(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】プロジェクタから導波路へのコンパクトな結合を有する光学システム
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20240305BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
H04N5/64 511A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540921
(86)(22)【出願日】2022-03-01
(85)【翻訳文提出日】2023-07-04
(86)【国際出願番号】 IL2022050226
(87)【国際公開番号】W WO2022185306
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518010049
【氏名又は名称】ルムス エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】Lumus Ltd.
【住所又は居所原語表記】8 Pinchas Sapir Street, 7403631 Ness Ziona, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】シュリキ,ロネン
(72)【発明者】
【氏名】アイゼンフェルト,ツィオン
(72)【発明者】
【氏名】シャーリン,エラド
【テーマコード(参考)】
2H199
【Fターム(参考)】
2H199CA24
2H199CA27
2H199CA29
2H199CA32
2H199CA49
2H199CA53
2H199CA64
2H199CA65
2H199CA66
2H199CA86
(57)【要約】
光学システムは、内部反射によって光を誘導するための相互に平行な第1及び第2の主要外面(11、12)を有する導光光学素子(LOE)(10)と、開口部(101)からコリメート画像に対応する照明を投影するプロジェクタ(100)と、を含む。プロジェクタは、画像注入面を投影する第1の主要外面(11)に取り付けられた結合プリズム(30)を介してLOEに光を注入する。反射偏光ビームスプリッタ(51)は、主要外面(11)と結合プリズム(30)との間の、主要外面に平行な界面に配置され、LOE内に既存の光を捕捉しながら、内部反射によってLOE内を伝搬するように、結合プリズムからLOE内へ照明を選択的に透過させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学システムであって、
(a)透明な材料から形成され、内部反射によって光を誘導するための相互に平行な第1及び第2の主要外面を有する導光光学素子(LOE)と、
(b)開口部からコリメート画像に対応する照明を投影するように構成されたプロジェクタであって、前記照明が、前記プロジェクタの光軸を画定する主光線を有し、かつ、前記主光線の周りの角場を有して、前記開口部を出る、プロジェクタと、
(c)前記LOEの前記第1の主要外面に取り付けられた結合プリズムであって、前記結合プリズムが、前記主要外面に対して斜めに角度付けられた画像注入面の少なくとも一部を提供し、前記プロジェクタが、前記画像注入面に関連付けられ、かつ、前記主要外面における内部反射のための臨界角よりも大きい、前記主要外面に対する入射角で、前記主光線及び前記主光線の周りの角場が前記画像注入面を通って注入されるように配向される、結合プリズムと、
(d)前記主要外面と前記結合プリズムとの間の、前記主要外面に平行な界面に配置された反射偏光ビームスプリッタであって、前記照明の少なくとも一部が、第1の偏光を伴って前記ビームスプリッタ上に入射し、前記結合プリズムから前記LOE内に前記ビームスプリッタによって透過され、前記コリメート画像の共役画像に対応する光であって、前記LOE内から前記ビームスプリッタに入射する第2の偏光を有する光が、内部反射によって前記LOE内を伝搬するように、前記ビームスプリッタから反射される、反射偏光ビームスプリッタと、を備える、光学システム。
【請求項2】
前記第1の偏光と前記第2の偏光との間に前記照明を変換するために、前記照明の少なくとも一部の経路に配置された波長板を更に備える、請求項1に記載の光学システム。
