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特表2024-510966ウェブ状材料を処理するためのカレンダ及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】ウェブ状材料を処理するためのカレンダ及び方法
(51)【国際特許分類】
   D06C 15/02 20060101AFI20240305BHJP
   D06H 3/00 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
D06C15/02
D06H3/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555169
(86)(22)【出願日】2022-02-08
(85)【翻訳文提出日】2023-10-25
(86)【国際出願番号】 IT2022050021
(87)【国際公開番号】W WO2022190146
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】102021000005897
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506180062
【氏名又は名称】フューチュラ エス ピー エー
(74)【代理人】
【識別番号】100147935
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100080230
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 詔二
(72)【発明者】
【氏名】マッツォーニ、ジョナータ
(72)【発明者】
【氏名】ボンテンポ、ピエロ
【テーマコード(参考)】
3B154
【Fターム(参考)】
3B154AB22
3B154BA35
3B154BB12
3B154BC22
3B154BC47
3B154CA02
3B154CA16
3B154DA28
(57)【要約】
ニップを形成する2つの加熱されたローラを支持するための構造体を含む、ウェブ状材料を処理するためのカレンダであって、各ローラが表面レリーフ(RR)を有し、カレンダの動作設定において、一方のローラのレリーフが他方のローラのレリーフと半径方向に対向し、各ローラがその軸を中心に所定の角速度で回転し、ローラが加熱手段によって加熱され、各ローラがその加熱の結果として軸方向の伸びを受ける。前記カレンダは、各ローラの軸方向の伸びを検出するように適合された検出手段(E1,E2;IS)と、前記検出手段及び前記加熱手段に接続されたプログラム可能な制御ユニット(UCP)とを備える。当該制御ユニットはローラ間の軸方向の伸びの差を決定し、この差の絶対値が限界値よりも大きい場合に警報信号を発するようにプログラムされる。
【選択図】 図22
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブ状材料(W)によって交差可能なニップ(N)を形成するように相互に配置された2つの加熱されたローラ(R1,R2)を支持するように適合された固定構造体(10,11H,11K,300)を備える、ウェブ状材料(W)を処理するためのカレンダであって、
各ローラ(R1,R2)は所定のパターンに従って配置された表面レリーフ(RR)を有し、
前記ローラ(R1,R2)は、前記カレンダの動作設定において、一方のローラ(R1)のレリーフ(RR)が前記ニップ(N)に対応して他方のローラ(R2)のレリーフ(RR)に半径方向に対向するように、先端から先端までの構成で相互に配置され、
前記ローラ(R1,R2)の各々は、自らの長手方向軸(r-r)の周りの所定の角速度でのその回転を決定する駆動ユニット(UM)に接続され、
前記ローラ(R1,R2)は、カレンダの各ローラ(R1,R2)を個別に加熱するように構成された加熱手段によって加熱され、
そして各ローラ(R1,R2)は、その加熱の結果として軸方向の伸びを受けるように構成され、
前記カレンダは、各ローラ(R1,R2)の前記軸方向の伸びを検出するように適合された検出手段(E1,E2;IS)と、前記検出手段及び前記加熱手段に接続されたプログラム可能な制御ユニット(UCP)と、を備え、
前記プログラム可能な制御ユニットは、前記検出手段によって検出された前記ローラ(R1,R2)間の前記軸方向の伸びの差を決定し、この差の絶対値が所定の限界値よりも大きい場合には警報信号を発するようにプログラムされる、カレンダ。
【請求項2】
前記検出手段が磁気エンコーダ(E1,E2)である、請求項1に記載のカレンダ。
【請求項3】
前記エンコーダ(E1,E2)がリニアエンコーダである、請求項1に記載のカレンダ。
【請求項4】
前記検出手段が誘導性センサ(IS)である、請求項1に記載のカレンダ。
【請求項5】
前記検出手段が、前記ローラ(R1,R2)の一端に配置されて作用する、請求項1~4のいずれか1項に記載のカレンダ。
【請求項6】
前記警報信号は、音響信号及び/又は光信号の作動を制御する、請求項1~5のいずれか1項に記載のカレンダ。
【請求項7】
前記警報信号は、最大の伸びを受けるローラの温度を下げることにより前記ローラ(R1,R2)の加熱手段を制御し、
前記制御ユニット(UCP)が前記差の正又は負の符号を決定する、請求項1~6のいずれか1項に記載のカレンダ。
【請求項8】
前記ローラ(R1,R2)が、1つ又は2つの電動モータ(M)を備える駆動ユニット(UM)によって、それぞれ自らの長手方向軸の周りを回転させられる、請求項1に記載のカレンダ。
【請求項9】
前記ローラ(R1,R2)の両方に、前記加熱手段によって供給される液体が循環することができる内部ダクト(HT,RF)が設けられている、請求項1に記載のカレンダ。
【請求項10】
ウェブ状材料(W)によって交差可能なニップ(N)を形成するように相互に配置された2つの加熱されたローラ(R1,R2)を支持するように適合された固定構造体(10,11H,11K,300)を備えるカレンダによるウェブ状材料(W)の処理のための方法であって、
各ローラ(R1,R2)は所定のパターンに従って配置された表面レリーフ(RR)を有し、
前記ローラ(R1,R2)は、前記カレンダの動作設定において、一方のローラ(R1)のレリーフ(RR)が前記ニップ(N)に対応して他方のローラ(R2)のレリーフ(RR)に半径方向に対向するように、先端から先端までの構成で相互に配置され、
前記ローラ(R1,R2)の各々は、自らの長手方向軸(r-r)の周りの所定の角速度でのその回転を決定する駆動ユニット(UM)に接続され、
