(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】動的車両ホイールバランス装置、車両ホイール、動力付き車両、及びそれらを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
F16F 15/32 20060101AFI20240305BHJP
B60B 7/04 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
F16F15/32 C
B60B7/04 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556828
(86)(22)【出願日】2021-03-25
(85)【翻訳文提出日】2023-09-14
(86)【国際出願番号】 US2021024074
(87)【国際公開番号】W WO2022203673
(87)【国際公開日】2022-09-29
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504162062
【氏名又は名称】ハウメット エアロスペース インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・ピー・メイスン
(72)【発明者】
【氏名】ディーター・ユリング
(72)【発明者】
【氏名】トビアス・クニスシェフスキ
(57)【要約】
動的車両ホイールバランス装置、車両ホイール、動力付き車両、及び関連する製造するための方法が提供される。動的車両ホイールバランス装置は、車両ホイールカバー及び動的車両ホイールバランスリングを備える。車両ホイールカバーは、第1の表面、第2の表面、及び第1の表面を第2の表面に連結する周囲表面を備える。車両ホイールカバーは、車両ホイールのフランジに、第2の表面が車両ホイールに向かい合う状態で取り外し可能に取り付くように構成されている。動的車両ホイールバランスリングは、車両ホイールカバーの第2の表面に取り付けられている。動的車両ホイールバランス装置は、車両ホイールの回転中に車両ホイールを動的にバランス調整し、空力抵抗を低減する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動的車両ホイールバランス装置であって、
第1の表面、第2の表面、及び前記第1の表面を前記第2の表面に連結する周囲表面を備える車両ホイールカバーであって、前記車両ホイールカバーが、車両ホイールのフランジに、前記第2の表面が前記車両ホイールに向かい合う状態で取り外し可能に取り付くように構成されている、車両ホイールカバーと、
前記車両ホイールカバーの前記第2の表面に取り付けられた動的車両ホイールバランスリングと、を備える、動的車両ホイールバランス装置。
【請求項2】
前記車両ホイールカバーが、前記周囲表面に近接した少なくとも2つの第1の開口部を画定し、前記少なくとも2つの第1の開口部の各々が、前記第1の表面から前記第2の表面に延在し、前記車両ホイールカバーを車両ホイールの前記フランジに動作可能に結合するための締結具を受容するように構成されている、請求項1に記載の動的車両ホイールバランス装置。
【請求項3】
前記車両ホイールの前記フランジに動作可能に結合するように構成されたスナップリングと、
少なくとも2つのクリップであって、各クリップが、前記スナップリングに装着されるように構成された第1の部分、及び前記第1の開口部のうちの1つと整列し、それぞれの締結具を受容し、それによって前記クリップを前記車両ホイールカバーに連結するように構成されたボアを備える第2の部分を備える、少なくとも2つのクリップと、を更に備える、請求項2に記載の動的車両ホイールバランス装置。
【請求項4】
前記第2の部分が、前記第1の部分からオフセットされるように位置決めされている、請求項3に記載の動的車両ホイールバランス装置。
【請求項5】
前記第1の部分が、実質的にJ字形状であり、前記スナップリングと前記車両ホイールの前記フランジとの間にピン留めされるように構成されている、請求項3に記載の動的車両ホイールバランス装置。
【請求項6】
前記少なくとも2つの第1の開口部のうちの少なくとも1つが、カウンターシンク加工されている、請求項2に記載の動的車両ホイールバランス装置。
【請求項7】
前記車両ホイールカバーが、前記第1の表面から前記第2の表面に延在する第2の開口部を画定し、前記第1の開口部の各々が、前記第2の開口部と前記周囲表面との中間に位置し、前記第2の開口部は、前記動的車両ホイールバランス装置が前記車両ホイール上に設置されたときに、前記車両ホイール内に画定されたスタッド受容ボアへのアクセスを可能にするように構成されている、請求項2に記載の動的車両ホイールバランス装置。
【請求項8】
前記少なくとも2つの第1の開口部の各々は、前記動的車両ホイールバランス装置が前記車両ホイール上に設置されたときに、車両ホイール内に画定されたスタッド受容ボアとずれている、請求項7に記載の動的車両ホイールバランス装置。
【請求項9】
前記車両ホイールカバーの前記第1の表面が、実質的に平坦である、請求項1に記載の動的車両ホイールバランス装置。
【請求項10】
前記周囲表面が、前記第1の表面から離れるように湾曲している、請求項1に記載の動的車両ホイールバランス装置。
【請求項11】
前記周囲表面は、前記動的車両ホイールバランス装置が前記車両ホイール上に設置されたときに、前記車両ホイールの前記フランジによって画定された空洞内に位置するように構成されている、請求項1に記載の動的車両ホイールバランス装置。
【請求項12】
前記動的車両ホイールバランス装置が前記車両ホイール上に設置されたとき、前記車両ホイールカバーが、前記車両ホイールのフランジから10mm以下に突出するか、前記車両ホイールの前記フランジと実質的に整列するか、又は前記車両ホイールの前記フランジの下に陥凹する、請求項1に記載の動的車両ホイールバランス装置。
【請求項13】
前記車両ホイールカバーの前記第1の表面が、前記車両ホイールの空力抵抗を低減するように構成されている、請求項1に記載の動的車両ホイールバランス装置。
【請求項14】
前記動的車両ホイールバランスリングが、媒体を囲む円形のレースウェイを備える、請求項1に記載の動的車両ホイールバランス装置。
【請求項15】
前記少なくとも2つの第1の開口部の各々が、前記動的車両ホイールバランスリングと前記周囲表面との中間に位置する、請求項1に記載の動的車両ホイールバランス装置。
【請求項16】
車両ホイールであって、前記車両ホイールに連結された請求項1に記載の動的車両ホイールバランス装置を有し、前記動的車両ホイールバランス装置が、前記車両ホイールの回転中に前記車両ホイールを動的にバランス調整し、空力抵抗を低減する、車両ホイール。
【請求項17】
前記車両ホイールが、1インチ~200インチの範囲の公称リム径、及び1インチ~100インチの範囲の公称リム幅を備える、請求項16に記載の車両ホイール。
【請求項18】
