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特表2024-510930トレプロスチニル及びそのプロドラッグの乾燥粉末組成物、及び、さらに(E)-3,6-ビス[4-(N-カルボニル-2-プロペニル)アミドブチル]-2,5-ジケトピペラジン(FDKP)を含む乾燥粉末組成物
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  • 特表-トレプロスチニル及びそのプロドラッグの乾燥粉末組成物、及び、さらに(E)-3,6-ビス[4-(N-カルボニル-2-プロペニル)アミドブチル]-2,5-ジケトピペラジン(FDKP)を含む乾燥粉末組成物 図1
  • 特表-トレプロスチニル及びそのプロドラッグの乾燥粉末組成物、及び、さらに(E)-3,6-ビス[4-(N-カルボニル-2-プロペニル)アミドブチル]-2,5-ジケトピペラジン(FDKP)を含む乾燥粉末組成物 図2
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  • 特表-トレプロスチニル及びそのプロドラッグの乾燥粉末組成物、及び、さらに(E)-3,6-ビス[4-(N-カルボニル-2-プロペニル)アミドブチル]-2,5-ジケトピペラジン(FDKP)を含む乾燥粉末組成物 図4
  • 特表-トレプロスチニル及びそのプロドラッグの乾燥粉末組成物、及び、さらに(E)-3,6-ビス[4-(N-カルボニル-2-プロペニル)アミドブチル]-2,5-ジケトピペラジン(FDKP)を含む乾燥粉末組成物 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】トレプロスチニル及びそのプロドラッグの乾燥粉末組成物、及び、さらに(E)-3,6-ビス[4-(N-カルボニル-2-プロペニル)アミドブチル]-2,5-ジケトピペラジン(FDKP)を含む乾燥粉末組成物
(51)【国際特許分類】
   C07C 69/16 20060101AFI20240305BHJP
   C07C 69/28 20060101ALI20240305BHJP
   C07C 69/96 20060101ALI20240305BHJP
   C07D 241/08 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 31/557 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20240305BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
C07C69/16 CSP
C07C69/28
C07C69/96 Z
C07D241/08
A61K31/557
A61K47/54
A61K9/14
A61P9/12
A61P11/00
A61P43/00 112
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553046
(86)(22)【出願日】2022-03-02
(85)【翻訳文提出日】2023-10-23
(86)【国際出願番号】 US2022018505
(87)【国際公開番号】W WO2022187352
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】63/156,110
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511266520
【氏名又は名称】ユナイテッド セラピューティクス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100225598
【弁理士】
【氏名又は名称】桐島 拓也
(72)【発明者】
【氏名】ヒテシュ バトラ
(72)【発明者】
【氏名】リャン クオ
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ポアソン
(72)【発明者】
【氏名】サソバン ジャナ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4H006
【Fターム(参考)】
4C076AA26
4C076AA30
4C076AA95
4C076BB27
4C076CC11
4C076CC15
4C076EE59
4C086AA01
4C086AA03
4C086DA01
4C086GA13
4C086GA14
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA13
4C086MA43
4C086MA56
4C086NA03
4C086NA15
4C086ZA42
4C086ZA59
4C086ZC12
4H006AA01
4H006AB23
4H006BJ30
4H006BP30
4H006BS10
(57)【要約】
乾燥粉末製剤などの医薬製剤中で望まない不純物を形成する性質が軽減され、カルボキシル基を含む不活性成分、例えば、フマリルジケトピペラジンをさらに含む、トレプロスチニル誘導体が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)トレプロスチニルプロドラッグ、トレプロスチニル塩又はトレプロスチニルプロドラッグの塩、及び(b)フマリル2,5-ジケトピペラジン又は(E)-3,6-ビス[4-(N-カルボニル-2-プロペニル)アミドブチル]-2,5-ジケトピペラジン(FDKP)を含む、乾燥粉末製剤。
【請求項2】
トレプロスチニルジエタノールアミン、トレプロスチニルトロメタミン、トレプロスチニルアルギニン、トレプロスチニルリジン塩、トレプロスチニルN-メチルグルカミン、トレプロスチニルマグネシウム、トレプロスチニルアンモニウム;トレプロスチニルカリウム、トレプロスチニルカルシウム、トレプロスチニルエチレンジアミン、トレプロスチニルコリン、トレプロスチニルトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トレプロスチニルTRIS)、トレプロスチニルプロカイン、及びトレプロスチニルベンザチンから選択されるトレプロスチニル塩を含む、請求項1に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項3】
以下の式:
【化1】
を有するトレプロスチニルプロドラッグを含み、
式中、Rは、第1のプロ成分であり、Rは、第2のプロ成分であり;そしてXは、塩成分又は第3のプロ成分であり;
式中、OR及びORの各々は、非置換トレプロスチニルのそれぞれのヒドロキシル基よりもFDKPのカルボキシル基との低い反応性を持ち、そしてC=OXは、非置換トレプロスチニルのカルボキシル基よりもヒドロキシルとの低い反応性を持つ、請求項1に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項4】
Xが、O・塩対イオンである、請求項3に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項5】
Xが、O・アミノ酸の塩対イオンである、請求項3に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項6】
前記アミノ酸が、アルギニン又はリジンである、請求項5に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項7】
Xが、第3のプロ成分である、請求項3に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項8】
Xが、OR又はNRであり;Rが、アルキル鎖C-C20、以下の:
【化2】
であり、Rが、H又はC-Cアルキルであり、及びRが、以下の:
【化3】
であり、Rが、H又はC-Cアルキルである、請求項3に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項9】
Xが、ORであり、そして、Rが、以下の:
【化4】
である、請求項8に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項10】
Xが、NRであり、Rが、Hであり、そして、Rが、以下の:
【化5】
である、請求項8に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項11】
乾燥粉末製剤であって、
及びRは、独立して、リン含有基、-C(O)R、又はA-B-C置換基から選択され、
Aは、任意に置換されたC-Cアルキレン、-NR-、-C(O)-、-C(O)O-、又はC(O)NR-であり;
Bは、結合、任意に置換されたC-Cアルキレン、-C(O)-、-O-、-S-、任意に置換されたヘテロシクリルであり;そして、
Cは、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアリール、任意に置換されたシクロアルキル、-(OCHCH-OR、-C(O)N(R、-C(O)N(R18、-C(O)R、-COH、-OR、-N(R18、-N(R、又は以下の:
【化6】
であり、
ここで、R18の両方が一緒になって、任意に置換された3員~8員のヘテロシクリルを形成し;
各Rは、独立して、H、任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアリールであり、又はRの両方が一緒になって、4員~8員の任意に置換されたヘテロシクリル又は5員の任意に置換されたヘテロアリールを形成し;
又は、第2のプロ成分及び第3のプロ成分が一緒になって、8員~12員のヘテロシクリル中に、-C(O)-、-SO-、以下の:
【化7】
を形成し、ここで各R10は、H、任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたC-Cアルケニル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロアリール、又は任意に置換されたアリールであり;そして
qは、0、1、2、3、4、5又は6である、請求項3~10のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項12】
及びRが、リン含有基又はC(O)Rから選択され、そして、Rが、任意に置換されたC-Cアルキルである、請求項11に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項13】
及びRの各々が、ホスフェート基である、請求項12に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項14】
及びRが、それぞれ-C(O)Rである、請求項12に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項15】
及びRが、それぞれ独立して、CHOBn、CHOH、
以下の:
【化8】
【化9】
及び
【化10】
から選ばれ、ここでZがO又はCHである、請求項3~10のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項16】
及びRが、それぞれ独立して、C-Cアルキル及びO-R20から選択され、ここでR20が、任意に置換されたC-Cアルキルである、請求項3~10のいずれか1項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項17】
及びRが同一のプロ成分である、請求項3~16のいずれか1項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項18】
及びRが、一緒になって-C(O)-を形成する、請求項11に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項19】
前記プロドラックが、以下の:
【化11】
からなる群より選ばれる一又は複数の化合物である、請求項3に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項20】
