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特表2024-510854電池、電力消費機器、電池の製造方法及び機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】電池、電力消費機器、電池の製造方法及び機器
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6556 20140101AFI20240305BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240305BHJP
   H01M 10/617 20140101ALI20240305BHJP
   H01M 10/651 20140101ALI20240305BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20240305BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20240305BHJP
   H01M 10/6557 20140101ALI20240305BHJP
【FI】
H01M10/6556
H01M50/204 401H
H01M10/617
H01M10/651
H01M50/209
H01M10/647
H01M10/6557
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529360
(86)(22)【出願日】2022-02-21
(85)【翻訳文提出日】2022-05-19
(86)【国際出願番号】 CN2022077147
(87)【国際公開番号】W WO2023155207
(87)【国際公開日】2023-08-24
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【弁理士】
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ 占宇
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ ▲海▼奇
(72)【発明者】
【氏名】黄 小▲騰▼
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】侯 ▲躍▼攀
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031HH01
5H031HH03
5H031HH08
5H031KK01
5H031KK08
5H040AA27
5H040AS07
5H040AS13
5H040AS14
5H040AS19
5H040AS26
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY04
5H040AY05
5H040AY08
5H040JJ03
5H040NN01
5H040NN05
(57)【要約】
電池、電力消費機器、電池の製造方法及び機器を提供する。該電池は、第1方向に沿って並べられた複数の電池セルと、熱管理部材とを備え、熱管理部材は第1方向に沿って延伸し且つ複数の電池セルのうちの各電池セルの第1壁に接続され、第1壁は電池セルの表面積が最大の壁であり、熱管理部材はランナーを備え、ランナーは流体を収容して電池セルの温度を調節することに用いられ、第2方向は第1壁に垂直であり、第2方向においてランナーのサイズはWであり、電池セルの容量QとランナーのサイズWとは、1.5Ah/mm≦Q/W≦400Ah/mmを満たす。本願の実施例の技術案は、電池のエネルギー密度を向上させるとともに電池の熱管理を確保し、それにより電池の性能を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池(10)であって、
第1方向に沿って並べられた複数の電池セル(20)と、
熱管理部材(101)であって、前記熱管理部材(101)は前記第1方向に沿って延伸し且つ前記複数の電池セル(20)のうちの各電池セル(20)の第1壁(20a)に接続され、前記第1壁(20a)は前記電池セル(20)の表面積が最大の壁であり、前記熱管理部材(101)はランナー(104)を備え、前記ランナー(104)は流体を収容して前記電池セル(20)の温度を調節することに用いられ、第2方向は前記第1壁(20a)に垂直である熱管理部材(101)とを備え、
前記第2方向において前記ランナー(104)のサイズはWであり、前記電池セル(20)の容量Qと前記ランナー(104)のサイズWとは、1.0Ah/mm≦Q/W≦400Ah/mmを満たす、ことを特徴とする電池(10)。
【請求項2】
前記電池セル(20)の前記第2方向に沿ったサイズDと前記熱管理部材(101)の第3方向に沿ったサイズHとは、0.03≦D/H≦5.5を満たし、前記第3方向は前記第1方向及び前記第2方向に垂直である、ことを特徴とする請求項1に記載の電池(10)。
【請求項3】
前記熱管理部材(101)の前記第3方向に沿ったサイズHは15mm~300mmである、ことを特徴とする請求項2に記載の電池(10)。
【請求項4】
前記ランナー(104)のサイズWは0.8mm~50mmである、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の電池(10)。
【請求項5】
前記熱管理部材(101)は前記第2方向に沿って対向して設けられた第1熱伝導性プレート(1011)と第2熱伝導性プレート(1012)を備え、
前記第1熱伝導性プレート(1011)と前記第2熱伝導性プレート(1012)との間にランナー(104)が設けられ、前記ランナー(104)は前記電池セル(20)の温度を調節するための流体を収容することに用いられる、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の電池(10)。
【請求項6】
前記熱管理部材(101)はさらに補強リブ(1013)を備え、前記補強リブ(1013)は前記第1熱伝導性プレート(1011)と前記第2熱伝導性プレート(1012)との間に設けられ、前記補強リブ(1013)、前記第1熱伝導性プレート(1011)及び前記第2熱伝導性プレート(1012)は前記ランナー(104)を形成する、ことを特徴とする請求項5に記載の電池(10)。
【請求項7】
前記補強リブ(1013)と前記第1熱伝導性プレート(1011)又は前記第2熱伝導性プレート(1012)との夾角は鋭角である、ことを特徴とする請求項6に記載の電池(10)。
【請求項8】
前記電池セル(20)は、前記第2方向に対向して設けられた2つの前記第1壁(20a)と、前記第1方向に対向して設けられた2つの第2壁(20b)とを備え、前記第1方向において、隣接する2つの前記電池セル(20)の前記第2壁(20b)は対向する、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の電池(10)。
