(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】電力消費の原位置での最適化を用いる能動植え込み型医療用デバイス(AIMD)
(51)【国際特許分類】
A61N 1/378 20060101AFI20240305BHJP
A61N 1/36 20060101ALI20240305BHJP
A61N 1/32 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
A61N1/378
A61N1/36
A61N1/32
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556493
(86)(22)【出願日】2021-03-24
(85)【翻訳文提出日】2023-11-06
(86)【国際出願番号】 EP2021057548
(87)【国際公開番号】W WO2022199808
(87)【国際公開日】2022-09-29
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517285068
【氏名又は名称】シナジア メディカル
【氏名又は名称原語表記】Synergia Medical
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ドゲット,パスカル
(72)【発明者】
【氏名】ガルニエ,ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】ボトキン,ヨアン
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ02
4C053JJ11
4C053JJ21
4C053KK10
(57)【要約】
本発明は、組織の電気刺激のための能動植え込み型医療用デバイス(AIMD)において、AIMDが、光電力(Popt)の光エネルギーパルスを送るための、封入ユニット内に収容された、光源(53L)と、光エネルギーを封入ユニットの光源から組織結合ユニット(60)へ伝達するための刺激光ファイバ(41s)と、を備え、組織結合ユニット(60)が、電気回路(62)に属する電極(65)によって電気的に刺激されるべき組織に結合されるように構成されている、AIMDにおいて、PVユニットが、各ユニットが、並列に配置されたPp個の光起電セル(PVセル)を含む、直列に配置されたUs個のユニットを含み、Us及びPp∈Nであり、且つUs x Pp=N=一定であることと、電気回路(62)が、Usの値を変更するように構成されたスイッチを含むことと、代替的に、又は付随して、光源(53L)がアドレス指定可能な光エミッタアレイであることと、を特徴とするAIMDに関する。
【選択図】
図5(a)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織の電気刺激のための能動植え込み型医療用デバイス(AIMD)において、前記AIMDが、
● 皮下に植え込まれるのに適しており、ハウジング(50h)を含む封入ユニット(50)において、前記ハウジング(50h)が、
○ 光電力(Popt)の光エネルギーパルスを送るための、光源(53L)に結合された植え込み型エネルギーパルス発生器(IPG)(51)、
○ 前記IPG(51)を活性化するための電力源(52)において、変更可能な電池電力(Pbat)を発生するように構成された、電力源(52)、
○ 前記IPGに、時間の関数としての所与の光電力(Popt)の光エネルギーパルスを送るよう命令するように構成された植え込み型コントローラ(54)、
を内蔵する、封入ユニット(50)と、
● 光エネルギーを前記封入ユニットの前記光源から組織結合ユニット(60)へ伝達するための、前記光源に光学的に結合された近位端部、及び前記組織結合ユニット(60)に結合された遠位端部を含む刺激光ファイバ(41s)を含む植え込み型エネルギー伝達ユニット(40)と、
を備え、
● 前記組織結合ユニット(60)が、皮下に植え込まれ、前記封入ユニット(50)から分離された場所において組織に結合されるのに適しており、前記組織結合ユニット(60)が、
○ 支持する絶縁支持部(64)、
○ 所与の目標強度(It)の電気パルスを送るように構成された電気回路(62)、を含み、前記電気回路(62)が、
- 前記光ファイバによって伝送された前記光エネルギーパルスを前記目標強度(It)の電気エネルギーパルスに変換するために前記光ファイバ(41s)の前記遠位端部と光学的に接触するように位置付けられた、N≧2個の光起電(PV)セル(61p)を含む光起電ユニット(PVユニット)(61)、
- 前記電気エネルギーパルスをへ伝達するための電気導体、
- 前記絶縁支持部が前記組織に結合されたときに前記組織と電気接触するように前記絶縁支持部(64)上に装着された電極(61)、
を含む、AIMDにおいて、
● 前記PVユニットが、各ユニットが、並列に配置されたPp個の光起電セル(PVセル)を含む、直列に配置されたUs個のユニット、又は各ユニットが、直列に配置されたPs個のPVセルを含む、並列に配置されたUp個のユニットを含み、Us、Up、Pp、及びPs∈Nであり、且つUs x Pp=Up x Ps=N=一定であることと、
● 前記電気回路(62)が、Us及びUpの値を変更するように構成されたスイッチを含むことと、
● 前記電気回路(62)が、前記所与の目標強度(It)の前記電気パルスを生じさせるために必要とされる前記光エネルギーパルスの電力(Popt)が最小化されるよう、Us又はUpの最適値を生じさせるべく前記スイッチを制御するように構成されたスイッチ制御モジュールを含むことと、
を特徴とするAIMD。
【請求項2】
請求項1に記載のAIMDにおいて、Us又はUpの前記最適値を決定するように構成された調節ユニットを備え、前記電気回路(62)が、前記電極へ送られた前記電気パルスの電圧(u)及び/又は強度(I)の値を測定するように構成された感知ユニットを含み、前記電圧(u)及び/又は強度(I)の測定値が、Us又はUpの前記値を最適化するために前記調節ユニットによって用いられることを特徴とするAIMD。
【請求項3】
請求項2に記載のAIMDにおいて、前記調節ユニットが、以下のようにUs又はUpの前記最適値を決定するように構成されている、すなわち、
● 前記光電力(Popt)の所与の値のために、前記AIMDが植え込まれ、前記組織結合ユニット(60)が組織に結合されている時に、前記目標強度(It)に対応する目標電圧(ut)を決定又は測定すること、
● 前記目標電圧(ut)の値よりも大きく、且つそれに最も近い最大電圧(um1、um2、um4)を生じさせるUs又はUpの最適値を決定すること、
● Us又はUpの前記最適値を用いて、前記光エネルギーパルスの前記電力(Popt)を、前記目標強度(It)に到達するために必要とされる最適光電力(Popt1、Popt2、Popt4)に調整すること、
によって決定するように構成されていることを特徴とするAIMD。
【請求項4】
請求項3に記載のAIMDにおいて、前記調節ユニットが、以下のように前記目標電圧(ut)を決定又は測定するように構成されている、すなわち、
● Us=N(又はUp=1)である前記PVユニットの照射時に前記目標強度(It)の電流を生じさせることが知られた所与の光電力(Popt)の光パルスを発生して伝送し、前記目標電圧(ut)に対応する前記電極(61)間の電圧を測定すること、或いは
● 前記光電力(Popt)の任意の所与の値のために、及びUs=N(又はUp=1)として、
○ 前記電極(61)間の電圧(u)及び強度(I)を測定し、
○ |Z|=|u|/|I|を用いてインピーダンス(Z)を決定し、
○ |ut|=|Z| x |It|を用いて前記目標電圧(ut)を算出すること、
のどちらかによって決定又は測定するように構成されていることを特徴とするAIMD。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載のAIMDにおいて、前記光源(51L)が、アドレス指定可能な光エミッタアレイ、好ましくは、アドレス指定可能なレーザエミッタダイオードの、より好ましくは、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)のアレイ、又はアドレス指定可能な発光ダイオード(LED)のアレイであり、前記光エミッタアレイが、1つずつ独立して、又はアパーチャのサブグループによってアドレス指定可能なM>1個のアパーチャを含むことを特徴とするAIMD。
【請求項6】
請求項3又は5に記載のAIMDにおいて、前記調節ユニットが、前記目標強度(It)を発生するための最適光電力値(Popt=Popt1、Popt2、又はPopt4)を必要とするUsの前記最適値を決定すると、前記調節ユニットが、次に、前記最適光電力(Popt=Popt1、Popt2、又はPopt4)を発生するために必要とされる前記電池電力(Pbat)を最小化するよう1度にアドレス指定されるアパーチャの最適数(m≦M)を決定するように構成されていることを特徴とするAIMD。
【請求項7】
組織の電気刺激のための能動植え込み型医療用デバイス(AIMD)において、前記AIMDが、
● 皮下に植え込まれるのに適しており、ハウジング(50h)を含む封入ユニット(50)において、前記ハウジング(50h)が、
○ 光電力(Popt)の光エネルギーパルスを送るための、光源(53L)に結合された植え込み型エネルギーパルス発生器(IPG)(51)、
○ 前記IPG(51)を活性化するための電力源(52)において、変更可能な電池電力(Pbat)を発生するように構成された、電力源(52)、
○ 前記IPGに、時間の関数としての所与の電力(Popt)の光エネルギーパルスを送るよう命令するように構成された植え込み型コントローラ(54)、
を内蔵する、封入ユニット(50)と、
● 光エネルギーを前記封入ユニットの前記光源(53L)から組織結合ユニット(60)へ伝達するための、前記光源(53L)に光学的に結合された近位端部、及び前記組織結合ユニット(60)に結合された遠位端部を含む刺激光ファイバ(41s)を含む植え込み型エネルギー伝達ユニット(40)と、
を備え、
● 前記組織結合ユニット(60)が、皮下に植え込まれ、前記封入ユニット(60)から分離された場所において組織に結合されるのに適しており、前記組織結合ユニット(60)が、
○ 支持する絶縁支持部(64)、
○ 所与の目標強度(It)の電気パルスを送るように構成された電気回路(62)、を含み、前記電気回路(62)が、
- 前記光ファイバによって伝送された前記光エネルギーパルスを前記目標強度(It)の電気エネルギーパルスに変換するために前記光ファイバ(41s)の前記遠位端部と光学的に接触するように位置付けられた、1つ以上の光起電(PV)セル(61p)を含む光起電ユニット(PVユニット)(61)、
- 前記電気エネルギーパルスをへ伝達するための電気導体、
- 前記絶縁支持部が前記組織に結合されたときに前記組織と電気接触するように、前記絶縁支持部(64)上に装着された電極(61)、
を含む、AIMDにおいて、
● 前記光源(53L)が、アドレス指定可能な光エミッタアレイ、好ましくは、アドレス指定可能なレーザエミッタダイオードの、より好ましくは、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)のアレイ、又はアドレス指定可能な発光ダイオード(LED)のアレイであり、前記光エミッタアレイが、1つずつ独立して、又はアパーチャのサブグループによってアドレス指定可能なM>1個のアパーチャを含むことと、
● 前記植え込み型コントローラ(54)が、前記最適光電力(Popt)を発生するべく前記電池電力(Pbat)を最小化するよう、1度にアドレス指定されるアパーチャの最適数(m≦M)を決定するように構成されていることと、
を特徴とするAIMD。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載のAIMDにおいて、前記封入ユニットと前記組織結合ユニットとの間でデータを送信するための通信ユニットを備え、前記通信ユニットが、
● 前記組織結合ユニットの前記電気回路(62)に結合された光検出器(63p)及び/又は通信光源(63Lc)、好ましくは、LED、
● 前記封入ユニット内に内蔵された前記植え込み型コントローラ(54)に結合された光検出器(53p)及び/又は通信光源(53Lc)、好ましくは、LED、並びに
● 1本又は2本の通信光ファイバ、を含み、前記1本又は2本の通信光ファイバが以下のものとして構成されている、すなわち、
○ 前記刺激光ファイバ(41s)とは異なる、及び好ましくは、前記植え込み型エネルギー伝達ユニット(40)内に含まれる単一の通信光ファイバ(41c)において、前記単一の通信光ファイバが、それぞれ、前記封入ユニット内に内蔵された前記光検出器(53p)及び/又は前記通信光源(53Lc)と光学的に連通した前記封入ユニットに結合された近位端部、並びに前記組織結合ユニットの前記通信光源(63Lc)及び/又は前記光検出器(63p)と光学的に連通した前記組織結合ユニットに結合された遠位端部を含む、単一の通信光ファイバ(41c)、或いは
○ 2本の通信光ファイバにおいて、
■ 前記刺激光ファイバ(41s)とは異なる、及び好ましくは、前記植え込み型エネルギー伝達ユニット(40)内に含まれる第1の通信光ファイバにおいて、前記封入ユニット内に内蔵された前記光検出器(53p)と光学的に連通した前記封入ユニットに結合された近位端部、並びに前記組織結合ユニットの前記通信光源(63Lc)と光学的に連通した前記組織結合ユニットに結合された遠位端部を含む、第1の通信光ファイバ、及び
■ 刺激光ファイバ(41s)及び第1の通信光ファイバのどちらとも異なる、及び好ましくは、前記植え込み型エネルギー伝達ユニット(40)内に含まれる第2の通信光ファイバにおいて、前記封入ユニット内に内蔵された前記通信光源(53Lc)と光学的に連通した前記封入ユニットに結合された近位端部、及び前記組織結合ユニットの前記光検出器(63p)と光学的に連通した前記組織結合ユニットに結合された遠位端部を含む、第2の通信光ファイバ、
を含む、2本の通信光ファイバ、
のうちのどちらかとして構成されていることを特徴とするAIMD。
【請求項9】
請求項2又は8に記載のAIMDにおいて、前記調節ユニットが、
● 前記植え込み型コントローラ(54)内に完全に統合されており、
○ 前記感知ユニットによって測定された前記電極へ送られた前記電気パルスの前記電圧(u)及び/又は前記強度(I)の前記値、
○ 請求項3に記載のAIMDにおける、前記目標強度(It)に到達するためのUs及びPpの前記最適値、
○ 前記最適光電力(Popt)、
を決定するように構成されているか、
● 前記組織結合ユニット(60)の前記電気回路(62)に属する結合部分を含み、
○ 前記感知ユニットによって測定された前記電極へ送られた前記電気パルスの前記電圧(u)及び/又は前記強度(I)の前記値、
○ 請求項3又は4に記載のAIMDにおける、前記目標強度(It)に到達するためのUs又はUpの前記最適値及び前記光エネルギーパルスの前記最適光電力(Popt)、
を決定するように構成されており、
前記封入ユニット(50)内の前記植え込み型コントローラ(54)に属する封入部分を含み、
○ 前記最適光電力(Popt)の前記光エネルギーパルスを発生するための請求項7に記載のAIMDにおけるアパーチャの前記最適数(m)
を決定するように構成されていることを特徴とするAIMD。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のAIMDにおいて、前記封入ユニットと前記組織結合ユニットとの間で前記通信ユニットを介して送信される前記データが、
● 前記組織結合ユニットから前記封入ユニットへの、
○ 電気パルスが前記電極へ送られたことの確認、
○ 請求項2又は3に記載のAIMD内の前記感知ユニットによって測定された前記電極へ送られた前記電気パルスの前記電圧(u)及び/又は前記強度(I)の前記値、
○ 請求項3に記載のAIMDにおける、前記目標強度(It)を発生するための前記光エネルギーパルスの前記必要とされる光電力(Popt)の値、
のうちの1つ以上を含むもの、
● 前記封入ユニットから前記組織結合ユニットへの、
○ 前記目標強度(It)の前記値、
○ Us又はUpの前記最適値、
のうちの1つ以上を含むもの、
のうちの1つ以上を含むことを特徴とするAIMD。
【請求項11】
請求項9又は10に記載のAIMDにおいて、電力を前記封入ユニット(50)から前記組織結合ユニット(60)へ伝達するための電力伝達ユニットを備え、前記電力伝達ユニットが、
● 前記組織結合ユニットの前記電気回路(62)に結合された1つ以上の電力光起電セル(61p)、
● 前記封入ユニット内に内蔵された前記植え込み型コントローラ(54)に結合された電力光源(53Lp)、好ましくは、LED、並びに
● 好ましくは、前記植え込み型エネルギー伝達ユニット(40)内に含まれる、前記刺激光ファイバ(41s)とは異なる、及び好ましくは、前記1本又は2本の通信光ファイバ(41c、41c1、41c2)とは異なる電力光ファイバ(41p)において、前記電力光ファイバ(41p)が、前記封入ユニット内に内蔵された前記電力光源(53Lp)と光学的に連通した前記封入ユニットに結合された近位端部、及び前記電気回路(62)に通電するための、前記組織結合ユニットの前記1つ以上の電力光起電セル(61p)と光学的に連通した前記組織結合ユニットに結合された遠位端部を含む、電力光ファイバ(41p)、
を含むことを特徴とするAIMD。
【請求項12】
請求項11に記載のAIMDにおいて、前記通信光源(53Lc)が前記電力光源(56L)と同じであり、前記電力光ファイバ(41p)が前記単一の通信光ファイバ(41c)と同じであるか、又は前記第2の通信光ファイバと同じであることを特徴とするAIMD。
【請求項13】
請求項2、又は請求項2に従属するときの請求項3乃至11の何れか1項に記載のAIMDにおいて、前記PVユニットがNt個のPVセルを包含し、前記調節ユニットが、N≦Ntの異なる値を用いたUs又はUpの前記最適値を決定するように構成されていることを特徴とするAIMD。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の身体内に植え込まれるように構成された能動植え込み型医療用デバイス(AIMD(active implantable medical device))に関する。本発明のAIMDは、エネルギーパルスをIPGから電極へ伝達するための1つ以上のエネルギー伝達チェーンを備える光神経刺激器(=光AIMD)である。各エネルギー伝達チェーンは、光パルスを放出するための光源、光パルスを伝達するための光ファイバ、及び電極間の目標強度(It)の電流を生み出すために光パルスを電気パルスに変換するための光起電(PV(photovoltaic))ユニットを含む。本発明の光AIMDは、電池電力(Pbat)消費を低減するために、電極間の測定インピーダンス(Z)に応じて患者の身体内への光AIMDの植え込み後にエネルギー伝達チェーンの微調整の原位置での最適化を可能にする。具体的には、本発明の光AIMDは、一方では、PVユニットを構成する光起電セル構成、及び、他方では、光源の構成の最適化を可能にする。PVユニット及び光源のうちのいずれか一方又はその両方の原位置での最適化は電池電力消費の相当な低減をもたらす。
【背景技術】
【0002】
能動植え込み型医療用デバイス(AIMD)は、多数の障害、特に、神経障害を治療するために数十年にわたって用いられている。能動植え込み型医療用デバイス(AIMD)は、AIMDが、組織を刺激すること、バイタルサインを監視すること、及び同様のことなどによって、それらが植え込まれた身体と能動的に相互作用するように構成されているという点で、RFIDタグ及び同様のもののような(非能動)植え込み型医療用デバイス(IMD)と区別される。概して、AIMDは、植え込み物から、又はそれへエネルギーを伝達することができる。したがって、AIMDは、概して、電池、好ましくは、再充電可能電池などの、電力源を内蔵している。
【0003】
主な種類のAIMDは、パーキンソン病、てんかん、慢性痛、運動障害などの多数の障害を診断若しくは治療すること、及び多くの他の適用のために、電気パルスを神経組織(例えば、迷走神経若しくは脳組織のような神経など)又は筋肉へ送る、神経刺激器から成る。治療対象の組織、使用される電極の種類、及び電極間の距離に応じて、植え込まれた電極間において必要とされる電圧は、概して、およそ1~10Vである。このような電圧は、電気刺激を与える植え込み物が、概して、
図1(a)に示されるように2つの別個の構成要素で形成されるような寸法の電気パルス発生器及び電池を必要とする。一方は、治療対象の組織上に直接植え込まれる電極であり、他方は、適用に応じて身体内の様々な場所において皮下に植え込まれ得る、より大きい寸法の、及び封入ユニット内に内蔵された、電気パルス発生器である。封入体は、頭蓋領域、鎖骨下領域、下腹部区域若しくは臀部領域、及び同様のもの内に植え込まれ得る。封入ユニットは、概して、その機械的特性のために、及び生体適合性及び容易な加工性などの、他の理由のために、チタン(合金)で作製される。しかし、チタンで作製された封入体は、RF、可視、及びIR波長に対する透過性が低いか、又は透過性を有せず、MRIに適さず、熱及び撮像アーチファクトを発生する。一部の封入体は、可視及びIR光に対して不透明又は透明な、セラミック材料で作製された。ポリマーが封入体のために試行されたが、それらは、概して、耐久性及び耐湿性を欠く。
【0004】
図1(a)に示されるように、その最も単純な形態において、エネルギーパルスを送るためのデバイスは、封入ユニットのハウジング内に収容された植え込み型パルス発生器(IPG(implantable pulse generator))、組織結合ユニット、及びエネルギーを電気若しくは光エネルギーの形態でIPGから組織結合ユニットへ伝送するために組織結合ユニットをIPGに結合するエネルギー伝達リードを備える。光神経刺激器などの光駆動式AIMD(=光AIMD)は、光パルスを発生し、光ファイバを通じて光起電セルへ伝送し、光エネルギーを電気エネルギーに変換し、組織結合ユニットの電極間に電圧差を印加する特別な種類のAIMDであり、例えば、欧州特許第3113838(B1)号明細書に記載されている。光AIMDは、とりわけ、それらが、導線を通して電極へ導通される電気パルスを発生する「従来の」神経刺激器よりも相当に高いMRI適合性を示すという点で、有利である。しかし、光神経刺激器は、対処されるべき多数の課題を有する。
【0005】
具体的には、「従来の」神経刺激器では、IPGによって発生された電気パルスは導線を通して電極へ直接伝送されるときに、光神経刺激器では、電気パルスは、エネルギー伝達チェーンにおいて、
● 光エネルギーパルスを発生するための、IPGに属し、封入ユニット内に収容された光源、
● 光エネルギーパルスをへ伝達するための窓の形態の光フィードスルー、
● 封入ユニットの光源をへの組織結合ユニットに光学的に接続する光ファイバ、
● 光エネルギーパルスを目標強度(It)の電気パルスに変換するための組織結合ユニットに属する光起電(PV)ユニット、及び
● 電極につながった短い導線、
を含む、エネルギー伝達チェーンを介して伝送される。
【0006】
「従来の」神経刺激器における電気パルスの直接伝送とは異なり、光神経刺激器(=光AIMD)のエネルギー伝達チェーンは、注意深く最適化されなければ相当量になり得るエネルギー損失を様々な段階において発生する。IPGの光源によって発生された光パルスは、窓(時として光フィードスルーと称される)を通して封入ユニット外へ、及び光ファイバを介して組織結合ユニットへ伝送される。窓及び光ファイバはどちらも光エネルギーの部分を吸収又は反射する。これは、目標強度(It)の電流を電極において発生するために必要とされる光電力(Popt)の光パルスを伝送するために考慮されなければならない。電力(Popt)の光パルスは、光エネルギーを所与の強度の電流及び対応する電圧に変換する光起電セル(PVセル)のアレイに照射する。エネルギー変換プロセスは、とりわけ、光起電セルの数及び性能によって、並びにアレイ内のそれらの構成によって制約される。所与の電力(Popt)の光パルスの、PVセルによる、又はPVセルの所与のアレイによる、電極間の電流への転換は、
図7に示される種類のI=f(U)(又は(I-u))特性曲線によって支配される。PVセル(のアレイ)の(I-u)出力はPVセル(I-u)特性曲線、I=f(u)によって特徴付けられる。
図7に、その一例が実線で示されている。PVセル(アレイ)をその下流のインピーダンス(Z)に接続することによって、電流(I)及び電圧(u)が発生される。それらの値は、インピーダンス曲線(1/Z)(
図7、長破線参照)と(I-u)特性曲線との交点によって規定される。(P-u)曲線(
図7、短破線参照)は、PVセル又はPVセルアレイがどのぐらい効率的に利用されるかを指示する。(P-u)曲線の極大点は、最大電力点又は最大効率点(MPP(maximum power point))と呼ばれ、最大効率電圧(ue)において到達する最大効率電力(Pe)に対応する。PVセル、又はPVセルの所与のアレイをできるだけ最大効率点(MPP)の近くで用いることが明らかに望ましい。これは、伝統的に、PVセルの下流のインピーダンス(Z)の値を、最大効率電圧の値と等しい(又は少なくともそれよりも低く、且つできるだけそれに近い)(ut≦ue)、対応する目標電圧(ut)において(I-u)曲線と交わるように変更することによって、所与の目標強度(It)を発生するための最大電力点に追従すること(=MPPT、すなわち「最大電力点追従(maximum power point tracking)」)によって達成される。MPPTは、例えば、太陽電池パネルの効率を最適化するために広範に用いられている。しかし、光AIMDでは、PVセル又は所与のPVセルアレイの下流のインピーダンスの値を制御すること、ましてや、変更することは可能でない。実際に、インピーダンス(Z)は、とりわけ、一方では、患者によって当然異なる、組織の性質及び条件に依存し、他方では、組織結合ユニットを組織に植え込む外科医によって遭遇される条件、又は患者の動きに依存し得る、電極と、それらが結合された組織との間の電気接触に依存する。光AIMDを植え込み、それを試験する前にインピーダンスの値を予測する手立てはない。これらの理由のために、上述されたとおりのMPPTは、光AIMDにおけるPVセルの使用効率を最適化するために用いることができない。本文書では、分かりやすくするために、飽和まで強度が一定のままである、理想的な(I-u)特性曲線が提示される。実際には、I(u)が一定であるように表現された部分は、例えば、シャント抵抗のゆえに、水平から若干逸脱し、下方へ若干傾斜し得る。uの関数としてのIのこのわずかな依存性は本議論に影響を与えず、当業者によって容易に考慮され得る。
