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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】ポリウレタンの水分散体
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20240305BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20240305BHJP
   C08G 18/44 20060101ALI20240305BHJP
   C08G 18/40 20060101ALI20240305BHJP
   C08G 18/08 20060101ALI20240305BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20240305BHJP
   C08G 18/65 20060101ALI20240305BHJP
   C08G 18/73 20060101ALI20240305BHJP
   C08G 18/75 20060101ALI20240305BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
C08G18/00 C
C08G18/42
C08G18/44
C08G18/40 009
C08G18/08 004
C08G18/32 003
C08G18/32 025
C08G18/65 005
C08G18/73
C08G18/75
C09J175/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023554351
(86)(22)【出願日】2022-03-04
(85)【翻訳文提出日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 EP2022055526
(87)【国際公開番号】W WO2022189282
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】21305271.5
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501305888
【氏名又は名称】ボスティク エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】デュフォー, ステファン
【テーマコード(参考)】
4J034
4J040
【Fターム(参考)】
4J034CA02
4J034CA04
4J034CA05
4J034CA15
4J034CA17
4J034CA22
4J034CB03
4J034CB04
4J034CB07
4J034CB08
4J034CC03
4J034CC10
4J034CC12
4J034CC22
4J034CC23
4J034CC26
4J034CC45
4J034CC52
4J034CC61
4J034CC62
4J034CC65
4J034CC67
4J034CD05
4J034CD09
4J034DF01
4J034DF02
4J034DF03
4J034DF11
4J034DF12
4J034DF16
4J034DF20
4J034DF22
4J034DF24
4J034DG02
4J034DG04
4J034HA01
4J034HA02
4J034HA06
4J034HA07
4J034HA13
4J034HA14
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC17
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA30
4J034JA42
4J034QA01
4J034QA02
4J034QA03
4J034QA05
4J034QB03
4J034QB10
4J034QC03
4J034QC05
4J034RA05
4J034RA07
4J034RA08
4J034RA09
4J040EF001
4J040JB03
4J040LA02
4J040MA10
(57)【要約】
本発明は、水と、-A)水および少なくとも以下の成分:(a)ポリイソシアネート化合物;(b)以下を含むポリオール化合物:(c)乳化剤;を反応させることによって得られるポリウレタンポリマーA-1)を含む水分散体、-B)水および少なくとも以下の成分:(i)ジイソシアネート;
(ii)500~10000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有する少なくとも1つのポリエーテルポリオール;(iii)1以上のアミノ官能価を有するアミノ化合物;(iv)少なくとも1つのイソシアネート反応性基および少なくとも1つのイオン性基または潜在的イオン性基を含む化合物;を反応させることによって得られる、非晶質のポリウレタンポリマーB-1)を含むA)以外の水分散体、の混合物とを含む、水分散体に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と、
-A)水および少なくとも以下の成分:
(a)ポリイソシアネート化合物;
(b)ポリオール化合物であって、
(b1)それぞれ500g/mol以上の数平均分子量(Mn)を有するポリエステルポリオール(b2)とポリカーボネートポリオール(b3)との混合物;
(b4)500g/mol以上の数平均分子量(Mn)を有するポリエステル-ポリカーボネートポリオール;または
(b5)上記で定義したポリエステル-ポリカーボネートポリオール(b4)と、上記で定義したポリエステルポリオール(b2)、上記で定義したポリカーボネートポリオール(b3)、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1つのポリオールとの混合物;
を含む、ポリオール化合物;
ただし、ポリオール化合物b)において、モル比-C(=O)-O-/-O-C(=O)-O-が35/65~75/25の範囲であることを条件とし、
(c)乳化剤;
(d)少なくとも1つのイソシアネート反応性基および少なくとも1つのイオン性基または潜在的イオン性基を含む任意選択の化合物;
(e)少なくとも1つのイソシアネート反応性基および少なくとも1つの非イオン性親水性基を含む任意選択の化合物;
(f)1以上のアミノ官能価を有する任意のアミノ化合物;
(g)400g/mol未満の分子量を有する任意選択のジオール;
を反応させることによって得られるポリウレタンポリマーA-1)を含む水分散体、
-B)水および少なくとも以下の成分:
(i)ジイソシアネート;
(ii)500~10000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有する少なくとも1つのポリエーテルポリオール;
(iii)1以上のアミノ官能価を有するアミノ化合物;
(iv)少なくとも1つのイソシアネート反応性基および少なくとも1つのイオン性基または潜在的イオン性基を含む化合物;
を反応させることによって得られる、非晶質のポリウレタンポリマーB-1)を含むA)以外の水分散体
の混合物とを含む、水分散体。
【請求項2】
ポリイソシアネート化合物(a)がヘキサメチレンジイソシアネートを含み、ヘキサメチレンジイソシアネートの量が、ポリイソシアネート化合物(a)の量が100重量%であることに基づいて、25重量%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の水分散体。
【請求項3】
ポリイソシアネート化合物(a)が、ヘキサメチレンジイソシアネート以外のポリイソシアネート(a-1)をさらに含み、好ましくは脂肪族ポリイソシアネートおよび脂環式ポリイソシアネートからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載の水分散体。
【請求項4】
ポリイソシアネート化合物(a-1)がイソホロンジイソシアネートである、請求項3に記載の水分散体。
【請求項5】
ポリオール化合物b)において、モル比-C(=O)-O-/-O-C(=O)-O-が、35/65~75/25、好ましくは35/65~75/25、さらにより好ましくは45/55~65/35の範囲であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の水分散体。
【請求項6】
ポリエステルポリオール(b2)が、500g/mol~10000g/mol、好ましくは750g/mol~5000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の水分散体。
【請求項7】
ポリエステルポリオール(b2)が、アジピン酸と脂肪族ポリオールとの重縮合から生じるポリエステルポリオールであり、上記脂肪族ポリオールがより好ましくは1,4-ブタンジオールであることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の水分散体。
【請求項8】
ポリカーボネートポリオール(b3)が、任意選択的に触媒の存在下で、少なくともカーボネート化合物とジオールとの反応によって得られ、ジオールが、ジオールの量が100重量%であることに基づいて、好ましくは40重量%以上の1,6-ヘキサンジオールおよび/またはヘキサンジオール誘導体を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の水分散体。
【請求項9】
ポリウレタンA-1)が、15J/g~60J/g、より好ましくは20J/g~50J/gの範囲の融解エンタルピーを有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の水分散体。
【請求項10】
ポリウレタンA-1)が、-100℃~-10℃の範囲、より好ましくは-60℃~-20℃の範囲、さらにより好ましくは-60℃~-40℃のガラス転移温度を有することを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の水分散体。
【請求項11】
ジイソシアネート(ii)が、2,4-トルイレンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トルイレンジイソシアネート(2,6-TDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,4-キシリレンジイソシアネート(XDI)、およびそれらの混合物からなる群から選択され、ジイソシアネート(ii)が、さらにより好ましくは、2,4および/または2,6-TDIであることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の水分散体。
【請求項12】
