(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】抗菌剤およびその有効濃度を特定するための方法およびキット
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/06 20060101AFI20240305BHJP
C12Q 1/70 20060101ALI20240305BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20240305BHJP
G01N 33/536 20060101ALI20240305BHJP
C12N 7/01 20060101ALN20240305BHJP
C12M 1/00 20060101ALN20240305BHJP
【FI】
C12Q1/06
C12Q1/70
G01N33/53 D
G01N33/536 A
C12N7/01
C12M1/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555217
(86)(22)【出願日】2022-03-08
(85)【翻訳文提出日】2023-10-19
(86)【国際出願番号】 US2022019280
(87)【国際公開番号】W WO2022192208
(87)【国際公開日】2022-09-15
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523342001
【氏名又は名称】コバイオ ダイアグノスティックス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】コックス クリストファー アール.
(72)【発明者】
【氏名】ローガン アンドリュー ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB02
4B029BB13
4B029CC04
4B029FA09
4B029GA03
4B063QA06
4B063QQ06
4B063QS32
4B063QX02
4B065AA01X
4B065AA04X
4B065AA29X
4B065AA42X
4B065AA53
4B065AA98X
4B065CA46
(57)【要約】
細菌増殖を阻害するための抗菌剤の有効濃度を決定するための方法およびキットが提供される。本方法およびキットは、第1および第2のマルチウェル容器の使用を伴う。1つまたは複数の微生物を含むまたは含むと疑われる流体試料を、ある希釈範囲の抗菌剤、増殖培地、およびバクテリオファージを含む第1のマルチウェル容器のウェルに分注して、ウェル中にアッセイ混合物を形成させる。アッセイ混合物を次いで、検出のために第2のマルチウェル容器の対応するウェルに移す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、細菌増殖を阻害するための抗菌剤の有効濃度を決定するための方法:
(a) 生存微生物細胞を含むまたは含むと疑われる試料を、第1のマルチウェル容器の第1の複数のウェルに移し、それによって第1の複数のウェルの各ウェル中にアッセイ混合物を形成させる段階であって、
第1の複数のウェルが、少なくとも1つの抗菌剤の既知濃度のある範囲を含み、第1の複数のウェルの各ウェルが、細菌増殖培地および微生物細胞に感染可能なバクテリオファージをさらに含む、段階;
(b) 細菌増殖およびバクテリオファージによる細菌細胞の感染を促進しかつアッセイ混合物中での子孫バクテリオファージの産生を引き起こすのに十分な条件の下で、第1のマルチウェル容器をインキュベートする段階;
(c) アッセイ混合物を第1のマルチウェル容器の第1の複数のウェルから第2のマルチウェル容器の対応する第2の複数のウェルに移し、それによって子孫バクテリオファージを一次抗体に結合させ、一次抗体-バクテリオファージ複合体を形成させる段階であって、
第2の複数のウェルの対応するウェルの各々が一次抗バクテリオファージ抗体を含む、
段階; ならびに
(d) 第2のマルチウェル容器の対応する第2の複数のウェル中の一次抗体-バクテリオファージ複合体を検出する段階であって、
抗菌剤の有効濃度が、一次抗体-バクテリオファージ複合体が検出されない第2の複数のウェルにおける1つまたは複数のウェルに対応する第1の複数のウェルにおける1つまたは複数のウェル中の既知の濃度である、
段階。
【請求項2】
一次抗体が検出可能な標識で標識され、検出する段階が、第2の複数のウェル中の標識された一次抗体-バクテリオファージ複合体を検出することを含み、抗菌剤の有効濃度が、標識された一次抗体-バクテリオファージ複合体が実質的に検出されない第2の複数のウェルにおける1つまたは複数のウェルに対応する第1の複数のウェルにおける1つまたは複数のウェル中の既知の濃度である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
検出する段階が、
一次抗体-バクテリオファージ複合体を、検出可能な標識で標識された二次抗バクテリオファージ抗体と接触させ、それによって一次抗体-バクテリオファージ複合体を二次バクテリオファージ抗体に結合させ、標識された一次抗体-バクテリオファージ-二次抗体複合体を形成させること; および
第2の複数のウェル中の標識された一次抗体-バクテリオファージ-二次抗体複合体を検出することであって、
抗菌剤の有効濃度が、標識された一次抗体-バクテリオファージ-二次抗体複合体が実質的に検出されない第2の複数のウェルにおける1つまたは複数のウェルに対応する第1の複数のウェルにおける1つまたは複数のウェル中の既知の濃度である、
こと
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
第1のマルチウェル容器が、細菌増殖培地およびバクテリオファージを含む対照アッセイ混合物であって、抗菌剤を含有しない該対照アッセイ混合物を含有する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
対照アッセイ混合物が、生存微生物細胞を含むことが分かっている対照試料を含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
抗菌剤の既知濃度の前記範囲が、第1のマルチウェル容器におけるウェルの横列または縦列に沿って分配される、請求項1記載の方法。
【請求項7】
既知濃度の前記範囲が、最高濃度から最低濃度まで横列または縦列に沿って分配された少なくとも3つの異なる既知濃度を含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
抗菌剤の既知濃度の前記範囲が、少なくとも3つの異なる濃度を含む連続希釈である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
連続希釈が、最高濃度から最低濃度まで第1のマルチウェル容器におけるウェルの横列または縦列に沿って分配される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
マルチウェル容器が、対応する複数の抗菌剤の既知濃度の複数の範囲を含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記複数の範囲のうちの範囲の各々が、第1のマルチウェル容器のウェルの異なる縦列または横列に沿って分配される、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記複数の範囲のうちの範囲の各々が、第1のマルチウェル容器のウェルの異なる縦列または横列に沿って分配され、各範囲が、少なくとも3つの異なる既知濃度を含み、範囲のうちの各濃度が、最高濃度から最低濃度まで縦列または横列のウェルに沿って分配される、請求項10記載の方法。
【請求項13】
生存微生物細胞を含むまたは含むと疑われる試料が、2種類以上の微生物種の微生物細胞を含むまたは含むと疑われる試料であり、第1のマルチウェル容器が、2種類以上の微生物種において子孫を産生することができるバクテリオファージを含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
生存微生物細胞を含むまたは含むと疑われる試料が、2種類以上の微生物種の微生物細胞を含むまたは含むと疑われる試料であり、第1のマルチウェル容器が、2種類以上のバクテリオファージ株を含み、各バクテリオファージ株が、該2種類以上の微生物種のうちの単一の種において子孫を産生することができる、請求項1記載の方法。
【請求項15】
2種類以上の微生物種において子孫を産生することができる2種類以上のバクテリオファージ株が、各々別個のウェルに含まれる、請求項14記載の方法。
【請求項16】
2種類以上のバクテリオファージ株のうちの各バクテリオファージ株が、第1のマルチウェル容器の異なる横列または縦列に沿って分配され、各横列または縦列が、同じ抗菌剤のある濃度範囲をさらに含み、各範囲が、抗菌剤の少なくとも3つの異なる既知の濃度を含み、最高濃度から最低濃度まで各横列または縦列に沿って分配される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
2種類以上の微生物種において子孫を産生することができる2種類以上のバクテリオファージ株が同一のウェルにいずれも含まれ、該ウェル中でバクテリオファージ株の混合物が形成される、請求項14記載の方法。
【請求項18】
バクテリオファージ株の混合物が、第1のマルチウェル容器の横列または縦列に沿って分配され、各横列または縦列が、複数の抗菌剤の濃度範囲をさらに含み、各範囲が、各抗菌剤の少なくとも3つの異なる既知濃度を含み、最高濃度から最低濃度まで各横列または縦列に沿って分配され、第2のマルチウェル容器が複数のウェルにおいて、該複数のウェルの各ウェルに2つ以上の一次抗バクテリオファージ抗体の混合物を含み、該一次抗バクテリオファージ抗体が該バクテリオファージ株の各々に結合することができる、請求項17記載の方法。
【請求項19】
微生物細胞がヒトまたは動物の病原性微生物細胞である、請求項1記載の方法。
【請求項20】
微生物細胞が、エンテロコッカス属(Enterococcus)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、クレブシエラ属(Klebsiella)、アシネトバクター属(Acinetobacter)、シュードモナス属(Pseudomonas)、およびエンテロバクター属(Enterobacter)からなる属の群に属する、請求項1記載の方法。
【請求項21】
微生物細胞が、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、アシネトバクター・バウマンニ(Acinetobacter baumannii)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、およびエンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)からなる種の群に属する、請求項1記載の方法。
【請求項22】
(a) 微生物細胞に感染可能なバクテリオファージを含む第1の複数のウェルを含む第1のマルチウェル容器; および
(b) 該バクテリオファージに結合可能な一次抗バクテリオファージ抗体を含む対応する第2の複数のウェルを含む第2のマルチウェル容器
を、
(i) 生存微生物細胞を含むまたは含むと疑われる試料を、第1のマルチウェル容器の第1の複数のウェルに移し、それによって第1の複数のウェルの各ウェル中にアッセイ混合物を形成させることであって、
第1の複数のウェルが少なくとも1つの抗菌剤の既知濃度の範囲を含み、第1の複数のウェルの各ウェルが細菌増殖培地、微生物細胞に感染可能な複数のウェル中のバクテリオファージをさらに含む、
こと;
(ii) 細菌増殖およびバクテリオファージによる細菌細胞の感染を促進しかつアッセイ混合物中での子孫バクテリオファージの産生を引き起こすのに十分な条件の下で、第1のマルチウェル容器をインキュベートすること;
(iii) アッセイ混合物を第1のマルチウェル容器の第1の複数のウェルから第2のマイクロタイターの対応する第2の複数のウェルに移し、それによって子孫バクテリオファージを一次抗バクテリオファージ抗体に結合させ、一次抗体-バクテリオファージ複合体を形成させる、こと; ならびに
(iv) 一次抗体-バクテリオファージ複合体を検出すること
によって細菌増殖を阻害するための抗菌剤の有効濃度を決定するための使用説明書
とともに含む、細菌増殖を阻害するための抗菌剤の有効濃度を決定するためのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年3月8日付で出願された米国仮特許出願第63/158,061号の恩典を主張するものであり、特許出願第63/158,061号の全内容は参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
開示の分野
本開示は一般に、微生物およびその増殖を制御する方法に関し、特に、抗菌剤および抗菌剤の有効濃度を特定するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
以下の段落は、本開示の背景として提供されるものである。しかしながら、そこで議論されているものが先行技術であること、または当業者の知識の一部であることを認めるものではない。
【0004】
微生物増殖を制御することが望ましい状況は数多くある。したがって、例えば、ヒトおよび動物は感染性の微生物病原体に罹患し、疾患を発症しうる。微生物感染を制御することで、ヒトおよび動物において致命的な可能性がある疾患を防ぐことができ、外科手術および化学療法などの、複雑な医学的手技が安全に行われうることを確実にすることができる。
【0005】
望ましくない微生物増殖が重大かつ持続的な問題となる別の例は、食品の生産と消費の連鎖である。サルモネラ菌(Salmonella)、リステリア菌(Listeria)および大腸菌(Escherichia coli)などの、食品媒介性の微生物病原体の発生は、経済的損失や風評被害という点で食品業界に多大なコストをもたらし、さらに悪いことに、ヒトの健康を脅かすこともある。
【0006】
その結果、診断検査および抗菌剤の投与または適用による介入のための種々のシステムおよび技法が開発されてきた。
【0007】
微生物増殖の制御に関連する重要で継続的な課題の1つは、最初の検出および診断と、その後の有効な抗菌剤の特定との間のラグタイムである。この点で、抗菌剤の特定には、まず微生物の原因物質の診断が必要であり、次に有効な抗菌剤の特定、さらに適切な投薬または適用レジメンが必要である。ヒトまたは動物の健康が懸念される場合、潜在的な微生物感染症の最初の診断から、ヒトおよび動物への抗菌剤の投与による治療介入までの期間を短縮することが望ましく、それにより、感染因子の病理学的影響を低減し、および/または感染が拡大する機会を抑制するために望ましい。
【0008】
さらに、抗菌剤耐性(AMR)、すなわち抗菌剤に対する微生物の耐性はヒトや動物の健康にとって重大な脅威となっている(例えば、World Health Organization. (2015). Global action plan on antimicrobial resistance. World Health Organization(非特許文献1)を参照のこと)。一般に、AMRは抗菌剤の不適切な使用と関連している。AMRに対処し、抗菌剤耐性微生物の蔓延、および他の病原性微生物または非病原性微生物への抗生物質耐性決定因子の潜在的伝播を制限するためには、例えば病院環境での、抗菌剤耐性微生物の迅速な特定が重要である。さらに、迅速な特定は、適切な患者に適切な抗菌剤の選択を知らせることにより、最適な処置結果を可能にし、さらなる耐性を発生する可能性を低減することができる。
【0009】
有効な抗菌剤を特定するための既知のシステムには継続的な欠点があるため、改良されたシステムおよび技法が必要である。特に、有効な抗菌剤およびその有効な濃度を特定するための、迅速で、費用対効果が高く、正確で、迅速かつ使いやすいシステムに向けたシステムおよび技法が当技術分野において必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】World Health Organization. (2015). Global action plan on antimicrobial resistance. World Health Organization
【発明の概要】
【0011】
概要
以下の段落は、以下に続くより詳細な説明を読者に紹介することを意図しており、本開示の主張される主題を定義または限定することを意図していない。
【0012】
1つの広い局面において、本開示は、抗菌剤を特定するための方法およびシステムに関する。
【0013】
別の広い局面において、本開示は、抗菌剤の有効濃度を特定するための方法およびシステムに関する。
【0014】
したがって、1つの局面において、本明細書の教示によれば、本開示は、少なくとも1つの局面において、少なくとも1つの態様において、以下の段階を含む細菌増殖を阻害するための抗菌剤の有効濃度を決定するための方法を提供する:
(a) 生存微生物細胞を含むまたは含むと疑われる試料を、第1のマルチウェル容器の第1の複数のウェルに移し、それによって第1の複数のウェルの各ウェル中にアッセイ混合物を形成させる段階であって、第1の複数のウェルが少なくとも1つの抗菌剤の既知濃度の範囲を含み、第1の複数のウェルの各ウェルが細菌増殖培地および微生物細胞に感染可能なバクテリオファージをさらに含む、段階;
(b) 細菌増殖およびバクテリオファージによる細菌細胞の感染を促進しかつアッセイ混合物中での子孫バクテリオファージの産生を引き起こすのに十分な条件の下で、第1のマルチウェル容器をインキュベートする段階;
(c) アッセイ混合物を第1のマルチウェル容器の第1の複数のウェルから第2のマルチウェル容器の対応する第2の複数のウェルに移し、それによって子孫バクテリオファージを一次抗体に結合させて一次抗体-バクテリオファージ複合体を形成させる段階であって、第2の複数のウェルの対応するウェルの各々が一次抗バクテリオファージ抗体を含む、段階; ならびに
(d) 第2のマルチウェル容器の対応する第2の複数のウェル中の一次抗体-バクテリオファージ複合体を検出する段階であって、抗菌剤の有効濃度が、一次抗体-バクテリオファージ複合体が検出されない第2の複数のウェルにおける1つまたは複数のウェルに対応する第1の複数のウェルにおける1つまたは複数のウェル中の既知の濃度である、段階。
【0015】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、一次抗体は検出可能な標識で標識することができ、検出する段階は、第2の複数のウェル中の標識された一次抗体-バクテリオファージ複合体を検出することを含み、抗菌剤の有効濃度は、標識された一次抗体-バクテリオファージ複合体が実質的に検出されない第2の複数のウェルにおける1つまたは複数のウェルに対応する第1の複数のウェルにおける1つまたは複数のウェル中の既知の濃度である。
【0016】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、検出する段階は、
一次抗体-バクテリオファージ複合体を、検出可能な標識で標識された二次抗バクテリオファージ抗体と接触させ、それによって一次抗体-バクテリオファージ複合体を二次バクテリオファージ抗体に結合させ、標識された一次抗体-バクテリオファージ-二次抗体複合体を形成させること; および
第2の複数のウェル中の標識された一次抗体-バクテリオファージ-二次抗体複合体を検出することであって、抗菌剤の有効濃度は、標識された一次抗体-バクテリオファージ-二次抗体複合体が実質的に検出されない第2の複数のウェルにおける1つまたは複数のウェルに対応する第1の複数のウェルにおける1つまたは複数のウェル中の既知の濃度である、こと
を含むことができる。
【0017】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、第1のマルチウェル容器は、細菌増殖培地およびバクテリオファージを含む対照アッセイ混合物であって、抗菌剤を含有しない該対照アッセイ混合物を含有することができる。
【0018】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、対照アッセイ混合物は、生存微生物細胞を含むことが分かっている対照試料を含むことができる。
