(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】アプリケータ及びアプリケータを形成する方法
(51)【国際特許分類】
A61C 19/06 20060101AFI20240305BHJP
A46B 9/04 20060101ALI20240305BHJP
A61M 35/00 20060101ALI20240305BHJP
A46B 15/00 20060101ALN20240305BHJP
【FI】
A61C19/06 Z
A46B9/04
A61M35/00 Z
A46B15/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556960
(86)(22)【出願日】2022-03-14
(85)【翻訳文提出日】2023-11-10
(86)【国際出願番号】 EP2022056483
(87)【国際公開番号】W WO2022194752
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508105773
【氏名又は名称】メドミックス スウィツァランド アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】モーザー, ジョセフ
【テーマコード(参考)】
3B202
4C052
4C267
【Fターム(参考)】
3B202AA06
3B202AB15
3B202BA03
3B202BE13
3B202EA01
3B202EB06
3B202FA18
4C052HH07
4C267AA61
4C267BB02
4C267BB12
4C267BB31
4C267CC16
4C267CC17
4C267GG05
4C267GG06
4C267GG10
4C267GG46
(57)【要約】
本発明は、アプリケータ(10)、特に歯科用アプリケータに関し、アプリケータは、アプリケータ先端(14)と細長い本体部分(16)とを有するアプリケータヘッド(10)を備え、アプリケータ(10)は、異なる材料の2つの部品(12、16)から作製され、2つのねじれ(18、20)を備え、2つのねじれのうちの一方は、2つの異なる部品が互いに少なくとも部分的に重なり合うアプリケータの一部に配置される。本発明はさらに、アプリケータを形成する方法に関する。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプリケータ(10)、特に歯科用アプリケータであって、アプリケータ先端(14)を有するアプリケータヘッド(12)と、細長い本体部分(16)と、を備え、前記アプリケータ(10)が、異なる材料の2つの部品(16、12)から作製され、2つのねじれ(18、20)を備え、前記2つのねじれのうちの一方(18)が、前記2つの異なる部品(12、16)が互いに少なくとも部分的に重なり合う前記アプリケータ(10)の一部に配置される、アプリケータ(10)。
【請求項2】
異なる材料から作製された前記2つの部品の一方が、前記細長い本体部分(16)であり、異なる材料から作製された前記2つの部品(16、12)の他方が前記アプリケータヘッド(12)であり、特に、前記アプリケータヘッド(12)の一部が前記細長い本体部分(16)の一部と重なり合う、請求項1に記載のアプリケータ(10)。
【請求項3】
前記細長い本体部分(16)の長さ(L)の少なくとも大部分に沿った前記細長い本体部分(16)の断面が、三角形及びルーローの三角形のうちの一方によって少なくとも実質的に形成される、請求項1又は請求項2に記載のアプリケータ(10)。
【請求項4】
前記アプリケータ先端(14)が、剛毛(26)を有するブラシ(24)及び発泡体(28)のうちの一方を備え、及び/又は
前記アプリケータ先端(14)が、そこに液体を貯蔵するように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載のアプリケータ(10)。
【請求項5】
前記2つのねじれ(18、20)のうちの一方が、少なくとも実質的に前記ルーローの三角形によって形成される前記細長い本体部分(16)のねじれ部分に直接隣接して配置される、請求項3に記載のアプリケータ(10)。
【請求項6】
前記アプリケータ先端(14)が、剛毛(26)を有するブラシ(24)であり、前記ブラシ(24)及び剛毛(26)が、熱可塑性エラストマー(TPE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性加硫物(TPV)、及び熱可塑性オレフィンエラストマー(TPO)のうちの少なくとも1つによって形成される、請求項1から5のいずれか一項に記載のアプリケータ(10)。
【請求項7】
前記2つのねじれ(18、20)は、特に前記アプリケータ先端(14)が前記細長い本体部分(16)に対して上方に向くように、一方向に、特に一方向にのみ曲げられるように構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載のアプリケータ(10)。
