(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】手術用スポンジを管理するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 50/37 20160101AFI20240305BHJP
A61B 90/90 20160101ALI20240305BHJP
【FI】
A61B50/37
A61B90/90
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552278
(86)(22)【出願日】2022-02-24
(85)【翻訳文提出日】2023-10-30
(86)【国際出願番号】 US2022017664
(87)【国際公開番号】W WO2022182849
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506410062
【氏名又は名称】ストライカー・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】ファンデルワウデ,ブライアン,ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ワインバーグ,キャロライン
(72)【発明者】
【氏名】ヤヴァーリー,フェイゼル
(72)【発明者】
【氏名】ビーグラー,クリストファー,ケンドル
(72)【発明者】
【氏名】ケーニッヒ,ジョナサン,エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】スラスキー-ヤサシ,アレックス
(72)【発明者】
【氏名】トイ,タイラー
(72)【発明者】
【氏名】ウォレス,レイチェル
(72)【発明者】
【氏名】ベニー,コリン,ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】ソリヴァ,ケネス,リー
(57)【要約】
手術用スポンジを管理するためのシステムおよび方法。主支持体に結合された分配器アセンブリが、スポンジ分類器のカートンを取外し可能に受け取るための内部または第1の貯蔵場所と、手術用ドレーピングのカートンを取外し可能に支持するための外部または第2の貯蔵場所とを含む。少なくとも1つのアームをハウジング上に支持することができ、少なくとも1つのアームは、未配備位置と配備位置との間を可動とすることができる。アームは、アームによって支持されたスポンジ分類器内に配置されている手術用スポンジの重量を測定するための計量手段を含むことができる。アームは、片持ち梁とすることができ、ビーム型ロードセルをビームのチャネル内に配置することができる。プロセッサが、データリーダによって検出される前記手術用スポンジがカウントアウトされたことに相関された測定重量および乾燥重量に基づいて流体重量を判定することができる。プロセッサは、血液損失を推定し、ディスプレイ上に表示させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術用スポンジを管理するためのシステムであって、
ベースと、
前記ベースから延びる主支持体と、
前記主支持体上に支持された分配器アセンブリと、
を備え、
前記分配器アセンブリがハウジングを備え、前記ハウジングが、前記ハウジングの内部にあり、スポンジ分類器のカートンを取外し可能に受け取るように構成された第1の貯蔵場所と、前記ハウジングの外部にあり、手術用ドレーピングのカートンを取外し可能に支持するように構成された第2の貯蔵場所とを画定する、システム。
【請求項2】
前記ハウジングに旋回可能に結合されたアームをさらに備え、前記アームが、前記アームが前記ハウジングの凹部内に配置される未配備位置と、前記アームが前記ハウジングの側壁を越えて延びる配備位置との間を、前記ハウジングに対して旋回可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記アームを前記ハウジングに旋回可能に結合する取付けブラケットをさらに備え、前記アームが片持ち梁式である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記アームが、前記アームによって支持された品物の測定重量の変化を感知するように構成されたロードセルを備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記アームが、チャネルを画定するビームをさらに備え、前記ロードセルが、前記チャネル内に配置され、前記ビームに結合される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記アームが、ローディングバーをさらに備え、前記ローディングバーが、前記ビームとは反対の位置にある端部または部分で、前記ロードセルに結合される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記分配器アセンブリの前記ハウジングが、前記第2の貯蔵場所を画定する上壁を備える、請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記分配器アセンブリの前記ハウジングが、前記第2の貯蔵場所を画定するように、第1の保持形状および前記第1の保持形状から隔置された第2の保持形状を備え、前記第1の保持形状および前記第2の保持形状が、前記手術用ドレーピングの前記カートンの前方および後方への動きを防止するように構成される、請求項1~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記分配器アセンブリの前記ハウジングが、前記第2の貯蔵場所をさらに画定するように、第3の保持形状および前記第3の保持形状から隔置された第4の保持形状を備え、前記第3の保持形状および前記第4の保持形状が、前記手術用ドレーピングの前記カートンの横方向の動きを防止するように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第3の保持形状および前記第4の保持形状のうちの少なくとも1つが、前記手術用ドレーピングの前記カートンの分配器開口付近に配置されるようにサイズ設定されたスロットを画定する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記ハウジングが、上部シェルと、前記上部シェルに結合された下部シェルと、を備え、前記上部シェルが、前記第1の貯蔵場所に連通している前部開口を画定する前壁を備える、請求項1~10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記下部シェルが、前記前壁に向かって下方へ傾斜する下壁を備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記ハウジングが、前記第1の貯蔵場所に連通している後部開口を画定し、前記後部開口が前記前部開口より大きい、請求項11または12に記載のシステム。
【請求項14】
前記主支持体に結合されたハンドルと、
前記主支持体に結合され、前記ハンドルと前記分配器アセンブリとの間に位置決めされたモジュールベースと、
前記モジュールベース内に配置された電子サブアセンブリと、
をさらに備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項15】
前記電子サブアセンブリが、前記ロードセルと通信しているプロセッサを備え、前記システムが、前記モジュールベースに取外し可能に結合され、前記プロセッサと通信しているディスプレイをさらに備え、前記ディスプレイが、前記ロードセルによって感知される前記測定重量に基づいて、前記プロセッサによって判定される推定血液損失を表示するように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
手術用スポンジを管理するためのシステムであって、
ベースと、
前記ベースから延びる主支持体と、
前記主支持体の上に支持され、スポンジ分類器のカートンを取外し可能に受け取るための第1の貯蔵場所、および手術用ドレーピングのカートンを取外し可能に受け取るための第2の貯蔵場所を備える分配器アセンブリと、
前記主支持体上に支持された電子サブシステムと、
を備え、
前記電子計数システムが、モジュールベースと、前記モジュールベースに取外し可能に結合されたディスプレイと、前記モジュールベースに取外し可能に結合されたデータリーダとを備える、システム。
【請求項17】
前記電子サブシステムが、前記ベースと前記分配器アセンブリとの間で前記主支持体上に支持される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記主支持体が中空であり、電源ケーブルを収容するように構成され、前記主支持体の前面に、前記電源ケーブルと前記電子サブシステムとの間の電気接続を容易にするための開口を画定する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記主支持体が、前記主支持体の後面に第2の開口を画定し、前記電源ケーブルが、外部電源に結合されるように、前記第2の開口から延びる、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記主支持体が、前記第2の開口付近に位置決めされたコードラップを備える、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記主支持体上に支持されたハンドルをさらに備え、前記ハンドルが、前記電子サブシステムと前記ベースとの間に位置決めされる、請求項16~20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記分配器アセンブリに結合されたアームをさらに備え、前記アームが、前記アームによって支持された品物の測定重量の変化を検出するように構成されたロードセルを備える、請求項16~21のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
前記アームが、チャネルを画定するビームをさらに備え、前記ロードセルが、前記チャネル内に配置され、前記ビームに結合される、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記アームが、ローディングバーをさらに備え、前記ローディングバーが、前記ビームとは反対の位置にある端部または部分で、前記ロードセルに結合される、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記アームが片持ち梁式である、請求項22~24のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項26】
手術用スポンジを管理するためのシステムであって、
ベースと、
前記ベースによって支持された主支持体と、
前記主支持体によって支持されたアームと、
を備え、
前記アームが、片持ち梁を提供するために支持されていない遠位端と、前記アームによって支持されたスポンジ分類器および前記スポンジ分類器内に配置された前記手術用スポンジの合計重量を感知するように、前記片持ち梁に結合されたロードセルとを備える、システム。
【請求項27】
前記主支持体に結合された分配器アセンブリをさらに備え、前記アームが、前記片持ち梁を提供するように前記分配器アセンブリから延びる、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記アームが、前記分配器アセンブリに旋回可能に結合された近位端をさらに備える、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記アームが、チャネルを画定するビームをさらに備え、前記ロードセルが、前記ビームの前記チャネル内に配置される、請求項26~28のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項30】
前記アームが、ビームをさらに備え、前記ロードセルが、前記ビームの下面に結合される、請求項26~28のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項31】
前記ロードセルの第1の端部または部分が、前記ビームに固着され、前記アームが、前記ロードセルの第2の端部または部分に固着されたローディングバーをさらに備える、請求項29または30に記載のシステム。
【請求項32】
手術用スポンジを管理するためのシステムであって、
ベースと、
前記ベースによって支持された主支持体と、
前記主支持体によって支持されたアームと、
を備え、
前記アームが、ビームと、ローディングバーと、前記アームによって支持されたスポンジ分類器および前記スポンジ分類器内に配置された前記手術用スポンジの合計重量を感知するためのロードセルと、を備え、前記ロードセルの第1の端部または部分が、前記ビームに固着され、前記ロードセルの第2の端部または部分が、前記ローディングバーに固着される、システム。
【請求項33】
前記アームが、前記ローディングバーに結合され、前記スポンジ分類器を直接支持するように構成された少なくとも1つの分類器結合器をさらに備える、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記アームが、
前記ローディングバーに固着され、前記ロードセルの前記第2の端部または部分付近に固着された負荷制限板と、
前記負荷制限板にねじ結合された間隙調整ねじと、
をさらに備え、
前記間隙調整ねじが、前記合計重量が所定の最大値を超過した場合に前記ロードセルに印加される負荷を制限するための調整可能に位置決め可能な止め具を備える、請求項32または33に記載のシステム。
【請求項35】
前記アームが、前記負荷制限板にねじ結合された調整止めねじをさらに備え、前記調整止めねじが、前記間隙調整ねじを定位置で選択的にロックするように構成される、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記主支持体上に支持され、前記ロードセルと通信しているプロセッサを備える電子サブアセンブリと、
前記主支持体上に支持され、前記プロセッサと通信しているディスプレイと、
をさらに備え、
前記ディスプレイが、前記ロードセルによって感知される測定重量に基づいて前記プロセッサによって判定される推定血液損失を表示するように構成される、
請求項32~35のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項37】
前記プロセッサと通信しており、前記手術用スポンジの乾燥重量を記憶するメモリと、
前記主支持体上に支持され、前記プロセッサと通信しているデータリーダと、
をさらに備え、
前記データリーダが、各々前記手術用スポンジのうちのそれぞれ1つに関連付けられたタグを検出するように構成され、
前記プロセッサが、前記手術用スポンジの前記測定重量および前記乾燥重量に基づいて、前記推定血液損失を判定するように構成される、
