(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】膨張可能な物品用の圧力計
(51)【国際特許分類】
G01L 11/00 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
G01L11/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556532
(86)(22)【出願日】2022-03-24
(85)【翻訳文提出日】2023-11-06
(86)【国際出願番号】 GB2022050740
(87)【国際公開番号】W WO2022200796
(87)【国際公開日】2022-09-29
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521555443
【氏名又は名称】ヴェンテテ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コリン ハーパージャー
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ピッペン
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン デイビス
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA11
2F055BB03
2F055CC02
2F055DD11
2F055DD20
2F055FF43
2F055GG15
2F055GG25
(57)【要約】
本開示は膨張可能な物品用の圧力計に関する。圧力計はハウジングを備える。圧力計はハウジング内に画定された指標チャンバを備える。圧力計は、ハウジング内に位置された弾性ダイアフラムを備える。ダイアフラムは、膨張可能な物品内における圧力の上昇時に拡張するよう構成されている。ダイアフラムは、第1の表面及び反対側の第2の表面を有する。ダイアフラムの第1の表面は、膨張可能な物品の内部と流体流通可能に構成されており、及び、ダイアフラムの第2の表面は指標チャンバの境界を画定する。圧力計は指標チャンバ内に位置された指標要素をさらに備える。圧力計は、指標要素が、ダイアフラムの拡張によって、第1の位置から遠ざかるよう第1の方向に移動可能であるよう構成されている。ハウジングとの相対的な指標要素の位置により膨張可能な物品内の圧力の指標が提供される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張可能な物品用の圧力計であって:
ハウジングと、
前記ハウジング内に画定された指標チャンバと、
前記ハウジング内に位置されると共に、前記膨張可能な物品内における圧力の上昇時に拡張するよう構成されている弾性のダイアフラムであって、第1の表面及び反対側の第2の表面を有し、当該ダイアフラムの前記第1の表面は、前記膨張可能な物品の内部と流体流通可能に構成されており、当該ダイアフラムの前記第2の表面は、前記指標チャンバの境界を画定する、ダイアフラムと、
前記指標チャンバ内に位置された指標要素と、を備える圧力計であって、
前記指標要素が、前記ダイアフラムの拡張によって、第1の位置から遠ざかる第1の方向に移動可能であり、前記ハウジングとの相対的な前記指標要素の位置により前記膨張可能な物品内の前記圧力の指標が提供されるよう構成されている、圧力計。
【請求項2】
前記指標チャンバ内に位置された付勢要素をさらに備え、前記付勢要素は、前記第1の位置に向かう第2の方向に前記指標要素を移動させるよう構成されている、請求項1に記載の圧力計。
【請求項3】
前記付勢要素はバネを備える、請求項2に記載の圧力計。
【請求項4】
前記ハウジングは、膨張可能な物品に装着可能又は結合可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載の圧力計。
【請求項5】
前記ハウジングは、前記膨張可能な物品に結合するよう構成された基礎部分を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の圧力計。
【請求項6】
前記ハウジングの前記基礎部分はフランジとされている、請求項5に記載の圧力計。
【請求項7】
前記ハウジングは、前記膨張可能な物品の前記内部と前記ダイアフラムの前記第1の表面との間における流体の流通を確立する空気入口を画定する、請求項1~6のいずれか一項に記載の圧力計。
【請求項8】
前記指標要素は、前記ハウジングの指標部分を介して視認可能に構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の圧力計。
【請求項9】
前記指標要素は第1のインジケータを備え、好ましくは、前記第1のインジケータは、マーキング、ノッチ又は目盛りを備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の圧力計。
【請求項10】
前記ハウジングは開口を備え、前記開口との相対的な前記第1のインジケータの位置により、前記膨張可能な物品内の前記圧力の指標が提供される、請求項9に記載の圧力計。
【請求項11】
前記第1のインジケータは、前記膨張可能な物品の目標運用圧力に達した際に、前記開口から視認可能であるよう構成されている、請求項9又は10に記載の圧力計。
【請求項12】
前記ハウジングの前記指標部分は第2のインジケータを有し、前記第2のインジケータとの相対的な前記第1のインジケータの位置により、前記膨張可能な物品内の前記圧力の指標が提供される、請求項1~11のいずれか一項に記載の圧力計。
【請求項13】
前記開口又は前記第2のインジケータと前記第1のインジケータとの整列により、前記膨張可能な物品内の圧力が、おおよそ、前記膨張可能な物品の目標運用圧力であることの指標が提供される、請求項1~12のいずれか一項に記載の圧力計。
【請求項14】
前記第1のインジケータはラインを備え、及び、前記第2のインジケータは中央ラインを有する目盛りを備え、前記第1のインジケータの前記ラインと前記中央ラインとの整列により、前記膨張可能な物品内の前記圧力が、おおよそ、前記膨張可能な物品の目標運用圧力であることの指標が提供される、請求項1~13のいずれか一項に記載の圧力計。
【請求項15】
前記膨張可能な物品の前記目標運用圧力は、約20psi(約1.4bar)~約22psi(約1.5bar)である、請求項1~14のいずれか一項に記載の圧力計。
【請求項16】
前記ダイアフラムは前記指標チャンバ中に突出し、好ましくは、前記ダイアフラムは凹状である、請求項1~15のいずれか一項に記載の圧力計。
【請求項17】
前記指標要素は、前記ダイアフラムの前記第2の表面に当接するか、結合している、請求項1~16のいずれか一項に記載の圧力計。
【請求項18】
前記指標要素は前記ダイアフラムと前記付勢要素との間に位置されている、請求項1~17のいずれか一項に記載の圧力計。
