(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】壁上に物品を保持するための方法及びアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A47G 29/00 20060101AFI20240305BHJP
F16M 13/02 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
A47G29/00 A
F16M13/02 D
A47G29/00 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551094
(86)(22)【出願日】2022-02-09
(85)【翻訳文提出日】2023-08-23
(86)【国際出願番号】 IB2022051172
(87)【国際公開番号】W WO2022180472
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】谷口 絵美
(72)【発明者】
【氏名】相原 和弘
【テーマコード(参考)】
3K100
【Fターム(参考)】
3K100AA11
3K100AA16
3K100AE01
3K100AF01
3K100AG03
3K100AH30
3K100AJ04
(57)【要約】
第1の下側ホルダ及び第2の上側ホルダを含む、保持アセンブリ、並びに、壁上に保持アセンブリを接着して取り付けて、その保持アセンブリを使用して壁上に物品を保持する方法。保持アセンブリによって物品が保持される場合、物品の下側末端部が、第1の下側ホルダのシルの上に載置されて、第1の下側ホルダの上向きに突出する弾性リップ部の内方に位置決めされ、物品の上側末端部が、第2の上側ホルダの下向きに突出する弾性リップ部の内方に位置決めされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁上に保持アセンブリを取り付けて、前記保持アセンブリを使用して前記壁上に物品を解放可能に保持する方法であって、
第1の下側ホルダを、前記壁上に概ね上向きに接着して取り付け、第2の上側ホルダを、前記第1のホルダの概ね垂直上方の場所で、前記壁上に概ね下向きに接着して取り付けることであって、それにより、前記第1のホルダ及び前記第2のホルダが、全体として保持アセンブリを形成することと、
次いで、
前記物品が前記保持アセンブリによって支持され、かつ解放可能に保持されるように、前記第1のホルダと前記第2のホルダとの間の空間内に物品を挿入することであって、
前記物品が前記保持アセンブリによって保持される場合、前記物品の下端部分が、前記第1の下側ホルダによって画定されている上向き開放端空間内に存在することにより、前記物品の下側末端部が、前記第1の下側ホルダの概ね上向きのシルの上に載置されて、前記第1の下側ホルダの上向きに突出する弾性リップ部の内方に位置決めされ、前記物品の上端部分が、前記第2の上側ホルダによって画定されている下向き開放端空間内に存在することにより、前記物品の上側末端部が、前記第2の上側ホルダの下向きに突出する弾性リップ部の内方に位置決めされる、挿入することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記物品が、前記壁に対して上方外向きの角度で前記物品を保持して、前記物品の前記下側末端部が前記第1の下側ホルダの前記シルの上に載置されるように、前記物品の前記下端部分を、前記第1の下側ホルダの前記上向き開放端空間内に挿入し、次いで、前記物品の前記下側末端部に近接した回転軸を中心に前記物品を回転させ、それにより、前記物品の前記上端部分が、前記第2の上側ホルダの前記下向き開放端空間内へと内向きに移動して、前記物品の前記上側末端部が、前記第2の上側ホルダの前記弾性リップ部に突き当たり、前記上端部分が前記第2の上側ホルダの前記下向き開放端空間内へと移動する際に、一時的に前記弾性リップ部を内向きに偏向させることによって、前記第1のホルダと前記第2のホルダとの間の前記空間内に挿入される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記物品が、前記物品を概ね垂直の向きにした状態で、前記物品を、前記ホルダ間の前記空間に横方向で隣接させて保持して、前記保持アセンブリの横方向軸に沿って、前記物品を摺動移動させ、それにより、前記物品の前記下側末端部が、前記第1の下側ホルダの前記上向き開放端空間内へ摺動移動し、前記物品の前記上側末端部が、前記第2の上側ホルダの前記下向き開放端空間内へ摺動移動することによって、前記第2のホルダ間の前記空間内に挿入される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の上側ホルダを、前記第1の下側ホルダの概ね垂直上方の場所で、前記壁上に接着して取り付ける前記プロセスが、前記物品の前記下側末端部を、前記第1の下側ホルダの前記シル上に載置するステップと、前記第2の上側ホルダの概ね下向きのリンテルが、前記物品の前記上側末端部上に載置されるように、前記物品の前記上側末端部の上に、前記第2の上側ホルダを位置決めするステップと、前記物品を、前記物品上に載置されている前記第2の上側ホルダと共に、前記物品の前記下側末端部に近接した回転軸を中心に回転させるステップであって、それにより、前記第2の上側ホルダが前記壁に向けて移動され、それにより、前記第2の上側ホルダの両面接着ストリップの露出した接着面が、前記壁に接触して、前記壁に接着接合する、ステップとを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の下側ホルダが、貫通開口を有し、前記方法は、電源コードの一部分が前記貫通開口内に存在するように、かつ前記細長形の電源コードのプラグが前記物品の電源ソケットに差し込まれるように、前記電源コードを位置決めするステップを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の下側ホルダが、第1の下側バックプレートに分離可能に接続されている第1の下側保持本体と、前記第1の下側バックプレートの内向き主表面に接着して取り付けられている第1の下側両面接着ストリップとを含み、
かつ、
前記第2の上側ホルダが、第2の上側バックプレートに分離可能に接続されている第2の上側保持本体と、前記第2の上側バックプレートの内向き主表面に接着して取り付けられている第2の上側両面接着ストリップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
各ホルダが、ユーザによって前記ホルダが受け取られる時点で、その対応のバックプレートに既に接続されており、前記方法は、前記第1の下側ホルダが、前記第1の下側両面接着ストリップの内向き主要接着面を介して、前記壁に接着して取り付けられる前に、前記第1の下側両面接着ストリップの外向き主要接着面を、前記第1の下側ホルダの前記第1の下側バックプレートの前記内向き主表面に接着して取り付けることを含み、前記方法は、前記第2の上側ホルダが、前記第2の上側両面接着ストリップの内向き主要接着面を介して、前記壁に接着して取り付けられる前に、前記第2の上側両面接着ストリップの外向き主要接着面を、前記第2の上側ホルダの前記第2の上側バックプレートの前記内向き主表面に接着して取り付けることを更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記保持アセンブリによって支持され、前記保持アセンブリによって前記壁上に解放可能に保持される前記物品が、スマートフォン、タブレットコンピュータ、モバイルモニタである電子式物品、及び飾り額若しくは写真である非電子式物品から成る群から選択される、剛性の物品である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のホルダ及び前記第2のホルダが、前記壁上に接着して取り付けられた後に、前記第2の上側保持本体及び前記第2の上側バックプレートが、前記第1の下側保持本体及び前記第1の下側バックプレートに対して、向かい合って上下逆さまに方向付けされている、保持アセンブリを形成する、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の上側バックプレート及び前記第2の上側保持本体が、重力に抗して前記第2の上側保持本体を保持する摩擦嵌め接続部を全体として含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
壁上に物品を保持するための保持アセンブリであって、
第1の下側保持本体、第1の下側バックプレート、及び第1の下側両面接着テープを含み、前記第1の下側保持本体が、概ね上向きのシルと、前記シルの外方に位置決めされており、前記シルよりも高い位置へ上向きに突出する弾性リップ部とを有する、第1の下側ホルダ、
並びに、
第2の上側保持本体、第2の上側バックプレート、及び第2の上側両面接着テープを含み、前記第2の上側保持本体が、概ね下向きのリンテルと、前記リンテルの外方に位置決めされており、前記リンテルよりも低い位置へ下向きに突出する弾性リップ部とを有する、第2の上側ホルダ、を備える、保持アセンブリ。
【請求項12】
前記第1の下側保持本体及び前記第2の上側保持本体が、互いに同一であり、前記第1の下側バックプレート及び前記第2の上側バックプレートが、互いに同一である、請求項11に記載の保持アセンブリ。
【請求項13】
前記第1の保持本体及び前記第2の保持本体、並びに前記第1のバックプレート及び前記第2のバックプレートが、壁上に前記第1の下側ホルダ及び前記第2の上側ホルダが取り付けられる場合に、前記第2の上側ホルダの前記第2の上側保持本体及び前記第2の上側バックプレートが、前記第1の下側ホルダの前記第1の下側保持本体及び前記第1の下側バックプレートに対して、向かい合って上下逆さまに方向付けされるように構成されている、請求項11に記載の保持アセンブリ。
【請求項14】
前記保持アセンブリが、エンドユーザに供給される際に、キットの形態であり、前記キットにおいて、前記第1の下側保持本体が、前記第1の下側バックプレートに分離可能に接続されており、前記第2の上側保持本体が、前記第2の上側バックプレートに分離可能に接続されているが、前記第1の下側両面接着テープが、前記第1の下側バックプレートに未だ取り付けられておらず、前記第2の上側両面接着テープが、前記第2の上側バックプレートに未だ取り付けられていない、請求項11に記載の保持アセンブリ。