請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記ロードセルが、ベンディングビーム型ロードセル、ダブルベンディングビーム型ロードセル、せん断ビーム型ロードセル、S字型ロードセル、キャニスタ型ロードセル、トーションロードセル、スポーク型ロードセル、リングトーションロードセル、ロードピン、および歪みゲージからなる群から選択される、請求項33~37のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項39】
手術用スポンジ管理システムによって外科的処置中に血液損失を推定する方法であって、前記手術用スポンジ管理システムが、プロセッサと、前記プロセッサと通信するように支持されたディスプレイと、前記プロセッサと通信しているデータリーダと、前記プロセッサと通信しているメモリと、主支持体によって支持され、前記プロセッサと通信している計量手段とを含み、スポンジ分類器が、前記計量手段によって取外し可能に支持され、タグを含む手術用スポンジを受け取るように構成され、前記方法が、
前記データリーダによって、前記手術用スポンジの前記タグを検出して、前記外科的処置中に使用されるようにカウントインされたものとして前記手術用スポンジを識別するステップであり、前記手術用スポンジのタイプが、前記メモリ内に記憶されている乾燥重量を有する、識別するステップと、
前記データリーダによって、前記手術用スポンジの前記タグを再び検出して、前記外科的処置中に使用されなくなるようにカウントアウトされたものとして前記手術用スポンジを識別するステップと、
前記計量手段によって、前記手術用スポンジが前記スポンジ分類器内に配置された状態で、測定重量の変化を感知するステップと、
前記プロセッサによって、カウントアウトされたものとして前記データリーダによって識別される前記手術用スポンジの前記測定重量および前記乾燥重量に基づいて、前記手術用スポンジ上の流体の流体重量を判定するステップと、
前記プロセッサによって、前記流体重量に基づいて、前記手術用スポンジに関連付けられた血液損失を推定するステップと、
前記ディスプレイによって前記推定血液損失を表示するステップと、
を含む、方法。
【請求項40】
前記スポンジ分類器が風袋重量を有し、前記方法が、
前記計量手段によって、前記スポンジ分類器の前記風袋重量を感知するステップであり、前記風袋重量が所定の大きさに等しいまたはそれを下回る、感知するステップと、
前記プロセッサによって、前記測定重量、前記乾燥重量、および前記風袋重量に基づいて、前記手術用スポンジの前記流体重量を判定するステップと、
をさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記スポンジ分類器が風袋重量を有し、前記方法が、
前記風袋重量が前記測定重量に等しくなるように、前記計量手段の風袋を量るためのユーザ入力を受け取るステップと、
前記プロセッサによって、前記測定重量、前記乾燥重量、および前記風袋重量に基づいて、前記手術用スポンジの前記流体重量を判定するステップと、
をさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記流体重量を判定する前記ステップ、前記血液損失を推定する前記ステップ、および前記推定血液損失を表示する前記ステップが、さらなるユーザ入力を必要とすることなく、前記計量手段によって測定重量の変化を感知したとき、実時間で自動的に実行される、請求項39~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記計量手段によって、前記測定重量の第2の変化を感知するステップと、
前記プロセッサによって、第2の手術用スポンジがカウントアウトされたことに前記測定重量の前記第2の変化が相関するかどうかを判定するステップと、
前記ディスプレイによって、前記第2の手術用スポンジがカウントアウトされたことに前記測定重量の前記第2の変化が相関しない場合、警告を提供するステップと、
をさらに含む、請求項39~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記測定重量の前記第2の変化を考慮するために、前記スポンジ分類器内に配置された流体吸収物品のタイプを示す入力を受け取るステップをさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
血液以外の流体で飽和されたものとして前記手術用スポンジのうちの1つを識別するための別の入力を受け取るステップと、
前記プロセッサによって、前記1つの手術用スポンジの重量を前記測定重量から引いた値に基づいて、修正された測定重量を判定するステップと、
前記プロセッサによって、前記修正された測定重量に基づいて、前記血液損失を推定するステップと、
をさらに含む、請求項43または44に記載の方法。
【請求項46】
前記第2の手術用スポンジがカウントアウトされたことに前記測定重量の前記第2の変化が相関するかどうかを判定する前記ステップが、
前記プロセッサによって、前記第2の手術用スポンジの第2のタグの検出が発生していないかどうかを判定するステップ、
前記プロセッサによって、前記第2の手術用スポンジの前記第2のタグの前記検出と前記測定重量の前記第2の変化との間で、測定された継続時間と最大継続時間とを比較するステップ、
前記プロセッサによって、前記測定重量の前記変化と、血液で飽和されたスポンジを示す事前設定された最大スポンジ重量とを比較するステップ、及び、
前記プロセッサによって、前記測定重量の前記第2の変化と、事前設定された最小スポンジ重量とを比較するステップ、
のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記第2の手術用スポンジがカウントアウトされたことに前記測定重量の前記第2の変化が相関しない場合、前記第2の手術用スポンジに対して、前記流体重量を判定する前記ステップ、前記血液損失を推定する前記ステップ、および前記推定血液損失を表示する前記ステップを繰り返さないステップをさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記第2の手術用スポンジがカウントアウトされたことに前記測定重量の前記第2の変化が相関しない場合、前記血液損失の更新された推定値を表示しないステップをさらに含む、請求項43~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
手術用スポンジ管理システムによって外科的処置中に血液損失を推定する方法であって、前記手術用スポンジ管理システムが、プロセッサと、前記プロセッサと通信するように支持されたディスプレイと、前記プロセッサと通信しているデータリーダと、前記プロセッサと通信しているメモリと、主支持体によって支持され、前記プロセッサと通信している計量手段とを含み、スポンジ分類器が、前記計量手段によって取外し可能に支持され、各々タグを含む手術用スポンジを受け取るように構成され、前記方法が、
前記データリーダによって、第1のタイプの前記手術用スポンジ上の前記タグおよび第2のタイプの前記手術用スポンジ上の前記タグを検出するステップであり、前記第1のタイプが、前記メモリ上に記憶されている第1の乾燥重量を有し、前記第2のタイプが、前記メモリ上に記憶されている第2の乾燥重量を有する、検出するステップと、
前記プロセッサによって、前記外科的処置中に使用されるようにカウントインされたものとして前記第1のタイプおよび前記第2のタイプの手術用スポンジを識別するように、カウンタを索引付けするステップと、
前記データリーダによって、前記タグのうちの少なくとも1つを再び検出するステップと、
前記プロセッサによって、前記外科的処置中に使用されなくなるようにカウントアウトされたものとして、前記第1のタイプの前記手術用スポンジのうちの少なくとも1つおよび/または前記第2のタイプの前記手術用スポンジのうちの少なくとも1つを識別するように、前記カウンタをさらに索引付けするステップと、
前記計量手段によって、前記手術用スポンジが前記スポンジ分類器内に配置された状態で、測定重量の変化を感知するステップと、
前記プロセッサによって、前記カウンタによってカウントアウトされたものとして識別された前記手術用スポンジの前記測定重量および前記乾燥重量に基づいて、前記手術用スポンジの流体重量を判定するステップと、
前記プロセッサによって、前記手術用スポンジの前記流体重量に基づいて、血液損失を推定するステップと、
前記ディスプレイによって前記推定血液損失を表示するステップと、
を含む、方法。
【請求項50】
前記ディスプレイによって、カウントアウトおよび/またはカウントインされた前記第1のタイプおよび前記第2のタイプの手術用スポンジの各々の数を示す前記カウンタを表示するステップをさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記計量手段によって、前記測定重量の第2の変化を感知するステップと、
前記ディスプレイによって、前記データリーダが別の手術用スポンジを検出したことに前記測定重量の前記第2の変化が相関しないことを示す警告を提供するステップと、
をさらに含む、請求項49または50に記載の方法。
【請求項52】
前記スポンジ分類器内に配置された流体吸収物品のタイプを示すユーザインターフェースへのユーザ入力を受け取るステップをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記手術用スポンジのうち血液以外の流体で飽和されたものを識別するための前記ユーザインターフェースへの別のユーザ入力を受け取るステップと、
プロセッサによって、前記1つの手術用スポンジの重量を前記測定重量から引いた値に基づいて、修正された測定重量を判定するステップと、
前記プロセッサによって、前記修正された測定重量に基づいて、前記血液損失を推定するステップと、
をさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
手術用スポンジ管理システムによって外科的処置中に血液損失を推定する方法であって、前記手術用スポンジ管理システムが、プロセッサと、前記プロセッサと通信するように支持されたディスプレイと、前記プロセッサと通信しているデータリーダと、前記プロセッサと通信しているメモリと、主支持体によって支持され、前記プロセッサと通信している計量手段とを含み、スポンジ分類器が、前記計量手段によって取外し可能に支持され、タグを含む手術用スポンジを受け取るように構成され、前記方法が、
前記データリーダによって、前記手術用スポンジの前記タグを検出して、前記外科的処置中に使用されるようにカウントインされたものとして前記手術用スポンジを識別するステップであり、前記手術用スポンジのタイプが、前記メモリ上に記憶されている乾燥重量を有する、識別するステップと、
前記計量手段によって、測定重量の変化を感知するステップと、
前記プロセッサによって、前記手術用スポンジがカウントアウトされたことに前記測定重量の前記変化が相関するかどうかを判定するステップと、
前記ディスプレイによって、前記手術用スポンジがカウントアウトされたことに前記測定重量の前記変化が相関しない場合、警告を提供するステップと、
を含む、方法。
【請求項55】
前記手術用スポンジがカウントアウトされたことに前記測定重量の前記変化が相関するかどうかを判定する前記ステップが、
前記プロセッサによって、前記手術用スポンジの前記タグの前記検出と前記測定重量の前記変化との間で、測定された継続時間と最大継続時間とを比較するステップ、
前記プロセッサによって、前記測定重量の前記変化と、血液で飽和されたスポンジを示す事前設定された最大スポンジ重量とを比較するステップ、及び、
前記プロセッサによって、前記測定重量の前記変化と、事前設定された最小スポンジ重量とを比較するステップ、
のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記手術用スポンジがカウントアウトされたことに前記測定重量の前記変化が相関する場合、
前記プロセッサによって、前記測定重量および前記乾燥重量に基づいて、前記手術用スポンジの流体重量を判定するステップと、
前記プロセッサによって、前記流体重量に基づいて、前記手術用スポンジに関連付けられた血液損失を推定するステップと、
前記ディスプレイによって前記推定血液損失を表示するステップと、
をさらに含む、請求項54または55に記載の方法。
【請求項57】
前記スポンジ分類器内に配置された流体吸収物品のタイプを示す前記警告に応答して、ユーザ入力を受け取るステップをさらに含む、請求項54~56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
血液以外の流体で飽和されたものとして前記手術用スポンジのうちの1つを識別するための別のユーザ入力を受け取るステップと、
前記プロセッサによって、前記1つの手術用スポンジの重量を前記測定重量から引いた値に基づいて、修正された測定重量を判定するステップと、
前記プロセッサによって、前記修正された測定重量に基づいて、血液損失を推定するステップと、
前記ディスプレイ上に前記推定血液損失を表示するステップと、
をさらに含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記測定重量を、事前設定された最大負荷重量と比較するステップと、
前記ディスプレイによって、前記測定重量が前記事前設定された最大負荷重量を超過した場合、負荷警告を提供するステップと、
をさらに含む、請求項39~58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
請求項39~59のいずれか1項に記載のステップを実施するためにプロセッサ上で実行されるように構成された命令を含むコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、内容全体が参照により本明細書に組み込まれている、2021年2月26日に出願された米国仮特許出願第63/154,147号の優先権およびあらゆる利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
手術用スポンジを管理することは、現代の手術室において普遍的な重要分野であり、手術用スポンジ(または他の物体)が不注意で患者の体内に残されないこと、または他の形で置き忘れられないことを確実にすることが最も重要である。手術用スポンジは、そのような手術用物品の一例であり、したがって医療従事者(HCP)は、手術用物品が不注意で患者の体内に残されることに伴う明白な問題の観点から、手術中に使用されるあらゆる手術用スポンジを考慮するための手順に従わなければならない。
【0003】
過去、HCPは、手術用スポンジの手作業による分類および計数に依拠していた。スポンジの手作業による分類および計数は、汚れたスポンジの取扱いおよび汚れたスポンジへの露出を必要とし、人的エラーを生じやすい。手術用スポンジの手作業による分類および計数を容易にするために、知られているデバイスはスタンドを提供することができ、このスタンドからスポンジ分類器が取外し可能に吊り下げられている。1つのそのようなスタンドおよびスポンジ分類器は、全体として参照により本明細書に組み込まれている、2003年8月19日に発行された米国特許第6,607,170号に開示されており、手術用スポンジの1つを各々受け取るためのポーチまたはポケットを有しているスポンジ分類器を支持するための従来のフックを有するスタンドの上にワイアバスケットが位置決めされる。たとえばスポンジ分類器のポケットのすべてが使用されているが、計数されていないスポンジが残っているときなど、いくつもの理由で、スポンジ分類器を交換するように指示されることがある。別の例は、外科的処置の間にスポンジ分類器を交換することを含む。そのような事例では、HCPが未使用のスポンジ分類器の予備品を配置するために隣接区域を残しておくことは不都合であり、または別法として、未使用の品物をすぐ使える状態でより好都合に位置決めするために隣接区域内の貴重なテーブル空間を消費することは非効率的である。
