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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】膜転写カセット
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/447 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
G01N27/447 315J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557211
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(85)【翻訳文提出日】2023-11-15
(86)【国際出願番号】 EP2022056987
(87)【国際公開番号】W WO2022195009
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】2103879.9
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520481714
【氏名又は名称】グローバル・ライフ・サイエンシズ・ソリューションズ・オペレーションズ・ユーケー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 研二
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ハミルトン
(72)【発明者】
【氏名】アレハンドラ・ホルチュア・ディアス
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゴ・ヘルナンデス・ヴェラ
(72)【発明者】
【氏名】シェル・ラーション
(72)【発明者】
【氏名】エリック・ニルソン
(57)【要約】
エレクトロブロッティングのための膜転写カセットであって、カセットは、第1の支持パネルと第2の支持パネルとを備え、第1および第2の支持パネルの一方または各々の少なくともある領域が多角形開口の連結パターンを有する、膜転写カセットが提供される。膜転写カセットは、カセットの設計が、ゲルと膜との間の露出された表面積を増加させる一方で、大きいゲルを支持するためにカセットの強度も高めるため、大きい形式のゲルでエレクトロブロッティングするときに特に有用であるが、任意の大きさのゲルにとっても有利である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロブロッティングのための膜転写カセット(2)であって、第1の支持パネル(4)と第2の支持パネル(6)とを備え、前記第1および第2の支持パネルの一方または各々の少なくともある領域が多角形開口(12、14、12C、12D、12E、12F)の連結パターンを有し、前記多角形開口は3つの辺または5つ以上の辺を有する、膜転写カセット(2)。
【請求項2】
前記多角形開口(12、14、12C、12D、12E、12F)の各々は6つ以上の辺を有する、請求項1に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項3】
前記多角形開口(12、14、12C、12D、12E、12F)は、2つ以上の形を有する開口を備える、請求項1または2に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項4】
前記多角形開口(12、14、12C、12D、12E、12F)の各々は同じ形である、請求項1または2に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項5】
前記多角形開口(12、14、12C、12D、12E、12F)は2つ以上の大きさの開口を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項6】
前記多角形開口(12、14、12C、12D、12E、12F)の各々は六角形であり、前記連結パターンはハニカムパターンである、請求項1に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項7】
前記第1の支持パネル(4)は内面(17)と外面(15)とを有し、
前記第2の支持パネル(6)は内面(7)と外面(9)とを有し、
使用中、前記第1の支持パネルの前記内面は前記第2の支持パネルの前記内面を向き、
各々の多角形開口(12、14、12C、12D、12E、12F)は、それぞれの壁(13、30)によって、各々の隣接の開口から分離され、
前記壁のうちの1つまたは複数は、前記支持パネルの前記外面において、前記支持パネルの前記内面における前記壁の表面積より大きい表面積を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項8】
前記領域はそれぞれの前記支持パネル(4、6)の中心領域(11C)であり、それぞれの前記支持パネルは、開口(12D)を有する外側領域(11D)をさらに備え、前記外側領域における前記開口は、前記中心領域における前記多角形開口(12C)と、形、大きさ、またはパターンのうちの1つまたは複数において異なる、請求項1から7のいずれか一項に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項9】
前記領域はそれぞれの前記支持パネル(4、6)の外側領域(11D)であり、それぞれの前記支持パネルは、開口(12C)を有する中心領域(11C)をさらに備え、前記中心領域における前記開口は、前記外側領域における前記多角形開口(12D)と、形、大きさ、またはパターンのうちの1つまたは複数において異なる、請求項1から7のいずれか一項に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項10】
前記中心領域(11C)における前記開口(12C)は前記外側領域(11D)における前記開口(12D)より小さい、請求項8または9に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項11】
前記中心領域(11C)における前記開口(12C)は六角形であり、ハニカムパターンを形成する、請求項8から10のいずれか一項に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項12】
エレクトロブロッティングにおける使用のための膜転写カセット(2)であって、
内面(17)および外面(15)を有する第1の支持パネル(4)と、
内面(7)および外面(9)を有する第2の支持パネル(6)と、
を備え、
使用中、前記第1の支持パネル(4)の前記内面(17)は前記第2の支持パネルの前記内面(7)を向き、
前記第1および第2の支持パネルの一方または各々は開口(12、14、12C、12D、12E、12F)のセットを有し、各々の開口はそれぞれの壁(13、30)によって各々の隣接の開口から分離され、
前記壁のうちの1つまたは複数は、前記支持パネルの前記外面において、前記支持パネルの前記内面における前記壁の表面積より大きい表面積を有する、膜転写カセット(2)。
【請求項13】
前記開口(12、14、12C、12D、12E、12F)のセットのうちの少なくとも一部は、連結パターンを形成する多角形開口である、請求項12に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項14】
前記開口(12、14、12C、12D、12E、12F)のセットは、2つ以上の形を有する開口を備える、請求項12または13に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項15】
前記開口(12、14、12C、12D)の各々は同じ形である、請求項12または13に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項16】
前記開口(12、14、12C、12D、12E、12F)のセットは、2つ以上の大きさの開口を備える、請求項12から15のいずれか一項に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項17】
前記多角形開口(12、14、12C、12D、12E、12F)の各々は3つの辺または5つ以上の辺を有する、請求項13から16のいずれか一項に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項18】
前記多角形開口(12、14、12C、12D、12E、12F)の各々は六角形であり、前記連結パターンはハニカムパターンである、請求項13に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項19】
前記第1および第2の支持パネル(4、6)の一方または各々は、内側の複数の開口(12C)を備える中心領域(11C)と、外側の複数の開口(12D)を備える外側領域(11D)とを備え
前記開口のセットは、前記内側および/または外側の複数の開口のうちの少なくとも一部を含み、
前記内側の複数の開口の前記開口は、前記外側の複数の開口の前記開口と、形、大きさ、またはパターンのうちの1つまたは複数において異なる、請求項12から18のいずれか一項に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項20】
エレクトロブロッティングにおける使用のための膜転写カセット(2)であって、
第1の支持パネル(4)と、
第2の支持パネル(6)と
を備え、
前記第1および第2の支持パネルのうちの1つまたは各々は、内側の複数の開口(12C)を有する中心領域(11C)と、外側の複数の開口(12D)を有する外側領域(11D)とを備え、
前記内側の複数の開口の前記開口は、前記外側の複数の開口の前記開口と、形、大きさ、またはパターンのうちの1つまたは複数において異なる、膜転写カセット(2)。
【請求項21】
前記内側の複数の開口(12C)における前記開口は前記外側の複数の開口(12D)における前記開口より小さい、請求項19または20に記載に膜転写カセット(2)。
【請求項22】
前記内側および/または外側の複数の開口(12C、12D)は、2つ以上の異なる形および/または大きさの開口をそれぞれ備える、請求項19から21のいずれか一項に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項23】
前記内側の複数の開口(12C)の各々および/または前記外側の複数の開口(12D)の各々は同じ形である、請求項19から22のいずれか一項に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項24】
