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特表2024-510989ワクチン接種方法及びCD47遮断薬の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】ワクチン接種方法及びCD47遮断薬の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/00 20060101AFI20240305BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20240305BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20240305BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240305BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240305BHJP
   C12N 5/09 20100101ALI20240305BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240305BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20240305BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240305BHJP
   C12N 15/86 20060101ALN20240305BHJP
【FI】
A61K39/00 H
C12N15/09 100
C12N15/113 140Z
C12N15/13
C12N5/10
C12N5/09
C07K16/28
C12N15/12
C12N15/09 110
A61K35/12
A61K39/395 D
A61P37/04
A61P35/00
A61K31/7088
A61K48/00
A61K9/08
C12N15/86 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555665
(86)(22)【出願日】2022-03-11
(85)【翻訳文提出日】2023-10-24
(86)【国際出願番号】 IB2022052211
(87)【国際公開番号】W WO2022190058
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】63/160,296
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521022691
【氏名又は名称】メンドゥス・ベスローテン・フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】MENDUS B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】マンティング,エリック ハンス
(72)【発明者】
【氏名】シン,サトウィンダー カウア
(72)【発明者】
【氏名】ズオ,ハオシャオ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AC20
4B065BA30
4B065CA44
4B065CA45
4B065CA46
4C076AA11
4C076BB11
4C076BB13
4C076BB15
4C076BB16
4C076CC27
4C076FF11
4C076FF68
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4C085GG03
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4C085GG05
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4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA16
4C086MA65
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZB09
4C086ZB26
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB65
4C087CA12
4C087CA20
4C087MA16
4C087MA65
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZB09
4C087ZB26
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、下方調節されたCD47経路を含む白血病起源の改変細胞を提供する。がん治療において、改変細胞を、単独で、またはCD47遮断剤と組み合わせて使用して治療するための方法も提供される。また、白血病起源の改変細胞を含む組成物、その薬学的組成物及びその製剤、ならびに改変細胞の産生方法も提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方調節されたCD47経路を含む白血病起源の単離された改変細胞と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項2】
前記下方調節されたCD47経路が、前記CD47経路のメンバーの枯渇及び/または阻害の結果である、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記CD47経路の前記メンバーが、CD47である、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記下方調節されたCD47経路が、CD47及び/または前記CD47経路のメンバーの枯渇及び/または阻害の結果である、先行請求項のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記下方調節されたCD47経路が、CD47及び/または前記CD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する薬剤によって媒介される、先行請求項のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
CD47及び/または前記CD47経路のメンバーを枯渇させる前記薬剤が、抗体、低分子、低分子RNA、または操作されたヌクレアーゼ系からなる群から選択される、請求項5に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記抗体が、抗CD47抗体である、請求項6に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記低分子RNAが、低分子干渉RNA(siRNA)またはマイクロRNA(miRNA)である、請求項6に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
前記操作されたヌクレアーゼ系が、メガヌクレアーゼ系、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)系、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)系、及びCRISPR系からなる群から選択される、請求項8に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記操作されたヌクレアーゼ系が、CD47遺伝子座及び/または前記改変細胞の前記CD47経路のメンバーの遺伝子座における挿入及び/または欠失を媒介する、請求項6に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
前記操作されたヌクレアーゼ系が、前記改変細胞のCD47遺伝子座における挿入及び/または欠失を媒介する、請求項10に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
前記操作されたヌクレアーゼ系が、CRISPR系である、請求項10または11に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
CD47遺伝子座における挿入及び/または欠失を含む、白血病起源の改変細胞を含む薬学的組成物であって、前記CD47遺伝子座における前記挿入及び/または欠失が、下方調節されたCD47の発現をもたらす、前記薬学的組成物。
【請求項14】
CD47遺伝子座における前記挿入及び/または欠失が、前記CD47遺伝子座における二本鎖切断の修復によって媒介される、請求項13に記載の薬学的組成物。
【請求項15】
前記修復が、非相同末端接合(NHEJ)及び相同組換え修復(HDR)を介する、請求項14に記載の薬学的組成物。
【請求項16】
前記CD47遺伝子座における前記挿入及び/または欠失が、操作されたヌクレアーゼ系によって媒介される、請求項13~15のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項17】
前記操作されたヌクレアーゼ系が、メガヌクレアーゼ系、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)系、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)系、及びCRISPR系からなる群から選択される、請求項16に記載の薬学的組成物。
【請求項18】
前記操作されたヌクレアーゼ系が、CRISPR系である、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項19】
CD47及び/または前記CD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する薬剤を更に含む、先行請求項のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項20】
CD47及び/または前記CD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する前記薬剤が、抗CD47抗体である、請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項21】
白血病起源の改変細胞と、抗CD47抗体と、を含む、薬学的組成物。
【請求項22】
下方調節されたCD47経路と、抗CD47抗体と、を含む、白血病起源の改変細胞を含む、薬学的組成物。
【請求項23】
薬学的に許容される賦形剤を更に含む、請求項21または22に記載の薬学的組成物。
【請求項24】
凍結保存剤を更に含む、先行請求項のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項25】
前記改変細胞が、少なくとも1つの腫瘍関連抗原または少なくとも1つの腫瘍関連抗原をコードする核酸を含み、前記腫瘍関連抗原が、WT-1、MUC-1、RHAMM、PRAME、p53、及びSurvivinからなる群から選択される、先行請求項のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項26】
前記改変細胞が、WT-1、MUC-1、PRAME、及びSurvivinを含む、先行請求項のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項27】
前記改変細胞が、外因性抗原を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項28】
前記外因性抗原が、腫瘍関連抗原である、先行請求項のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項29】
前記改変細胞が、樹状細胞表現型を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項30】
前記改変細胞が、成熟樹状細胞表現型を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項31】
前記改変細胞が、染色体11p15.5~11p12の遺伝子異常を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項32】
前記遺伝子異常が、約16Mbのゲノム領域を包含する、請求項76に記載の薬学的組成物。
【請求項33】
前記改変細胞が、CD34陽性、CD1a陽性、及びCD83陽性である、先行請求項のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項34】
前記改変細胞が、DC-SIGN、Langerin、CD80、CD86、CD70、CD40、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される細胞表面マーカーを発現する、先行請求項のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項35】
前記改変細胞が、CD34陽性、CD1a陽性、CD83陽性、CD80陽性、CD86陽性、及びCD40陽性である、先行請求項のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項36】
前記改変細胞が、CD14陰性である、先行請求項のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項37】
前記改変細胞が、DCOne細胞株に由来する、先行請求項のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項38】
前記改変細胞が、非増殖性である、先行請求項のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項39】
前記改変細胞が、照射されている、先行請求項のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項40】
下方調節されたCD47経路を含む白血病起源の改変細胞の産生方法であって、
前駆細胞を、前記前駆細胞の未成熟細胞への分化を可能にする条件下でインキュベートすることと、
CD47及び/または前記CD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する薬剤の存在下で、ならびに前記未成熟細胞の成熟を可能にする条件下で、前記未成熟細胞をインキュベートし、それによって下方調節されたCD47経路を含む前記改変細胞を産生することと、を含む、前記産生方法。
【請求項41】
CD47及び/または前記CD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する前記薬剤が、抗体、低分子、低分子RNA、または操作されたヌクレアーゼ系からなる群から選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記抗体が、抗CD47抗体である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記低分子RNAが、低分子干渉RNA(siRNA)またはマイクロRNA(miRNA)である、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記操作されたヌクレアーゼ系が、CD47遺伝子座及び/または前記改変細胞の前記CD47経路のメンバーの遺伝子座における挿入及び/または欠失を媒介する、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記操作されたヌクレアーゼ系が、前記改変細胞のCD47遺伝子座における挿入及び/または欠失を媒介する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記操作されたヌクレアーゼ系が、メガヌクレアーゼ系、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)系、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)系、及びCRISPR系からなる群から選択される、請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
前記操作されたヌクレアーゼ系が、CRISPR系である、請求項44~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
請求項40~47のいずれか1項に記載の方法によって産生される前記改変細胞を含む、薬学的組成物。
【請求項49】
薬学的に許容される賦形剤を更に含む、請求項48に記載の薬学的組成物。
【請求項50】
凍結保存剤を更に含む、請求項48及び49に記載の薬学的組成物。
【請求項51】
免疫応答の増強を必要とする対象において免疫応答を増強する方法であって、有効量の請求項1~39及び48~50のいずれか1項に記載の組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項52】
がんの治療または予防を必要とする対象においてがんを治療または予防する方法であって、有効量の請求項1~39及び48~50のいずれか1項に記載の組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項53】
免疫応答の増強を必要とする対象において免疫応答を増強する方法であって、下方制御されたCD47経路を含む白血病起源の改変細胞を含む第1の組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項54】
前記第1の組成物が、CD47及び/または前記CD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する薬剤を更に含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
CD47を枯渇させる及び/または阻害する薬剤を含む有効量の第2の組成物を前記対象に投与することを更に含む、請求項53または54に記載の方法。
【請求項56】
前記第1の組成物及び前記第2の組成物が、同時に投与される、請求項53~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記第1の組成物が、前記第2の組成物の前に投与される、請求項53~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記第1の組成物が、前記第2の組成物の後に投与される、請求項53~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
免疫応答を増強することを必要とする対象において免疫応答を増強する方法であって、前記対象に、白血病起源の改変細胞と、CD47及び/またはCD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する薬剤と、を含む第1の組成物を投与すること含む、前記方法。
【請求項60】
前記改変細胞が、少なくとも1つの腫瘍関連抗原または前記腫瘍関連抗原をコードする核酸を含み、前記腫瘍関連抗原が、前記対象における腫瘍に関連する、請求項53~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記改変細胞が、少なくとも1つの腫瘍関連抗原または前記腫瘍関連抗原をコードする核酸を含み、前記腫瘍関連抗原が、前記対象における前記腫瘍と関連しない、請求項53~60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記第1の組成物及び/または前記第2の組成物が、筋肉内、皮下、静脈内、動脈内、腹腔内、胸骨内、皮内、経皮(transcutaneous)、経皮(transdermal)、組織の間質空間への送達、及び非腫瘍組織への送達、からなる群から選択される経路を介して投与される、請求項53~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記第1の組成物及び/または前記第2の組成物が、静脈内に投与される、請求項53~62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記第1の組成物及び/または前記第2の組成物が、静脈内投与のために調製される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記第1の組成物及び/または前記第2の組成物が、静脈内投与に許容される希釈剤または溶媒を含む、請求項63または64に記載の方法。
【請求項66】
前記第1の組成物及び/または前記第2の組成物が、皮内に投与される、請求項53~62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記第1の組成物及び/または前記第2の組成物が、皮内投与のために調製される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記第1の組成物及び/または前記第2の組成物が、皮内投与に許容される希釈剤または溶媒を含む、請求項66または67に記載の方法。
【請求項69】
前記第1の組成物及び/または前記第2の組成物が、筋肉内に投与される、請求項53~62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記第1の組成物及び/または前記第2の組成物が、筋肉内投与のために調製される、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記第1の組成物及び/または前記第2の組成物が、筋肉内投与に許容される希釈剤または溶媒を含む、請求項69または70に記載の方法。
【請求項72】
前記第1の組成物及び/または前記第2の組成物が、腫瘍内に投与される、請求項53~62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記第1の組成物及び/または前記第2の組成物が、腫瘍内投与のために調製される、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記第1の組成物及び/または前記第2の組成物が、腫瘍内投与に許容される希釈剤または溶媒を含む、請求項72または73に記載の方法。
【請求項75】
前記CD47を枯渇させる及び/または阻害する薬剤が、抗体、低分子、低分子RNA、または操作されたヌクレアーゼ系からなる群から選択される、請求項53~74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記抗体が、抗CD47抗体である、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記低分子RNAが、低分子干渉RNA(siRNA)またはマイクロRNA(miRNA)である、請求項75に記載の方法。
【請求項78】
前記操作されたヌクレアーゼ系が、CD47遺伝子座及び/または前記改変細胞の前記CD47経路のメンバーの前記遺伝子座における挿入及び/または欠失を媒介する、請求項75に記載の方法。
【請求項79】
前記操作されたヌクレアーゼ系が、前記改変細胞のCD47遺伝子座における挿入及び/または欠失を媒介する、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記操作されたヌクレアーゼ系が、メガヌクレアーゼ系、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)系、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)系、及びCRISPR系からなる群から選択される、請求項78または79に記載の方法。
【請求項81】
前記操作されたヌクレアーゼ系が、CRISPR系である、請求項78~80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
前記CD47を枯渇させる及び/または阻害する薬剤が、抗CD47抗体をコードする核酸、CD47標的化低分子RNA、またはCD47を標的化する操作されたヌクレアーゼ系を含むウイルスベクターを含む、請求項53~81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
前記ウイルスベクターが、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、及び単純ヘルペスウイルスからなる群から選択されるウイルスに由来する、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記CD47を標的化する低分子RNAが、低分子干渉RNA(siRNA)またはマイクロRNA(miRNA)である、請求項82に記載の方法。
【請求項85】
前記CD47を標的化する操作されたヌクレアーゼ系が、前記改変細胞のCD47遺伝子座における挿入及び/または欠失を媒介する、請求項82に記載の方法。
【請求項86】
前記CD47を標的化する操作されたヌクレアーゼ系が、メガヌクレアーゼ系、ZFN系、TALEN系、及びCRISPR系からなる群から選択される、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記CD47を標的化する操作されたヌクレアーゼ系が、CRISPR系である、請求項85または86に記載の方法。
【請求項88】
前記改変細胞が、少なくとも1つの腫瘍関連抗原または少なくとも1つの腫瘍関連抗原をコードする核酸を含み、前記腫瘍関連抗原が、WT-1、MUC-1、RHAMM、PRAME、p53、及びSurvivinからなる群から選択される、請求項53~87のいずれか1項に記載の方法。
