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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】耐水性かつ再パルプ化可能な組成物
(51)【国際特許分類】
   D21H 27/10 20060101AFI20240305BHJP
   D21H 25/06 20060101ALI20240305BHJP
   D21H 19/20 20060101ALI20240305BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
D21H27/10
D21H25/06
D21H19/20 A
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555463
(86)(22)【出願日】2022-03-09
(85)【翻訳文提出日】2023-10-02
(86)【国際出願番号】 US2022019532
(87)【国際公開番号】W WO2022192387
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】63/159,287
(32)【優先日】2021-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523344175
【氏名又は名称】ニーナ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Neenah, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】トムリンソン,ノーム
(72)【発明者】
【氏名】ワンゼルスキー,ニカ
(72)【発明者】
【氏名】ダンカン,クリステン
(72)【発明者】
【氏名】ターナー,ミッシェル
(72)【発明者】
【氏名】グリーバー,ダグ
(72)【発明者】
【氏名】フォラー,クリス
【テーマコード(参考)】
3E086
4L055
【Fターム(参考)】
3E086AB01
3E086AD01
3E086BA04
3E086BA14
3E086BA15
3E086BB64
4L055AA04
4L055AC06
4L055AC09
4L055AG05
4L055AG48
4L055AG51
4L055AG59
4L055AG64
4L055AG71
4L055AG72
4L055AG82
4L055AG89
4L055AG97
4L055AH02
4L055AH16
4L055AJ04
4L055BE08
4L055BE09
4L055BE20
4L055CH13
4L055CH16
4L055EA06
4L055EA07
4L055EA08
4L055EA10
4L055EA14
4L055FA11
4L055FA19
4L055FA30
4L055GA05
(57)【要約】
第1の表面と、第1の表面に対向する第2の表面とを有するセルロース系基材を含む、印刷可能な紙が本明細書に開示され、印刷可能な紙は、20g/m未満の2分間コブサイジング値を有し、第1の表面、第2の表面、又は両方が、37ダイン/cmを超える表面エネルギーを有する。更に、印刷可能な紙から得られるものなどの輸送用保護袋、及び印刷可能な紙を含むものなどの再利用可能で柔軟な包装容器が本明細書に開示される。再利用可能で柔軟な包装容器を作製する方法もまた、本明細書に開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷可能な紙であって、
第1の表面と、前記第1の表面に対向する第2の表面とを有するセルロース系基材を含み、
前記印刷可能な紙が、20g/m未満の2分間コブサイジング値を有し、
前記第1の表面、前記第2の表面、又は両方が、37ダイン/cmを超える表面エネルギーを有する、印刷可能な紙。
【請求項2】
前記印刷可能な紙が、Fiberboard Association Voluntary Standard for Repulping and Recycling Corrugated Fiberboard Treated to Improve its Performance in the Presence of Water and Water Vapor August 16,2013:Appendix A:Repulpabilityに従って再パルプ化可能である、先行請求項に記載の印刷可能な紙。
【請求項3】
TAPPI T494によって決定される、少なくとも45lb/in又は少なくとも70lb/inの引張強度(MD)を呈する、先行請求項のいずれか一項に記載の印刷可能な紙。
【請求項4】
120lbs/3000ft以下、又は60lbs/3000ft~120lbs/3000ftの坪量を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の印刷可能な紙。
【請求項5】
前記印刷可能な紙が、15g/m未満の2分間コブサイジング値を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の印刷可能な紙。
【請求項6】
前記第1の表面、前記第2の表面、又は両方が、40ダイン/cm~45ダイン/cmの表面エネルギーを有する、先行請求項のいずれか一項に記載の印刷可能な紙。
【請求項7】
前記印刷可能な紙が、TAPPI T494によって決定される、少なくとも200J/mの引張エネルギー吸収量(MD)を呈する、先行請求項のいずれか一項に記載の印刷可能な紙。
【請求項8】
前記印刷可能な紙が、TAPPI T414によって決定される、少なくとも170gfの引裂抵抗(MD)を呈する、先行請求項のいずれか一項に記載の印刷可能な紙。
【請求項9】
前記セルロース系基材が、乾燥強度添加剤を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の印刷可能な紙。
【請求項10】
前記乾燥強度添加剤が、カチオン性デンプン及びポリアクリルアミド樹脂を含む、請求項9に記載の印刷可能な紙。
【請求項11】
前記セルロース系基材の前記第1の表面上に遮断コーティングを更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の印刷可能な紙。
【請求項12】
前記印刷可能な遮断コーティングが、水系ポリマーから得られる、請求項11に記載の印刷可能な紙。
【請求項13】
前記印刷可能な遮断コーティングが、高エネルギー放電で表面処理されている、請求項11又は12に記載の印刷可能な紙。
【請求項14】
前記印刷可能な遮断コーティングが、コロナ処理を使用して表面処理されている、請求項11~13のいずれか一項に記載の印刷可能な紙。
【請求項15】
前記水系ポリマーコーティングが、アクリルホモポリマー、アクリルコポリマー、ポリエステルアクリルコポリマー、ビニルアクリルコポリマー、ワックスエマルジョン、又はこれらの組み合わせを含む、請求項11~14のいずれか一項に記載の印刷可能な紙。
【請求項16】
前記印刷可能な遮断コーティングが、2g/m~20g/m、2g/m~15g/m、又は5g/m~12g/mのコーティング重量を有する、請求項11~15のいずれか一項に記載の印刷可能な紙。
【請求項17】
前記印刷可能な遮断コーティングが、無機粒子を更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の印刷可能な紙。
【請求項18】
前記無機粒子が、表面処理されている、請求項17に記載の印刷可能な紙。
【請求項19】
前記無機粒子が、シリカを含む、請求項17又は18に記載の印刷可能な紙。
【請求項20】
前記セルロース系基材の前記第2の表面上に裏面コーティングを更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の印刷可能な紙。
【請求項21】
前記セルロース系基材が、少なくとも50%の消費者廃棄物から得られる、先行請求項のいずれか一項に記載の印刷可能な紙。
【請求項22】
前記引張強度(N/m)を前記坪量(g/m)で除算することによって定義される前記引張指数(MD)が、70~95Nm/gである、先行請求項のいずれか一項に記載の印刷可能な紙。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか一項に記載の印刷可能な紙から得られる、輸送用保護袋。
【請求項24】
前記輸送用保護袋全体が、前記印刷可能な紙から得られる、請求項23に記載の輸送用保護袋。
【請求項25】