【請求項9】
前記電池は、前記第1方向に沿って並べられた複数列の複数の前記電池セル(20)と複数の前記熱管理部材(101)とを備え、複数列の前記電池セル(20)と複数の前記熱管理部材(101)は前記第2方向に交互に設けられる、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の電池(10)。
【請求項10】
前記熱管理部材(101)は前記第1壁(20a)に接着されている、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の電池(10)。
【請求項11】
電力消費機器であって、請求項1~10のいずれか1項に記載の電池(10)を備え、前記電池(10)は電気エネルギーを提供することに用いられる、ことを特徴とする電力消費機器。
【請求項12】
電池の製造方法(300)であって、
第1方向に沿って並べられた複数の電池セル(20)を提供するステップ(310)と、
熱管理部材(101)を提供するステップ(320)であって、前記熱管理部材(101)は前記第1方向に沿って延伸し且つ前記複数の電池セル(20)のうちの各電池セル(20)の第1壁(20a)に接続され、前記第1壁(20a)は前記電池セル(20)の表面積が最大の壁であり、前記熱管理部材(101)はランナー(104)を備え、前記ランナー(104)は流体を収容して前記電池セル(20)の温度を調節することに用いられ、第2方向は前記第1壁(20a)に垂直であるステップ(320)とを含み、
前記第2方向において前記ランナー(104)のサイズはWであり、前記電池セル(20)の容量Qと前記ランナー(104)のサイズWとは、1.0Ah/mm≦Q/W≦400Ah/mmを満たす、ことを特徴とする電池の製造方法(300)。
【請求項13】
電池の製造機器(400)であって、
第1方向に沿って並べられた複数の電池セル(20)を提供するための第1提供モジュール(410)と、
第2提供モジュール(420)であって、前記第2提供モジュールは熱管理部材(101)を提供することに用いられ、前記熱管理部材(101)は前記第1方向に沿って延伸し且つ前記複数の電池セル(20)のうちの各電池セル(20)の第1壁(20a)に接続され、前記第1壁(20a)は前記電池セル(20)の表面積が最大の壁であり、前記熱管理部材(101)はランナー(104)を備え、前記ランナー(104)は流体を収容して前記電池セル(20)の温度を調節することに用いられ、第2方向は前記第1壁(20a)に垂直である第2提供モジュール(420)とを備え、
前記第2方向において前記ランナー(104)のサイズはWであり、前記電池セル(20)の容量Qと前記ランナー(104)のサイズWとは、1.0Ah/mm≦Q/W≦400Ah/mmを満たす、ことを特徴とする電池の製造機器(400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は電池の技術分野に関し、特に電池、電力消費機器、電池の製造方法及び機器に関する。
【背景技術】
【0002】
環境汚染の深刻化に伴って、新エネルギー産業はますます注目を集めている。新エネルギー産業では、電池技術はその発展に関わる重要な要素である。
【0003】
電池のエネルギー密度は電池の性能における1つの重要なパラメータであり、しかしながら、電池のエネルギー密度を向上させる際に、電池の他の性能パラメータを考慮する必要がある。従って、電池の性能をどのように向上させるかは、電池技術で急いで解決する必要がある技術的課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は電池、電力消費機器、電池の製造方法及び機器を提供し、電池のエネルギー密度を向上させるとともに電池の熱管理を確保することができ、それにより電池の性能を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様によれば、電池を提供し、第1方向に沿って並べられた複数の電池セルと、熱管理部材であって、前記熱管理部材は前記第1方向に沿って延伸し且つ前記複数の電池セルのうちの各電池セルの第1壁に接続され、前記第1壁は前記電池セルの表面積が最大の壁であり、前記熱管理部材はランナーを備え、前記ランナーは流体を収容して前記電池セルの温度を調節することに用いられ、前記第2方向は前記第1壁に垂直である熱管理部材とを備え、前記第2方向において前記ランナーのサイズはWであり、前記電池セルの容量Qと前記ランナーのサイズWとは、1.0Ah/mm≦Q/W≦400Ah/mmを満たす。
【0006】
本願の実施例では、電池において、熱管理部材は第1方向に沿って並べられた1列の複数の電池セルのうちの各電池セルの表面積が最大の第1壁に接続されるように設けられ、且つ第2方向において熱管理部材のランナーのサイズWと電池セルの容量Qとは1.0Ah/mm≦Q/W≦400Ah/mmを満たす。このようにして、電池のボックスの中部にビーム等の構造を設ける必要がなくなり、電池内部のスペースの利用率を最大限に向上させることができ、それにより電池のエネルギー密度を向上させ、また、上記熱管理部材を使用することで、さらに電池の熱管理を確保することができる。従って、本願の実施例の技術案は電池のエネルギー密度を向上させるとともに電池の熱管理を確保することができ、それにより電池の性能を向上させることができる。
【0007】
1つの可能な実施形態では、前記電池セルの前記第2方向に沿ったサイズDと前記熱管理部材の第3方向に沿ったサイズHとは、0.03≦D/H≦5.5を満たし、前記第3方向は前記第1方向及び前記第2方向に垂直である。このようにして、異なるサイズの電池セルに対して熱管理部材のサイズを柔軟に設定することができ、エネルギー密度の要件を満たすだけでなく、電池セル間の熱拡散を良好に防止することができる。
【0008】
1つの可能な実施形態では、前記熱管理部材の前記第3方向に沿ったサイズHは15mm~300mmである。このようにして、スペース、強度及び熱管理を同時に配慮することができ、電池の性能を確保する。
【0009】
1つの可能な実施形態では、前記ランナーのサイズWは0.8mm~50mmである。このようにして、スペース、強度及び熱管理を同時に配慮することができ、電池の性能を確保する。
【0010】
1つの可能な実施形態では、前記熱管理部材は前記第2方向に沿って対向して設けられた第1熱伝導性プレートと第2熱伝導性プレートを備え、前記第1熱伝導性プレートと前記第2熱伝導性プレートとの間にランナーが設けられ、前記ランナーは前記電池セルの温度を調節するための流体を収容することに用いられる。
【0011】
1つの可能な実施形態では、前記熱管理部材はさらに補強リブを備え、前記補強リブは前記第1熱伝導性プレートと前記第2熱伝導性プレートとの間に設けられ、前記補強リブ、前記第1熱伝導性プレート及び前記第2熱伝導性プレートは前記ランナーを形成する。このようにして、熱管理部材の構造強度を高めることができる。
