(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】中空プランジャロッドの製造プロセス
(51)【国際特許分類】
A61M 5/315 20060101AFI20240305BHJP
B29C 39/10 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
A61M5/315
B29C39/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553979
(86)(22)【出願日】2022-03-07
(85)【翻訳文提出日】2023-11-01
(86)【国際出願番号】 US2022019069
(87)【国際公開番号】W WO2022192100
(87)【国際公開日】2022-09-15
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィンケルシュタイン,エーミール
(72)【発明者】
【氏名】ヤンゼン,ヤン
【テーマコード(参考)】
4C066
4F204
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066EE14
4C066PP02
4F204AC05
4F204AD03
4F204AD08
4F204AG03
4F204AG06
4F204AH63
4F204EA03
4F204EB01
4F204EB11
4F204EF27
(57)【要約】
薬物送達デバイスのプランジャを製造する方法は、プランジャ本体を形成することを含む。方法は、プランジャ本体を成形システムの第1の成形ツールのキャビティ内に装填することを含む。キャビティは、第1の成形部分と第2の成形部分によって少なくとも部分的に画定される。方法は、第2の成形ツールを第1の成形ツールに結合して、第1及び第2の成形ツール内の溝によって画定される複数のチャネルを形成することと、溶融プラスチックを複数のチャネルに注入してオーバーモールドされたプランジャ本体を形成することとを含む。オーバーモールドされたプランジャ本体は、プランジャ本体の第1の端部に結合されたヘッドと、プランジャ本体の第2の端部に結合されたフットとを含む。フットは少なくとも部分的に内壁に結合され、ヘッドはプランジャ本体の外壁に結合されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイスのプランジャを製造する方法であって、
スタンピングマシンの入口に金属薄板のブランクを挿入することであって、前記スタンピングマシンは前記入口、出口、及び前記入口と前記出口の間に延びる移動経路を含む、挿入することと、
前記スタンピングマシンの前記移動経路に沿って前記金属薄板のブランクを前進させるために前記スタンピングマシンを作動させることであって、前記移動経路は、前記金属薄板のブランクを複数のプランジャ本体に加工するように構成された複数の段階を含み、前記プランジャ本体のそれぞれは、軸方向チャンバを画定する内壁と、外壁と、第1の端部と、前記第1の端部の反対側の第2の端部と、を含む、作動させることと、
前記金属薄板のブランクが前記移動経路を通過して前記出口から出るときに、前記金属薄板のブランクから前記複数のプランジャ本体を形成することと、
前記複数のプランジャ本体のそれぞれを前記金属薄板のブランクから分離することと、
前記複数のプランジャ本体のうちの少なくとも1つを成形システムの成形ツールのキャビティ内に装填することと、
溶融プラスチックを前記成形ツールの複数のチャネルに注入して、少なくとも1つのオーバーモールドされた部分を有するオーバーモールドされたプランジャ本体を形成することと、
を含む、方法。
【請求項2】
溶融プラスチックを注入することが、溶融プラスチックを注入して、前記外壁に結合され、前記プランジャ本体の前記第1の端部を少なくとも部分的に取り囲むヘッド部分と、前記プランジャ本体の前記第2の端部に結合されたフット部分とを形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のプランジャ本体のうちの前記少なくとも1つを装填することが、複数のプランジャ本体を前記成形ツール内に形成された複数のキャビティ内に装填することを含み、前記複数のキャビティのそれぞれは、第1の成形部分、中間部分、及び第2の成形部分によって少なくとも部分的に画定される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のチャネルの溶融プラスチックを注入する前に、第1の成形ツールを第2の成形ツールに結合することを更に含み、前記第1の成形ツールは、前記プランジャ本体と、結合されたときに前記複数のチャネルを形成する前記第1及び第2の成形ツールとを受け入れるサイズの前記キャビティを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
溶融プラスチックを前記複数のチャネルに注入することが、前記第2の成形ツールに溶融プラスチックを注入して、前記溶融プラスチックを前記キャビティの第1の成形部分及び第2の成形部分に分配することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のプランジャ本体のうちの前記少なくとも1つを装填することが、各プランジャ本体の前記第1の端部に取り付けられたハンガーを前記成形ツールのピンに結合することを含み、前記スタンピングマシンが前記複数のプランジャ本体のそれぞれについて前記金属薄板のブランクに前記ハンガーを形成する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のプランジャ本体を形成することが、前記金属薄板のブランクの一部を切断して長方形の切り欠きを形成することを含み、前記長方形の切り欠きは、第1の端部と、前記第1の端部の反対側の第2の端部と、前記第1及び第2の端部の間に延びる第1の側面及び第2の側面と、第1の表面と、前記第1の表面の反対側の第2の表面と、を含み、前記第1の端部は前記金属薄板のブランクの第1の平行縁部に取り付けられており、前記第2の端部は前記金属薄板のブランクの平行な第2の端部に取り付けられている、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のプランジャ本体を形成することが、前記金属薄板のブランクに取り付けられた前記長方形の切り欠きを成形して、輪郭のあるダイで前記長方形の切り欠きの前記第1の表面及び前記第2の表面のうちの少なくとも1つをスタンピングすることによって円筒形状を形成することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記複数のプランジャ本体を形成することが、前記金属薄板のブランクが前記スタンピングマシンの前記出口に向かう方向に移動するにつれて、前記長方形の切り欠きの第1及び第2の側面を内側に徐々に曲げることを含み、前記長方形の切り欠きの前記第1の表面は、前記複数のプランジャ本体のそれぞれの前記内壁を画定する、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記金属薄板のブランクの前記一部を切断して前記長方形の切り欠きを形成することが、波形縁部を切断して前記長方形の切り欠きの前記第1の端部を形成することを含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記波形縁部が前記長方形の切り欠きの前記第1の表面に対して実質的に垂直になるように、前記長方形の切り欠きの前記第1の端部の前記波形縁部を曲げることを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の端部の前記波形縁部を曲げることが、前記第1の端部の前記波形縁部を前記長方形の切り欠きの前記第2の表面に向かって曲げることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記金属薄板のブランクの前記一部を切断して前記長方形の切り欠きを形成することが、波形縁部を切断して前記長方形の切り欠きの前記第2の端部を形成することを含む、請求項7~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記波形縁部が前記長方形の切り欠きの前記第1の表面に対して実質的に垂直になるように、前記長方形の切り欠きの前記第2の端部の前記波形縁部を曲げることを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のプランジャ本体のそれぞれを分離することが、前記金属薄板のブランクの平行縁部の一部を切断して前記プランジャ本体を取り外すことを含み、前記平行縁部の前記一部が、前記プランジャ本体の前記第1の端部に接続される前記ハンガーを画定する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記金属薄板のブランクを挿入することが、約0.0001インチ~約0.0003インチの範囲の厚さを有するステンレス鋼の平らなシートを挿入することを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記オーバーモールドされたプランジャ本体を冷却して、硬化したプランジャを形成することを更に含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
薬物送達デバイスのプランジャを製造する方法であって、
軸方向チャンバを画定する内壁と外壁とを有するプランジャ本体を形成することであって、前記プランジャ本体は第1の端部と、前記第1の端部の反対側の第2の端部とを含む、形成することと、
前記プランジャ本体を成形システムの第1の成形ツールのキャビティ内に装填することと、
第1及び第2の成形ツール内の溝によって画定される複数のチャネルを形成するために前記第2の成形ツールを前記第1の成形ツールに結合することであって、前記第2の成形ツールは、前記プランジャ本体が前記第1の成形ツールの前記キャビティ内に配置されるときに前記プランジャ本体の一部を受け入れるサイズのキャビティを含む、結合することと、
溶融プラスチックを前記複数のチャネルに注入して、少なくとも1つのオーバーモールドされた部分を有するオーバーモールドされたプランジャ本体を形成することと、
を含む、方法。
【請求項19】
溶融プラスチックを注入することが、溶融プラスチックを注入して、前記プランジャ本体の前記第1の端部に結合されたヘッドと、前記プランジャ本体の前記第2の端部に結合されたフットとを形成することを含み、前記フットは前記プランジャ本体の前記内壁に少なくとも部分的に結合されており、前記ヘッドは前記外壁に結合されている、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の成形ツールを前記第1の成形ツールに結合する前に、前記第1の成形ツールを第1の位置から第2の位置に移動させることを更に含む、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の成形ツールを移動させることが、可動テーブルを回転させることを含み、前記第1の成形ツールは前記可動テーブルの表面に取り付けられている、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記複数のチャネルに注入することが、前記第1の成形ツールが前記第2の位置にあるときに、前記第2の成形ツールに溶融プラスチックを注入することを含む、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の成形ツールを前記第2の成形ツールに結合する前に、前記プランジャ本体の前記軸方向チャンバにロッドを挿入することを更に含む、請求項18~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記複数のチャネルに注入することは、前記第2の成形ツール内に形成された湾曲したチャネルに注入することを含み、前記湾曲したチャネルは、約0.1mm~約0.2mmの範囲の直径を含み、前記キャビティの第2の成形部分に結合され、前記キャビティは、第1の成形部分、中間部分、及び前記第2の成形部分によって少なくとも部分的に画定されている、請求項18~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の成形ツール内のエジェクタピンを作動させることによって、前記硬化したプランジャを前記第1の成形ツールから取り外すことを更に含み、前記エジェクタピンは、前記硬化したプランジャを、前記第1の成形ツールに形成された前記キャビティから押し離す、請求項18~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記硬化したプランジャを取り外すことが、前記硬化したプランジャの前記ヘッド及び前記フットに接続された前記複数のチャネル内に形成された複数のプラスチックチューブを自動的に切断し、それによってプランジャを提供することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記プランジャ本体を装填することが、前記第1の端部を前記キャビティの第1の成形部分に装填することと、前記第2の端部を前記キャビティの第2の成形部分に装填することとを含む、請求項18~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記複数のチャネルに注入することが、溶融プラスチックを前記第1及び第2の成形ツール内に注入することを含み、前記複数のチャネルは、前記第1の成形ツールの前記キャビティの第1の成形部分と第2の成形部分との間、及び前記第2の成形ツールの第1の成形部分と第2の成形部分との間に延びる、請求項18~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
溶融プラスチックを前記第1及び第2の成形ツール内に注入することが、前記プランジャ本体の前記第1の端部から半径方向外向きに延びる少なくとも1つのフランジを有する前記ヘッドを形成することと、少なくとも1つのフランジ上にカムフォロアを形成することとを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記プランジャ本体を装填することが、複数のプランジャ本体を前記成形システムの前記第1の成形ツール上に装填することを含み、前記第1の成形ツールは複数のキャビティを含む、請求項18~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記プランジャ本体を前記キャビティ内に装填することが、前記プランジャ本体を前記第1の成形ツールの壁に形成された真空スロット上に配置することを含み、前記真空スロットは、前記プランジャ本体を前記成形ツールに付着させるように構成されている、請求項18~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記プランジャ本体が前記キャビティ内に装填されていないときにアラームをトリガすることを更に含み、前記真空スロットは、センサであって、前記アラームに通信可能に結合され、前記センサが前記プランジャ本体と前記キャビティとの状態を検出したときに前記アラームを発するように構成されたセンサを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記プランジャ本体を形成することが、金属薄板のブランクから複数のプランジャ本体をスタンピングすることを含む、請求項18~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記金属薄板のブランクから前記複数のプランジャ本体をスタンピングすることが、前記金属薄板のブランクをスタンピングマシン内で前進させることを含み、前記金属薄板のブランクは、前記プランジャ本体の前記軸方向チャンバが形成される複数のステーション間を移動する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記プランジャ本体を形成することが、金属薄板のブランクを本体の厚さが0.6ミリメートル未満の円筒形状に成形することを含む、請求項18~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記プランジャ本体を形成することが、波形縁部を金属薄板のブランクに切断することと、前記プランジャ本体の前記第1の端部が前記軸方向チャンバに対して外向きに曲げられた波形縁部を含むように、前記波形縁部を曲げることとを含む、請求項18~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記プランジャ本体を形成することが、波形縁部を金属薄板のブランクに切断することと、前記プランジャ本体の前記第2の端部が前記軸方向チャンバに対して内向きに曲げられた前記波形縁部を含むように、前記波形縁部を曲げることとを含む、請求項18~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
溶融プラスチックを前記複数のチャネルに注入することが、前記プランジャ本体の前記外壁に隣接して前記ヘッドを形成することと、前記ヘッドを前記プランジャ本体の前記第1の端部の前記波形縁部に結合することとを含む、請求項18~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
溶融プラスチックを前記複数のチャネルに注入することが、前記プランジャ本体の前記内壁に少なくとも部分的に隣接して前記フットを形成することと、前記フットを前記プランジャ本体の前記第2の端部の前記波形縁部に結合することとを含む、請求項18~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記オーバーモールドされたプランジャ本体を冷却して、硬化したプランジャを形成することを更に含む、請求項18~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
薬物送達デバイスのプランジャ本体を製造する方法であって、
金属薄板のブランクをスタンピングマシンの入口に挿入することであって、前記スタンピングマシンは前記入口、出口、及び前記入口と前記出口の間に延びる移動経路を含む、挿入することと、
前記スタンピングマシンの前記移動経路に沿って前記金属薄板のブランクを前進させるために前記スタンピングマシンを作動させることであって、前記移動経路は、前記金属薄板のブランクの一部を複数のプランジャ本体に加工するように構成された複数の段階を含み、前記複数のプランジャ本体のそれぞれは、軸方向チャンバを画定する内壁と、外壁と、第1の端部と、前記第1の端部の反対側の第2の端部と、を含む、作動させることと、
前記金属薄板のブランクが前記移動経路に沿って前進して前記出口から出るときに、前記金属薄板のブランクから前記複数のプランジャ本体を形成することと、
前記複数のプランジャ本体のそれぞれを前記金属薄板のブランクから分離することと、
を含む、方法。
【請求項42】
前記金属薄板のブランクを挿入することが、約0.0001インチ~約0.0003インチの範囲の厚さを有する金属薄板のブランクを挿入することを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記複数のプランジャ本体を形成することが、前記金属薄板のブランクを切断して長方形の切り欠きを形成することを含み、前記長方形の切り欠きは、第1の端部と、前記第1の端部の反対側の第2の端部と、第1の側面と、前記第1及び第2の端部を接続する第2の側面と、第1の表面と、前記第1の表面の反対側の第2の表面と、を含む、請求項41又は42に記載の方法。
【請求項44】
前記複数のプランジャ本体を形成することが、前記金属薄板のブランクに取り付けられた前記長方形の切り欠きを成形して、輪郭のあるダイで前記長方形の切り欠きの前記第1の表面及び前記第2の表面のうちの少なくとも1つをスタンピングすることによって円筒形状を形成することを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記複数のプランジャ本体を形成することが、前記金属薄板のブランクが前記スタンピングマシンの前記出口に向かう方向に移動するにつれて、前記長方形の切り欠きの第1及び第2の側面を内側に徐々に曲げることを含み、前記長方形の切り欠きの前記第1の表面は、前記複数のプランジャ本体のそれぞれの前記内壁を徐々に画定する、請求項43又は44に記載の方法。
【請求項46】
前記金属薄板のブランクを切断することが、波形縁部を切断して前記長方形の切り欠きの前記第1の端部を形成することを含む、請求項43~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記波形縁部が前記長方形の切り欠きの前記第2の表面に対して実質的に垂直となるように、前記長方形の切り欠きの前記第1の端部の前記波形縁部を前記長方形の切り欠きの前記第2の表面に向かって曲げることを更に含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記金属薄板のブランクを切断することが、波形縁部を切断して前記長方形の切り欠きの前記第2の端部を形成することを含む、請求項43~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記第2の端部の前記波形縁部が前記長方形の切り欠きの前記第1の表面に対して実質的に垂直となるように、前記第2の端部の前記波形縁部を前記長方形の切り欠きの前記第1の表面に向かって曲げることを更に含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記複数のプランジャ本体を分離することが、前記金属薄板のブランクの第1の端縁の一部を切断して、前記金属薄板のブランクから前記プランジャ本体を取り外すことを含み、前記第1の縁部の前記一部が、前記プランジャ本体の前記第1の端部に接続される前記ハンガーを画定する、請求項41~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
薬物送達デバイスのプランジャを成形する方法であって、
プランジャ本体を成形システムの第1の成形ツールのキャビティ内に装填することであって、前記プランジャ本体は、軸方向チャンバを画定する内壁、外壁、第1の端部、前記第1の端部の反対側の第2の端部を含み、前記キャビティは、第1の成形部分、中間部分、及び第2の成形部分を少なくとも部分的に画定する、装填することと、
