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特表2024-510960ガイドワイヤ位置付け装置及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】ガイドワイヤ位置付け装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/966 20130101AFI20240305BHJP
   A61F 2/24 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
A61F2/966
A61F2/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023554881
(86)(22)【出願日】2022-02-18
(85)【翻訳文提出日】2023-11-02
(86)【国際出願番号】 US2022017028
(87)【国際公開番号】W WO2022191977
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】63/158,237
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500218127
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
【住所又は居所原語表記】One Edwards Way, Irvine, CALIFORNIA 92614, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ビンチュアン・ス
(72)【発明者】
【氏名】ニマ・ヴィー・ニア
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・トーマス・ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】サクヤシン・トリパシー
(72)【発明者】
【氏名】ヘンチュウ・カオ
(72)【発明者】
【氏名】レネ・サンタナ
【テーマコード(参考)】
4C097
4C267
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097BB04
4C097BB09
4C097MM10
4C097SB10
4C267AA05
4C267AA56
4C267BB02
4C267BB10
4C267BB19
4C267CC19
4C267EE01
4C267EE03
4C267GG02
4C267GG24
4C267GG32
4C267GG43
(57)【要約】
心臓弁を通してガイドワイヤを送達するためのシステムは、心臓の血流経路を通過するように構成された送達カテーテルと、内側管腔を有する内側カテーテルと、内側カテーテルの内側管腔を通過するように構成されたガイドワイヤと、内側カテーテルの外表面上に圧着された位置付け装置と、を備える。送達カテーテルは、内側カテーテル、ガイドワイヤ、及び位置付け装置を受けるように構成され、位置付け装置の拡張を妨げるように構成される。位置付け装置は、送達カテーテルから取り外されると拡張するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓弁を通してガイドワイヤを送達するためのシステムであって、
心臓の血流経路を通過するように構成された送達カテーテルと、
内側管腔を有する内側カテーテルと、
前記内側カテーテルの前記内側管腔を通過するように構成されたガイドワイヤと、
前記内側カテーテルの外表面上に圧着された位置付け装置であって、
前記送達カテーテルが、前記内側カテーテル、ガイドワイヤ、及び位置付け装置を受けるように構成され、
前記送達カテーテルが、前記位置付け装置の拡張を妨げるように構成され、
前記位置付け装置が、前記送達カテーテルからの取り外しに伴い、拡張するように構成される、システム。
【請求項2】
前記位置付け装置が、前記送達カテーテルからの取り外しに伴い、前記血流経路に適合するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記位置付け装置が、前記送達カテーテルからの取り外しに伴い、前記内側カテーテル及びガイドワイヤを前記心臓弁の中央部分の上に位置付けるように構成される、請求項1又は請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記位置付け装置が、編組みコードから少なくとも部分的に構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記位置付け装置が、前記血流経路に沿って延在して前記位置付け装置の傾斜を妨げるように構成された、概して平坦な側面を有する概して円筒の形状を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記位置付け装置が、
ベース部分と、
前記ベース部分から前記位置付け装置の中空の内部の周りに延在する一つ以上の側面部分と、
前記ベース部分から横切り、前記心臓弁の近くに位置付けられて、前記心臓弁から変位した断片を回収するように構成される、開口部と、を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記位置付け装置が、前記血流経路の直径よりも小さい直径に拡張して、前記位置付け装置が拡張した後に、前記位置付け装置が前記血流経路に沿って移動することを可能にするように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記位置付け装置が、前記内側カテーテルの周りにコイル状に巻かれた一つ以上のコードを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記一つ以上のコードが、前記位置付け装置のベース部分で直径を増加させ、前記位置付け装置の側面部分で最大直径を維持するように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記位置付け装置が、前記内側カテーテルから離れるように湾曲し、前記血流経路に沿って延在するように構成された一つ以上の可撓性コードを備える、請求項1~9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
前記位置付け装置が、前記内側カテーテルの前記外表面の複数の部分に取り付けるように構成される、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
心臓弁を通してガイドワイヤを送達するための方法であって、前記方法が、
血流経路を介して心臓弁に送達カテーテルを送達することであって、前記送達カテーテルが、内側カテーテル、位置付け装置、及びガイドワイヤを受けるように構成された第一の内側管腔を有する、送達することと、
前記内側カテーテルを前記送達カテーテルの前記第一の内側管腔に通過させることであって、前記内側カテーテルが第二の内側管腔を有し、前記内側カテーテルの外部表面で前記位置付け装置を搬送するように構成される、通過させることと、
前記内側カテーテルを前記送達カテーテルの遠位端から延在させて、前記位置付け装置が前記内側カテーテルの周りで複数の方向に拡張することを可能にする、延在させることと、
前記ガイドワイヤを前記内側カテーテルの前記第二の内側管腔に通し、前記内側カテーテルの遠位端から外に出すことと、を含む、方法。
【請求項13】
前記位置付け装置が、前記内側カテーテル及びガイドワイヤを前記心臓弁の中央部分の上方に位置付けるために拡張するように構成される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記位置付け装置が、前記血流経路に沿って延在して前記位置付け装置の傾斜を妨げるように構成された、概して平坦な側面を有する、概して円筒の形状を有する、請求項12又は請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記位置付け装置が、
ベース部分と、
前記ベース部分から前記位置付け装置の中空の内部の周りに延在する一つ以上の側面部分と、
前記ベース部分から横切り、前記心臓弁の近くに位置付けられて、前記心臓弁から変位した断片を回収するように構成される、開口部と、を備える、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記位置付け装置が、前記内側カテーテルの周りにコイル状に巻かれた一つ以上のコードを含む、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
心臓弁の開口部にガイドワイヤを位置付けるための装置であって、前記装置が、
内側カテーテルに圧着するように構成された圧着部分と、
圧縮して送達カテーテル内に適合し、前記送達カテーテルからの取り外しに伴い、血流経路内に拡張するように構成された拡張可能なベース部分と、
前記血流経路の組織壁に沿って延在して、前記内側カテーテルの傾斜を妨げるように構成された一つ以上の側面部分と、を含む、装置。
【請求項18】
前記拡張可能なベース部分が、少なくとも部分的に編組みコードで構成される、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記拡張可能なベース部分が、前記内側カテーテルの周りにコイル状に巻かれた一つ以上のコードを含む、請求項17又は請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記拡張可能なベース部分及び一つ以上の側面部分が、前記内側カテーテルから離れるように湾曲し、前記血流経路に沿って延在するように構成された一つ以上の可撓性コードを含む、請求項17~19のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年3月8日に出願され、「GUIDEWIRE POSITIONING DEVICES AND SYSTEMS」と題された米国仮特許出願第63/158,237号に対する優先権を主張し、その完全な開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本開示は、概して、心臓弁補正の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
心臓弁は、時間経過に伴い石灰化することがあり、これにより、心臓弁が完全に開くことが妨げられる場合がある。その結果として、石灰化した心臓弁は、医療器具の送達のために比較的狭い開口部を提供する場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示を要約する目的で、特定の態様、利点、及び新規の特徴が本明細書に説明されている。全てのそのような利点は、必ずしも任意の特定の実施形態に従って達成され得るわけではないことが理解されるべきである。したがって、開示された実施形態は、本明細書に教示又は示唆され得る他の利点を必ずしも達成することなく、本明細書に教示されるような一つの利点又は利点の一群を達成又は最適化する様式で実施され得る。
【0004】