前記内側および/または外側の複数の開口(12C、12D)における前記開口の各々は、六角形であり、ハニカムパターンを形成する、請求項19から21のいずれか一項に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項25】
前記内側および/または外側の複数の開口(12C、12D)のうちの少なくとも一部は、多角形であり、連結パターンを形成する、請求項19から24のいずれか一項に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項26】
前記多角形開口(12、14、12C、12D、12E、12F)の各々は3つの辺または5つ以上の辺を有する、請求項25に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項27】
前記多角形開口(12、14、12C、12D、12F)の各々は六角形であり、前記連結パターンはハニカムパターンである、請求項25に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項28】
前記第1の支持パネル(4)は内面(17)と外面(15)とを有し、前記第2の支持パネル(6)は内面(7)と外面(9)とを有し、使用中、前記第1の支持パネルの前記内面は前記第2の支持パネルの前記内面を向き、
各々の開口(12、14、12C、12D、12E、12F)は、それぞれの壁(13、30)によって、各々の隣接の開口から分離され、
前記壁のうちの1つまたは複数は、前記支持パネルの前記外面において、前記支持パネルの前記内面における前記壁の表面積より大きい表面積を有する、請求項20から27のいずれか一項に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項29】
前記第1および第2の支持パネル(4、6)の一方または各々は曲げられる、請求項20から28のいずれか一項に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項30】
エレクトロブロッティングのための膜転写カセット(2)であって、第1の支持パネル(4)と第2の支持パネル(6)とを備え、前記第1および第2の支持パネルの一方または各々の少なくともある領域が複数の開口(12、14、12C、12D、12E、12F)を有し、前記第1および第2の支持パネルの一方または各々は曲げられる、膜転写カセット(2)。
【請求項31】
前記開口(12、14、12C、12D、12E、12F)は多角形であり、連結パターンを形成する、請求項30に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項32】
前記多角形開口(12、14、12C、12D、12E、12F)の各々は3つの辺または5つ以上の辺を有する、請求項31に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項33】
前記複数の開口(12、14、12C、12D、12E、12F)は、2つ以上の形を有する開口を備える、請求項30から32のいずれか一項に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項34】
前記開口(12、14、12C、12D)の各々は同じ形である、請求項30から32のいずれか一項に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項35】
前記複数の開口(12、14、12C、12D、12E、12F)は、2つ以上の大きさの開口を備える、請求項30から34のいずれか一項に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項36】
前記多角形開口(12、14、12C、12D、12F)の各々は六角形であり、前記連結パターンはハニカムパターンである、請求項31に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項37】
前記第1の支持パネル(4)は内面(17)と外面(15)とを有し、
前記第2の支持パネル(6)は内面(7)と外面(9)とを有し、
使用中、前記第1の支持パネルの前記内面は前記第2の支持パネルの前記内面を向き、
各々の開口(12、14、12C、12D、12E、12F)は、それぞれの壁(13、30)によって、各々の隣接の開口から分離され、
前記壁のうちの1つまたは複数は、前記支持パネルの前記外面において、前記支持パネルの前記内面における前記壁の表面積より大きい表面積を有する、請求項30から36のいずれか一項に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項38】
前記領域はそれぞれの前記支持パネル(4、6)の中心領域(11C)であり、それぞれの前記支持パネルは、開口(12D)を有する外側領域(11D)をさらに備え、前記外側領域における前記開口は、前記中心領域における前記開口(12C)と、形、大きさ、またはパターンのうちの1つまたは複数において異なる、請求項30から37のいずれか一項に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項39】
前記領域はそれぞれの前記支持パネル(4、6)の外側領域(11D)であり、それぞれの前記支持パネル(4、6)は、開口(12C)を有する中心領域(11C)をさらに備え、前記中心領域における前記開口は、前記外側領域における前記開口(12D)と、形、大きさ、またはパターンのうちの1つまたは複数において異なる、請求項30から37のいずれか一項に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項40】
前記中心領域(11C)における前記開口(12C)は、前記外側領域(11D)における前記開口(12D)より小さい、請求項38または39に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項41】
前記中心領域(11C)における前記開口(12C)は六角形であり、ハニカムパターンを形成する、請求項38から40のいずれか一項に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項42】
前記第1および第2の支持パネル(4、6)の一方は平坦であり、他方の前記支持パネルは、前記第1の支持パネルと前記第2の支持パネルとを一体に接続するための接続機構(8、16)を備える、請求項30から41のいずれか一項に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項43】
前記接続機構は、前記第1および第2の支持パネル(4、6)を一体に接続するためのヒンジ付きクリップ(8)であり、前記ヒンジ付きクリップは前記支持パネルの縁に配置され、前記ヒンジ付きクリップの長さは、前記パネルの前記縁の長さの60%以上であり、好ましくは70%以上である、請求項42に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項44】
開口(12、14、12C、12D、12E、12F)によって占められる前記第1および/または第2の支持パネル(4、6)の表面積の百分率が、55%から75%の間であり、好ましくは65%から75%の間である、請求項30から43のいずれか一項に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項45】
前記第1および第2の支持パネル(4、6)の一方は、前記支持パネルの縁に一体式クリップ(16)を備え、前記一体式クリップは、前記支持パネルと一体であり、他方の前記支持パネルを受け入れるように配置される、請求項30から44のいずれか一項に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項46】
前記一体式クリップ(16)は前記パネル(4、6)の前記縁の長さと同じ長さである、請求項45に記載の膜転写カセット(2)。
【請求項47】
エレクトロブロッティングのための膜転写カセット(2)のための支持パネル(4、6)であって、前記支持パネルの少なくともある領域が多角形開口(12、14、12C、12D、12E、12F)の連結パターンを有する、支持パネル(4、6)。
【請求項48】
請求項47に記載の支持パネル(4、6)または請求項1から46のいずれか一項に記載の膜転写カセット(2)のデジタル表現を含むコンピュータ支援設計ファイルであって、3Dプリンタなどの付加製造デバイスによって読み取り可能であり、前記デバイスが付加製造によって前記膜転写カセットまたは前記支持パネルの構成要素を製作する、コンピュータ支援設計ファイル。
【請求項49】
請求項1から46のいずれか一項に記載の膜転写カセット(2)と、エレクトロブロッティングサンドイッチの1つまたは複数の要素(44A、46A、48、50、46B、44B)とを少なくとも備えるエレクトロブロッティングキット(42)。
【請求項50】
請求項1から46のいずれか一項に記載の膜転写カセット(2)を使用するステップを含む、エレクトロブロッティングの方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレクトロブロッティングのための膜転写カセットと、エレクトロブロッティングのための膜転写カセットのための支持パネルと、エレクトロブロッティングのための膜転写カセットのための支持パネルまたは膜転写カセットのデジタル表現を含むコンピュータ支援設計ファイルと、エレクトロブロッティングキットと、エレクトロブロッティングの方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
電気泳動法を用いた分析および調製の目的のために、タンパク質および核酸、例えばDNAまたはRNAなどの高分子を分離することは、生物学的実験における一般的な実務である。電気泳動は、電場の存在において、ゲル状分離基質などの分離基質を通る移動度を介して、電荷および/または大きさによって生体分子を分離する。ゲル状分離基質は、核酸の分離のためのアガロース、および、タンパク質の分離のためのポリアクリルアミドから、典型的には調製される。キャピラリ電気泳動では、基質はゲルまたは溶液(例えば、線状ポリアクリルアミド溶液)であり得る。
【0003】
電場は、核酸およびタンパク質などの帯電した材料を、それぞれの陽極位置または陰極位置に向けて泳動させるように誘導する。
【0004】
分離した分子種についての泳動距離は、分離基質を通るそれらの相対移動度に依存する。各々の種の移動度は流体力学的大きさおよび分子電荷に依存する。
【0005】
ブロッティングは、さらなる分析のために高分子を電気泳動基質から膜へと転写するために使用されるプロセスである。ブロッティングの例には、サザンブロッティング、ノーザンブロッティング、またはウエスタンブロッティングがある。伝統的に、電気泳動された生物材料を含む分離基質は、電気泳動装置から除去され、ブロッティングサンドイッチに置かれる。ブロッティングサンドイッチは、緩衝液で飽和されたスポンジおよび紙パッドと、分離された生物製剤を含むゲルと、分離基質と密に接している適切な転写膜と、緩衝液で飽和された紙パッドおよびスポンジの他の層とから典型的には成る。エレクトロブロッティングでは、ブロッティングサンドイッチは、電場を提供して生物製剤を分離基質から膜へと移動するために、緩衝液に浸されて2つの電極の間で懸架され得る。これは湿式転写プロトコルとして知られている。
