて決定し、任意選択的に定量化するために、様々な圧力プロファイルが判定され得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、記憶された曲線またはそれに基づく摩耗曲線は、必要であれば、例えばサービス技術者によって読み出され得る。代替的に、データメモリが外部デバイス上に設けられてもよい。したがって、結果は、例えばネットワークに供給され、そこに記憶され得る。必要であれば、結果は複数のデバイスから検索され得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、陰圧源の摩耗に起因する誤動作の発生の確率が、既知の方法にしたがって決定され、例えば、読み取り可能データメモリ内のストレージ、ディスプレイ、アラームなどによって通信される。追加または代替として、そのような誤動作が発生する可能性が高い時点または時間期間が決定および通信され得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、とりわけ、陰圧源の摩耗に起因する誤動作の発生の確率、または該発生の時点もしくは時間期間を決定するために、既知の傾向分析方法が使用される。
【0053】
上述の確率、時点/期間の決定、ならびに/または結果の提示および/または送信などを実施するために必要なハードウェアまたはソフトウェアが、任意選択的に設けられ、適宜セットアップされ、構成され、および/またはプログラムされる。
【0054】
既知の傾向分析方法には、単純な平均化、移動平均の決定、最小二乗偏差の決定、一次指数平滑化などが包含される。
【0055】
いくつかの実施形態では、医療用処置装置は、血液処置装置として、特に、血液透析装置、血液濾過装置、血液透析濾過装置として、または分離手順を行うための装置として具現化される。
【0056】
本明細書で開示される基準値または基準圧力プロファイルは、例えば生産中に製造者によって、または試運転中に技術者によって記憶デバイスに記憶されてもよいし、または記憶されていてもよく、この記憶デバイスは、陰圧源または陰圧源を備える医療用処置装置の一部であり得る。本明細書に記載のステップが実施されているときに、不変の基準値または基準圧力プロファイルがそこから読み出され得る。
【0057】
基準値は、例えば、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NOVRAM)に記憶されてよく、NOVRAMは、原理上、周期的に書き込めるが、それにもかかわらず外部電源故障の場合に最後の有効なデータコンテンツが内部ROM領域に保存されるメモリモジュールである。NOVRAMに一体化されたキャパシタは、外部から印加された電圧の故障の場合に、同じくNOVRAMに一体化されているRAM部分のコンテンツをROM部分にコピーするために必要なエネルギーを供給する。
【0058】
いくつかの実施形態では、陰圧源の漸進的なまたは大きくなる摩耗が、異なる時点で複数の(少なくとも2つの)圧力プロファイルにわたって検出された場合、これに関してアラームまたは通知が出され得る。
【0059】
例えば、医療用処置装置は、陰圧源が摩耗によりメンテナンス、修理、または交換を受けるべきであるという警告またはインジケーションを出し得る。このようにして、交換を、適時に、すなわち完全な故障が実際に発生する前に実施することができ、これは、有利なことに処置装置の中断時間を低減するのに役立ち得る。陰圧源のメンテナンスまたは修理を、早い段階でスケジュールすることができ、したがって、反応として実施されるメンテナンスとは異なり、機を逸した時間に、すなわち不適切な可能性がある時間に実施することがない。
【0060】
医療用処置装置の通常動作のために定期的に必要とされる陰圧の生成中にもう専用の試験を行うことなく、摩耗した陰圧源を本発明にしたがって特定することができるので、陰圧源のメンテナンスまたは修理に最良に取り組むべき時間を比較的早期に検出することができる。いくつかの実施形態では、判定の結果(判定結果、摩耗の程度など)は、出力デバイス上に、または出力デバイスによって、例えば、処置装置(ディスプレイ)上に、もしくは外部モニタ、あるいはディスプレイ上などに表示されるか、または印刷(プリントアウト)される。
【0061】
いくつかの実施形態では、判定の結果(判定結果、摩耗の程度など)は、出力デバイス上に、または出力デバイスを使用して、例えば、処置装置(ディスプレイ)上に、もしくは外部モニタ、あるいはディスプレイ上などに表示または印刷される。
【0062】
本発明に係る医療装置のいくつかの実施形態では、制御デバイスは、医療装置によって行われる処置オプションを防止するように、および/または医療装置のポンプ、好ましくは医療液体、特に透析液体を搬送するポンプを停止するようにさらに構成される。本発明によれば、これは、判定結果(判定結果、摩耗の程度など)が、陰圧源の摩耗が非常に進行していることを示すときに行われる。
