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特表2024-511030ダイヤモンドディスク及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】ダイヤモンドディスク及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B24D 3/00 20060101AFI20240305BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240305BHJP
   B24B 53/017 20120101ALI20240305BHJP
【FI】
B24D3/00 310E
H01L21/304 622M
H01L21/304 622F
B24D3/00 340
B24D3/00 320B
B24D3/00 330Z
B24D3/00 330G
B24B53/017 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557059
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(85)【翻訳文提出日】2023-09-14
(86)【国際出願番号】 KR2022003778
(87)【国際公開番号】W WO2022197132
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0034945
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0033016
(32)【優先日】2022-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523351335
【氏名又は名称】イーファ ダイアモンド インダストリアル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】EHWA DIAMOND INDUSTRIAL COMPANY LIMITED
【住所又は居所原語表記】374,Nambu-daero,Osan-si,Gyeonggi-do 18145,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヒ-ドン
(72)【発明者】
【氏名】クァク,キョン クク
(72)【発明者】
【氏名】リー,シー カン
【テーマコード(参考)】
3C047
3C063
5F057
【Fターム(参考)】
3C047AA15
3C047AA34
3C047EE11
3C047EE19
3C063AA02
3C063AB05
3C063BA02
3C063BA21
3C063BB02
3C063BC01
3C063BC02
3C063CC04
3C063EE01
3C063FF23
5F057AA01
5F057AA21
5F057BA11
5F057DA03
5F057EA32
5F057EA33
5F057EB07
5F057EB27
5F057FA39
(57)【要約】
ダイヤモンドディスクは、シャンクベースと、前記シャンクベースの表面に形成されるボンディング層と、前記ボンディング層に露出するように配置される複数のボロンドープダイヤモンドとを含み、前記複数のボロンドープダイヤモンドの少なくとも一部は、前記ボロンドープダイヤモンドの長軸と会いながら最上端に配置された面が、前記長軸の上端から下方に傾斜する姿勢でボンディング層に配置されることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャンクベース;
前記シャンクベースの表面に形成されるボンディング層;及び
前記ボンディング層に露出するように配置される複数のボロンドープダイヤモンド(BDD:Boron Doped Diamond)を含み、
前記複数のボロンドープダイヤモンドの少なくとも一部は、前記ボロンドープダイヤモンドの長軸と会いながら最上端に配置された面が、前記長軸の上端から下方に傾斜する姿勢で前記ボンディング層に配置される、
ダイヤモンドディスク。
【請求項2】
前記ボロンドープダイヤモンドの前記長軸が前記シャンクベースに対して50°超過90°以下の姿勢を有し、前記ボロンドープダイヤモンドが前記ボンディング層に配置されることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンドディスク。
【請求項3】
前記ボンディング層の表面と前記ボロンドープダイヤモンドの表面とが会う濡れ角(Wetting angle)は、0°以上60°以下に維持されることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンドディスク。
【請求項4】
前記ボロンドープダイヤモンドの平均直径に対する前記ボンディング層の厚さ比は、30%~65%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンドディスク。
【請求項5】
前記ボロンドープダイヤモンドにドープされるボロンのドーピング量は、1ppm~2000ppmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンドディスク。
【請求項6】
前記ボロンドープダイヤモンドの単位体積当たりの磁化率(Magnetic susceptibility per unit volume)は、単位体積当たり20~800の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンドディスク。
【請求項7】
前記ボンディング層の密度に対する前記ボロンドープダイヤモンドの密度の割合が0.4~0.6の範囲に維持されることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンドディスク。
【請求項8】
