(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】電池、電力消費装置、電池の製造方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/593 20210101AFI20240305BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20240305BHJP
【FI】
H01M50/593
H01M50/588
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529361
(86)(22)【出願日】2022-02-21
(85)【翻訳文提出日】2022-05-19
(86)【国際出願番号】 CN2022077152
(87)【国際公開番号】W WO2023155211
(87)【国際公開日】2023-08-24
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ 占宇
(72)【発明者】
【氏名】▲龍▼ 超
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ ▲興▼地
【テーマコード(参考)】
5H043
【Fターム(参考)】
5H043AA04
5H043CA03
5H043CA04
5H043CA08
5H043GA23
5H043GA24
5H043HA06
5H043JA15
5H043KA35
5H043LA02
(57)【要約】
本願の実施例は、電池、電力消費装置、電池の製造方法及び装置を提供する。該電池は、第1方向に沿って配置された複数の電池セルと、第1方向に沿って延在しかつ複数の電池セルのうちの各電池セルの第1壁と接続されているセパレータであって、該第1壁は電池セルのうち最大の表面積を有する壁であり、セパレータの表面には絶縁層が設置されており、セパレータの第2方向におけるサイズは0.5mm未満であり、該第2方向は第1壁に垂直であるセパレータと、を含む。本願の実施例の技術的解決手段により、電池の性能を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池(10)であって、
第1方向に沿って配置された複数の電池セル(20)と、
前記第1方向に沿って延在しかつ前記複数の電池セル(20)のうちの各電池セル(20)の第1壁(201)と接続されているセパレータ(101)であって、前記第1壁(201)は前記電池セル(20)のうち最大の表面積を有する壁であり、前記セパレータ(101)の表面には絶縁層(102)が設置されており、
前記セパレータ(101)の第2方向におけるサイズT1は0.5mm未満であり、前記第2方向は前記第1壁(201)に垂直であるセパレータ(101)と、を含む、ことを特徴とする電池(10)。
【請求項2】
前記セパレータ(101)の前記第2方向におけるサイズT1は0.05mm以上である、ことを特徴とする請求項1に記載の電池(10)。
【請求項3】
前記複数の電池セル(20)の前記第1壁(201)と接続されている前記セパレータ(101)の面の面積S1、前記セパレータ(101)の共通側と接続されている前記複数の電池セル(20)の前記第1壁(201)の総面積S2は、0.25≦S1/S2≦4を満たす、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電池(10)。
【請求項4】
第3方向において、前記セパレータ(101)のサイズH1及び前記電池セル(20)の前記第1壁(201)のサイズH2は、0.2≦H1/H2≦2を満たし、前記第3方向は前記第1方向及び前記第2方向に垂直である、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の電池(10)。
【請求項5】
前記第1方向において、前記セパレータ(101)のサイズL1及び前記複数の電池セル(20)のサイズL2は、0.5≦L1/L2≦2を満たす、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の電池(10)。
【請求項6】
前記絶縁層(102)の前記第2方向におけるサイズT2は、0.01mm≦T2≦0.3mmを満たす、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の電池(10)。
【請求項7】
前記電池(10)の電圧U及び前記絶縁層(102)の前記第2方向におけるサイズT2は、0.01×10
-3mm/V≦T2/U≦3×10
-3mm/Vを満たす、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の電池(10)。
【請求項8】
前記電池セル(20)は前記第2方向に対向して設置されている2つの前記第1壁(201)と、前記第1方向に対向して設置されている2つの第2壁(202)とを含み、前記第1方向において、隣接する2つの前記電池セル(20)の前記第2壁(202)は対向する、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の電池(10)。
【請求項9】
前記電池(10)は前記第1方向に沿って複数列に配置された複数の前記電池セル(20)と、複数の前記セパレータ(101)とを含み、複数列の前記電池セル(20)と複数の前記セパレータ(101)とは前記第2方向に交互に設置されている、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の電池(10)。
【請求項10】
前記電池(10)は複数の電池モジュール(100)を含み、前記電池モジュール(100)は前記第1方向に沿って少なくとも一列に配置された複数の前記電池セル(20)と、少なくとも1つの前記セパレータ(101)とを含み、且つ少なくとも一列の前記電池セル(20)と少なくとも1つの前記セパレータ(101)とは前記第2方向に交互に設置されている、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の電池(10)。
【請求項11】
前記電池モジュール(100)はN列の前記電池セル(20)と、N-1個の前記セパレータ(101)とを含み、前記セパレータ(101)は隣接する2列の前記電池セル(20)の間に設置されており、Nは1より大きい整数である、ことを特徴とする請求項10に記載の電池(10)。
【請求項12】
複数の前記電池モジュール(100)は前記第2方向に沿って配置され、隣接する前記電池モジュール(100)の間には隙間がある、ことを特徴とする請求項10又は11に記載の電池(10)。
【請求項13】
前記セパレータ(101)は前記第1壁(201)に接着されている、ことを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の電池(10)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の電気エネルギーを提供することに用いられる電池(10)を含む、ことを特徴とする電力消費装置。