動力付き車両であって、前記動力付き車両の車両ホイール上に設置された請求項1に記載の動的車両ホイールバランス装置を備え、前記動的車両ホイールバランス装置が、前記動力付き車両の前記車両ホイールの回転中に前記動力付き車両の前記車両ホイールを動的にバランス調整し、前記動力付き車両の空力抵抗を低減し、結果として前記動力付き車両の燃料節約が高まる、動力付き車両。
【請求項19】
方法であって、
請求項3に記載の動的車両ホイールバランス装置の前記スナップリングを前記車両ホイールに動作可能に結合することであって、前記クリップが、前記スナップリングと前記車両ホイールの前記フランジとの間にピン留めされる、動作可能に結合することと、
前記車両ホイールカバーを、締結具を利用して前記クリップに動作可能に結合することと、を含む、方法。
【請求項20】
前記動的車両ホイールバランス装置が前記車両ホイールに結合されている間に、前記車両ホイールを動力付き車両の車軸に取り付けることを更に含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、動的車両ホイールバランス装置、車両ホイール、動力付き車両、及び関連する製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
望ましくない質量分布を含む車両ホイールは、ホイール付き車両の動作中に振動を引き起こし、かつ/又は燃費を低下させ得る。更に、車両ホイールの質量は、車両の燃費に影響を与え得る。車両ホイールの質量をバランス調整し、望ましい車両燃費を達成することが課題である。
【発明の概要】
【0003】
本開示の一態様によれば、動的車両ホイールバランス装置が提供される。動的車両ホイールバランス装置は、車両ホイールカバー及び動的車両ホイールバランスリングを備える。車両ホイールカバーは、第1の表面、第2の表面、及び第1の表面を第2の表面に連結する周囲表面を備える。車両ホイールカバーは、車両ホイールのフランジに、第2の表面が車両ホイールに向かい合う状態で取り外し可能に取り付くように構成されている。動的車両ホイールバランスリングは、車両ホイールカバーの第2の表面に取り付けられている。
【0004】
本開示の別の態様によれば、車両ホイールが提供される。車両ホイールは、動的車両ホイールバランス装置に連結されている。動的車両ホイールバランス装置は、車両ホイールカバー及び動的車両ホイールバランスリングを備える。車両ホイールカバーは、第1の表面、第2の表面、及び第1の表面を第2の表面に連結する周囲表面を備える。車両ホイールカバーは、車両ホイールのフランジに、第2の表面が車両ホイールに向かい合う状態で取り外し可能に取り付くように構成されている。動的車両ホイールバランスリングは、車両ホイールカバーの第2の表面に取り付けられている。動的車両ホイールバランス装置は、車両ホイールの回転中に車両ホイールを動的にバランス調整し、空力抵抗を低減する。
【0005】
本開示の別の態様によれば、動力付き車両が提供される。動力付き車両ホイールは、動力付き車両の車両ホイール上に設置された動的車両ホイールバランス装置を備える。動的車両ホイールバランス装置は、車両ホイールカバー及び動的車両ホイールバランスリングを備える。車両ホイールカバーは、第1の表面、第2の表面、及び第1の表面を第2の表面に連結する周囲表面を備える。車両ホイールカバーは、車両ホイールのフランジに、第2の表面が車両ホイールに向かい合う状態で取り外し可能に取り付くように構成されている。動的車両ホイールバランスリングは、車両ホイールカバーの第2の表面に取り付けられている。動的車両ホイールバランス装置は、動力付き車両の車両ホイールの回転中に動力付き車両の車両ホイールを動的にバランス調整し、動力付き車両の空力抵抗を低減し、結果として動力付き車両の燃料節約が高まる。
【0006】
本開示の更に別の態様によれば、製造するための方法が提供される。方法は、動的車両ホイールバランス装置のスナップリングを車両ホイールに動作可能に結合することであって、動的車両ホイールバランス装置のクリップが、スナップリングと車両ホイールのフランジとの間にピン留めされる、動作可能に結合することを含む。動的車両ホイールバランス装置は、車両ホイールカバー、動的車両ホイールバランスリング、スナップリング、及び少なくとも2つのクリップを備える。車両ホイールカバーは、第1の表面、第2の表面、及び第1の表面を第2の表面に連結する周囲表面を備える。車両ホイールカバーは、車両ホイールのフランジに、第2の表面が車両ホイールに向かい合う状態で取り外し可能に取り付くように構成されている。動的車両ホイールバランスリングは、車両ホイールカバーの第2の表面に取り付けられる。車両ホイールカバーは、周囲表面に近接した少なくとも2つの第1の開口部を画定する。少なくとも2つの第1の開口部の各々は、第1の表面から第2の表面に延在し、車両ホイールカバーを車両ホイールのフランジに動作可能に結合するための締結具を受容するように構成されている。スナップリングは、車両ホイールのフランジに動作可能に結合するように構成されている。各クリップは、スナップリングに装着されるように構成された第1の部分と、第1の開口部のうちの1つと整列し、それぞれの締結具を受容し、それによってクリップを車両ホイールカバーに連結するように構成されたボアを備える第2の部分と、を備える。方法は、車両ホイールカバーを、締結具を利用してクリップに動作可能に結合することを含む。
【0007】
本明細書に開示及び記載される発明は、この「発明の概要」に要約される態様に限定されないことが理解される。読者は、本明細書による様々な非限定的かつ非網羅的な態様の以下の詳細な説明を考慮すると、前述の詳細及び他の詳細を理解するであろう。
【0008】
添付図面と併せて以下の説明を参照することにより、例の特徴及び利点並びにそれらを達成する方法はより明瞭となり、例は、より良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】本開示による動的車両ホイールバランス装置の非限定的な実施形態の正面斜視図である。
【
図1B】
図1Aに示す動的車両ホイールバランス装置の背面平面図である。
【
図2】本開示による動的車両ホイールバランス装置の、装置が上に設置され得る車両ホイールも示している、非限定的な実施形態の分解斜視図である。
【
図3】
図2に示す動的ホイールバランス装置及びホイールの断面図である。
【
図4A】車両ホイール上に設置された状態を示す本開示による動的ホイールバランス装置の非限定的な実施形態の一部の詳細図である。
【
図4B】車両ホイール上に設置された状態を示す
図4Aによる動的ホイールバランス装置の非限定的な実施形態の断面詳細図である。
【
図5A】車両ホイール上に設置された状態を示す本開示による動的ホイールバランス装置の非限定的な実施形態の領域の詳細図である。
【
図5B】車両ホイール上に設置された状態を示す
図5Aに示す領域を含む動的ホイールバランス装置の断面詳細図である。
【
図6】本開示による動的車両ホイールバランス装置の非限定的な実施形態を車両ホイールに結合するための非限定的な方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