【請求項19】
前記指標要素は前記付勢要素を収容する中空部分を備える、請求項1~18のいずれか一項に記載の圧力計。
【請求項20】
前記付勢要素は、前記ハウジングの内表面に当接するか、結合している、請求項1~19のいずれか一項に記載の圧力計。
【請求項21】
前記ハウジングは長手方向に沿って延在し、前記指標要素は、このような長手方向に移動するよう構成されている、請求項1~20のいずれか一項に記載の圧力計。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか一項に記載の圧力計及び膨張弁を備える膨張ユニットであって、好ましくは、前記膨張弁はプレスタバルブ又はシュレーダーバルブを備える、膨張ユニット。
【請求項23】
前記圧力計及び前記膨張弁は単一の一体型ユニットを形成する、請求項22に記載の膨張ユニット。
【請求項24】
請求項1~21のいずれか一項に記載の圧力計、又は、請求項22又は23に記載の膨張ユニットを備える、膨張可能な物品。
【請求項25】
請求項1~21のいずれか一項に記載の圧力計、又は、請求項22又は23に記載の膨張ユニットを備える、膨張可能なヘルメット。
【請求項26】
一体型の圧力計を備える膨張可能な物品であって、前記圧力計は:
ハウジングと、
前記ハウジング内に画定された指標チャンバと、
前記ハウジング内に位置されると共に、前記膨張可能な物品内における圧力の上昇時に拡張するよう構成されている弾性のダイアフラムであって、第1の表面及び反対側の第2の表面を有し、当該ダイアフラムの前記第1の表面は、前記膨張可能な物品の内部と流体流通可能に構成されており、当該ダイアフラムの前記第2の表面は前記指標チャンバの境界を画定する、ダイアフラムと、
前記指標チャンバ内に位置された指標要素と、を備える圧力計であって、
前記指標要素が、前記ダイアフラムの拡張によって、第1の位置から遠ざかる第1の方向に移動可能であり、前記ハウジングとの相対的な前記指標要素の前記位置により前記膨張可能な物品内の前記圧力の指標が提供されるよう構成されている、膨張可能な物品。
【請求項27】
前記圧力計は、前記膨張可能な物品の外壁に結合されている、請求項26に記載の膨張可能な物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、膨張可能な物品用の圧力計に関する。本開示はまた、このような圧力計を備える膨張可能な物品に関する。膨張可能な物品は、好ましくは膨張可能な安全物品、膨張可能な保護物品、又は、膨張可能なヘルメットである。膨張可能な物品はまた、膨張可能なカヤック、膨張可能なパドルボード、膨張可能なボート、又は、いずれかの他の膨張可能な物品であり得る。
【0002】
本開示はまた、このような圧力計を備える膨張弁、又は、膨張弁及びこのような圧力計を備える膨張ユニットに関する。
【背景技術】
【0003】
多くの種類の圧力計が、膨張可能な物品中の内部空気圧を監視し、表示をするために採用されている。これらの圧力計のほとんどはポンプなどの膨張用装置に設けられており、別個のダイヤル又はメータにおける圧力読みを提供するために、計器ハウジングに個別のメカニズムが必要となる。その結果、このような圧力計は比較的大きくなってしまい、膨張可能な物品に恒久的に取り付けるのに好適ではない可能性がある。
【0004】
さらに、いくつかの機械的圧力計は、特に比較的低圧(例えば、50psi(約3.4bar)未満)を必要とする膨張可能な物品については、内部空気圧の正確な計測の提供に関して信頼をすることができない。これらの圧力計の多くは、弁機構及びホースの下流側の膨張可能な装置に設けられている。この位置の結果、トラックポンプにおけるものといったこのような圧力計によって感知される圧力は、システム内における何らかの追加の圧力の蓄積によって不正確である可能性がある。このような圧力の蓄積は、膨張されている膨張可能な物品内の実際の圧力の読取りに不正確に影響を及ぼし得る。さらに、ピストンベースの構成もまた、一定の膨張可能な物品に取り付けるには長すぎる場合がある。
【0005】
従って、本発明者らは、製造上コスト効率が高く、且つ、比較的低い圧力でも正確な圧力読みを提供可能であり、その一方で、好ましくはコンパクトであって膨張可能な物品に一体的に取り付け可能である機械式圧力計に対する必要性を認識した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、膨張可能な物品用の圧力計を提供する。圧力計はハウジングを備える。圧力計はハウジング内に画定された指標チャンバを備える。圧力計は、ハウジング内に位置されたダイアフラム(又はダイアフラム要素)を備える。ダイアフラムは、膨張可能な物品内における圧力の上昇時に拡張するよう構成されている。ダイアフラムは第1の表面及び反対側の第2の表面を有する。ダイアフラムの第1の表面は、膨張可能な物品の内部と流体流通可能に構成されており、ダイアフラムの第2の表面は指標チャンバの境界を画定する。圧力計は、指標チャンバ内に位置された指標要素をさらに備える。ダイアフラムの拡張は、第1の位置又は初期位置から遠ざかる第1の方向に指標要素を移動させるように構成されている。ハウジングとの相対的な指標要素の位置により、膨張可能な物品内の圧力の指標が提供される。換言すると、圧力計は、ダイアフラムの拡張によって、第1の位置から遠ざかる第1の方向に指標要素が移動可能であり、ハウジングとの相対的な指標要素の位置により膨張可能な物品内の圧力の指標が提供されるように、構成されている。
【0007】
ハウジングと相対的な指標要素の位置により膨張可能な物品内の圧力の指標が提供されるよう、チャンバ中へのダイアフラムの動きによって移動するよう構成された別個の指標要素を別個のチャンバ内に有することにより、本発明者らは、コンパクトな圧力計を最低限の構成要素で費用効果の高い方法で製造可能であることを見出した。さらに、本発明者らは、このような構成が、低い圧力(50psi(約3.4bar未満)、好ましくは25psi(約1.7bar)未満)を正確に計測するのに好適であり、その一方で、圧力計が接続された膨張可能な物品の計測された内圧を監視するための個別のダイヤルも不要となることを見出した。
【0008】
好ましくは、ダイアフラムの拡張は、第1の位置又は初期位置から遠ざかる第1の方向に、指標要素を押すか、又は、駆動するように構成されている。指標要素の初期位置又は第1の位置は、膨張可能な物品の内圧が約0psi(約0bar)である時の指標要素の位置に相当し得る。指標要素の初期位置は、膨張可能な物品の内圧がおおよそ大気圧(膨張可能な物品が位置されている高度におけるもの)に相当するときの指標要素の位置に相当し得る。好ましくは、指標要素は、一の長手方向位置から他の長手方向位置に押される。換言すると、第1の方向は、指標チャンバ又は圧力計に沿って定義される長手方向又は軸方向に相当する。
【0009】
