IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヘクセル ランフォルセマンの特許一覧

特表2024-510967複合部品を形成するのに適した、S-及びZ-撚糸に基づく新しい強化材料、方法及び使用
<>
  • 特表-複合部品を形成するのに適した、S-及びZ-撚糸に基づく新しい強化材料、方法及び使用 図1A
  • 特表-複合部品を形成するのに適した、S-及びZ-撚糸に基づく新しい強化材料、方法及び使用 図1B
  • 特表-複合部品を形成するのに適した、S-及びZ-撚糸に基づく新しい強化材料、方法及び使用 図1C
  • 特表-複合部品を形成するのに適した、S-及びZ-撚糸に基づく新しい強化材料、方法及び使用 図2
  • 特表-複合部品を形成するのに適した、S-及びZ-撚糸に基づく新しい強化材料、方法及び使用 図3
  • 特表-複合部品を形成するのに適した、S-及びZ-撚糸に基づく新しい強化材料、方法及び使用 図4
  • 特表-複合部品を形成するのに適した、S-及びZ-撚糸に基づく新しい強化材料、方法及び使用 図5
  • 特表-複合部品を形成するのに適した、S-及びZ-撚糸に基づく新しい強化材料、方法及び使用 図6
  • 特表-複合部品を形成するのに適した、S-及びZ-撚糸に基づく新しい強化材料、方法及び使用 図7
  • 特表-複合部品を形成するのに適した、S-及びZ-撚糸に基づく新しい強化材料、方法及び使用 図8
  • 特表-複合部品を形成するのに適した、S-及びZ-撚糸に基づく新しい強化材料、方法及び使用 図9
  • 特表-複合部品を形成するのに適した、S-及びZ-撚糸に基づく新しい強化材料、方法及び使用 図10
  • 特表-複合部品を形成するのに適した、S-及びZ-撚糸に基づく新しい強化材料、方法及び使用 図11
  • 特表-複合部品を形成するのに適した、S-及びZ-撚糸に基づく新しい強化材料、方法及び使用 図12
  • 特表-複合部品を形成するのに適した、S-及びZ-撚糸に基づく新しい強化材料、方法及び使用 図13
  • 特表-複合部品を形成するのに適した、S-及びZ-撚糸に基づく新しい強化材料、方法及び使用 図14
  • 特表-複合部品を形成するのに適した、S-及びZ-撚糸に基づく新しい強化材料、方法及び使用 図15
  • 特表-複合部品を形成するのに適した、S-及びZ-撚糸に基づく新しい強化材料、方法及び使用 図16
  • 特表-複合部品を形成するのに適した、S-及びZ-撚糸に基づく新しい強化材料、方法及び使用 図17
  • 特表-複合部品を形成するのに適した、S-及びZ-撚糸に基づく新しい強化材料、方法及び使用 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】複合部品を形成するのに適した、S-及びZ-撚糸に基づく新しい強化材料、方法及び使用
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/10 20060101AFI20240305BHJP
   C08J 5/04 20060101ALI20240305BHJP
   D04H 3/04 20120101ALI20240305BHJP
   D04H 3/002 20120101ALI20240305BHJP
   B32B 5/02 20060101ALI20240305BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20240305BHJP
   B32B 5/28 20060101ALI20240305BHJP
   B32B 27/04 20060101ALI20240305BHJP
   B29C 70/48 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B29C70/10
C08J5/04 CFD
C08J5/04 CFG
D04H3/04
D04H3/002
B32B5/02 B
B32B5/18
B32B5/28 101
B32B27/04 Z
B29C70/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555186
(86)(22)【出願日】2022-03-07
(85)【翻訳文提出日】2023-11-02
(86)【国際出願番号】 FR2022050404
(87)【国際公開番号】W WO2022189744
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】2102409
(32)【優先日】2021-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515306965
【氏名又は名称】ヘクセル ランフォルセマン
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴィアール、アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ベロー、ジャン - マルク
(72)【発明者】
【氏名】ティール、ジャン - ベノワ
(72)【発明者】
【氏名】フォレステロ、フランソワ
【テーマコード(参考)】
4F072
4F100
4F205
4L047
【Fターム(参考)】
4F072AA04
4F072AA07
4F072AA08
4F072AB10
4F072AD23
4F072AD37
4F072AD44
4F072AG04
4F072AH06
4F072AH42
4F072AH49
4F072AK05
4F072AK14
4F072AL02
4F100AD11B
4F100AK46A
4F100AK53B
4F100BA02
4F100BA10A
4F100CB03A
4F100DG04B
4F100DG12A
4F100DG15A
4F100DH01B
4F100DH02B
4F100DJ00A
4F100GB31
4F100JB13A
4F100JB16A
4F100JG01
4F100JL12A
4F100YY00B
4F205AA36
4F205AC05
4F205AD16
4F205HA12
4F205HA27
4F205HA33
4F205HA34
4F205HA44
4F205HB01
4F205HB11
4F205HC03
4F205HF05
4F205HK04
4F205HK05
4L047AA03
4L047AB03
4L047BD02
4L047CA04
4L047CA05
4L047CA06
4L047CB01
4L047CC13
(57)【要約】
強化材料は、その面の少なくとも1つ、好ましくはその各面に多孔質ポリマー層(4、5)と会合した1つ又は複数本の炭素糸(3)から形成される一方向強化ウェブ(2)を含み、強化材料のポリマー部分は、その総重量の0.5%~10%、好ましくはその総重量の2%~6%を占め、前記炭素糸(3)は、3ターン/m~15ターン/m、好ましくは6ターン/m~12ターン/mの撚りで個別に撚られ、請求項1に記載の選択からの少なくとも1本のS撚糸及び少なくとも1本のZ撚糸を含むことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その面の少なくとも1つ、好ましくはその各面に多孔質ポリマー層(4、5)と会合した少なくとも3本の一連の撚られた炭素強化糸(3)から形成された一方向強化ウェブ(2)を含む強化材料であって、前記強化材料の前記ポリマー部分は、その総重量の0.5%~10%、好ましくはその総重量の2%~6%を占め、前記炭素強化糸(3)が、3ターン/m~15ターン/m、好ましくは6ターン/m~12ターン/mの撚りで個別に撚られ、S撚りを有する少なくとも1本の炭素強化糸(3)、及びZ撚りを有する少なくとも1本の炭素強化糸(3)を含むことを特徴とすると共に、
-前記一方向強化ウェブ(2)を形成する撚られた炭素強化糸(3)の総数が偶数の場合、平面Δの一方側の撚られた炭素強化S撚糸(3)の数及び前記平面Δの他方側の撚られた炭素強化S撚糸(3)の数は、それぞれ独立して、範囲{[(糸の総数)/4]-35%;[(糸の総数)/4]+35%}内の整数であり、前記範囲の各端点は、それを定義する前記式が整数にならない場合、最も近い整数に丸められ、他の撚られた炭素強化糸(3)はZ撚糸である;
-前記一方向強化ウェブ(2)を形成する撚られた炭素強化糸(3)の総数が奇数の場合、平面Δの一方側の撚られた炭素強化S撚糸(3)の数及び前記平面Δの他方側の撚られた炭素強化S撚糸(3)の数は、2つの整数又は2つの整数プラス0.5のいずれかであり、それぞれ独立して、範囲{[(糸の総数)/4]-35%;[(糸の総数)/4]+35%}内にあり、前記範囲の各端点は、それを定義する前記の式が整数又は整数プラス0.5にならない場合、最も近い整数又は整数プラス0.5に丸められ、他の撚られた炭素強化糸(3)はZ撚糸である;
前記平面Δは、前記一方向ウェブ(2)の一般的な延在方向に平行な平面であり、前記一方向ウェブ(2)をその表面に対して垂直な2つの等しい部分に分割する、
強化材料。
【請求項2】
前記一方向強化ウェブ(2)が、構成(SZ)i、S(ZS)j、又はZ(SZ)jのうちの1つを有する、一連の撚られた炭素強化S撚糸(3)及び撚られた炭素強化Z撚糸(3)から形成され、i及びjは、特に2~20の範囲、好ましくは2~10の範囲内の整数であるか、又は前記平面Δの両側に同じ数のS撚糸が等しく存在するか、又は前記一方向ウェブが前記平面Δに関して対称であることを特徴とする、請求項1に記載の強化材料(1)。
【請求項3】
7mmを超える、好ましくは12mmを超える、好ましくは12mm~51mmの範囲内の幅、及び好ましくは2m~5000m、好ましくは100m~2000mの長さを有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の強化材料(1)。
【請求項4】
存在する前記1つ又は複数の多孔質ポリマー層が、多孔質フィルム、スクリム、パウダーコーティング、液体ポリマーコーティング、織物、又は好ましくは不織材料若しくはベールであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の強化材料。
【請求項5】
前記一方向強化ウェブ(2)が、126g/m~1000g/m、好ましくは126g/m~280g/m、より好ましくは126g/m~210g/mの範囲内の目付を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の強化材料。
【請求項6】
前記一方向強化ウェブ(2)が、3K~24K、好ましくは6K~12Kのタイターを有する撚られた炭素強化糸(3)から形成されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の強化材料(1)。
【請求項7】
存在する前記1つ又は複数の多孔質ポリマー層(4、5)が、熱可塑性を有し、特に、熱可塑性ポリマー、部分的に架橋された熱可塑性ポリマー、そのようなポリマーの混合物、又は熱可塑性ポリマーと熱硬化性ポリマーの混合物からなることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の強化材料。
【請求項8】
存在する前記1つ又は複数の多孔質ポリマー層(4、5)が、ホットメルトの性質を有し、それと前記一方向強化ウェブとの会合が、このホットメルトの性質によって達成されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の強化材料。
【請求項9】
存在する前記1つ又は複数の多孔質ポリマー層(4、5)が不織材料であり、2つの多孔質ポリマー層が存在する場合、好ましくはそれらが同一の不織材料であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の強化材料。
【請求項10】
前記不織材料が、0.2g/m~20g/mの範囲内の坪量及び/又は0.5ミクロン~50ミクロン、好ましくは3ミクロン~35ミクロンの厚みを有することを特徴とする、請求項9に記載の強化材料。
【請求項11】
穿孔されておらず、縫い付けられておらず、編まれておらず、織られていないことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の強化材料。
【請求項12】
以下の連続するステップ:
a1)3ターン/m~15ターン/m、好ましくは6ターン/m~12ターン/mの撚りを有する、少なくとも3本の一連の個別に撚られた炭素強化糸(3)から形成され、少なくとも1本の撚られた炭素強化S撚糸(3)及び少なくとも1本の撚られた炭素強化Z撚糸(3)を含む、一方向強化ウェブ(2)を提供することと共に、
-前記一方向強化ウェブ(2)を形成する撚られた炭素強化糸(3)の総数が偶数の場合、平面Δの一方側の撚られた炭素強化糸(3)の数及び前記平面Δの他方側の撚られた炭素強化糸(3)の数は、それぞれ独立して、範囲{[(糸の総数)/4]-35%;[(糸の総数)/4]+35%}内の整数であり、前記範囲の各端点は、それを定義する前記式が整数にならない場合、最も近い整数に丸められ、他の撚られた炭素強化糸(3)はZ撚糸である;
-前記一方向強化ウェブ(2)を形成する撚られた炭素強化糸(3)の総数が奇数の場合、平面Δの一方側の撚られた炭素強化S撚糸(3)の数及び前記平面Δの他方側の撚られた炭素強化S撚糸(3)の数は、2つの整数又は2つ整数+0.5のいずれかであり、それぞれ独立して、範囲{[(糸の総数)/4]-35%;[(糸の総数)/4]+35%}内にあり、前記範囲の各端点は、それを定義する前記式が整数又は整数+0.5にならない場合、最も近い整数又は整数+0.5に丸められ、他の撚られた炭素強化糸(3)はZ撚糸である;
前記平面Δは、前記一方向ウェブ(2)の全般的な延在方向に平行な平面であり、前記一方向ウェブ(2)をその表面に対して垂直な2つの等しい部分に分割する;
a2)1つ又は2つの多孔質ポリマー層(4、5)を提供すること;
a3)前記多孔質ポリマー層(4また5)を前記一方向強化ウェブ(2)の面の1つと会合させ、2つの多孔質ポリマー層(4、5)の場合、それらの各々を前記一方向強化ウェブ(2)の各面と会合させること
を含むことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の強化材料の調製方法。
【請求項13】
ステップa1)の上流に、S撚りを有する1本又は一連の炭素強化糸(3)に3ターン/m~15ターン/mの撚りを加えることであって、前記撚りが各炭素強化糸に個別に加えられる、撚りを加えること、及びZ撚りを有する1本又は一連の炭素強化糸(3)に3ターン/m~15ターン/mの撚りを加えることであって、前記撚りが各炭素強化糸に個別に加えられる、撚りを加えることを含む前記一方向強化ウェブ(2)の生産のためのステップを含むことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ステップa1)の上流に、
