(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】複数の電池の充電状態に従って回生トルクを調節するシステム
(51)【国際特許分類】
B60L 58/22 20190101AFI20240305BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240305BHJP
B60L 50/75 20190101ALI20240305BHJP
B60L 58/40 20190101ALI20240305BHJP
B60L 7/14 20060101ALI20240305BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20240305BHJP
B60K 1/02 20060101ALI20240305BHJP
B60K 8/00 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B60L58/22
B60L50/60
B60L50/75
B60L58/40
B60L7/14
B60L58/12
B60K1/02
B60K8/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556557
(86)(22)【出願日】2022-03-29
(85)【翻訳文提出日】2023-11-13
(86)【国際出願番号】 US2022022305
(87)【国際公開番号】W WO2022212343
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507342261
【氏名又は名称】トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】タケヒト ヨコオ
【テーマコード(参考)】
3D235
5H125
【Fターム(参考)】
3D235BB32
3D235CC12
3D235CC15
3D235CC23
3D235FF32
3D235HH32
3D235HH34
5H125AA01
5H125AB01
5H125AC12
5H125BA04
5H125BC30
5H125CA01
5H125CB02
5H125EE09
5H125EE27
(57)【要約】
電気車両用のパワートレインは、2つ以上のモーターに接続されたドライブシャフトを有し、それぞれのモーターは、そのモーターと関連付けられた電池パックに接続されている。コントローラは、推進のためにエネルギー供給される、または、結合されている電池パックを再充電するように回生制動するために使用される1つ又は複数のモーターを選択するために使用される。コントローラは、電池パックの充電状態(SOC)の差を最適化することが可能であり、加速及び上りのために車両の滑らかで効率的なパワー供給を提供することが可能であり、電池パックの相対SOCの管理によって車両の航続距離を最適化することができる。電気車両は、モーターに個々に結合された2つ以上の燃料電池を含むことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気車両用のパワートレインであって、
複数のモーターと、
前記複数のモーターに接続されたドライブシャフトと、
それぞれが前記複数のモーターの1つに結合されている複数の電池パックと、
前記車両へのパワー供給又は回生制動のために前記モーターの1つ又は複数の選択のために構成されたコントローラと、
を有する、電気車両用のパワートレイン。
【請求項2】
各モーターは、異なる電池パックに排他的に結合されている、請求項1に記載の電気車両用のパワートレイン。
【請求項3】
各モーターは、永久磁石同期モーター、同期リラクタンスモーター、AC誘導モーター、又はDCモーターを有する、請求項1に記載の電気車両用のパワートレイン。
【請求項4】
前記複数のモーターは、共通ハウジング内において配設されている、請求項1に記載の電気車両用のパワートレイン。
【請求項5】
各電池パックは、複数のリチウムイオン、リチウム硫黄、溶融塩、又はニッケル水素電池を有する、請求項1に記載の電気車両用のパワートレイン。
【請求項6】
前記コントローラは、少なくとも1つの電池管理システム(BMS)に接続されている又は組み込まれている、請求項1に記載の電気車両用のパワートレイン。
【請求項7】
複数の燃料電池を更に有し、各燃料電池は、前記複数のモーターうちの1つのモーターと結合されている、請求項1に記載の電気車両用のパワートレイン。
【請求項8】
各燃料電池は、前記複数の電池パックのうちの1つの電池パックと排他的に結合されている、請求項7に記載の電気車両用のパワートレイン。
【請求項9】
各燃料電池は、水素燃料電池を有する、請求項7に記載の電気車両用のパワートレイン。
【請求項10】
前部車軸上の前部ディファレンシャルと、後部車軸上の後部ディファレンシャルと、を更に有し、前記コントローラは、前記ドライブシャフトに対する前記前部車軸及び/又は前記後部車軸の可逆的な結合を制御するように構成されている、請求項1に記載の電気車両用のパワートレイン。
【請求項11】
ドライブトレイン上のトルクを調節し電気車両の複数の電池パックの充電状態(SOC)を均衡化させる方法であって、
複数のモーターに接続されたドライブシャフトを提供することと、
それぞれが前記複数のモーターの1つに結合されている複数の電池パックを提供することと、
前記ドライブシャフト上の瞬間的トルクの入力及び前記複数のモーターのそれぞれの瞬間的トルクの入力をコントローラによって受け取ることと、
前記複数の電池パックのそれぞれのSOCの入力をコントローラによって受け取ることと、
前記モーターに結合された前記電池パック内の前記SOCの大きさに従ってエネルギー供給及びエネルギー供給停止するために少なくとも1つのモーターを選択することと、
少なくとも1つのモーターを負荷下において且つ少なくとも1つのモーターを無負荷状態において有するように、前記車両の推進のために前記複数の電池パックの少なくとも1つ、但し、そのすべて未満、により、前記複数のモーターの少なくとも1つ、但し、そのすべて未満、にエネルギー供給することと、
さらに、前記ドライブシャフト上の前記瞬間的トルクの大きさに基づいて前記ドライブシャフトに更なるトルクを提供するために無負荷状況において少なくとも1つのモーターへのエネルギー供給又はエネルギー供給停止することと、
を有する、方法。
【請求項12】
前記SOCの大きさに従ってエネルギー供給又はエネルギー供給停止するために前記少なくとも1つのモーターを選択するステップは、
相対的に高いSOCの前記電池パックに結合された前記モーターにエネルギー供給するために選択することと、
相対的に低いSOCの前記電池パックに結合された前記モーターにエネルギー供給停止するために選択することと、
を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
