(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】ターボジェット又はターボファンエンジン用エンジンナセルの吸入口の為の防氷装置
(51)【国際特許分類】
B64D 15/12 20060101AFI20240305BHJP
B64D 27/10 20060101ALI20240305BHJP
B64D 27/16 20060101ALI20240305BHJP
B64D 29/06 20060101ALI20240305BHJP
B64D 15/22 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B64D15/12
B64D27/10
B64D27/16
B64D29/06
B64D15/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023554875
(86)(22)【出願日】2022-03-09
(85)【翻訳文提出日】2023-11-06
(86)【国際出願番号】 IB2022052101
(87)【国際公開番号】W WO2022189999
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】102021000005525
(32)【優先日】2021-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518160436
【氏名又は名称】レオナルド・エッセ・ピ・ア
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】プレマッツィ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ヌグネス,ジュゼッピーナ
(72)【発明者】
【氏名】ロマーノ,アントニオ
(57)【要約】
エンジンナセル(3)の吸入口(2)の為の防氷装置(1)であって、ナセルの前方環状部分(4)の第1環状外壁部(5)に結合されて航空機に存在する電気エネルギーにより電力供給される第1ジュール効果ヒータ装置(10)と、前方環状部分(4)の第2環状内壁部(6)に結合されて航空機に存在する電気エネルギーにより電力供給され、電力供給時に、第2環状内壁部(6)に形成された氷が、吸音管状壁部(8)に向かって第2環状壁部(6)を移動する水膜に変換されるように第2内壁部(6)の外面を加熱するように構成されている第2ジュール効果ヒータ装置(11)と、第2環状内壁部(6)と吸音管状壁部(8)との間に設けられて、エンジンにより吸入され噴霧化した水粒子(G)をエンジン自体に向かって誘導する気流の運動速度に起因して環状内壁部(6)上を流動する液膜(F)の脱離を行うように構成されている不連続要素(12)とを具備する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボジェット又はターボファンエンジン用のナセルエンジン(3)の吸入口(2)の為の防氷装置(1)であって、前記ナセル(3)自体の外側に面する第1環状外壁部(5)により、及び前記ナセル自体の前記吸入口に面して湾曲輪郭(7)を通して前記第1部分と接続される第2環状内壁部(6)により形成される前方環状部分(4)によって、前記吸入口(2)は、前部で画定され、前記第2環状内壁部(6)は、前記エンジンに面する後方側により、前記ナセルの吸引ライン(9)の一部を画定する吸音管状壁部(8)の一周縁側と接続される、防氷装置において、
前記第1環状外壁部(5)に結合され、航空機に存在する電気エネルギーにより電力供給され、電力供給時に、前記第1外壁部(5)の外面を加熱して、前記第1壁部(5)に形成された氷にその付着力を失わせ、前記氷は、前記ナセルエンジンの外側の気流による運動効果に起因して除去されるか、又は航空機の着陸動作中に重力により落下するように構成されている第1ジュール効果ヒータ装置(10)と、
前記第2環状内壁部(6)に結合され、前記航空機に存在する前記電気エネルギーにより電力供給され、電力供給時に、前記第2環状内壁部(6)に形成された氷が、前記吸音管状壁部(8)に向かって前記第2環状壁部(6)に沿って流動する水膜に変換されるように、前記第2内壁部(6)の前記外面を加熱するように構成されている第2ジュール効果ヒータ装置(11)と、
