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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】汎発性膿疱性乾癬を処置する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20240305BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240305BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20240305BHJP
【FI】
A61K39/395 U
A61K39/395 N
A61P17/06
A61P37/02
C07K16/28 ZNA
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553010
(86)(22)【出願日】2022-03-03
(85)【翻訳文提出日】2023-10-27
(86)【国際出願番号】 US2022018627
(87)【国際公開番号】W WO2022187434
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】63/156,600
(32)【優先日】2021-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/178,007
(32)【優先日】2021-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/237,672
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/287,150
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503385923
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】トーマ,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ホール,デヴィッド・ビー
(72)【発明者】
【氏名】ラング,ベンヤミン
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB31
4C085CC22
4C085CC23
4C085EE01
4C085GG02
4C085GG04
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045DA76
4H045EA20
(57)【要約】
本発明は、抗IL-36R抗体を用いた汎発性膿疱性乾癬(GPP)又はGPPの急性期フレアアップの兆候及び症状の処置又は軽減に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者における汎発性膿疱性乾癬(GPP)フレアを処置する方法であって、該方法は、患者に、2回の900mgの静脈内(i.v.)用量の抗IL-36R抗体を投与する工程を含み、ここでの2回目の用量は、初回の用量の2週間後未満に投与される、方法。
【請求項2】
患者におけるGPPを処置する方法であって、該方法は、患者に、2回の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を投与する工程を含み、ここでの2回目の用量は、初回の用量の2週間後未満に投与される、方法。
【請求項3】
患者におけるGPPの急性期フレアアップの兆候及び症状を低減又は軽減する方法であって、該方法は、患者に2回目の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を投与する工程を含み、ここでの2回目の用量は、初回の用量の2週間後未満に投与される、方法。
【請求項4】
GPPの症状の重症度及び期間を減少させる方法であって、該方法は、患者に、2回の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を投与する工程を含み、ここでの2回目の用量は、初回の用量の2週間後未満に投与される、方法。
【請求項5】
GPPに伴う皮膚障害を処置する方法であって、該方法は、患者に、2回の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を投与する工程を含み、ここでの2回目の用量は、初回の用量の2週間後以内に投与される、方法。
【請求項6】
患者におけるGPPフレアの再発を予防する方法であって、該方法は、患者に、2回の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を投与する工程を含み、ここでの2回目の用量は、初回の用量の2週間後未満に投与される、方法。
【請求項7】
GPP患者における疼痛を少なくとも10%減少させる方法であって、該方法は、患者に、2回の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を投与する工程を含み、ここでの2回目の用量は、初回の用量の2週間後未満に投与される、方法。
【請求項8】
中等度から重度のGPP症状を有する患者における生活の質を少なくとも10%改善する方法であって、該方法は、患者に、2回の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を投与する工程を含み、ここでの2回目の用量は、初回の用量の2週間後未満に投与される、方法。
【請求項9】
患者が、2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコアを有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
患者が、2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコア、及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアを有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
患者が、初回の静脈内用量の投与前に、2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコア、及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアを有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
患者が、初回の静脈内用量の投与後に、2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコア、及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアを有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
患者が、初回の静脈内用量の投与前後に、2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコア、及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアを有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
2回目の用量が、初回の用量の1週間後であるが2週間後未満に投与される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
2以上のGPPGA膿疱サブスコアを有するGPP患者を処置する方法であって、該方法は、(a)患者に初回の900mgの静脈内(i.v.)用量の抗IL-36R抗体を投与する工程;(b)患者のGPPGA膿疱サブスコアを評価し、患者の2以上のGPPGA膿疱サブスコアが初回の用量から1週間後にも持続する場合、次いで、患者に2回目の900mg(i.v.)の用量のスペソリマブを、初回の用量から2週間後未満に投与する工程を含む、方法。
【請求項16】
2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコアを有するGPP患者を処置する方法であって、該方法は、(a)患者に、初回の900mgの静脈内(i.v.)用量の抗IL-36R抗体を投与する工程;(b)患者のGPPGA合計スコアを評価し、患者の2以上のGPPGA合計スコアが初回の用量から1週間後にも持続する場合、次いで、患者に2回目の900mg(i.v.)の用量のスペソリマブを、初回の用量から2週間後未満に投与する工程を含む、方法。
【請求項17】
2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコア、及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアを有するGPP患者を処置する方法であって、該方法は、(a)患者に初回の900mgの静脈内(i.v.)用量の抗IL-36R抗体を投与する工程;(b)患者のGPPGAスコアを評価し、患者の2以上のGPPGA合計スコア及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアが初回の用量から1週間後にも持続する場合、次いで、患者に2回目の900mg(i.v.)の用量のスペソリマブを、初回の用量から2週間後未満に投与する工程を含む、方法。
【請求項18】
任意選択の3回目の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体が、2回目の静脈内用量の2~12週間後に投与される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
2用量の投与は、以下:
(a)2回目の静脈内用量の投与後1週間に示される、汎発性膿疱性乾癬に対する全般的評価(GPPGA)の膿疱サブスコアが0;
(b)2回目の静脈内用量の投与後1週間に0又は1のGPPGA合計スコア;及び/又は(c)2回目の静脈内用量の投与後2週目、4週目、6週目、8週目、10週目、又は12週目により低い抗薬物抗体の力価の最大値
の結果の1つ以上を達成する、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
結果が、2回目の静脈内用量の投与後最大及び少なくとも12週間維持される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記方法がさらに、最後の静脈内用量が投与された後に、1回以上の皮下用量で、予防有効量の抗IL-36R抗体を、患者に投与する工程を含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
1回以上の皮下用量の各々が、150mg、225mg、300mg、450mg、又は600mgの前記抗IL-36R抗体を含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
1回、2回、3回以上の皮下用量が患者に投与され、初回の皮下用量は最後の静脈内用量の後に投与される、請求項22記載の方法。
【請求項24】
初回の皮下用量が、最後の静脈内用量の2~8週間後、4~6週間後、2週間後、4週間後、6週間後、又は8週間後、12週間後、16週間後、20週間後に投与され、それに続く皮下用量が、初回の皮下用量後に2、4、6、8、10、又は12週間間隔で投与される、請求項23記載の方法。
【請求項25】
患者が、最後の静脈内又は皮下用量後に少なくとも12、24、36、48、60、又は72週間、0又は1のGPPGA合計スコアによって測定されるような臨床的寛解に留まる、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
抗IL-36R抗体が、a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号35、102、103、104、105、106、又は140のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110、又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
抗IL-36R抗体が、
I.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号102のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、
II.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号103のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、
III.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号104のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、
IV.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号105のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、
V.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号106のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、又は
VI.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号140のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域
を含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
抗IL-36R抗体が、
(i)配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(ii)配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(iii)配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(iv)配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(v)配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(vi)配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(vii)配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(viii)配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(ix)配列番号86のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(x)配列番号86のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
抗IL-36R抗体が、
i.配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号125のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
ii.配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号126のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
iii.配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号127のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
iv.配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号125のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
v.配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号126のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
vi.配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号127のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
vii.配列番号123のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
viii.配列番号123のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号139のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
ix.配列番号124のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖
を含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
抗IL-36R抗体がスペソリマブである、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は配列表を含み、これはEFS-ウェブを介してASCII形式で提出され、これはその全体が参照によりここに組み込まれる。2022年1月31日に作成された前記ASCIIのコピーは、09-0719-WO-1-2022-03-03-SL.txtと命名され、147,456バイトのサイズである。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、汎発性膿疱性乾癬(GPP)患者の処置のための方法及び組成物における抗IL-36R抗体の使用に関する。より具体的には、本発明は、2回の900mgの静脈内(i.v.)用量の抗IL-36R抗体を患者に投与することによる、患者におけるGPP又はGPPフレア(flare)の処置に関し;ここでの2回目の用量は、初回の用量から2週間後未満に投与される。より具体的には、本発明は、1回の900mgの静脈内用量のスペソリマブを患者に投与し、GPPの症状が持続する場合、追加の900mgの静脈内用量を、初回用量から1週間後に投与することによる、患者におけるGPPの処置に関する。
【0003】
背景
GPPは、皮膚及び内臓に影響を与える全身的炎症によって引き起こされる、繰り返し起こる急性フレアによって特徴付けられる重度の皮膚疾患である。急性GPPの古典的症状は初めて、1909年にvon Zumbuschによって再発膿疱型乾癬として記載された。GPP及びプラーク型乾癬は、個々の患者において同時に起こり得るが、GPPは、臨床症状、病態生理学、組織病理学、治療法に対する応答、疫学、及び遺伝学において、プラーク型乾癬とは異なる。
【0004】
それ故、GPPを、続発性膿疱形成を伴うプラーク型乾癬又は乾癬性紅皮症と区別することは非常に重要である。GPPの臨床症状は、その突発性の性質において、尋常性乾癬(PV)とは極めて異なり、非常に急性で重度の疾患フレアの合間には正常な皮膚が出現することが多い。GPPは、典型的なプラーク型乾癬の主要病変を代表する、銀白色の鱗屑で覆われた赤色プラークではなくむしろ、紅斑ベースの上の主要病変としての圧倒的多数の膿疱によって臨床的に特徴付けられる。さらに、GPPの組織病理学的特徴は、表皮の角層下部分に位置する、明瞭なコゴイ海綿状膿疱である。GPPは、全身症状(発熱、C反応性タンパク質上昇、及び好中球増加症)及び重度の皮膚外の臓器の徴候(肝不全、腎不全、CVショック)を伴う場合がある。GPP患者は、既存又は共存の尋常性乾癬を有する場合があるが、一連の徴候(主な病変は、プラークではなくむしろ膿疱)及び乾癬性プラークではなくむしろ紅斑ベース上のGPP膿疱の局在化に基づいて、続発性の膿疱のコンポーネントを有する主にプラーク型の疾患を有する患者(尋常性乾癬)を、プラークのコンポーネントを併発した主に膿疱性の疾患を有する患者(GPP)から臨床的に区別することが可能である。
【0005】
GPPの説明は、標準的な皮膚科の教科書の間で一致していないので、欧州の希少で重度の乾癬専門家ネットワーク(ERASPEN)は、急性GPPの重要な診断基準として、全身性炎症を伴う又は伴わない、プラーク型乾癬を伴う又は伴わない、再発性(1回を超えるエピソード)又は持続性(3か月を超える)のいずれかである、末端ではない皮膚上の原発性で、無菌性で、肉眼で見える膿疱の存在(膿疱が乾癬性プラークに限局されている症例を除く)を含む共通基準を定めた。
【0006】
慢性GPPは、症状の完全な消失によって特徴付けられ得る疾患のフレアの合間の状態、又は紅斑及び鱗屑及び少数の膿疱などの残留する皮膚症状の存続を表す。
【0007】
急性GPP及び皮下応答を制御するための現在の処置選択肢は限定され、持続した有効性を提供しない。米国及び欧州ではGPPのために現在認可された処置は全くないが、レチノイド、シクロスポリン又はメトトレキサートが推奨されている。これらの処置は、患者の70~84%において「顕著に有効又は有効」であると記載されているが(J Am Acad Dermatol. 2012;67(2):279-88)、これらのデータは、明確に定義された評価項目を含まない、日本からの後向きコホート研究に基づく(Japanese Journal of Dermatology. 2010;120(4):815-39)。さらに、これらの処置は、副作用及び禁忌のために長期間使用することができない(レチノイド:催奇形成、脱毛;シクロスポリン:過度の発毛、腎毒性;メトトレキサート:肝毒性)。
【0008】
生物学的製剤(大半はTNF(腫瘍壊死因子)阻害剤、時にIL-1又はIL-17阻害剤)は、少数の公表された症例シリーズに基づいて、より重度であるか、広範であるか、又は処置抵抗性のGPP患者の処置のために使用されることがますます増えている。しかしながら、これらの薬物は、有効性(不完全かつ遅延した応答が頻繁にある)及び安全性並びに禁忌(注入反応、結核、心血管疾患)の限界も伴う。したがって、当技術分野において、GPPの治療及び/又は予防のための新規標的化療法の必要性がある。
【0009】
発明の要約
本発明は、生物学的製剤、特にIL-36Rに結合する抗体を提供することによって、上記の必要性に対処し、急性GPP並びに関連した兆候及び症状、例えばGPPフレアを含む、GPPの治療的又は予防的療法を提供する。
【0010】
1つの態様では、本発明は、2回の900mgの静脈内(i.v.)用量の抗IL-36R抗体を患者に投与することによる、患者におけるGPPの処置に関し;ここでの2回目の用量は、初回の用量の後の2週間後未満に投与される。
【0011】
別の態様では、本発明は、1回の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を患者に投与し、GPPの症状が持続する場合、追加の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を、初回用量の1週間後に投与することによる、患者におけるGPPの処置に関する。
【0012】
1つの態様では、本発明は、患者における汎発性膿疱性乾癬(GPP)フレアを処置する方法に関し、該方法は、2回の900mgの静脈内(i.v.)用量の抗IL-36R抗体を患者に投与する工程を含み;ここでの2回目の用量は、初回の用量後の2週間後未満に投与される。
【0013】
1つの態様では、本発明は、患者におけるGPPを処置する方法に関し、該方法は、2回の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を患者に投与する工程を含み;ここでの二回目の用量は、初回の用量後の2週間後未満に投与される。
【0014】
1つの態様では、本発明は、患者におけるGPPの急性期フレアアップ(flare-up)の兆候及び症状を低減又は軽減する方法に関し;該方法は、2回の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を患者に投与する工程を含み;ここでの2回目の用量は、初回の用量後の2週間後未満に投与される。
【0015】
1つの態様では、本発明は、GPP症状の重症度及び期間を減少する方法に関し、該方法は、2回の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を患者に投与する工程を含み;ここでの2回目の用量は、初回の用量後の2週間後未満に投与される。
【0016】
1つの態様では、本発明は、GPPに伴う皮膚障害を処置する方法に関し、該方法は、2回の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を患者に投与する工程を含み;ここでの2回目の用量は、初回の用量後の2週間後未満に投与される。
【0017】
1つの態様では、本発明は、患者におけるGPPフレアの再発の予防法に関し、該方法は、2回の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を患者に投与する工程を含み;ここでの2回目の用量は、初回の用量後の2週間後未満に投与される。
【0018】
1つの態様では、本発明は、GPP患者において疼痛を少なくとも10%低減する方法に関し、該方法は、2回の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を患者に投与する工程を含み;ここでの2回目の用量は、初回の用量後の2週間後未満に投与される。
【0019】
1つの態様では、本発明は、中等度から重度のGPP症状を有する患者において、生活の質を少なくとも10%改善する方法に関し、該方法は、2回の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を患者に投与する工程を含み;ここでの2回目の用量は、初回の用量後の2週間後未満に投与される。
【0020】
上記のいずれかの態様に関する1つの実施態様では、患者は、2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコアを有する。
【0021】
上記のいずれかの態様に関する1つの実施態様では、患者は、2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコア及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアを有する。
【0022】
上記のいずれかの態様に関する1つの実施態様では、患者は、初回の静脈内用量の投与前に、2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコア及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアを有する。
【0023】
上記のいずれかの態様に関する1つの実施態様では、患者は、初回の静脈内用量の投与後に、2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコア及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアを有する。
【0024】
上記のいずれかの態様に関する1つの実施態様では、患者は、初回の静脈内用量の投与前後に、2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコア及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアを有する。
【0025】
上記のいずれかの態様に関する1つの実施態様では、2回目の用量は、初回の用量から1週間後であるが2週間後未満に投与される。
【0026】
