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特表2024-510818洋上クレーン船舶及び洋上クレーン船舶を操作するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-11
(54)【発明の名称】洋上クレーン船舶及び洋上クレーン船舶を操作するための方法
(51)【国際特許分類】
   B66C 11/04 20060101AFI20240304BHJP
   B66C 23/06 20060101ALI20240304BHJP
   B66C 23/52 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
B66C11/04
B66C23/06
B66C23/52
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558610
(86)(22)【出願日】2022-03-18
(85)【翻訳文提出日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 EP2022057219
(87)【国際公開番号】W WO2022200230
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】2027839
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519091203
【氏名又は名称】イーテーエルエーセー・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨープ・ローデンブルフ
(72)【発明者】
【氏名】ロニー・ランベルトゥス・ウォルテルス・ノウウェンス
【テーマコード(参考)】
3F203
3F205
【Fターム(参考)】
3F203AA05
3F203BA01
3F203CA02
3F203EA11
3F205AA01
3F205AA03
3F205AA10
3F205CA01
3F205DA01
(57)【要約】
本発明は、例えば1以上の洋上風力タービン構成要素の操作において使用するためのクレーンを含む洋上クレーン船舶の分野に関する。クレーンは、架台に対して回動自在な上部構造と、60メートル~200メートルの長さを有するブームとを備える。水平ブーム枢動軸線を中心にブームを枢動させるためのブーム起伏アセンブリが提供される。クレーンは、ヘッド構造によって支持された主吊上ブロックアセンブリを備える、積荷を吊り上げるための主吊上装置をさらに備える。本発明によれば、ヘッド構造は、ブーム上の先端部から第2の位置までブームの一部に沿って摺動可能な移動ヘッド構造である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体(2)と、デッキ(3)と、クレーン(10)とを備える洋上クレーン船舶(1)であって、
前記クレーンが、
前記船舶の前記船体に取り付けられたかまたは前記船体と一体に形成された架台(11)と、
上部構造(12)であって、垂直回転軸線を中心とした前記架台に対する前記上部構造の回動のために前記架台によって回動自在に支持され、前記上部構造がブーム接続部材(30)を備える、上部構造(12)と、
長手方向軸線(A)を有し、枢動端部(52)と先端部(51)との間の長さが60メートル~200メートルであるブーム(50)であって、前記枢動端部が、前記ブームが水平ブーム枢動軸線(HA)を中心に上下に枢動可能となるように前記ブーム接続部材に接続され、前記ブームの前記長さが、水平休止位置において、前記先端部が前記船舶の前記船体の外周の外側に突出するような長さである、ブーム(50)と、
前記ブームを前記水平休止位置に支持するためのブームレスト(80)と、
前記ブームを前記水平ブーム枢動軸線を中心に枢動させるためのブーム起伏アセンブリ(35)であって、ブーム起伏ウインチ(45)と、前記ブームまで延びる細長い起伏部材(40)とを備える、ブーム起伏アセンブリ(35)と、
主吊上ウインチ(72)と、少なくとも1つの関連付けられた主吊上ケーブル(71)と、ヘッド構造(60)によって支持された主吊上ブロックアセンブリ(75)とを備える、積荷を吊り上げるための主吊上装置(70)とを備え、
前記ヘッド構造が、前記ブーム上の前記先端部から第2の位置(P2)まで前記ブームの一部に沿って摺動可能な移動ヘッド構造(60)であり、前記ブームの前記水平休止位置及び前記移動ヘッド構造の前記第2の位置において、前記主吊上ブロックアセンブリが前記船舶の前記デッキの上方に位置決めされる
ことを特徴とする、洋上クレーン船舶(1)。
【請求項2】
主吊上ブロックアセンブリ支持体が前記船舶の前記デッキ上に設けられ、前記ブームの前記水平休止位置及び前記主吊上ブロックアセンブリの前記第2の位置では、前記主吊上ブロックアセンブリが、前記主吊上ブロックアセンブリ支持体と位置合わせされる、請求項1に記載の洋上クレーン船舶。
【請求項3】
前記移動ヘッド構造を前記ブームに沿って摺動させるためにヘッド駆動部が設けられる、請求項1または2に記載の洋上クレーン船舶。
【請求項4】
前記移動ヘッド構造(60)が、前記ブームの前記先端部(52)で、好ましくは前記移動ヘッド構造の前記第2の位置でも前記ブームに取外し可能に固定可能である、請求項1から3のいずれか一項に記載の洋上クレーン船舶。
【請求項5】
補助吊上ブロック(220)を含むジブ(200)が前記移動ヘッド構造(60)に接続され、前記ブームに沿って前記移動ヘッド構造とともに摺動可能である、請求項1から4のいずれか一項に記載の洋上クレーン船舶。
【請求項6】
前記主吊上ブロックアセンブリが、水平枢動構造を中心に前記移動ヘッド構造によって枢動可能に支持される、請求項1から5のいずれか一項に記載の洋上クレーン船舶。
【請求項7】
