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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】前立腺癌を処置する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/437 20060101AFI20240305BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
A61K31/437
A61P35/00
A61P13/08
A61P35/04
A61P43/00 105
A61K9/20
A61K9/14
A61K9/48
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555527
(86)(22)【出願日】2022-03-10
(85)【翻訳文提出日】2023-11-08
(86)【国際出願番号】 US2022019662
(87)【国際公開番号】W WO2022192481
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】63/160,319
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391015708
【氏名又は名称】ブリストル-マイヤーズ スクイブ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL-MYERS SQUIBB COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162695
【弁理士】
【氏名又は名称】釜平 双美
(74)【代理人】
【識別番号】100156155
【弁理士】
【氏名又は名称】水原 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】マラテスタ,マルティナ
(72)【発明者】
【氏名】フィルバロフ,エレン ホープ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA29
4C076AA36
4C076AA54
4C076AA56
4C076BB01
4C076CC27
4C076FF70
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZC20
(57)【要約】
本発明は、一般にブロモドメイン阻害剤としての2-[3-(1,4-ジメチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)-5-[(S)-(オキサン-4-イル)(フェニル)メチル]-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-イル]プロパン-2-オールである置換三環式誘導体またはその薬学的に許容される塩で前立腺癌を処置する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処置を必要とする対象における前立腺癌を処置する方法であって、対象に構造
【化1】
を有する化合物Aまたはその薬学的に許容される塩の治療有効量を投与することを含み;そして
ここで、前立腺癌は去勢抵抗性前立腺癌(CPRC)、神経内分泌前立腺癌(NEPC)、抗アンドロゲン抵抗性前立腺癌またはこれらの任意の組み合わせである、方法。
【請求項2】
前立腺癌が転移である、請求項1の方法。
【請求項3】
処置すべき前立腺癌が進行段階にある、請求項1の方法。
【請求項4】
処置すべき前立腺癌が対象の体の前立腺以外の領域に転移している、請求項1の方法。
【請求項5】
処置すべき前立腺癌が相当期間の寛解の後対象で再発している、請求項1の方法。
【請求項6】
前立腺癌が去勢抵抗性前立腺癌(CPRC)である、請求項1の方法。
【請求項7】
去勢抵抗性前立腺癌(CPRC)がアンドロゲン受容体(AR)発現が低いまたはない神経内分泌表現型により特徴づけられるAR非依存的疾患である、請求項6の方法。
【請求項8】
前立腺癌が神経内分泌前立腺癌(NEPC)である、請求項1の方法。
【請求項9】
方法が前立腺癌の細胞周期停止の誘導を実質的にもたらす、請求項1の方法。
【請求項10】
「実質的」が前立腺癌の少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%または少なくとも約100%細胞周期停止として定義される、請求項9の方法。
【請求項11】
方法が前立腺癌の細胞周期停止の誘導を完全にもたらす、請求項1の方法。
【請求項12】
方法がアンドロゲン非依存的癌細胞のアポトーシスを誘導する、請求項1の方法。
【請求項13】
方法がアンドロゲン非依存的癌細胞の約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上または約100%のアポトーシスの誘導をもたらす、請求項12の方法。
【請求項14】
(a)方法が癌細胞増殖の少なくとも約70%減少をもたらす;
(b)方法が癌細胞増殖の約70%~約99%減少をもたらす;
(c)方法が癌細胞増殖の少なくとも約80%減少をもたらす;
(d)方法が癌細胞増殖の約80%~約99%減少をもたらす;および/または
(e)方法が癌細胞増殖の約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%または約99%減少をもたらす、
請求項1の方法。
【請求項15】
(a)方法が腫瘍サイズの少なくとも約40%減少をもたらす;
(b)方法が腫瘍サイズの約40%~約99%減少をもたらす;および/または
(c)方法が腫瘍サイズの約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%または約99%減少をもたらす、
請求項1の方法。
【請求項16】
化合物またはその薬学的に許容される塩が経口投与に適する、請求項1の方法。
【請求項17】
化合物またはその薬学的に許容される塩が錠剤、ピル、小袋または硬もしくは軟ゼラチンのカプセルの形態である、請求項16の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年3月12日出願の米国仮出願63/160,319に基づく35 U.S.C.§119(e)に従う優先権を主張し、それを全体として本明細書に包含させる。
【0002】
分野
本出願は、一般にブロモドメイン阻害剤として置換ヘテロ環式誘導体化合物またはその薬学的に許容される塩で前立腺癌を処置するための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