【請求項89】
前記改変細胞が、WT-1、MUC-1、PRAME、及びSurvivinを含む、請求項53~88のいずれか1項に記載の方法。
【請求項90】
前記改変細胞が、外因性抗原を含む、請求項53~89のいずれか1項に記載の方法。
【請求項91】
前記外因性抗原が、腫瘍関連抗原である、請求項53~90のいずれか1項に記載の方法。
【請求項92】
前記改変細胞が、樹状細胞表現型を含む、請求項53~91のいずれか1項に記載の方法。
【請求項93】
前記改変細胞が、成熟樹状細胞表現型を含む、請求項53~92のいずれか1項に記載の方法。
【請求項94】
前記改変細胞が、染色体11p15.5~11p12の遺伝子異常を含む、請求項53~93のいずれか1項に記載の方法。
【請求項95】
前記遺伝子異常が、約16Mbのゲノム領域を包含する、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記改変細胞が、CD34陽性、CD1a陽性、及びCD83陽性である、請求項53~95のいずれか1項に記載の方法。
【請求項97】
前記改変細胞が、DC-SIGN、Langerin、CD80、CD86、CD70、CD40、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される細胞表面マーカーを発現する、請求項53~96のいずれか1項に記載の方法。
【請求項98】
前記改変細胞が、CD34陽性、CD1a陽性、CD83陽性、CD80陽性、CD86陽性、及びCD40陽性である、請求項53~97のいずれか1項に記載の方法。
【請求項99】
前記改変細胞が、CD14陰性である、請求項53~98のいずれか1項に記載の方法。
【請求項100】
前記改変細胞が、DCOne細胞株に由来する、請求項53~99のいずれか1項に記載の方法。
【請求項101】
前記改変細胞が、非増殖性である、請求項53~100のいずれか1項に記載の方法。
【請求項102】
前記改変細胞が、照射されている、請求項53~101のいずれか1項に記載の方法。
【請求項103】
前記対象が、以前がんに罹患したことがある、請求項53~102のいずれか1項に記載の方法。
【請求項104】
前記対象が、以前前記がんの治療を受けたことがある、請求項53~103のいずれか1項に記載の方法。
【請求項105】
前記対象が、前記がんの再発に罹患している、請求項53~104のいずれか1項に記載の方法。
【請求項106】
前記がんが、腫瘍である、請求項53~105のいずれか1項に記載の方法。
【請求項107】
前記腫瘍が、固形腫瘍である、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記固形腫瘍が、肉腫、癌腫、及びリンパ腫からなる群から選択される、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記対象が、ヒトである、請求項53~108のいずれか1項に記載の方法。
【請求項110】
前記対象が、家畜動物及び/または獣医学的ヘルスケアに好適な動物である、請求項53~108のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年3月12日に出願された米国仮出願第63/160,296号の利益を主張し、これは、あらゆる目的のためにその全体が参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
免疫系を活性化してがん細胞を標的として殺傷し、臨床的に関連する応答を生み出すことが、がん研究の目的となっている。免疫療法は、免疫細胞及びがん上に発現される分子を標的とすることによって、がんに対する強力な免疫応答を誘発することを目的とする。腫瘍特異的抗原を同定することによって、効果的ながんワクチンの開発に多大な努力が投資されてきた。がんワクチンは、そのような抗原及びそれらを表示する細胞を標的とし破壊する、免疫系の能力を高めるように設計されている。
【0003】
しかしながら、腫瘍逃避メカニズムの複雑さに起因して、従来のがんワクチンは、全ての患者に所望の免疫応答を常に提供するわけではなく、それによって免疫療法の有効性を低下させる。更に、免疫チェックポイントは、免疫系を制御する様々な阻害障壁を提示し、そのために腫瘍は、免疫抵抗性を発達させるメカニズムとして調節することが示されている。例えば、最初の免疫チェックポイントは、T細胞がCTLA-4と呼ばれる陰性免疫チェックポイントタンパク質によって制御されることが観察されたときに発見された。CTLA-4は、T細胞が誤って健康な細胞を損傷するのを防ぐために、T細胞の活性をシャットダウンすることが見出された。
【0004】
したがって、当技術分野では、がんを治療するための新規の免疫療法的アプローチの必要性が存在する。具体的には、がんを治療するための新規のがんワクチン接種アプローチの必要性が存在する。本発明は、この必要性に対応し、これを満たす。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、少なくとも一部において、特定の白血病由来細胞(例えば、本明細書に記載の白血病起源の改変細胞)が抗原提示細胞によって効率的に処理されるという発見に基づいている。これは、かかる白血病由来細胞が細胞ベースのワクチンとして対象に投与されるとき、対象の樹状細胞が、白血病由来細胞によって運ばれる抗原の消化及びプロセシング、ならびにその後の局所及び全身免疫応答の刺激に関与するメカニズムを支持する。白血病由来の細胞ベースのワクチンの免疫刺激能力に基づいて、ワクチンを皮膚、腫瘍内微小環境、または他のワクチン接種部位に投与した後、ワクチンは、免疫細胞を動員することによって免疫原性環境を誘導し得る。ワクチン投与部位への免疫細胞の動員は、サイトカインの分泌、及び常駐及び動員された抗原提示細胞によるワクチン成分の食作用の刺激を誘導する。
【0006】
本明細書に記載されるように、白血病由来細胞ベースのワクチン食作用プロセスは、白血病由来細胞ベースのワクチンと抗原提示細胞との間の相互作用を制限する顕著な「私を食べないで」シグナルを提供するSIRPα/CD47経路によって調節されることが見出されている。抗CD47遮断抗体の使用が、抗原提示細胞による白血病由来細胞の取り込みを増強することが見出された。これは、腫瘍を免疫系に曝露し、白血病由来の細胞ワクチンの生物活性を更に高めることによって、細胞ベースのワクチン及びCD47遮断剤が相乗的な様式で機能する作用様式を実証し得る。
【0007】
本発明の例示的な白血病由来細胞ワクチンは、DCP-001である。DCP-001は、DCOne白血病細胞株由来のワクチンであり、DCOne細胞は、免疫原性の高い成熟樹状細胞(mDC)表現型を採用する可能性がある。DCOne細胞は、複数の共通の腫瘍関連抗原を発現する。DCOne mDCは、DCOne腫瘍関連抗原レパートリーをmDC共刺激プロファイルと組み合わせ、非増殖性、凍結、照射産物であるDCP-001の基礎を形成する。本明細書に記載されるように、DCP-001は、DCP-001が由来する白血病起源とは異なる起源であるにもかかわらず、固形腫瘍がん(例えば、非白血病癌)の治療に予想外に有効である。
【0008】
本開示は、がんに由来する細胞ベースのワクチン(例えば、DCP-001)の使用を説明する。CD47免疫療法における現在の開発は、がん細胞の表面上のCD47を遮断することを対象とするが、本開示は、がんを治療するために使用される細胞の表面上のCD47を遮断することを目的とするCD47免疫療法に関する。例えば、本開示におけるCD47の遮断は、ある特定の実施形態において、細胞ベースのワクチン(例えば、DCP-001)の細胞の表面上のCD47を遮断することを対象とする。
【0009】
一態様において、下方調節されたCD47経路を含む、白血病起源の単離された改変細胞と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物が提供される。
【0010】
ある特定の典型的な実施形態において、下方調節されたCD47経路は、CD47経路のメンバーの枯渇及び/または阻害の結果である。ある特定の典型的な実施形態において、CD47経路のメンバーは、CD47である。ある特定の典型的な実施形態において、下方調節されたCD47経路は、CD47及び/またはCD47経路のメンバーの枯渇及び/または阻害の結果である。
【0011】
ある特定の典型的な実施形態において、下方調節されたCD47経路は、CD47及び/またはCD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する薬剤によって媒介される。ある特定の典型的な実施形態において、CD47及び/またはCD47経路のメンバーを枯渇させる薬剤は、抗体、低分子、低分子RNA、または操作されたヌクレアーゼ系からなる群から選択される。ある特定の典型的な実施形態において、抗体は、抗CD47抗体である。ある特定の典型的な実施形態において、低分子RNAは、低分子干渉型RNA(siRNA)またはマイクロRNA(miRNA)である。ある特定の典型的な実施形態において、操作されたヌクレアーゼ系は、メガヌクレアーゼ系、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)系、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)系、及びCRISPR系からなる群から選択される。ある特定の典型的な実施形態において、操作されたヌクレアーゼ系は、CD47遺伝子座及び/または改変細胞のCD47経路のメンバーの遺伝子座における挿入及び/または欠失を媒介する。ある特定の典型的な実施形態において、操作されたヌクレアーゼ系は、改変細胞のCD47遺伝子座における挿入及び/または欠失を媒介する。ある特定の典型的な実施形態において、操作されたヌクレアーゼ系は、CRISPR系である。
【0012】
別の態様において、CD47遺伝子座における挿入及び/または欠失を含む、白血病起源の改変細胞を含む薬学的組成物であって、CD47遺伝子座における挿入及び/または欠失が、CD47の下方調節された発現をもたらす、薬学的組成物が提供される。
【0013】
ある特定の典型的な実施形態において、CD47遺伝子座における挿入及び/または欠失は、CD47遺伝子座における二本鎖切断の修復によって媒介される。ある特定の典型的な実施形態において、修復は、非相同末端接合(NHEJ)及び相同組換え修復(HDR)を介する。
【0014】
ある特定の典型的な実施形態において、CD47遺伝子座における挿入及び/または欠失は、操作されたヌクレアーゼ系によって媒介される。ある特定の典型的な実施形態において、操作されたヌクレアーゼ系は、メガヌクレアーゼ系、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)系、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)系、及びCRISPR系からなる群から選択される。ある特定の典型的な実施形態において、操作されたヌクレアーゼ系は、CRISPR系である。
【0015】
ある特定の典型的な実施形態において、薬学的組成物は、CD47及び/またはCD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する薬剤を更に含む。ある特定の典型的な実施形態において、CD47及び/またはCD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する薬剤は、抗CD47抗体である。
【0016】
別の態様において、白血病起源の改変細胞と、抗CD47抗体とを含む、薬学的組成物が提供される。
【0017】
別の態様において、下方調節されたCD47経路を含む白血病起源の改変細胞と、抗CD47抗体と、を含む、薬学的組成物が提供される。
【0018】
ある特定の典型的な実施形態において、薬学的組成物は、薬学的に許容される賦形剤を更に含む。ある特定の典型的な実施形態において、薬学的組成物は、凍結保存剤を更に含む。
【0019】
ある特定の典型的な実施形態において、改変細胞は、少なくとも1つの腫瘍関連抗原または少なくとも1つの腫瘍関連抗原をコードする核酸を含み、腫瘍関連抗原は、WT-1、MUC-1、RHAMM、PRAME、p53、及びSurvivinからなる群から選択される。ある特定の典型的な実施形態において、改変細胞は、WT-1、MUC-1、PRAME、及びSurvivinを含む。ある特定の典型的な実施形態において、改変細胞は、外因性抗原を含む。ある特定の典型的な実施形態において、外因性抗原は、腫瘍関連抗原である。ある特定の典型的な実施形態において、改変細胞は樹状細胞表現型を含む。ある特定の典型的な実施形態において、改変細胞は、成熟樹状細胞表現型を含む。ある特定の典型的な実施形態において、改変細胞は、染色体11p15.5~11p12の遺伝子異常を含む。ある特定の典型的な実施形態において、遺伝子異常は、約16Mbのゲノム領域を含む。ある特定の典型的な実施形態において、改変細胞は、CD34陽性、CD1a陽性、及びCD83陽性である。ある特定の典型的な実施形態において、改変細胞は、DC-SIGN、Langerin、CD80、CD86、CD70、CD40、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される細胞表面マーカーを発現する。ある特定の典型的な実施形態において、改変細胞は、CD34陽性、CD1a陽性、CD83陽性、CD80陽性、CD86陽性、及びCD40陽性である。ある特定の典型的な実施形態において、改変細胞は、CD14陰性である。ある特定の典型的な実施形態において、改変細胞は、DCOne細胞株に由来する。ある特定の典型的な実施形態において、改変細胞は、非増殖性である。ある特定の典型的な実施形態において、改変細胞は、照射されている。
【0020】
別の態様において、下方調節されたCD47経路を含む、白血病起源の改変細胞の産生方法であって、前駆細胞を未成熟細胞への分化を可能にする条件下で前駆細胞をインキュベートすることと、CD47及び/またはCD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する薬剤の存在下、及び未成熟細胞の成熟を可能にする条件下で、未成熟細胞をインキュベートすることと、を含み、それによって下方調節されたCD47経路を含む改変細胞を産生する。
【0021】
ある特定の典型的な実施形態において、CD47及び/またはCD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する薬剤は、抗体、低分子、低分子RNA、または操作されたヌクレアーゼ系からなる群から選択される。ある特定の典型的な実施形態において、抗体は、抗CD47抗体である。ある特定の典型的な実施形態において、低分子RNAは、低分子干渉型RNA(siRNA)またはマイクロRNA(miRNA)である。
【0022】
ある特定の典型的な実施形態において、操作されたヌクレアーゼ系は、CD47遺伝子座及び/または改変細胞のCD47経路のメンバーの遺伝子座における挿入及び/または欠失を媒介する。ある特定の典型的な実施形態において、操作されたヌクレアーゼ系は、改変細胞のCD47遺伝子座における挿入及び/または欠失を媒介する。ある特定の典型的な実施形態において、操作されたヌクレアーゼ系は、メガヌクレアーゼ系、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)系、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)系、及びCRISPR系からなる群から選択される。ある特定の典型的な実施形態において、操作されたヌクレアーゼ系は、CRISPR系である。
【0023】
別の態様において、前述の方法のいずれかによって産生される改変細胞を含む、薬学的組成物が提供される。
【0024】
ある特定の典型的な実施形態において、薬学的組成物は、薬学的に許容される賦形剤を更に含む。ある特定の典型的な実施形態において、薬学的組成物は、凍結保存剤を更に含む。
【0025】
別の態様において、有効量の前述の組成物のいずれかを対象に投与することを含む、免疫応答の増強を必要とする対象において免疫応答を増強する方法が提供される。別の態様において、免疫応答の増強を必要とする対象の免疫応答を増強する方法において使用するための、前述の組成物のうちのいずれかが提供される。
【0026】
別の態様において、がんの治療または予防を必要とする対象においてがんを治療または予防する方法であって、有効量の前述の組成物のいずれかを対象に投与することを含む方法が提供される。別の態様において、がんの治療または予防を必要とする対象におけるがんの治療または予防する方法において使用するための前述の組成物のいずれかが提供される。
【0027】
別の態様において、下方調節されたCD47経路を含む白血病起源の改変細胞を含む第1の組成物を対象に投与することを含む、免疫応答の増強を必要とする対象において免疫応答を増強する方法が提供される。
【0028】
ある特定の典型的な実施形態において、第1の組成物は、CD47及び/またはCD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する薬剤を更に含む。
【0029】
ある特定の典型的な実施形態において、方法は、対象に、CD47を枯渇させる及び/または阻害する薬剤を含む有効量の第2の組成物を投与することを更に含む。
【0030】
ある特定の典型的な実施形態において、第1の組成物及び第2の組成物は、同時に投与される。ある特定の典型的な実施形態において、第1の組成物は、第2の組成物の前に投与される。ある特定の典型的な実施形態において、第1の組成物は、第2の組成物の後に投与される。
【0031】
別の態様において、免疫応答の増強を必要とする対象において免疫応答を増強する方法であって、白血病起源の改変細胞と、CD47及び/またはCD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する薬剤とを含む第1の組成物を対象に投与することを含む方法が提供される。
【0032】
ある特定の典型的な実施形態において、改変細胞は、少なくとも1つの腫瘍関連抗原または腫瘍関連抗原をコードする核酸を含み、腫瘍関連抗原は、対象における腫瘍と関連している。ある特定の典型的な実施形態において、改変細胞は、少なくとも1つの腫瘍関連抗原または腫瘍関連抗原をコードする核酸を含み、腫瘍関連抗原は、対象の腫瘍とは関連していない。
【0033】
ある特定の典型的な実施形態において、第1の組成物及び/または第2の組成物は、筋肉内、皮下、静脈内、動脈内、腹腔内、胸骨内、皮内、経皮(transcutaneous)、経皮(transdermal)、組織の間質空間への送達、及び非腫瘍組織への送達からなる群から選択される経路を介して投与される。
【0034】
ある特定の典型的な実施形態において、第1の組成物及び/または第2の組成物は、静脈内に投与される。ある特定の典型的な実施形態において、第1の組成物及び/または第2の組成物は、静脈内投与のために調製される。ある特定の典型的な実施形態において、第1の組成物及び/または第2の組成物は、静脈内投与に許容される希釈剤または溶媒を含む。
【0035】
ある特定の典型的な実施形態において、第1の組成物及び/または第2の組成物は、皮内に投与される。ある特定の典型的な実施形態において、第1の組成物及び/または第2の組成物は、皮内投与のために調製される。ある特定の典型的な実施形態において、第1の組成物及び/または第2の組成物は、皮内投与に許容される希釈剤または溶媒を含む。
【0036】
ある特定の典型的な実施形態において、第1の組成物及び/または第2の組成物は、筋肉内に投与される。ある特定の典型的な実施形態において、第1の組成物及び/または第2の組成物は、筋肉内投与のために調製される。ある特定の典型的な実施形態において、第1の組成物及び/または第2の組成物は、筋肉内投与に許容される希釈剤または溶媒を含む。
【0037】
ある特定の典型的な実施形態において、第1の組成物及び/または第2の組成物は、腫瘍内に投与される。ある特定の典型的な実施形態において、第1の組成物及び/または第2の組成物は、腫瘍内投与のために調製される。ある特定の典型的な実施形態において、第1の組成物及び/または第2の組成物は、腫瘍内投与に許容される希釈剤または溶媒を含む。
【0038】
ある特定の典型的な実施形態において、CD47を枯渇させる及び/または阻害する薬剤は、抗体、低分子、低分子RNA、または操作されたヌクレアーゼ系からなる群から選択される。ある特定の典型的な実施形態において、抗体は、抗CD47抗体である。ある特定の典型的な実施形態において、低分子RNAは、低分子干渉型RNA(siRNA)またはマイクロRNA(miRNA)である。
【0039】
ある特定の典型的な実施形態において、操作されたヌクレアーゼ系は、CD47遺伝子座及び/または改変細胞のCD47経路のメンバーの遺伝子座における挿入及び/または欠失を媒介する。ある特定の典型的な実施形態において、操作されたヌクレアーゼ系は、改変細胞のCD47遺伝子座における挿入及び/または欠失を媒介する。ある特定の典型的な実施形態において、操作されたヌクレアーゼ系は、メガヌクレアーゼ系、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)系、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)系、及びCRISPR系からなる群から選択される。ある特定の典型的な実施形態において、操作されたヌクレアーゼ系は、CRISPR系である。
【0040】
ある特定の典型的な実施形態において、CD47を枯渇させる及び/または阻害する薬剤は、抗CD47抗体をコードする核酸、CD47標的化低分子RNA、またはCD47を標的化する操作されたヌクレアーゼ系を含むウイルスベクターを含む。ある特定の典型的な実施形態において、ウイルスベクターは、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、及び単純ヘルペスウイルスからなる群から選択されるウイルスに由来する。ある特定の典型的な実施形態において、CD47標的化低分子RNAは、低分子干渉型RNA(siRNA)またはマイクロRNA(miRNA)である。ある特定の典型的な実施形態において、CD47を標的化する操作されたヌクレアーゼ系は、改変細胞のCD47遺伝子座における挿入及び/または欠失を媒介する。
【0041】
ある特定の典型的な実施形態において、CD47を標的化する操作されたヌクレアーゼ系は、メガヌクレアーゼシステム、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)システム、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)システム、及びCRISPRシステムからなる群から選択される。ある特定の典型的な実施形態において、CD47を標的化する操作されたヌクレアーゼ系は、CRISPR系である。
【0042】
ある特定の典型的な実施形態において、改変細胞は、少なくとも1つの腫瘍関連抗原または少なくとも1つの腫瘍関連抗原をコードする核酸を含み、腫瘍関連抗原は、WT-1、MUC-1、RHAMM、PRAME、p53、及びSurvivinからなる群から選択される。ある特定の典型的な実施形態において、改変細胞は、WT-1、MUC-1、PRAME、及びSurvivinを含む。ある特定の典型的な実施形態において、改変細胞は、外因性抗原を含む。ある特定の典型的な実施形態において、外因性抗原は、腫瘍関連抗原である。ある特定の典型的な実施形態において、改変細胞は樹状細胞表現型を含む。ある特定の典型的な実施形態において、改変細胞は、成熟樹状細胞表現型を含む。ある特定の典型的な実施形態において、改変細胞は、染色体11p15.5~11p12の遺伝子異常を含む。ある特定の典型的な実施形態において、遺伝子異常は、約16Mbのゲノム領域を含む。ある特定の典型的な実施形態において、改変細胞は、CD34陽性、CD1a陽性、及びCD83陽性である。ある特定の典型的な実施形態において、改変細胞は、DC-SIGN、Langerin、CD80、CD86、CD70、CD40、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される細胞表面マーカーを発現する。ある特定の典型的な実施形態において、改変細胞は、CD34陽性、CD1a陽性、CD83陽性、CD80陽性、CD86陽性、及びCD40陽性である。ある特定の典型的な実施形態において、改変細胞は、CD14陰性である。ある特定の典型的な実施形態において、改変細胞は、DCOne細胞株に由来する。ある特定の典型的な実施形態において、改変細胞は、非増殖性である。ある特定の典型的な実施形態において、改変細胞は、照射されている。
【0043】
ある特定の典型的な実施形態において、対象は、以前がんに罹患したことがある。ある特定の典型的な実施形態において、対象は、以前がんの治療を受けたことがある。ある特定の典型的な実施形態において、対象は、がんの再発に罹患している。
【0044】
ある特定の典型的な実施形態において、がんは腫瘍である。ある特定の典型的な実施形態において、腫瘍は、固形腫瘍である。ある特定の典型的な実施形態において、固形腫瘍は、肉腫、癌種、及びリンパ腫からなる群から選択される。
【0045】
ある特定の典型的な実施形態において、対象はヒトである。ある特定の典型的な実施形態において、対象は、家畜化された動物及び/または獣医学的ヘルスケアに好適な動物である。
【0046】