前記ボロンドープダイヤモンドは八面体からなるダイヤモンド(octahedron Diamond)であり、
前記ボロンドープダイヤモンドの下端部は、前記ボロンドープダイヤモンドが前記ボンディング層の上部で起立されたときに前記シャンクベースの表面に点または線接触したり、所定距離離隔することを特徴とする請求項5に記載のダイヤモンドディスク。
【請求項9】
前記ボロンドープダイヤモンドによるパッド研磨特性(PCR:Pad cut rate)は、PCR試験装置において、前記ボロンドープダイヤモンドで作られたCMP Padコンディショナーが100rpm~120rpmで回転し、研磨パッドが80rpm~95rpmで回転するとき、前記ボロンドープダイヤモンドで作られたCMP Padコンディショナーが、前記研磨パッドを4~9lbfの加圧状態でPCRがパッドコンディショニングのために2~10μm/hrの範囲に低くなるまで13時間以上かかることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンドディスク。
【請求項10】
シャンクベースの表面にボンディング材料を塗布するボンディング材料塗布段階;前記シャンクベースの表面に塗布された前記ボンディング材料を第1温度範囲で加熱して仮焼結体の形態のボンディング層を形成する仮焼結段階;
複数のボロンドープダイヤモンド(BDD:Boron Doped Diamond)を前記仮焼結体の表面に提供するダイヤモンド提供段階;及び
前記複数のボロンドープダイヤモンドの少なくとも一部は、前記ボロンドープダイヤモンドの長軸と会いながら最上端に配置された面が、前記長軸の上端から下方に傾斜する姿勢で前記ボンディング層に配置されるように第2温度範囲で熱処理する熱処理段階を含む、
ダイヤモンドディスクの製造方法。
【請求項11】
前記熱処理段階において、前記ボロンドープダイヤモンドの長軸は、前記シャンクベースに対して50°超過90°以下の姿勢で前記ボンディング層に露出するように配置されることを特徴とする請求項10に記載のダイヤモンドディスクの製造方法。
【請求項12】
前記仮焼結段階において、前記第1温度範囲は600℃~900℃であり、前記熱処理段階で前記第2温度範囲は1000℃~1300℃であることを特徴とする請求項10に記載のダイヤモンドディスクの製造方法。
【請求項13】
前記熱処理段階において、前記ボンディング層の表面と前記ボロンドープダイヤモンドの表面とが会う濡れ角(Wetting angle)は、0°以上60°以下に維持されることを特徴とする請求項10に記載のダイヤモンドディスクの製造方法。
【請求項14】
前記熱処理段階において、前記ボロンドープダイヤモンドの平均直径に対する熱処理後の前記ボンディング層の厚み比率は、30%~65%の範囲であることを特徴とする請求項10に記載のダイヤモンドディスクの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイヤモンドディスク及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、CMP(Chemical mechanical polishing)工程は化学‐機械的研磨加工で、研磨除去加工と化学液の溶解作用を同時に利用して半導体ウエハの平坦度を得る研磨加工である。
【0003】
CMP研磨加工原理は、研磨パッドとウエハを相互加圧した状態でこれらを相対運動させながら研磨パッド上に研磨粒子と化学液が混入した研磨液(slurry)を供給する過程からなるが、このときポリウレタン素材からなる研磨パッド表面にある多数の発泡細孔が新しい研磨液を保持する役割をし、一定の研磨効率とウエハ全面に研磨均一性を得ることができるようになる。
【0004】
しかし、研磨中に圧力と相対速度が加わるため、加工時間が経つにつれて研磨パッドの表面は不均一に変形し、研磨パッド上の細孔が研磨残渣で詰まり、研磨パッドがその役割を果たさなくなる。これにより、全加工時間中にウエハ全面における広域平坦化やウエハ間の研磨均一性等を達成することができなくなる。
【0005】
このようなCMP研磨パッドの不均一変形や細孔の目詰まりを解決するために、CMPパッドコンディショナーを用いて研磨パッドの表面を微細に研磨することにより、新しいマイクロ細孔が形成されるようにCMPパッドコンディショニング作業を行っている。
【0006】
CMPパッドコンディショニング作業は、生産性を高めるために本作業であるCMP作業と同時に行うことができる。これをいわゆるイン・サイチュコンディショニング(In-situ Conditioning)という。
【0007】
このとき、CMP作業に使用される研磨液は、シリカ、アルミナ、及びセリアなどのような研磨粒子を含み、CMP工程は、使用される研磨液の種類によって大きくオキシドCMPとメタル(Metal)CMPに区分される。前者に用いられるオキシドCMP用研磨液はpH値が主に10~12であり、後者に用いられるメタルCMP用研磨液のpHは4以下で酸性の溶液を用いる。
【0008】
通常の従来のCMPパッドコンディショナーとしては、電着方式で製造された電着型CMPパッドコンディショナーと金属粉末を高温で溶融させる方式の融着型CMPパッドコンディショナーが用いられている。これらのCMPパッドコンディショナーには研磨材として粒状のダイヤモンド粒子が主に用いられている。ダイヤモンド粒子は、電着または融着によって形成される金属マトリックスによって固定される。
【0009】
ダイヤモンドは地球上に存在する物質の中で最も硬度の高い物質として知られており、このような特性により人工ダイヤモンドを素材として製造されたダイヤモンド工具が製作されて使用されている。
【0010】