前立腺癌は、男性で癌関連死の2番目に多い原因であり、最も一般に診断される癌である。前立腺癌腫瘍は主に前立腺内腔上皮細胞からなる。前立腺内腔上皮細胞の分化は、一部、前立腺特異的マーカーのアンドロゲン受容体(AR)駆動発現により制御される。ARは、転写因子として機能し、未知のままである機構を介して細胞生存を制御するステロイド受容体である。アンドロゲンの枯渇は正常前立腺内腔上皮細胞を死亡させ、これはその生存におけるAR経路の重要な役割を示す。癌性前立腺細胞はARを発現し続け、その生存はまたアンドロゲンの存在にも依存し、それによりアンドロゲン遮断は進行前立腺癌を有する患者の一般的な治療となっている。前立腺癌の第一選択治療はアンドロゲン遮断療法(ADT)を介して循環するアンドロゲンレベルを減らすことを目的とする。ADTは最初は前立腺癌増殖の低減に有効であるが、処置2~3年後、患者の大部分は去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)に進行し、腫瘍増殖は去勢レベルのアンドロゲンしか存在していなくても進行する。疾患進行のこの時点で、治療選択肢の数は極めて限られるようになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
故に、前立腺癌のためのさらに有効な処置に対するニーズがあり、本発明はそのニーズを満たす。
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
本発明は、一般に前立腺癌処置のための組成物および方法に関する。本方法は、次の構造を有するブロモドメイン阻害剤化合物(化合物A)またはその薬学的に許容される塩の治療有効量を投与することを含む:
【化1】
【0006】
本発明の態様および実施態様は、去勢抵抗性前立腺癌(CPRC)、神経内分泌前立腺癌(NEPC)および抗アンドロゲン抵抗性前立腺癌などの前立腺癌を有する対象の処置のための方法および医薬組成物を提供する。
【0007】
一つの態様で提供されるのは、処置を必要とする対象における前立腺癌を処置する方法であって、構造
【化2】
を有する化合物Aまたはその薬学的に許容される塩の治療有効量を対象に投与することを含み;ここで、前立腺癌が去勢抵抗性前立腺癌(CPRC)、神経内分泌前立腺癌(NEPC)、抗アンドロゲン抵抗性前立腺癌またはこれらの任意の組み合わせである、方法である。
【0008】
ある実施態様において、前立腺癌は転移である。ある実施態様において、処置すべき前立腺癌は進行段階にある。ある実施態様において、処置すべき前立腺癌は、対象の体の前立腺以外の領域に転移している。ある実施態様において、処置すべき前立腺癌は、相当期間の寛解の後対象で再発している。ある実施態様において、前立腺癌は去勢抵抗性前立腺癌(CPRC)である。ある実施態様において、去勢抵抗性前立腺癌(CPRC)は、アンドロゲン受容体(AR)発現が低いまたはない神経内分泌表現型により特徴づけられる、AR非依存的疾患である。ある実施態様において、前立腺癌は神経内分泌前立腺癌(NEPC)である。
【0009】
ある実施態様において、方法は、前立腺癌の細胞周期停止の誘導を実質的にもたらす。ある実施態様において、「実質的」は前立腺癌の少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%または少なくとも約100%細胞周期停止と定義される。ある実施態様において、方法は前立腺癌の細胞周期停止の誘導を完全にもたらす。
【0010】
ある実施態様において、方法はアンドロゲン非依存的癌細胞のアポトーシスを誘導する。ある実施態様において、方法は、アンドロゲン非依存的癌細胞の約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上または約100%のアポトーシスの誘導をもたらす。
【0011】
ある実施態様において、(a)方法は癌細胞増殖の少なくとも約70%減少をもたらす;(b)方法は癌細胞増殖の約70%~約99%減少をもたらす;(c)方法は癌細胞増殖の少なくとも約80%減少をもたらす;(d)方法は癌細胞増殖の約80%~約99%減少をもたらす;および/または(e)方法は癌細胞増殖の約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%または約99%減少をもたらす。
【0012】
ある実施態様において、(a)方法は腫瘍サイズの少なくとも約40%減少をもたらす;(b)方法は腫瘍サイズの約40%~約99%減少をもたらす;および/または(c)方法は腫瘍サイズの約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%または約99%減少をもたらす。
【0013】
ある実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩は経口投与に適する。ある実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩は錠剤、ピル、小袋または硬もしくは軟ゼラチンのカプセルの形態である。
【0014】
前記概要ならびに以下の図面の記載および詳細な記載の両者とも例示かつ説明である。それらは本発明のさらなる詳細を提供することが意図されるが、限定的と解釈されてはならない。他の目的、利点および新規特性は、本発明の次の詳細な記載から、当業者には容易に明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】示す濃度の化合物Aで3日間処理されたVCaP細胞を示す。増殖を0日目および3日目療法で測定し、増殖パーセントを、ルシフェラーゼアッセイを使用して決定した。
【0016】
図2】示す濃度の化合物Aで48h処理されたVCaP細胞を示す。KLK3、TMPRSS2、MYCおよびHEXIM1遺伝子発現をqPCRにより決定した。
【0017】
図3】示す濃度の化合物Aで3日間処理されたLNCaP細胞を示す。増殖を0日目および3日目療法で測定し、増殖パーセントを、ルシフェラーゼアッセイを使用して決定した。
【0018】
図4】示す濃度の化合物Aで48時間処理されたLNCaP細胞を示す。KLK3、MYCおよびHEXIM1遺伝子発現をqPCRにより決定した。
【0019】
図5】示す濃度の化合物Aで3日間処理された2-2Rv1細胞を示す。増殖を0日目および3日目療法で測定し、増殖パーセントを、ルシフェラーゼアッセイを使用して決定した。
【0020】
図6】示す濃度の化合物Aで48時間処理された22Rv1細胞を示す。KLK3、TMPRSS2、MYCおよびHEXIM1遺伝子発現をqPCRにより決定した。
【0021】
図7】示す濃度の化合物Aで3日間処理されたDU145細胞を示す。増殖を0日目および3日目療法で測定し、増殖パーセントを、ルシフェラーゼアッセイを使用して決定した。
【0022】
図8】示す濃度の化合物Aで3日間処理されたPC3細胞を示す。増殖を0日目および3日目療法で測定し、増殖パーセントを、ルシフェラーゼアッセイを使用して決定した。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な記載
I. 概要
本発明は、式(I)の構造を有するブロモドメイン阻害剤またはその薬学的に許容される塩の治療有効量で前立腺癌を処置する方法に関する。特に、前立腺癌は去勢抵抗性前立腺癌(CPRC)、神経内分泌前立腺癌(NEPC)、抗アンドロゲン抵抗性前立腺癌またはこれらの任意の組み合わせである。
【0024】
