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特表2024-510810中和された水溶性遮断剤、不揮発性非フェニル化シリコーン油、皮膜形成ポリマー及び直鎖状ポリオキシアルキレン化ポリジメチルメチルシロキサン乳化剤を伴うエマルション
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-11
(54)【発明の名称】中和された水溶性遮断剤、不揮発性非フェニル化シリコーン油、皮膜形成ポリマー及び直鎖状ポリオキシアルキレン化ポリジメチルメチルシロキサン乳化剤を伴うエマルション
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/06 20060101AFI20240304BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20240304BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20240304BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20240304BHJP
   A61K 8/894 20060101ALI20240304BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20240304BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/46
A61K8/49
A61K8/891
A61K8/894
A61Q1/02
A61Q17/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558592
(86)(22)【出願日】2022-02-24
(85)【翻訳文提出日】2023-09-22
(86)【国際出願番号】 EP2022054678
(87)【国際公開番号】W WO2022199974
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】2103110
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレリ・ディク-ムートン
(72)【発明者】
【氏名】パスカル・アルノー
(72)【発明者】
【氏名】フロランス・ラルロレ
(72)【発明者】
【氏名】アナイス・ヴァンサン
(72)【発明者】
【氏名】カール・リアシ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB031
4C083AB032
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB231
4C083AB241
4C083AB332
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC212
4C083AC851
4C083AC852
4C083AC911
4C083AC912
4C083AD021
4C083AD022
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD171
4C083AD531
4C083AD532
4C083BB14
4C083BB43
4C083BB46
4C083CC03
4C083CC12
4C083DD23
4C083DD32
4C083EE01
4C083EE17
(57)【要約】
本発明は、特にケラチン物質をコーティングするための、より詳細にはケラチン物質をメイクアップする及び/又はケアするための生理学的に許容可能な媒体を含む、油中水型エマルションの形態の組成物に関し、本組成物は、
a)少なくとも1つの不揮発性非フェニル化シリコーン油を含む少なくとも1つの油性連続相と、
b)少なくとも1つのベンジリデンカンフルスルホン酸基を含む少なくとも1つの水溶性有機UV遮断剤及び/又は少なくとも1つのベンゾオキサゾールスルホン酸基を含む少なくとも1つの水溶性有機UV遮断剤を含む、前記油性相中で分散される少なくとも1つの水性相と、
c)前記水溶性有機UV遮断剤を部分的に又は完全に中和可能である少なくとも1つの無機塩基と、
d)少なくとも1つの疎水性皮膜形成ポリマーと、
e)HLB≦8.0である直鎖状ポリオキシアルキレン化ポリジメチルメチルシロキサンから選択される少なくとも1つの乳化界面活性剤と、
を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に、生理学的に許容可能な、特にケラチン物質の被覆のための、より詳細にはケラチン物質をメイクアップし、及び/又はケアするための媒体を含む、油中水型エマルションの形態の組成物であって、
a)少なくとも1つの不揮発性非フェニル化シリコーン油を含む少なくとも1つの油性連続相と、
b)少なくとも1つのベンジリデンカンフルスルホン酸基を含む少なくとも1つの水溶性有機UV遮断剤及び/又は少なくとも1つのベンゾオキサゾールスルホン酸基を含む少なくとも1つの水溶性有機UV遮断剤を含む、前記油性相中で分散される少なくとも1つの水性相と、
c)前記水溶性有機UV遮断剤を部分的に又は完全に中和可能である少なくとも1つの無機塩基と、
d)少なくとも1つの疎水性皮膜形成ポリマーと、
e)HLB≦8.0である直鎖状ポリオキシアルキレン化ポリジメチルメチルシロキサンから選択される少なくとも1つの乳化界面活性剤と、
を含む、組成物。
【請求項2】
前記不揮発性非フェニル化シリコーン油が、ポリジメチルシロキサン(ジメチコン);アルキルジメチコン;ビニルメチルメチコン及び脂肪族基及び/又は官能基、例えばヒドロキシル、チオール、カルボン酸及び/又はアミン基などによって修飾されるポリジメチルシロキサンから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記不揮発性非フェニル化シリコーン油が、50~500mm/sの範囲の粘度のジメチコンから選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
油性相の総濃度が、前記組成物の総質量に対して、20質量%~95質量%まで変動し、より詳細には30質量%~60質量%まで変動する、請求項1~3の何れか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記不揮発性非フェニル化シリコーン油が、前記組成物の総質量に対して、0.5質量%~20質量%の範囲、より好ましくは5質量%~15質量%の範囲、更により好ましくは7質量%~12質量%の範囲の濃度で存在する、請求項1~4の何れか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記油性相が、更に、少なくとも1つの揮発性炭化水素油及び/又は少なくとも1つの揮発性シリコーン油及びより詳細にはイソドデカンの及びドデカメチルペンタシロキサンの混合物を含む、請求項1~5の何れか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記揮発性油が、前記組成物の総質量に対して、5質量%~40質量%の範囲、より好ましくは10質量%~30質量%の範囲、更により好ましくは12質量%~25質量%の範囲の濃度で存在する、請求項1~6の何れか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記水性相が、前記組成物の総質量に対して、少なくとも20質量%の濃度、好ましくは30質量%~60質量%の範囲、より詳細には35質量%~50質量%の濃度で存在する、請求項1~7の何れか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記水溶性UV遮断剤が、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸2ナトリウム、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸及びそれらの混合物から選択され、より詳細にはフェニルベンズイミダゾールスルホン酸である、請求項1~8の何れか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記水溶性UV遮断剤が、前記組成物の総質量に対して、0.1質量%~10質量%の範囲、より好ましくは1質量%~8質量%の範囲、更により好ましくは2質量%~5質量%の範囲の濃度で本発明の組成物中に存在する、請求項1~9の何れか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記無機塩基が、アルカリ金属陽イオン塩基及びアルカリ土類金属陽イオン塩基から選択され、より詳細には水酸化ナトリウムである、請求項1~10の何れか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記疎水性皮膜形成ポリマーが、
-シリコーン樹脂;
-ブロックエチレンコポリマー;
-カルボシロキサンデンドリマー由来の少なくとも1つの単位を含むビニルポリマー;
-シリコーン-アクリレートコポリマー;
-それらの混合物
から選択され;より詳細にはトリメチルシロキシケイ酸樹脂から選択される、請求項1~11の何れか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物の総質量に対して、疎水性皮膜形成ポリマーの活性物質として、0.5質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%、より詳細には2質量%~7質量%を含む、請求項1~12の何れか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記直鎖状ポリオキシアルキレン化ポリジメチルメチルシロキサン乳化界面活性剤が、次の式(I):
【化1】
(式中、R、R及びRは、互いに独立して、C~Cアルキルラジカル又は-(CH-(OCHCH-(OCHCHCH-ORラジカルを表し、少なくとも1つのR、R又はRラジカルがアルキルラジカルではなく;Rは、水素、C~Cアルキルラジカル又はC~Cアシルラジカルであり;
Aは、0~200の範囲の整数であり;
Bは、0~50の範囲の整数であり;ただし、A及びBは同時に0に等しくなることがないものとし;
xは、0~6の範囲の整数であり;
yは、1~30の範囲の整数であり;
zは、0~30の範囲の整数である)
に対応する、請求項1~13の何れか1項に記載の組成物。
【請求項15】
式(I)の前記直鎖状ポリオキシアルキレン化ポリジメチルメチルシロキサン乳化界面活性剤が、R=R=メチルラジカル、x=0~3であり、Rが水素であるものから選択される、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記直鎖状ポリオキシアルキレン化ポリジメチルメチルシロキサン乳化界面活性剤が、
-PEG/PPG-8/8ジメチコン;
-PEG/PPG-18/18ジメチコン;
-シクロペンタシロキサン及びPEG/PPG-18/18ジメチコン混合物;
-シクロテトラシロキサン及びシクロペンタシロキサン及びPEG/PPG-18/18ジメチコン混合物;
-ジメチコン及びPEG/PPG-18/18ジメチコン混合物;
-PEG/PPG-19/19ジメチコン及びC13~C16イソパラフィン及びC10~C13イソパラフィン混合物;
-PEG-3ジメチコン;
-PEG-10ジメチコン;
-それらの混合物
から選択される、請求項1~15の何れか1項に記載の組成物。
【請求項17】
前記直鎖状ポリオキシアルキレン化ポリジメチルメチルシロキサン乳化界面活性剤が、ジメチコン及びPEG/PPG-18/18ジメチコン混合物である、請求項1~16の何れか1項に記載の組成物。
【請求項18】
前記直鎖状オキシアルキレン化ポリジメチルメチルシロキサンが、前記組成物の総質量に対して、0.1質量%~10質量%の範囲、より好ましくは0.5質量%~7質量%の範囲、更により好ましくは1質量%~4質量%の範囲の濃度で存在する、請求項1~17の何れか1項に記載の組成物。
【請求項19】
好ましくは二酸化チタン及び/又は酸化鉄から選択される、特に、疎水性表面処理剤で、特にN-アシル化アミノ酸及び/又はその塩の1つで、特にグルタミン酸誘導体及び/又はその塩の1つ、特にステアロイルグルタミン酸塩、例えばステアロイルグルタミン酸アルミニウムなどでコーティングされた少なくとも1つの顔料を更に含む、請求項1~18の何れか1項に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物の総質量に対して、少なくとも5質量%の顔料、より好ましくは5質量%~40質量%の顔料、特に10質量%~30質量%、より詳細には10質量%~20質量%の顔料を含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
好ましくは、少なくとも1つのシリコーン油、特にジメチコン型の直鎖状シリコーン油において媒介されるゲル形態の、少なくとも1つの非乳化オルガノポリシロキサンエラストマーを含む、請求項1~20の何れか1項に記載の組成物。
【請求項22】
前記組成物の質量に対して、0.1質量%~10質量%、好ましくは0.5質量%~5質量%で変動する、非乳化オルガノポリシロキサンエラストマーの、活性物質としての、含量を含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
疎水性シリカエアロゲル粒子、前述のものを除くシリカ粒子及びそれらの混合物から選択されるシリカ粒子を更に含む、請求項1~22の何れか1項に記載の組成物。
【請求項24】
ファンデーションの形態で提供される、請求項1~23の何れか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン物質をケアする及び/又はメイクアップする分野に関し、より詳細には皮膚をケアする及び/又はメイクアップすることに取り組む組成物を提供することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
皮膚は色が均一な平滑な面ではなく、毛穴、小ジワ、シワ、吹き出物、瘢痕及び乾燥部分といった大小の起伏を呈し、そのため、表面には多少凸凹がある。かなりの頻度で、この凸凹がある表面は全体としてはきれいに見えるが、この凸凹は、時に表面の見栄えが悪いとみなされる。
【0003】
毛穴、シワ及び/又は小ジワ及び/又は瘢痕など、皮膚の起伏の不完全性を目立たなくして、滑らかに整え、及び/又は一様にするために、メイクアップ及び/又はケア用化粧料組成物が広く用いられている。この点において、現在まで多くの固体又は液体の無水又は含水配合物が開発されてきた。
【0004】
ファンデーションなどのメイクアップ組成物の適用は、シミ及び色素異常を目立たなくし、毛穴及びシワなどの凹凸による難点を見えにくくし、吹き出物及びニキビ跡を隠すことを可能にすることによって、一様でない皮膚を美しく見せることを促進するための最も効果的なアプローチであり;この点に関して追求されている主要な特性の1つがカバー力である。一般に、これらの組成物において、ソフトフォーカス効果がある充填剤として知られる粒子と組み合わせて、酸化鉄及び酸化チタンなどの金属酸化物に基づく大量の顔料が使用される。しかし、これらの組成物は、毛穴及びシワなどの凸凹に蓄積する傾向があり、その結果、皮膚上の不均一な蓄積物が、その欠陥を強調し、皮膚上で不自然なものとして感じられる、艶のない仕上がりとなる。
【0005】
従って、良好なカバー性能によって効果的に皮膚の欠陥を滑らかに整え、隠し、それが1日中長続きする(摩耗特性)こと、及び皮膚などのケラチン物質上で、凸凹を強調する効果及び隠蔽効果(concealing effect)を実質的に低下させ、実際に抑制まですること、肌の色の良好な均一性及び、好ましくは艶のない感じがより低く、よりナチュラルな外観及びまた消費者の快適さを満たす美容特性も得ることを可能にする、新規の安定な化粧用組成物を見つけることが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一連のその研究において、出願会社は、驚くべきことに、
a)少なくとも1つの不揮発性非フェニル化シリコーン油を含む少なくとも1つの油性連続相と、
b)少なくとも1つのベンジリデンカンフルスルホン酸基を含む少なくとも1つの水溶性有機UV遮断剤及び/又は少なくとも1つのベンゾオキサゾールスルホン酸基を含む少なくとも1つの水溶性有機UV遮断剤を含む、前記油性相中で分散される少なくとも1つの水性相と、
c)前記水溶性有機UV遮断剤を部分的に又は完全に中和可能である少なくとも1つの無機塩基と、
d)少なくとも1つの疎水性皮膜形成ポリマーと、
e)HLB≦8.0である直鎖状ポリオキシアルキレン化ポリジメチルメチルシロキサンから選択される少なくとも1つの乳化界面活性剤と、
を含む、油中水型エマルションの形態の組成物により、この目的が達成され得ることを発見した。
【0007】
この発見は、本発明の基礎をなす。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、特に、生理学的に許容可能な、特にケラチン物質の被覆のための、より詳細にはケラチン物質をメイクアップ及び/又はケアするための媒体を含む、油中水型エマルションの形態の組成物であって、
a)少なくとも1つの不揮発性非フェニル化シリコーン油を含む少なくとも1つの油性連続相と、
b)少なくとも1つのベンジリデンカンフルスルホン酸基を含む少なくとも1つの水溶性有機UV遮断剤及び/又は少なくとも1つのベンゾオキサゾールスルホン酸基を含む少なくとも1つの水溶性有機UV遮断剤を含む、前記油性相中で分散される少なくとも1つの水性相と、
c)前記水溶性有機UV遮断剤を部分的に又は完全に中和可能である少なくとも1つの無機塩基と、
d)少なくとも1つの疎水性皮膜形成ポリマーと、
e)HLB≦8.0である直鎖状ポリオキシアルキレン化ポリジメチルメチルシロキサンから選択される少なくとも1つの乳化界面活性剤と、
を含む、組成物に関する。
【0009】
本発明はまた、ケラチン物質を被覆するための工程、より詳細には、上記で定義されるようなエマルションのケラチン物質への適用を含むことを特徴とする、皮膚などのケラチン物質に対する、メイクアップ及び/又はケアのための工程にも関する。
【0010】
本発明は、より詳細には、上記で定義されるようなエマルションの皮膚への適用を含むことを特徴とする、皮膚に対するメイクアップ及び/又はケアのための工程に関する。
【0011】
定義
本発明の文脈において、「ケラチン物質」という用語は、皮膚及びより具体的には、顔、頬、手、胴体、肢及び大腿などの領域、眼の周辺領域及び眼瞼などを意味する。
【0012】
「生理学的に許容可能な」という用語は、好感を覚える色、匂い及び感触を呈し、消費者にこの組成物の使用を敬遠させかねない許容できない不快感(ヒリつき又はこわばり)を生じさせない、皮膚及び/又はその外見的な身体成長(superficial body growths)と適合性を有することを意味するものと理解される。
【0013】
本発明の意味内で、「乳化界面活性剤」という語は、両親媒性界面活性剤化合物、即ち異なる極性の2つの部分を呈する化合物を意味するものと理解される。一般に、一方が脂溶性(油性相中で可溶性又は分散性)であり、他方が親水性(水中で可溶性又は分散性)である。乳化界面活性剤は、分子における親水性部分と脂溶性部分との比であるそれらのHLB(親水性脂溶性バランス)の値によって特徴づけられる。HLBという用語は、当業者にとって周知であり、例えば「The HLB System.A Time-Saving Guide to Emulsifier Selection」(ICI Americas Inc.;1984により公開)において記載されている。乳化界面活性剤に対して、W/O型エマルションを調製するためにHLBは一般的に3~8の範囲である。本発明に従って使用される界面活性剤のHLBは、グリフィン法又はデイビス法により決定され得る。