【0019】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、抗菌剤の既知濃度の範囲は、第1のマルチウェル容器におけるウェルの横列または縦列に沿って分配することができる。
【0020】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、既知濃度の範囲は、最高濃度から最低濃度まで横列または縦列に沿って分配された少なくとも3つの異なる既知濃度を含むことができる。
【0021】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、抗菌剤の既知濃度の範囲は、少なくとも3つの異なる濃度を含む連続希釈であることができる。
【0022】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、連続希釈は、最高濃度から最低濃度まで第1のマルチウェル容器におけるウェルの横列または縦列に沿って分配することができる。
【0023】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、マルチウェル容器は、対応する複数の抗菌剤の既知濃度の複数の範囲を含むことができる。
【0024】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、複数の範囲のうちの範囲の各々は、第1のマルチウェル容器のウェルの異なる縦列または横列に沿って分配することができる。
【0025】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、複数の範囲のうちの範囲の各々は、第1のマルチウェル容器のウェルの異なる縦列または横列に沿って分配することができ、各範囲は、少なくとも3つの異なる既知濃度を含み、範囲のうちの各濃度は、最高濃度から最低濃度まで縦列または横列のウェルに沿って分配される。
【0026】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、生存微生物細胞を含むまたは含むと疑われる試料は、2種類以上の微生物種の微生物細胞を含むまたは含むと疑われる試料であることができ、第1のマルチウェル容器は、2種類以上の微生物種において子孫を産生することができるバクテリオファージを含むことができる。
【0027】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、生存微生物細胞を含むまたは含むと疑われる試料は、2種類以上の微生物種の微生物細胞を含むまたは含むと疑われる試料であることができ、第1のマルチウェル容器は、2種類以上のバクテリオファージ株を含むことができ、各バクテリオファージ株は、2種類以上の微生物種のうちの単一の種において子孫を産生することができる。
【0028】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、2種類以上の微生物種において子孫を産生することができる2種類以上のバクテリオファージ株は各々、別個のウェルに含まれることができる。
【0029】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、2種類以上のバクテリオファージ株のうちの各バクテリオファージ株は、第1のマルチウェル容器の異なる横列または縦列に沿って分配することができ、各横列または縦列が、同じ抗菌剤のある濃度範囲をさらに含み、各範囲が、抗菌剤の少なくとも3つの異なる既知の濃度を含み、最高濃度から最低濃度まで各横列または縦列に沿って分配される。
【0030】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、2種類以上の微生物種において子孫を産生することができる2種類以上のバクテリオファージ株を同一のウェルにいずれも含めて、ウェル中にバクテリオファージ株の混合物を形成させることができる。
【0031】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、バクテリオファージ株の混合物は、第1のマルチウェル容器の横列または縦列に沿って分配することができ、各横列または縦列が、複数の抗菌剤の濃度範囲をさらに含み、各範囲が、各抗菌剤の少なくとも3つの異なる既知濃度を含み、最高濃度から最低濃度まで各横列または縦列に沿って分配され、第2のマルチウェル容器が複数のウェルにおいて、複数のウェルの各ウェルに2つ以上の一次抗バクテリオファージ抗体の混合物を含み、一次抗バクテリオファージ抗体がバクテリオファージ株の各々に結合することができる。
【0032】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、微生物細胞はヒトまたは動物の病原性微生物細胞であることができる。
【0033】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、微生物細胞は、エンテロコッカス属(Enterococcus)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、クレブシエラ属(Klebsiella)、アシネトバクター属(Acinetobacter)、シュードモナス属(Pseudomonas)、およびエンテロバクター属(Enterobacter)からなる群属に属することができる。
【0034】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、微生物細胞は、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、アシネトバクター・バウマンニ(Acinetobacter baumannii)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、およびエンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)からなる種の群に属することができる。
【0035】
別の局面において、本明細書の教示によれば、本開示は、少なくとも1つの局面において、少なくとも1つの態様において、
(a) 微生物細胞に感染可能なバクテリオファージを含む第1の複数のウェルを含む第1のマルチウェル容器; および
(b) バクテリオファージに結合可能な一次抗バクテリオファージ抗体を含む対応する第2の複数のウェルを含む第2のマルチウェル容器
を、
(i) 生存微生物細胞を含むまたは含むと疑われる試料を、第1のマルチウェル容器の第1の複数のウェルに移し、それによって第1の複数のウェルの各ウェル中にアッセイ混合物を形成させることであって、第1の複数のウェルが少なくとも1つの抗菌剤の既知濃度の範囲を含み、第1の複数のウェルの各ウェルが細菌増殖培地、微生物細胞に感染可能な複数のウェル中のバクテリオファージをさらに含む、こと;
(ii) 細菌増殖およびバクテリオファージによる細菌細胞の感染を促進しかつアッセイ混合物中での子孫バクテリオファージの産生を引き起こすのに十分な条件の下で、第1のマルチウェル容器をインキュベートすること;
(iii) アッセイ混合物を第1のマルチウェル容器の第1の複数のウェルから第2のマイクロタイターの対応する第2の複数のウェルに移し、それによって子孫バクテリオファージを一次抗バクテリオファージ抗体に結合させて一次抗体-バクテリオファージ複合体を形成させること; ならびに
(iv) 一次抗体-バクテリオファージ複合体を検出すること
によって細菌増殖を阻害するための抗菌剤の有効濃度を決定するための使用説明書
とともに含む、細菌増殖を阻害するための抗菌剤の有効濃度を決定するためのキットを提供する。
【0036】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、一次抗体は検出可能な標識で標識することができ、検出する段階は、
第2の複数のウェル中の標識された一次抗体-バクテリオファージ-複合体を検出することであって、抗菌剤の有効濃度は、標識された一次抗体-バクテリオファージ複合体が実質的に検出されない第2の複数のウェルにおける1つまたは複数のウェルに対応する第1の複数のウェルにおける1つまたは複数のウェル中の既知の濃度である、こと
を含む。
【0037】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、キットは検出可能な標識で標識された二次抗バクテリオファージ抗体をさらに含むことができ、検出する段階は、
一次抗体-バクテリオファージ複合体を、検出可能な標識で標識された二次抗バクテリオファージ抗体と接触させ、それによって一次抗体-バクテリオファージ複合体を二次バクテリオファージ抗体に結合させ、標識された一次抗体-バクテリオファージ-二次抗体複合体を形成させること; および
第2の複数のウェル中の標識された一次抗体-バクテリオファージ-二次抗体複合体を検出することであって、抗菌剤の有効濃度は、標識された一次抗体-バクテリオファージ-二次抗体複合体が実質的に検出されない第2の複数のウェルにおける1つまたは複数のウェルに対応する第1の複数のウェルにおける1つまたは複数のウェル中の既知の濃度である、こと
を含むことができる。
【0038】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、キットは第1のマルチウェル容器の第1の複数のウェルに分配された、または第1のマルチウェル容器の複数のウェルに分配するための別個の器に分配された細菌増殖培地をさらに含むことができる。
【0039】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、第1のマルチウェル容器の第1の複数のウェルは、少なくとも1つの抗菌剤の既知濃度の範囲を含むことができる。
【0040】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、抗菌剤の既知濃度の範囲は、第1のマルチウェル容器におけるウェルの横列または縦列に沿って分配することができる。
【0041】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、既知濃度の範囲は、最高濃度から最低濃度まで横列または縦列に沿って分配された少なくとも3つの異なる既知濃度を含むことができる。
【0042】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、抗菌剤の既知濃度の範囲は、少なくとも3つの異なる濃度を含む連続希釈であることができる。
【0043】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、連続希釈は、最高濃度から最低濃度まで第1のマルチウェル容器におけるウェルの横列または縦列に沿って分配することができる。
【0044】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、第1のマルチウェル容器は、対応する複数の抗菌剤の既知濃度の複数の範囲を含むことができる。
【0045】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、複数の範囲のうちの範囲の各々は、第1のマルチウェル容器のウェルの異なる横列または縦列に沿って分配することができる。
【0046】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、複数の範囲のうちの範囲の各々は、第1のマルチウェル容器のウェルの異なる縦列または横列に沿って分配することができ、各範囲は、少なくとも3つの異なる既知濃度を含み、範囲のうちの各濃度は、最高濃度から最低濃度まで縦列または横列のウェルに沿って分配される。
【0047】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、生存微生物細胞を含むまたは含むと疑われる試料は、2種類以上の微生物種の微生物細胞を含むまたは含むと疑われる試料であることができ、マルチウェル容器は、2種類以上の微生物種において子孫を産生することができるバクテリオファージを含むことができる。
【0048】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、生存微生物細胞を含むまたは含むと疑われる試料は、2種類以上の微生物種の微生物細胞を含むまたは含むと疑われる試料であることができ、第1のマルチウェル容器は、2種類以上のバクテリオファージ株を含むことができ、各バクテリオファージ株は、2種類以上の微生物種のうちの単一の種において子孫を産生することができる。
【0049】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、2種類以上の微生物種において子孫を産生することができる2種類以上のバクテリオファージ株は各々、別個のウェルに含まれることができる。
【0050】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、2種類以上のバクテリオファージ株のうちの各バクテリオファージ株は、第1のマルチウェル容器の異なる横列または縦列に沿って分配することができ、各横列または縦列が、同じ抗菌剤のある濃度範囲をさらに含み、各範囲が、抗菌剤の少なくとも3つの異なる既知の濃度を含み、最高濃度から最低濃度まで各横列または縦列に沿って分配される。
【0051】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、2種類以上の微生物種において子孫を産生することができる2種類以上のバクテリオファージ株を同一のウェルにいずれも含めて、ウェル中にバクテリオファージ株の混合物を形成させることができる。
【0052】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、バクテリオファージ株の混合物は、第1のマルチウェル容器の横列または縦列に沿って分配することができ、各横列または縦列が、複数の抗菌剤のある濃度範囲をさらに含み、各範囲が、各抗菌剤の少なくとも3つの異なる既知濃度を含み、最高濃度から最低濃度まで各横列または縦列に沿って分配され、第2のマルチウェル容器が複数のウェルにおいて、複数のウェルの各ウェルに2つ以上の一次抗バクテリオファージ抗体の混合物を含み、一次抗バクテリオファージ抗体がバクテリオファージ株の各々に結合することができる。
【0053】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、微生物細胞はヒトまたは動物の病原性微生物細胞であることができる。
【0054】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、微生物細胞は、エンテロコッカス属、スタフィロコッカス属、クレブシエラ属、アシネトバクター属、シュードモナス属、およびエンテロバクター属からなる属の群に属することができる。
【0055】
少なくとも1つの態様において、1つの局面において、微生物細胞は、エンテロコッカス・フェシウム、黄色ブドウ球菌、肺炎桿菌、アシネトバクター・バウマンニ、緑膿菌、およびエンテロバクター・クロアカからなる種の群に属することができる。
【0056】
別の局面において、本明細書の教示によれば、本開示は、少なくとも1つの局面において、少なくとも1つの態様において、本開示のキットまたは方法との組み合わせで用いるための試薬のアセンブリを提供する。
【0057】
別の局面において、本明細書の教示によれば、本開示は、少なくとも1つの局面において、少なくとも1つの態様において、抗菌剤の有効濃度を決定するための、本明細書において記述されるキットの使用を提供する。
【0058】
本開示の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明は、本開示の好ましい実装形態を示しているが、本開示の趣旨および範囲内でのさまざまな変更および修正が詳細な説明から当業者には明らかになるので、例示のためにのみ与えられることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
本開示は、添付の図面に関連して、例として、記述される以下に提供される段落にあるものである。本明細書において提供される図面は、例示的な態様のより良い理解のために、また、さまざまな態様がどのように実施されうるかをより明確に示すために提供される。図面は、本開示を限定することを意図するものではない。
【0060】
【
図1】細菌増殖を阻害するための抗菌剤の有効濃度を決定するために使用できるマイクロタイタープレートの一例の図である。
【
図2A】本開示の第1の例示的態様100による第1のマイクロタイタープレートの5つの異なる例示的状態s1a、s2a、s3a、s4aおよびs5aを示す。
【
図2B】本開示の第1の例示的態様100による第2のマイクロタイタープレートの4つの異なる例示的状態s1b、s2b、s3bおよびs4bを示す。
【
図2C】本開示の第1の例示的態様100の例示的状態s3bをさらに例示する。
【
図2D】本開示の第1の例示的態様100の例示的状態s4bをさらに例示する。
【
図3】本開示の第2の例示的態様200による、第1のマイクロタイタープレートの1つの異なる例示的状態s5a、ならびに第2のマイクロタイタープレートの2つの異なる例示的状態s3bおよびs4bを示す。
【
図4】本開示の第3の例示的態様300による、第1のマイクロタイタープレートの1つの異なる例示的状態s5a、ならびに第2のマイクロタイタープレートの2つの異なる例示的状態s3bおよびs4bを示す。
【
図5】本開示の第4の例示的態様400による、第1のマイクロタイタープレートの1つの異なる例示的状態s5a、ならびに第2のマイクロタイタープレートの2つの異なる例示的状態s3bおよびs4bを示す。
【
図6】本開示の方法の例示的態様の実施において得られたある種の実験結果を示す。左側に示されているのは、全てのウェル(「空」と表示されたウェルを除く)に大腸菌微生物株を含む尿試料、および(ウェルの縦列に沿って)さまざまな抗菌剤のさまざまな希釈液(ウェルの横列に沿って)を含む反応プレートとして機能する第1のマイクロタイタープレートである。右側に示されているのは、検出プレートとして機能する第2のマイクロタイタープレートである。ファージは検出プレートにおいて比色測定で(青色)検出される。
【0061】
以下の詳細な説明とともに添付の図面から、本開示が実際にどのように実施されうるかが当業者には明らかになる。
【発明を実施するための形態】
【0062】
詳細な説明
主張される主題の少なくとも1つの態様の少なくとも1つの例を提供するために、さまざまなプロセス、方法およびシステムを以下に記述する。以下に記述される態様は、任意の主張される主題を限定するものではなく、任意の主張される主題は、以下に記述されるものとは異なるプロセス、方法またはシステムを網羅しうる。主張される主題は、以下に記述されるプロセス、方法またはシステムの特徴の全てを有する任意のプロセス、方法もしくはシステムに限定されない、または以下に記述される複数のプロセス、方法もしくはシステムに共通する特徴に限定されない。以下に記述されるプロセス、方法またはシステムは、任意の主張される主題の態様ではない可能性がある。本書面において主張されていない以下に記述されるプロセス、方法またはシステムにおいて開示される任意の主題は、別の保護文書、例えば継続的な特許出願の主題である可能性があり、本出願人、本発明者または本所有者は、本書面におけるその開示によってそのような任意の主題を放棄する、否認するまたは公衆に捧げることを意図するものではない。
【0063】
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」などの単数形は、文脈上明らかにそうでないことが示されない限り、複数形の参照を含み、その逆もまた同様である。本明細書全体を通じて、別段の指示がない限り、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」および「含む(comprising)」という用語は、排他的ではなく包括的に用いられるため、明記された整数または整数群は、1つまたは複数の他の明記されていない整数または整数群を含む場合がある。「または」という用語は、例えば「どちらか」によって修飾されない限り、包括的である。「および/または」という用語は、包括的なまたはを表すことが意図される。すなわち「Xおよび/またはY」は、例えば、XもしくはYまたはその両方を意味することが意図される。さらなる例として、X、Yおよび/またはZは、XもしくはYもしくはZまたはそれらの任意の組み合わせを意味することが意図される。