前記第1及び第2の成形ツール内の溝によって画定される複数のチャネルを形成するために、第2の成形ツールを前記第1の成形ツールに結合することと、
溶融プラスチックを前記第1及び第2の成形ツールの前記複数のチャネル内、並びに前記第1の成形部分及び前記第2の成形部分内に注入して、オーバーモールドされたプランジャ本体を形成することであって、前記オーバーモールドされたプランジャ本体は、前記外壁に結合され、前記プランジャ本体の前記第1の端部を少なくとも部分的に取り囲むヘッドと、前記プランジャ本体の前記第2の端部に結合されたフットとを含む、形成することと、
を含む、方法。
【請求項52】
前記第2の成形ツールを前記第1の成形ツールに結合する前に、前記第1の成形ツールを第1の位置から第2の位置に移動させることを更に含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記第1の成形ツールを移動させることが、可動テーブルを少なくとも180度回転させることを含み、前記第1の成形ツールは前記可動テーブルの表面に取り付けられている、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
溶融プラスチックを前記複数のチャネルに注入することが、前記第1の成形ツールが前記第2の成形ツールに結合されるときに、溶融プラスチックを前記第2の成形ツールに注入することを含む、請求項51~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記第1の成形ツールを前記第2の成形ツールに結合する前に、前記プランジャ本体の前記軸方向チャンバにロッドを挿入することを更に含む、請求項51~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
溶融プラスチックを前記複数のチャネルに注入することが、溶融プラスチックを前記第2の成形ツール内に形成された湾曲したチャネルに注入することを含み、前記湾曲したチャネルは、前記キャビティの前記第2の成形部分に結合されている、請求項51~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記プランジャ本体を装填することが、前記第1の端部を前記第1の成形部分に装填することと、前記第2の端部を前記キャビティの前記第2の成形部分に装填することとを含む、請求項51~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
溶融プラスチックを前記複数のチャネルに注入することが、溶融プラスチックを前記第1及び第2の成形ツール内に注入することを含み、前記複数のチャネルは、前記第1の成形ツールの前記第1の成形部分と前記第2の成形部分との間、及び前記第2の成形ツールの第1の成形部分と第2の成形部分との間に延びる、請求項51~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
溶融プラスチックを前記第1及び第2の成形ツール内に注入することが、前記プランジャ本体から半径方向外向きに延びる少なくとも1つのフランジを含む前記ヘッドを形成することと、前記少なくとも1つのフランジ上にカムフォロアを形成することとを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記プランジャ本体を装填することが、複数のプランジャ本体を前記成形システムの前記第1の成形ツールの複数のキャビティ内に装填することを含む、請求項51~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記プランジャ本体を前記キャビティ内に装填することが、前記プランジャ本体を前記第1の成形ツールの壁に形成された真空スロット上に配置することを含み、前記真空スロットは前記プランジャ本体を前記第1の成形ツールの前記キャビティ内に保持するように構成されている、請求項51~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
薬物送達デバイスのプランジャの一部を形成するための成形システムであって、
第1の成形部分、中間部分、及び第2の成形部分によって少なくとも部分的に画定されるキャビティを有する、第1の成形ツールと、
前記第1の成形ツールの前記キャビティに対応し、第1の成形部分、中間部分、及び第2の成形部分を含むキャビティを有する、第2の成形ツールと、
前記第1の成形ツール及び前記第2の成形ツールに形成された複数の溝であって、前記第1の成形ツールが前記第2の成形ツールに結合されるときに複数のチャネルを形成するように構成されている、複数の溝と、
を含み、
前記第1及び第2の成形ツールが結合されると、前記第1の成形ツール及び前記第2の成形ツールの前記第1の成形部分はプランジャ用のヘッドモールドを画定し、前記第1の成形ツール及び前記第2の成形ツールの前記第2の成形部分はプランジャ用のフットモールドを画定する、
成形システム。
【請求項63】
前記第1の成形ツールの前記キャビティの前記中間部分に配置された真空構成要素を更に含む、請求項62に記載のシステム。
【請求項64】
前記真空構成要素に結合されたセンサを更に含み、前記センサは、前記真空構成要素のスロットを覆う物体の不在を検出し、プロセッサに信号を送ってアラームを作動させるように構成されている、請求項63に記載のシステム。
【請求項65】
前記第2の成形ツール内に形成され、前記第2の成形部分と流体接続された湾曲したチャネルを更に含み、前記湾曲したチャネルは、約0.1mm~約0.3mmの範囲の直径を有する、請求項62~64のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項66】
前記第1の成形ツールの前記第1の成形部分及び前記第2の成形部分が、前記複数のチャネルのうちの少なくとも1つによって流体結合されている、請求項62~65のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項67】
前記第1の成形ツールが、第1のステーションと第2のステーションとの間で前記第2の成形ツールに対して移動可能であり、前記第2の成形ツールは前記第2のステーションに配置されている、請求項62~66のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項68】
前記第1の成形ツールが前記第2の成形ツールに対して回転する、請求項62~67のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項69】
前記第1の成形ツールが前記第2のステーションに配置されるときに前記第2の成形ツールが前記第1の成形ツールに向かって移動するように、前記第2の成形ツールが前記第1の成形ツールに対して軸方向に移動する、請求項67又は68に記載のシステム。
【請求項70】
回転可能なテーブルを更に含み、前記第1の成形ツールは前記回転可能なテーブルに結合されている、請求項62~69のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項71】
前記回転可能なテーブルに結合され、前記第1の成形ツールから離間された第3の成形ツールを更に含み、前記第3の成形ツールは、前記第1の成形ツールと実質的に同一である、請求項70に記載のシステム。
【請求項72】
前記第1の成形ツールに結合された摺動可能なプレートを更に含む、請求項62~71のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項73】
前記第1の成形ツールは複数のキャビティを含み、前記第2の成形ツールは、前記第1の成形ツールの前記複数のキャビティに対応する複数のキャビティを含む、請求項62~72のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項74】
前記第1の成形ツールの前記第1の成形部分が、前記第1の成形ツールに取り外し可能に結合されている、請求項62~73のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項75】
前記第2の成形ツールの前記第1の成形部分が、前記第2の成形ツールに取り外し可能に結合されている、請求項62~74のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項76】
薬物送達デバイス構成要素を形成するためのスタンピングマシンであって、
入口と、出口と、前記入口と前記出口との間に延びる移動経路とを画定するハウジングと、
前記ハウジング内に配置され、金属薄板のブランクに係合して前記ハウジングの前記移動経路に沿って前進させるように構成されている、グリッパと、
前記移動経路に沿って配置され、前記金属薄板のブランクに衝撃を与えて円筒形プランジャ本体を形成するように構成された複数の可動ダイであって、前記複数のダイのうちの少なくとも1つは前記移動経路の上方に配置され、前記複数のダイのうちの少なくとも1つは前記移動経路の下方に配置されている、複数の可動ダイと、
を含む、スタンピングマシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
2021年3月8日に出願された米国仮特許出願第63/158,165号に対する優先権が主張され、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、薬物送達デバイスに関し、より具体的には、薬物送達デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
露出した針に対する一般的な嫌悪並びに健康上及び安全性の問題は、使用前に針又はその他の挿入部材を隠し、且つ注入プロセスの様々な態様を自動化する薬物送達デバイスの開発につながっている。このようなデバイスは、例えば、従来のシリンジによる送達を含む従来の形態の薬物送達と比較して様々な利点を提供する。
【0004】
多くのインジェクタシステムでは、コイル構造又は他のばね構造を使用して、挿入及び/又は流体送達などの機能のための作動エネルギーを供給する。ばねの使用は、簡単さ及び低コストという利点を提供することができるが、特定の制約を有する可能性がある。例えば、力とばねアクチュエータの変位との間には直線関係がある。薬物送達を開始する際、プランジャ行程の最後に薬物送達に十分なエネルギーを供給するために、過剰量のエネルギーがシステムに入力される場合がある。別の例として、より粘度の高い薬物がオートインジェクタにより送達される際、必要となるばね力は増大するものと思われる。ばね定数が高いばねほど薬物製品及び一次容器に伝える力が大きくなる可能性がある。ばねの線径、ばねの平均径、ばねの巻数、及びばねの材料などのばねの様々な物理的特性が、ばね定数、ゆえに、ばね力に影響を及ぼし得る。したがって、柔軟なばね設計を可能にする及び/又は残りのデバイス構成要素と異なる物理特性を持つばねの使用を容易にするデバイス構成要素を含むことが望ましい及び/又は有利な場合がある。
【0005】
本開示は、既存の薬物送達デバイスに対する有利な代替案を具体化し、本明細書で述べる課題又は必要性のうちの1つ又は複数に対処し得る、薬物送達デバイスについて記述する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の例示的な態様によれば、薬物送達デバイスのプランジャを製造する方法は、スタンピングマシンの入口に金属薄板のブランクを挿入することを含むことができ、スタンピングマシンは、入口、出口、及び入口と出口の間に延びる移動経路を含む。この方法は、スタンピングマシンの移動経路に沿って金属薄板のブランクを前進させるためにスタンピングマシンを作動させることを含むことができる。移動経路は、金属薄板のブランクを複数のプランジャ本体に加工するように構成された複数の段階を含むことができる。プランジャ本体のそれぞれは、軸方向チャンバを画定する内壁と、外壁と、第1の端部と、第1の端部の反対側の第2の端部とを含むことができる。この方法は、金属薄板のブランクが移動経路を通過して出口から出るときに、金属薄板のブランクから複数のプランジャ本体を形成することを含むことができる。この方法は、複数のプランジャ本体のそれぞれを金属薄板のブランクから分離することと、複数のプランジャ本体の少なくとも1つを成形システムの成形ツールのキャビティ内に装填することとを含むことができる。最後に、この方法は、溶融プラスチックを成形ツールの複数のチャネルに注入して、オーバーモールドされたプランジャ本体を形成することを含むことができる。オーバーモールドされたプランジャ本体は、少なくとも1つのオーバーモールドされた部分を有することができる。
【0007】
第2の例示的な態様によれば、薬物送達デバイスのプランジャを製造する方法は、軸方向チャンバを画定する内壁と外壁とを有するプランジャ本体を形成することを含み得、プランジャ本体は、第1の端部と第1の端部の反対側の第2の端部とを含む。この方法は、プランジャ本体を成形システムの第1の成形ツールのキャビティ内に装填することと、第1及び第2の成形ツール内の溝によって画定される複数のチャネルを形成するために第2の成形ツールを第1の成形ツールに結合することとを含むことができる。第2の成形ツールは、プランジャ本体が第1の成形ツールのキャビティ内に配置されるときにプランジャ本体の一部を受け入れるサイズのキャビティを含むことができる。最後に、この方法は、溶融プラスチックを複数のチャネル内に注入して、オーバーモールドされたプランジャ本体を形成することを含むことができる。オーバーモールドされたプランジャ本体は、少なくとも1つのオーバーモールドされた部分を含むことができる。
【0008】
第3の例示的な態様によれば、薬物送達デバイスのプランジャ本体を製造する方法は、金属薄板のブランクをスタンピングマシンの入口に挿入することを含むことができる。スタンピングマシンは、入口、出口、及び入口と出口の間に延びる移動経路を含むことができる。この方法は、スタンピングマシンを作動させて、スタンピングマシンの移動経路に沿って金属薄板のブランクを前進させることを含むことができる。移動経路は、金属薄板のブランクを複数のプランジャ本体に加工するように構成された複数の段階を含むことができる。複数のプランジャ本体のそれぞれは、軸方向チャンバを画定する内壁、外壁、第1の端部、及び第1の端部の反対側の第2の端部を含むことができる。この方法は、金属薄板のブランクが移動経路に沿って通過して出口から出るときに、金属薄板のブランクから複数のプランジャ本体を形成することを含むことができる。最後に、この方法は、複数のプランジャ本体のそれぞれを金属薄板のブランクから分離することを含むことができる。
【0009】
第4の例示的な態様によれば、薬物送達デバイスのプランジャ本体を製造する方法は、スタンピングマシンの入口に金属薄板のブランクを挿入することを含むことができ、スタンピングマシンは、入口、出口、及び入口と出口の間に延びる移動経路を含む。この方法は、スタンピングマシンを作動させて、スタンピングマシンの移動経路に沿って金属薄板のブランクを前進させることを含むことができる。移動経路は、金属薄板のブランクの一部を複数のプランジャ本体に加工するように構成された複数の段階を含むことができる。複数のプランジャ本体のそれぞれは、軸方向チャンバを画定する内壁、外壁、第1の端部、及び第1の端部の反対側の第2の端部を含むことができる。この方法は、金属薄板のブランクが移動経路に沿って前進して出口から出るときに、金属薄板のブランクから複数のプランジャ本体を形成することと、複数のプランジャ本体のそれぞれを金属薄板のブランクから分離することとを含むことができる。
【0010】
第5の例示的な態様によれば、薬物送達デバイスのプランジャを成形する方法は、プランジャ本体を成形システムの第1の成形ツールのキャビティ内に装填することを含むことができる。プランジャ本体は、軸方向チャンバを画定する内壁、外壁、第1の端部、第1の端部の反対側の第2の端部を含むことができる。キャビティは、第1の成形部分、中間部分、及び第2の成形部分を少なくとも部分的に画定することができる。この方法は、第1及び第2の成形ツール内の溝によって画定される複数のチャネルを形成するために、第2の成形ツールを第1の成形ツールに結合することを含むことができる。この方法は、溶融プラスチックを第1及び第2の成形ツールの複数のチャネル内、並びに第1の成形部分及び第2の成形部分内に注入して、オーバーモールドされたプランジャ本体を形成することを含むことができる。オーバーモールドされたプランジャ本体は、外壁に結合され、プランジャ本体の第1の端部を少なくとも部分的に取り囲むヘッドと、プランジャ本体の第2の端部に結合されたフットとを含むことができる。
【0011】
第6の例示的な態様によれば、薬物送達デバイスのプランジャの一部を形成するための成形システムは、第1の成形部分、中間部分、及び第2の成形部分によって少なくとも部分的に画定されるキャビティを有する第1の成形ツールを含むことができる。第2の成形ツールは、第1の成形ツールのキャビティに対応し、第1の成形部分、中間部分、及び第2の成形部分を含む、キャビティを有し得る。第1の成形ツール及び第2の成形ツールには複数の溝が形成されていてもよい。複数の溝は、第1の成形ツールが第2の成形ツールに結合されるときに複数のチャネルを形成するように構成され得る。第1及び第2の成形ツールが結合されると、第1の成形ツール及び第2の成形ツールの第1の成形部分はプランジャ用のヘッドモールドを画定することができ、第1の成形ツール及び第2の成形ツールの第2の成形部分はプランジャ用のフットモールドを画定することができる。
【0012】
第7の例示的な態様によれば、薬物送達デバイス構成要素のプランジャ本体を形成するためのスタンピングマシンは、入口と、出口と、入口と出口との間に延びる移動経路とを画定するハウジングを含むことができる。グリッパはハウジング内に配置され、金属薄板のブランクに係合してハウジングの移動経路に沿って前進させるように構成され得る。複数の可動ダイを移動経路に沿って配置し、金属薄板のブランクに衝撃を与えて円筒形プランジャ本体を形成するように構成することができる。複数のダイのうちの少なくとも1つは移動経路の上方に配置され、複数のダイのうちの少なくとも1つは移動経路の下方に配置され得る。
【0013】
前述の第1から第7の例示的な態様のいずれか1つ又は複数によれば、薬物送達デバイスのプランジャ及びプランジャ本体を製造及び成形する方法、成形システム、及びスタンピングマシンは、以下のいずれか1つ又は複数の好ましい形態を更に含むことができる。
【0014】
好ましい形態では、溶融プラスチックを注入することは、溶融プラスチックを注入して、外壁に結合され、プランジャ本体の第1の端部を少なくとも部分的に取り囲むヘッド部分と、プランジャ本体の第2の端部に結合されたフット部分とを形成することを含むことができる。
【0015】
好ましい形態では、複数のプランジャ本体のうちの少なくとも1つを装填することは、複数のプランジャ本体を成形ツール内に形成された複数のキャビティ内に装填することを含むことができる。
【0016】
好ましい形態では、この方法は、複数のチャネルの溶融プラスチックを注入する前に、第1の成形ツールを第2の成形ツールに結合することを含むことができる。
【0017】
好ましい形態では、第1の成形ツールは、プランジャ本体を受け入れるサイズのキャビティを含むことができる。
【0018】
好ましい形態では、第1及び第2の成形ツールは、結合されたときに複数のチャネルを形成することができる。
【0019】
好ましい形態では、溶融プラスチックを複数のチャネルに注入することは、溶融プラスチックを第2の成形ツールに注入して、溶融プラスチックをキャビティの第1の成形部分及び第2の成形部分に分配することを含むことができる。
【0020】
好ましい形態では、複数のプランジャ本体の少なくとも1つを装填することは、各プランジャ本体の第1の端部に取り付けられたハンガーを成形ツールのピンに結合することを含み、スタンピングマシンが、複数のプランジャ本体のそれぞれについて金属薄板のブランクにハンガーを形成する。
【0021】
好ましい形態では、複数のプランジャ本体を形成することは、金属薄板のブランクの一部を切断して長方形の切り欠きを作成することを含むことができる。
【0022】
好ましい形態では、長方形の切り欠きは、第1の端部、第1の端部の反対側の第2の端部、第1の端部と第2の端部との間に延びる第1の側面及び第2の側面、第1の表面、及び第1の端部の反対側の第2の表面を含むことができる。
【0023】
好ましい形態では、第1の端部は、金属薄板のブランクの第1の平行縁部に取り付けられ得る。
【0024】
好ましい形態では、第2の端部は、金属薄板のブランクの平行な第2の縁部に取り付けられ得る。
【0025】
好ましい形態では、複数のプランジャ本体を形成することは、金属薄板のブランクに取り付けられた長方形の切り欠きを成形して、輪郭のあるダイで長方形の切り欠きの第1の表面及び第2の表面のうちの少なくとも1つをスタンピングすることによって円筒形状を形成することを含むことができる。
【0026】
好ましい形態では、複数のプランジャ本体を形成することは、金属薄板のブランクがスタンピングマシンの出口に向かう方向に移動するにつれて、長方形の切り欠きの第1及び第2の側面を内側に徐々に曲げることを含むことができ、長方形の切り欠きの第1の表面は、複数のプランジャ本体のそれぞれの内壁を画定する。
【0027】
好ましい形態では、金属薄板のブランクの一部を切断して長方形の切り欠きを形成することは、波形縁部を切断して長方形の切り欠きの第1の端部を形成することを含むことができる。
【0028】
好ましい形態では、この方法は、波形縁部が長方形の切り欠きの第1の表面に対して実質的に垂直になるように、長方形の切り欠きの第1の端部の波形縁部を曲げることを含むことができる。
【0029】
好ましい形態では、金属薄板のブランクの一部を切断して長方形の切り欠きを形成することは、波形縁部を切断して長方形の切り欠きの第2の端部を形成することを含むことができる。
【0030】
好ましい形態では、この方法は、波形縁部が長方形の切り欠きの第1の表面に対して実質的に垂直になるように、長方形の切り欠きの第2の端部の波形縁部を曲げることを含むことができる。
【0031】
好ましい形態では、第2の端部の波形縁部を曲げることは、第2の端部の波形縁部を長方形の切り欠きの第1の表面に向かって曲げることを含むことができる。
【0032】