本開示の一部の実施は、心臓弁を通してガイドワイヤを送達するためのシステムに関する。システムは、心臓の血流経路を通過するように構成された送達カテーテルと、内側管腔を有する内側カテーテルと、内側カテーテルの内側管腔を通過するように構成されたガイドワイヤと、内側カテーテルの外表面上に圧着された位置付け装置とを備える。送達カテーテルは、内側カテーテル、ガイドワイヤ、及び位置付け装置を受けるように構成され、送達カテーテルは、位置付け装置の拡張を妨げるように構成され、位置付け装置は、送達カテーテルから取り外されると拡張するように構成される。
【0005】
位置付け装置は、送達カテーテルからの取り外しに伴い、血流経路に適合するように構成されうる。いくつかの実施形態では、位置付け装置は、送達カテーテルから取り外されることに伴い、内側カテーテル及びガイドワイヤを心臓弁の中央部分の上に位置付けるように構成される。
【0006】
いくつかの実施形態では、位置付け装置は、編組みコードから少なくとも部分的に構成されている。位置付け装置は、位置付け装置の傾斜を妨げるために血流経路に沿って延在するように構成された概して平坦な側面を有する、概して円筒の形状を有してもよい。
【0007】
位置付け装置は、ベース部分と、ベース部分から位置付け装置の中空の内部の周りに延在する一つ以上の側面部分と、ベース部分から横切って延在し、かつ心臓弁の近くに位置付けられて、心臓弁から変位した断片を回収するように構成された開口部と、を備えてもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、位置付け装置は、血流経路の直径よりも小さい直径に拡張して、位置付け装置が拡張した後に位置付け装置が血流経路に沿って移動することを可能にするように構成される。
【0009】
位置付け装置は、内側カテーテルの周りにコイル状に巻かれた一つ以上のコードを備えてもよい。いくつかの実施形態では、一つ以上のコードは、位置付け装置のベース部分で直径を増加させ、位置付け装置の側面部分で最大直径を維持するように構成される。
【0010】
いくつかの実施形態では、位置付け装置は、内側カテーテルから離れるように湾曲し、血流経路に沿って延在するように構成された一つ以上の可撓性コードを備える。位置付け装置は、内側カテーテルの外表面の複数の部分に取り付けるように構成されてもよい。
【0011】
本開示のいくつかの実施によれば、心臓弁を通してガイドワイヤを送達するための方法は、血流経路を介して心臓弁に送達カテーテルを送達することを含む。送達カテーテルは、内側カテーテル、位置付け装置、及びガイドワイヤを受けるように構成された第一の内側管腔を有する。方法は、送達カテーテルの第一の内側管腔に内側カテーテルを通過させることをさらに含む。内側カテーテルは、第二の内側管腔を有し、内側カテーテルの外部表面で位置付け装置を搬送するように構成される。方法は、内側カテーテルを送達カテーテルの遠位端から延在させて、位置付け装置が内側カテーテルの周りを複数の方向に拡張することを可能にし、ガイドワイヤを内側カテーテルの第二の内側管腔に通し、内側カテーテルの遠位端から外に出すことをさらに含む。
【0012】
位置付け装置は、拡張して、内側カテーテル及びガイドワイヤを心臓弁の中央部分の上に位置付けるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、位置付け装置は、血流経路に沿って延在して位置付け装置の傾斜を妨げるように構成された概して平坦な側面を有する概して円筒の形状を有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、位置付け装置は、ベース部分と、ベース部分から位置付け装置の中空の内部の周りに延在する一つ以上の側面部分と、ベース部分から横切って延在し、かつ心臓弁の近くに位置付けられて、心臓弁から変位した断片を回収するように構成された開口部と、を備える。
【0014】
位置付け装置は、内側カテーテルの周りにコイル状に巻かれた一つ以上のコードを備えてもよい。いくつかの実施形態では、位置付け装置は、内側カテーテルから離れるように湾曲し、血流経路に沿って延在するように構成された一つ以上の可撓性コードを備える。
【0015】
本開示の一部の実施は、ガイドワイヤを心臓弁の開口部に位置付けるための装置に関する。装置は、内側カテーテルに圧着するように構成された圧着部分と、圧縮されて送達カテーテル内に適合し、送達カテーテルから取り外されると血流経路内で拡張するように構成された拡張可能なベース部分と、内側カテーテルの傾斜を妨げるために血流経路の組織壁に沿って延在するように構成された一つ以上の側面部分とを備える。
【0016】
いくつかの実施形態では、拡張可能なベース部分は、編組みコードから少なくとも部分的に構成されている。拡張可能なベース部分は、内側カテーテルの周りにコイル状に巻かれた一つ以上のコードを備えてもよい。
【0017】
拡張可能なベース部分及び一つ以上の側面部分は、内側カテーテルから離れるように湾曲し、血流経路に沿って延在するように構成された一つ以上の可撓性コードを含んでもよい。
【0018】
様々な実施形態が、例示目的で添付図面に示され、本発明の範囲を限定すると決して解釈されるべきではない。加えて、異なる開示された実施形態の様々な特徴が、本開示の一部である、追加の実施形態を形成するように組み合わせられ得る。図面全体を通して、参照番号は、参照要素間の対応を示すために再使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、ヒト心臓の断面図を示す。
図2図2は、例示的な心臓の左心室及び左心房の断面図を提供する。
図3図3は、一つ以上の実施形態による、開状態にある健康な心臓弁を図示する。
図4図4は、本明細書に記載のいくつかの実施形態による、開状態にあり、同時に石灰化を経験している、三つの弁尖を有する例示的な心臓弁を示す。
図5図5は、本明細書に記載の一つ以上の実施形態による、開状態にあり、同時に石灰化を経験している、二つの弁尖を有する例示的な心臓弁を示す。
図6図6は、特定の実施形態による、ガイドワイヤ及び/又は類似の装置を心臓の石灰化した弁に送達することを伴う送達プロセスを示す。
図7A図7Aは、本開示の一つ以上の実施形態による、心臓弁の治療のために、位置付け装置及び/又はガイドワイヤを患者の身体内に送達するための送達システムの例を示す。
図7B図7Bは、本開示の一つ以上の実施形態による、心臓弁の治療のために、位置付け装置及び/又はガイドワイヤを患者の身体内に送達するための送達システムの例を示す。
図8A図8Aは、本開示の一つ以上の実施形態による、心臓弁の治療のために、位置付け装置及び/又はガイドワイヤを患者の身体内に送達するための送達システムの例を示す。
図8B図8Bは、本開示の一つ以上の実施形態による、心臓弁の治療のために、位置付け装置及び/又はガイドワイヤを患者の身体内に送達するための送達システムの例を示す。
図9A図9Aは、本開示の一つ以上の実施形態による、心臓弁の治療のために、位置付け装置及び/又はガイドワイヤを患者の身体内に送達するための送達システムの例を示す。
図9B図9Bは、本開示の一つ以上の実施形態による、心臓弁の治療のために、位置付け装置及び/又はガイドワイヤを患者の身体内に送達するための送達システムの例を示す。
図10図10は、本開示の一つ以上の実施形態による、心臓弁の治療のために、位置付け装置及び/又はガイドワイヤを患者の身体内に送達するための送達システムの例を示す。
図11-1】図11-1は、本開示の一つ以上の実施形態による、石灰化及び/又は他の要因によって少なくとも部分的に狭められ得る弁を通してガイドワイヤ及び/又は類似の装置を送達するためのプロセス工程を示すフローチャートである。
図11-2】図11-2は、本開示の一つ以上の実施形態による、石灰化及び/又は他の要因によって少なくとも部分的に狭められ得る弁を通してガイドワイヤ及び/又は類似の装置を送達するためのプロセス工程を示すフローチャートである。
図12-1】図12-1は、一部の実施形態による、図11-1及び図11-2のプロセス工程に関連する画像を提供する。
図12-2】図12-2は、一部の実施形態による、図11-1及び図11-2のプロセス工程に関連する画像を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
特定の好ましい実施形態及び実施例が以下に開示されているが、発明の主題は、具体的に開示された実施形態を越えて、他の代替的な実施形態及び/又は用途、並びにその修正例及び均等物に及ぶ。したがって、本明細書から生じ得る特許請求の範囲は、以下に記載される特定の実施形態のいずれによっても限定されない。例えば、本明細書に開示される任意の方法又はプロセスに関連して、方法又はプロセスの作用又は動作は、任意の好適な順序で実施され得、任意の特定の開示される順序に必ずしも限定されない。様々な動作は、特定の実施形態を理解するのに有用であり得る様式で、複数の別個の動作として順次説明され得るが、記載の順序は、これらの動作が順序依存性であることを暗示するものとして解釈されるべきではない。加えて、本明細書に記載される構造、システム、及び/又は器具/装置は、一体化された構成要素として、又は別個の構成要素として具現化され得る。様々な実施形態を比較する目的で、これらの実施形態の特定の態様及び利点が記載される。
【0021】
本明細書に提供される見出しは、単に便宜上のものであり、請求された発明の範囲又は意味に必ずしも影響するものではない。
【0022】
このような全ての態様又は利点は、任意の特定の実施形態によって必ずしも達成されるとは限らない。したがって、例えば、様々な実施形態は、本明細書に同様に教示又は示唆され得る他の態様又は利点を必ずしも達成することなく、本明細書に教示されるような一つの利点又は利点の一群を達成又は最適化する様式で実施され得る。同様の参照番号は、別個の図及び/又は実施形態に関して使用されてもよく、このような同様の又は同一の参照番号の使用は、必ずしも同一の構成要素を識別するものとして解釈されるべきではなく、別個の特徴を指し得る。
【0023】
心臓弁は、時間経過に伴い石灰化することがあり、これにより、心臓弁が完全に開くことが妨げられうる。その結果として、石灰化した心臓弁は、医療器具の送達のために比較的狭い開口部を提供する場合がある。石灰化は様々な心臓弁で起こり得るが、大動脈弁は、特に石灰化されやすい場合がある。
【0024】
大動脈弁での石灰化は、経カテーテル大動脈弁置換(TAVR)処置を含む様々な医療処置にとって問題となり得る。多くのTAVR及び/又は他の処置は、一つ以上の装置及び/又はシステムを、大動脈弁及び/又は他の弁を通して送達することを伴う場合がある。例えば、ガイドワイヤ及び/又は類似の装置は、まず、追加の装置をガイドワイヤに沿って大動脈弁を通して送達することを可能にするために、大動脈弁を通して送達されてもよい。ガイドワイヤを介して送達される装置は、バルーン拡張可能及び/又は自己拡張可能な装置、置換弁、バルーン、シース、及び/又は他の装置を含み得る。一部の事例では、カテーテルは、送達中に血流経路の側壁に自然に押し付けられてもよい。したがって、カテーテルが心臓弁に到着すると、カテーテルは概して、心臓弁の中央部分の上方又は下方に位置付けられない場合がある。
【0025】