【0063】
本明細書で圧力の測定に言及するとき、いくつかの実施形態では、この用語は、例えば、提供された値から圧力を計算することによって、求められる圧力を決定することにも拡張し得る。
【0064】
2つの構成要素間の信号接続または通信接続が本明細書に記載されているとき、これは使用中に存在する接続を意味すると理解してよい。同様に、例えば2つの構成要素を結合することによる、例えばペアリングなどによる、そのような(有線、ワイヤレス、または別様の)信号接続の備えがあることを意味すると理解してよい。
【0065】
ペアリングとは、通信の目的でコンピュータユニット間に初期リンクまたは接続を確立するためにコンピュータネットワークと接続して行われるプロセスとして理解される。これの最もよく知られた例には、Bluetooth(登録商標)接続の確立があり、これによって様々なデバイス(例えば、スマートフォン、ヘッドフォン)が互いに接続される。ペアリングは、ボンディングと呼ばれるときもある。
【0066】
いくつかの実施形態では、評価される値は、トルクまたはポンプ速度ではないし、またはそれを備えない。
【0067】
いくつかの実施形態では、陰圧源はピストンポンプではなく、および/または遠心ポンプではない。
【0068】
いくつかの実施形態では、陰圧源は、液体ポンプではないし、または液体を圧送するために使用されない。
【0069】
いくつかの実施形態では、陰圧源は、病院などの中央真空施設ではない。陰圧源は、好ましくは医療用処置装置の一部であり、例えばそのハウジングによって包含されている。
【0070】
いくつかの実施形態では、本明細書で言及される圧縮器の吸引側は、陰圧源として使用される。同様に、圧縮器の圧力側は、例えば、圧縮流体の適切なガイド、ベンチュリノズルの使用、および/または同様のことによって、陰圧源として使用され得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、制御デバイスは、摩耗を決定するためにピストン撓みセンサを使用してポンプのピストンの撓みを決定するようにはプログラムされていない。
【0072】
本発明に係るいくつかの実施形態によって、以下を含む本明細書に記載の利点のうちの1つまたは複数が達成可能であり得る。
【0073】
本発明は、機能効率に関する、特に陰圧源の摩耗の程度に関する信頼できる事実を述べることを可能にする。
【0074】
本発明の別の利点は、医療用処置装置がその陰圧源を自動的にチェックすることが可能であることであり得る。該チェックのために有資格サービス技術者またはユーザの労力が必要なく、これは、コストを節約するのに役立ち得る。
【0075】
さらに、有資格サービス技術者による訪問またはユーザによるチェックの後に初めて発生する陰圧源の搬送活動の逸脱を、早い段階で、例えば処置中に医療用処置装置の日常のルーチンチェックまたは使用の一環として検出することができる。
【0076】
別の利点には、汎用処置装置の使いやすさの向上があり得る。本発明によれば、ユーザは、陰圧源をチェックする負担を負わない。使用中の処置装置の中断時間が、本発明によって、なくならないとしても最小限に抑えられる。
【0077】
したがって、陰圧源を交換する必要性を適時に検出することにより、医療用処置装置の信頼性を高めることができ、したがって、患者にとってより安全に動作することができる。
【0078】
最後に、本発明によって、陰圧源に関する故障数値の統計的判定が改善され得ることが有利であり得る。これは、有利なことに、実際のエラーを特定し、摩耗した陰圧源の報告されないケースの数を低減または完全になくすのに役立つ。
【0079】
以下、本発明について、添付図面を参照してその好ましい実施形態に基づいて説明する。本発明に係る医療用処置装置について、血液透析装置の実施例を使用して説明する。しかしながら、本発明は、他の処置装置、例えば血液透析濾過装置にも同様に使用することができる。図において以下が適用される。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【
図1】第1の実施形態における本発明に係る医療用処置装置のフロー図を非常に簡略化した表現で示す。
【
図2】陰圧の増大中の圧力-時間図における2つの例示的な圧力値プロファイルおよびそれぞれ陰圧を増大させる陰圧源の摩耗の度合いの出力を示す。
【
図3】さらなる圧力-時間図における陰圧源の摩耗状態の定量的評価を示す。
【
図4】例示的な実施形態における本発明に係る医療用処置装置のさらなる構成要素のフロー図を非常に簡略化した表現で示す。
【発明を実施するための形態】
【0081】
図1は、第1の実施形態における本発明に係る医療用処置装置100のフロー図または経路図を非常に簡略化した表現で示す。
【0082】
