(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】環境面で持続可能な様式で栄養要求を満たすための方法、デバイス、及び組成物
(51)【国際特許分類】
G16H 20/60 20180101AFI20240305BHJP
【FI】
G16H20/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552312
(86)(22)【出願日】2022-03-04
(85)【翻訳文提出日】2023-08-29
(86)【国際出願番号】 EP2022055518
(87)【国際公開番号】W WO2022184885
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ダントン
(72)【発明者】
【氏名】マイナルディ, ファビオ
(72)【発明者】
【氏名】ジマーマン, ダイアン
(72)【発明者】
【氏名】エスピノザ オリアス, ナミー ダニエラ
(72)【発明者】
【氏名】ジャキエ, エマ, フランセス
(72)【発明者】
【氏名】セメノバ, イアロスラバ
(72)【発明者】
【氏名】モントリュー ルラ, イヴァン
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
テーラードの規定食製品推奨ツール、最適化された栄養推奨及び製品を提供するためのツールが環境面で持続可能な様式でユーザの食事パターンに合わせて提供される。ツールは、栄養不足のリスク、栄養充足、栄養要求及び/又は栄養ギャップの対処を必要とする対象において、環境面で持続可能な様式で、栄養不足のリスクを予防及び/若しくは低減し、栄養充足を達成し、栄養要求を満たし、並びに/又は栄養ギャップを最小限に抑えるために使用され得る。例えばユーザの栄養要求を評価することができる。次いで、ユーザの栄養素要求を満たす既存の食品製品の組み合わせについて潜在的な環境影響を推定することができる。環境影響が最も低い組み合わせをユーザに推奨することができ、ユーザはそれに応じて注文することができる。生産業者は、注文に従って既存の製品を事前梱包し、これらをユーザに出荷することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
栄養不足のリスク、栄養充足、栄養要求及び/又は栄養ギャップの対処を必要とする対象において、環境面で持続可能な様式で、
栄養不足のリスクを予防及び/若しくは低減する、
栄養充足を達成する、
栄養要求を満たす、並びに/又は、
栄養ギャップを最小限に抑える、方法であって、
前記対象の栄養要求を評価する工程と、
前記対象の前記栄養要求を満たす既存の食品製品の組み合わせを提示する工程と、
前記既存の食品製品の組み合わせのそれぞれについて潜在的な環境影響の値を推定する工程と、
潜在的な環境影響の値が最も低い前記既存の食品製品の組み合わせを選択する工程と、
前記潜在的な環境影響が最も低い前記既存の食品製品の前記組み合わせの注文をする工程と、
前記注文に従って、前記潜在的な環境影響値が最も低い前記既存の食品製品の組み合わせを含む事前梱包された物品を提供する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記対象の栄養要求を評価する工程が、前記対象の栄養ギャップを計算することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記栄養ギャップが、
(1日当たりの推奨栄養摂取量-対象のクラスタにおける平均栄養摂取量)/前記1日当たりの推奨栄養摂取量
として計算され、前記クラスタ内の複数の栄養摂取量が、他のクラスタ内の複数の栄養摂取量よりも、互いに類似している、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記対象の栄養要求を評価する工程が、約1~10の質問を含むアンケートを使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アンケートが約5~6個の質問を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記既存の食品製品がそれぞれ、
乳若しくは水で再構成される粉末栄養組成物、乳若しくは水で再構成される単回使用カプセル又はポッドに保存された粉末栄養組成物、栄養フォーミュラ、シリアルベース製品、ドリンク、バー、栄養補助食品、栄養強化目的のためのプレミックス、ニュートラシューティカルズ、ヨーグルト、乳製品、食品用スプリンクル、グミ、食事代替物、丸剤、錠剤、及びこれらの組み合わせからなる群、
から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記既存の食品製品がそれぞれ、
粉末、レディ・トゥ・ドリンク(RTD)製品、及びこれらの組み合わせからなる群、
から選択される形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記既存の食品製品がそれぞれ、
缶、サシェ、ボトル、及びこれらの組み合わせからなる群、
から選択されるパッケージ内にある、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記既存の食品製品の組み合わせが、それぞれ、
複数種類の製品の割合、及び/又は、製品単位の個数の組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記既存の食品製品の組み合わせが、それぞれ、
炭水化物、タンパク質、繊維、ビタミン類、脂肪、プレバイオティクス、プロバイオティクス、ビタミン類、及びミネラル類のうちの少なくとも1つを含む栄養素を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記潜在的な環境影響の値を推定する工程が、
梱包材料の製造、工場での充填、流通、小売、複数のライフサイクル段階における輸送、使用済み梱包材の寿命管理、及びこれらの組み合わせからなる群、
から選択される因子のスクリーニングライフサイクル評価を行うことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記因子が、前記製品の製造及び前記既存の製品の在宅/出先での消費を含まない、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記潜在的な環境影響の値を推定する工程が、
気候変動(CC)[kg CO
2-eq]、淡水消費量の欠乏(FWCS)[m
3-eq]、非生物資源の枯渇(ARD)[kgSb-eq]、生物多様性に対する土地利用の影響(LUIB)[PDF*m
2*year]、及び生態圏/生態系の質に対する影響(IEEQ)[PDF*m
2*year]、並びにこれらの組み合わせからなる群、