【0014】
「油中水型エマルション」という用語は、混ざらない油性相及び水性相を含み;肉眼的に均一な組成物を得るために水性相が油性相中で液滴の形態で分散される(連続として記載)、組成物を意味すると理解される。
【0015】
油性連続相
本発明の組成物は、油性連続相を含む。前記相は、(構造化剤(structuring agent)の非存在下で)周囲温度(25℃)及び大気圧(760mmHg)で液体である。これは、有機、即ち、少なくとも炭素及び水素原子を含み、水と混ざらない。
【0016】
油性相は、少なくとも1つの不揮発性非フェニル化シリコーン油及び、任意選択的に、前記相において可溶性又は混和性である成分を含む。
【0017】
「油」という用語は、周囲温度(25℃)及び大気圧(760mmHg、即ち10Pa)で液体である脂肪物質を意味するものと理解される。
【0018】
「不揮発性油」という用語は、周囲温度(25℃)及び周囲の気圧(760mmHg)にて、少なくとも数時間、ケラチン物質上に留まり、特に、10-3mmHg(0.13Pa)未満の蒸気圧を有する油を意味するものと理解される。
【0019】
本発明の意味内で、「シリコーン油」という用語は、少なくとも1個のケイ素原子及び特に少なくとも1個のSi-O基を含む油、より具体的にはオルガノポリシロキサンを意味すると理解される。
【0020】
本発明の意味内で、「非フェニル化シリコーン油」という用語は、その構造において、少なくとも1個のフェニル基を含まないシリコーン油を意味すると理解される。
【0021】
不揮発性直鎖状非フェニル化シリコーン油の例として、ポリジメチルシロキサン(ジメチコンとしても知られる);アルキルジメチコン;ビニルメチルメチコン及び、脂肪族基及び/又は官能基、例えばヒドロキシル、チオール、カルボン酸及び/又はアミン基など、により修飾されるポリジメチルシロキサンが挙げられ得る。
【0022】
INCI名Dimethicone(ジメチコン)が、化学名ポリジメチルシロキサン(PDMS)を有する化合物に対応することに留意されたい。
【0023】
本発明による不揮発性直鎖状非フェニル化シリコーン油は、好ましくは不揮発性ジメチコンから選択される。
【0024】
脂肪族基により修飾されるポリジメチルシロキサンは、特に、シリコーン鎖に及び/又はシリコーン鎖の末端にグラフトされる、C~C24アルキル又はアルコキシ基を含む。セチルジメチコンの例として、Evonik GoldschmidtによりAbil Wax 9801(登録商標)の商品名で販売されているものなどが挙げられ得る。
【0025】
脂肪族基及び/又は官能基、例えばヒドロキシル、チオール、カルボン酸及び/又はアミン基など、により修飾されるポリジメチルシロキサンの中で、脂肪酸、脂肪アルコール及びそれらの混合物により修飾されるポリジメチルシロキサンが挙げられ得る。
【0026】
本発明の特に好ましい形態によれば、不揮発性直鎖状非フェニル化シリコーン油は、式(1)の化合物:
【化1】
(式中、
R1、R2、R5及びR6は、同一であるか又は異なり、1~6個の炭素原子を含有するアルキルラジカルを表し、
R3及びR4は、同一であるか又は異なり、1~6個の炭素原子を含有するアルキルラジカル、ビニル基、アミンラジカル又はヒドロキシル基を表し、
Xは、1~6個の炭素原子を含有するアルキルラジカル、ビニル基、アミンラジカル又はヒドロキシル基を表し、
n及びpは、本化合物が25℃及び大気圧で液体であり、特に
9~800000センチストークス(cSt)(9~800000mm/s)の範囲の粘度を示すように選択される整数である)から選択される。
【0027】
式(1)の化合物の例として、次のものが使用され得る:
-置換基R1~R6及びXがメチルを表し、p及びnが、粘度が500000cSt(500000mm/s)となるようなもの、例えば、SE30(登録商標)の商品名でGeneral Electricにより販売されている製品、AK 500000(登録商標)の商品名でWackerにより販売されている製品、Mirasil DM 500000(登録商標)の商品名でBluestarにより販売されている製品及びDow Corning 200 Fluid(登録商標)500000cSt(500000mm/s)の商品名でDow Corningにより販売されている製品、
-置換基R1~R6及びXが、メチルを表し、p及びnが、粘度が60000cStとなるようなもの(例えば、Dow CorningによりDow Corning 200 Fluid(登録商標)60000 CSの商品名で販売されている製品及びWackerによりWacker Belsil(登録商標)DM 60000の商品名で販売されている製品)、
-置換基R1~R6及びXがメチルを表し、p及びnが、粘度が100cSt又は350cSt(100又は350mm/s)となるようなもの、例えば、それぞれ、Belsil DM100及びDow Corning 200 Fluid 350 cStの商品名でDow Corningにより販売されている製品、
-置換基R1~R6がメチルを表し、Xがヒドロキシル基を表し、p及びnが、粘度が700cSt(700mm/s)となるようなもの、例えば、MomentiveによりBaysilone Fluid T0.7(登録商標)の商品名で販売されている製品。
【0028】
より詳細には、Dow CorningによりBelsil DM100(100cSt又はmm/s)、Dow Corning 200 Fluid(登録商標)350cSt(350cSt又はmm/s)及びDowsil SH 200C Fluid 350 cStの商品名でそれぞれ販売される製品など、粘度が50~500cSt(50~500mm/s)の範囲であるジメチコンが使用され得る。
【0029】
不揮発性非フェニル化シリコーン油は、好ましくは、組成物の総質量に対して、0.5質量%~20質量%の範囲、より好ましくは5質量%~15質量%の範囲、更により好ましくは7質量%~12質量%の範囲の濃度で本発明の組成物中に存在する。
【0030】
本発明の組成物の油性相の総濃度は、本組成物の総質量に対して、好ましくは20質量%~95質量%、より詳細には30質量%~60質量%の範囲で変動する。
【0031】
さらなる揮発性油
本発明の好ましい形態によれば、組成物の油性相は更に、揮発性炭化水素油、揮発性シリコーン油及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの揮発性油を含む。
【0032】
揮発性油は、好ましくは、前記組成物の総質量に対して、5質量%~40質量%の範囲、より好ましくは10質量%~30質量%の範囲、更により好ましくは12質量%~25質量%の範囲の濃度で本発明の組成物中に存在する。
【0033】
a)揮発性炭化水素油
本発明の意味内で、「揮発性油」という用語は、周囲温度(25℃)及び大気圧(760mmHg)下で、皮膚と接触すると1時間未満で蒸発することが可能な何れかの油を意味すると理解される。揮発性油は、揮発性の化粧料化合物であり、これは、周囲温度にて液体であり、とりわけ、蒸気圧が、周囲温度及び大気圧にてゼロでなく、特に、蒸気圧が、0.13Pa~40000Pa(10-3~300mmHg)、特に1.3Pa~13000Pa(0.01~100mmHg)に及び、より詳細には1.3Pa~1300Pa(0.01~10mmHg)の範囲に及ぶ。
【0034】
「炭化水素油」という用語は、主に炭素及び水素原子を含み、任意選択的にヒドロキシル、エステル、エーテル又はカルボキシル官能基から選択される1つ以上の官能基を含む油を意味すると理解される。
【0035】
本発明で使用され得る揮発性炭化水素油の例として、8~16個の炭素原子を有する炭化水素油、特に、石油由来のC~C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られる)、例えば、イソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとしても知られる)、イソデカン及びイソヘキサデカン、例えばIsopar又はPermethylの商品名で販売されている油、分岐鎖状C~C16エステル、ネオペンタン酸イソヘキシル及びそれらの混合物から選択される揮発性炭化水素油が挙げられる。他の揮発性炭化水素油、例えば、石油蒸留物、特に、ShellによりShell Soltの名称で販売されているもの;揮発性直鎖状アルカン、例えば、Cognisからの特許出願DE10 2008 012 457号明細書に記載されているものなども使用され得る。
【0036】
より具体的には、イソドデカンが使用される。
【0037】
b)揮発性シリコーン油
本組成物中で使用され得る揮発性シリコーンの中で、例えば、揮発性直鎖状又は環状シリコーン油、特に、8センチストークス(8x10-6/s)以下の粘度を有し、特に、2~7個のケイ素原子を有するものが挙げられ得、これらのシリコーンは、任意選択的に、1~10個の炭素原子を有するアルキル又はアルコキシ基を含む。
本発明で使用され得る揮発性直鎖状シリコーン油として、次のものが挙げられ得る:
-オクタメチルトリシロキサン、特にXiameter PMX-200 Silicone Fluid 1CS(登録商標)の名称でDow Corningにより販売されているもの;
-デカメチルテトラシロキサン、特にXiameter PMX-200 Silicone Fluid 1.5CS(登録商標)の名称でDow Corningにより販売されているもの;
-ドデカメチルペンタシロキサン、例えばKF-96L-2CS(登録商標)及びDM-Fluid-2CS(登録商標)の名称で信越化学工業により;Berb-DM2(登録商標)の名称でBRB Internationalにより、又はXiameter PMX-200 Silicone Fluid 2CS(登録商標)の名称でDow Corningにより販売されている市販品;
-それらの混合物。
【0038】
より具体的には、ドデカメチルペンタシロキサンが使用される。
【0039】
本発明で使用され得る揮発性環状シリコーン油として、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン及びそれらの混合物が特に挙げられ得る。
【0040】
本発明の特定の形態によれば、少なくとも1つの揮発性炭化水素油及び少なくとも1つの揮発性シリコーン油の混合物、及びより詳細には、イソドデカン及びドデカメチルペンタシロキサンの混合物が使用される。
【0041】
水性相
水性相は、水と、任意選択的に水溶性又は水混和性の成分、例えば水溶性溶媒などとを含む。
【0042】
本発明に適切な水は、コーンフラワーウォーターなどのフローラルウォーター及び/又はヴィッテル(Vittel)水、ルーカス(Lucas)水又はラ・ロッシュ・ポゼ(La Roche Posay)水及び/又は温泉水などのミネラル水であり得る。
【0043】
本発明において、「水溶性溶媒」という用語は、周囲温度で液体であり、水混和性である化合物を指す(水中の混和性は、25℃及び大気圧下で50質量%を超える)。
【0044】
本発明の組成物中で使用され得る水溶性溶媒は、更に揮発性であり得る。
【0045】
特に、本発明による組成物において使用され得る水溶性溶媒の中で、1~5個の炭素原子を有する低級モノアルコール、例えばエタノール及びイソプロパノール、2~8個の炭素原子を有するグリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、プロパンジオール、ペンチレングリコール、グリセロール及びジプロピレングリコール、C~Cケトン及びC~Cアルデヒドなどが挙げられ得る。
【0046】
水性相は、好ましくは、前記組成物の総質量に対して、少なくとも20質量%、好ましくは30~60質量%、より詳細には35~50質量%の範囲の濃度で存在する。
【0047】
水溶性有機UV遮断剤
本発明による組成物は、少なくとも1つのベンジリデンカンフルスルホン酸基を含むUV遮断剤、少なくとも1つのベンゾオキサゾールスルホン酸基を含むUV遮断剤及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの水溶性有機UV遮断剤を含む。
【0048】
「水溶性有機UV遮断剤」という用語は、液体水性相中で分子状態で完全に溶解させることが可能であるか若しくは混和性であるか、又は液体水性相中でコロイド形態(例えばミセル形態)で溶解させることが可能な、280~400nmの波長範囲のUV光線を遮断する何れかの有機化合物を意味すると理解される。
【0049】
a)ベンジリデンカンフルスルホン酸基を有する水溶性UV遮断剤
ベンジリデンカンフルスルホン酸基を有する水溶性有機UV遮断剤の中で、特に特許出願である仏国特許出願公開第A-2528420号明細書及び仏国特許出願公開第A-2639347号明細書に記載のINCI名:Terephthalylidene Dicamphor Sulfonic Acid(テレフタリリデンジカンフルスルホン酸)を有するベンゼン-1,4-ジ(3-メチリデン-10-カンフルスルホン酸)及びその様々な塩が挙げられ得る。
【0050】
これらの水溶性UV遮断剤は、次の一般式(I)に対応する:
【化2】
(式中、Fは、水素原子、アルカリ金属を、又はNH(R3+ラジカルも表し、ここでRラジカルは、同一であってもよいし又は異なっていてもよく、水素原子又はC~Cアルキル又はヒドロキシアルキルラジカルを、又は多価金属陽イオンを表すMn+基も表し、ここでnは、2又は3又は4に等しく、好ましくはCa2+、Zn2+、Mg2+、Ba2+、Al3+及びZr4+から選択される金属陽イオンである)。上の式(I)の化合物は、1つ以上の二重結合の周囲で「シス-トランス」異性体を生じさせ得、異性体が全て本発明の文脈内に入ることは明確に理解される。
【0051】
以下のUV遮断剤も挙げられ得る:
-ChimexによりMexoryl SL(登録商標)の名称で製造されるベンジリデンカンフルスルホン酸、
-ChimexによりMexoryl SO(登録商標)の名称で製造されるカンファーベンザルコニウムメトスルフェート(Camphor Benzalkonium Methosulfate)
-ChimexによりMexoryl SW(登録商標)の名称で製造される、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー(Polyacrylamidomethyl Benzylidene Camphor)。
【0052】
a)ベンゾオキサゾールスルホン酸基を有する水溶性UV遮断剤
本発明によるベンゾオキサゾールスルホン酸基を有する水溶性有機UV遮断剤及びそれらの塩の中でも、欧州特許出願公開第A-0669323号明細書に記載のものなど、少なくとも2個のベンゾオキサゾールスルホン酸基を含む化合物が挙げられ得る。これらは、米国特許第2463264号明細書及びまた欧州特許第0669323号明細書で示される合成に従い、記載され、調製される。
【0053】
これらの化合物の中で、1,4-ビス-ベンズイミダゾリル-フェニレン-3,3’,5,5’-テトラスルホン酸又はその塩の1つ、特に、INCI名:Disodium Phenyl Dibenzimidazole Tetrasulfonate(フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム)を有し、次の構造:
【化3】
を有する二ナトリウム塩が挙げられ得る。これは、SymriseによりNeoheliopan AP(登録商標)の名称で販売されている。
【0054】
本発明によるベンゾオキサゾールスルホン酸基を有する水溶性有機UV遮断剤及びそれらの塩の中で、INCI名がPhenylbenzimidazole Sulfonic Acid(フェニルベンズイミダゾールスルホン酸)であり、特にMerckによりEusolex232(登録商標)の商品名で販売されているUV遮断剤も挙げられ得る。
【0055】
好ましくは、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸及びそれらの混合物から選択される水溶性UV遮断剤、及びより詳細にはフェニルベンズイミダゾールスルホン酸が使用される。
【0056】
本発明による水溶性有機UV遮断剤は、無機塩基によって部分的に又は完全に中和される。
【0057】
本発明による水溶性UV遮断剤は、好ましくは、前記組成物の総質量に対して、0.1質量%~10質量%の範囲、より好ましくは1質量%~8質量%の範囲、更により好ましくは2質量%~5質量%の範囲の濃度で本発明の組成物中に存在する。
【0058】
無機塩基
本発明による組成物は、本発明の水溶性有機UV遮断剤を部分的に又は完全に中和することが可能な少なくとも1つの無機塩基を含む。
【0059】
「無機塩基」という用語は、水性媒体中で1個以上のプロトンを捕捉可能な炭素原子を含まない分子を意味すると理解される。
【0060】
本発明による無機塩基は、好ましくは、アルカリ金属陽イオン塩基、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化リチウム及び水酸化セシウムなど、又はアルカリ土類金属陽イオン塩基、例えば水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム又は水酸化バリウムなどから選択される。
【0061】
より詳細には、無機塩基として、水酸化ナトリウムが使用される。
【0062】
疎水性皮膜形成ポリマー
本発明の意味内で、「ポリマー」という用語は、1つ以上の単位(これらの単位はモノマーとして知られる化合物から得られる)の反復に対応する化合物を意味することが理解される。この又はこれらの単位は、少なくとも2回、好ましくは少なくとも3回反復される。
【0063】
本発明の意味内で、「疎水性皮膜形成ポリマー」という用語は、水に対する親和性を欠き、この点で、それ自身、水性媒体中の溶質の形態の処方に適合しない、皮膜形成ポリマーを示すと理解される。特に「疎水性ポリマー」という用語は、25℃の水中での溶解度が1質量%未満であるポリマーを意味することが理解される。
【0064】
「皮膜形成ポリマー」という用語は、それ自体単独で又は補助的な皮膜形成剤の存在下で、支持体、特にケラチン物質上の肉眼的に連続した皮膜、好ましくは、粘着性皮膜、及び更に良好には、例えば、Teflonコーティング又はシリコーンコーティング表面などの非付着性の表面上に注ぐことによって前記皮膜が調製される場合、前記皮膜が分離可能及び分離の際に操作可能であり得るような付着及び機械的特性を有する皮膜を形成することが可能なポリマーを意味するものと理解される。
【0065】
特に、疎水性皮膜形成ポリマーは、有機溶剤媒体中で可溶性である皮膜形成ポリマー、特に脂溶性ポリマー、からなる群から選択されるポリマーであり;これは、有機媒体中でポリマーが可溶性であるか又は混和性であり、それが媒体中に組み込まれる場合、単一の均一な相を形成することを意味する。
【0066】
疎水性皮膜形成ポリマーとして、特に、次のものが挙げられ得る:
-シリコーン樹脂
-ブロックエチレンコポリマー;
-カルボシロキサンデンドリマーに由来する少なくとも1つの単位を含むビニルポリマー;
-シリコーン-アクリレートコポリマー;
-それらの混合物。
【0067】
好ましくは、本発明による組成物は、本組成物の総質量に対して、0.5質量%~15%質量%、より好ましくは1質量%~10%質量%、より詳細には2質量%~7%質量%を、疎水性皮膜形成ポリマーの活性物質として含む。
【0068】
I.シリコーン樹脂