前記輸送用保護袋が、封筒である、請求項23又は24に記載の輸送用保護袋。
【請求項26】
前記セルロース系基材を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の印刷可能な紙を含む、再利用可能で柔軟な包装容器であって、第1の表面が、前記容器の外面を形成し、第2の表面が、前記容器の内面を形成し、かつ製品体積を画定する、再利用可能で柔軟な包装容器。
【請求項27】
前記容器を形成する材料の全てが、単一ストリームで再利用可能である、請求項26に記載の再利用可能で柔軟な包装容器。
【請求項28】
前記容器が、封筒である、請求項26又は27に記載の再利用可能で柔軟な包装容器。
【請求項29】
請求項1~22のいずれか一項に記載の印刷可能な紙を含む、再利用可能で柔軟な包装容器を作製する方法であって、
第1の表面を含む前記容器の外面を形成することと、
第2の表面を含む前記容器の内面を形成することであって、前記第2の表面が、製品体積を画定する、形成することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年3月10日に出願された米国特許出願第63/159,287号の利益を主張し、その開示は、その全体が参照により明示的に本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、包装用組成物に関し、より具体的には、耐水性かつ再パルプ化可能な輸送用包装物及び紙、並びにそれらの作製方法及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
製品の小売及び輸送のための包装用材料は、典型的には、信頼性の高い材料の使用を可能にするのに十分な耐久性がある。そのような材料の開発における典型的な考慮事項には、それらの遮断性能、引張強度及び引裂強度、しわ及び擦りに対する耐性、製造上の効率、並びに取り扱いに対する耐性、げっ歯類及び害虫による侵入、並びにそれから作製された材料及び包装物が盗難を阻止する能力が含まれる。包装物及び包装用材料はまた、望ましくは、製造するのが比較的安価であり、好ましくは、製品の使用を促進するだけでなく、製品のイメージ又は関連性も向上させるように、外観、印刷品質、感触、及び触覚が顧客にとって魅力的なものである。
【0004】
プラスチック及びTyvek基材は、耐久性及び撥水性の点で繊維系材料よりも優れた利点を提供するものの、これらの材料は、多くのEコマースの輸送用用途で過剰設計されている。より重要なことに、それらは、環境の観点から、多くのブランドでますます人気が落ちている。いくつかのグループは、紙及び板紙、又は木材パルプから作製される他の製品の使用を支持している。紙及び板紙、又は木材パルプから作製される他の製品の製造において、石油由来のパラフィンワックス及び合成ポリマーは、防湿剤、撥水剤、撥油剤、補強剤、強化剤、及び剥離剤として、長年使用されてきた。パラフィン以外で、最も頻繁に使用される材料はポリエチレンであるが、他の広く使用されるポリマーには、重合アクリル、ビニル、スチレン、エチレン、及びこれらのモノマーのコポリマー又はヘテロポリマーが含まれる。石油由来のポリマー、及び特に石油ワックスは、製紙白水(循環処理水)及び排水中で生分解性ではないため、これらの従来の材料が適用される紙及び板紙は、標準的な製紙プロセスにおける再パルプ化及び再利用が困難となり、しばしば不可能になる。加えて、再パルプ化及び再利用プロセス中にパルプ繊維から除去されない石油ワックスの残留物は、紙又は板紙シートの形成及び製造プロセス中に使用されるスクリーン及びフェルト上に発生する蓄積のために、深刻な問題を引き起こす。加えて、石油ワックスでコーティング又は含浸された紙及び板紙は、埋立地及びその他の廃棄物処分システムで処分されるときに、生分解及び堆肥化に抵抗する。従来の合成ポリマー及びヘテロポリマーでコーティング又は含浸された紙及び板紙はまた、標準的な再パルプ化プロセスにおける繊維からの分離に対するそれらの抵抗のために再パルプ化及び再利用が困難であり、しばしば不可能であり、それらを再パルプ化及び再利用する試みにおいて著しい繊維損失をもたらし、これらはまた、生分解性ではなく、したがって堆肥化に抵抗する。
【0005】
更に、商業用輸送用途において使用される従来の紙及び板紙は、典型的には、かさが大きく、包装物の費用を増加させる。
【0006】
したがって、プラスチック及び再利用不可能な輸送用包装物に代わる、例えば、アパレル及び壊れものではない商品に使用される再利用可能で耐久性のある輸送用包装物を提供する必要性が存在する。本明細書に開示される組成物及び方法は、これら及び他の必要性に対処する。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、概して、包装容器、より具体的には商業用保護袋として使用するための印刷可能な紙に関する。商業用保護袋は、例えば、アパレル及び壊れものではない商品の輸送に使用される。本開示は、魅力的な美観、並びに商業用用途に重要な一定レベルの耐久性、耐水性、重量、及び全体的な性能を提供しながら、プラスチック及び他の再利用不可能な材料から製造された保護袋に代わる環境的に持続可能な代替物を提供する。
【0008】
印刷可能な紙は、第1の表面と、第1の表面に対向する第2の表面とを有するセルロース系基材を含み、印刷可能な紙は、20g/m未満の2分間コブサイジング値を有し、第1の表面、第2の表面、又は両方は、37ダイン/cmを超える表面エネルギーを有する。いくつかの実施例では、印刷可能な紙は、Fiberboard Association Voluntary Standard for Repulping and Recycling Corrugated Fiberboard Treated to Improve its Performance in the Presence of Water and Water Vapor August 16,2013:Appendix A:Repulpabilityに従って再パルプ化可能である。特定の実施例では、印刷可能な紙は、TAPPI T494によって決定される、少なくとも45lb/in又は少なくとも70lb/inの引張強度(MD)を示す。印刷可能な紙は、120lbs/3000ft以下、又は60lbs/3000ft~120lbs/3000ftの坪量を有し得る。いくつかの実施例では、印刷可能な紙は、15g/m未満の2分間コブサイジングを有する。特定の実施例では、第1の表面、第2の表面、又は両方は、40ダイン/cm~45ダイン/cmの表面エネルギーを有する。印刷可能な紙は、TAPPI T494によって決定される、少なくとも200J/mの引張エネルギー吸収量(MD)を呈し得る。いくつかの実施例では、印刷可能な紙は、TAPPI T414によって決定される、少なくとも170gfの引裂抵抗(MD)を呈する。具体的な実施例では、引張強度(N/m)を坪量(g/m)で除算することによって定義される引張指数(MD)は、70~95Nm/gである。印刷可能な紙は、120lbs/3000ft以下の坪量(例えば、60lbs/3000ft~120lbs/3000ft、69lbs/3000ft~120lbs/3000ft、又は60lbs/3000ft~100lbs/3000ft)を有する、商業用保護袋用途に非常に適した強度特性をもって製造され得る。
【0009】
具体的な実施例では、セルロース系基材(本明細書ではベースシート又はベースストックとも称される)は、少なくとも50重量%の消費者廃棄物(PCW、例えば、最大30重量%の漂白針葉樹材及び最大70重量%の漂白広葉樹材を有するPCW)並びに少なくとも40重量%の針葉樹パルプを含む繊維供給物で製造され得る。針葉樹パルプは、好ましくは、少なくとも75%のクロトウヒ繊維を含む。例えば、セルロース系基材は、50%のPCW及び主に(>75%)トウヒ繊維で構成された50%の北方漂白針葉樹クラフト紙(NBSK)を含み得る。漂白繊維の使用は、ブランド差別化のためのカスタムカラーを製造する機会を提供する。全体として、セルロース系基材は、少なくとも60重量%の針葉樹材及び40重量%以下の広葉樹材から得ることができる。
【0010】