対応する参照符号は、いくつかの図にわたって、対応する部分を示している。本明細書に記載する例示は、一形態における特定の実施形態を例示するものであり、そのような例示は、いかなる方法においても、添付の特許請求の範囲の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0011】
様々な実施形態が本明細書に記載及び例示されて、開示される物品及び方法の構造、機能、及び使用の全体的な理解を提供する。本明細書に記載及び例示される様々な実施形態は、非限定的かつ非網羅的である。したがって、本発明は、本明細書に開示される様々な非限定的かつ非網羅的な実施形態の説明によって限定されない。むしろ、本発明は、特許請求の範囲によってのみ定義される。様々な実施形態に関連して例示及び/又は説明される特徴及び特性は、他の実施形態の特徴及び特性と組み合わされてもよい。そのような修正及び変形は、本明細書の範囲内に含まれることが意図される。よって、特許請求の範囲は、本明細書に明示的若しくは本質的に記載される、又はさもなければ本明細書によって明示的若しくは本質的に支持される任意の特徴若しくは特性を記述するように修正され得る。更に、出願人は、先行技術内に存在し得る特徴又は特性を肯定的に否認するために、特許請求の範囲を修正する権利を留保する。本明細書に開示及び記載される様々な実施形態は、本明細書に様々に記載される特徴及び特性を含み得、それらからなり得、又は基本的にそれらからなり得る。
【0012】
本明細書中の「様々な実施形態」、「いくつかの実施形態」、「1つの実施形態」、「一実施形態」、又は類似の語句への任意の言及は、例に関連して記載される特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書中の語句「様々な実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、「1つの実施形態では」、「一実施形態では」、又は類似の語句の出現は、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。更に、特定の記載される特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態で、任意の好適な様式で組み合わせられ得る。したがって、1つの実施形態に関連して図示又は説明される特定の特徴、構造、又は特性は、全体的又は部分的に、限定されることなく、1つ以上の他の実施形態の特徴、構造、又は特性と組み合わされ得る。そのような修正及び変形は、本実施形態の範囲内に含まれることが意図される。
【0013】
本明細書で使用される場合、2つの他の要素又は領域「の中間にある」参照される要素又は領域は、参照される要素/領域が、2つの他の要素/領域の間に配設されているが、必ずしも接触しているわけではないことを意味する。したがって、例えば、第1の要素と第2の要素と「の中間にある」参照される要素は、第1及び/又は第2の要素に直に隣接してもしなくてもよく、又は接触してもしなくてもよく、他の要素は、参照される要素と第1及び/又は第2の要素との間に配設されてもよい。
【0014】
典型的には、空力カバー及びホイールバランスリングは、動力付き車両の車軸に独立して取り付けられており、そのため独立した取り外しを必要とする。バランスリングは、典型的には、デュアルホイール配置において2つの車両ホイールの間、又はシングルホイール配置において車軸ハブと車両ホイールとの間に装着されている。車両ホイールのハブに追加の構成要素を取り付けことにより、ハブのクランプされた接合部内の境界面の数が増え、それによって、接合部が弛緩する可能性が増大し得る。また、空力カバー及びバランスリング構成要素の両方をハブに取り付けることにより、車両ホイールアセンブリの質量が増加し得る。空力カバー及び車両ホイールバランスリングなどの構成要素は、典型的には車軸のハブに取り付けられるため、これらの構成要素の取り外しには、車両ホイールをハブに取り付けるナット及び/又はボルトの取り外しが必要となる場合がある。構成要素は、車両ホイールが交換されるたびに、車軸から個別に取り外される必要がある場合がある。国際公開第2008/023216号及び国際公開第2003/023252号に記載された装置は、例えば、前述の不利益のうちの1つ以上を被る場合がある。
【0015】
本開示は、車両ホイールカバーと、動的車両ホイールバランスリングと、を備える動的車両ホイールバランス装置を提供する。車両ホイールカバーは、第1の表面、第2の表面、及び第1の表面を第2の表面に連結する周囲表面を備え得る。車両ホイールカバーは、車両ホイールのフランジに、第2の表面が車両ホイールに向かい合う状態で取り外し可能に取り付くように適合され得る。動的車両ホイールバランスリングは、車両ホイールカバーの第2の表面に取り付けられ得る。本開示による動的車両ホイールバランス装置の実施形態は、車両ホイール/車軸接合部内の境界面の数を減少させ、車両ホイールカバー及び車両ホイールバランスリングを車両ホイールに取り付けるために必要な質量を減少させ、動的車両ホイールバランス装置を車両ホイールから取り外す必要なく、車両ホイールを動力付き車両の車軸に設置する及び/又は車両ホイールを動力付き車両の車軸から取り外すことを可能にし、かつ車両ホイールに動力供給する車両の燃料効率及び/又はバッテリ寿命を向上させ得る。
【0016】
図1を参照すると、動的車両ホイールバランス装置100の非限定的な実施形態が提供されている。動的車両ホイールバランス装置100は、車両ホイールカバー102及び動的車両ホイールバランスリング120を備え得る。動的車両ホイールバランス装置100が車両ホイール(例えば、
図2、
図3、
図4A及び
図4B、並びに
図5A及び
図5Bに示す車両ホイール230)に連結された様々な非限定的な実施形態では、動的車両ホイールバランス装置100は、車両ホイールの回転中に車両ホイール230を動的にバランス調整すること、及び車両ホイール230の空力抵抗を低減することの両方を行うことができる。動的車両ホイールバランス装置100は、装置100を動力付き車両のハブに取り付ける必要なく、車両ホイール230に取り付くように構成され得る。よって、様々な非限定的な実施形態では、動的車両ホイールバランス装置100の車両ホイール230への設置は、車両ホイール230をハブに装着する前に行われ得、かつ/又は車両ホイール230は、動的車両ホイールバランス装置100が車両ホイール230に取り付けられている間、ハブから取り外され得る。
【0017】
再び
図1A及び
図1Bを参照すると、車両ホイールカバー102は、第1の表面104、第2の表面106、及び第1の表面104を第2の表面106に連結する周囲表面108を備え得る。車両ホイールカバー102は、車両ホイールのフランジ(例えば、
図2に示す車両ホイール230のフランジ232)に、第2の表面106が車両ホイールに向かい合う状態で示されるような向きで取り外し可能に取り付くように適合され得る。車両ホイールカバー102の第1の表面104は、車両ホイールカバー102が動作可能に連結されている車両ホイールの空力抵抗を低減するように構成され得る。
【0018】
車両ホイールカバー102は、
図1A及び