【0007】
PVセルの下流のインピーダンス(Z)を制御する手立てはないので、インピーダンス(Z)、及びそれゆえ、目標電圧(ut)の値は欠測しており、かなり広い範囲内で推定され得るのみであるため、PVユニットは工場における生産の間にせいぜいある程度最適化することができるのみである。したがって、光AIMDの生産者は、医師によって処方された目標強度(It)のパルスを必要とし、インピーダンス(Z)の高い値を呈する第1の患者を、同じ強度(It)のパルスを必要とし、インピーダンス(Z)のより低い値を呈する第2の患者と同じ光AIMDを用いて治療することができることを確実にするために、PVセルの特性を「特大サイズ」にしなければならない。したがって、光AIMDは、少なくとも第2の患者に対しては最適以下で(すなわち、最大効率点(MPP)から離れて)動作することになる。
【0008】
PVユニットの場合と同様に、光源の最適化は、以下の理由のために、工場における生産の間にせいぜいある程度達成されるのみである。第1に、組織へ送られるべき電流の目標強度(It)は医師によって個々の場合に応じて決定され、治療対象の病理及び患者に依存する。第2に、組織へ送られるべき目標強度(It)の電流を発生するために光電力(Popt)が使用される効率は、とりわけ、最大効率点(MPP)、PVユニットを形成するPVセル又はPVセルアレイに対する電極間に含まれる組織の部分のインピーダンス(Z)に依存する。目標強度(It)は、光AIMDが特定の患者にあてがわれて初めて知ることができるのみであり、インピーダンス(Z)は、光AIMDが植え込まれ、患者において原位置で試験された後に判明することができるのみである。
【0009】
この場合も先と同様に、これらの理由のために、光神経刺激器は、概して、最悪のシナリオのために設計され、電極間のインピーダンス(Z)の比較的高い値を仮定して、比較的高い強度の電流を分配することを可能にする。しかし、実際には、大抵の適用では、医師によって必要とされる目標強度の値、及び電極間で測定されるインピーダンスの値は、光神経刺激器が設計されたものよりも相当に低い。換言すれば、光神経刺激器が、推定電圧(u0=Z0 x I0)が最大効率電圧(ue)に近くなるよう、又はそれと等しくなるよう(すなわち、ue-u0≒0)、推定インピーダンス(Z0)のための、推定強度(I0)の電気パルスを送るように設計された場合には、この光神経刺激器は、目標強度(It<I0)の電気パルスを用いて治療されるべき、測定インピーダンス(Z<Z0)を有する患者において用いるには、それゆえ目標電圧の値が最大効率電圧の値からシフトすることになるため(すなわち、|ue-ut|>0≒|ue-u0|)、最適以下になるであろうことが明らかである。電力差、It x |ue-ut|は、PVセルの最適な使用に対する、熱及び同様のものの形で浪費及び消散される電力を表す。ut=ueである場合には、このとき、PVセルに与えられる光電力は最適に使用される。
【0010】
例えば、光AIMDは、およそI0=3mAの推定強度及びおよそ1.5kΩの推定インピーダンス(Z0)のパルスを発生するように設計され得、対応する推定電圧、u0=1.5kΩ x 3mA=4.5Vを生じさせる。しかし、大抵の場合は、およそ1mAの目標強度(It)が医師によって処方され得、多くの患者では、およそ1kΩ(概して、0.3~1.5kΩに及ぶ)のインピーダンス(Z)が測定され得、およそ1V(すなわち、ut=1V<u0=4.5V)の目標電圧(ut=Z x It)の値をもたらすのみである。1.5kΩのインピーダンスを伴ってIt=3mAの目標強度のパルスを発生するために設計された光AIMDは、およそ4.5V(すなわち、ue≒4.5V)の最大効率電圧(ue)の値を有するPVユニットを設けられなければならない。このような光AIMDは、1kΩのインピーダンスを伴ってIt=1mAの目標強度のパルスを送るのに適しはするが、目標電圧(ut=1V)が最大効率電圧(ue≒4.5V)から遠く離れることになるため、光AIMDは、それゆえ、効率の観点から言えば、最適以下の条件で機能することになるであろう。したがって、PVセルへ送られる光電力(Popt)の相当な部分は、目標強度(It)の電流を発生するために使用されず、その代わりに、熱及び同様のものの形で消散されるということになる。これは、仮に光AIMDが効率の観点から最適条件で機能すれば必要とされるであろうものよりも高い電池電力(Pbat)が、目標強度(It)を電極へ送るために必要とされるという、植え込み型光AIMDにとっての大きな欠点を有する。電池電力を節約することが光AIMDにおける主要な目標になる。なぜなら、それは植え込み型光AIMDの有効寿命を延ばし、再充電可能電池の場合には、それは、患者にとって非常に煩わしく、不快である、2つの充電セッション間の時間を増大させるからである。
【0011】
図1(e)に示されるように、患者の組織内における電荷の蓄積を防止するために、刺激時間(ts)にわたる電極への目標強度(It)の電流の刺激パルス又は刺激パルス列の送信後に、回復時間(tr)にわたる回復強度(Ir)の回復パルスの送信が行われることが好ましい。回復パルスは、以下のようなものである。
● 比、Ir/It<0、すなわち、回復強度は目標強度と反対の符号を有する、
● |It|≧|Ir|、及び
● |Qs|=|It x ts|≒|Qr|=|Ir x tr|、ここで、Qs及びQrは、それぞれ、組織上に堆積される刺激及び回復電荷である。
【0012】
刺激及び回復パルスを送信するための、封入ユニットと組織結合ユニットとの間のエネルギー伝達チェーンの重複を回避するために、刺激パルス及び回復パルスの両方を伝達するのに同じエネルギー伝達チェーンを用いること、すなわち、同じ光源、同じ光ファイバ、及び同じPVユニットを用いることが好ましい。しかし、|It|>|Ir|であるため、推定強度(I0)よりも小さい目標強度(It)の刺激パルスのために最適以下で機能する最悪のシナリオ(すなわち、推定強度(I0)及び推定インピーダンス(Z0)の高い値)のために事前に設計された光神経刺激器のエネルギー伝達チェーン(上述の説明参照)は、目標強度(It)よりも低い大きさの回復強度(Ir)(すなわち、Ir<It<I0)の回復パルスを伝達するために、よりいっそう最適でなくなる。これは、電池電力(Pbat)消費にとって、及び、究極的には、患者の快適性にとって有害である。
【0013】
本発明は、患者において直接測定された組織のインピーダンスに依存して植え込み型光AIMDのエネルギー消費を低減するためのソリューションを提案する。我々の知るかぎり初めて、本発明の光AIMDを用いることで、光AIMDが患者に植え込まれた後に原位置でエネルギー伝達チェーンの最適化を完了することができる。本発明のこれら及び他の利点が続いて提示される。
【発明の概要】
【0014】
本発明は添付の独立請求項において定義される。好ましい実施形態は従属請求項において定義される。詳細には、本発明は、組織の電気刺激のための能動植え込み型医療用デバイス(AIMD)において、AIMDが、
● 皮下に植え込まれるのに適しており、ハウジングを含む封入ユニットにおいて、ハウジングが、
○ 光電力(Popt)の光エネルギーパルスを送るための、光源に結合された植え込み型エネルギーパルス発生器(IPG)、
○ IPGを活性化するための電力源において、変更可能な電池電力(Pbat)を発生するように構成された、電力源、
○ IPGに、時間の関数としての所与の光電力(Popt)の光エネルギーパルスを送るよう命令するように構成された植え込み型コントローラ、
を内蔵する、封入ユニットと、
● 光エネルギーを封入ユニットの光源から組織結合ユニットへ伝達するための、光源に光学的に結合された近位端部、及び組織結合ユニットに結合された遠位端部を含む刺激光ファイバを含む植え込み型エネルギー伝達ユニットと、
を備え、
● 組織結合ユニットが、皮下に植え込まれ、封入ユニットから分離された場所において組織に結合されるのに適しており、組織結合ユニットが、
○ 支持する絶縁支持部、
○ 所与の目標強度(It)の電気パルスを送るように構成された電気回路を含み、電気回路が、
- 光ファイバによって伝送された光エネルギーパルスを目標強度(It)の電気エネルギーパルスに変換するために光ファイバの遠位端部と光学的に接触するように位置付けられた、N≧2個の光起電(PV)セルを含む光起電ユニット(PVユニット)、
- 電気エネルギーパルスをへ伝達するための電気導体、
- 絶縁支持部が組織に結合されたときに組織と電気接触するように、絶縁支持部上に装着された電極、
を含むことを特徴とするAIMDに関する。
【0015】
本発明の要点は、
● PVユニットが、各ユニットが、並列に配置されたPp個の光起電セル(PVセル)を含む、直列に配置されたUs個のユニット、又は各ユニットが、直列に配置されたPs個のPVセルを含む、並列に配置されたUp個のユニットを含み、Us、Up、Pp、及びPs∈Nであり、且つUs x Pp=Up x Ps=N=一定であることと、
● 電気回路が、Us及びUpの値を変更するように構成されたスイッチを含むことと、
● 電気回路が、所与の目標強度(It)の電気パルスを生じさせるために必要とされる光エネルギーパルスの電力(Popt)が最小化されるよう、Us又はUpの最適値を生じさせるべくスイッチを制御するように構成されたスイッチ制御モジュールを含むこと、である。
【0016】
好ましい実施形態では、AIMDは、Us又はUpの最適値を決定するように構成された調節ユニットを備え、電気回路は、電極へ送られた電気パルスの電圧(u)及び/又は強度(I)の値を測定するように構成された感知ユニットを含み、電圧(u)及び/又は強度(I)の測定値は、Us又はUpの値を最適化するために調節ユニットによって用いられる。調節ユニットは、例えば、以下のようにUs又はUpの最適値を決定するように構成され得る、すなわち、
● 光電力(Popt)の所与の値のために、AIMDが植え込まれ、組織結合ユニットが組織に結合されている時に、目標強度(It)に対応する目標電圧(ut)を決定又は測定すること、
● 目標電圧(ut)の値よりも大きく、且つそれに最も近い最大電圧(um1、um2、um4)を生じさせるUs又はUpの最適値を決定すること、
● Us又はUpの最適値を用いて、光エネルギーパルスの電力(Popt)を、目標強度(It)に到達するために必要とされる最適光電力(Popt1、Popt2、Popt4)に調整すること、
によって決定するように構成され得る。
【0017】
例えば、調節ユニットは、以下のように目標電圧(ut)を決定又は測定するように構成され得る、すなわち、
● Us=NであるPVユニットの照射時に目標強度(It)の電流を生じさせることが知られた所与の光電力(Popt)の光パルスを発生して伝送し、目標電圧(ut)に対応する電極(61)間の電圧を測定すること、或いは
● 光電力(Popt)の任意の所与の値のために、及びUs=Nとして、
○ 電極(61)間の電圧(u)及び強度(I)を測定し、
○ |Z|=|u|/|I|を用いてインピーダンス(Z)を決定し、
○ |ut|=|Z| x |It|を用いて目標電圧(ut)を算出すること、
のどちらかによって決定又は測定するように構成され得る。
【0018】
光源は、好ましくは、アドレス指定可能な光エミッタアレイ、好ましくは、アドレス指定可能なレーザエミッタダイオードの、より好ましくは、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)のアレイ、又はアドレス指定可能な発光ダイオード(LED)のアレイであり、光エミッタアレイは、1つずつ独立して、又はアパーチャのサブグループによってアドレス指定可能なM>1個のアパーチャを含む。調節ユニットが、目標強度(It)を発生するための最適光電力値(Popt=Popt1、Popt2、又はPopt4)を必要とするUsの最適値を決定すると、調節ユニットは、次に、最適光電力(Popt=Popt1、Popt2、又はPopt4)を発生するために必要とされる電池電力(Pbat)を最小化するよう1度にアドレス指定されるアパーチャの最適数(m≦M)を決定するように構成されている。
【0019】
また、本発明は、組織の電気又は光刺激のためのAIMDにおいて、AIMDが、
● 皮下に植え込まれるのに適しており、ハウジングを含む封入ユニットにおいて、ハウジングが、
○ 光電力(Popt)の光エネルギーパルスを送るための、光源に結合された植え込み型エネルギーパルス発生器(IPG)、
○ IPGを活性化するための電力源において、変更可能な電池電力(Pbat)を発生するように構成された、電力源、
○ IPGに、時間の関数としての所与の電力(Popt)の光エネルギーパルスを送るよう命令するように構成された植え込み型コントローラ、
を内蔵する、封入ユニットと、
● 光エネルギーを封入ユニットの光源から組織結合ユニットへ伝達するための、光源に光学的に結合された近位端部、及び組織結合ユニットに結合された遠位端部を含む刺激光ファイバを含む植え込み型エネルギー伝達ユニットと、
を備え、
● 組織結合ユニットが、皮下に植え込まれ、封入ユニットから分離された場所において組織に結合されるのに適しており、組織結合ユニットが、
○ 支持する絶縁支持部、
○ 所与の目標強度(It)の電気パルスを送るように構成されたオプトロード又は電気回路、を含み、オプトロード又は電気回路が、
- 光ファイバによって伝送された光エネルギーパルスを目標強度(It)の電気エネルギーパルスに変換するために光ファイバの遠位端部と光学的に接触するように位置付けられた、1つ以上の光起電(PV)セルを含む光起電ユニット(PVユニット)、
- 電気エネルギーパルスをへ伝達するための電気導体、
- 絶縁支持部が組織に結合されたときに組織と電気接触するように、絶縁支持部上に装着された電極、
を含むことを特徴とするAIMDに関する。
【0020】
AIMDは、
● 光源が、アドレス指定可能な光エミッタアレイ、好ましくは、アドレス指定可能なレーザエミッタダイオードの、より好ましくは、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)のアレイ、又はアドレス指定可能な発光ダイオード(LED)のアレイであり、光エミッタアレイが、1つずつ独立して、又はアパーチャのサブグループによってアドレス指定可能なM>1個のアパーチャを含むことと、
● 植え込み型コントローラが、最適光電力(Popt)を発生するべく電池電力(Pbat)を最小化するよう、1度にアドレス指定されるアパーチャの最適数(m≦M)を決定するように構成されていることと、
を特徴とする。
【0021】
AIMDは、以上において定義されたとおりの調節ユニットを備えることを備えることができ、調節ユニットは、
● 植え込み型コントローラ内に完全に統合されており、
○ 感知ユニットによって測定された電極へ送られた電気パルスの電圧(u)及び/又は強度(I)の値、
○ 上述されたとおりのAIMDにおける、目標強度(It)に到達するためのUs及びPpの最適値、
○ 上述されたとおりの最適光電力(Popt)、
を決定するように構成されているか、
● 組織結合ユニット(60)の電気回路に属する結合部分を含み、
○ 感知ユニットによって測定された電極へ送られた電気パルスの電圧(u)及び/又は強度(I)の値、
○ 請求項3又は4に記載のAIMDにおける、目標強度(It)に到達するためのUs又はUpの最適値及び光エネルギーパルスの最適光電力(Popt)、
を決定するように構成されているか、
封入ユニット内の植え込み型コントローラに属する封入部分を含み、
○ 最適光電力(Popt)の光エネルギーパルスを発生するための以上において定義されたとおりのAIMDにおけるアパーチャの最適数(m)
を決定するように構成されている。
【0022】
好ましい実施形態では、封入ユニットと組織結合ユニットとの間で通信ユニットを介して送信されるデータは、
● 組織結合ユニットから封入ユニットへの、
○ 電気パルスが電極へ送られたことの確認、
○ 上述されたとおりのAIMD内の感知ユニットによって測定された電極へ送られた電気パルスの電圧(u)及び/又は強度(I)の値、
○ 請求項3に記載のAIMDにおける、目標強度(It)を発生するために必要とされる光エネルギーパルスの光電力(Popt)の値、
のうちの1つ以上を含むもの、
● 封入ユニットから組織結合ユニットへの、
○ 目標強度(It)の値、
○ Us又はUpの最適値、
のうちの1つ以上を含むもの、
のうちの1つ以上を含む。
【0023】
好ましい実施形態では、AIMDは、電力を封入ユニットから組織結合ユニットへ伝達するための電力伝達ユニットを備え、電力伝達ユニットは、
● 組織結合ユニットの電気回路に結合された1つ以上の電力光起電セル、
● 封入ユニット内に内蔵された植え込み型コントローラに結合された電力光源、好ましくは、LED、並びに
● 好ましくは、植え込み型エネルギー伝達ユニット内に含まれる、刺激光ファイバとは異なる、及び好ましくは、1本又は2本の通信光ファイバとは異なる電力光ファイバにおいて、電力光ファイバが、封入ユニット内に内蔵された電力光源と光学的に連通した封入ユニットに結合された近位端部、及び電気回路に通電するための、組織結合ユニットの1つ以上の電力光起電セルと光学的に連通した組織結合ユニットに結合された遠位端部を含む、電力光ファイバ、
を含む。
【0024】
後者の実施形態のAIMDでは、通信光源)は電力光源と同じであり、電力光ファイバは単一の通信光ファイバと同じであるか、又は第2の通信光ファイバと同じである。
【0025】
AIMDのPVユニットはNt個のPVセルを包含し、調節ユニットは、好ましくは、N≦Ntの異なる値を用いたUs又はUpの最適値を決定するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の本質のより完全な理解のために、以下の詳細な説明を添付の図面と併せて参照する。
【0027】
【
図1a】
図1(a)は、本発明に係る光AIMDの全体図を示す。
【
図1b】
図1(b)は、
図1(a)の光AIMDの封入ユニットの図を示す。
【
図1c】
図1(c)は、
図1(a)の光AIMDのエネルギー伝達ユニットの図を示す。
【
図1d】
図1(d)は、
図1(a)の光AIMDの組織結合ユニットの図を示す。
【
図1e】
図1(e)は、|Qs|=|It x ts|≒|Qr|=|Ir x tr|となった、刺激パルス、及びそれに続く回復パルスの一例を示す。
【
図2a】
図2(a)は、直列に配置されたN=4個のPVセルを含むPVユニットを示す(Us=4、Pp=1)。
【
図2b】
図2(b)は、各ユニットが直列の2つのPVセルを含む、並列の2つのユニットの形で配置されたN=4個のPVセルを含むPVユニットを示す(Us=2、Pp=2)。
【
図2c】
図2(c)は、並列に配置されたN=4個のPVセルを含むPVユニット構成を示す(Us=1、Pp=4)。
【
図3a】
図3(a)は、直列に配置されたN=6個のPVセルを含むPVユニット構成を示す(Us=6、Pp=1)。
【
図3b】
図3(b)は、各ユニットが直列の3つのPVセルを含む、並列の2つのユニットの形で配置されたN=6個のPVセルを含むPVユニット構成を示す(Us=3、Pp=2)。
【
図3c】
図3(c)は、各ユニットが直列の2つのPVセルを含む、並列の3つのユニットの形で配置されたN=6個のPVセルを含むPVユニット構成を示す(Us=2、Pp=3)。
【
図3d】
図3(d)は、並列に配置されたN=6個のPVセルを含むPVユニット構成を示す(Us=1、Pp=6)。
【
図4a】
図4(a)は、N=4個のPVセル、並びに
図2(a)に示される構成を生じさせるようUs及びPpの値が変更されることを可能にするスイッチを含む本発明に係るPVユニットの実施形態を示す。
【
図4b】
図4(b)は、N=4個のPVセル、並びに
図2(b)に示される構成を生じさせるようUs及びPpの値が変更されることを可能にするスイッチを含む本発明に係るPVユニットの実施形態を示す。
【
図4c】
図4(c)は、N=4個のPVセル、並びに
図2(c)に示される構成を生じさせるようUs及びPpの値が変更されることを可能にするスイッチを含む本発明に係るPVユニットの実施形態を示す。
【
図5a】
図5(a)は、インピーダンス(Z1、Z2、Z4)の異なる値を伴う、
図2(a)~
図2(c)に係るその構成に依存した、N=4個のPVセルを含むPVユニットを特徴付けるI=f(u)特性曲線の一例を示し、光電力、Popt=P4は、目標強度(It)が、直列に配置されたN=4個のPVセルの構成(Us=4、Pp=1)のためのI=f(u)特性曲線に適合するように設定されている。
【
図5b】
図5(b)は、インピーダンスZ1のために最適化されたPVユニット構成を示す。
【
図5c】
図5(c)は、インピーダンスZ2のために最適化されたPVユニット構成を示す。
【
図5d】
図5(d)は、インピーダンスZ4のために最適化されたPVユニット構成を示す。
【
図5e】
図5(e)は、Nt=5及びN=4として、Poptを節約するためにNt個のうちの部分N個のPVセルのみを用いることが有利である、I=f(u)又は(I-u)特性曲線、曲線群の一例を示す。
【
図5f】
図5(f)は、
図5(e)において特徴付けられるNt=5個のPVセルを包含するPVセルにおいてUs=2、Pp=2を選択することによって、光電力(Popt)がどのように低減され得るのかを示す。
【
図5g】
図5(g)は、植え込みを受けた患者の母集団内で測定されたインピーダンス(Z)の値の密度分布の一例を示す。
【
図6a】
図6(a)は、1つずつ独立してアドレス指定可能なM=8個のアパーチャを含むVCSELアレイを示す。
【
図6b】
図6(b)は、アドレス指定されたアパーチャの数mの関数としての光エネルギー(Popt)の光パルスを放出するための
図6(a)のVCSELの電池電力(Pbat)消費を示す。黒点は、光電力(Popt)の異なる値(Popt1、Popt2、Popt4)のための最も効率的なVCSEL構成(mの値)を指示する。
【
図7】
図7は、対(ut、It)を指示するI=u/Z直線、及びPVユニットの効率を指示する曲線P=u x Iを含み、ut及びue値を示す、1つのPVセル、又はPVセルのアレイを含むPVユニットの典型的なI=f(u)又は(I-u)特性曲線を示す。
【
図8a】
図8(a)は、封入ユニットと組織結合ユニットとの間のエネルギー伝達チェーンの様々な実施形態を示す。
【
図8b】
図8(b)は、封入ユニットと組織結合ユニットとの間のエネルギー伝達チェーンの様々な実施形態を示す。
【
図8c】
図8(c)は、封入ユニットと組織結合ユニットとの間のエネルギー伝達チェーンの様々な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、患者の身体内に植え込まれるように構成された能動植え込み型医療用デバイス(光AIMD)(1)を含むシステムに関する。
図1(a)に示されるように、AIMDは、少なくとも、患者の身体内に皮下に植え込まれるのに適した封入ユニット(50)と、封入ユニット(50)から分離された場所において皮下に植え込まれ、組織に結合されるのに適した組織結合ユニット(60)と、封入ユニット(50)を組織結合ユニット(60)と光学的に連通させる刺激光ファイバ(41s)を含む植え込み型エネルギー伝達ユニット(40)と、を備える。
【0029】
封入ユニット(50)は、AIMDを活性化するために必要とされるほとんどの要素を内蔵する。大部分の場合、それは、刺激対象の組織に直接隣接して植え込むには大きすぎるため、封入ユニットは、概して、刺激対象の組織から離れた場所において植え込まれる。例えば、封入ユニットは患者の鎖骨下領域内に植え込むことができる。
図1(b)に示されるように、封入ユニット(50)はハウジング(50h)を含み、ハウジング(50h)は、
● 光電力(Popt)の光エネルギーパルスを送るための、光源(53L)に結合された植え込み型エネルギーパルス発生器(IPG)(51)、
● IPG(51)を活性化するための電力源(52)において、変更可能な電池電力(Pbat)を発生するように構成された、電力源(52)、
● IPGに、時間の関数としての所与の光電力(Popt)の光エネルギーパルスを送るよう命令するように構成された植え込み型コントローラ(54)、
を内蔵する。
【0030】
電力源(52)は、例えば、再充電可能であるか、又はそうでない、電池又はスーパーキャパシタを含む植え込み型供給源であることができるか、或いはそれは、例えば、体外の発生源から発生された磁界にさらされると電流を誘導するように構成された誘導コイルを含む、外部供給源であることができる。後者は、しばしば、人工内耳において実施される。
【0031】
組織結合ユニット(60)は、刺激対象の組織に直接結合されるように構成されている。
図1(c)に示されるように、組織結合ユニット(60)は、
● 支持する絶縁支持部(64)、
● 所与の目標強度(It)の電気パルスを送るように構成された電気回路(62)、を含み、電気回路(62)は、
○ 光ファイバによって伝送された光エネルギーパルスを目標強度(It)の電気エネルギーパルスに変換するために光ファイバ(41s)の遠位端部と光学的に接触するように位置付けられた、N≧2個の光起電(PV)セル(61p)を含む光起電ユニット(PVユニット)(61)、
○ 電気エネルギーパルスをPVユニットからへ伝達するための電気導体、
○ 絶縁支持部が組織に結合されたときに組織と電気接触するように、絶縁支持部(64)上に装着された電極(61)、
を含む。
【0032】
組織結合ユニット(60)は、植え込み型エネルギー伝達ユニット(40)に属する刺激光ファイバ(41s)を介して封入ユニットのIPG(51)によって送られた光エネルギーパルスを受け取る。刺激光ファイバ(41s)は、光源(53L)に光学的に結合された近位端部、及び組織結合ユニット(60)に結合された遠位端部を含む。刺激光ファイバ(41s)は、光エネルギーを封入ユニット(50)の光源(53L)から組織結合ユニット(60)へ伝達するように構成されている。
【0033】