ポリエーテルポリオール(ii)が、1~4個の炭素原子、より優先的には2~3個の炭素原子を含む直鎖または分岐アルキレン部分であるポリオキシアルキレンポリオールから選択され、ポリエーテルポリオール(ii)が、さらにより好ましくはポリオキシプロピレンポリオールであることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の水分散体。
【請求項13】
成分(iv)が、N-(2-アミノエチル)-β-アラニンのナトリウム塩、2-(2-アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸およびジメチロールプロピオン酸のナトリウム塩の中から選択されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の水分散体。
【請求項14】
ポリウレタンB-1)が、少なくとも1つのアニオン性基を含むアニオン性ポリウレタンであることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の水分散体。
【請求項15】
ポリウレタンB-1)が、-60℃~0℃、好ましくは-60℃~-20℃、より好ましくは-60℃~-40℃、さらにより好ましくは-60℃~-40℃の範囲のガラス転移温度Tgを有することを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の水分散体。
【請求項16】
水分散体の総重量に基づいて、以下:
-30重量%~90重量%、好ましくは40重量%~80重量%の、請求項1~15のいずれか一項で定義した分散体A)、および
-10重量%~70重量%、好ましくは25重量%~55重量%の、請求項1~15のいずれか一項で定義した分散体B)
を含むことを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の水分散体。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に定義した水分散体を含む組成物。
【請求項18】
例えば織物、不織布、皮革、ゴム材料、プラスチックなどの任意の基材を結合するための、請求項1~16のいずれか一項に記載の水分散体または請求項17に記載の組成物の使用。
【請求項19】
2つの基材を結合によって組み立てる方法であって、
-少なくとも1つの基材に、請求項1~16のいずれか一項に記載の水分散体または請求項17に記載の組成物を塗布すること;
-水をエバポレーションすること;
-基材の一方の面に形成された接着剤層を温度T1に加熱する任意選択の工程;
-2つの基材を圧着させること
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性ポリウレタン分散体の混合物に基づく水分散体に関する。
【0002】
本発明はまた、上記水分散体の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリウレタンの水分散体は公知である。それらは、織物、ゴム材料、プラスチック、皮革などのような異なる種類の基材を結合するための接着剤などの様々な用途に適している。ポリウレタンのいくつかの水分散体は、接着剤層を活性化し、基材を結合するために温度活性化を必要とする。上記分散体の1つの欠点は、接着剤層を活性化するのに必要な温度が高く、これが感受性基材を損傷する可能性があることである。
【0004】
溶媒、可塑剤または樹脂の添加によって活性化温度を低下させる試みは、結合の強度の望ましくない損失をもたらす。
【0005】
ポリウレタンの他の水性接着剤分散体は、温度活性化を必要とせず、圧着のみによって基材を結合することができる。業界は依然として、温度活性化の有無にかかわらず、湿式組立、感圧式、圧着のような異なる継手組立方法で使用することができる汎用接着剤を求めている。
【0006】
広い温度範囲内で、特に低温で良好な結合特性を示す新しい汎用水分散体接着剤が必要とされている。
【0007】
湿潤条件および/または高温でのエージング後に良好な結合特性を維持する新しい水分散体接着剤も必要とされている。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、水と、
-A)水および少なくとも以下の成分:
(a)ポリイソシアネート化合物;
(b)ポリオール化合物であって、
(b1)それぞれ500g/mol以上の数平均分子量(Mn)を有するポリエステルポリオール(b2)とポリカーボネートポリオール(b3)との混合物;
(b4)500g/mol以上の数平均分子量(Mn)を有するポリエステル-ポリカーボネートポリオール;または
(b5)上記で定義したポリエステル-ポリカーボネートポリオール(b4)と、上記で定義したポリエステルポリオール(b2)、上記で定義したポリカーボネートポリオール(b3)、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1つのポリオールとの混合物;
を含む、ポリオール化合物;
ただし、ポリオール化合物b)において、モル比-C(=O)-O-/-O-C(=O)-O-が35/65~75/25の範囲であることを条件とし、
(c)乳化剤;
(d)少なくとも1つのイソシアネート反応性基および少なくとも1つのイオン性基または潜在的イオン性基を含む任意選択の化合物;
(e)少なくとも1つのイソシアネート反応性基および少なくとも1つの非イオン性親水性基を含む任意選択の化合物;
(f)1以上のアミノ官能価を有する任意のアミノ化合物;
(g)400g/mol未満の分子量を有する任意選択のジオール;
を反応させることによって得られるポリウレタンポリマーA-1)を含む水分散体、
-B)水および少なくとも以下の成分:
(i)ジイソシアネート;
(ii)500~10000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有する少なくとも1つのポリエーテルポリオール;
(iii)1以上のアミノ官能価を有するアミノ化合物;
(iv)少なくとも1つのイソシアネート反応性基および少なくとも1つのイオン性基または潜在的イオン性基を含む化合物;
を反応させることによって得られる、非晶質のポリウレタンポリマーB-1)を含むA)以外の水分散体
の混合物とを含む、水分散体に関する。
【0009】
本発明の意味におけるポリウレタンには、ウレタン基および尿素基の両方を有するポリウレタン-尿素も含まれる。
【0010】
本発明の文脈内で、非晶質とは、ポリウレタンが融解領域を有しないことを意味する。
【0011】
本発明の文脈内で、潜在的イオン性基とは、例えば塩基による中和によってイオン性基を形成することができる基である。
【0012】
水分散体の固形分は、EN ISO 3251に従って、例えば、熱チャンバ内で105℃で少なくとも1時間エバポレーションすることによって決定することができる。
【0013】
水分散体のpH値は、pH計を使用して23℃で測定される。
【0014】
ポリオールの数平均分子量(Mn)は、23℃のテトラヒドロフラン中でのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される。手順は、DIN 55672-1に従う。既知のモル質量のポリスチレン試料を較正に使用することができる。
【0015】
水性ポリウレタン分散体A
ポリウレタンA-1)
ポリイソシアネート(a)
ポリイソシアネート化合物(a)は、ヘキサメチレンジイソシアネートを含んでもよく、ヘキサメチレンジイソシアネートの量は、ポリイソシアネート化合物(a)の量が100重量%であることに基づいて、25重量%以上である。ヘキサメチレンジイソシアネートの量は、ポリイソシアネート化合物の量が100重量%であることに基づいて、好ましくは30重量%以上であり、より好ましくは40重量%以上、さらにより好ましくは60重量%以上である。
【0016】
ポリイソシアネート化合物(a)は、ヘキサメチレンジイソシアネート以外のポリイソシアネート(a-1)をさらに含んでもよい。
【0017】
ヘキサメチレンジイソシアネート以外のポリイソシアネート(a-1)の量は、ポリイソシアネート化合物(a)の量が100重量%であることに基づいて、60重量%以下、好ましくは45重量%以下であり得る。
【0018】
ヘキサメチレンジイソシアネート以外のポリイソシアネート(a-1)は、1を超えるイソシアネート基(NCO)官能価を有するポリイソシアネートであってもよく、好ましくは2以上のイソシアネート基官能価を有するポリイソシアネートであってもよい。
【0019】
ヘキサメチレンジイソシアネート以外のポリイソシアネート(a-1)は、脂肪族ポリイソシアネートであってもよく、または脂環式ポリイソシアネートであってもよい。
【0020】
脂肪族ポリイソシアネートは、ブチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチル1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,8-ジイソシアナト-4-(イソシアナトメチル)オクタン、およびそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0021】
脂環式ポリイソシアネートは、異性体ビス(4,4’-イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、およびそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0022】
ヘキサメチレンジイソシアネート以外のポリイソシアネート(a-1)はまた、ポリウレタンポリマー化学の分野でそれ自体公知の高官能性ポリイソシアネートまたはそれ自体公知の変性ポリイソシアネート、例えばカルボジイミド基、アロファネート基、イソシアヌレート基、ウレタン基および/またはビウレット基を含有するポリイソシアネートであってもよい。
【0023】
ヘキサメチレンジイソシアネート以外のポリイソシアネート(a-1)は、より好ましくは脂環式ポリイソシアネートであり、さらにより好ましくはイソホロンジイソシアネート(IPDI)である。
【0024】
ポリオール化合物(b)
ポリオール化合物(b)は、
(b1)それぞれ500g/mol以上の数平均分子量(Mn)を有するポリエステルポリオール(b2)とポリカーボネートポリオール(b3)との混合物;
(b4)500g/mol以上の数平均分子量(Mn)を有するポリエステル-ポリカーボネートポリオール;または
(b5)上記で定義したポリエステル-ポリカーボネートポリオール(b4)と、上記で定義したポリエステルポリオール(b2)、上記で定義したポリカーボネートポリオール(b3)、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1つのポリオールとの混合物;
