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特表2024-510918現場で使用可能なEEGシステム、アーキテクチャ、および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】現場で使用可能なEEGシステム、アーキテクチャ、および方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/256 20210101AFI20240305BHJP
   A61B 5/291 20210101ALI20240305BHJP
   A61B 5/273 20210101ALI20240305BHJP
【FI】
A61B5/256 110
A61B5/291
A61B5/273
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552374
(86)(22)【出願日】2022-02-28
(85)【翻訳文提出日】2023-10-24
(86)【国際出願番号】 US2022018210
(87)【国際公開番号】W WO2022183128
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】63/154,751
(32)【優先日】2021-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】523326768
【氏名又は名称】デビッド ヨンス
(71)【出願人】
【識別番号】523326779
【氏名又は名称】グレゴリー コエラー
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】デビッド ヨンス
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー コエラー
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA03
4C127JJ03
4C127LL08
4C127LL13
(57)【要約】
EEG信号およびその他のユーザ信号と環境信号を受信して分析するように構成された、現場で使用可能なEEG信号モニタリング装置、システム、および方法であって、ユーザによる操作および修理が容易であり、1人以上のユーザから受信したユーザデータと環境データを相互に関連付けることができ、ユーザまたは第三者ユーザが、健康、仕事、警察、および軍事行動について戦略的な決定を下すことを可能にするものである。
【選択図】 図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔ユーザの神経活動を監視するために装着可能な現場装着型神経活動モニタリングシステムであって、
ヘッドアクセサリーアセンブリであって、
該遠隔ユーザの頭部の周囲に少なくとも部分的に延在するヘッドバンドであって、内面と外面とを有し、該内面は、該遠隔ユーザの頭部に対して位置決め可能である、前記ヘッドバンド;
電極面および非電極面を有するセンサであって、該ヘッドバンドの一部に着脱可能に結合され、該非電極面が該ヘッドバンドの該内面に対して配置されている、前記センサ;を有する、前記ヘッドアクセサリーアセンブリと、
該ヘッドアクセサリーアセンブリと動作可能に通信し、該センサにより検出された遠隔ユーザの神経活動データを収集するモバイルデータコレクタと、
を備える、前記現場装着型神経活動モニタリングシステム。
【請求項2】
前記ヘッドバンドの外面に近接して配置された前記複数のセンサの前記電極面間に延在し、前記電極面に動作可能に結合されたコネクタに結合された複数のセンサをさらに含む、請求項1に記載の現場装着型神経活動モニタリングシステム。
【請求項3】
前記遠隔ユーザの神経活動を開始するように構成された神経活動イベントをさらに含む、請求項1に記載の現場装着型神経活動モニタリングシステム。
【請求項4】
前記遠隔ユーザの神経状態を受信し、処理するために、前記モバイルデータコレクタと動作可能に通信する遠隔コンピュータをさらに含む、請求項1に記載の現場装着型神経活動モニタリングシステム。
【請求項5】
前記神経活動イベントは、遠隔装置に記憶され、前記遠隔ユーザによって操作されるプログラムを含む、請求項3に記載の現場装着型神経活動モニタリングシステム。
【請求項6】
前記神経活動イベントは、前記遠隔ユーザによってリアルタイムで実行または観察される活動を含む、請求項3に記載の現場装着型神経活動モニタリングシステム。
【請求項7】
前記遠隔コンピュータは、複数の遠隔ユーザの神経活動を同期させて、該複数の遠隔ユーザの集合的な神経状態を確立するように構成されている、請求項4に記載の現場装着型神経活動モニタリングシステム。
【請求項8】
前記ヘッドバンドと前記センサとの間に配置されたカプラ部材をさらに含み、前記センサが、前記遠隔ユーザによって容易に交換される、請求項1に記載の現場装着型神経活動モニタリングシステム。
【請求項9】
前記カプラは、前記センサの前記非電極面に結合された、離間した第1および第2の磁石部材を備え、該第1の磁石部材は、前記ヘッドバンドの前記内面に近接して配置可能であり、該第2の磁石部材は、前記ヘッドバンドの前記外面に近接して配置可能であり、前記センサは、前記ヘッドバンドに着脱可能に固定されている、請求項8に記載の現場装着型神経活動モニタリングシステム。
【請求項10】
前記検出された神経活動データを受信し、少なくとも一時的に保存するために前記ヘッドアクセサリーに結合されたランダムアクセスメモリをさらに含み、前記モバイルデータコレクタが、前記検出された神経活動データを該ランダムアクセスメモリから収集するために前記ヘッドアクセサリーと無線通信する、請求項1に記載の現場装着型神経活動モニタリングシステム。
【請求項11】
前記モバイルデータコレクタは、前記神経活動データが前記遠隔コンピュータに送信されるまで暗号化する、請求項4に記載の現場装着型神経活動モニタリングシステム。
【請求項12】
前記検出された神経状態が、正常状態、アルツハイマー状態、抑うつ状態、不安状態、双極性状態、消耗状態、錯乱状態、または異常な精神状態を含む、請求項4に記載の現場装着型神経活動モニタリングシステム。
【請求項13】
複数の遠隔ユーザの精神状態を検出するように構成された、該複数の遠隔ユーザによって装着可能な現場装着型神経活動モニタリングシステムであって、
各遠隔ユーザのシステムが、
遠隔ユーザの頭部の周囲に延在するヘッドアクセサリーであって、
イベントを体験している遠隔ユーザの神経活動データを検出するように構成された複数のセンサであって、該複数のセンサのそれぞれは、該ヘッドアクセサリーの一部の周りに折り畳まれている、前記複数のセンサ;
該神経活動データを少なくとも一時的に保存するために該複数のセンサに結合されたランダムアクセスメモリ;
該ランダムアクセスメモリに保存され、該複数のセンサを制御するプログラム;
該ヘッドアクセサリーに結合され、該複数のセンサおよび該ランダムアクセスメモリと動作可能に通信する電源;を含む、前記ヘッドアクセサリーと、
該ヘッドアクセサリーと動作可能に通信し、該遠隔ユーザの神経活動データを経時的に収集するデータコレクタと、
該神経活動データを受信し処理するために、該モバイルデータコレクタと動作可能に通信し、該遠隔ユーザの精神状態を決定する遠隔コンピュータと、
を備える、前記現場装着型神経活動モニタリングシステム。
【請求項14】
神経活動を取り出すために遠隔ユーザによって使用されるプログラムを含む遠隔装置をさらに備える、請求項13に記載の現場装着型神経活動モニタリングシステム。
【請求項15】
前記ヘッドアクセサリーは、内面と外面とを有し、前記複数のセンサのそれぞれは、電極面と非電極面とを有し、前記センサは、前記ヘッドアクセサリーの内面と外面に対して配置されている前記非電極面の周りに折り畳み可能である、請求項13に記載の現場装着型神経活動モニタリングシステム。
【請求項16】
前記遠隔ユーザが体験している前記イベントが仮想イベントである、請求項13に記載の現場装着型神経活動モニタリングシステム。
【請求項17】
前記遠隔ユーザが体験している前記イベントが非仮想イベントである、請求項13に記載の現場装着型神経活動モニタリングシステム。
【請求項18】
前記複数のセンサは、1つ以上の磁石によって前記ヘッドアクセサリーの一部に着脱可能に結合される、請求項13に記載の現場装着型神経活動モニタリングシステム。
【請求項19】
前記遠隔コンピュータは、正常状態、アルツハイマー状態、抑うつ状態、不安状態、双極性状態、消耗状態、錯乱状態、または異常な精神状態を含む神経活動状態を検出する、請求項13に記載の現場装着型神経活動モニタリングシステム。
【請求項20】
1人以上の遠隔ユーザの精神状態をモニタリングする方法であって、
該遠隔ユーザの神経活動を検出するように構成された1つ以上の神経活動センサを有するヘッドアクセサリーを提供すること;
該遠隔ユーザから神経活動を取り出すための神経活動イベントを提供すること;
該遠隔ユーザの神経活動データを経時的に収集するために、1つ以上の神経活動センサと動作可能に通信する神経活動データコレクタを提供すること;
該神経活動データコレクタから該神経活動データを受信し、該遠隔ユーザの該神経活動データを処理するように構成された遠隔コンピュータを提供すること;および
該遠隔コンピュータ内の該体験した神経活動データを処理することにより、該遠隔ユーザの精神状態を判断すること;
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2021年2月28日に出願された米国仮特許出願第63/154,751号の利益を主張するものであり、引用によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0002】
(技術分野)
本発明は、一般に、被験者の測定およびモニタリングに関連する脳波(「EEG」)システム、アーキテクチャ、および方法に関する。より具体的には、軍、警察、患者、消費者などの個人を、典型的な臨床環境以外で測定およびモニタリングするための、現場で使用可能なEEGシステム、アーキテクチャ、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
脳波計は、被験者の脳の電気的活動を記録できる電気生理学的モニタリング装置である。少なくとも1800年代後半以来、科学者は人間および動物の電気的活動を記録してきた。脳波検査(「EEG」)には、通常、被験者の脳の発火ニューロン内のイオン電流から生じる電圧変動/変化を記録するために、被験者(通常は頭部)に配置される多数の電極が含まれる。
【0004】
脳の電圧変動には多くの用途があることがすぐに発見された。用途には、てんかん、睡眠障害、意識状態、さらには脳死などの疾患を診断するための診断または臨床ツールとしての脳波の利用が含まれる。MRIの発明など、医療技術の進歩が進む一方で、経時的な自発的変化をモニタする脳波の機能は、医療におけるその重要性を確固たるものとなっている。
【0005】
脳波計の電極には、通常、電極を被験者の頭部に固定する接着剤またはペーストが含まれている。また、電極は、従来、ヘッドバンドまたはヘッドストッキングのようなホルダまたは基材に取り付けられるか、または結合される。電極は、通常、電圧の変化を検出する脳波計に接続されるワイヤを含み、その結果または所見を医療従事者が分析する画面や紙にプリントする。また、従来の電極では、信号伝達を改善するために、被験者の頭部と電極の間にゲルまたはその他の媒体を使用する必要があった。
【0006】
脳波計は、一般に、電極で受信した電気信号を処理するための増幅器と制御装置を含む電子回路で構成されている。また、脳波計には、従来、データを読み取り可能な形式に変換するためのオシログラフ、または最近では液晶ディスプレイなどの出力装置も含まれていた。これらの装置はすべて、従来は大型で重く、一般に室内に据え置く必要があった。
【0007】
被験者が快適に装着できるEEGシステム、アーキテクチャ、および方法を提供するために、様々な試みがなされてきた。被験者にとって快適となる進歩はあったが、現代に必要なEEGシステム、アーキテクチャ、方法を提供することはできなかった。
【0008】
本発明によって必要とされるもの、および本発明によって提供されるものには、移動が容易で、広大な地域または遠隔地にいる被験者によって容易に使用でき、しかもモーションアーチファクトが全くないか最小限の臨床グレードの信号品質を提供するEEGシステム、アーキテクチャ、および方法を有することが含まれる。本発明はまた、遠隔地にいる被験者によって容易に取り替え、または交換される電極を有するEEGシステム、アーキテクチャ、および方法を提供する。本発明の別の利点は、被験者データをリアルタイムで収集するリモートネットワーク内で動作できることである。本発明のさらに別の利点は、被験者が現場にいる間に個々の被験者データを収集し、被験者が安全なエリアまたは場所にいるときに被験者のデータを送信、アップロード、またはダウンロードできることである。