本発明の前述及び他の特徴及び利点は、付属の図面と併せて例示的な実施形態の以下の詳細な説明からより完全に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】iMoDCによるDCP-001またはDCOne前駆体(prog)の取り込み率を示すグラフである。
図2】示されるように、PBMC中に見出される細胞の特定の亜集団によるDCP-001またはDCOne前駆体の取り込み率を示すグラフである。
図3】示されるように、薬剤の存在下で共培養したときのiMoDCによるDCP-001またはDCOne前駆体(prog)の取り込み率を示すグラフである。
図4】A~Cは、フローサイトメトリーによって決定される、DCP-001またはDCOne前駆体(prog)の表面上のホスファチジルセリン(PS、A)、カルレチクリン(CRT、B)またはCD47(B)の発現を示すグラフである。
図5】A~Cは、アネキシンV(A)、CRT特異的抗体(B)、または抗CD47モノクローナル抗体(C)の存在下で共培養したときのiMoDCによるDCP-001またはDCOne前駆体(prog)の取り込み率を示すグラフである。
図6】A~Hは、示されるように、DCP-001による刺激時の、PBMCにおける様々な炎症誘発性サイトカイン及びケモカインの分泌を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0048】
抗CD47免疫療法は、がん細胞を飲み込むための免疫細胞の食作用を誘発するために、がん細胞の表面上のCD47を遮断することを目的とした最近の研究の標的となっている。例えば、Lu et al.,Onco.Targets Ther.(2020)13:9323-9331を参照されたく、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されるように、白血病由来細胞ベースワクチン(例えば、DCP-001)の食作用プロセスは、白血病由来細胞ベースワクチンと抗原提示細胞との間の相互作用を制限する顕著な「私を食べないで」シグナルを提供するSIRPα/CD47経路によって調節されることが見出されている。抗CD47遮断抗体の使用は、抗原提示細胞によるDCP-001の取り込みを増強することが見出された。これは、腫瘍を免疫系に曝露し、DCP-001ワクチンの生物学的活性を更に高めることによって、細胞ベースのワクチン及びCD47遮断剤が相乗的に機能する作用様式を実証し得る。
【0049】
本明細書に記載の方法は、本明細書で開示される特定の方法及び実験条件に限定されず、したがって方法及び条件は変わる場合があることを理解されたい。本明細書で使用される用語が特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定するようには意図されていないことも理解されたい。本明細書に記載の方法は、当業者の技能の範囲内である従来の分子及び細胞生物学的及び免疫学的技術を使用する。そのような技術は当業者によく知られており、科学文献で説明されている。
【0050】
A.定義
別段の定義がない限り、本明細書で使用される科学的及び技術的用語は、当業者によって一般に理解される意味を有する。任意の潜在的な曖昧さの場合、本明細書で提供される定義は、任意の辞書または外因的定義よりも優先される。別段文脈によって要求されない限り、単数形の用語は複数形を含むものとし、複数形の用語は単数形を含むものとする。「または」の使用は、特に明記されていない限り、「及び/または」を意味する。「含む(including)」という用語、ならびに「含む(includes)」及び「含まれる(included)」等の他の形態の使用は、限定的ではない。
【0051】
概して、本明細書に記載される細胞及び組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、ならびにタンパク質及び核酸化学及びハイブリダイゼーションと関連して使用される専門用語は、当該技術分野で周知であり、一般的に使用されている。本明細書に提供される方法及び技術は、別段の指示がない限り、概して、当該技術分野で周知の従来の方法に従って、また本明細書全体を通して引用及び議論される様々な一般的及びより具体的な参考文献に記載されるように、実施される。酵素反応及び精製技術は、製造業者の仕様書に従って、または当該技術分野において一般的に達成されるように、または本明細書に記載されるように実行される。本明細書に記載される分析化学、合成有機化学、及び医薬品及び製薬化学と関連して使用される専門用語ならびに研究室の手順及び技術は、当該技術分野で周知であり、一般的に使用されている。標準的な技術は、化学合成、化学分析、薬学的調製、製剤、及び送達、ならびに患者の治療に使用される。
【0052】
本開示がより容易に理解され得ることを理解されるために、選択用語が以下に定義される。
【0053】
冠詞「a」及び「an」は、本明細書において、物品の文法的対象物の1つまたは複数(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。一例として、「1つの要素(an element)」は、1つまたは1つを超える要素を意味する。
【0054】
量、時間的な持続時間などの測定可能な値を指すときに本明細書で使用される「約」は、そのような変動が開示された方法を実行するのに適切であるため、指定された値から±20%または±10%、±5%、±1%、及び±0.1%の変動を包含することを意味する。
【0055】
本明細書で使用される場合、疾患を「軽減する」ことは、疾患の1つ以上の症状の重症度を低減することを意味する。
【0056】
本明細書で使用される「抗原」という用語は、免疫応答を誘発する分子として定義される。この免疫応答には、抗体産生、もしくは特定の免疫担当細胞の活性化、またはその両方が含まれる場合がある。当業者は、実質的に全てのタンパク質またはペプチドを含む任意の巨大分子が、抗原として機能し得ることを理解するであろう。
【0057】
本明細書に記載のポリペプチドに関して使用される「抗原」または「抗原性」という用語は、概して、T細胞受容体、抗体、または特異的体液性及び/または細胞免疫の他の要素によって特異的に認識される少なくとも1つのエピトープを含有する生体分子を指す。分子全体、または分子の1つ以上の部分が、例えばポリペプチドのMHCペプチド抗原複合体への細胞内プロセシング及び後続の抗原提示の後に認識され得る。「抗原」または「抗原性」という用語は、本明細書に記載のポリペプチドの少なくとも1つ以上の抗原性エピトープへの言及を含む。
【0058】
更に、抗原は、組換えまたはゲノムDNAに由来し得る。当業者は、免疫応答を誘発するタンパク質をコードするヌクレオチド配列または部分ヌクレオチド配列を含む任意のDNAが、したがって、その用語が本明細書で使用される「抗原」をコードすることを理解するであろう。更に、当業者は、抗原が遺伝子の完全長ヌクレオチド配列のみによってコードされる必要がないことを理解するであろう。更に、当業者は、抗原が「遺伝子」によってコードされる必要が全くないことを理解するであろう。抗原が生成、合成され得るか、または生体試料に由来し得ることは容易に明らかである。そのような生体試料には、組織試料、腫瘍試料、細胞、または生体液が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0059】
本明細書で使用される場合、「同種異系」という用語は、治療を必要とする対象に関して、遺伝的に異なっており、したがって免疫学的に不適合である生体組織または細胞の関与を指す。遺伝的に異なっているが、本明細書に記載の同種異系細胞、例えば、同種異系白血病由来細胞(例えば、白血病起源の改変細胞)は、同じ種に由来する。例えば、白血病起源の改変細胞を対象に投与することを含む本明細書に記載の方法は、同じ種であるにもかかわらず、対象と遺伝的に異なる白血病起源の改変細胞の投与を指す。
【0060】
「疾患」は、動物が恒常性を維持することができない動物の健康状態である。疾患が改善されない場合、動物の健康状態は悪化し続ける。対照的に、動物における「障害」は、動物が恒常性を維持することができるが、動物の健康状態が障害の不在下での健康状態よりも良好ではない健康状態である。治療しないままでいても、障害が必ずしも動物の健康状態の更なる低下を引き起こすとは限らない。
【0061】
「有効量」または「治療有効量」は、本明細書では互換的に使用され、特定の生物学的結果を得るのに効果的であるかまたは治療的もしくは予防的利益をもたらす本明細書に記載される化合物、製剤、材料、または組成物の量を指す。そのような結果には、哺乳動物に投与されたときに、本発明の組成物の不在下で検出された免疫応答と比較して、検出可能なレベルの免疫抑制または寛容を引き起こす量が含まれ得るが、これらに限定されない。免疫応答は、当該技術分野で認められている極めて多くの方法によって容易に評価することができる。本明細書において投与される組成物の量は変動するものであり、複数の要因(例えば、処置されている疾患または症状、処置されている哺乳動物の年齢及び健康及び身体状態、疾患の重症度、投与されている特定の化合物など)に基づいて容易に決定することができることを、当業者は理解するであろう。
【0062】
「コードする」とは、規定のヌクレオチド配列(すなわち、rRNA、tRNA、及びmRNA)または規定のアミノ酸配列のいずれか、ならびにそれらから生じる生物学的特性を有する生物学的プロセスにおける他のポリマー及び高分子の合成のための鋳型として機能するための、遺伝子、cDNA、またはmRNAなどのポリヌクレオチド中のヌクレオチドの特定の配列の固有の特性を指す。したがって、遺伝子は、その遺伝子に対応するmRNAの転写及び翻訳が、細胞または他の生物系においてタンパク質を産生させる場合、タンパク質をコードする。ヌクレオチド配列がmRNA配列と同一であり、通常は配列表に示されるコード鎖と、遺伝子またはcDNAの転写のための鋳型として使用される非コード鎖の両方を、その遺伝子またはcDNAのタンパク質または他の産物をコードする、と称することができる。
【0063】
本明細書で使用される場合、「内因性」は、生物、細胞、組織、もしくは系に由来する、またはその内部で産生される任意の物質を指す。
【0064】
本明細書で使用される場合、「外因性」という用語は、生物、細胞、組織、もしくは系の外部に由来する、または外部で生成される任意の物質を指す。
【0065】
「対象」という用語は、本明細書で使用される場合、本明細書に記載される方法のレシピエント、すなわち、細胞性免疫応答を開始することができるレシピエントであり、哺乳動物である。ある特定の実施形態において、対象はヒトである。ある特定の実施形態において、対象は、飼育動物、例えば、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、イヌ、ネコなどである。「患者」及び「対象」という用語は、互換的に使用され得る。ある特定の実施形態において、対象は、がん(例えば、固形腫瘍)に罹患しているヒトである。ある特定の実施形態において、対象は、がん(例えば、固形腫瘍)に罹患している飼育動物である。
【0066】
「治療」という用語は、本明細書で使用される場合、処置及び/または予防を意味する。治療効果は、病状の抑制、寛解、または根絶によって得られる。
【0067】
疾患を「処置する」とは、この用語を本明細書で用いる場合、対象が経験する疾患または障害の少なくとも1つの兆候または症状の頻度または重症度を減らすことを意味する。
【0068】
「腫瘍」という用語は、本明細書で使用される場合、異常に高速で増殖する細胞物質(例えば、組織)への言及を含む。新生細胞を含む増殖は新生物(「腫瘍」としても知られる)であり、概して、対象の体内に別個な組織塊を形成する。腫瘍は、正常組織との構造的組織及び機能的協調の部分的または完全な欠如を示し得る。本明細書で使用される場合、腫瘍は、造血腫瘍ならびに固形腫瘍を包含することが意図される。ある特定の実施形態において、腫瘍は、固形腫瘍である。「腫瘍」という用語は、本明細書で使用される場合、腫瘍微小環境または腫瘍部位、すなわち、腫瘍内の領域及び腫瘍性組織のすぐ外側の領域への言及を含む。ある特定の実施形態において、腫瘍微小環境または腫瘍部位は、腫瘍組織の境界内の領域を含む。ある特定の実施形態において、腫瘍微小環境または腫瘍部位は、腫瘍の腫瘍間質コンパートメントを含む。これは、本明細書では、新生細胞の形質膜と新たに形成された新生血管の血管壁との間に介在する全てのものとして定義される。本明細書で使用される場合、「腫瘍微小環境」または「腫瘍部位」という用語は、腫瘍が存在する対象内の位置(腫瘍を直接取り囲んでいる領域を含む)を指す。
【0069】
腫瘍は、良性(例えば、良性腫瘍)または悪性(例えば、悪性腫瘍もしくはがん)であり得る。悪性腫瘍は、大きく3つの主要なタイプに分類することができ、上皮構造から生じるものは癌腫と呼ばれ、筋肉、軟骨、脂肪または骨などの結合組織に由来するものは肉腫と呼ばれ、免疫系の成分を含む造血構造(血液細胞の形成に関連する構造)に影響を与えるものは白血病及びリンパ腫と呼ばれる。他の腫瘍としては、神経線維腫症が挙げられるが、これに限定されない。
【0070】
固形腫瘍は、良性または悪性であり得る組織の異常な塊である。ある特定の実施形態において、固形腫瘍は、それらを形成する細胞のタイプ(肉腫、癌腫、及びリンパ腫など)から命名される。肉腫及び癌腫などを含む、固形腫瘍の例には、これらに限定されないが、脂肪肉腫、線維肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、粘液肉腫、及び他の肉腫、中皮腫、滑膜腫、平滑筋肉腫、ユーイング腫瘍、結腸癌、横紋筋肉腫、膵臓癌、リンパ系悪性腫瘍、肺癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、肝細胞癌、腺癌、基底細胞癌、汗腺癌、扁平上皮癌、甲状腺髄様癌、褐色細胞腫皮脂腺癌、甲状腺乳頭癌、乳頭腺癌、乳頭癌、髄様癌、気管支原性癌、肝臓腫、腎細胞癌、胆管癌、ウィルムス腫瘍、絨毛癌、子宮頸癌、セミノーマ、精巣腫瘍、膀胱癌、黒色腫、CNS腫瘍(例えば、神経膠腫、例えば、脳幹神経膠腫及び混合神経膠腫、膠芽腫(例えば、多形性神経膠芽腫)、胚細胞腫、星細胞腫、頭蓋咽頭腫、髄芽腫、上衣腫、シュワン細胞腫、CNSリンパ腫、聴神経腫、松果体腫、血管芽腫、髄膜腫、乏突起神経膠腫、網膜芽細胞腫、神経芽細胞腫、及び脳転移)、などが挙げられる。
【0071】
本明細書に開示される方法による治療に適している癌腫には、扁平上皮癌(様々な組織)、基底細胞癌(皮膚癌の一種)、食道癌、移行上皮癌(膀胱の悪性新生物)を含む膀胱癌、肝細胞癌、結腸直腸癌、気管支原性癌、肺癌、肺の小細胞癌及び非小細胞癌、結腸癌、甲状腺癌、胃癌、乳癌、卵巣癌、副腎皮質癌、膵臓癌、汗腺癌、前立腺癌、乳頭癌、腺癌、脂腺癌、髄様癌、乳頭腺癌、非浸潤性乳管癌または胆管癌、嚢胞腺癌、腎細胞癌、絨毛癌、ウィルムス腫瘍、セミノーマ、胎児性癌、子宮頸癌、精巣癌、上咽頭癌、骨原性癌、上皮癌、子宮癌、などが含まれるが、これらに限定されない。
【0072】
本明細書に開示される方法によって治療可能であり得る肉腫としては、粘液肉腫、軟骨肉腫、脊索腫、骨原性肉腫、脂肪肉腫、線維肉腫、血管肉腫、リンパ管肉腫、内皮肉腫(endotheliosarcoma)、骨肉腫、中皮腫、ユーイング肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、及び他の軟部組織肉腫が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
「免疫原性組成物」という用語は、本明細書で使用される場合、当該免疫原に対する免疫応答を必要としている対象内の免疫原に対する特異的な免疫応答を誘導する物質を指す。組成物には、アジュバント、及び任意選択で1つ以上の薬学的に許容される担体、賦形剤、及び/または希釈剤が含まれ得る。ある特定の実施形態において、免疫原性組成物は、本明細書に記載される白血病起源の改変細胞を含む。
【0074】
本明細書で使用される場合、「免疫応答」という用語は、T細胞媒介性及び/またはB細胞媒介性免疫応答を含む。T細胞の例示的な免疫機能としては、例えば、サイトカイン産生及び他の細胞における細胞傷害性の誘導が挙げられる。B細胞の機能には、抗体産生が含まれる。加えて、この用語には、T細胞活性化、例えば、サイトカイン応答性細胞、例えば、マクロファージの抗体産生及び活性化によって間接的に影響を受ける免疫応答が含まれる。免疫応答に関与する免疫細胞としては、B細胞及びT細胞(CD4及びCD8細胞)などのリンパ球、抗原提示細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージ、Bリンパ球、ランゲルハンス細胞などのプロフェッショナル抗原提示細胞、及びケラチノサイト、内皮細胞、星状細胞、線維芽細胞、乏突起膠細胞などの非プロフェッショナル抗原提示細胞)、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、好酸球、マスト細胞、好塩基球、及び顆粒球などの骨髄細胞が挙げられる。ある特定の実施形態において、この用語は、T細胞媒介免疫応答を指す。免疫応答は、いくつかの実施形態において、T細胞依存性免疫応答であり得る。
【0075】
本明細書で使用される場合、「腫瘍内」という用語は、腫瘍への材料(例えば、白血病起源の改変された細胞)の送達または輸送を指す。本明細書に記載される腫瘍内送達の一例は、当該技術分野で概して公知の投与経路である腫瘍内投与によるものである。腫瘍内投与のための代替経路として、材料は、腫瘍溶解性ウイルスまたは遺伝子治療ベクターなどの腫瘍特異的担体を介して腫瘍に送達されてもよく、これらは、腫瘍に遺伝子配列を送達するために広く開発されている。かかるビヒクルの使用は、静脈内投与または腹腔内投与などの腫瘍内投与に加えて、その後、当該ポリペプチドをコードする核酸の腫瘍への送達をもたらす複数の投与経路を可能にする。例えば、開示全体が参照により本明細書に取り込まれる、Lundstrom,Diseases,6(2):42(2018)、Alemany,Biomedicines,2,p.36-49(2014)、Twumasi-Boateng et al.,Nature Reviews Cancer 18,p.419-432(2018)を参照されたい。
【0076】
本明細書で使用される場合、「腫瘍外」という用語は、例えば、対象の体内で、腫瘍から離れている(例えば、遠位にある)位置を指す。
【0077】
本明細書で使用される場合、「白血病起源の改変細胞」という用語は、抗原を取り込み、MHCクラスI複合体またはMHCクラスII複合体とともに抗原またはその免疫原性部分を提示することができる白血病細胞株に由来する細胞を指す。ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞は、DSMZとのブダペスト条約の条件下で2012年11月15日に受託番号DSMZ ACC3189の下で寄託された細胞株DCOneに由来する細胞である。寄託されたDCOne細胞株から成熟細胞を得るプロセスは、例えばEP2931878B1に説明されており、この文献の開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0078】
範囲:本開示を通して、本発明の様々な態様を範囲形式で提示することができる。範囲形式の説明は、単に利便性及び簡潔性のためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、全ての可能な部分範囲及びその範囲内の個々の数値を具体的に開示しているとみなされるべきである。例えば、1~6などの範囲の説明は、部分範囲、例えば、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6など、及びその範囲内の個々の数、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3、及び6を具体的に開示しているとみなされるべきである。これは、範囲の幅を問わず適用される。
【0079】
B.白血病起源の改変細胞及び産生方法
本明細書に提供されるのは、免疫細胞を刺激及び拡大し、抗原特異的免疫細胞を生成するために、及び治療方法のために、白血病起源の改変細胞を使用することを含む方法である。本明細書で使用される場合、「白血病起源の改変細胞」という用語は、抗原性ポリペプチドなどの抗原を取り込み、MHCクラスI複合体またはMHCクラスII複合体とともに抗原またはその免疫原性部分を提示することができる細胞を指す。本明細書に提供される白血病起源の改変細胞は、成熟樹状細胞表現型を含む。本明細書で使用される場合、「樹状細胞」という用語は、抗原性ポリペプチドなどの抗原をその細胞に取り込み、MHCクラスI複合体またはMHCクラスII複合体とともに抗原またはその免疫原性部分を提示することができるプロフェッショナル抗原提示細胞(APC)を指す。成熟樹状細胞表現型を有することは、白血病起源の改変細胞が、成熟樹状細胞の機能と同様の機能を果たすことができることを意味する。この用語は、成熟度に応じて、未成熟樹状細胞(「imDC」)及び成熟樹状細胞(「mDC」)の両方を含む。
【0080】
ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞は、白血病細胞に由来する。ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞は、白血病を有する患者に由来する。ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞は、白血病を有する患者の末梢血に由来する。ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞は、急性骨髄性白血病を有する患者の末梢血に由来する。白血病起源の改変細胞は、末梢血が得られた任意の患者に由来することができ、この際、こうして得られた白血病起源の改変細胞が本明細書に開示される特徴を含んでいるならば、患者は任意のタイプの白血病を有することを、当業者は認識するであろう。
【0081】
ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞は、CD34陽性、CD1a陽性、及びCD83陽性である。ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞は、CD14、DC-SIGN、Langerin、CD40、CD70、CD80、CD83、CD86、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される細胞表面マーカーを含む。ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞は、MHCクラスI分子を含む。ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞は、MHCクラスII分子を含む。
【0082】
ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞は、染色体11p15.5~11p12の遺伝子異常を含む。ある特定の実施形態において、遺伝子異常は、約16Mb(例えば、約20.7Mb~約36.6Mb)のゲノム領域を包含する。ある特定の実施形態において、遺伝子異常は、約60の既知及び未知遺伝子の喪失を含む。
【0083】
ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞は、共刺激分子を含む。ある特定の実施形態において、共刺激分子には、限定されないが、MHCクラスI分子、BTLA、及びTollリガンド受容体が含まれる。共刺激分子の例としては、CD70、CD80、CD86、4-1BBL(CD137リガンド)、OX40L、CD30L、CD40、PD-L1、ICOSL、ICAM-1、リンパ球機能関連抗原3(LFA3(CD58))、K12/SECTM1、LIGHT、HLA-E、B7-H3、及びCD83が挙げられる。
【0084】
ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞は、少なくとも1つの内因性抗原を含む。改変細胞の白血病起源に応じて、白血病起源の改変細胞は、白血病起源に特異的な少なくとも1つの公知の内因性抗原を含み得る。ある特定の実施形態において、内因性抗原は、腫瘍関連抗原である。ある特定の実施形態において、内因性の腫瘍関連抗原は、WT-1、RHAMM、PRAME、p53、Survivin、及びMUC-1からなる群から選択され得る。
【0085】
ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞は、外因性抗原またはそのペプチド断片を含む。そのような外因性抗原は、様々な抗原ロード戦略を介して白血病起源の改変細胞に提供され得る。例えば、白血病起源の改変細胞をロードするための戦略には、限定されないが、合成長鎖ペプチド、mRNAロード、ペプチドパルス、タンパク質ロード、腫瘍溶解物ロード、腫瘍細胞との共培養、RNA/DNAトランスフェクションまたはウイルス形質導入の使用が含まれ得る。白血病起源の改変細胞をロードするための他の戦略は、当業者に公知であり、白血病起源の改変細胞に外因性抗原をロードするために使用され得る。一般に、白血病起源の改変細胞は、例えば、MHC IまたはMHC IIを介して、特定の分子を介して外因性抗原を処理する。したがって、白血病起源の改変細胞によって構成される外因性抗原は、MHCクラスI抗原またはMHCクラスII抗原であり得る。ある特定の実施形態において、外因性抗原は、腫瘍関連抗原である。例えば、ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞に、NY-ESO-1ペプチド及び/またはWT-1ペプチド、または腫瘍非依存性抗原(例えばCMVpp65)をロードする。ある特定の実施形態において、外因性抗原は、疾患または障害、例えば、非がん関連疾患または障害に関連する。あらゆる腫瘍関連抗原または疾患もしくは障害に関連する抗原を本明細書に記載の白血病起源の改変細胞に提供することができることを、当業者は理解するであろう。したがって、ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞は、当業者によって企図されるあらゆる腫瘍関連抗原または疾患もしくは障害に関連する抗原を含む。