前記プロドラックが、トレプロスチニルジアセテートカリウム塩;トレプロスチニルジプロピオネートカリウム塩;トレプロスチニルジブチレートカリウム塩;トレプロスチニルメチルジカーボネートカリウム塩;トレプロスチニルジアセテートL-アルギニン塩;トレプロスチニルジプロピオネートL-アルギニン塩;トレプロスチニルジブチレートL-アルギニン塩;トレプロスチニルメチルジカーボネートL-アルギニン塩;トレプロスチニルジアセテートL-リジン塩;トレプロスチニルジプロピオネートL-リジン塩;トレプロスチニルジブチレートL-リジン塩;トレプロスチニルジイソブチレートL-リジン塩;トレプロスチニルジピバレートL-リジン塩;トレプロスチニルメチルジカーボネートL-リジン塩;トレプロスチニルエチルジカーボネートL-リジン塩;トレプロスチニルイソプロピルジカーボネートL-リジン塩;トレプロスチニルビス(2-メトキシエチルカーボネート)L-リジン塩;トレプロスチニルジヒドロキシアセテートL-リジン塩;トレプロスチニルビス(ジメチルスクシナメート)L-リジン塩;トレプロスチニルビス(モルホリノスクシナメート)L-リジン塩;トレプロスチニルビス(ピペリジニルスクシナメート)L-リジン塩;トレプロスチニルジモルホリノカルバメートL-リジン塩;及びトレプロスチニルジピペリジニルカルバメートL-リジン塩からなる群より選択される、請求項3に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項21】
前記プロドラッグが、水溶性プロドラッグである、請求項3~20のいずれか1項に記載の乾燥粉末組成物。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか1項に記載の乾燥粉末製剤をそれを必要とする対象に投与することを含む、トレプロスチニル治療可能な状態を治療する方法。
【請求項23】
前記状態が、肺高血圧症である、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記状態が、肺動脈性肺高血圧症である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記投与が、吸入によるものである、請求項22~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記対象が、ヒトである、請求項22~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
以下の式:
【化12】
式中、Rは第1のプロ成分であり、Rは第2のプロ成分であり;そしてXは塩成分又は第3のプロ成分であり;式中、OR及びORの各々は、非置換トレプロスチニルのそれぞれのヒドロキシル基よりもカルボキシル基との低い反応性を持ち、そしてC=OXは、非置換トレプロスチニルのカルボキシル基よりもヒドロキシルとの低い反応性を持つ、を有する化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年3月3日に出願された米国仮出願第63/156,110号の優先権を主張するものであり、この仮出願は、援用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本開示は、一般に、トレプロスチニル誘導体に関し、そして、より具体的には、医薬製剤中で望まない不純物を形成する性質が軽減されたトレプロスチニル誘導体、及びそれらの製造方法及び使用方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0003】
要約
一実施形態は、(a)トレプロスチニルプロドラッグ、トレプロスチニル塩又はトレプロスチニルプロドラッグの塩と、(b)フマリル2,5-ジケトピペラジン又は(E)-3,6-ビス[4-(N-カルボニル-2-プロペニル)アミドブチル]-2,5-ジケトピペラジン(FDKP)とを含む粉末製剤である。
【0004】
他の実施形態は、以下の式を有する化合物である:
【化1】
式中、Rは第1のプロ成分であり、Rは第2のプロ成分であり;そしてXは塩成分又は第3のプロ成分であり;ここで、OR及びORの各々は、カルボキシル基との反応性が、非置換トレプロスチニルのそれぞれのヒドロキシル基との反応性よりも低く、そしてC=OXは、ヒドロキシルとの反応性が、非置換トレプロスチニルのカルボキシル基との反応性よりも低い。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、トレプロスチニル分子のアルキル側鎖上のヒドロキシル基とFDKPとの反応によって形成されうる不純物を示している。
図2図2は、トレプロスチニル分子のシクロペンチル環上のヒドロキシル基とFDKPとの反応によって形成されうる不純物を示している。
図3図3は、トレプロスチニル分子のカルボキシル基とエタノールのヒドロキシル基との反応によって形成されうる不純物を示している。
図4図4図5はそれぞれ、トレプロスチニル分子のカルボキシル基と別のトレプロスチニルのヒドロキシル基との分子間反応を介して形成されうるトレプロスチニル二量体不純物を示している。
図5図4図5はそれぞれ、トレプロスチニル分子のカルボキシル基と別のトレプロスチニルのヒドロキシル基との分子間反応を介して形成されうるトレプロスチニル二量体不純物を示している。
【発明を実施するための形態】
【0006】
(発明の詳細な説明)
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかにそうでないことが示されない限り、複数形の参照を含む。本明細書全体を通して、特に断りのない限り、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、及び「含んでいる(comprising)」は、排他的ではなく包括的に使用され、その結果、記載された整数又は整数群は、1又は複数の他の非記載整数又は整数群を含む場合がある。用語「又は」は、例えば「どちらか」で修飾されない限り、包括的である。したがって、文脈がそうでないことを示さない限り、用語「又は」は特定のリストのどれか1つのメンバーを意味し、そして、そのリストのメンバーの任意の組み合わせも含む。特に指示のある場合又は操作例以外、本明細書で使用される成分の量又は反応条件を表すすべての数値は、すべての場合において「約」という用語によって修飾されていると理解されるべきである。
【0007】
見出しは便宜上付したものであり、本発明をいかなる意味においても限定するものと解釈してはならない。他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ定義される。本開示をより容易に理解できるようにするため、特定の用語は最初に定義される。追加の定義は、詳細な説明を通して記載される。
【0008】
すべての数値表記、例えば、pH、温度、時間、濃度、及び分子量は、範囲を含めて、0.05%、1%、2%、5%、10%、又は20%刻みで変化される(+)又は(-)近似値である。必ずしも明示されてはいないが、すべての数値表記の前に「約」という用語が付されていることを理解されたい。また、必ずしも明示されてはいないが、本明細書に記載されている試薬は単に例示的なものであり、そして、そのような試薬と同等のものが当技術分野で知られていることも理解されたい。
【0009】
「HPLC」とは、高速液体クロマトグラフィーを示す。
【0010】
「NMR」とは核磁気共鳴を示す。
【0011】
本明細書において、Cm-Cn、例えばC-C12、C1-、又はC-Cは、基の前に使用される場合、m~n個の炭素原子を含む基を示す。
【0012】
「任意に置換された」とは、その基及びその基の置換型から選択される基を示す。置換基は、以下に定義される基のいずれかを含んでよい。一実施形態において、置換基は、C-C10又はC-Cアルキル、置換C-C10又はC-Cアルキル、C-Cアルケニル、C~Cアルキニル、C-C10アリール、C-Cシクロアルキル、C-C10ヘテロシクリル、C-C10ヘテロアリール、置換C-Cアルケニル、置換C-Cアルキニル、置換C-C10アリール、置換C-Cシクロアルキル、置換C-C10ヘテロシクリル、置換C-C10ヘテロアリール、ハロ、ニトロ、シアノ、-COH、又はそれらのC-Cアルキルエステルから選択される。
【0013】
「アルキル」とは、1~10の炭素原子、好ましくは1~6の炭素原子を有する一価の飽和脂肪族ヒドロカルビル基を示す。この用語は、例として、直鎖状及び分枝状のヒドロカルビル基、例えば、メチル(CH-)、エチル(CHCH-)、n-プロピル(CHCHCH-)、イソプロピル((CHCH-)、n-ブチル(CHCHCH-)、イソブチル((CHCHCH-)、sec-ブチル((CH)(CHCH)CH-)、t-ブチル((CHC-)、n-ペンチル(CHCHCHCH)、及びネオペンチル((CHCCH-)を含む。
【0014】
「アルケニル」とは、2~10の炭素原子及び好ましくは2~6の炭素原子又は好ましくは2~4の炭素原子及び少なくともビニル(>C=C<)不飽和を少なくとも1部位及び好ましくは1~2部位を有する一価の直鎖又は分枝のヒドロカルビル基を示す。このような基は、例えば、ビニル、アリル、及び3-エン-1-イル(3-en-1-yl)によって例示される。シス及びトランス異性体又はこれらの異性体の混合物が、この用語の中に含まれる。
【0015】
「アルキニル」とは、2~10個の炭素原子及び好ましくは2~6個の炭素原子又は好ましくは2~3個の炭素原子及びアセチレン性(-C≡C-)不飽和を少なくとも1部位及び好ましくは1~2部位有する一価の直鎖又は分枝のヒドロカルビル基を示す。このようなアルキニル基の例としては、アセチレニル(-C≡CH)、及びプロパルギル(-CH2C≡CH)を含む。
【0016】
置換アルキルとは、以下の群:アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ 置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル 置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ 置換ヘテロアリールチオ、ヘテロ環、置換ヘテロ環、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SOH、置換スルホニル、置換スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、及び置換アルキルチオからなる群より選択される、1~5、好ましくは、1~3、又はより好ましくは、1~2の置換基を有するアルキル基を示し、前記置換基は、本明細書で定義されている。
【0017】
「ヘテロアルキル」とは、1又は複数の炭素が、-O-、-S-、SO、本明細書で提供されるP含有部分、-NR-、
【化2】
で置換された、アルキル基を示し、式中、Rは、H又はC-Cアルキルである。置換ヘテロアルキルとは、以下:アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ 置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル 置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、ヘテロ環、置換ヘテロ環、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SOH、置換スルホニル、置換スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、及び置換アルキルチオからなる群より選択される1~5、好ましくは、1~3、又はより好ましくは、1~2の置換基を有するヘテロアルキル基を示し、前記置換基は、本明細書で定義されている。
【0018】
置換アルケニルとは、以下:アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、ヘテロ環、置換ヘテロ環、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SOH、置換スルホニル、置換スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、及び置換アルキルチオからなる群より選択される1~3の置換基、そして、好ましくは、1~2の置換基を有するアルケニル基を示し、前記置換基は、本明細書で定義されており、ただし、いかなるヒドロキシ置換基又はチオール置換基は、ビニル(不飽和)炭素原子に結合していない。
【0019】
「ヘテロアルケニル」とは、1又は複数の炭素が-O-、-S-、SO、本明細書で提供されるP含有部分、-NR-、
【化3】
で置換された、アルケニル基を示し、式中、Rは、H又はC-Cアルキルである。
置換ヘテロアルケニルとは、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ 置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル 置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ 置換ヘテロアリールチオ、ヘテロ環、置換ヘテロ環、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SOH、置換スルホニル、置換スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、置換アルキルチオからなる群より選択される1~5、好ましくは、1~3、又はより好ましくは、1~2の置換基を有するヘテロアルケニル基を示し、前記置換基は、本明細書で定義されている。