前記第2環状内壁部(6)と前記吸音管状壁部(8)の前記周縁側との間にもっぱら設けられ、前記エンジンにより吸入されて噴霧化した空気粒子(G)を前記エンジン自体に向かって誘導する気流の運動速度に起因して前記環状内壁部(6)上を流動する液膜(F)の脱離を行うように構成されている不連続要素(12)と、
を具備する防氷装置であることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記第1ジュール効果ヒータ装置(10)は、前記環状外壁部(5)の周りに角度を成して設置されて互いに独立している幾つかの加熱セクタを具備し、各加熱セクタは、異なる量の熱エネルギーを送達する為の幾つかのエリアに分割されている、請求項1による装置。
【請求項3】
前記第2ジュール効果ヒータ装置(11)は、前記環状内壁部(6)の周りに角度を成して設置されて互いに独立している幾つかの加熱セクタを具備し、各加熱セクタは、異なる量の熱エネルギーを送達する為の幾つかのエリアに分割されている、請求項1又は2による装置。
【請求項4】
前記不連続要素は、前記環状内壁部(6)に面する縁部と前記吸音管状壁部(8)との間に延在する溝部又は環状突部(13)から成る、請求項1から3のいずれか一項による装置。
【請求項5】
前記吸音管状壁部(8)は、前記エンジンの回転部品に向かって水粒子を流動させるように構成されている疎水性/疎氷性ライニングにより被覆されている、請求項1から4のいずれか一項による装置。
【請求項6】
気象レーダに由来するデータに基づいて、及び飛行データに基づいて、前記航空機が横切って通過しようとしている雲のタイプ、例えば、水及び氷の含有量、温度など前記雲の状態についての情報を判断するように構成されている電子制御装置(18)が設けられ、前記電子装置(18)は、このように判断された前記データに基づいて、前記第1環状外壁部(5)及び前記第2環状内壁部(6)について氷の除去を保証する目標温度Teターゲット、Tiターゲットを得るのに前記第1及び第2ヒータ装置(10)及び(11)が供給しなければならない前記電気エネルギーの値を開ループ及びリアルタイムで計算するように構成され、この計算の結果が、飛行条件について対応の認証電子制御装置のデータベース(メモリROM)にロードされたものと比較され、前記制御ユニットの前記データベースにロードされた予想された前記飛行条件により規定される前記電気エネルギー供給の前記値は、前記第1及び第2ヒータ装置(10及び11)へ送られる値である、請求項1から5のいずれか一項による装置。
【請求項7】
前記電子制御装置(18)は、前記目標温度Teターゲット、Tiターゲットを、前記第1環状外壁部(5)及び前記第2環状内壁部(6)で測定された温度Te,Tiと比較するように構成され、前記温度を閉ループにおいてリアルタイムで制御するのに前記温度間の誤差が使用される、請求項6による装置。
【請求項8】
前記第1及び第2ジュール効果ヒータ装置(10,11)の前記電子制御装置が、
エンジン始動に続く時間間隔にわたって前記第1ヒータ装置(10)をスイッチオフに保持し、前記時間間隔が経過した後に、前記第1ヒータ装置(10)がオン/オフタイプの交互動作(オン/オフ除氷サイクル)でスイッチオンにされ、
前記エンジン始動に続いて前記第2ヒータ装置(11)を継続的にスイッチオン(防氷定常オンによる湿潤状態)に保持する、
ように構成されている、請求項6又は7による装置。
【請求項9】
前記前方環状部分(4)に穿設された孔を通過して前記環状内壁部(6)と同一平面(同じ高さ)である第1端部(16‐a)と、前記環状内壁部(6)、それゆえに前記第1端部(16‐a)を被覆する前記氷からの反射/屈折された放射を検出するように設計された光放射発生器/検出器(16‐c)と通信する第2端部(16‐b)とを各々が有する複数の光ファイバ(16)を具備する着氷検出システム(15)が前記前方環状部分(4)に設けられる、請求項1から8のいずれか一項による装置。