【請求項3】
前記波長板が、前記LOEの前記第2の主要外面の少なくとも一部に関連付けられた四分の一波長板である、請求項2に記載の光学システム。
【請求項4】
前記波長板が、前記開口部の第2の部分と重複することなく、前記開口部の第1の部分に対して重複関係で配置された半波長板である、請求項2に記載の光学システム。
【請求項5】
前記開口部の前記第1の部分が、光が前記ビームスプリッタを横断することなく前記LOEに入る前記画像注入面の一部を通って照明を投影する、請求項4に記載の光学システム。
【請求項6】
前記プロジェクタが、前記第2の偏光の照明を投影するように構成され、前記開口部の前記第1の部分が、光が前記ビームスプリッタを通過する前記画像注入面の一部を介して照明を投影し、前記半波長板が、前記第2の偏光の照明を前記第1の偏光の照明に変換する、請求項4に記載の光学システム。
【請求項7】
前記画像注入面が、部分的に前記結合プリズムによって、部分的に前記LOEの表面によって提供される、請求項1に記載の光学システム。
【請求項8】
前記画像注入面が、全体的に前記結合プリズムによって提供される、請求項1に記載の光学システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学システムに関するものであり、特に、プロジェクタからの導波路への画像のコンパクトな結合を有する光学システムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの仮想現実ディスプレイ及び拡張現実ディスプレイは、内部反射によって画像が伝播する2つの主要な平行平面を有する導光光学素子(LOE)を採用する。コリメート画像に対応する照明は、プロジェクタによって生成され、結合入力領域でLOE内へ導入される。照明は、LOEから視聴者の眼に向かって結合される結合出力領域に到達するまで、内部反射によってLOE内を伝搬する。照明から眼に向かって結合することは、斜めに角度付けられた部分的に反射する内面のセットを使用することによるか、又は当技術分野で周知であるように、1つ以上の回折光学素子を使用することによることがあり得る。プロジェクタからLOEへの画像照明の結合は、結合プリズムを介して達成され得る。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、プロジェクタからの導波路への画像のコンパクトな結合を有する光学システムに関する。
【0004】
本発明の一実施形態の教示によれば、光学システムであって、(a)透明な材料から形成され、内部反射によって光を誘導するための相互に平行な第1及び第2の主要外面を有する導光光学素子(LOE)と、(b)開口部からコリメート画像に対応する照明を投影するように構成されたプロジェクタであって、照明が、プロジェクタの光軸を画定する主光線を有し、かつ、主光線の周りの角場を有して、開口部を出る、プロジェクタと、(c)LOEの第1の主要外面に取り付けられた結合プリズムであって、結合プリズムが、主要外面に対して斜めに角度付けられた画像注入面の少なくとも一部を提供し、プロジェクタが、画像注入面に関連付けられ、かつ、主要外面における内部反射のための臨界角よりも大きい、主要外面に対する入射角で、主光線及び主光線の周りの角場が画像注入面を通って注入されるように配向される、結合プリズムと、(d)主要外面と結合プリズムとの間の、主要外面に平行な界面に配置された反射偏光ビームスプリッタであって、照明の少なくとも一部が、第1の偏光を伴ってビームスプリッタ上に入射し、結合プリズムからLOE内へビームスプリッタによって透過され、コリメート画像の共役画像に対応する光であって、LOE内からビームスプリッタに入射する第2の偏光を有する光が、内部反射によってLOE内を伝搬するように、ビームスプリッタから反射される、反射偏光ビームスプリッタと、を備える、光学システムが提供される。
【0005】
本発明の一実施形態の更なる特徴によれば、第1の偏光と第2の偏光との間に照明を変換するために、照明の少なくとも一部の経路に配置された波長板も提供される。
【0006】
本発明の一実施形態の更なる特徴によれば、波長板が、LOEの第2の主要外面の少なくとも一部に関連付けられた四分の一波長板である。
【0007】