【0004】
さらに最近では、手術用スポンジ管理システムは、手術用スポンジの計数を支援するための電子機器を利用している。1つのそのようなシステムは、全体として参照により本明細書に組み込まれている、2013年4月11日に公開された米国特許出願公開第2013/0088354号に開示されており、無線周波識別(RFID)リーダが、手術用スポンジ上のRFIDタグを検出する。電子機器に基づくデバイスは、典型的に、滅菌(たとえば、オートクレーブ)することが不可能であり、したがって手術用ドレーピングでRFIDリーダを覆うように指示されることがある。たとえば外科的処置の間に手術用ドレーピングを交換することは、この場合も、HCPが未使用の手術用ドレーピングの予備品を配置すること、または別法としてテーブル空間を消費することが必要になることは不都合である。
【0005】
さらに、ますます注目されている開発分野は、血液損失を推定または定量化することである。手術中に血液損失を判定することを使用して、外科合併症を示す過度の血液損失によって患者の健康を監視することができる。特に注目されるのは分娩時であり、産科出血のより早期の検出は、妊産婦罹患率を大幅に低減させることができる。手術用スポンジおよび他の流体吸収物品(たとえば、手術衣、寝具類、またはドレープ)の目視評価によって手術中の血液損失を推定することが知られているが、これは本質的に主観的であり、したがって人的エラーを生じやすい。また、手術用スポンジをまとめてスケールで計量することによって、手術中の血液損失を推定することも知られている。ユーザインターフェースが計量される手術用スポンジのタイプの選択を提供することができる事例では、記憶された乾燥重量に基づいて手術用スポンジの流体重量を計算することができ、これを推定血液損失に変換することができる。手術用スポンジを計量することは、目視評価より正確であるが、手術室内のワークフローにとって大きな妨げとなる。特に、使用者は、手術用スポンジを手術用スポンジ管理システムへ輸送してチェックアウトまたはカウントアウトする前に、手術用スポンジをスケールへ輸送して計量しなければならず、または逆も同様である。
【0006】
したがって、上述した欠点のうちの1つまたは複数を克服する改善された手術用スポンジ管理システムを提供することが、当技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
手術用スポンジを管理するためのシステム、および手術用スポンジ管理システムによって血液損失を推定する方法が提供される。本明細書に開示するシステムは、手術用スポンジ以外の流体吸収物品、ならびに/または手術用デバイスおよび他の使い捨てもしくは再利用可能な器具類もしくは物体などの品物を管理するように修正することができる。手術用スポンジ管理システムは、スタンド、電子サブシステム、および分配器アセンブリを含む。スタンドは、ベースに結合されてベースから上方へ延びる主支持体を含むことができる。主支持体は、電源および/またはデータケーブルを収容するために、少なくとも部分的に中空とすることができる。電子サブシステムは、モジュールベース、ディスプレイ、およびデータリーダを含む。モジュールベースは、プロセッサ、メモリ、通信デバイス、および/または他のハードウェアを含むことができる。電子サブシステムは、ハンドルと分配器アセンブリとの間で主支持体に結合することができる。データリーダは、手術用スポンジに関連付けられたタグを検出するように構成される。
【0008】
分配器アセンブリは、主支持体に取り付けられており、分配器アセンブリは、スタンドの上に位置することができる。分配器アセンブリは、スポンジ分類器のカートンからのスポンジ分類器、および手術用ドレーピングのカートンからの手術用ドレーピングの貯蔵および人間工学的分配を提供する。分配器アセンブリのハウジングは、下部シェルに結合された上部シェルを含むことができる。下部シェルは、下壁から上方へ延びる下部側壁を含むことができる。下壁は、後面から前面に向かって下方へ傾斜することができる。分配器アセンブリは、ハウジングにアームを結合する少なくとも1つの取付けブラケットを含む。アームは、未配備位置でフランジ壁および下部側壁によって画定された凹部内に位置決めすることができる。アームは、未配備位置から配備位置へ可動になるように、取付けブラケットに旋回可能に結合されて、取付けブラケットから後方へ延びることができ、配備位置において、アームはハウジングの側壁を越えて外方へ延びる。アームに結合された分類器結合器は、スポンジ分類器を支持するように構成される。
【0009】
上部シェルは、内部または第1の貯蔵場所を画定する前壁、上壁、および上部側壁を含む。上部シェルの上部側壁が下部シェルの下部側壁に固定された状態で、第1の貯蔵場所は、前壁と、上壁と、側壁との間に形成される。第1の貯蔵場所は、スポンジ分類器のカートンを受け取るようにサイズ設定される。ハウジングは、第1の貯蔵場所に連通している後部開口と、第1の貯蔵場所に連通している前部開口とを画定する。カートンの分配開口は、前部開口を通してアクセス可能である。外部または第2の貯蔵場所が、手術用ドレーピングの貯蔵および人間工学的分配を提供する。第2の貯蔵場所は、概して、上部シェルの上壁内の凹部によって画定することができる。上部シェルは、第2の貯蔵場所を少なくとも部分的に形成する第1の保持形状および第2の保持形状を含むことができる。第1の保持形状および第2の保持形状は、カートンが前方および後方に動くことを抑制するためにハウジングを横切って幅方向に延びて互いから隔置されたフレームとすることができる。第2の貯蔵場所は、第3の保持形状および第4の保持形状によってさらに形成することができる。第3の保持形状および第4の保持形状は、カートンが横方向に動くことを抑制するために上部側壁に沿って深さ方向に延びて互いから隔置されたフレームとすることができる。第3の保持形状または第4の保持形状は、手術用ドレーピングのカートンの分配器開口と位置合わせされたスロットを画定することができる。
【0010】
アームは、ロードセル、特にベンディングビーム型ロードセルなどの計量手段を含むことができる。アームは、主支持体によって片持ち梁式にして支持することができる。アームは、ビームおよびローディングバーをさらに含むことができる。ビームは分配器アセンブリのハウジングに結合され、分類器結合器はローディングバーに結合される。ロードセルは、ローディングバーをビームに結合する。ロードセルの第1の部分または端部は、ビームに固着することができ、ロードセルの第2の部分または端部は、ローディングバーに固着することができる。ビームは、チャネルを画定することができ、ロードセルは、チャネル内に配置することができる。別法として、ロードセルは、ビームの下面に結合することができる。アームは、取付けブロックに固着された負荷制限板を含むことができる。負荷制限板には、間隙調整ねじをねじ結合することができる。間隙調整ねじは、所望の位置へ選択的に調整することができる。間隙調整ねじを所望の位置で固定するために、止めねじを提供することができる。計量手段は、プロセッサと通信している。別法として、計量手段は遠隔プロセッサと無線通信することができ、したがって処理ステップを遠隔で実行することができる。計量手段は、アームによって支持されている物体の測定重量を感知するように構成される。
【0011】
血液損失を推定する例示的な方法は、データリーダにタグを検出させることによって、手術用スポンジをカウントインすることを含むことができる。タグは識別データを含み、プロセッサは識別データから、手術用スポンジのタイプを判定するように構成される。手術用スポンジのタイプは、メモリ内に記憶されている乾燥重量に関連付けられる。データリーダがタグを検出したことに基づいて、プロセッサは、外科的処置中に使用されるべき手術用スポンジの数のカウンタを索引付けすることができる。カウンタは、ディスプレイ上に表示することができる。手術用スポンジのタグは、この場合も、外科的処置中に使用されなくなるようにカウントアウトされたものとして手術用スポンジを識別するために、データリーダによって検出されるように位置決めされる。プロセッサは、カウンタを索引付けし、ディスプレイ上にカウンタを表示することができる。計量手段は、測定重量の変化を自動的に検出または感知することができる。プロセッサは、データリーダによってカウントアウトされたものとして識別された手術用スポンジの測定重量および乾燥重量に基づいて、手術用スポンジによって吸収された流体の流体重量を判定するように構成される。測定重量から乾燥重量を引くと、カウントアウトされた手術用スポンジに対する流体重量に等しくなる。手術用スポンジの各々に対する状態および流体重量は、後の調査および入力のためにメモリ内にログおよび記憶することができる。プロセッサは、流体重量に基づいて、手術用スポンジに関連付けられた血液損失を推定する。プロセッサは、ディスプレイ上に表示されるべきデータを伝送する。別の例示的な方法は、2つ以上のタイプの手術用スポンジが外科的処置で使用されることを含む。
【0012】
この方法は、重量の風袋を量って、スポンジ分類器の風袋重量を補償することを含むことができる。計量手段は、風袋重量が所定の大きさに等しいまたはそれを下回ることを感知することができる。追加または別法として、使用者は、ディスプレイに入力を提供して、スポンジ分類器がアームによって支持された状態で計量手段の風袋を量ることができる。プロセッサは、測定重量と、乾燥重量および風袋重量との間の計算された差に基づいて、手術用スポンジの流体重量を判定する。
【0013】
この方法は、手術用スポンジがカウントアウトされたことに測定重量の変化が相関するかどうかを判定することを含むことができる。手術用スポンジがカウントアウトされたことに測定重量の変化が相関しない場合、ディスプレイ上に警告を提供することができる。プロセッサは、タグの前または後の検出が発生していないかどうかを識別することができる。追加または別法として、プロセッサは、手術用スポンジのタグの検出と測定重量の変化との間で、測定された継続時間と最大継続時間とを比較することができる。追加または別法として、プロセッサは、測定重量の変化と、血液で飽和されたスポンジを示す事前設定された最大スポンジ重量とを比較することができる。最後に、プロセッサは、測定重量の変化と事前設定された最小スポンジ重量とを比較することができる。測定重量の変化が事前設定された最小値を下回る場合、プロセッサは、血液損失の推定のために測定重量の変化を相関させることができない。プロセッサが、手術用スポンジがカウントアウトされたことに測定重量の変化を相関させた場合、プロセッサは、測定重量および乾燥重量に基づいて手術用スポンジの流体重量を判定するステップと、流体重量に基づいて手術用スポンジに関連付けられた血液損失を推定するステップと、推定血液損失の表示を容易にするステップとを進めることができる。
【0014】
グラフィカルユーザインターフェース(GUI)をディスプレイ上に表示することができる。ディスプレイは、ユーザ入力のためのユーザインターフェースを提供するタッチスクリーンディスプレイとすることができる。GUIは、様々なタイルおよび情報を含むことができる。タイルは、外科的処置中に収集された流体のうち、手術用スポンジまたは他の流体吸収物品によって吸収されていない正味流体体積を表示することができる。タイルは、計数バッグ(たとえば、スポンジ分類器)の数および記録日時を表示することができる。タイルは、適合している手術用スポンジに関連付けられたデータを表示することができ、カウンタをリストフィールドに表示することができる。
【0015】
計量手段によって感知された総重量および計数バッグの風袋重量に基づいて、適合している手術用スポンジの流体重量が判定され、タイル内に表示される。推定血液損失を計算または再計算することができ、タイル内に表示することができる。適合している手術用スポンジではない他の流体吸収物品に対しては、別のタイルを提供することができる。測定重量の変化が適合している手術用スポンジのカウントアウトに相関しないとプロセッサが判定した事例では、物品リストフィールドから流体吸収物品を識別するために使用者によって選択されるように、タイルを変更することができる。GUIは、正味流体体積、計量された品物体積、および推定血液損失の各々に表される流体のタイプおよび量の内訳とともに、サマリフィールドを提供することができる。GUIはまた、ほぼ血液以外の流体または血液以外の流体のみを吸収していると判定された手術用スポンジを除外するためのオプションを提供することができる。手術用スポンジは、データリーダによって検出することができ、または除外スポンジフィールドを実装して、除外されることが選択可能な手術用スポンジをリストアップすることができる。
【0016】
したがって、本開示の第1の態様によれば、手術用スポンジを管理するためのシステムは、ベースから延びる主支持体と、主支持体上に支持された分配器アセンブリとを含む。分配器アセンブリはハウジングを含み、ハウジングは、ハウジングの内部にあり、スポンジ分類器のカートンを取外し可能に受け取るように構成された第1の貯蔵場所と、ハウジングの外部にあり、手術用ドレーピングのカートンを取外し可能に支持するように構成された第2の貯蔵場所とを含む。分配器アセンブリのハウジングは、第2の貯蔵場所を形成する上壁を含む。第1の保持形状および第2の保持形状は、第2の貯蔵場所を画定するように互いから隔置される。第3の保持形状および第4の保持形状は、第2の貯蔵場所をさらに画定するように互いから隔置される。第3の保持形状または第4の保持形状は、スロットを画定することができる。上部シェルは、第1の貯蔵場所に連通している前部開口を画定する前壁を含むことができる。下壁は、前壁に向かって下方へ傾斜することができる。
【0017】
本開示の第2の態様によれば、手術用スポンジを管理するためのシステムは、ベースから延びる主支持体と、主支持体の上に支持された分配器アセンブリとを含む。分配器アセンブリは、スポンジ分類器のカートンを取外し可能に受け取るための第1の貯蔵場所と、手術用ドレーピングのカートンを取外し可能に受け取るための第2の貯蔵場所とを含む。電子サブシステムは、主支持体上に支持されており、モジュールベースと、モジュールベースに取外し可能に結合されたディスプレイと、モジュールベースに取外し可能に結合されたデータリーダとを含む。電子サブシステムは、ベースと分配器アセンブリとの間で主支持体上に支持することができる。電子サブアセンブリを含む本開示の第2の態様のシステムは、第1の態様のシステム上に提供することができる。
【0018】