i)S撚りを有する1本の炭素強化糸又は一連の炭素強化糸(3)に3ターン/m~15ターン/mの撚りを加えることであって、前記撚りは各炭素強化糸に個別に加えられる、撚りを加えること、及びZ撚りを有する1本の炭素強化糸又は一連の炭素強化糸(3)に3ターン/m~15ターン/mの撚りを加えることであって、前記撚りは各炭素強化糸に個別に加えられる、撚りを加えること;
ii)それによって得られた前記撚られた強化糸を整列させ、少なくとも1本の炭素強化S撚糸(3)及び少なくとも1本の炭素強化Z撚糸(3)を含む一方向強化ウェブを形成するように前記糸を隣接して配置することと共に:
-前記一方向強化ウェブ(2)を形成する撚られた炭素強化糸(3)の総数が偶数の場合、平面Δの一方側の撚られた炭素強化S撚糸(3)の数及び前記平面Δの他方側の撚られた炭素強化S撚糸(3)の数は、それぞれ独立して、範囲{[(糸の総数)/4]-35%;[(糸の総数)/4]+35%}内の整数であり、前記範囲の各端点は、それを定義する前記式が整数にならない場合、最も近い整数に丸められ、他の撚られた炭素強化糸(3)はZ撚糸である;
-前記一方向強化ウェブ(2)を形成する撚られた炭素強化糸(3)の総数が奇数の場合、平面Δの一方側の撚られた炭素強化S撚糸(3)の数及び前記平面Δの他方側の撚られた炭素強化S撚糸(3)数は、2つの整数又は2つの整数+0.5のいずれかであり、それぞれ独立して、範囲{[(糸の総数)/4]-35%;[(糸の総数)/4]+35%}内にあり、前記範囲の各端点は、それを定義する前記式が整数又は整数+0.5にならない場合、最も近い整数又は整数+0.5に丸められ、他の撚られた炭素強化糸(3)はZ撚糸である;
前記平面Δは、前記一方向ウェブ(2)の前記強化糸(3)の全般的な延在方向に平行な平面であり、前記一方向ウェブ(2)をその表面に対して垂直な2つの等しい部分に分割する
を含むことを特徴とする、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記1つ又は複数の多孔質ポリマー層(4、5)がホットメルトの性質を有し、ステップa3)の前記会合が、前記一方向強化ウェブ(2)の面の1つ又は各々に前記多孔質ポリマー層の1つ又は複数をそれぞれ適用することによって得られ、前記レイアップが、前記ポリマー繊維の加熱を伴うか又はそれが続き、前記ポリマー繊維を軟化又は溶融させ、次いでそれに続いて冷却されることを特徴とする、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1から11のいずれか一項に記載の1つ又は複数の強化材料から少なくとも部分的になるプリフォーム。
【請求項17】
熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、又は熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合物が、前記強化材料、複数の請求項1から11のいずれか一項に記載の強化材料のスタック、又は請求項16に記載のプリフォーム内に射出又は注入されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の少なくとも1つの強化材料から複合部品を製造するための方法。
【請求項18】
前記樹脂の前記注入又は射出の前に、複数の請求項1から11のいずれか一項に記載の強化材料(1)を含むプライ又はスタックを形成するステップを含み、その間に前記強化材料(1)が、所望の前記プライ又はスタックをもたらすそのレイアップ中に、その位置決めを確実にするために、ガイド部材内で、連続的に搬送され循環することを特徴とする、請求項17に記載の複合部品の製造方法。
【請求項19】
前記樹脂の注入又は射出の前に、好ましくは前記強化材料(単数または複数)中に存在する前記多孔質ポリマー層のホットメルトの性質を利用するレイアップ又は成形を含むことを特徴とする、請求項17又は18に記載の複合部品の製造方法。
【請求項20】
熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、又は熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合物と会合して、プリフォーム又は複合部品を作製するための、請求項1から11のいずれか一項に記載の1つ又は複数の強化材料の使用。
【請求項21】
熱硬化性樹脂、特にエポキシ樹脂が射出又は注入されることを特徴とする、請求項17から19のいずれか一項に記載の製造方法、又は請求項20に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合部品を形成するのに適した強化材料の技術分野に関する。より具体的には、本発明は、射出又は注入された樹脂と会合する(組み合わせた)、複合部品の生産に適した強化材料に関し、該強化材料は、複合部品の生産中に射出又は注入される樹脂の拡散を確実にするのに適した撚りを有する、一連の個別に撚られた炭素糸から少なくとも一部が作られた一方向ウェブを含む。
【背景技術】
【0002】
複合部品又は物品、すなわち、第1に、1つ又は複数の繊維強化物、特に一方向繊維ウェブ型のもの、及び第2に、マトリックス(これは、通常、主に熱硬化型のものであり、1つ又は複数の熱可塑性物質を含み得る)を含むものの製造は、例えば、いわゆる直接又は液体複合成形(LCM)プロセスによって生産され得る。直接プロセスは、1つ又は複数の繊維強化物が「ドライ」状態(すなわち、最終マトリックスなし)で使用され、例えば、繊維強化物を含むモールドへの射出(樹脂トランスファー成形(RTM)プロセス)によって、繊維強化物の厚みを通した注入(液体樹脂注入(LRI)プロセス、又は樹脂フィルム注入(RFI)プロセス)によって、又はそうでなければ連続的にフォームに適用された繊維強化物の個別の層のそれぞれにローラ又はブラシによる手動コーティング/含浸によって、樹脂又はマトリックスが別途に使用されるという事実により定義される。複合部品を製造する範囲内、特に航空分野では、大量生産の速度が速くなり得る。例えば、単通路型航空機の製造のために、航空産業の顧客は、月に数十機の航空機を生産できることを望んでいる。注入又は射出などの直接プロセスは、この要件を満たすことができる特に重要なプロセスである。
【0003】
RTM、LRI、又はRFIプロセスでは、一般に、最初に所望の完成品の形状の繊維プリフォーム又はスタックを生産し、次いでそのプリフォーム又はスタックに樹脂を含浸させてマトリックスを形成することが必要である。樹脂は、温度圧力差によって射出又は注入され、次いで、必要な量の樹脂がすべてプリフォームに含まれた後、アセンブリをより高い温度にして重合/架橋サイクルを実行し、それによって硬化をもたらす。
【0004】
特に自動車産業、航空産業、又は造船産業で使用される複合部品は、特に機械的特性に関して非常に厳しい要件を受ける。燃料を節約し、部品のメンテナンスを容易にするために、航空産業は、多くの金属材料をより軽量な複合材料に置き換えてきた。
【0005】
特に射出又は注入によって、部品の生産中に繊維強化物とその後会合される樹脂は、例えばエポキシ型の熱硬化性樹脂であり得る。樹脂が繊維強化物の様々な層のスタックからなるプリフォームを通って適切に流れることを可能にするために、この樹脂は、通常、非常に流動性であり、例えば注入/射出温度で50mPas~200mPas程度、又はそれより低い粘度を有する。この種の樹脂の主な欠点は、重合/架橋後の脆性であり、これは、生産された複合部品の耐衝撃性を低くする。
【0006】
この問題を解決するために、先行技術の文献では、繊維強化層、特に炭素糸の一方向ウェブを、多孔質熱可塑性ポリマー層、特に熱可塑性繊維の織物又は不織材料(ベールとも称される)と会合させることが提案されている。そのような解決策は、特に特許出願又は特許EP1125728、US6,828,016、WO00/58083、WO2007/015706、WO2006/121961、US6,503,856、US2008/7435693、WO2010/046609、WO2010/061114及びEP2,547,816、US2008/0289743、US2007/8361262、US2011/9371604、WO2011/048340に記載されている。特に不織型のこの多孔質熱可塑性層の添加は、構造体の耐衝撃性を特徴付けるために一般的に使用される試験である衝撃後圧縮(CAI)試験において、得られた複合部品の機械的特性を改善することを可能にする。不織材料の使用は、特に、航空分野に適した機械的性能を達成することを可能にする。
【0007】
複合部品の満足のいく生産速度を達成するために、ドライ強化材料のレイアップ及び得られたドライ強化材料のスタック又はプリフォームへの樹脂の含浸又は注入の時間は、可能な限り短くすべきである。
【0008】
さらに、航空分野では、飛行中及び地上での航空機の電気的環境に関連するストレス、特に雷の事象が、この分野において高い基準を満たす材料を提供することを不可欠にする。
【0009】
この目的のために、以下の解決策が先行技術において提案されている:
-射出又は注入される液体樹脂に対するドライ強化材料の浸透性を高める;
-満足できる横方向電気伝導率を提供する。
【0010】
本出願人は、材料の横方向浸透性を改善し(WO2010/046609)、その横方向凝集性を改善し、したがって自動化レイアップによるその加工を容易にし(WO2014/076433)、生産された複合部品の横方向電気伝導率を改善する(WO2013/160604)、前述の材料のための微細穿孔方法を提案している。
【0011】
それにもかかわらず、工業的規模では、この技術は、微細穿孔を行うために特別な工具を必要とし、特に高目付を有する微細穿孔された材料に対して、複雑なレイアップ作業をもたらす。
【0012】
さらに、微細穿孔技術は、高目付炭素糸の一方向ウェブから作成されたドライ強化材料の製造に適合させることは困難である。実際、織物又は不織材料中に存在するポリマーバインダーの量は、一般に、i.満足のいくレイアップに必要なドライ強化材料の適切な凝集性を得るためには不十分であり、ii.高い浸透性をもたらす微細穿孔を有するには不十分である。しかしながら、一方向高目付炭素糸ウェブから作成されたドライ強化材料の製造は望ましく、そのような材料は、単位時間あたりにレイアップされるドライ強化材料の重量を増加させることを可能にする。
【0013】
強化材料中に存在する一方向ウェブの内部凝集性を高めるために、WO2012/164014において、本出願人は、ポリマー粉末を使用することによって、それを一方向ウェブの内部に貫入させることを提案し、これにより、ドライウェブの均質化を可能にし、高い坪量を有する一方向ウェブの製造を容易にすることができる。
【0014】
出願EP2794221は、一方向ウェブを、ウェブに貫入する液体ポリマーバインダー組成物で処理することを提案しており、前記バインダー組成物は、得られる強化材料の最終重量の15%以下を占める。それにもかかわらず、この方法の使用は、強化フィラメントの極端な圧縮のため、低い浸透性(特に横方向浸透性)をもたらし、そのため浸透性の低下をもたらす。
【0015】
さらに、強化繊維が炭素繊維であるこのような材料を用いて得られた部品の横方向電気伝導率は、微細穿孔を使用する技術を用いて得られたものよりも実質的に低い。
【0016】
さらに、本出願人名義の出願WO2008/155504は、少なくとも1本の撚糸が敷設面に、かつ敷設面上の少なくとも1つの湾曲ゾーンを有する軌跡に沿って適用され、強化糸がポリマーバインダーによって敷設面にボンディングされる、複合材料の製造方法を記載している。この方法は、湾曲ゾーン上での糸のレイアップが必要な場合に、複雑な形状の部品又はプリフォームを生産するために使用され、レイアップの上流の糸に、敷設面に平行に測定された幅の両側での糸の最も端の経路で示される長さの差を少なくとも補償するように選択された撚りを加えることを提案している。
【0017】
WO2013/133437は、RTMプロセスに適した800g/mより大きく、かつ6,000g/mと同じかそれより小さい坪量を有する炭素シートを提供するために、5ターン/m~50ターン/mの撚りで撚られ、重なり合わないように同じ方向に配置された50,000~60,000フィラメントを含む炭素糸からなる非常に特殊な材料を記載している。提案された材料は、風力タービンブレード、車両、又はボートで使用されることを意図しているが、航空分野には適していない。
【0018】
したがって、本発明の目的は、複合部品の生産のための、射出又は注入された樹脂と会合し、複数の炭素糸の少なくとも1つの一方向強化ウェブを含み、航空分野に適した新しい強化材料を提供することである。これらの強化材料は、高い横方向浸透性を保持しながら、改善されたレイアップ性能、レイアップ後のオーバーランの減少、及び改善された横方向電気伝導率を示す。それらはまた、それらのレイアップ性能を変えることなく高目付で生産され得、それは満足のいくままであり、レイアップ後のオーバーランの減少をもたらす。
【0019】
さらに、本発明は、高い横方向浸透性を有し、その後の複合部品の生産の間に、その中に後で射出又は注入される樹脂の十分な拡散を可能にする強化材料を提供することを提案している。
【0020】
本発明の別の目的は、複合部品の生産のための、射出又は注入された樹脂と会合し、特に航空分野における用途向けに、満足できる横方向電気伝導率を有する新しい強化材料を提供することである。
【0021】
本発明の別の目的は、満足のいく制御された品質を有する強化材料を生産しながら、製造方法が容易に自動化される新しい材料を提供することである。したがって、本発明による材料は、長い長さで高速で生産され得る。
【発明の概要】
【0022】
この文脈において、本発明は、少なくとも3本の一連の撚られた炭素強化糸から形成された一方向強化ウェブを含む強化材料であって、その片面又は各面に多孔質ポリマー繊維層が会合しており、強化材料のポリマー部分は、その総重量の0.5%~10%、好ましくはその総重量の2%~6%を占める、強化材料に関する。
【0023】
3ターン/m~15ターン/m、好ましくは6ターン/m~12ターン/mの撚りを有する前記炭素強化糸は、個別に撚られ、少なくとも1本の撚られた炭素強化S撚糸及び少なくとも1本の撚られた炭素強化Z撚糸を含むと共に、
-一方向強化ウェブを形成する撚られた炭素強化糸の総数(糸の総数と称される)が偶数の場合、平面Δの一方側の撚られた炭素強化S撚糸の数及び平面Δの他方側の撚られた炭素強化S撚糸の数は、それぞれ独立して、範囲{[(糸の総数)/4]-35%;[(糸の総数)/4]+35%}内の整数であり、範囲の各端点は、それを定義する式が整数になる場合、最も近い整数に丸められ、他の撚られた炭素強化糸はZ撚糸である(定義P1);