無負荷状況において少なくとも1つのモーターに更にエネルギー供給するために前記少なくとも1つのモーターを選択するステップは、前記ドライブシャフト上の前記瞬間的トルクの入力が最大トルクにある又は負荷下の前記少なくとも1つのモーターから入手可能である最大トルクに向かって増大している際に発生する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
負荷下にある少なくとも1つのモーターに更にエネルギー供給停止するステップは、前記ドライブシャフト上の前記瞬間的トルクが最大トルク未満である又は負荷下の前記少なくとも1つのモーターから入手可能である最大トルクから減少している際に発生する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記瞬間的トルクの方向が前記ドライブシャフトの回転の方向とは反対であることを前記コントローラによって判定することと、
前記電池パックの前記SOCに従って回生制動するために少なくとも1つのモーターを代替的に選択することと、
を更に有する、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つのモーターを代替的に選択するステップは、最大SOC未満のSOCを有する少なくとも1つのモーターであって、最低のSOCを有する前記少なくとも1つのモーターを選択することを有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
パワートレインを有する電気車両であって、
前記パワートレインは、
複数のモーターと、
前記複数のモーターに接続されたドライブシャフトと、
それぞれが前記複数のモーターの1つに結合されている複数の電池パックと、
前記車両へのパワー供給又は回生制動のために前記モーターの1つ又は複数の選択のために構成されたコントローラと、
を有する、電気車両。
【請求項18】
前記コントローラは、少なくとも1つの電池管理システム(BMS)に接続されている又は組み込まれている、請求項17に記載の電気車両。
【請求項19】
複数の燃料電池を更に有し、それぞれの燃料電池は、前記複数のモーターの前記モーターの1つと結合されている、請求項17に記載の電気車両。
【請求項20】
それぞれの燃料電池は、前記複数の電池パックの前記電池パックの1つと排他的に結合されている、請求項19に記載の電気車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、2つ以上の電池の充電状態及び均衡を維持するために回生トルクがターゲットレベルにおいて維持されている車両用の電気パワートレイン内の複数のモーターのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気車両(EV)の分野においては、減速する車両からの運動エネルギーを変換するために回生制動が利用されており、この場合に、電気モーターは、車両を減速させるために車両に負のトルクを課している。これは、エネルギー回収を結果的にもたらしており、この場合に、モーターは、車両のエネルギーソースである電池を充電する発電機モードにある。回生機能は、モーターの回転及びトルクが反対の角度向きを有する任意の時点において発生し得る。
【0003】
一般には、相対的に少ない数のモーター及び電池の構成が利用されており、この場合に、大部分は、単一駆動モーター及び1つの電池パックを含むが、電気車両の場合には、2つの電気モーターの使用が一般的になりつつあり、この場合に、構成は、1つのモーターが前輪を駆動し且つ別のものが後輪を駆動するというものである。また、それぞれの車輪に直接的に位置したモーターも利用可能である。製造されているすべてのEVにおいて、単一の電池パックが使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高エネルギー密度のパックが充電枯渇モードにおいて利用され且つ高パワー密度のパックが充電維持モードにおいて利用され且つ1つ又は2つの双方向DC-DCコンバータと結合されているデュアル電池システムの使用が、同一のエネルギー容量を有する単一電池システムとの比較において、効率性の利点を提供することが示されている。但し、このシステムは、漏洩電流、相対的に安定性の乏しいバス電圧、又はコンバータ損失に伴う欠点を有し得る。それぞれがその独自の電池パックによって個々にパワー供給されている結合されたモーターの活用は、電気車両において又は燃料電池車との関連において使用された際には、電池の均衡及び電池の回生充電を維持するためにいくつかの利点を提示している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本節は、本開示の概括的な概要を提供するものであり、且つ、そのすべての範囲又はそのすべてのコンポーネントの広範な開示ではない。
【0006】
様々な態様において、本教示は、複数の電池パックと、共通ドライブシャフト上に位置した複数のモーターと、を含む電気モーターシステムを有する電気車両を提供している。このように、制御されたシステムは、全体システムを最適化する方式によって異なる電池パックの均衡に従って回生トルクを調節することができる。それぞれの電池パックは、電池パックが推進の場合に又は電池充電の場合にモーターの選択的利用によって均衡化され得るように、モーターの1つに対処することができる。電池の1つ又は複数は、任意の時点において車輪にパワー供給していることが可能であり、この場合に、モーターのペアの場合には、その両方が、車両の加速又は勾配を上る際に更なるトルクが必要とされている際などに、適宜、その電池パックから引き出すことができる。平坦な道路上において一定の速度で移動している最中には、一方のモーターがパワーを提供するために負荷下にあり得る一方で、他方は、無負荷状況にあることが可能であり、或いは、間欠的に回生充電モードにおいて使用され得るであろう。勾配を下っている又は減速している際には、両方のモーターが回生モードにあることが可能であり、或いは、一方が無負荷状況にあり得る一方で、他方が回生モードにある。システムは、電池パックの電荷を均衡化させるために電池パックの1つを選択的に充電することができる。コントローラは、走行、加速、又は制動を実行するために1つ又は複数のモーターを選択している。
【0007】