医療用処置装置100の主要部分は、「ブラックボックス」として表されている。医療用処置装置は、その体外血液回路を有する血液側と、多種多様なライン、ポンプ、および弁などを有する液圧側との両方を含む。血液側と液圧側とがそれを介して連通する血液フィルタも「ブラックボックス」に包含されている。医療用処置装置100の可能な設計の詳細については
図4を参照されたい。
【0083】
医療用処置装置100は、制御デバイスまたは閉ループ制御デバイス50によって促される真空ライン3内の陰圧を増大または変化させることを目的として、真空ライン3を介して陰圧源1と流体連通または搬送連通している。
【0084】
圧力測定デバイスDSが、真空ライン3内に生じる圧力を測定するために真空ライン3上またはその中に配置される。陰圧の増大中または既に与えられている陰圧の変化中に連続的にまたは複数回圧力を測定することによって、圧力値プロファイルPx(以下の図の圧力値プロファイルP1、P2を参照)が決定され得る。したがって、圧力値プロファイルPxとは、本明細書では、例えば内挿および外挿によって連続的なプロファイルを形成するように組み合わせることができる一連の圧力値と理解することができ、このプロファイルは、
図2および
図3の圧力値プロファイルP1、P2に対して行われているように、曲線または線としてグラフで表され得る。
【0085】
決定デバイス9も設けられており、圧力測定デバイスDSによって測定された圧力値プロファイルP1、P2から、少なくとも1つの評価される値Δt1、α1、Δt2、α2などを決定する働きをする。
【0086】
評価される値が、例えば、陰圧源1を使用した所定の陰圧の増大が開始される時間から所定の陰圧に達するまで陰圧源1がどのくらいの時間を要するかのインジケーションである場合、決定デバイス9は、測定された圧力値プロファイルP1のための値Δt1または測定された圧力値プロファイルP2のための値Δt2を決定する。
【0087】
一方、評価される値が、測定された圧力値プロファイルP1またはP2の幾何学的経路から得られる角度である場合、評価される値として、それぞれ、例えば
図2の角度α1もしくは圧力値プロファイルP1のためのあるいはそれに基づく対応する角度α1が決定され、または圧力値プロファイルP2のための角度α2が決定され、ここにおいて、該決定は、決定デバイス9を使用することによって行われる。
【0088】
評価される値の決定および評価に関する詳細については、以下の
図2および
図3ならびにそれらの説明を参照されたい。
【0089】
記憶デバイス5には、任意選択的に、a)圧力値プロファイルP1、P2の評価される値Δt1、α1、Δt2、α2、…に対して好適である基準値がそれから決定され得る少なくとも1つの基準圧力プロファイル、b)評価される値Δt1、α1、Δt2、α2、…のための、ほとんどが基準圧力プロファイルに既に基づいているかもしくはそれから取得される基準値、および/またはc)圧力値プロファイルP1、P2の評価される値Δt1、α1、Δt2、α2、…にそれぞれ割り当てられる少なくとも1つの度合い(ここでは例示的に「%」で示す)が記憶されている。度合いは、評価される値Δt1、α1、Δt2、α2、…または値の量に依存する、圧力値プロファイルP1、P2を測定するときに存在する測定された陰圧源1の摩耗を示す。a)、b)およびc)にしたがう内容は、互いの代替としてまたは互いに追加して、記憶デバイス5に記憶され得る。
【0090】
したがって、基準値は、例えば、所定の陰圧を増大させるのに要する時間であってもよいし、または基準圧力プロファイルと、例えば制御下限LL(
図2参照)、圧力-時間図における水平線もしくは他の基準線との間の角度の角度インジケーションなどであってもよいし、またはそれを包含してもよい。
【0091】
図示されていない基準圧力プロファイルと、それに対応して基準圧力プロファイルから取得されたまたは取得することができる基準値とは、いくつかの実施形態では、決定デバイス9によって決定された、
図2では圧力値プロファイルP1のためのΔt
1もしくはα1または圧力値プロファイルP2のためのΔt
2、α2として示されている、評価される値または値の特性に対する比較値としての働きをする。
【0092】
基準圧力プロファイルは、例えば、陰圧源1において新しい状態のときに記録または収集された圧力値プロファイルであり得る。この場合、
図2および
図3に示される圧力値プロファイルP1は、基準圧力プロファイルとしての働きをし得る。
【0093】
読取りデバイス7が設けられ、記憶デバイス5から、特に記憶デバイス5に記憶された少なくとも1つの基準値、基準値をそれに基づいて決定するために記憶デバイス5に記憶された基準圧力プロファイル、または評価される値の異なる特性もしくは値がそれぞれ割り当てられるように記憶デバイス5に記憶され得る記憶デバイス5に記憶された摩耗の度合いといった値を読み出すように構成される。