から選択される、配送される一食分(複数可)当たりの環境影響因子を推定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
以下の複数の工程:
前記対象の栄養要求を評価する工程、
前記対象の前記栄養要求を満たす既存の食品製品の組み合わせを提示する工程、
前記既存の食品製品の組み合わせのそれぞれについて潜在的な環境影響の値を推定する工程、
潜在的な環境影響の値が最も低い前記既存の食品製品の組み合わせを選択する工程、
前記潜在的な環境影響が最も低い前記既存の食品製品の組み合わせの注文をする工程、
のうちの少なくとも1つが、コンピュータマシン上に実装される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
コンピュータシステムであって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサと通信するデータ記憶装置と、
を備え、
前記データ記憶装置が、
前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、
対象の栄養要求を評価すること、
前記対象の栄養要求を満たす既存の食品製品の組み合わせを提示すること、
前記既存の食品製品の組み合わせのそれぞれについて潜在的な環境影響の値を推定すること、
潜在的な環境影響の値が最も低い前記既存の食品製品の組み合わせを選択すること、及び、
前記潜在的な環境影響が最も低い前記既存の食品製品の組み合わせの注文をすること、
を前記少なくとも1つのプロセッサに実行させるための命令、
を記憶している、コンピュータシステム。
【請求項16】
コンピュータによって実行されたときに、
対象の栄養要求を評価すること、
前記対象の栄養要求を満たす既存の食品製品の組み合わせを提示すること、
前記既存の食品製品の組み合わせのそれぞれについて潜在的な環境影響の値を推定すること、
潜在的な環境影響の値が最も低い前記既存の食品製品の組み合わせを選択すること、及び、
前記潜在的な環境影響が最も低い前記既存の食品製品の組み合わせの注文をすること、
を前記コンピュータに実行させるための命令、
を記憶した、コンピュータ読み取り可能な媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、対象に栄養を提供することに関する。より具体的には、本発明は、環境面で持続可能な様式で対象の栄養要求を満たすための方法、デバイス、及び組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
人々の食習慣はさまざまであり、集団において食事のパターンが異なれば栄養要求も異なる。食事のパターンは、人々の間で食物摂取の特性の点だけでなく栄養充足の点でも異なる。多くの食品製品、特に乳及び朝食用シリアルなどの定期的に消費される食品製品は、さまざまな栄養組成を有し、それぞれが限定された栄養素に焦点を当てている。このようなマスマーケット製品は、個別の消費者の要求に必ずしも合致していない。消費者は、栄養要求を満たすために、複数の製品を購入するか、又は製品を頻繁に変更する必要がある場合があり、これは費用がかかり、時間がかかり、梱包から大量の廃棄物が生じる可能性がある。製造及び梱包フォーマット上の制約から、マスマーケットの生産業者にとって、消費者の個別の要求を満たすことは困難であり得る。
【0003】
現在、消費者が自身の栄養要求に基づいて製品を購入したい場合、まず、自身の食事摂取の状態を評価し、栄養ギャップを特定し、次いで、製品ラベル上の情報を使用して製品を1つずつ購入する必要がある。長い質問票に回答することにより、及び推奨を提供することにより、人々の食事摂取量を検定することのできるアプリ又はウェブサイトがある。しかしながら、これらのツールによって使用される証拠の信頼性は不確かである。推奨栄養は未だに製品へと変換する必要があり、消費者は依然として製品を1つずつ購入する必要があり、製品の組み合わせについての推奨がないため製品を事前梱包することができない。
【0004】
しかしながら、消費者が自身の栄養要求を把握することは難しい。さらに、消費者にとって、どの製品が適切な栄養を提供するかを特定することは難しい。消費者は、自身の栄養要求を製品の栄養情報と比較する必要がある。さらに、消費者は多くの場合、栄養要求を満たすためには別々に梱包された複数の製品を購入する必要があり、このような購入は、環境持続可能性の点での効率が悪い可能性があり、より費用がかかる可能性もある。
【発明の概要】
【0005】
本発明によれば、上記課題を解決することができる。本開示は、消費者の栄養要求に基づいて、同じブランドの異なる複数種などの既存の製品の組み合わせを最適化するためのツールを提供する。このアプローチを用いると、製品の組み合わせは、例えば、気候変動への影響において、製品フォーマット及び/又は梱包材料に変更がある場合には50~70%、パッケージのサイズのみが変更される場合には20%の推定低減率を伴う、より環境面で持続可能な様式で梱包することができる。
【0006】
一態様では、栄養不足のリスク、栄養充足、栄養要求及び/又は栄養ギャップの対処を必要とする対象において、環境面で持続可能な様式で、栄養不足のリスクを予防及び/若しくは低減する、栄養充足を達成する、栄養要求を満たす、並びに/又は栄養ギャップを補う方法が提供される。本方法は、対象の栄養要求を評価する工程と;対象の栄養要求を満たす既存の食品製品の組み合わせを提示する工程と;既存の食品製品の組み合わせについて潜在的な環境影響を推定する工程と;環境影響が最も低い既存の製品の組み合わせを選択する工程と;環境影響が最も低い既存の製品の組み合わせを注文する工程と;注文に従って、環境影響が最も低い既存の製品の事前梱包された組み合わせを提供する工程と、を含み得る。
【0007】
一実施形態では、対象の栄養要求を評価することは、対象における栄養ギャップを計算することを含んでもよい。
【0008】
一実施形態では、栄養ギャップは、(1日当たりの推奨栄養摂取量-対象のクラスタにおける平均栄養摂取量)/1日当たりの推奨栄養摂取量として計算されてもよい。クラスタ内の複数の栄養摂取量は、他のクラスタ内の複数の栄養摂取量よりも、互いに類似している。
【0009】
一実施形態では、対象の栄養要求を評価することは、約1~10の質問を含むアンケートを使用することを含み得る。一実施形態では、アンケートは約5~6の質問を含む。
【0010】
一実施形態では、既存の食品製品はそれぞれ、乳若しくは水で再構成される粉末栄養組成物、乳若しくは水で再構成される単回使用カプセル又はポッドに保存された粉末栄養組成物、栄養フォーミュラ、シリアルベース製品、ドリンク、バー、栄養補助食品、栄養強化目的のためのプレミックス、ニュートラシューティカルズ、ヨーグルト、乳製品、食品用スプリンクル(food sprinkler)、グミ、食事代替物、丸剤、錠剤、及びこれらの組み合わせからなる群、から選択され得る。
