IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バリアテク・メディカルの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-11
(54)【発明の名称】胃腸チューブおよびその固定
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20240304BHJP
【FI】
A61B17/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558757
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(85)【翻訳文提出日】2023-11-24
(86)【国際出願番号】 EP2022058125
(87)【国際公開番号】W WO2022200630
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】21165408.2
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21315126.9
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522358102
【氏名又は名称】バリアテク・メディカル
【氏名又は名称原語表記】BARIATEK MEDICAL
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バスティード,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ガード,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】マノス,チエリ
(72)【発明者】
【氏名】セヨール,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ビアディラー,ヨセフ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160MM44
(57)【要約】
患者の幽門に対してチューブ(10)を固定するためのアンカー(20)。チューブ(10)は、腸の一部をバイパスするためのバイパスチューブまたはバイパス導管であり得る。アンカー(20)は、導入のために崩壊可能であり、かつ任意選択的に動作状態に自己拡張する、胃用球部(22)を備えることができる。球部(22)は、低圧チャンバの開放構造を有してもよい。球部(22)は、胃の収縮に応答して部分的に崩壊するように構成されてもよい。これにより、球部は胃の収縮に追従し、収縮を吸収することができる。チューブ、アンカー、バルーン、およびステープル留めの他の実施形態も説明される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の幽門に対してチューブ(10)を固定するためのアンカー(20)であって、前記アンカーが、前記チューブの近位端部に連結されたまたは連結可能な胃用球部(22)を備え、前記胃用球部(22)が、前記胃内に導入するための崩壊状態から、前記胃内の動作状態まで拡張可能である、アンカー。
【請求項2】
前記拡張状態において、前記球部(22)内の圧力が大気圧以下であるように構成される、請求項1に記載のアンカー。
【請求項3】
前記拡張状態において、前記球部(22)内の圧力が前記胃内の周囲圧力以下であるように構成される、請求項1または2に記載のアンカー。
【請求項4】
前記胃用球部(22)が、胃の収縮に応答して部分的に崩壊するように構成される、請求項1、2または3に記載のアンカー。
【請求項5】
前記胃用球部(22)が、前記崩壊状態から前記動作状態に自己拡張可能である、先行する請求項のいずれかに記載のアンカー。
【請求項6】
前記胃用球部(22)が自己拡張型構造(24)を備える、請求項5に記載のアンカー。
【請求項7】
前記自己拡張型構造が、フレーム構造および/またはメッシュ構造を含む、請求項6に記載のアンカー。
【請求項8】
前記胃用球部(22)が、前記球部の内部への糜粥の通過を可能にする連通開口部を有する、請求項6または7に記載のアンカー。
【請求項9】
前記胃用球部(22)が、流体密閉チャンバと、(i)前記胃用球部がその動作状態まで拡張するときに流体を前記チャンバに引き込むことを可能にするため、および/または(ii)前記胃用球部を膨張させるために流体を前記チャンバに入れるための入口ポート(26)とを備える、請求項1~8のいずれか1項に記載のアンカー。
【請求項10】
前記胃用球部が、流体密閉チャンバと、流体が前記チャンバ内に入ることを可能にするための入口ポートとをさらに備え、前記自己拡張型構造および前記流体密閉チャンバが、一方が他方の中に少なくとも部分的に入れ子になっている、請求項6、7または8に記載のアンカー。
【請求項11】
前記流体密閉チャンバが、前記自己拡張型構造内に少なくとも部分的に入れ子になっている、請求項10に記載のアンカー。
【請求項12】
前記球部が、糜粥が前記球部を通過することを可能にするように構成された通路を備える、先行する請求項のいずれかに記載のアンカー。
【請求項13】
前記球部が、ベル形状、チューリップ形状から選択される少なくとも1つの形状を有するか、または備える、先行する請求項のいずれかに記載のアンカー。
【請求項14】
前記胃用球部(22)が、(i)1つまたは複数のテザー(18)および/またはストラットによって前記チューブに連結される、および/または(ii)前記チューブに直接取り付けられる、先行する請求項のいずれかに記載のアンカー。
【請求項15】
患者の幽門に対してチューブを固定するためのアンカーであって、前記アンカーが、幽門括約筋の胃側に嵌合するための第1のリング(30)と、前記幽門括約筋の十二指腸側に嵌合するための第2のリング(32)とを備え、前記第1および第2のリング(30,32)が、前記リング間に前記幽門括約筋を締め付けるために互いに連結され、前記第1および第2のリング(30,32)が、互いに異なる内径および/または外径を有し、任意選択的に、一方のリングが他方のリングの外径よりも大きい内径を有する、任意選択的に先行する請求項のいずれかに記載のアンカー(20)。
【請求項16】
前記第1および/または第2のリング(30,32)が、前記幽門への導入のために崩壊状態に崩壊可能である、請求項15に記載のアンカー。
【請求項17】
前記リング間に接続要素(34)をさらに備え、前記幽門括約筋を締め付けるために前記リングを互いに選択的に近づけるために前記リングに連結され、前記接続要素(34)が任意選択的にフィラメントまたは縫合糸である、請求項15または16に記載のアンカー。
【請求項18】
前記幽門括約筋の内周縁を包囲するための少なくとも1つの内側リング(38)をさらに備え、任意選択的に、前記少なくとも1つの内側リングが、第1および第2の内側リング(38a,38b)を備える、請求項15、16または17に記載のアンカー。
【請求項19】
第1および/または第2のリングが、金属、および/または任意選択的にニチノールである形状記憶合金、および/またはプラスチック、のうちの1つまたは複数を含む、請求項15、16、17または18に記載のアンカー。
【請求項20】
患者の幽門に対してチューブを固定するためのアンカーであって、前記アンカーが、前記胃内に導入するための崩壊状態から拡張可能な少なくとも1つの弾性要素(29)と、前記弾性要素が少なくとも部分的に螺旋形状を有する拡張された動作状態とを含む、任意選択的に先行する請求項のいずれかに記載のアンカー(20)。
【請求項21】
(i)前記弾性部材(29)が、前記チューブの前記近位端部から離れるにつれて半径方向に徐々に拡張する螺旋形状を画定する、および/または(ii)前記螺旋形状が、前記螺旋の隣接する転回部または巻回部の間に開放空間を含む、請求項20に記載のアンカー。
【請求項22】
前記胃腸管に挿入するように構成されたチューブであって、前記チューブが、先行する請求項のいずれかに記載のアンカーを備える、チューブ。
【請求項23】