【0020】
置換アルキニル基とは、以下の:アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ 置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル 置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ 置換ヘテロアリールチオ、ヘテロ環、置換ヘテロ環、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SOH、置換スルホニル、置換スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、置換アルキルチオからなる群より選択される1~3の置換基、そして、好ましくは、1~2の置換基を有するアルキニル基を示し、前記置換基は、本明細書で定義されており、ただし、いかなるヒドロキシ置換基又はチオール置換基は、アセチレン炭素原子に結合していない。
【0021】
「ヘテロアルキニル」とは、1又は複数の炭素が-O-、-S-、SO、本明細書で提供されるP含有部分、-NR-、
【化4】
で置換された、アルケニル基を示し、式中、Rは、H又はC-Cアルキルである。
置換ヘテロアルキニルとは、以下の:アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、ヘテロ環、置換ヘテロ環、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SOH、置換スルホニル、置換スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、及び置換アルキルチオからなる群より選択される1~5、好ましくは、1~3、又はより好ましくは、1~2の置換基を有するヘテロアルキニル基を示し、前記置換基は、本明細書で定義されている。
【0022】
「アルキレン」とは、1~10個の炭素原子、好ましくは1~6個、そして、より好ましくは1~3個の炭素原子を有する、直鎖状又は分岐状の二価の飽和脂肪族ヒドロカルビル基を示す。この用語は、メチレン(-CH-)、エチレン(-CHCH-)、n-プロピレン(-CHCHCH-)、イソ-プロピレン(-CHCH(CH)-又はCH(CH)CH-)、ブチレン(-CHCHCHCH-)、イソブチレン(-CHCH(CH-)CH-)、sec-ブチレン(-CHCH(CH-)CH-)などの基によって例示される。同様に、「アルケニレン」及び「アルキニレン」は、それぞれ1又は2の炭素二重結合又は炭素三重結合を含むアルキレン部分を示す。
【0023】
置換アルキレンとは、以下の:アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、カルボキシル、カルボキシルエステル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、及びオキソからなる群より選択される置換基で置換された1~3の水素を有する、アルキレン基を示し、前記置換基は、本明細書で定義されている。いくつかの実施形態では、アルキレンは、前述の基を1~2個有するか、又はO-、-S-もしくは-NRQ-部分で置換された1~3個の炭素原子を有し、ここでRはH又はC~Cアルキルである。アルキレンがオキソ基で置換されている場合、アルキレン基の同じ炭素に結合している2個の水素は、「=O」で置換されていることに留意されたい。「置換アルケニレン」及び「置換アルキニレン」は、置換アルキレンについて記載した置換基で置換されたアルケニレン及び置換アルキニレン部分を示す。
【0024】
「アルキニレン」とは、2~10個の炭素原子、そして、好ましくは2~6個の炭素原子、又は好ましくは2~3個の炭素原子を有し、アセチレン性(-C≡C-)不飽和の少なくとも1部位、そして、好ましくは1~2部位を有する、直鎖状又は分枝状の2価のヒドロカルビル基を示す。このようなアルキニレン基の例は、C≡C-及びCHC≡C-を含む。
【0025】
置換アルキニレンとは、以下の:アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ 置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル 置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ 置換ヘテロアリールチオ、ヘテロ環、置換ヘテロ環、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SO3H、置換スルホニル、置換スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、置換アルキルチオ
からなる群より選択される1~3の置換基、そして、好ましくは、1~2の置換基を有するアルキニレン基を示し、前記置換基は、本明細書で定義されており、ただし、いかなるヒドロキシ置換基又はチオール置換基は、アセチレン炭素原子に結合していない。
【0026】
「ヘテロアルキレン」とは、1又は複数の炭素が-O-、-S-、SO、本明細書で提供されるP含有部分、-NR-、
【化5】
で置換された、アルキレン基を示し、式中、Rは、H又はC-Cアルキルである。「置換ヘテロアルキレン」とは、置換アルキレンについて開示した置換基から選択される1~3の置換基、そして、好ましくは1~2の置換基を有するヘテロアルキニレン基を示す。
【0027】
「ヘテロアルケニレン」とは、1又は複数の炭素が-O-、-S-、SO、本明細書で提供されるP含有部分、-NR-、
【化6】
で置換された、アルケニレン基を示し、Rは、H又はC-Cアルキルである。
「置換アルケニレン」とは、置換アルケニレンについて開示した置換基から選択される1~3の置換基、そして、好ましくは1~2の置換基を有するヘテロアルキニレン基を示す。
【0028】
「ヘテロアルキニレン」とは、1又は複数の炭素が-O-、-S-、SO、本明細書で提供されるP含有部分、-NR-、
【化7】
で置換された、アルキニレン基を示し、Rは、H又はC-Cアルキルである。
「置換ヘテロアルキニレン」とは、置換アルキニレンについて開示した置換基から選択される1~3の置換基、そして、好ましくは1~2の置換基を有するヘテロアルキニレン基を示す。
【0029】
「アルコキシ」とは、基Oアルキルを示し、アルキルは本明細書で定義される。アルコキシは、例として、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、t-ブトキシ、sec-ブトキシ、及びn-ペントキシを含む。
【0030】
「置換アルコキシ」とは、基O(置換アルキル)を示し、置換アルキルは本明細書で定義される。
【0031】
「アシル」とは、基H-C(O)-、アルキル-C(O)-、置換アルキル-C(O)-、アルケニル-C(O)-、置換アルケニル-C(O)-、アルキニル-C(O)-、置換アルキニル-C(O)-、シクロアルキル-C(O)-、置換シクロアルキル-C(O)-、シクロアルケニル-C(O)-、置換シクロアルケニル-C(O)-、アリール-C(O)-、置換アリール-C(O)-、ヘテロアリール-C(O)-、シクロアルケニル-C(O)-、置換シクロアルケニル-C(O)-、アリール-C(O)-、置換アリール-C(O)-、ヘテロアリール-C(O)-、置換ヘテロアリール-C(O)-、複素環-C(O)-、及び置換複素環-C(O)-を示し、そして、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、及び置換複素環は、本明細書で定義されるとおりである。アシルは「アセチル」基CHC(O)-を含む。
【0032】
「アシルアミノ」とは、-NR47C(O)アルキル、-NR47C(O)置換アルキル、-NR47C(O)シクロアルキル、-NR47C(O)置換シクロアルキル、-NR47C(O)シクロアルケニル、-NR47C(O)置換シクロアルケニル、-NR47C(O)アルケニル、-NR47C(O)置換アルケニル、-NR47C(O)アルキニル、-NR47C(O)置換アルキニル、-NR47C(O)アリール、-NR47C(O)置換アリール、-NR47C(O)ヘテロアリール、-NR47C(O)置換ヘテロアリール、-NR47C(O)ヘテロ環、NR47C(O)置換ヘテロ環を示し、ここで、R47は、水素又はアルキルであり、そして、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、及び置換複素環は、本明細書で定義されるとおりである。
【0033】
「アシルオキシ」とは、アルキル-C(O)O-、置換アルキル-C(O)O-、アルケニル-C(O)O-、置換アルケニル-C(O)O-、アルキニル-C(O)O-、置換アルキニル-C(O)O-、アリール-C(O)O-、置換アリール-C(O)O-、シクロアルキル-C(O)O-、置換シクロアルキル-C(O)O-、シクロアルケニル-C(O)O-、置換シクロアルケニル-C(O)O-、ヘテロアリール-C(O)O-、置換ヘテロアリール-C(O)O-、ヘテロ環式-C(O)O-、及び置換ヘテロ環式-C(O)O-を示し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、及び置換複素環は、本明細書で定義されるとおりである。
【0034】
「アミノ」とは、NH基を示す。
【0035】
「置換アミノ」とは、-NR4849基を示し、ここで、R48及びR49は、独立して、以下:水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、置換複素環式、SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アルケニル、-SO-置換アルケニル、-SO-シクロアルキル、-SO-置換シクロアルキル、-SO-シクロアルケニル、-SO-置換シクロアルケニル、-SO-アリール、-SO-置換アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-置換ヘテロアリール、-SO-ヘテロシクリル、-SO-置換ヘテロシクリルからなる群より選択され、そして、R48及びR49は、任意に結合して、それに結合した窒素と一緒になって、複素環式基又は置換複素環式基を形成するが、R48及びR49は、ともに水素ではなく、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、及び置換複素環式は、本明細書において定義されるとおりである。R48が水素で、R49がアルキルである場合、置換アミノ基は、本明細書においてアルキルアミノと呼ばれることがある。R48及びR49がアルキルである場合、置換アミノ基は、本明細書においてジアルキルアミノと呼ばれることがある。一置換アミノについて言及する場合、R48又はR49のいずれかが、水素であるが両方ではないことを意味する。二置換アミノについて言及する場合、R48もR49も水素ではないことを意味する。
【0036】
「アミノカルボニル」とは、-C(O)NR5051基を示し、ここで、R50及びR51は、独立して、以下:水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、及び置換複素環からなる群より選択され、R50及びR51は、任意に結合して、それに結合した窒素と一緒になって、複素環式基又は置換複素環式基を形成し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、及び置換複素環は、本明細書で定義されるとおりである。
【0037】
「アミノチオカルボニル」とは、-C(S)NR5051基を示し、R50及びR51は、独立して、以下:水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、及び置換複素環からなる群より選択され、R50及びR51は、任意に結合して、それに結合した窒素と一緒になって、複素環式基又は置換複素環式基を形成し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、及び置換複素環は、本明細書で定義されるとおりである。
【0038】
「アミノカルボニルアミノ」とは、-NR47C(O)NR5051基を示し、R47は、水素又はアルキルであり、そして、R50及びR51は、独立して、以下:水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環、置換ヘテロ環からなる群より選択され、R50及びR51は、任意に結合して、それに結合した窒素と一緒になって、複素環式基又は置換複素環式基を形成し、そして、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、及び置換複素環は、本明細書で定義されるとおりである。