【0012】
1つの可能な実施形態では、前記補強リブと前記第1熱伝導性プレート又は前記第2熱伝導性プレートとの夾角は鋭角である。このようにして、第2方向において、熱管理部材は大きな圧縮スペースを有することができ、それにより電池セルにより大きな膨張スペースを提供することができる。
【0013】
1つの可能な実施形態では、前記電池セルは、第2方向に対向して設けられた2つの前記第1壁と、前記第1方向に対向して設けられた2つの第2壁とを備え、前記第1方向において、隣接する2つの前記電池セルの前記第2壁は対向する。このようにして、面積が大きい第1壁を熱管理部材に接続することで、電池セルの熱交換に有利であり、電池の性能を確保する。
【0014】
1つの可能な実施形態では、前記電池は、前記第1方向に沿って並べられた複数列の複数の前記電池セルと複数の前記熱管理部材とを備え、複数列の前記電池セルと複数の前記熱管理部材は前記第2方向に交互に設けられる。このようにして、複数列の電池セルと複数の熱管理部材は互いに接続されて一体となり、ボックス内に収容され、各列の電池セルに対して効果的な熱管理を行うことができるとともに、電池全体の構造強度を確保することができ、それにより電池の性能を向上させることができる。
【0015】
1つの可能な実施形態では、前記熱管理部材は前記第1壁に接着されている。このようにして、熱管理部材と第1壁との間の接続強度が増加する。
【0016】
第2態様によれば、上記第1態様又は第1態様のいずれかの可能な実施形態における電池を備える電力消費機器を提供し、前記電池は電気エネルギーを提供することに用いられる。
【0017】
第3態様によれば、電池の製造方法を提供し、第1方向に沿って並べられた複数の電池セルを提供するステップと、熱管理部材を提供するステップであって、前記熱管理部材は前記第1方向に沿って延伸し且つ前記複数の電池セルのうちの各電池セルの第1壁に接続され、前記第1壁は前記電池セルの表面積が最大の壁であり、前記熱管理部材はランナーを備え、前記ランナーは流体を収容して前記電池セルの温度を調節することに用いられ、前記第2方向は前記第1壁に垂直であるステップとを含み、前記第2方向において前記ランナーのサイズはWであり、前記電池セルの容量Qと前記ランナーのサイズWとは、1.0Ah/mm≦Q/W≦400Ah/mmを満たす。
【0018】
第4態様によれば、上記第3態様の方法を実行するモジュールを備える電池の製造機器を提供する。
【0019】
本願の実施例の技術案によれば、電池において、熱管理部材は第1方向に沿って並べられた1列の複数の電池セルのうちの各電池セルの表面積が最大の第1壁に接続されるように設けられ、且つ第2方向において熱管理部材のランナーのサイズWと電池セルの容量Qとは1.0Ah/mm≦Q/W≦400Ah/mmを満たす。このようにして、電池のボックスの中部にビーム等の構造を設ける必要がなくなり、電池内部のスペースの利用率を最大限に向上させることができ、それにより電池のエネルギー密度を向上させ、また、上記熱管理部材を使用することで、さらに電池の熱管理を確保することができる。従って、本願の実施例の技術案は電池のエネルギー密度を向上させるとともに電池の熱管理を確保することができ、それにより電池の性能を向上させることができる。
【0020】
本願の実施例の技術案をより明瞭に説明するために、以下、本願の実施例に必要な図面を簡単に説明し、明らかなように、以下に説明された図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労働をせずに図面に基づき他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本願の一実施例の車両の模式図である。
図2】本願の一実施例の電池の模式図である。
図3】本願の一実施例の電池セルの模式図である。
図4】本願の一実施例の電池の模式図である。
図5】本願の一実施例の電池の模式図である。
図6】本願の一実施例の電池セルと熱管理部材が接続された模式図である。
図7図6におけるA-A方向に沿った断面図である。
図8図7におけるB領域の拡大模式図である。
図9】本願の一実施例の電池の模式図である。
図10】本願の一実施例の電池の製造方法の模式図である。
図11】本願の一実施例の電池の製造機器の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面において、図は実際の縮尺で描かれていない。
【0023】
発明を実施するための形態
以下、図面及び実施例を参照しながら本願の実施形態をさらに詳細に説明する。以下の実施例の詳細な説明及び図面は本願の原理を例示的に説明するために使用され、本願の範囲を制限するものではなく、すなわち、本願は説明されている実施例に限定されない。
【0024】
本願の説明において、説明する必要がある点として、特に断らない限り、使用される技術用語及び科学用語はすべて当業者が通常理解する意味と同じであり、使用される用語は具体的な実施例を説明するためのものに過ぎず、本願を制限するものではなく、本願の明細書、特許請求の範囲及び上記図面の簡単な説明における用語「含む」、「有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図する。「複数」は2つ以上を意味し、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」等の用語によって示される方位又は位置関係は、本願を説明しやすくし説明を簡略化させるためのものに過ぎず、示される装置又は素子が必ずしも特定の方位を有し、特定の方位で構成及び操作されることを指示又は暗示するものではなく、従って、本願を制限しないと理解すべきである。また、「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、相対的な重要性を指示又は暗示するものではなく、説明するためのものに過ぎない。「垂直」は厳密には垂直ではなく、誤差許容範囲内のものである。「平行」は厳密には平行ではなく、誤差許容範囲内のものである。
【0025】
本願に言及される「実施例」は、実施例と組み合わせて説明された特定の特徴、構造又は特性が本願の少なくとも1つの実施例に含まれてもよいことを意味する。明細書の異なる位置に現れる該語句は必ずしも同じ実施例を指すわけではなく、他の実施例と互いに排他的に独立した又は代替の実施例でもない。当業者は、本願において説明される実施例が他の実施例と組み合わせることができることを明示的又は暗黙的に理解できる。
【0026】
以下の説明に出現する方位語はいずれも図示されている方向であり、本願の具体的な構造を限定するものではない。本願の説明において、さらに説明する必要がある点として、特に明確な規定及び限定がない限り、用語「取付」、「連結」、「接続」は、広義に理解すべきであり、例えば、固定して接続されてもよく、取り外し可能に接続され、又は一体的に接続されてもよい。直接連結されてもよく、中間媒体を介して間接的に連結されてもよく、2つの素子の内部の連通であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本願での具体的な意味を理解することができる。