【0011】
一実施形態では、既存の食品製品はそれぞれ、粉末、レディ・トゥ・ドリンク(RTD)製品、及びこれらの組み合わせからなる群、から選択される形態であってもよい。
【0012】
一実施形態では、既存の食品製品はそれぞれ、缶、サシェ、ボトル、及びこれらの組み合わせからなる群、から選択されるパッケージ内にあってもよい。
【0013】
一実施形態では、既存の食品製品は、飲料、シリアル製品又はペットフードであってもよい。
【0014】
一実施形態では、既存の食品製品の組み合わせはそれぞれ、複数種の製品の割合、及び/又は、製品単位の個数の組み合わせを含んでもよい。
【0015】
一実施形態では、既存の食品製品の組み合わせは、炭水化物、タンパク質、繊維、ビタミン類、脂肪、プレバイオティクス、プロバイオティクス、及びミネラル類のうちの少なくとも1つを含む栄養素を提供し得る。
【0016】
一実施形態では、既存の食品製品の組み合わせの潜在的な環境影響を推定することは、梱包材料の製造、工場での充填、流通、小売、複数のライフサイクル段階における輸送、使用済み梱包材の寿命管理、及びこれらの組み合わせからなる群、から選択される因子のスクリーニングライフサイクル評価を行うことを含んでもよい。一実施形態では、因子は、製品自体の製造(例えば、レシピ)及び在宅/出先での既存の製品の消費を含まない。スクリーニングライフサイクル評価は、好ましくは、試験するさまざまな製品について異なる、すべてのライフサイクル段階に焦点を合わせる。
【0017】
一実施形態では、潜在的な環境影響を推定することは、気候変動(climate change、CC)[kg CO2-eq]、淡水消費量の欠乏(freshwater consumption scarcity、FWCS)[m3-eq]、非生物資源の枯渇(abiotic resource depletion、ARD)[kgSb-eq]、生物多様性に対する土地利用の影響(land use impacts on biodiversity、LUIB)[PDF*m2*year]、及び生態圏/生態系の質に対する影響(IEEQ)[PDF*m2*year]、並びにこれらの組み合わせからなる群、から選択される、配送される一食分(複数可)当たりの環境影響因子を推定することを含むことができる。
【0018】
一実施形態では、本方法の以下の複数の工程:対象の栄養要求を評価すること;対象の栄養要求を満たす既存の食品製品の組み合わせを提示すること;既存の食品製品の組み合わせのそれぞれについて潜在的な環境影響の値を推定すること;潜在的な環境影響の値が最も低い既存の食品製品の組み合わせを選択すること;又は、潜在的な環境影響が最も低い既存の食品製品の組み合わせを注文すること、のうちの少なくとも1つは、コンピュータマシン上に実装されてもよい。
【0019】
別の態様では、コンピュータシステムは、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサと通信するデータ記憶装置とを備えてもよく、データ記憶装置は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、対象の栄養要求を評価すること;対象の栄養要求を満たす既存の食品製品の組み合わせを提示すること;既存の食品製品の組み合わせのそれぞれについて潜在的な環境影響の値を推定すること;潜在的な環境影響の値が最も低い既存の食品製品の組み合わせを選択すること;及び潜在的な環境影響が最も低い既存の食品製品の組み合わせを注文すること、を少なくとも1つのプロセッサに実行させるための命令、を記憶してもよい。
【0020】
さらに別の態様では、コンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータによって実行されたときに、対象の栄養要求を評価すること;対象の栄養要求を満たす既存の食品製品の組み合わせを提示すること;既存の食品製品の組み合わせのそれぞれについて潜在的な環境影響の値を推定すること;潜在的な環境影響の値が最も低い既存の食品製品の組み合わせを選択すること;及び潜在的な環境影響が最も低い既存の食品製品の組み合わせを注文すること、をコンピュータに実行させるための命令、を記憶してもよい。
【0021】
本開示の利点は、ユーザの負担を軽減し、ユーザエクスペリエンスを向上させ、既存の製品をどのように組み合わせるかについての直接的な提案を提供する、簡略化されたアンケートである。この利点は、消費者及び生産業者の両方に役立つ。消費者は、本願のツールを使用して、わずか数個の質問、例えば5~6個の質問への回答により自身の栄養要求を評価すること、並びに栄養推奨と、最適化された栄養を提供する既存の製品の組み合わせのオンライン注文リンクによる提案とを受け取ることができる。生産業者は、消費者の注文に従って製品を事前梱包し、環境影響を低減して消費者に出荷することができる。
【0022】
本発明は、対象における栄養不足を予防する方法を提供する。例えば、本開示による方法は、対象の栄養要求をサポートするために栄養充足の達成を助けることによって、栄養不足のリスクを低減する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】スクリーニングライフサイクル評価を評価するシナリオのシステム境界を概略的に表す図であり、除外されたライフサイクル段階に下線を付している(原材料及び消費)。
【
図2】シナリオA~シナリオDによりMolico製品で1週間あたりに供給される栄養の、気候変動に対する影響についての結果を示す図であり、X軸は、シナリオタイプを示し、Y軸は、気候変動(CC)[kgCO
2-eq]を示す(100a、IPCC、2013)。
【
図3】シナリオA~シナリオDによりMolico製品で1週間あたりに供給される栄養の、気候変動に対する影響についての結果を示す図であり、X軸は、シナリオタイプを示し、Y軸は、気候変動(CC)[kgCO
2-eq]を示す(100a、IPCC、2013)。
【発明を実施するための形態】
【0024】
定義
以下、いくつかの定義を示す。しかしながら定義が以下の「実施形態」の項にある場合もあり、上記の見出し「定義」は、「実施形態」の項におけるそのような開示が定義ではないことを意味するものではない。
【0025】
パーセンテージはすべて、特に明記しない限り組成物の総重量に対する重量によるものとする。同様に、比はすべて、特に明記しない限り重量によるものとする。本明細書で使用するとき、「約」、「およそ」、及び「実質的に」は、数値のある範囲内、例えば、参照数字の-10%~+10%の範囲内、好ましくは参照数字の-5%~+5%の範囲内、より好ましくは、参照数字の-1%~+1%の範囲内、最も好ましくは参照数字の-0.1%~+0.1%の範囲内の数を指すものと理解される。