その他の態様において、本教示は、2つ以上の電池パックの間において電荷の均衡を維持するために、それぞれがその独自の1つ又は複数の電池パックと関連付けられている複数の電気モーターを利用することにより、ディーゼル様のトルク応答を車両に対して提供する方法を提供している。一定の速度において推進している車両は、トルクの迅速なブーストを受け取ることが可能であり、この場合に、車両にパワー供給している単一のモーターには、加速が迅速に実現されるように第2電池パックから第2モーターにエネルギー供給することが加わることになる。逆に、パワーが、車両を推進している1つのモーターからほとんど又はまったく引き出されない状態においては、電荷の均衡は、共通ドライブシャフトを共有する他方のモーターの回生モードにパワー供給することにより、調節することができる。このように、2つ以上のモーターからのパワーの結合は、トルクを瞬間的に増大させることができる。加速のために更なるモーターに係合する能力は、ドライブシャフトに対するトルクの瞬間的な増大を許容している。回生制動のために複数のモーターに係合する能力は、特に重い車両の場合には、車輪におけるトルクを迅速且つスムーズに低減するために有利である。また、これは、車両が複数の燃料電池及び電池パックを利用している場合にも有利であり、この場合には、電気モーターを独立的に駆動している燃料電池には、加速及び上りのために必要とされる場合に係合することが可能であり、この場合には、更なるトルクの提供が需要に応じて必要とされ得る。これは、トルクの迅速な増大が加速のために必要とされており且つ大きな力が制動のために必要とされているトラック及びその他の大きな車両の場合に、利点を有し得る。
【0008】
その他の態様においては、本教示は、共通ドライブシャフト上の2つ以上の電気モーターを含む燃料電池車を提供しており、この場合に、それぞれのモーターは、個々の燃料電池によって対処されている。車両は、パワーの補充のために1つ又は複数の電池パックを含むことができると共に、回生制動機能を提供することができる。車両は、均衡化のための能力を有し、且つ、1つ又は両方のモーターのエネルギー供給により、車輪に提供される出力トルクを調節することができる。車両は、1つ又は複数のモーターから必要とされている作業に基づいてドライブシャフトに適切なトルクを印加するために且つ第2モーターに係合することによって提供され得るトルクの迅速な増大を提供するために、モーター及びその燃料電池に選択的に対処する能力を有する。
【0009】
本教示については、詳細な説明及び以下の添付図面から更に十分に理解することができよう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】デュアル電気モーター車両のパワートレイン10のブロック図であって、エネルギーが、それぞれ、電池パック3及び4から共通ドライブシャフト5を共有するモーター1又は2に提供されている、ブロック図である。
【
図2】トルクを提供するための又は回生制動するための2つ以上のモーターの使用のためのフローシートである。
【
図3】デュアル電気モーター車両のパワートレイン20のブロック図であって、エネルギーが、それぞれ、燃料電池13及び14によって共通ドライブシャフト5を共有するモーター1又は2に提供されている、ブロック図である。
【
図4】デュアル電気モーター車両のパワートレイン30のブロック図であって、この場合に、エネルギーが、それぞれ、燃料電池13及び14により、或いは、電池パック3及び4から、共通ドライブシャフト5を共有するモーター1又は2に提供されている、ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において記載されている図は、特定の態様の説明を目的として、本技術のもののうちの方法、アルゴリズム、及び装置の一般的な特性を例示することを意図したものであることに留意されたい。これらの図は、任意の所与の態様の特性を正確に反映していない場合にあり、且つ、必ずしも、特定の実施形態を本技術の範囲内において定義又は制限することを意図したものでもない。更には、特定の態様は、図の組合せからのコンポーネントを組み込むこともできる。
【0012】
本技術は、概して、電気車両用のパワートレインを提供しており、この場合に、2つ以上の電気モーターが共通ドライブシャフトを共有している。ドライブシャフトは、2つ以上のモーターのローター又は等価なコンポーネントに装着することができる。それぞれのモーターは、その独自の電池パックによってパワー供給されており、且つ、それぞれの電池パックは、電池パックに電気的に接続されたモーターから回生充電することができる。その他の電池パックは、アイドル状態にあることが可能であり、車両の補助機能にパワー供給することが可能であり、且つ、場合によっては、そのモーターが車輪にパワーを提供していない際には充電状態にあることもできる。有利な場合には2つのモーターが同一のトルクによって同一の回転速度において回転し得るように、2つのモーターは、事実上同一であることが可能であり、或いは、2つのモーターは、共通ドライブシャフトの共有に起因して2つのモーターのいずれかに対して課される逆歪が存在しないことを保証するためにデジタルドライブが電流引出しを調節し得るように、異なることもできる。一方のモーターは、単独でエネルギー供給されることが可能であり、且つ、トルクを提供していることが可能である一方で、他方のローターは、小さな量の摩擦損失及び非常にわずかな抗力のみを伴って、無負荷状態下において自由回転していることが可能である。本開示は、しばしば、その独自の電池パックに結合された2つのモーターを示しているが、ドライブシャフト上の更なるモーター及び更なる電池パックを含むことが可能であり、且つ、電池パックの一部分によるモーターの一部分の選択的パワー供給は、2つのモーターのみを含むパワートレイン内の2つのモーターからの選択に類似した方式により、選択及び利用することができる。
【0013】
一方のモーターは、移動を提供している一方で、他方は、例えば、なんらかの理由から、電池パックが望ましくない方式で大幅に均衡を欠いた状態になり且つモーターの同時パワー供給を事実上実行するために1つの電池パック内において十分な電荷が存在していない場合には、その結合されている電池パックを再充電するために回生モードにおいて間欠的に機能することができる。クルージング速度にある間は、車両には、相対的に高い充電状態(SOC)の1つの電池によってパワー供給することが可能であり、且つ、減速の際には、電池パックに結合された且つ相対的に低いSOCを有する他方のモーターにより、回生制動を実行することができる。このように、推進を相対的に高いSOCを有する電池パックに結合されたモーターによって提供することが可能であり、且つ、回生制動を相対的に低いSOCを有する電池に提供することができる。SOCを最適化するために且つ2つのモーターによって提供されるトルクを最適化するために、電池管理システム(BMS)をコントローラと緊密に結合させることができる。
【0014】