を含み、
ただし、ポリオール化合物b)において、モル比-C(=O)-O-/-O-C(=O)-O-は、35/65~75/25、好ましくは35/65~75/25、さらにより好ましくは45/55~65/35の範囲である。
【0025】
ポリオール化合物b)におけるエステル官能基とカーボネート官能基とのモル比(-C(=O)-O-/-O-C(=O)-O-)は、NMRによって決定することができる。
【0026】
混合物(b1)
混合物(b1)において、ポリエステルポリオール(b2)/ポリカーボネートポリオール(b3)の重量比は、30/70~70/30、好ましくは40/60~60/40、さらにより好ましくは50/50~60/40の範囲であり得る。
【0027】
混合物(b1)において、エステル官能基-C(=O)-O-とカーボネート官能基-O-C(=O)-O-とのモル比は、好ましくは35/65~75/25の範囲であり、好ましくは45/55~65/35の範囲である。
【0028】
ポリエステルポリオール(b2)は、500g/mol~10000g/mol、好ましくは750g/mol~5000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有し得る。
【0029】
ポリエステルポリオール(b2)は、ポリエステルジオールおよびポリエステルトリオールから、好ましくはポリエステルジオールから選択され得る。
【0030】
ポリエステルポリオール(b2)の中には、以下に挙げる例が含まれる:
-天然起源のポリエステルポリオール、例えばヒマシ油;
-以下の重縮合から生じるポリエステルポリオール:
-1つ以上の脂肪族(直鎖もしくは分岐)または芳香族ポリオールと、
-1つ以上のポリカルボン酸またはそのエステルもしくは無水物誘導体、例えば1,6-ヘキサン二酸(アジピン酸)、ドデカン二酸、アゼライン酸、セバシン酸、アジピン酸、1,18-オクタデカン二酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、脂肪酸ダイマー、脂肪酸トリマー、およびこれらの酸の混合物、不飽和無水物、例えばマレイン酸もしくはフタル酸無水物、またはラクトン、例えばカプロラクトン、
-リシノール酸などの1つ以上のヒドロキシ酸とジオールとの重縮合から生じるエストリドポリオール(挙げることができる例には、Vertellusから入手可能なPolycin(登録商標)D-1000およびPolycin(登録商標)D-2000が含まれる)。
【0031】
脂肪族(直鎖もしくは分岐)または芳香族ポリオールは、エチレングリコール(CAS:107-21-1)、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブタンジオール、3-エチル-2-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-3-プロピル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジメチル-3-エチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-4-メチル-3-プロピル-1,5-ペンタンジオール、2,3-ジエチル-4-メチル-1,5-ペンタンジオール、3-エチル-2,2,4-トリメチル-1,5-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-4-エチル-3-プロピル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジメチル-3-エチル-2-プロピル-1,5-ペンタンジオール、2,3-ジプロピル-4-エチル-2-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジオール、2-ブチル-2,3-ジエチル-4-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-ブチル-2,4-ジエチル-3-プロピル-1,5-ペンタンジオール、3-ブチル-2-プロピル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,5-ペンタンジオール(CAS:42856-62-2)、3-メチル-1,5-ペンタンジオール(MPD、CAS:4457-71-0)、2,2-ジメチル-1,3-ペンタンジオール(CAS:2157-31-5)、2,2-ジメチル-1,5-ペンタンジオール(CAS:3121-82-2)、3,3-ジメチル-1,5-ペンタンジオール(CAS:53120-74-4)、2,3-ジメチル-1,5-ペンタンジオール(CAS:81554-20-3)、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール-NPG、CAS:126-30-7)、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール(CAS:115-76-4)、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール(CAS:78-26-2)、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール(CAS:115-84-4)、2-メチル-1,3-プロパンジオール(CAS:2163-42-0)、2-ベンジルオキシ-1,3-プロパンジオール(CAS:14690-00-7)、2,2-ジベンジル-1,3-プロパンジオール(CAS:31952-16-6)、2,2-ジブチル-1,3-プロパンジオール(CAS:24765-57-9)、2,2-ジイソブチル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-1,6-ヘキサンジオール(CAS:15208-19-2)、2,5-ジメチル-1,6-ヘキサンジオール(CAS:49623-11-2)、5-メチル-2-(1-メチルエチル)-1,3-ヘキサンジオール(CAS:80220-07-1)、1,4-ジメチル-1,4-ブタンジオール、1,5-ヘキサンジオール(CAS:928-40-5)、3-メチル-1,6-ヘキサンジオール(CAS:4089-71-8)、3-tert-ブチル-1,6-ヘキサンジオール(CAS:82111-97-5)、1,3-ヘプタンジオール(CAS:23433-04-7)、1,2-オクタンジオール(CAS:1117-86-8)、1,3-オクタンジオール(CAS:23433-05-8)、2,2,7,7-テトラメチル-1,8-オクタンジオール(CAS:27143-31-3)、2-メチル-1,8-オクタンジオール(CAS:109359-36-6)、2,6-ジメチル-1,8-オクタンジオール(CAS:75656-41-6)、1,7-オクタンジオール(CAS:3207-95-2)、4,4,5,5-テトラメチル-3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジオール(CAS:76779-60-7)、2,2,8,8-テトラメチル-1,9-ノナンジオール(CAS:85018-58-2)、1,2-ノナンジオール(CAS:42789-13-9)、2,8-ジメチル-1,9-ノナンジオール(CAS:40326-00-9)、1,5-ノナンジオール(CAS:13686-96-9)、2,9-ジメチル-2,9-ジプロピル-1,10-デカンジオール(CAS:85018-64-0)、2,9-ジブチル-2,9-ジメチル-1,10-デカンジオール(CAS:85018-65-1)、2,9-ジメチル-2,9-ジプロピル-1,10-デカンジオール(CAS:85018-64-0)、2,9-ジエチル-2,9-ジメチル-1,10-デカンジオール(CAS:85018-63-9)、2,2,9,9-テトラメチル-1,10-デカンジオール(CAS:35449-36-6)、2-ノニル-1,10-デカンジオール(CAS:48074-20-0)、1,9-デカンジオール(CAS:128705-94-2)、2,2,6,6,10,10-ヘキサメチル-4,8-ジオキサ-1,11-ウンデカンジオール(CAS:112548-49-9)、1-フェニル-1,11-ウンデカンジオール(CAS:109217-58-5)、2-オクチル-1,11-ウンデカンジオール(CAS:48074-21-1)、2,10-ジエチル-2,10-ジメチル-1,11-ウンデカンジオール(CAS:85018-66-2)、2,2,10,10-テトラメチル-1,11-ウンデカンジオール(CAS:35449-37-7)、1-フェニル-1,11-ウンデカンジオール(CAS:109217-58-5)、1,2-ウンデカンジオール(CAS:13006-29-6)、1,2-ドデカンジオール(CAS:1119-87-5)、2,11-ドデカンジオール(CAS:33666-71-6)、2,11-ジエチル-2,11-ジメチル-1,12-ドデカンジオール(CAS:85018-68-4)、2,11-ジメチル-2,11-ジプロピル-1,12-ドデカンジオール(CAS:85018-69-5)、2,11-ジブチル-2,11-ジメチル-1,12-ドデカンジオール(CAS:85018-70-8)、2,2,11,11-テトラメチル-1,12-ドデカンジオール(CAS:5658-47-9)、1,11-ドデカンジオール(CAS:80158-99-2)、11-メチル-1,7-ドデカンジオール(CAS:62870-49-9)、1,4-ドデカンジオール(CAS:38146-95-1)、1,3-ドデカンジオール(CAS:39516-24-0)、1,10-ドデカンジオール(CAS:39516-27-3)、2,11-ジメチル-2,11-ドデカンジオール(CAS:22092-59-7)、1,5-ドデカンジオール(CAS:20999-41-1)、6,7-ドデカンジオール(CAS:91635-53-9)、およびそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0032】
ポリエステルポリオール(b2)は、従来の方法で調製してもよく、市販のものでもよい。ポリエステルポリオール(b2)の中で、挙げることができる例は、約2000g/molの数平均分子量(Mn)、約50℃の融点を有するポリカプロラクトンである、Tone(登録商標)0240(Union Carbideによって販売);アジピン酸とヘキサンジオールとの縮合から生じ、約3500g/molの数平均分子量(Mn)および約55℃の融点を有する、Dynacoll(登録商標)7360(Evonikによって販売);Dynacoll(登録商標)7250(Evonikによって販売):23℃で180Pa.sの粘度、5500g/molに等しい数平均分子量(Mn)および-50℃に等しいTを有するポリエステルポリオールである。
【0033】