好ましい形態では、複数のプランジャ本体のそれぞれを分離することは、金属薄板のブランクの平行縁部の一部を切断してプランジャ本体を取り外すことを含むことができる。
【0033】
好ましい形態では、平行縁部の一部は、プランジャ本体の第1の端部に接続されたハンガーを画定することができる。
【0034】
好ましい形態では、金属薄板のブランクを挿入することは、約0.0001インチ~約0.0003インチの範囲の厚さを有するステンレス鋼の平らなシートを挿入することを含むことができる。
【0035】
好ましい形態では、この方法は、オーバーモールドされたプランジャ本体を冷却して、硬化したプランジャを形成することを含むことができる。
【0036】
好ましい形態では、この方法は、第2の成形ツールを第1の成形ツールに結合する前に、第1の成形ツールを第1の位置から第2の位置に移動させることを含むことができる。
【0037】
好ましい形態では、第1の成形ツールを移動させることは、可動テーブルを回転させることを含むことができ、第1の成形ツールは可動テーブルの表面に取り付けられている。
【0038】
好ましい形態では、複数のチャネルに注入することは、第1の成形ツールが第2の位置にあるときに、第2の成形ツールに溶融プラスチックを注入することを含むことができる。
【0039】
好ましい形態では、この方法は、第1の成形ツールを第2の成形ツールに結合する前に、プランジャ本体の軸方向チャンバにロッドを挿入することを含むことができる。
【0040】
好ましい形態では、複数のチャネルに注入することは、第2の成形ツール内に形成された湾曲したチャネルに注入することを含むことができる。
【0041】
好ましい形態では、湾曲したチャネルは、約0.1mm~約0.2mmの範囲の直径を含むことができ、キャビティの第2の成形部分に結合することができる。
【0042】
好ましい形態では、キャビティは、第1の成形部分、中間部分、及び第2の成形部分によって少なくとも部分的に画定され得る。
【0043】
好ましい形態では、この方法は、第1の成形ツール内のエジェクタピンを作動させることによって、硬化したプランジャを第1の成形ツールから取り外すことを含むことができる。
【0044】
好ましい形態では、エジェクタピンは、硬化したプランジャを第1の成形ツールに形成されたキャビティから押し出すことができる。
【0045】
好ましい形態では、硬化したプランジャを取り外すことは、硬化したプランジャのヘッド及びフットに接続された複数のチャネル内に形成された複数のプラスチックチューブを自動的に切断し、それによってプランジャを提供することを含み得る。
【0046】
好ましい形態では、プランジャ本体を装填することは、第1の端部をキャビティの第1の成形部分に装填することと、第2の端部をキャビティの第2の成形部分に装填することとを含むことができる。
【0047】
好ましい形態では、複数のチャネルに注入することは、溶融プラスチックを第1及び第2の成形ツールに注入することを含むことができる。
【0048】
好ましい形態では、複数のチャネルは、第1の成形ツールのキャビティの第1の成形部分と第2の成形部分との間、及び第2の成形ツールの第1の成形部分と第2の成形部分との間に延び得る。
【0049】
好ましい形態では、溶融プラスチックを第1及び第2の成形ツールに注入することは、プランジャ本体の第1の端部から半径方向外向きに延びる少なくとも1つのフランジを有するヘッドを形成することと、少なくとも1つのフランジ上にカムフォロアを形成することとを含むことができる。
【0050】
好ましい形態では、プランジャ本体をキャビティ内に装填することは、プランジャ本体を第1の成形ツールの壁に形成された真空スロット上に配置することを含むことができる。
【0051】
好ましい形態では、真空スロットは、プランジャ本体を成形ツールに付着させるように構成され得る。
【0052】
好ましい形態では、この方法は、プランジャ本体がキャビティ内に装填されていないときにアラームを起動することを含むことができる。
【0053】
好ましい形態では、真空スロットは、アラームに通信可能に結合され、センサがプランジャ本体及びキャビティの状態を検出したときにアラームを発するように構成されたセンサを含むことができる。
【0054】
好ましい形態では、プランジャ本体を形成することは、金属薄板のブランクから複数のプランジャ本体をスタンピングすることを含むことができる。
【0055】
好ましい形態では、金属薄板のブランクから複数のプランジャ本体をスタンピングすることは、スタンピングマシン内で金属薄板のブランクを前進させることを含むことができる。
【0056】
好ましい形態では、金属薄板のブランクは、プランジャ本体の軸方向チャンバが形成される複数のステーション間を移動することができる。
【0057】
好ましい形態では、プランジャ本体を形成することは、金属薄板のブランクを本体の厚さが0.6ミリメートル未満の円筒形状に成形することを含むことができる。
【0058】
好ましい形態では、プランジャ本体を形成することは、波形縁部を金属薄板のブランクに切断することと、プランジャ本体の第1の端部が軸方向チャンバに対して外向きに曲げられた波形縁部を含むように、波形縁部を曲げることとを含むことができる。
【0059】
好ましい形態では、プランジャ本体を形成することは、波形縁部を金属薄板のブランクに切断することと、プランジャ本体の第2の端部が軸方向チャンバに対して内向きに曲げられた波形縁部を含むように波形縁部を曲げることとを含むことができる。
【0060】
好ましい形態では、溶融プラスチックを複数のチャネルに注入することは、プランジャ本体の外壁に隣接してヘッドを形成することと、ヘッドをプランジャ本体の第1の端部の波形縁部に結合することとを含むことができる。
【0061】
好ましい形態では、溶融プラスチックを複数のチャネルに注入することは、プランジャ本体の内壁に少なくとも部分的に隣接してフットを形成することと、プランジャ本体の第2の端部の波形縁部にフットを結合することとを含むことができる。
【0062】
好ましい形態では、第1の成形ツールを移動させることは、可動テーブルを少なくとも180度回転させることを含むことができ、第1の成形ツールは可動テーブルの表面に取り付けられる。
【0063】
好ましい形態では、溶融プラスチックを複数のチャネルに注入することは、溶融プラスチックを第1及び第2の成形ツールに注入することを含むことができる。
【0064】
好ましい形態では、複数のチャネルは、第1の成形ツールの第1の成形部分と第2の成形部分との間、及び第2の成形ツールの第1の成形部分と第2の成形部分との間に延び得る。
【0065】
好ましい形態では、真空構成要素は、第1の成形ツールのキャビティの中間部分に配置され得る。
【0066】
好ましい形態では、センサを真空構成要素に結合することができる。
【0067】
好ましい形態では、センサは、真空構成要素のスロットを覆う物体の不在を検出し、プロセッサにアラームを作動させるよう信号を送ることができる。
【0068】
好ましい形態では、湾曲したチャネルは、第2の成形ツールにおいて形成されてもよく、第2の成形部分と流体接続され得る。
【0069】
好ましい形態では、湾曲したチャネルは、約0.1mm~約0.3mmの範囲の直径を有し得る。
【0070】
好ましい形態では、第1の成形ツールの第1の成形部分及び第2の成形部分は、複数のチャネルのうちの少なくとも1つによって流体結合され得る。
【0071】
好ましい形態では、第1の成形ツールは、第1のステーションと第2のステーションとの間で第2の成形ツールに対して移動可能であってもよい。
【0072】
好ましい形態では、第2の成形ツールは第2のステーションに配置され得る。
【0073】
好ましい形態では、第1の成形ツールは第2の成形ツールに対して回転することができる。
【0074】
好ましい形態では、第1の成形ツールが第2ステーションに配置されるときに第2の成形ツールが第1の成形ツールに向かって移動するように、第2の成形ツールは第1の成形ツールに対して軸方向に移動することができる。
【0075】
好ましい形態では、システムは、回転可能なテーブルを含むことができ、第1の成形ツールが回転可能なテーブルに結合される。
【0076】
好ましい形態では、第3の成形ツールを回転可能なテーブルに結合し、第1の成形ツールから離間させることができる。
【0077】
好ましい形態では、第3の成形ツールは、第1の成形ツールと実質的に同一であってもよい。
【0078】
好ましい形態では、摺動可能なプレートが第1の成形ツールに結合され得る。
【0079】
好ましい形態では、第1の成形ツールは複数のキャビティを含むことができ、第2の成形ツールは第1の成形ツールの複数のキャビティに対応する複数のキャビティを含むことができる。
【0080】
好ましい形態では、第1の成形ツールの第1の成形部分は、第1の成形ツールに取り外し可能に結合され得る。
【0081】
好ましい形態では、第2の成形ツールの第1の成形部分は、第2の成形ツールに取り外し可能に結合され得る。
【0082】
本開示の一態様は、長手方向軸線を画定し、開口部を有するハウジングと、送達状態時に開口部を通って少なくとも部分的に延びるように構成されている挿入端部を有する送達部材を含む薬物貯蔵容器とを含む薬物送達デバイスを提供する。デバイスは、送達部材を通して薬物貯蔵容器から薬物を排出するために、薬物貯蔵容器の遠位端に向けて移動可能なプランジャであって、軸方向チャンバを画定する内壁と、内壁と協働して本体厚さを画定する外壁とを有するプランジャ本体を含む、プランジャを更に含んでもよい。デバイスはまた、少なくとも部分的に軸方向チャンバ内に配置されたプランジャ付勢部材であって、プランジャを薬物貯蔵容器の遠位端に向けて押し動かすように構成されている、プランジャ付勢部材を含んでもよい。
【0083】
プランジャ本体は中空管状形状を有してもよい。プランジャ本体は、金属製又は非金属製であってもよい。
【0084】
プランジャは、プランジャ付勢部材によって作用される付勢力下で初期回転位置から第2回転位置に選択的に回転し、初期回転位置から第2回転位置に回転後、プランジャ付勢部材によって及ぼされる付勢力下で薬物貯蔵容器の遠位端に向けて直線的に並進するように構成されてもよい。
【0085】
デバイスは、ハウジングに対して固定されたプランジャガイドを更に含んでもよく、プランジャは、少なくとも部分的にプランジャガイド内に配置されている。プランジャ及びプランジャガイドのうちの一方はカムを含んでもよく、プランジャ及びプランジャガイドのうちのもう一方はカムフォロアを含んでもよい。
【0086】
プランジャはカムフォロアを含んでもよく、プランジャガイドはカムを含み、カムフォロアは、プランジャから半径方向外向きに延びる少なくとも1つのフランジによって形成されてもよい。
【0087】
プランジャ本体厚さは、0.6ミリメートル未満、0.4ミリメートル未満、0.3ミリメートル未満、0.2ミリメートル未満、0.1ミリメートル未満、又は0.05ミリメートル未満であってもよい。
【0088】
本開示の別の態様は、長手方向軸線を画定し、開口部を有するハウジングと、送達状態時に開口部を通って少なくとも部分的に延びるように構成されている挿入端部を有する送達部材を含む薬物貯蔵容器とを含む薬物送達デバイスを提供する。デバイスは、送達部材を通じて薬物貯蔵容器から薬物を排出するために、薬物貯蔵容器の遠端に向けて移動可能なプランジャであって、軸方向チャンバを画定する内壁と、内壁と協働して0.6ミリメートル未満の本体厚さを画定する外壁とを有する本体部分を含む、プランジャを更に含んでもよい。デバイスはまた、プランジャと結合されており、プランジャを薬物貯蔵容器の遠位端に向けて押し動かすように構成されているプランジャ付勢部材を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【
図1】様々な実施形態による例示的な薬物送達デバイスの斜視図である。
【
図3A】
図2の薬物送達デバイスの一部、即ち駆動機構の分解組立図である。
【
図3B】
図2の薬物送達デバイスの分解組立図である。
【
図4A】本明細書に開示されるシステム及び方法に従って製造されたプランジャロッドの斜視図である。
【
図4D】
図4CのプランジャロッドのD-D線に沿った断面図である。
【
図5】本明細書に開示されるシステム及び方法に従って
図4Aのプランジャロッドを製造する例示的な方法の概略図である。
【
図6】本開示の教示に従って構成された、複数のプランジャロッドストローを製造するためのスタンピングシステムの上面斜視図である。
【
図7】
図6のスタンピングシステムを通って移動する金属薄板のブランクの概略側面図である。
【
図8】
図6のスタンピングシステムの一部の上面図である。
【
図9A】
図6のスタンピングシステムの例示的な加工段階の斜視図である。
【
図9B】
図6のスタンピングシステムの別の例示的な加工段階の斜視図である。
【
図9C】
図6のスタンピングシステムを使用して組み立てられた完成したプランジャロッドストロー及びハンガーの上面図である。
【
図10】本明細書に開示されるシステム及び方法による、
図4Aのプランジャロッドのストローを製造する例示的な方法の概略図である。
【
図11A】本開示のスタンピングシステムで加工されているブランク金属薄板の側面図であり、スタンピングプロセス中のプランジャロッドストローの段階1~29を示す。
【
図11B】
図11Aの加工された金属薄板の拡大側面図であり、スタンピングプロセスの段階1~10を示す。
【
図11C】
図11Aの加工された金属薄板の拡大側面図であり、スタンピングプロセスの段階11~20を示す。
【
図11D】
図11Aの加工された金属薄板の拡大側面図であり、スタンピングプロセスの段階21~29を示す。
【
図12A】本開示のスタンピングシステムで加工されているブランク金属薄板の上面図であり、
図11Aに示す側面図段階に対応する。
【
図13】
図11A及び
図12Aの加工された金属薄板の斜視図であり、スタンピングプロセスの様々な段階におけるプランジャロッドストローを示す。
【
図14】本開示の教示に従って構成されたプランジャロッド円卓成形システムの上面斜視図である。
【
図15】本明細書に開示されるシステム及び方法に従って、
図4Aのプランジャロッドのストロー上にオーバーモールドされた部品を製造する例示的な方法の概略図である。
【
図16】
図14のプランジャロッド円卓成形システムの第1のステーションに配置された第1の成形ツールの上面斜視図である。
【
図17】複数のプランジャロッドストローが第1の成形ツールに装填された状態の、第1の成形ツールの上面図である。
【
図18A】第1の成形ツールが装填される前の、第1の成形ツールの第1のキャビティの上面図である。
【
図18B】第1の成形ツールの第1の成形部分の拡大図である。
【
図19A】第1の成形ツールのキャビティ内に配置されたプランジャロッドストローの上面図である。
【
図19B】
図19Aの第1の成形ツールの第2の成形部分に配置されたプランジャロッドストローの第2の端部の上面拡大図である。
【
図19C】
図19Aの第1の成形ツールの第1の成形部分に配置されたプランジャロッドストローの第1の端部の上面拡大図である。
【
図20】第1の成形ツール内の複数のプランジャロッドストローを整列させるストッププレートの上面斜視図である。
【
図21】本開示の教示に従って構築された第2の成形ツールの合わせ面の斜視図である。
【
図22】第1の成形ツールが第2のステーションにあるときに、第1の成形ツールの合わせ面に結合された第2の成形ツールの合わせ面を示す、モールドの断面図である。
【
図23】第1及び第2の成形ツールの注入成形中に形成された、オーバーモールドされたプランジャ本体及び第1のグループのチャネルの斜視図である。
【
図24A】第1及び第2の成形ツールの注入成形中に形成された、オーバーモールドされたプランジャ本体及び第2のグループのチャネルの斜視図である。
【
図24B】
図24Aのオーバーモールドされたプランジャ本体及び隣接するチャネルの部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0090】
図1~
図3は、本明細書においては薬剤又は薬物製品とも呼ばれる薬物を送達するための薬物送達デバイス10の実施形態のいくつかの図を示す。薬物は、ペプチド、ペプチボディ、又は抗体などの様々な生物学的製剤であってもよいが、これらに限定されない。薬物は、流体又は液体形態であってもよいが、本開示は特定の状態に限定されない。
【0091】
薬物送達デバイス10の様々な実現形態及び構成が可能である。薬物送達デバイス10の本実施形態は、1回使用の使い捨てインジェクタとして構成されている。他の実施形態では、薬物送達デバイス10は、複数回使用の再利用可能インジェクタとして構成されてもよい。薬物送達デバイス10は、患者による自己投与のために又は介護者のために正式に訓練された医療提供者(例、医師又は看護師)により動作可能である。図に示される例示的な薬物送達デバイスは、オートインジェクタ又はペン型インジェクタの形態をとることができ、したがって、薬物送達の継続時間にわたって使用者の手で把持され得るが、また又は代替的に、他の薬物送達デバイス及び/又は構成に適し得る。
【0092】
図1に示されるように、薬物送達デバイス10は、外部ケーシング又はハウジング12を含む。ハウジング12は、例えば製造業者により、薬物貯蔵容器20が事前装填されてもよく、代わりに、薬物送達デバイス10の使用前に、使用者により薬物貯蔵容器20が装填されてもよい。薬物貯蔵容器20は、内部ボア、すなわちリザーバ、を画定する剛性壁を含んでもよい。壁は、ガラス又はプラスチック製であってもよい。ストッパ24は、薬物貯蔵容器20の近位端と遠位端との間で長手方向軸線Aに沿って遠位方向に移動できるように、薬物貯蔵容器20内に移動可能に配設されてもよい。ストッパ24は、ゴム又は任意の他の適切な材料で作られていてもよい。ストッパ24が移動しているときに薬物22がストッパ24を越えて漏れることを防止する又は阻止するように、ストッパ24は、薬物貯蔵容器20の壁の内部表面15に摺動可能に且つ密閉的に接触し得る。ストッパ24の遠位への移動により、薬物22が薬物貯蔵容器20のリザーバから送達部材16へと排出される。薬物貯蔵容器20の近位端は、プランジャ26が薬物貯蔵容器20内に延びてストッパ24を遠位方向に押すことを可能にするために、開放されていてもよい。本実施形態では、プランジャ26とストッパ24は、隙間18(
図2)によって最初は互いに間隔を空けている。駆動機構30が起動すると、プランジャ26は遠位方向に移動して隙間を閉じ、ストッパ24と当接する。その後、プランジャ26が遠位に移動すると、ストッパ24は遠位方向に駆動されて、薬物22が薬物貯蔵容器20から排出される。代替的実施形態において、ストッパ24及びプランジャ26は、プランジャ26の移動の開始から一緒に移動するように、初期的に、互いに接触していてもよい、又は例えばねじ式結合を介して互いに結合されていてもよい。いったんストッパ24が移動状態になると、薬物貯蔵容器20の壁の内部表面15の近位に面する部分にストッパが接触するまで、ストッパは遠位方向に移動し続けることができる。ストッパ24のこの位置は、投与終了又は送達終了位置と呼ばれることもあり、患者への薬物22の送達が完了したとき又は実質的に完了したときに対応し得る。
【0093】
いくつかの実施形態では、ハウジング12は、人が片手でインジェクタ10を把持することが可能なようにサイズ決めされ寸法設定されてもよい。ハウジング12は、円筒形状などの概ね細長い形状を有し、近位端と遠位端との間で長手方向軸線Aに沿って延びていてもよい。遠位端に開口部14(
図3B)が形成されて、送達部材16(
図2)の挿入端部28がハウジング12の外部に延びることを可能にしてもよい。ハウジング12の壁に透明又は半透明の検査窓17(
図1A)を配置して、使用者が、薬物貯蔵容器20を含む、薬物送達デバイス10内の構成要素を見ることを可能にしてもよい。取り外し可能なキャップ19が、薬物送達デバイス10の使用前に開口部14を覆っていてもよく、いくつかの実施形態では、送達部材16の挿入端部28に取り付けられた滅菌バリア21(例えば、剛性針シールド(RNS:rigid needle shield)、非剛性針シールド(nRNS:non-rigid needle shield)など)の除去を支援するように構成されたグリッパ13(
図2)を含んでもよい。
【0094】
図2に示すように、駆動機構30は、部分的に又は全体的にハウジング12内に配置され得る。一般に、駆動機構30は、エネルギーを貯蔵し、使用者による駆動機構30の作動時点で又は作動に応答して、そのエネルギーを解放又は出力してプランジャ26を駆動して、薬物22を薬物貯蔵容器20から送達部材16を通して患者の中に排出するように構成されてもよい。本実施形態において、駆動機構30は、機械的な位置エネルギーを貯蔵するように構成されているが、駆動機構30の代替実施形態は、異なる形態で、例えば駆動機構30が電気的又は化学的位置エネルギーを貯蔵するように、構成されてもよい。一般に、駆動機構30の作動時点で、駆動機構30は、位置エネルギーをプランジャ26を動かすための運動エネルギーに変換してもよい。
図3Aに最も良く示されるように、一実施形態では、駆動機構30は、プランジャ付勢部材50と、プランジャ付勢部材50を支持するための中空ロッド46と、プランジャ付勢部材シート38と、リリーサ部材52と、プランジャガイド60と、エクステンダ付勢部材35と、ガード拡張部37とを含む。プランジャ付勢部材50は、プランジャ26のボア内で最初に付勢状態に保持されている圧縮ばね(例えば、螺旋圧縮コイルばね)を含んでもよい。付勢状態では、プランジャ付勢部材50は、その軸方向長さが、自然状態又は非付勢状態の場合よりも短くなるように圧縮され得る。解放されると、プランジャ付勢部材50は、その自然の軸方向長さに拡張しようとし、その結果、付勢力を及ぼし、プランジャ26を遠位方向に押すことができる。
【0095】
図2及び
図3Bに最も良く示されているように、ハウジング12は、2つの別個の相互接続された構造体、即ち、薬物送達デバイス10の近位端にある後部エンドキャップ23(例えば後部カバー)と、薬物送達デバイス10の長さに沿って実質的に全体に延び、開口部14を画定する管状ハウジング25とを含み得る。追加的に又は代替的に、ハウジング12は、より少数の又はより多数の構成要素、例えば、前部部分と後部部分とを有する2部品管状ハウジングを含んでもよい。管状ハウジング25は、中空且つ略円筒状又は管状の形状を有してもよく、後部エンドキャップ23は、開放端部と閉鎖端部とを有する略半球状形状又は中空円筒形状を有してもよい。いくつかの実施形態では、後部エンドキャップ23及び管状ハウジング25並びにその中に配置される任意の構成要素は組み合わせられ、駆動機構30(