本開示の第3の態様によれば、手術用スポンジを管理するためのシステムは、ベースによって支持された主支持体と、主支持体によって支持されたアームとを含む。アームは、片持ち梁を提供するために支持されていない遠位端を含む。ロードセルは、アームによって支持されたスポンジ分類器およびスポンジ分類器内に配置された手術用スポンジの合計重量を感知するように、片持ち梁に結合される。アームは、片持ち梁を提供するように、分配器アセンブリから延びることができる。アームの近位端は、分配器アセンブリに旋回可能に結合することができる。アームは、チャネルを画定するビームを含むことができ、ロードセルは、ビームの下面内に配置することができ、またはビームの下面に結合することができる。アームおよびロードセルを含む本開示の第3の態様のシステムは、第1および/または第2の態様のシステム上に提供することができる。
【0019】
本開示の第4の態様によれば、手術用スポンジを管理するためのシステムは、ベースによって支持された主支持体と、主支持体によって支持されたアームとを含む。アームは、ビームと、ローディングバーと、アームによって支持されたスポンジ分類器およびスポンジ分類器内に配置された手術用スポンジの合計重量を感知するためのロードセルとを含む。ロードセルの第1の端部または部分は、ビームに固着され、ロードセルの第2の端部または部分は、ローディングバーに固着される。アームは、ローディングバーに結合されてスポンジ分類器を直接支持するように構成された少なくとも1つの分類器結合器を含むことができる。アームは、ローディングバーに固着されてロードセルの第2の端部または部分付近に固着された負荷制限板と、負荷制限板にねじ結合された間隙調整ねじとを含むことができる。調整止めねじは、負荷制限板にねじ結合することができ、間隙調整ねじを定位置で選択的にロックするように構成することができる。アームおよびロードセルを含む本開示の第4の態様のシステムは、第1および/または第2の態様のシステム上に提供することができる。
【0020】
本開示の第5の態様によれば、血液損失を推定する方法は、データリーダによって、手術用スポンジのタグを検出して、外科的処置中に使用されるようにカウントインされたものとして手術用スポンジを識別することを含む。手術用スポンジのタイプは、メモリ内に記憶されている乾燥重量を有する。この場合も、データリーダによって、手術用スポンジのタグを検出して、外科的処置中に使用されなくなるようにカウントアウトされたものとして手術用スポンジを識別する。測定重量の変化は、計量手段によって、手術用スポンジがスポンジ分類器内へ配置されまたはスポンジ分類器内に配置された状態で感知される。手術用スポンジ上の流体の流体重量は、プロセッサによって、カウントアウトされたものとしてデータリーダによって識別された手術用スポンジの測定重量および乾燥重量に基づいて判定される。手術用スポンジに関連付けられた血液損失は、プロセッサによって、流体重量に基づいて推定される。推定血液損失は、ディスプレイ上に表示される。スポンジ分類器の風袋重量は、計量手段によって感知することができる。手術用スポンジの流体重量は、プロセッサによって、測定重量、乾燥重量、および風袋重量に基づいて判定することができる。
【0021】
本開示の第6の態様によれば、血液損失を推定する方法は、データリーダによって、第1のタイプの手術用スポンジ上のタグおよび第2のタイプの手術用スポンジ上のタグを検出することを含む。第1のタイプは、メモリ上に記憶されている第1の乾燥重量を有し、第2のタイプは、メモリ上に記憶されている第2の乾燥重量を有する。カウンタは、プロセッサによって、外科的処置中に使用されるようにカウントインされたものとして第1のタイプおよび第2のタイプの手術用スポンジを識別するように索引付けされる。これらのタグのうちの少なくとも1つは、データリーダによって再び検出される。カウンタは、プロセッサによって、外科的処置中に使用されなくなるようにカウントアウトされたものとして、第1のタイプの手術用スポンジのうちの少なくとも1つおよび/または第2のタイプの手術用スポンジのうちの少なくとも1つを識別するようにさらに索引付けされる。測定重量の変化は、計量手段によって、手術用スポンジがスポンジ分類器内に配置された状態で感知される。手術用スポンジの流体重量は、プロセッサによって、カウンタによってカウントアウトされたものとして識別された手術用スポンジの測定重量および乾燥重量に基づいて判定される。血液損失は、プロセッサによって、手術用スポンジの流体重量に基づいて推定される。推定血液損失は、ディスプレイ上に表示される。ディスプレイはまた、カウントアウトおよび/またはカウントインされた第1のタイプおよび第2のタイプの手術用スポンジの各々の数を示すカウンタを表示することができる。
【0022】
本開示の第7の態様によれば、血液損失を推定する方法は、データリーダによって、手術用スポンジのタグを検出して、外科的処置中に使用されるようにカウントインされたものとして手術用スポンジを識別することを含む。手術用スポンジのタイプは、メモリ上に記憶されている乾燥重量を有する。測定重量の変化は、計量手段によって感知される。プロセッサは、手術用スポンジがカウントアウトされたことに測定重量の変化が相関するかどうかを判定する。手術用スポンジがカウントアウトされたことに測定重量の変化が相関しない場合、警告がディスプレイ上に提供される。プロセッサは、手術用スポンジのタグの検出と測定重量の変化との間で、測定された継続時間と最大継続時間とを比較することができる。プロセッサは、測定重量の変化と、血液で飽和されたスポンジを示す事前設定された最大スポンジ重量とを比較することができる。プロセッサは、測定重量の変化と、事前設定された最小スポンジ重量とを比較することができる。スポンジ分類器内に配置された流体吸収物品のタイプを示す警告に応答して、ユーザ入力を受け取ることができる。血液以外の流体で飽和されたものとして手術用スポンジを識別する別のユーザ入力を受け取ることができる。プロセッサによって、手術用スポンジの重量を測定重量から引いた値に基づいて、修正された測定重量を判定することができる。血液損失は、プロセッサによって、修正された測定重量に基づいて推定することができる。
【0023】
図面を次に参照すると、例示的な図が詳細に示されている。図面は概略図を表すが、これらの図面は必ずしも原寸に比例しておらず、示されている例の革新的態様をより良好に図示および説明するために、特定の特徴が強調されていることもある。さらに、本明細書に記載する例示的な図は、網羅的であることを意図したものではなく、または他の形で図面に示され以下の詳細な説明に開示される厳密な形態および構成に限定もしくは制限されることを意図したものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】手術用スポンジを管理するためのシステムを示す図である。モジュールベース、データリーダ、およびディスプレイが、移動スタンドから切り離された状態で示されている。スポンジ分類器のカートンおよび手術用ドレーピングのカートンが、分配器アセンブリ上のそれぞれの貯蔵場所から隔置された状態で示されている。手術用ドレーピングは、データリーダを覆っている。
【
図2】少なくとも1つのアームが分配器アセンブリのハウジングから外方に配備され、アームからスポンジ分類器がかけられた構成にあるシステムを示す図である。
【
図5】上部ハウジングが下部ハウジングから分離されている、分配器アセンブリの分解図である。
【
図6】アームのうちの一方が分解された状態で示されており、ビームと、ローディングバーと、スポンジ分類器および手術用スポンジの測定重量を検出するためのロードセルとを含む、システムの一部分の斜視図である。
【
図7】ビーム内に配置されたアームのロードセルおよび他の従属構成要素を示すために、ビームが透明なものとして示されている、
図6のアームの上面斜視図である。
【
図8】ロードセルがビームの外部に位置決めされている、アームの別の実装例の上面斜視図である。
【
図9】システムによって血液損失を推定する方法の図である。
【
図10】システムによって血液損失を推定する別の方法の図である。
【
図11】システムによって血液損失を推定するさらに別の方法の図である。
【
図12】ディスプレイ上に警告が提供されている、システムの一部分の斜視図である。警告は、計量手段によって検出された測定重量の変化がカウントアウトされた手術用スポンジに相関しないことを示すことができる。
【
図13A】システムによって血液損失を推定するワークフローのグラフィックユーザインターフェース(GUI)スクリーンショットの図である。
【
図13B】システムによって血液損失を推定するワークフローのグラフィックユーザインターフェース(GUI)スクリーンショットの図である。
【
図14A】適合している手術用スポンジに加えて追加の流体吸収物品が使用されている、システムによって血液損失を推定するワークフローのGUIスクリーンショットの図である。
【
図14B】適合している手術用スポンジに加えて追加の流体吸収物品が使用されている、システムによって血液損失を推定するワークフローのGUIスクリーンショットの図である。
【
図14C】適合している手術用スポンジに加えて追加の流体吸収物品が使用されている、システムによって血液損失を推定するワークフローのGUIスクリーンショットの図である。
【
図14D】適合している手術用スポンジに加えて追加の流体吸収物品が使用されている、システムによって血液損失を推定するワークフローのGUIスクリーンショットの図である。
【
図15A】手術用スポンジのうちの1つまたは複数を計量された品物体積から除外することができる、システムによって血液損失を推定するワークフローのGUIスクリーンショットの図である。
【
図15B】手術用スポンジのうちの1つまたは複数を計量された品物体積から除外することができる、システムによって血液損失を推定するワークフローのGUIスクリーンショットの図である。
【
図15C】手術用スポンジのうちの1つまたは複数を計量された品物体積から除外することができる、システムによって血液損失を推定するワークフローのGUIスクリーンショットの図である。
【
図15D】手術用スポンジのうちの1つまたは複数を計量された品物体積から除外することができる、システムによって血液損失を推定するワークフローのGUIスクリーンショットの図である。
【
図16A】計量手段が測定重量の低減を検出する、システムによって血液損失を推定するワークフローのGUIスクリーンショットの図である。
【
図16B】計量手段が測定重量の低減を検出する、システムによって血液損失を推定するワークフローのGUIスクリーンショットの図である。
【
図16C】計量手段が測定重量の低減を検出する、システムによって血液損失を推定するワークフローのGUIスクリーンショットの図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示は、外科的処置中に手術用スポンジを管理するためのシステムであり、それによって手術用スポンジを患者の体内に残すことを防止する。システムは、後述する途切れないワークフローで手術用物品に関連付けられた血液損失を推定することをさらに容易にすることができる。
図1および
図2を参照すると、手術用スポンジ管理システム10は、スタンド12、電子サブシステム14、および分配器アセンブリ16を含む。スタンド12は、手術用スポンジ管理システム10を医療施設内で移動させるために車輪付きのベース18を含む。車輪は、ベース18に結合されたキャスタ20とすることができ、キャスタ20のうちの少なくとも1つは、キャスタ20を選択的にロックするように構成されたブレーキ22を含む。スタンド12は、ベース18に結合されてベース18から上方へ延びる主支持体24を含むことができる。主支持体24は、円筒形のポールとすることができ、または電子サブシステム14の改善された取付けを容易にするために、軸方向の断面で正方形もしくは長方形とすることができる。特に、主支持体24は、比較的幅広い1対の両側の側面26、28を含むことができ、1対の両側の側面のうちの一方26は、手術用スポンジ管理システム10の前面であり、1対の両側の側面のうちの他方28は、手術用スポンジ管理システム10の後面である。主支持体24は、主支持体24を通って延びる電源および/またはデータケーブル30を収容するために、少なくとも部分的に中空とすることができる。示されている実装例は、開口32を画定する前面26を示し、開口32内に、または開口32に隣接して、電源コネクタ34が位置決めされる。電源ケーブル30は、主支持体24を通って延び、主支持体24の後面28内の別の開口(図示せず)を通って出る。
図2に示すように、電子サブシステム14が主支持体24に結合された状態で、手術用スポンジ管理システム10に給電するために、電源ケーブル30を外部電源に結合することができる。電子サブシステム14の構成要素のうちの1つまたは複数は、再充電可能な電池を含むことができ、外部電源への電源ケーブル30の結合はさらに、再充電可能な電池を充電する働きをすることができ、多くの場合は同時に手術用スポンジ管理システム10に給電することができることを理解されたい。たとえば、電源ケーブル30をスタンド12に簡潔に収納するために、電源ケーブル30が出る開口付近の後面28上でコードラップ36を主支持体24に結合することができる。たとえば、医療施設内で手術用スポンジ管理システム10を移動させることを容易にするために、前面26上でハンドル38を主支持体24に結合することができる。
【0026】
図1および
図2を引き続き参照すると、電子サブシステム14は、モジュールベース40、ディスプレイ42、およびデータリーダ44を含む。モジュールベース40は、スタンド12に固定することができ、より詳細には、主支持体24の前面26に係合することができる。電源コネクタ34は、モジュールベース40の後面上の相補形の電源ポート(図示せず)に電気的に結合される。モジュールベース40は、ハウジング46と、ハウジング46に結合されたマウント48とを含むことができる。モジュールベース40は、プロセッサ、メモリ、通信デバイス、および/または他のハードウェアをさらに含むことができることが理解される。マウント48は、グラフィカルユーザインターフェースを表示するタブレットなどのディスプレイ42に取外し可能に結合されるように構成される。同様に、ハウジング46は、データリーダ44に取外し可能に結合されるように構成されたクレードル50を画定することができる。示されている実装例は、クレードル50がデータリーダ44を受け取って支持するための凹部であることを示す。多くの場合、HCPがディスプレイ42およびデータリーダ44をはめ込むとき、電子サブシステム14は、好ましくは、最適の高さで主支持体24に結合される。たとえば、電子サブシステム14は、ハンドル38と分配器アセンブリ16との間で主支持体24に結合することができ、したがってディスプレイ42は、平均的な身長のほとんどの成人にとって眼の高さに比較的近い。別の例では、ディスプレイ42は、床レベルから4フィート~6フィートの高さに位置決めすることができる。さらに、マウント48とモジュールベース40との間の接合部は、1、2、または3つ以上の自由度で、ディスプレイ42の選択的な調整を提供することができる。接合部は、様々な身長の使用者に対応するために、モジュールベース40に対するディスプレイ42の垂直方向の調整を提供する旋回軸とすることができる。
【0027】