【0009】
上記は、本発明の範囲を限定したり、あるいは本発明の各実施形態、態様、実装、特徴、または利点を説明することを意図するものではない。本発明の詳細な技術および好ましい実施形態が、当業者が請求された発明の特徴をよく理解できるように、添付図面と共に以下の段落に記載されている。本明細書に記載された特徴および以下に解説される特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、特定の組み合わせだけでなく、他の組み合わせまたは分離して使用できることが理解される。
【0010】
必要とされているのは、モニタされる個人のグループ間の同期性を容易に可能にするEEGシステムである。通常、研究者は複数のEEGシステムを使用し、手作業でデータを調整する。あるいは、従来のシステムでは、赤外線センサと組み合わせたIRブラスタを備えたオープンソースコンポーネントを使用して、複数の装置のクロックを同期させる。このような状況でのデータは、ワイヤレスで収集されるが、手作業で調整しなければならないこともある。
【0011】
かつては、映画やその他のメディアの上映が、映画スタジオや試写室で行われ、視聴者は、ビデオ/メディアクリップの最後にアンケートを取ったり、特定のクリップから連想される肯定的または否定的な感情の大きさを示すダイヤルを調整することによって、自身の反応を記録していた。その後のシステムでは、心拍数や電気皮膚反応などの生理学的センサが使われるようになった。EEGもまた有用であることが示されているが、これらのシステムのほとんどは、大規模なEEGシステムを必要とするか、ユーザによる多大な準備が必要であり、大規模なプレスクリーニング研究には不都合であった。
【0012】
さらに、2020年のCOVID-19の世界的流行により、新しいビデオおよび映画コンテンツの配信が、劇場から、人々の家庭でのデジタルストリーミングを通じて初めて視聴されるようになった。コンテンツの家庭内ストリーミングへのトレンドは、パンデミック以前からすでに高まっており、ビデオエンターテイメントの受信のメインの方法への恒久的なシフトを反映しているかもしれない。パンデミックの社会的距離の要求により、劇場で映画やメディアの上映やテストを行うことは制限されている。さらに、ビデオエンターテイメントコンテンツの大多数が、家庭内でデジタルストリーミングを介して受信されるようになっているため、劇場やその他の場所でのビデオテストや上映の場所は、平均的なユーザがエンターテイメントを視聴する環境からの逸脱を意味し、結果として逸脱を生じさせる可能性がある。必要とされているのは、製品やメディアを市場に出す際に使用できる、関連するEEGデータをユーザに提供するために遠隔で使用できるEEGシステムである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
(概要)
本発明の多くの利点のうちの1つは、個人または個人のグループ、あるいは被験者ユーザをモニタできることである。一例には、集団の心または身体の特定の状態をモニタリングすることが含まれる。精神状態や精神的健康、行動状態、健康状態など、さまざまな状態を監視することができるが、これらに限定されるものではない。状態のモニタリングは、これから説明するように、さまざまな状況および場面においてチームがどのように機能するかをモニタできるようにするために重要である。本発明のシステムおよび方法は、個人のグループからのEEGデータおよび/または非EEGを同時にモニタし、収集し、同期させることができる。本発明の1つの利点は、システムが個人のグループの同期性を分析する能力を含むことである。同期性は、複数の人々、ユーザ、または被験者のEEG反応を同時に見ることで、グループダイナミクス、チームワーク、および人間の反応をより適切に伝え、測定できるという考えに基づいている。
【0014】
本発明のシステムおよび方法は、グループのEEGデータを使用して、刺激に対するグループの反応を決定し理解することができるものであり、この刺激は、写真やビデオなどの画像である可能性があり、また、コンサート、映画、集会、または法執行機関や軍隊が体験するような口論や交戦を含むがこれらに限定されない、グループが一緒に体験しているイベントである可能性もある。本発明のシステムおよび方法は、個人のユーザデータおよびグループデータを使用して、チームワークの度合い、グループおよび個人の疲労度、グループの攻撃性のレベルなど、グループの状態またはグループダイナミクスをモニタすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
(図面の簡単な説明)
添付の図面において、
図1A図1Aは、本発明の実施形態に係る、現場で使用可能なEEGシステムの機能図である。
図1B図1Bは、本発明の実施形態に係る、現場で使用可能なEEGシステムの機能図である。
図2A図2Aは、本発明の実施形態に係る、現場で使用可能なEEGシステムのセンサアセンブリスラブを示す斜視図である。
図2B図2Bは、本発明の実施形態に係る、個々のセンサに分割されたセンサアセンブリを示す斜視図である。
図2C図2Cは、本発明の実施形態に係る、例示的なセンサの断面図である。
図2D図2Dは、本発明の実施形態に係る、例示的なセンサの上面図である。
図2E図2Eは、本発明の実施形態に係る、剥離可能な導電面を有するセンサの端面図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る、例示的なセンサ位置を示すユーザの頭部の上面図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る、センサカプラまたはハウジングの斜視図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る、例示的なセンサカプラおよびセンサの側面図である。
図6A図6Aは、本発明の実施形態に係る、例示的なセンサ基板の上面図である。
図6B図6Bは、本発明の実施形態に係る、例示的なセンサ基板の底面図である。
図6C図6Cは、本発明の実施形態に係る、例示的なセンサ基板の端面図である。
図7A図7Aは、本発明の実施形態に係る、例示的なセンサの断面図である。
図7B図7Bは、本発明の実施形態に係る、磁石でヘッドアクセサリーに保持された例示的なセンサの断面図である。
図7C図7Cは、本発明の実施形態に係る、例示的なセンサアセンブリの側面図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係る、プラグアンドプレイ機能を有する例示的なセンサ基板の一例の上面図である。
図9図9Aおよび図9Bは、本発明の実施形態に係る例示的なヘッドアクセサリーである。図9C~9Eは、本発明の実施形態に係る、9A~9Eの線および9A~9Eの線に沿ってヘッドバンド内に配置された例示的な電極アセンブリである。
図10図10は、本発明の現場で使用可能なEEGシステムのデータ選択プロセスを示すフローチャートである。
図11図11は、本発明の実施形態に係る、スマートデバイスに繋がれたユーザの頭部のヘッドアクセサリーの正面図である。
図12A図12Aは、本発明の実施形態に係る、システムのメディア使用の一例を示す機能図である。
図12B図12Bは、本発明の実施形態に係る、システムのメディア使用の一例を示すフローチャートである。
図12C図12Cは、本発明の実施形態に係るシステムによる製品配置の一例を示すフローチャートである。
図13A図13Aは、本発明の実施形態に係る操作/従業員モニタリングの機能図である。
図13B図13Bは、本発明の実施形態に係る疲労スコアのフローチャートである。
図13C図13Cは、本発明の実施形態に係る、システムを使用するオペレータモニタリングの機能図と疲労の図を示す。
図14図14は、本発明の実施形態に係る、システムを用いたユーザインタフェースモニタリングの機能図である。
図15図15は、本発明の実施形態に係るユーザインタフェースモニタリングのフローチャートである。
図16A図16Aは、本発明の実施形態に係る、ステータスインジケータを有するヘッドアクセサリーの斜視図である。
図16B図16Bは、図16Aのヘッドアクセサリーと本発明の実施形態に係る遠隔装置の部分断面図である。
図16C図16Cは、本発明の実施形態に係る電極テスト処理の概略図である。
図17A図17Aは、本発明の実施形態に係る電極オフ検出処理のフローチャートである。
図17B図17Bは、本発明の実施形態に係る電極検証処理のフローチャートである。
図18図18は、本発明の実施形態に係る、異なるセンサ、パッド部材、およびアジャスタを有するヘッドアクセサリーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(詳細な説明)
以下の説明では、本発明を様々な例示的な実施形態を参照して説明する。とはいえ、これらの実施形態は、本発明を、本明細書に記載された特定の例、環境、用途、または特定の実施形態に限定することを意図するものではない。したがって、これらの例示的な実施形態の説明は、本発明を限定するものではなく、例示の目的で提供されるに過ぎない。
【0017】
構成部品の大きさおよび相対的な比率は、単なる例示的な実施形態であり、各請求項において特に限定されない限り、変更することができる。したがって、本発明の範囲から逸脱することなく大きさを変更することができる。
【0018】
本発明は、本明細書で検討される多くの目的のために、個人または個人のグループから脳波(「EEG」)測定値を検出、収集、および分析することによって、神経活動をモニタリング、分析、および報告するための装置、システム、および方法を示す。本発明は、モニタされたEEG測定値を単独で、またはバイタルサイン(例えば、血圧、体温、脈拍数、呼吸数、心拍リズム)のようなユーザの解剖学的データ、および解剖学的変化(例えば、眼球運動、筋肉の痙攣、顔の動き、発汗)を含むが、これらに限定されない他のソースからの非EEGデータと組み合わせて使用することができる。使用できる他の非EEGデータとしては、環境刺激(写真、映画、コマーシャルや広告、コンサート、大規模な集会、または警察や軍隊との遭遇など)が含まれる。本発明は、観察可能なあらゆる刺激を収集し、それを収集したEEGデータと組み合わせ、それを分析し、ユーザ、臨床医、マーケティング会社、従業員を抱える企業、および軍や警察が使用できる出力を提供することができる。
【0019】
システムアーキテクチャ
最も単純な形態では、本発明のシステム10は異なるコンポーネントまたは部品を備える。図1Aおよび図1Bに図示されているように、システム10は、少なくとも1つのEEG電極支持体またはアプリケータ12(例えば、使用者の頭部Aに、または頭部Aの周囲に固定可能なヘッドバンドヘッドアクセサリー)を備える。EEG電極支持体12は、ソフトヘッドバンド、ヘルメット、またはクリップを含むが、これらに限定されない任意の形態をとることができる。EEG電極支持体12は、任意の材料または材料の組み合わせを含むことができる。例えば、発泡材またはゴム材を単独で、あるいは一般的により剛性の高いシェルと組み合わせて使用することができる。
【0020】
EEG電極支持体、アプリケータ、またはアセンブリ12は、少なくともEEG信号を読み取ることができる1つ以上のセンサまたはセンサアセンブリ14を備える。センサ14は、EEG電極支持体またはアプリケータ12の内面16に沿って間隔をあけて配置されている。センサ14のうちの1つは、ユーザの乳様突起に近接して配置可能であり、他のセンサはユーザの前額部に近接して配置される。電極14の設置位置は、モニタする必要のあるユーザの脳の部分のニーズによってのみ制限される。
【0021】
図3は、ユーザの頭部におけるセンサ14の位置の例を示している。1つ以上の中心電極を被験者またはユーザの前額部に配置することができる。中心電極は、通常Fpzと呼ばれ、生体信号増幅器のアクティブバイアスに接続されて、動作可能に通信し、被験者またはユーザの頭蓋骨のいずれかの側でバランスのとれたノイズ除去を提供する。一般にA1またはA2で識別される乳様突起電極は、中央の前額部電極のファーフィールド基準を提供し、被験者またはユーザの頭部の両側にわたるEEG信号のモニタリングも可能にする。この構成により、高い使いやすさ、高い信号整合性を実現し、多くのEEGアプリケーションを可能にする。他の場所には、側頭部(一般にT#で指定される)、後頭部(一般にO#で指定される)、頭頂部(一般にP#で指定される)が含まれる。
【0022】
本発明のシステム10は、EEGデータおよび/または非EEGデータの収集を支援するための、代替的な、しかし重要な機能を提供する、遠隔(例えば、モバイル)アプリケーションデバイス20も含む。遠隔アプリケーションデバイス20は、任意のタイプのスマートデバイス(例えば、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレットなど)を含む。遠隔アプリケーションデバイス20は、少なくともEEGアセンブリ12と通信できる無線および有線通信アセンブリ(例えば、BluetoothおよびWIFI)を含む。遠隔アプリケーションデバイス20は、EEGデータと非EEGデータを保存できるストレージも含む。本発明の例示的な一実施形態では、遠隔アプリケーションデバイス20は、EEGデータおよび非EEGデータを分析して、モニタされている1人または複数のユーザの心理的状態および/または医学的状態を判定することができるプログラムまたはアプリケーションを含む。遠隔アプリケーションデバイス20はまた、経時的な周期的傾向を提供することもできる。