【0094】
判定デバイス11が任意選択的に設けられ、評価される値が基準値に関連付けられたときまたは基準値と比較されたときに達成され得る結果に摩耗の度合いを割り当てるように構成される。
【0095】
制御デバイスまたは閉ループ制御デバイス50は、医療用処置装置100の本明細書で概説される制御デバイスまたは閉ループ制御デバイス150に対応してもよいし、またはそこから分離して設けられてもよいが、少なくともそこに信号接続している。
【0096】
制御デバイスまたは閉ループ制御デバイス50はさらに、圧力測定デバイスDSに真空ライン3内に生じる陰圧を測定させるように構成され、それによって、測定された圧力値プロファイルP1、P2が決定される。
【0097】
さらに、制御デバイスまたは閉ループ制御デバイス50は、読取りデバイス7によって少なくとも1つの記憶された基準値を読み出すこと、記憶された基準圧力プロファイルからの基準値を読み出すこと、または評価される値に割り当てられた度合いを読み出すことを可能にするように構成される。該読み出しは、それぞれ記憶デバイス5から行われる。
【0098】
最後に、制御デバイスまたは閉ループ制御デバイス50は、測定された圧力値プロファイルP1、P2から、評価される値を決定するように決定デバイス9を促すように構成される。
【0099】
評価される値が基準値に関連付けられたときまたは基準値と比較されたときに取得され得る結果に摩耗の度合いを割り当てるために、制御デバイスまたは閉ループ制御デバイス50は、この目的のために設けられた判定デバイス11に対して相応に作用する。
【0100】
制御デバイスまたは閉ループ制御デバイス50はまた、比較の結果または摩耗の度合いの出力を促す/もたらすように構成される。この目的のために出力デバイス55を利用することができる。
【0101】
いくつかの実施形態では、出力デバイス55は、
図1に示される任意の他のデバイスと任意選択的に同様に、医療用処置装置100の一部である。他の実施形態では、そこから分離されている。出力デバイス55と処置装置100は、好ましくは信号通信するが、これもまた
図1に示される任意の他のデバイスについても任意選択的に当てはまり得る。
【0102】
制御デバイスまたは閉ループ制御デバイス50は、判定がアラームイベントまたはアラーム発出として事前に定義されている結果をもたらす場合、出力デバイス55によって音響および/または視覚、触覚または他のアラームを出力させるように構成される。そのような結果は、特に、所定の限界外にあるもの、特に、下限値を下回るもしくは上限値を超えるもの、許容値範囲から出るもの、および/または所定の量を超えるものであり得る。
【0103】
図1の矢印は、それに限定されないが、有線またはワイヤレスで実装され得る信号通信、特にデータ通信を表す。
【0104】
図1では、上述したデバイスが医療用処置装置100の隣に示されている。これらのデバイスのうちの1つ、一部、または全部が、医療用処置装置100内に、または少なくともそのハウジング内に一体化されることが、本発明に包含され得る。
【0105】
図2は、圧力-時間図における既に上述した2つの圧力値プロファイルP1、P2を例示的に示し、これらは、真空ライン3内の陰圧の増大中に測定されたものである。これについては
図1の説明も参照されたい。
【0106】
測定された圧力値プロファイルP1、P2の各々について、陰圧源1の摩耗状態を知る目的で評価される必要がある1つまたは複数の値が決定され得る。
【0107】
上述のように、評価される値は、例えば、角度または持続時間であってよく、それについての基準値(角度または持続時間)が記憶デバイス5に記憶されていてもよいし、またはそれについての好適な基準値が読み取られ、もしくは測定され、もしくは任意選択的に記憶された基準圧力プロファイルから異なって決定されてもよい(したがってこの場合もまた角度または持続時間)。
【0108】
評価される値と対応する基準値との比較は、好適な判定が選択されたとき、陰圧源1の摩耗に関する事実を述べることを可能にし得る。
【0109】
圧力測定デバイスDSを使用して圧力値プロファイルP1、P2のみが測定され得るのではなく、いくつかの実施形態では、これが基準圧力プロファイルにも適用される。後者は、例えば、医療用処置装置100および/または陰圧源1の初期試運転に関連して、またはそのメンテナンスの完了後に、圧力測定デバイスDSによって測定され、記憶デバイス5に記憶されていてよい。
【0110】
図2の実施例では、例えば、Δt
1は、新しい陰圧源1が陰圧を増大させるのに要した時間に対応しており、これが、圧力プロファイルP1が以下で基準圧力プロファイルとみなされる理由である。一方、Δt
2は、陰圧源1が陰圧を増大させるのに要した時間であり、ここにおいて、該陰圧源1は、その反復使用に起因する摩耗の兆候を既に示している。