【請求項10】
前記管状騒音低減壁部(8)の前記外面(8b)に対して段部を形成する前記第2環状内壁部(6)の脱離縁部(20)により前記不連続要素(20)が形成され、前記吸音管状壁部(8)の前記外面(8‐b)が、前記脱離縁部(20)の径方向距離より大きい径方向距離を有する、請求項1から9のいずれか一項による装置。
【請求項11】
前記脱離縁部(20)は鋸歯パターンを有して、10から70度まで変化する内角を形成する複数の隣接直線部(20‐a,20‐b)により規定される、請求項10による装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、2021年3月9日出願のイタリア特許出願第102021000005525号の優先権を主張し、その開示全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、ターボジェット又はターボファンエンジン用エンジンナセルの吸入口の為の防氷装置に関する。
【背景技術】
【0003】
大気中の氷の蓄積は、航空機の空気力学特性に悪影響を与え、エンジンの吸気部での流動の流量及び規則性を変化させ、高度計及び速度計の静的及び動的吸入部を閉塞し、そして吸気部からの氷片の脱離及びエンジンによる吸込みの事例では、コンプレッサブレードへの広範囲の損傷を引き起こし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第8,181,900号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、電動式で低消費であるターボジェット又はターボエンジン用エンジンナセルの吸入口の為の防氷装置を製作することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の目的は、以下の点において、本発明により達成され、この発明は、ターボジェット又はターボファンエンジン用ナセルエンジンの吸入口の為の防氷装置であって、ナセル自体の外側に面する第1環状外壁部により、及びナセル自体の吸入口に面して湾曲輪郭を通して第1部分と接続される第2環状内壁部により形成される前方環状部分によって、吸入口は、前部で画定され、第2環状内壁部は、エンジンに面する後方側により、ナセルの吸引ラインの一部を画定する吸音管状壁部の一周縁側と接続される、防氷装置に関連し、第1環状外壁部に結合され、航空機に存在する電気エネルギーにより電力供給され、電力供給時に、第1外壁部の外面を加熱して、第1壁部に形成された氷にその付着力を失わせ、氷は、ナセルエンジンの外側の気流による運動効果に起因して除去されるか、又は航空機の着陸動作中に重力により落下するように構成されている第1ジュール効果ヒータ装置と、第2環状内壁部に結合され、航空機に存在する電気エネルギーにより電力供給され、電力供給時に、第2環状内壁部に形成された氷が、吸音管状壁部に向かって第2環状内壁部に沿って流動する水膜に変換されるように、第2内壁部の外面を加熱するように構成されている第2ジュール効果ヒータ装置と、第2環状内壁部と吸音管状壁部の周縁側との間にもっぱら設けられ、エンジンにより吸入されて噴霧化した空気粒子(G)をエンジン自体に向かって誘導する気流の運動速度に起因して環状内壁部上を流動する液膜(F)の脱離を行うように構成されている不連続要素とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明をより良く理解する為に、添付図面を参照して好適な実施形態が非限定的な例として以下に記載される。
【
図1】本発明による防氷システムを有するエンジンナセルの略図である。
【
図2】本発明による防氷システムを断面において拡大して示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1において、1は、全体としてターボジェット又はターボファンエンジン(不図示)用のエンジンナセル3の吸入口2の為の防氷装置を指し、吸入口2は、ナセル3自体の外側に面する第1環状外壁部5により、及び、ナセル自体の吸入口(及び軸線A)に面しており、かつ略C形状断面を有する湾曲輪郭7によって第1壁部と接続される第2環状内壁部6により形成される前方環状部分4によって、前部で画定される。