前記幽門に嵌合するように構成された前記チューブの一部が、前記チューブのねじれを防止するための補強材を備える、請求項22に記載のチューブ。
【請求項24】
任意選択的に請求項22もしくは23に記載の、または任意選択的に請求項1~21のいずれかに記載のアンカーを備えるチューブ(10)であって、前記チューブが、前記胃腸管内に挿入するように構成され、前記チューブが、第1の方向の胃および/または腸内容物の通過を許容し、反対の第2の方向の胃および/または腸内容物の通過を妨害するように構成された、チューブ。
【請求項25】
前記第1の方向の胃および/または腸内容物の通過を許容し、前記第2の方向の胃および/または腸内容物の通過を妨害するように構成された、少なくとも1つ、任意選択的に複数の弁要素(56)を備える、請求項24に記載のチューブ。
【請求項26】
前記弁要素(56)が、前記チューブを通る前記第1の方向の胃および/または腸内容物の通過を可能にするために開き、かつ前記第2の方向の胃および/または腸内容物の通過を妨げるために閉じるフラップを備える、請求項25に記載のチューブ。
【請求項27】
任意選択的に請求項22~26のいずれかに記載のチューブ(10)および/または任意選択的に請求項1~21のいずれかに記載のアンカーを備えるチューブ(10)であって、前記チューブが、患者の十二指腸に導入するためのチューブであり、前記チューブが、可撓性プラスチックで作られ、近位端付近または近位端に織布または不織布(46)の縫合糸透過性および/またはステープル透過性層を備え、前記布(46)が、前記幽門付近または前記幽門で体組織内への前記布を介した縫合またはステープル留めによる前記チューブの固定を可能にし、前記布が前記プラスチック内の引裂伝播に抵抗する、チューブ。
【請求項28】
任意選択的に請求項22~27のいずれかに記載のチューブ(10)および/または任意選択的に請求項1~21のいずれかに記載のアンカーを備えるチューブ(10)であって、前記チューブが、患者の胃腸管に導入するためのチューブであり、前記チューブの外面には、胃分泌物が前記チューブの外側に移動することを可能にするために、前記チューブに対して少なくとも部分的に軸方向および/または長手方向に延在する少なくとも1つの開放チャネル(46)が設けられ、任意選択的に、前記チャネルが、前記チューブの外側の周りの螺旋形状および/または長手方向の溝から選択される形状を有する、チューブ。
【請求項29】
任意選択的に請求項22~28のいずれかに記載のチューブ(10)および/または任意選択的に請求項1~21のいずれかに記載のアンカーを備えるチューブ(10)を備える装置であって、前記チューブ(10)が、患者の胃腸管に導入するためのチューブであり、前記装置が、任意選択的に患者に満腹感を誘発するために、前記幽門から離れて前記胃壁を圧迫するように構成された少なくとも1つの胃バルーン(22)を備えるか、またはさらに備える、装置。
【請求項30】
前記バルーンが前記胃内で浮遊するために気体で満たされるおよび/または前記バルーンが前記チューブに対して磁気的に反発する、および/または前記バルーンが前記チューブに繋がれるおよび/または複数の空間占有バルーンが一緒に寄り添うように設けられる、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
1つまたは複数のリングを前記幽門の括約筋組織に取り付ける際に使用するための組織貫通固定具であって、前記固定具は、頭部および足部の形態のエンドピースを備え、前記エンドピースが接続要素によって相互接続され、少なくとも前記頭部が、(i)流線形状で導入するための、前記頭部が前記接続要素と並んで延在する略非展開構成、および(ii)前記頭部が前記接続部材の両側で横方向に突出するように移動される展開構成にすることができるように構成される、組織貫通固定具。
【請求項32】
前記足部が、(i)流線形状で導入するために、前記足部が前記接続要素と並んで延在する略非展開構成、および(ii)前記足部が前記接続部材の両側で横方向に突出するように移動する展開構成にすることができるように構成される、請求項31に記載の組織貫通固定具。
【請求項33】
患者の幽門にデバイスを固定するための装置であって、前記装置が、
少なくとも、幽門括約筋に取り付けるための第1のリングであって、前記リングが自己支持型形状を有する、リングと、
前記リングを幽門括約筋の面に取り付けるために、前記リングに挿入することができる、および/または前記リングを貫通することができる複数の組織貫通固定具であって、任意選択的に各組織貫通固定具が請求項31または32に記載の固定具である、複数の組織貫通固定具と
を備える、装置。
【請求項34】
前記幽門括約筋の前記第1のリングとは反対側の面に配置して固定し、それによって前記幽門括約筋を挟むための第2の自己支持型リングをさらに備え、前記固定具が、任意選択的に、両方のリングを通過するように構成される、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
患者の幽門で体組織にデバイスを取り付けるための器具であって、前記デバイスが任意選択的に請求項33または34に記載の装置であり、前記器具が、前記デバイスのリング形状部分に取り外し可能に取り付けるための第1の複数の細長い支持体と、前記デバイスの前記リング形状部分に組織貫通固定具を展開するための貫通要素を含む第2の複数の細長い支持体とを備える、器具。
【請求項36】
前記第2の複数の細長い支持体の各々が、前記第1の複数の細長い支持体に対して、前記第2の細長い支持体が少なくとも前記第1の複数の細長い支持体が到達するレベルまで、または前記レベルを超えて、実質的に延在する延伸位置と、前記第2の細長い支持体が前記第1の複数の細長い支持体が到達する前記レベルに対して後退する後退位置との間で、軸方向に移動可能である、請求項35に記載の器具。
【請求項37】
各第2の細長い支持体の各貫通要素が、鋭い尖った針を備え、前記組織貫通固定具を展開するための前記貫通要素の周りに前記組織貫通固定具を運ぶように構成されている、請求項35または36に記載の器具。
【請求項38】
前記第1および第2の複数の細長い支持体のための複数の管腔を有する多管腔カテーテルシャフトをさらに備え、前記第1および第2の複数の細長い支持体が、前記カテーテルシャフトの周方向に交互に配置されている、請求項35、36または37に記載の器具。
【請求項39】
リングを含むデバイスを患者の幽門に取り付ける方法であって、前記方法が、
(a)器具を前記幽門に前進させるステップであって、前記器具が、第1および第2の複数の細長い支持体を含み、前記リングが前記第1の複数の支持体に取り付けられ、前記第2の複数の細長い支持体が、貫通要素を含み、組織に固定するための固定具を運ぶ、ステップと、
(b)前記リングを幽門括約筋の第1の側に隣接して配置し、前記第2の細長い支持体を前記幽門括約筋の反対側の第2の側に配置するステップと、
(c)前記貫通要素が前記幽門括約筋を貫通して前記第1の側の前記リング内に貫通するように、前記第2の細長い支持体の各々を個別にまたは集合的に前進させるステップと、
(d)前記固定具の第1のエンドピースが前記幽門括約筋の前記第1の側の前記リングを固定するように、前記第2の細長い支持体の各々を個別にまたは集合的に部分的に引き出すステップと、
(e)前記固定具の第2のエンドピースが前記幽門括約筋の前記第2の側に固定されるように、前記第2の細長い支持体の各々を個別にまたは集合的に引き出すステップと
含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胃腸管に挿入するためのチューブの分野、およびそのためのアンカーに関する。いくつかの非限定的な態様では、チューブは、腸の部分をバイパスするためのバイパスチューブである。
【0002】
肥満および糖尿病を治療するための様々な外科技術およびインプラントが提案されている。外科技術には、胃、十二指腸および空腸の一部の胃ポケットおよび胃バイパスの作製が含まれる。十二指腸および場合により空腸の一部をバイパスするために、胃腸管に挿入するためのバイパスチューブまたはライナーが提案されている。