好ましくは、指標要素の位置は、圧力計のハウジングに対して長手方向に変化するよう構成されている。好ましくは、ハウジングの長手部分(又は、長手方向に延在する部分)との相対的な指標要素の位置により、膨張可能な物品内の圧力の指標が提供される。ハウジングのこのような長手部分は、細長い形状であり得る圧力計により画定される長手方向に沿って延在するハウジングの側壁又は周壁に相当し得る。
【0010】
好ましくは、指標要素は、ダイアフラムとは個別又は独立した要素又は構成要素である。換言すると、指標要素はダイアフラムと一体的ではない。
【0011】
さらにより好ましくは、膨張可能な物品内の圧力の指標は、ハウジングと相対的な指標要素の位置のみによって提供される。その結果、圧力計は、物品中の内圧を監視するために使用者が参照する個別の構成要素又はダイヤルが不要であり、コンパクトで、費用効果の高い態様で提供可能である。使用者は、圧力を判定するために、ハウジングに対する指標要素の相対的位置を参照するだけでよい。
【0012】
好ましくは、圧力計は、指標チャンバ内に位置された付勢要素をさらに備える。付勢要素は、指標要素を初期位置に向かって第2の方向に動かすよう構成され得る。好ましくは、付勢要素は、弾性要素又はバネ要素を備えるか、これらから構成される。バネ要素は線形バネであり得る。バネ要素は、約0.05ニュートン/ミリメートル(N/mm)~約0.15N/mmのバネ定数又はバネ常数を有し得る。好ましくは、バネのバネ定数は約0.12N/mmである。
【0013】
指標要素を初期位置に向かって第2の方向に動かすよう構成された付勢要素を設けることにより、膨張可能な物品内の圧力が低下した際に、指標要素をその元の初期位置に向かって戻るよう配置し得る。第2の方向は、好ましくは、第1の方向とは反対の方向である。第1の方向と同様に、第2の方向は、好ましくは、指標チャンバ又は圧力計に沿って確定される長手方向又は軸方向に相当する。
【0014】
好ましくは、ハウジングは縦軸に沿って延在し、指標要素は、このような縦軸に沿って移動するよう構成されている。さらに、付勢要素は、同じ軸に沿って、ダイアフラムから遠ざかる方向に指標要素を動かす、又は、押すよう構成され得る。
【0015】
好ましくは、ハウジングは、アウターハウジング又はケースを備える。アウターハウジングは、端壁と、アウターハウジングの開放端との間に延在するキャビティを画定し得る。このようなアウターハウジングの端壁は、アウターハウジング内に位置され得る。このような端壁は、膨張可能な物品の内部とダイアフラムの第1の表面又は面との間における流体の流通を可能とするように、貫通して延びる開口を有し得る。
【0016】
好ましくは、ハウジングは、アウターハウジングにより画定されたキャビティ内に位置された管状部材又は管状部分をさらに備える。管状部材又は管状部分は、ハウジングを介して指標要素が視認可能であるように、好ましくは透明又は透光性である。
【0017】
好ましくは、ダイアフラムは、アウターハウジングにより画定されたキャビティ内に位置されていると共に、ダイアフラムの周縁部分がアウターハウジングの端壁に当接している。
【0018】
好ましくは、ダイアフラムの直径はキャビティの直径と実質的に同じである。ダイアフラムの周縁部分の直径はキャビティの直径と同じであり得る。これにより、膨張可能な物品の内部から指標チャンバに空気が流れることができないよう、ハウジングの内部とダイアフラムとの間に気密シールが確実に画定される。
【0019】
好ましくは、管状部材はダイアフラムの周縁部分に当接している。好ましくは、管状部材の外径はキャビティの直径と実質的に同じである。これにより、管状部材は効果的にダイアフラムに当接して、アウターハウジングの端壁と管状部材との間で所定の位置に確実に保持する。
【0020】
好ましくは、指標チャンバは、ハウジングの内表面、管状部材及びダイアフラムの第2の表面により画定される。換言すると、ハウジングの内表面、管状部材の内表面及びダイアフラムの第2の表面は、圧力計が組み立てられると、指標チャンバの境界を画定する。
【0021】
好ましくは、ハウジングは、アウターハウジングの開放端をシールするよう構成されたエンドキャップ部をさらに備える。指標チャンバは、エンドキャップ部の内面、管状部材及びダイアフラムの第2の表面により画定され得る。換言すると、エンドキャップ部の内面、管状部材の内表面及びダイアフラムの第2の表面は、指標チャンバの境界を画定する。
【0022】
或いは、エンドキャップ部及び管状部材は、単一の一体型の構成要素を形成する。このような構成要素は、エンドキャップ要素と称され得る。管状部材は、エンドキャップ要素の管状部分を形成し得る。エンドキャップ要素は、アウターケースに設けられた対応する保持用開口と係合するよう構成された保持又は位置決め突出部又はタブを備えていてもよい。それ故、圧力計を組み立てる際に、エンドキャップ要素はアウターハウジング又はケース内に保持され得る。
【0023】
好ましくは、指標要素は、ダイアフラムと付勢要素との間に位置される。好ましくは、指標要素はダイアフラムの第2の表面(又は面)に当接する。指標要素は、ダイアフラムの第2の表面に結合し得る。指標要素は、指標チャンバの内径(管状部材により画定される)よりも小さな直径を有し得る。或いは、指標要素は、管状部材又は指標チャンバと締り嵌め又は滑り嵌めを形成していてもよい。
【0024】
ダイアフラムは、第2の表面から延在する位置決め突出部を備えていてもよい。このような位置決め突出部は、第2の表面の中央部分から延在し得る。指標要素は第1の端部から第2の端部に延在する。指標要素の第1の端部がダイアフラムと係合(結合又は当接)し得、及び、指標要素の第2の端部が付勢要素と係合(結合又は当接)し得る。指標要素は、ダイアフラムの位置決め突出部と協働するよう配置された位置決め凹部を備えていてもよい。ダイアフラムの位置決め突出部と指標要素の位置決め凹部との係合により、ダイアフラムが確実に拡張される。
【0025】
好ましくは、付勢要素はハウジングの内表面に当接する。付勢要素は、ハウジングの内表面に結合し得る。ハウジングのこのような内表面は、上記のエンドキャップ(又はエンドキャップ要素)の内面であり得る。エンドキャップ部又は要素は、指標チャンバの境界を形成するよう構成されている内面から延在する位置決め突出部を備えていてもよい。付勢要素は、第1の端部と第2の端部との間で延在する。付勢要素の第2の端部は、位置決め突出部と協働するよう配置され得る。このような位置決め突出部は、特に圧縮下におけるエンドキャップの内面におけるバネを含有する滑り又は位置ずれが防止されるよう付勢要素(バネ)中に収容される。
【0026】