-一方向強化糸を形成する撚られた炭素強化糸の総数(糸の総数と称される)が奇数の場合、平面Δの一方側の撚られた炭素強化S撚糸の数及び平面Δの他方側の撚られた炭素強化S撚糸の数は、2つの整数又は2つの整数プラス0.5のいずれかであり、それぞれ独立して、範囲{[(糸の総数)/4]-35%;[(糸の総数)/4]+35%}内にあり、範囲の各端点は、それを定義する式が整数又は整数プラス0.5になる場合、最も近い整数又は整数プラス0.5に丸められ、他の撚られた炭素強化糸はZ撚糸である(定義I1);
平面Δは、前記一方向ウェブの全般的な(全体的な/一般的な)延在方向に平行な平面であり、前記一方向ウェブをその表面に対して垂直な2つの等しい部分に分割する。換言すれば、一方向強化ウェブを形成する撚られた炭素強化糸の数(本発明の範囲内で、簡素化のために、範囲の定義において、「糸の総数」と称される)は、一方向強化ウェブの中間の繊維のレベルに位置する平面Δの両側で等しい。したがって、一方向強化ウェブがn本(nは3より大きい整数)の撚られた炭素強化糸からなる場合、平面Δの各側にn/2本の撚られた炭素強化糸がある。
【0024】
さらに、整数mの撚られた炭素強化S撚糸を含む一方向強化ウェブであって、平面Δの一方側に敷設する撚られた炭素強化S撚糸の数m1と、平面Δの他方側に敷設する撚られた炭素強化S撚糸の数m2との和が整数である、一方向強化ウェブが開示される。同様に、整数pの撚られた炭素強化Z撚糸を含む一方向強化ウェブであって、平面Δの一方側に敷設する撚られた炭素強化Z撚糸の数p1と、平面Δの他方側に敷設する撚られた炭素強化Z撚糸Zの数p2との和が整数である、一方向強化ウェブが開示される。したがって、例えば、定義I1を満たす一連の撚られた炭素強化SZSZSZS糸(隣接して敷設された糸の撚り)から形成された一方向強化ウェブの場合、平面Δの各側の糸の数n/2は3.5であり、m1=m2=2であり、p1=p2=1.5である。
【0025】
1つの有利な特徴によれば、前記一方向強化ウェブは、構成(SZ)i、S(ZS)j、又はZ(SZ)jのうちの1つを有する一連のS撚りで撚られた炭素強化糸及び一連のZ撚りで撚られた炭素強化糸から形成され、i及びjは、特に2~20の範囲内、好ましくは2~10の範囲内の整数である。
【0026】
ある特定の実施形態によれば、一方向強化ウェブは、126g/m~1000g/m、特に126g/m~420g/m、好ましくは126g/m~280g/m、最も好ましくは126g/m~210g/m、又は210g/m~280g/mの範囲内の目付を有する。
【0027】
特に、一方向強化ウェブは、3K~24K、好ましくは6K~12Kのタイター(titer)を有する撚られた炭素強化糸から形成される。
【0028】
一実施形態によれば、存在する1つ又は複数の多孔質ポリマー層は、多孔質フィルム、スクリム、パウダーコーティング、液体ポリマーコーティング、織物、又は好ましくは不織材料若しくはベールである。
【0029】
本発明の範囲内で、1つ又は複数の多孔質ポリマー層は、有利には熱可塑性を有し、特に、熱可塑性ポリマー、部分的に架橋された熱可塑性ポリマー、そのようなポリマーの混合物、又は熱可塑性ポリマーと熱硬化性ポリマーの混合物からなる。
【0030】
存在する1つ又は複数のポリマー繊維層は、ホットメルトの性質を有し、一方向強化ウェブとのその(それらの)会合は、このホットメルトの性質によって達成される。
【0031】
有利には、1つ又は複数の多孔質ポリマー層は不織材料であり、一方向強化ウェブの各面が多孔質ポリマー層と会合している場合、これらの多孔質ポリマー層は好ましくは同一の不織材料である。
【0032】
典型的には、前記不織材料(複数可)は、0.2g/m~20g/mの範囲内の坪量及び/又は0.5ミクロン~50ミクロン、好ましくは3ミクロン~35ミクロンの厚みを有する。
【0033】
本発明による強化材料は、有利には、穿孔されていない、縫い付けられていない、編まれていない、又は織られていないという特徴を有する。
【0034】
本発明の範囲内で、本発明による強化材料内に3t/m~15t/mの撚りを有する一連の炭素糸を有するように、予め撚り操作を受けた炭素強化糸の使用により、以下が可能になる:
-一方向ウェブの上面と下面との間のボンド(結合)を得て、横方向凝集性を増加させることによって、得られる強化材料の十分な性能を保持し、その取り扱い及びそのレイアップに適合しながら、高目付ウェブを一体化することを可能にすること;
-一方向ウェブの2つの面の間に、撚られた強化糸によって、複合部品の生産中に射出又は注入される樹脂の拡散の連続性を作出すること。一方向ウェブの2つの面を接合する撚られた強化糸のフィラメントの連続性は、横方向浸透性に寄与する。さらに、撚られた炭素糸は、一方向ウェブの2つの面を接合する撚られた炭素糸のフィラメントに沿って延びるチャネルを形成することができる。したがって、一方向ウェブの一方の面から他方の面まで延在するフィラメントに沿って、撚られた炭素糸のレベルで延在する多重の浸透性によって横方向浸透性が得られる;
-電気導電体である炭素糸によって、一方向ウェブの2つの面を接合する撚糸のフィラメントに沿って電気伝導率の連続性を作出すること。
【0035】
定義P1及びI1に従って、撚られた炭素強化S撚糸の数及び撚られた炭素強化Z撚糸の数が釣り合った、3本を超える撚られた炭素強化糸から形成される一方向ウェブを用いることにより、工業的規模で自動化されたプロセスを使用して作製された強化材料であっても、欠陥の少ない強化材料を得ることができる。本発明による強化材料のレイアップはまた、それらの軌跡が一方向ウェブの全般的な延在方向と平行により容易に維持され得るので、より良好に制御される。
【0036】
本発明は、7mmを超える、好ましくは12mmを超える、好ましくは12mm~51mmの範囲内の幅を有し、好ましくは2m~5000m、好ましくは100m~2000mの長さを有する強化材料になおさらに関連する。
【0037】
本発明は、直接プロセスによる複合部品の生産のための強化材料に関する。すなわち、複合部品を生産するために、本発明による強化材料は、前記強化材料又はそのような強化材料のスタック内に射出又は注入されるポリマー樹脂と会合する必要がある。また、従来、本発明による強化材料のポリマー部分の重量は、本発明による強化材料の総重量の10%以下を占める。典型的には、強化材料のポリマー部分は、強化材料の総重量の0.5%~10%、好ましくはその総重量の2%~6%を占める。このポリマー部分は、本発明による強化材料内に存在するポリマー(複数可)の全部分に相当する:したがって、それは、本発明による強化材料内に存在する1つ又は複数の多孔質ポリマー層を含むか、又は本発明による強化材料内に存在する1つ又は複数の多孔質ポリマー層からなる。本発明の利点は、一方向ウェブの片側、有利には一方向ウェブの両側、すなわちその各面に存在する1つ又は複数の多孔質ポリマー層中の材料のポリマー部分、すなわち存在するポリマー材料の量を増加させる必要なく得られる。
【0038】
一方向ウェブ及びさらに高目付の一方向ウェブを作製するための本発明の提案による撚られた炭素糸の使用を除いて、本発明による材料のポリマー多孔質層は、微細穿孔ステップの前の、先行技術、特に出願WO2010/046609に記載されているものに対応する。
【0039】
一方向強化ウェブは、炭素強化糸のアセンブリからなり、そのすべてが撚られ、隣接して配置されている。一方向ウェブが形成された後、それは、その面の1つ、好ましくはその各面に、多孔質ポリマー層と、特に積層によって会合され得る。
【0040】
別の特徴によれば、本発明は、強化材料を調製するための方法に関し、該方法は、以下の連続するステップを含む:
【0041】
a1)3~15ターン/m、好ましくは6ターン/m~12ターン/mの撚りを有し、少なくとも1本の撚られた炭素強化S撚糸及び少なくとも1本の撚られた炭素強化Z撚糸を含む、少なくとも3本の一連の個別に撚られた炭素糸から形成された一方向強化ウェブを提供することと共に:
-一方向強化ウェブを形成する撚られた炭素強化糸の総数が偶数の場合、平面Δの一方側の撚られた炭素強化S撚糸の数及び平面Δの他方側の撚られた炭素強化S撚糸の数は、それぞれ独立して、範囲{[(糸の総数)/4]-35%;[(糸の総数)/4]+35%}内の整数であり、範囲の各端点は、それを定義する式が整数にならない場合、最も近い整数に丸められ、他の撚られた炭素強化糸はZ撚糸である;
-一方向強化ウェブを形成する撚られた炭素強化糸の総数が奇数の場合、平面Δの一方側の撚られた炭素強化S撚糸の数及び平面Δの他方側の撚られた炭素強化S撚糸の数は、2つの整数又は2つの整数プラス0.5のいずれかであり、それぞれ独立して、範囲{[(糸の総数)/4]-35%;[(糸の総数)/4]+35%}内にあり、範囲の各端点は、それを定義する式が整数又は整数プラス0.5にならない場合、最も近い整数又は整数プラス0.5に丸められ、他の撚られた炭素強化糸はZ撚糸である];
平面Δは、前記一方向ウェブの全般的な方向に平行な平面であり、前記一方向ウェブをその表面に対して垂直な2つの等しい部分に分割する。
【0042】
a2)1つ又は2つの多孔質ポリマー層を提供すること;
【0043】
a3)前記多孔質ポリマー層を一方向強化ウェブの面の1つと会合させること、2つの多孔質ポリマー層の場合、それらの各々を一方向強化ウェブの各面と会合させること。
【0044】
例えば、調製方法は、ステップa1)の上流に、S撚りを有する1本又は一連の炭素強化糸に3ターン/m~15ターン/mの撚りを加えることであって、前記撚りは各炭素強化糸に個別に加えられる、撚りを加えること、及びZ撚りを有する1本又は一連の炭素強化糸に3ターン/m~15ターン/mの撚りを加えることであって、前記撚りは各炭素強化糸に個別に加えられる、撚りを加えることを含む、一方向強化ウェブの生産のためのステップを含む。
【0045】
一実施形態によれば、調製方法は、ステップa1)の上流に、以下を含む:
【0046】
i)S撚りを有する1本又は一連の炭素強化糸に3ターン/m~15ターン/mの撚りを加えることであって、前記撚りは各炭素強化糸に個別に加えられる、撚りを加えること、及びZ撚りを有する1本又は一連の炭素強化糸に3~15ターン/mの撚りを加えることであって、前記撚りは各炭素強化糸に個別に加えられる、撚りを加えること、
【0047】
ii)このようにして得られた撚られた強化糸を整列させ、前記糸を隣接して配置して、少なくとも1本のS撚糸及び少なくとも1本のZ撚糸を含む一方向強化ウェブを形成させることと共に:
-一方向強化ウェブを形成する撚られた炭素強化糸の総数が偶数の場合、平面Δの一方側の撚られた炭素強化S撚糸の数及び平面Δの他方側の撚られた炭素強化S撚糸の数は、それぞれ独立して、範囲{[(糸の総数)/4]-35%;[(糸の総数)/4]+35%}内の整数であり、範囲の各端点は、それを定義する式が整数にならない場合、最も近い整数に丸められ、他の撚られた炭素強化糸はZ撚糸である;
-一方向強化ウェブを形成する撚られた炭素強化糸の総数が奇数の場合、平面Δの一方側の撚られた炭素強化S撚糸の数及び平面Δの他方側の撚られた炭素強化S撚糸の数は、2つの整数又は2つの整数プラス0.5のいずれかであり、それぞれ独立して、範囲{[(糸の総数)/4]-35%;[(糸の総数)/4]+35%}内にあり、範囲の各端点は、それを定義する式が整数又は整数プラス0.5にならない場合、最も近い整数又は整数プラス0.5に丸められ、他の撚られた炭素強化糸はZ撚糸である;
【0048】
平面Δは、前記一方向ウェブの全般的な方向に平行な平面であり、前記一方向ウェブをその表面に対して垂直な2つの等しい部分に分割する。
【0049】
そのような方法では、1つ又は複数の多孔質ポリマー層はホットメルトの性質を有し、ステップa3)の会合は、有利には、一方向強化ウェブの面の1つ又は各面にそれぞれ1つ又は複数の多孔質ポリマー層を適用することによって得られ、前記レイアップは、ポリマー繊維を伴うか又はそれに続いて加熱し、ポリマー繊維を軟化又は溶融させ、次いでそれに続いて冷却される。
【0050】
本発明の別の目的は、本発明による1つ又は複数の強化材料から少なくとも部分的になるプリフォームである。
【0051】
本発明の別の目的は、本発明による少なくとも1つの強化材料から複合部品を製造するための方法に関する。この製造方法によれば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、又は熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合物が、前記強化材料、本発明による複数の強化材料のスタック、又は本発明によるプリフォーム内に射出又は注入される。
【0052】
特に、そのような方法は、樹脂の注入又は射出の前に、本発明による複数の強化材料を含むプライ又はスタックを形成するステップを含み、その間、前記強化材料は、所望のプライ又はスタックに至るそのレイアップ中にその位置決めを確実にするために、ガイド部材内で連続的に搬送され、循環する。慣例的に、本発明による材料は、生産されるプライ又はスタックを形成するために、所望のサイズ、特に所望の長さに切断される。
【0053】
有利には、複合部品の製造のためのこの方法は、樹脂の注入又は射出の前に、好ましくは強化材料(複数可)中に存在する多孔質ポリマー層のホットメルトの性質を利用するレイアップ又は成形を含む。
【0054】
本発明の別の目的は、プリフォーム又は複合部品の生産のための、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、又は熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合物と会合する、本発明による1つ又は複数の強化材料の使用に関する。
【0055】
有利には、熱硬化性樹脂、特にエポキシ樹脂が射出又は注入される。
【0056】
本発明は、添付の図を参照して、以下の詳細な説明からよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1A】一方向ウェブ2の全般的な延在方向に平行な断面における、本発明による強化材料の部分概略図である。
【0058】
図1B】一方向ウェブ2’が、同じ撚りを有する一連の撚糸から形成された、本発明に適合しない強化材料を示す、部分的に切り取られた概略斜視図である。
【0059】
図1C】一方向ウェブが、図を右から左に読むとSZSZSZ構成で、一連の撚られた強化糸3から形成され、すなわち、Z撚糸の隣にS撚糸が敷設され、次いでS撚糸の隣にZ撚糸が敷設されるなど、本発明による強化材料を示す部分的に切り取られた概略斜視図である。
【0060】
図2】本発明による撚られた炭素糸の撚りを示す概略図である。
【0061】
図3】炭素糸に撚りを加えるための撚り機の原理を示す概略図である。
【0062】
図4】炭素糸、特に撚られた炭素糸の幅を測定するのに適した測定ステーションの概略図である。