より一般的には、「樹脂」という用語は、構造が三次元である、化合物を意味すると理解される。「シリコーン樹脂」は「シロキサン樹脂」とも呼ばれる。従って、本発明の意味内では、ポリジメチルシロキサンはシリコーン樹脂ではない。
【0069】
シリコーン樹脂(シロキサン樹脂とも呼ばれる)の命名法は、「MDTQ」の名称で知られ、樹脂は、それが含む様々なシロキサンモノマー単位に応じて記載され、文字「MDTQ」のそれぞれは、単位の1タイプを特徴づける。
【0070】
文字「M」は、式RSiO1/2の単官能性単位を表し、ケイ素原子は、この単位を含むポリマーにおいてただ1つの酸素原子に連結される。
【0071】
「D」の文字は、二官能性単位RSiO2/2を表し、ここで、ケイ素原子は、2個の酸素原子に連結される。
【0072】
文字「T」は、式RSiO3/2の三官能性単位を表す。
【0073】
このような樹脂は、例えば、the Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,vol.15,John Wiley and Sons,New York,(1989),pp.265-270並びに米国特許第2676182号明細書、米国特許第3627851号明細書、米国特許第3772247号明細書、米国特許第5248739号明細書又は米国特許第5082706号明細書、米国特許第5319040号明細書、米国特許第5302685号明細書及び米国特許第4935484号明細書に記載されている。
【0074】
上で定義されるM、D及びT単位において、R、即ちR及びRは、1~10個の炭素原子を有する炭化水素ラジカル(特にアルキルラジカル)、フェニル基、フェニルアルキル基、或いはヒドロキシル基を表す。
【0075】
最後に、文字「Q」は、四官能性単位SiO4/2を意味し、ケイ素原子は4個の酸素原子に結合され、これらの酸素原子自体は、ポリマーの残りの部分に結合される。
【0076】
これらの異なる単位から、異なる性状の様々なシリコーン樹脂を得ることができ、これらのポリマーの性状は、モノマー(又は単位)のタイプ、Rラジカルの性質及び数、ポリマーの鎖長、分岐度及びペンダント鎖のサイズに応じて変化する。
【0077】
本発明による組成物中で使用され得るシリコーン樹脂として、例えば、MQ型、T型又はMQT型のシリコーン樹脂が使用され得る。
【0078】
a)MQ樹脂
MQタイプのシリコーン樹脂の例として、式[(RSiO1/2(SiO4/2(MQ単位)のアルキルシロキシケイ酸が挙げられ得、式中、x及びyは、50~80の範囲の整数であり、R基は、上で定義されるようなラジカルを表し、好ましくは1~8個の炭素原子を有するアルキル基又はヒドロキシル基、好ましくはメチル基である。
【0079】
トリメチルシロキシケイ酸型のMQ型の固形シリコーン樹脂の例として、General ElectricによりSR1000(登録商標)の参照記号で、WackerによりTMS 803(登録商標)の参照記号で、信越化学工業によりKF-7312(登録商標)Jの名称で、及びDow CorningによりDC749(登録商標)及びDC593(登録商標)の名称で販売されているものが挙げられ得る。
【0080】
また、シロキシケイ酸MQ単位を含むシリコーン樹脂として、フェニルプロピルジメチルシロキシケイ酸(General Electricにより販売されているSilshine 151(登録商標))などのフェニルアルキルシロキシケイ酸樹脂も挙げられ得る。このような樹脂の調製は、特に米国特許第5817302号明細書に記載されている。
【0081】
b)T樹脂
T型のシリコーン樹脂の例として、式(RSiO3/2(T単位)(式中、xは100より大きく、R基は、1~10個の炭素原子を有するアルキル基であるようなものである)のポリシルセスキオキサンが挙げられ得、前記ポリシルセスキオキサンは更にSi-OH末端基を含むことが可能である。
【0082】
好ましくは、例えば次のものなど、Rがメチル基を表すポリメチルシルセスキオキサン樹脂が使用され得る:
-Wackerにより、例えばBelsil PMS MK(登録商標)などResin MK(登録商標)の参照記号で販売されているもの:最大1質量%の(CHSiO2/2単位(D単位)も含み得る、およそ10000g/molの平均分子量を示す、CHSiO3/2反復単位(T単位)を含むポリマー、又は
-信越化学工業により、KR-220L(登録商標)の参照記号で販売されているもの(式CHSiO3/2のT単位から構成され、Si-OH(シラノール)末端基を有する)、KR-242A(登録商標)の参照記号で販売されているもの(T単位を98%及びDジメチル単位を2%含み、Si-OH末端基を有する)、又はKR-251(登録商標)の参照記号で販売されているもの(T単位を88%及びDジメチル単位を12%含み、Si-OH末端基を有する)。
【0083】
c)MQT樹脂
特に知られているMQT単位を含む樹脂は、米国特許第5110890号明細書の文献に挙げられるものである。
【0084】
MQT型の樹脂の好ましい形態は、MQT-プロピル(MQTprとしても知られる)樹脂である。本発明による組成物中で使用され得るこのような樹脂は、特に国際公開第2005/075542号パンフレットにおいて記載され、調製されるものである。
【0085】
MQT-プロピル樹脂は、好ましくは以下の単位:
(i)(R1SiO1/2
(ii)(R2SiO2/2
(iii)(R3SiO3/2;及び
(iv)(SiO4/2
を含み;
ここで、
-R1、R2及びR3は、独立して、1~10個の炭素原子を有する炭化水素(特にアルキル)ラジカル、フェニル基、フェニルアルキル基又は他にヒドロキシル基、好ましくは1~8個の炭素原子を有するアルキルラジカル又はフェニル基を表し、
-aは0.05~0.5であり、-bは、0~0.3であり、-cは、0より大きく、
-dは、0.05~0.6であり、
-a+b+c+d=1であり、a、b、c及びdが、モル分率であり、
ただし、シロキサン樹脂のR3基の40mol%超がプロピル基であるものとする。
【0086】
好ましくは、シロキサン樹脂は、以下の単位:
(i)(R1SiO1/2
(iii)(R3SiO3/2;及び
(iv)(SiO4/2
を含み;
ここで、
-R1及びR3は、独立して、1~8個の炭素原子を有するアルキル基を表し、R1は、好ましくはメチル基であり、R3は、好ましくはプロピル基であり、
-aは、0.05~0.5、好ましくは0.15~0.4であり、
-cは、0より大きく、好ましくは0.15~0.4であり、
-dは、0.05~0.6、好ましくは0.2~0.6であるか又は0.2~0.55でもあり、
-a+b+c+d=1であり、a、b、c及びdが、モル分率であり、
ただし、シロキサン樹脂のR3基の40mol%超がプロピル基であるものとする。
【0087】
本発明により使用され得るシロキサン樹脂は、
A)少なくとも80mol%の(R1SiO1/2及び(SiO4/2単位を含むMQ樹脂;(式中、
-R1は、1~8個の炭素原子を有するアルキル基、アリール基、カルビノール基又はアミノ基を表し、
-a及びdは、0より大きく、
-比率a/dが、0.5~1.5である);
及び
B)少なくとも80mol%の(R3SiO3/2単位を含むT-プロピル樹脂;(式中、
-R3は、1~8個の炭素原子を有するアルキル基、アリール基、カルビノール基又はアミノ基を表し、
-cは、0より大きく、
ただし、R3基の少なくとも40mol%がプロピル基である)
の反応を含み、
質量比A/Bが、95:5~15:85であり、好ましくは質量比A/Bは30:70である、工程により得ることができる。
【0088】
有利には、質量比A/Bは、95:5~15:85である。好ましくは、比A/Bは、70:30以下である。これらの好ましい比は、沈着物中のMQ樹脂の剛性粒子の浸出がないため、満足のいく沈着物を可能にすることが分かっている。
【0089】
従って、好ましくは、シリコーン樹脂は、特に、(i)式[R1SiO1/2(SiO4/2のトリメチルシロキシケイ酸であり得る、アルキルシロキシケイ酸(式中、x及びyは、50~80の範囲の整数であり、R1基は、1~10個の炭素原子を有する炭化水素ラジカル、フェニル基、フェニルアルキル基又は他にヒドロキシル基を表し、好ましくは、1~8個の炭素原子を有するアルキル基、好ましくは、メチル基であるようになっている)及び(ii)フェニルアルキルシロキシケイ酸樹脂、例えば、フェニルプロピルジメチルシロキシケイ酸樹脂などから選択されるMQ型の樹脂から選択される。
【0090】
有利に、本発明による組成物は、疎水性皮膜形成ポリマー、少なくとも1つのトリメチルシロキシケイ酸樹脂として、例えば、Momentive Performance MaterialsによりSilsoft 74(登録商標)の参照記号で、General ElectricによりSR1000(登録商標)の参照記号で、WackerによりTMS803(登録商標)の参照記号で、信越化学工業によりKF-7312(登録商標)Jの名称で、及びDow CorningによりDC749(登録商標)及びDC593(登録商標)の名称で販売されているものなど、を含む。
【0091】
d)シルセスキオキサン樹脂
本発明による組成物において使用され得るシルセスキオキサン樹脂の中で、式R1SiO(4-n)/2(式中、各R1は、独立して、水素原子又はC~C10アルキル基を示し、ここで、80mol%超のR1ラジカルが、C~C10アルキル基を表し、nは、1.0~1.4の数である)の平均シロキサン単位を有するシルセスキオキサンホモポリマー及び/又はコポリマーであるアルキルシルセスキオキサン樹脂が挙げられ、より詳細には、シルセスキオキサンコポリマー(ここで、60mol%超が、R1SiO3/2単位を含み、式中、R1は、上で示される定義を有する)が使用される。
【0092】
好ましくは、シルセスキオキサン樹脂は、Rが、C~C10アルキル基、好ましくは、C~Cアルキル基、より詳細には、プロピル基であるように選択される。より詳細に、ポリプロピルシルセスキオキサン又はt-プロピルシルセスキオキサン樹脂(INCI名:Polypropylsilsesquioxane(and)Isododecane(ポリプロピルシルセスキオキサン(及び)イソドデカン))、例えばDow CorningによりDow Corning(登録商標)670 Fluidの商品名で販売されている製品が使用される。
【0093】
II.ブロックエチレンコポリマー
疎水性皮膜形成ポリマーは、40℃以上のガラス転移温度(Tg)を有し、1つ以上の第1のモノマーから全体又は一部を生じさせる少なくとも1つの第1のブロックであって、これらのモノマーから調製されたホモポリマーが、40℃以上のガラス転移温度を有するようになっている少なくとも1つの第1のブロックと、20℃以下のガラス転移温度を有し、1つ以上の第2のモノマーから全体又は一部を生じさせる少なくとも1つの第2のブロックであって、これらのモノマーから調製されるホモポリマーが、20℃以下のガラス転移温度を有するようになっている第2のブロックと、を含有するブロックエチレンコポリマーであり得、前記第1のブロック及び前記第2のブロックが、第1のブロックの前記第1の成分モノマーの少なくとも1つと、第2のブロックの前記第2の成分モノマーの少なくとも1つとを含むランダム中間セグメントを介して一緒に連結され、前記ブロックコポリマーは、2を超える多分散指数Iを有する。
【0094】
本発明に適切なこのタイプのポリマーは、欧州特許第1411069号明細書の文書に記載されている。
【0095】
より詳細には、このようなポリマーの例として、Chimexにより販売されているMexomere PAS(登録商標)(イソドデカン中で50%希釈されたアクリル酸/アクリル酸イソブチル/アクリル酸イソボルニルコポリマー)が挙げられ得る。
【0096】
ブロックエチレンコポリマーは、米国特許出願公開第2002/005562号明細書及び米国特許第5221534号明細書において記載されるような、特にジブロック、トリブロック、マルチブロック、ラジカル又はスター-分岐状コポリマー又はそれらの混合物であり得る。
【0097】
コポリマーは、そのガラス転移温度が好ましくは20℃未満、好ましくは0℃以下、好ましくは-20℃以下、より好ましくは-40℃以下である、少なくとも1つのブロックを示し得る。前記ブロックのガラス転移温度は、-150℃~20℃、特に-100℃~0℃であり得る。このコポリマーは、非晶質であり、オレフィンの重合により形成される。オレフィンは、特に、エラストマーエチレン系不飽和モノマーであり得る。
【0098】
オレフィンの例として、特に1又は2個のエチレン性不飽和を有し、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン又はペンタジエンなどの2~5個の炭素原子を有する、エチレン性カーバイドモノマーが挙げられ得る。
【0099】
有利に、炭化水素ブロックコポリマーは、スチレン及びオレフィンの非晶質ブロックコポリマーである。
【0100】
少なくとも1つのスチレンブロックを含むブロックコポリマー及びブタジエン、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン又はそれらの混合物のうち1つから選択される単位を含む少なくとも1つのブロックが特に好ましい。
【0101】
好ましい一実施形態によれば、モノマーの重合後の残留するエチレン不飽和を低減させるために、炭化水素ブロックコポリマーが水素化される。
【0102】
特に、炭化水素ブロックコポリマーは、スチレンブロックを有し、エチレン/C~Cアルキレンブロックを有する、任意選択的に水素化されたコポリマーである。
【0103】
好ましくは水素化されるジブロックコポリマーとして、スチレン-エチレン/プロピレンコポリマー、スチレン-エチレン/ブタジエンコポリマー又はスチレン-エチレン/ブチレンコポリマーが挙げられ得る。ジブロックポリマーは、特にKraton PolymerによりKraton G1701E(登録商標)の名称で販売されている。
【0104】
好ましくは水素化されている、トリブロックコポリマーとして、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレンコポリマー、スチレン-エチレン/ブタジエン-スチレンコポリマー、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンコポリマー、スチレン-イソプレン-スチレンコポリマー又はスチレン-ブタジエン-スチレンコポリマーが挙げられ得る。トリブロックポリマーは、特にKraton Polymersにより、Kraton G1650(登録商標)、Kraton G1652(登録商標)、Kraton D1101(登録商標)、Kraton D1102(登録商標)又はKraton D1160(登録商標)の名称で販売されている。
【0105】
本発明の一実施形態によれば、炭化水素系ブロックコポリマーは、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレントリブロックコポリマーである。
【0106】
本発明の好ましい実施形態によれば、特に、スチレン-ブチレン/エチレン-スチレントリブロックコポリマー及びスチレン-エチレン/ブチレンジブロックコポリマーの混合物、特にKraton PolymersによりKraton G1657M(登録商標)という名称で販売されているものを使用することが可能である。
【0107】
水素化スチレン-ブチレン/エチレン-スチレントリブロックコポリマー及び水素化エチレン-プロピレン-スチレン星型分岐ポリマーの混合物も使用され得、このような混合物は特にイソドデカン中である。このような混合物は、例えばVersagel M5960(登録商標)及びVersagel M5670(登録商標)の商品名でPenrecoにより販売されている。
【0108】
III.カルボシロキサンデンドリマー由来の少なくとも1つの単位を含むビニルポリマー
疎水性皮膜形成ポリマーは、カルボシロキサンデンドリマー由来の少なくとも1つの単位を含むビニルポリマーからも選択され得る。
【0109】
ビニルポリマーは、特に、骨格及び少なくとも1つの側鎖を有し、この側鎖は、カルボシロキサンデンドリマー構造を呈するカルボシロキサンデンドリマー由来の単位を含む。
【0110】
特に、Dow Corningからの国際公開第03/045337号パンフレット及び欧州特許第963751号明細書に記載のような少なくとも1つのカルボシロキサンデンドリマー単位を含むビニルポリマーが使用され得る。
【0111】
本発明に関連して、「カルボシロキサンデンドリマー構造」という用語は、高分子量の分岐基を有する分子構造であって、主鎖への結合を始点として半径方向に高い規則性を有する分子構造を表す。このようなカルボシロキサンデンドリマー構造は、特開平9-171154号公報において、高度に分岐したシロキサン-シリルアルキレンコポリマーの形態で記載される。
【0112】
カルボシロキサンデンドリマー由来の少なくとも1つの単位を有するビニルポリマーは、カルボシロキサンデンドリマー構造を含有する分子側鎖を有し、
-0~99.9質量部のビニルモノマー;及び
-100~0.1質量部の、次の一般式によって表される、ラジカル重合性有機基を含有するカルボシロキサンデンドリマー:
【化4】
(式中、Yは、ラジカル重合性有機基を表し、
は、1~10個の炭素原子を有するアリール基又はアルキル基を表し、
は、i=1である場合、次の式:
【化5】
(式中、Rは、上で定義されるとおりであり、Rは、2~10個の炭素原子を有するアルキレン基を表し、Rは、1~10個の炭素原子を有するアルキル基を表し、Xi+1は、水素原子、1~10個の炭素原子を有するアルキル基、アリール基、又は上で定義されるシリルアルキル基を表し、i=i+1であり;iは、前記シリルアルキル基の生成を表す1~10の整数であり、aは、0~3の整数である)により表されるシリルアルキル基を表す)
の重合から得られ得;
ここで、構成成分(A)に含有される前記ラジカル重合性有機基が、
メタクリル基又はアクリル基を含有し、次の式により表される有機基:
【化6】
及び
【化7】
(式中、Rは、水素原子又はアルキル基を表し、
は、1~10個の炭素原子を有するアルキレン基及びスチリル基を含有する有機基を表し、これらは、次の式:
【化8】
により表され、
ここで、Rは、水素原子又はアルキル基を表し、Rは、1~10個の炭素原子を有するアルキル基を表し、Rは、1~10個の炭素原子を有するアルキレン基を表し、bは、0~4の整数であり、cは、値0又は1を有し、cが0である場合、
-(R-は結合を表すようなものである)
から選択される。
【0113】
ビニルポリマー中の構成成分(A)であるビニル型のモノマーは、ラジカル重合性ビニル基を含有するビニル型のモノマーである。
【0114】
このようなモノマーに関して特に制限はない。
【0115】