前記ブーム上の前記第2の位置が、前記ブームの前記長さの50%~90%の前記枢動端部からの距離にある、請求項1から6のいずれか一項に記載の洋上クレーン船舶。
【請求項8】
前記ブームが、中空箱構造、好ましくは格子状の中空箱構造として具現化される、請求項1から7のいずれか一項に記載の洋上クレーン船舶。
【請求項9】
前記移動ヘッド構造の前記第2の位置と前記先端部との間のブーム部分が取外し可能であり、好ましくは前記船舶のデッキ上に一時的に置くことができる、請求項1から8のいずれか一項に記載の洋上クレーン船舶。
【請求項10】
前記細長い起伏部材が前記移動ヘッド構造(60)に接続され、前記ブームに沿って前記移動ヘッド構造とともに摺動可能である、請求項1から9のいずれか一項に記載の洋上クレーン船舶。
【請求項11】
前記細長い起伏部材が、前記ブームの前記先端部に固定された端部と、前記移動ヘッド構造の前記第2の位置の前記主吊上ブロックアセンブリとは反対側の第2の起伏位置で前記ブームに取付け可能な補助構造とを備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の洋上クレーン船舶。
【請求項12】
請求項1から11の1つ以上に記載の洋上クレーン船舶を操作するための方法。
【請求項13】
前記方法が、
前記ブームの前記先端部に固定された前記移動ヘッド構造を含む洋上クレーン船舶を提供するステップと、
前記ブームを前記ブーム起伏アセンブリによって前記水平休止位置に枢動させるステップと、
前記ブームを前記ブームレストに支持するステップと、
前記移動ヘッド構造を前記先端部から取り外すステップと、
前記移動ヘッド構造を前記ブームに沿って前記先端部から前記ブーム上の前記第2の位置まで摺動させるステップと
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記クレーンが代替動作位置に移動され、前記方法が、
前記移動ヘッド構造を前記先端部から取り外すステップと、
前記主吊上ブロックアセンブリを含む移動ヘッド構造を前記ブームに沿って前記先端部から前記ブーム上の前記第2の位置まで摺動させるステップと、
前記移動ヘッド構造を前記第2の位置で前記ブームに固定するステップと、
前記移動ヘッド構造を含む前記クレーンを前記第2の位置で操作するステップと
を含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば1以上の洋上風力タービン構成要素の操作において使用するための、例えば洋上風力タービンの設置及び/または保守点検のための、クレーンを含む洋上クレーン船舶の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
洋上風力タービンの分野では、1000トン以上の質量を有することができる、基礎、例えばモノパイルのような非常に重い部品を取り扱う必要性がある。さらに、例えば、ナセル自体、及び/またはナセルに収容され、及び/またはナセルに取り付けられた1以上の構成要素、例えば、ギアボックス、発電機、ハブ及び/またはロータブレードの取り扱いを含む構成要素を、「ナセルの高さで」取り扱う必要性がある。現在の設計は、例えば120メートル以上の、海抜100メートルを超える高さのナセル、例えばHaliade-X 12 MWの洋上風力タービンを提案しているかまたは既に有している。したがって、このような構成要素の取り扱いには、大重量物用クレーン及び非常に高さのあるクレーンの両方が必要である。ナセルの質量もまた、数百トン、例えば500トンを超える場合があることに留意されたい。
【0003】
一般的な手法では、洋上風力タービンは、風力タービンのある場所の近くに位置決めされたジャッキアップ船を使用して設置されるかまたは点検され、次いでジャッキアップ脚部が延長され、船舶が少なくとも部分的に、しかしほとんど完全に海の上に持ち上げられて、クレーン操作のための安定した状況を提供する。
【0004】
本発明は、主に、保守点検のための、並びに風力タービンの設置及び/または撤去のための、洋上風力タービンの分野について想定されることに留意されたい。しかし、本発明のクレーンはまた、石油及びガス関連の作業、土木工学作業などの他の海上用途に使用されてもよい。
【0005】
この分野では、洋上クレーン船舶が知られており、
この洋上クレーン船舶は、
船体と、デッキと、クレーンとを備え、
クレーンが、
船舶の船体に取り付けられたかまたは船体と一体に形成された架台と、
上部構造であって、垂直回転軸線を中心とした架台に対する上部構造の回動のために架台によって回動自在に支持され、上部構造がブーム接続部材を備える、上部構造と、
長手方向軸線を有し、枢動端部と先端部との間の長さが60メートル~200メートルであるブームであって、枢動端部が、ブームが水平ブーム枢動軸線を中心に上下に枢動可能となるようにブーム接続部材に接続され、ブームの長さが、水平休止位置において、先端部が船舶の船体の外周の外側に突出するような長さである、ブームと、
ブームを水平休止位置に支持するためのブームレストと、
ブームを水平ブーム枢動軸線を中心に枢動させるためのブーム起伏アセンブリであって、ブーム起伏ウインチと、ブームまで延びる細長い起伏部材とを備える、ブーム起伏アセンブリと、
主吊上ウインチと、少なくとも1つの関連付けられた主吊上ケーブルと、ヘッド構造によって支持された主吊上ブロックアセンブリとを備える、積荷を吊り上げるための主吊上装置と
を備える。
【0006】
例えば、洋上風力タービンの設置及び/または保守点検のための1以上の洋上風力タービン構成要素の取り扱いには、高さのあるクレーンが必要である。すなわち、クレーンは、長いリーチを有するように長いブームを有することになる。長いブームは、少なくとも60メートル、例えば80メートル~200メートルの長さを有する。このようなブームは、ブームが水平方向にあるとき、例えばブーム格納位置にあるとき、例えば輸送中に、船舶のデッキの外周の外側に突出する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
