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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】伸縮ヒンジ
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/26 20060101AFI20240305BHJP
   E06B 3/48 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
E05D15/26
E06B3/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556560
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(85)【翻訳文提出日】2023-10-20
(86)【国際出願番号】 IB2022052414
(87)【国際公開番号】W WO2022195524
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】2021/5202
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521358741
【氏名又は名称】レンソン、サンプロテクション、スクリーンズ、ナムローゼ、フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】RENSON SUNPROTECTION SCREENS NV
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】ルーベン、バンデンドリーシュ
(72)【発明者】
【氏名】ヨースト、ベンヤミン、レナート、ド、フレーヌ
【テーマコード(参考)】
2E015
2E034
【Fターム(参考)】
2E015AA07
2E015AA08
2E015BA07
2E015BA12
2E015CA11
2E015EA03
2E015FA02
2E034JA01
2E034JB01
2E034JC02
(57)【要約】
長手軸(12)を有する細長いガイドレール(10)に沿って摺動装置(20)をガイドするためのレールガイドシステム(1)用の伸縮ヒンジ(30)が記載される。前記伸縮ヒンジ(30)は、第1ヒンジ部(32)と、ヒンジ回転軸(38)を中心とした回転のために前記第1ヒンジ部(32)に回転可能に装着される第2ヒンジ部(34)と、を備える。前記第2ヒンジ部(34)は、前記ヒンジ回転軸(38)の方向において摺動可能に装着されるとともに、前記ガイドレール(10)に端部(342)において前記長手軸(12)に沿って摺動可能に連結するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手軸(12)を有する細長いガイドレール(10)に沿って摺動装置(20)をガイドするためのレールガイドシステム(1)用の伸縮ヒンジ(30)であって、
‐前記摺動装置(20)に装着されるように構成された第1ヒンジ部(32)と、
‐ヒンジ回転軸(38)を中心とした回転のために前記第1ヒンジ部(32)に回転可能に装着される第2ヒンジ部(34)と、
を備える伸縮ヒンジ(30)において、
前記第2ヒンジ部(34)は、
‐前記ヒンジ回転軸(38)の方向において摺動可能に装着されるとともに、
‐前記ガイドレール(10)に端部(342)において前記長手軸(12)に沿って摺動可能に連結するように構成される、
ことを特徴とし、
前記伸縮ヒンジ(30)は、前記第2ヒンジ部(34)の前記端部(342)に装着される連結ピース(36)であって、前記第2ヒンジ部(34)の前記端部(342)を前記長手軸(12)に沿って前記ガイドレール(10)に摺動可能に連結するように構成された連結ピース(36)をさらに備え、前記連結ピース(36)は、前記第2ヒンジ部(34)の前記端部(342)に傾斜可能に連結する、
ることを特徴とする伸縮ヒンジ。
【請求項2】
前記連結ピース(36)および前記ガイドレール(10)は、前記連結状態において、
‐前記長手軸(12)の方向における前記ガイドレール(10)に沿った前記連結ピース(36)の並進のみを許容するように構成される、および/または、
‐前記ガイドレール(10)に対する前記長手軸(12)の方向を横切る方向における前記連結ピース(36)のいかなる並進も許容しないように構成される、
請求項1に記載の伸縮ヒンジ。
【請求項3】
前記連結ピース(36)は、前記ガイドレール(10)のガイド要素(14)の前記断面に接する断面を有する細長いスロット(366)を備え、
細長い前記スロット(366)は、
‐前記ガイド要素(14)が、前記長手軸(12)の方向においてのみ、細長い前記スロット(366)に挿入できるように構成される、および/または、
‐前記ガイド要素(14)が、前記長手軸(12)を横切る方向において、細長い前記スロット(366)に挿入できないように構成される、
請求項2の一項以上に記載の伸縮ヒンジ。
【請求項4】
前記連結ピース(36)の細長い前記スロット(366)は、
‐前記ガイドレール(10)に対面する側において、前記スロット(366)の最大幅よりも小さい前記幅を有する開口(368)を形成する、および/または、
‐連結状態において、前記スロット(366)に挿入された前記ガイドレール(10)の前記ガイド要素(14)の最大幅よりも小さい前記幅を有する前記開口(368)の高さにおいてベース(16)を備えるガイドレール(10)に接するように構成される、
請求項3の一項以上に記載の伸縮ヒンジ。
【請求項5】
前記伸縮ヒンジ(30)が摺動装置(20)に固定されている場合、前記第2ヒンジ部(34)の前記端部(342)は、前記ガイドレール(10)が地面に固定されている場合に前記長手軸(12)に沿って前記ガイドレール(10)に摺動可能に連結するように構成された前記第2ヒンジ部(34)の下方に対面する端部(342)を形成する、
請求項1~4の一項以上に記載の伸縮ヒンジ。
【請求項6】
請求項1~5の一項以上に記載の少なくとも1つの伸縮ヒンジ(30)を備える、レールガイドシステム(1)用のアセンブリであって、
‐前記ガイドレール(10)の前記長手軸(12)に沿って前記伸縮ヒンジ(30)の前記端部(342)に摺動可能に連結するように構成された前記ガイドレール(10)をさらに備えるアセンブリ。
【請求項7】
前記固定状態において、前記伸縮ヒンジが連結された前記ガイドレールは、前記地面に固定される、
請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記アセンブリは、
‐少なくとも1つの非伸縮ヒンジ(50)であって、
‐前記摺動装置(20)に装着されるように構成された第1ヒンジ部(52)と、
‐ヒンジ回転軸(58)を中心とした回転のために前記第1ヒンジ部(52)に回転可能に装着される第2ヒンジ部(54)であって、前記ヒンジ回転軸(58)に沿って摺動できない第2ヒンジ部(54)と、