このビニルタイプのモノマーの例を次に示す:メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル又は類似の低級アルキルのメタクリレート;メタクリル酸グリシジル;メタクリル酸ブチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル又は類似の高級メタクリレート;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル又は類似の低級脂肪酸のビニルエステル;カプロン酸ビニル、2-エチルヘキサン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル又は類似の高級脂肪酸のエステル;スチレン、ビニルトルエン、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェノキシエチル、ビニルピロリドン又は類似のビニル芳香族モノマー;メタクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-メトキシメチルメタクリルアミド、イソブトキシメトキシメタクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド又はアミド基を含有するビニル型の類似のモノマー;メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル又はヒドロキシル基を含有するビニル型の類似のモノマー;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸又は、カルボン酸基を含有するビニル型の類似のモノマー;メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸ブトキシエチル、メタクリル酸エトキシジエチレングリコール、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ヒドロキシブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル又はエーテル結合を有するビニル型の類似のモノマー;メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、その分子末端の1つにメタクリル基を有するポリジメチルシロキサン、その分子末端の1つにスチリル基を有するポリジメチルシロキサン、又は不飽和基を有する類似のシリコーン化合物;ブタジエン;塩化ビニル;塩化ビニリデン;メタクリロニトリル;フマル酸ジブチル;無水マレイン酸;無水コハク酸;メタクリルグリシジルエーテル;アミンの有機塩、アンモニウム塩及び、メタクリル酸の、イタコン酸の、クロトン酸の、マレイン酸の又はフマル酸の、アルカリ金属塩;スルホン酸基を有するラジカル重合性不飽和モノマー、例えば、スチレンスルホン酸基;メタクリル酸に由来する第四級アンモニウム塩、例えば2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドなど;及び第三級アミン基を有するアルコールのメタクリル酸エステル、例えばジエタノールアミンのメタクリル酸エステル。
【0116】
ビニル型の多官能性モノマーも使用され得る。
【0117】
次のものは、このような化合物の例に相当する:トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリチルトリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチルメタクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジメタクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリメタクリレート、両末端にジビニルベンゼン基を有するスチリル基でキャップされたポリジメチルシロキサン、又は不飽和基を有する類似のシリコーン化合物。
【0118】
化粧品に対する出発物質の混合物を調製し易くするために、カルボシロキサンデンドリマーを含有するビニルポリマーの数平均分子量は、3000g/mol~2000000g/molの範囲、好ましくは5000g/mol~800000g/molの範囲内で選択され得る。これは、液体、ガム状、ペースト状、固形、粉末又は何れかの他の形態であり得る。好ましい形態は、シリコーン油又は有機油などの溶媒中の分散物又は粉末の希釈により形成される溶液である。
【0119】
分散液又は溶液中に含有されるビニルポリマーは、0.1質量%~95質量%、好ましくは5質量%~70質量%の範囲内の濃度を有し得る。しかし、混合物の取扱い及び調製を容易にするために、この範囲は、好ましくは10質量%~60質量%とすべきである。
【0120】
好ましい形態によれば、本発明に適切なビニルポリマーは、特許出願、欧州特許第0963751号明細書の実施例に記載されるポリマーの1つであり得る。
【0121】
好ましい実施形態によれば、カルボシロキサンデンドリマーでグラフトされたビニルポリマーは、次のものの重合から得られ得る:
-0.1~99質量部の1つ以上のアクリレート又はメタクリレートモノマー;及び
-100~0.1質量部のトリス[トリ(トリメチルシロキシ)シリルエチルジメチルシロキシ]シリルプロピルカルボシロキサンデンドリマーのアクリレート又はメタクリレートモノマー。
【0122】
一実施形態によれば、カルボシロキサンデンドリマー由来の少なくとも1つの単位を有するビニルポリマーは、次の式のうち1つに対応するトリス[トリ(トリメチルシロキシ)シリルエチルジメチルシロキシ]シリルプロピルカルボシロキサンデンドリマー由来の単位を含み得る。
【化9】
又は
【化10】
【0123】
好ましい形態によれば、本発明で使用されるカルボシロキサンデンドリマー由来の少なくとも1つの単位を有するビニルポリマーは、少なくとも1つのアクリル酸ブチルモノマーを含む。
【0124】
一実施形態によれば、ビニルポリマーは少なくとも1つのフッ素化された有機基を更に含み得る。フッ素化されたビニルポリマーは、国際公開第03/045337号パンフレットの実施例に記載のポリマーのうち1つであり得る。
【0125】
好ましい実施形態によれば、本発明の意味内のグラフトされたビニルポリマーは、好ましくは、特に、シリコーン油及び炭化水素油並びにそれらの混合物から選択される揮発性物質である油又は油の混合物中で運ばれ得る。
【0126】
特定の実施形態によれば、本発明に適切なシリコーンオイルはシクロペンタシロキサンであり得る。
【0127】
別の特定の実施形態によれば、本発明に適切な炭化水素油は、イソドデカンであり得る。
【0128】
本発明に特に適切であり得るカルボシロキサンデンドリマー由来の少なくとも1つの単位がグラフトされたビニルポリマーは、Dow Corningにより、TIB 4-100(登録商標)、TIB 4-101(登録商標)、TIB 4-120(登録商標)、TIB 4-130(登録商標)、TIB 4-200(登録商標)、FA 4002 ID(登録商標)(TIB 4-202(登録商標))、TIB 4-220(登録商標)及びFA 4001 CM(登録商標)(TIB 4-230(登録商標))の名称で販売されているポリマーである。Dow CorningによりFA 4002 ID(登録商標)(TIB 4-202(登録商標))及びFA 4001 CM(登録商標)(TIB 4-230(登録商標))の名称で販売されているポリマーが好ましくは使用される。
【0129】
好ましくは、本発明の組成物において使用され得るカルボシロキサンデンドリマー由来の少なくとも1つの単位がグラフトされたビニルポリマーは、アクリレート/ポリトリメチルシロキシメタクリレートコポリマーであり、INCI名:Acrylates/Polytrimethyl Siloxymethacrylate Copolymer(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシコポリマー)であり、特にDow CorningによりDow Corning FA 4002 ID(登録商標)Silicone Acrylateの名称でイソドデカン中で販売されているものである。
【0130】
IV.シリコーン-アクリレートコポリマー
特定の実施形態によれば、本発明に従い使用される組成物は、疎水性皮膜形成ポリマーとして、カルボキシレート基及びポリジメチルシロキサン基を含む少なくとも1つのコポリマーを含み得る。
【0131】
「カルボキシレート基及びポリジメチルシロキサン基を含むコポリマー」という用語は、本特許出願において、(a)1つ以上のカルボン(酸又は酸エステル)モノマー及び(b)1つ以上のポリジメチルシロキサン(PDMS)鎖から得られるコポリマーを意味するものと理解される。
【0132】
本特許出願において、「カルボン酸モノマー」という用語は、カルボン酸モノマー及びカルボン酸エステルモノマーの両方を意味する。従って、モノマー(a)は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、それらのエステル及びこれらのモノマーの混合物から選択され得る。
【0133】
エステルとして、次のモノマーが挙げられ得る:アクリレート、メタクリレート、マレート、フマレート、イタコネート及び/又はクロトネート。本発明の好ましい実施形態によれば、エステル形態のモノマーは、より詳細には、直鎖状又は分岐鎖状、好ましくは、C~C24、更により良好にはC~C22の、アクリル酸アルキル及びメタクリル酸アルキルから選択され、アルキルラジカルは、好ましくは、メチル、エチル、ステアリル、ブチル及び2-エチルヘキシルラジカル及びそれらの混合物から選択される。
【0134】
従って、本発明の特定の実施形態によれば、コポリマーは、カルボキシレート基として、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸又はメタクリル酸メチル、エチル、ステアリル、ブチル又は2-エチルヘキシル及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの基を含む。
【0135】
本特許出願において、「ポリジメチルシロキサン」という用語(オルガノポリシロキサンとしても知られており、又はPDMSと略記)は、一般に認められているものによれば、可変の分子量の、直鎖状構造を有する何れかの有機ケイ素ポリマー又はオリゴマーを示すことが理解され、これは、適切に官能性シランの重合及び/又は重縮合によって得られ、且つ主要な単位の繰り返し(ここで、ケイ素原子が、酸素原子により一緒に連結される(シロキサン結合))から基本的に形成され、炭素原子を介して前記ケイ素原子に直接結合されるメチルラジカルを含む。本発明に従い使用されるコポリマーを得るために使用され得るPDMS鎖は、好ましくは、鎖の末端の少なくとも1つに位置する少なくとも1つの重合性ラジカル基を含み、即ち、PDMSは、例えば、鎖の2つの末端に重合性ラジカル基を有し得るか、又は鎖の1つの末端に重合性ラジカル基及び鎖の他方の末端にトリメチルシリル末端基を有し得る。重合性ラジカル基は、特に、アクリル又はメタクリル基、特に、CH=CR-CO-O-R基であり得、式中、Rは、水素又はメチル基を表し、Rは、-CH-、-(CH-(ここで、n=3、5、8又は10である)、-CH-CH(CH)-CH-、-CH-CH-O-CH-CH-、-CH-CH-O-CH-CH-CH(CH)-CH-、-CH-CH-O-CH又は-CH-O-CH-CH-CH-を表す。
【0136】
本発明の組成物中で使用されるコポリマーは、一般に、重合及びグラフト化の通常の方法に従って、例えば、米国特許第5061481号明細書及び米国特許第5219560号明細書の文献に記載されるように、(A)少なくとも1つのラジカル重合性基を(例えば鎖の末端の1つ又は両方の末端に)含むPDMSと、(B)少なくとも1つのカルボン酸モノマーとのラジカル重合によって得られる。
【0137】
得られるコポリマーは、一般に、およそ3000g/mol~200000g/mol、好ましくは、およそ5000g/mol~100000g/molの範囲の分子量を有する。
【0138】
本発明の組成物中で使用されるコポリマーは、そのままで、又は2~8個の炭素原子を含む低級アルコール、例えばイソプロピルアルコール、又は油、例えば揮発性シリコーン油(例えばシクロペンタシロキサン)などの溶媒中で分散された形態で提供され得る。
【0139】
本発明の組成物において使用され得るコポリマーとして、例えば、ポリジメチルシロキサングラフトを有するアクリル酸及びアクリル酸ステアリルのコポリマー、ポリジメチルシロキサングラフトを有するメタクリル酸ステアリルのコポリマー、ポリジメチルシロキサングラフトを有するアクリル酸及びメタクリル酸ステアリルのコポリマー、ポリジメチルシロキサングラフトを有する、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル及びメタクリル酸ステアリルのコポリマーが挙げられ得る。本発明の組成物において使用され得るコポリマーとして、信越化学工業によってKP-561(登録商標)の名称で販売されているコポリマー(CTFA名:アクリレーツ/ジメチコン)、コポリマーがイソプロピルアルコール中60質量%で分散されるKP-541(登録商標)(CTFA名:アクリレーツ/ジメチコン及びイソプロピルアルコール)、及びコポリマーがシクロペンタシロキサン中で30%で分散されるKP-545(登録商標)(CTFA名:アクリレーツ/ジメチコン及びシクロペンタシロキサン)が挙げられ得る。
【0140】
本発明の好ましい実施形態によれば、KP561(登録商標)が好ましくは使用され;このコポリマーは、溶媒中で分散されないが、ワックス形態で提供され、その融点はおよそ30℃である。
【0141】
KP-550(登録商標)の名称で信越化学工業によって販売されている、イソドデカン中で溶解された、ポリジメチルシロキサンがグラフトされたアクリル酸コポリマーも挙げられ得る。
【0142】
特に好ましい形態によれば、本発明による組成物は、疎水性皮膜形成ポリマー、少なくとも1つのトリメチルシロキシケイ酸樹脂、例えば、General ElectricによりSR1000(登録商標)の参照記号で、WackerによりTMS803(登録商標)の参照記号で、信越化学工業によりKF-7312(登録商標)Jの名称で、及びDow CorningによりDC749(登録商標)及びDC593(登録商標)の名称で販売されているものなどを含む。
【0143】
有利に、本発明による組成物は、疎水性皮膜形成ポリマーとして、少なくとも1つのトリメチルシロキシケイ酸樹脂、例えば、General ElectricによりSR1000(登録商標)の参照記号で、WackerによりTMS803(登録商標)の参照記号で、信越化学工業によりKF-7312(登録商標)Jの名称で、Dow CorningによりDC749(登録商標)及びDC593(登録商標)の名称で販売されているものなどを含む。
【0144】
直鎖状オキシアルキレン化ポリジメチルメチルシロキサン乳化界面活性剤
本発明による油中水型エマルションの形態の組成物は、特に次の式(II)に対応する、好ましくは直鎖状オキシプロピレン化及び/又はオキシエチレン化されている、HLBが≦8の、少なくとも1つの直鎖状オキシアルキレン化ポリジメチルメチルシロキサンを含む:
【化11】
(式中、R、R及びRは、互いに独立に、C~Cアルキルラジカル又は-(CH-(OCHCH-(OCHCHCH-ORラジカルを表し、少なくとも1つのR、R又はRラジカルがアルキルラジカルではなく;Rは、水素、C~Cアルキルラジカル又はC~Cアシルラジカルであり;
Aは、0~200の範囲の整数であり;
Bは、0~50の範囲の整数であり;ただし、A及びBは同時に0に等しくないものとし;
xは、0~6の範囲の整数であり;
yは、1~30の範囲の整数であり;
zは、0~30の範囲の整数である)。
【0145】
本発明の好ましい実施形態によれば、式(II)の化合物において、R=R=メチルラジカル、x=0~3であり、Rは水素である。
【0146】
式(I)の化合物の例として、次のINCI名の乳化界面活性剤が挙げられ得る:
-PEG/PPG-8/8 Dimethicone(PEG/PPG-8/8ジメチコン)、例えばSiltech LLCによりSilube J208-4I(登録商標)、Silube J208-6I(登録商標)及びSilube J208-8I(登録商標)の商品名で販売されている製品など;
-単独で使用されるPEG/PPG-18/18 Dimethicone(PEG/PPG-18/18ジメチコン)、例えば、AB Specialty Silicones によりAndisil SP 1818(登録商標)、Jeen International CorporationによりJeesilc DMC 19(登録商標)、Siltech LLCによりSilsurf J-1013-V-CG(登録商標)又はDow Chemical CompanyによりXiameter OFX-0190 Fluid(登録商標)の商品名で販売されている製品など;
-Cyclopentasiloxane and PEG/PPG-18/18 Dimethicone(シクロペンタシロキサン及びPEG/PPG-18/18ジメチコン)混合物、例えば、Dow ChemicalによりDowsil 5225C Formulation Aid(登録商標);Innospec Performance ChemicalsによりEmusil WO-5115(登録商標);Grant Industries Inc.によりGransurf 10C(登録商標);Jeen International CorporationによりJeesilc DMC522(登録商標);Siltech LLCによりSilsurf 400R(登録商標)の商品名で販売されている製品など;
-Cyclotetrasiloxane and Cyclopentasiloxane and PEG/PPG-18/18 Dimethicone(シクロテトラシロキサン及びシクロペンタシロキサン及びPEG/PPG-18/18ジメチコン)混合物、例えば、Dow ChemicalによりDowsil 3225C Formulation Aid(登録商標);Innospec Performance ChemicalsによりEmulsil WO-3115(登録商標);Jeen International CorporationによりJeesilc DMC252(登録商標)及びJeesilc DMC322(登録商標)の名称で販売されている商品など;
-Dimethicone and PEG/PPG-18/18 Dimethicone(ジメチコン及びPEG/PPG-18/18ジメチコン)混合物、例えばDow Chemicalからの商品Dowsil ES-5226 DM Formulation Aid(登録商標)及びDowsil ES-5227 DM Formulation Aid(登録商標);Grant Industries Inc.からのGransurf 50C(登録商標)及びGransurf 50C-HM(登録商標);及び信越化学工業からのX-22-6711Dなど;
-PEG/PPG-19/19 Dimethicone and C13-C16Isoparaffin and C10-C13Isoparaffin(PEG/PPG-19/19ジメチコン及びC13~C16イソパラフィン及びC10~C13イソパラフィン)混合物、例えばDow Chemicalからの市販品Dow Corning(登録商標)BY 25-337;
-PEG-3 Dimethicone(PEG-3ジメチコン)、例えば信越化学工業からの市販品KF-6015(登録商標)など;
-PEG-10 Dimethicone(PEG-10ジメチコン)、例えば信越化学工業からの市販品KF-6017(登録商標);KCC Corporation からのSerasol SC 86(登録商標)及びSerasol SC 86A(登録商標)など;
-それらの混合物。
好ましくは、ジメチコン及びPEG/PPG-18/18ジメチコン混合物、例えばDow Chemicalからの市販品Dowsil ES-5226 DM Formulation Aid(登録商標)及びDowsil ES-5227 DM Formulation Aid(登録商標);Grant Industries Inc.からのGransurf 50C(登録商標)及びGransurf 50C-HM(登録商標);及び信越化学工業からのX-22-6711D(登録商標)などが使用され得る。
【0147】
本発明による直鎖状オキシアルキレン化ポリジメチルメチルシロキサンは、前記組成物の総質量に対して、好ましくは0.1質量%~10質量%の範囲、より好ましくは0.5質量%~7質量%の範囲及び更により好ましくは1質量%~4質量%の範囲の濃度で、本発明の組成物中に存在する。
【0148】
顔料
本発明の特定の形態によれば、本組成物は、少なくとも1つの顔料を更に含む。
