(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】ハイブリッドプロセスによる段付きケーシングの製造
(51)【国際特許分類】
F04D 29/44 20060101AFI20240305BHJP
F04D 29/42 20060101ALI20240305BHJP
F04D 29/62 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
F04D29/44 S
F04D29/42 P
F04D29/62 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555595
(86)(22)【出願日】2022-03-04
(85)【翻訳文提出日】2023-11-09
(86)【国際出願番号】 EP2022055538
(87)【国際公開番号】W WO2022189287
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】102021105623.3
(32)【優先日】2021-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591040649
【氏名又は名称】カーエスベー ソシエタス ヨーロピア ウント コンパニー コマンディート ゲゼルシャフト アウフ アクチェン
【氏名又は名称原語表記】KSB SE & Co. KGaA
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】ノベル,タムズ
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA12
3H130AB27
3H130AB46
3H130AB62
3H130AB65
3H130AB69
3H130AC03
3H130BA10B
3H130BA66B
3H130BA97B
3H130BA98B
3H130CA08
3H130DA02X
3H130EA04B
3H130EB03B
3H130EC13B
3H130ED01B
(57)【要約】
本発明は、ケーシング(22)で取り囲まれる羽根車(5、9)を有する遠心ポンプ(1)に関する。ケーシング(22)は少なくとも1つの案内要素(23)を備える。案内要素(23)は、少なくとも1つの従来法で製造された構成要素と少なくとも1つの生成的に製造された構成要素とからなるハイブリッド構成要素として設計される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング(22)で取り囲まれる少なくとも1つの羽根車(5、9)を有する遠心ポンプ(1)であって、前記ケーシング(22)が少なくとも1つの案内装置(23)を備える、遠心ポンプ(1)において、
前記案内装置(23)が、少なくとも1つの従来法で製造された構成要素および少なくとも1つの生成的に製造された構成要素を備えるハイブリッド構成要素として構成されることを特徴とする、遠心ポンプ(1)。
【請求項2】
生成的に製造された構成要素が案内要素(17)として構成されることを特徴とする、請求項1に記載の遠心ポンプ。
【請求項3】
前記案内装置(23)が、3つ以上、好ましくは4つ以上、特に5つ以上の、かつ/または24個未満、好ましくは22個未満、特に20個未満の生成的に製造された案内要素(17)を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の遠心ポンプ。
【請求項4】
生成的に製造された構成要素が半径方向外方に湾曲した形状を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の遠心ポンプ。
【請求項5】
生成的に製造された構成要素が流れ誘導用形成部(25)を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の遠心ポンプ。
【請求項6】
生成的に製造された構成要素が、案内板(19)をほぼ隙間なく取り囲むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の遠心ポンプ。
【請求項7】
生成的に製造された構成要素が、前記案内板(19)への隙間のない接続のための密封要素(26)を有することを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の遠心ポンプ。
【請求項8】
生成的に製造された構成要素が、嵌合要素(21)内に係合するための要素(24)を有することを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の遠心ポンプ。