【請求項15】
前記第1の下側保持本体が、前記第1の下側バックプレートに分離可能に接続されるように構成されている第1の下側支持部分と、前記物品の下端部分に接触して保持するように構成されている第1の下側接触部分とを含み、前記第1の下側接触部分が、前記第1の下側保持本体の前記シル及び前記弾性リップ部を有し、前記第1の下側接触部分が、前記第1の下側支持部分に分離不能に取り付けられており、
前記第2の上側保持本体が、前記第2の上側バックプレートに分離可能に接続されるように構成されている第2の上側支持部分と、前記物品の上端部分に接触して保持するように構成されている第2の上側接触部分とを含み、前記第2の上側接触部分が、前記第2の上側保持本体の前記リンテル及び前記弾性リップ部を有し、前記第2の上側接触部分が、前記第2の上側支持部分に分離不能に取り付けられている、請求項11に記載の保持アセンブリ。
【請求項16】
前記第1の下側接触部分が、インサート成形によって前記第1の下側支持部分上に成形されることにより、前記第1の下側保持本体が形成され、前記第2の上側接触部分が、インサート成形によって前記第2の上側支持部分上に成形されることにより、前記第2の上側保持本体が形成される、請求項15に記載の保持アセンブリ。
【請求項17】
前記第1の下側接触部分が、平行で間隔を空けた関係にある、複数の第1のフランジを有し、前記第1のフランジが、前記第1の下側支持部分内の相補的なノッチ部内に固定され、前記第2の上側接触部分が、平行で間隔を空けた関係にある、複数の第2のフランジを有し、前記第2のフランジが、前記第2の上側支持部分内の相補的なノッチ部内に固定される、請求項16に記載の保持アセンブリ。
【請求項18】
前記第1の下側保持本体の前記シルが、前記第1の下側保持本体の横方向軸に沿って間隔を空けて配置されている起伏のセットを有する、弾性シルである、請求項11に記載の保持アセンブリ。
【請求項19】
前記第1の下側保持本体の前記弾性リップ部が、前記第1の下側保持本体の外向き部分から概ね垂直上向きに突出している、細長形の横方向に延びる弾性フランジの、一体型の延長部である、細長形の横方向に延びるリップ部であり、前記第1の下側保持本体の前記弾性フランジが、細長形の横方向に延びるノッチ部によって、前記第1の下側保持本体の前記弾性シルから間隔を空けて配置されており、前記ノッチ部が、概ね垂直下向きにノッチ底面まで貫通している、請求項11に記載の保持アセンブリ。
【請求項20】
前記第1の下側保持本体が、細長形コードが中を通って延びることを可能にするように構成されている、貫通開口を有する、請求項11~19のいずれか一項に記載の保持アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
接着剤(例えば、感圧接着剤)は、表面にアイテムを取り付ける際に、頻繁に使用されてきた。例えば、両面接着テープ(すなわち、互いに反対向きの両主表面上に接着剤が付着されているテープ)が広く知られ、使用されている。特に、延伸剥離接着テープは、多種多様な組み立て、接合、及び取り付け(attaching, and mounting)の用途に使用されてきた。
【発明の概要】
【0002】
広範に要約すると、本明細書では、壁上に物品を保持するための保持アセンブリ、及び、その保持アセンブリの使用方法が開示される。保持アセンブリは、第1の下側ホルダと、第2の上側ホルダとを備える。壁上に接着して取り付けることが可能な、これらのホルダは、壁上に取り付けられている場合に、携帯電話又はタブレットコンピュータなどの物品を、解放可能に保持することができる。保持アセンブリによって物品が保持される場合、その物品の下側末端部が、第1の下側ホルダのシル(sill)の上に載置されて、第1の下側ホルダの上向きに突出する弾性リップ部の内方に位置決めされ、物品の上側末端部が、第2の上側ホルダの下向きに突出する弾性リップ部の内方に位置決めされる。
【0003】
これらの態様及び他の態様が、以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。しかしながら、この広範な要約は、いかなる場合にも、特許請求可能な主題を限定するものと解釈されるべきではなく、このことは、そのような主題が、最初に申請される際の本出願の特許請求の範囲において提示されているか、又は、出願経過中に補正若しくは他の方式で提示される特許請求の範囲において提示されるかに関わらない。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】壁上に取り付けられて、壁上に物品を保持するように構成されている、例示的な保持アセンブリの前面斜視図である。
【
図2】壁上に物品を保持している例示的な保持アセンブリの正面図である。
【
図3】例示的な保持アセンブリ内に物品を挿入する例示的プロセスを示す側面図である。
【
図4】例示的な保持アセンブリの例示的なホルダの前面斜視分解図である。
【
図5】
図2の例示的なホルダの背面斜視分解図である。
【
図6】保持アセンブリの例示的なバックプレートの側面図であり、バックプレートの下側端部の周りに巻き付けられている例示的な両面接着剤のシートを示す。
【
図8】保持アセンブリの例示的な保持本体の前面分解図である。
【
図9】例示的な保持アセンブリの別の例示的なホルダの前面斜視分解図である。
【
図10】
図9の例示的なホルダの背面斜視分解図である。
【
図11】壁上に物品を保持している例示的な保持アセンブリの正面図である。
【
図12】保持アセンブリの例示的なホルダの上面図である。
【
図13】保持アセンブリの別の例示的なホルダの上面図である。
【0005】
様々な図における同様の参照番号は、同様の要素を示す。いくつかの要素は、同一又は等価の複数で存在する場合があり、そのような場合、1つ以上の代表的な要素のみが、参照番号によって示される場合もあるが、そのような参照番号は、そのような同一の要素の全てに適用される点が理解されるであろう。別段の指示がない限り、全ての図及び図面は、正確な縮尺ではなく、本発明の種々の実施形態を例示する目的で選択されている。特に、様々な構成要素の寸法は、例示的な値としてのみ示されており、様々な構成要素の寸法間の関係は、そのような指示のない限り、図面から推測されるべきではない。
【0006】
垂直、上方及び下方、並びに、垂直軸に沿った上向き及び下向きの方向などの用語は、概ね垂直な壁上に取り付けられている保持アセンブリに関する、それらの用語の通常の意味を有するものである。外向き及び内向きなどの用語は、保持アセンブリ及びその構成要素が取り付けられている、壁に関して定義されている。内向きとは、概ね壁に向けた方向を意味し、外向きとは、概ね壁から離れる方向を意味する。横方向(横)、並びに、横方向軸に沿った右方向及び左方向などの用語は、壁の主平面に概ね平行な軸に沿った、概ね水平の方向を指す。明確化のために、垂直軸「V」、横方向軸「T」、及び内向き-外向き軸「I-O」が、
図2に示されている。
【0007】
用語「壁」とは、一般に、保持アセンブリを形成するために第1のホルダ及び第2のホルダを接着して取り付けることが可能な主表面を有する、任意の実体を意味する。用語「壁」は、便宜上使用されている点を強調するものであり、そのような実体は、必ずしも、建物又は他の固定構造体の壁である必要はない。むしろ、この実体は、例えば、ビークル(自動車、トラック、航空機など)の内装パネル、電子レンジ、洗濯機、又は冷蔵庫のハウジングのパネルなどとすることも可能である。多くの実施形態では、そのような実体の主表面は、少なくとも概ね垂直の向きとすることができるが、必ずしもそうである必要はない。むしろ、必要に応じて、本明細書で開示される保持アセンブリは、傾斜しているか、又は更に、概ね水平である「壁」上に、取り付けることも可能である。本明細書における全ての説明を、適切な基準系に移し替えることのみが必要とされる。
【0008】
特性又は属性に対する修飾語として本明細書で使用される場合、用語「概ね」とは、特に別段の規定がない限り、その特性又は属性が、高度の近似性を必要することなく当業者によって容易に認識可能であることを意味する。用語「~ように構成されている(configured to)」及び同様の用語は、少なくとも、用語「~ように適合されている(adapted to)」と同程度に制限的なものであり、指定されている機能を実行する、単なる物理的な能力ではなく、そのような機能を実行するための、実際の設計意図を必要とするものである。数値(例えば、寸法、比率など)に対する本明細書における全ての言及は、別段の断りがない限り、当該パラメータの適切な数の測定値から導出される平均値として計算可能である点が理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書では、保持アセンブリ1が開示される。
図1の例示的実施形態の前面斜視図で示されるように、保持アセンブリ1は、第1のホルダ20と第2のホルダ120とを備える。本明細書で開示される保持アセンブリは、第1のホルダ20と第2のホルダ120とが互いに直接接触していること、又は更に、互いに接続されていることを必要とするものではなく、実際に、多くの実施形態では、これらのホルダは、壁上に取り付けられている場合、互いに接触していないか、又は互いに接続されていない。
【0010】
多くの実施形態では、第1のホルダ20及び第2のホルダ120、並びに、それらの様々な対応する構成要素は、互いに同一とすることができ、互いに交換可能とすることができる。第1のホルダ20及び第2のホルダ120は、第2のホルダ120が、第1のホルダ20の概ね垂直上方にあり、それらの間に、そのように形成された保持アセンブリによって保持するための物品を受け入れることが可能な、空間400を有する状態で、壁500上に取り付けることができる。本明細書では、第1のホルダ20及びその構成要素は、用語「下側」によって言及され、第2のホルダ120及びその構成要素は、用語「上側」によって言及される。しかしながら、上述のように、多くの実施形態では、これらのアイテムは、それらが壁上に取り付けられる位置及び向きを除いて、互いに同一とすることができる。
【0011】
図2の正面図及び