ここに記載する何れの実施態様においても、ブロモドメイン阻害剤は、前立腺癌細胞の細胞周期停止を実質的および/または完全に誘導するならびに前立腺癌腫および神経内分泌前立腺癌細胞の細胞死を誘導する量で存在することを、本開示は認識する。本開示はまた前立腺癌の転移が予防および/または遅延される方法も包含する。他の態様において、本開示は、前立腺癌細胞増殖停止が短期、例えば、約1カ月未満の投与後に観察される、方法も包含する。他の態様において、前立腺癌細胞増殖停止は約20日未満、約15日未満、約14日未満、約13日未満、約12日未満、約11日未満、約10日未満、約9日未満、約8日未満、約7日未満、約6日未満、約5日未満、約4日未満または約3日未満で観察される。これらの期間の何れか後に観察される前立腺癌細胞増殖停止のパーセンテージは、例えば、約100%、約95%、約90%、約85%、約80%、約75%、約70%、約65%、約60%、約55%、約50%、約45%、約40%、約35%、約30%、約25%または約20%であり得る。
【0025】
特に、実施例1は、ブロモおよび末端外ドメイン阻害剤(BETi)化合物A(2-[3-(1,4-ジメチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)-5-[(S)-(オキサン-4-イル)(フェニル)メチル]-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-イル]プロパン-2-オールである)が、前立腺癌腫および神経内分泌前立腺癌細胞において細胞増殖を完全に停止し、細胞死を誘導する能力を詳述する。実験は、(i)前立腺特異的抗原(PSA)およびアンドロゲン受容体(AR)発現を含む臨床的前立腺癌腫の特徴を示すVCaP細胞;(ii)ヒト前立腺腺癌の転移病変から確立されたLNCaP細胞;(iii)エンザルタミドなどのARアンタゴニストに対する抵抗性に介在するARスプライスバリアントAR-V7を発現する22Rv1細胞、(iv)DU145細胞および(v)PC3細胞(両者とも広く受け入れられているNEPC細胞モデルである)を含む、複数の臨床的に許容される細胞モデルを利用した。
【0026】
具体的に、PSAおよびARの発現を含む臨床的前立腺癌腫の特徴を示すVCaP細胞は前立腺癌進行および転移を試験するためのモデルとして使用する。前立腺癌におけるBET阻害の役割を試験するために、VCaP細胞をBETi化合物Aで処理した。0日目およびDMSOに関するVCaP細胞増殖のパーセント(Y軸)対化合物Aの量(X軸)を示すグラフである図1に図示するとおり、化合物Aは、0.1μMの化合物AでVCaP増殖の完全な(100%)増殖停止を提供した。さらに、化合物Aは、最高濃度で細胞毒性効果を示した(図1)。
【0027】
さらに、BETタンパク質はAR標的遺伝子の調節を介してARシグナル伝達を制御する。BETiがAR標的遺伝子を調節するか否かを試験するために、VCaP細胞を化合物Aで処理し、遺伝子発現を測定した。2個のAR標的遺伝子カリクレイン関連ペプチダーゼ3(KLK3)および膜貫通セリンプロテアーゼ2(TMPRSS2)は、化合物Aで処理後両方とも下方制御された。細胞を4nMの化合物Aで処理したとき、DMSOと比較してKLK3の96.9%の下方制御が観察され、一方DMSOと比較してKLK3の99.4%下方制御が40nMの化合物Aで処理された細胞で測定された(図2上部)。発現の減少はTMPRSS2でも観察され、それぞれ4nMまたは40nMの化合物Aを細胞に投与したとき、32.8%および51.9%の下方制御であった(図2上部)。MYCおよびヘキサメチレンビス-アセトアミド誘導型タンパク質1(HEXIM1)などのBET標的遺伝子も化合物Aにより調節された。4nMの化合物Aで処理された細胞において、MYC発現の91.4%減少が観察され、一方40nMの化合物Aで処理された細胞において、95.7%のMYC下方制御を測定した。HEXIM1は、4nMまたは40nMの化合物AをVCaP細胞に投与したとき、DMSOと比較して968.0%および1257.5%上方制御された(図2下部)。
【0028】
さらに、前立腺癌におけるBETiの役割をさらに補強するために、LNCaP細胞をBETi化合物Aで処理した。化合物Aでの処理は、わずか3日間の処理後完全な(100%)増殖停止を提供した(図3)。図3は、0日目およびDMSOに関するLNCaP細胞増殖のパーセント(Y軸)対化合物Aの量(X軸)を示すグラフである。これらの結果は、VCaPおよびLNCaP細胞両方で細胞増殖の100%減少を示した。
【0029】
さらに、ARシグナル伝達を化合物Aでの処理後LNCaP細胞でモニターし、KLK3の下方制御が観察され、それぞれ4nMまたは40nMを細胞に投与したとき、58.8%および92.0%の下方制御であった(図4)。BETi標的遺伝子も調節された。4nMの化合物Aを細胞に投与したとき、84.1%のMYCの下方制御が観察され、93.6%の下方制御が、40nMの化合物AをLNCaP細胞に投与したとき測定された。最後に、細胞をそれぞれ4nMおよび40nMの化合物Aで処理したとき、446.8%および533.3%のHEXIM1の上方制御が測定された(図4)。
【0030】
前立腺癌に対する現在の標準治療はアンドロゲン遮断療法(ADT)を含むが、迅速な寛解後、癌細胞は最終的に抵抗性を獲得し、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)が進行する。22Rv.1前立腺癌細胞は、エンザルタミドなどのARアンタゴニストに対する抵抗性に介在するARスプライスバリアントAR-V7を発現する。この細胞株をCRPCのモデルとして使用した。CRPCにおけるBETiの役割を試験するために、22Rv.1細胞を化合物Aで処理した。BETiは22Rv.1増殖に負に影響し、IC50=0.0017であった(図5)。図5は、0日目およびDMSOに関する22RV.1細胞増殖のパーセント(Y軸)対化合物Aの量(X軸)を示すグラフである。
【0031】
AR標的遺伝子に対する化合物Aの効果を決定するために、22Rv.1細胞を、2種の異なる濃度の化合物A(4nMおよび40nM)で処理した。AR標的遺伝子は両者とも強力に下方制御され、4nMまたは40nMの化合物Aを細胞に投与したとき、KLK3について99.9%または99.8%の下方制御が観察された。DMSOに対して97.0%または97.8%の減少が、細胞をそれぞれ4nMまたは40nMの化合物Aで処理したとき、TMPRSS2について測定された(図6上部)。BET標的遺伝子MYCは下方制御され、4nMの化合物Aを添加したとき98.5%下方制御であり、細胞を40nMの化合物Aで処理したとき99.3%下方制御であった。細胞を4nMの化合物Aで処理したとき、HEXIM1の31%の誘導が観察され、一方91.5%の上方制御が細胞を40nMの化合物Aで処理したとき観察された(図6下部)。VCaPおよびLNCaPで観察されたのと同様、BETi処理細胞においてCRPC 22Rv.1の細胞増殖は障害され、ARシグナル伝達は誤制御される。
【0032】