を備える非伸縮ヒンジ(50)と、
‐前記伸縮ヒンジ(30)用の前記ガイドレール(10)に対して前記摺動装置(20)の反対側に配置される第2ガイドレール(40)であって、前記伸縮ヒンジ(30)用の前記ガイドレール(10)の前記長手軸(12)に対して平行な長手軸(42)を備える第2ガイドレール(40)と、
をさらに備え、
‐前記非伸縮ヒンジ(50)の前記ヒンジ回転軸(58)は、前記伸縮ヒンジ(30)の前記ヒンジ回転軸(38)の前記延長線に一致する、および/またはそこにある、
‐前記非伸縮ヒンジ(50)の前記第2ヒンジ部(54)は、前記長手軸(12)に沿って前記第2ガイドレール(40)に摺動可能に連結するように構成される、
請求項6または7に記載のアセンブリ。
【請求項9】
固定状態において、前記第2ガイドレール(40)は、前記摺動装置の前記上部に配置されるとともに、前記摺動装置(20)の吊り下げ固定用に構成される、
請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記伸縮ヒンジ(30)が装着された1つ以上の前記摺動装置(20)をさらに備える、
請求項8または9に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記伸縮ヒンジ(30)は、1つ以上の摺動装置(20)の直立プロファイル要素(21)に、および/またはその内部に装着される、
請求項8~10の一項以上に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記アセンブリは、
‐互いに隣り合って装着された2つの摺動装置(20)であって、その近位端部(23)に伸縮ヒンジ(30)が設けられた摺動装置(20)において、前記伸縮ヒンジ(30)は、各々隣り合って装着された前記摺動装置(20)が互いに対して回転するように構成される、2つの摺動装置(20)、および/または、
‐互いに隣りあって装着された2つの摺動装置(20)であって、その各々がそれぞれの伸縮ヒンジ(30)をそれぞれの遠位端部(25)に設けられることにより、それらの近位端部(27)が前記ガイドレール(10)から離れる方向において回転する間に、および/またはその後に、それらの遠位端部(25)が前記ガイドレール(10)に沿って前記伸縮ヒンジ(30)により互いに対して押され得る、2つの摺動装置(20)、
を備える、
請求項8~11の一項以上に記載のアセンブリ。
【請求項13】
請求項1~7の一項以上に記載の伸縮ヒンジ用、および/または請求項8~12の一項以上に記載のアセンブリ用の部品のキットであって、
‐少なくとも1つの伸縮ヒンジ(30)用の前記第1ヒンジ部(32)および前記第2ヒンジ部(34)と、
‐任意で前記ガイドレール(10)と、
‐任意で前記摺動装置(20)と、
を備えるキット。
【請求項14】
請求項1~7の一項以上に記載の長手軸(12)を有する細長いガイドレール(10)に沿って摺動装置(20)をガイドするためのレールガイドシステム(1)用の伸縮ヒンジ(30)の製造、組立、および/または装着のための方法であって、
‐前記摺動装置(20)に装着されるように構成された前記第1ヒンジ部(32)を提供するステップと、
‐ヒンジ回転軸(38)を中心とした回転および前記ヒンジ回転軸(38)の方向における摺動のために、前記第2ヒンジ部(34)を前記第1ヒンジ部(32)に回転可能かつ摺動可能に装着するステップと、
‐前記第2ヒンジ部(34)の前記端部(342)に傾斜可能に連結した前記連結ピース(36)を介して、前記第2ヒンジ部(34)が前記ガイドレール(10)に端部(342)において前記長手軸(12)に沿って摺動可能に連結するよう構成されるように前記第2ヒンジ部(34)を提供するステップと、
を備える方法。
【請求項15】
前記摺動装置(20)を摺動および/または回転させるためのレールガイドシステム(1)における、請求項1~7の一項以上に記載の伸縮ヒンジおよび/または請求項8~12の一項以上に記載の前記アセンブリの使用において、
‐前記第1ヒンジ部(32)を前記摺動装置(20)に装着し、
‐ヒンジ回転軸(38)を中心とした回転および前記ヒンジ回転軸(38)の方向における摺動のために、前記第2ヒンジ部(34)を前記第1ヒンジ部(32)に回転可能かつ摺動可能に装着し、
‐前記第2ヒンジ部(34)の前記端部(342)に傾斜可能に連結した前記連結ピース(36)を介して、前記第2ヒンジ部(34)を前記ガイドレール(10)に端部(342)において前記長手軸(12)に沿って摺動可能に連結する、
使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摺動装置用のレールガイドシステムの技術分野に関する。特に、例えば摺動ドア、摺動窓、または、パネル、フレーム、壁等の任意の他の適切な摺動可能装置等の摺動装置用のレールガイドシステム。特に、このようなレールガイドシステムが、例えばよくあるように、テラス、バルコニー等用の摺動装置とともに傾斜した地面上で使用される場合。特に、レールガイドシステムが、吊り下げ固定された摺動装置、換言すれば、地面に固定されたガイドレールが摺動装置の重量を受けない、またはほとんど受けない摺動装置とともに使用される場合。
【背景技術】
【0002】
BE1022034B1から、テラスやバルコニーでの使用に適した摺動ドア装置用のガイドシステムが知られている。ここで、地面は、通常一定の勾配を有して位置している。このような状況では、レールガイドシステムがつながなければならない高低差は、最大で数cmになり得る。温度差や気候条件の影響を受けて、この高低差はさらに大きくなり得る。BE1022034B1から、このような高低差は、伸縮ガイド要素により補償され得る。さらに、このようなレールガイドシステムが、例えば大きな風荷重に耐えうるように十分頑丈に構成されることが望ましい。しかしながら、このガイドシステムでは、摺動装置の動作が、ガイドレールの方向における並進に限定される。
【0003】