【請求項15】
電池(10)の製造方法であって、
第1方向に沿って配置された複数の電池セル(20)を提供するステップと、
前記第1方向に沿って延在しかつ前記複数の電池セル(20)のうちの各電池セル(20)の第1壁(201)と接続されているセパレータ(101)を提供するステップであって、前記第1壁(201)は前記電池セル(20)のうち最大の表面積を有する壁であり、前記セパレータ(101)の表面には絶縁層(102)が設置されており、前記セパレータ(101)の第2方向におけるサイズT1は0.5mm未満であり、前記第2方向は前記第1壁(201)に垂直であるステップと、を含む、ことを特徴とする電池(10)の製造方法。
【請求項16】
電池(10)の製造装置であって、
第1方向に沿って配置された複数の電池セル(20)と、前記第1方向に沿って延在しかつ前記複数の電池セル(20)のうちの各電池セル(20)の第1壁(201)と接続されているセパレータ(101)を提供することに用いられる提供モジュールであって、前記第1壁(201)は前記電池セル(20)のうち最大の表面積を有する壁であり、前記セパレータ(101)の表面には絶縁層(102)が設置されており、を
前記セパレータ(101)の第2方向におけるサイズT1は0.5mm未満であり、前記第2方向は前記第1壁(201)に垂直である提供モジュールとを含む、ことを特徴とする電池(10)の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は電池の技術分野に関し,特に電池、電力消費装置、電池の製造方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
環境汚染が深刻化するに伴って、新エネルギー産業はますます注目されている。新エネルギー産業では、電池技術はその発展に関連する重要な要素である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電池の内部スペースの利用率は、電池の電気量及びエネルギー密度に影響を与え、さらに電池の性能に影響を与える。如何に電池の性能を向上させるかは、電池技術では解決すべき技術的課題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願は電池、電力消費装置、電池の製造方法及び装置を提供しており、電池のエネルギー密度を向上させるとともに電池の電気絶縁を確保することができ、これにより、電池の性能を向上させることができる。
【0005】
第1態様では、第1方向に沿って配置された複数の電池セルと、前記第1方向に沿って延在しかつ前記複数の電池セルのうちの各電池セルの第1壁と接続されているセパレータであって、前記第1壁は前記電池セルのうち最大の表面積を有する壁であり、前記セパレータの表面には絶縁層が設置されており、前記セパレータの第2方向におけるサイズT1は0.5mm未満であり、前記第2方向は前記第1壁に垂直であるセパレータとを含む電池を提供している。
【0006】
本願の実施例では、電池において、セパレータは第1方向に沿って一列に配置された複数の電池セルのうちの各電池セルの表面積最大の第1壁と接続されているように構成され、セパレータの第1壁に垂直である第2方向におけるサイズは0.5mm未満であるように設定される。複数の電池セルはセパレータを介して一体に接続され、このようにして、電池内に側板を設置したり、ビーム等の構造を設置したりする必要がなくなり、電池の内部スペースの利用率をできるだけ向上させることができ、これにより、電池のエネルギー密度が向上し、セパレータの表面に絶縁層を設置することにより、セパレータと電池セルとの電気的接続が回避される。従って、本願の実施例の技術的解決手段により、電池のエネルギー密度を向上させるとともに電池の電気絶縁を確保することができ、これにより、電池の性能を向上させることができる。
【0007】
可能な一実現形態では、前記セパレータの前記第2方向におけるサイズT1は0.05mm以上である。このようにして、セパレータの第2方向におけるサイズが小さすぎて電池の強度ニーズを満たすことはできないということが回避される。
【0008】
可能な一実現形態では、前記複数の電池セルの前記第1壁と接続されている前記セパレータの面の面積S1と、前記セパレータの共通側と接続されている前記複数の電池セルの前記第1壁の総面積S2は、0.25≦S1/S2≦4を満たす。
【0009】
S1/S2の値が小さすぎる、すなわち、複数の電池セルの第1壁と接続されているセパレータの面の面積S1は、セパレータの共通側と接続されている複数の電池セルの第1壁の総面積S2よりも遥かに小さい場合、第1壁とセパレータとの接触面積が小さすぎて、電池の強度ニーズを満たすことができず、S1/S2の値が大きすぎる、すなわち、第1壁と接続されているセパレータの面の面積S1は、セパレータの共通側と接続されている複数の電池セルの第1壁の総面積S2よりも遥かに大きい場合、電池セルに比べて、セパレータが占有した電池内部のスペースは大きすぎ、電池のエネルギー密度の向上に不利であり、従って、S1/S2の値を0.25~4に設定すると、電池のエネルギー密度を向上させるとともに、電池の強度を向上させることができる。
【0010】
可能な一実現形態では、第3方向において、前記セパレータのサイズH1と前記電池セルの前記第1壁のサイズH2は、0.2≦H1/H2≦2を満たし、前記第3方向は前記第1方向及び前記第2方向に垂直である。
【0011】
H1/H2が小さすぎる、すなわち、第3方向において、セパレータのサイズH1は電池セルの第1壁のサイズH2よりも遥かに小さい場合、第1壁とセパレータとの接触面積が小さすぎて、電池の強度ニーズを満たすことができず、H1/H2が大きすぎる、すなわち、第3方向において、セパレータのサイズH1は電池セルの第1壁のサイズH2よりも遥かに大きい場合、電池セルに比べて、セパレータが占有した電池内部のスペースは大きすぎ、電池のエネルギー密度の向上に不利であり、従って、H1/H2の値を0.2~2に設定すると、電池のエネルギー密度を向上させるとともに、電池の強度を向上させることができる。
【0012】
可能な一実現形態では、前記第1方向において、前記セパレータのサイズL1と前記複数の電池セルのサイズL2は、0.5≦L1/L2≦2を満たす。
【0013】
L1/L2が小さすぎる、すなわち、第1方向において、セパレータのサイズL1は電池セルの第1壁のサイズH2よりも遥かに小さい場合、第1壁とセパレータとの接触面積が小さすぎて、電池の強度ニーズを満たすことができず、H1/H2が大きすぎる、すなわち、第1方向において、セパレータのサイズH1は電池セルの第1壁のサイズH2よりも遥かに大きい場合、電池セルに比べて、セパレータが占有した電池内部のスペースは大きすぎ、電池のエネルギー密度の向上に不利であり、従って、H1/H2の値を0.5~2に設定すると、電池のエネルギー密度を向上させるとともに、電池の強度を向上させることができる。