【0064】
分子量などの物理的特性、または化学式などの化学的特性について範囲が本明細書において用いられる場合、範囲およびその中の特定の態様の全ての組み合わせおよび部分的組み合わせが含まれるものと意図される。操作例を除いて、または別段の指示がある場合を除き、本明細書において用いられる成分または反応条件の量を表す全ての数字は、全ての場合において「約」という用語によって修飾されるものとして理解されるべきである。数値または数値範囲に言及する場合の「約」という用語は、言及される数値または数値範囲が実験のばらつき(または統計的実験誤差)内での近似値であることを意味し、したがって数値または数値範囲は、文脈から容易に認識されるように、記載された数値または数値範囲の1%~15%の間で変動しうる。さらに、本明細書において記述される任意の値の範囲は、その範囲の限界値、および所与の範囲内の任意の中間値または部分範囲を具体的に含むことが意図され、全てのそのような中間値および部分範囲は、個別的におよび具体的に開示される(例えば、1から5の範囲は、例えば、限定されるものではないが、1、1.5、2、2.75、3、3.90、4および5などの1から5までの任意の数を含む)。同様に、本明細書において用いられる「実質的に」および「およそ」などの他の程度の用語は、最終結果が有意に変化しないような、修飾された用語の合理的な変動量を意味する。これらの程度の用語は、この変動が修飾する用語の意味を否定しない場合には、例えば15%までのような、修飾された用語の変動を含むものと解釈されるべきである。
【0065】
別段の定義がない限り、本明細書において記述される配合物に関連して用いられる科学的および技術的用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。本明細書において用いられる専門用語は、特定の態様を説明することのみを目的としており、添付の特許請求の範囲によってのみ定義される本明細書における本教示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0066】
言及されている全ての刊行物、特許および特許出願は、各個々の刊行物、特許または特許出願は参照によりその全体が組み入れられることが具体的に示されている場合と同程度に、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0067】
一般に、本開示の方法およびキットは、微生物増殖を阻害するのに有効な抗菌剤およびその濃度を特定するために用いることができる。大まかに、本開示の方法は、生存微生物細胞の試料を、例えばマイクロタイタープレートなどの、マルチウェル容器の第1の複数のウェルに移す段階を含む。複数のウェルは、少なくとも1つの抗菌剤の既知濃度の範囲を含む。さらに、ウェルは微生物細胞に感染可能なバクテリオファージおよび微生物増殖培地を含む。プレートをインキュベートし、ウェル内にバクテリオファージを産生させる。その後、ウェル内のアッセイ混合物を、例えばマイクロタイタープレートなどの、第2のマルチウェル容器の第2の複数の対応するウェルに移す。その後、バクテリオファージは、例えば、標識抗体を用いることにより、第2のマイクロタイタープレートにおいて検出される。抗菌剤の有効濃度は、標識抗体が検出されない濃度である。
【0068】
当技術分野で知られているシステムでは、原因となる微生物病原体の診断と、適当な抗菌剤およびその有効濃度の特定との間にかなりのラグタイムが存在する。このラグタイムの間に、微生物病原体が損傷および/または拡散を引き起こしうる。本開示の方法およびキットは、使用者が、1種または複数種の微生物を含むかまたは含むと疑われる試料をアッセイし、1回の診断検査で、試料中に存在する1種または複数種の微生物種の増殖を阻害する抗菌剤、および1種または複数種の微生物種の増殖を阻害する抗菌剤の適当な濃度を迅速に特定することを可能にする。
【0069】
さらに、先行技術として知られている多くのシステムは、抗菌剤および/またはその適当な濃度を特定するために、流体試料から微生物種を単離することを伴うが、これは、特に試料中にいくつかの微生物種が存在する場合には、困難であり、かつ/または時間がかかる可能性がある。対照的に、本方法およびキットは、微生物種の単離を必要とせず、本開示の方法は、流体試料を用いて直接実践することができる。さらに、本開示の方法およびキットは、細菌種の混合物を含む試料をアッセイするために用いることができる。
【0070】
さらに、同じ診断検査において、試料中に存在する1つまたは複数の微生物種が特定されうる。
【0071】
さらに、本開示のキットは製造および使用が容易であり、費用効果の高い方法で実施することができる。
【0072】
以下では、選択された例示的な態様を、添付の図面を参照して記述する。
【0073】
最初に
図1を参照すると、例示的なマイクロタイタープレート10が示されており、これには実質的に平坦な上面17を有するハウジング11と、その中に埋め込まれ、上面17から下方に突出する、横列13および縦列12を形成する、概ね同一の円筒形ウェルの矩形アレイ18とが含まれる。異なる態様におけるウェルの形状およびサイズはさまざまであるが(例えば、V字形底、U字形底、平底)、ウェルは一般に、ピペット、またはマルチチャンネルピペット(図示せず)などの流体分注装置からの流体試料の受容を可能にする形状およびサイズである。異なる態様では、各ウェルに含めることができる流体量は異なりうる。しかしながら、典型的な態様では、マイクロタイタープレートは、各ウェルに5 ml以下、かつ0.01 ml以上、例えば、0.01 ml、0.05 ml、0.1 ml、0.5 ml、1 ml、2.5 mlまたは5 mlの流体量を含むことができるウェルを含むように作製される。マイクロタイタープレート10の個々のウェルを参照するために、アレイ18の横列13にはA~Hのラベルが付けられ、アレイ18の縦列12には1~12のラベルが付けられている。したがって、ほんの数例として、マイクロタイタープレート10のアレイ18において、ウェル14の位置はA1として参照され、ウェル16の位置はG6として参照され、ウェル15の位置はH12として参照されうる。明らかなように、マイクロタイタープレート10のアレイ18内の個々のウェルも同様に、文字-数字の組み合わせによって参照および識別されうる。さらに、
図1に見られるように、または数学的に決定されるように、マイクロタイタープレート10は、96ウェルの矩形アレイ18を含む。以下に記述される例示的な態様は、
図1に示されるような、12縦列および8横列を有する96ウェルマイクロタイタープレートの使用を伴う。しかしながら、例えば、異なる数のウェル、例えば、6、12、24、48、384もしくは1536ウェルおよび/または異なる数の横列もしくは縦列を有する他のマイクロタイタープレートが用いられてもよい。マイクロタイタープレートは一般に、任意の適当な材料を用いて製造することができ、好ましくは、プラスチック、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレンまたはポリカーボネートを用いて、例えば、射出成形を含む任意の適当な製造プロセスまたは技法により製造され、例えば、Thermo Fisher Scientific(登録商標), Waltham, Ma (USA)などの、生化学的または化学的アッセイで用いるためのプラスチック製品の製造業者から購入されうる。マイクロタイタープレートは、本開示によって用いることができる特に便利なマルチウェル容器である。しかしながら、本開示の方法はマイクロタイタープレートと同様の方法で、他のマルチウェル容器(例えば、マイクロウェルプレートとは幾何学的に異なる形状のマルチウェル容器)を用いて実践されうることに留意されたい。この点において、マイクロウェルプレートはマルチウェル容器の一例を表すことが理解されるべきである。
【0074】
次に、例示的な態様100、200、300および400が、本開示の方法およびシステムを例証するために記述される。本明細書で前述したように、1つの局面において、本開示の方法およびキットは、試料流体中に存在する微生物増殖を阻害することができる抗菌剤およびその濃度の特定を可能にする。
【0075】
本開示による診断アッセイにおけるマイクロタイタープレートの使用は、マイクロタイタープレートのウェルへの流体の移送と、1つまたは複数のウェルにおける微生物の存在を示す、1つまたは複数のウェルにおける検出可能なシグナルを発出させるためのある種の操作段階の実行とを伴う。大まかに言えば、第1および第2のマイクロタイタープレートのウェルにある種の成分を分注することにより、第1および第2のマイクロタイタープレートを調製する。次に、微生物を含むと分かっているまたは疑われる流体試料を、第1のマイクロタイタープレートのウェルの一部または全部に分注し、流体試料を含むウェルの各々においてアッセイ混合物を作出する。アッセイ混合物を次に、検出可能なシグナルが発出される第2のマイクロタイタープレートに移す。当業者に知られているように、マイクロタイタープレートにおける流体の分注は、測定された体積の流体を送達することができる流体分注装置、特にマイクロピペットまたはマルチチャンネルマイクロピペットを含むピペットを用いて都合よく達成されてもよく、後者のマルチチャンネルマイクロピペットは流体を、マイクロタイタープレートのウェルの横列または縦列全体を含む複数のウェルで同時に受け取ることを可能にする。第1および第2のマイクロタイタープレートの調製、ならびに微生物を含む流体試料の第1のマイクロタイタープレートへの分注から始まる診断アッセイの実施は一般に、マイクロピペットまたはマルチチャンネルマイクロピペットを用いて都合よく実施することができる。
【0076】
次に
図2A~
図2Bを参照すると、これには試料流体中に存在する微生物増殖を阻害することができる抗菌剤およびその濃度を特定するための方法およびキットの例示的な態様100を例証することを目的として、第1のマイクロタイタープレート10の5つの異なる状態s1a、s2a、s3a、s4aおよびs5a (
図2A)、ならびに第2のマイクロタイタープレート20の4つの異なる状態s1b、s2b、s3bおよびs4b (
図2B)が示されている。
【0077】
ここで
図2Aを参照すると、第1の状態s1aで、第1のマイクロタイタープレート10の全てのウェルは空であり、したがって、状態s1aは第1のマイクロタイタープレートが提供されたことを反映している。
【0078】
引き続き
図2Aを参照すると、第2の状態s2aで、ある量の抗菌剤が、流体分注装置を用いてマイクロタイタープレート10のウェルA1~A12に分注されている。特に、各ウェルA1~A12が異なる既知濃度の抗菌剤を含むように、ある範囲の既知濃度の抗菌剤が分注されている。抗菌剤の濃度は、例えば、ウェルA1における最低濃度からウェルA12における最高濃度まで、またはその逆に分注されるように選択することができる。抗菌剤の濃度は一般に、濃度範囲の下限(例えば、ウェルA1~A3に分注される)では、微生物増殖阻害が限定的に行われるまたは全く行われないと予想されるように濃度が十分に低く、一方、濃度範囲の上限(例えば、ウェルA10~A12に分注される)では、微生物増殖の実質的な阻害が行われると予想されるように抗菌剤の濃度が十分に高くなると予想されるように選択されることが好ましい。いくつかの態様において、1つのウェル、例えば、ウェルA1は、抗菌剤を含まなくてもよい。いくつかの態様において、ウェルA1~A12は、抗菌剤の連続希釈液を含んでもよい。抗菌剤は、本明細書で後述されるように、試験される微生物を含む流体試料に関して特に、抗菌効力を有すると疑われる任意の既知の抗菌剤または化合物であってよい。これに用いられうる既知の抗菌剤は、β-ラクタム系抗菌剤、β-ラクタム/β-ラクタマーゼ阻害剤併用抗菌剤、および非β-ラクタム系抗菌剤を含む。
【0079】
β-ラクタム系抗菌剤は、非限定的に、ペニシリン、非経口および経口セフェム、モノバクタム、ならびにペネムのクラスに属する抗菌剤を含む。
【0080】
ペニシリンのクラスに属する抗菌剤の例としては、ペニシリン、アミノペニシリン(例えば、アモキシシリン、アンピシリン)、カルボキシペニシリン(例えば、カルベニシリン、チカルシリン)およびウレイドペニシリン(例えば、アズロシリン、ピペラシリン)を含むペニシリナーゼ不安定性ペニシリン、ならびにクロキサシリン、ジクロキサシリン、ナフシリンおよびオキサシリンなどの、ペニシリナーゼ安定性ペニシリンが挙げられる。
【0081】
非経口セフェムのクラスに属する抗菌剤の例としては、セファロスポリンI (例えば、セファゾリン、セファロチン)、セファロスポリンII (例えば、セファマンドール、セフォニシド)、セファロスポリンIII (例えば、セフィキシム、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフタジジム、セフトリアキソン)、セファロスポリンIV (例えば、セフィピム、セフィペローム)、抗MRSA活性を有するセファロスポリン(例えば、セフタロリン、セフトビプロール)、セファマイシン(例えば、セフメタゾール、セフォテタン、セフォキシチン)、オキサセフェム(例えば、モキサラクタム)、およびシデロホリンセファロスポリン(例えば、セフィデロコル)などの、セファロスポリンが挙げられる。
【0082】
経口セフェムのクラスに属する抗菌剤の例としては、例えば、セファクロルおよびセフロキシムが挙げられる。
【0083】
モノバクタムのクラスに属する抗菌剤の例としては、例えば、アズトレオナムが挙げられる。
【0084】
ペネムのクラスに属する抗菌剤の例としては、カルバペネム(例えば、ビアペネム、ドリペネム、エルタペネム イミペネム、メロペネム、ラズペネム、テビペネム)ならびにペネム(例えば、ファロペネムおよびスルペネム)が挙げられる。
【0085】
β-ラクタム/β-ラクタマーゼ阻害剤の組み合わせは、非限定的に、アモキシシリン/Kクラブラネート、アンピシリン/スルバクタム、セフタジジム/アビバクタム、セフトロザン/タゾバクタム、メロペネム/バボルバクタム、ピペラシリン/タゾバクタム、およびチカルシリン/Kクラブラネートなどの、β-ラクタム/β-ラクタマーゼ阻害剤の組み合わせを含む。
【0086】
非β-ラクタム系抗菌剤は、非限定的に、アジスロマイシン、クラリスロマイシンおよびエリスロマイシンなどのマクロライド; クロラムフェニコールおよびチアンフェニコールなどのフェニコール; シノキサシンおよびガレノキサシンなどのキノロン; シプロフロキサシン、シプロフロキサシン-S、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシンおよびオフロキサシンなどのフルオロキノロン; クリンダマイシン、誘導性クリンダマイシンおよびリンコマイシンなどのリンコサミド; コリスチンA RUO、コリスチンE、P-RUOおよびポリミキシンBなどのポリミキシン; ダプトマイシンおよびスロトマイシンなどのリポペプチド; エルバサイクリン、ミノサイクリンおよびテトラサイクリンなどのテトラサイクリン; ホスホマイシンRUOなどのホスホマイシン; アミキシン、ゲンタマイシン、カナマイシンおよびトブラマイシンなどのアミノグリコシド; リネゾリドなどのオキサゾリドン; ニトロフラントインなどのニトロフラン; リファマイシンなどのアンサマイシン(例えば、リファブチン、リファペンチン、リファンピン、リファキシミン); シネルシドなどのストレプトグラミン; チゲサイクリンなどのグリシルサイクリン; トリメトルプリムおよびトリメトプリム/スルファメトキサゾールなどの葉酸経路阻害剤; ならびにバンコマイシン、ダルババンシンおよびラモプラニンなどのグリコペプチドを含む。
【0087】
前述の例示的な抗菌剤は全て、本開示の方法を実施するために本明細書に記述されるように、本明細書によって用いられ、マイクロタイタープレート10に分注されうる。本開示の方法およびキットは、特定の抗菌剤に限定されないことが理解されるべきである。例として本明細書に記載されるものを含めて、任意のおよび全ての抗菌剤が、本明細書によって用いられうる。
【0088】
再び
図2Aを参照すると、他の態様において、より少ない希釈の抗菌剤が用いられてもよく、12ウェルの代わりに、マイクロタイタープレート10の11ウェル(例えば、ウェルA1~A11)、10ウェル(例えば、ウェルA1~A10)、9ウェル(例えば、ウェルA1~A9)、またはさらに少ないウェルが、ある範囲の既知濃度の抗菌剤を分注するために用いられうることにさらに留意されたい。
【0089】
引き続き
図2Aを参照すると、第3の状態s3aで、ある量の微生物増殖培地がマイクロタイタープレート10のウェルA1~A12の各々に分注されている。増殖培地はさまざまであってよいが、試験される流体試料中に存在する微生物に関して選択される。適当な微生物増殖培地は、例えば、de Man, J.D.; Rogosa, M.; Sharpe, M.E. (1960): 「A Medium for the Cultivation of Lactobacilli」, J. Appl Bact. 23 (130-135)に記述されているMRS液体培地またはその改変物を含む。使用されうるさらなる増殖培地は、トリプチケースソイブロス(TSB)、ニュートリエントブロス、ルリア・ベルターニブロス(LB-ブロス)、およびISP培地#1、またはそれらの改変物、ならびに当技術分野で公知の他の微生物増殖培地を含む。一般に、微生物増殖を可能にする任意の培地が用いられうる。
【0090】
引き続き
図2Aを参照すると、第4の状態s4aで、ウェルA1~A12の各々に、ある量のバクテリオファージ、特に、試験される流体試料中に存在する微生物細胞に感染することができるバクテリオファージが分注されている。異なる微生物に対するバクテリオファージは、一般に当技術分野で認識されており、例えば、Molineux, I. J. (2006). Chapter 20: The T7 group. In: The Bacteriophages (R. Calendar, ed.), pp. 277. Oxford University Press, Oxford, UK; およびMosig, G. and Eiserlingm F. (2006). Chapter 18: T4 and Related Phages: Structure and Development. In: The Bacteriophages (R. Calendar, ed.), pp, 225. Oxford University Press, Oxford, UKによって記述されているバクテリオファージを含む。バクテリオファージは、Bacteriophages: Biology and Applications. E. Kutter and A. Sulakvelidze, 2004, CRC Press, New Yorkに記述されているように調製されてもよく、またはアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)などのコレクション、例えば、ATCCカタログ番号BAA-1025-B2 (大腸菌T7バクテリオファージ); 11303-B6 (大腸菌T6バクテリオファージ); および11303-B2 (大腸菌T2バクテリオファージ)から入手されてもよい。さらに、バクテリオファージは、特定の供給源物質、例えばヒト、動物、または環境供給源物質、例えば水、例えば地表水試料、廃水試料、下水試料、汚泥などから単離された試料物質から単離されてもよい。一般に、バクテリオファージは、特に、本明細書で後述されるように、試験される流体試料中の微生物に関連して、任意の公知のバクテリオファージであってもよい。
【0091】
当業者に知られているように、あるバクテリオファージ株は細菌種の、全ての株、実質的に全ての株、または関心対象の全ての株に感染することができる。他のバクテリオファージ株は、1つまたは複数の微生物株に特異的であるが、微生物種の他の株に感染することはできない。それゆえ、いくつかの態様において、マイクロタイタープレート10のウェルA1~A12の各々に分注されるバクテリオファージの量は、バクテリオファージ株の混合物を含んでもよく、ここでこの混合物は複数のバクテリオファージ株を含み、そのような複数のバクテリオファージ株は、微生物種の少なくとも第1の微生物株に感染することができる少なくとも第1のバクテリオファージ株、および同じ微生物種の少なくとも第2の微生物株に感染することができる第2のバクテリオファージ株を含む。
【0092】