【0006】
例えば、約20cm四方を超える大きい形式のゲルにおける電気泳動分離は、最大の分解能によるロングレンジのタンパク質分離を大きく向上させることができる。しかしながら、大きい形式のゲルから生じる分解能の増加の利点は、従来のシステムでは、大きいゲルなどを取り扱うときに直面する難しさによって、典型的には相殺されてしまう。任意の大きさのブロッティングサンドイッチについて、および、特に大きい形式のゲルについて、分離基質と膜との間に良好な接触を確保することは重要である。これを達成するために、膜転写カセットが使用される。ブロッティングサンドイッチはカセットの2枚のパネルの間に配置され、ブロッティングサンドイッチの要素は、分離基質から膜への高分子の転写の間に所定位置で保持される。しかしながら、分離基質も、分離基質から膜への高分子の転写を可能とするためには電流に露出させなければならない。これは、分離基質を露出させるために、パネルにおけるいくつかの開口を伴う膜転写カセットの使用によって達成される。しかしながら、これらの開口は膜転写カセットの強度を損なってしまう。したがって、改良された膜転写カセットが必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
この概要は、詳細な記載においてより詳細に記載されている概念を紹介している。この概要は、請求されている主題の本質的な特徴を特定するためにも、請求されている主題の範囲を限定するためにも使用されるべきではない。
【0008】
第1の態様において、エレクトロブロッティングのための膜転写カセットが提供される。カセットは第1の支持パネルと第2の支持パネルとを備える。第1および第2の支持パネルの一方または各々の少なくともある領域が多角形開口の連結パターンを有し、多角形開口は3つの辺または5つ以上の辺を有する。
【0009】
したがって、膜転写カセットが、エレクトロブロッティングプロセスの間にブロッティングサンドイッチを支持するために提供される。有利には、分離基質から膜への高分子の効果的で均一な転写を可能とするために、膜と分離基質との間に密な接触を維持するのに十分な強さである膜転写カセットが提供され得る。膜転写カセットの他の利益は、多角形開口の連結パターンが全体に配置される支持パネルの表面積の相当の割合が開口によって占められることである。そのため、分離基質は、表面積のうちの相当の割合にわたって電流に露出させられる(および、カセットによって妨げられない)。したがって、分離基質のうちの大きな割合が、電流のより均一で効率的な適用を可能とし、延いては、分離基質から膜への高分子のより均一な転写を可能にする電流に露出させられる。これらの利点は、特に、大きい形式の分離基質(または大きい形式のゲル)における使用であり、その例示の大きさが以下において提供されているが、任意の大きさの分離基質のための湿式転写プロトコルにおいて使用を見出せる。
【0010】
先に言及されているように、多角形開口は3つの辺または5つ以上の辺を有する。別の言い方をすれば、多角形開口の各々は、三角形、五角形、または、6つ以上の数の辺を伴う多角形であり得る。多角形の様々な組み合わせが考えられ、多角形開口は必ずしもすべてが同じ形のものではない。ある実施形態では、多角形開口は正方形ではない。ある実施形態では、多角形開口は正方形でも長方形でもない。
【0011】
先に述べられているように、多角形開口は必ずしも同じ形のものではなく、代わりに、多角形開口は、2つ以上の形を有する開口を備えてもよい。同様に、多角形開口の各々は同じ形を有してもよい。
【0012】
多角形開口は2つ以上の大きさの開口を備えてもよい。例えば、多角形開口は、異なる面積を有する開口を備えてもよい。この方法では、異なる形および/または大きさを有する開口が、多角形開口の連結パターンを提供するために組み合わされ得る。したがって、露出された分離基質の百分率の表面積、および支持パネルの強度(または支持パネルの領域)に対する制御が容易にされる。
【0013】
多角形開口の各々は六角形とでき、連結パターンはハニカムパターンとできる。ハニカムパターンは、分離基質と膜との間に特に良好な接触を提供し、分離基質から膜への高分子の効果的で均一な転写をもたらす特に強い支持パネルをもたらす。ハニカムパターンの他の利益および六角形の開口の使用は、支持パネルが強い一方で、分離基質の相当の割合を露出させることである。別の言い方をすれば、支持パネルの強度と、露出される分離基質の割合との間に、特に良好なトレードオフがある。
【0014】
他の形の開口も考えられている。多角形開口のいくつかまたは各々は、例えば、丸められた縁を伴う六角形、または十二角形であり得る。
【0015】
膜転写カセットは、以下の特徴、すなわち、
- 第1の支持パネルが内面と外面とを有し得ること、および、
- 第2の支持パネルが内面と外面とを有し得ること
を典型的には有する。
【0016】
使用中、第1の支持パネルの内面は第2の支持パネルの内面を向く。各々の多角形開口は、それぞれの壁によって、各々の隣接の開口から分離され得る。壁のうちの1つまたは複数は、支持パネルの外面において、支持パネルの内面における壁の表面積より大きい表面積を有し得る。別の言い方をすれば、開口同士の間の1つまたは複数の壁は、支持パネルの内側面と比較して、支持パネルの外側面においてより厚くなり得る。これは、ブロッティングサンドイッチと接触している支持パネルの表面積をなおもさらに縮小する一方で、支持パネルの外側面における壁のより大きな表面積のおかげで、支持パネルにおける強度を維持する。支持パネルがブロッティングサンドイッチと接触している表面積におけるこの縮小は、膜への転写が妨げられるゲルにおける高分子の数を低減する。結果として、膜への高分子のより均一で正確な転写となり、これは、ゲルにおける前記高分子の位置をより正確に表す。これは、高分子のより正確な測定を容易にする。支持パネルがブロッティングサンドイッチと接触する表面積におけるこの縮小は、カセットがより小さい表面積にわたって膜に押し付くことも意味し、これは、より均一な背景の結果として、膜における高分子のより正確な測定をもたらすことができる。
【0017】
このような壁の断面は三角形または台形であり得る。この意味では、壁は、支持パネルの外面における第1の幅から、支持パネルの内面における第2のより小さい幅まで、先細りであり得る。代替で、壁は先細りでなくてもよく、代わりに、支持パネルの外面と支持パネルの内面との間の壁の幅において、段階的な変化があってもよい。代替で、このような壁の断面は半円であってもよい。
【0018】
先に言及されているように、第1および第2の支持パネルの一方または各々の少なくともある領域が多角形開口の連結パターンを有する。この領域はそれぞれの支持パネルの中心領域であり得、それぞれの支持パネルは、開口を有する外側領域をさらに備え得る。外側領域における開口は、中心領域における多角形開口と、形、大きさ、またはパターンのうちの1つまたは複数において異なってもよい。この方法では、支持パネルの中心領域は、連結パターンで配置される複数の多角形開口を備えてもよく、支持パネルの外側領域は、中心領域における開口と異なる大きさ、形、および/またはパターンを有する開口を備えてもよい。これによる利益は、中心領域における開口(および/またはそれら開口を分離する壁)の特徴が、支持パネルの中心を特に強くするために選択できることである。これは、概して、支持パネルの曲げのため、分離基質と膜との間の接触が最も不十分になるブロッティングサンドイッチの中心領域にわたるため、有利である。この効果は、大きい形式のゲルにおいて悪化させられる。
【0019】
代替で、多角形開口の連結パターンを有する領域は、それぞれの支持パネルの外側領域であり得、それぞれの支持パネルは、開口を有する中心領域をさらに備え得る。中心領域における開口は、外側領域における多角形開口と、形、大きさ、またはパターンのうちの1つまたは複数において異なってもよい。当然ながら、中心領域と外側領域との両方は、多角形開口の連結パターン(同じパターンまたは異なるパターンのいずれか)を有してもよいが、形、大きさ、およびパターンのうちの1つまたは複数が、中心領域と外側領域との間で異なってもよい。
【0020】
これらの構成のいずれかにおいて、中心領域における開口は外側領域における開口より小さくてもよい。これは中心領域の強度を増加させることができる。
【0021】
代替または追加で、中心領域における開口は六角形であってもよく、ハニカムパターンを形成することができる。ここでも、これは中心領域の強度を増加させることができる。
【0022】
中心領域の開口と外側領域の開口との間での形、大きさ、またはパターンのうちの1つまたは複数における違いの追加または代替で、中心領域の開口同士の間のそれぞれの壁の1つまたは複数の特性は、外側領域の開口同士の間のそれぞれの壁の特性と異なってもよい。例えば、中心領域の開口同士の間の壁は、(支持パネルの平面において、および/または、支持パネルの平面に対して垂直な方向において)外側領域の開口同士の間の壁より厚くてもよい。
【0023】
第2の態様において、エレクトロブロッティングにおける使用のための膜転写カセットが提供される。カセットは、内面および外面を有する第1の支持パネルと、内面および外面を有する第2の支持パネルとを備える。使用中、第1の支持パネルの内面は第2の支持パネルの内面を向く。第1および第2の支持パネルの一方または各々は開口のセットを有し、各々の開口はそれぞれの壁によって各々の隣接の開口から分離される。壁のうちの1つまたは複数は、支持パネルの外面において、支持パネルの内面における壁の表面積より大きい表面積を有する。
【0024】
この概念は、多角形開口の連結パターンを参照して先に記載されているが、その概念はこの特徴に限定されないことは理解されるものである。
【0025】
先に記載されているように、開口同士の間の1つまたは複数の壁は、支持パネルの内側面と比較して、支持パネルの外側面においてより厚くなり得る。これは、ブロッティングサンドイッチと接触している支持パネルの表面積をなおもさらに縮小する一方で、支持パネルの外側面における壁のより大きな表面積のおかげで、支持パネルにおける強度を維持する。
【0026】
開口のセットのうちの少なくとも一部は、連結パターンを形成する多角形開口であり得る。先に記載されているように、開口のこのようなパターンは、膜と分離基質との間に密な接触を維持するだけの強さがある一方で、(開口同士の間の壁によって妨げられることとは対照的に)分離基質の大きくて十分な割合を露出させもする支持パネルをもたらす。両方の因子は、分離基質から膜への高分子の効果的で均一な転写を容易にする。
【0027】