ポリエステルポリオール(b2)は、好ましくは、アジピン酸と脂肪族ポリオールとの重縮合から生じるポリエステルポリオールであり、上記脂肪族ポリオールは、より好ましくは1,4-ブタンジオールである。
【0034】
ポリカーボネートポリオール(b3)は、任意選択的に触媒の存在下で、少なくともカーボネート化合物とジオールとの反応によって得ることができる。
【0035】
カーボネート化合物は、ジアリールカーボネート、ジアルキルカーボネート、アルキレンカーボネート、およびそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0036】
カーボネート化合物は、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、1,2-プロピレンカーボネート、1,2-ブチレンカーボネート、1,3-ブチレンカーボネート、1,2-ペンチレンカーボネート、およびそれらの混合物から選択され得る。
【0037】
ジオールは、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2,エチル-1,3-プロパンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、ビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAおよびラクトン変性ジオール、より好ましくは1,6-ヘキサンジオールおよび/またはそれらの誘導体からなる群から選択され得る。
【0038】
好ましくは、ジオールは、ジオールの量が100重量%であることに基づいて、40重量%以上の1,6-ヘキサンジオールおよび/またはヘキサンジオール誘導体を含む。
【0039】
1,6-ヘキサンジオール誘導体は、エーテル基またはエステル基を含む末端OH基を有するものが好ましく、例えば、1モルの1,6-ヘキサンジオールと、少なくとも1モル、好ましくは1~2モルのε-カプロラクトンとの反応によって得られる生成物、または1,6-ヘキサンジオール自体をエーテル化してジヘキシレングリコールもしくはトリヘキシレングリコールとしたものである。
【0040】
当業者に周知の任意のエステル交換触媒であり得る触媒を使用してもよい。元素の周期表の主要族I、II、IIIおよびIV、下位族IIIおよびIVの金属の水酸化物、酸化物、金属アルコレート、カーボネートおよび有機金属化合物、ならびに希土類の元素、特にTi、Zr、Pb、SnおよびSbの化合物は、本明細書に記載の方法に特に適している。適切な例としては、LiOH、LiCO、KCO、KOH、NaOH、KOMe、NaOMe、MeOMgOAc、CaO、BaO、KOt-Bu、TiCl、チタンテトラアルコレートまたはテレフタレート、ジルコニウムテトラアルコレート、スズオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズ、ビストリブチルスズオキシド、スズオキサレート、ステアリン酸鉛、三酸化アンチモン、およびジルコニウムテトライソプロピレートが挙げられる。
【0041】
芳香族窒素複素環もまた、RNに対応する三級アミンとして使用することができ、式中、R1~3は独立して、C4~C30ヒドロキシアルキル、C4~C30アリールまたはC1~C30アルキル、特にトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジメチル-エタノールアミン、1,8-ジアザビシクロ-(5.4.0)ウンデカ-7-エン、1,4-ジアザビシクロ-(2.2.2)オクタン、1,2-ビス(N,N-ジメチル-アミノ)-エタン、1,3-ビス(N-ジメチルアミノ)プロパンおよびピリジンを表す。
【0042】
ナトリウムおよびカリウムのアルコレートおよび水酸化物(NaOH、KOH、KOMe、NaOMe)、チタン、スズまたはジルコニウムのアルコレート(例えば、Ti(OPr)4)、ならびに有機スズ化合物が好ましく使用される。
【0043】
存在する触媒の量は、触媒の種類および触媒の量に依存し得る。本明細書に記載の特定の実施形態では、均一触媒は、最大1,000ppm(0.1%)、好ましくは1ppm~500ppm(0.05%)、最も好ましくは5ppm~100ppm(0.01%)の濃度(使用される脂肪族ジオールに対する金属の重量パーセントとして表される)で使用される。反応が完了した後、触媒は生成物中に残してもよく、または分離、中和もしくはマスクすることができる。
【0044】
エステル交換反応の温度は、120℃~240℃の範囲であり得る。エステル交換反応は、典型的には大気圧で行われるが、より低いまたはより高い圧力を使用してもよい。活性化サイクルの最後に真空を適用して、揮発性物質を除去することができる。反応時間は、温度、圧力、触媒の種類および触媒濃度などの変数に依存し得る。
【0045】
ポリカーボネートポリオール(b3)は、国際公開第2012/135625号に開示されているように、特に実施例に開示されているように調製することができる。
【0046】
ポリカーボネートポリオール(b3)は、ジメチルカーボネートおよび1,6-ヘキサンジオールに基づくポリカーボネートポリオールであることがより好ましい。
【0047】
ポリカーボネートポリオール(b3)は、500g/mol~20000g/mol、好ましくは500g/mol~10000g/mol、より好ましくは750g/mol~5000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有し得る。
【0048】
例示的なポリカーボネートポリオールは、Arch ChemicalsからPolyCD(商標)220の商品名で市販されているもの、またはBAYERからのDESMOPHEN(登録商標)ポリオールであってもよい。
【0049】
ポリエステル-ポリカーボネートポリオール(b4)
ポリエステル-ポリカーボネートポリオール(b4)のヒドロキシル(OH)官能価は、1より大きくてもよく、好ましくは1.5以上、より好ましくは1.9~2.1、さらにより好ましくは2であってもよい。
【0050】
ポリエステル-ポリカーボネートポリオール(b4)は、500g/mol~20000g/mol、好ましくは500g/mol~10000g/mol、より好ましくは750g/mol~5000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有し得る。
【0051】
ポリエステルポリカーボネートポリオール(b4)は、少なくとも1つのポリエステルポリオールを少なくとも1つのポリカーボネートポリオールと反応させることによって得ることができる。
【0052】
ポリエステルポリカーボネートポリオール(b4)を調製するために使用されるポリエステルポリオールは、上記で開示したポリエステルポリオール(b2)であってもよい。
【0053】
ポリエステルポリカーボネートポリオール(b4)を調製するために使用されるポリカーボネートポリオールは、上記で開示したポリカーボネートポリオール(b3)であってもよい。
【0054】
反応は、エステル交換反応であってもよい。エステル交換反応で知られているすべての可溶型触媒を触媒として使用することができ(均一触媒作用)、不均一エステル交換触媒も使用することができる。ポリカーボネートポリオールの形成のための上記の例示的な触媒は、ポリエステルポリカーボネートポリオール(b4)の形成にも使用され得る。
【0055】
エステル交換反応の温度は、120℃~240℃であり得る。これは、典型的には大気圧で行われる。活性化サイクルの最後に真空を適用して、揮発性物質を除去することができる。反応時間は、温度、圧力、触媒の種類、および触媒濃度などの変数に依存し得る。
【0056】
ポリエステルポリカーボネートポリオール(b4)は、国際公開第2012/135625号に開示されているように調製することができる。
【0057】
混合物(b5)
混合物(b5)は、上記のポリエステル-ポリカーボネートポリオール(b4)と上記のポリエステルポリオール(b2)との混合物であってもよい。上記で開示された(b4)および(b2)のすべての説明および好ましい実施形態は、ここでは、混合物(b5)に適用される。
【0058】
混合物(b5)は、上記のポリエステル-ポリカーボネートポリオール(b4)と上記のポリカーボネートポリオール(b3)との混合物であってもよい。上記で開示された(b4)および(b3)のすべての説明および好ましい実施形態は、ここでは、混合物(b5)に適用される。
【0059】
混合物(b5)は、上記のポリエステル-ポリカーボネートポリオール(b4)と、上記のポリエステルポリオール(b2)との、および上記のポリカーボネートポリオール(b3)との混合物であってもよい。上記で開示された(b4)、(b3)および(b2)のすべての説明および好ましい実施形態は、ここでは、混合物(b5)に適用される。
【0060】
混合物(b5)は、ポリオール化合物b)におけるモル比-C(=O)-O-/-O-C(=O)-O-が35/65~75/25、好ましくは35/65~75/25、さらに好ましくは45/55~65/35の範囲になるようなものである。
【0061】
好ましい実施形態によれば、ポリオール化合物(b)は、それぞれ500g/mol以上の数平均分子量(Mn)を有するポリエステルポリオール(b2)とポリカーボネートポリオール(b3)との混合物(b1)を含む。
【0062】
乳化剤(c)
乳化剤(c)は、脂肪アルコールポリエーテルであってもよい。
【0063】
脂肪アルコールポリエーテルは、好ましくは、脂肪族エチレングリコールポリエーテルおよび/または脂肪族プロピレングリコールポリエーテルである。
【0064】
任意選択の化合物(d)
成分(d)は、本質的にカチオン性またはアニオン性のいずれかであり得るイオン性基を含み得る。カチオン性、アニオン性分散化合物は、例えば、スルホニウム基、アンモニウム基、ホスホニウム基、カルボキシレート基、スルホネート基、ホスホネート基、または塩形成によって前述の基(潜在的イオン性基)に変換することができ、存在するイソシアネート反応性基によって巨大分子に組み込むことができる基を含むものである。好ましい適合性のイソシアネート反応性基は、ヒドロキシル基およびアミン基である。
【0065】
成分(d)は、例えば、モノ-およびジヒドロキシカルボン酸、モノ-およびジアミノカルボン酸、モノ-およびジヒドロキシスルホン酸、モノ-およびジアミノスルホン酸、およびさらにモノ-およびジヒドロキシホスホン酸またはモノ-およびジアミノホスホン酸ならびにそれらの塩、例えばジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ヒドロキシピバリン酸、N-(2-アミノエチル)-β-アラニン、2-(2-アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸、1,2-または1,3-プロピレンジアミン-β-エチルスルホン酸、エチレンジアミン-プロピル-または-ブチル-スルホン酸、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸、グリシン、アラニン、タウリン、リジン、3,5-ジアミノ安息香酸、IPDIとアクリル酸との付加物ならびにそのアルカリ金属塩および/またはアンモニウム塩;重亜硫酸ナトリウムとブタ-2-エン-1,4-ジオールとの付加物、ポリエーテルスルホネート、2-ブテンジオールとNaHSOとのプロポキシ化付加物である。
