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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】半径方向分離封止体
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/44 20060101AFI20240305BHJP
   F16J 15/30 20060101ALI20240305BHJP
   F16J 15/46 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
F16J15/44 Z
F16J15/30
F16J15/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557311
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(85)【翻訳文提出日】2023-10-26
(86)【国際出願番号】 GB2022050659
(87)【国際公開番号】W WO2022195270
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】2103583.7
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523354255
【氏名又は名称】ジョン クレイン ユーケー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JOHN CRANE UK LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100170597
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】インダーパル シーラ
(72)【発明者】
【氏名】アイダン ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】アイザック ロペス
【テーマコード(参考)】
3J042
3J043
【Fターム(参考)】
3J042AA03
3J042BA01
3J042CA03
3J042DA20
3J043AA16
3J043BA09
3J043CA03
3J043CA04
3J043CB18
3J043CB24
3J043DA20
(57)【要約】
本開示の態様は、半径方向分離封止用封止リングを供する。当該封止リングは、雄部を有する第1リング部分と、雌部を有する第2リング部分を備え、前記雌部は、実はぎ接合によって前記雄部と係合するように構成され、前記接合は、2つの内側封止面を有すると共に前記第1リング部分が前記第2リング部分に隣接する内側界面、及び、2つの外側封止面を有すると共に前記第1リング部分が前記第2リング部分に隣接する外側界面を有し、前記第1リング部分が前記第2リング部分と係合する位置にある場合において流体流が前記内側界面に供されると、前記流体流からの流体圧力が前記内側界面の前記内側封止面を押して前記流体圧力と前記内側界面とが離れて前記外側界面を封止するように,前記外側界面は前記内側界面から半径方向に外向きにされる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半径方向分離封止体用封止リングであって、
雄部を有する第1リング部分と、
実はぎ接合によって前記雄部と係合するように構成される雌部を有する第2リング部分を備え、前記接合は、
2つの内側封止面を有すると共に前記第1リング部分が前記第2リング部分に隣接する内側界面、及び、
2つの外側封止面を有すると共に前記第1リング部分が前記第2リング部分に隣接する外側界面を有し、
前記第1リング部分が前記第2リング部分との係合位置にある場合において流体流が前記内側界面に供されると、前記流体流からの流体圧力が前記内側界面の前記内側封止面を押して前記流体圧力と前記内側界面とが離れて前記外側界面を封止するように、前記外側界面は前記内側界面から半径方向に外向きにされる、封止リング。
【請求項2】
請求項1に記載の封止リングであって、前記係合位置では、前記雄部と前記雌部の各々は、隣接するリング部分間での相対運動を可能にするように構成され得る、封止リング。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の封止リングであって、前記2つの封止面は平坦部を有する、封止リング。
【請求項4】
請求項3に記載の封止リングであって、前記外側界面での前記封止体は、前記2つの外側封止面間に平坦接触を有する、封止リング。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の封止リングであって、前記外側封止面は、前記2つの外側封止面が接しているときにジャックナイフ現象に抗するように構成される、封止リング。
【請求項6】
半径方向分離封止体用封止リングであって、
雄部を有する第1リング部分と、
実はぎ接合によって前記雄部と係合するように構成される雌部を有する第2リング部分を備え、前記接合は、
前記第1リング部分が前記第2リング部分に隣接する内側界面、及び、
前記第1リング部分が前記第2リング部分に隣接する外側界面を有し、
前記外側界面は前記内側界面から半径方向に外向きで、2つの界面の各々は、平坦な平面封止面の対によって供されることで、前記2つのリング部分間での平面状接触を供することによって、前記第1リング部分が前記第2リング部分との間でのジャックナイフ現象現象に抗する、封止リング。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の封止リングであって、前記第2リング部分は軸面を有し、前記係合位置では、前記内側部分の軸端部は前記軸面によって閉じられ、それにより流体流が前記内側界面に供されるときに、前記軸面は、前記流体流を前記内側界面へ案内するように構成される、封止リング。
【請求項8】
請求項7に記載の封止リングであって、前記係合位置では、前記外側界面の軸端部は前記軸面によって閉じられ、流体流が前記内側界面に供されるとき、前記軸面と前記外側封止面は封止体を供するように構成される、封止リング。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の封止リングを備える封止組立体。
【請求項10】
半径方向分離封止体の封止リング用のリング部分であって、
当該リング部分の第1端部上に設けられる第1相補部分と、
当該リング部分の第2端部上に設けられる第2相補部分を備え、
前記第1相補部分と前記第2相補部分はそれぞれ、隣接するリング部分間での実はぎ接合によって他の同様のリング部分の相補部分と係合することによって前記他の同様のリング部分と組み合わせられることで前記封止リングを供するように構成され、各接合は、内側封止面の対を含む内側界面、及び、外側封止面の対を含む外側界面を有し、組み合わせられるときに前記外側界面は前記内側界面から半径方向外側に存在し、流体流が前記内側界面へ供されるときに、前記流体流からの流体圧力が封止面の各対を押して各内側界面から離すことで各外側界面をそれぞれ封止するように配置される、リング部分。