別の態様において、本教示は、単一電池パックを有する電気車両の場合には利用不能である電池の均衡化のためのプロトコルを許容しつつ、その独自の1つ又は複数の電池パック、その独自の燃料電池電源、又はこれらの両方とそれぞれが関連付けられた複数の電気モーターを利用することにより、ディーゼル様のトルク応答を車両に対して提供する方法を提供している。一定の速度において推進している車両は、トルクの迅速なブーストを受け取ることが可能であり、この場合には、車両にパワー供給している単一のモーターには、加速がスムーズ且つ迅速に実現されるように、第2電池パックから第2モーターにエネルギー供給することが加えられている。このように、2つ以上のモーターに対するパワーの結合は、ディーゼルエンジンによってパワー供給されている車両と共通する且つイグニションシステムを有する内燃機関車のものよりも滑らかなパワー応答を提供している。加速のために第2モーターに結合する能力は、ドライブシャフトに対するトルクの瞬間的な増大を許容している。回生制動するために2つのモーターに結合する能力は、車輪におけるトルクを迅速に低減するために、特に重い車両の場合に有利である。これは、電気モーターを独立的に駆動している燃料電池がコントローラによって知覚される必要性に応じて滑らかな加速又は上りのために更なるトルクを提供するために必要性に応じて同時に結合され得るように、車両が電池パックを有する複数の燃料電池を利用している場合に有利である。下り又は制動の際には、利用されているコントローラは、充電状態から、電池パックの1つ又は複数を充電するために使用する1つ又は複数のモーターを判定するように構成することができる。モーターは、電池の再充電が、車両の移動のために電池パックと関連付けられていないモーターを含む複数のモーターによって実行され得るように、車両内の複数の電池パックに接続することができる。
【0015】
別の態様において、本教示は、1つ又は複数の電池パックの選択的充電によって複数の電池パックの均衡を維持するために回生トルクを調節する方法を提供している。電池パックは、モーターの一方又は他方が、制動イベントの際に、或いは、場合によっては他方のモーターが移動のためにパワーを提供している最中に、電池パックに対して均衡化用の充電のための少なくともなんらかの電流生成を提供し得るように、モーター-発電機に個々に接続されている。コントローラは、概して、相対的に低く充電された電池パックの再充電が選択的に実行され得るように、移動用のトルクニーズに加えて充電状態の評価ために、電池管理システム(BMS)を含んでいてもよく又はこれに結合されていてもよい。必要に応じて制動を実行するための十分な充電容量のために電池パックの不均衡を有することが有利である場合がある。複数のモーターは、共通ドライブシャフトを共有することにより、結合されている。回生トルクは、両方のモーターにエネルギー供給することにより、スムーズな加速或いは坂又は丘の上りのために必要とされる任意のパワーが提供され得るように、電池パックの間において最小電荷差が維持されるように、制御されうる。概して、1つのモーターは、1つの電池パックとの通信状態にあるが、他方の電池パックは、その電池パック又はそのモーターに対処することができると共に、均衡及び航続距離(range)を改善することができる。
【0016】
別の態様において、本教示は、共通ドライブシャフト上の2つ以上のモーターを含み且つモーターに独立的にエネルギー供給するための2つ以上の電池パックを有するパワートレインを有する電気車両を提供している。また、電気車両は、2つ以上のモーターに個々に対処する2つ以上の燃料電池を含むこともできる。
【0017】
図1は、車両の少なくとも2つの車輪にパワーを提供するために共通ドライブシャフト5を共有する2つのモーター1及び2を有する車両パワートレイン10を示している。図示されてはいないが、2つのモーター1及び2は、空間又はその他の考慮事項のために、有利な場合には、共通ハウジングを共有することができる。前輪及び/又は後輪に接続された車軸を有する前部及び後部ディファレンシャル8及び9が示されており、この場合に、ディファレンシャル(差動装置)は、ドライブシャフト5を前輪又は後輪に結合又は係合解除するトランスミッションを含むことが可能であり或いはこれに結合することができる。コントローラ6は、加速及び減速のために1つ又は複数のペダル(或いは、均等物)に、非自律型車両内の操向装置に、或いは、自律型車両内の適切なセンサに、接続することが可能であり、或いは、さもなければ、これらとの通信状態にあり得る。コントローラ6は、概して、前輪駆動、後輪駆動、又は全車輪駆動車としての最も効率的な配備を提供するために、パワーの係合及び前部及び後部ディファレンシャル8及び9の制動を制御するように構成されている。このコントローラ6は、2つの電池パック3及び4の充電及び放電を制御する(direct)ために電池管理システム7に結合されていてもよく、この場合に、第1モーター1は、第1電池パック3に接続されており、且つ、第2モーター2は、第2電池パック4に接続されている。また、コントローラ6は、それぞれの電池パック3及び4のSOCがそれぞれの電池パックの適切な放電能力及び充電ニーズと結合されるように、電池管理システム7に接続することもできる。コントローラ6は、車輪を駆動するために又は制動するために必要とされるSOC及びトルクに基づいて推進又はその電池パックの回生充電のために最良に使用される1つ又は複数のモーターを判定することができる。コントローラ6は、例えば、パワーを車輪に提供していない電池パックなどの電池パックのいずれかに対して振り向けられる加熱、冷却、照明、情報、及びエンターテインメントなどの車両のその他の非推進機能を制御することができる。
【0018】
それぞれがその独自の電池パックに結合された状態において、単一ドライブシャフト上において2つの以上のモーターのシステムを最も効率的に稼働させるために、車両のトルク要件、電池パックのSOC、ドライブシャフトの回転速度、それぞれのモーターのトルク、及びそれぞれの電池パックの電池によって印加される電圧が、モーターのトルク特性について最適化されている。パワー損失係数がコントローラ6に提供されてもよく、この場合には、アルゴリズムが、加速及び回生充電能力がコントローラによって最適化されている範囲内において好ましい電池パックの均衡を維持している。これに加えて、コントローラは、前輪、後輪、又は両方によって実行される走行を選択することにより、効率を最適化するために車輪の角度及び車両の傾斜を考慮することもできる。このように、モーターの1つ又は両方のもののエネルギー供給は、パワー効率を最適化するために且つその機能のために電池パックを均衡化させるために実行されており、これは、少なくとも1つが回生制動のために事実上使用され得るように、等しいSOC又は異なるSOCを有することができる。コントローラ6は、モーターの適切な組合せ、車両モーションのためにモーターに印加される電圧、及び充電のために電池に印加される電流を判定することができる。
【0019】