【0111】
例えば、チェックされる陰圧源1によって真空ライン3内の陰圧を増大させるのに要した時間Δt2が測定された場合、陰圧源1の現在の摩耗状態を示すための定性的および/または定量的な値がこれから決定されてよく、この決定は、ここでは基準値の一例として説明されている時間Δt1との比較によって行われる。陰圧を増大させるのに要した時間Δt2が短いほど、陰圧源1の状態は良好である。本明細書では、Δt1とΔt2との差が大きいほど、摩耗が大きいと想定され得る。
【0112】
図2は、
図3で説明される、圧力値プロファイルP1が制御下限LLと交差する角度α1が、圧力値プロファイルP2が制御下限LLと交差する角度α2よりもかなり大きいことを示している(α1>α2)。したがって、本発明によれば、角度、例えば角度α2も、評価される値としてみなされ得る。
【0113】
図2の実施例では、例えば、角度α1は、第1の能力(例えば、新しい陰圧源の能力)を有する陰圧源1の圧力値プロファイルP1が制御下限LL(または別の基準線もしくは基準直線)と交差する角度に対応しており、角度α2は、第1の能力とは異なる第2の能力(例えば、特定の時間にわたり使用されている陰圧源の能力)を有する陰圧源1の圧力値プロファイルP2がこの制御下限LLと交差する角度である。
【0114】
図1について説明したように、考慮されている陰圧源1の摩耗の代替的な評価のために記憶デバイス5に異なる持続時間Δt
xまたは角度αxが記憶されてよく、これらは、異なる摩耗の程度もしくは度合いに割り当てられる。例えば、考慮されている陰圧源1において測定された持続時間Δt
xまたは評価される値としての決定された角度αxを対応する基準値と(差形成、商形成などを使用して)比較することによって、評価される値の対応する基準値からの偏差が決定され得る。この偏差もまた、この目的のために記憶デバイス5に記憶された摩耗の度合いに割り当てられ得る。
【0115】
したがって、評価される値と対応する基準値との比較のみが、陰圧源1の摩耗に関する事実を述べることを可能にし得るのでなく、むしろ評価される値(角度、時間など)のみの観察および記憶デバイス5内のその量または値に割り当てられた摩耗の度合いの読み出しも可能にし得る。該摩耗の度合いは、例えば、テーブルまたはデータ記録などに、またはそれを介して記憶され得る。基準値はここでは必要とされない。
【0116】
制御デバイスまたは閉ループ制御デバイス50を使用することによって、摩耗の程度に関する対応する定性的および/または定量的なステートメントまたはそれに関するアラームが、出力デバイス55を介して出力され得る。
【0117】
評価される値の一例としてのΔt1またはα1の代替または追加として、圧力値プロファイルP1、P2を記述するのに好適である形状またはプロファイル(傾き/勾配、曲率など)のまたはそれに関する任意のインジケーションもしくは情報が、評価される値として理解されてもよく、この場合に基準値として記憶された値は、そのように決定された値に対応し得る。
【0118】
最後に、測定された圧力値プロファイルP1、P2それ自体と、記憶デバイス5それ自体に記憶された基準圧力プロファイルとの比較を既に実施できることに留意されたい。摩耗の度合いが次にこの比較の結果に割り当てられ得る。例えば、一方の測定された圧力値プロファイルP1、P2と他方の記憶された基準圧力プロファイルとの間で画像比較が行われ得る。圧力値プロファイルのグラフが基準圧力プロファイルのグラフから過度に逸脱する場合、それらの形状が過度に異なる場合などには、摩耗の度合いがこの逸脱に割り当てられ得る。したがって、いくつかの実施形態では、測定された圧力値プロファイルP1、P2の形状が、評価される値として既に理解され得る。
【0119】
図3は、さらなる圧力-時間図における陰圧源1の摩耗状態の定量的評価を判定の任意選択の結果として示す。
【0120】
2つの曲線は、
図2の表現と同様に、測定された圧力値プロファイルP1、P2を示す。
【0121】
図3は、制御下限LLおよび制御上限ULをさらに示す。これらは、いくつかの実施形態では、処置装置100の意図された使用において定期的に役割を果たす限界値または閾値であり、その理由は、真空ライン3内に生じる陰圧が制御上限ULを超えるたびに陰圧が再び増大されるため、すなわち、生じている陰圧がこの値まで緩和されており、再び増大される必要があるためである。この目的のために、陰圧源1は、意図されたように始動するように制御デバイスまたは閉ループ制御デバイス50によって促される。したがって、現在の摩耗の度合いを決定するとき、実用上の理由から、制御下限LLに基づく向きが望ましいか、または推奨される。当然のことながら、本発明を実施するために、他の基準圧力または基準圧力経路も使用され得る。
【0122】
制御下限LLに達するために同じ陰圧(ここでは約-650mbar)を増大させるのに必要なまたは要した圧力値プロファイルP2の時間Δt