【0026】
本明細書で使用される数値の範囲には、明確に開示されるかどうかに関わらず、この範囲内に含まれるすべての数字及び数字の部分集合を含むことが意図されている。さらに、これらの数値の範囲は、この範囲内の任意の数字又は数字の部分集合を対象とする請求項へのサポートを提供すると解釈すべきである。例えば、1~10という開示は、1~10(1及び10を含む)、2~8、3~7、1~9、3.6~4.6、3.5~9.9などの範囲をサポートするものと解釈されたい。特別の定めのない限り、又は言及された文脈によって相容れないものと明確に暗示されていない限り、本発明の単一の特徴又は単一の制限へのあらゆる言及は、それに対応する複数の特徴又は複数の制限を含むものとし、複数の特徴又は複数の制限へのあらゆる言及は、それに対応する単一の特徴又は単一の制限を含むものとする。
【0027】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するとき、別途文脈が明らかに示していない限り、単数形の単語は複数形を含む。したがって、「1つの」、「ある」、及び「当該」(「a」、「an」及び「the」)の言及には、概してそれぞれの用語の複数形が包含される。例えば、「原材料(an ingredient)」又は「方法(a method)」と言及する際は、複数の、そのような「原材料」又は「方法」が含まれる。「X及び/又はY」の文脈で使用される用語「及び/又は」は、「X」又は「Y」、又は「X及びY」として解釈すべきである。
【0028】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、「A及び/又はB」は、「Bを含まないA」、又は「Aを含まないB」、又は「AとBの両方」を意味する。
【0029】
本明細書で使用される場合、「例(example)」という用語は、特に、後に用語の列挙が続く場合には、単に例示的なものであり、また説明のためのものであり、排他的又は包括的なものであるとみなすべきではない。本明細書で開示されるすべての実施形態は、特に明示的に示されない限り、本明細書で開示される任意の別の実施形態と組み合わせることができる。
【0030】
用語「食品」、「食品製品」、及び「食品組成物」とは、ヒトなどの個体による摂取が意図されており、個体に少なくとも1つの栄養素を提供する、組成物を意味する。「ペットフード」という用語は、ペットなどの動物による摂取が意図される組成物を意味する。
【0031】
「注文」という用語は、購入される1つ又は複数の製品を特定し、それに伴って任意選択で郵送、配送、又は集荷場所、及び任意選択で支払い情報を特定する、製造業者、生産業者、代理店、商店、店舗、及び/又は任意の他のタイプの製品提供者への任意のメッセージを示す。
【0032】
本発明の文脈において、「栄養素」という用語は、ヒト又は動物の生体にとっての主要栄養素(例えば、炭水化物、タンパク質又は脂肪)と微量栄養素(例えば、ミネラル類又はビタミン類)の両方を含むことが意図される。
【0033】
本発明の文脈において、「原材料」という用語は、ヒト又は動物の生体にとっての栄養素を含む、又は本質的にそれからなる、食用物質又は物質の混合物を示す。本発明の一実施形態では、「原材料」という用語は、ヒト又は動物の生体にとっての栄養素から本質的になる食用物質を示す。
【0034】
本発明の文脈において、「原材料X」又は「(栄養素)X」という用語は、特定の栄養素Xをヒト又は動物の生体に供給することができる少なくとも1つの物質を含む、又は本質的にそれからなる、食用物質又は物質の混合物を示す。一実施形態では、「原材料X」又は「(栄養素)X」という用語は、特定の栄養素Xをヒト又は動物の生体に送達することができる物質から本質的になる食用物質を示す。
【0035】
本発明の文脈において、「栄養素Xを提供する原材料」という用語は、特定の栄養素Xをヒト又は動物の生体に送達することができる少なくとも1つの物質を含む、又は本質的にそれからなる、食用物質及び/又は物質の混合物を示す。
【0036】
本発明の文脈において、「栄養素XをYの量で提供する原材料」という用語は、特定の栄養素Xを特定の量Yでヒト又は動物の生体に供給することができる少なくとも1つの物質を含む、又は本質的にそれからなる、食用物質及び/又は物質の混合物を示す。
【0037】
本発明の文脈において「繊維」又は「複数の繊維」又は「食物繊維」という表現は、植物に由来する食物に関し、小腸において難消化性である部分を示し、2つの主要な構成成分、すなわち水に溶解する可溶性繊維と、不溶性繊維とを含む。複数の繊維の混合物は、上記の用語の範囲内に含まれる。可溶性繊維は、結腸内で容易に発酵を受けガス及び生理学的に活性な副生成物となり、プレバイオティクス及び粘性であり得る。不溶性繊維は水に溶解せず、代謝を受けず、かさ増しをもたらし、又は大腸においてプレバイオティクスとなり、代謝による発酵を受け得る。化学的には、食物繊維は、(1)非デンプン性多糖類(NSP)、例えば、アラビノキシラン、セルロース、βグルカン、及び、イヌリン、ペクチン又はガムなどのその他の多くの植物構成成分、(2)難消化性オリゴ糖、例えば、難消化性デキストリンなど、(3)難消化性デンプン、並びに(4)リグニン又はキチンなどの植物由来の関連物質、を含む。食物繊維の非限定的な例は、プレバイオティクス繊維であり、例えば、フラクトオリゴ糖(FOS)、イヌリン、ガラクトオリゴ糖(GOS)、果実繊維、豆果繊維、植物繊維、穀物繊維、及び、高アミローストウモロコシデンプンなどの難消化性デンプンである。繊維は消化不能なものであるため、利用できる炭水化物を含有しない。
【0038】
食品組成物の総繊維含有量は、レシピに使用されるすべての原材料中に天然に存在する(例えば、全粒穀粉由来、果物又は野菜由来)繊維の量の合計によって提供される。
【0039】
当業者には明らかであるように、本発明による穀物製品、パン、朝食用シリアル、ジャガイモ、野菜、豆類及び果物は、本発明の食品組成物にある程度の量の繊維をもたらし得る。
【0040】
本発明の文脈において、「栄養不足」又は「不十分な食事」という用語は、ある対象における栄養素の1日当りの総食事摂取量が、その対象の属する性別及び年齢の群に対するEFSAの1日当りの推奨摂取量を下回ること、及び/又はその群のために十分に確立した栄養要求を下回ることを示す。
【0041】
本発明の文脈において、「栄養不足を予防する」という表現は、対象における栄養不足の予防に加え、栄養不足のリスクの低減を含むと理解されるべきである。
【0042】
本開示の一態様では、ユーザの栄養要求を満たすために環境に優しい様式で既存の製品の最適化された組み合わせを推奨するための方法が提供される。この方法は、消費者及び/又は工場によって使用することができる。本方法は、以下の部分、例えば、対象の食事パターンを分析するためのクラスタ分析;対象の食事パターンを定義するための決定木プロセス;及び対象に推奨を提供するためのオプティマイザ、を含んでもよい。