図3A)などの異なるサブアセンブリを画定し得る。いくつかの実施形態では、異なるサブアセンブリは、互いに独立して組み立てられ、その後、互いに、及び薬物貯蔵容器20と組み合わせられ、完全に組み立てられた薬物送達デバイス10を形成する。そのような特定の実施形態では、前述の組立フェーズのいくつか又は全ては、異なる製造施設又は環境で行われてもよい。別の実施形態では、ハウジング12は、後部キャップと管状ハウジングとを単一構成要素に一体化する単一のモノリシック構造体によってハウジング12が画定されるように、1つの部品で組み立てられてもよい。
【0096】
一実施形態では、容器ホルダ31は、ハウジング12内において薬物貯蔵容器20の位置を固定する及び/又は定着させる。例えば、プランジャ付勢部材50から薬物貯蔵容器20に作用する合力が、薬物貯蔵容器20の本体部分の遠位端によって少なくとも実質的に完全に支持されるように、容器ホルダ31は、薬物貯蔵容器20の本体部分の遠位端の少なくとも一部分の近位(例えば、薬物貯蔵容器20の本体部分の遠位端の全体の近位を含む)において、薬物貯蔵容器20をハウジング12に対し支持するように構成されてもよい。容器ホルダ31は、長手方向軸線Aを中心に調心された中空且つ略円筒状又は管状の形状を有してもよく、薬物貯蔵容器20は、部分的に又は全体的に容器ホルダ31内に配置されてもよい。容器ホルダ31の遠位端は、内向きに突出したフランジ33を含んでもよく、内向きに突出したフランジ33は、薬物貯蔵容器20の肩部20aに当接し、それによってプランジャ26の動作中の薬物貯蔵容器20の遠位移動を阻止する。
【0097】
「合力」という用語は、注入状態の最中及びその後に、プランジャ付勢部材50の作動時及びプランジャ付勢部材50の作動により、軸線Aに沿って薬物貯蔵容器20を押す力を指す。例えば、プランジャ26が作動され、軸線Aに沿って遠位方向に駆動されると、プランジャ26はストッパ24を遠位方向に押し動かす。プランジャ26とストッパ24との間のこの直接接触並びにストッパ24と薬物貯蔵容器20との間の摩擦力並びに比較的小さい直径の送達部材16を通して薬物22を押し動かすために必要な力の結果、薬物貯蔵容器20は、プランジャ26が薬物貯蔵容器20の本体部分に直接接触するか、当接するか、又は係合することができなくても、遠位方向に押し動かされる。その結果、薬物貯蔵容器20は、注入プロセス中、より具体的には、プランジャ26の作動中、比較的高い合力を受ける場合がある。
【0098】
図4A~
図4Eに最もよく示されているように、プランジャ26は、中空でほぼ円筒形又は管状の形状を有することができる。プランジャ26は、外面41及び内面43を有する環状壁39を含んでもよい。内面43は、プランジャ付勢部材50を受け入れるサイズの内部空間42(
図4Eに示され、本明細書では「軸方向チャンバ」とも呼ぶ)を画定することができる。一般に、プランジャ26の内径を最大限にするために、可能な程度まで且つプランジャ26の完全性を妥協することなく、環状壁39の厚さを最小限にすることが望ましい。これにより、より大きな直径のプランジャ付勢部材50をプランジャ26の内部空間内に収めることが可能になり、これにより更に、より頑丈なプランジャ付勢部材50が可能になる。より具体的な例として、環状壁39の厚さは、2mm未満であり得る。別のより具体的な例として、環状壁の厚さは、1mm未満であり得る。別のより具体的な例として、環状壁の厚さは、0.6mm未満であり得る。別のより具体的な例として、環状壁の厚さは、0.3mm未満であり得る。別のより具体的な例として、環状壁の厚さは、0.2mm未満であり得る。別のより具体的な例として、環状壁の厚さは、0.1mm未満であり得る。別のより具体的な例として、環状壁の厚さは、0.05mm未満であり得る。環状壁39は、金属又はプラスチックなどの任意の適切な材料で作製され得る。環状壁39の厚さを最小限にするために、環状壁39を鋼又はアルミニウムなどの金属で作製すると有利となり得る。例えば、金属環状壁39は、環状壁39の厚さが0.05mm超であれば、デバイスでの使用において十分な軸方向強度及び/又は耐座屈性を有し得る。これとは対照的に、プラスチック環状壁39は、環状壁39の厚さが1mm超であれば、デバイスでの使用において十分な軸方向強度及び/又は耐座屈性を有し得る。
【0099】
追加的に又は代替的に、中空ロッド46は、ばね設計のより高い柔軟性を促進し得る及び/又は提供し得る。例えば、薬物の特性及び/又は所望の薬物送達プロファイルに応じて、異なるばねを有するデバイスを使用することが望ましい場合がある又は有利な場合がある。例えば、より高粘度の薬物では、より高いばね定数及び/又はばね力を持つばねが必要となる場合があり、したがって、ばねの物理的特性に柔軟性を有することが望ましい又は有利な場合がある。より具体的な例として、ばねの様々な物理的特性、例えば、ばねの線径(一般に、線径が増加するとばね定数は増加する)、ばねの平均径(一般に、平均径が増加するとばね定数は減少する)、ばねの巻数(一般に、巻数が増加するとばね定数は増加する)、及びばねの材料が、ばね定数、ゆえに、ばね力に影響を及ぼし得る。これらの物理的特性を、異なるばね定数を提供するように調整し得る一方で、また、場合によっては中空ロッド46の厚さを調整して、全体的なプランジャ26の一定の又は比較的一定の外径を維持し、プランジャガイド60及びストッパ24などのデバイスの残りの部品を一定に維持する。追加的に又は代替的に、中空ロッド46は、座屈又はその他の横断方向の運動を阻止する又は低減するなどによって、プランジャ付勢部材50のより高い長手方向安定性を促進し得る及び/又は提供し得る。
【0100】
プランジャ付勢部材50(
図2及び
図3Aに示す)は、以下の寸法、即ち、線径0.65mm、ばねの外径5.40mm、及び巻数80~86(ピッチによる)を含み得るが、他の適切なばね特性が用いられてもよい。図に示されるプランジャ付勢部材50は、強度2300n/mmのステンレス鋼で形成され得るが、他の適切な材料が用いられてもよい。図に示される中空ロッド46は、以下の寸法及び材料、即ち、長さ63mm、外径6mm、壁厚0.20mm、及び強度600~750n/mmのステンレス鋼材料を含み得るが、他の適切な寸法及び材料が用いられてもよい。
【0101】
以下でより詳細に説明するように、薬物送達デバイス10の動作中、プランジャ26は、ハウジング12に対して選択的に回転し、且つハウジング12に対して直線的に並進するように構成され得る。
【0102】
再び
図4A~
図4Eに戻ると、プランジャ26は、複数の相互接続された部品から構成されてもよく、又は代替的に、一体構造を有してもよい。本実施形態において、プランジャ26は、3つの別個の相互接続された構造、即ち、プランジャ26の近位端を画定するトップリング45(本明細書では「ヘッド」又は「ヘッド部分」とも呼ばれる)、プランジャ26の遠位端を画定するベース47(本明細書では「フット」又は「フット部分」とも呼ばれる)、及び、トップリング45とベース47との間に位置し、それらをしっかりと接続する中空ロッド46(本明細書では「プランジャ本体」とも呼ばれる)で構成される。トップリング45、中空ロッド46、及びベース47の位置は、これらの構成要素が互いに対して動かないように、互いに対して固定されてもよい。トップリング45、中空ロッド46、及びベース47はそれぞれ環状構造を有してもよく、長手方向軸線Aを中心にセンタリングされてもよい。トップリング45及び中空ロッド46はそれぞれ、構成要素の端から端まで延びて、軸方向チャンバ42を画成する、それぞれの中央開口部46aを有してもよく、一方、ベース47は、ベース47の近位端を通って延びているが、ベース47の遠位端で閉じている中央開口部を有してもよい。ベース47の閉じた端部は、プランジャ付勢部材50のためのシート又は当接面を画定し得る。代替的実施形態では、中央開口部は、ベース47を通って端から端まで延びていてもよい。そのような代替的実施形態では、ベース47の中央開口部の内径は、ベース47がプランジャ付勢部材50の遠位端をプランジャ26内に保持するように、プランジャ付勢部材50の外径よりも小さくてもよい。駆動機構30が作動された場合、ベース47は、ストッパ24に接触してストッパ24を遠位方向に押す、プランジャ46の部分であってもよい。
【0103】
トップリング45は、プランジャ本体46の近位端又は第1の端部59を少なくとも部分的に取り囲んでいる。トップリング45は、外向きに曲がった波形縁部51の周囲に形成されている。
図4Dに示されるように、トップリング45の近位端63は、プランジャ本体46の近位端63の波形縁部51の上方及びその周りに延びる。このようにして、トップリング45はプランジャ本体46に対して所定の位置に固定される。トップリング45は、トップリング45の中央部又はカラー45Aから半径方向外向きに延びる1つ又は複数のフランジ又は突起48を含んでもよい。突起48のそれぞれが、遠位対向カム面49を含んでもよい。以下により詳細に説明するように、遠位対向カム面49は、プランジャ付勢部材50を解放するために、プランジャガイド60上の対応するカム面と相互作用してもよい。カム面により、デバイス10の組み立て中にプランジャ26のよりスムーズな挿入が可能になる。いくつかの実施形態では、遠位対向カム面49は、長手方向軸線Aに垂直な仮想平面に対して、ある角度で構成されてもよい、又はこの仮想平面に非平行である。
【0104】
ベース47は、プランジャ本体46の遠位端又は第2の端部61から延び、プランジャ本体46の軸方向チャンバ42内に部分的に配置される。
図4C及び
図4Dに示すように、ベース47は、プランジャ本体46の内向きに曲がった波形縁部53の周りに形成される。ベース47は、プランジャ本体46の軸方向チャンバ42内に配置される第1の部分55と、プランジャ本体46の遠位端から離れる方向に延びる第2の部分57とを有する。第1の部分55の直径は、第2の部分57の直径よりわずかに小さくてもよい。しかしながら、ベース47はプランジャ本体46の遠位端の波形縁部53の周囲に形成されているため、ベース47はプランジャ本体46に対して所定の位置に固定される。第2の部分57は、金属プランジャ本体46とシリンジのガラスとの間のバリアとして機能する遠位面取り部分47Aを有する。したがって、プランジャ26は、プランジャ26が医療デバイス10を通って移動するときにシリンジのガラスに接触しない。
【0105】
以下でより詳細に説明するように、トップリング45及び/又はベース47は、中空ロッド46とは異なる材料で構成されてもよい。いくつかの実施形態では、トップリング45及び/又はベース47はプラスチックで構成されてもよい一方で、中空ロッド46は金属で構成されてもよい。このように構成されることで、トップリング45に使用されるプラスチック材料は、比較的低い摩擦係数を提供することにより以下に記載するカム動作を容易にすることができ、ベース47に使用されるプラスチック材料は、ベース47がストッパ24に衝突することに付随するあらゆる衝撃又は振動を吸収する又は減衰するのに役立ち得る。中空ロッド46に使用される金属材料は、プランジャ付勢部材50により及ぼされる付勢力下で座屈を回避するのに十分な剛性を提供し得る。代替的実施形態では、トップリング45、中空ロッド46、及び/又はベース47は、例えば金属又はプラスチックを含む、同じ材料で作製されてもよい。そのような特定の実施形態では、トップリング45、中空ロッド46、及びベース47は、単一のモノリシック構造を画定するように、1つの部品に一体形成されてもよい。
【0106】
上述のように、プランジャ付勢部材50は、少なくとも部分的にプランジャ26内に配置されてもよく、且つプランジャ26の近位対向内面に当接する遠位端を有してもよい及び/又はプランジャ26の内面にしっかりと取り付けられてもよい。プランジャ付勢部材50がプランジャ26内に受け入れられ得るように、プランジャ付勢部材50の外径又はその他の寸法は、トップリング45の内径以下及び/又は中空ロッド46の内径以下であってもよい。いくつかの実施形態では、プランジャ付勢部材50の遠位端は、プランジャ26のベース47の近位に面する内面に当接してもよい。更に、
図2及び
図3Aに最も良く示されるように、プランジャ付勢部材50の近位端50aは、プランジャ付勢部材シート38の遠位対向表面38aに当接し得る。プランジャ付勢部材シート38は、プランジャ付勢部材シート38がプランジャ付勢部材50を押しのけるための静止面を提供するように、後部ハウジング27にしっかりと取り付けられ得る。例えば、
図3Aに示すように、プランジャシート38は、フランジ38bを含んでもよく、フランジ38bは、プランジャガイドの近位部に形成された開口部60h内に受け入れられ、それによってプランジャシートをプランジャガイド60にしっかりと結合する。このように構成されることで、プランジャ付勢部材50は、付勢状態から解放されると、プランジャ付勢部材50の遠位端がプランジャ付勢部材50の静止近位端から遠ざかって遠位方向に移動することにより、長さが拡張し得る。この動きにより、プランジャ26を遠位方向に押すことができ、これにより更に、ストッパ24を遠位方向に押し、薬物22を薬物貯蔵容器20から送達部材16に、その後、患者に排出することができる。しかしながら、図に示される実施形態では、プランジャ付勢部材50の解放も任意の他の付勢部材の解放も、送達部材16をハウジング12に対して下向きに駆動させない。それどころか、薬物製品容器20、及びその結果として送達部材16は、ハウジング12に対して実質的に又は完全に固定的に結合されている。むしろ、送達部材16は、患者(又はヘルスケア提供者又は用量を投与するその他の者)による下向きの力によって発生した慣性力によって患者の皮膚5へと駆動される。
【0107】
図2に示されるように、リリーサ部材52は、プランジャガイド60とガード拡張部37との間に半径方向に配置され得る。リリーサ部材52はまた、ガード拡張部37とプランジャガイド60との間に半径方向に配置されている。更に、エクステンダ付勢部材35は、リリーサ部材52とガード拡張部37との間に軸方向に配置されてもよく、且つリリーサ部材52の周りに半径方向に構成されてもよい。概して、リリーサ部材52は、(1)作動シーケンスにおいてガード部材32とプランジャ26とを動作的に結合し、(2)薬物送達の終了を示す可聴信号を生成するように構成されている。このように構成されることで、リリーサ部材52は、2つの別々の機能を実施するために用いられ、それゆえ、薬物送達デバイス10に必要な可動部品の数が減少する。
【0108】
図3Aに示すように、リリーサ部材52は、リリーサ部材52の管状本体の最近位(例えば、頂)面を越えて近位に延びるチャネル表面52bを含む。例えば、リリーサ部材52は、近位対向接触面と、チャネル表面52bとを含み、それぞれ、トップリング45に対して連続路を提供する一方で、近位対向接触面と対応する投与終了通知に関与する表面との間に十分な隙間も許容するように、接触面を越えて延びる。リリーサ部材52のチャネル表面52bはそれぞれ、トップリング45の突起48を受け入れ、リリーサ部材52に対するプランジャ26の軸方向の移動を可能にするが、プランジャ26とリリーサ部材52との間の回転運動は阻止する又は防止するように構成されている。
図3Aに示すように、チャネル表面52bはリリーサ部材52の内面に隣接して延びるが、チャネル表面52bは弓状の形状を有しておらず、その代わりに、略矩形に区切られた形状を有する。
【0109】
デバイスの構成要素のいくつかには、プランジャ26との相互作用のための、及びプランジャ26の解放運動(例えば注入シーケンス)を制御するための様々な特徴、表面、及び開口部が含まれる。概して、注入シーケンスは、近位方向(
図2では上向き)におけるガード部材32の後退/軸方向の移動によって開始され、これによりガード拡張部37の軸方向の移動が生じ、リリーサ部材52をロック解除する。リリーサ部材52がロック解除される(例えば、移動の第1段階)と、プランジャ26及びプランジャ付勢部材50は、時計回りに回転するようにリリーサ部材52を押し動かし、プランジャ26の(遠位方向、
図2では下向きの)軸方向の移動を可能にする。その後、プランジャは、ストッパ24を遠位方向に押し動かし、それによって薬物22を薬物製品容器20から及び送達部材16から押し出す。デバイスの軸方向長さに沿った特定の地点にプランジャが到達すると、リリーサ部材52の移動は更にロック解除され(例えば、移動の第2段階)、リリーサは近位方向(
図2では上向き)に移動して、プランジャガイド60に接触し、それによって投与終了表示(可聴クリック音など)を発生させる。ここで、注入シーケンスについてより詳細に説明する。
【0110】
以下でより詳細に説明するように、薬物送達デバイス10の動作中、プランジャ26は、ハウジング12に対して選択的に回転し、且つハウジング12に対して直線的に並進するように構成され得る。
【0111】
ニードルガード32の後退前の送達前状態では、プランジャ26及びリリーサ部材52はそれぞれ、対応する初期回転位置に構成されてもよい。プランジャ付勢部材50は、付勢状態にあり得る。結果的に、プランジャ付勢部材50は、プランジャガイド60の遠位対向カム面49を近位対向カム面に対して押し動かす、遠位に方向付けられた付勢力をプランジャ26に対して及ぼし得る。結果として生じたカム動作は、プランジャ26を時計回り方向に回転させることができる。これら付勢力にもかかわらず、送達前状態において、リリーサ部材52もプランジャ26も回転しない。これは、注入前状態において、リリーサ部材52とプランジャとが回転可能に固定されているからである。したがって、ここでより詳細に説明するように、ガード部材32の後退前、リリーサ部材52とプランジャガイド60とガード拡張部37とハウジング12は、プランジャ付勢部材50を付勢状態に保つように互いに連係して動作する。
【0112】
図2に最も良く示されるように、ガード部材32が近位方向(
図2では上向き)に移動する際、ガード部材32の近位端は、ガード拡張部37の遠位対向表面に接触し、ガード拡張部を近位方向に押し動かす。デバイスが注入前段階にあるとき、
図2に示されるように、ガード拡張部37のロッキングフランジはリリーサ部材52のロッキングフランジと係合し、それによってリリーサ部材52を回転方向にロックする。シーケンスのこの時点において、プランジャ26のトップリング45の遠位対向カム面49は、プランジャガイド60の近位対向カム面に当接し、この相互作用により、プランジャ26は軸方向移動することを抑制される。遠位対向カム面49及び/又は近位対向カム面は、時計回りの方向におけるプランジャ26のトップリング45の相対運動を促進するための傾斜表面を含む。例えば、遠位対向カム面49は、約10度の勾配を有するが、9~11度、8~12度、7~13度、6~14度、5~15度、4~16度などの任意の適切な勾配、又は任意の他の適切な勾配を有してもよい。追加的に又は代替的に、トップリング45の遠位対向カム面49は、約10度の勾配49aを有し得るが、9~11度、8~12度、7~13度、6~14度、5~15度、4~16度などの任意の適切な勾配、又は任意の他の適切な勾配を有してもよい。各表面49のうちの1つ又は複数の勾配は、プランジャ付勢部材50による軸力に横断方向の力を生じさせ、それによってプランジャ26のトップリング45を時計回り方向に押し動かす。しかしながら、上述のように、トップリング45がチャネル表面52b内に配置されている及び/又はチャネル表面52bと接触している間、リリーサ部材52は、リリーサ部材52とプランジャとの間の回転運動を阻止する又は防止する。その結果、ガード拡張部37がリリーサ部材52を回転可能にロックしている限り(
図2に示すように)、トップリング45は、チャネル表面52bによって回転可能にロックされたままであり、且つプランジャガイド60の近位対向カム面によって軸方向にロックされたままである。
【0113】
注入シーケンスのロック解除段階は、ガード拡張部37のロックフランジがリリーサ部材52のロックフランジと係合しなくなり、リリーサが回転可能にロックされなくなるまで、ガード拡張部37が近位方向に並進するときである。この段階では、次の2つのことが同時に、又はほぼ同時に起こる。(1)リリーサ部材52の内面、又はガード付勢部材35からの軸力を横向きの(時計回りの)力に変換し、リリーサ部材52を時計回りに回転させ、上向き(近位)に移動させるプランジャガイド60の外面のうちの1つ又は両方上のカム面により、ガード付勢部材35がリリーサ部材52を時計回り方向に及び上向きに押し動かす、並びに(2)プランジャ26の表面とプランジャガイド60との間のカム動作によりプランジャ付勢部材50がトップリング45を時計回り方向及び下向き(遠位)に押し動かし、それにより、プランジャガイド60の傾斜した表面に沿って時計回りに且つわずかに下向きにプランジャ26を移動させる。換言すると、リリーサ部材52とプランジャ26のトップリング45の両方は、各付勢部材35、50からの力によって、同時に又は実質的に同時に時計回りに回転する。プランジャ26の表面とプランジャガイド60との間のこの滑り運動により回転及び直線並進(螺旋経路と同じ)が生じる。したがって、プランジャガイド60は、カムとして機能し得、プランジャロッド26はカムフォロアとして機能し得る。
【0114】
下降行程段階では、トップリング45は依然としてプランジャガイド60の近位部分の近くに見えるが、プランジャガイド60に形成された長手方向スロット86(
図3A)とリリーサ部材52のチャネル表面52bとに沿って急速に移動する。この段階の間、プランジャ26のトップリング45は、リリーサ部材52のチャネル表面52b及びプランジャガイド60の長手方向スロット86の両方に沿って移動し、それにより3つの構成要素(26、52、60)のいずれかの間の回転を阻止する。より具体的な例として、プランジャガイド60はハウジング12に対して回転可能に取り付けられている一方で、トップリング45は、チャネル表面52b内と長手方向スロット86内の両方に配置されているため、リリーサ部材52は回転することができない。また、この段階の間、プランジャ26が遠位に移動しながら、プランジャ26のベース47とストッパ24との間の隙間18(