【0039】
「アミノチオカルボニルアミノ」とは、-NR47C(S)NR5051基を示し、R47は、水素又はアルキルであり、そして、R50及びR51は、独立して、以下:水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、及び置換複素環からなる群より選択され、R50及びR51は、任意に結合して、それに結合した窒素と一緒になって、複素環式基又は置換複素環式基を形成し、そして、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、及び置換複素環は、本明細書で定義されるとおりである。
【0040】
「アミノカルボニルオキシ」とは、-O-C(O)NR5051基を示し、R50及びR51は、独立して、以下:水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、及び置換複素環からなる群より選択され、R50及びR51は、任意に結合して、それに結合した窒素と一緒になって、複素環式基又は置換複素環式基を形成し、そして、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、及び置換複素環は、本明細書で定義されるとおりである。
【0041】
「アミノスルホニル」とは、-SONR5051基を示し、R50及びR51は、独立して、以下:水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、及び置換複素環からなる群より選択され、R50及びR51は、任意に結合して、それに結合した窒素と一緒になって、複素環式基又は置換複素環式基を形成し、そして、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、及び置換複素環は、本明細書で定義されるとおりである。
【0042】
「アミノスルホニルオキシ」とは、O-SONR5051基を示し、R50及びR51は、独立して、以下:水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、及び置換複素環からなる群より選択され、R50及びR51は、任意に結合して、それに結合した窒素と一緒になって、複素環式基又は置換複素環式基を形成し、そして、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、及び置換複素環は、本明細書で定義されるとおりである。
【0043】
「アミノスルホニルアミノ」とは、-NR47SONR5051基を示し、R47は、水素又はアルキルであり、R50及びR51は、独立して、以下:水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、及び置換複素環からなる群より選択され、R50及びR51は、任意に結合して、それに結合した窒素と一緒になって、複素環式基又は置換複素環式基を形成し、そして、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、及び置換複素環は、本明細書で定義されるとおりである。
【0044】
「アミジノ」とは、-C(=NR52)NR5051基を示し、R50、R51、及びR52は、独立して、以下:水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、及び置換複素環からなる群より選択され、R50及びR51は、任意に結合して、それに結合した窒素と一緒になって、複素環式基又は置換複素環式基を形成し、そして、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、及び置換複素環式は、本明細書で定義されるとおりである。
【0045】
「アリール」又は「Ar」は、6から14の炭素原子を有する単環(例えば、フェニル)、又は芳香族であってもなくてもよい(例えば、2ベンゾオキサゾリノン、2H 1,4ベンゾオキサジン3(4H) ワン7 イルなど)(2 benzoxazolinone, 2H 1,4 benzoxazin 3(4H) one 7 yl)が、ただし、結合点は芳香族炭素原子である複数の縮合環(例えば、ナフチル又はアントリル)を有する一価の芳香族炭素環式基を示す。好ましいアリール基には、フェニル及びナフチルを含む。
【0046】
「置換アリール」とは、以下:アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、 アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ 置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、 ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、ヘテロ環、置換ヘテロ環、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SOH、置換スルホニル、置換スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、及び置換アルキルチオからなる群より選択される1~5、好ましくは1~3、又はより好ましくは1~2の置換基で置換される、アリル基を示す。
【0047】
「アリーレン」とは、6~14の炭素原子を有する単環又は複数の縮合環の2価の芳香族炭素環式基を示す。「置換アリーレン」とは、アリール基について定義されているように、1~5個、好ましくは1~3個、より好ましくは1~2個の置換基を有するアリーレンを示す。
【0048】
「ヘテロアリーレン」とは、1~10の炭素原子と、酸素、窒素及び硫黄からなる群より選択される1~4のヘテロ原子とを環内に有する2価の芳香族基を示す。「置換ヘテロアリーレン」とは、置換アリールについて定義したのと同じ置換基群からなる群から選択される1~5、好ましくは1~3、より好ましくは1~2の置換基で置換されたヘテロアリーレン基を示す。
【0049】
「アリールオキシ」とは、基-O-アリールを示し、ここでアリールは本明細書で定義されるとおりであり、一例としてフェノキシ及びナフトキシを含む。
【0050】
「置換アリールオキシ」とは、基-O-(置換アリール)を示し、ここで置換アリールは本明細書で定義されるとおりである。
【0051】
「アリールチオ」とは、基-S-アリールを示し、ここでアリールは本明細書で定義するとおりである。
【0052】
「置換アリールチオ」とは、基S(置換アリール)を示し、ここで置換アリールは本明細書で定義するとおりである。
【0053】
「カルボニル」は2価の基-C(O)-を示し、-C(=O)-と等価である。
【0054】
「カルボキシル」又は「カルボキシ」はCOOH又はその塩を示す。
【0055】
「カルボキシルエステル」又は「カルボキシエステル」とは、基-C(O)(O)-アルキル、-C(O)(O)-置換アルキル、-C(O)(O)-アルケニル、-C(O)(O)-置換アルケニル、-C(O)(O)-アルキニル、-C(O)(O)-置換アルキニル、-C(O)(O)-アリール、-C(O)(O)-置換アリール、-C(O)(O)-シクロアルキル、-C(O)(O)-置換シクロアルキル、-C(O)(O)-シクロアルケニル、-C(O)(O)-置換シクロアルケニル、-C(O)(O)-ヘテロアリール、-C(O)(O)-置換ヘテロアリール、-C(O)(O)-複素環式、及びC(O)(O)-置換複素環式を示し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、及び置換複素環は、本明細書で定義されるとおりである。
【0056】
(カルボキシルエステル)アミノとは、基-NR47C(O)(O)-アルキル、-NR47C(O)(O)-置換アルキル、-NR47C(O)(O)-アルケニル、-NR47C(O)(O)-置換アルケニル、-NR47C(O)(O)-アルキニル、-NR47C(O)(O)-置換アルキニル、-NR47C(O)(O)-アリール、-NR47C(O)(O)-置換アリール、-NR47C(O)(O)-シクロアルキル、-NR47C(O)(O)-置換シクロアルキル、-NR47C(O)(O)-シクロアルケニル、-NR47C(O)(O)-置換シクロアルケニル、-NR47C(O)(O)-ヘテロアリール、-NR47C(O)(O)-置換ヘテロアリール、-NR47C(O)(O)-複素環式、及びNR47C(O)(O)-置換複素環式を示し、R47はアルキル又は水素であり、そして、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、及び置換複素環は、本明細書で定義されるとおりである。
【0057】
「(カルボキシルエステル)オキシ」とは、基-O-C(O)O-アルキル、-O-C(O)O-置換アルキル、-O-C(O)O-アルケニル、-O-C(O)O-置換アルケニル、-O-C(O)O-アルキニル、-O-C(O)(O)-置換アルキニル、-O-C(O)O-アリール、-O-C(O)O-置換アリール、-O-C(O)O-シクロアルキル、 -O-C(O)O-置換シクロアルキル、-O-C(O)O-置換シクロアルケニル、-O-C(O)O-置換シクロアルケニル、-O-C(O)O-ヘテロアリール、-O-C(O)O-置換ヘテロアリール、-O-C(O)O-ヘテロシクリル、及びO-C(O)O-置換ヘテロシクリルを示し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、及び置換複素環は、本明細書で定義されるとおりである。
【0058】
「シアノ」とは、CN基を示す。
【0059】
「シクロアルキル」とは、3~10の炭素原子を有する単一環又は、縮合環系、架橋環系、スピロ環系を含む複数の環を有する環状アルキル基を示す。非アリール部分が分子の残りの部分に結合していれば、縮合環はアリール環でもよい。適切なシクロアルキル基の例としては、例えば、アダマンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロオクチルを含む。
【0060】
「シクロアルケニル」とは、3~10の炭素原子を有する単一又は複数の環状環を有しする芳香族環状アルキル基を示し、少なくとも1つの>C=C<環不飽和を有し、そして、好ましくは1~2部位の>C=C<環不飽和を有する。
【0061】
「置換シクロアルキル」及び「置換シクロアルケニル」とは、以下の:オキソ、チオキソ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、ヘテロ環、置換ヘテロ環、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SOH、置換スルホニル、置換スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、及び置換アルキルチオからなる群より選択される1~5の又は好ましくは1~3の置換基を有する、シクロアルキル基又はシクロアルケニル基を示す。
【0062】
「シクロプロパノ」とは、以下の:
【化8】
を示す。
【0063】
「シクロブタノ」とは、以下の:
【化9】
を示す。
【0064】
「シクロアルキルオキシ」とは、-O-シクロアルキルを示す。
【0065】
「置換シクロアルキルオキシ」とは、-O-(置換シクロアルキル)を示す。
【0066】
「シクロアルキルチオ」とは、-S-シクロアルキルを示す。
【0067】
「置換シクロアルキルチオ」とは、-S-(置換シクロアルキル)を示す。
【0068】
「シクロアルケニルオキシ」とは、-O-シクロアルケニルを示す。
【0069】
「置換シクロアルケニルオキシ」とは、-O-(置換シクロアルケニル)を示す。
【0070】
「シクロアルケニルチオ」とは、-S-シクロアルケニルを示す。
【0071】
「置換シクロアルケニルチオ」とは、-S-(置換シクロアルケニル)を示す。
【0072】
「グアニジノ」とは、-NHC(=NH)NHの基を示す。
【0073】
「置換グアニジノ」とは、-NR53C(=NR53)N(R53を示し、各々のR53は、独立して、以下:水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環式、及び置換複素環式からなる群より選択され、そして、共通のグアニジノ窒素原子に結合した2個のR53基が、任意に、それに結合した窒素と一緒になって、複素環基又は置換複素環基を形成する。ただし、少なくとも1つのR53は水素ではない。前記置換基は、本明細書で定義されたとおりである。
【0074】
「ハロ」又は「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードを示す。