1つの態様では、本発明は、GPPGA膿疱サブスコアが2以上であるGPP患者を処置する方法に関し、該方法は、(a)初回の900mgの静脈内(i.v.)用量の抗IL-36R抗体を患者に投与する工程;(b)患者のGPPGA膿疱サブスコアを評価し、患者の2以上のGPPGA膿疱サブスコアが初回の用量から1週間後にも持続する場合には、次いで、2回目の900mg(i.v.)用量のスペソリマブを、初回の用量から2週間後未満に投与する工程を含む。
【0027】
1つの態様では、本発明は、2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコアを有するGPP患者を処置する方法に関し、該方法は、(a)初回の900mgの静脈内(i.v.)用量の抗IL-36R抗体を患者に投与する工程;(b)患者のGPPGA合計スコアを評価し、患者の2以上のGPPGA合計スコアが初回の用量から1週間後にも持続する場合には、次いで、2回目の900mg(i.v.)用量のスペソリマブを初回の用量から2週間後未満に患者に投与する工程を含む。
【0028】
1つの態様では、本発明は、2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコア及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアを有するGPP患者を処置する方法に関し、該方法は、(a)初回の900mgの静脈内(i.v.)用量の抗IL-36R抗体を患者に投与する工程;(b)患者のGPPGAスコアを評価し、患者の2以上のGPPGA合計スコア及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアが初回の用量から1週間後にも持続する場合には、次いで、2回目の900mg(i.v.)用量のスペソリマブを初回の用量から2週間後未満に患者に投与する工程を含む。
【0029】
上記のいずれかの態様又は実施態様に関する1つの実施態様では、任意選択の3回目の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体が、2回目の静脈内用量から2週間後から12週間後までに投与される。
【0030】
上記のいずれかの態様又は実施態様に関する1つの実施態様では、2用量の投与が、以下の結果の1つ以上を達成する:
(a)2回目の静脈内用量の投与後1週間で示される、汎発性膿疱性乾癬に対する全般的評価(GPPGA)膿疱サブスコアが0;及び/又は
(b)2回目の静脈内用量の投与後1週間で0又は1のGPPGA合計スコア。
【0031】
上記のいずれかの態様又は実施態様に関する1つの実施態様では、結果が、2回目の静脈内用量の投与後最大及び少なくとも12週間維持される。
【0032】
上記のいずれかの態様又は実施態様に関する1つの実施態様では、前記方法は、最後の静脈内用量が投与された後に、1回以上の皮下用量で、予防有効量の抗IL-36R抗体を、患者に投与する工程を含む。
【0033】
上記のいずれかの態様又は実施態様に関する1つの実施態様では、1回以上の皮下用量の各々が、150mg、225mg、300mg、450mg、又は600mgの前記IL-36R抗体を含む。
【0034】
上記のいずれかの態様又は実施態様に関する1つの実施態様では、1回、2回、3回以上の皮下用量が患者に投与され、初回の皮下用量は最後の静脈内用量後に投与される。
【0035】
上記のいずれかの態様又は実施態様に関する1つの実施態様では、初回の皮下用量が、最後の静脈内用量の2~8週間後、4~6週間後、2週間後、4週間後、6週間後、又は8週間後、12週間後、16週間後、20週間後に投与され、それに続く皮下用量が、初回の皮下用量後に2、4、6、8、10、又は12週間間隔で投与される。
【0036】
上記のいずれかの態様又は実施態様に関する1つの実施態様では、患者は、最後の静脈内又は皮下用量後に少なくとも12、24、36、48、60、又は72週間、0又は1のGPPGA合計スコアによって測定されるような臨床的寛解に留まる。
【0037】
上記のいずれかの態様又は実施態様に関する1つの実施態様では、抗IL-36R抗体は、a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号35、102、103、104、105、106、又は140のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110、又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域を含む。
【0038】
上記のいずれかの態様又は実施態様に関する1つの実施態様では、抗IL-36R抗体は、
I.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号102のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域を含む。
II.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号103のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域を含む。
III.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号104のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域を含む。
IV.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号105のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域を含む。
V.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号106のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域を含む。
VI.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号140のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域を含む。
【0039】
上記のいずれかの態様又は実施態様に関する1つの実施態様では、抗IL-36R抗体は、
(i)配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(ii)配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(iii)配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(iv)配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(v)配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(vi)配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(vii)配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(viii)配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(ix)配列番号86のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(x)配列番号86のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む。
【0040】
上記のいずれかの態様又は実施態様に関する1つの実施態様では、抗IL-36R抗体は、
i.配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号125のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
ii.配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号126のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
iii.配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号127のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
iv.配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号125のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
v.配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号126のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
vi.配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号127のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
vii.配列番号123のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
viii.配列番号123のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号139のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
ix.配列番号124のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖
を含む。
【0041】
上記のいずれかの態様又は実施態様に関する1つの実施態様では、抗IL-36R抗体はスペソリマブである。
【0042】
本発明の追加の特色及び利点は、以下の明細書に示され、一部には、明細書から明らかであるか、又は対象の技術の実践によって学習され得る。前記の一般的な説明及び以下の詳細な説明のどちらも、例示的かつ説明的であり、特許請求された本発明のさらなる説明を提供することを目的とすることを理解されたい。
【0043】
本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、かつ本明細書に取り込まれかつその一部を構成する、添付図面は、対象の技術の態様を説明し、明細書と一緒に、本発明の原理を説明するために役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1図1は、実施例1に記載の試験のためのコンソートフロー図を示す。その他による排除は、試験の完了、地球規模での募集目標の達成、及び6か月間のスクリーニング期間内にフレアを呈さなかった患者を含む。†患者は、無作為化処置に盲検化されたが、8日目のオープンラベル用量のスペソリマブには適格であり得た。‡最後のスペソリマブ用量後に16週間の残留期間を完了しなかった患者は、オープンラベル延長試験に参加しなかった。オープンラベル延長試験を継続しなかった患者は、試験中に投与された治験薬の最新の時点(例えば1日目、オープンラベルのスペソリマブが投与される場合8日目、投与される場合オープンラベルのスペソリマブを用いてのレスキュー時)である、治験薬の最後の投薬後、16週間経過観察することになった。OL、オープンラベル;OLE、オープンラベル延長;SoC、標準治療。
図2図2は、実施例1に記載のような試験デザインを示す。2~7日目:エスケープ処置(標準治療)は、治験担当者によって定義されるような、臨床状態又はGPPの皮膚及び/若しくは全身症状の悪化として定義される、疾患の悪化の場合に提供され得る。†8日目以後から12週目まで:1日目にスペソリマブ若しくはプラセボ、又は8日目にエスケープ薬物療法若しくはオープンラベルのスペソリマブのいずれかを用いた初期処置に対して以前に臨床応答(GPPGA 0/1)を達成した患者が、GPPフレアの再発(2ポイント以上のGPPGAスコアの増加及び2以上のGPPGAの膿疱コンポーネント)を経験する場合に、オープンラベルのスペソリマブを用いた1回のみのレスキュー用量が許容される。それに続くフレアは、医師の選択に従って標準治療を用いて処置されるだろう。‡オープンラベルのスペソリマブを用いたレスキュー処置を必要としない患者は、オープンラベル延長試験に入る前に、12週目まで(処置終了時)経過観察される予定である。2週目から6週目の間にオープンラベルのスペソリマブを用いたレスキュー処置を受ける患者は、オープンラベル延長試験に入る前に、12週目まで(処置終了時)経過観察される予定である。12週目に、オープンラベル延長試験に入る資格があれば、これらの患者についての処置終了が考えられるだろう。オープンラベル延長試験に入る資格がない患者は、試験中に投与された治験薬の最新の時点(例えば1日目、オープンラベルのスペソリマブが投与される場合8日目)、投与される場合オープンラベルのスペソリマブを用いてのレスキュー時)である、治験薬の最後の用量後、16週間(処置終了時/16~28週目)経過観察される予定である。EoT、処置終了時;GPP、汎発性膿疱性乾癬;GPPGA、汎発性膿疱性乾癬に対する医師による全般的評価;i.v.、静脈内;OL、オープンラベル、OLE、オープンラベル延長;R、無作為化;SD、1回量;SoC、標準治療。
図3A図3は、一次アウトカム及び主要副次アウトカムを示す。パネルAは、スペソリマブ又はプラセボでの処置から1週間後に、0(完全な膿疱の消失)の汎発性膿疱性乾癬に対する医師による全般的評価(GPPGA)の膿疱サブスコアを示した患者の比率を示す。パネルBは、1回の900mgの静脈内用量のスペソリマブ又はプラセボでの処置から1週間後に、0又は1(消失又はほぼ消失皮膚)の全般的GPPGAスコアを示した患者の比率を示す。CI、信頼区間。
図3B図3は、一次アウトカム及び主要副次アウトカムを示す。パネルAは、スペソリマブ又はプラセボでの処置から1週間後に、0(完全な膿疱の消失)の汎発性膿疱性乾癬に対する医師による全般的評価(GPPGA)の膿疱サブスコアを示した患者の比率を示す。パネルBは、1回の900mgの静脈内用量のスペソリマブ又はプラセボでの処置から1週間後に、0又は1(消失又はほぼ消失皮膚)の全般的GPPGAスコアを示した患者の比率を示す。CI、信頼区間。
図4A図4は、1日目の無作為化処置による、経時的なGPPGA膿疱サブスコアを示す。パネルA及びBは、1回の静脈内用量のプラセボ(パネルA)又は900mgのスペソリマブ(パネルB)をそれぞれ受けた後の、1週目(8日目)及び経時的な、汎発性膿疱性乾癬に対する医師による全般的評価(GPPGA)の膿疱サブスコアごとの、患者の比率を示す。点線は、0のGPPGA膿疱サブスコアを達成した患者の比率を示す。この分析のために、エスケープ薬物療法、又は8日目のオープンラベルのスペソリマブ、又は各時点におけるオープンラベルのスペソリマブを用いたレスキュー薬物療法の任意の使用が、別々に分類された(灰色の棒グラフ)。
図4B図4は、1日目の無作為化処置による、経時的なGPPGA膿疱サブスコアを示す。パネルA及びBは、1回の静脈内用量のプラセボ(パネルA)又は900mgのスペソリマブ(パネルB)をそれぞれ受けた後の、1週目(8日目)及び経時的な、汎発性膿疱性乾癬に対する医師による全般的評価(GPPGA)の膿疱サブスコアごとの、患者の比率を示す。点線は、0のGPPGA膿疱サブスコアを達成した患者の比率を示す。この分析のために、エスケープ薬物療法、又は8日目のオープンラベルのスペソリマブ、又は各時点におけるオープンラベルのスペソリマブを用いたレスキュー薬物療法の任意の使用が、別々に分類された(灰色の棒グラフ)。
図5A図5は、1日目における無作為化処置による経時的なGPPGA合計スコアを示す。パネルA及びBは、1回の静脈内用量のプラセボ(パネルA)又は900mgのスペソリマブ(パネルB)をそれぞれ受けた後、1週目(8日目)及び経時的な、汎発性膿疱性乾癬に対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコアごとの患者の比率を示す。点線は、0又は1のGPPGA合計スコアを達成した患者の比率を示す。この分析のために、エスケープ薬物療法、又は8日目のオープンラベルのスペソリマブ、又は各時点におけるオープンラベルのスペソリマブを用いたレスキュー薬物療法の任意の使用が、別々に分類された(灰色の棒グラフ)。
図5B図5は、1日目における無作為化処置による経時的なGPPGA合計スコアを示す。パネルA及びBは、1回の静脈内用量のプラセボ(パネルA)又は900mgのスペソリマブ(パネルB)をそれぞれ受けた後、1週目(8日目)及び経時的な、汎発性膿疱性乾癬に対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコアごとの患者の比率を示す。点線は、0又は1のGPPGA合計スコアを達成した患者の比率を示す。この分析のために、エスケープ薬物療法、又は8日目のオープンラベルのスペソリマブ、又は各時点におけるオープンラベルのスペソリマブを用いたレスキュー薬物療法の任意の使用が、別々に分類された(灰色の棒グラフ)。
図6A図6は、1日目の無作為化処置、及び8日目のオープンラベルのスペソリマブ処置による、経時的なGPPGA膿疱サブスコアを示す。8日目に、2以上のGPPGA合計スコア、及び2以上の汎発性膿疱性乾癬に対する医師による全般的評価(GPPGA)の膿疱サブスコアを有する患者は、オープンラベルのスペソリマブを受けることができた。ベースラインからのGPPGA膿疱サブスコアが、以下について示された:8日目にオープンラベルのスペソリマブ用量を受けた又は受けていないスペソリマブに無作為化された全ての患者(パネルA);8日目にオープンラベルのスペソリマブ用量を受けなかったスペソリマブに無作為化された患者(パネルB);8日目にオープンラベルのスペソリマブ用量を受けたスペソリマブに無作為化された患者(パネルC);及び、8日目にオープンラベルのスペソリマブ用量を受けたプラセボ(パネルD)。点線は、0のGPPGA膿疱サブスコアを達成した患者の比率を示す。この分析のために、エスケープ薬物療法、又は8日目のオープンラベルのスペソリマブ、又は各時点におけるオープンラベルのスペソリマブを用いたレスキュー薬物療法の任意の使用が、別々に分類された(灰色の棒グラフ)。
図6B図6は、1日目の無作為化処置、及び8日目のオープンラベルのスペソリマブ処置による、経時的なGPPGA膿疱サブスコアを示す。8日目に、2以上のGPPGA合計スコア、及び2以上の汎発性膿疱性乾癬に対する医師による全般的評価(GPPGA)の膿疱サブスコアを有する患者は、オープンラベルのスペソリマブを受けることができた。ベースラインからのGPPGA膿疱サブスコアが、以下について示された:8日目にオープンラベルのスペソリマブ用量を受けた又は受けていないスペソリマブに無作為化された全ての患者(パネルA);8日目にオープンラベルのスペソリマブ用量を受けなかったスペソリマブに無作為化された患者(パネルB);8日目にオープンラベルのスペソリマブ用量を受けたスペソリマブに無作為化された患者(パネルC);及び、8日目にオープンラベルのスペソリマブ用量を受けたプラセボ(パネルD)。点線は、0のGPPGA膿疱サブスコアを達成した患者の比率を示す。この分析のために、エスケープ薬物療法、又は8日目のオープンラベルのスペソリマブ、又は各時点におけるオープンラベルのスペソリマブを用いたレスキュー薬物療法の任意の使用が、別々に分類された(灰色の棒グラフ)。
図6C図6は、1日目の無作為化処置、及び8日目のオープンラベルのスペソリマブ処置による、経時的なGPPGA膿疱サブスコアを示す。8日目に、2以上のGPPGA合計スコア、及び2以上の汎発性膿疱性乾癬に対する医師による全般的評価(GPPGA)の膿疱サブスコアを有する患者は、オープンラベルのスペソリマブを受けることができた。ベースラインからのGPPGA膿疱サブスコアが、以下について示された:8日目にオープンラベルのスペソリマブ用量を受けた又は受けていないスペソリマブに無作為化された全ての患者(パネルA);8日目にオープンラベルのスペソリマブ用量を受けなかったスペソリマブに無作為化された患者(パネルB);8日目にオープンラベルのスペソリマブ用量を受けたスペソリマブに無作為化された患者(パネルC);及び、8日目にオープンラベルのスペソリマブ用量を受けたプラセボ(パネルD)。点線は、0のGPPGA膿疱サブスコアを達成した患者の比率を示す。この分析のために、エスケープ薬物療法、又は8日目のオープンラベルのスペソリマブ、又は各時点におけるオープンラベルのスペソリマブを用いたレスキュー薬物療法の任意の使用が、別々に分類された(灰色の棒グラフ)。
図6D図6は、1日目の無作為化処置、及び8日目のオープンラベルのスペソリマブ処置による、経時的なGPPGA膿疱サブスコアを示す。8日目に、2以上のGPPGA合計スコア、及び2以上の汎発性膿疱性乾癬に対する医師による全般的評価(GPPGA)の膿疱サブスコアを有する患者は、オープンラベルのスペソリマブを受けることができた。ベースラインからのGPPGA膿疱サブスコアが、以下について示された:8日目にオープンラベルのスペソリマブ用量を受けた又は受けていないスペソリマブに無作為化された全ての患者(パネルA);8日目にオープンラベルのスペソリマブ用量を受けなかったスペソリマブに無作為化された患者(パネルB);8日目にオープンラベルのスペソリマブ用量を受けたスペソリマブに無作為化された患者(パネルC);及び、8日目にオープンラベルのスペソリマブ用量を受けたプラセボ(パネルD)。点線は、0のGPPGA膿疱サブスコアを達成した患者の比率を示す。この分析のために、エスケープ薬物療法、又は8日目のオープンラベルのスペソリマブ、又は各時点におけるオープンラベルのスペソリマブを用いたレスキュー薬物療法の任意の使用が、別々に分類された(灰色の棒グラフ)。
図7A図7は、1日目の無作為化処置、及び8日目のオープンラベルのスペソリマブ処置による、経時的なGPPGA合計スコアを示す。8日目に、2以上のGPPGA合計スコア及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアを有する患者は、オープンラベルのスペソリマブを受けることができた。ベースラインからのGPPGA合計スコアが、以下について示される:8日目にオープンラベルのスペソリマブ用量を受けた又は受けていないスペソリマブに無作為化された全ての患者(パネルA);8日目にオープンラベルのスペソリマブ用量を受けなかったスペソリマブに無作為化された患者(パネルB);8日目にオープンラベルのスペソリマブ用量を受けたスペソリマブに無作為化された患者(パネルC);及び、8日目にオープンラベルのスペソリマブ用量を受けたプラセボ(パネルD)。点線は、0又は1のGPPGA合計スコアを達成した患者の比率を示す。この分析のために、エスケープ薬物療法、又は8日目のオープンラベルのスペソリマブ、又は各時点におけるオープンラベルのスペソリマブを用いたレスキュー薬物療法の任意の使用が、別々に分類された(灰色の棒グラフ)。GPP、汎発性膿疱性乾癬;GPPGA、汎発性膿疱性乾癬に対する医師による全般的評価。
図7B図7は、1日目の無作為化処置、及び8日目のオープンラベルのスペソリマブ処置による、経時的なGPPGA合計スコアを示す。8日目に、2以上のGPPGA合計スコア及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアを有する患者は、オープンラベルのスペソリマブを受けることができた。ベースラインからのGPPGA合計スコアが、以下について示される:8日目にオープンラベルのスペソリマブ用量を受けた又は受けていないスペソリマブに無作為化された全ての患者(パネルA);8日目にオープンラベルのスペソリマブ用量を受けなかったスペソリマブに無作為化された患者(パネルB);8日目にオープンラベルのスペソリマブ用量を受けたスペソリマブに無作為化された患者(パネルC);及び、8日目にオープンラベルのスペソリマブ用量を受けたプラセボ(パネルD)。点線は、0又は1のGPPGA合計スコアを達成した患者の比率を示す。この分析のために、エスケープ薬物療法、又は8日目のオープンラベルのスペソリマブ、又は各時点におけるオープンラベルのスペソリマブを用いたレスキュー薬物療法の任意の使用が、別々に分類された(灰色の棒グラフ)。GPP、汎発性膿疱性乾癬;GPPGA、汎発性膿疱性乾癬に対する医師による全般的評価。
図7C図7は、1日目の無作為化処置、及び8日目のオープンラベルのスペソリマブ処置による、経時的なGPPGA合計スコアを示す。8日目に、2以上のGPPGA合計スコア及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアを有する患者は、オープンラベルのスペソリマブを受けることができた。ベースラインからのGPPGA合計スコアが、以下について示される:8日目にオープンラベルのスペソリマブ用量を受けた又は受けていないスペソリマブに無作為化された全ての患者(パネルA);8日目にオープンラベルのスペソリマブ用量を受けなかったスペソリマブに無作為化された患者(パネルB);8日目にオープンラベルのスペソリマブ用量を受けたスペソリマブに無作為化された患者(パネルC);及び、8日目にオープンラベルのスペソリマブ用量を受けたプラセボ(パネルD)。点線は、0又は1のGPPGA合計スコアを達成した患者の比率を示す。この分析のために、エスケープ薬物療法、又は8日目のオープンラベルのスペソリマブ、又は各時点におけるオープンラベルのスペソリマブを用いたレスキュー薬物療法の任意の使用が、別々に分類された(灰色の棒グラフ)。GPP、汎発性膿疱性乾癬;GPPGA、汎発性膿疱性乾癬に対する医師による全般的評価。
図7D図7は、1日目の無作為化処置、及び8日目のオープンラベルのスペソリマブ処置による、経時的なGPPGA合計スコアを示す。8日目に、2以上のGPPGA合計スコア及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアを有する患者は、オープンラベルのスペソリマブを受けることができた。ベースラインからのGPPGA合計スコアが、以下について示される:8日目にオープンラベルのスペソリマブ用量を受けた又は受けていないスペソリマブに無作為化された全ての患者(パネルA);8日目にオープンラベルのスペソリマブ用量を受けなかったスペソリマブに無作為化された患者(パネルB);8日目にオープンラベルのスペソリマブ用量を受けたスペソリマブに無作為化された患者(パネルC);及び、8日目にオープンラベルのスペソリマブ用量を受けたプラセボ(パネルD)。点線は、0又は1のGPPGA合計スコアを達成した患者の比率を示す。この分析のために、エスケープ薬物療法、又は8日目のオープンラベルのスペソリマブ、又は各時点におけるオープンラベルのスペソリマブを用いたレスキュー薬物療法の任意の使用が、別々に分類された(灰色の棒グラフ)。GPP、汎発性膿疱性乾癬;GPPGA、汎発性膿疱性乾癬に対する医師による全般的評価。
図8A図8は、1日目に最大2用量までのスペソリマブ及び8日目にスペソリマブ群において任意選択の用量を受けた、患者における処置応答を示す。パネルAは、GPPASIの結果を示し;パネルBは、GPPASI 75の結果を示し;パネルCは、疼痛の視覚アナログ尺度の結果を示し;パネルDは、DLQIの結果を示し;パネルEは、ベースラインにおいて正常値上限を上回る(7×10個/L以上)好中球を有する患者における経時的な好中球を示し;パネルFは、ベースラインにおいて正常値上限を上回る(10mg/L以上)レベルを示した患者における、経時的なC反応性タンパク質を示す。データセットは、8日目にオープンラベルのスペソリマブを受けた患者を含む、最大2用量までのスペソリマブを受けた、スペソリマブに無作為化された患者において観察された症例を含む。矢印は、スペソリマブの静脈内投与日を示す。この分析のために、8日目のオープンラベルのスペソリマブ後の任意の数値が使用されるが、エスケープ薬物療法又はスペソリマブを用いたレスキュー薬物療法の使用後のいずれの数値も、中央値及び四分位数の計算において、最悪のアウトカムとして使用及び欠損値補完されない。DLQI、皮膚疾患の生活の質の指数;GPPASI、汎発性膿疱性乾癬の面積及び重症度指数;GPPASI 75、汎発性膿疱性乾癬の乾癬面積及び重症度指数の75%又はそれ以上の改善;IQR、四分位範囲;疼痛VAS、疼痛の視覚アナログ尺度。