図2)は小さくなり、ベース47はストッパ24に接触する。デバイス10は、プランジャ26が、ストッパ24を遠位方向に駆動し、送達部材16から薬物22を押し出すのに十分な力によって移動するように設計されている。同時に、デバイス10はまた、例えば、ガラスの破損、患者に作用する望ましくない力、及び/又はベース47とストッパ24との間の相互作用による望ましくない衝撃振動若しくは音の可能性を低下させる又は排除するように設計されている。例えば、プランジャ付勢部材50の設計パラメータは、これらの2セットの設計目標を満たすように設計され得る。別の例として、減衰構成要素が、ベース47とストッパ24との間の力を減衰するために、ベース47とストッパ24との間に又はデバイス10内の別の場所に配置され得る。例えば、ベース47は、エラストマー構成要素、部分、又はその他の減衰特徴を含んでもよい。追加的に又は代替的に、ストッパ24は、固有の減衰特性を含むエラストマー材料で形成されてもよい。追加的に又は代替的に、ストッパ24は、追加的なエラストマー構成要素、部分、又はその他の減衰特徴を含んでもよい。
【0115】
いくつかの実施形態では、突起48上の遠位対向カム面49とプランジャガイド60の近位対向カム面との間のカム動作は、減衰効果を提供し得る。より具体的には、これら2つの表面間の滑り摩擦は、プランジャ付勢部材50の初期拡張を遅延させるように選択され得る。結果的に、プランジャ付勢部材50の初期拡張中、プランジャ26の速度は、プランジャ付勢部材50の自由な妨げのない拡張に比べて低下し得る。プランジャ26の速度低下により、プランジャ26をより小さい力でストッパ24に衝突させることができ、これにより、薬物貯蔵容器20の構造的損傷の可能性を低下させる及び/又は使用者にとってより快適な注入を容易にする。
【0116】
上述のように、下向き行程段階時、トップリング45がチャネル表面52b及び長手方向スロット86内に配置されている間、リリーサ部材52はプランジャガイド60に対して回転することができない。しかしながら、投与終了開始段階において、トップリング45は、いくつかの実施形態では、リリーサ部材52の遠位端を解放することができ、リリーサ部材52の回転をもはや制限したり阻止したりしない。より具体的な例として、トップリング45がリリーサ部材52のチャネル表面52b及び/又は遠位表面を出るため、リリーサ部材52はトップリング45によって回転可能に拘束されなくなり、リリーサ部材52はガード付勢部材35によって上向きに押し動かされる。ガード付勢部材35及びカム面の上向きの力によって、リリーサ部材52は、螺旋状の経路内を上向きに移動しながら時計回りに回転し、リリーサ部材52の近位対向表面がプランジャガイド60の遠位対向表面に接触し、それにより可聴クリック音を立てる。チャネル表面52b及びプランジャ26の長さは、ストッパ24が、薬物貯蔵容器20の遠位端の近傍のその移動端など、薬物貯蔵容器20内の所望の移動地点に到達した際に、トップリング45がチャネル表面52bを出るように設計され得る。
【0117】
図1~
図4Eに示されるデバイス10のプランジャ26を製造する方法100は、
図5に示され、本開示の教示に従って説明される。プランジャを製造する方法100は、次の2つの主要なフェーズ、即ち、スタンピングマシンが金属薄板のブランクからプランジャ本体(
図6~13)を形成及び成形するスタンピングフェーズ(ステップ102、104)と、注入成形システムがヘッド及びフット45、47をプランジャ26のプランジャ本体46(
図14~
図24B)上に成形する成形フェーズ(ステップ106、108)とで説明することができる。
図4A~
図4Eのプランジャ26は、以下に説明する2つのフェーズに従って製造される。しかしながら、プランジャ26は、一方又は両方のフェーズを組み込む異なる方法を使用して製造されてもよい。
【0118】
一般に、
図4A~
図4Eのプランジャ26を製造する方法100の第1のフェーズは、金属薄板のブランクからプランジャ本体を形成することを含む。最初に、第1のステップ102は、金属薄板のブランクをスタンピングマシンに挿入することを含み、その後のステップ104は、その金属薄板から複数のプランジャ本体を形成することを含む。スタンピングマシンの複数のスタンピングダイは、一連の段階で金属薄板のブランク(又は所定の位置の「ワークピース」)を円筒形状に徐々に成形する。プランジャ本体が完成した円筒形のワークピースは、スタンピングマシンから出て、金属薄板から分離されるか、又はスタンピングマシンによって事前に分離される。ステップ106では、オペレータ又はロボットが複数のプランジャ本体を注入成形システムに装填する。ステップ108では、成形システムは、溶融プラスチックを第1及び第2のモールドに注入し、プランジャ本体をオーバーモールドして、各プランジャ本体上にヘッド45及びフット47の構成要素を形成する。オーバーモールドされたプランジャ本体は、成形システムから取り外される前に冷却され、仕上げられ、
図1~
図3Bのデバイス10などの薬物送達デバイスと組み立てられる。本明細書で使用される場合、「金属薄板のブランク」又は「金属薄板」という用語は、プランジャ本体を形成するためにスタンピングマシンで使用される、ある長さの金属を指す。この用語は、スタンピングマシンに挿入されて成形される前、最中、又は後の金属を指す場合がある。したがって、金属薄板のブランクには、スタンピングプロセスの様々な段階での複数のワークピース、マシン内での前進を容易にするための穿孔、及び/又は曲げ、ディンプル、波形、エンボス加工、エッチングなどを含む、様々な特徴があり得る。
【0119】
図6及び
図7において、製造プロセス100の第1のフェーズを完了するために使用される例示的なスタンピングマシン110が、本開示の教示に従って構成される。スタンピングマシン110は、ハウジング112を含み、ハウジング112は、スタンピングマシン110の内部構成要素において示すために、
図6では部分的に隠されている。マシン110は、入口114、出口116、及び入口114と出口116との間に延びる移動経路118を含む。方法100のステップ102によれば、オペレータ(又はロボット)は、金属薄板120のブランクをマシン110の入口114に挿入して、金属薄板120を移動経路118に沿って搬送する。金属薄板120がマシン110内を移動するとき、複数のスタンピングツール又はダイがステップ104を実行し、金属薄板120の中央部分又はワークピースに衝撃を与えて、金属をプランジャ本体に成形する。マシン110の出口116を通って出る前に、金属薄板120は、円筒形プランジャ本体を有するワークピースを含む。金属薄板がマシン310から出る前にマシン310が実行し得るワークピースの金属薄板120からの分離と、ワークピースの仕上げ(すなわち、洗浄、平滑化など)との後、最終製品は、軸方向チャンバを画定する内壁、外壁、及び第1及び第2の端部を有するプランジャ本体となる。以下に更に説明するように、プランジャ本体は、プランジャ本体を成形システムに取り付けるためのハンガーと、金属プランジャ本体への成形部分の付着を強化するための波形縁部とを含む。
図5の例示的な方法100で使用されるマシン110は、機械的スタンピングプレスであるが、油圧、機械的サーボ、又は他のタイプのスタンピングプレスであってもよい。
【0120】
図7は、スタンピングマシン110が金属薄板120のブランクを複数のプランジャ本体に加工する方法をより明確に示すために、スタンピングマシン110の概略図を示す。最初に、金属薄板120の前縁122が、入口114でスタンピングマシン110に挿入され、金属薄板120が移動経路118に沿って移動する間に、複数のダイ124によって加工される。マシン110のハウジング112内に配置されたグリッパ126は、移動経路118に沿って金属薄板120を搬送する。特に、入口114に対して近位に位置する第1のグリッパ126は、金属薄板120の第1及び第2の平行縁部又はマージン128、130(
図6)と接触する。グリッパ126は、金属薄板120の対向する表面に係合するように配置された第1及び第2のホイール132、134を含む。図示の例では、グリッパ140の第2のセットは、マシン110の出口116に対して近位に配置され、金属薄板120と係合して金属薄板120をマシン110を通して搬送する。しかし、他の例では、マシン110は、マシン110を通して金属薄板120を搬送するために、移動経路118の任意の位置に1つのグリッパ機構を含んでもよい。
【0121】
具体的には、
図7において、金属薄板120の上方に配置された第1のホイール132は、金属薄板120の第1の側面又は表面136と係合し、金属薄板120の下方に配置された第2のホイール134は、金属薄板120の第2の側面又は表面138と係合する。第1のホイール132は第1の方向Bに回転し、第2のホイール134は第1の方向Bとは反対の第2の方向Cに回転し、それにより、回転ホイール132、134の間で金属薄板120を把持し、金属薄板120を線形方向Dに移動させる。
図7に示す例では、各ホイール132、134は半円形であり、それにより、ホイール132、134が連続的に回転しながら、金属薄板120のブランクの漸進的移動が可能になる。しかしながら、別の例では、ホイール132、134は、ホイールの各部分が常に金属薄板120と係合するように、完全な円形の断面を有してもよい。この場合、ホイール132、134は、連続的にではなく漸進的に回転するように動力を与えられてもよい。回転ホイール132、134のセットは、金属薄板120が移動経路118に沿って移動するときに、複数のダイ及び/又は金属薄板120の成形とのいずれかの干渉を回避するために、金属薄板120のブランクのマージン又は平行縁部の1つと係合する。しかしながら、
図6に示すように、グリッパ126A、126Bの第1及び第2のセットのそれぞれは、金属薄板120の平行なマージン128、130の1つに隣接している。更に別の例では、グリッパは、マシン110を通して金属薄板120を搬送する全く異なる機構であってもよい。
【0122】
図7は、スタンピングマシン110の複数のダイ124の例示的なレイアウトを全体的に示す。複数のダイ124は、金属薄板120のブランクに対して移動し、金属薄板120の移動経路118に隣接する。マシン110は、複数のダイ124を動作させて、マシン110の様々な段階で金属薄板120に衝撃を与え、円筒形ワークピース125を徐々に形成して最終的な円筒形プランジャ本体を形成する。複数のダイ124のうちの少なくとも1つは移動経路118の上方に位置し、複数のダイ124のうちの少なくとも1つは移動経路118の下方に位置する。ダイ124のそれぞれは、1つ又は複数のダイ124が金属薄板120に衝撃を与えて金属薄板120に係合するときに、ワークピース125に特定の曲げ、形状、又は切り込みを形成するように、移動経路118に対して成形及び位置決めされる。マシン110は、金属薄板120が移動経路118に対して静止しているときに、ダイ124を作動させて金属薄板120に向かって移動させ、金属薄板120の第1及び第2の表面136、138に接触させる。いくつかの段階では、複数のダイ124が移動経路118の上方及び下方にあり、ワークピース125の両面136、138を成形する。1つ又は複数のダイ124が各段階でワークピース125に接触して成形した後、各段階の1つ又は複数のダイ124は、金属薄板120から離間した前の位置に戻る。1つ又は複数のダイ124が金属薄板120から離脱している間、又はその直後に、金属薄板120は、D方向に漸進的に移動し続ける(すなわち、グリッパ126の半円形ホイール132、134が再び金属薄板120と係合するにつれて)。このプロセスは連続的に繰り返され、金属薄板120が移動経路118内で停止すると、ダイ124が再び金属薄板120に向かって移動して、金属薄板120が移動経路118に沿って進み続ける前に、各ワークピース125に係合して成形する。本明細書では「フリー」段階とも呼ばれるいくつかの段階では、ワークピース125は、いかなる可動ダイ124によっても成形されず、又はその他の方法で係合されないことがある。スタンピングマシン110のダイ124は、組み合わせダイ、複合ダイ、順送りダイ、又はトランスファーダイを含むことができる。
【0123】
図8は、それぞれが異なる形成段階にある複数のワークピース125とともにマシン110の移動経路118に配置された金属薄板120を示す。入口114に隣接して、金属薄板120のブランクは平坦であり、出口116に隣接して、金属薄板120のブランクは、形成されたプランジャ本体が形成され、金属薄板120から分離された、長方形の空間142を有する。1つの例示的な段階9Aでは、第1のダイ144及び第2のダイ148が金属薄板120の第1及び第2の表面128、130の両方に係合して、ワークピース125を(第1の表面136に対して)内向きに曲げて、円筒形本体225を形成する。
【0124】
図9Aに示される例示的な段階では、第1のダイ144は凹面150を有し、ワークピース125の第2の面(又は底面)138と係合する。同時に、第2のダイ148は凸面152を有し、ワークピース125の第1の面(又は上面)136と係合する。両方のダイ144、148が金属薄板120に衝撃を与えると、ワークピース125は、ダイ144、148の輪郭に従って曲線に曲がる。
図9Bに示される別の段階では、ワークピース125の円筒形本体225がほぼ完全に形成され、成形プロセスのこの段階では、1つのダイ154だけが第2の表面138に係合し、第2の表面138はプランジャ本体ワークピース125の外壁160に成形される。最後に、
図9Cは、スタンピングマシン110の最終段階9Cの1つにおける完成形状のプランジャ本体162を示す。プランジャ本体162は、第1の端部164、第1の端部164の反対側の第2の端部166、軸方向チャンバ168を画定する内壁、及び外壁160を含む。ハンガー170は2つの開口部172を含み、プランジャ本体162の第1の端部164に接続される。第1の端部164は、軸方向チャンバ168に対して外向きに曲がった波形縁部174を含み、第2の端部166は、軸方向チャンバ168に対して内向きに曲がった波形縁部176を含む。
【0125】
図10は、プランジャ本体162を形成する方法200を、
図11A~
図12Dを参照してより詳細に示す。前述したように、プランジャ本体162を形成する方法200は、ステップ202で、金属薄板120のブランクをスタンピングマシン110の入口114に挿入することによって始まる。第2のステップ204では、マシン110が作動され又はオンになり、それによってマシン110の1つ又は複数のグリッパ126を動作させて、移動経路118に沿って金属薄板120を搬送する。可動ダイ124は、移動経路118に沿って配置され、金属薄板120の中央部分(すなわち、ワークピース125)をプランジャ本体162に加工する複数の段階に対応する。成形プロセスの第1の段階の1つでは、金属薄板120の一部を切り出すステップ206が、複数のダイ124のうちの1つ又は複数によって実行される。以下でより詳細に説明するように、金属薄板120を切断する(本明細書では「打ち抜き」とも呼ぶ)ステップ204は、金属薄板120から1つ又は複数の部分を切り取って長方形の切り欠きを形成することを含む。成形プロセスの後続の段階では、方法200のステップ208を実行することによって、ダイ124が長方形の切り欠きを成形する。ダイ124は、金属薄板120の複数の長方形の切り欠き(又はワークピース125)を複数の円筒形のプランジャ本体162に徐々に成形する。最終ステップ210では、ワークピース125が金属薄板120のブランクから分離される。
【0126】
次に
図11A及び12Aを参照すると、スタンピングプロセス200(すなわち、プランジャ本体を形成する方法)の段階1から29における金属薄板120のブランクを切断及び成形するステップ206、208が示されている。方法200の複数の例示的な段階のそれぞれは、その段階で加工される対応するワークピース125又は金属薄板120の一部の隣にラベル付けされる(すなわち、結果として得られる特定のダイの打ち抜き又は曲げを示す)。1つの連続加工された金属薄板120のブランクは、複数の異なるワークピース125を含み、各ワークピース125は、各段階(例えば、打ち抜き、ブランキング、エンボス加工、コイニング、曲げ加工、フランジ加工など)のスタンピングマシン110で加工される。このようにして、スタンピングマシン110は、いつでも29個の異なるワークピース125を加工することができる。換言すれば、方法200の段階の数は、一般に、加工されるワークピース125の数に対応する。スタンピング方法200の次の29の段階は、マシン110の3つのセクションで説明される。段階1~10は、
図11B及び
図12Bを参照して説明及び図示される。段階11~20は、
図11C及び
図12Cを参照して説明及び図示される。段階21~29は、
図11Dと
図12Dを参照して説明及び図示される。例示的な段階1~29は、マシン110の段階の数を増減することによって、形成されたプランジャ本体162に到達するように修正されてもよい。得られるプランジャの所望のサイズ及び形状に応じて、29個より多い又は少ないワークピース125がマシン110によって同時に加工され得る。
【0127】
図11B及び
図12Bは、金属薄板120のブランクを成形する第1の段階を示す。段階1では、オペレータが金属薄板120をスタンピングマシン110に挿入し、マシン110を作動させて移動経路118に沿って金属薄板120を搬送するとき、金属薄板120は最初は平らである。マシン110は、段階2から段階5において
図10の方法200のステップ206を動作させるようにプログラムされている。具体的には、段階2及び5では、1つ又は複数のダイ124が金属薄板120の第1及び第2の部分を打ち抜いて、長方形の切り欠き220を画定する。段階2では、打ち抜きダイ124が、平らな金属薄板120の右側セグメント222を打ち抜くことによってワークピース125と係合し、段階5では、異なる打ち抜きダイ124が、左側セグメント224を打ち抜くことによってワークピース125と係合する。第1及び第2の部分222、224がワークピース125から取り外されると、長方形の切り欠き220が画定され、第1の端部226、第1の端部226の反対側の第2の端部228、第1の側面230、及び第1の端部226と第2の端部228を接続する第2の側面232を含む(段階5に示すように)。これらの段階中に、同じ又は異なる打ち抜きダイ124が、長方形の切り欠き220の第1及び第2の波形縁部234、236を形成する。
【0128】
スタンピングマシン110の1つ又は複数のダイ124は更に、段階6~10で長方形の切り欠き220の波形縁部234、236を成形する。例えば、段階7では、方法200は、第2の波形縁部236がワークピース125の第1の表面136に対して実質的に垂直になるように、長方形の切り欠き220の第2の端部228を長方形の切り欠き220の第1の表面136に向かって曲げることを含む。同様に、段階9では、方法200は、第1の波形縁部234がワークピース125の第2の表面138に対して実質的に垂直になるように、長方形の切り欠き220の第1の端部226をワークピース125の第2の表面138に向かって曲げることを含む。波形縁部234、236を曲げるステップは、
図11Bの段階7及び9に示されている。したがって、ワークピース125の円筒形本体225が形状を形成するにつれて、長方形の切り欠き220の波形端部234、236は、最終プランジャ本体162の波形縁部174、176を画定する(
図9C)。段階4、6、8、及び10は、方法200及びマシン110への変更を可能にする「フリー」段階とみなされる。
【0129】
段階3では、打ち抜きダイ124がワークピース125を打ち抜いて、第2の端部228を金属薄板120のブランクの第2のマージン130に接続するストローフット242を画定する(段階5)。ストローフット242の反対側には、長方形の切り欠き220の第1の端部226を第1のマージン128に結合するコネクタ244がある。ストローフット242及びコネクタ244は、スタンピングマシン110内を移動する間、ワークピース125を移動経路118に対して確実に位置決めした状態に保つ。方法200の後半で、スタンピングダイ124は、ストローフット242をワークピース125から離れる方向に切断して曲げ、第1のマージン128の一部を打ち抜いて、プランジャ本体162のハンガー170を画定する。右側及び左側の切り欠き222、224はまた、各ワークピース125のタブ238の第1のセット及びタブ240の第2のセットを画定する。
【0130】
図11C及び
図12Cは、円筒形状に形成されつつあるワークピース125を示す。方法200のステップ208は、段階11~20でほとんど実行される。長方形の切り欠き220を成形することは、金属薄板120のブランクがスタンピングマシン110の出口116に向かって方向Dに移動するにつれて、第1の表面136がプランジャ本体162の内壁となる部分を徐々に画定するように、ワークピース125の第1及び第2の側面230、232を内側に(すなわち、第1の表面136に向かって)徐々に曲げることを含む。換言すれば、ダイ124はワークピース125と係合して、長方形の切り欠き220の第1及び第2の側面230、232を互いに向かって曲げる。例えば、
図11Cでは、各切り欠き220の第1及び第2の側面230、232が、ワークピース125の軸線Eに対して内向きに曲げられている。段階11、13、14、16、17、18、及び20で、マシン110は、第1及び第2の側面230、232を曲げて互いに近づけることによって、ワークピース125を更に円筒形本体225に成形する。例えば、第1及び第2の側面230、232は、段階11では約16.5mm、段階13では約11.4mm、段階14では約6.8mm、段階16では約5.4mm、そして段階18では約2.1mmの間隔を置く。
【0131】
図示の例では、マシン110は、高速スタンピング用の組み込みの曲げダイ及び打ち抜きダイによる順送りツール法を利用して、毎秒2つのワークピースを加工する。これらの打ち抜き、曲げ、及び成形の各段階で、ダイ124は、様々な方法のうちの1つ又は複数で金属薄板120を成形することができる。例えば、場合によっては、ダイ124は金属薄板120をスタンピングし、金属薄板120を塑性変形させてダイの幾何学的形状をとる。いくつかの段階では、ダイ124は、衝撃後にワークピース125が跳ね返ることを可能にするが、他の段階では、金属薄板120が跳ね返ることを許さずにワークピース125が成形されるように、金属薄板120が形成される(すなわち、金属薄板120の降伏応力を超えて成形する)。他のスタンピング方法には、トランスファーダイスタンピング、4スライドスタンピング、ファインブランキングなどがある。
【0132】
最後に、段階20で、ワークピース125の円筒形本体225が最終加工されて、切り欠き220の2つの側面230、232の間の隙間が更に閉じられる。図示の例では、ワークピース125の第1及び第2の側面230、232は、接触せず又は重なり合っていない。むしろ、継ぎ目又は長手方向の隙間246が、各ワークピース125の第1及び第2の端部226、228から延びている。第1及び第2の側面230、232の間のこの隙間は、約0.05mm未満の幅を有する。