一部のガイドワイヤは、概して湾曲した構造を有してもよく、及び/又は様々な血流経路及び/又は弁を誘導するように湾曲するように構成され得るが、場合によっては、外科医がガイドワイヤを制御して、及び/又はねじって、心臓弁を通してガイドワイヤを誘導することは困難であり得る。さらに、ガイドワイヤ及び/又は他の装置の送達は、弁を通る自然の血流とは反対の方向に送達されてもよい。例えば、ガイドワイヤは、大動脈弁を通って左心室内に送達されてもよく、一方、自然の血流は、左心室から大動脈弁を通って大動脈内に送達されてもよい。さらに、弁を通る血流は、概してある角度を成してもよく、これは、弁の上方の装置を血流経路の側面に押し込むことになり得る一方で、弁を通る開口部は、概して弁の中央部分に、及び/又はその周りにあってもよい。
【0026】
医師は通常、蛍光撮像を使用して、弁を通してアクセスを得ることができる。しかしながら、蛍光撮像は、二次元撮像に限定され得る。ガイドワイヤ及び/又は他の装置の制御が制限されているため、医師が弁を通してアクセスを得るのに時間を要する場合がある。さらに、カテーテル、ガイドワイヤ、及び/又は他の装置は、弁に擦れることができ、及び/又は弁で石灰化された断片の変位を引き起こすことができる。移動された石灰化した断片は血流に入り、様々な合併症を引き起こす可能性がある。
【0027】
これらの困難は、石灰化した弁及び/又は狭窄弁の場合に大きく増大し得る。例えば、石灰化は、弁を通る開口部の狭窄を引き起こし得て、したがって、外科医は、弁を通してガイドワイヤを方向付ける際により正確である必要がある。さらに、弁開口部が、石灰化及び/又は狭窄に起因して狭くなるにつれて、弁を通る血流速度(概して、例えば逆行交差処置において、送達方向とは反対であってもよい)が増加する。例えば、健康な心臓弁を通る血流速度は、概して、約0.5m/秒であり得る。しかしながら、狭窄心臓弁を通る血流速度は、最大5m/sに達する可能性がある。血流速度のこの増加は、弁を通したガイドワイヤ及び/又は類似の装置の送達(例えば、逆行交差)をさらに対抗及び/又は複雑にする可能性があり、したがって、一部の事例では、送達にさらにより多くの時間を必要とする。さらに、一部の事例では、カテーテル送達システムの先端部分は、心臓弁と組織壁との間に引っかかる場合がある。
【0028】
本明細書に記載されるいくつかの装置、システム、及び/又は方法は、心臓弁、特に狭窄した心臓弁を通して、ガイドワイヤ及び/又は他の装置を逆行交差及び/又はガイドするための改善を提供することができる。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ及び/又は送達システムは、様々な医療処置のためにカテーテルを介して(すなわち、経カテーテルで)送達されてもよい。「カテーテル」という用語は、その広くかつ通常の意味に従って本明細書で使用され、例えば、血流経路(例えば、大動脈)内に位置付けるために、医療器具を受ける、及び/又は送達するように構成された内側管腔を介して、医療器具を送達するための任意の管、シース、操縦可能なシース、操縦可能なカテーテル、及び/又は任意の他の手段を含み得る。様々な送達システムは、カテーテル内及び/又はカテーテルの周りに収まるように形成及び/又は圧縮されるように構成されてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、送達システムは、位置付け装置(一つ以上のカテーテル及び/又はガイドワイヤを位置付けるための任意の手段を含み得る)に支持を提供するように構成された内側カテーテル/シース(位置付け装置、カテーテル、及び/又は類似の装置を支持するための任意の手段を含み得る)を備えてもよい。内側カテーテルは、任意のサイズ(例えば、約5フレンチ)を有してもよい。位置付け装置は、様々な任意の形態を有してもよく、及び/又は内側カテーテル(例えば、内側カテーテルの外表面)に取り付けるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、位置付け装置は、少なくとも部分的に、コードのメッシュ及び/又は編組みパターンから構成されてもよい。内側カテーテル及び/又は位置付け装置は、カテーテル/シース内に適合するように構成されてもよく、及び/又はカテーテル/シースは、位置付け装置の拡張を妨げ、位置付け装置を収納し、及び/又は位置付け装置を内側カテーテル上に保持するように構成されてもよい。
【0030】
位置付け装置は、除去された時、及び/又はカテーテル/シースからの取り外しに伴い、拡張するように構成されてもよい。例えば、位置付け装置は、カテーテル/シース内に適合するように圧縮するように構成され得る、編組みコード、コイルコード、及び/又は屈曲可能なコードから構成されてもよい。カテーテル/シースからの取り外しに応答して、様々なコードは、自然に展開及び/又は拡張して、より大きな輪郭を形成するように構成されてもよい(例えば、位置付け装置が位置する血管内腔のサイズに適合する)。例えば、位置付け装置は、血管の内側管腔に自然に及び/又は手動で適合するように構成されてもよい。一部の実例では、位置付け装置は、拡張された形態である間に内側カテーテルに構造的支持を提供するように構成されてもよい。位置付け装置は、内側カテーテル及び/又は内側カテーテルを介して送達されるガイドワイヤを支持することによって、心臓弁の逆行交差を容易にするように構成されてもよい。
【0031】
位置付け装置は、ステントと同様に使用されるように構成されてもよく、位置付け装置は、血流経路内にそれ自体を固定する(例えば、組織壁との摩擦を通して、及び/又は固定要素を使用して)ように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、位置付け装置は、位置付け装置が血流経路内にぴったりと嵌合するように構成され得るように、血流経路よりもわずかに大きいサイズに拡張するように構成されてもよい。しかしながら、位置付け装置が血流経路内にぴったりと嵌合する必要はない場合がある。例えば、位置付け装置は、位置付け装置が血流経路の組織壁に対して緩んだアンカーを形成し得るように、血流経路の直径よりもわずかに小さい直径を有してもよい。位置付け装置の側面は、位置付け装置が血流経路の中心点から所与の距離を滑る場合、血流経路の壁にぶつかるように構成されてもよい。このようにして、位置付け装置は、血流経路内で拡張された形態である間に、血流経路に沿って移動することを可能にされてもよい。
【0032】
内側カテーテルは、少なくとも部分的に位置付け装置を通過するように構成されてもよく、及び/又は位置付け装置は、位置付け装置が内側カテーテルに物理的に取り付けられるように中央接続を有してもよい。いくつかの実施形態では、内側カテーテルは、位置付け装置内の概して中央の位置に位置してもよく、及び/又は位置付け装置は、血流経路内及び/又は心臓弁の上方もしくは下方の中央位置に内側カテーテルを位置付けるように構成されてもよい。内側カテーテルを通過するガイドワイヤは、心臓弁を通る血流に応答してガイドワイヤが屈曲しやすいようにし得る、概して可撓性の構造を有してもよい。しかしながら、内側カテーテル及び/又は位置付け装置は、ガイドワイヤを心臓弁の所望の点(例えば、中央部分)に向かって方向付けるために少なくとも部分的に剛直であってもよい。内側カテーテル及び/又は位置付け装置は、ガイドワイヤが、内側カテーテル及び/又は位置付け装置を出ると、直接的又はほぼ直接的に心臓弁に入るように構成され得るように、心臓弁に隣接して送達されるように構成されてもよい。
【0033】
一つ以上のガイドワイヤ及び/又は類似の装置は、心臓弁を通して送達するために内側カテーテルを通過するように構成されてもよい。位置付け装置は、ガイドワイヤが弁の中心点の上方又は下方に位置し得るように、ガイドワイヤを位置付けるように構成されてもよい。狭窄した心臓弁を含む多くの心臓弁は、心臓弁の中心点で少なくとも部分的に開くように構成されてもよい。位置付け装置は、ガイドワイヤが内側カテーテルを出る時、ガイドワイヤが概して心臓弁の中心点に向かって向けられ得るように、内側カテーテル及び/又はガイドワイヤの傾斜を妨げるように構成されてもよい。したがって、弁を通したガイドワイヤの送達は、医師のために単純化されてもよく、及び/又は送達に必要な時間がより短くなり得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、位置付け装置は、ガイドワイヤ、内側シース、位置付け装置、及び/又は他の送達システムによって心臓弁から移動された、石灰化した断片を捕捉及び/又は回収するように構成されてもよい。例えば、位置付け装置は、位置付け装置又はその近くで石灰化した断片の回収を可能にするために、中空の内部を有するバスケット形状及び/又はボウル形状の形態を有してもよい。このようにして、有利なことに、石灰化した断片が血流中をさらに進むこと、及び/又は様々な合併症を引き起こすことを防止し得る。位置付け装置は、送達カテーテル内に格納するために折り畳まれてもよく、及び/又は圧縮されてもよい。位置付け装置内の一部の石灰化した断片は、位置付け装置が折り畳まれた/圧縮された時に、位置付け装置内に保持され得る。
【0035】
位置付け装置は、心臓弁を通したガイドワイヤの送達後に取り外されるように構成されてもよく、又は心臓弁を通した及び/もしくは心臓弁での他の装置の送達を容易にするために保持されてもよい。例えば、位置付け装置は、置換心臓弁の送達を容易にして、置換心臓弁が誤って配置される(例えば、ある角度で配置される)ことを防止するように構成されてもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ、位置付け装置、及び/又は他の送達システムを送達するために使用される送達カテーテルは、治療装置(例えば、TAVR装置、置換弁など)を送達するように構成されてもよい。例えば、TAVR装置は、ガイドワイヤ及び/又は位置付け装置を送達するように構成された送達カテーテルの外表面上に圧着されてもよい。したがって、送達カテーテルは、有利なことに、ガイドワイヤの送達後に患者の身体から取り外される必要がない場合があり、及び/又は治療装置を送達するための追加の装置は必要がない場合がある。
【0037】
本明細書に記載の例示的な位置付け装置は、様々な材料のうちの一つ以上から構成されてもよい。例えば、位置付け装置は、ニチノールならびに/又は他の形状記憶合金及び/もしくはプラスチック(例えば、生体吸収性プラスチック)から少なくとも部分的に構成されてもよい。
【0038】
ヒト及び他の脊椎動物では、心臓は、一般的に、四つのポンプ室を有する筋肉性の器官を備え、その流れは、様々な心臓弁、すなわち、大動脈弁、僧帽弁(又は二尖弁)、三尖弁、及び肺動脈弁によって少なくとも部分的に制御される。弁は、心周期の様々な段階(例えば、弛緩及び収縮)の間に存在する圧力勾配に応答して、心臓のそれぞれの領域及び/又は血管(例えば、肺、大動脈など)への血液の流れを少なくとも部分的に制御するように構成され得る。
【0039】
図1は、本発明の開示の特定の実施形態に関連する様々な特徴を有する心臓1の例示的な描出を示す。心臓1は、四つの心腔、すなわち、左心房2、左心室3、右心室4、及び右心房5を含む。中隔と称される筋肉17の壁は、左2及び右5の心房並びに左3及び右4の心室を分離する。心臓1は、右心房5を右心室4から分離する三尖弁8を含む、その中の血液循環を助けるための4つの弁を更に含む。三尖弁8は、概して、3つの尖点又は弁尖を有し得、概して、心室収縮中(すなわち、収縮期)に閉じ、心室拡張中(すなわち、拡張期)に開き得る。心臓1の弁は、肺動脈弁9をさらに含み、これは右心室4を肺動脈11から分離し、血液が肺に向かってポンピングされ得るように収縮期中に開き、拡張期中に閉じて、肺動脈から心臓に血液が逆流するのを防ぐように構成され得る。肺動脈弁9は、概して三つの尖点/弁尖を有し、それぞれは三日月型の形状を有してもよい。心臓1は、僧帽弁6をさらに含み、これは一般的に、二つの尖点/弁尖を有し、左心房2と左心室3を分離する。僧帽弁6は、左心房2の血液が左心室3に流入し得るように拡張期中に開き、有利なことに血液が左心房2に逆流することを妨げるように拡張期中に閉じるように構成され得る。大動脈弁7は、左心室3と大動脈12を分離する。大動脈弁7は、血液が左心室3を出て大動脈12に入ることを可能にするように収縮期中に開き、血液が左心室3に逆流するのを防ぐように拡張期中に閉じるように構成されている。