図8B図8は、1日目に最大2用量までのスペソリマブ及び8日目にスペソリマブ群において任意選択の用量を受けた、患者における処置応答を示す。パネルAは、GPPASIの結果を示し;パネルBは、GPPASI 75の結果を示し;パネルCは、疼痛の視覚アナログ尺度の結果を示し;パネルDは、DLQIの結果を示し;パネルEは、ベースラインにおいて正常値上限を上回る(7×10個/L以上)好中球を有する患者における経時的な好中球を示し;パネルFは、ベースラインにおいて正常値上限を上回る(10mg/L以上)レベルを示した患者における、経時的なC反応性タンパク質を示す。データセットは、8日目にオープンラベルのスペソリマブを受けた患者を含む、最大2用量までのスペソリマブを受けた、スペソリマブに無作為化された患者において観察された症例を含む。矢印は、スペソリマブの静脈内投与日を示す。この分析のために、8日目のオープンラベルのスペソリマブ後の任意の数値が使用されるが、エスケープ薬物療法又はスペソリマブを用いたレスキュー薬物療法の使用後のいずれの数値も、中央値及び四分位数の計算において、最悪のアウトカムとして使用及び欠損値補完されない。DLQI、皮膚疾患の生活の質の指数;GPPASI、汎発性膿疱性乾癬の面積及び重症度指数;GPPASI 75、汎発性膿疱性乾癬の乾癬面積及び重症度指数の75%又はそれ以上の改善;IQR、四分位範囲;疼痛VAS、疼痛の視覚アナログ尺度。
図8C図8は、1日目に最大2用量までのスペソリマブ及び8日目にスペソリマブ群において任意選択の用量を受けた、患者における処置応答を示す。パネルAは、GPPASIの結果を示し;パネルBは、GPPASI 75の結果を示し;パネルCは、疼痛の視覚アナログ尺度の結果を示し;パネルDは、DLQIの結果を示し;パネルEは、ベースラインにおいて正常値上限を上回る(7×10個/L以上)好中球を有する患者における経時的な好中球を示し;パネルFは、ベースラインにおいて正常値上限を上回る(10mg/L以上)レベルを示した患者における、経時的なC反応性タンパク質を示す。データセットは、8日目にオープンラベルのスペソリマブを受けた患者を含む、最大2用量までのスペソリマブを受けた、スペソリマブに無作為化された患者において観察された症例を含む。矢印は、スペソリマブの静脈内投与日を示す。この分析のために、8日目のオープンラベルのスペソリマブ後の任意の数値が使用されるが、エスケープ薬物療法又はスペソリマブを用いたレスキュー薬物療法の使用後のいずれの数値も、中央値及び四分位数の計算において、最悪のアウトカムとして使用及び欠損値補完されない。DLQI、皮膚疾患の生活の質の指数;GPPASI、汎発性膿疱性乾癬の面積及び重症度指数;GPPASI 75、汎発性膿疱性乾癬の乾癬面積及び重症度指数の75%又はそれ以上の改善;IQR、四分位範囲;疼痛VAS、疼痛の視覚アナログ尺度。
図8D図8は、1日目に最大2用量までのスペソリマブ及び8日目にスペソリマブ群において任意選択の用量を受けた、患者における処置応答を示す。パネルAは、GPPASIの結果を示し;パネルBは、GPPASI 75の結果を示し;パネルCは、疼痛の視覚アナログ尺度の結果を示し;パネルDは、DLQIの結果を示し;パネルEは、ベースラインにおいて正常値上限を上回る(7×10個/L以上)好中球を有する患者における経時的な好中球を示し;パネルFは、ベースラインにおいて正常値上限を上回る(10mg/L以上)レベルを示した患者における、経時的なC反応性タンパク質を示す。データセットは、8日目にオープンラベルのスペソリマブを受けた患者を含む、最大2用量までのスペソリマブを受けた、スペソリマブに無作為化された患者において観察された症例を含む。矢印は、スペソリマブの静脈内投与日を示す。この分析のために、8日目のオープンラベルのスペソリマブ後の任意の数値が使用されるが、エスケープ薬物療法又はスペソリマブを用いたレスキュー薬物療法の使用後のいずれの数値も、中央値及び四分位数の計算において、最悪のアウトカムとして使用及び欠損値補完されない。DLQI、皮膚疾患の生活の質の指数;GPPASI、汎発性膿疱性乾癬の面積及び重症度指数;GPPASI 75、汎発性膿疱性乾癬の乾癬面積及び重症度指数の75%又はそれ以上の改善;IQR、四分位範囲;疼痛VAS、疼痛の視覚アナログ尺度。
図8E図8は、1日目に最大2用量までのスペソリマブ及び8日目にスペソリマブ群において任意選択の用量を受けた、患者における処置応答を示す。パネルAは、GPPASIの結果を示し;パネルBは、GPPASI 75の結果を示し;パネルCは、疼痛の視覚アナログ尺度の結果を示し;パネルDは、DLQIの結果を示し;パネルEは、ベースラインにおいて正常値上限を上回る(7×10個/L以上)好中球を有する患者における経時的な好中球を示し;パネルFは、ベースラインにおいて正常値上限を上回る(10mg/L以上)レベルを示した患者における、経時的なC反応性タンパク質を示す。データセットは、8日目にオープンラベルのスペソリマブを受けた患者を含む、最大2用量までのスペソリマブを受けた、スペソリマブに無作為化された患者において観察された症例を含む。矢印は、スペソリマブの静脈内投与日を示す。この分析のために、8日目のオープンラベルのスペソリマブ後の任意の数値が使用されるが、エスケープ薬物療法又はスペソリマブを用いたレスキュー薬物療法の使用後のいずれの数値も、中央値及び四分位数の計算において、最悪のアウトカムとして使用及び欠損値補完されない。DLQI、皮膚疾患の生活の質の指数;GPPASI、汎発性膿疱性乾癬の面積及び重症度指数;GPPASI 75、汎発性膿疱性乾癬の乾癬面積及び重症度指数の75%又はそれ以上の改善;IQR、四分位範囲;疼痛VAS、疼痛の視覚アナログ尺度。
図8F図8は、1日目に最大2用量までのスペソリマブ及び8日目にスペソリマブ群において任意選択の用量を受けた、患者における処置応答を示す。パネルAは、GPPASIの結果を示し;パネルBは、GPPASI 75の結果を示し;パネルCは、疼痛の視覚アナログ尺度の結果を示し;パネルDは、DLQIの結果を示し;パネルEは、ベースラインにおいて正常値上限を上回る(7×10個/L以上)好中球を有する患者における経時的な好中球を示し;パネルFは、ベースラインにおいて正常値上限を上回る(10mg/L以上)レベルを示した患者における、経時的なC反応性タンパク質を示す。データセットは、8日目にオープンラベルのスペソリマブを受けた患者を含む、最大2用量までのスペソリマブを受けた、スペソリマブに無作為化された患者において観察された症例を含む。矢印は、スペソリマブの静脈内投与日を示す。この分析のために、8日目のオープンラベルのスペソリマブ後の任意の数値が使用されるが、エスケープ薬物療法又はスペソリマブを用いたレスキュー薬物療法の使用後のいずれの数値も、中央値及び四分位数の計算において、最悪のアウトカムとして使用及び欠損値補完されない。DLQI、皮膚疾患の生活の質の指数;GPPASI、汎発性膿疱性乾癬の面積及び重症度指数;GPPASI 75、汎発性膿疱性乾癬の乾癬面積及び重症度指数の75%又はそれ以上の改善;IQR、四分位範囲;疼痛VAS、疼痛の視覚アナログ尺度。
図9A図9は、それぞれ1日目及び8日目に初回及び2回目の用量のスペソリマブを受けた後、3人の患者におけるGPPGAスコア(GPPGA膿疱サブスコア及びGPPGA合計スコアを含む)のベースラインからの変化を示す。パネルAは、初回の900mgのスペソリマブの静脈内(i.v.)用量及び1週間後に2回目の900mgのスペソリマブの静脈内用量を受けた後の、患者1250001012におけるGPPGAスコア(並びに皮膚の紅斑、鱗屑/痂皮形成)の変化を示す。パネルBは、初回の900mgのスペソリマブの静脈内(i.v.)用量及び1週間後に2回目の900mgのスペソリマブの静脈内用量を受けた後の、患者1276007001におけるGPPGAスコア(並びに皮膚の紅斑、鱗屑/痂皮形成)の変化を示す。パネルCは、初回の900mgのスペソリマブの静脈内(i.v.)用量及び1週間後に2回目の900mgのスペソリマブの静脈内用量を受けた後の、患者1458001002におけるGPPGAスコア(並びに皮膚の紅斑、鱗屑/痂皮形成)の変化を示す。
図9B図9は、それぞれ1日目及び8日目に初回及び2回目の用量のスペソリマブを受けた後、3人の患者におけるGPPGAスコア(GPPGA膿疱サブスコア及びGPPGA合計スコアを含む)のベースラインからの変化を示す。パネルAは、初回の900mgのスペソリマブの静脈内(i.v.)用量及び1週間後に2回目の900mgのスペソリマブの静脈内用量を受けた後の、患者1250001012におけるGPPGAスコア(並びに皮膚の紅斑、鱗屑/痂皮形成)の変化を示す。パネルBは、初回の900mgのスペソリマブの静脈内(i.v.)用量及び1週間後に2回目の900mgのスペソリマブの静脈内用量を受けた後の、患者1276007001におけるGPPGAスコア(並びに皮膚の紅斑、鱗屑/痂皮形成)の変化を示す。パネルCは、初回の900mgのスペソリマブの静脈内(i.v.)用量及び1週間後に2回目の900mgのスペソリマブの静脈内用量を受けた後の、患者1458001002におけるGPPGAスコア(並びに皮膚の紅斑、鱗屑/痂皮形成)の変化を示す。
図9C図9は、それぞれ1日目及び8日目に初回及び2回目の用量のスペソリマブを受けた後、3人の患者におけるGPPGAスコア(GPPGA膿疱サブスコア及びGPPGA合計スコアを含む)のベースラインからの変化を示す。パネルAは、初回の900mgのスペソリマブの静脈内(i.v.)用量及び1週間後に2回目の900mgのスペソリマブの静脈内用量を受けた後の、患者1250001012におけるGPPGAスコア(並びに皮膚の紅斑、鱗屑/痂皮形成)の変化を示す。パネルBは、初回の900mgのスペソリマブの静脈内(i.v.)用量及び1週間後に2回目の900mgのスペソリマブの静脈内用量を受けた後の、患者1276007001におけるGPPGAスコア(並びに皮膚の紅斑、鱗屑/痂皮形成)の変化を示す。パネルCは、初回の900mgのスペソリマブの静脈内(i.v.)用量及び1週間後に2回目の900mgのスペソリマブの静脈内用量を受けた後の、患者1458001002におけるGPPGAスコア(並びに皮膚の紅斑、鱗屑/痂皮形成)の変化を示す。
図10図10は、PSS、疼痛VAS、FACIT-倦怠感、及びDLQIスコアのPRO調査を示す。高い合計スコアは、FACIT-倦怠感を除いて(より高いスコアがより少ない倦怠感を示す)、大きな障害又は強度の重症度を示す。DLQI、皮膚疾患の生活の質の指数;FACIT-倦怠感、慢性疾患治療-倦怠感の機能評価;PRO、患者報告アウトカム;PSS、乾癬症状評価尺度;VAS、視覚アナログ尺度。
図11A図11は、経時的なPROスコアのベースラインからの絶対変化を示す。パネルAは、疼痛VASスコアのベースラインからの変化を示し、パネルBは、PSSスコアのベースラインからの変化を示し、パネルCは、FACIT-倦怠感スコアのベースラインからの変化を示し、パネルDは、DLQIスコアのベースラインからの変化を示す。治療企図解析を使用した全ての無作為化された患者についての有効性の結果は、4つ全てのPROが、経時的に改善し続けたが;プラセボに対する統計学的な有意性は、1週目の間に観察されなかったことを示した。プラセボ曲線は、8日目のオープンラベルのスペソリマブの投与後に、スペソリマブの曲線と収束し始める。CI、信頼区間;DLQI、皮膚疾患の生活の質の指数;FACIT-倦怠感、慢性疾患治療-倦怠感の機能評価;IV、静脈内;OL、オープンラベル;PRO:患者報告アウトカム;PSS乾癬症状評価尺度;VAS、視覚アナログ尺度。
図11B図11は、経時的なPROスコアのベースラインからの絶対変化を示す。パネルAは、疼痛VASスコアのベースラインからの変化を示し、パネルBは、PSSスコアのベースラインからの変化を示し、パネルCは、FACIT-倦怠感スコアのベースラインからの変化を示し、パネルDは、DLQIスコアのベースラインからの変化を示す。治療企図解析を使用した全ての無作為化された患者についての有効性の結果は、4つ全てのPROが、経時的に改善し続けたが;プラセボに対する統計学的な有意性は、1週目の間に観察されなかったことを示した。プラセボ曲線は、8日目のオープンラベルのスペソリマブの投与後に、スペソリマブの曲線と収束し始める。CI、信頼区間;DLQI、皮膚疾患の生活の質の指数;FACIT-倦怠感、慢性疾患治療-倦怠感の機能評価;IV、静脈内;OL、オープンラベル;PRO:患者報告アウトカム;PSS乾癬症状評価尺度;VAS、視覚アナログ尺度。
図11C図11は、経時的なPROスコアのベースラインからの絶対変化を示す。パネルAは、疼痛VASスコアのベースラインからの変化を示し、パネルBは、PSSスコアのベースラインからの変化を示し、パネルCは、FACIT-倦怠感スコアのベースラインからの変化を示し、パネルDは、DLQIスコアのベースラインからの変化を示す。治療企図解析を使用した全ての無作為化された患者についての有効性の結果は、4つ全てのPROが、経時的に改善し続けたが;プラセボに対する統計学的な有意性は、1週目の間に観察されなかったことを示した。プラセボ曲線は、8日目のオープンラベルのスペソリマブの投与後に、スペソリマブの曲線と収束し始める。CI、信頼区間;DLQI、皮膚疾患の生活の質の指数;FACIT-倦怠感、慢性疾患治療-倦怠感の機能評価;IV、静脈内;OL、オープンラベル;PRO:患者報告アウトカム;PSS乾癬症状評価尺度;VAS、視覚アナログ尺度。
図11D図11は、経時的なPROスコアのベースラインからの絶対変化を示す。パネルAは、疼痛VASスコアのベースラインからの変化を示し、パネルBは、PSSスコアのベースラインからの変化を示し、パネルCは、FACIT-倦怠感スコアのベースラインからの変化を示し、パネルDは、DLQIスコアのベースラインからの変化を示す。治療企図解析を使用した全ての無作為化された患者についての有効性の結果は、4つ全てのPROが、経時的に改善し続けたが;プラセボに対する統計学的な有意性は、1週目の間に観察されなかったことを示した。プラセボ曲線は、8日目のオープンラベルのスペソリマブの投与後に、スペソリマブの曲線と収束し始める。CI、信頼区間;DLQI、皮膚疾患の生活の質の指数;FACIT-倦怠感、慢性疾患治療-倦怠感の機能評価;IV、静脈内;OL、オープンラベル;PRO:患者報告アウトカム;PSS乾癬症状評価尺度;VAS、視覚アナログ尺度。
図12図12は、スペソリマブの静脈内投与後に女性及び男性のGPP患者における、抗薬物抗体の力価の最大値の分布を示す。
【0045】
発明の詳細な説明
以下の詳細な説明において、数多くの具体的な詳細が、本発明の完全な理解を与えるために示されている。しかしながら、当業者には、対象の技術が、これらのうちのいくつかの具体的な詳細を用いることなく実践され得ることが明らかであろう。他の場合では、周知の構造及び技術は、本発明を分かりやすくするために詳細に示されていない。
【0046】
「1つの態様」などの語句は、このような態様が本発明にとって必須であること、又はこのような態様が対象の技術の全ての構成に適用されることを意味しない。1つの態様に関する1つの開示は、全ての構成、又は1つ以上の構成に適用され得る。1つの態様は、開示の1つ以上の例を提供し得る。「1つの態様」などの語句は、1つ以上の態様を指し得、逆もそうである。「1つの実施態様」などの語句は、このような実施態様が、対象の技術に必須であること、又はこのような実施態様が対象の技術の全ての構成に適用されることを意味しない。1つの実施態様に関する開示は、全ての実施態様、又は1つ以上の実施態様に適用され得る。1つの実施態様は、開示の1つ以上の例を提供し得る。
【0047】
本発明者らは驚くべきことには、とりわけ、1回量の本発明のヒト化抗インターロイキン-36R(抗IL-36R)モノクローナル抗体を用いたインターロイキン-36の経路の阻害は、急性汎発性膿疱性乾癬患者における臨床症状の迅速かつ持続的な寛解をもたらし、そしてGPPフレアの再発は、1回量の投与後20週間において全く観察されなかったことを発見した。
【0048】
それ故、本発明は、GPP並びにその兆候及び症状の治療及び/又は予防のための組成物及び方法に関する。より具体的には、本発明は、本発明の抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を用いた、哺乳動物における、中等度からの重度のGPP、急性のGPP、慢性のGPP、及び/又は、GPPフレアの治療及び/又は予防のための組成物及び方法に関する。該組成物及び方法は、治療有効量の抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を哺乳動物に投与する工程を含み、ここでの抗IL-36R抗体は、1回の静脈内用量で投与される。1つの実施態様では、抗IL-36R抗体は、1回以上の静脈内用量で投与され、これに場合により1回以上の皮下用量が続く。
【0049】
この理論に拘りたくはないが、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片は、ヒト抗IL-36Rに結合し、よって、IL-36アゴニストの結合に干渉し、そうすることで、IL-36Rから炎症性メディエーターへのシグナル伝達カスケードを少なくとも部分的に遮断すると考えられる。本発明の抗IL-36R抗体は、米国特許第9,023,995号又は国際公開公報第2013/074569号に開示され、その各々の全内容が参照により本明細書に組み入れられる。
【0050】
様々な重症度の急性GPPフレアが大半の患者において起こり、そして特発性であり得るか、あるいは感染、副腎皮質ステロイドの使用若しくは中止、ストレス、又は妊娠などの外的刺激によってトリガーされ得る。中等度又は重度のGPPフレアは、圧痛、痛みを伴う皮膚病変、極度の倦怠感、高熱、末梢血好中球増加症、及び急性期応答、及び敗血症に起因する、有意な罹患率及び死亡率を引き起こす。急性期は、10日間の平均入院期間を伴う(3~44日間の範囲)。マレーシアのジョホールの三次病院で見られた102のGPP症例を含む後向き研究において報告された7%と観察された死亡率は、全てのGPP患者が試験に含まれていたわけではなかったので、過小評価されている可能性がある。死亡率はまた、GPPと死因を同定していないことに起因して過小評価されている可能性があり、これは主に、感染合併症及び真皮外の臓器の徴候、例えば腎不全、肝不全、呼吸器不全、及び心不全によってもたらされる。処置応答後又は自然にフレアが止まった後、患者の最大50%までが、関節症状も含み得る、持続的な紅斑及び鱗屑によって特徴付けられる慢性的GPPを患っている可能性があると推定されている。
【0051】
上記の限界に基づいて、現在の治療選択肢は、長期の処置に適しておらず、大半の患者において持続した応答を提供しない。それ故、(i)急性GPPフレアを呈する患者のために迅速な作用発現を伴う非常に有効な処置を開発すること、及び(ii)フレアの発生を確実に予防し、生涯の処置にとって安全かつ耐容性がある、慢性GPPの有効な処置を開発する必要性が非常にある。
【0052】
von Zumbuschによって記載のようなGPPフレアの古典的症状は、IL-36Rのシグナル伝達経路の多形に強く相関している。内因性IL36Rアンタゴニスト(IL-36RN)をコードしているIL36RN遺伝子の機能欠失型突然変異を有する個体は、劇的により高いGPPの発症率を有し、このことは、IL36RN拮抗作用の異常に起因するIL36のシグナル伝達の未制御のアップレギュレーションは、GPPに観察される炎症の発症をもたらす。遺伝子ヒト研究は、未制御のIL36Rシグナル伝達をもたらす、IL36RNの機能欠失型突然変異を有する家族におけるGPPクラスターの発生を実証した。CARD14などのIL36経路に連関した他の遺伝子の突然変異も、GPPをもたらす。近年公表された遺伝子発現研究は、好中球ケモカイン発現、浸潤、及び膿疱形成を誘導する、GPPにおけるIL-1及びIL-36の持続的な活性化を示し、IL-1/IL-36炎症系は、GPPにおいて疾患病態の強力な誘導因子であることを示唆する。さらに、近年のメタ分析は、233の公表されたGPP症例を調べた。彼らは、233中49(21.0%)の症例が、劣性のIL36RN対立遺伝子を有していたことを発見した。そうした49個の劣性IL36RN対立遺伝子は、全身性炎症の早期発症及び高いリスクによって特徴付けられるGPP表現型を規定した。
【0053】
IL36Rは、皮膚及び腸の炎症応答に関与する細胞表面受容体である。それは、IL1R補助タンパク質とヘテロ二量体複合体を形成する、IL1Rファミリーの新規メンバーである。刺激性(IL36α、IL36β、IL36γ)及び抑制性のリガンド(IL36Ra)を含むヘテロ二量体IL36R系は、IL1、IL18及びIL33(R17-3602)などのIL1/IL1Rファミリーの他のメンバーと多くの構造的及び機能的類似性を共有する。全てのIL1ファミリーメンバー(IL1α、IL1β、IL18、IL36α、IL36β、IL36γ及びIL38)が、固有の同族の受容体タンパク質を通してシグナルを伝達し、リガンドが結合したら、共通のIL1RacPサブユニットを動員し、NFκB及びMAPキナーゼ経路を受容体陽性細胞型において活性化する。ヒト皮膚組織では、IL36Rは、ケラチノサイト、皮膚線維芽細胞、及び浸潤骨髄細胞において発現されている。皮膚組織におけるIL36R活性化は、炎症性メディエーター(例えばCCL20、MIP(マクロファージ炎症性タンパク質)-1β、TNF-α、IL12、IL17、IL23、TGF(腫瘍増殖因子)-β)の産生を駆動し、組織リモデリング遺伝子(例えばマトリックスメタロプロテアーゼ、TGF-β)の発現を調節する。それ故、GPPとIL36RNの突然変異の間の連関は、インターロイキン-1受容体アンタゴニストが存在しないことによって引き起こされる、十分に確立されている新生児発症無菌性多発性骨髄炎、骨膜炎、及び膿疱症に幾分類似している。この場合、受容体アンタゴニストが存在しないことは、インターロイキン-1の反対作用を可能とし、結果として、皮膚及び骨に併発する生命を脅かす全身性炎症が起こる。これらの臨床的な特色は、組換えインターロイキン-1受容体アンタゴニストのアナキンラを用いた経験的な処置に応答した。
【0054】
I.定義
「約」という用語は一般的に、測定の性質又は正確度を考慮して、測定された量について、許容可能な程度の誤差又は変動を意味する。典型的で例示的な誤差又は変動の程度は、所与の数値又は一連の数値の5%以内又は3%以内又は1%以内である。例えば、「約100」という表現は、105と95、又は103と97、又は101と99、及びその間の全ての数値(例えば95~105の範囲については95.1、95.2など;又は97~103の範囲については97.1、97.2など;99~101の範囲については99.1、99.2など)を含む。本明細書で示された数字による量は、特記されない限り近似であり、このことは「約」という用語が、明記されていない場合に推論され得ることを意味する。
【0055】
「医薬組成物」は、本脈絡において、活性成分(群)の生物学的活性が明白に効果的であることを許容するような剤形であり、そして該組成物が投与されるであろう被験者に有意に毒性である追加の成分を全く含有していない、液体又は粉末の製剤を指す。このような組成物は無菌である。「粉末」は、非経口使用のための、凍結-乾燥又は凍結乾燥又は噴霧乾燥された医薬組成物を指す。粉末は、典型的には水で復元又は溶解される。凍結乾燥は、製品を凍結し、減圧し、その後、昇華によって氷を取り除く工程を含む、低温脱水プロセスである。凍結乾燥により、処理に使用される低温のために、高品質の製品がもたらされる。良好に開発された凍結乾燥製剤では、製品の形状及び外見は経時的に維持され、再水和製品の品質は優れている。噴霧乾燥は、高熱ガスを用いて、一定した粒径分布を達成することを目標として、迅速に乾燥することによって、液体又はスラリーから乾燥粉末を産生する別の方法である。
【0056】
本明細書において使用する「静脈内用量」、「皮下用量」という用語は、それらの通常の意味に加えて、抗IL-36R抗体の時間的投与順序を指す。したがって、「静脈内用量」は、処置レジメンの開始時に投与される用量(「ベースライン用量」とも称される)であり;それは、「初期用量」又は「導入用量」とも称され得る。「皮下用量」は、静脈内用量後に投与される用量であり、これは「後続の用量」又は「維持用量」とも称され得る。静脈内用量、皮下用量は全て、同じ量の抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を含有し得るが、一般的には投与される抗体の量又は投与頻度の点から互いに異なり得る。1つの実施態様では、静脈内用量は、皮下用量と同等であるか又はより多い。「静脈内用量」は、「初期用量」又は「導入用量」とも互換的に称され得るが、これは1回量又は代替的には1セットの用量であり得る。皮下用量は、「後続の用量」又は「維持用量」とも称され得るが、これは投与のための1回量又は代替的には1セットの用量であり得る。
【0057】
特定の実施態様では、導入/初期/静脈内及び維持/後続/皮下用量に含有される抗IL-36R抗体の量は、処置の経過中において互いに異なる。特定の実施態様では、1以上の初期/導入/静脈内用量は各々、第一の量の抗体又はその抗原結合断片を含み、1以上の維持/後続/皮下用量は各々、第二の量の抗体又はその抗原結合断片を含む。いくつかの実施態様では、第一の量の抗体又はその断片は、第二又は後続の量の抗体又はその抗原結合断片の1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、又は5倍である。特定の実施態様では、1以上(例えば1、2、3、4又は5以上)の初期用量が、処置レジメンの開始時に「ローディング用量」又は「リーディング用量」として投与され、その後、より低い頻度で投与される後続の用量(例えば「維持用量」)が続く。1つの実施態様では、静脈内用量、導入用量、又は初期用量は、約210mg、300mg、350mg、450mg、600mg、700mg、750mg、800mg、850mg、又は900mgの抗IL-36R抗体である。1つの実施態様では、皮下用量、維持用量、又は後続の用量は、約150mg、225mg、又は300mgである。別の実施態様では、皮下用量又は維持用量又は後続の用量は、静脈内用量、導入用量、又は初期用量から少なくとも2週間後に投与される。
【0058】
「抗体」、「抗IL-36R抗体」、「ヒト化抗IL-36R抗体」、「ヒト化抗IL-36Rエピトープ抗体」及び「変異ヒト化抗IL-36Rエピトープ抗体」という用語は具体的には、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異的抗体(例えば二重特異的抗体)、N末端及び/又はC末端切断短縮などの小さな修飾を有する抗体、並びに抗体断片、例えば可変ドメイン、及び所望の生物学的活性、例えばIL-36Rとの結合を示す抗体の他の部分を包含する。
【0059】
「モノクローナル抗体」(mAb)という用語は、高度に特異的で、単一の抗原決定基、すなわち「エピトープ」に対して指向される、抗体を指す。それ故、「モノクローナル」という修飾語は、同一のエピトープに対して指向され、任意の特定の方法による抗体の産生を要求するとは考えられない、抗体を示す。モノクローナル抗体は、例えばハイブリドーマ法(Kohler et al., 1975, Nature 256:495)又は当技術分野において公知である組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号参照)、又はClackson et al., 1991, Nature 352: 624-628、及びMarks et al., 1991, J. Mol. Biol. 222: 581-597に記載の技術を使用して、ファージ抗体ライブラリーを使用して組換え産生されたモノクローナル抗体の単離法を含む、当技術分野において公知である任意の技術又は方法によって作製され得ると理解されるべきである。
【0060】
「モノマー」という用語は、均一形の抗体を指す。例えば、完全長抗体では、モノマーは、2本の同一の重鎖と2本の同一の軽鎖を有するモノマー抗体を意味する。
【0061】