特定の実施例では、セルロース系基材は、乾燥強度添加剤を含む。特定の実施例では、乾燥強度添加剤は、カチオン性デンプン及びポリアクリルアミド樹脂を含む。カチオン性デンプン及びポリアクリルアミド樹脂は、製紙機の湿潤側に添加され得る。好適なカチオン性デンプンには、四級アンモニウム系カチオン性デンプン、三級アミノ系カチオン性デンプン、又はこれらの組み合わせが含まれる。カチオン性デンプンは、セルロース系基材の少なくとも1重量%、又は1重量%~2.5重量%の量で存在し得る。好適なポリアクリルアミド樹脂には、アニオン性又はカチオン性系ポリアクリルアミド樹脂、例えば、グリオキサール化ポリアクリルアミド樹脂(Solenisから入手可能なHercobond1000)、又はアニオン性ポリアクリルアミド-アクリル酸(Solenisから入手可能なHercobond2000)が含まれ得る。ポリアクリルアミド樹脂は、セルロース系基材の少なくとも0.1重量%、0.1重量%~0.5重量%、又は0.2重量%~0.4重量%の量で存在し得る。
【0011】
いくつかの実施例では、印刷可能な紙は、セルロース系基材の第1の表面上に遮断コーティングを更に含む。遮断コーティングは、2g/m~20g/m、2g/m~15g/m、又は5g/m~12g/mのコーティング重量を有し得る。特定の実施例では、印刷可能な遮断コーティングは、水系ポリマーから得られる。特定の実施例では、水系ポリマーコーティングは、アクリルホモポリマー、アクリルコポリマー、ポリエステルアクリルコポリマー、ビニルアクリルコポリマー、ワックスエマルジョン、又はこれらの組み合わせを含む。印刷可能な遮断コーティングは、高エネルギー放電で表面処理され得、いくつかの実施例では、印刷可能な遮断コーティングは、コロナ処理を使用して表面処理され得る。コロナ処理は、湿潤環境からの保護を依然として維持しながら、ほとんどの印刷及び接着プロセスで許容される範囲まで表面エネルギー(ダインレベル)を増加させ得る。コロナ処理はまた、遮断表面上にポリマー鎖の相互拡散を低減する架橋を作製し、それにより材料の故障モードを変更し得る。いくつかの実施例では、印刷可能な遮断コーティングは、シリカなどの無機粒子を更に含む。特定の実施例では、無機粒子は、表面処理される。遮断コーティングは、湿潤環境から保護するために提供されるが、概して、コーティングされた基材に低い表面エネルギーを付与し、したがって、水の浸透を遅延させ、印刷可能性(インクの吸収及び乾燥を含む)、並びに保護袋を製造するために使用される低温の液体粘着剤、ホットメルト、及び感圧接着剤の接着性を損なう。
【0012】
いくつかの実施例では、印刷可能な紙は、セルロース系表面の第2の表面上に裏面コーティングを更に含む。特定の実施形態では、裏面コーティングは、フィルム形成親水性ポリマーを含む。好適なフィルム形成親水性ポリマーの例には、ポリビニルアルコール、ポリエステルエラストマー、天然系ポリマー(例えば、デンプン、ガム、若しくはセルロース)、又はこれらの組み合わせが含まれる。裏面コーティングは、0.1g/m~5g/m、若しくは0.2g/m~2g/mのコーティング重量で適用され得るか、又は1~75マイクロメートル若しくは1~25マイクロメートルの厚さを有し得る。
【0013】
また、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の印刷可能な紙から得られる輸送用保護袋である。いくつかの実施例では、輸送用保護袋全体が、印刷可能な紙から得られる。特定の実施例では、輸送用保護袋は、封筒である。
【0014】
また、本明細書に提供されるのは、セルロース系基材を含む、印刷可能な紙を含む再利用可能で柔軟な包装容器であって、第1の表面は、容器の外面を形成し、第2の表面は、容器の内面を形成し、かつ製品体積を画定する。いくつかの実施例では、容器を形成する全ての材料は、単一ストリームで再利用可能である。特定の実施例では、容器は、封筒である。また、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の印刷可能な紙を含む再利用可能で柔軟な包装容器を作製する方法であって、第1の表面を含む容器の外面を形成することと、第2の表面を含む容器の内面を形成することとを含み、第2の表面が、製品体積を画定する、方法である。
【0015】
再利用可能な包装容器は、耐湿性があり再パルプ化可能な軽量の繊維系保護袋の選択肢を提供する。より具体的には、本開示は、重量、耐水性、耐久性、再利用性、美観、及びその構造における消費者廃棄物繊維の組み込みの点で、既存の繊維系包装容器よりも優れた利点を提供する。セルロース系基材は、強度及び耐久性を提供する。引張強度、引張エネルギー吸収、引裂強度、及び破裂強度は、繊維の種類の選択、精製方法、並びにカチオン性デンプン及びポリアクリルアミド乾燥強度樹脂の使用を通して最大化されている。ベースストックの内部サイジングは、表面遮断コーティングの耐久性を提供しながら、裏側の水の浸透を可能にして、再パルプ化可能性を確保し得る。例えば、雨、雪、及び湿潤環境からの保護を提供するために、遮断コーティングは、ベースストックの片側に適用される。
【0016】
1つ以上の実施形態の詳細は、以下の説明に記載されている。他の特徴、目的、及び利点は、説明及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示は、とりわけ、輸送用包装物のための印刷可能な紙に関する。印刷可能な紙は、第1の表面と、第1の表面に対向する第2の表面とを有する、セルロース系基材を含む。いくつかの実施形態では、印刷可能な紙は、セルロース系基材の第1の表面上に遮断コーティングを更に含む。本開示はまた、印刷可能な紙から得られるものなどの輸送用保護袋、及び印刷可能な紙を含むものなどの再利用可能で柔軟な包装容器にも関する。再利用可能で柔軟な包装容器を作製する方法もまた、本明細書に開示される。
【0018】
セルロース系基材
セルロース系基材は、任意の様々な異なる材料を含み得る。いくつかの実施形態では、例えば、セルロース系基材は、セルロース繊維性材料から形成された繊維性ウェブを含有する。本明細書で使用される場合、「セルロース繊維性材料」という用語は、概して、木材系パルプ又は他の非木材由来繊維源(例えば、ウェブ中の全繊維の少なくとも約65重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約95重量%、又は最大100重量%がセルロースである)を含有する材料を指す。
【0019】
パルプは、一次繊維性材料、消費者廃棄物などの二次繊維性材料(「再利用」)、又はこれらの組み合わせであり得る。パルプ繊維の供給源には、例として、針葉樹材及び広葉樹材などの木材;米、アフリカハネガヤ、小麦、ライ麦、及びサバイなどの麦わら及び草;バガスなどのトウ及びアシ;竹;ジュート、亜麻、ケナフ、及びアサなどの木質茎;リネン及びラミーなどの靭皮;アバカ及びサイザルなどの葉;並びに綿及び綿ライナーなどの種子が含まれる。針葉樹材及び広葉樹材は、より一般的に使用されるセルロース繊維の供給源である。針葉樹材の例には、例示のみとして、松(例えば、ダイオウ松、エキナータ松、ロブロリーパイン、スラッシュパイン、サザンパイン)、クロトウヒ、シロトウヒ、バンクスマツ、バルサムモミ、ダグラスモミ、アメリカツガ、セコイア、レッドシダー、北方針葉樹、南方針葉樹、ツガ、トウヒ(例えば、クロトウヒ)、これらの組み合わせなどが含まれる。広葉樹材の例には、ここでも例示のみとして、アスペン、シラカバ、ブナ、オーク、カエデ、ユーカリ、及びガムが含まれる。そのようなパルプ繊維の具体的な例には、北方漂白針葉樹クラフト紙(NBSK)パルプとして入手可能な針葉樹パルプが含まれる。
【0020】
異なるセルロース繊維を選択して、異なる属性を提供することができる。繊維源の選択は、ウェブの最終的な適用に部分的に依存する。例えば、針葉樹繊維をウェブに含めて、引張強度を増加させることができる。広葉樹繊維は、繊維の形成又は分布の均一性を改善するそれらの能力のために選択され得る。セルロース系基材は、特定の実施形態では、(ウェブ中のセルロース繊維の全乾燥重量に基づいて)少なくとも約50重量%の針葉樹繊維、少なくとも約60重量%(すなわち、約65重量%~約95重量%、約75重量%~約90重量%、又は約75重量%~約85重量%)などであり得る。特定の一実施形態では、針葉樹繊維は、任意の有意な量の広葉樹繊維の存在なしに、セルロース系基材中の全セルロース繊維の実質的に100重量%を形成し得る(すなわち、針葉樹セルロース繊維から本質的になる)。セルロース系基材は、特定の実施形態では、(ウェブ中のセルロース繊維の全乾燥重量に基づいて)約50重量%未満の広葉樹繊維、約45重量%未満(すなわち、約15重量%~約45重量%、約20重量%~約40重量%、又は約25重量%~約40重量%)などであり得る。
【0021】