【請求項9】
少なくとも1つの従来法で製造された構成要素がケーシングカバー(18、20)として構成されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の遠心ポンプ。
【請求項10】
従来法で製造された構成要素が案内板(19)として構成されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の遠心ポンプ。
【請求項11】
少なくとも1つの従来法で製造された構成要素が嵌合要素(21)を有することを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の遠心ポンプ。
【請求項12】
統合的製造ユニットを用いて請求項1から11に記載の遠心ポンプ(1)を製造するプロセスであって、
前記ケーシングカバー(18、20)および/または案内板(19)を一次成形および/または切削で形成するステップと、
前記案内要素(17)を生成的プロセスで形成するステップと、
前記案内要素(17)、前記案内板(19)および前記ケーシングカバー(18、20)を互いに嵌合させて、遠心ポンプケーシング(22)の、ハイブリッド態様で生産された案内装置(23)を形成するステップと
を有する、プロセス。
【請求項13】
遠心ポンプ(1)用の統合型案内装置(23)を有するケーシング(22)として少なくとも1つの生成的に製造された構成要素および少なくとも1つの従来法で製造された構成要素を有するハイブリッド構成要素の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーシングで取り囲まれる少なくとも1つの羽根車を有する遠心ポンプに関し、ケーシングは少なくとも1つの案内装置を備える。
【背景技術】
【0002】
ポンプは、複数の羽根車が次々に配置され、吐出流(delivery stream)が羽根車を通って連続して流れる場合に多段と称される。単段遠心ポンプの吐出揚程は、羽根車の設計および円周速度によって実質的に決定される。他の境界条件のために回転速度をさらに増すことができない場合、および/または、羽根車直径の増大が非常に低い特定の回転速度をもたらし、したがって経済的でない効率につながる場合、吐出揚程は、経済的観点からも、複数の段を次々に接続することにより増大させることができる。寸法および回転速度を維持する一方で段数を変えることにより、そのような多段ポンプの吐出流は変わらないが、出力要件および吐出揚程は段数に比例して変動する。
【0003】
案内装置は、ほとんどの場合に複数の案内羽根を有する。ポンプで汲み上げられた媒体のための案内流路が案内羽根相互間に形成される。このような案内装置は案内車の形態とすることができる。ポンプで汲み上げられた媒体は羽根車を出て案内装置に入る。案内装置では、運動エネルギーが圧力エネルギーに変換される。媒体の偏向がさらに起こる。渦巻は、別のポンプ段への接近流のために随意に減じられる。
【0004】
DE3912279C2は、少なくとも1つの羽根車を有する単段型または多段型の遠心ポンプを記述している。羽根車の流れ方向下流側に案内車が配置される。案内車は複数の案内羽根を有する。
【0005】
直列配列で次々に接続された複数の同一な段付きケーシング(stage casing)を有するポンプの一例が輪切型ポンプ(ring section pump)である。このタイプは、発電所技術に、例えばボイラ給水ポンプとして、また高い吐出し圧力が要求される産業用途に頻繁に使用される。
【0006】
このような遠心ポンプは、二重ケーシングポンプまたはバレルケーシングポンプとしても知られており、バレル状ケーシングによって取り囲まれる遠心ポンプである。バレルケーシングは、吸込ノズルおよび吐出ノズルが設けられており、シャフトに対して直交する面でカバーによって閉鎖される。このようなポンプは、通常、高圧ポンプおよび最高圧力ポンプとして用いる多段ポンプである。バレルケーシング内には、複数の段付きケーシングが軸線方向に次々と連続的に配置される。各段付きケーシングはポンプ羽根車を備え、随意に固定案内車を備える。
【0007】
個々の段付きケーシングは、通常、ポンプシャフトと共にコヒーレントポンプ挿入モジュールとして形成される。最後の案内車または最後の段付きケーシングから吐出ノズル内への流れ遷移は、一般に、バレルケーシング内に形成された流れ空間によって起こる。DE102019001882A1は、らせん流空間の内部輪郭が最後のポンプ段で効率の増進を実現することができる遠心ポンプを記述している。
【0008】