【請求項11】
請求項10に記載のリング部分であって、係合位置では、前記第1相補部分と前記第2相補部分の各々は、前記隣接するリング部分間での相対運動を可能にするように構成される、リング部分。
【請求項12】
請求項10又は11に記載のリング部分であって、2つの封止面は平坦部を有する、リング部分。
【請求項13】
請求項12に記載のリング部分であって、前記外側界面は、該外側界面が封止されるときに前記2つの封止面間での平面状接触を有する、リング部分。
【請求項14】
請求項10~13のいずれかに記載のリング部分であって、前記外側封止面は、前記外側界面が封止されるときにジャックナイフ現象現象を防止するように構成される、リング部分。
【請求項15】
請求項10~14のいずれかに記載のリング部分であって、
前記第1相補部分は雄部であり、
前記第2相補部分は雌部である、
リング部分。
【請求項16】
請求項10~14のいずれかに記載のリング部分であって、
前記第1相補部分及び前記第2相補部分は雌部である、
リング部分。
【請求項17】
請求項15又は16に記載のリング部分であって、前記雌部の1つ以上は軸面を有し、前記係合位置では、前記内側界面の軸端部は前記軸面によって閉じられ、その結果、流体流が前記内側界面に供されるとき、前記軸面は、前記流体流を前記内側界面へ案内するように構成される、リング部分。
【請求項18】
請求項17に記載のリング部分であって、前記係合位置では、前記外側界面の軸端部は前記軸面によって閉じられ、流体流が前記内側界面に供されるとき、前記軸面と前記外側封止面は封止体を供するように構成される、リング部分。
【請求項19】
請求項10~14のいずれかに記載のリング部分であって、前記第1相補部分及び前記第2相補部分は雄部である、リング部分。
【請求項20】
請求項10~19のいずれかに記載のリング部分を複数備える封止リング。
【請求項21】
請求項20に記載の封止リングを少なくとも1つ備える封止組立体。
【請求項22】
外側キャビティからの流体のマイグレーションを防止するための請求項10又は21の封止組立体の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は機械封止体に関し、より詳細には本発明は半径方向封止体に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な半径方向封止リングは一般的には、一つに接続されることで環状封止リングを構成する複数の弓状部品を備える。典型的な封止リングは、カーボングラファイト又はセラミックスを有する。封止リングは回転シャフトの周りに設けられる。封止リングは、気体封止キャビティと軸受キャビティとの間で封止するように構成される。
【0003】
典型的な半径方向分離封止リングの弓状部分は、互いに離れるように移動して、半径方向分離封止リングの実効サイズ(たとえば封止リングの実効半径)を増大させることで封止するように構成される。
【0004】
使用時、封止リングは、シャフトと封止リングとの間での流体流-たとえば流体はシャフトと封止リングとの間を流れる-を受ける。封止リングとシャフトとの間の流体は、封止体を概して半径方向に変位させることでシャフトの外側接平面との接触を最小にする運搬力を生じさせ得る。
【0005】
半径方向分離封止体はまたリフトオフ封止とも呼ばれ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の態様は独立請求項に記載され、任意の追加特徴は従属請求項に記載される。本開示の複数の態様は相互に関連付けて供され、一の態様の特徴は他の態様に適用可能である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ある態様は、半径方向分離封止用封止リングを供する。当該封止リングは、
雄部を有する第1リング部分と、
雌部を有する第2リング部分を備え、前記雌部は、実はぎ接合によって前記雄部と係合するように構成され、前記接合は、
2つの内側封止面を有すると共に前記第1リング部分が前記第2リング部分に隣接する内側界面、及び、
2つの外側封止面を有すると共に前記第1リング部分が前記第2リング部分に隣接する外側界面を有し、
前記第1リング部分が前記第2リング部分と係合位置にある場合において流体流が前記内側界面に供されると、前記流体流からの流体圧力が前記内側界面の前記内側封止面を押して前記流体圧力と前記内側界面とが離れて前記外側界面を封止するように、前記外側界面は前記内側界面から半径方向に外向きにされる。
【0008】
前記係合位置では、前記雌部と前記雄部は、前記第1リング部分と前記第2リング部分との間での相対運動を可能にするように構成され得る。
【0009】
前記2つの封止面は平坦部を有することができる。
【0010】
前記外側界面での前記封止体は、前記2つの外側封止面間に平坦接触を有することができる。
【0011】
前記外側封止面は、前記2つの外側封止面が接しているときにジャックナイフ現象に抗するように構成され得る。
【0012】
ある態様は、半径方向分離封止体用封止リングを供する。当該封止リングは、
雄部を有する第1リング部分と、
雌部を有する第2リング部分を備え、
前記雌部は、実はぎ接合によって前記雄部と係合するように構成され、前記接合は、
前記第1リング部分が前記第2リング部分に隣接する内側界面、及び、
前記第1リング部分が前記第2リング部分に隣接する外側界面を有し、
前記外側界面は前記内側界面から半径方向に外向きで、前記
2つの界面の各々は、平坦な平面封止面の対によって供されることで、前記2つのリング部分間での平面状接触を供することによって、前記第1リング部分が前記第2リング部分との間でのジャックナイフ現象に抗する。
【0013】
前記第2リング部分は軸面を有することができる。前記係合位置では、前記内側部分の軸端部は前記軸面によって閉じられ、それにより流体流が内側アバットメントに供されるときに、前記軸面は、前記流体流を前記内側アバットメントへ案内するように構成される。
【0014】
前記係合位置では、外側アバットメントの軸端部は前記軸面によって閉じられ、それにより流体流が内側アバットメントに供されるときに、前記軸面と前記外側封止面は、封止するように構成される。
【0015】
本開示の封止リングは、隣接する封止リング部分の前記雌部と前記雄部との間でのジャックナイフ現象を防止することができる。隣接する封止リング部分の前記雌部と前記雄部との間でのジャックナイフ現象を防止することで、前記雌部と前記雄部との間での点接触又は線接触が防止される。点接触及び線接触によって、隣接するリング部分間での封止プロファいる。が非同心円状になる。面接触によって、隣接するリング部分間での封止プロファいる。が同心円状になる。同心円状の封止プロファいる。は、非同心円状の封止よりも良好な封止を供するので、ジャックナイフ現象が防止される封止プロファいる。を供することで、隣接するリング部分間での非同心円状封止プロファいる。を防止する。
【0016】
当該封止リングは、封止するように拡張する(たとえば半径方向に延びる)ことで外側キャビティからの流体のマイグレーションを防止するように構成され得る。当該封止リングは、収縮位置から拡張位置へ拡張するように構成され得る。