【0133】
図11D及び
図12Dにおいて、スタンピング方法200の最終段階が示されている。段階22及び24では、システム110はワークピース125の円筒形本体225を較正する。較正中、最終曲げ段階(すなわち、段階20)中に使用されるダイ124と同じ直径を有するダイ124が、プランジャ本体162の外壁160を画定しているワークピース125の第2の表面138に係合する。段階23では、第1及び第2のマージン128、130にそれぞれ接続されたタブ238、240の第1及び第2のセットは、剛性を高めるために最小限に曲げられる。段階25で、タブ238、240の第1及び第2のセットは、各タブ238、240が金属薄板120のブランクの第1及び第2のマージン128、130に対して垂直になるように曲げられる。これらのタブ238、240は、金属薄板120が保管のために丸められるときに、金属薄板120に取り付けられたままである複数のワークピース125を保護するように機能することができる。図示されたワークピース125は段階27及び28で金属薄板120からブランク加工される(すなわち、分離される)が、いくつかの例では、スタンピングマシン110は、ワークピース125が金属薄板120に接続されたままとなるようにプログラムされてもよい。金属薄板120の第1のマージン128に取り付けられたワークピース125は、金属薄板120を丸めるか折り畳むことによって保管することができる。タブ238、240の第1及び第2のセットは、各ワークピースから延びて複数のワークピース125間の空間を維持し、保管中のワークピース120を保護する。
【0134】
最後に、ワークピースのプランジャ本体162を金属薄板120のブランクから分離するステップ210が段階27及び28で実行される。まず、段階27で、マシン110の1つ又は複数のダイ124が、ワークピース125の第2の端部228から離れる方向にストローフット242を切断して曲げ、ワークピース125を第1のマージン128で金属薄板120に取り付けたままにする。次に段階28で、第1のマージン128を打ち抜くことによってワークピース125が金属薄板120から完全に取り外され、それによってプランジャ本体162のハンガー170が形成される。段階21と26はフリー段階である。
【0135】
図13は、本開示によるスタンピングマシン110によって加工された金属薄板120のブランクを示す。この図に示されるように、金属薄板120は、
図9Cのプランジャ本体162を形成するために方法200の異なる段階で加工されている複数のワークピースを含む。このようにして、スタンピングマシン110は、金属薄板120をワークピース125に連続的に加工することを可能にし、最終的には複数のプランジャ本体162を形成する。スタンピングマシン110に金属薄板120を装填及び/又は再装填する必要性を除いて、スタンピングマシン110を使用して複数のプランジャ本体を形成する方法200は、連続又は半連続プロセスである。
【0136】
ここで
図14を参照すると、製造プロセス100の第2のフェーズを実行するための例示的な成形システム300が、本開示の教示に従って構成されている。動作中、成形システム300は、
図6~
図9のスタンピングマシン110によって形成されるプランジャ本体162などのプランジャ本体162の周囲にプランジャ26(
図4A)のヘッド45及びフット47部分を形成する。一般に、成形システム300は、プランジャ本体162を装填し、オーバーモールドされたプランジャ本体を取り出すための第1のステーションであるステーションIと、プランジャ本体162上にヘッド部分45及びフット部分47を注入成形するための第2のステーションであるステーションIIとを含む。ステーションIでは、オペレータが、1つ又は複数のプランジャ本体162を備えた第1の成形ツール304を装填する。ステーションIIでは、第1の成形ツール304が第2の成形ツール(同一の第1の成形ツール306の真上に配置されているが、
図14では隠されている)に結合し、システム300が溶融プラスチックをモールド(すなわち、クランプされた第1及び第2の成形ツール)に注入する。第1及び第2の成形ツールがステーションIIで結合すると、第1の成形ツール及び第2の成形ツールは、プランジャ26のヘッド及びフット45、47部分を画定するヘッドモールド又はネガティブヘッドスペース、及びフットモールド又はネガティブフットスペースを画定する。溶融プラスチックはモールド内の一連のチャネルを通って噴射され、ヘッドモールドとフットモールドを満たす。システム300は、2つの同一の第1の成形ツール304、306を含むが、他の例では、システム300は、1つの第1の成形ツール304、又は3つ以上の第1及び/又は第2の成形ツールを含み得る。
【0137】
図15は、本開示の教示に従って1つ又は複数のプランジャ本体162をオーバーモールドする例示的な方法310を示す。第1のステップ312は、成形システム300の第1の成形ツール304に1つ又は複数のプランジャ本体162を装填することを含む。
図14の成形システム300は、オペレータ又はロボットがステップ312を実行した後、方法310の以下のステップのうちの1つ又は複数を自動的に実行することができる。方法310のステップ314は、第1の成形ツール304、306を第2の成形ツールに結合することを含む。第1及び第2の成形ツールが結合されると、システム300は、ステップ316で溶融プラスチックを第1及び第2の成形ツールに注入して、プランジャ本体162上に成形構成要素(すなわち、ヘッド及びフット)を形成する。最後に、ステップ318において、成形された構成要素はプランジャ本体162上で冷却され、成形されたプランジャ本体はステーションIで第1の成形ツール304、306から排出されるか、又は別の方法で取り外される。方法の各ステップが完了した結果、
図1~
図3Bの薬物送達デバイス10用の複数のプランジャが提供される。
【0138】
図14に戻ると、成形システム300は、ステーションIに第1の成形ツール304を備え、ステーションIIに他の同一の第1の成形ツール306を備えた回転可能なテーブル308を含む。
図14には示されていないが、第2の成形ツール404(
図21)はステーションIIに配置され、プランジャ本体162をオーバーモールドするために第1の成形ツール304、306のいずれかに結合するように構成されている。したがって、第2の成形ツールはステーションIIに留まり、一方、第1の成形ツール304、306はステーションI及びIIにスピンイン及びそこからスピンアウトする。第1の成形ツール304は第2の成形ツール404に対して回転し、第2の成形ツール404は第1の成形ツール304に対して軸方向に移動して、ステーションIIで第1の成形ツール304に結合する。
【0139】
動作中、テーブル308は方向Gに回転して、1つ又は複数のプランジャ本体162が装填された第1の成形ツール304をステーションIからステーションIIに移動させる。同時に、テーブル308はまた、他の第1の成形ツール306をステーションIIからステーションIに移動させる。ステーションIIでは、プランジャ本体162が注入成形によってオーバーモールドされる。第1の成形ツール304のプランジャ本体162がステーションIIで成形され冷却された後、テーブル308は再び第1の成形ツール304を回転させてステーションIに戻し、そこでオーバーモールドされたプランジャ本体が第1の成形ツール304から取り外され、追加のプランジャ本体162と置き換えられる。もちろん、テーブル308が回転して第1の成形ツール304を位置決めするたびに、他の第1の成形ツール306は反対側のステーションに回転する。例えば、オペレータがステーションIで第1の成形ツール304を装填すると、同一の成形ツール306内に配置されたプランジャ本体162がステーションIIでオーバーモールドされる。テーブル308は180度回転して、第1の成形ツール304、306のそれぞれをステーションIとステーションIIとの間で移動させる。しかしながら、成形システム300の他の構成も可能であり、テーブル308の周囲に配置された追加の第1の成形ツールを含んでもよい。更に別の例では、成形システム300は、線形組立ライン、又は、装填、注入成形、及び取り出しのステップが実行されるただ1つのステーションを含むことができる。例示的なシステム300は、複数のプランジャ本体をオーバーモールドするように設計されているが、別の例示的なシステムは、一度に1つのプランジャ本体のみをオーバーモールドしてもよい。
【0140】
第1の成形ツール304は、全体的に
図16に示されており、上部プラットフォーム330に全て結合された複数のキャビティ320A~D、作動プレート322、及び作動コア324を含む。第1の成形ツール304の上部プラットフォーム330はまた、成形ツールを暖めるための加熱流体と、オーバーモールドされたプランジャ本体の成形部分を硬化するための冷却流体とを受け入れるように構成された複数の冷却孔326を含む。以下で更に詳細に説明するように、上部プラットフォーム330は、第2の成形ツール404の対応するプラットフォーム430と嵌合結合するように構成されている(
図22)。上部プラットフォーム330及び第2の成形ツール404の対応するプラットフォーム430の様々な合わせ面は、成形ツール304、404が結合するときにしっかりとしたクランプを達成するように精密に成形される。
【0141】
図17では、成形システム300の第1の成形ツール304はステーションIにあり、4つのプランジャ本体162が4つの別個のキャビティ320A、320B、320C、320Dに装填されている。第2の成形ツール404は、第1の成形ツール304と同じ数のキャビティを有し、第2の成形ツールの各キャビティは、第1の成形ツール304のプランジャ本体162を覆うように形成される。キャビティ320A~Dのそれぞれは、第1の成形部分プレート332の第1の成形部分332A~D、プラットフォーム330の中間部分334A~D、及び第2の成形部分プレート336の第2の成形部分336A~Dによって画定される。具体的には、
図17の第1の成形部分プレート332はヘッドモールド332A~Dの4つの別個の半体を画定し、第2の成形部分プレート336はフットモールド336A~Dの4つの別個の半体を画定する。第1の成形ツール304のキャビティ320A~Dは、上部プラットフォーム330と第1の成形ツール304の第1及び第2の成形部分プレート332、336に形成された溝340のネットワークによって接続されている。同様に、第2の成形ツール404のキャビティも、第1及び第2の成形ツール304、404の両方の複数の溝が、溶融プラスチックが注入される複数のチャネルを形成するように構成されるように、対応する溝に接続される。ステーションIIで第1の成形ツール304が第2の成形ツール404と位置合わせされ、結合されると、モールドは複数のチャネルを形成する。以下に更に詳細に説明するように、複数のチャネルは、第1の成形ツール304の各キャビティ320A~Dの第1の成形部分332A~Dと第2の成形部分336A~Dとの間、及び第2の成形ツール404の各キャビティの第1の成形部分と第2の成形部分との間に延びる。
【0142】
第1及び第2の成形部分プレート332、336は、第1の成形ツール304のプラットフォーム330に取り外し可能に結合される。第1及び第2の成形部分プレート332、336は、成形システム300、ひいては製造方法100を修正して、異なる結果として得られるプランジャを達成するために交換可能である。例えば、単に成形部分プレート332、336を切り替えることによって、システム300を使用して、異なる寸法のプランジャ本体をオーバーモールドし、及び/又はプランジャ本体上に異なる成形構成要素を形成することができる。成形部分プレート332、336は、第1の成形ツールの上部プラットフォーム330に形成されたキャビティ内に適合するようなサイズに作られている。各プレート332、336は、システム300又は成形ツール304の更なる調整を必要とせずに、第1の成形ツール304にシームレスに適合し、プラットフォーム330に形成された既存の溝と接続するように構成される。同様に、第2の成形ツール404(
図21)は、第1の成形ツール304の第1及び第2の成形部分332、336に対応する交換可能な第1及び第2の成形部分を含む。したがって、第1及び第2の成形部分332、336が第1の成形ツール304内で交換されると、第2の成形ツールの成形部分も第1の成形ツール304に適合するように交換される。しかしながら、他の例では、キャビティ320A~Dは、プラットフォーム330及び/又は取り外し可能なプレート内に完全に又は部分的に形成されてもよい。
【0143】
図18Aでは、第1の成形ツール304の第1のキャビティ320Aがより明確に示されている。しかしながら、第1のキャビティ320Aは他のキャビティ302B~Dと実質的に同様であり、その結果以下に説明する第1のキャビティ320Aの詳細は他のキャビティ320B~Dにも同様に当てはまることが理解されよう。第1の成形ツール304を装填するステップ312は、プランジャ本体162を第1の成形ツール304の第1のキャビティ320A内に配置することを含む。特に、プランジャ本体162の第1の端部164は第1の成形部分332A内に配置され、プランジャ本体162の第2の端部166は第2の成形部分336A内に配置される。円筒形プランジャ本体162は、キャビティ320Aの中間部分334A内で、且つプラットフォーム330に形成された1つ又は複数の真空スロット342の上に載っている。成形システム300は、テーブル308が回転するときにプランジャ本体162が第1の成形ツール304、306に確実に付着するように、各第1の成形ツール304、306の真空スロット342に結合された真空機構を含む。センサ344は、1つ又は複数の真空スロット342内に配置され、第1の成形ツール304上のプランジャ本体162の状態を監視及び報告するために、成形システム300のプロセッサに通信可能に結合される。センサ344は、プランジャ本体162が真空スロット342上に完全に配置されていないとき、又はセンサ344がプランジャ本体162のへこみ又は他の欠陥を検出したときにプロセッサと通信する。センサがキャビティ320A上へのプランジャ本体162の欠陥又は不適切な配置を検出した場合、センサ344はそのデータをプロセッサに送信し、条件が満たされたことを知らせる。プロセッサは、これらの条件が満たされた場合にシステム300のアラームを起動するようにプログラムされており、オペレータに第1の成形ツール304を再装填するよう警告する。アラームはまた、アラームが起動した場合にテーブル308が回転できないように、成形システム300のロックダウン機能と関連付けることもできる。
【0144】
また、
図18Aに示されるように、プラットフォーム330は、プランジャ本体162を第1の成形ツール304に固定し、プランジャ本体162を第1の成形ツール304から排出するための取り付けピン346及びエジェクタピン348、350を含む。取り付けピン346は、第1の成形部分332Aから間隔を置いて配置され、プランジャ本体162のハンガー170を受け入れるように構成される。プランジャ本体162をキャビティ320Aに確実に結合するために、取り付けピン346のそれぞれは、ハンガー170に形成された開口部172の1つを通って延びる。第1のエジェクタピン348はキャビティ320Aのネガティブヘッドスペース332A内にあり、第2のエジェクタピン350はキャビティ320Aのネガティブフットスペース336A内にある。オーバーモールドされたプランジャ本体をキャビティ320Aから取り外すために、エジェクタピン348、350が作動してプラットフォーム330からオーバーモールドされたプランジャ本体内に延び、オーバーモールドされたプランジャ本体をキャビティ320Aから押し出す。
図18Aに示すように、エジェクタピン348、350は、使用しないときはキャビティ320A内に後退し、オーバーモールドされたプランジャ本体が形成され、冷却され、取り外しの準備ができるまで後退位置に留まる。その時点で、システム300は、これらの条件が満たされていることを自動的に検出し、エジェクタピン348、350を作動させることができる。
【0145】
図18Bは、第2のキャビティ320Bの第1の成形部分332Bの拡大図を示す。第1の成形部分332Bは、ヘッドモールドのネガティブヘッドスペースの半分である。前述したように、第2の成形ツール404は、プランジャ26のヘッド部分45(及びフット部分47)のモールド410を完成させるネガティブヘッドスペース(及びネガティブフットスペース)を備えた対応するキャビティを提供する。
図18Bは、第1及び第2の成形ツール304、404の第1の成形部分が、カラー45Aを画定するネガティブカラースペース352と、カラー45Aから延びる突起48又はフランジを画定する第1及び第2のフランジのネガティブスペース354、356と、プランジャ本体162の第1の端部164の波形縁部174から離れる方向に延びる(
図19C)ヘッド45の一部を画定する上端357とを有する、ヘッドモールド332Bをどのように提供するかを示している。第1及び第2のフランジネガティブスペース354、356のうちの少なくとも1つは、1つ又は複数の突起48上にカム面49を形成するために、遠位に面する傾斜面358を含む。ネガティブフットスペースのモールドについては、
図19bCに関して更に後述する。
【0146】
図19A~
図19Cは、第1の成形ツール304の第1のキャビティ320A内に配置されたプランジャ本体162を示す。再度、プランジャ本体162を第1の成形ツール304に装填するステップ312は、プランジャ本体162の第1の端部164を第1の成形部分332Aに装填し、第2の端部166を第2の成形部分336Aに装填することを含む。プランジャ本体を装填することは、プランジャ本体162のハンガー170を第1の成形ツール304の取り付けピン346に結合することを含む。取り付けピン346は、システム300が成形プロセス中にプランジャ本体162に様々な力(例えば、回転力及び軸力)を加えるときに、キャビティ320Aに対するプランジャ本体162の位置を維持するのに役立つ。キャビティ320Aの中間部分334Aは、プランジャ本体162の円筒形外壁160を受容し、プランジャ本体162にしっかりと適合するように特に寸法決めされている。
【0147】
実際には、
図19B及び
図19Cに示すように、第1の成形ツール304は、プランジャ本体162上のプラスチックのバリを避けるために、少なくとも2つの位置360、362でプランジャ本体162と係合する。プランジャ本体162の外壁160と第1の成形ツール304の壁360、362との間の緊密な係合は、システム300が第1及び第2の成形ツール304、404に溶融プラスチックを注入するときに、第1及び第2の成形部分332A、336Aからの溶融プラスチックの浸出を低減する。特に、第1及び第2の成形部分332A、336Aによって画定される壁360、362は、プランジャ本体162の第1及び第2の端部164、166の周囲にそれぞれ接触する。第1の成形ツール304の壁360、362は、あらゆる溶融プラスチックがキャビティ320Aの中間部分334Aに浸透するのを遮断する。その結果、プランジャ26の軸方向壁39には成形部品が存在しない状態が保たれる。
【0148】
図19Bでは、キャビティ320Aの第2の成形部分336Aは、壁362とプランジャ本体162との間に緊密な接触を提供するだけでなく、プランジャ26のフット部分47を画定するネガティブフットスペースの半分も提供する。第1の成形部分332Aのネガティブヘッドスペースとは異なり、第2の成形部分336Aのネガティブフットスペースはプランジャ本体162の外壁160を取り囲んでいないため、ネガティブフットスペース336Aはプランジャ本体162の波形縁部176から延びる。むしろ、第1及び第2の成形ツール304、404の第2の成形部分336Aは、共に、波形縁部176の周囲を取り囲み、プランジャ本体162から軸方向に離れる方向に延びる面取りされたフットモールドを提供する。ネガティブフットモールド336Aは面取りされた端部366を有し、シリンジ内に組み立てられたときにプランジャ26にセルフセンタリング機構を提供する。実際、面取りされた端部336は、金属プランジャ本体162とシリンジのガラスとの間のバリアとして機能する、フット47の面取りされた部分を画定する。したがって、本明細書に記載の方法に従って製造されたプランジャ26は、プランジャ26が医療デバイス10を通って移動するときにシリンジのガラスに接触しない。
【0149】
図20は、第1の成形ツール304上に装填されたプランジャ本体162A~Dを準備するステップを示す。このステップは、プレート322及びコア324の両方がプランジャ本体162A~Dのそれぞれに係合するまで、プレート322及びコア324を、複数の装填されたプランジャ本体162A~Dに向かって移動させることを含む。プレート322は、プランジャ本体162A~Dの遠位端166A~Dに均等に接触することによってプランジャ本体162A~Dを位置合わせする、傾斜した先端部368を含む。第1の成形ツール304が完全且つ適切に装填された後(すなわち、アラームが起動しなかった場合)、システム300は、プレート322を作動させて、傾斜した先端部368がプランジャ本体162A~Dから離間する初期位置から、傾斜した先端部368がプランジャ本体162A~Dと係合する係合位置まで、H方向に移動させる。
【0150】
プレート322がプランジャ本体162A~Dと係合すると同時に、又はその直後に、システム300はコア324を作動させて、コア324がプランジャ本体162から離間する初期位置から、各コア324がプランジャ本体162A~Dの軸方向チャンバ168内に挿入される係合位置まで、H方向とは反対のJ方向に移動させる。図示の例では、1つのコア324のみが示されている。しかしながら、第1の成形ツール304は、第1の成形ツール304の4つの別個のキャビティ320A~Dに対応する4つの別個のコア324を担持するキャリッジ(図示せず)を含む。コア324がプランジャ本体320A~Dと係合すると、各コア324は、キャビティの第1の成形部分332Aの間をプランジャ本体320A~Dの軸方向チャンバ168内に延び、プランジャ本体162A~Dの長さのほぼ全体に沿って延びる。コア324は、プランジャ本体162の外壁160に対して位置Dまで延び、注入成形ステップ316中、所定の位置に留まる。この位置Dは、注入成形中に形成されるフット47の第1の部分55(