【0023】
図1Aを続けると、システム10の例示的な実施形態では、遠隔アプリケーションデバイス20と無線または物理的接続によって通信可能なデータプラットフォーム30(例えば、1つまたは複数のサーバ(固定またはクラウドベース))が含まれる。データプラットフォーム30は、EEGデータおよび非EEGデータを受信、保存、および分析することができる、少なくとも1つのストレージ媒体およびランダム・アクセス・メモリ(「RAM」)を備える。データプラットフォーム30は、EEGデータおよび/または非EEGデータの分析を実行し、ユーザの状態または状況に相関付けることができる、もしくは対応するデータポイントの出力または読み出しを準備することができるプロセッサを備える。データプラットフォーム30は、HIPPAに準拠した1つ以上のアルゴリズムおよび将来の予測処理を含む。
【0024】
システム10は、医学的状態、精神状態(例えば、不安または抑うつ)、身体状態(例えば、覚醒、疲労、または病気)、または感情状態(嬉しい、悲しい、楽しい、好き、または嫌い)を含むがこれらに限定されない、様々なユーザの状態または状況を検出することができる。ユーザ状態の例が本明細書に記載されているが、本発明はあらゆるユーザ状態に適用されるため、記載されたユーザ状態は限定的なものとみなされるべきではない。
【0025】
データポイントまたは読み出されたデータは、病院のワークステーション、タブレット、スマートデバイスなどの臨床医ポータル40に送信することができる。臨床医Bは、データポイントまたは読み出されたデータを確認し、行動または治療の方針を決定することができる。臨床医ポータル40は、臨床医Bが傾向を特定し、受信したデータポイント/傾向に基づいてトリアージし、長期データおよび予測傾向に基づいて治療計画を調整できるように、長期データの結果を保存することができる。
【0026】
本発明の他の例示的な実施形態では、以下により詳細に説明されるように、ロジスティクスの専門家、コーチ、軍曹または将軍、警察署長などの第三者は、モニタされている1人以上のユーザの行動を決定するために、データポイントまたは読み出されたデータを使用することができる場合がある。例えば、第三者は、データポイントまたは読み出されたデータを使用して、1人以上のモニタ対象ユーザAの移動の戦略を立てたり、1人以上のモニタ対象ユーザAを現場から撤退させたりすることなどが可能になる。
【0027】
EEGヘッドアクセサリー12は、任意の数の構成をとることができる。本発明の例示的な一実施形態では、EEGヘッドアクセサリー12は、ポリマー電極を支持することができるヘッドバンドまたはストッキングのような可撓性基材を備える。EEGヘッドアクセサリー12は、人間の皮膚の機械的特性を模倣した材料から製造することができる。EEGヘッドアクセサリー12は、ヘルメットのような他のデバイスに動作可能に結合、または一体化することもできる。本発明の電極14は、EEGヘッドアクセサリー12とは別に、被験者に配置するか、被験者または使用者Aが着用する他の衣服または器具(例えば、被験者またはユーザの帽子、ストッキングキャップ、ヘルメット、ヘッドフォン、メガネ、ヘッドスカーフなど)に組み込んで使用することもできる。
【0028】
本発明の重要な側面は、新規なセンサまたはセンサアセンブリ14である。図2A~2Cは、センサ14を作製/製造する例示的な方法またはプロセスを示している。図2Aに図示されているように、1つ以上のセンサ14は、支持層16および導電層18を備えるセンサ床15を作成することによって製造することができる。導電層18は、ポリジメチルシロキサン(「PDMS」)中に埋め込まれた銀ナノワイヤの組成物のようなEEG導電材料を含み、堆積または形成される。次に、PDMSの支持層16が導電層18上に堆積され、大型の単一の新規なセンサ電極床15が形成される。このユニークな構成とプロセスは、ほぼすべての環境(例えば、座っている、歩いている、走っている、口論や戦闘)で使用するために、迅速にセットアップすることができ、高い信号品質を有し、かつ高いモーションアーチファクトの除去を含む。支持層は、第1の表面27aと第2の表面27bを備える。
【0029】
図2Bに図示されているように、大型センサまたは床15は、当業者に公知の任意の切断または分割方法を用いて、個々のセンサ14に分割または分離することができる。センサ14は、任意のサイズ、形状または構成に分割することができ、臨床医、第三者、および/またはモニタされるユーザのニーズにのみ依存する。
【0030】
図2Cを参照すると、センサ14は、圧縮部材22(例えば、発泡体、ゴムなど)などの別の材料の上に折り畳むことができる。この実施形態では、PDMS層16は、導電層18が少なくとも2つの側面で外向きとなるように、圧縮部材22に対して配置される。Cとして示された側面の一方は、ユーザの頭部に対して配置可能であり、Dと表示された側面は、任意の回路を含むヘッドアクセサリー12に対して配置可能である。
【0031】
別の例示的な実施形態では、図2Dの上面図に図示されているように、電極14は、圧縮部材22に固定されるか、または着脱可能に結合され、電極14は、ユーザの頭部に接触できるように圧縮部材22を越えて延びている。圧縮部材22は、ヘッドアクセサリー12に結合(固定または着脱可能)することができる。
【0032】
これらのセンサ14とその製造方法の利点は、一般に、対向する導電層18に結合され、PDMs層16を通って延びるワイヤまたは接続部がないことである。これにより、欠陥の可能性のある領域を減らしながら、製造効率が大幅に向上する。
【0033】
本発明の別の例示的な実施形態では、支持層16に加えて、またはその代わりに、回路基板17をヘッドアクセサリー12に接着または結合して、本発明の様々な電極14の構成を支持することができる。回路基板17は、一般に平面であり、ヘッドアクセサリー12と外形が合うように一般に可撓性を有することができる。回路基板は、一般に可撓性であると説明されているが、一般に剛性であってもよく、またそれらの組み合わせであってもよい。
【0034】
図1Aに戻って参照すると、例示的な実施形態では、ヘッドアクセサリーまたはアセンブリ12は、ローカルユーザのEEGおよび非EEGデータを保存できるストレージ24を含む。ストレージ24は、ハードドライブ、フラッシュドライブ、RAMなど、任意の既知の記憶装置を備えることができる。本発明はまた、Wi-Fi、Bluetooth、またはセルラータワー50を介して、EEGデータおよび/または非EEGデータのリアルタイムストリーミングを提供できるEEGヘッドアクセサリーまたはアセンブリ12を備える(図1B参照)。通信は、インターネットに直接行うこともでき、またユーザの携帯電話などの遠隔アプリケーションデバイス20に行うこともできる。
【0035】
別の例示的な実施形態では、支持層16は、電極14によって、あるいは支持層16内またはEEGヘッドアクセサリーまたはアセンブリ12と通信可能なヘルメットなどのシェルまたはカバー内のいずれかに組み込まれた他のセンサ(例えば、カメラ、体温計、脈拍数または心拍数センサ)によって生成されたEEGデータまたは非EEGデータを保存するための電子回路を含むか、または備えることができる。
【0036】
EEGデータおよび/または非EEGデータを送信するために、支持層16は、データを遠隔アプリケーションデバイス20に無線送信することができる無線トランスミッタEを備える、組み込む、保持する、または格納することができ、無線トランスミッタEは、次に、データまたは結果をデータプラットフォーム30、または図面において一般に文字Fとして示される任意の他のデータ記憶装置に送信することができる。データプラットフォーム30は、支持層16および/または遠隔アプリケーションデバイス20に動作可能に結合されるか、またはこれと動作可能に通信するハードドライブディスク、スティック、モジュール、またはチップを備えることができる。データ保存装置Eは、データを保存できる任意の電子回路を備える。この実施形態では、記憶装置Fは、支持層16に直接接続されるか、あるいは支持層16またはアセンブリ12まで非常に短い距離内にあることが要求される場合がある。EEGデータまたは非EEGデータが不正にキャプチャされる可能性を減らすために、距離の要件または制限をシステムに実装することができる。
【0037】
本発明のシステムは、ユーザAとEEGヘッドアクセサリー12との間のやりとりを容易にするために、携帯電話ソフトウェアアプリケーションなどの対話型モジュールまたはアプリケーション31を含むこともできる。対話型モジュールまたはアプリケーション31を通じて、ユーザAは、デバイス20の電源をオン/オフすることができ、各コンポーネントの制御状態(例えば、インピーダンスおよび/または各センサ電極の接続(リードオフセンシング)(後述))をモニタすることができ、さらにEEGヘッドアクセサリー12から(例えば、ヘッドバンドの基板層16からモバイルデバイス20へ)EEGデータおよび/または非EEGデータの配布をストリーミングまたは制御することができる。
【0038】
モニタユーザBは、医師、戦略アナリスト、精神科医、マーケティングアナリスト、臨床医、第三者などを含むが、これらに限定されない任意の人物であり得る。また、複数のモニタユーザBが存在してもよく、各モニタユーザBはシステム10の1つ以上の機能を制御することができる。例えば、EEGヘッドアクセサリー、器具、またはアセンブリ12を装着している被験者ユーザAは、システム10の1つ以上のコンポーネントをオンにしたり、または修理することができる場合がある。モニタユーザBは、EEGヘッドアクセサリーまたは器具12を装着した被験者ユーザAを治療する目的で、生のEEGデータおよび/または非EEGデータ、または出力されたデータポイントのいずれかを受信できる臨床医を含むこともできる。その他の用途およびユーザについて、以下に詳述する。
【0039】
これから明らかになるように、本発明は、対話型モジュールまたはアプリケーション31上で、あるいはデータ分析および/または制御または操作を受信、および可能にすることができる任意の装置上で、EEGデータおよび/または非EEGデータのデータ処理をリアルタイムで実行することができる。対話型モジュールまたはアプリケーション31は、静的または動的であることができる。例えば、対話型モジュール31は、低遅延が要求される場合、スマートフォン(遠隔アプリケーションデバイス20など)上のアプリケーションを備えることができる。その後、スマートフォンまたは遠隔アプリケーションデバイス20は、EEGデータまたは非EEGデータをデータプラットフォーム30に送信するゲートウェイとして機能することができる。 遠隔アプリケーションデバイスまたはスマートフォン20は、遠隔アプリケーションデバイス/スマートフォン20上、またはデータプラットフォーム30上で計算されたEEGの傾向または結果について、被験者ユーザAまたはモニタユーザBにフィードバックまたは通知を提供することもできる。 対話型モジュールまたはアプリケーション31は、睡眠/覚醒状態、疲労状態、意識状態、不安レベル、脳損傷、平衡状態、または脳の障害または異常を含むがこれらに限定されない、被験者ユーザAまたはモニタユーザBの任意のEEGモニタパラメータまたは出力データポイントを警告することができる。
【0040】
上述したように、データプラットフォーム30は、1人以上の被験者ユーザAから収集されたEEGデータまたは非EEGデータ、および任意の決定または定式化されたデータポイント(総称して「機密データ」)を管理するためのサーバベースの安全なシステムとすることができる。機密データは、被験者ユーザAごとに1つ以上のアカウントに分離され得る。これにより、機密データのセキュリティが向上すると同時に、HIPAA などの医療要件へのコンプライアンスも確保される。
【0041】
EEGデータは、データプラットフォーム30に保存される生のEEGデータとして収集することができる。データプラットフォーム30は、時間-周波数スペクトル分析を含む多くの分析または処理を可能にする1つ以上のアルゴリズムを含み、被験者ユーザAまたは介護者に分析を提供する。被験者ユーザAは、遠隔アプリケーションデバイス20を介して、EEGデータ、非EEGデータ、または出力にアクセスすることができる。代替的に、またはそれに加えて、EEGデータ、非EEGデータ、または出力は、介護者、研究者、分析者、またはその他の第三者モニタユーザBによって、第三者またはプロバイダポータル40を介してアクセスされ得る。第三者ユーザは、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、タブレット、スマートフォン、スマートウォッチなどを備えるプロバイダポータル40を通じて、複数のユーザのEEGデータ、非EEGデータ、および/または出力を入手し、検査することができる。さらに、EEGデータ、非EEGデータ、および/または出力を非特定化し、より大きなデータセット、機械学習、またはAIアルゴリズムとともに処理して、代替パターンまたは関係を見つけることができる。EEGデータ、非EEGデータ、および/または出力は、以下に示す方法またはステップを使用して、後で、またはリアルタイムで同期され得る。