突出したブーム及び主吊上ブロックアセンブリの体積及び重量には、いくつかの欠点がある。既知の解決策は、同じ出願人の国際公開第2020/244973号パンフレットに開示されているような伸縮ブームを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様の目的は、代替的な洋上船のクレーンを提供することである。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、洋上クレーン船舶は、ヘッド構造が、ブーム上の先端部から第2の位置までブームの一部に沿って摺動可能な移動ヘッド構造であり、ブームの水平休止位置及び移動ヘッド構造の第2の位置において、主吊上ブロックアセンブリが船舶のデッキの上方に位置決めされることを特徴とする。
【0010】
第2の位置における格納式移動ヘッド構造の利点は、移動ヘッド構造及び主吊上ブロックアセンブリの重量がデッキの上方、好ましくはブームレストの近傍にもたらされることである。これにより、特に航海中の疲労及び/またはブームの曲がりが防止される。格納性は、主ブロックの重心の所望の位置を選択することによって、船舶上の重量の有利な分布を選択することを可能にする。
【0011】
重さの摺動の別の利点は、ブームの固有振動数を調整できるため、航海中のブームの振動を防止できることである。
【0012】
デッキの上方の第2の位置における主ブロック吊上アセンブリの別の利点は、検査、保守点検、及び給脂のための移動ヘッド構造及び主ブロック吊上アセンブリへの接近性である。
【0013】
移動ヘッド構造及び主ブロック吊上アセンブリの格納のさらに別の利点は、航海中の波に対してより多くの間隔があることである。水平休止位置にあるブームは、通常は、海抜20メートル~35メートルに位置決めされる。移動ヘッド構造及び主吊上ブロックアセンブリ、及び場合によってはそこから吊り下げられた主積荷懸架装置の体積を取り除くことによって、海面とブームとの間のこの25メートル~35メートルは自由空間であり、波に対する間隔をもたらす。
【0014】
移動ヘッド構造及び主ブロック吊上アセンブリの格納のさらに別の利点は、港湾内により多くの間隔があることである。上述したように、水平休止位置にあるブームは、通常、海抜20メートル~35メートルの位置にあり、これは一般に、岩礁の上では問題ない。しかし、喫水線により近い主吊上ブロックアセンブリの体積は、しばしば問題となる。移動ヘッド構造及び主吊上ブロックアセンブリ、及び場合によってはそこから吊り下げられた主積荷懸架装置の体積を取り除くことによって、喫水線とブームとの間の空間は自由空間であり、船舶を港湾に入渠するための間隔をもたらす。
【0015】
本発明による方法によれば、本発明の第1の態様の洋上クレーン船舶は、上述の利点を有する休止位置に運ばれる。
このような方法は、
ブームの先端部に固定された移動ヘッド構造を含む洋上クレーン船舶を提供するステップと、
ブームをブーム起伏アセンブリによって水平休止位置に枢動させるステップと、
ブームをブームレストに支持するステップと、
移動ヘッド構造を先端部から取り外すステップと、
主吊上ブロックアセンブリを含む移動ヘッド構造をブームに沿ってブーム上の先端部から第2の位置まで摺動させるステップと
を含む。
【0016】
一実施形態によれば、この休止位置において、主吊上ブロックアセンブリが主吊上ブロックアセンブリ支持体内で支持される。場合によっては、移動ヘッド構造はまた、第2の位置でブームに固定される。
【0017】
摺動可能な移動ヘッド構造、及びそれに沿って移動ヘッド構造の摺動を可能にするブームは、比較的単純な構造とすることができる。ブームは、移動ヘッド構造を支持し、その摺動を可能にするのに十分な強度を有する必要がある。したがって、補強構造が望ましい場合がある。しかし、ブームは、例えば伸縮ブーム部分に必要とされるような中空でなくてもよい。ブームのコードは、移動ヘッド構造のレールとして機能することが想定される。特に、摺動がブームの水平位置で行われる場合、摺動中のブームに対する追加の力は制限され、ブーム構造の大きな修正を必要としない。
【0018】
本発明の洋上クレーン船舶は、単胴船または多胴船、ジャッキアップ船、またはさらにはバージ船であってもよい。これは、デッキを含む船体を備える。クレーンの架台は、船舶の船体に取り付けられるか、または船体と一体に形成される。ジャッキアップ船の場合、架台は、ジャッキアップ船の脚部の周りに形成されて、いわゆる「脚周りクレーン」を形成することが考えられる。
【0019】
上部構造は、垂直回転軸線を中心とした架台に対する上部構造の回動のために架台によって回動自在に支持される。上部構造は、ブーム接続部材を備える。
【0020】
クレーンブームは、長手方向軸線を有し、枢動端部と先端部との間の長さは60メートル~200メートルである。枢動端部は、ブームが水平ブーム枢動軸線を中心に上下に枢動可能となるように、上部構造のブーム接続部材に接続される。ブームの長さは、水平休止位置において、先端部が船舶の船体の外周の外側に突出するような長さである。場合によっては、ブームは、例えば5メートルを超えて、例えば10メートルを超えて、外周のかなり外側に延びる。
【0021】
船舶には、例えばクレーンが使用されていないとき、例えば輸送中及び港湾内などにある場合に、ブームを水平休止位置において支持するためのブームレストが設けられている。水平休止位置は略水平であり、実際の実施形態では1度~15度ずれていてもよい。
【0022】
本発明の型のクレーンは、水平ブーム枢動軸線を中心にブームを枢動させるためのブーム起伏アセンブリを備える。ブーム起伏アセンブリは、ブーム起伏ウインチと、ブームの先端部まで延びる細長い起伏部材とを備える。細長い起伏部材は、ウインチから延び、好ましくは上部構造に設けられた起伏ケーブルガイドを介して延びる起伏ケーブルを備える。