開口のセットは2つ以上の形の開口を備えてもよい、または代替で、開口の各々は同じ形でもよい。
【0028】
開口のセットは2つ以上の大きさの開口を備えてもよい。先に記載されているように、開口の大きさおよび/または形の様々な組み合わせは、支持パネルの特定の特性または支持パネルの領域にわたる制御の提供を容易にする。
【0029】
開口のセットのうちの少なくとも一部が多角形開口であり得る場合、多角形開口の各々は3つの辺または5つ以上の辺を有し得る。
【0030】
多角形開口の各々は六角形とでき、連結パターンはハニカムパターンとできる。先に言及されているように、ハニカムパターンは、分離基質から膜への高分子の効果的で均一な転写を提供する特に強い支持パネルをもたらす。
【0031】
第1および第2のパネルのうちの1つまたは各々は、内側の複数の開口を備える中心領域と、外側の複数の開口を備える外側領域とを備え得る。開口のセットは、内側および/または外側の複数の開口のうちの少なくとも一部を含み得る。内側の複数の開口の開口は、外側の複数の開口の開口と、形、大きさ、またはパターンのうちの1つまたは複数において異なり得る。これによる効果は、支持パネルの異なる領域が異なる特性を有し得ることである。これらの特性は、例えば、強度、または、(開口同士の間の壁とは対照的に)開口によって占められる支持パネルの表面積の割合であり得る。例えば、支持パネルの中心領域は、その中心領域の強度を増加させるが、中心領域にわたって開口によって占められる表面積のより小さい割合をもたらす(より小さい露出される分離基質をもたらす)開口の第1の構成を有し得る。支持パネルの外側領域は、例えば、中心領域ほど強くないが、露出される分離基質のより大きい割合をもたらす開口の異なる構成を有し得る。したがって、分離基質の露出と強度との間のトレードオフが、異なる問題が存在する支持パネルの異なる領域について異なるように調整され得る。
【0032】
中心領域の開口と外側領域の開口との間での形、大きさ、またはパターンのうちの1つまたは複数における違いの追加または代替で、中心領域の開口同士の間のそれぞれの壁の1つまたは複数の特性は、外側領域の開口同士の間のそれぞれの壁の特性と異なってもよい。例えば、中心領域の開口同士の間の壁は、(支持パネルの平面において、および/または、支持パネルの平面に対して垂直な方向において)外側領域の開口同士の間の壁より厚くてもよい。
【0033】
第3の態様において、エレクトロブロッティングにおける使用のための膜転写カセットが提供される。カセットは第1の支持パネルと第2の支持パネルとを備える。第1および第2のパネルのうちの1つまたは各々は、内側の複数の開口を有する中心領域と、外側の複数の開口を有する外側領域とを備える。内側の複数の開口の開口は、外側の複数の開口の開口と、形、大きさ、またはパターンのうちの1つまたは複数において異なる。
【0034】
この概念は先に記載されており、先に記載されている特徴のいずれかに限定されないが、先に記載されているこの概念の利点がここでも当てはまることは、理解されるものである。
【0035】
内側の複数の開口の開口と外側の複数の開口の開口との間での形、大きさ、またはパターンのうちの1つまたは複数における違いの追加または代替で、内側の複数の開口の開口同士の間のそれぞれの壁の1つまたは複数の特性は、外側の複数の開口の開口同士の間のそれぞれの壁の特性と異なってもよい。例えば、内側の複数の開口の開口同士の間の壁は、(支持パネルの平面において、および/または、支持パネルの平面に対して垂直な方向において)外側の複数の開口の開口同士の間の壁より厚くてもよい。
【0036】
本明細書において記載されているカセットのいずれかにおいて、内側の複数の開口における開口は、外側の複数の開口における開口より小さくてもよい。これは、中心領域を強化することができ、支持パネルが曲がって分離基質と膜との間に不十分な接触をもたらす危険性を低減することができる。
【0037】
代替または追加で、内側および/または外側の複数の開口は、2つ以上の異なる形および/または大きさの開口を各々が備え得る。
【0038】
内側の複数の開口の各々および/または外側の複数の開口の各々は同じ形および/または大きさを有し得る。
【0039】
内側および/または外側の複数の開口における開口の各々は、六角形とでき、ハニカムパターンを形成することができる。先に記載されているように、六角形のハニカム構成は強い支持パネルを提供するが、分離基質の相当の割合をなおも露出させる。
【0040】
内側および/または外側の複数の開口のうちの少なくとも一部は、多角形とでき、連結パターンを形成することができる。多角形開口の各々は3つの辺または5つ以上の辺を有し得る。
【0041】
多角形開口の各々は六角形とでき、連結パターンはハニカムパターンとできる。
【0042】
第1の支持パネルは内面と外面とを有することができ、第2の支持パネルは内面と外面とを有することができる。使用中、第1の支持パネルの内面は第2の支持パネルの内面を向く。開口のセットの各々の開口は、それぞれの壁によって、各々の隣接の開口から分離され得る。壁のうちの1つまたは複数は、支持パネルの外面において、支持パネルの内面における壁の表面積より大きい表面積を有し得る。別の言い方をすれば、開口同士の間の1つまたは複数の壁は、支持パネルの内側面と比較して、支持パネルの外側面において(支持パネルの平面において)より厚くなり得る。これは、ブロッティングサンドイッチと接触している支持パネルの表面積をなおもさらに縮小する一方で、支持パネルの外側面における壁のより大きな表面積のおかげで、支持パネルにおける強度を維持する。
【0043】
このような壁の断面は三角形または台形であり得る。この意味では、壁は、支持パネルの外面における第1の幅から、支持パネルの内面における第2のより小さい幅まで、先細りとなる。代替で、壁は先細りでなくてもよく、代わりに、支持パネルの外面と支持パネルの内面との間の壁の幅において、段階的な変化があってもよい。代替で、このような壁の断面は半円であってもよい。
【0044】
本明細書に記載されている膜転写カセットのいずれかにおいて、第1および第2の支持パネルの一方または各々が曲げられてもよい。具体的には、第1および第2の支持パネルの一方または各々は内向きに曲げられ得る。明確には、第1および第2の支持パネルは内面と外面とを有することができ、膜転写カセットが使用中であるとき、第1の支持パネルの内面は第2の支持パネルの内面を向く。支持パネルの一方または両方は、ブロッティングサンドイッチの不在において、第1の支持パネルの内面と第2の支持パネルの内面とが互いを向くとき、第1の支持パネルの中心と第2の支持パネルの中心との間の距離が、第1および第2の支持パネルの縁におけるそれら支持パネルの間の距離より小さくなるように、内方へ曲げられ得る。
【0045】
この曲げの結果として、使用中、膜転写カセットによってブロッティングサンドイッチに発揮される圧力は、膜転写カセットの平面にわたってより均一である。これは、縁と比べて中心において低減する支持パネルの強度を曲げが埋め合わせるためである。
【0046】
第1および第2の支持パネルの一方は平坦とでき、他方の支持パネルはこの方法では曲げられ得る。この配置の利点は、ブロッティングサンドイッチが、(ブロッティングサンドイッチの各々の層を順々に平坦な支持パネルの上に配置することで)平坦な支持パネルの上に準備させられ得、平坦ではない可能性のある他のパネルが上に配置させられ得ることである。
【0047】
第4の態様では、エレクトロブロッティングのための膜転写カセットであって、カセットは第1の支持パネルと第2の支持パネルとを備え、第1および第2の支持パネルの一方または各々の少なくともある領域が複数の開口を有し、第1および第2の支持パネルの一方または各々は曲げられる、膜転写カセットが提供される。明確には、第1および第2の支持パネルは内面と外面とを有することができ、膜転写カセットが使用中であるとき、第1の支持パネルの内面は第2の支持パネルの内面を向く。支持パネルの一方または両方は、ブロッティングサンドイッチの不在において、第1の支持パネルの内面と第2の支持パネルの内面とが互いを向くとき、第1の支持パネルの中心と第2の支持パネルの中心との間の距離が、第1および第2の支持パネルの縁におけるそれら支持パネルの間の距離より小さくなるように、内方へ曲げられ得る。
【0048】
先に記載されているように、この曲げの結果として、使用中、膜転写カセットによってブロッティングサンドイッチに発揮される圧力は、膜転写カセットの平面にわたってより均一である。これは、縁と比べて中心において低減する支持パネルの強度を曲げが埋め合わせるためである。
【0049】
複数の開口は、2つ以上の形を有する開口を備えてもよい。同様に、開口の各々は同じ形を有してもよい。複数の開口は2つ以上の大きさの開口を備えてもよい。
【0050】
開口は多角形とでき、連結パターンを形成することができる。多角形開口の各々は3つの辺または5つ以上の辺を有し得る。
【0051】
多角形開口の各々は六角形とでき、連結パターンはハニカムパターンとできる。
【0052】
第1の支持パネルは内面と外面とを有することができ、第2の支持パネルは内面と外面とを有することができる。使用中、第1の支持パネルの内面は第2の支持パネルの内面を向く。各々の開口は、それぞれの壁によって、各々の隣接の開口から分離され得る。壁のうちの1つまたは複数は、支持パネルの外面において、支持パネルの内面における壁の表面積より大きい表面積を有し得る。
【0053】
先に言及されているように、第1および第2の支持パネルの一方または各々の少なくともある領域が複数の開口を有する。領域はそれぞれの支持パネルの中心領域であり得、それぞれの支持パネルは、開口を有する外側領域をさらに備えてもよく、外側領域における開口は、中心領域における開口と、形、大きさ、またはパターンのうちの1つまたは複数において異なる。
【0054】
代替で、領域はそれぞれの支持パネルの外側領域であり得、それぞれの支持パネルは、開口を有する中心領域をさらに備えてもよく、中心領域における開口は、外側領域における開口と、形、大きさ、またはパターンのうちの1つまたは複数において異なる。
【0055】
中心領域における開口は外側領域における開口より小さくてもよい。
【0056】
中心領域における開口は六角形であってもよく、ハニカムパターンを形成することができる。
【0057】
本明細書に記載されているカセットのいずれかにおいて、第1および第2の支持パネルの一方または各々は、第1の支持パネルと第2の支持パネルとを一体に接続するための接続機構を備え得る。第1および第2の支持パネルの一方は平坦とでき、他方の支持パネルは、第1の支持パネルと第2の支持パネルとを一体に接続するための接続機構を備え得る。
【0058】