【0063】
図5】様々な炭素糸について、撚り(tpm)の関数として炭素糸の平均幅(mm)を示すグラフである。
【0064】
図6】様々な炭素糸について、撚りの関数として炭素糸の平均幅(mm)の標準偏差を示すグラフである。
【0065】
図7】140g/mの目付の場合、様々な炭素糸について、撚りの関数として、炭素糸の幅の目標値を上回る値のパーセンテージを示すグラフである。
【0066】
図8】210g/mの目付の場合、様々な炭素糸について、撚りの関数として、炭素糸の幅の目標値を上回る値のパーセンテージを示すグラフである。
【0067】
図9】280g/mの目付の場合、様々な炭素糸について、撚りの関数として、炭素糸の幅の目標値を上回る値のパーセンテージを示すグラフである。
【0068】
図10】252g/mの目付の場合、様々な炭素糸について、撚りの関数として、炭素糸の幅の目標値を上回る値のパーセンテージを示すグラフである。
【0069】
図11】350g/mの目付の場合、様々な強化糸について、撚りの関数として、強化糸の幅の目標値を上回る値のパーセンテージを示すグラフである。
【0070】
図12】プリフォームの測定点の位置を示す概略図である。
【0071】
図13】炭素糸プリフォームの厚みの測定原理を示す概略図である。
【0072】
図14】S撚りを有する10ターン/mで撚られた4本の糸から作成された280g/m坪量の一方向炭素糸ウェブからなる材料2、及び微細穿孔された比較材料1について、適用されたプライの数の関数としてオーバーランの変化を示すグラフである。
【0073】
図15】微細穿孔された比較材料、又はS撚りですべて撚られた一方向炭素糸ウェブからなる材料の、繊維体積比(FVR)の関数としての横方向浸透性(m)のグラフである。
【0074】
図16】3つの異なる構成:SSSS、SZZS、及びSZSZを有し、10ターン/mで撚られた4本の糸から作成された、280g/m坪量を有する一方向炭素糸ウェブからなる幅6.35mmの強化材料から作成されたプライを形成する際に観察された違いを示す。一方向層の上部の部分概略図は、それぞれの場合で使用された強化材料内を右側に示しており、前記糸の断面に沿った、各一方向層の強化糸のS又はZ撚り方向の各部分概略図の上に描写する。
【0075】
図17】SSSSSSSZZZZZZSSSSSS構成(7本のS型撚糸、次いで5本のZ型撚糸、次いで6本のS型撚糸)で生産された、210g/mの坪量及び38.1mmの幅を有する一方向炭素糸ウェブの生産中に、S型撚りを有する7本の強化糸及びZ型撚りを有する5本の強化糸との間の接合部で得られるギャップを示す。実際、一方向ウェブの生産中、S撚糸の群は左に駆動される一方、Z撚糸の群は右に駆動され、7本のS撚糸/5本のZ撚糸の接合部にギャップを作出する。
【0076】
図18】例で使用される生産ラインの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0077】
本発明の1つの目的は、図1Aに示すように、その面の少なくとも1つ、有利にはその各面に多孔質ポリマー層4、5が会合した3本を超える炭素強化糸3から形成される一方向強化ウェブ2を含む強化材料1に関する。本発明によれば、その実施形態が図1Cに示されており、本発明による強化材料1は、3本を超える炭素強化糸3から形成された一方向強化ウェブ2からなり、その面の1つ、有利にはその各面に多孔質ポリマー層4、5が会合している。
【0078】
より正確には、以下の説明で詳細に説明するように、一方向強化ウェブ2を形成する炭素強化糸3はすべて個別に撚られている。
【0079】
図1Cは、複数の個別に撚られた炭素強化糸3から作成された一方向ウェブ2を示し、その各面にベール4、5が会合している。各撚られた強化糸3は、一方向ウェブの延伸面内で直線的である全般的な延在方向D(糸の中心軸に対応する)を有する。各撚られた強化糸3は、図1Bでは平面であるベール4、5の延伸面S、Sに平行で直線的に延びる全般的な延在方向Dを有する。図1Bに示すウェブ2’では、すべての糸がS撚りで撚られており、これは本発明による糸の連結(構成とも称される)に相当しない。
【0080】
「一方向強化ウェブ」とは、互いに平行に配置された炭素糸のみ、又はほぼ排他的にそれで構成されたウェブを意味する。「平行に配置される」とは、強化糸の全般的な延在方向Dがすべて互いに平行であるか、又は互いに実質的に平行であることを意味する。3°以下、好ましくは2°以下、より好ましくは1°以下の2本の強化糸のある特定の全般的な延在方向D間の偏向は、ウェブの一方向性を変更しないことが当業者によって一般的に受け入れられている。一方向ウェブの全般的な延在方向は、これらがすべて互いに平行である場合、強化糸の全般的な延在方向Dに相当し、あるいは、一方向ウェブ2を形成する強化糸3の延在方向Dのすべての間で厳密な平行性が存在しないまれな場合については、これらの全般的な延在方向の平均に相当する。
【0081】
一方向ウェブでは、強化糸は、表面の最適なカバレッジを確実にするために隣接して配置される。特に、10cmを超える長さにわたって、一方向ウェブの延在方向に対して垂直な1mmを超える局所的なギャップを回避すること(すなわち、一方向ウェブの延在方向に平行)が望ましい。
【0082】
特に、ポリアミド、コポリアミド、ポリエステル、コポリエステル、コポリアミド-ブロックエステル/エーテル、ポリアセタール、ポリオレフィン、熱可塑性ポリウレタン、又はフェノキシの熱可塑性型バインダーの糸を使用して、1つ又は複数の多孔質ポリマー層との会合前に、必要に応じて、一方向強化ウェブ2の取り扱いを容易にすることができる。このバインダーの糸は、通常、炭素糸に対して横方向に延びる。「一方向ウェブ」という用語はまた、離間した横糸が、互いに平行に延び、一方向ファブリックの縦糸である炭素糸と織り合わされる、一方向織物を含む。このようなバインディング、ステッチ、又は横糸が存在するこれらの様々な場合でも、互いに平行な炭素糸は、ウェブの少なくとも95%の重量を占め、したがって「一方向性」と記載される。それにもかかわらず、本発明の特定の実施形態によれば、一方向ウェブは、いかなるひだも回避するように、炭素糸を織り合わせるいかなる横糸も含まない。特に、本発明による強化材料は、いかなる穿孔、製織、縫製、及び編みを含まない。一方向ウェブでは、炭素糸は、好ましくはポリマーバインダーと会合せず、したがってドライと記載され、すなわち、それらは、多孔質ポリマー層4、5と会合する前に含浸もコーティングもされず、いかなるポリマーバインダーとも会合していない。しかしながら、炭素糸は、通常、その重量の最大2%の標準的なサイジング坪量を特徴とする。
【0083】
炭素強化糸(本発明の範囲内で、より簡潔に強化糸又は炭素糸と称され得る)は、一般に、繊維又はフィラメントのアセンブリから作成され、一般に1,000~320,000フィラメント、有利には12,000~24,000フィラメントを含む。特に好ましい実施形態では、本発明の範囲内で、1K~24Kの炭素糸が使用される。構成繊維は連続していることが好ましい。使用される炭素糸は、一般に、実質的に円形の断面(ラウンド糸として分類される)、又は好ましくは、実質的に平行六面体又は楕円形の断面(フラット糸として分類される)を有する。これらの糸は、一定の幅及び厚みを有する。いかなる物理的要素とも接触しない弛み糸の例としては、一般的に、3K及び200texのタイターのフラット炭素糸は幅1mm~3mmを有し、12K及び446texのタイターのフラット炭素糸は幅2mm~5mmを有し、タイター800texの12K炭素フラット糸は幅3mm~7mm、タイター1600texの24K炭素フラット糸は幅5mm~12mm、及びタイター1040texの24K炭素フラット糸は幅5mm~10mmを有する。したがって、3,000から24,000フィラメントのフラット炭素糸は、通常、1mm~12mmの幅を有する。炭素糸の中には、引張弾性率が220GPa~241GPa及び引張強度が3450MPa~4830MPaの高抵抗(HR)糸、引張弾性率が290GPa~297GPa及び引張強度が3450MPa~6200MPaの中間弾性率(IM)糸、引張弾性率が345GPa~448GPa及び引張強度が3450Pa~5520Paの高弾性率(HM)糸がある(「ASM Handbook」、ISBN 0-87170-703-9、ASM International 2001に従う)。特に、本発明の範囲内で、一方向強化ウェブ2は、3K~24K、好ましくは6K~12Kのタイターを有する1つ又は複数の炭素強化糸3から形成され得る。
【0084】
本発明の範囲内で、一方向強化ウェブ2の強化糸は、3ターン/m~15ターン/m、好ましくは6ターン/m~12ターン/mの撚りを有する一連の個別に撚られた炭素糸3から作成され、前記一連の糸は、このように個別に撚られた少なくとも3本の糸を含む。本発明によれば、撚られた炭素糸3は、撚りが加えられた炭素糸であり、すなわち、その中間の繊維(糸の中心軸に対応する)を中心とした糸の外縁の相対的な回転であるため、これらは螺旋の軌跡を描き、すなわち、各点での接線は所与の方向に対して実質的に一定の角度をなす。図2に示すように、撚られた炭素糸3は、そのコアに、炭素糸3の長手方向X(全般的な延在方向Dとも称される)に対応する全般的な方向を有する中間の繊維を有し、一方でフィラメントは、この全般的な方向の周りに螺旋経路をたどる。図2は、長手方向X(全般的な延在方向Dとも称される)に沿った直線距離dにわたって1ターンの撚りを有する撚られた炭素糸3の母線hの螺旋形状を概略的に示す。
【0085】
各炭素糸3は、個別に撚られている。このような撚りは、例えば、Kamitsu Seisakusho Ltdが販売するモデルUT-1000の機械などの撚り機を使用して得ることができる。図3は、本発明による撚られた炭素糸3を得ることを可能にする、撚り機によって行われる撚りプロセスを示す図である。撚られた炭素糸が巻き付けられているスプール7は、その軸Aを中心に回転し得、糸ガイド8によって、撚られた炭素糸3を巻き取るためのスプール9に炭素糸が巻き出されることを可能にするように取り付けられる。撚られた炭素糸を備えたスプール7は、スプール7の軸に対して垂直な軸Bに沿ってモータ12によって回転駆動される支持部11に取り付けられている。炭素糸3の撚りは、炭素糸の巻き出しの線速、及びスプール7の支持部11の回転速度に依存する。
【0086】
本発明の目的の別の実施形態によれば、一方向強化ウェブ2は、少なくとも1本の撚られた炭素S型撚糸3及び少なくとも1本の撚られた炭素Z型撚糸から形成される。図16に示すように、S型及びZ型の撚られた炭素強化糸3は、撚りの方向が異なる。S撚り又はZ型撚りが意味するものの定義については、Sabit Adanur、Professor、Department of Textile Engineering、Auburn、USAによる書籍「Handbook of Weaving」、p16-17、ISBN 1-58716-013-7を参照されたい。
【0087】
図示のように、一方向強化ウェブ2は、複数の炭素糸3から形成され、そのうちには少なくとも4本が存在し、それぞれが3ターン/m~15ターン/m、好ましくは6ターン/m~12ターン/mの撚りを有する。各糸は、糸の中心軸に対応する延在方向Dを有する。一方向強化ウェブ2を形成する撚られた強化糸3は隣接して配置され、撚られた強化糸3の延在方向は互いに平行であるため、一方向ウェブを形成する。一方向強化ウェブ2を形成するすべての炭素糸3は、3ターン/m~15ターン/m、好ましくは6ターン/m~12ターン/mの撚りで個別に撚られていることを理解されたい。
【0088】
本発明によれば、1本又は複数の撚られた強化S撚糸3及び1本又は複数の撚られた強化Z撚糸3の両方が、同じウェブ内で使用され得る。すなわち、一方向ウェブ2は、異なる撚り方向を有する撚られた強化糸3を含み、したがって、それは、強化Z撚糸3又は強化S撚糸3のみから形成されるのではなく、1本若しくは複数の強化S撚糸3に隣接して延びる少なくとも1本の強化Z撚糸3を含むか、又は1本若しくは複数の強化Z撚糸3に隣接して延びる少なくとも1本の強化S撚糸3を含む。対照的に、各糸は、同じS撚り又は同じZ撚りを有し、したがってその全長にわたって同じ撚り方向、並びに同じ撚り数を有する。このような一方向強化ウェブ2は、本明細書では簡潔にするために「混合S/Z一方向ウェブ2」と称される。S撚りで撚られた強化糸3又はZ撚りで撚られた強化糸3を得ることは、図3に示すような撚り機において、スプール7に対してB軸を中心に加えられる回転方向の影響を受ける。本発明の範囲内で定義されるように、同じ一方向強化ウェブ2内の様々な種類の撚られた強化糸3、すなわち、S撚りを有する少なくとも1本及びZ撚りを有する少なくとも1本を使用することによって、得られる一方向強化ウェブ2内に現れる欠陥の可能性、特に、隣接して敷設された糸の間のギャップ又は重なりのリスク、並びにひだのリスクを制限することが可能である。本発明の範囲内で提案される2種類の撚り(S撚り及びZ撚り)を同じ一方向ウェブ内で使用すると、異なる方向を有するZ撚り及びS撚りによって誘発された局所的なひだが均一になる傾向がある。これらの2種類の糸を同じ一方向ウェブで組み合わせることにより、混合されたS撚り及びZ撚りの糸の製造及び使用が単純化され、以下の例に示すように、生産されるウェブで観察されるギャップ及び重なりに関して、より許容可能な品質が得られる傾向がある。
【0089】
図1Cに示すように、複数の炭素強化糸3から形成される一方向ウェブ2は、前記一方向ウェブ2の表面に対して垂直に延在し(したがって、ウェブが2つのベールと会合している場合、2つのベール4、5の表面S4、S5に対して垂直に延在し)、かつ一方向ウェブ2の延在方向に平行に延在する平面Δの各側にそれぞれ延在する2つの等しい部分に分割することができる。
【0090】
本発明による強化材料では、(混合S/Z型の)一方向ウェブ2は、3ターン/m~15ターン/m、好ましくは6ターン/m~12ターン/mの撚りで個別に撚られた3本を超える炭素強化糸3を含むと共に、
-一方向ウェブ2を形成する撚られた炭素強化糸3の総数が偶数の場合:
*平面Δの一方側の撚られた炭素強化S撚糸3の数及び平面Δの他方側の撚られた炭素強化S撚糸3の数は、それぞれ独立して、範囲{[(糸の総数)/4]-35%;[(糸の総数)/4]+35%}内の整数であり、範囲の各端点は、それを定義する式が整数にならない場合、最も近い整数に丸められ、他の撚られた強化糸3はZ撚糸である(定義P1);
*これは、平面Δの一方側の撚られた強化Z撚糸3の数及び平面Δの他方側の撚られた強化Z撚糸3の数が、それぞれ独立して、範囲{[(糸の総数)/4]-35%;[(糸の総数)/4]+35%}内の整数であり、範囲の各端点は、それを定義する式が整数にならない場合、最も近い整数に丸められ、他の撚られた強化糸3はS撚糸である(定義P2)ことと同等である;