状態s2a、s3aおよびs4aは、それぞれ既知の濃度範囲の抗菌剤、微生物増殖培地、およびバクテリオファージの範囲のウェルA1~A12における成分の連続分注を表すことに留意されたい。分注の順序は変えられてもよく、3つの成分はどのような順序で加えられてもよい。さらに、3つの成分の各々の分注後、マイクロタイタープレート10は、使用者が、微生物を含む流体試料を試験するためにマイクロタイタープレート10を使用することを望むまで、非常に好ましくは周囲の微生物の混入を防ぐ条件の下で、保管されうる。
【0093】
引き続き
図2Aを参照すると、第5の状態s5aで、ウェルA1~A12の各々に、微生物を含むある量の流体試料が分注されている。流体試料は、微生物を含むことが分かっているまたは疑われる任意の流体試料であることができる。いくつかの態様において、例えば、微生物を含む流体試料は、例えば、血液、尿、流動化した糞便物質、または流動化した生検物質などの、ヒトまたは動物の体液または物質であることができる。1つの態様において、微生物は、感染性病原体を含むヒトまたは動物の病原体であることができる。他の態様において、流体試料は、例えば、食肉加工または果物および野菜加工を含む、食品の生産、加工または消費の連鎖に関連する流体試料であることができる。他の態様において、流体試料は、環境水試料、例えば、地表水試料(例えば、河川、湖沼、小川、池、運河試料)、地下水試料、廃水試料、または下水試料などの水試料であることができる。さらに、水試料は、特定の選択された地理的位置から、例えば、産業活動の近傍に位置する地域から得られうる。他の態様において、流体試料は、生物兵器に関連する流体試料であることができる。さらに他の態様において、流体試料は、例えば化石燃料抽出に関するプロセスを含む、他の産業プロセスに関連する流体試料であることができる。
【0094】
さらに、いくつかの態様において、微生物試料は、最初に非液体源物質から得ることができることに留意されたい。したがって、例えば、一般に無菌のワイプ、もしくはスワブなどの微生物収集装置を用いて、固体表面から微生物試料を回収することができ、または、空中浮遊微生物を捕捉するために、高効率微粒子空気(HEPA)フィルタなどのフィルタを用いて、空中浮遊微生物を含む試料を収集することができる。微生物収集装置はその後、例えば、収集装置を滅菌水または緩衝液に浸漬することにより、回収された微生物を含む流動化試料を得るために処理される。
【0095】
したがって、本開示の方法は、極めて多様な供給源物質から得られた微生物を含む試料を評価するために用いられうることが明らかであろう。原則として、微生物を含むまたは微生物を含むと疑われる任意の供給源物質を選択し、本開示によって用いることができる。
【0096】
微生物は、任意の生存細菌細胞、生存酵母細胞、生存カビ細胞および生存マイコバクテリア細胞を含めて、任意の生存微生物であってよく、それらの任意の科、属、亜属、種、亜種、品種または菌株を含む。
【0097】
特定の例示的な態様において、細胞はエンテロコッカス属、スタフィロコッカス属、クレブシエラ属、アシネトバクター属、シュードモナス属、およびエンテロバクター属から選択される細菌属に属する生存細菌細胞でありうる。
【0098】
さらに特定の例示的な態様において、細胞はエンテロコッカス・フェシウム、黄色ブドウ球菌、肺炎桿菌、アシネトバクター・バウマンニ、緑膿菌、およびエンテロバクター・クロアカから選択される細菌種に属する生存細菌細胞でありうる。
【0099】
さらなる態様において、細胞はアビオトロフィア・デフェクティバ(Abiotrophia defectiva)、アクロモバクター・ジニトリフィカンス(Achromobacter dinitrificans)、アクロモバクター・キシロソキシダンス(Achromobacter xylosoxidans)、アシネトバクター・バウマンニ/ノソコミアリス(nosocomialis)、アシネトバクター・カルコアセティカス(Acinetobacter calcoaceticus)、アシネトバクター・ヘモリティカス(Acinetobacter haemolyticus)、アシネトバクター・ジョンソニー(Acinetobacter johnsonii)、アシネトバクター・ジュニー(Acinetobacter junii)、アシネトバクター・ルウォフィ(Acinetobacter lwoffii)、アシネトバクター・ノソコミアリス(Acinetobacter nosocomialis)、アシネトバクター・ピッティ(Acinetobacter pittii)、アシネトバクター・レイディオレジステンス(Acinetobacter radioresistens)、アシネトバクター・ウルシンギイ(Acinetobacter ursingii)、アクチノマイセス・ボビス(Actinomyces bovis)、アクチノマイセス・ユーロパエウス(Actinomyces europaeus)、アクチノマイセス・フンケイ(Actinomyces funkei)、アクチノマイセス・グラエベニッツィイ(Actinomyces graevenitzii)、アクチノマイセス・ハイオバギナリス(Actinomyces hyovaginalis)、アクチノマイセス・イスラエリ(Actinomyces israelii)、アクチノマイセス・メイエリー(Actinomyces meyeri)、アクチノマイセス・ネスランディ(Actinomyces naeslundii)、アクチノマイセス・ノウイイ(Actinomyces neuii)、アクチノマイセス・オドントリティカス(Actinomyces odontolyticus)、アクチノマイセス・オリス(Actinomyces oris)、アクチノマイセス・ラディンガエ(Actinomyces radingae)、アクチノマイセス・ツリセンシス(Actinomyces turicensis)、アクチノマイセス・ウロゲニタリス(Actinomyces urogenitalis)、アクチノティグヌム・シャアリイ(Actinotignum schaalii)、アエロコッカス・サンギニコラ(Aerococcus sanguinicola)、アエロコッカス・ウリナエ(Aerococcus urinae)、アエロコッカス・ビリダンス(Aerococcus viridans)、エロモナス・サルモニシダ(Aeromonas salmonicida)、エロモナス・ハイドロフィラ/キャビエ(Aeromonas hydrophila/caviae)、エロモナス・ジャンダエイ(Aeromonas jandaei)、エロモナス・プンクタータ(キャビエ)(Aeromonas punctata (caviae))、エロモナス・ソブリア(Aeromonas sobria)、アグレガチバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)、アグレガチバクター・アフロフィルス(Aggregatibacter aphrophilus)、アグレガチバクター・セグニス(Aggregatibacter segnis)、アルカリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)、アロイオコッカス・オタイティス(Alloiococcus otitis)、アロスカルドビア・オムニコレンス(Alloscardovia omnicolens)、アナエロココッカス・ムルドキイ(Anaerococcus murdochii)、アナエロコッカス・バギナリス(Anaerococcus vaginalis)、アルスロバクター・クムミンシイ(Arthrobacter cumminsii)、バクテロイデス・カッカエ(Bacteroides caccae)、バクテロイデス・エガーシイ(Bacteroides eggerthii)、バクテロイデス・フラギリス(Bacteroides fragilis)、バクテロイデス・ノルディイ(Bacteroides nordii)、バクテロイデス・オバタス(Bacteroides ovatus)、バクテロイデス・ピオゲネス(Bacteroides pyogenes)、バクテロイデス・サリエルシエ(Bacteroides salyersiae)、バクテロイデス・ステルコリス(Bacteroides stercoris)、バクテロイデス・シータイオタオミクロン(Bacteroides thetaiotaomicron)、バクテロイデス・ユニフォルミス(Bacteroides uniformis)、バクテロイデス・ブルガタス(Bacteroides vulgatus)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビロフィラ・ワーズワーシア(Bibliophila wadsworthia)、ボルデテラ・アビウム(Bordetella avium)、ボルデテラ・ブロンキセプティカ(Bordetella bronchiseptica)、ボルデテラ・ヒンジイ(Bordetella hinzii)、ボルデテラ・パラパーツシス(Bordetella parapertussis)、ボルデテラ・パーツシス(Bordetella pertussis)、ブレビバクテリウム・カセイ(Brevibacterium casei)、ブレブンディモナス・ディミヌタ(Brevundimonas diminutam)、ブレバンディモナス・ベシキュラリス(Brevundimonas vesicularis)、ブルセラ属菌(Brucella spp.)、バークホルデリア・セノセパシア(Burkholderia cenocepacia)、バークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacian)、バークホルデリア・コンタミナンス(Burkholderia contaminans)、バークホルデリア・グラディオリ(Burkholderia gladioli)、バークホルデリア・マルチボランス(Burkholderia multivorans)、バークホルデリア・ベトナミエンシス(Burkholderia vietnamienis)、カンピロバクター・コリ(Campylobacter coli)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、カンピロバクター・レクタス(Campylobacter rectus)、カンピロバクター・ウレオリティカス(Campylobacter ureolyticus)、カプノサイトファーガ・オクラセア(Capnocytophaga ochracea)、カプノサイトファーガ・スプチゲナ(Capnocytophaga sputigena)、セデセア・ダヴィスアエ(Cedecea davisae)、セデセア・ラパゲイ(Cedecea lapagei)、クリセオバクテリウム・グレウム(Chryseobacterium gleum)、クリセオバクテリウム・インドロゲネス(Chryseobacterium indologenes)、シトロバクター・アマロナティカス(Citrobacter amalonaticus)、シトロバクター・ブラキー(Citrobacter braakii)、シトロバクター・ファルメリ(Citrobacter farmer)、シトロバクター・フレンディ(Citrobacter freundii)、シトロバクター・コセリ(Citrobacter koseri)、シトロバクター・ヨンエ(Citrobacter youngae)、クロストリジウム・バラティ(Clostridium baratii)、クロストリジウム・ベイジェリンキー(Clostridium beijerinckii)、クロストリジウム・バイファーメンタンス(Clostridium bifermentans)、クロストリジウム・ボツリナム(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)、クロストリジウム・カダベリス(Clostridium cadaveris)、クロストリジウム・クロストリジオフォルメ(Clostridium clostridioforme)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、クロストリジウム・イノキューム(Clostridium innocuum)、クロストリジウム・ノヴィ(Clostrium novyi)、クロストリジウム・パラピュトリフィカム(Clostridium paraputrificum)、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)、クロストリジウム・ラモーサム(Clostridium ramosum)、クロストリジウム・セプチカム(Clostridium septicum)、
クロストリジウム・ソルデリ(Clostridium sordellii)、クロストリジウム・スポロゲネス(Clostridium sporogenes)/クロストリジウム・テルチウム(Clostridium tertium)、クロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani)、コマモナス・テストステロン(Comamonas testosterone)、コリネバクテリウム・アクコレンス(Corynebacterium accolens)、コリネバクテリウム・アフェルメンタンス(Corynebacterium afermentans)、コリネバクテリウム・アミコラタム(Corynebacterium amycolatum)、コリネバクテリウム・アウリムコスム(Corynebacterium aurimucosum)、コリネバクテリウム・ボビス(Corynebacterium bovis)、コリネバクテリウム・コイレア(Corynebacterium coyleae)、コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheriae)、コリネバクテリウム・フレネイ(Corynebacterium freneyi)、コリネバクテリウム・グルクロノリティカム(Corynebacterium glucuronolyticum)、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、コリネバクテリウム・ジェイケイウム(Corynebacterium jeikeium)、コリネバクテリウム・クロッペンステッティイ(Corynebacterium kroppenstedtii)、コリネバクテリウム・マクギンレイ(Corynebacterium macginleyi)、コリネバクテリウム・ミヌティシマム(Corynebacterium minutissimum)、コリネバクテリウム・ムシファシエンス(Corynebacterium mucifaciens)/ウレイセレリボランス(ureicelerivorans)、コリネバクテリウム・プロピンクム(Corynebacterium propinquum)、コリネバクテリウム・シュードジフテリティカム(Corynebacterium pseudodiphtheriticum)、コリネバクテリウム・シュードツベルクロシス(Corynebacterium pseudotuberculosis)、コリネバクテリウム・レジステンス(Corynebacterium resistens)、コリネバクテリウム・リエゲリイ(Corynebacterium riegelii)、コリネバクテリウム・ストリアタム(Corynebacterium striatum)、コリネバクテリウム・ツベルクロステアリカム(Corynebacterium tuberculostearicum)、コリネバクテリウム・ウルセランズ(Corynebacterium ulcerans)、コリネバクテリウム・ウレアリティカム(Corynebacterium urealyticum)、コリネバクテリウム・ゼローシス(Corynebacterium xerosis)、クロノバクター・ムイトジェンシイ(Cronobacter muytjensii)、クロノバクター・サカザキイ(Cronobacter sakazakii)、クロノバクター・ツリセンシス(cronobacter turicensis)、キュープリアビダス・パウクルス(Cupriavidus pauculus)、クルトバクテリウム・フラクムファシエンス(Curtobacterium flaccumfaciens)、デルフチア・アシドボランス(Delftia acidovorans)、デルマバクター・ホミニス(Dermabacter hominis)、ダーマコッカス・ニシノミヤエンシス(Dermacoccus nishinomiyaensis)、エドワードシエラ・ホシナエ(Edwardsiella hoshinae)、エドワードシエラ・タルダ(Edwardsiella tarda)、エイケネラ・コローデンス(Eikenella corrodens)、エリザベスキンギア・アノフェリス(Elizabethkingia anopheles)、エリザベスキンギア・メニンゴセプティカ(Elizabethkingia meningoseptica)、エリザベスキンギア・ミリコラ(Elizabethkingia miricola)、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)、エンテロバクター・アムニゲナス(Enterobacter amnigenus)、エンテロバクター・アスブリエ(Enterobacter asburiae)、エンテロバクター・カンセロゲヌス(Enterobacter cancerogenus)、エンテロバクター・クロアカエ、エンテロバクター・ホルメシェイ(Enterobacter hormaechei)、エンテロバクター・コベイ(Enterobacter kobei)、エンテロバクター・ルドウィギ(Enterobacter ludwigii)、エンテロコッカス・アビウム(Enterococcus avium)、エンテロコッカス・カセリフラブス(Enterococcus casseliflavus)、エンテロコッカス・デュランス(Enterococcus durans)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム、エンテロコッカス・ガリナルム(Enterococcus gallinarum)、エンテロコッカス・ヒラエ(Enterococcus hirae)、エンテロコッカス・ムンティ(Enterococcus mundtii)、エンテロコッカス・ラフィノサス(Enterococcus raffinosus)、大腸菌、エシェリキア・フェルグソニ(Escherichia fergusonii)、エシェリキア・ヘルマンニ(Escherichia hermannii)、エシェリキア・ブルネリス(Escherichia vulneris)、エウィンゲラ・アメリカナ(Ewingella americana)、ファクラミア・ホミニス(Facklamia hominis)、フィネゴルジア・マグナ(Finegoldia magna)、フルオリバクター・ボゼマナエ(Fluoribacter bozemanae)、フソバクテリウム・カニフェリナム(Fusobacterium canifelinum)、フソバクテリウム・ネクロフォーラム(Fusobacterium necrophorum)、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、フソバクテリウム・ペリオドンティカム(Fusobacterium periodonticum)、ガードネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)、ゲメラ・ヘモリサンス(Gemella haemolysans)、ゲメラ・モルビロラム(Gemella morbillorum)、ゲメラ・サングイニス(Gemella sanguinis)、グラヌリカテラ・アディアセンス(Granulicatella adiacens)、ヘモフィルス・ヘモリティカス(Haemophilus haemolyticus)、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)、ヘモフィルス・パラヘモリティカス(Haemophilus parahaemolyticus)、ヘモフィルス・パラインフルエンザ(Haemophilus parainfluenzae)、ハフニア・アルベイ(Hafnia alvei)、ハセワヤ・ヒストリティカ(Hathewaya histolytica)、ヘルココッカス・クンジ(Helcococcus kunzii)、キンゲラ・デニトリフィカンス(Kingella