データリーダ44は、手持ち式デバイスとしてまたはクレードル50によって支持されるものとして使用され、これらの構成間を途切れなく遷移するように構成される。より詳細には、クレードル50によって支持されたとき、データリーダ44が手術用スポンジに関連付けられたタグに関連付けられた一意の識別情報を検出するために、手術用スポンジをデータリーダ44に近づけることができる。手術用スポンジをデータリーダ44に近づけること、または他の形で所望どおり動かすことが実行可能でない場合、データリーダ44をクレードル50から効率的に取り外し、手術用スポンジに関連付けられたタグ付近で作動させることができる。例示的な実装例では、データリーダ44は、各々全体として参照により本明細書に組み込まれている、2021年3月4日に公開された本願の権利者が所有する国際公開WO2021/041795、および2021年5月20日に公開された本願の権利者が所有する国際公開WO2021/097197に記載されているように、手術用スポンジに関連付けられたRFIDタグを検出するように構成されたRFIDリーダである。RFIDタグ以外の例示的なタグは、全体として参照により本明細書に組み込まれている、2017年6月29日に公開された本願の権利者が所有する国際公開WO2017/112051に開示されている。
【0028】
分配器アセンブリ16は、スタンド12のベース18とは反対の位置で、主支持体24に取り付けることができる。言い換えれば、分配器アセンブリ16は、スタンド12の上に位置することができる。記載する分配器アセンブリ16およびその構成要素は、これらに限定されないが、手術用スポンジ管理システム10の占有面積を選択的に制限すること、スポンジ分類器52のカートン56からのスポンジ分類器52の貯蔵および人間工学的分配を提供すること、手術用ドレーピング53のカートン58からの手術用ドレーピング53の貯蔵および人間工学的分配を提供すること、ならびにスポンジ分類器52内に配置された手術用スポンジを計量するための従属構成要素を有する少なくとも1つのアーム54を支持することを含む、いくつかの有利な機能を提供する。本明細書では、カートン56、58は、半剛性もしくは剛性の容器、たとえば開口を画定する箱とすることができ、または別法として、開口を画定するバッグなどの可撓性の容器とすることができる。スポンジ分類器52は、カートン56内に積み重ねることができ、ともに巻き込むことができ、または他の方法でまとめることができ、本明細書では別法として計数バッグとも呼ばれる。さらに、本明細書では、手術用ドレーピング53は、単一の手術用ドレープまたは複数の手術用ドレープを指すことができる。手術用ドレーピング53のカートン58は、最初に、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ以上の手術用ドレープを含むことができ、これらの手術用ドレープは、カートン58内に積み重ねることができ、ともに巻き込むことができ、または他の方法でまとめる。
【0029】
図3~
図5を次に参照すると、分配器アセンブリ16はハウジング60を含み、ハウジング60は、下部シェル64に結合された上部シェル62から構成することができる。下部シェル64は、主支持体24の上端に位置する相補形の取付けフランジ(図示せず)に取り付けることができる。
図5は、分配器アセンブリ16を主支持体24に取り付けるための締結具を受け取る4つの孔を画定する下部シェル64の下壁66を示す。下部シェル64は、下壁66から上方へ延びる下部側壁68を含むことができる。下部側壁68の台形の形状から理解されるように、下壁66は、主支持体24に取り付けられたとき、後面から前面に向かって下方へ傾斜することができる。さらに説明するように、下壁66の下方への傾斜は、スポンジ分類器52のカートン56が分配器アセンブリ16の前壁70の内側の定位置へ下降することを容易にし、それによって人間工学的分配のために、分配器アセンブリ16の前部開口72に隣接して連通するようにカートン56の開口を位置決めする。
【0030】
分配器アセンブリ16は、ハウジング60に結合された少なくとも1つの取付けブラケット74を含む。取付けブラケット74は、アーム54をハウジング60に結合する。
図5に最もよく示されているように、取付けブラケット74は、下部シェル64の下部側壁68の各々の外面に結合される。下部シェル64は、下部側壁68の各々から外方へ延びるフランジ壁76をさらに含むことができ、取付けブラケット74は、フランジ壁76にさらに結合することができる。その結果得られる構成は、フランジ壁76および下部側壁68によって画定された凹部78内に位置決めされたアーム54を含む。より詳細には、アーム54は、取付けブラケット74に旋回可能に結合されて、取付けブラケット74から後方へ延びることができる。アーム54は、アーム54が凹部78内に位置決めされる未配備位置(
図1および
図3~
図5参照)と、アーム54がハウジング60の側壁を越えて外方へ延びる配備位置(
図2参照)との間で、独立して選択的に可動である。アーム54に結合された分類器結合器79が、スポンジ分類器52を支持するように構成される。分類器結合器79は、少なくとも1つのフック、たとえば
図4に最もよく示されているように2つのフック、または留め金、フックアンドアイ接続などの他の好適な保持機構とすることができる。各アーム54は、2つのスポンジ分類器を協働して支持するように構成された少なくとも2つの分類器結合器79を含むことができる。代替の実装例では、アーム54は、回転運動、線形平行移動、または伸縮変位が展開されるように構成することができる。
【0031】
上部シェル62は、前壁70、上壁80、および上部側壁82を含む。壁70、80、82は概して、下部シェル64の輪郭に沿ったL字形を形成し、したがって互いに結合されたとき、内部または第1の貯蔵場所84を画定する。特に、上部シェル62の上部側壁82は、たとえば締結具によって、下部シェル64の下部側壁68に固定されて、ハウジング60を形成する。別法として、ブロー成形、射出成形、3次元印刷などの好適な製造プロセスによって、上部シェル62および下部シェル64を一体形成することができ、したがってハウジング60が構造的にモノリシックになることが企図される。他の実装例では、洗浄などのために上部シェル62を旋回させて第1の貯蔵場所84にアクセスすることを可能にするために、たとえばヒンジによって、上部シェル62および下部シェル64を互いに旋回可能に結合することができる。ハウジング60は、前壁70と、上壁80と、側壁68、82との間に、第1の貯蔵場所84を画定する。
【0032】
第1の貯蔵場所84は、スポンジ分類器52のカートン56を受け取るようにサイズ設定される。より詳細には、ハウジング60は、第1の貯蔵場所84に連通している後部開口86と、第1の貯蔵場所84に連通している前部開口72とを画定する。後部開口86は前部開口72より大きい。
図4に最もよく示されているように、後部開口86は、長方形の形状とすることができ、これは多くの場合、スポンジ分類器52のカートン56の典型的な形状である。後部開口86は、使用者が後部開口86を通ってカートン56を第1の貯蔵場所84内へ誘導することが可能になるように、カートン56よりわずかに大きくサイズ設定されるべきである。使用者は、カートン56の分配器開口が分配器アセンブリ16の前部開口72の方を向くように、カートン56を第1の貯蔵場所84内へ装填するべきである。上述したように、下壁66は下方へ傾斜しており、したがって使用者がスポンジ分類器52のカートン56を第1の貯蔵場所84内へ完全に装填することを容易にする。カートン56の分配開口は、前部開口72を通ってアクセス可能である。
【0033】
図2を再び参照すると、分配器アセンブリ16のアーム54からスポンジ分類器52を吊り下げる方法が、分配器アセンブリ16の第1の貯蔵場所84内に支持されたカートン56からスポンジ分類器52を回収することを含む。HCPは、前面から手術用スポンジ管理システム10に接近し、前部開口72を通ってスポンジ分類器52のカートン56にアクセスすることができる。HCPは、前部開口72を通ってスポンジ分類器52のうちの1つをカートン56から引っ張って抜き出すことができる。配置の人間工学は、有利には、HCPがたとえばスタンドの上に支持されたワイアバスケット内から物体を回収することを必要としない。分配器アセンブリ16は頭部レベル以上に位置する可能性が高いため、安全性がさらに促進される。スポンジ分類器52は、折り畳んでおくことができ、またはカートン56から取り外されると広げることができる。スポンジ分類器52が広げられると、
図2に示す構成を帯びることができる。分配器アセンブリ16は、スポンジ分類器52のカートン56の汚染を防止または最小化するために、アーム54の高さ、すなわちスポンジ分類器52の吊り下げ高さより上に位置することができる。さらに、分配器アセンブリ16の場所が主支持体24の上で中心に位置することで、スポンジ分類器52の上部および下部ポケットを塞ぐことを回避する。本開示の分配器アセンブリ16の場所および構成により、知られているデバイスが改善され、貯蔵部の位置決めが低いと、スポンジ分類器がより低い吊り下げ高さに吊り下げられる必要があり、多くの場合、HCPはより低いポケットにアクセスするために床付近までかがむ必要がある。分配器アセンブリ16は、広範囲の身長のHCPに対応しながら、上述した欠点を回避する。
【0034】
HCPは、アーム54のうちの1つからスポンジ分類器52を掛けるまたは吊り下げることができる。スポンジ分類器52は、分類器結合器79のフックの上へ誘導されるように構成された小穴を含むことができる。このステップは、アーム54を未配備位置から配備位置へ動かす前または後に実行することができる。言い換えれば、HCPは、ハウジング60の側面に隣接する凹部78内にアーム54が位置決めされた状態で、アーム54にスポンジ分類器52を吊り下げることができる。ハウジング60は、アーム54が設置中にHCPから離れる方へ動くことを防止しており、これは、HCPが小穴およびフックを支持して位置合わせするために両手を使用しなければならない場合、人間工学的となりうる。別法として、HCPは、たとえば、アーム54を外方へ旋回させることができ、その後、HCPは、スポンジ分類器52をアーム54に吊り下げる。
【0035】
スポンジ分類器52がアーム54から吊り下げられた後はいつでも、医療施設のあちこちに手術用スポンジ管理システム10を動かすことができることが望ましい。しかし、アーム54が配備された状態で、手術用スポンジ管理システム10の翼幅はかなり大きく、医療施設内で障害物を進めることはますます困難になる。手術用スポンジ管理システム10は、有利には、1つまたは複数のスポンジ分類器がすでに結合されたアーム54を配備位置から未配備位置へ動かすことを実現し、それによって手術用スポンジ管理システム10の翼幅を低減させる。翼幅の低減は、手術用スポンジ管理システム10の元の占有面積に等しくまたはそれより小さくすることができる。言い換えれば、未配備位置でアーム54から吊り下げられたスポンジ分類器52は、ベース18の突出した外周(すなわち、元の占有面積)の範囲内である。その結果、手術用スポンジ管理システム10は、1つまたは複数のスポンジ分類器52がすでに吊り下げられてすぐに使用のために配備することができる状態で移動可能である場合と同じようにすることができる。HCPは、必要に応じて、ハンドル38を握って手術用スポンジ管理システム10を移動させることができる。
【0036】
すでに論じたように、手術用スポンジ管理システム10は電子サブシステム14を含み、多くの場合、電子サブシステム14の構成要素は、無菌バリアを維持する手術用ドレーピング53で覆われる必要がある。内部または第1の貯蔵場所84と同様に、分配器アセンブリ16は、有利には、手術用ドレーピング53の搭載貯蔵および人間工学的分配のための外部または第2の貯蔵場所88を提供する。
図1、
図3、および
図5を再び参照すると、第2の貯蔵場所88は概して、上部シェル62の上壁80内の凹部によって画定することができる。言い換えれば、上部シェル62は、第2の貯蔵場所88を少なくとも部分的に形成する第1の保持形状90および第2の保持形状92を含むことができる。示されている実装例では、第1の保持形状90および第2の保持形状92は、ハウジング60を横切って幅方向に延びるフレームである。第1の保持形状90および第2の保持形状92は、好ましくは手術用ドレーピング53のカートン58の幅よりわずかに大きい距離だけ、互いから隔置される。その結果、概して、第2の貯蔵場所88内に支持されたカートン58が前方および後方方向に動くことを抑制することができる。第2の保持形状92は、ハウジング60の後面に輪郭を付けることができ、第1の保持形状90は、ハウジング60の深さに沿って任意の好適な場所に位置決めすることができる。
【0037】
上部シェル62は、第2の貯蔵場所88をさらに形成する第3の保持形状94および第4の保持形状96をさらに含むことができる。示されている実装例では、第3の保持形状94は、ハウジング60の上部側壁82のうちの一方に沿って深さ方向に延びるフレームであり、第4の保持形状96は、ハウジング60の上部側壁82のうちの他方に沿って深さ方向に延びるフレームである。第3の保持形状94および第4の保持形状96は、好ましくは手術用ドレーピング58のカートン58の長さよりわずかに大きい距離だけ、互いから隔置される。概して、第2の貯蔵場所88内に支持されたカートン58が横方向に動くことを抑制することができる。
【0038】
第3の保持形状94および/または第4の保持形状96は、スロット98を画定することができる。スロット98は、カートン58からの手術用ドレーピング53の人間工学的分配を容易にする。
図1および
図2に最もよく示されているように、適合しているカートンの分配器開口を、最も短い側の下面に画定することができる。分配器開口は、手術用ドレーピング53のカートン58が第2の貯蔵場所88内に支持されるとき、スロット98と位置合わせされる。たとえば、手術用ドレーピングのわずかな部分が分配器開口を通して露出されている状態で(前の手術用ドレーピングを取り出したことによる)、HCPは、手術用ドレーピング53を分配するために、単に外方(および下方)へ引くまたは抜き出すことができる。手術用ドレーピング53のカートン58が第3の保持形状94または第4の保持形状96によって第2の貯蔵場所88から出ることは防止される。第1の貯蔵場所84と同様に、第2の貯蔵場所88の人間工学は、有利には、HCPがたとえば上方へ引くことを必要としない。手術用ドレーピング53は、必要に応じて広げられまたは開かれて、電子サブシステム14および/または他の構成要素の上を覆うことができる。たとえば、
図1は、手術用ドレーピング53が閉鎖デバイスによってデータリーダ44を覆っていることを示す。
【0039】
第1の貯蔵場所84および第2の貯蔵場所88は、それぞれのカートン56、58の取外しおよび交換の容易さを促進することがさらに理解される。スポンジ分類器52のカートン56が空になった後、後部開口86は、別のカートン56の取外しおよび交換の容易さを促進する。同様に、手術用ドレーピング53のカートン58が空になった後、カートン58を取外しのためにわずかな距離だけ単に持ち上げることができ、別のカートン58を第2の貯蔵場所88内に位置決めすることができる。第1の貯蔵場所84が手術用ドレーピング53のカートン58に関連付けられ、第2の貯蔵場所88がスポンジ分類器52のカートン56に関連付けられた、逆の構成も企図される。
【0040】