本発明の一実施形態の更なる特徴によれば、波長板が、開口部の第2の部分と重複することなく、開口部の第1の部分に対して重複関係で配置された半波長板である。
【0008】
本発明の一実施形態の更なる特徴によれば、開口部の第1の部分が、光がビームスプリッタを横断することなくLOE内に入る画像注入面の一部を通って照明を投影する。
【0009】
本発明の一実施形態の更なる特徴によれば、プロジェクタが、第2の偏光の照明を投影するように構成され、開口部の第1の部分が、光がビームスプリッタを通過する画像注入面の一部を介して照明を投影し、半波長板が、第2の偏光の照明を第1の偏光の照明に変換する。
【0010】
本発明の一実施形態の更なる特徴によれば、画像注入面が、部分的に結合プリズムによって、部分的にLOEの表面によって提供される。
【0011】
本発明の一実施形態の更なる特徴によれば、画像注入面が、全体的に結合プリズムによって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
発明を、添付の図面を参照して、実施例としてのみ本明細書に記載する。
【
図1】縁部表面を介して導波路に画像を注入するプロジェクタの概略側面図であり、導波路への画像の充填が不完全であることを示す。
【
図2A】投影された角場の浅い端部を示す、導波路の厚さを画像で充填するように、結合プリズムを介して導波路に画像を注入するプロジェクタの概略側面図である。
【
図2B】投影された角場の最も急峻な端部を示す、導波路の厚さを画像で充填するように、結合プリズムを介して導波路に画像を注入するプロジェクタの概略側面図である。
【
図3A】投影された角場の浅い端部を示す、反射偏光ビームスプリッタを用いて、結合プリズムを介して導波路に画像を注入するプロジェクタを含む、本発明の一実施形態による光学システムの概略側面図である。
【
図3B】投影された角場の中間部を示す、反射偏光ビームスプリッタを用いて、結合プリズムを介して導波路に画像を注入するプロジェクタを含む、本発明の一実施形態による光学システムの概略側面図である。
【
図3C】投影された角場の最も急峻な端部を示す、反射偏光ビームスプリッタを用いて、結合プリズムを介して導波路に画像を注入するプロジェクタを含む、本発明の一実施形態による光学システムの概略側面図である。
【
図4】本発明の一実施形態における、使用に適した偏光ビームスプリッタの入射角の関数として、p偏光に対する透過率及びs偏光に対する反射率を示すグラフである。
【
図5A】投影された角場の浅い端部を示す、本発明の変形実施形態による光学システムの概略側面図である。
【
図5B】投影された角場の最も急峻な端部を示す、本発明の変形実施形態による光学システムの概略側面図である。
【
図6A】投影された角場の浅い端部を示す、本発明の更なる変形実施形態による光学システムの概略側面図である。
【
図6B】投影された角場の最も急峻な端部を示す、本発明の更なる変形実施形態による光学システムの概略側面図である。
【
図7A】偏光関連バンディング効果を低減するためのリターダ素子の可能な配置を示す、上記の実施形態のいずれかによる光学システムの概略側面図である。
【
図7B】偏光関連バンディング効果を低減するためのリターダ素子の可能な配置を示す、上記の実施形態のいずれかによる光学システムの概略側面図である。
【
図7C】偏光関連バンディング効果を低減するためのリターダ素子の可能な配置を示す、上記の実施形態のいずれかによる光学システムの概略側面図である。
【
図8A】偏光関連バンディング効果を低減するための混合を達成するための、1つの内部部分反射器の可能な展開を示す、上記の実施形態のいずれかによる光学システムの概略側面図である。
【
図8B】偏光関連バンディング効果を低減するための混合を達成するための、2つの内部部分反射器の可能な展開を示す、上記の実施形態のいずれかによる光学システムの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、プロジェクタからの導波路への画像のコンパクトな結合を有する光学システムに関する。
【0014】
本発明による光学システムの原理及び動作は、図面及び添付の説明を参照することによってより良く理解することができる。
【0015】
導入として、