図3の側面図に示されるように、物品(例えば、携帯電話又は同様のデバイス)300を、保持アセンブリ1によって物品300が解放可能に保持されるように、ホルダ20とホルダ120との間の空間400内に挿入することができる。解放可能に保持されるとは、物品300が、アセンブリ1から物品を取り外すことが所望される時点まで、アセンブリ1によって保持されたまま所定の位置に留まることを意味する。その時点で、物品300は、例えばプライヤ、ねじ回しなどの、いずれの工具の使用も必要とすることなく、人の指によって、保持アセンブリ1から手作業で取り外すことができる。以下の説明から明らかとなるように、物品300はまた、いずれの工具も使用することなく、保持アセンブリ1内に手作業で挿入することもできる。
【0012】
図1~
図3を参照すると、物品300が保持アセンブリ1によって保持されている場合、物品300の下端部分301は、下側ホルダ20によって画定されている上向き開放端空間21内に存在している。物品300の下側末端部(縁部)302は、下側ホルダ20の概ね上向きの「シル」22の上に載置されて支持され、下側ホルダ20の上向きに突出する弾性リップ部23の内方に位置決めされている。物品300の上端部分303は、上側ホルダ120によって画定されている下向き開放端空間121内に存在しており、それにより、物品300の上側末端部304は、上側ホルダ120の下向きに突出する弾性リップ部123の内方に位置決めされている。いくつかの実施形態では、このようにして物品300が保持されている場合、物品300の上側末端部304は、上側ホルダ120の概ね下向きの「リンテル(lintel)」122と接触し得る。いくつかのそのような実施形態では、上側ホルダ120のリンテル122、及び下側ホルダ20のシル22は、所定の位置での物品300の保持を強化するために、物品300に(概ね保持アセンブリ1の垂直軸に沿って加えられる)僅かな圧縮力を及ぼすように組み合わせることができる。しかしながら、このことは、厳密には必要とされない場合もある。むしろ、多くの実施形態では、
図2及び
図3から明らかなように、物品300を下側シル22上に載置して、主に下側リップ部23と上側リップ部123との組み合わせによって、所定の位置に保持することができる。
【0013】
上記の論考は、開示される保持アセンブリ1が、概ね上向きの第1の下側ホルダ20と、概ね下向きの第2の上側ホルダ120とに依存している点を明らかにするものである。本明細書で使用される場合、第1の下側ホルダが概ね上向きであるという用語法は、ホルダのシル22が、
図1~
図3に示される一般的な方式で上向きであることを意味するものであり、同様に、第2の上側ホルダが概ね下向きであるという用語法は、ホルダのリンテル122が、
図1~
図3に示される一般的な方式で下向きであることを意味する。
【0014】
図1~
図3を参照すると、いくつかの実施形態では、物品300は、以下の一般的な方法に従って、保持アセンブリ1によって保持されるように空間400内に挿入することができる。物品300を、
図3に示されるように、壁500に対して上方外向きの角度に方向付けして保持することができる。このことは、
図3から明らかなように、物品300の上端部分303が壁からより遠く離れ、物品300の下端部分301が壁により近くなるように、物品300が傾斜していることを意味する。
【0015】
この角度で物品300を保持した状態で、次いで、物品300の下側末端部302が下側ホルダ20のシル22の上に載置されるように、物品300の下端部分301を、下側ホルダ20の上向き開放端空間21内に挿入することができる。次いで、概ね物品300の上側部分付近の場所に、手作業で(例えば、指で)加えられる力によって、物品300を、壁500に向けて内向きに付勢することができる(そのような力は、ブロック矢印306によって示されている)。このことにより、物品300は、物品300の下側末端部302に近接した(かつ、保持アセンブリの横方向軸に平行な)回転軸305を中心に回転され、それにより、物品の上端部分303が、上側ホルダ120の下向き開放端空間121内へと内向きに移動する。このプロセス中に、物品300の上側末端部(縁部)304は、上側ホルダ120の弾性リップ部123に突き当たる。リップ部123は弾性であり、物品300の上側末端部304の内向き押圧力の下で、一時的に(例えば、僅かに内向き及び/又は上向きに)偏向する。リップ部123は、空間121内に物品300の上側末端部304が入ることを可能にするために十分な程度まで、偏向することが可能であり、その後、リップ部123は、その従前の構成へと弾性的に戻る。
【0016】
そのような挿入プロセスは、
図3に一般的な表現で示されており、この挿入の結果として、物品は、
図2に示される一般的な方式で保持アセンブリ1によって保持されることになる。すなわち、物品300の上側末端部304及び下側末端部302は、ホルダ20の下側リップ部23及びホルダ120の上側リップ部123の内方に存在することになり、これにより(任意選択的に、シル22及びリンテル122によって及ぼされる僅かな圧縮力と共に)、物品300を空間400内に保持することが可能となる。
【0017】
上述のプロセスは、変更することができる。例えば、物品300を下方外向きの角度で保持した状態で、物品300の上端部分303を、上側空間121内に挿入することが可能である。次いで、物品300を、物品300の上側末端部304に近接した回転軸を中心に回転させることが可能であり、それにより、物品300の下端部分301が、下側空間21に入り、そのプロセスにおいて下側リップ部23を一時的に偏向させる。しかしながら、殆どのユーザにとっては、上述のような挿入を実行することが、より容易であり得る。
【0018】
別の可能な挿入プロセスは、空間400内に物品300を摺動させて挿入することを含む。このことは、物品300を概ね垂直の向きにした状態で、物品300を、ホルダ20とホルダ120との間の空間400に横方向で隣接させて保持することによって達成することができる。次いで、物品300を、保持アセンブリ1の横方向軸(T)に概ね平行な方向で、摺動移動させることができ、それにより、物品300の下側末端部302が、下側ホルダ20の上向き開放端空間21内へ摺動移動し、物品300の上側末端部304が、上側ホルダ120の下向き開放端空間121内へ摺動移動する。必要に応じて、この手順を逆にすることによって、物品300を保持アセンブリ1から取り外すことができる。
【0019】
本明細書で構成されているような保持アセンブリは、物品(例えば、携帯電話)が、その物品へのいずれの補助アイテム又は支援アイテム(例えば、掛け具、面ファスナ部品、磁石など)の取り付けを必要とすることなく、保持されることを可能にする。更には、物品が保持されることになる「壁」500が、連続的ではない場合であっても、取り付けを実行することができる。必要とされる点は、壁が2つの領域を有し、それらの表面が、2つのホルダ20及びホルダ120を壁に接着して取り付けることが可能となるように、十分に近接して、互いに十分に平行であることのみである。本明細書における後の論考から、他の利点が明らかとなるであろう。
【0020】
上記の構成は、少なくとも、下側ホルダ20の下側リップ部23と上側ホルダ120の上側リップ部123とが弾性であることにより、一方又は双方のリップ部が上述のように偏向することが可能であるようにすることによって、推進させることができる。多くの実施形態では、本明細書で後に詳細に論じられるように、追加的部分、例えば、リップ部23及びリップ部123が延出しているフランジ24及びフランジ124も同様に、弾性とすることができる。弾性とは、実体が、加えられた力に応答して可逆的に偏向可能であるように、十分にエラストマー性であることを意味する。弾性材料の例としては、例えば熱可塑性エラストマーが挙げられる。本明細書で定義される場合、弾性材料は、80未満の(22℃における)ショアA硬度値を示す。様々な実施形態では、そのような弾性材料は、70、60、50、40、30、又は20未満のショアA硬度値を示し得る。更なる実施形態では、そのような弾性材料は、少なくとも10のショアA硬度値を示し得る。
【0021】
任意の好適な弾性材料を使用することができる。多くの実施形態では、そのような材料は、射出成形可能な熱可塑性エラストマーとすることができる。そのような材料は、任意の好適な組成物、例えば、スチレンブロックコポリマー、ポリオレフィンエラストマー、熱可塑性ポリウレタンなどで構成することができる。いくつかのそのような材料は、エラストマー材料(例えば、スチレンブロックコポリマー)と、より硬質の材料(例えば、ポリオレフィン)とのブレンドを含み得る。
【0022】
図4を参照すると、第1の下側ホルダ20は、第1の下側保持本体40と、以下で説明されるように保持本体40が分離可能に接続される、第1の下側バックプレート50とを含む。下側ホルダ20は、下側ホルダ20を壁上に接着して取り付けることが可能な、第1の下側両面接着ストリップ60を更に含む。接着ストリップ60は、下側バックプレート50の内向き主表面51に接着して取り付けることが可能な、外向き主要接着面62と、壁500の表面501に接着して取り付けることが可能な内向き主要接着面61とを有する。
【0023】
第2の上側ホルダ120は同様に、第2の上側保持本体140と、上側保持本体140が分離可能に接続される第2の上側バックプレートとを含む。上側ホルダ120は、上側ホルダ120を壁に接着して取り付けることが可能な、第2の上側両面接着ストリップを更に含む。第2の上側バックプレート及び接着ストリップは、本明細書のいずれの図にも具体的には示されていない。しかしながら、多くの実施形態では、第2の上側保持本体140、第2の上側バックプレート、及び第2の上側接着ストリップは、本明細書で説明される第1の下側保持本体、第1の下側バックプレート、及び第1の下側接着ストリップと同一である。すなわち、2つのそのようなホルダを含むキットを使用する場合、いずれかのホルダを、「第1」の下側ホルダとして、又は「第2」の上側ホルダとして選択することができる。したがって、「第2の」上側ホルダ120及びその構成要素の特徴は、本明細書では詳細には説明されないが、「第1の」そのようなアイテム並びにそれらの様々な特徴及び特性の全ての説明が、「第2の」そのようなアイテムに同様に適用される点が理解されるであろう。
【0024】
代表的なバックプレート(これらの図では、「第1の」下側バックプレート50として使用されるバックプレート)が、
図4の前面図、
図5の背面図、及び
図6の側面図における例示的実施形態で示されている。(
図5では、両面接着ストリップは、他の構成要素の描写を容易にするために省略されており、
図6では、両面接着ストリップは、本明細書で後に詳細に論じられるように、バックプレートに接着接合されている。)
【0025】
いくつかの実施形態では、そのようなバックプレート50は、