上述の背景技術において説明されたように、光エネルギーパルスを封入ユニット(50)から組織結合ユニット(60)へ光学的に伝達し、光エネルギーパルスを電気パルスに変換することは、特に、エネルギー伝達チェーンのエネルギー損失の、数多くの課題に直面する。エネルギー伝達チェーンは、光パルスを放出するための光源、光パルスを伝達するための光ファイバ、及び電極間の目標強度(It)の電流を生み出すために光パルスを電気パルスに変換するための光起電(PV)ユニットで構成されている。
【0034】
電力源(52)は、光AIMDのエネルギー伝達チェーンに給電するための電池電力(Pbat)を供給する。電池電力(Pbat)は、上述されたとおりの任意の種類の電力源(52)によって発生され得、電池に限定されない。エネルギー損失は電池電力(Pbat)の消費を増大させ、これは植え込み型AIMDにとって大きな欠点である。本発明の光AIMDは、所望の電流目標強度(It)を電極(65)へ送るために必要とされる電池電力(Pbat)消費を、
● PVユニット(61)、及び/又は
● 光源(53L)
を原位置で最適化することによって、低減することを可能にする。
【0035】
本発明の要点は、患者の身体内にすでに植え込まれた光AIMDにおいて、PVユニット(61)及び光源(53L)のどちらか又は両方を最適化することができることである。光源(53L)が放出しなければならない光電力(Popt)、及びPVユニットが所望の目標電流を生じさせるために発生しなければならない目標電圧(vt)は、とりわけ、電極(65)間で測定されたインペンデンス(impendence)(Z)に依存するため、これは非常に重要である。インピーダンス(Z)の値は、植え込み型AIMDを有する患者において直接測定することのみ可能である。なぜなら、それは、組織結合ユニット(60)の電極(65)が結合された組織の種類、サイズ、及び健康、並びに光AIMDの外科的植え込み後に得られた電極と組織との間の実際の電気接触に依存するからである。本発明に係る光AIMDのエネルギー伝達チェーンは、光AIMDの損耗及び患者の動きを考慮するために、植え込み型光AIMDの有効寿命おきに最適化することができる。我々の知るかぎり、植え込み型光神経刺激器のエネルギー伝達チェーンが原位置及び生体内で最適化されることを可能にするソリューションが提案されるのはこれが初めてである。
【0036】
PVユニット(61)の最適化
本発明の第1の態様では、エネルギー伝達チェーンは、電極(65)間の目標強度(It)の電気パルスを発生するために必要とされる電池電力(Pbat)の消費を低減するべく、PVユニット(61)のレベルにおいて原位置で最適化することができる。本発明のPVユニット(61)はN≧2個の光起電(PV)セル(61p)を含む。PVユニットは、直列に配置された数Us個のユニットを含む。Us個のユニットの各々は、並列に配置された数Pp個の光起電セル(PVセル)を含む。本発明のPVユニットを規定する、代替的な、だが等価な仕方は、PVユニットが、並列に配置された数Up個のユニットを含むというものである。Up個のユニットの各々は、直列に配置された数Ps個のPVセルを含む。ユニットの数Us、Up、並びにPVセルのPp、及びPsは正の自然(整)数、1、2、3、…であり(すなわち、Us、Up、Pp、及びPs∈N)、且つUs x Pp=Up x Ps=N=一定である。以下において、議論は、通常、値Us及びNを用いることになる。Up、Ps、及びPpの他の対応する値の値は、上述の関係、Us x Pp=Up x Ps=Nを通じて一義的に決定され得る。
【0037】
図2(a)~
図2(c)は、全てのPVセルが用いられるときの、N=4個のPVセルを含むPVユニット(61)の3つの可能な構成(Us=4、2、又は1)を示す。
図2(a)では、Us=N=4(及びPp=1)であり、直列に配置された4つのPVユニットの構成に対応する。
図2(c)では、Us=1(及びPp=N=4)であり、並列に配置された4つのPVユニットの構成に対応する。
図2(b)では、Us=2(及びPp=2)であり、各ユニットが、並列に配置されたPp=2個のPVセルを含む、直列に配置されたUs=2個のユニットを有する(
図2(b)の左側の回路を参照)。
図2(b)の右側の等価回路は、各ユニットが、直列に配置されたPs=2個のPVセルを含む、並列に配置されたUp=2個のユニットという観点から最もうまく特徴付けられる。
【0038】
同様に、
図3(a)~
図3(d)は、N=6個のPVセルを含むPVユニット(61)の4つの可能な構成(Us=6、3、2、又は1)を示す。
図3(a)では、Us=N=6(及びPp=1)であり、直列に配置された6つのPVユニットの構成に対応する。
図3(d)では、Us=1(及びPp=N=6)であり、並列に配置された6つのPVユニットの構成に対応する。
図3(b)は、各ユニットが、並列に配置されたPp=2個のPVセルを含む、直列に配置されたUs=3個のユニットを有する、Us=3及びPp=2に対応するか、或いは、別の表現の仕方をすれば、各ユニットが、直列に配置されたPs=3個のPVセルを含む、並列に配置されたUp=2個のユニットを有する、Up=2及びPs=3に対応する構成を示す。同様に、
図3(c)は、各ユニットが、並列に配置されたPp=3個のPVセルを含む、直列に配置されたUs=2個のユニットを有する、Us=2及びPp=3に対応するか、或いは、別の表現の仕方をすれば、各ユニットが、直列に配置されたPs=2個のPVセルを含む、並列に配置されたUp=3個のユニットを有する、Up=3及びPs=2に対応する構成を示す。
【0039】
PVユニット(61)
図4(a)~
図4(c)に示されるように、電気回路(62)は、Us及びUpの値を変更するように構成されたスイッチ(S1~S6)を含む。電気回路(62)は、所与の目標強度(It)の電気パルスを生じさせるために必要とされる光エネルギーパルスの電力(Popt)が最小化されるよう、Us又はUpの最適値を生じさせるべくスイッチを制御するように構成されたスイッチ制御モジュールを含むことができる。スイッチ制御モジュールは、好ましくは、調節ユニットから受信された命令に従って、スイッチの位置(開/閉)を変更する。
【0040】
図4(a)~
図4(c)は、6つのスイッチ(S1~S6)を設けられた電気回路内に配置されたN=4個のPVセル(61p1~61p4)を含むPVセルの一実施形態を示す。
図4(a)は、直列に配置されたN=4個のPVセルの構成をもたらすスイッチ構成を示す。これは、Us=4及びPp=1(或いはUp=1及びPs=4)である、
図2(a)に示される構成に対応する。
【0041】
図4(a)の回路の全てのスイッチ(S1~S6)を切り替えることによって、Us=1及びPp=4(或いはUp=4及びPs=1)である
図2(c)の構成に対応する、N=4個のPVセルが並列に配置された、
図4(c)に示されるとおりの回路が得られる。
図4(b)は、各ユニットが、並列に配置されたPp=2個のPVセルを含む、並列に配置されたUs=2個のユニットを有する、Us=2及びPp=2(或いはUp=2及びPs=2)である
図2(b)に示されるものに対応する回路をもたらすために必要とされるスイッチ構成を示す。
【0042】
スイッチ構成(開/閉)はスイッチ制御モジュールによって変更され得る。
【0043】
Us及びPp(或いはUp及びPs)の最適化
スイッチ制御モジュールは、スイッチ構成がどのように変更されなければならないのかに関する命令を調節ユニットから受信することができる。調節ユニットは、Us又はUpの最適値を決定するように構成されており、完全に封入ユニット(50)内又は組織結合ユニット(60)内に収容され得るか、或いはそれは、部分的に封入ユニット内に、及び部分的に組織結合ユニット内に収容されてもよい。調節ユニットが部分的又は完全に封入ユニット(50)内に収容される場合には、命令をスイッチ制御モジュールへ伝送するための通信ユニットが必要とされる。電気回路(62)は、電極へ送られた電気パルスの電圧(u)及び/又は強度(I)の値を測定するように構成された感知ユニットを含み得る。例えば、電極(65)間の電圧を決定するために電圧比較器を用いることができる。電圧(u)及び/又は強度(I)のかくして測定された値は、その後、調節ユニットによって、Us又はUpの値を最適化するために用いられ得る。
【0044】
図5(a)は、Usの値に依存したN=4個のPVセルを含むPVユニット(61)の性能グラフの一例を示す。性能グラフは、PVユニット(61)内のPVセル(61p)の構成に依存した、PVユニット(61)が発生することができる電圧(u)の関数としての電流強度(I)を示す。強度は、概して医師によって規定される目標強度(It)と等しくなければならない。
図5(a)では、PVユニット(61)の性能はPVセルの(すなわち、Usの値の)構成に依存して相当に変化することを見ることができる。例えば、Us=4(すなわち、全てのN=4個のPVセルが直列に配置されている)によって特徴付けられるPVユニットは、低い強度(I)のために最も大きい電圧(u)を生じさせる。
図7、及び上述の背景技術におけるそれに関する説明を参照すると、PVユニット(61)は、目標電圧(ut)が最大効率電圧(ue)と等しいか、又はそれに近く、且つそれより小さくなるよう(すなわち、ut≒ue)、PVユニットの最適効率において、又はできるだけその近くで用いられなければならない。したがって、目標強度(It)を生じさせるために必要とされる目標電圧(ut)は、|ut|=|Z| x |It|と定義されるため(
図5(a)及び
図5(d)における傾き1/Z4の直線の破線を参照)、Us=N=4のこの構成は、インピーダンス(Z=Z4)の高い値を発生する患者内に植え込まれた光AIMDのために非常に適している。
【0045】
対照的に、Us=1(すなわち、全てのN=4個のPVセルが並列に配置されている)によって特徴付けられるPVユニットは、より高い強度(I)の電流のために最も低い電圧(u)を生じさせる。目標強度(It)を生じさせるために必要とされる目標電圧(ut)は、|ut|=|Z| x |It|と定義されるため(
図5(a)及び
図5(b)における傾き1/Z1の直線の破線を参照)、この構成は、インピーダンス(Z=Z1)の低い値を発生する患者内に植え込まれた光AIMDのために非常に適している。
【0046】
最後に、Us=2の構成を用いることで中間の電圧(u)及び強度(I)が得られる。したがって、この構成は、インピーダンス(Z=Z2)の中間の値を発生する患者内に植え込まれた光AIMDのために非常に適している。
【0047】
PVユニットの全てのPVセルを用いた(N=Nt)、Zの関数としてのUsの最適化
PVユニットは数Nt個のPVセルで形成され、本発明は、N≦Ntである、N個のPVセルを有するUsの最適値を決定することを目指す。本セクションでは、Usの最適値が、Ntと等しい数N個のPVセルのために決定される、すなわち、PVユニットの全てのPVセルが必ず用いられる、第1の実施形態が扱われる。
【0048】
図5(a)~
図5(d)に示される一実施形態では、調節ユニットは、以下のようにUs(又はUp)の最適値を決定するように構成されている、すなわち、
● 光電力(Popt)の所与の値のために、光AIMDが植え込まれ、組織結合ユニット(60)が組織に結合されている時に、目標強度(It)に対応する目標電圧(ut)を決定又は測定すること(例えば、電圧比較器を用いることができる)、
● 目標電圧(ut)の値よりも大きく、且つそれに最も近い最大電圧(um1、um2、um4)を生じさせるUs(又はUp)の最適値を決定すること、
● 前のステップにおいて決定されたUs(又はUp)の最適値を用いて、光エネルギーパルスの電力(Popt)を、目標強度(It)に到達するために必要とされる最適光電力(Popt1、Popt2、Popt4)に調整すること、
によって決定するように構成されている。
【0049】
第1の実施形態では、目標電圧(ut)の決定又は測定は、Us=N(又はUp=1)であるPVユニットの照射時に目標強度(It)の電流を生じさせることが知られた所与の光電力(Popt)の光パルスを発生して伝送し、目標電圧(ut)に対応する電極(61)間の電圧を測定又は決定することによって実施され得る。
【0050】
第2の実施形態では、目標電圧(ut)の決定又は測定は以下のように実施され得る。直列に配置されたPVユニットのN個のPVセル(61p)(すなわち、Us=N)に、光電力(Popt)の任意の所与の値(好ましくは、Us=Nのための目標強度(It)を生じさせるPoptの値)の光ビーム照射し、Us=Nとして、
● 電極(61)間の電圧(u)及び強度(I)を測定し、
● |Z|=|u|/|I|を用いてインピーダンス(Z)を決定し、
● |ut|=|Z| x |It|を用いて目標電圧(ut)を算出する。
【0051】
図5(a)を参照すると、PVユニットは、直列に配置されたN=4個のPVセル(すなわち、Us=4とラベル付けされた曲線)を用いて目標強度(It)を生じさせることが知られた光電力(Popt)を照射される。次に、インピーダンス(Z)が測定又は決定される。
図5(a)には、I=u/Z直線の傾き1/Z4の低い値を生じさせる高いインピーダンス(Z4)、傾き1/Z1の高い値を生じさせる低いインピーダンス(Z1)、及び傾き1/Z2の中間の値を生じさせる中間のインピーダンス(Z2)を有する、インピーダンス(Z1<Z2<Z4)の3つの例が示されている。
【0052】
電極(65)において直接測定された、又は算出された、対応する目標電圧(ut1、ut2、ut4)の値は、I=u/Zi直線(i=1、2、又は4)と、Us=4であるPVユニットの(I-u)特性曲線との(
図5(a)における黒点によって示される)交点において、算術的に、又はグラフを使って決定することができる。
【0053】
最も低い値の光電力(Popt)が目標強度(it)を発生することを必要とするUsの最適値は、対応するPVユニット構成の対応する最大効率電力(Pe)に最も近い、目標電圧(ut1、ut2、ut4)において測定された実際の電力(P1、P2、P4)によって特徴付けられる、すなわち、目標電圧(P1、P2、P4)における、最大効率電力(Pe)と、PVユニットによって送られた実際の電力との差(ΔPe=Pe-Pi,i=1,2,4)が最も小さい、PVセル(61p)の配置に対応するUsの値である。ΔPeは、最大効率電力(Pe)に対する効率損失として定義され得、最小化されなければならない。Usの最適値は、植え込みを受けた患者において測定されたインピーダンス(Z)の対応する値のための最大効率電力(Pe)の少なくとも70%、好ましくは、少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも90%の実際の電力(P1、P2、P4)を生じさせることが好ましい。
【0054】
したがって、このような構成では、PVユニットは、対応する最大電圧(um1、um2、um4)よりも高い電圧において目標電流(It)を発生することができないため、目標電圧(ut1、ut2、ut4)が、所与のPVユニット構成が発生することができる最大電圧(um1、um2、um4)よりも小さいことが必要条件である(
図5(a)参照)。例えば、インピーダンスがZ=Z4である場合には(
図5(a)における傾き1/Z4の曲線を参照)、直列のN=4個のPVセルの配置のみが、目標強度(It)を発生するために用いられ得る。この理由のために、
図5(d)は、インピーダンスZ=Z4のために、Usの最適値は直列のUs=4個のPVセルであることをグラフで示す。光電力(Popt)は、その構成のための目標強度(It)を生じさせるように最初に設定されたので、変更されなくてもよい。
【0055】
図5(a)から、直列に配置されたN個のPVセルの構成(すなわち、Us=N)は、インピーダンス(Z1、Z2、Z4)の全ての測定値のための目標強度を発生する能力を有することを認めることができる。これは、PVユニットの全てのPVセルが直列に配置された(すなわち、Us=N)現況技術の光AIMDは、Z4以下のインピーダンスを有するあらゆる患者に植え込むことができることを説明する。しかし、インピーダンス(Z1、Z2)の、低い、又は中程度の値のための目標電圧(ut1、ut2)は、最大効率電圧(ue4)から遠く離れている(
図5(b)及び
図5(c)を
図5(d)と比較されたい)。したがって、Us=4の値は、Z1又はZ2のインピーダンスの、低い、又は中程度の値にとって最適以下と見えることになり、それゆえ、目標強度(It)の電流を発生するために必要であるよりも高い光電力(Popt)を必要とするであろう。それゆえ、光AIMDの電池電力(Pbat)消費を低下させるために、Usの値の最適化が必要とされる。
【0056】
Usの異なる値のためのPVユニットの最大効率電力(Pe)を生じさせる最大効率電圧(ue1、ue2、ue4)の値は供給業者から知られる。調節ユニットは、目標電圧(ut1、ut2、ut4)の値を効率電圧の曲線と比較し、目標電圧(ut1、ut2、ut4)における実際の電力(Pe1、Pe2、Pe4)の対応する値を決定するように構成され得る。Usの最適値は、効率の最も高い値(ΔPe=Pe-Peiの最も小さい値、ここで、i=1、2、又は4)を生じさせる構成を規定する値、すなわち、最大効率電力(Pe)の対応する値に最も近い値である。
【0057】
代替的に、Usの最適値は、以下のようにインピーダンス(Z)を測定することなく決定することができる。調節ユニットは、Usの様々な値に切り替え、Usの値ごとにかくして発生された電流の強度を測定することができる。このプロセスは、目標電圧(ut)の(未知の)値の値よりも大きく、且つそれに最も近く、目標強度(It)の電流を発生する最大電圧値(um1、um2、um4)を生じさせるUsの値を反復的に決定することを目指す。例えば、最大電圧の最も低い値(um1)を生じさせる、Us=1によって規定される構成(すなわち、並列のN個のPVセル)から開始し、光電力(Popt)によるPVユニット(61)の照射時に電極(65)間で発生された電流強度を測定することができる。目標強度(It)の電流が測定された場合には、ut=Z x Iを決定するために用いられる、ut又はZの実際の値を測定することなく、目標電圧は、Us=1である(I-u)特性曲線の対応する最大電圧よりも小さい(すなわち、ut<um1)と結論付けることができる。並列に配置されたN個のPVセルの配置(すなわち、Us=1、又はUp=N)の最大電圧(um1)は、最大電圧(um1、um2、um4)の最も小さい可能な値であるため、PVユニットを、Us=1を選択することによるよりもさらに最適化することはできない。これは、測定インピーダンス(Z)がZ1(すなわち、低いインピーダンス値、ここで、Z1<Z2<Z4)と等しかった、
図5(a)及び
図5(b)における場合になるであろう。
【0058】
他方で、発生された電流が、PVセル構成、Us=1)による目標強度(It)よりも小さい強度を有する場合には(すなわち、I<It)、目標電圧(ut)は、並列のN個のPVセルを有するPVユニットの最大電圧(um1)よりも高い(すなわち、Us=1においてはut>um1)と結論付けることができる。この場合には、インピーダンス(Z)がこのPVセル構成のために高すぎるため、Us=1又はUp=NのPVセル構成は、目標強度(It)を発生するために用いることができない。最大電圧のより高い値(um2、um4)によって特徴付けられるUsの代替的な構成又は値が調節ユニットによって試験されなければならない。
【0059】
調節ユニットは、スイッチ制御に、最大電圧の2番目に低い値(um2)を生じさせる、1<Us≦Nである構成に切り替えるように命令する。最も低い値は、Us1(=並列に配置されたN個のPVセル)に対応するum1である。
【0060】
図2(b)、
図4(b)、
図5(a)、及び
図5(c)に示されるように、N=4個のPVセルについては、Us=1及びUs=4以外に残った構成が1つだけ存在する、すなわち、Us=2が存在する。N>4については、Us=1とUs=Nとの間で利用可能な構成がより多く存在し得る。Nの関数としての構成の数は、関係、Us=N/Ppによって決定される。ここで、Us、Pp、及びN∈Nである。例えば、
図3(a)~
図3(d)に示されるように、N=6個のPVセルについては、Us=1とUs=N=6との間に含まれる2つのさらなる構成、すなわち、
図3(b)及び3(c)にそれぞれ示される、Us=2、及びUs=3が存在する。同様に、N=12である場合には、1と12との間に含まれるUsのいくつかの値、すなわち、2、3、4、及び6が存在し得る。分かりやすくするため、及び簡潔にするために、以下のステップはN=4のために説明される。当業者は本方法をNの異なる値のために容易に外挿することができる。Usの利用可能な値がNの値の関数として表1に列挙されている。表1には、Usの利用可能な値の対応する数も指示されている。
【0061】
Us=2のための最大電圧(um2)は目標電圧(ut)よりも小さい(すなわち、um2<ut)と結論付けられた場合には、このとき、同じ動作が、Usの異なる値を用いて繰り返され、最大電圧の2番目に低い値を生じさせる構成(すなわち、N=4については、これはUs=2に対応する)を有するPVユニット(61)の照射時に、電極(65)間に発生された電流強度が測定される。電流が測定された場合には、目標電圧は、Us=2である、(I-u)特性曲線の対応する最大電圧よりも小さい(すなわち、um1<ut<um2)と結論付けることができる。それゆえ、調節ユニットは、N=4個のPVセル及びインピーダンスZ2のために利用可能な最適なPVユニット構成はUs=2であると結論付けることができる。測定インピーダンス(Z)がZ2(すなわち、インピーダンスの中間の値Z2、ここで、Z1<Z2<Z4)と等しい、
図5(a)及び
図5(c)に、この場合が示されている。
【0062】
他方で、かくして発生された電流が、目標強度よりも低い強度を有する場合には(すなわち、I<It)、目標電圧(ut)は、Us=2においてN=4個のPVセルを有するPVユニットの最大電圧(um2)よりも高い、ut>um2)と結論付けることができる。この場合には、インピーダンス(Z)が高すぎるため、Us=2のPVセル構成は、目標強度(It)を発生するために用いることができない。これは、測定インピーダンス(Z)がZ4(すなわち、インピーダンスの高い値Z4、ここで、Z1<Z2<Z4)と等しかった、
図5(a)~
図5(d)における場合になるであろう。構成Us+1及び2にそれぞれ対応する最大電圧の値(um1、um2)が低すぎ、インピーダンスの過剰が電圧飽和を生じさせるため、目標強度(It)を発生することができなかったので、調節ユニットは、スイッチ制御に、最大電圧の3番目に低い値(um4)を生じさせる、1<Us≦Nである構成に切り替えるように命令する。N=4については、umの3番目の値は、全ての4個のPVセルが直列に配置された、Us=4の構成に対応するum4である。試験後に、目標強度(It)の電流が測定された場合には、このとき、Us=4はUsの最適値であり、目標強度(It)よりも低い強度の電流が測定された場合には、このとき、問題が存在する。電流が存在しないことは、傷害又は機能不全組織によって、或いは損傷した光ファイバなどのAIMDの問題、又は電極(65)と刺激対象の組織との間の電気接触の問題によって説明され得るであろう。PVセルの数(N)の他の値については、表1を参照されたい。
【0063】
Usの最適値が決定されると、上記のPVセル構成を用いて目標強度(It)を生じさせるように光電力(Popt=Popt1、Popt2、又はPopt4)を適応させることができる。これが、それぞれ、Us=1、Us=2、及びUs=4における、インピーダンスZ1、Z2、及びZ4の値のための
図5(b)~
図5(d)にそれぞれ示されている。
【0064】
表2は、インピーダンスの高い値(Z4)と共に動作するよう寸法設定された直列に配置されたUs=N個のPVセルの単一PVユニット構成を有する現況技術の光AIMDと比較した、本発明に係る光AIMDの最適化の可能性を明らかにする。以下の説明はN=4個のPVセルを用いて示される。同じ結論をNの異なる値に外挿することができることは明らかである。
【0065】
第1の患者において測定されたインピーダンスが高い場合には(
図5(a)及び
図5(d)並びに表2におけるZ4)、このとき、PVユニット(61)は、現況技術の光AIMDの単一PVユニット構成に対応する、構成Us=N=4を取る。現況技術の光AIMDを用いて目標強度(It)を発生するには、本発明の光AIMDを用いる場合と同じ光電力(P4)が必要とされることになり、同じ電池電力(Pbat)消費を生じさせる。したがって、本発明の光AIMDの光電力(PoptINV)と現況技術の光AIMDの光電力(PoptPA)との比(PoptINV/PoptPA)は100%である。2つの種類の光AIMDは同様の条件で作動する。
【0066】
しかし、測定インピーダンス(Z)がZ4と同じ高さであるか、又はそれよりも高いことは統計的にまれである。これは、インピーダンスのより高い値については、目標強度よりも低い強度の電流がPVユニットによって発生されるので(すなわち、Z>Z4⇒I<It)、所与の光AIMDモデルをできるだけ多くの患者症例において用いることができること(すなわち、「1つで全員に適合すること」)を確実にするために、生産者は、光AIMDを、平均よりも相当に高いZの値のために動作可能になるよう寸法設定しなければならないからであると説明される。確率密度(実線の曲線、左側の縦座標)及び累積密度(破線の曲線、右側の縦座標)を示す、
図5(g)にこれが示されており、植え込みを受けた患者のうちの大きな割合(例えば、少なくとも90%)は、高いインピーダンス値(Z4)よりも低い測定インピーダンス値を生じさせる(
図5(g)を参照)。Z4よりも大きいインピーダンス値を示す10%未満の患者については、インピーダンスのこのような高い値は、(a)刺激対象の組織の性質及び条件(例えば、傷害又は機能不全組織)に起因するのか、(b)電極(65)と刺激対象の組織との間の電気接触の質に起因するのか、(c)光源(53)と電極との間の重大なエネルギー損失を生じさせるエネルギー伝達チェーン内の欠陥に起因するのか、それとも(d)光AIMDの他の欠陥に起因するのかが調査されなければならない。
図5(g)の同じ確率密度を目標強度の値に適用することができ、患者のうちの90%は、目標強度の高い値よりも低い目標強度を処方され、約10%のみが、目標強度の高い値よりも高い強度のパルスを必要とする。
【0067】
大部分の患者については、インピーダンス(Z)は、現況技術の光AIMDが設計された高い値(Z4)よりも小さく(すなわち、Z1、Z2<Z4)、現況技術の光AIMDの直列に配置されたUs=N個のPVセルの単一PVユニット構成は、同じ目標強度(It)を発生するために代替的なPVユニット構成よりも高い光電力(Popt=P4)を必要とするため、高い値Z4よりも低いインピーダンス値については最適以下になる。