【0149】
「顔料」という用語は、水性媒体中で不溶であり、結果として得られる組成物及び/又は沈着物を着色及び/又は不透明化することが意図される、白色又は有色の無機又は有機粒子を意味すると理解される。これらの顔料は、白色又は有色であり、無機物質及び/又は有機物質であり得る。
【0150】
好ましくは、本組成物は、前記組成物の総質量に対して、少なくとも5質量%の顔料、より好ましくは5質量%~40質量%の顔料、特に10質量%~30質量%の顔料、好ましくは10質量%~20質量%の顔料を含む。
【0151】
特定の実施形態によれば、本発明に従って使用される顔料は、無機顔料から選択される。
【0152】
「無機顔料」という用語は、Ullmann’s Encyclopaediaの「Pigments,Inorganic」の章の定義を満たす何れかの顔料を意味すると理解される。本発明で使用する無機顔料の中で、酸化ジルコニウム又は酸化セリウム、及びまた、酸化亜鉛、酸化鉄(黒色、黄色若しくは赤色)又は酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロムハイドレート(chromium hydrate)及びフェリックブルー、二酸化チタン、又はアルミニウム粉末及び銅粉末などの金属粉末が挙られ得る。次の無機顔料も使用され得る:Ta、Ti、Ti、TiO、TiOとの混合物としてのZrO、ZrO、Nb、CeO及びZnS。
【0153】
本発明に関連して有用な顔料の径は、一般に100nmを超え、10μmまで、好ましくは200nm~5μm、より好ましくは300nm~1μmの範囲であり得る。
【0154】
本発明の特定の形態によれば、顔料の径は、D[50]が100nmを超えることを特徴とし、10μmまで、好ましくは200nm~5μm、より好ましくは300nm~1μmの範囲であり得る。
【0155】
粒径は、MalvernからのMasterSizer 3000(登録商標)型の市販の粒径分析装置を使用した静的光散乱によって測定され、これにより、0.01μm~1000μmに及び得る広い範囲に渡る全ての粒子の粒径分布を決定することができる。データは、従来のMie散乱理論に基づいて処理される。この理論は、サブミクロンからマルチミクロンの範囲のサイズ分布に最も適しており、これにより、「有効な」粒子径を決定することが可能になる。この理論は、特に、Van de Hulst,H.C.,Light Scattering by Small Particles,Chapters 9 and 10,Wiley,New York,1957による刊行物に記載されている。
【0156】
D[50]は、粒子の50体積%により示される最大サイズを表す。
【0157】
本発明の文脈において、無機顔料は、より詳細には酸化鉄及び/又は二酸化チタンである。例として、ステアロイルグルタミン酸アルミニウムでコーティングされている二酸化チタン及び酸化鉄がより詳細には挙げられ得、例えば、三好化成によりNAI(登録商標)の参照記号で販売されている。
【0158】
本発明で使用され得る無機顔料として、真珠光沢剤も挙げられ得る。
【0159】
「真珠光沢剤」という用語は、虹色の光沢を有していてもよいし、又は有していなくてもよく、特に、特定の軟体動物によってその殻中で生成され、又は合成され、光学干渉によって色効果を示す、あらゆる形状の着色された粒子を意味するものと理解されるべきである。
【0160】
真珠光沢剤は、真珠光沢顔料、例えば、酸化鉄でコーティングされた酸化チタンコーティング雲母、オキシ塩化ビスマスでコーティングされた酸化チタンコーティング雲母、酸化クロムでコーティングされた酸化チタンコーティング雲母、有機色素でコーティングされた酸化チタンコーティング雲母及びまたオキシ塩化ビスマスをベースとする真珠光沢顔料から選択され得る。これらは、雲母粒子の表面に金属酸化物及び/又は有機着色剤の少なくとも2つの連続した層が重ねられている雲母粒子であり得る。
【0161】
真珠光沢剤の例として、酸化チタンで、酸化鉄で、天然顔料で又はオキシ塩化ビスマスでコーティングされた天然雲母も挙げられ得る。
【0162】
市販されている真珠光沢剤の中で、Engelhardにより販売されているTimica(登録商標)、Flamenco(登録商標)及びDuochrome(登録商標)真珠光沢剤(雲母をベースとする)、Merckにより販売されているTimiron(登録商標)真珠光沢剤、Eckartにより販売されている雲母をベースとするPrestige(登録商標)真珠光沢剤及びSun Chemicalによって販売されている合成雲母をベースとするSunshine(登録商標)真珠光沢剤が挙げられ得る。
【0163】
真珠光沢剤は、より詳細には、黄色、桃色、赤色、青銅色、橙色、茶色、金色及び/又は銅色を有するか又はこれらの色の輝きを有し得る。
【0164】
本発明に関して使用され得る真珠光沢剤の例として、特に、Brilliant Gold 212G(登録商標)(Timica)、Gold 222C(登録商標)(Cloisonne)、Sparkle Gold(登録商標)(Timica)、Gold 4504(登録商標)(Chromalite)及びMonarch Gold 233X(登録商標)(Cloisonne)の名称でEngelhardにより販売される金色の真珠光沢剤;特に、Bronze Fine(登録商標)(17384)(Colorona)及びBronze(登録商標)(17353)(Colorona)の名称でMerckによって、及びSuper Bronze(Cloisonne)の名称でEngelhardにより販売される青銅色の真珠光沢剤;特に、Orange 363C(登録商標)(Cloisonne)及びOrange MCR 101(Cosmica)の名称でEngelhardによって、及びPassion Orange(登録商標)(Colorona)及びMatte Orange(17449)(登録商標)(Microna)の名称でMerckにより販売されるオレンジ色の真珠光沢剤;特に、Nu-Antique Copper 340XB(登録商標)(Cloisonne)及びBrown CL4509(登録商標)(Chromalite)の名称でEngelhardにより販売されている茶色の真珠光沢剤;特に、Copper 340A(登録商標)(Timica)の名称でEngelhardによって販売される銅のような輝きを有する真珠光沢剤;特に、Sienna Fine(登録商標)(17386)(Colorona)の名称でMerckにより販売されている赤色の輝きを有する真珠光沢剤;特に、Yellow(4502)(登録商標)(Chromalite)の名称でEngelhardにより販売される黄色の輝きを有する真珠光沢剤;特に、Sunstone G012(登録商標)(Gemtone)の名称でEngelhardにより販売されている金色の輝きを有する赤色の真珠光沢剤;特に、Tan Opale G005(登録商標)(Gemtone)の名称でEngelhardにより販売されている桃色の真珠光沢剤;特に、Nu-Antique Bronze 240 AB(登録商標)(Timica)の名称でEngelhardにより販売される金色の輝きを有する黒色の真珠光沢剤;特に、Matte Blue(登録商標)(17433)(Microna)の名称でMerckにより販売されている青色の真珠光沢剤;特に、Xirona Silver(登録商標)の名称でMerckにより販売されている銀色の輝きを有する白色の真珠光沢剤、及び特に、Indian Summer(登録商標)(Xirona)の名称でMerckにより販売されている金緑色で、桃色とオレンジ色を帯びた真珠光沢剤、並びにそれらの混合物が特に挙げられ得る。
【0165】
本発明に従って使用され得る顔料の中で、例えば単色顔料など、単純な従来の着色効果とは異なる光学効果、即ち、従来の着色剤によって生成されるような統一され安定した効果を有する顔料も挙げられ得る。本発明の意味の範囲内で、「安定化された」という用語は、観察角度による、又は同様に温度変化に応じた、色の変動の影響がないことを意味する。
【0166】
例えば、この材料は、金属の輝きを有する粒子、ゴニオクロマティック(goniochromatic)着色剤、回折顔料、熱変色剤(thermochromic agent)、光学的光沢剤、及びまた繊維、特に干渉繊維から選択され得る。当然のことながら、これらの様々な材料を、2つの効果を同時に示すように、実際には本発明に従って新規な効果さえ示すように組み合わせ得る。
【0167】
本発明で使用され得る金属の輝きを有する粒子は、特に、以下のものから選択される:
-少なくとも1つの金属及び/又は少なくとも1つの金属誘導体の粒子、
-単一材料又は複合材料の有機又は無機基材を含み、少なくとも一部が少なくとも1つの金属及び/又は少なくとも1つの金属誘導体を含む金属光沢を有する少なくとも1つの層でコーティングされた粒子;及び
-前記粒子の混合物。
【0168】
前記粒子において存在し得る金属の中でも、例えば、Ag、Au、Cu、Al、Ni、Sn、Mg、Cr、Mo、Ti、Zr、Pt、Va、Rb、W、Zn、Ge、Te、Se及びそれらの混合物又は合金が挙げられる。Ag、Au、Cu、Al、Zn、Ni、Mo、Cr及びそれらの混合物又は合金(例えば、青銅及び真ちゅう)が好ましい金属である。
【0169】
「金属誘導体」という用語は、金属から誘導された化合物、特にオキシド、フルオリド、クロリド及びスルフィドを指す。
【0170】
このような粒子の例として、アルミニウム粒子、例えばStarbrite 1200EAC(登録商標)の名称でSilberlineにより、及びMetalure(登録商標)の名称でEckartにより販売されているものが挙げられ得る。
【0171】
銅又は合金混合物から形成された金属粉末、例えば2844の参照記号でRadium Bronzeにより販売されているもの、金属顔料、例えばアルミニウム又は青銅、例えばRotosafe 700(登録商標)の名称でEckartから販売されているもの、Visionaire Bright Silver(登録商標)の名称でEckartから販売されているシリカコーティングアルミニウム粒子及び金属合金から形成される粒子、例えばVisionaire Bright Natural Gold(登録商標)の名称でEckartから販売されているシリカでコーティングされた青銅(銅及び亜鉛合金)から形成された粉末も挙げられ得る。
【0172】
これらは、例えば日本板硝子によってMicroglass Metashine(登録商標)の名称で販売されているものなど、ガラス基材を含む粒子でもあり得る。
【0173】
ゴニオクロマティック(goniochromatic)着色剤は、例えば、多層干渉構造体及び液晶着色剤から選択され得る。
【0174】
本発明に従い作製される組成物において使用され得る対称性干渉多層構造の例は、例えば次の構造である:Al/SiO/Al/SiO/Al(この構造を有する顔料は、DuPont de Nemoursによって販売されている);Cr/MgF/Al/MgF/Cr(この構造を有する顔料は、Chromaflair(登録商標)の名称でFlexにより販売されている);MoS/SiO/Al/SiO/MoS;Fe/SiO/Al/SiO/Fe及びFe/SiO/Fe/SiO/Fe(これらの構造を有する顔料は、Sicopearl(登録商標)の名称でBASFにより販売されている);MoS/SiO/雲母-酸化物/SiO/MoS;Fe/SiO/雲母-酸化物/SiO/Fe;TiO/SiO/TiO及びTiO/Al/TiO;SnO/TiO/SiO/TiO/SnO;Fe/SiO/Fe;SnO/雲母/TiO/SiO/TiO/雲母/SnO(これらの構造を有する顔料は、Xirona(登録商標)の名称でMerck(Darmstadt)により販売されている)。一例として、これらの顔料は、Xirona Magic(登録商標)の名称でMerckにより販売されているシリカ/酸化チタン/酸化スズ構造を有する顔料、Xirona Indian Summer(登録商標)の名称でMerckにより販売されているシリカ/褐色酸化鉄構造を有する顔料及びXirona Caribbean Blue(登録商標)の名称でMerckにより販売されているシリカ/酸化チタン/雲母/酸化スズ構造を有する顔料であり得る。資生堂からのインフィニットカラー顔料も挙げられ得る。様々な層の厚み及び性質に応じて異なる効果が得られる。従って、Fe/SiO/Al/SiO/Fe構造を用いると、320~350nmのSiO層では色が緑金色から赤灰色に変化し;380~400nmのSiO層では赤色から金色に変化し;410~420nmのSiO層では紫色から緑色に変化し;430~440nmのSiO層では銅色から赤色に変化する。
【0175】
高分子多層構造を有する顔料の例として、3MによりColor Glitter(登録商標)の名称で販売されているものが挙げられ得る。
【0176】
液晶ゴニオクロマティック(goniochromatic)粒子として、例えばChenixによって販売されているもの及びHelicone(登録商標)HCの名称でWackerにより販売されているものが使用され得る。
【0177】
疎水性コーティングされた顔料
本発明の具体的な形態に従い、本発明による組成物は、少なくとも1つの親油性又は疎水性化合物でコーティングされた少なくとも1つの顔料、及び特に以下に詳述するようなものを含む。
【0178】
このタイプの顔料は、多量の水と一緒に多量に考えられ得る限りにおいて、特に有利である。更に、これらは、疎水性化合物で処理されている限り、ゲル化された油性相に対して顕著な親和性を示し、この油性相は、後段でこれらを輸送し得る。
【0179】
当然のことながら、本発明による組成物は、コーティングされていない顔料を同時に含有し得る。
【0180】
コーティングは、少なくとも1つのさらなる非親油性化合物も含み得る。
【0181】
本発明の意味内で、本発明による顔料の「コーティング」は、一般的に、前記顔料に吸収される、吸着される、又はグラフトされる表面処理剤による顔料の全体的又は部分的な表面処理を示す。
【0182】
表面処理された顔料は、当業者にとって周知の化学的、電気的、機械化学的又は機械的性質の表面処理技術に従って調製され得る。市販品を使用することもできる。
【0183】
表面処理剤は、溶媒の蒸発、化学反応及び共有結合生成によって、顔料に吸収、吸着又はグラフトされ得る。
【0184】
一代替形態によれば、表面処理は、顔料のコーティングからなる。
【0185】
コーティングは、コーティングされた顔料の総質量の0.1質量%~20質量%、特に0.5質量%~5質量%に相当し得る。
【0186】
メイクアップ又はケア組成物の他の成分に粒子を組み込む前に、コーティングは、例えば、任意選択的に加熱しながら、粒子と前記表面処理剤を撹拌しながら単純に混合することにより、固体粒子の表面に液体表面処理剤を吸着させることによって作製され得る。
【0187】
コーティングは、例えば、表面処理剤と固体顔料粒子の表面との化学反応、及び表面処理剤と粒子との間の共有結合の生成によって作製され得る。本方法は、特に、米国特許第4578266号明細書に記載されている。
【0188】
化学的表面処理は、表面処理剤を揮発性溶媒中で希釈し、この混合物中に顔料を分散させ、次いで揮発性溶媒をゆっくり蒸発させて、表面処理剤が顔料の表面に沈着するようにすることからなり得る。
【0189】
親油性又は疎水性処理剤
顔料が親油性又は疎水性コーティングを含む場合、後者は、好ましくは、本発明による組成物の脂肪相中に存在する。
【0190】
本発明の特定の実施形態によれば、顔料は、本発明に従って、シリコーン表面処理剤;フッ素化表面処理剤;フルオロシリコーン表面処理剤;金属石鹸;N-アシルアミノ酸又はそれらの塩;レシチン及びその誘導体;トリイソステアリン酸イソプロピルチタン;セバシン酸イソステアリル;天然の植物性又は動物性ワックス;極性合成ワックス;脂肪エステル;リン脂質;及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの化合物によってコーティングされ得る。
【0191】
シリコーン系表面処理剤
特定の一実施形態によれば、顔料は、シリコーン性の化合物で完全に又は部分的に表面処理され得る。
【0192】
シリコーン系表面処理剤は、オルガノポリシロキサン、シラン誘導体、シリコーン-アクリレートコポリマー、シリコーン樹脂及びこれらの混合物から選択され得る。
【0193】
「オルガノポリシロキサン化合物」という用語は、交互に現れるケイ素原子及び酸素原子を含み、ケイ素原子に結合される有機ラジカルを含む構造を有する化合物を意味すると理解される。
【0194】
非エラストマー性オルガノポリシロキサン
特に、非エラストマー性オルガノポリシロキサンとして、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルヒドロシロキサン及びポリアルコキシジメチルシロキサンが挙げられ得る。
【0195】
アルコキシ基は、R-O-ラジカルにより表され得、Rが、メチル、エチル、プロピル、ブチル若しくはオクチル、2-フェニルエチル、2-フェニルプロピル若しくは3,3,3-トリフルオロプロピルラジカル、アリールラジカル、例えばフェニル、トリル又はキシリルなど、又は置換アリールラジカル、例えばフェニルエチルなどを表すようなものである。
【0196】
顔料をポリメチルヒドロシロキサンで表面処理することを可能にする一方法は、顔料を有機溶媒中に分散させ、次いでシリコーン化合物を添加することからなる。混合物を加熱すると、シリコーン化合物と顔料表面との間に共有結合が生成される。
【0197】
好ましい一実施形態によれば、シリコーン系表面処理剤は、特にポリジメチルシロキサンから選択される非エラストマー性オルガノポリシロキサンであり得る。
【0198】
アルキルシラン及びアルコキシシラン
アルコキシ官能性を有するシランは、特に、Witucki著、A Silane Primer,Chemistry and Applications of Alkoxysilanes,Journal of Coatings Technology,65,822,pages 57-60,1993に記載されている。
【0199】
Milquet A-137(登録商標)(OSI Specialities)及びProsil 9202(登録商標)(PCR)の参照記号で販売されているアルキルトリエトキシシラン及びアルキルトリメトキシシシランなどのアルコキシシランが顔料のコーティングのために使用され得る。
【0200】
アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、アミノ又はイミノなどの反応性末端基を有するアルキルポリシロキサンの使用が特開平07-196946号公報に記載されている。これらは、顔料の処理にも適している。
【0201】
シリコーン-アクリレートポリマー
米国特許第5725882号明細書、米国特許第5209924号明細書、米国特許第4972037号明細書、米国特許第4981903号明細書、米国特許第4981902号明細書、米国特許第5468477号明細書において、及び米国特許第5219560号明細書及び欧州特許第0388582号明細書において記載されるようなシリコーン骨格を有するグラフトシリコーン-アクリルポリマーが使用され得る。
【0202】
他のシリコーン-アクリレートポリマーは、その構造において以下の式(II)の単位を含むシリコーンポリマーであり得る:
【化12】
(式中、Gラジカルは、同一であるか又は異なり、水素又はC~C10アルキルラジカル又はまたフェニルラジカルを表し;Gラジカルは、同一であるか又は異なり、C~C10アルキレン基を表し;Gは、少なくとも1個のエチレン性不飽和アニオン性モノマーを(ホモ)重合させた結果として生じるポリマー性残基を表し;Gは、少なくとも1個のエチレン性不飽和疎水性モノマーを(ホモ)重合させた結果生じるポリマー性残基を表し;m及びnは、0又は1と等しく;aは、0~50の範囲の整数であり;bは、10~350の間となり得る整数であり、cは、0~50の範囲の整数であり;ただし、パラメーターa及びcの一方は0以外である)。