図6に示されるように、両面接着ストリップ60の外向き主要接着面62が取り付けられるように構成されている、内向き主表面51を有し得る。バックプレート50の外向き面は、バックプレート50を保持本体40に接続すること、例えば分離可能に接続することが可能な、任意の好適な接続特徴部又は接続機構を含み得る。
図6で最も容易に見られるように、いくつかの実施形態では、そのような接続機構は、バックプレート50の外向き主表面52に対して概ね平行な方向に延びている支材55(この場合、T字構造体の上側支材)を有する、外向きに突出するビーム54を含み得る。この支材55は、バックプレート50の外向き主表面52の一部分と組み合わされて、スロット57を画定している。スロット57は、保持本体40の概ね垂直の向きのフランジ43(
図5で視認可能)を中に受け入れるように構成されており、それにより、バックプレート50と保持本体40とが互いに接続される。この接続は分離可能であり、バックプレート50と保持本体40とは、フランジ43がスロット57から取り外されるように、それらを摺動移動させることによって、互いに分離可能(切り離し可能)である。
【0026】
図示の実施形態では、バックプレート50は、外向きに突出する傾斜面56(
図6で最も容易に見られるもの)を含む。そのような特徴部は、傾斜面56と支材55とによって全体として付与される圧力及び摩擦によって、保持本体40のフランジ43がスロット57内部に保持されることをもたらす、摩擦嵌め接続部53を提供するように、支材55と組み合わせることができる。このことは、保持本体が、単に重力の作用によってではなく、摩擦嵌め構成によってバックプレートに接続されることをもたらし得る。このことは、本明細書で後に詳細に論じられるように、保持本体及びバックプレートが、上側ホルダとして「上下逆さまに」使用される場合に有利であり得る。他の摩擦嵌め接続方式も使用することができる点が理解されるであろう。
【0027】
様々な実施形態では、バックプレート(下側バックプレートとして使用されるか、又は上側バックプレートとして使用されるかに関わりなく)は、有機ポリマー熱可塑性樹脂で射出成形することができる。任意の好適な材料、例えば、ABSプラスチック又は同様の材料を使用することができる。多くの便宜的実施形態では、バックプレートは、保持本体に解放可能に接続可能な、別個に作製されたアイテムとすることができるが、いくつかの実施形態では、バックプレートは、保持本体から解放可能ではない、保持本体の一体構成要素とすることもできる。
【0028】
両面接着ストリップ(片)60が、
図4及び
図6の例示的実施形態で示されている。特定の図では、接着ストリップ60は、第1の下側接着ストリップとして使用されている。保持本体及び取り付けプレートと同様に、「上側」両面接着ストリップと「下側」両面接着ストリップとは、それらの場所、向き、及び/又は使用順序を除いて、交換可能及び/又は同一とすることができる。それゆえ、本明細書における両面接着ストリップの特定の特徴についての多くの説明は、第1の下側両面接着ストリップ60に関して表現されているが、そのような説明の全てが、第2の上側両面接着ストリップに同様に適用される点を理解されたい。
【0029】
両面接着ストリップは、互いに反対向きの主表面上に感圧接着機能を有する、任意の好適なシート、フィルム、層などを含み得る。両面接着剤60は、外向き主要接着面62が、バックプレート50の主表面51への接着接合のために使用され、内向き主要接着面61が、壁500の主表面501への接着接合のために使用されるように構成することができる。多くの実施形態では、そのような接着ストリップは対称であることにより、いずれの表面も、内向き接合表面又は外向き接合表面として使用することができる。他の実施形態では、一方の接着面を、バックプレートに接合するように指定することができ、他方を、壁に接合するように指定することができる(2つの表面は、特別にマーク付けされた剥離ライナを設けることによって区別することができる)。
【0030】
いくつかの実施形態では、そのような両面接着ストリップは、ユーザに供給される時点で、既にバックプレートに接合されている場合もある。しかしながら、いくつかの実施形態では、両面接着ストリップは、エンドユーザによってバックプレートに接合されるように、別個に供給することもできる。両面接着剤は、シート、テープ、ロール製品などの形態で入手可能な、任意の好適な接着剤を含み得るものであり、それらの製品から、使用するための個別の接着剤片を得ることができる。それゆえ、好適な接着剤としては、当該技術分野において周知であるような、両面テープ、貼り合わせ用接着剤、両面フォームテープなどが挙げられる。
【0031】
いずれのそのような接着剤も、それぞれが感圧接着剤である、2つの主要接着面を有する。感圧接着剤は、通常、室温において粘着性であり、手作業で指圧を加えることによって表面に接着させることができるため、感圧性ではない他のタイプの接着剤と区別することができる。感圧接着剤の一般的な説明は、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.13,Wiley-Interscience Publishers(New York,1988)に見出すことができる。感圧接着剤の更なる説明は、Encyclopedia of Polymer Science and Technology,Vol.1,Interscience Publishers(New York,1964)に見出すことができる。本明細書で定義される場合、感圧接着剤は、Handbook of Pressure-Sensitive Adhesive Technology,D.Satas,2nd ed.,172頁(1989)で説明されている、周知のダールキスト評価基準(Dahlquist criterion)を満たす。この評価基準は、感圧接着剤を、その使用温度において(例えば、15℃~35℃の範囲の温度において)1×10-6cm2/ダインを超える1秒クリープコンプライアンスを有する接着剤として定義している。
【0032】
いくつかの実施形態では、両面接着ストリップは、延伸剥離接着剤とすることができる。そのような延伸剥離特性により、接着ストリップを、壁表面に接着して取り付けて、その後、(例えば、概ね接着ストリップの長軸に沿って)延伸させることによって、表面の視覚的美観を損ねることも、又は表面上に接着剤残留物を残すこともなく、表面から取り外すことが可能となる。換言すれば、このことにより、バックプレートとホルダ全体とを、壁に取り外し可能に取り付けることが可能となる。
【0033】
好適な延伸剥離接着剤は、感圧接着剤がその上に施される(例えば、コーティングされる)、弾性の裏材、又は、伸張性が高く実質的に非弾性の裏材を含み得る。又は、延伸剥離接着剤は、中実で弾性の感圧接着剤で形成することもできる。それゆえ、この文脈では、延伸剥離接着剤という用語は、(裏材を含み、その裏材の上に別個の接着剤の層が存在している製品に加えて)単一構造、一体構造、又は中実構造の接着剤を含む製品を包含する。好適な例示的延伸剥離接着剤は、米国特許第4,024,312号(Korpman)、独国特許第33 31 016号、米国特許第5,516,581号(Kreckelら)、及びPCT国際公開第WO95/06691号(Briesら)で説明されている。そのような延伸剥離接着剤は、例えば、厚さ約0.2mm~厚さ約2mmの範囲とすることができる。物品300が、湿潤環境において取り付けられることになる場合には、延伸剥離接着剤の組成は、湿気の存在下で適切な接着力を維持するように選択することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、両面接着剤は、延伸によってではなく、引き剥がすことによって剥離可能とすることもできる。この一般的なタイプの接着剤は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2020/0190365号で説明されている。
【0035】
両面接着ストリップ60が、延伸剥離接着剤である場合には、
図4で視認可能であるように、プルタブ63の部分(例えば、接着剤を含まないストリップ60の端部)を含み得る。そのようなプルタブは、壁からホルダを取り外すことが所望される場合に、ユーザによって把持され、引っ張られることにより、その接着剤の延伸剥離特性を活性化させることができる。それゆえ、本明細書で開示されるタイプの保持アセンブリは、複数の両面延伸剥離接着ストリップ片を含む、キットとして提供することができる。このことにより、壁から保持アセンブリを取り外して、元々使用されていた接着ストリップを廃棄するか又は再利用することができ、また、保持アセンブリを新たな場所に設置するために、未使用の接着ストリップを使用することができるようになる。
【0036】
次に、本明細書で説明される保持アセンブリ1の、例示的な使用方法が説明される。前述のように、エンドユーザには、上述のような第1及び第2(下側及び上側)のホルダとなる様々なアイテムを含むキットの形態で、保持アセンブリ1を提供することができる。そのようなキットは、例えば、2つの保持本体、2つのバックプレート、及び2つ以上の両面接着ストリップを含み得る。いくつかの実施形態では、バックプレートは既に、供給時のキットにおいて、(例えば、工場で実行された作業において)保持本体に予め接続されている場合もある。他の実施形態では、バックプレートは、未だ保持本体に接続されていない場合もある。そのような場合、エンドユーザは、例えば、バックプレートの上述の受け入れスロット内に、保持本体の上述のフランジを摺動させて挿入することによって、この作業を容易に実行することができる。同様に、いくつかの実施形態では、接着ストリップの最初のセットを、バックプレートに予め取り付けることができ、追加的な交換用接着ストリップもまた存在している。他の実施形態では、接着ストリップがバックプレートに予め取り付けられることはなく、最初の使用と、その後の交換使用とのために、十分な数の接着ストリップが提供される。
【0037】
下側ホルダ20及び上側ホルダ120を壁上に取り付けて、保持アセンブリ1を形成するためには、既に設置されている保持アセンブリ1内に物品300を挿入するための前述の手順に、多少類似した手順に従うことができる。
図1及び