好ましくは、指標要素は、付勢要素を収容するよう構成された中空又は凹状部分を備える。このような中空部分は、指標要素の第2の端部から延在して開放端を画定し得る。凹状部分は、付勢要素又はバネの第1の端部を受け入れるよう構成されている中空部分又はキャビティ部分を画定し得る。これにより、指標要素と付勢要素との確実な係合又は当接は、圧力計の操作中における付勢要素の指標要素との位置ずれが防止されることにより達成可能である。凹状部分は閉鎖端及び開放端を有し得る。指標要素はまた、凹状部分の閉鎖端から延在する位置決め突出部を備えていてもよい。このような位置決め突出部は、移動の最中に付勢要素が指標要素と整列するよう、付勢要素と協働又は係合し得る。
【0027】
好ましくは、圧力計(又は、そのハウジング)は、膨張可能な物品に装着可能又は結合可能である。換言すると、圧力計(又は、そのハウジング)は、膨張可能な物品に装着又は結合されるよう構成され得る。圧力計(又は、そのハウジング)は、膨張可能な物品の外壁に装着又は結合されるよう構成され得る。膨張可能な物品の外壁は、膨張可能な物品中の膨張可能な空気チャンバを画定していてもよい。圧力計は、膨張可能な物品の内部と流体流通可能に構成され得る。
【0028】
ハウジング又はアウターハウジング(又はケース)は、膨張可能な物品に結合するよう構成された基部(又は基礎部分)を備えていてもよい。ハウジング又はアウターハウジングの基部はフランジとされていてもよい。フランジベースを設けることにより、ハウジングは、膨張可能な物品との連結に好適なより大きな界面を有する。アウターハウジングの基礎部分は、約25mm~約75mmの幅又は直径を有し得る。好ましくは、アウターハウジングの基礎部分は、約50mmの幅又は直径を有する。
【0029】
好ましくは、圧力計のハウジングの構成要素は、プラスチック材料、ナイロン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)又はケイ素を含む。アウターハウジングは、TPU又はポリ塩化ビニル(PVC)製であることが好ましい。好ましくは、アウターハウジングは、膨張可能な物品に溶着されるよう構成されている。管状部材又はエンドキャップ要素は、Perspexなどのポリ(メチルメタクリレート)(PMMA);TPU又はPVCを含んでいてもよく、又は、これらから形成されていてもよい。
【0030】
好ましくは、ハウジングは、膨張可能な物品の内部とダイアフラムの第1の表面との間における流体の流通を確立する空気入口を画定する。ダイアフラムは、空気入口を指標チャンバから分離する。空気入口は、ハウジング(又はアウターハウジング/ケース)の基礎部分における開口からダイアフラムの第1の表面に延在する空気流通路であり得る。このような実施形態において、フランジ基礎部分を設けることにより、膨張可能な物品とハウジングとの間で好適な結合を確実なものとすることができ、空気漏れの恐れを最小限にする。
【0031】
好ましくは、指標要素は、ハウジングの指標部分を介して視認可能であるよう構成されている。ハウジングの指標部分は、透明又は透光性であり得る。指標要素は、ハウジングの管状部材を介して視認可能に構成されている。上記のとおり、管状部材は、透明又は透光性であることが好ましい。
【0032】
好ましくは、指標要素は第1のインジケータを備える。第1のインジケータはマーキング、ノッチ又は目盛りを備えていてもよい。マーキングはラインマーキングであり得る。第1のインジケータは着色されていてもよい。
【0033】
好ましくは、ハウジング又はアウターハウジング(又は、その指標部分)は、指標開口又は窓を備えていてもよい。開口と相対的な第1のインジケータの位置により、膨張可能な物品内の圧力の指標が提供されてもよい。その結果、使用者は、個別のダイヤル又はメータを参照する必要性の代わりに、圧力読みのために指標要素を直接参照してもよい。第1のインジケータは、膨張可能な物品の目標運用圧力に達した際に、開口を介して視認可能に構成されていてもよい。このような開口の長さは、少なくとも3mmであり得る。このような開口の長さは少なくとも5mmであり得る。
【0034】
好ましくは、ハウジングの指標部分は第2のインジケータを有する。第2のインジケータと相対的な第1のインジケータの位置により、膨張可能な物品内の圧力の指標が提供されてもよい。ハウジングの開口又は第2のインジケータと第1のインジケータとの整列により、膨張可能な物品内の圧力が、おおよそ、膨張可能な物品の目標運用圧力であることの指標が提供され得る。
【0035】
第2のインジケータは、マーキング、ノッチ又は目盛りを備えていてもよい。マーキングはラインマーキングであり得る。第2のインジケータは着色されていてもよい。
【0036】
第1のインジケータはラインを備えていてもよく、第2のインジケータは、中央ラインを有する目盛りを備えていてもよい。第1のインジケータのラインと中央ラインとの整列によって、膨張可能な物品内の圧力が、おおよそ、膨張可能な物品の目標運用圧力であることの指標が提供され得る。
【0037】
圧力計は拡大要素をさらに備えていてもよい。拡大要素は拡大レンズを含んでいてもよい。拡大要素は、拡大要素を介して指標要素が視認可能であるよう、ハウジングにおける上記の指標部分などの開口と重なっていてもよい。このような実施形態において、第1のインジケータは指標要素に設けられていてもよく、及び、第2のインジケータは拡大要素の外表面に設けられていてもよい。第1のインジケータと、第2のインジケータの指標要素(1つ以上のマーキング又はノッチ又は目盛りなど)との視認による整列により、膨張可能な物品内の圧力の指標が提供され得る。特にその外表面に第2のインジケータを有する拡大要素を設けることで、レンズは、実質的に、圧力計内の指標要素の拡大された視界又は画像をもたらし得る。その結果、指標要素に位置された第1のインジケータと拡大要素に位置された第2のインジケータとの拡大画像の視認による整列により、膨張可能な物品内の内部空気圧の指標が提供可能である。これは、使用者が、圧力計をよく見る必要なく、膨張可能な物品の目標又は所定の運用圧力に達したか否かをより容易に識別するために役立つこととなる。
【0038】
目標運用圧力とは、膨張可能な物品(特に、膨張可能なヘルメット)が、最適な態様で運用され、性能を発揮するよう設計された最適な内部の(空気)圧力又は圧力値の範囲を指す。好ましくは、目標運用圧力は、約18psi(約1.2bar)~約25psi(約1.7bar)である。より好ましくは、目標運用圧力は、約20psi(約1.4bar)~約22psi(約1.5bar)である。膨張可能な物品が膨張可能なヘルメットである場合、ヘルメット中の内圧が、ヘルメットの安全性及び衝撃性能特性が最適である、おおよそ予め定められた運用圧力(換言すると、理想的な、最適な、又は、目標運用圧力)であることは特に重要である。膨張可能な又は折りたたみ可能なヘルメットは、その膨張した構成での使用中に、例えば自転車用ヘルメットに要求される従来の衝撃試験(例えば、EN1078)に係る構造力に耐えることが可能であることが特に重要であり得る。
【0039】