【0023】
積荷を吊り上げるための主吊上装置が設けられている。主吊上装置は、主吊上ウインチと、少なくとも1つの関連付けられた主吊上ケーブルと、ヘッド構造によって支持された主吊上ブロックアセンブリとを備える。主吊上ケーブルは、主吊上ウインチから主吊上ブロックアセンブリまで延びる。主吊上ブロックアセンブリは、吊上ケーブル用の多数のシーブを備える。主積荷懸架装置は、好ましくは主ブロック吊上アセンブリから吊り下げられる。
【0024】
本発明によれば、ヘッド構造は、ブーム上の先端部から第2の位置までブームの一部に沿って摺動可能な移動ヘッド構造である。ブームの水平休止位置及び移動ヘッド構造の第2の位置では、主吊上ブロックアセンブリが船舶のデッキの上方に位置決めされる。
【0025】
移動ヘッド構造は、例えば箱としてブーム全体を包含するように具現化される。移動ヘッド構造は、ブームの底部及び(一部の)側面にわたって延びるU字形状を有することも考えられる。
【0026】
一実施形態によれば、主吊上ブロックアセンブリの重量、及び場合によっては移動ヘッド構造の重量を支持するように適合された主吊上ブロックアセンブリ支持体が、船舶のデッキ上に設けられる。有利には、主吊上ブロックアセンブリ支持体は、架台及びブームレストと並んで設けられる。主吊上ブロックアセンブリ支持体は、ブームレストと一体に形成されることも考えられる。ブームの水平休止位置及び主吊上ブロックアセンブリの第2の位置では、主吊上ブロックアセンブリが、主吊上ブロックアセンブリ支持体と位置合わせされる。この位置合わせにより、主吊上ブロックアセンブリ支持体は、ブームの休止位置において、移動ヘッド構造の重量、場合によっては主吊上ブロックアセンブリの重量を支持することが可能である。
【0027】
有利には、主吊上ブロックアセンブリ支持体は、主吊上ブロックアセンブリの設置及び保守点検を可能にして簡略化し、場合によっては主吊上ブロックアセンブリ内のブロック及び/またはケーブル構成の変更も可能にする。
【0028】
一実施形態によれば、移動ヘッド構造をブームに沿って摺動させるためにヘッド駆動部が設けられる。このようなヘッド駆動部は、例えば、ヘッドウインチと、ヘッドウインチと移動ヘッド構造との間に延びるヘッドケーブルとを備える。このような駆動システムは、例えばタガーウインチ及びタガーケーブルとして知られている。別のシステム、例えば油圧システム、またはラックアンドピニオン式構造を備えるシステムも考えられる。
【0029】
一実施形態によれば、移動ヘッド構造は、ブームの先端部で、好ましくは移動ヘッド構造の第2の位置でもブームに取外し可能に固定可能である。これにより、移動ヘッド構造は、吊上動作の間にその先端部でブームに固定され、かつ、取り外されて摺動可能となる。場合によっては、移動ヘッド構造を第2の位置でブームに固定するために、移動ヘッド構造とともに第2の位置まで移動することができる締結機構が適用される。
【0030】
一実施形態によれば、補助吊上ブロックを含むジブが移動ヘッド構造に接続され、ブームに沿って移動ヘッド構造とともに摺動可能である。このような補助吊上ブロックは存在することが多く、したがって船舶の船体の外周の外側にも突出する。このジブ及び補助吊上ブロックを3つのヘッド構造とともに近接位置に格納することは、間隔の増大及び重量分布の改善を含む、本発明の上述の利点によるものと見なされる。ジブは、国際公開第2020225157号パンフレットに開示されているように構成されることが想定される。
【0031】
一実施形態によれば、主吊上ブロックアセンブリは、水平枢動構造を中心に移動ヘッド構造によって枢動可能に支持される。これは、吊上動作中に有利な場合がある。加えて、これは、主吊上ブロックアセンブリが移動ヘッド構造の第2の位置にあるときに有利な場合がある。水平位置に枢動されると、デッキまでの距離は、実施形態では増大されてもよく、それによって、開けたデッキ空間に起因する。
【0032】
一実施形態によれば、ブーム上の第2の位置は、ブームの長さの50%~90%の枢動端部からの距離にある。最も重要なことは、移動ヘッド構造の第2の位置において、主吊上ブロックアセンブリが船舶のデッキの上方に位置決めされることである。しかし、第2の位置が枢動端部からより離れている場合、さらなる重量関連の利点が達成される。後に説明するように、ブームの起伏に関するさらなる利点も考えられ、第2の位置は、デッキの上方であることが必要な位置よりも近位である。
【0033】
一実施形態によれば、ブームは、中空箱構造、好ましくは格子状の中空箱構造として具現化される。同じ出願人の考え得る有利な構成は、国際公開第2018/208158号パンフレットに開示されている。格子状の中空箱構造として具現化された単一の脚部を有するブームを提供することが知られている。既知の代替形態は、各々が格子状の中空箱構造として具現化された2つのブーム脚部が接続された一般にAの形状を有するAフレームブームである。別の既知の例は、各々が格子状の中空箱構造として具現化された2つの平行な脚部を含む二脚ブームであり、脚部は、その長さにわたって分布したブーム脚部を相互接続する複数の横材によって相互接続される。
【0034】
一実施形態によれば、移動ヘッド構造の第2の位置と先端部との間のブーム部分は取外し可能であり、好ましくは船舶のデッキ上に一時的に置くことができる。好ましくは、これはブームの端部である。この端部をブームから取り外す場合、水平休止位置では、ブームはもはや船舶の船体の外周の外側に突出しない可能性がある。
【0035】
一実施形態によれば、水平ブーム枢動軸線を中心にブームを枢動させるためのブーム起伏アセンブリが提供される。ブーム起伏アセンブリは、ブームウインチと、ブームまで延びる細長い起伏部材とを備える。ブーム起伏アセンブリは、有利には、ブーム起伏ウインチから延びる起伏ケーブルも備える。
【0036】