【0203】
好ましくは、上の式(I)の単位は、以下の特徴の少なくとも1つ、更に好ましくは全ての特徴を示す:
-Gラジカルは、アルキルラジカル、好ましくはメチルラジカルを表し;
-nは、ゼロではなく、Gラジカルは、2価のC~Cラジカル、好ましくはプロピレンラジカルを表し;
-Gは、エチレン性不飽和カルボン酸型の少なくとも1つのモノマー、好ましくはアクリル酸及び/又はメタクリル酸を(ホモ)重合させた結果生じるポリマー性ラジカルを表し;
-Gは、(C~C10)アルキル(メタ)アクリレート型の少なくとも1つのモノマー、好ましくは(メタ)アクリル酸イソブチル又はメチル型を(ホモ)のホモ重合の結果生じるポリマー性ラジカルを表す。
【0204】
式(I)に対応するシリコーンポリマーの例は、特に、ポリ(メタ)アクリル酸型及びポリメチル(メタ)アクリレート型の混合されたポリマー単位がチオプロピレン型の連結リンクを介してグラフトされるポリジメチルシロキサン(PDMS)である。
【0205】
式(I)に対応するシリコーンポリマーの他の例は、特に、ポリイソブチル(メタ)アクリレート型のポリマー単位がチオプロピレン型連結リンクを介してグラフトされるポリジメチルシロキサン(PDMS)である。
【0206】
シリコーン樹脂
シリコーン表面処理剤は、シリコーン樹脂から選択され得る。
【0207】
「樹脂」という用語は3次元構造を意味すると理解される。
【0208】
シリコーン樹脂は、シリコーン油中で溶解又は膨潤可能なものであり得る。このような樹脂は、架橋ポリオルガノシロキサンポリマーである。
【0209】
シリコーン樹脂の命名法は、「MDTQ」の名称で知られており、樹脂は、それに含まれる様々なシロキサンモノマー単位に応じて表記され、「MDTQ」のそれぞれの文字は、単位の一タイプの特徴を表す。
【0210】
文字Mは、式(CHSiO1/2の単官能性単位を表し、ケイ素原子は、この単位を含むポリマーの1個の酸素原子にのみ連結されている。
【0211】
文字Dは、ケイ素原子が2個の酸素原子に連結される二官能性単位(CHSiO2/2を意味する。
【0212】
文字Tは、式(CH)SiO3/2の三官能性単位を表す。
【0213】
上で定義される単位M、D及びTにおいて、少なくとも1個のメチル基がメチル基以外のR基、例えば2~10個の炭素原子を有する炭化水素(特にアルキル)ラジカル又はフェニル基又は或いはヒドロキシル基など、により置換され得る。
【0214】
最後に、文字Qは、四官能性単位SiO4/2を意味し、ここでケイ素原子が4個の酸素原子に結合し、酸素原子自体はポリマーの残りの部分に結合される。
【0215】
これらの異なる単位から異なる性状の様々な樹脂を得ることができ、これらのポリマーの性状は、モノマー(又は単位)のタイプ、置換されるラジカルのタイプ及び数、ポリマーの鎖長、分岐度及び懸垂鎖のサイズに応じて変動する。
【0216】
これらのシリコーン樹脂の例として、次のものが挙げられ得る:
-式[(CHSiO1/2(SiO4/2(MQ単位)(式中、x及びyは、50~80の範囲の整数である)のトリメチルシロキシケイ酸であり得る、シロキシケイ酸;
-式(CHSiO3/2(T単位)のポリシルセスキオキサン(ここで、xは、100超であり、これらのメチルラジカルの少なくとも1つは、上記で定義されるようなR基により置換され得る)、
-メチルラジカルの何れも別の基により置換されないポリシルセスキオキサンである、ポリメチルシルセスキオキサン。
【0217】
このようなポリメチルシルセスキオキサンは、米国特許第5246694号明細書の文書に記載されている。
【0218】
市販のポリメチルシルセスキオキサン樹脂の例として、次の販売物が挙げられ得る:
WackerによりResin MK(登録商標)の参照記号で販売されているもの、例えばBelsil PMS MK(登録商標)など:最大1質量%の(CHSiO2/2単位(D単位)も含み得、平均分子量がおよそ10000を示す、CHSiO3/2反復単位(T単位)を含むポリマー;
-信越化学工業により、KR-220Lの参照記号で販売されているもの(式CHSiO3/2のT単位から構成され、Si-OH(シラノール)末端基を有する)、KR-242A(登録商標)の参照記号で販売されているもの(98%のT単位及び2%のDジメチル単位を含み、Si-OH末端基を有する)又は、またKR-251の参照記号で販売されているもの(88%のT単位及び12%のDジメチル単位を含み、Si-OH末端基を有する)。
【0219】
シロキシケイ酸樹脂として、任意選択的に粉末形態のトリメチルシロキシケイ酸(TMS)樹脂が挙げられ得る。このような樹脂は、General ElectricによりSR1000(登録商標)、E1170002(登録商標)若しくはSS4230(登録商標)の参照記号で、又はWacker Silicone CorporationによりTMS 803(登録商標)、Wacker 803(登録商標)及び
804(登録商標)の参照記号で販売されている。
【0220】
信越化学工業によりKF-7312J(登録商標)の名称で、及びDow CorningによりDC 749(登録商標)及びDC 593(登録商標)の名称で販売されている、シクロメチコンなどの溶媒中で販売されているトリメチルシロキシケイ酸樹脂も挙げられ得る。
【0221】
シリコーン化合物で処理された顔料の市販品の参照記号の例として、次のものが挙げられ得る:
-三好化成によりSA-C338075-10(登録商標)の参照記号で販売されている赤色酸化鉄/ジメチコン;及び
-ColeticaによりGransil GCMの参照記号で販売されているシリコーン化合物(これは、D5及びポリシリコーン-11の混合物である)でDC Red 7を処理することにより得られる顔料。
【0222】
フッ素化表面処理剤
本顔料は、フッ素系化合物で完全に又は部分的に表面処理され得る。
【0223】
フッ素化表面処理剤は、パーフルオロアルキルホスフェート、パーフルオロポリエーテル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルカン、パーフルオロアルキルシラザン、ポリヘキサフルオロプロピレンオキシド又は、パーフルオロアルキルパーフルオロポリエーテル基を含むポリオルガノシロキサンから選択され得る。
【0224】
「パーフルオロアルキルラジカル」という用語は、水素原子全てがフッ素原子に置換されているアルキルラジカルを意味すると理解される。
【0225】
パーフルオロポリエーテルは、特に特許出願書類、欧州特許第0486135号明細書に記載されており、MontefluosによりFomblinの商品名で販売されている。
【0226】
パーフルオロアルキルホスフェートは、特に、特公平5-86984号公報に記載されている。旭硝子によりAsahi Guard AG530(登録商標)の参照記号で販売されているパーフルオロアルキルホスフェートジエタノールアミンを使用し得る。
【0227】
直鎖状パーフルオロアルカン、パーフルオロシクロアルカン、パーフルオロ(アルキルシクロアルカン)、パーフルオロポリシクロアルカン、パーフルオロ化芳香族炭化水素(パーフルオロアレーン)及び少なくとも1つのヘテロ原子を含むオルガノパーフルオロ化炭化水素化合物が挙げられ得る。
【0228】
パーフルオロアルカンの中で、一連の直鎖状アルカン、例えばパーフルオロオクタン、パーフルオロノナン又はパーフルオロデカンなどが挙げられ得る。
【0229】
パーフルオロシクロアルカン及びパーフルオロ(アルキルシクロアルカン)の中で、RhodiaによりFlutec PP5 GMPの名称で販売されているパーフルオロデカリン、パーフルオロ(メチルデカリン)又はパーフルオロ((C~C)アルキルシクロヘキサン)、例えばパーフルオロ(ブチルシクロヘキサン)など、が挙げられ得る。
【0230】
パーフルオロポリシクロアルカンの中で、ビシクロ[3.3.1]ノナン誘導体、例えばパーフルオロトリメチルビシクロ[3.3.1]ノナンなど、アダマンタン誘導体、例えばパーフルオロジメチルアダマンタンなど、及び水素付加フェナントレンのパーフルオロ化誘導体、例えばテトラコサフルオロテトラデカヒドロフェナントレンなどが挙げられ得る。
【0231】
パーフルオロアレーンの中で、ナフタレンのパーフルオロ化誘導体、例えばパーフルオロナフタレン及びパーフルオロ-1-メチルナフタレンなどが挙げられ得る。
フッ化化合物で処理された顔料の市販参照記号の例として、次のものが挙げられ得る:
-大東化成工業によりPF 5 Yellow 601(登録商標)の参照記号で販売されている黄色酸化鉄/パーフルオロアルキルホスフェート;
-大東化成工業によりPF 5 Red R 516L(登録商標)の参照記号で販売されている赤色酸化鉄/パーフルオロアルキルホスフェート;
-大東化成工業によりPF 5 Black BL100(登録商標)の参照記号で販売されている黒色酸化鉄/パーフルオロアルキルホスフェート;
-大東化成工業によりPF 5 TiO2 CR 50(登録商標)の参照記号で販売されている二酸化チタン/パーフルオロアルキルホスフェート;
-ToshikiによりIron Oxide Yellow BF-25-3(登録商標)の参照記号で販売されている黄色酸化鉄/パーフルオロポリメチルイソプロピルエーテル;
-Cardre Inc.によりD&C Red 7 FHC(登録商標)の参照記号で販売されているDC Red 7/パーフルオロポリメチルイソプロピルエーテル;及び
-Warner-JenkinsonによりT 9506(登録商標)の参照記号で販売されているDC Red 6/PTFE。
【0232】
フルオロシリコーン系表面処理剤
本顔料は、フルオロシリコーン系の化合物で完全に又は部分的に表面処理され得る。
【0233】
フルオロシリコーン化合物は、パーフルオロアルキルジメチコン、パーフルオロアルキルシラン及びパーフルオロアルキルトリアルコキシシランから選択され得る。
【0234】
パーフルオロアルキルシランとして、
信越シリコーンにより販売されている、製品、LP-IT(登録商標)及びLP-4T(登録商標)が挙げられ得る。
パーフルオロアルキルジメチコンは、以下の式:
【化13】
によって表され得る
(式中、
-Rは、1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐状の2価のアルキル基、好ましくは2価のメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基を表し;
-Rfは、1~9個の炭素原子、好ましくは1~4個の炭素原子を有するパーフルオロアルキルラジカルを表し;
-mは、0~150、好ましくは20~100から選択され;
-nは、1~300、好ましくは1~100から選択される)。
【0235】
フルオロシリコーン化合物で処理された顔料の商品参照記号の例として、Advanced Dermaceuticals International Inc.によってFluorosil Titanium Dioxide 100TA(登録商標)の参照記号で販売されている二酸化チタン/フルオロシリコーンが挙げられ得る。
【0236】
他の親油性表面処理剤
疎水性処理剤はまた、以下から選択され得る
(i)ジミリスチン酸アルミニウム及び水添獣脂脂肪酸グルタミン酸のアルミニウム塩などの金属石鹸。
【0237】
特に、金属石鹸として、12~22個の炭素原子を有する脂肪酸の金属石鹸、特に12~18個の炭素原子を有する脂肪酸の金属石鹸が挙げられ得る。
【0238】
金属石鹸の金属は、特に亜鉛又はマグネシウムであり得る。
【0239】
金属石鹸として、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛及びそれらの混合物が使用され得る。
【0240】
疎水性処理剤はまた、ii)脂肪酸、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸又はパルミチン酸から選択され得る。
【0241】
疎水性処理剤はまた、iii)8~22個の炭素原子を有するアシル基、例えば2-エチルヘキサノイル、カプロイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル又はココイル基などを含み得る、N-アシル化アミノ酸又はそれらの塩、から選択され得る。
【0242】
アミノ酸は、例えば、リジン、グルタミン酸又はアラニンであり得る。
【0243】
これらの化合物の塩は、アルミニウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ジルコニウム塩、亜鉛塩、ナトリウム塩又はカリウム塩であり得る。
【0244】
従って、特に好ましい実施形態によれば、N-アシル化アミノ酸誘導体は、特に、グルタミン酸誘導体及び/又はその塩の1つ、より詳細には、ステアロイルグルタミン酸塩、例えば、ステアロイルグルタミン酸アルミニウムなどであり得る。
【0245】
疎水性処理剤はまた、iv)レシチン及びその誘導体から選択され得る。
【0246】
疎水性処理剤はまた、v)トリイソステアリン酸イソプロピルチタンでもあり得る。
【0247】
トリイソステアリン酸イソプロピルチタン(ITT)で処理された顔料の例として、KoboによりBWBO-I2(登録商標)(酸化鉄CI77499及びトリイソステアリン酸イソプロピルチタン)、BWYO-I2(登録商標)(酸化鉄CI77492及びトリイソステアリン酸イソプロピルチタン)及びBWRO-I2(登録商標)(酸化鉄CI77491及びトリイソステアリン酸イソプロピルチタン)の商品参照記号で販売されているものが挙げられ得る。
【0248】
疎水性処理剤は、vi)セバシン酸イソステアリルでもあり得る。
【0249】
疎水性処理剤は、vii)天然の植物性又は動物性のワックス又は極性合成ワックスからも選択され得る。
【0250】
疎水性処理剤は、viii)脂肪エステル、特にホホバエステルからも選択され得る。
【0251】
疎水性処理剤は、ix)リン脂質からも選択され得る。
【0252】
上で引用される化合物において言及されるワックスは、以下で定義されるように、化粧料分野で一般に使用されているものであり得る。
【0253】
これらは特に、任意選択的にエステル又はヒドロキシル官能基を含む、炭化水素、シリコーン及び/又はフッ素化であり得る。これらは、天然由来又は合成由来でもあり得る。
【0254】
「極性ワックス」という用語は、少なくとも1つの極性基を含む化学的な化合物を含有するワックスを意味すると理解される。極性基は、当業者にとって周知であり;これらは、例えば、アルコール、エステル又はカルボン酸基であり得る。ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、微結晶ワックス、オゾケライト及びフィッシャー-トロプシュワックスは、極性ワックスに含まれない。
【0255】
特に、極性ワックスは、δa>0(J/cm1/2となり、更により良好にはδa>1(J/cm1/2となるような、25℃における平均ハンセン溶解度パラメーターδaを有する。
【数1】
(式中、δp及びδhは、それぞれハンセン溶解度パラメーターへの極性の寄与及び特異的相互作用のタイプの寄与である)。
【0256】
ハンセンによる三次元の溶解度空間における溶媒の定義は、C.M.Hansen,The three dimensional solubility parameters,J.Paint Technol.39,105(1967)に記載されている:
-δhは、特異的相互作用(水素結合、酸/塩基又はドナー/アクセプター結合など)の力を特徴づける;
-δpは、永久双極子との間のDebye相互作用力に加えて、誘起双極子及び永久双極子間のKeesom相互作用力も特徴づける。
【0257】
パラメーターδp及びδhは、(J/cm1/2で表される。
【0258】
極性ワックスは、特にそれらの化学構造中に炭素原子及び水素原子以外にヘテロ原子(O、N及びPなど)を含む分子から形成される。
【0259】
特に、これらの極性ワックスの非限定的な例として、ミツロウ、ラノリンロウ、オレンジロウ、レモンロウ及びイボタロウ、コメヌカロウ、カルナウバロウ、カンデリラロウ、オウリキュリーロウ、コルク繊維ロウ、サトウキビロウ、モクロウ(Japan wax)、モクロウ(sumac wax)又はモンタンロウなどの天然極性ロウが挙げられ得る。
【0260】
特定の一実施形態によれば、顔料は、シリコーン系表面処理剤;フッ素系表面処理剤;N-アシル化アミノ酸又はその塩;トリイソステアリン酸イソプロピルチタン;天然の植物系又は動物系ワックス;脂肪エステル;及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの化合物でコーティングされ得る。
【0261】
特に好ましい実施形態によれば、顔料は、N-アシル化アミノ酸及び/又はその塩の1つで、特にグルタミン酸誘導体及び/又はその塩の1つで、又は脂肪エステル、特にホホバエステルで、コーティングされ得る。
【0262】
より特に好ましい実施形態によれば、顔料は、N-アシル化アミノ酸及び/又はその塩の1つで、特に、グルタミン酸誘導体及び/又はその塩の1つで、特にステアロイルグルタミン酸塩、例えばステアロイルグルタミン酸アルミニウムで、コーティングされ得る。
【0263】
本発明によるコーティングされている顔料の例として、より詳細には、例えば三好化成によりNAIの参照記号で販売されている、ステアロイルグルタミン酸アルミニウムでコーティングされた二酸化チタン及び酸化鉄が挙げられ得る。
【0264】
疎水性化合物でコーティングされていない顔料
上で述べたように、組成物は、更に、親油性又は疎水性化合物でコーティングされていない顔料も含有し得る。
【0265】
これらの他の顔料は、親水性化合物でコーティングされていてもよいし、又はコーティングされなくてもよい。
【0266】
これらの顔料は、無機顔料、特に上で定義されるようなものであり得る。
【0267】
これらの顔料は、有機顔料でもあり得る。
【0268】
「有機顔料」という用語は、Ullmann’s Encyclopaediaの「Pigments,Organic」の章の定義を満たす何れかの顔料を意味すると理解される。有機顔料は、特に、ニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、キノリン、アントラキノン、フタロシアニン、金属錯体型、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタン又はキノフタロン化合物から選択され得る。
【0269】
有機顔料は、例えば、カーマイン、カーボンブラック、アニリンブラック、メラニン、アゾイエロー、キナクリドン、フタロシアニンブルー、ソルガムレッド、Colour IndexにおいてCI 42090、69800、69825、73000、74100及び74160の番号で分類されている青色顔料、Colour IndexにおいてCI 11680、11710、15985、19140、20040、21100、21108、47000及び47005の番号で分類されている黄色顔料、Colour IndexにおいてCI 61565、61570及び74260の記号で番号されている緑色顔料、Colour IndexにおいてCI 11725、15510、45370及び71105の番号で分類されている橙色顔料、Colour IndexにおいてCI 12085、12120、12370、12420、12490、14700、15525、15580、15620、15630、15800、15850、15865、15880、17200、26100、45380、45410、58000、73360、73915及び75470の番号で分類されている赤色顔料、並びに仏国特許第2679771号明細書に記載されているようなインドール又はフェノール誘導体の酸化重合により得られる顔料から選択され得る。