denitrificans)、キンゲラ・キンガエ(Kingella kingae)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)/ ラウルテラ・オルニチノリティカ(Raoultella ornithinolytica)、肺炎桿菌、クレブシエラ・ヴァリイコラ(Klebsiella variicola)、クライベラ・アスコルベート(Kluyvera ascorbate)、クライベラ・クリオクレッセンス(Kluyvera cryocrescens)、クライベラ・インターメディア(Kluyvera intermedia)、コクリア・クリスティナエ(Kocuria kristinae)、コクリア・リゾフィラ(Kocuria rhizophila)、コダマエア・オウメリ(Kodamaea ohmeri)、キトコッカス・セデンタリウス(Kytococcus sedentarius)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ジェンセニイ(Lactobacillus jensenii)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトコッカス・ガルビエ(Lactococcus garvieae)、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)、レクレシア・アデカルボキシレート(Leclercia adecarboxylata)、レジオネラ・ロングビーチアエ(Legionella longbeachae)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、レリオッティア・アムニゲナ(Lelliottia amnigena)、ロイコノストック・シトリウム(Leuconostoc citreum)、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、ロイコノストック・シュードメセンテロイデス(Leuconostoc pseudomesenteroides)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、マクロコッカス・カセオリティカス(Macrococcus caseolyticus)、マラセチア・フルフル(Malassezia furfur)、マラセチア・パチデルマティス(Malassezia pachydermatis)、マンヘミア・ヘモリティカ(Mannheimia haemolytica)、マイクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)、マイクロコッカス・ライレ(Micrococcus lylae)、モビルンカス・クルティシイ(Mobiluncus curtisii)、モラクセラsgブランハメラ・カタラーリス(Moraxella sg Branhamella catarrhalis)、モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)、モラクセラ・ラクナータ(Moraxella lacunata)、モラクセラsgモラクセラ・ノンリクエファシエンス(Moraxella sg Moraxella nonliquefaciens)、モラクセラsgモラクセラ・オスロエンシス(Moraxella sg Moraxella osloensis)、モルガネラ・モルガニー(Morganella morganii)、ミロイデス・オドラティミマス(Myroides odoratimimus)、ミロイデス・オドラタス(Myroides odoratus)、ナイセリア・バシリホルミス(Neisseria bacilliformis)、ナイセリア・シネレア(Neisseria cinerea)、ナイセリア・エロンゲート(Neisseria elongate)、ナイセリア・フラベセンス/サブフラバ(Neisseria flavescens/subflava)、ナイセリア・ゴノルホエア(Neisseria gonorrhoeae)、ナイセリア・ラクタミカ(Neisseria lactamica)、ナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitidis)、ナイセリア・ムコサ(Neisseria mucosa)、ナイセリア・シッカ(Neisseria sicca)、ナイセリア・ウェアベリ(Neisseria weaver)、ノカルディア・アブセッサス(Nocardia abscessus)、ノカルディア・アフリカーナ(Nocardia Africana)、ノカルディア・アステロイズ(Nocardia asteroids)、ノカルディア・ブラジリエンシス(Nocardia brasiliensis)、ノカルディア・シリアシゲオルジカ(Nocardia cyriacigeorgica)、ノカルディア・ファルシニカ(Nocardia farcinica)、ノカルディア・ノバ(Nocardia nova)、ノカルディア・オタイティディスカビアラム(Nocardia otitidiscaviarum)、ノカルディア・パウシボランス(Nocardia paucivorans)、ノカルディア・シュードブラジリエンシス(Nocardia pseudobrasiliensis)、ノカルディア・トランスバレンシス(Nocardia transvalensis)、ノカルディア・ベテラナ(Nocardia veterana)、ノカルディア・ワラセイ(Nocardia wallacei)、オクロバクトラム・アンスロピ(Ochrobactrum anthropic)、オリゲラ・ウレオリティカ(Oligella ureolytica)、オリゲラ・ウレトラリス(Oligella urethralis)、パエニクロストリジウム・ソルデリ(Paeniclostridium sordellii)、パントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans)、パラバクテロイデス・ディスタソニス(Parabacteroides distasonis)、パラバクテロイデス・ディスペラ(Parabacteroides dispera)、パラバクテロイデス・ゴールドスタイニイ(Parabacteroides goldsteinii)、パラバクテロイデス・ジョンソニイ/メルダエ(Parabacteroides johnsonii/merdae)、パラクロストリジウム・ビフェルメンタンス(Paraclostridium bifermentans)、パルビモナス・マイクラ(Parvimonas micra)、パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)、ペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus)、ペプトニフィラス・アサッカロリチカス(Peptoniphilus asaccharolyticus)、ペプトニフィラス・ハレイ(Peptoniphilus harei)、ペプトストレプトコッカス・アナエロビウス(Peptostreptococcus anaerobius)、プレジオモナス・シゲロイデス(Plesiomonas shigelloides)、プルラリバクター・ゲルゴビエ(Pluralibacter gergoviae)、ポルフィロモナス・アサッカロリティカ/ウエノニス(Porphyromonas asaccharolytica/uenonis)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、ポルフィロモナス・ソメラエ(Porphyromonas somerae)、プレボテラ・ビビア(Prevotella bivia)、プレボテラ・ブッカエ(Prevotella buccae)、プレボテラ・デンティコラ(Prevotella denticola)、プレボテラ・インターメディア(Prevotella intermedia)、プレボテラ・ロエッシェイイ(Prevotella loescheii)、プレボテラ・メラニノジェニカ(Prevotella melaninogenica)、プレボテラ・オラリス(Prevotella oralis)、プレボテラ・オリス(Prevotella oris)、プロピオニバクテリウム・アシディプロピオニッチ(Propionibacterium acidipropionici)、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)、プロピオニバクテリウム・アビダム(Propionibacterium avidum)、プロピオニバクテリウム・グラヌロサム(Propionibacterium granulosum)、プロピオニバクテリウム・プロピオニカム(Propionibacterium propionicum)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、プロテウス・ペンネリ(Proteus penneri)、
プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、プロビデンシア・アルカリファシエンス(Providencia alcalifaciens)、プロビデンシア・レットゲリ(Providencia rettgeri)、プロビデンシア・ラスティジアニイ(Providencia rustigianii)、プロビデンシア・スチュアルティ(Providencia stuartii)、緑膿菌、シュードモナス・アルカリゲネス(Pseudomonas alcaligenes)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・ルテオラ(Pseudomonas luteola)、シュードモナス・メンドシナ(Pseudomonas mendocina)、シュードモナス・オリジハビタンス(Pseudomonas oryzihabitans)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、シュードモナス・スタッツェリ(Pseudomonas stutzeri)、ラルストニア・ピッケティ(Ralstonia pickettii)、ラウルテラ・オルニチノリティカ(Raoultella ornithinolytica)、ラウルテラ・プランティコラ(Raoultella planticola)、ラウルテラ・テリゲナ(Raoultella terrigena)、リゾビウム・ラジオバクター(Rhizobium radiobacter)、ロドトルラ・ムシラギノーサ(Rhodotorula mucilaginosa)、ロチア・アエリア(Rothia aeria)、ロチア・デントカリオサ(Rothia dentocariosa)、ロチア・ムシラギノーサ(Rothia mucilaginosa)、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)、サプロカエテ・カピタタ(Saprochaete capitata)、セラチア・フィカリア(Serratia ficaria)、セラチア・フォンティコラ(Serratia fonticola)、セラチア・グリメシ(Serratia grimesii)、セラチア・リクファシエンス(Serratia liquefaciens)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、セラチア・オドリフェラ(Serratia odorifera)、セラチア・プリムシカ(Serratia plymuthica)、セラチア・プロテアマクランス(Serratia proteamaculans)、セラチア・キニボランス(Serratia quinivorans)、セラチア・ルビダ(Serratia rubidaea)、シェワネラ・プトレファシエンス(Shewanella putrefaciens)、フィンゴバクテリウム・マルチボラム(Sphingobacterium multivorum)、フィンゴバクテリウム・スピリティボラム(Sphingobacterium spiritivorum)、スフィンゴモナス・パウシモビリス(Sphingomonas paucimobilis)、黄色ブドウ球菌、スタフィロコッカス・アウリクラリス(Staphylococcus auricularis)、スタフィロコッカス・カピティス(Staphylococcus capitis)、スタフィロコッカス・カプラエ(Staphylococcus caprae)、スタフィロコッカス・カルノサス(Staphylococcus carnosus)、スタフィロコッカス・クロモゲネス(Staphylococcus chromogenes)、スタフィロコッカス・コーニ(Staphylococcus cohnii)、スタフィロコッカス・デルフィニ(Staphylococcus delphini)、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・エクオラム(Staphylococcus equorum)、スタフィロコッカス・フェリス(Staphylococcus felis)、スタフィロコッカス・ヘモリチカス(Staphylococcus haemolyticus)、スタフィロコッカス・ホミニス(Staphylococcus hominis)、スタフィロコッカス・ハイカス(Staphylococcus hyicus)、スタフィロコッカス・インターメディウス(Staphylococcus intermedius)、スタフィロコッカス・レンタス(Staphylococcus lentus)、スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス(Staphylococcus lugdunensis)、スタフィロコッカス・パステウリ(Staphylococcus pasteuri)、スタフィロコッカス・ペッテンコフェリ(Staphylococcus pettenkoferi)、スタフィロコッカス・シュードインターメディウス(Staphylococcus pseudintermedius)、スタフィロコッカス・サッカロリティカス(Staphylococcus saccharolyticus)、スタフィロコッカス・サプロフィティカス(Staphylococcus saprophyticus)、スタフィロコッカス・シュライフェリ(Staphylococcus schleiferi)、スタフィロコッカス・シウリ(Staphylococcus sciuri)、スタフィロコッカス・シミュランス(Staphylococcus simulans)、スタフィロコッカス・ビツリヌス(Staphylococcus vitulinus)、スタフィロコッカス・ワーネリー(Staphylococcus warneri)、スタフィロコッカス・キシローサス(Staphylococcus xylosus)、ステノトロフォモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、ストレプトコッカス・アンギノーサス(Streptococcus anginosus)、ストレプトコッカス・カニス(Streptococcus canis)、ストレプトコッカス・コンステラタス(Streptococcus constellatus)、ストレプトコッカス・クリスタタス(Streptococcus cristatus)、ストレプトコッカス・ディスガラクティエ(Streptococcus dysgalactiae)、ストレプトコッカス・エクイ(Streptococcus equi)、ストレプトコッカス・エクイナス(Streptococcus equinus)、ストレプトコッカス・ガロリティカス(Streptococcus gallolyticus)、ストレプトコッカス・ゴルドニ(Streptococcus gordonii)、ストレプトコッカス・インファンタリウス(Streptococcus infantarius)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・ルテティエンシス(Streptococcus lutetiensis)、ストレプトコッカス・ミティス/オラリス(Streptococcus mitis/oralis)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、ストレプトコッカス・パラサングイニス(Streptococcus parasanguinis)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・サリバリウス/ベスチブラリス(Streptococcus salivarius/vestibularis)、ストレプトコッカス・サングイニス(Streptococcus sanguinis)、ストレプトコッカス・ソブリヌス(Streptococcus sobrinus)、ストレプトコッカス・スイス(streptococcus suis)、ストレプトコッカス・サーモフィルス. (Streptococcus thermophilus)、ストレプトコッカス・ウベリス(Streptococcus uberis)、ステレラ・ワズワースエンシス(Sutterella wadsworthensis)、タンネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia)、トルペレラ・ベルナルディアエ(Trueperella bernardiae)、ツリセラ・オタイティディス(Turicella otitidis)、バゴコッカス・フルビアリス(Vagococcus fluvialis)、ベイロネラ・ディスパー(Veillonella dispar)、ベイロネラ・パルブラ(Veillonella parvula)、ビブリオ・アルギノリチカス(Vibrio alginolyticus)、ビブリオ・コレラ(Vibrio cholerae)、ビブリオ・フルビアリス(Vibrio fluvialis)、ビブリオ・メトシュニコビ(Vibrio metschnikovii)、ビブリオ・ミミカス(Vibrio mimicus)、ビブリオ・パラヘモリティカス(Vibrio parahaemolyticus)、ビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus)、ウィークセラ・ビローサ(Weeksella virosa)、エルシニア・エンテロコリティカ(Yersinia enterocolitica)、エルシニア・フレデリクセニ(Yersinia frederiksenii)、エルシニア・インターメディア(Yersinia intermedia)、エルシニア・クリステンセニ(Yersinia kristensenii)、エルシニア・シュードツベルクローシス(Yersinia pseudotuberculosis)およびエルシニア・ラッケリ(Yersinia ruckeri)から選択される細菌細胞でありうる。
【0100】