図1Bに示すように、第1の開口部110a、110b、110c、110d、及び110eなど、周囲表面108に近接した少なくとも2つの第1の開口部を画定し得る。様々な非限定的な実施形態では、第1の開口部110a~eは、動的車両ホイールバランスリング120と周囲表面108との中間に位置する。第1の開口部110a~110eは、第1の表面104から第2の表面106に延在し得、各第1の開口部110a~110eは、車両ホイールカバー102を車両ホイール230のフランジ232に動作可能に結合するための締結具を受容するように構成され得る(例えば、
図4A及び
図4B、並びに
図5A及び
図5Bに関して図示及び記載するように)。様々な非限定的な実施形態では、第1の開口部110a~eのうちの少なくとも1つは、カウンターシンク加工され得る。例えば、
図4A及び
図4Bは、第1の開口部110aをカウンターシンク加工されたものとして描写している。様々な非限定的な実施形態では、第1の開口部110a~eの少なくとも1つはカウンターシンク加工されておらず、第1の表面102は、締結具の頭部が第1の表面102を越えて延在するように実質的に平面であり得る。例えば、
図5A及び
図5Bは、第1の開口部110aをカウンターシンク加工されていないものとして描写している。
【0019】
再び
図1Bの背面平面図を参照すると、動的車両ホイールバランスリング120は、車両ホイールカバー102の第2の表面106に連結され得る。例えば、動的車両ホイールバランスリング120は、車両ホイールカバー102と構造的に一体化され、車両ホイールカバー102に締結具によって連結され、かつ/又は車両ホイールカバーに接着され得る(例えば、溶接、糊付け)。動的車両ホイールバランスリング120は、バランスリング120が連結されているホイールが回転する際に、望ましくない質量分布を最小化及び/又は排除するように構成され得る。回転ホイールの質量不均衡は、例えば、ホイール振動及び早期のタイヤ摩耗をもたらし得る。様々な非限定的な実施形態では、動的車両ホイールバランスリング120は、媒体を囲む円形のレースウェイを備え得る。媒体は、移動可能な物体、流体(例えば、液体)、又は組み合わせのうちの少なくとも1つを含み得る。移動可能な物体は、例えば、ほぼ球体の物体(例えば、ボール、卵形、略球状)、円筒、又はホイールのモーメントに応答して円形のレースウェイ内を移動し、それによって車両ホイール230の質量分布を調整し、不均衡を低減するように構成された別の物体であり得る。特に、動的ホイールバランスリング120が軸A
1を中心に回転したとき、バランスリング120内の媒体は、遠心力に供され、回転する車両ホイールの質量不均衡に対抗する位置で円形のレースウェイの方々に分散され、それによって回転する車両ホイールの振動が低減される。
【0020】
図2を参照すると、様々な非限定的な実施形態では、動的車両ホイールバランス装置100は、車両ホイール230のフランジ232に動作可能に結合するように構成されたスナップリング240を備え得る。様々な実施形態において、フランジ232は、任意の従来的構成を有し得る。例えば、車両ホイール230のフランジ232は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/US2020/051829号に記載及び描写された車両ホイールのフランジ領域のように構成され得る。スナップリング240は、動的車両ホイールバランス装置100を車両ホイール230に直接結合し得、かつ/又はスナップリング240は、例えば、動的車両ホイールバランス装置100を車両ホイール230に結合するように適合されたクリップなどの追加の構成要素を組み込むように構成され得る。例えば、様々な非限定的な実施形態では、動的車両ホイール装置100は、例えば、
図2に示すように、動的車両ホイールバランス装置100を車両ホイール230に結合するよう適合された、クリップ244a、224b、244c、244d、及び244eなどの少なくとも2つのクリップを備え得る。
【0021】
クリップ244a~eの構成は、ここではクリップ244aを参照して説明するが、クリップ244b~eのうちのいずれも、本明細書に記載されるクリップ244aの特徴を有しても有さなくてもよいことが理解される。
図4B及び
図5Bを参照すると、クリップ244aは、第1の部分446及び第2の部分448を備え得る。第1の部分446は、スナップリング240に装着されるように構成され得る。例えば、第1の部分446は、実質的にJ字形状であり、スナップリング240と車両ホイール230のフランジ232との間にピン留めされるように構成され得る。第1の部分446は、スナップリング240を受容するようにサイズ設定された空洞452を備え得、様々な非限定的な実施形態では、スナップリング240は、空洞452内に圧入され得る。
【0022】
第2の部分448は、第1の開口部110a~110eのうちの1つと整列し、締結具456を受容し、それによってクリップ244aを車両ホイールカバー102に連結するように構成された、ボア450を備え得る。様々な非限定的な実施形態では、ボア450は、ねじ切りされ得、クイック取り付け機構を備え得、かつ/又は締結具456に結合するように構成された代替的な締結機構を備え得る。
【0023】
描写された非限定的な実施形態では、第2の部分448は、第1の部分446からオフセットされるように位置決めされ得る。第2の部分448を第1の部分446からオフセットされるように位置決めすることによって、車両ホイールカバー102が車両ホイール230に装着されたときに、車両ホイール230から延在する距離を縮めることができる。例えば、様々な非限定的な実施形態では、動的車両ホイールバランス装置100が車両ホイール230上に設置されたとき、車両ホイールカバー120は、車両ホイールのフランジから10mm以下の距離d
1分突出し得(
図4Bに示すように)、車両ホイール230のフランジ232と実質的に整列し得(
図5Bに示すように)、又は車両ホイール230のフランジ232の下に陥凹し得る。
【0024】
図3、
図4B、及び
図5Bに示す非限定的な実施形態を参照すると、周囲表面108は、動的車両ホイールバランス装置100が車両ホイール230上に設置されたときに、車両ホイール230のフランジ232によって画定される空洞234内に位置するように構成され得る。この配置により、車両ホイールカバー102上の空力抵抗を低減することができる。
図4Bを参照すると、周囲表面108は、第1の表面104から離れるように、空洞234内に湾曲し得る。
図5Bを参照すると、車両ホイールカバー102の第1の表面104は、実質的に平面であり得る(例えば、任意の表面突出部、へこみ、又は陥凹なしで、実質的に滑らかである)。しかしながら、代替的な非限定的な実施形態では、第1の表面104は、非平面状であり、1つ以上の表面突出部を含み、1つ以上のへこみ又は陥凹を含むなどとなり得ることが理解されよう。
【0025】
再び
図1A及び
図1B、
図2、並びに
図3を参照すると、車両ホイールカバー102は、第1の表面104から第2の表面106に延在する第2の開口部112を画定する。様々な非限定的な実施形態では、第1の開口部110a~eの各々は、第2の開口部112と周囲表面108との中間に位置し得る。