上述の利点の多くは、ブームの先端部まで延びる細長いブーム起伏部材によって達成される。
【0037】
有利な実施形態によれば、細長い起伏部材はまた、移動ヘッド構造の第2の位置で主吊上ブロックアセンブリとは反対側の第2の起伏位置でブームに係合することができる。これにより、主吊上ブロックアセンブリを含む移動ヘッド構造の荷重をブーム起伏アセンブリに伝達することが可能である。移動ヘッド構造とは反対側の起伏部材を含むこのような構成は、略水平休止位置からブームを起伏するのに有利である。特に、重い移動ヘッド構造及びその先端部に主吊上ブロックアセンブリを含む非常に長いブームでは、起伏は、ブームにかかる高い座屈負荷の原因となる。したがって、移動ヘッド構造及び主吊上ブロックアセンブリが第2の近接位置にある間に、ブームを休止位置から起伏させることができることが有利である。十分に起伏すると、移動ヘッド構造及び主吊上ブロックアセンブリは、ブームに沿ってその先端部まで摺動される。
【0038】
移動ヘッド構造の第2の位置の主吊上ブロックアセンブリとは反対側の第2の起伏位置で起伏することが望まれる場合、有利には、ブームはこの位置で補強されて、主吊上ブロックアセンブリを含む移動ヘッド構造の荷重をブーム起伏アセンブリに伝達することを可能にする。
【0039】
一実施形態によれば、細長い起伏部材は移動ヘッド構造に接続され、ブームに沿って移動ヘッド構造とともに摺動可能である。このような実施形態では、移動ヘッド構造は荷重の伝達を可能にしてもよい。代替的な実施形態では、細長い起伏部材は、ブームの先端部に固定された端部と、移動ヘッド構造の第2の位置の主吊上ブロックアセンブリとは反対側の第2の起伏位置でブームに取付け可能な補助構造とを備える。また、細長い起伏部材の端部はブームから取外し可能であり、先端部で、及び移動ヘッド構造の第2の位置の主吊上ブロックアセンブリとは反対側の第2の起伏位置でブームに取り付けることができる。任意には、この端部は、ブームに沿って摺動可能である。
【0040】
移動ヘッド構造は、ヘッド構造及び主ブロック吊上アセンブリの体積及び重量を移動させるという上述の利点を有する。
【0041】
さらに、移動ヘッド構造は、このような洋上クレーン船舶の操作の本発明の方法を可能にする。
【0042】
一実施形態によれば、その後にクレーンを代替動作位置に移動させることができ、
当該方法は、
移動ヘッド構造を第2の位置でブームに固定するステップと、
移動ヘッド構造を含むクレーンを第2の位置で操作するステップと
をさらに含む。
【0043】
このような操作a.o.は、水平休止位置から離れるようにブーム起伏アセンブリによってブームを枢動させることを含む。
【0044】
本発明による方法によれば、クレーンが代替動作位置に移動され、
本方法は、
ブームの先端部で固定された移動ヘッド構造を含む洋上クレーン船舶を提供するステップと、
移動ヘッド構造を先端部から取り外すステップと、
移動ヘッド構造をブームに沿ってブーム上の先端部から第2の位置まで摺動させるステップと、
移動ヘッド構造を第2の位置でブームに固定するステップと、
移動ヘッド構造を含むクレーンを第2の位置で操作するステップと
を含む。
【0045】
この代替動作位置は、非常に長いブームの場合に特に有利であり、ブームの先端部まで延びる細長い起伏部材での起伏は困難である。
【0046】
本発明の実施形態によれば、移動ヘッド構造の第2の位置にある細長い起伏部材は、移動ヘッド構造とともにブームの枢動端部により近い位置まで摺動する。代替的な実施形態では、細長い起伏部材は、移動ヘッド構造の第2の位置とは反対側の第2の起伏位置でブームに取付け可能な補助構造を備える。いずれの場合においても、細長い起伏部材は、ブームの枢動端部により近い位置で係合しており、細長いブームを屈曲させるのに非常に有利である。
【0047】
水平休止位置からの最初の屈曲の後、
方法は、
移動ヘッド構造を第2の位置から取り外すステップと、
移動ヘッド構造をブームに沿ってブームの第2の位置から先端部まで摺動させるステップと、
移動ヘッド構造を先端部でブームに固定するステップと、
移動ヘッド構造を含むクレーンを先端部で操作するステップと
を含むことが考えられる。
【0048】
先端部の移動ヘッド構造により、さらなる吊上動作が可能である。
【0049】
一実施形態によれば、起伏部材は移動ヘッド構造とともに先端部まで移動する。代替的な実施形態によれば、細長い起伏部材の補助構造は、第2の起伏位置でブームから取り外される。
【0050】
一実施形態によれば、ブームがブームの上方に枢動された非水平位置にあり、場合によってはブームがブーム停止部によって支持されている状態で、クレーンを代替動作位置に移動させることが考えられる。したがって、移動ヘッド構造を取り外して摺動させるステップは、ブームが休止位置から外れた状態で行われる。
【0051】
本発明の第2の態様は、クレーン、好ましくは洋上クレーン船舶上のクレーンに関し、
このクレーンは、
架台と、上部構造であって、垂直回転軸線を中心とした架台に対する上部構造の回動のために架台によって回動自在に支持され、上部構造がブーム接続部材を備える、上部構造と、
長手方向軸線を有し、枢動端部と先端部との間の長さが60メートル~200メートルであるブームであって、枢動端部が、ブームが水平ブーム枢動軸線を中心に上下に枢動可能となるようにブーム接続部材に接続される、ブームと、
ブームを水平休止位置に支持するためのブームレストと、
ブームを水平ブーム枢動軸線を中心に枢動させるためのブーム起伏アセンブリであって、ブーム起伏ウインチと、ブームまで延びる細長い起伏部材とを備える、ブーム起伏アセンブリと、
主吊上ウインチと、少なくとも1つの関連付けられた主吊上ケーブルと、ヘッド構造によって支持された主吊上ブロックアセンブリとを備える、積荷を吊り上げるための主吊上装置と
を備える。
【0052】