特定の実施例では、セルロース系基材は、少なくとも50重量%の消費者廃棄物(例えば、約15重量%~約50重量%の漂白針葉樹繊維及び約50重量%~約85重量%の漂白広葉樹繊維を含有する)並びに最大50重量%の針葉樹パルプを含む繊維供給物で製造され得る。針葉樹パルプは、好ましくは、少なくとも75%のトウヒ繊維を含む。例えば、セルロース系基材は、50%の消費者廃棄物及び主に(>75%)トウヒ繊維で構成された50%の北方漂白針葉樹クラフト紙(NBSK)を含み得る。漂白繊維の使用は、ブランド差別化のためのカスタムカラーを製造する機会を提供する。
【0022】
いくつかの実施形態では、セルロース系基材は、120lbs/3000ft以下(例えば、115lbs/3000ft以下、110lbs/3000ft以下、105lbs/3000ft以下、100lbs/3000ft以下、95lbs/3000ft以下、90lbs/3000ft以下、85lbs/3000ft以下、80lbs/3000ft以下、75lbs/3000ft以下、70lbs/3000ft以下、65lbs/3000ft以下、60lbs/3000ft以下、55lbs/3000ft以下、又は50lbs/3000ft以下)の坪量を有し得る。いくつかの実施形態では、セルロース系基材は、45lbs/3000ft以上(例えば、50lbs/3000ft以上、55lbs/3000ft以上、60lbs/3000ft以上、65lbs/3000ft以上、70lbs/3000ft以上、75lbs/3000ft以上、80lbs/3000ft以上、85lbs/3000ft以上、90lbs/3000ft以上、95lbs/3000ft以上、100lbs/3000ft以上、105lbs/3000ft以上、110lbs/3000ftlbs/3000ft以上、115lbs/3000ft以上、又は120lbs/3000ft以上)の坪量を有する。いくつかの実施形態では、セルロース系基材は、50lbs/3000ft~120lbs/3000ft(例えば、60lbs/3000ft~120lbs/3000ft、70lbs/3000ft~110lbs/3000ft、70lbs/3000ft~100lbs/3000ft、又は75lbs/3000ft~100lbs/3000ft)の坪量を有する。
【0023】
強度添加剤
乾燥及び一時的な湿潤強度、保持及び排水、生産性を改善し、坪量を低減し、エネルギー効率を改善し、供給物の費用を低減し、フェルト寿命を増加させるために、強度添加剤がセルロース系基材に含まれ得る。強度添加剤は、典型的には、薄い紙シート構造に対して多かれ少なかれ長期的な耐湿性を提供し得る。いくつかの例では、紙の用途では高強度が望ましいものの、そのような特徴を有する紙は、しばしば厳しい条件下でのみ再パルプ化可能である。例えば、アゼチジニウム官能基を含有する樹脂は、一般に、個々の繊維に戻して再パルプ化することによって紙を再利用又は回収する上での困難を伴う。そのような紙の再パルプ化には、アミド加水分解を引き起こすのに適切な熱及び化学的条件下でそれを処理しながら、繊維ネットワークを破壊するのに十分な物理的力にさらすことが必要である。他の強度添加剤は、より良好な再パルプ化可能性を保有し得るが、それらの強度は、他の強度樹脂で得られるものほど高くはない可能性がある。
【0024】
本明細書に記載の論文に含まれる強度添加剤は、カチオン性、非イオン性、アニオン性、又は両性の水溶性樹脂であり得、これは、紙上で自己保持し、紙に向上した乾燥強度及び効果的に湿潤強度を付与する湿潤及び乾燥強度樹脂としての使用に理想的に適している。乾燥強度添加剤には、材料の乾燥強度を向上させる、本明細書で論じられる強度添加剤が含まれる。更に、本明細書に記載の強度添加剤を含有する紙は、いくつかの例では、本質的には同じであるが、従来の乾燥及び湿潤強度樹脂を含有する紙よりも、速くパルプ化する。好ましくは、本明細書に記載のセルロース系基材に使用される強度添加剤は、商品名Hercobond(登録商標)で入手可能なものなどのアニオン性又はカチオン性ポリアクリルアミド樹脂を含み得る。具体的な例には、カチオン性グリオキシル化ポリアクリルアミド及びアニオン性ポリアクリルアミド-アクリル酸樹脂が含まれる。強度添加剤の追加の例には、カチオン性デンプン、ポリアミド-ポリアミン-エピクロロヒドリン樹脂、ポリアミノアミド-エピクロロヒドリン樹脂、ポリエチレンイミン樹脂及びアミノプラスト樹脂、修飾デンプン及び他の多糖(両性及びアニオン性デンプンなど)、グアーガム及びイナゴマメガム、修飾ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、糖、ポリビニルアルコール、キトサン、修飾ポリアミン、並びにセルラーゼ酵素が含まれるが、これらに限定されない。
【0025】
いくつかの実施形態では、セルロース系基材は、カチオン性デンプンを含み得る。カチオン性デンプンは、紙強度、水の排水、保持を向上させ、紙品質を改善し、紙くず、糸くず、及びサイズの追加を低減し、製紙プロセスのより優れた制御により、紙ウェブの破損を減らし、製紙機の実行性及び生産性を改善し得る。カチオン性デンプンはまた、充填剤及びより多くの再利用繊維の使用を可能にするため、供給物の費用を低減する。強度添加剤として、カチオン性デンプンは、剛性、不透明度、印刷品質、及び明るさを改善する。商業的に入手可能なカチオン性デンプンには、四級アンモニウム型カチオン性デンプン及び三級アミノ型カチオン性デンプンが含まれる。四級アンモニウム型デンプンは、全てのpH範囲においてカチオン性であるが、三級アミノ型デンプンは、酸性範囲においてのみカチオン性である。
【0026】
カチオン性デンプン強度添加剤は、セルロースベース基材の重量に基づいて、0.1重量%以上、0.2重量%以上、0.4重量%以上、0.5重量%以上、0.8重量%以上、1重量%以上、1.5重量%以上、2重量%以上、2.5重量%以上、3重量%以上、4重量%以上、又は5重量%以上の量でセルロース系基材に含まれ得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、セルロース系基材は、アニオン性又はカチオン性ポリアクリルアミド樹脂を含み得る。カチオン性及びアニオン性ポリアクリルアミド強度添加剤は、Hercules Incorporated of Wilmington、Del.から入手可能である。ポリマーの添加は、セルロース繊維性スラリーに電荷を追加し、完成したセルロース繊維性シートに耐久性及び強度の両方を付与する複合体の作製を助ける。
【0028】
ポリアクリルアミド強度添加剤は、セルロースベース基材の重量に基づいて、0.1重量%以上、0.2重量%以上、0.4重量%以上、0.5重量%以上、0.8重量%以上、1重量%以上、1.5重量%以上、2重量%以上、2.5重量%以上、3重量%以上、4重量%以上、又は5重量%以上の量でセルロース系基材に含まれ得る。
【0029】
とりわけ、増粘剤、分散剤、乳化剤、粘度修飾剤、保湿剤、pH修飾剤を含むが、これらに限定されない、加工剤などの他の添加剤も、セルロース系基材中に存在し得る。
【0030】
遮断コーティング
いくつかの実施形態では、印刷可能な紙は、セルロース系基材の第1の表面上に遮断コーティングを更に含み得る。例えば、紙基材上にポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、ワックス、又はポリ塩化ビニリデン(PVDC)のフィルムを添加して、湿気遮断を提供することが現在の慣行である。しかしながら、従来の遮断コーティングは、主に、再パルプ化不可能であるが、これは、主に、それらがプロセスを混乱させる(例えば、フィルタスクリーンを塞ぐ)か、又は完成した製品を汚染するかのいずれかによって、繊維回収プロセスにおいて品質問題を導くためである。環境及び費用上の理由から、湿気遮断包装用材料の処分は、製紙工場及びそれらの顧客にとって重要な問題となっている。これらの材料の再パルプ化は、当該業界に特別な問題を提起する。湿気遮断層は、包装物から有用な繊維を回収する上での問題を明らかにする。現在、これらの包装物のほぼ全てが、最終的に埋立地に廃棄又は焼却処分されており、これは、環境及び公衆衛生に関する問題を生じさせる。木材繊維を回収するための包装物の再処理は、木材繊維の重要な供給源であり、高品質かつ高価な繊維の廃棄を回避するのに役立つ。
【0031】
セルロース系基材は、高い遮断性能、印刷可能性、高性能接着性、強度、再パルプ可能性、及び低い製造費用を提供し得る遮断コーティングを含み得る。「遮断」という用語は、大気ガス、充填ガス、水蒸気、揮発性香気、及び/若しくは香料成分、又はこれらの組み合わせの通過を停止又は遅延させるコーティングの能力を説明するために使用される。
【0032】