図4を参照すると、「第1の」下側ホルダを形成するために、アイテムのセット(保持本体、バックプレート、及び接着ストリップ)を選択することができる。バックプレートが工場で予め取り付けられていなかった場合には、バックプレート50を保持本体40に接続することができる。接着ストリップが工場で予め取り付けられていなかった場合には、バックプレートの内向き主表面に、両面接着剤60のストリップを接着して取り付けることができる。(剥離ライナは、典型的には、両面接着ストリップの双方の主要接着面上に存在しており、これらを適切な時点で取り除くことにより、接着面を露出させることができる。)
【0038】
次いで、得られたホルダを、壁500の所望の場所に接近させることができる。ホルダの「シル」22が概ね上向きになるように、ホルダが方向付けされることにより、このホルダは、第1の下側ホルダとなる。次いで、所望の場所で、壁500の表面501にホルダを強く押し付けることにより、ホルダを壁に接着接合することができる。
【0039】
第2のセットのアイテムを同様に操作することにより、第2の上側ホルダを形成して位置決めすることができる。必要に応じて、エンドユーザは、そのホルダが使用されることになる物品300(携帯電話など)の適切な寸法(典型的には、長さ)を測定することができ、次いで、適切な場所に上側ホルダを位置決めすることができる。しかしながら、多くの実施形態では、上側ホルダの適切な場所を確立するためのテンプレートとして、単純に物品300自体を使用することが、遥かに容易である。それゆえ、いくつかの実施形態では、物品300の下側末端部302を、
図3に示されるものと同様の上方外向きの角度で物品を傾斜させた状態で、下側ホルダ20のシル22上に載置することができる。次いで、上側ホルダ120を、物品300の上側末端部304の上に位置決めして、その位置に保持する。剥離ライナを取り除き、上側ホルダの両面接着剤の内向き接着主表面61を露出させる。このようにして、上側ホルダを壁に接着接合する準備が整う。
【0040】
この時点で、ユーザは、物品300を(物品300の上に載置されている上側ホルダ120と共に)、物品300の下側末端部302に近接した回転軸305を中心に回転させることができる。このことにより、上側ホルダ120が壁500に向けて移動し、それにより、両面接着ストリップの露出した内向き接着主表面61が、壁500に接触して、その壁に接着接合する。ユーザは、上側ホルダに圧力を加えて、上側ホルダを壁に押し付けることにより、接着接合の形成を促進することができる。必要に応じて、上述のプロセスの終了に向けて上側ホルダが壁に接近する際に、ユーザは、物品300の保持を強化するために、上側ホルダ120のリンテル122及び下側ホルダ20のシル22が物品300に僅かな圧縮力を加えることになる場所で、上側ホルダ120が壁に取り付けられるように、上側ホルダ120に対して軽度の下向きの圧力を加えることができる。
【0041】
上述の設置プロセスは、何らかの測定を実行すること、何らかのマークを壁に付けることなどを必要とせずに、必然的に上側ホルダ120を下側ホルダ20から適切な距離に配置させ、かつ下側ホルダに対して適切な向きにさせる点が明らかである。
【0042】
本明細書で説明される保持アセンブリ1は、極めて容易に設置することができ、更には、設置プロセス中に、適切な幾何学的構成へと「自動調節」することができる。すなわち、保持アセンブリによって支持されることになる物品自体を、上側ホルダと下側ホルダとの間の適切な距離を確立するためのテンプレートとして使用することができるため、そのようにして形成される保持アセンブリは、保持される物品の寸法へと自動的に調節される。更には、保持アセンブリを修正する必要がある場合には(例えば、支持される物品が携帯電話であり、その携帯電話が、より大きい携帯電話若しくはより小さい携帯電話に交換されるか、又は保護ケースに入れられるか若しくは保護ケースから取り外される場合には)、容易に修正を行うことができる。上側ホルダ(例えば、保持本体、バックプレート、及び接着ストリップ)が、壁から取り外され、新たな物品又は変更された物品を上述のようにテンプレートとして使用して、適切な場所に(新たな接着ストリップを使用して)再び取り付けられる。下側ホルダは、その元の位置に留めることができ、その一方で上側ホルダは、この時点で、現在支持されている物品に関して適切な、新たな位置にある。それゆえ、本明細書で説明される保持アセンブリは、設置された後も、保持アセンブリ全体(すなわち、上側ホルダ及び下側ホルダ)を壁から取り外すことを必要としない手順によって、容易に調節可能である点が理解されるであろう。
【0043】
多くの実施形態では、達成される接着接合は、接着ストリップに圧力を加えるための1つ以上の追加的ステップを実行することによって、強化することができる。いくつかの実施形態では、いずれかのそのようなステップを実行する前に、保持アセンブリから物品を取り外すことが好ましい場合がある。それゆえ、いくつかの実施形態では、上記のステップに引き続くものとして、物品を取り外すことができ、その後に(例えば、ユーザの指を使用して)手による強い圧力を加えることができる。いくつかの実施形態では、この圧力は、保持本体(40又は140)に加えることができ、保持本体が、その力をバックプレートに伝達する。しかしながら、いくつかの実施形態では、保持本体を、そのバックプレートから切り離すこともできる。例えば、
図4及び
図5に示されるような第1の下側ホルダ20に関しては、保持本体を垂直上向きに摺動移動させることによって、バックプレート50から保持本体40を取り外すことができる。次いで、手による圧力をバックプレートに直接加えることができ、その後に、保持本体を再び取り付けることができる。いくつかの実施形態では、次いでホルダ内に物品300を挿入する前に、壁への接着接合がより完全に発現するように、或る期間、例えば、10分、30分、又は60分待機することが適切であり得る。
【0044】
上述の接着による取り付けが実行された後、バックプレートから保持本体を一時的に切り離すことにより、別の有利な構成を容易にすることができる。具体的には、このことにより、両面接着ストリップの(例えば、延伸剥離接着ストリップの)前述のプルタブ63を隠すことが可能となり得る。他のアイテムの描写を容易にするために
図1~
図3では示されていないが、
図4の分解図は、場合によってはプルタブ63の一部分が、保持本体40の外周を越えて視認可能となり得る点を明らかにしている。(
図4のような下側ホルダ20の場合、視認可能なプルタブの部分は、最も下側の部分となる)。プルタブが視認可能であることが所望されない場合には、保持本体がバックプレートから一時的に切り離されている間に、プルタブを折り返すことができる。
【0045】
このことは、両面延伸剥離接着剤60を介して壁(図示せず)に接着して取り付けられているバックプレート(この場合、下側バックプレート50)の側面図である、
図6の例示的実施形態で示されている。保持本体を、上述の一般的な方式で摺動させて取り外した場合、プルタブ63は、
図4から明らかであるように、バックプレート50の下側末端部58の下方に下向きに突出する。プルタブ63は、
図6に示される一般的な方式で、プルタブ63の少なくとも端部部分64が、バックプレート50の下側セクションの外方に位置決めされるように、バックプレート50の下側末端部58の周りで外向きに折り畳む(巻き付ける)ことができる。このことは、保持本体40が、バックプレート50上に再び取り付けられる場合に、プルタブが、保持本体の下側外周の下方で視認可能となるのではなく、保持本体の下側部分によって覆われることになる効果をもたらす。同様の操作を上側ホルダに対して実行することにより、同様の効果を達成することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、両面延伸剥離接着剤のストリップ、及びそのプルタブは、プルタブの折り畳み及び隠蔽を向上させるように構成することができる。それゆえ、いくつかの実施形態では、接着ストリップ60は、
図4及び
図6に見られるように、接着領域65を提供するために十分に遠くまで延びている、接着面を有し得る。プルタブ63が、バックプレートの端部の周りで外向きに巻き付けられると、接着領域65がバックプレート50の外向き主表面52と接触して、その表面に接着接合する。このことが、プルタブ63を主表面52に「仮止め」するための十分な接合をもたらすことにより、プルタブ63は、所定の位置に留まり、またそれゆえ、保持本体40をバックプレート50上に摺動させて再び取り付ける能力を妨げる恐れのある方式で、広がることはない。しかしながら、表面52に対するプルタブ63のこの仮止めは、十分に制限されたものであるため、壁からホルダを取り外すために接着ストリップ60を延伸剥離することが所望される場合に、表面52からプルタブを容易に取り外すことを妨げるものではない。
【0047】
いくつかの便宜的実施形態では、プルタブを折り畳むプロセスを、手による圧力をバックプレートに加えるプロセスと組み合わせることにより、壁に対する接着接合を強化することができる。それゆえ、いくつかの実施形態では、プルタブを折り畳むプロセスの後に続けて、例えば、バックプレートの外向き主表面にプルタブを強く押し付けることができ、このことは、プルタブを、その新たな構成へと設定することと、壁に対する接着接合を構築することとの、双方の効果をもたらす。
【0048】
本明細書で説明されるように構成されている保持アセンブリ1に関して、第2の上側ホルダ120は「上下逆さまに」設置されることが、本明細書の論考から理解されるであろう(また、
図1から明白である)。すなわち、
図1から明らかであるように、第2の上側保持本体140は、第1の下側保持本体に対して、向かい合って上下逆さまに方向付けされている。同様に、
図1では視認可能ではないが、第2の上側バックプレートは、第1の下側バックプレートに対して、向かい合って上下逆さまに方向付けされている。写真、棚、保存容器などの物品を支持するために、延伸剥離接着剤、バックプレート、及び保持本体を使用する当業者は、そのような使用が従来の常識に反するものであることを、容易に理解するであろう。特に、バックプレート上に摺動させて取り付けられている保持本体は、双方のアイテムが上下逆さまに位置決めされる場合には、重力によって単純に摺動して外れることが予想されるであろう。しかしながら、本明細書で開示される構成(例えば、保持本体とバックプレートとの間の摩擦嵌め接続部の使用)は、あらゆるそのような潜在的な問題を打ち消すことが判明している。
【0049】