【0043】
クラスタ分析は、集団の食事摂取データを事前分析することによって食事パターンを分類するために使用され得る。それぞれの食事パターンの栄養ギャップは、摂取を推奨と比較することによって同定することができる。
【0044】
クラスタ分析は、1組の品目群を、いかにして重複しない複数の群へと、すなわち、あるクラスタ内の品目群がそれ以外のクラスタに含まれる品目群よりも互いに類似するような複数のクラスタへと、分割するかについての検定である。アルゴリズムK平均法を使用することができる。基本的に、解によって説明される変動量、それぞれのクラスタの大きさ及び解釈性、並びに解の安定性を考慮して、ギャップ統計によるアプローチを使用してクラスタの数を選択することができ、線形判別分析を使用して検定した。
【0045】
決定木法を適用して、少数の質問により消費者の食事パターンを定義することができる。例えば、6個以内の質問で、消費者の食事パターンを90%の精度で定義することができる。決定木は、すべての地域について同じでなくてもよく、その土地の食習慣によって異なっていても良い。食事摂取データが利用可能であれば、決定木を調整することができる。
【0046】
決定木は、統計的方法論に従って作成することができる。例えば、分類木は、単一の特徴(この場合、所与の集団における食品群の摂取)についてのカットオフに従うデータ区分にそれぞれの内部ノードが対応する木であり得る。木を最上部から最下部へと進むと応答変数の値を得ることができ、例えば、クラスタの指標を得ることができる。カットオフの選択及びその順序は、アルゴリズムにより木モデルをデータに当てはめた結果として行われる。例えば、パッケージのrパートにおけるR実装を使用することができる。
【0047】
例えば、最初に、データセットを訓練セットと試験セットとにランダムに分割することができる(80%~20%分割)。次いで、訓練データに基づき木を作成することができる。次いで、木の複雑さを減じ、それによって過剰適合のリスクを回避するために、剪定と呼ばれるプロセスを実行することができる。過剰適合は、データによって正当化され得る、より多くのパラメータを有する過度に複雑なモデルを選択することに相当し、不十分な予測性能につながる。剪定プロセスは、過剰適合のリスクを低減するだけでなく、木の深さ、例えば、質問の数も減じることができる。最後に、木を試験データに適用することができ、それぞれのクラスタの感度及び特異性を見ることによって予測性能を検定することができる。ランダムな訓練/試験による分割を数回繰り返して、分割によって誘導される変動を平均し、いくつかの特徴を偶然に選ぶリスクを最小限にすることができる。
【0048】
オプティマイザを使用して、必要とする栄養素を最も多く提供する既存の製品と事前梱包の情報との組み合わせを提案することができる。
【0049】
本開示による方法は、栄養不足のリスク、栄養充足、栄養要求及び/又は栄養ギャップの対処を必要とする対象において、環境面で持続可能な様式で、栄養不足のリスクを予防及び/若しくは低減し、栄養充足を達成し、栄養要求を満たし、並びに/又は栄養ギャップを最小限に抑えるために使用され得る。
【0050】
本方法は、対象の栄養要求を評価する工程と;対象の栄養要求を満たす既存の食品製品の組み合わせを提示する工程と;既存の食品製品の組み合わせについて潜在的な環境影響を推定する工程と;環境影響が最も低い既存の製品の組み合わせを選択する工程と;環境影響が最も低い既存の製品の組み合わせを注文する工程と;注文に従って、環境影響が最も低い既存の製品の事前梱包された組み合わせを提供する工程と、を含み得る。
【0051】
一実施形態では、対象の栄養要求を評価することは、対象における栄養ギャップを計算することを含んでもよい。
【0052】
一実施形態では、栄養ギャップは、(1日当たりの推奨栄養摂取量-対象のクラスタにおける平均栄養摂取量)/1日当たりの推奨栄養摂取量として計算されてもよい。クラスタ内の複数の栄養摂取量は、他のクラスタ内の複数の栄養摂取量よりも、互いに類似している。
【0053】
一実施形態では、対象の栄養要求を評価することは、約1~10の質問を含むアンケートを使用することを含み得る。一実施形態では、アンケートは約5~6の質問を含む。
【0054】
一実施形態では、既存の食品製品はそれぞれ、乳若しくは水で再構成される粉末栄養組成物、乳若しくは水で再構成される単回使用カプセル又はポッドに保存された粉末栄養組成物、栄養フォーミュラ、シリアルベース製品、ドリンク、バー、栄養補助食品、栄養強化目的のためのプレミックス、ニュートラシューティカルズ、ヨーグルト、乳製品、食品用スプリンクル、グミ、食事代替物、丸剤、錠剤、及びこれらの組み合わせからなる群、から選択され得る。
【0055】
一実施形態では、既存の食品製品はそれぞれ、粉末、レディ・トゥ・ドリンク(RTD)製品、及びこれらの組み合わせからなる群、から選択される形態であってもよい。
【0056】
一実施形態では、既存の食品製品はそれぞれ、缶、サシェ、ボトル、及びこれらの組み合わせからなる群、から選択されるパッケージ内にあってもよい。
【0057】
一実施形態では、既存の食品製品の組み合わせはそれぞれ、複数種の製品の割合、及び/又は、製品単位の個数の組み合わせを含んでもよい。
【0058】
一実施形態では、既存の食品製品の組み合わせは、炭水化物、タンパク質、繊維、ビタミン類、脂肪、プレバイオティクス、プロバイオティクス、ビタミン類、及びミネラル類のうちの少なくとも1つを含む栄養素を提供し得る。
【0059】
一実施形態では、既存の食品製品の組み合わせの潜在的な環境影響を推定することは、梱包材料の製造、工場での充填、流通、小売、複数のライフサイクル段階における輸送、使用済み梱包材の寿命管理、及びこれらの組み合わせからなる群、から選択される因子のスクリーニングライフサイクル評価を行うことを含んでもよい。一実施形態では、因子は、既存の製品の製造及び消費を含まない。
【0060】
一実施形態では、潜在的な環境影響を推定することは、気候変動(CC)[kg CO2-eq]、淡水消費量の欠乏(FWCS)[m3-eq]、非生物資源の枯渇(ARD)[kgSb-eq]、生物多様性に対する土地利用の影響(LUIB)[PDF*m2*year]、及び生態圏/生態系の質に対する影響(IEEQ)[PDF*m2*year]、並びにこれらの組み合わせからなる群、から選択される、配送される一食分(複数可)当たりの環境影響因子を推定することを含むことができる。
【0061】
一実施形態では、既存の製品の組み合わせの注文をすることは、既存の製品の提供者に、対象が購入しようとする既存の製品の組み合わせを特定するメッセージを、任意選択で郵送、配送、又は集荷場所とともに、任意選択で支払い情報とともに送信することを含むことができる。
【0062】