キメラ抗体は、ある種(例えば非ヒト哺乳動物、例えばマウス)に由来する抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域と、別の種(例えばヒト)の抗体の重鎖及び軽鎖の定常領域とからなり、これは第一の種(例えばマウス)に由来する抗体の可変領域をコードするDNA配列を、第二(例えばヒト)の種に由来する抗体の定常領域のDNA配列に連結し、そして連結された配列を含有している発現ベクターを用いて宿主を形質転換して、それがキメラ抗体を産生することを可能とすることによって得ることができる。あるいは、キメラ抗体はまた、重鎖及び/又は軽鎖の1つ以上の領域又はドメインが、別の免疫グロブリンのクラス若しくはアイソタイプに由来する、又は共通配列若しくは生殖系列配列に由来する、モノクローナル抗体における対応する配列と同一であるか、相同であるか、又はその変異体である、抗体であってもよい。キメラ抗体は、このような抗体の断片を含み得、ただし、抗体断片は、その親抗体の所望の生物学的活性、例えば同じエピトープへの結合を示す(例えば、米国特許第4,816,567号;及びMorrison et al., 1984, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81: 6851-6855参照)。
【0062】
「静脈内注入」という用語は、約15分間超、一般的には約30分から90分の時間をかけての、動物又はヒト患者の静脈への薬剤の導入を指す。
【0063】
「静脈内ボーラス」又は「静脈内プッシュ」という用語は、生体が約15分間以内に、一般的には5分間以内に薬物の投与を受けるような、動物又はヒトの静脈への薬物投与を指す。
【0064】
「皮下投与」という用語は、動物又はヒト患者の皮膚下への、好ましくは皮膚と根底にある組織との間のポケット内への、薬物容器からの比較的緩徐で持続的な送達による、薬剤の導入を指す。皮膚をつまんで、根底にある組織から持ち上げて離すことにより、ポケットが作られ得る。
【0065】
本明細書において使用する「処置」及び「療法」などという用語は、1つ以上の症状の軽減若しくは緩和、疾患若しくは障害の進行の後退、緩徐化、若しくは停止を含むがこれらに限定されない、あらゆる臨床的に望ましいか又は有益な効果をもたらす、疾患又は障害についての治療的措置並びに予防的又は抑制的措置を含むことを意味する。したがって、例えば、処置という用語は、疾患又は障害の症状の発症前又は発症後の薬剤の投与を含み、これにより、疾患又は障害の1つ以上の兆候が予防又は除去される。別の例として、該用語は、疾患の臨床徴候後に薬剤を投与することにより、疾患の症状と戦うことを含む。さらに、発症後及び臨床症状が発生した後の薬剤の投与は(ここでは、処置により疾患の寛解がもたらされるか否かに関係なく、投与が、疾患又は障害の臨床パラメーターに、例えば組織損傷度又は転移の量若しくは程度などに影響を及ぼす)、本明細書において使用する「処置」又は「療法」を含む。さらに、単独での又は別の治療剤と組み合わせた本発明の組成物が、ヒト化抗IL-36R抗体組成物を使用しない場合のその症状と比較して、処置される障害の少なくとも1つの症状を軽減又は寛解する限り、結果は、障害の全ての症状が軽減されるか否かに関係なく、根底にある障害の効果的な処置であると判断されるべきである。
【0066】
「予防有効量」という用語は、所望の予防的結果を達成するのに必要な用量及び期間で有効な量を指すために使用される。典型的には、予防用量は、GPPフレアの発症前に及び/又はGPPの症状の発症前に被験者において使用されることにより、急性フレアの発生を予防又は抑制する。1つの実施態様では、本明細書において考えられるような皮下用量は、患者におけるGPPフレアの起こり得る再発を予防するために、静脈内用量後に、急性GPP患者において使用される予防用量である。
【0067】
II.抗体
本発明の抗IL-36R抗体は、米国特許第9,023,995号又は国際公開公報第2013/074569号に開示され、その各々の全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0068】
1つの態様では、本明細書において、抗IL-36R抗体、特にヒト化抗IL-36R抗体、及び1つ以上の抗IL-36R抗体、特に1つ以上の本発明のヒト化抗IL-36R抗体を含む組成物及び製品が記載及び開示されている。また、抗IL-36R抗体、特にヒト化抗IL-36R抗体の抗原結合断片を含む結合剤も記載されている。
【0069】
作用機序
本発明の抗IL-36R抗体は、ヒトIL36Rシグナル伝達を遮断する、ヒト化アンタゴニスト作用のモノクローナルIgG1抗体である。IL36Rへの本発明の抗IL-36R抗体の結合は、上皮細胞/線維芽細胞/免疫細胞により媒介される炎症を低減させ、汎発性膿疱性乾癬(GPP)における病的サイトカイン産生を駆動する炎症応答を中断する目的で、同族リガンド(IL36α、β及びγ)によるIL36Rの後続の活性化、並びに炎症誘発性及び線維化誘発性経路の下流活性化を防ぐことが期待される。本明細書において提供されるように、本発明の抗IL-36R抗体が試験され、未制御なIL36R活性によって駆動される深刻な炎症性皮膚疾患である、急性汎発性膿疱性乾癬(GPP)患者を処置するのに有効であることが判明した。
【0070】
IL-36Rはまた、IL-1RL2及びIL-1Rrp2としても知られている。アゴニスト作用性のIL-36リガンド(α、β、又はγ)は、IL-36受容体に結合し、その後、IL-1受容体補助タンパク質(IL-1RAcP)とヘテロ二量体を形成することによってシグナル伝達カスケードを開始すると報告されている。IL-36アンタゴニストリガンド(IL-36RA/IL1F5、IL-38/ILF10)は、シグナル伝達カスケードを阻害する。
【0071】
本発明の代表的な抗体の可変領域及びCDRが、以下に開示されている。
【0072】
抗IL-36Rマウス抗体配列
本発明の代表的なマウスリード抗体(マウスリード)の可変領域及びCDRが以下に示されている。
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

【0075】
【表3】
【0076】
【表4】
【0077】
【表5】
【0078】
【表6】
【0079】
【表7】
【0080】
【表8】
【0081】
【表9】


【0082】
抗IL-36Rヒト化抗体配列
ヒトフレームワーク配列が、フレームワークの相同性、CDRの構造、保存された古典的残基、保存されたインターフェイスパッキング残基、及びヒト化可変領域を産生するための他のパラメーターに基づいて、マウスリードのために選択された(実施例5参照)。
【0083】
抗体81B4及び73C5に由来する代表的なヒト化可変領域が以下に示されている。
【0084】
【表10】

【0085】
【表11】

【0086】
抗体81B4及び73C5に由来するヒト化可変領域に由来するCDR配列が以下に示されている。
【0087】
【表12】
【0088】
【表13】
【0089】
【表14】
【0090】
【表15】
【0091】
【表16】
【0092】
【表17】
【0093】
1つの態様では、本発明の可変領域は定常領域に連結されている。例えば、本発明の可変領域は、以下に示される定常領域に連結されて、抗体の重鎖又は軽鎖を形成している。
【0094】
【表18】
【0095】
本発明の代表的な軽鎖及び重鎖の配列が以下に示されている(定常領域に連結された抗体81B4及び73C5に由来するヒト化可変領域)。
【0096】
【表19】

【0097】
【表20】



【0098】
上記に列挙されたCDRは、Chothia番号付け体系(Al-Lazikani et al., (1997) JMB 273, 927-948)を使用して定義される。
【0099】
1つの態様では、本発明の抗体は、例えば上記に示されているような、3つの軽鎖CDRと3つの重鎖CDRを含む。
【0100】
1つの態様では、本発明の抗体は、上記に示されているような軽鎖及び重鎖の可変領域を含む。1つの態様では、本発明の軽鎖可変領域は、軽鎖定常領域、例えばカッパ又はラムダ定常領域に融合している。1つの態様では、本発明の重鎖可変領域は、重鎖定常領域、例えばIgA、IgD、IgE、IgG又はIgM、特にIgG、IgG、IgG又はIgGに融合している。
【0101】
本発明は、配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖と配列番号125のアミノ酸配列を含む重鎖とを含む、抗IL-36R抗体(抗体B1)を提供する。
【0102】
本発明は、配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖と配列番号126のアミノ酸配列を含む重鎖とを含む、抗IL-36R抗体(抗体B2)を提供する。
【0103】
本発明は、配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖と配列番号127のアミノ酸配列を含む重鎖とを含む、抗IL-36R抗体(抗体B3)を提供する。
【0104】
本発明は、配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖と配列番号125のアミノ酸配列を含む重鎖とを含む、抗IL-36R抗体(抗体B4)を提供する。
【0105】
本発明は、配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖と配列番号126のアミノ酸配列を含む重鎖とを含む、抗IL-36R抗体(抗体B5)を提供する。
【0106】
本発明は、配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖と配列番号127のアミノ酸配列を含む重鎖とを含む、抗IL-36R抗体(抗体B6)を提供する。
【0107】
本発明は、配列番号123のアミノ酸配列を含む軽鎖と配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖とを含む、抗IL-36R抗体(抗体C3)を提供する。
【0108】
本発明は、配列番号123のアミノ酸配列を含む軽鎖と配列番号139のアミノ酸配列を含む重鎖とを含む、抗IL-36R抗体(抗体C2)を提供する。
【0109】
本発明は、配列番号124のアミノ酸配列を含む軽鎖と配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖とを含む、抗IL-36R抗体(抗体C1)を提供する。
【0110】
本発明の代表的な抗体が以下に示される。
【0111】
【表21】


【0112】
【表22】

【0113】
いくつかの態様では、ヒト化抗体は、遮断活性を示し、これにより、それはIL-36受容体へのIL-36リガンドの結合を、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%減少する。抗体が、IL-36受容体へのIL-36リガンドの結合を遮断する能力は、当技術分野において公知である競合結合アッセイを使用して測定され得る。あるいは、抗体の遮断活性は、IL-8、IL-6及びGM-CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)の産生などの、IL-36の生物学的作用を評価して、IL-36受容体により媒介されるシグナル伝達が阻害されるかどうかを決定することによって測定され得る。
【0114】
さらなる態様では、本発明は、好ましい生物物理学的特性を有する、ヒト化抗IL-36R抗体を提供する。1つの態様では、本発明のヒト化抗IL-36R抗体は、少なくとも90%が単量体の形態で、又は少なくとも92%が単量体の形態で、又は少なくとも95%が単量体の形態で、緩衝液中に存在する。さらなる態様では、本発明のヒト化抗IL-36R抗体は、少なくとも90%が単量体の形態で、又は少なくとも92%が単量体の形態で、又は少なくとも95%が単量体の形態で、緩衝液中に、1か月間又は4か月間留まる。
【0115】
1つの態様では、本発明のヒト化抗体は、抗体B1、抗体B2、抗体B3、抗体B4、抗体B5、抗体B6、抗体C1、抗体C2又は抗体C3である。したがって、1つの実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号115の軽鎖配列と、配列番号125の重鎖配列を含む(抗体B1)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号115の軽鎖配列と、配列番号126の重鎖配列を含む(抗体B2)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号115の軽鎖配列と、配列番号127の重鎖配列を含む(抗体B3)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号118の軽鎖配列と、配列番号125の重鎖配列を含む(抗体B4)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号118の軽鎖配列と、配列番号126の重鎖配列を含む(抗体B5)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号118の軽鎖配列と、配列番号127の重鎖配列を含む(抗体B6)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号124の軽鎖配列と、配列番号138の重鎖配列を含む(抗体C1)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号123の軽鎖配列と、配列番号139の重鎖配列を含む(抗体C2)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号123の軽鎖配列と、配列番号138の重鎖配列を含む(抗体C3)。
【0116】
さらなる実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号115の軽鎖配列と、配列番号125の重鎖配列からなる(抗体B1)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号115の軽鎖配列と、配列番号126の重鎖配列からなる(抗体B2)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号115の軽鎖配列と、配列番号127の重鎖配列からなる(抗体B3)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号118の軽鎖配列と、配列番号125の重鎖配列からなる(抗体B4)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号118の軽鎖配列と、配列番号126の重鎖配列からなる(抗体B5)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号118の軽鎖配列と、配列番号127の重鎖配列からなる(抗体B6)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号124の軽鎖配列と、配列番号138の重鎖配列からなる(抗体C1)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号123の軽鎖配列と、配列番号139の重鎖配列からなる(抗体C2)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号123の軽鎖配列と、配列番号138の重鎖配列からなる(抗体C3)。
【0117】
いくつかの実施態様では、ヒト化抗IL-36R抗体(その抗原結合断片、例えば重鎖及び軽鎖の可変領域を含む)は、抗体B1、抗体B2、抗体B3、抗体B4、抗体B5、抗体B6、抗体C1、抗体C2、又は抗体C3に由来する残基のアミノ酸配列を含む。
【0118】
さらなる実施態様では、本発明は、本発明の抗体、例えば本明細書に記載の抗体B1、抗体B2、抗体B3、抗体B4、抗体B5、抗体B6、抗体C1、抗体C2、又は抗体C3と競合して、ヒトIL-36Rに結合する、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を提供する。抗体又は抗原結合断片が、IL-36Rに競合的に結合する能力は、当技術分野において公知である競合的結合アッセイを使用して測定され得る。
【0119】
ヒト化抗IL-36R抗体は場合により、共通又は生殖系列フレームワーク領域に特定のアミノ酸の置換を含む。これらのフレームワークの位置におけるアミノ酸残基の特定の置換は、ヒト生殖系列フレームワーク領域へのCDR又はHVLの「直接スワップ」によって形成されたヒト化抗体で実証されたものを上回る、結合親和性及び/又は安定性を含む、抗体の性能の様々な態様を改善することができる。
【0120】
いくつかの実施態様では、本発明は、配列番号1~10のいずれか1つの示されるアミノ酸配列を有する、軽鎖可変領域を有する、他のモノクローナル抗体を記載する。いくつかの実施態様では、本発明は、配列番号11~20のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を有する、重鎖可変領域を有する他のモノクローナル抗体を記載する。このようなCDRを、ヒト重鎖及び軽鎖の共通可変ドメインのFRに配置すると、本発明の有用なヒト化抗体が得られるだろう。
【0121】
特に、本発明は、配列番号1/11、2/12、3/13、4/14、5/15、6/16、7/17、8/18、9/19、10/20の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域の組合せを有するモノクローナル抗体を提供する。このような可変領域は、ヒト定常領域と組み合わせることができる。
【0122】
いくつかの実施態様では、本発明は、配列番号76~86のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を有する、軽鎖可変領域配列を有する、他のヒト化抗体を記載する。いくつかの実施態様では、本発明は、配列番号87~101のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を有する、重鎖可変領域配列を有する、他のヒト化抗体を記載する。特に、本発明は、配列番号77/89、80/88、80/89、77/87、77/88、80/87、86/100、85/101、85/100の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域の組合せを有する、モノクローナル抗体を提供する。このような可変領域は、ヒト定常領域と組み合わせることができる。
【0123】
さらなる実施態様では、本発明は、配列番号77のCDRと、配列番号77の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含むヒト化軽鎖可変ドメイン、並びに、配列番号89のCDRと、配列番号89の重鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含むヒト化重鎖可変ドメインを含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片に関する。1つの実施態様では、抗IL-36R抗体は、ヒト化モノクローナル抗体である。
【0124】
さらなる実施態様では、本発明は、配列番号80のCDRと、配列番号80の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含むヒト化軽鎖可変ドメイン、並びに、配列番号88のCDRと、配列番号88の重鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含むヒト化重鎖可変ドメインを含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片に関する。1つの実施態様では、抗IL-36R抗体はヒト化モノクローナル抗体である。
【0125】
さらなる実施態様では、本発明は、配列番号80のCDRと、配列番号80の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含むヒト化軽鎖可変ドメイン、並びに、配列番号89のCDRと、配列番号89の重鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含むヒト化重鎖可変ドメインを含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片に関する。1つの実施態様では、抗IL-36R抗体はヒト化モノクローナル抗体である。
【0126】
さらなる実施態様では、本発明は、配列番号77のCDRと、配列番号77の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含むヒト化軽鎖可変ドメイン、並びに、配列番号87のCDRと、配列番号87の重鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含むヒト化重鎖可変ドメインを含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片に関する。1つの実施態様では、抗IL-36R抗体はヒト化モノクローナル抗体である。
【0127】
さらなる実施態様では、本発明は、配列番号77のCDRと、配列番号77の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含むヒト化軽鎖可変ドメイン、並びに、配列番号88のCDRと、配列番号88の重鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含むヒト化重鎖可変ドメインを含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片に関する。1つの実施態様では、抗IL-36R抗体はヒト化モノクローナル抗体である。
【0128】
さらなる実施態様では、本発明は、配列番号80のCDRと、配列番号80の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含むヒト化軽鎖可変ドメイン、並びに、配列番号87のCDRと、配列番号87の重鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含むヒト化重鎖可変ドメインを含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片に関する。1つの実施態様では、抗IL-36R抗体はヒト化モノクローナル抗体である。
【0129】
さらなる実施態様では、本発明は、配列番号86のCDRと、配列番号86の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含むヒト化軽鎖可変ドメイン、並びに、配列番号100のCDRと、配列番号100の重鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含むヒト化重鎖可変ドメインを含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片に関する。1つの実施態様では、抗IL-36R抗体はヒト化モノクローナル抗体である。
【0130】
さらなる実施態様では、本発明は、配列番号85のCDRと、配列番号85の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含むヒト化軽鎖可変ドメイン、並びに、配列番号101のCDRと、配列番号101の重鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含むヒト化重鎖可変ドメインを含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片に関する。1つの実施態様では、抗IL-36R抗体はヒト化モノクローナル抗体である。
【0131】
さらなる実施態様では、本発明は、配列番号85のCDRと、配列番号85の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含むヒト化軽鎖可変ドメイン、並びに、配列番号100のCDRと、配列番号100の重鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含むヒト化重鎖可変ドメインを含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片に関する。1つの実施態様では、抗IL-36R抗体はヒト化モノクローナル抗体である。
【0132】
いくつかの具体的な実施態様では、本明細書において開示されているヒト化抗IL-36R抗体は、本明細書において開示されているようなマウスモノクローナル抗体又はヒト化抗体のCDR又はHVLと、ヒト生殖系列重鎖及び軽鎖の可変ドメインのFRとを含む、少なくとも1つの重鎖又は1つの軽鎖の可変ドメインを含む。
【0133】
1つのさらなる態様では、本発明は、配列番号21~29のいずれか1つの軽鎖CDR1(L-CDR1)配列;配列番号30~38のいずれか1つの軽鎖CDR2(L-CDR2)配列;配列番号39~47のいずれか1つの軽鎖CDR3(L-CDR3)配列;配列番号48~56のいずれか1つの重鎖CDR1(H-CDR1)配列;配列番号57~66のいずれか1つの重鎖CDR2(H-CDR2)配列;及び、配列番号67~75のいずれか1つの重鎖CDR3(H-CDR3)配列を含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を提供する。1つの態様では、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片は、上記に列挙されたL-CDR1、上記に列挙されたL-CDR2、及び上記に列挙されたL-CDR3を含む軽鎖可変領域と、上記に列挙されたH-CDR1、上記に列挙されたH-CDR2、及び上記に列挙されたH-CDR3を含む重鎖可変領域を含む。
【0134】
さらなる態様では、本発明は、
a)それぞれ配列番号21、30、39、48、57及び67のL-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、H-CDR1、H-CDR2、及びH-CDR3の配列;又は
b)それぞれ配列番号22、31、40、49、58及び68のL-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、H-CDR1、H-CDR2、及びH-CDR3の配列;又は
c)それぞれ配列番号23、32、41、50、59及び69のL-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、H-CDR1、H-CDR2、及びH-CDR3の配列;又は
d)それぞれ配列番号24、33、42、51、60及び70のL-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、H-CDR1、H-CDR2、及びH-CDR3の配列;又は
e)それぞれ配列番号25、34、43、52、61及び71のL-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、H-CDR1、H-CDR2、及びH-CDR3の配列;又は
f)それぞれ配列番号26、35、44、53、62及び72のL-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、H-CDR1、H-CDR2、及びH-CDR3の配列;又は
g)それぞれ配列番号27、36、45、54、63及び73のL-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、H-CDR1、H-CDR2、及びH-CDR3の配列;又は
h)それぞれ配列番号27、36、45、54、64及び74のL-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、H-CDR1、H-CDR2、及びH-CDR3の配列;又は
i)それぞれ配列番号27、36、45、54、64及び73のL-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、H-CDR1、H-CDR2、及びH-CDR3の配列;又は
j)それぞれ配列番号28、37、46、55、65及び74のL-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、H-CDR1、H-CDR2、及びH-CDR3の配列;又は
k)それぞれ配列番号29、38、47、56、66及び75のL-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、H-CDR1、H-CDR2、及びH-CDR3の配列
を含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0135】