【0086】
ある特定の実施形態において、外因性抗原は、非腫瘍関連抗原(すなわち、腫瘍非依存性抗原)である。ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞に、腫瘍非依存性抗原、すなわち腫瘍に関連しない抗原をロードする。例えば、好適な腫瘍非依存性抗原には、限定されないが、ウイルス、細菌、真菌起源のタンパク質、アレルゲン、毒素及び毒液、または鶏卵オボアルブミン及びジャイアントkeyhole limpetであるMegathura crenulataに由来するkeyhole limpetヘモシアニンなどの様々な供給源のモデル抗原が含まれる。ある特定の実施形態において、好適な腫瘍非依存性抗原は、細菌起源のものである。ある特定の実施形態において、好適な腫瘍非依存性抗原は、ジフテリア毒素である。ある特定の実施形態において、好適な腫瘍非依存性抗原は、ジフテリア毒素の非毒性バリアントである。例えば、ある特定の実施形態において、好適な腫瘍非依存性抗原は、CRM197またはそのバリアントである。ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞は、CRM197またはそのバリアントを含む。ある特定の実施形態において、好適な腫瘍非依存性抗原は、ウイルス起源のものである。ある特定の実施形態において、好適な腫瘍非依存性抗原は、サイトメガロウイルス(CMV)由来のペプチド、例えば、CMV内部マトリックスタンパク質pp65由来のペプチドである。ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞は、pp65ペプチドを含む。あらゆる腫瘍非依存性抗原を、本明細書に記載の白血病起源の改変細胞に提供することができることを、当業者は理解するであろう。したがって、ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞は、当業者によって企図されるあらゆる腫瘍非依存性抗原を含む。
【0087】
ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞に外因性抗原またはそのペプチド断片をロードすることは、光化学的プロセス(例えば、光化学的内在化)を使用することを含む。ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞に外因性抗原またはそのペプチド断片をロードすることは、光化学的内在化を使用して実現される。ある特定の実施形態において、光化学的内在化は、抗原またはそのペプチド断片(例えば、抗原性ポリペプチド(例えば、非腫瘍抗原)、または抗原性ポリペプチドをコードする核酸)の白血病起源の改変細胞への送達を増強させるために使用され得る。
【0088】
光化学的内在化とは、通常であれば膜不透過性である分子を、標的細胞のサイトゾルに導入するための光及び光増感剤の使用を含む送達方法を指すが、これは必ずしも標的細胞を破壊または死滅させるわけではない。この方法では、内在化または移入される分子は、光増感剤と組み合わせて細胞に適用される。細胞を適切な波長の光に曝露させると、光増感剤が活性化され、次に細胞内コンパートメント膜が破壊されて、続いて分子がサイトゾルに放出される。光化学的内在化では、光増感剤と光との間の相互作用を使用して細胞に作用し、分子の細胞内取り込薬剤みが改善される。光化学的内在化及び様々な光増感剤は、PCT公開第WO96/07432号、同第WO00/54708号、同第WO01/18636号、同第WO02/44396号、同第WO02/44395号、及び同第WO03/020309号、米国特許第6,680,301号、米国特許第5,876,989号に記載されており、これらの開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態において、光化学的内在化は、抗原を腫瘍細胞のサイトゾルに送達するために使用される。ある特定の実施形態において、光化学的内在化は、腫瘍細胞のサイトゾルへの抗原の送達を増強させるために使用される。
【0089】
白血病起源の改変細胞への外因性抗原またはそのペプチド断片のロードは、任意の時点で実施することができる。当業者は、当業者の必要性に最も適合するように、白血病起源の改変細胞をロードする特定のタイミングを決定し、実行することができるであろう。例えば、ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞に、それが成熟樹状細胞表現型を呈する前に、外因性抗原またはそのペプチド断片をロードする。ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞が成熟樹状細胞表現型へと移行している間に、白血病起源の改変細胞に外因性抗原またはそのペプチド断片をロードする。ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞が成熟樹状細胞表現型を呈した後に、白血病起源の改変細胞に外因性抗原またはそのペプチド断片をロードする。
【0090】
ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞は、PCT公開第WO2014/006058号及び同第WO2014/090795号に記載の細胞株DCOneの細胞であり、これらの開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞は、細胞株DCOneの細胞であり、CD34陽性、CD1a陽性、及びCD83陽性である成熟樹状細胞表現型を含む。ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞は、細胞株DCOneの細胞であり、CD34陽性、CD1a陽性、及びCD83陽性である。ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞は、細胞株DCOneの細胞であり、CD14、DC-SIGN、Langerin、CD80、CD86、CD40、CD70、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される細胞表面マーカーを含む。ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞は、細胞株DCOneの細胞であり、MHCクラスIを含む。特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞は、細胞株DCOneの細胞であり、MHCクラスIIを含む。特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞は、細胞株DCOneの細胞であり、染色体11p15.5~11p12の遺伝子異常を含む。ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞は、細胞株DCOneの細胞であり、約16Mb(例えば、約20.7Mb~約36.6Mb)のゲノム領域を包含する遺伝子異常を含む。ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞は、細胞株DCOneの細胞であり、約60の既知及び未知遺伝子の喪失を含む遺伝子異常を含む。
【0091】
一態様において、本開示の白血病起源の改変細胞は、下方調節されたCD47経路を含む。CD47は、遍在的に発現し、マクロファージ及び樹状細胞(DC)を含む骨髄細胞上で発現するシグナル調節タンパク質(SIRP)αのリガンドとして機能する。CD47は、食作用を防止するためにSIRPαを介してマクロファージに「私を食べないで」シグナルを提供するため、マクロファージはCD47欠損細胞の強力な拒絶を媒介する。例えば、Li et al.,Nature Comm.(2020)11:581を参照されたく、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。そのため、本明細書で使用される場合、「CD47経路」は、CD47及びSIRPαを介して細胞間の通信を促進する分子のネットワークを指す。したがって、下方調節されたCD47経路は、CD47及びSIRPαを介した細胞間の通信を促進する分子のネットワークのうちのいずれか1つの下方調節を指す。
【0092】
CD47免疫療法における現在の開発は、がん細胞の表面上のCD47を遮断することを対象とするが、本開示は、がんを治療するために使用される細胞の表面上のCD47経路を下方制御することを対象とするCD47免疫療法に関する。そのような下方調節は、がんを治療するために使用される細胞(例えば、白血病起源の改変細胞に基づくワクチン)を飲み込む免疫細胞の能力を高めるように機能する。いずれの理論にも拘束されるものではないが、がんを治療するために使用される細胞の取り込みを増強することは、がんを治療するために使用される細胞の有効性及び生物活性の増加をもたらし得る。
【0093】
ある特定の実施形態において、下方調節されたCD47経路は、CD47経路のメンバーの枯渇及び/または阻害の結果である。ある特定の実施形態において、CD47経路のメンバーは、CD47である。したがって、本明細書では、CD47の枯渇及び/または阻害の結果として下方調節されたCD47経路を含む、白血病起源の改変細胞が提供される。本明細書に記載されるように、下方調節されたCD47経路を含む白血病起源の改変細胞(例えば、DCP-001)は、抗原提示細胞による増加した取り込みを示すことが見出された。実施例2を参照されたい。
【0094】
ある特定の実施形態において、下方調節されたCD47経路は、CD47を枯渇させる及び/または阻害する薬剤によって媒介されてもよい。薬剤は、CD47を枯渇させる及び/または阻害するように機能する、当該技術分野で知られる任意の薬剤であり得る。例えば、薬剤は、限定されないが、結合ポリペプチド(例えば、抗体)、低分子、低分子RNA、または操作されたヌクレアーゼ系であり得る。ある特定の実施形態において、低分子RNAは、低分子干渉型RNA(siRNA)またはマイクロRNA(miRNA)であってもよい。
【0095】
ある特定の実施形態において、下方調節されたCD47経路は、CD47及び/またはSIRPαを調節する薬剤(例えば、抗CD47抗体または抗SIRPα抗体)によって媒介され得る。CD47及び/またはSIRPαを調節する様々な薬剤が当業者に知られており、様々な企業によって開発され続けており、例えば、Hu5F9-G4(Forty Seven)、TI-061(Arch Oncology)、TTI-662(Trillium Therapeutics)、TTI-621(Trillium Therapeutics)、SRF231(Surface Oncology)、SHR-1603(Hengrui)、OSE-172(Boehringer Ingelheim)、NI-1701(Novimmune SA)、IBI188(Innovent Biologics)、CC-95251(Celgene)、CC-90002(Celgene)、AO-176(Arch Oncology)、ALX148(ALX Oncology)、IMM01(ImmuneOnco Biopharma)、TJC4(I-MAB Biopharma)、TJC4-CK(I-MAB Biopharma)、SY102(Saiyuan)、SL-172154(Shattuck Labs)、PSTx-23(Paradigm Shift Therapeutics)、PDL1/CD47 BsAb(Hanmi Pharmaceuticals)、NI-1801(Novimmune SA)、MBT-001(Morphiex)、LYN00301(LynkCell)、IMM2504(ImmuneOnco Biopharma)、IMM2502(ImmuneOnco Biopharma)、IMM03(ImmuneOnco Biopharma)、IMC-002(ImmuneOncia Therapeutics)、IBI322(Innovent Biologics)、HMBD-004B(Hummingbird Bioscience)、HMBD-004A(Hummingbird Bioscience)、HLX24(Henlius)、FSI-189(Forty Seven)、DSP107(KAHR Medical)、CTX-5861(Compass Therapeutics)、BAT6004(Bio-Thera)、AUR-105(Aurigene)、AUR-104(Aurigene)、an anti-CD47 monoclonal antibody developed by Biocad、ABP-500(Abpro)、ABP-160(Abpro)、BH-29xx(Beijing Hanmi)が含まれる。ある特定の実施形態において、薬剤は、可溶性CD47受容体、例えば、可溶性SIRPαタンパク質である。ある特定の実施形態において、可溶性CD47受容体は、Fcドメインに融合したSIRPαのCD47結合ドメインを含むFc融合タンパク質である。例えば、TTI-621(Trillium Therapeutics)は、IgG1Fcドメインに融合したSIRPαのCD47結合ドメインを含むFc融合タンパク質であり、TTI-622(Trillium Therapeutics)は、IgG4 Fcドメインに融合したSIRPαのCD47結合ドメインを含むFc融合タンパク質である。
【0096】
ある特定の実施形態において、CD47及び/またはSIRPαを調節する薬剤は、CD47の薬剤化可能な改変因子である。例えば、薬剤化可能な改変因子は、グルタミニルペプチドシクロトランスフェラーゼ様タンパク質(QPCTL)であってもよく、その阻害及び/または欠失は、SIRPα-CD47相互作用を破壊し、標的細胞の食作用の増加をもたらすことが示されている。例えば、Logtenberg et al.,Nat.Med.(2019)25(4):612-619を参照されたく、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態において、CD47及び/またはSIRPαを調節する薬剤は、QPCTLの阻害剤である。
【0097】
CD47-SIRPα相互作用を遮断する薬剤としては、抗CD47抗体、抗CD47ナノボディ、操作されたSIRPαバリアント及び他の融合タンパク質、ならびにsiRNAが挙げられるが、これらに限定されない。かかる薬剤の使用は、学術文献で報告されている。例えば、Alvey et al.,Curr.Biol.(2017)27(14):2065-2077.e6、Weiskopf et al.,Science(2013)341(6141):88-91、Ma et al.,J.Nanobiotechnol.(2020)18(1):12、Liu et al.,PLoS One(2015)10(9):e0137345、Sockolosky et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2016)113(19):E2646-2654、Tseng et al.,Proc Natl.Acad.Sci.USA(2013);110(27):11103-11108、Weiskopf et al.,J.Clin.Invest.(2016)126(7):2610-2620、及びZhang et al.Front.Immunol.(2020)11:18による概説を参照されたく、これらの開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0098】
CD47-SIRPα相互作用を調節する好適な薬剤には、PCT公開第WO2020043188号、同第WO2020036977号、同第WO2020019135号、同第WO2020009725号、同第WO2019241732号、同第WO2019238012号、同第WO2019201236号、同第WO2019185717号、同第WO2019184912号、同第WO2019179366号、同第WO2019157843号、同第WO2019144895号、同第WO2019138367号、同第WO2019108733号、同第WO2019086573号、同第WO2019042470号、同第WO2019042285号、同第WO2019042119号、同第WO2019034895号、同第WO2019027903号、同第WO2018233575号、同第WO2018137705号、同第WO2018095428号、同第WO2018089508号、同第WO2018075960号、同第WO2018075857号、同第WO2017215585号、同第WO2017196793号、同第WO2017194634号、同第WO2017121771号、同第WO2017053423号、同第WO2017049251号、同第WO2017027422号、同第WO2016188449号、同第WO2016141328号、同第WO2016109415号、同第WO2016081423号、同第WO2016024021号、同第WO2016023040号、同第WO2016022971号、同第WO2015191861号、同第WO2014087248号、同第WO2013119714号、同第WO2013109752号、同第WO2012170250号、同第WO2011143624号、同第WO2010070047号、同第WO2009046541号、同第WO2005044857号、同第WO2002092784号、同第WO1999040940号、及び同第WO1997027873号、に記載されるものが挙げられ、これらの開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0099】
本開示の下方調節されたCD47経路を含む白血病起源の改変細胞は、CD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する薬剤で予めコーティングされてもよい。ある特定の実施形態において、下方調節されたCD47経路を含む白血病起源の改変細胞は、CD47を枯渇させる及び/または阻害する薬剤で予めコーティングされる。例えば、下方調節されたCD47経路を含む白血病起源の改変細胞は、抗CD47抗体で事前コーティングすることができる。例えば、Li et al.,Nature Comm.(2020)11:581を参照されたく、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0100】
ある特定の実施形態において、CD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する薬剤は、操作されたヌクレアーゼ系である。
【0101】
CD47経路のメンバーの枯渇及び/または阻害の使用に好適な様々な操作されたヌクレアーゼ系は、当業者に既知であり、例えば、メガヌクレアーゼ系、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)系、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)系、及びクラスター化された規則的に間隔が置かれた短い回文配列反復(CRISPR)系を含む。操作されたヌクレアーゼ系は、CD47経路のメンバーの遺伝子座における挿入及び/または欠失を媒介し得る。ある特定の実施形態において、操作されたヌクレアーゼ系は、CD47遺伝子座における挿入及び/または欠失を媒介する。したがって、本開示は、CD47遺伝子座またはCD47経路のメンバーの遺伝子座への挿入及び/または欠失を含む、白血病起源の改変細胞を提供する。CD47遺伝子座またはCD47経路のメンバーの遺伝子座への挿入及び/または欠失が、CD47またはCD47経路のメンバーの発現の下方調節をもたらすことは、当業者によって容易に理解されるであろう。挿入及び/または欠失は、例えば、CD47遺伝子座における二本鎖切断の修復によって媒介され得る。ある特定の実施形態において、修復は、非相同末端結合(NHEJ)及び相同組換え修復(HDR)を介する。
【0102】
ある特定の実施形態において、CD47遺伝子座における挿入及び/または欠失を含む白血病起源の改変細胞が本明細書に提供され、CD47遺伝子座における挿入及び/または欠失は、CD47の発現の下方調節をもたらす。
【0103】
様々なCRISPRシステム及び遺伝子編集のためのそれらの使用は、当業者に知られている。CRISPR RNA配列及びCRISPR関連(Cas)遺伝子は、組み込まれたRNAを利用して、相補DNA配列において配列特異的二本鎖切断を生成する触媒タンパク質-RNA複合体を生成する。例えば、Bhaya et al.,Annu.Rev.Genetics(2011)45:273-297を参照されたく、その開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。Streptococcus pyogenes(「Cas9」)からのCas9ヌクレアーゼは、操作された単一ガイドRNA(sgRNA)の20ヌクレオチドガイド領域とゲノム標的配列との間の塩基対相補性を通じて、ヒトゲノム内の特定の部位に誘導することができる。例えば、Cong et al.,Science(2013)339(6121):819-823、Mali et al.,Science(2013)339(6121):823-826、Cho et al.Nat.Biotechnol.(2013)31(3):230-232、及びJinek et al.,Elife(2013)2:e00471を参照されたく、これらの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。触媒不活性のプログラム可能なRNA依存性DNA結合タンパク質(dCas9)は、直接的にまたは組み込まれたエフェクタードメインを介して細菌または真核生物内の転写を調節することができるCas9内のエンドヌクレアーゼドメインを変異させることによって生成することができる。例えば、Qi et al.,Cell(2013)152(5):1173-1183、Bikard et al.,Nucl.Acids Res.(2013)41(15):7429-7437、Gilbert et al.,Cell(2013)154(2):442-451、及びMali et al.,Nat.Biotechnol.(2013)31(9):833-838を参照されたく、これらの開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0104】
CRISPRシステムは、RNA誘導ヌクレアーゼ媒介編集システムである。RNA誘導ヌクレアーゼとしては、Cas9などの天然II型CRISPRヌクレアーゼ、ならびにそれに由来またはそれから得られる他のヌクレアーゼが挙げられるが、これらに限定されない。本開示で使用され得る例示的なCas9ヌクレアーゼとしては、S.pyogenes Cas9(SpCas9)、S.aureus Cas9(SaCas9)、N.meningitidis Cas9(NmCas9)、C.jejuni Cas9(CjCas9)、及びGeobacillus Cas9(GeoCas9)が挙げられるが、これらに限定されない。機能的には、RNA誘導ヌクレアーゼは、(a)gRNAと相互作用する(例えば、gRNAと複合体を形成する)、及び(b)gRNAとともに、(i)gRNAの標的化ドメインに相補的な配列、及び、任意選択的に、(ii)「プロトスペーサー隣接モチーフ」、または「PAM」と称される追加の配列を含むDNAの標的領域と会合し、任意選択的に切断または改変するヌクレアーゼとして定義される。RNA誘導ヌクレアーゼは、広義には、同じPAM特異性または切断活性を共有する個々のRNA誘導ヌクレアーゼ間にバリエーションが存在し得るにもかかわらず、そのPAM特異性及び切断活性によって定義することができる。RNA誘導ヌクレアーゼという用語は、一般的な用語として理解されるべきであり、任意の特定のタイプ(例えば、Cas9対Cpfl)、種(例えば、S.pyogenes対S.aureus)または変異(例えば、全長対切断または分割、天然に存在するPAM特異性対操作されたPAM特異性)に限定されない。
【0105】
様々なRNA誘導ヌクレアーゼは、PAMとプロトスペーサーとの間の異なる連続関係を必要とし得る。一般に、Cas9は、プロトスペーサーの5’であるPAM配列を、上部または相補鎖に対して視覚化されたものとして認識する。PAM及びプロトスペーサーの特定の連続した方向を認識することに加えて、RNA誘導ヌクレアーゼは、概して、特定のPAM配列を認識する。S.aureus Cas9は、例えば、NNGRRTのPAM配列を認識し、N配列は、gRNA標的化ドメインによって認識される領域の直ちに3’である。S.pyogenes Cas9は、NGG PAM配列を認識する。また、操作されたRNA誘導ヌクレアーゼは、同様のヌクレアーゼのPAM特異性(RNA誘導ヌクレアーゼが由来する天然に存在するバリアント、または操作されたRNA誘導ヌクレアーゼに対して最大のアミノ酸配列相同性を有する天然に存在するバリアント等)とは異なるPAM特異性を有し得ることに留意すべきである。代替のPAM配列を認識する改変されたCas9は、当該技術分野で既知である。RNA誘導ヌクレアーゼはまた、それらのDNA切断活性によって特徴付けられ、天然に存在するRNA誘導ヌクレアーゼは、典型的には、標的核酸において二本鎖切断(DSB)を形成するが、一本鎖切断(SSB)のみを生成する、または全く切断しない操作されたバリアントが産生されている。
【0106】