重い移動ヘッド構造及びその先端部に主吊上ブロックアセンブリを含む非常に長いブームの欠点は、起伏がブームにかかる座屈負荷の原因となることである。特に、ブームをその略水平休止位置から起伏させる場合、これは不利である。
【0053】
本発明の第2の態様の目的は、代替のクレーンを提供することである。
【0054】
本発明の第2の態様によれば、ヘッド構造が、ブームの一部に沿って先端部からブーム上の第2の位置まで摺動可能な移動ヘッド構造であることと、細長い起伏部材が、先端部で、及び移動ヘッド構造の第2の位置の主吊上ブロックアセンブリとは反対側の第2の起伏位置でブームに係合することができることとで達成される。
【0055】
これにより、主吊上ブロックアセンブリを含む移動ヘッド構造の荷重をブーム起伏アセンブリに伝達することが可能である。移動ヘッド構造とは反対側の起伏部材を含むこのような構成は、略水平休止位置からブームを起伏するのに有利である。特に、重い移動ヘッド構造及びその先端部に主吊上ブロックアセンブリを含む非常に長いブームでは、起伏は、ブームにかかる高い座屈負荷の原因となる。したがって、移動ヘッド構造及び主吊上ブロックアセンブリが第2の近接位置にある間に、ブームを休止位置から起伏させることができることが有利である。十分に起伏すると、移動ヘッド構造及び主吊上ブロックアセンブリは、ブームに沿ってその先端部まで摺動される。
【0056】
移動ヘッド構造の第2の位置の主吊上ブロックアセンブリとは反対側の第2の起伏位置で起伏することが望まれる場合、有利には、ブームはこの位置で補強されて、主吊上ブロックアセンブリを含む移動ヘッド構造の荷重をブーム起伏アセンブリに伝達することを可能にする。
【0057】
一実施形態によれば、細長い起伏部材は移動ヘッド構造に接続され、ブームに沿って移動ヘッド構造とともに摺動可能である。このような実施形態では、移動ヘッド構造は荷重の伝達を可能にしてもよい。代替的な実施形態では、細長い起伏部材は、ブームの先端部に固定された端部と、移動ヘッド構造の第2の位置の主吊上ブロックアセンブリとは反対側の第2の起伏位置でブームに取付け可能な補助構造とを備える。また、細長い起伏部材の端部はブームから取外し可能であり、先端部で、及び移動ヘッド構造の第2の位置の主吊上ブロックアセンブリとは反対側の第2の起伏位置でブームに取り付けることができる。任意には、この端部は、ブームに沿って摺動可能である。
【0058】
本発明の第2の態様はまた、クレーンを代替動作位置に移動させる方法に関し、
本方法は、
ブームの先端部で固定された移動ヘッド構造を含むクレーンを提供するステップと、
移動ヘッド構造を先端部から取り外すステップと、
移動ヘッド構造をブームに沿って先端部からブーム上の第2の位置まで摺動させるステップと、
移動ヘッド構造を第2の位置でブームに固定するステップと、
移動ヘッド構造を含むクレーンを第2の位置で操作するステップと
を含む。
【0059】
この代替動作位置は、非常に長いブームの場合に特に有利であり、ブームの先端部まで延びる細長い起伏部材での起伏は困難である。
【0060】
本発明の実施形態によれば、移動ヘッド構造の第2の位置にある細長い起伏部材は、移動ヘッド構造とともにブームの枢動端部により近い近接位置まで摺動する。代替的な実施形態では、細長い起伏部材は、移動ヘッド構造の第2の位置とは反対側の第2の起伏位置でブームに取付け可能な補助構造を備える。いずれの場合においても、細長い起伏部材は、ブームの枢動端部により近い位置で係合しており、細長いブームを屈曲させるのに非常に有利である。
【0061】
水平休止位置からの最初の屈曲の後、
方法は、
移動ヘッド構造を第2の位置から取り外すステップと、
移動ヘッド構造をブームに沿ってブームの第2の位置から先端部まで摺動させるステップと、
移動ヘッド構造を先端部でブームに固定するステップと、
移動ヘッド構造を含むクレーンを先端部で操作するステップと
を含むことが考えられる。
【0062】
先端部の移動ヘッド構造により、さらなる吊上動作が可能である。
【0063】
一実施形態によれば、起伏部材は移動ヘッド構造とともに先端部まで移動する。代替的な実施形態によれば、細長い起伏部材の補助構造は、第2の起伏位置でブームから取り外される。
【0064】
一実施形態によれば、ブームがブームの上方に枢動された非水平位置にあり、場合によってはブームがブーム停止部によって支持されている状態で、クレーンを代替動作位置に移動させることが考えられる。
【0065】
ここで、図面を参照して本発明を説明するが、図面において、同様の参照符号は同様の部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】ブームの水平休止位置において、ブームが船舶の船体の外周の外側に突出している洋上クレーン船舶を示す図である。
図2】ブームが水平休止位置にあり、ヘッド構造が近接位置にある、本発明による洋上クレーン船舶の一例を示す図である。
図3】ブームが上方に枢動された位置にあり、ヘッド構造がブームの先端部にある、図2の船舶を示す図である。
図4】ブームが上方に枢動された位置にあり、ヘッド構造が内側の位置にある、図2の船舶を示す図である。
図5A図2の洋上クレーン船舶を動作させる方法のステップを示す図である。
図5B図2の洋上クレーン船舶を動作させる方法のステップを示す図である。
図5C図2の洋上クレーン船舶を動作させる方法のステップを示す図である。
図6】本発明による洋上クレーン船舶のブームの一部に沿って摺動可能な移動ヘッド構造を示す図である。
図7図6の移動ヘッド構造の詳細を示す図である。
図8】本発明による洋上クレーン船舶のブームであって、ブームの先端部にヘッド構造が取り付けられた状態を示す図である。
図9】ヘッド構造が第2の位置に取り付けられ、主吊上ブロックアセンブリが上方に枢動されている、本発明による洋上クレーン船舶のブームを示す図である。
図10】枢動可能な主吊上ブロックアセンブリと、固定された補助吊上部を支持するジブとを含み、ジブが移動ヘッド構造に接続されている、本発明による洋上クレーン船舶のブームを示す図である。