【0014】
可能な一実現形態では、前記絶縁層の前記第2方向におけるサイズT2は、0.01mm≦T2≦0.3mmを満たす。
【0015】
絶縁層の第2方向におけるサイズT2が小さすぎる場合、絶縁層は電池セルとセパレータとの電気的接続を効果的に回避できず、その結果、電池では、絶縁不良の状況が発生し、絶縁層の第2方向におけるサイズT2が大きすぎる場合、電池内部のスペースがより多く占有され、電池のエネルギー密度の向上に不利であり、従って、T2の値を0.01~0.3mmに設定すると、電池のエネルギー密度を向上させるとともに、電池の安全性を確保することができる。
【0016】
可能な一実現形態では、前記電池の電圧Uと前記絶縁層の前記第2方向におけるサイズT2は、0.01×10-3mm/V≦T2/U≦3×10-3mm/Vを満たす。
【0017】
T2/Uが小さすぎる、すなわち、単位電圧あたりの絶縁層の第2方向におけるサイズT2が小さすぎる場合、絶縁層は電池セルとセパレータとの電気的接続を効果的に回避できず、その結果、電池では絶縁不良の状況が発生し、セキュリティリスクが存在し、T2/Uが大きすぎると、すなわち、単位電圧あたりの絶縁層の第2方向におけるサイズT2が大きすぎる場合、電池内部のスペースがより多く占有され、電池のエネルギー密度の向上に不利であり、従って、T2/Uの値を0.01×10-3~3×10-3mm/Vに設定すると、電池のエネルギー密度を向上させるとともに、電池の安全性を確保することができる。
【0018】
可能な一実現形態では、前記電池セルは前記第2方向に対向して設置されている2つの前記第1壁と、前記第1方向に対向して設置されている2つの第2壁とを含み、前記第1方向において、隣接する2つの前記電池セルの前記第2壁は対向する。
【0019】
可能な一実現形態では、前記電池は前記第1方向に沿って複数列に配置された複数の前記電池セルと、複数の前記セパレータとを含み、複数列の前記電池セルと複数の前記セパレータとは前記第2方向に交互に設置されている。
【0020】
このように、各列の第1方向Xに配置された複数の電池セルの第1壁はいずれもセパレータと接続することができ、各列の第1方向Xに配置された複数の電池セルはいずれもセパレータを介して一体に接続することができ、これにより、電池の強度が効果的に向上する。
【0021】
可能な一実現形態では、前記電池は複数の電池モジュールを含み、前記電池モジュールは前記第1方向に沿って少なくとも一列に配置された複数の前記電池セルと、少なくとも1つの前記セパレータとを含み、且つ少なくとも一列の前記電池セルと少なくとも1つの前記セパレータとは前記第2方向に交互に設置されている。このように、複数列の電池セルと複数のセパレータとは互いに接続されて一体になり、筐体に収容され、これにより、各列の電池セルを効果的に固定するだけでなく、電池全体のエネルギー密度を確保することができ、これにより、電池の性能を向上させることができる。
【0022】
可能な一実現形態では、前記電池モジュールはN列の前記電池セルとN-1個の前記セパレータとを含み、前記セパレータは隣接する2列の前記電池セルの間に設置されており、Nは1より大きい整数である。このように、電池内に少ないセパレータを設置しても、各電池セルがいずれもセパレータに接続されていることを確保することができる。
【0023】
可能な一実現形態では、複数の前記電池モジュールは前記第2方向に沿って配置され、隣接する前記電池モジュールの間には隙間がある。該隙間により電池セルに膨張空間が提供される。
【0024】
可能な一実現形態では、前記セパレータは前記第1壁に接着されている。
【0025】
セパレータと第1壁とが接着により固定して接続されるので、構造が簡単であり、加工や組み立てが容易である。
【0026】
第2態様では、上記第1態様又は第1態様の任意の可能な実現形態における電池を含み、前記電池は電気エネルギーを提供する電力消費装置を提供している。
【0027】
第3態様では、第1方向に沿って配置された複数の電池セルを提供するステップと、前記第1方向に沿って延在しかつ前記複数の電池セルのうちの各電池セルの第1壁と接続されているセパレータを提供するステップであって、前記第1壁は前記電池セルのうち最大の表面積を有する壁であり、前記セパレータの表面には絶縁層が設置されており、前記セパレータの第2方向におけるサイズT1は0.5mm未満であり、前記第2方向は前記第1壁に垂直であるステップとを含む、電池の製造方法を提供している。
【0028】
第4態様では、上記第3態様の方法を実行するモジュールを含む電池の製造装置を提供している。
【0029】
本願の実施例では、セパレータは第1方向に沿って一列に配置された複数の電池セルのうちの各電池セルの表面積最大の第1壁と接続されているように構成され、セパレータの第1壁に垂直である第2方向におけるサイズは0.5mm未満であるように設定される。複数の電池セルはセパレータを介して一体に接続され、このようにして、電池内に側板を設置したり、ビーム等の構造を設置したりする必要がなくなり、電池の内部スペースの利用率をできるだけ向上させることができ、これにより、電池のエネルギー密度が向上し、セパレータの表面に絶縁層を設置することにより、セパレータと電池セルとの電気的接続が回避される。従って、本願の実施例の技術的解決手段により、電池のエネルギー密度を向上させるとともに電池の電気絶縁を確保することができ、これにより、電池の性能を向上させることができる。
【0030】
図面の簡単な説明
本願の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、本願の実施例で使用する必要がある図面を簡単に説明し、明らかに、以下に説明される図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労働を必要とせずに、図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本願の一実施例に係る車両の構造模式図である。
【
図2】本願の一実施例に係る電池の分解構造模式図である。
【
図3】本願の一実施例に係る電池セルの分解構造模式図である。
【
図4】本願の一実施例に係る電池の部分構造模式図である。
【
図5】本願の一実施例に係る電池の部分構造模式図である。
【
図6】本願の一実施例に係る電池セルの模式図である。
【
図7】本願の一実施例に係る電池の部分構造模式図である。
【
図8】本願の一実施例に係る電池モジュールの構造模式図である。
【
図9】本願の一実施例に係る電池の構造模式図である。
【
図10】本願の一実施例に係る電池の製造方法の模式的なフローチャートである。
【
図11】本願の一実施例に係る電池の製造装置の模式的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図面では、図面は実際の比例で描かれていない。