接続機構は、第1および第2の支持パネルを一体に接続するためのヒンジ付きクリップであり得る。ヒンジ付きクリップは、例えば、膜転写カセットの上縁(つまり、膜転写カセットが使用中であるときの最も上の縁)など、支持パネルの縁に配置され得る。ヒンジ付きクリップが使用中であるとき、ヒンジ付きクリップは、パネルの縁の長さの60%以上に及ぶことができ、好ましくは70%以上に及ぶことができる。ヒンジ付きクリップは、使用中に、この方法では膜転写カセットの幅の大部分に及ぶとき、膜転写カセットを強化するのを助け、支持パネルの曲げを小さくするのを助ける。使用中、ヒンジ付きクリップは、第1および第2の支持パネルとブロッティングサンドイッチとを一体に保持するために、それらにわたって嵌まるように配置できる。
【0059】
ヒンジ付きクリップは、ヒンジが位置付けられるクリップの端に隆起部分(つまり、増加した厚さの領域)を有し得る。これは、ヒンジの場所においてクリップの強度を増加させることになる。
【0060】
代替または追加で、支持パネルの一方または両方が支持パネルの縁に一体式クリップを備えてもよい。一体式クリップは、支持パネルと一体であり、使用中、他の支持パネルおよびブロッティングサンドイッチを受け入れるために配置される。
【0061】
一体式クリップは、支持パネルの平面に対して垂直に延びる第1の部分と、支持パネルの平面と平行に延び、支持パネルを向く第2の部分とを有することができる。
【0062】
先に述べられているように、一体式クリップはそれぞれの支持パネルの縁に配置される。膜転写カセットがヒンジ付きクリップも備える場合、一体式クリップとヒンジ付きクリップとは膜転写カセットの反対の縁に配置され得る、または、ヒンジ付きクリップと一体式クリップとが同じ支持パネルに配置される場合、支持パネルに配置され得る。
【0063】
一体式クリップは、それが配置される支持パネルの縁と同じ長さ、または実質的に同じ長さであり得る。これは、一体式クリップが、支持パネルおよび膜転写カセットを全体として強化し、使用中に支持パネルおよびカセットの曲げを防止するのを助け、延いては、分離基質と膜との間の良好な接触を容易にすることを助けるため、有利である。
【0064】
第1および第2の支持パネルの両方は、先に記載されているものなどの一体式クリップを有し得る。各々の一体式クリップは、使用中であるときにブロッティングサンドイッチを支持パネル同士の間で圧縮するために、他方の支持パネルと相互係止することができる。
【0065】
代替で、第1および第2の支持パネルの一方は一体式クリップを備えることができ、他方の支持パネルはヒンジ付きクリップを備え得る。代替で、第1および第2の支持パネルの一方が一体式クリップとヒンジ付きクリップとの両方を備えてもよい。その場合、他方の支持パネルは平坦であり得る。
【0066】
一体式クリップは、一体式クリップの各々の端に1つあって互いを向く2つの保持要素を備えてもよい。使用中、ブロッティングサンドイッチの少なくとも一部分、および/または、他方の支持パネルの下縁の少なくとも一部分が、2つの保持要素の間に位置し得る。保持要素は、カセットが使用中であるとき、2つの支持パネルと、それらの間のブロッティングサンドイッチとを並べるのを助けることができ、ブロッティングサンドイッチおよび他方の支持パネルの層のうちのいずれかが、一体式クリップが配置される支持パネルに対して移動する危険性を低減することができる。
【0067】
本明細書に記載されている任意の支持パネルにおいて、開口によって占められる第1および/または第2の支持パネルの表面積の百分率が、55%から75%の間であり得、好ましくは65%から75%の間であり得る。
【0068】
本明細書に記載されている任意の膜転写カセットにおいて、膜転写カセットは1つまたは複数の支持棒を備えてもよい。このような支持棒は、使用中に支持パネルの曲げを小さくするのを助けることができ、分離基質と膜との間に密な接触を提供するのを助けることができる。1つまたは複数の棒は、第1および第2の支持パネルの一方または各々と一体であり得る、または、別体であり得、接着剤、クリップ、もしくは他の固定手段などの適切な手段によってそれぞれの支持パネルに取り付けられ得る。第1および第2の支持パネルの一方または各々は、それぞれの支持パネルの幅に及ぶ支持棒を備え得る。棒は、使用中に支持棒がブロッティングサンドイッチと接触しないように、支持パネル自体より(パネルの平面に対して垂直な方向において)薄くなり得る。この方法では、棒は、支持パネルを強化することができるが、使用中にブロッティングサンドイッチと接触するパネルの表面積を増加させない。それら支持棒は異なる構成を等しく有してもよい(例えば、支持棒が、一方の側部から他方の側部へと延びるのとは対照的に、支持パネルの上から下へと延びてもよい)。それら支持棒は、必ずしも平行でなくてもよく、重なり合ってもよい。例えば、支持棒の1つのセットが、他のセットに対して垂直に延びてもよい。
【0069】
本明細書で開示されている任意の膜転写カセットにおいて、第1の支持パネルは第2の支持パネルと異なる色であってもよい。これは、高分子が正しい方向で引き寄せられるように(つまり、膜へと引き寄せられ、分離基質の他方の側から後退しないように)、使用者にカセットを電極に対して正しく配向させることができる。
【0070】
本明細書で開示されている任意の膜転写カセットにおいて、第1の支持パネルにおける開口は、明確には大きさおよび形の観点から、第2の支持パネルにおける開口と同じであり得る。別の言い方をすれば、第1の支持パネルの開口は第2の支持パネルの開口と一列になることができる。同様に、それら開口は一列にならなくてもよく、開口の大きさおよび/または形は第1の支持パネルと第2の支持パネルとの間で異なってもよい。
【0071】
先に言及されているように、本明細書で開示されている膜転写カセットの利益は、具体的には大きい形式のゲル(分離基質)に関する。本明細書で開示されている膜転写カセットで使用されるゲルの大きさの例は、次のとおりである。
- 25.5×19.2cm(DIGEゲル)
- 25×25.5cm
- 20×20cm
- 18.5×20cm
- 16×20cm
- 16×16cm
【0072】
膜転写カセットは、30×25cmのゲルで使用されてもよく、または、14×9cmもしくはさらに8×7cmまでのゲルに縮小されてもよい(しかしながら、安定性の増加の利点は、より小さいゲルの大きさで損なわれることになる)。まとめると、本明細書で開示されているカセットは、約7cmから約26cmまでの範囲の寸法を伴うゲルで使用されると考えられており、約15cm以上の寸法のゲルにとって特に有用となる。しかしながら、本明細書で開示されているカセットおよび方法が任意の大きさのゲルで使用できることは、理解されるものである。
【0073】
第5の態様において、エレクトロブロッティングのための膜転写カセットのための支持パネルであって、支持パネルの少なくともある領域が多角形開口の連結パターンを有する、支持パネルが提供される。支持パネルは、本明細書に記載されている特徴のうちのいずれかを任選択で含み得る。例えば、支持パネルの多角形開口は3つの辺または5つ以上の辺を有し得る。多角形開口は必ずしも同じ形のものではない可能性がある。例えば、多角形開口は2つ以上の形を備えてもよい。同様に、多角形開口の同じ形を各々が有してもよい。
【0074】
膜転写カセット、その任意の一部、または、膜転写カセットのための支持パネルは、付加製造(3D印刷)によって作ることができる。付加製造の使用は、支持パネルの安定性および/もしくは強度、ならびに/または、支持パネルとブロッティングサンドイッチとの低減した接触領域を高めることができるより複雑な設計を可能にする(例えば、外部とは対照的に、カセットの内側において開口を分離する壁のより小さい表面積を用いる)。これは、小さい嵩張りで製造のコストを下げることにもなる。適切な材料の例は、軽量であって使いやすさを向上させるポリアミド12である。ポリアミド12は、使用される緩衝液への化学的耐性と、ウェット転写エレクトロブロッティングで適用される電圧とを提供もする。
【0075】
第6の態様において、本明細書に記載されているような支持パネルまたは本明細書に記載されているような膜転写カセットのデジタル表現を含むコンピュータ支援設計ファイルが提供される。コンピュータ支援設計ファイルは、3Dプリンタなどの付加製造デバイスが付加製造によって膜転写カセットまたは支持パネルの構成要素を製作するために、デバイスによって読み取り可能です。
【0076】
膜転写カセットまたはその任意の一部が、射出成形によって機械加工または製作することもできる。
【0077】
第7の態様において、エレクトロブロッティングキットが提供される。キットは、本明細書に記載されているような膜転写カセットと、エレクトロブロッティングサンドイッチの1つまたは複数の要素とを少なくとも備える。
【0078】
ここで、エレクトロブロッティングプロセスにおいて使用され、第1の支持パネルと第2の支持パネルとの間に挟まれる層の積み重ねは、ブロッティングサンドイッチまたはエレクトロブロッティングサンドイッチと称される。ブロッティングサンドイッチ(またはエレクトロブロッティングサンドイッチ)は、分離基質および膜に加えて、以下のもの、すなわち、
- 1つまたは複数のスポンジまたは繊維パッド、および、
- 1枚または複数枚の濾過紙
のうちの1つまたは複数を備え得る。
【0079】
例えば、ブロッティングサンドイッチは、少なくとも以下の要素を、以下の順番で、すなわち、
- スポンジまたは繊維パッド、
- 1枚または複数枚の濾過紙、
- 膜、
- 分離基質、
- 1枚または複数枚の濾過紙、および、
- スポンジまたは繊維パッド
を備え得る。
【0080】
第8の態様において、本明細書に記載されているような膜転写カセットを使用するステップを含むエレクトロブロッティングの方法が提供される。
【0081】
エレクトロブロッティングのための膜転写カセットが提供される。カセットは、第1の支持パネルと第2の支持パネルとを備え、第1および第2の支持パネルの一方または各々の少なくともある領域が多角形開口の連結パターンを有する。
【0082】
多角形開口の各々は3つの辺または5つ以上の辺を有し得る。
【0083】
多角形開口は、2つ以上の形を有する開口を備えてもよい。同様に、多角形開口の各々は同じ形であってもよい。
【0084】
多角形開口は2つ以上の大きさの開口を備えてもよい。
【0085】
多角形開口の各々は六角形とでき、連結パターンはハニカムパターンとできる。
【0086】
膜転写カセットは、以下の特徴、すなわち、
- 第1の支持パネルが内面と外面とを有すること、および、
- 第2の支持パネルが内面と外面とを有すること
を典型的には有する。
【0087】
使用中、第1の支持パネルの内面は第2の支持パネルの内面を向き、各々の多角形開口は、それぞれの壁によって、各々の隣接の開口から分離される。
【0088】
壁のうちの1つまたは複数は、支持パネルの外面において、支持パネルの内面における壁の表面積より大きい表面積を有し得る。
【0089】
先に言及されているように、第1および第2の支持パネルの一方または各々の少なくともある領域が多角形開口の連結パターンを有し得る。領域はそれぞれの支持パネルの中心領域であり得、それぞれの支持パネルは、開口を有する外側領域をさらに備えてもよく、外側領域における開口は、中心領域における多角形開口と、形、大きさ、またはパターンのうちの1つまたは複数において異なる。