【0027】
本願における「及び/又は」という用語は、関連対象の関連関係を説明するためのものに過ぎず、3つの関係が存在することを示し、例えば、A及び/又はBは、Aが単独で存在すること、AとBが同時に存在すること、Bが単独で存在することの3つの状況を示すことができる。また、本願における「/」という文字は、一般的に前後の関連対象が「又は」の関係であることを示す。
【0028】
本願では、電池セルは、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池、又はマグネシウムイオン電池等を含んでもよく、本願の実施例はこれについて限定しない。電池セルは、円筒状、扁平状、直方体又は他の形状等であってもよく、同様に、本願の実施例はこれについて限定しない。電池セルは、一般的に、パッケージ方式に従って、円筒形電池セル、角形電池セル及びソフトパック電池セルの3種類に分けられ、同様に、本願の実施例はこれについて限定しない。
【0029】
本願の実施例に言及される電池は、より高い電圧及び容量を提供するように1つ又は複数の電池セルを備える単一の物理モジュールである。例えば、本願に言及される電池は電池パック等を含んでもよい。電池は、一般的に、1つ又は複数の電池セルをパッケージするためのボックスを備える。ボックスは、液体や他の異物が電池セルの充電又は放電に悪影響を与えることを回避することができる。
【0030】
電池セルは電極アセンブリ及び電解液を備え、電極アセンブリは正極板、負極板及び隔膜からなる。電池セルは主に正極板と負極板との間での金属イオンの移動に依存して動作する。正極板は正極集電体及び正極活物質層を備え、正極活物質層は正極集電体の表面に塗布され、正極活物質層が塗布されていない集電体は正極活物質層が塗布されている集電体よりも突出し、正極活物質層が塗布されていない集電体は正極タブとして使用される。リチウムイオン電池を例として、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質は、コバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウム等であってもよい。負極板は負極集電体及び負極活物質層を備え、負極活物質層は負極集電体の表面に塗布され、負極活物質層が塗布されていない集電体は負極活物質層が塗布されている集電体よりも突出し、負極活物質層が塗布されていない集電体は負極タブとして使用される。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質はカーボン又はシリコン等であってもよい。溶断が発生せずに高電流が流れることを確保するために、正極タブは、複数であり、且つ一体に積層され、負極タブは、複数であり、且つ一体に積層される。隔膜の材質はポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)等であってもよい。また、電極アセンブリは、巻回型構造であってもよく、積層型構造であってもよく、本願の実施例はこれらに限定されない。
【0031】
様々な電力需要を満たすために、電池は複数の電池セルを備えてもよく、複数の電池セル同士は直列接続又は並列接続又は直並列接続であってもよく、直並列接続とは、直列接続と並列接続との組合せである。選択可能に、複数の電池セルはまず直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池モジュールを構成し、次に、複数の電池モジュールは直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池を構成するようにしてもよい。つまり、複数の電池セルは電池を直接構成してもよく、又は、まず電池モジュールを構成し、次に、電池モジュールが電池を構成することもよい。電池はさらに電力消費機器に設けられ、電力消費機器に電気エネルギーを提供する。
【0032】
電池技術の発展は、例えば、エネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電レート、安全性等の様々な設計要素を同時に考慮する必要がある。電池内部のスペースが一定である場合、電池内部のスペースの利用率を向上させることは、電池のエネルギー密度を向上させる効果的な手段である。しかしながら、電池内部のスペースの利用率を向上させると同時に、電池の他のパラメータ、例えば、電池の熱管理等を考慮する必要がある。
【0033】
電池セルの使用中で、大量の熱が発生し、熱が速やかに放散することができないと、これらの熱は継続的に蓄積して増え、その結果、熱暴走が発生し、発煙、発火、爆発等の安全トラブルは発生する。また、長時間にわたって温度が深刻に不均一であると、電池の寿命を大幅に低減させる。さらに、温度が非常に低いと、電池の放電効率は非常に低く、低温での始動も困難になり、電池の正常な使用に悪影響を与える。従って、電池の熱管理の需要をどのように確保するかは非常に重要である。
【0034】
これに鑑みて、本願の実施例は技術案を提供し、電池において、熱管理部材は第1方向に沿って並べられた1列の複数の電池セルのうちの各電池セルの表面積が最大の第1壁に接続されるように設けられ、熱管理部材はランナーを備え、第2方向において、ランナーのサイズはWであり、電池セルの容量Qとは、1.0Ah/mm≦Q/W≦400Ah/mmを満たす。このようにして、電池のボックスの中部にビーム等の構造を設ける必要がなくなり、電池内部のスペースの利用率を最大限に向上させることができ、それにより電池のエネルギー密度を向上させる。また、上記熱管理部材を使用することで、さらに電池セル間の熱拡散を防止することができる。従って、本願の実施例の技術案は電池のエネルギー密度を向上させるとともに電池の熱管理を確保することができ、それにより電池の性能を向上させることができる。
【0035】
本願の実施例で説明される技術案はいずれも電池を使用する様々な装置に適用でき、例えば、携帯電話、携帯機器、ノートパソコン、電動自転車、電気玩具、電動工具、電気車両、船及び宇宙機等に適用でき、例えば、宇宙機は飛行機、ロケット、スペースシャトル及び宇宙船等を含む。
【0036】
理解できるように、本願の実施例で説明される電池は上記説明された機器に適用できるだけでなく、電池を使用するすべての機器に適用でき、簡潔にするために、以下の実施例はいずれも電気車両を例として説明される。
【0037】