CRPC患者の一部は、AR発現が低いまたはない神経内分泌(NE)表現型により特徴づけられる、AR非依存的疾患を発症する。薬物抵抗性およびNE表現型の発症に至る機序はまだ完全には理解されていない。前立腺癌細胞DU145は、アンドロゲンに応答しないAR陰性細胞株である。AR陰性細胞におけるBETiの効果を試験するために、DU145を化合物Aで処理し、DU145増殖の61.9%減少が観察された(図7)。図7は、0日目およびDMSOに関するDU145細胞の細胞増殖のパーセント(Y軸)対化合物Aの量(X軸)を図示するグラフである。
【0033】
前立腺癌細胞PC3は広く受け入れられているNEPC細胞モデルである。NEPCに対するBETiの効果をさらに補強するために、PC3細胞を化合物Aで処理した。化合物AはPC3増殖の67%減少を示した(IC50 化合物A=0.0041)(図8)。図8は、0日目およびDMSOに関するPC3細胞の細胞増殖のパーセント(Y軸)対化合物Aの量(X軸)を図示するグラフである。
【0034】
これらのデータは、BETi化合物Aが試験した全神経内分泌前立腺癌モデルの細胞増殖の≧61.9%減少を引き起こしたことを示す。
【0035】
まとめると、データはBETi化合物Aが前立腺癌腫細胞における細胞増殖を実質的および/または完全に停止するおよび細胞死を誘導する能力を示し、固形腫瘍の新規な標的療法としての化合物Aおよび構造的に関連する化合物の使用を支持する。
【0036】
ブロモドメイン阻害剤として有用な三環式化合物は、米国特許出願14/580,355(米国特許9,458,155)に開示される。
【0037】
ここに記載する実施態様の何れにおいても、化合物Aは次の構造
【化3】
を有する2-[3-(1,4-ジメチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)-5-[(S)-(オキサン-4-イル)(フェニル)メチル]-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-イル]プロパン-2-オールまたはその薬学的に許容される塩である。上記化合物の化学式はC3033であり、分子量は495.62である。この化合物の合成は、米国特許出願14/580,355(米国特許9,458,155)に開示される。
【0038】
薬学的に許容される塩は、化合物と、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタリン酸などの薬学的に許容される無機酸;または例えば、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、トリフルオロ酢酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、3級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸、酪酸、フェニル酢酸、フェニル酪酸、バルプロ酸などの有機酸の反応により形成された、例えば酸付加塩などの、化合物と薬学的に許容される無機酸の反応により形成された酸付加塩を含むが、これらに限定されない。
【0039】
II. 医薬組成物
ここに記載する実施態様の何れにおいても、ここに記載するブロモドメイン阻害剤またはその薬学的に許容される塩は医薬組成物に製剤化される。
【0040】
医薬組成物は、活性化合物の薬学的に使用される製剤への処理を容易にする1以上の薬学的に許容される不活性成分を使用して、慣用法で製剤化される。適切な製剤は選択する投与経路に依存する。ある実施態様において、ここに開示する医薬組成物は、水性担体、緩衝液および/または希釈剤などの1以上の薬学的に許容される担体を含む。
【0041】
ここに記載する化合物および組成物の投与は、作用部位への化合物の送達を可能とするあらゆる方法により実施できる。これらの方法は、経腸経路(経口、胃または十二指腸栄養チューブ、直腸坐薬および直腸浣腸を含む)、非経腸経路(動脈内、心臓内、皮内、十二指腸内、脊髄内、筋肉内、骨内、腹腔内、髄腔内、血管内、静脈内、硝子体内、硬膜外および皮下を含む注射または注入)、吸入、経皮、経粘膜、舌下、頬側および局所(皮膚上、経皮、浣腸、点眼、点耳、鼻腔内)投与を介する送達を含むが、これらに限定されず、大部分の適当な経路は、例えばレシピエントの状態および障害に依存する。例として、ここに記載する化合物は、例えば、手術中の局所注入、クリームまたは軟膏などの局所適用、注射、カテーテルまたはインプラントにより、処置を必要とする領域に局所的に投与され得る。投与はまた罹患組織または臓器の部位への直接注射であり得る。
【0042】
ある実施態様において、経口投与に適する医薬組成物は、各々予め決定された量の活性成分を含むカプセル、カシェまたは錠剤などの分離した単位として;粉末または顆粒として;水性液体または非水性液体の溶液または懸濁液として;または水中油型液体エマルジョンまたは油中水型液体エマルジョンとして提供される。ある実施態様において、活性成分はボーラス、舐剤またはペーストとして提供される。
【0043】
経口で使用できる医薬組成物は、錠剤、ゼラチン製のプッシュフィットカプセルならびにゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤から製造された軟、密封カプセルを含む。錠剤は、所望により1以上のアクセサリー成分と共に、圧縮または鋳造により製造され得る。圧縮錠剤は、所望により結合剤、不活性希釈剤または潤滑、表面活性または分散剤と混合した、粉末または顆粒などの自由流動形態の活性成分を適当な機械で圧縮することにより製造できる。鋳造錠剤は、不活性液体希釈剤で示された粉砕化合物の混合物を、適当な機械で鋳造することにより製造され得る。ある実施態様において、錠剤はコーティングされまたは割線を入れられ、その中の活性成分のゆっくりしたまたは制御された放出を提供するよう製剤される。経口投与のための全ての製剤は、このような投与に適する投与量であるべきである。プッシュフィットカプセルは、活性成分をラクトースなどの増量剤、デンプンなどの結合剤および/またはタルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤および、所望により、安定化剤と混合して含み得る。軟カプセルにおいて、活性化合物は脂肪油、液体パラフィンまたは液体ポリエチレングリコールなどの適当な液体に溶解または懸濁され得る。適当な非毒性固体担体はまた医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムなどを含む。
【0044】