【請求項8】
前記2つのねじれ(18、20)の少なくとも一方が、周囲に延在する溝(22)として構成され、特に前記溝(22)が、前記アプリケータ(10)の長手方向軸(A)を横断する球形、円形、楕円形、三角形の断面を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のアプリケータ(10)。
【請求項9】
前記アプリケータヘッド(12)が、前記細長い本体部分(16)とは異なる材料から作製される、請求項1から8のいずれか一項に記載のアプリケータ(10)。
【請求項10】
前記細長い本体部分(16)が、ポリプロピレン(PP)及びポリ乳酸(PLA)のうちの一方から作製される、請求項1から9のいずれか一項に記載のアプリケータ(10)。
【請求項11】
前記アプリケータヘッド(12)が、熱可塑性エラストマー(TPE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性加硫物(TPV)、熱可塑性オレフィンエラストマー(TPO)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PU)、ポリスチレン(PS)、及び前述の組み合わせからなる部材の群から選択される材料を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のアプリケータ(10)。
【請求項12】
前記アプリケータヘッド(12)が、前記細長い本体部分(16)の一部を受け入れるように構成される、請求項1から11のいずれか一項に記載のアプリケータ(10)。
【請求項13】
前記アプリケータヘッド(12)内に受け入れられた前記細長い本体部分(16)の前記一部が、1つ又は複数のセンタリング要素(30、32)を備え、特に、互いに軸方向に離間するセンタリング要素(30、32)の2つの群が設けられ、及び/又は
前記ねじれ(18)のうちの一方が、前記アプリケータヘッド(12)のねじれ部分、及び前記アプリケータヘッド(12)内に受け入れられる前記細長い本体部分(16)のねじれ部分に配置され、及び/又は
前記細長い本体部分が、前記細長い本体部分(16)に対して前記アプリケータヘッド(12)の回転に対する安全性を提供する機構(30、32)を備える、請求項12に記載のアプリケータ(10)。
【請求項14】
前記アプリケータ先端(14)が、細孔(34)を有する連続気泡発泡体から作製された発泡体アプリケータ先端(14)である、請求項1から5及び7から13のいずれか一項に記載のアプリケータ(10)。
【請求項15】
波状表面(46)をさらに備える、請求項1から14のいずれか一項に記載のアプリケータ(10)。
【請求項16】
前記波状表面(46)が、前記細長い本体部分(16)の外面の5~30%、好ましくは10~25%を覆うように設けられる、請求項15に記載のアプリケータ(10)。
【請求項17】
前記波状表面が、複数の山(52)及び谷(54)を備える、請求項15又は16に記載のアプリケータ(10)。
【請求項18】
1つ又は複数の第1の注入点(48)が設けられる、請求項1から17のいずれか一項に記載のアプリケータ(10)。
【請求項19】
前記1つ又は複数の第1の注入点が前記細長い本体部分(16)に設けられる、請求項18に記載のアプリケータ(10)。
【請求項20】
前記1つ又は複数の第1の注入点(48)のうちの1つが前記波状表面(46)に設けられる、請求項15から17及び請求項18又は19のいずれか一項に記載のアプリケータ(10)。
【請求項21】
1つ又は複数の第2の注入点(50)が設けられる、請求項1から20のいずれか一項に記載のアプリケータ(10)。
【請求項22】
前記1つ又は複数の第2の注入点(50)が、前記アプリケータヘッド(12)に設けられる、請求項21に記載のアプリケータ(10)。
【請求項23】
前記1つ又は複数の第2の注入点が、前記アプリケータヘッド(12)に配置された前記ねじれ(18)に設けられる、請求項21又は請求項22に記載のアプリケータ(10)。
【請求項24】
アプリケータ(10)、特に歯科用アプリケータを形成する方法であって、前記アプリケータ(10)が、アプリケータ先端(14)及び細長い本体部分(16)を有するアプリケータヘッド(12)を備え、前記アプリケータ(10)が、異なる材料の2つの部品から作製され、2つのねじれ(18、20)を備え、前記2つのねじれ(18、20)の一方が、前記2つの異なる部品が少なくとも部分的に互いに重なり合う前記アプリケータ(10)の一部に配置され、前記方法が、前記細長い本体部分(16)を射出成形するステップと、次いで、前記アプリケータヘッド(12)の一部が前記細長い本体部分(16)の一部にオーバーモールドされて、前記アプリケータヘッド(12)を射出成形するステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、アプリケータ、特に歯科用アプリケータに関し、アプリケータは、アプリケータを有するアプリケータヘッドと細長い本体部分とを備え、アプリケータは、異なる材料の2つの部品から作製され、2つのねじれを含み、2つのねじれのうちの一方は、2つの異なる部品が互いに少なくとも部分的に重なり合うアプリケータの一部に配置される。本発明はさらに、アプリケータを形成する方法に関する。