図2に示されているように、コントローラは、SOCの最大値と最小値の間において望ましい相対SOCを確立するためにエネルギー供給されるモーターを判定するための入力として、瞬間的走行データ、現時点の状況のために必要とされているトルク、及び電池パックのSOCを使用することができる。事実上のフル充電として、しばしば合計容量の約80%である最大SOCを設定することができる。走行の要件は、加速及び丘の上りなどの1つ又は複数のモーターから車輪への中程度~高程度の駆動トルクの転送、それなりに平坦な地面上において車両の速度を維持するための1つ又は複数のモーターからの中程度の駆動トルク、並びに、制動の際の減速のために又は丘の下りの際の速度の維持のための車輪から1つ又は複数のモーターへの回生トルクを提供し得るイベントを必要としているアクションを含む。モーターにおけるトルクによって状態を判定した後に、必要とされているトルクが第1モーター(M1)及び/又は第2モータ(M2)にエネルギー供給する最も効果的なモードを許容するように、瞬間的な加速のレートが計測されている。相対的に高トルクが必要とされている場合には、それぞれ、電池パック(BP3及びBP4)からM1及びM2にエネルギー供給することが必要とされ得る。必要とされているトルクを判定するために使用されるアルゴリズムは、使用されている特定のモーターにおいて大きいと見なされる実際のトルクにより固有のものとなるが、概して、高トルクイベントは、そのトルクを提供するために両方のモーターのエネルギー供給を必要とし得る。高トルクが必要とされていない際には、モーターの最も効率的な使用法は、M1及びM2の適切な使用を識別するためのBP3及びBP4の相対SOCの検討に基づいて可能な限り大きな走行距離を保持するように判定されている。概して、相対的に大きなSOCの電池パックが利用されている。それぞれの電池パックのSOCが、相対SOCのSOCウィンドウ内にあることにより、事実上等しい場合に、電池パックが、有効フル充電(SOC
max)状態にある、その近傍にある、又はこれを超過している場合には、1つのモーターM1のエネルギー供給は、少なくとも1つの電池が必要な際に回生制動に参加し得るように、その関連付けられた電池パックBP3のSOCを低減するように規定されている。両方の電池パックのSOCがSOC
maxを十分に下回っている際には、両方の電池パックのエネルギー供給が車両の航続距離の延長に寄与することになるかどうかを判定するために、両方のモーターの使用との関係における1つのモーターの使用のパワー効率性プロファイルを使用することができる。
【0020】
図2に示されているように、回生制動シナリオを制御するために、類似の検討をコントローラによって実施することができる。十分な電池容量、SOC
max未満のSOC、及び直接的な回生制動を促進するために、電池パックを放電させ且つモーターにエネルギー供給するためのアルゴリズムが構築されているが、新たに充電された車両などのいくつかの状況下においては又は非常に長い丘を下った後には、十分な容量が存在していない場合がある。例えば、合計電荷の80%として設定されているSOC
maxにおいては、両方の電池パック及び両方のモーターを利用することにより、回生制動を実行することができる。このレベル未満のSOCの場合には、両方の又は一方又は他方のモーターを使用するかどうかを判定するために、相対SOCを使用することができる。
【0021】
図3に示されているように、共通ドライブシャフト5を共有する2つのモーター1及び2を使用した車両パワートレインは、燃料電池車に拡張することができる。2つの異なる燃料電池13及び14は、それぞれ、図示のようにモーター1及びモーター2に接続することが可能であり、この場合に、燃料電池13及び14は、共通燃料タンク11及び燃料充填ポート12と流体接続されている。実質的にすべての燃料によってパワー供給されている車両は、電池を収容しているが、2つのモーターによる追加的なトルクの利点は、必ずしも電池を必要としてはいないことから、
図3には、電池が示されていない。1つ又は両方のモーター1、2には、車両のパワー出力を制御するために、コントローラ6が関与することが可能であり、この場合に、燃料電池は、個々のモーターが必要とし得る最大電気エネルギーを提供するように、適切にサイズ設定することができる。これは、一方の燃料電池が走行モーターにパワー供給している間に実行され、且つ、他方の燃料電池は、加熱、冷却、照明、情報、及びエンターテインメントなどの車両のその他の機能にパワーを提供することができる。非走行燃料電池は、単一のモーターが不十分であるか又はデュアルモードがその他の方式で加速及び上りを最適化する際には、1つの燃料電池及びモーターの組合せの能力を超えた加速又は上りのために、利用可能な状態に留まっている。これは、パワー要件が走行状態の全体範囲にわたって変化している際にも、それぞれの燃料電池がその最適な状態及び能力に近接した状態において使用されることを許容している。
【0022】
図4は、共通ドライブシャフト5を共有する2つのモーター1及び2を使用した車両パワートレイン10を示しており、この場合には、2つの燃料電池13及び14が、それぞれ、モーター1及び2に選択的にエネルギー供給するために、2つの電池パック3及び4と共に含まれている。電池パック3及び4、燃料電池13及び14、及びモーター1及び2は、いずれも、図示のように、但し、必然的ではないが、すべてがBMS7を通じてインターフェイスしている状態において、コントローラ6との通信状態にあってよい。概して、コントローラ6は、BMS7に接続されているか又は組み込まれる。電池パック3及び4は、車両内の燃料電池との調整の下に、モーターにエネルギー供給するために、回生制動するために、且つ/又は車両の非推進機能にパワーを供給するために、選択的に利用することができる。電池パックは、その最適な放電及び充電機能を容易に許容するために、均衡化又は不均衡化され得るSOCにおいて維持することができる。例えば、SOCは、少なくとも1つの電池パックが回生制動のために利用可能であるレベルにおいて維持されてもよく、好ましくは、この場合には、両方が、急制動が両方の電池パックに跨って分散されることを許容するSOC状態にある。コントローラ6は、推進のために又は回生制動のために1つのモーター又は両方のモーターを選択することができる。低いSOCにおいては、電池パックの1つ又は複数を充電するために燃料電池の1つ又は複数を利用することができる。燃料電池の一方は、車両内の非推進機能にエネルギー供給するために使用され得る一方で、他方は、推進を提供している。
【0023】
トラック又はトラクタなどの相対的に大きな車両の場合には、単一ドライブシャフト上において結合されたモーターのペアの使用は、第1モーターがその最大トルク出力にある又はその近傍にある際に加速のための又は傾斜を上るためのパワーのスムーズな増大を提供するために、特に有利である。ディーゼル様の機能は、システムの個々のコンポーネントの能力を最適化するためのシステムの能力に追加されるものである。
【0024】