案内車、特に案内装置は、フィリグリー(filigrane)の少ない固体構造を特徴とし、固体構造は、ほとんどの場合、再成形プロセスおよび一次成形プロセスによって生産される。ポンプの効率の向上は、流れに関して最適化されない、案内要素の固形物によって制限される。特にボイラ給水ポンプとして連続的に使用されるとき、効率のわずかな増進が大きな経済的影響を及ぼす。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、最適化流れ誘導を有する遠心ポンプを提供するとともに、多段遠心ポンプも提供することである。遠心ポンプは、可能な限り最も高い効率を有するものである。流れの分離は大きく妨げられるものとする。さらに、可能な限り損失が最も低い遅延が保証されるものとする。遠心ポンプは、顧客の要件に合わせて個々に構成することができるものである。この遠心ポンプは、できるだけ少ない個々の部品からなるものであり、組立てをできるだけ容易にするものである。交換部品の置換は、遠心ポンプの構成により容易にできるものである。遠心ポンプは、簡単にかつ安価に生産することができるものである。
【0010】
この目的は、本発明により、少なくとも1つの羽根車を有する遠心ポンプによって達成される。好ましい変形形態は、独立請求項、本明細書および図面に見出されるものである。
【0011】
本発明によれば、遠心ポンプの案内要素は、ケーシングで取り囲まれる少なくとも1つの羽根車と共に、少なくとも1つの従来法で製造された構成要素および少なくとも1つの生成的(generativ、ジェネレーティブ)に製造された構成要素を備えるハイブリッド構成要素として構成される。
【0012】
生成的に製造された構成要素は、生成的製造プロセスによって生産されている。生成的製造プロセスという用語は、材料が層ごとに付着され、したがって3次元構成要素が生産されるすべての製造プロセスを含む。層単位のビルドアップは、所定の寸法および形状に従って1つまたは複数の液体材料または固体材料からコンピュータ制御下で行われる。物理的もしくは化学的硬化プロセスまたは溶融プロセスはビルドアップ中に行われる。3D印刷用の典型的な材料は、プラスチック材料、合成樹脂、セラミックス、金属、炭素材料、および黒鉛材料である。
【0013】
生成的または積層(アディティブ)造形プロセスは、3次元構成要素を生産するために材料が層ごとに付着されるプロセスであると理解される。本発明によれば、案内装置の案内要素は、生成的に製造された構成要素の形態である。案内要素は、特に、肉盛溶接としても知られている選択的レーザ溶融およびレーザクラッディングを用いて形成される。本発明の代替変形形態では、同様に使用することができるプロセスが、溶融可能なプラスチック材料の付着と組み合わせた冷却ガス吹付けおよび押出し成形である。
【0014】
選択的レーザ溶融では、案内要素は、ビルドアップ材料層が最初に基板に付着されるプロセスによって生産される。案内装置の案内要素を生産するためのビルドアップ材料は、好ましくは金属粉末粒子である。本発明の一変形形態では、鉄含有粉末粒子および/またはコバルト含有粉末粒子がこの目的で使用される。これらの粉末粒子は、クロム、モリブデン、ニッケルなどの添加物を含有することができる。金属ビルドアップ材料は、板に粉末の形態で薄く付着される。次いで、粉末状材料は、放射を用いて所望の場所で局所的に完全に溶融され、固化後、固体材料層が形成する。次いで、基板は、層厚さの量だけ下げられ、粉末が再び付着される。このサイクルは、すべての層が生成され、完成した案内要素が形成されるまで繰り返される。本発明によれば、特にフィリグリー(細金細工)であり、流れに関して最適化され、従来のプロセスでは技術的に生成することができない構造がここで生産される。
【0015】
放射として、例えば、個々の粉末層から案内要素を生成するレーザビームを使用することができる。レーザビームを案内するためのデータは、3次元CAD本体をベースとするソフトウェアを用いて生成される。選択的レーザ溶融の代わりに、電子ビーム(electron beam、EBN)を使用することもできる。
【0016】
肉盛溶接またはクラッディングでは、案内要素は、ベース構造を溶接で被覆するプロセスによって生産される。ワイヤまたは粉末の形態の溶加材を用いて、肉盛溶接は、特にフィリグリーであり、流れに関して最適化される案内要素の形状を生成する体積を構成する。
【0017】
マルチセクション高圧遠心ポンプおよびボイラ給水ポンプの使用には、これまで、生成的に製造された案内装置を使用することができず、それは、この案内装置の寸法が、技術的に達成できないか、または困難を伴ってしか達成できなかったからである。生成的に製造された案内装置は、切削または鋳造製造プロセスでは達成することができない水力学的に最適化された幾何形状で区別される。従来法で製造された構成要素に適合する複数の生成的に製造された案内要素を用いてハイブリッド案内装置を形成すると、一方で水力学的に最適化された幾何形状が可能になり、他方で生成的方法によって可能な既知の製造寸法を超える構成要素サイズが可能になる。