2は、制御下限LLに達するのに要した圧力値プロファイルP1の時間Δt
1よりも長い。
図2の図における値Δt
1およびΔt
2は、圧力(陰圧)の増大の開始から既定の陰圧に達するまでの間に経過した時間期間を表しているが、
図3では、それらはその時間期間の終わりを示していることに留意されたい。陰圧源1が陰圧の増大を始めた時点は、
図3には具体的に示されていない。
【0123】
比較または判定の結果は、既知の方法を使用して、例えば、経験値に基づく、基準値に関連付けられたパーセントでのインジケーションを用いて定量化され得る。
図3の実施例では、制御下限LLを下回るときまたは下回ったときの圧力値プロファイルP1は、制御下限LLを超えるときまたは超えたときの圧力値プロファイルP2のパラメータから決定された第2の能力を記述する割合、例えば40%よりも高い、圧力値プロファイルP1のパラメータから決定された第1の能力を記述する割合、例えば84%をもたらす。
【0124】
割合は、例えば、能力、および/または残りの耐用年数などに関する定量的なステートメントを表してもよいし、またはそれに割り当てられてもよい。そのような数字または対応付けは、経験値に基づき得る。それらは、例えば、表形式で提供されてもよいし、および/または記憶デバイス5に記憶されていてもよい。所定の割合は、アラーム出力のためまたはアラームをトリガするための尺度であり得る。
【0125】
アラームがトリガされない場合、評価される値もしくは値の量、またはこの値に基づいて決定される陰圧源1の摩耗の程度は、制御デバイスまたは閉ループ制御デバイス50によって促されて、記憶デバイス5または別の記憶デバイス(図示せず)に記憶され得る。このような記憶は、アラームの場合にも行われ得る。
【0126】
摩耗曲線が1つの同じ陰圧源1について異なる時間に測定されたいくつかの測定された圧力値プロファイルPxから計算され、適用可能な場合、例えば本明細書に記載の記憶デバイス5に記憶されることが提供され得る。摩耗曲線は、サービス技術者が読み出しまたは表示することができるように記憶され得る。
【0127】
そのような摩耗曲線または異なる摩耗記録の判定および/または摩耗判定は、例えば自動的に実施され得る。対応する情報が、例えばサービス技術者に送信され得る。
【0128】
図4は、体外血液回路300に接続された、本発明に係る医療用処置装置100、ここでは血液処置装置の一実施形態のさらなる構成要素のフロー図を示し、体外血液回路300は、ダブルニードルアクセスを使用する処置のため、または、例えば追加のYコネクタ(参照番号Y)を使用することによって、シングルニードルアクセスを使用する処置のために、患者の血管系(図示せず)に接続され得る。血液回路300は、任意選択的に部分的に、本明細書では使い捨て品の一例として言及される血液カセット上またはその中にあり得る。
【0129】
血液回路300の領域内のポンプ、アクチュエータ、および/または弁は、本発明に係る処置装置100またはそれに包含される制御デバイス150に接続される。
【0130】
血液回路300は、患者動脈チューブクランプ302と、動脈部分の、または患者動脈ライン、採血ライン、もしくは第1のライン301の動脈接続針とを備える(またはそれらに接続される)。血液回路300はまた、患者静脈チューブクランプ306と、静脈部分、患者静脈ライン、返血ライン、または第2のライン305の静脈接続針とを備える(またはそれに接続される)。
【0131】
第1のライン301にまたはその中に血液ポンプ101が設けられ、さらなるフィルタ段階(F2)で濾過される新しい透析液体(置換流体)を搬送するための透析液体入口ライン104に置換流体ポンプ111が接続される。置換流体ライン105が、透析液体入口ライン104に流体接続され得る。置換流体ポンプ111を使用して、置換流体は、前希釈弁107を介する前希釈によって、または後希釈弁109を介する後希釈によって、割り当てられたライン107aまたは109aを介してライン部分内に、例えば、血液回路300の動脈側ライン部分301内または静脈側ライン部分305内(ここでは、血液フィルタ303の血液チャンバ303bと静脈空気分離チャンバまたは静脈血チャンバ329との間)に導入され得る。
【0132】
血液フィルタ303は、動脈側ライン部分301および静脈側ライン部分305に接続された血液チャンバ303bを備える。血液フィルタ303の透析液体チャンバ303aは、透析液体チャンバ303aに通じる透析液体入口ライン104、および透析液体チャンバ303aから遠ざかる、透析液、すなわち使用済みの透析液体をガイドする透析液出口ライン102に接続されている。透析液体チャンバ303aおよび血液チャンバ303bは、ほぼ半透性の膜303cによって互いに分離されている。これは、体外血液回路300を有する血液側と、