【0033】
発明を実施するための形態
以下、図面及び実施例を参照しながら本願の実施形態をさらに詳細に説明する。以下の実施例の詳細な説明及び図面は、本願の原理を例示的に説明するためのものであるが、本願の範囲を限定するものではなく、すなわち本願は説明される実施例に限定されない。
【0034】
なお、本願の説明では、特に断らない限り、使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者が理解できる一般的な意味と同じであり、使用される用語は、本願を限定するものではなく、具体的な実施例を説明するためのものであり、本願の明細書、特許請求の範囲、及び上記図面の簡単な説明における用語「含む」、「有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図するものであり、「複数」は2つ以上を意味し、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などの用語が示した方位又は位置関係は、本願を容易に説明し、説明を簡素化するためのものに過ぎず、示した装置又は素子が必ず特定の方位を有したり、特定の方位で構築、操作されたりすることを指示又は示唆しないため、本願を限定するものとして理解できない。また、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、説明するためのものに過ぎず、相対的な重要性を指示又は示唆するものとして理解できない。「垂直」は厳密な意味で垂直ではなく、誤差許容範囲内のものである。「平行」は厳密な意味で平行ではなく、誤差許容範囲内のものである。
【0035】
本願で言及されている「実施例」は、実施例を参照しながら説明される特定の特徴、構造又は特性が本願の少なくとも1つの実施例に含まれてもよいことを意味する。明細書の様々な位置に現れる当該語句は必ずしも同じ実施例を指すものではなく、他の実施例と相互に排他的な独立又は代替の実施例でもない。当業者は、本願で説明される実施例が他の実施例と組み合わせることができることを明確且つ暗黙的に理解できる。
【0036】
以下の説明に現れる方位詞はいずれも図示される方向であり、本願の具体的な構造を限定するものではない。なお、本願の説明では、特に明確に規定、限定されない限り、「装着」、「接続」、「連結」という用語は広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続又は一体的な接続であってもよく、直接接続であってもよく、中間媒体を介した間接的接続であってもよく、2つの素子内部の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0037】
本願における「及び/又は」という用語は、関連対象の関連関係を説明するためのものに過ぎず、3つの関係が存在し得ることを示し、例えば、A及び/又はBは、Aが単独で存在すること、AとBが同時に存在すること、Bが単独で存在することの3つの状況を示すことができる。また、本願における「/」という符号は、一般的に前後の関連対象が「又は」の関係であることを示す。
【0038】
本願では、電池セルは、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池などを含んでもよく、本願の実施例はこれを限定しない。電池セルは、円筒体、扁平体、直方体又は他の形状などであってもよく、本願の実施例はこれも限定しない。電池セルは、一般的にパッケージ方式によって、円筒形電池セル、角形電池セル及びソフトパック電池セルの3種類に分けられ、本願の実施例はこれも限定しない。
【0039】
本願の実施例に係る電池とは、1つ又は複数の電池セルを含むことで、高い電圧及び容量を提供する単一の物理モジュールを指す。例えば、本願に係る電池は、電池パックなどを含んでもよい。電池は、一般的に、1つ又は複数の電池セルをパッケージするための筐体を含む。筐体は、液体又は他の異物が電池セルの充電又は放電に影響を与えることを回避できる。
【0040】
電池セルは、電極組立体と、電解液とを含み、電極組立体は、正極板、負極板及び分離膜からなる。電池セルは主に金属イオンが正極板と負極板との間に移動することにより動作する。正極板は、正極集電体と、正極活物質層とを含み、正極活物質層は正極集電体の表面に塗布され、正極活物質層が塗布されていない集電体は正極活物質層が塗布された集電体から突出し、正極活物質層が塗布されていない集電体は正極タブとして機能する。リチウムイオン電池を例とし、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウムなどであってもよい。負極板は、負極集電体と、負極活物質層とを含み、負極活物質層は負極集電体の表面に塗布され、負極活物質層が塗布されていない集電体は負極活物質層が塗布された集電体から突出し、負極活物質層が塗布されていない集電体は負極タブとして機能する。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質は炭素又はシリコンなどであってもよい。大電流が流れても溶断しないことを確保するために、正極タブは複数積層されて一体になり、負極タブは複数積層されて一体になる。分離膜の材質はポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)などであってもよい。また、電極組立体は、巻回構造であってもよく、積層構造であってもよく、本願の実施例はこれに限定されない。
【0041】
さまざまな電力需要を満たすために、電池は複数の電池セルを含んでもよく、複数の電池セルは直列接続、並列接続又は直並列接続されてもよく、直並列接続とは直列接続と並列接続の組み合わせを指す。選択可能に、まず複数の電池セルを直列接続、並列接続又は直並列接続して電池モジュールを形成し、次に複数の電池モジュールを直列接続、並列接続又は直並列接続して電池を形成してもよい。つまり、複数の電池セルは組み立てられて電池を構成してもよく、電池モジュールを形成してから、電池モジュールで電池を構成してもよい。電池はさらに電力消費装置に設置され、電力消費装置に電気エネルギーを提供する。
【0042】
電池技術の発展は、例えば、エネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電レート、安全性などの複数の設計の要素を同時に考慮する必要がある。電池の内部スペースが一定の場合、電池の内部スペースの利用率を向上させることは、電池のエネルギー密度を向上させるための効果的な手段である。しかし、電池の内部スペースの利用率を向上させることにより、電池の構造強度を低下させる可能性がある。例えば、通常、電池の筐体内部に、電池モジュールを搭載するためのビームが設置され、また、電池内の電池モジュールに側板及び端板が設置される。上記ビーム、側板及び端板は電池の固定を実現するが、電池の内部スペースを占有する。しかし、ビーム、側板及び端板を設置しない場合、電池の構造強度が不足し、電池の性能に悪影響を与える。