ここに記載する化合物はまた投与経路により適当な担体または媒体と組み合わせまたは協調的に投与され得る。ここで使用する用語「担体」は、薬学的に許容される固体または液体増量剤、希釈剤または封入材を含む。水含有液体担体は、酸性化剤、アルカリ化剤、抗微生物防腐剤、抗酸化剤、緩衝剤、キレート剤、錯化剤、可溶化剤、湿潤剤、溶媒、懸濁および/または増粘剤、等張化剤、湿潤剤または他の生体適合性物質などの薬学的に許容される添加剤を含み得る。上記カテゴリーにより列記される成分の一覧は、U.S. Pharmacopeia National Formulary, 1857-1859, and (1990)に見ることができる。薬学的に許容される担体として役立ち得る物質のいくつかの例は、ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖;トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;セルロースならびにナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのその誘導体;粉末化トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;カカオバターおよび坐薬蝋などの添加物;ピーナツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張食塩水;リンゲル液、エチルアルコールおよびリン酸緩衝溶液ならびに医薬製剤で使用される他の非毒性適合性物質である。湿潤剤、乳化剤および滑沢剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、風味および芳香剤、防腐剤および抗酸化剤も、考案者の要求により組成物に存在し得る。薬学的に許容される抗酸化剤の例は、アスコルビン酸、塩酸システイン、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水可溶性抗酸化剤;パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ-トコフェロールなどの油可溶性抗酸化剤;およびクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート剤を含む。
【0045】
本発明の医薬組成物はまた1以上の結合剤、充填剤、滑沢剤、懸濁化剤、甘味剤、風味剤、防腐剤、緩衝液、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤および他の添加物も含み得る。このような添加物は当分野で知られる。充填剤の例は、ラクトース一水和物、ラクトース無水および種々のデンプンを含む;結合剤の例は種々のセルロースおよび架橋ポリビニルピロリドン、Avicel(登録商標)PH101およびAvicel(登録商標)PH102などの微結晶セルロース、微結晶セルロースおよびケイ化微結晶セルロース(ProSolv SMCCTM)を含む。適当な滑沢剤は、圧縮されるように粉末の流動性に作用する薬剤を含み、Aerosil(登録商標)200などのコロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムおよびシリカゲルを含み得る。甘味剤の例は、スクロース、キシリトール、サッカリンナトリウム、サイクラミン酸、アスパルテームおよびアセスルファムなどのあらゆる天然または人工甘味剤を含み得る。風味剤の例は、Magnasweet(登録商標)(MAFCOの商標)、風船ガムフレーバーおよび果実フレーバーなどを含み得る。防腐剤の例は、ソルビン酸カリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸およびその塩、ブチルパラベンなどのパラヒドロキシ安息香酸の他のエステル、エチルまたはベンジルアルコールなどのアルコール、フェノールなどのフェノール性化合物または塩化ベンザルコニウムなどの4級化合物を含む。
【0046】
治療投与に使用する医薬は無菌であり得る。例えば滅菌濾過膜(例えば、0.2ミクロン膜)を通す濾過により、容易に滅菌できる。あらゆる薬学的に許容される滅菌方法を本発明の組成物に使用できる。
【0047】
ここに記載する化合物またはその塩を含む医薬組成物は、個々の患者の臨床状態、投与方法、投与スケジュールおよび実施者に知られる他の因子を考慮して、適正な医療行為と調和する様式で、製剤化および投与される。
【0048】
III. 処置方法
本出願は、ここに記載するブロモドメイン阻害剤またはその薬学的に許容される塩の何れかを使用する、前立腺癌を処置する方法を提供する。
【0049】
ここに記載する実施態様の何れにおいても、ブロモドメイン阻害剤の治療有効量が使用され得る。ある実施態様において、ブロモドメイン阻害剤またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、前立腺癌細胞の細胞周期停止を実質的に誘導する量である。ある実施態様において、ブロモドメイン1阻害剤またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、前立腺癌細胞の細胞周期停止を完全に誘導する量である。ある実施態様において、ブロモドメイン阻害剤またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、アンドロゲン非依存的癌細胞のアポトーシスを誘導する量である。
【0050】
ここに記載する方法のある態様において、方法は前立腺癌細胞の細胞周期停止の実質的な誘導をもたらし、ここで、「実質的」は前立腺癌細胞の少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%または少なくとも約100%の細胞周期停止として定義される。前立腺癌細胞の細胞周期停止パーセントは、任意の臨床的に許容される技術を使用して、測定できる。
【0051】
ここに記載する方法の他の態様において、方法は、前立腺癌細胞の細胞周期停止の完全な誘導をもたらす。前立腺癌細胞の細胞周期停止は、あらゆる臨床的に許容される技術を使用して、測定できる。
【0052】
最後に、ここに記載する方法の他の態様において、方法は、アンドロゲン非依存的癌細胞のアポトーシスの誘導をもたらす。例えば、方法は、アンドロゲン非依存的癌細胞の約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上または約100%アポトーシスの誘導をもたらし得る。アンドロゲン非依存的癌細胞のアポトーシスは、あらゆる臨床的に許容される技術を使用して、測定できる。
【0053】
ある態様で提供されるのは、対象にブロモドメイン阻害剤またはその薬学的に許容される塩を含む組成物を投与することを含む、処置を必要とする対象における前立腺癌を処置する方法である。
【0054】
ここに記載する実施態様の何れにおいても、前立腺癌は去勢抵抗性前立腺癌(CPRC)、神経内分泌前立腺癌(NEPC)、抗アンドロゲン抵抗性前立腺癌またはこれらの任意の組み合わせであり得る。ある実施態様において、前立腺癌は去勢抵抗性前立腺癌(CPRC)である。ある実施態様において、前立腺癌は神経内分泌前立腺癌(NEPC)である。ある実施態様において、前立腺癌は抗アンドロゲン抵抗性前立腺癌である。
【0055】
ここに記載する実施態様の何れにおいても、処置すべき前立腺癌は進行段階にあり得る。ここに記載する実施態様の何れにおいても、前立腺癌は転移であり得る。ここに記載する実施態様の何れにおいても、処置すべき前立腺癌は患者の体の前立腺以外の領域への転移が存在し得る。ここに記載する実施態様の何れにおいても、処置すべき前立腺癌は、相当期間の寛解後、患者において再発しているものであり得る。