【0075】
「ヒドロキシ」又は「ヒドロキシル」は、基-OHを示す。
【0076】
「ヘテロアリール」とは、1~10の炭素原子と、酸素、窒素及び硫黄からなる群から選択される1~4のヘテロ原子とを環内に有する芳香族基を示す。このようなヘテロアリール基は、単一の環(例えば、ピリジニル又はフリル)又は複数の縮合環(例えば、インドリジニル又はベンゾチエニル)を有してもよく、縮合環は、芳香族であってもなくてもよく、及び/又は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。ただし、結合点は、芳香族ヘテロアリール基の原子を介してである。一実施形態では、ヘテロアリール基の窒素環原子及び/又は硫黄環原子は、任意に酸化され、Nオキシド(N→O)、スルフィニル又はスルホニル部分を提供する。特定の非限定的な例は、ピリジニル、ピロリル、インドリル、チオフェニル、オキサゾリル、チゾリル、フラニルを含む。
【0077】
「置換ヘテロアリール」とは、置換アリールについて定義したのと同じ置換基からなる群から選択される1~5、好ましくは1~3、より好ましくは1~2の置換基で置換されたヘテロアリール基を示す。
【0078】
「ヘテロアリールオキシ」とは、-O-ヘテロアリールを示す。
【0079】
「置換ヘテロアリールオキシ」とは、基-O-(置換ヘテロアリール)を示す。
【0080】
「ヘテロアリールチオ」とは、基-S-ヘテロアリールを示す。
【0081】
「置換ヘテロアリールチオ」とは、基-S-(置換ヘテロアリール)を示す。
【0082】
「複素環」又は「複素環の」又は「ヘテロシクロアルキル」又は「ヘテロシクリル」とは、1~10の環炭素原子と、窒素、硫黄、又は酸素からなる群から選択される1~4の環ヘテロ原子とを有する、飽和又は部分飽和の、芳香族ではない基を示す。複素環には単環又は複数の縮合環が含まれ、縮合架橋環系やスピロ環系を含む。縮合環系では、1又は複数の環は、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールであってもよいが、ただし、結合点は非芳香族環を介する。一実施形態では、複素環基の窒素原子及び/又は硫黄原子は、任意に酸化され、Nオキシド、スルフィニル又はスルホニル部分を提供する。
【0083】
「置換複素環の」又は「置換ヘテロシクロアルキル」又は「置換ヘテロシクリル」とは、置換シクロアルキルについて定義したのと同じ置換基の1~5、好ましくは1~3で置換されたヘテロシクリル基を示す。
【0084】
「ヘテロシクリルオキシ」とは、-O-ヘテロシクリル基を示す。
【0085】
「置換ヘテロシクリルオキシ」とは、基-O-(置換ヘテロシクリル)を示す。
【0086】
「ヘテロシクリルチオ」とは、-S-ヘテロシクリル基を示す。
【0087】
「置換ヘテロシクリルチオ」とは、基-S-(置換ヘテロシクリル)を示す。
【0088】
複素環及びヘテロアリールの例は、以下には限定されないが、アゼチジン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、ジヒドロインドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キノキサリン インドール、ジヒドロインドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソオキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、フタルイミド、1,2,3,4テトラヒドロイソキノリン、4,5,6,7テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン、 チアゾール、チアゾリジン、チオフェン、ベンゾ[b]チオフェン、モルホリニル、チオモルホリニル(チアモルホリニルともいう)、1,1-ジオキソチオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジン、テトラヒドロフラニルを含む。
【0089】
「ニトロ」とは、基-NOを示す。
【0090】
「オキソ」とは、原子(=O)を示す。
【0091】
フェニレンとは、2価のアリール環を示し、環には6個の炭素原子を含む。
【0092】
置換フェニレンとは、以下の:アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、ヘテロ環、置換ヘテロ環、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SOH、置換スルホニル、置換スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、及び置換アルキルチオからなる群より選択される1~4の、好ましくは1~3の、又はより好ましくは1~2の置換基で置換された、フェニレンを示す。
【0093】
「スピロシクロアルキル」及び「スピロ環系」とは、以下の構造:
【化10】
で例示されるように、スピロ結合(環の唯一の共通メンバーである単一原子によって形成される結合)を有し、3~10の炭素原子を有するシクロアルキル環又はヘテロシクロアルキル環を有する、2価の環式基を示す。
【0094】
「スルホニル」とは、2価の基-S(O)-を示す。
【0095】
「置換スルホニル」とは、基-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アルケニル、-SO-置換アルケニル、SO-シクロアルキル、-SO-置換シクロアルキル、-SO-シクロアルケニル、-SO-置換シクロアルケニル、-SO-アリール、-SO-置換アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-置換ヘテロアリール、-SO-ヘテロ環、-SO-置換ヘテロ環を示し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、及び置換複素環は、本明細書で定義されるとおりである。置換スルホニルは、メチル-SO-、フェニル-SO-、及び4-メチルフェニル-SO-などの基を含む。
【0096】
「置換スルホニルオキシ」とは、基-OSO-アルキル、-OSO-置換アルキル、-OSO-アルケニル、-OSO-置換アルケニル、-OSO-シクロアルキル、-OSO-置換シクロアルキル、-OSO-シクロアルケニル、-OSO-置換シクロアルケニル、-OSO-アリール、-OSO-置換アリール、-OSO-ヘテロアリール、-OSO-置換ヘテロアリール、-OSO-ヘテロ環、-OSO-置換ヘテロ環を示し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、及び置換複素環は、本明細書で定義されるとおりである。
【0097】
「チオアシル」とは、基H-C(S)-、アルキル-C(S)-、置換アルキル-C(S)-、アルケニル-C(S)-、置換アルケニル-C(S)-、アルキニル-C(S)-、置換アルキニル-C(S)-、シクロアルキル-C(S)-、置換シクロアルキル-C(S)-、シクロアルケニル-C(S)-、置換シクロアルケニル-C(S)-、アリール-C(S)-、置換アリール-C(S)-、ヘテロアリール-C(S)-、置換ヘテロアリール-C(S)-、複素環-C(S)-、及び置換複素環-C(S)-を示し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、及び置換複素環は、本明細書で定義されるとおりである。
【0098】
「チオール」とは、SH基を示す。
【0099】
「チオカルボニル」とは、-C(=S)-と等価な2価の基-C(S)-を示す。
【0100】
「チオキソ」とは、原子(=S)を示す。
【0101】
「アルキルチオ」とは、S-アルキル基を示し、アルキルは本明細書で定義されるとおりである。
【0102】
「置換アルキルチオ」とは、基-S-(置換アルキル)を示し、ここで置換アルキルは本明細書で定義するとおりである。
【0103】
置換環は、1又は複数の縮合環及び/又はスピロ環で置換されてもよい。このような縮合環は、縮合シクロアルキル、縮合ヘテロシクリル、縮合アリール、縮合ヘテロアリール環を含み、これらの環のそれぞれは、無置換でも置換されていてもよい。このようなスピロ環は、縮合シクロアルキル及び縮合ヘテロシクリルを含み、これらの環のそれぞれは、無置換でも置換されていてもよい。
【0104】
上記の定義は、許されない置換パターン(例えば、5個のフルオロ基で置換されたメチル)を含むことを意図していないことが理解される。そのような許されない置換パターンは、当業者によく知られている。
【0105】
上記の定義は、許されない置換パターン(例えば、5個のフルオロ基で置換されたメチル)を含むことを意図していないことが理解される。そのような許されない置換パターンは、当業者によく知られている。
【0106】
「薬学的に許容される塩」とは、化合物の塩を示し、そして、この塩は、医薬用途に適しており、当技術分野でよく知られている様々な有機及び無機の対イオンから誘導され、そして、化合物が酸性官能基を含む場合、例としてナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなどを含む;分子が塩基性官能基を含む場合、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩などの有機酸又は無機酸の塩などを含む(医薬用塩、その選択、調製、及び使用についての検討は、Stahl and Wermuth編、“Handbook of Pharmaceutically Acceptable Salts”, (2002), Verlag Helvetica Chimica Acta, Zurich, Switzerlandを参照)。
【0107】
「肺高血圧症」とは、WHOグループ1~5のすべての肺高血圧症を示す。肺動脈性肺高血圧症はPAHとも示され、WHOグループ1の肺高血圧症を指す。PAHは、特発性、遺伝性、薬物又は毒素誘発性、及び新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)を含む。
【0108】
一般に、薬学的に許容される塩とは、親化合物の所望の薬理活性の1又は複数を実質的に保持し、そして、in vivo投与に適した塩である。薬学的に許容される塩は、無機酸又は有機酸で形成される酸付加塩を含む。薬学的に許容される酸付加塩を形成するのに適した無機酸は、限定するものではないが、例えば、ハロゲン化水素酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸など)、硫酸、硝酸、リン酸などを含む。
【0109】
薬学的に許容される酸付加塩を形成するのに適した有機酸の例は、以下には限定されないが、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、パルミチン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、アルキルスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸など)、アリールスルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸など)、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などを含む。
【0110】
薬学的に許容される塩には、親化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオン(例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、又はアルミニウムイオン);アンモニウムイオン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ピペリジン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、及びアンモニウムなどの有機塩基から誘導されるアンモニウムイオン);及びアミノ酸残基、すなわちリジン、アルギニンなどのアミノ酸の残基で置換された場合に形成される塩を含む。
【0111】