図1は、相互に平行な第1及び第2の主要外面11及び12での内部反射によって、導光光学素子(LOE)10(本明細書では「導波路」と交換可能に称される)内を伝播する光線を示す。この実施例では、光線は、LOEの主要外面に斜めに角度付けられた埋め込まれた部分反射鏡20によって観察者の眼40に向かって結合出力される。本発明は、当技術分野で周知であるように、観察者の眼に向かって画像照明を結合出力するための回折光学素子を使用するディスプレイにも同様に適用可能である。
【0016】
コリメート画像に対応するプロジェクタ100からの照明は、ここでは、注入画像を複製しない単純な方法で表面13において導波路に注入されたことが示されており、したがって、共役画像は生成されない。結果として、導波路を伝播する光線は、「ホール」、すなわち、画像照明が到達しない領域を含み、観察者の眼40に到達する光線は均一ではない。したがって、観察者によって検出された強度分布は均一ではなく、「眼球運動ボックス」(眼の許容される観察位置)内の眼の異なる位置で変化し、観察される特定のフィールドに依存する。
【0017】
結合出力された光の均一な照明を達成するために、
図2A及び
図2Bに提示されたもののような、より高度な結合入力構成がしばしば使用される。ここで、プロジェクタ100は、より大きな開口部を提供し、プリズム30を介してLOEに結合され、その結果、導波路に注入され、導波路12の下面によって反射される光線が、プロジェクタから直接注入される光線と重複する。これにより、画像とその共役の両方が導波路内に完全に存在し、導波路を画像照明で「充填」することが保証される。もちろん、これは、導波路によってサポートされる全てのフィールドに当てはまる必要がある。
図2A及び
図2Bは、空気中の約30度幅に対応する、媒体内の約20度幅の典型的な視野の2つの極端な例を示す。各フィールドのための照明のかなりの割合が失われることに留意されたい(LOE開口部から外れたため、LOEに入るのではなく、結合プリズムの裏面で終わる光線方向によって表される)。
【0018】
原則として、高度なプロジェクタは、各フィールドが最終的に導波路に結合される光線のみで構成されるように設計することができる。しかし、これらは設計が困難であり、多くの技術的な複雑さを示唆している(例えば、そのようなシステムの開口部は、主光線に対して斜角にあり、プロジェクタから遠く離れており、典型的には大型のプロジェクタを必要とする)。更に、このタイプのプロジェクタは、特定の導波路のために設計されなければならず、「ワンフィットオール」の汎用プロジェクタは不可能である。
【0019】
ここで、本発明の特定の特に好ましい実装を一般的に参照すると、透明な材料から形成され、内部反射によって光を誘導するための相互に平行な第1及び第2の主要外面11、12を有する、導光光学素子(LOE)10を含む光学システムが提供される。プロジェクタ100は、開口部101からコリメート画像に対応する照明を投影するように構成され、照明が、プロジェクタの光軸102を画定する主光線を有し、かつ、主光線の周りの角場を有して、開口部を出る。
図3Bは、主光線に平行な光線のセットを示し、
図3A及び
図3Cは、それぞれ、角場の最も浅い角光線及び最も急峻な角光線を示す。
【0020】
結合プリズム30は、LOEの第1の主要外面11に取り付けられ、主要外面11及び12に対して斜めに角度付けられた画像注入面32の少なくとも一部を提供する。
図3A~
図3Cの非限定的な実施例では、画像注入面32は、部分的に結合プリズム30によって、部分的にLOE10の縁部によって提供され、ともに研磨されて連続的な表面を形成する。プロジェクタ100は、画像注入面32に関連付けられ、かつ、主要外面における内部反射のための臨界角よりも大きい、主要外面に対する入射角で、主光線及び主光線の周りの角場が画像注入面を通って注入されるように配向される。換言すれば、プロジェクタ及び結合プリズムの配向は、画像照明が、投影された角度での内部反射によってLOE内を伝搬することができるようなものとする。
【0021】