モーターは、電気車両において使用されるように構成された任意のタイプを有することができる。モーターは、永久磁石同期モーター、同期リラクタンスモーター、AC誘導モーター、又はDCモーターであり得る。電池パックの再充電可能電池は、リチウムイオン、リチウム硫黄、溶融塩、及びニッケル水素電池を含む任意のタイプであり得る。燃料電池は、ポリマー電解質膜燃料電池、固体酸化物燃料電池、又は任意のその他のタイプの任意の燃料を使用する燃料電池などの水素燃料電池であり得る。
【0025】
様々な態様において、コントローラ6は、電池管理システム7及びアクセルペダル及びブレーキペダル又はこれらの均等物などのその他の入力装置と共に機能するように構成することができる。コントローラの出力は、電池監視システム7を介して電池パック3及び4に接続することが可能であり、或いは、電流を電池パックからその関連付けられたモーター1及び2に印加するためにスイッチング装置に接続することができる。モーターに対する出力を調整するために、インターフェイスシステムが含まれていてもよく、この場合に、トルク及びSOCに関連して提供される入力は、選択的に係合可能であるディファレンシャルによる動作が車両を走行させるための車輪の組の間において選択し得るように、それぞれの車輪又は車軸において印加される力のハンドル又はセンサからのものにより、増強することができる。
【0026】
コントローラは、少なくとも1つのプロセッサを有する1つ又は複数のモジュールを有することが可能であり、且つ、データストア又はメモリ用の1つ又は複数のモジュール及び1つ又は複数のインターフェイスシステムを含むことができる。コントローラの1つ又は複数のプロセッサは、電子制御ユニット(ECU)などの車両のメインプロセッサであり得る。データストアは、揮発性及び/又は不揮発性メモリを含むことができる。適切なデータストアは、RAM(ランダムアクセスメモリ)、フラッシュメモリ、ROM(読み出し専用メモリ)、PROM(プログラム可能な読み出し専用メモリ)、EPROM(消去可能なプログラム可能な読み出し専用メモリ)、EEPROM(電気的に消去可能なプログラム可能な読み出し専用メモリ)、レジスタ、磁気ディスク、光ディスク、ハードドライブ、又は任意のその他の適切なストレージ媒体又はこれらの任意の組合せを含む。データストアは、パワートレインを最適化するように検討対象の変数のレベルを相関させるために且つ推進及び制動の選択された組合せを確立するようにアクチュエータを制御するために必要とされるアルゴリズム又は動作自在のソフトウェアを含むことができる。
【0027】
1つ又は複数の態様において、特に自律型車両の場合には、1つ又は複数の内部通信システムは、コントローラに情報を提供することが可能であり、且つ、様々な車両コンポーネント及び車両システムの間において通信を送信及び受信するように構成されたその他の通信モジュール及び/又は装置を含むことができる。通信モジュール/装置は、通信を送受信するために無線技術によって機能し得るように構成されていてもよく、且つ、GPSサービスのために且つ近づきつつある工事又は道路上の危険のエリアの警告のために且つ車両の目的地の入力のために、外部装置から無線通信を受け取るように構成された1つ又は複数の出力システム装置を含むことができる。車両のユーザーは、データ又は情報のリモートエントリ又は交換のために通信システムを通じて少なくとも1つのコントローラと通信するために特定のアプリケーション又は「アプリ」を使用するように構成され得る電話機、タブレット、又はその他のスマート装置などのパーソナル電子装置又はパーソナル通信装置を使用することができる。
【0028】
以上の説明は、例示及び説明を目的として提供されており、且つ、決して開示、その用途、又は使用を限定することを意図したものではない。すべてを網羅すること又は本開示を限定することは、意図されていない。特定の実施形態の個々の要素又はコンポーネントは、概して、その実施形態に限定されてはおらず、且つ、適宜、相互交換可能であり、且つ、具体的に図示又は記述されていない場合にも、選択された実施形態において使用することができる。これらは、また、多くの方式で変更することもできる。このような変化は、本開示からの逸脱と見なされてはならず、且つ、すべてのこのような変化は、本開示の範囲に含まれるものと解釈されたい。
【0029】
本明細書において使用されている「A、B、及びCの少なくとも1つ」というフレーズは、非排他的論理「又は」を使用することにより、論理(A又はB又はC)を意味するものと解釈されたい。方法の様々なステップは、本開示の原理を変更することなしに異なる順序において実行され得ることを理解されたい。範囲の開示は、エンドポイントを含むすべての範囲及び全体範囲内のサブ分割された範囲の開示を含む。
【0030】
本明細書において使用されている(「背景」及び「概要」などの)ヘッディング及びサブヘッディングは、本開示内のトピックの全般的な組織化のためにのみ意図されたものであり、且つ、技術又はその任意の態様の開示を制限することを意図したものではない。記述されているコンポーネントを有する複数の実施形態の詳述は、更なるコンポーネントを有するその他の実施形態又は主張されているコンポーネントの異なる組合せを組み込むその他の実施形態を排除することを意図したものではない。
【0031】
本明細書において使用されている「有する(comprise)」及び「含む(include)」という用語及びその変形は、連続体又はリスト内の項目の詳述が、この技術の装置及び方法においても有用であり得るその他の同様の項目の排除とならないように、非限定的なものとなることを意図している。同様に、「することができる(can)」及び「してもよい(may)」という用語及びその変形は、一実施形態が特定の要素又はコンポーネントを有し得る又は有してもよいという詳述が、それらの要素又はコンポーネントを含んでいない本技術のその他の実施形態を排除しないように、非限定的なものとなることを意図している。
【0032】
本開示の広範な教示内容は、様々な形態において実装することができる。従って、本開示は、特定の例を含むが、開示の真の範囲は、これらに限定されるものではなく、その理由は、その他の変更が本明細書及び添付の請求項を参照した際に当業者には明らかとなるからである。一態様又は様々な態様に対する本明細書における参照は、一実施形態又は特定のシステムとの関連において記述されている特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも一実施形態又は態様において含まれていることを意味している。「一態様において」というフレーズ(或いは、その変形)の出現は、必ずしも、同一の態様又は実施形態を参照しているものではない。また、本明細書において記述されている様々な方法ステップは、描かれているものと同一の順序において実行する必要はなく、且つ、それぞれの方法ステップがそれぞれの態様又は実施形態において必須であるというわけでもないことを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