さらなる態様において、細胞はカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・オーリス(Candida auris)、カンジダ・ボイディニ(Candida boidinii)、カンジダ・ダブリニエンシス(Candida dubliniensis)、カンジダ・ドゥオブシャエミュロニ(Candida duobushaemulonii)、カンジダ・ファマタ(Candida famata)、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)、カンジダ・ギリエルモンディ(Candida guilliermondii)、カンジダ・ヘムロニス(Candida haemulonis)、カンジダ・インコンスピクア(Candida inconspicua)、カンジダ・インターメディア(Candida intermedia)、カンジダ・ケフィール(Candida kefyr)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)、カンジダ・ラムビカ(Candida lambica)、カンジダ・リポリティカ(Candida lipolytica)、カンジダ・ルシタニエ(Candida Lusitaniae)、カンジダ・メタプシロシス(Candida metapsilosis)、カンジダ・ノルベジェンシス(Candida norvegensis)、カンジダ・オルソプシロシス(Candida orthopsilosis)、カンジダ・パラプシロシス(Candida parapsilosis)、カンジダ・パラルゴサ(Candida pararugosa)、カンジダ・ペリクロサ(Candida pelliculosa)、カンジダ・ルゴサ(Candida rugosa)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・ユーティリス(Candida utilis)、カンジダ・バリダ(Candida valida)、カンジダ・ゼイラノイデス(Candida zeylanoides)、クリプトコッカス・ガッティ(Cryptococcus gattii)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、サイバーリンドネラ・ジャディニ(Cyberlindnera jadinii)、ゲオトリカム・カンジダム(Geotrichum candidum)、ゲオトリカム・カピタタム(Geotrichum capitatum)、クロエケラ・アピキュレート(Kloeckera apiculate)、マラセチア・ファーファー(Malassezia furfur)、マラセチア・パキデルマティス(Malassezia pachydermatis)、ピキア・オーメリ(Pichia ohmeri)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ロドトルラ・ムシラギノーサ(Rhodotorula mucilaginosa)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、トリコスポロン・アサヒ(Trichosporon asahii)、トリコスポロン・インキン(Trichosporon inkin)およびトリコスポロン・ムコイデス(Trichosporon mucoides)から選択される酵母細胞でありうる。
【0101】
さらなる態様において、細胞はアクレモニウム・スクレロティゲヌム(Acremonium sclerotigenum)、アルテルナリア・アルテルナータ(Alternaria alternata)、アスペルギルス・ブラシリエンシス(Aspergillus brasiliensis)、
アスペルギルス・カリドゥストゥス/ウストゥス(Aspergillus calidoustus/ustus)、アスペルギルス・フラバス/オリザエ(Aspergillus flavus/oryzae)、アスペルギルス・フミガトゥス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・レントゥルス(Aspergillus lentulus)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・シドウィー(Aspergillus sydowii)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、アスペルギルス・ベルシコロル(Aspergillus versicolor)、ブラストマイセス・デルマティティディス(Blastomyces dermatitidis)、クラドフィアロフォラ・バンティアナ(Cladophialophora bantiana)、コクシジオイデス・イミチス/ポサダシィ(Coccidioides immitis/posadasii)、クルブラリア・ハワイィエンシス(Curvularia hawaiiensis)、クルブラリア・スピシフェラ(Curvularia spicifera)、エピデルモフィトン・フロコサム(Epidermophyton floccosum)、エキソフィアラ・デルマティティディス(Exophiala dermatitidis)、エキソフィアラ・ゼノビオティカ(Exophiala xenobiotica)、エクセロヒルム・ロストラツム(Exserohilum rostratum)、フサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、フサリウム・プロリフェラタム(Fusarium proliferatum)、フサリウム・ソラニ(Fusarium solani)、ヒストプラズマ・カプスラタム(Histoplasma capsulatum)、レシトフォラ・ホフマンニィ(Lecythophora hoffmannii)、リヒテイミア・コリンビフェラ(Lichtheimia corymbifera)、マイクロスポラム・オードゥイニィ(Microsporum audouinii)、マイクロスポラム・カニス(Microsporum canis)、マイクロスポラム・ギプセウム(Microsporum gypseum)、ムコール・ラセマサス(Mucor racemosus)、パエシロマイセス・バリオティ(Paecilomyces variotii)、ペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)、プセウダレシェリア・ボイディ(Pseudallescheria boydii)、プルプレオシリウム・リラシナム(Purpureocillium lilacinum)、ラサムソニア・アルギラセア(Rasamsonia argillacea)、リゾプス・アルヒズス(Rhizopus arrhizus)、リゾプス・マイクロスポレス(Rhizopus microspores)、サロクラディウム・キリエンセ(Sarocladium kiliense)、セドスポリウム・アピオスペルマム(Scedosporium apiospermum)、セドスポリウム・プロリフィカンス(Scedosporium prolificans)、スポロトリクス・シェンキィ(Sporothrix schenckii)、トリコフィトン・インテルジギターレ(Trichophyton interdigitale)、トリコフィトン・ルブラム(Trichophyton rubrum)、トリコフィトン・トンスランス(Trichophyton tonsurans)、トリコフィトン・ベルコーズム(Trichophyton verrucosum)、トリコフィトン・ビオラセウム(Trichophyton violaceum)、トリコスポロン・アサヒィ(Trichosporon asahii)、トリコスポロン・デルマティス/ムコイデス(Trichosporon dermatis/mucoides)およびトリコスポロン・インキン(Trichosporon inkin)から選択されるカビ細胞でありうる。
【0102】
さらなる態様において、細胞はマイコバクテリウム・アブセサス(Mycobacterium abscessus)、マイコバクテリウム・アビウム(Mycobacterium avium)、マイコバクテリウム・ケロナエ(Mycobacterium chelonae)、マイコバクテリウム・フォルトゥイタム(Mycobacterium fortuitum)、マイコバクテリウム・ゴルドナエ(Mycobacterium gordonae)、マイコバクテリウム・ヘモフィラム(Mycobacterium haemophilum)、マイコバクテリウム・イムノゲナム(Mycobacterium immunogenum)、マイコバクテリウム・イントラセルラーレ(Mycobacterium intracellulare)、マイコバクテリウム・カンサシ(Mycobacterium kansasii)、マイコバクテリウム・レンチフラブム(Mycobacterium lentiflavum)、マイコバクテリウム・レプラエ(Mycobacterium leprae)、マイコバクテリウム・マルモエンセ(Mycobacterium malmoense)、マイコバクテリウム・マリナム(Mycobacterium marinum)、マイコバクテリウム・ムコゲニカム(Mycobacterium mucogenicum)、マイコバクテリウム・スクロフラセウム(Mycobacterium scrofulaceum)、マイコバクテリウム・シミアエ(Mycobacterium simiae)、マイコバクテリウム・スメグマティス(Mycobacterium smegmatis)、マイコバクテリウム・スズルガイ(Mycobacterium szulgai)、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)およびマイコバクテリウム・ゼノピ(Mycobacterium xenopi)から選択されるマイコバクテリア細胞でありうる。
【0103】
一般に、微生物を含むまたは含むと疑われる流体試料は、任意の微生物を含むまたは含むと疑われる任意のおよび全ての流体試料でありうる。本開示の方法およびシステムは、流体試料または微生物細胞によって限定されず、任意の生存微生物を含むまたは含むと疑われる任意の流体試料が、本開示によって選択され使用されうることが特に理解されるべきである。
【0104】
マイクロタイタープレート10のウェルA1~A12の各々に流体試料を分注すると、各ウェルにアッセイ混合物が形成されると言うことができ、次いで、マイクロタイタープレート10は、ウェルA1~A12に存在する増殖培地中の微生物細胞の増殖を可能にする条件の下で、例えば、約20℃~約40℃の範囲、または約25℃~約37℃の範囲にある温度でインキュベートされる。さらに、インキュベーション条件は、ウェルA1~A12に存在するバクテリオファージによる増殖中の細菌細胞の感染、およびその後に、子孫バクテリオファージの産生を可能にする条件である。インキュベーション時間は変化しうるが、例えば、約20分と短く、約300分まで、例えば、約20分、約60分、約120分、約180分、約240分、または約300分であることができる。当業者には理解されるように、細菌細胞の増殖およびバクテリオファージによる感染の条件は、微生物種によって変化しうる。これらの条件は、多くの微生物種について当技術分野で公知であるか、または必要に応じて、例えば、特定の微生物種をある範囲の異なる条件の下で(例えば、異なる温度で、異なる増殖培地を用いて、異なる大気条件で、異なる増殖時間などを用いて)増殖させ、微生物細胞の増殖およびバクテリオファージによる感染を可能にする適当な条件を特定することにより、日常的な実験を通じて確立されうる。
【0105】
次に
図2Bを参照すると、第1の状態s1bで、第1のマイクロタイタープレート10の全てのウェルは空であり、したがって、状態s1bは第2のマイクロタイタープレートが提供されたことを反映している。
【0106】
引き続き
図2Bを参照すると、第2の状態s2bで、ある量の一次抗バクテリオファージ抗体がマイクロタイタープレート20のウェルA1~A12に分注されている。一次抗バクテリオファージ抗体は、マイクロタイタープレート10のウェルA1~A12に分注された子孫バクテリオファージに特異的に結合することができる抗体である。使用されうる一次抗バクテリオファージ抗体の例は、ウサギ、ネズミ、ラマ抗バクテリオファージ抗体などのポリクローナル抗体、およびモノクローナル抗体である。適当な抗バクテリオファージ抗体は、例えば、Fisher Scientific(登録商標) (Waltham, MA, USA) (例えば、カタログ番号71-530-3参照)またはNovus Biologicals(登録商標), Centennial, CO, USA) (例えば、カタログ番号NBP3-05788参照)から購入されうる。抗バクテリオファージ抗体のさらなる例は、Beckman, T.M. et al., 1995, Immunology 1, 53-54において見出されうる。一次抗バクテリオファージ抗体を分注するために、抗体は、例えば、pH約7のリン酸緩衝生理食塩水、またはpH>9の炭酸塩/重炭酸塩緩衝液などの溶媒に最初に含ませることができ、その後、マイクロプレートを乾燥させて一次抗バクテリオファージ抗体を付着および固定化し、ウェル表面に抗バクテリオファージ抗体のコーティングを形成させることができる。さらに、一次抗バクテリオファージ抗体は、抗体の結合を促進するために静電気的に荷電したマイクロタイタープレートを用いてマイクロタイタープレートに結合させることができる。抗バクテリオファージ抗体をウェル表面に結合させるための他の適当な方法は、当業者が所望に応じて選択され使用されうる。一次抗バクテリオファージ抗体の分注後、マイクロタイタープレート20は、使用者が、微生物を含む流体試料を試験するためにマイクロタイタープレート20を使用することを望むまで、保管されうる。
【0107】
引き続き
図2Bを参照すると、第3の状態s3bで、マイクロタイタープレート10のウェルA1~A12からのある量のアッセイ混合物が、
図2Aの状態s5aに示されるように、および本明細書で後述されるように、マイクロタイタープレート10のインキュベーションの後に、マイクロタイタープレート20に移されている。特に、アッセイ混合物はマイクロタイタープレート10のウェルからマイクロタイタープレート20の対応するウェルに移され、すなわち、マイクロタイタープレート10のウェルA1からのアッセイ混合物はマイクロタイタープレート20のウェルA1に移され、マイクロタイタープレート10のウェルA2からのアッセイ混合物はマイクロタイタープレート20のウェルA2に移され、マイクロタイタープレート10のウェルA3からのアッセイ混合物はマイクロタイタープレート20のウェルA3に移されるなどである。子孫バクテリオファージを含むそのようなアッセイ混合液は、マイクロタイタープレート20のウェルA1~A12に存在する一次抗バクテリオファージ抗体に結合し、結合によりウェルA1~A12において固定化された一次抗体-バクテリオファージ複合体を形成させる。
【0108】
ここで
図2Cを参照すると、一次抗バクテリオファージ抗体22aが付着したウェルA6のウェル内表面24aの、分子レベルでの概略図によって、第3の状態s3bがさらに例証されている。一次抗体-バクテリオファージ抗体22aおよびバクテリオファージ26は一緒になって、固定化された一次抗体-バクテリオファージ複合体28を形成する。
【0109】
引き続き
図2Bを参照すると、第4の状態s2dで、検出可能な標識で標識された二次抗バクテリオファージ抗体が、マイクロタイタープレート20のウェルA1~A12の各々に分注されている。一次抗体-バクテリオファージ複合体の形態で、子孫バクテリオファージを含むアッセイ混合物は、マイクロタイタープレート20のウェルA1~A12に分注された二次抗バクテリオファージ抗体に結合し、結合により、一次抗体-バクテリオファージ複合体の形態でバクテリオファージを含むそのようなウェルA1~A12において標識された一次抗体-バクテリオファージ-二次抗体複合体を形成する。過剰な標識二次抗体は、洗浄緩衝液を用いて洗い流されてもよい。標識抗体は当技術分野で知られており、例えば、フルオロフォア標識抗体、または例えば、酵素西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)もしくはアルカリホスファターゼ(AP)にコンジュゲートされたストレプトアビジンを用いて検出されうるビオチン化抗体を含む。酵素は、基質を酵素的に変換して、着色生成物、蛍光生成物または化学発光生成物を生成することができる。比色的に検出可能な基質は、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼの場合には3,3',5,5''-テトラメチルベンジジン(TMB)、o-フェニレンジアミン(OPD)および(2,2'-アジノ-ジ-(3-エチル-ベンズチアゾリン-6-スルホン酸) (ABTS)ならびにアルカリホスファターゼの場合にはリン酸p-ニトロフェニル(PNPP)を含む。西洋ワサビペルオキシダーゼ用の化学発光基質は、例えば、10-アセチル-3,7-ジヒドロキシフェノキサジン(ADHP)、およびQuantablu(商標)基質(Thermo Fisher(登録商標), Rockford, Ill #1856187)を含む。使用されうるさらなる標識一次/二次標識抗体の組み合わせは、ビオチン化一次抗体およびストレプトアビジン標識二次抗体を含む(Lakshmipriya T, Gopinath SC, Tang TH. Biotin-Streptavidin Competition Mediates Sensitive Detection of Biomolecules in Enzyme Linked Immunosorbent Assay. PLoS One. 2016;11(3):e0151153. Published 2016 Mar 8. Doi:10.1371/journal.pone.0151153.を参照のこと)。
【0110】
シグナルは、分光光度法マイクロタイタープレートリーダー、適切なフィルタを備えた蛍光光度計、または全光出力を測定するように設定されたルミノメーターを用いて測定することができる。抗体を標識するための他の技法、ならびに標識された抗体を検出するのに適した検出技法および機器は当技術分野で知られており、用いられうる。前述の検出方法は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)としても当技術分野において知られており、一般に、当技術分野で知られているELISA技法および反応条件は、本開示の方法を実践するために用いられうることに留意されたい。
【0111】
いくつかの態様において、マイクロタイタープレート10のウェルA1~A12からマイクロタイタープレート20にアッセイ混合物を移す前に、マイクロタイタープレート20を非関連タンパク質、例えばウシ血清アルブミンまたはカゼインを含むブロッキング緩衝液で処理して、マイクロタイタープレートへの二次抗体の潜在的な非特異的結合を抑止し、それによってシグナル対ノイズ比を改善できることに留意されたい。
【0112】
図2Bに示される例示的な態様において、ウェルA1、A2、A3、A4、A5およびA6で標識抗体が検出される。ウェルA7、A8、A9、A10、A11およびA12では標識抗体は検出されない。したがって、バクテリオファージはマイクロタイタープレート20のウェルA1、A2、A3、A4、A5およびA6に存在する。さらに、細菌細胞はそれゆえ、マイクロタイタープレート10の対応するウェルA1、A2、A3、A4、A5およびA6に存在し、したがって、ウェルA1、A2、A3、A4、A5およびA6に存在する抗菌剤の特定の既知濃度は、細菌増殖を阻害するには不十分であった。対照的に、ウェルA7、A8、A9、A10、A11およびA12には、バクテリオファージは存在しない。さらに、細菌細胞はそれゆえ、マイクロタイタープレート10の対応するウェルA7、A8、A9、A10、A11およびA12には存在せず、したがって、ウェルA7、A8、A9、A10、A11またはA12に存在する抗菌剤の特定の既知濃度は各々、細菌増殖を阻害するのに十分であった。
【0113】
ここで
図2Dを参照すると、一次抗バクテリオファージ抗体22sが付着したウェルA6のウェル内表面24aの、分子レベルでの概略図によって、第4の状態s2dがさらに例証されている。一次抗バクテリオファージ抗体22aおよびバクテリオファージ26は一緒になって、一次抗体-バクテリオファージ複合体28を形成する。標識された二次抗バクテリオファージ抗体21は標識23を含み、バクテリオファージ26に結合している。一次抗体-バクテリオファージ抗体22a、バクテリオファージ26および標識された二次抗バクテリオファージ抗体21は一緒になって、標識された一次抗体-バクテリオファージ-二次抗体複合体25を形成する。
【0114】
さらに
図2Dを参照すると、ウェルA12の内表面24bは一次抗体22bを含む。マイクロタイタープレート20のウェルA12にバクテリオファージが存在しないため、抗菌剤の濃度が十分に高く、マイクロタイタープレート10の対応するウェルA12に微生物が増殖していない結果として、マイクロタイタープレート20のウェルA12に標識二次抗体は存在しないか、または検出されない。
【0115】
別の態様において、バクテリオファージを検出するために二次標識抗体を使用する代わりに、一次抗体が標識抗体であってもよい。次いで、バクテリオファージは、第2のマイクロタイタープレートのウェル内でのバクテリオファージ-標識一次抗体複合体の形成時に検出することができる。明らかなように、