本発明の特定の好ましい実装の特定の特徴は、反射偏光ビームスプリッタ51が、第1の主要外面11と結合プリズム30との間の、主要外面に平行な界面に配置されることである。プロジェクタ100からの照明の少なくとも一部は、結合プリズム30からLOE10内へ、ビームスプリッタによって透過される、第1の偏光を伴ってビームスプリッタ51に入射する一方で、コリメート画像の共役画像に対応し、第2の偏光を有する光は、LOE内からビームスプリッタに入射し、内部反射によってLOE内を伝搬するようにビームスプリッタから反射される。したがって、ビームスプリッタは、プロジェクタ100からの、LOEに入ることが許可されている画像照明と、LOE内の既存の、出ることが防止されている画像照明とを区別し、LOEに沿って内部反射を介してその伝搬を開始する。
【0022】
上記の機能を達成する偏光条件付けを成し遂げるために、様々な構成を使用することができる。実施例の特に好ましいサブセットでは、波長板が、第1の偏光と第2の偏光との間に照明を変換するために、画像照明の少なくとも一部の経路に配置される。
図3A~
図3Cはこの一例を示し、波長板が、LOEの第2の主要外面12の少なくとも一部に関連付けられた四分の一波長板52として実装される。
【0023】
本実装の動作は以下の通りである。光は、プロジェクタ100から、導波路10に投影されてp偏光される。(p偏光投影照明を使用するオプションは、この例では任意に選択されるが、この例は、s偏光照明の投影と等しく提示され得、p/s偏光指定は、全体を通して交換されることを理解されたい。)(この例では)p偏光光を透過させ、s偏光光を反射する反射偏光ビームスプリッタ51は、結合プリズム30と上面11との間に配置される。光学リターダ(四分の一波長板)52は、下面12の少なくとも一部に配置され、入射光線の偏光を変化させるように作用する。
【0024】
図4は、(それぞれ)入射角の関数としてのs偏光及びp偏光の反射率及び透過率のプロットを提示し、偏光ビームスプリッタの分野で知られているように、表面51の典型的なコーティング層を説明する。代替的に、適切な効果は、ワイヤグリッド偏光子を使用して達成され得る。好ましくは、リターダ52は四分の一波長板であり、リターダによって前後に透過された光の偏光が回転し、p偏光光からs偏光光に変換される(又はその逆)。この構造の結果、プロジェクタ100によって投影された光線は、ビームスプリッタ51によって透過され、導波路内を通る。
図3Cに示されるように、52に衝突する光線は、その偏光を変化させ、光線がビームスプリッタに第2の時間に衝突すると、ビームスプリッタ51によって反射される。ビームスプリッタの選択的特性は、注入された画像照明の非常に大きな割合が、エネルギーの損失を大幅に減少させて、導波路内に結合されることを可能にする。加えて、プロジェクタ開口部の必要とされるサイズは、
図2A及び
図2Bよりも著しく小さい。
【0025】
リターダ52は、結晶ゼロオーダ結晶リターダ、薄膜多結晶真のゼロオーダリターダ、サブ波長構造、及び導波路に直接コーティングされた高度な誘電体層を含むがこれらに限定されない、多くの方法で実装することができる。
【0026】
最適には、システムは、結合プリズムの端部に到達する前に、全てのフィールドの光線が表面51から一度だけ反射されるように実装される。さもなければ、典型的にはいくつかの光の損失が生じる。
【0027】
この実施形態では、急峻な伝播光線(
図3C)は、いくつかの場合では、不均一な強度プロファイルから悪影響を受け得る。これは、例えば、埋め込まれたミキサー素子(すなわち、
図8A及び
図8Bを参照して以下に説明される導波路の主軸に平行な部分的に反射された表面)を使用することによって、又は導波路内に密接に間隔を置かれた結合出力ファセットを配置することによって、異なる方法で緩和され得る。不均一性は、プロジェクタ開口部及び結合構成の幾何学形状の慎重な設計によって低減又は排除され得る。
【0028】
リターダ52は、結合入力領域内にのみ配置されてもよく、又は導波路の一部又は全てにわたって延在してもよい。リターダはまた、導波路に沿って偏光を回転させて混合し、例えば、この実施形態の偏光依存的な結合入力構成によって生じ得る任意の偏光アーチファクトを緩和するのに役立ち得る。リターダは、導波路の外面上に、又は導波路10と外側の薄いカバープレート(図示せず)との間に配置することができ、これは、結合出力された照明の均一性を高めるために使用され得る。
【0029】