例えば、図1に示すように、本願の一実施例の車両1の構造模式図であり、車両1は、燃料自動車、ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、純粋な電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー式電気自動車等であってもよい。車両1の内部にモータ40、コントローラ30及び電池10が設けられてもよく、コントローラ30は電池10がモータ40に給電するように制御することに用いられる。例えば、車両1の底部又は前部又は尾部に電池10が設けられてもよい。電池10は車両1の給電に使用でき、例えば、電池10は車両1の操作電源として使用でき、車両1の回路システムに用いられ、例えば、車両1の始動、ナビゲーション及び運転時の動作電力需要に用いられる。本願の別の実施例では、電池10は車両1の操作電源として使用できるだけでなく、車両1の駆動電源として使用され、ガソリン又は天然ガスを代替又は部分的に代替して車両1に駆動動力を提供することができる。
【0038】
様々な電力使用需要を満たすために、電池10は複数の電池セルを備えてもよい。例えば、図2に示すように、本願の一実施例の電池10の構造模式図であり、電池10は複数の電池セル20を備えてもよい。電池10はさらにボックス11を備えてもよく、ボックス11の内部は中空構造であり、複数の電池セル20はボックス11内に収容される。例えば、複数の電池セル20は互いに並列接続又は直列接続又は直並列接続されて組み合わせた後に、ボックス11内に配置される。
【0039】
選択可能に、電池10はさらに他の構造を備えてもよく、ここで詳細な説明は省略する。例えば、該電池10はさらにバス部材を備えてもよく、バス部材は複数の電池セル20同士の電気的接続、例えば並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現することに用いられる。具体的には、バス部材は電池セル20の電極端子を接続することにより電池セル20同士の電気的接続を実現することができる。さらに、バス部材は溶接によって電池セル20の電極端子に固定することができる。複数の電池セル20の電気エネルギーはさらに導電機構を介してボックスを通過して導出することができる。選択可能に、導電機構はバス部材に属してもよい。
【0040】
様々な電力需要に応じて、電池セル20の数は任意の値に設定されてもよい。複数の電池セル20は直列接続、並列接続又は直並列接続の方式で接続されて大きな容量又は電力を実現することができる。各電池10に含まれる電池セル20の数が多い可能性があるため、取り付けを容易にするために、電池セル20をグループ分けして設置し、各グループの電池セル20は電池モジュールを構成することができる。電池モジュールに含まれる電池セル20の数は制限されず、需要に応じて設定されてもよい。電池は複数の電池モジュールを備えてもよく、それらの電池モジュールは直列接続、並列接続又は直並列接続の方式で接続することができる。
【0041】
図3に示すように、本願の一実施例の電池セル20の構造模式図であり、電池セル20は1つ又は複数の電極アセンブリ22、ハウジング211及びカバープレート212を備える。ハウジング211とカバープレート212はケーシング又は電池ケース21を形成する。ハウジング211の壁とカバープレート212はいずれも電池セル20の壁と呼ばれ、直方体状の電池セル20の場合、ハウジング211の壁は底壁及び4つの側壁を含む。ハウジング211は1つ又は複数の電極アセンブリ22が組み合わせられた後の形状に応じて決定され、例えば、ハウジング211は中空の直方体又は立方体又は円柱体であってもよく、且つハウジング211の1つの面に開口部があり、それにより1つ又は複数の電極アセンブリ22をハウジング211内に配置することができる。例えば、ハウジング211は中空の直方体又は立方体である場合に、ハウジング211の1つの平面は開口面であり、すなわち該平面に壁がないことでハウジング211の内部と外部を連通させる。ハウジング211は中空の円柱体である場合に、ハウジング211の端面は開口面であり、すなわち該端面に壁がないことでハウジング211の内部と外部を連通させる。カバープレート212は開口部をカバーし且つハウジング211と接続されて、電極アセンブリ22を配置するための密閉キャビティを形成する。ハウジング211内に電解質、例えば電解液が充填される。
【0042】
該電池セル20はさらに2つの電極端子214を備えてもよく、2つの電極端子214はカバープレート212に設けられてもよい。カバープレート212は一般的にはフラット形状であり、2つの電極端子214はカバープレート212のフラット面に固定され、2つの電極端子214はそれぞれ正極端子214a及び負極端子214bである。各電極端子214にそれぞれ1つの接続部材23が対応して設けられ、接続部材23は集電部材23とも呼ばれてもよく、カバープレート212と電極アセンブリ22との間に位置し、電極アセンブリ22と電極端子214の電気的接続を実現することに用いられる。
【0043】
図3に示すように、各電極アセンブリ22は第1タブ221aと第2タブ222aを有する。第1タブ221aと第2タブ222aの極性は反対である。例えば、第1タブ221aは正極タブである場合に、第2タブ222aは負極タブである。1つ又は複数の電極アセンブリ22の第1タブ221aは1つの接続部材23を介して1つの電極端子に接続され、1つ又は複数の電極アセンブリ22の第2タブ222aは別の接続部材23を介して別の電極端子に接続される。例えば、正極端子214aは1つの接続部材23を介して正極タブに接続され、負極端子214bは別の接続部材23を介して負極タブに接続される。
【0044】
該電池セル20において、実際の使用需要に応じて、電極アセンブリ22は1つ、又は複数設けられてもよく、図3に示すように、電池セル20内に4つの独立した電極アセンブリ22が設けられる。
【0045】
電池セル20に圧力解放機構213がさらに設けられてもよい。圧力解放機構213は、電池セル20の内部圧力又は温度が閾値になった場合に動作して内部圧力又は温度を解放することに用いられる。
【0046】
圧力解放機構213は様々な可能な圧力解放構造であってもよく、本願の実施例はこれについて限定しない。例えば、圧力解放機構213は感温圧力解放機構であってもよく、感温圧力解放機構は圧力解放機構213が設けられた電池セル20の内部温度が閾値になった場合に溶融できるように構成され、及び/又は、圧力解放機構213は感圧圧力解放機構であってもよく、感圧圧力解放機構は圧力解放機構213が設けられた電池セル20の内部気圧が閾値になった場合に破裂できるように構成される。
【0047】
図4は本願の一実施例における電池の構造模式図である。図4に示すように、電池10は第1方向に沿って並べられた複数の電池セル20と熱管理部材101とを備える。熱管理部材101は第1方向に沿って延伸し且つ複数の電池セル20のうちの各電池セル20の第1壁20aに接続され、第1壁20aは電池セル20の表面積が最大の壁である。熱管理部材101はランナー104を備え、ランナー104は電池セル20の温度を調節するための流体を収容することに用いられ、第2方向は第1壁20aに垂直である。第2方向においてランナー104のサイズはWであり、電池セルの容量QとランナーのサイズWとは、1.0Ah/mm≦Q/W≦400Ah/mmを満たす。