図2A~2Dに示される態様に類似して、検出可能なバクテリオファージが存在しないことは、第1のマイクロタイタープレートのウェル内に十分に高濃度の抗菌剤が存在し、微生物増殖がないことを示す。逆に、バクテリオファージの検出は、第1のマイクロタイタープレートのウェルにおける微生物薬剤の濃度が、微生物増殖を抑止するには不十分であることを示す。
【0116】
本明細書で前述されるように、いくつかの態様において、ウェルA1~A12の各々に分注される量のバクテリオファージは、バクテリオファージ株の混合物を含んでもよく、ここでこの混合物は複数のバクテリオファージ株を含み、そのような複数のバクテリオファージ株は、微生物種の少なくとも第1の微生物株に感染することができる少なくとも第1のバクテリオファージ株、および同じ微生物種の少なくとも第2の微生物株に感染することができる第2のバクテリオファージ株を含む。そのような態様において、一次抗体-バクテリオファージ抗体は、第1のバクテリオファージ株に特異的な細菌株が流体試料中に存在する場合に、第1のバクテリオファージ株に結合しうる。さらに、一次抗体-バクテリオファージ抗体は、第2のバクテリオファージ株に特異的な細菌株が流体試料中に存在する場合に、第2のバクテリオファージ株に結合しうる。最後に、一次抗体-バクテリオファージ抗体は、第1のバクテリオファージ株に特異的な第1の細菌株が流体試料中に存在し、かつ第2のバクテリオファージ株に特異的な第2の細菌株が流体試料中に存在する場合に、第1および第2のバクテリオファージ株に結合しうる。その後の標識抗体の検出により(状態s4bに示されるように)、バクテリオファージの少なくとも1つが感染しうる少なくとも1つの微生物株が流体試料中に存在することが明らかになる。異なる細菌株をさらに区別するために、微生物種の少なくとも第1の微生物株に感染可能な第1のバクテリオファージ株の量を、例えばウェルA1~A12に分注することができ、微生物種の少なくとも第2の微生物株に感染可能な第2のバクテリオファージ株の量を、例えばウェルB1~B12に分注することができることに留意されたい。
【0117】
いくつかの態様において、微生物を含むまたは含むと疑われる流体試料をマイクロタイタープレート10のウェルA1~A12に移すことに加えて、微生物を含むことが分かっているさらなる流体試料をマイクロタイタープレート10のウェル、例えばマイクロタイタープレート10のウェルB1~B12に移してもよいことに留意されたい。次に、状態s4bで、抗菌剤を含まないウェル(例えば、B1)において少なくともシグナルが検出される。
【0118】
次に
図3を参照すると、そこには、試料流体中に存在する微生物増殖を阻害することができる抗菌剤およびその濃度の特定のための方法およびキットのさらなる例示的な態様200を例証する目的で、第1のマイクロタイタープレート10の1つの状態s5a、ならびに第2のマイクロタイタープレート20の2つの異なる状態s3bおよびs4bが示されている。
【0119】
状態s5aを実現するために、最初に、
図1に示されるような空のマイクロタイタープレート10において、複数の希釈範囲の複数の抗菌剤が分注される。具体的には、マイクロタイタープレート10の横列A~Hにおいて、計8つの希釈範囲の8つの抗菌剤が分注されるまで、横列Aにより形成されるウェルには、第1の希釈範囲の第1の抗菌剤が分注され、横列Bにより形成されるウェルには、第2の希釈範囲の第2の抗菌剤が分注され、横列Cにより形成されるウェルには、第3の希釈範囲の第3の抗菌剤が分注される、などである。対照として、マイクロタイタープレート10のウェルA1、B1、C1、D1、E1、F1、G1およびH1には抗菌剤が含まれていないことに留意されたい。例示的な態様100と同様に、抗菌剤の範囲の各々は、縦列1のウェル内での低濃度の抗菌剤から分注され、縦列12のウェル内での高濃度まで徐々に増加する。他の態様において、抗菌剤の範囲の各々は、縦列1のウェル内での抗菌剤の高濃度から分注され、縦列12のウェル内での低濃度まで徐々に減少しうる。示されている状態s5aでは、複数の抗菌剤の複数の希釈範囲に加えて、マイクロタイタープレート10のウェルは微生物増殖培地およびバクテリオファージを含む。したがって、
図3に示される状態s5aは、例示的な態様100に関して
図2Aに示される状態s5aに対応し、それゆえ
図3に示される状態s5aのプレート10において、微生物細胞を含む流体試料を試験することを望む使用者によって用いられうることが明らかであろう。
【0120】
次いで、微生物細胞を含む流体試料をマイクロタイタープレート10のウェルA1~H12の全てに分注し、その中にアッセイ混合物を形成させ、次いで、マイクロタイタープレート10を、ウェルA1~H12に存在する増殖培地中で微生物細胞の増殖ならびに子孫バクテリオファージの増殖および産生を可能にする条件の下でインキュベートする。
【0121】
第2のマイクロタイタープレート20は、ウェルA1~H12の全てにおいて一次抗バクテリオファージ抗体を含む。マイクロタイタープレート10のインキュベーション完了時に、アッセイ混合物をマイクロタイタープレート20に移す。具体的には、アッセイ混合物をマイクロタイタープレート10のウェルからマイクロタイタープレート20の対応するウェルに移す、すなわち、マイクロタイタープレート10のウェルA1からのアッセイ混合物をマイクロタイタープレート20のウェルA1に移す、マイクロタイタープレート10のウェルA2からのアッセイ混合物をマイクロタイタープレート20のウェルA2に移す、マイクロタイタープレート10のウェルA3からのアッセイ混合物をマイクロタイタープレート20のウェルA3に移すなどし、マイクロタイタープレート10のA1~H12の全てのアッセイ混合物がマイクロタイタープレート20における対応するウェルA1~H12に移されることを確実にする。子孫バクテリオファージを含むアッセイ混合物は、マイクロタイタープレート20のウェルA1~H12に存在する一次抗バクテリオファージ抗体に結合し、結合によりウェルA1~A12において一次抗体-バクテリオファージ複合体を形成する。第2の状態s3bで、マイクロタイタープレート20のウェルA1~A12において一次抗体-バクテリオファージ複合体が形成されている。
図3に示される状態s3bは、例示的な態様100に関して
図2Bに示される状態s3bに対応することに留意されたい。
【0122】
引き続き
図3を参照すると、第4の状態s4bで、検出可能な標識で標識された二次抗バクテリオファージ抗体が、マイクロタイタープレート20のウェルA1~H12の各々に分注されている。標識された二次抗バクテリオファージ抗体は、マイクロタイタープレート20のウェルA1~H12に存在するバクテリオファージに結合し、結合により子孫バクテリオファージを含むウェルA1~H12において標識された一次抗体-バクテリオファージ-二次抗体複合体を形成する。その後、標識抗体を検出することにより、二次抗バクテリオファージ抗体が検出される。状態s4bでは、ウェルA1~A6、B1~B12、C1~C3、D1~D3、E1~E12、F1~F7、G1~G3およびH1~H7において標識抗体が検出される。その他のウェルでは標識抗体は検出されない。したがって、バクテリオファージはA1~A6、B1~B12、C1~C3、D1~D3、E1~E12、F1~F7、G1~G3およびH1~H7におけるウェルに存在する。さらに、細菌細胞はそれゆえ、マイクロタイタープレート10の対応するウェルA1~A6、B1~B12、C1~C3、D1~D3、E1~E12、F1~F7、G1~G3およびH1~H7に存在し、したがって、ウェルA1~A6、B1~B12、C1~C3、D1~D3、E1~E12、F1~F7、G1~G3およびH1~H7に存在する特定の既知濃度の抗菌剤は、細菌増殖を阻害するには不十分であった。対照的に、他のウェルにはバクテリオファージは存在しない。さらに、細菌細胞はそれゆえ、マイクロタイタープレート10の対応する他のウェルには存在せず、したがって、他のウェルに存在する特定の既知濃度の抗菌剤は、細菌増殖を阻害するのに十分であった。したがって、例えば、横列Aにおける第1の抗菌剤は、ウェルA7~A12に含まれる抗菌剤の濃度で細菌増殖を阻害することができ、横列Gにおける第7の抗菌剤は、ウェルG4~G12に含まれる抗菌剤の濃度で細菌増殖を阻害することができる。それぞれ、横列BおよびEにおける第2および第5の抗菌剤は、試験した全ての濃度で微生物増殖を阻害することができない。ウェルA1、B1、C1、D1、E1、F1、G1およびH1は、抗菌剤を含まない対照として用いられたため、これらのウェルの全てでシグナルが検出され、同時に試料流体中のファージ感受性微生物の存在を確認するものであったことに留意されたい。したがって、前記結果から、微生物増殖の阻害のために、ウェルA7において少なくとも既知濃度の抗菌剤の濃度を有する第1の抗菌剤、ウェルC4において少なくとも既知濃度の抗菌剤の濃度を有する第3の抗菌剤、ウェルD4において少なくとも既知濃度の抗菌剤の濃度を有する第4の抗菌剤、ウェルF8において少なくとも既知濃度の抗菌剤の濃度を有する第6の抗菌剤、ウェルG4において少なくとも既知濃度の抗菌剤の濃度を有する第7の抗菌剤およびウェルH8において少なくとも既知濃度の抗菌剤の濃度を有する第8の抗菌剤を選択することが可能である。横列Bおよび横列Eに存在する抗菌剤は、範囲内の抗菌剤の全ての試験濃度で微生物増殖を阻害することができない。
【0123】
次に
図4を参照すると、そこには、試料流体中に存在する微生物増殖を阻害することができる抗菌剤およびその濃度の特定のための方法およびキットのさらなる例示的な態様300を例証する目的で、第1のマイクロタイタープレート10の状態s5a、ならびに第2のマイクロタイタープレート20の2つの異なる状態s3bおよびs4bが示されている。
【0124】
状態s5aを実現するために、マイクロタイタープレート10は、単一の抗菌剤の複数の希釈範囲をそこに分注するように組み立てられている。具体的には、マイクロタイタープレート10の横列Aのウェルには、抗菌剤の第1の希釈範囲が分注されており、横列Bのウェルには、同じ抗菌剤の同じ希釈範囲が分注されており、横列Cのウェルには、同じ抗菌剤の同じ希釈範囲が分注されている、などである。例示的な態様100と同様に、範囲の各々は、縦列1のウェル内での低濃度の抗菌剤から分注され、縦列12のウェル内での高濃度まで徐々に増加する。前述されるように、他の態様において、抗菌剤の範囲の各々は、縦列1のウェル内での高濃度の抗菌剤から分注され、縦列12のウェル内での低濃度まで徐々に減少しうる。さらに、横列Aの各ウェルには、第1の微生物種に特異的に感染できることが分かっている第1のバクテリオファージが分注されており、横列Bのウェルには、第2の微生物種に特異的に感染できることが分かっている第2のバクテリオファージが分注されており、横列Cのウェルには、第3の微生物種に感染できることが分かっている第3のバクテリオファージが分注されている、などである。したがって、バクテリオファージは各々、1つの細菌種に特異的に感染することができると理解されるべきである。例えば、横列Aに分注されるバクテリオファージは大腸菌に特異的に感染できるバクテリオファージであることができ、横列Bに分注されるバクテリオファージは黄色ブドウ球菌に特異的に感染できるバクテリオファージであることができる。示されている状態s5aでは、複数の抗菌剤の複数の希釈範囲に加えて、マイクロタイタープレート10のウェルA1~H12の全てが微生物増殖培地を含む。したがって、
図4に示される状態s5aは、例示的な態様100に関して
図2Aに示される状態s5aに対応し、それゆえ
図4に示される状態s5aのプレート10において、微生物細胞を含む流体試料を試験することを望む使用者によって用いられうることが明らかであろう。
【0125】
次いで、微生物細胞を含む流体試料をマイクロタイタープレート10のウェルA1~H12の全てに分注し、その中にアッセイ混合物を形成させ、次いで、マイクロタイタープレート10を、ウェルA1~H12に存在する増殖培地中で微生物細胞の増殖を可能にする条件の下でインキュベートする。流体試料は複数の微生物種を含む。
【0126】
第2のマイクロタイタープレート20は、ウェルA1~H12の全てにおいて一次抗バクテリオファージ抗体を含む。一次抗バクテリオファージ抗体は、横列A~Hの各々に分注されたバクテリオファージに特異的であることに留意されたい。したがって、各横列は異なる一次抗バクテリオファージ抗体を含む。マイクロタイタープレート10のインキュベーション完了時に、アッセイ混合物をマイクロタイタープレート20に移す。具体的には、アッセイ混合物をマイクロタイタープレート10のウェルA1~H12からマイクロタイタープレート20の対応するウェルA1~H12に移す、すなわち、マイクロタイタープレート10のウェルA1からのアッセイ混合物をマイクロタイタープレート20のウェルA1に移す、マイクロタイタープレート10のウェルA2からのアッセイ混合物をマイクロタイタープレート20のウェルA2に移す、マイクロタイタープレート10のウェルA3からのアッセイ混合物をマイクロタイタープレート20のウェルA3に移すなどし、マイクロタイタープレート10のA1~H12の全てのアッセイ混合物がマイクロタイタープレート20のウェルA1~H12に移されることを確実にする。バクテリオファージを含むアッセイ混合物は、マイクロタイタープレート20のバクテリオファージを含むウェルA1~H12に存在する一次抗バクテリオファージ抗体に結合し、結合により一次抗体-バクテリオファージ複合体を形成する。第2の状態s3bで、バクテリオファージを含むウェルA1~A12のようなウェルにおいて一次抗体-バクテリオファージ複合体が形成されている。
【0127】
引き続き
図4を参照すると、第4の状態s4bで、検出可能な標識で標識された二次抗バクテリオファージ抗体が、マイクロタイタープレート20のウェルA1~H12の各々に分注されている。一次抗バクテリオファージ抗体の場合と同様に、横列A~Hの各々に分注された標識二次バクテリオファージは、バクテリオファージに特異的である。したがって、各横列は異なる標識二次抗バクテリオファージ抗体を含む。バクテリオファージを含むアッセイ混合物は、マイクロタイタープレート20のウェルA1~H12に存在する二次抗バクテリオファージ抗体に結合し、結合によりバクテリオファージを含むウェルA1~H12において標識一次抗体-バクテリオファージ-二次抗体複合体を形成する。次いで、標識された二次抗バクテリオファージ抗体が検出される。標識された抗体はウェルA1、B1~B4、C1~C7、D1、E1~E4、F1、G1~G5およびH1において検出される。その他のウェルでは標識抗体は検出されない。したがって、バクテリオファージはウェルA1、B1~B4、C1~C7、D1、E1~E4、F1、G1~G5およびH1に存在する。さらに、細菌細胞はそれゆえ、マイクロタイタープレート10のウェルA1、B1~B4、C1~C7、D1、E1~E4、F1、G1~G5およびH1に存在し、したがって、A1、B1~B4、C1~C7、D1、E1~E4、F1、G1~G5およびH1のマイクロタイタープレート10におけるウェルに存在する特定の既知濃度の抗菌剤は、細菌増殖を阻害するには不十分であった。対照的に、他のウェルにはバクテリオファージは存在しない。さらに、細菌細胞はそれゆえ、マイクロタイタープレート10の対応するウェルには存在せず、したがって、他のウェルに存在する特定の既知濃度の抗菌剤は、細菌増殖を阻害するのに十分であった。したがって、例えば、横列A、DおよびH列における微生物増殖は、全ての濃度の抗菌剤によって阻害される。したがって、横列A、DおよびHを調製するために用いられたバクテリオファージによって特異的に感染されることが分かっている細菌種が流体試料中に存在し、抗菌剤は範囲内の全ての濃度で有効である。横列Bを調製するために用いられたバクテリオファージによって特異的に感染されることが分かっている細菌種が流体試料中に存在し、抗菌剤は少なくともマイクロタイタープレート10のウェルB5に含まれる濃度の抗菌剤で有効である。横列Cを調製するために用いられたバクテリオファージによって特異的に感染されることが分かっている細菌種が流体試料中に存在し、抗菌剤は少なくともマイクロタイタープレート10のウェルC8に含まれる濃度の抗菌剤で有効である。横列Eを調製するために用いられたバクテリオファージによって特異的に感染されることが分かっている細菌種が流体試料中に存在し、抗菌剤は少なくともマイクロタイタープレート10のウェルE5に含まれる濃度の抗菌剤で有効である。横列Gを調製するために用いられたバクテリオファージによって特異的に感染されることが分かっている細菌種が流体試料中に存在し、抗菌剤は少なくともマイクロタイタープレート10のウェルG6に含まれる濃度の抗菌剤で有効である。抗菌剤を含まない、ウェルA1、B1、C1、D1、E1、F1、G1およびH1は、対照として用いられたことに留意されたい。ウェルA1、B1、C1、D1、E1、G1およびH1ではシグナルが検出される。ウェルF1ではシグナルが検出されない。検出されたシグナルは、マイクロタイタープレート10の横列A、B、C、D、E、GおよびHに特定のバクテリオファージが含まれた細菌種の各々の流体試料中の微生物種の各々の存在を示す。ウェルF1にシグナルがないことは、抗菌剤の非存在下でさえもシグナルが検出されないため、横列Fに特定のバクテリオファージが含まれる細菌種が流体試料中に存在しないことを示す。
【0128】
さらに、マイクロタイタープレート10の各横列に分注されたバクテリオファージの微生物特異性は既知であるため、少なくとも対照ウェルA1、B1、C1、D1、E1、F1、G1またはH1においてシグナルが検出されれば、流体試料が特定の微生物種を含むことを確認できることが理解されるべきである。したがって、マイクロタイタープレート10の横列Aに分注されたバクテリオファージが大腸菌に特異的に感染することができるバクテリオファージであり、マイクロタイタープレート10の横列Bに分注されたバクテリオファージが黄色ブドウ球菌に特異的に感染することができるバクテリオファージである場合、マイクロタイタープレート20の少なくともウェルA1およびウェルB1におけるシグナルの検出は、流体試料中に大腸菌と黄色ブドウ球菌のいずれもが存在することを示す。例えば、マイクロタイタープレート10の横列Fに分注されたバクテリオファージが肺炎桿菌に特異的に感染することができるバクテリオファージであり、マイクロタイタープレート20の少なくともウェルF1においてシグナルが検出されない場合、これは、肺炎桿菌が流体試料中に存在しないことを示す。したがって、今や、1つの局面、およびその態様によれば、単一の診断試験の実施において、流体試料中の微生物種が特定され、その増殖を阻害するのに適当な抗菌剤、および抗菌剤の適当な濃度が特定されうるものと理解することができる。したがって、本開示の方法は、微生物を含むと疑われる流体試料を取得してから、微生物種、適当な抗菌剤および適切な濃度を特定するまでの時間を制限することができる。
【0129】
次に
図5を参照すると、そこには、試料流体中に存在する微生物増殖を阻害することができる抗菌剤およびその濃度の特定のための方法およびキットのさらなる例示的な態様400を例証する目的で、第1のマイクロタイタープレート10の3つの異なる状態s5a、ならびに第2のマイクロタイタープレート20の2つの異なる状態s3bおよびs4bが示されている。
【0130】
状態s5aを実現するために、マイクロタイタープレート10は、単一の抗菌剤の複数の希釈範囲をそこに分注するように組み立てられている。具体的には、横列Aのウェルには、第1の抗菌剤の第1の希釈範囲が分注されており、横列Bのウェルには、第2の抗菌剤の同じ希釈範囲が分注されており、横列Cのウェルには、第3の抗菌剤の同じ希釈範囲が分注されている、などである。例示的な態様100と同様に、範囲の各々は、縦列1のウェル内での低濃度の抗菌剤から分注され、縦列12のウェル内での高濃度まで徐々に増加する。前述されるように、他の態様において、抗菌剤の範囲の各々は、縦列1のウェル内での高濃度の抗菌剤から分注され、縦列12のウェル内での低濃度まで徐々に減少しうる。さらに、横列Aのウェルの各々には、複数のバクテリオファージ、例えば、等しい複数の微生物種に特異的に感染することができると分かっている2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはそれ以上のバクテリオファージの混合物が分注されている。横列Bのウェルには、同じ複数のバクテリオファージが分注されている。横列Cのウェルには、同じ複数のバクテリオファージが分注されている、などである。したがって、例えば、横列A~Hの各々のウェルには、大腸菌、肺炎桿菌、および黄色ブドウ球菌に感染することができると分かっている3つのバクテリオファージの混合物が分注されてもよい。示されている状態s5aでは、複数の抗菌剤、およびバクテリオファージの複数の希釈範囲に加えて、マイクロタイタープレート10のウェルA1~H12に細菌増殖培地が分注されている。したがって、