理論的には、特別に設計された上側ホルダを提供することも可能であり、その保持本体、バックプレート、及び接着ストリップは、それらのアイテムを「上下逆さまに」設置する必要がないように特別に構成される。このことは、いくつかの実施形態では行うことができるが、しかしながらこれは、上側のアイテムと下側のアイテムとがもはや交換可能ではなく、それゆえ、どちらのアイテムがどちらのアイテムであるかを、エンドユーザが把握する必要があることを意味し得る。本研究は、上側ホルダを本明細書で開示されるように「上下逆さまに」設置することには、実際に技術的障害が存在しないことを示している。特に、上側ホルダは、典型的には、支持されている物品の実際の重量を、たとえ支えるとしても、殆ど支えることはない。むしろ、上側ホルダは、それ自体の重量を支えることのみが必要とされる。それゆえ、上側保持本体と上側バックプレートとの上述の摩擦嵌めは、上側保持本体を所定の位置に保持するために十分であり得る。
【0050】
上記の論考に鑑みて、いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるような保持アセンブリは、本明細書で開示されるような一般的なタイプ及び特徴の下側ホルダを備え得るが、この保持アセンブリが備え得る上側ホルダは、重量又は力を支える必要が殆どないため、遥かに小さくすることが可能であり、より小さい接着ストリップを使用することなども可能である。すなわち、場合によっては、必要となり得る点は、上側ホルダが、それ自体の重量を支持すること、及び、物品の上側部分が壁から離れて外向きに傾くことを防止するために、支持されている物品300の上側縁部304に外方で重なる部分を有することのみである。そのような構成は、上側ホルダをより小さくして、より安価に製造することが可能であり得るため、いくつかの状況においては望ましい場合がある。しかしながら、多くの実施形態では、ホルダが交換可能であり、設置プロセスがよりユーザフレンドリとなるように、上側ホルダと下側ホルダとが同一である構成を使用することが好ましい場合がある。また、上述のように、場合によっては、物品に対する僅かな圧縮力により、上側ホルダと下側ホルダとの間に物品を密接に適合させて保持するために、上側ホルダは、物品に対して十分な下向きの力を及ぼすことが可能であることが望ましい場合がある。
【0051】
本明細書で説明されるような保持本体40は、例えば
図5及び
図7に見られるような、弾性リップ部23を提供する任意の好適な設計を含み得る。多くの実施形態では、そのようなリップ部は、
図5から明らかなように、細長形の横方向に延びるリップ部とすることができる。いくつかのそのような実施形態では、そのようなリップ部23は、細長形の横方向に延びる弾性フランジ24の延長部、例えば、一体型の延長部とすることができる。
図5及び
図7に見られるように、そのようなフランジ24は、保持本体の外向き部分から概ね垂直上向きに突出し得る(この説明は、下側保持本体に適用される)。いくつかの実施形態では、そのようなフランジ24(そのリップ部23を含むもの)は、少なくとも2.0:1、2.5:1、3.0:1、3.5:1、又は4.0:1のアスペクト比を示し得る。そのようなアスペクト比は、フランジの平均厚さに対する、(リップ部を含めた)フランジの最大高さの比として定義される。特定の例として、
図7に示されるような例示的なフランジ24のアスペクト比は、約3.5:1である。
【0052】
いくつかの実施形態では、そのようなフランジ24は、
図7に示されるような、細長形の横方向に延びるノッチ部25によって、下側保持本体のシル22から(又は、上側保持本体のリンテル122から)間隔を空けて配置することができる。そのようなノッチ部は、少なくとも2.0:1、2.5:1、3.0:1、3.5:1、又は4.0:1のアスペクト比をノッチ部が有するように、概ね垂直下向きに(又は、上側保持本体に関しては上向きに)ノッチ底面まで貫通し得る。フランジのアスペクト比と同様に、ノッチ部のアスペクト比は、ノッチ部の平均幅に対するノッチ部の最大深さの比として定義され、
図7の例示的なノッチ部25は、約4:1のアスペクト比を示す。いくつかの実施形態では、弾性リップ部(及び、例えばフランジの一部分)23は、末端をテーパ状にする(例えば、面取りする)ことができ、これは、リップ部が、その末端部(
図7の下側保持本体40に関しては上端部)で最も狭くなるように、リップ部がテーパ26を有することを意味する。
【0053】
そのような幾何学的特性及び属性は、リップ部(及び、多くの場合、フランジと、場合によっては、後述されるように保持本体のかなりの部分と)が弾性材料で作製されているという前述の事実との組み合わせで、物品をホルダ内に挿入することを可能にするためにリップ部が一時的に偏向し得ることを確実にするように、作用し得る点が理解されるであろう。すなわち、多くの実施形態では、物品300の挿入中の、リップ部23の上述の偏向は、(ノッチ部25によって可能にされ、促進されるような)フランジ24のかなりの部分の偏向を伴い得る。下側保持本体に関して説明されたような、上記の幾何学的パラメータ及び特性は、向きを反転させて、上側保持本体にも同様に適用される点が更に理解されるであろう。
【0054】
本明細書で開示される保持アセンブリ1の顕著な利点は、第1のホルダ20及び第2のホルダ120を、壁500上に設置した後、保持アセンブリ内に物品300を挿入するためにユーザの手で操作する(又は更に、触れる)必要がない点である。それゆえ、本発明の保持アセンブリ1は、壁上に設置された後も、物品を中に挿入するために操作しなければならないホルダとは異なる。そのような操作式ホルダは、例えば、物品を中に挿入するために、ホルダの一部分を、そのホルダの何らかの他の部分に対して摺動移動させるか、何らかの他の部分に対して回転移動させるか、又は何らかの他の部分から一時的に取り外さなければならない構成を有し得る。それゆえ、本開示の非操作式ホルダが、そのようなホルダとは異なる点は、本開示の非操作式ホルダが、偏向可能なフランジ及びリップ部を除いて可動部分を含まず、それらの部分でさえも、ホルダ内に物品を挿入するための必要な先行段階として、ユーザの指によって能動的に操作されるのではなく、(物品自体がリップ部に突き当たる作用によって)受動的に偏向されるという点である。
【0055】
保持本体は、任意の好適な構造のものとすることができる。いくつかの実施形態では、保持本体は、
図8に示される一般的な方式で構成することができる。そのような実施形態では、保持本体40は、(例えば、
図8の図では視認可能ではない、フランジ43によって)第1の下側バックプレートに解放可能に接続されるように構成されている、保持本体の部分である、支持部分(ベース部)41を含み得る。支持部分41は、例えばABSプラスチックなどの、任意の好適な強固かつ剛性の有機ポリマー熱可塑性(例えば、射出成形可能な)材料で作製することができる。
【0056】
保持本体40は、物品の端部部分に接触して保持するように構成されている、接触部分42を含み得る。
図8に示される実施形態では、保持本体40は、シル22、リップ部23、フランジ24などを含む、下側保持本体である。図示の実施形態では、シル22、リップ部23、及びフランジ24を含む、接触部分42の全体を、弾性材料、例えば、射出成形可能な有機ポリマー熱可塑性エラストマーで作製することができる。下側保持本体の弾性シル22(又は、上側保持本体の弾性リンテル)は、例えば、そのシル又はリンテルの表面に沿って摺動する物品に対する摩擦抵抗を増大させることによって、物品300を保持する際の安全性を高めることが可能な、一連の起伏27を有し得る。
【0057】
多くのそのような実施形態では、接触部分42と支持部分41とは、互いに分離不能に取り付けられている(
図8では、それらの部分が分解図で示されている点に留意されたい)。場合によっては、このことは、インサート成形によって達成することができ、その場合、例えば、支持部分41を成形して、次いで、金型キャビティ内に少なくとも部分的に挿入することにより、その上に接触部分42をオーバーモールドすることができる。そのようなプロセスは、保持本体の接触部分と支持部分との、優れた接合を達成するために理想的であり得ると共に、それら2つの部分が、上述のような2つの異なる材料で作製されることを可能にする。
【0058】
いくつかの実施形態では、接触部分42と支持部分41との接合は、
図8で視認可能なように、支持部分41内に一連の細長形ノッチ部45を設けることによって強化することができる。いくつかの実施形態では、そのようなノッチ部は、平行で間隔を空けた(例えば、保持本体の横方向軸に沿って間隔を空けた)関係にあるものとすることができる。接触部分42の成形の間に、接触部分42を形成することになる溶融樹脂が、ノッチ部45内に流れ込み、それらノッチ部を充填することにより、一連のフランジ44が形成され、フランジ44は例えば、ノッチ部45によって規定されるような、平行で間隔を空けた関係にある。(
図8では、そのようなフランジ44の1つのみが視認可能である。)そのような構成により、支持部分41の材料と接触部分42の材料との全体的な接触表面積を増大させることができ、これらの2つの材料間の接合を強化することができるため、それらが全体として、単一の分離不能な保持本体を形成する。
【0059】
本明細書におけるこれまでの論考は、主に、携帯電話などの物品を支持するための、保持アセンブリ1の使用に関するものであった。しかしながら、様々な実施形態では、本明細書で開示されるような保持アセンブリ1は、例えばタブレットコンピュータなどの、他の物品を支持するために使用することもできる。例示的なホルダ1020(この場合、第1の下側ホルダ)が、
図9の正面斜視分解図及び
図10の背面斜視分解図に示される(接着ストリップは、
図10からは省略されている)。物品1300(例えば、タブレットコンピュータ)を支持している、そのような下側ホルダ1020、及び(同一ではあるが、上下逆さまの)上側ホルダ1120が、
図11の正面図に示される。ホルダ1020及びホルダ1120は、以下の論考から明らかとなるように、このタイプの物品を支持するために特に好適であり得る。
【0060】
図9~
図11は、ホルダ1020及びホルダ1120が、前述のホルダ20及びホルダ120と多くの特徴を共有している点を明らかにするものである。例えば、第1の下側ホルダ1020は、上向きのシル1022と、リップ部1023で終端して、横方向に延びるノッチ部1025を画定しているフランジ1024とを有する、保持本体1040を含む。第2の上側ホルダ1120は、(
図9~
図11では視認可能ではない)下向きのリンテル、フランジ、リップ部、ノッチ部などを含めた、同様の特徴部を有し得る。(当然ながら、多くの実施形態では、ホルダ1120は、ホルダ1020と同一とすることができるが、単純に、ホルダ1020に対して上下逆さまの向きにすることができる)