図3に示すように、例えば、第2の開口部112は、動的車両ホイールバランス装置100が車両ホイール230上に設置されたときに、車両ホイール230内に画定された1つ以上のスタッド受容ボア354へのアクセスを可能にするように構成され得る。例えば、様々な実施形態では、第2の開口部112は、ラグナット、ラグボルト、他の締結具、オペレータの手、ラグレンチ、インパクトドライバ、又は他のツールが第2の開口部112を通過し、スタッド受容ボア354に向かうことを可能にするサイズであり得、それにより、動的車両ホイールバランス装置100が車両ホイール230に設置されたまま、ラグナット及び/又はラグボルトは、動力付き車両のハブ上に設置され得、かつ/又は動力付き車両のハブから取り外され得る。様々な非限定的な実施形態では、第2の開口部112は、スタッド受容ボア354と整列する。特定の非限定的な実施形態では、第2の開口部112は、車両ホイール230又は車両ホイール230を動力付き車両のハブに固定するために使用される締結具(例えば、ラグナット、ラグボルト、他の締結具)の検査を可能にし得る。
【0026】
動的車両ホイールバランス装置100は、車両ホイール100のフランジ232に結合するように適合され得るため、第1の開口部110a~eは、動的車両ホイールバランス装置100が車両ホイール100上に設置されたときに、車両ホイール230内に画定されたスタッド受容ボア354とずれ得る。様々な非限定的な実施形態では、車両ホイール230は、例えば、14インチ(406.4mm)~25インチ(635mm)、又は19インチ(482.6mm)~25インチ(635mm)など、1インチ(2.54mm)~200インチ(5080mm)の範囲の公称リム径d2を含み得る。様々な非限定的な実施形態では、車両ホイール230は、例えば、6インチ(152.4mm)~24インチ(609.6mm)、又は6インチ(152.4mm)~12インチ(304.8mm)など、1インチ(2.54mm)~100インチ(2540mm)の範囲の公称リム幅d3を含み得る。
【0027】
様々な非限定的な実施形態では、車両ホイールバランス装置100は、ポリマー、金属、金属合金、又はそれらの材料のうちの2つ以上の組み合わせを含み得る。様々な非限定的な実施形態では、車両ホイールバランス装置100は、硬質材料を含み得る。
【0028】
動力付き車両は、車両ホイール230及び動的車両ホイールバランス装置100を備え得る。動力付き車両上の車両ホイール230の回転中、動的車両ホイールバランス装置100は、車両ホイール230を動的にバランス調整し、動力付き車両の空力抵抗を低減し得、結果として動力付き車両の燃費が向上する。本発明の動的車両ホイールバランス装置が電動車両上に装着された状況では、本発明で達成できる結果として生じる空力抵抗の低減により、車両が単一の車両バッテリ充電で走行できる距離が増加し得る。
【0029】
動力付き車両は、例えば、アメリカ連邦高速道路局によって定義される3~8など、1~8の範囲の車両重量クラスを含み得る。例えば、様々な非限定的な実施形態では、車両の総重量は、少なくとも10,001lbs.(4536.48kg)又は少なくとも26,000lbs.(11,798.4kg)であり得る。動力付き車両は、例えば、軽量、中量、又は重量車両、例えば、中量又は重量車両などであり得る。様々な非限定的な実施形態では、動力付き車両は、トラック(例えば、ピックアップ、大型、トラクター(例えば、セミトラック))、バン、又はバスであり得る。動力付き車両は、少なくとも2軸、例えば、少なくとも3軸、少なくとも4軸、少なくとも5軸、又は少なくとも6軸などを備え得る。様々な非限定的な実施形態では、動力付き車両は、10軸以下、例えば、6軸以下、5軸以下、4軸以下、又は3軸以下などを備え得る。様々な非限定的な実施形態では、動力付き車両は、2~10の範囲の車軸の数量を備え得る。様々な非限定的な実施形態では、動力付き車両は、燃焼エンジン、1つ以上の電気バッテリ、又はそれらの組み合わせによって動力供給され得る。
【0030】
図6を参照すると、動的車両ホイールバランス装置100を車両ホイール230に結合するための方法が提供されている。ステップ602で、方法は、動的車両ホイールバランス装置100のスナップリング240を車両ホイール230に動作可能に結合することを含み、クリップ244a~eは、スナップリング240と車両ホイール230のフランジ232との間にピン留めされる。例えば、クリップ244a~eは、スナップリング240上に圧入され得、スナップリング240は、車両ホイール230の空洞234によって受容されるのに適した第1の直径で構成され得る。その後、スナップリング240は、車両ホイール230の空洞234内に挿入され得、そのとき、スナップリング240がクリップ244a~eを車両ホイール230のフランジ232に押し付けるように第2の直径で構成され得、それによって、クリップ244a~e及びスナップリング240が車両ホイール230に固定される。様々な非限定的な実施形態では、スナップリング240は、車両ホイール210上にタイヤを設置する前、又は車両ホイール230上にタイヤを設置した後に、車両ホイール230の空洞234内に挿入され得る。
【0031】
ステップ604で、車両ホイールカバー102は、締結具456の利用によりクリップ244a~eに動作可能に結合され得る。例えば、締結具456は、第1の開口部110a~eの各々を通して、クリップ244a~eのボア450内に挿入され得る。締結具456は、締結具456を回転させることによって、クリップ244a~eの各々に固定され得る。例えば、ボア450がねじ山を備える様々な非限定的な実施形態では、締結具456はねじであり得、ボア450内にねじ込まれ得る。ボア450がクイック取り付け機構を備える特定の非限定的な実施形態では、締結具456は、クイック取り付け機構締結具を備え得、締結具456を回転させることによってボア450に固定され得る。例えば、クイック取り付け機構が使用される様々な実施形態では、締結具456は、180度以下の回転で各締結具456を回転させることによって、ボア450に固定され得る。
【0032】
ステップ606で、車両ホイール230は、動的車両ホイールバランス装置100が車両ホイール230に結合されている間、動力付き車両の車軸に取り付けられ得る。車軸は、例えば、動力付き車両のステア軸、駆動軸、又はトレーラ軸であり得る。車両ホイール230を取り付けることは、ボア354を、動力付き車両の車軸のハブ上のラグボルトと整列させ、ラグボルトをボア354に挿入することを含み得る。その後、ラグナットが、動的車両ホイールバランス装置100の第2の開口部112を通して挿入され、ラグボルト上にねじ込まれ、それによって、車両ホイール230が車軸に固定される。
【0033】
任意選択のステップ608では、動的車両ホイールバランス装置100が車両ホイール230に結合されたまま、車両ホイール230は、動力付き車両の車軸から取り外され得る。様々な非限定的な実施形態では、動的車両ホイールバランス装置100は、車両ホイール230を車軸に取り付ける前、かつ/又は車両ホイール230を車軸から取り外す前に、車両ホイール230から取り外され得る。様々な非限定的な実施形態では、車両ホイール230は、動的ホイールバランス装置100を装着する前に、車軸に取り付けられ得る。