ところで、従来のCMP工程では、CMPパッドコンディショナーにダイヤモンドがスラリーと一緒にウエハ研磨に使用されていた。腐食性の強いスラリーを使用すると、スラリー中の添加物がダイヤモンドの炭素と反応してダイヤモンドの摩耗を加速させてダイヤモンドディスクの寿命を短くするという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2012-0058303号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の実施例は、耐摩耗性を改善し、研削性能の高いダイヤモンドディスクおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様によれば、シャンクベース; 前記シャンクベースの表面に形成されるボンディング層;及び前記ボンディング層に露出するように配置される複数のボロンドープダイヤモンド(BDD:Boron Doped Diamond)を含み、前記複数のボロンドープダイヤモンドの少なくとも一部は、前記ボロンドープダイヤモンドの長軸と会いながら最上端に配置された面が、前記長軸の上端から下方に傾斜する姿勢で前記ボンディング層に配置されるダイヤモンドディスクを提供することができる。
【0014】
また、前記ボロンドープダイヤモンドの前記長軸が前記シャンクベースに対して50°超過90°以下の姿勢を有し、前記ボロンドープダイヤモンドが前記ボンディング層に配置されることができる。
【0015】
また、前記ボンディング層の表面と前記ボロンドープダイヤモンドの表面とが会う濡れ角(Wetting angle)は、0°以上60°以下に維持されることができる。
【0016】
また、前記ボロンドープダイヤモンドの平均直径に対する前記ボンディング層の厚さ比は、30%~65%の範囲であることができる。
【0017】
また、前記ボロンドープダイヤモンドにドープされるボロンのドーピング量は、1ppm~2000ppmの範囲であることができる。
【0018】
さらに、前記ボロンドープダイヤモンドの単位体積当たりの磁化率(Magnetic susceptibility per unit volume)は、単位体積当たり20~800の範囲であることができる。
【0019】
また、前記ボンディング層の密度に対する前記ボロンドープダイヤモンドの密度の割合が0.4~0.6の範囲に維持されることができる。
【0020】
また、前記ボロンドープダイヤモンドは八面体からなるダイヤモンド(octahedron Diamond)であり、前記ボロンドープダイヤモンドの下端部は、前記ボロンドープダイヤモンドが前記ボンディング層の上部で起立されたときに前記シャンクベースの表面に点または線接触したり、所定距離離隔することができる。
【0021】
また、前記ボロンドープダイヤモンドによるパッド研磨特性(PCR:Pad cut rate)は、PCR試験装置において、前記ボロンドープダイヤモンドで作られたCMP Padコンディショナーが100rpm~120rpmで回転し、研磨パッドが80rpm~95rpmで回転するとき、前記ボロンドープダイヤモンドで作られたCMP Padコンディショナーが、前記研磨パッドを4.5~9lbfの加圧状態でPCRがパッドコンディショニングのために2~10μm/hrの範囲に低くなるまで13時間以上かかることができる。
【0022】
本発明の他の態様によれば、シャンクベースの表面にボンディング材料を塗布するボンディング材料塗布段階;前記シャンクベースの表面に塗布された前記ボンディング材料を第1温度範囲で加熱して仮焼結体の形態のボンディング層を形成する仮焼結段階;複数のボロンドープダイヤモンド(BDD:Boron Doped Diamond)を前記仮焼結体の表面に提供するダイヤモンド提供段階;及び前記複数のボロンドープダイヤモンドの少なくとも一部は、前記ボロンドープダイヤモンドの長軸と会いながら最上端に配置された面が、前記長軸の上端から下方に傾斜する姿勢で前記ボンディング層に配置されるように第2温度範囲で熱処理する熱処理段階を含むダイヤモンドディスクの製造方法を提供することができる。
【0023】
また、前記熱処理段階において、前記ボロンドープダイヤモンドの長軸は、前記シャンクベースに対して50°超過90°以下の姿勢で前記ボンディング層に露出するように配置されることができる。
【0024】
また、前記仮焼結段階において、前記第1温度範囲は600℃~900℃であり、前記熱処理段階で前記第2温度範囲は1000℃~1300℃であることができる。
【0025】
また、前記熱処理段階において、前記ボンディング層の表面と前記ボロンドープダイヤモンドの表面とが会う濡れ角(Wetting angle)は、0°以上60°以下に維持されることができる。
【0026】
また、前記熱処理段階において、前記ボロンドープダイヤモンドの平均直径に対する熱処理後の前記ボンディング層の厚み比率は、30%~65%の範囲であることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の実施例によれば、八面体構造のボロンドープダイヤモンド(BDD:Boron Doped Diamond)により優れた耐摩耗性と高い研削性能を実現することができるという利点がある。
【0028】
また、本発明の実施例によれば、八面体の(Octahedral)ボロンドープダイヤモンド(BDD:Boron Doped Diamond)であり、ボロンドープダイヤモンドがセルフスタンディング(Self-standing)する割合が一定比率以上になることで、耐摩耗性を改善し、研削性能が向上することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本発明の1実施例によるダイヤモンドディスクにおいて、仮焼結体の形態のボンディング層上にボロンドープダイヤモンド(BDD)が臨時付着された状態を示す図である。
図2図2は、本発明の1実施例によるダイヤモンドディスクにおいて、熱処理後のボンディング層にボロンドープダイヤモンド(BDD)が起立した状態を示す図である。
図3図3は、本発明の1実施例によるダイヤモンドディスクにおいて、熱処理後のボンディング層にボロンドープダイヤモンド(BDD)がウェッティング(Wetting)された状態を示す図である。