【0042】
シールド付きポリマー電極およびクラムシェルコネクタ
本発明は、被験者ユーザAがEEGヘッドアクセサリー12の電極14を簡単かつ迅速に交換できるという新規な利点も有する。本発明の電極14は、現場にいる間に迅速に交換できるので、モニタユーザBは、すべての被験者ユーザAからリアルタイムのEEGデータと非EEGデータを受信し続けることができる。
【0043】
1つの例示的な実施形態では、PDMS16+銀ナノワイヤ18の複数の交互層が採用され、損傷または汚れる可能性のある外層を現場のユーザが除去できるように、相互に取り外し可能である。異なる層は、任意の締結手段または機構によって接続、結合、接着することができる。例えば、交互の電極層の間に接着剤を配置することができる。
【0044】
図2Cに図示されているように、電極14がヘッドバンド12の発泡体または圧縮部材22の周囲に巻き付けられると、電極14の銀ナノワイヤまたは導電層18は、被験者ユーザAの接触面Cと、ヘッドギアまたはヘッドバンド12の接触面Dの少なくとも2つの面を備える。被験者ユーザAの接触面Cは、EEG信号を受信するためにユーザAの皮膚に接触する。ヘッドギア12の接触面Dは、ヘッドギアまたはヘッドバンド12の一部に接続されている、または組み込まれている金属片などの導電性部材またはストリップ32に接触することができる。導電性部材またはストリップ32は、ヘルメットまたは他のヘッドギア12の内面の周囲に延在することができる。このようにして、導電性部材またはストリップ32は、発泡体または圧縮部材22の周りにそれぞれ巻き付けられたシステム10の少なくとも各電極14を相互接続する。これにより、電極14間にワイヤを相互接続する必要がなくなる。
【0045】
図2Dに図示されているように、本発明の別の例示的な実施形態では、各電極14は、電極14に何らかの構造を提供する、それ自身の裏打ち、または他の支持部材23を有する。裏打ちまたは支持部材23は、ヘッドバンド12、支持層16、または回路基板17の発泡体またはゴム材料のような圧縮材料22などの任意の材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、電極14は、上述したのと同様の方法で裏打ちまたは支持部材23の周囲に折り畳むことができる。このようにして、裏打ちまたは支持部材23をヘッドバンドまたはヘッドギア12に接続することができる。任意のタイプの接続機構またはデバイスを使用できる。例えば、接着剤、スナップ、面ファスナ、磁石などである。
【0046】
電極カプラ
本発明の別の例示的な実施形態では、上述し、また図2Eに図示されているように、電極14は、カバーまたは支持体25によって分離され、新しい電極導電層18bを露出させることができる1つ以上の導電層18aを有し、現場でシステムを交換または修理できることは、本発明の1つの重要な側面である。電極の寿命は有限であるため、現場では初心者ユーザが電極を交換する必要がある。このように、本発明は、初心者ユーザが欠陥または汚れのある電極14を交換することを可能にする。
【0047】
1つの例示的な実施形態では、図4図5に図示されているように、システム10は、ヘッドバンド部材12に結合または取り付けられた1つ以上の電極カプラまたはハウジング34を備える。電極カプラ34は、ベース部35bにヒンジ止めされた蓋部35aを有するクラムシェル構成を備えることができる。蓋部35aは、蓋部35aとベース部35bとの間に配置された電極14の上に閉じるように構成されている。蓋部35aは、電極14を、電極カプラ34のベース部35b内に配置された電気コネクタ、または電極センサ接点36内に圧縮するように構成することができ、それによって回路への高い電気伝導性を維持し、確実な機械的嵌合も提供する。図4は、そのような電極カプラまたはコネクタ34の図を示している。見てわかるように、この例示的な実施形態では、1つのコネクタ34内に複数のセンサ接点36を備える。電極カプラ34のベース部35bのセンサ接点36は、ヘッドバンド部材またはヘッドギア12の一部に結合、または配置されたワイヤまたは他の導電性材料と動作可能に通信することができる。特に図5に示されているように、支持層16または圧縮材料22は必須ではないが、支持と安心を提供するために含めることができる。
【0048】
図5に図示されているように、電極カプラ34のセンサ接点36は、電極カプラ34のベース部35bの表面のわずかに上に位置することができる。電極カプラ34およびセンサ接点36は、センサ接点36が電極カプラ34のベース部35bの内外に少なくとも部分的に移動できるように、付勢またはバネ作用を有するように製造することができる。1つの実施形態では、ポリマー電極14の少なくとも一部は、電極カプラ34の蓋部35aとベース部35bの間に供給されるか、またはそれらの間に配置される。蓋部またはカバー35aは、電極14の少なくとも一部を覆って閉じる、あるいはラッチする。特に図5に示されているように、蓋またはカバー35aに圧力を加えると、蓋またはカバー35aがポリマー軟質電極14を圧縮し、センサ接点36との電気的接続を維持する。
【0049】
本発明の別の例示的な実施形態では、図6A~6Cに図示されているように、全ての電極14を同時に容易に交換できる、一体型または概ね一体型の電極カプラ32が提供される。一体型電極カプラ32は、支持層16、接続部材23などを含むことができる、概ね平面状の支持部材を備える。電極14は、カプラ32に結合されるか、カプラ32上に、またはカプラ32内に埋め込まれ、それにより、すべての電極14は、カプラ32を交換することにより容易に交換することができる。
【0050】
別の例示的な実施形態では、電極14は、カプラ34に固定されるのではなく、結合されることができる。図6A.1に図示されているように、電極14は、カプラ32の接触センサ36に着脱可能に接着されることを可能にするために、電極14の表面の少なくとも1つに導電性接着剤層(支持体またはカバー25の有無にかかわらず)のようなファスナ38を含み、カプラ32は、ヘッドバンド部材またはヘッドギア12の一部に結合され得る。
【0051】
別の例示的な実施形態では、カプラ32は、接触センサ36またはヘッドバンド12の他のタイプの導電性部材と接触することができる。カプラ32がヘッドバンド部材またはヘッドギア12に結合されると、電極14上の導電性部品とセンサ接点36がヘッドギア12を介して信号を送信することができ、それによりEEG信号が電極14から電極カプラ32に送信される。電極カプラ32は、ヘッドバンドまたはヘッドアクセサリー12の機能を可能にする他の電子回路を備えることができる。電極カプラ32は、リソグラフィまたは同様の製造プロセスによって製造することができる。
【0052】
別の実施形態では、図7Aおよび図7Bに図示されているように、電極14およびヘッドバンド部材またはヘッドギア12のいずれか一方または両方が、ヘッドバンド部材またはヘッドギア12への磁石結合を可能にする磁石部材41aおよび41bを有する。他の実施形態と同様に、電極14がヘッドバンド部材またはヘッドギア12に配置されるか、または磁気的に結合されると、電極14上または電極14内の導電性材料は、ヘッドバンド部材またはヘッドギア12またはその別の部分のセンサ接点36に結合または嵌合する。磁石部材41aまたは41bは、EEGデータおよび/または非EEGデータの導体として機能するように、導電性材料を含むように封入または製造され得る。折り畳まれた電極14の内部には、導電性または非導電性の磁石部材41aまたは41bを配置することもできる。
【0053】
シールドポリマー電極
本発明のシステム10は、特定の状況下で使用するために完全シールド電極14も備えている。図7Cに図示されているように、シールド電極14は、電極14の裏面に二次グランド層または部材42を備えている。二次グランド層または部材42は、電極14の少なくとも一部、または外部または外面全体に沿ってシールドするように構成され、すべての電極14およびトレースを外部の無線周波数(「RF」)エネルギーからシールドする。グランドまたはアクティブに駆動されるバイアスに接続すると、バイオセンシングシステム(EEG、ECGなど)に可能な限り最高レベルのシールドが提供され、現在市販されている電極で利用できる以上のものとなる。1つの例示的な実施形態では、PDMsまたは他の支持層16が、電極14の導電層18とグランド層42との間に配置され得る。
【0054】
図6Bおよび図6Cは、裏面に導電層18を備え得るシールド層または部材を含む多層電極を備えるシステム10のマルチチャンネル電極14の図を示す。上述したように、別のシールド層または部材18は、2つの導電層18を接続するグラウンド接続またはビア42を用いて、ナノワイヤの層または導電層18の上面に接続または結合され得る。この構成により、完全シールド電極14が得られた。あるいは、電極カプラ32を利用する場合、電極カプラ32の上部を導電性にしてグランド層または部材に接続し、カプラ32の必要性をなくしたり、または製造プロセスを簡略化することも可能である。あるいは、グランド層または部材をPDMSで覆って、そのグランド層または部材を周囲から電気的に絶縁することもできる。グラウンド層は、導電層18の層を含んでもよい。他の材料も使用され得る。
【0055】
図7Cに図示されているように、本発明の別のシールド電極14が示されている。このシールド電極14は、カプラ32またはグラウンド接続42を含まない。代わりに、蓋またはカバー部35aまたはベース部35bのいずれかに導電層19を備える新規な電極カプラ34がシールド層または部材18に接触する。この構成により、電極カプラまたはコネクタ34内に高い電気的導電性と機械的堅牢性を提供しながら、電極14の製造プロセスが最小化および/または簡略化される。あるいは、電気センサ接点36または一連の電気センサ接点36を、カプラまたはコネクタ34の蓋またはカバー部35aに採用することもできる。電気接点は、任意の方向に伸びることができ、任意の構成を有することができる。
【0056】
図8に図示されているように、本発明のシステム10は、取り外し可能または交換可能なプラグイン電極14も含む。プラグイン電極14の本体は、一般に平面状またはクラム形状である電極カプラハウジング34を有することを含む、上記の構成のいずれかを備えることができる。電極カプラハウジング34は、雄プラグまたは雌ソケットのいずれかを備えるコネクタ56を有するように構成される。ヘッドバンド部材またはヘッドギアアクセサリー12は、電極カプラハウジング34の雄または雌部分と嵌合するように構成された対応する雄プラグまたは雌ソケットを含むことができる。電極カプラハウジング34は、シールドされるか、または選択的に開閉することもできる。電極14のこの構成により、例えばアップルのライトニングコネクタまたはマイクロUSBコネクタに類似した、より剛性が高く、より伝統的なコネクタのフォームファクタを電極14とシステム10に統合することができる。この構成により、ユーザAは、単に不良電極14を抜いて、新しい電極14を差し込むだけで、欠陥のある、または磨耗した電極14を修理することができる。このようにして、永久的な終端が電極14に組み込まれ、ヘッドバンドまたはヘッドギア12の電極14を交換するときに、完全なアセンブリが廃棄される。
【0057】
電極カプラ34は、電極14の高さを最小にするために裏側に折り畳むことができるような、電極14からの可撓性の尾部を含む、様々な方法で構成できることに留意されたい。シールドされた3D電極14のセンサ接点36などの他の追加の特徴も、この構成に含めることができる。
【0058】
図9Aおよび図9Bに図示されているように、ヘッドアクセサリー12は、一般に柔らかいが保護可能なヘッドバンドを備える。特に図9Bに示されているように、ヘッドバンド12は、ヘッドバンド12の後部内面に配置されたパッド部材21を含むことができる。パッド部材21は、ユーザAの頭部の後部に配置可能である。アジャスター23は、パッド部材21に動作可能に結合され、ヘッドバンド12を通って延在し、ヘッドバンド12に対するパッド部材21の移動を可能にする。このようにして、ユーザAは、ヘッドバンド12を自分の頭に合うように調節することができる。
【0059】
図9C図9Eを参照すると、例示的な電極14の実施形態が示されている。各図は、図9Bの線に沿った断面図であるが、異なる電極の構成を示している。図9Cは、磁石部材41によって一緒に保持されたPDMs層16(オプションの場合がある)を有する2つの別個の導電層18を示しており、これら全てがヘッドバンド12の圧縮材料22の開口内に配置されている。磁石部材41は、電極14を開口内に、コネクタ部材37のセンサ接点36に対向して保持する。