US5099903から、2つの外側支柱の上部に伸縮ヒンジを使用した折り畳み可能なドアが知られている。伸縮ヒンジは、支柱の上方隅部に固定される円筒形ブッシュを有するホルダを備えている。上部に折り畳みドアの上方のガイドレールに接続するローラを有するスピンドルがこの円筒形ブッシュに装着されている。ローラを有するスピンドルは、ブッシュの長手軸に沿って摺動可能であるとともに、固定状態ではバネにより上方に付勢されてガイドレールに接触する。鉛直方向のヒンジスピンドルがローラの軸と一致していることにより、ローラならびに関連するガイドレールは、折り畳みドアの上方で水平方向平面において延びていることが明瞭である。伸縮ヒンジで折り畳みドアを上方に持ち上げることができるため、この種のヒンジにより折り畳みドアを効率的な態様で固定したり移動させたりすることができる。スピンドルは、支柱の下部において、固定ヒンジのブッシュから移動し得る。このようなシステムは、例えば意図しない持ち上げ動作により、または、例えば強い風の負荷により同様に上向きの力が折り畳みドアに及ぼされた場合、折り畳みドアが意図せず、または望ましくなく非接続となり得ることが明瞭である。これは、特に大型または高重量のドアでは、危険であり得る。また、この種の折り畳みドアは、外側支柱の1つにおいて固定ヒンジにより折り畳みドアの隣の鉛直方向壁に固定されていることが明瞭である。この種の折り畳み可能なドアのこれらの支柱は、鉛直方向に固定されている。折り畳み可能なドアは、下部において、この1つの固定された外側ポストの高さにおいて、揺動ドアの重量が支持されるヒンジポイントにより一点で支持されている。これには、特に折り畳み可能なドアの展開状態において、他方の可動の外側支柱が支持されていなく、固定されたヒンジポイントを有する支柱の高さにおいて大きな力が生じるという欠点がある。これにより、このような構成は、大型および/または高重量の折り畳み可能なドアを確実に固定するには不向きである。なぜならば、許容できないほど大きい力、変形、および/または固定された支柱の高さにおける最も下のヒンジポイントが外れる恐れが生じ得るからである。
【0004】
別の折り畳みドアもUS2860701から知られている。折り畳みドアの可動支柱に、下方に向けられたスピンドルが下部に装着されている。固定状態において、このスピンドルは床面上のガイド装置のスロットに装着されている。この支柱の上部において、支柱に装着された円筒状ブッシュから構成される伸縮ヒンジが装着される。スピンドルは、ブッシュの長手軸に沿って摺動可能に装着されている。このスピンドルの上向きの端部が、固定状態において折り畳みドアの上方に装着されたガイドレールのスロットに係合するように、バネにより上方に付勢されている。ここでも、システムの目的は、効率的な折り畳みドアの固定や移動を可能にすることである。US5099903と同様に、このようなシステムは意図せず、または望ましくなく非接続となる恐れを有していることが明瞭である。
【0005】
また、US2860701からの折り畳みドアは、その外側支柱において、ヒンジによりドアの隣の鉛直方向壁に固定されることが明瞭である。また、揺動ドアの支柱は、鉛直方向に固定されることが望ましい。これらの揺動ドアは下部で支持されるため、ガイドレールは、揺動ドアの重量が支持される下部で水平方向に装着されるべきである。すなわち換言すれば、US2860701からのシステムは、一定の勾配を有する地面に装着された下部におけるガイドレールとの相互作用に適していない。
【0006】
したがって、ガイドレールの配置の高低差を補償でき、頑丈で摺動装置が受ける大きな風荷重に耐え得るとともに、特により大きな寸法および/または重い重量を有する摺動装置の場合でも、摺動装置の移動に対するより大きな柔軟性を可能とする代替的なレールガイドシステム、ならびにそのためのガイド要素が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
この目的のために、第1態様によれば、長手軸を有する細長いガイドレールに沿って摺動装置をガイドするためのレールガイドシステム用の伸縮ヒンジであって、
‐前記摺動装置に装着されるように構成された第1ヒンジ部と、
‐ヒンジ回転軸を中心とした回転のために前記第1ヒンジ部に回転可能に装着される第2ヒンジ部と、
を備える伸縮ヒンジにおいて、
前記第2ヒンジ部は、
‐前記ヒンジ回転軸の方向において摺動可能に装着されるとともに、
‐前記ガイドレールに一端部において前記長手軸に沿って摺動可能に連結するように構成される、
ことを特徴とする伸縮ヒンジが提供される。
【0008】
伸縮ヒンジを摺動装置に採用することにより、並進の他にヒンジスピンドルを中心とした回転も可能となるため、摺動装置の動作をより柔軟にし得る頑丈でシンプルなシステムが形成される。さらに、どのような高低差も、伸縮ヒンジの伸縮動作によりシンプルで頑丈な態様において補償される。
【0009】
一実施形態によれば、前記伸縮ヒンジは、
前記第2ヒンジ部の前記端部に装着される連結ピースであって、前記第2ヒンジ部の前記端部を前記長手軸に沿って前記ガイドレールに摺動可能に連結するように構成された連結ピースをさらに備える伸縮ヒンジが提供される。
【0010】
これにより、伸縮ヒンジをガイドレールに柔軟な態様で連結することができるとともに、伸縮ヒンジの効率的な装着が可能となる。
【0011】
別の実施形態によれば、前記連結ピースは、前記第2ヒンジ部の前記端部に傾斜可能に連結する伸縮ヒンジが提供される。
【0012】
好適な実施形態によれば、連結ピースは、第2ヒンジ部の端部に、傾斜軸を中心として傾斜可能に装着される。傾斜軸は、ヒンジ回転軸の方向に対して横方向または実質的に横方向に延びる、および/またはガイドレールの長手軸に対しても横方向および/または実質的に横方向に延びる。
【0013】
好適な実施形態によれば、固定状態において、傾斜軸は、水平方向または実質的に水平方向、かつガイドレールの長手軸の方向に対して横方向または実質的に横方向である。
【0014】
これにより、ガイドレールが固定された地面の高低差、勾配、傾き等をシンプルな態様で補償することができる。傾斜可能な連結ピースにより、ガイドレールが固定された地面の勾配が変化する種々の状況においてヒンジを効率的に適合させることができる。
【0015】
別の実施形態によれば、前記連結ピースおよび前記ガイドレールは、前記連結状態において、
‐前記長手軸の方向における前記ガイドレールに沿った前記連結ピースの並進のみを許容するように構成される、および/または、
‐前記ガイドレールに対する前記長手軸の方向を横切る方向における前記連結ピースのいかなる並進も許容しないように構成される伸縮ヒンジが提供される。
【0016】
このようにして、伸縮ヒンジとガイドレールとの連結は、決して失われない。このようにして、あらゆる状況においてガイドレールと連結ピースとの接触が保証される頑丈な連結が形成される。
【0017】
別の実施形態によれば、前記連結ピースは、前記ガイドレールのガイド要素の前記断面に接する断面を有する細長いスロットを備え、
細長い前記スロットは、
‐前記ガイド要素が、前記長手軸の方向においてのみ、細長い前記スロットに挿入できるように構成される、および/または、
‐前記ガイド要素が、前記長手軸を横切る方向において、細長い前記スロットに挿入できないように構成される伸縮ヒンジが提供される。
【0018】
別の実施形態によれば、前記連結ピースの細長い前記スロットは、
‐前記ガイドレールに対面する側において、前記スロットの最大幅よりも小さい前記幅を有する開口を形成する、および/または、
‐連結状態において、前記スロットに挿入された前記ガイドレールの前記ガイド要素の最大幅よりも小さい前記幅を有する前記開口の高さにおいてベースを備えるガイドレールに接するように構成される伸縮ヒンジが提供される。
【0019】
このようにして、伸縮ヒンジとガイドレールとの間にシンプルで確実な連結が生成される。
【0020】