前記ローラ(R1,R2)は、カレンダの各ローラ(R1,R2)を個別に加熱するように構成された加熱手段によって加熱され、
そして各ローラ(R1,R2)は、その加熱の結果として軸方向の伸びを受けるように構成され、
前記方法は、各ローラ(R1,R2)の前記軸方向の伸びを検出するように適合された検出手段(E1,E2;IS)による各ローラ(R1,R2)の前記軸方向の伸びの検出と、前記検出手段によって検出された前記ローラ(R1,R2)間の前記軸方向の伸びの差の決定と、その差の絶対値が所定の限界値よりも大きい場合の警報信号の発生と、を含む、方法。
【請求項11】
前記ローラ(R1,R2)の前記軸方向の伸びの検出が、磁気エンコーダ(E1,E2)又は誘導性センサ(IS)からなる検出手段によって行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記検出手段が、前記ローラ(R1,R2)の一端に配置されて作用する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記警報信号が、音響信号及び/又は光信号の作動を制御する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記警報信号が制御ユニット(UCP)によって発せられ、当該制御ユニット(UCP)は、より大きな伸びを受けるローラの温度を下げることによって前記ローラ(R1,R2)の加熱手段を制御し、
前記制御ユニット(UCP)は、前記検出手段によって実行される検出の関数として、前記差の正又は負の符号を決定する、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブ状材料を処理するためのカレンダ及び方法に関する。
【0002】
より詳細には、本発明に係るカレンダ及び方法は、加熱されたローラによるウェブ状物質の処理に関する。
【背景技術】
【0003】
ウェブ状材料、特に不織布(TNT)の処理は特許文献1に記載されており、当該文献は、熱可塑性繊維を含有するTNTタイプの材料のウェブと交差するニップを画定する2つの加熱されたエンボスローラによって形成されたカレンダを含むシステムを示している。2つのローラ間のニップを横切る材料は、複合された圧力及び熱処理を受け、この処理により材料自体に含まれる繊維の配置及び物理的状態の変化が決定される。特に、ローラによって処理される材料に加えられる圧力、ローラの動作温度、材料の厚さ及び組成、ならびにローラの表面処理に応じて、所定のパターンに対応する変形を材料に形成することができる。TNTの処理のために加熱ローラを使用するカレンダを含む他のシステムは、特許文献2及び特許文献3に記載されている。
【0004】
処理に供される材料が通過するカレンダローラは、所謂「先端から先端までの、先端-先端(tip to tip)」構成で配置することができ、この設定は、カレンダローラのレリーフ又は「チップ」が常に他のカレンダローラのレリーフと一致しなければならない、即ち、2つのローラが常に同位相でなければならない設定である。
【0005】
このように構成されたカレンダの欠点は、使用時にローラがその軸方向位相を喪失する傾向があることであり、これは、製造仕様に適合しない製品の製造となり、従って経済的損失を意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】US3507943
【特許文献2】US4005169
【特許文献3】WO2020/183504
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の主な目的は、上述の欠点を排除するか、又は少なくとも大幅に低減することができるシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、本発明によれば、独立請求項に示される特徴を有するカレンダを作成しかつ操作方法を実施することによって達成された。本発明の他の特徴は、従属請求項の対象である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ウェブ状材料の熱処理のためのカレンダの彫刻されたローラの軸相の喪失を排除するか、又は所定の限度内に少なくとも含有することが可能であり、それにより仕様外の材料の製造の低減に関連する明らかな経済的利益を伴う。さらに、本発明によるカレンダに統合された制御機構は、建設的かつ機能的な観点から比較的単純な機構であり、既存のカレンダに容易に取り付けることができる。
【0010】
本発明のこれらの及びさらなる利点及び特徴は、例として提供されるが限定的な意味で考慮されるべきではない、以下の説明及び添付の図面により当業者にはより一層明らかになるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明によるカレンダの動作位置における透明視の概略側面図を表す。
図2】ローラ(R1,R2)の解放位置における本発明によるカレンダの透明視の概略側面図を表す。
図3】本発明によるカレンダの概略正面図を表す。
図4図3の線C-Cに沿った断面図を表す。
図5図3の線D-Dに沿った断面図を表す。
図6】操作位置にあるレバー(310)を概略的に示す。
図7】操作位置にあるレバー(308)を概略的に示す。
図8】ローラを解放する位置におけるレバー(316)を概略的に示す。
図9】操作位置におけるレバー(316)を概略的に示す。
図10】前の図に示されたカレンダのローラに作用する力を表す2つの図の内の第1の図である。
図11】前の図に示されたカレンダのローラに作用する力を表す2つの図の内の第2の図である。
図12】本発明によるカレンダの2つの斜視図の内の第1の図である。
図13】本発明によるカレンダの2つの斜視図の内の第2の図である。
図14A】いくつかの部分が他をよりよく強調するために省略されている図12のカレンダを表す。
図14B図12の詳細である。
図15】カレンダローラの内部構造を強調するために図14Aのグループの概略水平断面図を表す。
図16A図15の拡大詳細を示す第1の図である。
図16B図15の拡大詳細を示す第2の図である。
図16C図15の拡大詳細を示す第3の図である。
図17】先の図に例示したカレンダの概略水平断面図を表す。
図18A】ローラのピン上の係合位置にあるジョイント(G1)及びカレンダローラ(R1)の軸の伸びを検出するために当該位置に配置されたエンコーダ(E1)を図示する詳細図である。