他の例示的なCas9は、活性が変化したCas9のバリアントであり得る。これらには、例えば、Cas9ニッカーゼ(nCas9)、触媒により死んだCas9(dCas9)、高精度Cas9(HypaCas9)、高忠実度Cas9(Cas9-HF)、強化された特異性Cas9(eCas9)、及び拡大したPAM Cas9(xCas9)が含まれる。例えば、Chen et al.Nature(2017)550(7676):407-410、Kleinstiver et al.Nature(2016)529(7587):490-495、Slaymaker et al.Science(2016)351(6268):84-88、及びHu et al.Nature(2018)556(7699):57-63を参照されたく、その開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
【0107】
転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)は、TALエフェクターDNA結合ドメインをDNA切断ドメインに融合させることによって生成される人工制限酵素である。これらの試薬は、効率的でプログラム可能な特異的なDNA切断を可能にし、インサイチュでのゲノム編集のための強力なツールを表す。転写活性化因子様エフェクター(TALE)は、実質的に任意のDNA配列に結合するように迅速に操作することができる。TALENという用語は広範であり、別のTALENからの援助なしに二本鎖DNAを切断することができる単量体TALENを含む。TALENという用語は、同じ部位でDNAを切断するように一緒に働くように操作された一対のTALENの1つまたは両方のメンバーを指すためにも使用される。ともに機能するTALENは、DNAの利き手を参照する左TALEN及び右TALENと称され得る。例えば、米国特許出願第12/965,590号、米国出願第13/426,991号(米国特許第8,450,471号)、米国出願第13/427,040号(米国特許第8,440,431号)、米国出願第13/427,137号(米国特許第8,440,432号)、及び米国出願第13/738,381号、及び米国特許第9,393,257号を参照されたく、これらの全ては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0108】
TALエフェクターは、Xanthomonas菌によって分泌されるタンパク質である。DNA結合ドメインは、12番目及び13番目のアミノ酸を除いて、高度に保存された33~34アミノ酸配列を含有する。これらの2つの位置は、非常に可変であり(反復可変二残基(RVD))、特異的ヌクレオチド認識と強い相関を示す。アミノ酸配列とDNA認識との間のこの単純な関係は、適切なRVDを含有する反復セグメントの組み合わせを選択することによって、特異的DNA結合ドメインの操作を可能にした。
【0109】
Fok1エンドヌクレアーゼの末端からの非特異的DNA切断ドメインを使用して、酵母アッセイにおいて活性であるハイブリッドヌクレアーゼを構築することができる。これらの試薬は、植物細胞及び動物細胞においても活性である。初期のTALEN研究は、野生型Fok1切断ドメインを使用したが、その後のいくつかのTALEN研究は、切断特異性及び切断活性を改善するように設計された変異を有するFok1切断ドメインバリアントも使用した。Fok1ドメインは、二量体として機能し、適切な配向及び間隔を有する標的ゲノム内の部位のための独自のDNA結合ドメインを有する2つの構築物を必要とする。TALEN DNA結合ドメインとFok1切断ドメインとの間のアミノ酸残基の数、及び2つの個々のTALEN結合部位間の塩基の数の両方が、高レベルの活性を達成するためのパラメータである。TALEN DNA結合ドメインとFok1切断ドメインとの間のアミノ酸残基の数は、複数のTALエフェクター反復配列とFok1エンドヌクレアーゼドメインとの間にスペーサー(スペーサー配列とは異なる)を導入することによって改変され得る。スペーサー配列は、12~30ヌクレオチドであり得る。
【0110】
アミノ酸配列とTALEN結合ドメインのDNA認識との関係は、設計可能なタンパク質を可能にする。この場合、人工遺伝子合成は、TALE結合ドメインに見出される反復配列の不適切なアニーリングのために問題がある。これに対する1つの解決策は、公的に入手可能なソフトウェアプログラム(DNAWorks)を使用して、2段階PCR:オリゴヌクレオチド組み立てと、それに続く全遺伝子増幅でのアセンブリに適したオリゴヌクレオチドを計算することである。操作されたTALE構築物を生成するためのいくつかのモジュラーアセンブリスキームも報告されている。両方の方法は、ジンクフィンガーDNA認識ドメインを生成するためのモジュラーアセンブリ方法に概念的に類似する、DNA結合ドメインを操作するための体系的アプローチを提供する。
【0111】
TALEN遺伝子が組み立てられると、プラスミドに挿入され、次いでプラスミドを使用して、遺伝子産物が発現される標的細胞にトランスフェクトし、核に入りゲノムにアクセスする。TALENを使用して、細胞が修復メカニズムで応答する二本鎖切断(DSB)を誘導することによってゲノムを編集することができる。このようにして、それらを使用して、例えば、疾患を引き起こすゲノム内の変異を修正することができる。
【0112】
MegaTALは、ホーミングエンドヌクレアーゼをTALENのモジュラーDNA結合ドメインと組み合わせ、DNA配列標的化の改善及び遺伝子編集効率の向上をもたらす融合タンパク質である。TALアンカーのN末端融合を用いて、I-HjeMI、I-CpaMI、及びI-OnuIホーミングエンドヌクレアーゼのうちの1つ以上などの1つ以上のホーミングエンドヌクレアーゼを含む、遺伝子標的化エンドヌクレアーゼの特異性及び活性を増加させることができる。MegaTALは、RVDプラスミドライブラリ及びデスティネーションベクターを使用して、Cermak et al,Nucl.Acids Res.(2011)39:e82-e82に記載されたゴールデンゲートアセンブリ戦略を使用して構築することができ、その開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
【0113】
MegaTALは依然としてホーミングエンドヌクレアーゼ切断生化学を使用してDNAを切断するため、他の全ての遺伝子編集ヌクレアーゼとは異なる方法でDNA修復経路に関与する。MegaTALは、WO2013/126794及びWO2014/191525の手順に従って設計及び予測することができ、本方法で使用することができる。
【0114】
メガヌクレアーゼは、14~40塩基対のポリヌクレオチド認識部位を有する二本鎖エンドヌクレアーゼを指し、これは単量体または二量体のいずれかであり得る。メガヌクレアーゼは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、US2014/0121115の手順に従って設計及び予測することができ、本方法で使用することができる。例示的なメガヌクレアーゼには、I-Sce I、I-Chu I、I-Dmo I、I-Cre I、I-Csm I、PI-Sce I、PI-Tli I、PI-Mtu I、I-Ceu I、I-Sce II、I-Sce III、HO、PI-Civ I、PI-Ctr I、PI-Aae I、PI-Bsu I、PI-Dha I、PI-Dra I、PI-May I、PI-Mch I、PI-Mfu I、PI-Mfl I、PI-Mga I、PI-Mgo I、PI Min I、PI-Mka I、PI-Mle I、PI-Mma I、PI-Msh I、PI-Msm I、PI-Mth I、PI-Mtu I、PI-Mxe I、PI-Npu I、PI-Pfu I、PI-Rma I、PI-Spb I、PI-Ssp I、PI-Fac I、PI-Mja I、PI-Pho I、PI-Tag I、PI-Thy I、PI-Tko I、及びPI-Tsp I、が含まれるがそれらに限定されず、特定の例示的なメガヌクレアーゼには、I-Sce I、I-Chu I、I-Dmo I、I-Cre I、I-Csm I、PI-Sce I、PI-Pfu I、PI-Tli I、PI-Mtu I、及びI-Ceu Iが含まれ、特定の例示的なメガヌクレアーゼには、I-Dmo I、I-Cre I、PI-Sce I、及びPI-Pfu Iが含まれる。
【0115】
ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)は、DNA切断ドメイン及びDNA結合ジンクフィンガードメインを有する酵素である。ZFNは、エンドヌクレアーゼの非特異的DNA切断ドメインを部位特異的DNA結合ジンクフィンガードメインと融合させることによって作製され得る。そのようなヌクレアーゼは、遺伝子編集のための強力なツールであり、部位特異的に二本鎖切断(DSB)を、ゲノムDNAに誘導するように組み立てることができる。ZFNは、DNA修復の間、標的遺伝子が変異原性非相同末端関節(NHEJ)を介して破壊され得るか、または密接に関連するDNA鋳型が供給される場合、相同組換え(HR)を介して改変され得るように、特異的な遺伝子破壊を可能にする。
【0116】
ジンクフィンガータンパク質は、WO98/54311、米国特許第9,187,758号、同第9,206,404号、及び同第8,771,985号の手順に従って設計及び予測することができ、これらの開示は参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれ、本方法で使用することができる。参照により本明細書に組み込まれるWO98/54311は、標的遺伝子に固有の特定のヌクレオチド配列を結合するジンクフィンガータンパク質ドメインの設計を可能にする技術を開示する。18ヌクレオチドを含む配列は、高等生物のゲノム内の独自の位置を特定するのに十分であると計算されている。したがって、典型的には、ジンクフィンガータンパク質ドメインは、ヘキサダクチルであり、すなわち、6本のジンクフィンガーを含み、それぞれが、特定のトリプレットとの相互作用のためにその特別に設計されたアルファヘリックスを有する。しかしながら、いくつかの場合において、より短いまたはより長いヌクレオチド標的配列が望ましい場合がある。したがって、タンパク質中のジンクフィンガードメインは、少なくとも3本のフィンガー、または2~12本のフィンガー、または3~8本のフィンガー、または3~4本のフィンガー、または5~7本のフィンガー、または6本のフィンガーを含み得る。一態様において、ZFPは、3つのジンクフィンガーを含み、別の態様において、ZFPは、4つのジンクフィンガーを含む。ZFN及びゲノム編集のためのそれらの設計に関する追加の説明は、参照により本明細書に組み込まれるUS20120329067号に見出すことができる。
【0117】
また、本明細書では、下方調節されたCD47経路を含む白血病起源の改変細胞を産生するための方法が提供される。ある特定の実施形態において、そのような方法は、前駆細胞を未成熟細胞への分化を可能にする条件下で前駆細胞をインキュベートすることと、CD47及び/またはCD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する薬剤の存在下で、ならびに未成熟細胞の成熟を可能にする条件下で未成熟細胞をインキュベートし、それによって、下方調節されたCD47経路を含む白血病起源の改変細胞を産生することと、を含む。
【0118】
ある特定の実施形態において、前駆細胞は、DCOne細胞である。そのため、本明細書では、下方調節されたCD47経路を含む白血病起源の改変細胞を産生するための方法を提供し、本方法は、DCOne細胞を未成熟細胞(例えば、未成熟樹状細胞表現型を有する細胞)に分化させることを可能にする条件下でDCOne細胞をインキュベートすることと、CD47及び/またはCD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する薬剤の存在下で、未成熟細胞の成熟(例えば、成熟樹状細胞表現型を有する細胞)を可能にする条件下で未成熟細胞をインキュベートすることと、それによって下方調節されたCD47経路を含む白血病起源の改変細胞を産生することとを含む。DCOne細胞の成熟を可能にする条件は、例えば、EP2931878B1に記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0119】
CD47及び/またはCD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する薬剤の量は、当業者によって容易に決定され得る。ある特定の実施形態において、薬剤の量は、CD47及び/またはCD47経路のメンバーの枯渇及び/または阻害をもたらす薬剤の有効量である。
【0120】
薬剤が生物学的薬剤、例えば、結合ポリペプチド(例えば、抗体)、低分子RNA(例えば、siRNAまたはmiRNA)、または操作されたヌクレアーゼ系である場合、白血病起源の改変細胞は、薬剤の薬剤または成分をコードする1つ以上の操作された核酸を導入することによって概して操作される。
【0121】
ある特定の実施形態において、CD47及び/またはCD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する薬剤(例えば、抗体、低分子RNA、または操作されたヌクレアーゼ系)は、発現ベクター、例えば、薬剤をコードする核酸を含む発現によって細胞内に導入される。好適な発現ベクターは、当業者に周知であり、限定されないが、レンチウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクター、発泡性ウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、アデノウイルスベクター、操作されたハイブリッドウイルス、ネイキッドDNA(スリーピングビューティー、Piggybac等のトランスポゾン媒介ベクター、及びPhi31等のインテグラーゼを含むが、これらに限定されない)を含む。いくつかの他の好適な発現ベクターには、単純ヘルペスウイルス(HSV)及びレトロウイルス発現ベクターが含まれる。
【0122】
ある特定の実施形態において、CD47及び/またはCD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する薬剤(例えば、抗体、低分子RNA、または操作されたヌクレアーゼ系)をコードする核酸は、ウイルス形質導入を介して細胞に導入される。ある特定の実施形態において、ウイルス形質導入は、白血病起源の改変細胞を、薬剤をコードする核酸を含むウイルスベクターと接触させることを含む。
【0123】
アデノウイルス発現ベクターは、アデノウイルスをベースとしたものであり、ゲノムDNAへの組み込み能は低いが、宿主細胞へのトランスフェクション効率は高い。アデノウイルス発現ベクターは、(a)発現ベクターのパッケージングを支援し、(b)宿主細胞内で免疫受容体を最終的に発現させるのに、十分なアデノウイルス配列を含有する。ある特定の実施形態において、アデノウイルスゲノムは、36kbの線形二本鎖DNAであり、外来DNA配列(例えば、CD47及び/またはCD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する薬剤をコードする核酸)は、本発明の発現ベクターを作製するために、アデノウイルスDNAの大部分を置換するために挿入され得る(例えば、Danthinne and Imperiale,Gene Therapy(2000)7(20):1707-1714を参照されたく、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0124】
別の発現ベクターは、アデノウイルス結合系を利用するアデノ随伴ウイルス(AAV)に基づく。このAAV発現ベクターは、宿主ゲノムに高頻度で組み込まれる。この発現ベクターは、非分裂細胞を感染させることができるため、例えば組織培養またはインビボでの、哺乳動物細胞への遺伝子の送達に有用である。AAVベクターは、感染能力のある宿主範囲が広い。AAVベクターの生成及び使用に関する詳細は、米国特許第5,139,941号及び同第4,797,368号に記載されており、これらの開示は参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0125】
レトロウイルス発現ベクターは、宿主ゲノムへの組み込み、大量の外来遺伝物質の送達、広範な種及び細胞タイプへの感染、ならびに特殊な細胞株へのパッケージ化が可能である。レトロウイルスベクターは、ある特定の位置でウイルスゲノムに核酸(例えば、CD47及び/またはCD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する薬剤をコードする核酸)を挿入して、複製欠陥のあるウイルスを産生することによって構築される。レトロウイルスベクターは、多種多様な細胞型に感染することができるが、薬剤の組み込み及び安定した発現は、宿主細胞の分裂を必要とする。
【0126】
レンチウイルスベクターは、一般的なレトロウイルス遺伝子gag、pol、及びenvに加えて、調節または構造的機能を有する他の遺伝子を含む複合体レンチウイルスであるレンチウイルスに由来する(例えば、米国特許第6,013,516号及び同第5,994,136号を参照されたく、これらの開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)。レンチウイルスのいくつかの例としては、ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1、HIV-2)及びサル免疫不全ウイルス(SIV)が挙げられる。レンチウイルスベクターは、HIV病原性遺伝子を多重に弱毒化することによって作製される。例えば、遺伝子env、vif、vpr、vpu、及びnefを欠失させることにより、生物学的に安全なベクターとする。レンチウイルスベクターは、非分裂細胞に感染することができ、例えば、CD47及び/またはCD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する薬剤をコードする核酸のインビボ及びエクスビボの遺伝子移入及び発現の両方に使用することができる(例えば、米国特許第5,994,136号を参照されたく、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0127】
発現ベクターは、当業者に既知の任意の手段によって細胞(例えば、白血病起源の改変細胞)に導入することができる。発現ベクターは、必要に応じて、トランスフェクションのためのウイルス配列を含み得る。代替的に、発現ベクターは、融合、エレクトロポレーション、微粒子銃、トランスフェクション、リポフェクションなどによって導入され得る。細胞は、発現ベクターの導入、続いてベクターの導入及び組み込みのための適切な処置の前に、培養において増殖及び拡大され得る。次いで、細胞を拡大し、ベクターに存在するマーカーによってスクリーニングし得る。使用され得る様々なマーカーは、当該技術分野で既知であり、hprt、ネオマイシン耐性、チミジンキナーゼ、ヒグロマイシン耐性などを含み得る。
【0128】
下方調節されたCD47経路を含む白血病起源の改変細胞を生成するための追加の方法としては、化学形質転換方法(例えば、リン酸カルシウム、デンドリマー、リポソーム、及び/またはカチオン性ポリマーを使用する)、非化学形質転換方法(例えば、電気穿孔、光学的形質転換、遺伝子電気移入、及び/または流体力学的送達)、及び/または粒子ベースの方法(例えば、遺伝子銃を使用したインペールフェクション、及び/またはmagnetofection)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0129】
発現ベクターを細胞に導入するための物理的方法は、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、粒子衝撃、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションなどを含む。ベクター及び/または外因性核酸を含む細胞を産生するための方法は、当該技術分野で周知である。例えば、Sambrook et al.(2001),Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New Yorkを参照されたい。発現ベクターを宿主細胞に導入するための化学的方法としては、コロイド分散系、例えば、巨大分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズ、ならびに脂質ベース系(水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセル、及びリポソームを含む)が挙げられる。
【0130】
使用に適した脂質は、商業的供給源から得ることができる。例えば、ジミリスチルホスファチジルコリン(「DMPC」)は、Sigma,St.Louis,MOから得ることができ、リン酸ジセチル(「DCP」)は、K & K Laboratories(Plainview,NY)から得ることができ、コレステロール(「Choi」)は、Calbiochem-Behringから得ることができ、ジミリスチルホスファチジルグリセロール(「DMPG」)及び他の脂質は、Avanti Polar Lipids,Inc.(Birmingham,AL)から得ることができる。クロロホルムまたはクロロホルム/メタノール中の脂質のストック溶液は、約-20℃で保存され得る。クロロホルムはメタノールよりも容易に蒸発するため、単独の溶媒として使用され得る。「リポソーム」は、封入脂質二重層または凝集体が生じることにより形成される様々な単層及び多層脂質ビヒクルを包含する総称である。リポソームは、リン脂質二重層膜と内部水性媒体とを有する小胞構造を有することを特徴とし得る。多層リポソームは、水性媒体によって分離された複数の脂質層を有する。それらは、リン脂質が過剰の水溶液に懸濁すると自然に形成される。脂質成分は、閉じた構造を形成する前に自己再配列を行い、脂質二重層の間に水及び溶解溶質を閉じ込める(Ghosh et al.,Glycobiology(1991)5:505-10)。溶液中で通常の小胞構造とは異なる構造を有する組成物もまた、包含される。例えば、脂質は、ミセル構造をとる場合もあり、または単に脂質分子の不均一な凝集体として存在する場合もある。また、リポフェクタミン-核酸複合体も企図される。
【0131】
外因性核酸を宿主細胞に導入するか、さもなければ細胞を薬剤に曝露するために使用される方法にかかわらず、宿主細胞における核酸の存在を確認するために、様々なアッセイを行ってもよい。かかるアッセイには、例えば、サザンブロッティング及びノーザンブロッティング、RT-PCR及びPCR等の、当業者に周知の分子生物学アッセイ、例えば、免疫学的手段(ELISA及びウエスタンブロット)によって、特定のペプチドの存在または非存在を検出する等の生化学アッセイが含まれる。
【0132】
一実施形態において、細胞内に導入される核酸は、RNAである。別の実施形態において、RNAは、インビトロ転写RNAまたは合成RNAを含むmRNAである。RNAは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)生成鋳型を使用してインビトロ転写によって産生され得る。任意の供給源からの目的のDNAは、適切なプライマー及びRNAポリメラーゼを使用して、インビトロmRNA合成のための鋳型にPCRによって直接変換することができる。DNAの供給源は、例えば、ゲノムDNA、プラスミドDNA、ファージDNA、cDNA、合成DNA配列、または任意の他の適切なDNAの供給源であり得る。
【0133】
PCRを使用して、mRNAのインビトロ転写のための鋳型を生成し、それを次いで細胞に導入してもよい。PCRを行うための方法は、当該技術分野で周知である。PCRで使用するためのプライマーは、PCRの鋳型として使用するDNAの領域と実質的に相補的な領域を有するように設計される。「実質的に相補的」は、本明細書で使用される場合、プライマー配列中の塩基の大部分または全てが相補的であるヌクレオチドの配列を指す。実質的に相補的な配列は、PCRに使用されるアニーリング条件下で目的のDNA標的とアニーリングまたはハイブリダイズすることができる。プライマーは、DNA鋳型の任意の部分に実質的に相補的であるように設計され得る。例えば、プライマーは、5’UTR及び3’UTRを含む、細胞内で通常転写される遺伝子の部分(オープンリーディングフレーム)を増幅するように設計され得る。プライマーはまた、目的の特定のドメインをコードする遺伝子の一部を増幅するように設計され得る。一実施形態において、プライマーは、5’UTR及び3’UTRの全部または一部を含む、ヒトcDNAのコード領域を増幅するように設計される。PCRに有用なプライマーは、当該技術分野で周知の合成方法によって生成される。「フォワードプライマー」は、増幅されるDNA配列の上流にあるDNA鋳型上のヌクレオチドに実質的に相補的なヌクレオチドの領域を含有するプライマーである。「上流」は、本明細書では、コード鎖に対して、増幅されるDNA配列の5’の位置を指すために使用される。「リバースプライマー」は、増幅されるDNA配列の下流にある二本鎖DNA鋳型に実質的に相補的なヌクレオチドの領域を含有するプライマーである。「下流」は、本明細書では、コード鎖に対して、増幅されるDNA配列の3側の位置を指すために使用される。
【0134】
RNAの安定性及び/または翻訳効率を促進する能力を有する化学構造も使用され得る。RNAは通常、5’UTR及び3’UTRを有する。一実施形態において、5’UTRは、0~3000ヌクレオチド長である。コード領域に付加される5’UTR及び3’UTR配列の長さは、UTRの様々な領域とアニーリングするPCR用プライマーの設計を含むがこれに限定されない、様々な方法によって変更され得る。このアプローチを使用して、当業者は、転写されたRNAのトランスフェクション後に最適な翻訳効率を実現するために必要な5’UTR及び3’UTRの長さを改変することができる。