好ましくは、ダイアフラムは指標チャンバ中に突出する。ダイアフラムは凹状であり得る。その結果、ダイアフラムの第1の表面は、表面接触面積が増加することで、膨張可能な物品の内部流体圧力に対して好適に高感度となる。好ましくは、ダイアフラムは気密シールを画定する。これにより、空気入口から指標チャンバへの空気又は流体の漏れが最低限に抑えられる。
【0040】
ダイアフラム又はダイアフラム要素は、弾性のダイアフラム又はダイアフラム要素であり得る。好ましくは、ダイアフラムは弾性又はゴム材料を備える。ダイアフラムは熱可塑性エラストマー(TPE)製であり得る。ダイアフラムはシリコーンゴム製であり得る。
【0041】
ダイアフラムは約2mm~約7mmの直径を有し得る。ダイアフラムは、約3mm~約5mmの直径を有し得る。ダイアフラムは、好ましくは、約4mmの直径を有し得る。
【0042】
ダイアフラムは約0.02mm~約0.05mmの厚さを有し得る。より好ましくは、ダイアフラムは約0.03mm~約0.04mmの厚さを有し得る。ダイアフラムは、緩和状態で指標チャンバ中に約2.8mm突出していてもよい。ダイアフラムは、延伸又は拡張状態で指標チャンバ中に約5.5mm突出していてもよい。ダイアフラムは、膨張可能な物品内の内部空気圧がおおよそ目標内圧である時、延伸又は拡張状態で指標チャンバ中に約5.5mm突出していてもよい。ダイアフラムは、最大延伸又は拡張状態で指標チャンバ中に約6.9mm突出していてもよい。
【0043】
好ましくは、ダイアフラムは約20~約35のショアA硬度を有する。さらにより好ましくは、ダイアフラムは約25~約30のショアA硬度を有する。好ましくは、ダイアフラムは約28のショアA硬度を有する。
【0044】
ダイアフラムのショアA硬度は、当業者に公知である方法及び規格に従って計測される。ショアA硬度は、ASTM D2240又はISO868:2003に準拠して測定し得る。別段の記載がない限り、計測は、23℃の周囲温度、100kPa(0.986atm)の周囲気圧、及び、50%の相対湿度で行われる。
【0045】
本開示は、本明細書に記載の圧力計を備える膨張ユニットに関する。膨張ユニットは、圧力計及び膨張弁を備えていてもよい。膨張ユニットは、本明細書に記載の圧力計と膨張弁とが一体化する単一のハウジングを備えていてもよい。換言すると、圧力計及び膨張弁が単一の一体型ユニットを形成していてもよい。
【0046】
膨張弁はプレスタバルブであり得る。膨張弁はシュレーダーバルブであり得る。膨張ユニットのハウジングは、本明細書に記載の圧力計のハウジングと同様の特徴を有し得る。ハウジングは基礎部分を有し得る。ハウジングの基礎部分にはフランジが形成されていてもよい。圧力計に関して記載した特性は、膨張ユニット又は膨張弁に適用され得る。膨張弁は、膨張可能な物品の内部と流体流通可能である。膨張ユニットのハウジングは、好ましくは、膨張可能な物品の内部と膨張弁との間における流体の流通を確立するための第2の空気入口を備える。
【0047】
膨張弁は、膨張ユニットハウジングから取り外し可能であり得る。これにより、膨張弁を交換することが可能となり、使用者が利用可能である空気ポンプのタイプに応じて、シュレーダーバルブ又はプレスタバルブなどの種々のタイプの弁の間での互換性が実現される。膨張弁は、ハウジングとの中間嵌め又は締り嵌めを画定し得る。
【0048】
膨張ユニットは、本開示に記載されているとおり、圧力計を備える膨張弁として本開示において言及され得る。
【0049】
本開示はまた、本明細書に記載の圧力計を備える膨張可能な物品に関する。膨張可能な物品は、好ましくは、膨張可能な安全物品、膨張可能な保護物品、又は、膨張可能なヘルメットである。もっとも好ましくは、膨張可能な物品は膨張可能なヘルメットである。本発明の圧力計が取り付けられ得る膨張可能な物品又はヘルメットの例は、欧州特許第3232844B1号明細書及び英国特許第2020491.3号明細書に記載されている。好ましくは、ヘルメットは自転車用ヘルメットである。
【0050】
膨張可能な物品はまた、膨張可能なカヤック、膨張可能なパドルボード、膨張可能なボート又はいずれかの他の膨張可能な物品であり得る。このような膨張可能な物品は、物品の製造に溶着(好ましくは、高周波溶着)又は接着性ボンドを利用し得る。
【0051】
圧力計又は膨張ユニットは、膨張可能な物品と一体的であり得る。圧力計又は膨張ユニットは、膨張可能な物品の外表面又は壁に取り付け又は結合されていてもよい。圧力計又は膨張ユニットは、膨張可能な物品の内部と流体流通可能である。圧力計又は膨張ユニットの空気入口は、膨張可能な物品の壁におけるアパーチャと位置合わせされる。膨張可能な物品上に直接このようなコンパクトな圧力計又は膨張ユニットを設けることにより、使用者は、一体的な圧力計をそれ自体が有するポンプを必要とすることなく、膨張可能な物品を好適に運用圧力に膨張させることが可能であり得る。さらに、膨張可能な物品と永久的に結合されているか、一体的にされている圧力計又は膨張ユニットは、膨張可能な物品の内部と直接的に流体の流通が可能であるために、より正確である可能性が高い。好ましくは、圧力計は、膨張可能な物品の膨張弁に近接して位置されている。特に、フランジベースを設け、コンパクトな構成とすることで圧力計又は膨張ユニットは、膨張可能な物品のチャンバを画定する壁(換言すると、外壁)と一体的とされているか、固定されていることが可能である。これにより、低い圧力で正確性に劣る可能性がある一体型の圧力計を有するポンプや、膨張可能な物品の膨張に際して弁に取り付ける必要がある補助的なネジ式又は一時的に結合可能なゲージの必要性が有利に排除される。
【0052】
圧力計又は膨張ユニットと、膨張可能な物品との組み合わせが、膨張可能なシステムとみなされ得る。本開示によれば、膨張可能なシステムは、膨張可能な物品及び圧力計、又は、膨張ユニットを備える。好ましくは、上記のとおり、圧力計又は膨張ユニットは、膨張可能な物品と一体型である。
【0053】
指標要素の移動は、圧力計が取り付けられた膨張可能な物品の外表面と平行であることが好ましい。或いは、指標要素の移動は、圧力計が取り付けられた膨張可能な物品の外表面に対して垂直であることが好ましい。
【0054】
好ましくは、圧力計ハウジングは、溶着、さらにより好ましくは、高周波溶着により、膨張可能な物品の壁に結合される。好ましくは、圧力計は、膨張可能な物品に永久的に結合又は取り付けられる。圧力計は、膨張可能な物品の壁に接着又は接合され得る。
【0055】
膨張可能な物品は、膨張可能なチャンバを画定する壁を備えていてもよい。壁は、折りたたみ可能な壁であり得る。壁(又は、外壁若しくは外部壁)は、1つ以上の層又は薄層を備えていてもよい。壁は単一の層を備えていてもよい。壁は、外側層及び内側層を備えていてもよい。外側層は膨張可能な物品の外面に対向し得、内側層は膨張可能な物品の内部に対向し得る。
【0056】