-一方向ウェブ2を形成する撚られた炭素強化糸3の総数が奇数の場合:
*平面Δの一方側の撚られた強化S撚糸3の数及び平面Δの他方側の撚られた強化S撚糸3の数は、2つの整数又は2つの整数プラス0.5のいずれかであり、それぞれ独立して、範囲{[(糸の総数)/4]-35%;[(糸の総数)/4]+35%}内にあり、範囲の各端点は、それを定義する式が整数又は整数プラス0.5にならない場合、最も近い整数又は整数プラス0.5に丸められ、他の撚られた強化糸3はZ撚糸である(定義I1);
*これは、平面Δの一方側の撚られた強化Z撚糸3の数及び平面Δの他方側の撚られた強化Z撚糸3の数が、2つの整数又は2つの整数プラス0.5のいずれかであり、それぞれ独立して、範囲{[(糸の総数)/4]-35%;[(糸の総数)/4]+35%}内にあり、範囲の各端点は、それを定義する式が整数又は整数プラス0.5にならない場合、最も近い整数又は整数プラス0.5に丸められ、他の撚られた強化糸3はS撚糸である(定義I2)ことと同等である。
【0091】
平面Δは、前記一方向ウェブをその表面に対して垂直な2つの等しい部分に分割する、前記一方向ウェブ2の全般的な延在方向に平行な平面である。図1Cは、平面Δが示されている一連の撚られた強化SZSZSZ糸3から形成された一方向ウェブ2を含む本発明による材料を示す。
【0092】
定義P1、P2、I1及びI2における「それぞれ独立して、範囲内である」とは、関係する2つの数が範囲内にあるが、同一でも異なっていてもよいことを意味する。
【0093】
一方向ウェブ2を形成する撚られた強化糸3の総数が奇数である場合の可能な構成の一例として、この撚られた強化糸3の総数が17である(したがって、平面Δの両側に8.5本の糸がある)場合には:
-定義I1によれば、範囲{[(糸の総数)/4]-35%;[(糸の総数)/4]+35%}は、{[(17/4)-35%];[(17)/4]+35%}={4.25-35%(4.25);4.25+35%(4.25)}に等しく、これは、端点を丸めた(概数にした)後、{3;5.5}をもたらす。したがって、平面Δの各側に3本~5.5本のS撚糸、すなわち合計6~11本のS撚糸が存在し得、他の糸はZ撚糸、すなわち合計6~11本のZ撚糸であり、平面Δの各側に3本~5.5本のZ撚糸が存在し得る;
-定義I2によれば、平面Δの各側に同じ数の可能なS撚り及びZ撚りの糸に達する。
【0094】
混合S/Z一方向ウェブ2を形成するために隣接して敷設された撚られた強化糸3の順序の他の例は、特に好適なものとして、以下の順序を含む:SZZS、SZSZ、SZSZS、SSZZSS、SZSSZS、SZSZSZ、SSZZSSZZ。
【0095】
このような構成では、一方向強化ウェブ2内の撚られた強化S撚糸の数及び撚られた強化Z撚糸3の数がよりバランスよく、結果として一方向ウェブ2がより製造しやすく、より高品質になる。実際、そのような場合、撚られた強化糸3間のアライメントが容易になり、例で説明したように、一方向強化ウェブ2の形成中に、平行に隣接して敷設された撚られた強化糸3間のギャップ、ひだ及び/又は重なりが減少する。さらに、出願WO2010/061114に記載されているように、複数の強化材料1を並行して自動生産する間に、この場合に並行して生産された2つの強化材料1間の接合部で不織材料を切断すると、より鋭い縁部及びより均質な材料が得られる。
【0096】
さらに、このような混合S/Z一方向ウェブから生産された強化材料1は、結果として、より良好な品質を有し、よって生産される複合部品も同様であろう。さらに、EP2376276に記載されているような自動化レイアップデバイスによるレイアップは、そのような強化材料を用いてより正確にすることができる。例で説明するように、このような強化材料1は、自動化レイアップデバイスのヘッド又はレイアップフィンガーのレベルに存在するガイド又はガイド部材(溝型の、特にコーム型の)の中心に良好に置かれたままであるのに対して、強化S撚糸3のみ又は強化Z撚糸3のみを含む、又はより一般的には定義P1、P2、I1及びI2を満たさない強化物の一方向ウェブ2から作成された強化材料1は、中心から外れて、それらが進むガイド又はガイド部材の縁部に接する傾向がある。
【0097】
特に、一連の完全に交互なS撚り及びZ撚りの強化糸3を含む一方向強化ウェブ2、特には、構成(すなわち、隣接して敷設された撚られた強化糸3の順序)(SZ)i、S(ZS)j、Z(SZ)jに相当するものが好ましく、i及びjは、特に1~20の範囲内の整数、好ましくは1~10の範囲内の整数である。特に、i及びjは、2~20の範囲内、好ましくは2~10の範囲内である。
【0098】
特に満足できる他の混合S/Z一方向ウェブ構成は、平面Δの両側に同じ数のS撚糸、したがって同じ数のZ撚糸をもまた有するものである。以下の構成はいくつかの例である:SZZS、SZSZ、SZSZS、SZSSZS。
【0099】
特に満足できる他の混合S/Z一方向ウェブ構成は、平面Δに関して対称であるものである。これらの構成のいくつかの例は、SZZS、SZSZS、SZSSZS、SZSSZSSZSである。
【0100】
したがって、混合S/Z一方向強化ウェブ2、特に本発明の範囲内でより正確に説明されるものの使用は、得られる強化材料1の製造中及びレイアップ中の両方において、二重の技術的問題を解決する。これらの材料は、特に、工業的方法を使用して生産及び敷設される可能性を提供する。
【0101】
混合S/Z一方向強化ウェブ2、特に本発明の範囲内でより正確に説明されるものの使用は、一方向ウェブ2、したがって5mm~60mmの幅を有する強化材料1の生産に特に適している。幅は、一方向ウェブ2の全般的な延在方向に対して垂直に測定される。特に、6.35mm;12.7mm;38.1mm、及び50.8mmの幅を有する材料を適用するための自動化レイアップデバイスが存在し、本発明の範囲内で使用され得る。
【0102】
有利には、一方向強化ウェブ2の形成に関与する各撚られた炭素糸3は、その全長にわたって実質的に同一の撚り数を有する。なお、一方向強化ウェブ2を形成するすべての撚られた炭素糸3は、同一又は異なる撚り数を有し得る。好ましくは、一方向強化ウェブ2を形成するすべての撚られた炭素糸3は、それらの撚り方向(S又はZ)が異なっていても、同一の撚り数を有する。
【0103】
撚ることは、撚られた炭素糸の幅の変更をもたらすことを理解されたい。
【0104】
以下の説明では、撚りプロセスが撚られた炭素糸の幅に及ぼす影響について説明する。
【0105】
図4は、上記で説明した撚り機の操作の実践前後の炭素糸の幅を測定する方法を示す。幅が測定される炭素糸は、巻き取りスプール17によって巻き取られる前に、第1の固定円筒形バー14の上、第2の固定円筒形バー15の下、及び第3の固定円筒形バー16の上を連続して通過することを確実にするように、スプール13から巻き出される。典型的には、スプール13から出る炭素糸の張力は150g~300gである。円筒形バー14~16は、再現可能かつ所定の張力条件下で炭素糸の幅を測定することを可能にするように取り付けられる。第1の固定円筒形バー14及び第2の固定円筒形バー15を通過するときに張力がかけられた後、炭素糸は第3の円筒形バー16で伸び、その上方にマトリックスカメラ18が配置される。例えば、第1、第2及び第3の円筒形バー14~16は、それぞれ40mm、20mm、及び30mmの直径を有する一方、第一に、第1及び第2の円筒形バーの間、及び第二に、第2及び第3の円筒形バーの間の中心間距離は、水平方向にそれぞれ50mm及び20mm、垂直方向にそれぞれ15mm及び10mmである。炭素糸の幅の測定は、およそ5mmごとに、100直線メートルの長さにわたって、炭素糸を通している間にカメラ18によって行われる。
【0106】
測定は、以下の表1に示すように、様々な線密度、様々なフィラメント数、及び様々な撚りを有するHEXCEL Corporation(Stamford、CT、USA)製の炭素繊維で行った。
【0107】
【表1】
【0108】
表1の炭素糸に対して行われた測定を図5に示し、図5は、様々な炭素糸について、撚りの関数として炭素糸の平均幅を示す。図5は、撚ることは、撚られた炭素糸のフィラメントを締め付けるので、予想されるように、炭素糸の平均幅が撚りの増加につれて減少することを明確に示している。
【0109】
表1の様々な炭素糸について、撚りの関数としての平均幅の標準偏差を示す図6を調べると、撚りが増加するにつれて幅の標準偏差が減少することが明らかになる。換言すれば、撚りが増加するほど、撚られた炭素糸がより均等に締まる傾向がある。そのため、撚りが増加すると、平行六面体の断面を有する炭素糸は、標準偏差が小さい丸い強化糸に近づく傾向がある。撚りのない強化糸は、撚られた強化糸と比較して標準偏差が小さく、このような小さい幅変動性を達成できると期待するためには、メートルあたり14ターン(t/m、ターン/m、又はtpm)を超える撚りが達成されるべきであることに留意されたい。
【0110】
炭素糸の幅の分布が、所与の坪量でのウェブの製造に炭素糸を使用する能力に影響を及ぼすことを理解することが重要である。
【0111】
例えば、210グラム/平方メートルのウェブは、ウェブが理論的に完全に覆われるように、2.12mmごとに12K IMA糸の並置を必要とするであろう。計算は以下の通りである:
【0112】
所与の坪量に必要な幅[mm]=使用される糸のタイター[Tex]/坪量[g/m]。糸の測定単位はTexであり、これは糸1000mのグラムでの重量である。
【0113】
実際のところ、炭素糸が実際に統計的にこのいわゆる「目標」幅値の少なくとも75%の平均幅を有する場合、満足のいく品質のウェブを生産することが可能である。当業者は、通常、試行錯誤によってこの目標幅値を求めることができる。
【0114】
以下の表2は、坪量(目付)及び使用される炭素糸による目標幅値を示す:
【0115】
【表2】
【0116】
図7図11は、様々な目付について、様々な炭素糸の撚りの関数としての目標幅値を上回る値のパーセンテージを示すグラフである。
【0117】
図7は、140g/mのウェブについて、以下を示す:
-IMA-12K繊維の場合、ウェブは、撚りのない炭素糸のみから作成され得る;
-IM7-6K繊維の場合、ウェブは、1メートルあたり8ターン又はそれより少ない撚りを有する炭素糸のみから作成され得る。
【0118】
図8は、210g/mのウェブについて、以下を示す:
-IMA-12K繊維の場合、ウェブは、1メートルあたり8ターン又はそれより少ない撚りを有する炭素糸から作成され得る;
-IM7-6K繊維の場合、ウェブは、1メートルあたり最大14ターンの撚りを有する炭素糸から作成され得る。
【0119】
図9は、280g/mのウェブの場合、範囲内のすべての撚り数を有する炭素糸を使用するには、十分に高い目付になることを示す。
【0120】
図10は、AS7-12K繊維から作成される252g/mのウェブの場合、ウェブは、1メートルあたり6ターン又はそれより少ない撚りを有する炭素糸から作成され得ることを示す。
【0121】
図11は、350g/mのウェブの場合、範囲内のすべての撚り数を有する炭素糸を使用するには、十分に高い目付になることを示す。
【0122】
したがって、所与の坪量に対して、各タイプの炭素糸の使用可能な撚り限界を定義することが可能であるようであり、これにより、特に一方向ウェブの所望の目付に応じて、使用される糸だけでなく、加えられる撚りも選択することが可能になる。
【0123】
本発明の範囲内で、一方向強化ウェブ2は、126g/m~1000g/m、特に126g/m~500g/m、126g/m~420g/m、又は126g/m~280g/m、280g/m~500g/m、又は420g/mから、又は210g/m~280g/mの範囲内の目付を有する。
【0124】
強化材料内の一方向ウェブの目付は、1つ又は複数の多孔質ポリマー層、典型的には1つ又は複数のベールと会合する前の一方向ウェブのそれに対応するが、一方向ウェブの目付を、ベール4、5と会合する前に測定することは、炭素糸がそれらの間で凝集性を有さないため不可能である。炭素繊維強化ウェブの目付は、強化材料1(典型的には、一方向ウェブ2及び2つのベール4、5)の目付から求めることができる。存在する1つまた複数の多孔質ポリマー層(典型的には、ベール)の坪量が既知である場合、一方向ウェブの坪量を推定することが可能である。有利には、坪量は、典型的にはベール(複数可)の多孔質ポリマー層(複数可)の化学的アタック(又は場合によっては熱分解も)によって強化材料から求められる。この種類の方法は、織物又は複合材構造の炭素繊維含有量を求めるために、当業者によって従来使用されている。
【0125】
強化材料1の目付の測定方法を以下に説明する。強化材料の目付は、100cm(すなわち、直径113mm)のカット試料を秤量することによって測定する。柔軟である強化材料の試料の切断を容易にするために、強化材料は、アセンブリの一定の剛性を確保するために、447g/m及び0.450mmの厚みのCartonnage Roset(Saint Julien en Genevois、France)製の2枚の光沢のある厚紙の間に配置される。Novi Profibre(Eybens、France)製の空気式円形パンチを使用してアセンブリを切断した;製造された強化物製品の種類ごとに10個の試料を採用する。
【0126】
一般に、本発明による強化材料1を調製する方法は、以下の連続するステップを含む:
【0127】
a1)混合一方向ウェブS/Zと称される、本発明の範囲内で定義される一方向強化ウェブ2を提供するステップ、
【0128】
a2)少なくとも1つ又は2つの多孔質ポリマー層4、5を提供するステップ;
【0129】
a3)多孔質ポリマー層の1つ又は各々を一方向強化ウェブの面の各々と会合させるステップ。
【0130】
一般に、ステップa1)の一方向強化ウェブ2は、最終強化材料1において所望されるものに等しい目付及び最終強化材料1の所望される幅に等しい幅を有する。
【0131】
有利には、調製方法は、ステップa1)の上流に、第一に、3ターン/m~15ターン/mの撚りをS撚りを有する1本又は一連の炭素糸3に加えることであって、前記撚りは各炭素糸3に個別に加えられる、加えること、及び第二に、Z撚りを有する1本又は一連の炭素糸3に3ターン/m~15ターン/mの撚りを加えることであって、前記撚りは各炭素糸3に個別に加えられる、撚りを加えることを含む、前記一方向強化ウェブ2の生産のためのステップを含む。
【0132】
特に、本方法は、ステップa1)の上流に、以下を含む:
【0133】
i)第一に、S撚りを有する1本の糸又は一連の炭素糸3に3ターン/m~15ターン/mの撚りを加えることであって、前記撚りは各炭素3糸に個別に加えられる、撚りを加えること、及び第二に、Z撚りを有する1本の糸又は一連の炭素糸3に3ターン/m~15ターン/mの撚りを加えることであって、前記撚りは各炭素糸3に個別に加えられる、撚りを加えること。
【0134】