本開示の分配器アセンブリ16は、有利には、手術用スポンジ管理システム10の付属品のほとんどまたはすべてをディスプレイ42またはデータリーダ44の近くに、コンパクトかつ空間意識的に配置することを容易にする。コンパクト性は、第1の貯蔵場所84が分配器アセンブリ16のハウジング60の「内部」にあり、第2の貯蔵場所88がハウジング60の「外部」にあることによって実現される。内部とは、カートンの大部分がハウジング60を越えて延びないことであると考えることができ、外部とは、カートンの大部分がハウジングを越えて延び、または遮られることなく露出されることであると考えることができる。当然ながら、ハウジング60に対するカートンの幾何形状の微細な修正および配置のわずかな変更は、本開示の範囲内であると見なすことができる。1つの代替の実装例では、たとえば、分配器アセンブリ16のハウジング60は、後部開口86を画定しなくてもよく、上部シェル62の上壁80は、第2の貯蔵場所88の前方に位置決めされて第1の貯蔵場所84に連通している開口を画定することができる。スポンジ分類器52のカートン56は、前部開口72を通してアクセス可能になるように、開口を通って第1の貯蔵場所84内へ誘導することができる。
【0041】
上述したように、手術用スポンジ管理システム10は、途切れないワークフローで、より詳細には手術用スポンジのチェックアウトまたはカウントアウトの途切れないワークフローで、手術用スポンジに関連付けられた血液損失を推定することを容易にすることができる。言い換えれば、使用者は、データリーダ44を使用して手術用スポンジをカウントアウトし、手術用スポンジ(S)をスポンジ分類器52のポケットのうちの1つに入れることができる(
図2参照)。さらなる行動が使用者によって必要とされることなく、手術用スポンジ管理システム10は、手術用スポンジ(およびスポンジ分類器52)を計量し、重量の変化をカウントアウトされた手術用スポンジに相関させ、手術用スポンジのタイプに関連付けられた乾燥重量を引き、手術用スポンジによって吸収された血液を推定し、推定血液損失をディスプレイ42上で更新するように構成することができる。手術用スポンジの計量を容易にするために、アーム54は、計量手段を含むことができる。アーム54上で計量手段を統合することによって実現される追加の利点はまた、さらなる詳細で説明する。
【0042】
図6および
図7を次に参照すると、アーム54は、計量手段、ビーム102、およびローディングバー104を含む。計量手段は、ロードセル100とすることができ、アーム54から支持された物体を計量するための他の好適な手段も企図される。ビーム102は、取付けブラケット74によって分配器アセンブリ16のハウジング60に結合され、分類器結合器79は、ローディングバー104に結合される。ロードセル100は、ローディングバー104に印加された質量がロードセル100によって測定可能になるように、ローディングバー104をビーム102に結合する。言い換えれば、ローディングバー104およびビーム102は、ロードセル100を除いて、アーム54によって支持された質量全体がロードセル100によって測定可能になるように、互いに結合されなくてもよい。ほとんどの事例では、質量は、アーム54から掛けられたスポンジ分類器52、およびスポンジ分類器52内に受け取られたあらゆる手術用スポンジまたは物体である。
【0043】
アーム54は、上述した機能が未配備位置と配備位置との間で可動になることを実現するように、ハウジング60に旋回可能に結合される。その結果、アーム54は、片持ち梁式にすることができ、すなわち一端またはその付近では取付けブラケット74によって支持することができ、他端では支持されていない状態にすることができる。片持ち梁の構造力学によって、ロードセル100をベンディングビーム型ロードセルとすることができる。ベンディングビーム型ロードセルは、有利には、アーム54内に隠すことのできるわずかなフォームファクタによって、正確で繰返し可能な測定を実現する。ロードセル100は、ベンディングビーム型ロードセル、ダブルベンディングビーム型ロードセル、せん断ビーム型ロードセル、S字型ロードセル、キャニスタ型ロードセル、トーションロードセル、スポーク型ロードセル、リングトーションロードセル、ロードピン、および歪みゲージからなる群から選択することができる。1つの例示的なダブルベンディングビーム型ロードセルは、HBK Inc.(マサチューセッツ州マールボロ)から商標DF2SR-3で市販されている。
【0044】
図6および
図7を引き続き参照すると、ビーム102は、チャネル106を画定することができ、ロードセル100は、チャネル106内に配置することができる。一例では、ビーム102は、断面が正方形または長方形のチャネル106を画定するために、押出し成形から形成されるが、他の好適な形状も企図される。チャネル106は、ロードセル100および取付けブロック108などのアーム54の他の従属構成要素を収容するようにサイズ設定することができる。ロードセル100の第1の部分または端部110は、ビーム102に固着することができ、ロードセル100の第2の部分または端部112は、ローディングバー104に固着することができる。
図7に最もよく示されているように、ロードセル100の第1の端部110は、締結具によってビーム102の上面に固定される。ロードセル100の第2の端部112は取付けブロック108に固定され、取付けブロック108自体はローディングバー104に固定される。取付けブロック108は、チャネル106内に配置することができ、ローディングバー104は、チャネル106の外側に配置することができる。ロードセル100の開口114は、第1の部分110と第2の部分112との間に描くことができる。ローディングバー104によって物体が支持される結果、取付けブロック108およびロードセル100の第2の端部112に下向きの力がかかる。下向きの力によってロードセル100の撓みが生じ、この撓みは歪みゲージまたは他の好適なトランスデューサによって測定可能である。ロードセル100の寸法および材料ならびに開口114の特性によって、測定された撓みは負荷を示す。この撓みは電気信号に変換され、電子サブシステム14のプロセッサへ伝送される。カバー116およびエンドキャップ118を設けて、アーム54の従属構成要素をビーム102内に封止しまたは隠すことができる。したがって、チャネル106内に配置されることによって、ビーム102自体の設計がロードセル100を保護する。別法として、
図8はアーム54の実装例を示し、特定の従属構成要素がチャネル106内に配置されるが、ロードセル100はビーム102の外部に配置される。
図8の実装例は、ロードセル100の第1の端部110がビーム102の下面の下側に結合されていることを示す。そのような配置は、より大きい計量手段を必要とする設計、すなわちロードセル100がチャネル106内に配置するには大きすぎる設計にとって、特に好適となりうる。ロードセル100、ビーム102などを収容するために、好適なカバーを設けることができる。
【0045】
正確な測定をさらに確実にし、ロードセル100の損傷を回避するために、アーム54は、取付けブロック108に固着された負荷制限板120を含むことができる。間隙調整ねじ122が負荷制限板120にねじ結合される。間隙調整ねじ122は、停止端(図示せず)を有し、負荷制限板120に対して選択的に可動である。間隙調整ねじ122は、ローディングバー104にかかる重量が所定の最大重量を超過した場合、ロードセル100にさらなる負荷が印加されることを停止端が防止するような位置へ調整することができる。たとえば、間隙調整ねじ122は、ロードセル100に印加される負荷が所定の最大重量を超過した場合、ビーム102(または他の指定の構造)の下部内面で最も低い位置にくるように選択的に調整することができる。所定の最大重量に対応する所望の位置で間隙調整ねじ122を固定するために、止めねじ124を設けることができる。言い換えれば、負荷制限板120、間隙調整ねじ122、およびロードセル100は、所定の重量に較正することができる。較正中、知られている重量(たとえば、20ポンド)の物体をローディングバー104に印加することができ、間隙調整ねじ122は、ビーム102の下部内面に当接するように調整することができる。物体が取り外され、止めねじ124を締めることができる。その後の動作中、アーム54によって20ポンドが支持された場合、間隙調整ねじ122は再び最も低い位置にくるはずであると想定することができる。
【0046】
計量手段は、モジュールベース40内に配置することができるプロセッサ(識別せず)に連通している。別法として、計量手段は遠隔プロセッサと無線通信することができ、したがって後述する処理ステップを遠隔で実行し、無線で返してディスプレイ42上に表示することができる。プロセッサは、本明細書に開示する方法を実施するために実行されるように構成された命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を含むことができる。これらの命令は、コンピュータプログラム製品上に提供することができる。計量手段は、アーム54によって支持された物体、ほとんどの場合はスポンジ分類器52およびスポンジ分類器52のポケット内に配置された手術用スポンジの測定重量を検出するように構成される。測定重量、または測定重量を示す対応する信号もしくはデータは、プロセッサへ伝送される。
【0047】
手術用スポンジが利用される典型的な外科的処置において、手術用スポンジは、外科的処置中に使用されるものとしてチェックインまたはカウントインされる。手術用スポンジは、前述のRFIDタグなどのタグを含むことができる。
図9を参照すると、例示的な方法130は、データリーダ44にタグを検出させることによって、手術用スポンジをカウントインすることを含むことができる(ステップ132)。RFIDタグは識別データを含み、プロセッサは、識別データから手術用スポンジのタイプを判定するように構成され、その場合、手術用スポンジは、さらに後述する適合している手術用スポンジであると見なすことができる。例示的なタイプの手術用スポンジは、4×4ガーゼおよび18×18ラップのスポンジである。手術用スポンジ管理システム10の特徴はまた、タグに基づいて自動的に識別されないことのある物品を考慮し、以下、そのような物品を流体吸収物品と呼ぶ。適合している手術用スポンジ、流体吸収物品、スポンジ分類器52、および他の物体を、集合的に「品物」と呼ぶことができる。手術用スポンジのタイプは、メモリ内に記憶されている乾燥重量に関連付けられる。乾燥重量は、手術用スポンジのタイプに関連付けられた経験、製造、または他のデータに基づく平均重量とすることができる。データリーダ44がタグを検出したことに基づいて、プロセッサは、外科的処置中に使用されるべき手術用スポンジの数のカウンタを索引付けすることができる。カウンタは、ディスプレイ42上に表示することができる(
図13B参照)。プロセッサは、使用されるものとして前にカウントインされた前の手術用スポンジの乾燥重量に乾燥重量をさらに追加することができる。外科的処置の予期されるまたは実際のスポンジの必要に基づいて、必要な回数だけこれを繰り返すことができる。外科的処置は、計画どおり開始または継続する。
【0048】
外科的処置中または外科的処置後、使用済みおよび未使用の手術用スポンジが、チェックアウトまたはカウントアウトされる。手術用スポンジのタグは、この場合も、外科的処置中に使用されなくなるようにカウントアウトされたものとして手術用スポンジを識別するために、データリーダ44によって検出されるように位置決めされる(ステップ134)。プロセッサは、それに応じてカウンタを索引付けし(たとえば、前の数から1を引く)、カウントインされたまま残っている手術用スポンジを示す数をディスプレイ42上に表示することができる(
図13B参照)。実際に典型的には、使用者は、手術用スポンジがカウントアウトされたことをディスプレイ42上で確認した後、スポンジ分類器52のポケットのうちの1つに手術用スポンジを直ちに配置する(
図2参照)。
【0049】
計量手段を手術用スポンジ管理システム10のアーム54と統合することによって、スポンジ分類器52内に手術用スポンジを配置したことが、測定重量の変化として計量手段によって自動的に検出または感知される(ステップ136)。測定重量および/または測定重量の変化は、プロセッサへ伝送される。プロセッサは、カウントアウトされたものとしてデータリーダによって識別された手術用スポンジの測定重量(または測定重量の変化)および乾燥重量に基づいて、手術用スポンジによって吸収された流体の流体重量を判定するように構成される。言い換えれば、プロセッサは、データリーダ44によって検出されたタグに基づいて、カウントアウトされた手術用スポンジのタイプを認識し、そのタイプの手術用スポンジに対する乾燥重量をメモリから相関させる。測定重量の変化から乾燥重量を引くと、カウントアウトされた手術用スポンジに対する流体重量に等しくなる(ステップ138)。手術用スポンジの各々に対する流体重量は、後の調査および入力のために、メモリ内にログおよび記憶することができる。0.994グラムの流体が1ミリリットルの血液に等しいとする近似変換(または別の好適な近似)によって、プロセッサは、流体重量に基づいて、手術用スポンジに関連付けられた血液損失を推定する(ステップ140)。プロセッサは、そのデータを伝送して、ディスプレイ42上に表示させる(ステップ142)(
図13A参照)。上述した機能は、有利には、推定血液損失を判定することができるまでに、カウントアウトされている各タイプの手術用スポンジの数を使用者が判定し、思い出し、かつ/または手動で入力する必要をなくすことが容易に理解されよう。同様に、手術用スポンジを計量のために別個のスケールへ輸送する必要もなくなる。さらに、手術用スポンジ管理システム10は、手術室内の占有面積を増大させることなく、推定血液損失を提供する。上述したステップは、手術用スポンジをカウントインおよびカウントアウトするというHCPが慣れたワークフローを使用者が変更することを必要とすることなく、自動的に実時間で実行することができる。後述する代替の実装例では、ディスプレイ42は、カウントインおよびカウントアウトされた手術用スポンジのタイプを手動で入力または編集するためのオプションを使用者に提供することができ、その場合、プロセッサは、入力または編集された入力に基づいて、推定血液損失を自動的に更新することができることが企図される。ディスプレイ42は、血液以外の流体(たとえば、羊水)の推定を手動で入力もしくは編集し、かつ/または血液以外の流体のみを有する手術用スポンジを除外するためのオプションを使用者に提供することができることがさらに企図される。
【0050】
別の例示的な方法150は、2つ以上のタイプの手術用スポンジが外科的処置で使用されることを含む。
図10を参照すると、データリーダ44は、第1のタイプの手術用スポンジ上のタグを検出し、第2のタイプの手術用スポンジ上のタグを検出する(ステップ152)。第1のタイプは、メモリ上に記憶されている第1の乾燥重量を有し、第2のタイプは、メモリ上に記憶されている第2の乾燥重量を有する。たとえば、第1のタイプは4×4のガーゼとすることができ、第2のタイプは18×18のラップスポンジとすることができ、ラップスポンジはガーゼより重い。プロセッサは、外科的処置中に使用されるようにカウントインされたものとして第1のタイプおよび第2のタイプの手術用スポンジを識別するように、カウンタを索引付けする(ステップ154)。言い換えれば、プロセッサは、ガーゼまたはラップスポンジの各々がいくつカウントインされたかを追跡する。
【0051】