【0002】
アプリケータは、特に、例えば患者の歯茎、歯、歯間の空間などを治療するための歯科分野及び医療分野において周知である。アプリケータは、クリーム、薬液、軟膏などの流体を患者の口腔又は身体の一部に塗布するために使用することができる。
【0003】
様々な作業を実行するために、アプリケータは、一般に、正確な塗布を実行するように構成されるアプリケータ先端を有する。例えば、ブラシは、患者の歯の間を清掃するために知られており、発泡体はまた、口腔の領域に歯科用又は医療用流体を塗布するためにも知られている。特に、口腔の届きにくい領域に関して、特定の用途のために変形することができ、変形後にその形状を確実に維持するアプリケータを提供することが望ましい。
【0004】
さらに、アプリケータ先端は、アプリケータの使用時にアプリケータ先端もその一部も脱落しないように、アプリケータのハンドルに固定される必要がある。
【0005】
このため、本発明の目的は、使用が簡単であり、使用中にその形状及び形態を維持し、使用においてその部品を緩めないアプリケータを利用可能にすることである。
【0006】
この目的は、請求項1の主題によって満たされる。
【0007】
例えば、そのようなアプリケータ、特に歯科用アプリケータは、アプリケータ先端及び細長い本体部分を有するアプリケータヘッドを備え、アプリケータは、異なる材料の2つの部品から作製され、2つのねじれを備え、2つのねじれのうちの一方は、2つの異なる部品が少なくとも部分的に互いに重なり合うアプリケータの一部に配置される。
【0008】
2つの部品、特に2つの部品のみのアプリケータを形成することにより、使用において粒子を失わないアプリケータが利用可能になるように、使用中にアプリケータの一部が外れることを回避する。
【0009】
さらに、異なる材料の2つの部品のアプリケータを形成することによって、各部品をその特定の使用に合わせて調整することができる。
【0010】
例えば、ハンドルとしての細長い本体部分の提供は、特に、アプリケータがアプリケータヘッドよりも硬く、柔軟性の低い材料、したがってより堅牢な材料で作られている場合に、アプリケータの使用中にアプリケータ先端の良好な触覚制御を可能にする。
【0011】
さらに、例えば、アプリケータ先端と一体的に形成されたアプリケータ先端を有するアプリケータヘッドを提供することにより、アプリケータの異なる構成要素の数が減少し、したがって、使用時にアプリケータの一部が失われるリスクが減少する。
【0012】
第2の材料で形成されたそのようなアプリケータヘッドは、例えば、細長い本体部分の材料よりも柔らかい及び/又は柔軟性の高い材料で形成することができ、したがって特定の用途により効果的に使用することができる。
【0013】
2つのねじれを提供することにより、患者の口腔内の到達しにくい領域に到達するためにアプリケータの特定の使用のために容易に変形することができるアプリケータの製造が可能になる。
【0014】
アプリケータの2つの部品が互いに重なり合うアプリケータの領域に2つのねじれのうちの1つを形成することによって、アプリケータに、アプリケータのこの部分における安定性の向上をもたらし、その結果、安定した形状で変形することができるアプリケータがもたらされ、この形状の変化もまた、塗布結果を改善するためにアプリケータの使用中に維持される。
【0015】
異なる材料から作製された2つの部品の一方は、細長い本体部分であってもよく、異なる材料から作製された2つの部品の他方は、アプリケータヘッドであってもよく、好ましくはアプリケータヘッドは、一体的に形成されるアプリケータ先端を備える。そのような設計を有するアプリケータは、使用においてより安定しており、アプリケータの部品の損失に関連する先行技術の問題を回避する。
【0016】
アプリケータヘッドの一部は、細長い本体部分の一部と重なってもよい。このようにして、アプリケータは、例えば射出成形プロセス又は付加製造プロセスにおいて形成することができ、2つの部品は、アプリケータの通常の使用中に互いに取り外し不能に取り付けられる。
【0017】
細長い本体部分の長さの少なくとも大部分に沿った細長い本体部分の断面は、三角形及びルーローの三角形のうちの一方によって少なくとも実質的に形成されるか、又は三角形及びルーローの三角形のうちの一方によって形成される。このようにしてアプリケータを形成することにより、アプリケータが配置される表面上で、使用においてアプリケータ先端が汚染され、さらなるアプリケータの使用が必要となり、治療の時間及びコストを増加させる役割を果たさないことを確実にする。