【0040】
心臓弁は、概して、本明細書では弁輪と称される比較的密度の高い線維輪、及び弁輪に取り付けられた複数の弁尖又は尖点を含み得る。一般的に、弁尖又は尖点のサイズ及び位置は、心臓が収縮する場合、対応する心腔内で生成された結果上昇した血圧により、弁尖が少なくとも部分的に開いて、心腔からの流れを許容せざるを得ないようなものであり得る。心腔内の圧力が低下する際に、後続の心腔又は血管内の圧力が優勢になり、弁尖に向かって押し戻され得る。結果として、弁尖/尖点は、弁尖/尖点が接合するように互いに並置し、それによって、流路が閉じられる。
【0041】
房室心臓弁(すなわち、僧帽弁6及び三尖弁8)は、弁尖の適切な接合を促進及び/又は容易にし、その脱出を妨げるために、それぞれの弁の弁尖を固設するための腱索(16、13)及び乳頭筋(15、10)のそれぞれの群をさらに含み得る。乳頭筋(15、10)は、一般に、心室壁からの指様の突起を含み得る一方、腱索(16、10)は、乳頭筋を弁尖に接続するコード様の腱を含み得る。
【0042】
僧帽弁6に関して、正常な僧帽弁は、二つの弁尖(前側及び後側)と、弁尖を二つの対応する乳頭筋15に接続する腱索16とを備え得る。乳頭筋15は、左心室壁を起点に、左心室3に突出する。僧帽弁6の弁尖は、弁尖を乳頭筋15に接続する腱索16の作用によって、左心房2内に脱出することが妨げられ得る。比較的非弾性の腱索16は、一方の端で乳頭筋15に、他方で弁尖に付着しており、乳頭筋15の各々からの腱索は、僧帽弁6のそれぞれの弁尖に付着している。したがって、左心室3が収縮すると、心室内圧が弁を強制的に閉じることができ、一方、腱索16は、弁尖を一緒に結合させ、弁が間違った方向に開くのを防止し、それによって、血液が左心房2に戻るのを防止し得る。腱索の様々なコードは、異なる太さを有してもよく、比較的細いコードは、自由に動く弁尖の辺縁に取り付けられ、比較的太いコード(例えば、支柱コード)は、自由に動く辺縁から遠く離れて取り付けられる。
【0043】
三尖弁8に関して、正常な三尖弁は、三つの弁尖(図1に二つを示す)及び三つの対応する乳頭筋10(図1に二つを示す)を備え得る。三尖弁8の弁尖は、それぞれ、前尖、後尖、及び中隔尖と呼ばれ得る。弁尖は、腱索13によって乳頭筋に接続され、これは、右心室4に乳頭筋10と共に配置される。三尖弁は、三つの弁尖を含むものとして本明細書に説明されているが、三尖弁は、特定の患者及び/又は状態において二つ又は四つの弁尖であり得ることが理解されるべきである。本明細書に開示される乳頭筋の結合及び/又は調整に関する原理は、それに関連する任意の数の弁尖及び/又は腱索又は乳頭筋を有する房室弁に適用可能である。右心室の乳頭筋10は、右心室壁を起点に、三尖弁の前尖、後尖、及び中隔尖にそれぞれ、腱索13を介して付着する。乳頭筋10は、三尖弁8の弁尖を固定して、心室収縮中に弁尖が右心房5に脱出することを妨げる役割を果たし得る。三尖弁逆流は、乳頭機能不全又は腱索断裂の結果であり得る。
【0044】
図2は、例示的な心臓1の左心室3及び左心房2の断面図を提供する。図2の図は、大動脈弁7を示しており、大動脈弁7での石灰化は、左心室3から大動脈12への血流のための狭い開口部の原因となり得る。いくつかの実施形態及び/又は実施例は、左心室3、大動脈弁7、及び/又は大動脈12に関して本明細書に説明され得るが、そのような実施形態及び/又は実施例は、心臓1の他の弁及び/又は心腔の中でも特に、僧帽弁、三尖弁、右心室、左心房2、及び/又は右心房を含む、心臓1の他の部分に追加的又は代替的に適用可能であり得る。
【0045】
弁7は、少なくとも部分的に開いて、弁7を通る血流を可能にするように構成されてもよい。大動脈弁7の実施例では、血液は、左心室3から大動脈12まで、図2の上向き方向に流れ得る。弁7の弁尖の開口部が比較的近くにあり、比較的小さな開口部を作り出す場合、弁7を通る流速は増加し得る。
【0046】
図3図5は、例示的な弁7(例えば、大動脈弁、僧帽弁、及び/又は三尖弁)の(例えば、大動脈12からの)俯瞰図を示す。例示的な弁(例えば、三尖弁)は、三つの弁尖21を含み得る。しかしながら、心臓1の弁は、様々な数の弁尖21、例えば、二つ又は三つの弁尖21を有してもよい。本明細書に記載のいくつかの実施形態は、任意の数の弁尖21を有する弁に適用可能であり得る。
【0047】
健康な心臓弁について、弁尖21は、弁輪から内向きに延在し、オリフィス内で一緒になって、流出方向(例えば、図2の上向き方向)への流れを可能にし、逆流又は流入方向(例えば、図2の下向き方向)への逆流を防止し得る。
【0048】
弁尖21は、心拍中に少なくとも部分的に開閉して、血液が弁7を通って流れることを可能にし得る。図3は、弁7が第一の直径25を有する開口部23を作り出す、開状態の健康な弁7を図示する。
【0049】
しかしながら、様々な条件が、弁7が開閉する能力に影響を与え得る。心臓弁疾患は、心臓の弁のうちの一つ以上が適切に機能しない状態を表す。罹患した心臓弁は、弁が弁を通る血液の適切な前方流れを許容するほど十分に開かない、狭窄性であり、及び/又は弁が、完全に閉じない、弁が閉状態である時に弁を通る血液の過剰な逆流を引き起こす、狭窄として分類され得る。特定の病態では、弁疾患は重度に衰弱し、治療が不十分であると致死的となる場合がある。
【0050】
図4及び図5は、カルシウムの蓄積及び/又は蓄積したカルシウムの堆積(すなわち、石灰化)が発生している例示的な心臓弁7を示す。図4は、石灰化が発生しつつ開状態にある三つの弁尖21を有する例示的な弁7を示し、図5は、石灰化が発生しつつ開状態にある二つの弁尖21を有する例示的な弁7を示す。
【0051】
図4及び図5に示すように、弁7は、図3に示す健康な弁7の第一の直径25に対して減少した直径を有する開口部(開状態)を作り出すことができる場合がある。結果として、弁7は、血液が弁7を通って流れるための、及び/又は弁を通って送達される医療器具のための、低減された空間を提供し得る。しかしながら、石灰化した弁7は、概して、弁7の中心点27又はその近くに少なくとも部分的な開口部を形成し得る。したがって、医療器具を弁の中央部分の上に位置付けることが有利であり得る。
【0052】
図6は、ガイドワイヤ601及び/又は類似の装置を心臓の石灰化した弁7に送達することを伴う送達プロセスを示す。ガイドワイヤ601及び/又は類似の装置は、弁7及び/又は周囲の組織での様々な処置で利用され得る。こうした治療では、外科医は、ガイドワイヤ601を、大動脈12を通して、及び大動脈弁7を通して誘導し得る。
【0053】
様々な要因が、大動脈弁及び/又は他の弁7を通してガイドワイヤ601を誘導することにおける困難を示し得る。例えば、大動脈12の自然な湾曲は、外科医がガイドワイヤ601を曲げて、弁7の中央部分の上にガイドワイヤ601の端部部分を位置付けて、弁7の開口部を通してガイドワイヤ601を通過させることを必要とし得る。さらに、弁7を通る血流は、ガイドワイヤ601が弁7を通過する方向とは反対に方向付けられ得る。例えば、ガイドワイヤ601は、図6の上向き矢印によって示されるように、大動脈12から大動脈弁7を通って左心室3内に通過してもよく、一方、自然の血流は、左心室3から大動脈弁7を通って、大動脈12内に通過する。この対向する血流は、ガイドワイヤ601に、ガイドワイヤ601を弁7の開口部から押し離し、及び/又は弁7の弁尖21及び/又は周囲組織に向かって押し出す力を引き起こし得る。
【0054】
弁7での石灰化はまた、少なくとも部分的には、石灰化によって引き起こされる弁7の開口部の狭小化により、弁7を通してガイドワイヤ601を誘導することの困難さを大幅に増加させ得る。弁7の開口部を狭くすることで、外科医がガイドワイヤ601を弁7に通すために利用可能な空間を制限することができる。さらに、狭まった開口部は、血液が通過する表面積が減少するため、大動脈弁7を通る血流速度の増加を引き起こす可能性がある。この血流速度の増加は、弁7を通るガイドワイヤ601の送達にさらに対抗し得る。さらに、ガイドワイヤ601は、弁7の石灰化した領域に向かって押し出すことができ、及び/又は石灰化した断片を弁7から変位させる、及び/又は血流に入れる原因となり、これは患者にとって様々な問題をもたらし得る。
【0055】
図7A及び7Bは、本開示の一つ以上の実施形態による、心臓弁の治療のために、位置付け装置702及び/又はガイドワイヤ701を患者の身体内に送達するための送達システム700の例を示す。カテーテル(例えば、操縦可能なカテーテル)及び/又はシース(例えば、操縦可能なシース)を含み得る送達装置704は、心臓の一つ以上の血流経路(例えば、大動脈)及び/又は心腔(例えば、左心室)を通して誘導するために構成されてもよい。例えば、送達装置704は、大動脈を通して大動脈弁の大動脈側に送達されてもよい。血流経路は、血液が流れ得る概して管状の中空の内部を囲む組織壁を有する、概して円形及び/又は管状の形態を有してもよい。送達装置704は、血流経路内に適合するように構成されてもよい。さらに、送達装置704から取り外されると、位置付け装置702は、複数の方向に拡張し、及び/又は血流経路の形状に適合するように構成されてもよい。例えば、位置付け装置702は、血流経路の直径よりもわずかに大きい幅及び/又は直径に形状設定されてもよく、及び/又は位置付け装置702は、血流経路の組織壁に押し付けるように自然に拡張するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、位置付け装置702は、血流経路の直径よりもわずかに小さい幅及び/又は直径に形状設定されてもよく、及び/又は血流経路内に緩く適合するように構成されてもよい。送達装置704は、位置付け装置702、ガイドワイヤ701、及び/又は内側カテーテル706を受けるように構成された内腔を備えてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、位置付け装置702は、送達装置704を出ることに応答して、血流経路(例えば、大動脈)内で少なくとも部分的に拡張するように構成されてもよい。例えば、位置付け装置702は、送達装置704内にある間に折り畳み形態をとるように、及び/又は送達装置704から取り外されると拡張するように構成されてもよい。
【0057】
位置付け装置702は、様々な形態のいずれかを有してもよく、及び/又は内側カテーテル706の外部表面上に少なくとも部分的に圧着されるように構成されてもよい。内側カテーテル706は、位置付け装置702に支持を提供するように構成されてもよく、及び/又は内側カテーテル706の移動は、位置付け装置702の対応する移動を引き起こすように構成されてもよい。例えば、内側カテーテル706を送達装置704から延在させることにより、位置付け装置702を送達装置704から延在させてもよく、及び/又は内側カテーテル706を送達装置704内に引き戻すことにより、位置付け装置702を送達装置704内に引き込むことができる。いくつかの実施形態では、位置付け装置702は、送達装置704から取り外されたときに自然に拡張し、及び/又は送達装置704に対して引かれたときに自然に折り畳み、それによって位置付け装置702が送達装置704の内腔に再び入ることを可能にするように構成されてもよい。