図5(a)及び
図5(c)並びに表2を参照すると、第2の患者において測定されたインピーダンスがZ2<Z4であり、Us=2として構成されたPVユニットの最大電圧(um2)よりも小さい目標電圧(ut2)の値を生じさせる場合には、このとき、各ユニットが、並列に配置された2つのPVセルを含む、直列に配置された2つのユニットの形で配置された同じN=4個のPVセル(
図2(b)及び
図4(b)参照)は、光電力Popt=P4の光ビームの照射時に目標強度の約2倍の高さの強度(Im2≒2Im1=2It)の電流を発生するであろう(
図5(a)参照)。これは、PVユニットを、全てのN個のPVセルが直列に配置された現況技術の単一構成Us=Nから、ユニットが並列のPVセルの直列であるUs=2である混合構成へ切り替えることによって、目標強度(It)を生じさせるために、光電力(Popt)がそれに応じて値Popt=Popt2≒Popt4/2に低減され得ることを意味する。これは電池電力(Pbat)の相当な低減をもたらす。比PoptINV/PoptPAはおよそ50%に低下する(表2参照)。
【0068】
同様に、Z1<Z2<Z4である低いインピーダンスZ1が第3の患者において測定され、Us=1(すなわち、全てのN個のPVセルが並列に配置されている)として構成されたPVユニットの最大電圧(um1)よりも小さい目標電圧(ut1)の値を生じさせる場合には、このとき、並列に配置された同じN=4個のPVセル(
図2(c)及び
図4(c)参照)は、光電力Popt=P4の光ビームの照射時に目標強度の約4倍の高さの強度(Im4≒4Im1=4It)の電流を発生するであろう(
図5(a)参照)。これは、PVユニットを、現況技術の単一構成、直列のUs=N個のPVセルから、Us=1(すなわち、全てのN個のPVセルが並列になっている)である混合構成へ切り替えることによって、目標強度(It)を生じさせるために、光電力(Popt)がそれに応じて値Popt=Popt1≒Popt4/4に低減され得ることを意味する。これは電池電力(Pbat)の相当な低減をもたらす。比PoptINV/PoptPAは、電池電力(Pbat)消費の約75%の低減に対応する、およそ25%に低下する(表2参照)。植え込みを受けた患者において測定されたインピーダンス(Z)の値に依存して、目標強度(It)を発生するために必要とされる光電力(Popt)は、Usの最適値を選択することによって、Us=Nにおける値(Poptn)と、Us=1におけるおよそPopt1≒Poptn/Nの値(Popt1)との間でオーダーNで変化することができると結論付けることができる。
【0069】
PVユニットのPVセルの全て又は部分(N≦Nt)を用いた、Zの関数としてのUsの最適化
前のセクションでは、PVユニットの全てのNt個のPVセルが、光電力(Popt)を目標強度(It)の電流に変換するために組織的に用いられるときの(すなわち、N=Nt)、Usの決定が説明された。驚くべきことに、場合によっては、PVユニットを形成するNt個のPVセルのうちの1つ以上を遮断し、N<Ntである、N個のPVセルのみを代わりに用いることが有利になることがある。このような直観に反した構成は、PVユニット内で利用可能なものよりも1つ以上少ないPVセルを用いることによって生じる強度(I)又は電圧(u)の損失が、全てのNt個のPVセルの代わりにN個のPVセルを用いることによって利用可能にされる追加の構成を用いて得られる利得によって補償される場合に、興味深いものになる。
【0070】
図5(e)は、Nt=5個のPVセルを含むPVユニットの異なる構成の(I-u)特性曲線の一例を示す。上掲の表1(左)を参照すると、N=5であるときには、2つの構成、すなわち、Us=1(すなわち、並列の5個のPVセル)及びUs=5(すなわち、直列の5個のPVセル)のみが利用可能である。これらの2つの構成は、
図5(e)において、「N=5」から始まるラベルによって識別される。
図5(e)において長破線で示されるとおりのインピーダンス(Z)を生じさせる、植え込みを受けた患者については、目標強度(It)の電流は、対応する電圧(ut)を伴って生み出され得、ΔPe5=Pe5-P5の高い値を伴う、かなり低い実際の電力(P5)を発生する。ここで、Pe5は、Us=5のための最大効率電力である。全てのNt=5個のPVセルが並列に配置された構成Us=1は、電圧飽和に到達するため、目標強度(It)の電流を生み出すことができないことは明らかである。
【0071】
PVユニット内で利用可能なNt=5個のPVセルのうちの1つを使わず、N=4個のPVセルのみを代わりに用いることによって、N=5個のPVセルでは利用可能でなかったUs=2及びPp=2の追加の構成に手を伸ばすことが可能である。
図5(e)は、光電力(Popt=Popt1)を用いるときに、強度、I=2Itの電流が、この構成によって、より高い効率をもって生み出され得ることを示す。上述され、
図5(f)に示されるように、光電力(Popt=Popt1)はおよそ2で除算され、構成Us=5を用いる場合よりも相当に低い効率損失ΔPe2を伴って目標強度(It)の電流を生み出すことができる(すなわちΔPe2<ΔPe5)。効率のこの利得は、PVユニット内で実際に利用可能なものよりも1つ少ないPVセル(本例では、N=4<Nt=5)を用いるにもかかわらず、光電力(Popt)がおよそ2で除算されることを可能にする。
【0072】
表1(右)は、N≦Ntであるときに利用可能な、Us及びUpの構成、並びに構成の数を列挙する。インピーダンス(Z)の一部の値のために光電力(Popt)の節約を可能にする追加の構成をもたらすN<Ntの構成のみが列挙されている。これらは、各列内のハイフン(-)に続く数値によって特徴付けられる。
【0073】
したがって、上述されたとおりのUs及びPpの値の最適化はまた、Us及びPpの最も有利な値、すなわち、目標強度(It)の電流を発生するために必要とされる最も低い光電力(Popt)をもたらす値を生じさせるための、PVユニット内の利用可能なNt個のPVセルのうちのN個のPVセルの最善の値を決定することを含むことができる。したがって、PVユニットのスイッチ構成は、Ntの値に応じて、1つ以上(=Nt-N)のPVセルをNt個のPVセルのうちの残りのものから隔離することを可能にすることができる(表1、右参照)。それゆえ、スイッチ制御モジュールは、Nt個のPVセルを用いては利用可能でない、且つ有利になり得る構成Us及びPpを提供するPVセルの数Nに手を伸ばすべく、(Nt-N)個のPVセルを隔離又はマスキングするための命令を調節ユニットから受信することができる。Us及びUpの最適値は、N≦Ntの異なる値を用いて、上述されたように実施され得る。
【0074】
光源(53)の最適化
本発明の第2の態様では、エネルギー伝達チェーンは、目標強度(It)の電気パルスを発生するために必要とされる電池電力(Pbat)の消費を低減するべく、光源(53)のレベルにおいて原位置で最適化することができる。目標強度(It)を発生するために必要とされる光電力(Popt)の値は、測定インピーダンス(Z)の値に依存して、本発明に係るAIMDを用いて著しく変化し得るであろうことが説明されたsura。
【0075】
さらに、及び光AIMDが、上述されたようにPVユニットを最適化する能力を有するか否かにかかわらず、光源(53)によって発生されるべき光電力(Popt)は広範囲にわたって変化し得る。上述のセクション、背景技術において
図1(e)を参照して説明されたように、患者の組織内における電荷の蓄積を回避するために、It x ts≒-(Ir x tr)となるよう、目標強度(It)の刺激パルスを刺激時間(ts)にわたって送信した後に、回復強度(Ir)の回復パルスを回復時間(tr)にわたって送信することが好ましい。伝達エネルギーチェーンの重複を回避するために、刺激パルス及び回復パルスを同じ光源(53)から発生することが好ましい。回復強度(Ir)と目標強度(It)との比(|Ir/It|=ts/tr)はおよそ1/2~1/5になり得る。したがって、単一のエネルギー伝達チェーンを用いて刺激パルス及び回復パルスを印加することは、およそ1/5になり得る|Ir/It|の範囲にわたって変化する光電力(Popt)を発生する能力を有する光源(53)を必要とする。
【0076】
現況技術の光AIMDは従来の光源を装備している。従来の光源は、単一の光エミッタ、又は非アドレス指定可能な光エミッタアレイである。典型的には、光エミッタは発光デバイス(LED(light emitting device))又はレーザ源(例えば、VCSEL)であることができ、単に、光源(53)に供給される電池電力(Pbat)を変更するだけで、上述の範囲内に含まれる光電力(Popt)の必要値を発生する能力を有する。多くの場合、従来の光源によって消費される電池電力(Pbat)は、線形性が失われる最大電力に到達するまで、発生されるべき光電力(Popt)と共に実質的に線形的に変化するが、線形的に放出し始めるための閾値電池電力(Pth)を必要とする。しかし、従来の単一光エミッタ又は非アドレス指定可能な光エミッタアレイの代わりにアドレス指定可能な光エミッタアレイを光源(53)として用いることによって、電池の消費を、発生される光電力(Popt)に線形的に比例するもの未満に低減することが可能である。
【0077】
図6(a)に示されるように、アドレス指定可能な光エミッタアレイは、独立して1つずつ、又はアパーチャのサブグループによってアドレス指定可能なM>1個のアパーチャ(53a)を含む。例えば、各アパーチャ(53a)、又はアパーチャ(53a)のグループは電気接点(53e)によって独立して制御され得る。アドレス指定可能な光エミッタアレイは、好ましくは、アドレス指定可能なレーザエミッタダイオードのアレイ、より好ましくは、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)のアレイである。それはまた、アドレス指定可能な発光ダイオード(LED(light emitting diode))のアレイであることもできる。例えば、米国特許第5325386号明細書に、アドレス指定可能なVCSELのアレイの一例が記載されている。
【0078】
図6(b)は、M=8個のアドレス指定可能なVCSELのアレイのうち組み合わせてアドレス指定されるアパーチャの数(m)の異なる値(m=2、4、6、及び8)のための光電力(Popt)を発生するために必要とされる電池電力(Pbat)を示す。アパーチャがアドレス指定されるたびに、対応するレーザを活性化するために、閾値電池電力がVCSELアレイに供給されなければならない。対応するm個のレーザが活性化されると、VCSELアレイは、直線が湾曲して降下する上限まで、VCSELアレイに供給される電池電力(Popt)と共に実質的に線形的に増大する光電力(Popt)の光を発生する。発生されるべき光電力(Popt)がm個のアパーチャの上限よりも高い場合には、このとき、同時にアドレス指定されるアパーチャの数(m+1)を増大させ、かくして、(m+1)個のアドレス指定されたアパーチャを用いて到達可能な光電力の対応する上限を、Popt(=Popt1、Popt2、Popt4)の所望の値よりも高い値に増大させるために、追加のアパーチャ、又はアパーチャのグループがアドレス指定されなければならない。
【0079】
従来のLED又はレーザ(すなわち、アドレス指定可能なアレイでない)は、全てのm=M=8個のアパーチャが、対応する閾値電池電力の閾値(Pth8)を伴い、同時にアドレス指定される場合と同様の電池電力(Pbat)の消費を呈するであろう。
図6(b)では、以上において
図5(a)~
図5(d)を参照して説明されたようにインピーダンスの高い測定値(Z4)を有して目標強度を発生するために必要とされる光電力(P4)については、全てのm=M=8個のアパーチャが同時にアドレス指定されなければならず、VCSELなどの従来のレーザ及び一部の種類のLEDによって必要とされるものと同様の電池電力(Pbat)消費を生じさせることを見ることができる。光電力のより低い値(Popt=Popt1又はPopt2<Popt4)については、全てのm=M=8個のアパーチャをアドレス指定するのではなく、m=2又はm=4個のアパーチャのみをアドレス指定することによって、より少ない電池電力(Pbat)が必要とされることを見ることができる。
図6(b)に示されるように、アパーチャ、又はアパーチャのグループがアドレス指定されるたびに、電池電力(Pbat)の閾値電池電力値(Pth)が、レーザを活性化するために必要とされる。閾値電池電力値(Pth)は、VCSELについては、アドレス指定される追加のアパーチャごとに、0.5~2mA/アパーチャの範囲内、例えば、およそ0.6又は0.7mA/アパーチャであり得る、閾値強度(Ith)に対応する。閾値は、アドレス指定されるアパーチャの数(m)が増大させられるたびの曲線のシフトを説明する。一部のVCSELは、最大10~20mA/アパーチャ及びよりいっそう高いものなどの閾値強度のより高い値を有し得る。
【0080】
アドレス指定されるアパーチャ(53a)の数(m)が増大することに伴う、
図6(b)における曲線の電池電力(Pbat)のより高い値へ向かうシフトは、組み合わせてアドレス指定されるアパーチャの数(m)の最適化を必要とする。黒点は、最も低い電池電力(Pbat)を必要とする光電力(Popt=Popt1、Popt2、又はPopt4)の所与の値を発生するためにアドレス指定されるべきアパーチャの数(m)を指示する。同じ光電力(Popt=Popt1、Popt2、又はPopt4))が、白点によって指示される、異なる数(m)のアパーチャを用いて発生され得るが、それらは、同じ光電力(Popt)を発生するために、黒点によって指示される数(m)を用いる場合よりも高い電池電力(Pbat)を必要とする。閾値電流、Ith=0.6mA/アパーチャである場合には、電池は、m=2個のアパーチャを活性化し始めるために、約Ith=2 x 0.6=1.2mAの閾値電流、及びm=8個のアパーチャを活性化するために、約Ith=8 x 0.6=4.8mAの閾値電流を提供しなければならない。低いもの(=Popt1)で発生されるべき光電力(Popt)である場合には、m=2個のアパーチャのみをアドレス指定すること(黒点参照)は、全てのm=M=8個のアパーチャが組み合わせてアドレス指定される場合(Popt=Popt1における右側の白点参照)よりも消費が3.6mA少なくなるであろう。これは、
図6(b)に示される電池電力差ΔP82に対応する。発生されるべき光電力Popt=Popt2が、m=2個のアパーチャが発生することができる光電力よりも高い場合には、このとき、追加のアパーチャがアドレス指定されなければならない。
図6(b)では、m=4個のアパーチャが、光電力、Popt=Popt2を発生するために最適である。光電力Popt4>Popt2>Popt1を発生するためには、m=8個のアパーチャがアドレス指定され得、現況技術のAIMDにおいて用いられる従来のLED又はレーザと同じ電池電力(Pbat)を消費する。
【0081】
表3は、光電力(Popt)の高い値(Popt4)、中間の値(Popt2)、及び低い値(Popt1)を発生するための、従来の光源(LED又はVCSEL)を用いた現況技術の光AIMDの電池電力(PbatPA)消費と、M=8個のアパーチャ(53a)を含むVCSELのアドレス指定可能なアレイを設けられた本発明に係る光AIMDの電池電力(PbatINV)消費とを比較する。現況技術の光AIMDの従来の単一アパーチャVCSELは、前者と等価の電力の、本発明に係る光AIMDのVCSELアレイの全てのM=8個のアパーチャを活性化するために必要とされる閾値電力(Pth8)と等しいVCSELを活性化するための閾値電力(Pth8)を必要とすることが仮定される。光源が、対応する閾値電力(Pth)をもって活性化されると、光電力は比例係数(α)をもって電池電力(Pbat)と共に線形的に増大する。光電力の高い値(Popt=Popt4)を発生するために、本発明のVCSELアレイは、現況技術のAIMDの単一のLED又はVCSEL(PbatPA)と同じ電池電力(PbatINV)を必要とし、PbatINV≒PbatPAであることを見ることができる。しかし、光電力のより低い値(Pbat=Popt1又はPopt2<Popt4)を発生するためには、本発明の光AIMDは、同時にアドレス指定されるアパーチャの数(m)の最適値を選択することによって相当な電池電力の節約を可能にする。表3(右側の列)及び
図6(b)を参照すると、従来のLED又はVCSELによって(M=8個のVCSELの対応する非アドレス指定可能なアレイのM=8個のアパーチャの等価物をアドレス指定することに対応する)、並びにm=2又は4個のアパーチャをアドレス指定するM=8個のVCSELのアレイによって、光電力(Popt=Popt1又はPopt2<Popt4)を発生するために必要とされる電池電力(Pbat)の差(ΔP82、ΔP84)は、それぞれ、m=2個のVCSELアパーチャ(53a)を活性化するために必要とされる閾値電力(Pth2)の値の4倍又は2倍であることを見ることができる。
【0082】
組み合わせられた光源(53)及びPVユニット(61)の最適化
本発明の第3の態様では、エネルギー伝達チェーンは、電極(65)間の目標強度(It)の電気パルスを発生するために必要とされる電池電力(Pbat)消費を低減するべく、組み合わせられた光源(53)及びPVユニット(61)の両方のレベルにおいて原位置で最適化することができる。本発明の第3の態様の光AIMDは、上述されたとおりのN個のPVセルの構成の最適化を可能にするPVユニット(61)と、光エミッタ(53a)の、好ましくは、VCSELの個々にアドレス指定可能なアレイを含む光源(53)とを組み合わせる。調節ユニットが、目標強度(It)を発生するための最適光電力値(Popt=Popt1、Popt2、又はPopt4)を必要とするUsの最適値を決定すると、調節ユニットは、次に、最適光電力(Popt=Popt1、Popt2、又はPopt4)を発生するために必要とされる電池電力(Pbat)を最小化するよう1度にアドレス指定されるアパーチャの最適数(m≦M)を決定するので、本実施形態は有利である。組み合わせられた光源(53)及びPVユニット(61)の両方のレベルにおけるエネルギー伝達チェーンの構成の原位置での最適化の組み合わせは、現況技術の光AIMDと比べて相当な電池電力(Pbat)消費を節約することを可能にする(表2及び
図3を組み合わせる)。
【0083】
調節ユニット
調節ユニットは、以上において、少なくとも、所与の患者のためのUsの最適値を決定するため、及び電気回路のスイッチ(S1~S6)を制御するためのスイッチ制御モジュールに、Usの最適値によって特徴付けられるPVユニット構成に到達するように命令するために説明された。調節ユニットは、
● 植え込み型コントローラ(54)内に完全に統合され得るか、或いは
● 組織結合ユニット(60)の電気回路(62)に属する結合部分、及び植え込み型コントローラ(54)に属する封入部分を含むことができる。
【0084】
調節ユニットが植え込み型コントローラ(54)内に完全に統合され得る実施形態では、調節ユニットは、
● 感知ユニットによって測定された電極へ送られた電気パルスの電圧(u)及び/又は強度(I)の値、
● 目標強度(It)に到達するために必要とされる光エネルギーパルスの電力、並びに/或いは
● 目標強度の電流を電極(65)へ送るために必要とされる最適光電力(Popt)、
を決定するように構成されている。
【0085】
調節ユニットが結合部分及び封入部分を含む実施形態では、結合部分は、
● 感知ユニットによって測定された電極へ送られた電気パルスの電圧(u)及び/又は強度(I)の値、
● 目標強度(It)に到達するためのUs又はUpの最適値及び光エネルギーパルスの最適光電力(Popt)、
を決定するように構成され得る。
【0086】
封入部分は、目標強度(It)の電流を発生するために必要とされる光電力(Popt)の光エネルギーパルスを発生するための、アドレス指定可能な光エミッタのアレイを設けられたAIMDにおけるアパーチャの最適数(m)を決定するように構成され得る。
【0087】
通信ユニット
上述されたように、調節ユニットは、組織結合ユニット(60)内に収容された結合部分、及び封入ユニット内に収容された封入部分を含み得る。調節ユニットの結合及び封入部分は互いに通信することができなければならない。さらに、封入ユニット(50)内の光源(53)によって発生される光電力(Popt)は組織結合ユニット(60)内のPVユニットの構成(Us)に依存するため、PVユニット(61)の、及び光源(53)の最適化は、封入ユニット(50)と組織結合ユニット(60)との間の情報交換を必要とする。したがって、光AIMDは、
図8(a)~
図8(c)に示されるように、封入ユニットと組織結合ユニットとの間でデータを送信するための通信ユニットを備えることが好ましい。
【0088】
通信ユニットは、封入ユニット(50)から組織結合ユニット(60)へ、又はその逆に1方向にデータを送信するように構成され得る。代替的に、通信ユニットは、封入ユニット(50)から、及びそれへ、組織結合ユニット(60)へ、及びそれから、2方向にデータを送信するように構成され得る。
【0089】
通信ユニットは、
● 組織結合ユニットの電気回路(62)に結合された光検出器(63p)及び/又は通信光源(63Lc)、好ましくは、LED若しくはレーザ(例えば、VCSEL)、
● 封入ユニット内に内蔵された植え込み型コントローラ(54)に結合された光検出器(53p)及び/又は通信光源(53Lc)、好ましくは、LED、並びに
● 1本又は2本の通信光ファイバ(41c、41c1、41c2)、
を含む。
【0090】
図8(a)に示される一実施形態では、刺激光ファイバ(41s)とは異なる、及び好ましくは、植え込み型エネルギー伝達ユニット(40)内に含まれる、単一の通信光ファイバ(41c)が用いられる。単一の通信光ファイバ(41c)は、それぞれ、封入ユニット(50)内に内蔵された光検出器(53p)及び/又は通信光源(53Lc)と光学的に連通した封入ユニットに結合された近位端部、並びに組織結合ユニットの通信光源(63Lc)及び/又は光検出器(63p)と光学的に連通した組織結合ユニット(60)に結合された遠位端部を含む。
図8(a)に示されるように、単一の通信光ファイバ(41c)を用いた2方向通信のために、封入ユニット(50)内に収容された通信光源(53Lc)及び光検出器(53p)が単一の通信光ファイバ(41c)の近位端部と対面している。同様に、組織結合ユニット(60)内に収容された通信光源(63Lc)及び光検出器(63p)が単一の通信光ファイバ(41c)の遠位端部と対面している。封入ユニット内及び組織結合ユニット内に収容された通信光源(53Lc、63Lc)は、データを含む光信号を放出する。組織結合ユニット内及び封入ユニット内に収容された光検出器(53p、63p)は光信号を各々受信し、それを、植え込み型コントローラ(54)、又は調節ユニット、又は電気回路、又はスイッチ制御モジュールによって形成されるか、又はそれの部分であり得る処理ユニットへ伝達される電気信号に変換する。光検出器(53p、63p)は、光起電セルを含む、当技術分野において知られた任意の種類の光検出器であることができる。
【0091】
図8(b)及び
図8(c)に示される代替的実施形態では、第1及び第2の通信光ファイバ(41c1、41c2)を含む、2本の通信光ファイバが用いられる。第1の通信光ファイバ(41c1)は刺激光ファイバ(41s)とは異なり、好ましくは、植え込み型エネルギー伝達ユニット(40)内に含まれる。第1の通信光ファイバ(41c1)は、封入ユニット内に内蔵された光検出器(53p)と光学的に連通した封入ユニットに結合された近位端部、及び組織結合ユニットの通信光源(63Lc)と光学的に連通した組織結合ユニットに結合された遠位端部を含む。
【0092】
第2の通信光ファイバ(41c2)は刺激光ファイバ(41s)とも第1の通信光ファイバ(41c1)とも異なり、好ましくは、植え込み型エネルギー伝達ユニット(40)内に含まれる。第2の通信光ファイバ(41c2)は、封入ユニット内に内蔵された通信光源(53Lc)と光学的に連通した封入ユニットに結合された近位端部、及び組織結合ユニットの光検出器(63p)と光学的に連通した組織結合ユニットに結合された遠位端部を含む。
【0093】
図8(b)及び
図8(c)に示されるように、封入ユニット(50)内に収容された通信光源(53Lc)が第2の通信光ファイバ(41c2)の近位端部と対面しており、同じく封入ユニット(50)内に収容された光検出器(53p)が第1の通信光ファイバ(41c1)の近位端部と対面している。同様に、組織結合ユニット(60)内に収容された通信光源(63Lc)が第1の通信光ファイバ(41c1)の遠位端部と対面しており、同じく組織結合ユニット(60)内に収容された光検出器(63p)が第2の通信光ファイバ(41c2)の遠位端部と対面している。
【0094】
単一又は2本の別個の通信光ファイバ(41c、41c1、41c2)を含む通信ユニットの選定は多数のパラメータに依存する。単一の通信光ファイバ(41c)を含む通信ユニットはよりコンパクトであるが、データは、封入ユニット(50)と組織結合ユニット(60)との間で一方の方向に、他方の方向におけるデータの伝達と順次的な様態でのみ伝達され得る。2本の別個の通信光ファイバ(41c1、41c2)を含む通信ユニットは封入ユニット(50)と組織結合ユニット(60)との間の両方の方向におけるデータの同時伝達を可能にするが、2本の光ファイバが封入ユニット(50)及び組織結合ユニット(60)に結合されなければならないため、よりかさ高く、より高価である。
【0095】
通信ユニットを介して封入ユニットから組織結合ユニットへ送信されるデータは、
● 電極(65)間で発生されるべき目標強度(It)の値、
● 調節ユニットが、少なくとも部分的に、封入ユニット内に収容される場合には、パルスを送信する前のPVユニットのUs(若しくはUp)の値、及び/又はUs(若しくはUp)の対応する値に到達するために必要とされるスイッチのステータス、
● 組織結合ユニットが2つを超える電極を含む場合には、目標強度の電流が仕向けられることになる電極の特定の対、
のうちの1つ以上を含むことができる。
【0096】
通信ユニットを介して組織結合ユニットから封入ユニットへ送信されるデータは、
● スイッチが、封入ユニットから受信されたUs(若しくはUp)の値に従って構成されたことの確認、