図4図4は、本発明の1実施例によるダイヤモンドディスクと一般ダイヤモンドの摩耗状態を比較した写真である。
図5図5は、本発明の1実施例によるダイヤモンドディスクと一般ダイヤモンドの摩耗状態を比較した写真である。
図6図6は、本発明の1実施例によるボロンドープダイヤモンド(BDD)が適用されたダイヤモンドディスクと、ボロンがドープされていない一般八面体ダイヤモンドが適用されたダイヤモンドディスクを拡大して比較した写真である。
図7図7は、本発明の1実施例によるボロンドープダイヤモンド(BDD)及び一般八面体ダイヤモンドが適用されたダイヤモンドディスクのPCRテストを示すフラフである。
図8図8は、本発明の1実施例によるボロンドープダイヤモンド(BDD)及び一般ダイヤモンド(Regular diamond)において、熱処理による重量減少率を示すグラフである。
図9図9は、本発明の1実施例によるダイヤモンドディスクの製造方法を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の技術的思想を実現するための具体的な実施例について添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0031】
なお、本発明の説明において、関連する公知の構成または機能に関する具体的な説明が本発明の要旨をぼかす可能性があると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0032】
また、ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「支持」、「接続」、「供給」、「伝達」、「接触」されると言及されている場合は、その他の構成要素に直接連結、支持、接続、供給、伝達、接触されることもできるが、間にまた他の構成要素が存在してもよいことを理解すべきである。
【0033】
本明細書で使用される用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたものであり、本発明を限定することを意図するものではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味を持たない限り、複数の表現を含む。
【0034】
なお、本明細書において上側、下側、側面等の表現は、図面の図示に基づいて説明したものであり、当該対象の向きが変化すれば異なって表現できることを予め明らかにしておく。同様の理由で、添付の図面において一部の構成要素は誇張、省略、または概略的に示されており、各構成要素のサイズは実際のサイズを完全に反映するものではない。
【0035】
さらに、第1、第2などの序数を含む用語は、様々な構成要素を説明するために使用されることができるが、対応する構成要素はそのような用語によって限定されない。これらの用語は、ある構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0036】
本明細書で使用される「含む」の意味は、特定の特性、領域、定数、ステップ、動作、要素および/または成分を具体化し、他の特定の特性、領域、定数、ステップ、動作、要素、成分および/またはグループの存在や付加を除外するのではない。
【0037】
まず、ダイヤモンドの化学成分について、一般的なダイヤモンド(Regular diamond)と本発明によるボロンドープダイヤモンド(BDD:Boron Doped Diamond)とを比較すると、腐食性の強い環境(例えば、w CMP、Oxide CMP工程)では、ボロンドープダイヤモンド(BDD)の耐摩耗性が一般ダイヤモンドの耐摩耗性より優れ、腐食性が弱い一般環境では一般ダイヤモンドの耐摩耗性とボロンドープダイヤモンド(BDD)の耐摩耗性に大きな差がない。
【0038】
そして電着CMPダイヤモンドディスク製造方式は、ニッケル電気めっきをボンディング層で不導体であるダイヤモンドを支持する。しかし、電気が通じるボロンドープダイヤモンド(BDD:Boron Doped Diamond)は、電気メッキ時にボロンドープダイヤモンドの表面までニッケル電着層が覆われるため、一般的な方法ではボロンドープダイヤモンドは電着工程に使用できない。したがって、ボロンドープダイヤモンド(BDD:Boron Doped Diamond)は、融着方式と焼結方式でダイヤモンドディスク(diamond disc)を製造する際に適用可能である。
【0039】
また、一般鉄(Fe)系金属の加工において、ダイヤモンドは鉄系金属と親和反応で金属加工が難しい。CMPパッドコンディショニング作業において、研磨パッドにスラリーを供給するとき、スラリーに含まれている鉄(Fe)成分がダイヤモンドディスクのダイヤモンドの炭素と反応してダイヤモンドの摩耗を加速することができる。結局、ダイヤモンドの摩耗が速くなり寿命が短い。しかし、本発明によるボロン(Boron)がドープされた(Doped)ボロンドープダイヤモンド(BDD:Boron Doped Diamond)は、炭素(Carbon)の酸化反応(C+O→CO)を抑制(Blocking layerとして作用)するため 、ダイヤモンドディスクの安定性を向上させることができる。
【0040】
本発明によるボロンドープダイヤモンド(BDD)、一般ダイヤモンド、従来の窒化ホウ素(CBN:cubic boron nitride)の製造上の相違点は以下の表1の通りである。
【0041】
【表1】
本発明によるボロンドープダイヤモンドの場合、Fe、Ni合金とボロン(Boron:Pure boronまたはBoron carbide)が触媒剤であって、ダイヤモンド合成においてボロン(Boron)が炭素と置換されたり、ボロン(Boron)がダイヤモンド構造に侵入することができる。このボロンドープダイヤモンドは、外部の鉄(Fe)とダイヤモンドの炭素が反応するのを抑制し、摩耗に強いダイヤモンドの特徴を全て提供することができる。
【0042】