図11】ジブが固定された補助吊上ブロックを支持し、ジブが移動ヘッド構造に接続されている、本発明による洋上クレーン船舶のブームを示す図である。
図12】本発明による洋上クレーン船舶のための主吊上ブロックアセンブリを示す図である。
図13A】折畳式ブームを含む本発明による洋上クレーン船舶の動作位置を示す図である。
図13B】折畳式ブームを含む本発明による洋上クレーン船舶の動作位置を示す図である。
図13C】折畳式ブームを含む本発明による洋上クレーン船舶の動作位置を示す図である。
図14】ブームが水平休止位置にあり、ヘッド構造が遠位位置にある、本発明による洋上クレーン船舶を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
図において、図1図14及び図2には、船体2、デッキ3及びクレーン10を備える洋上クレーン船舶1が示されている。クレーン10は、船舶1の船体2に取り付けられたかまたは船体2と一体に形成された架台11を備える。
クレーンは、
上部構造12であって、垂直回転軸線を中心とした架台11に対する上部構造12の回動のために架台11によって回動自在に支持され、上部構造12がブーム接続部材30を備える、上部構造12と、
長手方向軸線Aを有し、枢動端部52と先端部51との間の長さが60メートル~200メートルであるブーム50,50’であって、枢動端部が、ブーム50が水平ブーム枢動軸線HAを中心に上下に枢動可能となるようにブーム接続部材30に接続され、ブーム50の長さが、図1及び図2に示す水平休止位置において、先端部51が船舶1の船体2の外周の著しく外側に突出するような長さである、ブーム50,50’と、
ブーム50を水平休止位置に支持するためのブームレスト80と、
ブーム50を水平ブーム枢動軸線HAを中心に枢動させるためのブーム起伏アセンブリ35であって、ブーム起伏ウインチ45と、ブームまで延びる細長い起伏部材40とを備える、ブーム起伏アセンブリ35と、
主吊上ウインチ72と、少なくとも1つの関連付けられた主吊上ケーブル71と、ヘッド構造60によって支持された主吊上ブロックアセンブリ75とを備える、積荷を吊り上げるための主吊上装置70であって、主吊上ケーブル71が、主吊上ウインチ72から主吊上ブロックアセンブリ75まで延びる、主吊上装置70と
をさらに備える。
【0068】
図1のブーム50は、ブームの休止位置において船舶1の船体2の外周よりも外側に突出している。主吊上ブロックアセンブリ75は、図1において、ブーム50の先端部51に位置決めされている。これにより、主吊上ブロックアセンブリ75は、ブーム50の休止位置において、船舶1の船体2の外周よりも外側に突出する。突出したブーム及び主吊上ブロックアセンブリの体積及び重量には、いくつかの欠点がある。
【0069】
図1及び図2に示すヘッド構造60は、先端部51からブーム50上の第2の位置P2までブーム50の一部に沿って摺動可能な移動ヘッド構造60である。ヘッド構造60は、先端部51に位置する図1に示す位置から、図2に示すように位置P2に並進することができる。ここで、ブーム50はまた、ブーム50の水平休止位置にあり、移動ヘッド構造60の第2の位置P2では、主吊上ブロックアセンブリ75が船舶1のデッキ3の上方に位置決めされる。
【0070】
図1及び図2では、主吊上ブロックアセンブリ75は、ヘッド構造60から自由に吊り下げられ、したがってそれによって支持される。主吊上ブロックアセンブリ支持体は、架台及びブームレストと並んで船舶のデッキ上に設けられ、ブームの水平休止位置及び吊上ブロックアセンブリの第2の位置では、ブームの休止位置において、移動ヘッド構造及び主吊上ブロックアセンブリの重量が主吊上ブロックアセンブリ支持体によって支持されるように、吊上ブロックアセンブリが主吊上ブロックアセンブリ支持体と位置合わせされることを想定することができる。
【0071】
図1のブーム50の位置は上記では水平休止位置と呼ばれ、例えば輸送中に使用されてもよい。ブーム50がブームレスト80によって支持されている限り、例えばブームが上方を向いた状態で、休止位置が水平から等しく偏位してもよいことを理解されたい。図1のブームレスト80については、図1に示すようにデッキ3の外側に位置すること、またはその位置が例えばさらに内側にあってもよいことに留意されたい。
【0072】
ブーム50は、格子状の中空箱構造として具現化されるように示されている。これは本発明に必須ではないことに留意されたい。
【0073】
図3では、ブーム50が上方に枢動された位置にあり、ヘッド構造60がブーム50の先端部51にある、図2の船舶1が示されている。図4では、ブーム50が上方に枢動された位置にあり、ヘッド構造が内側の位置にある、図2の船舶1が示されている。すなわち、図4のヘッド構造60は、図3のヘッド構造60よりもブーム50の枢動端部52に近い。
【0074】
本発明による方法では、クレーン10を代替動作位置に移動させる。これは、例えば、図3に示す位置から図4に示す位置まで行うことができる。
この方法は、
先端部51から移動ヘッド構造60を取り外すステップ、すなわち、移動ヘッド構造60の固定が取外し可能である、ステップと、
主吊上ブロックアセンブリ75を含む移動ヘッド構造60をブーム50に沿って先端部51からブーム50上の第2の位置P2まで摺動させるステップと、
移動ヘッド構造60を第2の位置P2でブーム50に固定するステップと、
例えば図4に示すように、移動ヘッド構造60を含むクレーン10を第2の位置P2で操作するステップと
を含む。
【0075】
場合によっては、上述のステップは、図3及び図4に示すように、ブームが上方に枢動した非水平位置にある状態で実行される。場合によっては、ブーム50はブーム停止部によって支持される。
【0076】