【0135】
5’UTR及び3’UTRは、目的遺伝子の天然の内因性5’UTR及び3’UTRであり得る。代替的に、目的遺伝子に対して内因性ではないUTR配列を、フォワード及びリバースプライマーにUTR配列を組み込むことによって、または鋳型の任意の他の変更によって付加することができる。目的遺伝子に対して内因性ではないUTR配列の使用は、RNAの安定性及び/または翻訳効率を変更するのに有用であり得る。例えば、3’UTR配列のAUリッチエレメントがmRNAの安定性を低下させ得ることが知られている。したがって、3’UTRは、当該技術分野で周知であるUTRの特性に基づいて、転写されたRNAの安定性を増加させるように選択または設計され得る。
【0136】
一実施形態において、5’UTRは、内因性遺伝子のコザック配列を含有し得る。代替的に、目的遺伝子に対して内因性ではない5’UTRが上記のようにPCRにより付加されている場合、5’UTR配列を付加することによってコンセンサスコザック配列を再設計することができる。コザック配列は、一部のRNA転写物の翻訳効率を高めることができるが、全てのRNAが効率的な翻訳を可能にすることを必要としているわけではないように思われる。多くのmRNAのKozak配列の必要性は、当該技術分野で知られている。他の実施形態において、5’UTRは、RNAゲノムが細胞内で安定しているRNAウイルスに由来し得る。他の実施形態において、mRNAのエキソヌクレアーゼ分解を妨害するために、様々なヌクレオチド類似体が、3’UTRまたは5’UTRで使用され得る。
【0137】
遺伝子クローニングを必要とせずにDNA鋳型からRNAを合成できるようにするには、転写される配列の上流のDNA鋳型に転写のプロモーターを結合させる必要がある。RNAポリメラーゼのプロモーターとして機能する配列がフォワードプライマーの5’末端に付加されると、RNAポリメラーゼプロモーターは、転写されるオープンリーディングフレームの上流のPCR産物に組み込まれる。一実施形態において、プロモーターは、本明細書の他所に記載されているように、T7ポリメラーゼプロモーターである。他の有用なプロモーターとしては、T3及びSP6 RNAポリメラーゼプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。T7、T3、及びSP6プロモーターのコンセンサスヌクレオチド配列は、当該技術分野で公知である。
【0138】
一実施形態において、mRNAは、細胞内でのリボソーム結合、翻訳の開始、及び安定性mRNAを決定する、5’末端上のキャップ及び3’ポリ(A)テールの両方を有する。環状DNA鋳型、例えばプラスミドDNAでは、RNAポリメラーゼは、真核細胞での発現に適さない長いコンカテマー産物を産生する。3’UTRの末端で線状化されたプラスミドDNAの転写により、たとえ転写後にポリアデニル化されたとしても真核生物のトランスフェクションには有効でない、通常サイズのmRNAがもたらされる。
【0139】
線形DNA鋳型上で、ファージT7 RNAポリメラーゼは、転写物の3’末端を鋳型の最後の塩基を超えて伸長することができる(Schenborn and Mierendorf,Nucl.Acids Res.(1985)13:6223-36、Nacheva and Berzal-Herranz,Eur.J.Biochem.(2003)270:1485-65。
【0140】
転写DNA鋳型のポリA/Tセグメントは、PCR中にポリTテール、例えば100Tテール(サイズは50~5000Tであり得る)を含有するリバースプライマーを使用して生成され得るか、またはPCR後にDNAライゲーションもしくはインビトロ組換えを含むがこれらに限定されない任意の他の方法により産生され得る。ポリ(A)テールはまた、RNAに安定性をもたらし、RNAの分解を低減させる。概して、ポリ(A)テールの長さは、転写されたRNAの安定性と正に相関する。一実施形態において、ポリ(A)テールは、100~5000個のアデノシンである。
【0141】
RNAのポリ(A)テールは、E.coliポリAポリメラーゼ(E-PAP)などのポリ(A)ポリメラーゼを使用して、インビトロ転写後に更に伸長され得る。一実施形態において、ポリ(A)テールの長さを100ヌクレオチドから300~400ヌクレオチドに増加させると、RNAの翻訳効率が約2倍増加する。追加的に、3’末端に様々な化学基を結合させることで、mRNAの安定性を増加させることができる。このような結合には、改変/人工ヌクレオチド、アプタマー、及び他の化合物を含めることができる。例えば、ATP類似体は、ポリ(A)ポリメラーゼを使用してポリ(A)テールに組み込むことができる。ATP類似体は、RNAの安定性を更に増加させることができる。
【0142】
5’キャップもまた、RNA分子に安定性をもたらす。例示的な実施形態において、本明細書に開示する方法によって産生されるRNAは、5’キャップを含む。5’キャップは、当該技術分野で既知であり、本明細書に記載される技法を使用して提供される(例えば、Cougot et al.Trends in Biochem.Sci.(2001)29:436-444、Stepinski et al.,RNA(2001)7:1468-95、Elango et al.,Biochim.Biophys.Res.Commun.(2005)330:958-966を参照されたい)。
【0143】
ある特定の実施形態において、RNA、例えばインビトロ転写RNAは、細胞にエレクトロポレーションされる。細胞の透過性及び生存率を促進する因子、例えば、糖、ペプチド、脂質、タンパク質、抗酸化剤、及び界面活性剤を含んでもよい、細胞エレクトロポレーションに適した任意の溶質を含めることができる。
【0144】
本方法はまた、例えばプロモーターまたは入力RNAの量を変化させることにより広範囲にわたって発現レベルを制御する能力を提供し、発現レベルを個別に調節することを可能にする。更に、mRNA産生のPCRベースの手法は、様々な構造及びそれらのドメインの組み合わせを有するmRNAの設計を大幅に容易にする。
【0145】
RNAトランスフェクションの1つの利点は、それが本質的に一過性であり、ベクターを含まないことである。RNA導入遺伝子は、任意の追加のウイルス配列を必要とせずに、最小発現カセットとして細胞に送達され、その中で発現され得る。これらの条件下では、導入遺伝子が細胞ゲノムに組み込まれる可能性は低い。細胞のクローニングは、RNAのトランスフェクションの効率のために必要ではない。
【0146】
インビトロ転写RNA(IVT-RNA)を有する細胞の操作は、リポフェクションまたはエレクトロポレーションの使用を含む。移入されたIVT-RNAの長期発現を実現するために、様々な改変を使用してIVT-RNAを安定化させることが望ましい。
【0147】
いくつかのIVTベクターが文献中で知られており、それらはインビトロ転写の鋳型として標準化された方法で利用され、安定化されたRNA転写物が産生されるように遺伝子改変されている。現在、当該技術分野で使用されるプロトコルは、以下の構造を有するプラスミドベクターに基づいている:RNA転写を可能にする5’RNAポリメラーゼプロモーター、続いて、3’及び/または5’のいずれかに非翻訳領域(UTR)が隣接する目的の遺伝子、ならびに50~70のAのヌクレオチドを含有する3’ポリアデニルカセット。インビトロ転写の前に、環状プラスミドは、II型制限酵素によってポリアデニルカセットの下流で線状化される(認識配列は切断部位に対応する)。したがって、ポリアデニルカセットは、転写物の後方のポリ(A)配列に対応する。この手順の結果として、一部のヌクレオチドは、線状化後に酵素切断部位の一部として残り、3’末端のポリ(A)配列を伸長させるかまたはマスクする。この非生理学的オーバーハングが、そのような構築物から細胞内に産生されるタンパク質の量に影響を及ぼすかどうかは不明である。
【0148】
別の態様において、RNAコンストラクトは、エレクトロポレーションによって細胞内に送達される。例えば、US2004/0014645、US2005/0052630、US2005/0070841、US2004/0059285、US2004/0092907A1に教示される、哺乳動物細胞への核酸構築物のエレクトロポレーションの製剤及び方法論を参照されたい。任意の公知の細胞タイプのエレクトロポレーションに必要な電界強度を含む様々なパラメータは、関連する研究文献、ならびに当該分野における多数の特許及び出願で概して公知である。例えば、米国特許第6,678,556号、米国特許第7,171,264号、及び米国特許第7,173,116号を参照されたい。エレクトロポレーションの治療用途のための装置は、市販されており、例えば、MEDPULSER(商標)DNAエレクトロポレーションセラピーシステム(Inovio/Genetronics,San Diego,Calif.)であって、米国特許第6,567,694号、米国特許第6,516,223号、米国特許第5,993,434号、米国特許第6,181,964号、米国特許第6,241,701号、及び米国特許第6,233,482号などの特許に記載されており、例えば、US20070128708A1に記載されているように、エレクトロポレーションは、インビトロでの細胞のトランスフェクションにも使用され得る。エレクトロポレーションはまた、インビトロで核酸を細胞に送達するために利用され得る。したがって、当業者に公知の多くの利用可能なデバイス及びエレクトロポレーション系のいずれかを利用する発現コンストラクトを含む核酸の細胞へのエレクトロポレーション媒介投与は、目的のRNAを標的細胞に送達するための刺激的な新規手段を提示する。
【0149】
本明細書で提供されるように、ある特定の方法は、白血病起源の改変細胞の使用を利用し、ここで、改変細胞は非増殖性である。ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞は、照射されている。ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞は、本明細書に開示される方法におけるその使用の前に照射される。照射は、例えば、標準的な照射装置(Gammacellまたは同等物)を使用して、30~150Gy(例えば、100Gy)で1~3時間の間、ガンマ線照射することで実現され得る。照射によって、白血病起源の改変細胞(例えば、CD34陽性細胞)を含む組成物内のあらゆる残存前駆細胞が、分裂を継続することできないことを確実にする。細胞は、例えば、ワクチンとして使用する場合に患者に注射する前に、または培養を停止した直後に、照射してもよい。ある特定の実施形態において、細胞は、それらの免疫刺激能力を維持しながら、増殖及び/または拡大する能力を阻害するように照射される。
【0150】
C.処置方法
本明細書において、対象において免疫応答を増強するための方法が提供される。また、対象におけるがん(例えば、腫瘍)を治療または予防するための方法も提供される。対象における免疫応答を増強する方法は、対象が罹患しているがん(例えば、腫瘍)の治療をもたらし得る。方法は、概して、対象に、本明細書に記載の白血病起源の改変細胞を投与することを含む。
【0151】
本明細書で使用される場合、「対象」または「個体」または「患者」という用語は、本明細書では交換可能に用いられ、診断または治療が望まれる任意の対象(特に、哺乳類対象)を指す。哺乳類対象には、例えば、ヒト、飼育動物、家畜、及び動物園、スポーツ、または愛玩動物、例えばイヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、及びメスウシが含まれる。
【0152】
本明細書で使用される場合、「処置する」または「処置」という用語は、治療処置及び予防または防止手段の両方を指す。目的は、望ましくない生理的変化または障害(例えば、がんの発生または転移)を防止するかまたは減速(減少)させることである。有用なまたは所望の臨床結果としては以下が挙げられる(しかし、これらに限定されない)。症状の緩和、疾患の程度の減少、疾患の安定した(すなわち、悪化していない)状態、疾患進行を遅らせる、または遅くする、病態の改善または緩和、及び寛解(部分的または完全であるか、検出可能または検出不能であるかにかかわらず)。また「処置」は、処置を受けていない場合に予想される生存期間と比べて生存期間を延長することを意味することができる。処置を必要としているものには、すでに症状もしくは障害を伴うもの、ならびに症状もしくは障害を有する傾向もしくはリスクがあるもの、または症状もしくは障害を防止する必要があるものが含まれる。ある特定の実施形態において、治療はまた、疾患または障害、例えば、がんの再発の予防及び再発の遅延を指す。
【0153】
本明細書で使用される場合、「有効量」は、有益なまたは所望の結果、例えば、所望の治療エンドポイントの達成(例えば、腫瘍のサイズの部分的または完全な縮小)を達成するのに十分な量である。有効量は、1つ以上の投与、適用、または用量で投与することができる。本明細書で使用される場合、「治療的に有効な量」は、異常な生理学的応答を防止、修正及び/または正常化するか、または所望の応答(例えば、強化された適応免疫応答)における測定可能な改善を行うのに十分な量を意味するために用いられる。一態様において、「治療的に有効な量」は、少なくとも約30%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%の、病理学の臨床的に重要な特徴(例えば、腫瘍塊のサイズなど)を減らすのに十分な量である。
【0154】
本明細書に提供されるがんを治療する方法から利益を得るであろう対象としては、がんを有する対象が挙げられる。また、以前がんの初期治療を受けたことがある対象も好適である。ある特定の実施形態において、初期処置は、がんに対する標準のケア処置を含む。がんの標準的なケアには、手術、化学療法、及び/または放射線療法が含まれ得る。かかる対象は、初回治療に良好に応答したか、または初回治療に難治性であってもよい。したがって、ある特定の実施形態において、本明細書中提供される方法は、標準的なケア処置に対して難治性であるがんを処置するために有用である。ある特定の実施形態において、本明細書中に提供される方法は、がんの再発(relapse)または再発(recurrence)を予防するために、対象を治療するのに有用である。
【0155】
ある特定の実施形態において、本開示によって提供される方法は、本明細書に記載される白血病起源の改変細胞を含む第1の組成物(例えば、第1の免疫原性組成物)を対象に投与することを含む。ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞は、下方制御されたCD47経路を含む。ある特定の実施形態において、本開示によって提供される方法は、対象に、白血病起源の改変細胞を含む第1の組成物と、CD47及び/またはCD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する薬剤を含む第2の組成物とを投与することを含む。本明細書に記載されるように、CD47を阻害することは、免疫細胞による細胞ベースのワクチン(例えば、DCP-001)の取り込みを増強する。したがって、本明細書に提供される方法は、(例えば、細胞ベースのワクチンに含まれる抗原を提示し、それに反応することによって)細胞ベースのワクチンの生体活性を増強するために、そのような免疫細胞による細胞ベースのワクチンの増強された取り込みと組み合わせて、存在する免疫細胞を刺激し、及び/または周囲の免疫細胞をリクルートするために、細胞ベースのワクチンの免疫原性を利用する。
【0156】
ある特定の実施形態において、対象における免疫応答を増強するための方法は、対象に、有効量の白血病起源の改変細胞を含む組成物を投与することを含む。ある特定の実施形態において、対象における免疫応答を増強するための方法は、対象に、有効量の、下方調節されたCD47経路を含む白血病起源の改変細胞を含む組成物を投与することを含む。ある特定の実施形態において、対象における免疫応答を増強するための方法は、対象に、白血病起源の改変細胞を含む有効量の第1の組成物と、CD47及び/またはCD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する薬剤を含む有効量の第2の組成物とを投与することを含む。ある特定の実施形態において、対象における免疫応答を増強するための方法は、対象に、下方調節されたCD47経路を含む白血病起源の改変細胞を含む有効量の第1の組成物と、CD47及び/またはCD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する薬剤を含む有効量の第2の組成物とを投与することを含む。
【0157】
ある特定の実施形態において、対象におけるがんの治療または予防する方法は、対象に、白血病起源の改変細胞を含む有効量の組成物を投与することを含む。ある特定の実施形態において、対象におけるがんの治療または予防する方法は、対象に、下方調節されたCD47経路を含む白血病起源の改変細胞を含む有効量の組成物を投与することを含む。ある特定の実施形態において、対象におけるがんの治療または予防する方法は、対象に、白血病起源の改変細胞を含む有効量の第1の組成物と、CD47及び/またはCD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する薬剤を含む有効量の第2の組成物と、を投与することを含む。ある特定の実施形態において、対象におけるがんの治療または予防する方法は、対象に、下方調節されたCD47経路を含む白血病起源の改変細胞を含む有効量の第1の組成物と、CD47及び/またはCD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する薬剤を含む有効量の第2の組成物と、を投与することを含む。
【0158】
ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞は、少なくとも1つの腫瘍関連抗原または腫瘍関連抗原をコードする核酸を含み、腫瘍関連抗原は、対象における腫瘍と関連している。ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞は、少なくとも1つの腫瘍関連抗原または腫瘍関連抗原をコードする核酸を含み、腫瘍関連抗原は、対象における腫瘍とは関連していない。ある特定の実施形態において、腫瘍関連抗原または腫瘍関連抗原をコードする核酸は、白血病起源の改変細胞によって内因的に含まれ得る。ある特定の実施形態において、腫瘍関連抗原または腫瘍関連抗原をコードする核酸は、白血病起源の改変細胞に外因的に提供されてもよい。腫瘍関連抗原または腫瘍関連抗原をコードする核酸を細胞に提供するための様々な方法は、当業者に既知である。
【0159】
ある特定の実施形態において、本明細書で提供するがんを治療するための方法は、対象に、本明細書に記載の白血病起源の改変細胞(例えば、下方制御されたCD47経路を含む白血病起源の改変細胞)を含む組成物の有効量の1回以上の用量を投与することを含む。組成物は、CD47及び/またはCD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する薬剤を更に含み得る。
【0160】
ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞を含む組成物の1回以上の用量が、対象に投与される。例えば、白血病起源の改変細胞を含む組成物の1回用量、2回用量、3回用量、4回用量、5回用量、6回用量、7回用量、8回用量、9回用量、10回用量、11回用量、12回用量、またはそれ以上が対象に投与される。1つ以上の用量のそれぞれは、実質的に同じ数の白血病起源の改変細胞を含有してもよく、または異なる数の白血病起源の改変細胞を含有してもよい。
【0161】
ある特定の実施形態において、組成物(すなわち、白血病起源の改変細胞を含む)の用量は、時間間隔で、例えば、1週間の間隔で、2週間の間隔で、3週間の間隔で、4週間の間隔で、5週間の間隔で、6週間の間隔で、7週間の間隔で、8週間の間隔で、9週間の間隔で、10週間の間隔で、11週間の間隔で、12週間の間隔で、またはそれ以上で投与されてもよい。ある特定の実施形態において、用量間の時間は、約1日~約21日、約1日~約22日、約1日~約23日、約1日~約24日、約1日~約3週間、約1日~約4週間、約1日~約5週間、約1日~約10週間、約1日~約15週間、約1日~約20週間、約1日~約25週間、約1日~約30週間、約1日~約35週間、約1日~約40週間、約1日~約45週間、約1日~約50週間、約1日~約1年、及びその間の任意の時間量である。ある特定の実施形態において、投与間隔は、約1日~約1ヶ月、14日~約2ヶ月、1ヶ月~約3ヶ月、2ヶ月~約5ヶ月、4ヶ月~約6ヶ月、5ヶ月~約7ヶ月、6ヶ月~約8ヶ月、7ヶ月~約9ヶ月、8ヶ月~約10ヶ月、9ヶ月~約11ヶ月、10ヶ月~約12ヶ月、11ヶ月~約13ヶ月、12ヶ月~約14ヶ月、13ヶ月~約15ヶ月、14ヶ月~約16ヶ月、15ヶ月~約17ヶ月、16ヶ月~約18ヶ月、17ヶ月~約19ヶ月、18ヶ月~約20ヶ月、19ヶ月~約21ヶ月、20ヶ月~約22ヶ月、21ヶ月~約23ヶ月、22ヶ月~約24ヶ月、3ヶ月~約1年、6ヶ月~約1年、及びその間の任意の時間量である。
【0162】
前述したように、本明細書に記載の方法は、免疫原性組成物の1回以上の用量を投与することを含む方法を含む。ある特定の実施形態において、1つ以上の用量は、同じ送達経路を介して投与される。ある特定の実施形態において、1つ以上の用量は、異なる送達経路を介して投与される。本明細書に記載の方法はまた、1つ以上の組成物(例えば、白血病起源の改変細胞を含む第1の組成物、及びCD47及び/またはCD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する薬剤を含む第2の組成物)の投与を含む。
【0163】
ある特定の実施形態において、第1及び/または第2の組成物は、腫瘍内または腫瘍周囲に投与される。そのような場合、組成物は、腫瘍内投与のために製剤化される。組成物の腫瘍内投与には、腫瘍、例えば、腫瘍の中心、または腫瘍塊内の任意の位置への免疫原性組成物の直接投与が含まれる。腫瘍内投与はまた、腫瘍、例えば、腫瘍を取り囲む空間に近接する組成物の投与を含む。ある特定の実施形態において、第1及び/または第2の組成物は、腫瘍内に投与される。ある特定の実施形態において、第1及び/または第2の組成物は、腫瘍内投与のために調製され、例えば、第1及び/または第2の組成物は、腫瘍内投与に許容される希釈剤または溶媒を含む。
【0164】
ある特定の実施形態において、第1及び/または第2の組成物は、腫瘍外に投与される。そのような場合、組成物は、特定の腫瘍外投与のために製剤化される。腫瘍外投与には、例えば、静脈内、動脈内、皮下、皮内、結節内、リンパ管内、及び筋肉内投与を含む非経口投与が含まれ、これらは全て当業者に周知である。ある特定の実施形態において、本明細書に記載の組成物の投与は、筋肉内注射、皮下注射、静脈内注射、動脈内注射、腹腔内注射、胸骨内注射、皮内注射、経皮(transcutaneous)注射、経皮(transdermal)注射、及び組織の間質空間への送達からなる群から選択されるモードによって送達される。
【0165】
また腫瘍外投与には、腫瘍部位よりも遠位の部位への投与が含まれる。例えば、腫瘍外投与は、腫瘍から少なくとも約0.1mm、少なくとも約0.2mm、少なくとも約0.3mm、少なくとも約0.4mm、少なくとも約0.5mm、少なくとも約0.6mm、少なくとも約0.7mm、少なくとも約0.8mm、少なくとも約0.9mm、少なくとも約1mm、少なくとも約2mm、少なくとも約3mm、少なくとも約4mm、少なくとも約5mm、少なくとも約6mm、少なくとも約7mm、少なくとも約8mm、少なくとも約9mm、少なくとも約10mm、少なくとも約15mm、少なくとも約20mm、少なくとも約25mm、少なくとも約30mm、少なくとも約35mm、少なくとも約40mm、少なくとも約45mm、少なくとも約50mm、少なくとも約60mm、少なくとも約70mm、少なくとも約80mm、少なくとも約90mm、少なくとも約10cm、少なくとも約20cm、少なくとも約30cm、少なくとも約40cm、少なくとも約50cm、50cm以上の距離(例えば、腫瘍の縁、または腫瘍の中心)にある部位への組成物の投与が含まれる。
【0166】
腫瘍外投与はまた、腫瘍が存在する臓器系とは異なる臓器系の部位に組成物を投与することを含む。例えば、腫瘍が卵巣に存在する場合、または卵巣内に存在する場合、方法は、卵巣ではない臓器系の部位、例えば、肝臓、腎臓など遠位に組成物を投与することを含む。「臓器」または「臓器系」という用語は、本明細書で使用される場合、同様の機能を有する組織の群を指す。臓器系の例には、限定することなく、以下が含まれる。筋肉系、消化器系(例えば、胃、小腸、大腸、肝臓、膵臓など)、呼吸器系(例えば、肺)、泌尿器系(例えば、腎臓、膀胱など)、生殖器(例えば、男性及び女性生殖器系、卵巣、胎盤、前立腺など)、内分泌系、循環系、神経系(例えば、中枢及び末梢神経系)、及び外皮系(例えば、皮膚、皮下組織)。
【0167】
組成物の投与はまた、腫瘍部位の反対側の部位で行ってもよい。ある特定の実施形態において、方法は、腫瘍部位(腫瘍が存在する部位)の対側の部位に組成物を投与することを含む。例えば、腫瘍が卵巣に存在する場合、または卵巣内に存在する場合、方法は、対側卵巣にまたは対側卵巣内に組成物を遠位に投与することを含む。例えば、腫瘍が左卵巣に存在する場合、または左卵巣内に存在する場合、方法は、組成物を右卵巣に遠位に投与することを含む。例えば、腫瘍が右卵巣に存在する場合、または右卵巣内に存在する場合、方法は、組成物を左卵巣に遠位に投与することを含む。
【0168】