別の実施形態によれば、前記伸縮ヒンジが摺動装置に固定されている場合、前記第2ヒンジ部の前記端部は、前記ガイドレールが面に固定されている場合に前記長手軸に沿って前記ガイドレールに摺動可能に連結するように構成された前記第2ヒンジ部の下方に対面する端部を形成する伸縮ヒンジが提供される。さらに、この面は地面としても示され得ることが明瞭である。
【0021】
これにより、ガイドレールが固定された地面に通常存在する高低差、勾配、傾き等が補償され得る。このため、ガイドレールの高さに地面を直立させたり水平にすることはもはや必要なく、効率的でシンプルなガイドレールの装着が可能となる。また、これにより、ユーザが踏み越えなければならないさらなる障害物を前記直立が形成することが回避される。
【0022】
第2態様によれば、第1態様による少なくとも1つの伸縮ヒンジを備える、レールガイドシステム用のアセンブリであって、
‐前記ガイドレールの前記長手軸に沿って前記伸縮ヒンジの前記端部に摺動可能に連結するように構成された前記ガイドレールをさらに備えるアセンブリが提供される。
【0023】
好適な実施形態によれば、前記固定状態において、前記伸縮ヒンジが連結された前記ガイドレールは、前記地面に固定される。
【0024】
一実施形態によれば、前記アセンブリは、
‐少なくとも1つの非伸縮ヒンジであって、
‐前記摺動装置に装着されるように構成された第1ヒンジ部と、
‐ヒンジ回転軸を中心とした回転のために前記第1ヒンジ部に回転可能に装着される第2ヒンジ部であって、前記ヒンジ回転軸に沿って摺動できない第2ヒンジ部と、
を備える非伸縮ヒンジと、
‐前記伸縮ヒンジ用の前記ガイドレールに対して前記摺動装置の反対側に配置される第2ガイドレールであって、前記伸縮ヒンジ用の前記ガイドレールの前記長手軸に対して平行な長手軸を備える第2ガイドレールと、
をさらに備え、
‐前記非伸縮ヒンジの前記ヒンジ回転軸は、前記伸縮ヒンジの前記ヒンジ回転軸の前記延長線に一致する、および/またはそこにある、
‐前記非伸縮ヒンジの前記第2ヒンジ部は、前記長手軸に沿って前記第2ガイドレールに摺動可能に連結するように構成されるアセンブリが提供される。
【0025】
好適な実施形態によれば、固定状態において、前記第2ガイドレールは、前記摺動装置の前記上部に配置されるとともに、前記摺動装置が吊り下げ固定されるように構成されるアセンブリが提供される。
【0026】
別の実施形態によれば、前記伸縮ヒンジが装着された1つ以上の前記摺動装置をさらに備えるアセンブリが提供される。
【0027】
別の実施形態によれば、前記伸縮ヒンジは、1つ以上の摺動装置の直立プロファイル要素に、および/またはその内部に装着されるアセンブリが提供される。
【0028】
好適な実施形態によれば、摺動装置は、摺動装置の上部に配置された第2ガイドレールに吊り下げ固定される。
【0029】
好適な実施形態によれば、摺動装置の重量は、摺動装置の上部に配置された第2ガイドレールにより、完全または実質的に完全に支えられる。
【0030】
好適な実施形態によれば、固定状態において、摺動装置の重量は、地面に固定されたガイドレールであって摺動装置が伸縮ヒンジにより連結されたガイドレールにかからない、または実質的にかからない。
【0031】
好適な実施形態によれば、固定状態において、摺動装置は、摺動装置の上部に配置された第2ガイドレールに、非伸縮ヒンジおよび/または非伸縮ヒンジに固定されたガイド要素により吊り下げ固定される。
【0032】
別の実施形態によれば、
‐互いに隣り合って装着された2つの摺動装置であって、その近位端部に伸縮ヒンジが設けられた摺動装置において、前記伸縮ヒンジは、各々隣り合って装着された前記摺動装置が互いに対して回転するように構成される、2つの摺動装置、および/または、
‐互いに隣りあって装着された2つの摺動装置であって、その各々がそれぞれの伸縮ヒンジをそれぞれの遠位端部に設けられることにより、それらの近位端部が前記ガイドレールから離れる方向において回転する間に、および/またはその後に、それらの遠位端部が前記ガイドレールに沿って前記伸縮ヒンジにより互いに対して押され得る、2つの摺動装置、
を備えるアセンブリが提供される。
【0033】
第3態様によれば、第1態様による伸縮ヒンジ用、および/または第2態様によるアセンブリ用の部品のキットであって、
‐少なくとも1つの伸縮ヒンジ用の前記第1ヒンジ部および前記第2ヒンジ部と、
‐任意で前記ガイドレールと、
‐任意で前記摺動装置と、
を備えるキットが提供される。
【0034】
このようにして、伸縮ヒンジおよび/またはアセンブリが、シンプルな態様で分配され得る。例えば、共通の部品が使用され得る。
【0035】
第4態様によれば、第1態様による長手軸を有する細長いガイドレールに沿って摺動装置をガイドするためのレールガイドシステム用の伸縮ヒンジの製造、組立、および/または装着のための方法であって、
‐前記摺動装置に装着されるように構成された前記第1ヒンジ部を提供するステップと、
‐ヒンジ回転軸を中心とした回転および前記ヒンジ回転軸の方向における摺動のために、前記第2ヒンジ部を前記第1ヒンジ部に回転可能かつ摺動可能に装着するステップと、
‐前記第1ヒンジ部の前記端部に傾斜可能に連結した前記連結ピースを介して、前記第2ヒンジ部が前記ガイドレールに一端部において前記長手軸に沿って摺動可能に連結するよう構成されるように前記第2ヒンジを提供するステップと、
を備える方法が提供される。
【0036】
このようにして、伸縮ヒンジおよび/またはアセンブリを、シンプルな態様で製造することができる。
【0037】
第5態様によれば、前記摺動装置を摺動および/または回転させるためのレールガイドシステムにおける、第1態様による伸縮ヒンジおよび/または第2態様による前記アセンブリの使用において、
‐前記第1ヒンジ部を前記摺動装置に装着し、
‐ヒンジ回転軸を中心とした回転および前記ヒンジ回転軸の方向における摺動のために、前記第2ヒンジ部を前記第1ヒンジ部に回転可能かつ摺動可能に装着し、
‐前記第1ヒンジ部の前記端部に傾斜可能に連結した前記連結ピースを介して、前記第2ヒンジ部を前記ガイドレールに一端部において前記長手軸に沿って摺動可能に連結する、
使用が提供される。
【0038】
第1態様による伸縮ヒンジおよび/または第2態様によるアセンブリの実施形態に関して、特に第3態様、第4態様、および第4態様のさらなる実施形態が可能であることが明瞭である。
【0039】
限定的な性格を持たないいくつかの実施形態を、添付図面に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は、伸縮ヒンジの実施形態を備える摺動装置用のレールガイドシステムの実施形態の斜視図を示す。
図2図2は、図1のレールガイドシステムの実施形態をより詳細に示す。
図3図3は、図2の実施形態の側面図である。
図4図4は、図3の実施形態の上面図である。
図5図5は、図3と同様の図であって、図4の線V‐Vに沿った断面を示す。
図6図6は、図4と同様の図であって、図5の線VI-VIに沿った断面を示す。
図7図7は、図3と同様の図であって、図3と同様の実施形態の図を示す。