【0009】
第2環状内壁部6は、エンジンに面する後方側により、ナセル3の吸引ライン9の一部を画定する吸音管状壁部8の周縁側8‐aと接続される。この例で周縁側8‐aは直線状であるが、その形状は異なっていてもよい。
【0010】
本発明(
図2参照)によれば、防氷装置1は、第1外壁部5に結合され、航空機に存在する電気エネルギーにより電力供給され、そして電力供給時に、所定の温度範囲(例えば7℃÷21℃の間)で第1外壁部5の外面を加熱して、第1壁部5に形成された氷に付着力を失わせ、氷はエンジンナセルの外側の気流による運動効果に起因して除去されるか、又は航空機の着陸動作中に重力により落下するように構成される第1ジュール効果ヒータ装置10を具備する。
【0011】
第1ジュール効果ヒータ装置10は、(例えば、膜抵抗器による)周知の技術を用いて製造され、環状外壁部5の周りに角度を成して設置される互いに独立した幾つかの加熱セクタを具備する。各加熱セクタは、異なる量の熱エネルギーを送達する為の幾つかのエリアに分割される。
【0012】
第1外壁部5の温度Teを検出するのに適応したセンサ(不図示)が設けられる。
【0013】
防氷装置1は、第2環状内壁部6に結合され、航空機に存在する電気エネルギーにより電力供給され、そして電力供給時に、第2環状外壁部6に形成された氷が水膜Fに変形されて、水膜が吸音管状壁部8に向かって第2環状内壁部6を移動するように、第2内壁部6の外面を所定温度範囲で加熱するように構成されている(やはり周知のタイプの)第2ジュール効果ヒータ装置11を具備する。そして壁部6は吸音タイプのものである。周知のタイプの吸音面6及び8は、例えば、およそ3mmの孔間ピッチで穿孔されている。
【0014】
第2ジュール効果ヒータ装置11は、環状内壁部6の周りに角度を成して設置された互いに独立している幾つかの加熱セクタを具備する。各加熱セクタは、異なる量の熱エネルギーを送達する為の幾つかのエリアに分割されている。
【0015】
第1内壁部6の温度Tiを検出するのに適応したセンサ(不図示)が設けられる。
【0016】
第1及び第2ヒータ装置10及び11の両方は、腐食及び衝撃からこれらを保護するコーティング層により保護されている。
【0017】
さらに、本発明によれば、第2環状内壁部6と吸音管状壁部8の周縁壁部8‐aとの間にもっぱら、エンジンにより吸入されて噴霧化した水粒子Gをエンジン自体に向かって誘導する気流の運動速度によって、環状内壁部6上を流動する液膜Fの脱離を行うように構成されている不連続要素12が設けられる。
【0018】
図の例で、不連続要素は、環状内壁部6及び吸音管状壁部8の対向縁部の間で360度にわたって延在する環状溝部13から成る。水膜が環状溝部13に入ると噴霧化が行われる。
【0019】
代替的に、不連続要素は、環状内壁部6及び吸音管状壁部8の対向縁部の間で360度にわたって延在する環状突出部13(不図示)から成り得る。
【0020】
吸音壁部6及び8は、エンジンの回転部品に向かって水粒子を流動させるように構成されている疎水性/疎氷性ライニング(周知のタイプのもの、つまり、水/氷の脱離を誘発するか、又はその蓄積/形成を軽減するのに重力、風力、表面張力などの自然力以外には外部エネルギーを必要としない受動タイプのもの。疎水性/疎氷性ライニングは、通常周知の技術を用いて塗着される塗料で出来ている)により、被覆されている。
【0021】
着氷検出システム15が、前方環状部分4に設けられ、前方環状部分4に穿設された孔を通過して環状内壁部6と同一平面(同じ高さ)である第1端部16‐aと、管状内壁部6、それゆえ端部16‐aを被覆する氷からの反射/屈折された放射を検出するのに適応した(レーザ源などの)光放射発生器/検出器16‐cと通信する第2端部16‐bとを各々が有する複数の光ファイバ16を具備する。
【0022】
着氷検出システム15と通信してTe及びTi温度の値を受信する(概略的に示されているように必ずしも翼部ではなく航空機のどこに収容されてもよい)電子制御装置18が設けられている。
【0023】