本開示の広範な教示内容は、様々な形態において実装することができる。従って、本開示は、特定の例を含むが、開示の真の範囲は、これらに限定されるものではなく、その理由は、その他の変更が本明細書及び添付の請求項を参照した際に当業者には明らかとなるからである。一態様又は様々な態様に対する本明細書における参照は、一実施形態又は特定のシステムとの関連において記述されている特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも一実施形態又は態様において含まれていることを意味している。「一態様において」というフレーズ(或いは、その変形)の出現は、必ずしも、同一の態様又は実施形態を参照しているものではない。また、本明細書において記述されている様々な方法ステップは、描かれているものと同一の順序において実行する必要はなく、且つ、それぞれの方法ステップがそれぞれの態様又は実施形態において必須であるというわけでもないことを理解されたい。
本明細書に開示される発明は以下の態様を含む。
〔態様1〕
電気車両用のパワートレインであって、
複数のモーターと、
前記複数のモーターに接続されたドライブシャフトと、
それぞれが前記複数のモーターの1つに結合されている複数の電池パックと、
前記車両へのパワー供給又は回生制動のために前記モーターの1つ又は複数の選択のために構成されたコントローラと、
を有する、電気車両用のパワートレイン。
〔態様2〕
各モーターは、異なる電池パックに排他的に結合されている、態様1に記載の電気車両用のパワートレイン。
〔態様3〕
各モーターは、永久磁石同期モーター、同期リラクタンスモーター、AC誘導モーター、又はDCモーターを有する、態様1に記載の電気車両用のパワートレイン。
〔態様4〕
前記複数のモーターは、共通ハウジング内において配設されている、態様1に記載の電気車両用のパワートレイン。
〔態様5〕
各電池パックは、複数のリチウムイオン、リチウム硫黄、溶融塩、又はニッケル水素電池を有する、態様1に記載の電気車両用のパワートレイン。
〔態様6〕
前記コントローラは、少なくとも1つの電池管理システム(BMS)に接続されている又は組み込まれている、態様1に記載の電気車両用のパワートレイン。
〔態様7〕
複数の燃料電池を更に有し、各燃料電池は、前記複数のモーターうちの1つのモーターと結合されている、態様1に記載の電気車両用のパワートレイン。
〔態様8〕
各燃料電池は、前記複数の電池パックのうちの1つの電池パックと排他的に結合されている、態様7に記載の電気車両用のパワートレイン。
〔態様9〕
各燃料電池は、水素燃料電池を有する、態様7に記載の電気車両用のパワートレイン。
〔態様10〕
前部車軸上の前部ディファレンシャルと、後部車軸上の後部ディファレンシャルと、を更に有し、前記コントローラは、前記ドライブシャフトに対する前記前部車軸及び/又は前記後部車軸の可逆的な結合を制御するように構成されている、態様1に記載の電気車両用のパワートレイン。
〔態様11〕
ドライブトレイン上のトルクを調節し電気車両の複数の電池パックの充電状態(SOC)を均衡化させる方法であって、
複数のモーターに接続されたドライブシャフトを提供することと、
それぞれが前記複数のモーターの1つに結合されている複数の電池パックを提供することと、
前記ドライブシャフト上の瞬間的トルクの入力及び前記複数のモーターのそれぞれの瞬間的トルクの入力をコントローラによって受け取ることと、
前記複数の電池パックのそれぞれのSOCの入力をコントローラによって受け取ることと、
前記モーターに結合された前記電池パック内の前記SOCの大きさに従ってエネルギー供給及びエネルギー供給停止するために少なくとも1つのモーターを選択することと、
少なくとも1つのモーターを負荷下において且つ少なくとも1つのモーターを無負荷状態において有するように、前記車両の推進のために前記複数の電池パックの少なくとも1つ、但し、そのすべて未満、により、前記複数のモーターの少なくとも1つ、但し、そのすべて未満、にエネルギー供給することと、
さらに、前記ドライブシャフト上の前記瞬間的トルクの大きさに基づいて前記ドライブシャフトに更なるトルクを提供するために無負荷状況において少なくとも1つのモーターへのエネルギー供給又はエネルギー供給停止することと、
を有する、方法。
〔態様12〕
前記SOCの大きさに従ってエネルギー供給又はエネルギー供給停止するために前記少なくとも1つのモーターを選択するステップは、
相対的に高いSOCの前記電池パックに結合された前記モーターにエネルギー供給するために選択することと、
相対的に低いSOCの前記電池パックに結合された前記モーターにエネルギー供給停止するために選択することと、
を有する、態様11に記載の方法。
〔態様13〕
無負荷状況において少なくとも1つのモーターに更にエネルギー供給するために前記少なくとも1つのモーターを選択するステップは、前記ドライブシャフト上の前記瞬間的トルクの入力が最大トルクにある又は負荷下の前記少なくとも1つのモーターから入手可能である最大トルクに向かって増大している際に発生する、態様11に記載の方法。
〔態様14〕
負荷下にある少なくとも1つのモーターに更にエネルギー供給停止するステップは、前記ドライブシャフト上の前記瞬間的トルクが最大トルク未満である又は負荷下の前記少なくとも1つのモーターから入手可能である最大トルクから減少している際に発生する、態様11に記載の方法。
〔態様15〕
前記瞬間的トルクの方向が前記ドライブシャフトの回転の方向とは反対であることを前記コントローラによって判定することと、
前記電池パックの前記SOCに従って回生制動するために少なくとも1つのモーターを代替的に選択することと、
を更に有する、態様11に記載の方法。
〔態様16〕
少なくとも1つのモーターを代替的に選択するステップは、最大SOC未満のSOCを有する少なくとも1つのモーターであって、最低のSOCを有する前記少なくとも1つのモーターを選択することを有する、態様15に記載の方法。
〔態様17〕
パワートレインを有する電気車両であって、
前記パワートレインは、
複数のモーターと、
前記複数のモーターに接続されたドライブシャフトと、
それぞれが前記複数のモーターの1つに結合されている複数の電池パックと、
前記車両へのパワー供給又は回生制動のために前記モーターの1つ又は複数の選択のために構成されたコントローラと、
を有する、電気車両。
〔態様18〕
前記コントローラは、少なくとも1つの電池管理システム(BMS)に接続されている又は組み込まれている、態様17に記載の電気車両。
〔態様19〕
複数の燃料電池を更に有し、それぞれの燃料電池は、前記複数のモーターの前記モーターの1つと結合されている、態様17に記載の電気車両。
〔態様20〕
それぞれの燃料電池は、前記複数の電池パックの前記電池パックの1つと排他的に結合されている、態様19に記載の電気車両。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気車両用のパワートレインであって、