ii)このようにして得られた撚糸を整列させ、前記糸を隣接して配置させて、本明細書に記載の構成のいずれかを有する混合S/Z一方向ウェブと称される、本発明の範囲内で定義される一方向強化ウェブを形成すること。
【0135】
本発明の範囲内で、先に定義されたように、すべてが同じS撚り又はZ撚り型を有しない糸の使用は、ステップii)中の糸の整列及び配置を容易にする。したがって、ステップii)において、整列される糸の選択は、本明細書に記載の混合S/Z一方向ウェブのうちの1つを得るように行われる。
【0136】
さらに、本発明の範囲内で、一方向強化ウェブの面の1つに1つ又は複数の多孔質ポリマー層の会合を連続する様式で実践することにより、生産中に強化材料を電動搬送システ ム又はデバイスを通過させることによって、強化材料を生産することが可能である。
【0137】
有利な特徴によれば、特に不織材料であり得る、使用される1つ又は複数の多孔質ポリマー層4、5は、ホットメルトの性質を有し、ステップa3)の会合は、一方向強化ウェブの面の1つ又は各々の上に存在する1つ又は各々の多孔質ポリマー層をレイアップすることによって得られ、前記レイアップは、ポリマー繊維の加熱を伴うか又はそれが続き、それらの軟化又は溶融を引き起こし、次いで冷却が後に続く。
【0138】
有利には、一方向ウェブ2は、その各面で多孔質ポリマー層4、5と会合して強化材料1を生産し、その例を図1A及び図1Cに示す。対称的な強化材料の使用は、複合部品の形成のための手動又は自動レイアップ中のいかなるスタッキング誤差をも回避することを可能にし、したがって欠陥、特にベールのないインタープライの生成を制限することを可能にする。これは、有利には、一方向ウェブ2が、その各面で多孔質ポリマー層、特にポリマー繊維ベール4、5と会合し、2つの多孔質ポリマー層(典型的にはベール)4、5が同一であることが理由である。
【0139】
「多孔質ポリマー層」は、複合部品の形成中に樹脂などの液体が材料又はそれを含むスタックを通過することを可能にする浸透層を意味する。特に、出願WO2011/086266に記載されている方法に従って求められるそのような層の開放係数は、1%~70%の範囲内、好ましくは30%~60%の範囲内である。多孔質層の例には、多孔質フィルム、糸の織り合わせによって作製されたスクリム、パウダーコーティングによって得られた層、液体ポリマー適用によって得られた層、織物及び不織材料が含まれる。多孔質層は、ポリマー又はポリマーの混合物から構成されるので、ポリマー性と称される。特に、多孔質ポリマー層は、1つ又は複数の熱可塑性ポリマー、1つ又は複数の熱硬化性ポリマー、1つ又は複数の部分的に架橋された熱可塑性ポリマー、そのようなポリマーの混合物、又は熱硬化性若しくは熱可塑性ポリマーの混合物から作成され得る。ドライスタックで従来使用される(したがって、存在する多孔質層(複数可)を形成するための)熱可塑性ポリマーの例は、ポリアミド(PA:PA6、PA12、PA11、PA6,6、PA6,10、PA6,12、...)、コポリアミド(CoPA)、ポリアミド-ブロックエーテル又はエステル(PEBAX、PEBA)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタラート-PET-、ポリブチレンテレフタラート-PBT-...)、コポリエステル(CoPE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリアセタール(POM...)、ポリオレフィン(PP、HDPE、LDPE、LLDPE....ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン(PSU...)、ポリフェニレンスルホン(PPSU...)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリ(フェニレンスルフィド)(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、熱可塑性ポリイミド、液晶ポリマー(LCP)、フェノキシ、スチレン-ブタジエン-メチルメタクリラート(SBM)コポリマー、メチルメタクリラート-ブチルメチルメタクリラート(MAM)コポリマーなどのブロックコポリマー及びそれらの混合物から選択される。WO2019/102136に記載されているように、多孔質ポリマー層が部分的に架橋された熱可塑性ポリマーから構成されるか又はそれを含むことも可能である。ドライスタックのポリマー部分の構成ポリマー(複数可)の選択は、複合部品がその後生産されるときに射出又は注入される樹脂の選択に依存し、当業者によって調整され得る。本発明の範囲内で、不織材料若しくはベール、又はより一般的には使用される多孔質ポリマー層は、有利には熱可塑性の性質を有し、特に、熱可塑性ポリマー、部分的に架橋された熱可塑性ポリマー、このようなポリマーの混合物、又は熱可塑性ポリマーと熱硬化性ポリマーとの混合物からなる。不織材料又はベールは、好ましくは、上述の熱可塑性材料から作成される。
【0140】
本発明の範囲内で、ドライとして分類された強化材料は、存在する多孔質ポリマー層4又は5(本発明による強化材料1が1つのみを含む場合)によって占められる総重量、又は存在するすべての多孔質ポリマー層4、5(本発明による強化材料1が複数を含む場合)の重量は、本発明による強化材料1の総重量の10%以下、典型的には強化材料1の総重量の0.5%~10%、好ましくはその総重量の2%~6%を占める。
【0141】
多孔質ポリマー層の特に有利な実施形態は、好ましくは同一の不織材料である。
【0142】
「不織」又は「ベール」は、従来、ランダムに配置され得る連続繊維又は短繊維のアセンブリを意味する。これらの不織材料又はベールは、例えば、ドライレイド、ウェットレイド、又はスパンレイドプロセスによって、例えば押出(「スパンボンド」)、メルトブローン押出(「メルトブローン」“Meltblown”)、繊維化スプレーアプリケータ、又は溶媒スピニング(「エレクトロスピニング」、「フラッシュスピニング」、「フォーススピニング」)によって生産され得、これらはすべて当業者に周知である。特に、不織材料の構成繊維は、0.5μm~70μm、好ましくは0.5μm~20μmの範囲内の平均直径を有し得る。不織材料は、短繊維、又は好ましくは連続繊維から作成され得る。短繊維から作成される不織材料の場合、繊維は、例えば、1mm~100mmの長さを有し得る。好ましくは、使用される不織材料は、ランダムかつ好ましくは等方性のカバレッジを提供する。
【0143】
一方向ウェブとの会合の前のベールの厚みは、それらが一方向ウェブと会合する方法によって選択され得る。通常、それらの厚みは、強化材料の所望の厚みに非常に近いであろう。所望の厚みを達成するように、会合段階中の温度下で積層される、より厚いベールを使用することを選択することも可能である。好ましくは、一方向ウェブは、完全に対称な強化材料を得るように、その大きな面のそれぞれに、2つの実質的に同一のベールと会合する。一方向炭素ウェブと会合する前のベールの厚みは、特に、0.5μm~200μm、好ましくは10μm~170μmである。本発明による強化材料1において、一方向ウェブとの会合後の各ベール4、5の厚みは、0.5ミクロン~50ミクロンの範囲内、好ましくは3ミクロン~35ミクロンの範囲内である。会合前の様々なベールの厚みは、EN ISO9073-2によって、2827mm(直径60mmのディスク)の試験面積及び0.5kPaの印加圧力で方法Aを使用して求められる。
【0144】
さらに、ベール4、5の坪量は、有利には、0.2g/m~20g/mの範囲内である。
【0145】
一方向ウェブ2及び1つ又は複数の多孔質ポリマー層(典型的には不織材料(複数可))4、5の間の会合は、不連続な様式で、例えば特定の点又は特定のゾーンでのみ達成され得るが、好ましくは、連続的として分類されるウェブの表面全体に延びるコネクションによって達成される。
【0146】
一方向ウェブ2と2つのベール4、5との会合は、有利には、特許出願WO2010/046609に記載されている方法又は出願WO2010/061114に記載されている方法のうちの1つによって行われる。これらの文献又は本発明の例に記載されているような連続的生産機械及びラインを使用することができる。特に、本発明の範囲内で、一方向強化ウェブの面の1つに多孔質ポリマー層の1つ又は各々の会合を連続的に行うことによって、及び前記会合から生じる強化材料を、電動搬送システム又はデバイスによって通り抜けさせることによって、強化材料を生産することが可能である。そのようなデバイスは、例えば、生産される材料に応じて、一方向ウェブが多孔質ポリマー層上、又は2つの多孔質ポリマー層間に敷設された後に、強化材料がその間を循環する1つ又は複数の駆動ローラによって駆動されるコンベアベルトであり、一方向ウェブ上への多孔質ポリマー層(単数又は複数)の適用を確実にする。
【0147】
さらに、一方向ウェブと2つのベールとの会合は、例えばエポキシ接着剤、ポリウレタン接着剤、熱硬化性グルー、重合性モノマー系接着剤、構造アクリル又は変性アクリル接着剤、及びホットメルト接着剤から選択される接着層によって達成され得る。しかしながら、ほとんどの場合、会合は、それらが高温であるとき、例えば一方向ウェブ及びベールの間のボンド(結合)を確実にすることを可能にする熱圧縮ステップ中に、ベール(又はより一般的には多孔質ポリマー層)のホットメルトの性質によって達成され得る。このステップは、ベールの熱可塑性繊維の軟化をもたらし、冷却後に一方向ウェブをベールにボンドさせることを可能にする。加熱及び圧力条件は、ベールの材料及びそれらの厚みに適合される。通常、熱圧縮ステップは、Tfベール-15℃~Tfベール+60℃(Tfベールはベールの溶融温度を示す)の範囲の温度及び0.1MPa~0.6MPaの圧力下で一方向ウェブの表面全体にわたって行われる。したがって、1~10の範囲である、会合の前後のベールの圧縮比を達成することができる。一方向炭素ウェブ2上にベールを積層するステップはまた、強化材料1の最終的な厚みを適切に制御するために不可欠である。実際に、温度及び圧力条件に応じて、特に積層中に、強化材料の両側に存在するベールの厚みを修正、したがって調整することが可能である。
【0148】
本発明による強化材料は、1つ又は複数の多孔質ポリマー層、特に一方向ウェブの各面に積層された熱可塑性ベールが存在するため、取り扱いが容易である。この構造はまた、特にほつれることなく、一方向ウェブの繊維に対して非平行方向、特に横方向又は斜め方向に沿って切断することを容易にする。
【0149】
本発明による強化材料1は、柔軟性であり、巻き取り可能である。それらは、炭素糸の利用可能な長さに対応する長い長さで生産され得る。通常、製造後、後続のプリフォーム及び部品の製造に使用される前に、それらはスプールの周りにロールの形態で巻かれる。
【0150】
本発明は、7mmを超える、好ましくは12mmを超える、より好ましくは12mm~51mmの範囲内の幅を有する強化材料になおさらに特に関連する。さらに、本発明はまた、2mを超える長さ、特に2m~5000m、好ましくは100m~2000mの長さを有する強化材料に特に適している。したがって、本発明の範囲内の好ましい実施形態によれば、本発明による強化材料は、7mmを超える幅及び2mを超える長さを有し、有利には、12mm~51mmの範囲内の幅及び2m~5000m、好ましくは100m~2000mの範囲内の長さを有する。材料の幅は、平面Δに対して垂直に取られた、すなわち一方向ウェブの全般的な延在方向に対して垂直に取られたその平均幅である:幅は、任意の適切な手段、特にカメラを使用して、材料の全長にわたって10cmごとに測定を行い、得られた測定値の算術平均をとることによって測定され得る。材料の長さは、好ましくは、平面Δのレベルで測定される。特に、強化材料1の幅は、200cN~400cNの一定の張力で、毎分1.2mの一定の速度で走らせ、265mmの距離で、この点では支持体なしで、カメラ、例えばBaumer Optronic Type FWX 20、焦点距離20mm、1624×1236ピクセル(Baumer Optronic Gmbh、Germany-カメラの較正は以下の通りである:1ピクセルは0.05mmと同等)のタイプ、又は強化材料のより広い幅に適した別のカメラの前を通過させることによって測定され得る。
【0151】
複合部品の生産のために、強化材料(プライとも称される)のスタック又はレイアップが本発明によって作製される。従来、本発明による材料は、作製される部品、プライ、スタック、又はプリフォームの生産のために所望のサイズに切断される。スタックでは、強化材料の複数のプライが互いの上に積み重ねられる。
【0152】
強化材料が所望の部品の生産に十分な幅を有し、部品が例外的に複雑でない場合、プライは、本発明による単一の強化材料から作成され得る。しかし、通常、大型又は複雑な部品の場合、プライは、所望の部品を生産するのに必要な表面全体を覆うように隣接して配置された、本発明による強化材料1のアセンブリからなる。この場合、強化材料の正確な配置が達成されなければならない。自動化されたプロセスにおいて、強化材料を搬送し適用するためのデバイスは、強化材料が搬送され、移送される1つ又は複数のガイド部材又はガイドを備える。そのようなガイド部材又はガイドを備えたレイアップヘッドを含むデバイスは、特に、文献WO2006/092514及びEP2376276に記載されている。Coriolis Composites SASU(rue Condorcet 56530 Queven、France)、MTorres Disenos Industriales SAU(Torrez de Elorz、Navarra、Spain)、ElectroImpact Inc(Mukilteo WA 98275、United States)、Mikrosam DOO(7500 Prilep Macedonia)社もそのようなデバイスを提供している。本発明の範囲内で、混合S/Z一方向ウェブ、特に本発明の範囲内でより正確に説明されるもののうちの1つを含む本発明による強化材料1をセンタリングすることにより、より正確な配置がもたらされ、したがって、レイアップ中のギャップ、重なり、しわ又はひだなどの欠陥の可能性が低減されることが見出された。したがって、混合S/Z一方向ウェブ、特に本発明の範囲内でより正確に説明されるものの1つを含む、本発明による強化材料1から作成される部品は、特に満足のいくものである。
【0153】