好ましくは、本明細書に記載される遮断コーティングは、耐水性である。遮断コーティングの耐水性は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるTAPPI T441に記載されるコブ法で試験することができる。この方法は、標準化された条件下で特定の時間内に紙によって吸収される水の量を決定し、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコーティングされた基材は、この試験方法に記載される耐水性試験に合格する。水及び湿気に対する遮断を提供する遮断コーティングはまた、密封を形成し、製造プロセス中にブロッキングしない能力を有する必要がある。例えば、輸送用保護袋の紙は、紙の側面の接合時に密封が可能である必要があり、密封自体もまた、液体又は水蒸気に対して耐性があり、それらの存在下でその完全性を維持する必要がある。
【0033】
遮断コーティングは、望ましくは、印刷可能である。印刷可能性は、小売業又は販売時点情報管理業をターゲットにした包装物の重要な属性である。印刷可能性は、材料が高品質の印刷物をもたらす能力である。印刷可能性は、印刷品質及びインク転写の均一性、インク湿潤及び乾燥の速度、インク受容性、圧縮性、平滑度、不透明度、色、ピッキング耐性、並びに同様の要因によって判断される。材料を様々な機器で印刷することができ、印刷の品質を最大化し、製造の費用を最小化することができる場合、これが概して好ましい。印刷技術には、フレキソ、グラビア、ヒートセット、熱転写、オフセット、オフセットリソグラフィ、非接触レーザ、インクジェット、紫外線、ホットスタンプ、スクリーン、シルクスクリーンが含まれる。全体的に、印刷可能な遮断コーティングは、好ましくは、湿気、酸素、油、及び脂肪酸に対する遮断、並びに機械的性能、美観、装飾性、化学物質に対する耐性、再利用可能性、表面エネルギー、インク接着性、インク湿潤性、繊維に対するフィルム接着性、並びに粘着剤及び接着剤適用のための改善された表面を提供する。
【0034】
本明細書に記載の印刷可能な遮断コーティングは、水系ポリマーから得ることができ、セルロース系基材の少なくとも1つの表面上に存在する。水系ポリマーコーティングは、水溶性及び/又は水分散性である水系ポリマーを含み得る。いくつかの実施形態では、水系ポリマーは、アクリルホモポリマー、アクリルコポリマー、ポリエステルアクリルコポリマー、ビニルアクリルコポリマー、ワックスエマルジョン、又はこれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施例では、水系ポリマーコーティングは、再利用PET容器などの消費者廃棄物から得ることができる。水系ポリマーコーティングの具体的な例には、Michelmanから商業的に入手可能なアクリルコポリマー(例えば、MC40EAF)、BASFから商業的に入手可能なアクリルポリマー(例えば、Acronal NX4612X)、Ulterion Internationalから商業的に入手可能なポリエステルアクリレートコポリマー(例えば、再利用PET容器から得られるポリエステルアクリレートコポリマーであるUlterion560Flex)が含まれる。
【0035】
印刷可能な遮断コーティングは、印刷可能な遮断コーティングの少なくとも60重量%(例えば、少なくとも65重量%、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、少なくとも99重量%、又は最大100重量%)の量で水系ポリマーを含み得る。
【0036】
遮断コーティングは、いくつかの実施形態では、1つ以上の添加剤を更に含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の添加剤は、無機粒子(本明細書では顔料又は鉱物顔料とも称される)を含み得る。いくつかの実施形態では、無機粒子を添加して、平滑度、白さ、増加した密度又は重量、減少した多孔性、増加した不透明度、平坦度、光沢度、水の吸着(低い表面張力若しくは接触角)又は水の反発(高い表面張力若しくは接触角)などの特定の特性を紙に付与することができる。無機粒子は、所望の特性を促進する処理プロセスを受け得る。例えば、顔料は、界面活性剤、ポリエチレンイミン(PEI)などの疎水性若しくは親水性修飾ポリマー、アクリルエマルジョン化学物質、シラン若しくはシロキサン、又はこれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない材料で表面処理され得る。
【0037】
無機粒子は、金属酸化物微小粒子又はナノ粒子(酸化アルミニウム(Al)、二酸化アルミニウム(AlO)、酸化亜鉛(ZnO)など)、炭酸カルシウム、カオリン、粘土、滑石、珪藻土、雲母、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、バーミキュライト、グラファイト、カーボンブラック、アルミナ、シリカ、コロイドシリカ、シリカゲル、酸化チタン、水酸化アルミニウム、アルミニウム三水和物、サテンホワイト、酸化マグネシウム、又はこれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、無機粒子は、シリカ(SiO)を含む。理論に拘束されることを望むものではないが、無機微小粒子は、印刷可能な遮断コーティングに印刷された画像のインクに親和性を追加すると考えられる。例えば、金属酸化物多孔質微小粒子(例えば、SiO)は、インク液体(例えば、水及び/又は他の溶媒)を迅速に吸収することができ、有機溶媒への曝露後でも、乾燥時にインク分子を保持することができると考えられる。加えて、金属酸化物微小粒子(例えば、SiO)は、インク結合剤及び/又はインク中の顔料分子と結合(共有結合若しくはイオン結合)及び/又は相互作用(例えば、ファンデルワールス力、水素結合など)することができる酸化物に利用可能な結合部位を追加することができると考えられる。インク組成物の分子と微小粒子の酸化物との間のこの結合及び/又は相互作用は、印刷可能な表面上に印刷されたインクの耐久性を改善し得る。
【0038】
無機粒子は、約1μm~約20μmなどの、マイクロメートル(ミクロン又はμm)スケール上の平均直径を有し得る。そのような微小粒子は、曝露した表面上で十分に平滑でありながら、印刷可能なコーティングに適用されたインク組成物と相互作用するのに十分に大きな表面積を提供し得る。加えて、大きすぎる微小粒子は、印刷可能なコーティング上に粒子の粗い画像をもたらし、かつ/又はそれに適用される任意の画像の鮮明さを低減し得る。特定の一実施形態では、印刷可能なコーティングは、第1の平均直径を有する第1の複数の無機微小粒子と、第2の平均直径を有する第2の複数の無機微小粒子とを含み得、第1の平均直径は、第2の平均直径よりも小さい。例えば、第1の平均直径は、約1μm~約10μm(例えば、約4~約6)であり得、第2の平均直径は、約8μm~約20μm(例えば、約8~約9などの約8~約10)であり得る。
【0039】
印刷可能な遮断コーティングは、印刷可能な遮断コーティングの40重量%未満(例えば、35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、12重量%未満、10重量%未満、8重量%未満、5重量%未満、3重量%未満、又は2重量%未満)の量で無機粒子を含み得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、印刷可能な遮断コーティングは、増粘剤、分散剤、乳化剤、粘度修飾剤、保湿剤、pH修飾剤、開始剤、安定剤、鎖移動剤、緩衝剤、塩、保存剤、難燃剤、湿潤剤、保護コロイド、殺生物剤、腐食防止剤、架橋剤、架橋促進剤、及び滑沢剤などの添加剤を含み得る。いくつかの実施形態では、印刷可能な遮断コーティングは、有色若しくはパターン付き紙を製造するため、又は紙の色合いを変更するために、1つ以上の染料及び/又は着色顔料を含み得る。例示的な染料には、塩基性染料、酸性染料、アニオン性直接染料、及びカチオン性直接染料が含まれる。例示的な有色顔料には、アニオン性顔料分散体及びカチオン性顔料分散体の形態の有機顔料及び無機顔料が含まれる。添加剤は、最大約5重量%など(約0.1重量%~約1重量%など)の任意の量で含まれ得る。
【0041】