【0017】
前記収縮位置は、当該封止リング内においてすべての隣接する封止リング部分間で最小距離ΔDminが存在するような前記封止リング部分の位置として定義され得る。
【0018】
最大拡張位置は、当該封止リング内においてすべての隣接する封止リング部分間で最大距離ΔDmaxが存在するような前記封止リング部分の位置として定義され得る。
【0019】
連続する複数の拡張位置が存在する。拡張位置は、当該封止リング内において各隣接する封止リング部分間に距離ΔDが存在するような前記封止リング部分の位置を含む。任意の拡張位置での距離ΔDは、(前記収縮位置における)前記最小距離ΔDminよりも大きく、かつ、(前記拡張位置における)前記最大距離ΔDmaxよりも小さい。
【0020】
当該封止リングは、拡張する(たとえば半径方向に延びる)ように構成され得る。たとえば流体流は、前記封止リング部分の各々の内側接平面に供され得る。前記封止リング部分の前記内側接平面は1つ以上の軸方向溝を有することができる。前記軸方向溝は、前記封止リング部分の軸方向に沿って軸方向の長さの大半に及んで延びることができる(たとえば前記軸方向溝は、封止の内側接平面の50%以上に沿って延びることができる)。前記軸方向溝は、流体流を受けるように構成され得る(たとえば流体流は前記軸方向軸に沿って流れることができる)。封止リング部分の内側接平面上の前記軸方向溝のうちの少なくとも一は、前記封止リング部分と隣接する封止リング部分によって形成される内側面と流体連通することができる。
【0021】
前記封止リング部分の内側接平面に供される流体流は、(たとえば前記軸方向溝の各々内において)当該封止リングの半径方向の内側面上で半径方向外側圧力を及ぼすことができる。前記半径方向外側圧力は、前記封止リング部分に半径方向外側の力を及ぼすことができる。前記半径方向外側の力が、前記封止リング部分の重さ及びガーターリングによって供される半径方向内側張力の合計よりも大きい場合に、前記封止リング部分は半径方向外側へ移動する。前記半径方向外側の力が所定の剥離力を上回る場合、前記封止リング部分は半径方向外側の方向(たとえば封止体組立体の回転軸から離れる方向)に移動する。前記所定の剥離力は、前記封止リング部分の重さ、及び、ガータースプリングによって供される半径方向内側の張力のいずれかに基づいてよい。
【0022】
2つの封止リング部分間の接合の内側界面に供される前記流体流は、封止組立体のプロセス流体又は緩衝流体であってよい。
【0023】
複数の実施形態において、通常動作モードでは、2つの封止リング部分間の接合の内側界面に供される前記流体流は、緩衝流体(たとえば分離封止流体)である。
【0024】
複数の実施形態において、2つの封止リング部分間の接合の内側界面に供される前記流体流は、プロセス流体(たとえば処理気体)である。
【0025】
複数の実施形態において、混乱条件(たとえば乾燥気体封止が失敗したとき)では、2つの封止リング部分間の接合の内側界面に供される前記流体流は、プロセス流体(たとえば処理気体)である。
【0026】
複数の実施形態において、2つの封止リング部分間の接合の内側界面に供される前記流体流は、分離封止流体と呼ばれ得る。
【0027】
前記封止リング部分の内側接平面に供される前記流体流は、封止組立体のプロセス流体又は緩衝流体であってよい。
【0028】
当該封止リングは、収縮する(たとえば半径方向に増大する)ように構成され得る。たとえば前記封止リング部分に半径方向内向きの張力を及ぼすガータースプリングが供され得る。たとえば前記封止リング部分の内側接平面に及ぼされる半径方向外向きの力は、(たとえば半径方向外向きの圧力の減少に起因して)所定の剥離力を下回るように減少する。
【0029】
当該封止リングは、隣接する封止リング部分の各対間の距離が同一になるように拡張及び収縮するように構成される。
【0030】
前記外側界面での前記封止面は、前記接合が前記内側界面への流体流によって始動されるときに隣接するようにされ得る。前記外側界面で平坦な封止面を供することで、前記外側界面での前記封止面間での平面状接触が可能となり得る。前記外側界面での前記封止面間での平面状接触によって、前記雌部と前記雄部との間でのジャックナイフ現象に抗することができる。ジャックナイフ現象の防止は後述する理由により有利である。
【0031】
ある態様は、半径方向分離封止体の封止リング用のリング部分を供する。当該リング部分は、
当該リング部分の第1端部上に設けられる第1相補部分と、
当該リング部分の第2端部上に設けられる第2相補部分を備える。
前記第1相補部分と前記第2相補部分はそれぞれ、隣接するリング部分間での実はぎ接合によって他の同様のリング部分の相補部分と係合することによって前記他の同様のリング部分と組み合わせられることで前記封止リングを供するように構成される。各接合は、内側封止面の対を含む内側界面、及び、外側封止面の対を含む外側界面を有し、組み合わせられるときに前記外側界面は前記内側界面から半径方向外側に存在し、流体流が前記内側界面へ供されるときに、前記流体流からの流体圧力が封止面の各対を押して各内側界面から離すことで各外側界面をそれぞれ封止するように配置される。
【0032】
係合位置では、前記第1相補部分と前記第2相補部分の各々は、隣接するリング部分間での相対運動を可能にするように構成され得る。
【0033】
2つの封止面は平坦部を含むことができる。
【0034】
前記外側界面は、該外側界面が封止されるときに前記2つの封止面間での平面状接触を有することができる。
【0035】
前記外側封止面は、前記外側界面が封止されるときにジャックナイフ現象を防止するように構成され得る。
【0036】
前記第1相補部分は雄部であり、前記第2相補部分は雌部であってよい。
【0037】
前記第1相補部分及び前記第2相補部分は雌部であってよい。
【0038】
前記第1相補部分及び前記第2相補部分は雄部であってよい。
【0039】
前記雌部の1つ以上は軸面を有することができる。前記係合位置では、前記内側界面の軸端部は前記軸面によって閉じられ、その結果、流体流が内側アバットメントに供されるとき、前記軸面は、前記流体流を前記内側アバットメントへ案内するように構成される。
【0040】
前記係合位置では、外側アバットメントの軸端部は前記軸面によって閉じられ、流体流が内側アバットメントに供されるとき、前記軸面と前記外側封止面は封止するように構成される。
【0041】
ある態様は、本願で説明された任意のリング部分を複数備える封止リングを供する。
【0042】
ある態様は、本願で説明された少なくとも1つのリング部分を備える封止組立体を供する。
【0043】
ある態様は、外側キャビティからの流体のマイグレーションの防止への本願で説明された封止組立体の使用を供する。
【0044】
前記第1内側封止面と前記第2内側封止面の一方又は両方は、これらの面間での摩擦を減少させるように研磨されてよい。
【0045】
前記第1外側封止面と前記第2外側封止面の一方又は両方は、これらの面間での摩擦を減少させるように研磨されてよい。
【0046】
複数の実施形態では、前記封止リング部分は、カーボングラファイトで構成され得る。複数の実施形態では、前記封止リング部分は、モリブデンカーバイド及び/又はアンチモンカーバイドで構成され得る。
【0047】