【0058】
位置付け装置702の少なくとも一部分は、内側カテーテル706の外側/外部表面に圧着及び/又は取り付けるように構成され得る。例えば、位置付け装置702は、位置付け装置702及び/又は内側カテーテル706が互いに対して支持を提供し得るように、内側カテーテル706への確実な接続を形成するように構成された一つ以上の圧着部分716を備えてもよい。位置付け装置702は、一つ以上の圧着部分716から延在する、及び/又は接続する拡張可能なベース部分710を備えてもよい。拡張可能なベース部分710は、送達装置704内に適合するように幅及び/又は直径が圧縮されるように構成されてもよく、及び/又は送達装置704から取り外されると幅及び/又は直径が拡張するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、拡張可能なベース部分710は、概して平坦な輪郭を有してもよく、及び/又は位置付け装置702の概して円筒の形状の概して平坦な底部/側面を形成するように構成されてもよい。例えば、位置付け装置702は、拡張可能なベース部分710から位置付け装置702の開口部712まで第一の長さだけ延在させるように構成された一つ以上の側面部分708を備えてもよい。一つ以上の側面部分708は、血流経路の形状に適合する、及び/又は近似するように、概して円形及び/又は管状の形態を有してもよい。いくつかの実施形態では、一つ以上の側面部分708は、血流経路の組織壁に沿って概して平坦な線で延在して、位置付け装置702、内側カテーテル706、及び/又はガイドワイヤ701の傾斜を妨げるように構成されてもよい。例えば、一つ以上の側面部分708は、拡張可能なベース部分710から開口部712及び/又は位置付け装置702の一つ以上の端部部分まで第一の長さだけ延在するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、位置付け装置702及び/又は一つ以上の側面部分708の概して円筒の形状は、位置付け装置702及び/又は一つ以上の側面部分708を血流経路の複数の組織壁部分に接触させて、及び/又は押し付けて、位置付け装置702、内側カテーテル706、及び/又はガイドワイヤ701への支持を提供し得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、位置付け装置702は、編組み及び/又は織り込まれたコード及び/又は他の材料から少なくとも部分的に構成されてもよい。例えば、位置付け装置702は、少なくとも部分的に編組み形状記憶合金(例えば、ニチノール)から構成されてもよい。編組み及び/又は織り込まれた構造は、いくつかの潜在的な利点を提供し得る。例えば、位置付け装置702は、位置付け装置702の材料内のギャップを通る血流を可能にして、位置付け装置702が血流経路内の血流を制限するのを妨げるように構成されてもよい。
【0060】
図7Bは、位置付け装置702、ガイドワイヤ701、及び内側カテーテル706の正面図を提供する。いくつかの実施形態では、位置付け装置702は、様々な血流経路(例えば、大動脈)の形態に近似するように、概して円形の形態を有してもよい。位置付け装置702は、ガイドワイヤ701及び/又は内側カテーテル706が位置付け装置702の中心点及び/又は一部分に位置し得るように、ガイドワイヤ701及び/又は内側カテーテル706から一部又はすべての方向に外向きに拡張するように構成されてもよい。内側カテーテル706は、ガイドワイヤ701を受けるように構成された内側管腔713を含んでもよい。
【0061】
位置付け装置702は、概して中空の内部を有してもよく、及び/又は位置付け装置の一方の端にベース部分710を有するガイドワイヤ701の周りに概して円筒の形状を形成するように構成されてもよい(例えば、ベース部分を有するカップ及び/又はバスケットに類似する)。一部の実例では、位置付け装置702は、位置付け装置702のベース部分710から位置付け装置702の一つ以上の開口部712及び/又は端部部分まで第一の長さだけ延在する一つ以上の側面部分708を備えてもよい。位置付け装置702の開口部712は、位置付け装置702の概して中空の内部に開口してもよい。内側カテーテル706、圧着部分716、及び/又はガイドワイヤ701は、位置付け装置702の中空の内部を通過するように構成されてもよい。一つ以上の側面部分708は、概して平坦な形状を有してもよく、及び/又は血流経路の一部分に沿って延在するように構成されてもよく、及び/又は位置付け装置702及び/又はガイドワイヤ701が血流経路内で傾斜するのを妨げるように構成されてもよい。位置付け装置702は、ガイドワイヤ701及び/又は内側カテーテル706と位置付け装置702の側面部分708との間にギャップを形成するように構成されてもよい。例えば、側面部分708に沿って、位置付け装置702は、ガイドワイヤ/内側カテーテル701/706と壁部分708との間に空の空間の第一の半径714を有する概して円形の形状を形成するように構成されてもよい。
【0062】
内側カテーテル706、位置付け装置702、及び/又はガイドワイヤ701は、送達カテーテル704の遠位端から延在するように構成されてもよい。送達カテーテル704は、内側シース706、位置付け装置702、及び/又はガイドワイヤを受ける(例えば、摺動して受ける)ように構成された内側管腔711を含んでもよい。さらに、ガイドワイヤ701は、内側カテーテル706の遠位端から延在するように構成されてもよい。内側シース706は、ガイドワイヤ701及び/又は他の装置を受ける(例えば、摺動して受ける)ように構成された内側管腔を含んでもよい。
【0063】
位置付け装置702は、位置付け装置702の概して中空の部分内に開口部712を備えてもよい。いくつかの実施形態では、開口部712は、位置付け装置702のベース部分710から横切って位置決めされてもよい。言い換えれば、位置付け装置702は、カップ及び/又はバスケット形状を形成するように構成されてもよく、ベース部分710は概して平坦な底部を形成し、側面部分708は概して中空の部分の周りに一つ以上の壁を形成する。位置付け装置702は、開口部712が心臓弁及び/又は心臓弁の開口部に、又はその近くに位置付けられるように、位置付けられるように構成されてもよい。このようにして、心臓弁又はその近くで(例えば、ガイドワイヤ701によって)変位された断片(例えば、石灰化した断片)は、開口部712に入ることがあり、及び/又は位置付け装置は、変位した断片を収集するように構成されてもよい。
【0064】
位置付け装置702は、位置付け装置702の一部分に開口部712を有するように示されているが、側面部分708は、開口部712又はその近くの圧着部分に接続して、側面部分708の複数の部分で支持を提供するように構成されてもよい(例えば、図10の遠位の拡張可能な部分1011を参照)。例えば、開口部712は、側面部分708から圧着部分716まで開口部712を横切って延在するように構成されうる、一つ以上のコード、ワイヤ、及び/又は編組みの部分によって少なくとも部分的に覆われてもよい。側面部分708は、開口部712又はその近くの圧着部分716内に延在する、及び/又はそれに接続するように構成されてもよく、及び/又は別個の接続要素(例えば、ワイヤ、コード、及び/又は類似の装置)は、側面部分708を圧着部分716に接続するホイールのスポークと同様に位置付け装置702に取り付けられてもよい。
【0065】
図8A及び図8Bは、本開示の一つ以上の実施形態による、心臓弁の治療のために、位置付け装置802及び/又はガイドワイヤ801を患者の身体内に送達するための送達システム800の例を示す。カテーテル(例えば、操縦可能なカテーテル)及び/又はシース(例えば、操縦可能なシース)を含み得る送達装置804は、心臓の一つ以上の血流経路及び/又は心腔を通して誘導するために構成されてもよい。例えば、送達装置804は、大動脈を通して大動脈弁の大動脈側に送達されてもよい。血流経路は、血液が流れ得る概して管状の中空の内部を囲む組織壁を有する、概して円形及び/又は管状の形態を有してもよい。送達装置804は、血流経路内に適合するように構成されてもよい。さらに、送達装置804から取り外されると、位置付け装置802は、複数の方向に拡張し、及び/又は血流経路の形状に適合するように構成されてもよい。例えば、位置付け装置802は、血流経路の直径よりもわずかに大きい幅及び/又は直径に形状設定されてもよく、及び/又は位置付け装置802は、血流経路の組織壁に押し付けるように自然に拡張するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、位置付け装置802は、血流経路の直径よりもわずかに小さい幅及び/又は直径に形状設定されてもよく、及び/又は血流経路内に緩く適合するように構成されてもよい。送達装置804は、位置付け装置802、ガイドワイヤ801、及び/又は内側カテーテル806を受けるように構成された内腔を備えてもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、位置付け装置802は、送達装置804を出るのに応答して、血流経路(例えば、大動脈)内で少なくとも部分的に拡張するように構成されてもよい。例えば、位置付け装置802は、送達装置804内にある間に折り畳まれた形態をとるように、及び/又は送達装置804から取り外されると拡張するように構成されてもよい。
【0067】
位置付け装置802は、様々な形態のいずれかを有してもよく、及び/又は内側カテーテル806の外部表面上に少なくとも部分的に圧着されてもよい。内側カテーテル806は、位置付け装置802に支持を提供するように構成されてもよく、及び/又は内側カテーテル806の移動は、位置付け装置802の対応する移動を引き起こすように構成されてもよい。例えば、送達装置804から内側カテーテル806を延在させることにより、位置付け装置802を送達装置804から延在させてもよく、及び/又は内側カテーテル806を送達装置804内に引き戻すことにより、位置付け装置802を送達装置804内に引き込むことができる。いくつかの実施形態では、位置付け装置802は、送達装置804から取り外されたときに自然に拡張し、及び/又は送達装置804に対して引かれたときに自然に折り畳み、それによって位置付け装置802が送達装置804の内腔に再び入ることを可能にするように構成されてもよい。
【0068】