外科的処置において後に、データリーダ44は、カウントアウトされるべきタグのうちの少なくとも1つを再び検出する。プロセッサは、外科的処置中に使用されなくなるようにカウントアウトされたものとして第1のタイプの手術用スポンジのうちの少なくとも1つまたは第2のタイプの手術用スポンジのうちの少なくとも1つを識別するように、カウンタをさらに索引付けする(ステップ156)。たとえば、カウントインされた8つのガーゼから6つがその後カウントアウトされている可能性があり、カウントインされた8つのラップスポンジから3つがその後カウントアウトされている可能性がある。手術用スポンジがスポンジ分類器52内に配置された状態で、計量手段は、測定重量を感知する(ステップ158)。プロセッサは、カウンタによってカウントアウトされたものとして識別された手術用スポンジの測定重量および乾燥重量に基づいて、手術用スポンジの流体重量を判定する。この例では、プロセッサは、測定重量から、ガーゼの乾燥重量の6倍およびラップスポンジの乾燥重量の3倍を引く。プロセッサは、手術用スポンジの流体重量に基づいて血液損失を推定し(ステップ164)、データをディスプレイ42へ伝送して、推定血液損失を表示させる(ステップ166)。この場合も、使用者は、良く知られた方法で手術用スポンジをカウントアウトするだけでよく、推定血液損失を実時間で更新することができる。さらに、たとえばガーゼおよびラップスポンジは、プロセッサがそれに応じてカウンタを索引付けするため、特定の順序またはグループ分けでカウントアウトされる必要はない。
【0052】
計量手段は、スポンジ分類器52内に配置された手術用スポンジに加えてスポンジ分類器52自体を含む、アーム54によって支持された物体の重量を感知する。したがって、この方法は、重量の風袋を量って、スポンジ分類器52の風袋重量を補償することを含むことができる。一例では、計量手段は、風袋重量が所定の大きさに等しいまたはそれを下回ることを検出することができる。言い換えれば、空のスポンジ分類器の風袋重量が所定の大きさを下回り、使用済みおよび未使用の手術用スポンジが所定の大きさを上回ることを経験的に確立することができる。使用者がアーム54にスポンジ分類器52を吊り下げたことに応答して、計量手段は、測定重量の変化を感知する。測定重量の変化が所定の大きさに等しいまたはそれを下回る場合、プロセッサは、測定重量の変化を引き起こした物体がスポンジ分類器52であると判定する。別の例では、使用者は、ディスプレイ42に入力を提供して、スポンジ分類器52がアーム54によって支持された状態で計量手段の風袋を量ることができる。プロセッサは、ユーザ入力の瞬間に、測定重量を風袋重量になるように関連付ける。前述した方法の後のステップを実行した後、プロセッサは、測定重量と乾燥重量および風袋重量との間の計算された差に基づいて、手術用スポンジの流体重量を判定する。
【0053】
上述したように、計量手段を手術用スポンジ管理システム10に統合することで、血液損失の実時間推定に加えて、これらに限定されないが、カウントアウトされている手術用スポンジ(別の手術用スポンジではない)がスポンジ分類器52内に実際に配置されることを確実にすること、およびスポンジ以外の物体がスポンジ分類器52内に配置されることを回避することを含むいくつかの利点を提供する。
図11を参照すると、例示的な方法170は、データリーダ44によって、手術用スポンジのタグを検出して、外科的処置中に使用されるようにカウントインされたものとして手術用スポンジを識別することを含む(ステップ172)。計量手段は、前述した方法で測定重量の変化を感知する(ステップ174)。プロセッサは、手術用スポンジがカウントアウトされたことに測定重量の変化が相関するかどうかを判定する(ステップ176)。手術用スポンジがカウントアウトされたことに測定重量の変化が相関しない場合、ディスプレイ42上に警告126(
図12参照)を提供することができる(ステップ178)。
【0054】
手術用スポンジがカウントアウトされたことに測定重量の変化が相関するかどうかを判定するために、プロセッサは、タグの前または後の検出が発生していないかどうかを識別することができる。言い換えれば、計量手段は、手術用スポンジがカウントアウトされていない状態で測定重量の変化を感知する。そのような状況は、手術用スポンジをスポンジ分類器52内に置く前に、使用者がデータリーダ44にタグを検出させることを忘れた場合に生じる可能性がある。追加または別法として、プロセッサは、手術用スポンジのタグの検出と測定重量の変化との間で、測定された継続時間と最大継続時間とを比較することができる。上述したように、典型的には、使用者は、手術用スポンジがカウントアウトされた後、スポンジ分類器52内に手術用スポンジを直ちに配置する。計量手段が測定重量の変化を検出するまでに、最大継続時間、たとえば10、20、または30秒が経過した場合、プロセッサは、データリーダ44によってごく最近検出されたタグに重量の変化を相関させないように構成することができる。簡単に言えば、スポンジ分類器52内に配置された手術用スポンジがたとえば60秒前にカウントアウトされた手術用スポンジと同じである可能性は低い。代わりに、プロセッサは、使用者が再び手術用スポンジを検証としてカウントアウトするように、またはディスプレイ42などに確認ユーザ入力を提供するように、警告126をディスプレイ42上に提供することができる。追加または別法として、プロセッサは、測定重量の変化と、血液で飽和されたスポンジを示す事前設定された最大スポンジ重量とを比較することができる。言い換えれば、メモリは、血液または血液以外の流体で完全に飽和された手術用スポンジによって実現可能な最大重量を示す経験的データを記憶することができる。測定重量の変化が事前設定された最大スポンジ重量より大きいということは、スポンジ以外の物品がスポンジ分類器内に受け取られたことを示すことができる。この場合、プロセッサは血液損失の推定のために測定重量を使用することができない。たとえば、
図2は、スポンジ以外の物体(O)がスポンジ分類器52のポケットのうちの1つに配置されていることを示す。さらに、
図11に表すこの特定の警告によって、ディスプレイ42上に警告126を提供することができる。最後に、プロセッサは、測定重量の変化と事前設定された最小スポンジ重量とを比較することができる。測定重量の変化が事前設定された最小値を下回る場合、プロセッサは、血液損失の推定のために測定重量の変化を相関させることができない。測定重量の変化が事前設定された最小スポンジ重量より小さいということは、(i)小さいスポンジ以外の物品がスポンジ分類器内に受け取られていること、(ii)カウントアウトされた手術用スポンジより小さいスポンジタイプがスポンジ分類器52内に受け取られていること、(iii)手術用スポンジまたは物品がスポンジ分類器52から取り出されて、別の手術用スポンジまたは物品が追加されたこと、および(iv)スポンジ分類器が手術用スタンドによって部分的に支持されるなど、スポンジ分類器52が不注意で移動または支持されていることなどを示すことができる。対照的に、プロセッサが、手術用スポンジがカウントアウトされたことに測定重量の変化を相関させた場合、プロセッサは、本明細書に記載する方法の残りのステップ、すなわち測定重量および乾燥重量に基づいて手術用スポンジの流体重量を判定するステップと、流体重量に基づいて手術用スポンジに関連付けられた血液損失を推定するステップと、推定血液損失の表示を容易にするステップとを進めることができる。
【0055】
特定の実装例では、プロセッサはまた、測定重量と、事前設定された最大負荷重量、すなわち手術用スポンジ管理システム10の正確な動作を確実にしながらアーム54によって安全に支持されるように構成された最大重量とを比較するように構成することができる。事前設定された最大負荷重量は、ロードセル100の損傷を回避し、かつ/または手術用スポンジ管理システム10の傾きを防止するように、選択的に調整することができる。計量手段によって測定される重量が、プロセッサによって判定される事前設定された最大負荷重量を超過した場合、警告126をディスプレイ42上に提供することができる。
【0056】
計量手段を手術用スポンジ管理システム10と統合することで、ディスプレイ42上に表示されるソフトウェアベースのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)上で管理されることによって、効率的なスポンジ管理ワークフローをさらに提供する。ディスプレイ42は、ユーザ入力のためのユーザインターフェースを提供するタッチスクリーンディスプレイとすることができる。
図13Aおよび
図13Bは、ワークフローのGUIスクリーンショットを表し、カウントイン、カウントアウト、および計量された手術用スポンジが、手術用スポンジ管理システム10に知られている。言い換えれば、適合している手術用スポンジに関連付けられたタグは識別データを含み、プロセッサはその識別データから、乾燥重量がメモリ上に記憶されている手術用スポンジのタイプを自動的に判定する。例示的な適合している手術用スポンジは、Stryker Corporation(ミシガン州カラマズー)から商標SurgiCount Safety SpongesまたはSurgiCount Spongesで市販されている。逆に、後述するように、これらのワークフローは、タグを有していないまたは可読でないもしくは適合していない手術用スポンジに関連付けられたタグを有するスポンジおよび/または他の流体吸収物品を補償することがさらに可能である。
【0057】
GUIスクリーンショットは、ディスプレイ42上に直観的に配置された後述する様々なタイルおよび情報を含む。GUIスクリーンショットについて、そこに表示される特有の数値および物品タイプの文脈で説明するが、これらは説明のみを目的とすることが容易に理解されよう。
図13Aは、手術用スポンジまたは他の流体吸収物品によって吸収されていない外科的処置中に収集された流体の正味流体体積を表示するタイル180を含む。正味流体体積は、手動で入力することができ、または他の手段によって捕捉することができる。正味流体体積は、灌漑液、羊水などを含むことができ、これらは血液と混合されることがある。正味流体体積は、手術用吸引システムのディスプレイ上で分娩後のVドレープを見ることによって、または他の手段によって、目視で観察することができる。正味流体体積は、Gauss Surgical Inc.(カリフォルニア州メンローパーク)から商標Tritonで市販されているシステムを使用することによって得ることができる。
【0058】
GUIスクリーンショットは、計数バッグ(たとえば、スポンジ分類器52)の数および記録日時を表示するタイル182を含む。計数バッグに関連付けられた風袋重量は、メモリ上に記憶することができる。上述したように、プロセッサは、重量が計数バッグ所定の大きさに整合すること、または所定の大きさを超過しないことに基づいて、計数バッグがアーム54上に支持されていると自動的に判定するように構成することができる。GUIスクリーンショットはまた、適合している手術用スポンジに関連付けられたデータを表示するタイル184を含む。
図13Bを同時に参照すると、GUIスクリーンショットは、使用済みまたは外科的処置中に使用中の手術用スポンジの各タイプに対するカウンタを含む計数状態フィールド188を含む。
図13Bは、5つの18×18のラップスポンジの各々および10個の4×4のガーゼの各々が前にカウントインされ、その後データリーダ44によってカウントアウトされたことを表す。データリーダ44によってタグが検出されることによって計数状態が自動的に更新されるということは、手術用スポンジが適合している手術用スポンジであることを示す。
【0059】
計数状態はまた、
図13Aのタイル184にも反映される。特に、タイル184は、手術用スポンジのタイプおよび数と、手術用スポンジのすべてがカウントアウトされたことを示す印とを含む。計量手段によって感知された総重量および計数バッグの風袋重量に基づいて、適合している手術用スポンジの流体重量が判定される。適合している手術用スポンジの流体重量に基づいて、手術用スポンジに関連付けられた推定血液損失が判定され、タイル184内に表示される。タイル186内に表示される情報は、より目立って表示することができ、または視覚的に強調することができる。
図13Aおよび
図13Bの例では、適合している手術用スポンジが、計量される唯一の物体であり、したがってタイル186内に表示される推定血液損失は、タイル184内に表示される推定血液損失に一致する。使用者がプロセスを完了した後、またはそれ以外に所望される場合、推定血液損失を計算または再計算し、タイル190内に表示することができる。タイル180、186、190の円柱状の配置は、使用者に容易に認識可能な数学問題の形式として直観的に表示される。
【0060】
図14A~
図14Dは、前述したように適合している手術用スポンジが存在するが他の流体吸収物品も存在するワークフローを表す。この場合も、これらの品物はデータリーダ44によって検出可能なタグを有していないことがあり、またはタグが適合しているものとしてメモリ内に事前定義されていない。たとえば、これらの物品は、ブルータオル、ブルーシュー、ペリパッドなどの「オフザシェルフ」品物とすることができる。これらの物品のタイプは、データリーダ44から手術用スポンジ管理システム10によって自動的に認識可能でないことがあるが、メモリは、これらの物品の各々に対して記憶された乾燥重量を有することができる。乾燥重量は、前にデータベースに入力されていることがある。
【0061】
このワークフローにおいて、使用者は、流体吸収物品を計数バッグに入れることができる。流体吸収物品は、データリーダ44によって検出可能なタグを含まないことがあるため、プロセッサは、測定重量の変化が手術用スポンジ、特に適合している手術用スポンジのカウントアウトに相関しないと判定する。計量された品物の値を表示した
図13Aおよび
図13Bのタイル186は、概して警告を表すタイル192に変更される。さらに、タイル194を視覚的に強調することができ、または使用者によって選択可能になるように変更することができる。タイル192、194は、測定重量の変化が適合している手術用スポンジのカウントアウトに相関しないことに基づいて、「未知品物」がソフトウェアによって想定されていることを使用者に表す。使用者は、タイル194を選択することができ、その後、
図14Bの物品リストフィールド196が表示される。使用者は、物品リストフィールド196から流体吸収物品のうちの1つまたは複数を選択することができる。保存された後、
図14CのGUIスクリーンショットを提供することができ、タイル182が計数バッグを表示し、タイル184が適合している手術用スポンジを表示するのに加えて、タイル198が流体吸収物品を表示する。タイル198は、流体吸収物品の記録日時ならびにタイプおよび数を含む。この場合、物品は、3つのブルータオルおよび1つのペリパッドである。ここで使用者は、計量手段によって検出される測定重量の変化を考慮しているため、警告のタイル192はタイル186に戻り、計量された品物体積が表示され、この場合、適合している手術用スポンジの計量された品物体積と、他の流体吸収物品の計量された品物体積との和が表示される。使用者がプロセスを完了した後、またはそれ以外に所望される場合、総推定血液損失を計算し、
図14Dに示すようにタイル190内に表示することができる。さらに、