【0048】
ランナー104は熱管理部材101の一対の熱伝導性プレートで形成されてもよく、第2方向に沿ったランナーのサイズWは熱伝導性プレートの内壁間の第2方向に沿った距離であってもよい。ランナー104のサイズWが大きいほど、ランナー104の容積は大きくなり、ランナー104内を流れることができる流体の体積は大きくなり、従って、電池セル20と熱管理部材101との間の熱伝達は速くなる。例えば、該熱管理部材101は水冷プレートである場合、ランナー104のサイズWが大きいほど、電池セル20の熱の放散は速くなり、従って電池セル20の降温はより速くなり、電池セル20の熱が隣接する電池セル20に拡散することを防止することができる。選択可能に、流体は循環的に流れるものであってもよく、それにより、より良好な温度調節の効果を実現する。選択可能に、流体は水、水とエタノールとの混合液、冷媒又はエア等であってもよい。
【0049】
図5は本願の一実施例の電池の構造模式図であり、図5に示すように、熱管理部材101と複数の電池セル20はすべて第1方向、すなわちx方向に沿って延伸し、且つ熱管理部材101は各電池セル20の第1壁20aに接続され、すなわち、第1壁20aは熱管理部材101に面する。このようにして、電池セル20の熱は熱管理部材101に伝達し且つランナー104内の流体によって奪われることが可能になり、電池セル20の温度に対する制御を実現し、例えば、電池セル20の降温を実現する。
【0050】
選択可能に、第1方向に沿って、熱管理部材101の長さは同じ列のすべての電池セル20の長さの総和に等しく、このように、電池セル20を十分に冷却するとともに熱管理部材101の占有したスペースを減少することができる。他の実施例において、熱管理部材101の長さはすべての電池セル20の長さの総和以下であってもよく、実際の需要に応じて具体的に設定することができ、本願の実施例はこれについて限定しない。
【0051】
熱管理部材101のランナー104のサイズWと電池セル20の容量Qとは、1.0Ah/mm≦Q/W≦400Ah/mmを満たす。温度が高すぎる電池セル20を迅速に冷却して降温させることにより、該電池セル20の熱が隣接する電池セル20に拡散して伝達し、隣接する電池セル20の温度が高くなり過ぎることを防止することができる。
【0052】
Q/W>400Ah/mmの場合、ランナー104のサイズWが小さく、ランナー104内を流れることができる流体の体積は小さく、電池セル20を速やかに冷却することができない。このようにして、ある電池セル20の温度が高すぎる場合、該電池セル20を速やかに冷却しないので、該電池セル20の熱は隣接する電池セル20に拡散し、その結果、隣接する電池セル20の温度は高くなりすぎ、異常が発生し、電池10全体の性能に悪影響を与える。
【0053】
Q/W<1.0Ah/mmの場合、ランナー104のサイズWが大きく、ランナー104内を流れることができる流体の体積は大きく、電池セル20を十分に冷却することができる。しかし、ランナー104のサイズが大きいと、熱管理部材101の占有したスペースは大きくなり、電池10のエネルギー密度を確保することができず、また、熱管理部材101の体積が大きすぎると、コストが増加する。
【0054】
本願の実施例では、熱管理部材101は第1方向に沿って並べられた同じ列の複数の電池セル20のうちの各電池セル20の表面積が最大の第1壁20aに接続され、且つランナー104のサイズWと電池セル20の容量Qとは、1.0Ah/mm≦Q/W≦400Ah/mmを満たす。電池のボックスの中部にビーム等の構造を設ける必要がなくなり、電池内部のスペースの利用率を最大限に向上させることができ、それにより電池のエネルギー密度を向上させる。また、上記熱管理部材を使用することで、さらに電池の熱管理を確保することができる。従って、本願の実施例の技術案は電池のエネルギー密度を向上させるとともに電池の熱管理を確保することができ、それにより電池の性能を向上させることができる。
【0055】
図6は本願の一実施例の電池セルと熱管理部材が接続された構造模式図である。図7図6におけるA-A方向に沿った断面図であり、図8図7におけるB領域の拡大模式図である。選択可能に、本願の一実施例では、図6図8に示すように、電池セル20の第2方向に沿ったサイズDと熱管理部材101の第3方向に沿ったサイズHとは、0.03≦D/H≦5.5を満たし、第3方向は第1方向及び第2方向に垂直である。
【0056】
電池セル20の第2方向に沿ったサイズDは電池セル20の厚さDであってもよく、電池セル20の厚さDと電池セル20の容量Qは関連付けられ、厚さDが大きいほど、容量Qは大きくなる。
【0057】
熱管理部材101の第3方向に沿ったサイズHは熱管理部材101のz方向に沿った高さHであってもよく、Hが大きいほど、熱管理部材101の体積は大きくなり、占有したスペースは大きくなる一方、熱管理能力は強くなる。例えば、熱管理部材101が水冷プレートである場合、Hが大きいほど、電池セル20に対する冷却能力は強くなり、電池セル20の熱が隣接する電池セル20に拡散することをより効果的な防止することができる。
【0058】
D/H<0.03の場合、熱管理部材101の第3方向に沿ったサイズHは大きく、電池セル20の熱拡散を防止する要件を十分に満たすことができるが、電池10のエネルギー密度の要件を満たすことは困難であり、また、熱管理部材101の体積が大きいと、生産コストの低減は引き起こされる。
【0059】
D/H>5.5の場合、熱管理部材101が電池セル20の熱管理の需要を満たすことが困難であり、すなわち電池セル20の熱を速やかに奪うことができず、その結果、該熱が隣接する電池セル20に拡散してしまい、他の電池セル20の温度は異常になり、さらに電池10の性能に悪影響を与える。
【0060】
選択可能に、本願の一実施例では、熱管理部材101の第3方向に沿ったサイズHは15mm~300mmである。このようにして、熱管理部材101は強度と熱管理性能の需要を同時に満たすことができる。
【0061】
選択可能に、本願の一実施例では、ランナー104のサイズWは0.8mm~50mmである。このようにして、強度と熱管理性能の需要を同時に満たすことができる。
【0062】
選択可能に、本願の一実施例では、熱管理部材101は第2方向に沿って対向して設けられた第1熱伝導性プレート1011と第2熱伝導性プレート1012を備え、第1熱伝導性プレート1011と第2熱伝導性プレート1012との間にランナー104が設けられ、該ランナー104は電池セル20の温度を調節するための流体を収容することに用いられる。
【0063】
第1熱伝導性プレート1011と第2熱伝導性プレート1012は第1方向に沿って延伸し且つ第2方向に対向して設けられる。このようにして、第2方向に沿って、第1熱伝導性プレート10011と第2熱伝導性プレート1012との間の空洞部はランナー104を形成する。
【0064】