一方、一般ダイヤモンドは、Fe、Ni合金が炭素に触媒剤として使用されるが、ボロン(Boron)を含まず、窒化ホウ素(CBN:cubic boron nitride)は炭素とボロン(Boron)の含量比が1:1構造を有するくらいボロン(Boron)が相対的に多く追加されるため、鉄(Fe)と反応することはないが、ボロンドープダイヤモンドに比べ強度が非常に低く、形状調節が難しいことがある。
【0043】
本実施例において、ダイヤモンドディスクに適用されるダイヤモンドのうち、ボロンドープダイヤモンド(BDD:Boron Doped Diamond)は、使用用途に応じてダイヤモンド全体の5vol%以上使用されることができる。そして、ボロンドープダイヤモンド(BDD)における八面体の(Octahedral)構造比率は50%以上であることができる。ボロンドープダイヤモンド(BDD)全体のうち、ボンディング層でセルフスタンディング(Self-standing)するボロンドープダイヤモンド(BDD)の割合は、60%以上であることができる。
【0044】
比率は、ある領域でダイヤモンド全体を観察し、その中で上記の基準を満たすダイヤモンドの比率で決定することができる。
【0045】
以下、図1乃至図8を参照して本発明の一実施例によるダイヤモンドディスクの具体的な構成を説明する。
【0046】
図1乃至図6を参照すると、本発明によるダイヤモンドディスクは、CMPパッドコンディショナーに適用され、研磨パッドの表面を微細に研磨することができる。このようなダイヤモンドディスクは、シャンクベース100と、ボンディング層200と、複数のボロンドープダイヤモンド(BDD:Boron Doped Diamond)300とを含むことができる。
【0047】
具体的には、シャンクベース100はディスクのバッキングプレート(BACKING PLATE)であり、シャンクベース100の表面にはボンディング層200を形成することができる。シャンクベース100は、ディスクのバッキングプレートとして使用される通常のシャンクベース100と対応するため、これについての詳細な説明は省略する。
【0048】
ボンディング層200は、60wt%以上のNiを含み、Cr、Siなどの他の元素を含むボンディング材料からなることができる。ボンディング材料は、シャンクベース100の表面に塗布された後、乾燥および仮焼結過程を経て固相(solid phase)の仮焼結体として形成されることができる。仮焼結体の上面には、ボロンドープダイヤモンド300を仮接着するための接着剤を塗布することができる。接着剤が塗布された仮焼結体の上面には、穿孔ジグを用いてボロンドープダイヤモンド300を仮接着されることができる。
【0049】
仮焼結体は、ボロンドープダイヤモンド300と共に熱処理過程を経てボンディング層200として形成されることができる。ボンディング層200は、高温の熱処理過程で液相(liquid state)に相変化することができ、ボンディング層200の上部にはボロンドープダイヤモンド300が起立状態で配置されることができる。ボロンドープダイヤモンド300が起立状態で配置されたボンディング層200は冷却及び乾燥されることができる。
【0050】
ボンディング層200の密度は、6g/cm乃至8.3g/cmの範囲であることできる。ボロンドープダイヤモンド300の密度は、3.5g/cm乃至3.6g/cmの範囲であることができる。本実施例において、ボンディング層200の密度は7.6g/cmであり、ボロンドープダイヤモンド300の密度は3.54g/cmである。
【0051】
そして、ボンディング層200の密度に対するボロンドープダイヤモンド300の密度の割合は、0.4~0.6の範囲であることができる。ボンディング層200の密度に対するボロンドープダイヤモンド300の密度の比率が0.6より高いと、ボンディング層200とボロンドープダイヤモンド300との間の密度差によるボロンドープダイヤモンド300の浮力が低すぎるため、ボロンドープダイヤモンド300はボンディング層200の内部に浸すことになる可能性がある。ボンディング層200の密度に対するボロンドープダイヤモンド300の密度の比率が0.4より低いと、ボンディング層200とボロンドープダイヤモンド300との密度差によるボロンドープダイヤモンド300の浮力が大きすぎるため、ボロンドープダイヤモンド300はボンディング層200の上面に浮くようになり、水平方向に傾く可能性がある。
【0052】
ボロンドープダイヤモンド300は、Fe、Ni合金とボロン(Boron:Pure boronまたはBoron carbide)とを触媒剤として炭素に含んで構成することができる。一例として、ボロンドープダイヤモンド300には、Fe、Ni合金と1ppm~2000ppmのボロン(Boron:Pure boronまたはBoron carbide)とが炭素に含まれてもよい。ダイヤモンド構造では、ボロン(Boron)が炭素と置換されたり、ボロン(Boron)がダイヤモンド構造に侵入されることができる。このボロンドープダイヤモンド300は、外部の鉄(Fe)と反応することなく、摩耗に強い耐久性を提供することができる。
【0053】
ボロンドープダイヤモンド300のTI(Toughness Index)は20~50であり、TTI(Temperature Toughness Index)は14~45であることができる。ボロンドープダイヤモンド300の単位体積当たりの磁化率MS(Magnetic Susceptibility)が20~800であることができ、より好ましくは30~500であることができる。
【0054】
ボロンドープダイヤモンド300の合成過程で触媒剤として使用するFe、Ni等がダイヤモンド内部に異物として含まれる。一般にボロンドープ量が大きいほど異物量も比例的に増加する。MS値が20未満であればボロンドープ量も非常に小さくボロンによる耐腐食性向上効果が低下する可能性があり、MS値が800を超えるとボロンドープ量が大きくなるが、Fe、Ni等の強磁性金属異物の過剰な混入によりダイヤモンド物性が低下する可能性があり、CMPパッドコンディショニング中のダイヤモンド粒子が割れるという問題が生じる可能性がある。ボロンドープダイヤモンド300の内部の金属異物量が多いほどTI、TTI値も低くなるが、これをMS測定を通じても分かることができる。ダイヤモンド靭性(TI、TTI、またはMS)は、CMP条件下で圧力を受けて長時間使用しても壊れないほど高い必要がある。