図18B】ローラのピン上の離脱位置にあるジョイント(G1)及びカレンダローラ(R1)の軸の伸びを検出するために当該位置に配置されたエンコーダ(E1)を図示する詳細図である。
図18C図18Aの詳細である。
図19A】前図に示したカレンダローラに加熱流体を導入するための弁(108)の開閉を示す2つの図面の内の第1の図である。
図19B】前図に示したカレンダローラに加熱流体を導入するための弁(108)の開閉を示す2つの図面の内の第2の図である。
図19C】カレンダローラの2つの端部における2つの断面図の内の第1の図である。
図19D】カレンダローラの2つの端部における2つの断面図の内の第1の図である。
図20A-20B】各ローラがそれぞれのモータによって駆動される本発明のさらなる実施形態によるカレンダの2つの図である。
図20C図20Bの詳細である。
図21】本発明の実施のさらなる態様を概略的に表す。
図22】本発明によるカレンダにおけるローラの加熱を制御する可能な方法に関する簡略化されたブロック図である。
図23】本発明によるカレンダ内のアクチュエータの可能な制御モードに関する簡略化されたブロック図である。
図24】2つのローラの軸方向変位の状態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明によるカレンダ(1)は金属製横材(10)及び側壁(11H,11K)を有する支持フレームによって形成された構造体を含むタイプのものであり、これらの側壁は、2つのローラ(R1,R2)がそれぞれの長手方向軸を前記側壁(11H,11K)に対して直角に向けて配置される空間の範囲を定め、かつ処理される材料(W)によって交差可能なニップ(N)を画定するように配置される。前記ローラ(R1,R2)は加熱可能なローラであり、かつ、所望であれば、取り外して他の加熱可能なローラと交換することができるように、前記構造体(10,11H,11K)によって取り外し可能に支持される。前記ローラ(R1,R2)は、それぞれの長手方向軸の周りで、所定の角速度で反対方向に回転するように設計される。この目的のために、駆動ユニット(UM)が配置され、前述したように前記ローラ(R1,R2)の回転を制御するために、前記駆動ユニットに前記ローラを接続することができる。簡略化のために、前記材料(W)は図4においてのみ水平方向点線によって表され、当該点線の上方の矢印は材料自身が続く方向を示す。
【0013】
前記ウェブ状材料(W)は、不織布製品を製造するために通常使用されるタイプのものである。例えば、この材料は熱可塑性繊維のみから又は熱可塑性繊維とセルロースなどの非熱可塑性繊維との混合物から、即ち、加熱可能なローラを備えたカレンダを通過させることによって処理されることが意図される材料から構成することができる。
【0014】
各ローラ(R1,R2)は、所定のパターンに従って配置されたレリーフ(RR)を有する外面(100)を備える。前記ローラ(R1,R2)は、所謂「先端-先端(tip-tip)」構成で配置され、これは一方のローラのレリーフ(RR)が他方のローラのレリーフ(RR)に半径方向に対応するように相互に配置されることを意味する。
【0015】
さらに、各ローラ(R1,R2)はヘッド(T1,T2)のそれぞれにピンを有し、前記駆動ユニット(UM)に接続可能な第1ピン(101)と、前記ローラを加熱するための流体を導入することができる第2ピン(102)とを有する。前記ピン(101,102)は、前記ローラの長手方向軸に沿って整列され、当該ローラが前述の構造体上の動作位置に位置決めされる時、前記ローラの長手方向軸は前記ローラの回転軸(r-r)と一致する。
【0016】
そのように構造化されたカレンダは、特許文献3に記載されている。
【0017】
以下の説明は、本発明による制御機構を備えることができるカレンダの可能な実施形態を例示するために提供される。前記制御機構はその動作をより良く説明するために、後で記載される。前記カレンダの構造体、並びに前記ローラ及び前記ローラを前記カレンダの構造体に接続する部材、前記ローラを移動させるための手段、及び前記ローラの加熱方法は、以下に説明するもの以外の任意の好適な方法で構成することができることが理解される。
【0018】
例えば、前記駆動ユニット(UM)は、前記構造体(10,11H,11K)の外部に配置されたカータ(CM)に含まれるベルト又はチェーントランスミッション(図示せず)によって2つの弾性軸方向ジョイント(G1,G2)に接続された電動モータ(M)を備える。各ジョイント(G1,G2)は、それぞれのローラ(R1,R2)の回転軸(r-r)に対応して配置され、そしてジョイント自体に対して軸方向に摺動する終端部(200)を備える。アーム(201)は、軸受(202)を介して前記終端部(200)に接続される。反対側では、前記アーム(201)が同様に前記構造体の側壁(11K)と一体である油圧アクチュエータ(203)に接続される。前記終端部(200)は、それぞれのローラ(R1、R2)の第1ピン(101)の端部に配置された動力取出し部(103)に結合されるように形成される。
【0019】
添付の図面に示される実施形態によれば、前記動力取出し部(103)は、補強リング(104)によって前記第1ピン(101)に固定される。前記ジョイントは2つあり、即ち、前記ローラ(R1,R2)の数と等しい数であるので、2つのアクチュエータ(203)が設けられ、各アクチュエータはそれぞれのアーム(201)に作用し、そして前記アーム(201)のそれぞれは、対応するジョイント(G1、G2)の終端部(200)に接続される。図18Aでは前記ジョイント(G1)は前記第1ピン(101)上で係合位置にあり、一方図18Bでは前記ジョイントは係合解除位置にある。前記第1ピン(101)上の係合位置/係合解除位置における前記ジョイントの位置決めは、前記アクチュエータ(203)によって制御される。図18Bに示されるように、前記ジョイントの係合解除位置では、前記終端部(200)と前記動力取出し部(103)との間に空間(y)が形成され、以下でさらに説明されるように、前記ローラの取り外しを可能にする。
【0020】
添付の図面に示される例によれば、前述の構造体は、2つの最外壁(11K)及び2つの最内壁(11H)を有するように、各側の一対の側壁(11H,11K)、即ち、前記駆動ユニット側(UM)には一対の側壁(11H,11K)、そしてその反対側には一対の側壁(11H,11K)を備える。前記内壁(11H)間の距離は、前記外壁(11K)間の距離よりも小さい。前記内側側壁(11H)は、前記それぞれの前側部(F)に、前記それぞれのヘッド(T1,T2)に近接して前記ローラ(R1,R2)によって提示される対応する軸受(105)を部分的に収容するのに適した2つの重なり合う凹部(300)を有する。