位置付け装置802の少なくとも一部分は、内側カテーテル806の外側/外部表面に圧着及び/又は取り付けるように構成されてもよい。例えば、位置付け装置802は、位置付け装置802及び内側カテーテル806が互いに対して支持を提供し得るように、内側カテーテル806への確実な接続を形成するように構成された一つ以上の圧着部分816を備えてもよい。位置付け装置802は、一つ以上の圧着部分816から延在する、及び/又は接続する拡張可能なベース部分810を備えてもよい。拡張可能なベース部分810は、送達装置804内に適合するように幅及び/又は直径が圧縮されるように構成されてもよく、及び/又は送達装置804から取り外されると幅及び/又は直径が拡張するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、拡張可能なベース部分810は、概して平坦な輪郭を有してもよく、及び/又は位置付け装置802の概して円筒の形状の概して平坦な底部/側面を形成するように構成されてもよい。例えば、位置付け装置802は、拡張可能なベース部分810から位置付け装置802の開口部812まで第一の長さだけ延在させるように構成された一つ以上の側面部分808を備えてもよい。一つ以上の側面部分808は、血流経路の形状に適合する、及び/又は近似するように、概して円形及び/又は管状の形態を有してもよい。いくつかの実施形態では、一つ以上の側面部分808は、血流経路の組織壁に沿って概して平坦な線で延在して、位置付け装置802、内側カテーテル806、及び/又はガイドワイヤ801の傾斜を妨げるように構成されてもよい。例えば、一つ以上の側面部分808は、拡張可能なベース部分810から開口部812及び/又は位置付け装置802の一つ以上の端部部分まで第一の長さだけ延在するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、位置付け装置802及び/又は一つ以上の側面部分808の概して円筒の形状は、位置付け装置802及び/又は一つ以上の側面部分808を血流経路の複数の組織壁部分に接触させて、及び/又は押し付けて、位置付け装置802、内側カテーテル806、及び/又はガイドワイヤ801への支持を提供し得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、位置付け装置802は、一つ以上のコイルコード及び/又はワイヤから少なくとも部分的に構成されてもよい。例えば、位置付け装置802は、コイル形状に設定された形状記憶合金(例えば、ニチノール)から少なくとも部分的に構成されてもよい。コイル状構造は、いくつかの潜在的な利点を提供し得る。例えば、位置付け装置802は、位置付け装置802のコイルのギャップを通る血流を可能にして、位置付け装置802が血流経路内の血流を制限するのを妨げるように構成されてもよい。さらに、コイルは、送達カテーテル804内に適合するため、及び/又は血流経路内の空間を充填するために、必要に応じて拡張(例えば、直径の分離及び/又は増加)及び/又は圧縮(例えば、一緒により近くに移動及び/又は直径の減少)するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、位置付け装置802は、概して軟質の先端部分を有してもよく、及び/又は位置付け装置802の端部部分が周囲の組織を貫通及び/又は損傷することを妨げるための非外傷性先端を備えてもよい。
【0070】
図8Bは、位置付け装置802、ガイドワイヤ801、及び内側カテーテル806の正面図を提供する。いくつかの実施形態では、位置付け装置802は、様々な血流経路(例えば、大動脈)の形態に近似するように、概して円形の形態を有してもよい。位置付け装置802は、ガイドワイヤ801及び/又は内側カテーテル806が位置付け装置802の中心点及び/又は一部分に位置し得るように、ガイドワイヤ801及び/又は内側カテーテル806から一部又はすべての方向に外向きに拡張するように構成されてもよい。
【0071】
位置付け装置802は、概して中空の内部を有してもよく、及び/又はガイドワイヤ801の周りにカップ及び/もしくはバスケット形状を形成するように構成されてもよく、ならびに/又は位置付け装置802のベース部分810から位置付け装置802の一つ以上の開口部812及び/もしくは端部部分まで第一の長さだけ延在する一つ以上の側面部分808を備えてもよい。位置付け装置802の開口部812は、位置付け装置802の概して中空の内部に開口してもよい。内側カテーテル806、圧着部分816、及び/又はガイドワイヤ801は、位置付け装置802の中空の内部を通過するように構成されてもよい。一つ以上の側面部分808は、概して平坦な形状を有してもよく、及び/又は血流経路の一部分に沿って延在するように構成されてもよく、及び/又は位置付け装置802及び/又はガイドワイヤ801が血流経路内で傾斜することを妨げるように構成されてもよい。位置付け装置802は、ガイドワイヤ801及び/又は内側カテーテル806と位置付け装置802の側面部分808との間にギャップを形成するように構成されてもよい。例えば、側面部分808に沿って、位置付け装置802は、ガイドワイヤ/内側カテーテル801/806と側面部分808との間の空の空間の第一の半径814を有する概して円形の形状を形成するように構成されてもよい。
【0072】
一つ以上の側面部分808、圧着部分816、及び/又はベース部分810は、内側カテーテル806及び/又はガイドワイヤ801の周りにコイル状に巻かれた一つ以上のコードから構成されてもよい。いくつかの実施形態では、ベース部分810は、最小直径(例えば、内側カテーテル806の周りの圧着部分816)から最大直径(例えば、一つ以上の側面部分808)まで位置付け装置802の直径を増加させるために、直径(例えば、各連続コイルと共に)を増加させ得る一つ以上のコイルを備えてもよい。いくつかの実施形態では、一つ以上のコードは、ベース部分810と位置付け装置802の開口部812との間の最大直径を維持し得る。
【0073】
位置付け装置802は、位置付け装置802の一部分に開口部812を有するように示されているが、側面部分808は、開口部812又はその近くの圧着部分に接続して、側面部分808の複数の部分で支持を提供するように構成されてもよい(例えば、図10の遠位の拡張可能な部分1011を参照)。例えば、開口部812は、側面部分808から圧着部分816まで開口部812を横切って延在するように構成されてもよい、一つ以上のコード、ワイヤ、及び/又は編組み部分によって少なくとも部分的に覆われてもよい。側面部分808は、開口部812又はその近くの圧着部分816内に延在する、及び/又はそれに接続するように構成されてもよく、及び/又は別個の接続要素(例えば、ワイヤ、コード、及び/又は類似の装置)は、側面部分808を圧着部分816に接続するホイールのスポークと同様に位置付け装置802に取り付けられてもよい。
【0074】
図9A及び図9Bは、本開示の一つ以上の実施形態による、心臓弁の治療のために、位置付け装置902及び/又はガイドワイヤ901を患者の身体内に送達するための送達システム900の例を示す。カテーテル(例えば、操縦可能なカテーテル)及び/又はシース(例えば、操縦可能なシース)を含み得る送達装置904は、心臓の一つ以上の血流経路及び/又は心腔を通して誘導するために構成されてもよい。例えば、送達装置904は、大動脈を通して大動脈弁の大動脈側に送達されてもよい。血流経路は、血液が流れ得る概して管状の中空の内部を囲む組織壁を有する、概して円形及び/又は管状の形態を有してもよい。送達装置904は、血流経路内に適合するように構成されてもよい。さらに、送達装置904から取り外されると、位置付け装置902は、複数の方向に拡張し、及び/又は血流経路の形状に適合するように構成されてもよい。例えば、位置付け装置902は、血流経路の直径よりもわずかに大きい幅及び/又は直径に形状設定されてもよく、及び/又は位置付け装置902は、血流経路の組織壁に押し付けるように自然に拡張するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、位置付け装置902は、血流経路の直径よりもわずかに小さい幅及び/又は直径に形状設定されてもよく、及び/又は血流経路内に緩く適合するように構成されてもよい。送達装置904は、位置付け装置902、ガイドワイヤ901、及び/又は内側カテーテル906を受けるように構成された内腔を備えてもよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、位置付け装置902は、送達装置904を出るのに応答して、血流経路(例えば、大動脈)内で少なくとも部分的に拡張するように構成されてもよい。例えば、位置付け装置902は、送達装置904内にある間に折り畳み形態をとるように、及び/又は送達装置904から取り外されると拡張するように構成されてもよい。
【0076】
位置付け装置902は、様々な形態のいずれかを有してもよく、及び/又は内側カテーテル906の外部表面上に少なくとも部分的に圧着されてもよい。内側カテーテル906は、位置付け装置902に支持を提供するように構成されてもよく、及び/又は内側カテーテル906の移動は、位置付け装置902の対応する移動を引き起こすように構成されてもよい。例えば、内側カテーテル906を送達装置904から延在させることにより、位置付け装置902を送達装置904から延在させてもよく、及び/又は内側カテーテル906を送達装置904内に引き戻すことにより、位置付け装置902を送達装置904内に引き込むことができる。いくつかの実施形態では、位置付け装置902は、送達装置904から取り外されたときに自然に拡張し、及び/又は送達装置904に対して引かれたときに自然に折り畳み、それによって位置付け装置902が送達装置904の内腔に再び入ることを可能にするように構成されてもよい。
【0077】
位置付け装置902の少なくとも一部分は、内側カテーテル906の外側/外部表面に圧着及び/又は取り付けるように構成されてもよい。例えば、位置付け装置902は、位置付け装置902及び内側カテーテル906が互いに対して支持を提供し得るように、内側カテーテル906への確実な接続を形成するように構成された一つ以上の圧着部分916を備えてもよい。位置付け装置902は、一つ以上の圧着部分916から延在する、及び/又は接続する拡張可能なベース部分910を備えてもよい。拡張可能なベース部分910は、送達装置904内に適合するように幅及び/又は直径を圧縮するように構成されてもよく、及び/又は送達装置904から取り外されると幅及び/又は直径が拡張するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、拡張可能なベース部分910は、概して平坦な輪郭を有してもよく、及び/又は位置付け装置902の概して円筒の形状の概して平坦な底部/側面を形成するように構成されてもよい。例えば、位置付け装置902は、拡張可能なベース部分910から位置付け装置902の開口部912まで第一の長さだけ延在するように構成された一つ以上の側面部分908を備えてもよい。一つ以上の側面部分908は、血流経路の形状に適合及び/又は近似するように、概して円形及び/又は管状の形態を有してもよい。いくつかの実施形態では、一つ以上の側面部分908は、血流経路の組織壁に沿って概して平坦な線で延在して、位置付け装置902、内側カテーテル906、及び/又はガイドワイヤ901の傾斜を妨げるように構成されてもよい。例えば、一つ以上の側面部分908は、拡張可能なベース部分910から第一の長さだけ開口部912及び/又は位置付け装置902の一つ以上の端部部分まで延在するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、位置付け装置902及び/又は一つ以上の側面部分908の概して円筒の形状は、位置付け装置902及び/又は一つ以上の側面部分908を血流経路の複数の組織壁部分に接触させて、及び/又は押し付けて、位置付け装置902、内側カテーテル906、及び/又はガイドワイヤ901に支持を提供し得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、位置付け装置902は、一つ以上のコード903及び/又はワイヤから少なくとも部分的に構成されてもよい。例えば、位置付け装置902は、内側カテーテル906から外向きに拡張して、内側カテーテル906よりも大きい集合直径を有するコード903のセットを形成するように、曲げられた形態に形状設定された薄い形状記憶合金(例えば、ニチノール)から少なくとも部分的に構成されてもよい。コードのセット903は、コードのセット903のコード間のギャップを有する指様要素を形成するように構成されてもよい。位置付け装置902は、位置付け装置902のコード903のギャップを通る血流を可能にして、位置付け装置902が血流経路内の血流を制限するのを妨げるように構成されてもよい。さらに、コード903は、送達カテーテル904内に適合するため、及び/又は血流経路内の空間を充填するために、必要に応じて、拡張(例えば、直径の曲げ、分離、及び/又は増加)及び/又は圧縮(例えば、真っ直ぐ、より近くに移動、及び/又は直径の減少)するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、位置付け装置902のコード903は、概して軟質の先端部分を有してもよく、及び/又は位置付け装置902のコード903が周囲の組織を貫通及び/又は損傷することを妨げるための非外傷性先端を備えてもよい。