【0055】
ボロンドープダイヤモンド300は、八面体からなるダイヤモンド(octahedron Diamond)であることができる。ダイヤモンドは合成条件に応じて八面体の形で製造されることができ、八面体からなるダイヤモンドは鋭い縁を有し、八面体からなるダイヤモンドにおいて、頂点と中心を結ぶ線と面とがなす角度は35°~45°である。
【0056】
このようなボロンドープダイヤモンド(BDD:Boron Doped Diamond)300は、ボンディング層200に露出するように配置される複数個で設けられることができる。複数のボロンドープダイヤモンド300の少なくとも一部は、長軸Lがシャンクベース100に対して50°超90°以下の角度Cの姿勢でボンディング層200に配置されることができる。
【0057】
本実施例では、ダイヤモンド300の複数の頂点のうち、互いに対向しながら最も遠く離れた2つの頂点を互いに結んだ仮想の線を「軸」と定義することができ、これらの複数の「軸」のうち最も長い長さの軸を「長軸(L)」と定義することができる。さらに、「頂点」は互いに隣接する角が会う点と定義することができ、互いに隣接する角が「点」として会わない場合(例えば、頂点に該当する部分が丸い形状である場合、隣接する角を延長した時に延長された角が会う仮想の点を頂点と定義することができる。長軸が50℃以上になるボロンドープダイヤモンドは、セルフスタンディングと定義することができる。
【0058】
そしてボロンドープダイヤモンド300の長軸Lがシャンクベース100に対して50°超90°以下の角度Cの姿勢で、ボロンドープダイヤモンド300がボンディング層200の上部で自立して配置されることをセルフスタンディング(Self standing)されることと理解することができる。ボロンドープダイヤモンド300がボンディング層200の上部でセルフスタンディングされるとき、ボロンドープダイヤモンド300の長軸方向下端頂点部は、シャンクベース100の表面に点または線接触されるか所定距離離隔されることができる。
【0059】
ボロンドープダイヤモンド300の長軸Lがシャンクベース100に対して35°になると、ボロンドープダイヤモンド300は被削材(研磨パッド)と面接触することになるため、被削材に対するボロンドープダイヤモンド300の研磨性能が著しく低下する可能性がある。ボロンドープダイヤモンド300の長軸Lがシャンクベース100に対して90°に近づくほど、ボロンドープダイヤモンド300は被削材(研磨パッド)と点接触することになるため、被削材に対するボロンドープダイヤモンド300の研磨性能が著しく向上することができる。
【0060】
ボロンドープダイヤモンド300の長軸Lがシャンクベース100に対して50°超90°以下の角度Cの姿勢でボンディング層200に配置されるためには、ボロンドープダイヤモンド300の表面とボンディング層200の表面とが会う濡れ角(Wetting angle)θは、90°より小さくなければならず、好ましくは60°より小さくなるようにボンディング層200の成分を構成しなければならない。
【0061】
図3及び下記式1を参照すると、濡れ角θは、上方に向く力Fと、下方に向く力Fと、横方向に向く力Fとの上下方向分力によって決められることができる。
【0062】
[式1]
=F+Fcosθ
濡れ角θが90°を超えるとき、Fの上下方向分力が上方であるため、ボロンドープダイヤモンド300はさらに浮くことができ、濡れ角θが90°未満のとき、横方向に向く力Fの上下方向分力の方向が側下方向に変わることができるため、ボロンドープダイヤモンド300は下方に力を受けることができる。
【0063】
例えば、濡れ角θが90°より大きいと、ボロンドープダイヤモンド300は浮力によりボンディング層200がボロンドープダイヤモンド300を正しく支持できず、ボロンドープダイヤモンド300の脱落の危険が高くなり、研磨加工時に発生する残渣(debris)の排出のためのチップポケットがボンディング層200に形成されず、残渣の排出が正しく行われなくなり、研磨性能が著しく低下する可能性がある。好ましくは、八面体のボロンドープダイヤモンド300は、濡れ角θが60°より小さいほど、ボロンドープダイヤモンド300は被削材(研磨パッド)と点または線接触をし、チップポケットがよく形成され、被削材に対するボロンドープダイヤモンド300の研磨性能を著しく向上させることができる。
【0064】
ただし、ボロンドープダイヤモンド300とボンディング層200との間に濡れ角が60°未満であっても、ボンディング層200の厚みが厚すぎる場合、ボンディング層200におけるボロンドープダイヤモンド300の露出高さが低くなり、浮力によって浮遊(floating)してボロンドープダイヤモンド300と被削材とが面接触することができる。また、ボロンドープダイヤモンド300による研磨加工時に発生する残渣の排出のためのチップポケットがボンディング層200に浅く形成されると、研磨加工時に発生する残渣の排出がスムーズでない可能性がある。
【0065】
そして、ボロンドープダイヤモンド(BDD)300の濡れ角が60°より小さい場合、表面張力によりボロンドープダイヤモンド300がボンディング層200にさらに深く打ち込まれるため、ボロンドープダイヤモンド300がボンディング層200において突出する高さは低くなる可能性がある。したがって、ダイヤモンドディスクの研磨加工時に発生する残渣の排出通路が確保されるようにボンディング層200の厚さは厳密に制御されなければならない。
【0066】