ある特定の実施形態において、第1及び/または第2の組成物は、静脈内に投与される。ある特定の実施形態において、第1及び/または第2の組成物は、静脈内投与のために調製され、例えば、第1及び/または第2の組成物は、静脈内投与に許容される希釈剤または溶媒を含む。ある特定の実施形態において、第1及び/または第2の組成物は、皮内に投与される。ある特定の実施形態において、第1及び/または第2の組成物は、皮内投与のために調製され、例えば、第1及び/または第2の組成物は、皮内投与に許容される希釈剤または溶媒を含む。ある特定の実施形態において、第1及び/または第2の組成物は、筋肉内に投与される。ある特定の実施形態において、第1及び/または第2の組成物は、筋肉内投与のために調製され、例えば、第1及び/または第2の組成物は、筋肉内投与に許容される希釈剤または溶媒を含む。
【0169】
D.併用療法
本明細書に提供される方法は、それ自体で、または他の療法と組み合わせてがんの治療に有用である。したがって、本明細書では、本明細書に記載の方法と組み合わせて用いる併用療法も提供される。例えば、本明細書で提供される方法を、照射線療法と組み合わせて、または細胞増殖抑制作用もしくは抗がん作用を有する第2の治療とともに用いることができる。
【0170】
ある特定の実施形態において、本明細書に記載のがんを治療または予防する方法は、対象に第2の療法を投与することを更に含む。ある特定の実施形態において、第2の療法は、組成物(例えば、第3の組成物)内に含まれる。ある特定の実施形態において、第2の療法は、放射線療法を含む。ある特定の実施形態において、第2の療法は、免疫チェックポイント療法を含む。ある特定の実施形態において、第2の療法は、抗血管新生療法を含む。ある特定の実施形態において、第2の療法は、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤療法を含む。当業者(例えば、医師)であれば、本明細書に記載の併用療法にとって有用な特定の用量及び投与レジメンを、容易に決定できるであろう。
【0171】
ある特定の態様において、本明細書で提供される方法は、細胞増殖抑制作用または抗がん作用を有する第2の治療と組み合わせて有用である。好適な細胞増殖抑制性化学療法化合物には以下が含まれる(しかし、これらに限定されない)。DNA架橋剤、DNA断片化剤、挿入剤、タンパク質合成阻害剤、トポイソメラーゼI及びII阻害剤、代謝拮抗剤、微小管標的剤、キナーゼ阻害剤、ホルモン、及びホルモン拮抗薬。
【0172】
ある特定の態様において、本明細書で提供される方法は、1つ以上のがん免疫(IO)剤を含む第2の治療と組み合わせて有用である。IO薬は、対象における免疫応答を増強し、刺激し、及び/または上方制御するのに効果的であることが知られている。ある特定の実施形態において、IO剤を本明細書に記載のがんを治療する方法と組み合わせて使用することは、がんを治療することにおいて相乗効果をもたらす。IO薬の例には、限定することなく、低分子薬物、抗体、及び細胞ベースの薬剤が含まれる。ある実施形態において、IO薬は、ヒト抗体またはヒト化抗体である可能性がある、モノクローナル抗体である。
【0173】
IO薬は、刺激受容体(例えば、共刺激受容体)のアゴニスト、またはT細胞上の抑制信号のアンタゴニストとすることができる。両方の結果には、抗原特異的なT細胞応答の増幅が含まれる。このようなIO薬は、当該技術分野において、免疫チェックポイントレギュレータ(例えば、免疫チェックポイント阻害剤)とも言われる。ある特定の実施形態において、IO剤は、共刺激経路及び/または共阻害経路を調節し、抗原特異的T細胞応答の機能を増強及び/または回復することが可能である。共刺激経路及び/または共抑制経路に含まれる分子の例には、限定することなく、以下が含まれる。免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)のメンバー;膜タンパク質のB7ファミリーのメンバー、例えば、B7-1、B7-2、B7-H1(PD-L1)、B7-DC(PD-L2)、B7-H2(ICOS-L)、B7-H3、B7-H4、B7-H5(VISTA)、及びB7-H6など;腫瘍壊死因子(TNF)スーパーファミリーのメンバー、例えば、CD40、CD40L、OX-40、OX-40L、CD70、CD27L、CD30、CD30L、4-1BBL、CD137(4-1BB)、TRAIL/Apo2-L、TRAILR1/DR4、TRAILR2/DR5、TRAILR3、TRAILR4、OPG、RANK、RANKL、TWEAKR/Fnl4、TWEAK、BAFFR、EDAR、XEDAR、TACI、APRIL、BCMA、LTβR、LIGHT、DcR3、HVEM、VEGI/TL1A、TRAMP/DR3、EDAR、EDA1、XEDAR、EDA2、TNFR1、リンホトキシンα/TNFβ、TNFR2、TNFα、LTβR、リンホトキシンα1β2、FAS、FASL、RELT、DR6、TROY、及びNGFRなど。
【0174】
したがって、ある実施形態において、免疫チェックポイント治療には、(i)T細胞活性化を阻害するタンパク質のアンタゴニスト(例えば、免疫チェックポイント阻害剤)、例えば、CTLA-4、PD-1、PD-L1、PD-L2、LAG-3、TIM-3、ガレクチン9、CEACAM-1、BTLA、CD69、ガレクチン-1、TIGIT、CD113、GPR56、VISTA、2B4、CD48、GARP、PD1H、LAIR1、TIM-1、及びTIM-4など、及び(ii)T細胞活性化を刺激するタンパク質のアゴニスト、例えば、B7-1、B7-2、CD28、4-1BB(CD137)、4-1BBL、ICOS、ICOS-L、OX40、OX40L、GITR、GITRL、CD70、CD27、CD40、DR3及びCD28Hなどである1つ以上の免疫チェックポイントレギュレータを用いることが含まれる。
【0175】
ある実施形態において、本明細書に記載の第2の治療は、1つ以上の免疫チェックポイントレギュレータを標的としてもよい。本開示の第2の治療が標的とし得る免疫チェックポイントレギュレータ(例えば、免疫チェックポイント阻害剤)には、限定することなく、以下が含まれ得る。アデノシンA2A受容体(A2AR)、B7-H3(CD276としても知られている)、B及びTリンパ球減衰因子(BTLA)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4、CD152としても知られている)、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)、キラー細胞免疫グロブリン(KIR)、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG3)、プログラム死1(PD-1)、T細胞免疫グロブリンドメイン及びムチンドメイン3(TIM-3)、T細胞活性化のVドメインIgサプレッサ(VISTA)、及びNKG2A。
【0176】
ある特定の実施形態において、本明細書に記載のがんを治療する方法は、有効量の免疫チェックポイント阻害剤を対象に投与することを更に含む。ある特定の典型的な実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4、PD-1、PD-L1、CD47、NKG2A、B7-H3、及びB7-H4からなる群から選択される免疫チェックポイントレギュレータを標的とする。ある特定の実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、低分子、組換えリガンド、組換え受容体、または抗体であってもよい。免疫チェックポイント阻害剤抗体は、ヒト化、ヒト、キメラ化、または当該技術分野で既知の任意の形態の抗体であり得る。したがって、ある特定の典型的な実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、抗CTLA-4、抗PD-1、抗PD-L1、抗CD47、抗NKG2A、抗B7-H3、及び抗B7-H4からなる群から選択される抗体である。ある特定の実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、及びセミプリマブからなる群から選択される抗体である。
【0177】
ある特定の実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤はPD-1結合アンタゴニスト(PD-1がそのリガンド結合パートナーに結合することを阻害することができる分子)である。ある実施形態において、PD-1リガンド結合パートナーはPD-L1及び/またはPD-L2である。ある特定の実施形態において、PD-L1結合アンタゴニストは、PDL1のその結合パートナーへの結合を阻害する分子である。ある特定の実施形態において、PD-L1結合パートナーは、PD-1及び/またはB7-1である。ある特定の実施形態において、PD-L2結合アンタゴニストは、PD-L2のその結合パートナーへの結合を阻害する分子である。ある特定の実施形態において、PD-L2の結合パートナーは、PD-1である。典型的な抗体が、米国特許第8,735,553号、同第8,354,509号、及び同第8,008,449号に記載されており、これらの文献の開示内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0178】
ある特定の実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は抗PD-1抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体)である。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、及びCT-011からなる群から選択される。ニボルマブ(MDX-1106-04、MDX-1106、ONO-4538、BMS-936558、及びOPDIVOとしても知られている)は、は、国際特許出願第WO2006/121168号に記載される抗PD-1抗体である。この文献の開示は、その全体が本明細書において組み込まれている。ペムブロリズマブ(MK-3475、Merck 3475、ランブロリズマブ、KEYTRUDA、及びSCH-900475としても知られている)は、国際特許出願第WO2009/114335号に記載される抗PD-1抗体である。この文献の開示は、その全体が本明細書において組み込まれている。CT-011(ピディリズマブとしても知られている)は、国際特許出願第WO2009/101611号に記載される抗PD-1抗体である。この文献の開示は、その全体が本明細書において組み込まれている。追加の抗PD-1抗体としては、PDR001(Novartis、WO2015/112900を参照されたい)、MEDI-0680(AMP-514)(AstraZeneca、WO2012/145493を参照されたい)、REGN-2810(Sanofi/Regeneron、WO2015/112800を参照されたい)、JS001(Taizhou Junshi)、BGB-A317(Beigene、WO2015/35606を参照されたい)、INCSHR1210(SHR-1210)(Incyte/Jiangsu Hengrui Medicine、WO2015/085847を参照されたい)、TSR-042(ANB001)(Tesara/AnaptysBio、WO2014/179664を参照されたい)、GLS-010(Wuxi/Harbin Gloria Pharmaceuticals)、AM-0001(Armo/Ligand)、またはSTI-1110(Sorrento、WO2014/194302を参照されたい)が挙げられ、これらの全ては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0179】
ある実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤はPD-L1結合アンタゴニスト、例えば、拮抗性PD-L1抗体である。典型的な抗PD-L1抗体は、テセントリク(アテゾリズマブ)、デュルバルマブ、アベルマブ、セミプリマブ、STI-1014(Sorrento、WO2013/181634を参照されたい)、またはCX-072(CytomX、WO2016/149201を参照されたい)から選択することができる。ある特定の実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、MEDI4736としても知られるデュルバルマブ、MPDL3280Aとしても知られるアテゾリズマブ、またはMSB00010118Cとしても知られるアベルマブなどのPD-L1アンタゴニストである。
【0180】
ある実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4結合アンタゴニスト(CTLA-4がそのリガンド結合パートナーに結合することを阻害することが可能な分子)である。CTLA-4は、T細胞の表面上に見出され、それぞれB7-1及びB7-2とも呼ばれる、抗原提示細胞の表面上のCD80またはCD86に結合したときに「オフ」スイッチとして機能する。CTLA4は、ヘルパーT細胞の表面上で発現され、T細胞に抑制信号を伝達する免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーである。ある特定の実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、抗CTLA-4抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体)である。抗CTLA-4抗体は、米国特許第8,119,129号、国際特許出願第WO01/14424号、同第WO98/42752号、同第WO00/37504号(CP675,206、トレメリムマブとしても知られる。旧チシリムマブ)、米国特許第6,207,156号、Hurwitz et al.,1998に開示され、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。CTLA-4と結合するためにこれらの当該技術分野で認められている抗体のいずれかと競合する抗体を用いることもでき、例えば、国際特許出願第WO2001014424号、同第WO2000037504号、及び米国特許第8,017,114号に記載されているヒト化CTLA-4抗体であり、これらの開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。例示的な抗CTLA-4抗体には、イピリムマブ(10D1としても知られている、MDX-010、MDX-101、及びヤーボイ)が含まれる。
【0181】
ある特定の実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、B7-H4に対する抗体(例えば、国際特許出願第WO2013025779号及び同第WO2013067492号に開示されるものであり、これらの開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)である。ある特定の実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、ヒトB7-H3を中和する抗体(例えば、BRCA84Dとして開示されるMGA271、及び米国特許公開第20120294796号における誘導体であり、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を含むが、これらに限定されないB7-H3に対する抗体である。ある特定の実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、NKG2Aに対する抗体であり、例えば、Montfoort et al.Cell(2018)175(7):1744-1755を参照されたく、この文献の開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0182】
ある実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤はマクロファージチェックポイント阻害である。例えば、CD47は、優勢なマクロファージチェックポイントとして特定されており、マクロファージによる食作用の腫瘍回避に至る骨髄性悪性腫瘍において過剰発現することが分かっている。CD47阻害は白血病細胞の飲み込みとなることが示されており、前臨床データは、AML及び骨髄異形成症候群(MDS)を含む複数の血液悪性腫瘍において抗がん作用を示している。例えば、Chao et al.Frontiers in Oncology(2019)9:1380を参照されたい。したがって、ある実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤はCD47に対する抗体である。
【0183】
ある特定の態様において、本明細書で提供される方法は、1つ以上の血管新生剤を含む第2の治療と組み合わせて有用である。したがって、本明細書で提供される方法は、抗血管新生療法と組み合わせて有用である。新しい血管の形成、または血管新生によって、腫瘍に専用の血液供給をもたらして、その増殖にとって必要な酸素及び必須栄養素を与えることによって、がん増殖及び転移が促進される。血管新生及び関連する成長因子(例えば、限定することなく、血管内皮増殖因子(VEGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、及び線維芽細胞成長因子(FGF))を標的とした治療は、新しい血管の成長を阻害することが示されている。
【0184】
多くの抗血管新生剤が当該技術分野で知られており、本明細書で提供される方法と組み合わせて用いることに適しているであろう。例示的な抗血管新生剤として、成長因子(例えば、ANG-2、NK1、2、4(HGF)、形質転換成長因子ベータ(TGF-β))、サイトカイン(例えば、IFN-α、-β、-γ、血小板因子4(PF-4)、PR-39などのインターフェロン)、プロテアーゼ(例えば、切断されたAT-III、コラーゲンXVIII断片(エンドスタチン))、HmwKallikrein-d5プラスミン断片(アンジオスタチン)、プロトロンビン-F1-2、TSP-1)、プロテアーゼ阻害剤(例えば、TIMP-1、-2、または-3などのメタロプロテアーゼの組織阻害剤、マスピン、PAI-1などのプラスミノゲン活性化因子阻害剤、色素上皮由来因子(PEDF))、タムスタチン、抗体産物(例えば、コラーゲン結合抗体HUIV26、HU177、XL313、抗VEGF:アンチインテグリン(例えば、Vitaxin、(Lxsys))、及びグリコシダーゼ(例えば、ヘパリナーゼ-Iまたは-II))などの生理学的薬剤が挙げられるが、これらに限定されない。血管新生関連抗原(タンパク質及びポリペプチドを含む)に対するアンタゴニストである分子も好適であり、例えば、限定することなく、VEGF、VEGF受容体、EGFR、bFGF、PDGF-B、PD-ECGF、TGF-αを含むTGF、エンドグリン、Idタンパク質、様々なプロテアーゼ、一酸化窒素シンターゼ、アミノペプチダーゼ、トロンボスポンジン、k-ras、Wnt、サイクリン依存性キナーゼ、微小管、熱ショックタンパク質、ヘパリン結合因子、シンターゼ、コラーゲン受容体、インテグリン、及び表面プロテオグリカンNG2に向けられた分子を含む。抗血管新生の可能性があることが知られているか、またはあると考えられる「化学」または改変された生理学的薬剤としては、例えば、ビンブラスチン、タキソール、ケトコナゾール、サリドマイド、ドレスタチン、コンブレスタチンA、ラパマイシン(Guba,et al.Nature Medicine(2002)8:128-135、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、CEP-7055(Cephalon,Inc.から入手可能)、フラボン酢酸、Bay 12-9566(Bayer Corp.)、AG3340(Agouron,Inc.)、CGS.27023A(Novartis)、テトラシルシン誘導体(例えば、COL-3(Collagenix,Inc.))、Neovastat(Aeterna)、BMS-275291(Bristol-Myers Squibb)、低用量5-FU、低用量メトトレキサート(MTX)、イルソフラジン、ラディシコール、シクロスポリン、カプトプリル、セレコキシブ、D45152-硫酸化多糖類、カチオン性タンパク質(プロタルニン)、カチオン性ペプチド-VEGF、スラミン(ポリスルホン化ナフチル尿素)、VEGFの機能または産生を妨げる化合物(例えば、SU5416またはSU6668(Sugen)、PTK787/ZK22584(Novartis))、ディスタマイシンA、Angiozyme(リボザイム)、イソフラビノイド、スタウロスポリン誘導体、ゲニステイン、EMD121974(Merck KcgaA)、チルホスチン、イソキノロン、レチノイン酸、カルボキシアミドトリアゾール、TNP-470、オクトレオチド、2-メトキシエストラジオール、アミノステロール(例えば、スクアラミン)、グルタチオン類似体(例えば、N-アセチル-L-システイン)、コンブレスタチンA-4(Oxigene)、Eph受容体ブロッキング剤(Himanen et al.Nature(2001)414(6866):933-938、その開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる)、Rh-アンジオスタチン、Rh-エンドスタチン(国際特許出願第WO01/93897号、その開示は、参照によりその全体が本明細書に取り込まれる)、環状RGDペプチド、アキュチン-ディスインテグリン、ベンゾジアゼピン(benzodiazepene)、ヒト化抗avb3 Ab、Rh-PAI-2、アミロライド、p-アミノベンズアミジン、抗uPA ab、抗uPAR Ab、L-フェニルアラニン-N-メチルアミド(例えば、バチミスタット、マリマスタット)、AG3340、及びミノサイクリンが挙げられる。
【0185】
ある実施形態において、抗血管新生剤は抗VEGF抗体である。例示的な抗VEGF抗体には、十分な親和性及び特異性を伴ってVEGFに結合してVEGFの生物活性を減らすかまたは阻害することができる任意の抗体(またはその抗原結合断片)が含まれる。ある特定の実施形態において、抗VEGF抗体は、限定されないが、ハイブリドーマATCC HB 10709によって産生されるモノクローナル抗VEGF抗体A4.6.1と同じエピトープに結合するモノクローナル抗体、Presta et al.Cancer Research(1997)57:4593-4599に従って生成される組換えヒト化抗VEGFモノクローナル抗体を含み、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ある実施形態において、抗VEGF抗体はベバシズマブ(BV)(rhuMAb VEGFまたはAVASTINとしても知られている)である。ベバシズマブ及び他のヒト化抗VEGF抗体は更に米国特許第6,884,879号に記載されており、この文献の開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。更なる抗体には、国際特許出願第WO2005/012359号及び同第WO2005/044853号に記載されている、例えば、G6-31及びB20-4.1が含まれ、これらの文献の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。更なる抗VEGF抗体が、米国特許第7,060,269号、同第6,582,959号、同第6,703,020号、及び同第6,054,297号、国際特許公報第WO98/45332号、同第WO96/30046号、及び同第WO94/10202号、欧州特許第EP0666868B1号、米国特許出願公開第2006009360号、同第20050186208号、同第20030206899号、同第20030190317号、同第20030203409号、及び同第20050112126号、及びPopkov et al.,Journal of Immunological Methods 288:149-164(2004)に記載されており、これらの文献の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。更なるVEGF阻害剤には以下が含まれる。スニチニブ(SUTENT(登録商標)、Pfizer)及びソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標)、Onyx and Bayer Healthcare Pharmaceuticals)。これらは、VEGFR及びPDGFRの両方に対する活性を伴うVEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤(RTKI)のグループに属する。ある特定の実施形態において、抗血管新生剤はスニチニブである。更に他のVEGF阻害剤には、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)へのリガンド結合を防止する融合タンパク質が含まれる。これらの融合タンパク質は、VEGFトラップと言われることがあり、アフリベルセプトを含む。したがって、ある実施形態において、抗血管新生療法は、ベバシズマブ、アフリベルセプト、スニチニブ、及びソラフェニブからなる群から選択される抗血管新生剤を含む。
【0186】