【0034】
本発明の様々な態様には、以下の番号が付された項目に列挙される態様が含まれるが、これらに限定されるものではない。
1.動的車両ホイールバランス装置であって、
第1の表面、第2の表面、及び第1の表面を第2の表面に連結する周囲表面を備える車両ホイールカバーであって、車両ホイールカバーが、車両ホイールのフランジに、第2の表面が車両ホイールに向かい合う状態で取り外し可能に取り付くように構成されている、車両ホイールカバーと、
車両ホイールカバーの第2の表面に取り付けられた動的車両ホイールバランスリングと、を備える、動的車両ホイールバランス装置。
2.車両ホイールカバーが、周囲表面に近接した少なくとも2つの第1の開口部を画定し、少なくとも2つの第1の開口部の各々が、第1の表面から第2の表面に延在し、車両ホイールカバーを車両ホイールのフランジに動作可能に結合するための締結具を受容するように構成されている、項目1に記載の動的車両ホイールバランス装置。
3.車両ホイールのフランジに動作可能に結合するように構成されたスナップリングと、
少なくとも2つのクリップであって、各クリップが、スナップリングに装着されるように構成された第1の部分、及び第1の開口部のうちの1つと整列し、それぞれの締結具を受容し、それによってクリップを車両ホイールカバーに連結するように構成されたボアを備える第2の部分を備える少なくとも2つのクリップと、を更に備える、項目2に記載の動的車両ホイールバランス装置。
4.第2の部分が、第1の部分からオフセットされるように位置決めされている、項目3に記載の動的車両ホイールバランス装置。
5.第1の部分が、実質的にJ字形状であり、スナップリングと車両ホイールのフランジとの間にピン留めされるように構成されている、項目3又は4に記載の動的車両ホイールバランス装置。
6.少なくとも2つの第1の開口部のうちの少なくとも1つが、カウンターシンク加工されている、項目2~5のいずれか一項に記載の動的車両ホイールバランス装置。
7.車両ホイールカバーが、第1の表面から第2の表面に延在する第2の開口部を画定し、第1の開口部の各々が、第2の開口部と周囲表面との中間に位置し、第2の開口部は、動的車両ホイールバランス装置が車両ホイール上に設置されたときに、車両ホイール内に画定されたスタッド受容ボアへのアクセスを可能にするように構成されている、項目2~6のいずれか一項に記載の動的車両ホイールバランス装置。
8.少なくとも2つの第1の開口部の各々は、動的車両ホイールバランス装置が車両ホイール上に設置されたときに、車両ホイール内に画定されたスタッド受容ボアとずれている、項目7に記載の動的車両ホイールバランス装置。
9.車両ホイールカバーの第1の表面が、実質的に平坦である、項目1~8のいずれか一項に記載の動的車両ホイールバランス装置。
10.周囲表面が、第1の表面から離れるように湾曲している、項目1~9のいずれか一項に記載の動的車両ホイールバランス装置。
11.周囲表面は、動的車両ホイールバランス装置が車両ホイール上に設置されたときに、車両ホイールのフランジによって画定された空洞内に位置するように構成されている、項目1~10のいずれか一項に記載の動的車両ホイールバランス装置。
12.動的車両ホイールバランス装置が車両ホイール上に設置されたとき、車両ホイールカバーが、車両ホイールのフランジから10mm以下に突出するか、車両ホイールのフランジと実質的に整列するか、又は車両ホイールのフランジの下に陥凹する、項目1~11のいずれか一項に記載の動的車両ホイールバランス装置。
13.車両ホイールカバーの第1の表面が、車両ホイールの空力抵抗を低減するように構成されている、項目1~12のいずれか一項に記載の動的車両ホイールバランス装置。
14.動的車両ホイールバランスリングが、媒体を囲む円形のレースウェイを備える、項目1~13のいずれか一項に記載の動的車両ホイールバランス装置。
15.少なくとも2つの第1の開口部の各々が、動的車両ホイールバランスリングと周囲表面との中間に位置する、項目1~14のいずれか一項に記載の動的車両ホイールバランス装置。
16.車両ホイールであって、車両ホイールに連結された項目1~15のいずれか一項に記載の動的車両ホイールバランス装置を有し、動的車両ホイールバランス装置が、車両ホイールの回転中に車両ホイールを動的にバランス調整し、空力抵抗を低減する、車両ホイール。
17.車両ホイールが、1インチ~200インチの範囲の公称リム径、及び1インチ~100インチの範囲の公称リム幅を有する、項目16に記載の車両ホイール。
18.動力付き車両であって、動力付き車両の車両ホイール又は動力付き車両上に設置された項目16又は17に記載の車両ホイール上に設置された、項目1~15のいずれか一項に記載の動的車両ホイールバランス装置を備え、動的車両ホイールバランス装置が、動力付き車両の車両ホイールの回転中に動力付き車両の車両ホイールを動的にバランス調整し、動力付き車両の空力抵抗を低減し、結果として動力付き車両の燃料節約が高まる、動力付き車両。
19.方法であって、
項目3~5のいずれか一項に記載の動的車両ホイールバランス装置のスナップリングを車両ホイールに動作可能に結合することであって、クリップが、スナップリングと車両ホイールのフランジとの間にピン留めされる、動作可能に結合することと、
車両ホイールカバーを、締結具を利用してクリップに動作可能に結合することと、を含む、方法。
20.動的車両ホイールバランス装置が車両ホイールに結合されている間に、車両ホイールを動力付き車両の車軸に取り付けることを更に含む、項目19に記載の方法。
【0035】
本明細書において、別段の示唆が無い限り、全ての数値パラメータは、全ての場合において、数値パラメータがパラメータの数値を決定するために使用される基礎となる測定技術の固有の変動特性を有する、用語「約」によって、前置きされ、かつ修正されていると理解されるべきである。少なくとも、均等物の教義の適用を特許請求の範囲に限定する試みとしてではなく、本明細書に記載された各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効桁の数に照らして、かつ通常の丸め技法を適用することによって解釈されるべきである。
【0036】
また、本明細書に記述された任意の数値範囲は、記述された範囲内に包含される全ての部分範囲を含む。例えば、「1~10」という範囲は、記述された1という最小値と、記述された10という最大値との間の(及びそれらを含む)全ての部分範囲を含む、すなわち、1以上の最小値と10以下の最大値とを有する全ての部分範囲を含む。また、本明細書に記述された全ての範囲は、記述された範囲の端点を含む。例えば、「1~10」の範囲は、端点1及び10を含む。本明細書に記述された任意の最大数値制限は、その中に包含される全てのより低い数値限定を含むことが意図され、本明細書に記述される任意の最小数値限定は、その中に包含される全てのより高い数値限定を含むことが意図される。したがって、出願人は、明示的に記述された範囲内に包含される部分範囲を明示的に記述するために、特許請求の範囲を含み、本明細書を修正する権利を留保する。全てのこのような範囲は、本明細書に本質的に記載される。