複数のモーターと、
前記複数のモーターに接続されたドライブシャフトと、
それぞれが前記複数のモーターの1つに結合されている複数の電池パックと、
コントローラと、
を有
し、
前記コントローラは、
前記ドライブシャフト上の瞬間的トルクの入力と、前記複数のモーターのそれぞれの瞬間的トルクの入力とを受け取り、
前記複数の電池パックのそれぞれの充電状態(SOC)の入力を受け取り、
前記複数のモーターの前記少なくとも1つが前記複数の電池パックの別のものとの比較において相対的に高いSOCを有する前記複数の電池パックの1つと結合された際に、前記複数のモーターの前記少なくとも1つがエネルギー供給されるように、前記モーターに結合された前記電池パック内の前記SOCの大きさに従ってエネルギー供給及びエネルギー供給停止するために前記複数のモーターの少なくとも1つを選択する、
ように構成される、
電気車両用のパワートレイン。
【請求項2】
各モーターは、異なる電池パックに排他的に結合されている、請求項1に記載の電気車両用のパワートレイン。
【請求項3】
各モーターは、永久磁石同期モーター、同期リラクタンスモーター、AC誘導モーター、又はDCモーターを有する、請求項1に記載の電気車両用のパワートレイン。
【請求項4】
前記複数のモーターは、共通ハウジング内において配設されている、請求項1に記載の電気車両用のパワートレイン。
【請求項5】
各電池パックは、複数のリチウムイオン、リチウム硫黄、溶融塩、又はニッケル水素電池を有する、請求項1に記載の電気車両用のパワートレイン。
【請求項6】
前記コントローラは、少なくとも1つの電池管理システ
ムに接続されている又は組み込まれている、請求項1に記載の電気車両用のパワートレイン。
【請求項7】
複数の燃料電池を更に有し、各燃料電池は、前記複数のモーターうちの1つのモーターと結合されている、請求項1に記載の電気車両用のパワートレイン。
【請求項8】
各燃料電池は、前記複数の電池パックのうちの1つの電池パックと排他的に結合されている、請求項7に記載の電気車両用のパワートレイン。
【請求項9】
各燃料電池は、水素燃料電池を有する、請求項7に記載の電気車両用のパワートレイン。
【請求項10】
前部車軸上の前部ディファレンシャルと、後部車軸上の後部ディファレンシャルと、を更に有し、前記コントローラは、前記ドライブシャフトに対する前記前部車軸及び/又は前記後部車軸の可逆的な結合を制御するように構成されている、請求項1に記載の電気車両用のパワートレイン。
【請求項11】
ドライブトレイン上のトルクを調節し電気車両の複数の電池パックの充電状態(SOC)を均衡化させる方法であって、
複数のモーターに接続されたドライブシャフトを提供することと、
それぞれが前記複数のモーターの1つに結合されている複数の電池パックを提供することと、
前記ドライブシャフト上の瞬間的トルクの入力及び前記複数のモーターのそれぞれの瞬間的トルクの入力をコントローラによって受け取ることと、
前記複数の電池パックのそれぞれのSOCの入力をコントローラによって受け取ることと、
エネルギー供給するために相対的に高いSOCの前記電池パックに結合された少なくとも1つのモーターを選択し、エネルギー供給停止するために相対的に低いSOCの前記電池パックに結合された少なくとも1つのモーターを選択することと、
少なくとも1つのモーターを負荷下において且つ少なくとも1つのモーターを無負荷状態において有するように、前記車両の推進のために前記複数の電池パックの少なくとも1つ、但し、そのすべて未満、により、前記複数のモーターの少なくとも1つ、但し、そのすべて未満、にエネルギー供給することと、
さらに、前記ドライブシャフト上の前記瞬間的トルクの大きさに基づいて前記ドライブシャフトに更なるトルクを提供するために無負荷状況において少なくとも1つのモーターへのエネルギー供給又はエネルギー供給停止することと、
を有する、方法。
【請求項12】
無負荷状況において少なくとも1つのモーターに更にエネルギー供給するために前記少なくとも1つのモーターを選択するステップは、前記ドライブシャフト上の前記瞬間的トルクの入力が最大トルクにある又は負荷下の前記少なくとも1つのモーターから入手可能である最大トルクに向かって増大している際に発生する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
負荷下にある少なくとも1つのモーターに更にエネルギー供給停止するステップは、前記ドライブシャフト上の前記瞬間的トルクが最大トルク未満である又は負荷下の前記少なくとも1つのモーターから入手可能である最大トルクから減少している際に発生する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記瞬間的トルクの方向が前記ドライブシャフトの回転の方向とは反対であることを前記コントローラによって判定することと、
前記電池パックの前記SOCに従って回生制動するために少なくとも1つのモーターを代替的に選択することと、
を更に有する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つのモーターを代替的に選択するステップは、最大SOC未満のSOCを有する少なくとも1つのモーターであって、最低のSOCを有する前記少なくとも1つのモーターを選択することを有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
パワートレインを有する電気車両であって、
前記パワートレインは、
複数のモーターと、
前記複数のモーターに接続されたドライブシャフトと、
それぞれが前記複数のモーターの1つに結合されている複数の電池パックと、
コントローラと、
を有し、
前記コントローラは、
前記ドライブシャフト上の瞬間的トルクの入力と、前記複数のモーターのそれぞれの瞬間的トルクの入力とを受け取り、
前記複数の電池パックのそれぞれの充電状態(SOC)の入力を受け取り、
前記複数のモーターの前記少なくとも1つが前記複数の電池パックの別のものとの比較において相対的に高いSOCを有する前記複数の電池パックの1つと結合された際に、前記複数のモーターの前記少なくとも1つがエネルギー供給されるように、前記モーターに結合された前記電池パック内の前記SOCの大きさに従ってエネルギー供給及びエネルギー供給停止するために前記複数のモーターの少なくとも1つを選択する、
ように構成される、
電気車両。
【請求項17】
前記コントローラは、少なくとも1つの電池管理システムに接続されている又は組み込まれている、請求項16に記載の電気車両。
【請求項18】
複数の燃料電池を更に有し、それぞれの燃料電池は、前記複数のモーターの前記モーターの1つと結合されている、請求項16に記載の電気車両。
【請求項19】
それぞれの燃料電池は、前記複数の電池パックの前記電池パックの1つと排他的に結合されている、請求項18に記載の電気車両。
【国際調査報告】