【0060】
図9Dは、図9Cと同様の電極14-ヘッドバンド12の構成を示すが、導電層18のそれぞれに結合され、PDMs層16を通って延びる導電ブリッジ33を含む。導電ブリッジ33の目的は、ユーザの頭部に対向する導電層18が、センサ接点36に近接する内側の導電層18にEEG信号を送信できるようにすることである。図9Eは、上述した折り畳み電極14の構成と同様である。図18は、ヘッドバンド12に組み込まれた追加の非EEGセンサ15を示している。
【0061】
例示的なアプリケーション
個人の健康モニタリング
本発明のシステムおよび方法10は、(後述するように)個人またはグループの健康をモニタリングするのに使用することができる。精神的健康、行動的健康、身体的健康を含むがこれに限定されない、健康のあらゆる側面をモニタすることができる。例えば、患者ユーザまたは被験者ユーザAのモニタリングおよび/または治療において、特に、個人レベルまたはグループレベルで、不安または抑うつなどの精神的健康状態を測定し傾向付けることができる、神経回路計算に基づく精密バイオマーカを同定するために使用することができる。システムおよび方法10は、メンタルヘルス臨床医Bおよび患者ユーザに、体温をインフルエンザ患者のモニタリング尺度として利用する方法や、血圧を心不全患者のモニタリングバイオマーカーとして利用する方法と同様に、治療の進行または後退を示すために、定量化および経時的な傾向を示すことができる、EEGデータ、非EEGデータ、または出力データポイントを提供する。
【0062】
本発明の1つの例示的な実施形態では、不安および抑うつなどの精神的健康状態は、ゲーム化されたアルゴリズムまたはアプリケーション31と、付随するEEG測定値を利用して測定し、傾向付けることができる。ゲーム化されたアルゴリズム31は、不安、抑うつ、または測定もしくはモニタしたい精神的健康状態の神経相関を検出、測定、決定するための、単純な意思決定ゲーム、アプリケーション、またはプロセスを必要とする。
【0063】
本発明のシステムおよび方法10は、ゲーム化されたアルゴリズムまたは意思決定ゲーム31を、遠隔アプリケーションデバイス20、またはモニタ付きコンピュータ、テレビ、スマートフォンなどの、表示可能なモニタまたは画面を有する任意の装置に組み込むことができる。ゲーム化されたアルゴリズムまたは意思決定ゲームソフトウェア31は、患者ユーザAによって制御されるアバターを有することを含む、多くの形態をとることができる。患者ユーザAは、アバターを制御して、例えばベリー畑のベリーなど、食物を採集する。ベリーの総収集量という形で全体的な報酬を最大化するために、患者ユーザAは、供給量が減少するにつれて、別のベリー畑に移動するコストと「潜在的利益」を対比して、現在の畑にわずかに残っているベリーを集めるために留まるという「パッチリーブ」の決定をしなければならない。個人の採餌戦略はほぼ最適であったが、限界値の定理のような規範モデルで規定されるように、パッチリーブの決定における個人差は、根底にある脳の状態を示していることが判明している。判明したことは、ストレス要因によって一時的に不安レベルが高くなった人は、ベリー畑での滞在が規定の時間より短かいということである。しかし、慢性的に高いレベルの不安を抱えている人(臨床的不安や抑うつの前兆である特性不安として運用される)は、規定の時間よりも多くの時間を費やした。したがって、ゲーム行動およびゲーム化されたアルゴリズムまたは意思決定ゲーム31は、一時的な不安(一般に持続時間が短く、一般にPTSDのような有害なイベントまたは状況によって引き起こされる)と、特性不安(一般に人の性格の特性であると考えられている)とを区別することができる。
【0064】
本発明のシステムおよび方法10を用いない、従来のゲーム化されたアルゴリズムセッションでは、特性不安を有する個人を約60%の精度で識別することができる。しかし、ゲーム化されたアルゴリズムまたは意思決定ゲーム31を、高品質のソース局在EEG信号を提供する本発明のシステムおよび方法10と組み合わせると、精度は約85%に向上する。本発明のシステムおよび方法10は、EEG周波数コンテンツおよび信号パワーを使用して、ゲーム化されたアルゴリズムまたは意思決定ゲームソフトウェア31中に患者ユーザAを測定し、その測定値を、不安または抑うつの亜臨床レベルおよび臨床レベルの人からの既知のテンプレートと比較することができる。不安と抑うつについて述べてきたが、いかなる精神的健康状態も本発明の主旨および範囲内にあることを理解されたい。
【0065】
別の新規なアプローチは、本発明のシステムおよび方法10を用いて被験者ユーザAを一定期間モニタし、アルツハイマー病に関連する神経変化を検出することである。このようにして、臨床医ユーザBは、被験者ユーザAにとって最も有益となる治療および治療計画をカスタマイズすることができる。
【0066】
使用時、携帯電話やスマートフォンなどの遠隔アプリケーションデバイス20上に採集/限界値最適化ゲームを実装することにより、アルゴリズムを上記のアーキテクチャに実装することができる。不安など、あらゆる精神的健康状態の測定値を提供するために、システムは以下の方法で利用されるように構成される:
1. 被験者ユーザAは、EEGヘッドアクセサリー12(例えば、電極を有するヘッドバンド)を頭部に置き、EEGヘッドアクセサリー12を作動させる遠隔アプリケーションデバイス20上でプログラムを開始する。代替的に、または追加的に、EEGヘッドアクセサリー12は電源スイッチまたは制御装置を含んでもよい。
2. プログラムでは、被験者ユーザAは、ゲーム化されたアルゴリズムまたは意思決定ゲーム31を開始することによって、精神的健康または不安の測定を開始することができる。
3. 遠隔アプリケーションデバイス20は、ゲーム31が被験者ユーザAによってプレイされている間に収集されたEEGデータを示すために、ゲーム31の開始時にEEGデータにタイムスタンプを付すことができる。タイムスタンプは、心拍センサ、温度センサ、呼吸センサなどの他のセンサからのデータも含むことができる。
4. 被験者ユーザAが遠隔アプリケーションデバイス20で採餌ゲーム31をプレイしている間、EEG電極ヘッドアクセサリー12は被験者ユーザAのEEGデータを測定し、遠隔アプリケーションデバイス20に送信する。
5. 遠隔アプリケーションデバイス20は、生のEEGデータをデータプラットフォーム30に同時または時間的に送る、または送信することができる。
6. 遠隔アプリケーションデバイス20は、非EEGデータと考えられる採餌ゲーム31またはタスクの結果を送る、または送信することもできる。生のEEGデータおよびゲーム31の結果または非EEGデータは、別々に送信することも、組み合わせてデータプラットフォーム30に一緒に送信することもできる。
7. 1つの実施形態では、遠隔アプリケーションデバイス20は、生のEEGデータおよびゲーム31の結果または非EEGデータを比較し、医師などの第三者ユーザBに送信でき、および/または遠隔アプリケーションデバイス20を制御するユーザBに表示できるレポート(モバイルデバイス上のグラフィック表示の形態とすることができる)を作成することもできる。
8. データプラットフォーム30によって受信されたデータ(生のEEGデータおよび/または非EEGデータ)は、後処理することができる。例えば、生のEEGデータをフィルタリングおよび操作して、前帯状皮質およびその他の関連する脳領域の周波数パワースペクトルを測定する。次に、このデータを採餌ゲームのタイミング結果と組み合わせて、ユーザの不安の尺度を作製する。
9. これが測定が最初に実行される場合、または期間内に最初に実行される場合、データプラットフォーム30はデータをベースライン測定として分類する。
10. ユーザのEEGデータが不安テンプレートと一致し、ゲームの結果が、ユーザが各採餌畑に平均より長く滞在したことを示している場合、ユーザAが高い特性不安を有していると指定する結果が生成される。不安テンプレートとの相関結果と、採餌畑内の集団平均時間からの偏差の大きさを組み合わせたスコアを生成することができる。
11. ユーザのEEGデータが不安テンプレートと高度に一致し、ゲームの結果が、ユーザが各採餌畑で集団平均よりも短い滞在をしたことが示された場合、ユーザが状態不安またはストレス不安(例えば、特定の出来事に対する不安反応)を有していると指定する結果が生成される。上述したように、不安テンプレートとの相関と、採餌畑内の集団平均時間からの偏差の大きさを組み合わせたスコアを生成することができる。
12. その後の測定値は、ベースライン測定値と比較され、ユーザAの不安の経時的な傾向を示す。
13. 分析結果および任意の傾向情報は、遠隔アプリケーションデバイス20に保存することができ、および/またはデータプラットフォーム30から遠隔アプリケーションデバイス20およびアプリケーションまたはプログラム31に返送され、被験者ユーザAに表示される。
14. 結果は、臨床医などの第三者ユーザBがリアルタイムで利用できるようにすることもできるし、被験者ユーザAと第三者ユーザBが出会ったときに第三者ユーザBによってアクセスすることもできる。第三者ユーザBは、データプラットフォーム30に接続、またはデータプラットフォーム30と通信しているプロバイダポータル40にアクセスできるモバイルデバイスまたはコンピュータなど、データプラットフォーム30に接続できる任意のデバイス上の結果または出力データポイントにアクセスできる。
【0067】
グループでのモニタリング -同期性
本発明の多くの利点のうちの1つは、個人または個人のグループ、あるいは被験者ユーザをモニタできることである。1つの例では、グループの精神または身体の特定の状態のモニタリングが含まれる。精神状態や精神的健康、行動状態、健康状態など、さまざまな状態を監視することができるが、これらに限定されるものではない。状態のモニタリングは、これから説明するように、さまざまな状況および場面においてチームがどのように機能するかをモニタできるようにするために重要である。本発明のシステムおよび方法は、個人のグループからのEEGデータおよび/または非EEGを同時にモニタし、収集し、同期させることができる。本発明の1つの利点は、システム10が個人のグループの同期性を分析する能力を含むことである。同期性は、複数の人々、ユーザ、または被験者のEEG反応を同時に見ることで、グループダイナミクス、チームワーク、および人間の反応をより適切に伝え、測定できるという考えに基づいている。本発明のシステムおよび方法10は、グループのEEGデータを使用して、刺激に対するグループの反応を決定し理解することができるものであり、この刺激は、写真やビデオなどの画像である可能性があり、また、コンサート、映画、集会、または法執行機関や軍隊が体験するような口論や交戦を含むがこれらに限定されない、グループが一緒に体験しているイベントである可能性もある。本発明のシステムおよび方法は、個人のユーザデータおよびグループデータを使用して、チームワークの度合い、グループおよび個人の疲労度、グループの攻撃性のレベルなど、グループの状態またはグループダイナミクスをモニタすることができる。
【0068】
本発明のシステムおよび方法10は、1つ以上の同期性データポイントを、グループユーザのEEGデータおよび/または非EEGデータと組み合わせて収集し、使用して、ユーザAのグループをモニタ、分析、および制御または助言することができる。同期性データポイントは、時間、動き、地理または位置を含む。本発明は、同期性データポイントを使用して、参加者からのEEGデータと非EEGを同期させ、ビデオを見る、ゲームに参加する、スピーチや他のイベントを見る、口論するなど、特定の刺激に対する個人およびグループの反応を理解することができる。
【0069】
地理的同期性データポイントは、EEGデータおよび/または非EEGデータと組み合わせると、本発明のシステムは、例えば、製造工場内を移動しているとき、または会議または展示会中、または交通渋滞の中を運転しているとき、または戦場を移動しているときなど、刺激の中を移動している個人およびグループユーザの状態をモニタおよび分析することができる。地理的同期性データポイントは、EEGデータおよび非EEGデータと組み合わせると、特定の場所の刺激に対する複数のユーザAの反応を自動的に示すのに役立つ。例えば、以下のような例が含まれる:
・ 特定の製造プロセスまたは活動に対する疲労反応を測定すること;
・ 公道でドライバーの注意散漫を観察し、事故リスクの高い場所を示すこと;または
・ マーケティング展示または会議ブースへの個人の参加を観察すること。
【0070】
図1Bに図示されているように、本発明のシステムおよび方法10は、EEGヘッドアクセサリー12、遠隔アプリケーションデバイス20、またはスマートウォッチや他の地理位置情報デバイスなどのサードパーティのGPSデバイスなどのシステム10の任意のコンポーネントに組み込むことができ、またはそれらと動作可能に通信することができる、セルタワーまたは全地球測位システム「GPS」などの1つ以上の測位システム50を含む。任意のシステム10の装置またはコンポーネントが、測位システムまたはネットワーク50と通信することができる。