選択可能に、本願の一実施例では、熱管理部材101はさらに補強リブ1013を備え、補強リブ1013は第1熱伝導性プレート1011と第2熱伝導性プレート1012との間に設けられ、補強リブ1013、第1熱伝導性プレート1011及び第2熱伝導性プレート1012は前記ランナー104を形成する。このようにして、熱管理部材101の構造強度を高めることができる。
【0065】
選択可能に、補強リブ1013の数は1つであり、このようにして、第1熱伝導性プレート1011と第2熱伝導性プレート1012との間に1つ又は2つのランナー104を形成することができる。補強リブ1013は第1熱伝導性プレート1011又は第2熱伝導性プレート1012のみに接続される場合、補強リブ1013は一端が熱伝導性プレートに接続されたカンチレバーであり、このとき、1つのみのランナー104は形成され、補強リブ1013が第1熱伝導性プレート1011及び第2熱伝導性プレート1012に接続される場合、2つのランナー104は形成される。補強リブ1013の数は需要に応じて具体的に設定することができ、本願の実施例はこれについて限定しない。
【0066】
選択可能に、ランナー104の数が複数である場合、異なるランナー104同士は互いに独立してもよく、継ぎ手を介して連通してもよい。
【0067】
選択可能に、補強リブ1013は第1方向に沿って延伸し、補強リブと第1熱伝導性プレート1011又は第2熱伝導性プレート1012との夾角は直角である。この場合に、熱管理部材101は大きな圧力に耐えることができる。
【0068】
選択可能に、本願の一実施例では、補強リブ1013と第1熱伝導性プレート1011又は前記第2熱伝導性プレート1012との夾角は鋭角である。このようにして、熱管理部材101は第2方向において大きな圧縮スペースを有することができ、電池セル20により大きな膨張スペースを提供することができる。
【0069】
選択可能に、本願の一実施例では、電池セル20は、第2方向に対向して設けられた2つの第1壁20aと、第1方向に対向して設けられた2つの第2壁20bとを備え、第1方向において、隣接する2つの電池セル20の第2壁20bは対向する。例えば、電池セル20は、第1壁20a、第2壁20b、及び第3壁を備え、第1壁20a、第2壁20b及び第3壁は互いに隣接し、第1壁20aの表面積は第2壁20bの表面積よりも大きく、第3壁のうちの1つは電池セルの天面としてボックスの底部から離れるように設けられ、もう1つは電池セルの底面としてボックスの底部に面するように設けられる。
【0070】
図9は本願の一実施例の電池の構造模式図であり。選択可能に、本願の一実施例では、図9に示すように、電池10は、第1方向に沿って並べられた複数列の複数の電池セル20と複数の熱管理部材101とを備え、複数列の電池セル20と複数の熱管理部材101は第2方向に交互に設けられる。
【0071】
電池10は、ボックス11と、複数列の電池セル20と、複数の熱管理部材101と、パイプ103と、集電体102とを備える。集電体102とパイプ103は熱管理部材101の第1方向に沿った両端に設けられ、流体はパイプ103によって集電体102に運ばれ、さらに集電体102によって集められて熱管理部材101に運ばれ、それにより電池セル20を冷却する。
【0072】
複数列の電池セル20と複数の熱管理部材101は第2方向に交互に設けられ、第2方向に沿って、電池セル-熱管理部材-電池セルの方式で並べられてもよく、又は熱管理部材-電池セル-熱管理部材の方式で並べられてもよい。前者の並べ方式では、電池セル20の列数はN、熱管理部材101の個数はN-1であり、この並べ方式で構成された電池10のエネルギー密度はより高い。後者の並べ方式では、電池セル20の列数はN、熱管理部材101の個数はN+1であり、この並べ方式で構成された電池10の熱管理性能はよりよく、電池セル20の冷却速度はより速い。上記2種類の並べ方式はすべて電池10のエネルギー密度を確保する前提で、電池セル20を速やかに冷却し、電池セル20の熱が隣接する電池セル20に拡散することを効果的に防止することができる。
【0073】
選択可能に、電池10において、電池セル20の第1壁20aの冷却又は加熱を実現できる限り、さらに熱管理部材-電池セル-電池セル-熱管理部材の方式で並べてもよく、本願の実施例はこれについて限定しない。
【0074】
選択可能に、本願の一実施例では、熱管理部材101は第1壁20aに接着されている。このようにして、熱管理部材101と第1壁20aとの間の固定強度を向上させる。
【0075】
選択可能に、熱管理部材101はまた、第1壁20aに当接することにより、隣接する列の電池セル20又はボックス11の側壁と電池セル20との間に挟持されてもよい。
【0076】
理解できるように、本願の各実施例における関連部分は互いに参照することができ、簡潔にするために詳細な説明は省略する。
【0077】
本願の一実施例はさらに電力消費機器を提供し、該電力消費機器は上記実施例における電池10を備えてもよい。選択可能に、該電力消費機器は車両1、船又は宇宙機等であってもよいが、本願の実施例はこれについて限定しない。
【0078】
上記で本願の実施例の電池10と電力消費機器を説明しており、以下、本願の実施例の電池の製造方法及び機器を説明し、ここで詳細に説明されていない部分は上記各実施例を参照できる。
【0079】
図10は本願の一実施例の電池の製造方法300の模式的なフローチャートを示す。図10に示すように、該方法300はステップ310~ステップ320を含んでもよい。
【0080】
ステップ310では、第1方向に沿って並べられた複数の電池セル20を提供する。
【0081】
ステップ320では、熱管理部材101を提供し、該熱管理部材101は第1方向に沿って延伸し且つ複数の電池セル20のうちの各電池セル20の第1壁20aに接続され、第1壁20aは電池セル20の表面積が最大の壁であり、熱管理部材はランナー104を備え、ランナー104は流体を収容して電池セル20の温度を調節することに用いられ、第2方向は第1壁に垂直であり、第2方向においてランナー104のサイズはWであり、電池セル20の容量Qとランナー104のサイズWとは、1.0Ah/mm≦Q/W≦400Ah/mmを満たす。
【0082】
図11は本願の一実施例の電池の製造機器400の模式的なブロック図を示す。図11に示すように、電池の製造機器400は第1提供モジュール410と第2提供モジュール420とを備えてもよい。
【0083】
第1提供モジュール410は第1方向に沿って並べられた複数の電池セル20を提供することに用いられる。
【0084】
第2提供モジュール420は熱管理部材101を提供することに用いられ、該熱管理部材101は第1方向に沿って延伸し且つ複数の電池セル20のうちの各電池セル20の第1壁20aに接続され、第1壁20aは電池セル20の表面積が最大の壁であり、熱管理部材はランナー104を備え、ランナー104は流体を収容して電池セル20の温度を調節することに用いられ、第2方向は第1壁に垂直であり、第2方向においてランナー104のサイズはWであり、電池セル20の容量Qとランナー104のサイズWとは、1.0Ah/mm≦Q/W≦400Ah/mmを満たす。