【0043】
これに鑑み、本願の実施例は技術的解決手段を提供しており、本願の実施例では、セパレータは第1方向に沿って一列に配置された複数の電池セルのうちの各電池セルの表面積最大の第1壁と接続されているように構成され、セパレータの第1壁に垂直である第2方向におけるサイズは0.5mm未満であるように設定される。複数の電池セルはセパレータを介して一体に接続され、このようにして、電池内に側板を設置したり、ビーム等の構造を設置したりする必要がなくなり、電池の内部スペースの利用率をできるだけ向上させることができ、これにより、電池のエネルギー密度が向上し、セパレータの表面に絶縁層を設置することにより、セパレータと電池セルとの電気的接続が回避される。従って、本願の実施例の技術的解決手段により、電池のエネルギー密度を向上させるとともに電池の電気絶縁を確保することができ、これにより、電池の性能を向上させることができる。
【0044】
本願の実施例で説明される技術的解決手段は、例えば、携帯電話、ポータブルデバイス、ノートパソコン、電気自転車、電気玩具、電動工具、電気自動車、船舶や宇宙機など、電池を使用する様々な装置に適用でき、例えば、宇宙機は、飛行機、ロケット、スペースシャトルや宇宙船などを含む。
【0045】
理解されるように、本願の実施例で説明される技術的解決手段は、上記説明される装置に適用できるだけでなく、電池を使用する全ての装置に適用でき、説明を簡潔にするために、以下の実施例はいずれも電気自動車を例として説明する。
【0046】
例えば、
図1は、本願の一実施例に係る車両1の構造模式図であり、車両1はガソリン車、ガス車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は純電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー自動車などであってもよい。車両1の内部にモータ40、コントローラ30及び電池10が設置されてもよく、コントローラ30は電池10がモータ40に給電するように制御することに用いられる。例えば、車両1の底部や前部又は尾部に電池10が設置されてもよい。電池10は車両1の給電に用いられ、例えば、電池10は車両1の操作電源として、車両1の回路システムに用いられ、例えば、車両1の起動、ナビゲーションや走行時の動作電力供給に用いられる。本願の他の実施例では、電池10は車両1の操作電源として機能できるだけでなく、車両1の駆動電源として、ガソリン又は天然ガスを代替又は部分的に代替して車両1に駆動動力を提供してもよい。
【0047】
さまざまな使用電力需要を満たすために、電池10は複数の電池セルを含んでもよい。例えば、
図2は、本願の一実施例に係る電池10の構造模式図であり、電池10は複数の電池セル20を含んでもよい。電池10はさらに筐体11を含んでもよく、筐体11の内部は中空構造であり、複数の電池セル20は筐体11に収容される。例えば、複数の電池セル20は互いに並列接続、直列接続又は直並列接続されてから組み合わせられて筐体11に置かれる。
【0048】
選択可能に、電池10はさらにその他の構造を含んでもよいが、ここで詳細な説明を省略する。例えば、該電池10はさらにバス部材を含んでもよく、バス部材は複数の電池セル20の間の電気的接続、例えば、並列接続、直列接続又は直並列接続を実現することに用いられる。具体的には、バス部材は電池セル20の電極端子を接続することにより電池セル20の間の電気的接続を実現することができる。さらに、バス部材は溶接によって電池セル20の電極端子に固定されてもよい。複数の電池セル20の電気エネルギーはさらに、導電機構を介して筐体を通過して引き出され得る。選択可能に、導電機構はバス部材に属してもよい。
【0049】
さまざまな電力需要に応じて、電池セル20の数は任意の数値に設定されてもよい。複数の電池セル20は直列接続、並列接続又は直並列接続により接続されて、大きな容量又は電力を実現することができる。各電池10に含まれる電池セル20の数が多い可能性があるため、装着を容易にするために、電池セル20はグループ化されて、各グループの電池セル20は電池モジュールを形成するようにしてもよい。電池モジュールに含まれる電池セル20の数について限定がなく、必要に応じて設定してもよい。電池は複数の電池モジュールを含んでもよく、これらの電池モジュールは直列接続、並列接続又は直並列接続により接続されてもよい。
【0050】
図3は、本願の一実施例に係る電池セル20の構造模式図であり、電池セル20は、1つ又は複数の電極組立体22と、ケース211と、蓋板212とを含む。ケース211と蓋板212によりハウジング又は電池ボックス21が形成される。ケース211の壁及び蓋板212はいずれも電池セル20の壁と呼ばれ、直方体形の電池セル20の場合、ケース211の壁は底壁と、4つの側壁とを含む。ケース211は1つ又は複数の電極組立体22を組み合わせた形状に応じて決められ、例えば、ケース211は中空の直方体又は立方体又は円筒体であってもよく、且つケース211の1つの面には、1つ又は複数の電極組立体22をケース211に入れることを可能とする開口部がある。例えば、ケース211が中空の直方体又は立方体である場合、ケース211の1つの面は開口面であり、すなわち、該面は、壁体を有さず、ケース211の内外を連通させる。ケース211が中空の円筒体である場合、ケース211の端面は開口面であり、すなわち、該端面は、壁体を有さず、ケース211の内外を連通させる。蓋板212は開口部を覆い、且つケース211に接続され、これにより、電極組立体22を収納する密閉キャビティが形成される。ケース211内に電解液などの電解質が充填されている。
【0051】
該電池セル20はさらに2つの電極端子214を含んでもよく、2つの電極端子214は蓋板212に設置されてもよい。蓋板212は通常、平板形状であり、2つの電極端子214は蓋板212の平面に固定され、2つの電極端子214はそれぞれ正電極端子214a及び負電極端子214bである。各電極端子214には接続部材23が対応して設置され、接続部材23は、集電部材23とも呼ばれ、蓋板212と電極組立体22との間に位置し、電極組立体22と電極端子214との電気的接続を実現することに用いられる。
【0052】
図3に示すように、各電極組立体22は第1タブ221a及び第2タブ222aを有する。第1タブ221aと第2タブ222aの極性は逆である。例えば、第1タブ221aが正極タブである場合、第2タブ222aが負極タブである。1つ又は複数の電極組立体22の第1タブ221aは1つの接続部材23を介して1つの電極端子に接続され、1つ又は複数の電極組立体22の第2タブ222aは他の接続部材23を介して他の電極端子に接続される。例えば、正電極端子214aは1つの接続部材23を介して正極タブに接続され、負電極端子214bは他の接続部材23を介して負極タブに接続される。