複数の実施形態では、前記封止リング部分は、アンチモンカーバイド(たとえばアンチモンが注入されたカーボングラファイト)で構成され得て、二硫化モリブデン添加物を含むことができる。有利には、二硫化モリブデン添加物を供することで、そのような添加物が供されていない実施形態と比較して摩擦力が小さくなる。
【0048】
前記外側アバットメントを封止することは、前記外側アバットメントの封止面を押して一つにすることで、たとえば前記封止面間での流体流を防止することを含む。
【0049】
「ジャックナイフ現象」又はジャックナイフ現象面という用語は、界面で互いに非平行である-たとえば封止面が平坦なときに平坦面間の角度が非ゼロである-封止面を指称し得る。たとえば「ジャックナイフ現象」という用語は、前記第1リング部分が第2回転軸の周りで回転し、前記第2リング部分が第3回転軸の周りで回転し、前記第2回転軸と前記第3回転軸は封止体の回転軸に平行で、前記第2回転軸と前記第3回転軸は一致しない配置を指称する。
【0050】
本願では「平坦」という用語は、表面曲率を有しない平坦な表面を指称し得る。
【0051】
本願では「封止リング」及び「カーボンリング」という用語は同一の部材を指称し得る。たとえばカーボンリングは、他の元素-たとえばアンチモン及びモリブデン-と炭素との混合物を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
ここで本開示の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。図中、同様の数字は同様の部材を表す。
図1】気体封止キャビティの半径方向断面図を表している。
図2A】雄部を有する第1リング部分200Aの斜視図を表している。
図2B】雌部を有する第2リング部分200Bの斜視図を表している。
図3A】実はぎ接合で第1リング部分200Aの雄部と係合する第2リング部分200Bの雌部の前方軸面から見た図を表している。
図3B】実はぎ接合で第1リング部分200Aの雄部と係合する第2リング部分200Bの雌部の後方軸面から見た図を表している。
図4A】第1クランプ面403と第2クランプ面404との間に設けられる第1封止リング101Aと第2封止リング101Bの半径方向断面図を表している。
図4B】封止リング部分の斜視図を表している。
図5A】収縮状態における第1封止リング部分200Aの雄部と第2封止リング部分200Bの雌部との間での接合の斜視図を表している。
図5B】拡張状態における第1封止リング部分200Aの雄部と第2封止リング部分200Bの雌部との間での接合の斜視図を表している。
図6A】半径方向外側における2つの封止リング部分間でのジャックナイフ現象現象(外側ジャックナイフ現象現象)を表している。
図6B】半径方向内側における2つの封止リング部分間でのジャックナイフ現象現象(内側ジャックナイフ現象現象)を表している。。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1は、気体封止キャビティの半径方向断面図である。気体封止キャビティは、一対の封止リング101A、110Bと、スリーブ103と、一対のクランププレート105A、105Bと、ガータースプリング113A、113Bと、一次回転軸115を備える。気体封止キャビティは、一対の回転防止ピン109A、109Bを備えることもできる。
【0054】
気体封止キャビティは、図1に示す装置の左側に設けられてもよい。軸受キャビティは、図1に示す装置の右側に設けられてもよい。
【0055】
各封止リング101A、101Bは、回転軸115の周りに配置される(例えば、回転軸が各リングによって画定される中心孔を通過するように)。各封止リング101A、101Bは、複数の封止リング部分で構成されている。各封止リング部分は、一対の隣接する封止リング部分に接続されており、一方の隣接する封止リング部分は、封止リング部分の第1の端部で接続され、他方の隣接する封止リング部分は、封止リング部分の第2の端部で接続されている。各封止リング部分は、各封止リング部分の両端に配置された相補的な部分(例えば、封止リング部分の一端に配置された雄部と、封止リング部分の他端に配置された雌部)によって、隣接する封止リング部分に接続されている。対応する相補的な部分(例えば雄部と雌部)は、実はぎ接合で係合するように構成されている。各封止リングは、内側接平面と外側接平面を有している。封止リングは、半径方向の断面がL字形である。封止リングは、L字形状によって形成された例えば直角の隅部を有する。封止リングと封止リング部分については、以下で詳しく説明する。第1の封止リング101Aは、第1回転防止ピン109Aを受け入れるように構成された孔を含んでもよい。第2封止リング101Bは、第2の回転防止ピン109Bを受け入れるように構成された穴を有することもできる。第1封止リングは、背面401を備える。第2の封止リングは、背面402を備える。
【0056】
スリーブ103は回転軸115の周りに配置される。実施例では、スリーブ103はタングステンカーバイドを含むことができる。
【0057】
各クランププレート105A、105Bは内側接平面を有する。各クランププレート105A、105Bは回転軸115の周りに配置されている。各クランププレート105A、105Bは、それぞれの封止リング101A、101Bの周りに配置される。例えば、第1クランププレート105Aは、第1封止リング101Aの外側接平面の周りに配置され、第2クランププレート105Bは、第2封止リング101Bの外側接平面の周りに配置される。各プレート105A、105Bの内側接平面は、各封止リングが最大拡張位置にあるとき、それぞれの封止リング101A、101Bに接触する。第1封止リング101Aが最大拡張位置にあるとき、第1クランププレート105Aの内側の当接面は第1封止リング101Aの外側の当接面に当接し、それにより第1封止リング101Aと第1クランププレート105Aとの間に封止を提供する。第2封止リング101Bが最大拡張位置にあるとき、第2クランププレート105Bの内側接平面は第2封止リング101Bの外側接平面に接触し、それによって第2封止リング101Bと第2クランププレート105Bとの間に封止を提供する。
【0058】
第1クランププレート105Aは、第1封止リングが最大拡張位置にあるときに第1封止リング101Aの隅部に適合する大きさの角部403を備える。第2クランププレート105Bは、第2封止リングが最大拡径位置にあるときに第2封止リング101Bの隅部に適合する大きさの隅部404を備える。
【0059】
第1回転防止ピン109Aは、第1クランププレート105Aから延びていてもよい。第1回転防止ピン109Aは、第1封止リング101Aの穴に適合する大きさであってもよい。第2回転防止ピン109Bは、第2クランププレート105Bから延びていてもよい。第2回転防止ピン109Bは、第2封止リング101Aの穴に適合する大きさであってもよい。
【0060】
複数の実施例では、穴は溝に置き換えられてもよい。例では、複数の回転防止ピンが設けられてもよい。そのような例では、対応する数の穴および/または溝が封止リングに設けられる。複数の実施例では、回転防止ピンは、各封止リング部分に設けられてもよく、それに応じて、各封止リング部分は、回転防止ピンを受けるための穴または溝を有することもできる。