【0085】
以下、本願の実施例を説明する。以下で説明される実施例は例示的なものであり、本願を解釈するためのものに過ぎず、本願を制限するものではないと理解すべきである。
【0086】
2列の電池セル20と2つの熱管理部材101の組み合わせ方式を採用し、GB38031-2020に従って電池10の熱拡散試験を行い、試験結果は表1に示した。
【0087】
【表1】
【0088】
好ましい実施例を参照しながら本願を説明したが、本願の範囲を逸脱することなく、様々な改良を行うことができ、且つその部材を同等物で置き換えることができる。特に、構造上の矛盾がない限り、各実施例に係る各技術的特徴はすべて任意に組み合わせることができる。本願は明細書に開示されている特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲に属するすべての技術案を含む。
【符号の説明】
【0089】
1 車両
10 電池
11 ボックス
20 電池セル
20a 第1壁
20b 第2壁
21 ケーシング
22 電極アセンブリ
23 接続部材
30 コントローラ
40 モータ
101 熱管理部材
102 集電体
103 パイプ
104 ランナー
211 ハウジング
212 カバープレート
213 圧力解放機構
214 電極端子
214a 正極端子
214b 負極端子
221 第1タブ
222 第2タブ
400 電池の製造機器
410 第1提供モジュール
420 第2提供モジュール
1011 第1熱伝導性プレート
1012 第2熱伝導性プレート
1013 補強リブ
10011 第1熱伝導性プレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2022-05-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
であって、
第1方向に沿って並べられた複数の電池セと、
熱管理部であって、前記熱管理部は前記第1方向に沿って延伸し且つ前記複数の電池セのうちの各電池セの第1に接続され、前記第1は前記電池セの表面積が最大の壁であり、前記熱管理部はランナを備え、前記ランナは流体を収容して前記電池セの温度を調節することに用いられ、第2方向は前記第1に垂直である熱管理部とを備え、
前記第2方向において前記ランナのサイズはWであり、前記電池セの容量Qと前記ランナのサイズWとは、1.0Ah/mm≦Q/W≦400Ah/mmを満たす
【請求項2】
前記電池セの前記第2方向に沿ったサイズDと前記熱管理部の第3方向に沿ったサイズHとは、0.03≦D/H≦5.5を満たし、前記第3方向は前記第1方向及び前記第2方向に垂直である請求項1に記載の電
【請求項3】
前記熱管理部の前記第3方向に沿ったサイズHは15mm~300mmである、請求項2に記載の電
【請求項4】
前記ランナのサイズWは0.8mm~50mmである、請求項1~3のいずれか1項に記載の電
【請求項5】
前記熱管理部は前記第2方向に沿って対向して設けられた第1熱伝導性プレーと第2熱伝導性プレーを備え、
前記第1熱伝導性プレーと前記第2熱伝導性プレーとの間にランナが設けられ、前記ランナは前記電池セの温度を調節するための流体を収容することに用いられる、請求項1~4のいずれか1項に記載の電
【請求項6】
前記熱管理部はさらに補強リを備え、前記補強リは前記第1熱伝導性プレーと前記第2熱伝導性プレーとの間に設けられ、前記補強リ、前記第1熱伝導性プレー及び前記第2熱伝導性プレーは前記ランナを形成する、請求項5に記載の電
【請求項7】
前記補強リと前記第1熱伝導性プレー又は前記第2熱伝導性プレーとの夾角は鋭角である、請求項6に記載の電
【請求項8】
前記電池セは、前記第2方向に対向して設けられた2つの前記第1と、前記第1方向に対向して設けられた2つの第2とを備え、前記第1方向において、隣接する2つの前記電池セの前記第2は対向する、請求項1~7のいずれか1項に記載の電
【請求項9】
前記電池は、前記第1方向に沿って並べられた複数列の複数の前記電池セと複数の前記熱管理部とを備え、複数列の前記電池セと複数の前記熱管理部は前記第2方向に交互に設けられる、請求項1~8のいずれか1項に記載の電
【請求項10】
前記熱管理部は前記第1に接着されている請求項1~9のいずれか1項に記載の電
【請求項11】
電力消費機器であって、請求項1~10のいずれか1項に記載の電を備え、前記電は電気エネルギーを提供することに用いられる電力消費機器。
【請求項12】
電池の製造方であって、
第1方向に沿って並べられた複数の電池セを提供するステッと、
熱管理部を提供するステッであって、前記熱管理部は前記第1方向に沿って延伸し且つ前記複数の電池セのうちの各電池セの第1に接続され、前記第1は前記電池セの表面積が最大の壁であり、前記熱管理部はランナを備え、前記ランナは流体を収容して前記電池セの温度を調節することに用いられ、第2方向は前記第1に垂直であるステッとを含み、
前記第2方向において前記ランナのサイズはWであり、前記電池セの容量Qと前記ランナのサイズWとは、1.0Ah/mm≦Q/W≦400Ah/mmを満たす電池の製造方
【請求項13】
電池の製造機であって、
第1方向に沿って並べられた複数の電池セを提供するための第1提供モジューと、
第2提供モジューであって、前記第2提供モジュールは熱管理部を提供することに用いられ、前記熱管理部は前記第1方向に沿って延伸し且つ前記複数の電池セのうちの各電池セの第1に接続され、前記第1は前記電池セの表面積が最大の壁であり、前記熱管理部はランナを備え、前記ランナは流体を収容して前記電池セの温度を調節することに用いられ、第2方向は前記第1に垂直である第2提供モジューとを備え、
前記第2方向において前記ランナのサイズはWであり、前記電池セの容量Qと前記ランナのサイズWとは、1.0Ah/mm≦Q/W≦400Ah/mmを満たす電池の製造機
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
D/H<0.03の場合、熱管理部材101の第3方向に沿ったサイズHは大きく、電池セル20の熱拡散を防止する要件を十分に満たすことができるが、電池10のエネルギー密度の要件を満たすことは困難であり、また、熱管理部材101の体積が大きいと、生産コストの上昇は引き起こされる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0063】
第1熱伝導性プレート1011と第2熱伝導性プレート1012は第1方向に沿って延伸し且つ第2方向に対向して設けられる。このようにして、第2方向に沿って、第1熱伝導性プレート1011と第2熱伝導性プレート1012との間の空洞部はランナー104を形成する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正の内容】
図10
【国際調査報告】