【0056】
ここに記載する実施態様の何れにおいても、方法は、(a)癌細胞増殖の少なくとも約40%減少;(b)癌細胞増殖の約40%~約99%減少;および/または(c)癌細胞増殖の約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%または約99%減少をもたらし得る。ある実施態様において、方法は癌細胞増殖の少なくとも約40%減少をもたらす。ある実施態様において、方法は癌細胞増殖の約40%~約99%減少をもたらす。ある実施態様において、方法は癌細胞増殖の約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%または約99%減少をもたらす。
【0057】
ここに記載する実施態様の何れにおいても、方法は、(a)腫瘍サイズの少なくとも約40%減少;(b)腫瘍サイズの約40%~約99%減少;および/または(c)腫瘍サイズの約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%または約99%減少をもたらし得る。ある実施態様において、方法は腫瘍サイズの少なくとも約40%減少をもたらす。ある実施態様において、方法は腫瘍サイズの約40%~約99%減少をもたらす。ある実施態様において、方法は腫瘍サイズの約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%または約99%減少をもたらす。
【0058】
A. 投与経路
投与は、どんな投与経路を介してもよい。非限定的例は、経鼻、舌下、頬側、直腸、静脈内、動脈内、皮内、腹腔内、髄腔内、筋肉内、硬膜外、脳内、脳室内、経皮またはこれらの任意の組み合わせを含む。
【0059】
ここに記載する化合物または医薬組成物は、処置および/または予防する疾患に適する方法で投与される。適切な用量ならびに適当な投与期間および頻度は、患者の状態、患者の疾患のタイプおよび重症度、活性成分の特定の形態および投与方法などの因子により決定される。一般に、適切な用量および処置レジメンは、治療および/または予防利益(例えば、より頻繁な完全なまたは部分寛解または長期無疾患および/または全生存または症状重症度低減などの臨床的アウトカム改善)を提供するのに十分な量の組成物を提供する。最適用量は、一般に実験モデルおよび/または臨床治験を使用して、決定される。最適用量は患者の体格、体重または血液量に依存する。
【0060】
ここに記載する実施態様の何れにおいても、ブロモドメイン阻害剤またはその医薬的に許容される塩は経口投与に適する。経口投与に適する形態は、錠剤、丸剤、サシェ剤または硬もしくは軟ゼラチンカプセル剤を含むが、これらに限定されない。
【0061】
B. キット
ここに記載する本発明の化合物または組成物を、指示または添付文書と共に包装するかまたはキットに入れてよい。このような指示または添付文書は、ブロモドメイン阻害剤またはその塩の保存可能期間を考慮に入れた、時間、温度および光などの推奨保存条件に対処し得る。このような指示または添付文書は、野外で、管理された病院、クリニックまたはオフィス条件の外での使用が必要となり得る製剤について保存の容易さなどのここに記載する化合物または誘導体またはその塩の特定の利点にも対処し得る。
【0062】
本発明はまた1以上のここに開示する医薬組成物で満たされた1以上のコンテナを含む医薬パックまたはキットも提供する。キットは、例えば、溶解すべき粉末、錠剤としてまたは無菌溶液として、適切な量の医薬組成物で満たされたコンテナを含み得る。このようなコンテナに付随するのは、ヒト投与のための製造、使用または販売についての当局の承認を反映する、医薬または生物学的製品の製造、使用または販売を規制する政府当局により規定された形態の通知であり得る。さらに、ブロモドメイン阻害剤またはその塩は、他の治療化合物と共に用い得る。
【0063】
ある態様において、キットは1以上のデバイスを含んでよく、ここで、デバイスは製品の物理的完全性を保護する第一保護包装または第二保護包装または第三保護包装内に包装されていてよい。第一、第二または第三保護包装の1以上は、ホイルポーチを含み得る。キットは、デバイスの使用のための指示をさらに含み得る。ある態様において、キットは2以上のデバイスを含む。
【0064】
ある態様において、キットはデバイスを含み得て、さらに使用のための指示を含み得る。ある態様において、指示はデバイスの管理者のための視覚的補助/画像および/または指示書を含み得る。
【0065】
IV. 定義
次の定義を、本明細書をとおして使用される特定の用語の理解を容易にするために提供する。
【0066】
ここで使用する技術的および科学的用語は、特に断らない限り、当業者により共通して理解される意味を有し得る。当業者に知られる任意の適当な物質および/または方法を、ここに記載する方法の実施に際して利用できる。
【0067】
本明細書および添付する特許請求の範囲の記載において、文脈から他のことが明らかに支持されない限り、単数表現「ある」および「本」は相互交換可能に使用され、同様に複数形態を含むことを意図し、各意味の範囲内に入る。また、ここで使用される「および/または」は、列記された項目の1以上をいい、任意かつ全ての可能な組み合わせならびに代替として解釈されるとき(「または」)組み合わせではないものを包含する。
【0068】
ここで使用する「約」は当業者により理解され、使用される状況によって、ある程度変わる。使用されている文脈から本用語の使用が当業者には明確ではないとき、「約」は特定の用語の±10%までを意味する。
【0069】
ここで使用する用語「投与」するは、投与のための処方ならびに実際の投与を含み、処置される対象または他者による物理的投与を含む。
【0070】
ここで使用する「対象」、「患者」または「個体」は、あらゆる対象、患者または個体をいい、これら用語はここでは相互交換可能に使用される。これに関連して、用語「対象」、「患者」および「個体」は哺乳動物、特にヒトを含む。「処置を必要とする」と共に使用されるならば、用語「対象」、「患者」または「個体」は特定の症状または障害を有するまたはリスクにあるあらゆる対象、患者または個体を意図する。
【0071】
「用量」または「量」の文脈でここで使用する用語「治療有効」または「有効」は、1以上の化合物が投与される対象の特定の薬理学的効果を提供する用量または量をいう。治療有効量は、その用量が当業者により治療有効量であるとみなされるとしても、常にある対象において意図する効果を達成するのに有効であるわけではないことは強調しておく。利便性のためだけに、例示的投与量をここに提供する。当業者は、そのような量を、特定の症状または障害を有する特定の対象の処置のために、ここに開示する方法に応じて調節できる。治療有効量は投与経路および剤形に基づき変わり得る。
【0072】
用語「処置」、「処置する」またはその何らかの変形は、(i)1以上の特定の症状および/または(ii)特定の障害の1以上の症状または影響の低減、改善または排除を含む。用語「予防」、「予防する」またはその何らかの変形は、(i)1以上の特定の症状および/または(ii)特定の障害の1以上の症状または影響の発生のリスクの低減、改善または排除を含む。