図4D)の近位端にも対応する。換言すれば、注入ステップ316中、溶融プラスチックは、位置Dに到達するまで、プランジャ本体162の第2の端部166及び軸方向チャンバ168に流れ込み、そこでコア124は、溶融プラスチックが軸方向キャビティ168内に更に流れるのを遮断する。コア324はまた、プランジャ本体162の上端164及び残りの軸方向チャンバ168への溶融プラスチックの望ましくない浸透を防止する。
【0151】
図21は、本開示の教示に従って構成された第2の成形ツール404を示す。第2の成形ツール404は、第2の成形ツール404がステーションIIに留まり、1つ又は複数の第1の成形ツール304、306と結合してモールド410を完成させることを除いて、上述の第1の成形ツール304と同様の特徴を有する。第1の成形ツール304の要素と同様の、
図21の第2の成形ツール404の要素は、同じ参照番号に100を加えて示されている。これらの要素の多くの説明は、簡潔さのために省略されるか更には省略されている。前述したように、第2の成形ツール404は、第1の成形ツール304のキャビティ320A~Dに対応する複数のキャビティ420A~Dと、第1の成形ツール304の溝340のネットワークに対応して複数のチャネルを形成する溝440のネットワークとを含む。
【0152】
図22では、方法310のステップ314において、第1の成形ツール304を第2の成形ツール404にクランプすることによって、モールド410が組み立てられる。第1の成形ツール304のプラットフォーム330と第2の成形ツール404のプラットフォーム430は、第1及び第2の成形ツール304、404がステーションIIで一緒にクランプされると、密封して嵌合する。各成形ツール304、404は、モールド410を注入する前に、第1及び第2の成形ツール304、404を正確且つ精密に位置合わせするセンタリング機構又は表面380、480を含む。実際、各表面380、480により、第1及び第2の成形ツール304、404を0.005インチ(約0.127mm)未満の隙間で位置合わせすることができる。
【0153】
第1及び第2の成形ツール304、404が互いにしっかりとクランプされた後、システム300は、クランプされた第1及び第2の成形ツール304、404を熱水(例えば、摂氏120度)で加熱する。具体的には、熱水は、第1の成形ツール304の冷却及び加熱チャネル326を通って流れる。モールド410が所望の高温に達すると、システム300は、ステップ316でモールド410の複数のチャネル482に溶融プラスチックを注入して、
図23に示すように、オーバーモールドされたプランジャ本体526を形成する。システム300は、800バールの圧力で溶融プラスチック源からモールド410に溶融プラスチックを注入する。
【0154】
図23は、溶融プラスチックをモールド410のチャネル内に注入して、オーバーモールドされたプランジャ本体を形成するステップを示す。例えば、第1のキャビティ320A内のオーバーモールドされたプランジャ本体526は、第1の端部164の一部を取り囲むヘッド545Aと、プランジャ本体162の第2の端部166から延びるフット547Aとを含む。フット547Aは、内壁に少なくとも部分的に結合され、ヘッド545Aは、プランジャ本体162の外壁160に結合される。第2の成形ツール404は、第1及び第2の成形ツール304、404の溝340、440を嵌合することによってモールド410のチャネル482のネットワークがどのように形成されるかについて、
図23では隠されている。チャネル482のネットワークは、チャネル482の第1のグループ484及び対称的な第2のグループ486を含む。
図23はチャネル482の第1のグループ484を示し、
図24Aは第2のグループ486を部分的に示す。しかしながら、
図17は、第1の成形ツール304に形成された溝340が正中線Mに関してどのように対称であるかを示しており、これは、モールド410によって形成されたチャネル482の第1及び第2のグループの対称に対応する。チャネル382の各グループ484、486は、第2の成形ツール404を横断してチャネル482のネットワークに流体接続する供給ライン488、492を含む。
【0155】
第1の供給ライン488(明確にするために、
図23では点線で示す)は、第1の成形ツール304の第1及び第2のキャビティ320A、320Bとの間に配置され、注入された溶融プラスチックを第1のグループのチャネル484を通って、第1及び第2のキャビティ320A、420A、320B、420Bの第1及び第2の成形部分332A~B、432A~B、336A~B、436A~B内に導く。
図24Aに示すように、第2の供給ライン490は第2の成形ツール404を横切り、第1の成形ツール304の第3のキャビティ320Cと第4のキャビティ320Dとの間の位置でチャネル382の第2のグループ486に接続する。第1のグループのチャネル484と同様に、第2のグループのチャネル486は、注入された溶融プラスチックを、第3及び第4のキャビティ320C、420C、320D、420Dの第1及び第2の部分332C、432C、336D、436Dに導く。図示された例は2つの供給ライン488、490を含むが、他の例示的な成形システム300は、溶融プラスチックの供給源と第1及び第2の成形ツール304、404とを接続するための追加の供給ラインを含んでもよい。追加の供給ラインは、第1及び第2の成形ツール304、404の一方又は両方を通って延びることができる。
【0156】
各供給ライン488、490は、均一で効率的な注入成形プロセスのために、溶融プラスチック源をチャネルのグループ484、486の両方に接続する。成形システム300は、モールド410の各キャビティ320A~D、420Aのネガティブフットスペース336A~D、436A~Dとネガティブヘッドスペース332A~D、432A~Dの両方を同時に充填するのに十分な力(例えば約800バール)でプラスチックを注入する。
図23に示すように、第1のキャビティ320A、420Aの第1及び第2の成形部分332A、432A、336A、436Aは、第1のアームチャネル492によって流体接続され、第2のキャビティ320B、420Bの第1及び第2の成形部分332B、432B、336B、436Bは、第2のアームチャネル494によって流体接続される。溶融プラスチックを、例えばモールド410の第1のキャビティ320A、420Aに注入するステップ316は、プランジャ本体162の第1の端部164から半径方向外向きに延びるフランジ548Aを有するヘッド545Aを形成することと、フランジ548Aの1つ又は複数の上にカムフォロア549Aを形成することとを含む。ヘッド545Aは、プランジャ本体162の外壁160の一部の周りに成形され、第1の端部164の波形縁部174に結合する。溶融プラスチックをモールド410内に注入するステップ316は、第1のキャビティ320A、420A内にフット547Aを形成することも含む。フット547Aは、プランジャ本体162の内壁に少なくとも部分的に隣接し、プランジャ本体162の第2の端部166の波形縁部176に結合する。同様のモールドがモールド410のキャビティのそれぞれに形成されることが理解されるであろう。
【0157】
第1及び第2のアーム492、494は、ブリッジチャネル496によって互いに流体結合される。各チャネルの両端で、第1及び第2のアーム492、494は、アーム492、494に対して垂直に延び、アーム492、494を第1及び第2の成形部分332A、432A、336A、436Aに接続する、第1及び第2のチャネル498A~B、500A~Bに接続される。例えば、第1及び第2のチャネル498A、500Aは、第1のアーム492を第1のキャビティ320A、420Aの第1の成形部分332A、432A及び第2の成形部分336A、436Aに接続する。同じことが、第2のキャビティ320B、420Bの第1及び第2の成形部分332B、432B、336B、436Bの接続にも当てはまる。第1及び第2のアーム492、494はブリッジ495によって互いに接続されており、ブリッジ495はLチャネル497によってチャネル482の第1のグループ484と第2のグループ486も接続している。チャネル482の第2のグループ486は、第3及び第4のキャビティ320C~D、420C~Dに注入するために同様に編成される。
【0158】
図23に示すように、各接続チャネル498A~B、500A~Bは、チャネル498A~B、500A~Bの少なくとも一部が第1又は第2の成形ツール304、404内に完全に形成されるように湾曲している。
図23及び
図24Bにおいて、第1の接続チャネル498A、498B、498Dは、オーバーモールドされたヘッド545A、545B、545Dの下で湾曲し、第2の接続チャネル500A、500B、500Dは、オーバーモールドされたフット547A、547B、547Dの上で湾曲する。第1の接続チャネル498A~Dは、オーバーモールドされたヘッド545A~Dの下に延び、エジェクタピン348、350がオーバーモールドされたプランジャ526をキャビティ320A~Dから排出するときに、第1の成形部分332A~Dの傾斜縁部502A~Dが成形プラスチックチャネルを切断するようになっている。第2の接続チャネル500A~Dは、オーバーモールドされたプランジャ本体526が第1の成形ツール304のキャビティ320A~Dから排出されるときに、エジェクタピン348、350の排出力によって成形されたプラスチックチャネルがスナップ又は、破損するように、約0.1mm~約0.2mmの範囲の直径Dを有する。
【0159】
注入ステップ316が完了した後、ステップ318で、システム300は、冷却チャネル326(
図16)を冷水で洗い流して、モールド410内のプラスチックを硬化させる。続いて、システム300は、第1の成形ツール304と第2の成形ツール404との間のクランプを解放し、テーブル308を約180度回転させて、第1の成形ツール304上に装填されたオーバーモールドされたプランジャ本体526をステーションIに位置決めする。ステーションIで、オーバーモールドされたプランジャ本体526は、第1の成形ツール404から取り外される。硬化したプランジャを第1の成形ツール304から取り外すことは、第1の成形ツール304内のエジェクタピン348、350を作動させることを含む。各キャビティ320A~D内に配置されたエジェクタピン348、350は、硬化したプランジャを第1の成形ツール304のプラットフォーム330から離れる方向に押す。硬化したプランジャを排出することによって、オーバーモールドされたヘッド545A~D及びフット547A~Dに取り付けられたモールドチャネルが自動的に切断又は破損し、オペレータによって取り外される接続部分を形成する。成形されたチャネルが除去されると、
図4A~
図4Eのプランジャ26のような複数のプランジャ26を、第1の成形ツール304から個別に取り外すことができる。プランジャ26が成形システム300から取り外された後、ハンガー170がプランジャ26から切り取られる。
【0160】
上述の記載では、薬物送達デバイスに関連して使用するための様々なデバイス、アセンブリ、構成要素、サブシステム及び方法について説明している。デバイス、アセンブリ、構成要素、サブシステム、方法、又は薬物送達デバイスは、以下に特定される薬物、並びにそれらのジェネリック及びバイオシミラー同等品を含むがそれらに限定されない薬物を更に含んでもよく、又はこれらとともに使用されてもよい。本明細書で使用する場合、薬物という用語は、他の類似の用語と交換可能に使用することができ、伝統的及び非伝統的な薬剤、栄養補助食品、サプリメント、生物学的製剤、生物学的活性剤及び組成物、大分子、バイオシミラー、生物学的均等物、治療用抗体、ポリペプチド、タンパク質、小分子及びジェネリック薬剤を含む、任意の種類の薬剤又は治療用材料を指すために使用され得る。非治療的な注入可能材料も包含される。薬物は、液体形態、凍結乾燥形態又は凍結乾燥形態から再構成されたものであり得る。以下の例示的な薬物のリストは、網羅的又は限定的であると考えるべきではない。
【0161】
薬物はリザーバ内に収容されることになる。いくつかの場合では、リザーバは、治療のために薬物が充填されるか又は予め充填されるかのいずれかである、一次容器である。一次容器は、バイアル、カートリッジ、又はプレフィルドシリンジであり得る。
【0162】
いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスのリザーバには、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)などのコロニー刺激因子が充填されてもよく、又はそれらとともにデバイスを使用することができる。そのようなG-CSF剤としては、Neulasta(登録商標)(ペグフィルグラスチム、PEG化フィルガストリム、PEG化G-CSF、PEG化hu-Met-G-CSF)及びNeupogen(登録商標)(フィルグラスチム、G-CSF、hu-MetG-CSF)、UDENYCA(登録商標)(ペグフィルグラスチム-cbqv)、Ziextenzo(登録商標)(LA-EP2006;ペグフィルグラスチム-bmez)又はFULPHILA(ペグフィルグラスチム-bmez)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0163】
他の実施形態では、薬物送達デバイスは、液体又は凍結乾燥形態であり得る赤血球造血刺激因子製剤(ESA)を収容し得るか、又はそれとともに使用され得る。ESAは、赤血球造血を刺激する任意の分子である。いくつかの実施形態では、ESAは、赤血球造血刺激タンパク質である。本明細書で使用する場合、「赤血球造血刺激タンパク質」とは、例えば、受容体に結合し、受容体の二量化を引き起こすことによってエリスロポエチン受容体の活性化を直接的又は間接的に引き起こす任意のタンパク質を意味する。赤血球造血刺激タンパク質としては、エリスロポエチン受容体に結合し、これを活性化させるエリスロポエチン及びその変異体、類似体、若しくは誘導体;エリスロポエチン受容体に結合し、この受容体を活性化させる抗体;又はエリスロポエチン受容体に結合し、活性化させるペプチドが挙げられる。赤血球造血刺激タンパク質としては、Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ)、Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコール-エポエチンベータ)、Hematide(登録商標)、MRK-2578、INS-22、Retacrit(登録商標)(エポエチンゼータ)、Neorecormon(登録商標)(エポエチンベータ)、Silapo(登録商標)(エポエチンゼータ)、Binocrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、エポエチンアルファHexal、Abseamed(登録商標)(エポエチンアルファ)、Ratioepo(登録商標)(エポエチンシータ)、Eporatio(登録商標)(エポエチンシータ)、Biopoin(登録商標)(エポエチンシータ)、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、エポエチンイオタ、エポエチンオメガ、エポエチンデルタ、エポエチンゼータ、エポエチンシータ、及びエポエチンデルタ、PEG化エリスロポエチン、カルバミル化エリスロポエチン、並びにそれらの分子又は変異体又は類似体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0164】
特定の例示的なタンパク質の中には、その融合物、断片、類似体、変異体、又は誘導体を含む、以下で説明する特定のタンパク質がある:完全ヒト化及びヒトOPGL特異抗体、特に、完全ヒト化モノクローナル抗体を含む、(RANKL特異抗体、ペプチボディなどとも称される)OPGL特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;ミオスタチン特異的ペプチボディを含む、ミオスタチン結合タンパク質、ペプチボディ、関連タンパク質など;特に、IL-4及び/又はIL-13の受容体への結合によって媒介される活性を阻害する、IL-4受容体特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;インターロイキン1-受容体1(「IL1-R1」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;Ang2特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;NGF特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;CD22特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など、特に、ヒト-マウスモノクローナルhLL2カッパ鎖に結合したヒト-マウスモノクローナルhLL2ガンマ鎖二硫化物の二量体、例えば、エプラツズマブ(CAS登録番号501423-23-0)のヒトCD22特異完全ヒト化抗体などの、ヒトCD22特異IgG抗体を特に含むがそれに限定されない、ヒト化及び完全ヒトモノクローナル抗体を含むがそれに限定されない、ヒト化及び完全ヒト抗体などであるがそれに限定されない、ヒトCD22特異抗体;抗IGF-1R抗体を含むがそれに限定されない、IGF-1受容体特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質など;B7RP特異完全ヒトモノクローナルIgG2抗体を含むがそれに限定されない、B7RP-1の最初の免疫グロブリン様ドメインのエピトープと結合する完全ヒトIgG2モノクローナル抗体を含むがそれに限定されない、B7RP-1と活性化T細胞上のその天然の受容体であるICOSとの相互作用を阻害するものを含むがそれに限定されない、B-7関連タンパク質1特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など(「B7RP-1」並びにB7H2、ICOSL、B7h、及びCD275とも称される);例えば145c7などの、HuMax IL-15抗体及び関連タンパク質を含むがそれらに限定されない、特にヒト化モノクローナル抗体などの、IL-15特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;ヒトIFNガンマ特異抗体を含むがそれに限定されない、及び完全ヒト抗IFNガンマ抗体を含むがそれに限定されない、IFNガンマ特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;TALL-1特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など、並びに他のTALL特異結合タンパク質;副甲状腺ホルモン(「PTH」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;トロンボポチエン受容体(「TPO-R」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;HGF/SFを標的化するものを含む、肝細胞増殖因子(「HGF」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;肝細胞増殖因子特異抗体を中和する完全ヒトモノクローナル抗体などのcMet軸(HGF/SF:c-Met)、;TRAIL-R2特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;アクチビンA特異抗体、ペプチボディ、タンパク質など;TGF-ベータ特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;アミロイド-ベータタンパク質特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;c-Kit及び/又は他の幹細胞因子受容体と結合するタンパク質を含むが、それらに限定されない、c-Kit特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;OX40L及び/又はOX40受容体の他のリガンドと結合するタンパク質を含むが、それに限定されない、OX40L特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;Activase(登録商標)(アルテプラーゼ、tPA);Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、エリスロポエチン[30-アスパラギン、32-スレオニン、87-バリン、88-アスパラギン、90-スレオニン]、ダルベポエチンアルファ、新しい赤血球造血刺激タンパク質(NESP);Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ又はエリスロポエチン);GLP-1、Avonex(登録商標)(インターフェロンベータ-1a);Bexxar(登録商標)(トシツモマブ、抗CD22モノクローナル抗体);Betaseron(登録商標)(インターフェロン-ベータ);Campath(登録商標)(アレムツズマブ、抗CD52モノクローナル抗体);Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ);Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ);MLN0002(抗α4β7 