ある特定の態様において、本明細書で提供される方法は、1つ以上のポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤を含む第2の治療と組み合わせて有用である。したがって、本明細書で提供される方法はPARP阻害剤療法と組み合わせて有用である。PARPは、細胞における多くの機能(例えば、DNA修復、遺伝子発現、細胞周期制御、細胞内輸送、及びエネルギー代謝)に関与するタンパク質のファミリーである。PARPタンパク質は、塩基除去修復経路を通した一本鎖切断修復において重要な役割を担う。PARP阻害剤は、既存のDNA修復欠陥(例えばBRCA1及びBRCA2)を伴う腫瘍に対する単剤療法として、及びDNA損傷を誘発する抗がん剤とともに投与されるときの併用療法としての活性を示していた。PARP阻害剤は、低分子、核酸、核酸類似体または誘導体、ペプチド、ペプチド模倣薬、タンパク質、抗体またはその抗原結合断片、単糖類、二糖類、三糖類、オリゴ糖、多糖類、脂質、グリコサミノグリカン、生物学的材料から形成された抽出物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択してもよい。典型的なPARP阻害剤には、限定することなく、オラパリブ、ベリパリブまたはそのプロドラッグ、ルカパリブ、タラゾパリブ、ニラパリブ、INO-1001、AZD2461、SC10914、BGB-290、及びフルゾパリブが含まれる。したがって、ある特定の実施形態において、PARP阻害剤療法には、オラパリブ、ニラパリブ、ルカパリブ、及びベリパリブからなる群から選択されるPARP阻害剤が含まれる。
【0187】
がんの治療(例えば、がん療法)及び第2の療法(例えば、免疫チェックポイント療法、抗血管新生療法、PARP阻害剤療法)に有用な方法を含む本明細書に記載の併用療法は、がん療法及び第2の療法が同時に(例えば、実質的に同時に)または連続的に対象に投与される治療レジメンを包含する。例えば、本明細書に記載のがん療法は、第2の療法とともに対象に実質的に同時に投与することができる。実質的に同時の投与は、例えば、対象に、各治療の固定比率を有する単一剤形を投与するか、または各治療に対する単一剤形を複数投与することによって行うことができる。各治療は、任意の適切な経路(例えば、限定することなく、経口経路、静脈内経路、腫瘍内経路、筋肉内経路、及び粘膜組織を通した直接吸収を含む)によって、順次にまたは実質的に同時に投与することができる。
【0188】
ある特定の実施形態において、がん療法及び第2の療法は、同じ経路によって、または異なる経路によって投与される。例えば、選択された組み合わせのがん療法は、静脈内注射によって投与してもよく、その組み合わせの第2の療法は、腫瘍内投与してもよい。代替的に、例えば、全ての治療を静脈内投与してもよいし、または全ての治療薬を腫瘍内に投与してもよい。
【0189】
ある特定の実施形態において、併用療法は、他の生物学的に活性な成分及び非薬物療法(例えば、手術または放射線治療)と組み合わせて、がん療法及び第2の療法の投与を含むことができる。併用療法に更に非薬物処置が含まれる場合、非薬物処置は、治療及び非薬物処置の組み合わせの共作用からの有益な効果が達成される限り、任意の好適な時間に行ってもよい。
【0190】
E.薬学的組成物及び製剤
単位用量形態組成物などの薬学的組成物及び製剤を含む、本開示の白血病起源の改変細胞(例えば、下方調節されたCD47経路を含む白血病起源の改変細胞)を含む免疫原性組成物もまた提供される。薬学的組成物及び製剤は、概して、1つ以上の任意選択による薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。本開示の治療は、組成物、例えば、白血病起源の改変細胞(例えば、下方調節されたCD47経路を含む白血病起源の改変細胞)及び任意選択的に薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物(例えば、免疫原性薬学的組成物)にて構成することができる。
【0191】
ある特定の実施形態において、組成物は、本開示の白血病起源の改変細胞(例えば、下方調節されたCD47経路を含む白血病起源の改変細胞)を含む。ある特定の実施形態において、組成物は、本明細書に記載されるように、CD47及び/またはCD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する薬剤(例えば、結合ポリペプチド、低分子、低分子RNA、または操作されたヌクレアーゼ系)を更に含む。CD47及び/またはCD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する薬剤は、CD47及び/または白血病起源の改変細胞によって構成されるCD47経路のメンバーの枯渇及び/または阻害をもたらすために、有効量で組成物中に共製剤化され得る。
【0192】
本開示の下方調節されたCD47経路を含む白血病起源の改変細胞は、CD47経路のメンバーを枯渇させる及び/または阻害する薬剤で予めコーティングされてもよい。ある特定の実施形態において、下方調節されたCD47経路を含む白血病起源の改変細胞は、CD47を枯渇させる及び/または阻害する薬剤で予めコーティングされる。例えば、下方調節されたCD47経路を含む白血病起源の改変細胞は、抗CD47抗体で事前コーティングすることができる。例えば、Li et al.,Nature Comm.(2020)11:581を参照されたい。ある特定の実施形態において、組成物は、例えば、白血病起源の改変細胞を被覆する抗CD47抗体を更に含む。したがって、本開示は、白血病起源の改変細胞及び抗CD47抗体を含む組成物(例えば、免疫原性組成物)を提供する。本開示はまた、下方調節されたCD47経路及び抗CD47抗体を含む白血病起源の改変細胞を含む組成物(例えば、免疫原性組成物)を提供する。
【0193】
ある実施形態において、組成物は、少なくとも1つの更なる治療薬を含む(例えば、細胞増殖抑制作用または抗がん作用を有する第2の治療)。
【0194】
「薬学的製剤」という用語は、その中に含まれる活性成分の生物活性を有効にすることができる形態の調剤品であって、製剤が投与される対象に対して容認できないほどに毒性がある追加成分は含まない調剤品を指す。「薬学的に許容される担体」は、対象には無毒の、活性成分以外の薬学的製剤内の成分を指す。したがって、様々な好適な製剤がある。薬学的に許容される担体には、限定することなく、緩衝剤、賦形剤、安定剤、または防腐剤が含まれる。ある特定の実施形態において、担体の選択は、特定の細胞及び/または投与の方法によって部分的に決定される。薬学的に許容される担体には、生理学的に適合するありとあらゆる溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などが含まれる。ある特定の実施形態において、白血病起源の改変細胞(例えば、下方調節されたCD47経路を含む白血病起源の改変細胞)を含有する組成物用の担体は、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄または上皮投与(例えば、注射または注入による)に適している。ある実施形態において、好適な場合、例えば、低分子ベースの第2の治療では、第2の治療を含む組成物に対する担体は、非非経口(例えば、経口投与)に適している。本開示の薬学的組成物には、1つ以上の薬学的に許容される塩、抗酸化剤、水性及び非水性担体、及び/または例えば防腐剤、湿潤剤、乳化剤、及び分散剤などのアジュバントを含めることができる。ある特定の実施形態において、薬学的組成物は、防腐剤を含有することができる。好適な防腐剤は、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、及び塩化ベンザルコニウムを含み得る。ある特定の実施形態において、2つ以上の防腐剤の混合物が使用される。防腐剤またはその混合物は、典型的には、全組成物の約0.0001重量%~約2重量%の量で存在する。担体は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に記載されている。薬学的に許容される担体は、概して、使用する投与量及び濃度においてレシピエントには無毒であり、以下が含まれる(しかし、これらに限定されない)。緩衝剤、例えば、ホスフェート、シトレート、及び他の有機酸、アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤、防腐剤(例えば、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール、アルキルパラベン、例えば、メチルまたはプロピルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、及びm-クレゾール)、低分子量(約10残基未満)ポリペプチド、タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン、親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン、アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジン、単糖類、二糖類、及び他の炭水化物、例えば、グルコース、マンノース、またはデキストリン、キレート剤、例えば、EDTA、糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース、またはソルビトール、塩形成対イオン、例えば、ナトリウム、金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体)、及び/または非イオン界面活性剤、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)。
【0195】
ある実施形態において緩衝剤が組成物に含まれる。好適な緩衝剤としては、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸カリウム、及び様々な他の酸及び塩が挙げられる。ある特定の実施形態において、2つ以上の緩衝剤の混合物が使用される。緩衝剤またはその混合物は、典型的には、全組成物の約0.001重量%~約4重量%の量で存在する。投与可能な薬学的組成物を調製する方法が知られている。例示的な方法は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Lippincott Williams & Wilkins;21st ed.(May 1,2005)により詳細に記載される。
【0196】
製剤は水溶液を含むことができる。製剤または組成物はまた、それぞれの活性が互いに悪影響を及ぼさない、細胞に相補的な活性を有するもの等の細胞で治療される特定の適応症、疾患、または病態に有用な2つ以上の活性成分を含有してもよい。このような活性成分は、意図される目的に有効な量で、組み合わせて好適に存在する。したがって、ある特定の実施形態において、薬学的組成物は、他の薬学的に活性な薬剤または薬物、例えば、化学療法剤、例えば、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、メトトトレキサート、パクリタキセル、リツキシマブ、ビンブラスチン、及び/またはビンクリスチンを更に含む。ある特定の実施形態における薬学的組成物は、疾患または病態を治療または予防するのに有効な量、例えば、治療的有効量または予防的有効量で細胞を含有する。ある特定の実施形態における治療的または予防的有効性は、治療対象の定期的評価によってモニタリングされる。所望の投与量を、細胞の単回のボーラス投与、細胞の複数回のボーラス投与、または細胞の持続注入投与によって送達することができる。
【0197】
製剤には、経口投与、静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、経肺投与、経皮投与、筋肉内投与、鼻腔内投与、頬側投与、舌下投与、または坐剤投与のためのものが含まれる。ある実施形態において、細胞集団を非経口的に投与する。「非経口」という用語は、本明細書で使用される場合、静脈内、筋肉内、皮下、直腸内、膣内、及び腹腔内投与を含む。ある特定の実施形態において、細胞は、静脈内注射、腹腔内注射、または皮下注射による末梢全身性送達を使用して対象に投与される。
【0198】
ある特定の実施形態において、がんを治療するための方法は、白血病起源の改変細胞(例えば、下方調節されたCD47経路を含む白血病起源の改変細胞)を含む免疫原性組成物を投与することを含み、免疫原性組成物は、薬学的に許容される担体を更に含む。ある実施形態において、免疫原性組成物は皮内投与用に製剤化される。ある実施形態において、免疫原性組成物の投与は皮内である。ある実施形態において、免疫原性組成物は腹腔内投与用に製剤化される。ある実施形態において、免疫原性組成物の投与は腹腔内である。ある実施形態において、免疫原性組成物は腫瘍内投与用に製剤化される。ある実施形態において、免疫原性組成物の投与は腫瘍内である。
【0199】
ある実施形態において、免疫原性組成物を局所領域リンパ節投与用に製剤化される。ある実施形態において、免疫原性組成物の投与を局所領域リンパ節内に行う。ある実施形態において、局所領域リンパ節投与を卵巣癌の初期処置の間にまたはその後に行う。ある実施形態において、局所領域リンパ節投与を卵巣癌の初期処置の間にまたはその後に行い、初期処置には外科手術が含まれる。
【0200】
ある実施形態において、組成物は滅菌した液体調剤品として提供され、例えば、等張水溶液、懸濁液、エマルジョン、分散液、または粘性組成物であり、これらを、いくつかの態様において、選択したpHまで緩衝してもよい。液体調剤品は、通常、ゲル、他の粘性組成物、及び固体組成物よりも調製が容易である。追加的に、液体組成物は、特に注射によって、投与することが幾分より便利である。他方では、粘性組成物は、特定の組織とのより長い接触期間を提供するために、適切な粘度範囲内で製剤化することができる。液体または粘性組成物は、例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)、及びそれらの好適な混合物を含有する溶媒または分散媒であってもよい担体を含んでもよい。
【0201】
無菌注射液は、細胞を溶媒、例えば無菌水、生理食塩水、グルコース、デキストロースなどの適当な担体、希釈剤、賦形剤と混和して取り込むことによって調製できる。組成物は、投与経路及び所望の調剤品に応じて、湿潤剤、分散剤、または乳化剤(例えば、メチルセルロース)、pH緩衝剤、ゲル化もしくは粘度向上添加剤、防腐剤、香味剤、及び/または色剤などの補助物質を含有することができる。いくつかの態様において、標準テキストを参考にして好適な調剤品を調製してもよい。インビボ投与用に用いるべき製剤は概して、滅菌である。滅菌は、例えば滅菌濾過膜を通した濾過によって、容易に行い得る。
【0202】
組成物の安定性及び無菌性を改善する様々な添加物(例えば、抗菌防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、及び緩衝剤を含む)を加えることができる。微生物作用の防止は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、及びソルビン酸などの様々な抗菌剤及び抗真菌剤によって確実となり得る。注射可能な剤形の持続的吸収を、吸収を遅らせる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチン)を用いることによってもたらすことができる。
【0203】
本開示の薬学的組成物中の活性成分の実際の投与量レベルは、患者に過度に毒性であることなく、特定の患者、組成物、及び投与方法に対して所望の治療応答を達成するのに有効な量の活性成分を得るように変更することができる。選択した用量レベルは、使用する本開示の特定の組成物の活性、投与経路、投与時間、使用している特定の化合物の排泄速度、処置時間、他の薬剤、使用する特定の組成物と組み合わせて使用される化合物及び/または材料、年齢、性別、体重、症状、健康状態、及び処置している患者の既往歴、ならびに医術で良く知られている同様の要因、を含む様々な薬物動態学要因に依存する。本開示の組成物を、当該技術分野で良く知られている様々な方法のうちの1つ以上を用いて、1つ以上の投与経路を介して投与することができる。当業者には理解されるであろう通り、投与経路及び/または投与様式は、所望の結果に応じて変化するであろう。
【0204】
ある特定の実施形態において、組成物は、凍結保存剤(CPA)を含む。細胞の凍結保存のための方法は、当該技術分野で周知である。例えば、C.B.Morris,“Cryopreservaton of Animal and Human Cell Lines”(2007),in Methods in Molecular Biology,vol 368:Cryopreservation and Freeze-Drying Protocols,2nd Ed.(J.G.Day and G. N. Stacey eds.),Humana Press Inc.Totowa,N.J.,pp.227-236を参照されたく、これは全体が本明細書に取り込まれる。ある特定の実施形態において、CPAを含む組成物は、組成物内に含まれる材料(例えば、本明細書に記載される白血病起源の改変細胞)の構造的側面を保存するために、非常に低い温度を使用することを可能にする。概して、凍結保存及びCPAの使用は、組成物の非結晶相での固化を可能にする。通常は液体であるCPAは、凍結保存プロセスによる凍結傷害を軽減する。CPAは2つのカテゴリーに分類できる:(1)ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、及び1,2-プロパンジオール等の細胞膜透過性凍結保護剤、ならびに(2)2-メチル-2,4-ペンタンジオール等の非膜透過性凍結保護剤、ならびにポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルデンプン、及び様々な糖等のポリマー。好適なCPAとしては、限定されないが、CELLBANKER(登録商標)シリーズのCPA、CRYOSTOR(登録商標)シリーズのCPA、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチレングリコール、グリセロール、トレハロース、プロピレングリコール等が挙げられる。更に、アルギン酸塩、ポリビニルアルコール、及びキトサンなどの生体材料を使用して、従来の低分子とともに氷晶の成長を妨げることができる。
【0205】
本明細書において言及または引用した論文、特許、及び特許出願、ならびに他の全ての文献及び電子的に利用可能な情報の内容は、それぞれの個々の刊行物が参照により組み込まれることを具体的及び個別に示す場合と同じ程度まで、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。出願人は、任意のそのような論文、特許、特許出願、または他の物理的文書及び電子文書からのありとあらゆる資料及び情報を本出願に物理的に組み込む権利を留保する。
【0206】
本発明を、その特定の実施形態を参照して説明してきたが、当業者は、本発明の真の主旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更が行われてもよく、均等物が置き換えられてもよいことを理解されたい。本明細書で開示した実施形態の範囲から逸脱することなく好適な均等物を使用して、本明細書に記載の方法の他の好適な改変及び適合を施してもよいことが、当業者には容易に明らかとなるであろう。また、特定の状態、材料、物質の組成、プロセス、単数または複数のプロセスステップを、本発明の目的、主旨、及び範囲に適応させるために、多くの修正が行われてもよい。全てのこのような改変は、添付の特許請求の範囲内であることが意図されている。ここである特定の実施形態を詳細に説明したが、これは例示のためにのみ含まれ、限定することを意図するものではない以下の実施例を参照することによってより明確に理解されるであろう。
【実施例
【0207】
F.実験的実施例
実施例1:抗原提示細胞によるDCP-001の処理
DCP-001は、細胞株DCOneの分化及び成熟によって生成された成熟樹状細胞(DC)表現型を有する白血病起源の改変細胞を含む、同種異系細胞ベースのワクチンである。DCOneは、2012年11月15日にDSMZに受託番号DSMZ ACC3189でブダペスト条約の条件の下で寄託される。寄託されたDCOne細胞株から成熟細胞を得るプロセスは、例えばEP2931878B1に説明されており、この文献の開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0208】
DCP-001は、未成熟単球由来樹状細胞(iMoDC)によってエンドサイトーシスされることを見出した。VPD450染料を使用してiMoDCを標識し、CFSE染料を使用してDCP-001またはDCOne前駆体を標識した。VPD450標識iMoDCを、CFSE標識DCP-001またはDCOne前駆体(1:1の比)と37℃で4時間共培養した。次いで、細胞を、抗原提示細胞(APC)コンジュゲート抗CD274について、4℃で30分間染色した。図1は、全APC陽性iMoDC集団におけるVPD450/CFSE陽性集団として決定された、iMoDCによるDCP-001またはDCOne前駆体の取り込み率を示す。図1では、データは16~25の独立した実験を表しており、****は、独立t検定によって計算された統計的に有意な差を示し、p<0.0001である。
【0209】
DCP-001もまた、末梢血中の抗原提示細胞によって取り込まれることが見出された。末梢血単核細胞(PBMC)を、CFSE標識DCP-001またはDCOne前駆体と1:1の比で4時間共培養した。4時間の共培養後、細胞を、単球(CD14)、骨髄DC(CD11chi、HLA-DR、CD14)、形質細胞様DC(CD304、HLA-DR)、T細胞(CD3)、B細胞(CD19)として同定した。取り込みを定量化するために、PBMCの特定の亜集団におけるVPD450/CFSE陽性集団のパーセンテージを決定した。図2は、示されるように、PBMCの各特定の亜集団によるDCP-001またはDCOne前駆体の取り込み率を示す。図2では、データは3つの独立した実験を表し、平均値±SEMとして表され、*はHolm-Sidak法を使用した独立t検定によって計算された統計的に有意な差を示し、p<0.05であり、**p<0.01である。
【0210】
実施例2:DCP-001の処理におけるホスファチジルセリン(PS)及びCD47の役割
抗原提示細胞によるDCP-001の処理に関与する経路を解明するために、宿主iMoDCによるDCP-001またはDCOne前駆体(prog)の取り込みにおけるスカベンジャー受容体の役割を調査した。スカベンジャー受容体は、iMoDCによるDCP-001の取り込みにおいて冗長であることが見出された。実施例1に記載のiMoDC取り込みアッセイ中に、ポリイノシン酸(polyI、50μg/mL)、抗CD36抗体(50μg/mL)、抗CD204抗体(50μg/mL)、または抗LOX-1抗体(50μg/mL)から選択される薬剤を添加した。図3は、各薬剤の存在下でのiMoDCによるDCP-001またはDCOne前駆体の取り込み率を示す。図3では、データは3つの独立した実験を表し、平均±SEMとして表される。
【0211】
DCP-001及びDCOne前駆体の表面上のホスファチジルセリン(PS、図4A)、カルレチクリン(CRT、図4B)、及びCD47(図4C)の発現を、フローサイトメトリーによって決定した。DCP-001がPS、CRT、CD47を発現することが分かった。図4A図4Cでは、データは、DCP-001及びDCOne前駆体の4~6バッチから得られた値を表し、平均±SEMとして表される。図4Aにおいて、***は、独立t検定によって計算された、p<0.001の統計的に有意な差を示す。
【0212】
抗原提示細胞によるDCP-001の取り込みにおけるPS及びCRT(「私を食べて」シグナル)の役割を評価するために、精製された組換えアネキシンVまたはCRT特異的抗体を、DCP-001またはDCOne前駆体と共培養したiMoDCに添加した(それぞれ、図5A及び図5B)。図5Aに示すように、共培養へのアネキシンVの添加は、DCP-001の取り込み率の有意な減少をもたらした。図5Aでは、データは、3~4個の独立した実験を表し、平均値±SEMとして表され、*は、独立t検定によって計算された、p<0.05の統計的に有意な差を示す。図5Bに示すように、共培養へのCRT特異的抗体の添加は、DCP-001の取り込みの正規化されたパーセンテージの有意な減少をもたらした。取り込みの正規化されたパーセンテージは、対照に対してCRT特異的抗体の存在下で取り込みを正規化することによって計算された(抗体の不在下では、100%に設定された)。図5Bでは、データは、3~4個の独立した実験を表し、平均値±SEMとして表され、**は、独立t検定によって計算された、p<0.01の統計的に有意な差を示す。
【0213】
抗原提示細胞によるDCP-001の取り込みにおける「私を食べないで」シグナルCD47の役割を評価するために、CD47を標的とするモノクローナル抗体を、DCP-001またはDCOne前駆体と共培養したiMoDCに添加した(図5B)。図5Bに示すように、CD47の遮断は、DCP-001及びDCOne前駆体の両方の取り込みの増加をもたらした。図5Bでは、データは、3~4個の独立した実験を表し、平均値±SEMとして表され、*は、独立t検定によって計算された、p<0.05の統計的に有意な差を示し、**p<0.005である。
【0214】
実施例3:DCP-001の免疫原性
DCP-001及びDCOne前駆体(prog)を、PBMC刺激アッセイにおいて共培養によって6日間試験し、その後、上清を収集して、Luminexプラットフォーム上で多重分析を行った。図6A図6Hに示すように、DCP-001は、PBMCにおける様々な炎症誘発性サイトカイン(IL-1β、GM-CSF、IFN-γ、IL-2、TNF-α、及びIL-6)ならびにケモカイン(IL-8及びRANTES)の分泌を刺激することが見出された。データは、12の独立した実験を表し、平均値±SEMとして表す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】