【0079】
図9Bは、位置付け装置902、ガイドワイヤ901、及び内側カテーテル906の正面図を提供する。いくつかの実施形態では、位置付け装置902は、様々な血流経路(例えば、大動脈)の形態に近似するように、概して円形の形態を有してもよい。位置付け装置902は、ガイドワイヤ901及び/又は内側カテーテル906が位置付け装置902の中心点及び/又は部分に位置付けられ得るように、ガイドワイヤ901及び/又は内側カテーテル906から一部又はすべての方向に外向きに拡張するように構成されてもよい。
【0080】
位置付け装置902は、概して中空の内部を有してもよく、及び/又はガイドワイヤ901の周りにカップ及び/もしくはバスケット形状を形成するように構成されてもよく、ならびに/又は位置付け装置902のベース部分910から位置付け装置902の一つ以上の開口部912及び/もしくは端部部分まで第一の長さだけ延在する一つ以上の側面部分908を備えてもよい。位置付け装置902の開口部912は、位置付け装置902の概して中空の内部に開いてもよい。内側カテーテル906、圧着部分916、及び/又はガイドワイヤ901は、位置付け装置902の中空の内部を通過するように構成されてもよい。一つ以上の側面部分908は、概して平坦な形状を有してもよく、及び/又は血流経路の一部分に沿って延在するように構成されてもよく、及び/又は位置付け装置902及び/又はガイドワイヤ901が血流経路内で傾斜することを妨げるように構成されてもよい。位置付け装置902は、ガイドワイヤ901及び/又は内側カテーテル906と位置付け装置902の側面部分908との間にギャップを形成するように構成されてもよい。例えば、側面部分908に沿って、位置付け装置902は、ガイドワイヤ/内側カテーテル901/906とコード903との間の空の空間の第一の半径914を有する概して円形の形状を形成するように構成されてもよい。
【0081】
いくつかの実施形態では、一つ以上のコード903は、少なくとも部分的に可撓性であってもよく、及び/又は少なくとも部分的に屈曲及び/又は湾曲するように構成されてもよい。例えば、一つ以上のコード903は、内側カテーテル906から離れて湾曲し(例えば、位置付け装置902のベース部分910で)、及び/又は血流経路の組織壁に沿って(例えば、位置付け装置902の側面部分908で)延在するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、一つ以上のコード903は、ベース部分910で約90度の角度で内側カテーテル906から離れるように屈曲してもよく、及び/又は側面部分908で内側カテーテル906とほぼ平行に延在するように徐々に湾曲及び/又は屈曲してもよい。
【0082】
位置付け装置902は、位置付け装置902の一部分に開口部912を有するように示されているが、側面部分908は、開口部912又はその近くの圧着部分に接続して、側面部分908の複数の部分に支持を提供するように構成されてもよい(例えば、図10の遠位の拡張可能な部分1011を参照)。例えば、開口部912は、側面部分908から圧着部分916まで開口部912を横切って延在するように構成されてもよい、一つ以上のコード、ワイヤ、及び/又は編組み部分によって少なくとも部分的に覆われてもよい。側面部分908は、開口部912又はその近くで内側カテーテル906内に延在し、及び/又はそれに接続するように構成されてもよく、及び/又は別個の接続要素(例えば、ワイヤ、コード、及び/又は類似の装置)は、側面部分908を内側カテーテル906に接続するためのホイールのスポークと同様に位置付け装置902に取り付けられてもよい。
【0083】
図10は、本開示の一つ以上の実施形態による、心臓弁の治療のために、位置付け装置1002及び/又はガイドワイヤ1001を患者の身体内に送達するための送達システム1000の例を示す。カテーテル(例えば、操縦可能なカテーテル)及び/又はシース(例えば、操縦可能なシース)を含み得る送達装置1004は、心臓の一つ以上の血流経路及び/又は心腔を通して誘導するために構成されてもよい。例えば、送達装置1004は、大動脈を通して大動脈弁の大動脈側に送達されてもよい。血流経路は、血液が流れ得る概して管状の中空の内部を囲む組織壁を有する、概して円形及び/又は管状の形態を有してもよい。送達装置1004は、血流経路内に適合するように構成されてもよい。さらに、送達装置1004から取り外されると、位置付け装置1002は、複数の方向に拡張し、及び/又は血流経路の形状に適合するように構成されてもよい。例えば、位置付け装置1002は、血流経路の直径よりもわずかに大きい幅及び/又は直径に形状設定されてもよく、及び/又は位置付け装置1002は、血流経路の組織壁に押し付けるように自然に拡張するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、位置付け装置1002は、血流経路の直径よりもわずかに小さい幅及び/又は直径に形状設定されてもよく、及び/又は血流経路内に緩く適合するように構成されてもよい。送達装置1004は、位置付け装置1002、ガイドワイヤ1001、及び/又は内側カテーテル1006を受けるように構成された内腔を備えてもよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、位置付け装置1002は、送達装置1004を出るのに応答して、血流経路(例えば、大動脈)内で少なくとも部分的に拡張するように構成されてもよい。例えば、位置付け装置1002は、送達装置1004内にある間に折り畳まれた形態をとるように、及び/又は送達装置1004から取り外されると拡張するように構成されてもよい。
【0085】
位置付け装置1002は、様々な形態のいずれかを有してもよく、及び/又は内側カテーテル1006の外部表面上に少なくとも部分的に圧着されてもよい。内側カテーテル1006は、位置付け装置1002に支持を提供するように構成されてもよく、及び/又は内側カテーテル1006の移動は、位置付け装置1002の対応する移動を引き起こすように構成されてもよい。例えば、内側カテーテル1006を送達装置1004から延在させることにより、位置付け装置1002を送達装置1004から延在させてもよく、及び/又は内側カテーテル1006を送達装置1004内に引き戻すことにより、位置付け装置1002を送達装置1004内に引き込むことができる。いくつかの実施形態では、位置付け装置1002は、送達装置1004から取り外されたときに自然に拡張し、及び/又は送達装置1004に対して引かれたときに自然に折り畳み、それによって位置付け装置1002が送達装置1004の内腔に再び入ることを可能にするように構成されてもよい。
【0086】
位置付け装置1002の少なくとも一部分は、内側カテーテル1006の外側/外部表面の複数の部分を圧着及び/又は取り付けるように構成されてもよい。例えば、位置付け装置1002は、位置付け装置1002及び内側カテーテル1006が互いに対して支持を提供し得るように、内側カテーテル1006への確実な接続を形成するように構成された一つ以上の圧着部分1016を備えてもよい。位置付け装置1002は、一つ以上の圧着部分1016から延在する、及び/又は接続する、近位の拡張可能な部分1010及び/又は遠位の拡張可能な部分1011を備えてもよい。近位の拡張可能な部分1010及び/又は遠位の拡張可能な部分1011は、送達装置1004内に適合するように幅及び/又は直径が圧縮されるように構成されてもよく、及び/又は送達装置1004から取り外されると幅及び/又は直径が拡張するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、近位の拡張可能な部分1010及び/又は遠位の拡張可能な部分1011は、概して平坦な輪郭を有してもよく、及び/又は位置付け装置1002の概して円筒の形状の概して平坦な底部/上部/側部を形成するように構成されてもよい。例えば、位置付け装置1002は、近位の拡張可能な部分1010から遠位の拡張可能な部分1011まで第一の長さだけ延在するように構成された一つ以上の側面部分1008を備え得る。図10に示す拡張された構成における位置付け装置1002の直径は、近位の拡張可能な部分1010及び/又は遠位の拡張可能な部分1011で可変であってもよく、及び/又は一つ以上の側面部分1008で概して一定であってもよい。例えば、位置付け装置1002の直径は、近位の拡張可能な部分1010及び/又は遠位の拡張可能な部分1011で徐々に増加/減少し得る。内側カテーテル1006に複数の部分(例えば、近位部分及び遠位部分)で取り付け及び/又は接触することによって、位置付け装置1002は、内側カテーテル1006からの支持が改善されうる。
【0087】
位置付け装置1002は、内側カテーテル1006の周りに均等に分布した七つの別個のコード1003を有することが示されているが、位置付け装置1002は、任意の数のコード1003を備えてもよく、及び/又はコード1003は、任意の様式で分布してもよい。いくつかの実施形態では、一つ以上のコード1003は、相互接続されてもよく、及び/又は互いに延在してもよい。コード1003は、様々な形状記憶合金(例えば、ニチノール)を含み得る、任意の適切な材料から構成されてもよい。例えば、位置付け装置1002は、図10に示す形態に切断及び/又は形状設定されるニチノールハイポチューブから少なくとも部分的に形成されてもよい。位置付け装置1002は、有利なことに、位置付け装置1002が内側カテーテル1006上及び/又は送達装置1004内に圧縮及び/又は圧着されることを可能にするために、比較的低姿勢の外形を提示し得る。
【0088】