また、ボンディング層200の適正厚さより薄くなると、浮力(ボロンドープダイヤモンドとボンディング層との密度差)とウェッティング(wetting)によりセルフスタンディングが発生する可能性がある。この場合、チップポケットがボンディング層200にうまく形成されるが、ボンディング層200の厚さが薄くなりすぎると、ボロンドープダイヤモンド300がシャンクベース100と接触し、表面張力により下方にボロンドープダイヤモンド300がさらに力を受けるようになり、この時、ボロンドープダイヤモンド300は傾いて横になるため、ボンディング層200におけるボロンドープダイヤモンド300の露出高さが低くなり、ボロンドープダイヤモンド300と被削材と面接触する可能性がある。例えば、ダイヤモンドが横になり、ボロンドープダイヤモンド300の長軸とシャンクベース100とのなす角度が35°~45°程度の角度Cの姿勢でボンディング層200に配置されると、ボロンドープダイヤモンド300のセルフスタンディング(self-standing)比率は低くなる可能性がある。
【0067】
本発明によるボンディング層200の厚さは、平均ダイヤモンド粒径(直径)に対して一定の割合を有する。例えば、本発明によるボロンドープダイヤモンド300の平均直径に対するボンディング層200の厚さ比は、30%乃至65%の範囲であり得る。[表2]は、ボンディング層200の高さ別角度良好なダイヤモンド比率(セルフスタンディング比率)およびPCR(Pad cut rate)を示す表である。ダイヤモンドは、粒子サイズはメッシュサイズで一定の範囲を有し、ダイヤモンドの平均サイズはANSI規格に従った。例えば[表2]で使用されたダイヤモンドは#80~#100で、平均サイズは150umで、サイズ範囲は127~181umである。約4″の直径のディスク上に400個/cmの密度でダイヤモンドが付着している。ダイヤモンドの平均サイズに応じて単位面積当たりに付着するダイヤモンドの数は変わることができる。
【0068】
【表2】
表2を参照すると、ボンディング層の厚さが68μm、79μmおよび94μmの場合、ダイヤモンド露出高さがボンディング層の厚さに比べて比較的高く、角度良好なダイヤモンド比率、例えばセルフスタンディング(self-standing)比率が最も高く、PCRも最も高い。ボンディング層厚さが106μmの場合、ダイヤモンド露出高さもボンディング層厚さに比べて比較的に低く、角度良好なダイヤモンド比率(セルフスタンディング比率)も低く、PCRも低い。ボンディング層厚さが52μmの場合、ダイヤモンド露出高さがボンディング層厚さに比べて相対的に高いが、角度良好なダイヤモンド比率(セルフスタンディング比率)がやや低くなり、PCRも多少減少する。
【0069】
すなわち、ボロンドープダイヤモンド300の平均直径に対するボンディング層200の厚み比率が70%以上でPCRが非常に低くなるため、ボロンドープダイヤモンド300の平均直径に対するボンディング層200の厚さ比率は70%未満に管理されなければならない。そしてボンディング層200の厚さが薄すぎる場合、PCR値がある程度維持されても、ダイヤモンド脱落の危険があるため、少なくともボンディング層200の厚さはダイヤモンド平均サイズに対して30%以上でなければならない。したがって、ボロンドープダイヤモンド300の平均直径に対するボンディング層200の厚さ比は、30%~65%の範囲が好ましい。
【0070】
図6は、ボロンドープ八面体ダイヤモンド300と一般八面体ダイヤモンドの熱処理後の断面写真を示す。ボロンがドープされていない一般ダイヤモンドが八面体(Octahedron)形状であっても、PCRテスト装置でPCRテストを15分進行した場合、一般ダイヤモンドのPCR値は、同じ条件のボロンドープダイヤモンド(BDD)300のPCR値に比べて低くなる。ブロッキータイプ(Blocky type)、すなわち、立方八面体(cube-octahedral)形状のダイヤモンドは、ボロンドープされているか否かにかかわらず、ボロンドープダイヤモンドディスクと同じ条件のPCRテストで非常に低いPCR値を示す。
【0071】
図7を参照すると、ボロンドープダイヤモンド300と一般八面体ダイヤモンドに製造されたディスクの長時間によるPCR(Pad cut rate)を測定するために、PCRテスト装置、研磨パッド、CMPパッドコンディショナー(CMP Pad Conditioner)、スラリーを準備する。一例として、PCRテスト装置にはCTS社のCMPポリッシャーを使用することができ、研磨パッドとしては直径20"のIC1010(Dupont)製品を使用することができ、スラリーとしてはW7000(Cabot microelectronics)を使用することができる。そしてCMPパッドコンディショナーには直径4"ボロンドープ八面体ダイヤモンド300と一般八面体ダイヤモンドが備えられることができる。
【0072】
PCRテスト装置、研磨パッド、CMPパッドコンディショナー、及びスラリーが用意されると、研磨パッドは80~95rpmで回転し、CMPパッドコンディショナーが100~120rpmで回転するとき、CMPパッドコンディショナーのボロンドープダイヤモンド300または一般八面体ダイヤモンドが研磨パッドを4乃至9lbfの加圧状態で、PCRがパッドコンディショニングのための最小のPCR値を下回るまでに使用された時間を測定する。PCR値が設定値を下回ると、CMPパッドコンディショナーとして役割が不十分であると見なす。この時、CMPパッドコンディショナーは研磨パッドの中央から端まで1分当たり18~20回往復運動しながら研磨パッドを研磨することができ、1分当たり300mlのスラリーを研磨パッドに提供することができる。
【0073】