本明細書に記載のこの実施形態及び他の実施形態では、画像注入面に比較的近いビームスプリッタ51によってLOE内の光を捕捉することは、画像プロジェクタ100の設計のための利点を提供する。具体的には、光学効率のために、導波路の入口開口部は、好ましくは、プロジェクタの照明ストップにプロジェクタ光学部品(図示せず、照明光学部品+コリメーティング光学部品)によって撮像される。
図2A及び
図2Bの設計では、導波路への有効な開口部は、結合プリズムの端部にあり、画像注入面から遠い。対照的に、
図3A~
図3Cの設計及び本明細書の後続の実施例は、画像注入面32に非常に近い有効な導波路開口部を提供し、照明ストップがプロジェクタ出口開口部に撮像される一般的なプロジェクタ設計の使用を可能にし、典型的には、より小さい全体サイズのプロジェクタの使用を容易にする。
【0030】
図5A及び
図5Bは、画像注入面32が結合プリズム30によって全体的に提供され、プロジェクタ100が導波路の上部に配置される、本発明の一実施形態の代替的な実装を示す。そのような構成は、製造するのがはるかに容易であるが、わずかに大きな開口部をもたらす。他の全ての態様では、
図5A及び
図5Bの実装の構造及び動作は、
図3A~
図3Cの構造及び動作に類似する。
【0031】
図6A及び
図6Bは、導波路の第2の主要面上にリターダを採用する代わりに、開口部101の第2の部分と重複することなく、開口部の第1の部分に対して重複関係で配置された半波長板の形態のリターダ52を採用する代替的な実装を示す。ここに示す場合では、開口部の「第1の」部分は、光がビームスプリッタ51を通過する画像注入面32の一部を通って照明を投影する。これは、プロジェクタがビームスプリッタによって反射される偏光を投影する場合に適している。示されているように、ビームスプリッタによって反射される偏光は、結合入力面の下部のLOE内へ直接導入され、したがって、ビームスプリッタによって捕捉され、LOEに沿って内部反射によって伝搬され、一方、半波長板52は、示されているように、第2の偏光の照明を開口部の上部の第1の偏光の照明に変換し、画像照明のその部分がビームスプリッタによって透過され、LOEに入ることを可能にする。
【0032】
したがって、特定の例として、ビームスプリッタがp偏光を通過させ、s偏光を反射する
図6A及び
図6Bの場合、直接導波路に注入され、リターダ51を介して伝播しない画像注入面の下部の光線は、s偏光され、一方、画像注入面の上部の光線は、リターダ51を介して伝播し、(ここでは、好ましくは半波長板として作用する)、p偏光で導波路に注入される。
【0033】
明らかに、ビームスプリッタによって透過される偏光を生成するプロジェクタを使用し、光がビームスプリッタを横断することなくLOE内へ直接結合される画像注入面32の一部に半波長板52を配置することによって(下部、ここに示される配向)、等価効果を達成することができる。
【0034】
本明細書に記載の実施形態の全てにおいて、ビームスプリッタは、第1の主要外面11と結合プリズム30との間の、主要外面に平行な界面にあると記載されている。この目的のための「界面」は、光が結合プリズム30からLOE10内へ通過する領域として機能的に定義される。最も好ましくは、ビームスプリッタは、典型的には、接着する前にLOE10内への結合プリズム30の対向表面のうちの一方又は他方に塗布されたコーティングとして、又は結合プリズム30とLOE10との間に挟まれたフィルム若しくは他の層として、第1の主要外面11と同一平面上に配置される。しかしながら、結合プリズム30内又はLOE10内に埋め込まれたビームスプリッタの配置も、上記の機能性を提供するために界面に十分に近い限り、「界面に」あるとみなされるであろう。図示される全ての場合において、画像照明がLOEに沿って伝播するときにゴースト画像を生成することを回避するために、ビームスプリッタのLOEの主要面への平行性が不可欠である。
【0035】
上述の様々な結合入力構成は、本質的に、光を、混合偏光状態で、すなわち、p偏光光及びs偏光光が重畳されて、導波路に結合し、特定のフィールドについて、入力開口部のいくつかの領域がp偏光光で構成され、入力開口部の他の領域がs偏光光で構成される。導波路から光を結合する埋め込まれた(屈折又は回折)構成要素は、典型的には偏光感受性であるため、これは、出力で筋が入った(不均一な強度)画像をもたらす可能性がある。
【0036】