【0018】
これに関連して、大部分は、細長い本体部分の長さの半分超、具体的には細長い本体部分の長さの70%超、好ましくは85%超を意味する。
【0019】
アプリケータ先端は、剛毛を有するブラシ及び発泡体のうちの一方を備えることができる。そのようなアプリケータ先端は、異なる医療及び歯科用途に確実に使用することができる。
【0020】
アプリケータ先端は、そこに液体を貯蔵するように構成されてもよい。このようにして、標的部位の治療のために患者の口腔内に歯科用流体を導入することができ、又は患者の治療の成功後に望ましくない流体を患者から除去することができる。例として、アプリケータ先端は、6~15mgの歯科用流体を、好ましくは8~12mgの歯科用流体を貯蔵するように構成することができる。
【0021】
2つのねじれのうちの1つは、少なくとも実質的にルーローの三角形又は三角形によって形成される細長い本体部分のねじれ部分に直接隣接して配置されてもよい。このようにして、変形した後でも形状及び形態が安定している材料で作られた部品に、ねじれの1つを形成することができる。
【0022】
アプリケータ先端は、剛毛を有するブラシであってもよく、ブラシ及び剛毛は、熱可塑性エラストマー(TPE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性加硫物(TPV)、及び熱可塑性オレフィンエラストマー(TPO)のうちの少なくとも1つによって形成される。このようにして、使いやすいアプリケータを利用可能にすることができる。
【0023】
例として、そのような材料は、Santoprene 8281であり得、ブロックコポリマー群に由来するTPE材料のさらなる例は、とりわけ、CAWITON、THERMOLAST K、THERMOLAST M、Arnitel、Hytrel、Dryflex、Mediprene、Kraton、Pibiflex、Sofprene、及びLapreneである。これらのスチレン系ブロックコポリマー(TPE-s)の中には、CAWITON、THERMOLAST K、THERMOLAST M、Sofprene、Dryflex及びLapreneがある。Laripur、Desmopan又はElastollanは、熱可塑性ポリウレタン(TPU)の例である。Sarlink、Santoprene、Termoton、Solprene、THERMOLAST V、Vegaprene又はForpreneは、TPV材料の例である。熱可塑性オレフィンエラストマー(TPO)化合物の例は、ForTecE、Engage及びNinjaflexである。
【0024】
2つのねじれは、特にアプリケータ先端が細長い本体部分に対して上方に向くことができるように、一方向に、特に一方向のみに曲げられるように構成されてもよい。これは、使用においてフック形状のアプリケータなどが形成されてアプリケータの使用の自由度が十分に提供されるように、アプリケータが各ねじれで一方向に曲げられ得ることを意味する。
【0025】
2つのねじれのうちの少なくとも一方は、周方向に延在する溝として構成されてもよく、例えば、溝は、アプリケータの長手方向軸を横断する球形、円形、楕円形、三角形の断面を有する。このような溝を有するアプリケータを提供することにより、ユーザが、特定の所望の用途のためにアプリケータ先端の位置を操作することができるように、アプリケータを長手方向軸に対して360°曲げることが可能になる。
【0026】
アプリケータヘッドは、細長い本体部分とは異なる材料から作製されてもよい。例えば、アプリケータヘッドは、細長い本体部分の材料よりも柔らかい及び/又は柔軟性の高い材料から作製されてもよい。これは、アプリケータヘッドをアプリケータの特定の使用に合わせて調整できることを意味する。
【0027】
細長い本体部分は、ポリプロピレン及びポリ乳酸の一方から作製されてもよい。このようなプラスチックは、一定の変形を受けた後でも形状及びサイズが安定している。
【0028】
アプリケータヘッドは、熱可塑性エラストマー(TPE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性加硫物(TPV)、熱可塑性オレフィンエラストマー(TPO)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PU)、ポリスチレン(PS)、及び前述の組み合わせからなる部材の群から選択される材料を含むことができる。このような熱可塑性エラストマーは、例えば、歯科用途での使用において柔軟及び軟質であり、また流体を貯蔵することができる。
【0029】