さらに、複合部品を生産するために、複数のプライが一方が他方の上に積層され、プライのスタックをもたらされる。したがって、強化材料1の不完全さはプライごとに再現され、したがってスタックで強調される。このため、より均一で再現性のある特徴を有する混合S/Z一方向ウェブを含む本発明による強化材料1は、さらに特に有利である。結果として得られるスタックでは、プライは一般に、プライの少なくとも2つの一方向ウェブが異なる方向に配向されるように配置される。1つのプライから別のプライに対して、すべての一方向ウェブ又はそれらの一部のみが異なる方向を有し得るが、他のものは同一の方向を有し得る。好ましい配向は、通常、生産される部品の主軸と0°、+45°又は-45°(+135°にも相当する)、及び+90°の角度をなす方向である。部品の主軸は一般に部品の最大軸であり、0°はこの軸とマージされる。例えば、プライの配向を選択することによって、準等方性、対称性、又は配向スタックを作製することが可能である。準等方性スタッキングの例には、角度45°/0°/135°/90°、又は90°/135°/0°/45°による積層が含まれる。対称的スタッキングの例には、0°/90°/0°、又は45°/135°/45°が含まれる。部品を生産するのに必要な樹脂を添加する前に、特にプライの各添加後のいくつかの点で温度及び真空下での予備形成又はウェルド(溶接)の中間ステップによって、スタック内でプライを互いに接合してプリフォームを生産することが可能である。特に、2~300プライ、特に16~100プライのアセンブリが考えられ得る。
【0154】
有利には、スタックは、縫製又は編みによってではなく、代わりにポリマー、特にスタック内に存在する多孔質ポリマー層の熱可塑性によってなされるウェルド(溶接)によって付けられる。この目的のために、加熱/冷却操作は、スタックの表面全体にわたって、又はスタック表面の少なくともいくつかの領域において実行される。加熱は、ポリマー多孔質層を溶融させるか、又は少なくとも軟化させる。ポリマー多孔質層の熱可塑性の性質を使用するこのようなボンディングは、特にひだ、微小亀裂の問題、及びその後に得られる複合部品の機械的特性の低下など、縫製糸又は編み糸の存在が呈するすべての欠点を回避することを可能にするので有利である。
【0155】
スタッキングは、各プライを一度に1つずつ追加し、各プライの追加後にボンディングを確実にすることによって達成され得る。特に、一例は、特許出願WO2014/076433及びWO2014/191667に記載されているような自動化プライレイアップである。また、例えば、平らに敷設されたプライから成形されたプリフォームを得るために、(プライを1つずつ事前に加熱又は加熱せず)適用されたすべてのプライは、再び全体的に加熱され得る。次いで、当業者は、温度及び圧力(例えば、真空又はプレスシステム)の適用により、従来の加熱形成手段を使用することができる。特に、本発明による強化材料のレイアップは、例えば、前述の文献WO2014/076433A1及びWO2014/191667に記載されているように、AFP(自動繊維配置、Automated Fiber Placement)又はATL(自動テープレイアップ、Automated Tape Lay-up)という略語によって公知な方法によって、敷設面に対して垂直な圧力を加えてそれを適用することによって連続的に行うことができる。
【0156】
複合部品を生産するために、次いで、熱硬化性若しくは熱可塑性型の樹脂若しくはマトリックス、又は熱硬化性樹脂と熱硬化性樹脂の混合物が、例えば、プライを含むモールドへの射出(樹脂トランスファー成形(RTM)プロセスによって)、又は注入(プライの厚みを介して:液体樹脂注入(LRI)プロセス又は樹脂フィルム注入(RFI)プロセス)によって添加される。好ましくない実施形態によれば、スタッキング前に、使用されるモールドの形態に連続的に適用されたプライのそれぞれに、ローラ又はブラシによる手動コーティング/含浸を行うことも可能である。
【0157】
使用されるマトリックスは、熱硬化性若しくは熱可塑性型のもの、又は熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の混合物である。射出される樹脂は、例えば、以下の熱硬化性ポリマー:エポキシド、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、フェノール類、ポリイミド、及びビスマレイミドから選択される。
【0158】
次いで、複合部品が熱処理ステップ後に得られる。特に、複合部品は、一般に、これらのポリマーの供給業者によって推奨され、当業者に公知なように、熱処理を行うことによって、検討されるポリマーの従来の硬化サイクルによって得られる。所望の部品の圧密化のこの硬化ステップは、温度及び加圧下で所定のサイクルに従って重合/架橋し、続いて冷却することによって行われる。処理サイクル中に加えられる圧力は、真空注入の場合には低く、RTMモールドへの射出の場合にはより高い。
【0159】
上述のスタックをボンディングするための方法はまた、複合部品を生産するための熱硬化性樹脂と会合するように意図された任意の種類の強化材料で実践することができ、複合部品は、その各面において、熱可塑性繊維ベールと、特に本特許出願の特許請求の範囲で定義されるもの以外の強化材料と会合した一方向炭素繊維ウェブから作成される。実際、使用される一方向ウェブ及びベールに関係なく、そのようなスタックは、ドレープ性及び浸透性の点で価値がある。もちろん、好ましくは、強化材料は、真空注入によって高い繊維体積比(FVR)を達成することが可能になることを考えると、厚み及び目付に関して、本発明の範囲内に記載されたものに従う。
【0160】
以下の例は、本発明を例示するが、限定することを意図するものではない。
【0161】
パートA
【0162】
第1の一連の試験を行い、以下の表3に示すデータを得た。この一連の試験では、いわゆる撚り材料は、撚られたS撚糸のみであった。
【0163】
【表3-1】

【表3-2】
【0164】
上記の表3では、試験された強化材料は、両側にベールと会合した一方向強化ウェブを含む。
【0165】
一方向強化ウェブでは、HEXCEL Corporation、Stamford、CT、USAが販売する12K中間弾性率(IM)炭素糸を使用した。比較材料1は、一方向ウェブをベールと会合させた後、撚られていないが、微細穿孔されたこのような炭素糸を使用する。材料2~6は、一方向ウェブが、本発明による撚り数を有する上記のような個別に撚られた炭素糸(撚糸)からなり、すべてがS撚りを有し、本発明に相当しない強化材料である。比較材料7~10は、本発明によって想定されるよりも多い撚りを有する撚糸から作成された強化材料であり、生産段階又は取り扱い若しくはレイアップ段階のいずれかで材料が分離して使用できなくなるため、作製され得ない。
【0166】
不織材料から選択される多孔質ポリマー層には、Protechnicが販売する4g/m2コポリアミド不織材料1R8 D04を使用した。特許出願WO2010/046609によって、ベールを一方向炭素糸ウェブと会合させた。より正確には、本発明による強化材料1を、出願WO2010/061114に記載され、図18を参照して以下に記載されるような機械及びパラメータを使用して、生産ラインで作製した。
【0167】
所望の撚りを有する炭素糸3を、クリール40に取り付けられた対応する炭素糸のスプール30から巻き出し、コーム50を通過させ、ガイドローラー60、コーム70、及びガイドバー80aによって機械の軸に供給した。
【0168】
炭素糸3を、加熱バー90によって予め加熱し、次いで、スプレッドバー80b及び加熱バー100によって所望の炭素坪量の一方向ウェブ2まで広げた。ベール4、5のロール13a及び13bは、張力なしで巻き出され、自由に回転する非電動ロール14a、14b、14c、14d及び加熱されたバー12a、12bの間に固定された連続ベルト15a、15bによって移送される。
【0169】
ベール4及び5は、炭素糸3と接触する前にゾーン11a及び11bで予熱され、エアギャップが制御される2つの加熱されたバー12a及び12bの各側で積層された。冷却され得るカレンダ16は、次いで、両側にベールを有する一方向ウェブに圧力を加えて、テープの形態の強化材料1を生産する。偏向ローラ18は、強化材料1を、モータ駆動巻き取りトリオ19を備える牽引システムに向け直し、次いで巻き取り装置20に向け直して、このように形成された強化材料1のロールを形成することを可能にする。
【0170】
この生産ラインでは、ベルトは電動式ではなく、代わりに強化糸3自体によって引っ張られることに留意されたい。
【0171】
さらに、WO2010/061114に説明され、その図8に提示されているように、テープの形態を有する本発明による複数の強化材料を同時に製造した。形成される一方向ウェブを形成する各撚られた炭素糸は、予め製造された選択された撚糸のロールから引き出された。所望の幅の一方向ウェブを、並行して、選択された数の糸で作製し、各一方向ウェブ間に十分な空間を残すように離間させた。したがって、様々な一方向ウェブ2及びギャップを覆う単一の不織物(ベール4及び5に相当する)を、それらの各面ですべての一方向ウェブ2と会合させた。不織材料は、ウェブに積層された後、次いで、加熱された切断要素によって、形成された各一方向ウェブの間で切断され、それにより、隣接して生産された本発明による様々な強化材料を得た。各一方向ウェブの間のギャップは0.5mm~2mmの範囲内であり、その結果、各一方向ウェブの間の縁部に沿った切断を行うことができ、連続的かつ並行して生産された様々な強化材料を得た。
【0172】
1)真空下での厚み:
【0173】
複雑な形状又は厚いプリフォームの自動化レイアップ中には、できる限りオーバーランしない材料であること、したがって複合部品の最終的な厚みに近い適用された材料の厚みを有することが重要である。実際、材料が大幅なオーバーランを示し、したがって積層体の製造後の最終的な厚みよりもはるかに大きい厚みを有する場合、部品に顕著な欠陥が存在し得る。欠陥は主に長すぎることに起因し得、しわを生成し得る。これは、当業者には受け入れられない。この特性を特徴付けるために、プリフォームの厚みは、自動化レイアップ後、真空下に配置する前後に測定される。
【0174】
図12に示すように、準等方性対称スタックを有する、より正確にはレイアップ[+45/0/-45/90]3sを有する、200×200mmプリフォームPを形成した。プリフォームPをプレート上に置いた。FANUCロボット及びHEIDENHAIN/ST3077LVDTプローブを使用して厚みを測定した。プローブの先端は、直径50mmの円形キーである。プローブは、5点P1~P5でプリフォームの厚みを測定し、これによりプリフォームの平均の厚みの値を得ることができる。x軸に沿って50mm、y軸に沿って50mmごとに測定した。
【0175】
次いで、真空バッグ及びポンプを使用して、プリフォームを真空下(15mbar未満の残留圧力)に置いた。次いで、アセンブリの厚みを測定し、消耗品の厚みを差し引いて真空下のプリフォームの厚みを得た。
【0176】
次いで、真空下の厚みに対する真空なしの厚みの比率を計算した。比率が高いほど、真空下の厚みと比較した真空なしの厚みが大きくなり、最終部品での欠陥の可能性が高くなる。目標は、この比率を最小化することである。
【0177】
以下の表4は、材料1~6の理論的な厚み(真空下の厚み)で割った厚み(真空なしの厚み)の比率を要約している。
【0178】
【表4】
【0179】
先行技術の材料1と比較して、撚糸を使用する材料2~6は、真空下の厚みに対する真空なしの厚みの比率を最小限に抑えることを可能にする。これにより、オーバーランを減少させることができる。
【0180】
2)撚りが自動化レイアップの品質に及ぼす影響。
【0181】
プリフォームの自動化レイアップステップは、その中に欠陥を生じさせないことが不可欠である。炭素糸の構造は、レイアップの品質に影響を及ぼし得る。したがって、炭素糸の撚りがレイアップ後のプリフォームの品質に影響を及ぼすかどうかを判定する必要がある。
【0182】
より正確には、炭素糸の撚りは、いわゆる「剪断」現象に対して影響を及ぼし得る。強化材料(一方向ウェブ2及びベール4、5)の重ね合わせレイアップ中に、次のプライの真下に位置するプライの炭素糸は、レイアップ中のロボットヘッドの圧力及び移動に起因して剪断される。この剪断は、レイアップが開始される領域で最も一般的である。いくつかのプライがレイアップされると、このプライ内剪断は増大する可能性があり、その結果、プリフォームの厚みが局所的に増加し、欠陥(しわ、ほつれ、プライの分離など)が現れ、プリフォームの品質が低下する。
【0183】
工業用タイプの自動化されたプライのレイアップ試験を、撚られた炭素糸を用いて行った。Coriolis 16 1/4”AFPヘッド及び12kwレーザー型加熱装置を備えたCoriolis C1ロボットを使用してレイアップを行った。この特定の場合では、16ウェブのうちの8つのみが同時に隣接して敷設された。従う熱法則を以下の表5に記載する。
【0184】
【表5】
【0185】
撚られた炭素糸のプライを真空テーブル上に0°で連続的にレイアップして、500mm(0°方向)対150mmのプリフォームを形成した。矢印Fによって表される敷設方向に従って行われる炭素糸敷設の開始は、常にプリフォームの同じ場所(図13の矩形領域Z1)に位置する。したがって、研究された厚みは、このゾーンZ1に位置していた。
【0186】
各プライのレイアップ後、プリフォームのレイアップ開始ゾーン(ゾーンZ1内の点P’1、P’2、P’3)での厚み測定を、マーキングゲージ、アルミニウムバーからなる支持体、及び厚み測定時にプリフォームに加えられた0.02バールの圧力に相当する1kgの重りによって行った。測定中、厚み測定デバイスは常に同じ場所に配置した。各プライのレイアップ後、ロボットが通過し、次いでレイアップ後に再配置されることを可能にするために、それを除去した。プリフォームの品質が不十分であると判断された場合、レイアップを停止する。
【0187】
材料2(表3)を比較材料1と比較する。
【0188】
図14は、比較材料1及び材料2について、レイアップされたプライの数の関数としてオーバーランの変化を示す。
【0189】
なお、オーバーランは、レイアップされたXプライを有するプリフォームの総厚みの、レイアップされたプライの数Xに対する比率として定義され、つまり:
【0190】
オーバーラン(mm)=プリフォームの総厚(mm)/レイアップされたプライの数
【0191】
これは、プライの平均厚みの指標を与え、したがってオーバーラン現象を定量化することを可能にする。オーバーラン現象を最大にするために、強化材料のスタックは、0°で延びる一方向層からなる。
【0192】
図14に示すように、レイアップされたプライの数の関数としてのプライごとの厚みの変化は、撚られた炭素糸(材料2)の方が微細穿孔プロセスあり(比較材料1)よりも小さい。結果によれば、撚られた炭素糸を用いると、撚られていない炭素糸で作製され、先行技術によって微細穿孔された同等の材料と比較して、オーバーランが減少し、レイアップ後のプリフォームの品質が向上する。
【0193】
3)強化材料の横方向浸透性に対する撚りの影響:
【0194】