【0053】
該電池セル20においては、実際の使用のニーズに応じて、電極組立体22は1つ又は複数設置されてもよく、
図3に示すように、電池セル20内には、4つの独立した電極組立体22が設置されている。
【0054】
電池セル20には、圧力解放機構213がさらに設置されてもよい。圧力解放機構213は、電池セル20の内部圧力又は温度が閾値になった時に作動して内部圧力又は温度を解放することに用いられる。
【0055】
圧力解放機構213は様々な利用可能な圧力解放構造であってもよく、本願の実施例はこれを限定しない。例えば、圧力解放機構213は、圧力解放機構213が設置された電池セル20の内部温度が閾値になった時に溶融できるように構成される感温圧力解放機構であってもよく、及び/又は、圧力解放機構213は、圧力解放機構213が設置された電池セル20の内部気圧が閾値になった時に破裂できるように構成される感圧圧力解放機構であってもよい。
【0056】
図4は本願の一実施例に係る電池10の構造模式図である。
図4の(a)に示すように、電池10は第1方向Xに沿って配置された複数の電池セル20と、セパレータ101とを含み、セパレータ101は第1方向Xに沿って延在しかつ複数の電池セル20のうちの各電池セル20の第1壁201と接続されており、該第1壁201は電池セル20のうち最大の表面積を有する壁である。
【0057】
このように、複数の電池セル20のうちの各電池セル20のうち最大の表面積を有する第1壁201は全てセパレータ101に接続され、複数の電池セル20はセパレータ101を介して一体に接続され、このように、電池10内に側板を設置したり、ビーム等の構造を設置したりする必要がなくなり、電池10の内部スペースの利用率をできるだけ向上させ、電池10のエネルギー密度を向上させることができる。
【0058】
本願の実施例では、
図4の(b)に示すように、セパレータ101の第2方向YにおけるサイズT1は0.5mm未満であり、該第2方向Yは前記第1壁201に垂直である。
【0059】
このようにして、セパレータ101の第2方向Yにおけるサイズが大きすぎて電池10の内部スペースを多く占有することが回避され、さらに電池10の内部スペースの利用率を向上させ、これにより、電池10のエネルギー密度を向上させる。
【0060】
本願の実施例では、
図4の(c)に示すように、セパレータ101の表面には絶縁層102が設置されることにより、セパレータ101と電池セル20との電気的接続が回避され、電池10の安全性が向上する。選択可能に、絶縁層102はセパレータ101の表面に接着された絶縁膜又はセパレータ101の表面に塗布された絶縁ワニスであってもよい。
【0061】
本願の実施例では、絶縁層102の第2方向YにおけるサイズT2は、0.01mm≦T2≦0.3mmを満たす。
【0062】
絶縁層102の第2方向YにおけるサイズT2が小さすぎる場合、絶縁層102は電池セル20とセパレータ101との電気的接続を効果的に回避することができず、その結果、電池10では絶縁不良の状況が発生し、セキュリティリスクが存在し、絶縁層102の第2方向YにおけるサイズT2が大きすぎる場合、電池10の内部スペースが多く占有され、電池10のエネルギー密度の向上に不利であり、従って、T2の値を0.01~0.3mmに設定すると、電池10のエネルギー密度を向上させるとともに、電池10の安全性を確保することができる。
【0063】
本願の実施例では、電池10の電圧Uと絶縁層102の第2方向YにおけるサイズT2は、0.01×10-3mm/V≦T2/U≦3×10-3mm/Vを満たす。
【0064】
絶縁層102の絶縁効果は絶縁層102の厚さに関連するだけでなく、単位電圧に対応する絶縁層102の厚さにも関連し、T2/Uが小さすぎる、すなわち、単位電圧あたりの絶縁層102の第2方向YにおけるサイズT2が小さすぎる場合、絶縁層102は電池セル20とセパレータ101との電気的接続を効果的に回避することができず、その結果、電池10では絶縁不良の状況が発生し、セキュリティリスクが存在し、T2/Uが大きすぎる、すなわち、単位電圧あたりの絶縁層102の第2方向YにおけるサイズT2が大きすぎる場合、電池10の内部スペースが多く占有され、電池10のエネルギー密度の向上に不利であり、従って、T2/Uの値を0.01×10-3~3×10-3mm/Vに設定すると、電池10のエネルギー密度を向上させるとともに、電池10の安全性を確保することができる。
【0065】
本願の実施例では、セパレータ101の第2方向YにおけるサイズT1は0.05mm以上である。このようにして、セパレータ101の第2方向におけるサイズが小さすぎる、すなわち、セパレータ101の厚さが小さく、セパレータ101の剛性が小さいため、電池10の強度ニーズを満たせないことが回避される。
【0066】
本願の実施例では、前記複数の電池セル20の前記第1壁201と接続されている前記セパレータ101の面の面積S1と、前記セパレータ101の共通側と接続されている前記複数の電池セル20の前記第1壁201の総面積S2は、0.25≦S1/S2≦4を満たし、ここで、S1=H1*L1、S2=H2*L2である。
図5に示すように、H1はセパレータ101の第3方向Zにおけるサイズであり、L1はセパレータ101の第1方向Xにおけるサイズであり、H2は1つの電池セル20の第3方向Zにおけるサイズであり、L2は複数の電池セル20の第1方向Xにおけるサイズの総和である。
【0067】
S1/S2の値が小さすぎる、すなわち、複数の電池セル20の第1壁201と接続されているセパレータ101の面の面積S1は、セパレータ101の共通側と接続されている複数の電池セル20の第1壁201の総面積S2よりも遥かに小さい場合、第1壁201とセパレータ101との接触面積が小さすぎて、電池10の強度ニーズを満たすことができず、S1/S2の値が大きすぎる、すなわち、第1壁201と接続されているセパレータ101の面の面積S1はセパレータ101の共通側と接続されている複数の電池セル20の第1壁201の総面積S2よりも遥かに大きい場合、電池セル20に比べて、セパレータ101が占有した電池10の内部のスペースは大きすぎ、電池10のエネルギー密度の向上に不利であり、従って、S1/S2の値を0.25~4に設定すると、電池10のエネルギー密度を向上させるとともに、電池10の強度を向上させることができる。
【0068】
本願の実施例では、
図5に示すように、第3方向Z上、セパレータ101のサイズH1と電池セル20の第1壁201のサイズH2は、0.2≦H1/H2≦2を満たし、該第3方向Zは第1方向X及び第2方向Yに垂直である。
【0069】