図8図8は、図1の実施形態の詳細の部分断面を示す。
図9図9は、図8の多数の要素の実施形態をより詳細に示す。
図10図10は、レールガイドシステムの代替実施形態の正面図を示す。
図11図11は、図10の実施形態の上面図を示す。
図12図12は、図11の線XI-XIに沿った断面を示す。
図13図13は、図10の線XII-XIIに沿った断面を示す。
図14図14は、図10の線XIII-XIIIに沿った断面を示す。
図15図15は、互いに隣り合って装着された複数の摺動装置を有するアセンブリの実施形態の状態を示す。
図16図16は、互いに隣り合って装着された複数の摺動装置を有するアセンブリの実施形態の別の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
実施形態について説明する前に、特許請求の範囲に定義される保護の範囲が、説明される特定の実施形態または組み合わせに限定されないことが明瞭である。なぜならば、このような実施形態およびその組み合わせは当然ながら変化し得るからである。また、ここで使用される用語は、限定を意図するものではないことも明瞭にすべきである。保護範囲は、添付の特許請求の範囲により決定される。
【0042】
以下に本文中で使用される場合、単数形は、文脈が明瞭に異なる場合を除き、単数形および複数形の両方を含む。
【0043】
以下で使用される「包含する」は、「含む」または「備える」と同義であり、包括的またはオープンであって、さらなる名称のない部材、要素または方法ステップを排除しない。用語「備える」は、用語「包含する」を含み、逆もまた同様である。
【0044】
数字の範囲に基づく数値の列挙は、これらの範囲内のすべての値および端数、ならびに記載の端点を含む。
【0045】
パラメータ、量、時間、角度、方向等の測定可能な値に言及する際に使用される用語「約」、「本質的に」、「主として」、「実質的に」、または「およそ」は、特定された値の上下に±10%以下、好適には±5%以下、より好適には±1%以下、さらに好適には±0.1%以下の変動を含むことが意図されている。ただし、変動がここに記載の発明で機能するために適用可能な場合に限る。「約」、「本質的に」、「主として」、「実質的に」、または「およそ」という用語がそれ自体で指す値も、既知であるとされたことが明瞭である。
【0046】
本発明の種々の態様および/または実施形態について、以下の節でさらに定義する。さらに、以下の節でそのように定義された各態様および/または実施形態は、反対のことが明確に記載されていない限り、別の単数または複数の態様および/または単数または複数の実施形態と組み合わせられ得る。特に、「好適」または「有利」、「任意で」、「一例として」、「例えば」等として示された特徴は、「好適」および/または「有利」、「任意で」、「一例として」、「例えば」等として記載された他の特徴または特性と組み合わせられ得る。しかしながら、態様および/または実施形態のこのような組み合わせおよび/または変形は、具体的な指が記載されない態様および/または実施形態についても可能である。本文における「一実施形態」または「実施形態」に対する言及は、実施形態に関連して記載される特定の機能、構造、または特徴が、本発明の少なくとも1つの実施形態において適用可能であることを意味する。本文において「一実施形態において」または「実施形態」という文言が様々な箇所で示されている場合、必ずしも同一の実施形態を指すわけではないが、これを排除するものではない。さらに、記載された態様、実施形態、特徴、構造または特性は、本明細書に基づいて当業者には明瞭であるように、任意の適切な方法で組み合わせられ得る。本明細書において、その一部を構成し、特定の実施形態を例示として示す添付図面を参照する。特定の要素に言及する、例えば参照番号等の参照は、例示としてのそれぞれの要素に言及するものであり、それによって必ずしも要素を図示の実施形態に限定するものではない。特許請求の範囲により定義される保護範囲内に留まりつつ、さらなる実施形態および/または代替実施形態を使用し得ること、および構造的または論理的な変更が加えられ得ることが理解されなくてはならない。以下の詳細な説明は限定的なものとみなされるべきではなく、保護範囲は添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0047】
別段の定義がない限り、技術用語および科学用語を含め、使用されるすべての用語は、すべて当業者に通常理解される意味を有する。さらなるガイドとして、ここで使用される用語のさらなる説明のために定義を示す。
【0048】
図1は、長手軸12を有する細長いガイドレール10にそって摺動装置20をガイドするためのレールガイドシステム1の実施形態を概略的に示す。図示の実施形態によれば、レールガイドシステム1は、1つ以上の前記摺動装置20と、ガイドレール10と、を備えている。本実施形態によれば、摺動装置20は、例えば、例えば、テラスカバーの壁、ベランダの壁、摺動ドア、摺動窓、摺動パネル等の部品としてのガイドレール10に沿って、ビル、住居、アパート、小屋、倉庫、オフィススペース等の任意の他の適切な建物構造体上に、またはその中に摺動可能に装着される窓、ドア、フレーム等である。例えば地面に固定されたガイドレール10の長手軸12は、地面の方向に追従することが明瞭である。これが、長手軸12の方向において水平方向または実質的に水平方向に沿う地面に関する場合、長手軸12は、水平方向または実質的に水平方向に延びるものとする。これに対し、これが、長手軸12の方向において水平方向平面に対して角度および/または勾配をなして延びる地面に関する場合、長手軸12の方向も、水平方向平面に対して同一の勾配および/または角度をなして延びるものとする。上述のように、後者は、この種のレールガイドシステム1を、例えばテラス、バルコニー等の地面で使用する、または、このような地面において水が特定の方向で流れるように地面が特定の勾配を有する任意の他の状況においてよく見られる。
【0049】
図示のように、伸縮ヒンジ30は、摺動装置20に装着された第1ヒンジ部32を備えている。伸縮ヒンジ30は、ヒンジ回転軸38を中心とした回転のために第1ヒンジ部32に回転可能に装着された第2ヒンジ部34をさらに備えている。ヒンジ回転軸38は、図1に示す状態において、上方向および/または下方向、例えば鉛直方向および/または実質的に鉛直方向に延びていることが明瞭である。
【0050】