● 電気パルスが電極(65)へ送られたことの確認、
● 感知ユニットによって測定された電極へ送られた電気パルスの電圧(u)及び/又は強度(I)の値、
● 調節ユニットが組織結合ユニット(60)内に少なくとも部分的に収容される実施形態では、目標強度(It)を発生するために必要とされる光エネルギーパルスの光電力(Popt)の値、
のうちの1つ以上を含むことができる。
【0097】
電力伝達ユニット
組織結合ユニット(60)は電力を必要とし得る。例えば、電力は、調節ユニットが組織結合ユニット内に少なくとも部分的に収容される場合には、調節ユニットを作動させるため、及びPVユニット(61)のスイッチ(S1~S6)を、Usの値に従ってそれの構成を変更するように作動させるために必要とされ得る。また、電力は、組織結合ユニット内に収容された通信光源(63Lc)に通電するために必要とされ得る。光源(53L)、刺激光ファイバ(41s)、及びPVユニット(61)を含む電気パルスを発生するためのエネルギー伝達チェーンは、電気回路の要素に通電するために用いられ得るであろう。このソリューションは、必要とされる光電力(Popt)、及び、同時に、組織結合ユニットの構成要素に通電するための光電力の刺激パルスを組織結合ユニット(60)へ制御された仕方で送信することは複雑になり得るという欠点を有する。
【0098】
好ましい実施形態では、光AIMDは、電力を封入ユニット(50)から組織結合ユニット(60)へ伝達するための電力伝達ユニットを備える。
図8(a)~
図8(c)に示されるように、電力伝達ユニットは、
● 組織結合ユニットの電気回路(62)に結合された1つ以上の電力光起電セル(61p)、
● 封入ユニット内に内蔵された植え込み型コントローラ(54)に結合された電力光源(53Lp)、好ましくは、LED又はレーザ(例えば、VCSEL)、並びに
● 刺激光ファイバ(41s)とは異なる、及び好ましくは、1本又は2本の通信光ファイバ(41c)とは異なる、及び好ましくは、植え込み型エネルギー伝達ユニット(40)内に含まれる電力光ファイバ(41c)、
を含む。
【0099】
電力光ファイバ(41p)は、封入ユニット内に内蔵された電力光源(53Lp)と光学的に連通した封入ユニットに結合された近位端部、及び電気回路(62)に通電するための、組織結合ユニットの1つ以上の電力光起電セル(61p)と光学的に連通した組織結合ユニットに結合された遠位端部を含む。
【0100】
図8(a)及び
図8(b)に示される実施形態では、電力伝達ユニットは、刺激光ファイバ(41s)と、及び単一若しくは第1及び第2の通信ファイバ(41c、41c1、41c2)と別個の、それ自身の電力光ファイバ(41p)を含む。
【0101】
代替的に、電力伝達ユニットは電力光ファイバ(41p)を通信光ファイバ(41c、41c1、41c2)と、又は刺激光ファイバ(41s)と共有することができる。電力光ファイバ(41p)を刺激光ファイバ(41s)と共有することは、かくして発生された電流の強度を十分な精度をもって制御することが難しくなり得るため、複雑になり得るであろうことが以上において説明された。しかし、
図8(c)に示されるように、組織結合ユニット(60)の要素に通電するための第1の光学成分、及びデータを組織結合ユニットへ送信するための、例えば、周波数変調の形の、第2の成分を、共通の電力/通信光ファイバ(41p、41c2)を通じて同時に送信することは容易であるため、電力光ファイバ(41p)を通信光ファイバ(41c、41c1、41c2)と、好ましくは、第2の通信光ファイバ(41c2)と共有することは非常に都合が良い。本実施形態では、通信光源(43Lc)は電力光源(53Lp)と同じであるか、又はそれとは異なることができる。
【0102】
結論
我々の知るかぎり、患者へのAIMDの植え込み後に光源(53L)から電極(65)まで延びるエネルギー伝達チェーンを原位置で最適化することを可能にするものは本発明の光AIMDが初めてである。アドレス指定可能な光エミッタ(53a)のアレイを用いたPVユニット(61)及び/又は光源(53L)のどちらか又は両方の原位置での最適化は相当な量の電池電力(Pbat)を節約することができる。電池(54)の有効寿命、又は再充電可能電池若しくはスーパーキャパシタの2つの充電動作の間の期間を、患者の十分な利益及び快適性を得るよう相当に増大させることができる。
【0103】
上述されたようにPVユニット(61)又は光源(63)のどちらかを最適化することでもすでに電池電力の相当な節約をもたらす。しかし、PVユニット及び光源の両方の最適化を組み合わせることは、電力管理及び節約の観点から特に有利である。エネルギー伝達チェーンに沿ったエネルギー損失を低減するという光AIMDの1つの大きな課題が本発明を用いて解決される。本発明の要点は、光AIMDが患者に植え込まれた後に、エネルギー伝達チェーンを原位置で最適化することができることである。電極(65)間で測定されたインピーダンス(2)の値は、目標強度(It)の電流を発生するために必要とされる光電力(Popt)を決定するために極めて重要であるため、これは本質的なことである。それにもかかわらず、インピーダンス(Z)は、患者において直接測定することなく評価することは不可能である。
【0104】
また、光エミッタアレイのアパーチャを個々にアドレス指定することも、目標強度(It)の所望の値に依存して広範囲の光電力(Popt)が送られることを同時に可能にするときには、電池電力(Pbat)の相当な節約を可能にする。
【0105】
本発明は、組織内における電荷の任意の堆積を中和するための回復パルスが刺激パルスに追随するとき、特に有利である。刺激及び回復パルスは、積、It x ts=Ir x trによって関係付けられる。ここで、itは刺激パルスの目標強度であり、Irは回復強度であり、ts及びtrは、それぞれ、刺激及び回復パルスの持続期間であり、ここで、It>Irである。現況技術のAIMDを用いて電極(65)間に発生されるべき電流の強度を変更することは、PVユニット及び光源のうちの少なくとも一方、一般的には両方が最適以下の条件で作動しているため、相当な電池電力(Pbat)の浪費を生じさせ得ることが以上において説明された。本発明のAIMDを用いれば、PVユニット(61)及び光源(53L)のうちのいずれか一方又は両方を、交互に順次に発生されるべき目標及び回復強度(It、Ir)の異なる値に一致するように原位置で最適化することができる。
【符号の説明】
【0106】
40 エネルギー伝達ユニット
41c 単一の通信光ファイバ
41c1、41c2 第1及び第2の通信光ファイバ
41p 電力光ファイバ
41s 刺激光ファイバ
50 封入ユニット
51 植え込み型パルス発生器(IPG)
52 電力源
53a VCSELアパーチャ
53e VCSEL電気接点
53L 光源
53Lc 封入ユニットにおける通信光源
53Lp 電力光源
53p 封入ユニットにおける光検出器
54 植え込み型コントローラ
55 電力源((再充電可能)電池)
60 組織結合ユニット
61 光起電ユニット
61p 光起電セル
61p1~61p4 N=4個のPVセルを含むPVユニット内のPVセル
61i i番目の光起電セル
62 電気回路
63p 組織結合ユニットにおける光検出器
63Lc 組織結合ユニットにおける通信光源
64 絶縁支持部
65 電極
I 強度
I0 推定強度
Im PVユニット構成の最大強度
It 目標強度
M VSELアパーチャの数
m アドレス指定されたアパーチャの数
N 光起電セル(61p)の数
Pbat 電力源((再充電可能)電池)によって提供される電力
Popt1、2、4 I=It、N=4、及びUs=1、2、4のために必要とされる光電力値
Pb1、2、4 Popt1、Popt2、Popt4を生じさせるために必要とされる最適な電池電力
Pe PVセルユニットの最大効率
Pei Z = iにおける効率
Popt 光電力
PoptINV リゼント(resent)発明に係るAIMDを用いた光電力
PoptPA 現況技術のAIMDを用いた光電力
Pp Us個のユニットの各々における並列のPVセルの数
Ps Up個のユニットの各々における直列のPVセルの数
S1~S6 スイッチ
u 電圧
u0 推定電圧
uei PV構成Us = iの最大効率電圧
um PVユニット構成の最大電圧
umi PVユニット構成Us = iの最大電圧
Up 並列のユニットの数
Us 直列のユニットの数
ut 目標電圧
Z インピーダンス
Z0 エスティレーテッド(Estilated)インピーダンス
Z1~Z3 インピーダンス値の例
【手続補正書】
【提出日】2023-11-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の身体内に植え込まれるように構成された能動植え込み型医療用デバイス(AIMD(active implantable medical device))に関する。本発明のAIMDは、エネルギーパルスをIPGから電極へ伝達するための1つ以上のエネルギー伝達チェーンを備える光神経刺激器(=光AIMD)である。各エネルギー伝達チェーンは、光パルスを放出するための光源、光パルスを伝達するための光ファイバ、及び電極間の目標強度(It)の電流を生み出すために光パルスを電気パルスに変換するための光起電(PV(photovoltaic))ユニットを含む。本発明の光AIMDは、電池電力(Pbat)消費を低減するために、電極間の測定インピーダンス(Z)に応じて患者の身体内への光AIMDの植え込み後にエネルギー伝達チェーンの微調整の原位置での最適化を可能にする。具体的には、本発明の光AIMDは、一方では、PVユニットを構成する光起電セル構成、及び、他方では、光源の構成の最適化を可能にする。PVユニット及び光源のうちのいずれか一方又はその両方の原位置での最適化は電池電力消費の相当な低減をもたらす。
【背景技術】
【0002】
能動植え込み型医療用デバイス(AIMD)は、多数の障害、特に、神経障害を治療するために数十年にわたって用いられている。能動植え込み型医療用デバイス(AIMD)は、AIMDが、組織を刺激すること、バイタルサインを監視すること、及び同様のことなどによって、それらが植え込まれた身体と能動的に相互作用するように構成されているという点で、RFIDタグ及び同様のもののような(非能動)植え込み型医療用デバイス(IMD)と区別される。概して、AIMDは、植え込み物から、又はそれへエネルギーを伝達することができる。したがって、AIMDは、概して、電池、好ましくは、再充電可能電池などの、電力源を内蔵している。
【0003】
主な種類のAIMDは、パーキンソン病、てんかん、慢性痛、運動障害などの多数の障害を診断若しくは治療すること、及び多くの他の適用のために、電気パルスを神経組織(例えば、迷走神経若しくは脳組織のような神経など)又は筋肉へ送る、神経刺激器から成る。治療対象の組織、使用される電極の種類、及び電極間の距離に応じて、植え込まれた電極間において必要とされる電圧は、概して、およそ1~10Vである。このような電圧は、電気刺激を与える植え込み物が、概して、
図1(a)に示されるように2つの別個の構成要素で形成されるような寸法の電気パルス発生器及び電池を必要とする。一方は、治療対象の組織上に直接植え込まれる電極であり、他方は、適用に応じて身体内の様々な場所において皮下に植え込まれ得る、より大きい寸法の、及び封入ユニット内に内蔵された、電気パルス発生器である。封入体は、頭蓋領域、鎖骨下領域、下腹部区域若しくは臀部領域、及び同様のもの内に植え込まれ得る。封入ユニットは、概して、その機械的特性のために、及び生体適合性及び容易な加工性などの、他の理由のために、チタン(合金)で作製される。しかし、チタンで作製された封入体は、RF、可視、及びIR波長に対する透過性が低いか、又は透過性を有せず、MRIに適さず、熱及び撮像アーチファクトを発生する。一部の封入体は、可視及びIR光に対して不透明又は透明な、セラミック材料で作製された。ポリマーが封入体のために試行されたが、それらは、概して、耐久性及び耐湿性を欠く。
【0004】
図1(a)に示されるように、その最も単純な形態において、エネルギーパルスを送るためのデバイスは、封入ユニットのハウジング内に収容された植え込み型パルス発生器(IPG(implantable pulse generator))、組織結合ユニット、及びエネルギーを電気若しくは光エネルギーの形態でIPGから組織結合ユニットへ伝送するために組織結合ユニットをIPGに結合するエネルギー伝達リードを備える。光神経刺激器などの光駆動式AIMD(=光AIMD)は、光パルスを発生し、光ファイバを通じて光起電セルへ伝送し、光エネルギーを電気エネルギーに変換し、組織結合ユニットの電極間に電圧差を印加する特別な種類のAIMDであり、例えば、欧州特許第3113838(B1)号明細書に記載されている。光AIMDは、とりわけ、それらが、導線を通して電極へ導通される電気パルスを発生する「従来の」神経刺激器よりも相当に高いMRI適合性を示すという点で、有利である。しかし、光神経刺激器は、対処されるべき多数の課題を有する。
【0005】
具体的には、「従来の」神経刺激器では、IPGによって発生された電気パルスは導線を通して電極へ直接伝送されるときに、光神経刺激器では、電気パルスは、エネルギー伝達チェーンにおいて、
● 光エネルギーパルスを発生するための、IPGに属し、封入ユニット内に収容された光源、
● 光エネルギーパルスをへ伝達するための窓の形態の光フィードスルー、
● 封入ユニットの光源をへの組織結合ユニットに光学的に接続する光ファイバ、
● 光エネルギーパルスを目標強度(It)の電気パルスに変換するための組織結合ユニットに属する光起電(PV)ユニット、及び
● 電極につながった短い導線、
を含む、エネルギー伝達チェーンを介して伝送される。
【0006】
放出された光パルスが迷走神経を本当に活性化したことを確認するために、欧州特許第3687623号明細書は、光パルスの放出に従って迷走神経が実際に活性化されたことを指示する喉頭領域のレベルにおける電気信号を検出するように構成された外部コントローラデバイスを備える光AIMDを記載している。
【0007】
また、例えば、国際公開第2021008688号パンフレットに記載されているように、植え込み型AIMDと身体の外面との間の通信も光学的に実施され得る。このような光通信も電池からの電力を消費する。したがって、AIMDによって放出される様々な光エネルギー伝達を最適化することが重要である。例えば、欧州特許第3471820号明細書は、1本以上の光ファイバと、対応する1つ以上の光起電セルとの間の優れたアライメントを可能にする、1本以上の光ファイバと、1つ以上の光起電セルを設けられた組織結合ユニットとの間の結合モジュールを記載している。
【0008】
「従来の」神経刺激器における電気パルスの直接伝送とは異なり、光神経刺激器(=光AIMD)のエネルギー伝達チェーンは、注意深く最適化されなければ相当量になり得るエネルギー損失を様々な段階において発生する。IPGの光源によって発生された光パルスは、窓(時として光フィードスルーと称される)を通して封入ユニット外へ、及び光ファイバを介して組織結合ユニットへ伝送される。窓及び光ファイバはどちらも光エネルギーの部分を吸収又は反射する。これは、目標強度(It)の電流を電極において発生するために必要とされる光電力(Popt)の光パルスを伝送するために考慮されなければならない。電力(Popt)の光パルスは、光エネルギーを所与の強度の電流及び対応する電圧に変換する光起電セル(PVセル)のアレイに照射する。エネルギー変換プロセスは、とりわけ、光起電セルの数及び性能によって、並びにアレイ内のそれらの構成によって制約される。所与の電力(Popt)の光パルスの、PVセルによる、又はPVセルの所与のアレイによる、電極間の電流への転換は、
図7に示される種類のI=f(U)(又は(I-u))特性曲線によって支配される。PVセル(のアレイ)の(I-u)出力はPVセル(I-u)特性曲線、I=f(u)によって特徴付けられる。
図7に、その一例が実線で示されている。PVセル(アレイ)をその下流のインピーダンス(Z)に接続することによって、電流(I)及び電圧(u)が発生される。それらの値は、インピーダンス曲線(1/Z)(
図7、長破線参照)と(I-u)特性曲線との交点によって規定される。(P-u)曲線(
図7、短破線参照)は、PVセル又はPVセルアレイがどのぐらい効率的に利用されるかを指示する。(P-u)曲線の極大点は、最大電力点又は最大効率点(MPP(maximum power point))と呼ばれ、最大効率電圧(ue)において到達する最大効率電力(Pe)に対応する。PVセル、又はPVセルの所与のアレイをできるだけ最大効率点(MPP)の近くで用いることが明らかに望ましい。これは、伝統的に、PVセルの下流のインピーダンス(Z)の値を、最大効率電圧の値と等しい(又は少なくともそれよりも低く、且つできるだけそれに近い)(ut≦ue)、対応する目標電圧(ut)において(I-u)曲線と交わるように変更することによって、所与の目標強度(It)を発生するための最大電力点に追従すること(=MPPT、すなわち「最大電力点追従(maximum power point tracking)」)によって達成される。MPPTは、例えば、太陽電池パネルの効率を最適化するために広範に用いられている。しかし、光AIMDでは、PVセル又は所与のPVセルアレイの下流のインピーダンスの値を制御すること、ましてや、変更することは可能でない。実際に、インピーダンス(Z)は、とりわけ、一方では、患者によって当然異なる、組織の性質及び条件に依存し、他方では、組織結合ユニットを組織に植え込む外科医によって遭遇される条件、又は患者の動きに依存し得る、電極と、それらが結合された組織との間の電気接触に依存する。光AIMDを植え込み、それを試験する前にインピーダンスの値を予測する手立てはない。これらの理由のために、上述されたとおりのMPPTは、光AIMDにおけるPVセルの使用効率を最適化するために用いることができない。本文書では、分かりやすくするために、飽和まで強度が一定のままである、理想的な(I-u)特性曲線が提示される。実際には、I(u)が一定であるように表現された部分は、例えば、シャント抵抗のゆえに、水平から若干逸脱し、下方へ若干傾斜し得る。uの関数としてのIのこのわずかな依存性は本議論に影響を与えず、当業者によって容易に考慮され得る。
【0009】
PVセルの下流のインピーダンス(Z)を制御する手立てはないので、インピーダンス(Z)、及びそれゆえ、目標電圧(ut)の値は欠測しており、かなり広い範囲内で推定され得るのみであるため、PVユニットは工場における生産の間にせいぜいある程度最適化することができるのみである。したがって、光AIMDの生産者は、医師によって処方された目標強度(It)のパルスを必要とし、インピーダンス(Z)の高い値を呈する第1の患者を、同じ強度(It)のパルスを必要とし、インピーダンス(Z)のより低い値を呈する第2の患者と同じ光AIMDを用いて治療することができることを確実にするために、PVセルの特性を「特大サイズ」にしなければならない。したがって、光AIMDは、少なくとも第2の患者に対しては最適以下で(すなわち、最大効率点(MPP)から離れて)動作することになる。
【0010】
PVユニットの場合と同様に、光源の最適化は、以下の理由のために、工場における生産の間にせいぜいある程度達成されるのみである。第1に、組織へ送られるべき電流の目標強度(It)は医師によって個々の場合に応じて決定され、治療対象の病理及び患者に依存する。第2に、組織へ送られるべき目標強度(It)の電流を発生するために光電力(Popt)が使用される効率は、とりわけ、最大効率点(MPP)、PVユニットを形成するPVセル又はPVセルアレイに対する電極間に含まれる組織の部分のインピーダンス(Z)に依存する。目標強度(It)は、光AIMDが特定の患者にあてがわれて初めて知ることができるのみであり、インピーダンス(Z)は、光AIMDが植え込まれ、患者において原位置で試験された後に判明することができるのみである。
【0011】
この場合も先と同様に、これらの理由のために、光神経刺激器は、概して、最悪のシナリオのために設計され、電極間のインピーダンス(Z)の比較的高い値を仮定して、比較的高い強度の電流を分配することを可能にする。しかし、実際には、大抵の適用では、医師によって必要とされる目標強度の値、及び電極間で測定されるインピーダンスの値は、光神経刺激器が設計されたものよりも相当に低い。換言すれば、光神経刺激器が、推定電圧(u0=Z0 x I0)が最大効率電圧(ue)に近くなるよう、又はそれと等しくなるよう(すなわち、ue-u0≒0)、推定インピーダンス(Z0)のための、推定強度(I0)の電気パルスを送るように設計された場合には、この光神経刺激器は、目標強度(It<I0)の電気パルスを用いて治療されるべき、測定インピーダンス(Z<Z0)を有する患者において用いるには、それゆえ目標電圧の値が最大効率電圧の値からシフトすることになるため(すなわち、|ue-ut|>0≒|ue-u0|)、最適以下になるであろうことが明らかである。電力差、It x |ue-ut|は、PVセルの最適な使用に対する、熱及び同様のものの形で浪費及び消散される電力を表す。ut=ueである場合には、このとき、PVセルに与えられる光電力は最適に使用される。
【0012】
例えば、光AIMDは、およそI0=3mAの推定強度及びおよそ1.5kΩの推定インピーダンス(Z0)のパルスを発生するように設計され得、対応する推定電圧、u0=1.5kΩ x 3mA=4.5Vを生じさせる。しかし、大抵の場合は、およそ1mAの目標強度(It)が医師によって処方され得、多くの患者では、およそ1kΩ(概して、0.3~1.5kΩに及ぶ)のインピーダンス(Z)が測定され得、およそ1V(すなわち、ut=1V<u0=4.5V)の目標電圧(ut=Z x It)の値をもたらすのみである。1.5kΩのインピーダンスを伴ってIt=3mAの目標強度のパルスを発生するために設計された光AIMDは、およそ4.5V(すなわち、ue≒4.5V)の最大効率電圧(ue)の値を有するPVユニットを設けられなければならない。このような光AIMDは、1kΩのインピーダンスを伴ってIt=1mAの目標強度のパルスを送るのに適しはするが、目標電圧(ut=1V)が最大効率電圧(ue≒4.5V)から遠く離れることになるため、光AIMDは、それゆえ、効率の観点から言えば、最適以下の条件で機能することになるであろう。したがって、PVセルへ送られる光電力(Popt)の相当な部分は、目標強度(It)の電流を発生するために使用されず、その代わりに、熱及び同様のものの形で消散されるということになる。これは、仮に光AIMDが効率の観点から最適条件で機能すれば必要とされるであろうものよりも高い電池電力(Pbat)が、目標強度(It)を電極へ送るために必要とされるという、植え込み型光AIMDにとっての大きな欠点を有する。電池電力を節約することが光AIMDにおける主要な目標になる。なぜなら、それは植え込み型光AIMDの有効寿命を延ばし、再充電可能電池の場合には、それは、患者にとって非常に煩わしく、不快である、2つの充電セッション間の時間を増大させるからである。
【0013】
図1(e)に示されるように、患者の組織内における電荷の蓄積を防止するために、刺激時間(ts)にわたる電極への目標強度(It)の電流の刺激パルス又は刺激パルス列の送信後に、回復時間(tr)にわたる回復強度(Ir)の回復パルスの送信が行われることが好ましい。回復パルスは、以下のようなものである。
● 比、Ir/It<0、すなわち、回復強度は目標強度と反対の符号を有する、
● |It|≧|Ir|、及び
● |Qs|=|It x ts|≒|Qr|=|Ir x tr|、ここで、Qs及びQrは、それぞれ、組織上に堆積される刺激及び回復電荷である。
【0014】
刺激及び回復パルスを送信するための、封入ユニットと組織結合ユニットとの間のエネルギー伝達チェーンの重複を回避するために、刺激パルス及び回復パルスの両方を伝達するのに同じエネルギー伝達チェーンを用いること、すなわち、同じ光源、同じ光ファイバ、及び同じPVユニットを用いることが好ましい。しかし、|It|>|Ir|であるため、推定強度(I0)よりも小さい目標強度(It)の刺激パルスのために最適以下で機能する最悪のシナリオ(すなわち、推定強度(I0)及び推定インピーダンス(Z0)の高い値)のために事前に設計された光神経刺激器のエネルギー伝達チェーン(上述の説明参照)は、目標強度(It)よりも低い大きさの回復強度(Ir)(すなわち、Ir<It<I0)の回復パルスを伝達するために、よりいっそう最適でなくなる。これは、電池電力(Pbat)消費にとって、及び、究極的には、患者の快適性にとって有害である。
【0015】
本発明は、患者において直接測定された組織のインピーダンスに依存して植え込み型光AIMDのエネルギー消費を低減するためのソリューションを提案する。我々の知るかぎり初めて、本発明の光AIMDを用いることで、光AIMDが患者に植え込まれた後に原位置でエネルギー伝達チェーンの最適化を完了することができる。本発明のこれら及び他の利点が続いて提示される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は添付の独立請求項において定義される。好ましい実施形態は従属請求項において定義される。詳細には、本発明は、組織の電気刺激のための能動植え込み型医療用デバイス(AIMD)において、AIMDが、
● 皮下に植え込まれるのに適しており、ハウジングを含む封入ユニットにおいて、ハウジングが、
○ 光電力(Popt)の光エネルギーパルスを送るための、光源に結合された植え込み型エネルギーパルス発生器(IPG)、
○ IPGを活性化するための電力源において、変更可能な電池電力(Pbat)を発生するように構成された、電力源、
○ IPGに、時間の関数としての所与の光電力(Popt)の光エネルギーパルスを送るよう命令するように構成された植え込み型コントローラ、
を内蔵する、封入ユニットと、
● 光エネルギーを封入ユニットの光源から組織結合ユニットへ伝達するための、光源に光学的に結合された近位端部、及び組織結合ユニットに結合された遠位端部を含む刺激光ファイバを含む植え込み型エネルギー伝達ユニットと、
を備え、
● 組織結合ユニットが、皮下に植え込まれ、封入ユニットから分離された場所において組織に結合されるのに適しており、組織結合ユニットが、
○ 支持する絶縁支持部、
○ 所与の目標強度(It)の電気パルスを送るように構成された電気回路を含み、電気回路が、