Remodulin(登録商標)(トレプロスチニル)注射液、Tyvaso(登録商標)(トレプロスチニル)吸入液、及びOrenitram(登録商標)(トレプロスチニル)徐放錠の有効成分であるトレプロスチニルは、米国特許第4,306,075号に記載されていた。トレプロスチニル及び他のプロスタサイクリン誘導体の製造方法は、例えば、Moriartyら、J. Org. Chem. 2004, 69, 1890-1902,Drug of the Future, 2001, 26(4), 364-374,米国特許 No. 6,441,245、6,528,688、6,700,025、6,809,223、6,756,117、8,461,393、8,481,782;8,242,305、8,497,393、8,940,930、9,029,607、9,156,786及び9,388,154 9,346,738;米国公開特許出願第2012-0197041号、同第2013-0331593号、同第2014-0024856号、同第2015-0299091号、同第2015-0376106号、同第2016-0107973号、同第2015-0315114号、同第2016-0152548号、及び同第2016-0175319号;PCT出願公開第WO2016/0055819号及び同第WO2016/081658号に記載されている。
【0112】
トレプロスチニルの様々な用途及び/又は様々な形態が、例えば、米国特許No.5,153,222,5,234,953,6,521,212,6,756,033,6,803,386,7,199,157,6,054,486,7,417,070,7,384,978,7,879,909,8,563,614,8,252,839,8,536,363,8,410,169,8,232,316,8,609,728,8,350,079,8,349,892,7,999,007,8,658,694,8,653,137,9,029,607,8,765,813,9,050,311,9,199,908,9,278,901,8,747,897,9,358,240,9,339,507,9,255,064,9,278,902,9,278,903,9,758,465;9,422,223;9,878,972;9,624,156;米国公開特許出願第2009-0036465号、同第2008-0200449号、同第2008-0280986号、同第2009-0124697号、同第2014-0275616号、同第2014-0275262号、同第2013-0184295号、同第2014-0323567号、同第2016-0030371号、同第2016-0051505号、同第2016-0030355号、同第2016-0143868号、同第2015-0328232号、同第2015-0148414号、同第2016-0045470号、同第2016-0129087号、同第2017-0095432号;同第2018-0153847号及びPCT出願公開第WO00/57701、WO20160105538、WO2016038532、WO2018/058124に開示されている。
【0113】
トレプロスチニルは、以下の化学式:
【化11】
を有する。
【0114】
トレプロスチニル分子には2つの水酸基がある:1つはシクロペンチル環上に、もう1つはアルキル鎖上にあり、カルボキシル基も1つある。トレプロスチニル分子のこれらの反応性基は、トレプロスチニル製剤中の不純物の形成につながる可能性がある。例えば、1つのトレプロスチニル分子上のカルボキシル基は、別のトレプロスチニル分子上のヒドロキシル基の1つと反応し、それによって二量体を形成する。トレプロスチニル分子上の反応性基はまた、トレプロスチニル製剤中の他の成分と反応する際に望ましくない不純物を形成する可能性がある。例えば、トレプロスチニル製剤が、乾燥粉末吸入トレプロスチニル製剤中の(E)-3,6-ビス[4-(N-カルボニル-2-プロペニル)アミドブチル]-2,5-ジケトピペラジン(FDKP)のようなカルボキシル基含有成分を含む場合、そのような成分のカルボキシル基は、トレプロスチニル分子上のヒドロキシル基の1つと反応し、それによって望ましくない不純物を形成する可能性がある。トレプロスチニル分子上のカルボキシル基は、アルコール、例えばメタノールやエタノールなどのヒドロキシル基含有成分のヒドロキシル基と反応することもあり、その結果、望ましくない不純物が形成される。
【0115】
WO2019/237028は、トレプロスチニルとFDKPとを含む乾燥粉末組成物を開示している。調製工程では、乾燥粉末組成物をメタノールやエタノールなどのアルコールにさらす。図1-3は、(a)トレプロスチニル分子のアルキル鎖ヒドロキシル基とFDKPのカルボキシル基との反応;(b)トレプロスチニル分子のシクロペンチル環ヒドロキシル基とFDKPのカルボキシル基との反応;及び(c)トレプロスチニルのカルボキシル基とエタノールのヒドロキシル基との反応により形成される可能性のある望ましくない不純物を示している。図4-5はそれぞれ、トレプロスチニル分子のカルボキシル基と別のトレプロスチニルのヒドロキシル基との分子間反応を介して形成される可能性のあるトレプロスチニル二量体不純物を示す。
【0116】
WO2019/237028に開示されたトレプロスチニルとFDKPとを含む乾燥粉末製剤のようなトレプロスチニル製剤は、望ましくない不純物の生成速度を低下させるために、室温以下の温度のような低温で保存されることが多い。
【0117】
ある実施形態は、カルボキシ基含有成分、例えばFDKPをさらに含むトレプロスチニルの塩又はプロドラッグを含む製剤であり、例えばFDKPベースの粉末製剤であり、これは好ましくは乾燥粉末製剤である。遊離酸としてのトレプロスチニルの代わりにトレプロスチニルプロドラッグ又はトレプロスチニル塩を使用することにより、1又は複数の望ましくない不純物を低減及び/又は除去することができる。
【0118】
いくつかの実施形態では、カルボキシ基含有成分、例えばFDKPを含む製剤、例えばFDKPベースの乾燥粉末製剤は、薬学的に許容されるトレプロスチニルの塩を含んでもよい。例えば、トレプロスチニルの塩は、以下の文献の1つに開示された塩であってもよく、これらの文献の各々は、援用によりその全体が組み込まれる:PCT公開第WO2005/007081号;米国特許第7,417,070号;同第9,701,611号;同第9,988,334号。トレプロスチニル塩の具体例は、トレプロスチニルジエタノールアミン、トレプロスチニルトロメタミン、トレプロスチニルアルギニン、トレプロスチニルリジン塩、トレプロスチニルN-メチルグルカミン、トレプロスチニルマグネシウム、トレプロスチニルアンモニウム;トレプロスチニルカリウム、トレプロスチニルカルシウム、トレプロスチニルエチレンジアミン、トレプロスチニルコリン、トレプロスチニルトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トレプロスチニルTRIS)、トレプロスチニルプロカイン、トレプロスチニルベンザチン、トレプロスチニルナトリウム、及びトレプロスチニルのリジン塩、トレプロスチニルのアルギニン塩、及びトレプロスチニルのカリウム塩を含む。
【0119】
いくつかの実施形態では、カルボキシ基含有成分、例えばFDKPを含む製剤、例えばFDKPベースの乾燥粉末製剤は、トレプロスチニルプロドラッグ又はその薬学的に許容される塩を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、トレプロスチニルプロドラッグは、以下の文献の1つに開示されたトレプロスチニルプロドラッグであってもよく、これらの文献の各々は、援用によりその全体が組み込まれる:PCT公開第WO2005/007081号、米国特許第 7,384,978, 7,417,070, 7,544,713, 8,252,839, 8,410,169, 8,536,363, 9,050,311, 9,199,908, 9,278,901, 9,422,223; 9,624,156, 9,878,972, 9,371,264, 9,394,227, 9,505,737, 9,643,911, 9,701,616, 9,776,982, 9,845,305, 9,957,200, 10,053,414, 10,246, 403, 10,344,012, 10,450,290, 10,464,877, 10,464,878, 10,703,706, 10,752,733, 9,255,064, 9,469,600, 10,010,518, 10,343,979, 10,526,274; U. 米国特許出願公開第2018-0153847号、第2021-0054009号、第2021-0378996号、2021年12月13日出願の米国特許出願第17/549,573号。
【0120】
いくつかの実施形態では、プロドラッグは、対応する非置換トレプロスチニル分子のカルボキシル基を、非置換トレプロスチニル分子のカルボキシル基の化学反応性よりも低い化学反応性を有する部位で置換したものであってもよい。
【化12】
X=Oの場合、Rはアルキル、例えばCH、C;アリール;置換アリール、分枝状アルキル、例えばピボリル、イソプロピル等であり;
X=Nの場合Rは、
【化13】
である。
【0121】
いくつかの実施形態では、トレプロスチニルプロドラッグは、対応する非置換トレプロスチニル分子の1のヒドロキシル基及びカルボキシル基、それぞれが、非置換トレプロスチニル分子のそれぞれの基の化学反応性よりも低い化学反応性を有する部位で置換されたプロドラッグであってもよい。
【0122】
いくつかの実施形態では、トレプロスチニルプロドラッグは、対応する非置換トレプロスチニル分子の3つの反応性基、すなわち、2つのヒドロキシル基及びカルボキシル基の各々を、非置換トレプロスチニル分子のそれぞれの反応性基の化学反応性よりも低い化学反応性を有する部位で置換されたプロドラッグであってもよい。
【0123】
例えば、いくつかの実施形態では、トレプロスチニルプロドラッグは、以下の式:
【化14】
を有するトレプロスチニルプロドラッグであってもよい:
は第1のプロ成分であり、Rは第2のプロ成分であり、そして、Xは塩成分又は第3のプロ成分であってもよい。OR及びORのそれぞれは、カルボキシル基、例えば、FDKPのようなカルボキシル基含有化合物のカルボキシル基との化学反応性が、非置換トレプロスチニルのそれぞれのヒドロキシル基との化学反応性よりも低くてもよい。プロドラッグ中のC=OX基は、水酸基、例えばメタノール又はエタノールのようなアルコールの水酸基との化学反応性が、非置換トレプロスチニルのカルボキシル基(COOH)の化学反応性よりも低くてもよい。
【0124】
トレプロスチニルプロドラッグ又はトレプロスチニル塩は、非置換のトレプロスチニルを有するトレプロスチニル製剤と比較して、FDKPのようなカルボキシル基含有成分を含むトレプロスチニル製剤のようなトレプロスチニル製剤において、より少ない量の不純物をもたらし得る。
【0125】
いくつかの実施形態では、プロドラッグ又はトレプロスチニル塩はまた、非置換トレプロスチニルを有するトレプロスチニル製剤と比較して、FDKPのようなカルボキシル基含有成分を含有する乾燥粉末製剤のようなトレプロスチニル製剤を保存するためのより穏やかな条件を使用することを可能にし得る。例えば、いくつかの実施形態では、(a)トレプロスチニルプロドラッグ又はトレプロスチニル塩、及び(b)FDKPなどのカルボキシル基含有成分を含む、乾燥粉末製剤などのトレプロスチニル製剤は、室温で保存され得る、例えば、18℃~30℃、20℃~28℃、22℃~25℃又は少なくとも3ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも12ヶ月間、又は3ヶ月から36ヶ月間、6ヶ月から30ヶ月間、12ヶ月から18ヶ月間、若しくはこれらの範囲内の任意の値又は小範囲で、保存され得る。
【0126】
いくつかの実施形態では、プロドラッグは水溶性であってもよい。水溶性プロドラッグを使用することにより、エタノールやメタノールなどの有機溶媒の使用を避けることができ、したがって、プロドラッグと有機溶媒との反応による不純物の形成を避けることができる。
【0127】
いくつかの実施形態では、Xは塩成分、すなわちO塩対イオンであってもよい。いくつかの実施形態では、塩の対イオンは、アミノ酸からの対イオンであってもよい。 いくつかの実施形態では、アミノ酸は天然に存在するアミノ酸であってもよい。いくつかの実施形態では、アミノ酸は、天然に存在するアミノ酸のL-異性体であってもよい。 さらにいくつかの実施形態では、アミノ酸は天然に存在するアミノ酸のD-異性体であってもよい。いくつかの実施形態では、アミノ酸は、20種類の標準アミノ酸:アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンから選択されるアミノ酸であってもよい。いくつかの実施形態では、例えばアルギニン塩成分のようなアミノ酸塩成分は、水溶性プロドラッグを生成し得る。
【0128】
いくつかの実施形態では、Xは第3のプロ成分であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、Xは、OR又はNRであってもよく;そして、Rは、例えば、アルキル鎖C-C20
【化15】
であり、Rは、H又はC-Cアルキルであり、Rは、以下の:
【化16】
であり、R及びRは、独立して、H又はC-Cアルキルである。
【0129】