【0071】
時間的同期性
図1Bを続けると、本発明のシステムおよび方法10は、遠隔アプリケーションデバイス20、携帯電話、または標準時刻をブロードキャストする他の無線ビーコンを介して複数のEEGを同期させることができる。この例示的な実施形態では、時間的同期データポイントは、各ユーザAのブロードキャスト時間およびクロックと同期させることによって、複数のユーザA間で収集および同期させることができる。時刻同期データポイントは、遠隔アプリケーションデバイス20を介して、またはEEGヘッドアクセサリー12から直接送信され得る。
【0072】
携帯電話ベースの転送を使用して、時間的同期データポイントを確立または収集するためのステップは、以下のとおりである:
1. 遠隔アプリケーションデバイス20が、インターネット、携帯電話、またはgpsネットワーク50から時刻を受信する。
2. オプションとして、EEGヘッドアクセサリー12(例えば、ヘッドバンド)のクロックが、遠隔アプリケーションデバイス装置20のクロックに同期する。
3. EEGデータがEEGヘッドアクセサリー12から収集され、遠隔アプリケーションデバイス20に保存される。データには、インターネットまたはブロードキャストの時間信号に基づいてタイムスタンプを付すことができる。EEGデータとともに定期的に送信されるEEGデータストリーム内に、デジタル時間を織り交ぜることができる。EEGヘッドアクセサリー12と遠隔アプリケーションデバイス20との間のEEGデータ転送の待ち時間が大きすぎるか、または可変である場合、時間的同期データポイントおよび/またはデータのタイムスタンプおよび/またはデータポイントは、EEGヘッドアクセサリー12内で直接行われ得る。
4. タイムスタンプ付きデータおよび時間的同期データポイントは、インターネットを介してデータサーバまたはデータプラットフォーム30に送信することができる。
5. データプラットフォーム30では、複数のユーザAからのデータが非同期的または同期的に収集される。時間情報により、1人以上のユーザまたは第三者ユーザは、EEGデータ信号の個人、グループ、またはサブグループを同期化のために選択することができる。遠隔アプリケーションデバイス20またはデータプラットフォーム30は、EEGデータ信号と任意の非EEG信号(例えば、任意のデータ処理アルゴリズムの応答)を調整し、受信した時間的同期データポイントに基づいてそれらを時間的に結合する。
6. このようにして、複数のユーザAからのデータ同期が簡単かつ自動的に得られる。
【0073】
地理的同期性
上述したシステムおよび方法は、時間、GPS(全地球測位システム)、Wi-Fi位置データ、またはEEGデータおよび非EEGデータとともに利用され、織り込まれる任意のタイプの位置サービスまたはネットワーク50を代わりに使用することによって増強することができる。これにより、データに場所および/またはタイムスタンプが付けられ、場所による自動同期が可能になる。
【0074】
地理的および時間的同期性
本発明のシステムおよび方法10は、地理的および時間的同期データポイントを組み合わせて追加情報を得ることもできる。このようにして、1つ以上の時間および/または1つ以上の場所における個人およびグループのEEGデータ応答を確立することができる。
【0075】
図10に図示されているように、システムおよび方法10は、刺激が発生するであろう複数の時点において、単一のユーザからEEGデータおよび/または非EEGデータ60(例えば、遠隔アプリケーションデバイス20上で相互作用したアプリケーションからの応答)の選択セグメントを取得することができる。モニタユーザBは、データのサブセットおよび1つ以上の場所61を選択することができる。次いで、モニタユーザBは、システム10の有無にかかわらず、到着またはデータのタイムスタンプ62に対してデータを時間的に調整することができる。
【0076】
使用においては、地理的および時間的同期データポイントとEEGデータおよび非EEGデータを組み合わせて、以下のような例示の状況で実装することができる:
・ 従業員が製造シフトの最初に到着して特定のプロセスを行うなど、特定の場所への個人の到着:地理的および時間的同期データポイントをEEGデータと組み合わせることで、疲労またはその他の認知的または感情的反応を経時的に自動的に傾向付けすることができる。
・ 事前に設定された時間と場所で行われるプレゼンテーションを見学する、展示会での個人またはグループ:本発明のシステム10は、プレゼンテーションに対するEEGデータの応答の自動選択を可能にする。
・ 仕事中の疲労または注意散漫の時間: これは、特定の、または船舶や航空機での仕事における疲労または注意散漫の経時的な傾向付けを可能にする。
・ トレーニング 緊急事態に対する反応を観察するために、生徒(例えば、訓練シミュレータ内のパイロット)のEEGデータおよび非EEGデータの反応を観察することができる。時間的同期データポイントは、EEGデータと非EEGデータを組み合わせて、トレーニングによる変化を観察することができる。
・ 運転:特定の地理的位置の道路におけるドライバーの注意散漫。タイムスタンプは、さらに昼夜の時間に基づく注意散漫の判断を可能にする。
【0077】
メディアとの時間的同期
本発明の別の例示的な実施形態では、図22Aに図示されているように、EEGデータおよび非EEGデータを、デバイス上または劇場内に表示されるメディア70の1つと時間的または地理的に同期させることができる。このようにして、観客またはグループAのEEGデータおよび/または非EEGデータ応答を時間的または地理的同期データポイントと同期させ、映画70の魅力または人気をモニタし、興行成績の指標とすることができる。また、システムおよび方法10は、特定のコマーシャル、製品、メディア、パーソナリティなどの魅力を理解するために、ユーザグループAとともに使用することもできる。また、特定のコマーシャルまたは製品が、特定の地域、特定の時間帯、または特定のテレビ番組やスポーツイベントでどの程度成功するかを判断するのにも使える。
【0078】
本発明のシステムおよび方法10は、タイムスタンプ付きデータポイントを確立するために、媒体70の実行時間を利用することができる。この機能により、システム10をユーザAの自宅または遠隔地の映画館で遠隔的に使用することができる。ユーザAには、メディア70を視聴している間にユーザAのEEG応答を読み取ることができるEEGヘッドアクセサリー12を送付または郵送することができる。EEGデータおよび非EEGデータのすべてを世界中のユーザAから収集し、処理のためにデータプラットフォーム30に送信することができる。データプラットフォーム30は、その後、映画およびコマーシャルの製作者、製品製造者、マーケティング会社などが共同して使用できるレポートを生成することができる。本発明のシステムおよび方法10により、これらの第三者ユーザBは、大規模な製造または流通に投資する前に、製品(例えば、映画、コマーシャル、または製品)の潜在的な成功の生理学的見解を得ることができる。
【0079】
本発明は、データプラットフォーム30を使用して、ユーザAのEEGデータおよび非EEGデータを、EEGデータおよび非EEGデータを収集しながら視聴されたメディア70と組み合わせたり、または織り交ぜたりすることができる。第三者ユーザBは、EEGデータ応答と非EEGデータを、メディア70の特定の時点、またはメディア70内で発生した特定のイベントと関連付けることができる。
【0080】
メディアスクリーニングおよび分析
図12Bに図示されているように、本発明のEEGプラットフォームまたはシステム10は、ヘルスケア、産業安全、およびビジネスマーケティングを含む様々な用途に使用することができる。システム10によって収集されたEEGデータは、興奮、関与、注意散漫、および喜びや悲しみなどの肯定的および感情的状態などの、ユーザAの認知情報を直接測定することができる。このため、システムAのEEGデータは、印刷物だけでなく、ビデオやオーディオなどのメディアを体験する人の影響を測定する、より正確で迅速な方法を提供することができる。システムAは、映画上映のような試写テストに関連する貴重なデータを提供することができ、映画または一連の映画シーケンスの影響を公開前に判断することができる。
【0081】
さらに、システム10は、コンピュータソフトウェアから航空機パイロットインターフェース、自動車ドライバーダッシュボードまで、さまざまな用途のユーザインターフェースの開発に利用することができる。システム10のEEG信号および結果データを、経時的に、様々な刺激またはタスクの存在下で測定することにより、システム設計者は、疲労や注意散漫を最小限に抑えるように画面およびインターフェースを最適化することができる。
【0082】
これらすべての用途において、本発明のEEG信号を、心拍数や電気皮膚反応のような他のセンサからのデータと統合し、生理学的認知反応の精度を高めることができる。さらに、視線追跡メガネ、またはコンピュータ、モバイルデバイス、またはテレビの近くに埋め込まれたカメラシステムのいずれかの形態の視線追跡装置72(図12Aを参照)と組み合わせると、目の位置データを使用して、メディア70のどの属性が認知反応を提供するかを判断することができる。例えば、視線追跡データを使用して、ユーザまたは視聴者Aが映画内の特定の製品配置を見ているか否かを把握し、EEGを使用して、これが製品に関連するポジティブな感情を生み出すのか、またはネガティブな感情を生み出すのかを判断することができる。ユーザインターフェースのテストの場合、視線の追跡により、ユーザが特定の機能を選択する前に、どれくらいの時間インターフェースをスキャンするか、または特定のアラートまたは機能が注意散漫を引き起こすか否かを判断することができる。
【0083】
上述したように、システム10のアーキテクチャは、EEGヘッドアクセサリーまたはヘッドバンド12、モバイルアプリケーション31を有する遠隔アプリケーションデバイス20、およびサーバおよび他のモニタリングデバイスを含むデータプラットフォーム30を備える。メディア上映の場合、システム10は、ビデオおよび/またはオーディオ再生を視聴するためのフィルムスクリーン、テレビ、または他のモニタ70を含む。メディアを表示するモニタ70は、EEGヘッドアクセサリー12とインターフェースするモバイルデバイスと同じであり、視線追跡用のカメラもそのデバイス70と一体化されている可能性がある。
【0084】
図12Aに図示されているように、メディアスクリーニングアプリケーションのデータ転送には、インターネットを介してデータプラットフォーム30に送信される前に、遠隔アプリケーションデバイス20内に統合されたすべてのセンサを含まれるが、すべてのセンサが個別にデータプラットフォーム30に情報を送信する場合でも、コンセプトは同様に採用される。
【0085】
本発明のシステム10は、遠隔の従来の劇場上映場所で使用できるように、あるいは、大きなセットアップや設備負担なしに、ユーザの自宅で遠隔的に実行できるように設計されている。ユーザAによってビデオ70が開始され再生されると、生理学的データが収集され、集計と分析のためにデータプラットフォーム30に送信される。さらに、複数の場所にいる複数のユーザA間のデータは集計され、一度の大規模な対面スクリーニングを開催することなく、大量のデータ分析を提供することができる。
【0086】
図12Bは、遠隔ビデオスクリーニング処理のフローチャートを示す。最初のステップ74は、プロデューサーが、メディアを、ユーザAによってダウンロードできるデータプラットフォーム74にロードすることを含む。次のステップ75は、ユーザAがヘッドアクセサリー12を自分の頭部に装着し、それを遠隔アプリケーションデバイス20に接続することを伴う。視線追跡装置72が使用される場合、ステップ76で、ユーザはそれを頭部に装着することができる。次のステップ77では、ユーザAは、視聴するメディアを選択することができる。ステップ78では、遠隔アプリケーションデバイス20がメディアとストリーミングデータを同期させる。オプションとして、ステップ79では、遠隔アプリケーションデバイス20は、視線追跡データを他のデータと同期させることができる。ステップ80では、収集されたすべてのデータは、視聴されているメディアに関してタイムスタンプが付され、分析のためにアルゴリズムプラットフォーム30に送られる。ステップ81では、アルゴリズムプラットフォーム30がデータの分析を実行し、ステップ82では、それを、モニタされている他の個人からのデータと同期させることができる。ステップ83では、傾向および関連するデータポイントがレポートに収集され、ステップ84でモニタユーザBに渡される。
【0087】
特定のEEG信号の偏差を見ることによって、ビデオやメディアスクリーニングから得られる洞察の例には、以下のようなものがある:
・ メディア視聴の最後および全体を通しての全体的な認知的/感情的反応
・ 大きなストレスを引き起こす時点