一実施形態では、注文に応答して事前梱包された物品を提供することは、事前梱包された物品を第1の場所から第2の場所へ輸送することを含み得る。例えば、第1の場所は、倉庫、工場、店舗、又は既存の製品の注文された組み合わせが利用可能であるか、保管されているか、若しくは事前梱包されている任意の他の場所であってもよい。第2の場所は、対象の自宅の住所であっても、又は注文において対象により提供される任意の郵送、配送、若しくは集荷先の住所であってもよい。
【0063】
一実施形態では、本明細書に記載される方法は、コンピュータマシン上で実装され得る。
【0064】
本開示の別の態様では、データ処理デバイスは、本明細書に記載のコンピュータに実装された方法を実行するための手段を含み得る。
【0065】
別の態様では、コンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータなどのデータ処理デバイスによって実行されたときにデータ処理デバイスに本明細書に記載の方法を実行させる、命令を含み得る。
【0066】
別の態様では、本開示は、対象の栄養要求を満たし、環境面で持続可能である最適化された食品組成物を提供する。最適化された食品組成物は、既存の食品製品の組み合わせを含むことができる。
【0067】
本明細書に記載の多くの実施形態を含む、本発明による記載の組成物は、本明細書に記載の必須成分(essential elements)及び本発明の制限に加え、本明細書に記載の任意の追加の若しくは任意選択的な成分、構成要素、又は制限を含む、からなる(consist of)、又はから本質的になることができる。
【0068】
本開示による食品組成物は、とりわけ、炭水化物、総タンパク質、食物繊維、カルシウム、鉄、マグネシウム、カリウム、亜鉛、及びビタミンCを含む栄養素を提供することができる。
【0069】
本開示による食品組成物は、タンパク質、脂肪、炭水化物、プレバイオティクス、プロバイオティクス、ビタミン類、及び/又はミネラル類などの栄養源である原材料を含み得る。
【0070】
以下は、本開示による食品組成物によって提供され得る栄養素の非限定的な例である。
【0071】
炭水化物
本発明の一実施形態では、炭水化物を含む食品組成物が提供される。炭水化物は、そのものとして、及び/又は炭水化物を含む任意の供給源を介して、組成物中に組み込まれ得る。例えば、原材料は、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、多糖類、又はこれらの混合物からなる群で選択されてもよい。
【0072】
異なる原材料は、使用される原材料の性質及び量に応じて、異なる量の炭水化物を本発明による組成物に提供し得る。一実施形態では、本発明の食品組成物は、栄養ギャップに対処するために必要と考えられる1日当たりの炭水化物の量の全量を供給する。
【0073】
タンパク質
本発明の一実施形態では、タンパク質を含む食品組成物が提供される。タンパク質は、そのものとして、及び/又はタンパク質を含む任意の供給源を介して、本発明の組成物中に組み込まれ得る。例えば、原材料は、動物性タンパク質、乳タンパク質、植物性タンパク質、又はこれらの混合物からなる群で選択されてもよい。
【0074】
異なる原材料は、使用される原材料の性質及び量に応じて、異なる量のタンパク質を本発明による組成物に提供し得る。一実施形態では、食品組成物は、栄養ギャップに対処するために必要と考えられる1日当たりのタンパク質の量の全量を供給する。
【0075】
カルシウム
本発明の一実施形態では、カルシウムを含む食品組成物が提供される。カルシウムは、そのものとして、又は生理学的に許容される塩の形態で、及び/又はカルシウムを含む任意の供給源を介して本発明の組成物に組み込まれ得る。例えば、原材料は、硫酸カルシウム、クエン酸カルシウム、塩化カルシウム、フマル酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、又はこれらの混合物からなる群で選択されてもよい。
【0076】
異なる原材料は、使用される原材料の性質及び量に応じて、異なる量のカルシウムを本発明による組成物に提供し得る。一実施形態では、食品組成物は、栄養ギャップに対処するために必要と考えられる1日当たりのカルシウムの量の全量を供給する。
【0077】
鉄
本発明の一実施形態では、鉄を含む食品組成物が提供される。鉄は、そのものとして、又は生理学的に許容される塩の形態で、及び/又は鉄を含む任意の供給源を介して本発明の組成物に組み込まれ得る。例えば、原材料は、硫酸鉄、クエン酸鉄、クエン酸鉄コリン、クエン酸鉄アンモニウム、塩化鉄、フマル酸鉄、グルコン酸鉄、ピロリン酸鉄、又はこれらの混合物からなる群で選択されてもよい。
【0078】
異なる原材料は、使用される原材料の性質及び量に応じて、異なる量の鉄を本発明による組成物に提供し得る。一実施形態では、本発明の食品組成物は、栄養ギャップに対処するために必要と考えられる1日当たりの鉄の量の全量を供給する。
【0079】
マグネシウム
本発明の一実施形態では、マグネシウムを含む食品組成物が提供される。マグネシウムは、そのものとして、又は生理学的に許容される誘導体の形態で、及び/又はマグネシウムを含む任意の供給源を介して本発明の組成物に組み込まれ得る。例えば、原材料は、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、塩化マグネシウム、アスパラギン酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、又はこれらの混合物からなる群で選択されてもよい。
【0080】
異なる原材料は、使用される原材料の性質及び量に応じて、異なる量のマグネシウムを本発明による組成物に提供し得る。
【0081】
一実施形態では、本発明の食品組成物は、栄養ギャップに対処するために必要と考えられる1日当たりのマグネシウムの量の全量を供給する。
【0082】
繊維
本発明の一実施形態では、繊維を含む食品組成物が提供される。繊維は、そのものとして、及び/又は繊維を含む任意の供給源を介して、本発明の組成物中に組み込まれ得る。例えば、原材料は、果物、野菜、豆類、穀物、及びアブラナ科の野菜からなる群で選択されてもよい。
【0083】
一実施形態では、食物繊維は、難消化性オリゴ糖(難消化性デキストリン、ポリデキストロース又はFOSなど)、NSP(例えば、ペクチン、イヌリン、部分加水分解グアーガム(PHGG)、アカシアガム)、難消化性デンプン、及びこれらの混合物からなる群において選択される。一実施形態では、繊維を提供する原材料は、天然又は合成に由来する繊維を提供することができ得る。一実施形態では、合成に由来する繊維は、例えば、スクロースからのFOSである。
【0084】
異なる原材料は、使用される原材料の性質及び量に応じて、異なる量の繊維を本発明による組成物に提供し得る。一実施形態では、本発明の食品組成物は、栄養ギャップに対処するために必要と考えられる1日当たりの繊維の量の全量を供給する。