また図示のように、図1の実施形態は、第2ヒンジ部34の端部342に装着された連結ピース36をさらに備えている。この連結ピース36は、図示のように、第2ヒンジ部34の端部342をガイドレール10に摺動可能に連結するように構成されている。換言すれば、この連結ピース36は、ガイドレール10に沿って長手軸12の方向において押されるように構成されている。これにより、この連結ピース36に装着された第2ヒンジ部34の端部342も、この方向においてガイドレール10に沿って押される。以下でより詳細に説明するように、図示の実施形態例によれば、連結ピース36を第2ヒンジ部に傾斜可能に連結することが有利である。図1に示すように、また以下により詳細に説明するように、連結ピース36は、傾斜軸364を中心として第2ヒンジ部34の端部342に傾斜可能に装着されている。傾斜軸364は、ヒンジ回転軸38の方向に対して横方向または実質的に横方向に延びるとともに、ガイドレール10の長手軸12に対しても横方向または実質的に横方向に同様に延びている。図示のように、これは、図示の状態について、ガイドレール10の長手軸12の方向に対して横方向または実質的に横方向の水平方向または実質的に水平方向の傾斜軸364を意味する。換言すれば、傾斜軸364は、ヒンジ回転軸38の方向に延びていないことが明瞭である。
【0051】
例えば図3および図5に示すように、連結ピース36は、ベース体362に設けられた細長いスロット366を備えている。連結状態において、図3および図5に示すように、この種の実施形態によれば、この細長いスロット366の長手軸は、ガイドレール10の長手軸12と一致する、および/またはこれに対して平行である。図示の実施形態例によれば、スロット366は、下方に向けられた開口を備える実質的に円形の断面を有していることが明瞭である。スロット366の円形断面は、ガイドレール10の図示の実施形態の細長いガイド要素14の円形断面に接する。そして、スロット366の下方に面する開口は、ガイド要素14を固定要素18に接続するガイドレールのベース16に接する。図示の実施形態によれば、固定要素18は、例えば、ガイドレール10を地面に固定するための固定プレート18を備えている。
【0052】
図示の実施形態例によれば、細長いガイドレール10は、連結状態においてガイドレール10のガイド要素14のスロット366の円形周縁に接する円形断面を有するガイド要素14を備えている。本実施形態例によれば、スロット366は、ガイド要素10のベース16に接する下方を向く開口368をさらに備えている。ガイドレール10のベース16の幅、すなわち、長手方向12に対して横断する方向であって、実質的に水平方向または地面に対して平行な方向における幅は、その上方で延びるガイド要素14の最大幅よりも小さいことが明瞭である。同様に、ベース16に接する連結ピース36の下部におけるスロット366の下方を向く開口368は、スロット366に挿入されたガイドレール10のガイド要素14に接するスロット366の高い位置にある最大幅よりも小さい。この種の実施形態によれば、連結ピース36がガイドレール10のガイド要素14に細長いスロット366を介して連結されている場合、スロット366の長手方向に対して平行なガイドレール10の長手方向12における連結ピース36の並進のみが、スロット366に挿入されたガイドレール10のガイド要素14に沿って可能であることが明瞭である。換言すれば、別の方向における別の並進は、前記連結ピース36のガイドレール10に対する係合により阻止されている。すなわち、ガイドレール10に対して上向きまたは下向きの方向、または地面に対して平行であるが長手軸12に対して横の方向、または長手軸12の方向を横切る任意の他の方向における連結ピースの並進はない。
【0053】
換言すれば、連結ピース36は、摺動装置20とガイドレール10との間の距離が変化しても、ガイドレール10に対する連結が維持されるような態様において、第2ヒンジ部34の端部342をガイドレール10に連結するように構成されている。換言すれば、摺動装置20がガイドレール10に沿って摺動している間にガイドレール10と摺動装置20との間の当該距離が変化した場合でも、この変化は、伸縮ヒンジ30のヒンジ回転軸38に沿った第1ヒンジ部32に対する第2ヒンジ部34の並進により補償されることになる。したがって、図1図6に示す実施形態の状態によれば、これは、ガイドレール10、すなわち換言すればガイドレール10が固定されている地面との間の距離が変化した場合、第2ヒンジ部34は、第1ヒンジ部32に対して上方または下方に、すなわち換言すれば摺動装置20に対して移動可能であるということを意味している。
【0054】
摺動装置20は、図示の実施形態例において、上部においてガイドレール40のヒンジ50により同様に好適に装着されていることが明瞭である。このヒンジは、例えば図1に示すように、伸縮ヒンジ30のヒンジ回転軸38の延長線上にあるヒンジ回転軸58を中心として回転するように構成されている。摺動装置20の反対側の端部にあるヒンジ50は、好適には伸縮式ではなく、例えば図9に示すようなガイドレール40に沿って移動可能なキャリッジまたは任意の他の適切なガイド要素等の適切なガイド要素60により、通常の態様で上部に装着され得る。前記ヒンジ50ならびにガイド要素の実施形態を、図8および図9により詳細に示す。ヒンジ50は、例えば、摺動装置20に装着される第1ヒンジ部52を備えていることが明瞭である。図示の実施形態例によれば、第1ヒンジ部は、固定具53により摺動装置20に装着されている。図示のように、そして図9に最も明瞭に示すように、本実施形態によれば、ヒンジ50は、ガイド要素60に装着された第2ヒンジ部54であって、第1ヒンジ部と相互作用してガイド要素60が摺動装置20に対してヒンジ回転軸58を中心として回転することを可能にするように構成された第2ヒンジ部54を備えている。図示の実施形態例によれば、ガイド要素60は、走行ホイールを備えるとともに、ガイド要素60をガイドレール40に沿って、または図示例においてガイドレール40の内部をガイドするようにガイドレール40と相互作用できるように構成されている。図示の実施形態例によれば、摺動装置20は、摺動装置の上部に配置されたガイドレール40から吊り下げられて固定されていることが明瞭である。これは、摺動装置20の重量が、このガイドレール40により完全または実質的に完全に支えられていること意味する。すなわち換言すれば、地面に固定されたガイドレール10は、摺動装置20の重量を受けない、またはほとんど受けない。摺動装置20が、摺動装置20の上部に配置されたガイドレール40から、任意の適切な非伸縮ヒンジおよび/またはガイド要素60により吊り下げられて固定される代替実施形態が可能であることが明瞭である。また、摺動装置20が地面に配置された反対側のガイドレール10に伸縮ヒンジ30により連結しており、摺動装置の重量が、伸縮ヒンジ30により地面上の当該ガイドレール10に伝達されない、または実質的に伝達されないことが明瞭である。
【0055】
摺動装置20の上部におけるガイドレール40の長手方向42は、摺動装置20の下部におけるガイドレール10の長手方向12に対して平行であることが明瞭である。よくある状況において、例えば摺動ドア、摺動窓、摺動パネル等の摺動装置20の上部にあるこのガイドレール40は水平に装着されるのに対し、摺動装置20の下部にある反対側のガイドレール10は、好適には地面の勾配または高低差に追従する。換言すれば、摺動装置20の上部にあるガイドレール40は、水平方向または実質的に水平方向に装着されている。
【0056】