【0021】
さらに、各内部側壁(11H)の前側部(F)にはアクチュエータ(301)、例えば油圧アクチュエータが取り付けられ、そのステム(302)はレバー(303)の前端に拘束される。これは凹部を有し、凹部は上方を向いており、下部凹部(300)の背面、すなわち、構造体の基部(BA)に最も近い凹部(300)の背面に配置された横軸を有するピン(340)の手段によって、それぞれの内側側壁(11H)にヒンジ結合されている。実際には、前記ピン(340)がレバー(303)の前端におけるステム(302)の接続点(305)に対して反対側にある。レバー(303)の凹部は前記接続点(305)とピン(340)との間の中間であり、それぞれの下側凹部(300)と協働して、下部ローラ(R2)の対応する軸受(105)の下側ハウジングを画定する。アクチュエータ(301)は、2つのレバー(303)がそれぞれのピン(340)の周りで同期して回転するように同期される。
【0022】
それぞれの外側側壁(11K)、より正確にはそれぞれの内側側壁(11H)に面する側に、好ましくは凹部を下向きにして凹部を有する凹形前側部(350)を有するレバー(304)が適用され、当該レバーは対応する油圧アクチュエータ(307)のステム(306)に拘束され、そして前記レバーは、前記アクチュエータ(307)のステム(306)に連結するために、その凹形前側部(350)と接続点(309)との間の中間位置に横軸(308)を有するピンによって前記壁(11K)にヒンジ結合される。各レバー(304)の前側部は、前述の軸受(105)から所定の距離をおいて、各ローラ(R1、R2)によって示される軸受(106)の上方から係合するように意図されている。
【0023】
前記レバー(304)の上方には別のレバー(310)があり、このレバー(310)は第1のレバー(304)と同一であるが、鏡面反射的に配置され、即ち、それぞれの前端部(311)の凹部が下方ではなく上方を向いている。前記別のレバー(310)は、また、対応する油圧アクチュエータ(313)のステム(312)に拘束され、そしてその前端部(311)とアクチュエータ(313)のステム(312)への接続点(315)との間の中間位置における横軸を有するそれぞれのピン(314)によって壁面(11K)にヒンジ結合される。前記別のレバー(310)の前側部は対応する軸受(106)に下方から係合するように意図されている。
【0024】
それぞれの内側側壁(11H)の前側部(F)には、その後側に対応する油圧アクチュエータ(317)に接続される更なるレバー(316)が取り付けられ、この更なるレバー(316)は、その前側部にはカレンダを作動位置で前記壁(11H)の後部(P)に面する凹部(318)を有し、そしてその前側部(318)と前記アクチュエータ(317)のステムへの接続点(320)との間の中間位置で横軸を有するそれぞれのピン(319)によって前記壁(11H)にヒンジ結合される。
【0025】
実際には、各外部側壁(11K)上に下記の構成要素が適用される:
-アクチュエータ(307)によって制御される下部レバー(304)であって、横軸を有するピン(308)によって前記レバーが前記壁(11K)に接続され、前記アクチュエータが前記ピン(308)の周りの前記下部レバーの回転を制御し、そして前記下部レバー(304)の自由前端部(350)が好ましくは下向きの凹部を有する凹部形状である;及び
-アクチュエータ(313)によって制御される上部レバー(310)であって、横軸を有するピン(314)によって前記レバーが前記壁(11K)に接続され、前記アクチュエータが前記ピン(314)の周りの前記上部レバーの回転を制御し、そして前記上部レバー(310)の自由前端部(311)が好ましくは上向きの凹部を有する凹部形状である。
【0026】
同様に、各内部側壁(11H)にも下記の構成要素が適用される:
-アクチュエータ(301)によって制御される下部レバー(303)であって、横軸を有するピン(340)によって前記レバーが前記壁(11H)に接続され、前記アクチュエータが前記ピン(340)の周りの前記下部レバーの回転を制御し、そして前記下部レバー(303)の中間部が好ましくは上向きの凹部を有する凹部形状である;及び
-アクチュエータ(317)によって制御される上部レバー(316)であって、横軸を有するピン(319)によって前記レバーが前記壁(11H)に接続され、前記アクチュエータが前記ピン(319)の周りの前記上部レバーの回転を制御し、そして前記カレンダが動作位置にある時に、前記上部レバー(316)の前部(318)が好ましくは前記壁(11H)の後部(P)に対向する凹部を有する凹部形状である。
【0027】
従って、一例としてここで説明されるカレンダには、その左右のそれぞれに、2つの下部レバー(303,304)及び2つの上部レバー(316,310)が互いに所定の距離(d)に配置され、そして前記カレンダは、前記ローラ(R1,R2)上に配置された対応する前記軸受(105,106)と接触するように適合され、前記軸受(105,106)に、不一致方向に配向された力(F1,F2,F3,F4)を及ぼす。実際には、両ローラ(R1,R2)の右側又は左側のそれぞれについて、前記レバー(303,304,310,316)は所定の値(d)だけ離間された平行な平面に沿って作用する2つの顎部材を形成する。
【0028】
添付図面に示される例を参照すると、前記下部レバー(303)及び(308)は、それぞれ前記下部ローラ(R2)の前記ヘッド(T1,T2)に隣接する前記軸受(105)に上向き推力(F1)を作用させ、そして、それぞれ、前記ローラ(R2)の前記最外側軸受(106)に下向き推力(F2)を作用させる。前記上部レバー(310)及び(316)は、それぞれ、前記上部ローラ(R1)の前記外側軸受(106)に上向き推力(F3)を作用させ、そして、それぞれ、前記上部ローラ(R1)の前記ヘッド(T1,T2)に隣接する前記軸受(105)に、前記カレンダの後側(P)に向かって推力(F4)を作用させる。
【0029】
その結果、前記ローラ(R1,R2)の曲げが低減される。実際には前記力(F1,F2,F3,F4)は平行平面及び不一致平面に作用する。
【0030】
添付の図面に示される例を参照すると、各ローラ(R1,R2)の内部には、加熱流体、例えば、市販されているタイプのジアテルミックオイルを供給するための導管(HT)がある。例えば、以下の表1に示されるタイプのジアテルミックオイルを使用することができ、表1において、文字A~Eは以下の意味を有する:
A:製造業者
B:タイプ
C:40℃での粘性(cSt又はmm/s)
D:100℃での粘性(cSt又はmm/s)
E:15℃における密度(Kg/m
F:発火温度(℃)
【0031】
【表1】
【0032】
例えば、選択されたジアテルミックオイルは、前記カレンダの前記ローラ(R1,R2)間に導入される材料(W)に対して実施される特定の処理に従って、170℃~200℃の温度で前記ダクト(HT)に導入される。
【0033】
前記ダクト(HT)は、前記ローラ(R1,R2)の長手方向軸に沿って配置され、そして前記ローラの前記第2ピン(102)に形成された入口端部(107)を有する。前記ダクト(HT)の前記入口端部(107)には弁(108)が設けられており、当該弁を介して加熱流体をダクト(HT)に導入することができ、また前記入口(107)を遮断することもできる。前記弁(108)は、前記ローラ(R1,R2)と一体である前記チューブ(HT)の前記入口(107)と一体である。動作中、前記加熱流体がダクト(HT)内を循環することを可能にするために、前記弁(108)は開いており、一方、下記に述べるように、前記ローラ(R1,R2)が前記カレンダから除去されなければならない時には、前記弁は閉じられている。各ヘッド(T1,T2)から所定の距離に隔壁(S1,S2)が配置され、前記ローラ(R1,R2)の内側でかつ各ヘッド(TR)の近傍に、第1チャンバ(C1)が前記入口(107)からさらに離れかつ第2チャンバ(C2)がこの入口に近い態様で、対応するチャンバ(C1,C2)が形成される。
【0034】
前記ダクト(HT)は第1チャンバ(C1)内で終わり、即ち、前記ダクト(HT)の前記出口(109)は、前記第1チャンバ(C1)内にある。前記第1チャンバは、前記ダクト(HT)と同軸でかつ外部にある熱交換器(111)と連通するためのいくつかの穴(110)を有する。前記第2チャンバ(C2)は、また、前記熱交換器(111)と連通するためのより多くの穴(110)を有する。前記第2ピン(102)において、第2ダクト(RF)は、加熱流体のための戻りラインを形成するように配置される。前記第2ダクト(RF)は前記第1ダクト(HT)と同軸でかつ外部にあり、そして当該第2ダクト(RF)は第2ヘッド(T2)に形成された入口セクション(112)と、対応する弁(114)が取り付けられた出口セクション(113)とを有し、当該弁(114)は、加熱流体が第2ダクト(RF)の前記出口セクション(113)を通って出ることを可能にしかつまた前記出口セクション(113)が閉鎖されることも可能にする。前記弁(114)は前記ダクト(RF)の前記出口(113)と一体であり、当該ダクト(RF)は前記ローラ(R1,R2)と一体である。動作状態において、前記弁(114)は加熱流体が前記第2ダクト(RF)を通過できるように開いており、一方前記ローラ(R1,R2)が前記カレンダから取り外されなければならない時には前記弁は閉鎖している。
【0035】
従って、前記入口(107)を通って前記ダクト(HT)内に所定の圧力で導入された前記加熱流体は第1チャンバ(C1)を満たし、前記熱交換器(111)内を循環し、前記第2チャンバ(C2)に入り、前記第2ダクト(RF)を通って出る。前記送出ダクト(HT)の前記入口(107)及び前記戻りダクト(RF)の前記出口(113)は、前記それぞれの弁(108,114)を介して、図22のブロック図において参照番号「HTS」でのみ表されているそれ自体公知の流体加熱及び供給システムに接続される。
【0036】
添付図面に示される例によれば、前記第2ピン(102)は、前記送出ダクト(HT)と前記加熱流体戻りダクト(RF)との両方によって交差され、そして前記弁(108,114)は両方とも同じ側からかつ両方とも前記第2ピン(102)の自由端に配置される。加えて、前記弁(108、114)は加熱流体の供給及び排出のためのパイプ(図示せず)を挿入するためのそれぞれの出口(180、141)を有する。
【0037】
前記ローラ(R1、R2)のジャケット(100)は前記熱交換器(111)と同軸でかつその外部にあり、前記熱交換器から加熱流体によって運ばれる熱を受け取る。
【0038】
例えば、正確な熱交換を確実にするために、前記ローラ(R1、R2)の内側の前記熱交換器(111)はその外径が前記ジャケット(100)の内径に対応する螺旋コイルから形成されている。例えば、前記コイルは、螺旋状に巻かれた長方形の断面を有するチューブによって形成される。上記した例によれば、前記交換器(111)は、前記ローラ(R1,R2)の全長に沿って、前記2つのヘッド(T1,T2)の間に延在する。
【0039】
好ましくは、油圧ジョイントは前記ピン(102)の端部に取り付けられ、そしてこの油圧ジョイントは、前記ダクト(HT)の端部に配置される第1内部軸方向ダクト(401)と、当該第1ダクト(401)と同軸かつ外部にある第2ダクト(402)と、を有する内部中空体(400)によって形成され、そして当該第2ダクト(402)は前記加熱流体戻り導管(RF)の延長部を構成する。前記導管(401)は前記弁(108)で終わり、一方、前記導管(402)は前記弁(114)で終わる。前記ジョイントの前記本体(400)は前記ローラ(R1,R2)と一体であり、そして前記ローラが動作位置に配置された時に、適切な付属物(403)によって、前記本体(400)は前記カレンダ(1)の前記対応する壁面(11K)に係止される。このようにして、前記弁(108、114)は、前記ローラ(R1,R2)の回転中、常に同じ地点に位置する。実際、前記ピン(102)は、前記弁(108,114)が取り付けられた前記ジョイント(400)の内側で回転する。
【0040】
好ましくは、前記弁(108,114)は前記ローラ(R1,R2)の動作位置において前記カレンダ(1)の前記後側(P)に面する前記ジョイント(400)の側に適用される。
【0041】