一つ以上の側面部分1008は、血流経路の形状に適合及び/又は近似するために、内側カテーテル1006の周りに概して円形及び/又は管状の形態を有してもよい。いくつかの実施形態では、一つ以上の側面部分1008は、血流経路の組織壁に沿って概して平坦な線に延在して、位置付け装置1002、内側カテーテル1006、及び/又はガイドワイヤ1001の傾斜を妨げるように構成されてもよい。例えば、一つ以上の側面部分1008は、近位の拡張可能な部分1010から遠位の拡張可能な部分1011まで第一の長さだけ延在するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、位置付け装置1002及び/又は一つ以上の側面部分1008の概して円筒の形状は、位置付け装置1002及び/又は一つ以上の側面部分1008を血流経路の複数の組織壁部分に接触させて、及び/又は押し付けて、位置付け装置1002、内側カテーテル1006、及び/又はガイドワイヤ1001に支持を提供し得る。
【0089】
いくつかの実施形態では、位置付け装置1002は、一つ以上のコード1003及び/又はワイヤから少なくとも部分的に構成されてもよい。例えば、位置付け装置1002は、内側カテーテル1006から外向きに拡張して、内側カテーテル1006よりも大きい集合直径を有するコード1003のセットを形成するように、曲げられた形態に形状設定された薄い形状記憶合金(例えば、ニチノール)から少なくとも部分的に構成されてもよい。コードのセット1003は、コードのセット1003のコード1003間のギャップを有する内側カテーテル1006の周りのカゴに類似したエンクロージャを形成するように構成されてもよい。位置付け装置1002は、位置付け装置1002のコード1003のギャップを通る血流を可能にして、位置付け装置1002が血流経路内の血流を制限するのを妨げるように構成されてもよい。さらに、コード1003は、送達カテーテル1004内に適合するため、及び/又は血流経路内の空間を充填するために、必要に応じて、拡張(例えば、直径の曲げ、分離、及び/又は増加)及び/又は圧縮(例えば、真っ直ぐ、より近くに移動、及び/又は直径の減少)するように構成されてもよい。
【0090】
送達システム1000は、内側シース1006と送達装置1004との間に位置するシース1009をさらに含んでもよい。しかしながら、シース1009は、いくつかの実施形態では必ずしも含まれなくてもよい。位置付け装置1002は、内側カテーテル1006とシースとの間に延在するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、位置付け装置1002は、内側カテーテル1006及び/又はシース1009に沿って少なくとも部分的に摺動して、図10に示す拡張された構成を形成し、及び/又は折り畳まれて送達装置1004に適合するように構成されてもよい。
【0091】
図11-1及び図11-2は、本開示の一つ以上の実施形態による、石灰化及び/又は他の要因によって少なくとも部分的に狭められ得る弁を通してガイドワイヤ及び/又は類似の装置を送達するためのプロセス1100の工程を示すフローチャートである。図12-1及び図12-2は、図11-1及び図11-2のプロセス1100の工程に関連する画像を提供する。図12-1及び図12-2は、編組み材料から構成される位置付け装置1202を図示するが、他のタイプ又は形態の位置付け装置1202は、図11-1及び図11-2に記述されるプロセス1100の工程に適用されてもよい。
【0092】
工程1102で、プロセス1100は、図12-1及び図12-2の画像1200aに示すように、血流経路(例えば、大動脈12)を通してカテーテル1204を弁(例えば、大動脈弁7)に送達することを含む。いくつかの実施形態では、カテーテル1204は、血流経路の屈曲の周りを誘導するように少なくとも部分的に屈曲するように構成された操縦可能なカテーテルを含み得る。カテーテル1204は、一つ以上のインプラント及び/又は送達装置を送達するように構成されてもよい。例えば、カテーテル1204は、一つ以上の医療器具を受けるように構成された内腔を含んでもよい。
【0093】
大動脈弁7は、図11-1及び図11-2、ならびに図12-1及び図12-2に関して説明されているが、プロセス1100の工程は、心臓の他の弁を通した送達に適用可能であってもよい。弁7は、左心室3から大動脈12への血流のための開口部を表し得る。血液は、左心室3から大動脈12に自然に流れうる。したがって、大動脈12から左心室3へのガイドワイヤを含む様々な装置の送達は、自然の血流の上流であってもよく、及び/又は、自然の血流は、大動脈12から左心室3への様々な装置の送達に対向する場合がある。
【0094】
工程1104で、プロセス1100は、図12-1及び図12-2の画像1200bに示すように、カテーテル1204及び/又は内側シース1206を通して弁7の近傍にガイドワイヤ及び/又は他の装置を送達するように構成された送達システムを拡張することを伴う。いくつかの実施形態では、送達システムは、カテーテル1204の内腔を通して送達される内側シース1206上に圧着された位置付け装置1202(例えば、ステント及び/又は類似の装置)を備えてもよい。内側シース1206は、位置付け装置1202に支持を提供するように構成されてもよい。
【0095】
工程1106で、プロセス1100は、図12-1及び図12-2の画像1200cに示すように、位置付け装置1202がカテーテル1204を出るまで、及び/又は血流経路内で拡張するまで、位置付け装置1202を拡張することを伴う。位置付け装置1202は、本明細書に記載の様々な形態のいずれかを有してもよく、及び/又は内側シース1206の周りに複数及び/又はすべての方向に延在するように構成されてもよい。位置付け装置1202は、血流経路(例えば、大動脈)の組織壁に押し付けられて、内側シース1206が血流経路の中央部分から離れて滑るのを妨げるように構成されてもよい。例えば、弁7を通る血流は、内側シース1206及び/又は位置付け装置1202に対して押す力を引き起こして、内側シース1206及び/又は位置付け装置1202を弁7の開口部から押し離し得る。しかしながら、位置付け装置1202は、血流経路の組織壁に押し付けて、滑りを妨げることによって、こうした力に対抗するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、位置付け装置1202は、材料間のギャップを有する薄い材料(例えば、金属コード)のネットワークから少なくとも部分的に構成され、それによって位置付け装置1202を通る血流を可能にし、及び/又は血流経路の閉塞を防止し得る。
【0096】
工程1108で、プロセス1100は、図12-1及び図12-2の画像1200dに示すように、カテーテル1204及び/又は内側シース1206を通して、及び/又はカテーテル1204及び/又は内側シース1206から、及び/又は弁7を通してガイドワイヤ1201を延在させることを伴う。ガイドワイヤ1201が内側シース1206及び/又は位置付け装置1202を出ると、ガイドワイヤ1201は、少なくとも部分的に位置付け装置1202が内側シース1206及び/又はガイドワイヤ1201を弁7の中央部分に向かって押し付けるため、有利なことに、弁7の中央部分のほぼ上に位置し得る。
【0097】
工程1110で、プロセス1100は、図12-1及び図12-2の画像1200eに示すように、弁7を通してガイドワイヤ1201を延在させたままにしながら、位置付け装置1202をカテーテル1204に戻すことを伴う。いくつかの実施形態では、位置付け装置1202を引き出すことは、内側シース1206及び/又は位置付け装置1202をカテーテル1204に向かって引き戻すことを伴い得る。位置付け装置1202は、カテーテル1204に対して後方に引っ張られるのに応答して、自然に折り畳まれるように構成されてもよい。例えば、カテーテル1204は、位置付け装置1202の底面に押し付けるように構成されてもよく、及び/又は位置付け装置1202は、位置付け装置1202の底面での押す力に応答して、自然に折り畳まれるように構成されてもよい。
【0098】
実施形態に応じて、本明細書に記載されるプロセス又はアルゴリズムのいずれかの特定の作用、事象、又は機能は、異なる順序で実施され得、追加され得、併合され得、又は完全に除外され得る。したがって、特定の実施形態では、全ての記載された作用又は事象が、プロセスの実践に必要なわけではない。さらに、特定の実施形態では、行為又は事象は、例えば、マルチスレッド処理、割込み処理、又は複数のプロセッサもしくはプロセッサコアを介して、順次ではなく、同時に実施されてもよい。
【0099】
とりわけ、「できる(can)」、「~であろう(could)」、「~かもしれない(might)」、「~であり得る(may)」、「例えば(e.g.,)」などの本明細書で使用する条件付きの文言は、特に別段の記載がない限り、又は使用する文脈内で別様に理解されない限り、その通常の意味で意図され、かつ特定の特徴、要素、及び/又はステップを、特定の実施形態が含むが、他の実施形態は含まないことを伝えることが一般的に意図される。したがって、このような条件付きの文言は、特徴、要素、及び/又はステップが、一つ以上の実施形態に任意の方法で必要とされること、あるいは一つ以上の実施形態が、これらの特徴、要素、及び/又はステップが含まれるか、もしくは任意の特定の実施形態で実行されるかを判断するための論理を、著者の入力又は促しの有無にかかわらず、必然的に含むことを暗示することは、一般的に意図されるものではない。用語「備える/含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」などは、同義であり、それらの通常の意味で使用され、包括的に、非限定的な様式で使用され、追加の要素、特徴、作用、動作などを排除しない。また、用語「又は(or)」は、その包括的な意味で使用され(かつその排他的な意味ではない)、そのため、例えば、要素のリストを接続するように使用される場合、用語「又は(or)」は、リスト内の要素のうちの一つ、一部、又は全てを意味する。「X、Y、及びZのうちの少なくとも一つ」などの接続的な文言は、特に別段の記載がない限り、項目、用語、要素などが、X、Y、又はZのいずれかであり得ることを一般的に伝えるために使用されるように文脈を用いて理解される。したがって、このような接続的な文言は、特定の実施形態が、Xのうちの少なくとも一つ、Yのうちの少なくとも一つ、及びZのうちの少なくとも一つが各々存在することを必要とすることを暗示することが、一般的に意図されるものではない。
【0100】
上記の実施形態の説明では、開示を合理化し、様々な発明の態様のうちの一つ以上の理解を支援する目的で、様々な特徴が、単一の実施形態、図、又はその説明において一緒にグループ化される場合がある。しかしながら、この開示の方法は、任意の特許請求の範囲が、その特許請求の範囲に明示的に列挙されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映していると解釈されるべきではない。さらに、本明細書の特定の実施形態に例示及び/又は記載される任意の構成要素、特徴、又はステップは、他の任意の実施形態に適用される、又はそれらとともに使用され得る。さらに、各実施形態に必ずしも必要又は不可欠となる、構成要素、特徴、ステップ、又は構成要素、特徴、又はステップの一群は存在しない。したがって、以下に開示及び請求される本明細書の発明の範囲は、上記に記載された特定の実施形態によって限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲を公正に読むことによってのみ決定されるべきであることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11-1】
図11-2】
図12-1】
図12-2】
【国際調査報告】