また、図示の実施形態例によれば、ガイド要素14の断面は、幅狭のベース16を介して固定プレート18に固定される円形または実質的に円形の断面を有する要素を備えることが明瞭である。しかしながら、別のガイド要素14またはガイドレール10の他の要素が別の適切な断面を有する多数の変形実施形態が可能であることが明瞭である。例えば、ガイド要素14は、多角形の断面、適切なプロファイル形状の断面等を有する。このような実施形態によれば、伸縮ヒンジ30は、細長いスロット366を有する連結ピース36を備え、細長いスロット366は、ガイドレール10に対面する側において、スロット366の最大幅よりも小さい幅を有する開口368を形成することが明瞭である。さらに、このような実施形態によれば、連結状態にあるスロット366は、ガイドレール10に接する。またさらに、このガイドレール10は、開口368の高さにおいてベース16を、ガイドレール10に面する連結ピース36の側に備え、その幅は、連結ピース36のスロット366に挿入されたガイドレール10のガイド要素14の最大幅よりも小さい。ガイドレール10と同様に、ガイド要素14、ベース16、スロット366、および開口368は、細長く、長手軸12の方向において延びていることが明瞭である。
【0057】
したがって、このような実施形態によれば、連結ピース36が、ガイドレール10のガイド要素14の断面に接する断面を有する細長いスロット366を備えていることが有利である。これにより、細長いスロット366は、ガイド要素14との接触を失うことがなく、伸縮ヒンジ30の伸縮動作が可能とされる。これは、例えば、図示の実施形態例において、細長いスロット366および関連するガイド要素14は、ガイド要素14が長手軸12の方向においてのみ細長いスロット366に挿入され得るように構成されているということを意味する。換言すれば、このような実施形態によれば、細長いスロット366は、ガイド要素14に長手方向12において摺動可能にクランプされている、またはその周囲に配置されている。このような実施形態によれば、ガイド要素14を長手軸12の方向を横切る方向において細長いスロット366に挿入する必要がない、または、これによりガイド要素14を前記方向において細長いスロット366から取り外す必要もない。これは、特に、ヒンジ回転軸38を中心とした伸縮ヒンジ30の第2ヒンジ部34の伸縮動作により、端部342における第2ヒンジ部34とガイドレール10との連結が、連結ピース36により維持されるということを意味する。
【0058】
これらの実施形態によれば、連結ピース36および/またはガイドレール10は、連結状態において、長手軸12の方向におけるガイドレール10に沿った連結ピース36の並進のみを許容するように構成されている、および/または相互作用する。換言すれば、図示の実施形態例と同様に、連結状態において、ガイドレール10に対する長手軸12の方向を横切る方向における連結ピース36のいかなる並進も不可能であることが明瞭である。
【0059】
図7は、伸縮ヒンジ30およびガイドレール10の実施形態を示す、図1図6に示す実施形態と同様の図である。本図は、図3に示す図と同様である。すなわち、ガイドレール10の長手軸12の方向における図である。図7に示す状態は、スロット366が実質的に円形の断面を有し、スロット366が下方を向く開口を備え、スロット366のこの円形断面がガイドレール10の細長いガイド要素14の円形断面に接し、スロット366の下方を向く開口が、ガイド要素14を固定要素18に接続するガイドレール10のベース16に接するというこのような実施形態が、ガイドレール10の長手軸12の方向における地面の傾きまたは凸凹の他に、ガイドレール10の長手軸12を横切る地面の傾きまたは凹凸をも補償できるということを示している。この目的のために、好適には、スロット366の下方を向く開口は、それがスロット366の円形断面の5°~150°を含む範囲、好適には10°~120°を含む範囲、例えば15°~90°の範囲、例えば30°または60°範囲のセグメントであるように十分に大きい。好適には、スロット366の下方を向く開口の両端部間の距離、すなわち、ガイドレール10の長手軸12の方向に対して横方向の距離は、ガイドレール10からの幅狭のベース16の当該距離よりも大きい。すなわち換言すれば、ベース16は、スロット366の下方を向く開口の高さにおいて、スロット366の円形断面のより小さいセグメント、例えば、スロット366の下方を向く開口に対応するセグメントよりも、少なくとも10%小さいセグメント、好適には20%小さい、例えば50%小さいセグメントに亘って延びる。
【0060】
しかしながら、この種のアセンブリの実施形態によれば、アセンブリは、例えば図8および図9を参照して上で説明した第2ガイドレール40および摺動装置20と相互作用する非伸縮ヒンジ50をさらに備え得ることが明瞭である。しかしながら、複数の伸縮ヒンジ30を有するアセンブリの場合、同様に複数の非伸縮ヒンジ50が存在し得ることが明瞭である。また、非伸縮ヒンジ50が、摺動装置20に装着されるように構成された第1ヒンジ部52を備えるとともに、ヒンジ回転軸58を中心とした回転のために第1ヒンジ部52に回転可能に装着される第2ヒンジ部54であって、ヒンジ回転軸58に沿って摺動できない第2ヒンジ部54を備えるこのようなアセンブリの代替実施形態が可能であることが明瞭である。このような実施形態によれば、非伸縮ヒンジ50のヒンジ回転軸58は、伸縮ヒンジ30のヒンジ回転軸38の延長線に一致する、および/またはそこにある。また、このような実施形態によれば、アセンブリは、伸縮ヒンジ30用のガイドレール10に対して摺動装置20の反対側に配置された第2ガイドレール40であって、伸縮ヒンジ30用のガイドレール10の長手軸12に対して平行な長手軸42を備える第2ガイドレール40も備えることが明瞭である。複数の摺動装置20に対する複数の伸縮ヒンジ30を備えるアセンブリの実施形態において、好適には、各伸縮ヒンジ30が対応する非伸縮ヒンジ50を備えることが明瞭である。このような実施形態によれば、非伸縮ヒンジ50の第2ヒンジ部54は、長手軸12に沿って第2ガイドレール40に摺動可能に連結されるように構成されることも明瞭である。これは、例えば、図9に示すキャリッジまたはホイールに対する代替的なガイド要素60、例えば、低摩擦係数等を有する適切な材料を備えるガイド要素により実現され得る。さらに他の実施形態によれば、第2ヒンジ部54は、別個のガイド要素60を必要とせずに、それ自体で第2ガイドレール40に摺動可能に連結するように構成され得る。
【0061】