図14DのGUIスクリーンショットは、サマリフィールド200をさらに提供することができ、正味流体体積の各々に表される流体のタイプおよび数の内訳がタイル180内に表示され、計量された品物体積がタイル186内に表示され、推定血液損失がタイル190内に表示される。
【0062】
前述したように、ほぼ血液以外の流体または血液以外の流体のみを吸収していると判定された手術用スポンジを除外するためのオプションを使用者に提供することができる。そのようなワークフローについて、
図15A~
図15DのGUIスクリーンショットを参照して説明する。
図15Aは、
図13Aと同様に、適合している手術用スポンジに関連付けられた計量された品物体積を含むそれぞれの情報を表示するタイル180、182、184、186、190を含む。しかしこの例では、適合している手術用スポンジのうちの3つが、過度の羊水などの血液以外の流体を吸収していると、使用者によって視覚的に判定されている。したがって、使用者は、それらの手術用スポンジに関連付けられた重量を推定血液損失判定から除外したいと考える。しかし、計量手段によって感知される測定重量の未検証の低減が、さらなる機能(
図16A~
図16Cを参照して本明細書に記載)を制限または防止するように設計することができるため、使用者は単にそれらの手術用スポンジを計数バッグから取り出すことはできない。同様に、前述した「未知品物」アイテムが生成されるはずであるため、使用者は単に手術用スポンジを計数バッグに入れることはできない。したがって、手術用スポンジを除外することで、それらの手術用スポンジに関連付けられた測定重量を引くが、手術用スポンジを問題なく計数バッグに入れることまたは計数バッグに戻すことを可能にするように、プロセッサに指示する。その目的で、
図15Aは、仮想ボタンまたはタイル202を含み、タイル202を選択することで、
図15BのGUIスクリーンショット(最初は未実装)を提示する。手術用スポンジの除外は、少なくとも2つの方法で実施することができる。第1に、
図15BのGUIスクリーンショットが表示された状態で、データリーダ44によって手術用スポンジのタグを検出することができる。除外スポンジフィールド204を実装して、除外された手術用スポンジをリストアップすることができる。タグが検出可能でない場合、または別の理由で、使用者は、ボタンまたはタイル206を選択して、
図15CのGUIスクリーンショット上の有効スポンジフィールド208を見ることができる。有効スポンジフィールド208は、カウントインされた残りすべての手術用スポンジをリストアップする。使用者は、タグ上に提示されたスポンジ識別コードを、有効スポンジフィールド208内に提示された対応するスポンジ識別コードと視覚的に相関させることができる。完了後、
図15DのGUIスクリーンショットを表示することができ、除外スポンジサブフィールド210が、タイル184の一部またはそのタイル自体として表示される。この例では、2つの18×18のラップスポンジおよび1つの4×4のガーゼが除外されたものとしてリストアップされている。それに応じて、計量された品物体積を表示するタイル186ならびに推定血液損失を表示するタイル190も低減されている。
【0063】
血液以外の流体で飽和された適合していない流体吸収物品の場合、物品が前にカウントインされていない可能性があるため、使用者は、単に計数バッグに入れないことを選ぶことができる。流体吸収物品が前にカウントインされていた場合、カウントアウトまたは除外するためのオプションをGUI上に提供することができる。
【0064】
図16A~
図16CのGUIスクリーンショットは、計量手段が測定重量の減少を検出する事例を表す。測定重量の減少は、手術用スポンジもしくは流体吸収物品が計数バッグから取り出されたこと、または計数バッグがアーム54から取り外されたこと、もしくはアーム54上で別の位置に移されたことを示すことができる。
図16Aは、計量手段によって感知される測定重量の低減を表示するタイル212を含む。一例では、計数バッグをちょうど取り外されたアーム54に戻すことで、単にタイル212自体を取り除くことができる。しかし別の例では、使用者は、計数バッグ内で1つの手術用スポンジを別の手術用スポンジに交換する、または追加の手術用スポンジを計数バッグに入れるなど、アーム54によって支持されるように戻される品物を変更していることがある。
図16Bおよび
図16CのGUIスクリーンショットはそのような例を示し、計数バッグをアーム54上に支持されるように戻す前に、ペリパッドが計数バッグに追加されている。アーム54に再導入された重量が、タイル212に示される測定重量の低減に一致しないため、タイル192が実装される(タイル212は提示されたままである)。
図14A~
図14Dを参照して説明した前の例と同様に、タイル194もまた、視覚的に強調することができ、または使用者によって選択可能になるように変更することができる。使用者は、タイル194を選択することができ、その後、物品リストフィールド196が表示される(
図14Bも参照されたい)。使用者は、物品リストフィールド196から流体吸収物品のうちの1つまたは複数を選択することができる。保存された後、
図16CのGUIスクリーンショットを提供することができ、タイル182が計数バッグを表示し、タイル184が適合している手術用スポンジを表示するのに加えて、タイル198が流体吸収物品を表示する。
図16Aのタイル198は3つのブルータオルを含むが、
図16Cのタイル198は追加のペリパッドを含む。ここで使用者は、計量手段によって感知される測定重量の変化を考慮しているため、警告のタイル192はタイル186に戻り、計量された品物体積が表示される。使用者がプロセスを完了した後、またはそれ以外に所望される場合、総推定血液損失を計算または再計算し、表示することができる。
【0065】
手術用スポンジ管理システムの特定の発明の態様について、以下の例示的な条項を参照してさらに開示する。
【0066】
条項1 - 手術用スポンジ管理システムによって外科的処置中に血液損失を推定する方法であって、手術用スポンジ管理システムが、プロセッサと、プロセッサと通信しているディスプレイと、プロセッサと通信しているデータリーダと、プロセッサと通信しているメモリと、プロセッサと通信している計量手段とを含み、スポンジ分類器が、計量手段に取外し可能に結合されるように構成され、この方法が、計量手段によって、測定重量の変化を感知するステップと、プロセッサによって、適合している手術用スポンジがカウントアウトされたことに測定重量の変化が相関するかどうかを判定するステップと、ディスプレイによって、手術用スポンジがカウントアウトされたことに測定重量の変化が相関しない場合、警告を提供するステップとを含む、方法。
【0067】
条項2 - 警告に応答してユーザ入力を受け取るステップと、流体吸収物品を含む物品リストフィールドをディスプレイ上に表示することであり、手術用スポンジのタイプが、メモリ上に記憶されている乾燥重量を有する、表示するステップと、スポンジ分類器内に配置された品物に対応する流体吸収物品の1つの選択の別のユーザ入力を受け取るステップと、プロセッサによって、測定重量および乾燥重量に基づいて、流体吸収物品上の流体の流体重量を判定するステップと、プロセッサによって、流体重量に基づいて、流体吸収物品および手術用スポンジに関連付けられた血液損失を推定するステップと、ディスプレイによって推定血液損失を表示するステップとをさらに含む、条項1に記載の方法。
【0068】
条項3 - 手術用スポンジ管理システムによって外科的処置中に血液損失を推定する方法であって、手術用スポンジ管理システムが、プロセッサと、プロセッサと通信している、ユーザインターフェースを含むディスプレイと、プロセッサと通信しているデータリーダと、プロセッサと通信しているメモリと、プロセッサと通信している計量手段とを含み、スポンジ分類器が、計量手段に取外し可能に結合され、各々タグを含む手術用スポンジを受け取るように構成され、この方法が、データリーダによって、手術用スポンジのタグを検出して、外科的処置中に使用されるようにカウントインされたものとして手術用スポンジを識別するステップであり、各タイプの手術用スポンジが、メモリ上に記憶されている乾燥重量を有する、識別するステップと、計量手段によって、手術用スポンジがスポンジ分類器内に配置された状態で、手術用スポンジの測定重量の変化を感知するステップと、手術用スポンジのうち血液以外の流体で飽和されたものの除外を容易にするためのユーザインターフェースへのユーザ入力を受け取るステップと、除外されるべき1つの手術用スポンジを識別するステップと、プロセッサによって、他の手術用スポンジの測定重量および乾燥重量に基づいて、他の手術用スポンジ上の流体の流体重量を判定するステップと、プロセッサによって、流体重量に基づいて、他の手術用スポンジに関連付けられた血液損失を推定するステップと、ディスプレイによって推定血液損失を表示するステップとを含む、方法。
【0069】
条項4 - 除外されるべき1つの手術用スポンジを識別するステップが、この場合もデータリーダによって、1つの手術用スポンジのタグを検出するステップをさらに含む、条項3に記載の方法。
【0070】
条項5 - 除外されるべき1つの手術用スポンジを識別するステップが、カウントインされた手術用スポンジのリストを表示する有効スポンジフィールドから1つの手術用スポンジを選択するためのユーザインターフェースへの別のユーザ入力を受け取るステップをさらに含む、条項3に記載の方法。
【0071】
条項6 - 手術用スポンジ管理システムによって外科的処置中に血液損失を推定する方法であって、手術用スポンジ管理システムが、ベースと、ベースによって支持された主支持体と、プロセッサと、プロセッサと通信しているディスプレイと、プロセッサと通信しているデータリーダと、プロセッサと通信しているメモリと、プロセッサと通信している計量手段とを含み、スポンジ分類器が、計量手段に取外し可能に結合されるように構成され、この方法が、計量手段によって、測定重量の減少を感知するステップと、ディスプレイによって、測定重量の減少を示すための警告を提供するステップとを含む、方法。
【0072】
条項7 - 計量手段によって、測定重量の増大を感知するステップであり、増大が減少に等しい、感知するステップと、ディスプレイから警告を取り除くステップとをさらに含む、条項6に記載の方法。
【0073】
条項8 - 計量手段によって、測定重量の増大を感知するステップであり、増大が減少より大きい、感知するステップと、ディスプレイによって別の警告を提供するステップと、警告に応答してユーザ入力を受け取るステップであり、ユーザ入力が、スポンジ分類器内に配置された品物に対応する流体吸収物品の選択である、受け取るステップと、プロセッサによって、測定重量および乾燥重量に基づいて、流体吸収物品上の流体の流体重量を判定するステップと、プロセッサによって、流体重量に基づいて、流体吸収物品および他の手術用スポンジに関連付けられた血液損失を推定するステップと、ディスプレイによって推定血液損失を表示するステップとをさらに含む、条項6に記載の方法。
【0074】
条項9 - 条項1から8のいずれか1項に記載のステップを実施するためにプロセッサ上で実行されるように構成された命令を含むコンピュータプログラム製品。
【0075】
条項10 - 条項1から8のいずれか1項に記載のステップを実施するための命令を実行するように構成されたプロセッサを備える手術用スポンジ管理システム。
【0076】
条項11 - 手術用スポンジ管理システムのための分配器アセンブリであって、主支持体上に支持されるように適合された下壁と、下壁とは反対に位置する上壁と、下壁と上壁との間に延びる側壁と、側壁間に延び、前部開口を画定する前壁とを備え、下壁、上壁、側壁、および前壁が、スポンジ分類器のカートンを取外し可能に受け取るように構成された第1の貯蔵場所を画定し、上壁が、手術用ドレーピングのカートンを取外し可能に支持するように構成された第2の貯蔵場所を少なくとも部分的に画定するように、第1の保持形状および第1の保持形状から隔置された第2の保持形状を含む、分配器アセンブリ。
【0077】
条項12 - 側壁のうちの1つに結合され、側壁のうちの1つから離れて未配備位置から配備位置へ動かされるように構成されたアームを備える、条項11に記載の分配器アセンブリ。
【0078】
条項13 - 側壁から外方へ延びて凹部を画定するフランジ壁をさらに備え、アームが未配備位置で凹部内に配置される、条項12に記載の分配器アセンブリ。
【0079】
条項14 - アームが、未配備位置から配備位置へ動かされるように、回転運動、線形平行移動、または伸縮変位のために可動に支持される、条項12または13に記載の分配器アセンブリ。
【0080】
条項15 - 上壁が、下壁に対して旋回されるように構成される、条項11から14のいずれか1項に記載の分配器アセンブリ。
【0081】
条項16 - 上壁が前壁と一体形成され、前壁が、ヒンジによって下壁に旋回可能に結合される、条項15に記載の分配器アセンブリ。
【0082】
条項17 - 上壁、下壁、および側壁が後部開口を画定し、第1の貯蔵場所が後部開口を通してアクセス可能である、条項11から16のいずれか1項に記載の分配器アセンブリ。
【0083】
条項18 - 下壁が、前壁に向かって下方へ傾斜する、条項11から17のいずれか1項に記載の分配器アセンブリ。
【0084】
条項19 - 手術用スポンジ管理システムのための分配器アセンブリであって、前部開口を画定する上部シェルと、スタンドの主支持体に取り付けられるように構成された下部シェルとを備え、上部シェルが下部シェルに結合されて、前部開口とは反対の位置に後部開口を画定し、上部シェルと下部シェルとの間に第1の貯蔵場所をさらに画定し、後部開口が前部開口より大きく、前部開口を通してアクセス可能になるように、後部開口を通してスポンジ分類器または手術用ドレーピングのカートンの挿入および取外しを可能にする、分配器アセンブリ。
【0085】
条項21 - 上部シェルが、上部シェルの外部に第2の貯蔵場所を画定するように、第1の保持形状および第1の保持形状から隔置された第2の保持形状を含む、条項20に記載の分配器アセンブリ。
【0086】
条項22 - 両側壁に隣接する下部シェルに旋回可能に結合されたアームをさらに備える、条項20または21に記載の分配器アセンブリ。
【0087】
条項23 - 下部シェルの両側壁が凹部を画定し、アームの各々が、未配備位置で凹部のうちのそれぞれ1つに位置決めされる、条項22に記載の分配器アセンブリ。
【0088】
条項24 - 上部シェルが、第2の貯蔵場所をさらに画定するように、第3の保持形状および第3の保持形状から隔置された第4の保持形状を含む、条項23に記載の分配器アセンブリ。
【0089】
条項25 - 第3の保持形状または第4の保持形状が、スロットを画定するフレームである、条項24に記載の分配器アセンブリ。
【0090】
上記の開示は、網羅的であること、または本開示を特定の形態に限定することを意図したものではない。使用されている術語は、本質的に限定ではなく説明の語句であることが意図される。上記の教示に照らして、多くの修正形態および変形形態が可能であり、本発明は、具体的に記載したもの以外の方法でも実施することができる。アームの一方を参照して説明した構造および機能は、アームの他方でも実施されるように参照によって組み込まれることを理解されたい。
【国際調査報告】