【0061】
第1ガータースプリング113Aは、第1封止リング101Aと第1クランププレート105Aとの間に配置されている。第2ガータースプリング113Bは、第2封止リング101Bと第2のランププレート105Bとの間に配置されている。
【0062】
軸方向スプリングが設けられてもよい。軸方向スプリングは、各封止リングに軸方向に作用する力を加えるように構成されてもよい。例えば、軸方向スプリングは、封止リングを互いに向かって付勢してもよいし、あるいは、封止リングを互いに離れる方向に付勢してもよい。
【0063】
各封止リング101A、101Bは、半径方向のリフトオフ封止リングとして作動するように構成されている。各封止リングは、半径方向に広がるように構成されている。例えば、各封止リングは、封止リングの半径方向の範囲を広げるように広がるように構成されている。各封止リングは、封止リング101とスリーブ103との間に流体の流れが供給されると、膨張するように構成されている。封止リング部分は、封止リングが回転すると互いに離れるように構成され、それによって封止リングが半径方向に拡大する。封止リング101が膨張すると、封止リング101はスリーブ103から浮き上がり、それに応じて封止リング101はスリーブ103に接触しなくなる。
【0064】
スリーブ103は回転軸115を中心に回転するように構成されている。スリーブは、封止リングが収縮状態にあるときに封止リング101に接触するように構成されている。
【0065】
クランププレート105A、105Bは、封止リング101A、101Bと封止するように構成されている。クランププレート105A、105Bは、封止リング101の半径方向の膨張を拘束するように構成されている。例えば、第1クランププレート105Aの内側の接平面が第1封止リング101Aの外側接平面に接触する(例えば、突き当たる)とき、第1クランププレート105Aと第1封止リング101Aとの間の接触は、第1封止リング101Aのさらなる半径方向の膨張を防止するように作用する。例えば、第1クランププレート105Aの内側の接平面が第1封止リング101Aの外側接平面に接触する(例えば、突き当たる)とき、第1クランププレート105Aと第1封止リング101Aとの間の接触は、第1封止リング101Aのさらなる半径方向の膨張を防止するように作用する。
【0066】
第1回転防止ピン109Aは、回転軸115を中心とする第1封止リング101Aの回転を防止するように構成されてもよい。第2回転防止ピン109Bは、回転軸115を中心とする第2封止リング101Bの回転を防止するように構成されていてもよい。
【0067】
第1ガータースプリング113Aは、第1封止リング101A(例えば、第1の封止リング部分)を回転軸115に向かって付勢するように構成されている。第2ガータースプリング113Bは、第2封止リング101B(例えば、第2封止リング部分)を回転軸115に向かって付勢するように構成されている。
【0068】
図2Aは、雄部を備える第1リング部分200Aの斜視図を示す。図2Bは、雌部を備える第2リング部分200Bの斜視図を図示する。図3Aは、第2のリング部分200Bのが、第1のリング部分200Aの雄部と実はぎ接合で係合する様子を前軸方向側から見た図である。図3Bは、第2のリング部分200Bのが、第1のリング部分200Aの雄部と実はぎ接合で係合する様子を後軸側から見た図である。
【0069】
第1および第2の封止リング101A、101Bはそれぞれ、複数の封止リング部分200A、200Bを備える。
【0070】
各部分の角度の範囲は同じである。例えば、第1の封止リング部分200Aの角度の範囲は、第2の封止リング部分200Bの角度の範囲と同じである。
【0071】
第1リング部分200Aの雄部は、第1内側封止面201、第1外側封止面202、第1軸方向面203、内側面取り面204、及び外側面取り面205を有する。
【0072】
第2リング部分200Bの雌型部分は、第2内側封止面206、第2外側封止面207、第2軸面208、内側凹面209、および外側凹面210を有する。
【0073】
第1封止リング部分200Aの雄部が第2封止リング部分200Bの雌部内に係合されるとき、内側界面は第1内側封止面201と第2内側封止面206を備える。
【0074】
第1封止リング部分200Aの雄部が第2封止リング部分200Bの雌部内に係合されるとき、外側界面は第1外側封止面202と第2外側封止面207を備える。
【0075】
外側界面は内側界面から半径方向外側にある。
【0076】
第1内側封止面201、第1外側封止面202、第2内側封止面206および第2外側封止面207は平坦であり、例えば表面には曲率がない。
【0077】
第1内側封止面201は第1外側封止面202と平行である。第2内側面206は、第2外側面207と平行である。
【0078】
第1内側封止面201は、第1封止リング部分の雄部が第2の封止リング部分の雌部内に係合されるときに、第2内側封止面206と平行になるように構成されている。
【0079】
第2封止リング部分200Bの雄部が第1封止リング部分200Aの雌部内に係合されるとき、第1外側封止面202は、第2の外側封止面207と平行になるように構成されている。
【0080】
係合位置では、第1軸面203は、第2軸面208に隣接するように構成されている。。
【0081】
係合位置では、第1軸面203と第2軸面208との間の接触(例えば、アバットメント)は、封止リング部分間の軸方向移動を拘束するように構成される。
【0082】
係合位置では、内側界面の軸端部が第2の軸面208によって閉じられ、内側界面に流体の流れが供給された場合に、第2軸面208が流体の流れを内側界面に導くように構成される。係合位置において、外側界面の軸端部は、第2軸面208によって閉じられ、内側アバットメントに流体の流れが供給される場合、第2軸面208および外側封止面202、207は、封止を提供するように構成される。
【0083】
第1リング部分200Aの雄部が第2リング部分200Bの雌部内に係合されたときに、第2リング部分200Bの内側凹面209は、第1リング部分200Aの内側面取り面204を収容するように構成されている。例えば、第2リング部分200Bの内側凹面209および第1リング部分200Aの内側面取り面204は、第1の封止リング部分200Aの雄部が第2の封止リング部分200Bの雌部内に係合されたときに、これらの面204、209が接触しないような形状である。
【0084】
第2リング部分200Bの外側凹面210は、第1リング部分200Aの雄部が第2リング部分200Bの雌部内に係合されるときに、第1リング部分200Aの外側面取り面205を収容するように構成されている。例えば、第2リング部分200Bの外側凹面210と第1リング部分200Aの外側面取り面205は、第1封止リング部分200Aの雄部が第2封止リング部分200Bの雌部内に係合されるときに、これらの面205、210が接触しないような形状である。
【0085】
好都合なことに、接合の雄部に1つ以上の面取り面を設けると、接合の製造が容易になり、例えば、接合のこれらの部分間の公差は、2つの曲面を設ける場合よりも大きくなる可能性がある。公差を気にする必要がない。
【0086】