図4では膜303cの左側に示されている透析液体回路または透析液回路を有する機械側との仕切りを表す。
【0133】
透析液体入口ライン104は、任意選択的に圧縮器175と流体連通している。
【0134】
図4の配置は、空気および/または血液を検出するための任意選択の検出器315を包含する。
図4の配置はさらに、
図4に示される地点において、(血液ポンプ101の上流に)1つまたは2つの圧力センサPS1と、(血液ポンプ101の下流に)PS2(血液フィルタ303の上流(「プレヘモフィルタ」)の圧力を測定する)とを包含する。静脈血チャンバ329の下流に、さらなる圧力センサ、例えば圧力センサPS3が設けられ得る。
【0135】
図4では、患者が2つの血液ライン301、305のうちの一方のみを使用して体外血液回路300に接続されるシングルニードル手法でのバッファおよび/または補償リザーバとして、任意選択のシングルニードルチャンバ317が使用される。
【0136】
図4の配置はまた、気泡および/または血液を検出するための任意選択の検出器319を包含する。
【0137】
ヘパリンまたは別の抗凝固薬のための添加部位325が任意選択的に設けられ得る。
【0138】
血液は、血液フィルタ303を出て、任意選択の静脈血チャンバ329を流れ、当該静脈血チャンバは、脱気デバイス318を備えてよく、圧力センサPS3と流体連通し得る。
【0139】
図4の左側には、混合デバイス160が示されており、容器A(濃縮液供給部166を介するA濃縮液用)および容器B(濃縮液供給部168を介するB濃縮液用)からのそれぞれの溶液のための所定の混合物を、処置装置100による使用のために提供する。溶液は、水供給源155からの、例えば加熱デバイス162において加熱された(オンラインで、例えば逆浸透水として、またはバッグからの)温水を含む。
【0140】
濃縮液ポンプまたはナトリウムポンプと呼ぶこともできるポンプ171は、混合デバイス160と例えば容器Bなどのナトリウムの供給源とに流体接続され、および/またはそこから搬送する。重炭酸塩などのための容器Bに割り当てられた任意選択のポンプ173を見ることができる。
【0141】
陰圧(または圧力)を増大させるための陰圧源が、例えば、非限定的に参照番号1を有し、本明細書では圧縮器とも呼ばれる任意選択の陰圧源に見ることができ、これは、ここでは真空ライン3を介してポート1000および/またはさらなるポート1000’に例示的に接続されている。代替的な圧力源、特に陰圧源が設けられてもよい。
【0142】
さらに、
図4は、排液のための排液ライン153を示す。任意選択の熱交換器157と、脱気に好適な第1のフローポンプ159とによって、図示の配置が完成する。
【0143】
血液フィルタ303の濾液圧力または膜圧力を測定するために、水側の血液フィルタ303の下流、ただし好ましくは透析液出口ライン102内の限外濾過ポンプ131の上流に、さらなる圧力センサがPS4として設けられ得る。さらに任意選択の圧力測定点Pも設けられ得る。
【0144】
図4に示される例示的な配置は、制御デバイスまたは閉ループ制御デバイス150を備える。それは、血液処置装置100を制御または調節するために、本明細書に記載の構成要素のいずれかと、特にまたは具体的には血液ポンプ101と、有線またはワイヤレス信号通信し得る。
【0145】
透析液体のオンライン混合のためのデバイスを使用することによって、制御デバイスまたは閉ループ制御デバイス150によって制御されるナトリウム含有量の変動が特定の限度内で起こり得る。この目的のために、特に導電率センサ163a、163bによって決定される測定値が考慮され得る。透析液体または置換流体のナトリウム含有量(ナトリウム濃度)の調整が必要または望ましいと判明した場合、ナトリウムポンプ171の搬送速度を調整することによってこれを行うことができる。
【0146】
さらに、処置装置100は、新しい透析液体および透析液を搬送するための手段を備える。第1のフローポンプ159と血液フィルタ303との間に第1の弁が設けられ得、この第1の弁は、入口側の血液フィルタ303に向かう流入を開閉する。排液ライン153に向かって、および/またはそれを通して透析液を搬送する任意選択の第2のポンプまたはフローポンプ169が、例えば血液フィルタ303の下流に設けられる。血液フィルタ303と第2のフローポンプ169との間に第2の弁V25が設けられてよく、第2の弁V25は、出口側の流出を開閉する。
【0147】
さらに、処置装置100は任意選択的に、機械側の透析器303に流入またはそこから流出する流れをバランシングするためのデバイス161を備える。バランシングのためのデバイス161は、好ましくは、第1のフローポンプ159と第2のフローポンプ169との間のライン部分に配置される。
【0148】