H1/H2が小さすぎる、すなわち、第3方向Zにおいて、セパレータ101のサイズH1は電池セル20の第1壁201のサイズH2よりも遥かに小さい場合、第1壁201とセパレータ101との接触面積が小さすぎて、電池10の強度ニーズを満たすことができず、H1/H2が大きすぎると、すなわち、第3方向Zにおいて、セパレータ101のサイズH1は電池セル20の第1壁201のサイズH2よりも遥かに大きい場合、電池セル20に比べて、セパレータ101が占有した電池10の内部のスペースは大きすぎ、電池10のエネルギー密度の向上に不利であり、従って、H1/H2の値を0.2~2に設定すると、電池10のエネルギー密度を向上させるとともに、電池10の強度を向上させることができる。
【0070】
本願の実施例では、
図5に示すように、第1方向Xにおいて、セパレータ101のサイズL1と複数の電池セル20のサイズL2は、0.5≦L1/L2≦2を満たす。
【0071】
L1/L2が小さすぎる、すなわち、第1方向Xにおいて、セパレータ101のサイズL1は電池セル20の第1壁201のサイズH2よりも遥かに小さい場合、第1壁201とセパレータ101との接触面積が小さすぎて、電池10の強度ニーズを満たすことができず、H1/H2が大きすぎると、すなわち、第1方向Xにおいて、セパレータ101のサイズH1は電池セル20の第1壁201のサイズH2よりも遥かに大きい場合、電池セル20に比べて、セパレータ101が占有した電池10の内部のスペースは大きすぎ、電池10のエネルギー密度の向上に不利であり、従って、H1/H2の値を0.5~2に設定すると、電池10のエネルギー密度を向上させるとともに、電池10の強度を向上させることができる。
【0072】
本願の実施例では、
図6に示すように、電池セル20は第2方向Yに対向して設置されている2つの第1壁201と、第1方向Xに対向して設置されている2つの第2壁202とを含み、第1方向Xにおいて、隣接する2つの電池セル20の第2壁202は対向する。
【0073】
本願の実施例では、
図7に示すように、電池10は第1方向Xに沿って複数列に配置された複数の電池セル20と、複数のセパレータ101とを含み、複数列の電池セル20と複数のセパレータ101とは第2方向Yに交互に設置されている。
【0074】
このように、各列の第1方向Xに配置された複数の電池セル20の第1壁201は全てセパレータ101と接続することができ、各列の第1方向Xに配置された複数の電池セル20は全てセパレータ101を介して一体に接続され、これにより、電池10の強度を効果的に向上させる。
【0075】
本願の実施例では、電池10は複数の電池モジュール100を含み、
図8に示すように、該電池モジュール100は第1方向Xに沿って少なくとも一列に配置された複数の電池セル20と、少なくとも1つのセパレータ101とを含み、且つ少なくとも一列の電池セル20と少なくとも1つのセパレータ101とは第2方向Yに交互に設置されている。
【0076】
本願の実施例では、電池モジュール100はN列の電池セル20とN-1個のセパレータ101とを含み、セパレータ101は隣接する2列電池セル20の間に設置されており、Nは1より大きい整数である。
図9に示すように、Nが2であることを例として説明する。
【0077】
本願の実施例では、
図9に示すように、複数の電池モジュール100は第2方向Yに沿って配置され、隣接する電池モジュール100の間には隙間がある。
【0078】
選択可能に、セパレータ101の第1方向Xの端部には固定構造103が設置されており、該固定構造103はセパレータ101の第1方向Xの端部の固定部材104と接続されており、セパレータ101が固定される。
【0079】
本願の実施例では、セパレータ101は第1壁201に接着されている。セパレータ101と第1壁201とは接着により固定して接続されるので、構造が簡単であり、加工や組み立てが容易である。
【0080】
理解されるように、セパレータ101と第1壁201とは、リベット、溶接など他の方式により接続されてもよく、本願はこれに対して限定しない。
【0081】
本願の一実施例はさらに電力消費装置を提供しており、該電力消費装置は上記実施例における電池10を含んでもよい。選択可能に、該電力消費装置は車両1、船舶や宇宙機等であってもよいが、本願の実施例はこれを限定しない。
【0082】
以上は本願の実施例の電池10及び電力消費装置を説明しており、以下、本願の実施例の電池10の製造方法及び装置を説明し、詳細に説明していない部分は上記各実施例を参照すればよい。
【0083】
図10は本願の一実施例に係る電池10の製造方法300の模式的なフローチャートである。
図10に示すように、該方法300は、ステップ310と、ステップ320とを含んでもよい。
【0084】
310、第1方向Xに沿って配置された複数の電池セル20を提供する。
【0085】
320、第1方向Xに沿って延在しかつ複数の電池セル20における各電池セル20の第1壁201と接続されているセパレータ101であって、該第1壁201は電池セル20のうち最大の表面積を有する壁であり、セパレータ101の表面には絶縁層102が設置されており、セパレータ101の第2方向YにおけるサイズT1は0.5mm未満であり、該第2方向Yは第1壁201に垂直であるセパレータ101を提供する。
【0086】
図11は本願の一実施例に係る電池10の製造装置400の模式的なブロック図である。
図11に示すように、電池10の製造装置400は、提供モジュール410を含んでもよい。
【0087】
提供モジュール410は、第1方向Xに沿って配置された複数の電池セル20及びセパレータ101を提供することに用いられ、セパレータ101は第1方向Xに沿って延在しかつ複数の電池セル20のうちの各電池セル20の第1壁201と接続されており、該第1壁201は電池セル20のうち最大の表面積を有する壁であり、セパレータ101の表面には絶縁層102が設置されており、セパレータ101の第2方向YにおけるサイズT1は0.5mm未満であり、該第2方向Yは第1壁201に垂直である。
【0088】
以下、本願の実施例を説明する。以下に説明される実施例は模式的なものであり、本願を解釈するだけのものに過ぎず、本願を制限するものとして理解できない。実施例においては具体的な技術又は条件を説明していない場合、本分野にかかる文献に記載の技術、条件や製品の取扱書に従って行われる。
【0089】
図面に示される電池セル20及びセパレータ101を使用し、GB 38031-2020『電気自転車用動力蓄電池の安全要求』の標準に準じてセパレータの耐振動性及び耐衝撃性試験を行い、試験結果を表1に示す。表1においては、T1はセパレータの第2方向Yにおけるサイズであり、H1はセパレータの第3方向Zにおけるサイズであり、L1はセパレータの第1方向Xにおけるサイズであり、H2は1つの電池セルの第3方向Zにおけるサイズであり、L2は複数の電池セルの第1方向Xにおけるサイズの総和であり、S1=H1*L1、S2=H2*L2である。
【0090】
【0091】
図面に示される電池セル20及びセパレータ101を使用し、IEC 60664-1に準じて、絶縁試験では1000VDCを印加したところ、絶縁抵抗値≧500MΩであり、耐圧試験では、2700VDCを60S印加し、漏れ電流≦1mA条件においてセパレータのアイソレーション耐電圧能力を試験したところ、試験結果は表2に示される。表2のT2は絶縁層の第2方向Yにおけるサイズであり、Uは電池電圧である。