長時間のPCRテストの結果、一般八面体ダイヤモンドが装着されたCMPパッドコンディショナーは、例えばPCRが10um/hrに達するのに8時間かかったのに対し、ボロンドープダイヤモンド300を装着したCMPパッドコンディショナーはPCRが10に達するのに13時間かかることを確認することができた。本明細書に記載のPCRテストでは、CMPパッドコンディショナーが、PCRが、例えば10μm/hrに達するのに13時間かかったが、13時間以上の時間がかかることも本発明の思想に含まれ得る。CMPパッドコンディショナーが、PCRが10μm/hrに達するのに要する時間は長ければ長いほど有利であるため、本明細書においてPCRが10μm/hrに達するのに要する時間の上限は明示する必要がないが、CMPパッドコンディショナーが、PCRが10μm/hrに達するのに要する時間は100時間であってもよい。また、設定値を、例えば5μm/hr、または2μm/hrとした場合でも、ボロンドープダイヤモンド300が一般八面体ダイヤモンドよりもパッド研磨特性を30%以上より長く維持することが確認できた。
【0074】
図4および図5は、前記実験条件でディスク上の個々のダイヤモンドを経時的に観察したSEM写真である。比較例は一般八面体ダイヤモンドで、使用前には尖った縁が観察されるが、10時間、15時間後には縁がほぼ摩耗したことが観察される。一方、実施例であるボロンドープ八面体ダイヤモンドは、10時間、26時間使用後も縁が比較的摩耗していないことが確認できる。
【0075】
図8を参照すると、ダイヤモンドのみAir雰囲気で750℃、3hr処理して重量変化を確認することができる。一般ダイヤモンドは24.8%重量が減少するのに対し、本発明によるボロンドープダイヤモンド(BDD)300の場合、2.5%重量が減少する。例えば、ボロンドープダイヤモンドは、一般ダイヤモンドよりも著しく低い重量変化率を示した。すなわち、ボロンドーピングによりダイヤモンドが空気中の酸素と反応することを抑制し、化学的に非常に安定していることを確認することができる。
【0076】
したがって、本発明によるダイヤモンドディスクは、鉄(Fe)と反応しない窒化ホウ素(CBN)と同じ特徴を有しつつ、摩耗に強いダイヤモンドの特徴を全て提供することができ、ダイヤモンドディスクの寿命を改善することができる。
【0077】
以下、図9を参照して、本発明の一実施例によるダイヤモンドディスクの製造方法について説明する。
【0078】
図9を参照すると、本発明の一実施例によるダイヤモンドディスクの製造方法は、ボンディング材料塗布段階S100、仮焼結段階S200、ダイヤモンド提供段階S300及び熱処理段階S400を含むことができる。
【0079】
前記ボンディング材料塗布段階S100では、シャンクベースの表面にボンディング材料を塗布することができる。ボンディング材料は、60wt%以上のNiと、Cr、Siなどの他の元素を含むことができる。
【0080】
前記仮焼結段階S200では、シャンクベースの表面に塗布されたボンディング材料が第1温度範囲で加熱及び乾燥される仮焼結過程を経て固相(solid phase)の仮焼結体を形成することができる。このとき、第1温度範囲は600℃~900℃の温度範囲であることができる。前記仮焼結段階S200では、ボロンドープダイヤモンドの平均直径に対する最終熱処理後のボンディング層の厚み比率が、30%~65%の範囲であることができる。
【0081】
前記ダイヤモンド提供段階S300では、複数のボロンドープダイヤモンド(BDD:Boron Doped Diamond)を仮焼結体の表面に提供することができる。このとき、複数のボロンドープダイヤモンドは、穿孔ジグを用いて仮焼結体上に接着剤で仮接着することができる。
【0082】
前記熱処理段階S400では、複数のボロンドープダイヤモンドが起立状態で仮焼結体に露出するように配置されるように第2温度範囲で熱処理することができる。複数のボロンドープダイヤモンドのうち少なくとも一部は、長軸Lがシャンクベースに対して60°超90°以下の角度Cの姿勢でセルフスタンディングされることができる。このとき、第2温度範囲は、1000℃~1300℃の温度範囲であることができる。
【0083】
前記熱処理段階S400において、固相の仮焼結体は液状のボンディング層に相変化する。これにより、個々のボロンドープダイヤモンドの一部(約50vol%程度)は密度差による浮力でボンディング層200の上面に露出することができ、個別ボロンドープダイヤモンドの残り一部(約50vol%程度)がボンディング層表面下に沈むことができる。
【0084】
このとき、八面体の形状を有するボロンドープダイヤモンドの下端頂部は下方に向くのが最も安定的である。高温熱処理温度でボンディング層の粘度と熱処理時間によって変わることがあるが、この条件で長期間維持すると、ボロンドープダイヤモンドの回転が起こり、セルフスタンディング(self standing)現象が起こり得る。
【0085】
前記熱処理段階S400では、仮焼結体の表面とボロンドープダイヤモンドの表面とが会う濡れ角(Wetting angle)は、0°以上60°以下に維持されることができる。八面体のボロンドープダイヤモンドは濡れ角が60°より小さいほどチップポケット形成が良くなり、ボロンドープダイヤモンドは被削材(研磨パッド)と点または線接触をすることになるため、被削材に対するボロンドープダイヤモンドの研磨性能が著しく増加することができる。
【0086】
上述したように、本発明は、八面体構造のボロンドープダイヤモンドを介して優れた耐摩耗性と高い研削性能を具現することができ、ボロンドープダイヤモンドがセルフスタンディングされる割合が一定比率以上となるため、耐摩耗性を改善し研削性能が向上され得るという優れた利点を有する。
【0087】
以上、本発明の実施形態を具体的な実施例として説明したが、これは例示に過ぎず、本発明はこれに限定されず、本明細書に開示された技術的思想に従う最も広い範囲を有するものと解釈されるべきである。当業者は、開示された実施例を組合せ/置換して摘示されていない形状のパターンを実施することができるが、これも本発明の範囲から逸脱しないであろう。さらに、当業者は、本明細書に基づいて開示された実施例を容易に変更または変形することができ、そのような変更または変形も本発明の権利範囲に属することは明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】