したがって、図1図6に示す実施形態によれば、レールガイドシステム1は、伸縮ヒンジ30とガイドレール10とを備えるアセンブリを備えることが明瞭である。例えば1つ以上の伸縮ヒンジ30がガイドレール10と相互作用するレールガイドシステム1用の前記アセンブリに対する代替実施形態が可能であることが明瞭である。上述のように、これらの実施形態において、ガイドレール10は、伸縮ヒンジ30の端部342に、ガイドレール10の長手軸12に沿って摺動可能に連結するように構成されている。これらの実施形態によれば、例えば、複数の摺動装置20が、ガイドレール10に沿って装着され得る。摺動移動の他に上方に向けられた回転軸を中心とする回転動作も実施するように構成された摺動装置20には、上記と同様のそれぞれの伸縮ヒンジ30の実施形態が各々設けられる。したがって、図1図6の実施形態例によれば、これは、各摺動装置20が、関連する別個の伸縮ヒンジ30を備えるということも意味し得る。
【0062】
代替実施形態によれば、前記伸縮ヒンジ30は、互いに隣り合って装着された2つの摺動装置20に対して使用され得る。これは、伸縮ヒンジ30が、互いに隣り合って装着された2つの摺動装置20に装着されるということを意味する。上述の実施形態と同様に、図10図14に示す実施形態は、ヒンジ回転軸38の方向において摺動可能に装着された第2ヒンジ部34であって、ガイドレール10に一端部342において長手軸に沿って摺動可能に連結されるように構成された第2ヒンジ部34を有する伸縮ヒンジ30を備えている。図1図6における実施形態と同様に、第2ヒンジ部34は、ガイドレールに同様の連結ピース36により連結されている。図10図14の実施形態における同様の要素は、図1図6を参照して上記したものと同様に類似の参照符号で示され、同様の態様において機能する。しかしながら、図10図14の実施形態は、伸縮ヒンジ30が、第1摺動装置20Aに装着された第1ヒンジ部32A、および隣の第2摺動装置20Bに装着された第1ヒンジ部32Bと相互作用する共通の第2ヒンジ部34を有する点で異なっている。これらそれぞれの第1ヒンジ部32Aおよび32Bは、そのそれぞれ対応する摺動装置20A、20Bに、これらの摺動装置20A、20Bの近位端部23の高さにおいて各々装着されている。図示の実施形態例によれば、隣合う摺動装置20の近位端部23は、隣の摺動装置20に最も近接して配置された直立プロファイル21の高さに配置されている、すなわち換言すれば、隣の摺動装置20に向く摺動装置20の端部に配置されていることが明瞭である。図示の実施形態例によれば、伸縮ヒンジ30は、ヒンジ回転軸38を決定する中央の細長いピン34を中心にヒンジ動作するアイまたはシリンダを備える2つのウィング32A、32Bを有するヒンジとしてそのヒンジ作用について機能することが明瞭である。上述のように、このピン34は、両第1ヒンジ部32A、23Bにおけるこのヒンジ回転軸38に対して摺動可能に固定された第2ヒンジ部34により形成される。これにより、上述のように、摺動装置20とガイドレール10との間の距離の変化に対する、第1ヒンジ部32A、32Bに対する第2ヒンジ部34の伸縮動作により、ガイドレールに対する第2ヒンジ部34の連結が維持され得る。したがって、この種の実施形態によれば、両摺動装置20が、それらの近位端部23において、この共通のヒンジ回転軸38を中心として回転を実施できることが明瞭である。図示のように、本実施形態によれば、ヒンジ回転軸38、ならびにガイドレール10の長手軸が、摺動装置20の長手方向平面の隣に配置されている。すなわち換言すれば、伸縮ヒンジは、例えば、フレーム20の前方または後方に装着されることにより、2つの近接するフレーム20が、両フレームの長手方向平面がガイドレール10の長手軸と平行である位置と、隣合うフレーム20の一方または両方がこのヒンジ回転軸38を中心として伸縮ヒンジ30が摺動装置20に固定された側に面する方向において回転し得る位置との間でヒンジ動作することができる。伸縮ヒンジ30が、例えば、フレーム20の前方に、例えばフレーム20の前方の方向において固定された場合。換言すれば、隣り合う摺動装置20は、前記伸縮ヒンジ30により互いに対して回転し得る。
【0063】
伸縮ヒンジ30が装着された1つ以上の摺動装置20を備えるアセンブリのさらに他の代替実施形態が可能であることが明瞭である。好適には、上述と同様に、伸縮ヒンジ30は、1つ以上の摺動装置20の直立プロファイル要素21に、および/またはその内部に装着される。
【0064】
図15は、例えば、互いに隣り合って装着された複数の摺動装置20に、それぞれの伸縮ヒンジ30が各々設けられたこのようなアセンブリの実施形態例を概略的に示す。互いに隣りあって装着された摺動装置のうちの2つに、伸縮ヒンジ30がそれぞれの遠位端部25において設けられている。長手軸12とともに概略的に示すように、互いに隣り合って装着された摺動装置20は、伸縮ヒンジ30によりガイドレール10に沿って押され得ることが明瞭である。さらに、伸縮ヒンジ30は、同様であり得る、および/または異なり得る。図示の実施形態例によれば、左端の位置に配置された伸縮ヒンジ30は、例えば図1図6に示す実施形態による伸縮ヒンジ30であり、他方の伸縮ヒンジ30は、例えば図10図14に示す共通の伸縮ヒンジ30である。しかしながら、同様および/または異なる伸縮ヒンジの任意の組み合わせが可能である多数の変形実施形態が可能であることが明瞭である。図15の実施形態を別の状態で示す図16に基づいて説明するように、2つの隣り合う摺動装置の遠位端部25は、これらの摺動装置20の近位端部27が矢印で概略的に示すようにガイドレール10から離れる方向において回転する間および/またはその後に、ガイドレール10に沿って伸縮ヒンジ30により互いに対して押され得る。
【0065】
また、伸縮ヒンジおよび/または例えば上述のようなアセンブリの実施形態が、任意で、例えば少なくとも1つの伸縮ヒンジ30用の第1ヒンジ部32および第2ヒンジ部34を備える部品のキットの形態で提供され得ることが明瞭である。任意で、キットは、ガイドレール10、摺動装置20、および/または伸縮ヒンジの実施形態の任意の他の適切な部品、および/または例えば上述のようなアセンブリをも備え得る。
【0066】
また、摺動装置20を長手軸12を有する細長いガイドレール10に沿ってガイドするためのレールガイドシステム1用の上述のものと類似の伸縮ヒンジ30がシンプルな態様で製造され得る、組み立てられ得る、および/または装着され得ることが明瞭である。例えば、ヒンジ回転軸38を中心とした回転およびヒンジ回転軸38の方向における摺動のために、第2ヒンジ部34を第1ヒンジ部32に回転可能かつ摺動可能に装着し得る。次いで、第1ヒンジ部32を摺動装置20に装着し、第2ヒンジ部34をガイドレール10に端部342において長手軸12に沿って摺動可能に連結する。
【0067】
最後に、摺動装置20を摺動および/または回転させるためのレールガイドシステム1における、例えば上述のような伸縮ヒンジおよび/または千振の実施形態の使用が明瞭である。
【0068】
特許請求の範囲に定義された保護範囲から逸脱することなく、多数のさらなる組み合わせおよび/または変形実施形態が可能であることが明瞭である。
図1
図2
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図15
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【国際調査報告】