【0003】
これらの技術の多くには技術的課題が残っている。例えば、バイパスチューブの内視鏡による配置および固定は依然として困難である。提案されている1つの技術は、幽門の近傍にチューブを固定することである。しかしながら、胃および腸は、正常な身体機能において著しい動きを受ける。幽門前庭部を含む胃の筋収縮は、チューブを定位置に維持するのを複雑にする。筋収縮は、例えば、患者の嘔吐の場合に極端であり得る。十二指腸に向かって、または胃の中へのいずれかの脱落は、位置を矯正するため、またはバイパスチューブを回収するために医療介入を必要とする可能性がある。多くの既存の提案は、確実な固定が必要であるが、デバイスが組織刺激を引き起こすのを回避するために体組織との非外傷性係合を伴うという明らかに相反する必要性によって損なわれている。
【0004】
上記の問題の1つ以上の対処および/または緩和が望ましいであろう。
本発明の態様は、特許請求の範囲に定義されている。
【0005】
本開示の第1の態様は、患者の幽門に対してチューブを固定するためのアンカーを提供する。チューブは、腸の一部をバイパスするためのバイパスチューブまたはバイパス導管であり得る。アンカーは、チューブとは独立して、またはチューブと組み合わせて定義され得る。
【0006】
アンカーは、チューブの近位端部に連結されたまたは連結可能な胃用球部を備えてもよい。胃用球部は、胃内に導入するための崩壊状態から胃内の動作状態まで拡張可能であり得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、球部は、拡張状態において、球部内の圧力が(i)大気圧以下、および/または(ii)胃内の周囲圧力以下であるように構成されてもよい。そのような構成により、球部は、胃内の周囲雰囲気圧と比較して、恒久的に実質的に加圧されない。
【0008】
胃用球部は、胃の収縮に応答して部分的に崩壊するように構成されてもよい。これにより、球部は、胃の収縮に追従し、そうでなければチューブを外す可能性がある大きな引っ張り力をチューブに加えることなく収縮を吸収することができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、胃用球部は、崩壊状態から動作状態に自己拡張可能である。胃用球部は、自己拡張型構造、任意選択的にフレーム構造(例えばリブおよび/またはストラットを有する)、および/またはメッシュ構造を備えてもよい。
【0010】
胃用球部は、開いていてもよく、および/または糜粥が球部の内部に入ることを可能にする連通開口部を有してもよい。例えば、球部は、開放フレームまたはメッシュを備えてもよい。
【0011】
自己拡張型であることに加えて、またはその代わりに、球部は流体密閉チャンバを備えてもよい。チャンバは、以下を可能にし得る入口ポートを有し得る。(i)(例えば、球部内の圧力が大気圧以下、および/または胃内の周囲圧力以下であることが意図される実施形態において)胃用球部がその動作状態まで拡張すると、流体(例えば、生理食塩水などの液体、または空気などの気体)がチャンバ内に引き込まれることを可能にする、および/または(ii)(例えば、加圧バルーンを用いる実施形態において)胃用球部を膨張させるために流体(例えば、生理食塩水などの液体、または空気などの気体)をチャンバ内に流入させる。チャンバは、チャンバが使用されるように構成されている流体の種類に対して流体密閉であってもよく、例えば、液体流体に対して実質的に液密であってもよく、気体流体に対して実質的に気密であってもよい。
【0012】
自己拡張型構造および流体密閉チャンバ(任意選択的に入口ポートを有する)の両方を含むいくつかの実施形態では、自己拡張型構造および流体密閉チャンバは、一方が他方の中に少なくとも部分的に(任意選択的に実質的に完全に)入れ子になってもよい。例えば、流体密閉チャンバは、自己拡張型構造内に少なくとも部分的に(任意選択的に実質的に完全に)入れ子になってもよい。自己拡張型構造は、自己拡張型構造の周囲部分の自己拡張により、流体密閉チャンバの1つまたは複数の壁を概ね外側に付勢して(例えば、引っ張って)もよい。流体密閉チャンバの少なくとも1つの壁は、自己拡張型構造に取り付けられてもよく、および/または自己拡張型構造と積層されてもよい。
【0013】
上記のいずれかに加えて、またはその代わりに、胃用球部は、チューブの近位端部から離間していてもよい。任意選択的に、胃用球部は、1つ以上の支柱または可撓性テザーによってチューブに物理的に連結される。あるいは、胃用球部とチューブの近位端部との間に磁気結合または磁気相互作用が存在するように、胃用球部はチューブによって磁気的に引き付けられるかまたは反発される。
【0014】
球部は、動作状態において任意の所望の形状、例えば、ほぼ球形、涙滴形状、菱形形状、ラグビーボール形状、ベル形状(またはチューリップ形状)を有してもよい。したがって、「球部(bulb)」という用語は、胃から幽門を通るアンカーの移動に抵抗するためにアンカー機能を実行することができる任意の適切な、例えば少なくとも部分的に丸みを帯びた形状およびサイズを包含する。
【0015】
どのような形状の球部が使用される場合であっても、球部は、例えば幽門を通って胃から出るために、糜粥が球部を通過することを可能にするように構成された通路、例えば中央穴を備え得る。
【0016】
上記のいずれかに加えて、またはその代わりに、第2の態様では、アンカーは、胃内に導入するための崩壊状態から拡張可能な少なくとも1つの弾性要素と、弾性要素が少なくとも部分的に螺旋形状を有する拡張された動作状態とを含むことができる。
【0017】
弾性部材は、任意選択的に、チューブの近位端部から徐々に離れるように半径方向に拡張する螺旋形状を画定することができる。螺旋形状は、螺旋の隣接する転回部または巻回部の間に開放空間を含んでもよい。
【0018】
そのような構成は、導入のために容易に崩壊すると同時に、その動作状態において比較的大きなサイズに拡張するのに有利であり得る。
【0019】
上記のいずれかに加えて、またはその代わりに、本開示の第3の態様は、患者の幽門に対してチューブを固定するためのアンカーであって、アンカーが、幽門括約筋の胃側に嵌合するための第1のリングと、幽門括約筋の十二指腸側に嵌合するための第2のリングとを備える、アンカーを提供する。第1および第2のリングは、リング間に幽門括約筋を締め付けるために互いに連結され、第1および第2のリングは、任意選択的に一方のリングが他方のリングの外径よりも大きい内径を有するように、互いに異なる内径および/または外径を有する。
【0020】
そのようなアンカーは、幽門括約筋に強固に、しかし非外傷性に取り付けることができ、強い胃収縮が存在する場合でも良好な固定を提供する。
【0021】
第1および/または第2のリングは、幽門への導入のために崩壊状態に崩壊可能であり得る。アンカーは、リング間に接続要素をさらに備え、幽門括約筋を締め付けるためにリングを互いに選択的に近づけるためにリングに連結され、接続要素は、任意選択的に縫合糸であってもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、アンカーは、幽門括約筋の内周縁を包囲するための少なくとも1つの内側リングをさらに備え、任意選択的に、少なくとも1つの内側リングは、第1および第2の内側リングを備える。
【0023】
第1および/または第2のリングは、例えば金属、および/または任意選択的にニチノールである形状記憶合金、および/またはプラスチック、のうちの1つまたは複数である任意の適切な材料で作られ得るか、またはそれらを含み得る。
【0024】
上記のいずれかに加えて、またはその代わりに、本開示の第4の態様は、患者の少なくとも十二指腸に挿入するためのチューブと、胃壁との接触を介して満腹感を誘発するための少なくとも1つの胃用球部とを提供する。例えば、以下のうちの1つまたは任意の組み合わせなど、胃壁に接触するように球部を構成するための様々な技術が想定される。
【0025】
-球部は、任意選択的に、例えば空気またはガスで膨張して、球部を胃の中で浮遊させることができる。
【0026】