さらなる態様では、本発明は、
a)それぞれ配列番号26、103、44、53、62及び72のL-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、H-CDR1、H-CDR2、及びH-CDR3の配列;又は
b)それぞれ配列番号26、104、44、53、62及び72のL-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、H-CDR1、H-CDR2、及びH-CDR3の配列;又は
c)それぞれ配列番号27、36、45、107、63及び73のL-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、H-CDR1、H-CDR2、及びH-CDR3の配列;又は
d)それぞれ配列番号27、36、45、107、64及び73のL-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、H-CDR1、H-CDR2、及びH-CDR3の配列
を含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0136】
1つの態様では、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片は、上記に列挙されたL-CDR1、L-CDR2、及びL-CDR3の組合せを含む軽鎖可変領域と、上記に列挙されたH-CDR1、H-CDR2、及びH-CDR3の組合せを含む重鎖可変領域を含む。
【0137】
具体的な実施態様では、これらの例示的な免疫グロブリン間で交換されたCDR領域(すなわち、例えば、マウス抗体又はそれに由来するヒト化抗体の1つの中の1つ又は2つのCDRを、別のマウス抗体又はそれに由来するヒト化抗体に由来する類似したCDRと交換する)を有するキメラ抗体が、有用な抗体を生じ得ると考えられる。
【0138】
特定の実施態様では、ヒト化抗IL-36R抗体は、抗体断片である。様々な抗体断片が一般的に上記に議論され、抗体断片の産生のために開発された技術が存在する。断片は、インタクトな抗体のタンパク質分解的消化を介して誘導され得る(例えば、Morimoto et al., 1992, Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117;及びBrennan et al., 1985, Science 229:81参照)。あるいは、断片は、組換え宿主細胞において直接産生されてもよい。例えば、Fab’-SH断片は、大腸菌(E.coli)から直接回収され得、化学的に結合させて、F(ab')断片を形成し得る(例えば、Carter et al., 1992, Bio/Technology 10:163-167参照)。別のアプローチによると、F(ab')断片は、組換え宿主細胞培養液から直接単離されてもよい。抗体断片の産生のための他の技術は、当業者には明らかであろう。したがって、1つの態様では、本発明は、本明細書に記載のCDR、特に本明細書に記載のL-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、H-CDR1、H-CDR2、及びH-CDR3の組合せの1つを含む、抗体断片を提供する。さらなる態様では、本発明は、本明細書に記載の可変領域、例えば、本明細書に記載の軽鎖可変領域と重鎖可変領域の組合せの1つを含む抗体断片を提供する。
【0139】
特定の実施態様は、配列番号115又は118のいずれかの軽鎖配列を、配列番号125、126又は127の重鎖配列と組み合わせて含む、ヒト化抗IL-36R抗体のF(ab')断片を含む。このような実施態様は、このようなF(ab')を含むインタクトな抗体を含み得る。
【0140】
特定の実施態様は、配列番号123又は124のいずれかの軽鎖配列を、配列番号138又は139の重鎖配列と組み合わせて含む、ヒト化抗IL-36R抗体のF(ab')断片を含む。このような実施態様は、このようなF(ab')を含むインタクトな抗体を含み得る。
【0141】
いくつかの実施態様では、抗体又は抗体断片は、エフェクター機能を媒介する定常領域を含む。定常領域は、抗IL-36Rを発現している標的細胞に対する、抗体依存性細胞障害(ADCC)、抗体依存性細胞貪食(ADCP)、及び/又は補体依存性細胞障害(CDC)応答を提供し得る。エフェクタードメイン(群)は、例えば、免疫グロブリン分子のFc領域であり得る。
【0142】
抗体のエフェクタードメインは、任意の適切な脊椎動物の種及びアイソタイプに由来し得る。異なる動物種に由来するアイソタイプは、エフェクター機能媒介能において異なる。例えば、ヒト免疫グロブリンがCDC及びADCC/ADCPを媒介する能力は一般的には、それぞれ、IgM≒IgG1≒IgG3>IgG2>IgG4及びIgG1≒IgG3>IgG2/IgM/IgG4である。マウス免疫グロブリンは、CDC及びADCC/ADCPを一般的に、それぞれマウスのIgM≒IgG3>>IgG2b>IgG2a>>IgG1及びIgG2b>IgG2a>IgG1>>IgG3の順番で媒介する。別の例では、マウスIgG2aはADCCを媒介するが、マウスIgG2a及びIgMはどちらもCDCを媒介する。
【0143】
III.医薬の用量及び投与
本発明の抗IL-36R抗体は典型的には、アンタゴニストが薬学的に許容される担体又は賦形剤と混合されている医薬組成物として患者に投与される。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences及び米国薬局方:National Formulary, Mack Publishing Company、イーストン、ペンシルバニア州(1984)を参照されたい。医薬組成物は、目的の投与経路に適した任意の方法で製剤化され得る。医薬製剤の例としては、凍結乾燥粉末、スラリー、水溶液、懸濁液、及び持続放出製剤が挙げられる(例えば、Hardman et al. (2001) Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics, McGraw-Hill, New York, N. Y. ; Gennaro (2000) Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott, Williams, and Wilkins, New York, N. Y.; Avis et al.(eds.) (1993) Pharmaceutical Dosage Forms: Parenteral Medications, Marcel Dekker, NY; Lieberman et al. (eds.) (1990) Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets, Marcel Dekker, NY; Lieberman et al. (eds. ) (1990) Pharmaceutical Dosage Forms: Disperse Systems, Marcel Dekker, NY; Weiner and Kotkoskie (2000) Excipient Toxicity and Safety, Marcel Dekker, Inc. , New York, N. Y.参照)。適切な投与経路としては、静脈内注射(動脈内注射を含む)及び皮下注射が挙げられる。
【0144】
本発明に記載の用量及び用量レジメンの代表例が表Aに開示されている。900mg及び750mgの用量が例示されているが、類似の用量レジメンが同等に、210mg、300mg、350mg、450mg、600mg、700mg及び800mgの用量に適用される。
【0145】
【表23】


【0146】
1つの実施態様では、1回、2回、又は3回以上の静脈内用量(群)が、表Aに列挙される用量レジメンで患者に投与され、ここでの初回の皮下用量は、最後の静脈内用量から2~8週間後、4~6週間後、2週間後、4週間後、6週間後、又は8週間後、12週間後、16週間後、20週間後に投与され、後続の皮下用量は、初回の皮下用量後に2、4、6、8、10、又は12週間間隔で投与される。
【0147】
1つの態様では、本発明は、2回の900mgの静脈内(i.v.)用量の抗IL-36R抗体を患者に投与することによる、患者におけるGPPの処置に関し;ここでの2回目の用量は、初回の用量から2週間後未満に投与される。
【0148】
別の態様では、本発明は、1回の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を患者に投与し、GPP症状が持続する場合には、追加の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を初回の用量から1週間後に投与することによる、患者におけるGPPの処置に関する。
【0149】
1つの態様では、本発明は、患者における汎発性膿疱性乾癬(GPP)フレアを処置する方法に関し、該方法は、2回の900mgの静脈内(i.v.)用量の抗IL-36R抗体を患者に投与する工程を含み;ここでの2回目の用量は、初回の用量から2週間後未満に投与される。
【0150】
1つの態様では、本発明は、患者におけるGPPを処置する方法に関し、該方法は、2回の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を患者に投与する工程を含み;ここでの2回目の用量は、初回の用量から2週間後未満に投与される。
【0151】
1つの態様では、本発明は、患者におけるGPPの急性期フレアアップの兆候及び症状を低減又は軽減する方法に関し、該方法は、2回の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を患者に投与する工程を含み;ここでの2回目の用量は、初回の用量から2週間後未満に投与される。
【0152】
1つの態様では、本発明は、GPP症状の重症度及び期間を減少する方法に関し、該方法は、2回の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を患者に投与する工程を含み;ここでの2回目の用量は、初回の用量から2週間後未満に投与される。
【0153】
1つの態様では、本発明は、GPPに伴う皮膚障害を処置する方法に関し、該方法は、2回の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を患者に投与する工程を含み;ここでの2回目の用量は、初回の用量から2週間後未満に投与される。
【0154】
1つの態様では、本発明は、患者におけるGPPフレアの再発を予防する方法に関し、該方法は、2回の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を患者に投与する工程を含み;ここでの2回目の用量は、初回の用量から2週間後未満に投与される。
【0155】
1つの態様では、本発明は、GPP患者において疼痛を少なくとも10%低減する方法に関し、該方法は、2回の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を患者に投与する工程を含み;ここでの2回目の用量は、初回の用量から2週間後未満に投与される。
【0156】
1つの態様では、本発明は、中等度から重度のGPP症状を有する患者において生活の質を少なくとも10%改善する方法に関し、該方法は、2回の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を患者に投与する工程を含み;ここでの2回目の用量は、初回の用量から2週間後未満に投与される。
【0157】
上記のいずれかの態様に関連した1つの実施態様では、患者は、2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコアを有する。
【0158】
上記のいずれかの態様に関連した1つの実施態様では、患者は、2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコア、及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアを有する。
【0159】
上記のいずれかの態様に関連した1つの実施態様では、患者は、初回の静脈内用量投与前に、2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコア、及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアを有する。
【0160】
上記のいずれかの態様に関連した1つの実施態様では、患者は、初回の静脈内用量投与後に、2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコア、及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアを有する。
【0161】
上記のいずれかの態様に関連した1つの実施態様では、患者は、初回の静脈内用量投与前後に、2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコア、及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアを有する。
【0162】
上記のいずれかの態様に関連した1つの実施態様では、2回目の用量は、初回の用量から1週間後であるが2週間後未満に投与される。
【0163】
1つの態様では、本発明は、2以上のGPPGA膿疱サブスコアを有するGPP患者を処置する方法に関し、該方法は、(a)患者に初回の900mgの静脈内(i.v.)用量の抗IL-36R抗体を投与する工程;(b)患者のGPPGA膿疱サブスコアを評価し、患者の2以上のGPPGA膿疱サブスコアが初回の用量から1週間後にも持続する場合、次いで、患者に2回目の900mg(i.v.)の用量のスペソリマブを、初回の用量から2週間後未満に投与する工程を含む。
【0164】
1つの態様では、本発明は、2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコアを有するGPP患者を処置する方法に関し、該方法は、(a)患者に、初回の900mgの静脈内(i.v.)用量の抗IL-36R抗体を投与する工程;(b)患者のGPPGA合計スコアを評価し、患者の2以上のGPPGA合計スコアが初回の用量から1週間後にも持続する場合、次いで、患者に2回目の900mg(i.v.)の用量のスペソリマブを、初回の用量から2週間後未満に投与する工程を含む。
【0165】
1つの態様では、本発明は、2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコア、及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアを有するGPP患者を処置する方法に関し、該方法は、(a)患者に初回の900mgの静脈内(i.v.)用量の抗IL-36R抗体を投与する工程;(b)患者のGPPGAスコアを評価し、患者の2以上のGPPGA合計スコア及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアが初回の用量から1週間後にも持続する場合、次いで、患者に2回目の900mg(i.v.)の用量のスペソリマブを、初回の用量から2週間後未満に投与する工程を含む。
【0166】
上記のいずれかの態様又は実施態様に関連した1つの実施態様では、任意選択の3回目の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体が、2回目の静脈内用量から2~12週間後に投与される。
【0167】
上記のいずれかの態様又は実施態様に関連した1つの実施態様では、2用量の投与は、以下の結果の1つ以上を達成する:
(a)2回目の静脈内用量の投与後1週間で示される、汎発性膿疱性乾癬に対する全般的評価(GPPGA)の膿疱サブスコアが0;及び/又は
(b)2回目の静脈内用量の投与後1週間で0又は1のGPPGA合計スコア。
【0168】
上記のいずれかの態様又は実施態様に関連した1つの実施態様では、結果は、2回目の静脈内用量の投与後最大及び少なくとも12週間維持される。
【0169】
上記のいずれかの態様又は実施態様に関連した1つの実施態様では、前記方法は、予防有効量の抗IL-36R抗体を、1以上の皮下用量で、最後の静脈内用量が投与された後に患者に投与する工程を含む。
【0170】
上記のいずれかの態様又は実施態様に関連した1つの実施態様では、1回以上の皮下用量の各々が、150mg、225mg、300mg、450mg、又は600mgの前記IL-36R抗体を含む。
【0171】
上記のいずれかの態様又は実施態様に関連した1つの実施態様では、1回、2回、3回以上の皮下用量が患者に投与され、初回の皮下用量は最後の静脈内用量後に投与される。
【0172】
上記のいずれかの態様又は実施態様に関連した1つの実施態様では、初回の皮下用量は、最後の静脈内用量の2~8週間後、4~6週間後、2週間後、4週間後、6週間後、又は8週間後、12週間後、16週間後、20週間後に投与され、それに続く皮下用量は、初回の皮下用量後に2、4、6、8、10、又は12週間間隔で投与される。
【0173】
上記のいずれかの態様又は実施態様に関連した1つの実施態様では、患者は、最後の静脈内又は皮下用量後に少なくとも12、24、36、48、60、又は72週間、0又は1のGPPGA合計スコアによって測定されるような臨床的寛解に留まる。
【0174】
上記のいずれかの態様又は実施態様に関連した1つの実施態様では、哺乳動物又は患者は、(a)1週目における0又は1の汎発性膿疱性乾癬の全般的評価(GPPGA)スコア;(b)1週目に目に見える膿疱が皆無であることを示す、0のGPPGA膿疱サブスコア;(c)4週目における汎発性膿疱性乾癬に対する乾癬の面積及び重症度指数(GPPASI)75;(d)4週目における疼痛の視覚アナログ尺度(VAS)のスコアのベースラインからの変化;(e)4週目における乾癬症状評価尺度(PSS)スコアのベースラインからの変化;(f)4週目における慢性疾患治療-倦怠感の機能評価(FACIT)スコアのベースラインからの変化;(g)4週目における0又は1のGPPGA;(h)4週目において目に見える膿疱が皆無であることを示す、0のGPPGA膿疱サブスコア;(i)1週目及び4週目におけるGPPASI50;又は(j)1週目及び4週目におけるベースラインからのGPPASIの膿疱、紅斑又は鱗屑の重症度サブスコアの変化、によって定義されるような、改善された臨床寛解について評価される。関連した実施態様では、投与に対する応答を示す患者の比率は、列挙された評価項目のいずれかについても、プラセボの患者と比較して統計学的に有意により高い。
【0175】
医薬組成物及びその投与
本発明の抗体は、単独で又は他の薬剤と組み合わせてのいずれかで投与され得る。このような医薬組成物に使用するための抗体の例は、配列番号1~10のいずれかの軽鎖可変領域アミノ酸配列を有する、抗体又は抗体断片を含むものである。このような医薬組成物に使用するための抗体の例は、配列番号11~20のいずれかの重鎖可変領域アミノ酸配列を有する、ヒト化抗体又は抗体断片を含むものである。
【0176】
このような医薬組成物に使用するための抗体のさらなる例はまた、配列番号76~86のいずれかの軽鎖可変領域アミノ酸配列を有する、ヒト化抗体又は抗体断片を含むものである。このような医薬組成物に使用するための好ましい抗体は、配列番号87~101のいずれかの重鎖可変領域アミノ酸配列を有する、ヒト化抗体又は抗体断片を含むものである。
【0177】
このような医薬組成物に使用するための抗体のさらなる例はまた、配列番号77及び89、配列番号80及び88、配列番号80及び89、配列番号77及び87、配列番号77及び88、配列番号80及び87、配列番号86及び100、配列番号85及び101、又は配列番号85及び10のいずれかの軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を有する、ヒト化抗体又は抗体断片を含むものである。
【0178】
このような医薬組成物に使用するための抗体のさらなる例はまた、配列番号115、118、123又は124のいずれかの軽鎖領域アミノ酸配列を有するヒト化抗体を含むものである。このような医薬組成物に使用するための好ましい抗体はまた、配列番号125、126、127、138又は139のいずれかの重鎖可変領域アミノ酸配列を有するヒト化抗体を含むものである。
【0179】
このような医薬組成物に使用するための抗体のさらなる例はまた、抗体B1、抗体B2、抗体B3、抗体B4、抗体B5、抗体B6、抗体C1、抗体C2又は抗体C3を含むものである。
【0180】
様々な送達システムが公知であり、これを使用して、IL-36R結合剤を投与することができる。導入法としては、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、及び経口経路が挙げられるがこれらに限定されない。IL-36R結合剤は、例えば、注入、ボーラス、又は注射によって投与され得、そして他の生物学的に活性な剤、例えば化学療法剤と一緒に投与され得る。投与は全身であっても局所であってもよい。好ましい実施態様では、投与は、皮下注射による。このような注射用の製剤は、例えば、充填シリンジで調製され得、これは隔週に1回投与され得る。
【0181】
1つの態様では、本発明は、患者に一定用量の本発明の抗体を送達する、皮下投与装置を含む製品を提供する。いくつかの実施態様では、皮下投与装置は、プレフィルドシリンジ、自己注射器、又は大容量の注入装置である。例えば、大量の液体薬物の皮下投与を可能とする使い捨ての注入装置である、ロシュ製のMyDose(商標)製品を投与装置として使用し得る。数多くの再利用可能なペン型及び自己注射器の送達装置が、本発明の医薬組成物の皮下送達に適用を有する。例としては、数例挙げると、オートペン(商標)(Owen Mumford社、ウッドストック、英国)、ディセントロニック(商標)ぺン(Disetronic Medical Systems社、ブルグドルフ、スイス)、ヒューマログミックス75/25(商標)ペン、ヒューマログ(商標)ペン、ヒューマリン70/30(商標)ペン(イーライリリー社、インディアナポリス、インディアナ州)、ノボペン(商標)I、II及びIII(ノボノルディスク社、コペンハーゲン、デンマーク)、ノボペンジュニア(商標)(ノボノルディスク社、コペンハーゲン、デンマーク)、BD(商標)ペン(ベクトンディッキンソン社、フランクリンレイクス、ニュージャージー州)、オプティペン(商標)、オプティペンプロ(商標)、オプティペンスターレット(商標)、及びオプティクリック(商標)(サノフィアベンティス社、フランクフルト、ドイツ)が挙げられるがこれらに限定されない。本発明の医薬組成物の皮下送達に適用を有する使い捨てのペン型送達装置の例としては、数例挙げると、ソロスター(商標)ペン(サノフィアベンティス社)、フレックスペン(商標)(ノボノルディスク社)、及びクイックペン(商標)(イーライリリー社)、スーパークリック(商標)オートインジェクター(アムジェン社、サウザンドオークス、カリフォルニア州)、ペンレット(商標)(ハーゼルマイヤー社、シュツットガルト、ドイツ)、エピペン(Dey,L.P.社)、及びヒュミラ(商標)ペン(アボットラボラトリーズ社、アボットパークIII)、YPSOMATE(商標)、YPSOMATE2.25(商標)、VAIROJECT(商標)(イプスメッド社、ブルグドルフ、スイス)が挙げられるがこれらに限定されない。本発明の抗体と共に使用され得る、例示的な送達装置に関する追加の情報は、例えば、CH705992A2、WO2009/040602、WO2016/169748、WO2016/179713に見られ得る。
【0182】
具体的な実施態様では、IL-36R結合剤組成物は、注射によって、カテーテルを用いて、坐剤を用いて、又は埋め込み剤を用いて投与され、埋め込み剤は、多孔性、無孔性、又はゲル性の材料であり、例えば、膜、例えばシラスティック膜、又は繊維である。典型的には、該組成物を投与する場合、抗IL-36R抗体又は剤が吸収しない材料が使用される。
【0183】
他の実施態様では、抗IL-36R抗体又は剤は、放出制御システムで送達される。1つの実施態様では、ポンプが使用されてもよい(例えば、Langer, 1990, Science 249:1527-1533; Sefton, 1989, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201; Buchwald et al., 1980, Surgery 88:507; Saudek et al., 1989, N. Engl. J. Med. 321:574参照)。別の実施態様では、ポリマー材料が使用されてもよい(例えば、Medical Applications of Controlled Release (Langer and Wise eds., CRC Press, Boca Raton, Fla., 1974); Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance (Smolen and Ball eds., Wiley, New York, 1984); Ranger and Peppas, 1983, Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23:61参照。Levy et al., 1985, Science 228:190; During et al., 1989, Ann. Neurol. 25:351; Howard et al., 1989, J. Neurosurg. 71:105も参照されたい)。他の放出制御システムも、例えばLanger、上記に考察されている。
【0184】
抗IL-36R結合剤(例えば抗IL―36R抗体)は、治療有効量の結合剤と1つ以上の薬学的に適合性の成分とを含む、医薬組成物として投与され得る。
【0185】
1つの実施態様では、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片(本明細書に開示されている)は、本明細書に記載の態様のいずれか1つに従って、哺乳動物又は患者に投与するのに適した、医薬製剤(2020年9月17日に公開された同時係属中のPCT公開公報第20200185479号(その全内容はその全体が参照により本明細書にここに組み入れられる)に記載のような)中に存在する。この実施態様の様々な例が、以下に便宜のために番号の付けられた項目(1、2、3など)として記載されている。これらは、例として提供され、対象の技術を制限しない。従属的な項目のいずれかを、任意の組み合わせで組み合わせてもよく、それぞれの独立した項目、例えば項目1に配置してもよいことが注記される。他の項目も同じように提示され得る。
【0186】
1.患者における汎発性膿疱性乾癬(GPP)フレアを処置する方法であって、該方法は、患者に、2回の900mgの静脈内(i.v.)用量の抗IL-36R抗体を投与する工程を含み、ここでの2回目の用量は、初回の用量の2週間後未満に投与される。
【0187】
2.患者に、1回の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を投与し、GPP症状が持続する場合には、初期用量の1週間後に追加の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を投与することによる、患者におけるGPPを処置する方法。
【0188】
3.患者におけるGPPを処置する方法であって、該方法は、患者に、2回の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を投与する工程を含み、ここでの2回目の用量は、初回の用量の2週間後未満に投与される。
【0189】
4.患者におけるGPPの急性期フレアアップの兆候及び症状を低減又は軽減する方法であって、該方法は、患者に、2回の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を投与する工程を含み、ここでの2回目の用量は、初回の用量の2週間後未満に投与される。
【0190】
5.GPPの症状の重症度及び期間を減少させる方法であって、該方法は、患者に、2回の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を投与する工程を含み、ここでの2回目の用量は、初回の用量の2週間後未満に投与される。