【0061】
同様に、
図9、
図10に見られるような第1の下側ホルダ1020は、内向き主表面1052、外向き主表面1051、支材1054、及びビーム1055を有する、バックプレート1050を含み、スロット1057が、ビーム1055と内向き主表面1052との間に画定されている。
図9及び
図10から明らかなように、保持本体1040は、バックプレート1050のビーム1055と主表面1052との間に画定されているスロット1057(
図9で視認可能)内に、保持本体1040のフランジ1043(
図10で視認可能)が挿入されることによって、バックプレート1050に取り付けることができる。この場合もまた、前述のホルダと同様に、
図9の第1のホルダ1020は、主要内向き接着面1062、主要外向き接着面1061、及びプルタブ1063を有する、両面接着ストリップ1060を含む。
【0062】
ホルダ1020及びホルダ1120の、これらの構成要素及び特徴部のうちの、いずれか及び全ては、ホルダ20及びホルダ120の、それらの対応する構成要素及び特徴部に酷似し得る(ホルダ1020及びホルダ1120の、殆どの構成要素及び特徴部は、ホルダ20及びホルダ120の、それらの対応物に対して、1000ずつ増分されている参照番号を有する点に留意されたい)。ホルダ20及びホルダ120のこれらのアイテムの、従前の説明及び特徴付けは、ホルダ1020及びホルダ1120の、それらの対応物にも同様に適用される点が理解されるであろう。更には、ホルダ1020及びホルダ1120は、壁500の表面501上に取り付けることができ、それらのホルダ間に画定されている空間1400内に、本明細書で前述された同様の方式で、物品1300を設置することができる点が理解されるであろう。
【0063】
しかしながら、例示的な第1のホルダ1020及び第2のホルダ1120は、次に論じられるように、例示的な第1のホルダ20及び第2のホルダ120とは、いくつかの態様において異なるように構成されている。明らかである第1の特徴は、保持本体1040及び保持本体1140が、概ねそれらの横方向/横軸に沿って、またそれゆえ壁の水平軸に沿って、細長形である点である。そのような構成は、保持アセンブリ1内に設置される場合に水平方向で比較的幅広の物品(例えば、
図11のように支持されるタブレットコンピュータ)を支持する際の、横安定性の向上をもたらすことができる。更には、保持本体1040及び保持本体1140だけではなく、それらの対応のバックプレート及び接着ストリップもまた、水平方向で細長形である点が、
図9及び
図10から明らかである。例えば、
図9に示されるようなバックプレート1050及び接着ストリップ1060は、水平方向に向けられている長軸を有する。このことは、延伸剥離接着ストリップによって壁にホルダを取り付ける際の従来の慣行に反するものであり、典型的には、接着ストリップ及びホルダは、支持されている物品の重量による下向きの力が、接着ストリップ及びホルダの長軸と整合するように、長軸を垂直に向けた状態で取り付けられる点が理解されるであろう。本発明の調査により、例えば携帯電話又はタブレットコンピュータなどの比較的軽量の物品を、本明細書で開示される方式で支持する場合、ホルダ及び接着ストリップを、このようにして垂直に向けることを必要としない場合があることが示されている。むしろ、それらを水平に向けることにより、上述のように横安定性の向上を可能にすると同時に、物品を支持するための十分な強度を依然として提供することができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、保持本体1040及びバックプレート1050内に、これらの実体間の接続の横安定性を向上させるための特徴部を含めることができる(因みに、第1の下側ホルダ1020に関して説明されるような、それらの特徴部並びに他の特徴部及び属性はまた、第2の上側ホルダ1120内にも存在し得る点に留意されたい)。例えば、
図9及び
図10に示される実施形態では、バックプレート1050は、第1及び第2の(左側及び右側の)安定化特徴部1058を含み、保持本体1040も同様に、第1及び第2の(左側及び右側の)安定化特徴部1044を含む。保持本体1040の安定化特徴部は、バックプレート1050の安定化特徴部と相補的であり、それにより、それらが互いに相互作用する(例えば、それらは、互いに嵌合するか又は他の方式で相互作用する、戻り止め構造体の形態を取ることができる)ことにより、それらの特徴部は、ホルダとバックプレートとの接続の、横安定性の向上をもたらす。
【0065】
例示的な保持本体1040によって示される別の特徴部は、
図9及び
図12~
図13で視認可能なような、開口1500である。(垂直軸に沿って下向きに見ている上面図である)
図12及び
図13から明らかなように、開口1500は、保持本体1040の前方部分(例えば、本明細書で前述されたタイプの「接触部分」1042)の垂直方向範囲を完全に貫通している、貫通開口である。図示の実施形態では、開口1500は、シル1022の左側部分と右側部分との間の、横方向の中心に存在している。しかしながら、このことは厳密に必要とされるものではなく、様々な実施形態では、開口1500は、保持本体1040の横方向範囲に沿った、任意の好適な場所に存在し得る。いくつかの実施形態では、複数の開口1500、例えば、中央の開口と左右の開口とが存在し得る。
【0066】
開口1500の存在により、電源コード(例えば、USBケーブル)が開口1500を通過することが可能となり、それにより、保持アセンブリ1によって支持されている物品との電気的接続を確立することができるため、物品が支持されている間に物品を充電することができる。いくつかの実施形態では、(電源コードが未だ取り付けられていない)物品を、その物品の電源ソケットが物品の下側縁部に位置して開口1500と概ね位置合わせされるように、本明細書で前述されたように保持アセンブリ1内に設置することができる。このことを行った後、開口1500を通して電源コードを端から挿入し、物品の電源ソケットに差し込むことができる。又は、いくつかの実施形態では、物品が保持アセンブリの近くにあるが、未だその中に設置されていない間に、開口1500を通して電源コードを端から挿入し、電源ソケットに差し込むことができる。電源コードが所定の位置にある状態で、次いで物品を、例えば以下で説明される一般的な方式で、保持アセンブリ1内に設置することができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、保持本体1040の接触部分1042は、
図13に示されるような、垂直の向きのスロット1501を有し得る。そのようなスロットは、保持アセンブリ1内に物品1300を挿入するプロセス中に、そのスロットに、電源コードを内向き方向に(ホルダが取り付けられている壁に向けて)割り込ませて通過させることを可能にし得る。そのようなスロット1501により、電源コードが既に取り付けられている物品1300を、前述の方式で保持アセンブリ内に挿入することが可能となり得る。すなわち、物品の下側縁部1302を、下側ホルダ1020のシル1022上に移動させ、次いで、(
図3に示される一般的な方式で)物品を壁に向けて回転させることができ、それにより、物品の上側縁部1304が、上側ホルダ1120に入り、その上側ホルダによって保持される。スロット1501は、物品の下側縁部1302が下側ホルダ1020上に移動される際に、そのスロットを電源コードが通過することを可能にする。
【0068】
スロット1501の存在により、開口1500を通して電源コードを端から挿入するプロセスで実施しなければならないような、電源コードの端部のプラグ(例えば、USB-Cプラグ)を端から開口に通過させることを可能にするために、開口1500を十分に大きくする必要性を排除することができる。むしろ、開口にプラグを通過させることを全く必要とせずに、コード自体の一部分を、スロット1501に割り込ませて通過させることができる。それゆえ、そのような実施形態では、開口1500は、任意の好適なサイズとすることができる。当然ながら、多くの実施形態では、物品が充電されている間、開口内にプラグが存在し得るように、開口1500は、その中にプラグを収容するために十分に大きいことが望ましい場合がある。そのような構成は、必要に応じて変更することができる点が理解されるであろう。例えば、開口1500は、電源コードを割り込ませて通過させることが可能な比較的狭いスロットを有する下側部分と共に、プラグを収容するために十分に大きい上側部分を有し得る。
【0069】
スロット1501の横(横方向)幅は、任意の好適な値とすることができる。いくつかの実施形態では、スロット1501は、電源コードが、スロット1501を画定しているフランジに接触することなく、スロット1501を通過することができるような、幅広のものとすることができる。他の実施形態では、スロット1501は、比較的狭い(例えば、電源コードの直径よりも僅かに狭い)ものとすることができる。そのような場合、保持本体1040の接触部分1042を、(本明細書で前述されたような)弾性材料で作製することができ、このことは、スロット1501を画定しているフランジが、スロットに電源コードを割り込ませて押し通すことができるように、可逆的に偏向可能となることをもたらし得る。
【0070】
いくつかの実施形態では(開口1500がスロット1501を有するか否かに関わりなく)、電源コードは、支持及び充電される物品が存在しない場合であっても、開口1500に挿通させたままにすることができる。すなわち、ホルダ1020及びその開口1500は、例えば、コードの端部が、損傷したり、こぼれた液体などによって汚染されたりする恐れのある、カウンター又はデスクトップ上に置かれないように、電源コードの遊端部を「留めておく」ための、便宜的な場所を作り出すことができる。それゆえ、電源コードは、開口1500を電源コードが通過して、コードの主要部分が、開口1500から下向きに延び、電源コードの最後の数cmが、ホルダ1020の上方で概ね上向きに延びて、例えばホルダ1020の側方及び/又は前方にもたれ掛る状態の構成で、「留めておく」ことが可能である。
【0071】