言及したように、架橋剤は、高度に架橋したコーティングが形成されることを確保するために、印刷可能な遮断コーティング中に存在し得る。特に、水系ポリマーは、架橋剤と反応して、三次元架橋材料を形成することができる。特に好適な架橋ポリマー結合剤には、反応性カルボキシル基を含有するものが含まれる。カルボキシル基を含む例示的な架橋結合剤には、アクリル、ポリウレタン、エチレン-アクリル酸コポリマーなどが含まれる。他の望ましい架橋結合剤には、反応性ヒドロキシル基を含有するものが含まれる。カルボキシル基を有する結合剤を架橋するために使用され得る架橋剤には、多官能性アジリジン、エポキシ樹脂、カルボジイミド、オキサゾリン官能性ポリマーなどが含まれる。ヒドロキシル基を有する結合剤を架橋するために使用され得る架橋剤には、メラミン-ホルムアルデヒド、尿素ホルムアルデヒド、アミン-エピクロロヒドリン、多官能性イソシアネートなどが含まれる。
【0042】
架橋触媒もまた、硬化中の十分な架橋の発生の確保に役立つように、印刷可能な遮断コーティング中に存在し得る。例えば、架橋触媒は、イミダゾール硬化剤であり得る。しかしながら、特定の実施形態では、コーティングは、そのような架橋触媒を含まなくてもよい。
【0043】
印刷可能な遮断コーティングが、インクジェット印刷を介して染料系インクを受容するための用途を対象とする場合、印刷可能なコーティングは、カチオン性染料固定剤として機能するために、カチオン性多価電解質を更に含み得る。存在する場合、印刷可能なコーティングは、約0.1重量%~約5重量%のカチオン性染料固定剤を含み得る。
【0044】
印刷可能な遮断コーティングは、いくつかの実施形態では、2g/m以上(例えば、3g/m以上、4g/m以上、5g/m以上、6g/m以上、7g/m以上、8g/m以上、9g/m以上、10g/m以上、11g/m以上、12g/m以上、13g/m以上、14g/m以上、15g/m以上、16g/m以上、17g/m以上、18g/m以上、19g/m以上、20g/m以上、又は25g/m以上)のコーティング重量を有し得る。印刷可能な遮断コーティングは、いくつかの実施形態では、25g/m以下(例えば、24g/m以下、23g/m以下、22g/m以下、21g/m以下、20g/m以下、19g/m以下、18g/m以下、17g/m以下、16g/m以下、15g/m以下、14g/m以下、13g/m以下、12g/m以下、11g/m以下、10g/m以下、9g/m以下、8g/m以下、7g/m以下、6g/m以下、5g/m以下、4g/m以下、又は3g/m以下)のコーティング重量を有し得る。印刷可能な遮断コーティングは、いくつかの実施形態では、2g/m~20g/m(例えば、5g/m~20g/m、2g/m~15g/m、又は5g/m~12g/m)のコーティング重量を有し得る。コーティング重量は、セルロース系基材1平方メートル当たりのコーティングのグラム単位で報告することができ、適用されるコーティングの量及びコーティングが適用されるセルロース系基材の表面積によって直接計算することができる。
【0045】
印刷可能な遮断コーティングは、0.5ミル以上(例えば、0.6ミル以上、0.7ミル以上、0.8ミル以上、0.9ミル以上、1ミル以上、1.1以上、1.2以上、1.3以上、1.4以上、1.5以上、1.6以上、1.7以上、1.8以上、1.9以上)の厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、印刷可能な遮断コーティングは、2ミル以下の厚さ(例えば、1.9以下、1.8以下、1.7以下、1.6以下、1.5以下、1.4以下、1.3以下、1.2以下、1以下、0.9以下、0.8以下、0.7以下、又は0.6以下)を有する。いくつかの実施形態では、印刷可能な遮断コーティングは、0.5ミル~2ミル(例えば、0.9ミル~1.6ミル、1.1ミル~1.4ミル)の厚さを有する。コーティングの厚さは、コーティングの密度及びコーティングされた紙の重量に基づいて計算され得る。
【0046】
表面処理
多くの場合、遮断コーティングは、良好な構造的及び他の特徴を有するが、表面特徴のために、十分な印刷可能性又は接着特性を有していない。紙及び他の材料の表面を変化させて、それらを接着剤又は印刷インクに対してより受容性にする処理が、必要であり得る。いくつかの実施形態では、遮断コーティングを、酸化させるか、平滑化するか、又はこれらの組み合わせを行って、接着を改善することができる。いくつかの実施形態では、表面処理は、高エネルギー放電、例えば、イオン化放電及び/又は熱放電を含み得る。本明細書で使用される場合、「高エネルギー放電」は、材料の表面上の分子結合及び/又はエネルギーを変化させることができるエネルギー源を指す。いくつかの実施形態では、エネルギー源は、材料の表面上の分子結合を破壊することができる。破壊された結合は、これにより、高エネルギー放電環境に存在するフリーラジカル及び他の粒子に自由に結合する。いくつかの実施例では、遮断コーティングは、コロナ処理、プラズマ放電処理、火炎処理、又はこれらの組み合わせから選択されるプロセスを使用して表面処理(例えば、物理的表面処理又は熱処理)され得る。水系ポリマーコーティングの表面処理は、例えば、セルロース系基材層間の熱密封及び/又は表面接着を改善し得る。
【0047】
コロナ処理には、オゾンを生成する放電プロセスが含まれ、転じてオゾンが基材表面を酸化させ、強力な結合形成に寄与する極性部位を生成する。処理レベルは、ダインで測定される。(現在は推奨されない)cgs単位システムのダインは、1グラムの質量を1センチメートル毎秒毎秒で加速させるために必要な力である。(1ダイン=1×10ニュートン)。したがって、包装物において、それは、表面エネルギー又は表面の極性の尺度として使用される。ダインレベルは、表面を液体で湿潤させ、接着剤、コーティング、又はインクと化学結合を形成させる能力の指標である。表面のダインレベルは、典型的には、接着剤物質の性質に応じて、37以上である必要がある。(ASTM D2578)。
【0048】
いくつかの実施形態では、遮断コーティングは、好適な電力でコロナ処理される。遮断コーティングは、1ワット以上の電力レベルでコロナ処理され得る。いくつかの実施形態では、遮断コーティングは、毎分平方フィート当たり1~4ワット(例えば、2ワット以上、2.5ワット以上、3ワット以上、又は3.5ワット以上)の電力レベルでコロナ処理される。いくつかの実施形態では、遮断コーティングは、4ワット以下(例えば、3.5ワット以下、3ワット以下、2.5ワット以下、又は2ワット以下)でコロナ処理される。いくつかの実施形態では、遮断コーティングは、毎分平方フィート当たり2~4ワットでコロナ処理される。セルロース基材上の遮断コーティングのコロナ処理への曝露時間は、非常に短くあり得る。例えば、曝露時間は、1秒未満であり得る。いくつかの実施形態では、コロナ処理は、コーティングライン上で実行される可動紙基材ウェブ上で実施され得る。いくつかの実施形態では、遮断コーティングは、100ft/分以上のライン速度を使用して、コーティングライン上でコロナ処理され得る。例えば、遮断コーティングは、500ft/分~1000ft/分などの、500ft/分~5000ft/分のライン速度を使用してコロナ処理され得る。
【0049】
表面エネルギーの増加は、表面の湿潤可能性及び接着特徴を増加させ得る。水系ポリマーコーティングを特定のダインレベルにするワット密度が判明すれば、それを使用して、ライン速度などのパラメータの変化(存在する場合)の結果を予測することができる。
【0050】
裏面コーティング
いくつかの態様では、セルロース系基材は、湾曲する傾向が減少した、高い寸法安定性を有する。いくつかの実施形態では、フィルム形成ポリマーは、セルロース系基材の裏側(遮断コーティングされた側に対向する表面)にコーティングされ得る。好ましくは、フィルム形成ポリマーは、生物ベースであり、ポリマーフィルムの少なくとも80重量%が、非石油又は生物再生可能な原料から得られる。
【0051】
湾曲を低減し得るフィルム形成ポリマーの例には、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリビニルアミン、アルギン酸塩、ポリエステルエラストマー、天然系ポリマー(例えば、デンプン、ガム、セルロース、カルボキシメチルセルロース)などが含まれる。
【0052】