【0191】
6.GPPに伴う皮膚障害を処置する方法であって、該方法は、患者に、2回の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を投与する工程を含み、ここでの2回目の用量は、初回の用量の2週間後未満に投与される。
【0192】
7.患者におけるGPPフレアの再発を予防する方法であって、該方法は、患者に、2回の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を投与する工程を含み、ここでの2回目の用量は、初回の用量の2週間後未満に投与される。
【0193】
8.GPP患者における疼痛を少なくとも10%減少させる方法であって、該方法は、患者に、2回の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を投与する工程を含み、ここでの2回目の用量は、初回の用量の2週間後未満に投与される。
【0194】
9.中等度から重度のGPP症状を有する患者における生活の質を少なくとも10%改善する方法であって、該方法は、患者に、2回の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体を投与する工程を含み、ここでの2回目の用量は、初回の用量の2週間後未満に投与される。
【0195】
10.患者は、2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコアを有する、項目1~9のいずれか記載の方法。
【0196】
11.患者は、2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコア、及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアを有する、項目1~10のいずれか記載の方法。
【0197】
12.患者は、初回の静脈内用量の投与前に、2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコア、及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアを有する、項目1~11のいずれか記載の方法。
【0198】
13.患者は、初回の静脈内用量の投与後に、2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコア、及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアを有する、項目1~12のいずれか記載の方法。
【0199】
14.患者は、初回の静脈内用量の投与前後に、2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコア、及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアを有する、項目1~13のいずれか記載の方法。
【0200】
15.2回目の用量が、初回の用量の1週間後であるが2週間後未満に投与される、項目1~14のいずれか記載の方法。
【0201】
16.2以上のGPPGA膿疱サブスコアを有するGPP患者を処置する方法であって、該方法は、(a)患者に初回の900mgの静脈内(i.v.)用量の抗IL-36R抗体を投与する工程;(b)患者のGPPGA膿疱サブスコアを評価し、患者の2以上のGPPGA膿疱サブスコアが初回の用量から1週間後にも持続する場合、次いで、患者に2回目の900mg(i.v.)の用量のスペソリマブを、初回の用量から2週間後未満に投与する工程を含む。
【0202】
17.2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコアを有するGPP患者を処置する方法であって、該方法は、(a)患者に、初回の900mgの静脈内(i.v.)用量の抗IL-36R抗体を投与する工程;(b)患者のGPPGA合計スコアを評価し、患者の2以上のGPPGA合計スコアが初回の用量から1週間後にも持続する場合、次いで、患者に2回目の900mg(i.v.)の用量のスペソリマブを、初回の用量から2週間後未満に投与する工程を含む。
【0203】
18.2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコア、及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアを有するGPP患者を処置する方法であって、該方法は、(a)患者に初回の900mgの静脈内(i.v.1)用量の抗IL-36R抗体を投与する工程;(b)患者のGPPGAスコアを評価し、患者の2以上のGPPGA合計スコア及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアが初回の用量から1週間後にも持続する場合、次いで、患者に2回目の900mg(i.v.)の用量のスペソリマブを、初回の用量から2週間後未満に投与する工程を含む。
【0204】
19.任意選択の3回目の900mgの静脈内用量の抗IL-36R抗体が、2回目の静脈内用量の2~12週間後に投与される、項目1~18のいずれか記載の方法。
【0205】
20.2用量の投与は、以下の結果:
(a)2回目の静脈内用量の投与後1週間に示される、汎発性膿疱性乾癬に対する全般的評価(GPPGA)の膿疱サブスコアが0;及び/又は
(b)2回目の静脈内用量の投与後1週間に0又は1のGPPGA合計スコア
の1つ以上を達成する、項目1~19のいずれか記載の方法。
【0206】
21.結果は、2回目の静脈内用量の投与後最大及び少なくとも12週間維持される、項目20の方法。
【0207】
22.前記方法がさらに、最後の静脈内用量が投与された後に、1回以上の皮下用量で、予防有効量の抗IL-36R抗体を、患者に投与する工程を含む、項目1~21のいずれか記載の方法。
【0208】
23.1回以上の皮下用量の各々が、150mg、225mg、300mg、450mg、又は600mgの前記抗IL-36R抗体を含む、項目22記載の方法。
【0209】
24.1回、2回、3回以上の皮下用量が患者に投与され、初回の皮下用量は最後の静脈内用量後に投与される、項目23記載の方法。
【0210】
25.初回の皮下用量が、最後の静脈内用量の2~8週間後、4~6週間後、2週間後、4週間後、6週間後、又は8週間後、12週間後、16週間後、20週間後に投与され、それに続く皮下用量が、初回の皮下用量後に2、4、6、8、10、又は12週間間隔で投与される、項目24記載の方法。
【0211】
26.患者は、最後の静脈内又は皮下用量後に少なくとも12、24、36、48、60、又は72週間、0又は1のGPPGA合計スコアによって測定されるような臨床的寛解に留まる、項目1~25のいずれか記載の方法。
【0212】
27.抗IL-36R抗体は、a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号35、102、103、104、105、106、又は140のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110、又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域を含む、項目1~26のいずれか記載の方法。
【0213】
28.抗IL-36R抗体は、以下を含む、項目1~27のいずれか記載の方法。
I.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号102のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域を含む。
II.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号103のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域を含む。
III.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号104のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域を含む。
IV.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号105のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域を含む。
V.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号106のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域を含む。
VI.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号140のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域を含む。
【0214】
29.抗IL-36R抗体は、
(i)配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(ii)配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(iii)配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(iv)配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(v)配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(vi)配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(vii)配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(viii)配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(ix)配列番号86のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(x)配列番号86のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む、項目1~28のいずれか記載の方法。
【0215】
30.抗IL-36R抗体は、
i.配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号125のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
ii.配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号126のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
iii.配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号127のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
iv.配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号125のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
v.配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号126のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
vi.配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号127のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
vii.配列番号123のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
viii.配列番号123のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号139のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
ix.配列番号124のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖
を含む、項目1~29のいずれか記載の方法。
【0216】
31.抗IL-36R抗体はスペソリマブである、項目1~30のいずれか記載の方法。
【0217】
32.患者における汎発性膿疱性乾癬(GPP)フレアを処置する方法であって、該方法は、患者に、2回の900mgの静脈内(i.v.)用量のスペソリマブを投与する工程を含み、ここでの2回目の用量は、初回の用量の2週間後未満に投与される。
【0218】
33.患者におけるGPPを処置する方法であって、該方法は、患者に、2回の900mgの静脈内用量のスペソリマブを投与する工程を含み、ここでの2回目の用量は、初回の用量の2週間後未満に投与される。
【0219】
34.患者におけるGPPの急性期フレアアップの兆候及び症状を低減又は軽減する方法であって、該方法は、患者に、2回の900mgの静脈内用量のスペソリマブを投与する工程を含み、ここでの2回目の用量は、初回の用量の2週間後未満に投与される。
【0220】
35.GPPの症状の重症度及び期間を減少させる方法であって、該方法は、患者に、2回の900mgの静脈内用量のスペソリマブを投与する工程を含み、ここでの2回目の用量は、初回の用量の2週間後未満に投与される。
【0221】
36.GPPに伴う皮膚障害を処置する方法であって、該方法は、患者に、2回の900mgの静脈内用量のスペソリマブを投与する工程を含み、ここでの2回目の用量は、初回の用量の2週間後未満に投与される。
【0222】
37.患者におけるGPPフレアの再発を予防する方法であって、該方法は、患者に、2回の900mgの静脈内用量のスペソリマブを投与する工程を含み、ここでの2回目の用量は、初回の用量の2週間後未満に投与される。
【0223】
38.GPP患者における疼痛を少なくとも10%減少させる方法であって、該方法は、患者に、2回の900mgの静脈内用量のスペソリマブを投与する工程を含み、ここでの2回目の用量は、初回の用量の2週間後未満に投与される。
【0224】
39.中等度から重度のGPP症状を有する患者における生活の質を少なくとも10%改善する方法であって、該方法は、患者に2回の900mgの静脈内用量のスペソリマブを投与する工程を含み、ここでの2回目の用量は、初回の用量の2週間後未満に投与される。
【0225】
40.患者は、2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコアを有する、項目1~39のいずれか記載の方法。
【0226】
41.患者は、2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコア、及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアを有する、項目1~40のいずれか記載の方法。
【0227】
42.患者は、初回の静脈内用量の投与前に、2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコア、及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアを有する、項目1~41のいずれか記載の方法。
【0228】
43.患者は、初回の静脈内用量の投与後に、2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコア、及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアを有する、項目1~42のいずれか記載の方法。
【0229】
44.患者は、初回の静脈内用量の投与前後に、2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコア、及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアを有する、項目1~43のいずれか記載の方法。
【0230】
45.2回目の用量は、初回の用量の1週間後であるが2週間後未満に投与される、項目1~44のいずれか記載の方法。
【0231】
46.2以上のGPPGA膿疱サブスコアを有するGPP患者を処置する方法であって、該方法は、(a)患者に初回の900mgの静脈内(i.v.)用量のスペソリマブを投与する工程;(b)患者のGPPGA膿疱サブスコアを評価し、患者の2以上のGPPGA膿疱サブスコアが初回の用量から1週間後にも持続する場合、次いで、患者に2回目の900mg(i.v.)の用量のスペソリマブを、初回の用量から2週間後未満に投与する工程を含む。
【0232】
47.2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコアを有するGPP患者を処置する方法であって、該方法は、(a)患者に初回の900mgの静脈内(i.v.)用量のスペソリマブを投与する工程;(b)患者のGPPGA合計スコアを評価し、患者の2以上のGPPGA合計スコアが初回の用量から1週間後にも持続する場合、次いで、患者に2回目の900mg(i.v.)の用量のスペソリマブを、初回の用量から2週間後未満に投与する工程を含む。
【0233】
48.2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコア、及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアを有するGPP患者を処置する方法法であって、該方法は、(a)患者に初回の900mgの静脈内(i.v.1)用量のスペソリマブを投与する工程;(b)患者のGPPGAスコアを評価し、患者の2以上のGPPGA合計スコア及び2以上のGPPGA膿疱サブスコアが初回の用量から1週間後にも持続する場合、次いで、患者に2回目の900mg(i.v.)の用量のスペソリマブを、初回の用量から2週間後未満に投与する工程を含む。
【0234】
49.任意選択の3回目の900mgの静脈内用量のスペソリマブが、2回目の静脈内用量の2~12週間後に投与される、項目1~48のいずれか記載の方法。
【0235】
50.2用量の投与は、以下:
(a)2回目の静脈内用量の投与後1週間に示される、汎発性膿疱性乾癬に対する全般的評価(GPPGA)の膿疱サブスコアが0;及び/又は
(b)2回目の静脈内用量の投与後1週間に0又は1のGPPGA合計スコア
の結果の1つ以上を達成する、項目1~49のいずれか記載の方法。
【0236】
51.結果は、2回目の静脈内用量の投与後最大及び少なくとも12週間維持される、項目50の方法。
【0237】
52.前記方法はさらに、最後の静脈内用量が投与された後に、1回以上の皮下用量で、予防有効量のスペソリマブを、患者に投与する工程を含む、項目1~51のいずれか記載の方法。
【0238】
53.1回以上の皮下用量の各々は、150mg、225mg、300mg、450mg、又は600mgのスペソリマブを含む、項目52記載の方法。
【0239】
54.1回、2回、3回以上の皮下用量が患者に投与され、初回の皮下用量は最後の静脈内用量後に投与される、項目53記載の方法。
【0240】
55.初回の皮下用量が、最後の静脈内用量の2~8週間後、4~6週間後、2週間後、4週間後、6週間後、又は8週間後、12週間後、16週間後、20週間後に投与され、それに続く皮下用量が、初回の皮下用量後に2、4、6、8、10、又は12週間間隔で投与される、項目54記載の方法。
【0241】
56.患者は、最後の静脈内又は皮下用量後に少なくとも12、24、36、48、60、又は72週間、0又は1のGPPGA合計スコアによって測定されるような臨床的寛解に留まる、項目1~55のいずれか記載の方法。
【0242】
57.患者は、スペソリマブの用量(群)の投与を受けた後、1、4又は12週間以内に乾癬症状評価尺度(PSS)スコアの改善を経験し;ここでの改善は、抗IL-36R抗体又はスペソリマブの投与後のPSSスコアが、投与前の患者のベースラインのPSSスコアと比較された場合に少なくとも10%である、項目1~56のいずれか記載の方法。
【0243】
58.患者は、スペソリマブの用量(群)の投与を受けた後、1、4又は12週間以内に慢性疾患治療-倦怠感の機能評価(FACIT-倦怠感)スコアの改善を経験し;ここでの改善は、抗IL-36R抗体又はスペソリマブの投与後のFACIT-倦怠感スコアが、投与前の患者のベースラインのFACIT-倦怠感のスコアと比較された場合に少なくとも10%である、項目1~57のいずれか記載の方法。
【0244】
59.患者は、スペソリマブの用量(群)の投与を受けた後、1、4又は12週間以内に、皮膚疾患の生活の質の指数(DLQI)、乾癬症状評価尺度(PSS)、視覚アナログ尺度(VAS)、又は慢性疾患治療-倦怠感の機能評価(FACIT-倦怠感)スコアの改善を経験し;ここでの改善は、抗IL-36R抗体又はスペソリマブの投与後の1、4、又は12週目におけるDQLI、PSS、VAS又はFACIT-倦怠感スコアが、投与前の患者のベースラインのDQLI、PSS、VAS又はFACIT-倦怠感スコアと比較された場合に少なくとも10%である、項目1~58のいずれか記載の方法。
【0245】
60.GPP患者における乾癬症状評価尺度(PSS)、皮膚疾患の生活の質の指数(DLQI)、視覚アナログ尺度(VAS)、又は慢性疾患治療-倦怠感の機能評価(FACIT-倦怠感)スコアを改善する方法であって、該方法は、1回の900mgの静脈内(i.v.)用量のスペソリマブ及び任意選択の2回目の900mgの静脈内用量のスペソリマブを患者に投与する工程を含み;ここでの2回目の任意選択のスペソリマブの用量は、患者においてGPP症状(例えば2以上のGPPGA合計スコア及び/又は2以上のGPPGA膿疱サブスコア)が持続する場合に、初回用量から2週間後未満に投与される。
【0246】
61.GPP患者における慢性疾患治療-倦怠感の機能評価(FACIT-倦怠感)スコアを改善する方法であって、該方法は、1回の900mgの静脈内(i.v.)用量のスペソリマブ及び任意選択の2回目の900mgの静脈内用量のスペソリマブを患者に投与する工程を含み;ここでの2回目の任意選択のスペソリマブの用量は、患者においてGPP症状(例えば2以上のGPPGA合計スコア及び/又は2以上のGPPGA膿疱サブスコア)が持続する場合に、初回用量から2週間後未満に投与される。
【0247】
62.GPP患者における皮膚疾患の生活の質の指数(DLQI)のスコアを改善する方法であって、該方法は、1回の900mgの静脈内(i.v.)用量のスペソリマブ及び任意選択の2回目の900mgの静脈内用量のスペソリマブを患者に投与する工程を含み;ここでの2回目の任意選択のスペソリマブの用量は、患者においてGPP症状(例えば2以上のGPPGA合計スコア及び/又は2以上のGPPGA膿疱サブスコア)が持続する場合に、初回用量から2週間後未満に投与される。
【0248】
63.改善は、スペソリマブの投与後の1、4、又は12週目におけるスコアが、投与前の患者のベースラインにおけるスコアと比較される場合に少なくとも10%である、項目59~61のいずれか記載の方法。
【0249】
64.スペソリマブの投与(群)は、処置の2、4、6、8、10及び/又は12週目により低い抗薬物抗体の力価の最大値をもたらす、項目1~63のいずれかに記載の方法。
【0250】
さらに、医薬組成物は、(a)凍結乾燥形でIL-36R結合剤(例えば抗IL-36R抗体)を含有する容器と、(b)注射用の薬学的に許容される希釈剤(例えば滅菌水)を含有する第2の容器とを含む、医薬キットとして提供され得る。薬学的に許容される希釈剤は、凍結乾燥させた抗IL-36R抗体又は剤の復元又は希釈のために使用され得る。場合により、このような容器(群)には、医薬品又は生物学的製剤の製造、使用又は販売を規制する政府当局によって指示された形式の注意書きを伴っていてもよく、ここでの注意書きは、ヒトへの投与のための製造、使用又は販売の当局による認可を反映している。
【0251】
このような併用療法の投与は、疾患パラメーター(例えば症状の重症度、症状の数、又は再発の頻度)に対する相加作用又は相乗作用を有し得る。
【0252】
組合せ投与のための治療レジメンに関して、具体的な実施態様では、抗IL-36R抗体又はIL-36R結合剤は、治療剤と同時に投与される。別の具体的な実施態様では、治療剤は、抗IL-36R抗体又はIL-36R結合剤の投与の、少なくとも1時間及び最大数か月間だけ前又は後に、例えば抗IL-36R抗体又はIL-36R結合剤の投与の少なくとも1時間、5時間、12時間、1日間、1週間、1か月間、又は3か月間だけ前又は後に投与される。
【0253】
本発明は、以下の実施例においてさらに記載され、これは本発明の範囲を限定するものではない。
【0254】
実施例
実施例1:汎発性膿疱性乾癬のためのスペソリマブの試験
要約
背景:汎発性膿疱性乾癬は、無菌性膿疱の広範な噴出によって特徴付けられる、希少で生命を脅かす炎症性皮膚疾患である。調節不全のインターロイキン-36のシグナル伝達が、その発病に関与する。本発明者らは、ヒト化抗インターロイキン-36受容体モノクローナル抗体であるスペソリマブを、汎発性膿疱性乾癬のフレアを有する患者において、第2相試験において、プラセボと比較した。
【0255】
方法:汎発性膿疱性乾癬のフレアを有する患者を、2:1の比で、1回の900mgの静脈内用量のスペソリマブ又はプラセボに無作為に割り当てた。一次評価項目は、1週目において、汎発性膿疱性乾癬に対する医師による全般的評価(GPPGA)の膿疱サブスコア0(0~4の範囲、0は膿疱が全くないことを示し、4は重度の膿疱を示す)であった。主要副次評価項目は、1週目において、GPPGA合計スコア0又は1(消失又はほぼ消失)であった(0~4の範囲、より高いスコアは、より大きな疾患重症度を示す)。
【0256】
結果:合計85人の患者をスクリーニングし、53人が登録された:35人が、スペソリマブの投与を受けるように割り当てられ、18人がプラセボの投与を受けるように割り当てられた。ベースラインGPPGA膿疱サブスコアは、それぞれスペソリマブ群及びプラセボ群の46%及び39%において3であり、37%及び33%において4であった。1週目の終了時に、膿疱サブスコア0が、プラセボの投与を受けた18人中1人(6%)に対して、スペソリマブの投与を受けた患者の35人中19人(54%)において達成された(差、49パーセントポイント;95%信頼区間[CI]21.5~67.2];P<0.001)。1週目の終了時に、GPPGA合計スコア0又は1が、スペソリマブ群の患者の35人中15人(43%)及びプラセボ群の患者の18人中2人(11%)によって達成された(差、32パーセントポイント;95%信頼区間、2.2~52.7);P=0.024)。好酸球増加症及び全身症状を伴う薬物反応が、2人のスペソリマブ処置患者で報告された。感染は、1週目においてスペソリマブで処置された患者の17%で起こった。抗薬物抗体は、少なくとも1用量のスペソリマブの投与を受けた50人中23人(46%)の患者において検出された。
【0257】
結論:汎発性膿疱性乾癬のフレアを有する患者における1週間の第2相試験において、IL-36受容体阻害剤のスペソリマブは、プラセボよりも高い比率の病変の消失をもたらしたが、より多くの感染及び全身性薬物反応を伴った。より長くかつより大きな試験が、膿疱性乾癬におけるスペソリマブの効果及びリスクを決定するために必要とされる(ベーリンガーインゲルハイム社によって資金が提供された;ClinicalTrials.gov 識別番号:NCT03782792)。
【0258】
序論
汎発性膿疱性乾癬(GPP)は、疼痛、発熱、全身倦怠感、倦怠感、及び皮膚外徴候、例えば関節炎及び好中球性胆管炎という全身症状を伴って又は伴わずに起こり、広範な無菌性で目に見える膿疱の噴出によって特徴付けられる、希少で生命を脅かす可能性のある、自己炎症性皮膚疾患である。GPPの臨床経過は、再発性フレアを伴って再発し得るか、又は断続的フレアと共に持続し得る。死亡率は2%から16%の範囲であり、敗血性ショック及び心肺不全が原因である。フレアの頻度は患者により異なり、フレアは自然発生的であり得るか、又は上気道感染、ストレス、薬物、薬物の中止、及び妊娠によってトリガーされ得る。疾患は、生活の質に対して有害な影響を及ぼす。