- 光ファイバによって伝送された光エネルギーパルスを目標強度(It)の電気エネルギーパルスに変換するために光ファイバの遠位端部と光学的に接触するように位置付けられた、N≧2個の光起電(PV)セルを含む光起電ユニット(PVユニット)、
- 電気エネルギーパルスをへ伝達するための電気導体、
- 絶縁支持部が組織に結合されたときに組織と電気接触するように、絶縁支持部上に装着された電極、
を含むことを特徴とするAIMDに関する。
【0017】
本発明の要点は、
● PVユニットが、各ユニットが、並列に配置されたPp個の光起電セル(PVセル)を含む、直列に配置されたUs個のユニット、又は各ユニットが、直列に配置されたPs個のPVセルを含む、並列に配置されたUp個のユニットを含み、Us、Up、Pp、及びPs∈Nであり、且つUs x Pp=Up x Ps=N=一定であることと、
● 電気回路が、Us及びUpの値を変更するように構成されたスイッチを含むことと、
● 電気回路が、所与の目標強度(It)の電気パルスを生じさせるために必要とされる光エネルギーパルスの電力(Popt)が最小化されるよう、Us又はUpの最適値を生じさせるべくスイッチを制御するように構成されたスイッチ制御モジュールを含むこと、である。
【0018】
好ましい実施形態では、AIMDは、Us又はUpの最適値を決定するように構成された調節ユニットを備え、電気回路は、電極へ送られた電気パルスの電圧(u)及び/又は強度(I)の値を測定するように構成された感知ユニットを含み、電圧(u)及び/又は強度(I)の測定値は、Us又はUpの値を最適化するために調節ユニットによって用いられる。調節ユニットは、例えば、以下のようにUs又はUpの最適値を決定するように構成され得る、すなわち、
● 光電力(Popt)の所与の値のために、AIMDが植え込まれ、組織結合ユニットが組織に結合されている時に、目標強度(It)に対応する目標電圧(ut)を決定又は測定すること、
● 目標電圧(ut)の値よりも大きく、且つそれに最も近い最大電圧(um1、um2、um4)を生じさせるUs又はUpの最適値を決定すること、
● Us又はUpの最適値を用いて、光エネルギーパルスの電力(Popt)を、目標強度(It)に到達するために必要とされる最適光電力(Popt1、Popt2、Popt4)に調整すること、
によって決定するように構成され得る。
【0019】
例えば、調節ユニットは、以下のように目標電圧(ut)を決定又は測定するように構成され得る、すなわち、
● Us=NであるPVユニットの照射時に目標強度(It)の電流を生じさせることが知られた所与の光電力(Popt)の光パルスを発生して伝送し、目標電圧(ut)に対応する電極(61)間の電圧を測定すること、或いは
● 光電力(Popt)の任意の所与の値のために、及びUs=Nとして、
○ 電極(61)間の電圧(u)及び強度(I)を測定し、
○ |Z|=|u|/|I|を用いてインピーダンス(Z)を決定し、
○ |ut|=|Z| x |It|を用いて目標電圧(ut)を算出すること、
のどちらかによって決定又は測定するように構成され得る。
【0020】
光源は、好ましくは、アドレス指定可能な光エミッタアレイ、好ましくは、アドレス指定可能なレーザエミッタダイオードの、より好ましくは、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)のアレイ、又はアドレス指定可能な発光ダイオード(LED)のアレイであり、光エミッタアレイは、1つずつ独立して、又はアパーチャのサブグループによってアドレス指定可能なM>1個のアパーチャを含む。調節ユニットが、目標強度(It)を発生するための最適光電力値(Popt=Popt1、Popt2、又はPopt4)を必要とするUsの最適値を決定すると、調節ユニットは、次に、最適光電力(Popt=Popt1、Popt2、又はPopt4)を発生するために必要とされる電池電力(Pbat)を最小化するよう1度にアドレス指定されるアパーチャの最適数(m≦M)を決定するように構成されている。
【0021】
また、本発明は、組織の電気又は光刺激のためのAIMDにおいて、AIMDが、
● 皮下に植え込まれるのに適しており、ハウジングを含む封入ユニットにおいて、ハウジングが、
○ 光電力(Popt)の光エネルギーパルスを送るための、光源に結合された植え込み型エネルギーパルス発生器(IPG)、
○ IPGを活性化するための電力源において、変更可能な電池電力(Pbat)を発生するように構成された、電力源、
○ IPGに、時間の関数としての所与の電力(Popt)の光エネルギーパルスを送るよう命令するように構成された植え込み型コントローラ、
を内蔵する、封入ユニットと、
● 光エネルギーを封入ユニットの光源から組織結合ユニットへ伝達するための、光源に光学的に結合された近位端部、及び組織結合ユニットに結合された遠位端部を含む刺激光ファイバを含む植え込み型エネルギー伝達ユニットと、
を備え、
● 組織結合ユニットが、皮下に植え込まれ、封入ユニットから分離された場所において組織に結合されるのに適しており、組織結合ユニットが、
○ 支持する絶縁支持部、
○ 所与の目標強度(It)の電気パルスを送るように構成されたオプトロード又は電気回路、を含み、オプトロード又は電気回路が、
- 光ファイバによって伝送された光エネルギーパルスを目標強度(It)の電気エネルギーパルスに変換するために光ファイバの遠位端部と光学的に接触するように位置付けられた、1つ以上の光起電(PV)セルを含む光起電ユニット(PVユニット)、
- 電気エネルギーパルスをへ伝達するための電気導体、
- 絶縁支持部が組織に結合されたときに組織と電気接触するように、絶縁支持部上に装着された電極、
を含むことを特徴とするAIMDに関する。
【0022】
AIMDは、
● 光源が、アドレス指定可能な光エミッタアレイ、好ましくは、アドレス指定可能なレーザエミッタダイオードの、より好ましくは、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)のアレイ、又はアドレス指定可能な発光ダイオード(LED)のアレイであり、光エミッタアレイが、1つずつ独立して、又はアパーチャのサブグループによってアドレス指定可能なM>1個のアパーチャを含むことと、
● 植え込み型コントローラが、最適光電力(Popt)を発生するべく電池電力(Pbat)を最小化するよう、1度にアドレス指定されるアパーチャの最適数(m≦M)を決定するように構成されていることと、
を特徴とする。
【0023】
AIMDは、以上において定義されたとおりの調節ユニットを備えることを備えることができ、調節ユニットは、
● 植え込み型コントローラ内に完全に統合されており、
○ 感知ユニットによって測定された電極へ送られた電気パルスの電圧(u)及び/又は強度(I)の値、
○ 上述されたとおりのAIMDにおける、目標強度(It)に到達するためのUs及びPpの最適値、
○ 上述されたとおりの最適光電力(Popt)、
を決定するように構成されているか、
● 組織結合ユニット(60)の電気回路に属する結合部分を含み、
○ 感知ユニットによって測定された電極へ送られた電気パルスの電圧(u)及び/又は強度(I)の値、
○ 請求項3又は4に記載のAIMDにおける、目標強度(It)に到達するためのUs又はUpの最適値及び光エネルギーパルスの最適光電力(Popt)、
を決定するように構成されているか、
封入ユニット内の植え込み型コントローラに属する封入部分を含み、
○ 最適光電力(Popt)の光エネルギーパルスを発生するための以上において定義されたとおりのAIMDにおけるアパーチャの最適数(m)
を決定するように構成されている。
【0024】
好ましい実施形態では、封入ユニットと組織結合ユニットとの間で通信ユニットを介して送信されるデータは、
● 組織結合ユニットから封入ユニットへの、
○ 電気パルスが電極へ送られたことの確認、
○ 上述されたとおりのAIMD内の感知ユニットによって測定された電極へ送られた電気パルスの電圧(u)及び/又は強度(I)の値、
○ 請求項3に記載のAIMDにおける、目標強度(It)を発生するために必要とされる光エネルギーパルスの光電力(Popt)の値、
のうちの1つ以上を含むもの、
● 封入ユニットから組織結合ユニットへの、
○ 目標強度(It)の値、
○ Us又はUpの最適値、
のうちの1つ以上を含むもの、
のうちの1つ以上を含む。
【0025】
好ましい実施形態では、AIMDは、電力を封入ユニットから組織結合ユニットへ伝達するための電力伝達ユニットを備え、電力伝達ユニットは、
● 組織結合ユニットの電気回路に結合された1つ以上の電力光起電セル、
● 封入ユニット内に内蔵された植え込み型コントローラに結合された電力光源、好ましくは、LED、並びに
● 好ましくは、植え込み型エネルギー伝達ユニット内に含まれる、刺激光ファイバとは異なる、及び好ましくは、1本又は2本の通信光ファイバとは異なる電力光ファイバにおいて、電力光ファイバが、封入ユニット内に内蔵された電力光源と光学的に連通した封入ユニットに結合された近位端部、及び電気回路に通電するための、組織結合ユニットの1つ以上の電力光起電セルと光学的に連通した組織結合ユニットに結合された遠位端部を含む、電力光ファイバ、
を含む。
【0026】
後者の実施形態のAIMDでは、通信光源)は電力光源と同じであり、電力光ファイバは単一の通信光ファイバと同じであるか、又は第2の通信光ファイバと同じである。
【0027】
AIMDのPVユニットはNt個のPVセルを包含し、調節ユニットは、好ましくは、N≦Ntの異なる値を用いたUs又はUpの最適値を決定するように構成されている。
【0028】
本発明の本質のより完全な理解のために、以下の詳細な説明を添付の図面と併せて参照する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1a】
図1(a)は、本発明に係る光AIMDの全体図を示す。
【
図1b】
図1(b)は、
図1(a)の光AIMDの封入ユニットの図を示す。
【
図1c】
図1(c)は、
図1(a)の光AIMDのエネルギー伝達ユニットの図を示す。
【
図1d】
図1(d)は、
図1(a)の光AIMDの組織結合ユニットの図を示す。
【
図1e】
図1(e)は、|Qs|=|It x ts|≒|Qr|=|Ir x tr|となった、刺激パルス、及びそれに続く回復パルスの一例を示す。
【
図2a】
図2(a)は、直列に配置されたN=4個のPVセルを含むPVユニットを示す(Us=4、Pp=1)。
【
図2b】
図2(b)は、各ユニットが直列の2つのPVセルを含む、並列の2つのユニットの形で配置されたN=4個のPVセルを含むPVユニットを示す(Us=2、Pp=2)。
【
図2c】
図2(c)は、並列に配置されたN=4個のPVセルを含むPVユニット構成を示す(Us=1、Pp=4)。
【
図3a】
図3(a)は、直列に配置されたN=6個のPVセルを含むPVユニット構成を示す(Us=6、Pp=1)。
【
図3b】
図3(b)は、各ユニットが直列の3つのPVセルを含む、並列の2つのユニットの形で配置されたN=6個のPVセルを含むPVユニット構成を示す(Us=3、Pp=2)。
【
図3c】
図3(c)は、各ユニットが直列の2つのPVセルを含む、並列の3つのユニットの形で配置されたN=6個のPVセルを含むPVユニット構成を示す(Us=2、Pp=3)。
【
図3d】
図3(d)は、並列に配置されたN=6個のPVセルを含むPVユニット構成を示す(Us=1、Pp=6)。
【
図4a】
図4(a)は、N=4個のPVセル、並びに
図2(a)に示される構成を生じさせるようUs及びPpの値が変更されることを可能にするスイッチを含む本発明に係るPVユニットの実施形態を示す。
【
図4b】
図4(b)は、N=4個のPVセル、並びに
図2(b)に示される構成を生じさせるようUs及びPpの値が変更されることを可能にするスイッチを含む本発明に係るPVユニットの実施形態を示す。
【
図4c】
図4(c)は、N=4個のPVセル、並びに
図2(c)に示される構成を生じさせるようUs及びPpの値が変更されることを可能にするスイッチを含む本発明に係るPVユニットの実施形態を示す。
【
図5a】
図5(a)は、インピーダンス(Z1、Z2、Z4)の異なる値を伴う、
図2(a)~
図2(c)に係るその構成に依存した、N=4個のPVセルを含むPVユニットを特徴付けるI=f(u)特性曲線の一例を示し、光電力、Popt=P4は、目標強度(It)が、直列に配置されたN=4個のPVセルの構成(Us=4、Pp=1)のためのI=f(u)特性曲線に適合するように設定されている。
【
図5b】
図5(b)は、インピーダンスZ1のために最適化されたPVユニット構成を示す。
【
図5c】
図5(c)は、インピーダンスZ2のために最適化されたPVユニット構成を示す。
【
図5d】
図5(d)は、インピーダンスZ4のために最適化されたPVユニット構成を示す。
【
図5e】
図5(e)は、Nt=5及びN=4として、Poptを節約するためにNt個のうちの部分N個のPVセルのみを用いることが有利である、I=f(u)又は(I-u)特性曲線、曲線群の一例を示す。
【
図5f】
図5(f)は、
図5(e)において特徴付けられるNt=5個のPVセルを包含するPVセルにおいてUs=2、Pp=2を選択することによって、光電力(Popt)がどのように低減され得るのかを示す。
【
図5g】
図5(g)は、植え込みを受けた患者の母集団内で測定されたインピーダンス(Z)の値の密度分布の一例を示す。
【
図6a】
図6(a)は、1つずつ独立してアドレス指定可能なM=8個のアパーチャを含むVCSELアレイを示す。
【
図6b】
図6(b)は、アドレス指定されたアパーチャの数mの関数としての光エネルギー(Popt)の光パルスを放出するための
図6(a)のVCSELの電池電力(Pbat)消費を示す。黒点は、光電力(Popt)の異なる値(Popt1、Popt2、Popt4)のための最も効率的なVCSEL構成(mの値)を指示する。
【
図7】
図7は、対(ut、It)を指示するI=u/Z直線、及びPVユニットの効率を指示する曲線P=u x Iを含み、ut及びue値を示す、1つのPVセル、又はPVセルのアレイを含むPVユニットの典型的なI=f(u)又は(I-u)特性曲線を示す。
【
図8a】
図8(a)は、封入ユニットと組織結合ユニットとの間のエネルギー伝達チェーンの様々な実施形態を示す。
【
図8b】
図8(b)は、封入ユニットと組織結合ユニットとの間のエネルギー伝達チェーンの様々な実施形態を示す。
【
図8c】
図8(c)は、封入ユニットと組織結合ユニットとの間のエネルギー伝達チェーンの様々な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、患者の身体内に植え込まれるように構成された能動植え込み型医療用デバイス(光AIMD)(1)を含むシステムに関する。
図1(a)に示されるように、AIMDは、少なくとも、患者の身体内に皮下に植え込まれるのに適した封入ユニット(50)と、封入ユニット(50)から分離された場所において皮下に植え込まれ、組織に結合されるのに適した組織結合ユニット(60)と、封入ユニット(50)を組織結合ユニット(60)と光学的に連通させる刺激光ファイバ(41s)を含む植え込み型エネルギー伝達ユニット(40)と、を備える。
【0031】
封入ユニット(50)は、AIMDを活性化するために必要とされるほとんどの要素を内蔵する。大部分の場合、それは、刺激対象の組織に直接隣接して植え込むには大きすぎるため、封入ユニットは、概して、刺激対象の組織から離れた場所において植え込まれる。例えば、封入ユニットは患者の鎖骨下領域内に植え込むことができる。
図1(b)に示されるように、封入ユニット(50)はハウジング(50h)を含み、ハウジング(50h)は、
● 光電力(Popt)の光エネルギーパルスを送るための、光源(53L)に結合された植え込み型エネルギーパルス発生器(IPG)(51)、
● IPG(51)を活性化するための電力源(52)において、変更可能な電池電力(Pbat)を発生するように構成された、電力源(52)、
● IPGに、時間の関数としての所与の光電力(Popt)の光エネルギーパルスを送るよう命令するように構成された植え込み型コントローラ(54)、
を内蔵する。
【0032】
電力源(52)は、例えば、再充電可能であるか、又はそうでない、電池又はスーパーキャパシタを含む植え込み型供給源であることができるか、或いはそれは、例えば、体外の発生源から発生された磁界にさらされると電流を誘導するように構成された誘導コイルを含む、外部供給源であることができる。後者は、しばしば、人工内耳において実施される。
【0033】
組織結合ユニット(60)は、刺激対象の組織に直接結合されるように構成されている。
図1(c)に示されるように、組織結合ユニット(60)は、
● 支持する絶縁支持部(64)、
● 所与の目標強度(It)の電気パルスを送るように構成された電気回路(62)、を含み、電気回路(62)は、
○ 光ファイバによって伝送された光エネルギーパルスを目標強度(It)の電気エネルギーパルスに変換するために光ファイバ(41s)の遠位端部と光学的に接触するように位置付けられた、N≧2個の光起電(PV)セル(61p)を含む光起電ユニット(PVユニット)(61)、
○ 電気エネルギーパルスをPVユニットからへ伝達するための電気導体、
○ 絶縁支持部が組織に結合されたときに組織と電気接触するように、絶縁支持部(64)上に装着された電極(61)、
を含む。
【0034】
組織結合ユニット(60)は、植え込み型エネルギー伝達ユニット(40)に属する刺激光ファイバ(41s)を介して封入ユニットのIPG(51)によって送られた光エネルギーパルスを受け取る。刺激光ファイバ(41s)は、光源(53L)に光学的に結合された近位端部、及び組織結合ユニット(60)に結合された遠位端部を含む。刺激光ファイバ(41s)は、光エネルギーを封入ユニット(50)の光源(53L)から組織結合ユニット(60)へ伝達するように構成されている。
【0035】
上述の背景技術において説明されたように、光エネルギーパルスを封入ユニット(50)から組織結合ユニット(60)へ光学的に伝達し、光エネルギーパルスを電気パルスに変換することは、特に、エネルギー伝達チェーンのエネルギー損失の、数多くの課題に直面する。エネルギー伝達チェーンは、光パルスを放出するための光源、光パルスを伝達するための光ファイバ、及び電極間の目標強度(It)の電流を生み出すために光パルスを電気パルスに変換するための光起電(PV)ユニットで構成されている。
【0036】
電力源(52)は、光AIMDのエネルギー伝達チェーンに給電するための電池電力(Pbat)を供給する。電池電力(Pbat)は、上述されたとおりの任意の種類の電力源(52)によって発生され得、電池に限定されない。エネルギー損失は電池電力(Pbat)の消費を増大させ、これは植え込み型AIMDにとって大きな欠点である。本発明の光AIMDは、所望の電流目標強度(It)を電極(65)へ送るために必要とされる電池電力(Pbat)消費を、
● PVユニット(61)、及び/又は
● 光源(53L)
を原位置で最適化することによって、低減することを可能にする。
【0037】
本発明の要点は、患者の身体内にすでに植え込まれた光AIMDにおいて、PVユニット(61)及び光源(53L)のどちらか又は両方を最適化することができることである。光源(53L)が放出しなければならない光電力(Popt)、及びPVユニットが所望の目標電流を生じさせるために発生しなければならない目標電圧(vt)は、とりわけ、電極(65)間で測定されたインペンデンス(impendence)(Z)に依存するため、これは非常に重要である。インピーダンス(Z)の値は、植え込み型AIMDを有する患者において直接測定することのみ可能である。なぜなら、それは、組織結合ユニット(60)の電極(65)が結合された組織の種類、サイズ、及び健康、並びに光AIMDの外科的植え込み後に得られた電極と組織との間の実際の電気接触に依存するからである。本発明に係る光AIMDのエネルギー伝達チェーンは、光AIMDの損耗及び患者の動きを考慮するために、植え込み型光AIMDの有効寿命おきに最適化することができる。我々の知るかぎり、植え込み型光神経刺激器のエネルギー伝達チェーンが原位置及び生体内で最適化されることを可能にするソリューションが提案されるのはこれが初めてである。
【0038】
PVユニット(61)の最適化
本発明の第1の態様では、エネルギー伝達チェーンは、電極(65)間の目標強度(It)の電気パルスを発生するために必要とされる電池電力(Pbat)の消費を低減するべく、PVユニット(61)のレベルにおいて原位置で最適化することができる。本発明のPVユニット(61)はN≧2個の光起電(PV)セル(61p)を含む。PVユニットは、直列に配置された数Us個のユニットを含む。Us個のユニットの各々は、並列に配置された数Pp個の光起電セル(PVセル)を含む。本発明のPVユニットを規定する、代替的な、だが等価な仕方は、PVユニットが、並列に配置された数Up個のユニットを含むというものである。Up個のユニットの各々は、直列に配置された数Ps個のPVセルを含む。ユニットの数Us、Up、並びにPVセルのPp、及びPsは正の自然(整)数、1、2、3、…であり(すなわち、Us、Up、Pp、及びPs∈N)、且つUs x Pp=Up x Ps=N=一定である。以下において、議論は、通常、値Us及びNを用いることになる。Up、Ps、及びPpの他の対応する値の値は、上述の関係、Us x Pp=Up x Ps=Nを通じて一義的に決定され得る。
【0039】
図2(a)~
図2(c)は、全てのPVセルが用いられるときの、N=4個のPVセルを含むPVユニット(61)の3つの可能な構成(Us=4、2、又は1)を示す。
図2(a)では、Us=N=4(及びPp=1)であり、直列に配置された4つのPVユニットの構成に対応する。
図2(c)では、Us=1(及びPp=N=4)であり、並列に配置された4つのPVユニットの構成に対応する。
図2(b)では、Us=2(及びPp=2)であり、各ユニットが、並列に配置されたPp=2個のPVセルを含む、直列に配置されたUs=2個のユニットを有する(
図2(b)の左側の回路を参照)。
図2(b)の右側の等価回路は、各ユニットが、直列に配置されたPs=2個のPVセルを含む、並列に配置されたUp=2個のユニットという観点から最もうまく特徴付けられる。
【0040】
同様に、
図3(a)~
図3(d)は、N=6個のPVセルを含むPVユニット(61)の4つの可能な構成(Us=6、3、2、又は1)を示す。
図3(a)では、Us=N=6(及びPp=1)であり、直列に配置された6つのPVユニットの構成に対応する。
図3(d)では、Us=1(及びPp=N=6)であり、並列に配置された6つのPVユニットの構成に対応する。
図3(b)は、各ユニットが、並列に配置されたPp=2個のPVセルを含む、直列に配置されたUs=3個のユニットを有する、Us=3及びPp=2に対応するか、或いは、別の表現の仕方をすれば、各ユニットが、直列に配置されたPs=3個のPVセルを含む、並列に配置されたUp=2個のユニットを有する、Up=2及びPs=3に対応する構成を示す。同様に、
図3(c)は、各ユニットが、並列に配置されたPp=3個のPVセルを含む、直列に配置されたUs=2個のユニットを有する、Us=2及びPp=3に対応するか、或いは、別の表現の仕方をすれば、各ユニットが、直列に配置されたPs=2個のPVセルを含む、並列に配置されたUp=3個のユニットを有する、Up=3及びPs=2に対応する構成を示す。
【0041】
PVユニット(61)
図4(a)~
図4(c)に示されるように、電気回路(62)は、Us及びUpの値を変更するように構成されたスイッチ(S1~S6)を含む。電気回路(62)は、所与の目標強度(It)の電気パルスを生じさせるために必要とされる光エネルギーパルスの電力(Popt)が最小化されるよう、Us又はUpの最適値を生じさせるべくスイッチを制御するように構成されたスイッチ制御モジュールを含むことができる。スイッチ制御モジュールは、好ましくは、調節ユニットから受信された命令に従って、スイッチの位置(開/閉)を変更する。
【0042】
図4(a)~
図4(c)は、6つのスイッチ(S1~S6)を設けられた電気回路内に配置されたN=4個のPVセル(61p1~61p4)を含むPVセルの一実施形態を示す。
図4(a)は、直列に配置されたN=4個のPVセルの構成をもたらすスイッチ構成を示す。これは、Us=4及びPp=1(或いはUp=1及びPs=4)である、
図2(a)に示される構成に対応する。
【0043】
図4(a)の回路の全てのスイッチ(S1~S6)を切り替えることによって、Us=1及びPp=4(或いはUp=4及びPs=1)である
図2(c)の構成に対応する、N=4個のPVセルが並列に配置された、
図4(c)に示されるとおりの回路が得られる。
図4(b)は、各ユニットが、並列に配置されたPp=2個のPVセルを含む、並列に配置されたUs=2個のユニットを有する、Us=2及びPp=2(或いはUp=2及びPs=2)である
図2(b)に示されるものに対応する回路をもたらすために必要とされるスイッチ構成を示す。
【0044】
スイッチ構成(開/閉)はスイッチ制御モジュールによって変更され得る。
【0045】
Us及びPp(或いはUp及びPs)の最適化
スイッチ制御モジュールは、スイッチ構成がどのように変更されなければならないのかに関する命令を調節ユニットから受信することができる。調節ユニットは、Us又はUpの最適値を決定するように構成されており、完全に封入ユニット(50)内又は組織結合ユニット(60)内に収容され得るか、或いはそれは、部分的に封入ユニット内に、及び部分的に組織結合ユニット内に収容されてもよい。調節ユニットが部分的又は完全に封入ユニット(50)内に収容される場合には、命令をスイッチ制御モジュールへ伝送するための通信ユニットが必要とされる。電気回路(62)は、電極へ送られた電気パルスの電圧(u)及び/又は強度(I)の値を測定するように構成された感知ユニットを含み得る。例えば、電極(65)間の電圧を決定するために電圧比較器を用いることができる。電圧(u)及び/又は強度(I)のかくして測定された値は、その後、調節ユニットによって、Us又はUpの値を最適化するために用いられ得る。
【0046】
図5(a)は、Usの値に依存したN=4個のPVセルを含むPVユニット(61)の性能グラフの一例を示す。性能グラフは、PVユニット(61)内のPVセル(61p)の構成に依存した、PVユニット(61)が発生することができる電圧(u)の関数としての電流強度(I)を示す。強度は、概して医師によって規定される目標強度(It)と等しくなければならない。