膨張可能な物品の壁はTPU又はPVCを含み得る。膨張可能な物品の壁の層又は薄層は、TPU又はPVCを含み得る。膨張可能な壁の厚さは、約0.25mm~約2mmであり得る。膨張可能な壁の厚さは、約0.5mm~約1mmであり得る。膨張可能な壁を含有する層又は薄層の厚さは、約0.25mm~1mmであり得る。好ましくは、膨張可能な壁の層又は薄層の厚さは、約0.5mmであり得る。
【0057】
壁は切欠き部分を備えていてもよい。圧力計の基礎部分は壁の内表面と結合していてもよく、圧力計のハウジングの残部は壁の切欠き部分を通って延在していてもよい。
【0058】
壁は第1の空気入口開口を備えていてもよい。入口開口は、圧力計と膨張可能な物品の内部との間における流体の流通を確立するよう構成され得る。圧力計の空気入口は、流体の流通が圧力計のダイアフラムと膨張可能な物品の内部との間で確立されるよう、膨張可能な物品の壁に設けられた入口開口と位置合わせされ得る。
【0059】
壁は第2の空気入口開口を備えていてもよい。第2の入口開口は、膨張弁と膨張可能な物品の内部との間における流体の流通を確立するよう構成され得る。膨張弁の空気入口は、流体の流通が膨張弁と膨張可能な物品の内部との間で確立されるよう、膨張可能な物品の壁に設けられた第2の入口開口と位置合わせされ得る。
【0060】
圧力計と壁との連結により画定される界面のいずれかを介して膨張可能な物品から空気が流出不能であるよう、また、空気が主に圧力計の空気入口を流通可能であるよう、気密シールが壁と圧力計のハウジングとの間で画定されることが好ましい。何らかの空気の漏れは圧力計により示される内圧の正確さに影響し得る。
【0061】
二重層の壁を有する膨張可能な物品の実施形態において、膨張ユニット又は圧力計のハウジングの基礎部分は、壁の外側層と壁の内側層との間に位置され得る。基礎部分の底面は内側層の外表面に結合され得、及び、基礎部分の上面は外側層の内表面に結合され得る。内側層は、上記のとおり、第1の入口開口を備えていてもよい。内側層の第1の入口開口は、圧力計の空気入口と位置合わせされていてもよい。外側層は同様に上記のとおり、切欠き部分を備えていてもよい。圧力計又は膨張ユニットハウジングの残部は、壁の外側層を介して突出していてもよい。第2の入口開口は、第1の入口開口と同様に、内側層に設けられていてもよい。
【0062】
好ましくは、圧力計のハウジング又は膨張ユニットは、膨張可能な物品の外表面から少なくとも5mm延在する。圧力計のハウジング又は膨張ユニットは、膨張可能な物品の外表面から少なくとも7.5mm延在し得る。
【0063】
ここで用いられる、「好ましくは」、「~し得る」、及び、「任意に」という用語は、必須ではないが、組み合わされて本発明の種々の実施形態を形成し得る本発明の特徴を指す。
【0064】
さらに、本発明の一態様におけるいずれかの特徴は、いずれかの適切な組み合わせで本発明の他の態様に適用し得る。特に、方法の態様は、装置の態様に適用し得、及び、その逆もまた同様である。さらに、一態様におけるいずれかの、いくつかの及び/又はすべての特徴は、いずれかの適切な組み合わせでいずれかの他の態様におけるいずれかの、いくつかの及び/又はすべての特徴に適用可能である。
【0065】
本発明のいずれかの態様において説明及び定義されている種々の特徴の特定の組み合わせは、独立して、実施及び/又は供給及び/又は使用が可能であることも理解されるべきである。
【0066】
図面を参照して、特定の実施形態をここに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1】
図1は、本発明に係る圧力計の概略断面図を示す。
【
図2】
図2は、低圧構成の本発明に係る圧力計の概略断面図を示す。
【
図3】
図3は、高圧構成の本発明に係る圧力計の概略断面図を示す。
【
図4】
図4は、本発明に係る圧力計の分解斜視図を示す。
【
図5】
図5は、本発明に係る圧力計の斜視図を示すものであり、圧力計がどのように膨張可能な物品の壁構造と一体化されているかを示すものである。
【
図6】
図6は、膨張可能な物品の壁構造の外表面に結合された圧力計の概略断面図を示す。
【
図7】
図7は、膨張可能な物品の壁構造の内表面に結合された圧力計の概略断面図を示す。
【
図8a】
図8aは、プレスタバルブが組み込まれた圧力計の斜視図を示す。
【
図8b】
図8bは、シュレーダーバルブが組み込まれた圧力計の斜視図を示す。
【
図9】
図9は、
図8aに示されている圧力計の分解斜視図を示す。
【
図10a】
図10aは、収縮した構成の
図8a及び8bに示す圧力計が組み込まれた膨張可能なヘルメットの斜視図を示す。
【
図10b】
図10bは、膨張した構成の
図8a及び8bに示す圧力計が組み込まれた膨張可能なヘルメットの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0068】
図1は、膨張可能な物品(全体は図示せず)と結合された本発明に係る圧力計1の実施形態を示す。このような膨張可能な物品の外側の境界は、
図1において外壁6により示されている。
【0069】
圧力計1は、縦軸Lに添って延在するハウジング2を備える。ハウジング2は、アウターハウジング又はケース3と、アウターハウジング3と一体となるよう配置されたエンドキャップ要素5とを備える。エンドキャップ要素5は、エンドキャップ部5aと、アウターハウジング3の内部に延在する管状部分4とを備える。
【0070】
圧力計1は、ハウジング2内に画定された指標チャンバ8を備える。圧力計1は、第1の表面9と反対側の第2の表面11とを有する弾性のダイアフラム10を備える。ダイアフラム10は、指標チャンバ8中に延在又は突出する凹状形状を有する。圧力計1が膨張可能な物品に取り付けられている場合、ダイアフラム10の第1の表面9は、膨張可能な物品の内部と流体流通可能に構成されている。空気入口7はアウターハウジング3中に画定されていると共に、ハウジング2(又は、アウターハウジング3)の基礎部分22から、ダイアフラム10の第1の表面9に延在している。ダイアフラム10によって、指標チャンバ8は空気入口又は流路7から隔離されている。
図1に示されているとおり、膨張可能な物品の内部からの空気は、「イン」の方向に沿って圧力計1に進入するよう構成されている。
【0071】
ダイアフラム10の第2の表面11は、指標チャンバ8の境界を画定する。ダイアフラム10は、圧力計1が結合している膨張可能な物品内における圧力の上昇時に第1の方向Aに拡張するよう構成されている。
【0072】
圧力計1は指標要素12を備え、ハウジング2、特に管状部分4に対する指標要素12の位置が、圧力計1が結合している膨張可能な物品(
図1においては図示せず)内の内圧に係る指標を提供する。指標要素12は指標チャンバ8内に位置されている。第1の方向Aにおけるダイアフラム10の拡張は、指標チャンバ8内を縦軸Lに沿って指標要素12が移動するよう、指標要素12を同じ方向に押すよう構成されている。
【0073】