【0018】
本発明によれば、案内装置は、3つ以上、好ましくは4つ以上、特に5つ以上の、かつ/または24個未満、好ましくは22個未満、特に20個未満の生成的に製造された案内要素を有する。したがって、有利には、複数の生成的に製造され水力学的に最適化された案内要素からなるハイブリッド案内装置を生成することができる。案内要素の構成要素サイズは、すべてのそれらの利点を有する共通の生成プロセスによって生成することができ、従来型構成要素を有するハイブリッド構造のおかげで、非常に大きい寸法になることもできる。
【0019】
有利には、生成的に製造された構成要素、特に案内要素は外方に湾曲した形状を有する。案内要素は、案内要素の形状に関してCFDによって水力学的に最適化され、渦巻を流れの分離なしにかつ渦のビルドアップなしに減少させながら流れを偏向させる。案内要素の半径方向に湾曲した形状は、流れを次のポンプ段へ特に理想的な態様で案内する。
【0020】
本発明の特に有利な実施形態では、生成的に製造された構成要素、特に案内要素は流れ誘導用形成部を有する。流れ誘導用形成部は、案内要素の成形した部分および丸みを帯びた部分であり、この部分は、特にフィリグリーであり、ポンプの水圧効率を非常に有利な態様で最適化する。流れ誘導用形成部は、流れが次のポンプ段へ偏向されることを可能にし、流れの渦巻を理想的に減少させる。
【0021】
前成形部分が、ラジアル羽根車からの吐出流を受け、吐出流を特に低い損失で第2の成形部分へ案内し、第2の形成部分は、案内板および隣接して配置された案内要素と共に流路を形成する。流体は、この流路から下流側に配置された羽根車へ特に渦巻のない態様で流れる。理想的には、案内要素の成形部分は、生成的製造の結果として、特に薄くなるようにかつ微細な曲率半径を有するように構成することができ、これは従来法で製造された案内要素については知られていない。
【0022】
本発明によれば、生成的に製造された構成要素、特に案内要素は、案内板をほとんど隙間なく取り囲む。したがって、誤った流れおよび効率損失が回避される。案内要素の生成的製造は、極めて精密で正確な製造、したがってハイブリッド案内装置の従来法で製造された構成要素への隙間のない取付けを可能にする。
【0023】
理想的には、生成的に製造された構成要素、特に案内要素は、案内板への隙間のない接続のための密封要素を有する。生成的製造プロセスは、案内要素の精巧に設計された幾何形状を可能にし、したがって、案内装置のハイブリッド要素が1つにまとめられると、隙間のない接続部を生産することができ、それにより遠心ポンプの効率を最適に向上させることができる。
【0024】
本発明の代替変形形態では、案内要素の壁は非常に薄く、案内要素は、壁の強度を上げるための内部格子構造を有する。この有利な態様では、質量対構成要素体積の特に優れた比率を有する案内要素を実現することができる。特に従来法で製造された案内装置と比べると、案内装置のハイブリッド形態は極めて低い質量を有する。
【0025】
本発明の特に有利な実施形態では、案内装置のハイブリッド構造はさらなる接合技術を必要としない。本発明によれば、生成的に製造された構成要素、特に案内要素は、嵌合要素(対要素、ペア要素)内に係合するための要素を有する。例えば、案内要素上に短い円筒形ピンを形成することができ、このピンは、従来型構成要素上の対応する凹部内に挿入することができるので、安定した結合を形成する。したがって、遠心ポンプの組立てがかなり簡略化され、それは、ハイブリッド案内装置の構成要素が単純に互いに嵌合することができるからである。
【0026】
従来型構成要素という用語は、一次成形、再成形または除去製造プロセスを用いて生産される構成要素を意味する。一次成形は、幾何学的に定義された形状を有する固形体が無形材料から生産される製造プロセスの主群である。一次成形は、固形体の初期形状を生産するとともに、物質凝集を作り出すために使用される。再成形の場合、塑性的に変形可能な材料のブランクは、ブランクから材料を除去することなく意図的に異なる形状にされる。除去製造プロセスでは、ワークピースからいくらかの材料が除去される。生産される構成要素に加えて、チップが主に形成される。
【0027】
本発明によれば、少なくとも1つの従来法で製造された構成要素がケーシングカバーの形態である。特にバレルケーシングポンプの場合、案内装置が同時にケーシングを備えていれば構造がかなり簡略化される。要求される構成要素の数および組立てはかなり減じられる。