本発明が、先行技術による微細穿孔された強化材料を用いて得られるものと同じレベルの強化材料の横方向浸透性を維持することを検証することが重要である。これは、流体が繊維材料を通過する能力として定義することができる。これはm2で測定される。以下の表6に示す値は、2009年10月16日にEcole Nationale Superieure des Mines de Saint Etienneで審査されたRomain Nunezによる「Problematique de la mesure de la permeabilite transverse de preformes fibreuses pour la fabrication de structures composites」(「Measuring the transverse permeability of fibrous preforms for the manufacture of composite structures」)と題する学位論文に記載された装置及び測定技術を用いて測定され、これはさらなる詳細について参照され得る。
【0195】
特に、測定は、2つの同一円筒形チャンバを使用して試験中に試料の厚みをモニターすることによって行われ、これは、「レーストラッキング」(浸透性の測定において、材料の隣又は「側面」の流体の通過)の影響を低減することを可能にする。使用される流体は水であり、圧力は1バール+/-0.01バールである。対称的な準等方性スタッキング、[+45/0/135/90]S、8プライを有する直径270mmのプリフォームを作製した。
【0196】
以下の表6は、比較材料1、並びに撚糸を使用した材料2~6に対して、50%、55%、及び60%の繊維体積比(FVR)について測定された横方向浸透性の値を示す(表3を参照)。各材料に対して、異なる繊維体積比を有する3つの試料について、表6の横方向浸透性の値を図15に要約する。
【0197】
【表6】
【0198】
280g/mの炭素繊維目付については、炭素糸を1メートルあたり10ターンで撚ることにより、先行技術による微細穿孔された材料よりも良好な平均横方向浸透性が得られると見受けられる。
【0199】
350g/mの炭素繊維目付については、炭素糸を1メートルあたり14ターンで撚ることにより、先行技術による微細穿孔された材料のものと同等な平均横方向浸透性が得られると見受けられる。
【0200】
1メートルあたりのターン数が減少すると(材料2と比較した材料3)、材料の横方向浸透性が減少する。
【0201】
4)複合材の機械的特性に対する炭素糸の撚りの影響:
【0202】
炭素重量に適したスタッキング順序からなる430mm×430mmのプリフォームを射出モールド内に加圧下で配置した。プリフォームを囲む既知の厚みのフレームを使用して、所望のFVR(繊維体積比)を達成した。参照HexFlow RTM6としてHEXCEL Corporation、Stamford、CT、USAが販売するエポキシ樹脂を、プレス内で120℃に維持されたプリフォームを通して2バール下、80℃で射出した。プレスによって加えられた圧力は5.5バールであった。プリフォームが充填され、樹脂がモールドから出たら、出口パイプを閉じ、硬化サイクルを開始した(3℃/分で180℃、続いて180℃で2時間の後硬化、5℃/分で冷却)。
【0203】
次いで、試料を適切なサイズに切断して、以下の表7に要約されている有孔圧縮試験(OHC)及びソリッドプレート圧縮試験(UNC)を行った。
【0204】
【表7】
【0205】
試験は、強化材料2~5及び比較材料1を用いて行った(表3)。有孔圧縮試験(OHC)の結果を以下の表8に示す。
【0206】
【表8】
【0207】
先行技術では、炭素重量が機械的特性に影響を及ぼし得ることが公知である。一般に、炭素重量が高いほど、機械的圧縮特性は低くなる。この場合、結果は炭素の等目付と比較される。
【0208】
目付が210g/mの場合、比較材料及びいわゆる撚られた材料の有孔圧縮試験(OHC)の結果の間に差はない。280g/mの目付についても同じ結論を導き出すことができる。350g/mの目付に関しては、この選択肢は不可能であるため、微細穿孔材料と比較することは不可能である。
【0209】
ソリッドプレート圧縮試験(UNC)の結果を以下の表9に示す。
【0210】
【表9】
【0211】
表9の結果により、有孔試験に関してと同じ結論を導き出すことができる。
【0212】
5)炭素糸の撚りが横方向電気伝導率に及ぼす影響:
【0213】
335mm×335mmのプリフォームは、強化プライから作成され、その数は炭素糸の目付に依存する。スタッキング順序は[0/90]nsであり、nsは、3mmの最終的な厚み及び60%の繊維体積を有するパネルを得るために、炭素糸の目付に依存する整数である。次いで、プリフォームを加圧下で射出モールドに配置した。機械的圧縮試験(上記のパラグラフ4を参照)と同じ方法で、強化材料/RTM6の複合材パネルは、射出プロセス(圧縮プレートと同じパラメータ)によって作製される。
【0214】
ウォータージェットカッターを使用して、パネル全体に均一に分布した24個の40mm×40mmの試料に予め切断した。次いで、予め切断したパネルの両面をサンドブラストして炭素繊維を露出させた。次に、電気アークプロセスによって導電性金属、典型的にはスズ及び亜鉛の層を適用する前に、パネルの前面及び背面を処理した。金属コーティングは、サンドブラスト又はサンディングによって試料フィールドから除去されるべきである。この導電性金属の適用は、試料及び測定機器の間での低い接触抵抗を可能にする。次いで、個々の試料をパネルから切り出した。
【0215】
電流及び電圧を変えることができる電力源(TTi EL302Pプログラマブル30V/2A電源、Thurlby Thandar Instruments、Cambridge UK)を使用して抵抗を求めた。試料を電源の2つの電極と接触させた;これらの電極は、クランプによって接触するように配置されている。電極が互いに又は他のいかなる金属要素とも接触しないことが確保されるように注意しなければならない。1Aの電流を印加し、電圧計/オーム計に接続された他の2つの電極によって抵抗を測定した。試験は、測定対象の各試料に対して行った。次いで、伝導率の値を、試料の寸法及び以下の式を使用して、抵抗値から計算した:
【0216】
抵抗率(オーム.m)=抵抗(オーム)×表面(m)/厚み(m)
【0217】
伝導率(S/m)=1/抵抗率
【0218】
パートB
【0219】
第2の一連の試験の結果を以下の表10に示す。材料12、13、15、及び17を本発明に従って生産した。得られた材料はいずれも、比較材料19を除いて、微細穿孔しなかった。
【0220】
【表10】
【0221】
本発明による強化材料の製造
【0222】
この第2の一連の試験は、より高い生産速度を有する工業規模の生産の要件を満たす新しい生産ラインで行われ、生産ラインの停止及びその構成部品の摩耗を低減し、並びに安全レベルを高めることを目的とした。このような速度の増加は、ラインの全体的な慣性を増加させ、ラインの様々なポイント/ローラ上の材料に対して、したがって特にベルトを駆動するのに必要な力に対してより多くの摩擦事象を発生させる。その結果、図18に関連して前述した生産ラインは、連続ベルト15a及び15bの電動化を導入することによって変更された。ベルト15a及び15bは、ローラ14a及び14cによって互いに独立して電動化され、ローラ14b及び14dは自由に回転したままであった。
【0223】
この生産速度の増加は、すべて同じ種類のS撚り又はZ撚りを有する撚られた強化糸を使用して、糸間のギャップ、重なり又はひだなどの欠陥の存在を最小限に抑えた一方向ウェブの生産において遭遇する難しさを強調している。実際、コーム又はガイドローラーの使用にもかかわらず、強化糸の軌跡は完全には制御されておらず、これは、欠陥の出現をもたらす。本発明の範囲内で提案されるように、混合S/Z一方向ウェブを使用することによって、これらのリスクを最小限に抑え、さらには回避することができる。
【0224】
この工業規模の生産ラインでは、いくつかの材料11が並行して製造されたので、より高い生産速度を有していた。
【0225】
第1の一連の試験と同様に、テープの形態の本発明による複数の強化材料を同時に製造した。
【0226】
同様に、本発明による複数の材料12及び複数の材料13を並行して製造した。得られた材料12及び13は、材料11と比較して、特に縁部においてより規則的であることが観察された。実際、糸の整列の品質は、材料12及び13の場合、一方向ウェブの形成中により良好であった。その結果、隣接して製造された2つの一方向ウェブ間の距離がより規則的になり、それによって、形成された2つの一方向ウェブ間で、その両面の2つの積層ベールを切断することが容易になった。
【0227】
材料14及び15、並びに16及び17についても同様の観察がなされた。S撚糸のみを含む材料14の場合、SZSZSZの順序の糸を使用する材料15よりも多くの欠陥、例えば、しわ、ギャップ、又は糸間の重なり、及び縁部での不規則性が観察された。同様に、Z撚糸のみを含む材料16の場合、SSZZSSの順序の糸を使用する材料17よりも多くの欠陥、例えば、しわ、ギャップ、又は糸間の重なり、及び縁部での不規則性が観察された。
【0228】
さらに、7本のS撚糸、5本のZ撚糸、次いで6本のS撚糸の順序を有する18本の糸を含む材料18の場合、前述のプロセスによって一方向ウェブを形成すると、図17に示すような一方向ウェブが得られる。この図に見られ得るように、7本のS撚糸/5本のZ撚糸の接合部に顕著なギャップがあり、これはウェブの全長に沿って1mmを超える幅の連続的なギャップが作出されることで品質不良の性質である。Z撚糸の群は右方に引かれる一方、S撚糸の群は左方に引かれている。これは、不満足な連続的ギャップをもたらす。この順序は、S撚り及びZ撚り糸の数に関してよりバランスがとれ、糸間ギャップのリスクの低減に起因してより大きなカバレッジを有する一方向ウェブをもたらす、本発明の範囲内で与えられる混合S/Z一方向ウェブについての定義P1、P2、I1及びI2に合致しない。
【0229】
したがって、本発明の範囲内では、ガイドデバイス又はコームの使用にもかかわらず、同じ撚りを有するか、又は本発明の範囲内で与えられる、混合S/Z一方向ウェブの定義P1、P2、I1、及びI2に合致しない構成を有する撚られた強化糸の一方向ウェブの形成中に、強化糸の軌跡について偏向現象が観察された。これらの現象は、3本以下の糸しか含まない一方向ウェブでは起こらない。本発明の範囲内で提案される混合S/Z一方向ウェブの使用は、3本を超える糸からなる一方向ウェブの問題を解決する。
【0230】
さらに、偏向現象は、生産される強化材料の幅の増加と共に悪化する。この問題は、7mm又は12mmを超える幅の生産ではさらに顕著である。本発明の範囲内で提案される混合一方向S/Zウェブによって解決された強化糸の偏向の問題は、使用されるポリマー多孔質層に関係なく、使用される製造方法、すなわち複数の強化材料が並行して製造されるか否かに関係なく生じる。実際、偏向現象が発生すると、その現象は本発明による材料の適用中に困難も引き起こし、その結果、満足できない位置決めを生じる。
【0231】
本発明による強化材料の自動化レイアップ
【0232】
材料11から17は、敷設面に適用される前に、材料が循環するガイド溝から作成されたガイドを備える自動化レイアップデバイスによってレイアップした。このガイドは、ウェブがデバイスのレイアップヘッドの出口で適切に位置決めされることを確実にすることを可能にし、それにより、レイアップヘッドが強化材料の軌跡及び敷設面上のその位置決めを適切に制御することを可能にする。図16に示すように、材料の評価のために、一連の平行な材料ストリップ11(SSSS)の接合レイアップを得るために、一方を他方の隣に適用することによって、平面上でレイアップを行った。材料12(SZZS)及び材料13(SZSZ)についても同じ手順に従った。これらの2つの材料を用いると、レイアップがより良好に制御され、図16の左側に示す写真に見られるように、敷設面上のギャップ及びひだが低減される。ガイド溝内の材料の挙動を観察することにより、材料11(SSSS)の不適切なセンタリングが発生し、それによって溝の縁部の一方に当接するが、材料12及び13は溝内で非常に良好にセンタリングされ、それらの2つの縁部(SSSS)上に支持されたことに留意されたい。
【0233】
第一に材料14及び15、第二に材料16及び17について同じ知見が得られた。S撚糸のみを含む材料14の場合、SZSZSZの順序の糸を使用する材料15の使用と比較して、レイアップは満足のいくものではない。同様に、Z撚糸のみを含む材料16の場合、一連のSSZZSS糸を使用する材料17の場合よりも多くのギャップが観察された。表11は、材料16及び17のレイアップの場合に、定規で測定した、2つのストリップ間で得られた平均ギャップ幅を示す。
【0234】
【表11】
【0235】
S撚りの撚糸及びZ撚りの撚糸の両方からなるSSZZSSウェブの使用が、結果として得られる一方向ウェブにおいて、強化糸のない領域の著しい減少をもたらすことは明らかである。
【0236】
本発明による材料の性能
【0237】
本発明による材料の性能を、パートAに記載の方法に従って評価した。
【0238】
撚られたS撚糸又はZ撚糸のみからなる一方向ウェブ、又はS撚り及びZ撚りの撚糸の両方からなる一方向ウェブに関係なく、本発明で提案された撚糸を使用する利点は、非真空の厚みに対する真空の厚みの比率の低下、オーバーランの減少、材料の横方向浸透性の改善、及び材料の横方向電気伝導率の改善という点で依然として残る。
【0239】
一方で、本発明の範囲内で提案されるように、S撚り及びZ撚りの撚糸の両方からなる一方向ウェブを有する材料の機械的性能は、生産される強化材料内の欠陥の減少のために非常に満足できる。
【0240】
得られた結果を以下の表12に示す:
【0241】
【表12】
【0242】
S撚り撚糸及びZ撚り撚糸の両方からなる一方向ウェブのオーバーラン性能は、比較の微細穿孔材料19と比較して改善されている。したがって、材料が同じ方向に撚られた一連の糸からなる一方向ウェブを有するか、又はS撚り及びZ撚りの糸の混合物からなる一方向ウェブを有するかにかかわらず、オーバーラン性能が改善される。得られた結果を以下の表13に示す:
【0243】
【表13】
【0244】
また、本発明による材料15について横方向浸透性の性能を測定し、比較材料19のそれと比較し、以下の表14に示す。得られた横方向浸透性は、2つの材料に対して同等である。
【0245】
【表14】
【0246】
本発明による材料15に対しても横方向電気伝導率の性能を測定し、以下の表15に示す。
【0247】
【表15】
【0248】
本発明による材料15は、特に比較材料1を用いて得られたものと比較して、良好な電気的特性を提供する。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【国際調査報告】