mAb);MLN1202(抗CCR2ケモカイン受容体mAb);Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF受容体/Fc融合タンパク質、TNF遮断薬);Eprex(登録商標)(エポエチンアルファ);Erbitux(登録商標)(セツキシマブ、抗EGFR/HER1/c-ErbB-1);Genotropin(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン);Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ、抗HER2/neu(erbB2)受容体mAb);Kanjinti(商標)(トラスツズマブ-anns)抗HER2モノクローナル抗体、Herceptin(登録商標)のバイオシミラー又は乳癌若しくは胃癌の治療のためのトラスツズマブを含有する別の製品;Humatrope(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン);Humira(登録商標)(アダリムマブ);Vectibix(登録商標)(パニツムマブ)、Xgeva(登録商標)(デノスマブ)、Prolia(登録商標)(デノスマブ)、RANKリガンドに対する免疫グロブリンG2ヒトモノクローナル抗体、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF受容体/Fc融合タンパク質、TNF遮断薬)、Nplate(登録商標)(ロミプロスチム)、リロツムマブ、ガニツマブ、コナツムマブ、ブロダルマブ、溶液中のインスリン;Infergen(登録商標)(インターフェロンアルファコン-1);Natrecor(登録商標)(ネシリチド;遺伝子組換え型ヒトB型ナトリウム利尿ペプチド(hBNP);Kineret(登録商標)(アナキンラ);Leukine(登録商標)(サルガモスチム、rhuGM-CSF);LymphoCide(登録商標)(エプラツズマブ、抗CD22 mAb);Benlysta(商標)(リンフォスタットB、ベリムマブ、抗BlyS mAb);Metalyse(登録商標)(テネクテプラーゼ、t-PA類似体);Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコール-エポエチンベータ);Mylotarg(登録商標)(ゲムツズマブオゾガマイシン);Raptiva(登録商標)(エファリズマブ);Cimzia(登録商標)(セルトリズマブペゴル、CDP 870);Soliris(商標)(エクリズマブ);ペキセリズマブ(抗補体C5);Numax(登録商標)(MEDI-524);Lucentis(登録商標)(ラニビズマブ);Panorex(登録商標)(17-1A、エドレコロマブ);Trabio(登録商標)(レルデリムマブ);TheraCim hR3(ニモツズマブ);Omnitarg(ペルツズマブ、2C4);Osidem(登録商標)(IDM-1);OvaRex(登録商標)(B43.13);Nuvion(登録商標)(ビジリズマブ);カンツズマブメルタンシン(huC242-DM1);NeoRecormon(登録商標)(エポエチンベータ);Neumega(登録商標)(オプレルベキン、ヒトインターロイキン-11);Orthoclone OKT3(登録商標)(ムロモナブ-CD3、抗CD3モノクローナル抗体);Procrit(登録商標)(エポエチンアルファ);Remicade(登録商標)(インフリキシマブ、抗TNFαモノクローナル抗体);Reopro(登録商標)(アブシキシマブ、抗GP lIb/Ilia受容体モノクローナル抗体);Actemra(登録商標)(抗IL6受容体mAb);Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)、HuMax-CD4(ザノリムマブ);Mvasi(商標)(ベバシズマブ-awwb);Rituxan(登録商標)(リツキシマブ、抗CD20 mAb);Tarceva(登録商標)(エルロチニブ);Roferon-A(登録商標)-(インターフェロンアルファ-2a);Simulect(登録商標)(バシリキシマブ);Prexige(登録商標)(ルミラコキシブ);Synagis(登録商標)(パリビズマブ);145c7-CHO(抗IL15抗体、米国特許第7,153,507号明細書を参照);Tysabri(登録商標)(ナタリズマブ、抗α4インテグリンmAb);Valortim(登録商標)(MDX-1303、抗炭疽菌(B.anthracis)防御抗原mAb);ABthrax(商標);Xolair(登録商標)(オマリズマブ);ETI211(抗MRSA mAb);IL-1 trap(ヒトIgG1のFc部分及び両IL-1受容体成分(I型受容体及び受容体補助タンパク質)の細胞外ドメイン);VEGF trap(IgG1 Fcと融合したVEGFR1のIgドメイン);Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ);Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ、抗IL-2Rα mAb);Zevalin(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン);Zetia(登録商標)(エゼチマイブ);Orencia(登録商標)(アタシセプト、TACI-Ig);抗CD80モノクローナル抗体(ガリキシマブ);抗CD23 mAb(ルミリキシマブ);BR2-Fc(huBR3/huFc融合タンパク質、可溶性BAFF拮抗薬);CNTO 148(ゴリムマブ、抗TNFα mAb);HGS-ETR1(マパツズマブ;ヒト抗TRAIL受容体-1 mAb);HuMax-CD20(オクレリズマブ、抗CD20ヒトmAb);HuMax-EGFR(ザルツムマブ);M200(ボロシキシマブ、抗α5β1インテグリンmAb);MDX-010(イピリムマブ、抗CTLA-4 mAb及びVEGFR-1(IMC-18F1);抗BR3 mAb;抗C.ディフィシル(C.difficile)毒素A並びに毒素B C mAb MDX-066(CDA-1)及びMDX-1388);抗CD22 dsFv-PE38コンジュゲート(CAT-3888及びCAT-8015);抗CD25 mAb(HuMax-TAC);抗CD3 mAb(NI-0401);アデカツムマブ;抗CD30 mAb(MDX-060);MDX-1333(抗IFNAR);抗CD38 mAb(HuMax CD38);抗CD40L mAb;抗Cripto mAb;抗CTGF特発性肺線維症第1期フィブロゲン(FG-3019);抗CTLA4 mAb;抗エオタキシン1 mAb(CAT-213);抗FGF8 mAb;抗ガングリオシドGD2 mAb;抗ガングリオシドGM2 mAb;抗GDF-8ヒトmAb(MYO-029);抗GM-CSF受容体mAb(CAM-3001);抗HepC mAb(HuMax HepC);抗IFNα mAb(MEDI-545、MDX-198);抗IGF1R mAb;抗IGF-1R mAb(HuMax-Inflam);抗IL12 mAb(ABT-874);抗IL12/IL23 mAb(CNTO 1275);抗IL13 mAb(CAT-354);抗IL2Ra mAb(HuMax-TAC);抗IL5受容体mAb;抗インテグリン受容体mAb(MDX-018、CNTO 95);抗IP10潰瘍性大腸炎mAb(MDX-1100);BMS-66513;抗マンノース受容体/hCGβ mAb(MDX-1307);抗メソテリンdsFv-PE38コンジュゲート(CAT-5001);抗PD1mAb(MDX-1106(ONO-4538));抗PDGFRα抗体(IMC-3G3);抗TGFβ mAb(GC-1008);抗TRAIL受容体-2ヒトmAb(HGS-ETR2);抗TWEAK mAb;抗VEGFR
/Flt-1 mAb;及び抗ZP3 mAb(HuMax-ZP3)。
【0165】
いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、ロモソズマブ、ブロソズマブ、BPS 804(Novartis)、Evenity(商標)(ロモソズマブ-aqqg)、閉経後の骨粗鬆症及び/又は骨折治癒の治療のためのロモソズマブを含有する別の製品などであるがそれらに限定されないスクレロスチン抗体、並びに他の実施形態において、ヒトプロタンパク転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に結合するモノクローナル抗体(IgG)を収容してもよい、又はこれらとともに使用されてもよい。このようなPCSK9特異抗体としては、Repatha(登録商標)(エボロクマブ)及びPraluent(登録商標)(アリロクマブ)が挙げられるが、それらに限定されない。他の実施形態では、薬物送達デバイスは、リロツムマブ、ビキサロマー、トレバナニブ、ガニツマブ、コナツムマブ、モテサニブニリン酸塩、ブロダルマブ、ヴィデュピプラント、又はパニツムマブを収容してもよい、又はこれらとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスのリザーバには、OncoVEXGALV/CD;OrienX010;G207、1716;NV1020;NV12023;NV1034;及びNV1042を含むがそれらに限定されない、黒色腫又は他の癌の治療用のIMLYGIC(登録商標)(タリモジーンラハーパレプベック)又は別の腫瘍溶解性HSVが充填されてもよい、又はデバイスは、これらとともに使用することができる。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、TIMP-3などであるがそれらに限定されないメタロプロテイナーゼの内在性組織阻害剤(TIMP)を収容してもよい、又はそれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、Aimovig(登録商標)(エレヌマブ-aooe)、抗ヒトCGRP-R(カルシトニン遺伝子関連ペプチド1型受容体)又は片頭痛の治療のためのエレヌマブを含有する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。エレヌマブ、並びにCGRP受容体及び他の頭痛標的を標的とする二重特異性抗体分子などであるがそれらに限定されないヒトカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体の拮抗的抗体もまた、本開示の薬物送達デバイスを用いて送達されてもよい。加えて、BLINCYTO(登録商標)(ブリナツモマブ)などであるがそれらに限定されない二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))分子を、本開示の薬物送達デバイスにおいて又はこれとともに使用することができる。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、アペリン又はその類似体などであるがそれらに限定されないAPJ大分子アゴニストを収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、治療的有効量の抗胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)又はTSLP受容体抗体が本開示の薬物送達デバイスにおいて又はこれとともに使用される。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、Avsola(商標)(インフリキシマブ-axxq)、抗TNF αモノクローナル抗体、Remicade(登録商標)(インフリキシマブ)のバイオシミラー(Janssen Biotech,Inc.)若しくは自己免疫疾患の治療のためのインフリキシマブを含有する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、Kyprolis(登録商標)(カルフィルゾミブ)、(2S)-N-((S)-1-((S)-4-メチル-1-((R)-2-メチルオキシラン-2-イル)-1-オキソペンタン-2-イルカルバモイル)-2-フェニルエチル)-2-((S)-2-(2-モルホリノアセトアミド)-4-フェニルブタンアミド)-4-メチルペンタンアミド、若しくは多発性骨髄腫の治療のためのカルフィルゾミブを含有する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、Otezla(登録商標)(アプレミラスト)、N-[2-[(1S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]-2,3-ジヒドロ-1,3-ジオキソ-1H-イソインドール-4-イル]アセトアミド、若しくは様々な炎症性疾患の治療のためのアプレミラストを含有する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、Parsabiv(商標)(エテルカルセチドHCl、KAI-4169)若しくは血液透析中の慢性腎疾患(KD)を有する患者などにおける二次性副甲状腺機能亢進症(sHPT)の治療のためのエテルカルセチドHClを含有する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、ABP 798(リツキシマブ)、Rituxan(登録商標)/MabThera(商標)のバイオシミラー候補、若しくは抗CD20モノクローナル抗体を含有する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、非抗体VEGF拮抗薬などのVEGF拮抗薬、及び/又はアフリベルセプトなどのVEGFトラップ(IgG1のFcドメインに融合した、VEGFR1からのIgドメイン2及びVEGFR2からのIgドメイン3)を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、ABP 959(エクリズマブ)、Soliris(登録商標)のバイオシミラー候補、若しくは補体タンパク質C5に特異的に結合するモノクローナル抗体を含有する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、ICOSL及びBAFF活性を同時に遮断する新規の二重特異性抗体-ペプチドコンジュゲートであるロジバフスプアルファ(以前はAMG 570)を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、心臓の収縮機構を直接的に標的化するオメカムチブメカルビル、小分子選択的心筋ミオシン活性化因子、若しくはミオトロープ、又は小分子選択的心筋ミオシン活性化因子を含有する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、ソトラシブ(以前はAMG 510として知られる)、KRASG12C小分子阻害剤、又はKRASG12C小分子阻害剤を含有する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)の作用を阻害するテゼペルマブ、ヒトモノクローナル抗体、又はTSLPの作用を阻害するヒトモノクローナル抗体を含有する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、インターロイキン-15(IL-15)に結合するAMG 714、ヒトモノクローナル抗体又はインターロイキン-15(IL-15)に結合するヒトモノクローナル抗体を含有する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、Lp(a)としても知られるリポタンパク質(a)を減らすAMG 890、低分子干渉RNA(siRNA)、又はリポタンパク質(a)を減らす低分子干渉RNA(siRNA)を含有する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、ABP 654(ヒトIgG1カッパ抗体)、Stelara(登録商標)のバイオシミラー候補、又はヒトIgG1カッパ抗体を含有し及び/又はヒトサイトカインインターロイキン(IL)-12及びIL-23のp40サブユニットに結合する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、Amjevita(商標)若しくはAmgevita(商標)(以前はABP 501)(mab抗TNFヒトIgG1)、Humira(登録商標)のバイオシミラー候補、又はヒトmab抗TNFヒトIgG1を含有する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 160、又は半減期延長(HLE)抗前立腺特異的膜抗原(PSMA)×抗CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャー)コンストラクトを含有する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 119、又はデルタ様リガンド3(DLL3)CAR T(キメラ抗原受容体T細胞)細胞療法を含有する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 119、又はデルタ様リガンド3(DLL3)CAR T(キメラ抗原受容体T細胞)細胞療法を含有する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 133、又は胃抑制ポリペプチド受容体(GIPR)アンタゴニスト及びGLP-1Rアゴニストを含有する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 171、又は増殖分化因子15(GDF15)類似体を含有する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 176、又は骨髄細胞白血病1(MCL-1)の小分子阻害剤を含有する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 199、又は半減期延長(HLE)二重特異性T細胞エンゲージャーコンストラクト(BiTE(登録商標))を含有する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 256、又はプログラム細胞死-1(PD-1)陽性細胞においてインターロイキン21(IL-21)経路を選択的に活性化するように設計された抗PD-1×IL21ムテイン及び/若しくはIL-21受容体アゴニストを含有する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 330、又は抗CD33×抗CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャー)コンストラクトを含有する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 404、又は固形腫瘍を有する患者のための治療として調査されているヒト抗プログラム細胞死-1(PD-1)モノクローナル抗体を含有する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 427、又は半減期延長(HLE)抗fms様チロシンキナーゼ3(FLT3)×抗CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャー)コンストラクトを含有する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 430又は抗Jagged-1モノクローナル抗体を含有する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 506、又は固形腫瘍のための治療として研究されている多重特異性FAP×4-1BB標的化DARPin(登録商標)生物製剤を含有する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 509、又は二価T細胞エンゲージャーを含有し及びXmAb(登録商標)2+1技術を使用して設計される別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 56
2、又は半減期延長(HLE)CD19×CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャー)コンストラクトを含有する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、エファバリューキンアルファ(以前はAMG 592)又はIL-2ムテインFc融合タンパク質を含有する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 596、又はCD3×上皮増殖因子受容体vIII(EGFRvIII)BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャー)分子を含有する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 673、又は半減期延長(HLE)抗CD33×抗CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャー)コンストラクトを含有する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 701、又は半減期延長(HLE)抗B細胞成熟抗原(BCMA)×抗CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャー)コンストラクトを含有する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 757、又は半減期延長(HLE)抗デルタ様リガンド3(DLL3)×抗CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャー)コンストラクトを含有する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 910、又は半減期延長(HLE)上皮細胞タイトジャンクション構成タンパク質クローディン18.2×CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャー)コンストラクトを含有する別の製品を収容してもよい、又はこれとともに使用されてもよい。
【0166】
薬物送達デバイス、アセンブリ、構成要素、サブシステム、及び方法を、例示的な実施形態の観点から説明してきたが、これらに限定されるものではない。発明を実施するための形態は、単に例として解釈されるべきであり、本開示の考え得る全ての実施形態を説明しているわけではない。現在の技術又は本特許の申請日以降に開発された技術のいずれかを使用して、多くの代替的な実施形態を実施することができるが、このような実施形態はなお、本明細書に開示される本発明を定義する請求項の範囲内に含まれる。
【0167】
当業者であれば、本明細書に開示される発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく上記の実施形態に対して多種多様な修正、変更、及び組み合わせを施すことができ、そうした修正、変更、及び組み合わせは本発明の概念の範囲内にあると解釈されることを理解するであろう。
【国際調査報告】