【0066】
好ましい成分(d)は、カルボキシ基またはカルボキシレート基および/またはスルホネート基および/またはアンモニウム基を有するものである。特に好ましいイオン性化合物は、カルボキシル基および/またはスルホネート基をイオン性基または潜在的イオン性基として含有するものである。
【0067】
任意選択の化合物(e)
化合物(e)を使用して、上記で定義したポリウレタンポリマーA-1)を調製することができる。
【0068】
少なくとも1つのイソシアネート反応性基および少なくとも1つの非イオン性親水性基を含む化合物(e)は、少なくとも1つのヒドロキシル基またはアミノ基を含むポリオキシアルキレンエーテルであり得る。
【0069】
少なくとも1つのヒドロキシル基またはアミノ基を含むポリオキシアルキレンエーテルは、少なくとも1つのヒドロキシル基またはアミノ基を含むポリオキシアルキレンエーテルの量が100重量%であることに基づいて、30重量%~100重量%のエチレンオキシド由来単位を構成してもよく、より好ましくは、1~3個のヒドロキシル基またはアミノ基を含むものであってもよい。
【0070】
ポリオキシアルキレンエーテルは、適切な出発分子のアルコキシル化によって得られる1分子当たり平均5~70個、好ましくは7~55個のエチレンオキシド単位を含有する単官能性ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールであり得る。
【0071】
適切な出発分子は、飽和モノアルコール、不飽和アルコール、芳香族アルコール、芳香脂肪族アルコール、二級モノアミン、複素環式二級アミン、およびそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0072】
飽和モノアルコールは、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノールおよびノナノールの異性体、n-デカノール、n-ドデカノール、n-テトラデカノール、n-ヘキサデカノール、n-オクタデカノール、シクロヘキサノール、異性体メチルシクロヘキサノールまたはヒドロキシメチルシクロヘキサノール、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、およびそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0073】
不飽和アルコールは、アリルアルコール、1,1-ジメチルアリルアルコールまたはオレイルアルコールからなる群から選択され得る。
【0074】
芳香族アルコールは、フェノール類、異性体クレゾール類およびメトキシフェノール類からなる群から選択され得る。
【0075】
芳香脂肪族アルコールは、ベンジルアルコール、アニシルアルコールおよびシンナミルアルコールからなる群から選択され得る。
【0076】
二級モノアミンは、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ビス-(2-エチルヘキシル)アミン、N-メチル-およびN-エチルシクロヘキシルアミン、およびジシクロヘキシルアミンからなる群から選択され得る。
【0077】
複素環式二級アミンは、モルホリン、ピロリジン、ピペリジンおよびIH-ピラゾールからなる群から選択される1つ以上であり得る。
【0078】
アルコキシル化反応に適したアルキレンオキシドは、好ましくはエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドであり、これらはアルコキシル化反応において任意の順序でまたは混合物で使用することができる。
【0079】
ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールは、好ましくはポリアルキレンオキシドポリエーテルポリオールである。アルキレンオキシド基は、好ましくは30モル%以上、より好ましくは40モル%以上の量でポリアルキレンオキシドポリエーテルポリオール中に存在する。
【0080】
ポリアルキレンオキシドポリエーテルポリオールは、好ましくはポリエチレンオキシドポリエーテルポリオールであり、より好ましくは混合ポリアルキレンオキシドポリエーテルポリオールである。
【0081】
任意選択のアミノ化合物(f)
アミノ化合物(f)は、ジアミンであってもよく、またはポリアミンであってもよい。
【0082】
アミノ化合物(f)は、エチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、1,3-フェニレンジアミン、1,4-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、アミノ官能性ポリエチレンオキシドまたはポリプロピレンオキシド、例えばHuntsmanからのJeffamin RTMシリーズ、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンおよびヒドラジンからなる群から選択されてもよく、上記アミノ化合物(c)は、好ましくはイソホロンジアミン、エチレンジアミンおよび1,6-ヘキサメチレンジアミンからなる群から選択される。より好ましくは、アミノ化合物(f)は、イソホロンジアミンおよび/またはエチレンジアミンである。
【0083】
任意選択のジオール(g)
ジオール(g)は、n-ブタノール、イソブタノール、2-ブトキシエチルエーテル、3-ヒドロキシメチルプロパン、グリセロール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリアミドポリオール、エチレングリコール、ジ-、トリ-またはテトラ-エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジ-、トリ-またはテトラ-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4-ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオールおよびそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0084】
ポリウレタンA-1)
ポリウレタンA-1)は、好ましくは非イオン性ポリウレタンである。
【0085】
ポリウレタンA-1)は、好ましくは15J/g~60J/g、より好ましくは20J/g~50J/gの範囲の融解エンタルピーを有する。
【0086】
好ましい実施形態では、ポリウレタンA-1)は、-100℃~-10℃の範囲、より好ましくは-60℃~-20℃の範囲、さらにより好ましくは-60℃~-40℃のガラス転移温度を有する。
【0087】
ガラス転移温度Tgおよび融解エンタルピーは、2015年のASTM D3418-15に従って、窒素雰囲気下で示差走査熱量測定(DSC)によって決定される。例えば、DSC曲線は、10mgの100μmフィルム(分散体の塗布および乾燥によって得られる)を使用して、以下の測定条件下で記録され得る:液体窒素による急速冷却を開始温度-70℃まで行い、次いで、10℃/分の加熱速度で-70℃から200℃までの加熱操作を開始する。ガラス転移温度は、ガラス転移の半分の温度に対応する。
【0088】
ポリウレタンA-1)は、少なくとも以下:
(i)5重量%~40重量%の上記で定義した成分(a);
(ii)50重量%~95重量%の上記で定義した成分(b);
を使用して得ることができ、重量百分率は、ポリウレタンA-1)(乾燥物質)の総重量に基づく。
【0089】
好ましい実施形態では、ポリウレタンA-1)は、少なくとも以下:
(i)ヘキサメチレンジイソシアネートおよびさらなるポリイソシアネート(a-1)、好ましくはイソホロンジイソシアネートを含む5重量%~40重量%のポリイソシアネート化合物a);
(ii)それぞれ500g/mol以上の数平均分子量(Mn)を有する、ポリエステルポリオール(b2)とポリカーボネートポリオール(b3)との混合物b1)を含む50重量%~95重量%のポリオール化合物b)
を使用して得られ、
ただし、ポリオール化合物b)中のモル比-C(=O)-O/-O-C(=O)-O-が35/65~75/25の範囲であることを条件とし;
モル百分率は、ポリウレタンA-1)(乾燥物質)の総重量に基づく。
【0090】
水分散体A)
水分散体A)は、7を超えるpH値を有し得る。
【0091】
水分散体A)の固形分は、水分散体A)の量が100重量%であることに基づいて、20~70重量%、好ましくは30重量%~65重量%、より好ましくは35重量%~60重量%であり得る。
【0092】
水分散体A)は、以下の工程:
-i)任意選択の化合物(d)または(g)の存在下で、ポリイソシアネート化合物a)をポリオール化合物b)と反応させて、ポリウレタンプレポリマーを得る工程;
-ii)任意選択的に、ポリウレタンプレポリマーを任意選択の化合物(e)、(f)および/または(g)と反応させる工程;
-iii)工程ii)の間または後に水性媒体および乳化剤(c)を導入して、水分散体を得る工程
を含む方法によって調製することができる。
【0093】
工程i)の後に得られるポリウレタンプレポリマーは、工程ii)が行われない場合、直接ポリウレタンA-1)であってもよい。
【0094】
水性ポリウレタン分散体A)の調製は、均一相系で1つ以上の段階で、または多段階反応の場合には部分的に分散相で、実施することができる。工程i)および任意選択の工程ii)の反応が完全にまたは部分的に完了すると、分散、乳化または溶解工程が実施される。次いで、分散相中でのさらなる重付加または修飾が任意選択的に実施される。
【0095】
乳化剤/剪断力、アセトン、プレポリマー混合、溶融乳化、ケタミンおよび固体自発分散法またはこれらの派生法、より好ましくは溶融乳化またはアセトン法、最も好ましくはアセトン法など、先行技術で公知のすべての方法を水性ポリウレタン分散体A)の調製に使用することができる。これらの方法の概要は、Methoden der organischen Chemie(Houben-Weyl,Erweitenmgs-und zur4.Auflage,Volume E20,H Bartl and J.Falbe,Stuttgart,New York,Thieme 1987,p.1671-1682)に見出される。