【0037】
文法上の冠詞「a」、「an」、及び「the」は、本明細書で使用されるとき、別段の示唆がない限り、たとえ特定の場合において「少なくとも1つ」又は「1つ以上」が明示的に使用される場合であっても、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を含むことが意図される。したがって、前述の文法上の冠詞は、本明細書では、特定の識別された要素のうちの1つ又は2つ以上(すなわち、「少なくとも1つ」)を指すために使用される。更に、使用の文脈において別段の定めを必要としない限り、単数名詞の使用には複数形が含まれ、複数名詞の使用には単数形が含まれる。
【0038】
当業者は、本明細書に記載された物品及び方法、並びにそれらに付随する考察が、概念的明瞭性のために例として使用され、様々な構成修正が企図されていることを認識するであろう。したがって、本明細書で使用される場合、記載される特定の例/実施形態及び付随する考察は、そのより一般的なクラスを代表することが意図される。一般的に、任意の特定の例の使用はそのクラスを代表するものとして意図されており、特定の構成要素、デバイス、動作/アクション、及び物体の非包含は制限されるべきではない。本開示は、本開示の様々な態様及び/又はその潜在的な適用例を示す目的で様々な特定の態様の説明を提供するが、当業者に変形及び修正が思い浮かぶことが理解される。したがって、本明細書に記載される発明又は複数の発明は、少なくともそれらが特許請求されているのと同じくらいに広範であり、本明細書に提供される特定の例示的な態様によってより狭く定義されるものではないことが理解されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動的車両ホイールバランス装置であって、
第1の表面、第2の表面、及び前記第1の表面を前記第2の表面に連結する周囲表面を備える車両ホイールカバーであって、前記車両ホイールカバーが、車両ホイールのフランジに、前記第2の表面が前記車両ホイールに向かい合う状態で取り外し可能に取り付くように構成されている、車両ホイールカバーと、
前記車両ホイールカバーの前記第2の表面に取り付けられた動的車両ホイールバランスリングと、を備え
、
前記動的車両ホイールバランスリングが、媒体を囲む円形のレースウェイを備える、動的車両ホイールバランス装置。
【請求項2】
前記車両ホイールカバーが、前記周囲表面に近接した少なくとも2つの第1の開口部を画定し、前記少なくとも2つの第1の開口部の各々が、前記第1の表面から前記第2の表面に延在し、前記車両ホイールカバーを車両ホイールの前記フランジに動作可能に結合するための締結具を受容するように構成されている、請求項1に記載の動的車両ホイールバランス装置。
【請求項3】
前記車両ホイールの前記フランジに動作可能に結合するように構成されたスナップリングと、
少なくとも2つのクリップであって、各クリップが、前記スナップリングに装着されるように構成された第1の部分、及び前記第1の開口部のうちの1つと整列し、それぞれの締結具を受容し、それによって前記クリップを前記車両ホイールカバーに連結するように構成されたボアを備える第2の部分を備える、少なくとも2つのクリップと、を更に備える、請求項2に記載の動的車両ホイールバランス装置。
【請求項4】
前記第2の部分が、前記第1の部分からオフセットされるように位置決めされている、請求項3に記載の動的車両ホイールバランス装置。
【請求項5】
前記第1の部分が、実質的にJ字形状であり、前記スナップリングと前記車両ホイールの前記フランジとの間にピン留めされるように構成されている、請求項3に記載の動的車両ホイールバランス装置。
【請求項6】
前記少なくとも2つの第1の開口部のうちの少なくとも1つが、カウンターシンク加工されている、請求項2に記載の動的車両ホイールバランス装置。
【請求項7】
前記車両ホイールカバーが、前記第1の表面から前記第2の表面に延在する第2の開口部を画定し、前記第1の開口部の各々が、前記第2の開口部と前記周囲表面との中間に位置し、前記第2の開口部は、前記動的車両ホイールバランス装置が前記車両ホイール上に設置されたときに、前記車両ホイール内に画定されたスタッド受容ボアへのアクセスを可能にするように構成されている、請求項2に記載の動的車両ホイールバランス装置。
【請求項8】
前記少なくとも2つの第1の開口部の各々は、前記動的車両ホイールバランス装置が前記車両ホイール上に設置されたときに、車両ホイール内に画定されたスタッド受容ボアとずれている、請求項7に記載の動的車両ホイールバランス装置。
【請求項9】
前記車両ホイールカバーの前記第1の表面が、実質的に平坦である、請求項1に記載の動的車両ホイールバランス装置。
【請求項10】
前記周囲表面が、前記第1の表面から離れるように湾曲している、請求項1に記載の動的車両ホイールバランス装置。
【請求項11】
前記周囲表面は、前記動的車両ホイールバランス装置が前記車両ホイール上に設置されたときに、前記車両ホイールの前記フランジによって画定された空洞内に位置するように構成されている、請求項1に記載の動的車両ホイールバランス装置。
【請求項12】
前記動的車両ホイールバランス装置が前記車両ホイール上に設置されたとき、前記車両ホイールカバーが、前記車両ホイールのフランジから10mm以下に突出するか、前記車両ホイールの前記フランジと実質的に整列するか、又は前記車両ホイールの前記フランジの下に陥凹する、請求項1に記載の動的車両ホイールバランス装置。
【請求項13】
前記車両ホイールカバーの前記第1の表面が、前記車両ホイールの空力抵抗を低減するように構成されている、請求項1に記載の動的車両ホイールバランス装置。
【請求項14】
前記少なくとも2つの第1の開口部の各々が、前記動的車両ホイールバランスリングと前記周囲表面との中間に位置する、
請求項2に記載の動的車両ホイールバランス装置。
【請求項15】
車両ホイールであって、前記車両ホイールに連結された請求項1に記載の動的車両ホイールバランス装置を有し、前記動的車両ホイールバランス装置が、前記車両ホイールの回転中に前記車両ホイールを動的にバランス調整し、空力抵抗を低減する、車両ホイール。
【請求項16】
前記車両ホイールが、1インチ~200インチの範囲の公称リム径、及び1インチ~100インチの範囲の公称リム幅を備える、
請求項15に記載の車両ホイール。
【請求項17】
動力付き車両であって、前記動力付き車両の車両ホイール上に設置された請求項1に記載の動的車両ホイールバランス装置を備え、前記動的車両ホイールバランス装置が、前記動力付き車両の前記車両ホイールの回転中に前記動力付き車両の前記車両ホイールを動的にバランス調整し、前記動力付き車両の空力抵抗を低減し、結果として前記動力付き車両の燃料節約が高まる、動力付き車両。
【請求項18】
方法であって、
請求項3に記載の動的車両ホイールバランス装置の前記スナップリングを前記車両ホイールに動作可能に結合することであって、前記クリップが、前記スナップリングと前記車両ホイールの前記フランジとの間にピン留めされる、動作可能に結合することと、