図5(a)では、PVユニット(61)の性能はPVセルの(すなわち、Usの値の)構成に依存して相当に変化することを見ることができる。例えば、Us=4(すなわち、全てのN=4個のPVセルが直列に配置されている)によって特徴付けられるPVユニットは、低い強度(I)のために最も大きい電圧(u)を生じさせる。
図7、及び上述の背景技術におけるそれに関する説明を参照すると、PVユニット(61)は、目標電圧(ut)が最大効率電圧(ue)と等しいか、又はそれに近く、且つそれより小さくなるよう(すなわち、ut≒ue)、PVユニットの最適効率において、又はできるだけその近くで用いられなければならない。したがって、目標強度(It)を生じさせるために必要とされる目標電圧(ut)は、|ut|=|Z| x |It|と定義されるため(
図5(a)及び
図5(d)における傾き1/Z4の直線の破線を参照)、Us=N=4のこの構成は、インピーダンス(Z=Z4)の高い値を発生する患者内に植え込まれた光AIMDのために非常に適している。
【0047】
対照的に、Us=1(すなわち、全てのN=4個のPVセルが並列に配置されている)によって特徴付けられるPVユニットは、より高い強度(I)の電流のために最も低い電圧(u)を生じさせる。目標強度(It)を生じさせるために必要とされる目標電圧(ut)は、|ut|=|Z| x |It|と定義されるため(
図5(a)及び
図5(b)における傾き1/Z1の直線の破線を参照)、この構成は、インピーダンス(Z=Z1)の低い値を発生する患者内に植え込まれた光AIMDのために非常に適している。
【0048】
最後に、Us=2の構成を用いることで中間の電圧(u)及び強度(I)が得られる。したがって、この構成は、インピーダンス(Z=Z2)の中間の値を発生する患者内に植え込まれた光AIMDのために非常に適している。
【0049】
PVユニットの全てのPVセルを用いた(N=Nt)、Zの関数としてのUsの最適化
PVユニットは数Nt個のPVセルで形成され、本発明は、N≦Ntである、N個のPVセルを有するUsの最適値を決定することを目指す。本セクションでは、Usの最適値が、Ntと等しい数N個のPVセルのために決定される、すなわち、PVユニットの全てのPVセルが必ず用いられる、第1の実施形態が扱われる。
【0050】
図5(a)~
図5(d)に示される一実施形態では、調節ユニットは、以下のようにUs(又はUp)の最適値を決定するように構成されている、すなわち、
● 光電力(Popt)の所与の値のために、光AIMDが植え込まれ、組織結合ユニット(60)が組織に結合されている時に、目標強度(It)に対応する目標電圧(ut)を決定又は測定すること(例えば、電圧比較器を用いることができる)、
● 目標電圧(ut)の値よりも大きく、且つそれに最も近い最大電圧(um1、um2、um4)を生じさせるUs(又はUp)の最適値を決定すること、
● 前のステップにおいて決定されたUs(又はUp)の最適値を用いて、光エネルギーパルスの電力(Popt)を、目標強度(It)に到達するために必要とされる最適光電力(Popt1、Popt2、Popt4)に調整すること、
によって決定するように構成されている。
【0051】
第1の実施形態では、目標電圧(ut)の決定又は測定は、Us=N(又はUp=1)であるPVユニットの照射時に目標強度(It)の電流を生じさせることが知られた所与の光電力(Popt)の光パルスを発生して伝送し、目標電圧(ut)に対応する電極(61)間の電圧を測定又は決定することによって実施され得る。
【0052】
第2の実施形態では、目標電圧(ut)の決定又は測定は以下のように実施され得る。直列に配置されたPVユニットのN個のPVセル(61p)(すなわち、Us=N)に、光電力(Popt)の任意の所与の値(好ましくは、Us=Nのための目標強度(It)を生じさせるPoptの値)の光ビーム照射し、Us=Nとして、
● 電極(61)間の電圧(u)及び強度(I)を測定し、
● |Z|=|u|/|I|を用いてインピーダンス(Z)を決定し、
● |ut|=|Z| x |It|を用いて目標電圧(ut)を算出する。
【0053】
図5(a)を参照すると、PVユニットは、直列に配置されたN=4個のPVセル(すなわち、Us=4とラベル付けされた曲線)を用いて目標強度(It)を生じさせることが知られた光電力(Popt)を照射される。次に、インピーダンス(Z)が測定又は決定される。
図5(a)には、I=u/Z直線の傾き1/Z4の低い値を生じさせる高いインピーダンス(Z4)、傾き1/Z1の高い値を生じさせる低いインピーダンス(Z1)、及び傾き1/Z2の中間の値を生じさせる中間のインピーダンス(Z2)を有する、インピーダンス(Z1<Z2<Z4)の3つの例が示されている。
【0054】
電極(65)において直接測定された、又は算出された、対応する目標電圧(ut1、ut2、ut4)の値は、I=u/Zi直線(i=1、2、又は4)と、Us=4であるPVユニットの(I-u)特性曲線との(
図5(a)における黒点によって示される)交点において、算術的に、又はグラフを使って決定することができる。
【0055】
最も低い値の光電力(Popt)が目標強度(it)を発生することを必要とするUsの最適値は、対応するPVユニット構成の対応する最大効率電力(Pe)に最も近い、目標電圧(ut1、ut2、ut4)において測定された実際の電力(P1、P2、P4)によって特徴付けられる、すなわち、目標電圧(P1、P2、P4)における、最大効率電力(Pe)と、PVユニットによって送られた実際の電力との差(ΔPe=Pe-Pi,i=1,2,4)が最も小さい、PVセル(61p)の配置に対応するUsの値である。ΔPeは、最大効率電力(Pe)に対する効率損失として定義され得、最小化されなければならない。Usの最適値は、植え込みを受けた患者において測定されたインピーダンス(Z)の対応する値のための最大効率電力(Pe)の少なくとも70%、好ましくは、少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも90%の実際の電力(P1、P2、P4)を生じさせることが好ましい。
【0056】
したがって、このような構成では、PVユニットは、対応する最大電圧(um1、um2、um4)よりも高い電圧において目標電流(It)を発生することができないため、目標電圧(ut1、ut2、ut4)が、所与のPVユニット構成が発生することができる最大電圧(um1、um2、um4)よりも小さいことが必要条件である(
図5(a)参照)。例えば、インピーダンスがZ=Z4である場合には(
図5(a)における傾き1/Z4の曲線を参照)、直列のN=4個のPVセルの配置のみが、目標強度(It)を発生するために用いられ得る。この理由のために、
図5(d)は、インピーダンスZ=Z4のために、Usの最適値は直列のUs=4個のPVセルであることをグラフで示す。光電力(Popt)は、その構成のための目標強度(It)を生じさせるように最初に設定されたので、変更されなくてもよい。
【0057】
図5(a)から、直列に配置されたN個のPVセルの構成(すなわち、Us=N)は、インピーダンス(Z1、Z2、Z4)の全ての測定値のための目標強度を発生する能力を有することを認めることができる。これは、PVユニットの全てのPVセルが直列に配置された(すなわち、Us=N)現況技術の光AIMDは、Z4以下のインピーダンスを有するあらゆる患者に植え込むことができることを説明する。しかし、インピーダンス(Z1、Z2)の、低い、又は中程度の値のための目標電圧(ut1、ut2)は、最大効率電圧(ue4)から遠く離れている(
図5(b)及び
図5(c)を
図5(d)と比較されたい)。したがって、Us=4の値は、Z1又はZ2のインピーダンスの、低い、又は中程度の値にとって最適以下と見えることになり、それゆえ、目標強度(It)の電流を発生するために必要であるよりも高い光電力(Popt)を必要とするであろう。それゆえ、光AIMDの電池電力(Pbat)消費を低下させるために、Usの値の最適化が必要とされる。
【0058】
Usの異なる値のためのPVユニットの最大効率電力(Pe)を生じさせる最大効率電圧(ue1、ue2、ue4)の値は供給業者から知られる。調節ユニットは、目標電圧(ut1、ut2、ut4)の値を効率電圧の曲線と比較し、目標電圧(ut1、ut2、ut4)における実際の電力(Pe1、Pe2、Pe4)の対応する値を決定するように構成され得る。Usの最適値は、効率の最も高い値(ΔPe=Pe-Peiの最も小さい値、ここで、i=1、2、又は4)を生じさせる構成を規定する値、すなわち、最大効率電力(Pe)の対応する値に最も近い値である。
【0059】
代替的に、Usの最適値は、以下のようにインピーダンス(Z)を測定することなく決定することができる。調節ユニットは、Usの様々な値に切り替え、Usの値ごとにかくして発生された電流の強度を測定することができる。このプロセスは、目標電圧(ut)の(未知の)値の値よりも大きく、且つそれに最も近く、目標強度(It)の電流を発生する最大電圧値(um1、um2、um4)を生じさせるUsの値を反復的に決定することを目指す。例えば、最大電圧の最も低い値(um1)を生じさせる、Us=1によって規定される構成(すなわち、並列のN個のPVセル)から開始し、光電力(Popt)によるPVユニット(61)の照射時に電極(65)間で発生された電流強度を測定することができる。目標強度(It)の電流が測定された場合には、ut=Z x Iを決定するために用いられる、ut又はZの実際の値を測定することなく、目標電圧は、Us=1である(I-u)特性曲線の対応する最大電圧よりも小さい(すなわち、ut<um1)と結論付けることができる。並列に配置されたN個のPVセルの配置(すなわち、Us=1、又はUp=N)の最大電圧(um1)は、最大電圧(um1、um2、um4)の最も小さい可能な値であるため、PVユニットを、Us=1を選択することによるよりもさらに最適化することはできない。これは、測定インピーダンス(Z)がZ1(すなわち、低いインピーダンス値、ここで、Z1<Z2<Z4)と等しかった、
図5(a)及び
図5(b)における場合になるであろう。
【0060】
他方で、発生された電流が、PVセル構成、Us=1)による目標強度(It)よりも小さい強度を有する場合には(すなわち、I<It)、目標電圧(ut)は、並列のN個のPVセルを有するPVユニットの最大電圧(um1)よりも高い(すなわち、Us=1においてはut>um1)と結論付けることができる。この場合には、インピーダンス(Z)がこのPVセル構成のために高すぎるため、Us=1又はUp=NのPVセル構成は、目標強度(It)を発生するために用いることができない。最大電圧のより高い値(um2、um4)によって特徴付けられるUsの代替的な構成又は値が調節ユニットによって試験されなければならない。
【0061】
調節ユニットは、スイッチ制御に、最大電圧の2番目に低い値(um2)を生じさせる、1<Us≦Nである構成に切り替えるように命令する。最も低い値は、Us1(=並列に配置されたN個のPVセル)に対応するum1である。
【0062】
図2(b)、
図4(b)、
図5(a)、及び
図5(c)に示されるように、N=4個のPVセルについては、Us=1及びUs=4以外に残った構成が1つだけ存在する、すなわち、Us=2が存在する。N>4については、Us=1とUs=Nとの間で利用可能な構成がより多く存在し得る。Nの関数としての構成の数は、関係、Us=N/Ppによって決定される。ここで、Us、Pp、及びN∈Nである。例えば、
図3(a)~
図3(d)に示されるように、N=6個のPVセルについては、Us=1とUs=N=6との間に含まれる2つのさらなる構成、すなわち、
図3(b)及び3(c)にそれぞれ示される、Us=2、及びUs=3が存在する。同様に、N=12である場合には、1と12との間に含まれるUsのいくつかの値、すなわち、2、3、4、及び6が存在し得る。分かりやすくするため、及び簡潔にするために、以下のステップはN=4のために説明される。当業者は本方法をNの異なる値のために容易に外挿することができる。Usの利用可能な値がNの値の関数として表1に列挙されている。表1には、Usの利用可能な値の対応する数も指示されている。
【0063】
Us=2のための最大電圧(um2)は目標電圧(ut)よりも小さい(すなわち、um2<ut)と結論付けられた場合には、このとき、同じ動作が、Usの異なる値を用いて繰り返され、最大電圧の2番目に低い値を生じさせる構成(すなわち、N=4については、これはUs=2に対応する)を有するPVユニット(61)の照射時に、電極(65)間に発生された電流強度が測定される。電流が測定された場合には、目標電圧は、Us=2である、(I-u)特性曲線の対応する最大電圧よりも小さい(すなわち、um1<ut<um2)と結論付けることができる。それゆえ、調節ユニットは、N=4個のPVセル及びインピーダンスZ2のために利用可能な最適なPVユニット構成はUs=2であると結論付けることができる。測定インピーダンス(Z)がZ2(すなわち、インピーダンスの中間の値Z2、ここで、Z1<Z2<Z4)と等しい、
図5(a)及び
図5(c)に、この場合が示されている。
【0064】
他方で、かくして発生された電流が、目標強度よりも低い強度を有する場合には(すなわち、I<It)、目標電圧(ut)は、Us=2においてN=4個のPVセルを有するPVユニットの最大電圧(um2)よりも高い、ut>um2)と結論付けることができる。この場合には、インピーダンス(Z)が高すぎるため、Us=2のPVセル構成は、目標強度(It)を発生するために用いることができない。これは、測定インピーダンス(Z)がZ4(すなわち、インピーダンスの高い値Z4、ここで、Z1<Z2<Z4)と等しかった、
図5(a)~
図5(d)における場合になるであろう。構成Us+1及び2にそれぞれ対応する最大電圧の値(um1、um2)が低すぎ、インピーダンスの過剰が電圧飽和を生じさせるため、目標強度(It)を発生することができなかったので、調節ユニットは、スイッチ制御に、最大電圧の3番目に低い値(um4)を生じさせる、1<Us≦Nである構成に切り替えるように命令する。N=4については、umの3番目の値は、全ての4個のPVセルが直列に配置された、Us=4の構成に対応するum4である。試験後に、目標強度(It)の電流が測定された場合には、このとき、Us=4はUsの最適値であり、目標強度(It)よりも低い強度の電流が測定された場合には、このとき、問題が存在する。電流が存在しないことは、傷害又は機能不全組織によって、或いは損傷した光ファイバなどのAIMDの問題、又は電極(65)と刺激対象の組織との間の電気接触の問題によって説明され得るであろう。PVセルの数(N)の他の値については、表1を参照されたい。
【0065】
Usの最適値が決定されると、上記のPVセル構成を用いて目標強度(It)を生じさせるように光電力(Popt=Popt1、Popt2、又はPopt4)を適応させることができる。これが、それぞれ、Us=1、Us=2、及びUs=4における、インピーダンスZ1、Z2、及びZ4の値のための
図5(b)~
図5(d)にそれぞれ示されている。
【0066】
表2は、インピーダンスの高い値(Z4)と共に動作するよう寸法設定された直列に配置されたUs=N個のPVセルの単一PVユニット構成を有する現況技術の光AIMDと比較した、本発明に係る光AIMDの最適化の可能性を明らかにする。以下の説明はN=4個のPVセルを用いて示される。同じ結論をNの異なる値に外挿することができることは明らかである。
【0067】
第1の患者において測定されたインピーダンスが高い場合には(
図5(a)及び
図5(d)並びに表2におけるZ4)、このとき、PVユニット(61)は、現況技術の光AIMDの単一PVユニット構成に対応する、構成Us=N=4を取る。現況技術の光AIMDを用いて目標強度(It)を発生するには、本発明の光AIMDを用いる場合と同じ光電力(P4)が必要とされることになり、同じ電池電力(Pbat)消費を生じさせる。したがって、本発明の光AIMDの光電力(PoptINV)と現況技術の光AIMDの光電力(PoptPA)との比(PoptINV/PoptPA)は100%である。2つの種類の光AIMDは同様の条件で作動する。
【0068】
しかし、測定インピーダンス(Z)がZ4と同じ高さであるか、又はそれよりも高いことは統計的にまれである。これは、インピーダンスのより高い値については、目標強度よりも低い強度の電流がPVユニットによって発生されるので(すなわち、Z>Z4⇒I<It)、所与の光AIMDモデルをできるだけ多くの患者症例において用いることができること(すなわち、「1つで全員に適合すること」)を確実にするために、生産者は、光AIMDを、平均よりも相当に高いZの値のために動作可能になるよう寸法設定しなければならないからであると説明される。確率密度(実線の曲線、左側の縦座標)及び累積密度(破線の曲線、右側の縦座標)を示す、
図5(g)にこれが示されており、植え込みを受けた患者のうちの大きな割合(例えば、少なくとも90%)は、高いインピーダンス値(Z4)よりも低い測定インピーダンス値を生じさせる(
図5(g)を参照)。Z4よりも大きいインピーダンス値を示す10%未満の患者については、インピーダンスのこのような高い値は、(a)刺激対象の組織の性質及び条件(例えば、傷害又は機能不全組織)に起因するのか、(b)電極(65)と刺激対象の組織との間の電気接触の質に起因するのか、(c)光源(53)と電極との間の重大なエネルギー損失を生じさせるエネルギー伝達チェーン内の欠陥に起因するのか、それとも(d)光AIMDの他の欠陥に起因するのかが調査されなければならない。
図5(g)の同じ確率密度を目標強度の値に適用することができ、患者のうちの90%は、目標強度の高い値よりも低い目標強度を処方され、約10%のみが、目標強度の高い値よりも高い強度のパルスを必要とする。
【0069】
大部分の患者については、インピーダンス(Z)は、現況技術の光AIMDが設計された高い値(Z4)よりも小さく(すなわち、Z1、Z2<Z4)、現況技術の光AIMDの直列に配置されたUs=N個のPVセルの単一PVユニット構成は、同じ目標強度(It)を発生するために代替的なPVユニット構成よりも高い光電力(Popt=P4)を必要とするため、高い値Z4よりも低いインピーダンス値については最適以下になる。
図5(a)及び
図5(c)並びに表2を参照すると、第2の患者において測定されたインピーダンスがZ2<Z4であり、Us=2として構成されたPVユニットの最大電圧(um2)よりも小さい目標電圧(ut2)の値を生じさせる場合には、このとき、各ユニットが、並列に配置された2つのPVセルを含む、直列に配置された2つのユニットの形で配置された同じN=4個のPVセル(
図2(b)及び
図4(b)参照)は、光電力Popt=P4の光ビームの照射時に目標強度の約2倍の高さの強度(Im2≒2Im1=2It)の電流を発生するであろう(
図5(a)参照)。これは、PVユニットを、全てのN個のPVセルが直列に配置された現況技術の単一構成Us=Nから、ユニットが並列のPVセルの直列であるUs=2である混合構成へ切り替えることによって、目標強度(It)を生じさせるために、光電力(Popt)がそれに応じて値Popt=Popt2≒Popt4/2に低減され得ることを意味する。これは電池電力(Pbat)の相当な低減をもたらす。比PoptINV/PoptPAはおよそ50%に低下する(表2参照)。
【0070】
同様に、Z1<Z2<Z4である低いインピーダンスZ1が第3の患者において測定され、Us=1(すなわち、全てのN個のPVセルが並列に配置されている)として構成されたPVユニットの最大電圧(um1)よりも小さい目標電圧(ut1)の値を生じさせる場合には、このとき、並列に配置された同じN=4個のPVセル(
図2(c)及び
図4(c)参照)は、光電力Popt=P4の光ビームの照射時に目標強度の約4倍の高さの強度(Im4≒4Im1=4It)の電流を発生するであろう(
図5(a)参照)。これは、PVユニットを、現況技術の単一構成、直列のUs=N個のPVセルから、Us=1(すなわち、全てのN個のPVセルが並列になっている)である混合構成へ切り替えることによって、目標強度(It)を生じさせるために、光電力(Popt)がそれに応じて値Popt=Popt1≒Popt4/4に低減され得ることを意味する。これは電池電力(Pbat)の相当な低減をもたらす。比PoptINV/PoptPAは、電池電力(Pbat)消費の約75%の低減に対応する、およそ25%に低下する(表2参照)。植え込みを受けた患者において測定されたインピーダンス(Z)の値に依存して、目標強度(It)を発生するために必要とされる光電力(Popt)は、Usの最適値を選択することによって、Us=Nにおける値(Poptn)と、Us=1におけるおよそPopt1≒Poptn/Nの値(Popt1)との間でオーダーNで変化することができると結論付けることができる。
【0071】
PVユニットのPVセルの全て又は部分(N≦Nt)を用いた、Zの関数としてのUsの最適化
前のセクションでは、PVユニットの全てのNt個のPVセルが、光電力(Popt)を目標強度(It)の電流に変換するために組織的に用いられるときの(すなわち、N=Nt)、Usの決定が説明された。驚くべきことに、場合によっては、PVユニットを形成するNt個のPVセルのうちの1つ以上を遮断し、N<Ntである、N個のPVセルのみを代わりに用いることが有利になることがある。このような直観に反した構成は、PVユニット内で利用可能なものよりも1つ以上少ないPVセルを用いることによって生じる強度(I)又は電圧(u)の損失が、全てのNt個のPVセルの代わりにN個のPVセルを用いることによって利用可能にされる追加の構成を用いて得られる利得によって補償される場合に、興味深いものになる。
【0072】
図5(e)は、Nt=5個のPVセルを含むPVユニットの異なる構成の(I-u)特性曲線の一例を示す。上掲の表1(左)を参照すると、N=5であるときには、2つの構成、すなわち、Us=1(すなわち、並列の5個のPVセル)及びUs=5(すなわち、直列の5個のPVセル)のみが利用可能である。これらの2つの構成は、
図5(e)において、「N=5」から始まるラベルによって識別される。
図5(e)において長破線で示されるとおりのインピーダンス(Z)を生じさせる、植え込みを受けた患者については、目標強度(It)の電流は、対応する電圧(ut)を伴って生み出され得、ΔPe5=Pe5-P5の高い値を伴う、かなり低い実際の電力(P5)を発生する。ここで、Pe5は、Us=5のための最大効率電力である。全てのNt=5個のPVセルが並列に配置された構成Us=1は、電圧飽和に到達するため、目標強度(It)の電流を生み出すことができないことは明らかである。
【0073】
PVユニット内で利用可能なNt=5個のPVセルのうちの1つを使わず、N=4個のPVセルのみを代わりに用いることによって、N=5個のPVセルでは利用可能でなかったUs=2及びPp=2の追加の構成に手を伸ばすことが可能である。
図5(e)は、光電力(Popt=Popt1)を用いるときに、強度、I=2Itの電流が、この構成によって、より高い効率をもって生み出され得ることを示す。上述され、
図5(f)に示されるように、光電力(Popt=Popt1)はおよそ2で除算され、構成Us=5を用いる場合よりも相当に低い効率損失ΔPe2を伴って目標強度(It)の電流を生み出すことができる(すなわちΔPe2<ΔPe5)。効率のこの利得は、PVユニット内で実際に利用可能なものよりも1つ少ないPVセル(本例では、N=4<Nt=5)を用いるにもかかわらず、光電力(Popt)がおよそ2で除算されることを可能にする。
【0074】
表1(右)は、N≦Ntであるときに利用可能な、Us及びUpの構成、並びに構成の数を列挙する。インピーダンス(Z)の一部の値のために光電力(Popt)の節約を可能にする追加の構成をもたらすN<Ntの構成のみが列挙されている。これらは、各列内のハイフン(-)に続く数値によって特徴付けられる。
【0075】
したがって、上述されたとおりのUs及びPpの値の最適化はまた、Us及びPpの最も有利な値、すなわち、目標強度(It)の電流を発生するために必要とされる最も低い光電力(Popt)をもたらす値を生じさせるための、PVユニット内の利用可能なNt個のPVセルのうちのN個のPVセルの最善の値を決定することを含むことができる。したがって、PVユニットのスイッチ構成は、Ntの値に応じて、1つ以上(=Nt-N)のPVセルをNt個のPVセルのうちの残りのものから隔離することを可能にすることができる(表1、右参照)。それゆえ、スイッチ制御モジュールは、Nt個のPVセルを用いては利用可能でない、且つ有利になり得る構成Us及びPpを提供するPVセルの数Nに手を伸ばすべく、(Nt-N)個のPVセルを隔離又はマスキングするための命令を調節ユニットから受信することができる。Us及びUpの最適値は、N≦Ntの異なる値を用いて、上述されたように実施され得る。
【0076】
光源(53)の最適化
本発明の第2の態様では、エネルギー伝達チェーンは、目標強度(It)の電気パルスを発生するために必要とされる電池電力(Pbat)の消費を低減するべく、光源(53)のレベルにおいて原位置で最適化することができる。目標強度(It)を発生するために必要とされる光電力(Popt)の値は、測定インピーダンス(Z)の値に依存して、本発明に係るAIMDを用いて著しく変化し得るであろうことが説明されたsura。
【0077】
さらに、及び光AIMDが、上述されたようにPVユニットを最適化する能力を有するか否かにかかわらず、光源(53)によって発生されるべき光電力(Popt)は広範囲にわたって変化し得る。上述のセクション、背景技術において
図1(e)を参照して説明されたように、患者の組織内における電荷の蓄積を回避するために、It x ts≒-(Ir x tr)となるよう、目標強度(It)の刺激パルスを刺激時間(ts)にわたって送信した後に、回復強度(Ir)の回復パルスを回復時間(tr)にわたって送信することが好ましい。伝達エネルギーチェーンの重複を回避するために、刺激パルス及び回復パルスを同じ光源(53)から発生することが好ましい。回復強度(Ir)と目標強度(It)との比(|Ir/It|=ts/tr)はおよそ1/2~1/5になり得る。したがって、単一のエネルギー伝達チェーンを用いて刺激パルス及び回復パルスを印加することは、およそ1/5になり得る|Ir/It|の範囲にわたって変化する光電力(Popt)を発生する能力を有する光源(53)を必要とする。
【0078】