【0259】
米国又は欧州には前記疾患のために承認された療法はなく、管理は、シクロスポリン、レチノイド、メトトレキサート、及び生物学的製剤を含む。腫瘍壊死因子α(アダリムマブ、インフリキシマブ、セルトリズマブペゴール)、インターロイキン(IL)-17/IL-17受容体(セクキヌマブ、ブロダルマブ、イキセキズマブ)、及びIL-23(リサンキズマブ、グセルクマブ)を阻害する生物学的製剤が、尋常性乾癬におけるこれらの薬物の小規模の試験及び研究、並びに、GPPにおける小規模な無作為化試験に基づいて、日本、台湾、及びタイにおける使用のために承認されている。
【0260】
GPPにおけるIL-36経路の役割は、IL-36受容体アンタゴニスト遺伝子(IL36RN)及び関連遺伝子(CARD14、AP1S3、SERPINA3、MPO)の機能欠失型突然変異の発見、並びに、GPP皮膚病変におけるIL-36サイトカインの過剰発現によって支持される。ヒト化抗IL-36受容体モノクローナル抗体であるスペソリマブを用いた臨床的改善は、オープンラベル第1相試験において、GPPフレアを呈する7人の患者において観察された。
【0261】
本発明者らは、第2相無作為化試験を実施して、GPPフレアを呈する患者においてプラセボに対するスペソリマブの有効性及び安全性を調べた。この障害の急性かつ重度のフレアは生命を脅かすので、1週間のプラセボ対照期間を伴う、1用量の薬物が、試験デザインのために選択され、両群の患者が、8日目にオープンラベルのスペソリマブの投与を受ける機会を提供された。試験終了時の12週目に、患者は、別のオープンラベルのスペソリマブの延長試験への登録を提供された(ClinicalTrials.gov 識別番号:NCT03886246)。
【0262】
方法
試験デザイン
この第2相の多施設無作為化二重盲検プラセボ対照試験は、2019年2月20日から2021年1月5日まで実施され、12か国の37か所の施設からの患者が登録された。GPPフレアを呈する患者は、2:1の比で、1回の900mgの静脈内用量のスペソリマブ又はプラセボの投与を受けるように無作為に割り当てられた(図1)。無作為化は、日本民族vs非日本民族の層別化要因と共に双方向応答システムを使用して実施された。患者及び治験担当者は、データベースが分析のためにロックされるまで試験中ずっと、1日目に投与された処置群の割付に対して盲検化された。8日目に、両群の患者は、1週目の終了時に2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)の合計スコア(0[消失皮膚]から4[重度の疾患]の範囲)並びに1週目における2以上の改変されたPGA及びGPPGA膿疱サブスコアに基づいたGPPの重症度の臨床医による評価(0[目に見える膿疱は皆無]から4[重度の膿疱]の範囲)からなる、予め規定された閾値に基づいた持続的症状を示した場合に、オープンラベルの1回の900mgの静脈内用量のスペソリマブ(これは幾人かの患者においては、プラセボからスペソリマブへのクロスオーバーに至った)の投与を受けることに適格であった。GPPGA合計スコアは、サブスコアの平均である[膿疱、紅斑、及び鱗屑];(以下の補足情報を参照)。1週間後、1回の900mgの静脈内用量のスペソリマブを用いたレスキュー処置が、フレアの再発(最初に0又は1のGPPGA合計スコアを達成した後、GPPGA合計スコア及び膿疱サブスコアの両方の2ポイント以上の増加として定義される)の場合に投与され得る。臨床的改善を達成し、かつ、フレア症状を伴うことなく試験を完了した患者は、5年間のオープンラベルの延長試験(ClinicalTrials.gov 識別番号:NCT03886246)に入ることに適格であった。処置担当医師の選択による、標準治療を用いたエスケープ処置は、1週間の間に即座の処置を必要とした疾患の悪化を経験した患者、及び、1週間後にオープンラベルのスペソリマブを用いたレスキュー薬物療法に適格ではなかった疾患の悪化を伴う患者に許容された。最初の週におけるエスケープ処置の使用は、GPPフレアが生命を脅かす可能性があるので、患者の安全性のために必須であった。エスケープ薬物療法の投与を受けたあらゆる患者が、1週目における一次評価及び主要副次評価のための分析において応答を達成しなかった(無応答)と判断された。試験デザインの詳細は、下記のプロトコール及び図2にある。
【0263】
18~75歳の患者は、欧州の希少で重度の乾癬専門家ネットワーク(ERASPEN)基準1による診断基準と一致するGPPの病歴を有していた場合に、登録に適格であった。3つの主なGPP関連遺伝子(IL36RN、CARD14、AP1S3)のコード配列の分析は、血液試料からのDNA抽出物に対して実施され、患者は、IL36RNの突然変異の状態に関係なく登録された。患者は、中等度から重度の強度のGPPフレアを有していなければならなかった(3以上のGPPGA合計スコア、新規又は悪化しつつある膿疱、GPPGA膿疱サブスコアが2以上、及び紅斑を有する体表面積が5%以上、及び膿疱の存在として定義される)。重要な除外基準は、膿疱を伴わない、又は乾癬性プラークに限定された膿疱を伴うプラーク型乾癬、薬物によりトリガーされた急性汎発性発疹性膿疱症、集中治療処置を必要とする直ちに生命を脅かすGPPフレア、及びメトトレキサート、シクロスポリン、又はレチノイド、又は任意の限定された薬物を用いて現在処置される必要性を有する患者を含む。
【0264】
評価項目
一次評価項目は、1週目の終了時における、0(消失)のGPPGA膿疱サブスコアの達成であった。主要副次評価項目は、1週目の終了時における、0又は1(消失又はほぼ消失)のGPPGAスコアであった。副次評価項目は、何人かの患者は、8日目にオープンラベルのスペソリマブの投与を受け得るとき、主に4週目においてであった。4週目における副次評価項目は、以下を含んでいた:汎発性膿疱性乾癬の乾癬の面積及び重症度指数の75%以上の改善(GPPASI75;GPPASIは、PASIスコアの応用であり、ここでは硬結が膿疱コンポーネントによって置き換えられている;スコアは0[最も低い重症度]から72[最も高い重症度]の範囲、視覚アナログ疼痛尺度のベースラインからの変化(VAS、0[疼痛なし]から100[重度の疼痛]の範囲)、乾癬症状尺度のベースラインからの変化(PSS;患者により報告された乾癬疼痛、発赤、痒み、及び火傷;0から16の範囲、より高いスコアは、より重度の症状を示す)、及び慢性疾患治療-倦怠感の機能評価のベースラインからの変化(FACIT-倦怠感;日常活動に対する患者により報告された倦怠感の影響;0から52の範囲、より低いスコアはより大きな影響を示す)。以下に列挙されるような1週目及び/又は4週目において評価された2つの追加の副次評価項目、並びに、プロトコール及び統計分析計画が存在した。
【0265】
試験アウトカムの詳細、並びに、探索的評価項目のリストが、以下の補足表S3に列挙されている。
【0266】
1週目(試験の最初の8日間を通して)での及び12週目までの安全性事象は、処置下で発現した及び深刻な有害事象を含んだ。有害事象は、試験の最終分析のためにデータベースがロックされる後まで処置割付に対して盲検化された治験担当者によって評価された。試験の経過中に、起こった有害事象を収集し、電子症例報告に記録し、治験担当者によってスポンサーに報告された。有害事象の強度は、治験担当者によって評価され、リウマチのアウトカム尺度(OMERACT)組織によって開発されたRCTCバージョン2.0に従って等級化された。
【0267】
統計分析
51人の患者のサンプルサイズは、スペソリマブとプラセボの間の任意の差を検出する90%以上の検出力を与えると推定され、一次評価項目と主要副次評価項目の両方についてそれぞれ0.6及び0.1と推定される奏効率を有し、第1種の過誤(片側)は0.025未満である(これは両側検定を用いると、第1種の過誤は0.05未満と考えられ得る)。一次評価項目及び主要副次評価項目は、正確なSuissa-Shuster Z-pooled検定を用いた無作為化セットを使用して分析された。これは片側検定であり;両側P値は、片側P値を倍化することによって報告された。リスク差の周辺の信頼区間(95%信頼区間)は、一次評価項目及び全ての2値副次評価項目についてのChan及びZhangの方法を使用して計算された。一定の順序の検定を使用して、ファミリーワイズの第1種の過誤を制御した。一次評価項目及び主要副次評価項目(どちらも8日目[第1週目]に評価される)を、0.05未満のP値の両側水準で階層学的に検定した。一次評価項目が、試験群間で有意差に達しなかった場合、主要副次アウトカムは検定されないだろう。プロトコール及び統計分析計画は、全て4週目に、4つのそれに続く副次評価項目(GPPASI75及び以下におけるベースラインからの変化:疼痛VAS;PSS;及びFACIT-倦怠感)の階層的検定を求めたが;しかしながら、試験群への無作為化はもはや1週目以後は関係しなかった。なぜなら、プラセボに割り当てられた18人中15人の患者は、8日目にオープンラベルのスペソリマブの投与を受け、無応答又は起こり得る最悪のアウトカムを用いて欠測値補完をしたからである。それ故、当初計画されていたような無作為化処理による比較は無情報であり、以下の群による、これらの評価項目についての1週目及び4週目における変化が、記述的に報告されている:スペソリマブに無作為化された全患者(1用量又は2用量の投与を受けた患者)、1用量のスペソリマブのみに無作為化された患者(1日目だけにスペソリマブの投与を受けた患者)、オープンラベルの8日目のスペソリマブの投与を受けたスペソリマブに無作為化された患者(8日目に2回目の用量の資格のあった患者)、及び8日目にオープンラベルのスペソリマブの投与を受けたプラセボに無作為化された患者(8日目に1用量のスペソリマブの投与を受けた患者)。2値のアウトカムについて、データの欠損している患者は、それぞれの評価項目に到達しなかったと判断された。連続アウトカムについて、進められた最後に観察された症例は、欠損値補完のために使用された。
【0268】
性別、人種、及びGPPASIを含む、ベースラインにおいて不均衡な共変数について調整された線形回帰を使用した、一次評価項目及び主要副次評価項目の事後感度分析が実施されたが、これらのデータから結論は導き出せなかった。
【0269】
結果
患者
スクリーニングされた85人の患者の中で53人が登録された:35人が900mgのスペソリマブに、18人がプラセボに割り当てられた(図1;表1)。ベースラインにおけるデモグラフィック及び疾患の特徴は、女性参加者の比率(スペソリマブ群及びプラセボ群においてそれぞれ60.0%及び83.3%)及びアジア人の参加者の比率(それぞれ45.7%及び72.2%)について群間で異なっていた。ベースラインのGPPASI合計スコアの中央値は、スペソリマブ群において27.4であり、プラセボ群において20.9であった(表1)。無作為化時に、18.9%の患者のGPPGA合計スコアは4であり(重度)、大半の患者は3又は4のGPPGA膿疱サブスコア(高い又は非常に高い密度の膿疱)、並びに、皮膚疾患の生活の質の指数(DLQI)、疼痛VAS、FACIT-倦怠感、及びPSSによって示されるような損なわれた生活の質及び臨床的負荷を有していた(補足表S3)。スペソリマブ群において5人とプラセボ群において2人の7人の患者が、IL36RNの突然変異を有していた(表1)。大半の患者は、CARD14(38人の患者が有さない)又はAP1S3(42人の患者が有さない)の突然変異を有さなかった(補足表S4)。
【0270】
【表24】
【0271】
53人の登録患者中の計52人が、最初の週の試験を完了した。一次評価項目及び主要副次評価項目についての、スペソリマブ群における1人の患者のデータが欠落し、無応答と欠損値補完された。8日目に、スペソリマブ群の12人の患者(34.3%)及びプラセボ群の15人の患者(83.3%)が、オープンラベル用量のスペソリマブの投与を受けた。8日目以後に、最初にスペソリマブに無作為化された32人の患者(91.4%)及び最初にプラセボに無作為化された17人の患者(94.4%)が、12週間の経過観察期間を完了し、その期間の間に4人及び2人の患者がそれぞれ、スペソリマブを用いたレスキュー処置を必要とした。12週間の処置を完了した後、39人の患者がオープンラベルの延長試験に参加した(図1)。
【0272】
有効性
一次評価項目及び主要副次有効性評価項目
1週目の終了時に、プラセボに無作為化された1人の患者(5.6%)に対し、スペソリマブに無作為化された19人の患者(54.3%)が、0のGPPGA膿疱サブスコア(目に見えない膿疱)を達成した;(差、48.7パーセントポイント;95%信頼区間[CI]、21.5~67.2;P<0.001;表2、図3A)。1週目において0又は1(消失又はほぼ消失皮膚)のGPPGA合計スコアが、プラセボに無作為化された2人の患者(11.1%)に対し、スペソリマブに無作為化された15人の患者(42.9%)において達成された(差、31.7パーセントポイント;95%信頼区間、2.2~52.7;P=0.024;表2、図3B)。1日目の無作為化処理のみを考える経時的なGPPGA膿疱サブスコア及びGPPGA合計スコアが図4及び5に示されている。
【0273】
【表25】
【0274】
性別、人種及びGPPASIにおいて観察されるベースラインの不均衡について調整するための、一次評価項目及び主要副次評価項目の事後感度分析は、一次分析と一致していた(補足表S5及びS6)。1日目の無作為化処理及び8日目におけるオープンラベルのスペソリマブの処理による8日目以後の探索的有効性評価項目。
【0275】
1週目以後、プラセボに割り当てられた18人中15人の患者が、8日目にオープンラベルのスペソリマブの投与を受け、よって、4週目に計画された副次評価項目の階層的比較検定は、無情報であった。その代わりに、副次評価項目は、8日目以後の処置経路を反映した4つの群によって記述的に報告された:スペソリマブに無作為化された全患者(1用量[1日目のみ]又は2用量[1日目と8日目]の投与を受けた患者;N=35)、1用量のスペソリマブのみに無作為化された患者(1日目;N=23)、オープンラベルの8日目のスペソリマブの投与を受けたスペソリマブに無作為化された患者(1日目と8日目;N=12)、及び8日目にオープンラベルのスペソリマブの投与を受けたプラセボに無作為化された患者(N=15)。経時的なこれらの亜群についての、0のGPPGA膿疱サブスコア、及び0又は1のGPPGA合計スコアについての記述的分析が、補足情報(以下)並びに図6及び7に報告され、4週目におけるGPPASI75及び以下におけるベースラインからの変化(疼痛VAS、PSS、及びFACIT-倦怠感)を含む副次評価項目が、以下の補足情報に報告されている。
【0276】
さらに、1用量(1日目)又は2用量(1日目と8日目;N=35)のスペソリマブの投与を受けたスペソリマブに無作為化された患者の群について、12週間にわたるGPPASI、GPPASI75、疼痛VAS、DLQI、好中球数、及びC反応性タンパク質レベルについての記述的結果が、図8に報告されている。1日目及び8日目にそれぞれ初回及び2回目の用量のスペソリマブの投与を受けた後の、3人の患者における、GPPGAスコア(GPPGA膿疱、紅斑、及び鱗屑/痂皮形成サブスコア、並びにGPPGA合計スコアを含む)のベースラインからの変化が図9に示されている。
【0277】
安全性
無作為化処理の最初の週の全体を通して、スペソリマブに割り当てられた患者の65.7%に、及びプラセボ群の55.6%に有害事象が報告された。スペソリマブ及びプラセボの投与をそれぞれ受けている患者の5.7%及び22.2%において発熱が起こった;全ての発熱事象は、基礎にあるGPPフレアの状況において起こったが、発熱を引き起こしている薬物は排除できなかった(表3)。感染は、スペソリマブ群及びプラセボ群のそれぞれにおいて、最初の週を通して、患者の17.1%及び5.6%に報告された(補足表S8);1週目において、スペソリマブ群で、尿路感染の2症例が存在し、他の全ての感染について、各々1症例が存在した(補足表S8の脚注を参照)。深刻な有害事象が、スペソリマブを用いた患者の5.7%において報告されたが、プラセボの投与を受けた患者では誰においても報告されなかった。
【0278】
【表26】

【0279】
12週目において、少なくとも1用量のスペソリマブを受けた患者の82.4%(8日目にオープンラベルのスペソリマブの投与を受けたプラセボに最初に無作為化された患者を含む)が有害事象を有し、11.8%が、深刻な有害事象を有した;スペソリマブ群では、有害事象を有する患者の比率は、不変のままであったか又は増加した一方、時間調整発症率は、1週目から12週目まで減少した(表3)。感染は、患者の47.1%に報告され;尿路感染及びインフルエンザの症例が各々3例あり;以下は各々2症例あった:毛包炎、外耳炎、上気道感染、膿疱;他の全ての感染については、各々1症例あった(補足表S8の脚注参照)。スペソリマブの投与を受けている2人の患者において観察された症状は、1及び3.33のRegiSCARスコアを有する、好酸球増加症及び全身症状を伴う薬物反応(DRESS)として報告された。これらの2つの症例報告のさらなる詳細は、以下の補足情報に見い出され得る。抗薬物抗体(ADA)は、スペソリマブの投与後2.3週間の時間中央値で検出された。ADAは、少なくとも1用量のスペソリマブの投与を受けた患者の50人中23人(46%)の患者に検出された。ADA陽性患者(処置された合計の40%)の大半(87%)が、中和抗体(Nab)陽性でもあり、中和抗体(NAb)の状態は、力価の数値と関連しているようであった。用量依存性は全く観察されなかったが;しかしながら、驚くべきことには、最大ADA力価は、1用量のみに対して8日目までに2用量を受けたGPP患者(n=4!)において低下していたようである。
【0280】
考察
GPPフレアを有する患者における、1回の静脈内用量のヒト化抗IL-36受容体モノクローナル抗体であるスペソリマブのこの無作為化試験は、1週目に、プラセボと比較して、より良好な病変の消失があったことを示した。全体的に、感染は、スペソリマブを用いるとより頻繁となったが、病原体及び罹患臓器に関する明らかなパターンは存在せず、スペソリマブを用いて処置された2人の患者が、1及び3のRegiSCARスコアを示す好酸球増加症及び全身症状を伴う薬物反応を示した。
【0281】
無作為化された1週間の期間の終了時に、スペソリマブ群における患者の3分の1、及びプラセボ群における大半の患者が、オープンラベルのスペソリマブの投与を受け、12週間経過観察された。18人中15人の無作為化されたプラセボ患者は、オープンラベルのスペソリマブの投与を受けたので、プラセボに対するスペソリマブの真の効果は、この試験において1週間目以後には反映できなかった。これは、この疾患を有する患者において、無作為化プラセボ対照試験を実施する固有の難題の1つを強調し;GPPフレア(生命を脅かす危険性がある)の突発性及び重症度は、どのぐらいの期間患者がこの試験においてプラセボの処置を受けることが倫理的に予定することができるかにつき、期間を制限することを含む、この試験デザインにおいていくつかの難題を呈し;さらに、臨床経過は不均一であり、再発するフレアを伴う再発性疾患として、又は断続的なフレアを伴う持続的な疾患として特徴付けられ得、試験の評価項目のための適切な時期の選択を困難としている。
【0282】
上記されているように、この試験は、少数の登録患者(希少疾患には典型的)を含む、限界を有するが;しかしながら、1週目における一次評価項目及び主要副次評価項目の効果量は、大きくかつ有意であった。無作為化期間は1週間に限定され、予め明記された重症度の閾値が依然として満たされている場合、スペソリマブを用いてのオープンラベル処置を1週目に受けるという患者の選択肢は、プラセボの大半の患者がスペソリマブの投与を受けたことを意味し、よって、1週目以後の比較分析は無情報であり;したがって、4週目に規定された副次評価項目の階層的試験は、ここでは報告されなかった。無作為に生じた処置群間にはベースラインの不均衡(性別、人種、及びGPPASI)がいくらか存在したが;しかしながら、不均衡について調整された一次評価項目及び主要副次評価項目の事後感度分析は、一次分析と矛盾しなかった。
【0283】
これらの難題にも関わらず、1回のスペソリマブの注入を用いたこの試験におけるフレアの発症の迅速な制御は、以前のオープンラベルのスペソリマブの試験からの知見の上に築かれ、IL-36が、GPPの発病の中心的な誘因であるという仮説を支持する。C反応性タンパク質、好中球数、疼痛、PSS、FACIT-倦怠感、DLQIを含む尺度の経時的な改善は、スペソリマブが、皮膚を超えて全身的に作用することを示し、スペソリマブが、GPPフレアを経験している患者の生活の質を改善する能力を有することを示唆する。スペソリマブの慢性投与が、進行中の5年間のオープンラベル延長試験(ClinicalTrials.gov 識別番号:NCT03886246)及びフレア予防試験Effisayil2(ClinicalTrials.gov 識別番号:NCT04399837)において皮下製剤を用いて評価されている。
【0284】
結論すると、この第2相試験において、静脈内スペソリマブを用いて処置されたGPPフレアは、プラセボと比較して、より高い比率の膿疱病変消失率をもたらしたが、感染及び全身反応と関連した。GPPにおけるスペソリマブの有効性及び安全性を決定するために、より長くかつより大きな試験が必要とされる。
【0285】
補足情報
汎発性膿疱性乾癬に対する医師による全般的評価(GPPGA)
GPPGAは、患者の皮膚の症状の臨床評価に依拠する。それは、汎発性膿疱性乾癬(GPP)患者の評価に応用された、医師による乾癬病変の評価である、改変された医師による全般的な評価(PGA)である。治験担当者(又は資格のある施設の担当者)は、全ての乾癬病変の紅斑、膿疱及び鱗屑を0から4までスコア化する(以下の表を参照)。各コンポーネントは別々に等級付けされ、平均値が計算され、最終GPPGAが、この複合スコアから決定される(複合平均スコア=(紅斑+膿疱+鱗屑)/3;0のGPPGA合計スコアは、3つ全てのコンポーネントについて0を意味し、1のスコアは0から1.5未満を意味し、2のスコアは1.5から2.5未満を意味し、3のスコアは2.5から3.5未満を意味し、4のスコアは3.5以上を意味する)。より低いスコアは、より低い重症度を示し、0は「消失」に関し、1は「ほぼ消失」に関する。患者は、0又は1のスコアを受けるためには、皮膚症状の必要条件に加えて、発熱なしであるべきである。
【0286】
汎発性膿疱性乾癬の乾癬面積及び重症度指数(GPPASI)
GPPASIは、GPP患者のための、乾癬患者において確立された乾癬病変の重症度及び面積の尺度である、PASIの応用である。類似の応用が、掌蹠乾癬についても使用されている。GPPASIでは、硬結コンポーネントは、膿疱コンポーネントによって置き換えられている。それは、0から72の範囲での、患者の全体的な汎発性膿疱性乾癬疾患状態についての数値によるスコア化を提供する道具である。それは罹患した皮膚表面積の比率(身体領域面積スコア)と、4つの身体領域(頭部、上肢、胴、及び下肢)上の紅斑、膿疱及び鱗屑(剥離)の重症度(0[最も重症度が低い]から4[最も重症度が高い]の範囲の5段階尺度でスコア化)の線型結合である。
【0287】
【表27】
【0288】
選択基準及び除外基準
選択基準
患者は以下の基準を満たしている場合に、試験に登録(スクリーニング)されるだろう:
1a.0又は1のGPPGAスコア、並びに、IL36RN突然変異状態に関係なくGPP(ERASPEN基準による)の既知及び記録された病歴を有し、さらに以前に発熱及び/又は無力症、及び/又は筋肉痛、及び/又はC反応性タンパク質上昇、及び/又は末梢血好中球増加症を伴う白血球増加症(正常値上限[ULN]を超える)を有する患者、あるいは
1b.GPPのERAPEN基準に合致する中等度から重度の強度のフレアを有し、IL36RN突然変異状態に関係なくGPP(ERASPEN基準による)の既知及び記録された病歴を有し、さらに発熱、及び/又は無力症、及び/又は筋肉痛、及び/又はC反応性タンパク質上昇、及び/又は末梢血好中球増加症を伴う白血球増加症(正常値上限を超える)を有する患者、あるいは
1c.発熱、及び/又は無力症、及び/又は筋肉痛、及び/又はC反応性タンパク質上昇、及び/又は末梢血好中球増加症を伴う白血球増加症(正常値上限を超える)のエビデンスを有する、中等度から重度の強度のGPPフレアのその最初の発症を経験している患者。これらの患者についての診断は、中央の外部専門家/委員会によって遡及的に確認されるだろう。
2.患者は、レチノイド及び/又はメトトレキサート及び/又はシクロスポリンを用いてのバックグラウンド処置を受けていてもよいか又は受けていなくてもよい。患者は、初回の用量のスペソリマブ又はプラセボの投与を受ける前に、レチノイド/メトトレキサート/シクロスポリンを中止しなければならない。
3.スクリーニング時に18~75歳の男性又は女性の患者。
4.任意のスクリーニング手順の開始前のICH-GCP及び地方の省令に従う治験に承認される前の、署名され日付の付された書面によるインフォームドコンセント
5.妊娠の可能性のある女性は、一貫して正しく使用される場合に年間1%未満の低い失敗率をもたらす、ICH M3(R2)による非常に効果的な避妊法を使用する準備ができかつ使用できなければならない。女性は妊娠可能な女性(WOCBP)と考えられ、すなわち、初潮後に、永久的に不妊でなければ、閉経後となるまで生殖力がある。永久避妊法としては、子宮摘出術、両側卵管切除術、及び両側卵巣摘出術が挙げられる。卵管結紮は、永久避妊法ではない。閉経後の状態は、代替的な医学的原因を伴わず、12か月間月経がないこととして定義される。
【0289】
除外基準
患者は、以下の基準のいずれかが当てはまれば、スクリーニング又は処置されないだろう。
1.滑膜炎-ざ瘡-膿疱症-骨化症-骨炎症候群を有する患者。
2.原発性紅皮症性尋常性乾癬を有する患者。
3.膿疱の存在を伴わない又は乾癬性プラークに限局された膿疱を有する、原発性プラーク型尋常性乾癬を有する患者。
4.薬物によりトリガーされる急性汎発性発疹性膿疱症。
5.GPPの直ちに生命を脅かすフレア、又は治験担当者の判断に従って集中治療処置を必要とするもの。生命を脅かす合併症としては主に、心血管/サイトカインにより誘発されるショック、肺窮迫症候群、又は腎不全が挙げられるがこれらに限定されない。
6.アスパラギン酸トランスアミナーゼ若しくはアラニントランスアミナーゼ若しくはアルカリホスファターゼの正常値上限の3倍超の上昇、又は総ビリルビンの正常値上限の2倍超の上昇として定義される、重度であるか、進行的であるか、又は未制御である肝疾患。
7.a.あらゆる制限されている薬物、又は治験担当者によって評価されているような、試験の安全な実施に干渉する可能性があると考えられるあらゆる薬物による処置。
b.スペソリマブ又は別のIL36R阻害剤へのあらゆる以前の暴露による処置。
8.初回用量のスペソリマブ/プラセボの投与を受ける前に、2週間以内にシクロスポリン及び/又はメトトレキサート及び/又はレチノイドを用いた用量の漸増するその維持療法を用いる患者。
9.初回用量のスペソリマブ/プラセボの投与を受ける2週間前の、シクロスポリン及び/又はレチノイド及び/又はメトトレキサートなどの全身性薬剤の開始。
10.治験担当者によって評価されるような、うっ血性心疾患を有する患者。
11.治験担当者によって評価されるような、初回の薬物投与を受ける前の、最近2週間の間の活動性全身性感染(真菌性及び細菌性の疾患)。
12.治験担当者によって評価されるような、感染症の合併症(例えば最近の発熱性感染、任意の先天性又は後天性の免疫不全症[例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)]、過去の臓器移植又は幹細胞移植)の上昇したリスク。
13.HIV又は肝炎ウイルスを含む、関連した慢性又は急性の感染。フレアを有しているがスクリーニングされた患者について(選択基準1b又は1c)、1回目の来診のHIV又は肝炎ウイルスの結果が、無作為化時に入手できない場合には、治験担当者が、2回目の来診前の3か月以内に入手可能な記録された病歴(すなわちHIV及び肝炎ウイルス検査結果が陰性)に基づいて活動性疾患を除外する限り、これらの患者は、無作為化処置を受け得る。患者が処置され、急性感染から治癒した場合には、患者は再度スクリーニングされ得る。