アプリケータヘッドは、細長い本体部分の一部を受け入れるように構成されてもよい。これは、細長い本体部分におけるアプリケータヘッドの取り付けを改善するために、細長い本体部分の一部がアプリケータヘッドの中に、場合によってはアプリケータヘッドの一部を通って延在してもよいことを意味する。
【0030】
アプリケータヘッド内に受け入れられる細長い本体部分の一部は、1つ又は複数のセンタリング要素を含むことができ、例えば、互いに軸方向に離間しているセンタリング要素の2つのグループが設けられる。センタリング要素は、細長い本体部分におけるアプリケータヘッドの正確な位置決めを可能にし、細長い本体部分に対するアプリケータヘッドの回転を防止するために回転に対する安全性を提供することもできる。
【0031】
ねじれの1つは、アプリケータヘッドのねじれ部分、及びアプリケータヘッド内に受け入れられる細長い本体部分のねじれ部分に配置され得る。このようにして、第2のねじれは、アプリケータヘッドよりも硬く、より剛性の材料特性を有するアプリケータのねじれ部分にも設けられる。
【0032】
アプリケータ先端は、細孔を有する連続気泡発泡体から作製された発泡体アプリケータ先端であってもよい。そのようなアプリケータ先端は、適切な方法で歯科用又は医療用流体を分配するために使用することができる。
【0033】
アプリケータは、波状表面などをさらに備えることができる。そのような波状表面は、アプリケータを保持するためのグリップとして機能することができる。これに関連して、使用においてアプリケータの把持を改善することを可能にする他のグリップの形態が同様に設けられてもよいことに留意されたい。
【0034】
波状表面は、細長い本体部分の外面の5~30%、好ましくは10~25%を覆うように設けられてもよい。このようにして、グリップの長さは、アプリケータのユーザの指の1~3本の幅にほぼ対応する長さになるように選択することができる。
【0035】
波状表面は、複数の山及び谷を備えることができる。そのような波状表面は、例えば、射出成形プロセスで製造するのが簡単である。
【0036】
アプリケータは、1つ又は複数の第1の注入点を含むことができる。これらは、細長い本体部分を形成するために使用される型のその部分に有利に形成することができる。
【0037】
1つ又は複数の第1の注入点は、細長い本体部分に設けられてもよい。このようにして、細長い本体部分の材料は、細長い本体部分の材料が型の望ましくない領域を通って流れる必要がないように、細長い本体部分用に設計された型のその部分で対応する型に注入することができる。
【0038】
1つ又は複数の第1の注入点のうちの1つは、波状表面に設けられてもよい。そのような波状表面の構造は、細長い本体部分の構造よりも糸状であり得るので、材料が波状表面を成形するために成形された型の一部、すなわちグリップ内により容易に流れることができるように、波状表面が形成される型のその部分に対応する位置に注入点を設けることが必要となり得る。
【0039】
1つ又は複数の第2の注入点を設けることができる。これらは、好ましくは、第2の種類の材料をアプリケータの型に注入するように設計することができる。
【0040】
例として、1つ又は複数の第2の注入点は、アプリケータヘッドに設けられてもよい。このようにして、第2の注入点は、有利には、射出成形型がアプリケータヘッドの材料を注入する位置に配置することができる。
【0041】
有利には、1つ又は複数の第2の注入点は、アプリケータヘッドに配置されたねじれに設けられてもよい。このようにして、アプリケータヘッドの材料は、ねじれの周りをより容易に流れることができ、場合によっては第1及び第2の種類のセンタリング要素の少なくとも一方の領域にも流れることができる。
【0042】
さらなる態様によれば、本発明は、アプリケータ、特に歯科用アプリケータを形成する方法に関し、アプリケータは、アプリケータ先端及び細長い本体部分を有するアプリケータヘッドを備え、アプリケータは、異なる材料の2つの部品から作製され、2つのねじれを備え、2つのねじれのうちの一方は、2つの異なる部品が少なくとも部分的に互いに重なり合うアプリケータの一部に配置され、方法は、細長い本体部分を射出成形するステップと、次いで、アプリケータヘッドの一部が細長い本体部分の一部にオーバーモールドされて、アプリケータヘッドを射出成形するステップと、を含む。
【0043】
このようにして、アプリケータは、迅速、容易及び費用対効果の高い方法で製造することができる。
本発明のさらなる実施形態は、本明細書に添付される図面及び/又は従属請求項の以下の説明に記載される。本発明を、実施形態を用いて、示される図面を参照して以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1a】アプリケータ及びその細長い本体部分の側面図である。
【
図1b】アプリケータ及びその細長い本体部分の側面図である。
【
図2】
図1aのアプリケータのアプリケータヘッドの図である。
【
図3a】