-正常な胃の動きおよび収縮を可能にしながら、胃を少なくとも部分的に満たすために、複数の球部が設けられてもよい。
【0027】
-球部は、例えば磁気反発によって、胃壁に向かう方向にチューブから反発されてもよい。
【0028】
上記のいずれかに加えて、またはその代わりに、本開示の第5の態様は、患者の胃腸管に導入するためのチューブを提供し、胃腸管は、任意選択的に、(例えば、消化管経路を改変するバイパス手術後の)改変された管である。チューブは、吻合時に導入するように構成されてもよい。
【0029】
チューブは、第1の方向の胃および/または腸内容物の通過を許容し、反対の第2の方向の胃および/または腸内容物の通過を妨害するように構成される。
【0030】
例えば、チューブは、第1の方向の胃および/または腸内容物の通過を許容し、第2の方向の胃および/または腸内容物の通過を妨害するように構成された、少なくとも1つ、任意選択的に複数の弁要素を含んでもよい。弁要素は、チューブを通る第1の方向の胃および/または腸内容物の通過を可能にするために開き、第2の方向の胃および/または腸内容物の通過を妨げるために閉じるフラップを備えることができる。
【0031】
そのようなチューブは、消化液の胃および/または食道への逆流を妨げるのに有利であり得る。例えば、チューブは、膵臓からの消化液が吻合を通って通常の流れ方向に逆らって通過するのを妨げることができる。これにより、手術後に患者が経験し得る不快感を低減することができる。
【0032】
上記のいずれかに加えて、またはその代わりに、本開示の第6の態様は、患者の十二指腸に導入するためのチューブを提供し、チューブはプラスチック製であり、近位端部の近くまたは近位端部に織布または不織布の縫合糸透過性および/またはステープル透過性層を備える。布は、幽門付近または幽門で、布を通して体組織に縫合またはステープル留めすることによってチューブの固定を可能にする。布は、チューブのプラスチックに積層されてもよく、または組み込まれてもよい。布は、特に胃の動きおよび収縮にさらされた場合に、そうでなければプラスチック材料に生じる裂け目の伝播を防止するのに役立つ。
【0033】
上記のいずれかに加えて、またはその代わりに、本開示の第7の態様は、患者の胃腸管に導入するためのチューブを提供し、チューブの外面には、チューブに対して少なくとも部分的に軸方向および/または長手方向に延びる開放チャネルが設けられる。チャネルは、胃分泌物、例えば膵液がチューブの外側に移動することを可能にし、チューブと腸壁との間の接触によって分泌物が捕捉されることを回避する。任意選択的に、チャネルは、チューブの外側の周りに螺旋形状を有してもよい。あるいは、チャネルは長手方向の溝であってもよい。複数のチャネルが設けられてもよい。
【0034】
上記のいずれかに加えて、またはその代わりに、本開示の第8の態様は、少なくとも1つの組織貫通固定具を用いて、胃壁に1つまたは複数のプリーツ(または人工襞)を作成することによって胃の自然容積を減少させることによって、糖尿病または肥満を治療するための技術を提供する。
【0035】
本明細書で使用される場合、「組織貫通固定具」という用語は、組織を貫通し、任意選択的に完全に貫通し、(少なくとも)縫合糸、ステープル、またはタグピンを含む任意の固定を含む。組織貫通固定具は、例えば、内視鏡技術または腹腔鏡技術によって配置することができる。
【0036】
1つまたは複数のプリーツは、一般に、(i)胃の上部から下部へ、および/または(ii)食道から幽門への方向に延びることができる。そのようなプリーツは、胃内にほぼスリーブ形状の空洞または通路を形成することができる。
【0037】
第8の態様は、胃の体積を効率的に減少させることによってそのようなデバイスの有効性を高めるために、バイパスチューブおよび/または吻合と共に任意選択的に使用されてもよい。例えば、第8の態様は、特に、本明細書に記載の他のデバイスのいずれかと共に使用することができる。
【0038】
上記のいずれかに加えて、またはその代わりに、本発明の第9の態様は、1つまたは複数のリングを解剖学的組織、例えば幽門の括約筋組織に取り付けるのに使用されてもよい組織貫通固定具を提供する。固定具は、頭部および足部の形態のエンドピースを備え、エンドピースは接続要素によって相互接続されている。少なくとも頭部、および任意選択的に足部は、流線形状で導入するための、頭部(および任意選択的に足部)が接続要素と並んで延在する略非展開構成にすることができる。展開構成では、頭部(および任意選択的に足部)は、接続部材の両側で横方向に突出するように動く。
【0039】
エンドピースは、任意の適切な材料で作られ得る。エンドピースは、管状形態または非管状形態を有し得る。管状形態は、例えばその非展開構成で、固定具を針上に導入することを可能にする。いくつかの実施形態では、固定具の頭部および/または足部は、形状記憶合金、例えばニチノールで作られる。
【0040】
接続要素は、(例えば縫合糸として)一般に可撓性であってもよく、または剛性ワイヤなど、一般に非可撓性であってもよい。いくつかの実施形態では、接続要素は、伸長可能であるが、エンドピースを少なくとも部分的に互いに向かって引っ張るように付勢されたばねとして形成される。
【0041】
上記の態様のいずれかに加えて、またはその代わりに、本発明の第10の態様は、患者の幽門にデバイスを固定するための装置を提供し、装置は、
自己支持型形状を有する、幽門括約筋に取り付けるための少なくとも第1のリングと、
リングを幽門括約筋の面に取り付けるための、リングに挿入することができる、および/またはリングを貫通することができる複数の組織貫通固定具と
を備える。
【0042】
自己支持型リングを使用すると、取付位置が経時的に変位する可能性がある腸組織の再生に起因する取付クリープのリスクなしに、幽門括約筋の組織に確実な取付けを行うことができる。リングは、組織が再生しても、取付点を安定させることができる。胃腸組織は、修復および再生の速度が速い。
【0043】
組織貫通固定具は、本発明の第9の態様による固定具を任意に含んでもよい。
装置は、幽門括約筋の第1のリングとは反対側の面に配置して固定し、それにより幽門括約筋を挟むための、第2の自己支持型リングをさらに備えてもよい。固定具は、両方のリングを通過するように構成されてもよい。
【0044】
上記の態様のいずれかに加えて、またはその代わりに、本発明の第11の態様は、患者の幽門で体組織にデバイスを取り付けるための器具を提供し、器具は、デバイスのリング形状部分に取り外し可能に取り付けるための第1の複数の細長い支持体と、デバイスのリング形状部分に組織貫通固定具を展開するための貫通要素を含む第2の複数の細長い支持体とを備える。
【0045】
第11の態様は特に、排他的ではないが上記の第9および/または第10の態様と共に使用するのに適している。
【0046】
第2の複数の細長い支持体の各々は、第1の複数の細長い支持体に対して軸方向に移動可能である。第2の複数の支持体の各々は、第2の複数の支持体のうちの1つまたは複数の他の支持体と個別に、または集合的に軸方向に移動可能であってもよい。第2の複数の細長い支持体の各々は、第2の細長い支持体が第1の複数の細長い支持体によって到達されるレベルとほぼ同一の(任意選択的にそのレベルを超える)広がりを有する延伸位置と、第2の細長い支持体が第1の複数の細長い支持体によって到達されるレベルに対して後退した後退位置との間で移動可能であってもよい。
【0047】
各第2の細長い支持体の貫通要素は、例えば、その周りに組織貫通固定具を展開のために運ぶことができる鋭い尖った針(任意選択的に鋭い尖ったハイポチューブ針)を含むことができる。
【0048】
器具は、第1および第2の複数の細長い支持体のための複数の管腔を有する多管腔カテーテルシャフトをさらに備えてもよい。第1および第2の複数の細長い支持体は、カテーテルシャフトの周方向に交互に配置されてもよい。
【0049】
器具は、カテーテルシャフト上を摺動可能な拘束シースをさらに備えてもよく、拘束シースは、第1および第2の複数の細長い支持体を半径方向に圧縮された構成に拘束し、拘束シースが後退したときに、細長い支持要素が互いから外方に移動する、例えば外側に離れるまたは広がることを可能にする。
【0050】