前記弁(108,114)は通常は閉じられており、そして前記カレンダ(1)の側壁(11K)の所定の位置に取り付けられたそれぞれのアクチュエータ(508,514)によって開かれる。特に図14Bに示される例を参照すると、前記壁(11K)には、2対のアクチュエータ(508,514)、即ち、各ローラ(R1,R2)に対して1対のアクチュエータ(508,514)がある。前記カレンダ(1)のこの部分の動作は単一の弁(108)を参照する図19A及び19Bの図を参照して以下に説明されるが、前記加熱流体の前記入口(108)及び前記出口(114)のための動作は両方とも全ての弁について同じであり:前記ダクト(HT)への前記加熱流体の導入中に、前記アクチュエータ(508)の前記ピストン(581)が前記弁(108)の前記前面基部(181)を押し、その動きは、前記グループの前記下側要素(182)を前記上側要素(184)に接続する前記ブリッジ(183)によって前記内部グループ(182,184)の前記下側要素(182)に伝達され、従って、前記加熱流体は図19Aにおいて矢印「T」によって示されるように前記弁を介して自由に通過することができ;逆に、前記弁(108)を閉じる時には、図19Bに示すように、前記アクチュエータ(508)の前記ピストンを後退させ、その結果、前述の群(182,184)の前記下部本体(182)を前記上部本体(184)から離間させ、そして前記出口(180)が係合している前記下部要素(182)を介して前記流体が通過できなくなり、そして前記出口(180)を介しての前記流体の漏出は防止される。
【0042】
特に図22及び図23に示すように、各ピン(101,102)には、その温度を低下させそして前記軸受(105,106)の完全性を維持するために、空気を通過させるように設計された内部チャネルを設けることができる。従って、通常ホットローラカレンダに設けられる外部冷却回路を設けることなく、前記軸受(105,106)の動作温度の制御を得ることができる。図22及び図23に示す例を参照して、前記各ピン(101,102)には、前記ローラの前記回転軸(r-r)に平行に展開されたチャネル(CC)を形成することができる。前記チャネル(CC)は前記ピン内に断熱チャンバを形成し、この断熱チャンバは加熱流体によって伝達される熱に対して前記軸受を絶縁する。最終的に、空気又は断熱材料さえも前記チャネル(CC)内に存在し得る。図面に示されるように、前記チャネル(CC)は、軸受(105,106)の下に展開する。
【0043】
前記チャネル(CC)は、また、前記ピンの直径がより大きい場合に、前記相対ヘッド(T1,T2)の近くに配置された第1の一連の半径方向穴(RC)、及びピンの直径がより小さい場合に、第1の一連の穴(RC)から所定の間隔(a)をおいた第2の一連の穴(SC)によって外部と連通することができる。第2の一連の穴(SC)の軸は前記ローラの前記回転軸(r-r)上に収束し、前記ヘッドからより離れた入口及び前記ヘッドに近い出口を提示する。前記距離(a)は前記軸受(105,106)間の距離よりも大きいので、前記チャネル(CC)内を流れる空気は両方の軸受を冷却することができる。図24に示されるように、前述した弁(108,114)に取り付けられた前記ピン(102)において、前記チャネル(CC)は前記流体戻りダクト(RF)に対して同軸でかつその外部にある。
【0044】
外部空気は前記穴(SC)を介して前記チャネル(CC)に入り、前記半径方向穴(RC)を介して出て、前記ローラ(R1,R2)の前記軸受(105,106)の適切な断熱をもたらす。図18Cは、必要に応じて前記ダクト(CC)を通る空気の循環をさらに容易にするために、前記穴(SC)の方向に空気を吹き付けるノズル(UR)を示す。
【0045】
前記空冷ダクトは前記ローラ(R1,R2)の両方のピン(101,102)に配置されるが、このダクトは前記ピン(102)にのみ配置されてもよい。図22においても、前記ピン(101)には、上述した冷却ダクトが設けられている。
【0046】
2つのブッシュ(B)を前記ローラ(R1,R2)の各ピン(101,102)に適用することができ、そのブッシュの各々は、好ましくは、2つの対応する軸受(105,106)の間の中間位置に配置され、そして各ブッシュは、前記カレンダ(1)と前記ローラのための1つ以上の駐車ステーション又は待機ステーションとの間で前記ローラ(R1,R2)を移動させる機能を有するオーバーヘッドクレーン(図示せず)のアームによって係合されるのに適している。
【0047】
例えば、前記ローラ(R1,R2)を前記カレンダ(1)から取り外すことを可能にするために、そして前記軸受(105,106)を解放しかつ前記ローラを前記座部(300)から解放するために、前記レバー(303,304,310,316)は、対応するアクチュエータ(301,307,313,317)によってそれぞれのピンの周りを回転するように形成されている。この段階では、前記駆動ユニットへの前記ローラの連結は解除されており、それぞれの動力取出し部(103)は解放され、そして前記アクチュエータ(508,514)によって前記弁(108,114)を閉じることにより、加熱流体の供給が中断される。ブリッジクレーンによる取り外しに関与する前記ローラの係合を解除する手順並びに前記弁(108,114)を閉鎖する手順及び前記軸受(105,106)を解放する手順は、前述した前記アクチュエータを制御するアクチュエータ制御ユニット(UE)によって自動的に管理される。前記アクチュエータ制御ユニット(UE)による前記アクチュエータの制御に関するブロック図は図23に示されている。
【0048】
前述のように、本発明による制御機構を備えることができるカレンダの考えられる構成を例示するために、前述の記載は提供されており、この機構は、一般に、前記支持構造体、前記ローラ、及び前記ローラを前記カレンダ構造体に接続する部材、前記ローラを移動させるための手段、及び前記ローラ自体を加熱するための方法に関するもので、異なる構造を有するカレンダに適用可能であることが理解される。
【0049】
従って、本発明による制御機構は、カレンダに、特に、先端-先端構成で相互に配置された2つの熱彫刻ローラによって形成されたニップを通過するウェブ状材料の熱処理に、等しく適用することができ、この場合、前記軸受構造は2つのローラ支持壁のみを有することができ、前記ローラの加熱系は先に説明したように構成されていないが異なる基準に従って構成され、前記ローラは先に説明した前記レバー(304,310,303,316)以外の拘束部材によって軸受構造に拘束され、そして前記ローラは先に説明した前記駆動ユニット(UM)以外のモータ部材によってそれぞれの長手方向軸の周りを回転するように駆動される。例えば、図20A図20Cに示すように、前記駆動ユニット(UM)は、前記カレンダの各ローラに1つずつ、2つの電動モータ(M)を含む。
【0050】
有利には、本発明によれば、前記ローラ(R1,R2)の軸方向位相の維持を確実にするために、前記ローラの均一な加熱の制御が実行される。この制御の実際的な実施の可能な方法は、前記ローラ(R1,R2)の加熱による軸方向の伸びの検出を含む。一般的に、許容できない軸方向位相喪失は本発明による所定の限界値(例えば、3/10mm)を超える2つのローラの異なる軸方向伸びに関連する。例えば、前記検出は、前記ローラ(R1,R2)のそれぞれの片側に配置されたリニアエンコーダ(E1,E2)を使用して実行され、それらの加熱による軸方向の伸びを測定することができる。