現況技術の光AIMDは従来の光源を装備している。従来の光源は、単一の光エミッタ、又は非アドレス指定可能な光エミッタアレイである。典型的には、光エミッタは発光デバイス(LED(light emitting device))又はレーザ源(例えば、VCSEL)であることができ、単に、光源(53)に供給される電池電力(Pbat)を変更するだけで、上述の範囲内に含まれる光電力(Popt)の必要値を発生する能力を有する。多くの場合、従来の光源によって消費される電池電力(Pbat)は、線形性が失われる最大電力に到達するまで、発生されるべき光電力(Popt)と共に実質的に線形的に変化するが、線形的に放出し始めるための閾値電池電力(Pth)を必要とする。しかし、従来の単一光エミッタ又は非アドレス指定可能な光エミッタアレイの代わりにアドレス指定可能な光エミッタアレイを光源(53)として用いることによって、電池の消費を、発生される光電力(Popt)に線形的に比例するもの未満に低減することが可能である。
【0079】
図6(a)に示されるように、アドレス指定可能な光エミッタアレイは、独立して1つずつ、又はアパーチャのサブグループによってアドレス指定可能なM>1個のアパーチャ(53a)を含む。例えば、各アパーチャ(53a)、又はアパーチャ(53a)のグループは電気接点(53e)によって独立して制御され得る。アドレス指定可能な光エミッタアレイは、好ましくは、アドレス指定可能なレーザエミッタダイオードのアレイ、より好ましくは、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)のアレイである。それはまた、アドレス指定可能な発光ダイオード(LED(light emitting diode))のアレイであることもできる。例えば、米国特許第5325386号明細書に、アドレス指定可能なVCSELのアレイの一例が記載されている。
【0080】
図6(b)は、M=8個のアドレス指定可能なVCSELのアレイのうち組み合わせてアドレス指定されるアパーチャの数(m)の異なる値(m=2、4、6、及び8)のための光電力(Popt)を発生するために必要とされる電池電力(Pbat)を示す。アパーチャがアドレス指定されるたびに、対応するレーザを活性化するために、閾値電池電力がVCSELアレイに供給されなければならない。対応するm個のレーザが活性化されると、VCSELアレイは、直線が湾曲して降下する上限まで、VCSELアレイに供給される電池電力(Popt)と共に実質的に線形的に増大する光電力(Popt)の光を発生する。発生されるべき光電力(Popt)がm個のアパーチャの上限よりも高い場合には、このとき、同時にアドレス指定されるアパーチャの数(m+1)を増大させ、かくして、(m+1)個のアドレス指定されたアパーチャを用いて到達可能な光電力の対応する上限を、Popt(=Popt1、Popt2、Popt4)の所望の値よりも高い値に増大させるために、追加のアパーチャ、又はアパーチャのグループがアドレス指定されなければならない。
【0081】
従来のLED又はレーザ(すなわち、アドレス指定可能なアレイでない)は、全てのm=M=8個のアパーチャが、対応する閾値電池電力の閾値(Pth8)を伴い、同時にアドレス指定される場合と同様の電池電力(Pbat)の消費を呈するであろう。
図6(b)では、以上において
図5(a)~
図5(d)を参照して説明されたようにインピーダンスの高い測定値(Z4)を有して目標強度を発生するために必要とされる光電力(P4)については、全てのm=M=8個のアパーチャが同時にアドレス指定されなければならず、VCSELなどの従来のレーザ及び一部の種類のLEDによって必要とされるものと同様の電池電力(Pbat)消費を生じさせることを見ることができる。光電力のより低い値(Popt=Popt1又はPopt2<Popt4)については、全てのm=M=8個のアパーチャをアドレス指定するのではなく、m=2又はm=4個のアパーチャのみをアドレス指定することによって、より少ない電池電力(Pbat)が必要とされることを見ることができる。
図6(b)に示されるように、アパーチャ、又はアパーチャのグループがアドレス指定されるたびに、電池電力(Pbat)の閾値電池電力値(Pth)が、レーザを活性化するために必要とされる。閾値電池電力値(Pth)は、VCSELについては、アドレス指定される追加のアパーチャごとに、0.5~2mA/アパーチャの範囲内、例えば、およそ0.6又は0.7mA/アパーチャであり得る、閾値強度(Ith)に対応する。閾値は、アドレス指定されるアパーチャの数(m)が増大させられるたびの曲線のシフトを説明する。一部のVCSELは、最大10~20mA/アパーチャ及びよりいっそう高いものなどの閾値強度のより高い値を有し得る。
【0082】
アドレス指定されるアパーチャ(53a)の数(m)が増大することに伴う、
図6(b)における曲線の電池電力(Pbat)のより高い値へ向かうシフトは、組み合わせてアドレス指定されるアパーチャの数(m)の最適化を必要とする。黒点は、最も低い電池電力(Pbat)を必要とする光電力(Popt=Popt1、Popt2、又はPopt4)の所与の値を発生するためにアドレス指定されるべきアパーチャの数(m)を指示する。同じ光電力(Popt=Popt1、Popt2、又はPopt4))が、白点によって指示される、異なる数(m)のアパーチャを用いて発生され得るが、それらは、同じ光電力(Popt)を発生するために、黒点によって指示される数(m)を用いる場合よりも高い電池電力(Pbat)を必要とする。閾値電流、Ith=0.6mA/アパーチャである場合には、電池は、m=2個のアパーチャを活性化し始めるために、約Ith=2 x 0.6=1.2mAの閾値電流、及びm=8個のアパーチャを活性化するために、約Ith=8 x 0.6=4.8mAの閾値電流を提供しなければならない。低いもの(=Popt1)で発生されるべき光電力(Popt)である場合には、m=2個のアパーチャのみをアドレス指定すること(黒点参照)は、全てのm=M=8個のアパーチャが組み合わせてアドレス指定される場合(Popt=Popt1における右側の白点参照)よりも消費が3.6mA少なくなるであろう。これは、
図6(b)に示される電池電力差ΔP82に対応する。発生されるべき光電力Popt=Popt2が、m=2個のアパーチャが発生することができる光電力よりも高い場合には、このとき、追加のアパーチャがアドレス指定されなければならない。
図6(b)では、m=4個のアパーチャが、光電力、Popt=Popt2を発生するために最適である。光電力Popt4>Popt2>Popt1を発生するためには、m=8個のアパーチャがアドレス指定され得、現況技術のAIMDにおいて用いられる従来のLED又はレーザと同じ電池電力(Pbat)を消費する。
【0083】
表3は、光電力(Popt)の高い値(Popt4)、中間の値(Popt2)、及び低い値(Popt1)を発生するための、従来の光源(LED又はVCSEL)を用いた現況技術の光AIMDの電池電力(PbatPA)消費と、M=8個のアパーチャ(53a)を含むVCSELのアドレス指定可能なアレイを設けられた本発明に係る光AIMDの電池電力(PbatINV)消費とを比較する。現況技術の光AIMDの従来の単一アパーチャVCSELは、前者と等価の電力の、本発明に係る光AIMDのVCSELアレイの全てのM=8個のアパーチャを活性化するために必要とされる閾値電力(Pth8)と等しいVCSELを活性化するための閾値電力(Pth8)を必要とすることが仮定される。光源が、対応する閾値電力(Pth)をもって活性化されると、光電力は比例係数(α)をもって電池電力(Pbat)と共に線形的に増大する。光電力の高い値(Popt=Popt4)を発生するために、本発明のVCSELアレイは、現況技術のAIMDの単一のLED又はVCSEL(PbatPA)と同じ電池電力(PbatINV)を必要とし、PbatINV≒PbatPAであることを見ることができる。しかし、光電力のより低い値(Pbat=Popt1又はPopt2<Popt4)を発生するためには、本発明の光AIMDは、同時にアドレス指定されるアパーチャの数(m)の最適値を選択することによって相当な電池電力の節約を可能にする。表3(右側の列)及び
図6(b)を参照すると、従来のLED又はVCSELによって(M=8個のVCSELの対応する非アドレス指定可能なアレイのM=8個のアパーチャの等価物をアドレス指定することに対応する)、並びにm=2又は4個のアパーチャをアドレス指定するM=8個のVCSELのアレイによって、光電力(Popt=Popt1又はPopt2<Popt4)を発生するために必要とされる電池電力(Pbat)の差(ΔP82、ΔP84)は、それぞれ、m=2個のVCSELアパーチャ(53a)を活性化するために必要とされる閾値電力(Pth2)の値の4倍又は2倍であることを見ることができる。
【0084】
組み合わせられた光源(53)及びPVユニット(61)の最適化
本発明の第3の態様では、エネルギー伝達チェーンは、電極(65)間の目標強度(It)の電気パルスを発生するために必要とされる電池電力(Pbat)消費を低減するべく、組み合わせられた光源(53)及びPVユニット(61)の両方のレベルにおいて原位置で最適化することができる。本発明の第3の態様の光AIMDは、上述されたとおりのN個のPVセルの構成の最適化を可能にするPVユニット(61)と、光エミッタ(53a)の、好ましくは、VCSELの個々にアドレス指定可能なアレイを含む光源(53)とを組み合わせる。調節ユニットが、目標強度(It)を発生するための最適光電力値(Popt=Popt1、Popt2、又はPopt4)を必要とするUsの最適値を決定すると、調節ユニットは、次に、最適光電力(Popt=Popt1、Popt2、又はPopt4)を発生するために必要とされる電池電力(Pbat)を最小化するよう1度にアドレス指定されるアパーチャの最適数(m≦M)を決定するので、本実施形態は有利である。組み合わせられた光源(53)及びPVユニット(61)の両方のレベルにおけるエネルギー伝達チェーンの構成の原位置での最適化の組み合わせは、現況技術の光AIMDと比べて相当な電池電力(Pbat)消費を節約することを可能にする(表2及び
図3を組み合わせる)。
【0085】
調節ユニット
調節ユニットは、以上において、少なくとも、所与の患者のためのUsの最適値を決定するため、及び電気回路のスイッチ(S1~S6)を制御するためのスイッチ制御モジュールに、Usの最適値によって特徴付けられるPVユニット構成に到達するように命令するために説明された。調節ユニットは、
● 植え込み型コントローラ(54)内に完全に統合され得るか、或いは
● 組織結合ユニット(60)の電気回路(62)に属する結合部分、及び植え込み型コントローラ(54)に属する封入部分を含むことができる。
【0086】
調節ユニットが植え込み型コントローラ(54)内に完全に統合され得る実施形態では、調節ユニットは、
● 感知ユニットによって測定された電極へ送られた電気パルスの電圧(u)及び/又は強度(I)の値、
● 目標強度(It)に到達するために必要とされる光エネルギーパルスの電力、並びに/或いは
● 目標強度の電流を電極(65)へ送るために必要とされる最適光電力(Popt)、
を決定するように構成されている。
【0087】
調節ユニットが結合部分及び封入部分を含む実施形態では、結合部分は、
● 感知ユニットによって測定された電極へ送られた電気パルスの電圧(u)及び/又は強度(I)の値、
● 目標強度(It)に到達するためのUs又はUpの最適値及び光エネルギーパルスの最適光電力(Popt)、
を決定するように構成され得る。
【0088】
封入部分は、目標強度(It)の電流を発生するために必要とされる光電力(Popt)の光エネルギーパルスを発生するための、アドレス指定可能な光エミッタのアレイを設けられたAIMDにおけるアパーチャの最適数(m)を決定するように構成され得る。
【0089】
通信ユニット
上述されたように、調節ユニットは、組織結合ユニット(60)内に収容された結合部分、及び封入ユニット内に収容された封入部分を含み得る。調節ユニットの結合及び封入部分は互いに通信することができなければならない。さらに、封入ユニット(50)内の光源(53)によって発生される光電力(Popt)は組織結合ユニット(60)内のPVユニットの構成(Us)に依存するため、PVユニット(61)の、及び光源(53)の最適化は、封入ユニット(50)と組織結合ユニット(60)との間の情報交換を必要とする。したがって、光AIMDは、
図8(a)~
図8(c)に示されるように、封入ユニットと組織結合ユニットとの間でデータを送信するための通信ユニットを備えることが好ましい。
【0090】
通信ユニットは、封入ユニット(50)から組織結合ユニット(60)へ、又はその逆に1方向にデータを送信するように構成され得る。代替的に、通信ユニットは、封入ユニット(50)から、及びそれへ、組織結合ユニット(60)へ、及びそれから、2方向にデータを送信するように構成され得る。
【0091】
通信ユニットは、
● 組織結合ユニットの電気回路(62)に結合された光検出器(63p)及び/又は通信光源(63Lc)、好ましくは、LED若しくはレーザ(例えば、VCSEL)、
● 封入ユニット内に内蔵された植え込み型コントローラ(54)に結合された光検出器(53p)及び/又は通信光源(53Lc)、好ましくは、LED、並びに
● 1本又は2本の通信光ファイバ(41c、41c1、41c2)、
を含む。
【0092】
図8(a)に示される一実施形態では、刺激光ファイバ(41s)とは異なる、及び好ましくは、植え込み型エネルギー伝達ユニット(40)内に含まれる、単一の通信光ファイバ(41c)が用いられる。単一の通信光ファイバ(41c)は、それぞれ、封入ユニット(50)内に内蔵された光検出器(53p)及び/又は通信光源(53Lc)と光学的に連通した封入ユニットに結合された近位端部、並びに組織結合ユニットの通信光源(63Lc)及び/又は光検出器(63p)と光学的に連通した組織結合ユニット(60)に結合された遠位端部を含む。
図8(a)に示されるように、単一の通信光ファイバ(41c)を用いた2方向通信のために、封入ユニット(50)内に収容された通信光源(53Lc)及び光検出器(53p)が単一の通信光ファイバ(41c)の近位端部と対面している。同様に、組織結合ユニット(60)内に収容された通信光源(63Lc)及び光検出器(63p)が単一の通信光ファイバ(41c)の遠位端部と対面している。封入ユニット内及び組織結合ユニット内に収容された通信光源(53Lc、63Lc)は、データを含む光信号を放出する。組織結合ユニット内及び封入ユニット内に収容された光検出器(53p、63p)は光信号を各々受信し、それを、植え込み型コントローラ(54)、又は調節ユニット、又は電気回路、又はスイッチ制御モジュールによって形成されるか、又はそれの部分であり得る処理ユニットへ伝達される電気信号に変換する。光検出器(53p、63p)は、光起電セルを含む、当技術分野において知られた任意の種類の光検出器であることができる。
【0093】
図8(b)及び
図8(c)に示される代替的実施形態では、第1及び第2の通信光ファイバ(41c1、41c2)を含む、2本の通信光ファイバが用いられる。第1の通信光ファイバ(41c1)は刺激光ファイバ(41s)とは異なり、好ましくは、植え込み型エネルギー伝達ユニット(40)内に含まれる。第1の通信光ファイバ(41c1)は、封入ユニット内に内蔵された光検出器(53p)と光学的に連通した封入ユニットに結合された近位端部、及び組織結合ユニットの通信光源(63Lc)と光学的に連通した組織結合ユニットに結合された遠位端部を含む。
【0094】
第2の通信光ファイバ(41c2)は刺激光ファイバ(41s)とも第1の通信光ファイバ(41c1)とも異なり、好ましくは、植え込み型エネルギー伝達ユニット(40)内に含まれる。第2の通信光ファイバ(41c2)は、封入ユニット内に内蔵された通信光源(53Lc)と光学的に連通した封入ユニットに結合された近位端部、及び組織結合ユニットの光検出器(63p)と光学的に連通した組織結合ユニットに結合された遠位端部を含む。
【0095】
図8(b)及び
図8(c)に示されるように、封入ユニット(50)内に収容された通信光源(53Lc)が第2の通信光ファイバ(41c2)の近位端部と対面しており、同じく封入ユニット(50)内に収容された光検出器(53p)が第1の通信光ファイバ(41c1)の近位端部と対面している。同様に、組織結合ユニット(60)内に収容された通信光源(63Lc)が第1の通信光ファイバ(41c1)の遠位端部と対面しており、同じく組織結合ユニット(60)内に収容された光検出器(63p)が第2の通信光ファイバ(41c2)の遠位端部と対面している。
【0096】
単一又は2本の別個の通信光ファイバ(41c、41c1、41c2)を含む通信ユニットの選定は多数のパラメータに依存する。単一の通信光ファイバ(41c)を含む通信ユニットはよりコンパクトであるが、データは、封入ユニット(50)と組織結合ユニット(60)との間で一方の方向に、他方の方向におけるデータの伝達と順次的な様態でのみ伝達され得る。2本の別個の通信光ファイバ(41c1、41c2)を含む通信ユニットは封入ユニット(50)と組織結合ユニット(60)との間の両方の方向におけるデータの同時伝達を可能にするが、2本の光ファイバが封入ユニット(50)及び組織結合ユニット(60)に結合されなければならないため、よりかさ高く、より高価である。
【0097】
通信ユニットを介して封入ユニットから組織結合ユニットへ送信されるデータは、
● 電極(65)間で発生されるべき目標強度(It)の値、
● 調節ユニットが、少なくとも部分的に、封入ユニット内に収容される場合には、パルスを送信する前のPVユニットのUs(若しくはUp)の値、及び/又はUs(若しくはUp)の対応する値に到達するために必要とされるスイッチのステータス、
● 組織結合ユニットが2つを超える電極を含む場合には、目標強度の電流が仕向けられることになる電極の特定の対、
のうちの1つ以上を含むことができる。
【0098】
通信ユニットを介して組織結合ユニットから封入ユニットへ送信されるデータは、
● スイッチが、封入ユニットから受信されたUs(若しくはUp)の値に従って構成されたことの確認、
● 電気パルスが電極(65)へ送られたことの確認、
● 感知ユニットによって測定された電極へ送られた電気パルスの電圧(u)及び/又は強度(I)の値、
● 調節ユニットが組織結合ユニット(60)内に少なくとも部分的に収容される実施形態では、目標強度(It)を発生するために必要とされる光エネルギーパルスの光電力(Popt)の値、
のうちの1つ以上を含むことができる。
【0099】
電力伝達ユニット
組織結合ユニット(60)は電力を必要とし得る。例えば、電力は、調節ユニットが組織結合ユニット内に少なくとも部分的に収容される場合には、調節ユニットを作動させるため、及びPVユニット(61)のスイッチ(S1~S6)を、Usの値に従ってそれの構成を変更するように作動させるために必要とされ得る。また、電力は、組織結合ユニット内に収容された通信光源(63Lc)に通電するために必要とされ得る。光源(53L)、刺激光ファイバ(41s)、及びPVユニット(61)を含む電気パルスを発生するためのエネルギー伝達チェーンは、電気回路の要素に通電するために用いられ得るであろう。このソリューションは、必要とされる光電力(Popt)、及び、同時に、組織結合ユニットの構成要素に通電するための光電力の刺激パルスを組織結合ユニット(60)へ制御された仕方で送信することは複雑になり得るという欠点を有する。
【0100】
好ましい実施形態では、光AIMDは、電力を封入ユニット(50)から組織結合ユニット(60)へ伝達するための電力伝達ユニットを備える。
図8(a)~
図8(c)に示されるように、電力伝達ユニットは、
● 組織結合ユニットの電気回路(62)に結合された1つ以上の電力光起電セル(61p)、
● 封入ユニット内に内蔵された植え込み型コントローラ(54)に結合された電力光源(53Lp)、好ましくは、LED又はレーザ(例えば、VCSEL)、並びに
● 刺激光ファイバ(41s)とは異なる、及び好ましくは、1本又は2本の通信光ファイバ(41c)とは異なる、及び好ましくは、植え込み型エネルギー伝達ユニット(40)内に含まれる電力光ファイバ(41c)、
を含む。
【0101】
電力光ファイバ(41p)は、封入ユニット内に内蔵された電力光源(53Lp)と光学的に連通した封入ユニットに結合された近位端部、及び電気回路(62)に通電するための、組織結合ユニットの1つ以上の電力光起電セル(61p)と光学的に連通した組織結合ユニットに結合された遠位端部を含む。
【0102】
図8(a)及び
図8(b)に示される実施形態では、電力伝達ユニットは、刺激光ファイバ(41s)と、及び単一若しくは第1及び第2の通信ファイバ(41c、41c1、41c2)と別個の、それ自身の電力光ファイバ(41p)を含む。
【0103】
代替的に、電力伝達ユニットは電力光ファイバ(41p)を通信光ファイバ(41c、41c1、41c2)と、又は刺激光ファイバ(41s)と共有することができる。電力光ファイバ(41p)を刺激光ファイバ(41s)と共有することは、かくして発生された電流の強度を十分な精度をもって制御することが難しくなり得るため、複雑になり得るであろうことが以上において説明された。しかし、
図8(c)に示されるように、組織結合ユニット(60)の要素に通電するための第1の光学成分、及びデータを組織結合ユニットへ送信するための、例えば、周波数変調の形の、第2の成分を、共通の電力/通信光ファイバ(41p、41c2)を通じて同時に送信することは容易であるため、電力光ファイバ(41p)を通信光ファイバ(41c、41c1、41c2)と、好ましくは、第2の通信光ファイバ(41c2)と共有することは非常に都合が良い。本実施形態では、通信光源(43Lc)は電力光源(53Lp)と同じであるか、又はそれとは異なることができる。
【0104】
結論
我々の知るかぎり、患者へのAIMDの植え込み後に光源(53L)から電極(65)まで延びるエネルギー伝達チェーンを原位置で最適化することを可能にするものは本発明の光AIMDが初めてである。アドレス指定可能な光エミッタ(53a)のアレイを用いたPVユニット(61)及び/又は光源(53L)のどちらか又は両方の原位置での最適化は相当な量の電池電力(Pbat)を節約することができる。電池(54)の有効寿命、又は再充電可能電池若しくはスーパーキャパシタの2つの充電動作の間の期間を、患者の十分な利益及び快適性を得るよう相当に増大させることができる。
【0105】
上述されたようにPVユニット(61)又は光源(63)のどちらかを最適化することでもすでに電池電力の相当な節約をもたらす。しかし、PVユニット及び光源の両方の最適化を組み合わせることは、電力管理及び節約の観点から特に有利である。エネルギー伝達チェーンに沿ったエネルギー損失を低減するという光AIMDの1つの大きな課題が本発明を用いて解決される。本発明の要点は、光AIMDが患者に植え込まれた後に、エネルギー伝達チェーンを原位置で最適化することができることである。電極(65)間で測定されたインピーダンス(2)の値は、目標強度(It)の電流を発生するために必要とされる光電力(Popt)を決定するために極めて重要であるため、これは本質的なことである。それにもかかわらず、インピーダンス(Z)は、患者において直接測定することなく評価することは不可能である。
【0106】
また、光エミッタアレイのアパーチャを個々にアドレス指定することも、目標強度(It)の所望の値に依存して広範囲の光電力(Popt)が送られることを同時に可能にするときには、電池電力(Pbat)の相当な節約を可能にする。
【0107】
本発明は、組織内における電荷の任意の堆積を中和するための回復パルスが刺激パルスに追随するとき、特に有利である。刺激及び回復パルスは、積、It x ts=Ir x trによって関係付けられる。ここで、itは刺激パルスの目標強度であり、Irは回復強度であり、ts及びtrは、それぞれ、刺激及び回復パルスの持続期間であり、ここで、It>Irである。現況技術のAIMDを用いて電極(65)間に発生されるべき電流の強度を変更することは、PVユニット及び光源のうちの少なくとも一方、一般的には両方が最適以下の条件で作動しているため、相当な電池電力(Pbat)の浪費を生じさせ得ることが以上において説明された。本発明のAIMDを用いれば、PVユニット(61)及び光源(53L)のうちのいずれか一方又は両方を、交互に順次に発生されるべき目標及び回復強度(It、Ir)の異なる値に一致するように原位置で最適化することができる。
【符号の説明】
【0108】
40 エネルギー伝達ユニット
41c 単一の通信光ファイバ
41c1、41c2 第1及び第2の通信光ファイバ
41p 電力光ファイバ
41s 刺激光ファイバ
50 封入ユニット
51 植え込み型パルス発生器(IPG)
52 電力源
53a VCSELアパーチャ
53e VCSEL電気接点
53L 光源
53Lc 封入ユニットにおける通信光源
53Lp 電力光源
53p 封入ユニットにおける光検出器
54 植え込み型コントローラ
55 電力源((再充電可能)電池)
60 組織結合ユニット
61 光起電ユニット
61p 光起電セル
61p1~61p4 N=4個のPVセルを含むPVユニット内のPVセル
61i i番目の光起電セル
62 電気回路
63p 組織結合ユニットにおける光検出器
63Lc 組織結合ユニットにおける通信光源
64 絶縁支持部
65 電極
I 強度
I0 推定強度
Im PVユニット構成の最大強度
It 目標強度
M VSELアパーチャの数
m アドレス指定されたアパーチャの数
N 光起電セル(61p)の数
Pbat 電力源((再充電可能)電池)によって提供される電力
Popt1、2、4 I=It、N=4、及びUs=1、2、4のために必要とされる光電力値
Pb1、2、4 Popt1、Popt2、Popt4を生じさせるために必要とされる最適な電池電力
Pe PVセルユニットの最大効率
Pei Z = iにおける効率
Popt 光電力
PoptINV リゼント(resent)発明に係るAIMDを用いた光電力
PoptPA 現況技術のAIMDを用いた光電力
Pp Us個のユニットの各々における並列のPVセルの数
Ps Up個のユニットの各々における直列のPVセルの数
S1~S6 スイッチ
u 電圧
u0 推定電圧
uei PV構成Us = iの最大効率電圧
um PVユニット構成の最大電圧
umi PVユニット構成Us = iの最大電圧
Up 並列のユニットの数
Us 直列のユニットの数
ut 目標電圧
Z インピーダンス
Z0 エスティレーテッド(Estilated)インピーダンス
Z1~Z3 インピーダンス値の例
【国際調査報告】