前記車両ホイールカバーを、締結具を利用して前記クリップに動作可能に結合することと、を含む、方法。
【請求項19】
前記動的車両ホイールバランス装置が前記車両ホイールに結合されている間に、前記車両ホイールを動力付き車両の車軸に取り付けることを更に含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
動的車両ホイールバランス装置であって、
第1の表面、第2の表面、及び前記第1の表面を前記第2の表面に連結する周囲表面を備える車両ホイールカバーであって、前記車両ホイールカバーが、車両ホイールのフランジに、前記第2の表面が前記車両ホイールに向かい合う状態で取り外し可能に取り付くように構成されており、前記車両ホイールカバーが、前記周囲表面に近接した少なくとも2つの第1の開口部を画定し、前記少なくとも2つの第1の開口部の各々が、前記第1の表面から前記第2の表面に延在し、前記車両ホイールカバーを車両ホイールの前記フランジに動作可能に結合するための締結具を受容するように構成されている、車両ホイールカバーと、
前記車両ホイールカバーの前記第2の表面に取り付けられた動的車両ホイールバランスリングと、
前記車両ホイールの前記フランジに動作可能に結合するように構成されたスナップリングと、
少なくとも2つのクリップであって、各クリップが、前記スナップリングに装着されるように構成された第1の部分、及び前記第1の開口部のうちの1つと整列し、それぞれの締結具を受容し、それによって前記クリップを前記車両ホイールカバーに連結するように構成されたボアを備える第2の部分を備える、少なくとも2つのクリップと、
を備える、動的車両ホイールバランス装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
一実施形態では、駆動システムは、駆動システムの少なくとも1つの動作状態、好ましくは全負荷動作状態において、
‐第1の切替装置がその第1の動作状態を有し、及び/又は、
‐第1の切替素子がその第1の動作状態を有し、
さらなる発展形態では、付加的に、
‐第2の切替装置及び/若しくは1つ若しくは複数のさらなる切替装置(それぞれ)が、その第1の動作状態を有し、並びに/又は、
‐第2の切替素子及び/若しくは1つ若しくは複数のさらなる切替素子(それぞれ)が、その第1の動作状態を有するように、又は、そのために設定されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
車両ホイールカバー102は、
図1A及び
図1Bに示すように、第1の開口部110a、110b、110c、110d、及び110eなど、周囲表面108に近接した少なくとも2つの第1の開口部を画定し得る。様々な非限定的な実施形態では、第1の開口部110a~eは、動的車両ホイールバランスリング120と周囲表面108との中間に位置する。第1の開口部110a~110eは、第1の表面104から第2の表面106に延在し得、各第1の開口部110a~110eは、車両ホイールカバー102を車両ホイール230のフランジ232に動作可能に結合するための締結具を受容するように構成され得る(例えば、
図4A及び
図4B、並びに
図5A及び
図5Bに関して図示及び記載するように)。様々な非限定的な実施形態では、第1の開口部110a~eのうちの少なくとも1つは、カウンターシンク加工され得る。例えば、
図4A及び
図4Bは、第1の開口部110aをカウンターシンク加工されたものとして描写している。様々な非限定的な実施形態では、第1の開口部110a~eの少なくとも1つはカウンターシンク加工されておらず、第1の表面
104は、締結具の頭部が第1の表面
104を越えて延在するように実質的に平面であり得る。例えば、
図5A及び
図5Bは、第1の開口部110aをカウンターシンク加工されていないものとして描写している。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
図2を参照すると、様々な非限定的な実施形態では、動的車両ホイールバランス装置100は、車両ホイール230のフランジ232に動作可能に結合するように構成されたスナップリング240を備え得る。様々な実施形態において、フランジ232は、任意の従来的構成を有し得る。例えば、車両ホイール230のフランジ232は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/US2020/051829号に記載及び描写された車両ホイールのフランジ領域のように構成され得る。スナップリング240は、動的車両ホイールバランス装置100を車両ホイール230に直接結合し得、かつ/又はスナップリング240は、例えば、動的車両ホイールバランス装置100を車両ホイール230に結合するように適合されたクリップなどの追加の構成要素を組み込むように構成され得る。例えば、様々な非限定的な実施形態では、動的車両ホイール装置100は、例えば、
図2に示すように、動的車両ホイールバランス装置100を車両ホイール230に結合するよう適合された、クリップ244a、
244b、244c、244d、及び244eなどの少なくとも2つのクリップを備え得る。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
描写された非限定的な実施形態では、第2の部分448は、第1の部分446からオフセットされるように位置決めされ得る。第2の部分448を第1の部分446からオフセットされるように位置決めすることによって、車両ホイールカバー
102が車両ホイール230に装着されたときに、車両ホイール230から延在する距離を縮めることができる。例えば、様々な非限定的な実施形態では、動的車両ホイールバランス装置100が車両ホイール230上に設置されたとき、車両ホイールカバー
102は、車両ホイールのフランジから10mm以下の距離d1分突出し得(
図4Bに示すように)、車両ホイール230のフランジ232と実質的に整列し得(
図5Bに示すように)、又は車両ホイール230のフランジ232の下に陥凹し得る。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
動的車両ホイールバランス装置100は、車両ホイール102のフランジ232に結合するように適合され得るため、第1の開口部110a~eは、動的車両ホイールバランス装置100が車両ホイール100上に設置されたときに、車両ホイール230内に画定されたスタッド受容ボア354とずれ得る。様々な非限定的な実施形態では、車両ホイール230は、例えば、14インチ(355.6mm)~25インチ(635mm)、又は19インチ(482.6mm)~25インチ(635mm)など、1インチ(25.4mm)~200インチ(5080mm)の範囲の公称リム径d2を含み得る。様々な非限定的な実施形態では、車両ホイール230は、例えば、6インチ(152.4mm)~24インチ(609.6mm)、又は6インチ(152.4mm)~12インチ(304.8mm)など、1インチ(25.4mm)~100インチ(2540mm)の範囲の公称リム幅d3を含み得る。
【国際調査報告】