第1リング部分200Aの内側および外側面取り面204、205をそれぞれ収容するように構成された第2のリング部分200Bの内側および外側凹面209、210を設けることにより、第1リング部分200Aの雄部と第2リング部分200Bの雌部との間の半径方向および/または円周方向の接触が、
(i)内側界面(例えば、第1内側封止面201と第2内側封止面206との間)、または、
(ii)外側界面(例えば、第1外側封止面202と第2外側封止面207との間)
のいずれか一方のみであることを保証することができる。
【0087】
好都合なことに、内側面取り面204と内側凹面との間の製造公差は、面取りを設けることによって大きくすることができる。従って、曲面を設けるのに比べて、面取り面を設ける方が、製造精度および/または製造時間が少なくて済む場合がある。したがって、外側面取り面209および内側面取り面210のいずれかを設けることにより、第1封止リング部分200Aの製造に要する時間を短縮することができる。
【0088】
図4Aは、第1クランププレート105Aおよび第2クランププレート105Bの間に配置された第1封止リング101Aおよび第2封止リング101Bの半径方向断面図を示す。図4Bは、封止リング部分400Aの斜視図である。
【0089】
封止リング101A、101Bのそれぞれは、複数の封止リング部分200A、200Bで形成されている。封止リング101A、101Bは、第1封止リング101Aの背面101ARが第2封止リング101Bの背面101BRに対向するように、封止組立体内に配置される。第1の封止リング101Aの背面401と第2の封止リング101Bの後面402との間には、半径方向の通路が設けられている。
【0090】
第1封止リング101Aの隅部は、第1封止リング101Aが最大拡張位置にあるとき、第1クランププレート105Aの角部403を受ける。第1封止リング101Aの隅部は、第1封止リング101Aが最大拡張位置にあるとき、第1クランププレート105Aの角部403を受ける。
【0091】
封止リング部分400Aは、半径方向内側の表面410を備える。半径方向内周面は、封止リング部分の軸方向範囲の大部分にわたって延びる軸方向溝(例えば、軸方向溝420は、封止リング部分の軸方向範囲の50%以上にわたって延びる)を備える。
【0092】
封止リングは、膨張する(例えば、半径方向の広がりが大きくなる)ように構成されていてもよい。例えば、流体の流れは、各封止リング部分の内側接平面に供給されてもよい。封止リング部分の内側接平面410は、複数の軸方向溝420からなる。軸方向溝420は、封止リング部分の軸方向範囲の大部分に沿って延びている。封止リングの他の封止部分、例えば封止リング部分400Bにも同様の溝が設けられている。
【0093】
軸方向溝420は、流体の流れを受けるように構成されている。(例えば、流体の流れが軸方向溝に沿って流れることができる)。封止リング部分400Aの内側接平面上の軸方向溝420の少なくとも1つは、封止リング部分400Aと隣接する封止リング部分400Bとによって形成される内側界面と流体連通していてもよい。
【0094】
封止組立体は、封止リング部分の内側接平面に流体流を供給するように構成されている。流体の流れは、封止リングの半径方向内側の表面(例えば、軸方向の溝のそれぞれ)に半径方向外向きの圧力をかける。半径方向外向きの圧力は、封止リング部分に半径方向外向きの力を及ぼしいる。半径方向外向きの力が、封止リング部分の重量とガータースプリングによる半径方向内向きの張力の組み合わせよりも大きい場合、封止リング部分は半径方向外向きに移動するように構成されている。半径方向外向きの力が所定の剥離力を超えると、封止リング部分は半径方向外向きに(例えば、封止組立体の回転軸から離れる方向に)移動する。あらかじめ決められた剥離力は、封止リング部分の重量、およびガータースプリングによって提供される半径方向内向きの張力のいずれかに基づいてもよい。
【0095】
封止リングは収縮する(例えば半径方向の広がりが大きくなる)ように構成されている。図示の例では、封止リング部分に半径方向内向きの張力を与えるガータースプリングが設けられている。封止リング部分の内側接平面にかかる半径方向外向きの力が(例えば半径方向外向きの圧力が減少することにより)所定の剥離力以下に減少すると、封止リングが収縮する可能性があり得る。
【0096】
封止リング部分上の軸方向溝410の少なくとも1つは、封止リング部分と隣接する封止リング部分の1つの内側界面と流体連通している。
【0097】
第1リング部分が第2リング部分と係合位置にあるとき、流体流(例えば軸方向外向きの流体流)が内側界面に供給されると、流体流からの流体圧が内側界面を押し広げ(例えば第1内側封止面201を第2の内側封止面206から押し離し)、外側界面を封止する(例えば第1の外側封止面202を第2の外側封止面207と突き合わせる)。
【0098】
流体流は、流体(例えば、プロセス流体または緩衝液など)の流れを含む。流体流は、上流側部分450と下流側部分460を含み、以下の通りである:
上流側部品450は、半径方向内側に(半径方向外側の位置から半径方向内側の位置に)移動する、
下流側部品460は、軸方向外向きに(軸方向外側の位置に向かって)移動する。
【0099】
上流側部品450は、第1封止リング101Aの後面401と第2封止リング101Bの後面402との間に設けられた半径方向通路を通って移動する。
【0100】
上流側部品450は、第1軸方向に移動する第1下流側部品460Aと、第2軸方向に移動する第2下流側部品460Bとに分岐する。
【0101】
第1の下流部分460Aは、第1の封止リングの内側接平面を通過して流れる。図示の例では、下流側部分460は軸方向溝420を通って流れる。
【0102】
第2下流部460Bは、第2封止リングの内側接平面を通過して流れる。図示の例では、下流側部品460A、460Bは軸方向溝420を通って流れる。
【0103】
第1下流部分460Aは、第3下流部分463と第4下流部分464とに分岐する。第3下流部分463は、第1封止リング101Aの封止部分間の内側界面に向かって流れる。第4下流部分464は、第1封止リング101Aの封止部分間の内側界面に向かって流れる。
【0104】
第3下流部分463は、内側界面に向かっている。内側界面において、第3下流部分463は、第1軸面203に圧力を及ぼし(例えば、第3下流部分463は、第1軸方向表面203を押す)、これにより、第1封止リング101Aの軸方向移動が引き起こされ、第1の封止リング101Aの背面401がクランププレート105Aに向かって(例えば、接触して)移動する。
【0105】
第1封止リング101Aは、流れのそれぞれの第3下流部分から全て同じ圧力を受ける複数のそのような軸面203を備える。実施例では、封止リングの接合部、したがって複数の軸方向表面203は、第1封止リング101Aの周りに等距離に配置される、すなわち、封止リングを形成するリング部分は、封止リングの中心に関して同じ角度範囲を有する。等距離に配置された第1軸面203の各々は、同一の第3下流部分463によって作用される(例えば、圧力が等しいという点で同一である)。例えば、第1軸面203の全てに作用する正味の力はゼロであってもよい。
【0106】