電子制御装置18は、航空機に配置された他の着氷検出器装置16‐dとも協働し、速度、高度、空気温度、圧力、迎え角等、航空機の飛行データとともに、気象データ(雲の存在)、雲の状態(水及び氷の含有量、温度等についての情報)を受信するように構成されている。
【0024】
電子制御装置18は、氷除去動作を行うように第1及び第2ジュール効果ヒータ装置10,11を制御する。
【0025】
電子制御装置18は、気象レーダからのデータに基づいて、及び飛行データに基づいて、航空機が通過しようとしている雲のタイプと雲の状態(水及び氷の含有量、温度)についての情報とを判断するのに適応している。こうして判断されたデータに基づいて、電子装置18は、氷の除去を保証する第1環状外壁部5及び第2環状内壁部6についての目標温度Te‐ターゲット、Tiターゲットを得るのにヒータ装置10及び11が供給しなければならない電気エネルギーの値を開ループ及びリアルタイムで計算するように構成されている。第1及び第2ジュール効果ヒータ10/11により吸収される電気エネルギーを入力として、第1環状外壁部5及び第2環状外壁部6の温度を出力とする入力‐出力モデルを表す数学物理モデルを理解したうえで、計算が行われる。計算の結果は、飛行条件についての対応の認証電子制御装置のデータベース(メモリROM)にロードされたものと比較される。制御ユニットデータベースにロードされた飛行条件により規定される電気エネルギーの(予想)値は、ヒータ装置10及び11へ送られる値である。
【0026】
目標温度Teターゲット、Tiターゲットは、第1環状外壁部5及び第2環状外壁部6で測定された温度Te,Tiと比較され、リアルタイムで温度自体を閉ループで(例えば周知のタイプのPIDコントローラにより)制御するのに、温度間の誤差が使用される。
【0027】
特に、電子制御装置18は、エンジン始動に続いて第1ヒータ装置10を或る時間間隔にわたってスイッチオフに保って、航空機の飛行中に外部輪郭への氷のある厚さまでの成長を可能にするように構成され、このような時間間隔が経過した後に、規則的間隔内で一定温度が維持されるように第1ヒータ装置10がオン/オフタイプの交互動作でスイッチオンにされる(オン/オフ除氷サイクルシステム)。
【0028】
エンジン始動に続いて第2ヒータ装置11を継続的にスイッチオンに保つ(防氷定常オンによる湿潤状態)。電圧又は電流又は抵抗を制御することにより、ヒータ装置は電子制御装置18に制御される。電流制御が行われる場合には、温度Te又はTiを考慮する法則によりこれが調整され得る。
【0029】
本発明の装置の利点は、上記から明らかである。
【0030】
数値モデリングと、出願人により行われた試験とに基づいて、第1ジュール効果ヒータ装置10と第2ジュール効果ヒータ装置11と不連続要素12と疎水性/疎氷性処理部8との間に相乗効果が生まれることが検証された。この相乗効果は、周知の着氷飛行条件において着氷に曝されるエンジン吸入口の表面積を減少させるので、航空機の防氷システムに必要とされる電力消費量の削減に役立つ。前方環状部分4に着氷検出システム15が存在することにより、防氷システムの性能が制御され得る。
【0031】
図3及び4を参照すると、管状騒音低減壁部8の外面8bに対して段部を形成する第2環状内壁部6の脱離縁部20により、不連続要素20が形成される。吸音管状壁部8の外面8‐bは、脱離縁部20の径方向距離より大きな径方向距離を有する。段部は水膜の脱離を向上させる。
【0032】
図3及び4に示されているように、脱離縁部20は鋸歯パターンを有し、10から70度まで変化する内角を形成する複数の隣接直線部20‐a,20‐bを境界とする。
【符号の説明】
【0033】
1 防氷装置
2 吸入口
3 エンジンナセル
4 前方環状部分
5 第1環状外壁部
6 第2環状内壁部
7 湾曲輪郭
8 吸音管状壁部
9 吸引ライン
10 第1ジュール効果ヒータ装置
11 第2ジュール効果ヒータ装置
12 不連続要素
13 環状溝部
14 疎水性/疎氷性ライニング
15 着氷検出システム
16 光ファイバ
16‐a 第1端部
16‐b 第2端部
17 放射発生器/検出器
18 電子制御装置
【国際調査報告】