原則として、埋め込まれた要素は、両方の偏光状態の条件を合わせることによって均一性を最大化するように設計及び最適化することができるが、これは通常、達成することが非常に困難であり、効率、色の均一性などの代償が強いられる。したがって、導波路内へ結合された混合偏光照明の影響を改良するためのいくつかの代替アプローチが以下に提案される。
【0037】
図7A~
図7Cに示されるように、導波路内の光の偏光状態を制御するように、偏光リターダ201を導波路内に配置することができる。リターダは、複屈折結晶、ポリマーの薄層、又は、構造的若しくは空間的に変化するコーティング若しくは空間的に変化する回折格子から作製され得る。このような要素は、(PCT特許出願第PCT/IL2021/051143号に記載されているように)導波路内に埋め込むことができ、又は、それらが別々に製造されている場合、導波路と結合入力ウェッジとの間に別々に接着することができる。リターダの厚みは、好ましい厚みに設定することができる。例えば、それは、関連する波長の真の四分の一波長板として動作し、視野(FOV)内の全てのフィールドの入射角を考慮し、リターダによって透過されるs偏光光及びp偏光光が(略)円偏光に変換される(しかし、反対の偏光旋光性を有する)ように、薄くすることができる。
【0038】
代替的であるが概念的に関連する実装では、プロジェクタ100は、円偏光画像照明を生成するように構成され得、偏光ビームスプリッタ51は、それに対応して、円偏光ビームスプリッタとして実装され得る。このようにして、導波路に結合された光は、右回り又は左回りのいずれかで円偏光され、出力光の均一性が大幅に改善される。
【0039】
代替的に、リターダは、「厚く」することができ、
【0040】
【数1】
によって定義され、式中、dはリターダの厚さであり、△λは、各透過色のスペクトル帯域幅であり、Δn=|n
e-n
o|であり、式中、n
e及びn
oは、それぞれリターダの特別な屈折率、及び通常の屈折率である。典型的には、d~0.1~1mmは、リターダが「偏光解消」効果を提供するのに十分である。具体的には、所与の色のペクトル帯域幅内の異なる波長が異なる偏光状態に回転され、全ての波長の重畳は、非偏光光として効果的に動作する。
【0041】
厚いリターダは、ゴースト画像を生成するであろうリターダを通る異なる光路に起因して、
図7B及び
図7Cの構成において不要なアーチファクトを引き起こし得る。これは、
図7Aのように、リターダが導波路に十分な精度で垂直に配置されている場合に解決することができる。この場合、リターダを通って伝播する全ての光線の角度配向が維持され、ゴースト画像は予想されない。
【0042】
プロジェクタが、導波路に直交しない偏光状態、すなわち、導波路軸に従った純粋なs偏光光又はp偏光光ではなく、むしろその2つの線形重畳状態で画像照明を出力する場合、各波長の偏光は、導波路の主要面上のTIRの各反射で回転する。これは、
図7の厚いリターダと同様の効果を効果的にもたらすであろう。このコーティングの混合は、特許第WO2021/105978A1号のように、導波路の主要面を専用のコーティングでコーティングすることによって、更に強化することができる。
【0043】
別のアプローチは、光を混合する部分反射層202を導波路の中央に、主要外面(PCT特許出願公開第WO2021/079372号に開示されているように)に平行に配置することであってもよい。そのような構造の例を
図8A及び
図8Bに例示する。このオプションによれば、各フィールドの光は導波路全体で均一であるが、p偏光光とs偏光光の割合はフィールドごとに変わる可能性がまだある。この効果は、導波路内に埋め込まれる回折要素又は屈折要素の特性を設計する際に考慮する必要がある。
【0044】
本明細書に記載の本発明の様々な実装は、広範囲のコンテキストに適用可能であり、任意のタイプの導波路及び任意のタイプのプロジェクタを使用する。例えば、プロジェクタ100は、液晶透過性又は反射性(LCOS)プロジェクタ、スキャンドレーザプロジェクタ、又はDLPプロジェクタを含むがこれらに限定されない、任意の適切な画像生成技術を採用することができ、これらは全て、任意の適切なコリメーティング光学部品を採用する。
【0045】
上記の説明は、実施例としてのみ役立つことが意図されること、及び添付の特許請求の範囲で定義されるような本発明の範囲内で、多くの他の実施形態が可能であることが理解されよう。
【国際調査報告】