上記の態様のいずれかに加えて、またはその代わりに、本発明の第12の態様は、リングを含むデバイスを患者の幽門に取り付ける方法を含み、方法は、
(a)器具を幽門に前進させるステップであって、器具は、第1および第2の複数の細長い支持体を含み、リングは、第1の複数の支持体に取り付けられ、第2の複数の細長い支持体は、貫通要素を含み、組織に固定するための固定具を運ぶ、ステップと、
(b)リングを幽門括約筋の第1の側に隣接して配置し、第2の細長い支持体を幽門括約筋の反対側の第2の側に配置するステップと、
(c)貫通要素が幽門括約筋を貫通して第1の側のリング内に貫通するように、各第2の細長い支持体を個別にまたは集合的に前進させるステップと、
(d)固定具の第1のエンドピースが幽門括約筋の第1の側のリングを固定するように、各第2の細長い支持体を個々にまたは集合的に部分的に引き出すステップと、
(e)固定具の第2のエンドピースが幽門括約筋の第2の側に固定されるように、各第2の細長い支持体を個々にまたは集合的に引き出すステップと
を含む。
【0051】
ステップ(c)~(e)は、一度に1つの細長い支持体に対して順次実行されてもよく、またはステップ(c)~(e)の各々は、次のステップに進む前に複数の第2の細長い支持体に対して完了されてもよい。
【0052】
第12の態様の方法は、任意選択的に、上記の第11の態様の器具を使用してもよく、および/または任意選択的に、上記の第9および/または第10の態様の装置を使用してもよい。
【0053】
上記態様の全てにおいて、チューブは、腸の一部をバイパスするためのバイパスチューブまたはバイパス導管であり得る。
【0054】
ここで、本発明の非限定的な実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】十二指腸チューブ用の胃アンカーの第1の例の概略側面図である。
図2】実施例1の移植状態を示す模式断面図である。
図3図1と同様の胃アンカーの第2の例を示す概略側面図である。
図4】第1および第2の例と同様のさらなる例を移植状態で示す概略断面図である。
図5】少なくとも1つのバルーンを有するさらなる例を移植状態で示す概略断面図である。
図6】少なくとも1つのバルーンを有するさらなる例を移植状態で示す概略断面図である。
図7】複数のバルーンを有するさらなる例を移植状態で示す概略断面図である。
図8】幽門に固定するためのアンカーのさらなる例を示す概略断面図である。
図9図8の詳細を示す概略断面図である。
図10図8および図9と同様のアンカーのさらなる例を示す概略断面図である。
図11】縫合糸および/またはステープルによって取り付け可能なチューブのさらなる例の概略側面図である。
図12a】プレジェットを用いてチューブを胃壁に取り付けるステップを示す概略断面図である。
図12b】プレジェットを用いてチューブを胃壁に取り付けるステップを示す概略断面図である。
図12c】プレジェットを用いてチューブを胃壁に取り付けるステップを示す概略断面図である。
図12d】プレジェットを用いてチューブを胃壁に取り付けるステップを示す概略断面図である。
図13a】さらなる例におけるチューブの外部輪郭の概略斜視図である。
図13b】さらなる例におけるチューブの外部輪郭の概略斜視図である。
図14】胃空腸吻合に配置されたチューブの概略図である。
図15】分離した図14のチューブの概略断面図である。
図16】胃の体積を減少させるためのプリーツの形成を示す概略断面図である。
図17図16の詳細を示す概略断面図である。
図18】胃内容物の流れをそらすための他の処置デバイスと組み合わせた胃プリーツを示す概略断面図である。
図19】組織貫通固定具の一例の概略側面図である。
図20】組織貫通固定具の第2の例の概略側面図である。
図21】展開のために組織貫通固定具を運ぶ針の概略側面図である。
図22図21の針を示す概略断面図である。
図23図19または図20の組織貫通固定具を使用して十二指腸チューブを幽門括約筋に取り付けるための器具の作用端の概略側面断面図である。
図24図23の器具の作用端の概略斜視図である。
図25図23および図24の器具を使用してバイパスチューブを十二指腸内に取り付けるためのシーケンスを示す概略側面図である。
図26図23および図24の器具を使用してバイパスチューブを十二指腸内に取り付けるためのシーケンスを示す概略側面図である。
図27図23および図24の器具を使用してバイパスチューブを十二指腸内に取り付けるためのシーケンスを示す概略側面図である。
図28図23および図24の器具を使用してバイパスチューブを十二指腸内に取り付けるためのシーケンスを示す概略側面図である。
図29図23および図24の器具を使用してバイパスチューブを十二指腸内に取り付けるためのシーケンスを示す概略側面図である。
図30図23および図24の器具を使用してバイパスチューブを十二指腸内に取り付けるためのシーケンスを示す概略側面図である。
図31図23および図24の器具を使用してバイパスチューブを十二指腸内に取り付けるためのシーケンスを示す概略側面図である。
図32図23および図24の器具を使用してバイパスチューブを十二指腸内に取り付けるためのシーケンスを示す概略側面図である。
図33】2つの取付リングを用いた第2の例を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下の説明では、詳細に説明されているか否かにかかわらず、同様のまたは同等の特徴を示すために同じ参照番号が使用される。したがって、一実施形態の説明は、別の実施形態と組み合わせることができる。チューブが記載される場合、チューブは、任意選択的に、栄養摂取を減少させるために腸の一部をバイパスするためのバイパスチューブまたはバイパス導管であり得る。
【0057】
図1および図2を参照すると、糖尿病または肥満の治療のために、患者の少なくとも十二指腸Dに導入するためのチューブ10が示されている。チューブ10は、空腸まで延びていてもよい。チューブの近位端部10aは、図2に示すように幽門Pに近い十二指腸D内に配置されてもよく、または少なくとも部分的に幽門Pを通って延びてもよい。チューブ10は、任意選択的に、移植位置から胃に向かう変位に抵抗するためのカフまたはステント12を含むことができる。チューブ10は、閉塞を作り出す可能性がある幽門でのチューブ10のねじれを防止するための補強材(図1および図2には示されていないが、後の図では参照番号14で示されている)を任意選択的に備えることができる。
【0058】
チューブ10のためのアンカー20は、胃Sと共に配置するための胃用球部22を備える。胃用球部22は、例えば患者の口を通して胃に導入するのに適した崩壊状態と、幽門Pを通る変位に抵抗するアンカーを画定するように球部22が膨らむ動作状態とを有する。
【0059】
アンカー20は、任意の適切な連結によって、例えば1つもしくは複数のストラットまたは1つもしくは複数の可撓性テザー18によって、チューブ10に連結されるか、または連結可能である。あるいは、アンカー20は、チューブ10に直接取り付けられる。
【0060】
図示の例では、球部22は、拡張状態において、球部内の圧力が(i)大気圧以下、および/または(ii)胃内の周囲圧力以下であるように構成される。球部22は、胃内の周囲雰囲気圧と比較して、恒久的に実質的に加圧されない。これは、膨張させられ、膨張圧力によって内部から膨張するタイプのバルーンまたは球部とは対照的である。
【0061】
例えば、球部22内に陽圧がないことにより、球部22は、胃の収縮に応答して部分的に崩壊することができる。これにより、球部22は、少なくとも部分的に胃の収縮に追従し、チューブ10を過度に引っ張ることなく収縮を吸収することができ、そうでなければチューブ10を胃の中に移動させる可能性がある。球部22は、例えば患者が嘔吐した場合に、極端な一時的な胃の収縮を吸収または収容するために部分的に圧縮することができる。同時に、球部22は、幽門に向かうおよび幽門を通る通過に抵抗するので、球部22は、遠位方向への変位を防止するように機能するその動作状態に付勢される。
【0062】