【0096】
工程i)は、触媒の存在下で実施され得る。工程i)は、50℃~100℃の範囲の温度で、例えば3~15時間実施され得る。
【0097】
水性媒体の例としては、水、および水と親水性有機溶媒との混合媒体が挙げられる。
【0098】
親水性溶媒は、低級一価アルコール、例えばメタノール、プロパノール、エタノール;多価アルコール、例えばエチレングリコールまたはグリセリン;N-メチルモルホリン;ジメチルスルホキシド;ジメチルホルムアミドからなる群から選択され得る。
【0099】
水分散体A)は、上記で定義したポリウレタンA-1)を水性媒体中に分散させることによって調製することもできる。
【0100】
水分散体A)は、国際公開第2015/033939号の実施例に開示されているように調製することもできる。
水性ポリウレタン分散体B)
【0101】
ポリウレタンB-1)
ジイソシアネート(i)
ジイソシアネート(i)は、トルエン-2,4-ジイソシアネート(2,4-TDI)、トルエン-2,6-ジイソシアネート(2,6-TDI)、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2’-MDI)、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’-MDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)、1,4-ジイソシアナトブタン(BDI)、1,5-ペンタンジイソシアネート、(PDI)、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(1,3-キシリレンジイソシアネート、XDI)、1,4-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(1,4-キシリレンジイソシアネート、XDI)、1,3-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン(TMXDI)、1,4-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン(TMXDI)、4-イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート(トリスイソシアナトノナン(TIN))、2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタン、1,5-ジイソシアナト-2,2-ジメチルペンタン、2,2,4-または2,4,4トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,10-ジイソシアナトデカンおよび脂環式ジイソシアネート1,3-および1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4-ジイソシアナト-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナト-2(4)-メチルシクロヘキサン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1-イソシアナト-1-メチル-4(3)-イソシアナトメチルシクロヘキサン、1,8-ジイソシアナト-p-メンタン、4,4’-ジイソシアナト-1,1’-ビ(シクロヘキシル)、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチル-1,1’-ビ(シクロヘキシル)、4,4’-ジイソシアナト-2,2’,5,5’-テトラメチル-1,1’-bi(シクロヘキシル)、4,4’-および/または2,4”-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジイソシアナト-3,3’,5,5’-テトラメチルジシクロヘキシルメタン、1,3-ジイソシアナトアダマンタン、および1,3-ジメチル-5,7-ジイソシアナトアダマンタン、またはそのようなイソシアネートの任意の混合物からなる群から選択され得る。
【0102】
ジイソシアネート(i)は、より好ましくは、1,4-ブチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4および/または2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス(4,4’-イソシアナトシクロヘキシル)メタンまたはそれらの任意の異性体含有量の混合物、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-および/または2,6-トルイレンジイソシアネート(2,4-および/または2,6-TDI)、1,5-ナフチレンジイソシアネート、2,2’-および/または2,4’-および/または4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-および/または1,4-ビス(2-イソシアナトプロプ-2-イル)ベンゼン(TMXDI)、1,4-キシリレンジイソシアネート(XDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル--5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0103】
好ましい実施形態では、ジイソシアネート(ii)は、2,4-トルイレンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トルイレンジイソシアネート(2,6-TDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,4-キシリレンジイソシアネート(XDI)、およびそれらの混合物からなる群から選択され、ジイソシアネート(ii)は、さらにより好ましくは、2,4および/または2,6-TDIである。
【0104】
ポリエーテルポリオール(ii)
ポリウレタンB-1)は、(ii)400g/mol~10000g/molの範囲の数平均分子量を有する少なくとも1つのポリエーテルポリオールを含む反応混合物から得られる。
【0105】
好ましい実施形態では、ポリエーテルポリオール(ii)は、500g/mol~8000g/mol、より好ましくは1000g/mol~5000g/molの範囲の数平均分子量を有する。
【0106】
ポリエーテルポリオール(ii)は、1~4個の炭素原子、より優先的には2~3個の炭素原子を含む直鎖または分岐アルキレン部分であるポリオキシアルキレンポリオールから選択され得る。
【0107】
好ましくは、ポリエーテルポリオール(ii)は、ポリオキシプロピレンポリオールである。
【0108】
上記のポリエーテルポリオールは、従来の方法で調製することができ、広く市販されている。それらは、塩基性触媒(例えば、水酸化カリウム)または複金属/シアン化物錯体に基づく触媒の存在下での対応するアルキレンオキシドの重合によって得ることができる。
【0109】
ポリエーテルジオールの例として、約1020g/molの数平均分子量(Mn)を有し、そのヒドロキシル価が約110mgKOH/gである、DowによってVoranol(登録商標)P 1010の名称で販売されているポリオキシプロピレンジオール、または約2040g/molの数平均分子量を有し、そのヒドロキシル価が約55mgKOH/gである、Dowによって販売されているVoranol(登録商標)P2000を挙げることができる。
【0110】
ポリエーテルポリオール(ii)の混合物は、ポリマーB-1)を調製するために使用することができ、ポリエーテルポリオールは、その数平均分子量および/またはその構造要素の性質が異なる。
【0111】
成分(iii)
成分(iii)は、ポリウレタンプレポリマーの鎖延長および/または停止に特に適している。
【0112】
1以上のアミノ官能価を有するアミノ化合物は、ポリアミンおよびアミノアルコールから選択され得る。
【0113】
アミノアルコールの中でも、1,3-ジアミン、o-2-プロパノール、N-(2-ヒドロキシエチル)-エチレンジアミンまたはN,N-ビス(2-ヒドロキシ-エチル)-エチレンジアミンを挙げることができる。
【0114】
好ましい成分(iii)は、ジ-およびポリアミンであり、より好ましくは、1,2-ジアミノエタン、1,3-ジアミノプロパン、1,6-ジアミノヘキサン、1,3-および1,4-フェニレンジアミン、4,4’-ジフェニルメタンジアミン、イソホロンジアミン、2,2,4-および2,4,4-トリメチル-ヘキサメチレンジアミンの異性体混合物、2-メチルペンタメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、1,3-および1,4-キシリレンジアミン、α,α,α,α’-テトラメチル-1,3-および-1,4-キシリレンジアミン、4,4-ジアミノジシクロヘキシルメタン、アミノ官能性ポリエチレンオキシドまたはポリプロピレンオキシド(これらは例えば(Huntsman Corp.Europe、ベルギーから)Jeffamine、Dシリーズの名称で入手可能である)から選択される群から選択される。
【0115】
成分(iii)は、好ましくは、1,2-ジアミノエタンである。
【0116】
成分(iv)
成分(iv)は、本質的にカチオン性またはアニオン性のいずれかであり得るイオン性基を含み得る。カチオン性、アニオン性分散化合物は、例えば、スルホニウム基、アンモニウム基、ホスホニウム基、カルボキシレート基、スルホネート基、ホスホネート基、または塩形成によって前述の基(潜在的イオン性基)に変換することができ、存在するイソシアネート反応性基によって巨大分子に組み込むことができる基を含むものである。好ましい適合性のイソシアネート反応性基は、ヒドロキシル基およびアミン基である。
【0117】
成分(iv)は、例えば、モノ-およびジヒドロキシカルボン酸、モノ-およびジアミノカルボン酸、モノ-およびジヒドロキシスルホン酸、モノ-およびジアミノスルホン酸、およびさらにモノ-およびジヒドロキシホスホン酸またはモノ-およびジアミノホスホン酸ならびにそれらの塩、例えばジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ヒドロキシピバリン酸、N-(2-アミノエチル)-β-アラニン、2-(2-アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸、1,2-または1,3-プロピレンジアミン-β-エチルスルホン酸、エチレンジアミン-プロピル-または-ブチル-スルホン酸、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸、グリシン、アラニン、タウリン、リジン、3,5-ジアミノ安息香酸、IPDIとアクリル酸との付加物ならびにそのアルカリ金属塩および/またはアンモニウム塩;重亜硫酸ナトリウムとブタ-2-エン-1,4-ジオールとの付加物、ポリエーテルスルホネート、2-ブテンジオールとNaHSOとのプロポキシ化付加物である。