図1bの細長い本体部分の接続部分の側面図である。
【
図3b】
図1bの細長い本体部分の接続部分の斜視図である。
【
図4b】
図1bの細長い本体部分の周囲の図である。
【0045】
以下では、同じ又は同等の機能を有する部品には同じ参照符号を使用する。構成要素の方向を考慮して行われる任意の記述は、図面に示される位置に対して行われ、当然ながら実際の適用位置において変化し得る。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1aは、アプリケータ10を示す。アプリケータ10は、アプリケータ先端14及び細長い本体部分16を有するアプリケータヘッド12を備える。アプリケータ10は、異なる材料の2つの部品16、12から作製される。異なる材料から作られた2つの部品の一方は細長い本体部分16であり、異なる材料から作られた2つの部品16、12の他方はアプリケータヘッド12である。
【0047】
アプリケータは、第1のねじれ18及び第2のねじれ20をさらに備え、2つのねじれ18のうちの一方は、2つの異なる部品12、16が少なくとも部分的に互いに重なり合うアプリケータ10の一部に配置される。
【0048】
アプリケータ先端14は、複数の剛毛26を有するブラシ24を備える。剛毛26は、特定の用途のために寸法設定される。ブラシ24及び剛毛26は、熱可塑性エラストマー(TPE)により形成されている。アプリケータ先端14は、そこに5~15mgの液体(図示せず)を貯蔵するように構成される。
【0049】
これに関連して、アプリケータヘッド12及びアプリケータ先端14の硬度は、20ショアOOから90ショアAまでの硬度範囲で選択されてもよいことに留意されたい。
【0050】
剛毛26は、0.1~1mmの範囲で選択された直径及び/又は0.2~4mmの範囲で選択された長さを有することができる。
【0051】
剛毛26は、円筒形状であってもよく、又は円錐台の形状を有してもよく、その場合、直径は剛毛26の長さの半分の直径である。
【0052】
剛毛の数は、20~100の範囲、好ましくは30~50の範囲で選択することができる。
【0053】
図1bは、細長い本体部分16の側面図を示す。細長い本体部分16の断面は、第2のねじれ20と後端38との間のルーローの三角形によって形成される。細長い本体部分16は、その長さLの60~85%、好ましくはその長さの75~80%にわたってこの形状を有することができる。
【0054】
アプリケータヘッド12は、細長い本体部分16とは異なる材料から作製される。細長い本体部分16は、ポリプロピレンPP及びポリ乳酸PLAの一方から作製されてもよい。
【0055】
これに関連して、細長い本体部分16の硬度は、45ショアD硬度~96ショアD硬度、好ましくは70ショアD硬度~90ショアD硬度の硬度範囲で選択されてもよいことに留意されたい。
【0056】
細長い本体部分16の前端40は、細長い本体部分16の一部を覆ってその上にアプリケータヘッド12を成形する際に使用されて、アプリケータヘッド12を細長い本体部分16の中央に配置し、使用において細長い本体部分16に対するアプリケータヘッド12の回転を防止するために、細長い本体部分16で回転に対する安全性を提供する第1及び第2の種類のセンタリング要素30、32を備える。
【0057】
アプリケータヘッドは、0.05~3mmの範囲、好ましくは0.1~2mmの範囲で選択された層厚で細長い本体部分16の一部の上に成形される。
【0058】
図2は、
図1のアプリケータ10のブラシ24の拡大図を示す。第2の種類のセンタリング要素32は、これらがアプリケータヘッド12内に延在するだけでなく、アプリケータヘッド12を貫通するのも見ることができる。
【0059】
これとは対照的に、第1の種類のセンタリング要素30は、アプリケータヘッド12内に延在するのみで、アプリケータヘッド12を貫通しない。
【0060】
長手方向軸Aを横断する方向の第1及び第2の種類のセンタリング要素30、32の高さは、0.05~3mmの範囲、好ましくは0.1~2mmの範囲で選択することができる。
【0061】
これに関連して、長手方向軸Aを横断する第1の種類のセンタリング要素30の長さは、0.1~10mmの範囲、好ましくは0.3~5mmの範囲で選択されてもよいことに留意されたい。
【0062】
これに関連して、長手方向軸Aに平行な第1の種類のセンタリング要素30の幅は、0.01~5mmの範囲、好ましくは0.05~1mmの範囲で選択されてもよいことに留意されたい。
【0063】
これに関連して、長手方向軸Aに沿った第2の種類のセンタリング要素32の長さは、0.1~5cmの範囲、好ましくは0.3~2cmの範囲で選択されてもよいことに留意されたい。
【0064】
これに関連して、長手方向軸Aに沿った第2の種類のセンタリング要素32の幅は、0.1~10mmの範囲、好ましくは0.5~5mmの範囲で選択されてもよいことに留意されたい。