図示の例では、球部22は、崩壊状態から動作状態に自己拡張可能である。胃用球部22は、自己拡張型構造24(図2に部分的に概略的に示されている)、任意選択的にフレーム構造(例えばリブおよび/またはストラットを有する)、および/またはメッシュ構造を備えることができる。
【0063】
1つのバージョンでは、胃用球部22は、その内部に開口していてもよく、および/または糜粥が球部22の内部に入ることを可能にする連通開口部を有してもよい。例えば、球部22は、開放フレーム24を備えてもよい。
【0064】
あるいは、球部22は、流体密閉チャンバを備えてもよい。チャンバは、例えば自己拡張型フレーム24によって提供される自己拡張性の影響下で、胃用球部22がその動作状態まで拡張するときに流体をチャンバ内に引き込むことを可能にするための入口ポート26を有してもよい。送達デバイスは、流体の流入による圧力均等化および/または膨張を可能にするために、入口ポート26に取り外し可能に連結された流入導管(例えばベントチャネル)を含むことができる。流体は、例えば、液体(例えば生理食塩水)または気体(例えば空気)であってもよい。圧力均等化および/または膨張が完了した後、流入導管を入口ポート26から切り離すことができ、したがってチャンバを密封することができる。チャンバ内の少量の流体は、自己拡張型フレーム24を補完する柔軟なクッションを提供することができ、柔軟な特性を有する非外傷性アンカーをもたらす。任意選択的に、流体密閉チャンバは、糜粥が幽門およびチューブ10への入口に向かって通過することを可能にするための中央通路(図示せず)を含むことができる。
【0065】
自己拡張型構造および流体密閉チャンバの両方が設けられる場合、自己拡張型構造および流体密閉チャンバは、一方が他方の中に少なくとも部分的に(任意選択的に実質的に完全に)入れ子になってもよい。例えば、流体密閉チャンバは、自己拡張型構造と少なくとも部分的に(任意選択的に実質的に完全に)入れ子になってもよい。流体密閉チャンバの表面(例えば外面)は、自己拡張型構造の表面(例えば内面)と表面間接触(例えば積層)してもよい。
【0066】
自己拡張の有無にかかわらず、球部は、別個の自己拡張型構造のない流体密閉チャンバを備えてもよい。流体密閉チャンバは、チャンバ内に流体を入れるための入口ポートを有してもよい。自己拡張のさらなる代替案は、流体密閉チャンバが、例えば流体密閉チャンバの成形構成に向かって展開構成に自己拡張する弾性材料で作られることである。
【0067】
図3は、図1および図2の第1の例と同様の第2の例を示す。図3の主な違いは、球部22とチューブ10の近位端部10aとの間の距離を、胃内への導入前および/または胃内への配置中もしくは配置後にin situで設定することを可能にするための調整機構28の追加である。調整機構28は、例えば、ねじ山および回転可能なナットを含むことができる。調整機構28は、適切な器具を用いた手動回転によって、または磁気器具を用いた磁気回転によって調整され得る。
【0068】
図4を参照すると、胃内に導入するための崩壊状態から拡張可能な少なくとも1つの弾性要素29と、弾性要素30が少なくとも部分的に螺旋形状を有する拡張された動作状態(図4)とを含む、アンカー20の代替例が示されている。
【0069】
螺旋形状は、チューブの近位端部から半径方向に徐々に離れることができる。螺旋形状は、螺旋の隣接する転回部または巻回部の間に開放空間を含んでもよい。
【0070】
そのような構成は、導入のために容易に崩壊すると同時に、その動作状態において比較的大きなサイズに拡張するのに有利であり得る。螺旋形状は、チューブ10を過度に引っ張ることなく、胃の収縮、さらには強い一時的な収縮を吸収して受け入れることができる、非外傷性の柔軟な係合を提供することができる。同時に、螺旋形状は、幽門を通る変位を防止するためにチューブ10を確実に固定する。アンカー20は、適切な回収器具を使用して螺旋形状の自由端を引っ張ることによって崩壊することができ、必要に応じてデバイスを取り除くことを可能にする。
【0071】
図5図7は、胃壁との接触によって満腹感を誘発するように構成された1つまたは複数の胃用球部またはバルーン22を含むさらなる例を示す。バルーンは、実装に応じて、胃アンカーとして機能してもしなくてもよい。適切な場合には、胃アンカー20はチューブ10の近位端部に連結される。
【0072】
球部またはバルーン22は、任意選択的に、流体(例えば、気体または液体)で膨張させることができる。気体、例えば空気は、バルーンを胃内容物に対して浮遊させることが望ましい場合がある。図5では、少なくとも1つの(任意選択的に複数の)バルーン22が、胃内容物に対して上方に浮遊するように、チューブ10の近位端部に繋がれている。
【0073】
図6では、少なくとも1つの(任意選択的に複数の)バルーン22は、磁気コーティングなどの磁気特性を有するか、または1つまたは複数の磁気要素27を運ぶ。バルーン22とチューブ10の近位端部にある同じ向きの磁気要素(図示せず)との間の磁気反発は、バルーン22をチューブ10から離して、胃壁との接触に向かって付勢する。
【0074】
図7では、複数のバルーン22は、胃内のかなりの空間を占め、胃壁を圧迫する。バルーン22は、互いに拘束されていなくてもよく、かつ/または拘束されていてもよい。バルーン22は、チューブ10に対して互いに拘束されていなくてもよく、かつ/または拘束されていてもよい。
【0075】
図5から図7の上記の例では、1つまたは複数のバルーン22は、胃の動きおよび収縮を可能にし、かつ糜粥がチューブ10へ通過することを可能にするような大きさである。
【0076】
図8図10を参照すると、アンカー20は、幽門括約筋PSの腹側に嵌合するための第1のリング30と、幽門括約筋PSの十二指腸側に嵌合するための第2のリング32とを備える。第1および第2のリング30,32は、リング30とリング32との間に幽門括約筋PSを締め付けるために互いに連結されている。図9の詳細から分かるように、第1および第2のリング30,32は、互いに異なる内径および/または外径を有する。図示の形態では、一方のリング(例えば、第1のリング30)は、他方のリング(例えば、第2のリング32)の外径よりもほぼ大きい(または少なくとも実質的に小さくない)内径を有する。
【0077】
そのようなアンカー20は強固に、しかし非外傷性に、幽門括約筋PSに取り付けることができ、強い胃収縮が存在する場合でも良好な固定を提供する。特に、あるリングを別のリングに対してオフセットすることにより、同じ締め付け力で2つの同一直径のリング間を挟むことによって引き起こされ得る組織壊死のリスクを低減することができる。
【0078】
第1および/または第2のリング30および32は、幽門への導入のために崩壊状態に崩壊可能であり得る。アンカー20は、リング30とリング32との間にさらなる接続要素34の1つをさらに備え、幽門括約筋PSを締め付けるためにリングを互いに選択的に近づけるためにリング30および32に連結される。図示の形態では、接続要素34はフィラメント(例えば縫合糸)を含む。フィラメントは、フィラメントを引っ張ると少なくとも一方のリングが他方に向かって引っ張られるように、リング30および32と係合する。
【0079】
必要に応じて、リング30、32の少なくとも一方はまた、例えば(後述する図10に示すものと同様の)1つまたは複数の組織貫通固定具によって、幽門に直接取り付けられてもよい。
【0080】
チューブ(図示せず)は、第1および第2のリング30,32の1つまたは複数に取り付けられてもよい。チューブは、恒久的に、または磁気コネクタなどのコネクタを介して、取り付けることができる。
【0081】
図10を参照すると、第1および第2のリング30,32に加えて、アンカー20はさらに、幽門括約筋PSの内周縁を包囲するための少なくとも1つの内側リング38を備える。図示の実施形態では、第1および第2の内側リング38aおよび38bが使用される。内側リング38aと38bとの間にあり、リング38aおよび38bに連結されたさらなる接続要素40の1つは、幽門括約筋PSの内縁を包囲するためにリングを互いに選択的に近づける。図示の形態では、接続要素40はフィラメント(例えば縫合糸)を含む。フィラメントは、フィラメントを引っ張ると少なくとも一方のリングが他方に向かって引っ張られるように、リング38aおよび38bと係合する。