圧力計1は、指標チャンバ8内に位置された付勢要素14を備える。付勢要素14は、膨張可能な物品内の圧力が上昇し、指標要素12が付勢要素14に対して押し付けられると圧縮されるよう構成されている。本実施形態において、付勢要素14はバネである。指標要素12は、ダイアフラム10と付勢要素14との間に位置されている。膨張可能な物品内の圧力が低下すると、ダイアフラム10はもはや拡張せず、もはや指標要素12に対しても押し付けられない。その結果、圧縮された付勢要素14は、初期位置に向かって、第1の方向Aとは反対の第2の方向Bに指標要素12を押すよう構成されている。第1及び第2の方向A,Bは共に縦軸Lと並行である。
【0074】
指標チャンバ8は、ダイアフラム10の第2の表面11、管状部材4の内表面、及び、エンドキャップ5の内面によって区画されている。
【0075】
上記のとおり、指標要素12は、ダイアフラム10と付勢要素14とのすぐ間に位置されている。ダイアフラム10は、第2の表面11から指標チャンバ8に延在する第1の位置決め突出部19を備える。指標要素12の第1の端部は、第1の位置決め突出部19と協働及び係合するよう配置された対応する凹部20を有する。
【0076】
指標要素12は、付勢要素14を受け入れる中空の凹状部分18を備える。凹状部分18は、指標要素12の第2の端部から延在して指標要素12の開放端を画定する。凹状部分18は従って、付勢要素の第1の端部を受け入れるよう構成された中空の部分又はキャビティ部分を構成する。換言すると、付勢要素14は指標要素12の凹状部分18中に延在して、指標要素12内に位置する内部の端壁又は表面に当接する。
【0077】
指標要素12は、圧力計1のハウジング2を通して視認可能であるよう構成された第1のインジケータ15を備える。
図1に示されているとおり、ハウジング2は、アウターケース3の長手方向の壁に画定された開口又は窓17を備える。エンドキャップ要素5の管状部分4はその上に位置された第2のインジケータ16を有し、第2のインジケータ16は、アウターケース3の窓17を通して視認可能でもある。エンドキャップ要素5は、PVC、又は、PerspexなどのPMMAなどの透明材料を含む。
図1に示されているとおり、第1のインジケータ15は指標要素12の外表面を周回するインデントを備え、第2のインジケータ16は、管状部分4の表面に設けられた突出部を備える。第1及び第2のインジケータ15,16は、視認しやすいように着色されていることが好ましい。第1及び第2のインジケータ15,16は赤色であり得る。
【0078】
第2のインジケータ16に対する指標要素12、特に第1のインジケータ15の相対的位置により、膨張可能な物品内の内圧の指標が提供される。圧力計1の用途に応じて、第1及び第2のインジケータ15,16が整列することで、圧力計1が適用されている膨張可能な物品内の内圧が、膨張可能な物品の理想的な運用圧力又は標的圧力であることが示されることとなる。
図1に示されているとおり、第1のインジケータ15は第2のインジケータ16と整列し、これにより、膨張可能な物品が好ましい運用内圧に膨張されたことが使用者に示される。このような指標は、拡張下のダイアフラム10と、圧縮下の付勢要素又はバネ14との間における、指標要素12に作用する力のバランスによって定義される。
【0079】
図2は、
図1と同じ圧力計1であるが、膨張可能な物品(図示せず)が低圧又は収縮状態にある場合を示す。
図2に示されているとおり、ダイアフラム10は、実質的に、初期又は略初期、つぶれた又は非拡張(又は緩和)状態であり得、ここで、付勢要素14により指標要素12に作用する力は、膨張可能な物品内に存在する内圧に従う、ダイアフラム10により指標要素12に作用する力よりも大きい。その結果、第1のインジケータ15と第2のインジケータ16との間に位置ずれ又はオフセットが存在することとなり、ここで、第1のインジケータ15は第2のインジケータ16とダイアフラム10との間の長手方向位置に位置し、これにより、内圧は、略ゼロであるか、又は、膨張可能な物品の標的運用内圧未満であることが示される。膨張可能な物品の膨張時(換言すると、圧力の上昇時)には、ダイアフラム10が拡張し、これにより、指標要素12が
図1に示されている構成に向かって第1の方向Aに押されることとなる。
【0080】
図3は、
図1及び2と同じ圧力計1であるが、膨張可能な物品(図示せず)が高圧で過膨張状態にある場合を示す。ダイアフラム10は過拡張状態にあり、ここで、膨張可能な物品内に存在する比較的高い空気圧によるダイアフラム10の拡張によって指標要素12に作用する力は、バネ14によって指標要素12に作用する復元力よりも大きい。その結果、第1のインジケータ15と第2のインジケータ16との間に位置ずれ又はオフセットが同様に存在することとなり、第1のインジケータ15は第2のインジケータ16とエンドキャップ部5aとの間の長手方向位置に位置し、これにより、内圧は、膨張可能な物品の標的運用内圧を超えていることが示される。膨張可能な物品の収縮時(換言すると、圧力の低下時)には、ダイアフラム10がその弾性特性によってその初期の緩和状態につぶれるか又は復元し、これにより、付勢要素14によって、指標要素12が
図1及び2に示されている構成のいずれかの1つに向かう第2の方向Bに押されることが可能となる。
【0081】
図3に示されているとおり、指標要素12の端部は、エンドキャップ部5aの内壁に当接している。これは、膨張可能な物品内の内圧は膨張可能な物品の所望の運用内圧を超えており、膨張可能な物品が維持可能に構成されている最大圧力であるかそれに近いことを示している。これは、有益なことに、エンドキャップ部5aに向かって(換言すると、第1の方向Aに沿って)指標要素12がさらに移動しないことは、圧力計1が設けられた特定の膨張可能な物品にとって空気圧が高すぎることを意味することを使用者に示す。好ましくは、このような構成又は状態においても、第1のインジケータ15は、指標チャンバ8を画定する端壁に指標要素12が当接している場合においても視認可能なままである。
【0082】
図4は、圧力計1の分解組立図を示すものであって、圧力計1の種々の構成要素をどのように組立可能であるかを示すものである。一旦アウターケース3を膨張可能な物品の外壁6に結合したら、ダイアフラム10をアウターケース3に挿入可能である。指標要素12は、凹部20を有する指標要素12の第1の端部が、ダイアフラム10の第1の位置決め突出部19と協働するよう、挿入可能である。次いで、バネ14が、ケース3に挿入されて、凹状部分18を備える指標要素12の第2の端部と協働可能とされる。次いで、エンドキャップ要素5の管状部分4がダイアフラム10の周縁部分に当接して、指標要素12及びバネ14が管状部分4内に収容されるよう、アウターケース3にエンドキャップ要素5が挿入される。上記のとおり、エンドキャップ要素5は、エンドキャップ要素5の内表面に設けられた位置決め突出部21を備える。バネ14の第1の端部、及び、そこから延在する部分が、指標要素12の凹状部分18中に位置するよう配置されると共に、バネ14の第2の端部がこのような位置決め突出部21と係合又は協働するよう配置される。バネ14と、凹状部分18及び位置決め突出部21との協働により、バネ14は、使用中適所に確実に保持される。