【0092】
【0093】
好ましい実施例を参照して本願を説明したが、本願の範囲から逸脱することなく、様々な改良を行い、等価物でその中の部材を置き換えることができる。特に、構造上の矛盾がない限り、各実施例に記載されている各技術的特徴を任意の方式で組み合わせることができる。本願は本明細書に開示されている特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲内にある全ての技術的解決手段を含む。
【符号の説明】
【0094】
1 車両
10 電池
11 筐体
20 電池セル
21 ハウジング
22 電極組立体
23 接続部材
30 コントローラ
40 モータ
100 電池モジュール
101 セパレータ
102 絶縁層
103 固定構造
104 固定部材
201 第1壁
202 第2壁
211 ケース
212 蓋板
213 圧力解放機構
214 電極端子
214a 正電極端子
214b 負電極端子
221 第1タブ
222 第2タブ
400 製造装置
410 提供モジュール
【手続補正書】
【提出日】2022-05-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電
池であって、
第1方向に沿って配置された複数の電池セ
ルと、
前記第1方向に沿って延在しかつ前記複数の電池セ
ルのうちの各電池セ
ルの第1
壁と接続されているセパレー
タであって、前記第1
壁は前記電池セ
ルのうち最大の表面積を有する壁であり、前記セパレー
タの表面には絶縁
層が設置されており、
前記セパレー
タの第2方向におけるサイズT1は0.5mm未満であり、前記第2方向は前記第1
壁に垂直であるセパレー
タと、を含む
、電
池。
【請求項2】
前記セパレー
タの前記第2方向におけるサイズT1は0.05mm以上である
、請求項1に記載の電
池。
【請求項3】
前記複数の電池セ
ルの前記第1
壁と接続されている前記セパレー
タの面の面積S1、前記セパレー
タの共通側と接続されている前記複数の電池セ
ルの前記第1
壁の総面積S2は、0.25≦S1/S2≦4を満たす
、請求項1又は2に記載の電
池。
【請求項4】
第3方向において、前記セパレー
タのサイズH1及び前記電池セ
ルの前記第1
壁のサイズH2は、0.2≦H1/H2≦2を満たし、前記第3方向は前記第1方向及び前記第2方向に垂直である
、請求項1~3のいずれか1項に記載の電
池。
【請求項5】
前記第1方向において、前記セパレー
タのサイズL1及び前記複数の電池セ
ルのサイズL2は、0.5≦L1/L2≦2を満たす
、請求項1~4のいずれか1項に記載の電
池。
【請求項6】
前記絶縁
層の前記第2方向におけるサイズT2は、0.01mm≦T2≦0.3mmを満たす
、請求項1~5のいずれか1項に記載の電
池。
【請求項7】
前記電
池の電圧U及び前記絶縁
層の前記第2方向におけるサイズT2は、0.01×10
-3mm/V≦T2/U≦3×10
-3mm/Vを満たす
、請求項1~6のいずれか1項に記載の電
池。
【請求項8】
前記電池セ
ルは前記第2方向に対向して設置されている2つの前記第1
壁と、前記第1方向に対向して設置されている2つの第2
壁とを含み、前記第1方向において、隣接する2つの前記電池セ
ルの前記第2
壁は対向する
、請求項1~7のいずれか1項に記載の電
池。
【請求項9】
前記電
池は前記第1方向に沿って複数列に配置された複数の前記電池セ
ルと、複数の前記セパレー
タとを含み、複数列の前記電池セ
ルと複数の前記セパレー
タとは前記第2方向に交互に設置されている
、請求項1~8のいずれか1項に記載の電
池。
【請求項10】
前記電
池は複数の電池モジュー
ルを含み、前記電池モジュー
ルは前記第1方向に沿って少なくとも一列に配置された複数の前記電池セ
ルと、少なくとも1つの前記セパレー
タとを含み、且つ少なくとも一列の前記電池セ
ルと少なくとも1つの前記セパレー
タとは前記第2方向に交互に設置されている
、請求項1~8のいずれか1項に記載の電
池。
【請求項11】
前記電池モジュー
ルはN列の前記電池セ
ルと、N-1個の前記セパレー
タとを含み、前記セパレー
タは隣接する2列の前記電池セ
ルの間に設置されており、Nは1より大きい整数である
、請求項10に記載の電
池。
【請求項12】
複数の前記電池モジュー
ルは前記第2方向に沿って配置され、隣接する前記電池モジュー
ルの間には隙間がある
、請求項10又は11に記載の電
池。
【請求項13】
前記セパレー
タは前記第1
壁に接着されている
、請求項1~12のいずれか1項に記載の電
池。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の電気エネルギーを提供することに用いられる電
池を含む
、電力消費装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
L1/L2が小さすぎる、すなわち、第1方向において、セパレータのサイズL1は電池セルの第1壁のサイズL2よりも遥かに小さい場合、第1壁とセパレータとの接触面積が小さすぎて、電池の強度ニーズを満たすことができず、L1/L2が大きすぎる、すなわち、第1方向において、セパレータのサイズL1は電池セルの第1壁のサイズL2よりも遥かに大きい場合、電池セルに比べて、セパレータが占有した電池内部のスペースは大きすぎ、電池のエネルギー密度の向上に不利であり、従って、L1/L2の値を0.5~2に設定すると、電池のエネルギー密度を向上させるとともに、電池の強度を向上させることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
このように、各列の第1方向に配置された複数の電池セルの第1壁はいずれもセパレータと接続することができ、各列の第1方向に配置された複数の電池セルはいずれもセパレータを介して一体に接続することができ、これにより、電池の強度が効果的に向上する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
L1/L2が小さすぎる、すなわち、第1方向Xにおいて、セパレータ101のサイズL1は電池セル20の第1壁201のサイズL2よりも遥かに小さい場合、第1壁201とセパレータ101との接触面積が小さすぎて、電池10の強度ニーズを満たすことができず、L1/L2が大きすぎる、すなわち、第1方向Xにおいて、セパレータ101のサイズL1は電池セル20の第1壁201のサイズL2よりも遥かに大きい場合、電池セル20に比べて、セパレータ101が占有した電池10の内部のスペースは大きすぎ、電池10のエネルギー密度の向上に不利であり、従って、L1/L2の値を0.5~2に設定すると、電池10のエネルギー密度を向上させるとともに、電池10の強度を向上させることができる。
【国際調査報告】