【0051】
図22に概略的に示されるように、前記エンコーダ(E1,E2)の各々はプログラム可能な制御ユニット(UCP)に接続され、前記エンコーダによって生成された電気信号を受信し、それらを互いに比較する。一方のローラの軸方向伸びが他方のローラの軸方向伸びと所定の閾値を超える値だけ異なる場合、前記制御ユニット(UCP)は警報信号を発生する。前記警報信号は、音響及び/又は光信号装置(SAL)及び/又は前記カレンダの通常動作の状態を自動的に回復するための手順を起動することができる。
【0052】
前記音響信号及び/又は光信号は前記カレンダの運転に関与するオペレータに警告する役割を果たすことができ、このオペレータは、このようにして、カレンダの通常の運転条件を回復するために介入することができ、即ち、前記ローラに導入される高温流体の量を手動で調整することによって、前記ローラ(R1,R2)の軸方向伸びの差を予め設定された閾値未満にすることができる。
【0053】
前記カレンダの通常の動作条件を自動的に回復するための手順は、前記ローラに導入される高温流体の量の自動調整を含む。この場合、例えば、前記制御ユニット(UCP)は高温流体を前記ローラ(R1,R2)に導入するための前記入口(107)に配置された前記弁(108)に接続され、前記弁(108)は前記制御ユニット(UCP)によって制御可能な電磁弁である。前記電磁弁(108)の制御された開閉によって、前記制御ユニット(UCP)は、前記ローラ自体の軸方向伸びの差を予め設定された閾値よりも低い値にするように、前記各ローラ(R1,R2)の動作温度を調整することができる。このようにして検出された軸方向長さの差の正又は負の信号は、最も高温のローラを特定するために使用することができる。例えば、前記ローラ(R1,R2)の伸び(dL1,dL2)間の差D=dL1-dL2が正である場合、前記制御システムは、この条件を、前記ローラ(R2)に対する前記ローラ(R1)のより大きな軸方向の伸びを示すものとして解釈する。逆に、前記ローラ(R1,R2)の伸び(dL1,dL2)間の差D=dL1-dL2が負である場合、前記制御システムは、この条件を、前記ローラ(R1)に対する前記ローラ(R2)のより大きな軸方向の伸びを示すものとして解釈する。
【0054】
その結果、前記制御ユニット(UCP)は前記軸方向の伸びの差が所定の閾値を超える場合には、最も高温のローラに導入される加熱流体の流量を減少させる。図24は、一例として、前記上部ローラ(R1)が前記下部ローラ(R2)よりも大きな伸びを受け、その結果、差D=dL1-dL2が正である動作条件を表す。同図の拡大された詳細において、前記ローラ(R1)のより大きな軸方向の伸びは、特にカレンダの片側(図の右側)において、前記2つのローラのレリーフ(RR)間の対応の喪失を決定していることが分かる。
【0055】
或いは、前記制御ユニット(UCP)は前記軸方向の伸びの差が予め設定された閾値を超える場合、最も高温のローラの前記加熱ユニットの設定値を変更する。この場合、前記制御ユニット(UCP)は、前記弁(108)に介入せず、最も高温のローラに流体を供給する前記加熱ユニットの設定点の減少を指令する。図22において、前記制御ユニット(UCP)と前記加熱ユニット(HTS)との間の接続は、破線矢印「UH」によって表されている。また、この場合にも、前記ローラ(R1,R2)の軸方向の伸びの差の符号に関して述べたことが当てはまる。
【0056】
上に例示された両方の場合において、前記ローラ(R1,R2)を加熱するためのシステムはいくつかの個別に制御可能な加熱ユニット(HTS)を備え、その各々は熱い流体をそれぞれのカレンダローラに供給する。
【0057】
実際には、前記ローラ(R1,R2)の軸方向の伸びは前記ローラ自体の動作温度の能動的制御によって制御され、この能動的制御は検出器(例えば、エンコーダE1,E2)によって実行され、この検出器は、前記ローラの軸方向伸びを検出するように構成され、かつ前記ローラの軸方向伸びの差異を所定の閾値未満に維持するために、前記検出器によって実行される検出に従って前記ローラの動作温度を調整するように構成された前記制御ユニット(UCP)に接続されている。
【0058】
図18A-18Cに示す構成例に関連し,各エンコーダ(E1,E2)は、前記ローラ(R1,R2)への運動伝達の係合/解放機構のアーム(201)に取り付けられた磁気エンコーダである。この例において、各エンコーダ(E1,E2)はプレート(PM)に固定された磁気スライダ(MS)を備え、このプレート(PM)は、次に、それぞれのアーム(201)の側部に固定される。従って、前記それぞれのローラ(R1,R2)の前記軸(r-r)に平行な前記アーム(201)の各並進移動は前記それぞれのエンコーダ上の前記磁気スライダ(MS)の等しい並進移動を伴い、従って、前記アーム(201)の位置に相関する位置信号を生成する。図18C図18Aの拡大詳細)における矢印「SA」は、前記ローラ(R1)の伸びによって前記アーム(201)に加えられる推力を示しており、このローラ(R1)の伸びは同図に示される前記エンコーダ(E1)の前記スライダ(MS)の並進移動に対応する。
【0059】
前記カレンダローラのいずれか1つの軸方向の伸び(前記r-r軸の方向に沿った伸び)は、このローラによって前記それぞれの軸受(202)に加えられる推力を意味し、この推力は、前記ローラの前記軸(r-r)に平行な前記対応するアーム(201)の並進移動を決定し、その結果、前述した介在するようにプログラムされた前記制御ユニット(UCP)に送信される位置信号に前記エンコーダによって変換される前記磁気スライダ(MS)の並進移動を決定する。前記アクチュエータ(203)は比較的低圧で動作する空気圧又は油圧アクチュエータであるので、前記アクチュエータ(203)は前記ローラの伸びを妨げず、その結果、前記アーム(201)の並進移動、従って、前記磁気スライダ(MS)の並進移動を妨げない。
【0060】