【0083】
エンドキャップ要素5は、アウターケース3内に保持されるよう配置される。エンドキャップ要素5に設けられた位置決めタブ又は突出要素25と、アウターケース3に設けられた保持用開口26との間における係合により、挿入時に、エンドキャップ要素5がアウターケース3の内の所定位置に確実に保持される。さらに、アウターケース3には、エンドキャップ要素5の表面に設けられた対応する細長いガイド突出部29と協働するガイドトラック28が設けられている。ガイドトラック28と突出部29との間における協働によって、エンドキャップ要素5が、アウターケース3内において確実に位置決めされ、且つ、ケース3内において適切な位置及び向きに確実に設けられる。
【0084】
図5は、どのようにして、圧力計1を膨張可能な物品(全体は図示せず)、より正確にはその外壁に、結合又は一体化可能であるかの例を示す。上記のとおり、圧力計1は、膨張可能な物品の外壁6に結合されるよう構成されている。このような外壁6は、好ましくは、膨張可能な物品の膨張可能な空気チャンバを画定する壁である。
図1~3及び
図5に示されているとおり、外壁6は、外側層6a及び内側層6bを備える。
図1~3及び
図5に示されているとおり、アウターハウジング3のフランジ基礎部分22は、外側層6aと内側層6bとの間に位置される。フランジ基礎部分22は、壁6の外側層又は内側層6a,6bの一方又は両方に接着又は溶着されることが可能である。内側層6bの外表面との境界面を形成する基礎部分22の少なくとも底面は、内側層6bに結合されて、圧力計1のハウジング2と内側層6bとの間に気密シールを確実に形成する。空気が空気入口7を流通して圧力計1の内部に流れる際に空気が漏れないことが確実とされている。基礎部分22の上表面はまた、外側層6aの内表面に結合(接着又は溶着)され得る。
【0085】
外側層6aは、膨張可能な物品の外表面を露出させるために圧力計1が延在して挿通される切欠き部分23を備える。内側層6bは、ダイアフラム10と膨張可能な物品の内部との間で流体の流通を可能とする入口開口24を備える。
【0086】
図6及び7は、単一の層による壁60を有する膨張可能な物品に対して、どのようにして圧力計1を結合又は一体化可能であるかの例を示す。壁60は、上記の二重の層による壁6と同様の機能を示す。単一の層による壁60の場合、圧力計1は、二通りの態様で結合可能である。圧力計1の構造は、上記のものと同等である。
【0087】
圧力計1は壁60の外表面に結合可能である。
図6に示されているとおり、ハウジング2のフランジ基礎部分22の底面が壁60の外表面に直接結合される。これは、溶着又は接着性ボンドにより行うことが可能である。
図6に示されているとおり、壁60は、ダイアフラム10と、壁60により確定される膨張可能な物品の内部との間における流体の流通を確立するための入口開口24を備える。
【0088】
或いは、圧力計1は、壁60の内表面に結合可能である。
図7に示されているとおり、フランジ基礎部分22の上面が壁60の内表面に直接結合される。これは、溶着又は接着性ボンドにより行うことが可能である。しかしながら、切欠き部分23が壁に設けられており(
図5に示されている外側層6aのものと同様)、圧力計1本体の残りの部分が壁60を通って突出可能とされている。膨張可能な物品から突出する圧力計ハウジング2の一部分は、壁6、60の外表面から鉛直方向への計測で、少なくとも約8mm突出し得る。
【0089】
図8a及び8bは、上記の膨張弁110及び圧力計1を備える膨張ユニット100a,100bの実施形態を示す。本開示において、膨張ユニット100a,100bは、膨張弁を備える圧力計、又は、圧力計を備える膨張弁を指し得る。
【0090】
膨張ユニット100a,100bは、ハウジング102を備える。ハウジング102は、上記のハウジング2と一致する圧力計ハウジング2及び弁ハウジング103を備える。好ましくは、圧力計ハウジング2及び弁ハウジング103が一体ハウジングユニット102を形成する。弁ハウジング103は、膨張弁110a,110bを囲って収容するよう構成されている。弁ハウジング103は、第1の空気入口7と同様に、膨張弁と膨張可能な物品の内部との間に流体の流通をもたらす第2の空気入口又は通路107を備える。第2の空気入口107は、第1の空気入口開口24と同様の、壁6に設けられた第2の空気入口開口124と整列している。第2の空気入口開口124は、
図5に示されている第1の空気入口開口24と同様に、内側層6bに設けられている。
【0091】
図8aに示されているとおり、膨張ユニット100aの膨張弁は、プレスタバルブ110aであることが可能であり、及び、
図8bに示されているとおり、膨張ユニット100bの膨張弁はシュレーダーバルブ110bであることが可能である。
図9は、膨張ユニット100aの分解組立図を示す。
【0092】
図10a及び10bは、上記の膨張ユニット100a,100bを備える膨張可能なヘルメット50を示す。膨張可能なヘルメットは、代わりに、膨張弁と一体化されていない圧力計1を備えていてもよい。換言すると、一体化された膨張弁を有する膨張ユニットの代わりに、個別の圧力計1を膨張可能なヘルメット50に同様に適用することが可能である。このような事例において、膨張可能なヘルメットは、個別の膨張弁を備える。膨張ユニット100a,100bは、膨張可能なヘルメット50である膨張可能な物品に永久的に結合されている。
【0093】
図10aは収縮した構成のヘルメット50を示し、及び、
図10bは膨張した構成のヘルメット50を示す。膨張弁110を用いた
図10aに示されている収縮した構成から
図10bに示されている膨張した構成への膨張の最中に、使用者は、圧力計1により(指標要素12の位置により)膨張可能なヘルメットの内部空気圧を監視することが可能である。上記の第1及び第2のインジケータ15,16が整列した場合、ヘルメット50を膨張する使用者に対して、内部空気圧がおおよそヘルメット50の理想的な運用圧力に達したことが示される。ヘルメット50について、理想的な、又は、目標運用圧力は、約22psi(約1.5bar)である。ヘルメット50の文脈において、ヘルメットの安全性及び衝撃性能特性が最適である予め定められた運用圧力(換言すると、理想的な、最適な、又は、目標運用圧力)に、ヘルメット内の内圧がおおよそ達していることを使用者に知らせることが特に重要である。
【0094】
上記の特定の実施形態及び実施例は、本発明を例示するものであるが、本発明を限定するものではない。本発明の他の実施形態を形成し得ること、並びに、本明細書に記載の特定の実施形態及び実施例は網羅的ではないことが理解されるべきである。
【国際調査報告】