・ メディア中の視聴者の関与。これは傾向付けされ、メディアと同期した時間プロットとして、または分析プロットとして、コンテンツ制作者に示され得る。このようにして、コンテンツ制作者は、ユーザがメディア/映画/ビデオ中のどの時点でエンゲージメントを失ったかどうかを知ることができる。
・ 全ユーザ間の同期性の度合い。この平均的な反応は、さまざまな時点での認知反応の強さを示している。
・ 同じ時間と場所で同じビデオを視聴しているユーザ間のEEG同期性の度合い。ユーザ間の同期性は、将来の興行収入の有益な予測因子であることが示されている。
・ ビデオの最初から最後までの認知状態と感情状態の違いにより、ユーザ/視聴者間の認知データが正規化される。
・ 性別、年齢、場所などの人口統計によるユーザ/視聴者の反応の分離および分析。これは、データプラットフォームに採用されている人工知能アルゴリズムによって自動的に選択、または強調表示され得る。
・ 代替エンディング、代替オーディオトラック、削除されたシーンなど、さまざまなメディアの変更に対するユーザ/視聴者の反応の分離および分析。
【0088】
上記の処理およびアルゴリズムは、映画のような事前に録画されたビデオ上で実行できるが、この処理およびアルゴリズムは、政治討論や運動会のようなライブストリーミングイベントでも同様にうまく実行できることに注意されたい。
【0089】
プロダクトプレイスメント分析
映画産業やテレビ番組の場合、制作物の収入源は、しばしばプロダクトプレイスメントからの収入である。例としては、ブランドの飲料や食品の使用、自動車や交通機関のブランドの選択、ファッション製品、小売店などである。これらのプレイスメントをよりよく収益化するために、システム10を活用して、さまざまなプレイスメントの価値を示すことができる。
【0090】
図12Cは、本発明のシステム10を用いて製品の価値を測定するためのプロダクトプレイスメントのフローチャートを示す。最初のステップ85は、プロデューサーが、製品を含むメディアを、ユーザAによってダウンロードできるデータプラットフォームにロードすることを含む。次のステップ86は、ユーザAがヘッドアクセサリー12を自分の頭部に装着し、それを遠隔アプリケーションデバイス20に接続することを伴う。視線追跡装置72が使用される場合、ステップ87で、ユーザはそれを頭部に装着することができる。次のステップ88では、ユーザAは、視聴する製品を有するメディアを選択することができる。ステップ89では、遠隔アプリケーションデバイス20がメディアとストリーミングデータを同期させる。オプションとして、ステップ90では、遠隔アプリケーションデバイス20は、視線追跡データを他のデータと同期させることができる。ステップ91では、収集されたすべてのデータは、視聴されている製品を有するメディアに関してタイムスタンプが付され、分析のためにアルゴリズムプラットフォーム30に送られる。ステップ92では、アルゴリズムプラットフォーム30がデータの分析を実行し、ステップ93では、それを、モニタされている他の個人からのデータと同期させることができる。ステップ94では、製品に関する視線追跡やその他のデータがレポートに収集され、ステップ95でモニタユーザBに渡される。
【0091】
EEGおよび視線追跡データを分析することで、プロダクトプレイスメントに関して得られる洞察の例には、以下のようなものがある:
・ 特定のプロダクトプレイスメントを直視した視聴者またはユーザの割合
・ 視聴者またはユーザの目が製品に注がれていた時間の長さ
・ 視聴者またはユーザの目が製品に注がれたときの視聴者またはユーザの認知的および感情的反応(例えば、喜び、悲しみ、注意散漫など)。
・ プロダクトプレイスメントを見るときの、すべての視聴者またはユーザ間の同期性の度合い。この平均的な反応は、各プレイスメントの認知反応の強さを示している。
・ 同じ時間と場所で同じビデオを視聴している視聴者またはユーザ間のEEG同期性の度合い。
・ 性別、年齢、場所などの人口統計によるユーザ/視聴者の反応のサブセット分析。これは、データプラットフォームに採用されている人工知能アルゴリズムによって自動的に選択、または強調表示され得る。
【0092】
上記の分析のすべてが組み合わされて、視聴者が製品に気付いた時間の長さと、その製品についてポジティブに感じた程度を示す、プロダクトプレイスメントの「スコア」を生成する。次いで、これらのスコアは、映画またはメディアコンテンツ内のプロダクトプレイスメントの価値を収益化するために使用され得る。
【0093】
オペレーションモニタリング
図13Aおよび13Bでは、システム10は、タスクを実行している被験者ユーザAをモニタするために利用されている。このセクションでは、被験者ユーザAをオペレータAと呼び、あらゆるプロセス(例えば、製造または工業プラントでの製造作業、民間船や軍用船の船員、またはその他タスクを完了するために人間を必要とする任意の活動)のオペレータを指すことができる。
【0094】
研究では、職場事故の大部分は疲労、注意散漫、および不十分な訓練によって引き起こされることが示されている。本発明のシステムおよび方法10は、無線および高品質のEEG電極14を利用することによって、これらの要因をモニタし、傾向付けることができる。本発明は、リスクのあるエリアを特定するグラフ出力を生成することもできる。本発明のグラフ出力の例には、リスクの最も高いエリア、リスクの最も高い装置または機械、リスクの最も高い時間のヒートマップを作成することが含まれる。システム10は、他に加えて、以下のことを判断することができる:
・ タスクを実行するオペレータが疲労するまでの平均時間;
・ 工場の環境に伴う注意散漫;
・ トレーニングの効果、およびトレーニング後にタスクが十分に習得または暗記できるまでにかかる時間の長さ;および
・ 疲労または化学物質によるオペレータの障害。
【0095】
製造最適化のためのプロセスステップ
図13Cを参照すると、製造最適化に参加する全てのオペレータAは、EEGヘッドバンドまたはヘッドアクセサリー12を装着している。オペレータAは、次に製造プロセスステップ101を実行する。疲労、集中力、注意散漫は、オペレータAが製造ステップを実行するときに経時的に測定され、傾向付けされる102。場合によっては、オペレータAは、個人の状況に合わせてEEGシステム10を較正するために、疲労のベースライン測定値を有する必要があるかもしれない。疲労傾向102は、いつオペレータAが精神的疲労のポイントに達するかを判断するために閾値と比較される。このデータは、その後、人間のオペレータAのためにプロセスステップを最適化するために使用される。再設計の例には以下のものが含まれるが、これらに限定されるものではない:
・ 精神的疲労を制限または軽減するプロセスを再設計する
・ 最適な時間に休憩時間を計画する
・ オペレータとオペレータの能力に最適なプロセスをマッチングする
・ オペレータが過度に疲労してプロセスを実行できないか否かをリアルタイムで判断する
・ オペレータが疲労していたり、または注意散漫になっている場合、安全上重要なプロセスを「ロックアウト」する
・ トレーニングの効果を把握するための、トレーニング後、数日/数週間におけるオペレータの前頭葉活動を傾向付ける
・ 疲労がプロセスの知識によって改善されるか否かを判断するために、数週間にわたって疲労を傾向付ける。
【0096】
収集されたデータは、「ホットスポット」または最も高い疲労を発生させるプロセスを示すために、プラント内で地理的に表示される。これにより、オペレータAの交代をもたらす可能性がある。このようにして、各プロセスは、図13Bに図示されているように、プロセスを実行するオペレータからの傾向とリアルタイムの両方で、疲労スコア100が与えられる。
【0097】
上でより詳細に説明したように、タイムスタンプおよび位置データは、EEGヘッドバンド12またはユーザの遠隔アプリケーションデバイス20または携帯電話からのBluetooth、Wi-Fi、または他の信号からの信号三角測量に基づいて自動的に生成される。
【0098】
接触者の追跡による製造の最適化
上記では、EEGデータに基づいて製造プラント、船舶、またはプロセス内の任意のステップを最適化するために使用される本発明のシステムについて説明した。このシステム10はまた、パンデミックシナリオ中に製造オペレーションを安全に機能させるための一連のセンサおよびモニタを備える。
【0099】
EEGヘッドバンドまたはヘッドギア12が前額部に接触しているため、温度センサなどの非EEGセンサ15をそこに組み込んで、病気の発症を早期に警告するために体温などの作業者またはオペレータAのバイタルをモニタすることができる。これは、他の従業員Aに感染リスクを与える可能性のある従業員Aを特定するために特に重要である。体温の上昇を検出できるため、企業は従業員を迅速に隔離することができる。温度センサAは、屋外で時間を過ごすユーザAの体温の上昇および下降を検知するためにも使用できる。暑い環境では、システム10は、高体温症を迅速に検出でき、寒い環境では、システムは低体温症を迅速に検出できる。ユーザまたは従業員Aは、適切な環境を求めることができる。
【0100】
システム10のヘッドバンド12は、動きおよび活動を測定するための加速度センサ15を含むこともできる。加速度センサ15は、ユーザの動きまたは動きの欠如を測定することができる。これは、患者の動きの有無をモニタしなければならない医療現場では重要である。加速度センサ15は、ユーザAの身体活動を検出および測定することによって、ユーザの健康状態をモニタするためにも使用できる。仕事中の従業員Aの場合、シフト中および一日の間に十分な、あるいはいくらかの身体運動をしているか否かを判断するために使用できる。
【0101】
ヘッドバンド12、携帯電話などのユーザの遠隔アプリケーションデバイス20、または他のセンサ15のいずれかからの信号は、さらに、ユーザAまたはオペレータAの互いの接近を示すために使用することができる。これは、ソーシャルディスタンスを保つのに役立ち、パンデミックウイルスの発生時においては、接触者の追跡を示すために拡張することができる。このシステム10は、感染の可能性がある人々の更新を支援し、健康な労働者がプラント、店舗、またはオフィスのオペレーションを維持できるようにデータを提供し、病気の通知までの時間の短縮をもたらすことができる。
【0102】
ユーザインターフェーステスト
図14を参照すると、システム10は、ユーザインターフェーステストにも使用できる。この用途では、メディアフィルムコンテンツ70を、ソフトウェアや機械操作などのユーザインターフェース104に置き換えて、ユーザAやオペレータの体験を測定し最適化するための分析を収集することができる。これは、リアルタイム評価、または航空機シミュレータのようなシミュレートされた環境内でも実行できる。図14は、システムアーキテクチャの図を示す。上記のメディアスクリーニングアプリケーションと同様に、システムは生理学的データとともに、ユーザインターフェースとのやりとりの記録を収集する。
【0103】
本発明のシステム10は、ユーザAの生理学的データとともに、1つ以上のユーザインターフェースとのやりとりの1つ以上の記録を収集することができる。
【0104】
図15は、本発明のシステム10を用いてユーザインターフェースの価値を測定するためのユーザインターフェーステストのフローチャートを示す。最初のステップ106は、UIデザイナーが、ユーザインターフェースを、ユーザAによってダウンロードできるデータプラットフォームにロードすることを含む。次のステップ107は、ユーザAがヘッドアクセサリー12を自分の頭部に装着し、それを遠隔アプリケーションデバイス20に接続することを伴う。視線追跡装置72が使用される場合、ステップ108で、ユーザAはそれを頭部に装着することができる。次のステップ109では、ユーザAの視線追跡が較正される。ステップ110では、遠隔アプリケーションデバイス20がユーザインターフェースまたはシミュレータを開始し、データがタイムスタンプを付与される、および/または同期される。ステップ111では、ユーザはユーザインターフェースまたはシミュレータの使用を開始し、すべてのデータが同期され、および/またはタイムスタンプを付与される。ステップ112では、収集されたすべてのデータは、ユーザインターフェースまたはシミュレータに関してタイムスタンプが付され、分析のためにアルゴリズムプラットフォーム30に送られる。ステップ113では、アルゴリズムプラットフォーム30がデータの分析を実行し、それをモニタされている他の個人からのデータと同期させることができる。ステップ114では、ユーザインターフェースに関する視線追跡やその他のデータがレポートに収集され、ステップ115でモニタユーザBに渡される。
【0105】
EEGおよび視線追跡データを分析することで、ユーザインターフェースに関して得られる洞察の例には、以下のようなものがある:
・ ユーザインターフェースの様々な領域における注視時間の分布と割合。
・ 特定の機能を実装する前に、ユーザの目がスキャンした時間の長さ。
・ シミュレータで緊急アラームなどのイベントが発生してから、ユーザが反応するまでの時間の長さ。