【0118】
好ましい成分(iv)は、カルボキシ基またはカルボキシレート基および/またはスルホネート基および/またはアンモニウム基を有するものである。特に好ましいイオン性化合物は、カルボキシル基および/またはスルホネート基をイオン性基または潜在的イオン性基として含有するものである。
【0119】
好ましい実施形態では、成分(iv)は、N-(2-アミノエチル)-β-アラニンのナトリウム塩、2-(2-アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸およびジメチロールプロピオン酸のナトリウム塩の中から選択される。
【0120】
任意選択の成分(v)
成分(i)~(iv)に加えて、ポリマーB-1)は、少なくとも1つの追加の成分(v)をさらに含む混合物から得ることができる。
【0121】
成分(v)は、(v-1)ポリエーテルポリオール(i)とは異なる1つのポリマーポリオール、(v-2)62~399g/molの範囲の数平均分子量を有するポリオール、(v-3)乳化剤であってもよい。
【0122】
成分(v-1)は、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリラクトンおよびポリアミドからなる群から選択される400~10000g/molの範囲の数平均分子量を有するポリマーポリオールであり得る。
【0123】
成分(v-1)は、500g/mol~8000g/mol、より好ましくは1000g/mol~5000g/molの範囲の数平均分子量を有し得る。
【0124】
ポリエステルポリオールは、例えば、それ自体公知の、ジオールおよびさらに任意選択的にトリオールおよびテトラオールと、ジカルボン酸およびさらに任意選択的にトリカルボン酸およびテトラカルボン酸またはヒドロキシカルボン酸またはラクトンとの重縮合物である。ポリエステルを調製するために、遊離ポリカルボン酸の代わりに、対応するポリカルボン酸無水物、または低級アルコールの対応するポリカルボン酸エステルを使用することも可能である。
【0125】
適切なジオールの例は、エチレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、およびさらに1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオールおよび異性体、ネオペンチルグリコールまたはネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートであり得る。さらに、トリメチロールプロパン、グリセロール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、トリメチロールベンゼンまたはトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートなどのポリオールを使用することも可能である。
【0126】
使用され得るジカルボン酸は、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、グルタル酸、テトラクロロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マロン酸、スベリン酸、2-メチルコハク酸、3,3-ジエチルグルタル酸および/または2,2-ジメチルコハク酸である。対応する無水物も酸源として使用することができる。
【0127】
末端ヒドロキシル基を有するポリエステルポリオールの調製において反応参加物としてさらに使用され得るヒドロキシカルボン酸は、例えば、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシデカン酸、ヒドロキシステアリン酸などである。適切なラクトンは、カプロラクトン、ブチロラクトンおよびホモログであり得る。
【0128】
ヒドロキシル基を含有するポリカーボネートは、炭酸誘導体、例えばジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはホスゲンとジオールとの反応によって得ることができる。適切なこのようなジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-および1,3-プロパンジオール、1,3-および1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、ビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、およびさらにラクトン変性ジオールも挙げられる。
【0129】
成分(v-2)は、最大20個の炭素原子を有するポリオールであってもよい。
【0130】
ポリオール(v-2)は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、1,3-ブチレングリコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、ヘキサン-1,6-ジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン)、水素化ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセロール、ペンタエリスリトールおよびそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0131】
成分(v-3)は、脂肪アルコールポリエーテルであってもよい。
【0132】
脂肪アルコールポリエーテルは、好ましくは、脂肪族エチレングリコールポリエーテルおよび/または脂肪族プロピレングリコールポリエーテルであってもよい。
【0133】
ポリウレタンB-1)
ポリウレタンB-1)は、カルボキシル基またはカルボキシレート基を含み得る。ポリウレタンB-1)中のカルボキシル基および/またはカルボキシレート基の含有量は、上記ポリウレタンB-1)(乾燥物質)の総重量に基づいて、0.01重量%~10重量%、好ましくは0.02重量%~8重量%の範囲であり得る。
【0134】
ポリウレタンB-1)は、好ましくは、少なくとも1つのアニオン性基を含むアニオン性ポリウレタンである。
【0135】
好ましい実施形態では、ポリウレタンB-1)は、-60℃~0℃、好ましくは-60℃~-20℃、より好ましくは-60℃~-40℃、さらにより好ましくは-60℃~-40℃の範囲のガラス転移温度Tgを有する。
【0136】
ガラス転移温度Tgは、2015年のASTM D3418-15に従って、窒素雰囲気下で示差走査熱量測定(DSC)によって決定される。例えば、DSC曲線は、10mgの100μmフィルム(分散体の塗布および乾燥によって得られる)を使用して、以下の測定条件下で記録され得る:液体窒素による急速冷却を開始温度-70℃まで行い、次いで、10℃/分の加熱速度で-70℃から200℃までの加熱操作を開始する。ガラス転移温度は、ガラス転移の半分の温度に対応する。
【0137】
ポリウレタンB-1)は、好ましくは、少なくとも以下:
(i)55重量%~90重量%の上記で定義した成分(i);
(ii)5重量%~50重量%の上記で定義した成分(ii);
(iii)0.1重量%~10重量%の上記で定義した成分(iii);
(iv)0.1重量%~10重量%の上記で定義した成分(iv);
を使用して得ることができ、
重量百分率は、ポリウレタンB-1)(乾燥物質)の総重量に基づく。
【0138】
ポリウレタンB-1)は、好ましくは、少なくとも以下:
(i)55重量%~90重量%の上記で定義した成分(i);
(ii)10重量%~40重量%の上記で定義した成分(ii);
(iii)0.5重量%~5重量%の上記で定義した成分(iii);
(iv)1重量%~5重量%の上記で定義した成分(iv);
を使用して得ることができ、
重量百分率は、ポリウレタンB-1)(乾燥物質)の総重量に基づく。
【0139】
水分散体B)
水分散体B)は、7を超えるpH値を有し得る。
【0140】
水分散体B)の固形分は、上記分散体B)の総量に基づいて、10~60重量%、好ましくは20重量%~55重量%、より好ましくは30重量%~50重量%であり得る。
【0141】
好ましい実施形態では、水性ポリウレタン分散体B)は、少なくとも以下の成分:
(i)2,4-TDIおよび/または2,6-TDIであるジイソシアネート;
(ii)400~10000g/mol、より好ましくは500g/mol~5000g/molの範囲の数平均分子量を有する少なくとも1つのポリオキシプロピレンポリオール;
(iii)400g/mol以下のモル重量を有する、1,2-ジアミノエタン、1,3-ジアミノプロパン、1,6-ジアミノヘキサン、1,3-および1,4-フェニレンジアミン、4,4’-ジフェニルメタンジアミン、イソホロンジアミン、2,2,4-および2,4,4-トリメチル-ヘキサメチレンジアミンの異性体混合物、2-メチルペンタメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、1,3-および1,4-キシリレンジアミン、α,α,α,α’-テトラメチル-1,3-および-1,4-キシリレンジアミン、4,4-ジアミノジシクロヘキシルメタン、アミノ官能性ポリエチレンオキシドまたはポリプロピレンオキシド、ジエチレントリアミンおよびトリエチレンテトラミンからなる群から選択されるジ-またはポリアミン;
(iv)N-(2-アミノエチル)-β-アラニンのナトリウム塩、2-(2-アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸およびジメチロールプロピオン酸のナトリウム塩からなる群から選択される1つの成分;
の反応によって得られるポリウレタンB-1)を含み、
上記ポリウレタンB-1)は、非晶質である。
【0142】
水分散体B)は、均一相で1つ以上の段階で調製されてもよく、または多段階反応の場合には部分的に分散相で調製されてもよい。完全または部分的な重付加の後、分散、乳化または溶解工程が存在してもよい。これに続いて任意選択的に、分散相中でさらなる重付加または修飾が行われる。
【0143】
水分散体B)は、乳化剤剪断力、プレポリマー混合、溶融乳化、ケタミン、アセトン...などの先行技術から公知の方法によって調製することができる。アセトン法が特に好ましい。
【0144】