内側界面における第3下流部分463の圧力が始動圧力以上である場合、流れの第3下流側部分463の流体圧力が接合を活性化する。換言すれば、第3下流部分463の流体圧力は、内側界面の封止面を押し広げて外側界面を封止する(例えば、外側界面の封止面を付勢する)。
【0107】
第4下流部464の流れは、接合部における封止リング101Aの形状によって、封止面201および206を備える内側界面に向かって導かれる。内側界面における第4下流部分464の圧力が始動圧力以上である場合、第4下流部分464の流れの流体圧力は、接合を活性化させる。換言すれば、第4の下流部分464の流体圧力は、内側界面の封止面を押し離して外側界面を封止する(例えば、外側界面の封止面を付勢する)。
【0108】
実施例では、内側界面における第3下流側部分463と第4下流側部分464の組み合わされた流体圧力が始動圧力以上であるときに、接合部が始動されることがある。
【0109】
また、第4下流部分464は、第1封止リング101Aとスリーブ103(第1の封止リング101Aが配置されたスリーブ103)との間に、スリーブ103と第1封止リング101Aとの間に隙間を形成させる圧力を作用させる。例えば、第4下流部分464は、第1封止リング101Aを回転可能なスリーブ103から浮き上がらせ、スリーブ103(回転体)と第1封止リング101A(静止体)との間の非接触動作を可能にするように構成される。
【0110】
さらに、第4下流部分464は、その後、スリーブ103と第1封止リング101Aとの間に形成された空間から抜け出る。第4下流部分464が空間から出ると、第4下流部分464は膨張する。スリーブ103と第1封止リング101Aとの間から第4下流部分464が流出することにより、第1封止リング101Aとスリーブ103との間の空間への物質(例えばオイル)の入り込みが防止される。
【0111】
第2下流部分460Bは、第5下流部分465と第6下流部466分とに分岐する。第5下流部分465は、第2の封止リング101Bの封止部分間の内側界面に向かって流れる。第6下流部分466は、第2封止リング101Bの封止部分間の内側界面に向かって流れる。
【0112】
第5下流部分465は第3下流部分463と同様に作用するが、第3下流部分463が第1封止リング101Aに作用するのに対し、第5下流部分465は第2封止リング101Bに作用する。
【0113】
第6下流部分466は第4下流部分464と同様に作用するが、むしろ第6下流部分466は第2封止リング101Bに作用するのに対し、第4下流部分464は第1封止リング101Aに作用する。
【0114】
接合が始動すると、第1外側封止面202と第2外側封止面207が押し付けられ密着する。上述したように、第1外側封止面202と第2外側封止面207は、係合位置において平坦であり、互いに平行である。第1外側封止面202と第2外側封止面207との間のアバットメントは、2つの面間の平面接触を有し、例えば、平坦な2次元形状が第1外側封止面202と第2外側封止面207との間の接触を表す。
【0115】
接合を作動させる第1下流部分461の圧力は、第2封止リング部分200Bの雄部の第2内側封止面206に力を与え、第1外側封止面202と第2外側封止面207との間の平面接触は、第2外側封止面に力を与える。封止リングは、一対の力(内側の第2封止面206上の力と、外側の第2封止面207上の力)が釣り合って、封止リング部分の雌部に対する封止リング部分の雄部の半径方向の動きを拘束するように構成されている。従って、雄部との間のジャックナイフ現象が防止される。
【0116】
図5Aは、収縮位置にある第1封止リング部分200Aおよび第2封止リング部分200Bの雌部と雄部との間の接合部の斜視図を示す。図5Bは、拡大位置にある第1封止リング部分200Aおよび第2封止リング部分200Bの雌部と雄部との間の接合部の斜視図を示す。
【0117】
封止リングは複数のリング部分(例えばN個の部分)を含み、これらの部分間には対応する数の接合(例えばN個の接合)が存在し、各接合は図5Aおよび図5Bに示すように雌部と雄部を含む。
【0118】
図5Aに示す収縮位置は、第1封止リング部分と第2封止リング部分との間の最小間隔である。封止リングの最小有効半径は、収縮位置における封止リングの有効半径である。収縮位置での封止リングの有効半径Reffminは、円の半径として定義することができ、収縮位置では、リングの半径方向最外縁がその円上に位置する。
【0119】
封止リング部分は収縮位置から拡大位置へと互いに離間する。
【0120】
図5Bに示す拡大位置では、第1封止リング部分200Aと第2封止リング部分200Bとの間に接線方向の変位ΔDが存在する。接線方向の変位は、封止リングの半径の接線方向の変位を含む。従って、所定の拡張位置は、第1封止リング部分200Aと第2封止リング部分200Bとの間の接線方向の変位ΔDによって評価され得る。拡大位置における封止リングの有効半径Reffは、円の半径として定義することができ、拡大位置では、リングの半径方向最外縁がその円上に位置する。
【0121】
各封止リング部分間の接線方向変位が、第1封止リング部分200Aと第2封止リング部分200Bとの間で許容される最大接線方向変位である拡大位置として定義することができる最大拡大位置がある。最大接線方向変位は、収縮位置から封止リングの外周面がクランププレートに接触する大きさまで拡大するまでの封止リングの半径方向の総膨張量によって決定される。最大膨張位置での封止リングの有効半径Reffmaxは、封止リングの外側の接平面に接し、封止リングとクランププレートとの間に封止を提供するクランププレートの内側の接平面の半径とすることができる。
【0122】
封止リングは収縮位置から最大拡張位置まで連続的に拡張することができている。封止リングが膨張しても、第1外側封止面202と第2外側封止面207は平面的に接触したままである。便利なことに、平面接触は2つの封止リング部分間のジャックナイフ現象を防ぐ。
【0123】
好都合なことに、界面の2つの平面が協働して、第1封止リング部分と第2封止リング部分との間のジャックナイフ現象を防止することができる。
【0124】
例えば、雌部の第2内側封止面および第2外側封止面は、雄部が雌部に受容され得るように(例えば、第1内側封止面が第1内側封止面に接し、第1外側封止面が第1外側封止面に接するように)、互いに平行であり、かつ互いに間隔を空けていてもよい。このような例では、第1内側封止面と第2内側封止面、第1外側封止面と第2外側封止面のいずれかの間に空間がないため、ジャックナイフ現象(例えば内側界面または外側界面で封止面を位置決めすることができない)は不可能である。
【0125】
例えば、接合が始動されると(例えば、内側界面の封止面に流体流が供給されると)、外側界面の平坦な封止面が平面接触に押し込まれ、それによって封止が提供されている。流体の流れが接合を始動し続ければ、外側界面の封止面は平面接触を維持し、ジャックナイフ現象に抵抗しいる。
【0126】
さらに、完全な封止リングの各接合部では、各外側界面の各一対の外側封止面が同時に平面接触に押し込まれている。従って、特定の接合部でのジャックナイフ現象は、残りの接合部が平面接触に維持されている。外側封止面を有するために抵抗される。
【0127】