【0028】
有利には、従来法で製造された構成要素は案内板の形態である。単純な板が鋳造によって特に経済的にかつ精密に生産され得る。案内装置のハイブリッド構造は、多段遠心ポンプの考えられる最良の効率を達成する装置を形成するために、最も有利な製造プロセスによって水力学的に最適化された態様でその都度生産されている構成要素を組み合わせている。
【0029】
理想的には、少なくとも1つの従来法で製造された構成要素、特に案内板は、要素の係合のための嵌合要素を有する。例えば、嵌合要素は、案内要素のピン状要素が係合する円筒形凹所の形態であり、したがって案内要素と案内板との間のプラグイン(差込み)接続を実現することができる。したがって、ハイブリッド構造の組立ては、特に簡単にかつ時間的に効率的に実施することができる。
【0030】
代替変形形態では、生成的に製造された構成要素および従来法で製造された構成要素は、案内装置を形成するために、分離不可能な接続部、好ましくは溶接接続部によって接合される。このような接続部は、接続部の頑丈で耐久性のある形態を特徴とする。
【0031】
2つ以上の固形体を接合する場合、幾何学的に定義された形状を有する、接合されるべき部品は恒久的に接続される。溶接する場合、案内要素および案内板の分離不可能な接続部は、溶加材の有無にかかわらず、熱および/または圧力を加えることによって生産される。溶加材は、通常、棒またはワイヤの形態で供給され、溶融され、したがってボンドを生成するために接合パートナ相互間の接合部において凝固する。溶接は物質対物質接着方法のうちの1つであり、高強度のボンド(接着)が生産される。
【0032】
統合的アディティブ製造プロセスを用いて大型のハイブリッド案内装置を製造することも特に有利である。ケーシングカバーおよび案内板は、最初に一次成形および/または切削によって形成される。案内要素は、生成的プロセスを用いて生産される。ハイブリッド案内装置は、ケーシングカバー内に案内板を案内要素と共に取り付けることによって完成する。
【0033】
案内要素の流動流体との接触面を生産するためのビルドアップ材料は、好ましくは金属粉末粒子である。本発明の一変形形態では、鉄含有粒子および/またはコバルト含有粒子がこの目的で使用される。これらの粒子は、例えばクロム、モリブデン、ニッケルなどの添加物を含有することができる。
【0034】
本発明によれば、案内装置の案内要素はアディティブ製造プロセスで形成される。案内要素の3次元形態は、データセットとしてソフトウェアに保存される。様々なアディティブプロセスのツールを取り付けられたロボットアームが、案内要素が形成されるべき場所で作動し、流動媒体との接触面および接触面の支持格子構造を層ごとに形成する。有利には、各ビルドアップ材料の適切なビルドアッププロセスは、各層に対して順にまたは同時に実行することができ、したがって様々な材料の複雑な案内要素が形成され、案内要素の各領域は、案内要素のその後の使用の要件に最適に適応される。
【0035】
本発明の一変形形態では、アディティブ製造プロセスの溶融層ツールを用いて格子構造が生産され、点のグリッドパターンが溶融可能なプラスチック材料から表面に付着される。ノズルによる押出しおよびその後の所望の位置での冷却による硬化により、特に格子の形態でかつ/またはハニカム形状で耐荷重構造が生産される。案内要素の支持領域は、空隙を形成するように、特に高い耐荷重能力を有して生産されるので、案内要素は、かなりの強度を有し、同時に低質量を有する。案内要素は、通常、作業面の上をその都度ラインごとに繰り返し進み、次いで作業面を上方へ積層態様で移動させ、その結果、案内要素の支持領域が形成されることで積み上げられる。
【0036】
本発明の特に有利な変形形態では、案内要素の流動流体との接触面は、ビルドアップ材料から、放射を用いて層を連続的に溶融し固化することによって生産される。案内要素の各領域の異なる特性は、この場合は放射の変動によって生成される。熱の局所導入を意図的に制御することにより、案内要素のビルドアップ中でも材料特性が変化する。その結果、案内要素の一領域において、化学的に均質な材料の様々な材料状態のゾーンおよび微細構造、したがって様々な特性を生産することが可能である。
【0037】
金属ビルドアップ材料は、板に粉末の形態で薄く付着される。粉末材料は、放射を用いて所望の場所で局所的に完全に溶融され、固化後、固体材料層を形成する。次いで、この底板は、層厚さの量だけ下げられ、粉末が再び付着される。このサイクルは、すべての層が生成されるまで繰り返される。余分の粉末は、完成した案内要素から取り除かれる。
【0038】