【0270】
これらの顔料はまた、欧州特許第1184426号明細書に記載されているものなど、複合顔料の形態でもあり得る。これらの複合顔料は、特に、有機顔料で少なくとも部分的にコーティングされる無機コアと、有機顔料をコアに固定させる少なくとも1つの結合剤とを含む粒子から構成され得る。
【0271】
顔料は、レーキでもあり得る。「レーキ」という用語は、不溶性粒子上に吸着された不溶化色素を意味し、こうして得られた集合体は、使用中に不溶性のままであると理解される。
【0272】
色素が吸着される無機基材は、例えば、アルミナ、シリカ、ホウケイ酸カルシウムナトリウム又はホウケイ酸カルシウムアルミニウム及びアルミニウムである。
【0273】
有機色素の中で、コチニールカルミンが挙げられ得る。以下の名称で知られている製品も挙げられ得る:D&C Red 21(CI 45 380)、D&C Orange 5(CI 45 370)、D&C Red 27(CI 45 410)、D&C Orange 10(CI 45 425)、D&C Red 3(CI 45 430)、D&C Red 4(CI 15 510)、D&C Red 33(CI 17 200)、D&C Yellow 5(CI 19 140)、D&C Yellow 6(CI 15 985)、D&C Green(CI 61 570)、D&C Yellow 10(CI 77 002)、D&C Green 3(CI 42 053)又はD&C Blue 1(CI 42 090)。
【0274】
レーキの例としては、D&C Red 7(CI 15850:1)という名称で知られている製品が挙げられ得る。
【0275】
親水性コーティングの性質
上で述べられるように、これらの他の顔料は、親水性化合物でコーティングされ得る。
【0276】
ゲル状水性相中での顔料の分散を最適化するために顔料の表面処理を可能にする前記親水性化合物は、より詳細には、生物学的ポリマー、炭水化物、多糖、ポリアクリレート又はポリエチレングリコール誘導体から選択される。
【0277】
生物学的ポリマーの例としては、炭水化物タイプのモノマーに基づくポリマーが挙げられ得る。
【0278】
より詳細には、バイオサッカライドガム、キトサン及びその誘導体、例えば、ブトキシキトサン、カルボキシメチルキトサン、カルボキシブチルキトサン、キトサングルコネート、キトサンアジペート、キトサングリコレート、キトサンラクテートなど;キチン及びその誘導体、例えばカルボキシメチルキチン又はキチングリコレート;セルロース及びその誘導体、例えばセルロースアセテートなど;微結晶性セルロース;リン酸架橋デンプン(distarch phosphate);ヒアルロン酸ナトリウム;可溶性プロテオグリカン;ガラクトアラビナン;グリコサミノグリカン;グリコーゲン;スクレロチウムガム;デキストラン;デンプン及びその誘導体;及びそれらの混合物が挙げられ得る。
【0279】
炭水化物の例として、ポリヒドロキシアルデヒド又はポリヒドロキシケトン、一般式:C(HO)
(式中、x及びyは1~1000000の範囲であり得る)が特に挙げられ得る。
【0280】
炭水化物は、単糖類、二糖類又は多糖類であり得る。
【0281】
特に、炭水化物の例として、アミロデキストリン、ベータ-グルカン、シクロデキストリン、変性コーンスターチ、グリコーゲン、ヒアルロン酸、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、ラクトース、マルチトール、グアノシン、グリセリルデンプン、トリチクム・ブルガレ(Triticum vulgare)デンプン、トレハロース、スクロース及びその誘導体、ラフィノース又はコンドロイチン硫酸ナトリウムが挙げられ得る。
【0282】
表面処理剤として、C~C20アルキレングリコール又はC~C20アルキレングリコールエーテルは、単独で使用し得るか又はトリ(C~C20)アルキルシランと組み合わせて使用することもできる。
【0283】
例として、PEGアルキルエーテルアルコキシシランで表面処理された顔料、例えば、KoboによりSW顔料の名称で販売されている、PEG-8メチルエーテルトリエトキシシランで処理された顔料が挙げられ得る。
【0284】
ジメチコンコポリオール又はアルキルジメチコンコポリオールの名称でも知られている親水性基を有するジメチコンなどのシリコーンも、表面処理剤として本発明に適したものであり得る。特に、このようなジメチコンは、繰り返し単位として、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドなどのC~C20アルキレンオキシドを含み得る。
【0285】
例として、Sensient CorporationによりLCW AQ(登録商標)Pigmentの名称で販売されている、PEG-12-ジメチコンで処理された顔料が挙げられ得る。
【0286】
少なくとも1つの親水性化合物でコーティングされた顔料及び/又はコーティングされていない顔料の量は、特に、検討されている化粧用組成物の意図された用途により左右され、この量の調整は、組成物の配合者の能力の範囲内に入ることは明白である。
【0287】
非乳化性オルガノポリシロキサンエラストマー
本発明の好ましい形態によれば、本組成物は、少なくとも1つの非乳化性オルガノポリシロキサンエラストマーを更に含む。
【0288】
「非乳化性」という用語は、親水性鎖を含有しない、特に、ポリオキシアルキレン単位(特に、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレン単位)又はポリグリセリル単位を含有しないオルガノポリシロキサンエラストマーを定義する。
【0289】
従って、オルガノポリシロキサンエラストマーは、特に白金触媒の存在下における、ケイ素に結合された少なくとも1個の水素を含有するジオルガノポリシロキサンと、ケイ素に結合されたエチレン性不飽和基を有するジオルガノポリシロキサンとの架橋付加反応によって;又は、特に有機スズ化合物の存在下における、ヒドロキシル末端基を含むジオルガノポリシロキサンと、ケイ素に結合された少なくとも1つの水素を含有するジオルガノポリシロキサンとの間の脱水架橋縮合反応によって;又はヒドロキシル末端基を含むジオルガノポリシロキサンと、加水分解性オルガノポリシロキサンとの架橋縮合反応によって;又は、特に有機過酸化物触媒の存在下における、オルガノポリシロキサンの熱架橋によって;又はガンマ線、紫外線若しくは電子線などの高エネルギー放射線による、オルガノポリシロキサンの架橋によって、得ることができる。
【0290】
好ましくは、オルガノポリシロキサンエラストマーは、(A)それぞれがケイ素に結合される少なくとも2個の水素を含有するジオルガノポリシロキサンの、及び(B)ケイ素に結合される少なくとも2個のエチレン不飽和基を有するジオルガノポリシロキサンの、特に(C)白金触媒の存在下での、付加-架橋反応により得られる。
【0291】
特に、オルガノポリシロキサンエラストマーは、白金触媒の存在下で、ジメチルビニルシロキシ末端があるジメチルポリシロキサンとトリメチルシロキシ末端があるメチルヒドロポリシロキサンとの反応により得られ得る。
【0292】
化合物(A)は、オルガノポリシロキサンエラストマーの形成のための基礎反応物であり、架橋は、触媒(C)の存在下における、化合物(A)と化合物(B)との付加反応によって行われる。
【0293】
化合物(A)は、特に、各分子において別々のケイ素原子に結合している少なくとも2個の水素原子を有するオルガノポリシロキサンである。
【0294】
化合物(A)は、何れかの分子構造、特に、直鎖状若しくは分岐鎖状構造又は環状構造を呈し得る。
【0295】
化合物(A)は、特に、化合物(B)と容易に混和性であるために、25℃での粘度が1~50000センチストークスの範囲であり得る。
【0296】
化合物(A)のケイ素原子に結合される有機基は、アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル又はオクチルなど;置換アルキル基、例えば、2-フェニルエチル、2-フェニルプロピル又は3,3,3-トリフルオロプロピルなど;アリール基、例えば、フェニル、トリル、キシリルなど;置換アリール基、例えば、フェニルエチルなど;及び置換一価炭化水素系基、例えば、エポキシ基、カルボン酸エステル基又はメルカプト基など、であり得る。
【0297】
従って、化合物(A)は、トリメチルシロキシ末端があるメチルヒドロポリシロキサン、トリメチルシロキシ末端があるジメチルシロキサン/メチルヒドロシロキサンコポリマー又は環状ジメチルシロキサン/メチルヒドロシロキサンコポリマーから選択され得る。
【0298】
化合物(B)は、有利には、少なくとも2個の低級(例えばC~C)アルケニル基を有するジオルガノポリシロキサンであり;低級アルケニル基は、ビニル、アリル及びプロペニル基から選択され得る。これらの低級アルケニル基は、オルガノポリシロキサン分子の何れかの位置に配置され得るが、好ましくは、オルガノポリシロキサン分子の末端に配置され得る。オルガノポリシロキサン(B)は、分岐鎖状、直鎖状、環状又は網目構造を有し得るが、直鎖状構造が好ましい。化合物(B)は、液体状態からゴム状の範囲の粘度を有し得る。好ましくは、化合物(B)は、25℃で少なくとも100センチストークスの粘度を有する。
【0299】
上記のアルケニル基に加えて、化合物(B)中のケイ素原子に結合される他の有機基は、アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル又はオクチルなど;置換アルキル基、例えば、2-フェニルエチル、2-フェニルプロピル又は3,3,3-トリフルオロプロピルなど;アリール基、例えば、フェニル、トリル又はキシリルなど;置換アリール基、例えばフェニルエチルなど;及び置換一価炭化水素基、例えば、エポキシ基、カルボン酸エステル基又はメルカプト基などであり得る。
【0300】
オルガノポリシロキサン(B)は、メチルビニルポリシロキサン、メチルビニルシロキサン/ジメチルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端があるジメチルポリシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端があるジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端があるジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン/メチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端があるジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端があるジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン/メチルビニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端があるメチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)ポリシロキサン及びジメチルビニルシロキシ末端があるジメチルシロキサン/メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)シロキサンコポリマーから選択され得る。
【0301】
特に、オルガノポリシロキサンエラストマーは、白金触媒の存在下でのジメチルビニルシロキシ末端があるジメチルポリシロキサン及びトリメチルシロキシ末端があるメチルヒドロポリシロキサンの反応により得られ得る。
【0302】
別の代替的な形態によれば、化合物(B)は、少なくとも2個の低級(例えばC~C)アルケニル基を有する不飽和炭化水素化合物であり得;低級アルケニル基は、ビニル、アリル及びプロペニル基から選択され得る。これらの低級アルケニル基は、分子の何れかの位置に配置され得るが、好ましくは末端に配置される。例として、ヘキサジエン及び特に1,5-ヘキサジエンが挙げられ得る。
【0303】
有利には、化合物(B)の分子当たりのエチレン基の数、及び化合物(A)の分子当たりのケイ素原子に結合された水素原子の数の合計は、少なくとも5である。
【0304】
化合物(A)中のケイ素原子に結合された水素原子の総量と、化合物(B)中の全てのエチレン性不飽和基の総量との分子比が、1.5/1~20/1の範囲内であるような量で、化合物(A)が添加されるのが有利である。
【0305】
化合物(C)は、架橋反応の触媒であり、特に、塩化白金酸、塩化白金酸-オレフィン錯体、塩化白金酸-アルケニルシロキサン錯体、塩化白金酸-ジケトン錯体、白金黒及び担体担持白金である。
【0306】
触媒(C)は、好ましくは、化合物(A)及び(B)の総量1000質量部当たり、クリーンな白金金属として0.1~1000質量部、更により良好には、1~100質量部、添加される。
【0307】
例えば、球状非乳化性エラストマーとして、DC9040(登録商標)、DC9041(登録商標)、DC9509(登録商標)及びDC9505(登録商標)の名称でDow Corningにより販売されるものが使用され得る。
【0308】
次の名称で販売されているものも使用され得る:
信越化学工業により、KSG-6(登録商標)、KSG-15(登録商標)、KSG-16(登録商標)、KSG-18(登録商標)、KSG-41(登録商標)、KSG-42(登録商標)、KSG-43(登録商標)及びKSG-44(登録商標)の名称で;Grant Industriesから、Gransil SR 5CYC(登録商標)gel、Gransil SR DMF 10 gel(登録商標)、Gransil SR DC556ゲル(登録商標)、Gransil RPS(登録商標)、Gransil DMG-6(登録商標)及びGransil DMG-6(登録商標)LCの名称で;General Electricから、1229-02-167(登録商標)、1229-02-168(登録商標)及びSFE 839(登録商標)の名称で販売されるもの。
【0309】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1つのシリコーン油、好ましくはジメチコンタイプの直鎖状シリコーン油中で運ばれるゲル形態の少なくとも1つの非乳化性オルガノポリシロキサンエラストマーを含む。
【0310】
例えば、Polysilicone-11/ジメチコン混合物、例えばGrant Industriesからの市販品Gransil DMG-6(登録商標)及びGransil DMG-6(登録商標)LCなどが挙げられ得る。
【0311】
本発明による組成物は、好ましくは、前記組成物の質量に対して、0.1質量%~10質量%、好ましくは0.5質量%~5質量%で変動する、オルガノポリシロキサンエラストマーとして(即ち活性物質として)表現される、オルガノポリシロキサンエラストマーの含量を含む。
【0312】
本発明の1つの特定の形態によれば、本組成物は、次のものを含む:
a)粘度が50~500cStである少なくとも1つのジメチコンを含む少なくとも1つの油性連続相、及び
b)テレフタリリデンジカンフルスルホン酸、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸2ナトリウム及びそれらの混合物;及びより詳細にはフェニルベンズイミダゾールスルホン酸から選択される少なくとも1つの水溶性有機UV遮断剤を含む、前記油性相中で分散される少なくとも1つの水性相;及び
c)水酸化ナトリウム;
d)トリメチルシロキシケイ酸樹脂から選択される少なくとも1つの疎水性皮膜形成ポリマー、
e)好ましくはジメチコンとの混合物の形態の、少なくともPEG/PPG-18/18ジメチコン。
【0313】
特定の実施形態によれば、本組成物の油性相は、少なくとも1つの揮発性炭化水素油及び/又は少なくとも1つの揮発性シリコーン油、特にイソドデカン及びドデカメチルペンタシロキサンの混合物を更に含む。
【0314】
特定の実施形態によれば、本組成物は、特に、疎水性表面処理剤で、特にN-アシル化アミノ酸及び/又はその塩の1つで、特にグルタミン酸誘導体及び/又はその塩の1つで、特にステアロイルグルタミン酸塩、例えばステアロイルグルタミン酸アルミニウムなどで、コーティングされている、二酸化チタン及び/又は酸化鉄から選択される少なくとも1つの顔料を更に含む。
【0315】
添加物
本発明による組成物は、上に記載のもの以外の有機UV遮断剤;無機UV遮断剤;保湿剤、例えばポリオール、例えばグリセロール、プロパンジオール又はペンチレングリコールなど;充填剤;着色剤;増粘剤又はゲル化剤;保存剤;キレート剤;香料;及びそれらの混合物など、ケア及び/又はメイクアップ製品において一般的に使用される添加物を更に含み得る。
【0316】
充填剤
本発明による組成物は、特に、向上した安定性、耐摩耗性、カバー力及び/又はマットさのさらなる特性をそれに付与することを可能にする、有機又は無機性の少なくとも1つの充填剤も含み得る。
【0317】
「充填剤」という用語は、本組成物の媒体中で分散される不溶性の形態で提供される、何れかの形態の無色又は白色の固形粒子を意味すると理解すべきである。無機又は有機性のこれらの粒子は、本組成物において粘り又は剛性及び/又はメイクアップにおいて軟らかさ及び均一性を付与することを可能にする。
【0318】
本発明による組成物において使用される充填剤は、層状、球形、球状若しくは繊維状形態であり得るか、又はこれらの規定される形態の間の中間の何れかの他の形態であり得る。
【0319】
本発明による充填剤は、表面コーティングされていてもよいし又はされていなくてもよく、特にこれらは、シリコーン、アミノ酸、フッ素化誘導体又は組成物中における充填剤の分散及び相溶性を高める何れかの他の物質で表面処理され得る。
【0320】
無機充填剤の例として、タルク、雲母、シリカ、中空微小球シリカ、カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、ガラス又はセラミックマイクロカプセル、シリカ及び二酸化チタンの複合材、例えば日本板硝子により販売されているTSG(登録商標)シリーズ又は疎水性シリカエアロゲルが挙げられ得る。
【0321】
有機充填剤の例として、ポリアミドから形成される粉末(AtochemからのNylon(登録商標)Orgasol)、ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリテトラフルオロエチレン(Teflon(登録商標))又はアクリル酸コポリマー(Dow CorningからのPolytrap(登録商標))、ラウロイルリジン、ポリ塩化ビニリデン/アクリロニトリルのものなどの中空ポリマー微小球、例えば、Expancel(登録商標)(Nobel Industrie)、ヘキサメチレンジイソシアネート/トリメチロールヘキシルラクトンコポリマー粉末(ToshikiからのPlastic Powder(登録商標))、シリコーン樹脂マイクロビーズ(例えば、東芝からのTospearl(登録商標))、合成又は天然微粉化ワックス、8~22個の炭素原子、好ましくは、12~18個の炭素原子を有する有機カルボン酸に由来する金属石鹸、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛又はミリスチン酸マグネシウム、Polypore L 200(登録商標)(Chemdal Corporation)又はシリコーン樹脂で、特に、例えば米国特許第5538793号明細書に記載のようなシルセスキオキサン樹脂でコーティングされる架橋エラストマー性オルガノポリシロキサンから形成される粉末が挙げられ得る。これは、セルロース粉末、例えば大東化成工業によりCellulobeadsのシリーズで販売されているものなどでもあり得る。