図21に示す例によれば、前記アクチュエータ(203)が前記カレンダの前記壁(11K)にブラケット(210)によって接続され、当該ブラケット(210)には、誘導性センサ(IS)が取り付けられる付属物(211)が設けられている。前記誘導性センサ(IS)は前記付属物(211)からの前記アーム(201)の距離を検出する。従って、先に例示した場合と同様に、前記相対ローラ(R1,R2)の前記軸(r-r)に平行な前記アーム(201)の各並進移動は、前記誘導性センサ(IS)によって検知された前記アーム(201)の等しい並進移動を含む。また、図21の矢印「SA」は、前記ローラ(R1)の伸びによって前記アーム(201)に加えられる推力も示している。この例では、前記カレンダローラの各々に誘導性センサ(IS)が設けられる。さらに、この場合にも、前記センサ(IS)は、前述のように前記制御ユニット(UCP)によって使用される前記アーム(201)の位置信号を生成するトランスデューサを構成する。
【0061】
実際には、本発明によれば、前記カレンダのそれぞれのローラの軸方向の伸び、当該ローラの加熱による軸方向の伸びを、このために構成され前記カレンダ内に配置されたセンサによって検出し、そしてプログラム可能な制御ユニットによって、前記ローラの伸びを比較し、そしてこれらの伸びの差異が所定の限界値を超える場合に警報信号を生成することが想定される。
【0062】
前記アクチュエータ制御ユニット(EU)は、前記制御ユニット(UCP)と物理的に一体化することができる。
【0063】
前述の説明によれば、本発明によるカレンダは、ウェブ状材料(W)の処理のためのカレンダであり、ウェブ状材料(W)によって交差可能なニップ(N)を形成するように相互に配置された2つの加熱ローラ(R1,R2)を支持するように適合された固定構造体(10,11H,11K,300)を備え、各ローラ(R1,R2)は所定のパターンに従って配置された表面レリーフ(RR)を有し、前記ローラ(R1,R2)は、前記カレンダの動作設定において、一方のローラ(R1)のレリーフ(RR)は前記ニップ(N)に対応して他方のローラ(R2)のレリーフ(RR)に半径方向に対向するように、先端-先端構成で相互に配置され、前記ローラ(R1,R2)の各々は、それ自体の長手方向軸(r-r)の周りの所定の角速度でのその回転を決定する駆動ユニット(UM)に接続され、前記ローラ(R1,R2)はカレンダの各ローラ(R1,R2)を個別に加熱するように構成された加熱手段によって加熱され、そして各ローラ(R1,R2)はその加熱の結果として軸方向の伸びを受け、そして各ローラ(R1,R2)は、各ローラ(R1,R2)の軸方向の伸びを検出するように適合された検出手段(E1,E2;IS)と、前記検出手段及び前記加熱手段に接続されたプログラム可能な制御ユニット(UCP)と、を備え、前記プログラム可能な制御ユニットは、前記検出手段によって検出された前記ローラ(R1,R2)間の軸方向の伸びの差を決定し、この差の絶対値が所定の限界値よりも大きい場合には警報信号を発するようにプログラムされる。
【0064】
本発明の実施の特定の方法によれば、本発明によるカレンダは、以下の特徴のうちの1つ以上を有することができる:
-前記検知手段は、磁気エンコーダ(E1,E2)からなる。
-前記エンコーダ(E1,E2)はリニアエンコーダである。
-前記検知手段は、誘導性センサによって構成される。
-前記検知手段は、前記ローラ(R1,R2)の一端に配置されて作用する。
-前記警報信号は、音響信号及び/又は光信号の活性化を制御する。
-前記警報信号は、前記最大伸びを受ける前記ローラの温度を下げることにより前記ローラ(R1,R2)の加熱手段を制御し、前記制御ユニット(UCP)が前記差の正又は負の符号を決定する。
-前記ローラ(R1,R2)が、1つ又は2つの電動モータ(M)を備える駆動ユニット(UM)によって、それぞれの縦軸の周りを回転駆動させられる。
-前記ローラ(R1,R2)の両方に、前記加熱手段によって供給される液体が循環することができる内部ダクト(HT,RF)が設けられている。
【0065】
ウェブ状材料(W)の処理のためのカレンダによるウェブ状材料の処理方法であって、ウェブ状材料(W)によって交差することができるニップ(N)を形成するように相互に配置された2つの加熱ローラ(R1,R2)を支持するように適合された固定構造体(10,11H,11K,300)を備え、各ローラ(R1,R2)は所定のパターンに従って配置された表面レリーフ(RR)を有し、前記ローラ(R1,R2)は、前記カレンダの動作設定において、一方のローラ(R1)のレリーフ(RR)が前記ニップ(N)に対応して他方のローラ(R2)のレリーフ(RR)に半径方向に対向するように、先端-先端構成で相互に配置され、前記ローラ(R1,R2)の各々は、それ自体の長手方向軸(r-r)の周りの所定の角速度でのその回転を決定する駆動ユニット(UM)に接続され、前記ローラ(R1,R2)はカレンダの各ローラ(R1,R2)を個別に加熱するように構成された加熱手段によって加熱され、そして各ローラ(R1,R2)はその加熱の結果として軸方向の伸びを受け、本発明によれば、各ローラ(R1,R2)の軸方向の伸びを検出する検出手段(E1,E2;IS)によって各ローラ(R1,R2)の軸方向の伸びを検出し、そして前記検出手段(E1,E2;IS)によって検出された前記ローラ(R1,R2)の軸方向の伸び間の差を決定し、そしてその差の絶対値が所定の限界値よりも大きい場合に警報信号を発生することを含む。
【0066】
本発明による方法を実施する特定の方法によれば、
-前記ローラ(R1,R2)の軸方向の伸びの検出は、磁気エンコーダ(E1,E2)又は誘導性センサ(IS)からなる検出手段によって行われる。
-前記磁気エンコーダが使用される場合、これらのエンコーダ(E1,E2)は、好ましくはリニアエンコーダである。
-前記検知手段は、好ましくは前記ローラ(R1,R2)の一端に配置されて作用する。
-前記警報信号は、音響信号及び/又は光信号の活性化を制御する。
-前記警報信号が制御ユニット(UCP)によって発せられ、当該制御ユニット(UCP)は、より大きな伸びを受ける前記ローラ(R1,R2)の温度を下げることによって前記ローラ(R1、R2)を加熱する手段を制御し、前記制御ユニット(UCP)は、前記検出手段によって実行される検出の関数として、前記差の正符号又は負符号を評価する。
【0067】
実際には、実施の詳細がいずれの場合も、採用される解決策の考え方から逸脱することなく、従って、以下の特許請求の範囲に従って本特許によって付与される保護の範囲内にとどまり、記載及び図示された個々の要素及びそれらの相互の配置に関して、均等の態様で変化し得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16A
図16B
図16C
図17
図18A
図18B
図18C
図19A
図19B
図19C-19D】
図20A
図20B
図20C
図21
図22
図23
図24
【国際調査報告】