アセトン法では、典型的には、ジイソシアネート(i)、ポリエーテルポリオール(ii)、任意選択のポリオール、少なくとも1つのイソシアネート反応性基および少なくとも1つの非イオン性基を含む任意選択の化合物のすべてまたは一部が、ポリウレタンプレポリマーを調製するための反応のために最初に導入されてもよく、これらの成分は任意選択的に、水と混和性であるがイソシアネート基に対して不活性である溶媒で希釈されてもよいが、好ましくは、溶媒を使用するのではなく、高温、好ましくは50~120℃に加熱され得る。溶媒は、アセトン、ブタノン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルおよび1-メチル-2-ピロリドンからなる群から選択される1つ以上であってもよく、好ましくはアセトンおよび/またはブタノンであり得る。溶媒は、調製の開始時に添加することができるだけでなく、任意選択的に後の部分ごとに添加してもよい。反応は、常圧下または高圧下で起こり得る。工程の反応を促進するために、ポリウレタンプレポリマーの調製に一般的に使用される触媒、例えば、トリエチルアミン、1,4-ジアザビシクロ-[2,2,2]-オクタン、スズジオクトエートまたはジブチルスズジラウレートを使用することができる。水性ポリウレタン分散体中に存在する溶媒は、蒸留によって除去することができる。溶媒は、任意の工程で除去することができる。
【0145】
水分散体B)を調製するために、ポリウレタンB-1)を分散水に導入してもよく、逆に分散水をポリウレタンB-1)に入れて撹拌してもよい。
【0146】
水分散体B)は、市販のものであってもよい。COVESTRO DEUTSCHLAND AGからのDispercoll(登録商標)U XP 2643(高分子量の非晶質ポリウレタンの水性アニオン性分散体)を挙げることができる。
【0147】
水分散体およびその使用
上記で定義した水分散体は、上記水分散体の総重量に基づいて、以下:
-30重量%~90重量%、好ましくは40重量%~80重量%の上記で定義した分散体A)、および
-10重量%~70重量%、好ましくは25重量%~55重量%の上記で定義した分散体B)
を含み得る。
【0148】
水分散体は、上記で定義した水分散体A)と水分散体B)との混合によって得ることができる。
【0149】
上記で定義した水分散体は、30重量%~60重量%、より好ましくは40重量%~50重量%の範囲の固形分を有し得る。
【0150】
水分散体は、23℃で、50mPa.s~10000mPas、好ましくは50mPas~5000mPas、さらにより好ましくは100mPas~2500mPasの範囲のブルックフィールド粘度を有し得る。
【0151】
23℃での水分散体のpHは、7~10、好ましくは7.5~9.5、さらにより好ましくは7.8~9の範囲であり得る。
【0152】
本発明はまた、上記で定義した本発明の水分散体を含む組成物に関する。
【0153】
本組成物は、当技術分野で公知の少なくとも1つの添加剤を含み得る。
【0154】
添加剤は、潤滑剤、乳化剤、光安定剤、抗酸化剤、充填剤、沈降防止剤、消泡剤、湿潤剤、流れ調整剤、帯電防止剤、成膜助剤、反応性希釈剤、可塑剤、中和剤、触媒、増粘剤、顔料、染料、粘着付与剤、艶消し剤、およびそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0155】
光安定剤は、UV吸収剤および/または立体障害アミンであってもよい。
【0156】
添加剤の選択および量は、原則として当業者に公知であり、容易に決定することができる。
【0157】
本組成物は、上記で定義した水分散体と上記で定義した任意選択の添加剤との混合によって得ることができる。
【0158】
本発明はまた、接着剤としての水分散体または上記で定義した組成物の使用に関する。
【0159】
本発明は、例えば織物、不織布、皮革、ゴム材料、プラスチックなどの任意の基材を結合するための水分散体または組成物の使用に関する。
【0160】
本発明は、2つの基材を結合によって組み立てる方法であって、
-少なくとも1つの基材に、本発明による水分散体または本発明による組成物を塗布すること;
-水をエバポレーションすること;
-基材の一方の面に形成された接着剤層を温度T1に加熱する任意選択の工程;
-2つの基材を圧着させること
を含む、方法に関する。
【0161】
加熱する工程は、赤外線ラジエータを使用して実施することができる。
【0162】
温度T1は、30℃~80℃、好ましくは40℃~60℃の範囲であり得る。
【0163】
定義した水分散体/組成物は、接着される基材の性質に応じて、好ましくは15℃~80℃、より好ましくは23℃~60℃の範囲の広い温度範囲で有利に使用することができる。
【0164】
定義した水分散体/組成物は、基材を一緒に結合するための加熱する工程の有無にかかわらず使用できることを考慮すると、有利に汎用性がある。生じた接着剤は、低温(例えば80℃未満、好ましくは60℃未満)に加熱している間であっても良好な接着特性を有利にもたらすことができる。この特性は、有利には、良好な接着特性を提供しながら、高温に耐えられない感受性基材の劣化を回避することを可能にする。
【0165】
水分散体の別の利点は、加水分解に対する耐性およびそれを用いて得られるフィルムの均一性である。
【0166】
本発明による水分散体/組成物は、有利には、湿潤条件および/または高温でエージングした後でも良好な結合特性を示す。それは、有利には、熱条件および加水分解に対する良好な耐性を示す。
【0167】
本発明によれば、『x~yが含まれる』、または『x~yの範囲にある』、または「x~y」、または「x~yの範囲にある」とは、境界値xおよびyが含まれる範囲を意味する。例えば、「1%~3%を含む」という範囲は、特に1%および3%を含む。
【実施例
【0168】
実験部分
試験方法
乾燥させた熱硬化性接着フィルムのピーク溶融温度および融解エンタルピー(ΔH)を決定する。
【0169】
Perkin Elmer、Pyris 1を使用して、2015年のASTM D3418-15に従って窒素雰囲気下で示差走査熱量測定(DSC)によって、乾燥させたフィルム接着剤のガラス転移温度Tgおよび融解エンタルピーを決定する。DSC曲線は、10mgの100μmフィルム(分散体の塗布および乾燥によって得られる)を使用して、以下の測定条件下で記録する:液体窒素による急速冷却を開始温度-70℃まで行い、次いで、10℃/分の加熱速度で-70℃から200℃までの加熱操作を開始する。ガラス転移温度は、ガラス転移の半分の温度に対応する。
【0170】
水分散体の調製には、以下の成分を使用した:
-水分散体A:48%の固形分、1000mPa.s未満の粘度および6~9の範囲のpH値を有する半結晶性非イオン性ポリ(ブタンジオール-アジペート)/ポリ(ヘキサン-ジオール)カーボネート系ポリウレタン水分散体;
-水分散体B:COVESTROから入手可能なDISPERCOLL U XP 2643:ポリプロピレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、約40%の固形分、1000mPa.s未満の粘度および6~9の範囲のpH値を有するエチレンジアミンに基づく水性非晶質ポリエーテル系ポリウレタン分散体。
【0171】
実施例1
500gの水性ポリウレタン分散体Aを500gの水性ポリウレタン分散体B(Dispercoll U XP 2643)に撹拌しながら23℃でゆっくり添加する。均一な混合物が形成されるまで撹拌を行った。形成された水分散体はD1である。
【0172】
実施例2:23℃での180°剥離強度
基材:皮革対皮革
150mm×25mmの皮革の試験片を2つ用意した。
【0173】
2つの試験片両方に、水分散体D1を、スプレーガン(濡れ広がり速度約80~100g/m2)で噴きかけて片面に塗布した。
活性化試験:接着剤を23℃で20分間乾燥させ、次いで、赤外線ランプを用いて10秒間加熱した(表面温度60~70℃)。
【0174】
次いで、2つの試験片を合わせ(接着剤対接着剤)、次いで、メンブレンプレスを使用して3.5バールで10秒プレスした。
【0175】
非加熱試験:接着剤を23℃で30分間乾燥させ、次いで、2つの試験片を合わせ(接着剤対接着剤)、次いで、メンブレンプレスを使用して3.5バールで10秒プレスした。
【0176】
次いで、結合されたアセンブリを23℃で24時間調整した後、180℃剥離試験を実施した。
【0177】
試験試料をInstrom 5543引張試験機のジョーに固定し、100mm/分の速度で試験した。(結合線に対して180°の方向に)皮革を引き剥がすのに必要な力をN/mで記録する。以下の表1に報告された値は、試験した組成物の3つの複製の平均である。
表1:23℃での180°剥離強度
【0178】
水分散体D1は、有利には、加熱工程あり(15.9)および加熱工程なし(14.4N/cm)の両方の状況で良好な接着特性をもたらす。60~70℃(表面)の低温に加熱した場合、より高い剥離強度値が得られる。
【0179】
実施例3:環境曝露後の180°剥離強度
基材:皮革対皮革
この試験では、接着剤の結合の有効性を実施例2に示すように試験するが、試験前に、試料を調製した後、常温で24時間調整し、次いで、55℃の高温および95%の相対湿度に96時間曝露する。次いで、実施例2に記載したように、23℃、55%、RHで24時間調整した後に、剥離試験を行った。以下の表2に報告された値は、試験した組成物の3つの複製の平均である。
表2:環境曝露後の180°剥離強度
【0180】
結果は、55℃および95%の相対湿度で96時間エージングした後、加熱工程あり(21.8N/cm)または加熱工程なし(19.2N/cm)の両方の状況で良好な接着特性が得られたことを示す。これらの結果は、接着剤が加水分解および熱条件に対して良好な耐性を示すことを示している。
【0181】
実施例4:粘着性の試験
Erichsenフィルモグラファー(filmographer)を用いて、水分散体を50μmのPETコロナ処理フィルムに塗布した(湿潤厚さ:200μm)。
24時間の乾燥後、1回の試行で、2つのストリップを切断した:
-ストリップA:2.5×15cmの寸法を有するもの(それを用いてループを作る)
-ストリップB:寸法2.5×5cmを有するもの
【0182】
動力計Instrom 5543を使用した。T字型のプレートを動力計の底部ジョーに固定した。このプレートの上側に、ストリップBを、両面に接着剤を塗布して配置した(上側に接着面)。ストリップAを用いてループを作成し、ストリップの端部を、上側にあるジョーで固定した(接着剤を含む表面は下向き)。次いで、300mm/分の速度で、動力計による下方への移動によってストリップAをストリップBに接触させた。動力計は、ストリップAとストリップBとの間の接触面が6.25mm2(25×25mm)であるときに移動を停止するように設定した。
表面が到達すると、動力計は300mm/分の速度でストリップBからストリップAを上方に引き上げた。動力計は、N/6.25mm2で表される引き上げ力を測定した。
【0183】
表に報告された値は、試験した各組成物の5つの複製の平均である。
表3-粘着性の試験
【国際調査報告】