【0322】
シリカ粒子
好ましい形態によれば、本発明による組成物は、疎水性シリカエアロゲル粒子、前述のもの以外のシリカ粒子及びそれらの混合物から選択されるシリカ粒子を更に含む。
【0323】
疎水性シリカエアロゲル
疎水性シリカエアロゲルは、シリカゲルの液体成分を空気と置き換える(特に乾燥により)ことによって得られる多孔質材料である。これらは一般に、ゾル-ゲル法により液体媒体中で合成され、その後、通常は超臨界流体で抽出することにより(最も一般的に使用されているのは超臨界COである)乾燥される。このタイプの乾燥により、細孔及び材料の収縮を回避することが可能になる。ゾルゲル法及び様々な乾燥操作は、Brinker C.J.,and Scherer G.W.,Sol-Gel Science,New York,Academic Press,1990で詳述されている。
【0324】
本発明により使用される疎水性シリカエアロゲルは、好ましくはシリル化シリカエアロゲル(INCI名:Silica Silylate(シリル化シリカ))である。
【0325】
「疎水性シリカ」という用語は、OH基をSi-Rシリル基、例えばトリメチルシリル基で官能化させるように、シリル化剤で、例えばアルキルクロロシラン、シロキサン、特にヘキサメチルジシロキサンなどのジメチルシロキサン、又はシラザンなどで、表面が処理された何れかのシリカを意味すると理解される。
【0326】
シリル化により表面修飾されている疎水性シリカエアロゲル粒子の調製に関しては、米国特許第7470725号明細書の文書を参照し得る。
【0327】
特に、トリメチルシリル基で表面修飾されている疎水性シリカ(トリメチルシロキシル化シリカ)から形成されるエアロゲル粒子が使用される。
【0328】
「疎水性エアロゲル粒子」という用語は、0.1ml/g未満、即ち10gの水/100gの粒子未満の湿潤点で水吸収能を示すエアロゲル型の何れかの粒子を意味すると理解される。湿潤点で測定され、WPと示される吸収能は、均一なペーストを得るために、1gの粒子に添加する必要がある溶媒の量(グラム又はミリリットルで表される)に相当する。これは、「湿潤点」法又は規格NF T 30-022に記載の粉末の溶媒(水又は油)の取り込みを決定するための方法に従って測定される。これは、後述されるように、湿潤点の測定による、粉末の利用可能な表面上に吸着される及び/又は粉末によって吸収される溶媒の量に相当する:
ガラスプレート(25x25mm)を秤の上に置き、1gの粉末の量wをガラスプレート上に測り取り、次に、溶媒(例えば水又はイソノナン酸イソノニル)を滴下して添加する。粉末に溶媒を徐々に添加し、スパチュラを使用して全てを規則的に練る(3~4滴ごと)。均一なペーストが得られたときに溶媒の添加を停止する。このペーストは、亀裂又は塊形成なく、ガラス板上に広げることができなければならない。湿潤点を得るために必要な溶媒の質量を記録する。3回の試験にわたる平均をとる。溶媒の密度が既知なので、使用される溶媒の体積Vs(mlで表される)がそこから推定される。溶媒の取り込みは、比Vs/wに相当する。
【0329】
好ましくは、本発明による疎水性シリカエアロゲル粒子は、好ましくは、5~18ml/g、好ましくは、6~15ml/g、更に良好には、8~12ml/gの範囲の、湿潤点で測定される油吸収能を有する。
【0330】
本発明で使用される疎水性シリカエアロゲル粒子は、好ましくは、200~1500m/gの範囲、好ましくは600~1200m/gの範囲、更により良好には600~800m/gの範囲の、単位質量当たりの比表面積(S)及び、1500μm未満、好ましくは1~30μmの範囲、好ましくは5~25μm、更により良好には5~20μm、一層良好には5~15μmである、体積平均径(D[0.5])として表されるサイズを示す。
【0331】
質量単位当たりの比表面積は、The Journal of the American Chemical Society,Vol.60,page 309,February 1938に記載されており、国際規格ISO 5794/1(Annex D)に対応する、BET(Brunauer-Emmett-Teller)法として知られる窒素吸収法により求められ得る。BET比表面積は、検討中の粒子の全比表面積に対応する。
【0332】
本発明によるエアロゲル粒子のサイズは、MalvernからのMastersizer 2000(登録商標)タイプの市販の粒径分析器を用いて静的光散乱により測定され得る。データは、Mie散乱理論に基づいて処理する。この理論は、等方性粒子に妥当であり、非球状粒子の場合、「有効」粒子径を求めることを可能にする。この理論は、特にVan de Hulst,H.C.による刊行物、Light Scattering by Small Particles,Chapters 9 and 10,Wiley,New York,1957に記載されている。
【0333】
本発明で使用される疎水性シリカエアロゲル粒子は、有利に、0.02g/cm~0.10g/cm、好ましくは0.02 g/cm~0.08g/cmの範囲のタンプド密度(tamped density)を示し得る。
【0334】
本発明に関して、この密度は、タンプド密度(tamped density)プロトコールとして知られる次のプロトコールに従い評価され得る:
粉体40gをメスシリンダーに注ぎ入れ、次いでこのメスシリンダーを、Stampf VolumeterからのStav2003(登録商標)装置に置き;続いてメスシリンダーに対してタンピングの動作(tamping action)を2500回連続して行い(この操作は2回の連続の試験間の体積の差が2%未満になるまで反復する)、次いでタンピングした(tamped)粉体の最終体積Vfをメスシリンダーで直接測定する。タンプド密度(tamped density)はw/Vfの比により求められ、この場合は40/Vfのポイントである(Vfの単位はcm、wの単位はgで表される)。
【0335】
一実施形態によれば、本発明で使用される疎水性エアロゲル粒子の単位体積当たりの比表面積(S)は、5~60m/cmの範囲、好ましくは10~50m/cmの範囲であり、更により良好には15~40m/cmの範囲である。
【0336】
単位体積当たりの比表面積は、以下の関係式:
=Sx ρによって与えられ、式中、上に定義されるように、ρは、g/cmで表されるタンプド密度(tamped density)であり、Sは、m/gで表される単位質量当たりの比表面積である。
【0337】
特定の実施形態によれば、使用されるエアロゲル粒子は、無機であり、より詳細には、上で述べた特性を示す疎水性シリカエアロゲル粒子である。
【0338】
本発明において使用され得る疎水性シリカエアロゲルとして、例えば、Dow CorningによりVM-2260(INCI名:Silica Silylate(シリル化シリカ))の名称で販売されているエアロゲルが挙げられ得、その粒子の平均径はおよそ1000ミクロンであり、単位質量当たりの比表面積は600~800m/gの範囲である。
【0339】
CabotによりAerogel TLD 201(登録商標)、Aerogel OGD 201(登録商標)、Aerogel TLD 203(登録商標)、Enova(登録商標)Aerogel MT 1100及びEnova Aerogel MT 1200(登録商標)の参照記号で販売されているエアロゲルも挙げられ得る。
【0340】
より詳細には、Dow CorningによりVM-2270(登録商標)(INCI名:Silica Silylate(シリル化シリカ))の名称で販売されているエアロゲルが使用され得、この粒子の平均径は5~15ミクロンの範囲であり、単位質量当たりの比表面積は600~800m/gの範囲である。
【0341】
CabotによりEnova(登録商標)Aerogel MT 1100(INCI名:Silica Silylate(シリル化シリカ))の名称で販売されているエアロゲルも使用され、この粒子の平均径は2~25ミクロンの範囲であり、単位質量当たりの比表面積は600~800m/gの範囲である。
【0342】
疎水性エアロゲル粒子は、組成物の総質量に対して、0.05質量%~10質量%、好ましくは0.1質量%~8質量%、更により良好に0.2質量%~5質量%、より好ましくは0.3質量%~3質量%に相当する。
【0343】
i)他のシリカ粒子
使用され得る他のシリカは、天然及び未処理であり得る。従って、Hoffmann Mineralにより、Sillitin N85(登録商標)、Sillitin N87(登録商標)、Sillitin N82(登録商標)、Sillitin V85(登録商標)及びSillitin V88(登録商標)の名称で提供されるシリカが挙げられ得る。
【0344】
これらは、ヒュームドシリカであり得る。
【0345】
ヒュームドシリカは、酸水素炎での揮発性ケイ素化合物の高温熱分解により、微粉シリカを生成することによって得ることができる。この工程によって、特に、それらの表面で多数のシラノール基を示す親水性シリカを得ることが可能となる。シラノール基の数を減少させる化学反応によって、前記シリカの表面を化学修飾することが可能である。特に、疎水性基によってシラノール基を置換することが可能である:次に疎水性シリカが得られる。
【0346】
疎水性基は、次のものであり得る:
(a)特にヘキサメチルジシラザンの存在下でのフュームドシリカの処理によって得られる、トリメチルシロキシ基。こうして処理されたシリカは、CTFA(6th edition,1995)に従い、「シリル化シリカ」として知られる。
(b)ジメチルシリルオキシ基又はポリジメチルシロキサン基、これらは特に、ポリジメチルシロキサン又はジメチルジクロロシランの存在下でのフュームドシリカの処理により得られる。このように処理されたシリカは、CTFA(6th Edition、1995)に従い、「Silica Dimethyl Silylate(ジメチルシリル化シリカ)」として知られている。
【0347】
より詳細には、シリコーンエアロゲル以外のシリカ粉末として、次のものが挙げられ得る:
-三好化成によりSilica Beads SB-700(登録商標)の名称で、及び旭硝子によりSunsphere H51(登録商標)及びSunsphere H33(登録商標)の名称で販売されている多孔性シリカミクロスフェア;
-旭硝子によりSA Sunsphere H33(登録商標)及びSA Sunsphere H53(登録商標)の名称で販売されている、ポリジメチルシロキサンコーティングされているアモルファスシリカミクロスフェア;
-例えばポリエチレンなどのミネラルワックスでコーティングされる、及び特にEvonik DegussaによりAcematt(登録商標)OK 412(登録商標)の名称で販売されている沈降シリカミクロスフェア。
【0348】
より詳細には、シリカ粉末として、多孔性シリカミクロスフェア、例えば三好化成によりSilica Beads SB-700(登録商標)の名称で、及び旭硝子によりSunsphere H51(登録商標)及びSunsphere H33(登録商標)の名称で販売されるものなどが使用される。
【0349】
疎水性シリカエアロゲル粒子以外のシリカ粒子は、本発明による組成物中で、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.1質量%~10質量%の範囲及び非常に好ましくは0.5質量%~5質量%の範囲の含量で存在する。
【0350】
好ましい形態によれば、本発明による組成物は、上記のものなどの少なくとも疎水性シリカエアロゲル粒子及び他のシリカ粒子、例えば上記のものなど、特に多孔性シリカミクロスフェアを含む混合物を含む。
【0351】
さらなる着色剤
本発明による組成物は、好ましくは前記組成物の総質量に対して少なくとも0.01質量%の割合で、少なくとも1つのさらなる着色剤を更に含み得る。
【0352】
明らかな理由から、この量は、所望の色効果の強度及び検討中の着色剤によって与えられる色の強度の観点から大きく変化し易く、その調整は明らかに当業者の能力の範囲内である。
【0353】
本発明に適切なさらなる着色剤は、水溶性であり得るが脂溶性でもあり得る。
【0354】
本発明の意味内で、「水溶性着色剤」という用語は、水性相又は水混和性溶媒中で可溶性であり、色を付与することが可能な何れかの天然又は合成の、一般には有機である化合物を意味すると理解される。
【0355】
特に、本発明に適切な水溶性色素として、合成又は天然の水溶性色素、例えばFDC Red 4、DC Red 6、DC Red 22、DC Red 28、DC Red 30、DC Red 33、DC Orange 4、DC Yellow 5、DC Yellow 6、DC Yellow 8、FDC Green 3、DC Green 5、FDC Blue 1、ベタニン(ビートルート)、カーマイン、銅クロロフィリン、メチレンブルー、アントシアニン(エノシアニン、ブラックキャロット、ハイビスカス又はニワトコ)、カラメル又はリボフラビンが挙げられ得る。
【0356】
水溶性色素は、例えば、ビートルート汁及びカラメルである。
【0357】
本発明の意味内で、「脂溶性着色剤」という用語は、脂肪物質と混和性である油性相又は溶媒中で可溶性であり、色を付与することが可能である、何れかの天然又は合成の、一般には有機の、化合物を意味すると理解される。
【0358】
特に、本発明に適切な脂溶性色素として、例えば、DC Red 17、DC Red 21、DC Red 27、DC Green 6、DC Yellow 11、DC Violet 2、DC Orange 5、Sudan Red、カロテン(β-カロテン、リコペン)、キサントフィル(カプサンシン、カプソルビン、ルテイン)、パーム油、Sudan Brown、キノリンイエロー、アナトー又はクルクミンなどの合成又は天然の脂溶性色素が挙げられ得る。
【0359】
化粧用組成物
本発明は、生理学的に許容可能な媒体中で、上で定義されるような組成物を含む化粧用組成物にも関する。
【0360】
「生理学的に許容可能な媒体」という用語は、本発明の組成物の皮膚への適用に特に適切である媒体を示すと理解される。
【0361】
生理学的に許容可能な媒体は、一般的に、本組成物が適用されなければならない支持体の性質に適切であり、本組成物が包装されなければならない外観にも適切である。
【0362】
適用
一実施形態によれば、本発明の組成物は、身体又は顔、特に顔の皮膚をケアするための組成物の形態で有利に提供され得る。
【0363】
別の実施形態によれば、本発明の組成物は、有利には、ケラチン物質、特に胴体又は顔、特に顔の皮膚をメイクアップするための組成物の形態で提供され得る。
【0364】
従って、この実施形態のサブ形式によれば、本発明の組成物は、有利には、メイクアップのためのベース組成物の形態で提供され得る。
【0365】
本発明の組成物は、有利には、ファンデーションの形態で提供され得る。
【0366】
この実施形態の別のサブ形式によれば、本発明の組成物は、有利には、皮膚及び特に顔をメイクアップするための組成物の形態で提供され得る。従って、これは、アイシャドー又はフェイスパウダーであり得る。
【0367】
このような組成物は、特に、当業者の一般知識に従って調製される。
【0368】
特許請求の範囲を含む本明細書全体を通して、「含む(comprising a)」という表現は、別段の指定がない限り、「少なくとも1つを含む(comprising at least one)」と同義であると理解すべきである。
【0369】
「...~...の間」及び「...~...の範囲」という表現は、特に明記されていない限り、限界点が含まれることを意味するものと理解すべきである。
【0370】
以下に示される実施例及び図面により、本発明をより詳細に例示する。別段の指示がない限り、指示される量は、質量百分率として表される。
【実施例
【0371】
実施例1~3(本発明)並びに例1a、2a及び3a(本発明外)
本発明による組成物1~3及び本発明外の組成物1a、1b及び1cを作製した。
【0372】
【表1】
【0373】
【表2】
【0374】
組成物の調製のためのプロトコール
a)水性相の調製:
相B1の成分全ての重量を量り取り、Rayneriミキサー(デフロキュレーター(deflocculator))を用いて撹拌を行った。水酸化ナトリウムでpHを調整し、喪失した水の量を添加した。
【0375】
b)油性相の調製:
相Cの不揮発性ジメチコン及び次に相A1のイソドデカン及び界面活性剤を量り取り、渦ができるように速度を調整しながら、Moritzミキサー(ローター/固定子)下で5分間混合し、次いでアセンブリ(assembly)を氷冷水浴下に置いた。相A3のシリコーンエラストマーを量り取り、常に渦ができるように速度を調整しながら15分間、混合を行った。相A3の皮膜形成ポリマー及び相A4の充填剤を続いて量り取り、常に渦ができるように速度を調整しながら15分間、混合を行った。
【0376】
c)乳化
Moritzミキサー下で、及び依然として氷冷水浴下でエマルションを生成させ、水性相を脂肪相に導入した。アセンブリ(assembly)を10分間、3000rev/minの速度のままにした(漸増/ボルテックス)。
【0377】
続いて、Rayneriミキサー下でアルコールを添加し、温度を40℃未満に維持しながら5分間、分散させた。
【0378】
組成物の安定性の比較試験
肉眼的な側面(外観、色、臭い)及び顕微鏡的な側面が周囲温度(25℃)で1カ月後に変化していない場合、組成物を安定とみなす。
【0379】
本発明による実施例1~3の組成物は、周囲温度(25℃)で1カ月後に安定なままであった。
【0380】
ベンゾオキサゾールスルホン酸基を有する水溶性有機UV遮断剤(フェニルベンズイミダゾールスルホン酸)を含有する本発明の実施例1と組成が同一であるが、代わりにベンゾフェノンスルホン酸基を有する水溶性有機UV遮断剤(ベンゾフェノン-4)を含有する、対となる例1aは、1カ月後に不安定となり、1カ月後に表面において5mmの塩析皮膜を生じた。
【0381】
直鎖状ポリオキシアルキレン化ポリジメチルメチルシロキサン型(PEG/PPG-18/18ジメチコン)のHLB≦8.0である乳化界面活性剤を含有する本発明による実施例1と組成が同一であるが、代わりに分岐状ポリオキシアルキレン化ポリジメチルメチルシロキサン型(ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン)のHLB≦8.0である乳化界面活性剤を含有する、対となる例1cは、10日後に不安定となり、針状結晶が形成された。
【0382】
濁度測定
次のプロトコールに従い、皮膜の形態で展着させた後、本発明による実施例1及び2並びに対となる例1bに対して濁度性能測定を行った:
a)展着プロトコール
透明なポリエステルシート全体に厚さ25μmの皮膜の形態で自動スプレッダーを使用して各試験組成物を塗り広げた。得られた沈着物を周囲温度(25℃)で1時間置いた。
【0383】
b)濁度測定プロトコール
Haze Gard(登録商標)装置(Haze-Gard Plus Brant Industrie S.A.R.L.-BYK Gardner)を使用して、濁度測定を行った。
【0384】
測定の1時間前にレーザーのスイッチを入れた。アプライアンスの較正段階の後に、前もって1時間乾燥させた皮膜をレーザーの経路におけるアプライアンスに配置した。アプライアンスによって自動的に濁度測定が行われた。
【0385】
各組成物を3回塗り広げ、濁度平均及び標準偏差を決定するために、組成物ごとに10回、濁度測定を行った。結果を下の表で示す:
【0386】
【表3】
【0387】
濁度試験から、不揮発性非フェニル化シリコーン油を含む本発明による実施例1及び2は、組成が同一であるが代わりに不揮発性フェニル化シリコーン油を含む例1bよりも、良好な、欠点のぼやかしを生じさせたことが示された。
【国際調査報告】