いくつかの実施形態では、R及びRは、独立して、リン含有基、-C(O)R、又はA-B-C置換基から選択されてもよく、式中:
Aは、任意に置換されたC-Cアルキレン、-NR-、-C(O)-、-C(O)O-、又はC(O)NR-であり;
Bは、結合、任意に置換されたC~Cアルキレン、-C(O)-、-O-、-S-、任意に置換されたヘテロシクリルであり;及び
Cは、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアリール、任意に置換されたシクロアルキル、-(OCHCH)q-OR、-C(O)N(R、-C(O)N(R18、-C(O)R、-COH、-OR、-N(R18、-N(R、又は
【化17】
であり;式中:
18の両方が一緒になって、任意に置換された3員~8員のヘテロシクリルを形成し;
各Rは、独立して、H、任意に置換されたC~Cアルキル、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアリールであるか、又はRの両方が一緒になって、4員~8員の任意に置換されたヘテロシクリル又は5員の任意に置換されたヘテロアリールを形成する;
又は、第2のプロ成分及び第3のプロ成分が一緒になって、8員~12員のヘテロシクリル中に、-C(O)-、-SO-、
【化18】
を形成し、各R10は、H、任意に置換されたC~Cアルキル、任意に置換されたC~Cアルケニル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロアリール、又は任意に置換されたアリールであり;そしてqは、0、1、2、3、4、5又は6である。
【0130】
いくつかの実施形態では、R及びRの各々は、独立して、リン含有基又はC(O)Rから選択されてもよく、そして、Rは、任意に置換されたC~Cアルキルである。
【0131】
いくつかの実施形態では、R及びRの各々は、独立して、CHOBn、CHOH、
【化19】
【化20】
及び
【化21】
から選択され、式中、ZはO又はCHである。
【0132】
いくつかの実施形態では、R及びRの各々は、独立して、直線状又は分岐状でもよいC-Cアルキル、及びO-R20、式中、R20は、Oで任意に置換された1又は複数のCH基を有する直鎖状又は分枝状のC-Cアルキルのような、任意に置換されたC-Cアルキルから選択される。
【0133】
いくつかの実施形態では、R及びRは、同じ化学基であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、R及びRは、それぞれホスフェート基であってもよい。いくつかの実施形態では、R及びRは、それぞれC(O)Rであってよく、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル又はt-ブチルなどのC-Cアルキルである。いくつかの実施形態では、R及びRは、それぞれ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、sec-ブチル又はイソブチルなどのC~Cアルキルであってもよい。いくつかの実施形態では、R及びRは、OMe、OEt、OPr又はO(CHOMeなどのO-R20であってもよい。いくつかの実施形態では、R及びRは、一緒になって-C(O)-を形成する。いくつかの実施形態では、トレプロスチニルプロドラッグ又はトレプロスチニルプロドラッグの塩は、以下の:
【化22】
のうちの1つを有してもよい。
【0134】
いくつかの実施形態では、トレプロスチニルプロドラッグ又はトレプロスチニルプロドラッグの塩は、以下の1又は複数であってもよい:トレプロスチニルジアセテートカリウム塩;トレプロスチニルジプロピオネートカリウム塩;トレプロスチニルジブチレートカリウム塩;トレプロスチニルメチルジカーボネートカリウム塩;トレプロスチニルジアセテートL-アルギニン塩;トレプロスチニルジプロピオネートL-アルギニン塩;トレプロスチニルジブチレートL-アルギニン塩;トレプロスチニルメチルジカーボネートL-アルギニン塩;トレプロスチニルジアセテートL-リジン塩;トレプロスチニルジプロピオネートL-リジン塩;トレプロスチニルジブチレートL-リジン塩;トレプロスチニルジイソブチレートL-リジン塩;トレプロスチニルジピバレートL-リジン塩;トレプロスチニルメチルジカーボネートL-リジン塩;トレプロスチニルエチルジカーボネートL-リジン塩;トレプロスチニル イソプロピルジカーボネートL-リジン塩;トレプロスチニルビス(2-メトキシエチルカーボネート)L-リジン塩;トレプロスチニルジヒドロキシアセテートL-リジン塩;トレプロスチニルビス(ジメチルコハク酸)L-リジン塩;トレプロスチニルビス(モルホリノコハク酸)L-リジン塩;トレプロスチニルビス(ピペリジニルコハク酸)L-リジン塩;トレプロスチニルジモルホリノカルバメートL-リジン塩;及びトレプロスチニルジピペリジニルカルバメートL-リジン塩。
【0135】
いくつかの実施形態では、プロドラッグは、1又は複数の米国特許出願公開第2005-0085540号及び2018-0153847号;米国特許第9,701,611号;及び米国特許出願公開第2021-0054009号からの技術を組み合わせることによって調製されてもよく、これらの各々は、その全体が援用により本明細書に組み込まれる。例えば、XがO-アルギニン対イオンである一方、R及びRがホスフェート及びC(O)R6から選択される同一部分であるプロドラッグについては、調製技術は、米国特許出願公開第2021-0054009号のプロドラッグLXX~LXXIIIのような二置換プロドラッグの合成と、米国特許第9,701,611号の塩形成技術とを組み合わせることを含んでもよい。XがNRであり;RがHであり、Rが、以下の:
【化23】
であり、Rが、独立して、H又はC~Cアルキルであり、一方、R及びRが、ホスフェート及びC(O)Rから選択される同一部分であるプロドラッグについては、調製技術は、米国特許出願公開第2021-0054009号のプロドラッグLXX~LXXIIIのような二置換プロドラッグの合成と、同出願のプロドラッグXIVの合成技術とを組み合わせることを含んでもよい。XがOアルギニン対イオンである一方でR及びRが-C(O)-を形成するプロドラッグについては、調製技術は、米国特許出願公開第2021-0054009号のプロドラッグXXIVの合成と、米国特許第9,701,611号の塩形成技術とを組み合わせることを含んでもよい。XがNRであり;RがHであり、Rが、以下の:
【化24】
であり、Rが独立してH又はC~Cアルキルであり、一方、R及びRが-C(O)-を形成しているプロドラッグについては、調製技術は、米国特許出願公開第2021-0054009号におけるプロドラッグXXIVの合成と、同出願におけるプロドラッグXIVの合成技術とを組み合わせることを含んでもよい。プロドラッグは、以下の実施例に概説されているように合成されることができる。
【0136】
プロドラッグ及び/又は塩の1又は複数は、FDKPのようなカルボキシル基含有非活性成分をも含み得る医薬組成物又は製剤中に有効量で使用されてもよい。例えば、組成物又は製剤は、1又は複数のプロドラッグ及び/又は塩と、FDKPのようなカルボキシル基含有非活性成分とを含む乾燥粉末製剤であってもよい。
【0137】
用語「有効量」は、疾患又は状態を処置するために必要であり得るトレプロスチニルプロドラッグ、トレプロスチルの塩及び/又はトレプロスチニルプロドラッグの塩の量を意味し得る。いくつかの実施形態では、トレプロスチニルプロドラッグ及び/又は塩の有効量は、同じ疾患又は状態を処置するためのトレプロスチニルの有効量と同一又は類似であり得る。いくつかの実施形態では、トレプロスチニルプロドラッグ及び/又は塩の有効量は、同じ疾患又は状態を処置するためのトレプロスチニルの有効量とは異なり得る。当業者であれば、例えば、関連する疾患又は状態、疾患又は状態を治療、改善、又は予防することが知られているトレプロスチニルの量、及びプロドラッグ及び/又は塩がin vivoでトレプロスチニルに変換する速度に基づいて、トレプロスチニルプロドラッグ及び/又は塩の「有効量」を決定することができるであろう。
【0138】
いくつかの実施形態では、疾患又は状態を処置する方法が提供され、前記方法は、ヒトなどの対象に、本明細書に開示される化合物(例えば、プロドラッグ及び/又は塩)又は組成物もしくは製剤を投与することを含む。いくつかの実施形態では、疾患又は状態は、肺高血圧症、うっ血性心不全、末梢血管疾患、レイノー現象、強皮症、腎不全、末梢神経障害、趾潰瘍、間欠性跛行、虚血性四肢疾患、末梢虚血性病変、肺線維症及び喘息からなる群から選択される1又は複数である。いくつかの実施形態では、前記疾患は肺高血圧症である。
【0139】
いくつかの実施形態では、(a)カルボキシ基含有成分、例えばFDKP、及び(b)トレプロスチニル塩、トレプロスチニルプロドラッグ又はトレプロスチニルプロドラッグの塩を含む、FDKPベースの乾燥粉末製剤などの製剤は、経口吸入又は鼻腔吸入などの吸入によって投与され得る。いくつかの実施形態では、製剤は、乾燥粉末吸入器を使用して投与され得る。
【0140】
乾燥粉末吸入器は、例えば、米国特許第7,305,986号、同第7,464,706号、同第8,499,757号及び同第8,636,001号、PCT公開Wo29237028号に開示されており、これらのそれぞれは援用により組み込まれる。
【0141】
いくつかの実施形態では、乾燥粉末吸入器は、トレプロスチニルプロドラッグ及び/又は塩を含むFDKPベースの乾燥粉末製剤を含む、交換可能なカートリッジであってもよいカートリッジを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、乾燥粉末吸入器は、コンパクト、再使用可能又は使い捨て可能な呼吸式吸入器であってもよい。乾燥粉末吸入器は、多数の様々な形状及びサイズを有することができ、肺及び/又は全身循環への粉末医薬の効果的かつ迅速な送達のための気流導管経路のシステムを構成することができる。
本明細書に記載される実施形態は、以下の実施例に限定されるものではないが、以下の実施例によってさらに説明される。
【実施例1】
【0142】
実施例1
スキーム1:トレプロスチニル二置換プロドラッグ塩(4)の合成のための一般的手順
【化25】
【0143】
トレプロスチニルベンジルエステル二置換プロドラッグの合成のための一般的手順(アシル化及びカルボメトキシ化):
ジクロロメタン(DCM)(20v/wt)中のトレプロスチニルベンジルエステル(1)(1.0eq)及びDMAP(2.0eq)の撹拌溶液に、それぞれの無水物(1.5eq)又はクロロギ酸メチル(1.5eq)を添加した。得られた混合物を室温で1時間撹拌した。溶媒を真空中で除去して粗生成物を得て、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、トレプトスチニルベンジルエステルジアセテート(2a)又はジプロピオネート(2b)又はジブタノエート(2c)又はジカルボネート(2d)を得た。これらの化合物(2a、2b、2c及び2d)は、H NMR及びLCMSによって特徴付けた。
【0144】
トレプロスチニル二置換プロドラッグ(3a-d)の合成のための一般的手順
(脱ベンジル化):
酢酸エチル(20v/wt)(及び水1v/wt)中のトレプロスチニルベンジルエステル二置換プロドラッグ(2a-d)(1.0eq)に、アルゴン下で炭素上5%パラジウム(~50%水)(10-25wt%)を添加した。混合物を真空排気し、室温で水素(バルーンに充填)に置換し、この工程を2回繰り返した。反応混合物を水素雰囲気下、室温で1~3時間撹拌した。混合物をセライトパッドで濾過し、EtOAcで洗浄した。濾液を真空中で蒸発させて、純粋なトレプロスチニル二置換プロドラッグ(3a-d)を得た。純粋な生成物は、IR、H NMR、13C NMR及びLC-MSによって特徴付けた。
【0145】
トレプロスチニル二置換プロドラッグ(4a-d)の塩形成のための一般的手順:
化合物(3a-d)をアセトンに溶解して透明な溶液を得て、そして、その後、塩基を水溶液として加える。これを加熱して塩を形成させた。この混合物を蒸発させ、固体を酢酸イソプロピルとヘプタンで粉砕した。これを蒸発させ、流動性粉末としての塩を得た。塩(4a-d)は、H NMR、13C核磁気共鳴(NMR)、融点(MP)測定、液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)及び赤外(IR)分光法によって特徴付けた。
【表1】
【0146】
トレプロスチニルアセトキシアセテート酸(7)の合成
スキーム2:トレプロスチニルアセトキシアセテート酸の合成
【化26】
【0147】
トレプロスチニルアセトキシアセテートベンジルエステル(6)の合成:
アセトン(1.5 L)中のトレプロスチニル(5)(100.2 g, 256.58 mmol)の溶液に、ブロモ酢酸ベンジル(44.3 mL, 282.23 mmol)炭酸カリウム(106.4 g, 769.74 mmol)を加えた。これにアセトン(800 mL)を加え、混合物をアルゴン雰囲気下、室温で激しく撹拌した。64時間後、反応はTLCに基づいて完了したことがわかった。反応物をセライトで濾過し、真空中で蒸発させて粗トレプロスチニルアセトキシアセテートベンジルエステル(6)を得た。これを、エチルアセテート:ヘキサン(0~60%)を移動相とするカラムクロマトグラフィーにより精製し、トレプロスチニルアセトキシアセテートベンジルエステル(6)の3つの画分(A:6.4g、B:65.3g、C:50.2g)を得た。画分C (50.2 g)をエチルアセテート(400 mL)及びヘキサン(100 mL)を用いて65℃で結晶化させ、28.1 gの生成物(6)を得た。これからの母液(21.8 g)と画分A(6.4 g)を合わせ、エチルアセテート(170 mL)とヘキサン(60 mL)を用いて65から70℃で結晶化させ、純粋な生成物(6)(26.7 g)を得た(合計、120.1 g、収率86.9%)。純粋な生成物はH NMRで特徴付けた。
【0148】
トレプロスチニルアセトキシアセテート酸(7)の合成:
エチルアセテート(1.3 L)中のトレプロスチニルベンジルアセトキシアセテート(6)(73.5 g)の溶液(60℃で可溶化)に、RTで炭素上のパラジウム(7.3 g)を添加した。その後、テトラヒドロフラン(100 mL)を加え、化合物を溶液に保った。反応系を真空排気し、バルーン圧力下で水素ガスに置換した(3回)。室温で3時間攪拌した後、反応はTLCに基づいて完了したことがわかった。反応混合物をセライトで濾過し、2つに分け、真空中で蒸発させ、粗トレプロスチニルアセトキシアセテート酸(7)(43.5 g + 45.7 g)を得た。これら2つのバッチを、tert-ブチルメチルエーテル(250mL)及びヘキサン(75mL)を用いて、40℃で(別々に)結晶化させた。これらを合わせ、ヘキサン(700 mL)中でスラリー化した。固体結晶を4号濾紙で濾過し、風乾することにより、純粋なトレプロスチニルアセトキシアセテート酸(7) (51.4 g, 収率83.9%)を白色からオフホワイトの固体として得た。純粋な生成物は、H NMR、13C NMR、IR及びMSによって特徴付けた。融点は92.5℃から95.2℃であった。
【0149】
実施例2
スキーム3:トレプロスチニル二置換エステル及びカルボネート塩の合成
【化27】
スキーム4:トレプロスチニルジアルキレート及びジスクシナメートL-リジン塩の合成
【化28】
スキーム5:トレプロスチニルジカルバメートL-リジン塩の合成
【化29】
【0150】
一般的な実験手順
トレプロスチニルジアルキレートベンジルエステル(2a-2e)の合成のための一般的手順
ジクロロメタン(DCM)中のトレプロスチニルベンジルエステル(1)(1.0 eq.)の撹拌溶液に、アルゴン下、室温でDMAP(3.0 eq.)を添加した。得られた反応混合物を5分間撹拌した後、対応するアルキル無水物(3.0 eq.)をゆっくりと加えた。1.5~4時間後、TLCは反応が完了したことを示唆した。反応の完了後、反応混合物を真空中で濃縮し、粗化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)で精製して、純粋なトレプロスチニルジアルキル酸ベンジルエステル(2a-2e)を得た。化合物はIR、H NMR及びLCMSによって特徴付けた。
【0151】
トレプロスチニルアルキルジカーボネートベンジルエステル(2f-2i)の合成のための一般的手順
ジクロロメタン(DCM)とピリジン(1:1)中のトレプロスチニルベンジルエステル(1)(1.0 eq.)の撹拌溶液に、アルゴン下、0~5℃(水+ドライアイス)で、DCM中の対応するアルキルクロロホルメート(2.5 eq.)の溶液を滴下した。2~4時間後、TLCは反応が完了したことを示唆した。反応の完了後、反応混合物を真空中で濃縮し、高真空下で乾燥し、得られた粗化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)により精製して、純粋なトレプロスチニルアルキルジカーボネートベンジルエステル(2f-2i)を得た。化合物はIR、H NMR及びLCMSによって特徴付けた。
【0152】
トレプロスチニルジアルキレート及びジスクシナメートベンジルエステル(2j-2m)の合成のための一般的手順
ジクロロメタン(DCM)中のトレプロスチニルベンジルエステル(1)(1.0 eq.)及び対応する酸又はコハク酸(3.0 eq.)の撹拌溶液に、DIPEA(4.0 eq.)及びDMAP(0.5 eq.)をアルゴン下、室温で添加した。次に、EDCI-HCl(4.0 eq.)を部分的に加え、得られた反応混合物をアルゴン雰囲気下、室温で一晩撹拌した。16-65時間後、TLCは反応が完了したことを示唆した。反応終了後、反応混合物を水でクエンチし、DCM層を分離し、水層をDCMで抽出した。合わせたDCM層を塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム(NaSO)上で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮して粗物質を得て、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)で精製して、純粋なトレプロスチニルジアルキレート又はジスクシナメートベンジルエステル(2j-2m)を得た。化合物はIR、H NMR及びLCMSによって特徴付けた。
【0153】
トレプロスチニルジカルバメートベンジルエステル(7a-7b)の合成のための一般的手順
ピリジン中のトレプロスチニルベンジルエステル(1)(1.0 eq.)の攪拌溶液に、アルゴン下、室温で、対応する塩化カルバモイル (8.0 eq.)を添加した。得られた反応混合物をアルゴン下で還流した。24 - 40時間後、TLCは反応が完了したことを示唆した。反応の完了後、反応混合物を真空中で濃縮し、高真空下で乾燥し、得られた粗化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)により精製して、純粋なトレプロスチニルジカルバメートベンジルエステル(7a~7b)を得た。化合物は、IR、H NMR及びLCMSによって特徴付けた。
【0154】
トレプロスチニル二置換化合物(3a~3m、8a~8b)を合成するための水素化分解の一般的手順
室温で酢酸エチル(EtOAc)中のトレプロスチニル二置換ベンジルエステル(2a-2m, 7a-7b)(1.0eq.)の撹拌溶液に、炭素上5%パラジウム(Pd-C, 50%水)(2a-2m, 7a-7bの25-35wt.%)を添加した。得られた反応混合物をハウス真空下で排気し、水素ガス(1Lのバルーンに充填)で3回置換した後、水素雰囲気下、室温で撹拌した。3~8時間後、TLCは反応が完了したことを示唆した。反応完了後、反応混合物をセライトのパッドで濾過し、固体をEtOAcで洗浄し、合わせたEtOAc層を真空中で濃縮し、高真空下で乾燥して、純粋なトレプロスチニル二置換化合物(3a~3m、8a~8b)を得た。化合物はIR、H NMR及びLCMSによって特徴付けられた。
【0155】
トレプロスチニル二置換カリウム塩(4a~4c、4f)の合成のための一般的手順
アセトン中のトレプロスチニル二置換化合物(3a-3c, 3f)(1.0eq.)30℃撹拌溶液に、KCO(0.5eq.)水溶液を滴下した。得られた透明な反応混合物を30-35℃で撹拌した。15-30分後、反応混合物を真空中で濃縮し、イソプロピルアセテートで共沸乾燥した。得られた粘性の油を超音波処理下でヘプタンで粉砕し、真空中で濃縮し、35℃(ウォーターバス)で高真空下で乾燥させ、トレプロスチニル二置換カリウム塩(4a~4c、4f)を非晶質固体として得た。化合物はIR、H NMR及びLCMSによって特徴付けた。
化合物4a(トレプロスチニルジアセテートカリウム塩):mp 228-232 ℃;HPLC純度:100%
化合物4b(トレプロスチニルジプロピオネートカリウム塩):mp 230-233 ℃;HPLC純度:99.89%
化合物4c(トレプロスチニルジブチレートカリウム塩):mp 214-219 ℃;HPLC純度:98.58%
化合物4f(トレプロスチニルメチルジカーボネートカリウム塩):mp 196-198 ℃;HPLC純度:99.58%
【0156】
トレプロスチニル二置換L-アルギニン塩(5a~5c、5f)の合成のための一般的手順
イソプロピルアルコール又はアセトン中のトレプロスチニル二置換化合物(3a-3c, 3f)(1.0eq.)の45℃撹拌溶液に、L-アルギニン水溶液(1.0eq.)を滴下した。得られた透明な反応混合物を45℃で撹拌した。30分後、反応混合物を減圧下濃縮し、イソプロピルアセテートで共沸乾燥した。得られた粘性の油を超音波処理下でヘプタンで粉砕し、真空中で濃縮し、35℃(ウォーターバス)で高真空下で乾燥して、トレプロスチニル二置換L-アルギニン塩(5a-5c、5f)を非晶質固体として得た。化合物はIR、H NMR及びLCMSによって特徴付けた。
化合物5a(トレプロスチニルジアセテートL-アルギニン塩):mp 136-139 ℃;HPLC純度:99.65%
化合物5b(トレプロスチニルジプロピオネートL-アルギニン塩):mp 210-213 ℃;HPLC純度:99.79%
化合物5c(トレプロスチニルジブチレートL-アルギニン塩):mp 195-198 ℃;HPLC純度:98.67%
化合物5f(トレプロスチニルメチルジカーボネートL-アルギニン塩):mp 184-186 ℃;HPLC純度:98.66%
【0157】
トレプロスチニル二置換L-リジン塩(6a~6m、9a~9b)の合成のための一般的手順
アセトン中のトレプロスチニル二置換化合物(3a-3m, 8a-8b)(1.0eq.)45℃撹拌溶液に、L-リジン(1.0eq.)水溶液を滴下した。得られた透明な反応混合物を45℃で撹拌した。30分後、反応混合物を減圧下濃縮し、イソプロピルアセテートで共沸乾燥した。得られた粘性の油を超音波処理下でヘプタンで粉砕し、真空中で濃縮し、35℃(ウォーターバス)で高真空下で乾燥して、トレプロスチニル二置換L-リジン塩(6a-6m、9a-9b)を非晶質固体として得た。化合物はIR、H NMR及びLCMSによって特徴付けた。
化合物6a(トレプロスチニルジアセテートL-リジン塩):mp 167-171 ℃;HPLC純度:100%
化合物6b(トレプロスチニルジプロピオネートL-リジン塩):mp 179-182 ℃;HPLC純度:99.67%
化合物6c(トレプロスチニルジブチレートL-リジン塩):mp 178-181 ℃;HPLC純度:98.65%
化合物6d(トレプロスチニルジイソブチレートL-リジン塩):mp 184-186 ℃;HPLC純度:99.64%
化合物6e(トレプロスチニルジピバレートL-リジン塩):mp 182-184 ℃;HPLC純度:98.78%
化合物6f(トレプロスチニルメチルジカーボネートL-リジン塩):mp 173-176 ℃;HPLC純度:99.68%
化合物6g(トレプロスチニルエチルジカーボネートL-リジン塩):mp 178-181 ℃;HPLC純度:98.89%
化合物6h(トレプロスチニルイソプロピルジカーボネートL-リジン塩):mp 179-182 ℃;HPLC純度:96.99%
化合物6i(トレプロスチニルビス(2-メトキシエチルカーボネート)L-リジン塩):mp 178-181 ℃;HPLC純度:100%
化合物6j(トレプロスチニルジヒドロキシアセテートL-リジン塩):mp 108-111 ℃;HPLC純度:97.18%
化合物6k(トレプロスチニルビス(ジメチルススクシナメート)L-リジン塩):mp 147-150 ℃;HPLC純度:95.84%
化合物6l(トレプロスチニルビス(モルホリノスクシナメート)L-リジン塩):mp 146-149 ℃;HPLC純度:98.66%
化合物6m(トレプロスチニルビス(ピペリジニルスクシナメート)L-リジン塩):mp 135-138 ℃;HPLC純度:95.42%
化合物9a(トレプロスチニルジモルホリノカルバメートL-リジン塩):mp 145-148 ℃;HPLC純度:97.74%
化合物9b(トレプロスチニルジピペリジニルカルバメートL-リジン塩):mp 165-167 ℃;HPLC純度:93.81%
【0158】
前述では特定の好ましい実施形態について言及したが、本発明はそのように限定されないことが理解されよう。当業者であれば、開示された実施形態に様々な変更を加えることができ、そのような変更は本発明の範囲内であることが意図されることが分かるであろう。本明細書で引用した刊行物、特許出願及び特許はすべて、援用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】