図5に示される状態s5aは、例示的な態様100に関して
図2Aに示される状態s5aに対応し、それゆえ
図5に示される状態s5aのプレート10において、微生物細胞を含む流体試料を試験することを望む使用者によって用いられうることが明らかであろう。
【0131】
次いで、微生物細胞の混合物を含む流体試料をマイクロタイタープレート10のウェルの全てに分注し、その中にアッセイ混合物を形成させ、次いで、マイクロタイタープレート10を、ウェルA1~H12に存在する増殖培地中で微生物細胞の増殖を可能にする条件の下でインキュベートする。
【0132】
引き続き
図5を参照すると、第2のマイクロタイタープレート20は、ウェルA1~H12の全てにおいて一次抗バクテリオファージ抗体を含む。一次抗バクテリオファージ抗体は、マイクロタイタープレート10のウェルに含まれる複数のバクテリオファージにおけるバクテリオファージの各々に結合することができる、一次抗バクテリオファージ抗体の混合物であることに留意されたい。したがって、例えば、3つの異なるバクテリオファージがマイクロタイタープレート10のウェルに含まれていた場合、一次抗バクテリオファージ抗体は、各々が3つのバクテリオファージのうちの1つに結合することができる3つの抗体、例えば、大腸菌バクテリオファージに結合することができる一次抗体、肺炎桿菌バクテリオファージに結合することができる一次抗体、および黄色ブドウ球菌バクテリオファージに結合することができる一次抗体の混合物である。マイクロタイタープレート10のインキュベーション完了時に、アッセイ混合物をマイクロタイタープレート20に移す。具体的には、アッセイ混合物をマイクロタイタープレート10のウェルからマイクロタイタープレート20の対応するウェルに移す、すなわち、マイクロタイタープレート10のウェルA1からのアッセイ混合物をマイクロタイタープレート20のウェルA1に移す、マイクロタイタープレート10のウェルA2からのアッセイ混合物をマイクロタイタープレート20のウェルA2に移す、マイクロタイタープレート10のウェルA3からのアッセイ混合物をマイクロタイタープレート20のウェルA3に移すなどし、マイクロタイタープレート10のA1~H12の全てのアッセイ混合物がマイクロタイタープレート20のウェルA1~H12に移されることを確実にする。バクテリオファージを含むアッセイ混合物は、マイクロタイタープレート20のバクテリオファージを含むウェルA1~H12に存在する一次抗バクテリオファージ抗体に結合し、結合によりウェルA1~H12において一次抗体-バクテリオファージ複合体を形成する。第2の状態s3bで、ウェルA1~H12において一次抗体-バクテリオファージ複合体が形成されている。
【0133】
引き続き
図5を参照すると、第4の状態s4bで、検出可能な標識で標識された二次抗バクテリオファージ抗体が、マイクロタイタープレート20のウェルA1~H12の各々に分注されている。バクテリオファージを含むアッセイ混合物は、マイクロタイタープレート20のウェルA1~H12に存在する二次抗バクテリオファージ抗体に結合し、結合によりバクテリオファージを含むウェルA1~H12において標識一次抗体-バクテリオファージ-二次抗体複合体を形成する。二次抗バクテリオファージ抗体は、ウェルA1~A5、B1~B12、C1~C12、D1~D12、E1~E3、F1~F12、G1~G7およびH1~H12において検出される。その他のウェルでは標識抗体は検出されない。したがって、バクテリオファージはウェルA1~A5、B1~B12、C1~C12、D1~D12、E1~E3、F1~F12、G1~G7およびH1~H12に存在する。さらに、細菌細胞はそれゆえ、マイクロタイタープレート10の対応するウェルA1~A5、B1~B12、C1~C12、D1~D12、E1~E3、F1~F12、G1~G7およびH1~H12のウェルに存在し、したがって、ウェルA1~A5、B1~B12、C1~C12、D1~D12、E1~E3、F1~F12、G1~G7およびH1~H12に存在する特定の既知濃度の抗菌剤は、細菌増殖を阻害するには不十分であった。対照的に、他のウェルにはバクテリオファージは存在しない。さらに、それゆえ、細菌細胞は、マイクロタイタープレート10の対応するウェルには存在せず、したがって、他のウェルに存在する特定の既知濃度の抗菌剤は、細菌増殖を阻害するのに十分であった。したがって、例えば、横列B、C、D、FおよびHの抗菌剤は、これらの横列のウェルに含まれる抗菌剤の濃度では、流体試料中に存在する微生物種の細菌増殖を阻害することができない。したがって、これらの抗菌剤は使用に適している可能性が低い。他方で、横列A、EおよびGに存在する抗菌剤は、それぞれ、少なくともウェルA6、E4およびG8に存在する濃度の抗菌剤の濃度で微生物増殖を阻害することができ、したがって、これらの抗菌剤は、既知の微生物種の増殖を阻害するために少なくともこれらの濃度で用いられうる。したがって、例えば、大腸菌、肺炎桿菌、および黄色ブドウ球菌に感染することができると分かっている3つのバクテリオファージの混合物が用いられ、試料に大腸菌、肺炎桿菌、および黄色ブドウ球菌の少なくとも1つが含まれていた場合、横列A、EおよびGに存在する抗菌剤は、大腸菌、肺炎桿菌、および黄色ブドウ球菌の少なくとも1つの増殖を制御するのに有効である可能性が高い。したがって、試料中にこれらの種のうちの1種または2種または3種が存在した場合、A、EおよびGに存在する抗菌剤は、その増殖を制御するのに有効である可能性が高かった。しかしながら、本態様の実施では、試料中に存在する細菌種の区別が可能にならない、例えば、大腸菌、肺炎桿菌、および黄色ブドウ球菌が試料中に存在するかどうかを決定することは可能でないことに留意されたい。代わりに、これらの種の少なくとも1つが存在することを確認することができるだけである。所望であれば、どの個別種が存在するかを特定するために、態様300によって組み立てられたさらなるアッセイが組み立てられてもよい。ウェルA1、B1、C1、D1、E1、F1、G1およびH1は、抗菌剤を含まない対照として用いられたので、ならびに試料は、試料中に存在する微生物種のうちの少なくとも1つ(例えば、大腸菌、肺炎桿菌、および黄色ブドウ球菌のうちの少なくとも1つ)を含んでいたので、これらのウェルの全てにおいてシグナルが検出されることに留意されたい。
【0134】
今や前述の例示的な態様100、200、300および400から理解することができるように、本開示は、細菌増殖を阻害するための抗菌剤の有効濃度を決定するためのさまざまな方法を、例えば、1つの局面において、1つの態様において、以下の段階を含む細菌増殖を阻害するための抗菌剤の有効濃度を決定するための方法を、含む:
(a) 生存微生物細胞の試料を、第1のマイクロタイタープレートの第1の複数のウェルに移し、それによって第1の複数のウェルの各々にアッセイ混合物を形成させる段階であって、第1の複数のウェルが少なくとも1つの抗菌剤の既知濃度の範囲を含み、第1の複数のウェルの各ウェルが細菌増殖培地および微生物細胞に感染可能なバクテリオファージをさらに含む、段階;
(b) 細菌増殖およびバクテリオファージによる細菌細胞の感染を促進しかつアッセイ混合物中での子孫バクテリオファージの産生を引き起こすのに十分な条件の下で、第1のマイクロタイタープレートをインキュベートする段階;
(c) アッセイ混合物を第1のマイクロタイタープレートの第1の複数のウェルから第2のマイクロタイタープレートの対応する第2の複数のウェルに移し、それによって子孫バクテリオファージを一次抗体に結合させ、一次抗体-バクテリオファージ複合体を形成させる段階であって、第2の複数のウェルの各々が一次抗バクテリオファージ抗体を含む、段階; ならびに
(d) 第2の複数のウェル中の一次抗体-バクテリオファージ複合体を検出する段階であって、抗菌剤の有効濃度が、一次抗体-バクテリオファージ複合体が検出されない第2の複数のウェルにおける1つまたは複数のウェルに対応する第1の複数のウェルにおける1つまたは複数のウェル中の既知の濃度である、段階。
【0135】
1つの態様において、一次抗体は検出可能な標識で標識され、検出する段階は、第2の複数のウェル中の標識された一次抗体-バクテリオファージ複合体を検出することを含み、抗菌剤の有効濃度は、標識された一次抗体-バクテリオファージ複合体が実質的に検出されない第2の複数のウェルにおける1つまたは複数のウェルに対応する第1の複数のウェルにおける1つまたは複数のウェル中の既知の濃度である。
【0136】
1つの態様において、検出する段階は、
一次抗体-バクテリオファージ複合体を、検出可能な標識で標識された二次抗バクテリオファージ抗体と接触させ、それによって一次抗体-バクテリオファージ複合体を二次バクテリオファージ抗体に結合させ、標識された一次抗体-バクテリオファージ-二次抗体複合体を形成させること; および
第2の複数のウェル中の標識された一次抗体-バクテリオファージ-二次抗体複合体を検出することであって、抗菌剤の有効濃度は、標識された一次抗体-バクテリオファージ-二次抗体複合体が実質的に検出されない第2の複数のウェルにおける1つまたは複数のウェルに対応する第1の複数のウェルにおける1つまたは複数のウェル中の既知の濃度である、こと
を含む。
【0137】
さらに、1つの局面において、本開示の方法は、キットの形態の材料および組成物のアセンブリを用いて実行されてもよく、該キットはその使用説明書をさらに含む。説明書はキットに含まれてもよく(例えば、紙に印刷され、キットとともに直接提供されてもよく)、および/または説明書へのオンラインアクセス(例えば、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットまたは携帯電話上)のための参照が提供されてもよく、これらは全て、本明細書に含まれることが意図される。説明書はさらに、製品およびその使用に関するさらなる情報、例えば安全情報を含んでいてもよい。したがって、本開示はさらに、1つの局面において、1つの態様において、
(a) 微生物細胞に感染可能なバクテリオファージを含む複数のウェルを含む第1のマイクロタイタープレート; および
(b) バクテリオファージに結合可能な一次抗バクテリオファージ抗体を含む複数のウェルを含む第2のマイクロタイタープレート
を、
(i) 生存微生物細胞の試料を、第1のマイクロタイタープレートの第1の複数のウェルに移し、それによって第1の複数のウェルの各々にアッセイ混合物を形成させることであって、第1の複数のウェルが少なくとも1つの抗菌剤の既知濃度の範囲を含み、第1の複数のウェルの各ウェルが細菌増殖培地、微生物細胞に感染可能な複数のウェル中のバクテリオファージをさらに含む、こと;
(ii) 細菌増殖およびバクテリオファージによる細菌細胞の感染を促進しかつアッセイ混合物中での子孫バクテリオファージの産生を引き起こすのに十分な条件の下で、第1のマイクロタイタープレートをインキュベートすること;
(iii) アッセイ混合物を第1のマイクロタイタープレートの第1の複数のウェルから第2のマイクロタイターの対応する第2の複数のウェルに移し、それによって子孫バクテリオファージを一次抗バクテリオファージ抗体に結合させて一次抗体-バクテリオファージ複合体を形成させること; ならびに
(iv) 一次抗体-バクテリオファージ複合体を検出すること
によって細菌増殖を阻害するための抗菌剤の有効濃度を決定するための使用説明書
とともに含む、細菌増殖を阻害するための抗菌剤の有効濃度を決定するためのキットを提供する。
【0138】
1つの態様において、一次抗体は検出可能な標識で標識され、検出する段階は、
第2の複数のウェル中の標識された一次抗体-バクテリオファージ-複合体を検出することであって、抗菌剤の有効濃度は、標識された一次抗体-バクテリオファージ複合体が実質的に検出されない第2の複数のウェルにおける1つまたは複数のウェルに対応する第1の複数のウェルにおける1つまたは複数のウェル中の既知の濃度である、こと
を含む。
【0139】
1つの態様において、検出する段階は、
一次抗体-バクテリオファージ複合体を、検出可能な標識で標識された二次抗バクテリオファージ抗体と接触させ、それによって一次抗体-バクテリオファージ複合体を二次バクテリオファージ抗体に結合させ、標識された一次抗体-バクテリオファージ-二次抗体複合体を形成させること; および
第2の複数のウェル中の標識された一次抗体-バクテリオファージ-二次抗体複合体を検出することであって、抗菌剤の有効濃度は、標識された一次抗体-バクテリオファージ-二次抗体複合体が実質的に検出されない第2の複数のウェルにおける1つまたは複数のウェルに対応する第1の複数のウェルにおける1つまたは複数のウェル中の既知の濃度である、こと
を含む。
【0140】
キットの使用において、異なる段階が異なる場所で実行されてもよいことに留意されたい。したがって、例えば、段階(i)および(ii)は、最初の場所、例えば、流体試料が収集された場所で実行されてもよい。第1のマイクロタイタープレートは、インキュベーション後、段階(iii)、(iv)および(v)の実施のために、別の場所、例えば診断研究所に移されてもよい。これは、例えば、最初の場所、例えば、試料収集場所で、段階(iii)、(iv)および(v)を行うのに必要な組成物が利用可能でない場合、ならびに/または段階(iii)、(iv)および(v)を行う条件が適当でない場合に望ましいことがある。最初の試料収集後、第1のマイクロタイタープレートは、その後、さらなる処理、特に段階(iii)、(iv)および(v)の実施にいっそう適した、診断研究所などの場所に輸送されてもよい。
【0141】
別の局面において、本開示は、少なくとも1つの局面において、少なくとも1つの態様において、本開示の方法またはキットと組み合わせて用いるための試薬のアセンブリを提供する。試薬アセンブリは、第1および第2のマイクロタイタープレートにおいて懸濁のために十分な量のバクテリオファージおよび抗バクテリオファージ抗体を少なくとも含む。試薬アセンブリは、以下の1つまたは複数をさらに任意で含んでいてもよい: 細菌細胞、二次抗バクテリオファージ抗体、抗菌剤、細菌増殖培地、および希釈剤。
【0142】
当然ながら、本開示の前述の例示的な態様は、例示のみを意図しており、決して限定するものではない。記述された態様は、構成、詳細および操作順序の多くの改変の影響を受けやすい。本開示のさまざまな態様は、むしろ、全体として本記述と一致する広範な解釈が与えられるべきである添付の特許請求の範囲によって定義される、その範囲内の全てのそのような改変を包含することが意図される。
【0143】
以下に、本開示の方法を実施するための具体的な態様および実装形態、ならびに本開示のシステムまたはキットを表す実装形態の例が提供される。実施例は例示のみを目的として提供されており、いかなる形でも本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0144】
実施例1 - 尿試料中のMDR大腸菌に対する連続微量希釈による選択のカルバペネムおよびβ-ラクタム抗菌剤の最小阻害濃度の決定。
この方法は、96ウェルマイクロタイタープレート(「反応プレート」ともいわれる)の連続するウェルに4種類のカルバペネム(イミペネム、メロペネム、ドリペネムもしくはエルタペネム)をそれぞれ1種類ずつまたは4種類のβ-ラクタム(オキサシリン、セフタジジム、セフトリアキソンもしくはセフェピム)をそれぞれ1種類ずつ添加した後に、表1に示される大腸菌株を用いて、反応あたりATCC大腸菌1株ずつの液体懸濁液100 uLを添加することにより、ファージ増幅を用いて実施された。これらのATCC株は、約1×10
6 cfu/mLの濃度(これは症候性UTIに関連する平均細菌濃度である)に正規化され、健常ボランティアから収集された尿検体で調製された。各抗菌剤は、Clinical and Laboratory Standards Institute (Performance Standards for Antimicrobial Susceptibility Testing. 32
nd Edition. CLSI Supplement M100, Clinical and Laboratory Standards Institute, 2022)によって確立されているように、0.5~256 ug/mLの範囲で、薬物に応じ、2倍または10倍の連続希釈8~12回のブロス微量希釈によって個別にアッセイされた。抗菌剤の希釈はCLSI基準にしたがって希釈剤で実施し、希釈した抗菌剤を反応プレートの単一縦列のウェルに添加した。このようにして、計9枚のプレート(各プレートは、異なる大腸菌株を含有する試料を含む)の各々において、ウェルの縦列には、高濃度(
図6における反応プレートの底部(または横列「H」))から低濃度(
図6における反応プレートの上部(または横列「B」))まで連続的に希釈された単一の抗菌剤を加えた。
図6における反応プレートのウェル最上横列(横列「A」)は、試料希釈剤のみを含有しているブランクである。したがって、抗菌剤の最高濃度は反応プレートの横列Hから始まり、抗菌剤の濃度は、反応プレートの横列に沿って横列Bに向かって上方に進むにつれて減少する。次に、大腸菌特異的ファージT7 (ATCC BAA-1025-B2)を、約0.5または1×10
3 pfu/mL (アッセイの検出限界未満)の感染多重度(MOI)でウェルに添加した。増幅反応を37℃で2時間進行させた後に、各薬物濃度の各反応液100 uLを、抗ファージ捕捉抗体(「検出プレート」といわれる) Bethyl Labsポリクローナル抗T7 (部分A190-117A))でプレコーティングされた第2の複数の対応するウェルを含む第2のマイクロタイタープレート(「検出プレート」といわれる)に移し、次にその上でELISAを実施することによってアッセイした。ELISAの方法論を以下に記述する。
【0145】
1枚目は炭酸塩/重炭酸塩緩衝液中10 μg/mLに希釈されたファージ用、2枚目は尿中10 μg/mLに希釈されたファージ用の、2枚のELISAプレートを用いた。ELISA検出プレートはアッセイの前に、10 μg/mlの濃度での抗T7捕捉抗体の直接の受動的コーティングを適用することにより調製された。この調製後、従来のELISAプロトコルにしたがった:
1. 反応プレートからの各ファージ反応液100 μl/ウェルを添加し、ブランクとともに室温で1時間インキュベートした。ブランクは、炭酸塩/重炭酸塩緩衝液希釈剤のみの各ウェルの第1の横列であった。
2. プレートを反転させ、ペーパータオルの上で振って残留液を除去した。
3. プレートをブロッキング緩衝液300 μLでブロッキングし、粘着フィルムで覆って密封し、4℃で一晩インキュベートした。
4. プレートを反転させた。
5. 一次抗体を対応する希釈でウェルに100 μL/ウェルで添加し、室温で1時間インキュベートした。
6. プレートを自動プレート洗浄機で4回洗浄した。
7. ビオチン化抗T7二次抗体をPBS中1/30,000でストックから希釈し; 100 μL/ウェルを添加し; 室温で30分間インキュベートした。
8. プレートを4回洗浄した。
9. ストレプトアビジン結合TMBを添加し、室温で30分間インキュベートした。
10. プレートを4回洗浄した。
11. TMB基質を100 μL/ウェル添加し、暗所中、室温で10分間インキュベートした。
12. 停止液(0.36 N H2SO4)を用いて100 μL/ウェルをピペッティングすることにより反応を停止させた。
13. プレートリーダーにて450 nmの吸光度を読み取り、データをスプレッドシートにエクスポートして保存した。
【0146】
代表的な反応プレート(左)および検出プレート(右)を示す写真画像を
図6に示す。
【0147】
標的細菌が所与の薬物濃度のいずれかで耐性であり、したがって生存可能であった場合、それに対応して子孫ファージ濃度が約1×103 pfu/mLの検出閾値を超えて増加すると、検出可能なファージ増幅比色ELISAシグナルが産生され(例えば、ウェルB3、B4、B7、B8を参照のこと)、したがって既知の薬物濃度に基づく所与のMICを示した。標的細菌が所与の薬物濃度で感受性であった場合、細胞は生存不能となり、したがってファージ増幅が不可能とされ(例えば、ウェルH3、H4、H7、H8を参照のこと)、シグナル生成が妨げられた。この二元法では、CLSIが公表したMIC値を考慮に入れて、薬物濃度に基づき生物の耐性、感受性または中間感受性を決定し、MICはファージ増幅が行われたか否かによって決定された。表1に記載されている追加の大腸菌株を含む試料を用いて、上記を繰り返した。結果は表1に示されるように要約されている。
【0148】
【国際調査報告】