【0085】
カリウム
本発明の一実施形態では、カリウムを含む食品組成物が提供される。カリウムは、そのまま、又は生理学的に許容される塩の形態で、及び/又はカリウムを含む任意の供給源を介して本発明の組成物に組み込まれ得る。例えば、原材料は、リン酸カリウム、硫酸カリウム、クエン酸カリウム、塩化カリウム、アスパラギン酸カリウム、重炭酸カリウム、グルコン酸カリウム、又はこれらの混合物からなる群で選択されてもよい。
【0086】
異なる原材料は、使用される原材料の性質及び量に応じて、異なる量のカリウムを本発明による組成物に提供し得る。一実施形態では、本発明の食品組成物は、栄養ギャップに対処するために必要と考えられる1日当たりのカリウムの量の全量を供給する。
【0087】
亜鉛
本発明の一実施形態では、亜鉛を含む食品組成物が提供される。亜鉛は、そのまま、又は生理学的に許容される塩の形態で、及び/又は亜鉛を含む任意の供給源を介して本発明の組成物に組み込まれ得る。例えば、原材料は、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、乳酸亜鉛、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、及びこれらの混合物からなる群で選択されてもよい。
【0088】
異なる原材料は、使用される原材料の性質及び量に応じて、異なる量の亜鉛を本発明による組成物に提供し得る。一実施形態では、本発明の食品組成物は、栄養ギャップに対処するために必要と考えられる1日当たりの亜鉛の量の全量を供給する。
【0089】
ビタミンC
本発明の一実施形態では、ビタミンCを含む食品組成物が提供される。ビタミンCは、そのまま、又は生理学的に許容される塩の形態で、及び/又はビタミンCを含む任意の供給源を介して本発明の組成物に組み込まれ得る。例えば、原材料は、ブロッコリー、芽キャベツ、及びカリフラワー、緑パプリカ及び赤パプリカ、緑葉野菜、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、及びこれらの混合物からなる群で選択されてもよい。
【0090】
異なる原材料は、使用される原材料の性質及び量に応じて、異なる量のビタミンCを本発明による組成物に提供し得る。一実施形態では、本発明の食品組成物は、栄養ギャップに対処するために必要と考えられる1日当たりのビタミンCの量の全量を供給する。
【0091】
本開示による組成物は、上記に記載されていないが対象によって必要とされる他の栄養素を提供し得ることが理解されるべきである。
【0092】
本開示による食品組成物は、乳若しくは水で再構成される粉末栄養組成物、乳若しくは水で再構成される単回使用カプセル又はポッドに保存された粉末栄養組成物、栄養フォーミュラ、シリアルベース製品、ドリンク、バー、栄養補助食品、栄養強化目的のためのプレミックス(例えば、ミネラル類及びビタミン類)、ニュートラシューティカルズ、ヨーグルト、乳製品、食品用スプリンクル、グミ、食事代替物、丸剤、錠剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0093】
例えば、一実施形態では、食品組成物は、乳製品、例えば、液体乳製品ベースの製品又は乳若しくは水で再構成される粉末乳製品ベースの製品であり得る。別の実施形態では、食品組成物は、例えば、錠剤又はグミの形態の栄養補助食品であり得る。補助食品は、選択された栄養素を提供するが、対象の総合的な栄養必要量に占める割合は多くなく、かつ/又は対象の1日当たりのエネルギー必要量の0.1%、1%、5%、10%、若しくは20%超を占めてはいない。別の実施形態では、食品組成物は、例えば、飲料、シリアル製品又はペットフードであってもよい。
【0094】
本開示による方法、デバイス、及び組成物の原理及び動作は、実施例及び付随する説明を参照してより良く理解することができ、実験セクションにおける図及び表は、例示目的のみのために与えられ、限定することを意味しないことが理解される。
【実施例1】
【0095】
以下の非限定的な例は、本開示の方法、デバイス、及び組成物の概念を発展させ及びサポートする科学的データを提示する。実施例では、ブラジルのMolicoを例示のために使用した。
【0096】
最初に、ブラジルにおける食事摂取データをクラスタ分析によって分析した。4つの食事パターンを特定し、それぞれの食事パターンの栄養不足を評価した。第2に、決定木アプローチを適用して、さまざまな食事パターンを区別することができる質問の数を削減した。第3に、オプティマイザを使用して、製品栄養組成に基づいて既存の製品の最適な組み合わせを計算した。それぞれの製品の割合は、既存の製品から最適な栄養摂取を得るために与えられた。第4に、3つの梱包シナリオの環境影響を評定した。
【0097】
実施例1:食事摂取クラスタ及び栄養ギャップの評価
食事パターンを導出するために使用したアプローチは、クラスタ分析、具体的にはアルゴリズムK平均法の1バージョン:スパース及びロバストなK平均法(sparse and robust K-means)に基づいていた。3~5個のクラスタに対し分析を実施した。この実施例では、4つのクラスタが見出された。
【0098】
それぞれのクラスタについて、栄養ギャップは、1日当たりの推奨量についての%に基づいて推定した。
【0099】
オプティマイザは、(任意の)製品の組み合わせを追加することによってこれらの栄養ギャップを最小限に抑えることを目的とする。組み合わせは、各種類の製品の割合として、又は所与の期間(例えば、1週間)の製品単位の個数として意図され得る。例えば、総ナトリウム若しくはエネルギー摂取を制限する、又は最小量の繊維を必要とする、追加の制約を課すことができる。この最小化問題は、リニアプログラミング(LP)問題として定式化し、それに従って解くことができる。LPを解くための効率的なアルゴリズムは、R(パッケージlpsolve)又はPython(パッケージor Tools)などの標準コンピューティング言語で利用可能である。Shiny対話型アプリケーションを使用して、異なるパラメータ選択をシミュレートすることができる。
【表1】
表1におけるそれぞれの食事摂取量の単位を括弧内に示す:炭水化物(g);総タンパク質(g);カルシウム(mg);鉄(mg);マグネシウム(mg);食物繊維(g);カリウム(mg);亜鉛(mg);ビタミンC(mg)
それぞれのクラスタの栄養素摂取量の分布を計算した。以下の表2は、それぞれのクラスタにおける栄養素の1日当たりの平均摂取量(Mean)及び標準偏差(SD)、並びに栄養素の1日当たりの摂取量の中央値(Median)並びに最小及び最大範囲(Min、Max)を報告する。
【表2】