【0090】
代替で、領域はそれぞれの支持パネルの外側領域であり得、それぞれの支持パネルは、開口を有する中心領域をさらに備えてもよく、中心領域における開口は、外側領域における多角形開口と、形、大きさ、またはパターンのうちの1つまたは複数において異なる。
【0091】
中心領域における開口は外側領域における開口より小さくてもよい。
【0092】
中心領域における開口は六角形であってもよく、ハニカムパターンを形成することができる。
【0093】
第1および第2の支持パネルの一方または各々は曲げられ得る。
【0094】
第1および第2の支持パネルの一方は平坦とでき、他方の支持パネルは、第1の支持パネルと第2の支持パネルとを一体に接続するための接続機構を備え得る。
【0095】
接続機構は、第1および第2の支持パネルを一体に接続するためのヒンジ付きクリップであり得る。ヒンジ付きクリップは支持パネルの縁に配置されてもよく、ヒンジ付きクリップの長さは、パネルの縁の長さの60%以上であり得、好ましくは70%以上であり得る。
【0096】
開口によって占められる第1および/または第2の支持パネルの表面積の百分率が、55%から75%の間であり得、好ましくは65%から75%の間であり得る。
【0097】
第1および/または第2の支持パネルの一方は、支持パネルの縁に一体式クリップを備えることができ、一体式クリップは、支持パネルと一体であり、他方の支持パネルを受け入れるように配置される。
【0098】
一体式クリップはパネルの縁の長さと同じ長さであり得る。
【0099】
エレクトロブロッティングのための膜転写カセットのための支持パネルであって、支持パネルの少なくともある領域が多角形開口の連結パターンを有する、支持パネルが提供される。
【0100】
本明細書に記載されているような支持パネルまたは本明細書に記載されているような膜転写カセットのデジタル表現を含むコンピュータ支援設計ファイルであって、3Dプリンタなどの付加製造デバイスが付加製造によって膜転写カセットまたは支持パネルの構成要素を製作するために、デバイスによって読み取り可能であるコンピュータ支援設計ファイルも提供される。
【0101】
本明細書に記載されているような膜転写カセットと、エレクトロブロッティングサンドイッチの1つまたは複数の要素とを少なくとも備えるエレクトロブロッティングキットも提供される。
【0102】
本明細書に記載されているような膜転写カセットを使用するステップを含むエレクトロブロッティングの方法も提供される。
【0103】
本明細書で開示されているカセットのいずれかについて、第1の支持パネルと第2の支持パネルとが同じ形、大きさ、および構成の開口を有することができ、同じ寸法の支持フレームを有することができる点において、第1の支持パネルは第2の支持パネルの鏡写しであり得る。代替で、第1の支持パネルまたは第2の支持パネルのいずれかの態様は、他方の支持パネルと異なってもよい。
【0104】
本明細書で開示されている膜転写カセットまたは支持パネルのいずれかにおいて、支持パネルのうちの1つまたは各々が、例えば1つまたは複数の側縁(つまり、使用中であるときにパネルの側部における縁)といったその縁のうちの1つにおいて、溝を備え得る。このような溝は、支持パネルの縁に沿っての縮小した厚さの領域である。これらの溝は、所与の厚さのカセット(ブロッティングサンドイッチを含む)を受け入れるように構成される所与の転写タンクにおけるより厚い支持パネルの使用を容易にするために存在する。側縁などの縁における支持パネルの厚さを縮小することで、支持パネルの残りの部分は、そうでない場合より厚くされ得るが、カセットが転写タンクにおけるスロットに嵌まることをなおも確保する。支持パネルの他の領域に対するこの増加した厚さは、支持パネルをより強くし、曲げを小さくする。
【0105】
概して、より厚い支持パネルは強度の増加にとって好ましいが、支持パネルの厚さは、転写タンクによって受け入れられる厚さによって制限されることになる。
【0106】
本明細書で開示されている膜転写カセットおよび/または支持パネルのいずれかにおいて、(支持パネルの平面における)開口同士の間の壁の厚さは、(支持パネルの平面において)好ましくはおおよそ3~3.5mmであり得る。このような薄い壁は、支持パネルがブロッティングサンドイッチと接触している表面積を縮小することで、緩衝液に露出されるブロッティングサンドイッチの表面積を増加させる。これは、高分子のうちのより大きな割合がゲルから膜へと転写され、ゲルにおける高分子の位置のより均一で正確な表現をもたらすことを意味する。支持パネルがブロッティングサンドイッチと接触する表面積におけるこの縮小は、カセットがより小さい表面積にわたって膜に押し付くことも意味し、これは、より均一な背景の結果として、膜における高分子のより正確な測定をもたらすことができる。
【0107】
本明細書に記載されている任意の支持パネルにおいて、支持パネルの縁における1つまたは複数の開口は部分的な開口であり得る。部分的な開口のこの使用は、支持パネルの縁における分離基質の露出を増加させる。
【0108】
「膜転写カセット」という用語が本明細書では使用されているが、カセットは、同様に、「カセット」、「エレクトロブロッティングカセット」、「エレクトロブロッティング転写カセット」、または「転写カセット」と単に称されることがある。
【0109】
先に言及されているように、第1および第2の支持パネルの一方または各々の少なくともある領域が多角形開口の連結パターンを有し得る。このような開口は、他には単に多角形と称されることもある。同様に、連結パターンは、他には、モザイクパターン、疑似モザイクパターン、または、開口同士が連結するパターンとして説明されてもよい。連結パターンのうちの少なくとも一部は、開口の中心が、開口の横列および/または縦列にわたって、隣接の開口に対してずれているパターンである。
【0110】
本明細書で開示されているあらゆる開口は、壁の網状組織または骨格によって定めることができ、各々のそれぞれの壁は開口を隣接の開口から分離する。
【0111】
開口は規則的なパターンを形成することができる。
【0112】
特定の実施形態が、例だけを用いて、添付の図面を参照して、以下において説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0113】
図1a】本開示による膜転写カセットの図である。
図1b図1aの膜転写カセットの異なる図である。
図2】本開示による膜転写カセットの支持パネルの図である。
図3】本開示による膜転写カセットの他の支持パネルの図である。
図4a】本開示による膜転写カセットの2つのパネルを一体に固定するためのヒンジ付きクリップの図である。
図4b図4aに示されているクリップの代替の図である。
図5】本開示による膜転写カセットの他の支持パネルの図である。
図6a】本開示による膜転写カセットの他の支持パネルの図である。
図6b図6aの支持パネルの代替の図である。
図6c図6aの支持パネルの代替の図である。
図7】本開示による膜転写カセットの他の支持パネルの図である。
図8a】本開示による膜転写カセットの他の支持パネルの図である。
図8b図8aの支持パネルの代替の図である。
図9a】本開示による膜転写カセットの他の支持パネルの図である。
図9b図9aの支持パネルの代替の図である。
図10a】本開示による膜転写カセットの他の支持パネルの図である。
図10b図10aの支持パネルの代替の図である。
図11】本開示によるエレクトロブロッティングキットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0114】
図1aは、第1の支持パネル4と第2の支持パネル6とを備える膜転写カセット2を示している。使用中、ブロッティングサンドイッチの要素が第1の支持パネルと第2の支持パネルとの間に配置される。膜転写カセット2はヒンジ付きクリップ8をさらに備え、ヒンジ付きクリップ8は、使用中、第1の支持パネル4を第2の支持パネル6に固定することで、ブロッティングサンドイッチの要素を一体に保持する。ヒンジ付きクリップ8は、クリップの第1の端10におけるヒンジによって第1の支持パネル4に取り付けられ、使用中、第1の支持パネルと第2の支持パネルとを一体に固定するために、第1および第2の支持パネルならびにブロッティングサンドイッチの縁にわたって嵌まる。ヒンジ付きクリップ8は、ヒンジにおいてクリップを強化するために隆起部分38を備える。
【0115】
第1の支持パネル4は複数の開口12を備え、そのうちの3つが図1aにおいて符号付けされている。これらの開口は図2を参照してより詳細に検討されることになる。
【0116】
図1bに示されているように、第2の支持パネルは複数の開口14を備え、そのうちの3つが図1bにおいて符号付けされている。
【0117】
図1aにおいて最も明確に見ることができるように、第2の支持パネル6は、使用中にブロッティングサンドイッチおよび第1の支持パネル4を受け入れ、ヒンジ付きクリップ8と共に第1および第2の支持パネルとブロッティングサンドイッチとを保持する一体式クリップ16を備える。一体式クリップは図3を参照してより詳細に検討されることになる。
【0118】
図2を参照すると、第1の支持パネル4は、外側フレーム18と、複数の開口12とを備え、そのうちの3つが図2において符号付けされている。開口12は、各々が六角形であり、連結してハニカムパターンを形成している。このパターンは、分離基質をできるだけ電流に露出させるために、外側フレーム18を別にして、第1の支持パネルの全体の高さおよび幅に及んでいる一方で、分離基質と膜との間の良好な接触を容易にするために、ブロッティングサンドイッチを一体に保持するのに十分な強度をなおも提供する。(支持パネルの平面における)外側フレームの典型的な幅は、支持パネルの上および下において9mmである。あらゆる高分子量の高分子(電気泳動の間に遠くへと泳動しない可能性があり、分離基質の上に存在する可能性がある)は、外側フレームによって転写が妨げられる可能性がある。したがって、外側フレームを(支持パネルの平面において)比較的細く作ることで、外側フレームによるこのような高分子量の高分子の妨げが回避できる。
【0119】
図2に示されている支持パネルの側部における外側フレームの幅は、外側フレームに隣接する開口の形のため、側部に沿った異なる位置において異なる。外側フレームの幅は、典型的には、その最も細い位置における11mmから、その最も太い位置における18mmまでの範囲であり得る。支持パネルの上縁および下縁と同様に、一部の高分子(例えば、タンパク質)は、支持パネルの側縁において外側フレームによって妨げられる可能性があり、そのため、パネルの側縁に細い外側フレームを提供することは同じく有益である。
【0120】