【0065】
第2の種類のセンタリング要素32は、アプリケータ先端14と第1のねじれ18との間に配置される。
【0066】
第1及び第2の種類のセンタリング要素30、32の両方は、アプリケータヘッドに係合し、細長い本体部分16に対するアプリケータヘッドの移動を防止する矩形構造として形成される。
【0067】
アプリケータヘッド12を細長い本体部分16の上に形成すると、アプリケータ10の連続した外面44が形成され、第2の種類のセンタリング要素32の外側部分が連続した外面44の一部を形成する。
【0068】
アプリケータヘッド12は、第2のねじれ20とアプリケータ先端14との間で直径が先細になる。
【0069】
図3aは、細長い本体部分16の側面図を示し、
図3bは、細長い本体部分16の接続部分36の斜視図を示す。アプリケータヘッド12は、接続部分の長さにわたって細長い本体部分16の上に射出成形される。接続部分36の長さは、前端40と後端38との間の細長い本体部分16の長さLの10から30%として選択される。
【0070】
図4a及び
図4bは、アプリケータ10の三角形状の拡大図を示し、
図4aは、取り付けられたアプリケータ先端14を示し、
図4bは、細長い本体部分16から取り外されたアプリケータ先端14を示す。
【0071】
第1のねじれ18は、接続部分36、すなわち、アプリケータヘッド12が細長い本体部分16上にオーバーモールドされるアプリケータ10のねじれ部分に配置され、第2のねじれ20は、細長い本体部分16にのみ配置される。
【0072】
第1及び第2の種類のセンタリング要素30、32の両方は、接続部分36の外面42から突出している。
【0073】
第1の種類のセンタリング要素30は、第2の種類のセンタリング要素32を横断し、また、アプリケータ10の主延在方向に平行に延在するアプリケータ10の長手方向軸Aを横断して配置される。第1及び第2の種類のセンタリング要素30、32を互いに横方向に配置することによって、回転に対する安全性を向上させることができる。
【0074】
第2の種類のセンタリング要素32は、アプリケータ10の長手方向軸Aと平行に配置される。
【0075】
2種類のセンタリング要素30、32は、互いに軸方向に離間して配置され、第2の種類のセンタリング要素32は、第1の種類のセンタリング要素30と第2のねじれ22との間に配置される。
【0076】
これに関連して、長手方向軸Aに沿った第1の種類のセンタリング要素30と第2の種類のセンタリング要素32との間の間隔は、0.1~5cmの範囲、好ましくは0.5~3cmの範囲で選択されてもよいことに留意されたい。
【0077】
図示の例では、2つの第1の種類のセンタリング要素30及び2つの第2の種類のセンタリング要素32がそれぞれのグループに設けられ、それぞれのグループの各センタリング要素30、32は、細長い本体部分16の両側に配置される。
【0078】
これに関連して、そのような第1及び第2の種類のセンタリング要素30、32の1~4つ、すなわち、各センタリング要素30、32からそれぞれ1つ又は1つの第1及び4つの第2の種類のセンタリング要素30、32をそれぞれ設けることができることに留意されたい。
【0079】
第2のねじれ20は、少なくとも実質的にルーローの三角形によって形成される細長い本体部分16のねじれ部分に直接隣接して配置されている。
【0080】
2つのねじれ18、20は、長手方向軸に対して360°半径方向に任意の角度で曲げることができる一方で、一方向に曲がるように構成されている。三角形状の本体は、アプリケータ10が転がり落ちることなく平坦面上に置かれることを可能にし、アプリケータ10は、アプリケータ先端14が平坦面から、すなわち細長い本体部分16に対して、外方を向いた状態で、平坦面上に配置することができる。
【0081】
第1及び第2のねじれ18、20は、周方向に延在する溝22としてそれぞれ構成される。溝22は、アプリケータ10の長手方向軸Aを横断する球形、円形、楕円形、及び三角形の断面のうちの1つを有することができる。
【0082】
長手軸Aを横断する方向において、第2のねじれ20の溝22の幅は、第1のねじれ20の溝22の幅よりも大きい。
【0083】
これに関連して、第2のねじれ20の溝22の幅は、アプリケータ10の長さLの1%~5%の範囲で選択することができることに留意されたい。
【0084】
これに関連して、第2のねじれ20は、アプリケータ10の長さLの10~30%に対応する長さで配置されることにさらに留意されたい。
【0085】
これに関連して、第1のねじれ18の溝22の幅は、アプリケータ10の長さの0.2~1%の範囲で選択されることにさらに留意すべきである。
【0086】
これに関連して、第1のねじれ18は、アプリケータ10の長さLの2~10%に対応する長さに配置されることにさらに留意されたい。
【0087】