封止リングは、最大拡張位置から収縮位置まで連続的に収縮することができている。封止リングが収縮しても、第1外側封止面202と第2外側封止面207は平面接触したままである。便利なことに、平面接触は2つの封止リング部分間のジャックナイフ現象を防ぐ。
【0128】
複数の実施例では、ガータースプリングが封止リング部分を封止組立体の長手方向軸に向かって付勢するように配置されている。ガータースプリングは、封止リングが所定の角速度(例えば、封止リングの膨張が許容される角速度)以上で駆動されると、封止リングの膨張を許容するように構成され、封止リングが所定の角速度以下で駆動されると、封止リングの膨張に抵抗するように構成される。
【0129】
封止リングが膨張または収縮するとき、各接合部における収縮位置からの接線方向の変位は等しくなっている。好都合なことに、封止リングの重心は組立体の回転軸のままである(例えば、封止リングは膨張または収縮しても全体として円形の形状を維持する)。
【0130】
ここで、雌部を「相補部分」と呼ぶことがある。ここで、雄部は「相補部分」と呼ばれることがある。換言すれば、雌部と雄部とは、雌部が雄部を受容するように構成されるような相補的な態様で形成されている。
【0131】
使用時、図1に示す封止組立体は、封止リングを半径方向に膨張させ、スリーブ103を浮き上がらせる流体の流れを受ける。より詳細には、リングは、(図4に示すように)各封止リングの背面の間で半径方向内向きの流体の流れ450を受ける。半径方向内向きの流れ450は方向を変え、軸方向外向きの流れ460となっている。軸方向外向きの流れ460は、封止リングの軸方向溝420を通って、各封止リングの内側接平面とスリーブ103の間を通過している。
【0132】
流体流は、流体流の圧力により封止リングに半径方向外向きの力を加える。半径方向外向きの力が所定のしきい値圧力を超えると、各封止リングの封止リング部分は軸方向外向きに移動し、それによって封止リングはスリーブ103から離れ、クランププレート105に向かって付勢されいる。封止部分の半径方向外方への移動は、同時に封止リング部分を互いから遠ざける(例えば、隣接する封止リング部分間の分離が増大する)。
【0133】
軸方向溝の少なくとも1つは、各内側界面と流体連通している。軸方向外向きの流体の流れの少なくとも一部は、封止リング部分の内側の接平面から各内側界面へと流れている。各内側界面では、流体の流れが内側界面の封止面(第1内側封止面201と第2内側封止面206)を押し広げる(例えば、これらの面間の半径方向の間隔を広げる)。これに対応して、外側界面の封止面は押し合わされ、それによって封止が提供されている。
【0134】
外側界面の封止面(第1外側封止面202と第2外側封止面207)は平坦である。外側界面の封止面は平面的に接触するように押し付けられている。封止面が平面接触に付勢されるとき、例えば、内側界面に力が加えられたとき、これらの面間の平面接触は、接合の雄部と雌部との間のジャックナイフ現象に抵抗する。外側界面での封止面間の平面接触は、封止面間の接線方向の動きを許容し、それにより隣接する封止リング部分の分離を許容している。隣接する封止リング部分の分離は、封止リングの膨張をもたらしている。封止リングが膨張して、封止リングの外側の接平面がクランププレートに接触すると、封止リングとクランププレートの間に封止が提供されている。
【0135】
図6Aは、2つの封止リング部分間の半径方向外向きのジャックナイフ現象(外向きジャックナイフ現象)を示している。図6Bは、2つの封止リング部分間の半径方向内向きジャックナイフ現象(内向きジャックナイフ現象)を示している。
【0136】
図6A図6Bの両方において、第1封止リング部分601と第2封止リング部分602が存在する。第1封止リング部分601は雄部611を備え、第2封止リング部分602は雌部612を備える。雄部611は、612によって実はぎ接合で受け止められ、接合部を提供する。雄部611が612によって実はぎ接合で受け入れられて接合部を提供するとき、封止リング部分601、602は一体となって円の円弧状部分を画定する。
【0137】
図6Aは、接合部610における外向きのジャックナイフ現象を示す。接合部の外向きのジャックナイフ現象があるとき、封止リング部分601、602はそれぞれ、それらが一体的に規定する円の円弧状部分の軌跡L(例えば中心)に向かって回転するように、接合部について回転する。外向きのジャックナイフ現象があると、第1封止リング部分601と第2封止リング部分602との間にラインコンタクト651、652が形成される。
【0138】
図6Bは、接合部610における内向きのジャックナイフ現象を示す。接合部に内向きのジャックナイフ現象があると、封止リング部分601、602はそれぞれ、それらが集合的に規定する円の円弧状部分の軌跡L(例えば中心)から離れるように接合部に対して回転する。内向きのジャックナイフ現象があると、第1の封止リング部分601と第2の封止リング部分602との間にラインコンタクト653、654が形成される。
【0139】
本明細書に開示された実施例のいずれか1つの特徴は、本明細書に記載された他の実施例のいずれか選択された特徴と組み合わせることができる。例えば、方法の特徴は、適切に構成されたハードウェアに実装されてもよく、本明細書に記載された特定のハードウェアの構成は、他のハードウェアを使用して実装された方法に採用されてもよい。ステップが特定の順序で言及されている。方法の説明または主張は、いずれか1つのステップが他のステップに必ずしも先行することを意味することを意図するものではない。特に断らない限り、このような方法のステップは、任意の適切な順序で適用することができる。
【0140】
図に示された実施形態は、単なる例示であり、本明細書に記載され、特許請求の範囲に規定されるように、一般化され、除去され、または置換され得る特徴を含むことが、上記の議論から理解されるであろう。図面一般を参照すると、それらは単に例示的なものであり、本明細書で明示的に規定される以外の特定の構造が本発明に必須であることを意味するものと取るべきではないことが理解されよう。
【0141】
接平面という用語は、本明細書では、リングから半径方向外側に面する面(例えば、その軸から離れる方向に面する外側の端部)を定義するために使用される。本開示の文脈において、このような接線方向表面は、接線方向に位置合わせされてもよい(すなわち、円柱の湾曲した外面の形態であってもよい)ことが理解されるであろう。
【0142】
軸方向表面という用語は、本明細書では、リングの軸に垂直な(例えば、円柱の平坦な端部のような)表面を定義するために使用される。
【0143】
さらなる実施形態も想定される。任意の1つの実施形態に関連して記載される任意の特徴は、単独で、または記載される他の特徴と組み合わせて使用することができ、また、実施形態の任意の他のものの1つまたは複数の特徴、または実施形態の任意の他のものの任意の組み合わせと組み合わせて使用することもできることを理解されたい。 さらに、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、上記に記載されていない等価物および変更も採用することができる。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
【国際調査報告】