14.活動性又は潜伏性の結核(TB):クオンティフェロン(登録商標)(又は適用可能な場合、T-Spot(登録商標))TB検査が、スクリーニング時に実施されるだろう。結果が陽性であれば、さらなる検査(地域の慣行/ガイドラインに従う)が結論として、患者は活動性結核のエビデンスを有さないと確立した場合に、患者は、治験に参加し得る。活動性結核を有する患者は除外されなければならない。潜伏結核の存在が確立されれば、その後、処置は、現地国のガイドラインに従って開始及び維持されるべきである。フレアを有するがスクリーニングされた患者について(選択基準1b又は1c)、TB検査結果が、無作為化に間に合わず入手可能ではない場合、治験担当者が、2回目の来診前の3か月以内の入手可能な記録された病歴(すなわち活動性結核が陰性)に基づいて活動性疾患を除外する限り、これらの患者は、無作為化処置(ただし、患者らは他の全ての選択基準/除外基準を満たす)を受け得る。
15.全身投与された治験薬又はその賦形剤に対するアレルギー/過敏症の病歴。
16.適切に処置された皮膚の基底若しくは扁平細胞癌又は子宮頚部上皮内癌を除く、スクリーニング前の5年間以内のあらゆる文書化された活動性又は疑われる悪性疾患又は悪性疾患の病歴。
17.別の治験用医療機器又は薬物試験に現在参加中、あるいは、別の治験用医療機器又は薬物試験(群)を終了してから又は他の治験処置(群)を受けてから30日未満。
18.治験中に妊娠しているか、授乳しているか、又は妊娠する計画がある女性。治験薬の投与前に授乳を中止する女性は、参加から除外される必要はないが;女性らは、治験薬投与後16週目まで授乳を控えるべきである。
19.初回用量の治験薬を受ける前の12週間以内に実施された、又は、治験中に計画された大手術(治験担当者の評価による大手術)、例えば、治験担当者によって評価されるような、人工股関節置換術、動脈瘤除去、胃結紮。
20.現在又は以前の疾患のエビデンス、GPP以外の病状(慢性アルコール乱用又は薬物乱用又は任意の容態を含む)、手術、精神的若しくは社会的問題、健康診断の所見(生命徴候及び心電図を含む)、又は治験担当者の意見では臨床的に有意であり、かつ治験参加者がプロトコールに従うか、全ての治験のための来診/手順に準拠するか、又は治験を完了することを信頼できなくさせ、患者の安全性を損なうか、又はデータの品質を損なう、リファレンス範囲から外れたスクリーニング時の臨床検査値。
【0290】
【表28】

【0291】
【表29】
【0292】
【表30】
【0293】
【表31】
【0294】
1日目の無作為化処置及び8日目のオープンラベルのスペソリマブによる処置による、8日目以後の探索的有効性評価項目。4つの群による、0のGPPGA膿疱サブスコア、及び0又は1のGPPGA合計スコアについての記述的分析。
【0295】
8日目のオープンラベルのスペソリマブを伴う又は伴わない、1日目にスペソリマブの投与を受けた、スペソリマブに最初に無作為化された患者(N=35)では、1週目の終わりに、19人の患者(54%)が、0のGPPGA膿疱サブスコアを達成し、15人の患者(43%)が、0又は1のGPPGA合計スコアを達成した;12週目に、21人の患者(60%)が、0のGPPGA膿疱サブスコア、及び0又は1のGPPGA合計スコアを有していた(図5及び6)。8日目にオープンラベルのスペソリマブの投与を受けなかったスペソリマブに無作為化された23人の患者の中で、1週目の終わりに、19人(83%)が、0のGPPGA膿疱サブスコアを達成し、15人(65%)が0又は1のGPPGA合計スコアを達成し;12週目に、これらのスコアは、患者のそれぞれ15人(65%)及び16人(70%)に報告された(図5及び6)。8日目にオープンラベルのスペソリマブの投与を受けたスペソリマブに最初に無作為化された患者(N=12)では、2週目の終わりに、5人の患者(42%)が0のGPPGA膿疱サブスコアを達成し、2人の患者(17%)が0又は1のGPPGA合計スコアを達成し;12週目に、6人の患者(50%)及び7人の患者(58%)が、0のGPPGA膿疱サブスコア、及び0又は1のGPPGA合計スコアを有していた(図5及び6)。8日目にオープンラベルのスペソリマブの投与を受けたプラセボ群の15人の患者の中で、2週目の終わりに(オープンラベルのスペソリマブから7日後)、11人(73%)が0のGPPGA膿疱サブスコアを達成し、8人(53%)が0又は1のGPPGA合計スコアを達成し;12週目に、これらのスコアは、それぞれ6人(40%)及び8人(53%)の患者において報告された(図5及び6)。
【0296】
4つの群による、4週目における、計画されたGPPASI75の階層的副次評価項目、並びに疼痛VAS;PSS;及びFACIT-倦怠感のベースラインからの変化についての記述的分析
4週目のGPPASI75について、8日目にオープンラベルのスペソリマブを伴う又は伴わない、1日目にスペソリマブの投与を受けた、スペソリマブに最初に無作為化された患者では、35人中18人(51%)が、GPPASI75を達成した。8日目にオープンラベルのスペソリマブの投与を受けなかったスペソリマブに無作為化された23人の患者の中で、16人(70%)が、4週目にGPPASI75を達成した(補足表S7)。1週目の終わりにオープンラベル用量のスペソリマブの投与を受けた、スペソリマブ群の12人の患者及びプラセボ群の15人の患者の中でそれぞれ2人(17%)及び6人(40%)の患者が、4週目にGPPASI75を達成した(補足表S7)。
【0297】
4週目における疼痛VASについて、8日目にオープンラベルのスペソリマブを伴う又は伴わない、1日目にスペソリマブの投与を受けたスペソリマブに最初に無作為化された患者では、ベースラインからの変化の中央値(四分位範囲;IQR)は-53.4であった(-77.8、-20.2)(補足表S7)。8日目にオープンラベルのスペソリマブの投与を受けなかったスペソリマブに無作為化された23人の患者の中で、ベースラインからの変化の中央値(IQR)は-63.1(-79.8、-22.5)であった。オープンラベル用量のスペソリマブの投与を受けた、スペソリマブ群の12人の患者及びプラセボ群の15人の患者の中で、ベースラインからの変化の中央値(IQR)は、それぞれ-44.6(-71.2、-17.3)及び-54.3(-79.0、33.3)であった(補足表S7)。
【0298】
4週目におけるPSSについて、8日目のオープンラベルのスペソリマブを伴う又は伴わない、1日目にスペソリマブの投与を受けた、スペソリマブに最初に無作為化された患者では、ベースラインからの変化の中央値(IQR)は、-7.0(-10.0、-3.0)であった(補足表S7)。8日目にオープンラベルのスペソリマブの投与を受けなかったスペソリマブに無作為化された23人の患者の中で、ベースラインからの変化の中央値(IQR)は、-7.0(-11.0、-2.0)であった。オープンラベル用量のスペソリマブの投与を受けた、スペソリマブ群の12人の患者及びプラセボ群の15人の患者の中で、ベースラインからの変化の中央値(IQR)は、それぞれ-6.0(-7.0、-3.5)及び-5.0(-9.0、-2.0)であった(補足表S7)。
【0299】
4週目におけるFACIT-倦怠感について、8日目のオープンラベルのスペソリマブを伴う又は伴わない、1日目にスペソリマブの投与を受けた、スペソリマブに最初に無作為化された患者では、ベースラインからの変化の中央値(IQR)は、22.0(1.0、31.0)であった(補足表S7)。8日目にオープンラベルのスペソリマブの投与を受けなかったスペソリマブに無作為化された23人の患者の中で、ベースラインからの変化の中央値(IQR)は、22.0(3.0、35.0)であった(補足表S7)。オープンラベル用量のスペソリマブの投与を受けた、スペソリマブ群の12人の患者及びプラセボ群の15人の患者の中で、ベースラインからの変化の中央値(IQR)は、それぞれ15.0(5.5、28.5)及び16.0(-19.0、26.0)であった(補足表S7)。
【0300】
【表32】


【0301】
1用量(1日目)又は2用量(1日目と8日目)のスペソリマブの投与を受けた、スペソリマブに無作為化された、患者群ごとの、GPPASI、GPPASI75、疼痛VAS、DLQI、好中球数、及びC反応性タンパク質レベルについての記述的分析:
【0302】
ベースラインからのGPPASIスコアの改善の中央値%は1週目において43%であり、12週目において82%まで進行的に増加した(図7A)。GPPASI75は、2週目において13人(37%)の患者において、4週目において18人(51%)の患者において、8週目において21人(60%)の患者において、12週目において20人(57%)の患者において達成された(図7B)。疼痛VASスコアの迅速な減少及びDLQIスコアの改善は4週目から12週目まで達成された(図7C及び7D)。好中球のベースラインの上昇した患者では、計数は、スペソリマブの投与を受けた1週間以内に正常化した(図7E)。C反応性タンパク質(CRP)の中央値は、1又は2用量のスペソリマブの投与を受けた、CRPのベースラインの上昇した(10mg/L以上)患者において2週間以内に正常化した(図7F)。
【0303】
【表33】
【0304】
実施例2
スペソリマブによる処置は、汎発性膿疱性乾癬患者において、疼痛、乾癬症状、倦怠感、及び生活の質を改善する:Effisayil1試験からの患者報告アウトカムの結果
序論及び目的:汎発性膿疱性乾癬(GPP)は、広範囲の無菌性の膿疱及び再発性のフレアによって特徴付けられる、希少かつ生命を脅かす可能性のある皮膚疾患である。GPPに伴う兆候及び症状としては、疼痛、発熱及び倦怠感が挙げられ、これは日常生活の活動及び全体的に生活の質(QoL)に影響を及ぼし得る。スペソリマブは、GPPフレアを呈する患者において、膿疱及び皮膚クリアランスを迅速に改善すると報告されている。この分析の目的は、Effisayil1試験からのスペソリマブを用いて処置された患者における、疼痛の尺度、乾癬の症状、倦怠感、及び全体的な生活の質に対する影響に関する、患者報告アウトカム(PRO)を評価することであった。
【0305】
材料及び方法:Effisayil1(NCT03782792)は、GPPフレアを有する患者における、多施設無作為化二重盲検プラセボ対照試験であった。適格な患者(n=53)は、1回の静脈内(IV)用量のオープンラベルの900mgのスペソリマブ又はプラセボの投与を1日目に受けるように無作為に割り当てられ(2:1)、12週間経過観察された。1週目に、患者は、2以上のGPPに対する医師による全般的評価(GPPGA)スコアを有し、8日目以前にエスケープ薬物療法を受けなかった場合、オープンラベルの1回の900mgの静脈内用量の投与を受けるに適格であった。副次及びさらなる高次の評価項目は、試験の終了までの経時的な、乾癬症状評価尺度(PSS;0~16、より高いスコアは、より重度な症状を示す)、疼痛視覚アナログ尺度(疼痛VAS;0[疼痛なし]から100[重度の疼痛])、慢性疾患治療-倦怠感の機能評価(FACIT-倦怠感;0~52、より低いスコアはより大きな影響を示す)及び皮膚疾患の生活の質の指数(DLQI:0[効果なし]から30[極めて大きな効果])によって評価された。エスケープ処置(その初回用量の1週間以内に患者に投与された、任意選択の標準治療処置)又はレスキュー薬物療法(8日目以降の任意の時期に投与された、任意選択の900mgの静脈内用量のスペソリマブ)の投与を受けた患者は、分析において後の時点において無奏功者と判断される。
【0306】
結果:患者は、900mgのスペソリマブ(n=35)又はプラセボ(n=18)の投与を受けるように無作為化された。ベースラインでは、患者は、PSS中央値(11.0)、疼痛VAS(79.8)、FACIT-倦怠感(14.0)及びDLQI(19.5)スコアによって示されるような、高い臨床負荷及び損なわれた生活の質を有していた(表9)。PSS、疼痛VAS、FACIT-倦怠感、及びDLQIスコアの改善は、ベースラインから12週目まで観察された(表)。疼痛は、早くも1週目に改善し、4週目にさらに改善し、これは12週目まで維持された。他の患者報告アウトカム(PSS、FACIT-倦怠感、及びDLQI)では、改善はまた早くも1週目に見られたが、12週目まで改善し続けた。
【0307】
結論:900mgのスペソリマブ(静脈内)及び任意選択の二回目の用量の投与を8日目に受けた患者は、疼痛、疼痛の症状、倦怠感、及び全体的な生活の質の患者報告アウトカムにおいて顕著な改善を示した。これらの改善は早期に見られ、12週目まで維持された。これらの所見は、最大2用量のスペソリマブが、GPPフレアの迅速な膿疱の消失をもたらし得、これは患者報告アウトカムの改善を伴った。
【0308】
【表34】
【0309】
実施例3
スペソリマブによる処置は、汎発性膿疱性乾癬患者において、疼痛、乾癬の症状、倦怠感及び生活の質を改善する:Effisayil1試験の患者報告アウトカム
目的:Effisayil(商標)1試験においてスペソリマブを用いて処置された患者における、疼痛の尺度、乾癬の症状、倦怠感、及び全体的な生活の質(QoL)に対する影響に関する、患者報告アウトカムを評価すること。
【0310】
序論:GPPは、無菌性の目に見える膿疱の広範囲の噴出によって特徴付けられる希少で生命を脅かす可能性のある好中球性皮膚疾患であり、全身炎症を伴って又は伴わずに起こり得る。GPPフレアを呈する患者における、多施設無作為化二重盲検プラセボ対照Effisayil(商標)1試験(NCT03782792)では、スペソリマブによる処置は、1週間以内に迅速な膿疱の消失及び皮膚クリアランスをもたらした。GPPフレアは、疼痛、痒み、及び倦怠感などの症状を含む(これらは全て患者の全体的な生活の質に影響を及ぼす)、患者報告アウトカムにおける高い臨床負荷に関連する。ここで本発明者らは、スペソリマブによる処置を受けたGPPフレアを有する患者における患者報告アウトカムを探索する。
【0311】
方法:患者(N=53)は、1日目にプラセボ又は900mgのスペソリマブの投与を受けるように無作為化(2:1)され、12週間経過観察された。患者は、1日目及び8日目以前に初回用量のスペソリマブ又はプラセボの投与を受けた後の任意の時期に、標準治療(SoC)処置を受けることができた。1週間の間に標準治療処置を受けなかった患者は、8日目にオープンラベル(OL)スペソリマブを、8日目から12週目までにレスキューの1用量のオープンラベルのスペソリマブの投与を受けるに適格であった。
【0312】
スペソリマブ群(n=35):1日目に1用量のスペソリマブ(n=23);8日目に任意選択の2回目の用量のオープンラベルのスペソリマブ(n=12);1週目から12週目までに任意選択の3回目の用量のオープンラベルのスペソリマブ(n=2)。
【0313】
プラセボ群(n=18):8日目の任意選択の初回用量のオープンラベルのスペソリマブ(n=15);1週目から12週目までに任意選択の2回目の用量のオープンラベルのスペソリマブ(n=1)。
【0314】
その1回のレスキュー用量のスペソリマブの投与をすでに受けた患者は、任意のその後のフレアのためにエスケープ処置(標準治療)を用いて処置された。全ての無作為化された患者がこの分析に含められた。エスケープ処置、8日目のオープンラベルのスペソリマブ、又は8日目以後のスペソリマブによるレスキュー処置(治療意図に基づく原則を示す)のいずれかの使用に関係なく観察された症例が記述的に要約されている。アウトカムの任意の変化をモニタリングするために、患者は、試験中、以下の患者報告アウトカムの質問票を完成させた:乾癬症状尺度[PSS]、疼痛視覚アナログ尺度(疼痛VAS)、慢性疾患治療-倦怠感の機能評価(FACIT-倦怠感)、及び皮膚疾患の生活の質の指数(DLQI;図10)。4つ全ての患者報告アウトカムが、1日目、8日目、及び2~4週目、8週目及び12週目に測定された。PSSスコアも、1週目の間には毎日測定された(4~7日目のデータは示されていない)。
【0315】
結論:この試験では、900mgのスペソリマブの静脈内投与を受けた患者は、疼痛、乾癬の症状、倦怠感、及び全体的な生活の質の患者報告アウトカムにおいて、ベースラインからの臨床的に有意な改善を示した。スペソリマブ曲線とプラセボ曲線の明確な分離が、プラセボ対照期間(1週目)中に早期に起こった(図11)。このことは、スペソリマブが、倦怠感及び疼痛のかなりの改善と共に、患者報告アウトカムの迅速な改善をもたらすことを示唆する。患者報告アウトカムのスコアは、4週目までに改善し続け、12週目まで持続した(図11)。
【0316】
実施例4
汎発性膿疱性乾癬のフレアについての、12週間にわたる、スペソリマブの持続した処置効果;Effisayil-1試験の結果
この試験の目的は、汎発性膿疱性乾癬のフレアを呈する患者の処置について、12週間かけてスペソリマブの効果を分析することであった。
【0317】
希少で生命を脅かす自己免疫性疾患である汎発性膿疱性乾癬(GPP)のフレアを呈する患者における、Effisayil(商標)1の二重盲検無作為化プラセボ対照試験では、抗IL-36受容体抗体であるスペソリマブは、膿疱及び皮膚病変の(1週間以内の)迅速な消失をもたらした。ここで、本発明者らは、試験の12週間の期間におよぶスペソリマブの効果を探索する(治療意図に基づく解析)。
【0318】
患者(n=53)は、1回の900mgの静脈内用量のスペソリマブ(n=35)又はプラセボ(n=18)の投与を1日目に受けるように無作為化された。8日目に、患者は、持続した症状を呈する場合、オープンラベルのスペソリマブの用量の投与を受けるのに適格であり;スペソリマブ群では12人(34.3%)及びプラセボ群では15人(83.3%)を含んだ。最大2用量の投与を受けたスペソリマブに最初に無作為化された患者(n=35)の中で、61.8%及び84.4%が、0のGPPGA膿疱サブスコアを達成し、50.0%及び81.3%が、それぞれ1週目及び12週目に、0/1のGPPGA合計スコアを達成した。8日目にオープンラベルのスペソリマブの投与を受けた、プラセボに最初に無作為化された患者の中で、83.3%及び80.0%が、0のGPPGA膿疱サブスコアを有し、93.3%が、それぞれ2週目(スペソリマブから1週間後)及び12週目までに0/1のGPPGA合計スコアを有していた。8日目以後に、それぞれスペソリマブ及びプラセボに無作為化された32人及び17人の患者が、12週間の経過観察期間を完了し、この間に、4人及び2人の患者が、新たなフレアの発症のためにスペソリマブを用いたレスキュー処置を必要とした。
【0319】
スペソリマブは、12週間にわたり、迅速かつ持続した臨床的改善を実証した。これらのデータはさらに、GPPフレアを有する患者のための治療選択肢候補としてのスペソリマブを支持する。
【0320】
実施例5
臨床的な免疫原性の評価の結果-試験1368-0013:汎発性膿疱性乾癬と呼ばれる皮膚疾患のフレアアップを有する患者における、スペソリマブ(BI655130)の試験
分析法:抗薬物抗体/中和抗体の評価のための血液試料は、スペソリマブによる処置の開始前及び経過中、及び試験終了時/中止時に被験者(患者)から収集された。全ての試料をまず、抗薬物抗体スクリーニングアッセイにおいて分析し、陽性と推定されることが判明したもののみ、その後、抗薬物抗体確認アッセイで評価した。陽性と確認された試料のみをタイトレーションして、タイトレーション値を得た。さらに、中和抗体の発生は、抗薬物抗体陽性試料を有する被験者においてのみ評価された。
【0321】
スペソリマブの免疫原性の評価は、ベースラインの免疫原性の評価と、少なくとも1つのベースライン後の数値を有する被験者として定義される、全ての評価可能な被検者からのデータを使用して実施された。スペソリマブで処置された被験者では、ベースラインの試料は、有効な処置開始前に得られた最後の試料と考えられた。スペソリマブを用いて処置されなかった患者では、ベースラインの試料は、プラセボの処置を受ける前の最後の試料であった。
【0322】
試験の背景:これは、2つの処置群(1日目に900mgの静脈内へのスペソリマブ及びプラセボ)を用いた、無作為化プラセボ対照二重盲検平行群間の単回用量の試験であった。患者は、患者らのGPPGA合計スコア及びGPPGA膿疱サブスコアに応じて、8日目に900mgの静脈内スペソリマブを用いたオープンラベル(OL)の処置、及び8日目以後にスペソリマブを用いたレスキュー処置の投与を受けるに適格であり得る。患者らは、このオープンラベル延長試験の選択基準を満たしている場合、オープンラベルの延長(OLE)試験1368-0025に進むことが提案された。試験1368-0013の経過観察期間は、試験1368-0013における最後のスペソリマブの投薬の時期に応じて、及び患者がオープンラベル延長試験を継続するかどうかに応じて、12~28週間であった。
【0323】
GPPを有する合計53人の男性及び女性患者が、2:1の比で、1回用量の900mgの静脈内のスペソリマブ(35人の患者)又はプラセボ(18人の患者)の投与を1日目に受けるように無作為化された。8日目のオープンラベル用量としてのスペソリマブが、全体で27人の患者に投与され、レスキュー薬物療法として8日目以後に合計6人の患者に投与された。
【0324】
男性患者(N=17)よりも多くの女性患者(N=36)が無作為化された。全患者は、アジア人(N=29)又は白人(N=24)であった。平均(標準偏差)年齢は43.0(10.9)才であり、平均(標準偏差)体重は72.0(24.7)kgであった。
【0325】
薬物動態及び抗薬物抗体/中和抗体の試料は、投薬前、4日目、1、2、3、4、8週目及び試験終了時に収集した。オープンラベル延長1368-0025試験に入らなかった患者について、試験終了時の来診は、最後のスペソリマブの投薬から16週間後であった。オープンラベル延長試験に入った患者では、試験終了時の来診は12週目、又は患者が7~12週目の間にレスキュー用量の投与を受けた場合には最後の用量から6週間後である。
【0326】
抗薬物抗体/中和抗体(ADA/Nab)応答:試験1368-0013では、53人の無作為化患者の中で、1日目にプラセボに無作為化された2人の患者は、試験中に全くスペソリマブによる処置を受けなかった。これらの2人の患者に由来する全ての抗薬物抗体の試料は陰性であった。51人のスペソリマブで処置された患者の中で、1日目にプラセボと、8日目以後にオープンラベルのレスキューのスペソリマブの投与を受けた1人の患者を含む、50人の患者が、ベースライン前及びベースライン後の入手可能な抗薬物抗体の評価を用いて、抗薬物抗体を評価可能であった。50人全ての抗薬物抗体の評価可能な患者は、ベースラインにおいて抗薬物抗体陰性であった。
【0327】
1368-0013で観察された抗薬物抗体陽性患者の発症率は、概念証明試験1368-0011のものと同等である。全体的に、50人の抗薬物抗体の評価可能でスペソリマブで処置された患者の中の23人(46%)が、処置後に抗薬物抗体陽性であり、27人の患者(54%)が、試験期間中に抗薬物抗体陰性であった。12人の患者(24%)が、4000を超える最大力価を有していた。抗薬物抗体陽性患者(処置された全体の40%)の大半(87%)はまた中和抗体陽性でもあり、中和抗体の状態は、力価の数値と関連しているようであった。4000を超える力価の数値を有する全ての抗薬物抗体の試料が、中和抗体陽性であった。4000未満の力価の数値を有する抗薬物抗体試料では、いくつかは中和性であり、その他はそうではなかった。力価の数値が低ければ低いほど、抗薬物抗体の試料は中和抗体陰性の可能性がより高くなった。抗薬物抗体陽性患者では、抗薬物抗体は早期に発生し、発生時間中央値は2.3週間であり、11.7週の時間中央値で最大力価に達した。患者の約75%において、最大力価は、収集された最後の試料で起こった。最大の抗薬物抗体力価までの時間及び力価それ自体は、試験の期間及び収集時間によって影響を受け得る。中和抗体陽性患者では、中和抗体は、6.7週の発生時間中央値で検出された。試験の終了時に(有効な初回用量から12~17週間後)、23人中4人の抗薬物抗体陽性患者において抗薬物抗体が消散された。19人(評価可能な全体の抗薬物抗体の38%)の患者が依然として抗薬物抗体陽性であり、18人(36%)の患者が依然として中和抗体陽性であり、12人(24%)の患者が4000を超える力価を有していた。
【0328】
抗薬物抗体発症率は、1用量のスペソリマブを用いて処置された患者と、2用量の投与を受けた患者の間で類似していた。しかしながら、最大抗薬物抗体力価は、たった1回の静脈内用量の投与を受けた患者と比較して、最初の8日間以内(1日目及び8日目)に2用量の静脈内スペソリマブの投与を受けた患者の方がより低いと観察された(表10、図12)。
【0329】
【表35】
【0330】
さらに、女性は、より高い免疫原性応答を示すようであった。抗薬物抗体の発症率は、女性及び男性においてそれぞれ58%及び24%であった。4000を超える最大力価を有する患者の比率は、男性において12%に対して、女性において30%であった(表11)。少数の抗薬物抗体陽性男性患者を考えると、性別間に最大力価の有意差は全くないようである。
【0331】
【表36】
【0332】
有効性と、処置下で発現する抗薬物抗体/中和抗体の関係
分析のための、抗薬物抗体力価の群は、患者間の抗薬物抗体力価の最大値の三分位値に基づいて定義された。試験で観察された抗薬物抗体力価の最大値を使用して、抗薬物抗体力価の最大値に基づいて3つの群を区別した([33.3%以下のパーセンタイル、1440]、[33.3%を超えるパーセンタイルかつ66.6%以下のパーセンタイル]、及び[66.6%を超えるパーセンタイル、43200])。さらに、抗薬物抗体vs有効性分析は、中和抗体陰性患者と中和抗体陽性患者を区別した。中和抗体陰性群に含まれる患者について、全ての試料は、中和抗体陰性又は抗薬物抗体陰性であった。中和抗体陽性群に含まれる患者は、中和抗体陽性であった少なくとも1つの試料を有していた。
【0333】
一般的には、試験1368-0013では、経時的に0のGPPGA膿疱サブスコア又は若しくは1のGPPGA合計スコアを有する患者の比率は、抗薬物抗体陰性患者及び抗薬物抗体陽性患者について類似していた。患者を、上記に定義されているような三分位数に従って分類した場合、経時的な奏効率は一般的に、3つ全ての力価群間で類似していた。それ故、一般的には、これはまた、患者が4000未満及び4000超の力価の数値を有することによってカテゴリー化された場合にも当てはまる。12週目に、43200を超える力価の数値を有する患者について、奏効率が低下するようである。43200を超える力価の数値を有する8人の患者から、4人がそれぞれのスコアの減少を示し、一方、他の4人は示さなかった。奏効率の低下は、スコアそれ自体に対してあまり強くなかった。なぜなら、4人中3人の患者が、1ポイントだけ増加を示したからである。
【0334】
実施例6
スペソリマブによる処置は、GPP患者において、日本皮膚学会の重症度指数を介してCGIスコアを改善する。
Effisayil1(商標)1試験では、汎発性膿疱性乾癬(GPP)のフレアを有する患者は、スペソリマブの投与を受けた後、膿疱の消失及び皮膚のクリアランスを達成した。本発明者らは、1週目における日本皮膚学会の重症度指数の臨床全般印象(CGI)スコアのベースラインからの変化を報告する。患者(N=53)は、1日目に900mgのスペソリマブ又はプラセボの静脈内投与を受けるように無作為に割り当てられ(2:1)、12週間経過観察された。スペソリマブ群(n=31)では、患者の67.7%は改善(スコア1~3)を見、32.3%は全く改善を見なかった(スコア4~5)。プラセボ群(n=15)では、患者の53.3%が改善を見、46.7%が改善を全く見なかった。1のスコア(非常に大きく改善された)は、スペソリマブによる改善者の76.2%によって達成された。結論付けると、スペソリマブによる処置は、プラセボと比較してGPPフレアを有する患者において、日本皮膚学会の臨床全般印象スコアを改善した。
【0335】
本発明の特定の態様及び実施態様が記載されているが、これらは、単なる例として提示され、本発明の範囲を限定するものではない。実際に、本明細書に記載の新規な方法及びシステムが、その精神から逸脱することなく、多種多様な他の形態で具現され得る。添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物は、本発明の範囲及び精神内に該当するような、このような形態又は修飾を網羅することを意図する。
【0336】
本開示に列挙されたジャーナル記事を含む、全ての特許及び/又は刊行物は、参照により本明細書に明確に組み入れられる。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9A
図9B
図9C
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図12
【配列表】
2024510923000001.app
【国際調査報告】