図3及び図4に見られるように、起伏装置は移動ヘッド構造60に接続され、したがって、起伏部材40は移動ヘッド構造60とともに移動する。すなわち、起伏装置は、移動ヘッド構造60とともにブーム50に沿って摺動可能である。その結果、起伏装置は、図4の第2の位置P2について細長い起伏部材40を適切に調整する。あるいは、起伏装置を、ブーム50上の第2の起伏位置に接続することができる。
【0077】
図5A図5Cは、図2の洋上クレーン船舶を操作する方法のステップを示す図である。この方法では、クレーンは一時的な配置位置に移動され、
この方法は、
ブーム起伏アセンブリによって、ブーム50を図5Aに示すような上方への枢動位置から図5Bに示すような水平休止位置へ枢動させるステップと、
ブームをブームレスト80上で支持するステップと、
移動ヘッド構造60を先端部51から取り外すステップと、
主吊上ブロックアセンブリ75を含む移動ヘッド構造60をブーム50に沿ってブーム50上の先端部51から第2の位置P2まで摺動させるステップと、
主吊上ブロックアセンブリを主吊上ブロックアセンブリ支持体において支持するステップと
を含んでもよい。
【0078】
さらに、クレーンを代替動作位置に移動させることができる。次いで、上述の方法は、
移動ヘッド構造60を第2の位置P2でブーム50に固定するステップと、
移動ヘッド構造60を含むクレーンを第2の位置P2で操作するステップと
をさらに含んでもよい。
【0079】
図6は、本発明による洋上クレーン船舶のブーム150の一部に沿って摺動可能な移動ヘッド構造160を示す図である。ブーム150は、先端部151に向かって先細になる断面を有するグースネックブームである。しかし、ブームは、等しく一定の断面を有してもよい。ブーム150には、補助吊上ブロック220を支持するジブ200が接続されている。ブーム150には、ヘッド構造160の中間位置P1及び第2の位置P2にも示されるように、移動ヘッド構造160が摺動運動S1によって摺動することができるレール210が設けられている。P2に到達するために、ヘッド構造160は、ブーム150の摺動可能部分に沿って距離d1だけ移動している。この摺動可能部分は、ブームに沿ったヘッド構造の並進を可能にする。移動ヘッド構造160をブーム150に沿って摺動させるように、この摺動運動S1を達成するためのヘッド駆動部を設けることができる。
【0080】
図6では、細長い起伏部材140をストラット230に取り付けることができることがさらに示されている。
【0081】
図6のヘッド構造160は、図7により詳細に示されている。ここで、ヘッド構造160は、レール210に沿って摺動することができる摺動部材161、例えばスキッドシューを備えることが分かる。図7に示すヘッド構造は、シーブ240をさらに備える。
【0082】
図8では、本発明による洋上クレーン船舶のブーム350が示されており、ヘッド構造160がブーム350の先端部351に配置されている。ブーム350には、例えばヘッド構造160を設備360に取外し可能に固定するために、設備360が第2の位置P2にさらに設けられる。取外し可能な固定は、例えば設備360と係合する取付け装置165、例えば円筒形のロックピンを使用して達成されてもよい。
【0083】
図9は、図8に示すように、ヘッド構造160が第2の位置P2にあり、主吊上ブロックアセンブリ175が吊り位置に対して上方に枢動した状態のブーム350を示している。すなわち、主吊上ブロックアセンブリ175は、水平枢動構造を中心に移動ヘッド構造160によって枢動可能に支持される。図9では、主吊上ブロックアセンブリ175は、水平位置に枢動される。
【0084】
図9について説明したように枢動可能に支持された主吊上ブロックアセンブリもまた、図10及び図11に示されている。
【0085】
図10では、枢動可能な主吊上ブロックアセンブリ175と、固定された補助吊上ブロック420を支持するジブ400とを備え、ジブ400が移動ヘッド構造460に接続された、本発明による洋上クレーン船舶のブーム450が示されている。すなわち、補助吊上ブロック420を含むジブ400は、移動ヘッド構造460に接続され、例えば図10に示す摺動運動S2によって、移動ヘッド構造460とともにブーム450に沿って摺動可能である。
【0086】
補助吊上ブロックは枢動可能であってもよく、これは補助吊上ブロック475について図11に示されている。
【0087】
図12では、本発明による洋上クレーン船舶の主吊上ブロックアセンブリの詳細が示されている。
【0088】
図13A図13Cでは、本発明による洋上クレーン船舶の動作位置は、折畳式ブームについて示されている。すなわち、移動ヘッド構造60の第2の位置P2と先端部851との間のブーム部分は取外し可能であり、好ましくは船舶のデッキ3に一時的に置くことができる。したがって、図13A図13Cに示すように、ブーム850の水平休止位置では、ブーム850はもはや船舶1の外周の外側に突出していない。
【符号の説明】
【0089】
1 洋上クレーン船舶、2 船体、3 デッキ、10 クレーン、11 架台、12 上部構造、30 ブーム接続部材、35 ブーム起伏アセンブリ、40 起伏部材、45 ブーム起伏ウインチ、50 ブーム、50’ ブーム、51 先端部、52 枢動端部、60 ヘッド構造,移動ヘッド構造、70 主吊上装置、71 主吊上ケーブル、72 主吊上ウインチ、75 主吊上ブロックアセンブリ、80 ブームレスト、140 起伏部材、150 ブーム、151 先端部、160 ヘッド構造,移動ヘッド構造、161 摺動部材、165 取付け装置、175 主吊上ブロックアセンブリ、200 ジブ、210 レール、220 補助吊上ブロック、230 ストラット、240 シーブ、350 ブーム、351 先端部、360 設備、400 ジブ、420 補助吊上ブロック、450 ブーム、460 移動ヘッド構造、475 補助吊上ブロック、850 ブーム、851 先端部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14
【国際調査報告】