開口12は複数の壁13によって分離されており、そのうちの3つが図2において符号付けされている。明確には、各々の開口12は、それぞれの壁13によって、各々の隣接の開口から分離されている。壁は、典型的には、(支持パネルの平面において)3mmまたは3.5mmの幅であり、(支持パネルの平面に対して垂直の方向において)5mmの厚さである。第1の支持パネル4の上縁および下縁(つまり、膜転写カセットが使用中であるときの支持パネルの上縁および下縁)において、開口12のうちの一部は部分的な開口である。例えば、開口12Aは部分的な六角形である。部分的な開口のこの使用は、第1の支持パネル4の縁における分離基質の露出を増加させる。
【0121】
第1の支持パネル4は、ヒンジ付きクリップ8における対応する突起(図1a、図1b、図4a、および図4bを参照されたい)を受け入れるための接続開口20を備える。これによって、クリップ8は第1の支持パネル4にヒンジで取り付けることができる。接続開口20は支持パネルの上縁に配置される(ここで、上は、膜転写カセットが使用中であるときの最も上の縁として定められる)。
【0122】
第1の支持パネル4は溝22および24も備える。これらの溝は、支持パネル4の側縁の各々に沿って縮小した厚さの領域である。ここで、側縁は、先に言及された上縁のいずれかの側部の縁として定められる。これらの溝は、所与の厚さのカセット(ブロッティングサンドイッチを含む)を受け入れるように構成される所与の転写タンクにおけるより厚い支持パネルの使用を容易にするために存在する。側縁における支持パネル4および6の厚さを縮小することで、支持パネルの残りの部分は、そうでない場合より厚くされ得るが、カセットが転写タンクにおけるスロットに嵌まることをなおも確保する。この増加した厚さは、支持パネルをより強くし、曲げを小さくする。
【0123】
概して、より厚い支持パネルは強度の増加にとって好ましいが、支持パネルの厚さは、転写タンクによって受け入れられる厚さによって制限されることになる。
【0124】
第1の支持パネル4は、支持パネルの各々の下の角に1つで、切り欠き23および25も備える。これらの切り欠きは第2の支持パネルの保持要素26Aおよび26Bと相互係止する(図3参照)。これらは以下において説明される。
【0125】
第1の支持パネル4は、使用中にブロッティングサンドイッチを向いて接触する内面17を備える。第1の支持パネル4は、使用中にブロッティングサンドイッチから離れる方を向く外面15も備える。
【0126】
図3を参照すると、第2の支持パネル6は、外側フレーム28と、複数の開口14とを備え、そのうちの3つが図3において符号付けされている。第1の支持パネル4におけるように、開口14は、各々が六角形であり、連結してハニカムパターンを形成している。開口14は複数の壁30によって分離されており、そのうちの3つが図3において符号付けされている。明確には、各々の開口は、それぞれの壁によって、各々の隣接の開口から分離されている。壁は、典型的には、(支持パネルの平面において)3mmまたは3.5mmの幅であり、(支持パネルに対して垂直の方向において)5mmの厚さである。第1の支持パネルにおけるように、開口14は、分離基質の露出を最大化するために、第2の支持パネル6の高さおよび幅の実質的にすべてに及ぶ。第2の支持パネル6の上縁および下縁(つまり、膜転写カセットが使用中であるときの支持パネルの上縁および下縁)において、開口14のうちの一部は部分的な開口である。例えば、開口14Aは部分的な六角形である。部分的な開口のこの使用は、第2の支持パネル6の縁における分離基質の露出を増加させる。外側フレームの寸法は、図2に示されている支持パネルの外側フレームの寸法と同じである。しかしながら、そうでない場合もあり得、第1の支持パネルの寸法と第2の支持パネルの寸法とが異なる可能性があることは、理解されるものである。
【0127】
第2の支持パネル6は、第2の支持パネルの下縁に沿って配置される一体式クリップ16を備える。下縁は、使用中に支持パネルの最も下の縁として定められる。一体式クリップは、第2の支持パネルの平面に対して垂直に延びる第1の部分16Aと、第2の支持パネル6の平面と平行に延び、第2の支持パネルを向く第2の部分16Bとを備える。一体式クリップ16は、第2の支持パネルの下縁の全体の幅に及ぶ。一体式クリップ16の各々の端には、それぞれの保持要素26Aおよび26Bがある。保持要素は、一体式クリップに対して垂直に延び、互いを向く。保持要素は、第1および第2の支持パネルと、それらの間のブロッティングサンドイッチとを並べるのを助ける。保持要素26Aおよび26Bも、第1の支持パネル4における切り欠き23および25(図2参照)と相互係止する。この相互係止は、第1の支持パネル4とブロッティングサンドイッチとが一体式クリップ16に受け入れられると、第1の支持パネルと第2の支持パネルとの間の相対的な横方向の移動を防止する。相対的な横方向の移動のこの防止は、使用者がヒンジ付きクリップ8を閉じているときに特に有用である。
【0128】
第2の支持パネル6は、第2の支持パネル6の各々の側縁に沿って1つで、2つの溝34および36も備える。これらの溝は、第1の支持パネル4における溝22および24と同じ方法で、同じ理由のために配置される。溝は図1bにおいても見ることができる。
【0129】
第2の支持パネル6は、使用中にブロッティングサンドイッチを向いて接触する内面7を備える。第2の支持パネル6は、使用中にブロッティングサンドイッチから離れる方を向く外面9も備える。
【0130】
開口12および14は多角形であるが、多角形でない形を代わりに有することができることは、留意されるべきである。
【0131】
図4aおよび図4bを参照すると、膜転写カセット2はヒンジ付きクリップ8を備える。クリップの断面は、第1の支持パネル4、ブロッティングサンドイッチ、および第2の支持パネル6にわたって嵌まるようにU字形とされている。クリップの第1の端10において、クリップ8は、第1の支持パネル4における接続開口20と係合するように構成された突起32を備える(図2参照)。クリップ8は、クリップを強化するために、クリップの第1の端10において隆起部分38(図4bに示されている)を備える。
【0132】
図5は、第1の支持パネル4の代替の構成を示している。図5を参照すると、第1の支持パネル4は、三角形であり、連結パターンで配置される開口12(そのうちの3つが図5で符号付けされている)を備える。第2の支持パネル6は、この開口の構成を有してもよい、または、異なる構成を有してもよい。
【0133】
開口の複数の異なる形が、第1の支持パネル4および第2の支持パネル6の一方または両方で使用されてもよい。例えば、開口12および/または14は、三角形、長方形、正方形、五角形、および六角形のうちの2つ以上を含んでもよい。
【0134】
図6a~図6cは、第1の支持パネル4の代替の構成を示している。図6a~図6cを参照すると、第1の支持パネル4の壁13(そのうちの2つが図6a、図6b、および図6cにおいてラベル付けされている)は、支持パネルの外側面15における壁の表面積より小さい表面積を支持パネルの内側面17において有する。図6aは、使用中にブロッティングサンドイッチから離れる方を向く支持パネルの外面15を示している。図6bは、使用中にブロッティングサンドイッチを向いて接触する、図6aに示されている支持パネルの内面17を示している。内面17において、開口12同士の間の壁13は、支持パネルの外面15における壁13の表面積より小さい表面積を有する。この方法では、外面15は強度を支持パネルおよび内面17に提供し、内面17では、壁13の表面積が小さく、支持パネルとブロッティングサンドイッチとの間の接触面積を小さくする。
【0135】
図6cは、図6aおよび図6bの支持パネルの断面図を示している。壁の各々の断面は台形である。
【0136】
図6a~図6cは、この方法で成形された壁を有する第1の支持パネルを示しているが、第2の支持パネルは、この形の壁(支持パネルの内面ではなく外面においてより大きい表面積を伴う)を等しく有することができる。第1および第2の支持パネルの一方または両方は、この方法で成形された壁を有し得る。
【0137】
図7は、第1の支持パネル4の代替の構成を示している。図7を参照すると、第1の支持パネル4は異なる大きさの開口を備える。明確には、第1の支持パネル4は、中心領域(点線で取り囲まれ、符号11Cが付けられている)と外側領域11D(つまり、取り囲まれた部分11Cの外側の領域)とを有し、中心領域11Cは、外側領域11Dにおける開口(開口12D)より小さい開口12Cを有する。中心領域11Cにおける開口の壁13Cは、外側領域11Dにおける開口同士の間の壁(壁13D)より(支持パネルの平面において)厚くなってもいる。壁と開口との一部だけが、明確性のために図7で符号付けされている。図7を参照して記載されているこれらの特徴は、第2の支持パネル6にも等しく適用され得る。第1および第2の支持パネルの一方または両方は、図7を参照して記載された特徴を有してもよい。
【0138】
図8aおよび図8bは、第1の支持パネル4の代替の構成を示している。図8aおよび図8bを参照すると、第1の支持パネル4は曲げられる。明確には、ブロッティングサンドイッチの不在において、第1の支持パネルの内面と第2の支持パネルの内面とが互いを向くとき、第1の支持パネル4の中心と第2の支持パネル6の中心との間の距離が、第1および第2の支持パネルの縁におけるそれら支持パネルの間の距離より小さくなるように、第1の支持パネル4は湾曲させられる。先に記載されているように、この曲げの結果として、使用中、膜転写カセットによってブロッティングサンドイッチに発揮される圧力は、膜転写カセットの平面にわたってより均一である。これは、縁と比べて中心において低減する支持パネルの強度を曲げが埋め合わせるためである。第1および第2の支持パネルの一方または両方がこの方法で曲げられ得ることは、理解されるものである。
【0139】
図9aおよび図9bは、第1の支持パネル4の代替の構成を示している。図9aおよび図9bを参照すると、第1の支持パネル4は、支持パネルを強化するために複数の支持棒40(それらのうちの2つが図9aおよび図9bに符号付けされている)を備える。支持棒は、第1の支持パネルの幅に及び、使用中に支持棒40がブロッティングサンドイッチと接触しないように、支持パネル自体より(パネルの平面に対して垂直な方向において)薄い。この方法では、棒は、支持パネルを強化するが、使用中にブロッティングサンドイッチと接触するパネルの表面積を増加させない。それら支持棒は異なる構成を等しく有してもよい(例えば、支持棒が、一方の側部から他方の側部へと延びるのとは対照的に、支持パネルの上から下へと延びてもよい)。それら支持棒は、必ずしも平行でなくてもよく、重なり合ってもよく、例えば、支持棒の1つのセットが、他のセットに対して垂直に延びてもよい。
【0140】
図10aおよび図10bは、第1の支持パネル4のさらなる構成を示している。図10aを参照すると、第1の支持パネル4は2つの異なる形の開口を備える。明確には、第1の支持パネル4は、複数の三角形の開口12E(そのうちの2つが明確性のために図10aおよび図10bにおいて符号付けされている)を備える第1の領域52(図10aおよび図10bにおいて取り囲まれて示されている)を備える。各々の三角形の開口は、連結パターンを形成するように、各々の隣接の三角形に対して180°回転させられる。