本発明によるプロセスは、案内装置を特に個々に構成することができるという点を特徴とする。遠心ポンプの要件による案内装置の適合は、生成的製造によって考慮され得る。高価な個々の製造は、従来法で製造された構成要素および生成的に製造された構成要素の比較的低コストのハイブリッド構成の結果として、より費用対効果が有意に高くなる。加えて、生成的に製造された構成要素は、より高いポンプ効率を達成することができ、これまで従来の製造方法では達成できなかった形状を有することができる。
【0039】
理想的には、案内装置は、生成的に製造された構成要素および少なくとも1つの従来法で製造された構成要素からハイブリッド形態で生産されるものであり、遠心ポンプ用の、特に高圧輪切型ポンプ用の案内装置として使用される。案内装置は、優れた流体機械特性を特徴とする。
【0040】
有利には、ケーシングカバーおよび対応する羽根車を備える本発明による案内装置を次々に接続することにより、多段高圧輪切型ポンプを形成することができる。この直列接続は、柔軟に短くしたり長くしたりすることができ、したがって運転時の変化に適合することができる。
【0041】
本発明のさらなる特徴および利点は、図面を参照する例示的な実施形態の説明から、また図面自体からも明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】従来技術による多段遠心ポンプを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、既知の多段遠心ポンプ1を水平セットアップで示す。垂直または斜めのセットアップも同様に可能である。この実施形態の変形例では、シャフト3は5つの羽根車を装備している。流体は、ポンプ入口2に流れ込み、ポンプ出口4を通ってポンプから出る。ポンプで汲み上げられるべき流体、例えば、沸点の低い、ガスを放出しやすい流体または可燃性流体が、ラジアル型の羽根車5を有する第1のポンプ段に向かう方向に流れる。この第1の羽根車5は、吸込羽根車として働くものであり、流体を案内装置6内へ運び、羽根車5および案内装置6はケーシング7によって取り囲まれる。ケーシング7および案内装置6は、バレルケーシングポンプの名の由来であるバレルケーシングの形態でユニットを形成する。案内装置6は戻り案内羽根を備え、流体は、戻り案内羽根で別の羽根車を有する別のポンプ段へ運ばれる。羽根車および案内装置は、多段ポンプ組立体内にユニット、いわゆるポンプ段をその都度形成する。
【0044】
図2は、本発明による案内装置23の斜視断面を示す。案内装置23は、遠心ポンプケーシング22の一部を形成するケーシングカバー18および20を備える。ケーシングカバー18は嵌合要素21を有し、要素24(この図には示されていない)が嵌合要素内に係合される。案内装置23は、案内板19および、例として1つの案内要素17をさらに備える。本発明による案内要素23は、3つ以上、好ましくは4つ以上、特に5つ以上の、かつ/または24個未満、好ましくは22個未満、特に20個未満の生成的に製造された案内要素17を備える。
【0045】
ケーシングカバー20は、羽根車(図示せず)を半径方向に完全に取り囲み、羽根車の吐出流体を受ける。案内要素17は、渦巻を減少させながら、案内要素の半径方向外方に湾曲した形状および流れ誘導用形成部25で流体流れを偏向させる。案内要素の最適化流れ形状の結果として、案内要素17は、渦のビルドアップおよび流れの分離を回避し、したがって遠心ポンプ1の効率を向上させるのに寄与する。
【0046】
案内装置23は、従来法で製造された部品と、案内板19およびケーシングカバー18および20と、生成的に製造された案内要素17とからなるハイブリッド構成要素である。したがって、案内装置23のハイブリッド構造は、本発明による遠心ポンプ1の最適効率を達成するために、各製造プロセスの利点を組み合わせている。
【0047】
図3は、半径方向外方に湾曲した形状の案内要素17の概略図を示す。生成的に製造された案内要素17は、改良された流れ誘導のための形成部25、および案内板19(図示せず)への隙間のない接続のための密封要素を有する。嵌合要素21(図示せず)内に係合するための要素24は、ハイブリッド形態の案内装置23のプラグイン(差込み)設計を可能にする。
【0048】
案内要素17の前形成部27は、上流側羽根車(図示せず)から吐出流を受け、吐出流を特に低損失態様で第2の成形部分28へ案内し、第2の成形部分は、
図2に示す案内板19および隣接して配置された案内要素17と共に、流路を形成する。流体は、かかる流路から下流側に配置された羽根車へ特に渦巻のない態様で流れる。生成的製造のおかげで、案内要素17の成形部分25は、特に薄くかつ微細な曲率半径を有し、それにより遠心ポンプの全体的な効率を大幅に向上させることができる。
【国際調査報告】