【0082】
使用時には、第2のリング32を配置した後に、内側リング38a,38bを幽門括約筋PSから離間して配置してもよい。内側リング38aおよび38bは、内縁を包囲するように一緒に引き込まれ、続いて第1のリング30を配置および/または引き込み、第1のリング30と第2のリング32との間で幽門を締め付ける。必要に応じて、第1および第2のリング30、32の一方(または両方)が、例えば1つまたは複数の組織貫通固定具42によって、幽門括約筋の組織に直接取り付けられてもよい。一例では、固定具42は、例えばU字形の形状を有するステープルであり、U字形の各肢部は組織を貫き、横方向停止部42a(例えば、T字形状を画定する)によって拘束される。あるいは、固定具42は、組織の一方の側から挿入され、中央茎部から延びる自己拡張型横方向ストッパまたはウィングを有するタグピンであってもよく、固定具を組織の反対側に拘束して保持し、第1の側からの引き抜きを防止する。
【0083】
チューブ10は、任意選択的に、図示のように、リングの一方、例えば内側リング38a、38bの一方に取り付けられてもよい(例えば、恒久的に、または組立可能な接続を介して)。
【0084】
図11を参照すると、チューブ10のさらなる例が示されている。チューブ10は、幽門の近位端部10aから十二指腸内に、場合により少なくとも部分的に空腸内に延びるように構成される。チューブ10は、シリコーンまたはポリウレタンなどのプラスチック製であってもよい。近位端部10aは、チューブ10の材料を貫く縫合糸またはステープル42によって、体組織に直接取り付けられるように構成される。プラスチック材料の引き裂きを防止するために、近位端部は、場合によりプラスチック材料に積層される、および/またはプラスチック材料内に組み込まれる、縫合糸透過性および/またはステープル透過性の補強布46の層を含む。布46は、織布または不織布材料であってもよい。布46は、PETなどのポリマー材料製であってもよい。布材料46の自然な開口部または空間は、布自体の繊維またはフィラメントを破壊することなく縫合糸または固定具が通過することを可能にする。したがって、布は、チューブ10のプラスチック内の引裂伝播を防止することができる。
【0085】
チューブ10の近位端部10aは、近位端部10aの配置および取付けを容易にするために広げられてもよい。
【0086】
任意選択的に、チューブ10は、胃の動きによるチューブ10のねじれのリスクを回避するために、ステントなどの十二指腸アンカー12、および/または幽門を横切る補強材14を含む。
【0087】
使用時には、チューブ10は十二指腸および任意選択的に空腸内に配置され得る。手術用ステープラを使用して、図10に示すものと同様の方法で、例えば幽門括約筋を形成する組織に、近位端部をステープル留めすることができる。
【0088】
図12a~図12dは、図11のチューブなどのチューブ10を締結するためのさらなる技術を示す。図12aを参照すると、チューブ10は、患者の口を介して導入され、少なくとも十二指腸内に配置され、チューブ10の近位端部10aは幽門の近位にある。チューブ10は、機械的デバイス(図示せず)によって一時的に定位置に保持されてもよい。
【0089】
図12bを参照すると、器具70が口を通って幽門前庭部に案内される。器具70は、布46を含むチューブの領域および胃壁を貫くために使用されるハイポチューブ針を含む。縫合糸が取り付けられたプレジェット72が、ハイポチューブ針を介して布46および胃壁を通して挿入され、胃壁の外側に展開され、縫合糸は胃壁および布46を通って後行する。
【0090】
図12cおよび図12dを参照すると、ハイポチューブ針が胃の内側に引き込まれ、第2プレジェット74がハイポチューブを介して同じ縫合糸上にパラシュートされ、胃壁の内面に展開される。縫合糸は、2つのプレジェット72と74との間で、チューブの近位端の胃壁および布46をしっかりと挟むように締め付けられる。縫合糸は結紮されて切断され、プレジェット72および74は独立した締結を形成する。同じプロセスが、チューブ10の近位端の周囲のいくつかの異なる点で繰り返されて、チューブ10を胃壁にしっかりと固定する。プレジェットは、チューブの近位端が胃壁と密接に動くように取り付けられているので、チューブ10の確実な取付けを提供し、胃の収縮中の摩擦による刺激を回避することができる。その後、チューブ10を胃から取り外すことが所望される場合、縫合糸を切断するために器具を胃に挿入し、胃壁の内面上のプレジェット74を解放し、それによってチューブ10を解放することができる。
【0091】
図13aおよび図13bを参照すると、胃腸管、任意選択的に十二指腸に挿入するためのチューブ10は、チューブの軸方向に少なくとも部分的に延びる少なくとも1つのチャネル46を画定する外面を有する。一形態では、チャネル46は、実質的に軸方向の、例えば溝付き表面の形態であってもよい(図13b)。あるいは、チャネルは、ねじ面の形態の螺旋形状であってもよい(図13a)。チャネル46は、チューブ10の外部に沿って、腸液、例えば膵液が遠心性腸内のように流れることを可能にし、チューブ10と腸組織との接触によって液が閉じ込められることを回避することができる。
【0092】
図14および図15を参照すると、吻合50、例えば胃-空腸吻合を補助するためのチューブ10が示されている。吻合は、例えば、胃の底部と空腸との間であってもよく、または切断された胃と空腸との間(図14に示すように)であってもよい。チューブ10は、任意選択的に、吻合50に固定するためのアンカー20を備えてもよい。アンカーは、上述の特徴のいずれかを含み得る。任意選択的に、アンカーは、図8図10のいずれかの特徴を含むことができる。
【0093】
チューブ10は、膵臓60から生じる膵液(矢印58によって示される)の逆流が吻合50を通過するのを防止または低減するように機能し得る。例えば、チューブ10は、大腸に通じる空腸の部分に配置される。吻合を通過する胃内容物(矢印60)は、大腸に向かう通常の流れ方向に向けられる。空腸内の上流から到着する膵液(矢印58)は、チューブ10の外側に向けられ、したがって吻合59から離れ、また大腸に向けられ、それにより、吻合50を通るこれらの液の逆流の可能性を低減する。
【0094】
チューブ10はまた、胃から離れてチューブ10を通る第1の方向の胃内容物(例えば糜粥)の流れを許容し(矢印62)、チューブ10を通る反対の第2の方向の流れを妨げるように、方向性の流れ特性を有するように構成されてもよい。一方向特性はまた、吻合50を通って胃に向かう空腸ループ54内の腸液、例えば膵液の逆流を阻止することができ、それによって患者の胃の不快感を低減する。
【0095】
チューブの一方向特性は、チューブ10の内部に設けられた少なくとも1つの、任意選択で複数のフラップ56(図15)によって実施されてもよい。フラップは、可撓性および/または緩い環状形状を有してもよく、または個々の弓形セグメントを備えてもよい。フラップ56は、出口に向けられている。第1の方向(矢印62)の流れは、フラップ56をチューブ10の壁に押し付けて流れを許容する。逆方向の流れは、フラップ56をチャネルの中心に向かって内側に押す傾向があり、チューブ10内のチャネルを狭め、したがって流れを妨げる。あるいは、チューブ10自体が、一方向弁機能を実行するために靴下のように崩壊可能であってもよい。第1の方向の流れは、チューブ10を開放して膨張させる。反対の第2の方向の流れは、チューブをそれ自体の上に崩壊させて流れを妨げる。
【0096】
図16および図17を参照すると、糖尿病または肥満を治療するためのさらなる図示の技術は、少なくとも1つの組織貫通固定具80を用いて、胃壁に1つまたは複数のプリーツ82(または人工襞)を作成することによって、胃の自然容積を減少させることを含む。図示の例では、固定具80は、上述したように、T字形の肢端部を有する、任意選択的にU字形の輪郭を有するステープルである。固定具は、例えば、内視鏡技術または腹腔鏡技術によって配置することができる。
【0097】