【0073】
「薬学的に許容される塩」は酸および塩基両方の付加塩を含む。ここに記載する置換ヘテロ環式誘導体化合物の何れかの薬学的に許容される塩は、任意かつ全ての薬学的に適当な塩形態を含むことを意図する。ここに記載する化合物の好ましい薬学的に許容される塩は薬学的に許容される酸付加塩および薬学的に許容される塩基付加塩である。
【0074】
「薬学的に許容される酸付加塩」は、遊離塩基の生物学的有効性および性質を保持し、生物学的にまたは他の点で望ましくないものではなくかつ塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、リン酸などの無機酸と形成される塩をいう。また包含されるのは、脂肪族モノおよびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、アルカン二酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸などの有機酸と形成される塩を含み、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などを含む。故に、塩の例は硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、カプリル酸塩、イソ酪酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ-安息香酸塩、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸などを含む。また意図されるのは、アルギニン酸塩、グルコン酸塩およびガラクツロン酸塩などのアミノ酸の塩である(例えば、Berge S.M. et al., Pharmaceutical Salts, J. Pharma. Sci. 66:1-19 (1997)参照)。塩基性化合物の酸付加塩は、ある実施態様において、塩を形成するための当業者が熟知する方法および技術に従い、遊離塩基形態と、十分な量の所望の酸を接触させることにより、製造する。
【0075】
「薬学的に許容される塩基付加塩」は、生物学的にまたは他の点で望ましくないものではない、遊離酸の生物学的有効性および性質を保持する塩をいう。これらの塩は、遊離酸への無機塩基または有機塩基の添加により形成する。薬学的に許容される塩基付加塩は、ある実施態様において、アルカリおよびアルカリ土類金属または有機アミンなどの金属またはアミンと形成される。無機塩基由来の塩は、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩などを含むが、これらに限定されない。有機塩基由来の塩は、1級、2級および3級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、N,N-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、エチレンジアニリン、N-メチルグルカミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂などの塩を含むが、これらに限定されない。Berge et al., supra参照。
【実施例
【0076】
次の実施例において使用する限り、化合物Aは2-[3-(1,4-ジメチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)-5-[(S)-(オキサン-4-イル)(フェニル)メチル]-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-イル]プロパン-2-オールをいう。
【0077】
下のリストは、次の実施例で使用する略語を特定する。
【表1】

【0078】
実施例1
次の実施例は、BETi化合物Aが前立腺癌腫および神経内分泌前立腺癌細胞を完全に細胞増殖停止し、細胞死の誘導する能力を評価する。
【0079】
材料および方法
細胞培養
VCaP、LNCaP、22Rv.1、DU145およびPC3癌細胞株をATCCから得た。VCaPを8%FBS添加DMEM培地で培養し、LNCaP、22Rv.1およびDU145を10%FBS添加RPMI1640培地で培養し、PC3を10%FBS添加F12K培地で培養した。
【0080】
増殖アッセイ
細胞を96ウェル形式で播種し、処理前24時間付着させた。薬物を1μMから0.1nMまで1:3でタイトレートし、トリプリケートで9用量であった。細胞増殖を処理日(0日目)および3日目に、製造業者の指示に従いCell Titer-Glo試薬(Promega)を使用して、測定した。DMSO培地対照および0日目に対して正規化した細胞増殖を、GraphPad Prism 7.03(GraphPad Software, Inc.)を使用して非線形回帰によりフィッティングした。
【0081】
遺伝子発現分析
細胞を6ウェル形式で播種し、処理前24時間付着させた。細胞を48時間処理し、その後集めた。RNAを、製造業者の指示に従いRNeasyキット(Qiagen)を使用して、細胞から精製した。定量的RTPCRを、ABI QuantStudio 7 Flex Real-Time PCR SystemでTaqMan assay(Thermo Fisher Scientific)を使用して、実施した。
【0082】
結果
化合物Aは、前立腺癌腫細胞の完全な増殖停止をもたらし、細胞死を誘導する。
VCaP細胞は前立腺特異的抗原(PSA)およびアンドロゲン受容体(AR)の発現を含む臨床的前立腺癌腫の特徴を示し、前立腺癌進行および転移を試験するためのモデルとして使用する。前立腺癌におけるBET阻害の役割を試験するために、VCaP細胞をBET阻害剤(BETi)化合物Aで処理する。化合物Aは、0.1μMでVCaP増殖に影響し、完全な(100%)増殖停止を引き起こす。さらに、最高濃度で化合物Aは細胞毒性効果を示す(図1)。
BETタンパク質はAR標的遺伝子の調節を介してARシグナル伝達を制御する。BETiがAR標的遺伝子を調節するか否かを試験するために、VCaP細胞を化合物Aで処理し、遺伝子発現を測定した。2個のAR標的遺伝子カリクレイン関連ペプチダーゼ3(KLK3)および膜貫通セリンプロテアーゼ2(TMPRSS2)は、化合物Aで処理後両方とも下方制御される。細胞を4nMの化合物Aで処理したとき、KLK3の96.9%の下方制御が観察され、一方99.4%下方制御が細胞を40nMの化合物Aで処理したとき観察された(図2上部)。TMPRSS2でも下方制御が観察され、それぞれ4nMまたは40nMの化合物Aを細胞に投与したとき32.8%および51.9%の下方制御であった(図2上部)。MYCおよびヘキサメチレンビス-アセトアミド誘導型タンパク質1(HEXIM1)などのBET標的遺伝子も化合物Aにより調節された。4nMの化合物Aで処理された細胞において、MYC発現の91.4%減少が観察され、一方40nMの化合物Aで処理された細胞において、95.7%のMYC下方制御を測定した。HEXIM1は、4nMまたは40nMの化合物AをVCaP細胞に投与したとき、DMSOと比較して968.0%および1257.5%上方制御された(図2下部)。