図5は、細孔34を有する連続気泡発泡体から作製された発泡体アプリケータ先端14を有するさらなるアプリケータ10の図を示す。発泡体で作られたアプリケータ先端14の材料は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PU)、ポリスチレン(PS)、及び前述の組み合わせのいずれかであってもよい。
【0088】
図6は、さらなるアプリケータヘッド12の図を示す。アプリケータ先端14は、
図6のアプリケータ10の使用時に流体を収集することができるケージ46を形成する4つのかぎ爪44を有する。
【0089】
かぎ爪44は、各端部で互いに接続され、形状が湾曲し、アプリケータ10の最遠位点で先端48に合流する。
【0090】
図7は、さらなるアプリケータヘッド12の図を示す。アプリケータ先端14は、剛毛26を有するブラシ24である。
図1~
図4に関連して示された剛毛26を有するブラシ24とは対照的に、剛毛26は、互いに平行に、長手方向軸Aに対して半径方向ではなく長手方向軸Aに対して対向して配置された2つの方向にのみ延在する。
【0091】
アプリケータ10を形成する方法は、細長い本体部分16を射出成形し、次いで細長い本体部分16の一部を覆ってその上にアプリケータヘッド12を射出成形するステップを含むことができる。
【0092】
アプリケータ10の使用時に、ユーザは、アプリケータ10が使用されることが意図されている場所を決定し、次いで、標的の部位に到達しにくい場合であっても、アプリケータ先端14を使用する前に、第1及び第2のねじれ18、20の一方でアプリケータ先端14を細長い本体部分16に対して少なくとも1回曲げることができる。
【0093】
図8a~
図8cは、さらなる種類のアプリケータ10を示す。このアプリケータ10は、波状表面46を備える。そのような波状表面46は、改善された方法でアプリケータ10を把持するためにアプリケータ10のユーザによって有利に使用することができる。
【0094】
波状表面46は、細長い本体部分16の外面の約20%を覆うように設けられている。これに関連して、細長い本体部分16の外面の5~30%、好ましくは10~25%を覆うように配置することができることに留意されたい。
【0095】
波状表面46は、複数の山52及び谷54を備える。図示の例では、13個の山52及び12個の谷が設けられている。これに関連して、5から40の範囲で選択されたそれぞれの数の山52及び谷54を設けることができることに留意されたい。提供される山52の数が谷54の数よりも1つ多い場合、すなわち6つの山が設けられる場合、5つの谷54を設けることができ、40の山52が設けられる場合、39の谷54を設けることができることが一般に望ましい。
【0096】
図8aからも分かるように、2つの第1の注入点48及び1つの第2の注入点50が設けられる。第1の注入点48は細長い本体部分16に設けられ、第2の注入点50はアプリケータヘッド12に設けられる。
【0097】
図8bの拡大図から分かるように、第1の注入点48の一方は、波状表面46に設けられ、第2の注入点50は、アプリケータヘッド12に配置されたねじれ18に設けられる。
【0098】
これに関連して、注入点という用語は、それぞれの構成要素の材料がアプリケータ10を形成するため型に注入される形成を指し、形成は、アプリケータ10の対応する部分を形成するためにそれぞれの材料が型に注入された領域内のアプリケータ10の外面に見えるままであることに留意されたい。
【0099】
図8cは、それぞれの部分の形成後に残っている形成物の位置、すなわちそれらの注入点48、50を示す
図8bのアプリケータの側面図を示す。
【0100】
それぞれの注入点48、50は、材料が射出ノズル(図示せず)からこれらの糸状構成要素に最も良好に流れることを意味する、材料がこの点で射出ノズルから最も良好に流出し 材料が射出ノズルにおいて最も高い温度及び圧力を有するときに、形成される糸状構成要素の近傍に設けられる。
【0101】
図8a~
図8cの波状表面46の様式で示されるグリップは、上記に示される他の種類のアプリケータ10にも形成することができることにも留意されたい。同様に、他の種類のアプリケータはまた、材料をそれぞれの部品を形成するための型に有利に注入することができ、効率が向上し、結果が改善されるアプリケータ10の領域にそれぞれ存在する第1及び第2の注入点を有することができる。
【符号の説明】
【0102】
10 アプリケータ
12 アプリケータヘッド
14 アプリケータ先端
16 細長い本体部分
18 第1のねじれ
20 第2のねじれ
22 溝
24 ブラシ
26 剛毛
28 発泡体
30 第1の種類のセンタリング要素
32 第2の種類のセンタリング要素
34 細孔
36 接続部
38 16の後端
40 16の前端
42 36の外面
44 かぎ爪
46 波状表面
48 第1の注入点
50 第2の注入点
52 山
54 谷
A 長手方向軸
L 16の長さ
【国際調査報告】