1つまたは複数のプリーツ82は、一般に、(i)胃の上部から下部へ、および/または(ii)食道から幽門への方向に延びることができる。そのようなプリーツ82は、胃内にほぼスリーブ形状の空洞または通路を形成することができる。
【0098】
図18を参照すると、胃縮小プリーツ82は、チューブ10と組み合わせて、任意選択的に吻合50、例えば胃空腸吻合50と組み合わせて使用することもできる。幽門Pは、閉鎖デバイス84によって閉鎖または栓をすることができる。閉鎖デバイス84は、例えば、幽門括約筋に固定するために、上記の図8図10について説明したものと同様のリングを備えることができる。
【0099】
図19図33は、組織貫通固定具100を使用した幽門Pへのチューブ10の固定のさらなる例を示す。
【0100】
図19および図20を参照すると、各固定具は、一般に、接続要素106を介して連結された頭部102および足部104の形態の2つのエンドピースを備える。頭部102および足部104は、概して非外傷性の形状、例えば丸みを帯びた棒状である。図示の例では、頭部102および足部104は管状であり、導入および展開のためにピースを貫通針108(図21および図22)の周りに運ぶことを可能にする。頭部102および足部104は、任意選択的に形状記憶合金、例えばニチノールで作られた、剛性または半剛性要素であり得る。
【0101】
接続要素106は、剛性または可撓性であり得る。図19の例では、接続要素106はほぼ直線状である。図20の例では、接続要素106は、ばねが伸張されたときに圧縮荷重を生成するための細長いばねの形態を有する。
【0102】
少なくとも頭部102、および任意選択的に足部104は、流線形状で導入するための、頭部(および任意選択的に足部)が接続要素と並んで延在する略非展開構成(図21および図22)にすることができる。展開構成(図19および図20)では、頭部(および任意選択的に足部)は、接続部材の両側で横方向に突出するように動く。
【0103】
図23および図24を参照すると、固定具100を使用して十二指腸チューブ10のリング122を患者の幽門Pに取り付けるための器具120が示されている。
【0104】
器具120は、リングを幽門に導入し、固定具の展開中にリングを保持するために、リング122に取り付けられた複数(例えば、図示の形態では3つ)の第1の細長い支持体124を備える。例えば、第1の細長い支持体124は、縫合糸ループ126によってリング122の内側コアに取り付けられてもよい。縫合糸ループ126は、細長い支持体内を通過することができ、細長い支持体124をリング122から分離することが所望されるときに一端から解放されることができる。
【0105】
器具120は、その自由端に貫通針108をそれぞれ有する複数(例えば、図示の形態では3つ)の第2の細長い支持体128をさらに備える。安全縫合糸138は、第2の細長い支持体内を通過し、固定具100が針108から時期尚早に外れることがないようにするために、固定具100を通ってまたはその周りをループすることができる。
【0106】
器具120は、複数の第1および第2の細長い支持体124および128を受け入れるための管腔を有する多管腔カテーテルシャフト132をさらに備える。第1および第2の支持体124および128は、各第1の細長い支持体124が隣接する2つの第2の細長い支持体128の間に配置されるように周方向に交互に分布してもよく、逆もまた同様である。少なくとも第2の細長い支持体128は、後述するように、針108に組織を貫通させるために、軸方向に延伸した位置と軸方向に後退した位置との間で軸方向に摺動可能である。第1の細長い支持体124はまた、必要に応じて軸方向に摺動可能であってもよい。
【0107】
器具120は、カテーテルシャフト132上を摺動可能な拘束シース134をさらに備える。拘束シース132は、胃を通して十二指腸に導入するために、第1および第2の細長い支持体124,128を半径方向に圧縮された構成(図23)に拘束することができる。拘束シース134の後退は、第1および第2の細長い支持体124および128が、半径方向に拡大した構成(図24)まで外側に離れるまたは広がることを可能にする。第1の細長い支持体124および/または第2の細長い支持体126は、シース134の拘束効果が取り除かれたときに外側に広がるように予め成形されてもよい。拘束シースはまた、送達のために半径方向に圧縮された構成でリング122を抑制するのに役立ち得る。既に上述したものと同様に、リングは、シース134から解放されたときにその動作サイズに拡張可能であり得る。
【0108】
多管腔シャフト132は、チューブ10のための収容空間を画定する中空の内部チャネル136を有する。器具120は、チューブ10の遠位端部を解放可能に把持して制御するためのグリッパ136をさらに備えることができる。
【0109】
図25図32は、器具120を使用して胃を通してチューブ10を導入し取り付けるための手順を示す。図25では、チューブ10およびリング122をそれらの崩壊構成で収容する器具120は、胃Sを通り幽門Pを通って十二指腸D内に前進する。
【0110】
図25を参照すると、グリッパ136をガイドワイヤG上で十二指腸内に前進させることによって、チューブ10の遠位端がシース134から前進する。
【0111】
図27を参照すると、抑制シース134は、シャフト132に対して後退して、チューブ10の近位端部に取り付けられたリング122を解放し、リング122がその機能的に動作可能なサイズに向かって拡張することを可能にする。
【0112】
図28を参照すると、第1の細長い支持体124をわずかに引っ張ることにより、リング122を第1の(十二指腸側の)幽門括約筋組織に対して着座させることができる。シース134をさらに後退させることにより、第2の細長い支持体128が拡張して、固定具100を運ぶ針108を提示することが可能になる。
【0113】
図29を参照すると、固定具を運ぶ針108は、第2の細長い支持体128を遠位に前進または摺動させることによって、幽門括約筋組織を貫通してリング122内に侵入する。図示の例では、固定具の頭部102が反対側に通過するまで、針108もリング122を貫通する。第1の細長い支持体は、針108が前進している間にリング122に対向支持を提供するためにリング122に取り付けられたままであり得る。
【0114】
図30を参照すると、第2の細長い支持体128は部分的に後退し、固定具100の頭部102が横方向に展開し、遠位側からリング122に対して固定することを可能にする。
【0115】
図31を参照すると、第2の細長い支持体128は完全に後退し、固定具の足部104も横方向に展開し、リング122の反対側から幽門括約筋に対して固定することを可能にする。固定具のための安全縫合糸は、針108を固定具100から分離させるために、縫合糸の一端を引っ張ることによって解放されてもよい。
【0116】
最後に、図32において、第1の細長い支持体124がリング122から解放され、リング122が恒久的かつ確実に幽門括約筋に取り付けられたままになる。抑制シース134を前進させて、第1および第2の細長い支持体124および128の露出した端部を覆う非外傷性カバーを提供することができる。
【0117】
図33は、リング122に加えて第2のリング122aを用いて幽門括約筋を両側から挟む第2の例を示している。第2のリング122aは、第2の細長い支持体128によって運ばれおよび/または取り付けられてもよく、第2の細長い支持体128が前進するときに第2のリングが幽門括約筋と接触するように案内されることを可能にする。第2の細長い支持体128がさらに前進すると、針108は第2のリング122aを完全に貫通する。例えば、第2のリング122aは、第1のリング122について既に説明したループ126と同様の縫合ループを使用して取り付けられてもよい。
【0118】
上記の説明は、本発明の例の単なる例示であり、保護の範囲を限定するものではないことが理解されよう。保護は、本明細書および/または図面に開示された任意の新規な特徴または着想について、それに重点が置かれているか否かにかかわらず、主張される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
【国際調査報告】