処置装置100はさらに、ユーザおよび/または制御デバイス150によって予め決定された量の液体をバランス回路から正確に除去するための、限外濾過ポンプ131などの手段を備える。
【0149】
任意選択の導電率センサ163a、163bなどのセンサが、いくつかの実施形態では温度補償される導電率、および透析器303の上流および下流の液体流量を決定するためにさらに設けられ得る。
【0150】
温度センサ165a、165bが、個別にまたはグループで設けられ得る。それらによって供給される温度値は、温度補償された導電率を決定するために使用され得る。さらに、それらは、透析液体または透析液の温度をモニタリングするために設けられ得る。
【0151】
さらなるフローポンプもまた、例えば、参照番号169のフローポンプに加えてまたはその代替として設けられ得る。
【0152】
図4では、いくつかの任意選択の弁がそれぞれVで示されている。
【0153】
制御デバイス150は、いくつかの実施形態では、上述した任意選択のセンサからの測定値に基づいて電解質バランスおよび/または液体バランスを決定する。
【0154】
フィルタF1およびF2が直列に接続され得る。
【0155】
非滅菌水を使用するときでも、フィルタF1は例示的に本明細書では混合デバイス160によって十分な純度の透析液体を生成する働きをし、透析液体は次いで、例えば向流原理を使用して血液フィルタ303を流れる。
【0156】
例示的に、フィルタF2は、本明細書では第1のフィルタF1を出た十分な純度の透析液体から、例えば、発熱性物質を濾別することによって、滅菌または十分に濾過された置換流体を生成する働きをする。次いでこの置換流体は、患者の体外を流れる血液に安全に添加され、これにより最終的に患者の身体に添加され得る。
【0157】
処置装置100は、任意選択的に、血液(透析)濾過のための装置として
図4に示されている。しかしながら、図には具体的に表されていないが血液透析装置も本発明によって網羅される。
【0158】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、これは例示としてのみの役割をする。
【0159】
図4に示されている矢印は、概して、それぞれ流れの方向を示す。
【0160】
弁として、特に、血液フィルタ303の上流のライン104内の弁V24、血液フィルタ303の下流のライン102内の弁V25、およびV33、V44、V43、V42、V45が、示されたまたは図示された箇所に設けられ得る。
【符号の説明】
【0161】
1…陰圧源、例えば、圧縮器
3…真空ライン
5…記憶デバイス
7…読取りデバイス
9…決定デバイス
11…判定デバイス
50…制御デバイスまたは閉ループ制御デバイス
55…出力デバイス
100…医療用処置デバイス
101…血液ポンプ
102…透析液出口ライン
104…透析液体入口ライン
105…置換流体ライン
107…前希釈弁
107a…前希釈弁に対応する、またはそれに割り当てられたライン
109…後希釈弁
109a…後希釈弁に対応する、またはそれに割り当てられたライン
111…置換流体ライン
131…限外濾過ポンプ
150…制御デバイス
153…排液ラインまたは排出ライン
155…水供給源
157…加熱デバイス、熱交換器
159…第1のフローポンプ
160…混合デバイス
161…バランシングのためのデバイス
162…加熱デバイス
163a…導電率センサ
163b…導電率センサ
165a…温度センサ
165b…温度センサ
166…濃縮液供給部
168…濃縮液供給部
169…第2のフローポンプ
171…ポンプ、ナトリウムポンプ
173…ポンプ、重炭酸塩ポンプ
175…圧縮器
300…体外血液回路
301…第1のライン(動脈側ライン部分)
302…(第1の)チューブクランプ
303…血液フィルタまたは透析器
303a…透析液体チャンバ
303b…血液チャンバ
303c…半透膜
305…第2のライン(静脈側ライン部分)
306…(第2の)チューブクランプ
315…検出器
317…シングルニードルチャンバ
318…脱気デバイス
319…検出器
325…抗凝固薬用の添加部位
329…静脈血チャンバ(任意選択)
1000…ポート
1000’…ポート
F1…フィルタ
F2…フィルタ
F3…滅菌空気用フィルタ
F4…滅菌空気用フィルタ
A…容器
B…容器
DS…圧力測定デバイス
LL…制御下限
P1…測定された圧力値プロファイル
P2…測定された圧力値プロファイル
P…圧力測定箇所
PS1…動脈圧力センサ(任意選択)
PS2…動脈圧力センサ(任意選択)
PS3…圧力センサ(任意選択)
PS4…フィルタ圧力を測定するための圧力センサ(任意選択)
S03…圧力センサ
S07…圧力センサ
Δt1、Δt2…評価される値
α1、α2…評価される値
UL…制御上限
V…弁
V24…弁
V25…弁
V31…弁
V32…弁
V33…弁
V42…弁
V43…弁
V44…弁
V45…弁
Y…Y-コネクタ
【国際調査報告】