裏面コーティングは、いくつかの実施形態では、0.2g/m以上(例えば、0.3g/m以上、0.4g/m以上、0.5g/m以上、0.6g/m以上、0.7g/m以上、0.8g/m以上、0.9g/m以上、1.0g/m以上、1.1g/m以上、1.2g/m以上、1.3g/m以上、1.4g/m以上、1.5g/m以上、1.6g/m以上、1.7g/m以上、1.8g/m以上、1.9g/m以上、2.0g/m以上、2.1g/m以上、2.2g/m以上、2.3g/m以上、2.4g/m以上、2.5g/m以上、2.6g/m以上、2.7g/m以上、2.8g/m以上、又は2.9g/m以上)のコーティング重量を有し得る。裏面コーティングは、いくつかの実施形態では、5.0g/m以下(例えば、3.0g/m以下、2.8g/m以下、2.7g/m以下、2.6g/m以下、2.5g/m以下、2.4g/m以下、2.3g/m以下、2.2g/m以下、2.1g/m以下、2.0g/m以下、1.9g/m以下、1.8g/m以下、1.7g/m以下、1.6g/m以下、1.5g/m以下、1.4g/m以下、1.3g/m以下、1.2g/m以下、1.1g/m以下、1.0g/m以下、0.9g/m以下、0.8g/m以下、0.7g/m以下、0.6g/m以下、0.5g/m以下、0.4g/m以下、又は0.3g/m以下)のコーティング重量を有し得る。いくつかの実施形態では、裏面コーティングは、0.2g/m~3.0g/m2(例えば、0.5g/m~2.8g/m、又は1.0g/m~2.5g/m2)のコーティング重量を有し得る。
【0053】
印刷可能な紙、輸送用保護袋、及び包装容器
本明細書に記載されるように、本開示の印刷可能な紙は、再パルプ化可能である。再パルプ化のプロセスは、乾燥したパルプ繊維を水性パルプ繊維懸濁液に分散させる任意の機械的作用を指す。再パルプ化のための条件、並びに商業的に使用される機器は、Fiberboard Association Voluntary Standard for Repulping and Recycling Corrugated Fiberboard Treated to Improve its Performance in the Presence of Water and Water Vapor August 16,2013:Appendix A:Repulpability(この参照は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に従うものである。
【0054】
いくつかの実施形態では、印刷可能な紙は、Fiberboard Association Voluntary Standard for Repulping and Recycling Corrugated Fiberboard Treated to Improve its Performance in the Presence of Water and Water Vapor August 16,2013:Appendix A:Repulpabilityに従って再パルプ化可能であり得る。
【0055】
本明細書に記載の追加の構成要素を用いて、印刷可能な紙は、120lbs/3000ft以下の坪量を有する、商業用保護袋用途に非常に適した強度特性をもって製造され得る。例えば、印刷可能な紙は、118lbs/3000ft以下の坪量(例えば、115lbs/3000ft以下、110lbs/3000ft以下、105lbs/3000ft以下、100lbs/3000ft以下、95lbs/3000ft以下、90lbs/3000ft以下、85lbs/3000ft以下、80lbs/3000ft以下、75lbs/3000ft以下、70lbs/3000ft以下、65lbs/3000ft以下、60lbs/3000ft以下、55lbs/3000ft以下、又は50lbs/3000ft以下)を有し得る。いくつかの実施形態では、印刷可能な紙は、45lbs/3000ft以上(例えば、50lbs/3000ft以上、55lbs/3000ft以上、60lbs/3000ft以上、65lbs/3000ft以上、70lbs/3000ft以上、75lbs/3000ft以上、80lbs/3000ft以上、85lbs/3000ft以上、90lbs/3000ft以上、95lbs/3000ft以上、100lbs/3000ft以上、105lbs/3000ft以上、110lbs/3000ftlbs/3000ft以上、115lbs/3000ft以上、又は120lbs/3000ft以上)の坪量を有する。いくつかの実施形態では、印刷可能な紙は、50lbs/3000ft~120lbs/3000ft(例えば、60lbs/3000ft~120lbs/3000ft、70lbs/3000ft~110lbs/3000ft、70lbs/3000ft~100lbs/3000ft、又は75lbs/3000ft~100lbs/3000ft)の坪量を有する。
【0056】
印刷可能な紙は、TAPPI T441によって決定される20g/m未満の2分間コブサイジング値を呈し得る。例えば、印刷可能な紙は、20 g/m以下の2分間コブサイジング値(例えば、19g/m以下、18g/m以下、17g/m以下、16g/m以下、15g/m以下、14g/m以下、13g/m以下、12g/m以下、11g/m以下、10g/m以下、9g/m以下、8g/m以下、7g/m以下、6g/m以下、5g/m以下、4g/m以下、又は3g/m以下)を呈し得る。印刷可能な紙は、0.2g/m~20g/m(例えば、0.2g/m~18g/m、0.2g/m~15g/m、又は2g/m~10g/m)の、TAPPI T441によって決定される20g/m未満の2分間コブサイジング値を呈し得る。
【0057】
印刷可能な紙は、TAPPI T494によって決定される、少なくとも45lbf/in(例えば、少なくとも45lbf/in、少なくとも55lbf/in、若しくは少なくとも65lbf/in)、又は少なくとも70lbf/in(例えば、少なくとも70lbf/in、少なくとも80lbf/in、少なくとも90lbf/in、少なくとも100lbf/in、少なくとも110lbf/in、少なくとも120lbf/in、少なくとも130lbf/in、少なくとも140lbf/in、少なくとも150lbf/in、少なくとも160lbf/in、少なくとも170lbf/in、少なくとも180lbf/in、少なくとも190lbf/in、若しくは少なくとも200lbf/in)の引張強度(MD)を呈し得る。
【0058】
印刷可能な紙は、TAPPI T494によって決定される、少なくとも30lbf/in(例えば、少なくとも30lbf/in、少なくとも40lbf/in、少なくとも50lbf/in、少なくとも60lbf/in、少なくとも70lbf/in、少なくとも80lbf/in、少なくとも90lbf/in、少なくとも100lbf/in、少なくとも110lbf/in、又は少なくとも120lbf/in)の引張強度(CD)を呈し得る。
【0059】
印刷可能な紙は、TAPPI T494によって決定される、少なくとも200J/m(例えば、少なくとも210J/m、少なくとも215J/m、少なくとも220J/m、少なくとも230J/m、少なくとも240J/m、少なくとも250J/m、少なくとも260J/m、少なくとも270J/m、少なくとも280J/m、少なくとも290J/m、又は少なくとも300J/m)の引張エネルギー吸収(MD)を呈し得る。
【0060】
印刷可能な紙は、TAPPI T494によって決定される、少なくとも340J/m(例えば、少なくとも345J/m、少なくとも350J/m、少なくとも355J/m、少なくとも360J/m、少なくとも365J/m、少なくとも370J/m、少なくとも375J/m、少なくとも380J/m、少なくとも385J/m、少なくとも390J/m、少なくとも395J/m、少なくとも400J/m、又は少なくとも405J/m)の引張エネルギー吸収(CD)を呈し得る。
【0061】
印刷可能な紙は、TAPPI T414によって決定される、少なくとも170gf(例えば、少なくとも175gf、少なくとも180gf、少なくとも190gf、少なくとも200gf、少なくとも210gf、少なくとも215gf、少なくとも220gf、少なくとも230gf、少なくとも235gf、少なくとも240gf、少なくとも250gf)の引裂抵抗(MD)を呈し得る。
【0062】
印刷可能な紙は、TAPPI T414によって決定される、少なくとも180gf(例えば、少なくとも185gf、少なくとも190gf、少なくとも195gf、少なくとも200gf、少なくとも205gf、少なくとも210gf、少なくとも215gf、少なくとも220gf、少なくとも225gf、少なくとも230gf、少なくとも235gf)の引裂抵抗(CD)を呈し得る。
【0063】
印刷可能な紙は、引張強度(N/m)を坪量(g/m)で除算することによって定義される、70~95Nm/g(例えば、75Nm/g~90Nm/g、80Nm/g~88Nm/g、又は82Nm/g~86Nm/g)の引張指数(MD)を呈し得る。
【0064】
印刷可能な紙は、引張強度(N/m)を坪量(g/m)で除算することによって定義される、40~60Nm/g(例えば、45Nm/g~55Nm/g又は47Nm/g~51Nm/g)の引張指数(CD)を呈し得る。
【0065】