表2におけるそれぞれの食事摂取量の単位を括弧内に示す。エネルギー(kcal);動物性タンパク質(g);乳タンパク質(g);植物性タンパク質(g);飽和脂肪(g);MUFA(g);食物繊維(g);ナトリウム(mg);カリウム(g)
表1~表2に示すように、4つの食事摂取クラスタが特定された。それぞれのクラスタは異なる栄養素ギャップを有していた。オプティマイザの適用により、4つの製品組み合わせシナリオ(それぞれの食餌摂取クラスタに対して1つずつ)が提案された(表3)。
【0100】
実施例2:食事パターンを定義するための質問の数の削減
決定木アプローチを利用して、異なる食事パターンを区別することができる質問の数を削減した。
【0101】
実施例3:提案された組み合わせシナリオ
製品の組み合わせを提案するためにオプティマイザを適用した。オプティマイザは、(任意の)製品の組み合わせを追加することによってこれらの栄養ギャップを最小限に抑えることを目的とする。
【0102】
組み合わせは、各種類の製品の割合として、又は所与の期間(例えば、1週間)の製品単位の個数として意図され得る。例えば、総ナトリウム摂取又は総エネルギー摂取を制限する、又は最小量の繊維を求める、さらなる制約を課すことができる。
【0103】
この最小化問題は、リニアプログラミング(LP)問題として定式化し、それに従って解くことができる。LPを解くための効率的なアルゴリズムは、R(パッケージlpsolve)又はPython(パッケージor Tools)などの標準コンピューティング言語で利用可能である。Shiny対話型アプリケーションは、異なるパラメータ選択をシミュレートするためにプロトタイプ作成段階で開発された。
【0104】
オプティマイザの適用により、以下の表3に示すように4つの製品組み合わせシナリオ(それぞれの食餌摂取クラスタに対して1つずつ)が提案された。
【表3】
実施例4:環境影響評価
スクリーニングライフサイクル評価を実施して、3つのタイプの梱包:粉末形式の製品のための缶及びサシェ、並びに「レディ・トゥ・ドリンク(RTD)」形式の製品のためのボトルを使用したときの、最適化された栄養補助食品を消費者に配送することの潜在的な環境影響を理解した。
【0105】
「消費者の管理(consumers’ hands)で20gの粉末製品の一食分」を、すべてのシナリオの分析単位として選択した。RTD形式は再構成後の飲料を好都合に供給するのに対し、粉末形式は消費の時点での再構成を必要とする。ゲート評価に対するクレードルの境界を
図1に示す。
【0106】
評価は梱包に焦点を当てる。製品自体(製造、消費)は、両方(粉末とRTD)とも同じであるので評価から除外される。梱包材料の製造、工場での製品の充填、製品の流通、及び小売(周囲条件)、複数のライフサイクル段階における輸送、そして最後に使用済み梱包の寿命管理が、評価に含まれる。
【0107】
梱包システムの環境性能の概要を提供するために、環境影響の指標5つを検定した。
【0108】
a)気候変動(CC)[kg CO2-eq](100 a、IPCC、2013)。生物起源のCO2は、0の特性係数(characterization factor)を割り当てられる。これはミッドポイント指標である。
【0109】
b)淡水消費量の欠乏(FWCS)[m3-eq](AWaRE法-Available Water REmaining,v.1.0;WULCA、2016)。これはミッドポイント指標である。
【0110】
c)非生物資源の枯渇(ARD)[kg Sb-eq](CML 2001法、v.2.05;Guinee et al.,2002)。これはミッドポイント指標である。
【0111】
d)生物多様性に対する土地利用の影響(LUIB)[PDF・m2・year](IMPACT World+/Land use method,v.0.05;Impact World+、2012)。これはエンドポイント指標である。
【0112】
e)生態圏/生態系の質に対する影響(IEEQ)[PDF・m2・year](Impact 2002+ method v.Q2.27;Jolliet et al.,2003;Humbert et al.,2012)。
【0113】
検討した梱包の選択肢を表4に詳述する。
【表4】
選択された梱包フォーマットにより配送される一食分についての結果を、表5(一食分20g)及び表6(一食分25g)で比較する。この比較により、粉末製品(サシェ)のための一食分の梱包フォーマットが、異なる4種類のサイズの缶及び250mLのRTDボトルと比較して環境影響が最も低いことを示す。再構成後の製品の配送は水の輸送を必然的に伴うが、これに関連する影響は、家庭で製品を再構成すれば回避される。
【表5】
【表6】
実施例5:さまざまな製品シナリオの性能の検定
表7及び表8では、様々な製品シナリオの性能を検定し、比較する。表7及び表8は、それぞれ、1指標の気候変動(CC)と、有望な缶梱包フォーマットの組み合わせのうちの1セットと、についての結果を示している。ここでは、所与の期間(数週間)にわたる製品の配送を目的として、消費者は、製品の受け取りについて3つの選択肢、すなわち、サシェのみ、ボトルのみ、又はさまざまなサイズの缶の組み合わせ、を有することができると仮定する。缶は次のようにコード化される:サイズ1~4;1=280g、2=560g、3=840g、4=1120g。次いで、それぞれのシナリオ(サシェ、ボトル、及び缶)の全体的な環境性能が比較される。
【0114】
表7及び表8から、サシェ又は缶の組み合わせを使用して粉末として製品を配送することは、すべてのシナリオについて、再構成後の製品をRTDボトルで供給することよりも低い環境性能を有する。同様の性質が、同様に上記評価において検定された他の4つの指標についても観察される。比較のための週ごとの基準を
図2及び
図3に示す。これらの図はそれぞれ表7及び表8の結果を要約する。
図2は、表7に詳述する梱包フォーマットの組み合わせと関連付けた、シナリオA~シナリオD(Molico製品)により1週間あたりに配送される栄養の気候変動に対する影響についての結果を示す。
図3は、表8に詳述する梱包フォーマットの組み合わせと関連付けた、シナリオA~シナリオD(Molico製品)により1週間あたりに配送される栄養の気候変動に対する影響についての結果を示す。より大きなサイズ(サイズ2~4)の缶が使用される場合、製品を配送することの全体的な影響は、梱包に対する製品の比率がより低くなるため、さらに減少する。
【表7】
【表8】
本明細書で述べる現在の好ましい実施形態に対する様々な変更及び修正が、当業者には明らかとなる点を理解されたい。このような変更及び修正は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、並びに本発明の付随する利点を減らすことなく、なされてもよい。したがって、このような変更及び修正は、添付の特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。
【国際調査報告】