本明細書で説明される保持アセンブリは、その可能な構成及び変形形態の全てにおいて、任意の適切な物品を支持するために使用することができる。一般に、そのような物品は、多くの場合、その物品の垂直方向範囲及び/又は横/水平方向範囲よりも著しく小さい厚さ(物品が保持アセンブリ内に設置された場合の、壁に対する内向き-外向き方向に沿った厚さ)を有する。いくつかの実施形態では、上述のように、そのような物品は、携帯電話(例えば、スマートフォン)とすることができる。いくつかの実施形態では、同じく上述のように、支持される物品は、タブレットコンピュータとすることもできる。典型的には、タブレットコンピュータは、約1.0kg以下の重量であり、それゆえ、約1.5kgから例えば3kg以上までの範囲の重量である場合が多い、ラップトップコンピュータと区別することができる。本明細書で開示されるような保持アセンブリは、物品のタッチスクリーンディスプレイが視認可能となるように、及び、物品を取り外すことなく、タッチスクリーンに触れて物品を操作することができるように、そのような物品を中に設置することを可能にし得る点が理解されるであろう。取り外す場合であっても、物品は、何らかのラッチ若しくはクリップを解除すること、又は物品の複雑な操作を実行することを必要とせずに、所望の時点で、保持アセンブリから迅速かつ容易に取り外すことができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、保持アセンブリ1によって支持される物品は、いわゆるポータブルモニタ又はモバイルモニタとすることができる。そのような物品は、(例えば、スマートフォン又はタブレットコンピュータ若しくはラップトップコンピュータとは対照的に)追加的な計算能力が殆ど又は全く組み込まれていない、モニタ(ディスプレイ)である。タブレットコンピュータと同様に、ポータブルモニタ又はモバイルモニタは、典型的には約1.0kg未満の重量であり、スタンド又は同様のハードウェアが取り付けられていないことによって、据え置き型モニタと区別することができる。当然ながら、保持アセンブリ1によって支持される物品は、必ずしも電子デバイスである必要はない。すなわち、必要に応じて、保持アセンブリ1を使用して、写真、飾り額などの非電子式物品を支持することができる。そのような物品は、情報提供及び/又は装飾用とすることができる。様々な実施形態では、そのような物品は、剛性の裏材上に積層されているもの、2つの剛性の層の間に支持されているもの、剛性のフレームによって枠組みされているものなどの、可撓性のアイテム(例えば、証明書、証書、免状、賞状など)を含み得る。
【0073】
物品が、本明細書で前述されたように、第1のホルダと第2のホルダとの間、例えば上側ホルダと下側ホルダとの間で僅かに圧縮されることによって、所定の位置に保持されることになる場合には、その物品は、変形又は座屈することなく、そのような構成を可能にするために、比較的剛性であることを必要とし得る点が理解されるであろう。それゆえ、いくつかの実施形態では、支持されることになる物品は、剛性の物品とすることができる。剛性の物品は、本明細書では、多くの場合、垂直方向又は水平方向に沿うことになる、その物品の内向き-外向き方向における厚さ寸法の少なくとも4倍の大きさである最長寸法を示すような、板状の物品として定義される。剛性の物品は更に、2.2GPaのヤング率を有し、かつ10cm×6cm×厚さ3.2mm(1/8インチ)のポリカーボネート板によって(22℃において)示される曲げ剛性と少なくとも同じである高い曲げ剛性(曲げ弾性率)を、その物品の最長寸法に沿って示すものとして定義される。
【0074】
本明細書で説明されるような保持アセンブリは、多くの場合、互いに平行な上側縁部と下側縁部とを有する物品、例えば、殆どのスマートフォン及びタブレットコンピュータのように、少なくとも実質的に矩形である物品と共に使用することができる。しかしながら、このことは、本明細書で説明される一般的な方式で、物品の概ね下側の縁部の一部分を第1の下側ホルダによって支持することができ、かつ物品の概ね上側の縁部の一部分を第2の上側ホルダによって所定の位置に保持することができるように、物品が成形されている限り、必ずしも必要とされるものではない。それゆえ、様々な実施形態では、非矩形の、例えば、三角形、台形、n>4の多角形、不整形、楕円形、又は実質的に円形の物品を支持することができる。
【0075】
本明細書で開示される構成は、任意の好適な方式で変更することができる点が理解されるであろう。それゆえ、支持される物品によっては、単一の下側ホルダではなく、2つ以上の下側ホルダが使用される場合もある。そのような場合、それらの下側ホルダは、物品の下側縁部に沿って、間隔を空けて配置することができる。同様に、2つ以上の上側ホルダを使用することもできるが、上側ホルダは、典型的には物品の重量のかなりの割合を支えるものではないため、殆どの場合、このことが必要とされる可能性はない。1つの例示的な変形形態では、保持アセンブリは、物品の一方の側方(横方向)縁部に沿って位置決めされている、側方ホルダを含み得る。そのような側方ホルダは、その側方ホルダの「シル」が、物品の側方(右側又は左側)縁部に当接するように、上側ホルダ及び下側ホルダに対して垂直の向きにすることができる。そのような構成は、場合によっては、横安定性の更なる向上をもたらし得る。そのような構成の場合、物品は、アセンブリの残りの側方側(すなわち、側方ホルダが配置されている側とは反対の側方側)から、保持アセンブリ内に摺動させて挿入することができる。又は、例えば、ホルダの前述のフランジ及びリップ部の材料が、十分に弾性かつ可撓性である場合には、物品は、
図3に示される一般的な方式で、部分的に回転させることによって挿入することができる。そのようなプロセスでは、側方ホルダのフランジ及びリップ部は、物品の上側縁部の通過を可能にする、上側ホルダのフランジ及びリップ部に関して本明細書で前述された方式と同じ方式で、物品の側方縁部の通過を可能にするために一時的に偏向することができる。
【0076】
更なる他の変形形態も可能である。第1のホルダ及び第2のホルダは、本明細書では下側ホルダ及び上側ホルダとして説明されており、上側ホルダは、下側ホルダの概ね垂直上方に取り付けられている。そのような手法は、下側ホルダの上方に、上側ホルダを正確に垂直に(すなわち、垂直軸に沿って正確に位置合わせして)取り付けなければならないことを必要とするものではない。むしろ、概ね垂直上方という表現は、下側ホルダに対して、上側ホルダを任意の好適な量で横方向にオフセットすることが可能な、配置の範囲を包含する。本明細書で定義される場合、「概ね垂直上方」という用語法は、下側ホルダと上側ホルダとを結ぶ線が、壁の「垂直」軸から65度以下で離れた向きとなるように、上側ホルダ及び下側ホルダが壁に取り付けられることを示す(場合によっては、壁自体が必ずしも厳密に垂直ではない場合もある点に留意されたい)。
【0077】
いくつかの実施形態では、特定の物品(例えば、かなり軽量の物品)を保持するために、第1のホルダと第2のホルダとを、概ね水平の構成で、又は更に、実質的に水平の構成で取り付けることも可能である。本明細書で前述された手順を使用して、そのような物品を、かなりの圧縮量でホルダ間に保持することが可能である点が理解されるであろう。いくつかのそのような場合、この圧縮が、重力に抗して物品を支持する主要な手段となり得る。そのような構成は、本明細書の開示の範囲内に包含されるものであり、そのような構成におけるホルダの設置を説明するためには、本明細書で前述された特定の方向及び向きを、単に適切な角度で移し替えることのみが必要とされる。
【0078】
また更には、本明細書における論考は、主として、壁にホルダを取り付けるために接着剤を使用することに焦点を当てているが、いくつかの実施形態では、ホルダは、何らかの他の機構、例えば、好適なメカニカルファスナ(mechanical fastener)によって、取り付けることも可能である。また更には、ホルダの一部分(例えば、接触部分)は、本質的にエラストマー性の材料で作製されていることによって弾性であるのではなく、いくつかの実施形態では、少なくともそのような部分は、その部分を、通常はエラストマー性であると見なされない材料で作製することが可能な場合であっても、その部分の幾何学的特性によって、弾性に(例えば、偏向可能となるように)させることができる。そのような手法は、例えば、ホルダの少なくとも選択された構成要素(例えば、フランジ、又は接触部分全体)が、米国仮特許出願第62/781,888号、及び、その結果である国際公開第2020/128911号において公開された国際(PCT)出願(これらは双方とも、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)で開示されている一般的な方式で、所望の方向に沿って構成されている、最小限に接続された複数の本体セグメントを含み得るものとすることができる。
【0079】
本明細書で開示されている特定の例示的な実施形態、要素、構造体、特徴部、詳細、配置、構成などは、数多くの方式で修正及び/又は組み合わせることができる点が、当業者には明らかとなるであろう。本明細書で開示されるいずれかの実施形態を、本明細書で開示されるいずれかの他の適合可能な実施形態と組み合わせて使用することができる点を強調するものである。限られた数の例示的な組み合わせが、本明細書で提示されているが、全てのそのような組み合わせが想到されており、適合可能ではない特定の組み合わせの事例のみが禁じられている点を強調するものである。
【0080】
要約すると、例示的な説明としての役割を果たすように選択された、それらの代表的な設計のみではなく、数多くの変形形態及び組み合わせが、着想された発明の範囲内にあるものとして想到されている。それゆえ、本発明の範囲は、本明細書で説明されている特定の例示的構造に限定されるべきではなく、むしろ、少なくとも特許請求の範囲の文言によって説明されている構造、及びそれらの構造の等価物に及ぶものである。本明細書において代替物として明確に列挙されている要素のいずれも、所望に応じた任意の組み合わせで、特許請求の範囲に明示的に含めることも、又は特許請求の範囲から排除することもできる。本明細書においてオープンエンドの言語(例えば、~を含む(comprise)及びその派生語)で列挙されている要素又は要素の組み合わせのいずれも、クローズドエンドの言語(例えば、~から成る(consist)及びその派生語)及び部分的にクローズドエンドの言語(例えば、~から本質的になる(consist essentially)及びその派生語)で、更に列挙されるものと見なされる。記載されている本明細書と、参照により本明細書に組み込まれるいずれかの文書の開示との間に、何らかの矛盾又は不一致が存在する限りにおいて、記載されている本明細書を優先するものとする。
【国際調査報告】