印刷可能な紙の第1の表面、第2の表面、又は両方は、37ダイン/cm~60ダイン/cm超(例えば、37ダイン/cm超、40ダイン/cm超、45ダイン/cm超、50ダイン/cm超、若しくは55ダイン/cm超、又は37ダイン/cm~45ダイン/cm、又は40ダイン/cm~45ダイン/cm)の表面エネルギーを呈し得る。
【0066】
印刷可能な紙は、輸送用保護袋の作製に使用することができる。いくつかの実施形態では、輸送用保護袋は、本明細書に開示の印刷可能な紙から得ることができる。いくつかの実施形態では、輸送用保護袋全体が、印刷可能な紙から得ることができる。更なる実施形態では、輸送用保護袋は、封筒であり得る。
【0067】
印刷可能な紙は、再利用可能で柔軟な包装容器の作製に使用することができ、包装容器の少なくとも一部分又は全体が、印刷可能な紙から得られる。再利用可能で柔軟な包装容器は、封筒などの輸送用保護袋であり得る。例えば、本明細書に提供されるのは、製品体積を画定する内面を含む再利用可能で柔軟な包装容器であり、内面は、本明細書に記載のセルロース系基材から得られ、内面に対向する外面は、37ダイン/cmを超える表面エネルギーを有する。
【0068】
再利用可能で柔軟な包装容器は、好ましくは、一般ゴミの再利用などの、単一ストリームで再利用可能である。例えば、再利用可能で柔軟な包装容器は、Fiberboard Association Voluntary Standard for Repulping and Recycling Corrugated Fiberboard Treated to Improve its Performance in the Presence of Water and Water Vapor August 16,2013:Appendix A:Repulpabilityに従って再パルプ化可能である。
【0069】
本発明に対するこれら及び他の修飾及び変形は、添付の特許請求の範囲により具体的に記載される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって実施され得る。加えて、様々な実施形態の態様は、全体的又は部分的に交換され得ることを理解されたい。更に、当業者は、前述の説明が例としてのみであり、添付の特許請求の範囲に更に記載される本発明を限定することを意図するものではないことを理解するであろう。
【実施例
【0070】
実施例1:保護袋
従来の繊維系保護袋は、水の浸透からの保護を提供しないため、耐久性が損なわれ、製品の損傷の可能性がより高くなる。更に、これらの製品は、一般に、不良な品質の繊維から製造され、劣った強度/坪量関係をもたらす。したがって、耐久性は、多くのブランドにとって重要な考慮事項である保護袋重量の増加を犠牲にして、達成される。本実施例は、現在入手可能な繊維系製品よりも競争力の高い坪量で、プラスチック系材料に代わる持続可能な代替品、及び新規の性能上の利点を提供しながら、(アパレルのものなどの)商業輸送の厳格さを満たし得る包装容器用の材料を提供する。
【0071】
プレミアム保護袋ベースストック
いくつかのコーティングされた保護袋ベースストックは、表1に従って製造され得るか、又は表2~5に定義されるパラメータに従って製造され得る。ベースストックを、50%の消費者廃棄物(PCW)、及び主に(>75%)クロトウヒ繊維で構成された50%の北方漂白針葉樹クラフト紙(NBSK)を含む繊維供給物を用いて、標準的な製紙手順に従って製造した。製紙機の湿潤側に、カチオン性デンプンとアニオン性ポリアクリルアミド乾燥強度樹脂(Hercobond2000)との組み合わせを添加した。カレンダー加工は、必要とされなかった。
【0072】
ベース紙の製造に続いて、官能性コーティングをベース紙の片面又は両面に適用した。トップコート(ワイヤ側)は、5.0~12.0gsmの範囲のコート重量を有する遮断コーティングであった。約3psiのエアナイフ圧力を使用して、2%のPVOH裏側(フェルト側)コーティングを適用して、平坦で湾曲のないウェブを提供した。標準的なコーティング適用及び乾燥条件を維持して、最適な遮断特性を達成した。
【表1】
【0073】
表2は、ベースストック製造からの試行1の結果を示す。
【表2】
【0074】
表3は、コーティングされたベースストックからの試行1~5の結果を示す。
【表3】
【0075】
表4は、コーティングされたベースストックからの試行1~4の結果の特徴を示す。
【表4-1】
【表4-2】
【0076】
再パルプ可能性試験
Voluntary Standard For Repulping and Recycling Corrugated Fiberboard Treated to Improve Its Performance in the Presence of Water and Water Vapor August 16,2013:Appendix A:Repulpabilityに従って、4つのコーティングされた紙試料についてFBA再パルプ可能性試験を実施した。試料を条件付けし、TAPPI標準条件で試験した。試料を1インチ×4インチで調製し、いくつかのより短い部分を使用して、25オーブン乾燥グラムの初期充填を得た。再パルプ化及びスクリーニングには、水道水を使用した。初期充填、並びに許容品及び却下品には、オーブン乾燥重量を使用した。0.010インチのスロット付きバレースクリーンを通して、試料を20分間スクリーニングした。0.0041インチの開口幅を有する150メッシュのT316合金ステンレス鋼スクリーンを使用して、許容品をスクリーニングした。
【0077】
再パルプ可能性試験からの結果を、以下の表5に要約した。
【表5】
【0078】
結果:34ダイン/cmでは、ベースストックの表面エネルギーは、ペーパーコーンのフレキソ印刷プロセスで典型的に使用される水性インクには低すぎ、不十分なインク吸収、乾燥欠陥、及び過剰な裏写りをもたらした。表面エネルギーの最適な範囲は、40~45ダイン/cmであると推定した。
【0079】
遮断コーティングの単一面(C1S)適用の結果、コーティングされたベースストックは、CD配向湾曲を呈した。これは、原型保護袋の中央の縫い目の開裂を引き起こした。これは、カートン梱包物に固有の圧縮によって最終的に是正した。
【0080】
封筒の閉鎖に使用した感圧接着剤は、保護袋ベースストックのコーティングされた表面にしっかりと結合しなかった。結果として、保護袋の開封時の繊維の引裂は達成されなかった。これは、ほとんどの顧客にとって不正開封の跡が明らかな機能である。印刷困難と同様に、この欠陥は、低い表面エネルギーに起因すると考えられ、コーティングの表面エネルギーを増加させることによって是正することができる。
【0081】
添付の特許請求の範囲の組成物及び方法は、本明細書に記載の特定の組成物及び方法によって範囲が限定されず、それらは、特許請求の範囲のいくつかの態様の例示として意図されており、機能的に等価である任意の組成物及び方法が、特許請求の範囲内に収まることが意図される。本明細書に示され、記載されるものに加えて、組成物及び方法の様々な修飾は、添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。更に、本明細書に開示される特定の代表的な組成物及び方法ステップのみが、具体的に記載されるが、組成物及び方法ステップの他の組み合わせもまた、具体的に列挙されずとも、添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。したがって、ステップ、要素、構成要素、又は構成物の組み合わせは、本明細書で明示的に言及されても、それ以下であってもよいが、明示的に記載されずとも、ステップ、要素、構成要素、及び構成物の他の組み合わせが含まれる。本明細書で使用される場合、「備える」という用語及びその変形は、「含む」という用語及びその変形と同義に使用され、開放的で非限定的な用語である。「含む(comprising)」及び「含む(including)」という用語が、様々な実施形態を説明するために本明細書で使用されているが、本発明のより特定的な実施形態を提供するために、「含む(comprising)」及び「含む(including)」の代わりに、「から本質的になる」及び「からなる」という用語が使用されてもよく、これらもまた開示もされる。実施例以外において、又は別途記述されている場合、本明細書及び特許請求の範囲で使用される成分の量、反応条件などを表す全ての数は、等価物の原理の適用を特許請求の範囲に限定しようとするものではなく、最低限、有効数字の数及び通常の四捨五入アプローチに照らして理解されたい。
【国際調査報告】