・ 特定の機能を実行するとき、またはイベントに応答するときの、全てのユーザ間の同期性の度合いと時間の平均分散。
・ ユーザが特定のユーザインターフェース機能に費やした時間の長さの分布および測定。
・ 特定のイベントおよび機能実装に対するユーザの認知的反応。例えば、製品またはインターフェースの使用中のエンゲージメント、注意散漫、ストレスの度合いの測定。
・ 特定のイベントに対するユーザ間の認知反応の同期性
・ 時間および機能活動に伴うユーザの疲労プロファイル。これにより、特定のイベントまたは機能によってもたらされる特定の疲労を測定できるだけでなく、特定のイベントまたはユーザインターフェース操作の認知的負荷の全体的な尺度を提供することができる。
・ 疲労による認知機能障害が起こりやすくなるまで、ユーザ間に時間の配分を提供する。
・ 性別、年齢、場所などの人口統計によるユーザ/視聴者の反応のサブセット分析。これは、データプラットフォームに採用されている人工知能アルゴリズムによって自動的に選択、または強調表示され得る。
・ 過剰な注意散漫またはストレス反応を引き起こす特定の機能の自動的強調表示。
・ 例えば、シミュレータ内での航空機の墜落など、重大なシステム障害を引き起こす可能性のある特定のイベントの自動的強調表示およびセグメント化。
【0106】
軍事用途
上で簡単に述べたように、本発明のシステムおよび方法10は、警察および軍隊での使用に理想的に適している。しかし、軍事用途ではデジタルセキュリティが最も重要であり、無線データ転送はデータセキュリティリスクとなり得る。生物学データが傍受される可能性があるだけでなく、無線転送によって、悪意のある者が安全なネットワークに侵入する経路を作ってしまう可能性がある。このため、機密区画情報施設(SCIF)のような機密情報を扱う多くの軍事施設では、施設内で無線システムを許可することができない。
【0107】
このことは、安全な環境でEEGのような認知ウェアラブルを使用する上で問題となる。オペレータの疲労のモニタリング、状況的なイベントに対する認知反応の測定、および繊細でストレスの多い環境における人間のパフォーマンスの向上などの使用事例は、より困難になる可能性がある。リアルタイムのデータ転送が不可能になるだけでなく、ユーザAは、Bluetoothなどのモバイルデバイスへの無線データリンクを通じて、ウェアラブル機能とやりとりすることができなくなる。このような状況では、データ収集およびデバイス機能のモニタリングのために、別のアーキテクチャが必要となる。本発明のアーキテクチャおよび設計は、システムの使いやすさを維持しながら、これらの課題を克服している。
【0108】
図11に図示されているように、本発明のこの実施形態では、処理またはモバイルデバイス20への無線リンクの代わりに、処理またはモバイル装置20、またはユーザに携帯されるストレージプラットフォームまたはデータ収集装置への有線接続130がある。データ記憶装置は、有線、無線、近距離無線通信によってEEGヘッドアクセサリー12に接続することができる。無線構成では、データ伝送距離は非常に短い(例えば、数インチから1または2フィート)。データの暗号化もデータを保護するのに使用できる。
【0109】
テザー130の代わりに、EEGデータはヘッドバンド12の電子機器にローカルに保存される。データはメモリ内またはフラッシュSDカードなどのリムーバブルデータストレージデバイスに保存できる。この構成では、EEGヘッドアクセサリーまたはヘッドバンド12は、オンボードリアルタイムクロックを含む。クロックデータは、特定のイベントおよび誘発された応答にタイムスタンプを提供するために、記憶装置にローカルに保存されたEEGデータストリームに追加される。
【0110】
リードオフ表示
ヘッドアクセサリー12のような拘束されていない、ローカルストレージEEGデバイスの1つの課題は、デバイス12の動作を開始すること、電源またはバッテリーの状態を監視すること、およびセンサ電極14とユーザAの皮膚との間の接続をモニタリングすることである。システム10は、特定の電極14がユーザAの身体と強く電気的に接触していないときにユーザAに通知するリードオフインジケータを採用している。モバイル無線EEGヘッドアクセサリー12は、ユーザAの頭部にあるため、ユーザAはリードの状態やバッテリーの状態の表示を容易に見ることができない。これらのタイプの電極14のテストプロセスは、無線および/またはテザーシステム10上で実行され、それにより、実行されなかった場合に発生する可能性のある潜在的な悪影響(例えば、セキュリティまたはデータ完全性欠陥)を解決する。
【0111】
これらの制限を克服するため、電極14の状態の表示を提供するために、EEG電極器具またはヘッドバンド12には、一連の視覚的インジケータまたはライト136が採用されている。図16Aおよび16Bに図示されているように、これらのインジケータ136は、様々な構成で配置され得る。例えば、ユーザAが鏡などの反射面でインジケータ136をモニタリングすることにより、リード電極14の状態を見ることができるように、それらを各電極14の反対側に配置するか、または一緒に並べることができる。視覚インジケータ136は、ヘルメット12から下方に延びる小さなバイザー138上の目の上方の、ユーザのヘルメット12上に動作可能に配置することもできる。この構成では、ユーザAは、ヘルメット12に対するライトの位置によって、またはステータスライトの色によって、ステータスを判断することができる。図16Bに図示されているように、視覚インジケータ136は、ユーザAにのみ見えるように、ヘルメット12および/またはバイザー138の内面に配置することができる。
【0112】
あるいは、電極14の断線または低パワーの可聴警告をユーザAに対して発することができる可聴サブシステムが含まれてもよい。可聴警告は、可聴のビープ音または別の音であってもよい。システム10は、例えばバッターの低下または電極14の故障など、異なるステータスを示す異なる音を含む。図16Aに図示されているように、可聴システム140は、ヘッドバンドまたはヘルメット12に組み込むことができるスピーカなどの音声放射デバイスを備える。音声システム140は、システム10の構成要素の状態(例えば、電極の断線)をユーザAに通知するための音声指示記録であってもよい。この可聴システム140は、手動または自動で動作させることができる。システム10の特定のコンポーネントのステータスは、ユーザモニタまたはシステム40を使用してユーザAの位置を特定し、指示された問題を修正する方法をユーザAに助言するか、または不具合を修正するための方法をユーザAに提供することができる機器技術者などの第三者ユーザBに即座に中継することができる。第三者ユーザBには、ユーザAを交戦から呼び戻すと同時に、退却するユーザAに代わる、1人以上の他のユーザAを移動させることができる軍事戦略家を含めることができる。
【0113】
本発明の別の例示的な実施形態では、システム10は、EEG電極器具またはヘッドバンド12の中または上に配置された1つ以上の振動デバイス142またはトランスデューサを含むことができる。振動デバイス142は、各電極14の反対側または近傍に配置することができ、それにより、ユーザは、問題が発生している特定の電極14で振動を感じることができる。振動デバイス142は、ユーザAがその発する振動を感知できる任意の場所に設置することもできる。
【0114】
例示的な実施形態では、図16Bに図示されているように、リストバンドなどの遠隔装置144を、それに組み込まれた1つ以上の振動デバイス142とともに使用することができる。各電極14は、リストバンド上の特定の振動デバイス142に対応することができる。別の例示的な実施形態では、振動デバイス142は、各パターンが特定の電極14または他のシステム10のコンポーネントに関連する、異なるパターンで振動するように構成されている。このようにして、ユーザAは、どの電極14が故障しているかを判断することができる。
【0115】
リストバンド144は、本発明のシステム10の他のコンポーネントと通信する無線トランスミッタおよび/またはレシーバ146を含むことができる。リストバンド144は、ユーザAに通知するためのリードオフ情報のみを受信するように選択的に制限または構成することができる。また、システム10を装着している1人以上のユーザAをモニタしている第三者ユーザBにリードオフ情報を送信するように選択的に構成することもできる。異なる受信状態および送信状態を選択する能力により、システム10はリードオフ情報を制御することができる。
【0116】
EEG電気信号およびリードオフインジケータのステータスを見ることができないと、ユーザAまたはBが調整が必要であることを認識せずに、不十分なデータが記録される状況を生み出しかねない。このような場合、1つの電極14のデータ品質が悪いと、計算中に他の電極を汚染する可能性があり、またアクティブバイアス電極14が接触していない場合には、すべての電極14を汚染する可能性があり、不十分で、最悪の場合には使用できないデータを提供することになる。
【0117】
あるいは、システム10をより堅牢にするために、システム10は、電極14のインピーダンスが閾値を超えたときを感知し、データで示すことができる。この場合、データはリードオフとしてマークされ、その電極14からのデータは計算において無視される。アクティブバイアス電極14の場合、名目上FpZの位置に配置されたシステム10の場合(図3参照)、この電極14の損失は、すべての電極14を汚染する可能性があり、および/または、いかなる信号を抽出することも困難になる可能性がある。
【0118】
図17A図17B、および図3を参照すると、公称電極14構成からのあらゆる変更は、タイムスタンプが付されたデータ内に含まれるため、これらの変更は後続のEEG信号処理中に考慮することができる。アクティブバイアス電極14の故障に対処するために、本発明のシステム10は、故障した電極14を自動的に検出し、バックアップのアクティブバイアス電極14に切り替えるか、またはアクティブバイアス電極14として別の電極14を指定することができる、バックアップ電極14切り替えサブシステムを含む。図16Cに図示されているように、システム10は電子機器内にマルチプレクサ148を含み、アクティブバイアス電極14を別の位置に切り替えることを可能にし、それによって残りの電極14および収集されたデータの完全性を維持する。
システム10は、以下の例のプロセスを実行することができる:
・ ステップ200では、電極14がオフであることが検出される。
・ ステップ201では、システム10はアクティブバイアス電極A1に切り替える。
・ ステップ202では、アクティブバイアス電極A1が切断されていることが検出されると、電極Fp1に切り替える。
・ ステップ203では、電極Fp1が切断されていることが検出されると、システム10は残りの電極を循環する。
・ ステップ204では、電極Fpzが復元されると、システム10はアクティブバイアスを電極Fpzに戻す。
・ ステップ205では、電極Fpzが復元されなければ、何も変更しない。
【0119】
図17Bに図示されているように、システム10はまた、任意の数の電極14および/またはセンサ15およびそれらの構成(すなわち、基準およびコモンモードフィードバックバイアスの位置)を考慮して、フィードバックループを生成および調整することを実行できる。システムは、以下のプロセスを実行することができる:
・ ステップ207では、電極A2がオンであることが検出される。
・ ステップ208では、システム10は電極A1がオンであるか否かを判断する。
・ ステップ209では、ステップ208が「yes」の場合、システム10はVreffを電極A1に切り替える。
・ ステップ210では、ステップ208が「no」の場合、システム10は電極F7およびF8に進む。
・ ステップ211では、電極が検出されなかった場合、システム10はログデートを作成する。
【0120】
本発明を、現在最も実用的で好ましいと考えられる実施形態に関連して説明してきたが、本発明が開示された実施形態に限定されるべきものではないことは、当業者には明らかであろう。本開示の精神および範囲から逸脱することなく、多くの変更および等価なアレンジを行うことができることは、当技術分野の通常の技術者には容易に明らかであろうが、そのような範囲は、すべての等価な構造および製品を包含するように、添付の特許請求の範囲の最も広い解釈が与えられるべきである。さらに、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な例示的な実施形態の特徴または態様を(そのような組み合わせが本明細書に明示的に記載されていなくても)混合して組み合わせることができる。
図1A
図1B
図2A-2C】
図2D
図2E
図3
図4
図5
図6A-6A.1】
図6B
図6C
図7A-7B】
図7C-8】
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図14A
図15
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図18
【国際調査報告】