【0141】
第1の支持パネル4は、六角形の開口12Fを備える第2の領域54も備えており、開口12Fのうちの2つが明確性のために図10aおよび図10bにおいて符号付けされている。六角形の開口12Fはハニカムパターンで配置されている。六角形の開口12Fは三角形の開口12Eより大きい。開口12Eと12Fとの間の形および大きさにおける違いは、支持パネルが第1の領域52(より小さい三角形の開口12Eを備える)においてより強いが、第2の領域54において膜のより大きい割合を露出させる(したがって、使用中に膜への高分子のより良好な転写を容易にする)ことを意味する。この方法では、支持パネルの異なる領域における開口の大きさおよび形は、それらの領域における支持パネルの特性(使用中の膜の強度および百分率での露出など)を制御するために選択され得る。
【0142】
図10aおよび図10bは、一方の領域における開口が他方の領域における開口と異なる形および大きさのものである2つの領域を有する支持パネルを示しているが、2つの領域における開口が、同じまたは同等の大きさのものであり得るが、異なる形を有し得ることは、理解されるものである。例えば、三角形の開口12Eは、六角形の開口12Fと同じまたは同等の大きさのものであり得る。同等に、2つの領域における開口は、一方の領域における開口が他方の領域における開口と異なる大きさである状態で、すべて同じ形のものであり得るが、(例えば、図7に示されているように)異なる大きさのものであり得る。図10aおよび図10bを参照して記載されている特徴が、第2の支持パネル6に追加または代替で適用され得ることは、理解されるものである。
【0143】
図11は、以下のもの、すなわち、
- 第1の支持パネル4と、
- スポンジ44Aと、
- 1枚の濾過紙46Aと、
- 分離基質(ゲル)48と、
- 膜50と、
- 1枚の濾過紙46Bと、
- スポンジ44Bと、
- 第2の支持パネル6と
を備えるエレクトロブロッティングキット42の断面図を示している。
【0144】
図11の要素は、使用しているときの順で積み重ねられて示されているが、明確性のために離間して示されている。
【0145】
本明細書で開示されているいずれかの膜転写カセット、またはその一部は、高電圧(最大400V)および高温(最高60℃)に露出されつつ、アルコールを含む緩衝液における浸漬を容認することができる材料から作られ得る。このような材料の例はポリアミド12である。ナイロンなどの他の種類のプラスチックが使用されてもよい。カセットは金属から作られてもよい。
【0146】
本明細書では、多角形および多角形状の形が参照されている。これは、丸められた角または若干湾曲した縁を有し得るが、概して形が多角形である多角形を参照するように意図されていることは、理解されるものである。
【0147】
本発明の様々な態様および実施形態は、例えば、小さいゲルの電気泳動のために現在使用されている知られているシステムと比較されるとき、いくつかの利点を提供する。このような実施形態は、例えば、より広い大きさおよび形の範囲で使用でき、より大きい大きさにおいて増加した支持強度を提供することができる。従来のシステムにおける大きいゲルのエレクトロブロッティングの間のゲルおよび膜のサンドイッチの不十分な支持強度は、不十分な結果(つまり、不十分な分解能)をもたらすとして知られている。また、使用される支持材料の量が比較的大きい(つまり、大きな表面積を伴う)様々な従来のデバイスでは、支持領域における電流の妨害およびタンパク質転写の妨害も起こる可能性がある。したがって、本発明の特定の実施形態は、このような問題に対処するために提供されてもよい。
【0148】
単数形の用語「1つ(a、an)」は、「1つおよび1つだけ」を意味するように解釈されるべきではない。むしろ、他に述べられていない場合、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」を意味するように解釈されるべきである。「備える(comprising)」という言葉、および「備える(comprises、comprise)を含むその派生語は、述べられた特徴の各々を含むが、1つまたは複数のさらなる特徴を含むことを排除しない。
【0149】
上記の実施は、例だけを用いて記載されており、記載されている実施は、すべての点において例示として見なされ、制限として見なされない。記載されている実施の変形が、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができることは、理解されるものである。記載されておらず、添付の特許請求の範囲内にある多くの変形があることも、理解されるものである。
【0150】
図面に示されている特徴に関する符号は、理解度を高めるために、特許請求の範囲において括弧書きで配置されている。これらの符号は、特許請求の範囲を限定するとして解釈されるべきではない。
【0151】
同じく開示されているのは、以下のとおりである。
【0152】
1. エレクトロブロッティングのための膜転写カセットであって、カセットは、第1の支持パネルと第2の支持パネルとを備え、第1および第2の支持パネルの一方または各々の少なくともある領域が多角形開口の連結パターンを有する、膜転写カセット。
【0153】
2. 多角形開口の各々は3つの辺または5つ以上の辺を有する、項目1に記載の膜転写カセット。
【0154】
3. 多角形開口は、2つ以上の形を有する開口を備える、項目1または2に記載の膜転写カセット。
【0155】
4. 多角形開口の各々は同じ形である、項目1または2に記載の膜転写カセット。
【0156】
5. 多角形開口は2つ以上の大きさの開口を備える、項目1から4のいずれか一つの項目に記載の膜転写カセット。
【0157】
6. 多角形開口の各々は六角形であり、連結パターンはハニカムパターンである、項目1に記載の膜転写カセット。
【0158】
7. 第1の支持パネルが内面と外面とを有し、
第2の支持パネルが内面と外面とを有し、
使用中、第1の支持パネルの内面は第2の支持パネルの内面を向き、
各々の多角形開口は、それぞれの壁によって、各々の隣接の開口から分離され、
壁のうちの1つまたは複数は、支持パネルの外面において、支持パネルの内面における壁の表面積より大きい表面積を有する、項目1から6のいずれか一つの項目に記載の膜転写カセット。
【0159】
8. 領域はそれぞれの支持パネルの中心領域であり、それぞれの記支持パネルは、開口を有する外側領域をさらに備え、外側領域における開口は、中心領域における多角形開口と、形、大きさ、またはパターンのうちの1つまたは複数において異なる、項目1から7のいずれか一つの項目に記載の膜転写カセット。
【0160】
9. 領域はそれぞれの支持パネルの外側領域であり、それぞれの支持パネルは、開口を有する中心領域をさらに備え、中心領域における開口は、外側領域における多角形開口と、形、大きさ、またはパターンのうちの1つまたは複数において異なる、項目1から7のいずれか一つの項目に記載の膜転写カセット。
【0161】
10. 中心領域における開口は外側領域における開口より小さい、項目8または9に記載の膜転写カセット。
【0162】
11. 中心領域における開口は六角形であり、ハニカムパターンを形成する、項目8から10のいずれか一つの項目に記載の膜転写カセット。
【0163】
12. 第1および第2の支持パネルの一方または各々は曲げられる、項目1から11のいずれか一つの項目に記載の膜転写カセット。
【0164】
13. 第1および第2の支持パネルの一方は平坦であり、他方の支持パネルは、第1の支持パネルと第2の支持パネルとを一体に接続するための接続機構を備える、項目1から12のいずれか一つの項目に記載の膜転写カセット。
【0165】
14. 接続機構は、第1および第2の支持パネルを一体に接続するためのヒンジ付きクリップであり、ヒンジ付きクリップは支持パネルの縁に配置され、ヒンジ付きクリップの長さは、パネルの縁の長さの60%以上であり、好ましくは70%以上である、項目13に記載の膜転写カセット。
【0166】
15. 開口によって占められる第1および/または第2の支持パネルの表面積の百分率が、55%から75%の間であり、好ましくは65%から75%の間である、項目1から14のいずれか一つの項目に記載の膜転写カセット。
【0167】
16. 第1および第2の支持パネルの一方は、支持パネルの縁に一体式クリップを備え、一体式クリップは、支持パネルと一体であり、他方の支持パネルを受け入れるように配置される、項目1から15のいずれか一つの項目に記載の膜転写カセット。
【0168】
17. 一体式クリップはパネルの縁の長さと同じ長さである、項目16に記載の膜転写カセット。
【0169】
18. エレクトロブロッティングのための膜転写カセットのための支持パネルであって、支持パネルの少なくともある領域が多角形開口の連結パターンを有する、支持パネル。
【0170】
19. 項目18に記載の支持パネルまたは項目1から17のいずれか一つの項目に記載の膜転写カセットのデジタル表現を含むコンピュータ支援設計ファイルであって、3Dプリンタなどの付加製造デバイスが付加製造によって膜転写カセットまたは支持パネルの構成要素を製作するために、デバイスによって読み取り可能であるコンピュータ支援設計ファイル。
【0171】
20. 項目1から17のいずれか一つの項目に記載の膜転写カセットと、エレクトロブロッティングサンドイッチの1つまたは複数の要素とを少なくとも備えるエレクトロブロッティングキット。
【0172】
21. 項目1から17のいずれか一つの項目に記載の膜転写カセットを使用するステップを含む、エレクトロブロッティングの方法。
【符号の説明】
【0173】
2 膜転写カセット
4 第1の支持パネル
6 第2の支持パネル
7 第2の支持パネルの内面
8 ヒンジ付きクリップ
9 第2の支持パネルの外面
10 第1の端
11C 中心領域
11D 外側領域
12、12A 第1の支持パネルの開口
12C 中心領域の開口
12D 外側領域の開口
12E 三角形の開口
12F 六角形の開口
13 壁
13C 壁
14、14A 第2の支持パネルの開口
15 第1の支持パネルの外面、外側面
16 一体式クリップ
16A 第1の部分
16B 第2の部分
17 第1の支持パネルの内面、内側面
18 外側フレーム
20 接続開口
22、24 溝
23、25 切り欠き
26A、26B 保持要素
28 外側フレーム
30 壁
32 突起
34、36 溝
38 隆起部分
40 支持棒
42 エレクトロブロッティングキット
44A、44B スポンジ
46A、46B 濾過紙
48 分離基質(ゲル)
50 膜
52 第1の領域
54 第2の領域
図1a
図1b
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6a
図6b
図6c
図7
図8a
図8b
図9a
図9b
図10a
図10b
図11
【国際調査報告】