前立腺癌におけるBETiの役割をさらに補強するために、ヒト前立腺腺癌の転移病変から確立されたLNCaP細胞を化合物Aで処理した。化合物Aでの処理は、1μMで完全な(100%)増殖停止を引き起こした(図3)。
ARシグナル伝達を化合物Aでの処理後LNCaP細胞でモニターし、KLK3の下方制御が観察され、それぞれ4nMまたは40nMを細胞に投与したとき、58.8%および92.0%の下方制御であった(図4)。BETi標的遺伝子も調節された。4nMの化合物Aを細胞に投与したとき、84.1%のMYCの下方制御が観察され、93.6%の下方制御が、40nMの化合物AをLNCaP細胞に投与したとき測定された。最後に、細胞をそれぞれ4nMおよび40nMの化合物Aで処理したとき、446.8%および533.3%のHEXIM1の上方制御が測定された(図4)。
【0083】
化合物Aは、去勢抵抗性前立腺癌細胞の増殖を障害する。
前立腺癌に対する現在の標準治療はアンドロゲン遮断療法(ADT)からなるが、迅速な寛解後、癌細胞は最終的に抵抗性を獲得し、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)が進行する。
22Rv.1前立腺癌細胞は、エンザルタミドなどのARアンタゴニストに対する抵抗性に介在するARスプライスバリアントAR-V7を発現する。この細胞株をCRPCのモデルとして使用した。CRPCにおけるBETiの役割を試験するために、22Rv.1細胞を化合物Aで処理した。BETiは22Rv.1増殖に負に影響し、IC50=0.0017であった(図5)。
AR標的遺伝子に対する化合物Aの効果を決定するために、22Rv.1細胞を、2種の異なる濃度の化合物Aで処理した(4nMおよび40nM)。AR標的遺伝子は両者とも強力に下方制御され、4nMまたは40nMの化合物Aを細胞に投与したとき、KLK3について99.9%または99.8%の下方制御が観察された。DMSOに対して97.0%または97.8%の減少が、細胞をそれぞれ4nMまたは40nMの化合物Aで処理したとき、TMPRSS2について測定された(図6上部)。BET標的遺伝子MYCは下方制御され、4nMの化合物Aを添加したとき98.5%下方制御であり、細胞を40nMの化合物Aで処理したとき99.3%下方制御であった。HEXIM1は上方制御され、細胞を4nMの化合物Aで処理したとき31%の誘導が観察され、一方91.5%の上方制御が細胞を40nMの化合物Aで処理したとき観察された(図6下部)。
VCaPおよびLNCaPで観察されたのと同様、BETi処理細胞においてCRPC 22Rv.1の細胞増殖は障害され、ARシグナル伝達は誤制御される。
【0084】
化合物Aは神経内分泌前立腺癌細胞の増殖を強く減少させる。
CRPC患者の一部は、AR発現が低いまたはない神経内分泌(NE)表現型により特徴づけられる、AR非依存的疾患を発症する。
前立腺癌細胞DU145は、アンドロゲンに応答しないAR陰性細胞株である。AR陰性細胞におけるBETiの効果を試験するために、DU145を化合物Aで処理し、DU145増殖の61.9%減少が観察された(図7)。
前立腺癌細胞PC3は、NEPC細胞モデルとして広く受け入れられている他のAR陰性細胞株である。NEPCに対するBETiの効果を試験するために、PC3細胞を化合物Aで処理した。化合物AはPC3増殖の67%減少を示し、IC50=0.0041であった(図8)。
【0085】
まとめると、我々のデータは、化合物Aが前立腺癌腫細胞の細胞増殖を停止し、ARシグナル伝達に影響する能力を示し、これら固形腫瘍のための新規かつ標的化療法としての可能性を指示する。
【0086】
ある実施態様が例示され、記載されているが、次の特許請求の範囲に定義される広い範囲の技術から逸脱することなく、当分野における通常の技術に従い、変更および就職をなし得ることは理解されるべきである。
【0087】
ここに例示的に記載する実施態様は、ここに具体的に開示されない任意の1以上の要素、1以上の限定の非存在下でも適切に実施され得る。故に、例えば、用語「含む」、「包含する」、「含有する」などは、広くかつ限定なしと解釈されなければならない。さらに、ここで用いる用語および表現は、記載の観点で使用されており、そのような用語および表現の使用により、示しかつ記載する性質の何らかの等価物またはその一部を除外する意図はなく、むしろ請求する技術の範囲内で種々の修飾が可能であることが認識される。さらに、用語「本質的にからなる」は、特に言及される要素および請求する技術の基本的かつ新規な性質に実質的に影響しない付加的要素を含むと理解される。用語「からなる」は、特定していないあらゆる要素を除外する。
【0088】
本開示は、本明細書に記載される特定の実施態様の観点で限定されるべきではない。当業者には明らかなとおり、精神および範囲から逸脱することなく、多くの修飾および改変がなされ得る。ここに挙げるものに加えて、本発明の範囲内の機能的に等価な方法および組成物は、前記から当業者に明らかである。このような修飾および改変は、添付する特許請求の範囲の範囲内に入ると意図される。本発明は、添付する特許請求の範囲の観点でのみ、そのような特許請求の範囲が権利を与える等価な均等物の完全な範囲とともに限定される。本発明は、当然変わり得る特定の方法、試薬、化合物または組成物に限定されないことは理解されるべきである。またここで使用する用語は特定の実施態様を記載する目的のみで使用し、限定的であることを意図しないことは理解されるべきである。
【0089】
さらに、本は詰めの性質または態様がマーカッシュグループで記載されているとき、当業者は、本発明は、該マーカッシュグループの任意の個々のメンバーまたはメンバーの下位群の観点でも記載されることを認識する。
【0090】
当業者には理解されるとおり、任意かつ全ての目的で、特に書面を提供する観点で、ここに開示する全ての範囲はまた、終点を含む任意かつ全ての可能な部分範囲およびその部分範囲の組み合わせも包含する。あらゆる列記する範囲は、同じ範囲を少なくとも等しい半分、1/3、1/4、1/5、1/10などに分解されることを十分に記載し可能とすることは容易に認識され得る。非限定的例として、ここに記載する各範囲を、下1/3、中1/3および上1/3に容易に分解できるなどである。また当業者には理解されるとおり、「まで」、「少なくとも」、「を超える」、「未満」などの用語は、記載する数値を含み、上記のとおり、部分範囲にその後分解できる範囲をいう。最後に、当業者には理解されるとおり、範囲は個々のメンバーを含む。
【0091】
本明細書に記載する全ての刊行物、特許出願、交付済み特許および他の文献は、各個々の刊行物、特許出願、交付済み特許および他の文献が、具体的かつ個々に引用により全体として本明細書に包含されると示されたのと同程度、引用により本明細書に包含される。引用により包含する文書に含まれる定義は、本明細書における定義と矛盾する限りにおいて、除外される。
【0092】
他の実施態様は次の特許請求の範囲に示される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】